JP2018105461A - 油圧式変速装置用油路部材 - Google Patents

油圧式変速装置用油路部材 Download PDF

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真樹 渡辺
Maki Watanabe
真樹 渡辺
浩二 岩木
Koji Iwaki
浩二 岩木
紀史 安田
Akifumi Yasuda
紀史 安田
大裕 村島
Daisuke Murashima
大裕 村島
貴大 太田
Takahiro Ota
貴大 太田
大樹 前原
Daiki Maehara
大樹 前原
杉本 洋
Hiroshi Sugimoto
洋 杉本
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Abstract

【課題】HSTの中立範囲を広げて感度を鈍感にするにあたって、油溜まりにHST閉回路内の作動油を排出するものではない構造にして、HSTの作動効率を高める。
【解決手段】油圧ポンプと油圧モータとの間に介設される一対のメイン油路・を内部に構成した、HST用センタケースにおいて、該ポンプ取付面及び該モータ取付面に取り付けた油圧ポンプ及び油圧モータを経ずに一方のメイン油路と他方のメイン油路とを短絡するバイパス油路を構成し、該バイパス油路の途中部にオリフィスを構成する。
【選択図】図3

Description

本発明は、油圧式変速装置(“Hydro Static Transmission”以下、「HST」)に用いられる油路部材(所謂「センタケース」)に関する。
従来、例えば特許文献1に示すような、HSTを内装した車軸駆動装置が公知となっている。車軸駆動装置の筐体である車軸駆動ケースは、車両の駆動輪に連係される出力軸を水平方向に支持しており、この車軸駆動ケース内に、HST及び該HSTの出力を該出力軸に伝達するためのギア機構が収容されている。
HSTにおいては、油圧ポンプと油圧モータとの間に一対のメイン油路が介設されている。これらのメイン油路は、特許文献1にも示すように、通常、油圧ポンプ及び油圧モータを取り付けたセンタケースと称される油路部材内に油孔を穿設することで構成されている。
センタケースの表面にはポンプ取付面及びモータ取付面が形成されていて、それぞれに、一対のキドニーポートが開口されている。一方のメイン油路はポンプ取付面の一方のキドニーポートとモータ取付面の一方のキドニーポートとを接続し、他方のメイン油路はポンプ取付面の他方のキドニーポートとモータ取付面の他方のキドニーポートとを接続するように、それぞれ、センタケース内に形成されている。
なお、前記特許文献1に開示のセンタケースは、ポンプ取付面の一対のキドニーポートのそれぞれの終端部にノッチを形成し、両ノッチを向かい合わせ状に配した構造となっている。これらのノッチが設けられている両キドニーポートの終端部間におけるポンプ取付面の部分は、ポンプ取付面に取り付けられた油圧ポンプのシリンダブロック内に嵌装されたピストンが上死点に達する地点となっており、ノッチは、キドニーポートとシリンダブロック内のプランジャポートとの連通路の断面積を、このピストンが上死点にかかる付近において徐々に変化させるように機能し、これにより、上死点で反転するときのピストンの動きを緩和し、騒音低減等の効果を奏している。
油圧ポンプの油の吐出側となるメイン油路は高圧側の油路となり、油圧ポンプの油の吸入側となるメイン油路は低圧側の油路となる。油圧ポンプを中立状態に設定しているときは、両メイン油路間の油圧差がない状態とするものであるが、油圧ポンプの可動斜板とそれを操作する操作装置との間に誤差がある等の原因により、操作上は中立状態にしているときに両メイン油路間に少しでも差圧があると、油が両メイン油路間で流通して、車両が微動する等の不具合を生じる。そこで、センタケース内に、中立状態付近で高圧側となる油路より圧油を抜いて両メイン油路における油圧の中立状態を確保するための、所謂、中立拡張のための手段を設けることが知られている。
ここで、センタケース内には、車軸駆動ケース内の油溜まりから各メイン油路へと油を補給するための一対のチャージ弁ユニットが設けられており、各チャージ弁ユニットには、油溜まりからメイン油路への方向の油流のみを許容するチェック弁が構成されている。そして、従来、例えば特許文献2に示すように、前記中立拡張手段としてのオリフィスが、このチェック弁をバイパスするように、一対のチャージ弁ユニットのうちの少なくとも一つに組み入れられるように構成されており、これによりセンタケースのサイズの拡張を回避している。
米国特許第9453519号明細書 実公平7−43532号公報
しかし、前述の従来技術では、チャージ弁に設けたオリフィスが、前述の如く、常時、メイン油路とチャージポートとを連通するものであるため、HST閉回路の油を油溜まりへと漏らしていることになる。また、低圧側油路のチャージ弁ユニットにおいて、チェック弁が開弁して油溜まりからそのメイン油路へと油を導入しているときも、オリフィスは、メイン油路側へと導入された油を油溜まり側へと漏らしてしまうので、結局、チャージ弁としての油溜まりからメイン油路への油の吸い上げ能力を落としていることとなり、HSTの容積効率を低下させている。
したがって、HST用の油路部材(センタケース)について、そのコンパクト性を阻害することなく、かつ、HSTの容積効率をできるだけ低下させることなく、中立拡張用のオリフィスを設けることができる構成とすることが望まれる。
本願は、前記課題を解決するための手段として、以下の如き実施例を提供する。
本願の第一実施例に係る油圧式変速装置用油路部材は、油圧ポンプ及び油圧モータを取り付けるためのポンプ取付面及びモータ取付面をその表面に形成し、油圧ポンプと油圧モータとの間で作動油を循環させるための一対のメイン油路を内部に構成したものであって、該一方のメイン油路と他方のメイン油路とを短絡するバイパス油路を構成し、該バイパス油路の途中部に、オリフィスを設けている。
また、前記第一実施例において、前記バイパス油路として、前記油路部材の内部にバイパス油孔を穿設しており、該バイパス油孔の途中部に、小径孔を有するオリフィス部材を嵌装し、該小径孔を、該バイパス油路の途中部の前記オリフィスとする。
また、前記第一実施例において、前記バイパス油路には、前記オリフィス部材と消泡部材とが並置されている。
また、前記第一実施例において、前記バイパス油孔は直線状に形成され、前記油路部材の一側面に開口端を有し、一方のメイン油路としての第一油孔と交差し、該開口端から他方のメイン油路としての第二油孔まで延設されており、該バイパス油孔における該開口端と該第一油孔との間の部分には、取り外し可能なプラグが嵌装されて閉塞されており、該バイパス油孔における該第一油孔と該第二油孔との間の部分の途中部に、前記オリフィス部材が嵌装されている。
本願の第二実施例に係る油圧式変速装置用油路部材は、油圧ポンプ及び油圧モータのシリンダブロックを取り付けるためのポンプ取付面及びモータ取付面をその表面に形成し、各取付面にて開口される一対のポンプキドニーポートを通じて各シリンダブロック内に構成されたプランジャ室内の作動油を吸排して循環させるための一対のメイン油路を内部に構成しており、該両取付面のうち少なくともいずれか一方にて開口される一対のキドニーポートの、互いに向かい合わせに配されるそれぞれの一端部より、互いに向かい合わせ状にノッチを延設し、両ノッチの先端同士の間の距離を、該シリンダブロックの周方向における該プランジャ室の吸排口の寸法以下に設定してある。
