以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1(a)および図1(b)は、第1の実施形態に係るマイクロフォンパッケージの構成を例示する模式図である。
図1(a)は、模式的平面図である。図1(b)は、図1(a)のE1−E2線断面図である。
図2(a)および図2(b)は、第2の実施形態に係るマイクロフォンパッケージの構成を例示する模式図である。
図2(a)は、図1(a)のE1−E2線断面図に相当する断面図である。図2(b)は、図2(a)に表した領域W1の模式的拡大図である。
図3(a)および図3(b)は、第3の実施形態に係るマイクロフォンパッケージの構成を例示する模式図である。
図3(a)は、模式的平面図である。図3(b)は、図3(a)のA1−A2線断面図である。
図4(a)および図4(b)は、第4の実施形態に係るマイクロフォンパッケージの構成を例示する模式図である。
図4(a)は、模式的平面図である。図4(b)は、図4(a)のG1−G2線断面図である。
本実施形態に係るマイクロフォンパッケージ111、112、113は、例えば音圧検知器などに応用される。
図1に表したマイクロフォンパッケージ111は、実装基板50と、圧力検知素子40と、集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)60と、カバー部70と、を備える。
実装基板50は、第1主面50sと、第2主面50bと、を有する。
第1主面50sに対して垂直な方向をZ軸方向とする。Z軸方向に対して垂直な1つの方向をX軸方向とする。Z軸方向とX軸方向とに対して垂直な方向をY軸方向とする。 第2主面50bは、Z軸方向において、第1主面50sと離間する。
圧力検知素子40は、第1主面50sの上に設けられる。圧力検知素子40は、膜体30と、素子部25と、を含む。集積回路60は、第1主面50sの上に設けられる。カバー部70は、第1主面50sの上に設けられ、圧力検知素子40および集積回路60を内部に格納する。実装基板50には、電極パッドが設けられる。電極パッドについては、後述する。
本願明細書において、「上に設けられる」状態は、直接接して設けられる状態の他に、間に他の要素が挿入されて設けられる状態も含む。
カバー部70は、上部(蓋部)74と、第1側部75と、第2側部76と、第3側部77と、第4側部78と、を有する。上部74は、Z軸方向に対して実質的に垂直な面を有する。第1側部75は、Z軸方向に対して垂直な方向に対して非平行な面を有する。この例では、第1側部75は、Z軸方向に対して垂直な方向に対して実質的に垂直な面を有する。言い換えれば、第1側部75は、Z軸方向に対して実質的に平行な面を有する。第2側部76は、Z軸方向に対して垂直な方向に対して非平行な面を有する。この例では、第2側部76は、Z軸方向に対して垂直な方向に対して実質的に垂直な面を有する。言い換えれば、第2側部76は、Z軸方向に対して実質的に平行な面を有する。第3側部77は、Z軸方向に対して垂直な方向に対して非平行な面を有する。この例では、第3側部77は、Z軸方向に対して垂直な方向に対して実質的に垂直な面を有する。言い換えれば、第3側部77は、Z軸方向に対して実質的に平行な面を有する。第4側部78は、Z軸方向に対して垂直な方向に対して非平行な面を有する。この例では、第4側部78は、Z軸方向に対して垂直な方向に対して実質的に垂直な面を有する。言い換えれば、第4側部78は、Z軸方向に対して実質的に平行な面を有する。第1側部75は、第3側部77と対向する。第2側部76は、第4側部78と対向する。
本願明細書において、「対向」は、直接面している状態の他に、他の要素が介在して向かいあう状態も含む。
カバー部70は、音孔71を有する。音孔71は、上部74に設けられ、上部74を貫通する。音孔71は、音を通す。例えば、音孔71は、少なくともマイクロフォンパッケージ111、112、113の外部の音をマイクロフォンパッケージ111、112、113の内部(カバー部70の内部)へ伝達する。例えば、音孔71は、少なくともマイクロフォンパッケージ111、112、113の外部の音をマイクロフォンパッケージ111、112、113の内部(カバー部70の内部)へ流入(進入)させる。
図1に表したマイクロフォンパッケージ111において、第1側部75と、第2側部76と、第3側部77と、第4側部78と、は、磁性体によりそれぞれ形成されている。
あるいは、図2(a)に表したマイクロフォンパッケージ112のように、第2側部76aと、第4側部78aと、は、磁性を有する粒子(磁性ビーズ)を含む非磁性体によりそれぞれ形成されていてもよい。すなわち、図2(b)に表したように、第2側部76aは、非磁性体81と、磁性ビーズ83と、を含む。第4側部78aは、非磁性体81と、磁性ビーズ83と、を含む。非磁性体81は、例えば樹脂材料(不導体)により形成される。磁性ビーズ83は、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル酸化物、鉄酸化物、コバルト酸化物、ニッケル窒化物、鉄窒化物、またはコバルト窒化物などが用いられる。
第2側部76aを製造する方法としては、例えば、次のような方法が挙げられる。まず、硬化前の樹脂材料(硬化前の非磁性体81)に磁性ビーズ83を混ぜ込む。その後、磁性ビーズ83を含む硬化前の樹脂材料を型に流し込み硬化させる。第2側部76aの製造方法の例は、第4側部78aの製造方法と同様である。
なお、図2(a)には図示しない第1側部および第3側部は、前述した第2側部76aまたは第4側部78aと同様である。
あるいは、図3に表したマイクロフォンパッケージ113のように、第1側部75と、第2側部76と、第3側部77と、第4側部78と、は、それぞれ非磁性体により形成された後、側壁において磁性体73を付加されてもよい。
図3に表したマイクロフォンパッケージ113について、さらに説明する。
カバー部70は、磁性体73を含む。磁性体73は、第1側部75と、第2側部76と、第3側部77と、第4側部78と、に設けられる。磁性体73には、磁性体が用いられる。磁性体73は、磁性層を有する。カバー部70の側部(第1側部75、第2側部76、第3側部77および第4側部78)に磁性体73を形成する方法としては、例えば、スパッタリング法、CVD法または電解・無電解メッキ法などが使用される。
第1側部75、第2側部76、76a、第3側部77および第4側部78、78aには、非磁性体が用いられる。磁性体73には、磁性体が用いられる。磁性体の材料としては、例えば、NiFe合金、Ni−Fe−X合金(Xは、Cu、Cr、Ta、Rh、PtまたはNb)、CoZrNb合金及びFeAlSi合金が挙げられる。あるいは、磁性体の材料としては、例えば、FeO3あるいはFe2O3などのフェライト材料が挙げられる。
