JP2018103488A - 液滴吐出装置の温度制御方法、液滴吐出装置および三次元造形装置 - Google Patents
液滴吐出装置の温度制御方法、液滴吐出装置および三次元造形装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】吐出ヘッド等の液滴吐出装置において、適切な温度上昇率で温度調節を行うことができる技術を提供する。【解決手段】内部に液体を貯留し、複数のノズルから液体の液滴を吐出する液滴吐出装置の温度制御方法では、a)ヒータ出力を所定の初期出力値として、所定の初期昇温時間、前記液体の加熱を行う工程(ステップS201)の後に、b)液体の最新の計測温度と目標温度との温度差ΔTが一定値よりも大きい場合に、k=(目標温度変化率)/(計測温度変化率)として係数kを算出する工程(ステップS204)と、c)ヒータ出力を、工程b)において算出した前記係数kと現在の前記ヒータ出力とを乗じた値に変更する工程(ステップS210)とを繰り返し行う。これにより、迅速に、かつ、急激な温度上昇をすることなく、適切な温度上昇率で温度調節を行うことができる。【選択図】図7
Description
本発明は、液滴吐出装置と、当該液滴吐出装置を備えた三次元造形装置と、液滴吐出装置の温度制御方法とに関する。
近年、3Dプリンティング等の三次元造形技術が急速に普及している。三次元造形により得られる造形物は、例えば、工業製品の試作品、展示品、医療用模型などに利用される。三次元造形の方式としては、インクジェット方式、光造形方式、粉末方式等が知られている。
一般的に、インクジェット方式の三次元造形装置は、吐出ヘッドから造形材を吐出することで材料層を形成し、当該材料層を積み重ねることで、指定された立体形状の造形物を製造する。具体的には、造形ステージ上に紫外線硬化型の造形材を吐出することで材料層を形成する。そして、当該材料層に紫外線を照射することで、材料層を硬化させる。このような、造形材の吐出処理および照射部による紫外線照射処理を繰り返すことで、造形ステージ上に造形物が形成される。インクジェット方式の三次元造形技術については、例えば、特許文献1に記載される。
特許文献1に記載の三次元造形装置は、最終的に得られる最終造形物となるモデル材を吐出するモデル材吐出ヘッドと、最終造形物を支持するサポート部を形成するサポート材を吐出するサポート材吐出ヘッドと、液状のモデル材または液状のサポート材に紫外光を照射して硬化させるUVランプとを備える。
特許文献1に記載の三次元造形装置では、吐出ヘッドが、モデル材やサポート材のような造形材を複数のノズルから吐出する。吐出ヘッドから吐出される液状のモデル材やサポート材は、種類によっては室温における粘度が高く、吐出ヘッドに貯留される造形材を、室温よりも高い温度に温度調節しておくことが好ましいものがある。
吐出ヘッドに貯留される造形材を目標温度まで加熱する場合、温度上昇率が大きすぎたり、加熱しすぎたりすると、吐出ヘッド内の圧力発生素子等の部品が壊れる虞がある。一方、温度上昇率を小さくすると、造形材が目標温度に達するまでに時間がかかるという問題が生じる。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、吐出ヘッド等の液滴吐出装置において、適切な温度上昇率で温度調節を行うことができる技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、内部に液体を貯留し、複数のノズルから前記液体の液滴を吐出する液滴吐出装置の温度制御方法であって、a)ヒータ出力を所定の初期出力値として、所定の初期昇温時間、前記液体の加熱を行う工程と、b)前記工程a)の後であって、前記液体の最新の計測温度と目標温度との温度差ΔTが一定値よりも大きい場合に、k=(目標温度変化率)/(計測温度変化率)として係数kを算出する工程と、c)前記工程b)の後であって、前記ヒータ出力を、前記工程b)において算出した前記係数kと現在の前記ヒータ出力とを乗じた値に変更する工程と、を有し、前記工程b)と前記工程c)とを繰り返し行う。
本願の第2発明は、第1発明の温度制御方法であって、d)前記工程a)の後であって、前記温度差ΔTが前記一定値よりも小さい場合に、k=(緩傾温度変化率)/(前記計測温度変化率)として前記係数kを算出する工程と、e)前記工程d)の後であって、前記ヒータ出力を、前記工程d)において算出した前記係数kと現在の前記ヒータ出力とを乗じた値に変更する工程と、をさらに有し、前記工程d)において、前記緩傾温度変化率は、前記目標温度変化率よりも小さい。
本願の第3発明は、第2発明の温度制御方法であって、前記工程d)において、前記緩傾温度変化率は、前記温度差ΔTに比例する。
本願の第4発明は、第3発明の温度制御方法であって、前記緩傾温度変化率は、所定の間隔で算出され、更新される。
本願の第5発明は、内部に液体を貯留し、複数のノズルから前記液体の液滴を吐出する液滴吐出装置であって、前記ノズルのそれぞれと連通し、内部に前記液体を貯留する複数の圧力室と、前記圧力室のそれぞれの内部に配置された複数の圧力発生素子と、前記液体を加熱するヒータと、前記液体の温度を検出するセンサと、各部を制御する制御部と、を有する。前記制御部は、前記ヒータのヒータ出力を所定の初期出力値として、所定の初期昇温時間、前記液体の加熱を行った後、前記ヒータ出力を、係数kと現在の前記ヒータ出力とを乗じた値に更新しつつ、前記ヒータを駆動させる。前記係数kは、前記液体の最新の計測温度と目標温度との温度差ΔTが一定値よりも大きい場合に、k=(目標温度変化率)/(計測温度変化率)として算出される。
