図1は、電子機器10が使用されるシステムの一例を示す図である。電子機器10は、例えば、スマートフォン等の携帯電話機である。電子機器10は、例えば、高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport Systems)で使用されることが可能である。具体的には、電子機器10は、ITSの安全運転支援通信システム1で使用されることが可能である。安全運転支援通信システム1は、安全運転支援システムと呼ばれたり、安全運転支援無線システムと呼ばれたりする。
図1に示されるように、安全運転支援通信システム1では、交差点2等に配置されている路側機5と、車道7を走る自動車等の車両6と、電子機器10とが、互いに無線通信を行うことが可能である。これにより、路側機5、車両6及び電子機器10は、互いに情報をやり取りすることが可能である。また、複数の車両6は、互いに無線通信を行うことが可能である。これにより、複数の車両6は、互いに情報をやり取りすることが可能である。路側機5と車両6との間の通信、車両6間の通信、路側機5と歩行者が有する電子機器10との間の通信、歩行者が有する電子機器10と車両6の間の通信は、それぞれ、路車間通信、車車間通信、路歩間通信、歩車間通信と呼ばれる。
路側機5は、例えば、信号機4の点灯に関する情報、道路規制に関する情報などを車両6及び電子機器10に通知することが可能である。また、路側機5は、その近くの車両6及び歩行者を検知することが可能である。交差点2に配置された路側機5は、例えば、横断歩道3を渡る歩行者を検知することが可能である。そして、路側機5は、検知した車両6及び歩行者に関する情報を、車両6及び電子機器10に通知することが可能である。また、路側機5は、車両6及び電子機器10から通知される情報を、他の車両6及び電子機器10に通知することが可能である。
車両6は、自身の位置、速度、ウィンカーに関する情報などを、他の車両6、路側機5及び電子機器10に対して通知することが可能である。車両6は、例えば、当該車両6に搭載されている、通信機能を有するカーナビゲーション装置から、各種情報を路側機5等に通知することができる。また車両6は、例えば、当該車両6に搭載されているカーナビゲーション装置を利用して、路側機5等から通知される各種情報を受け取ることができる。また車両6は、路側機6等から通知される情報に基づいて警告等の各種通知を運転者に行うことによって、運転者の安全運転を支援することが可能である。車両6は、スピーカ及び表示装置等を利用して、運転者に各種通知を行うことが可能である。車両6は、例えば、当該車両6に搭載されているカーナビゲーション装置を利用して、運転者に各種通知を行うことが可能である。
電子機器10は、歩行者であるユーザ9に所持されることがある。また、電子機器10を所持するユーザ9が車両6内に存在する場合などには、電子機器10は車両6内に一時的に存在することがある。電子機器10は、そのユーザ9の状態を特定することが可能である。電子機器10は、特定したユーザ9の状態に関する情報などを路側機5等に通知することが可能である。電子機器10の動作については後で詳細に説明する。
このように、安全運転支援通信システム1では、路車間通信、車車間通信、路歩間通信及び歩車間通信が行われることによって、車両6の運転者の安全運転が支援される。
なお図1の例では、車両6として、自動車の車両が示されているが、車両6は、自動車以外の車両であってもよい。例えば、車両6は、バスの車両であってもよいし、路面電車の車両であってもよい。
<電子機器の外観>
図2及び3は電子機器10の外観の一例を示す斜視図及び背面図である。図1及び2に示されるように、電子機器10は、平面視で略長方形の板状の機器ケース11を備えている。機器ケース11は電子機器10の外装を構成している。
機器ケース11の前面11aには、文字、記号、図形等の各種情報が表示される表示領域12が位置している。表示領域12の背面側には後述するタッチパネル130が位置している。これにより、ユーザ9は、電子機器10の前面の表示領域12を指等で操作することによって、電子機器10に対して各種情報を入力することができる。なお、ユーザ9は、指以外の操作子、例えば、スタイラスペンなどのタッチパネル用ペンで表示領域12を操作することによっても、電子機器10に対して各種情報を入力することができる。
機器ケース11の前面11aの上端部にはレシーバ穴13が位置している。前面11aの下端部にはスピーカ穴14が位置している。機器ケース11の下側の側面11cにはマイク穴15が位置している。
機器ケース11の前面11aの上端部からは、後述する第1カメラ180が有するレンズ181が視認可能となっている。図3に示されるように、機器ケース11の背面11bの上端部からは、後述する第2カメラ190が有するレンズ191が視認可能となっている。
電子機器10は、複数の操作ボタン20から成る操作ボタン群200(後述の図4参照)を備えている。複数の操作ボタン20のそれぞれはハードウェアボタンである。具体的には、複数の操作ボタン20のそれぞれは押しボタンである。なお、操作ボタン群200に含まれる少なくとも一つの操作ボタン20は、表示領域12に表示されるソフトウェアボタンであってもよい。
操作ボタン群200には、機器ケース11の前面11aの下端部に位置する操作ボタン20a,20b,20cが含まれる。また、操作ボタン群200には、機器ケース11の表面に位置する図示しない電源ボタン及びボリュームボタンが含まれる。
操作ボタン20aは、例えばバックボタンである。バックボタンは、表示領域12の表示を一つ前の表示に切り替えるための操作ボタンである。ユーザ9が操作ボタン20aを操作することよって、表示領域12の表示が一つ前の表示に切り替わる。操作ボタン20bは、例えばホームボタンである。ホームボタンは、表示領域12にホーム画面を表示させるための操作ボタンである。ユーザ9が操作ボタン20bを操作することよって、表示領域12にホーム画面が表示される。操作ボタン20cは、例えば履歴ボタンである。履歴ボタンは、電子機器10で実行されたアプリケーションの履歴を表示領域12に表示させるための操作ボタンである。ユーザ9が操作ボタン20cを操作することよって、表示領域12には、電子機器10で実行されたアプリケーションの履歴が表示される。
<電子機器の電気的構成>
図4は電子機器10の電気的構成の一例を主に示すブロック図である。図4に示されるように、電子機器10は、制御部100、無線通信部110、表示部120、タッチパネル130、操作ボタン群200及び衛星信号受信部140を備える。さらに電子機器10は、レシーバ150、スピーカ160、マイク170、第1カメラ180及び第2カメラ190を備える。さらに電子機器10は、加速度センサ210、地磁気センサ220、ジャイロセンサ230及び電池240を備える。電子機器10が備えるこれらの構成要素は、機器ケース11内に収められている。
制御部100は、電子機器10の他の構成要素を制御することによって、電子機器10の動作を統括的に管理することが可能である。制御部100は制御装置とも言える。制御部100は、以下にさらに詳細に述べられるように、種々の機能を実行するための制御及び処理能力を提供するために、少なくとも1つのプロセッサを含む。
種々の実施形態によれば、少なくとも1つのプロセッサは、単一の集積回路(IC)として、又は複数の通信可能に接続された集積回路IC及び/又はディスクリート回路(discrete circuits)として実行されてもよい。少なくとも1つのプロセッサは、種々の既知の技術に従って実行されることが可能である。
1つの実施形態において、プロセッサは、例えば、関連するメモリに記憶された指示を実行することによって1以上のデータ計算手続又は処理を実行するように構成された1以上の回路又はユニットを含む。他の実施形態において、プロセッサは、1以上のデータ計算手続き又は処理を実行するように構成されたファームウェア(例えば、ディスクリートロジックコンポーネント)であってもよい。
種々の実施形態によれば、プロセッサは、1以上のプロセッサ、コントローラ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号処理装置、プログラマブルロジックデバイス、フィールドプログラマブルゲートアレイ、又はこれらのデバイス若しくは構成の任意の組み合わせ、又は他の既知のデバイス及び構成の組み合わせを含み、以下に説明される機能を実行してもよい。
本例では、制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101、DSP(Digital Signal Processor)102及び記憶部103を備える。記憶部103は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などの、CPU101及びDSP102が読み取り可能な非一時的な記録媒体を含む。記憶部103が有するROMは、例えば、不揮発性メモリであるフラッシュROM(フラッシュメモリ)である。記憶部103には、電子機器10を制御するための複数の制御プログラム103a等が記憶されている。制御部100の各種機能は、CPU101及びDSP102が記憶部103内の各種制御プログラム103aを実行することによって実現される。
なお制御部100は、複数のCPU101を備えてもよい。この場合、制御部100は、比較的複雑は処理を行うメインCPUと、比較的簡単な処理を行うサブCPUとを備えてもよい。また制御部100は、DSP102を備えなくてもよいし、複数のDSP102を備えてもよい。また、制御部100の全ての機能あるいは制御部100の一部の機能は、その機能の実現にソフトウェアが不要なハードウェア回路によって実現されてもよい。
記憶部103は、ROM及びRAM以外の、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体を備えていてもよい。記憶部103は、例えば、小型のハードディスクドライブ及びSSD(Solid State Drive)などを備えていてもよい。
記憶部103内の複数の制御プログラム103aには、様々なアプリケーション(アプリケーションプログラム)が含まれている。記憶部103には、例えば、音声通話及びビデオ通話を行うための通話アプリケーション、ウェブサイトを表示するためのブラウザ、電子メールの作成、閲覧及び送受信を行うためのメールアプリケーションが記憶されている。また記憶部103には、第1カメラ180及び第2カメラ190を利用して被写体を撮影するためのカメラアプリケーション、記憶部103に記録されている静止画及び動画を表示するための記録画像表示アプリケーション、記憶部103に記憶されている音楽データの再生制御を行うための音楽再生制御アプリケーションなどが記憶されている。記憶部103内の少なくとも一つのアプリケーションは、記憶部103内にあらかじめ記憶されているものであってよい。また、記憶部103内の少なくとも一つのアプリケーションは、電子機器10が他の装置からダウンロードして記憶部103内に記憶したものであってよい。
