JP2018101123A - 光学薄膜および光学積層体 - Google Patents

光学薄膜および光学積層体 Download PDF

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片山 和孝
Kazutaka Katayama
和孝 片山
正隆 犬塚
Masataka Inuzuka
正隆 犬塚
和巳 吉田
Kazumi Yoshida
和巳 吉田
建典 笹井
Tatenori Sasai
建典 笹井
成亮 高松
Naruaki Takamatsu
成亮 高松
徹司 楢▲崎▼
Tetsuji Narasaki
徹司 楢▲崎▼
涼 簑島
Ryo Minoshima
涼 簑島
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Abstract

【課題】屈折率、接着性が良好な光学薄膜および光学積層体を提供する。
【解決手段】グラフェンおよび有機材料を含み、633nmの光に対する屈折率が1.80以上である光学薄膜とする。また、本発明に係る光学薄膜を高屈折率薄膜層14として光透過性基板12の面上に有する光学積層体10とする。有機材料としては、ポリビニルアルコール、(メタ)アクリルモノマーの重合体あるいは反応物、シランカップリング剤の重合体あるいは反応物などが挙げられる。グラフェンは、酸化グラフェンがより好ましい。さらに、金属薄膜層を有してもよい。
【選択図】図1

Description

本発明は、光学薄膜および光学積層体に関し、さらに詳しくは、高屈折率層を必要とする光学用途に好適に用いられる光学薄膜および光学積層体に関するものである。
例えばビル・住宅等の建築物の窓ガラスや自動車等の車両の窓ガラスなどには日射を遮蔽する目的で遮熱性を有する光透過性積層フィルム(光透過性積層体)を施工することがある。光透過性積層体の高屈折率薄膜として、トリアジン環を有する重合体を含む有機薄膜を形成することが提案されている。
国際公開2014/208745
トリアジン環を有する重合体を含む有機薄膜は、基材フィルムなどへの接着性を確保するためにバインダーを配合することがある。バインダーはトリアジン環を有する重合体よりも屈折率の低い材料であるため、バインダーが配合されることで有機薄膜の屈折率が低下する。有機薄膜の屈折率が低いと、膜厚を厚くして光路長を大きくすることが必要となり、高コストとなる。
本発明が解決しようとする課題は、屈折率、接着性が良好な光学薄膜および光学積層体を提供することにある。
上記課題を解決するため本発明に係る光学薄膜は、グラフェンおよび有機材料を含み、633nmの光に対する屈折率が1.80以上であることを要旨とするものである。
前記有機材料は、ポリビニルアルコール、(メタ)アクリルモノマー、シランカップリング剤から選択される1種または2種以上の重合体あるいは反応物で構成されることが好ましい。前記シランカップリング剤は、アクリル系シランカップリング剤、ビニル系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤から選択される1種または2種以上であることが好ましい。前記グラフェンは、酸化グラフェンであることが好ましい。前記グラフェンの含有量は、光学薄膜の全体量に対し24〜99質量%の範囲内であることが好ましい。前記光学薄膜の厚みは、10〜40nmの範囲内であることが好ましい。
そして、本発明に係る光学積層体は、本発明に係る光学薄膜を光透過性基板の面上に有することを要旨とするものである。
本発明に係る光学積層体は、さらに金属薄膜層を有していてもよい。この場合、金属薄膜層の両面あるいは一方面にバリア薄膜を有することが好ましい。このバリア薄膜の厚みは、0.3〜5.0nmの範囲内であることが好ましい。
本発明に係る光学薄膜によれば、グラフェンおよび有機材料を含み、633nmの光に対する屈折率が1.80以上であることから、屈折率、接着性が良好となる。
有機材料がポリビニルアルコール、(メタ)アクリルモノマー、シランカップリング剤から選択される1種または2種以上の重合体あるいは反応物で構成されると、光学薄膜の形成が容易となる。有機材料がシランカップリング剤を含むと、接着性が向上する。シランカップリング剤がアクリル系シランカップリング剤、ビニル系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤から選択される1種または2種以上であると、光学薄膜の形成用の塗工液の安定性に優れ、光学薄膜の性状安定性に優れる。グラフェンが酸化グラフェンであると、光学薄膜の形成用の塗工液の分散性に優れ、光学薄膜の性状安定性に優れる。グラフェンの含有量が特定範囲内であると、屈折率および接着性を高度に両立できる。光学薄膜の厚みが特定範囲内であると、光透過性により優れる。
そして、本発明に係る光学積層体によれば、本発明に係る光学薄膜を光透過性基板の面上に有することから、屈折率、接着性が良好となる。
本発明に係る光学積層体において、さらに金属薄膜層を有すると、光透過性を維持しつつ遮熱性・断熱性に優れる。この金属薄膜層の両面あるいは一方面にバリア薄膜を有すると、金属薄膜層の酸化が抑えられ、光透過性や遮熱性・断熱性が長期間安定化する。このバリア薄膜の厚みが0.3〜5.0nmの範囲内であると、光透過性により優れる。
本発明の第一実施形態に係る光学積層体の断面図である。 本発明の第二実施形態に係る光学積層体の断面図である。 第二実施形態に係る光学積層体の変形例の断面図である。
本発明に係る光学薄膜について詳細に説明する。
