JP2018104780A - 成膜用治具 - Google Patents
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Abstract
【課題】成膜処理環境下で長期に亘り安定して使用可能な成膜用治具の提供。
【解決手段】成膜用治具12におけるガラス基板の載置面13からの保持用磁石23の離間距離が位置調整ねじ28にて調整可能に構成し、保持用磁石23が減磁劣化した場合に、ガラス基板の載置面13に対し(この場合、載置面13に載置したガラス基板を挟んだマスク部材に対し)、保持用磁石23の近接配置が可能な成膜用治具。
【選択図】図5
【解決手段】成膜用治具12におけるガラス基板の載置面13からの保持用磁石23の離間距離が位置調整ねじ28にて調整可能に構成し、保持用磁石23が減磁劣化した場合に、ガラス基板の載置面13に対し(この場合、載置面13に載置したガラス基板を挟んだマスク部材に対し)、保持用磁石23の近接配置が可能な成膜用治具。
【選択図】図5
Description
本発明は、ガラス基板に対して成膜処理を行う際に用いる成膜用治具に関する。
スマートフォンやタブレット型PC(パーソナルコンピュータ)といった携帯端末等に用いられるタッチパネルにおいては、ガラス基板の主面に対してITO膜等の透明導電膜が形成されている(例えば特許文献1参照)。
また、このようなタッチパネルにおいては、生産効率等の観点から、成膜された大面積のマザーガラス基板から多面取りする製造手法が知られているが、一般的に、マザーガラス基板をガラス基板保持装置に載置して成膜処理が施される(例えば特許文献2参照)。
ところで、成膜処理を行う際、マザーガラス基板の主面に対して成膜する部分以外をマスクして所定領域に膜が形成される。この場合、ガラス基板の主面に対してマスク部材の着脱が容易に行えることが好ましい。
その一態様として、基板支持台に基板を介してメタルマスクを吸着する磁石が設けられた枚葉式スパッタ装置が知られている(例えば特許文献3参照)。
しかしながら、特許文献3のような枚葉式スパッタ装置においては、成膜処理環境下で永久磁石の減磁劣化が発生し、マスク部材の剥がれやずれ等の不具合を招くことが課題となっていた。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、成膜処理環境下で長期に亘り安定して使用することができる成膜用治具を提供することにある。
上記課題を解決する成膜用治具は、ガラス基板の主面に配置した磁性金属製のマスク部材の成膜用開口部を通じて前記ガラス基板の主面に対して成膜処理を行う際に用いられ、前記ガラス基板が載置される支持部材と、前記マスク部材を吸着保持する保持用磁石とを備えてなる成膜用治具であって、前記支持部材における前記ガラス基板の載置面からの前記保持用磁石の離間距離を調整可能な位置調整機構を備える。
上記態様によれば、支持部材におけるガラス基板の載置面からの保持用磁石の離間距離が位置調整機構にて調整可能となるため、保持用磁石の磁力が劣化した場合に、磁力の劣化度合いに応じて、保持用磁石を、ガラス基板の載置面、即ちガラス基板を挟んだマスク部材に近接配置することが可能となる。つまり、保持用磁石が減磁劣化してきても、マスク部材の吸着力を使用可能な程度に維持できる。
また、上記成膜用治具において、前記位置調整機構は、前記支持部材に取り付けられた位置調整ねじを含み、前記支持部材に対する前記位置調整ねじの螺入度合いの調整にて前記保持用磁石の位置調整が可能に構成されていることが好ましい。
上記態様によれば、位置調整機構は位置調整ねじを含んで構成され、位置調整ねじの螺入度合いで保持用磁石の位置調整が調整可能なため、その位置調整が容易である。また、位置調整機構が簡素に構成可能である。
また、上記成膜用治具において、前記支持部材は、端面が前記ガラス基板の載置面を構成する細長板状部材を含み、前記細長板状部材は、前記端面に開口部を有する前記保持用磁石の収容穴を有し、前記収容穴は、前記細長板状部材の両主面にスリット部を有することが好ましい。