カバー部70の磁性体73以外の部分(上部74、第1側部75、第2側部76、第3側部77および第4側部78:母材)には、樹脂材料が用いられる。カバー部70の母材は、不導体層を有する。カバー部70の母材には、例えば、フェノール樹脂(PF)、エポキシ樹脂(EP)、メラミン樹脂(MF)、尿素樹脂(ユリア樹脂、UF)、不飽和ポリエステル樹脂(UP)、アルキド樹脂ポリウレタン(PUR)、熱硬化性ポリイミド(PI)、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、テフロン(登録商標)−(ポリテトラフルオロエチレン、PTFE)、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、AS樹脂、アクリル樹脂(PMMA)、ポリアミド(PA)ナイロン、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE、変性PPE、PPO)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グラスファイバー強化ポリエチレンテレフタレート(GF−PET)、環状ポリオレフィン(COP)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、非晶ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、熱可塑性ポリイミド(PI)、および、ポリアミドイミド(PAI)の少なくともいずれかが用いられる。
樹脂材料は、金属材料と比較すると、音波の反射を抑制できる。すなわち、音孔71からマイクロフォンパッケージ113に入射した音波は、圧力検知素子40以外の箇所では反射する。音波の反射は、固定端での反射になる。そのため、音波の位相ズレが生ずる。音波の位相ズレが生ずると、圧力検知素子40以外の箇所で反射した音波は、音孔71からマイクロフォンパッケージ113に入射した音波と干渉する。そのため、カバー部70には、音響性能の向上が望まれる。実施形態では、カバー部70の母材(樹脂材料)の表面積は、磁性体の表面積よりも広い。そのため、音響性能のさらなる向上が望まれる。樹脂材料の弾性は、金属材料の弾性よりも高い。そのため、カバー部70には、機械的堅牢性の向上が望まれる。樹脂材料の形状加工性は、金属材料の形状加工性よりも高い。そのため、マイクロフォンパッケージ111、112、113の性能向上が望まれる。
図4に表したマイクロフォンパッケージ114のように、カバー部70の上部74の上に例えば金属などにより形成された蓋体79が設けられた場合には、カバー部70の上部74を透過する音波を抑制することができる。蓋体79の硬さは、樹脂材料により形成された上部74の硬さよりも硬い。これによれば、音孔71からマイクロフォンパッケージ114に入射した音だけを考慮することで、共振設計をより容易に行うことができる。なお、蓋体79および上部74の硬さについては、例えばブリネル硬さ、ビッカース硬さ、ロックウェル硬さ、ジュロメータ硬さ、バーコール硬さおよびモノトロン硬さの少なくともいずれかの試験法により測定することができる。
図5は、実施形態に係るマイクロフォンパッケージの電気回路の要部構成を例示するブロック図である。
集積回路60は、駆動回路61と、信号処理回路63と、を含む。駆動回路61は、実装基板50の第1主面50sに搭載される。信号処理回路63は、実装基板50の第1主面50sに搭載される。実装基板50は、例えば、長方形の板状に形成される。実装基板50は、配線パターンを含む。駆動回路61は、圧力検知素子40に所定の電圧または電流を供給する。信号処理回路63は、圧力検知素子40の出力を増幅する。
外部電源141は、駆動回路61の入力側と接続される。外部電源141が駆動回路61に電圧または電流を供給すると、駆動回路61は、動作し圧力検知素子40の駆動に必要な電気信号を生成する。駆動回路61の出力側は、圧力検知素子40の入力側と接続される。駆動回路61が生成する電気信号が圧力検知素子40に入力されると、圧力検知素子40が駆動する。圧力検知素子40が駆動すると、圧力検知素子40の出力側に電気信号が出力される。圧力検知素子40の出力側は、信号処理回路63の入力側に接続される。信号処理回路63が検知信号を処理すると、信号処理回路63の出力側に電気信号が出力される。信号処理回路63の出力側は、出力端子143に接続される。信号処理回路63の電気信号は、出力端子143を介してマイクロフォンモジュールの外に出力される。集積回路60には、接地145が設けられる。つまり、集積回路60は、接地されている。
図6(a)〜図7(b)は、外部磁場の方向の影響を例示する模式図である。
図6(a)および図7(a)は、磁性層の主面に対して垂直な成分の外部磁場が磁性層の磁化に作用する場合を例示する模式的斜視図である。図6(b)および図7(b)は、磁性層の主面に対して平行な成分の外部磁場が磁性層の磁化に作用する場合を例示する模式的斜視図である。
圧力検知素子40は、例えば、極薄磁性膜の積層膜で形成されるスピンバルブ膜を含む。スピンバルブ膜の抵抗は、外部磁界により変化する。抵抗の変化量は、MR変化率である。MR現象は、種々の物理的効果に起因する。MR現象は、例えば、巨大磁気抵抗効果(GMR effect: Giant magnetoresistive effect)、または、トンネル磁気抵抗効果(TMR: Tunneling magnetoresistive effect)に基づく。
スピンバルブ膜は、少なくとも2層の強磁性層が、スペーサ層を介して積層された構成を有する。スピンバルブ膜の磁気抵抗状態は、2つの強磁性層の磁化方向の相対的な角度によって決まる。例えば、2つの強磁性層の磁化が互いに平行状態のときは、スピンバルブ膜の抵抗は低い状態になる。反平行状態のときには、スピンバルブ膜の平行は、高い状態になる。2つの強磁性層の磁化どうしの角度が、中間的な角度の場合には、中間的な抵抗の状態が得られる。
少なくとも2層の磁性層のうち、磁化が容易に回転する磁性層は、例えば磁化自由層(第2磁性層)152である。磁化自由層152は、主面152aを有する。相対的に磁化が変化しにくい磁性層は、参照層(第1磁性層)151である。参照層151は、主面151aを有する。
外部応力によっても磁性層の磁化方向は変化する。この現象を用いることで、スピンバルブ膜は、歪検知素子または圧力検知素子として用いることができる。歪みによる磁化自由層152の磁化(第2の磁化)の変化は、例えば、逆磁歪効果に基づく。
