JP2018104503A - 熱可塑性ポリウレタン及び成形物の製造方法 - Google Patents

熱可塑性ポリウレタン及び成形物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2018104503A
JP2018104503A JP2016249974A JP2016249974A JP2018104503A JP 2018104503 A JP2018104503 A JP 2018104503A JP 2016249974 A JP2016249974 A JP 2016249974A JP 2016249974 A JP2016249974 A JP 2016249974A JP 2018104503 A JP2018104503 A JP 2018104503A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thermoplastic polyurethane
naphthalene diisocyanate
isocyanate
ndi
injection molding
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016249974A
Other languages
English (en)
Inventor
浩司 西口
Koji Nishiguchi
浩司 西口
克哉 下妻
Katsuya Shimotsuma
克哉 下妻
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nok Corp
Original Assignee
Nok Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nok Corp filed Critical Nok Corp
Priority to JP2016249974A priority Critical patent/JP2018104503A/ja
Publication of JP2018104503A publication Critical patent/JP2018104503A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】圧縮永久ひずみや耐摩耗性といった材料物性に優れ、射出成形時の物性低下を防止できる熱可塑性ポリウレタン及び成形物の製造方法を提供すること
【解決手段】本発明の熱可塑性ポリウレタンは、イソシアネートとポリオールとを重合してなり、前記イソシアネートとして、1,5−ナフタレンジイソシアネートと2,6−ナフタレンジイソシアネートとが併用される熱可塑性ポリウレタンであり、前記熱可塑性ポリウレタンにおけるイソシアネートとして1,5−ナフタレンジイソシアネートのみを用い、且つ、その全量が、前記1,5−ナフタレンジイソシアネートと前記2,6−ナフタレンジイソシアネートとの全量と同一である場合に比べて、軟化点を低下せしめてなることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱可塑性ポリウレタン及び成形物の製造方法に関し、より詳しくは、圧縮永久ひずみや耐摩耗性といった材料物性に優れ、射出成形時の物性低下を防止できる熱可塑性ポリウレタン及び成形物の製造方法に関する。
特許文献1には、熱可塑性ポリウレタンを200℃から230℃程度まで加熱し、射出成形によりシール部材を得ることが開示されている。
本出願人は、特許文献2において、熱可塑性ポリウレタンのイソシアネートとして4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(略称MDI)を用いた射出成形用ポリウレタンを開示している。
特開2006−057834号公報 特開2011−184667号公報
本発明の発明者の実験により、熱可塑性ポリウレタン(略称TPU)のイソシアネートとして、1,5−ナフタレンジイソシアネート(略称1,5−NDI)を用いると、圧縮永久ひずみや耐摩耗性といった材料物性を向上できることがわかった。
これは、剛直で分子対称性に優れる1,5−NDIに由来するハードセグメント(HS)が、水素結合を介して凝集することで、良好な物理架橋点を形成することによるものと推察される。
熱可塑性ポリウレタンにおいて、1,5−NDIに由来するHSの凝集性や結晶性は、HS結晶部の融点を上昇させる。その結果、1,5−NDI系熱可塑性ポリウレタンは、軟化点(フロー融点又は結晶化温度として測定可能)が高くなる。
射出成形では、加熱溶融(軟化)させた材料を金型内に射出注入して成形物を得る。このとき、1,5−NDI系ポリウレタンは軟化点が高いため加熱温度を高くする必要があり、熱分解による物性低下を招き易いことがわかった。
即ち、1,5−NDI系ポリウレタンは、圧縮永久ひずみや耐摩耗性といった材料物性に優れる一方で、成形方法は注型成形などに限られるため、汎用性が低いという新たな課題が見出された。
そこで本発明の課題は、圧縮永久ひずみや耐摩耗性といった材料物性に優れ、射出成形時の物性低下を防止できる熱可塑性ポリウレタン及び成形物の製造方法を提供することにある。
また本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
