JP2018101816A - 基板処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】基板の表面に形成される液膜を気流によって保護しながら当該液膜によって基板の表面を処理することが可能な基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板処理装置401は、ウエハWを保持して回転させるスピンチャック405と、スピンチャック405に保持されているウエハW上に気体の気流を形成する気体供給手段とを含む。気体供給手段が、スピンチャック405に保持されているウエハWの中央部に対向して設けられ、当該ウエハWに気体を吐出する内側気体ノズル418と、スピンチャック405に保持されているウエハWの表面周縁部に対向して設けられ、ウエハWの表面周縁部に向けて気体を吐出する外側気体ノズル433とを有している。
【選択図】図19

Description

この発明は、基板処理装置に関する。処理対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などが含まれる。
半導体装置や液晶表示装置などの製造工程では、基板の表面に処理液による処理を施すために、基板を1枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置が用いられることがある。下記特許文献1に記載の枚葉式の基板処理装置は、基板をほぼ水平に保持しつつ回転させるスピンチャックと、スピンチャックによって回転される基板表面の中央部に処理液を吐出するためのノズルとを含む。また、下記特許文献2に記載の枚葉式の基板処理装置は、さらに、基板の中央部の上方で放射状に気体を吐出する気体吐出ノズルを含む。
具体的には、薬液が基板に供給されることにより、基板の表面が薬液によって処理される。その後、純水(脱イオン水)が基板に供給されることにより、基板に付着している薬液が洗い流される。薬液が洗い流された後は、水よりも沸点が低いIPA(イソプロピルアルコール)が基板の表面に供給され、基板に付着している純水がIPAに置換される。その後、基板が高速で回転されることにより、基板に付着しているIPAがウエハから除去され、基板が乾燥される。
しかしながら、このような手法では、基板を乾燥させるときに、基板の表面に形成されたパターンが倒壊するおそれがある。そのため、従来から、基板の倒壊を防止するために、基板の乾燥に先立って、基板の表面を疎水化する方法が知られている。たとえば特許文献1では、シランカップリング剤溶液(液体のシランカップリング剤(以下、本明細書において、シランカップリング剤を「シリル化剤」と表す))を基板に供給することにより、基板の表面に疎水性保護膜を形成し、これにより、基板の表面を疎水化している。
特開2010−114414号公報 特開2010−238758号公報
しかしながら、疎水化剤による疎水化は、雰囲気の湿度によって大きく影響される。すなわち、雰囲気の湿度が高いと、雰囲気に含まれる水分と反応して、疎水化剤が失活(疎水化剤に含まれる活性種が減少)するおそれがある。そのため、基板の表面に形成される疎水化剤の液膜を乾燥ガスの気流によって保護することが求められる。これにより、当該疎水化剤の液膜によって基板の表面を良好に疎水化処理することができる。
これは、処理液が疎水化剤である場合に限られた問題でなく、他の処理液にも共通する問題である。すなわち、基板の表面に形成される処理液の液膜を気流によって保護しながら、当該処理液の液膜によって基板の表面を処理することが求められている。
そこで、本発明の目的は、基板の表面に形成される液膜を気流によって保護しながら当該液膜によって基板の表面を処理することが可能な基板処理装置を提供することである。
前記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、基板を保持して回転させる基板保持回転手段と、前記基板保持回転手段に保持されている基板の表面全域を覆う液膜を形成する液膜形成手段と、前記基板保持回転手段に保持されている基板の中央部に対向して設けられ、当該基板に気体を吐出する第1の気体ノズルと、前記基板保持回転手段に保持されている基板の表面周縁部に対向して設けられ、前記基板の表面周縁部に向けて気体を吐出する第2の気体ノズルとを有し、気体の気流を前記基板上に形成する気体供給手段とを含む、基板処理装置を提供する。
請求項2に記載の発明は、前記第1および第2の気体ノズルには、それぞれボディが設けられており、前記第2の気体ノズルのボディが、前記第1の気体ノズルのボディと、径方向に離隔されている、請求項1に記載の基板処理装置である。
請求項3に記載の発明は、前記第2の気体ノズルが、前記第1の気体ノズルを同軸的に取り囲むリング状をなしている、請求項1または2に記載の基板処理装置である。
請求項4に記載の発明は、前記第1の気体ノズルが、径方向外方に向けて気体を吐出する環状の吐出口を有し、前記第2の気体ノズルが、前記吐出口によって吐出された気体によって形成された気流よりも上方に配置される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
前記の目的を達成するための請求項5に記載の発明は、前記基板を疎水化させる疎水化剤を前記基板保持回転手段に保持されている基板の表面中央部に供給する疎水化液供給手段と、前記基板保持回転手段に保持されている基板を乾燥させる乾燥手段と、前記基板保持回転手段、前記液膜形成手段、前記気体供給手段、前記疎水化液供給手段、および前記乾燥手段を制御する制御手段とをさらに含み、前記制御装置は、前記液膜形成手段に基板の表面全域を覆う液膜を形成させる液膜形成工程と、前記表面周縁部に向けて乾燥ガスを吐出させる周縁部除湿工程を有し、前記気体供給手段によって乾燥ガスの気流を前記基板上に形成させることにより、前記基板上の湿度を低下させる除湿工程と、前記基板上の湿度が低下している状態で、前記基板保持回転手段に基板を回転させながら、前記疎水化液供給手段に疎水化液を前記基板の表面に供給させる疎水化液供給工程と、前記疎水化液が供給された前記基板を前記乾燥手段に乾燥させる乾燥工程とを実行する、基板処理装置を提供する。
請求項1〜5に記載の構成によれば、基板の表面に液膜を形成し、その上を、気流によって覆うことができる。これにより、基板の表面に形成される液膜を気流によって保護しながら当該液膜によって基板の表面を処理することが可能である。
本発明の第1実施形態に係る基板処理装置の構成を模式的に示す断面図である(その1)。 本発明の第1実施形態に係る基板処理装置の構成を模式的に示す断面図である(その2)。 図1および図2に示すヒータプレートの構成を示す斜視図である。 図1および図2に示す基板処理装置の電気的構成を示すブロック図である。 図1および図2に示す基板処理装置によってウエハを処理するときの第1処理例について説明するための工程図である。 第1IPA供給工程を示す模式的な図である。 シリル化処理工程を示す模式的な図である。 ウエハ上の薄膜パターンの一例を示す断面図である。 第1IPA供給工程およびシリル化処理工程におけるウエハ上面の処理状況を示す断面図である。 図1および図2に示す基板処理装置によってウエハを処理するときの第2処理例について説明するための工程図である。 図1および図2に示す基板処理装置によってウエハを処理するときの第3処理例について説明するための工程図である。 本発明の第2実施形態に係る基板処理装置の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の第3実施形態に係る基板処理装置の構成を模式的に示す図である。 本発明の第4実施形態に係る基板処理装置の構成を模式的に示す図である。 本発明の第5実施形態に係る基板処理装置の構成を模式的に示す図である(その1)。 本発明の第5実施形態に係る基板処理装置の構成を模式的に示す図である(その2)。 図15および図16に示す基板処理装置によってウエハを処理するときの第4処理例の要部について説明するためのタイミングチャートである。 本発明の第6実施形態に係る基板処理装置に備えられた処理ユニットの内部を水平方向から見た模式図である。 内側気体ノズルおよび外側気体ノズルを示す模式的な側面図である。 内側気体ノズルおよび外側気体ノズルを示す模式的な平面図である。 本発明の第6実施形態に係る基板処理装置によって行われる基板の処理の一例について説明するための工程図である。 パターンを倒壊させる力について説明するための図である。 基板上の湿度と接触角との関係を示すグラフである。 本発明の第7実施形態に係る内側気体ノズルおよび外側気体ノズルを示す模式的な側面図である。 本発明の第7実施形態に係る内側気体ノズルおよび外側気体ノズルを示す模式的な平面図である。 本発明の第8実施形態に係る遮断板を示す模式的な側面図である。 本発明の第8実施形態に係る遮断板を示す模式的な側面図である。 本発明の第9実施形態に係る内側気体ノズルおよび外側気体ノズルを示す模式的な側面図である。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1および図2は、本発明の第1実施形態に係る基板処理装置1の構成を模式的に示す断面図である。
基板処理装置1は、薬液やリンス液などの処理液によって、基板の一例としての円板状の半導体ウエハW(以下、単に「ウエハW」という。)を一枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置である。図1に示すように、基板処理装置1は、ウエハWを水平に保持して回転させるスピンチャック(基板保持回転手段)2と、スピンチャック2に保持されたウエハWの下面に対向配置され、ウエハWを下方から加熱する加熱機構3と、スピンチャック2に保持されたウエハWの上面(表面)に疎水化液の一例としてのシリル化液を供給するための疎水化液ノズル4と、スピンチャック2に保持されたウエハWの上面に溶剤(水よりも表面張力が小さい溶剤)の一例としてのIPA(イソプロピルアルコール)を供給するための溶剤ノズル5と、スピンチャック2に保持されたウエハWの上面に薬液(洗浄液)を供給するための薬液ノズル6と、スピンチャック2を収容するカップ7とを備えている。
スピンチャック2は、鉛直に延びる筒状の回転シャフト11と、回転シャフト11の上端に水平姿勢に取り付けられた円板状のスピンベース12と、スピンベース12に配置された複数個の挟持部材13と、回転シャフト11に連結されたスピンモータ14とを備えている。スピンチャック2は、各挟持部材13をウエハWの周端面に接触させることにより、ウエハWを周囲から挟んで保持することができる。そして、ウエハWが複数個の挟持部材13に保持された状態で、スピンモータ14の回転駆動力が回転シャフト11に入力されることにより、ウエハWの中心を通る鉛直な回転軸線A1まわりにウエハWが回転する。
疎水化液ノズル4は、シリル化液を、連続流の状態で下方に向けて吐出するストレートノズルである。疎水化液ノズル4には、シリル化液供給源からのシリル化液が供給される疎水化液供給管16が接続されている。疎水化液供給管16には、疎水化液供給管16を開閉するための疎水化液バルブ17が介装されている。疎水化液バルブ17が開かれると、疎水化液供給管16から疎水化液ノズル4にシリル化液が供給され、また、疎水化液バルブ17が閉じられると、疎水化液供給管16から疎水化液ノズル4へのシリル化液の供給が停止される。疎水化液ノズル4は、第1ノズル移動機構18に連結されている。第1ノズル移動機構18は、スピンチャック2の上方に設けられたシリル化処理位置(図1に示す位置)と、スピンチャック2の側方位置に設けられた退避位置(図2に示す位置)との間で疎水化液ノズル4を移動させる。シリル化処理位置は、疎水化液ノズル4から吐出されたシリル化液がスピンチャック2に保持されたウエハWの上面中央部(上面の回転中心)に供給されるように設定されている(図1参照)。
シリル化液は、液体状のシリル化剤(シランカップリング剤)を含む。このシリル化剤は、分子の一端に加水分解でシラノール基(Si-OH)を与えるエトキシ(又はメトキ
シ)基を有し、他端にアミノ基やグリシジル基などの有機官能基を有する有機ケイ素化合物である。
シリル化剤は、たとえば、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)およびTMS(テトラメチルシラン)の少なくとも一つを含む。
溶剤ノズル5は、たとえば、連続流の状態でIPAを下方に向けて吐出するストレートノズルである。溶剤ノズル5には、溶剤供給源からのIPAが供給される溶剤供給管19が接続されている。溶剤供給管19には、溶剤供給管19を開閉するための溶剤バルブ20が介装されている。溶剤バルブ20が開かれると、溶剤供給管19から溶剤ノズル5にIPAが供給され、また、溶剤バルブ20が閉じられると、溶剤供給管19から溶剤ノズル5へのIPAの供給が停止される。溶剤ノズル5は、第2ノズル移動機構21に連結されている。第2ノズル移動機構21は、スピンチャック2の上方に設けられた溶剤処理位置(図2に示す位置)と、スピンチャック2の側方位置に設けられた退避位置(図1に示す位置)との間で溶剤ノズル5を移動させる。溶剤処理位置は、溶剤ノズル5から吐出されたIPAがスピンチャック2に保持されたウエハWの上面中央部(上面の回転中心)に供給されるように設定されている(図2参照)。
薬液ノズル6は、たとえば、連続流の状態で薬液を下方に向けて吐出するストレートノズルである。薬液ノズル6には、薬液供給源からの薬液が供給される薬液供給管22が接続されている。薬液供給管22には、薬液供給管22を開閉するための薬液バルブ23が介装されている。薬液バルブ23が開かれると、薬液供給管22から薬液ノズル6に薬液が供給され、また、薬液バルブ23が閉じられると、薬液供給管22から薬液ノズル6への薬液の供給が停止される。薬液ノズル6は、第3ノズル移動機構24に連結されている。第3ノズル移動機構24は、スピンチャック2の上方に設けられた薬液処理位置(図示しない)と、スピンチャック2の側方位置に設けられた退避位置との間で薬液ノズル6を移動させる。薬液処理位置は、薬液ノズル6から吐出された薬液がスピンチャック2に保持されたウエハWの上面中央部(上面の回転中心)に供給されるように設定されている。
リンス液ノズル30は、たとえば、リンス液を、連続流の状態で吐出するストレートノズルである。リンス液ノズル30に供給されるリンス液は、DIW(脱イオン水:Deionzied Water)である。リンス液ノズル30は、その吐出口を、スピンチャック2に保持されるウエハWの上面中央部に向けた状態で配置されている。リンス液ノズル30には、リンス液供給源からのリンス液が供給されるリンス液供給管31が接続されている。リンス液供給管31には、リンス液供給管31を開閉するためのリンス液バルブ32が介装されている。リンス液バルブ32が開かれると、リンス液供給管31からリンス液ノズル30にリンス液が供給され、リンス液ノズル30から、ウエハWの上面中央部に向けてリンス液が吐出される。なお、リンス液ノズル30に供給されるリンス液は、純水に限らず、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、および希釈濃度(たとえば、10〜100ppm程度)の塩酸水のうちのいずれかであってもよい。
加熱機構3は、回転軸線A1と同心円板状の第1ヒータプレート(発熱部材)3Aと、第1ヒータプレート3Aの外周を取り囲む円環状の第2ヒータプレート(発熱部材)3Bとを備えている。第1および第2ヒータプレート3A,3Bは、それぞれスピンベース12の上面と、スピンチャック2に保持されるウエハWの下面との間に配置されている。第2ヒータプレート3Bは、連結具(図示しない)を介して第1ヒータプレート3Aに連結固定されている。
図3は、第1および第2ヒータプレート3A,3Bの構成を示す斜視図である。図1〜図3を参照しつつ、第1および第2ヒータプレート3A,3Bについて説明する。
第1ヒータプレート3Aは、たとえばセラミックス製の第1本体部27Aと、第1本体部27Aに内蔵された第1ヒータ28Aとを備えている。第1本体部27Aの上面は、スピンチャック2に保持されるウエハWの下面中央部に対向する円形平坦状の第1対向面29Aを有している。第1対向面29Aは、たとえば、ウエハWの下面における、回転中心を中心とするウエハ径の約1/4の径を有する円形の領域に対向している。
第2ヒータプレート3Bは、たとえばセラミックス製の第2本体部27Bと、第2本体部27Bに内蔵された第2ヒータ28Bとを備えている。第2本体部27Bの上面は、スピンチャック2に保持されるウエハWの下面周縁部に対向する円環平坦状の第2対向面29Bを有している。第1および第2対向面29A,29Bは、互いに、同一の水平面に含まれている。第1および第2ヒータプレート3A,3Bは、スピンチャック2に保持されるウエハWの下面中央部および下面周縁部と、第1および第2対向面29A,29Bとの間に、微小間隔M1を確保するように配置されている。第2対向面29Bは、たとえば、ウエハWの下面における環状領域(回転中心を中心とするウエハ径の約3/4の径を有する円形の領域を除く環状領域)に対向している。