磁歪効果は、磁性材料の磁化が変化したときに、磁性材料の歪みが変化する現象である。歪みの大きさは、磁化の大きさと方向に依存して変化する。歪みの大きさは、これらの磁化の大きさと方向のパラメータを通じて制御できる。印加する磁界の強度を増大したときに歪の量が飽和する歪の変化量は、磁歪定数λsである。磁歪定数は、磁性材料固有の特性に依存する。磁歪定数(λs)は、外部磁界を印加して磁性層をある方向に飽和磁化させたときの形状変化の大きさを示す。外部磁界がない状態で長さLであるときに、外部磁界が印加されたときにΔLだけ変化したとすると、磁歪定数λsは、ΔL/Lで表される。この変化量は外部磁界の大きさによって変わるが、磁歪定数λsは、十分な外部磁界が印加され、磁化が飽和された状態のΔL/Lとしてあらわす。実施形態において、磁歪定数λsの絶対値は、10−5以上であることが好ましい。これにより、応力によって歪が効率的に生じ、圧力の検知感度が高まる。磁歪定数の絶対値は、例えば、10−2以下である。この値は、磁歪効果を生じる実用的な材料の値の上限である。
磁歪効果の逆の現象として、逆磁歪効果がある。逆磁歪効果において、外部応力が印加されたときに、磁性材料の磁化が変化する。この変化の大きさは、外部応力の大きさ、及び、磁性材料の磁歪定数に依存する。磁歪効果と逆磁歪効果とは、物理的に互いに対称な効果であるため、逆磁歪効果の磁歪定数は、磁歪効果における磁歪定数と同じである。
磁歪効果及び逆磁歪効果において、正の磁歪定数と負の磁歪定数とがある。これらの定数は磁性材料に依存する。正の磁歪定数を有する材料の場合、磁化は、引っ張り歪みが印加された方向に沿うように、変化する。負の磁歪定数を有する材料の場合、磁化は、圧縮歪みが印加された方向に沿うように、変化する。
逆磁歪効果により、スピンバルブ膜の磁化自由層152の磁化方向を変化させることができる。外部応力が印加されると、逆磁歪効果によって磁化自由層152の磁化方向が変化するため、参照層151と磁化自由層152との相対的磁化角度に差が生じる。これによって、スピンバルブ膜の抵抗が変化する。これにより、スピンバルブ膜は、歪検知素子として用いることができる。
歪検知素子は、例えば、「メンブレン」の上に形成されている。メンブレンは、圧力から歪への変換を行う鼓膜のような役割を果たす。メンブレンの上に形成された歪検知素子が、歪みを読み取り圧力検知が可能になる。メンブレンには、例えば、単結晶Si基板が用いられる。単結晶Si基板の裏面からエッチングを行い、歪検知素子が配置されている部分を薄くする。これによりダイアフラムが形成される。ダイアフラムは、印加される圧力に応じて変形する。
例えば、ダイアフラムの第1主面をX−Y平面に投影した形状が、幾何的等方形状である場合、幾何学的中心点付近では、ダイアフラム変位によって生ずる歪はX−Y平面状で同一値になる。そのため、歪検知素子をダイアフラムの幾何学的中心点に配置すると、磁化の回転を引き起こす歪が等方的になってしまい、磁性層の磁化の回転が生じなく、素子の抵抗値変化も生じない。そのため、実施形態においては、歪検知素子は、ダイアフラムの幾何学的中心点に配置しないことが好ましい。例えば、ダイアフラムをX−Y平面に投影したときの形状が円形である時、ダイアフラム変位により、円形の外周付近で最大の異方性歪が生じる。そのため、ダイアフラムの外周付近に歪検知素子を配置すると、圧力検知素子40の感度が高くなる。
実施形態において、メンブレンには、例えば、Siを用いることができる。または、メンブレンは、曲がりやすい材料を用いたフレキシブル基板である。フレキシブル基板には、例えば、ポリマー材料などが用いられる。ポリマー材料として、例えば、アクリロニトリルブラジエンスチレン、シクロオレフィンポリマー、エチレンプロピレン、ポリアミド、ポリアミド-イミド、ポリベンジルイミダゾール、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエチレンエーテルケトン、ポリエチルイミド、ポリエチレンイミン、ポリエチレンナフタレン、ポリエステル、ポリサルフォン、ポリエチレンテレフタレート、フェノールホルムアルデヒド、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルペンテン、ポリオキシメチレン、ポリプロピレン、m−フェニルエーテル、ポリp−フェニルサルファイド、p−アミド、ポリスチレン、ポリサルフォン、ポリビニルクロライド、ポリテトラフルオロエテン、パーフルオロアルコキシ、フッ化エチレンプロピレン、ポリテトラフルオロエテン、ポリエチレンテトラフルオロエチレン、ポリエチレンクロロトリフルオエチレン、ポリビニリデンフルオライド、メラミンホルムアルデヒド、液晶性ポリマー、及び、尿素ホルムアルデヒドの少なくともいずれかを用いることができる。
図5に関して説明したように、圧力検知素子40は、実装基板50に搭載された集積回路60の駆動回路61と接続される。駆動回路61が生成する電気信号が圧力検知素子40に入力されると、圧力検知素子40が駆動する。
ダイヤフラムが音声の音圧を受けて歪むと、圧力検知素子40は、ダイアフラムの上に配置された歪検知素子の抵抗値の変化に比例した電圧の変化を取り出す。圧力検知素子40は、音声信号を電圧信号に変換して出力する音声信号変化素子である。圧力検知素子40の出力信号のレベルが比較的低いため、圧力検知素子40の出力側は、増幅器(例えば信号処理回路63)に接続される。これにより、音声信号を表す圧力検知素子40の出力信号が増幅される。
圧力検知素子40の出力信号のレベルが比較的低いため、圧力検知素子40の出力信号は、外部ノイズに対して脆弱である。圧力検知素子40のスピンバルブ膜の抵抗が外部磁界により変化するため、例えば地磁気などの外部磁場が外部ノイズとして磁化自由層152の磁化および参照層151の磁化(第1の磁化)の少なくともいずれかに作用する場合がある。
すなわち、図6(a)および図6(b)に表したように、実施形態に係るマイクロフォンパッケージ111、112、113、114の例では、磁化自由層152の磁化の方向および参照層151の磁化の方向は、X−Y平面に対してそれぞれ平行である。つまり、磁化自由層152の磁化の方向は、磁化自由層152の主面152aに対して平行である。参照層151の磁化の方向は、参照層151の主面151aに対して平行である。言い換えれば、磁化自由層152の磁化の方向は、Z軸方向(積層方向)に対して垂直である。参照層151の磁化の方向は、Z軸方向(積層方向)に対して垂直である。この状態を用いる構成を、「面内磁化方式」ということにする。面内磁化方式では、圧力検知素子40は、参照層151の磁化の方向と磁化自由層152の磁化の方向との間の角度の変化により圧力変化を検知する。そのため、例えば地磁気などの外部磁場が外部ノイズとして磁化自由層152の磁化および参照層151の磁化の少なくともいずれかに作用する場合がある。
