以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
なお、特に説明しない限り、本願における「周方向」とは、シャフトの周方向を意味する。特に説明しない限り、本願における「軸方向」とは、シャフトの軸方向を意味する。特に説明しない限り、本願における「軸垂直方向」とは、シャフトの軸方向に対して直角に交わる方向を意味する。特に説明しない限り、本願における断面とは、シャフトの中心線に対して垂直な平面に沿った断面を意味する。特に説明しない限り、シャフトの軸方向におけるグリップ側が上側とされ、シャフトの軸方向におけるソール側が下側とされる。
図1は、本発明の第1実施形態であるゴルフクラブ100を示す。図1は、ゴルフクラブ100のヘッド近傍のみを示している。図2は、ゴルフクラブ100をソール側から見た斜視図である。図3は、ゴルフクラブ100の分解斜視図である。
ゴルフクラブ100は、ヘッド200、シャフト300、スリーブ400、スペーサー500及びグリップ(図示されず)を有する。スリーブ400とスペーサー500とで、先端係合部RTが構成されている。先端係合部RTは、シャフト300の先端部に配置されている。先端係合部RTの外面は、スペーサー500によって形成されている。
ヘッド200のタイプは限定されない。本実施形態のヘッド200は、ウッド型ヘッドである。ヘッド200は、ハイブリッド型ヘッド、アイアン型ヘッド、パターヘッド等であってもよい。ウッド型ヘッドは、ドライバーヘッドでもよいし、フェアウェイウッドのヘッドでもよい。
シャフト300は限定されず、例えば、カーボンシャフト及びスチールシャフトが用いられうる。
図示されていないが、シャフト300の直径は、軸方向位置によって変化している。グリップ側にいくにつれて、シャフト300の直径は大きくなっている。スペーサー500は、シャフト300の先端部に固定されている。シャフト300の先端部は、シャフト300において最も細い部分である。
本実施形態では、スペーサー500の数は1個である。後述されるように、スペーサー500は無くてもよい。後述されるように、スペーサーの数は2個であってもよい。すなわち、2つのスペーサーが重ねられていても良い。換言すれば、スペーサーは二重であってもよい。後述されるように、スペーサーの数は3個以上であってもよい。例えば、3つのスペーサーが重ねられていても良い。換言すれば、スペーサーは三重であってもよい。
ヘッド200は、ホーゼル部202を有している。ホーゼル部202は、ホーゼル孔204を有する。このホーゼル孔204は、逆テーパー孔206を有している。この逆テーパー孔206の形状は、先端係合部RTの外面の形状に対応している。この逆テーパー孔206の形状は、スペーサー500の外面の形状に対応している。係合状態において、先端係合部RTの外面(スペーサー500の外面)は、逆テーパー孔206に面接触している。先端係合部RTの外面は複数(4つ)の平面を有するが、これらの平面の全てが、逆テーパー孔206に面接触している。
ホーゼル部202(逆テーパー孔206)は、周方向の全体に亘って存在している。ホーゼル部202(逆テーパー孔206)は、周方向の全体に亘って隙間無く連続している。ホーゼル部202は、周方向において分断されていない。ホーゼル部202は、当該ホーゼル部を周方向の一部で欠落させることで形成されたスリットを有していない。
通常のヘッドと同様に、ヘッド200は、クラウン208、ソール210及びフェース212を有している(図1から3を参照)。
図3が示すように、スリーブ400は、内面402と外面404とを有する。内面402は、シャフト孔を形成している。内面402の断面形状は、円形である。内面402の形状は、シャフト300の外面に対応している。内面402は、シャフト300の先端部に固定されている。すなわち、スリーブ400は、シャフト300の先端部に固定されている。この固定には、接着剤が用いられている。
外面404は、角錐面である。外面404は、四角錐面である。外面404の断面形状は、非円形である。外面404の断面形状は、多角形(正多角形)である。外面404の断面形状は、四角形である。外面404の断面形状は、正方形である。外面404の断面線により形成される図形の面積は、シャフト300のチップ側に近づくほど大きい。即ち、スリーブ400は逆テーパー形状である。
図3が示すように、スペーサー500は、内面502と外面504とを有する。内面502は、スリーブ孔を形成している。内面502の断面形状は、スリーブ400の外面404に対応している。内面502に、スリーブ400の外面404がはめ込まれる。換言すれば、スペーサー500の内側にスリーブ400がはめ込まれる。スペーサー500は、スリーブ400に接着されていない。スペーサー500は、スリーブ400に接触しているだけである。
内面502の形状は、スリーブ400の外面404に対応している。内面502は、角錐面である。内面502は、四角錐面である。内面502の断面形状は、非円形である。内面502の断面形状は、多角形(正多角形)である。内面502の断面形状は、四角形である。内面502の断面形状は、正方形である。内面502の断面線により形成される図形の面積は、シャフト300のチップ側に近づくほど大きい。
外面504(先端係合部RTの外面)の形状は、逆テーパー孔206の形状に対応している。外面504は、角錐面である。外面504は、四角錐面である。外面504の断面形状は、非円形である。外面504の断面形状は、多角形(正多角形)である。外面504の断面形状は、四角形である。外面504の断面形状は、正方形である。外面504の断面線により形成される図形の面積は、シャフト300のチップ側に近づくほど大きい。即ち、スペーサー500は、逆テーパー形状である。スリーブ400とスペーサー500とで、先端係合部RTが構成されている。
図4は、シャフト300がヘッド200に装着される手順を示す。
この装着では、先ず、中間体350が用意される(図4のステップ(a))。中間体350は、シャフト300とスリーブ400とを有する。中間体350では、スリーブ400がシャフト300の先端部に固定(接着)されている。
次に、中間体350のスリーブ400に、ホーゼル孔204を通過させる(図4のステップ(b))。スリーブ400は、ホーゼル孔204を完全に通過する。スリーブ400は、上側からホーゼル孔204に侵入し、ホーゼル孔204の下側に抜け出る。スリーブ400の下端面の外径は、ホーゼル孔204の上端における内径によりも小さい。位相に関わらず、スリーブ400はホーゼル孔204を通過しうる。この通過により、スリーブ400は、ソール210の下側に移動する(図4のステップ(b))。
次に、スリーブ400に、スペーサー500が取り付けられる(図4のステップ(c))。スペーサー500は、スリーブ400の外側から、スリーブ400に取り付けられる。スペーサー500は、スリーブ400の外側から、スリーブ400に被せられる。スリーブ400にスペーサー500が取り付けられることで、先端係合部RTが完成する。後述の通り、スペーサー500は、分割構造を有している。この分割構造は、スペーサー500をスリーブ400に外側から取り付けることを可能とする。
次に、中間体350をヘッド200に対して上方に移動させ、この先端係合部RT(スペーサー500)を逆テーパー孔206にはめ込む(図4のステップ(d))。この結果、ヘッド200にシャフト300が取り付けられる。このはめ込みにより、ヘッド200に対するシャフト300の装着が達成される。換言すれば、このはめ込みにより、係合状態が達成される。係合状態とは、ゴルフクラブ100が使用可能な状態である。係合状態では、全ての逆テーパー嵌合が達成されている。全ての逆テーパー嵌合とは、逆テーパー外面404と内面502との嵌合、及び、外面504と逆テーパー孔206との嵌合である。
このように、シャフト300をヘッド200に取り付けるのは容易である。加えて、上述とは逆の手順により、シャフト300をヘッド200から取り外すことができる。この取り外しも容易である。ゴルフクラブ100では、シャフト300がヘッド200に取り外し可能に取り付けられている。
図5は、軸方向に沿ったゴルフクラブ100の断面図である。図5は、先端係合部RTの近傍の拡大断面図である。図6は、先端係合部RTを下方(ソール側)から見た平面図である。
本実施形態では、スリーブ400の内面402の中心線Z1が、スリーブ400の外面404の中心線Z2に対して傾斜していない。中心線Z1と中心線Z2とは共通である。シャフト300の中心線Z3が、スリーブ400の外面404の中心線Z2に対して傾斜していない。中心線Z3と中心線Z2とは共通である。スペーサー500の内面502の中心線Z4は、スペーサー500の外面504の中心線Z5に対して傾斜していない。中心線Z4と中心線Z5とは共通である。スペーサー500の内面502の中心線Z4が、ヘッド200の逆テーパー孔206の中心線Z6に対して傾斜していない。中心線Z4と中心線Z6とは共通である。シャフト300の中心線Z3は、ヘッド200の逆テーパー孔206の中心線Z6に対して傾斜していない。中心線Z3と中心線Z6とは共通である。
図5及び図6において両矢印D1で示されるのは、ホーゼル孔204の最小幅である。本実施形態では、ホーゼル孔204の断面形状は正方形であり、最小幅D1は、ホーゼル孔204の上端面における当該正方形の一辺の長さである。
図5において両矢印D2で示されるのは、スリーブ400の最大幅である。本実施形態では、スリーブ400の外面404の断面形状は正方形であり、最大幅D2は、スリーブ400の下端面における当該正方形の一辺の長さである。
本実施形態では、最小幅D1が最大幅D2よりも大きい。換言すれば、ホーゼル孔204の断面積の最小値は、スリーブ400の断面積の最大値よりも大きい。スリーブ400の下端は、ホーゼル孔204の上端の開口を通過することができる。結果として、スリーブ400は、ホーゼル孔204を通過することができる。スリーブ400は、上側からホーゼル孔204に挿入され、ホーゼル孔204を通過して、ホーゼル孔204の下方に抜け出ることができる。最小幅D1が最大幅D2より大きくなるように、スペーサー500の厚みが設定されている。
図7は、変形例に係る先端係合部RTaをソール側から見た平面図である。先端係合部RTaは、スリーブ400a及びスペーサー500aを有する。スリーブ400aとスペーサー500aとで、先端係合部RTaが形成されている。
スリーブ400aは、内面402aと外面404aとを有する。内面402aは、シャフト孔を形成している。内面402aの断面形状は、円形である。内面402aの形状は、シャフト300の外面に対応している。内面402aは、シャフト300の先端部に固定されている。すなわち、スリーブ400aは、シャフト300の先端部に固定されている。この固定には、接着剤が用いられている。
外面404aは、角錐面である。外面404aは、八角錐面である。外面404aの断面形状は、非円形である。外面404aの断面形状は、多角形(正多角形)である。外面404aの断面形状は、八角形である。外面404aの断面形状は、正八角形である。外面404aの断面線により形成される図形の面積は、シャフト300のチップ側に近づくほど大きい。即ち、スリーブ400aは逆テーパー形状である。
スペーサー500aは、内面502aと外面504aとを有する。内面502aは、スリーブ孔を形成している。内面502aの断面形状は、スリーブ400aの外面404aに対応している。内面502aに、スリーブ400aの外面404aがはめ込まれている。換言すれば、スペーサー500aの内側にスリーブ400aがはめ込まれる。スペーサー500aは、スリーブ400aに接着されていない。スペーサー500aは、スリーブ400aに接触しているだけである。