また、前記第二実施例において、前記ノッチを、前記ポンプ取付面及び前記モータ取付面の両方にて開口する各一対のキドニーポートに設けている。
前記第一実施例においては、メイン油路同士を短絡するバイパス油路を介して、高圧側油路より油をリリースすることができ、リリースした油は閉回路外に排出されるのではなく、高圧側油路と同じ閉回路内の低圧側油路へとリリースされるので、このリリースによって閉回路内の油量を減らすことはない。
一方で、このバイパス油路により、中立拡張効果が得られるので、チャージ弁ユニットにおいて、HSTの容積効率の低下要因となる、チェック弁をバイパスするオリフィスを設ける必要はなくなる。
また、油路部材にバイパス油孔を穿設し、バイパス油孔の途中部に小径孔を有するオリフィス部材を嵌装することで、高圧側油路から低圧側油路へと過剰圧の油をリリースできる構成のオリフィス付きバイパス油路を簡単に油路部材内に構成することができる。特に、オリフィスを、油路部材とは別のオリフィス部材に設けた小径孔によるものとしているので、オリフィスを構成するのに油路部材そのものに小径孔を加工する必要がなく、加工工程の簡素化、工程数の低減等によるコスト低減効果を得られる。
また、前述のオリフィスの口径の調整については、口径の異なる小径孔を有する複数のオリフィス部材の中から最適の構成の小径孔を有するオリフィス部材を選択することによって可能となり、オリフィスの口径の調整も簡単となる。
また、バイパス部材と消泡部材とを並置しておくことで、低圧側への噴流が泡立つことが抑制され、HST閉回路内の作動油に不純物が混じらず、高い作動効率を維持とHSTの耐久性向上を図ることができる。
また、バイパス油孔を油路部材の側面の開口端から、第一油孔と交差して、第二油孔まで延設する構成とすることで、該側面より油孔を直線状に掘り進めることができ、その第一・第二油孔間の部分に、オリフィス部材を嵌装する部分を容易に構成することができる。そして、開口端をプラグで塞ぐことで、バイパス油孔を介して油路部材からその外部に油が漏れるのを防ぐことができる。
一方、プラグを取り外すことで、この開口端を介して、バイパス油孔における第一・第二油孔間の部分に嵌装されるオリフィス部材に簡単にアクセスすることができ、口径の異なる小径孔を有する複数のオリフィス部材の間での交換作業や、フィルタのメンテナンス作業等のための、油路部材からのオリフィス部材の抜き取り作業を簡単に行うことができる。
また、前記第二実施例においては、一方のキドニーポートのノッチ先端と他方のキドニーポートのノッチ先端との間の距離が、プランジャ室の吸排口の周方向寸法以下なので、この取付面に取り付けられているシリンダブロックが回転するにつれ、各プランジャ室の給排口には、一方のキドニーポートから他方のキドニーポートへと移行する際に、両方のノッチに連通しており、両メイン油路同士の連通を途切れさせることがない。
したがって、高圧側油路より油をリリースすることができ、リリースした油は閉回路外に排出されるのではなく、プランジャ室を介して、高圧側油路と同じ閉回路内の低圧側油路へとリリースされるので、このリリースによって閉回路内の油量を減らすことはない。
一方で、このように油路部材の表面におけるキドニーポートにノッチを設けることにより、中立拡張効果が得られるので、チャージ弁ユニットにおいて、HSTの容積効率の低下要因となる、チェック弁をバイパスするオリフィスを設ける必要はなくなる。
さらにいえば、前述のように、従来、キドニーポートにノッチを形成したセンタケースは存在しており、これらのノッチの先端間の距離を変更するように従来のノッチに加工を加えて第二実施例に係るノッチとしたり、あるいは、ポンプ取付面のキドニーポート及びモータ取付面のキドニーポートのうち、それまでノッチを形成していなかったキドニーポートに新たに第二実施例に係るノッチを形成するという、簡単で低コストの加工で、それまでのノッチでは得られなかった中立拡張効果を得ることができる。
また、モータ取付面のキドニーポートについては、ノッチが形成されていない状態で、両キドニーポートの端部間の距離が短い構成となっている。したがって、これら端部に新たに第二実施例に係るノッチを形成するとしても、ノッチ自体が小さくてすむので、より一層、簡単かつ低コストでのノッチの加工となる。
以上の、また、それ以外の本願に係る実施例の特徴や効果については、図面を参照しての以下の詳細な説明により明白になる。
車軸駆動装置の全体側面断面図である。 前記車軸駆動装置におけるHSTの配置部分の側面断面図である。 図2のX−X矢視による前記HSTに用いられる第一実施例に係るセンタケース(油路部材)の平面断面図である。 前記第一実施例に係るセンタケース内に収容されるオリフィス部材の平面断面図である。 前記第一実施例に係るセンタケースを用いた場合の車軸駆動装置の、HST油圧回路図を含むスケルトン図である。 第二実施例に係るセンタケースの平面図である。 前記第二実施例に係るセンタケースにおけるモータ取付面をモータ軸孔の軸芯方向に見た図である。 前記第二実施例に係るセンタケースのポンプ取付面における一対のキドニーポートのノッチ間の距離と、シリンダブロックの周方向におけるプランジャポートの寸法との関係を示す図である。 HST容積効率の低下状態を示す、出力軸トルクとHST容積効率との相関図である。 従来の車軸駆動装置、HST油圧回路図を含むスケルトン図である。
先ず、図1乃至図5に示す車軸駆動装置1の概略構成について説明する。車軸駆動装置1は、車軸駆動ケース2を有し、該車軸駆動ケース2の一側端部より出力軸3を突出させている。車軸駆動ケース2内には、HST10と、該HST10の出力を該出力軸3に伝達する減速ギア列5が設けられている。
車両に適用する場合、二つの車軸駆動装置1を左右対称状に配置し、それぞれの車軸駆動ケース2より突出する出力軸3を、該車両の左右の各駆動輪3a(図5参照)に連動連係する。したがって、これら左右の駆動輪3aを互いに独立的に駆動することができ、例えば、一方を前進方向、他方を後進方向に駆動して、車両を芯地旋回させることも可能である。
以下、車軸駆動ケース2の前部内にHST10が、車軸駆動ケース2の後部内に減速ギア列5及び出力軸3が配置されており、出力軸3の延設方向が左右方向となるように車軸駆動装置1が配置されているものとの前提で、車軸駆動装置1の構造について説明する。
まず、図1及び図5により、車軸駆動装置1における減速ギア列5の構成について説明する。図1に示すように、車軸駆動ケース2の後部内にて、出力軸3の前上方には、出力軸3に対し平行な水平のカウンタギア軸4が軸支されており、このカウンタギア軸4に、大径のベベルカウンタギア7及び小径の平ギアであるカウンタピニオン8が、互いに一体で回転するように支持されている。ベベルカウンタギア7には、後述の、HST10の出力軸である前下後上傾斜状のモータ軸31の後上端に設けたベベルピニオン6が噛合している。また、大径の平ギアであるファイナルギア9が出力軸3に固設されており、カウンタピニオン8と噛合している。
こうして、ベベルピニオン6、ベベルカウンタギア7、カウンタピニオン8、ファイナルギア9により、HST10の出力としてのモータ軸31の回転動力を出力軸3に伝達する減速ギア列5を構成している。
次に、図5により、車軸駆動装置1におけるHST10の油圧回路システムについて説明する。HST10は、可変容積形の油圧ポンプ20及び固定容積形の油圧モータ30を有する。油圧ポンプ20と油圧モータ30との間には一対のメイン油路L1・L2が介設されており、これら油圧ポンプ20、油圧モータ30、及び一対のメイン油路L1・L2により、HST10としての閉回路を構成している。