一方で、図7(a)および図7(b)に表したように、実施形態に係るマイクロフォンパッケージ111、112、113、114の他の例では、磁化自由層152の磁化の方向および参照層151の磁化の方向は、X−Y平面に対してそれぞれ垂直である。つまり、磁化自由層152の磁化の方向は、磁化自由層152の主面152aに対して垂直である。参照層151の磁化の方向は、参照層151の主面151aに対して垂直である。言い換えれば、磁化自由層152の磁化の方向は、Z軸方向(積層方向)に対して平行である。参照層151の磁化の方向は、Z軸方向(積層方向)に対して平行である。この状態を用いる構成を、「垂直磁化方式」ということにする。垂直磁化方式では、圧力検知素子40は、参照層151の磁化の方向と磁化自由層152の磁化の方向との間の角度の変化により圧力変化を検知する。そのため、例えば地磁気などの外部磁場が外部ノイズとして磁化自由層152の磁化および参照層151の磁化の少なくともいずれかに作用する場合がある。
図6(a)および図7(a)に表したように、磁化自由層152の主面152aに対して垂直な成分の第1外部磁場161は、磁化自由層152の磁化を回転させる力としては磁化自由層152の磁化に作用しない。
一方、図6(b)および図7(b)に表したように、磁化自由層152の主面152aに対して平行な成分の第2外部磁場162は、磁化自由層152の磁化を回転させる力として磁化自由層152の磁化に作用する。すると、スピンバルブ膜の抵抗が変化し、外部磁場が外部ノイズとして圧力検知素子40の出力信号に現れる場合がある。なお、例えば、図6(b)に表した第3外部磁場163および第4外部磁場164は、磁化自由層152の磁化に対して平行でなくとも磁化自由層152の主面152aに対して平行な成分を有するため、磁化自由層152の磁化を回転させる力として磁化自由層152の磁化に作用する。例えば、図7(b)に表した第5外部磁場165および第6外部磁場166は、第2外部磁場162と同様に、磁化自由層152の磁化を回転させる力として磁化自由層152の磁化に作用する。
これに対して、図1(a)および図1(b)に表したマイクロフォンパッケージ111では、第1側部75と、第2側部76と、第3側部77と、第4側部78と、が磁性体によりそれぞれ形成されている。図2(a)および図2(b)に表したマイクロフォンパッケージ112では、第1の側部と、第2の側部76aと、第3の側部と、第4の側部78aと、が磁性ビーズ83を有する非磁性体81によりそれぞれ形成されている。図3(a)および図3(b)に表したマイクロフォンパッケージ113では、磁性体73が、第1側部75と、第2側部76と、第3側部77と、第4側部78と、に設けられる。磁性体73は、磁気閉回路を形成する。磁性体73が例えば切れ目などを有していても、磁場が連続していればよい。
第1側部75、第2側部76、76a、第3側部77および第4側部78、78aは、磁化自由層152の主面152aに対してそれぞれ非平行である。あるいは、第1側部75が含まれる平面、第2側部76、76aが含まれる平面、第3側部77が含まれる平面および第4側部78、78aが含まれる平面のそれぞれと、磁化自由層152の主面152aと、の間の角度の絶対値は、45度以上である。あるいは、第1側部75が含まれる平面、第2側部76、76aが含まれる平面、第3側部77が含まれる平面および第4側部78、78aが含まれる平面のそれぞれと、磁化自由層152の主面152aと、の間の角度の絶対値は、85度以上である。
言い換えれば、第1側部75、第2側部76、76a、第3側部77および第4側部78、78aは、積層方向に対して垂直な方向に対して非平行である。あるいは、第1側部75が含まれる平面、第2側部76、76aが含まれる平面、第3側部77が含まれる平面および第4側部78、78aが含まれる平面と、積層方向と、の間の角度の絶対値は、45度未満である。あるいは、第1側部75が含まれる平面、第2側部76、76aが含まれる平面、第3側部77が含まれる平面および第4側部78、78aが含まれる平面のそれぞれと、積層方向と、の間の角度の絶対値は、5度以下である。
すなわち、第1側部75、第2側部76、76a、第3側部77および第4側部78、78aは、参照層151の磁化の方向および磁化自由層152の磁化の方向に応じて設置される。具体的には、面内磁化方式の場合には、第1側部75、第2側部76、76a、第3側部77および第4側部78、78aは、参照層151の磁化の方向および磁化自由層152の磁化の方向に対して実質的に垂直な面をそれぞれ有する。垂直磁化方式の場合には、第1側部75、第2側部76、76a、第3側部77および第4側部78、78aは、参照層151の磁化の方向および磁化自由層152の磁化の方向に対して実質的に平行な面をそれぞれ有する。
図1に表したマイクロフォンパッケージ111では、磁化自由層152の主面152aに対して平行な成分の第2外部磁場162が印加された場合、磁束は、カバー部70の側部であって磁性体で形成された側部により形成された磁気閉回路を通る。図2に表したマイクロフォンパッケージ112では、磁化自由層152の主面152aに対して平行な成分の第2外部磁場162が印加された場合、磁束は、カバー部70の側部であって磁性ビーズ83を含む側部により形成された磁気閉回路を通る。図3に表したマイクロフォンパッケージ113では、磁化自由層152の主面152aに対して平行な成分の第2外部磁場162が印加された場合、磁束は、磁性体73により形成された磁気閉回路を通る。言い換えれば、第2外部磁場162の磁束は、第1側部75に設けられた磁性体73、第2側部76に設けられた磁性体73、第3側部77に設けられた磁性体73および第4側部78に設けられた磁性体73の少なくともいずれかを通る。
すると、第2外部磁場162の磁束は、カバー部70の内部には進入しない。これにより、カバー部70の側部は、磁化自由層152の主面152aに対して平行な成分の第2外部磁場162がカバー部70の内部に進入することを遮断する。あるいは、磁性体73は、磁化自由層152の主面152aに対して平行な成分の第2外部磁場162がカバー部70の内部に進入することを遮断する。カバー部70の内部の圧力検知素子40は、磁化自由層152の主面152aに対して平行な成分の第2外部磁場162に曝されない。外部磁場が、外部ノイズとして磁化自由層152の磁化に作用することを抑制することができる。つまり、外部磁場による磁化自由層152の磁化方向の回転を抑制することができる。これにより、比較的高いSN比の音声信号変化素子を得ることができる。