内面502aの形状は、スリーブ400aの外面404aに対応している。内面502aは、角錐面である。内面502aは、八角錐面である。内面502aの断面形状は、非円形である。内面502aの断面形状は、多角形(正多角形)である。内面502aの断面形状は、八角形である。内面502aの断面形状は、正八角形である。内面502aの断面線により形成される図形の面積は、シャフト300のチップ側に近づくほど大きい。
外面504a(先端係合部RTaの外面)の形状は、逆テーパー孔206aの形状に対応している。外面504aは、角錐面である。外面504aは、八角錐面である。外面504aの断面形状は、非円形である。外面504aの断面形状は、多角形(正多角形)である。外面504aの断面形状は、八角形である。外面504aの断面形状は、正八角形である。外面504aの断面線により形成される図形の面積は、シャフト300のチップ側に近づくほど大きい。
図8は、スペーサー500の斜視図である。図9(a)は、図8のA−A線に沿った断面図である。前述の通り、スペーサー500は、内面502と外面504とを有する。
スペーサー500は、分割構造を有している。スペーサー500は、第1分割体510と、第2分割体520とを有する。図8では、分割ラインd1が示されている。この分割ラインd1は、第1分割体510と第2分割体520との境界である。
図8以外では記載が省略されているが、スペーサー500は、連結部530を有する。本実施形態では、連結部530は、板バネである。この板バネは、弾性体である。本実施形態では、2つの連結部530が設けられている。連結部530の一方側が第1分割体510に固定されており、連結部530の他方側が第2分割体520に固定されている。
連結部530は、外面504に設けられた凹部に収容されている。連結部530は、外面504よりも外側に突出していない。連結部530は、逆テーパー孔206と外面504との接触を阻害しない。
図4のステップ(b)では、第1分割体510と第2分割体520とが分離して示されているが、実際には、このスペーサー500は、開閉式である。連結部530は、蝶番の役割を果たす。連結部530を中心として、スペーサー500は開く。外力を付加することで、スペーサー500は開く。この開状態が、図9(a)において二点鎖線で示されている。連結部530(板バネ)が曲がることで、スペーサー500は開く。この開状態では、第1分割体510と第2分割体520との間に隙間gpが生じる。この隙間gpから、スリーブ400をスペーサー500の内側に入れることができる。スリーブ400を内側に配置した状態で、スペーサー500は閉じられる。板バネ530は、閉状態となるようにスペーサー500を付勢している。よって、外力が無くなると、スペーサー500は(自動的に)閉じる。
連結部530は、第1分割体510と第2分割体520とが結合した結合状態を保持しうる。スペーサー500に外力が作用していない状態では、スペーサー500は、上記結合状態となる。この結合状態とは、クラブとして使用可能な状態のゴルフクラブ100におけるスペーサー500の状態である。
なお、スペーサー500は、第1分割体510と第2分割体520との位置ズレを防止する位置合わせ構造を有する。この位置合わせ構造として、平板の継ぎ合わせ構造が適用されてもよい。図9(a)の実施形態は、位置合わせ構造の一例を含む。この位置合わせ構造において、第1分割体510は、厚み方向の位置ズレを防止する当接面m1と、軸方向の位置ズレを防止する当接面m2とを有する。同様に、第2分割体520は、厚み方向の位置ズレを防止する当接面m1と、軸方向の位置ズレを防止する当接面m2とを有する。閉じられた状態のスペーサー500において、第1分割体510の当接面m1と第2分割体520の当接面m1とが当接しており、第1分割体510の当接面m2と第2分割体520の当接面m2とが当接している。よって、厚み方向及び軸方向の位置ズレが防止されている。
なお、スペーサー500は、スリーブの外面やホーゼル孔の内面等にはめ込まれるので、上記位置合わせ構造を有さなくても、その機能を果たしうる。上記当接面m1と、上記当接面m2との比較では、軸方向の位置ズレを防止する当接面m2のほうが効果的である。スペーサー500は、スリーブの外面やホーゼル孔の内面等にはめ込まれるので、厚み方向の位置ズレは生じにくいからである。この観点から、上記位置合わせ構造は、軸方向の位置ズレを防止する当接面m2を有するのが好ましく、軸方向の位置ズレを防止する当接面m2と厚み方向の位置ズレを防止する当接面m1とを有するのがより好ましい。
図9(a)が示すように、スペーサー500の分割ラインd1は、第1分割ラインd11と、第2分割ラインd12とを有する。第1分割ラインd11は、連結部530のない分割ラインである。第2分割ラインd12は、連結部530のある分割ラインである。図9(a)では、第1分割ラインd11に設けられた前記位置合わせ構造が示されている。好ましくは、第2分割ラインd12にも、前記位置合わせ構造が設けられる。
図9(b)は、他の位置合わせ構造を示す。この位置合わせ構造では、第1部材Pt1の凸と第2部材Pt2の凹とが付き合わされている。第1部材Pt1における厚み方向の中央側と、第2部材Pt2における厚み方向の内側及び外側とが重ねられている。前記第1部材Pt1とは、第1分割体510又は第2分割体520の一方である。前記第2部材Pt2とは、第1分割体510又は第2分割体520の他方である。
図9(c)は、他の位置合わせ構造を示す。この位置合わせ構造では、第1部材Pt1の凸と第2部材Pt2の凹とが付き合わされている。第1部材Pt1の凸の断面は斜面により構成されている。第2部材Pt2の凹の断面は斜面により構成されている。第1部材Pt1における厚み方向の中央側と、第2部材Pt2における厚み方向の内側及び外側とが重ねられている。前記第1部材Pt1とは、第1分割体510又は第2分割体520の一方である。前記第2部材Pt2とは、第1分割体510又は第2分割体520の他方である。
図9(b)及び図9(c)に示されるような位置合わせ構造でも、厚み方向の位置ズレに加えて、軸方向の位置ズレを防止することができる。例えば、図9(b)及び図9(c)に示されるような位置合わせ構造が軸方向の一部のみに採用される場合、当該位置合わせ構造の終端位置において、軸方向の位置ズレを防止する当接面が形成されうる。よって、軸方向の位置ズレが防止されうる。
図10は、他の変形例に係るスペーサー700の斜視図である。スペーサー700は、内面702と外面704とを有する。
スペーサー700は、分割構造を有する。スペーサー700は、第1分割体710と、第2分割体720とを有する。図10では、分割ラインd1が示されている。この分割ラインd1は、第1分割体710と第2分割体720との境界である。
スペーサー700は、リング状の弾性体730、740を有する。更に、スペーサー700は、周溝750、760を有する。弾性体730、740は、周溝750、760に嵌められている。弾性体730、740は、外面704よりも外側に突出していない。弾性体730、740は、外面704がはめ込まれる逆テーパー面と外面704との接触を阻害しない。外面704がはめ込まれる逆テーパー面とは、ヘッドの逆テーパー孔か、又は、他のスペーサーの内面である。弾性体730、740は、第1分割体710と第2分割体720とが結合した結合状態を保持しうる連結部の一例である。
外力を加えて伸ばすことにより、弾性体730、740は取り外されうる。弾性体730、740が取り外されると、第1分割体710と第2分割体720とは互いに分離されうる。逆に、第1分割体710と第2分割体720とを突き合わせた後、弾性体730、740を取り付けることができる。弾性体730、740の弾性的な収縮力が、2つの分割体710、720を突き合わせるように付勢している。例えば、このようなスペーサー700も、スペーサーの交換を可能とする。
このように、スペーサー500及びスペーサー700は、分割構造を有している。スペーサー500及びスペーサー700は、第1分割体と、第2分割体とを有している。スペーサー500及びスペーサー700は、第1分割体と第2分割体とが結合した結合状態を保持しうる連結部を有している。スペーサー500及びスペーサー700では、前記第1分割体と前記第2分割体とが結合した結合状態と、前記第1分割体と前記第2分割体との間に隙間が形成された分離状態との相互移行が可能である。前記分離状態において、スリーブを前記隙間を通過させてスペーサーの内部に配置することができる。前記分離状態において、スリーブ400が固定されたシャフト300にスペーサーを着脱することができる。
図11は、他の実施形態に係るゴルフクラブ100bの断面図である。図10は、先端係合部RTbの近傍の拡大断面図である。
本実施形態では、スリーブ400bの内面402bの中心線Z1が、スリーブ400bの外面404bの中心線Z2に対して傾斜している。この傾斜の角度は、θ度である。シャフト300の中心線Z3が、スリーブ400bの外面404bの中心線Z2に対して傾斜している。この傾斜の角度は、θ度である。スペーサー500bの内面502bの中心線Z4は、スペーサー500bの外面504bの中心線Z5に対して傾斜していない。中心線Z4と中心線Z5とは共通である。スペーサー500bの内面502bの中心線Z4が、ヘッド200bの逆テーパー孔206bの中心線Z6に対して傾斜していない。中心線Z4と中心線Z6とは共通である。シャフト300の中心線Z3は、逆テーパー孔206bの中心線Z6に対して傾斜している。この傾斜の角度は、θ度である。
このように、図11の実施形態では、スリーブ400bの内面402bの中心線Z1が、逆テーパー孔206bの中心線Z6に対して傾斜している。よって、スリーブ400bの回転位置に基づいてロフト角及びライ角が変化しうる。図10の実施形態は、角度調整機能を有する。
なお、スペーサー500bの内面502bの中心線Z4が、スペーサー500bの外面504bの中心線Z5に対して傾斜していてもよい。更に、前述した中心線Z1の傾斜が、この中心線Z4の傾斜と組み合わされも良い。この組み合わせは、角度調整の自由度を高める。
[スリーブの回転位置]
スリーブは、それ自身の中心線回りに回転されうる。この回転によって、スリーブの回転位置が変化する。係合状態において、スリーブは、複数の回転位置を採ることができる。採りうる回転位置の数は、スリーブの外面の形状に基づいて定まる。
[スペーサーの回転位置]
スペーサーは、それ自身の中心線回りに回転されうる。この回転によって、スペーサーの回転位置が変化する。係合状態において、スペーサーは、複数の回転位置を採ることができる。採りうる回転位置の数は、スペーサーの外面の形状に基づいて定まる。
[シャフト中心線の位置及び方向の調節]
シャフト孔の中心線(シャフトの中心線)は、スリーブの外面の中心線に対してズラすことができる。これらの中心線は、互いに傾斜していてもよいし、互いに平行でズレていてもよいし(平行偏心)、傾斜と偏心とが組み合わされてもよい。この場合、スリーブの回転位置によって、シャフトの中心線の方向及び/又は位置が変化しうる。
また、スペーサーの内面の中心線は、スペーサーの外面の中心線に対してズラすことができる。これらの中心線は、互いに傾斜していてもよいし、互いに平行でズレていてもよいし(平行偏心)、傾斜と偏心とが組み合わされてもよい。この場合、スペーサーの回転位置によって、シャフトの中心線の方向及び/又は位置が変化しうる。
スペーサーの回転位置は、スリーブの回転位置とは独立して選択されうる。また、複数のスペーサーが用いられている場合、各スペーサーの回転位置はそれぞれ独立して選択されうる。スペーサーにより、前記調節の自由度は高まる。複数のスペーサーにより、この調節の自由度は更に高まる。これらの観点より、互いに重ねて用いられるスペーサーの数は、1又は2以上が好ましい。調節の複雑性及びホーゼル部の小型化を考慮すると、互いに重ねて用いられるスペーサーの数は、1又は2がより好ましい。