油圧ポンプ20はHST10の入力軸としてのポンプ軸21を備え、油圧モータ30はHST10の出力軸としてのモータ軸31を備えている。ポンプ軸21は、車両に備えられるエンジン等の原動機より動力を得て回転する。ポンプ軸21の回転により、油圧ポンプ20は、メイン油路L1・L2のうちの一方に油を吐出し、他方より油を吸入する。
メイン油路L1・L2のうちの一方より他方へと油が油圧モータ30を介して流動することにより、油圧モータ30が駆動され、モータ軸31を回転する。このモータ軸31の回転動力が、HST10の出力として、減速ギア列5を介して出力軸3に伝達される。
可変容積形の油圧ポンプ20は、油の吐出方向を選択可能及び吐出量を調整可能となっている。油圧モータ30のモータ軸31の回転方向は、油圧ポンプ20の油の吐出方向の選択に基づき決定され、これにより、出力軸3が前進回転するか後進回転するかが決定される。また、油圧モータ30のモータ軸31の回転速度は、油圧ポンプ20の油の吐出量により決定され、これにより、出力軸3の前進回転速度または後進回転速度が決定される。
油圧ポンプ20における油の吐出方向の選択とは、油圧ポンプ20がメイン油路L1・L2のうちどちらに油を吐出し、どちらから油を吸入するかの選択を意味する。メイン油路L1・L2のうち、油圧ポンプ20からの油の吐出側となる油路は高圧側油路となり、油圧ポンプ20への油の吸入側となる油路は低圧側油路となる。
油圧ポンプ20は、油の吐出方向の選択及び吐出量の調整のための手段として、後述の可動斜板24を備えている。可動斜板24は、車軸駆動ケース2に支持される回動支点軸を中心に回動することで、その傾斜角度を変更する。
可動斜板24が傾斜角度0の中立位置にあるときは、ポンプ軸21の回転にかかわらず、油の吐出量は0であり、メイン油路L1・L2のいずれに対しても油を吐出せず、したがって、油圧モータ30のモータ軸31は回転しない。
可動斜板24は中立位置から両方向に傾動可能となっており、中立位置から一方に傾動した場合と他方に傾動した場合とで油の吐出方向を異ならせるものである。そして、中立位置からの傾倒角度の増加に比例して吐出量を増加させるものである。
ここで、車軸駆動ケース2内には油溜まりTが設けられ、減速ギア列5はこの油溜まりTに浸漬され、減速ギア列5の上部もギアの回転により撥ね上げられる油溜まりTからの油がかかることで潤滑される。
なお、本実施例では、図外の車両に設けられる外部リザーバタンク50と車軸駆動ケース2の内部とがパイプ51にて接続されており、外部リザーバタンク50に溜めておいた油を車軸駆動ケース2内の油溜まりTへと補充可能となっており、また、車軸駆動ケース2内においてHST10の作動で高温化して膨張した油の体積増加分を外部リザーバタンク50にて吸収可能となっている。
一方、HST10は、油圧ポンプ20及び油圧モータ30それぞれの後記シリンダブロック22・32が後記センタケース11のポンプ取付面12及びモータ取付面13に回転摺動自在に取り付けられているという構造上、その駆動中に、各シリンダブロック22・32と各取付面12・13との隙間を介して閉回路より油が漏れる傾向にある。
この漏れた油を補うため、HST10においては、一対のチャージ弁ユニットCV1・CV2が設けられている。チャージ弁ユニットCV1はメイン油路L1への油補給用、チャージ弁ユニットCV2はメイン油路L2への油補給用のものである。なお、油溜まりTからチャージ弁ユニットCV1、CV2へと供給される前に、油はフィルタ44にて濾過される。
チャージ弁ユニットCV1・CV2は、簡単で安価な通例構造の自吸式作動油補給機構であって、チャージ弁ユニットCV1にはチェック弁41が、チャージ弁ユニットCV2にはチェック弁43が、それぞれ備えられている。各チェック弁41・43は、油溜まりT(フィルタ44)から各メイン油路L1・L2への油の流れを許容し、その逆の流れを阻止するように構成されている。
油圧ポンプ20が油を吐出すると、メイン油路L1・L2のうち、油圧ポンプ20の吐出側の油路が高圧に、油圧ポンプ20の吸入側の油路が負圧になる。メイン油路L1が負圧になると、チャージ弁ユニットCV1のチェック弁41が開いて、油溜まりTよりメイン油路L1へと油を流動させる。
一方、メイン油路L2が負圧になると、チャージ弁ユニットCV2のチェック弁43が開いて、油溜まりTよりメイン油路L2へと油を流動させる。このように、メイン油路L1・L2のうち負圧となった油路に、該当のチャージ弁ユニットCV1またはCV2を介して油が供給される構造となっている。
また、HST10においては、油圧ポンプ20及び油圧モータ30をバイパスするようにメイン油路L1・L2間を短絡するバイパス油路L3が設けられており、このバイパス油路L3の途中はオリフィス(小径孔)L3aとなっており、このオリフィスL3aを通過する量の油が、油圧ポンプ20及び油圧モータ30を経ずにメイン油路L1・L2間を流通可能となっている。オリフィスL3aを通過する油量は、オリフィスL3aの口径や断面積の寸法設定により決まる。
このオリフィスL3a付きのバイパス油路L3は、HST10の中立域を拡張する機能(以下、「中立拡張機能」)を有する。ここで、HST10の中立域とは、油圧ポンプ20の可動斜板24を中立位置に配することにより、油圧ポンプ20がメイン油路L1・L2のいずれにも油を吐出せず、両メイン油路L1・L2の油圧が同等になる状態をいう。このときは、両チャージ弁ユニットCV1・CV2におけるチェック弁41・43も閉じている。
しかし、可動斜板24とそれを操作するレバー等の操作具との連係構造に誤差がある等の原因により、操作上はHST10が中立状態であるはずにもかかわらず、可動斜板24が中立位置からわずかでもずれていると、油圧ポンプ20よりメイン油路L1・L2の一方に僅量の油が吐出され、このわずかの油がHST10の閉回路を循環して車両が微動するという不具合が生じ得る。
バイパス油路L3は、可動斜板24の中立位置からのわずかのずれで生じるような油圧ポンプ20から一方のメイン油路(高圧側油路)に吐出された僅量の油を、そのオリフィスL3aに通過させ、もう一方のメイン油路(低圧側油路)へと導くものであり、これにより、該吐出油による油圧モータ30への供給油量を低減し、車両の微動等の不具合を解消する。すなわち、中立拡張機能を有しているのである。
また、HST10には、強制的に閉回路内の油を抜くことができるようにバイパス切替弁45が設けられている。バイパス切替弁45は手動操作にて閉弁位置P1と開弁位置P2とに切換可能となっている。通常は、閉弁位置P1に配されて、バイパス切替弁45は閉じている。一方、車軸駆動装置1を搭載した車両を牽引させるような場合には、車輪にHST10の閉回路内の油の抵抗がかからないように、HST10の閉回路内の油を抜く必要がある。このような場合に、バイパス切替弁45を開弁位置P2へと切り換え、バイパス切替弁45を開き、バイパス切替弁45を介して、メイン油路L1・L2の両方より油溜まりTへと油を抜くことができるように構成されている。
なお、両チャージ弁ユニットCV1・CV2のチェック弁41・43同士を機械的に連係し、必要時に両チェック弁41・43を同期して強制的に開弁させることが可能な構造としてもよい。
図5にて示されるHST10の油圧回路システムについては以上であり、次に、この油圧回路システムを実現するためのHST10の具体的構造について、図1乃至図4をもとに説明する。
HST10は、センタケース(油路部材)11と、センタケース11に回転摺動自在に取り付けられた油圧ポンプ20及び油圧モータ30よりなる。