本願の第6発明は、第5発明の液滴吐出装置であって、前記係数kは、前記温度差ΔTが前記一定値よりも小さい場合に、k=(緩傾温度変化率)/(前記計測温度変化率)として算出され、前記緩傾温度変化率は、前記目標温度変化率よりも小さい。
本願の第7発明は、第6発明の温度制御方法であって、前記緩傾温度変化率は、前記温度差ΔTに比例し、かつ、所定の間隔で算出および更新される。
本願の第8発明は、造形材を積層して立体物を形成する三次元造形装置であって、
液状の造形材を造形ステージ上に吐出する、第5発明ないし第7発明のいずれかの液滴吐出装置と、前記造形材を硬化させる硬化部と、前記造形ステージを前記液滴吐出装置および前記硬化部に対して相対的に移動する移動機構と、を有する。
液状の造形材を造形ステージ上に吐出する、第5発明ないし第7発明のいずれかの液滴吐出装置と、前記造形材を硬化させる硬化部と、前記造形ステージを前記液滴吐出装置および前記硬化部に対して相対的に移動する移動機構と、を有する。
本願の第1発明〜第8発明によれば、目標温度変化率と計測温度変化率との比である係数kを用いてヒータ出力値を決定することにより、迅速に、かつ、急激な温度上昇をすることなく、適切な温度上昇率で造形材の温度調節を行うことができる。
特に、本願の第2発明および第6発明によれば、計測温度が目標温度に近づいた際に、温度変化率を小さくする。これにより、吐出ヘッドの温度が目標温度を大きく上回ることを抑制できる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
<1.三次元造形装置の構成>
図1は、一実施形態に係る三次元造形装置1の構成を示した図である。この三次元造形装置1は、搬入装置11、積層装置10、搬送装置12、洗浄装置13、および搬出装置14を有する。
図1は、一実施形態に係る三次元造形装置1の構成を示した図である。この三次元造形装置1は、搬入装置11、積層装置10、搬送装置12、洗浄装置13、および搬出装置14を有する。
搬入装置11は、後述する造形ステージSを積層装置10に搬送する装置である。搬入装置11は、第1搬送機構110を有する。第1搬送機構110は、例えば、ロボット機構、ローラ機構等により構成される。ただし、第1搬送機構110は、他の機構により構成されていてもよい。造形ステージSは、外部から搬入装置11内に搬入されると、第1搬送機構110により、積層装置10に搬送される。なお、積層装置10の構成については、後述する。
搬送装置12は、造形ステージSを積層装置10から洗浄装置13へと搬送する装置である。搬送装置12は、第2搬送機構120を有する。第2搬送機構120は、例えば、ロボット機構、ローラ機構等により構成される。ただし、第2搬送機構120は、他の機構により構成されていてもよい。積層装置10により、造形ステージSの上面にモデル材とサポート材とを積層させて成る立体物9が形成されると、造形ステージSは、第2搬送機構120により洗浄装置13に搬送される。
洗浄装置13は、立体物9からサポート材を除去する装置である。洗浄装置13は、薬液132に満たされた処理槽131を有する。造形ステージSが洗浄装置13内に搬入されると、立体物9は、処理槽131の薬液132内に浸漬される。これにより、立体物9からサポート材が除去される。その結果、造形ステージSの上面にモデル材から成る最終造形物900が形成される。
搬出装置14は、造形ステージSを洗浄装置13から三次元造形装置1の外部へと搬出する装置である。搬出装置14は、第3搬送機構140を有する。第3搬送機構140は、例えば、ロボット機構、ローラ機構等により構成される。ただし、第3搬送機構140は、他の機構により構成されていてもよい。洗浄装置13において立体物9からサポート材が除去された後、造形ステージSは、搬出装置14の第3搬送機構140により、装置外部へと搬出される。
<2.積層装置の構成>
次に、積層装置10の構成について説明する。図2は、本実施形態に係る積層装置10の構成を示した図である。なお、ここでは、水平方向に延びる搬送方向に沿って往復移動する造形ステージの、往路方向を前方とし、復路方向を後方として、各部の位置関係を説明する。ただし、この前後方向の定義によって、積層装置10および三次元造形装置1の向きを限定する意図はない。
次に、積層装置10の構成について説明する。図2は、本実施形態に係る積層装置10の構成を示した図である。なお、ここでは、水平方向に延びる搬送方向に沿って往復移動する造形ステージの、往路方向を前方とし、復路方向を後方として、各部の位置関係を説明する。ただし、この前後方向の定義によって、積層装置10および三次元造形装置1の向きを限定する意図はない。
この積層装置10は、三次元造形における最終造形物900の製造工程において、造形材であるモデル材およびサポート材からなる立体物9を形成する装置である。本実施形態のモデル材およびサポート材は、いずれも紫外線硬化型の材料である。モデル材は、目的とする最終造形物900を構成する造形材である。サポート材は、造形物の製造中にモデル材が崩れたり撓んだりすることを防止するために、モデル材を支持する造形材である。立体物9は、モデル材およびサポート材からなる材料層を積層することで形成される。
図2に示すように、本実施形態の積層装置10は、積層部20、ローラ部30、照射部40、昇降機構50、移動機構60および制御部100を有する。
