本発明において「カカオ豆由来ルミナコイド」は、カカオに含まれるルミナコイド、すなわち、カカオ由来ルミナコイドを意味する。従って、典型的には、カカオの植物体またはその加工品から抽出(粗抽出を含む)あるいは精製(粗精製を含む)したカカオのルミナコイドを本発明の有効成分として使用することができる。
また、本発明において「アーモンド由来ルミナコイド」は、アーモンドに含まれるルミナコイド、すなわち、アーモンド由来ルミナコイドを意味する。従って、典型的には、アーモンドの植物体またはその加工品から抽出(粗抽出を含む)あるいは精製(粗精製を含む)したアーモンドのルミナコイドを本発明の有効成分として使用することができる。
ルミナコイドは、小腸で消化吸収されず大腸に到達する全ての食品成分の総称であり、非デンプン性ルミナコイドとデンプン性ルミナコイドに分類される。非デンプン性のルミナコイドは、難消化性タンパク質(レジスタントプロテイン)、食物繊維、オリゴ糖、糖アルコール、その他に分類される。食物繊維は、リグニンと多糖類に分類される。多糖類には、植物性多糖類、動物性多糖類、微生物性多糖類、化学修飾性多糖類がある。デンプン性ルミナコイドは、難消化性デンプン、難消化性デキストリンがある。カカオ豆由来ルミナコイドまたはアーモンド由来ルミナコイドとしては、難消化性タンパク質、食物繊維が挙げられる。
本発明において「カカオ豆由来ポリフェノール」は、カカオに含まれるポリフェノール、すなわち、カカオ由来ポリフェノールを意味する。従って、典型的には、カカオの植物体またはその加工品から抽出(粗抽出を含む)あるいは精製(粗精製を含む)したカカオのポリフェノールを本発明の有効成分として使用することができるが、化学合成法によって調製したポリフェノールを一部または全部をカカオのポリフェノールとして使用してもよい。ここで、カカオのポリフェノールとしては、カテキン、エピカテキン、クロバミド等の単量体や、カテキン等が重合してなるプロシアニジン、タンニン等のオリゴマー(二量体以上)が挙げられる。
ポリフェノールは、ベンゼン環に2つ以上のヒドロキシル基がついている構造を示す化合物をいう。ポリフェノールはシンプルフェノール類、フラボノイド類、加水分解型タンニン類、縮合型タンニン類(プロアントシアニジン類)に分類される。
本発明においてポリフェノールは、合成品の他に、天然物に由来するポリフェノールを利用することができ、例えば、カカオ豆やアーモンド、大豆等の種子類の他、茶葉、ぶどう、レモン、コーヒー、むらさき芋等に由来するポリフェノールを利用することができる。これらのポリフェノールを多く含む果実類、野菜類、種子類、植物体等の搾汁液またはその抽出物あるいはそれらの加工物をポリフェノールとして、本発明の肌質を改善するための組成物および肌質改善剤に配合することができる。
本発明において、カカオ豆由来ルミナコイドまたはカカオ豆由来ポリフェノールの原料となりうるカカオの植物体またはその加工品としては、カカオ樹皮、カカオ葉、カカオ豆、カカオシェル、カカオマス、脱脂カカオマス、ココアパウダー等、植物体の各種部位またはカカオ豆加工品を挙げることができる。カカオマスはカカオ豆を磨砕したものであり、脱脂カカオマスはカカオマスから油脂を除去することにより得ることができる。油脂の除去方法は特に制限されず、圧搾等の公知の方法に従って行うことができる。脱脂カカオマスを粉砕すればココアパウダーとなる。また、カカオの植物体またはその加工品を原料として抽出を行う場合は、抽出効率の観点から、磨砕、粉砕等の微粒化処理が施されているカカオマスやココアパウダーを用いるのが好ましい。なお、カカオの植物体には、意図してないしは意図せずにカカオの植物体以外の物も含めることができる。また、カカオの植物体またはその加工品を原料として抽出を行う際にも、意図してないしは意図せずにカカオの植物体以外の物も含めることができる。さらに、カカオマスやココアパウダーにも、意図してないしは意図せずにカカオの植物体以外の物も含めることができる。
本発明において、アーモンド由来ルミナコイドの原料となりうるアーモンドの植物体またはその加工品としては、アーモンド樹皮、アーモンド葉、アーモンドシェル、アーモンド(アーモンドナッツ)、アーモンドペースト、アーモンドパウダー(アーモンドプードル)等、植物体の各種部位またはアーモンド加工品を挙げることができる。アーモンド(アーモンドナッツ)の加工品は、アーモンド(アーモンドナッツ)をドライまたはスチーム加熱後にカットしたものでもよく、アーモンド(アーモンドナッツ)をドライローストやアメ焼き、オイルローストやフライをしたものでもよい。なお、アーモンドの植物体には、意図してないしは意図せずにアーモンドの植物体以外の物も含めることができる。また、アーモンドの植物体またはその加工品を原料として抽出を行う際にも、意図してないしは意図せずにアーモンドの植物体以外の物も含めることができる。さらに、アーモンド(アーモンドナッツ)やアーモンドペースト、アーモンドパウダー(アーモンドプードル)にも、意図してないしは意図せずにカカオの植物体以外の物も含めることができる。
カカオまたはアーモンドの植物体またはその加工品を原料とする抽出方法は公知であり、特開2009−183229号公報や特開2011−93807号公報の記載に従って、カカオ豆由来ルミナコイド含有組成物、アーモンド由来ルミナコイド含有組成物またはカカオ豆由来ポリフェノール含有組成物を調製することができる。抽出溶媒は、特に限定されるものではないが、カカオ豆由来ルミナコイド含有組成物またはアーモンド由来ルミナコイド含有組成物では、水またはアルカリ性の水溶液を用いることが好ましく、カカオ豆由来ポリフェノール含有組成物では、水またはエタノール等のアルコールを用いることが好ましい。また、カカオまたはアーモンドの植物体またはその加工品を原料とする精製方法は、合成吸着剤、イオン交換樹脂、限外ろ過、活性白土処理等の公知の方法を使用することができ、特に限定されるものではない。
本発明において、カカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドは、固形分中の重量割合で2%以上含むことができ、好ましくは2〜90質量%、より好ましくは2〜50質量%、より一層好ましくは3〜35質量%、さらに好ましくは5〜21質量%を含むことができる。
本発明において、カカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドの含有量(総ルミナコイド量)は、難消化性タンパク質含有量と食物繊維含有量により求められる。
難消化性タンパク質含有量は、実施例に記載の難消化性タンパク質の抽出方法により抽出した後、ケルダール法(タンパク質定量の公定法)により定量できる。
食物繊維含有量は、実施例に記載の酵素−重量法(エーオーエーシーインターナショナル AOAC Internationalによる公定法)により定量できる。
本発明においてカカオ豆由来ポリフェノールの含有量(総ポリフェノール量)は、プルシアンブルー比色法により測定することができる。例えば、Martin L. Price and Larry G. Butler, J. Agric Food Chem., Vol. 25, No.6, 1268-1273, 1977に記載の方法に従い、市販のエピカテキンを標準物質として算出することができる。