上記態様によれば、保持用磁石を収容する収容穴は、支持部材(細長板状部材)の両主面にスリット部を有するため、該スリット部を通じた作業者の手作業での保持用磁石の挿入や取外しが行い易い。また、スリット部を設けることにより、成膜用治具の軽量化を図ることができる。
また、上記成膜用治具において、前記スリット部の幅が前記保持用磁石及び位置調整ねじの径より小さいことが好ましい。
上記態様によれば、保持用磁石及び位置調整ねじが、スリット部の両主面側へ脱落し難くなる。
上記態様によれば、保持用磁石及び位置調整ねじが、スリット部の両主面側へ脱落し難くなる。
また、上記成膜用治具において、前記収容穴を構成する内壁部は、前記保持用磁石を前記収容穴の奥行き方向に沿ってガイドするガイド部として機能することが好ましい。
上記態様によれば、収容穴を構成する内壁部が、保持用磁石を収容穴の奥行き方向に沿ってガイドするガイド部として機能するため、保持用磁石の挿入や取外しが行い易く、保持用磁石の姿勢も維持可能である。
上記態様によれば、収容穴を構成する内壁部が、保持用磁石を収容穴の奥行き方向に沿ってガイドするガイド部として機能するため、保持用磁石の挿入や取外しが行い易く、保持用磁石の姿勢も維持可能である。
また、上記成膜用治具において、前記保持用磁石は、前記マスク部材の成膜用開口部の開口周縁部に配置されていることが好ましい。
上記態様によれば、保持用磁石は、マスク部材の成膜用開口部の開口周縁部に配置されるため、保持用磁石の吸着力がその開口周縁部に主として作用する。つまり、ガラス基板の主面に対する開口周縁部の密着性が高くなるため、成膜/非成膜の境界部分がより明確に形成可能となる。
上記態様によれば、保持用磁石は、マスク部材の成膜用開口部の開口周縁部に配置されるため、保持用磁石の吸着力がその開口周縁部に主として作用する。つまり、ガラス基板の主面に対する開口周縁部の密着性が高くなるため、成膜/非成膜の境界部分がより明確に形成可能となる。
また、上記成膜用治具において、前記ガラス基板及び前記マスク部材を位置決めするストッパと、前記マスク部材に対して前記保持用磁石よりも先に吸着力を作用させて前記マスク部材を前記ストッパに誘導可能な先付用磁石とを備えることが好ましい。
上記態様によれば、先付用磁石が備えられ、マスク部材に対して保持用磁石よりも先に先付用磁石の吸着力が作用してマスク部材がストッパに誘導されるため、マスク部材の位置決めが容易となる。特にマスク部材の位置決めはガラス基板の主面上で行われるため、マスク部材がガラス基板に傷を生じさせることの抑制に寄与できる。
また、上記成膜用治具において、前記先付用磁石の平坦面での磁力は、前記保持用磁石の端面での磁力よりも大きいことが好ましい。
上記態様によれば、先付用磁石の平坦面での磁力は保持用磁石の端面での磁力よりも大きいため、先付用磁石によるマスク部材の位置決めを効果的に行うことが可能となる。
上記態様によれば、先付用磁石の平坦面での磁力は保持用磁石の端面での磁力よりも大きいため、先付用磁石によるマスク部材の位置決めを効果的に行うことが可能となる。
また、上記成膜用治具において、前記成膜処理は、加熱処理を含むことが好ましい。
上記態様によれば、加熱環境下では保持用磁石の磁力の劣化が一層進行し易いため、保持用磁石の位置調整機構を設ける意義は大きい。
上記態様によれば、加熱環境下では保持用磁石の磁力の劣化が一層進行し易いため、保持用磁石の位置調整機構を設ける意義は大きい。
本発明の成膜用治具によれば、成膜処理環境下で長期に亘り安定して使用することができる。
以下、成膜用治具の一実施形態を説明する。
図1〜図4に示すガラス基板保持装置10は、携帯端末等に用いるタッチパネルを例えば4枚の多面取り可能なマザーガラス基板Gの主面(第1主面)G1に対してITO膜等の透明導電膜の成膜処理を行う際に該ガラス基板Gを保持するものである。マザーガラス基板Gの厚みは、例えば、0.05〜2.0mmが好ましく、0.08〜1.5mmがより好ましく、0.1〜1.0mmが更に好ましい。