第1および第2ヒータプレート3A,3Bは、支持棒25によって下方から支持されている。したがって、第1および第2ヒータプレート3A,3Bは常に静止状態にあり、スピンベース12の回転によらずに非回転状態に保たれる。
支持棒25は、第1ヒータプレート3Aの中心から下方に延びている。支持棒25は、第1ヒータプレート3Aと一体であってもよいし、別部材であってもよい。支持棒25は、回転軸線A1に沿って上下方向に延びている。支持棒25は、スピンベース12および支持軸11を上下方向に貫通する貫通穴35に挿通している。支持棒25の下端は、スピンチャック2の下方の周辺部材に固定されている。また、貫通穴35には、第1ヒータ28Aへの給電線26A、および第2ヒータ28Bへの給電線26Bがそれぞれ挿通されている。給電線26A,26Bは、それぞれ、第1および第2ヒータ28A,28Bに接続されている。
第1ヒータ28Aへの通電により、第1ヒータ28Aが発熱し、第1ヒータプレート3Aが発熱状態になる。これにより、第1対向面29Aが発熱面として機能する。第1対向面29AがウエハWの下面に微小間隔M1を隔てて対向配置されているので、ウエハWの中央部が、第1ヒータプレート3Aによって加熱される。これにより、ウエハWの中央部が温められる。
また、第2ヒータ28Bへの通電により、第2ヒータ28Bが発熱し、第2ヒータプレート3Bが発熱状態になる。これにより、第2対向面29Bが発熱面として機能する。第2対向面29BがウエハWの下面に微小間隔M1を隔てて対向配置されているので、ウエハWの周縁部が、第2ヒータプレート3Bによって加熱される。これにより、ウエハWの周縁部が温められる。
なお、第1ヒータ28Aと第2ヒータ28Bとの、単位面積当たり発熱量は、略同一に設定されている。
図4は、基板処理装置1の電気的構成を示すブロック図である。
基板処理装置1は、マイクロコンピュータを含む構成の制御部(制御手段)40を備えている。制御装置40は、スピンモータ14および第1〜第3ノズル移動機構18,21,24などの動作を制御する。また、制御装置40は、第1ヒータおよび第2ヒータ28Bへの通電/切断を切り換える。さらに、制御装置40は、疎水化液バルブ17、溶液バルブ20、薬液バルブ23およびリンス液バルブ32の開閉動作を制御する。
図5は、基板処理装置1によってウエハWを処理するときの第1処理例について説明するための工程図である。図6は、第1処理例に含まれる第1IPA供給工程(溶剤前供給処理)を示す模式的な図である。図7は、第1処理例に含まれる疎水化液供給工程を示す模式的な図である。以下では、図1、図2、図4〜図7を参照して、デバイス形成面である表面に薄膜パターン101(図8参照)が形成されたウエハWを処理するときの処理例について説明する。また、以下の説明における「ウエハWの表面(上面)」は、ウエハW自体の表面(上面)および薄膜パターン101の表面(上面)を含む。
未処理のウエハWは、搬送ロボット(図示しない)によって処理室(図示しない)に搬入され(ステップS0)、デバイス形成面である表面を上に向けてスピンチャック2上に載置される。このとき、非デバイス形成面である基板Wの裏面は下を向いた状態である。そして、制御装置40は、スピンチャック2を制御して、載置されたウエハWを保持させる。なお、ウエハWの搬入時には、搬送ロボットおよびウエハWが、疎水化液ノズル4、溶剤ノズル5、または薬液ノズル6に衝突することを防止するために、疎水化液ノズル4、溶剤ノズル5、または薬液ノズル6を、それぞれの退避位置に位置させている。
次いで、薬液をウエハWに供給する薬液供給工程が実行される(ステップS1)。具体的には、制御装置40は、疎水化液ノズル4および溶剤ノズル5がそれぞれ退避位置にある状態で、第3ノズル移動機構24を制御して、薬液ノズル6を退避位置から薬液処理位置に移動させる。また、制御装置40は、スピンモータ14を制御して、スピンチャック2に保持されたウエハWを回転させる。そして、制御装置40は、スピンチャック2によってウエハWを回転させながら、薬液ノズル6からウエハWの上面中央部に向けて薬液を吐出させる。これにより、ウエハWの上面全域に薬液が供給され、ウエハWの上面が薬液によって処理(洗浄処理)される(薬液処理)。そして、薬液処理が予め定める時間にわたって実行されると、制御装置40は、薬液バルブ12を閉じて、薬液ノズル6からの薬液の吐出を停止させる。その後、制御装置40は、第3ノズル移動機構24を制御して、薬液ノズル6を退避位置に移動させる。
なお、薬液処理において、第3ノズル移動機構24が制御されることにより、薬液ノズル6からの薬液が導かれるウエハWの上面上の供給位置が、ウエハWの回転中心からウエハWの周縁部に至る範囲内を、ウエハWの回転方向と交差する円弧状の軌跡を描きつつ往復移動するようにしてもよい。
次いで、リンス液をウエハWに供給するリンス液供給工程が行われる(ステップS2)。具体的には、制御装置40は、スピンチャック2によってウエハWを回転させつつ、リンス液バルブ32を開いてリンス液ノズル30からウエハWの上面中央部に向けてリンス液を吐出する。これにより、ウエハWの上面全域にリンス液が供給され、ウエハWに付着している薬液がDIWによって洗い流される(リンス処理)。そして、リンス処理が予め定める時間にわたって実行されると、制御装置40は、リンス液バルブ32を閉じて、リンス液ノズル30からのリンスの吐出を停止する。
次いで、溶剤の一例としてのIPAをウエハWに供給する第1溶剤供給工程が行われる(ステップS3。図6参照)。具体的には、制御装置40は、疎水化液ノズル4および薬液ノズル6がそれぞれ退避位置にある状態で、第2ノズル移動機構21を制御して、溶剤ノズル5を退避位置から溶剤処理位置(図2および図6に示す位置)に移動させる。また、制御装置40は、第1および第2ヒータ28A,28Bを通電させて、第1および第2ヒータプレート3A,3Bをそれぞれ発熱状態にさせる。これにより、ウエハWの中央部および周縁部がそれぞれ加熱され、所定の加熱温度(吐出されるシリル化液の液温よりも高温。たとえば、40℃〜82.4℃の範囲内の所定温度)までそれぞれ昇温する。
ウエハWが十分に温められた後、制御装置40は、第1および第2ヒータ28A,28Bへの通電状態を維持しつつ、溶剤ノズル5からウエハWの上面中央部に向けて、常温(たとえば23℃〜25℃程度)のIPAを吐出させる。図6に示すように、ウエハWの上面中央部に着液したIPAは、ウエハWの回転による遠心力を受けて、ウエハWの上面を周縁部に向けて拡がることにより、ウエハWの上面全域にIPAが供給される。これにより、ウエハWの上面に付着しているリンス液が、IPAによって洗い流されてIPAに置換される。ウエハWの中央部および周縁部が加熱されているので、ウエハW上を流れる過程でIPAが温められ、IPAの温度は、加熱温度と同程度まで昇温する。
そして、IPAの供給開始から予め定める時間が経過すると、制御装置40は、溶剤バルブ20を閉じて、溶剤ノズル5からのIPAの吐出を停止させる。その後、制御装置40は、第2ノズル移動機構21を制御して、溶剤ノズル5を退避位置に移動させる。
次いで、疎水化液の一例としてのシリル化液(液体のシリル化剤)を、ウエハWに供給する疎水化液供給工程が行われる(ステップS4。図7参照)。具体的には、制御装置40は、溶剤ノズル5および薬液ノズル6がそれぞれ退避位置にある状態で、第1ノズル移動機構18を制御して、疎水化液ノズル4を退避位置からシリル化処理位置(図1および図7に示す位置)に移動させる。
制御装置40は、第1および第2ヒータ28A,28Bへの通電状態を維持しつつ、疎水化液バルブ17を開き、疎水化液ノズル4からウエハWの上面中央部に向けて常温(たとえば23℃〜25℃程度)のシリル化液を吐出させる。図7に示すように、ウエハWの上面中央部に着液したシリル化液は、ウエハWの回転による遠心力を受けて、ウエハWの上面を周縁部に向けて拡がることにより、ウエハWの上面全域にシリル化液が供給される。ウエハWの上面全域にシリル化液が供給されることにより、ウエハWに付着しているIPAが、シリル化液に置換される。これにより、シリル化液が薄膜パターン101の内部(隣接する凸形状パターン105の間)にまで入り込んで、ウエハWの上面に、濡れ性が低い疎水性保護膜106(図8参照)が形成される(疎水化処理)。これにより、ウエハWの上面の全ての凸形状パターン105が、疎水性保護膜106によって被覆される。
ウエハWの中央部および周縁部が加熱されているので、ウエハW上を流れる過程でシリル化液が温められ、シリル化液の液温は、第1および第2ヒータプレート3A,3Bと同程度まで昇温する。
疎水化処理が予め定める時間にわたって行われると、制御装置40は、疎水化液バルブ17を制御してシリル化液の吐出を停止させる。その後、制御装置40は、第1ノズル移動機構18を制御して、疎水化液ノズル4を退避位置に移動させる。また、制御装置40は、第1および第2ヒータ28A,28Bへの通電を切って、第1および第2ヒータ28A,28Bからの発熱を停止させる。これにより、その後、ウエハWは温度降下し、やがて常温に戻る。
次いで、溶剤の一例としてのIPAを、乾燥処理の前にウエハWに供給する第2溶剤供給工程(乾燥前溶剤供給工程)が行われる(ステップS5)。具体的には、制御装置40は、疎水化液ノズル4および薬液ノズル6がそれぞれ退避位置にある状態で、第2ノズル移動機構21を制御して、溶剤ノズル5を退避位置から溶剤処理位置(図7参照)に移動させる。そして、制御装置40は、スピンチャック2によってウエハWを回転させながら、溶剤ノズル5からウエハWの上面中央部に向けて常温(たとえば23℃〜25℃程度)のIPAを吐出させる。ウエハWの上面中央部に着液したIPAは、ウエハWの回転による遠心力を受けて、ウエハWの上面を周縁部に向けて拡がることにより、ウエハWの上面全域にIPAが供給される。これにより、ウエハWの上面に付着しているシリル化液が、IPAによって洗い流されてIPAに置換される。そして、IPAの供給開始から予め定める時間が経過すると、制御装置40は、溶剤バルブ20を閉じて、溶剤ノズル5からのIPAの吐出を停止させる。その後、制御装置40は、第2ノズル移動機構21を制御して、溶剤ノズル5を退避位置に移動させる。
次いで、ウエハWを乾燥させる乾燥工程が行われる(ステップS6)。具体的には、制御装置40は、スピンモータ14を制御して、ウエハWを高回転速度(たとえば2500rpm以上)で回転させる。これにより、ウエハWの上面に付着しているIPAに大きな遠心力が作用して、IPAがウエハWの周囲に振り切られる。このようにして、IPAがウエハWから除去され、ウエハWが乾燥する(乾燥処理)。そして、乾燥処理が所定時間にわたって行われた後は、制御装置40は、スピンモータ14を制御して、スピンチャック2によるウエハWの回転を停止させる。その後、処理済みのウエハWが搬送ロボットによってスピンチャック2から搬出される(ステップS7)。
図8は、基板処理装置1によって処理されるウエハW上の薄膜パターン101の一例を示す断面図である。
基板処理装置1によって処理されるウエハWは、たとえば、シリコン(Si)ウエハ(基板の一例)の表面に、微細な薄膜パターン101を形成したものである。薄膜パターン101は、複数の凸形状パターン105が互いに同方向に沿って配線されており、線幅が10nm〜45nm程度、隣接する凸形状パターン105間の間隔が10nm〜数μm程度で形成されている。
薄膜パターン101は、少なくとも絶縁膜を含んでいる。また、薄膜パターン101は、導体膜を含んでいてもよい。より具体的には、薄膜パターン101は、複数の膜を積層した積層膜により形成されており、さらには、絶縁膜と導体膜とを含んでいてもよい。絶縁膜は、SiO膜であってもよい。また、導体膜は、低抵抗化のための不純物を導入したアモルファスシリコン膜であってもよいし、金属膜(たとえば金属配線膜)であってもよい。さらには、積層膜を構成する各膜として、ポリシリコン膜、SiN膜、BSG膜(ホウ素を含むSiO膜)、およびTEOS膜(TEOS(テトラエトキシシラン)を用いてCVD法で形成されたSiO膜)などを例示することができる。
また、凸形状パターン105の膜厚Tは、たとえば、50nm〜5μm程度である。また、凸形状パターン105は、たとえば、アスペクト比(線幅W1に対する膜厚Tの比)が、たとえば、5〜500程度であってもよい。
ところで、図8に示すように、凸形状パターン105が疎水性保護膜106に覆われていると、ウエハWの表面の一部が処理液107に濡れた状態において、処理液107の接触角θ1が比較的大きく(90°に近く)なる。
凸形状パターン105が形成されたウエハWを乾燥させると、ウエハWが乾燥していく過程で凸形状パターン105同士を引き付ける力が加わって、凸形状パターン105が倒壊する場合がある。このとき凸形状パターン105加わる力は、たとえば、以下の式(1)により表される。
(2×σ×Tcosθ1)/L・・・式(1)
なお、「σ」は、処理液107の表面張力であり、「W2」は、隣接する凸形状パターン105間の間隔である。
式(1)から、処理液の表面張力σが小さいほど凸形状パターン105に加わる力が減少することが分かる。したがって、処理液の表面張力σを低下させることにより、凸形状パターン105に加わる力を減少させて、凸形状パターン105の倒壊を抑制または防止できる。
また、接触角θ1が90°に近づくほど凸形状パターン105に加わる力が減少することが分かる。したがって、ウエハWの表面を疎水化させて接触角θ1を90°に近づけることにより、凸形状パターン105の倒壊を抑制または防止することができる。
一方、ウエハWの表面の疎水化が不十分な場合には、凸形状パターン105に加わる力が十分に減少せず、凸形状パターン105の倒壊を十分に抑制することができない。したがって、凸形状パターン105の倒壊を十分に抑制するために、ウエハWの表面の全域を良好な疎水性保護膜106で覆う(良好に疎水させる)必要がある。
図9は、第1溶剤供給工程(図5に示すステップS3。図6を併せて参照)および疎水化液供給工程(図5に示すステップS4。図7を併せて参照)におけるウエハW上面の処理状況を示す断面図である。第1溶剤供給工程におけるウエハW周縁部およびウエハW中央部、ならびに疎水化液供給工程におけるウエハW周縁部およびウエハW中央部を、左側から順に示している。
第1溶剤供給工程の実行に並行して、ウエハWの中央部および周縁部が加熱される。第1ヒータ28Aと第2ヒータ28Bとは、略同一の単位面積当たり発熱量で発熱するため、ウエハWの中央部および周縁部は、互いに等しい温度に温められる。そのため、ウエハWの中央部では、当該中央部上に存在するIPAの内部で対流が生じ、薄膜パターン101の内部(隣接する凸形状パターン105の間)におけるウエハW上面(ウエハW自体の上面)に極めて近い位置まで、高温のIPAが行き渡る。また、ウエハWの周縁部では、当該周縁部上に存在するIPAの内部で対流が生じ、薄膜パターン101の内部(隣接する凸形状パターン105の間)におけるウエハW上面(ウエハW自体の上面)に極めて近い位置まで、高温のIPAが行き渡る。これにより、ウエハW表面の全域で、IPAの置換効率を高めることができる。
また、疎水化液供給工程の実行に並行して、ウエハWの中央部および周縁部が加熱される。この際も、第1ヒータ28Aと第2ヒータ28Bとは、略同一の単位面積当たり発熱量で発熱するため、ウエハWの中央部および周縁部は、互いに等しい温度に温められる。そのため、ウエハWの中央部では、当該中央部上に存在するシリル化液の内部で対流が生じ、薄膜パターン101の内部(隣接する凸形状パターン105の間)におけるウエハW上面(ウエハW自体の上面)に極めて近い位置まで、高温のシリル化液が行き渡る。また、ウエハWの周縁部では、当該周縁部上に存在するIPAの内部で対流が生じ、薄膜パターン101の内部(隣接する凸形状パターン105の間)におけるウエハW表面(ウエハW自体の表面)に極めて近い位置まで、高温のシリル化液が行き渡る。
シリル化液の活性は、高温になるのに従って高くなる。すなわち、高温のシリル化液は、高い活性を発揮する。
以上によりこの実施形態によれば、ウエハWへのシリル化液の供給と並行して、ウエハWが加熱される。この場合、ウエハW上を流れるシリル化液は、ウエハWの上面との境界付近が温められる。そのため、ウエハWの上面との境界付近に存在するシリル化液を高活性化させることができる。
また、ウエハWの中央部および周縁部が、互いに等しい温度に温められるので、ウエハWの周縁部で、シリル化液の活性が高く保たれる。これにより、ウエハW上面の全域に接触角の高い疎水性保護膜106(図8参照)を形成することができる。ゆえに、ウエハW上面の全域を、良好かつ均一に疎水化させることができる。
また、常温のシリル化液を、ウエハWの上面に供給する。シリル化液は、一旦高温に達すると、その後、時間の経過とともに失活する。そのため、高温のシリル化液を、ウエハWの上面に向けて疎水化液ノズル4から吐出する場合、既に失活しているシリル化液が、ウエハWの上面に供給されるおそれがある。この場合、良好な疎水性保護膜106をウエハWの上面(ウエハWの表面)に形成することができないおそれがある。