本発明において、カカオ豆由来ポリフェノールおよびアーモンド由来ポリフェノールは、総ポリフェノール量(ポリフェノールの総質量)に対し1〜4量体のポリフェノールを8質量%以上含むことができ、好ましくは8〜50質量%、より好ましくは8〜30質量%、より一層好ましくは8〜20質量%、さらに好ましくは8〜15質量%、特に好ましくは8〜12質量%、さらに特に好ましくは10〜12質量%以上含むことができる。
カカオ豆由来ルミナコイド、アーモンド由来ルミナコイドは、カカオまたはアーモンドの植物体を原料にして調製することができるため、本発明の肌質を改善するための組成物および肌質改善剤は、カカオ豆由来ルミナコイド、アーモンド由来ルミナコイド以外のカカオ豆由来の成分またはアーモンド由来の成分を含んでいてもよい。そのような成分としては、ポリフェノール、ビタミン(例えば、ビタミンE、ビタミンB2等)、脂肪酸(例えば、オレイン酸、リノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸等)、脂質(例えば、グルコシルセラミド、リモネン等)、テオブロミン、カフェイン、アミノ酸、ペプチド等が挙げられる。好ましくは、後記実施例に示すカカオ豆由来ポリフェノールを含んでいてもよい。また、本発明の肌質を改善するための組成物および肌質改善剤は、カカオ豆に由来しない成分またはアーモンドに由来しない成分を含んでいてもよい。
後記実施例に示されるように、カカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドを含有する、カカオマスおよびアーモンドを含んでなる組成物は、肌質を改善する作用を有する。従って、カカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドを含有する、カカオマスおよびアーモンドを含んでなる組成物は、肌質改善剤として使用することができるとともに、肌質改善方法に使用することができる。また、カカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドを含有する、カカオマスおよびアーモンドを含んでなる組成物は、肌質を改善するための組成物としても使用することができる。
また、本発明のカカオマスおよびアーモンドを含んでなる組成物は、カカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドに、さらにカカオ豆由来ポリフェノールを含んでいてもよい。後記実施例に示されるように、カカオ豆由来ルミナコイド、アーモンド由来ルミナコイドおよびカカオ豆由来ポリフェノールを含有する、カカオマスおよびアーモンドを含んでなる組成物は、肌質を改善する作用を有する。従って、カカオ豆由来ルミナコイド、アーモンド由来ルミナコイドおよびカカオ豆由来ポリフェノールを含有する、カカオマスおよびアーモンドを含んでなる組成物は、肌質改善剤として使用することができるとともに、肌質改善方法に使用することができる。また、カカオ豆由来ルミナコイド、アーモンド由来ルミナコイドおよびカカオ豆由来ポリフェノールを含有する、カカオマスおよびアーモンドを含んでなる組成物は、肌質を改善するための組成物としても使用することができる。
ここで、「肌質の改善」とは、皮膚角層水分量の改善、皮膚ターンオーバーの改善、肌の炎症の改善および/または肌に関する自覚症状の改善を意味する。
皮膚角層水分量の改善の程度は、例えば、コルネオメーターによる皮膚角層水分量を指標にして評価することができる。具体的には、カカオマスおよびアーモンドを含んでなる組成物の摂取または投与後の皮膚角層水分量が、摂取または投与前の皮膚角層水分量を上回る場合に、好ましくは約1.05倍以上である場合に、より好ましくは約1.1倍以上である場合に、より一層好ましくは約1.15倍以上、さらに好ましくは1.2倍以上、特に好ましくは1.25倍以上、さらに特に好ましくは1.3倍以上である場合に、皮膚角層水分量を改善した、すなわち肌質を改善したと判定することができる。
皮膚ターンオーバーの改善の程度は、例えば、テープストリッピング法(粘着テープによって垢となって剥がれおちる前の最外層の角層部分を剥離し、その状態を測定する方法)による多重剥離度を指標にして評価することができる。具体的には、カカオマスおよびアーモンドを含んでなる組成物の摂取または投与後の多重剥離する割合が、摂取または投与前の多重剥離する割合を下回る場合に、好ましくは約0.95倍以下である場合に、より好ましくは約0.9倍以下である場合に、より一層好ましくは約0.85倍以下、さらに好ましくは0.8倍以下、特に好ましくは0.75倍以下、さらに特に好ましくは0.7倍以下である場合に、皮膚ターンオーバーを改善した、すなわち肌質を改善したと判定することができる。
肌の炎症の改善の程度は、例えば、血中TARC(Thymus and Activation-Regulated Chemokine)濃度を指標にして評価することができる。具体的には、カカオマスおよびアーモンドを含んでなる組成物の摂取または投与後の血中TARC濃度が、摂取または投与前の血中TARC濃度を下回る場合に、好ましくは約0.95倍以下である場合に、より好ましくは約0.9倍以下である場合に、より一層好ましくは約0.85倍以下、さらに好ましくは0.8倍以下、特に好ましくは0.75倍以下、さらに特に好ましくは0.7倍以下である場合に、肌の炎症を改善した、すなわち肌質を改善したと判定することができる。
肌に関する自覚症状の改善の程度は、例えば、肌に関する自覚症状について「非常に悪い」、「普通」、「非常に良い」の項目を目安とし、Visual analogue scale(VAS)によって、スコア化した自覚アンケートを指標にして評価することができる。具体的には、具体的には、カカオマスおよびアーモンドを含んでなる組成物の摂取または投与後のスコアが、摂取または投与前のスコアを上回る場合に、好ましくは約1.05倍以上である場合に、より好ましくは約1.1倍以上である場合に、より一層好ましくは約1.15倍以上、さらに好ましくは1.2倍以上、特に好ましくは1.25倍以上、さらに特に好ましくは1.3倍以上である場合に、肌に関する自覚症状を改善した、すなわち肌質を改善したと判定することができる。
本発明の肌質改善方法は、有効量のカカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドを含有する、カカオマスおよびアーモンドを含んでなる組成物をヒトまたは非ヒト動物に摂取させるか、あるいは投与することにより実施することができる。また、本発明のカカオマスおよびアーモンドを含んでなる組成物は、カカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドに、さらにカカオ豆由来ポリフェノールを含んでいてもよい。
なお、本発明におけるカカオマスおよびアーモンドを含んでなる組成物の使用は、ヒトおよび非ヒト動物ならびにこれらに由来する試料における使用であってもよく、治療的使用と非治療的使用のいずれもが意図される。ここで、「非治療的」とはヒトを手術、治療または診断する行為(すなわち、ヒトに対する医療行為)を含まないことを意味し、具体的には、医師または医師の指示を受けた者がヒトに対して手術、治療または診断を行う方法を含まないことを意味する。
本発明では、皮膚角層水分量の改善、皮膚ターンオーバーの改善および/または肌の炎症の改善がその治療、予防または改善に有効である疾患および症状の治療、予防または改善に、カカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドを含有する、カカオマスおよびアーモンドを含んでなる組成物を使用することができる。また、本発明のカカオマスおよびアーモンドを含んでなる組成物は、カカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドに、さらにカカオ豆由来ポリフェノールを含んでいてもよい。
