JP2018102483A - ゴルフボール - Google Patents

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Abstract

【課題】ボールの空気力学的性能を一層高め、飛び性能を向上させることができるゴルフボールを提供する。【解決手段】下記(i)〜(iv)の手順により特定される断面形状を有するディンプルが配置されていると共に、ディンプルの総数が250〜380個であることを特徴とするゴルフボール。(i)ディンプル中心Oと任意の1つのディンプルエッジEとを通る直線Lを基準線とする。(ii)ディンプルエッジからディンプル中心までの距離を100%とした際に、各点の距離の割合を算出する。(iii)ディンプルエッジからディンプル中心までの距離の0〜100%の20%毎のディンプル深さの割合を算出する。(iv)距離の20%毎の深さの変化量ΔHを求め、この変化量ΔHが距離20〜100%に相当する全ての領域において6%以上24%以下となるようにディンプルの断面形状を設計する。【選択図】図1

Description

本発明は、ボール表面に多数のディンプルが形成されたゴルフボールに関し、更に詳述すると、ボール表面に形成されるディンプルの断面形状を適正化することによって空力性能を向上させたゴルフボールに関する。
ゴルフボールの飛距離を向上させるためには、ボールの反発性を高めることや、ボール表面に形成されたディンプルによって飛行時の空気抵抗を低減して、空力性能を向上させることが重要である。このことは一般的によく知られており、例えば、図5に示されたような断面円弧状のディンプルが多数形成されたゴルフボールが多くのゴルファーに使用されている。また、これまでにもボールの空力性能を更に向上させるために、例えば、特開平11−57065号公報、特開2005−342407号公報、特開2006−149929号公報、特開2006−158778号公報、特開2006−187476号公報、特開2006−187485号公報、特開2008−93481号公報等において、ディンプルの形状や配置方法に関する様々な提案がなされてきた。
また、米国特許第8888613号明細書及び同第8974320号明細書には、ディンプルの断面形状を決める際、その内部を複数の特定の領域に区画して、各領域における平均深さを特定の関係を満足するように定量化することにより特異の断面曲線形状が得られるゴルフボールが提案されている。しかしながら、これらの技術であっても、ゴルフボールの飛距離が十分に改善したものとは言えず、未だボールの空気力学的性能及び飛び性能の改良の余地がある。また、上記のような特異の断面曲線形状を有するディンプルを多数備えたゴルフボールは多く存在していなかった。
より多くのゴルファーが満足できる飛び性能が得られるゴルフボールを開発することは、ゴルファーの裾野を広げるためには重要であり、より優れた飛び性能を得るためにはボールの空力性能の更なる向上が不可欠である。
特開平11−57065号公報 特開2005−342407号公報 特開2006−149929号公報 特開2006−158778号公報 特開2006−187476号公報 特開2006−187485号公報 特開2008−93481号公報 米国特許第8888613号明細書 米国特許第8974320号明細書
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、ボールの空気力学的性能を一層高め、飛び性能を向上させることができるゴルフボールを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、ディンプルの断面形状を決める際、任意の1つのディンプルエッジと、該ディンプルの最深点から該ディンプルの周縁で作られる仮想平面に下ろした垂線の足(垂足)とを通る直線を基準線とし、この基準線のうち上記ディンプルエッジから上記垂足までの線分において、ディンプルエッジを0%(基点)、垂線の足を100%として20%毎に線分をディンプルの深さに沿って分割し、20%毎に区分されるディンプル領域におけるディンプル深さの変化量ΔHが一定範囲とすることにより、そのディンプル断面形状がボールの飛行時におけるディンプルの効果を安定化させ、空気力学的性能を向上させるために効果的であることを知見し、本発明をなすに至った。