これに対し、疎水化液ノズル4から吐出されるシリル化液の液温が常温であるので、ウエハWの上面に供給されるシリル化液は、未だ失活しておらず高活性の状態を維持している。そして、高活性を有するシリル化液が、ウエハW上を流れる過程で温められることにより、シリル化液を、より一層活性化することができる。
以上により、ウエハWの上面の全域に、良好な疎水性保護膜106を形成することができる。これにより、ウエハWの上面の全域で、ウエハWの上面に対する処理液107の接触角を90°に近づけることができ、その結果、凸形状パターン105に加わる力を減少させて、凸形状パターン105の倒壊を抑制または防止することができる。
また、ウエハWの下面に対向配置される第1および第2ヒータプレート3A,3Bにより、ウエハWの下面に対向配置されるヒータプレート3A,3Bを発熱させることにより、ウエハWが加熱される。したがって、ウエハWの上面へのシリル化液や処理液(IPAを含む)の供給を阻害することなくウエハWを加熱することができる。
また、この実施形態では、第1溶剤供給工程(ステップS3)の実行開始から、疎水化液供給工程(ステップS4)の実行終了までの間、第1および第2ヒータプレート3A,3BによってウエハWが加熱される。換言すると、第1溶剤供給工程と並行して、ウエハWが加熱される。第1溶剤供給工程では、ウエハW上を流れるIPAが温められ、ゆえに、第1溶剤供給工程における、ウエハWの上面でのIPAへの置換効率を高めることができる。
図10は、基板処理装置1によってウエハWを処理するときの第2処理例について説明するための工程図である。
第2処理例では、未処理のウエハWは、搬送ロボット(図示しない)によって処理室(図示しない)に搬入された後(ステップS10)、スピンモータ14が制御されて、スピンチャック2に保持されたウエハWが回転させられる。その後、薬液をウエハWに供給する薬液供給工程(ステップS11)、リンス液をウエハWに供給するリンス液供給工程(ステップS12)、IPAをウエハWに供給する第1溶剤供給工程(溶剤前供給工程。ステップS13)、シリル化液を、ウエハWに供給する疎水化液供給工程(疎水化液供給工程。ステップS14)、IPAをウエハWに供給する第2溶剤供給工程(乾燥前溶剤供給工程。ステップS15)、ウエハWを乾燥させる乾燥工程(ステップS16)が、順次に行われる。
ステップS11の薬液供給工程は、第1処理例の薬液供給工程(ステップS1。図5参照)と同等の処理工程である。ステップS12のリンス液供給工程は、第1処理例のリンス液供給工程(図5に示すステップS2)と同等の処理工程である。ステップS13の第1溶剤供給工程は、第1処理例の第1溶剤供給工程(図5に示すステップS3)と同等の処理工程である。ステップS14の疎水化液供給工程は、第1処理例の疎水化液供給工程(図5に示すステップS4)と同等の処理工程である。ステップS15の第2溶剤供給工程は、ウエハWの加熱を行う点を除いて、第1処理例の第2溶剤供給工程(図5に示すステップS5)と同等の処理工程である。ステップS16の乾燥工程は、第1処理例の乾燥工程(図5に示すステップS6)と同等の処理工程である。
第2処理例が第1処理例と相違する点は、第1溶剤供給工程(ステップS13)の実行開始から、第1溶剤供給工程(ステップS15)の実行終了までの間、第1および第2ヒータプレート3A,3BによってウエハWを加熱するようにした点である。以下、具体的に説明する。
第2処理例では、第1処理例と同様、制御装置40は、第1溶剤供給工程(ステップS13)の実行開始に先立って、第1および第2ヒータ28A,28Bを通電させて、第1および第2ヒータプレート3A,3Bをそれぞれ発熱状態にさせる。これにより、ウエハWの中央部および周縁部がそれぞれ加熱され、所定の加熱温度までそれぞれ昇温する。その後、第1溶剤供給工程(ステップS13)の実行中、および疎水化液供給工程(ステップS14)の実行中は、第1および第2ヒータプレート3A,3Bの発熱状態がそれぞれ維持される。また、第2溶剤供給工程(ステップS15)の実行中にも、第1および第2ヒータプレート3A,3Bの発熱状態がそれぞれ維持される。
そして、第2溶剤供給工程(ステップS15)の実行終了後、制御装置40は、第1および第2ヒータ28A,28Bへの通電を切って、第1および第2ヒータ28A,28Bからの発熱を停止させる。これにより、その後、ウエハWは温度降下し、やがて常温に戻る。
第2処理例では、第2溶剤供給工程の実行に並行して、ウエハWの中央部および周縁部が加熱されている。そのため、ウエハWの中央部では、当該中央部上を流れるIPAの内部で対流が生じ、薄膜パターン101の内部におけるウエハW上面(ウエハW自体の上面)に極めて近い位置まで、高温のIPAが行き渡る。また、ウエハWの周縁部では、当該周縁部上を流れるIPAの内部で対流が生じ、薄膜パターン101の内部におけるウエハW上面(ウエハW自体の上面)に極めて近い位置まで、高温のIPAが行き渡る。これにより、第2溶剤供給工程において、ウエハW表面の全域で、IPAの置換効率を高めることができる。
乾燥工程(S16)が所定時間にわたって行われた後は、制御装置40は、スピンモータ14を制御して、スピンチャック2によるウエハWの回転を停止させる。その後、処理済みのウエハWが搬送ロボットによってスピンチャック2から搬出される(ステップS17)。
図11は、基板処理装置1によってウエハWを処理するときの第3処理例について説明するための工程図である。
第3処理例では、未処理のウエハWは、搬送ロボット(図示しない)によって処理室(図示しない)に搬入された後(ステップS20)、スピンモータ14が制御されて、スピンチャック2に保持されたウエハWが回転させられる。その後、薬液をウエハWに供給する薬液供給工程(ステップS21)、リンス液をウエハWに供給するリンス液供給工程(ステップS22)、IPAをウエハWに供給する第1溶剤供給工程(溶剤前供給工程。ステップS23)、シリル化液を、ウエハWに供給する疎水化液供給工程(疎水化液供給工程。ステップS24)、IPAをウエハWに供給する第2溶剤供給工程(乾燥前溶剤供給工程。ステップS25)、ウエハWを乾燥させる乾燥工程(ステップS26)が、順次に行われる。
ステップS21の薬液供給工程は、第1処理例の薬液供給工程(図5に示すステップS1)と同等の処理工程である。ステップS22のリンス液供給工程は、第1処理例のリンス液供給工程(図5に示すステップS2)と同等の処理工程である。ステップS23の第1溶剤供給工程は、ウエハWの加熱を行わない点を除いて、第1処理例の第1溶剤供給工程(図5に示すステップS3)と同等の処理工程である。ステップS24の疎水化液供給工程は、第1処理例の疎水化液供給工程(図5に示すステップS4)と同等の処理工程である。ステップS25の第2溶剤供給工程は、第1処理例の第2溶剤供給工程(図5に示すステップS5)と同等の処理工程である。ステップS26の乾燥工程は、第1処理例の乾燥工程(図5に示すステップS6)と同等の処理工程である。
第3処理例が第1処理例と相違する点は、疎水化液供給工程(ステップS24)の実行開始から、疎水化液供給工程(ステップS24)の実行終了までの間のみ、第1および第2ヒータプレート3A,3BによるウエハWを加熱し、第1溶剤供給工程(ステップS23)の実行中はウエハWを加熱しないようにした点である。以下、具体的に説明する。
第3処理例では、制御装置40は、第1溶剤供給工程(ステップS23)の実行終了後、疎水化液供給工程(ステップS24)の実行開始に先立って、第1および第2ヒータ28A,28Bを通電させて、第1および第2ヒータプレート3A,3Bをそれぞれ発熱状態にさせる。これにより、ウエハWの中央部および周縁部がそれぞれ加熱され、所定の加熱温度までそれぞれ昇温する。
そして、第1処理例と同様、シリル化液の吐出停止後、制御装置40は、第1および第2ヒータ28A,28Bへの通電を切って、第1および第2ヒータ28A,28Bからの発熱を停止させる。これにより、その後、ウエハWは温度降下し、やがて常温に戻る。
乾燥工程(ステップS26)が所定時間にわたって行われた後は、制御装置40は、スピンモータ14を制御して、スピンチャック2によるウエハWの回転を停止させる。その後、処理済みのウエハWが搬送ロボット(図示しない)によってスピンチャック2から搬出される(ステップS27)。
[第2実施形態]
図12は、本発明の第2実施形態に係る基板処理装置110の構成を模式的に示す断面図である。図12において、前述の第1実施形態に示された各部に対応する部分には、図1および図4の場合と同一の参照符号を付して示し、説明を省略する。
基板処理装置110が、第1実施形態に係る基板処理装置1と相違する点は、加熱機構3に代えて、スピンチャック2に保持されたウエハWの下面(裏面)に高温ガスを吹き付ける裏面側ガス吹付け機構(裏面側ガス吹付け手段)150を備える点にある。
裏面側ガス吹付け機構150は、回転軸線A1から、ウエハWの回転半径方向に沿って水平に延びる、長尺のバー状のガスノズル151と、ガスノズル151に高温の不活性ガス(高温ガス)を供給する高温ガス供給機構152とを備えている。
ガスノズル151は、スピンベース12の上面とスピンチャック2に保持されるウエハWの下面との間に配置されている。ガスノズル151は中空に形成されており、ガスノズル151内には、ガスノズル151の形状に沿って延びるガス供給路153が形成されている。ガスノズル151の中心側端部が、次に述べる挿通配管154に連結固定されている。そのため、ガスノズル151は常に静止状態にあり、スピンベース12の回転によらずに非回転状態に保たれる。
ガスノズル151の上領域には、スピンチャック2に保持されるウエハWの下面と対向する複数の裏面側ガス吐出口160,161が、当該ウエハWの回転半径方向に沿って一列に配列されている。複数の裏面側ガス吐出口160,161は、ウエハWの回転中心を除く領域に対向する領域に、等間隔(等密度)で配置されている。各裏面側ガス吐出口160,161は、ガス供給路153に連通し、当該裏面側ガス吐出口160,161に供給された不活性ガスを鉛直上方に向けて吐出する。裏面側ガス吐出口160,161は、ウエハWの下面(裏面)と微小間隔M2を隔てて対向配置されている。
裏面側ガス吐出口160,161は、ウエハWの下面周縁部に対向する周縁部吐出口160と、ウエハWの下面中央部に対向する中央部吐出口161とを有している。各周縁部吐出口160は、中央部吐出口161よりも大径に形成された拡大吐出口である。より具体的には、周縁部吐出口160および中央部吐出口161の径は、それぞれ、ウエハWの下面周縁部における単位面積当たりの不活性ガスの供給流量が、ウエハWの下面の中央部における単位面積当たりの不活性ガスの供給流量よりも多くなるように設定されている。なお、図12では、周縁部吐出口160として2つの吐出口を記載し、また、中央部吐出口161として3つの吐出口を記載しているが、それぞれの吐出口の数はこれらの数に限定されず、それ以上であってもよい。
高温ガス供給機構152は、回転シャフト11の貫通穴35に挿通された挿通配管154を備えている。挿通配管154の内部には、回転軸線A1に沿って上下方向に延びる不活性ガス流通路155が形成されている。不活性ガス流通路155は、不活性ガス供給路153と連通している。具体的には、不活性ガス流通路155の上端が、不活性ガス供給路153の中心側端部に開口している。不活性ガス流通路155には不活性ガス配管164が接続されている。不活性ガス配管164には、不活性ガス流通路155側から順に、不活性ガス配管164を開閉するための不活性ガスバルブ162と、不活性ガスを加熱するためのガス加熱用ヒータ163とが介装されている。ガス加熱用ヒータ163は、不活性ガス配管164を流通する不活性ガスを、ワンパス方式で加熱する。
また、図12には、IPAを供給するための機構(溶剤ノズル5(図2参照)、溶剤供給管19(図2参照)、溶剤バルブ20(図2参照)および第2ノズル移動機構21(図2参照))、薬液を供給するための機構(薬液ノズル6(図1参照)、薬液供給管22(図1参照)、薬液バルブ23(図1参照)および第3ノズル移動機構24(図1参照))、ならびにリンス液を供給するための機構(リンス液ノズル30(図1参照)、リンス液供給管31(図1参照)およびリンス液バルブ32(図1参照))の図示を省略しているが、これらの機構を基板処理装置110は備えている。
制御装置40は、スピンモータ14および第1〜第3ノズル移動機構18,21,24などの動作を制御する他、制御装置40は、ガス加熱用ヒータ163への通電/切断を、切り換える。さらに、制御装置40は、疎水化液バルブ17、溶液バルブ20、薬液バルブ23およびリンス液バルブ32のほか、不活性ガスバルブ162の開閉動作を制御する。
不活性ガスバルブ162が開かれると、ガス加熱用ヒータ163によって所定の高温に温められた不活性ガスが、不活性ガス配管164、不活性ガス流通路155および不活性ガス供給路153を介して各裏面側ガス吐出口160,161に供給され、各裏面側ガス吐出口160,161から上方に向けて吐出される。複数の裏面側ガス吐出口160,161は、ウエハWと微小間隔M2を隔てて対向配置されているので、各裏面側ガス吐出口160,161からウエハWの下面の半径方向の各所に、高温の不活性ガスが吹き付けられる。
第2実施形態では、裏面側ガス吹付け機構150を用いて、高温の不活性ガスをウエハWの下面に吹き付けることにより(第1高温ガス吐出工程)、ウエハWを加熱する。高温の不活性ガスのウエハWへの吹付け(第1高温ガス吐出工程)は、前述の第1実施形態の第1処理例のように、第1溶剤供給工程(図5に示すステップS3)の実行開始から疎水化液供給工程(図5に示すステップS4)の実行終了までの間にわたって実行されてもよいし、前述の第1実施形態の第2処理例のように、第1溶剤供給工程(図10に示すステップS13)の実行開始から第2溶剤供給工程(図10に示すステップS15)の実行終了までの間にわたって実行されてもよい。さらには、前述の第1実施形態の第3処理例のように、疎水化液供給工程(図11に示すステップS24)の実行開始から実行終了までの間だけ実行されてもよい。
ウエハWの下面周縁部における単位面積当たりの不活性ガスの供給流量が、ウエハWの下面の中央部における単位面積当たりの不活性ガスの供給流量よりも多くされる。そのため、ウエハWの中央部は、ウエハWの周縁部よりも低い単位面積当たり熱量で加熱される。
以上により第2実施形態によれば、ウエハWの下面に対向配置される裏面側ガス吐出口160,161から、ウエハWに高温の不活性ガスを吹き付けることにより、ウエハWが加熱される。したがって、ウエハWの上面へのシリル化液や処理液(IPAを含む)の供給を阻害することなくウエハWを加熱することができる。
また、ウエハWの中央部に供給されたシリル化液や処理液がウエハWの周縁部に移動する過程で、シリル化液や処理液に失活が生じることが考えられる。また、ウエハWの回転に伴ってウエハWが冷却することも考えられる。しかしながら、第2実施形態では、ウエハWの周縁部をウエハWの中央部よりも高い単位面積当たり熱量で加熱するので、ウエハWの周縁部の処理液がより温められる。そのため、シリル化液が供給される場合、ウエハWの周縁部でシリル化液の活性が高く保たれ、ウエハW上面の全域に接触角の高い疎水性保護膜106を形成することができる。これにより、ウエハW上面の全域を、良好かつ均一に疎水化させることができる。また、処理液の一例としてのIPAが供給される場合、ウエハW上面の全域でIPAの置換効率を高めることができる。
[第3実施形態]
図13は、本発明の第3実施形態に係る基板処理装置190の構成を模式的に示す図である。図13において、前述の第1実施形態に示された各部に対応する部分には、図1および図4の場合と同一の参照符号を付して示し、説明を省略する。
第3実施形態に係る基板処理装置190が、第1実施形態に係る基板処理装置1と相違する点は、第1実施形態で説明した第2ヒータプレート3Bと同等の構成のヒータプレート(発熱部材)200を設けるとともに、そのヒータプレート200を、スピンチャック2の上方で水平姿勢に支持するヒータアーム201を備えた点である。ヒータアーム201には、ヒータアーム201を昇降または水平移動させるためのアーム駆動機構202が結合されている。
ヒータプレート200は、スピンチャック2に保持されるウエハWの上面周縁部に対向する円環平坦状の対向面203を有する本体部を備えており、本体部には、ヒータ204が内蔵されている。
スピンチャック2にウエハWが保持されている状態で、ウエハWの上面周縁部に対向面203が微小間隔を隔てて対向するように、ヒータプレート200が配置される。そして、ヒータ204への通電により、ヒータ204が発熱し、第1ヒータプレート3Aが発熱状態になり、対向面203が発熱面として機能する。
この状態で、ウエハWの上面中央部の上方に位置する疎水化液ノズル4から、ウエハWの上面中央部に向けてシリル化液が吐出されると、疎水化液ノズル4からのシリル化液は、円環状のヒータプレート200の内部を通って、ウエハWの上面中央部に供給される。ウエハWの上面中央部に供給されたシリル化液は、ウエハWの回転による遠心力を受けて、ウエハWの上面を周縁部に向けて拡がる。発熱面としての対向面203がウエハWの周縁部に対向配置されているので、シリル化液が、ウエハW上を流れる過程で、対向面203により加熱されたウエハWと、対向面203自体とによって温められ、シリル化液の液温は、ヒータプレート200と同程度まで昇温する。