本発明の肌質を改善するための組成物および肌質改善剤ならびに本発明の治療剤および予防剤は、医薬品、医薬部外品、飲食品、飼料等の形態で提供することができ、下記の記載に従って実施することができる。また本発明の肌質改善方法ならびに本発明の治療方法および予防方法は、下記の記載に従って実施することができる。
本発明のカカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドを含有する、カカオマスおよびアーモンドを含んでなる組成物は、ヒトおよび非ヒト動物に経口投与することができる。経口剤としては、顆粒剤、散剤、錠剤(糖衣錠を含む)、丸剤、カプセル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤が挙げられる。これらの製剤は、当分野で通常行われている手法により、薬学上許容される担体を用いて製剤化することができる。薬学上許容される担体としては、賦形剤、結合剤、希釈剤、添加剤、香料、緩衝剤、増粘剤、着色剤、安定剤、乳化剤、分散剤、懸濁化剤、防腐剤等が挙げられる。そして、本発明のカカオマスおよびアーモンドを含んでなる組成物は、カカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドに、さらにカカオ豆由来ポリフェノールを含んでいてもよい。
本発明のカカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドを含有する、カカオマスおよびアーモンドを含んでなる組成物は、ヒトおよび非ヒト動物に経管投与、経鼻管投与、座薬等の経口投与以外の体内への投与も、本発明の肌質を改善するための組成物および肌質改善剤の形状に応じて可能である。例えば、カカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドを含有する、カカオマスおよびアーモンドを含む粘性を有する液状の組成物またはカカオマスおよびアーモンドを含む半固形状の組成物とすることで、経口摂取ないしは経口投与ができないヒトおよび非ヒト動物に対しても投与することができる。そして、本発明のカカオマスおよびアーモンドを含む粘性を有する液状の組成物またはカカオマスおよびアーモンドを含む半固形状の組成物は、カカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドに、さらにカカオ豆由来ポリフェノールを含んでいてもよい。
本発明のカカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドを含有する、カカオマスおよびアーモンドを含んでなる組成物は、ヒトおよび非ヒト動物に経口摂取させることができる。また、本発明のカカオマスおよびアーモンドを含んでなる組成物は、カカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドに、さらにカカオ豆由来ポリフェノールを含んでいてもよい。ここで、当該組成物を経口摂取させる場合には、カカオ豆由来ルミナコイド、アーモンド由来ルミナコイド、カカオ豆由来ポリフェノールは単離、精製または粗精製された形態のものであっても、カカオ豆由来ルミナコイド、アーモンド由来ルミナコイドに、さらにカカオ豆由来ポリフェノールを含む食品あるいは食品の原料の形態であってもよい。カカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドを含有する、カカオマスおよびアーモンドを含んでなる組成物は、ヒトおよび非ヒト動物に経口摂取させるにあたり、常温の状態、温かい状態、冷たい状態等から任意に選択することができる。
本発明のカカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドを含有する、カカオマスおよびアーモンドを含んでなる組成物を食品として提供する場合には、カカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドをそのまま食品に含有させることができ、当該食品はカカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドを有効量含有した食品である。ここで、カカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドを「有効量含有した」とは、個々の食品において通常喫食される量を摂取した場合に後述するような範囲でカカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドが摂取されるような含有量をいう。また、本発明のカカオマスおよびアーモンドを含んでなる組成物を食品として提供する場合には、カカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドに、さらにカカオ豆由来ポリフェノールを有効量含有した食品として提供してもよい。ここで「食品」とは、健康食品、機能性食品、保健機能食品(例えば、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品)、特別用途食品(例えば、幼児用食品、妊産婦用食品、病者用食品)を含む意味で用いられる。「食品」の形態は特に限定されるものではなく、例えば、飲料の形態であっても、半液体やゲル状の形態であっても、固形状の形態であってもよい。
本発明のカカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドを含有する、カカオマスおよびアーモンドを含んでなる組成物は、肌質を改善する作用を有するため、日常摂取する食品や、サプリメントとして摂取する食品に含有させて提供することができる。そして、本発明のカカオマスおよびアーモンドを含んでなる組成物は、カカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドに、さらにカカオ豆由来ポリフェノールを含んでいてもよい。本発明で提供される食品としては、その形態や形状に特に制限はないが、好ましくはカカオ豆およびアーモンドを主原料とする食品が挙げられ、より好ましくは油脂加工組成物であり、より一層好ましくは、カカオマスおよびアーモンドを含む粘性を有する液状のココア飲料、カカオマスおよびアーモンドを含むゲル状のペースト、ならびにカカオマスおよびアーモンドを含むチョコレートであり、さらに好ましくはカカオマスおよびアーモンドを含むチョコレートである。なお、ココア飲料、チョコレートについては、チョコレート類の表示に関する公正競争規約に定めるチョコレート類またはチョコレート製品等の規格を満たすことは必ずしも必要ではない。