油圧ポンプ20は、回転軸芯としてのポンプ軸21、ポンプ軸21に固設されるシリンダブロック22、ポンプ軸21の周りにてシリンダブロック22に往復摺動自在に嵌入された複数のプランジャ23を組み合わせてなる、アキシャルピストン構造のものであって、シリンダブロック22より突出する全プランジャ23の頭部に押接される可動斜板24を備えている。
各プランジャ23は、シリンダブロック22内に形成された各プランジャ室22a内に摺動自在に嵌入されており、各プランジャ23を可動斜板24へと付勢すべく、各プランジャ室22aの底面と各プランジャ23との間に、プランジャバネ23aが介装されている。
一方、センタケース11の表面(上面)には、水平平坦状のポンプ取付面12が形成されており、ポンプ取付面12に一対のキドニーポート12a・12b(図6参照)が形成されている。また、両キドニーポート12a・12b間にて、ポンプ取付面12にポンプ軸孔12cが開口されている。ポンプ軸孔12cは、センタケース11内にて、ポンプ取付面12に対し直角の方向に延設されている。
ポンプ軸孔12cにはポンプ軸21が嵌挿される一方、ポンプ取付面12には、シリンダブロック22の摺接面(底面)が回転摺動自在に当接されている。このシリンダブロック22の摺接面にて、各プランジャ室22aの給排口としてのプランジャポート22bが開口している。各プランジャポート22bは、シリンダブロック22内にて各プランジャ室22aの前記底面に接続されている。
シリンダブロック22の摺接面での各プランジャポート22bの開口端が、ポンプ取付面12上でのシリンダブロック22の摺動回転につれて、キドニーポート12a・12bに順次連通する。
ここで、可動斜板24が、メイン油路L1を負圧側、メイン油路L2を高圧側とする傾倒域に配置されている場合に、シリンダブロック22の回転につれ、あるプランジャ23が可動斜板24への突出量を増大させる負圧側領域に入り、そのプランジャ23が配置されているプランジャ室22aの吸排口であるプランジャポート22bが、メイン油路L1に接続されているキドニーポート12aとオーバーラップすると、該プランジャポート22bを介して、キドニーポート12aより該プランジャ室22aへと作動油が流入する。このときのプランジャポート22bは油圧ポンプ20の吸入ポートに該当する。
このプランジャポート22bは、やがて、オーバーラップしていたキドニーポート12aより離れ、ポンプ取付面12における、向かい合わせ状のキドニーポート12aの第一端部とキドニーポート12bの第一端部との間の部分にて塞がれる。この状態において、そのプランジャ23は上死点に達する。
さらにシリンダブロック22の回転につれ、上記のプランジャ23は、可動斜板24への突出量を減少させる高圧側領域に入り、プランジャポート22bが、メイン油路L2に接続されているキドニーポート12bとオーバーラップすると、該プランジャポート22bを介して、該プランジャ室22aからキドニーポート12bへと作動油が吐出される。このときのプランジャポート22bは油圧ポンプ20の吐出ポートに該当する。
その後、このプランジャポート22bがキドニーポート12bより離れ、ポンプ取付面12における、向かい合わせ状のキドニーポート12aの第二端部とキドニーポート12bの第二端部との間の部分にて塞がれる。この状態において、そのプランジャ23は下死点に達する。その後、シリンダブロック22の回転とともに以上の行程が繰り返される。
なお、ポンプ軸21の回転方向は一定であり、可動斜板24が、メイン油路L1を高圧側、メイン油路L2を負圧側とする傾倒域に配置されている場合には、プランジャ23が高圧側領域に入ったときにそのプランジャポート22bを介してキドニーポート12bからプランジャ室22aに油が流入し、プランジャ23が負圧側領域に入ったときにそのプランジャポート22bを介してプランジャ室22aからキドニーポート12bへと油が吐出される。この場合、ポンプ取付面12における、キドニーポート12a・12bの前記第一端部の間の部分はプランジャ23の下死点領域となり、キドニーポート12a・12bの前記第二端部の間の部分はプランジャ23の上死点領域となる。
油圧モータ30も、同様にモータ軸31、シリンダブロック32、複数のプランジャ33を組み合わせてなるアキシャルピストン構造のものであって、シリンダブロック32より突出する全プランジャ33に押接する固定斜板34を備えている。
シリンダブロック32内には、図2に示す如き油圧ポンプ20のシリンダブロック22内のプランジャ室22a及びプランジャポート22bと同様に、プランジャ33と同数のプランジャ室32a(図7参照)と、各プランジャ室32aの吸排口としてのプランジャポート32b(図7参照)とが形成されており、各プランジャ室32aにプランジャ33がバネを介して嵌装されている。
一方、センタケース11の表面(上下傾斜面)にはモータ取付面13が形成されている。モータ取付面13には一対のキドニーポート13a・13bが開口しており、キドニーポート13aとキドニーポート13bとの間にて、モータ取付面13にモータ軸孔13cが開口している。モータ軸孔13cは、センタケース11内にて、モータ取付面13に対し直角の方向に延設されている。
モータ軸孔13cにはモータ軸31が嵌挿される一方、モータ取付面13には、シリンダブロック32の摺接面が回転摺動自在に当接されている。シリンダブロック32の前記プランジャポートは、モータ取付面13上でのシリンダブロック32の摺動回転につれて、キドニーポート13a・13bに順次連通する。
センタケース11の四隅部には鉛直のボルト孔を有するボルトボス11cが形成されており、各ボルトボス11cのボルト孔に挿通されたボルトを介して、センタケース11が車軸駆動ケース2に固定されるものとなっている。
HST10のセンタケース11は、その前端面11aを車軸駆動ケース2の前端壁面2aに近接させている。ポンプ取付面12は、センタケース11の前部表面において水平上面として配されており、モータ取付面13は、センタケース11の後端部表面において前上後下状の傾斜面として配されている。
前述の如く摺接面としての底端をポンプ取付面12に当接した油圧ポンプ20のシリンダブロック22の上方に、可動斜板24が配置されて、車軸駆動ケース2に支持された出力軸3に対し平行な枢軸を中心に回動自在に支持されている。ポンプ軸21は、鉛直に延設され、その下部がシリンダブロック22より下方に突出し、前述の如く、センタケース11のポンプ軸孔12cに相対回転自在に嵌挿されている。
ポンプ軸21の上部はシリンダブロック22より上方に突出し、可動斜板24を貫通して、車軸駆動ケース2の前上部にて軸受を介して軸支され、さらに、車軸駆動ケース2の上方に突出している。この上端部に、冷却ファン25及びプーリ26が固設されている。プーリ26には図外のベルトが巻回され、該ベルトを介して、車両のエンジン(図示せず)からの出力がポンプ軸21へと入力される。
前述の如く摺接面をモータ取付面13に当接した油圧モータ30のシリンダブロック32の後上方にて、固定斜板34が、車軸駆動ケース2に対し固定されたサポータ35に支持されている。モータ軸31は、前下後上の傾斜方向に延設され、その前下部がシリンダブロック32より前下方に突出し、前述の如く、センタケース11のモータ軸孔13cに相対回転自在に嵌挿されている。
モータ軸31の後上部はシリンダブロック32より後上方に突出し、固定斜板34を貫通して、サポータ35にて軸受を介して軸支され、さらに、サポータ35の後上方に突出している。この突出端部に、減速ギア列5の第一ギアとなるベベルピニオン6が固設(または形成)されている。