本発明に係る光学薄膜は、グラフェンおよび有機材料を含む。グラフェンは、ナノカーボン材料に分類される2次元シート状の物質であり、六員環で敷き詰められた(炭素原子が六角形の格子状に並んだ)構造をしている。グラフェンは、屈折率が高く、単体では2.6〜2.7の屈折率を有する。また、非常に薄いシート状の物質であるため、より薄膜で塗工することが可能であり、光路長設計が容易となり、光透過性に優れる。このため、グラフェンを含むことで、屈折率、光透過性を良好にすることができる。グラフェンは、sp炭素による六員環で敷き詰められた構造の非変性のグラフェンや、グラフェンシートに水酸基、エポキシ基、カルボキシル基などの変性基を持つ酸化グラフェンが含まれる。酸化グラフェンは、sp炭素が含まれるため、絶縁体の性質を示す。酸化グラフェンには、上記変性基を持つものを出発原料として他の官能基を持つようにしたものも含まれる。非変性のグラフェンや酸化グラフェンの還元体は、導電性を持つ。グラフェンとしては、非導電性である、水や極性溶媒への分散性に優れ、塗布によって基板上に成膜することができる、変性基による接着性の向上などの観点から、酸化グラフェンがより好ましい。導電性は、体積抵抗率が10Ω・cm以下となるものをいう。
本発明に係る光学薄膜は、グラフェンを含むことで、高い屈折率を持つ。屈折率は、633nmの光に対する屈折率をいう。本発明に係る光学薄膜の屈折率は、光学特性などの観点から、1.80以上であることが好ましい。より好ましくは1.90以上、さらに好ましくは2.00以上である。本発明に係る光学薄膜は、高い誘電率を有する酸化グラフェンを含むことで、誘電体層や絶縁体層、非導電層とすることができる。
グラフェンの含有量は、特に限定されるものではないが、光学薄膜の屈折率を1.80以上に設定しやすいなどの観点から、光学薄膜の全体量に対し24質量%以上であることが好ましい。また、光学薄膜の屈折率を2.00以上に設定しやすいなどの観点から、光学薄膜の全体量に対し40質量%以上であることが好ましい。一方、光学薄膜の接着性に優れるなどの観点から、光学薄膜の全体量に対し99質量%以下であることが好ましい。また、光学薄膜の接着性により優れるなどの観点から、光学薄膜の全体量に対し95質量%以下であることが好ましい。より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは85質量%以下である。そして、グラフェンの含有量が光学薄膜の全体量に対し24〜99質量%の範囲内であると、屈折率および接着性を高度に両立できる。
有機材料は、本発明に係る光学薄膜のバインダとなるものである。有機材料を含むことで、グラフェンを含む光学薄膜の接着性を確保することができる。有機材料は、グラフェンを含む光学薄膜の接着性を確保することができるものであれば特に限定されるものではなく、有機重合体、非重合体のいずれであってもよい。有機材料としては、ポリビニルアルコール、(メタ)アクリルモノマーの重合体あるいは反応物、シランカップリング剤の重合体あるいは反応物、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリカーボネート、アクリル系やシリコーン系等の各種エラストマ−などが挙げられる。これらは、光学薄膜の有機材料として1種単独で用いられてもよいし、2種以上組み合わされてもよい。
光学薄膜の有機材料としての有機重合体がポリビニルアルコールであると、水溶性であるため、水分散性に優れる酸化グラフェンとの組成物では、有機溶媒を用いなくてよい。また、光学薄膜を塗工によって形成する際に、光硬化や熱硬化などの硬化工程を経ないで溶媒(水など)を除去するだけでよく、光学薄膜を容易に形成できる。光学薄膜の有機材料としての有機重合体が(メタ)アクリル樹脂であると、(メタ)アクリルモノマーが溶媒となるので、有機溶媒の量を減らすことができる。また、光学薄膜を塗工によって形成する際に、光硬化や熱硬化などの硬化工程を経ることで光学薄膜を容易に形成できる。光学薄膜の有機材料としてシランカップリング剤を含むと、接着性が向上する。
光学薄膜における有機材料の含有量は、優れた接着性を確保しやすいなどの観点から、光学薄膜の全体量に対し1.0質量%以上であることが好ましい。また、光学薄膜の接着性がより優れるなどの観点から、光学薄膜の全体量に対し5.0質量%以上であることが好ましい。より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上である。一方、光学薄膜の屈折率を確保しやすいなどの観点から、光学薄膜の全体量に対し80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下であることが好ましい。
シランカップリング剤は、アルコキシシリル基以外の官能基を有するものであってもよいし、それ以外の官能基を有していないものであってもよい。接着性の向上の観点から、シランカップリング剤は、アルコキシシリル基以外の官能基をさらに有するものがより好ましい。アルコキシシリル基以外の官能基としては、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、スルフィド基、イソシアネート基などが挙げられる。シランカップリング剤は、これらの1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの官能基のうちでは、接着性の向上効果が特に高いなどの観点から、エポキシ基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アミノ基、ビニル基が好ましい。また、光学薄膜の形成用の塗工液の安定性が特に高いなどの観点から、極性の低いエポキシ基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、ビニル基が好ましい。
ビニル基を有するシランカップリング剤(ビニル系)としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどが挙げられる。エポキシ基を有するシランカップリング剤(エポキシ系)としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。メタクリロキシ基を有するシランカップリング剤(メタクリル系)としては、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。アクリロキシ基を有するシランカップリング剤(アクリル系)としては、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。アミノ基を有するシランカップリング剤(アミン系)としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。スルフィド基を有するシランカップリング剤(スルフィド系)としては、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどが挙げられる。