カカオ豆およびアーモンドを主原料とする食品およびサプリメントの原料としては、カカオ豆、カカオマス、ココアパウダー、アーモンド(スライス、クラッシュ等も含む)、アーモンドペースト、アーモンドパウダー(アーモンドプードル)の他、糖類、小麦粉等の穀物粉類の他、全粉乳、脱脂粉乳、高脂肪粉乳等の粉乳類、乳化剤類、香料類、色素類、各種澱粉類、ナッツ類、チーズパウダー等の乳製品、ショートニング、乾燥果実、動植物油脂類を用いることができる。糖類としては、ショ糖(砂糖、粉糖)、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、転化糖、乳糖等の単糖類および二糖類の他、デキストリン、オリゴ糖等の多糖類、水あめ等が挙げられる。さらに、スクラロース等の高甘味度甘味料が添加されていてもよい。また、乳化剤類としては、レシチン、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル等が挙げられる。動植物油脂類としては、ノンテンパー型とテンパー型の天然油脂類が挙げられる。ノンテンパー型油脂とは、結晶型が調温(テンパリング)することなしに、単に冷却することにより準安定型(β’型)や安定型(β型)になる油脂であり、例えばヤシ油、サル脂軟部油(サル脂を融点別に分画したノンテンパー型油脂)、パーム核油および水素添加硬化油が挙げられる。また、テンパー型油脂とは、調温しないと結晶型が安定型(β型)にならない油脂であり、例えばカカオ脂、パーム油分画精製油脂(パーム油を融点別に分画したもので、パーム核油とは異なり、パルミチン酸やオレイン酸グリセリンエステルが主成分で、パーム中融点分画油脂ともいう)、サル脂、シア脂等の植物性油脂が挙げられる。
前記の通り、カカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドを含有する、カカオマスおよびアーモンドを含んでなる組成物を効率よく摂取させるためには、濃縮されたカカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドを本発明に使用することができる。また、濃縮されたカカオ豆由来ルミナコイドに、さらにカカオ豆由来ポリフェノールを含んでいてもよい。従って、カカオ豆およびアーモンドを主原料とする食品およびサプリメントは、例えば、カカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドを高濃度で含むものであることが好ましく、より好ましくはカカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドを高濃度で含む油脂加工組成物であり、より一層好ましくは、カカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドを高濃度で含むカカオマスおよびアーモンドを含む粘性を有する液状のココア飲料、カカオおよびアーモンドを含むゲル状のペースト、ならびにカカオマスおよびアーモンドを含むチョコレートであり、さらに好ましくは、カカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドを高濃度で含むカカオマスおよびアーモンドを含むチョコレートである。また、カカオ豆およびアーモンドを主原料とする食品およびサプリメントには、カカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドに、さらにカカオ豆由来ポリフェノールを含んでいてもよい。
ここで、食品およびサプリメント中のカカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドの含有量(総量)は、カカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドの摂取が可能である限り特に限定されるものではないが、カカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドの効率的な摂取の観点から、油脂加工組成物中の含有量は当該組成物の固形分あたり、例えば、2〜90質量%とすることができ、好ましくは2〜50質量%、より好ましくは3〜35質量%、さらに好ましくは5〜21質量%である。
また、食品およびサプリメント中のカカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドの含有量(総ルミナコイド量)は、カカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドの摂取が可能である限り特に限定されるものではないが、カカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドの効率的な摂取の観点から、油脂加工組成物中の含有量は当該組成物の固形分33gあたり、例えば、好ましくは0.6〜17g、より好ましくは0.9〜12g、さらに好ましくは1.6〜7.0gである。
ここで、食品およびサプリメント中のカカオ豆由来食物繊維およびアーモンド由来食物繊維の含有量(総量)は、カカオ豆由来食物繊維およびアーモンド由来食物繊維の摂取が可能である限り特に限定されるものではないが、カカオ豆由来食物繊維およびアーモンド由来食物繊維の効率的な摂取の観点から、油脂加工組成物中の含有量は当該組成物の固形分あたり、例えば、1〜40質量%とすることができ、好ましくは1〜28質量%、より好ましくは2〜20質量%、さらに好ましくは4〜16質量%である。
また、食品およびサプリメント中のカカオ豆由来食物繊維およびアーモンド由来食物繊維の含有量(総量)は、カカオ豆由来食物繊維およびアーモンド由来食物繊維の摂取が可能である限り特に限定されるものではないが、カカオ豆由来食物繊維およびアーモンド由来食物繊維の効率的な摂取の観点から、油脂加工組成物中の含有量は当該組成物の固形分33gあたり、例えば、好ましくは0.3〜9.5g、より好ましくは0.6〜7.0g、さらに好ましくは1.3〜5.3gである。
ここで、食品およびサプリメント中のカカオ豆由来難消化性タンパク質およびアーモンド由来難消化性タンパク質の含有量(総量)は、カカオ豆由来難消化性タンパク質およびアーモンド由来難消化性タンパク質の摂取が可能である限り特に限定されるものではないが、カカオ豆由来難消化性タンパク質およびアーモンド由来難消化性タンパク質の効率的な摂取の観点から、油脂加工組成物中の含有量は当該組成物の固形分あたり、例えば、0.5〜15質量%とすることができ、好ましくは0.5〜12質量%、より好ましくは0.8〜10質量%、さらに好ましくは1〜7質量%である。
また、食品およびサプリメント中のカカオ豆由来難消化性タンパク質およびアーモンド由来難消化性タンパク質の含有量(総量)は、カカオ豆由来難消化性タンパク質およびアーモンド由来難消化性タンパク質の摂取が可能である限り特に限定されるものではないが、カカオ豆由来難消化性タンパク質およびアーモンド由来難消化性タンパク質の効率的な摂取の観点から、油脂加工組成物中の含有量は当該組成物の固形分33gあたり、例えば、好ましくは0.1〜4.0g、より好ましくは0.2〜3.5g、さらに好ましくは0.3〜2.5gである。
ここで、食品およびサプリメント中のカカオ豆由来ポリフェノールおよびアーモンド由来ポリフェノールの含有量(総ポリフェノール量)は、カカオ豆由来ポリフェノールおよびアーモンド由来ポリフェノールの摂取が可能である限り特に限定されるものではないが、カカオ豆由来ポリフェノールおよびアーモンド由来ポリフェノールの効率的な摂取の観点から、油脂加工組成物中の含有量は当該組成物の固形分あたり、例えば、0.5〜10質量%とすることができ、好ましくは0.6〜7質量%、より好ましくは0.7〜5質量%、さらに好ましくは0.8〜3質量%である。