即ち、飛びを確保するためにはボールの空力性能の向上が不可欠であるが。本発明では、ディンプルの断面形状を従来より更に最適化することにより、飛びのバラツキが減り空力性能が向上すると共に、ディンプル内の一定の位置における深さの変化の割合を一定の範囲に収めることにより、ディンプルの効果を安定化させ、空気力学的性能を向上させることができる。
従って、本発明は、下記のゴルフボールを提供する。
〔1〕表面に多数のディンプルを備えるゴルフボールであって、曲線又は直線と曲線との組合せにより呈され、且つ下記(i)〜(iv)の手順により特定される断面形状を有するディンプル(特定断面形状を有するディンプル)が少なくとも1個配置されていると共に、ディンプルの総数が250〜380個であることを特徴とするゴルフボール。
(i)ディンプルの最深点から該ディンプルの周縁で作られる仮想平面に下ろした垂線の足(垂足)をディンプル中心とし、該ディンプル中心と任意の1つのディンプルエッジとを通る直線を基準線とする。
(ii)上記基準線のうち上記ディンプルエッジから上記ディンプル中心までの線分において、100点以上に分割し、該ディンプルエッジから該ディンプル中心までの距離を100%とした際に、各点の距離の割合を算出する。
(iii)上記ディンプルエッジから上記ディンプル中心までの距離の0〜100%の20%毎のディンプル深さの割合を算出する。
(iv)上記ディンプルエッジから上記ディンプル中心までの距離の20〜100%のディンプル領域における深さの割合において、上記距離の20%毎の深さの変化量ΔHを求め、この変化量ΔHが上記距離20〜100%に相当する全ての領域において6%以上24%以下となるようにディンプルの断面形状を設計する。
〔2〕上記特定断面形状を有するディンプルにおいて、ディンプルエッジから20%の距離におけるディンプル深さの割合の変化量ΔHが最大となる〔1〕記載のゴルフボール。
〔3〕上記特定断面形状を有するディンプルがディンプル総数の60%以上である〔1〕又は〔2〕記載のゴルフボール。
〔4〕ボール表面に形成されるディンプルが、直径及び/又は深さの異なる2種以上からなる〔1〕〜〔3〕のいずれか1項記載のゴルフボール。
〔5〕上記特定断面形状を有するディンプルの断面形状を呈する曲線には2箇所以上の変曲点が含まれる〔1〕〜〔4〕のいずれか1項記載のゴルフボール。
本発明のゴルフボールによれば、特異のディンプルの断面形状を有することにより、その断面形状がボールの飛行時におけるディンプルの効果を安定化させ、空気力学的性能をより一層向上させることができる。
図1(A)は、本発明の一実施例に係るゴルフボールの外観を示す平面図であり、図1(B)は、図1(A)に示されたゴルフボールの表面に形成されたディンプルの1つを拡大した拡大断面図である。 図2は、ディンプルの断面とその内部に設定した領域との関係を示す説明図である。 図3(A)は、本発明の他の実施例に係るゴルフボールの外観を示す平面図であり、図3(B)は、図3(A)に示されたゴルフボールの表面に形成されたディンプルの1つを拡大した拡大断面図である。 図4(A)は、従来の2重ディンプルが形成されたゴルフボールの外観を示す平面図であり、図4(B)は、図4(A)に示されたゴルフボールの表面に形成されたディンプルの1つを拡大した拡大断面図である。 図5(A)は、従来の円弧状の断面形状を有するディンプルが形成されたゴルフボールの外観を示す平面図であり、図5(B)は、図5(A)に示されたゴルフボールの表面に形成されたディンプルの1つを拡大した拡大断面図である。 図6は、本発明のゴルフボールの構造の一例を示す概略断面図である。
以下、本発明のゴルフボールについて、図面を参照しながら詳しく説明する。