光学薄膜におけるシランカップリング剤の含有量は、接着性向上などの観点から、光学薄膜の全体量に対し1.0質量%以上であることが好ましい。より好ましくは5.0質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、15質量%以上である。一方、シランカップリング剤の含有量を多くしても、光学薄膜の屈折率への影響は小さい。これは、光学薄膜を塗布する基板側にシランカップリング剤が偏在しているためと推察される。したがって、屈折率の観点から、シランカップリング剤の含有量が特に限定されるものではない。光学薄膜におけるバインダとして必要以上に配合しないなどの観点から、光学薄膜におけるシランカップリング剤の含有量は、光学薄膜の全体量に対し80質量%以下であることが好ましい。より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。
光学薄膜は、グラフェンおよび有機材料の他に、添加剤などを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。添加剤としては、レベリング剤などが挙げられる。
光学薄膜の厚みは、光透過性などの観点から、10〜40nmの範囲内であることが好ましい。より好ましくは10〜30nmの範囲内である。グラフェン1層の厚みは2〜3nmであることから、グラフェンは単層であってもよいし、2〜3層などの複数層であってもよい。
光学薄膜は、グラフェンおよび有機材料を含むことから、塗布(塗工)によって形成することが好ましい。光学薄膜は、光学薄膜を形成するための塗工液を基板上に塗工し、必要に応じて、乾燥、架橋などの処理を行うことにより形成することができる。
光学薄膜を形成するための塗工液は、グラフェン、有機材料あるいは有機材料の前駆体化合物、溶媒を含む。グラフェンおよび有機材料は、上記する通りである。
有機材料の(メタ)アクリルモノマーの重合体としては、多官能アクリレートの重合体、多官能メタクリレートの重合体、単官能アクリレートの重合体、単官能メタクリレートの重合体、または、これらのモノマーを組み合わせた共重合体などが挙げられる。多官能アクリレートの重合体や多官能メタクリレートの重合体は、添加することで3次元架橋を導入し、耐熱性の向上と膜強度の向上を図り、シランカップリング剤や表面処理官能基と反応し接着性を向上させることができる。また、これらの重合体および共重合体は、熱、電子線、放射線、光架橋が可能である。中でも光架橋は、低温で架橋することができ、耐熱性の低い基材、例えばポリオレフィンフィルムの熱変形を抑えることができる。また、光による短時間での架橋が可能となる。
多官能アクリレートまたは多官能メタクリレートとしては、(メタ)アクリル基を一分子中2個以上有するものであれば特に限定されるものではない。具体的には、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリメタクリレート、エトキシ化グリセリントリアクリレート、エトキシ化グリセリントリメタクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、エトキシ化ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ポリグリセリンモノエチレンオキサイドポリアクリレート、ポリグリセリンポリエチレングリコールポリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート等が挙げられる。
単官能アクリレートの重合体または単官能メタクリレートの重合体は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、イソボルニルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ラウリルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルメタクリレート、t−ブチルアミノエチルアクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレートなどが挙げられる。
アクリレートまたはメタクリレートを用いる場合には、光ラジカル重合開始剤を用いることもできる。光ラジカル重合開始剤としても、公知のものから適宜選択して用いればよく、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのベンゾイルベンゾエート、アミロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイドおよびチオキサントン類等が挙げられる。光ラジカル重合開始剤を用いる場合、アクリレートまたはメタクリレート100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