また、食品およびサプリメント中のカカオ豆由来ポリフェノールおよびアーモンド由来ポリフェノールの含有量(総ポリフェノール量)は、カカオ豆由来ポリフェノールおよびアーモンド由来ポリフェノールの摂取が可能である限り特に限定されるものではないが、カカオ豆由来ポリフェノールおよびアーモンド由来ポリフェノールの効率的な摂取の観点から、油脂加工組成物中の含有量は当該組成物の固形分33gあたり、例えば、好ましくは180〜2500mg、より好ましくは200〜1700mg、さらに好ましくは250〜1000mgである。
本発明で提供される食品としては、カカオ豆およびアーモンドを主原料とする食品はもちろんのこと、カカオ豆由来ルミナコイド、アーモンド由来ルミナコイド、カカオ豆由来ポリフェノールを含有させることができる食品であれば特に限定されない。例えば、パン類、ビスケット類、麺類、クラッカー、栄養補給バー等の澱粉系食品;キャンディー類、ガム類、グミ、スナック等の各種菓子類;牛乳、加工乳、アイスクリーム類、発酵乳(ヨーグルト等)、乳飲料、チーズ類、バター類、クリーム類等の乳および乳製品;プリン、ゼリー、ババロア、ムース等のデザート類;非アルコール飲料、アルコール飲料等の飲料類;ハム、ソーセージ等の畜肉加工品;カマボコ、竹輪、魚肉ソーセージ等の魚肉加工品;ジャム、ピューレ等の果実加工品;ルウ、ソース等の調味料類等が挙げられる。カカオ豆由来ルミナコイド、アーモンド由来ルミナコイド、カカオ豆由来ポリフェノールは各食品の特性、目的に応じ、適当な製造工程の段階で適宜配合することができる。
本発明の医薬品および食品は、食品として古くから重用されていたカカオ豆およびアーモンドを利用することから、それを必要とする哺乳動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、サル等)に対し安全に用いることができるカカオ豆由来ルミナコイド、アーモンド由来ルミナコイド、カカオ豆由来ポリフェノールの投与量または摂取量は、受容者の性別、年齢および体重、症状、投与時間、剤形、投与経路ならびに組み合わせる薬剤等に依存して決定できる。例えば、カカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドを医薬として経口投与する場合には、成人1日あたり、好ましくは0.6〜17g、より好ましくは0.9〜12g、さらに好ましくは1.6〜7.0gの範囲となるように、投与することができる。また、カカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドを食品として摂取させる場合には、例えば、成人1日あたり、好ましくは0.6〜17g、より好ましくは0.9〜12g、さらに好ましくは1.6〜7.0gの範囲となるように、投与することができる。そして、カカオ豆由来ポリフェノールおよびアーモンド由来ポリフェノールを医薬として経口投与する場合には、例えば、成人1日あたり、好ましくは180〜2500mg、より好ましくは200〜1700mg、さらに好ましくは250〜1000mgの範囲となるように、投与することができる。また、カカオ豆由来ポリフェノールおよびアーモンド由来ポリフェノールを食品として摂取させる場合には、例えば、成人1日あたり、好ましくは180〜2500mg、より好ましくは200〜1700mg、さらに好ましくは250〜1000mgの範囲となるように、投与することができる。
本発明の肌質を改善するための組成物および肌質改善剤は、他の経口摂取できる組成物と併用することに制限はない。例えば、抗炎症・抗アレルギー作用、皮膚角層水分量の改善作用、皮膚ターンオーバーの改善作用、肌の炎症の改善作用および/または肌に関する自覚症状の改善作用が期待できる素材や組成物と併用することで、肌質改善効果をさらに高めることができる。
本発明の肌質を改善するための組成物および肌質改善剤は、肌質の改善に有効な1日分の摂取量のカカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドを含んでなる組成物で提供することができる。なお、当該組成物は、カカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドに、さらにカカオ豆由来ポリフェノールを含んでいてもよい。この場合、肌質を改善するための組成物および肌質改善剤は、1日分の有効摂取量を摂取できるように包装されていてもよく、1日分の有効摂取量が摂取できる限り、包装形態は一包装であっても、複数包装であってもよい。包装形態で提供する場合、1日分の有効摂取量が摂取できるように摂取量に関する記載が包装になされているか、または当該記載がなされた文書を一緒に提供することが望ましい。また、1日分の有効摂取量を複数包装で提供する場合には、摂取の便宜上、一日分の有効摂取量の複数包装をセットで提供することもできる。
本発明の肌質を改善するための組成物および肌質改善剤を提供するための包装形態は一定量を規定する形態であれば特に限定されず、例えば、包装紙、袋、ソフトバック、紙容器、缶、ボトル、カプセル等の収容可能な容器等が挙げられる。
本発明の肌質を改善するための組成物および肌質改善剤は、その効果をよりよく発揮させるために、1週間以上継続的に投与または摂取させることが好ましく、より好ましくは2週間以上、より一層好ましくは3週間以上、さらに好ましくは4週間以上、特に好ましくは8週間以上である。また、本発明の肌質を改善するための組成物および肌質改善剤の継続的摂取期間としては、例えば、好ましくは1〜18週間、より好ましくは2〜16週間、さらに好ましくは4〜12週間、特に好ましくは8〜10週間が挙げられる。ここで、「継続的に」とは、毎日投与または摂取を続けることを意味する。本発明の肌質を改善するための組成物および肌質改善剤を包装形態で提供する場合には、継続的摂取のために一定期間(例えば、1週間)の有効摂取量をセットで提供してもよい。
以下の例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定され
るものではない。
カカオ豆由来ルミナコイド、アーモンド由来ルミナコイド、カカオ豆由来ポリフェノールおよびアーモンド由来ポリフェノールが皮膚に与える影響を検証するために以下の試験を行った。
[試験例1]カカオ豆由来ルミナコイド、アーモンド由来ルミナコイド、カカオ豆由来ポリフェノールによる肌質改善効果の検討(その1)
30歳以上60歳未満の健康な日本人女性で、スクリーニングにより選抜した35名を被験者とし、非盲検群間比較試験を行った。途中で試験を中断した2名を除いて、試験食品摂取群17名、試験食品非摂取群16名の結果が得られた。試験期間中は、食事制限およびその他の制限(食事制限およびその他の制限の詳細は、下記に示す。)を行った。
1次スクリーニングとして、摂取開始14日前(−2W)に、生活習慣アンケート(年齢、疾病履歴、医薬品や健康食品摂取状況、アレルギーの有無、喫煙、飲酒の習慣等の確認)を実施した。また、2次スクリーニングとして、摂取開始7日前(−1W)に、自覚アンケート(整腸および肌に関する自覚症状の調査)、理学的検査(身長、体重、血圧、脈拍数、BMI)、皮膚角層水分量測定、皮膚ターンオーバー評価、血液検査を実施した。空腹時血糖値、空腹時血中中性脂肪値、食習慣(カカオ製品、アーモンド製品等の日常的な摂取状況)等による除外基準に抵触せず(除外基準の詳細は、下記に示す。)、排便回数、BMIの基準を満たした、直近2週間の排便回数が週2回以上4回以下であって、かつBMI:23.0kg/m2以上の35名を選抜した。
<スクリーニングにおける除外基準>