図1(A)は、本発明の一実施例に係るゴルフボールの外観を示す平面図であり、図1(B)は、図1(A)に示されたゴルフボールの表面に形成されたディンプルの1つを拡大した拡大断面図である。そして、図中の符号Dはディンプル、E,Eはディンプルエッジ、Pはディンプルの最深点、直線LはディンプルエッジE及びディンプル中心Oを通る基準線、2点鎖線は仮想球面をそれぞれ示す。ディンプルDの最深点Pから該ディンプルDの周縁で作られる仮想平面に下ろした垂線の足(以下、垂足)がディンプル中心Oと一致する。なお、上記ディンプルエッジE,Eは、ディンプルDとボール表面において上記ディンプルDが形成されない領域(陸部)との境界であり、上記仮想球面がボール表面と接する点に相当する(以下、同様)。また、図1で示したディンプルDは平面視で円形のディンプルであり、平面視ではディンプルの中心Oと最深点Pとが一致している。
なお、図1(B)に示されたディンプルの断面形状は、本発明の理解を優先しており、縮尺通りには描かれていない。これは後述する図2、図3(B)、図4(B)、図5(B)に示されたディンプルの断面形状についても同様である。
本発明において、上記ディンプルDの断面形状は、以下の条件を満足させることが必要である。以下、その条件について説明する。
先ず、(i)の条件として、ディンプルの最深点Pから該ディンプルの周縁で作られる仮想平面に下ろした垂線の足(垂足)をディンプル中心Oとし、該ディンプル中心Oと任意の1つのディンプルエッジEとを通る直線を基準線Lとする。
次に、(ii)の条件として、上記基準線Lのうち上記ディンプルエッジEから上記ディンプル中心Oまでの線分において、100点以上に分割する。そして、ディンプルエッジから該ディンプル中心までの距離を100%とした際に、各点の距離の割合を算出する。即ち、図2に示すように、図中の波線がディンプルの深さに沿って表される分割ラインである。ディンプルエッジEは基点であり、上記基準線上で0%の位置であり、ディンプル中心Oは、上記基準線上では線分EOに対して100%の位置である。
次に、(iii)の条件として、上記ディンプルエッジEから上記ディンプル中心Oまでの距離の0〜100%の20%毎のディンプル深さの割合を算出する。この場合、上記ディンプル中心Oがディンプルの最深部Pであり深さH(mm)を有する。これを深さの100%として各距離におけるディンプル深さの割合を求める。なお、ディンプルエッジEにおけるディンプル深さの割合は0%となる。
そして、(iv)の条件として、上記ディンプルエッジから上記ディンプル中心までの距離の20〜100%のディンプル領域における深さの割合において、上記距離の20%毎の深さの変化量ΔHを求め、この変化量ΔHが上記距離20〜100%の全ての領域において6%以上24%以下となるようにディンプルの断面形状を設計する。
本発明では、このようにディンプルの断面形状を定量化すること、即ち、ディンプルの深さの変化量ΔHの値を6%以上24%以下とすることにより、ディンプルの断面形状の最適化により飛びのバラツキが減り空気力学的性能が向上するものである。上記の変化量ΔHの好ましい値は8〜22%であり、より好ましくは10〜20%である。
また、本発明では、本発明の効果をより一層高める点から、上記特定断面形状を有するディンプルにおいて、ディンプルエッジから20%の距離におけるディンプル深さの割合の変化量ΔHが最大となることが好適である。また、上記特定断面形状を有するディンプルの断面形状を呈する曲線には2箇所以上の変曲点が含まれることも本発明の効果を高める点から好適に採用される。
なお、図1では平面視で円形のディンプルを例に説明をしたが、その形状(平面視形状)は円形に限定されることはなく、多角形、涙形、楕円型等から適宜選択することができる。円形以外の形状のディンプルについても上記と同様の方法で断面形状を設定することができる。また、図1に示した例では、ディンプルの中心Oと最深点Pとが一致しているが、当該最深点Pは、必ずしもディンプルの中心Oと一致する必要はない。ディンプルDの中心Oと最深点Pとが一致しない場合においても、特に問題を生じることはなく、上記と同様に、20%毎に区分されるディンプル領域におけるディンプル深さの変化量ΔHを求めることができる。
また、ディンプルDの断面に関して、図1ではなだらかな曲線を主体とし、一部に直線を含む形状を示したが、これに制限されるものではなく、曲線又は直線と曲線との組合せにより呈される本発明の範囲のものであればよい。