また、対向面203がウエハWの上面周縁部に対向した状態で、ウエハWの上面中央部の上方に位置する溶剤ノズル5から、ウエハWの上面中央部に向けてIPAが吐出されると、溶剤ノズル5からのIPAは、円環状のヒータプレート200の内部を通って、ウエハWの上面中央部に供給される。ウエハWの上面中央部に供給されたIPAは、ウエハWの回転による遠心力を受けて、ウエハWの上面を周縁部に向けて拡がる。発熱面としての対向面203がウエハWの周縁部に対向配置されているので、IPAが、ウエハW上を流れる過程で、対向面203により加熱されたウエハWと、対向面203自体とによって温められ、IPAの液温は、ヒータプレート200と同程度まで昇温する。
[第4実施形態]
図14は、本発明の第4実施形態に係る基板処理装置240の構成を模式的に示す図である。図14において、前述の第1実施形態に示された各部に対応する部分には、図1および図4の場合と同一の参照符号を付して示し、説明を省略する。
基板処理装置240が、第1実施形態に係る基板処理装置1と相違する点は、加熱機構3に代えて、表面側ガス吹付け機構(表面側ガス吹付け手段)250を備える点にある。
表面側ガス吹付け機構250は、ウエハWの回転半径方向に沿って水平に延びる、長尺のバー状のガスノズル251と、ガスノズル251を、スピンチャック2の上方で水平姿勢に支持するヒータアーム252と、ガスノズル252に高温の不活性ガス(高温ガス)を供給する高温ガス供給機構255とを備えている。ヒータアーム252には、ヒータアーム252を昇降または水平移動させるためのアーム駆動機構254が結合されている。
ガスノズル251は中空に形成されており、ガスノズル251内には、ガスノズル251の形状に沿って延びるガス供給路253が形成されている。
ガスノズル251の下面には、スピンチャック2に保持されるウエハWの下面と対向する複数の表面側ガス吐出口260,261が、当該ウエハWの回転半径方向に沿って一列に配列されている。複数の表面側ガス吐出口260,261は、ウエハWの回転中心を除く領域に対向する領域に、等間隔(等密度)で配置されている。各表面側ガス吐出口260,261は、ガス供給路253に連通し、当該表面側ガス吐出口260,261に供給された不活性ガスを鉛直下方に向けて吐出する。
高温ガス供給機構255は、不活性ガス配管264を備えている。不活性ガス配管264の先端が不活性ガス供給路253に接続されており、不活性ガス供給管264の内部空間が、不活性ガス供給路253と連通している。不活性ガス配管264には、不活性ガス配管264を開閉するための不活性ガスバルブ262と、不活性ガスを加熱するためのガス加熱用ヒータ263とが介装されている。ガス加熱用ヒータ263は、不活性ガス配管264を流通する不活性ガスを、ワンパス方式で加熱する。
表面側ガス吐出口260,261は、ウエハWの上面周縁部に対向する周縁部吐出口260と、ウエハWの上面中央部に対向する中央部吐出口261とを有している。各周縁部吐出口260は、中央部吐出口261よりも大径に形成された拡大吐出口である。より具体的には、周縁部吐出口260および中央部吐出口261の径は、それぞれ、ウエハWの上面周縁部における単位面積当たりの不活性ガスの供給流量が、ウエハWの上面中央部における単位面積当たりの不活性ガスの供給流量よりも多くなるように設定されている。なお、図14には、周縁部吐出口260として2つの吐出口を記載し、また、中央部吐出口261として2つの吐出口を記載しているが、それぞれの吐出口の数はこれらの数に限定されず、それ以上であってもよい。
また、図14には、IPAを供給するための機構(溶剤ノズル5(図2参照)、溶剤供給管19(図2参照)、溶剤バルブ20(図2参照)および第2ノズル移動機構(図2参照))、薬液を供給するための機構(薬液ノズル6(図1参照)、薬液供給管22(図1参照)、薬液バルブ23(図1参照)および第3ノズル移動機構24(図1参照))、ならびにリンス液を供給するための機構(リンス液ノズル30(図1参照)、リンス液供給管31(図1参照)およびリンス液バルブ32(図1参照))の図示を省略しているが、これらの機構を基板処理装置250は備えている。
制御装置40(図1等参照)は、スピンモータ14および第1〜第3ノズル移動機構18,21,24などの動作を制御する他、制御装置40は、ガス加熱用ヒータ263への通電/切断を、切り換える。さらに、制御装置40は、疎水化液バルブ17、溶液バルブ20、薬液バルブ23およびリンス液バルブ32のほか、不活性ガスバルブ262の開閉動作を制御する。
スピンチャック2にウエハWが保持されている状態で、ガスノズル251の下面がウエハWの上面と微小間隔を隔てて対向するように、かつ列をなす吐出口(ガス吐出口)260,261がウエハWの回転半径方向に沿うように、ガスノズル251が配置される。これにより、表面側ガス吐出口260,261が、ウエハWの上面(表面)と微小間隔を隔てて対向配置される。
ガス加熱用ヒータ263のオン状態で、不活性ガスバルブ262が開かれると、ガス加熱用ヒータ263によって所定の高温に温められた不活性ガスが、不活性ガス配管264および不活性ガス供給路253を介して各表面側ガス吐出口260,261に供給され、各表面側ガス吐出口260,261から下方に向けて吐出される。複数の表面側ガス吐出口260,261は、ウエハWと微小間隔を隔てて対向配置されているので、各表面側ガス吐出口260,261からウエハWの上面の半径方向の各所に、高温の不活性ガスが吹き付けられる(第2高温ガス吐出工程)。
この状態で、ウエハWの上面中央部の上方に位置する疎水化液ノズル4から、ウエハWの上面中央部に向けてシリル化液が吐出されると、ウエハWの上面中央部にシリル化液が供給される。ウエハWの上面中央部に供給されたシリル化液は、ウエハWの回転による遠心力を受けて、ウエハWの上面を周縁部に向けて拡がる。表面側ガス吐出口260,261がウエハWに対向配置されているので、シリル化液が、ウエハW上を流れる過程で、高温の不活性ガスの吹付けによって温められる。ウエハWの上面周縁部における単位面積当たりの不活性ガスの供給流量が、ウエハWの上面中央部における単位面積当たりの不活性ガスの供給流量よりも多くされる。そのため、ウエハWの中央部は、ウエハWの周縁部よりも低い単位面積当たり熱量で加熱される。
また、ガスノズル251の下面がウエハWの上面と微小間隔を隔てて対向した状態で、ウエハWの上面中央部の上方に位置する溶剤ノズル5(図2等参照)から、ウエハWの上面中央部に向けてIPAが吐出されると、ウエハWの上面中央部にIPAが供給される。ウエハWの上面中央部に供給されたIPAは、ウエハWの回転による遠心力を受けて、ウエハWの上面を周縁部に向けて拡がる。表面側ガス吐出口260,261がウエハWに対向配置されているので、IPAが、ウエハW上を流れる過程で、高温の不活性ガスの吹付けによって温められる。ウエハWの上面周縁部における単位面積当たりの不活性ガスの供給流量が、ウエハWの上面中央部における単位面積当たりの不活性ガスの供給流量よりも多くされる。そのため、ウエハWの中央部は、ウエハWの周縁部よりも低い単位面積当たり熱量で加熱される。
第4実施形態では、表面側ガス吹付け機構250を用いて、高温の不活性ガスをウエハWの上面に吹き付けることにより(第2高温ガス吐出工程)、ウエハWの上面を流れるシリル化やIPAを加熱する。高温の不活性ガスのウエハWへの吹付け(第2高温ガス吐出工程)は、前述の第1実施形態の第1処理例のように、第1溶剤供給工程(図5に示すステップS3)の実行開始から疎水化液供給工程(図5に示すステップS4)の実行終了までの間にわたって実行されてもよいし、前述の第1実施形態の第2処理例のように、第1溶剤供給工程(図10に示すステップS13)の実行開始から第2溶剤供給工程(図10に示すステップS15)の実行終了までの間にわたって実行されてもよい。さらには、前述の第1実施形態の第3処理例のように、疎水化液供給工程(図11に示すステップS24)の実行開始から実行終了までの間だけ実行されてもよい。
[第5実施形態]
図15および図16は、本発明の第5実施形態に係る基板処理装置310の構成を模式的に示す図である。図15および図16において、第1実施形態に示された各部に対応する部分には、図1および図2の場合と同一の参照符号を付して示し、説明を省略する。
基板処理装置310が、第1実施形態に係る基板処理装置1と相違する点は、加熱機構3に代えて、スピンチャック2に保持されたウエハWの下面(裏面)に向けて温水(高温液)を吐出する温水吐出機構(高温液吐出手段)350を備える点にある。
温水吐出機構350は、回転軸線A1から、ウエハWの回転半径方向に沿って水平に延びる、長尺のバー状の温水ノズル351と、温水ノズル351に温水を供給する温水供給機構352とを備えている。
温水ノズル351は、スピンベース12の上面とスピンチャック2に保持されるウエハWの下面との間に配置されている。温水ノズル351は中空に形成されており、温水ノズル351内には、温水ノズル351の形状に沿って延びる温水供給路353が形成されている。温水ノズル351の中心側端部が、次に述べる挿通配管354に連結固定されている。そのため、温水ノズル351は常に静止状態にあり、スピンベース12の回転によらずに非回転状態に保たれる。
温水ノズル351の上領域には、スピンチャック2に保持されるウエハWの下面と対向する複数の液吐出口360,361が、当該ウエハWの回転半径方向に沿って一列に配列されている。複数の液吐出口360,361は、ウエハWの回転中心を除く領域に対向する領域に、等間隔(等密度)で配置されている。各液吐出口360,361は、温水供給路353に連通し、当該液吐出口360,361に供給された温水を鉛直上方に向けて吐出する。液吐出口360,361は、ウエハWの下面(裏面)と微小間隔M4を隔てて対向配置されている。
液吐出口360,361は、ウエハWの下面周縁部に対向する周縁部吐出口360と、ウエハWの下面中央部に対向する中央部吐出口361とを有している。各周縁部吐出口360は、中央部吐出口361よりも大径に形成された拡大吐出口である。そのため、周縁部吐出口360の吐出流量は、中央部吐出口361の吐出流量よりも多い。より具体的には、周縁部吐出口360および中央部吐出口361の径は、それぞれ、ウエハWの下面周縁部における単位面積当たりの温水の供給流量が、ウエハWの下面の中央部における単位面積当たりの温水の供給流量よりも多くなるように設定されている。なお、図15および図16では、周縁部吐出口360として2つの吐出口を記載し、また、中央部吐出口361として3つの吐出口を記載しているが、それぞれの吐出口の数はこれらの数に限定されず、それ以上であってもよい。
温水供給機構352は、回転シャフト11の貫通穴35に挿通された挿通配管354を備えている。挿通配管354の内部には、回転軸線A1に沿って上下方向に延びる温水流通路355が形成されている。温水流通路355は、温水供給路353と連通している。具体的には、温水流通路355の上端が、温水供給路353の中心側端部に開口している。温水流通路355には温水配管364が接続されている。温水配管364には、温水流通路355側から順に、温水配管364を開閉するための水バルブ362と、水(望ましくはDIW)を加熱するための水加熱用ヒータ363とが介装されている。水加熱用ヒータ363は、温水配管364を流通する水を、ワンパス方式で加熱する。
また、図15や図16では、薬液を供給するための機構(薬液ノズル6(図1等参照)、薬液供給管22(図1等参照)、薬液バルブ23(図1等参照)および第3ノズル移動機構24(図1等参照))、ならびにリンス液を供給するための機構(リンス液ノズル30(図1等参照)、リンス液供給管31(図1等参照)およびリンス液バルブ32(図1等参照))の図示を省略しているが、これらの機構を基板処理装置310は備えている。
制御装置40は、スピンモータ14および第1〜第3ノズル移動機構18,21,24などの動作を制御する他、制御装置40は、水加熱用ヒータ363への通電/切断を、切り換える。さらに、制御装置40は、疎水化液バルブ17、溶剤バルブ20、薬液バルブ23およびリンス液バルブ32のほか、水バルブ362の開閉動作を制御する。
水加熱用ヒータ363がオンの状態で、水バルブ362が開かれると、水加熱用ヒータ363によって所定の温度(たとえば40〜65℃の範囲内の所定温度)まで昇温された温水が、温水配管364、温水流通路355および温水供給路353を介して各液吐出口360,361に供給され、各液吐出口360,361から上方に向けて吐出される。複数の液吐出口360,361は、ウエハWと微小間隔M4を隔てて対向配置されているので、各液吐出口360,361からウエハWの下面の半径方向の各所に、温水が供給される。
第5実施形態に係る基板処理装置310では、温水吐出機構350を用いて温水をウエハWの下面に供給することにより、ウエハWを加熱する。基板処理装置310では、第1実施形態の第1処理例と同等の処理(以下の説明では、そのまま「第1処理例」とする)が実行される。この第1処理例では、温水吹付けによるウエハWの加熱は、第1溶剤供給工程(図5に示すステップS3)の実行開始から疎水化液供給工程(図5に示すステップS4)の実行終了までの間にわたって実行される。
図17は、基板処理装置310によってウエハWを処理するときの第1処理例の要部について説明するためのタイミングチャートである。基板処理装置310によって実行される第1処理例を、図5、図15〜図17を用いて説明する。
図17に示す処理例では、第1溶剤供給工程(図5に示すステップS3)の実行開始から疎水化液供給工程(図5に示すステップS4)の実行終了までの間にわたって、温水がウエハWに供給される。以下、第5実施形態の第1処理例において、前述の第1実施形態の第1処理例と相違する部分のみ説明し、共通する部分の説明は割愛する。
第5実施形態の第1処理例では、リンス処理(図5のステップS2)の終了後、制御装置40は、疎水化液ノズル4および薬液ノズル6がそれぞれ退避位置にある状態で、第2ノズル移動機構21を制御して、溶剤ノズル5を退避位置から溶剤処理位置(図16に示す位置)に移動させる。溶剤ノズル5が溶剤処理位置に配置された状態で、所定の溶剤吐出タイミング(図17に示す「t1」)になると、制御装置40は、疎水化液バルブ17を閉じつつ、溶剤バルブ20および水バルブ362を開く。溶剤バルブ20および水バルブ362の開成タイミングはほぼ同時である。これにより、ウエハWの上面中央部に向けて溶剤ノズル5から常温(たとえば23℃〜25℃程度)のIPAが吐出され、また、溶剤ノズル5の吐出開始に同期して、ウエハWの下面への温水の供給が開始される。このとき、温水ノズル351の液吐出口360,361から吐出される温水の液温は、たとえば40〜65℃の範囲内の所定温度に設定されている。
温水ノズル351の液吐出口360,361は、スピンチャック2に保持されたウエハWの下面に対向している。温水ノズル351は停止しているが、液吐出口360,361がウエハWの回転半径方向に沿って配列されているので、ウエハWの回転に伴って、ウエハWの下面全域に温水が供給される。ウエハWの下面に着液した温水は、ウエハWの回転による遠心力を受けて回転半径外方側へと広がる。
そして、ウエハWの下面への温水の供給によりウエハWが加熱される。ウエハWの下面全域に温水が供給されるために、ウエハWの全域が温められる。このとき、ウエハWの下面周縁部における単位面積当たりの温水の供給流量が、ウエハWの下面の中央部における単位面積当たりの温水の供給流量よりも多くされる。そのため、ウエハWの中央部は、ウエハWの周縁部よりも低い単位面積当たり熱量で加熱される。
ウエハWの上面に供給されたIPAは、ウエハWの回転による遠心力を受けて周縁部に向けて流れる。ウエハWが温められているので、ウエハW上を流れる過程でIPAが温められ、昇温する。これにより、ウエハW上面の全域で、IPAの置換効率を高めることができる。
また、ウエハWの上面周縁部には、ウエハWの上面に供給されたIPAが、径方向外方に向けて移動してくる。ウエハWの下面を回転半径外方側へと広がる温水は、ウエハWの周端から上面に回り込むおそれがあり、とくにIPA置換後のウエハWの上面は親液性を呈しており、当該上面に温水の回り込み易い。しかしながら、ウエハWの上面中央部から周縁部に向けて流れるIPAによって、ウエハWの周端からの温水の回込みが防止される。
制御装置40は、第1IPA処理中に、第1ノズル移動機構18を制御して疎水化液ノズル4を退避位置からシリル化処理位置(図15に示す位置)に移動させる。
第1IPA処理が予め定める時間にわたって行われ、所定の疎水化剤吐出タイミング(図17に示す「t2」)に達すると、制御装置40は、溶剤バルブ20を閉じて、溶剤ノズル5からのIPAの吐出を停止させつつ、疎水化液バルブ17を開いて、疎水化液ノズル4から常温(たとえば23℃〜25℃程度)のシリル化液を吐出させる。