サポータ35の後方近傍に駐車ブレーキ部材36が配設されている。駐車ブレーキ部材36の配設スペースは、側面視で、前下後上傾斜状のモータ軸31と、カウンタギア軸4の軸芯と出力軸3の軸芯とを結ぶ仮想の前上後下傾斜状の直線とに挟まれる略三角形状のデッドスペース内となっているので、この駐車ブレーキ部材36を配置するために車軸駆動ケース2を拡張する必要はなく、車軸駆動装置1のコンパクト性を確保している。
駐車ブレーキ部材36は、出力軸3に対し平行な左右方向の枢支軸36aを介して前後回動可能に車軸駆動ケース2に枢支されている。駐車ブレーキ部材36の先端は、ベベルピニオン6のギア歯と噛合可能なラチェット36bとなっている。ブレーキ解除時はラチェット36bをベベルピニオン6のギア歯から後方に離しており、ブレーキ操作時に、駐車ブレーキ部材36を前方回動してそのラチェット36bをベベルピニオン6と噛合させ、これにより、ベベルピニオン6を含む減速ギア列5及び出力軸3を制動し、出力軸3に連係される駆動輪3a(図5参照)を制動する。
ポンプ取付面12と上下対向状に配されるセンタケース11前部の水平底端面を、フィルタ取付面18としており、このフィルタ取付面18と車軸駆動ケース2の前部底端面とに挟持されるように、円筒形のフィルタ44が配設されている。
車軸駆動ケース2内にはHST10の作動油及びギア等の各部潤滑油として用いられる油が充填され、該油が車軸駆動ケース2の下部に溜まって油溜まり(図1では図示せず。図5の油溜まりTを参照。)となっており、この油溜まりにHST10及び減速ギア列5を浸漬されている。フィルタ44もその全体がこの油溜まりに浸漬されている。
上側のポンプ取付面12と下側のフィルタ取付面18とに挟まれるように前後延伸状に形成されたセンタケース11の板状部分内にて、前後方向水平に延設された、左右一対の平行な直線状のメイン油孔14・15が穿設されている。メイン油孔14は、その前部にてキドニーポート12aと連通し、その後部にてキドニーポート13aと連通している。メイン油孔15は、その前部にてキドニーポート12bと連通し、その後部にてキドニーポート13bと連通している。
これら一対のメイン油孔14・15が、ポンプ取付面12に取り付けた油圧ポンプ20とモータ取付面13に取り付けた油圧モータ30との間に介設される前述の一対のメイン油路L1・L2となるものであり、油圧ポンプ20、油圧モータ30、メイン油孔14・15により、HST10としての閉回路が構成される。
各メイン油孔14・15の前部は、キドニーポート12a・12bの前端よりもさらに前方に延出されて、センタケース11の前端面11aにて開口している。それぞれのメイン油孔14・15の前端開口を塞ぐように、メイン油孔14・15の前部に、それぞれ、チャージ弁ユニットCV1・CV2を嵌入装着している。
チャージ弁ユニットCV1・CV2は、各メイン油孔14・15の内周面に嵌合される外周面を有する円筒状の弁ケース40・42をそれぞれ備えている。各弁ケース40・42の前端部は閉口し、各メイン油孔14・15の前端開口からの油漏れがないようにしている。
各弁ケース40・42の前後略中間部に、各弁ケース40・42の外周面にて開口する入口ポート40a・42aがそれぞれ形成されている。一方、センタケース11のフィルタ取付面18の、前記フィルタ44に囲まれる部分において、左右一対のチャージポート16・17が開口し、それぞれ鉛直上方に延出されて、その上端が各メイン油孔14・15の前部に接続され、各チャージ弁ユニットCV1・CV2の入口ポート40a・42aに連通している。
チャージ弁ユニットCV1・CV2は、それぞれの弁ケース40・42の後部内に、ボール型のチェック弁41・43を構成している。各チェック弁41・43の弁体としての球部材41a・43aは、閉弁側である前方に付勢されている。
また、これら弁ケース40・42の後部は、各メイン油孔14・15の、各キドニーポート12a・12bとの接続部分に配置されており、これら弁ケース40・42の後部の外周面にて開口する出口ポート(図示せず)が、各メイン油孔14・15を介して、各キドニーポート12a・12bに連通している。
各出口ポートを介して各メイン油孔14・15に連通する各弁ケース40・42の後部内の油圧が、各入口ポート40a・42a及び各チャージポート16・17を介して車軸駆動ケース2内の油溜まりに連通する各弁ケース40・42の前部内の油圧に比して低くなって、該弁ケース40または弁ケース42内の前後の差圧がチェック弁41・43の球部材41a・43aに対する前方付勢力に勝ると、その低圧となったメイン油孔14またはメイン油孔15に嵌入されているチャージ弁ユニットCV1のチェック弁41、またはチャージ弁ユニットCV2のチェック弁43が開いて、その弁ケース40または弁ケース42の前部より後部へと油を流動させ、該油を、その低圧となったメイン油孔14またはメイン油孔15へと補充する。
前述の、手動で強制的にHST10の閉回路より強制的に油を排出するためのバイパス切替弁45としては、出力軸3に対し平行な左右方向に軸心を有するロータリバルブを用いている。
そして、図5に示す前記バイパス油路L3に該当するものとして、センタケース11内に、前後水平方向に延設される平行な左右一対のメイン油孔14・15間に、該メイン油孔14・15に対し直角方向の左右水平方向のバイパス油孔19を形成している。メイン油孔14・15間において、バイパス油孔19は、メイン油孔14側の部分がメイン油孔15側の部分よりも大径である大径部分19bとなっており、メイン油孔15側の小径部分19c内に、オリフィス部材46を嵌装している。
オリフィス部材46は、円柱状部材であって、その外周面は、バイパス油孔19の小径部分19cの内周面に形成したスプライン状部19dとスプライン嵌合している。オリフィス部材46には、メイン油孔14側に開口する第一ポート46aと、メイン油孔15側に開口する第二ポート46bとを同一軸芯上に形成しており、第一ポート46aと第二ポート46bとの間に、オリフィスL3aに該当する小径孔47を形成している。こうして、例えばメイン油孔14が高圧側油路に該当するものとなった場合に、メイン油孔14からの油が第一ポート46aに流入し、そして、口径を絞った小径孔47を介して第二ポート46bへと流動し、第二ポート46bからメイン油孔15へと流入するものである。
なお、オリフィス部材46の第二ポート46b内において、微細孔を有する板材よりなる消泡部材48が備えられている。小径孔47を通過する噴流がこの消泡部材48を通過することで、作動油における気泡の発生及び不純物の混入が抑制され、HST10にダメージを与えないようにすることができる。
バイパス油孔19の大径部分19bは、さらに、メイン油孔14と、該メイン油孔14に沿って形成されるセンタケース11の鉛直側面11bとの間にも延設されている。すなわち、鉛直側面11bにて、バイパス油孔19の大径部分19bの開口端19aが設けられており、この開口端19aから、メイン油孔14とメイン油孔15との間における、小径部分19cとの接続端まで、大径部分19bが、メイン油孔14と交差するように穿設されている。そして、小径部分19cは、この大径部分19bとの接続端からメイン油孔15まで、大径部分19bと同一軸芯上に延設されるように、センタケース11内に穿設されている。