図1〜図4に示すガラス基板保持装置10は、携帯端末等に用いるタッチパネルを例えば4枚の多面取り可能なマザーガラス基板Gの主面(第1主面)G1に対してITO膜等の透明導電膜の成膜処理を行う際に該ガラス基板Gを保持するものである。マザーガラス基板Gの厚みは、例えば、0.05〜2.0mmが好ましく、0.08〜1.5mmがより好ましく、0.1〜1.0mmが更に好ましい。
ガラス基板保持装置10は、基台11に成膜用治具12が設置されてなる。尚、各図面は、基台11や成膜用治具12、周囲部材を簡略化している。基台11は、床面や所定の搬送ラインを移動可能に構成されており、成膜処理(成膜工程)中の移動、前工程からの搬送や後工程への搬送が可能となっている。
成膜用治具12は、略矩形板状をなし、一主面がマザーガラス基板Gを載置するための載置面13として構成されている。載置面13は、マザーガラス基板Gよりも大面積をなし、載置面13の法線方向が水平より若干上方に傾斜している。また、載置面13上の下側(基台11側)には一対のストッパ14が設けられており、マザーガラス基板Gは、下端縁が各ストッパ14にて支持されながら裏面側の第2主面G2が載置面13側に当接して凭れかかり、第1主面G1が傾斜姿勢にて成膜用治具12に対して保持される。
図3及び図4に示すように、成膜用治具12は、中央部に矩形開口部15を有し、該開口部15の内側に細長板状の例えば3本ずつの縦枠材16a〜16cと横枠材16d〜16fとが互いに間隔を有して格子状に組まれている。各縦枠材16a〜16c及び各横枠材16d〜16fの端面16x,16yは、矩形開口部15の周囲の平坦面17と面一をなしている。つまり、成膜用治具12の載置面13は、具体的には、各縦枠材16a〜16c及び各横枠材16d〜16fの端面16x,16yと矩形開口部15の周囲の平坦面17とで構成されている。格子状に組まれた3本ずつの縦枠材16a〜16c及び横枠材16d〜16fにより、同面積で4つの矩形状の個別開口部18a〜18dが形成されている。
ここで、成膜処理の際には、載置面13へのマザーガラス基板Gの載置後、該ガラス基板Gの主面G1にマスク部材19が載置される。マスク部材19は、矩形枠状の外枠部20とその内側開口を十字状に仕切る仕切部21とを有し、該仕切部21にて仕切られた同面積で4つの矩形状の成膜用開口部22a〜22dを備えている。マスク部材19を成膜用治具12に対して正規位置に配置した場合、載置面13の垂直方向から見て、各成膜用開口部22a〜22dが成膜用治具12側の各個別開口部18a〜18dとそれぞれ重なる。つまり、外枠部20の内周縁は、外枠を形成する縦枠材16a,16c及び横枠材16d,16fとそれぞれ重なる。また、十字状の仕切部21はその幅が縦枠材16a〜16c及び横枠材16d〜16fの端面16x,16yと同幅に設定され、十字状に仕切る縦枠材16b及び横枠材16eとそれぞれ重なるようになっている。
また、マスク部材19は、磁性金属板材から作製され、成膜用治具12の所定位置に組み込まれた後述の保持用磁石23及び先付用磁石24に対して吸着可能となっている。つまり、成膜用治具12に対して載置されたマザーガラス基板Gの第1主面G1に載置するマスク部材19は、マザーガラス基板Gを挟んで成膜用治具12の各磁石23,24と吸着して、自身の位置ずれが抑えられて装着できるようになっている。
このようなマスク部材19の磁石吸着構造について、成膜用治具12の各縦枠材16a〜16c及び各横枠材16d〜16fには、複数個の保持用磁石23が組み込まれている。各保持用磁石23は、永久磁石にて円柱状に形成されており、全て同一のものが用いられる。保持用磁石23は、個別開口部18a〜18d周りの縦枠材16a〜16cにおいては例えば3個ずつ等間隔に設置、横枠材16d〜16fにおいては例えば2個ずつ等間隔に設置されている。