上記課題を解決する第一発明は、イソシアネートとポリオールとを重合してなり、前記イソシアネートとして、1,5−ナフタレンジイソシアネートと2,6−ナフタレンジイソシアネートとが併用される熱可塑性ポリウレタンであり、前記熱可塑性ポリウレタンにおけるイソシアネートとして、1,5−ナフタレンジイソシアネートのみを用い、且つ、その全量が前記1,5−ナフタレンジイソシアネートと前記2,6−ナフタレンジイソシアネートとの全量と同一である場合に比べて、軟化点を低下せしめてなることを特徴とする熱可塑性ポリウレタンである。ここで、前記1,5−ナフタレンジイソシアネートと前記2,6−ナフタレンジイソシアネートの重量比(1,5−ナフタレンジイソシアネート:2,6−ナフタレンジイソシアネート)が、99:1〜1:99の範囲であることが好ましい。前記軟化点が、フロー融点又は結晶化温度であることが好ましい。前記イソシアネートと前記ポリオールとを重合してなるプレポリマーが鎖延長剤によって鎖延長されてなることが好ましい。
上記課題を解決する第二発明は、前記熱可塑性ポリウレタンを射出成形して成形物を得ることを特徴とする成形物の製造方法である。前記成形物はシール部材であることが好ましい。
本発明によれば、圧縮永久ひずみや耐摩耗性といった材料物性に優れ、射出成形時の物性低下を防止できる熱可塑性ポリウレタン及び成形物の製造方法を提供することができる。
熱可塑性ポリウレタン成形物の物性の成形温度依存性を示すグラフ 実施例及び比較例のDSC曲線
以下に、本発明を実施するための形態について詳しく説明する。
熱可塑性ポリウレタンは、イソシアネートとポリオールとを重合して得ることができる。
本発明では、イソシアネートとして、イソシアネート基の置換位置が互いに異なる異性体の関係にある複数のナフタレンジイソシアネート(略称NDI)を併用する。特に、1,5−NDIと2,6−ナフタレンジイソシアネート(略称2,6−NDI)とを併用する。
かかる熱可塑性ポリウレタンは、イソシアネートとして1,5−ナフタレンジイソシアネートのみを用い、且つ、その全量が、前記1,5−ナフタレンジイソシアネートと前記2,6−ナフタレンジイソシアネートとの全量と同一である場合に比べて、軟化点を低下せしめてなる。
本発明における軟化点の低下の程度は、格別限定されるものではないが、好ましくは、1,5−ナフタレンジイソシアネートのみを用いた場合よりも10℃以上低く、さらに好ましくは、30℃以上低いとよい。
このとき、軟化点は、熱分解温度未満である。熱分解温度は、熱可塑性ポリウレタンを構成するモノマーの種類によって変動し得るが、後述するような方法で測定することができる。本発明者の試験よって、1,5−NDIを含有する熱可塑性ポリウレタンは、230℃程度において熱分解が始まることが確認されているため、熱分解温度は230℃程度であることがわかっている。
軟化点を低下せしめることにより、射出成形時の加熱温度を、より低温に設定できるため、熱分解を確実に防止することができる。これにより、物性低下が防止された射出成形を実現できる。更に、NDI特有の優れた圧縮永久ひずみや耐摩耗性といった材料物性は、良好に維持される。
1,5−NDI系ポリウレタンの高い結晶性は、1,5−NDIのナフタレン環の平面構造により容易にパッキングが可能であることに起因すると考えられるが、連鎖中に異性体(2,6−NDI)を導入することで、結晶化速度が低下し、上述した効果が発揮されるものと推察される。
本発明の効果をより顕著に発揮する観点で、1,5−NDIと2,6−NDIの重量比(1,5−NDI:2,6−NDI)は、99:1〜1:99の範囲であることが好ましく、90:10〜10:90の範囲であることが更に好ましい。
本発明の効果を損なわない範囲で、イソシアネートとして、上記したもの以外の他のイソシアネートを更に併用してもよい。他のイソシアネートは、例えばジイソシアネート(ジイソシアネート化合物あるいはジイソシアネート類ともいう)のような複数のイソシアネート基を有するイソシアネートから選択することができる。
ポリオールは格別限定されず、例えばポリカプロラクトングリコール等のジオール(ジオール化合物あるいはジオール類ともいう)を用いることができる。
イソシアネートとして、1,5−NDIと2,6−NDIとが併用されることにより、熱可塑性ポリウレタンの軟化点を、1,5−NDIを単独で同量用いた場合に比べて低下せしめることができる。このとき、軟化点は、熱分解温度よりも十分に低下していることになる。この結果、射出成形時の熱分解を確実に防止でき、物性低下を確実に防止できる。
特に好ましい態様として、熱可塑性ポリウレタンを軟化点以上、且つ熱分解温度未満の温度で加熱して、射出成形に供することができる。
軟化点はフロー融点又は結晶化温度として測定できる。フロー融点はJIS K7210:1999に準拠して測定することができ、結晶化温度はDSC測定(降温)により測定することができる。
熱分解温度は、射出成形時の成形温度と、成形物の物性との関係から判断することができる。具体的には、JIS K6251:2010に準拠して測定される成形物の引張強さ(MPa)の低下が始まる成形温度を熱分解温度と判断することができる。あるいは、JIS K6262:2013に準拠して測定される成形物の圧縮永久ひずみ(CS;80℃×70h)の増加が始まる成形温度を熱分解温度と判断することもできる。