このとき、溶剤バルブ20は閉じられるが、水バルブ362は開かれた状態に保持されており、そのため、ウエハWの下面への温水の供給は継続される。換言すると、ウエハW上面へのIPAの供給停止後も、ウエハW下面への温水の供給は続行される。なお、溶剤バルブ20の閉成後、制御装置40は、第2ノズル移動機構21を制御して、溶剤ノズル5を退避位置(図15および図16には図示しない。図1等に示す位置)に移動させる。
ウエハW上面へのシリル化液の供給開始後も、ウエハW下面への温水の供給は続行されており、そのため、ウエハWが温水により加熱される。ウエハWの下面全域に温水が供給されるために、ウエハWの全域が温められる。このとき、ウエハWの下面周縁部における単位面積当たりの温水の供給流量が、ウエハWの下面の中央部における単位面積当たりの温水の供給流量よりも多くされる。そのため、ウエハWの中央部は、ウエハWの周縁部よりも低い単位面積当たり熱量で加熱される。
疎水化液ノズル4から吐出されるシリル化液は、ウエハWの上面中央部に供給される。ウエハWの上面に着液したシリル化液は、ウエハWの回転による遠心力を受けて、ウエハWの上面を周縁部に向けて拡がることにより、ウエハWの上面全域にシリル化液が供給される。ウエハWの上面全域にシリル化液が供給されることにより、ウエハWに付着しているIPAがシリル化液に置換される。そして、前述のように、ウエハWの上面の全ての凸形状パターン105が、疎水性保護膜106によって被覆される。
また、ウエハWの上面周縁部には、ウエハWの上面に供給されたシリル化液が、径方向外方に向けて移動してくる。ウエハWの下面を回転半径外方側へと広がる温水は、ウエハWの周端から上面に回り込むおそれがあるが、ウエハWの上面中央部から周縁部に向けて流れるシリル化液によって、ウエハWの周端からの温水の回込みが防止される。
ウエハWが温水により温められているので、ウエハW上を流れる過程でシリル化液が温められ、昇温する。具体的には、第1実施形態の第1処理例と同様に、ウエハW上を流れるシリル化液は、ウエハWの上面との境界付近が温められる。そのため、ウエハWの上面との境界付近に存在するシリル化液を高活性化させることができる。
疎水化処理が予め定める時間にわたって行われ、所定の疎水化剤吐出停止タイミング(図17に示す「t3」)に達すると、制御装置40は、疎水化液バルブ17を閉じてシリル化液の吐出を停止させるとともに、水バルブ362を閉じて温水の吐出を停止させる。疎水化液バルブ17および水バルブ362の閉成タイミングはほぼ同時である。ウエハWに対する温水の供給停止により、その後、ウエハWは温度降下し、やがて常温に戻る。
その後、第2溶剤供給工程(図5に示すステップS5)および乾燥工程(図5に示すステップS6)が実行される。その後、スピンチャック2によるウエハWの回転が停止され、処理済みのウエハWが搬送ロボットによってスピンチャック2から搬出される(図5に示すS7)。
以上により第5実施形態によれば、ウエハWの下面に対向配置される液吐出口360,361から、ウエハWに向けて温水が吐出されることにより、ウエハWが加熱される。したがって、ウエハWの上面へのシリル化液や処理液(IPAを含む)の供給を阻害することなくウエハWを加熱することができる。
また、ウエハWの中央部に供給されたシリル化液や処理液がウエハWの周縁部に移動する過程で、シリル化液や処理液に失活が生じることが考えられる。また、ウエハWの回転に伴ってウエハWが冷却することも考えられる。しかしながら、第5実施形態では、ウエハWの周縁部をウエハWの中央部よりも高い単位面積当たり熱量で加熱するので、ウエハWの周縁部のシリル化液や処理液がより温められる。そのため、シリル化液が供給される場合、ウエハWの周縁部でシリル化液の活性が高く保たれ、ウエハW上面の全域に接触角の高い疎水性保護膜106(図8参照)を形成することができる。これにより、ウエハW上面の全域を、良好かつ均一に疎水化させることができる。また、処理液の一例としてのIPAが供給される場合、ウエハW上面の全域でIPAの置換効率を高めることができる。
また、ウエハWの上面周縁部には、ウエハWの上面に供給されたシリル化液やIPAが、径方向外方に向けて移動してくる。ウエハWの下面を回転半径外方側へと広がる温水は、ウエハWの周端から上面に回り込むおそれがあるが、ウエハWの上面中央部から周縁部に向けて流れる処理液によって、ウエハWの周端からの温水の回込みが防止される。
とくに、ウエハWの上面には、IPAの供給終了後、間隙なくシリル化液が供給開始されるので、ウエハの上面周縁部には、IPAやシリル化液が絶えず供給され続ける。したがって、ウエハWの下面の温水がウエハWの周端から上面に回り込むのを、より確実に防止することができる。
仮に、IPAの供給終了にシリル化液の供給を行わないとすると、ウエハWの上面への温水の回込みを防ぐために、ウエハWへの温水の供給停止後も、ウエハWの上面に対するIPAの供給を続行する必要がある。この場合、IPA溶液の消費量が増大するおそれがあるだけでなく、温水供給停止により第1溶剤供給工程の期間途中でウエハWが冷却されて、水斑点の発生やおよび乾燥不良によるパーティクル発生の原因になるおそれがある。
しかしながら、IPAの供給終了後、間隙なくシリル化液が供給開始されるので、IPA溶液の消費量を低減することができる、また、IPA工程の全期間でウエハWを温めることができ、その結果、水斑点の発生やパーティクルの発生を抑制または防止することができる。
なお、第5実施形態において、ウエハWの下面の温水供給によるウエハWの加熱を、シリル化液の供給終了後も続行することもできる。この場合には、第1実施形態の第2処理例と同様、ウエハWの加熱を、第2溶剤供給工程(図5に示すステップS5)の実行終了まで続行するようにしてもよい。但し、この場合、ウエハWの周端からの温水の回込みを確実に防止するために、シリル化液の供給停止後、間隙なく第2溶剤供給工程のシリル化液の供給を開始することが望ましい。
[第6実施形態]
図18は、本発明の第6実施形態に係る基板処理装置401に備えられた処理ユニット402の内部を水平方向から見た模式図である。図19は、内側気体ノズル418および外側気体ノズル433を示す模式的な側面図である。図20は、内側気体ノズル418および外側気体ノズル433を示す模式的な平面図である。
図18に示すように、基板処理装置401は、ウエハWを一枚ずつ処理する枚葉式の装置である。基板処理装置401は、ウエハWを処理する枚葉式の処理ユニット402と、基板処理装置401に備えられた装置の動作やバルブの開閉を制御する制御装置403とを含む。
図18に示すように、処理ユニット402は、箱形のチャンバー404と、チャンバー404内でウエハWを水平に保持してウエハWの中心を通る鉛直な回転軸線A1まわりに回転させるスピンチャック405と、気体および液体を含む処理流体をスピンチャック405に保持されているウエハWの上方で吐出する複数のノズルと、スピンチャック405を取り囲む筒状のカップ406とを含む。
図18に示すように、チャンバー404は、スピンチャック405等を収容する箱形の隔壁407と、隔壁407の上部から隔壁407内にクリーンエアーを送る送風ユニットとしてのFFU408(ファン・フィルタ・ユニット408)と、隔壁407の下部からチャンバー404内の気体を排出する排気装置409とを含む。FFU408は、隔壁407の上方に配置されており、隔壁407の天井に取り付けられている。FFU408は、隔壁407の天井からチャンバー404内にクリーンエアーを送る。排気装置409は、カップ406の底部に接続されており、カップ406の底部からチャンバー404内の気体を吸引する。FFU408および排気装置409は、チャンバー404内にダウンフロー(下降流)を形成する。FFU408および排気装置409は、常時駆動されている。したがって、ウエハWの処理は、チャンバー404内にダウンフローが形成されている状態で行われる。
図18に示すように、スピンチャック405は、ウエハWを水平に保持する円盤状のスピンベース410と、ウエハWおよびスピンベース410を回転軸線A1まわりに回転させるスピンモータ411とを含む。スピンチャック405は、ウエハWを水平方向に挟むことによりウエハWを水平に保持する挟持式のチャックであってもよいし、非デバイス形成面であるウエハWの裏面(下面)を吸着することによりウエハWを水平に保持するバキューム式のチャックであってもよい。図18では、スピンチャック405が挟持式のチャックである場合が示されている。カップ406は、スピンベース410を取り囲んでいる。上向きに開いたカップ406の上端部は、スピンベース410よりも上方に配置されている。したがって、ウエハWの周囲に排出された薬液やリンス液などの処理液は、カップ406によって受け止められる。
図18に示すように、複数のノズルは、スピンチャック405に保持されているウエハWに向けて薬液を吐出する薬液ノズル412を含む。処理ユニット402は、薬液ノズル412に接続された薬液配管413と、薬液配管413に介装された薬液バルブ414とを含む。薬液バルブ414が開かれると、薬液供給源からの薬液が、ウエハWの上面に向けて薬液ノズル412から吐出される。薬液ノズル412に供給される薬液は、フッ酸(フッ化水素酸)またはSC1(NHOHとHとを含む混合液)である。薬液ノズル412に供給される薬液は、フッ酸およびSC1に限らず、硫酸、酢酸、硝酸、塩酸、フッ酸、アンモニア水、過酸化水素水、有機酸(たとえばクエン酸、蓚酸など)、有機アルカリ(たとえば、TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドなど)、界面活性剤、腐食防止剤のうちの少なくとも一つを含む液であってもよい。
図18に示すように、複数のノズルは、スピンチャック405に保持されているウエハWに向けてリンス液を吐出するリンス液ノズル415を含む。処理ユニット402は、リンス液ノズル415に接続されたリンス液配管416と、リンス液配管416に介装されたリンス液バルブ417とを含む。リンス液バルブ417が開かれると、リンス液供給源からのリンス液が、ウエハWの上面に向けてリンス液ノズル415から吐出される。リンス液ノズル415に供給されるリンス液は、純水に限らず、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、および希釈濃度(たとえば、10〜100ppm程度)の塩酸水のうちのいずれかであってもよい。
薬液ノズル412は、固定された状態でウエハWの上面中央部に向けて薬液を吐出する固定ノズルであってもよいし、ウエハWの上面に対する薬液の着液位置が中央部と周縁部との間で移動するように移動しながら薬液を吐出するスキャンノズルであってもよい。リンス液ノズル415についても同様である。図18は、薬液ノズル412およびリンス液ノズル415がスキャンノズルである場合を示している。この場合、処理ユニット402は、薬液ノズル412を移動させることにより、薬液の着液位置をウエハWの上面内で移動させる第1ノズル移動機構441と、リンス液ノズル415を移動させることにより、リンス液の着液位置をウエハWの上面内で移動させる第2ノズル移動機構442とを含む。
第1ノズル移動機構441は、薬液ノズル412を移動させることにより、薬液の着液位置をウエハWの上面内で移動させる。さらに、第1ノズル移動機構441は、薬液ノズル412から吐出された薬液がウエハWの上面に着液する処理位置と、薬液ノズル412がスピンチャック405の周囲に退避した退避位置との間で薬液ノズル412を移動させる。同様に、第2ノズル移動機構442は、リンス液ノズル415を移動させることにより、リンス液の着液位置をウエハWの上面内で移動させる。さらに、第2ノズル移動機構442は、リンス液ノズル415から吐出されたリンス液がウエハWの上面に着液する処理位置と、リンス液ノズル415がスピンチャック405の周囲に退避した退避位置との間でリンス液ノズル415を移動させる。
図19に示すように、複数のノズルは、スピンチャック405に保持されているウエハWの上方で乾燥ガスを吐出する内側気体ノズル(第1の気体ノズル)418と、スピンチャック405に保持されているウエハWに向けて疎水化液を吐出する疎水化液ノズル(液膜形成手段)419と、スピンチャック405に保持されているウエハWに向けてIPA(液体)を吐出する溶剤ノズル(液膜形成手段)420とを含む。内側気体ノズル418は、外径がウエハWの直径よりも小さい上下方向に延びる柱状である。疎水化液ノズル419および溶剤ノズル420は、内側気体ノズル418の内部で上下方向に延びており、内側気体ノズル418によって保持されている。
図19に示すように、内側気体ノズル418は、鉛直線(回転軸線A1)を取り囲む筒状の外周面と、ウエハWの上面に平行な下面とを含む。内側気体ノズル418は、内側気体ノズル418の外周面で開口する環状の第1吐出口(吐出口)421と、内側気体ノズル418の下面で開口する第2吐出口422と、第1吐出口421に接続された第1流路423と、第2吐出口422に接続された第2流路424とを含む。第1流路423および第2流路424は、内側気体ノズル418の内部に設けられている。第1流路423は、上下方向に延びる筒状であり、第2流路424は、第1流路423の内側で上下方向に延びている。第1吐出口421は、内側気体ノズル418の全周に亘って連続した環状スリットであり、第2吐出口422は、第1吐出口421よりも下方に配置されている。第1吐出口421は、図19に示すように、異なる高さに配置された複数の環状スリットによって構成されていてもよい。
図19に示すように、処理ユニット402は、第1流路423に接続された第1気体配管(気体供給手段)425と、第1気体配管425に介装された第1気体バルブ(気体供給手段)426と、第2流路424に接続された第2気体配管(気体供給手段)427と、第2気体配管427に介装された第2気体バルブ(気体供給手段)428とを含む。第1気体バルブ426が開かれると、図示しない乾燥ガス供給源からの乾燥ガスが、第1気体配管425を介して第1流路423に供給される。同様に、第2気体バルブ428が開かれると、乾燥ガス供給源からの乾燥ガスが、第2気体配管427を介して第2流路424に供給される。内側気体ノズル418に供給される乾燥ガスは、たとえば、窒素ガスなどの不活性ガス、クリーンエアー(異物が除去された空気)、およびドライエアー(除湿されたクリーンエアー)のいずれかであってもよいし、これら以外の気体であってもよい。窒素ガスは、湿度がたとえば10%以下のガスであり、クリーンエアーは、湿度がたとえば40%以下のガスである。ドライエアーの湿度は、クリーンエアーの湿度よりも低い。本実施形態では、湿度10%以下に除湿された窒素ガスが乾燥ガスとして乾燥ガス供給源から供給される。
図19に示すように、第1吐出口421が環状であり外向きに開口しているので、第1流路423に供給された窒素ガスは、内側気体ノズル418の周囲に向けて第1吐出口421から放射状に吐出される。また、第2吐出口422が下向きに開口しているので、第2流路424に供給された窒素ガスは、内側気体ノズル418の下方に向けて第2吐出口422から吐出される。第1吐出口421からの窒素ガスの吐出方向は、水平方向であってもよいし、水平方向に対して下方に傾いた方向であってもよい。
図18に示すように、処理ユニット402は、スピンチャック405の上方とスピンチャック405の周囲との間で内側気体ノズル418を移動させる第3ノズル移動機構443を含む。疎水化液ノズル419および溶剤ノズル420は、内側気体ノズル418と共に移動する。第3ノズル移動機構443は、水平方向および鉛直方向に内側気体ノズル418を移動させる。第3ノズル移動機構443は、たとえば、内側気体ノズル418がスピンチャック405の上方に位置する処理位置と、内側気体ノズル418がスピンチャック405の周囲に位置する退避位置との間で、内側気体ノズル418を水平に移動させる。処理位置は、内側気体ノズル418の下面がスピンチャック405に保持されているウエハWの上面中央部に間隔を空けて上下方向に対向する位置(図18〜図20に示す位置)である。
図19に示すように、第1吐出口421から吐出された窒素ガスは、内側気体ノズル418を中心に径方向外方に広がる環状の気流を形成する。内側気体ノズル418が処理位置に位置している状態で、第1吐出口421が窒素ガスを吐出すると、吐出された窒素ガスがウエハWの上面周縁部の上方まで達し、ウエハWの上面全域が気流によって覆われる。これにより、ウエハWの上面が処理液のミストやパーティクルなどの異物から保護される。また、この状態で、第2吐出口422が窒素ガスを吐出すると、第2吐出口422から吐出された窒素ガスは、ウエハWの上面に衝突した後、内側気体ノズル418の下面とウエハWの上面との間を放射状に広がる。これにより、ウエハWの上面全域を覆う円板状の気流が形成される。そのため、内側気体ノズル418が処理位置に位置している状態で、第1吐出口421および第2吐出口422の両方が窒素ガスを吐出すると、上下に重なる複数層の気流によってウエハWの上面全域が保護される。