図1(b)に表したように、第1主面50sと膜体30の上面との間の距離(膜体30の高さ)をD11とする。第1主面50sとカバー部70の上面との間の距離(カバー部の高さ)をD12とする。カバー部70の側部(図1の例では第2側部76)の内壁と素子部25の端部との間の距離をD13とする。このとき、D13<|D12−D11|/tan45°=|D12−D11|を満たすと、第2外部磁場162がカバー部70の内部に進入することをより効果的に遮断することができる。つまり、カバー部70の側部の内壁と素子部25の端部との間の距離が、第1主面50sとカバー部70の上面との間の距離(カバー部70の高さ)と、第1主面50sと膜体30の上面との間の距離(膜体30の高さ)と、の差の絶対値よりも小さいときに、遮断効果がより顕著となる。
このときの「45°」とは、カバー部70の側部(図1の例では第2側部76)の内壁あるいは外壁に対して垂直な成分と、カバー部の側部(図1の例では第2側部76)の内壁あるいは外壁に対して平行な成分と、が1:1になる角度をいう。
なお、集積回路60は、X軸方向において圧力検知素子40と離間して設けられる。そのため、圧力検知素子40は、X軸方向における実装基板50の長さの約1/2程度の長さの領域内に配置される。
例えばコンデンサマイクなどのような静電容量式マイクでは、電磁波がノイズになる。そのため、マイクパッケージ(例えばカバー部70の母材)は、金属により形成される。 これに対して、実施形態に係る圧力検知素子40では、電磁波は、ノイズとして作用しない。そのため、カバー部70の母材を金属により形成する必要がない。カバー部70の母材を樹脂材料で形成することができる。これにより、図1に関して説明したように、カバー部70には、音響性能の向上が望まれる。カバー部70には、機械的堅牢性の向上が望まれる。マイクロフォンパッケージ111、112、113の性能向上が望まれる。
前述したように、カバー部70内の参照層151の磁化の方向およびカバー部70内の磁化自由層152の磁化の方向に応じて設置されたカバー部70の側部には、磁性体(磁性ビーズを含む)が配置される。これにより、第2外部磁場162がカバー部70の内部に進入することをより効果的に遮断することができる。一方、カバー部70のうちのそれ以外の部分には、音響性能に有利な材料を用いることができる。
図8(a)〜図8(c)は、実施形態の圧力検知素子の構成を例示する模式図である。図8(c)は、透視平面図である。図8(a)は、図8(c)のB1−B2線断面図である。図8(c)のC1−C2線断面図である。
図8(a)〜図8(c)に表したように、圧力検知素子40は、膜体30と、素子部25と、を含む。
膜体30は、第1主面30sを有する。第1主面30sは、第1縁部30aと、第2縁部30bと、内側部30cと、を有する。第2縁部30bは、第1縁部30aと離間している。内側部30cは、例えば、第1縁部30aと第2縁部30bとの間に位置する。
例えば、圧力検知素子40において、メンブレン34が設けられる。メンブレン34は、膜体30に対応する。メンブレン34の内側の一部に凹部30oが設けられる。凹部30oをX−Y平面に投影したときの形状は例えば円形(扁平円を含む)。または、多角形である。メンブレン34の凹部30o(メンブレン34のうちで薄い部分)は、内側部30cとなる。内側部30cの周囲(例えばメンブレン34のうちで、凹部30oよりも厚い部分)が外側部となる。外側部の1つの部分が、第1縁部30aとなる。外側部の別の一部が、第2縁部30bとなる。メンブレン34には、例えば、シリコンなどが用いられる。ただし、実施形態はこれに限らず、メンブレン34の材料は任意である。
この例では、メンブレン34の外側部の厚さは、内側部30cの厚さと異なる。実施形態はこれに限らず、これらの厚さは互いに同じでもよい。この例では、メンブレン34の形状は、長方形であるが、形状は任意である。
素子部25は、第1主面30s上に設けられる。素子部25は、第1電極10と、第2電極20と、第1磁性層11と、第2磁性層12と、非磁性層13と、を含む。
第1電極10は、第1部分10aと、第2部分10bと、を有する。第1部分10aは、第1縁部30aに対向する。第2部分10bは、内側部30cに対向する。
第2電極20は、第3部分20aと、第4部分20bと、を有する。第3部分20aは、内側部30cに対向する。第4部分20bは、第2縁部30bに対向する。第4部分20bは、X−Y平面(第1主面30sに対して平行な平面)に投影したときに、第1電極10と重ならない。
第1磁性層11は、第2部分10bと第3部分20aとの間に設けられる。
第2磁性層12は、第1磁性層11と第3部分20aとの間に設けられる。
非磁性層13は、第1磁性層11と第2磁性層12との間に設けられる。
第1磁性層11、非磁性層13及び第2磁性層12は、Z軸方向(積層方向)に沿って積層される。
本願明細書において、「積層」は、互いに接して重ねられる状態に加え、他の要素が挿入されて重ねられる状態も含む。
第1磁性層11、非磁性層13及び第2磁性層12は、歪検知素子15となる。すなわち、素子部25は、第1電極10と、第2電極20と、歪検知素子15と、を含む。圧力検知素子40においては、膜体30の歪みに応じて、第1磁性層11の磁化の方向と第2磁性層12の磁化の方向との間の角度が変化する。歪検知素子15の構成及び特性の例については後述する。
歪検知素子15を埋め込む絶縁層14が設けられる。絶縁層14には、例えばSiO2やAl2O3などが用いられる。
この例では、内側部30cの上に、第1電極10の第2部分10b、第1磁性層11、非磁性層13、第2磁性層12、及び、第2電極20の第3部分20aがこの順で設けられている。すなわち、第2部分10bは、第3部分20aと内側部30cとの間に配置されている。ただし、実施形態は、これに限らない。第3部分20aは、第2部分10bと内側部30cとの間に配置されてもよい。
第1磁性層11は、第1の磁化を有する。実施形態では、第1の磁化の方向は、X−Y平面に対して平行である。第2磁性層12は、第2の磁化を有する。実施形態では、第2の磁化の方向は、X−Y平面に対して平行である。言い換えれば、第1の磁化の方向は、Z軸方向(積層方向)に対して垂直である。第2の磁化の方向は、Z軸方向(積層方向)に対して垂直である。図6(a)および図6(b)に関して説明したように、この状態を用いる構成を、「面内磁化方式」ということにする。面内磁化方式においては、第1磁性層11には面内磁化膜が用いられる。面内磁化方式においては、第2磁性層12には面内磁化膜が用いられる。
例えば、第1磁性層11は、参照層として機能する。第2磁性層12は、フリー層として機能する。フリー層においては、磁化の方向が、外部磁界により容易に変化する。参照層の磁化の方向は、例えば、フリー層の磁化の方向よりも変化し難い。参照層は、例えばピン層である。第1磁性層11及び第2磁性層12の両方がフリー層でもよい。