熱分解温度の測定例として、イソシアネートとして4,4’−ジイソシアネート−3,3’−ジメチルビフェニル(略称TODI)を用いた熱可塑性ポリウレタン成形物の物性の成形温度依存性を図1に示す。図1のグラフにおいて、横軸は射出成形時の成形温度であり、縦軸は物性(引張強さのプロットは○、圧縮永久ひずみのプロットは◇である。)である。この例では、235℃において、成形物の引張強さの低下、及び、成形物の圧縮永久ひずみの増加が始まることが示された。従って、このような場合、熱分解温度は235℃であると判断される。
熱可塑性ポリウレタンは、イソシアネートとポリオールとを重合してなるプレポリマーが鎖延長剤によって鎖延長されてなることが好ましい。即ち、好ましい態様において、熱可塑性ポリウレタンは、イソシアネートとポリオールとを重合させて得られたプレポリマーに、鎖延長剤(鎖伸長剤)を加えて鎖延長反応(鎖伸長反応)を行って得られる。鎖延長剤はプレポリマーの鎖を延長できるものであれば格別限定されないが、例えば1,4−ブタンジオール等のジオールを用いることができる。
鎖延長剤の使用は必須ではなく、他の態様において、熱可塑性ポリウレタンは、イソシアネートとポリオールとを重合してなるポリマー自体であってもよい。
以上に説明した熱可塑性ポリウレタンは成形の汎用性(特に溶融時の成形加工性)が高く、種々の成形方法、好ましくは熱可塑性ポリウレタンを軟化(溶融)させる工程を経る成形方法を適用して、成形物を得ることができる。特に熱可塑性ポリウレタンを射出成形に供することによって、成形物を製造することが好ましい。
射出成形の後、成形物に所定時間の熱処理を施してもよい。
成形物は格別限定されないが、圧縮永久ひずみや耐摩耗性といった材料物性に優れ、射出成形可能であるという効果を顕著に発揮させる観点で、例えばシール部材、特にパッキンのような動的シール(摺動シール)部材等を好ましく挙げることができる。
以下に、本発明の実施例について説明するが、本発明はかかる実施例により限定されない。
1.注型成形試験
下記実施例1及び比較例1、2では、ポリウレタンの鎖長を揃えた条件で材料特性を比較するためにポリウレタン原料のイソシアネート/ポリオールのモル比を各例で同じにして、注型ポリウレタンを合成した。
下記実施例1及び比較例1、2で注型成形を用いるのは、比較例1のポリウレタンのフロー融点が高く、該フロー融点以上に加熱する射出成形を適用すると、熱分解に起因するポリウレタンの劣化により材料特性を適正に評価できないからである。
(実施例1)
ポリオールであるポリカプロラクトングリコール(略称PCL、数平均分子量Mn=2000)100重量部に、イソシアネート/ポリオールのモル比が3.0となるように、イソシアネートである1,5−NDI 16重量部及び2,6−NDI 16重量部を加え、所定の時間反応させることで、末端イソシアネートプレポリマー並びに1,5−NDI及び2,6−NDIの混合物を得た。
次に、この混合物に、NCO Indexが1.05となるように、鎖延長剤である1,4−ブタンジオール(略称BD)を加え、撹拌した後、120℃の金型へ流し込み、シート状のポリウレタンを得た。このシート状のポリウレタンに熱処理を施したものを試験片とした。
NCO Indexは、ポリオールの水酸基(−OH基)に対するイソシアネートのイソシアネート基(−NCO基)の当量比であり、ポリウレタン原料に基づいて算出することができる。ここでは、NCO Index(−)=[NCO]/([OH]PCL+[OH]BD)で表される。[NCO]はイソシアネートのイソシアネート基(−NCO基)のモル濃度、[OH]PCLはポリカプロラクトングリコールの水酸基(−OH基)のモル濃度、[OH]BDは1,4−ブタンジオールの水酸基(−OH基)のモル濃度である。
(比較例1)
実施例1において、プレポリマーの合成に際して2,6−NDIの添加を省略し、イソシアネート/ポリオールのモル比が3.0となるように、1,5−NDI 32重量部を添加したこと以外は、実施例1と同様にして、試験片を得た。
(比較例2)
実施例1において、プレポリマーの合成に際して1,5−NDI及び2,6−NDIの添加を省略し、イソシアネート/ポリオールのモル比が3.0となるように、4,4’−ジイソシアネート−3,3’−ジメチルビフェニル(略称TODI) 40重量部を添加したこと以外は、実施例1と同様にして、試験片を得た。
<評価方法:材料特性>
(1)硬さ(Shore A)
JIS K6253:1997に準拠して試験片の硬さ(Shore A:瞬時)(−)を測定した。
(2)100%モジュラス
JIS K6251:2010に準拠して試験片の100%モジュラス(引張応力)(MPa)を測定した。
(3)引張強さ
JIS K6251:2010に準拠して試験片の引張強さ(MPa)を測定した。
(4)切断時伸び
JIS K6251:2010に準拠して試験片の切断時伸び(%)を測定した。
(5)圧縮永久ひずみ(CS;80℃×70h)
JIS K6262:2013に準拠して試験片(厚さ2mmのシートを3枚積層した)の圧縮永久ひずみ(CS;80℃×70h)(%)を測定した。
(6)比摩耗量
鈴木式摩擦摩耗試験により試験片の比摩耗量(mm/(N・mm))を測定した。測定条件は、圧力(面圧)0.73MPa、線速度96mm/sec、相手材SUS304とした。
(7)フロー融点
JIS K7210:1999に準拠して試験片のフロー融点(℃)を測定した。測定条件は、昇温速度3℃/minとした。