積層部20は、搬入装置11から搬入された造形ステージS上にモデル材およびサポート材からなる材料層90を積層し、材料層90を形成する。造形ステージSは、材料層90を支持する支持台である。造形ステージSは、水平に拡がる上面を有する。図2の矢印および破線矢印に示すように、造形ステージSは、昇降機構50および移動機構60により前後方向および下方へ移動する。そして、造形ステージSが移動している間に、その上面に、モデル材およびサポート材からなる材料層90が順次積層形成される。これにより、造形ステージSの上面に立体物9が形成される。なお、後述する紫外線の反射を抑制するために、造形ステージSの表面は、黒色の被膜処理や、黒色フィルムの貼り付け等の、反射防止処理がされていてもよい。
積層部20は、造形ステージS上に液状の造形材(モデル材およびサポート材)を吐出することで、造形ステージSの上面に材料層90を形成する。積層部20は、第1吐出ヘッド21と、第1吐出ヘッド21よりも前方に配置された第2吐出ヘッド22とを有する。第1吐出ヘッド21および第2吐出ヘッド22はそれぞれ、造形ステージSの搬送経路の上方に配置される。第1吐出ヘッド21および第2吐出ヘッド22はそれぞれ、搬送方向である前後方向に相対的に移動する造形ステージSに対して、幅方向(搬送方向に対して直交する水平方向)に配列された複数のノズルから造形材の液滴を選択的に吐出する液滴吐出装置である。第1吐出ヘッド21は、モデル材の液滴を吐出する。また、第2吐出ヘッド22は、サポート材の液滴を吐出する。各吐出ヘッド21,22の詳細な構成については、後述する。
ローラ部30は、第1ローラ31と、第2ローラ32とを有する。第1ローラ31および第2ローラ32はそれぞれ、円筒状の外周面を有する回転体である。ローラ31,32の材料には、例えば、材料層90を構成するモデル材およびサポート材よりも硬度の高いSUS等の金属が用いられる。第1ローラ31は、第1吐出ヘッド21の前方かつ照射部40の後方に配置される。第2ローラ32は、第2吐出ヘッド22の後方かつ照射部40の前方に配置される。
ローラ31,32はそれぞれ、水平に延びる回転軸を中心として、回転可能に支持される。ローラ31,32は、例えば、図示を省略したモータ等の駆動源と接続されている。そして、当該モータを駆動させると、当該モータの出力軸とともにローラ31,32が回転軸を中心に回転する。ローラ部30は、吐出ヘッド21,22のいずれかが材料層90の最上層に液状の造形材を吐出した後、硬化前に、当該液状の材料層90の上面を平坦化する。平坦化処理を行うときには、造形ステージSを前後方向に移動させて、材料層90の上面にローラ31,32を接触させつつ、ローラ31,32を回転させる。これにより、材料層90の上面は平坦化される。第1ローラ31は、第1吐出ヘッド21の吐出した液状のモデル材の上面を平坦化する。第2ローラ32は、第2吐出ヘッド22の吐出した液状のサポート材の上面を平坦化する。
照射部40は、造形ステージS上の材料層90に硬化処理を行う硬化部である。具体的には、照射部40は、造形ステージSの上面に形成された材料層90に紫外線を照射する。照射部40は、第1吐出ヘッド21および第1ローラ31と、第2吐出ヘッド22および第2ローラ32と、の間に配置される。また、照射部40は、造形ステージSの搬送経路の上方に配置される。
照射部40は、後述する制御部100によって、照射タイミングや発光強度が制御される。照射部40の光源としては、例えば、UVランプが用いられる。ただし、照射部40の光源には、メタルハライドランプ、キセノンランプまたはLEDランプ等を用いてもよい。
昇降機構50は、造形ステージSを上下に移動させる機構である。昇降機構50には、例えば、モータの回転運動をボールねじを介して直進運動に変換する機構が用いられる。造形ステージSは、保持部51上に支持される。保持部51は、ボールねじの外周面に設けられた螺旋状のねじ溝と噛み合うように、ボールねじに取り付けられている。図示を省略したモータを駆動させると、ボールねじがその軸心周りに回転する。これにより、保持部51および造形ステージSが、ボールねじに沿って上下方向に移動する。ただし、昇降機構50には、リニアモータ等の他の機構を用いてもよい。
移動機構60は、造形ステージSを前後方向に往復移動させる機構である。これにより、移動機構60は、造形ステージSと、積層部20、ローラ部30および照射部40とを、搬送方向に相対的に移動させる。本実施形態の移動機構60には、リニアモータ機構が用いられる。リニアモータを駆動すると、移動機構60は、ガイド61に沿って昇降機構50を前後方向に移動させる。なお、移動機構60には、ボールねじ等の他の機構を用いてもよい。
制御部100は、積層装置10内の各部を動作制御するための手段である。図3は、制御部100と、積層装置10内の各部との接続を示したブロック図である。図3中に概念的に示したように、制御部100は、CPU等の演算処理部101、RAM等のメモリ102およびハードディスクドライブ等の記憶部103を有するコンピュータにより構成される。記憶部103内には、積層装置10による各処理を実行するためのコンピュータプログラムPが、インストールされている。
図3に示すように、制御部100は、積層部20の第1吐出ヘッド21および第2吐出ヘッド22と、ローラ部30の第1ローラ31および第2ローラ32と、照射部40と、昇降機構50と、移動機構60と、それぞれ通信可能に接続されている。制御部100は、記憶部103に記憶されたコンピュータプログラムPやデータをメモリ102に一時的に読み出し、当該コンピュータプログラムPに基づいて、演算処理部101が演算処理を行うことにより、上記の各部を動作制御する。これにより、造形ステージSの搬送処理、モデル材およびサポート材の吐出処理、紫外線照射処理および平坦化処理が進行する。