無線通信部110は、アンテナ111を有している。無線通信部110は、アンテナ111を用いて、例えば複数種類の通信方式で無線通信することが可能である。無線通信部110の無線通信は、制御部100によって制御される。無線通信部110は通信回路であると言える。
無線通信部110は、携帯電話システムの基地局と無線通信することが可能である。無線通信部110は、当該基地局及びインターネット等のネットワークを通じて、電子機器10とは別の携帯電話機及びウェブサーバ等と通信することが可能である。電子機器10は、他の携帯電話機等と、データ通信、音声通話及びビデオ通話等を行うことが可能である。
また無線通信部110は、路側機5及び車両6と無線通信することが可能である。無線通信部110は、例えば、ITSに割り当てられている700MHz帯を使用して、路側機5及び車両6と無線通信することが可能である。また、電子機器10の無線通信部110は、この700MHz帯を使用して、他の電子機器10の無線通信部110と直接的に無線通信することができる。以後、ITSに割り当てられている700MHz帯を使用して無線通信を「700MHz帯通信」と呼ぶことがある。
また、無線通信部110は、Wifi等の無線LAN(Local Area Network)を用いて無線通信を行うことが可能である。また無線通信部110は、近距離無線通信を行うことが可能である。例えば、無線通信部110は、Bluetooth(登録商標)に準拠して無線通信することが可能である。無線通信部110は、ZigBee(登録商標)及びNFC(Near Field Communication)の少なくとも一方に準拠して無線通信することが可能であってもよい。
無線通信部110は、アンテナ111で受信した信号に対して増幅処理等の各種処理を行い、処理後の受信信号を制御部100に出力する。制御部100は、入力される受信信号に対して各種処理を行って、当該受信信号に含まれる情報を取得する。また、制御部100は、情報を含む送信信号を無線通信部110に出力する。無線通信部110は、入力される送信信号に対して増幅処理等の各種処理を行って、処理後の送信信号をアンテナ111から無線送信する。
表示部120は、電子機器10の前面に位置する表示領域12と、表示パネル121とを備えている。表示部120は、表示領域12に各種情報を表示することが可能である。表示パネル121は、例えば、液晶表示パネルあるいは有機ELパネルである。表示パネル121は、制御部100によって制御されることによって、文字、記号、図形などの各種情報を表示することが可能である。表示パネル121は、機器ケース11内において、表示領域12と対向している。表示パネル121に表示される情報は表示領域12に表示される。
タッチパネル130は、表示領域12に対する指等の操作子による操作を検出することが可能である。タッチパネル130は、例えば、投影型静電容量方式のタッチパネルである。タッチパネル130は、例えば、表示領域12の裏側に位置する。ユーザ9が指等の操作子によって表示領域12に対して操作を行ったとき、その操作に応じた電気信号をタッチパネル130は制御部100に入力することが可能である。制御部100は、タッチパネル130からの電気信号(出力信号)に基づいて、表示領域12に対して行われた操作の内容を特定することが可能である。そして制御部100は、特定した操作内容に応じた処理を行うことが可能である。
操作ボタン群200の各操作ボタン20は、ユーザ9によって操作されると、操作されたことを示す操作信号を制御部100に出力することが可能である。これにより、制御部100は、各操作ボタン20について、当該操作ボタン20が操作されたか否かを判断することができる。操作信号が入力された制御部100が他の構成要素を制御することによって、電子機器10では、操作された操作ボタン20に割り当てられている機能が実行される。
衛星信号受信部140は、測位衛星が送信する衛星信号を受信することが可能である。そして、衛星信号受信部140は、受信した衛星信号に基づいて、電子機器10の位置を示す位置情報を取得することが可能である。衛星信号受信部140が取得する位置情報には、例えば、電子機器10の位置を示す緯度経度が含まれる。制御部100は、衛星信号受信部140を動作させたり、その動作を停止したりすることが可能である。以後、衛星信号受信部140を単に「受信部140」と呼ぶことがある。
受信部140は、例えばGPS受信機であって、GPS(Global Positioning System)の測位衛星からの無線信号を受信することが可能である。受信部140は、受信した無線信号に基づいて電子機器10の現在位置を例えば緯度経度で算出し、算出した緯度経度を含む位置情報を制御部100に出力する。電子機器10の位置情報は、当該電子機器10を持つユーザ9の位置を示す位置情報であるともいえる。
なお受信部140は、GPS以外のGNSS(Global Navigation Satellite System)の測位衛星からの信号に基づいて電子機器10の位置情報を求めてもよい。例えば、受信部140は、GLONASS(Global Navigation Satellite System)、IRNSS(Indian Regional Navigational Satellite System)、COMPASS、Galileoあるいは準天頂衛星システム(QZSS:Quasi-Zenith Satellites System)の測位衛星からの信号に基づいて電子機器10の位置情報を求めてもよい。
マイク170は、電子機器10の外部から入力される音を電気的な音信号に変換して制御部100に出力することが可能である。電子機器10の外部からの音は、マイク穴15から電子機器10の内部に取り込まれてマイク170に入力される。
スピーカ160は、例えばダイナミックスピーカである。スピーカ160は、制御部100からの電気的な音信号を音に変換して出力することが可能である。スピーカ160から出力される音は、スピーカ穴14から外部に出力される。ユーザ9は、スピーカ穴14から出力される音を、電子機器10から離れた場所でも聞こえることが可能である。
レシーバ150は受話音を出力することが可能である。レシーバ150は例えばダイナミックスピーカである。レシーバ150は、制御部100からの電気的な音信号を音に変換して出力することが可能である。レシーバ150から出力される音はレシーバ穴13から外部に出力される。レシーバ穴13から出力される音の音量は、スピーカ穴14から出力される音の音量よりも小さくなっている。ユーザ9は、レシーバ穴13から出力される音を、当該レシーバ穴13に耳を近づけることによって聞くことができる。なお、レシーバ150の代りに、機器ケース11の前面部分を振動させる、圧電振動素子等の振動素子を設けてもよい。この場合には、音は、当該前面部分の振動によりユーザに伝達される。
第1カメラ180は、レンズ181及びイメージセンサなどを備えている。第2カメラ190は、レンズ191及びイメージセンサなどを備えている。第1カメラ180及び第2カメラ190のそれぞれは、制御部100による制御に基づいて被写体を撮影し、撮影した被写体を示す静止画あるいは動画を生成して制御部100に出力することが可能である。
第1カメラ180のレンズ181は、機器ケース11の前面11aから視認可能となっている。したがって、第1カメラ180は、電子機器10の前面側(表示領域12側)に存在する被写体を撮影することが可能である。第1カメラ180はインカメラと呼ばれる。一方で、第2カメラ190のレンズ191は、機器ケース11の背面11bから視認可能となっている。したがって、第2カメラ190は、電子機器10の背面側に存在する被写体を撮影することが可能である。第2カメラ190はアウトカメラと呼ばれる。
加速度センサ210は、電子機器10の加速度を検出することが可能である。加速度センサ210は例えば3軸加速度センサである。加速度センサ210は、x軸方向、y軸方向及びz軸方向の電子機器10の加速度を検出することが可能である。加速度センサ210のx軸方向、y軸方向及びz軸方向は、例えば、電子機器10の長手方向、短手方向及び厚み方向にそれぞれ設定される。
地磁気センサ220は、例えば3軸の地磁気センサである。地磁気センサ220は、x軸方向、y軸方向及びz軸方向の磁場を検出することが可能である。地磁気センサ220のx軸方向、y軸方向及びz軸方向は、例えば、電子機器10の長手方向、短手方向及び厚み方向にそれぞれ設定される。制御部100は、地磁気センサ220の検出結果に基づいて、電子機器10から見た方位を特定することができる。そして、制御部100は、特定した方位を表示部120に表示させることが可能である。
ジャイロセンサ230は、例えば3軸ジャイロセンサである。ジャイロセンサ230は、x軸、y軸及びz軸のそれぞれの軸周りの角速度を検出することが可能である。ジャイロセンサ230のx軸方向、y軸方向及びz軸方向は、例えば、電子機器10の長手方向、短手方向及び厚み方向にそれぞれ設定される。制御部100は、ジャイロセンサ230の検出結果に基づいて、x軸方向、y軸方向及びz軸方向のそれぞれの軸周りでの電子機器10の姿勢の回転角度を求めることができる。
電池240は電子機器10の電源を出力することが可能である。電池240は例えば充電式の電池である。電池240から出力される電源は、電子機器10が備える制御部100及び無線通信部110などの各種構成に対して供給される。
なお電子機器10は、加速度センサ210、地磁気センサ220及びジャイロセンサ230の少なくとも一つのセンサを備えなくてもよい。この場合、電子機器10は、それとは別体の当該少なくとも一つのセンサと、無線あるいは有線で接続されてよい。
また電子機器10は、加速度センサ210、地磁気センサ220及びジャイロセンサ230以外のセンサを備えてもよい。例えば、電子機器10は、気圧センサ、温度センサ、近接センサ及び照度センサの少なくとも一つを備えてもよい。また電子機器10は、それとは別体の、加速度センサ210、地磁気センサ220及びジャイロセンサ230以外のセンサと、無線あるいは有線で接続されてもよい。
また電子機器10は、受信部140を備えなくてもよい。この場合、電子機器10は、それとは別体の受信部140と無線あるいは有線で接続されてよい。
<制御部内の機能ブロック>
図5は、CPU101及びDSP102が記憶部103内の制御プログラム103aを実行することによって形成される一部の機能ブロックを示す図である。
図5に示されるように、制御部100は、機能ブロックとして、歩数計測部300、状態特定部400、停止方向特定部500、走行方向特定部600及び通知決定部700を備えている。歩数計測部300、状態特定部400、停止方向特定部500、走行方向特定部600及び通知決定部700の少なくとも一つは、その機能の実行にソフトウェアが不要なハードウェア回路で実現されてもよい。
状態特定部400は、ユーザ9についての様々な状態を特定することが可能である。言い換えれば、状態特定部400は、ユーザ9が持つ電子機器10についての様々な状態を特定することが可能である。状態特定部400は、例えば、停止移動特定部410、車内判定部420及び位置判定部430を備えている。停止移動特定部410、車内判定部420及び位置判定部430の少なくとも一つは、その機能の実行にソフトウェアが不要なハードウェア回路で実現されてもよい。
