JP2018098921A - 誘導電動機の制御システム - Google Patents

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Abstract

【課題】制御性能を低下させることなく、オンラインで誘導電動機の等価回路パラメータの周波数特性を推定することのできるシステムを提供する。【解決手段】振動信号印加器44は、電流制御器16から出力されるトルク電圧基準Vq_refに、振動信号Vprtを印加する。すべり周波数演算器28は、すべり周波数演算器30から出力されたすべり周波数ωs_ref1と、振動信号の周波数ωprtとから、すべり周波数ωs_refを演算する。等価回路パラメータ演算器46は、振動信号印加器44によってトルク電圧基準Vq_refに振動信号Vprtを印加する場合において、3相2相変換器24から出力された1次電流Iq1_fbk、2次電流Iq2_fbkおよび1次鎖交磁束φq1_fbkを用いて、誘導電動機34の等価回路のパラメータを演算する。【選択図】図1

Description

本発明は、誘導電動機の制御システムに関し、より詳しくは、誘導電動機の等価回路パラメータをオンラインで推定するシステム、および、推定した等価回路パラメータの経年変化を測定することによる、誘導電動機の故障または経年変化による異常を検出するシステムに関するものである。
誘導電動機は、交流電流の印加によって回転磁界を発生させる固定子と、回転磁界によって誘導電流を発生させる回転子と、を備えており、回転磁界と誘導電流の間に生じる電磁力によって回転子が駆動される。
図10は、誘導電動機の等価回路を示した図である。図10において、Rは誘導電動機の1次抵抗を表し、Lは誘導電動機の1次インダクタンスを表し、Mはモータの相互インダクタンスを表し、Rは誘導電動機の2次抵抗を表し、Lは誘導電動機の2次インダクタンスを表している。また、Vは誘導電動機の入力電圧を表している。
1次インダクタンスL、2次インダクタンスL、相互インダクタンスMといった等価回路パラメータは、JEC2137に規定される通り、無負荷試験と拘束試験により、オフラインの試験結果から同定される。等価回路パラメータは、運転中の温度上昇、経年劣化による摩耗、形状変化による影響で変化する。つまり、等価回路パラメータの変化を測定することで、誘導電動機の故障や経年変化による異常を検出することができる。
誘導電動機の異常の検出に当たり、対地間、ターン間、相間の浮遊容量、表皮効果、近接効果による高周波抵抗の増加、および鉄損(渦電流損、ヒステリシス損)などの周波数依存のある特性を表現するには、図10に示した等価回路パラメータを周波数依存のある形で表現する必要がある。しかしながら、前述のオフラインの同定試験では、等価回路パラメータを周波数依存のある関数として表現することができない。
オンラインで等価回路パラメータを測定、あるいは推定するシステムとして、特開2014−531593号公報(特許文献1)には、可変速制御装置の2次側に、電流、電圧等のアナログ信号を測定する測定装置を別途設けて、測定信号により誘導電動機の診断を行う、診断システムが提案されている。しかしながら、特許文献1の診断システムでは、誘導電動機の駆動装置に加えて、別途診断装置を設ける必要がある。
また、特開2013−42631号公報(特許文献2)には、永久磁石同期電動機の等価回路パラメータとして、自己インダクタンスを、d軸電流、およびq軸電流の推定値と実測値を零とするように推定する状態推定オブザーバによるパラメータ推定手法が記載されている。しかしながら、特許文献2のパラメータ推定手法は、実測値に基づいて等価回路パラメータを推定するものである。そのため、実際に使用する周波数(電動機回転数、あるいは電動機に入力される電圧または電流の周波数成分近傍の周波数帯域成分)の等価回路パラメータの挙動推定は可能であるが、実際に使用する周波数から大きく外れた周波数帯の等価回路パラメータの挙動推定は、バックグラウンドノイズ等の影響で困難となる可能性が高い。
等価回路パラメータの推定とは異なるが、特開2008−86129号公報(特許文献3)には、永久磁石電動機の位置推定方法として、電動機の入力に、様々な周波数の信号をランダムに有するホワイトノイズを重畳した位置推定方法が紹介されている。特許文献2の位置推定方法によれば、入力信号に様々な周波数信号を有する信号を入力することで、電動機の回転方向ないし、等価回路パラメータを推定することは可能である。しかしながら、単純に電動機入力に、制御に関係ない信号を単純に印加する方法では、該信号が外乱となり、本来の電動機制御を劣化させる。
特開2014−531593号公報 特開2013−42631号公報 特開2008−86129号公報