次に、上記の積層装置10による積層処理について、図4を参照しつつ説明する。図4は、本実施形態の積層処理の過程を示したフローチャートである。積層処理を行うときは、予め、製造したい立体物の形状を高さ位置ごとに分割した設計データが制御部100へと入力される。そして、制御部100が、当該設計データに従って、積層処理を行う。これにより、造形ステージS上に立体物9が得られる。
積層処理においては、まず、造形ステージSが初期位置である後方端に配置される(ステップS101)。本実施形態において、後方端は、図2に示すように、第1吐出ヘッド21および第1ローラ31よりも後方である。また、ステップS101では、後方端において、造形ステージSの上面と、第1ローラ31および第2ローラ32の下端部とは、上下方向に材料層1層分の距離を開けて配置される。本実施形態の積層処理においては、移動機構60により造形ステージSを前後方向に搬送しつつ、造形材の積層および硬化を1層分行う。そして、昇降機構50により造形ステージSを造形した層の厚み分下降させる。このような造形材の積層・硬化と、造形ステージSの下降とを繰り返して、積層処理が進行する。
ステップS101において造形ステージSが後方端に配置されると、続いて、移動機構60が、造形ステージSを後方端から前方へ向けて移動させる。これにより、造形ステージSが第1吐出ヘッド21の下方を通過する。第1吐出ヘッド21は、下方を通過する造形ステージSの上面に向けて、分割されたデータに基づいて、モデル材の液滴を吐出する(ステップS102)。これにより、設計データの各高さ位置の形状に応じた1層分のモデル材の層が形成される。当該モデル材の層が、材料層90のうち、最終造形物900となる部位を形成する。
次に、移動機構60は、造形ステージSをさらに前方へと移動させる。これにより、ステップS102で形成された液状のモデル材の層の上面と、第1ローラ31の外周面とが接触する。その結果、モデル材の層の上面が第1ローラ31により平坦化される(ステップS103)。このとき、図2中に矢印で示したように、第1ローラ31は、造形ステージSの前方への移動に逆らう向きに回転している。これにより、モデル材の層を効率的に平坦化できる。
モデル材の層が平坦化されると、続いて、移動機構60は、造形ステージSをさらに前方へと移動させ、照射部40の下方を通過させる。照射部40は、下方を通過する造形ステージSへ向けて紫外線を照射する(ステップS104)。これにより、造形ステージSの上面に形成されたモデル材の層が硬化する。
続いて、移動機構60は造形ステージSをさらに前方へと移動させる。そうすると、造形ステージSは、第2ローラ32の下方を通過する。このとき、硬化後のモデル材の層が第2ローラ32と接触する。そして、引き続き、移動機構60は、造形ステージSを前方へと移動させる。これにより、造形ステージSは、第2吐出ヘッド22の下方を通過する。そして、移動機構60はさらに造形ステージSを前方へと移動させ、造形ステージSが前方端に配置される。
次に、移動機構60は、造形ステージSを前方端から後方へ向けて移動させる。これにより、造形ステージSが第2吐出ヘッド22の下方を通過する。第2吐出ヘッド22は、下方を通過する造形ステージSの上面に向けて、分割されたデータに基づいて、サポート材の液滴を吐出する(ステップS105)。これにより、設計データの各高さ位置の形状に応じた1層分のサポート材の層が形成される。このように、材料層90が形成される。
続いて、移動機構60は、造形ステージSをさらに後方へと移動させる。これにより、ステップS105で形成された液状のサポート材の層の上面と、第2ローラ32の外周面とが接触する。その結果、サポート材の層の上面が第2ローラ32により平坦化される(ステップS106)。このとき、図2中に矢印で示したように、第2ローラ32は、造形ステージSの後方への移動に逆らう向きに回転している。これにより、サポート材の層を効率的に平坦化できる。
サポート材の層が平坦化されると、続いて、移動機構60は、造形ステージSをさらに後方へと移動させ、照射部40の下方を通過させる。照射部40は、下方を通過する造形ステージSへ向けて紫外線を照射する(ステップS107)。これにより、造形ステージSの上面に形成されたサポート材の層が硬化する。
その後、移動機構60は、造形ステージSをさらに後方へと移動させる。そして、第1ローラ31および第1吐出ヘッド21の下方を通過した後、造形ステージSは、後方端へと配置される。そして、後方端において、昇降機構50は、1層分の材料層90の高さだけ、造形ステージSを降下させる。なお、昇降機構50は、ステップS107の後、後方端への移動を行う前に、造形ステージSを照射部40の下方において降下させてもよい。
続いて、制御部100は、積層すべき次の材料層があるか否かを確認する(ステップS109)。そして、積層すべき次の材料層がある場合は、ステップS102に戻り、ステップS102〜S108の処理を繰り返すことにより、材料層をさらに積層する。一方で、全ての材料層の積層が完了すると、積層工程が終了する。
この積層装置10では、2つの吐出ヘッド21,22の間に配置される1つの照射部40により、モデル材およびサポート材の硬化を行っていたが、造形材の硬化処理を行う硬化部は、複数あってもよい。また、この積層装置10では、モデル材を吐出する第1吐出ヘッド21と、サポート材を吐出する第2吐出ヘッド22とは、それぞれ単一であった。しかしながら、第1吐出ヘッド21および第2吐出ヘッド22の数は、それぞれ複数であってもよい。
また、この積層装置10では、吐出ヘッド21,22、ローラ31,32および照射部40を含む処理ユニットの位置が固定されていた。そして、昇降機構50および移動機構60が、造形ステージSを当該処理ユニットに対して移動させていた。しかしながら、固定された造形ステージSに対して処理ユニットが移動する構成であってもよい。