なお、制御部100がメインCPUとサブCPUを備えている場合には、図5に示される複数の機能ブロックのうち、一部の機能ブロックをサブCPUで実現し、残りの機能ブロックをメインCPUで実現してもよい。例えば、停止移動特定部410をサブCPUで実現し、残りの機能ブロックをメインCPUで実現してもよい。
停止移動特定部410は、ユーザ9の停止及び移動に関する、当該ユーザ9の状態を特定する停止移動特定を行うことが可能である。停止移動特定部410は、停止移動特定において、ユーザ9が停止していることと、ユーザ9が移動していることとを特定することが可能である。言い換えれば、停止移動特定部410は、ユーザ9の状態が、停止している状態であるのか、移動している状態であるかを判定することが可能である。さらに言い換えれば、停止移動特定部410は、ユーザ9が移動しているか否かを判定することが可能である。ユーザ9の停止は電子機器10の停止であると見ることができることから、停止移動特定部410は、電子機器10が停止しているか否かを判定することができると言える。停止移動特定部410は、例えば、受信部140で取得される位置情報及び加速度センサ210で検出される加速度の少なくとも一方に基づいて、ユーザ9が停止していることと、ユーザ9が移動していることを特定することが可能である。
また停止移動特定部410は、停止移動特定において、ユーザ9の停止と、ユーザ9の移動開始とを特定することが可能である。停止移動特定部410は、ユーザ9の状態が、移動している状態から停止している状態に変化すると、ユーザ9が停止したと判断する。また停止移動特定部410は、ユーザ9の状態が、停止している状態から移動している状態に変化すると、ユーザ9が移動開始したと判断する。
ユーザ9の停止は、電子機器10の移動停止と言えることから、停止移動特定部410は、電子機器10の移動停止を特定することができると言える。またユーザ9の移動開始は、電子機器10の移動開始と言えることから、停止移動特定部410は、電子機器10の移動開始を特定することができると言える。
また停止移動特定部410は、停止移動特定において、ユーザ9が移動していると判断する場合にユーザ9の移動手段を特定することが可能である。例えば、停止移動特定部410は、加速度センサ210で検出される加速度に基づいて、ユーザ9が乗り物に乗らずに自力で移動しているのか、ユーザ9が乗り物に乗って移動しているのかを特定することができる。ここで、ユーザ9が自力で移動するとは、ユーザ9が乗り物に乗らずに自らの足で移動することを意味する。ユーザ9が自力で移動することを「自力移動」と呼ぶと、停止移動特定部410はユーザ9の自力移動を特定することが可能であると言える。また、ユーザ9が乗り物に乗って移動することを「乗り物移動」と呼ぶと、停止移動特定部410はユーザ9の乗り物移動を特定することが可能である。
停止移動特定部410が特定することが可能な自力移動には、ユーザ9が歩いて移動することと、ユーザ9が走って移動することとが含まれる。ユーザ9が走って移動することを「走行」と呼ぶと、自力移動には、歩行及び走行が含まれる。また、停止移動特定部410が特定することが可能な乗り物移動には、ユーザ9が自転車で移動することと、ユーザ9が、自動車、電車及びバスなどの、自転車よりも速く移動することが可能な乗り物で移動することとが含まれる。
以後、自転車と、それよりも速く移動することが可能な乗り物とを区別するために、単に「乗り物」と言えば、自転車よりも速く移動することが可能な乗り物を意味する。また、ユーザ9が自力移動する場合の移動手段の名称として「自力」を使用し、ユーザ9が歩いて移動する場合の移動手段の名称として「歩き」を使用し、ユーザ9が走って移動する場合の移動手段の名称として「走り」を使用する。
ここで、電子機器10の加速度が、当該電子機器10を持つユーザ9の移動手段に応じた固有の時間変化のパターンを示すことが知られている。停止移動特定部410は、加速度センサ210で検出される加速度の時間変化のパターンが、「歩き」に応じたパターンを示す場合には、ユーザ9の移動手段が「歩き」であると特定する。また、停止移動特定部410は、加速度センサ210で検出される加速度の時間変化のパターンが、「走り」に応じたパターンを示す場合には、ユーザ9の移動手段が「走り」であると特定する。また、停止移動特定部410は、加速度センサ210で検出される加速度の時間変化のパターンが、「自転車」に応じたパターンを示す場合には、ユーザ9の移動手段が「自転車」であると特定する。そして、停止移動特定部410は、加速度センサ210で検出される加速度の時間変化のパターンが、「乗り物」に応じたパターンを示す場合には、ユーザ9の移動手段が「乗り物」であると特定する。
このようにして、停止移動特定部410は、ユーザ9の移動手段が、歩き、走り、自転車及び乗り物のいずれであるのかを特定することができる。制御部100は、例えば、停止移動特定部410で特定される移動手段と、ユーザ9の移動距離(電子機器10の移動距離)とを、表示部120に表示させることができる。これにより、ユーザ9は、歩行距離、走行距離、自転車での移動距離及び乗り物での移動距離を区別して確認することができる。制御部100は、例えば、受信部140で取得される位置情報に基づいて、ユーザ9の移動距離を求めることができる。
車内判定部420は、ユーザ9が車両6内に存在するか否かを判定する車内判定を行うことが可能である。ユーザ9が車両6内に存在する状態は、電子機器10が車両6内に存在する状態であると言えることから、車内判定部420は、電子機器10が車両6内に存在するか否かを判定する車内判定を行うことが可能であると言える。以後、ユーザ9が車両6内に存在することを単に「車内」と呼び、ユーザ9が車両6内に存在しないことを単に「車外」と呼ぶことがある。車内判定については後で詳細に説明する。
位置判定部430は、ユーザ9が所定領域(所定場所)に位置するか否かを判定することが可能である。言い換えれば、位置判定部430は、電子機器10が所定領域(所定場所)に位置するか否かを判定することが可能である。所定領域としては、例えば、歩行者と車両6との事故が発生しやすい場所と、その近傍とを含む領域とが採用される。所定領域には、例えば、交差点2とその近傍を含む交差点領域、T字路とその近傍を含むT字路領域及び子供の通学路とその近傍を含む通学路領域とが含まれる。
位置判定部430は、例えば、受信部140で取得される位置情報と、記憶部103に記憶される地図情報とに基づいて、ユーザ9が所定領域に位置するか否かを判定することが可能である。また位置判定部430は、交差点2等に配置されている路側機5からの信号を無線通信部110が受信できるか否かに基づいて、ユーザ9が所定領域に位置するか否かを判定してもよい。
以上のように、状態特定部400は、ユーザ9についての様々な状態を特定することが可能である。なお、状態特定部400が特定するユーザ9の状態の種類は上記の限りではない。
歩数計測部300は、自力移動しているユーザ9の歩数を計測することが可能である。歩数計測部300は、例えば、加速度センサ210で検出される加速度に基づいて、自力移動しているユーザ9の歩数を計測する。歩数計測部300は、ユーザ9が歩行あるいは走行していると停止移動特定部410が特定しているときに、ユーザ9の歩数を計測する。制御部100は、歩数計測部300で測定される歩数を表示部120に表示させることが可能である。
走行方向特定部600は、電子機器10が走行中の車両6内に存在する場合に、その車両6の走行方向を特定することが可能である。走行方向特定部600は、電子機器10がその中に存在する車両6が走行しているときに、例えば、受信部140で取得される位置情報と、記憶部103内の地図情報とに基づいて、当該車両6の走行方向を特定することができる。電子機器10が車両6内に存在すると車内判定部420が判定し、電子機器10が移動していると停止移動特定部410が特定する場合には、電子機器10がその中に存在する車両6が走行していると言える。したがって、走行方向特定部600は、車内判定の結果と、停止移動特定の結果とに基づいて、電子機器10がその中に存在する車両6が走行していることを特定することができる。以後、電子機器10がその中に存在する車両6を「特定車両6」と呼ぶことがある。また、走行中の車両6を「走行車両6B」と呼ぶことがある。また、走行中の特定車両6を「走行特定車両6B」と呼ぶことがある。
特定車両6が当該特定車両6の走行方向を特定する機能を有する場合、走行方向特定部600は、無線通信部110等を介して、当該特定車両6から当該特定車両6の走行方向を得ることで、当該特定車両6の走行方向を特定してもよい。特定車両6に搭載された車載装置が当該特定車両6の走行方向を特定する機能を有する場合、走行方向特定部600は、無線通信部110等を介して、当該車載装置から当該特定車両6の走行方向を得ることで、当該特定車両6の走行方向を特定してもよい。
停止方向特定部500は、停止している特定車両6の停止方向を特定することが可能である。ここで、車両6の停止は、日本の道路交通法での「停車」及び「駐車」の両方を含む概念である。また、停止方向とは、停止中の車両6が向く方向を意味する。より具体的には、停止中の車両6の先が向く方向を意味する。したがって、例えば、車両6の停止方向が「北」であるとすると、その車両6は、その先(ヘッドライト)が北を向くように停止している。以後、停止中の車両6を「停止車両6A」と呼ぶことがある。また、停止中の特定車両6を「停止特定車両6A」と呼ぶことがある。
停止方向特定部500は、例えば、特定車両6が走行しているときに走行方向特定部600で特定される走行方向に基づいて、当該特定車両6が停止したときの当該特定車両6の停止方向を特定することが可能である。停止方向特定部500は、例えば、特定車両6が停止する直前に走行方向特定部600で特定された走行方向を、当該特定車両6が停止したときの当該特定車両6の停止方向とする。電子機器10が車両6内に存在すると車内判定部420が判定し、電子機器10が停止したことを停止移動特定部410が特定する場合には、特定車両6が停止したと言える。また、電子機器10が車両6内に存在すると車内判定部420が判定し、電子機器10が停止していることを停止移動特定部410が特定する場合には、特定車両6が停止していると言える。したがって、停止方向特定部500は、車内判定の結果と、停止移動特定の結果とに基づいて、特定車両6が停止したことと、特定車両6が停止していることとを特定することができる。
特定車両6が当該特定車両6の停止方向を特定する機能を有する場合、停止方向特定部500は、無線通信部110等を介して、当該特定車両6から当該特定車両6の停止方向を得ることで、当該特定車両6の停止方向を特定してもよい。特定車両6に搭載された車載装置が当該特定車両6の停止方向を特定する機能を有する場合、停止方向特定部500は、無線通信部110等を介して、当該車載装置から当該特定車両6の停止方向を得ることで、当該特定車両6の停止方向を特定してもよい。