図12から図17は、先端係合部の端面(下端面)の平面図である。これらの平面図を用いて、シャフト中心線の位置及び方向の変化が説明される。
なお、図12から図17では、以下の略号が用いられている。
・LI:ライ角
・LF:ロフト角
・FP:フェースプログレッション
・DC:重心距離
・L:大
・M:中
・S:小
図12から図15は、スペーサーが1個である実施形態Aの、前記下端面の平面図である。この実施形態では、スリーブsv1とスペーサーsp1とが用いられている。ホーゼル孔の下端におけるシャフトの中心線の位置Zsは、実線同士の交点で示されている。また、一点鎖線同士の交点は、ホーゼル孔の上端におけるシャフト中心線の位置を示す。この実施形態では、スリーブsv1及びスペーサーsp1の回転位置に関わらず、ホーゼル孔の上端におけるシャフト中心線の位置は変わらない。
図12から図15に示される実施形態Aは、以下を満たす。
(A1)スリーブsv1の内面の中心線(即ちシャフトの中心線)が、スリーブsv1の外面の中心線に対して傾斜している。
(A2)スペーサーsp1の内面の中心線が、スペーサーsp1の外面の中心線に対して傾斜している。
この実施形態Aでは、スリーブsv1の外面は四角錐面であり、スペーサーsp1の内面及び外面も四角錐面であり、逆テーパー孔も四角錐面である。よって、スリーブsv1の回転位置の数は4であり、スペーサーsp1の回転位置の数も4である。この実施形態Aでは、スリーブsv1の回転位置とスペーサーsp1の回転位置との組み合わせは、4×4=16通りである。実施形態Aに係るゴルフクラブは、調節の自由度に優れる。図12から図15に、これら16通りの全てが示されている。
図12の(a)では、スリーブsv1の回転位置が第1位置であり、スペーサーsp1の回転位置が第1位置である。図12の(b)では、スリーブsv1の回転位置が第2位置であり、スペーサーsp1の回転位置が第1位置である。図12の(c)では、スリーブsv1の回転位置が第3位置であり、スペーサーsp1の回転位置が第1位置である。図12の(d)では、スリーブsv1の回転位置が第4位置であり、スペーサーsp1の回転位置が第1位置である。
図13の(a)では、スリーブsv1の回転位置が第1位置であり、スペーサーsp1の回転位置が第2位置である。図13の(b)では、スリーブsv1の回転位置が第2位置であり、スペーサーsp1の回転位置が第2位置である。図13の(c)では、スリーブsv1の回転位置が第3位置であり、スペーサーsp1の回転位置が第2位置である。図13の(d)では、スリーブsv1の回転位置が第4位置であり、スペーサーsp1の回転位置が第2位置である。
図14の(a)では、スリーブsv1の回転位置が第1位置であり、スペーサーsp1の回転位置が第3位置である。図14の(b)では、スリーブsv1の回転位置が第2位置であり、スペーサーsp1の回転位置が第3位置である。図14の(c)では、スリーブsv1の回転位置が第3位置であり、スペーサーsp1の回転位置が第3位置である。図14の(d)では、スリーブsv1の回転位置が第4位置であり、スペーサーsp1の回転位置が第3位置である。
図15の(a)では、スリーブsv1の回転位置が第1位置であり、スペーサーsp1の回転位置が第4位置である。図15の(b)では、スリーブsv1の回転位置が第2位置であり、スペーサーsp1の回転位置が第4位置である。図15の(c)では、スリーブsv1の回転位置が第3位置であり、スペーサーsp1の回転位置が第4位置である。図15の(d)では、スリーブsv1の回転位置が第4位置であり、スペーサーsp1の回転位置が第4位置である。
これら16通りの組み合わせは、9通りの位置Zsを含む。すなわち、シャフトの中心線は、9通りに変更されうる。
図12から図15において、図面の横方向はフェース−バック方向であり、図面右側がフェース側であり、図面左側がバック側である。位置Zsが右側であるほど、ロフト角が小さい。位置Zsが左側であるほど、ロフト角が大きい。なお、本実施形態に係るクラブは、右利き用である。
また、図12から15において、図面の縦方向はトウ−ヒール方向であり、図面上側がトウ側であり、図面下側がヒール側である。位置Zsが上側であるほど、ライ角が小さい。位置Zsが下側であるほど、ロフト角が大きい。
これら9通りのシャフト中心線により、ロフト角及びライ角の組み合わせの仕様は、以下の9種類である。
(仕様1)ライ角が小さく且つロフト角が小さい。
(仕様2)ライ角が小さく且つロフト角が中間である。
(仕様3)ライ角が小さく且つロフト角が大きい。
(仕様4)ライ角が中間で且つロフト角が小さい。
(仕様5)ライ角が中間で且つロフト角が中間である。
(仕様6)ライ角が中間で且つロフト角が大きい。
(仕様7)ライ角が大きく且つロフト角が小さい。
(仕様8)ライ角が大きく且つロフト角が中間である。
(仕様9)ライ角が大きく且つロフト角が大きい。
この実施形態Aに係るゴルフクラブでは、ロフト角の独立可変が達成されている。この実施形態Aに係るゴルフクラブでは、ライ角の独立可変が達成されている。この実施形態Aでは、ロフト角の独立可変及びライ角の独立可変が達成されるように、逆テーパー孔(ホーゼル孔)の向き(位相)が設定されている。
例えば、仕様1、2及び3の間では、ライ角が変わること無くロフト角が変化している。これは、ロフト角の独立可変の一例である。仕様4、5及び6の間も同様であり、仕様7、8及び9の間も同様である。
例えば、仕様1、4及び7の間では、ロフト角が変わること無くライ角が変化している。これは、ライ角の独立可変の一例である。仕様2、5及び8の間も同様であり、仕様3、6及び9の間も同様である。
なお、ロフト角の独立可変とは、ライ角を実質的に変えることなくロフト角が変えられることを意味する。この「実質的に変えることなく」とは、ライ角の変化がロフト角の変化量に対して20%以下であることを意味する。また、ライ角の独立可変とは、ロフト角を実質的に変えることなくライ角が変えられることを意味する。この「実質的に変えることなく」とは、ロフト角の変化がライ角の変化量に対して20%以下であることを意味する。
図16及び図17は、スペーサーが2個(二重)である実施形態Bの、前記下端面の平面図である。この実施形態では、スリーブsv1と、第1のスペーサーsp1と、第2のスペーサーsp2とが用いられている。ホーゼル孔の下端におけるシャフトの中心線の位置Zsは、太実線同士の交点で示されている。一点鎖線同士の交点は、ホーゼル孔の下端におけるスリーブsv1の外面の中心線の位置を示す。細実線同士の交点は、ホーゼル孔の下端におけるスペーサーsp1の外面の中心線の位置を示す。破線同士の交点は、ホーゼル孔の下端におけるスペーサーsp2の外面の中心線の位置を示す。なお、スリーブsv1、スペーサーsp1及びスペーサーsp2の回転位置に関わらず、これら3つの中心線は、ホーゼル孔の上端の位置において、1点で交わっている。
この実施形態Bでは、スリーブsv1の外面は四角錐面であり、第1スペーサーsp1の内面及び外面も四角錐面であり、第2スペーサーsp2の内面及び外面も四角錐面である。逆テーパー孔も四角錐面である。よって、スリーブsv1の回転位置の数は4であり、第1スペーサーsp1の回転位置の数も4であり、第2スペーサーsp2の回転位置の数も4である。この実施形態Bでは、これら3つの回転位置の組み合わせは、4×4×4=64通りである。実施形態Bに係るゴルフクラブは、調節の自由度に優れる。
図16及び図17に示される実施形態Bは、以下を満たす。
(B1)スリーブsv1の内面の中心線(即ちシャフトの中心線)が、スリーブsv1の外面の中心線に対して平行偏心している。
(B2)第1スペーサーsp1の内面の中心線が、第1スペーサーsp1の外面の中心線に対して傾斜している。
(B3)第2スペーサーsp2の内面の中心線が、第2スペーサーsp2の外面の中心線に対して傾斜している。
なお、平行偏心とは、中心線同士が互いに平行である偏心を意味する。
この実施形態Bにおける第1スペーサーsp1と第2スペーサーsp2との関係は、前述の実施形態Aにおけるスリーブsv1とスペーサーsp1との関係と同じである。よって、第1スペーサーsp1と第2スペーサーsp1とにより達成される、ロフト角及びライ角の組み合わせは、9種類である。更に、この実施形態Bでは、スリーブsv1による調節が追加される。スリーブsv1は平行偏心であるので、前記9個のシャフト軸の位置のそれぞれが更に平行移動されうる。このシャフト軸の平行移動は、フェースプログレッションを変化させうる。この平行移動は、フェース−バック方向におけるシャフト軸の移動を達成しうる。また、この平行移動は、トウ−ヒール方向におけるシャフト軸の移動を達成しうる。実施形態Bでは、2つのスペーサーにより、シャフト軸の調節の自由度が更に高まる。
図16及び図17は、上述した64通りのうちの8通りのみを示す。
図16の(a)から(d)では、第1スペーサーsp1の回転位置が第1位置であり、第2スペーサーsp2の回転位置も第1位置である。図16の(a)から(d)では、第1スペーサーsp1及び第2スペーサーsp2の回転位置は変わらずに、スリーブsv1の回転位置のみが変化している。図16の(a)では、スリーブsv1の回転位置が第1位置である。図16の(b)では、スリーブsv1の回転位置が第2位置である。図16の(c)では、スリーブsv1の回転位置が第3位置である。図16の(d)では、スリーブsv1の回転位置が第4位置である。
図17の(a)から(d)では、第1スペーサーsp1の回転位置が第2位置であり、第2スペーサーsp2の回転位置は第1位置である。図17の(a)から(d)でも、第1スペーサーsp1及び第2スペーサーsp2の回転位置は変わらずに、スリーブsv1の回転位置のみが変化している。図17の(a)では、スリーブsv1の回転位置が第1位置である。図17の(b)では、スリーブsv1の回転位置が第2位置である。図17の(c)では、スリーブsv1の回転位置が第3位置である。図17の(d)では、スリーブsv1の回転位置が第4位置である。
図16と図17とを比較すると、図16の(a)から(d)では、第1スペーサーsp1の回転位置が第1位置であるのに対して、図17の(a)から(d)では、第1スペーサーsp1の回転位置が第2位置である。この相違に起因して、図17のそれぞれは、図16のそれぞれと比較して、ロフト角が大から中へと小さくなっている。
図16の(a)から(d)では、スリーブsv1の回転位置が第1位置から第4位置にまで変化している。この変化に起因して、フェース−バック方向におけるシャフト中心線の位置を示す指標であるフェースプログレッション(FP)が大(L)、中(M)、小(S)、中(M)と変化し、同時に、トウ−ヒール方向におけるシャフト中心線の位置を示す指標である重心距離が中(M)、小(S)、中(M)、大(L)と変化している。なお、重心距離とは、ヘッド重心とシャフト中心線との間の距離である。この距離は、トウ−ヒール方向に平行で且つシャフト中心線を含む平面への投影像において測定される。
よって例えば、図16の(a)と(c)との比較では、ライ角が小で且つロフト角が大であるシャフト中心線の傾斜を維持しながら、シャフト中心線の位置(ホーゼル孔の上端におけるシャフト中心線の位置)がフェース−バック方向に移動している。しかも、図16の(a)と(c)との間では、重心距離は中のまま同じである。
また、図16の(b)と(d)とを比較では、ライ角が小で且つロフト角が大であるシャフト中心線の傾斜を維持しながら、シャフト中心線の位置(ホーゼル孔の上端におけるシャフト中心線の位置)がトウ−ヒール方向に移動している。しかも、図16の(b)と(d)との間では、フェースプログレッションは中のまま同じである。
図17の(a)から(d)でも、スリーブsv1の回転位置が第1位置から第4位置にまで変化している。この変化に起因して、フェースプログレッションが大、中、小、中と変化し、同時に、重心距離が中、小、中、大と変化している。