図5に示すように、縦枠材16a(16b,16c)及び横枠材16f(16d,16e)の端面16x,16yには、上記した保持用磁石23の配置位置に対応する位置に該磁石23を収容するための収容穴25が形成されている。各収容穴25は、載置面13の垂直方向から見て、保持用磁石23よりも若干径の大きい略円形状の凹状をなしており、縦枠材16a(16b,16c)及び横枠材16f(16d,16e)の両主面側にも開口している。つまり、これらの開口は収容穴25の奥行き方向に延びるスリット部26であり、該スリット部26を通じた作業者の手作業での保持用磁石23の挿入や取外し、更には後述の位置調整ねじ28の挿入や取外しを可能としている。
また、枠材16a〜16eの両主面側におけるスリット部26の幅は、保持用磁石23の径及び位置調整ねじ28の頭部の直径よりも小さい設定としており、また、枠材16a〜16eには、収容穴25を形成するための円弧壁部27があり、この円弧壁部27が位置調整ねじ28の頭部の周に沿った形状を有している。そのため、スリット部26からの保持用磁石23及び位置調整ねじ28が収容穴25から脱落するのが防止され、また、円弧壁部27は、保持用磁石23及び位置調整ねじ28を収容穴25の奥行き方向に沿ってガイドするガイド部として機能する。
収容穴25の底部には、位置調整ねじ28が螺着されている。位置調整ねじ28は、磁性金属材料にて作製されており、保持用磁石23が吸着可能となっている。そして、収容穴25の底部に位置調整ねじ28が螺着された状態で保持用磁石23が収容穴25内に挿入されると、保持用磁石23が位置調整ねじ28の頭部に吸着される。保持用磁石23は、その端面16x,16yが成膜用治具12の載置面13から後退した位置に離間して配置される。
ここで、本実施形態の成膜処理は、スパッタやCVD法を用いるもので加熱処理が含まれる手法を想定している。つまり、永久磁石よりなる保持用磁石23は、加熱環境での使用による磁力の劣化が一層進行し易い状況にある。
これを踏まえ本実施形態では、図5及び図6に示すように、位置調整ねじ28の螺入度合いを調整し、保持用磁石23の配置位置が変更可能となっている。具体的には、位置調整ねじ28の螺入度合いが大きいと保持用磁石23の端面23aが載置面13より後退し、保持用磁石23の端面23aと載置面13との距離L1が大きくなる。これに対し、位置調整ねじ28の螺入度合いが小さい(螺脱度合いが大きい)と保持用磁石23の端面23aが載置面13に近づき、保持用磁石23の端面23aと載置面13との距離L1が小さくなる。つまり、保持用磁石23の磁力の劣化の進行度合いに応じて位置調整ねじ28を螺脱方向に調整できるように構成されている。このような位置調整手段により、保持用磁石23を載置面13に近づけ、ひいてはマザーガラス基板Gを介在したマスク部材19に近づけて、マスク部材19の吸着力が使用可能な程度に維持される。
図2及び図4に示すように、成膜用治具12の載置面13上に設けた一対のストッパ14間には、例えば2個の先付用磁石24が等間隔位置にそれぞれ組み込まれている。先付用磁石24は、載置面13の垂直方向から見て、マスク部材19の下端縁に位置している。また、先付用磁石24の平坦面17での磁力は、保持用磁石23の端面16x,16yでの磁力よりも大きくなるように構成されている。つまり、マスク部材19もマザーガラス基板Gと同様に下端部をストッパ14に当接させて位置決めするが、その際、マスク部材19の全体に保持用磁石23の吸着力が作用するよりも先付用磁石24の吸着力が先にマスク部材19の下端部に作用して該下端部をストッパ14に誘導し、マスク部材19の位置決め装着の容易化が図られている。特に、マスク部材19が薄く、可撓性を有する場合、先付用磁石24の吸着力によりマスク部材19をストッパ14に誘導する構成であることが好ましい。
次に、マザーガラス基板Gの成膜処理について、図3に示すように、先ずガラス基板保持装置10の成膜用治具12に対し、ストッパ14にマザーガラス基板Gの下端縁が当接するように位置決めされてガラス基板Gが載置面13に凭れかかるように支持される。