通知決定部700は、電子機器10の外部に対する通知が行われるか否かを決定することが可能である。通知決定部700は、例えば、状態特定部400で特定されるユーザ9の状態に基づいて、電子機器10の外部に通知が行われるか否かを決定する。
例えば、ユーザ9が交差点領域に位置すると位置判定部430が判定し、かつユーザ9の移動手段が「走り」であると停止移動特定部410が特定する場合、通知決定部700は、電子機器10の外部に通知が行われることを決定する。また、ユーザ9が交差点領域に位置すると位置判定部430が判定し、かつユーザ9の移動手段が「自転車」であると停止移動特定部410が特定する場合、通知決定部700は、電子機器10の外部に通知が行われることを決定する。通知決定部700が、電子機器10の外部に通知が行われることを決定すると、例えば、交差点領域に位置する車両6に対してユーザ9(歩行者)が近くに存在することを通知するための存在通知情報が無線通信部110から路側機5に通知される。存在通知情報には、停止移動特定部410が特定するユーザ9の移動手段を示す情報が含まれてもよい。路側機5は、受信した存在通知情報を、交差点領域に存在する車両6に送信する。このとき、路側機5は、例えばブロードキャストで存在通知情報を送信する。車両6は、受信した存在通知情報に基づいて、例えば運転者に対して警告を行う。車両6は、例えば、カーナビゲーション装置を利用して、歩行者が近くにいることを運転者に通知する。これにより、交差点領域に存在する車両6の運転者は、当該交差点領域に人が存在することを認識しながら運転を行うことができる。その結果、車両6の運転の安全性が向上する。
なお、電子機器10がその外部に通知する情報の内容は上記の例に限られない。また、電子機器10は車両6に対して直接通知を行うことも可能である。
<車内判定>
車内判定の方法としては様々な方法が考えられる。以下に車内判定の2つの例について説明する。
<車内判定の第1の例>
車内判定部420は、停止移動特定部410で特定されるユーザ9の移動手段の種類に基づいて、ユーザ9が車両6内に存在するか否かを判定することが可能である。
例えば、車内判定部420は、停止移動特定において、ユーザ9の移動手段が「乗り物」であると判定された場合、ユーザ9が車両6内に存在すると判定する。一方で、車内判定部420は、停止移動特定において、ユーザ9の移動手段が「歩き」であると判定された場合と、「走り」であると判定された場合と、「自転車」であると判定された場合には、ユーザ9が車両6内に存在しないと判定する。
<車内判定の第2の例>
車内判定部420は、車両6に搭載された通信装置と無線通信部110とが通信接続するために必要な設定(以後、「通信接続設定」と呼ぶことがある)が電子機器10に行われているか否かに基づいて、ユーザ9が当該車両6の中に存在するか否かを判定することが可能である。具体的には、車内判定部420は、電子機器10に通信接続設定が行われているとき、ユーザ9は車両6内に存在すると判定する。一方で、車内判定部420は、電子機器10に通信接続設定が行われていないとき、ユーザ9は車両6内に存在しないと判定する。以後、車両6に搭載されている通信装置を「車載通信装置」と呼ぶことがある。
車載通信装置としては、例えば、Bluetooth及びはWifiの少なくとも一方に対応した電子機器が挙げられる。このような車載通信装置としては、Bluetooth及びWifiの少なくとも一方に対応したカーオーディオ装置及びカーナビゲーション装置などがある。
Bluetoothに対応した車載通信装置と電子機器10との間においてペアリングが完了すると、当該車載通信装置と無線通信部110とが通信接続するために必要な通信接続設定が電子機器10に行われる。車内判定部420は、Bluetoothに対応した車載通信装置と電子機器10との間でのペアリングの完了が確認できる場合には「車内」と判定する。一方で、車内判定部420は、当該ペアリングの完了が確認できない場合には「車外」と判定する。
また、アクセスポイントとして機能するWifiに対応した車載通信装置と電子機器10とが通信接続するために必要な通信接続設定は、当該車載通信装置に割り当てられているセキュリティキー(パスワードあるいは暗号キーとも呼ばれる)が電子機器10に入力されることによって行われる。車内判定部420は、Wifiに対応した車載通信装置が送信するSSID(Service Set Identifier)を無線通信部110が受信し、そのSSIDに対応するセキュリティキーが記憶部103に記憶されている場合には「車内」と判定する。一方で、車内判定部420は、無線通信部110が受信する、Wifiに対応した車載通信装置からのSSIDに対応するセキュリティキーが記憶部103内に記憶されていない場合には「車外」と判定する。
このように、車内判定部420は、電子機器10に通信接続設定が行われているか否かに基づいて、ユーザ9が車両6内に存在するか否かを判定することができる。
<停止車両と走行車両との通信について>
図6は、停止車両6A及び走行車両6Bの車道7上の様子の一例を示す図である。図6には、片側2車線の合計4車線の車道7と、歩道8が示されている。車道7が有する第1車線対71では、第1走行車線71Aに停止車両6Aが存在し、第1追越車線71Bに走行車両6Bが存在する。また、車道7が有する第2車線対72では、第2走行車線72A及び第2追越車線72Bのそれぞれに走行車両6Bが存在する。停止車両6Aの停止方向60Aは、第1追越車線71Bの走行車両6Bの走行方向60Bとほぼ一致している。また、停止車両6Aの停止方向60Aは、第2走行車線72A及び第2追越車線72Bの走行車両6Bの走行方向60Bのほぼ反対の方向となっている。
停止車両6Aのすぐ横を走行車両6Bが通る場合に、停止車両6Aのドアが急に開いたり、停止車両6Aから人が急に飛び出したり、停止車両6Aの物陰から人が急に飛び出したりする可能性がある。図6の例では、第1追越車線71Bを走行する走行車両6Bが、停止車両6Aを追い越そうとするときに、停止車両6Aのドアが急に開いたり、停止車両6Aから人が急に飛び出したり、停止車両6Aの物陰から人が急に飛び出したりする可能性がある。一方で、走行車両6Bの運転者が危険を察知して、当該走行車両6Bのブレーキを掛けたとしても、当該走行車両6Bはすぐに停止することはできない。したがって、走行車両6Bの運転者は、その前方の停止車両6Aの存在を、早めに知ることができることが望ましい。
そこで、停止車両6Aが、例えば700MHz帯通信を用いて、周囲の車両6に対して繰り返し通知を行うことによって、第1追越車線71Bの走行車両6Bのように、停止車両6Aの横を通る可能性が高い走行車両6Bは、その前方の停止車両6Aの存在を早めに特定することができる。よって、停止車両6Aの横を通る可能性が高い走行車両6Bが、停止車両6Aからの通知を受け取ったときに、当該走行車両6Bの運転者に通知を行うことによって、当該運転者は、その前方の停止車両6Aの存在を早めに知ることができる。図6には、停止車両6Aの700MHz帯通信の通信エリア115が破線で模式的に示されている。通信エリア115の半径は、例えば、数十m〜200m程度である。
しかしながら、停止車両6Aが外部に行う通知は、第1追越車線71Bの走行車両6Bのように、停止車両6Aの横を通過する可能性が高い走行車両6Bだけではなく、停止車両6Aの横を通過する可能性の低い走行車両6Bにも届く可能性がある。例えば、停止車両6Aが外部に行う通知は、対向車線の走行車両6B、例えば第2追越車線72Bの走行車両6Bにも届く可能性がある。停止車両6Aの横を通過する可能性の低い走行車両6Bにとっては、停止車両6Aが外部に行う通知はあまり必要でないことから、当該走行車両6Bには必要性に乏しい通知が届く可能性がある。その結果、停止車両6Aの横を通過する可能性の低い走行車両6Bでは、必要性に乏しい処理が発生する可能性がある。
そこで、本例では、停止特定車両6A内の電子機器10は、走行特定車両6Bの走行方向60Bと、当該停止特定車両6Aの停止方向60Aとを比較し、その比較結果に基づいて、当該走行特定車両6Bに対して通知が行われるか否かを決定する。停止特定車両6A内の電子機器10は、走行特定車両6Bの走行方向60Bを、当該走行特定車両6B内の電子機器10から受け取る。例えば、停止特定車両6A内の電子機器10は、走行特定車両6Bの走行方向60Bと、当該停止特定車両6Aの停止方向60Aとの比較の結果に基づいて、当該走行特定車両6Bに対して、当該停止特定車両6Aが存在することを通知する外部警告通知が行われるか否かを決定する。これにより、対向車線の走行車両6Bのように、走行方向60Bが、停止特定車両6Aの停止方向60Aと大きく異なる、当該停止特定車両6Aからの通知をあまり必要としない走行特定車両6Bに対して、当該通知が行われる可能性を低減することができる。つまり、停止特定車両6Aを追い越す可能性が低い走行特定車両6Bに対して通知が行われる可能性を低減することができる。以下にこの点について詳細に説明する。以後、停止特定車両6A内の電子機器10を「停止車両内機器10」と呼ぶことがある。また、走行特定車両6B内の電子機器10を「走行車両内機器10」と呼ぶことがある。また、外部警告通知が行われることを「外部警告通知の実行」と呼び、外部警告通知が行われないことを「外部警告通知の不実行」と呼ぶことがある。停止車両内機器10は、外部警告通知の実行及び不実行を決定すると言える。
<走行特定車両内の電子機器の動作>
図7は、走行車両内機器10が実行する走行方向通知処理の一例を示すフローチャートである。走行車両内機器10は、図7に示される走行方向通知処理を繰り返し実行する。つまり、電子機器10は、当該電子機器10が車両6内に存在すると車内判定部420が判定し、当該電子機器10が移動していると停止移動特定部410が特定する場合には、走行方向通知処理を繰り返し実行する。走行特定車両6B内の走行方向通知処理を行う電子機器10は、当該走行特定車両6Bの運転者が有する電子機器10であってもよいし、当該走行特定車両6B内の、運転者以外の人が有する電子機器10であってもよい。
図7に示されるように、走行特定車両6B内の電子機器10では、ステップs1において、走行方向特定部600が、上述のようにして、当該走行特定車両6Bの走行方向を特定する。次にステップs2において、無線通信部110が、700MHz帯通信を用いて、ステップs1で特定された走行方向を、電子機器10の外部に通知する。これにより、走行方向通知処理が終了する。本例では、走行方向特定部600は、走行特定車両6Bの走行方向を方位角で特定する。方位角とは、0度から360度の角度で方位を表したものである。方位角では、例えば、北が0度及び360度、東が90度、南が180度、西が270度とされる。なお、各方位に割り当てられる角度はこの限りではない。ステップs2において、無線通信部110は、ステップs1で特定された走行方位角を、例えばブロードキャストで電子機器10の外部に通知する。以後、ステップs1で特定される方位角を「走行方位角」と呼ぶことがある。
特定車両6が走行を開始すると、当該特定車両6内の電子機器10は、走行方向通知処理を繰り返し実行する。そして、特定車両6が停止すると、当該特定車両6内の電子機器10は、走行方向通知処理の実行を終了する。走行車両内機器10は、走行方向通知処理を、例えば数十ms〜数百msごとに実行する。