前述の通り、等価回路パラメータの従来の推定手法は、オフライン試験による同定によるもの、または、オンラインであっても別途推定装置を設ける必要があるもの、または、オンラインであっても入力信号にホワイトノイズを重畳することで、電動機の速度制御、電流制御に影響を及ぼすものでしかなかった。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、制御性能を低下させることなく、オンラインで誘導電動機の等価回路パラメータの周波数特性を推定することのできるシステムを提供することにある。本発明の別の目的は、推定した等価回路パラメータの経年変化を測定することによる、誘導電動機の故障または経年変化を検出することのできるシステムを提供することにある。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、誘導電動機の制御システムであって、
誘導電動機が発生すべきトルク基準と、界磁基準とに基づいて、前記誘導電動機の直交座標系での電流基準を演算する電流基準演算器と、
前記電流基準演算器から出力される前記誘導電動機の直交座標系での電流基準と、実電流基準との偏差が零となるように、前記誘導電動機に入力する直交座標系での電圧基準を調整する電流制御器と、
前記電流制御器から出力される電圧基準の直交座標系の表現を、3相座標系の表現に変換する2相3相変換器と、
前記2相3相変換器から出力される3相座標系での電圧基準に基づいて、前記誘導電動機のスイッチングを行うスイッチング素子と、
前記スイッチング素子から出力される前記誘導電動機の1次電流の3相座標系の表現、前記誘導電動機から出力される前記誘導電動機の2次電流の3相座標系の表現、および、前記誘導電動機から出力される前記誘導電動機の1次鎖交磁束または2次鎖交磁束の3相座標系の表現を、それぞれ直交座標系の表現に変換する3相2相変換器と、
前記電流制御器から出力される直交座標系での電圧基準に、振動信号を印加する振動信号印加器と、
誘導電動機において成立する1次電流、2次電流および1次鎖交磁束と、等価回路パラメータとの関係を規定した第1演算式に、前記振動信号印加器からの振動信号の印加時に測定されて前記3相2相変換器から出力される1次電流、2次電流および1次鎖交磁束を適用し、または、誘導電動機において成立する1次電流、2次電流および2次鎖交磁束と、等価回路パラメータとの関係を規定した第2演算式に、前記振動信号印加器からの振動信号の印加時に測定されて前記3相2相変換器から出力される1次電流、2次電流および2次鎖交磁束を適用し、前記誘導電動機の等価回路パラメータを演算する等価回路パラメータ演算器と、
前記電流基準演算器に入力される界磁基準と、前記電流基準演算器から出力される前記誘導電動機の直交座標系での電流基準と、に基づいて、前記誘導電動機の第1すべり周波数を演算する第1すべり周波数演算器と、
前記第1すべり周波数演算器から出力される第1すべり周波数を、前記振動信号印加器からの振動信号の周波数の分だけ変更した第2すべり周波数を演算する第2すべり周波数演算器と、
前記第2すべり周波数演算器から出力される第2すべり周波数と、前記誘導電動機の実回転速度とに基づいて、前記2相3相変換器と前記3相2相変換器に入力する回転磁界の回転角を演算する回転角演算器と、
を備えることを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明において、
前記3相2相変換器は、前記スイッチング素子から出力される前記誘導電動機の1次電流の3相座標系の表現と、前記誘導電動機から出力される前記誘導電動機の1次鎖交磁束の表現とを、少なくとも直交座標系の表現に変換し、
誘導電動機が発生すべきトルク基準と、前記3相2相変換器から出力された1次電流および1次鎖交磁束と、に基づいて、前記第1すべり周波数演算器から出力される第1すべり周波数を補正する係数を演算し、前記第2すべり周波数演算器に出力する補正係数演算器を更に備えることを特徴とする。
第3の発明は、第1または第2の発明において、
前記等価回路パラメータ演算器から出力される等価回路パラメータを用いて、前記誘導電動機の異常を検出する異常検出器を更に備えることを特徴とする。
第4の発明は、第1乃至第3の発明の何れかにおいて、
前記等価回路パラメータ演算器は、前記誘導電動機の1次インダクタンスまたは相互インダクタンスを等価回路パラメータとして演算し、
前記等価回路パラメータ演算器は、前記第1演算式に、前記誘導電動機の1次インダクタンスおよび相互インダクタンスのうちの既知パラメータと、前記3相2相変換器から出力された1次電流、2次電流および1次鎖交磁束と、を適用して、前記誘導電動機の1次インダクタンスおよび相互インダクタンスのうちの未知パラメータを演算することを特徴とする。
第5の発明は、第4の発明において、
前記等価回路パラメータ演算器は、前記第1演算式を用いて未知パラメータとしての前記誘導電動機の相互インダクタンスを演算した場合には、演算した前記誘導電動機の相互インダクタンスを前記第2演算式に適用して、前記誘導電動機の2次インダクタンスを演算することを特徴とする。
第6の発明は、第1乃至第3の発明の何れかにおいて、
前記等価回路パラメータ演算器は、前記誘導電動機の2次インダクタンスまたは相互インダクタンスを等価回路パラメータとして演算し、