次いで、マスク部材19の下端縁がストッパ14に当接するように位置決め配置させるが、この場合、先付用磁石24の吸着力にてマスク部材19の下端部がストッパ14に誘導される。マスク部材19の開口部22a〜22dは、マスク部材19の下端縁がストッパ14に当接することにより、成膜用治具12側の横枠材16d〜16fとマスク部材19側の外枠部20及び仕切部21の横方向部分とが一致する位置に形成されている。
またこの場合、図2に示すように、ガラス基板Gの主面G1上にマスク部材19が位置決め配置されると、成膜用治具12側の保持用磁石23の吸着力にてマスク部材19の配置状態が保持される。そして、図1に示すように、マザーガラス基板Gの主面G1に対してマスク部材19の各成膜用開口部22a〜22dを通じて成膜が行われ、その後、マザーガラス基板Gが4つの個々の製品(タッチパネル)毎に切断される。
また、本実施形態の成膜処理は、スパッタ法やCVD法により実施され、これらの方法には基板Gの加熱処理が含まれるため、保持用磁石23の磁力の劣化が進行し易い。そのため、保持用磁石23の吸着力が例えば所望吸着力を満たない状況となった場合には、図5及び図6に示すように、保持用磁石23を一旦取り外し、位置調整ねじ28を螺脱方向に回し、保持用磁石23をガラス基板Gの載置面13、即ちマスク部材19に近づけて、保持用磁石23の吸着力の維持を図る。
次に、本実施形態の効果を以下に記載する。
(1)成膜用治具12におけるガラス基板Gの載置面13からの保持用磁石23の離間距離L1が位置調整ねじ28にて調整可能なため、保持用磁石23の磁力が劣化した場合に、ガラス基板Gの載置面13、即ちガラス基板Gを挟んだマスク部材19に保持用磁石23を近接配置することができる。つまり、保持用磁石23の磁力が劣化してきても、マスク部材19の吸着力を使用可能な程度に維持でき、保持用磁石23を含む成膜用治具12として成膜処理環境下で長期に亘り安定して使用することができる。特に本実施形態の成膜処理のように加熱処理を含む場合、保持用磁石23の磁力の劣化が一層進行し易いため、保持用磁石23の位置調整が可能な構成にする意義は大きい。
(1)成膜用治具12におけるガラス基板Gの載置面13からの保持用磁石23の離間距離L1が位置調整ねじ28にて調整可能なため、保持用磁石23の磁力が劣化した場合に、ガラス基板Gの載置面13、即ちガラス基板Gを挟んだマスク部材19に保持用磁石23を近接配置することができる。つまり、保持用磁石23の磁力が劣化してきても、マスク部材19の吸着力を使用可能な程度に維持でき、保持用磁石23を含む成膜用治具12として成膜処理環境下で長期に亘り安定して使用することができる。特に本実施形態の成膜処理のように加熱処理を含む場合、保持用磁石23の磁力の劣化が一層進行し易いため、保持用磁石23の位置調整が可能な構成にする意義は大きい。
(2)保持用磁石23の位置調整は、位置調整ねじ28の螺入度合いで行われるため容易であるとともに、微調整が可能である。また、保持用磁石23を位置調整する機構が位置調整ねじ28にて構成されているため、簡素な構成である。
(3)保持用磁石23を収容する収容穴25は、細長板状の縦枠材16a〜16c及び横枠材16d〜16fの両主面側に開口するスリット部26を有するため、該スリット部26を通じた作業者の手作業での保持用磁石23の挿入や取外しが行い易い。また、スリット部26を設けることにより、成膜用治具12の軽量化を図ることができる。
(4)スリット部26の幅は、保持用磁石23や位置調整ねじ28の直径よりも小さいため、これらが収容穴25から脱落するのを防止することができる。
(5)収容穴25を構成する円弧壁部27は、保持用磁石23を収容穴25の奥行き方向に沿ってガイドするガイド部として機能するため、保持用磁石23の挿入や取外しが行い易く、保持用磁石23の姿勢も維持することができる。