よって例えば、図17の(a)と(c)との比較では、ライ角が小で且つロフト角が中であるシャフト中心線の傾斜を維持しながら、シャフト中心線の位置(ホーゼル孔の上端におけるシャフト中心線の位置)がフェース−バック方向に移動している。しかも、図17の(a)と(c)との間では、重心距離は中のまま同じである。
また、図17の(b)と(d)とを比較では、ライ角が小で且つロフト角が中であるシャフト中心線の傾斜を維持しながら、シャフト中心線の位置(ホーゼル孔の上端におけるシャフト中心線の位置)がトウ−ヒール方向に移動している。しかも、図17の(b)と(d)との間では、フェースプログレッションは中のまま同じである。
この実施形態ではスリーブsv1の軸ズレが平行偏心とされたが、例えばこの軸ズレが傾斜とされてもよいことは当然である。もちろん、平行偏心がスペーサーに採用されてもよい。
図12から図17で示される通り、ソール側におけるシャフト中心線の位置が様々に変更されうる。本実施形態では、ネジでの固定が不要であるため、シャフト中心線の位置及び傾斜の自由度は高い。よって、角度調節の幅を大きくすることができる。ロフト角、ライ角、フェース角、フェースプログレッション等の調節の幅が大きくされうる。
図18で示される9個の図のそれぞれは、本実施形態として適用されうるスリーブの平面図(上から見た図)である。図18では、スリーブの外面の断面形状として、四角形(正方形)、六角形(正六角形)及び八角形(正八角形)が例示されている。図18では、スリーブの軸ズレの形態として、軸一致、軸平行偏心及び軸傾斜が示されている。
スリーブsv11では、スリーブの外面の断面形状が四角形(正方形)であり、スリーブの外面が四角錐面であり、スリーブの内面の中心線(シャフト中心線)はスリーブの外面の中心線に一致している。スリーブsv12では、スリーブの外面の断面形状が六角形(正六角形)であり、スリーブの外面が六角錐面であり、スリーブの内面の中心線(シャフト中心線)はスリーブの外面の中心線に一致している。スリーブsv13では、スリーブの外面の断面形状が八角形(正八角形)であり、スリーブの外面が六角錐面であり、スリーブの内面の中心線(シャフト中心線)はスリーブの外面の中心線に一致している。
スリーブsv14では、スリーブの外面の断面形状が四角形(正方形)であり、スリーブの外面が四角錐面であり、スリーブの内面の中心線(シャフト中心線)はスリーブの外面の中心線に対して平行偏心している。スリーブsv15では、スリーブの外面の断面形状が六角形(正六角形)であり、スリーブの外面が六角錐面であり、スリーブの内面の中心線(シャフト中心線)はスリーブの外面の中心線に対して平行偏心している。スリーブsv16では、スリーブの外面の断面形状が八角形(正八角形)であり、スリーブの外面が六角錐面であり、スリーブの内面の中心線(シャフト中心線)はスリーブの外面の中心線に対して平行偏心している。
スリーブsv17では、スリーブの外面の断面形状が四角形(正方形)であり、スリーブの外面が四角錐面であり、スリーブの内面の中心線(シャフト中心線)はスリーブの外面の中心線に対して傾斜している。スリーブsv18では、スリーブの外面の断面形状が六角形(正六角形)であり、スリーブの外面が六角錐面であり、スリーブの内面の中心線(シャフト中心線)はスリーブの外面の中心線に対して傾斜している。スリーブsv19では、スリーブの外面の断面形状が八角形(正八角形)であり、スリーブの外面が六角錐面であり、スリーブの内面の中心線(シャフト中心線)はスリーブの外面の中心線に対して傾斜している。
このように、様々なスリーブが用いられ得る。もちろん、図18に示されるこれらのスリーブは、例示に過ぎない。同様に、スペーサーについても様々な形態が用いられ得る。
過度に大きなホーゼルを防ぐ観点から、スリーブにおける平行偏心の偏心量は、5mm以下が好ましく、2mm以下がより好ましく、1.5mm以下がより好ましい。調節性の観点から、スリーブにおける平行偏心の偏心量は、0.5mm以上が好ましく、1.0mm以上がより好ましい。
過度に大きなホーゼルを防ぐ観点から、スリーブの外面の中心線に対するシャフト中心線の傾斜角度θ1は、5度以下が好ましく、3度以下がより好ましく、2度以下がより好ましい。調節性の観点から、この角度θ1は、0.5度以上が好ましく、1度以上がより好ましく、1.5度以上がより好ましい。
過度に大きなホーゼルを防ぐ観点から、スペーサーにおける平行偏心の偏心量は、5mm以下が好ましく、2mm以下がより好ましく、1.5mm以下がより好ましい。調節性の観点から、スペーサーにおける平行偏心の偏心量は、0.5mm以上が好ましく、1.0mm以上がより好ましい。
過度に大きなホーゼルを防ぐ観点から、スペーサーの外面の中心線に対する当該スペーサーの内面の中心線の傾斜角度θ2は、5度以下が好ましく、3度以下がより好ましく、2度以下がより好ましい。調節性の観点から、この角度θ2は、0.5度以上が好ましく、1度以上がより好ましく、1.5度以上がより好ましい。
図19は、ヘッド200に設けられた脱落防止機構1000の近傍の断面図である。なお、図19は、図2に対して、上下が逆になっている。
脱落防止機構1000は、突出及び退行が可能な状態で突出方向に付勢された弾性突出部1004を有する。本実施形態では、弾性突出部1004は、板バネ1006である。図19は、外力が作用していない自然状態における脱落防止機構1000の断面図である。この自然状態において、板バネ1006は、逆テーパー孔206に近づくほど設置面224からの突出高さHtが大きくなるように構成されている。前記自然状態において、脱落防止機構1000は、逆テーパー孔206にはめ込まれた先端係合部の端面(下端面)に当接する当接面1008を有する。
脱落防止機構1000の当接面1008は、スペーサー500の下端面と、スリーブ400の下端面とに当接する。先端係合部RTの下端面RT1は、スペーサー500の下端面と、スリーブ400の下端面とを含む。この下端面RT1に、当接面1008が当接する。
このように、脱落防止機構1000は、スリーブ(延長スリーブを含む)及びスペーサーに当接する。このため、先端係合部RTの係合解除方向への移動が規制される。この結果、先端係合部RTの脱落が防止される。即ち、シャフト300の脱落が防止される。
板バネ1006を押圧すると、板バネ1006は、突出高さHtが少なくなるように退行する。この退行により、当接面1008は、ヘッド200の内部に収容される。この結果、当接面1008は先端係合部RTの下端面と当接できない状態となる。この状態では、先端係合部RTを係合解除方向に移動することが可能である。よって、シャフト300をヘッド200から取り外すことができる。
前述したステップ(d)(図4参照)において、先端係合部RTは、板バネ1006を押圧しながら、逆テーパー孔206に向かって移動する。押圧された板バネ1006は退行し、先端係合部RTの前記移動を許容する。先端係合部RTが逆テーパー孔206と当接(係合)する位置にまで達したとき、先端係合部による板バネ1006の押圧は無くなり、板バネ1006が突出する。この結果、当接面1008が先端係合部RTの下端面RT1に当接し、脱落防止機構1000がその機能を発揮する。
脱落防止機構1000の機能を解除するときは、外力によって板バネ1006を押圧し、当接面1008と下端面RT1との当接を解除する。外力は、例えば,人間の指によって付与される。
図20は、変形例に係る脱落防止機構1100の断面図である。この脱落防止機構1100は、突出及び退行が可能な状態で突出方向に付勢された弾性突出部1102を有する。弾性突出部1102は、圧縮バネ1104とスライド部材1106とスライド孔1108とを有する。スライド部材1106は、例えば、円柱部材とされる。スライド孔1108は、例えば、円形孔とされる。
圧縮バネ1104は、スライド部材1106を突出方向に付勢している。外力が作用しない自然状態において、スライド部材1106は、下端面RT1と当接する位置にある。図20は、この自然状態を示す。スライド部材1106を押圧すると、スライド部材1106は、突出高さHtが小さくなるように退行する。この退行により、スライド部材1106と下端面RT1との係合が解除される。このように、脱落防止機構1100の機能は、前述の脱落防止機構1000と同様である。
他の脱落防止機構として、例えば、取り外し可能に取り付けられる着脱部材が挙げられる。この着脱部材は、係合状態のゴルフクラブヘッドの、下端面RT1に当接する位置に取り付けられる。このような着脱部材を含む着脱機構として、例えば、特開2013−123439号公報に記載の着脱機構が挙げられる。この公報における重量体が、前記着脱部材に応用されうる。例えば、装着状態(係合ポジション)にある着脱部材がヘッド本体から突出し、この突出部分が下端面RT1に当接する構成が採用されうる。また、他の着脱部材として、ネジ部材が挙げられる。
図21(a)は、ネジ部材を用いた脱落防止機構の一例を示す。この脱落防止機構1200は、ネジ部材1202と、ネジ穴1204とを有する。ネジ穴1204は、設置面224に設けられている。ネジ部材1202は、頭部1206とネジ部1208とを有する。頭部1206の側面1210は、テーパー面を有する。このテーパー面1210は、円錐面(円錐凸面)である。このテーパー面1210は、ネジ部1208と同軸である。このテーパー面1210の外径は、ネジ部1208に近づくにつれて小さくなっている。
図21(a)が示すように、先端係合部RTの下端面RT1は、このテーパー面1210に線接触しうる傾斜面を有する。
ネジ部1208がネジ穴1204にねじ込まれた状態で、下端面RT1の前記傾斜面は、テーパー面1210と線接触する。ネジ部1208のねじ込み量によってテーパー面1210が移動し、この移動に起因して、テーパー面1210と下端面RT1との接触位置がシャフト軸方向に移動する。この脱落防止機構1200では、ネジ部材1202のねじ込み量によって、下端面RT1とネジ部材1202との接触位置を微調整することができる。
なお、下端面RT1とネジ部材とが面接触してもよい。例えば、前記ネジ部材1202において、ネジ部1208が頭部1206に対して回転可能に支持されている構成を採用することができる。例えば、頭部1206がネジ部1208を有するネジ軸体と貫通孔とを有しており、このネジ軸体の一部が前記貫通孔に内包されていてもよい。このネジ部材では、頭部1206を回転させることなくネジ部1208のみを回転させることができる。例えば、頭部1206の側面1210を角錐面(四角錐面)とすることにより、下端面RT1とネジ部材との面接触が可能となる。
図21(b)は、ネジ部材を用いた脱落防止機構の他の例を示す。この脱落防止機構1250は、ネジ部材1252と、雌ねじ部1254とを有する。雌ねじ部1254は、ホーゼル孔204の下端部に設けられている。雌ねじ部1254の中心線は、先端係合部RTの中心線に一致している。ネジ部材1252は、当接面1256と、ネジ部1258と、回動係合部1260とを有する。当接面1256は、ネジ部材1252の端面(上端面)である。当接面1256は、ネジ部1258の一方側の面(上面)に設けられている。回動係合部1260は、ネジ部1258の他方側の面(下面)に設けられている。
ネジ部材1252のネジ部1258は、雌ねじ部1254とネジ結合する。このネジ結合により、ネジ部材1252は、先端係合部RTの中心線の方向に沿って進退する。ネジ部材1252をねじ込むと、当接面1256は、先端係合部RTの下端面RT1に近づく。更にネジ部材1252をねじ込むと、当接面1256は、下端面RT1に当接する。ネジ部材1252は、先端係合部RTを、下方から突き上げることができる。当接面1256が下端面RT1に当接するまでネジ部材1252をねじ込むことで、先端係合部RT(シャフト)の脱落が防止される。