ディンプルDの直径(多角形においては対角長)は、特に制限されるものではないが、1.5mm以上とすることが好ましく、より好ましくは2.0mm以上とすることができる。また、その上限も特に制限されないが、7.0mm以下とすることが好ましく、より好ましくは6.0mm以下とすることができる。
ディンプルDの最深点Pにおける深さHは、特に制限されるものではないが、0.05〜0.5mmとすることが好ましく、より好ましくは0.1〜0.4mmとすることができる。
ディンプルの配列方法は、特に制限されるものではないが、正8面体、正12面体、正20面体等の正多面体の幾何学的な配列パターンを用いた方法や、3回対称、4回対称、5回対称、6回対称等のボールの極点を中心に回転対称となるように配列する方法を好適に採用することができる。
ボール表面に形成されるディンプルの総数は、特に制限されるものではないが、好ましくは250個以上、より好ましくは275個以上、さらに好ましくは300個以上とすることができる。また、その上限も特に制限されないが、好ましくは380個以下、より好ましくは370個以下、さらに好ましくは360個以下とすることができる。
本発明においては、上記の断面形状を有するディンプルが、ボール表面に形成されたディンプルが少なくとも1個含まれ、ディンプル全体の一部に含まれる。このため、本発明では必ずしもボール表面に形成されたディンプルの全てを上記の断面形状を有するディンプルとする必要はなく、従来のディンプルを混在させてもよい。この場合、上記の断面形状を有するディンプルがボール表面に形成されたディンプルの総数に占める割合は、特に制限されるものではないが、20%以上とすればよく、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、更に好ましくは80%以上、最も好ましくは100%とすることができる。
本発明では、特に制限されるものではないが、直径及び/又は深さが互いに異なるディンプルが2種以上形成されることが好ましく、より好ましくは3種以上形成されることが推奨される。なお、上記の条件を満足しないディンプルが含まれている場合においても、それらに直径及び/又は深さが互いに異なるものが含まれていれば、異なる種類のディンプルとして扱うものとする。
各ディンプルの縁部によって囲まれる仮想球面の総面積が占める割合(ディンプル表面占有率)SR値(%)としては、通常70%以上、好ましくは80%以上である。SR値が上記範囲を外れると、適正な弾道が得られず、飛距離が低下する場合がある。
ディンプルの縁に囲まれた平面から下方に形成されるディンプル空間体積の合計が、ボール表面にディンプルが存在しないと仮定した仮想球の体積に占める比率(ディンプル空間占有率)VRは、特に制限されるものではないが、通常0.7%以上、好ましくは0.75%以上、より好ましくは0.8%以上とすることができる。また、その上限も特に制限されないが、1.5%以下、好ましくは1.45%以下、より好ましくは1.4%以下とすることができる。ディンプル空間占有率VRを上記範囲に設定することにより、ドライバーなど飛距離を稼ぐクラブによりボールを打撃した際の打球の吹き上げすぎや、打球が上がらずドロップすることを防ぐことができる。
上記のゴルフボールを成形するための金型の作製には、3DCAD・CAMを使用し、反転用マスター型に全表面形状を直接3次元で削り出す手法や、成形用金型のキャビティ部(内壁面)を直接3次元で削り出す手法等を採用することができる。
なお、ボール表面には、通常のゴルフボールと同様に、白エナメル塗装、エポキシ塗装及びクリア塗装等の各種の塗装を行うことができる。この場合、上記ディンプルの断面形状が損なわれないようにムラなく均一に塗装することが望ましい。
本発明のゴルフボールは、内部構造に関しては特に制限はなく、ワンピースゴルフボール、ツーピースゴルフボール、3層構造以上のマルチピースゴルフボール等のソリッドゴルフボールとしても、糸巻きゴルフボールとしてもよく、あらゆる種類のゴルフボールに適用することができる。特に、図6に示したような、ソリッドコア1とカバー3との間に、1層又は2層以上の中間層2を形成したマルチピースソリッドゴルフボールGとすることが好適である。なお、図6中の符号Dはディンプルを示す。