このように、バイパス油孔19を形成するにあたっては、まず、センタケース11の鉛直側面11bより大径部分19bに該当する口径の油孔を左右方向に穿孔し、メイン油孔14と交差させ、メイン油孔14よりもややメイン油孔15側の奥部まで穿孔した時点で、該穿孔を終了する。その後、大径部分19bに該当する油孔の最奥端より、小径部分19cに該当する口径の油孔をさらに左右方向奥に穿孔して、メイン油孔15に到達した時点で、小径部分19cの穿孔作業を終了する。その後、大径部分19を介して、小径部分19cにおける内周面のスプライン状部19dを構成するためのスプライン溝を形成する加工作業を行い、さらには、大径部分19bにおけるメイン油孔14と鉛直側面11bとの間の部分にネジ溝を形成する加工作業を行って、バイパス油孔19の形成作業を終了する。
こうして構成されたバイパス油孔19に、鉛直側面11bの開口端19aよりオリフィス部材46を嵌入し、大径部分19bを介して、小径部分19c内のスプライン状部19dにスプライン嵌入させ、オリフィス部材46のバイパス油孔19内への装着を終了する。その後、大径部分19bにおけるネジ溝を切った部分に、プラグ49を螺入し、このプラグ49にて、鉛直側面11bにおけるバイパス油孔19の開口端19aを塞ぐ。こうして、図5に示す如きバイパス油路L3及びオリフィスL3aに該当するバイパス油孔19及び小径孔47を、センタケース11内に構成するものである。
メイン油路L1・L2のうちの高圧側油路におけるオリフィスL3aの口径を調整することで、バイパス油路L3を介してメイン油路L1・L2間を流通可能な油量を調整することができるが、オリフィスL3aの口径の調整は、小径孔47の口径の異なる複数のオリフィス部材46の中から最適の口径の小径孔47を有するオリフィス部材46を選択することによって可能である。
このように最適な油の通過量を得るための、口径の異なる小径孔47を有するオリフィス部材46同士の交換や、また、目詰まりしたフィルタ48を新しいフィルタ48に交換する等のメンテナンス作業のために、オリフィス部材46をセンタケース11より抜き取りたい場合には、プラグ49を抜き、センタケース11の鉛直側面11bにおける開口端19aを介して、バイパス油孔19の、メイン油孔14とメイン油孔15との間の部分に嵌装されるオリフィス部材46に、簡単にアクセスできる構成となっている。
ここで、以上の如く、センタケース11にバイパス油孔19を穿設し、オリフィス部材46をバイパス油孔19に嵌入する等して構成される本実施例に係るオリフィス3La付きのバイパス油路L3(図5参照)の効果等について、図9及び図10を参照して説明する。なお、図10においては、図5において用いられている符号と同じ符号を用いており、その説明については、図5に基づく本実施例についての説明の内容をそのまま適用するものとする。
前述の如き中立拡張機能を得るには、図10に示すように、従来の自吸式作動油補給機構の如く、チャージ弁ユニットCV1・CV2にオリフィス61・62を構成するということが考えられる。オリフィス61・62は、例えばチャージ弁ユニットCV1・CV2の弁ケース40・42(図1乃至図3参照)に細孔を穿設することで構成されるものであり、オリフィス61・62を形成したりこれらの配置スペースを確保したりするためにセンタケース11を拡張させる必要がない。すなわち、センタケース11のコンパクト性を確保している。
しかし、チャージ弁ユニットCV1・CV2にこのようなオリフィス61・62を構成する場合、これらは、各チェック弁41・43を迂回してメイン油路L1・L2を油溜まりTに常時連通させる構成であり、いわば、HSTの閉回路から油溜まりTへの油漏れを引き起こすものであり、HSTの容積効率を低下させる要因となる。
図9は、いくつかの場合における出力軸トルクATに対するHSTの容積効率CEの特性を示している。出力軸トルクATは油圧モータ30にて駆動される出力軸のトルクとされおり、油圧モータ30の回転速度と略同等の意味をもつ。出力軸トルクATが0の状態において、容積効率CEは100%であり、一般に、HSTは、出力軸トルクATを高めるほど(すなわち、油圧モータ30の回転速度を早めるほど)、油漏れ量が多くなり、容積効率CEが低下する。以下、出力軸トルクATの単位増大量あたりの100%からの容積効率CEの低下量を、容積効率CEの低下率とする。
曲線CE1は、チャージ弁ユニットCV1・CV2に図10に示すようオリフィス61・62を設けず、かつ、センタケース11に、図5に示すオリフィスL3a付きのバイパス油路L3に該当するバイパス油孔19及びオリフィス部材46も設けていない状態でのセンタケース11を用いた場合の容積効率特性を示している。
この場合、油漏れが生じるのは、殆ど、キドニーポートとシリンダブロックとの間での油の受け渡しの際における両者の隙間を介してのものに限られ、また、チャージ弁ユニットCV1・CV2のチェック弁41・43を用いての作動油補給により油漏れ分が充分にカバーされ、容積効率CEの低下率は小さい。
一方、図10に示すようにチャージ弁ユニットCV1・CV2内にオリフィス61・62を構成した場合、その容積効率特性は、曲線CE2に示す如きものとなり、オリフィス61・62を介しての油溜まりTへの油漏れ量が、チャージ弁ユニットCV1・CV2による作動油補給量に相対してかなり多いため、容積効率CEの低下率が大きいものとなっている。
センタケース11に中立拡張のための手段を設けなければ、曲線CE1にて示すように、容積効率CEをさほど低下させずにすむのであるが、中立拡張手段は、前述の不具合をなくすためにはHSTに必要なものであり、一方、図10に示すオリフィス付きチャージ弁ユニットCV1・CV2は、センタケース11のコンパクト性を確保するという点で優れているので、図10の中立拡張手段としてのオリフィス61・62に代わる中立拡張手段を設けるとすれば、図10の構成の場合と同等のセンタケース11のコンパクト性を確保しつつ、かつ、容積効率CEの低下率をできるだけ小さく抑えられるものであることが求められる。
この点で、図1乃至図5に示す本実施例に係る構造のセンタケース11を用いた場合、容積効率CEの特性は、曲線CE2にて示す如きものとなる。センタケース11にバイパス油孔19を穿設し、その開口端をプラグ49で塞ぐものの、出力軸トルクATが高まると、閉回路内の油がプラグ49とバイパス油孔19の内周面との間の隙間から漏れてしまうため、中立拡張手段を設けない状態(曲線CE1にて示す状態)ほどに小さな容積効率CEの低下率を保つことはできないが、オリフィス61・62を介して油溜まりTに油が漏れてしまうような中立拡張手段を設けた状態(曲線CE4にて示す状態)に比べれば、容積効率CEの低下率は小さなものとなっている。
このように、図5に示す如きオリフィスL3a付きのバイパス油路L3に該当する図1乃至図4に示す如きバイパス油孔19及びオリフィス部材46をセンタケース11内に設けた構造では、上述の如き容積効率CEの低下率の低減効果があることが確認される。
一方で、バイパス油孔19は、センタケース11における、水平状上面のポンプ取付面12は水平状底面のフィルタ取付面18との間の部分にて、メイン油路L1・L2としてのメイン油孔14・15と同じ高さ(すなわち、メイン油孔14と交差し、メイン油孔15に接続される)で、ポンプ取付面12及びフィルタ取付面18に対し平行に穿設されている。
センタケース11におけるバイパス油孔19の穿設部分は、もともと、ポンプ取付面12及びフィルタ取付面18の面積分を確保するだけの面積を水平方向に有するように形成されていた部分であり、かつ、上面のポンプ取付面12と底面のフィルタ取付面18との間で限られた上下幅を有する部分において、メイン油孔14・15と同等の高さに形成され、かつ、メイン油孔14・15内に配されたチャージ弁ユニットCV1・CV2とは干渉しない箇所に配されているので、センタケース11において、バイパス油孔19を穿設するために拡張した部分というものは存在しない。したがって、図10に示すようにオリフィス61・62付きのチャージ弁ユニットCV1・CV2をセンタケース11内に設ける場合と同等のセンタケース11のコンパクト性を確保している。