・現在、何らかの慢性疾患を有し、薬物治療を受けている者
・重度の花粉症の症状を有する者
・アトピー性皮膚炎や湿疹等の皮膚疾患の既往歴や合併症を有する者
・被験部位の皮膚状態に顕著な異常がある者
・2次スクリーニング時の空腹時血糖値が126mg/dL以上の者
・2次スクリーニング時の空腹時血中中性脂肪値が150mg/dL以上の者
・カカオ、アーモンド、牛乳、大豆にアレルギーを有する者
・カカオ製品を日常的に多量に摂取している者
・アーモンド製品を日常的に多量に摂取している者
・スクリーニング時に、本試験に影響を及ぼす可能性がある医薬品、医薬部外品、サプリメント、健康食品、特定保健用食品を日常において服用・摂取している者、また、試験中に服用・摂取する予定のある者
・スクリーニング前3ヶ月間において、特別なフェイシャルケア(ケミカルピーリング、レーザー治療等)を実施した者
・スクリーニング前1ヶ月間に、他の臨床試験およびモニター試験に参加した者、あるいは本臨床試験同意後に他の臨床試験に参加する予定のある者
・妊娠している者、試験期間中に妊娠の予定、希望がある者
・授乳中の者
・その他、試験責任医師が被験者として不適当と判断した者
<試験期間中の食事制限およびその他の制限>
被験者には、試験期間中は通常通りの生活を送らせるとともに、次の制限事項を遵守するよう指導した。
・食事は、三食ともに主食、主菜、副菜のバランスの良い食事を摂取する。日常範囲を大きく逸脱する過度な節食や過食は控える。
・飲料の摂取は、緑茶、コーヒー等、摂取量や回数ともに自由とするが、通常摂取している量を超えないようにする。
・間食の摂取は、原則として自由とするが、通常摂取している量を超えないようにする。但し、スクリーニング時から試験終了まで、試験食品以外のカカオ製品(チョコレートやココア等)およびアーモンド製品の摂取は極力控える。
・アルコールの摂取は、原則として制限しないが、これまでのアルコール摂取の程度(量、種類等)を大きく変えることは控える。なお、検査日(1次スクリーニングを除く)前日から検査終了時までは、アルコールの摂取は禁止とする。
・検査日(1次スクリーニングを除く)起床後から検査終了時までは、喫煙は禁止とする。
・本試験に影響を及ぼす可能性がある医薬品(一般用医薬品を含む)、医薬部外品、サプリメント、健康食品および特定保健用食品等は、1次スクリーニング時から試験終了まで新たな服用や摂取を禁止する。具体的には、抗生物質、下剤、便秘薬、整腸剤、漢方処方および生薬を含有する医薬品(便秘や下痢、消化不良を改善する作用を有するもの、一般用医薬品を含む)、医薬部外品、サプリメント、特定保健用食品(トクホ)または健康食品、コラーゲン、セラミド、オリゴ糖、食物繊維、乳酸菌配合の健康食品等が該当する。
・試験期間中、生活日誌は毎日記録する。
・大きな生活の変化は、可能な限り控える。
・化粧品、日焼け止め等の別製品への変更、化粧の方法や頻度の過度な変更等は行わない。
・これまでと同様の紫外線対策を実施し、故意に紫外線にあたる事を控え、スキー、海水浴、日光浴等、日焼けを起こす可能性のある活動は、可能な限り控える。
・これまでと同様のスキンケアを実施し、被験部位への特別なフェイシャルケア(ケミカルピーリング、レーザー治療等)および美容整形手術等は禁止する。
試験例1の被験者背景を表1に示す。
試験例1の試験食品は、市販のカカオ豆由来ルミナコイド、アーモンド由来ルミナコイドおよびカカオ豆由来ポリフェノール含有油脂加工組成物(「アーモンドブラックチョコレート」株式会社明治)を毎日33.6g(油脂加工組成物を8粒)ずつ8週間継続して摂取させた。
上記油脂加工組成物は100gあたり食物繊維を7.0g、難消化性タンパク質を1.7g含んでいることから、被験者が1日に摂取するカカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドの総ルミナコイド量は3.0g(食物繊維2.4g、難消化性タンパク質0.6g)となる。
また、上記油脂加工組成物は100gあたりポリフェノールを1020mg(総ポリフェノール量)含んでいることから、被験者が1日に摂取するカカオ豆由来ポリフェノールは340mgとなる。
上記油脂加工組成物に含まれる食物繊維含有量、難消化性タンパク質含有量、ポリフェノール含有量(総ポリフェノール量)は、下記により算出した。
食物繊維
食物繊維含有量は、酵素−重量法(エーオーエーシーインターナショナルによる公定法)により算出した。具体的には、粉砕した試験食品約1gを採取し、ジエチルエーテルで2回脱脂した後、0.08mol/Lリン酸緩衝液(pH6.0)で50mLとした。次いで、ターマミル(Novozymes社、120L)を0.1mL添加し、沸騰水浴中で30分間振とうしながらインキュベートした。放冷後、0.275mol/L水酸化ナトリウム溶液で当該溶液をpH7.5±0.1に調整し、さらにプロテアーゼ(Sigma社、P−5380)溶液(50mg/mLリン酸緩衝液)を0.1mL添加し、60℃で30分間振とうしながらインキュベートした。放冷後、0.325mol/L塩酸で当該溶液をpH4.3±0.3に調整し、さらにアミログルコシダーゼ(Sigma社、A−9913)を0.1mL添加し、60℃で30分間振とうしながらインキュベートした。当該溶液に60℃で95%エタノール溶液を加えて4倍容とし、室温で1時間静置した。ガラスフィルター(2G2、あらかじめ約1gのセライトろ過層を形成したもの)を用いて当該溶液を吸引ろ過し、残渣を得た。当該残渣を78%エタノール溶液(20mLで3回)、95%エタノール溶液(10mLで2回以上)、アセトン(10mLで2回以上)で洗浄(必要に応じてジエチルエーテル洗浄も追加)し、105℃で1夜乾燥した後、残留物について恒量測定(R1、R2)した。得られた残留物の一部は525℃で5時間灰化し、残留物中の灰分(A)を算出した。得られた残留物の一部はケルダール法(タンパク質定量の公定法、係数6.25)にて、残留物中のタンパク質(P)を算出した。下記の計算式に従い、食物繊維含有量(g/100g)を算出した。
[計算式]
R:残留物の重量[平均値、(R1+R2)/2、mg]
P:残留物中のタンパク質(%)
A:残留物中の灰分(%)
S:試料採取量(平均値、mg)
B:ブランク(mg)
r:ブランク残留物中の重量(平均値、mg)
p:ブランク残留物中のタンパク質(%)
a:ブランク残留物中の灰分(%)
難消化性タンパク質
難消化性タンパク質含有量は、下記の難消化性タンパク質の抽出方法に従い、得られた抽出物中のタンパク質量を難消化性タンパク質含有量として算出した。具体的には、粉砕した試験食品を湯煎にて融解した後、試験食品の5倍量のヘキサンを添加し、3時間撹拌した。当該懸濁液を10,000rpm、4℃で10分間遠心し、沈殿を回収した。当該沈殿を、初発試験食品重量の3倍量のヘキサンに懸濁した後、1時間撹拌した。当該懸濁液を10,000rpm、4℃で10分間遠心し、得られた沈殿を一晩風乾した。当該沈殿をミルサーにて粉砕し、試験パウダーとした。当該パウダーを20倍量の脱イオン水に懸濁し、10分間撹拌した後、水酸化ナトリウム溶液で当該懸濁液をpH12に調整した。次いで、当該懸濁液の撹拌を続けたまま50℃に加温し、50℃に到達したら、水酸化ナトリウム溶液で当該懸濁液をpH12に再度調整した。当該懸濁液の撹拌を続けたまま70℃に加温し、70℃に到達したら30分抽出した。当該懸濁液を10,000rpm、室温で10分間遠心し、上清を回収した。得られた上清にリン酸溶液を添加してpH2.0に調整し、4℃で一晩静置した。当該懸濁液を10,000rpm、室温で10分間遠心し、沈殿を回収した。当該沈殿を、初発試験パウダー重量の5倍量の脱イオン水に懸濁した後、10,000rpm、25℃で10分間遠心し、上清を除去し、沈殿を回収した。当該洗浄は2回実施し、得られた沈殿を80℃で72時間減圧乾燥した。ケルダール法(タンパク質定量の公定法、係数6.25)にて、得られた抽出物中のタンパク質量を算出した。