また、特に制限されるものではないが、図6に示したゴルフボールGにおいて、ソリッドコア1は、ポリブタジエンを主材として形成することが好ましい。また、該ソリッドコア1に初期荷重98N(10kgf)を負荷した状態から終荷重1,275N(130kgf)を負荷したときまでのたわみ量は、特に制限されるものではないが、2.0mm以上とすることができる。また、その上限も特に制限されるものではないが、6.0mm以下とすることができる。
一方、中間層2及びカバー3の材料としては、特に制限されるものではないが、例えば、公知のアイオノマー樹脂、熱可塑性エラストマー及び熱硬化性エラストマー等を好適に使用することができる。熱可塑性エラストマーとしては、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系、オレフィン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマーなどを挙げることができる。
上記中間層の材料硬度は、特に制限されるものではないが、ショアD硬度で通常30以上とすることができる。また、その上限も特に制限されるものではないが、ショアD硬度で通常75以下とすることができる。
また、上記カバーの材料硬度は、特に制限されるものではないが、ショアD硬度で通常30以上とすることができる。また、その上限も特に制限されるものではないが、ショアD硬度で75以下とすることができる。
ここで、上記の材料硬度とは、材料をプレス機にて厚さ2mmのシート状に成形し、厚さ6mm以上に重ね合わせ、ASTM D2240に準じてタイプDデュロメータを用いて測定した硬度である。
上記中間層の厚さ及びカバーの厚さは、特に制限されるものではないが、0.3〜3.0mmとすることが好ましい。なお、ボールの重さや直径等は、ゴルフ規則に従って適宜設定することができる。
以上説明したように、本発明のゴルフボールによれば、表面に特徴的な断面形状を有するディンプルが形成されていることにより、飛行時における空気抵抗が低減して空気力学的性能が向上し、より高い弾道が得られるので、飛距離を一層増大させることができる。
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
〔実施例1,2、比較例1,2〕
ボール表面に、実施例1(図1)、実施例2(図3)、比較例1(図4、従来の2重ディンプル)及び比較例2(図5、従来の断面円弧状のディンプル)の各ディンプルを形成したゴルフボールを作製して、飛び特性を比較した。上記各例のディンプルは4種類用い、その詳細を表1〜4に示した。
この際、上記基準線LのディンプルエッジEからディンプル中心Oまでの間の等間隔な100点において、基準線Lから各ディンプル内壁面までの各ディンプルの深さを求め、表1〜4に記載した。
次に、上記基準線LのディンプルエッジEからの距離20%毎のディンプル深さの割合の変化量ΔHを求め、表1〜4に記載した。
上記各例のゴルフボールの内部構造は、図6に示されるような、コア1、中間層2及びカバー3からなる3層構造とした。これら各層の詳細は以下の通りである。
コア
ポリブタジエンA(製品名「BR51」、JSR社製)80質量部、ポリブタジエンB(製品名「BR11」、JSR社製)20質量部、アクリル酸亜鉛28.5質量部、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンとシリカとの混合物(製品名「パーヘキサC−40」、日油社製)1.2質量部、酸化亜鉛4質量部、硫酸バリウム300(堺化学工業社製)19.1質量部、老化防止剤(製品名「ノクラックNS−6」、大内新興化学工業社製)0.1質量部、及びペンタクロロチオフェノール亜鉛塩0.1質量部を配合したゴム組成物を調製した。そして、得られたゴム組成物をコア用金型により155℃、13分間の加硫条件で加硫成形することにより直径37.7mmのソリッドコアを作製した。上記で得られたソリッドコアについて、初期荷重98N(10kgf)を負荷した状態から終荷重1,275N(130kgf)を負荷したときまでのたわみ量を測定したところ、3.6mmであった。