溶媒は、グラフェンが分散性を示す溶媒と、有機材料あるいは有機材料の前駆体化合物が溶解性あるいは分散性を示す溶媒を含むことが好ましい。グラフェンが分散性を示す溶媒としては、水、アセトン、MIBK、THF、アセチルアセトン、シクロペンタノン、アルコール類などが挙げられる。酸化グラフェンは、非変性のグラフェンよりも水、DMF(ジメチルホルムアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)などの極性溶媒への分散性に優れる。なお、グラフェンの変性度(酸化度)が高くなると、水、DMF、DMSOなどの極性溶媒以外の溶媒への分散性が低下する傾向がある。ポリビニルアルコールは水に可溶である。(メタ)アクリレートは、液状のモノマーであるため分子量が小さく極性溶媒に溶解あるいは分散しやすい。シランカップリング剤は、アルコキシシラン基(極性基)以外の基として非極性基(ビニル基、スチリル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基)を有するものは、非極性溶媒を用いることで、溶液安定性が向上する。極性溶媒としては、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒が挙げられる。ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノンなどが挙げられる。エーテル系溶媒としては、テトラヒドロフラン(THF)などが挙げられる。これらのうちでは、短時間成膜性、生産性などの観点から、アセトンが特に好ましい。
溶媒としては、水/ケトン系溶媒の混合溶媒が特に好ましい。混合溶媒とすることで、段階的に乾燥することができ、均一膜を形成しやすい。この場合、混合比率は、質量比で、水/ケトン系溶媒=1/99〜10/90の範囲内が好ましい。水が1質量部以上であると、グラフェンの分散性が良好となる。水が10質量部以下であると、シランカップリング剤の分解が抑えられ、溶液安定性に優れる。混合比率は、より好ましくは水/ケトン系溶媒=2/98〜7/93の範囲内である。
溶媒の除去方法は、特に限定されるものではないが、加熱蒸発、自然揮発、減圧留去などの方法を用いることができる。これらのうちでは、コストに優れるなどの観点から、加熱蒸発の方法が好ましい。
以上の構成の光学薄膜によれば、グラフェンおよび有機材料を含むことから、屈折率、接着性が良好となる。この光学薄膜は、グラフェンに起因して屈折率が非常に高いため、光路長を大きくするために膜厚を厚くする必要がない。これにより、薄膜塗工が可能となり、揮発しがたいが環境に配慮した水等の使用が可能となる。また、材料使用量・コストも抑えられる。
次に、本発明に係る光学積層体について詳細に説明する。本発明に係る光学積層体は、本発明に係る光学薄膜を高屈折率薄膜層として光透過性基板の面上に有するものである。図1は、本発明の第一実施形態に係る光学積層体の断面図である。
光学積層体10は、高屈折率薄膜層14、光透過性基板12、をこの順で有する。高屈折率薄膜層14は、光透過性基板12の一方面上に接して設けられている。
光透過性基板12は、高屈折率薄膜層14を形成するためのベースとなる基材である。光透過性基板12の材料としては、光透過性を有し、その表面に薄膜を支障なく形成でき、柔軟性を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、光透過性高分子フィルムやフレキシブルガラスなどが挙げられる。ここでいう光透過性とは、波長領域360〜830nmにおける透過率の値が50%以上であることをいう。
光透過性高分子フィルムの材料としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−αオレフィン共重合体、シクロオレフィンポリマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、トリアセチルセルロース、ポリウレタン、セルロースナノファイバーなどの高分子材料が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、光透過性、耐久性、加工性に優れるなどの観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−αオレフィン共重合体、シクロオレフィンポリマーがより好ましい材料として挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−αオレフィン共重合体、シクロオレフィンポリマーなどのポリオレフィン(鎖状ポリオレフィン、環状ポリオレフィン)がより好ましい材料として挙げられる。
ポリオレフィンは、ポリエチレンテレフタレート(PET)のような官能基を有していないので、フィルム自体の赤外線の吸収が小さくなる。そうすると、熱を吸収しにくく、断熱性をより高める。また、ポリオレフィンフィルムは柔軟性に優れるので、柔軟性が求められる用途への適用に好適である。フィルムは、薄い膜状のものであり、一般には200μm以下あるいは250μm以下の厚みのものである。ロール状に巻けるほどの柔軟性を有するものであればよく、そのようなものであれば、200μm以上あるいは250μm以上の厚いものであってもよい。フィルムは、一般にロール状物として供出される。
ポリオレフィンとしては、光透過性、耐久性、加工性などの観点から、ポリプロピレンが好ましい。特に、光透過性などの観点から、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)が好ましい。二軸延伸ポリプロピレンは、ポリオレフィンフィルムの中で比較的弾性率が高い点でも好ましい。
ポリオレフィンフィルムは、その一方あるいは両方の表面に、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、コロナ処理、プラズマ処理などが挙げられる。表面処理により、ポリオレフィンフィルムの表面には水酸基やカルボン酸基などの官能基が形成され、塗工液・膜中に適切な極性基や反応性官能基持つ薬剤を配合することでポリオレフィンフィルムに接する層との接着性が向上する。
光透過性高分子フィルムの厚みは、特に限定されるものではないが、耐久性などの観点から、10μm以上であることが好ましい。より好ましくは15μm以上、さらに好ましくは20μm以上である。また、ロールtoロールでの生産性に優れるなどの観点から、100μm以下であることが好ましい。より好ましくは50μm以下である。