停止車両内機器10の無線通信部110は、700MHz帯通信の通信エリア115内に走行車両内機器10が存在する場合には、当該走行車両内機器10が通知する走行方向(走行方位角)を受け取ることができる。
<停止特定車両内の電子機器の動作>
図8は、停止車両内機器10の通知決定部700が実行する通知決定処理の一例を示すフローチャートである。停止車両内機器10は、走行方向(走行方位角)を受け取るたびに、図8に示される通知決定処理を実行する。つまり、電子機器10は、当該電子機器10が車両6内に存在すると車内判定部420が判定し、当該電子機器10が停止していると停止移動特定部410が特定する場合には、無線通信部110が700MHz帯通信を利用して走行方向(走行方位角)を受け取るたびに通知決定処理を行う。停止特定車両6A内の通知決定処理を行う電子機器10は、当該停止特定車両6Aの運転者が有する電子機器10であってもよいし、当該停止特定車両6A内の、運転者以外の人が有する電子機器10であってもよい。
図8に示されるように、停止車両6A内の、走行方向を受け取った電子機器10では、ステップs11において、通知決定部700は、電子機器10が受け取った走行方向と、停止方向特定部500で特定された停止方向とが所定の関係を満たすか否かを判定する。
ここで、本例では、停止方向特定部500は、例えば、停止車両6Aの停止方向を方位角で特定する。以後、停止方向特定部500が特定する方位角を「停止方位角」と呼ぶことがある。
ステップs11では、例えば、通知決定部700は、無線通信部110が受け取った走行方位角と停止方向特定部500で特定された停止方位角との差分の絶対値を、方向ずれ量として求める。そして、通知決定部700は、求めた方向ずれ量がしきい値以下であるか否かを判定する。このしきい値は、例えば、10度〜30度程度に設定される。通知決定部700は、方向ずれ量がしきい値以下である場合には、走行方向と停止方向が所定の関係を満たすと判定する。一方で、通知決定部700は、方向ずれ量がしきい値よりも大きい場合には、走行方向と停止方向が所定の関係を満たさないと判定する。
通知決定部700は、ステップs11において、走行方向と停止方向が所定の関係を満たすと判定すると、ステップs12において外部警告通知の実行を決定する。つまり、通知決定部700は、電子機器10が受け取った、走行車両6Bの走行方向と、当該電子機器10がその中に存在する停止車両6Aの停止方向とが同じかあるいは近い場合には、外部警告通知の実行を決定する。これにより、通知決定処理が終了する。一方で、通知決定部700は、走行方向と停止方向が所定の関係を満たさないと判定すると、ステップs13において外部警告通知の不実行を決定する。つまり、通知決定部700は、電子機器10が受け取った、走行車両6Bの走行方向と、当該電子機器10がその中に存在する停止車両6Aの停止方向とが大きく異なる場合には、外部警告通知の不実行を決定する。これにより、通知決定処理が終了する。
なお、ステップs11において、走行方向と停止方向とが所定の条件を満たさないと判定されたとき、ステップs13が実行されずに通知決定処理が終了してもよい。
また、通知決定部700は、ステップs11において、方向ずれ量がしきい値よりも小さい場合に、走行方向と停止方向とが所定の条件を満たすと判定し、方向ずれ量がしきい値以上である場合に、走行方向と停止方向とが所定の条件を満たさないと判定してよい。また、通知決定部700は、走行方位角と停止方位角が一致すれば、走行方向と停止方向とが所定の条件を満たすと判定し、走行方位角と停止方位角が一致しなければ、走行方向と停止方向とが所定の条件を満たさないと判定してもよい。
本例では、走行車両内機器10は走行方向の通知を繰り返し行うことから、停止車両内機器10は、通信エリア115内の同一の走行特定車両6B内の電子機器10から、走行方向を繰り返し受け取ることになる。よって、本例では、停止車両内機器10は、通信エリア115内の同一の走行特定車両6Bについて繰り返し通知決定処理を行う。
また上述のように、通知決定部700は、車内判定部420が車両6内に電子機器10が存在すると判定する場合に、通知決定処理を実行する。車両6内に電子機器10が存在する状態は、当該電子機器10のユーザ9が車両6内に存在する状態であると言える。したがって、通知決定部700は、車内判定部420が車両6内に人が存在すると判定する場合に、通知決定処理を実行すると言える。
電子機器10の通知決定部700において外部警告通知の実行が決定されると、当該電子機器10がその中に存在する停止特定車両6Aは、走行車両6Bに対して外部警告通知を行う。以下に、外部警告通知の方法の例について説明する。
<第1の通知例>
本例では、通知決定部700において外部警告通知の実行が決定されると、停止特定車両6Aが有する後方のライトが点灯することによって、走行車両6Bに対して外部警告通知が行われる。
外部警告通知の実行が決定されると、制御部100は、停止特定車両6Aに後方のライトを点灯することを指示するための点灯指示情報を、無線通信部110に送信させる。制御部100は、停止特定車両6Aにその後方のライトを点灯させる点灯制御部として機能する。
無線通信部110から送信される点灯指示情報は、停止特定車両6Aに搭載された、カーナビゲーション装置等の車載通信装置で受信される。車載通信装置は、受け取った点灯指示情報を、停止特定車両6Aを制御する車両制御装置に出力する。車両制御装置は、点灯指示情報を受け取ると、後方のライトを点灯する。例えば、車両制御装置は、後方の左右の方向指示器(ウィンカー)を所定時間(例えば10秒程度)点滅させる。これにより、停止特定車両6Aに対して後方から近づく、走行方向を停止特定車両6Aに通知した走行特定車両6Bに対して警告が行われる。よって、当該走行特定車両6Bの運転者は、前方に停止車両6Aが存在することを早めに知ることができる。
上述の図6の例では、第1走行車線71Aに存在する停止特定車両6Aの700MHz帯通信の通信エリア115に、第1追越車線71Bを走行する、走行方向を外部に出力する走行特定車両6Bが入ると、停止特定車両6Aは、自動的に後方のライトを点灯する。これにより、第1追越車線71Bの走行特定車両6Bの運転者は、前方に停止特定車両6Aが存在することを早めに知ることができる。
一方で、図9に示されるように、通信エリア115内に、走行方向が、停止特定車両6Aの停止方向と大きく異なる走行特定車両6Bだけが存在する場合には、停止特定車両6A内の電子機器10では、外部警告通知の実行が決定されない。図9の例では、通信エリア115内に、対象車線である第2追越車線72Bの走行特定車両6Bだけが存在している。よって、このような場合には、通信エリア115内の走行特定車両6Bに対して必要性に乏しい外部警告通知が行われる可能性を低減することができる。
なお、外部警告通知の実行が決定されると、停止特定車両6Aは、後方のライトだけではなく、前方のライトを点灯してもよい。停止特定車両6Aは、例えば、後方の左右の方向指示器前と、前方の左右の方向指示器とを点灯してもよい。停止特定車両6Aの後方のライトだけが点灯される場合には、停止特定車両6Aよりも前方に位置する、停止車両6Aのすぐ横を通らない走行車両6Bの運転者は、停止特定車両6Aでのライトの点灯が目に入りにくくなることから、当該運転者に対して必要性に乏しい外部警告通知が行われる可能性を低減することができる。
また、外部警告通知の実行が決定されると、停止特定車両6Aの後方のライトの点灯が点灯し、外部警告通知の不実行が決定されると、停止特定車両6Aの後方のライトの点灯が停止してもよい。
<第2の通知例>
本例では、通知決定部700において外部警告通知の実行が決定されると、無線通信部110が、走行車両6Bに対して外部警告通知を行う。
外部警告通知の実行が決定されると、無線通信部110は、制御部100による制御によって、700MHz帯通信を用いて、走行特定車両6Bに対して停止車両6Aが存在することを通知するための停止車両通知情報を送信して、外部警告通知を行う。無線通信部110は、停止車両通知情報を例えばブロードキャストで送信する。これにより、通信エリア115内に存在する走行特定車両6B内の電子機器10は、停止車両内機器10から停止車両通知情報が通知される。
走行車両内機器10は、無線通信部110が停止車両通知情報を受信すると、当該停止車両通知情報に基づいて、走行特定車両6B内の人に対して警告を行う。例えば、走行車両内機器10では、制御部100が、前方に停止車両6Aが存在すること通知するための通知情報を、表示部120に所定時間表示させる。当該通知情報としては、例えば、「前方に停止車両が存在します。注意してください。」といった文字列であってもよいし、前方の停止車両6Aを示す図形であってもよい。また、走行車両内機器10では、制御部100が、前方の停止車両6Aが存在することを通知するための音声を、スピーカ160から少なくとも1回出力させてもよい。また、走行車両内機器10は、前方に停止車両6Aが存在することを通知するための通知情報を表示部120に所定時間表示させるとともに、前方に停止車両6Aが存在することを通知するための音声をスピーカ160から少なくとも1回出力させてもよい。走行車両内機器10が停止車両通知情報を受け取った場合に行う警告は、この限りではない。
このように、停止車両内機器10では、外部警告通知の実行が決定されると、無線通信部110が外部警告通知を行う。これにより、停止特定車両6Aに対して後方から近づく走行特定車両6Bに対して外部警告通知が行われる。よって、当該走行特定車両6B内の運転者等は、前方に停止車両6Aが存在することを早めに知ることができる。
上述の図6の例では、第1走行車線71Aに存在する停止特定車両6Aの700MHz帯通信の通信エリア115に、第1追越車線71Bを走行する走行特定車両6Bが入ると、当該走行特定車両6B内の電子機器10は、停止車両内機器10が送信する停止車両通知情報に基づいて警告を行う。これにより、第1追越車線71Bの走行特定車両6B内の運転者等は、前方に停止特定車両6Aが存在することを早めに知ることができる。
一方で、上述の図9に示されるように、通信エリア115内に、走行方向が、停止特定車両6Aの停止方向と大きく異なる走行特定車両6Bだけが存在する場合には、停止特定車両6A内の電子機器10では、外部警告通知の実行が決定されず、当該走行特定車両6Bは停止車両通知情報を受信しない。よって、このような場合には、通信エリア115内の走行特定車両6Bに対して必要性に乏しい外部警告通知が行われる可能性を低減することができる。
なお、停止車両通知情報を受け取った、走行特定車両6B内の電子機器10は、当該停止車両通知情報を、無線通信部110から、当該走行特定車両6Bが備える車載通信装置に送信してもよい。この場合、停止車両通知情報を受け取った車載通信装置は、当該停止車両通知情報に基づいて警告を行う。例えば、車載通信装置がカーナビゲーション装置である場合には、当該カーナビゲーション装置は、表示する地図上に、前方の停止車両を示す図形を所定時間表示する。カーナビゲーション装置は、地図上に、前方の停止車両を示す図形を所定時間表示することに加えて、あるいはその代りに、前方に停止車両6Aが存在することを通知するための音声を少なくとも一回出力してもよい。このように、走行特定車両6Bの車載通信装置が、当該走行特定車両6B内の電子機器10が受信する停止車両通知情報に基づいて通知を行う場合であっても、当該走行特定車両6B内の運転者等に対して、前方に停止車両6Aが存在することを通知することができる。