また、本実施形態では、モデル材およびサポート材は紫外線硬化型の材料であった。しかしながら、モデル材およびサポート材は、熱、赤外線、レーザおよびX線等の、紫外線以外のエネルギーにより硬化するエネルギー硬化型の材料であってもよい。そして、照射部は、熱、赤外線、レーザおよびX線等のエネルギー線を照射するものであってもよい。
<3.吐出ヘッドの構成>
続いて、吐出ヘッド21,22の構成について図5および図6を参照しつつ説明する。第2吐出ヘッド22の構成は、第1吐出ヘッド21とほぼ同等であるため、ここでは、第1吐出ヘッド21の構成について説明する。図5および図6は、本実施形態に係る第1吐出ヘッド21の構成を示した概略断面図である。図6は、図5中に示したA−A’断面における第1吐出ヘッド21の断面図である。図5および図6は、第1吐出ヘッド21の主要な要素を示した概略図であり、実際の第1吐出ヘッド21とは、貯留室72の個数、圧力室73およびノズル70の個数、および、各要素の配置が異なる。
続いて、吐出ヘッド21,22の構成について図5および図6を参照しつつ説明する。第2吐出ヘッド22の構成は、第1吐出ヘッド21とほぼ同等であるため、ここでは、第1吐出ヘッド21の構成について説明する。図5および図6は、本実施形態に係る第1吐出ヘッド21の構成を示した概略断面図である。図6は、図5中に示したA−A’断面における第1吐出ヘッド21の断面図である。図5および図6は、第1吐出ヘッド21の主要な要素を示した概略図であり、実際の第1吐出ヘッド21とは、貯留室72の個数、圧力室73およびノズル70の個数、および、各要素の配置が異なる。
図5および図6に示すように、第1吐出ヘッド21は、筐体71と、筐体71内に設けられた貯留室72および複数の圧力室73と、各圧力室73内に備えられた圧力発生素子74と、ヒータ75と、温度センサ76と、を有する。
貯留室72は、液状の造形材が一次的に充填される液体充填室である。貯留室72の上部には、液状の造形材を貯留するタンク(図示せず)から貯留室72内へと造形材を供給する、供給口721が設けられている。
貯留室72内の圧力は、貯留室72と連通する圧力室73に設けられたノズル70内にメニスカスが形成されるように、調節されている。したがって、貯留室72内の圧力は、貯留室72と圧力室73との相対的な位置関係を考慮して設定される。なお、本実施形態では、圧力室73が貯留室72の下方に配置されているため、貯留室72内の圧力は負圧に設定されている。なお、圧力室73は、貯留室72と同じ高さに配置されていてもよいし、貯留室72よりも上方に配置されていてもよい。
圧力室73はそれぞれ、連通口731を介して貯留室72と連通する。これにより、圧力室73内の圧力が下がると、連通口731を介して貯留室72から圧力室73内へと造形材が供給される。
各圧力室73には、圧力発生素子74が備えられている。圧力発生素子74は、圧力室73の上壁面に配置されている。また、各圧力室73の下端部には、筐体71の下面に露出し、圧力室73と筐体71の下方の空間とを連通するノズル70が設けられている。造形材の非吐出時には、ノズル70の内部には、造形材の液面がメニスカスを形成する。
第1吐出ヘッド21の個々のノズル70は、筐体71の下面に2次元的に配列される。なお、図5および図6に示す第1吐出ヘッド21では、説明の簡便のため、筐体71の下面に複数のノズル70が1次元的に配列されている。個々のノズル70は、搬送方向と直交する方向に位置をずらして配列されている。
本実施形態の第1吐出ヘッド21は、いわゆるピエゾ方式の吐出ヘッドである。すなわち、本実施形態の圧力発生素子74は、圧電素子である。制御部100から圧力発生素子74へ電気信号である吐出信号が送られると、圧力発生素子74が変形し、圧力室73内に充填された液状の造形材に圧力をかける。圧力室73内の圧力が高まると、ノズル70から圧力室73内の造形材が液滴として吐出される。なお、本発明の記録ヘッドは、ピエゾ方式に限られない。
ヒータ75は、第1吐出ヘッド21の内部に充填された造形材を加熱する。すなわち、ヒータ75は、貯留室72および各圧力室73の内部に充填された造形材を加熱する。本実施形態のヒータ75は、筐体71の内部に収容されている。しかしながら、筐体71内の造形材を加熱するためのヒータは、筐体71の外部に設けられていてもよい。
温度センサ76は、第1吐出ヘッド21の内部に充填された造形材の温度を計測する。本実施形態の温度センサ76は、筐体71の内部に収容されている。しかしながら、筐体71内の造形材の温度を計測するための温度センサは、筐体71の外部に設けられていてもよい。制御部100は、温度センサ76の計測した温度に基づいて、ヒータ75を駆動させる。これにより、第1吐出ヘッド21の内部に充填された造形材の温度調節を行う。
三次元造形に用いられる造形材をインクジェット方式で吐出する場合、造形材の種類によっては、温度を調整することにより造形材の粘度等の性質を調節することが好ましい。そこで、この第1吐出ヘッド21では、造形材の吐出を行う際に、以下に示すような温度調節方法により、第1吐出ヘッド21内における造形材の温度調節を行っている。図7は、第1吐出ヘッド21における造形材の温度調節処理の流れを示したフローチャートである。図8は、図7に示した温度調節処理における温度センサ76の計測温度Tmの推移の一例を示した図である。