図19に示すように、処理ユニット402は、疎水化液ノズル419に接続された疎水化液配管(液膜形成手段)429と、疎水化液配管429に介装された疎水化液バルブ(液膜形成手段)430とを含む。疎水化液バルブ430が開かれると、疎水化液供給源からの疎水化液が、疎水化液ノズル419の吐出口から下方に吐出される。疎水化液ノズル419の吐出口は、内側気体ノズル418の内部に配置されており、第2吐出口422に対向している。したがって、疎水化液ノズル419に供給された疎水化液は、第2吐出口422から下方に吐出される。内側気体ノズル418が処理位置に位置している状態で疎水化液ノズル419から吐出された疎水化液は、ウエハWの上面中央部に着液する。疎水化液ノズル419に供給される疎水化液は、ウエハWをシリル化することによりウエハWを疎水化するHMDS(液体)である。HMDS(液体)は、液体状のシリル化剤(すなわち、シリル化液)の一例である。
図19に示すように、処理ユニット402は、溶剤ノズル420に接続された溶剤配管(液膜形成手段)431と、溶剤配管431に介装された溶剤バルブ(液膜形成手段)432とを含む。溶剤バルブ432が開かれると、IPA供給源からのIPA(液体)が、溶剤ノズル420の吐出口から下方に吐出される。溶剤ノズル420の吐出口は、内側気体ノズル418の内部に配置されており、第2吐出口422に対向している。したがって、溶剤ノズル420に供給されたIPAは、第2吐出口422から下方に吐出される。内側気体ノズル418が処理位置に位置している状態で溶剤ノズル420から吐出されたIPAは、ウエハWの上面中央部に着液する。IPAは、純水などの水を含む液体と均一に混ざり合うと共に、HMDSなどの疎水化液と均一に混ざり合う溶媒の一例である。IPAは、純水よりも表面張力が低く、純水よりも揮発性が高い。
図19に示すように、複数のノズルは、ウエハWに向けて窒素ガスを吐出する外側気体ノズル(第2の気体ノズル)433を含む。図20に示すように、外側気体ノズル433は、水平な姿勢で保持されたリングノズルによって構成されている。外側気体ノズル433は、内側気体ノズル418を同軸的に取り囲んでいる。外側気体ノズル433の内径は、内側気体ノズル418の外径よりも大きく、外側気体ノズル433の外径は、ウエハWの直径と概ね等しい。外側気体ノズル433は、内側気体ノズル418を介して第3ノズル移動機構443に連結されていてもよいし、第3ノズル移動機構443とは独立した第4ノズル移動機構に連結されていてもよい。図18〜図20は、外側気体ノズル433と内側気体ノズル418とが連結されており、外側気体ノズル433が内側気体ノズル418を介して第3ノズル移動機構443に連結されている場合を示している。外側気体ノズル433は、外側気体ノズル433の下面がウエハWの上面周縁部に対向する処理位置(図18〜図20に示す位置)と、外側気体ノズル433がウエハWの上方から退避する退避位置との間で移動可能である。
図19に示すように、外側気体ノズル433が処理位置に配置されている状態では、外側気体ノズル433の下面が、間隔を空けてウエハWの上面周縁部に上下方向に対向する。外側気体ノズル433の下面は、内側気体ノズル418の外周面に設けられた第1吐出口421の周囲に配置されている。外側気体ノズル433の下面は、第1吐出口421よりも上方または下方の高さに配置されていてもよいし、第1吐出口421と等しい高さに配置されていてもよい。いずれの場合でも、外側気体ノズル433の下面は、第1吐出口421から吐出された窒素ガスによって形成された気流よりも上方に配置される。したがって、内側気体ノズル418が処理位置に位置している状態で第1吐出口421から吐出された窒素ガスは、外側気体ノズル433に遮られることなく、ウエハWの上面周縁部まで達する。そのため、ウエハWの上面全域が、第1吐出口421から吐出された窒素ガスによって覆われる。
図19に示すように、外側気体ノズル433は、外側気体ノズル433の下面で開口する複数の第3吐出口434と、複数の第3吐出口434のそれぞれに接続された第3流路435とを含む。処理ユニット402は、第3流路435に接続された第3気体配管436と、第3気体配管436に介装された第3気体バルブ437とを含む。第3流路435は、外側気体ノズル433の内部に設けられている。第3流路435は、各第3吐出口434に接続されている。複数の第3吐出口434は、外側気体ノズル433の下面全域に分布している。複数の第3吐出口434は、外側気体ノズル433の中心からの距離が異なる複数の位置に配置されていると共に、周方向に離れた複数の位置に配置されている。本実施形態では、外側気体ノズル433および内側気体ノズル418に供給される乾燥ガスは同種の乾燥ガス(除湿された窒素ガス)であるが、これらは異なる種類の乾燥ガスであってもよい。
図19に示すように、第3気体バルブ437が開かれると、乾燥ガス供給源からの窒素ガスが、第3気体配管436を介して各第3吐出口434に供給される。第3気体配管436に供給された窒素ガスは、各第3吐出口434から下方に吐出される。外側気体ノズル433が処理位置に配置されている状態では、ウエハWの上面周縁部の全域が、間隔を空けて複数の第3吐出口434に上下方向に対向する。したがって、外側気体ノズル433が処理位置に配置されている状態で、第3気体バルブ437が開かれると、複数の第3吐出口434から吐出された窒素ガスが、ウエハWの上面周縁部の全域に吹き付けられる。すなわち、外側気体ノズル433から吐出された窒素ガスは、ウエハWの上面全域に吹き付けられるのではなく、ウエハWの上面周縁部だけに均一に吹き付けられる。
ウエハWの直径が300mmである場合、外側気体ノズル433が処理位置に配置されている状態で複数の第3吐出口434から吐出された窒素ガスは、ウエハWの外周端から幅50mmの環状の領域を含むウエハWの上面周縁部の全域に吹き付けられる。また、ウエハWの上面が、内側気体ノズル418の第1吐出口421および第2吐出口422の少なくとも一方から吐出された乾燥ガスによって覆われている状態で、複数の第3吐出口434が窒素ガスを吐出すると、第3吐出口434から吐出された窒素ガスは、ウエハWの上面を覆う気流を貫通し、ウエハWの上面周縁部に吹き付けられる。
図18に示すように、複数のノズルは、チャンバー404内で窒素ガスを吐出することにより、チャンバー404内の雰囲気を窒素ガスに置換する上方気体ノズル438を含む。上方気体ノズル438は、スピンチャック405よりも上方、より好ましくは内側気体ノズル418および外側気体ノズル433よりも上方に配置されている。処理ユニット402は、上方気体ノズル438に接続された第4気体配管439と、第4気体配管439に介装された第4気体バルブ440とを含む。第4気体バルブ440が開かれると、乾燥ガス供給源からの窒素ガスが、第4気体配管439から上方気体ノズル438に供給され、上方気体ノズル438の吐出口から吐出される。これにより、チャンバー404内の気体が、排気装置409に導かれ、チャンバー404内から排出される。上方気体ノズル438に供給される窒素ガスは、内側気体ノズル418に供給される乾燥ガス(除湿された窒素ガス)と同種のガスであってもよいし、異なる種類のガスであってもよい。また、上方気体ノズル438からの窒素ガスの吐出方向は、ウエハWに向かう方向であってもよいし、ウエハWから離れる方向であってもよいし、ウエハWと平行な方向であってもよい。
図21は、本発明の第6実施形態に係る基板処理装置401によって行われるウエハWの処理の一例について説明するための工程図である。図22は、パターンを倒壊させる力について説明するための図である。図23は、ウエハW上の湿度と接触角との関係を示すグラフである。図23は、シリコンナイトライド膜が形成された直径300mmのウエハWにHMDSを供給したときの測定値を示している。
以下では、ナノスケールの微細パターンが形成された凹凸状の表面を有するウエハW(図22参照)が処理される例について説明する。また、以下では、図18を参照する。図21、図22、および図23については適宜参照する。
ウエハWが処理されるときには、チャンバー404内にウエハWを搬入する搬入工程(図21のステップS31)が行われる。具体的には、制御装置403は、薬液ノズル412等のチャンバー404内の構成がスピンチャック405の上方から退避している状態で、搬送ロボット(図示せず)にウエハWをチャンバー404内に搬入させる。そして、制御装置403は、ウエハWの表面が上に向けられた状態で、搬送ロボットにウエハWをスピンチャック405上に載置させる。その後、制御装置403は、ウエハWがスピンチャック405に保持されている状態でスピンモータ411を回転させる。これにより、ウエハWの回転が開始される。制御装置403は、スピンチャック405上にウエハWが載置された後、搬送ロボットをチャンバー404内から退避させる。
次に、フッ酸やSC1などの薬液をウエハWに供給する薬液供給工程(図21のステップ)が行われる。具体的には、制御装置403は、第1ノズル移動機構441を制御することにより、薬液ノズル412を退避位置から処理位置に移動させる。その後、制御装置403は、薬液バルブ414を開いて、回転状態のウエハWの上面に向けて薬液ノズル412から薬液を吐出させる。制御装置403は、この状態で第1ノズル移動機構441を制御することにより、ウエハWの上面に対する薬液の着液位置を中央部と周縁部との間で移動させる。そして、薬液バルブ414が開かれてから所定時間が経過すると、制御装置403は、薬液バルブ414を閉じて、薬液ノズル412からの薬液の吐出を停止させる。その後、制御装置403は、第1ノズル移動機構441を制御することにより、薬液ノズル412をスピンチャック405の上方から退避させる。
薬液ノズル412から吐出された薬液は、ウエハWの上面に着液した後、遠心力によってウエハWの上面に沿って外方に流れる。これにより、ウエハWの上面全域を覆う薬液の液膜が形成され、ウエハWの上面全域に薬液が供給される。そのため、ウエハWの上面全域が薬液によって処理される。さらに、制御装置403は、ウエハWが回転している状態で、ウエハWの上面に対する薬液の着液位置を中央部と周縁部との間で移動させるので、薬液の着液位置が、ウエハWの上面全域を通過し、ウエハWの上面全域が走査(スキャン)される。そのため、薬液ノズル412から吐出された薬液が、ウエハWの上面全域に直接吹き付けられ、ウエハWの上面全域が均一に処理される。
次に、リンス液の一例である純水をウエハWに供給するリンス液供給工程(図21のステップS33)が行われる。具体的には、制御装置403は、第2ノズル移動機構442を制御することにより、リンス液ノズル415を退避位置から処理位置に移動させる。その後、制御装置403は、リンス液バルブ417を開いて、回転状態のウエハWの上面に向けてリンス液ノズル415から純水を吐出させる。制御装置403は、この状態で第2ノズル移動機構442を制御することにより、ウエハWの上面に対する純水の着液位置を中央部と周縁部との間で移動させる。そして、リンス液バルブ417が開かれてから所定時間が経過すると、制御装置403は、リンス液バルブ417を閉じて、リンス液ノズル415からの純水の吐出を停止させる。その後、制御装置403は、第2ノズル移動機構442を制御することにより、リンス液ノズル415をスピンチャック405の上方から退避させる。
薬液ノズル412から吐出された薬液と同様に、リンス液ノズル415から吐出された純水は、ウエハWの上面に着液した後、遠心力によってウエハWの上面に沿って外方に流れる。そのため、ウエハW上の薬液は、純水によって外方に押し流され、ウエハWの周囲に排出される。これにより、ウエハW上の薬液が、純水によって洗い流され、ウエハW上の薬液の液膜が、ウエハWの上面全域を覆う純水の液膜に置換される。さらに、制御装置403は、ウエハWが回転している状態で、ウエハWの上面に対する純水の着液位置を中央部と周縁部との間で移動させるので、純水の着液位置が、ウエハWの上面全域を通過し、ウエハWの上面全域が走査される。そのため、リンス液ノズル415から吐出された純水が、ウエハWの上面全域に直接吹き付けられ、ウエハWの上面全域が均一に処理される。
次に、ウエハW上の湿度を低下させる除湿工程(図21のステップS34)が開始される。具体的には、制御装置403は、第4気体バルブ440を開いて、上方気体ノズル438から窒素ガスを吐出させる。上方気体ノズル438から吐出された窒素ガスは、チャンバー404内に行き渡り、チャンバー404内に気流を形成する。そのため、処理液のミストなどを含むチャンバー404内の気体は、窒素ガスによって排気装置409に導かれ、チャンバー404内から排出される。これにより、チャンバー404内の雰囲気が、窒素ガスに置換され、チャンバー404内の湿度が低下する(チャンバー除湿工程)。
さらに、制御装置403は、第3ノズル移動機構443を制御することにより、内側気体ノズル418を退避位置から処理位置に移動させる。これにより、内側気体ノズル418がウエハWの中央部の上方に配置され、外側気体ノズル433がウエハWの周縁部の上方に配置される。疎水化液ノズル419および溶剤ノズル420が内側気体ノズル418の内部に配置されているので、内側気体ノズル418がウエハWの中央部の上方に配置されると、疎水化液ノズル419および溶剤ノズル420もウエハWの中央部の上方に配置される。
制御装置403は、内側気体ノズル418および外側気体ノズル433がウエハWの上方に位置している状態で、第1気体バルブ426および第2気体バルブ428を開いて、内側気体ノズル418に窒素ガスを吐出させる。これにより、ウエハWの上面全域を覆う純水の液膜に沿って径方向外方に流れる窒素ガスの気流が形成される(基板被覆工程)。さらに、制御装置403は、この状態で第3気体バルブ437を開いて、外側気体ノズル433に窒素ガスを吐出させる。外側気体ノズル433の複数の第3吐出口434から吐出された窒素ガスは、純水の液膜に覆われているウエハWの上面周縁部に吹き付けられる(周縁部除湿工程)。したがって、上下に重なる複数層の気流によってウエハWの上面全域が覆われている状態で、外側気体ノズル433から吐出された窒素ガスがウエハWの上面周縁部に吹き付けられる。
ウエハWの上方の雰囲気(水分を含む雰囲気)は、内側気体ノズル418から吐出された窒素ガスによって径方向外方に押し流される。これにより、水分を含む雰囲気が、ウエハWの上方から排出される。さらに、外側気体ノズル433がウエハWの上面周縁部に向けて窒素ガスを吐出しているので、ウエハWの上面周縁部の上方の雰囲気は、外側気体ノズル433から吐出された窒素ガスによってウエハWの上方から確実に排出される。このように、ウエハW上の雰囲気が乾燥ガス(ここでは、窒素ガス)によって構成されるので、ウエハW上の湿度が低減される。さらに、液膜で覆われているウエハWの上面に窒素ガスが吹き付けられるので、ウエハWに対する異物の付着を抑制または防止できる。
次に、純水と均一に混ざり合う溶剤の一例であるIPAをウエハWに供給する第1溶剤供給工程(図21のステップS35)が、除湿工程と並行して行われる。具体的には、制御装置403は、ウエハWが回転しており、内側気体ノズル418および外側気体ノズル433が窒素ガスを吐出している状態で、溶剤バルブ432を開いて、回転状態のウエハWの上面中央部に向けて溶剤ノズル420からIPAを吐出させる。溶剤ノズル420から吐出されたIPAは、ウエハWの上面に着液した後、遠心力によってウエハWの上面に沿って外方に流れる。IPAは、純水と親和性が高いので、ウエハW上の純水は、IPAに容易に溶け込む。したがって、ウエハW上の純水の液膜は、ウエハWの上面全域を覆うIPAの液膜に置換される。そして、溶剤バルブ432が開かれてから所定時間が経過すると、制御装置403は、溶剤バルブ432を閉じて、溶剤ノズル420からのIPAの吐出を停止させる。
次に、疎水化液の一例であるHMDSをウエハWに供給する疎水化液供給工程(図21のステップS36)が、除湿工程と並行して行われる。具体的には、制御装置403は、ウエハWが回転しており、内側気体ノズル418および外側気体ノズル433が窒素ガスを吐出している状態で、疎水化液バルブ430を開いて、回転状態のウエハWの上面中央部に向けて疎水化液ノズル419からシリル化液を吐出させる。疎水化液ノズル419から吐出されたシリル化液は、ウエハWの上面に着液した後、遠心力によってウエハWの上面に沿って外方に流れる。ウエハW上のHMDSは、IPAに溶け込む。したがって、ウエハW上のIPAの液膜は、ウエハWの上面全域を覆うHMDSの液膜に置換される。そして、疎水化液バルブ430が開かれてから所定時間が経過すると、制御装置403は、疎水化液バルブ430を閉じて、疎水化液ノズル419からのHMDSの吐出を停止させる。
回転状態のウエハWに着液したHMDSは、ウエハWの上面中央部からウエハWの上面周縁部に流れる。これにより、パターンの内部を含むウエハWの上面全域にHMDSが供給され、ウエハWの上面全域がシリル化される。したがって、水を弾く疎水性保護膜がウエハWの上面内の至る所で形成され、ウエハWと水との接触角が大きくなる。すなわち、ウエハWと水との接触角が90度に近づく。図22の公式に示すように、パターンを倒壊させる力Fmaxは、接触角θ2が90度に近づくほど小さくなる。そのため、ウエハWの表面状態は、HMDSの供給によって、パターンの倒壊が発生し難い状態に変化する。