以上のように、本例では、停止車両6Aの停止方向と走行車両6Bの走行方向とが所定の関係を満たすと判定される場合に、走行車両6Bに対する通知の実行が決定されることから、走行車両6Bに対して必要性に乏しい通知が行われる可能性を低減することができる。よって、電子機器の利便性が向上する。
また上記のように、ステップs11での所定の関係が、方向ずれ量がしきい値よりも小さいことである場合には、走行特定車両6Bの走行方向60Bが変化する場合や、停止特定車両6Aが車線に対して斜めに停止している場合であっても、停止特定車両6Aは、それに後方から近づく走行特定車両6Bに対して適切に通知を行うことができる。
例えば図10に示されるように、停止特定車両6Aが停止する第1走行車線71Aと同じ車線を走行する走行特定車両6Bが、第1追越車線71Bに車線変更した後に、当該停止特定車両6Aを追い越すことがある。この場合において、走行特定車両6Bが通信エリア115に入るときの、当該走行特定車両6Bの走行方向60Bが、停止車両6Aの停止方向60Aに対してすこしずれている可能性がある。このとき、通知決定部700が、停止方向60Aと走行方向60Bが一致するときに外部警告通知の実行を決定する場合、走行特定車両6Bが通信エリア115に入ったときには、外部警告通知の実行が決定されない。その結果、走行特定車両6Bが通信エリア115に入った時点で停止特定車両6Aが当該走行特定車両6Bに対して通知を行うことが難しくなる。
一方で、ステップs11での所定の関係が、方向ずれ量がしきい値よりも小さいことである場合には、つまり、方向ずれ量がしきい値よりも小さいときに、外部警告通知の実行が決定される場合には、当該しきい値を適切に設定することによって、走行特定車両6Bが通信エリア115に入った時点で、通知決定部700は外部警告通知の実行を決定することができる。そのため、走行特定車両6Bが通信エリア115に入った時点で、停止特定車両6Aは当該走行特定車両6Bに対して通知を行うことができる。よって、停止特定車両6Aは、走行特定車両6Bの走行方向60Bが図10に示されるように変化する場合であっても、当該走行特定車両6Bに対して適切に通知を行うことができる。
また図11に示されるように、走行特定車両6Bが、その走行方向60Bを大きく変化させた後に停止特定車両6Aを追い越す場合も考えられる。図11には、車道7Bを走行する走行特定車両6Bが、左折を行って、車道7Bに交差する車道7Aに進入し、車道7Aに停止する停止特定車両6Aを追い越そうとする様子が示されている。このような場合、通知決定部700が、停止方向60Aと走行方向60Bが一致するときに外部警告通知の実行を決定すると、走行特定車両6Bが停止特定車両6Aを追い越そうとするまで、外部警告通知の実行が決定されない可能性がある。その結果、停止特定車両6Aは、後方の走行特定車両6Bに対して早めに通知を行うことが難しくなる。
一方で、方向ずれ量がしきい値よりも小さいときに外部警告通知の実行が決定される場合には、当該しきい値を適切に設定することによって、通知決定部700は、走行特定車両6Bが停止特定車両6Aよりも後方に存在するタイミングで、外部警告通知の実行を決定することができる。そのため、停止特定車両6Aは、走行特定車両6Bに対して早めに通知を行うことができる。よって、停止特定車両6Aは、走行特定車両6Bの走行方向60Bが図11に示されるように変化する場合であっても、当該走行特定車両6Bに対して適切に通知を行うことができる。
また図12に示されるように、停止特定車両6Aが車線に対して斜めに停止している場合も考えられる。このような場合、通知決定部700が、停止方向60Aと走行方向60Bが一致するときに外部警告通知の実行を決定すると、通知決定部700は、走行特定車両6Bが通信エリア115に存在する場合であっても、外部警告通知の実行を決定できない可能性がある。その結果、停止特定車両6Aは、後方の走行特定車両6Bに対して通知を行うことが難しくなる。
一方で、方向ずれ量がしきい値よりも小さいときに外部警告通知の実行が決定される場合には、当該しきい値を適切に設定することによって、通知決定部700は、走行特定車両6Bが通信エリア115に入った時点で、外部警告通知の実行を決定することができる。そのため、停止特定車両6Aは、その停止方向60Aが車線に対して斜めである場合であっても、後方の走行特定車両6Bに対して適切に通知を行うことができる。
また本例では、停止車両内機器10は、通信エリア115内の同一の走行特定車両6Bについて繰り返し通知決定処理を行うことから、走行特定車両6Bが通信エリア115内においてその走行方向60Bを変化させる場合であっても、適切に外部警告通知の実行を決定することができる。例えば、上述の図11に示されるように、走行特定車両6Bが通知エリア115に入った時点では、その走行方向60Bが、停止特定車両6Aの停止方向60Aに対して大きくずれている場合であっても、走行方向60Bが停止方向60Aに近づいた時点で、通知決定部700は外部警告通知の実行を決定することができる。よって、停止特定車両6Aは、後方の走行特定車両6Bに対してより確実に通知を行うことができる。
なお、停止車両内機器10は、700MHz帯通信を使用して、走行車両6Bに対して走行方向を出力することを指示するための出力指示情報を、繰り返し、当該停止車両内機器10の外部にブロードキャストで送信してもよい。この場合、走行車両内機器10は、自ら走行方向通知処理を実行するのではなく、停止車両内機器10から出力指示情報を受信したときに、走行方向通知処理を実行してもよい。このような場合であっても、走行車両内機器10は、その走行方向を繰り返し停止車両内機器10に通知することができる。
<各種変形例>
以下に実施の形態の各種変形例について説明する。
<第1変形例>
上記の第2の通知例では、停止車両内機器10は、停止車両通知情報をブロードキャストで送信していたが、本変形例では、停止車両内機器10は、走行特定車両6Bに対して個別に停止車両通知情報を送信する。
図13は本変形例に係る走行方向通知処理の一例を示す図である。図13に示されるように、走行特定車両6B内の電子機器10は、上述のステップs1を実行して、当該走行特定車両6Bの走行方向を特定する。次にステップs22において、無線通信部110は、700MHz帯通信を用いて、ステップs1で特定された走行方向を示す走行方位角と、電子機器10に割り当てられた、当該電子機器10を識別するための識別情報とを含む信号を、ブロードキャストで電子機器10の外部に送信する。これにより、走行方向通知処理が終了する。電子機器10の識別情報は、当該電子機器10の記憶部103内に記憶されている。上記と同様に、走行車両内機器10は、走行方向通知処理を繰り返し実行する。
本変形例に係る停止車両内機器10では、無線通信部110が、識別情報及び走行方向を含む信号を受信する。停止車両内機器10では、通知決定部700が、通知決定処理において外部警告通知の実行を決定すると、当該通知決定処理で使用された走行方向とともに受信された識別情報と、停止車両通知情報とを含む信号を、無線通信部110が送信する。無線通信部110は、700MHz帯通信を使用して、受信した識別情報及び停止車両通知情報を含む信号を送信する。
走行車両内機器10は、無線通信部110が、停止車両通知情報及び識別情報を含む信号を受信すると、当該信号に基づいた警告処理を行う。図14は当該警告処理の一例を示すフローチャートである。
図14に示されるように、走行車両内機器10では、ステップs31において、制御部100が、無線通信部110が受信した信号に含まれる識別情報である受信識別情報と、記憶部103内の識別情報である記憶識別情報とが一致するか否かを判定する。ステップs31において、受信識別情報と記憶識別情報とが一致しないと判定されると、警告処理が終了する。一方で、ステップs31において、受信識別情報と記憶識別情報とが一致すると判定されると、走行車両内機器10は、無線通信部110が受信した停止車両通知情報が、自装置宛ての情報であるとして、ステップs32において、警告を行う。ステップs32では、例えば、上記のように、制御部100が、前方に停止車両6Aが存在することを通知するための通知情報を、表示部120に所定時間表示させる。あるいは、制御部100は、前方に停止車両6Aが存在することを通知するための音声を、スピーカ160から少なくとも1回出力させる。制御部100は、前方に停止車両6Aが存在することを通知するための通知情報を表示部120に所定時間表示させるとともに、前方に停止車両6Aが存在することを通知するための音声をスピーカ160から少なくとも1回出力させてもよい。これにより、停止特定車両6Aに対して後方から近づく走行特定車両6Bの運転者等は、前方に停止車両6Aが存在することを早めに知ることができる。
なお、上記と同様に、ステップs32において、走行特定車両6B内の電子機器10の無線通信部110は、受け取った停止車両通知情報を、当該走行特定車両6Bの車載通信装置に送信してもよい。この場合、停止車両通知情報を受け取った車載通信装置は、当該停止車両通知情報に基づいて、上記と同様にして警告を行う。
以上のように、本変形例では、通知決定処理において外部警告通知の実行が決定されると、当該通知決定処理が使用された走行方向を出力した走行車両6Bの識別情報が利用されて、当該走行車両6Bに対して個別に停止車両通知情報が通知される。そのため、停止車両6Aからの通知が不要な走行車両6Bに対して、当該通知が行われる可能性をさらに低減することができる。
例えば上述の図6に示されるように、停止車両内機器10の通信エリア115の中に、走行方向60Bが停止方向60Aとほぼ同じである第1追越車線71Bの走行特定車両6Bだけではなく、走行方向60Bが停止方向60Aと大きく異なる対向車線の走行特定車両6Bが存在する場合であっても、停止車両内機器10からの通知が不要な対向車線の走行特定車両6Bに対して当該通知が行われる可能性を低減することができる。その結果、停止車両内機器10からの通知が不要な走行特定車両6Bが、当該通知に応じた処理を行う可能性を低減することができる。
<第2変形例>
図15は本変形例に係る停止車両内機器10が行う通知決定処理の一例を示すフローチャートである。本変形例では、第1変形例と同様に、走行車両内機器10は、700MHz帯通信を使用して、走行方向及び識別情報を含む信号を繰り返し送信する。
図15に示されるように、通知決定部700は、上述のステップs11を実行する。通知決定部700は、ステップs11において、走行方向と停止方向が所定の関係を満たすと判定すると、上述のステップs12を実行して、外部警告通知の実行を決定する。一方で、通知決定部700は、ステップs11において、走行方向と停止方向が所定の関係を満たさないと判定すると、ステップs41において、走行車両6Bに対して警告が無いことを通知する警告不存在通知の実行を決定する。