高屈折率薄膜層14は、グラフェンおよび有機材料を含む。高屈折率薄膜層14は、光透過性基板12よりも高い屈折率を持つ。屈折率は、633nmの光に対する屈折率をいう。高屈折率薄膜層14の屈折率は、光学特性などの観点から、1.80以上であることが好ましい。より好ましくは1.90以上、さらに好ましくは2.00以上である。高屈折率薄膜層14は、高い誘電率を有する酸化グラフェンを含むことで、誘電体層や絶縁体層、非導電層とすることができる。高屈折率薄膜層14は、本発明に係る上記光学薄膜で構成される。高屈折率薄膜層14の厚みは、光の吸収が小さく光透過性により優れるなどの観点から、100nm以下が好ましい。また、高屈折率層としての効果により優れるなどの観点から、50nm以下がより好ましい。一方、膜の均一性を保つなどの観点から、5.0nm以上が好ましい。
以上の構成の光学積層体10によれば、高屈折率薄膜層14がグラフェンおよび有機材料を含むことから、屈折率、接着性が良好となる。高屈折率薄膜層14は、グラフェンに起因して屈折率が非常に高い。したがって、光学積層体10の光路長を大きくするために高屈折率薄膜層14の膜厚を厚くする必要がない。これにより、薄膜塗工が可能となり、揮発しがたいが環境に配慮した水等の使用が可能となる。また、材料使用量・コストも抑えられる。
次に、本発明の第二実施形態に係る光学積層体について説明する。図2は、本発明の第二実施形態に係る光学積層体の断面図である。
光学積層体20は、高屈折率薄膜層18、金属薄膜層16、高屈折率薄膜層14、光透過性基板12、をこの順で有する。高屈折率薄膜層14は、光透過性基板12の一方面上に接して設けられている。金属薄膜層16は、高屈折率薄膜層14に接して設けられている。高屈折率薄膜層18は、金属薄膜層16に接して設けられている。
第二実施形態に係る光学積層体20は、第一実施形態に係る光学積層体10と比較して、さらに金属薄膜層16が設けられている点で異なる。また、さらに高屈折率薄膜層18が設けられている点で異なる。これ以外の構成については第一実施形態に係る光学積層体10と同様である。同じ構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
高屈折率薄膜層18は、高屈折率薄膜層14と同様の材料、構成とすることができる。高屈折率薄膜層14,18は、金属薄膜層16とともに積層されることで光透過性を高めるなどの機能を発揮することができる。高屈折率薄膜層14,18は、金属薄膜層16よりも高い屈折率を持つ。
金属薄膜層16は、遠赤外線を反射しやすい金属から構成され、日射遮蔽層として機能することができる。金属薄膜層16の金属としては、銀、銀合金、金、白金、銅、錫、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金などが挙げられる。これらは、金属薄膜層16の金属として1種単独で用いられてもよいし、2種以上組み合わせて用いられてもよい。これらのうちでは、光透過性、日射遮蔽性、熱線反射性が優れるなどの観点から、銀、銀合金がより好ましい。そして、熱、光、水蒸気などの環境に対する耐久性が向上するなどの観点から、銀合金がさらに好ましい。銀合金としては、銀を主成分とし、銅、ビスマス、金、パラジウム、白金、チタンなどの金属元素を少なくとも1種以上含んだ銀合金が良い。さらに好ましくは、銅を含む銀合金(Ag−Cu系合金)、ビスマスを含む銀合金(Ag−Bi系合金)、チタンを含む銀合金(Ag−Ti系合金)等が良い。
金属薄膜層16の膜厚は、安定性、日射遮蔽性などの観点から、好ましくは3nm以上、より好ましくは4nm以上、さらに好ましくは5nm以上である。また、光透過性、経済性などの観点から、好ましくは30nm以下、より好ましくは20nm以下、さらに好ましくは15nm以下である。
金属薄膜層16は、緻密な膜を形成できる、数nm〜数十nm程度の薄膜を均一に形成できるなどの観点から、気相法で形成することが好ましい。気相法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、MBE法、レーザーアブレーション法などといった物理的気相法(PVD)、熱CVD法、プラズマCVD法などといった化学的気相法(CVD)などが挙げられる。これらのうちでは、膜厚制御が容易であるなどの観点から、DCマグネトロンスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法などのスパッタリング法が好ましい。
以上の構成の光学積層体20によれば、光学積層体10と同様、高屈折率薄膜層14がグラフェンおよび有機材料を含むことから、屈折率、接着性が良好となる。また、光学積層体10と同様、光学積層体20の光路長を大きくするために高屈折率薄膜層14の膜厚を厚くする必要がない。これにより、薄膜塗工が可能となり、揮発しがたいが環境に配慮した水等の使用が可能となる。また、材料使用量・コストも抑えられる。そして、さらに金属薄膜層16を有し、高屈折率薄膜層14,18が金属薄膜層16よりも高い屈折率を持つことから、光透過性を維持しつつ遮熱性に優れる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
例えば第二実施形態においては、金属薄膜層16の面上に高屈折率薄膜層18が接して設けられているが、金属薄膜層16の面上に高屈折率薄膜層18が設けられていない構成であってもよい。すなわち、高屈折率薄膜層18が設けられておらず、金属薄膜層16、高屈折率薄膜層14、光透過性基板12、をこの順で有するものであってもよい。
また、例えば第二実施形態においては、金属薄膜層16は1層からなり、その両面に高屈折率薄膜層14,18が配置されている3層構成が示されているが、金属薄膜層と高屈折率薄膜層の積層構造は、この構成に限定されるものではない。光透過性基板12側から順に、金属薄膜層/高屈折率薄膜層/金属薄膜層/高屈折率薄膜層・・・のように合計で2層以上積層されていてもよいし、光透過性基板12側から順に、高屈折率薄膜層/金属薄膜層/高屈折率薄膜層/金属薄膜層/高屈折率薄膜層・・・のように合計で2層以上積層されていてもよい。