例えば、強磁性体に応力が印加されると、強磁性体において、逆磁歪効果が生じる。歪検知素子15に印加される応力により、逆磁歪効果に基づいて、磁性層の磁化の方向が変化する。第1磁性層11の磁化の方向と、第2磁性層12の磁化の方向と、の間の角度が変化することで、例えば、MR(magnetoresistive)効果により歪検知素子15の電気抵抗が変化する。
圧力検知素子40においては、圧力検知素子40に加わる応力により、膜体30に変位が生ずる。これにより、歪検知素子15に応力が加わり、歪検知素子15の電気抵抗が変化する。圧力検知素子40は、この効果を用いて、応力を検知する。
図9(a)〜図9(d)は、実施形態に係る圧力検知素子の構成及び特性を例示する模式的斜視図である。
図9(a)は、素子部25の構成を例示している。図9(b)は、応力が印加されていないときの歪検知素子15の状態を例示している。図9(c)は、歪検知素子15が正の磁歪定数を有するときに引っ張り応力が印加されたときの歪検知素子15の状態を例示している。図9(d)は、歪検知素子15が負の磁歪定数を有するときに引っ張り応力が印加されたときの歪検知素子15の状態を例示している。
図9(a)に表したように、第1電極10の上に、第1磁性層11(参照層)、非磁性層13、第2磁性層12(磁化自由層)及び第2電極20が、この順に積層される。この例は、面内磁化方式である。第1磁性層11の磁化の方向(及び、第2磁性層12の磁化の方向)は、例えば、X−Y平面に実質的に平行である。実施形態はこれに限らず、第1磁性層11の磁化の方向と、X−Y平面(第1主面30s)に平行な方向と、の間の角度は、45°よりも小さい。磁性層の磁歪定数が正である場合は、磁性層の磁化容易軸は、引っ張り応力が加わる方向に平行である。磁性層の磁歪定数が負である場合は、磁性層の磁化容易軸は、引っ張り応力が加わる方向に対して垂直である。
図9(b)に表したように、応力が印加されていないとき、第2磁性層12(磁化自由層)の磁化の向きは、第1磁性層11(参照層)の磁化の向きに対して、例えば平行である。この例では、磁化の向きは、Y軸方向に沿う。
図9(c)に表したように、例えば、X軸方向に沿って引っ張り応力Fsが印加されると、磁歪定数が正の逆磁歪効果により、X軸方向に向かって第2磁性層12の磁化が回転する。第1磁性層11の磁化が固定されていると、第2磁性層12の磁化の向きと、第1磁性層11の磁化の向きとの相対角度が変化する。相対角度の変化に応じて、歪検知素子15の電気抵抗が変化する。
図9(d)に表したように、例えば、Y軸方向に沿って引っ張り応力Fsが印加されると、磁歪定数が負の逆磁歪効果により、X軸方向に向かって第2磁性層12の磁化が回転する。この場合も、引っ張り応力Fsの印加により、第2磁性層12の磁化の向きと、第1磁性層11の磁化の向きとの相対角度が変化する。相対角度の変化に応じて、歪検知素子15の電気抵抗が変化する。
図10(a)〜図10(d)は、実施形態に係る圧力検知素子の他の構成及び特性を例示する模式的斜視図である。
図10(a)は、素子部25の構成を例示している。図10(b)は、応力が印加されていないときの歪検知素子15の状態を例示している。図10(c)は、歪検知素子15が正の磁歪定数を有するときに引っ張り応力が印加されたときの歪検知素子15の状態を例示している。図10(d)は、歪検知素子15が負の磁歪定数を有するときに引っ張り応力が印加されたときの歪検知素子15の状態を例示している。
図10(a)に表したように、この例は、垂直磁化方式である。第1磁性層11の磁化の方向(及び、第2磁性層12の磁化の方向)は、例えば、Z軸方向に実質的に平行である。実施形態はこれに限らず、第1磁性層11の磁化の方向と、X−Y平面(第1主面30s)に平行な方向と、の間の角度は、45°よりも大きい。
図10(b)に表したように、応力が印加されていないとき、第2磁性層12(磁化自由層)の磁化の向きは、第1磁性層11(参照層)の磁化の向きに対して、例えば平行である。この例では、磁化の向きは、Y軸方向に沿う。
図10(c)に表したように、例えば、X軸方向に沿って引っ張り応力Fsが印加されると、磁歪定数が正の逆磁歪効果により、X軸方向に向かって第2磁性層12の磁化が回転する。第2磁性層12の磁化の向きと、第1磁性層11の磁化の向きとの相対角度が変化する。相対角度の変化に応じて、歪検知素子15の電気抵抗が変化する。
図10(d)に表したように、例えば、Y軸方向に沿って引っ張り応力Fsが印加されると、磁歪定数が負の逆磁歪効果により、X軸方向に向かって第2磁性層12の磁化が回転する。引っ張り応力Fsの印加により、第2磁性層12の磁化の向きと、第1磁性層11の磁化の向きとの相対角度が変化する。相対角度の変化に応じて、歪検知素子15の電気抵抗が変化する。
以下、面内磁化方式の構成の場合について、歪検知素子15の構成の例について説明する。
例えば、第1磁性層11が参照層である場合、第1磁性層11には、例えば、FeCo合金、CoFeB合金、または、NiFe合金等が用いられる。第1磁性層11の厚さは、例えば、2nm(ナノメートル)以上6nm以下である。
非磁性層13には、金属または絶縁体が用いられる。金属としては、例えば、Cu、AuまたはAg等が用いられる。金属を用いる場合の非磁性層13の厚さは、例えば1nm以上7nm以下である。絶縁体としては、例えば、マグネシウム酸化物(MgO等)、アルミニウム酸化物(Al2O3等)、チタン酸化物(TiO等)、または、亜鉛酸化物(ZnO等)が用いられる。絶縁体を用いる場合の非磁性層13の厚さは、例えば0.6nm以上2.5nm以下である。
第2磁性層12が磁化自由層である場合、第2磁性層12には、例えばFeCo合金、または、NiFe合金等が用いられる。この他、Fe−Co−Si−B合金、λs>100ppmを示すTb−M−Fe合金(Mは、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er)、Tb−M1−Fe−M2合金(M1は、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、M2は、Ti、Cr、Mn、Co、Cu、Nb、Mo、W、Ta)、Fe−M3−M4−B合金(M3は、Ti、Cr、Mn、Co、Cu、Nb、Mo、W、Ta、M4は、Ce、Pr、Nd、Sm、Tb、Dy、Er)、Ni、Al−Fe、または、フェライト(Fe3O4、(FeCo)3O4)など)などが用いられる。第2磁性層12の厚さは、例えば2nm以上である。