(8)熱特性(DSC)
試験片のDSC測定(示差走査熱量測定)を行って図2(A)に示すDSC曲線を得た。測定条件は、昇温速度10℃/min、温度範囲−100℃〜+300℃、N雰囲気下とした。
以上の結果を表1に示す。
Figure 2018104503
<評価>
まず、イソシアネートとしてNDIを用いていない比較例2は、フロー融点が低いため射出成形への適性を有するが、圧縮永久ひずみ及び比摩耗量に劣ることがわかる。
一方、イソシアネートとして1,5−NDIを単独で用いた比較例1は、比較例2との対比で、圧縮永久ひずみ及び比摩耗量が改善されることがわかる。しかし、比較例1のフロー融点(軟化点)は228℃であり、熱分解温度(230℃程度)とほぼ差異がない。このような物質に射出成形を適用しようとすると、軟化に際して熱分解による物性低下が懸念される。
これに対して、イソシアネートとして1,5−NDIと2,6−NDIを併用した実施例1は、フロー融点(軟化点)が196℃であり、比較例1のフロー融点(軟化点)よりも、30℃以上軟化点が低下している。このようにフロー融点(軟化点)が大幅に低下し、該軟化点が熱分解温度(230℃程度)よりも十分に低い値であるため、射出成形適性に優れることがわかる。
更に、実施例1の圧縮永久ひずみや比摩耗量は、比較例2よりも優れ、比較例1との対比でも良好に維持されることがわかる。
このような効果が得られる理由として、比較例1における高い結晶性が、実施例1では好適に抑制されていることが推定される。この点については、図2(a)に示した熱特性(DSC)より裏付けられる。即ち、図2(a)の点線で囲んだ温度領域(230℃〜300℃)に着目すると、実施例1では比較例1と比べて吸熱ピーク面積が大幅に減少している。この吸熱ピーク面積の低下は、実施例1における結晶性の抑制を裏付けている。また、実施例1では、比較例1よりもゴムの硬さが低下しており、このことからも、実施例1における結晶性の抑制が裏付けられる。
以上より、1,5−NDI系ポリウレタンは、結晶性が高いため材料物性は優れるが、射出成形に伴う溶融時の成形加工性が懸念される。これに対して、1,5−NDI/2,6−NDI系ポリウレタンは、結晶性が好適に抑制され、良好な材料物性及び溶融時の成形加工性(射出成形適性)を有することが示された。特に、実施例1は、比較熱可塑性ポリウレタン(比較例1)と比べてフロー融点(軟化点)が大幅に低下し、熱分解温度(230℃程度)よりも十分に低い値であることから、射出成形時の物性低下を抑制することができる。このとき、圧縮永久ひずみや比摩耗量は、好適に維持される。
2.射出成形試験
(実施例2)
ポリオールであるポリカプロラクトングリコール(数平均分子量Mn=2000)100重量部に、イソシアネートである1,5−NDI 16重量部及び2,6−NDI 16重量部を加え、所定の時間反応させることで、末端イソシアネートプレポリマー並びに1,5−NDI及び2,6−NDIの混合物を得た。
次に、この混合物に、NCO Indexが1.10となるように、鎖延長剤である1,4−ブタンジオールを加え、撹拌した後、120℃の熱盤へ流し込み、硬化させてポリウレタン板生地を得た。
次に、このポリウレタン板生地を粉砕し、1週間熟成させた後、射出成形(温度:212℃)によりポリウレタン成形物を得た。このポリウレタン成形物に熱処理を施したものを試験片とした。
(比較例3)
実施例2において、プレポリマーの合成に際して1,5−NDI及び2,6−NDIの添加を省略し、イソシアネート/ポリオールのモル比が3.0となるように、4,4’−ジイソシアネート−3,3’−ジメチルビフェニル 40重量部を添加し、射出成形の温度を207℃としたこと以外は、実施例2と同様にして、試験片を得た。
<評価方法;材料特性>
実施例1と同様にして、試験片について、(1)硬さ(Shore A)、(2)100%モジュラス、(3)引張強さ、(4)切断時伸び、(5)圧縮永久ひずみ(CS;80℃×70h)、(6)比摩耗量及び(7)フロー融点を評価した。更に、試験片について下記のガラス転移温度及び結晶化温度を測定した。
(9)ガラス転移温度(DSC)
試験片のDSC測定を行って、図2(b)に示すDSC曲線を得ると共に、ガラス転移温度(℃)を測定した。測定条件は、昇温速度10℃/min、温度範囲−100℃〜+300℃、N雰囲気下とした。
(10)結晶化温度(DSC)
試験片を220℃(溶融状態)に保温した後、DSC測定(降温)を行って、結晶化温度(℃)を測定した。測定条件は、降温速度10℃/min、N雰囲気下とした。
以上の結果を表2に示す。
Figure 2018104503
表2より、1,5−NDIと2,6−NDIを併用した実施例2では、物性低下を防止しながら、射出成形可能であることがわかる。特に、実施例2と比較例3との対比で、実施例2では、良好な圧縮永久ひずみ及び比摩耗量が保持されていることがわかる。また、実施例2を、表1に示した実施例1と比較しても、良好な圧縮永久ひずみ及び比摩耗量が保持されていることがわかる。
以上の結果からも、1,5−NDIと2,6−NDIを併用することによって軟化点が熱分解温度(230℃程度)よりも低く、射出成形後も良好な圧縮永久ひずみ及び比摩耗量が保持されていることが示されたため、本発明によって、射出成形に伴う物性低下(熱分解)を防止できることがわかる。