通知決定処理において、外部警告通知の実行が決定されると、無線通信部110は、第1変形例と同様に、当該通知決定処理で使用された走行方向とともに送られてきた識別情報と、停止車両通知情報都とを含む信号を、700MHz帯通信を使用して送信する。
一方で、通知決定処理において、警告不存在通知の実行が決定されると、無線通信部110は、当該通知決定処理で使用された走行方向とともに送られてきた識別情報と、走行特定車両6Bに対して警告が無いことを通知するための警告不存在通知情報とを含む信号を、700MHz帯通信を使用して送信する。これより、停止車両内機器10から走行特定車両6Bに対して警告不存在通知が行われる。
図16は、本変形例に係る走行車両内機器10が行う警告処理の一例を示すフローチャートである。図16に示されるように、制御部100は、上述のステップs31を実行する。ステップs31において、受信識別情報と記憶識別情報とが一致すると判定されると、ステップs51において、制御部100は、無線通信部110が受信識別情報とともに受け取った情報が、停止車両通知情報であるのか、警告不存在通知情報であるのかを確認する。ステップs51において、無線通信部110が受信識別情報とともに受け取った情報が停止車両通知情報であると判断されると、ステップs52において、走行車両内機器10は、上述のステップs32と同様に、走行特定車両6B内の人に対して警告を行う。これにより、警告処理が終了する。なお、ステップs52では、走行特定車両6Bの車載通信装置が表示等を行って警告を行ってもよい。
一方で、ステップs51において、無線通信部110が受信識別情報とともに受け取った情報が警告不存在通知情報であると判断されると、ステップs53において、走行車両内機器10は警告を停止する。これにより、警告処理が終了する。なお、ステップs51において、無線通信部110が受信識別情報とともに受け取った情報が警告不存在通知情報であると判断されたときに警告が行われていない場合には、ステップs53が実行されずに警告処理が終了する。
ステップs53では、例えば、前方に停止車両6Aが存在することを通知するための通知情報が表示部120に表示されている場合には、当該通知情報の表示が消去される。また、前方に停止車両6Aが存在することを通知するための音声がスピーカ160から繰り返し出力させている場合には、当該音声のスピーカ160からの出力が停止する。また、走行特定車両6Bの車載通信装置が表示等を行って警告を行っている場合には、走行車両内機器10は、当該車載通信装置に警告を停止させる。
このように、本変形例では、通知決定処理において、走行方向と停止方向が所定の関係を満たさないと判定された場合には、走行特定車両6Bに対して警告不存在通知が行われる。したがって、通信エリア115内の走行特定車両6Bの状態が、外部警告通知が必要な状態から、外部警告通知の必要性に乏しい状態になったときに、当該走行特定車両6B内の運転者等に対して必要性に乏しい通知が行われる可能性を低減することできる。
例えば図17に示されるように、停止特定車両6Aが停止する車道7Aと同じ車道を走行する走行特定車両6Bが、停止特定車両6Aの手前において左折を行って、車道7Aと交差する車道7Bに進入する場合を考える。この場合には、左折後の走行特定車両6Bが停止特定車両6Aを追い越す可能性は低いことから、当該走行特定車両6Bにとっては、停止特定車両6Aからの外部警告通知はあまり必要ではない。本変形例では、通信エリア115内の走行特定車両6Bが、車道7Aを走行しているときには、当該走行特定車両6Bに対して停止特定車両6Aから外部警告通知が行われ、左折した後には、当該走行特定車両6Bに対して停止特定車両6Aから警告不存在通知が行われる。よって、通信エリア115内に存在する左折後の走行特定車両6B内の運転者等に対して必要性に乏しい通知が行われる可能性を低減することができる。
<第3変形例>
上記の第1変形例では、停止車両内機器10は、通信エリア115内に存在する同一の走行特定車両6Bについて、繰り返し通知決定処理を行っていたが、通知決定処理を1回だけ行ってもよい。図18は、この場合の停止車両内機器10の動作の一例を示すフローチャートである。
図18に示されるように、ステップs61において、走行方向及び識別情報を含む信号を無線通信部110が受信すると、ステップs62において、通知決定部700は、ステップs41で受信される信号に含まれる識別情報である受信識別情報と同じ識別情報を、現在から所定時間前の時点から現在までに無線通信部110が受信したか否かを判定する。この所定時間は、走行車両内機器10が、走行方向及び識別情報を含む信号を送信する時間間隔よりも大きい値に設定される。言い換えれば、ステップs62の所定時間は、走行車両内機器10での走行方向通知処理の実行間隔よりも大きい値に設定される。ステップs62の所定時間は、例えば、走行車両内機器10が、走行方向及び識別情報を含む信号を送信する時間間隔の数倍に設定される。
通知決定部700は、ステップs62において、受信識別情報と同じ識別情報を、現在から所定時間前の時点から現在までに無線通信部110が受信していない判定すると、通信エリア115内に存在する、当該受信識別情報を送信した電子機器10がその中に存在する走行特定車両6Bについての通知決定処理がまだ行われていないとして、ステップs63において、通知決定処理を実行する。その後、ステップs61が再度実行されると、停止車両内機器10は同様に動作する。
一方で、通知決定部700は、ステップs62において、受信識別情報と同じ識別情報を、現在から所定時間前の時点から現在までに無線通信部110が受信したと判定すると、通信エリア115内に存在する、当該受信識別情報を送信した電子機器10がその中に存在する走行特定車両6Bについての通知決定処理がすでに行われているとして、通知決定処理を実行しない。その後、ステップs61が再度実行されると、停止車両内機器10は同様に動作する。
停止車両内機器10が図18のように動作することによって、走行特定車両6Bが通信エリア115に入ると、当該走行特定車両6Bについての通知決定処理が行われ、その後、当該走行特定車両6Bについては、通信エリア115を一度出た後に再度通信エリア115に入らない限り、通知決定処理が行われない。
このように、停止車両内機器10が、通信エリア115内に存在する同一の走行特定車両6Bについての通知決定処理を1回だけ行う場合であっても、停止車両6Aからの通知の必要性が乏しい走行車両6Bに対して当該通知が行われる可能性を低減することができる。
なお本変形例では、停止車両内機器10は、第1変形例と同様に、走行車両内機器10と個別通信を行うことによって、走行車両内機器10に対して個別に外部警告通知を行ってもよい。また、停止車両内機器10は、上記の第2の通知例と同様に、通信エリア115内の走行車両内機器10に対してブロードキャストで外部警告通知を行ってもよい。また、上記の第1の通知例と同様に、停止特定車両6Aの後方のライトが点灯することによって、外部警告通知が行われてもよい。
<第4変形例>
上記の第3変形例では、走行特定車両6Bが通信エリア115に入ったときに1回だけ通知決定処理が行われることから、上述の図11に示されるように、走行特定車両6Bが通信エリア115に入ったときの当該走行特定車両6Bの走行方向60Bが、停止特定車両6Aの停止方向60Aと大きく異なる場合には、当該走行特定車両6Bに対して停止特定車両6Aが外部警告通知を行えない可能性がある。
そこで、本変形例に係る停止車両内機器10は、走行特定車両6Bについての通知決定処理において、外部警告通知の不実行を決定した場合には、当該走行特定車両6Bについて再度通知決定処理を行う。言い換えれば、停止車両内機器10は、走行特定車両6Bについての通知決定処理において、走行方向と停止方向が所定の関係を満たさないと判定した場合には、当該走行特定車両6Bについて再度通知決定処理を行う。これにより、停止車両内機器10は、停止特定車両6Aを追い越す可能性のある走行特定車両6Bが通信エリア115に入ったときのその走行方向60Bが停止特定車両6Aの停止方向60Aと大きく異なる場合であっても、当該走行特定車両6Bに対してより確実に外部警告通知を行うことができる。
図19は本変形例に係る停止車両内機器10の動作の一例を示すフローチャートである。図19に示されるように、停止車両内機器10は上述のステップs61,s62を実行する。通知決定部700は、ステップs62において、受信識別情報と同じ識別情報を、現在から所定時間前の時点から現在までに無線通信部110が受信していない判定すると、上述のステップs63を実行して、通知決定処理を実行する。
一方で、通知決定部700は、ステップs62において、受信識別情報と同じ識別情報を、現在から所定時間前の時点から現在までに無線通信部110が受信したと判定すると、ステップs71を実行する。ステップs71では、通知決定部700は、前回の通知決定処理において警告通知の不実行が決定されたか否かを確認する。通知決定部700は、前回の通知決定処理において警告通知の不実行が決定されたと判断すると、ステップs63を実行して通知決定処理を行う。言い換えれば、通知決定部700は、前回の通知決定処理において、走行方向と停止方向が所定の関係を満たさないと判定されたと判断すると、通知決定処理を行う。一方で、通知決定部700は、前回の通知決定処理において警告通知の実行が決定されたと判断すると、通知決定処理を行わない。その後、ステップs61が再度実行されると、停止車両内機器10は同様に動作する。
このように、走行特定車両6Bについての通知決定処理において、走行方向と停止方向が所定の関係を満たさないと判定された場合に、当該走行特定車両6Bについて再度通知決定処理が行われることによって、上述の図11に示されるに、走行特定車両6Bが通信エリア115に入ったときの当該走行特定車両6Bの走行方向60Bが、停止特定車両6Aの停止方向60Aと大きく異なる場合であっても、当該走行特定車両6Bに対して外部警告通知が行われる可能性を向上することができる。
なお、本変形例においても、第1変形例と同様に、走行車両内機器10に対して個別に外部警告通知が行われてもよい。また、第2の通知例のように、通信エリア115内の走行車両内機器10に対してブロードキャストで外部警告通知が行われてもよい。また、第1の通知例のように、停止特定車両6Aの後方のライトが点灯することによって、外部警告通知が行われてもよい。
<第5変形例>
上記の各例では、停止車両6Aの停止方向60Aと、走行車両6Bの走行方向60Bとが同じかあるいは近い場合には、外部警告通知が行われる。そのため、走行車両6Bが停止車両6Aを追い越した後においても、外部警告通知が行われる可能性がある。停止車両6Aを追い越した走行車両6Bにとって、外部警告通知はあまり必要でないことから、無駄に外部警告通知が行われる可能性がある。
そこで、本変形例では、通知決定部700は、走行方向と停止方向が所定の関係を満たすとただちに外部警告通知の実行を決定するのではなく、両方向が所定の関係を満たし、かつ走行車両内機器10からの信号の受信強度が所定の条件を満たす場合に、外部警告通知の実行を決定する。