第2磁性層12は、2層構造を有することができる。この場合、FeCo合金の層と、以下の層と、の積層膜が用いられる。FeCo合金の層と積層される層には、Fe−Co−Si−B合金、λs>100ppmを示すTb−M−Fe合金(Mは、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er)、Tb−M1−Fe−M2合金(M1は、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、M2は、Ti、Cr、Mn、Co、Cu、Nb、Mo、W、Ta)、Fe−M3−M4−B合金(M3は、Ti、Cr、Mn、Co、Cu、Nb、Mo、W、Ta、M4は、Ce、Pr、Nd、Sm、Tb、Dy、Er)、Ni、Al−Fe、及び、フェライト(Fe3O4、(FeCo)3O4)など)などから選択される材料が用いられる。
第1磁性層11及び第2磁性層12の少なくともいずれかの磁性層の磁化方向は、応力に応じて変化する。少なくともいずれかの磁性層(応力に応じて磁化方向が変化する磁性層)の磁歪定数の絶対値は、例えば、10−5以上に設定する。これにより、逆磁歪効果によって、外部から加えられる歪に応じて磁化の方向が十分に変化する。
例えば、非磁性層13としてMgOのような酸化物を用いると、MgO層上の磁性層は、一般には正の磁歪定数を有する。例えば、非磁性層13の上に第2磁性層12を形成する場合は、第2磁性層12として、CoFeB/CoFe/NiFeの積層構成の積層構成の磁化自由層が用いられる。最上層のNiFe層をNiリッチにすると、NiFeの磁歪定数は負でその絶対値が大きくなる。酸化物層上の正の磁歪が打ち消されることを抑制するために、最上層のNiFe層のNi組成は、Niリッチにしない。具体的には、最上層のNiFe層におけるNiの比率は、80原子パーセント未満とすることが好ましい。第2磁性層12を磁化自由層とする場合には、第2磁性層12の厚さは、例えば1nm以上20nm以下が好ましい。
第2磁性層12が磁化自由層である場合において、第1磁性層11は参照層でも磁化自由層でもよい。第1磁性層11が参照層である場合、外部からの歪が加えられても第1磁性層11の磁化の方向は、実質的に変化しない。第1磁性層11の磁化の方向と第2磁性層12の磁化の方向との間の相対磁化角度によって電気抵抗が変化する。
第1磁性層11及び第2磁性層12の両方が磁化自由層である場合には、例えば、第1磁性層11の磁歪定数は、第2磁性層12の磁歪定数とは異なる。
第1磁性層11が参照層である場合も磁化自由層である場合も、第1磁性層11の厚さは、例えば1nm以上20nm以下が好ましい。
第1磁性層11が参照層である場合、第1磁性層11には、反強磁性層/磁性層/Ru層/磁性層の積層構造を用いたシンセティックAF構造などが用いられる。反強磁性層には、例えばIrMnなどが用いられる。第1磁性層11が参照層である場合に、反強磁性層を用いる代わりに、第1磁性層11に、ハード膜を用いる構成を適用してもよい。ハード膜には、例えば、CoPtまたはFePtなどが用いられる。
以下、垂直磁化方式の構成の場合について、歪検知素子15の構成の例について説明する。
例えば、第1磁性層11が参照層である場合、第1磁性層11には、例えばCoFe(2nm)/CoFeB(1nm)の積層構成を用いることができる。ピニング層によって、磁化の方向は膜面方向に固定される。
非磁性層13には、金属または絶縁体を用いることができる。金属としては、例えば、Cu、AuまたはAg等を用いることができる。金属を用いた場合の非磁性層13の厚さは、例えば1nm以上7nm以下である。絶縁体としては、例えば、マグネシウム酸化物(MgO等)、アルミニウム酸化物(Al2O3等)、チタン酸化物(TiO等)、亜鉛酸化物(ZnO等)を用いることができる。絶縁体を用いた場合の非磁性層13の厚さは、例えば0.6nm以上2.5nm以下である。
第2磁性層12が磁化自由層である場合、第2磁性層12は膜面垂直の磁化を有する。膜面垂直に磁化方向を向けるため、例えば、第2磁性層12には、CoFeB(1nm)/TbFe(3nm)などを用いることができる。MgO上の界面にCoFeBを用いることで、MR比を向上させることができる。しかしながら、CoFeBの単層では垂直磁気異方性を作ることが困難であるため、垂直磁気異方性を示す追加の層を用いる。この機能のため、例えば、TbFe層などが用いられる。Tbが20原子パーセント以上40原子パーセント以下であると、TbFe層は垂直異方性を示す。こうした積層膜構成を用いることで、磁化自由層の全体の磁化の方向は、TbFe層による効果で、膜面垂直方向に向く。MgO界面のCoFeB層の効果によって、大きなMR変化率を維持することができる。TbFe層は、磁歪定数が正の非常に大きな値を有し、その値は、約+10−4である。この大きな磁歪定数により、磁化自由層の全体の磁歪定数を、+10−6以上の大きな値にすることが容易に実現できる。また、+10−5よりも大きな磁歪定数を得ることもできる。
TbFe層の場合は、膜面垂直に磁化方向が向いていることと、大きな磁歪定数を有することの2つの機能を発現させることが可能である。この材料を用いつつ、必要に応じて添加元素を加えても良い。
垂直磁気異方性を得るために、TbFe以外の材料を用いても良い。第2磁性層12には、例えば、CoFeB(1nm)/(Co(1nm)/Ni(1nm))×n(nは2以上)を用いることができる。(Co/Ni)多層膜は、垂直磁気異方性を発現する。Co膜、および、Ni膜の厚さは、0.5nm以上2nm程度である。
磁化自由層の全体の磁歪定数の絶対値は、10−6以上である。磁歪定数を高めるために、大きな磁歪定数を有するFeSiBのような付加層が用いられる。FeSiBは正の大きな磁歪定数(約+10−4)を示すので、磁化自由層全体として正の大きな磁歪定数が得られる。CoFeB(1nm)/(Co(1nm)/Ni(1nm))×n/FeSiB(2nm)のような構成を適応することもできる。
第2磁性層12は、例えば、Mpと、Mlと、の積層膜が適用できる。Mpは、垂直磁気異方性を示す磁性層であり、Mlは大きな磁歪定数を示す磁性層である。第2磁性層12には、Mp/Ml、Ml/Mp、Mp/x/Ml、Ml/x/Mp、x/Ml/Mp、Ml/Mp/x、x/Mp/Ml、または、Mp/Ml/xのような多層膜を用いることができる。付加層xは、Ml及びMpだけで機能が充分でない場合に、必要に応じて用いることができる。たとえば、MR変化率を向上させるために、非磁性層13との界面に設けられるx層として、CoFeB層やCoFe層などを用いることができる。
磁性層Mpには、CoPt−SiO2グラニュラ、FePt、CoPt、CoPt、(Co/Pd)多層膜、(Co/Pt)多層膜、または(Co/Ir)多層膜を用いることができる。TbFe及び(Co/Ni)多層膜は、Mpの機能を有する材料と見なすことができる。多層膜における層の数は、例えば、2以上10である。