回動係合部1260には、ネジ部材1252を回転させるための工具(レンチ)が係合される。ヘッドが着脱可能な錘部材を有している場合、ネジ部材1252を回転させる工具は、この錘部材を着脱させる工具と共用されてもよい。
本願では、係合解除方向及び係合方向が定義される。本願において係合解除方向とは、軸方向に沿った方向であり、先端係合部RTが逆テーパー孔206に対してソール側に移動する方向を意味する。換言すれば、係合解除方向とは、逆テーパー孔206が先端係合部RTに対してグリップ側に移動する方向を意味する。先端係合部RTが係合解除方向に移動すると、先端係合部RTは逆テーパー孔206から抜ける。一方、本願において係合方向とは、軸方向に沿った方向であり、先端係合部RTが逆テーパー孔206に対してグリップ側に移動する方向を意味する。換言すれば、係合方向とは、逆テーパー孔206が先端係合部RTに対してソール側に移動する方向を意味する。
係合状態のゴルフクラブでは、先端係合部RTと逆テーパー孔206との間で逆テーパー嵌合が形成されている。係合方向の力は、この逆テーパー嵌合を解除することはできず、逆にこの逆テーパー嵌合の接触圧力を高める。係合方向の力は、先端係合部RTと逆テーパー孔206との係合をより一層確実とする。
ヘッドに作用する大きな力は、スイング中の遠心力、及び、インパクトでの衝撃力である。これらのうち、遠心力は、上述した係合方向の力である。また、ヘッドのロフト角に起因して、前記衝撃力の軸方向における分力も、係合方向の力である。よって、遠心力及び衝撃力は、先端係合部RTと逆テーパー孔206との係合を解除することはできず、逆にこの係合をより一層確実とする。また、先端係合部RT及び逆テーパー孔206は、断面形状が非円形であることから、両者の間で相対回転が生じることはない。結果として、先端係合部RTと逆テーパー孔206の間が接着剤等で固定されていないにも関わらず、ゴルフクラブとして必要な抜け止め及び回り止めが達成される。この逆テーパー嵌合の構造は、結合性と着脱容易性とを両立しうる。
したがって、ショット(スイング)の局面においては、脱落防止機構は必ずしも必要ではない。
一方、スイング以外の場面では、ゴルフクラブに係合解除方向の力が作用する場合がある。例えば、ゴルフクラブがゴルフバックに差し込まれている状態である。この状態では、ゴルフクラブは、ヘッドを上側にして立てられている。この場合、ヘッドに作用する重力は、前記係合解除方向の力として作用する。脱落防止機構により、この係合解除方向の力が作用しても、ヘッドは脱落しない。
遠心力、衝撃力等に起因する係合方向の力に比べて、この係合解除方向の力は小さい。よって、脱落防止機構には、大きな力は作用しない。脱落防止機構は、簡易的な機構であってもよい。だたし、ゴルフルールの観点からは、脱落防止機構は、素手で解除できないように構成されるのが好ましい。ゴルフルールの観点からは、脱落防止機構には、専用の工具が必要とされるのが好ましい。
本実施形態のゴルフクラブは、クラブ長さの調整機構を有しうる。
図22(a)から(c)は、軸方向に沿ったゴルフクラブ1300の断面図である。
ゴルフクラブ1300は、クラブ長さを調整するための、複数のスペーサー1500、1530,1560を有する。組み立てられたゴルフクラブは、複数のスペーサー1500、1530,1560のうちの1つを含み、他のスペーサーは交換用である。スペーサーを交換することで、クラブ長さが調整されうる。
以下では、スペーサー1500が用いられた場合が、ゴルフクラブ1300aとされる。ゴルフクラブ1300aは、クラブ長さが最小の状態である。ゴルフクラブ1300aでは、先端係合部RTは、スリーブ1400とスペーサー1500とにより構成されている。スペーサー1530が用いられた場合が、ゴルフクラブ1300bとされる。ゴルフクラブ1300bは、クラブ長さが中間の状態である。ゴルフクラブ1300bでは、先端係合部RTは、スリーブ1400とスペーサー1530とにより構成されている。スペーサー1560が用いられた場合が、ゴルフクラブ1300cとされる。ゴルフクラブ1300cは、クラブ長さが最大の状態である。ゴルフクラブ1300cでは、先端係合部RTは、スリーブ1400とスペーサー1560とにより構成されている。
図示されていないが、スペーサー1500、1530,1560は、いずれも、分割構造を有する。この分割構造は、前述したスペーサー500(図8)と同じである。加えて、スリーブ1400は、逆テーパー孔206を通過しうる。ゴルフクラブ1300(1300a、1300b、1300c)は、図4で示された工程で組み立てることができる。
図22(a)は、軸方向に沿ったゴルフクラブ1300aの断面図である。図22(b)は、軸方向に沿ったゴルフクラブ1300bの断面図である。図22(c)は、軸方向に沿ったゴルフクラブ1300cの断面図である。
図22(a)から図22(c)が示すように、複数のスペーサー1500,1530,1560の間で、肉厚Tが変化している。第2のスペーサー1530の肉厚t2は、第1のスペーサー1500の肉厚t1よりも薄い。第3のスペーサー1560の肉厚t3は、第2のスペーサー1530の肉厚t2よりも薄い。
図22(a)から図22(c)が示すように、複数のスペーサー1500,1530,1560の間で、長さLが変化している。第2のスペーサー1530の長さL2は、第1のスペーサー1500の長さL1よりも大きい。第3のスペーサー1560の長さL3は、第2のスペーサー1530の長さL2よりも大きい。スペーサーが薄いほど、スペーサーが長い。即ち、スペーサーの肉厚Tが小さいほど、スペーサーの長さLは大きい。
スペーサーの肉厚Tの変化に起因して、スペーサー内面の断面積は変化している。同一の軸方向位置で比較すると、スペーサーの肉厚Tが薄いほど、スペーサー内面の断面積は大きい。具体的には、同一の軸方向位置で比較すると、第2のスペーサー1530の内面1532の断面積は、第1のスペーサー1500の内面1502の断面積よりも大きい。同一の軸方向位置で比較すると、第3のスペーサー1560の内面1562の断面積は、第2のスペーサー1530の内面1532の断面積よりも大きい。
従って、係合状態において、各スペーサーに対するスリーブ1400の軸方向位置は変化する。第1のスペーサー1500に係合するスリーブ1400の軸方向位置がP1とされ、第2のスペーサー1530に係合するスリーブ1400の軸方向位置がP2とされ、第3のスペーサー1560に係合するスリーブ1400の軸方向位置がP3とされる。図22(a)から(c)が示すように、軸方向位置P2は軸方向位置P1よりも上側である。軸方向位置P3は軸方向位置P2よりも上側である。
このような軸方向位置の変化に起因して、クラブ長さが変化する。ゴルフクラブ1300bは、ゴルフクラブ1300aよりも長い。ゴルフクラブ1300cは、ゴルフクラブ1300bよりも長い。
このように、ゴルフクラブ1300では、スペーサー1500,1530,1560の肉厚Tを変化させることで、クラブ長さが変化している。
ゴルフクラブ1300では、スペーサー1500,1530,1560の長さLが、その肉厚Tと共に変化している。即ち、肉厚Tが小さいほど長さLが大きい。このため、スリーブ1400の軸方向位置が移動しているにも関わらず、スリーブ1400と各スペーサーとの係合面積が確保されている。また、各スペーサーと逆テーパー孔206との係合面積も確保されている。したがって、ゴルフクラブ1300a、ゴルフクラブ1300b及びゴルフクラブ1300cのいずれにおいても、実打に耐えうる程度に、ヘッド200に対するシャフト300の固定が達成されている。
係合状態における、スリーブとスペーサーとの接触面積がSとされる。図22(a)から図22(c)の実施形態において、ゴルフクラブ1300aの接触面積SがS1とされ、ゴルフクラブ1300bの接触面積SがS2とされ、ゴルフクラブ1300cの接触面積SがS3とされる。本実施形態では、S1>S2>S3である。
このように、異なるクラブ長さのそれぞれで接触面積Sが定まる。これらの接触面積Sのうちの最大値がSmaxとされ、最小値がSminとされる。本実施形態では、最大値SmaxがS1であり、最小値SminがS3である。シャフト300の保持を確実とする観点から、Smin/Smaxは、0.5以上が好ましく、0.6以上がより好ましく、0.7以上がより好ましく、0.8以上がより好ましく、0.9以上がより好ましい。Smin/Smaxは1であるのも好ましい。
シャフト300の保持を確実とする観点から、接触面積Sは、120mm2以上が好ましく、360mm2以上がより好ましく、600mm2以上がより好ましい。過大なホーゼル部202は、ヘッド200の設計自由度を低下させる。この観点から、接触面積Sは、3000mm2以下が好ましく、2400mm2以下がより好ましく、1800mm2以下がより好ましい。
図22(a)から図22(c)が示すように、第1のスペーサー1500は、上端面1506と下端面1508とを有する。第2のスペーサー1530は、上端面1536と下端面1538とを有する。第3のスペーサー1560は、上端面1566と下端面1568とを有する。
図22(a)から図22(c)が示すように、ゴルフクラブ1300a,1300b,1300cでは、各スペーサーの下端面の軸方向位置が同一である。このような構成に限定されない。係合状態において、スペーサーの肉厚Tが薄いほど、スペーサーの下端面が上側であってもよい。即ち、係合状態において、下端面1538が下端面1508よりも上側であってもよい。係合状態において、下端面1568が下端面1538よりも上側であってもよい。
図22(a)が示すように、ゴルフクラブ1300a,1300b,1300cでは、各スペーサーの上端面1506,1536,1566が、スリーブ1400の上端面1406よりも下側に位置している。この形態では、スペーサーとスリーブとで階段状の露出部が形成される。この階段状の露出部は、フェラルの様な外観が得られる点で好ましい。もちろんこの形態には限定されず、各スペーサーの上端面1506,1536,1566の軸方向位置が、スリーブ1400の上端面1406の軸方向位置と同じであってもよい。また、各スペーサーの上端面1506,1536,1566が、スリーブ1400の上端面1406よりも上側であってもよい。
図23は、他の実施形態に係るゴルフクラブ1600の断面図である。このゴルフクラブ1600では、スペーサーを交換することなく、クラブ長さが変更されうる。
図23は、ゴルフクラブ1600の2つの状態を示す。図23の状態(a)は、第1状態のゴルフクラブ1600を示す。図23の状態(b)は、第2状態のゴルフクラブ1600を示す。第1状態のゴルフクラブ1600のクラブ長さは、第2状態に比べて短い。ゴルフクラブ1600では、2種類の長さが選択されうる。
図24は、ゴルフクラブ1600の先端係合部RTでの断面図であり、長さ調整機構を説明するための断面図である。
図24の状態(a)は、第1状態(短い状態)における断面図である。図24の状態(a)が示すように、ゴルフクラブ1600の先端係合部RTは、スリーブ1700と、スペーサー1800とを有する。
スリーブ1700は、シャフト300の先端部の接着されている。スペーサー1800は、分割構造を有する。スリーブ1700は、ホーゼル孔(図示されず)を通過することができる。ゴルフクラブ1600は、図4で示された工程により組み立てられうる。
図23が示すように、スペーサー1800の内面は、第1当接面S1と、第2当接面S2とを有する。
スペーサー1800の内面には、複数(4つ)の第1当接面S1が設けられている。スペーサー1800の内面には、複数(4つ)の第2当接面S2が設けられている。第1当接面S1と第2当接面S2とは交互に配置されている。本実施形態では、第1当接面S1の数は4であり、第2当接面S2の数は4である。第1当接面S1の数と第2当接面S2の数との和が8である。