Claims (6)

  1. イソシアネートとポリオールとを重合してなり、
    前記イソシアネートとして、1,5−ナフタレンジイソシアネートと2,6−ナフタレンジイソシアネートとが併用される熱可塑性ポリウレタンであり、
    前記熱可塑性ポリウレタンにおけるイソシアネートとして1,5−ナフタレンジイソシアネートのみを用い、且つ、その全量が、前記1,5−ナフタレンジイソシアネートと前記2,6−ナフタレンジイソシアネートとの全量と同一である場合に比べて、軟化点を低下せしめてなることを特徴とする熱可塑性ポリウレタン。
  2. 前記1,5−ナフタレンジイソシアネートと前記2,6−ナフタレンジイソシアネートの重量比(1,5−ナフタレンジイソシアネート:2,6−ナフタレンジイソシアネート)が、99:1〜1:99の範囲であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性ポリウレタン。
  3. 前記軟化点が、フロー融点又は結晶化温度であることを特徴とする請求項1又は2記載の熱可塑性ポリウレタン。
  4. 前記イソシアネートと前記ポリオールとを重合してなるプレポリマーが鎖延長剤によって鎖延長されてなることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の熱可塑性ポリウレタン。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載の熱可塑性ポリウレタンを射出成形して成形物を得ることを特徴とする成形物の製造方法。
  6. 前記成形物はシール部材であることを特徴とする請求項5記載の成形物の製造方法。