次に、図6乃至図8に示す第二実施例に係るセンタケース11について説明する。なお、第二実施例は、センタケース11の表面におけるキドニーポートの構造に関するものであり、図1乃至図4に示す第一実施例に係るセンタケース11の表面におけるキドニーポート(図1乃至図4では明確には図示していない)が、図6乃至図8に示す第二実施例に係る構造になっているものとしてもよい。
図6に示すように、ポンプ取付面12にて開口するキドニーポート12a・12bには、ノッチ12d・12eが形成されている。本実施例では、キドニーポート12aの一端部にノッチ12dを形成し、これに向かい合うキドニーポート12bの一端部にノッチ12eを形成しているが、各キドニーポート12a・12bの両端部にノッチ12d・12eを形成するものとしてもよい。
ノッチ12d・12eは、それぞれのキドニーポート12a・12bの端部より、シリンダブロック22の周方向に沿って、互いに向かい合うように延設されており、それぞれ、各キドニーポート12a・12bの端部に接続される部分からそれぞれの先端に向かうにつれ、幅狭になる、テーパー形状となっている。
ここで、シリンダブロック22の回転方向が、各プランジャポート22bを、キドニーポート12aのノッチ12d付きの端部からキドニーポート12bのノッチ12e付きの端部へと順次移行させる方向であるものとすると、キドニーポート12aが負圧側、キドニーポート12bが高圧側にある場合に、各プランジャポート22bがキドニーポート12aのノッチ12d付き端部からキドニーポート12bのノッチ12e付き端部へと移行する際に各プランジャ23が上死点に到達することになる。
この場合において、プランジャポート22bがキドニーポート12aの端部より離れる際に、ノッチ12dに連通して、徐々にノッチ12dとの連通口面積を狭めるので、プランジャ23の上死点到達直前におけるプランジャ室22aへの油の流入量を徐々に低減させる。一方、プランジャポート22bがキドニーポート12bの端部にさしかかる際に、ノッチ12eに連通して、徐々にノッチ12eとの連通口面積を広げるので、プランジャ23の上死点直後におけるプランジャ室22aからの油の吐出を徐々に開始するものとしている。
このように、ノッチ12d・12eの構成により、プランジャ23の上死点直前ではプランジャ室22aへの油吸入が徐々に収束し、上死点直後ではプランジャ室22aからの油吐出が緩やかに開始するので、騒音を低減できる。
なお、シリンダブロック22の回転方向が前記のとおりであって、キドニーポート12aが高圧側、キドニーポート12bが負圧側にある場合には、ポンプ取付面12におけるノッチ12d・12eの形成部分は、プランジャ23の下死点領域となる。この場合、ノッチ12d・12eは、プランジャ23の下死点の直前・直後におけるプランジャ室22aに対する油の給排により生ずる騒音を低減するものとなる。
ここで、シリンダブロック22の周方向におけるノッチ12d・12eの先端間の距離G(図8参照)は、従来は、シリンダブロック22の周方向におけるプランジャポート22bの幅(寸法)W(図8参照)よりも大きくして、キドニーポート12a・12b間でのプランジャポート22bの移行時におけるプランジャ23の上死点または下死点の到達の際に、プランジャポート22bでの油の吸排は遮断されていた。また、プランジャポート22bが一方のノッチ(例えばノッチ12d)に連通しているときに、同時にもう一方のノッチ(例えばノッチ12e)にも連通するということもあり得なかった。
しかるに、第二実施例に係るセンタケース11におけるノッチ12d・12eについては、図8に示すように、シリンダブロック22の周方向におけるノッチ12d・12eの先端間の距離Gが、シリンダブロック22の周方向におけるプランジャポート22bの幅W以下(図8に示す実施例では、幅Wより小さい)となっており、キドニーポート12aの端部とキドニーポート12bの端部との間での各プランジャポート22bの移行の際に、プランジャポート22bが必ず両方のノッチ12d・12eに同時に連通する。すなわち、プランジャ22b及び両ノッチ12d・12eを介して、キドニーポート12a・12b同士が連通する状態となる。
可動斜板24が中立位置に配置されていても、シリンダブロック22が回転する限りは、キドニーポート12a・12bの前記端部間でのプランジャポート22bの移行ごとに、両ノッチ12d・12eを介して、キドニーポート12a・12b同士の連通、すなわち、メイン油路L1・L2間の連通がなされることとなる。
したがって、前記操作具と可動斜板24との連係構造の誤差等の原因で、操作具が中立設定になっているにもかかわらず可動斜板24が中立位置より僅かにずれて、複数のプランジャ23間でそのストロークに僅かの差がある状態(中立ストロークよりも突出したプランジャ23と、中立ストロークよりも収縮したプランジャ23とが存在する状態)となっていても、シリンダブロック22が回転していれば、ノッチ12d・12e及び順次両ノッチ12d・12eに連通するプランジャポート22bを介して、プランジャ23の上死点直後またはプランジャ23の下死点直前のプランジャ室22a内のわずかな余剰圧油が負圧側のキドニーポートへと抜けるので、油圧ポンプ20の吐出圧が滅殺され、HST10の閉回路内の作動油の状態は、可動斜板24が正確に中立位置にあって全プランジャ23のストロークが均一の中立ストロークに保持されているときの、メイン油路L1・L2間で油圧ポンプ20を介しての圧油の流通が全くない状態と略等しくなる。
つまり、第二実施例に係るセンタケース11は、キドニーポート12a・12bのノッチ12d・12eを、それらの先端間の距離を縮めるように延長して、キドニーポート12a・12b間の移行の際のプランジャポート22bに両ノッチ12d・12eが同時に連通するように構成することで、プラジャポート22b及びノッチ12d・12eが前述の中立拡張機能を有するものとしている。
このように、ノッチ12d・12eの寸法を変更するという簡単な手段にて、低コストで中立拡張機能を有するセンタケース11を提供することができ、バイパス油孔19を穿設するという第一実施例に比しても、経済性に優れている。また、センタケース11の表面のノッチ12d・12eに加工を加えるだけなので、オリフィス61・62付きのチャージ弁ユニットCV1・CV2を設けた場合や、前記第一実施例の場合と同様に、センタケース11のコンパクト性を確保する上での妨げになることもない。
このノッチ12d・12eは、シリンダブロック22の摺接面とポンプ取付面12との間の隙間にて開口しているので、やはり多少の油漏れの要因となり、全く中立拡張手段を設けない場合の、図9にて曲線CE1が示すような、低下率の小さな容積効率特性までは得られないが、図9で曲線CE2にて示される第一実施例の効果としての容積効率特性と同程度に、容積効率の低下率を低く抑えることができると考えられる。すなわち、容積効率の低下率を、曲線CE4にて示されるオリフィス61・62付きチャージ弁ユニットCV1・CV2を設けた場合の容積効率の低下率よりも小さくすることができる。
さらに、図6及び図7に示すように、モータ取付面13にて開口するキドニーポート13a・13bにも、それぞれの向かい合わせ状の一端部に、ノッチ13d・13eを形成することが考えられる。