図23の状態(a)が示すように、第1当接面S1のそれぞれは、正多角形(正八角形)における1つおきの辺のそれぞれに重なる。この第1当接面S1と重なる正多角形(正八角形)が第1の仮想正多角形(図示されず)と定義される。図23の状態(a)が示すように、第2当接面S2のそれぞれは、正多角形(正八角形)における1つおきの辺のそれぞれに重なる。この第2当接面S2と重なる正多角形(正八角形)が第2の仮想正多角形(図示されず)と定義される。
第2当接面S2の半径方向位置は、第1当接面S1の半径方向位置よりも外側である。第1の仮想正多角形(仮想正八角形)は、第2の仮想正多角形(仮想正八角形)よりも小さい。第1の仮想正多角形(仮想正八角形)と第2の仮想正多角形(仮想正八角形)とは、中心点が共通であり、且つ、同じ位相である。
このように、第1当接面S1及び第2当接面S2は、正多角形(正八角形)の各辺に沿って交互に配置されており、且つ、第1当接面S1の半径方向位置が第2当接面S2の半径方向位置よりも(若干)外側である。第1当接面S1と第2当接面S2との境界には、段差面S3が形成されている。段差面S3は、無くてもよい。
図23の状態(a)が示すように、スリーブ1700の外面は、当接係合面T1と非当接係合面T2とを有する。
スリーブ1700の外面には、複数(4つ)の当接係合面T1が設けられている。スリーブ1700の外面には、複数(4つ)の非当接係合面T2が設けられている。当接係合面T1と非当接係合面T2とは交互に配置されている。本実施形態では、当接係合面T1の数は4であり、非当接係合面T2の数は4である。当接係合面T1の数と非当接係合面T2の数との和が8である。
図23の状態(a)が示すように、当接係合面T1のそれぞれは、正多角形(正八角形)における1つおきの辺のそれぞれに重なる。この当接係合面T1と重なる正多角形(正八角形)が第3の仮想正多角形(図示されず)と定義される。図23の状態(a)が示すように、非当接係合面T2のそれぞれは、正多角形(正八角形)における1つおきの辺のそれぞれに重なる。この非当接係合面T2と重なる正多角形(正八角形)が第4の仮想正多角形(図示されず)と定義される。
当接係合面T1の半径方向位置は、非当接係合面T2の半径方向位置よりも外側である。したがって、第3の仮想正多角形(仮想正八角形)は、第4の仮想正多角形(仮想正八角形)よりも大きい。第3の仮想正多角形(仮想正八角形)と第4の仮想正多角形(仮想正八角形)とは、中心点が共通であり、且つ、同じ位相である。
このように、当接係合面T1及び非当接係合面T2は、正多角形(正八角形)の各辺に沿って交互に配置されており、且つ、当接係合面T1の半径方向位置が非当接係合面T2の半径方向位置よりも(若干)外側である。当接係合面T1と非当接係合面T2との境界には、段差面T3が形成されている。段差面T3は、無くてもよい。
図23の状態(a)は、第1状態(クラブ長さが短い状態)における断面図である。この第1状態では、スリーブ1700は、第1回転位置にある。
この第1状態では、当接係合面T1が第1当接面S1に当接している。第1状態では、当接係合面T1が第1当接面S1に対向しており、非当接係合面T2が第2当接面S2に対向している。当接係合面T1は第1当接面S1に当接しているのに対して、非当接係合面T2は第2当接面S2に当接していない。非当接係合面T2と第2当接面S2との間に隙間が形成されている。
図23の状態(b1)は、第2状態に移行するための移行状態を示す断面図である。図23の状態(b1)では、スリーブ1700は、第2回転位置にある。
第2状態に移行するための移行状態とは、スペーサー1800に対するスリーブ1700の軸方向位置を変化させずに、スリーブ1700が所定角度θ(45°)回転された状態を意味する。このような移行状態を図示するのは、この長さ調整機構の理解を容易とするためである。なお、実際に前記所定角度θの回転を行うには、先端係合部RTを係合解除方向に一旦移動させた上で当該回転を行うことになる。スリーブ1700を前記所定角度θだけ回転することで、スリーブ1700の回転位置が、第1回転位置から第2回転位置に移行する。
この移行状態では、当接係合面T1が第2当接面S2に対向しており、非当接係合面T2が第1当接面S1に対向している。この状態では、当接係合面T1は第2当接面S2に当接していない。もちろん、非当接係合面T2も第1当接面S1に当接していない。当接係合面T1と第2当接面S2との間の隙間gpの幅は、非当接係合面T2と第1当接面S1との間の隙間の幅よりも小さい。
図23の状態(b)(移行状態)において、当接係合面T1と第2当接面S2とが当接していないことが、2つのクラブ長さの実現性を示している。すなわち、隙間gpにより、第2のクラブ長さ(より大きなクラブ長さ)が実現する。この点について、次の図24を用いて説明する。
図24の状態(a)は、図23の状態(a)の、A−A線に沿った断面図である。図24の状態(b1)は、図23の状態(b1)の、B−B線に沿った断面図である。この図24の状態(b1)にも示されるように、移行状態では、当接係合面T1と第2当接面S2との間に隙間gpが存在する。この隙間gpを解消して、当接係合面T1と第2当接面S2とを当接させるには、スリーブ1700が固定されたシャフト300を軸方向上側に移動させればよい。すなわち、移行状態にあるスリーブ1700をスペーサー1800に対して軸方向上方に移動することで、当接係合面T1と第2当接面S2とが当接する。この結果、第2状態が実現する。図24の状態(b2)が、この第2状態を示している。
以上の通り、ゴルフクラブ1600では、第1状態と第2状態との間で、スペーサー1800に対するスリーブ1700の軸方向位置が相違している。この相違に起因して、クラブ長さが短い第1状態と、クラブ長さが長い第2状態とが実現されている。ゴルフクラブ1600では、スリーブ1700をスペーサー1800に対して回転させることで、前記第1状態と前記第2状態との相互移行が可能とされている。
このゴルフクラブ1600は、ネジ止め式の脱落防止機構1900を有している。脱落防止機構1900は、複数のネジ穴h1、h2と、これらのネジ穴h1,h2にネジ止めされうるネジsc1とを有する。図24では、ネジsc1の頭部の平面図が2点鎖線で示されている。ネジsc1の頭部が、スリーブ1700の下端面E1に当接している。図24の状態(a)が示すように、クラブが短い第1状態では、ネジsc1は第1のネジ穴h1にネジ止めされ、第1状態における下端面E1に当接する。図24の状態(b2)が示すように、クラブが長い第2状態では、ネジsc1は、第2のネジ穴h2にネジ止めされ、第2状態における下端面E1に当接する。このように、脱落防止機構1900は、複数の軸方向位置においてスリーブ1700の端面E1を支持しうる。
このように、本実施形態では、逆テーパー外面を有するスリーブ1700と、逆テーパー内面を有するスペーサー1800とが用いられている。前記逆テーパー外面及び前記逆テーパー内面のうちの一方が、当接係合面T1を有している。前記逆テーパー外面及び前記逆テーパー内面のうちの他方が、第1当接面S1と第2当接面S2とを有している。前記逆テーパー外面が第1回転位置にあるときには前記当接係合面T1が前記第1当接面S1に当接した第1状態となるように構成され、且つ、前記逆テーパー外面が第2回転位置にあるときには前記当接係合面T1が前記第2当接面S2に当接した第2状態となるように構成されている。前記第1状態と前記第2状態との間で、前記逆テーパー内面に対する前記逆テーパー外面の軸方向位置が相違しており、この相違に起因してクラブ長さが調整される。好ましくは、前記逆テーパー外面が、前記当接係合面T1に加えて、非当接係合面T2を有している。好ましくは、前記逆テーパー外面が角錐外面であり、前記当接係合面及び前記非当接係合面がこの角錐外面に交互に配置されている。好ましくは、前記当接係合面の半径方向位置が前記非当接係合面の半径方向位置よりも外側である。好ましくは、前記逆テーパー内面が前記角錐外面に対応した角錐内面であり、前記第1当接面及び前記第2当接面がこの角錐内面に交互に配置されている。好ましくは、前記角錐外面が八角錐面である。好ましくは、前記角錐内面が八角錐面である。
図25は、他の実施形態に係るスリーブ2000の斜視図である。図26(a)は、スリーブ2000の平面図である。図26(b)は、図25のB−B線に沿った断面図である。図26(c)は、図25のC−C線に沿った断面図である。図26(d)は、スリーブ2000の底面図である。
スリーブ2000は、内面2002と、外面2004と、上端面2006と、下端面2008とを有している。
内面2002は、円周面である。内面2002に、シャフトが接着される。
外面2004は、逆テーパー係合面K1を有する。逆テーパー係合面K1は、周方向の複数箇所に配置されている。逆テーパー係合面K1は、周方向の所定間隔ごとに配置されている。逆テーパー係合面K1は、周方向の所定角度(90度)ごとに配置されている。
外面2004は、非係合面K2を有する。非係合面K2は、周方向の複数箇所に配置されている。非係合面K2は、周方向の所定間隔ごとに配置されている。非係合面K2は、周方向の所定角度(90度)ごとに配置されている。
逆テーパー係合面K1と非係合面K2とは、周方向において交互に配置されている。
図26(a)から(d)から理解されるように、外面2004の断面積は、上端面2006から下端面2008に近づくにつれて大きくなっている。外面2004の断面形状では、下方にいくにつれて、逆テーパー係合面K1が径方向外側に移動している。この結果、逆テーパー係合面K1は逆テーパー面となっている(図25参照)。
非係合面K2の断面形状は、軸方向位置に関わらず同一である。非係合面K2の断面形状は、多角形(正多角形)に沿っている。非係合面K2の断面形状は、八角形(正八角形)に沿っている。非係合面K2の断面形状は、正多角形の一つおきの辺である。あらゆる軸方向位置において、非係合面K2の径方向位置は一定である。あらゆる軸方向位置において、逆テーパー係合面K1は、非係合面K2よりも径方向外側に位置する。
あらゆる軸方向位置において、外面2004の断面形状は、回転対称性を有している。あらゆる軸方向位置において、外面2004の断面形状は、4回対称である。外面2004の断面形状がn回対称(nは2以上の整数)であるとき、nは、3以上12以下が好ましく、4以上8以下がより好ましい。なお、本願において、このnは、採りうる値の最大値を意味する。例えば正方形は、4回対称でもあり2回対称でもあるが、この正方形におけるnは、採りうる値の最大値、すなわち、4である。
図27(a)から(d)は、ホーゼル孔2010を示す。図27(a)は、ホーゼル孔2010の平面図であり、上端面におけるホーゼル孔2010を示す。図27(d)は、ホーゼル孔2010の底面図であり、下端面におけるホーゼル孔2010を示す。図27(b)及び図27(c)は、ホーゼル孔2010の断面図である。図27(b)は、図25のB−B線に対応した位置における、ホーゼル孔2010の断面図である。図27(c)は、図25のC−C線に対応した位置における、ホーゼル孔2010の断面図である。
このホーゼル孔2010は、スリーブ2000に対応している。スリーブ2000は、シャフト(図示されず)の先端部に固定される。スリーブ2000が固定されたシャフトは、ヘッドのホーゼル孔2010に固定される。ホーゼル孔2010は、ヘッドのホーゼル部2012に設けられている。
ホーゼル孔2010は、逆テーパー孔面J1を有する。逆テーパー孔面J1は、逆テーパー係合面K1に対応した面である。逆テーパー孔面J1は、周方向の複数箇所に配置されている。逆テーパー孔面J1は、周方向の所定間隔ごとに配置されている。逆テーパー孔面J1は、周方向の所定角度(90度)ごとに配置されている。