JP2016249974A 2016-12-22 2016-12-22 熱可塑性ポリウレタン及び成形物の製造方法 Pending JP2018104503A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016249974A JP2018104503A (ja) 2016-12-22 2016-12-22 熱可塑性ポリウレタン及び成形物の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016249974A JP2018104503A (ja) 2016-12-22 2016-12-22 熱可塑性ポリウレタン及び成形物の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018104503A true JP2018104503A (ja) 2018-07-05

Family

ID=62786539

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016249974A Pending JP2018104503A (ja) 2016-12-22 2016-12-22 熱可塑性ポリウレタン及び成形物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018104503A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Das et al. Structure–property relationships and melt rheology of segmented, non-chain extended polyureas: effect of soft segment molecular weight
JP5684227B2 (ja) ブルームする傾向が低下した熱可塑性ポリウレタン
JP4244067B2 (ja) 熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物、及び熱可塑性ポリエステルエラストマーの製造方法
TWI276643B (en) A process for the preparation of soft, low-shrinkage, thermoplastic polyurethane elastomers which can be easily released from the mold
US20060293487A1 (en) Polyurethanes, polyurethaneureas and polyureas and use thereof
ES2635038T5 (es) Composición de prepolímero de isocianato y poliuretano reticulado preparado a partir de la misma
JPWO2005116102A1 (ja) ポリウレタンエラストマーおよびその製造方法
JP6084465B2 (ja) 溶融加工処理可能なコポリエーテルアミドエラストマー
TW201307416A (zh) 具有降低起霧傾向之源自生物基質二醇之熱塑性聚胺甲酸酯
TW200946552A (en) Amine-cured polyurethane/polyurea elastomers based on 2,4'-diphenylmethane diisocyanate prepolymers and the production thereof
TW200911863A (en) Process for the preparation of thermoplastic polyurethanes based on 1,5-naphthalene-diisocyanate
JP2012530826A (ja) 軟質熱可塑性ポリウレタンからなるポリウレタン
KR20200128396A (ko) 열가소성 폴리우레탄 조성물
JP2020128461A (ja) ポリウレタンエラストマー及びその製造方法
Tuan Ismail et al. Thermal and mechanical properties of thermoplastic urethanes made from crystalline and amorphous azelate polyols
JP5609460B2 (ja) 熱可塑性ポリウレタンエラストマーの製造法
JPS62275117A (ja) 高分子量プレポリマ−からポリウレタンエラストマ−を製造する方法及びその方法で使用する半プレポリマ−
JP2018528318A (ja) 熱可塑性ポリウレタン
KR20090082249A (ko) 우레탄 엘라스토머 형성성 조성물
JP2018104503A (ja) 熱可塑性ポリウレタン及び成形物の製造方法
CH636079A5 (it) Procedimento per l'ottenimento di diesterediammidi e loro utilizzazione.
JPH06228258A (ja) 熱可塑性ポリウレタンおよびその製造方法
KR101304098B1 (ko) 연성 폴리락틱산 수지 조성물 및 그 제조방법
JP6189630B2 (ja) ステレオコンプレックス結晶性ポリ乳酸プレポリマー組成物
KR20080045452A (ko) 탄성회복이 우수한 지방족 열가소성 폴리 우레탄 수지조성물 및 이를 이용한 폴리우레탄 수지의 제조방법

Legal Events

Date Code Title Description
RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20181116

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191107

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200923

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200928

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20210405