ポリフェノール
ポリフェノール含有量(総ポリフェノール量)は、プルシアンブルー比色法により測定した。具体的には、粉砕した試験食品をヘキサンで脱脂した後、50%メタノール溶液に懸濁し、80℃に加温し、ポリフェノールを抽出した。当該抽出液について、Martin L. Price and Larry G. Butler, J. Agric Food Chem., Vol. 25, No.6, 1268-1273, 1977に記載の方法に従い、市販の(−)−エピカテキンを標準物質としてポリフェノール含有量を算出した。
摂取開始日を1日目とし、摂取開始14日前(−2W)〜摂取最終日(8W)までの間、生活日誌(試験食品の摂取状況、自覚症状の記録、排便状況(排便回数、便性、便量、排便日数)、肌質状態、性周期、医薬品や健康食品摂取状況等の記録)による記録を行った。また、摂取開始14日前(−2W)に、生活習慣アンケート(年齢、疾病履歴、医薬品や健康食品摂取状況、アレルギーの有無、喫煙、飲酒の習慣等の確認)を実施した。さらに、摂取開始7日前(−1W)、摂取4週間後(4W)および摂取8週間後(8W)に、自覚アンケート(整腸および肌に関する自覚症状の調査)、理学的検査(身長、体重、血圧、脈拍数、BMI)、皮膚角層水分量測定、皮膚ターンオーバー評価、血液検査を実施した。
ここで、皮膚角層水分量は、コルネオメーターにて測定した(頬部)。また、皮膚ターンオーバー評価は、テープストリッピング法(粘着テープによって垢となって剥がれおちる前の最外層の角層部分を剥離し、その状態を測定する方法)によって得られた前腕部の皮膚角層を用い、多重剥離度を算出することによって行った。多重剥離度の測定は、試験試料を、定法によりスライドグラスに転写し、0.5%ブリリアントグリーン・1%ゲンチアナバイオレット水溶液にて染色した。オールインワン蛍光顕微鏡BZ−X710(株式会社キーエンス)を用いて、角層細胞の100倍拡大画像を撮影した。得られた画像より、コルネオサイトメトリー(株式会社CIEL)を用いて多重剥離度の計測を行った。拡大画像より細胞部分面積中における多重剥離部の面積の比率を算出し、多重剥離度とした。また、血液検査は、血清あるいは血漿を用いて一般生化学検査、血中マーカー(血中炎症マーカー:TARC、高感度CRP(C-reactive protein)等、血中糖化マーカー:AGEs(Advanced Glycation End Products)等、骨形成・骨吸収血中マーカー:total P1NP(I型プロコラーゲン-N-プロペプチド)等、血中脳機能マーカー:BDNF(Brain Derived Neurotrophic Factor)等)を測定した。さらに、肌に関する自覚症状は、「非常に悪い」、「普通」、「非常に良い」の項目を目安とし、Visual analogue scale(VAS)によって、スコア化した自覚アンケートを指標にして評価した。
試験例1の多重剥離度(前腕)は、摂取前から8週後までの変化量(Δ8W)を比較したところ、試験食品摂取群の変化量(Δ8W)は、試験食品非摂取群の変化量(Δ8W)に比べ、多重剥離する割合が減る方向への変化が大きい、つまり肌状態の改善度が大きい傾向がみられた(図1)。この結果から、試験食品に皮膚ターンオーバーを改善する効果、すなわち肌質を改善する効果があることが示唆された。
試験例1の血中マーカーのうち、血中TARC濃度は、試験食品非摂取群において摂取前(−1W)から摂取8週間後(8W)にかけて血中TARC濃度が低下した人数に比べ、試験食品摂取群において摂取前(−1W)から摂取8週間後(8W)にかけて血中TARC濃度が低下した人数が多かった(図2)。この結果から、試験食品に肌の炎症を改善する効果、すなわち肌質を改善する効果があることが示唆された。
試験例1の自覚アンケートのうち、肌の調子のアンケート(VAS)は、摂取前から8週後までの変化量(Δ8W)を比較したところ、試験食品摂取群の変化量(Δ8W)は、試験食品非摂取群の変化量(Δ8W)に比べ、「肌の調子がよい」と回答する方向への変化が大きい、つまり自覚症状の改善度が大きい傾向がみられた(図3)。この結果から、試験食品に肌に関する自覚症状を改善する効果、すなわち肌質を改善する効果があることが示唆された。
図1〜図3の結果から、カカオ豆由来ルミナコイド、アーモンド由来ルミナコイドおよびカカオ豆由来ポリフェノールを含有する、カカオマスおよびアーモンドを含んでなる組成物に、皮膚ターンオーバーの改善、肌の炎症の改善、肌に関する自覚症状の改善、すなわち肌質改善効果を有することが示された。
試験例1の排便回数(回/週)は、試験食品非摂取群では有意な変化はみられなかった。これに対し、試験食品摂取群では、排便回数を1週ごとに集計したところ、摂取前1週間の排便回数の平均が3.7回だったのに対し、摂取開始後1週間で5.6回となっており、摂取開始後1週間で有意に増加していた(危険率p=0.011)。また、摂取8週後においても排便回数が増加したままであったことから、この効果は一過性のものではなく、持続性のものであることも明らかになった。さらに摂取群では、摂取前2週間の平均排便回数が3.9回だったのに対し、摂取0〜4週間の平均排便回数(0−4W)は5.9回、摂取4〜8週間の平均排便回数(4−8W)は6.0回と有意に増加していた(それぞれ危険率p<0.05)。これに対し、非摂取群では摂取前平均排便回数、摂取0〜4週間の平均排便回数摂取4〜8週間のいずれにも有意な変化はみられなかった(図4)。
試験例1の排便日数(日/週)は、試験食品非摂取群では有意な変化はみられなかった。これに対し、試験食品摂取群では、摂取前2週間の平均排便日数が3.4回だったのに対し、摂取0〜4週間の平均排便日数(0−4W)、摂取4〜8週間の平均排便日数(4−8W)とも4.8回と有意に増加していた(それぞれ危険率p<0.05)(図5)。
図4、図5の結果から、カカオ豆由来ルミナコイド、アーモンド由来ルミナコイドおよびカカオ豆由来ポリフェノールを含有する、カカオマスおよびアーモンドを含んでなる組成物の摂取により、排便の回数、日数を増加させ、便通を改善することが確認された。
[試験例2]カカオ豆由来ルミナコイド、アーモンド由来ルミナコイド、カカオ豆由来ポリフェノールによる肌質改善効果の検討(その2)
25歳以上50歳未満の女性で、スクリーニングにより選抜した83名を被験者とし、単盲検(評価者盲検)並行群間比較試験を行った。途中で試験を中断した12名を除いて、試験食品摂取群36名、試験食品非摂取群35名の結果が得られた。試験期間中は、試験例1と同様の食事制限およびその他の制限を行った。
スクリーニングとして、摂取開始前に、生活習慣アンケート(年齢、疾病履歴、医薬品や健康食品摂取状況、アレルギーの有無、直近2週間の排便状況、皮膚乾燥の自覚、喫煙、飲酒の習慣等の確認)、理学的検査(身長、体重、BMI)、皮膚科専門医による皮膚の乾燥状態評価、皮膚角層水分量測定を実施した。食習慣(カカオ製品、ナッツ類等の日常的な摂取状況)等による除外基準に抵触せず(除外基準の詳細は、下記に示す。)、直近2週間の排便回数が週2回以上4回以下であって、かつ皮膚の乾燥の自覚がある83名を選抜した。