図7に示す温度調節処理では、第1吐出ヘッド21の内部に貯留された造形材を、室温Trよりも高い目標温度Ttへと調節する。このとき、造形材の温度変化が急激過ぎると、圧電素子である圧力発生素子74が損傷する虞がある。このため、計測温度Tmから得られる造形材の計測温度変化率Amを一定以下とし、かつ、できるだけ迅速に造形材の温度を目標温度Ttへとするための目標温度変化率Atへと近づけることが好ましい。また、造形材の温度が目標温度Ttを超えた場合には、圧力発生素子74が損傷したり、造形材が変質したりする虞がある。このため、造形材の温度が目標温度Ttに達した後に、さらに造形材の温度が高くなるのを抑制することが好ましい。なお、初期状態において、第1吐出ヘッド21の内部に貯留された造形材の温度は室温Trである。
図7に示す温度調整処理では、まず、ヒータ75の出力量を示すヒータ出力値Hを所定の初期出力値Hoとして、ヒータ75の駆動を開始する初期昇温が行われる(ステップS201)。ヒータ出力値Hは、例えば、ヒータ75の駆動電力値などのヒータ75の加熱強度を示す値である。すなわち、ヒータ出力値Hが大きいほど、ヒータ75から発する熱量が大きくなる。初期出力値Hoは、造形材の計測温度変化率Amが目標温度変化率Atよりも小さくなるヒータ出力値である。このため、ステップS201における造形材の計測温度変化率Amは、目標温度変化率Atよりも小さくなる。
ステップS20における初期昇温が開始されると、制御部100は、所定の初期昇温期間P1が経過したか否かを判断する(ステップS202)。初期昇温期間P1が経過していないと判断すると、制御部100は、ステップS201へと戻り、初期昇温を継続する。一方、初期昇温期間P1が経過したと判断すると、制御部100は、ステップS203へと進む。
ステップS203では、制御部100は、最新の計測温度Tmと目標温度Ttとの温度差ΔT=Tt−Tmが、一定値である所定の基準温度差ΔToよりも大きいか否かを判断する(ステップS203)。
ステップS203において、温度差ΔTが所定の基準温度差ΔToよりも大きい場合、制御部100は、k=(目標温度変化率At)/(計測温度変化率Am)として係数kを算出する(ステップS204)。その後、制御部100は、ステップS206へと進む。
一方、ステップS203において、温度差ΔTが所定の基準温度差ΔTo以下である場合、制御部100は、k=(緩傾温度変化率Ag)/(計測温度変化率Am)として係数kを算出する(ステップS205)。その後、制御部100は、ステップS206へと進む。緩傾温度変化率Agの値は、目標温度変化率Atよりも小さい値である。
ステップS206では、制御部100は、ステップS204またはステップS205で算出した係数kが下限値k1よりも小さいか否かを判断する(ステップS206)。ステップS206において、ステップS204またはステップS205で算出した係数kが下限値k1よりも小さい場合、制御部100は、係数k=k1に設定する(ステップS207)。その後、制御部100は、ステップS210へと進む。
ステップS206において、ステップS204またはステップS205で算出した係数kが下限値k1以上である場合、制御部100は、引き続き、当該係数kが上限値k2よりも大きいか否かを判断する(ステップS208)。ステップS208において、ステップS204またはステップS205で算出した係数kが上限値k2よりも大きい場合、制御部100は、係数k=k2に設定する(ステップS209)。その後、制御部100は、ステップS210へと進む。ステップS208において、ステップS204またはステップS205で算出した係数kが上限値k2以下である場合、制御部100は、そのままステップS210へと進む。
ステップS210では、ヒータ出力値Hを、現在のヒータ出力値HにステップS203〜S209において算出した係数kを乗じた値に更新する(ステップS210)。すなわち、新たなヒータ出力値Hは、H=(係数k)*(現在のヒータ出力値H)として算出し、当該ヒータ出力値Hによるヒータ75の駆動を行う。
ヒータ出力値Hの更新が完了すると、制御部100は、計測温度Tmが目標温度Ttに達したか否かを判断する(ステップS211)。計測温度Tmが目標温度Ttに達したと判断すると、制御部100は、保温工程を開始する(ステップS212)。ステップS212で行われる保温工程では、例えば、一般的な比例制御、PI制御およびPID制御等が行われる。
一方、ステップS211において、計測温度Tmが目標温度Ttに達していないと判断すると、制御部100は、ステップS203へと戻る。
ステップS203〜S210における係数kの算出およびヒータ出力値Hの更新は、所定の時間間隔ごとに行われる。なお、この時間間隔は、例えば、温度センサ76において計測温度Tmの計測を行うサンプリング間隔であってもよい。
上記のような温度調節工程を行うことにより、図8に示すような計測温度Tmが得られる。計測温度Tmは、期間P1〜P4ごとに、その挙動が変化する。なお、期間P2およびその周辺には、目標温度変化率Atにおける温度変化の様子が破線で示されている。また、期間P3およびその周辺には、緩傾温度変化率Agにおける温度変化の様子が破線で示されている。
まず、ステップS201の初期昇温工程が行われる初期昇温期間P1においては、ヒータ出力値Hを所定の初期出力値Hoとして第1吐出ヘッド21の加熱が行われる。これにより、図8に示すように、計測温度Tmは、目標温度変化率Atよりも小さい変化率で上昇する。
続いて、初期昇温期間P1に続く第1昇温期間P2では、ステップS204と、ステップS206〜S207とにより決定されたヒータ出力値Hで第1吐出ヘッド21の加熱が行われる。ここでは、係数kをk=(目標温度変化率At)/(計測温度変化率Am)としている。