また、例えば第二実施形態において、金属薄膜層16の両面あるいは一方面にバリア薄膜が設けられていてもよい。すなわち、金属薄膜層16と高屈折率薄膜層14の間や金属薄膜層16と高屈折率薄膜層18の間に、バリア薄膜が設けられていてもよい。金属薄膜層16の両面あるいは一方面にバリア薄膜が設けられていると、金属薄膜層16の酸化が抑えられ、光透過性や遮熱性・断熱性が長期間安定化する。
バリア薄膜は、金属または金属酸化物からなる。金属としては、チタン、亜鉛、インジウム、錫、マグネシウム、ジルコニウム、ニオブ、セリウム、ニッケル、クロム、タングステン、モリブデン、ケイ素などが挙げられる。金属酸化物としては、チタン酸化物、亜鉛酸化物、インジウム酸化物、錫酸化物、インジウム−錫酸化物、マグネシウム酸化物、アルミニウム酸化物、ジルコニウム酸化物、ニオブ酸化物、セリウム酸化物、ニッケル酸化物、クロム酸化物、タングステン酸化物、モリブデン酸化物、シリカなどが挙げられる。これらのうちでは、錫または錫酸化物、チタンまたはチタン酸化物が好ましい。
バリア薄膜は、厚すぎると光透過性が低下するため、光透過性の観点から薄い(薄膜である)ほうが好ましい。例えば成膜レートの換算より0.3〜5.0nmの範囲内が好ましい。より好ましくは0.5〜3.0nmの範囲内、さらに好ましくは1.0〜2.0nmの範囲内である。バリア薄膜は、緻密な膜を形成できる、数nm〜数十nm程度の薄膜を均一に形成できるなどの観点から、気相法で形成することが好ましい。気相法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、MBE法、レーザーアブレーション法などといった物理的気相法(PVD)、熱CVD法、プラズマCVD法などといった化学的気相法(CVD)などが挙げられる。これらのうちでは、膜厚制御が容易であるなどの観点から、DCマグネトロンスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法などのスパッタリング法が好ましい。
また、例えば第一実施形態の高屈折率薄膜層14あるいは第二実施形態の高屈折率薄膜層18の面上に、接着層が設けられていてもよい。この接着層は、光学積層体を窓、ディスプレイなどの被着体に貼り付けるための層であり、粘着剤あるいは接着剤からなる。接着層の表面は、必要に応じてセパレータで覆われる。また、例えば第一実施形態や第二実施形態において、光透過性基板12の他方面上に表面保護層が設けられていてもよい。表面保護層は、最外層として配置される層であり、光透過性基板の表面に傷が付くのを抑える。図3には、第二実施形態に係る光学積層体20に対し、さらに、高屈折率薄膜層18の面上に接着層22が設けられ、光透過性基板12の面上に表面保護層24が設けられている光学積層体30を示している。
表面保護層24は、アクリル樹脂などの硬化性樹脂や、有機無機ハイブリッド材料などで構成することができる。有機無機ハイブリッド材料は、硬化性樹脂などの有機成分と無機粒子や有機金属化合物などの無機成分を含む材料である。表面保護層24の厚みは、断熱性に優れる(熱貫流率を低く抑える)などの観点から、2.5μm以下であることが好ましい。より好ましくは2.0μm以下、さらに好ましくは1.5μm以下である。また、耐擦傷性に優れるなどの観点から、0.4μm以上であることが好ましい。より好ましくは0.6μm以上、さらに好ましくは0.8μm以上である。
本発明に係る光学積層体は、高屈折率薄膜層を有するものであり、高屈折率層を必要とする光学用途に好適に用いられる。例えば、ビル・住宅等の建築物の窓ガラスや自動車等の車両の窓ガラスなどに用いられる遮熱フィルム、断熱フィルム、遮断熱フィルムなどが挙げられる。また、反射防止フィルム、液晶ディスプレイ、タッチパネル、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、光半導体素子、固体撮像素子、有機薄膜太陽電池、色素増感太陽電池、有機薄膜トランジスタなどの電子デバイスにおける高屈折率薄膜層を有するものなどが挙げられる。
以下、実施例および比較例を用いて本発明を詳細に説明する。以下の実施例および比較例では、本発明に係る光学薄膜を本発明に係る光学積層体の高屈折率薄膜層に適用した例として示す。
<高屈折率薄膜層形成用の塗工液の調製>
表1に記載の配合組成(質量部)にて、固形分が凡そ1質量%となるように高屈折率薄膜層形成用の塗工液を調製した。用いた材料は以下の通りである。表1に、配合例1〜11を示す。
・グラフェン:東京化成工業製「G0442」
・酸化グラフェン:東京化成工業製「G0444」(10mg/ml水分散液)
・有機材料(1):シランカップリング剤(アクリル系、信越シリコーン製「KBM−5103」)
・有機材料(2):シランカップリング剤(エポキシ系、信越シリコーン製「KBM−403」)
・有機材料(3):シランカップリング剤(ビニル系、信越シリコーン製「KBM−1003」)
・有機材料(4):ポリビニルアルコール(第一石鹸製「液体せんたく糊」)
・有機材料(5):アクリルモノマー(アイカ工業製「Z−729−35」)
・UR−108NT3:日産化学工業社製(トリアジン環含有重合体、光重合開始剤を含有する組成物)、固形分濃度3質量%、溶媒:シクロヘキサノン
Figure 2018101123
実施例1〜9、比較例1〜3に係る光学積層体として、光透過性基板の一方面上に高屈折率薄膜層を有する光学積層体(図1)を作製した。概略は以下の通りである。
(実施例1〜8)
<光学積層体の作製>
OPPフィルム(東洋紡製「P2111」、厚み:40μm、両面コロナ処理)の一方面上に、マイクログラビアコーターを用いて、配合例1〜8の高屈折率薄膜層形成用の塗工液を塗工し、70℃で1分間乾燥後、200mJ/cmの紫外線を照射して架橋処理することにより、高屈折率薄膜層(膜厚20nm)を形成した。以上により、光学積層体を作製した。
(実施例9)
OPPフィルムに代えてフロートガラス(厚み3mm)を用いた以外は実施例3と同様にして、高屈折率薄膜層(膜厚20nm)を形成した。以上により、光学積層体を作製した。