(5)収容穴25を構成する円弧壁部27は、保持用磁石23を収容穴25の奥行き方向に沿ってガイドするガイド部として機能するため、保持用磁石23の挿入や取外しが行い易く、保持用磁石23の姿勢も維持することができる。
(6)保持用磁石23は、マスク部材19の成膜用開口部22a〜22dの開口周縁部に配置されているため、保持用磁石23の吸着力がその開口周縁部に主として作用する。つまり、ガラス基板Gの主面G1に対する開口周縁部の密着性が高くなるため、膜材料がガラス基板Gとマスク部材19の間に回り込むことを抑制し、成膜/非成膜の境界部分をより明確に形成することができる。
(7)先付用磁石24が備えられ、マスク部材19に対して保持用磁石23よりも先に先付用磁石24の吸着力が作用してマスク部材19がストッパ14に誘導されるため、マスク部材19の位置決めを容易に行うことができる。特にマスク部材19の位置決めはガラス基板Gの主面G1上で行われるため、マスク部材19がガラス基板Gに傷を生じさせることの抑制に寄与することができる。
(8)先付用磁石24の平坦面17での磁力は、保持用磁石23の端面16x,16yでの磁力よりも大きいため、先付用磁石24によるマスク部材19の位置決めを効果的に行うことができる。
尚、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
・マザーガラス基板Gは、載置面13の法線方向が水平より若干上方に傾斜させる態様としたが、載置面13の法線方向が鉛直方向を向いていてもよい。
・マザーガラス基板Gは、載置面13の法線方向が水平より若干上方に傾斜させる態様としたが、載置面13の法線方向が鉛直方向を向いていてもよい。
・位置調整ねじ28の頭部を収容穴25側とし、保持用磁石23を一旦外して位置調整ねじ28を操作する態様としたが、例えば図7に示すように、収容穴25とは反対側から位置調整ねじ28を螺入する態様とし、位置調整ねじ28の先端部で保持用磁石23の位置調整を行うようにしてもよい。この場合、保持用磁石23を外さずに位置調整可能である。
・保持用磁石23の位置調整を行う機構として位置調整ねじ28を用いたが、ねじ以外で位置調整が可能な機構(部材)を用いてもよい。
・先付用磁石24の取付態様は特に言及しなかったが、単に固定されていてもよく、また保持用磁石23のように位置調整ねじ28にて載置面13からの離間距離L1を調整可能な態様としてもよい。
・先付用磁石24の取付態様は特に言及しなかったが、単に固定されていてもよく、また保持用磁石23のように位置調整ねじ28にて載置面13からの離間距離L1を調整可能な態様としてもよい。
・保持用磁石23及び先付用磁石24の数、配置、形状は適宜変更してもよい。また、全ての収容穴25に保持用磁石23及び位置調整ねじ28を配置していなくてもよい。また、保持用磁石23よりも先付用磁石24の方が磁力の強い磁石を用いたが、これに限らず、例えば互いに同等の磁力の磁石を用いてもよい。
・収容穴25の数、配置、形状は適宜変更してもよい。保持用磁石23と同数でなく、保持用磁石23よりも多く形成してもよい。また、収容穴25のスリット部26を無くし、側方に開口していない完全な凹形状としてもよい。
・ストッパ14は載置面13に別体組付け、一体形成の何れであってもよい。
・ストッパ14はガラス基板G及びマスク部材19の縦方向(上下方向)のみの位置決めを行うものであったが、ガラス基板G及びマスク部材19の横方向(水平方向)の位置決めをも行うものとしてもよい。また、凸状をなすストッパ14に対応する開口部をマスク部材19に設け、マスク部材19の開口部にストッパ14を挿入することにより位置決めをしてもよい。
・ストッパ14はガラス基板G及びマスク部材19の縦方向(上下方向)のみの位置決めを行うものであったが、ガラス基板G及びマスク部材19の横方向(水平方向)の位置決めをも行うものとしてもよい。また、凸状をなすストッパ14に対応する開口部をマスク部材19に設け、マスク部材19の開口部にストッパ14を挿入することにより位置決めをしてもよい。