<スクリーニングにおける除外基準>
・現在、何らかの慢性疾患を有し、薬物治療を受けている者
・重度の花粉症の症状を有する者
・被験部位の皮膚状態に顕著な異常がある者
・カカオ、アーモンド、牛乳、小麦、卵、大豆にアレルギーを有する者
・カカオ製品、ナッツ類を日常的に多量に摂取している者
・スクリーニング前3ヶ月間に、本試験に影響を及ぼす可能性がある医薬品、医薬部外品、サプリメント、健康食品、特定保健用食品を日常において服用・摂取していた者、また、試験中に服用・摂取する予定のある者
・特別なフェイシャルケア(美顔器、エステティック、ピーリング、レーザー治療等)を実施している者
・スクリーニング前1ヶ月間に、他の臨床試験およびモニター試験に参加した者
・妊娠している者、試験期間中に妊娠の予定、希望がある者
・授乳中の者
・その他、試験責任医師が被験者として不適当と判断した者
試験例2の被験者背景を表2に示す。
試験例2の試験食品は、市販のカカオ豆由来ルミナコイド、アーモンド由来ルミナコイドおよびカカオ豆由来ポリフェノール含有油脂加工組成物(「アーモンドチョコレートカカオ70%」株式会社明治)を毎日30.4g(油脂加工組成物を8粒)ずつ8週間継続して摂取させた。
油脂加工組成物は100gあたり食物繊維を12.6g、難消化性タンパク質を1.9g含んでいることから、被験者が1日に摂取するカカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドの総ルミナコイド量は4.4g(食物繊維3.8g、難消化性タンパク質0.6g)となる。
また、上記油脂加工組成物は100gあたりポリフェノールを1300mg(総ポリフェノール量)含んでいることから、被験者が1日に摂取するカカオ豆由来ポリフェノールは390mgとなる。
上記油脂加工組成物に含まれる食物繊維含有量、難消化性タンパク質含有量、ポリフェノール含有量(総ポリフェノール量)は、試験例1と同様に算出した。
摂取開始日を1日目(0W)とし、摂取開始14日前(−2W)〜摂取最終日(8W)までの間、生活日誌(試験食品の摂取状況、自覚症状、排便状況(排便回数、便性、便量)、性周期、医薬品や健康食品摂取状況等の記録)による記録を行った。また、摂取開始日(0W)、摂取4週間後(4W)および摂取8週間後(8W)に、自覚アンケート(整腸および肌に関する自覚症状の調査)、理学的検査(体重)、皮膚科専門医による皮膚の乾燥状態評価、皮膚角層水分量測定、皮膚経表皮水分蒸散量測定、皮膚ターンオーバー評価、血液検査を実施した。
皮膚角層水分量の測定、皮膚ターンオーバー評価、血液検査、肌に関する自覚症状の評価は、試験例1と同様に行った。さらに、皮膚経表皮水分蒸散量は、テヴァメーターにて測定した(頬部)。
試験例2の自覚アンケートのうち、肌の調子のアンケート(VAS法による肌状態の自覚症状の評価)は、摂取開始日(0W)、摂取4週間後(4W)、摂取8週間後(8W)を比較したところ、試験食品非摂取群では有意な変化はみられなかった(図6)。これに対し、摂取群では、摂取4週間後(4W)も摂取8週後(8W)も、摂取開始日(0W)に対して肌状態の自覚症状が有意に「肌の調子がよい」と回答する方向に改善していた(それぞれ危険率p<0.05)。さらに、試験食品摂取群では、摂取4週間後(4W)も摂取8週後(8W)も、非摂取群に対して肌状態の自覚症状が有意に「肌の調子がよい」と回答する方向に改善していた(それぞれ危険率p<0.05)。この結果から、試験食品に肌に関する自覚症状を改善する効果、すなわち肌質を改善する効果があることが示された。
試験例2の皮膚経表皮水分蒸散量、皮膚角層水分量は、摂取開始日(0W)において乾燥肌(皮膚角層水分量が50AU以下)の被験者を対象とした層別解析を行った(皮膚角層水分量が60AU以上を普通肌:、50〜60AUが乾燥肌、50AU以下が超乾燥肌といわれている)。経表皮水分蒸散量については、試験食品摂取群、非摂取群とも、摂取8週間後(8W)は摂取開始日(0W)に対して有意に減少し(図7)、肌のバリア機能が改善していた(それぞれ危険率p<0.05)。角層水分量については、試験食品非摂取群では有意な変化はみられなかったのに対し、摂取群の摂取8週後(8W)では摂取開始日(0W)に対して有意に増加し(図8)、肌の乾燥状態が改善していた(危険率p<0.05)。これらの結果から、試験食品に肌の乾燥状態を改善する効果、すなわち肌質を改善する効果があることが示された。
図6〜図8の結果から、カカオ豆由来ルミナコイド、アーモンド由来ルミナコイドおよびカカオ豆由来ポリフェノールを含有する、カカオマスおよびアーモンドを含んでなる組成物に、皮膚ターンオーバーの改善、肌の炎症の改善、肌に関する自覚症状の改善、すなわち肌質改善効果を有することが示された。
試験例2の排便回数(回/週)は、試験食品摂取群において、摂取前に対して摂取開始後1週間から有意に増加しただけでなく(図9)、摂取開始後1〜8週間にわたり有意に増加したままであったことから(危険率p<0.05)、この効果は一過性のものではなく、持続性のものであることが明らかになった。さらに、試験食品摂取群の排便回数の変化量(Δ回/週)は、摂取開始後1〜8週間にわたり、非摂取群の排便回数の変化量に対して有意に多かった(危険率p<0.05)。
試験例2の排便日数(日/週)は、試験食品摂取群において、摂取前に対して摂取開始後1週間から有意に増加しただけでなく(図10)、摂取開始後1〜8週間にわたり有意に増加したままであった(危険率p<0.05)。また、試験食品摂取群の排便日数の変化量(Δ日/週)は、摂取開始後1〜8週間にわたり、非摂取群の排便日数の変化量に対して有意に多かった(危険率p<0.05)。
試験例2の便量の変化は、生活日誌の記録(市販のMサイズ卵の大きさを目安とした記録)を指標にして評価した。試験食品摂取群の便量は、摂取前に対して摂取開始後1週間から有意に増加しただけでなく(図11)、摂取開始後1〜8週間にわたり有意に増加したままであった(危険率p<0.05)。また、試験食品摂取群の便量の変化量(Δ卵個数相当/週について摂取前を1とした変化量比)は、摂取開始後1〜8週間にわたり、非摂取群の便量の変化量に対して有意に多かった(危険率p<0.05)。
試験例2の自覚アンケートのうち、整腸に関する自覚症状は、「非常に悪い」、「非常に良い」の項目を目安とし、Visual analogue scale(VAS)によって、スコア化した自覚アンケートを指標にして評価した。お腹の調子のアンケート(VAS法による胃腸状態の自覚症状の評価)は、摂取開始日(0W)、摂取4週間後(4W)、摂取8週間後(8W)を比較したところ、試験食品非摂取群では有意な変化はみられなかった(図12)。これに対し、摂取群では、摂取4週間後(4W)も摂取8週後(8W)も、摂取開始日(0W)に対して胃腸状態の自覚症状が有意に「お腹の調子が非常に良い」と回答する方向に改善していた(それぞれ危険率p<0.05)。さらに、試験食品摂取群では、摂取4週間後(4W)も摂取8週後(8W)も、非摂取群に対して胃腸状態の自覚症状が有意に「お腹の調子が非常に良い」と回答する方向に改善していた(それぞれ危険率p<0.05)。
図9〜図12の結果から、カカオ豆由来ルミナコイド、アーモンド由来ルミナコイドおよびカカオ豆由来ポリフェノールを含有する、カカオマスおよびアーモンドを含んでなる組成物の摂取により、排便の回数、日数、便量を増加させ、便通の改善、整腸に関する自覚症状の改善をすることが確認された。