HMDSは、ウエハWの水酸基(OH基)と反応することにより、ウエハWを疎水化させる活性種を含む。ウエハW上の湿度が高いと、HMDSの活性種が、雰囲気中の水分と反応して減少してしまう。すなわち、HMDSの活性が低下してしまう(HMDSが失活してしまう)。具体的には、図23に示すように、湿度が高いと接触角が小さく(横軸が140mm付近)、湿度が低いと接触角が大きい(横軸が0mm付近)。HMDSは、ウエハW上の湿度が低い状態(湿度が45%以下、好ましくは、10%以下の状態)でウエハWに供給される。したがって、HMDSとウエハWとを確実に反応させることができ、ウエハWと水との接触角を確実に増加させることができる。
前述のように、回転状態のウエハWに着液したHMDSは、ウエハWの上面中央部からウエハWの上面周縁部に流れる。HMDSの活性種は、HMDSがウエハWの上面に沿って外方に流れる過程で減少していく。そのため、ウエハWの上面周縁部では、ウエハWの上面中央部よりもHMDSの活性種が少ない。したがって、ウエハWの上面周縁部近傍の湿度を確実に低下させないと、HMDSの活性種がさらに減少してしまう。外側気体ノズル433は、ウエハWの上面周縁部に向けて窒素ガスを吐出している。したがって、ウエハWの上面周縁部近傍の湿度を確実に低下させることができる。これにより、HMDSとウエハWとをウエハWの上面全域で確実に反応させることができる。
次に、HMDSと均一に混ざり合う溶剤の一例であるIPAをウエハWに供給する第2溶剤供給工程(図21のステップS37)が、除湿工程と並行して行われる。具体的には、制御装置403は、ウエハWが回転しており、内側気体ノズル418および外側気体ノズル433が窒素ガスを吐出している状態で、溶剤バルブ432を開いて、回転状態のウエハWの上面中央部に向けて溶剤ノズル420からIPAを吐出させる。溶剤ノズル420から吐出されたIPAは、ウエハWの上面に着液した後、遠心力によってウエハWの上面に沿って外方に流れる。したがって、ウエハW上のHMDSの液膜は、ウエハWの上面全域を覆うIPAの液膜に置換される。そして、溶剤バルブ432が開かれてから所定時間が経過すると、制御装置403は、溶剤バルブ432を閉じて、溶剤ノズル420からのIPAの吐出を停止させる。
次に、ウエハWを乾燥させる乾燥工程(図21のステップS38)が、除湿工程と並行して行われる。具体的には、制御装置403は、スピンチャック405を制御することにより、内側気体ノズル418および外側気体ノズル433が窒素ガスを吐出している状態で、ウエハWの回転速度を高回転速度(たとえば数千rpm)まで上昇させる。これにより、ウエハWの上面全域が窒素ガスによって覆われている状態で、ウエハWが乾燥する。その後、制御装置403は、スピンチャック405を制御することにより、ウエハWの回転を停止させる。さらに、制御装置403は、第1気体バルブ426、第2気体バルブ428、第3気体バルブ437、および第4気体バルブ440を閉じて、内側気体ノズル418、外側気体ノズル433、上方気体ノズル438からの窒素ガスの吐出を停止させる(図21のステップS39。チャンバー除湿工程、基板被覆工程、および周縁部除湿工程の終了)。
次に、チャンバー404内からウエハWを搬出する搬出工程(図21のステップS40)が行われる。具体的には、制御装置403は、第3ノズル移動機構443を制御することにより、内側気体ノズル418および外側気体ノズル433をウエハWの上方から退避させる。その後、制御装置403は、薬液ノズル412等のチャンバー404内の構成がスピンチャック405の上方から退避している状態で、搬送ロボットをチャンバー404内に進入させる。そして、制御装置403は、搬送ロボットにスピンチャック405上のウエハWを保持させる。その後、制御装置403は、搬送ロボットによってウエハWをチャンバー404内から搬出させる。HMDSの供給によってウエハWに形成された疎水性保護膜は、チャンバー404外でウエハWから除去される。疎水性保護膜を除去する装置は、基板処理装置401内の装置であってもよいし、基板処理装置401とは別の装置であってもよい。
以上のように第6実施形態では、ウエハWの表面全域がIPAの液膜によって覆われている状態で、乾燥ガスである除湿された窒素ガスの気流がウエハW上に形成され、ウエハW上の雰囲気が窒素ガスに置換される。これにより、水分を含む雰囲気がウエハW上から除去され、ウエハW上の湿度が低減される。そして、ウエハW上の湿度が低下している状態で、ウエハWを疎水化させる疎水化液が回転状態のウエハWの表面に供給される。これにより、ウエハWの表面が疎水化される。そのため、ウエハWを乾燥させる際にパターンに加わる力(パターンを倒壊させる力)が弱まる。これにより、パターンの倒壊が抑制または防止される。
疎水化液は、ウエハWと反応することにより、ウエハWの表面を疎水化させる活性種を含む。活性種は、ウエハWとの反応により減少していく。回転状態のウエハWに供給された疎水化液は、ウエハWの表面に沿って外方に流れる。そのため、ウエハWの表面周縁部では、ウエハWの表面中央部よりも活性種が少ない。さらに、疎水化液の活性種は、雰囲気中の水分と反応して減少してしまう。ウエハWの表面中央部では、活性種が多いので、湿度が高かったとしても、ウエハWと疎水化液とが反応するが、ウエハWの表面周縁部では、活性種が少ないので、ウエハWと疎水化液との反応に湿度が及ぼす影響が大きい。
前述のように、疎水化液は、ウエハW上の湿度が窒素ガスによって低減された状態でウエハWの表面に供給される。窒素ガスは、ウエハWの表面周縁部に向けて吐出される。これにより、窒素ガスの気流がウエハWの表面周縁部上に形成され、ウエハWの表面周縁部上の湿度が低減される。そのため、ウエハWと疎水化液とをウエハWの表面周縁部で確実に反応させることができる。したがって、ウエハWと疎水化液とをウエハWの表面全域で確実に反応させることができる。これにより、パターンの倒壊をウエハWの表面全域で抑制または防止できる。さらに、窒素ガスは、ウエハWの表面全域が液膜に覆われている状態で吐出されるので、パーティクルなどの異物が、ウエハWの表面周縁部に付着することを抑制または防止できる。これにより、ウエハWの汚染を抑制または防止できる。
[第7実施形態]
図24は、本発明の第7実施形態に係る内側気体ノズル418および外側気体ノズル633を示す模式的な側面図である。図25は、本発明の第7実施形態に係る内側気体ノズル418および外側気体ノズル633を示す模式的な平面図である。図24および図25において、前述の図18〜図23に示された各部と同等の構成部分については、図18等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
図24に示すように、第7実施形態に係る基板処理装置601は、外側気体ノズルを除き、第6実施形態に係る基板処理装置401と同様の構成を備えている。具体的には、第7実施形態に係る処理ユニット602は、第6実施形態に係る外側気体ノズル433に代えて、ウエハWに向けて乾燥ガスを吐出する複数の外側気体ノズル(第2の気体ノズル)633を含む。第6実施形態と同様に、第7実施形態においても図示しない乾燥ガス供給源は乾燥ガスとして除湿された窒素ガスを供給する。
図25に示すように、複数の外側気体ノズル633は、周方向(回転軸線A1まわりの方向)に間隔を空けて内側気体ノズル418を取り囲んでいる。外側気体ノズル633は、上下方向に延びている。外側気体ノズル633は、内側気体ノズル418を介して第3ノズル移動機構443(図18参照)に連結されていてもよいし、第3ノズル移動機構443とは独立した第4ノズル移動機構に連結されていてもよい。図24および図25は、外側気体ノズル633が内側気体ノズル418を介して第3ノズル移動機構443に連結されている場合を示している。外側気体ノズル633は、外側気体ノズル633の下面がウエハWの上面周縁部に対向する処理位置(図24および図25に示す位置)と、外側気体ノズル633がウエハWの上方から退避する退避位置との間で移動可能である。
図24に示すように、外側気体ノズル633が処理位置に配置されている状態では、外側気体ノズル633の下面が、間隔を空けてウエハWの上面周縁部に上下方向に対向する。外側気体ノズル633の下面は、内側気体ノズル418の外周面に設けられた第1吐出口421の周囲に配置されている。外側気体ノズル633の下面は、第1吐出口421よりも上方または下方の高さに配置されていてもよいし、第1吐出口421と等しい高さに配置されていてもよい。いずれの場合でも、外側気体ノズル633の下面は、第1吐出口421から吐出された乾燥ガスによって形成された気流よりも上方に配置される。
図24に示すように、外側気体ノズル633は、外側気体ノズル633の下面で開口する第3吐出口634を含む。外側気体ノズル633は、第3気体バルブ437が介装された第3気体配管436に接続されている。第3気体バルブ437が開かれると、乾燥ガス供給源からの窒素ガスが、第3気体配管436を介して外側気体ノズル633に供給され、第3吐出口634から下方に吐出される。ウエハWの上面が、内側気体ノズル418から吐出された窒素ガスによって覆われている状態で、複数の外側気体ノズル633が窒素ガスを吐出すると、複数の外側気体ノズル633から吐出された窒素ガスは、ウエハWの上面を覆う気流を貫通し、ウエハWの上面周縁部に吹き付けられる。
制御装置403は、第6実施形態に係るウエハWの処理例(第1処理例)と同様に、搬入工程からリンス液供給工程までの工程を行う。その後、制御装置403は、第1処理例と同様に、内側気体ノズル418が処理位置に位置している状態で、内側気体ノズル418から窒素ガスを吐出させる(基板被覆工程)。さらに、制御装置403は、複数の外側気体ノズル633が処理位置に位置している状態で、複数の外側気体ノズル633から窒素ガスを吐出させる(周縁部除湿工程)。制御装置403は、この状態で、第1溶剤供給工程以降の各工程を行う。したがって、ウエハW上の湿度が低い状態で、HMDSがウエハWに供給される。そのため、HMDSとウエハWとが、ウエハWの上面全域で反応し、接触角が90度に近づく。これにより、パターンの倒壊が抑制または防止される。
[第8実施形態]
図26および図27は、本発明の第8実施形態に係る遮断板741を示す模式的な側面図である。図26は、遮断板741が近接位置に配置されている状態を示しており、図27は、遮断板741が退避位置に配置されている状態を示している。図26および図27において、前述の図18〜図25に示された各部と同等の構成部分については、図18等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。なお、第1および第7実施形態と同様に、第8実施形態においても図示しない乾燥ガス供給源は乾燥ガスとして除湿された窒素ガスを供給する。
第8実施形態に係る基板処理装置701は、内側気体ノズルおよび外側気体ノズルを除き、第6実施形態に係る基板処理装置401と同様の構成を備えている。具体的には、第8実施形態に係る処理ユニット702は、第6実施形態に係る内側気体ノズル418および外側気体ノズル433に代えて、スピンチャック405の上方で水平な姿勢に保持された円板状の遮断板741と、遮断板741の下面中央部から処理液を下方に吐出する中心軸ノズル742と、スピンチャック405に保持されているウエハWに向けてHMDSを吐出する疎水化液ノズル719とを含む。疎水化液ノズル719は、固定ノズルおよびスキャンノズルのいずれであってもよい。疎水化液ノズル719は、疎水化液バルブ430が介装された疎水化液配管429に接続されている。
遮断板741は、ウエハWよりも直径が大きい円板状である。遮断板741は、遮断板741から上方に延びる支軸743によって水平な姿勢で支持されている。遮断板741の中心線は、回転軸線A1上に配置されている。遮断板741の下面は、間隔を空けてウエハWの上面に上下方向に対向している。遮断板741は、昇降ユニット744に連結されている。昇降ユニット744は、遮断板741および支軸743を上下方向に昇降させる。昇降ユニット744は、遮断板741の下面がスピンチャック405に保持されているウエハWの上面に近接する近接位置(図26に示す位置)と、近接位置の上方に設けられた退避位置(図10に示す位置)との間で遮断板741を昇降させる。
遮断板741は、遮断板741の下面周縁部で開口する複数の第3吐出口434と、複数の第3吐出口434のそれぞれに接続された第3流路435とを含む。第3流路435は、第3気体バルブ437が介装された第3気体配管436に接続されている。第3流路435は、遮断板741の内部に設けられている。第3流路435は、各第3吐出口434に接続されている。複数の第3吐出口434は、遮断板741の下面周縁部の全域に分布している。複数の第3吐出口434は、遮断板741の中心からの距離が異なる複数の位置に配置されていると共に、周方向に離れた複数の位置に配置されている。第3気体バルブ437が開かれると、乾燥ガス供給源からの窒素ガスが、第3気体配管436を介して各第3吐出口434に供給され、ウエハWの上面周縁部に向けて各第3吐出口434から下方に吐出される。
中心軸ノズル742は、遮断板741およびウエハWの中心を通る鉛直線(回転軸線A1)に沿って上下方向に延びている。中心軸ノズル742は、スピンチャック405の上方に配置されている。中心軸ノズル742は、遮断板741および支軸743と共に昇降する。支軸743は、筒状であり、その内部空間は、遮断板741の中央部を上下に貫通する貫通孔に連通している。貫通孔は、遮断板741の下面の中央部で開口している。中心軸ノズル742は、支軸743内に挿入されている。中心軸ノズル742の下面は、遮断板741の下面と同じ高さまたは遮断板741の下面より上方に配置されている。
中心軸ノズル742は、回転軸線A1に沿って上下方向に延びる共通のケース内に収容された疎水化液ノズル419および溶剤ノズル420を含む。疎水化液ノズル419および溶剤ノズル420の下端に設けられた開口は、遮断板741の下面と同じ高さまたは遮断板741の下面より上方に配置されている。疎水化液ノズル419は、疎水化液バルブ430が介装された疎水化液配管429に接続されており、溶剤ノズル420は、溶剤バルブ432が介装された溶剤配管431に接続されている。疎水化液ノズル419および溶剤ノズル420は、中心軸ノズル742の周囲に形成された筒状流路745によって取り囲まれている。筒状流路745の下端は、中心軸ノズル742を取り囲む環状の開口を形成している。筒状流路745は、第2気体バルブ428が介装された第2気体配管427に接続されている。
疎水化液バルブ430が開かれると、疎水化液配管429から疎水化液ノズル419に供給されたHMDSが、疎水化液ノズル419の吐出口から下方に吐出される。同様に、溶剤バルブ432が開かれると、溶剤ノズル420に供給されたIPAが、溶剤ノズル420の吐出口から下方に吐出される。また、第2気体バルブ428が開かれると、第2気体配管427から筒状流路745に供給された窒素ガスが、筒状流路745の下端から下方に吐出される。したがって、疎水化液バルブ430、溶剤バルブ432、および第2気体バルブ428の少なくとも一つが開かれると、HMDS、IPA、および窒素ガスのうちの少なくとも一つが、遮断板741の下面の中央部で開口する中心開口746から下方に吐出される。
ウエハWが処理されるときには、制御装置403は、ウエハWの上面全域が純水やIPAなどの液膜によって覆われている状態で第2気体バルブ428を開いて、乾燥ガスの一例である窒素ガスを中心開口746に吐出させる。中心開口746から下方に吐出された窒素ガスは、スピンチャック405に保持されているウエハWの上面と遮断板741の下面との間を外方に流れる。これにより、水分を含む雰囲気がウエハWと遮断板741との間から排出され、ウエハWと遮断板741との間の空間が窒素ガスで満たされる(基板被覆工程)。そのため、ウエハW上の湿度が低減される。中心開口746からの窒素ガスの吐出は、図26に示すように遮断板741が近接位置に位置している状態で行われてもよいし、図27に示すように遮断板741が退避位置に位置している状態で行われてもよい。いずれの場合でも、ウエハWの上方の空間が遮断板741によって制限されるので、雰囲気を置換すべき空間の体積(湿度を低減すべき空間の体積)を減少させることができる。
制御装置403は、さらに、中心開口746が窒素ガスを吐出している状態で第3気体バルブ437を開いて、ウエハWの上面周縁部に向けて複数の第3吐出口434に窒素ガスを吐出させる。これにより、液膜に覆われているウエハWの上面周縁部に窒素ガスが吹き付けられる。そして、制御装置403は、ウエハWの上方の空間が窒素ガスで満たされている状態で、HMDSを回転状態のウエハWに供給する。具体的には、図26に示すように、遮断板741が近接位置に配置されている場合には、制御装置403は、疎水化液ノズル419から回転状態のウエハWの上面に向けてHMDSを吐出させる。これにより、ウエハW上の湿度が低い状態で、ウエハWの上面全域にHMDSが供給される。一方、図27に示すように、遮断板741が退避位置に配置されている場合には、制御装置403は、疎水化液ノズル719から回転状態のウエハWの上面に向けてHMDSを吐出させる。これにより、ウエハW上の湿度が低い状態で、ウエハWの上面全域にHMDSが供給される。