このため、現在の計測温度変化率Amが目標温度変化率Atよりも小さいほど係数kは大きくなる。したがって、現在の計測温度変化率Amが目標温度変化率Atが小さいほど、更新されるヒータ出力値Hは現在のヒータ出力値Hよりも大きくなる。現在の計測温度変化率Amが目標温度変化率Atとちょうど同一である場合、係数kは1となる。この場合、更新されるヒータ出力値Hは、現在のヒータ出力値Hと同一となる。また、現在の計測温度変化率Amが目標温度変化率Atよりも大きいほど係数kは小さくなる。したがって、現在の計測温度変化率Amが目標温度変化率Atを超えてしまうと、更新されるヒータ出力値Hは現在のヒータ出力値Hよりも小さくなる。
係数kを算出した後、制御部100は、ステップS206〜ステップS209において、温度センサ76における計測誤差による影響や、急な温度上昇を抑制するために、係数kが極端な値をとらないように、係数kが所定の範囲内に収まるように修正する。そこで、ステップS206〜ステップS209において、係数kが下限値k1以上、上限値k2以下となるように調整する。例えば、係数kが2以上の値をとる場合、ヒータ出力値Hが急に2倍となってしまう。この場合、第1吐出ヘッド21が急加熱される虞がある。このため、係数kの上限値k2を2以下としておくことが好ましい。
第1昇温期間P2では、計測温度変化率Amが目標温度変化率Atと一致するようにヒータ出力値Hが調節される。そして、計測温度Tmと目標温度Ttとの温度差ΔTが所定の基準温度差ΔToよりも小さくなるまで、第1吐出ヘッド21を昇温させる。このように、目標温度変化率Atと計測温度変化率Amとの比である係数kを用いてヒータ出力値Hを決定することにより、迅速に、かつ、急激な温度上昇をすることなく、適切な温度上昇率で第1吐出ヘッド21内の造形材の温度調節を行うことができる。したがって、第1吐出ヘッド21内の圧力発生素子74が破壊されるのが抑制される。
その後、第1昇温期間P2に続く第2昇温期間P3では、ステップS205と、ステップS206〜S207とにより決定されたヒータ出力値Hで第1吐出ヘッド21の加熱が行われる。ここでは、係数kをk=(緩傾温度変化率Ag)/(計測温度変化率Am)としている。なお、この第2昇温期間P3においても、制御部100は、ステップS206〜ステップS209において、係数kが所定の範囲内に収まるように修正する。そして、ヒータ出力値HをH=k*(現在のヒータ出力値)として更新する。
第2昇温期間P3では、計測温度変化率Amが、目標温度変化率Atよりも小さい緩傾温度変化率Agと一致するようにヒータ出力値Hが調節される。そして、計測温度Tmが目標温度Ttに達するまで、第1吐出ヘッド21を昇温させる。このように、計測温度Tmが目標温度Ttに近づいた際に、温度変化率を小さくすることにより、第1吐出ヘッド21の温度が目標温度Ttを大きく上回ることを抑制できる。したがって、第1吐出ヘッド21内の圧力発生素子74が破壊されるのが抑制される。
計測温度Tmが目標温度Ttに達した後の保温期間P4では、計測温度Tmが目標温度Ttを維持するように、ヒータ出力値Hが調節される。
<4.変形例>
以上、本発明の主たる実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
以上、本発明の主たる実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
図9は、一変形例に係る吐出ヘッドの温度調整工程における計測温度Tmの推移の一例の一部を示した図である。図9では、第2昇温期間P3の近傍における計測温度Tmの推移が示されている。
上記の実施形態の積層装置では、緩傾温度変化率Agは、予め決められた値であったが、本発明はこれに限られない。緩傾温度変化率Agは、温度差ΔTに応じて変化する値であってもよい。例えば、緩傾温度変化率Agは、温度差ΔTに比例する値である。この場合、図9に示すように、第2昇温期間P3中にヒータ出力値Hの更新が行われると、その更新の度に緩傾温度変化率Agが変化する。
図9の例では、まず、計測温度Tmが、(目標温度Tt)−(基準温度差ΔTo)よりも大きくなった時点Q1で、Q1における温度差ΔT(=ΔTo)に基づいて、第1緩傾温度変化率Ag1が算出される。そして、当該第1緩傾温度変化率Ag1に基づいて吐出ヘッドの加熱が行われる。
次に、Q1から所定の時間間隔ΔPが経過した時点Q2で、Q2における温度差ΔTに基づいて、第2緩傾温度変化率Ag2が算出される。このとき、Q2における温度差ΔTは、Q1における温度差ΔTよりも小さいため、第2緩傾温度変化率Ag2は、第1緩傾温度変化率Ag1よりも小さくなる。そして、このような第2緩傾温度変化率Ag2に基づいて吐出ヘッドの加熱が行われる。
続いて、Q2から所定の時間間隔ΔPが経過した時点Q3で、Q3における温度差ΔTに基づいて、第3緩傾温度変化率Ag3が算出される。このとき、Q3における温度差ΔTは、Q2における温度差ΔTよりも小さいため、第3緩傾温度変化率Ag3は、第2緩傾温度変化率Ag2よりもさらに小さくなる。そして、このような第3緩傾温度変化率Ag3に基づいて吐出ヘッドの加熱が行われる。
このように、目標とする緩傾温度変化率Agが次第に小さくなるように設定されてもよい。このようにすれば、吐出ヘッドの温度が目標温度Ttを上回るのを、より抑制できる。したがって、吐出ヘッド内の圧力発生素子が破壊されるのをより抑制できる。
図10は、他の変形例に係る温度調節工程の流れを示したフローチャートである。図10の例のステップS301〜S305と、ステップS311〜S312はそれぞれ、上記の実施形態のステップS201〜S205と、ステップS211〜S212と同様であるため、説明を省略する。