なお、油圧モータ30のシリンダブロック32の回転方向は、キドニーポート13a・13bの油圧関係(どちらが負圧側でどちらが高圧側か)が逆転するにつれて逆転するので、ノッチ13d・13eを設けたキドニーポート13a・13bの端部間でシリンダブロック32内の各プランジャポート32bを移行するに際して、プランジャ33は、どちらの向きに回転するかにかわらず、上死点に達するか、下死点に達するかのいずれかである。本実施例では、上死点に達するものとして、以下、説明する。
ノッチ13d・13eは、前述のノッチ12d・12eの効果と同様に、各プランジャ33の上死点付近でのプランジャ室32aとキドニーポート13a・13bとの間の油の吸排動作を緩和するので、プランジャ33が上死点に達する際の騒音を低減するという効果を奏する。
また、この実施例では、図8に示すキドニーポート12a・12bのノッチ12d・12eの先端間の距離とプランジャポート22bの幅との関係と同様に、シリンダブロック32の周方向におけるノッチ13d・13eの先端間の距離を、シリンダブロック32の周方向におけるプランジャポート32bの幅(寸法)以下としているので、プランジャポート32bがキドニーポート13a・13bの端部間を移行する際に両ノッチ13d・13eに同時に連通し、該プランジャポート32b及びノッチ13d・13eを介してのキドニーポート13a・13b間での油の流通を可能とする。すなわち、中立拡張機能を奏することができる。
ただし、油圧ポンプ20のシリンダブロック22(ポンプ軸21)が可動斜板24の位置とは関係なく回転するのに対し、油圧モータ30のシリンダブロック32(モータ軸31)は、可動斜板24を中立位置にすると止まるので、ノッチ13d・13eが中立拡張機能を発揮するのは、プランジャポート32bが丁度、キドニーポート13a・13bの端部間にて両ノッチ13d・13eに連通する位置に配置されているときということになり、タイミングが限定される。
なお、HST用のセンタケースは、もともと、油圧モータ30用のキドニーポート13a・13bの端部間の距離が、(油圧モータ30と同じ容量のものとした場合の)油圧ポンプ20用のキドニーポート12a・12bの端部間の距離よりも小さく構成されており、シリンダブロック33の周方向におけるプランジャポート32bの幅と略等しいものとなっている。したがって、上述のように騒音低減や中立拡張機能を発するためにノッチ13d・13eを構成するにあたっては、ノッチ13d・13eの寸法を小さくすることができ、コストを抑えることができる。
また、キドニーポート12a・12bのノッチ12d・12eに加え、キドニーポート13a・13bにもノッチ13d・13eを形成するものとした場合、ノッチ13d・13eはモータ取付面13とシリンダブロック32の摺接面との間の隙間にて開口しているので、油漏れの要因を増加することとなり、この場合のHST10の容積効率CEは、ポンプ取付面12のキドニーポート12a・12bのみにノッチ12d・12eを設け、モータ取付面13のキドニーポート13a・13bにはノッチを設けないものとした場合に比べて低下する。すなわち、図9でいえば、その容積効率特性は曲線CE3で示す如きものとなる。
しかし、ノッチ13d・13eは、油溜まりTに直接的に油を排出する構造ではなく、本来はプランジャポート32bのみに連通するように構成されたものなので、キドニーポート12a・12bのノッチ12d・12eに加えてこれらをキドニーポート13a・13bに形成しても、これによって得られる容量効率(曲線CE3)は、やはり、オリフィス61・62付きのチャージ弁ユニットCV1・CV2を設けた場合の容量効率(曲線CE4)に比べて、低下率の小さなものとなる。
以上は、本願に係る油路部材を具備するHSTを、単車軸型の車軸駆動装置に適用する実施例について説明したが、他のタイプの車軸駆動装置や、その他、HSTを具備する様々な装置に適用可能である。
L1 メイン油路
L2 メイン油路
L3 バイパス油路
L3a オリフィス
10 油圧式変速装置(HST)
11 センタケース(油路部材)
11b 鉛直側面(油路部材の一側面)
12 ポンプ取付面
12a キドニーポート
12b キドニーポート
12d ノッチ
12e ノッチ
13 モータ取付面
13a キドニーポート
13b キドニーポート
13d ノッチ
13e ノッチ
14 メイン油孔(第一油孔)
15 メイン油孔(第二油孔)
19 バイパス油孔
19a 開口端
20 油圧ポンプ
22 シリンダブロック
22a プランジャ室
22b プランジャポート(プランジャ室の吸排口)
23 プランジャ
30 油圧モータ
32 シリンダブロック
32a プランジャ室
32b プランジャポート(プランジャ室の吸排口)
33 プランジャ
46 オリフィス部材
47 小径孔
48 フィルタ
49 プラグ
G シリンダブロック22の周方向におけるノッチ12d・12eの先端間の距離
W シリンダブロック22の周方向におけるプランジャポート22bの幅(寸法)

Claims (6)

  1. 油圧ポンプ及び油圧モータを取り付けるためのポンプ取付面及びモータ取付面をその表面に形成し、油圧ポンプと油圧モータとの間で作動油を循環させるための一対のメイン油路を内部に構成した、油圧式変速装置用油路部材において、
    該一方のメイン油路と他方のメイン油路とを短絡するバイパス油路を構成し、該バイパス油路の途中部に、オリフィスを設けていることを特徴とする油圧式変速装置用油路部材。
  2. 前記バイパス油路として、前記油路部材の内部にバイパス油孔を穿設しており、該バイパス油孔の途中部に、小径孔を有するオリフィス部材を嵌装し、該小径孔を、該バイパス油路の途中部の前記オリフィスとすることを特徴とする請求項1に記載の油圧式変速装置用油路部材。
  3. 前記バイパス油路には、前記オリフィス部材と消泡部材とが並置されていることを特徴とする請求項2に記載の油圧式変速装置用油路部材。
  4. 前記バイパス油孔は直線状に形成され、前記油路部材の一側面に開口端を有し、一方のメイン油路としての第一油孔と交差し、該開口端から他方のメイン油路としての第二油孔まで延設されており、該バイパス油孔における該開口端と該第一油孔との間の部分には、取り外し可能なプラグが嵌装されて閉塞されており、該バイパス油孔における該第一油孔と該第二油孔との間の部分の途中部に、前記オリフィス部材が嵌装されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の油圧式変速装置用油路部材。
  5. 油圧ポンプ及び油圧モータのシリンダブロックを取り付けるためのポンプ取付面及びモータ取付面をその表面に形成し、各取付面にて開口される一対のポンプキドニーポートを通じて各シリンダブロック内に構成されたプランジャ室内の作動油を吸排して循環させるための一対のメイン油路を内部に構成した、油圧式変速装置用油路部材において、
    該両取付面のうち少なくともいずれか一方にて開口される一対のキドニーポートの、互いに向かい合わせに配されるそれぞれの一端部より、互いに向かい合わせ状にノッチを延設し、両ノッチの先端同士の間の距離を、該シリンダブロックの周方向における該プランジャ室の吸排口の寸法以下に設定してあることを特徴とする油圧式変速装置用油路部材。
  6. 前記ノッチを、前記モータ取付面にて開口する一対のキドニーポートに設けたことを特徴とする請求項5に記載の油圧式変速装置用油路部材。
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