ホーゼル孔2010は、干渉回避面J2を有する。干渉回避面J2は、周方向の複数箇所に配置されている。干渉回避面J2は、周方向の所定間隔ごとに配置されている。干渉回避面J2は、周方向の所定角度(90度)ごとに配置されている。
逆テーパー孔面J1と干渉回避面J2とは、周方向において交互に配置されている。
図27(a)から(d)から理解されるように、ホーゼル孔2010の断面積は、上端面から下端面に近づくにつれて大きくなっている。ホーゼル孔2010の断面形状では、下方にいくほど、逆テーパー孔面J1が径方向外側に移動している。逆テーパー孔面J1は逆テーパー面である。
干渉回避面J2の径方向位置及び配向は、軸方向位置に関わらず同一である。干渉回避面J2の断面形状は、多角形(正多角形)に沿っている。干渉回避面J2の断面形状は、八角形(正八角形)に沿っている。干渉回避面J2の断面形状は、正多角形の一つおきの辺である。あらゆる軸方向位置において、干渉回避面J2の径方向位置は一定である。下端面を除くあらゆる軸方向位置において、干渉回避面J2は、逆テーパー孔面J1よりも径方向外側に位置する。
あらゆる軸方向位置において、ホーゼル孔2010の断面形状は、回転対称性を有している。あらゆる軸方向位置において、ホーゼル孔2010の断面形状は、4回対称である。ホーゼル孔2010の断面形状がn回対称(nは2以上の整数)であるとき、nは、3以上12以下が好ましく、4以上8以下がより好ましい。
図28(a)及び図28(b)は、係合状態におけるスリーブ2000及びホーゼル孔2010を示している。図29は、図28(a)及び図28(b)のA−A線に沿った断面図である。この係合状態により、本実施形態に係るゴルフクラブが使用可能となる。
この係合状態では、逆テーパー係合面K1が逆テーパー孔面J1に当接している。全ての逆テーパー係合面K1が、逆テーパー孔面J1のそれぞれに当接している。逆テーパー係合面K1は、逆テーパー孔面J1にはめ込まれている。
この係合状態では、非係合面K2は、干渉回避面J2に対向している。全ての非係合面K2が、干渉回避面J2のそれぞれに対向している。非係合面K2と干渉回避面J2との間には、隙間(空間)が存在する。
図30は、スリーブ2000に、ホーゼル孔2010を通過させる通過工程におけるスリーブ2000及びホーゼル孔2010を示す平面図である。この図30は、当該通過工程の開始時点における状態を示している。この図30では、上端面におけるホーゼル孔2010(図27(a))と、下端面2008におけるスリーブ2000とが示されている。
本実施形態では、スペーサーが用いられていない。本実施形態では、スリーブ2000のみが、先端係合部RTを構成している。
図4で説明した通り、先端係合部RTは、ホーゼル孔2010を通過しうる。図30は、この通過が可能であることを示している。スリーブ2000の下端面2008は、スリーブ2000において断面積が最大である。一方、ホーゼル孔2010の上端は、ホーゼル孔2010において断面積が最小である。図30は、断面積が最大である下端面2008が、断面積が最小であるホーゼル孔2010の上端を通過できることを示している。スリーブ2000は、ホーゼル孔2010を通過することができる。スリーブ2000は、上側からホーゼル孔2010に挿入され、ホーゼル孔2010の下側に抜けることができる。
本願では、第1位相状態PH1及び第2位相状態PH2が定義される。第1位相状態PH1及び第2位相状態PH2とは、ホーゼル孔2010とスリーブ2000との間の相対的な位相関係を示している。ホーゼル孔2010に対してスリーブ2000を回転することで、第1位相状態PH1と第2位相状態PH2との間の相互移行が可能である。
第1位相状態PH1では、逆テーパー係合面K1が干渉回避面J2に対向している。図30が、この第1位相状態PH1を示している。上述の通り、この第1位相状態PH1(図30)では、ホーゼル孔2010が先端係合部RT(スリーブ2000)を通過させうるように構成されている。図30では明確に示されていないが、逆テーパー係合面K1と干渉回避面J2との間には(若干の)クリアランスが存在する。
第1位相状態PH1では、非係合面K2は逆テーパー孔面J1に対向している。第1位相状態PH1において、非係合面K2と逆テーパー孔面J1との間には隙間が存在する。
第2位相状態PH2では、逆テーパー係合面K1は、逆テーパー孔面J1に対向している。図28(a)及び図28(b)が、この第2位相状態PH2を示している。この第2位相状態PH2において、係合状態が達成される。上述の通り、この係合状態では、逆テーパー係合面K1が逆テーパー孔面J1に面接触している。第2位相状態PH2では、逆テーパー係合面K1が逆テーパー孔面J1にはめ込まれるように構成されている。
このように、本実施形態に係るゴルフクラブの組立では、先ず、シャフトの先端部にスリーブ2000が固定(接着)される。次に、このスリーブ2000を、上側からホーゼル孔2010に挿入し、ホーゼル孔2010を完全に通過させる。この通過により、スリーブ2000はソールの下側に到達し、且つシャフトはホーゼル孔2010に挿通されている。この通過工程では、第1位相状態PH1が採用される(図30参照)。次に、第2位相状態PH2となるように、シャフトに固定されたスリーブ2000を回転させる。なお、スリーブ2000は、外部に抜け出しているので、自由に回転できる。この回転の角度は、本実施形態では、45度でよい。最後に、スリーブ2000が固定されたシャフトを引き上げて、逆テーパー係合面K1を逆テーパー孔面J1にはめ込む。この最終状態が、図28(a)、図28(b)及び図29で示されている。
このように、第1位相状態PH1により、スリーブ2000はホーゼル孔2010を通過することができる。そして、第2位相状態PH2により、スリーブ2000をホーゼル孔2010にはめ込むことができる。
このスリーブ2000では、スリーブ内面2002の中心線は、スリーブ外面の中心線に対して傾斜していない。もちろん、スリーブ内面2002の中心線は、スリーブ外面の中心線に対して傾斜していてもよい。また、スリーブ内面2002の中心線は、スリーブ外面の中心線に対して平行偏心していてもよい。
本実施形態では、スペーサーは用いられていない。しかし、スペーサーを設けることも可能である。例えば、上述したスリーブ2000の形状を、スペーサーとスリーブとで構成することができる。この場合、スリーブは、その外形を逆テーパー形状の正八角錐とすることができる。このスリーブに適合するスペーサーは、その内形が前記スリーブの外形に対応した正八角錐とすることができ、その外形は上記スリーブ2000と同じにすることができる。スペーサーが用いられる場合、スリーブの内形の中心線と外形の中心線との間に傾斜角度を設け、且つ、スペーサーの内形の中心線と外形の中心線との間に傾斜角度を設けることができる。この場合、上述の通り、ロフト角の独立可変及びライ角の独立可変が達成されうる。
逆テーパー嵌合のテーパー率は限定されない。このテーパー率が過小である場合、逆テーパー嵌合を外しにくい場合がある。一方、このテーパー率が過大である場合、嵌合部分のサイズが大きくなる。過剰に大きな嵌合部分は、ゴルフクラブの設計自由度を低下させる。これらの観点から、テーパー率は所定の範囲に設定されるのが好ましい。
上述の観点から、スリーブの外面のテーパー率は、0.2/30以上が好ましく、0.5/30以上がより好ましく、1.0/30以上がより好ましい。上述の観点から、スリーブの外面のテーパー率は、5/30以下が好ましく、4/30以下がより好ましく、3.5/30以下がより好ましい。
上述の観点から、スペーサーの内面のテーパー率は、0.2/30以上が好ましく、0.5/30以上がより好ましく、1.0/30以上がより好ましい。上述の観点から、スペーサーの内面のテーパー率は、5/30以下が好ましく、4/30以下がより好ましく、3.5/30以下がより好ましい。
上述の観点から、スペーサーの外面のテーパー率は、0.2/30以上が好ましく、0.5/30以上がより好ましく、1.0/30以上がより好ましい。上述の観点から、スペーサーの外面のテーパー率は、10/30以下が好ましく、7/30以下がより好ましく、5/30以下がより好ましい。
上述の観点から、逆テーパー孔のテーパー率は、0.2/30以上が好ましく、0.5/30以上がより好ましく、1.0/30以上がより好ましい。上述の観点から、逆テーパー孔のテーパー率は、10/30以下が好ましく、7/30以下がより好ましく、5/30以下がより好ましい。
上述の観点から、逆テーパー係合面のテーパー率は、0.2/30以上が好ましく、0.5/30以上がより好ましく、1.0/30以上がより好ましい。上述の観点から、逆テーパー係合面のテーパー率は、10/30以下が好ましく、7/30以下がより好ましく、5/30以下がより好ましい。
上述の観点から、逆テーパー孔面のテーパー率は、0.2/30以上が好ましく、0.5/30以上がより好ましく、1.0/30以上がより好ましい。上述の観点から、逆テーパー孔面のテーパー率は、10/30以下が好ましく、7/30以下がより好ましく、5/30以下がより好ましい。
なお、テーパー率の定義は、次の通りである。当該テーパー面の軸方向における距離がDaとされ、この軸方向に垂直な方向における変化幅がDbとされるとき、テーパー率は、Db/Daである。なお、このテーパー率では、片側の傾き(勾配)のみが考慮されるのではなく、両側の変化量が考慮される。例えば、円錐の場合、上記変化幅Dbは、直径の変化量であって、半径の変化量ではない。例えば、正四角錐の場合、当該正四角錐の断面は正方形であるが、上記変化幅Dbは、当該正方形の1辺の長さの変化量である。
逆テーパー孔の断面積は、下方(ソール側)にいくほど徐々に大きくなっている。逆テーパー孔の断面形状は、非円形である。非円形の断面形状は、ホーゼル孔と先端係合部との間の相対回転を防止する。非円形は、円形以外のあらゆる形状を含む。例えば、円の周方向における少なくとも1箇所に凸部、凹部又は平坦部を有する形状であってもよい。逆テーパー孔の断面形状は、多角形でってもよい。この多角形として、三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形及び十二角形が例示される。Nが偶数のN角形であってもよく、例えば、四角形、六角形、八角形及び十二角形が挙げられる。回転止めの観点から、四角形、六角形及び八角形が好ましい。逆テーパー孔の断面形状は、正多角形であってもよい。好ましい正多角形として、正三角形、正四角形(正方形)、正五角形、正六角形、正七角形、正八角形及び正十二角形が挙げられる。より好ましくは、Nが偶数の正N角形であり、例えば、正四角形(正方形)、正六角形、正八角形及び正十二角形が挙げられる。回転止めの観点から、正四角形、正六角形及び正八角形がより好ましい。
逆テーパー孔は、好ましくは、複数の面から構成される。これらの面のそれぞれは、平面であってもよいし、曲面であってもよい。先端係合部との面接触を確実とする観点から、好ましくは、これらの面のそれぞれは、平面とされる。先端係合部との面接触を確実とする観点から、逆テーパー孔は、角錐面とされてもよい。角錐面とは、角錐の外面の一部である。この角錐面として、三角錐面、四角錐面、五角錐面、六角錐面、七角錐面、八角錐面及び十二角錐面が例示される。Nが偶数のN角錐面がより好ましく、例えば、四角錐面、六角錐面、八角錐面及び十二角錐面である。回転止めの観点から、四角錐面、六角錐面及び八角錐面がより好ましい。
図25から図30の実施形態のように、逆テーパー孔面J1が採用されている場合、これらの逆テーパー孔面J1のそれぞれは、平面であってもよいし、曲面であってもよい。逆テーパー係合面K1との面接触を確実とする観点から、好ましくは、これらの逆テーパー孔面J1のそれぞれは、平面とされる。逆テーパー係合面K1との面接触を確実とする観点から、逆テーパー孔面J1は、角錐面とされてもよい。角錐面とは、角錐の外面の一部である。この角錐面として、三角錐面、四角錐面、五角錐面、六角錐面、七角錐面、八角錐面及び十二角錐面が例示される。Nが偶数のN角錐面がより好ましく、例えば、四角錐面、六角錐面、八角錐面及び十二角錐面である。回転止めの観点から、四角錐面、六角錐面及び八角錐面がより好ましい。