図10の例では、ステップS304またはステップS305において係数kを算出した後、ヒータ出力値Hを、現在のヒータ出力値HにステップS304またはステップS305において算出した係数kを乗じた値に更新する(ステップS306)。すなわち、新たなヒータ出力値Hは、H=(係数k)*(現在のヒータ出力値H)として算出する。
ステップS307では、制御部100は、ステップS306で算出したヒータ出力値Hが下限値H1よりも小さいか否かを判断する(ステップS307)。ステップS307において、ステップS306で算出したヒータ出力値Hが下限値よりも小さい場合、制御部100は、ヒータ出力値H=H1に設定する(ステップS308)。その後、制御部100は、ステップS311へと進む。
ステップS307において、ステップS306で算出したヒータ出力値Hが下限値H1以上である場合、制御部100は、引き続き、当該ヒータ出力値Hが上限値H2よりも大きいか否かを判断する(ステップS309)。ステップS309において、ステップS306で算出したヒータ出力値Hが上限値H2よりも大きい場合、制御部100は、ヒータ出力値H=H2に設定する(ステップS310)。その後、制御部100は、ステップS311へと進む。ステップS309において、ステップS306で算出したヒータ出力値Hが上限値H2以下である場合、制御部100は、そのままステップS311へと進む。
このように、図10の例では、ヒータ出力値Hを算出した後、制御部100が、ステップS307〜S310において、ヒータ出力値Hが適正な範囲に収まるように修正してもよい。このようにすれば、ヒータ出力値Hが温度センサにおける計測誤差によって不正な値を取ったり、急な温度上昇を引き起こしたりするのが抑制される。
また、吐出ヘッド、積層装置および三次元造形装置の細部の形状および構造については、本願の各図に示された形状および構造と相違していてもよい。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
1 三次元造形装置
9 立体物
10 積層装置
21 第1吐出ヘッド
22 第2吐出ヘッド
40 照射部
70 ノズル
75 ヒータ
76 温度センサ
100 制御部
9 立体物
10 積層装置
21 第1吐出ヘッド
22 第2吐出ヘッド
40 照射部
70 ノズル
75 ヒータ
76 温度センサ
100 制御部
Claims (8)
- 内部に液体を貯留し、複数のノズルから前記液体の液滴を吐出する液滴吐出装置の温度制御方法であって、
a)ヒータ出力を所定の初期出力値として、所定の初期昇温時間、前記液体の加熱を行う工程と、
b)前記工程a)の後であって、前記液体の最新の計測温度と目標温度との温度差ΔTが一定値よりも大きい場合に、k=(目標温度変化率)/(計測温度変化率)として係数kを算出する工程と、
c)前記工程b)の後であって、前記ヒータ出力を、前記工程b)において算出した前記係数kと現在の前記ヒータ出力とを乗じた値に変更する工程と、
を有し、
前記工程b)と前記工程c)とを繰り返し行う、温度制御方法。 - 請求項1に記載の温度制御方法であって、
d)前記工程a)の後であって、前記温度差ΔTが前記一定値よりも小さい場合に、k=(緩傾温度変化率)/(前記計測温度変化率)として前記係数kを算出する工程と、
e)前記工程d)の後であって、前記ヒータ出力を、前記工程d)において算出した前記係数kと現在の前記ヒータ出力とを乗じた値に変更する工程と、
をさらに有し、
前記工程d)において、前記緩傾温度変化率は、前記目標温度変化率よりも小さい、温度制御方法。 - 請求項2に記載の温度制御方法であって、
前記工程d)において、前記緩傾温度変化率は、前記温度差ΔTに比例する、温度制御方法。 - 請求項3に記載の温度制御方法であって、
前記緩傾温度変化率は、所定の間隔で算出され、更新される、温度制御方法。 - 内部に液体を貯留し、複数のノズルから前記液体の液滴を吐出する液滴吐出装置であって、
前記ノズルのそれぞれと連通し、内部に前記液体を貯留する複数の圧力室と、
前記圧力室のそれぞれの内部に配置された複数の圧力発生素子と、
前記液体を加熱するヒータと、
前記液体の温度を検出するセンサと、
各部を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、
前記ヒータのヒータ出力を所定の初期出力値として、所定の初期昇温時間、前記液体の加熱を行った後、前記ヒータ出力を、係数kと現在の前記ヒータ出力とを乗じた値に更新しつつ、前記ヒータを駆動させ、
前記係数kは、前記液体の最新の計測温度と目標温度との温度差ΔTが一定値よりも大きい場合に、k=(目標温度変化率)/(計測温度変化率)として算出される、液滴吐出装置。 - 請求項5に記載の液滴吐出装置であって、
前記係数kは、前記温度差ΔTが前記一定値よりも小さい場合に、k=(緩傾温度変化率)/(前記計測温度変化率)として算出され、
前記緩傾温度変化率は、前記目標温度変化率よりも小さい、液滴吐出装置。 - 請求項6に記載の液滴吐出装置であって、
前記緩傾温度変化率は、前記温度差ΔTに比例し、かつ、所定の間隔で算出および更新される、液滴吐出装置。 - 造形材を積層して立体物を形成する三次元造形装置であって、
液状の造形材を造形ステージ上に吐出する、請求項5ないし請求項7のいずれかに記載の液滴吐出装置と、
前記造形材を硬化させる硬化部と、
前記造形ステージを前記液滴吐出装置および前記硬化部に対して相対的に移動する移動機構と、
を有する、三次元造形装置。
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