・4枚のタッチパネルが取れるマザーガラス基板Gを用いたが、多面取りの枚数はこれに限らない。また、多面取りを行わない単一のガラス基板であってもよい。
・成膜処理は加熱処理が含まれるものであったが、加熱処理が含まれない成膜処理に用いてもよい。
・成膜処理は加熱処理が含まれるものであったが、加熱処理が含まれない成膜処理に用いてもよい。
12…成膜用治具、13…載置面、14…ストッパ、16a〜16c…縦枠材(支持部材)、16d〜16f…横枠材(支持部材)、16x,16y…端面、19…マスク部材、22a〜22d…成膜用開口部、23…保持用磁石、24…先付用磁石、25…収容穴、26…スリット部、27…円弧壁部(内壁部、ガイド部)、28…位置調整ねじ(位置調整機構)、G…マザーガラス基板(ガラス基板)、G1…主面、L1…距離。
Claims (9)
- ガラス基板の主面に配置した磁性金属製のマスク部材の成膜用開口部を通じて前記ガラス基板の主面に対して成膜処理を行う際に用いられ、
前記ガラス基板が載置される支持部材と、前記マスク部材を吸着保持する保持用磁石とを備えてなる成膜用治具であって、
前記支持部材における前記ガラス基板の載置面からの前記保持用磁石の離間距離を調整可能な位置調整機構を備えたことを特徴とする成膜用治具。 - 請求項1に記載の成膜用治具において、
前記位置調整機構は、前記支持部材に取り付けられた位置調整ねじを含み、前記支持部材に対する前記位置調整ねじの螺入度合いの調整にて前記保持用磁石の位置調整が可能に構成されていることを特徴とする成膜用治具。 - 請求項1又は2に記載の成膜用治具において、
前記支持部材は、端面が前記ガラス基板の載置面を構成する細長板状部材を含み、前記細長板状部材は、前記端面に開口部を有する前記保持用磁石の収容穴を有し、
前記収容穴は、前記細長板状部材の両主面にスリット部を有することを特徴とする成膜用治具。 - 請求項3に記載の成膜用治具において、
前記スリット部の幅が前記保持用磁石及び位置調整ねじの径より小さいことを特徴とする成膜用治具。 - 請求項3又は4に記載の成膜用治具において、
前記収容穴を構成する内壁部は、前記保持用磁石を前記収容穴の奥行き方向に沿ってガイドするガイド部として機能することを特徴とする成膜用治具。 - 請求項1〜5の何れか1項に記載の成膜用治具において、
前記保持用磁石は、前記マスク部材の成膜用開口部の開口周縁部に配置されていることを特徴とする成膜用治具。 - 請求項1〜6の何れか1項に記載の成膜用治具において、
前記ガラス基板及び前記マスク部材を位置決めするストッパと、
前記マスク部材に対して前記保持用磁石よりも先に吸着力を作用させて前記マスク部材を前記ストッパに誘導可能な先付用磁石と
を備えることを特徴とする成膜用治具。 - 請求項7に記載の成膜用治具において、
前記先付用磁石の平坦面での磁力は、前記保持用磁石の端面での磁力よりも大きいことを特徴とする成膜用治具。 - 請求項1〜8の何れか1項に記載の成膜用治具において、
前記成膜処理は、加熱処理を含むことを特徴とする成膜用治具。
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CN109369029A (zh) * | 2018-12-18 | 2019-02-22 | 深圳市三鑫精美特玻璃有限公司 | 一种镀膜玻璃无夹印夹具 |
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2016
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CN109369029A (zh) * | 2018-12-18 | 2019-02-22 | 深圳市三鑫精美特玻璃有限公司 | 一种镀膜玻璃无夹印夹具 |
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