(比較例1〜2)
配合例9〜10の高屈折率薄膜層形成用の塗工液を用いた以外は実施例1〜8と同様にして、高屈折率薄膜層(膜厚20nm)を形成した。以上により、光学積層体を作製した。
(比較例3)
グラビアコーターで塗工可能な粘度(0.1〜3.0mPa・s)にUR−108NT3を希釈(溶媒:PGMEA)することにより、高屈折率薄膜層形成用の塗工液を調製した。次いで、OPPフィルム(東洋紡製「P2111」、厚み:40μm、両面コロナ処理)の一方面上に、マイクログラビアコーターを用いて、高屈折率薄膜層形成用の塗工液を塗工し、70℃で1分間乾燥することにより、高屈折率薄膜層(膜厚20nm)を形成した。以上により、光学積層体を作製した。
PGMEA:プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート
作製した光学積層体について、光透過性、屈折率、接着性の測定・評価を行った。その結果を表2に示す。
(光透過性)
目視により、黒点などの異物が観察されないものを光透過性に優れる「○」とし、異物が観察されたものを光透過性に劣る「×」とした。
(屈折率の測定)
屈折率の測定(測定波長は633nm)は、シリコンウェハ上で、厚み20nmの膜について、エリプソメータDHA−XA(溝尻光学工業所製)により測定した。
(接着性)
作製した光学積層体を、アセトンを浸み込ませた綿棒で軽く表面を擦り、1回で膜が剥がれたものを「×」、2〜3回目で膜が剥がれたものを「○」、それ以上の回数でも膜が剥がれなかった物を「◎」とした。なお、高屈折率薄膜層が光透過性基板上に残っている場合は、反射光が確認できる。
Figure 2018101123
比較例3は、高屈折率薄膜層の高屈折率材料がトリアジン環含有重合体であり、屈折率が1.75であった。そして、比較例3は、バインダーとなる有機材料を含んでいないため、光透過性基板との接着性にやや劣っている。この配合11において、バインダーとなる有機材料をさらに配合すれば、光透過性基板との接着性は向上するが、屈折率が1.75から低下する。一方、実施例1〜9は、高屈折率薄膜層の高屈折率材料がグラフェンであり、比較例1〜2に示すようにバインダーとなる有機材料を含まなければ屈折率が2.70でトリアジン環含有重合体と比較して非常に高い屈折率を有する。このため、バインダーとなる有機材料を含んでいても、高屈折率を維持することができる。そして、実施例1〜9は、バインダーとなる有機材料を含んでいるため、光透過性基板との接着性にも優れる。したがって、本発明に係る実施例1〜9によれば、屈折率、接着性が良好な光学積層体を提供することができる。なお、比較例1〜2は、高屈折率薄膜層の高屈折率材料がグラフェンであり、非常に高い屈折率を有するが、バインダーとなる有機材料を含んでいないため、光透過性基板との接着性に劣っている。そして、実施例1〜9によれば、グラフェンの含有量が高屈折率薄膜層の全体量に対し24〜99質量%の範囲内であると、屈折率および接着性を高度に両立できる。
次に、実施例10、比較例4〜6に係る光学積層体として、光透過性基板の一方面上に高屈折率薄膜層(1層目)、金属薄膜層、高屈折率薄膜層(2層目)をこの順で有する光学積層体(図2)を作製した。概略は以下の通りである。
(実施例10)
OPPフィルム(東洋紡製「P2111」、厚み:40μm、両面コロナ処理)の一方面上に、マイクログラビアコーターを用いて、配合例3の高屈折率薄膜層形成用の塗工液を純水で1/2の濃度に希釈したものを塗工し、70℃で1分間乾燥後、200mJ/cmの紫外線を照射して架橋処理することにより、1層目の高屈折率薄膜層(膜厚10nm)を形成した。次いで、DCマグネトロンスパッタ装置を用い、スパッタリングによりこの1層目の高屈折率薄膜層上にAg−Cu合金薄膜(膜厚7.8nm)を成膜した。次いで、このAg−Cu合金薄膜上に、1層目の高屈折率薄膜層と同様にして2層目の高屈折率薄膜層(膜厚10nm)を形成した。以上により、光学積層体を作製した。
(比較例4〜5)
配合例10〜11の高屈折率薄膜層形成用の塗工液を用いて1層目の高屈折率薄膜層および2層目の高屈折率薄膜層(いずれも膜厚20nm)を形成した以外は実施例10と同様にして、光学積層体を作製した。
(比較例6)
配合例11の高屈折率薄膜層形成用の塗工液をシクロヘキサノンで1/2の濃度に希釈したものを用いて1層目の高屈折率薄膜層および2層目の高屈折率薄膜層(いずれも膜厚10nm)を形成した以外は実施例10と同様にして、光学積層体を作製した。
また、実施例11、比較例7〜9に係る光学積層体として、光透過性基板の一方面上に高屈折率薄膜層(1層目)、バリア薄膜(1層目)、金属薄膜層、バリア薄膜(2層目)、高屈折率薄膜層(2層目)をこの順で有する光学積層体を作製した。概略は以下の通りである。
(実施例11)
OPPフィルム(東洋紡製「P2111」、厚み:40μm、両面コロナ処理)の一方面上に、マイクログラビアコーターを用いて、配合例2の高屈折率薄膜層形成用の塗工液を純水で1/2の濃度に希釈したものを塗工し、70℃で1分間乾燥後、200mJ/cmの紫外線を照射して架橋処理することにより、1層目の高屈折率薄膜層(膜厚10nm)を形成した。次いで、DCマグネトロンスパッタ装置を用い、スパッタリングによりこの1層目の高屈折率薄膜層上に1層目のSn薄膜(膜厚1.6nm)を成膜した。次いで、DCマグネトロンスパッタ装置を用い、スパッタリングによりこの1層目のSn薄膜上にAg−Cu合金薄膜(膜厚10.0nm)を成膜した。次いで、このAg−Cu合金薄膜上に、1層目のSn薄膜と同様にして2層目のSn薄膜(膜厚1.6nm)を成膜した。次いで、この2層目のSn薄膜上に、1層目の高屈折率薄膜層と同様にして2層目の高屈折率薄膜層(膜厚10nm)を形成した。以上により、光学積層体を作製した。
(比較例7〜8)
配合例10〜11の高屈折率薄膜層形成用の塗工液を用いて1層目の高屈折率薄膜層および2層目の高屈折率薄膜層(いずれも膜厚20nm)を形成した以外は実施例11と同様にして、光学積層体を作製した。
(比較例9)