磁性層Mlには、Ni、Ni合金(Ni95Fe5のようなNiを多量に含む合金)、SmFe、DyFe、またはCo、Fe、Niを含む磁性酸化材料を用いることができる。TbFe及び(Co/Ni)多層膜は、Mpとしての機能を有すると同時に、Mlとしての機能も有する層としても用いることができる。また、FeSiBをベースとしたアモルファス合金層も用いることが可能である。Ni、Niリッチの合金、及び、SmFeは、大きな負の磁歪定数を示す。この場合、磁化自由層の全体の磁歪の符号は負として機能させる。CoOx、FeOx、または、NiOx(0<x<0.8)などのFe,Co,Niを含む磁性材料の酸化物は、大きな正の磁歪定数を示す。この場合には、磁化自由層の全体の磁歪の符号は、正である。
膜面垂直な磁気異方性を発現させるために上記のようなMp材料を用いることができるが、上述の非磁性層との界面に用いられるx層として考えられるCoFeB層でも、Mpとして機能させることも場合によっては可能である。この場合、CoFeB層の厚さを1nmよりも薄くすることで、膜面垂直な磁気異方性を発現させることも可能となる。
面内磁化方式及び垂直磁化方式のいずれの場合にも、第1電極10及び第2電極20には、例えば非磁性体である、Au、Cu、TaまたはAl等が用いられる。第1電極10及び第2電極20には、軟磁性体の材料が用いられる。これにより、歪検知素子15に影響を及ぼす外部からの磁気ノイズを低減することができる。軟磁性体の材料としては、例えば、パーマロイ(NiFe合金)や珪素鋼(FeSi合金)を用いられる。
歪検知素子15の周囲は、絶縁層14で囲まれている。絶縁層14には、アルミニウム酸化物(例えばAl2O3)またはシリコン酸化物(例えばSiO2)などが用いられる。絶縁層14により、第1電極10と第2電極20とは、電気的に絶縁されている。
例えば、非磁性層13が金属の場合は、GMR効果が発現する。非磁性層13が絶縁体の場合は、TMR効果が発現する。歪検知素子15においては、例えば、積層方向に沿って電流を流すCPP(Current Perpendicular to Plane)−GMR効果が用いられる。
図11(a)〜図11(c)は、実施形態の実装基板の構成を例示する模式図である。
図11(a)は、第1主面50sの模式的平面図である。図11(b)は、第2主面50bの模式的平面図である。図11(c)は、図11(a)のD1−D2線断面図である。
図11(a)および図11(b)に表したように、実装基板50は、外部電源電極パッド51と、出力端子電極パッド53と、接地電極パッド55と、を含む。図11(c)に表したように、表面実装技術が適用されることで、出力端子電極パッド53は、第1主面50sからスルーホールを通して第2主面50bまで設けられる。出力端子電極パッド53において、第1主面50sは、第2主面50bと電気的に接続される。これは、外部電源電極パッド51および接地電極パッド55においてもそれぞれ同様である。
駆動回路61は、駆動回路入力電極パッド61aと、駆動回路出力電極パッド61bと、を含む。信号処理回路63は、信号処理回路入力電極パッド63aと、信号処理回路出力電極パッド63bと、を含む。集積回路60は、集積回路出力電極パッド65を含む。圧力検知素子40は、圧力検知素子入力電極パッド40aと、圧力検知素子出力電極パッド40bと、を含む。
外部電源141(図5参照)は、外部電源電極パッド51と電気的に接続される。外部電源電極パッド51は、第1ワイヤ57aにより駆動回路入力電極パッド61aと電気的に接続される。駆動回路出力電極パッド61bは、第2ワイヤ57bにより圧力検知素子入力電極パッド40aと電気的に接続される。圧力検知素子出力電極パッド40bは、第3ワイヤ57cにより信号処理回路入力電極パッド63aと電気的に接続される。信号処理回路出力電極パッド63bは、第4ワイヤ57dにより出力端子電極パッド53と電気的に接続される。出力端子電極パッド53は、出力端子143(図5参照)と電気的に接続される。集積回路出力電極パッド65は、第5ワイヤ57eにより接地電極パッド55と電気的に接続される。集積回路60は、集積回路出力電極パッド65、第5ワイヤ57eおよび接地電極パッド55を介して接地される。
図12(a)、図12(b)および図13は、実施形態の実装基板の他の構成を例示する模式図である。
図12(a)は、第1主面50sの模式的平面図である。図12(b)は、図12(a)のF1−F2線断面図である。図13は、圧力検知素子40の模式的拡大図である。説明の便宜上、図12(b)においては、カバー部70を省略している。
図12(a)、図12(b)および図13に表した実装基板50の他の構成では、駆動回路61は、圧力検知素子40の上に設けられている。信号処理回路63は、圧力検知素子40の上に設けられている。言い換えれば、駆動回路61および信号処理回路63は、圧力検知素子40の上にそれぞれ内蔵されている。
圧力検知素子40の上には、第3電極68が設けられている。第3電極68は、第5部分68aと、第6部分68bと、を有する。外部電源電極パッド51は、第6ワイヤ57fにより第3電極68の第5部分68aと電気的に接続される。第3電極68の第6部分68bは、第7ワイヤ57gにより出力端子電極パッド53と電気的に接続される。
メンブレン34(例えば図8(a)〜図8(c)参照)がシリコンにより形成された場合には、圧力検知素子40の歪検知素子15以外の領域は、シリコンである。そのため、半導体形成方法を用いることにより、駆動回路61および信号処理回路63をシリコントランジスタにより形成することができる。
なお、本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれはよい。
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、マイクロフォンパッケージに含まれるカバー部および磁性体など、並びに、圧力検知素子に含まれる電極、磁性層、非磁性層、歪検知素子、素子部、メンブレンおよび実装基板などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
実施形態によれば、素子パッケージは、第1領域及び第2領域を含む基板と、孔を有する蓋部と、膜体と、素子部と、側部と、を含む。前記膜体は、前記第1領域と前記蓋部との間に設けられ前記基板及び前記蓋部と離れる。前記素子部は、前記第1領域と前記蓋部との間において前記膜体に設けられる。前記素子部は、第1磁性層と、第2磁性層、及び、前記第1、第2磁性層の間に設けられた非磁性層を含む。前記第1磁性層から前記第2磁性層に向かう方向は前記第1領域から前記蓋部に向かう第1方向に沿う。前記側部は、磁性体を含む。前記第1方向と交差する方向において前記素子部は前記側部の複数の部分の間に設けられる。前記第2領域から前記孔への方向は、前記第1方向に沿う。