[第9実施形態]
図28は、本発明の第9実施形態に係る内側気体ノズル418および外側気体ノズル433を示す模式的な側面図である。図28において、前述の図18〜図27に示された各部と同等の構成部分については、図18等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。なお、第9実施形態に係る図示しない乾燥ガス供給源は、乾燥ガスとして、除湿された窒素ガス、クリーンエアーおよびドライエアーを並列的に処理ユニット802に供給する。
第9実施形態に係る基板処理装置801は、外側気体ノズルに接続された第3気体配管を除き、第6実施形態に係る基板処理装置401と同様の構成を備えている。具体的には、処理ユニット802は、第6実施形態に係る第3気体配管436に代えて、外側気体ノズル433の第3流路435に接続された複数の配管(第3N配管847、第3CA配管848、および第3DA配管849)を含む。さらに、処理ユニット802は、複数の配管にそれぞれ介装された複数の開閉バルブ(第3Nバルブ850、第3CAバルブ851、および第3DAバルブ852)と、複数の配管にそれぞれ介装された複数の流量調整バルブ(第3N流量調整バルブ853、第3CA流量調整バルブ854、および第3DA流量調整バルブ855)とを含む。
制御装置403は、第6実施形態に係るウエハWの処理例と同様に、搬入工程から搬出工程までの各工程を行う。制御装置403は、周縁部除湿工程を開始する前に、ウエハW上の湿度に基づいて、外側気体ノズル433から吐出させる乾燥ガスの湿度や流量などのガス供給条件を設定する(設定工程)。そして、制御装置403は、所定の湿度の乾燥ガスを所定の流量で外側気体ノズル433から吐出させる(吐出工程)。
具体的には、制御装置403は、湿度の異なる3種の乾燥ガス(窒素ガス、クリーンエアー、およびドライエアー)のいずれか一つを外側気体ノズル433に供給するために、第3Nバルブ850、第3CAバルブ851、および第3DAバルブ852のいずれか一つを選択する。さらに、制御装置403は、外側気体ノズル433に供給される乾燥ガスに対応する流量調整バルブ(第3N流量調整バルブ853、第3CA流量調整バルブ854、および第3DA流量調整バルブ855のいずれか)の開度を決定する。そして、制御装置403は、選択した乾燥ガスを所定の流量で外側気体ノズル433から吐出させる。
外側気体ノズル433がウエハWの上面周縁部に向けて乾燥ガスを吐出すると、ウエハW上の湿度が低減される。ウエハW上の湿度は、外側気体ノズル433から吐出される乾燥ガスの湿度が低いほど低くなる。さらに、乾燥ガスの湿度が同じであっても、外側気体ノズル433から吐出される乾燥ガスの流量が異なれば、ウエハW上の湿度も変化する。すなわち、ウエハW上の湿度は、乾燥ガスの吐出流量が多いほど低くなる。したがって、ウエハW上の湿度は、外側気体ノズル433から吐出される乾燥ガスの湿度および流量によって制御される。
前述のように、制御装置403は、外側気体ノズル433が乾燥ガスを吐出する前のウエハW上の湿度に基づいてガス供給条件を設定し、設定されたガス供給条件に従って外側気体ノズル433に乾燥ガスを吐出させる。具体的には、ウエハW上の湿度が高い場合には、制御装置403は、低湿度の乾燥ガスを外側気体ノズル433に吐出させたり、乾燥ガスの吐出流量を増加させたりする。これとは反対に、ウエハW上の湿度が低い場合には、高湿度の乾燥ガスを外側気体ノズル433に吐出させたり、乾燥ガスの吐出流量を減少させたりする。これにより、ウエハW上の湿度が安定した値に調整される。
ガス供給条件の設定は、周縁部除湿工程よりも前に行われた工程に基づいて設定されてもよい。たとえばウエハWへの処理液の供給量が多い場合や、ウエハWへの処理液の供給時間が長い場合には、ミストの発生量が増加するので、ウエハW上の湿度が高くなる。したがって、制御装置403は、ウエハWへの処理液の供給量やウエハWへの処理液の供給時間に基づいてガス供給条件を設定してもよい。
また、ガス供給条件の設定は、実際のウエハW上の湿度に基づいて設定されてもよい。具体的には、処理ユニット802は、ウエハW上の湿度を測定する湿度センサ856を含んでいてもよい。この場合、湿度センサ856は、内側気体ノズル418の下面に設けられた凹部内に配置されていてもよいし、外側気体ノズル433やスピンチャック405などのチャンバー404内の他の部材に保持されていてもよい。制御装置403は、湿度センサ856の測定値に基づいてウエハW上の湿度を検出する。そして、制御装置403は、測定されたウエハW上の湿度に基づいてガス供給条件を設定する。したがって、ウエハW上の湿度が精密に制御される。
以上、本発明の9つの実施形態について説明したが、本発明は他の形態で実施することもできる。
第1〜第5実施形態では、疎水化液ノズル4から吐出されるシリル化液の液温が常温であると説明したが、疎水化液ノズル4から吐出されるシリル化液の温度は、シリル化液が失活しない程度に低温であれば、常温に限られない。
また、疎水化液ノズル4から、所定の吐出温度(たとえば、40℃〜82.4℃の範囲内の所定温度)に温度調節されたシリル化液が吐出される構成が採用されていてもよい。 さらに、溶剤ノズル5から、所定の吐出温度(常温〜70℃の範囲内の所定温度)に温度調節されたIPAが吐出される構成が採用されていてもよい。
さらに、図5に示すステップS5の第2溶剤供給工程、ならびに図10に示すステップS13およびステップS15の第1および第2溶剤供給工程におけるウエハWの加熱温度を、図5に示すステップS4の疎水化液供給工程、および図10に示すステップS14の疎水化液供給工程におけるウエハWの加熱温度と異ならせてもよい。
また、第1実施形態において、加熱機構3の第1および第2ヒータプレート3A,3Bを個別に温度調節可能する構成を採用することも可能である。この場合、第2ヒータ28Bの発熱量を第1ヒータ28Aの発熱量よりも大きくすることにより、ウエハWの周縁部の加熱温度を、ウエハWの中央部の加熱温度よりも高く設定することもできる。
さらに、第1実施形態において、加熱機構3を、第1ヒータプレート3Aに関連する構成を省略することにより、第2ヒータプレート3Bに関連した構成のみを有する構成とすることもできる。この場合、ウエハWの周縁部の加熱温度を、ウエハWの中央部の加熱温度よりも高く設定することもできる。この場合、疎水化ノズル4からウエハWの上面中央部に吐出されたシリル化剤がウエハWの中心部から外周部に移動する際に不活性化することがないため、ウエハWの中心部だけでなく、外周部も確実に疎水化処理することができる。
また、第1実施形態において、ウエハWの下面全域に対向する加熱面を有する発熱部材を設けることにより、ウエハWの全域を加熱することもできる。
さらに、第1実施形態において、第1および第2ヒータ28A,28Bをスピンベース12に内蔵することもできる。この場合、第1および第2ヒータ28A,28Bの発熱によりスピンベース12自体を発熱させることができる。そして、スピンベース12の上面が発熱面として機能する。これにより、スピンチャック2に保持されたウエハWが所定温度に昇温される。
この場合には、スピンベース12が、ウエハWをほぼ水平な姿勢でその裏面(下面)を吸着して保持する構成とすることもできる。すなわち、スピンチャックとして真空吸着式のものを採用することもできる。
また、第2実施形態において、高温の不活性ガスを吐出するための裏面側ガス吐出口160,161が、ウエハWの下面の回転中心に対向する位置に形成されていてもよい。また、複数の裏面側ガス吐出口160,161は、一列でなく2列以上の複数列であってもよい。
裏面側ガス吐出口160,161のサイズや、配置密度は、ウエハWの下面周縁部における単位面積当たりの不活性ガスの供給流量が、ウエハWの下面中央部における単位面積当たりの不活性ガスの供給流量よりも多くなるように、設定されていることが望ましい。 第2および第4実施形態では、ウエハWに吹き付けられる高温ガスとして窒素ガス等の高温の不活性ガスを一例に挙げたが、水蒸気(高熱蒸気)や高温の清浄空気などの高温ガスを採用することができる。
また、第3実施形態において、ヒータプレート200に代えて第5実施形態に示す温水吐出機構350と同等の構成を採用し、スピンチャック2に保持されたウエハWの上面およびウエハWの上面を流れるシリル化液や処理液(IPAを含む)に高温液を吹き付けることにより、シリル化液や処理液を温めるようにしてもよい。
また、第4実施形態において、高温の不活性ガスを吐出するための表面側ガス吐出口260,261が、ウエハWの上面の回転中心に対向する位置に形成されていてもよい。また、複数の表面側ガス吐出口260,261は、一列でなく2列以上の複数列であってもよい。
表面側ガス吐出口260,261のサイズや、配置密度は、ウエハWの上面周縁部における単位面積当たりの不活性ガスの供給流量が、ウエハWの上面中央部における単位面積当たりの不活性ガスの供給流量よりも多くなるように、設定されていることが望ましい。
また、第5実施形態において、温水を吐出するための液吐出口360,361が、ウエハWの下面の回転中心に対向する位置に形成されていてもよい。また、複数の液吐出口360,361は、一列でなく2列以上の複数列であってもよい。
液吐出口360,361のサイズや、配置密度は、ウエハWの下面における単位面積当たりの不活性ガスの供給流量が、ほぼ均一に近づくように、設定されていることが望ましい。
また、第5実施形態において、温水の吐出の際に、ウエハWの上面中央部またはウエハWの上面周縁部に向けて乾燥洗浄空気や不活性ガスなどの気体を吹き付け、かつカップ7の底面に排気口を設けることにより、カップ7内を上方から下方に流れる気流を形成するようにしてもよい。これにより、ウエハWの上面への温水の回込みを、より一層確実に防止することができる。
第5実施形態では、ウエハWに供給される高温液として温水を一例に挙げたが、高温の希釈薬液などを高温液として採用することができる。
なお、第1および第3実施形態において、発熱部材として、抵抗方式のセラミックヒータを例に挙げて説明したが、その他、ハロゲンランプ等の赤外線ヒータを発熱部材として採用することができる。
また、第1〜第5実施形態において、疎水化液供給工程に先立って溶剤を供給する工程(ステップS3の第1溶剤供給工程等に相当)と、疎水化液供給工程の後に溶剤を供給する工程(ステップS5の第2溶剤供給工程等に相当)との間で、使用する溶剤を互いに異ならせてもよい。
また、第1〜第5実施形態において、使用するシリル化剤の種類によっては、疎水化液供給工程に先立って溶剤を供給する工程(ステップS3の第1IPA供給工程等に相当)を省略することも可能である。
また、第6〜第9実施形態では、基板の表面がIPAの液膜に覆われている状態で、乾燥ガスが基板の表面周縁部に吹き付けられる場合について説明したが、液膜を構成する液体の種類は、IPAに限らず、純水などの他の種類の液体であってもよい。
また、第6〜第9実施形態では、乾燥ガスの吐出が開始された後に、HMDSがウエハに供給される場合について説明したが、乾燥ガスの吐出が開始されるのと同時に、HMDSがウエハに供給されてもよい。当然、乾燥ガスの吐出が開始される前に、ウエハへのHMDSの供給が開始されてもよい。すなわち、ウエハへのHMDSの供給は、乾燥ガスが吐出されている状態で行われてもよいし、乾燥ガスの吐出が停止されている状態で行われてもよい。
また、第6〜第9実施形態では、IPAの液膜で覆われているウエハを高速回転させることにより、ウエハを乾燥させる場合について説明したが、ウエハ上のIPAを純水に置換した後に、純水の液膜で覆われているウエハを乾燥させてもよい。すなわち、HMDSが供給に供給された後、IPAおよび純水がこの順番でウエハに供給されてもよい。
また、第6〜第9実施形態では、ウエハを高速回転させることによりウエハを乾燥させる場合について説明したが、ランプやヒータなどの加熱装置によってウエハを加熱したり、送風装置からの気体をウエハに吹き付けることにより、ウエハを乾燥させてもよい。
また、第9実施形態では、複数種の乾燥ガスを供給する複数の気体配管が、外側気体ノズルに接続されている場合について説明したが、外側気体ノズル以外の気体ノズル(内側気体ノズル、上方気体ノズル、および遮断板)が、複数の気体配管に接続されていてもよい。
また、第9実施形態では、ウエハ上の湿度を測定する湿度センサが、内側気体ノズルに取り付けられている場合について説明したが、湿度センサは、内側気体ノズル以外の気体ノズル(外側気体ノズル、上方気体ノズル、および遮断板)に取り付けられていてもよい。
また、第1〜第9実施形態では、溶剤の一例としてIPA(イソプロピルアルコール)を挙げたが、水よりも表面張力が小さく、かつ水よりも沸点が低い液を、溶剤として採用してもよい。具体的には、メチルアルコール、エタノールおよびプロピルアルコール等のアルコールを採用することもできる。溶剤として、その他、ケトン、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、EGMEA(エチレングリコールモノメチルエーテル)、およびフッ素系溶剤の少なくとも一つを採用することができる。
たとえば、第6〜第9実施形態では、ウエハの表面がIPAの液膜に覆われている状態で、乾燥ガスがウエハの表面周縁部に吹き付けられる場合について説明したが、液膜を構成する液体の種類は、IPAに限らず、純水などの他の種類の液体であってもよい。
ケトンは、たとえば、アセトン、およびジエチルケトンの少なくとも一つを含む。
フッ素系溶剤は、たとえば、HFE(ハイドロフルオロエーテル)、HFC(ハイドロフルオロカーボン)の少なくとも一つを含む。
また、第1〜第9実施形態では、基板処理装置が、円板状の基板を処理する装置である場合について説明したが、基板処理装置は、液晶表示装置用基板などの多角形の基板を処理する装置であってもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
401 基板処理装置
403 制御装置(制御手段)
405 スピンチャック(基板保持回転手段)
418 内側気体ノズル(第1のノズル)
419 疎水化液ノズル(液膜形成手段)
420 溶剤ノズル(液膜形成手段)
421 第1吐出口(吐出口)
425 第1気体配管(気体供給手段)
426 第1気体バルブ(気体供給手段)
427 第2気体配管(気体供給手段)
428 第2気体バルブ(気体供給手段)
429 疎水化液配管(液膜形成手段)
430 疎水化液バルブ(液膜形成手段)
431 溶剤配管(液膜形成手段)
432 溶剤バルブ(液膜形成手段)
433 外側気体ノズル(第2のノズル)
601 基板処理装置
633 外側気体ノズル(第2のノズル)
W ウエハ(基板)

Claims (5)

  1. 基板を保持して回転させる基板保持回転手段と、
    前記基板保持回転手段に保持されている基板の表面全域を覆う液膜を形成する液膜形成手段と、
    前記基板保持回転手段に保持されている基板の中央部に対向して設けられ、当該基板に気体を吐出する第1の気体ノズルと、前記基板保持回転手段に保持されている基板の表面周縁部に対向して設けられ、前記基板の表面周縁部に向けて気体を吐出する第2の気体ノズルとを有し、気体の気流を前記基板上に形成する気体供給手段とを含む、基板処理装置。
  2. 前記第1および第2の気体ノズルには、それぞれボディが設けられており、
    前記第2の気体ノズルのボディが、前記第1の気体ノズルのボディと、径方向に離隔されている、請求項1に記載の基板処理装置。
  3. 前記第2の気体ノズルが、前記第1の気体ノズルを同軸的に取り囲むリング状をなしている、請求項1または2に記載の基板処理装置。
  4. 前記第1の気体ノズルが、径方向外方に向けて気体を吐出する環状の吐出口を有し、
    前記第2の気体ノズルが、前記吐出口によって吐出された気体によって形成された気流よりも上方に配置される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
  5. 前記基板を疎水化させる疎水化剤を前記基板保持回転手段に保持されている基板の表面中央部に供給する疎水化液供給手段と、
    前記基板保持回転手段に保持されている基板を乾燥させる乾燥手段と、
    前記基板保持回転手段、前記液膜形成手段、前記気体供給手段、前記疎水化液供給手段、および前記乾燥手段を制御する制御手段とをさらに含み、
    前記制御装置は、
    前記液膜形成手段に基板の表面全域を覆う液膜を形成させる液膜形成工程と、
    前記表面周縁部に向けて乾燥ガスを吐出させる周縁部除湿工程を有し、前記気体供給手段によって乾燥ガスの気流を前記基板上に形成させることにより、前記基板上の湿度を低下させる除湿工程と、
    前記基板上の湿度が低下している状態で、前記基板保持回転手段に基板を回転させながら、前記疎水化液供給手段に疎水化液を前記基板の表面に供給させる疎水化液供給工程と、
    前記疎水化液が供給された前記基板を前記乾燥手段に乾燥させる乾燥工程とを実行する、基板処理装置。
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