配合例11の高屈折率薄膜層形成用の塗工液をシクロヘキサノンで1/2の濃度に希釈したものを用いて1層目の高屈折率薄膜層および2層目の高屈折率薄膜層(いずれも膜厚10nm)を形成した以外は実施例11と同様にして、光学積層体を作製した。
(Cu含有量の測定)
Ag−Cu合金薄膜層中の副元素(Cu)含有量は、次のようにして求めた。すなわち、各成膜条件において、別途、ガラス基板上にAg−Cu合金薄膜層を形成した試験片を作製し、この試験片を6%HNO溶液に浸漬し、20分間超音波による溶出を行った後、得られた試料液を用いて、ICP分析法の濃縮法により測定した。Cu含有量は4原子%であった。
(薄膜の膜厚の測定)
各薄膜の膜厚は、電界放出型電子顕微鏡(HRTEM)(日本電子(株)製、「JEM2001F」)による試験片の断面観察から測定した。
作製した光学積層体について、光透過性、遮熱性、断熱性、接着性の評価を行った。その結果を表3に示す。
(光透過性)
厚さ3mmの板ガラスと光学積層体の機能膜面側を厚さ25μmのアクリル粘着シート(積水化学工業社製「5402」)で貼り付けて試験片1を作製した。試験片1を用い、JIS A5759に準拠し分光光度計(島津製作所(株)製)で波長380nm〜780nmの透過スペクトルを測定することにより可視光線透過率を求めた。
(遮熱性)
JIS A5759に準拠して測定した。分光光度計(島津製作所製「UV3100」)を用い、波長300〜2500μmの透過スペクトル、反射スペクトルを測定することにより、日射透過率、日射反射率、修正放射率から日射遮蔽係数を計算により求めた。修正放射率は、JIS R3106に準拠して光学積層体全体の垂直放射率を求め、JIS A5759に記載されている係数で補正して遮蔽係数を算出した。遮蔽係数が0.69以下の場合を遮熱性が良好「○」、遮蔽係数が0.69を超える場合を遮熱性が不良「×」とした。
(断熱性)
上記試験片1を用い、JIS R3106に準拠し赤外分光分析装置(島津製作所製「UV3100」)で波長5μm〜50μmの反射スペクトルを測定することにより垂直放射率を求めてJIS A5759に記載されている係数で補正したガラス面側およびフィルム面側の修正放射率を求め、JIS A5759の計算方法で熱貫流率(W/(m・K))を求めた。測定光は光学積層体側から入射させた。熱貫流率4.7W/(m・K)以下を断熱性に優れる「○」、熱貫流率4.7W/(m・K)超を断熱性に劣る「×」とした。
(接着性)
高屈折率薄膜層形成用の塗工液の配合が同じ実施例3、比較例2、比較例3の評価結果と同じとした。
Figure 2018101123
実施例10の高屈折率薄膜層は、比較例5,6の高屈折率薄膜層よりも高屈折率であることから、同程度の光透過性をより薄い膜厚によって達成している。また、金属薄膜層を有することから、遮熱性、断熱性にも優れる。なお、比較例4は、光透過性基板と高屈折率薄膜層の接着が悪いため、金属薄膜層の形成等、後工程ができず、評価できなかった。同様に、実施例11の高屈折率薄膜層は、比較例8,9の高屈折率薄膜層よりも高屈折率であることから、同程度の光透過性をより薄い膜厚によって達成している。また、金属薄膜層を有することから、遮熱性、断熱性にも優れる。なお、比較例7は、光透過性基板と高屈折率薄膜層の接着が悪いため、金属薄膜層の形成等、後工程ができず、評価できなかった。そして、実施例11のように金属薄膜層の両面あるいは一方面にバリア薄膜が設けられていると、金属薄膜層の酸化が抑えられ、光透過性や遮熱性・断熱性が長期間安定化する。
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
10、20、30 光学積層体
12 光透過性基板
14、18 高屈折率薄膜層
16 金属薄膜層
22 接着層
24 表面保護層

Claims (10)

  1. グラフェンおよび有機材料を含み、633nmの光に対する屈折率が1.80以上であることを特徴とする光学薄膜。
  2. 前記有機材料が、ポリビニルアルコール、(メタ)アクリルモノマー、シランカップリング剤から選択される1種または2種以上の重合体あるいは反応物で構成されることを特徴とする請求項1に記載の光学薄膜。
  3. 前記シランカップリング剤が、アクリル系シランカップリング剤、ビニル系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤から選択される1種または2種以上であることを特徴とする請求項2に記載の光学薄膜。
  4. 前記グラフェンが、酸化グラフェンであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の光学薄膜。
  5. 前記グラフェンの含有量が、光学薄膜の全体量に対し24〜99質量%の範囲内であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の光学薄膜。
  6. 厚みが、10〜40nmの範囲内であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の光学薄膜。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の光学薄膜を光透過性基板の面上に有することを特徴とする光学積層体。
  8. さらに、金属薄膜層を有することを特徴とする請求項7に記載の光学積層体。
  9. 前記金属薄膜層の両面あるいは一方面にバリア薄膜を有することを特徴とする請求項8に記載の光学積層体。
  10. 前記バリア薄膜の厚みが、0.3〜5.0nmの範囲内であることを特徴とする請求項9に記載の光学積層体。
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CN118465896A (zh) * 2024-07-09 2024-08-09 深圳市鼎鑫盛光学科技有限公司 一种表面低反射吸收膜片及其制备方法

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