スリーブの外面の断面線により形成される図形の面積は、下方(ソール側)にいくほど徐々に大きくなっている。スリーブの外面の断面形状は、非円形である。非円形の断面形状は、スリーブと当接部分との相対回転を防止する。この当接部分とは、スペーサーの内面又は逆テーパー孔である。スペーサーが複数である場合、この当接部分とは、最も内側のスペーサーの内面である。非円形は、円形以外のあらゆる形状を含む。例えば、円の周方向における少なくとも1箇所に凸部、凹部又は平坦部を有する形状であってもよい。スリーブの外面の断面形状は、多角形であってもよい。この多角形として、三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形及び十二角形が例示される。好ましくはNが偶数のN角形であり、例えば、四角形、六角形、八角形及び十二角形が挙げられる。回転止めの観点から、四角形、六角形及び八角形が好ましい。スリーブの外面の断面形状は、正多角形であってもよい。好ましい正多角形として、正三角形、正四角形(正方形)、正五角形、正六角形、正七角形、正八角形及び正十二角形が挙げられる。より好ましくは、Nが偶数の正N角形であり、例えば、正四角形(正方形)、正六角形、正八角形及び正十二角形が挙げられる。回転止めの観点から、正四角形、正六角形及び正八角形がより好ましい。
スリーブの外面は、好ましくは、複数の面から構成される。これらの面のそれぞれは、平面であってもよいし、曲面であってもよい。前記当接部分との面接触を確実とする観点から、好ましくは、これらの面のそれぞれは、平面とされる。前記当接部分との面接触を確実とする観点から、スリーブの外面は、角錐面とされるのが好ましい。この角錐面として、三角錐面、四角錐面、五角錐面、六角錐面、七角錐面、八角錐面及び十二角錐面が例示される。Nが偶数のN角錐面がより好ましく、例えば、四角錐面、六角錐面、八角錐面及び十二角錐面である。回転止めの観点から、四角錐面、六角錐面及び八角錐面がより好ましい。
上述の通り、ゴルフクラブは、1以上のスペーサーを有していてもよい。スペーサーの内面は、当該スペーサーの内側にはめ込まれる部材(内側部材)の外面と同じ形状を有する。この内側部材とは、スリーブ又は他のスペーサーである。
スペーサーの内面の断面線により形成される図形の面積は、下方(ソール側)にいくほど徐々に大きくなっている。スペーサーの内面の断面形状は、非円形である。非円形の断面形状は、スペーサーと前記内側部材との相対回転を防止する。スペーサーが複数である場合、この内側部材とは、他のスペーサーである。非円形は、円形以外のあらゆる形状を含む。例えば、円の周方向における少なくとも1箇所に凸部、凹部又は平坦部を有する形状であってもよい。スペーサーの内面の断面形状は、多角形であってもよい。この多角形として、三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形及び十二角形が例示される。好ましくはNが偶数のN角形であり、例えば、四角形、六角形、八角形及び十二角形が挙げられる。回転止めの観点から、四角形、六角形及び八角形が好ましい。スペーサーの内面の断面形状は、正多角形であってもよい。好ましい正多角形として、正三角形、正四角形(正方形)、正五角形、正六角形、正七角形、正八角形及び正十二角形が挙げられる。より好ましくは、Nが偶数の正N角形であり、例えば、正四角形(正方形)、正六角形、正八角形及び正十二角形が挙げられる。回転止めの観点から、正四角形、正六角形及び正八角形がより好ましい。
スペーサーの内面は、好ましくは、複数の面から構成される。これらの面のそれぞれは、平面であってもよいし、曲面であってもよい。前記内側部材との面接触を確実とする観点から、好ましくは、これらの面のそれぞれは、平面とされる。前記内側部材との面接触を確実とする観点から、スペーサーの内面は、角錐面であってもよい。この角錐面として、三角錐面、四角錐面、五角錐面、六角錐面、七角錐面、八角錐面及び十二角錐面が例示される。Nが偶数のN角錐面がより好ましく、例えば、四角錐面、六角錐面、八角錐面及び十二角錐面である。回転止めの観点から、四角錐面、六角錐面及び八角錐面がより好ましい。
上述の通り、本発明のクラブは、先端係合部を有する。先端係合部はスリーブのみから構成されていてもよいし、スリーブと1以上のスペーサーとから構成されていてもよい。スペーサーが用いられていない場合、先端係合部の外面はスリーブの外面である。1個のスペーサーが用いられている場合、先端係合部の外面はそのスペーサーの外面である。2個以上のスペーサーが用いられている場合、先端係合部の外面は、最も外側のスペーサーの外面である。
先端係合部の外面の断面線により形成される図形の面積は、下方(ソール側)にいくほど徐々に大きくなっている。先端係合部の外面の断面形状は、非円形である。非円形の断面形状は、先端係合部と逆テーパー孔との相対回転を防止する。非円形は、円形以外のあらゆる形状を含む。例えば、円の周方向における少なくとも1箇所に凸部、凹部又は平坦部を有する形状であってもよい。先端係合部の外面の断面形状は、多角形であってもよい。この多角形として、三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形及び十二角形が例示される。好ましくはNが偶数のN角形であり、例えば、四角形、六角形、八角形及び十二角形が挙げられる。回転止めの観点から、四角形、六角形及び八角形が好ましい。先端係合部の外面の断面形状は、正多角形であってもよい。好ましい正多角形として、正三角形、正四角形(正方形)、正五角形、正六角形、正七角形、正八角形及び正十二角形が挙げられる。より好ましくは、Nが偶数の正N角形であり、例えば、正四角形(正方形)、正六角形、正八角形及び正十二角形が挙げられる。回転止めの観点から、正四角形、正六角形及び正八角形がより好ましい。
先端係合部の外面は、好ましくは、複数の面から構成される。これらの面のそれぞれは、平面であってもよいし、曲面であってもよい。逆テーパー孔との面接触を確実とする観点から、好ましくは、これらの面のそれぞれは、平面とされる。逆テーパー孔との面接触を確実とする観点から、先端係合部の外面は、角錐面とされてもよい。この角錐面として、三角錐面、四角錐面、五角錐面、六角錐面、七角錐面、八角錐面及び十二角錐面が例示される。Nが偶数のN角錐面がより好ましく、例えば、四角錐面、六角錐面、八角錐面及び十二角錐面である。回転止めの観点から、四角錐面、六角錐面及び八角錐面がより好ましい。
先端係合部RTがスリーブ2000(図25)の場合、逆テーパー係合面K1の外面は、好ましくは、複数の面から構成される。これらの面のそれぞれは、平面であってもよいし、曲面であってもよい。逆テーパー孔面J1との面接触を確実とする観点から、好ましくは、これらの面のそれぞれは、平面とされる。逆テーパー孔面J1との面接触を確実とする観点から、逆テーパー係合面K1の外面は、角錐面とされるのが好ましい。この角錐面として、三角錐面、四角錐面、五角錐面、六角錐面、七角錐面、八角錐面及び十二角錐面が例示される。Nが偶数のN角錐面がより好ましく、例えば、四角錐面、六角錐面、八角錐面及び十二角錐面である。回転止めの観点から、四角錐面、六角錐面及び八角錐面がより好ましい。
なお、上述したNのぞれぞれは、3以上の整数であるのが好ましい。
このように、必要に応じてスペーサーが介在されつつ、スリーブと逆テーパー孔とで逆テーパー嵌合が形成されている。係合解除方向の力により、この逆テーパー嵌合の解除は容易である。同時に、係合方向の力により、この逆テーパー嵌合の形成は容易である。ヘッドに対するシャフトの取り付け及び取り外しは容易である。
上述した各実施形態は、特開2006−42950号公報に記載のゴルフクラブと比べて、多くの点で相違する。
特開2006−42950号公報のゴルフクラブと異なり、上記実施形態のぞれぞれでは、スリーブの外面が逆テーパー面を有する。よって、シャフトの装着及び取り外しが容易である。
特開2006−42950号公報の記載と異なり、上記実施形態のゴルフクラブ100では、ホーゼル孔がスリーブを通過させうるように構成されている。よって、図4で示されるような手順でシャフトを装着することができる。したがって、シャフトの装着及び取り外しが容易である。
特開2006−42950号公報の記載と異なり、上記実施形態のスペーサー500(図8)等では、連結部が設けられている。したがって、角度調整の際にスペーサーを回転させるような局面において、スペーサーの脱落が防止される。
特開2006−42950号公報の記載と異なり、上記実施形態のスリーブ400b(図11)等では、スリーブの外面の中心線に対して、当該スリーブの内面の中心線が傾斜している。よって、スリーブを回転させるだけで、自由度の高い角度調整が可能でなる。
特開2006−42950号公報の記載と異なり、上記実施形態のスリーブ及びスペーサーでは、その断面形状が多角形である。よって、着脱性の高い逆テーパー形状を容易が容易に形成され、回転止めも達成される。加えて、自由度の高い角度調整も可能となる。
特開2006−42950号公報の記載と異なり、図6の実施形態では、スリーブ及びスペーサーの断面形状が正四角形である。また、図7の実施形態では、スリーブ及びスペーサーの断面形状が正八角形である。上述の通り、これらの形状は、独立可変に適している。
特開2006−42950号公報の記載と異なり、上述の実施形態では、テーパー面のテーパー率について好ましい数値範囲が設定されている。よって、着脱が容易であり、且つ、過剰に大きな先端係合部を防止することができる。
特開2006−42950号公報の記載と異なり、上述の実施形態では、先端係合部のソール側に脱落防止機構が設けられている。このソール側の脱落防止機構は、クラブ長さ調整機構に対応しやすい。
スリーブの材質は限定されない。好ましい材質として、チタン合金、ステンレス鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金及び樹脂が例示される。強度及び軽量性の観点から、例えばアルミニウム合金及びチタン合金がより好ましい。樹脂としては、機械的強度に優れたものが好ましく、例えば、エンジニアリングプラスチック又はスーパーエンジニアリングプラスチックと称されている樹脂が好ましい。
スペーサーの材質は限定されない。好ましい材質として、チタン合金、ステンレス鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金及び樹脂が例示される。強度及び軽量性の観点から、例えばアルミニウム合金及びチタン合金がより好ましい。樹脂としては、機械的強度に優れたものが好ましく、例えば、エンジニアリングプラスチック又はスーパーエンジニアリングプラスチックと称されている樹脂が好ましい。成形性の観点からは、樹脂が好ましい。
上述の通り、前記実施形態は、シャフト中心線の位置及び/又は角度を調節しうる調節機構を有する。また、前記実施形態は、脱落防止機構を有する。これらの機構は、R&A(Royal and Ancient Golf Club of Saint Andrews;全英ゴルフ協会)が定めるゴルフ規則を満たしているのが好ましい。即ち、これらの機構は、R&Aが定める、「付属規則II クラブのデザイン」の「1 クラブ」における「1b 調節性」で規定される要件を満たしているのが好ましい。この「1b 調節性」が規定する要件は、下記の(i)、(ii)及び(iii)である。
(i)容易に調節できるものでないこと。
(ii)調節可能部分はすべてしっかりと固定され、ラウンド中に緩むことの合理的な可能性がないこと。
(iii)調節後のすべての形状が規則に適合すること。