中間層及びカバー
上記で得たコアの周囲に、下記の中間層材料を用いて射出成形法により厚さ1.7mmの中間層を形成した後、下記のカバー材料を用いて射出成形法により厚さ0.8mmのカバーを形成して直径42.7mm、重さ45.4gのスリーピースソリッドゴルフボールを作製した。なお、ディンプルはカバーの成形と同時にその表面に形成された。中間層材料は、ハイミラン1605(三井・デュポンポリケミカル社製のアイオノマー樹脂)、ハイミラン1557(三井・デュポンポリケミカル社製のアイオノマー樹脂)、ハイミラン1706(三井・デュポンポリケミカル社製のアイオノマー樹脂)、トリメチロールプロパンを、質量比で50/15/35/1.1の割合で配合した樹脂組成物である。また、カバー材料は、パンデックスT−8295(DIC Bayer Polymer社製のポリウレタン系熱可塑性エラストマー)、酸化チタン、サンワックス161P(三洋化成社製のポリエチレンワックス)、イソシアネート化合物(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート)を、質量比で100/3.5/1/7.5の割合で配合した樹脂組成物である。なお、上記の中間層材料及びカバー材料の材料硬度は、ショアD硬度でそれぞれ62及び47であった。
性能試験
ドライバー(W#1)を打撃ロボットにセットし、ボールを打撃した時の最高到達点における高さ及び飛距離を測定した。打撃条件は、ボールの初速が約65m/s、打ち出し角が約10°、初期バックスピン量が約3000rpmとなる条件に設定した。クラブは、ブリヂストンスポーツ社製「TourStage X−Drive 701」(ロフト9°)を使用した。測定結果を表1〜4に示した。
表1〜4の結果より、実施例及び比較例は、ディンプルの断面形状の違いから、実施例1及び2は比較例1及び2に比べて同じ弾道高さにもかかわらず、キャリーが増大した。その結果、実施例1及び2のゴルフボールは、比較例1及び比較例2のゴルフボールに比べて飛距離が大幅に増大した。

Claims (5)

  1. 表面に多数のディンプルを備えるゴルフボールであって、曲線又は直線と曲線との組合せにより呈され、且つ下記(i)〜(iv)の手順により特定される断面形状を有するディンプル(特定断面形状を有するディンプル)が少なくとも1個配置されていると共に、ディンプルの総数が250〜380個であることを特徴とするゴルフボール。
    (i)ディンプルの最深点から該ディンプルの周縁で作られる仮想平面に下ろした垂線の足(垂足)をディンプル中心とし、該ディンプル中心と任意の1つのディンプルエッジとを通る直線を基準線とする。
    (ii)上記基準線のうち上記ディンプルエッジから上記ディンプル中心までの線分において、100点以上に分割し、該ディンプルエッジから該ディンプル中心までの距離を100%とした際に、各点の距離の割合を算出する。
    (iii)上記ディンプルエッジから上記ディンプル中心までの距離の0〜100%の20%毎のディンプル深さの割合を算出する。
    (iv)上記ディンプルエッジから上記ディンプル中心までの距離の20〜100%のディンプル領域における深さの割合において、上記距離の20%毎の深さの変化量ΔHを求め、この変化量ΔHが上記距離20〜100%に相当する全ての領域において6%以上24%以下となるようにディンプルの断面形状を設計する。
  2. 上記特定断面形状を有するディンプルにおいて、ディンプルエッジから20%の距離におけるディンプル深さの割合の変化量ΔHが最大となる請求項1記載のゴルフボール。
  3. 上記特定断面形状を有するディンプルがディンプル総数の60%以上である請求項1又は2記載のゴルフボール。
  4. ボール表面に形成されるディンプルが、直径及び/又は深さの異なる2種以上からなる請求項1〜3のいずれか1項記載のゴルフボール。
  5. 上記特定断面形状を有するディンプルの断面形状を呈する曲線には2箇所以上の変曲点が含まれる請求項1〜4のいずれか1項記載のゴルフボール。
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