図20は本変形例に係る通知決定処理の一例を示すフローチャートである。本変形例では、走行車両内機器10は、第1変形例等と同様に、走行方向及び識別情報を含む信号を繰り返し送信する。
停止車両内機器10では、無線通信部110が走行方向及び識別情報を含む信号を受信すると、ステップs81において、通知決定部700は、無線通信部110が受信した識別情報である受信識別情報を送信する走行車両内機器10からの信号の受信強度が所定の条件を満たすか否かを判定する。ステップs81において、通知決定部700は、例えば、走行車両内機器10からの信号の受信強度が増加している場合、当該受信強度が所定の条件を満たすと判定する。
ここで、走行特定車両6Bが停止特定車両6Aに近づくと、当該停止特定車両6A内の電子機器10では、当該走行特定車両6B内の電子機器10が送信する信号の受信強度が増加する。したがって、ステップs81において、通知決定部700は、走行特定車両6Bが停止特定車両6Aに近づいているか否かを判定すると言える。
本変形例では、無線通信部110は、走行方向及び識別情報を含む信号を受信するたびに、当該信号の受信強度を求める。無線通信部110は、信号の受信強度として、例えばRSSI(Received Signal Strength Indicator)を求める。制御部100は、無線通信部110が識別情報を含む信号の受信強度を求めると、当該受信強度と当該識別情報とを対応付けて記憶部103に記憶する。制御部100は、無線通信部110が、識別情報を含む信号の受信を開始した後に、当該信号を一定時間以上受信しない場合には、当該識別情報の走行車両内機器10がその中に存在する走行特定車両6Bが通信エリア115から出たものとして、当該識別情報に対応する受信強度をすべて記憶部103から削除する。
ステップs81において、通知決定部700は、記憶部103から、受信識別情報に対応する最新の受信強度である第1受信強度と、当該第1受信強度よりも1つ前に求められた受信強度である第2受信強度とを読み出す。そして、通知決定部700は、第1受信強度が第2受信強度よりも大きければ、受信識別情報の走行車両内機器10からの信号の受信強度が増加しているとして、当該受信強度が所定の条件を満たすと判定する。一方で、通知決定部700は、第1受信強度が第2受信強度以下であれば、受信識別情報の走行車両内機器10からの信号の受信強度が増加していないとして、当該受信強度が所定の条件を満たさないと判定する。なお、記憶部103内に、受信識別情報に対応する受信強度が1つしかない場合には、ステップs81は実行されない。
通知決定部700は、ステップs81において、受信識別情報の走行車両内機器10からの信号の受信強度が所定の条件を満たしていると判定すると、上述の図8と同様に動作する。言い換えれば、通知決定部700は、ステップs81において、受信識別情報の走行車両内機器10がその中に存在する走行特定車両6Bが停止特定車両6Aに近づいている場合には、図8と同様に動作する。一方で、ステップs81において、受信識別情報の走行車両内機器10からの信号の受信強度が所定の条件を満たしていないと判定されると、通知決定部700は、ステップs13を実行して、外部警告通知の不実行を決定する。
停止車両内機器10が図20に示されるように動作することによって、停止特定車両6Aを追い越した走行特定車両6Bに対して外部警告通知が行われる可能性を低減することができる。
例えば、上述の図6の例において、停止特定車両6Aに対して、その後方から、第1追越車線71Bを走行する走行特定車両6Bが近づくと、ステップs81ではYESと判定されることから、外部警告通知の実行が決定される。一方で、第1追越車線71Bを走行する走行特定車両6Bが停止特定車両6Aを追い越すと、ステップs81ではNOと判定されることから、外部警告通知の実行が決定されない。これにより、第1追越車線71Bを走行する走行特定車両6Bが停止特定車両6Aを追い越した後に、当該走行特定車両6Bに対して外部警告通知が行われる可能性を低減することができる。
なお、ステップs81は、ステップs11とステップs12の間に実行されてもよい。また、ステップs81において、通知決定部700は、受信識別情報の走行車両内機器10からの信号の受信強度が減少していない場合に、当該受信強度が所定の条件を満たすと判定してもよい。この場合、通知決定部700は、上述の第1及び第2受信強度を記憶部103から取得し、第1受信強度が第2受信強度よりも小さければ、受信識別情報の走行車両内機器10からの信号の受信強度が減少したとして、当該受信強度が所定の条件を満たさないと判定する。一方で、通知決定部700は、第1受信強度が第2受信強度以上であれば、受信識別情報の走行車両内機器10からの信号の受信強度が減少していないとして、当該受信強度が所定の条件を満たすと判定する。
停止車両内機器10がこのように動作する場合であっても、停止特定車両6Aを追い越した走行特定車両6Bに対して外部警告通知が行われる可能性を低減することができる。
また、本変形例に係る外部警報通知の方法は、第1の通知例であってもよいし、第2の通知例であってもよい。また、第1変形例のように、走行特定車両6Bに対して個別に外部警報通知されてもよい。また、第2変形例のように、通知決定処理において外部警告通知の不実行が決定されたとき、警告不存在通知が行われてもよい。
<第6変形例>
停止特定車両6A内の電子機器10は、通知決定処理において、外部警報通知の実行を決定した場合には、当該停止特定車両6A内の人に対して所定の通知を行ってもよい。この場合、通知決定処理において外部警報通知の実行が決定されると、例えば、制御部100は、後方から走行車両6Bが近づいていることを通知するための接近通知情報を表示部120に所定時間表示させる。あるいは、制御部100は、接近通知情報を表示部120に表示させる代りに、あるいはそれに加えて、後方から走行車両6Bが近づいていることを通知するための接近通知音声を、スピーカ160から少なくとも1回出力させてもよい。これにより、停止特定車両6A内の運転者等に対して警告が行われる。接近通知情報としては、文字列であってもよいし、図形であってもよい。
また、通知決定処理において、外部警報通知の不実行が決定された場合には、停止車両内機器10は所定の通知を停止してもよい。この場合、接近通知情報が表示部120に表示されている場合には、当該接近通知情報の表示が消去される。また、接近通知音声がスピーカ160から繰り返し出力されている場合には、当該接近通知音声のスピーカ160からの出力が停止する。
このように、停止特定車両6A内の電子機器10は、外部警報通知の実行を決定した場合には、当該停止特定車両6A内の人に対して通知を行うことから、当該停止特定車両6A内の運転者等は、当該停止特定車両6Aに対して後方から走行車両6Bが近づいていることを知ることができる。よって、停止車両6Aに対して後方から走行車両6Bが近づいているのにもかかわらず、当該停止車両6A内の運転者等が、当該停止車両6Aのドアを開けたり、当該停止車両6Aから飛び出したりすることが発生する可能性が低減する。
<第7変形例>
車両6に搭載されている電子機器(以後、「車両搭載機器」と呼ぶことがある)が、電子機器10と同様の構成を備える場合には、停止車両6A内の当該電子機器が、停止車両6A内の電子機器10と同様に動作してもよい。つまり、停止車両6A内の電子機器10の代りに、当該停止車両6Aの車両搭載機器が、700MHz帯通信を使用して走行車両内機器10と無線通信を行い、上述の通知決定処理等を実行してもよい。この場合、停止車両6A内の、カーナビゲーション装置等の車載通信装置が通知決定処理等を実行してもよいし、停止車両6A内の、車載通信装置及び車両制御装置から成る電子機器が通知決定処理等を実行してもよい。
このように、停止車両6Aが備える車両搭載機器が、通知決定処理等を行う場合には、当該停止車両6A内に人が存在しない場合であっても、当該車両搭載機器は通知決定処理等を実行することが可能である。停止車両6Aが備える車両搭載機器は、当該停止車両6A内に人が存在するか否かを判定し、当該停止車両6A内に人が存在すると判定する場合にだけ通知決定処理を行ってもよい。停止車両6Aが備える車両搭載機器は、例えば、Wifi及びBluetoothの少なくとも一方を用いて電子機器10と通信することができる場合には、当該停止車両6A内には人が存在すると判定することができる。また、停止車両6Aが備える車両搭載機器は、地磁気センサを有する場合には、当該地磁気センサの検出結果に基づいて、当該停止車両6Aの停止方向を特定することができる。また、停止車両6Aが備える車両搭載機器は、地磁気センサ及びジャイロセンサを有する場合には、当該地磁気センサの検出結果と、当該ジャイロセンサの検出結果とに基づいて、当該停止車両6Aの停止方向を特定してもよい。
また、走行車両6Bが備える車載搭載機器が、走行車両6B内の電子機器10と同様に動作してもよい。つまり、走行車両6B内の電子機器10の代りに、当該走行車両6Bが備える車両搭載機器が、上述の走行方向通知処理及び警告処理等を実行してもよい。この場合、走行車両6B内の、カーナビゲーション装置等の車載通信装置が走行方向通知処理等を実行してもよいし、走行車両6B内の、車載通信装置及び車両制御装置から成る電子機器が走行方向通知処理等を実行してもよい。走行車両6Bが備える車両搭載機器は、地磁気センサを有する場合には、当該地磁気センサの検出結果に基づいて、当該走行車両6Aの走行方向を特定することができる。また、走行車両6Bが備える車両搭載機器は、地磁気センサ及びジャイロセンサを有する場合には、当該地磁気センサの検出結果と、当該ジャイロセンサの検出結果とに基づいて、当該走行車両6Bの走行方向を特定してもよい。
このように、走行車両6Bが備える車両搭載機器が、走行方向通知処理等を行う場合には、当該車両搭載機器は、停止車両内機器10と通信して当該停止車両内機器10に走行方向等を通知してもよいし、停止車両6Aが備える車両搭載電子機器と通信して当該車両搭載機器に走行方向等を通知してもよい。
<その他の変形例>
上記の例では、電子機器10は、スマートフォン等の携帯電話機であったが、他の種類の電子機器であってよい。電子機器10は、例えば、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、ウェアラブル機器などであってよい。電子機器10として採用されるウェアラブル機器は、リストバンド型あるいは腕時計型などの腕に装着するタイプであってもよいし、ヘッドバンド型あるいはメガネ型などの頭に装着するタイプであってもよいし、服型などの体に装着するタイプであってもよい。
以上のように、電子機器10は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この開示がそれに限定されるものではない。また、上述した各種変形例は、相互に矛盾しない限り組み合わせて適用可能である。そして、例示されていない無数の変形例が、この開示の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。