前記等価回路パラメータ演算器は、前記第2演算式に、前記誘導電動機の2次インダクタンスおよび相互インダクタンスのうちの既知パラメータと、前記3相2相変換器から出力された1次電流、2次電流および2次鎖交磁束と、を適用して、前記誘導電動機の2次インダクタンスおよび相互インダクタンスのうちの未知パラメータを演算することを特徴とする。
第7の発明は、第6の発明において、
前記等価回路パラメータ演算器は、前記第2演算式を用いて未知パラメータとしての前記誘導電動機の相互インダクタンスを演算した場合には、演算した前記誘導電動機の相互インダクタンスを前記第1演算式に適用して、前記誘導電動機の1次インダクタンスを演算することを特徴とする。
本発明に係る制御システムによれば、等価回路パラメータ演算器によって、誘導電動機の等価回路パラメータを演算することができる。この等価回路パラメータは、振動信号印加器からの振動信号の印加時に測定されて3相2相変換器から出力される1次電流、2次電流および1次鎖交磁束と第1演算式とから演算され、または、振動信号印加器からの振動信号の印加時に測定されて3相2相変換器から出力される1次電流、2次電流および2次鎖交磁束と第2演算式とから演算されるパラメータである。従って、オンラインで誘導電動機の等価回路パラメータの周波数特性を推定することができる。
加えて、本発明に係る制御システムによれば、第2すべり周波数演算器によって、振動信号印加器からの振動信号の周波数の分だけ第1すべり周波数を変更することもできる。そのため、振動信号印加器から振動信号を印加する場合においても、誘導電動機が発生するトルクを一定に保つことができる。以上のことから、本発明に係る制御システムによれば、誘導電動機の制御性能を低下させることなく、オンラインで誘導電動機の等価回路パラメータの周波数特性を推定することができる。
また、本発明に係る制御システムによれば、異常検出器によって、誘導電動機の故障または経年変化を検出することができる。
本発明の実施の形態1に係る誘導電動機の制御システムの構成例を示す図である。 誘導電動機における、電動機回転速度ωm_fbkと、電動機発生トルクTfbkとの関係の一例を示した図である。 本発明の実施の形態1に係る誘導電動機の制御システムの他の構成例を示す図である。 本発明の実施の形態3に係る誘導電動機の制御システムの構成例を示す図である。 本発明の実施の形態3に係る誘導電動機の制御システムの他の構成例を示す図である。 本発明の実施の形態5に係る誘導電動機の制御システムの構成例を示す図である。 本発明の実施の形態7に係る誘導電動機の制御システムの構成例を示す図である。 本発明の実施の形態8に係る誘導電動機の制御システムの構成例を示す図である。 振動信号の周波数ωprtと等価回路パラメータの関係の一例を示した図である。 誘導電動機の等価回路を示した図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に示す実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数にこの発明が限定されるものではない。また、以下に示す実施の形態において説明する構造やステップ等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、この発明に必ずしも必須のものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る誘導電動機の制御システムの構成例を示す図である。図1に示す制御システム10は、固定子と回転子を備える誘導電動機(IM)34を制御対象とするシステムである。制御システム10は、速度制御器(ASR)12と、電流基準演算器(T,φ/I,I)14と、電流制御器(ACR)16と、2相3相変換器(dq/uvw)18と、PWM方式スイッチングパルス発生装置(PWM)20と、スイッチング素子22と、3相2相変換器(dq/uvw)24と、積分器26と、すべり周波数演算器(SFC2)28と、すべり周波数演算器(SFC1)30と、回転速度センサ(SD)36と、電流センサ(CD)38,40と、磁束センサ(FD)42と、振動信号印加器44と、等価回路パラメータ演算器(ECPC)46と、を備えている。
速度制御器12は、外部から与えられる速度基準ωm_refと、誘導電動機34または誘導電動機34により駆動される機械に取付けられた回転速度センサ36により実測された電動機回転速度ωm_fbkとの差に応じて、誘導電動機34が発生すべきトルク基準Trefを演算し、電流基準演算器14に出力するように構成されている。
電流基準演算器14は、速度制御器12から出力されたトルク基準Trefと、システム内部にて任意に設定された界磁基準φrefとから、誘導電動機34の磁化電流基準Id1_refとトルク電流基準Iq1_refを算出し、電流制御器16に出力するように構成されている。電流基準演算器14は、算出したトルク電流基準Iq1_refをすべり周波数演算器28に出力するようにも構成されている。
電流制御器16は、電流基準演算器14から出力された磁化電流基準Id1_refと、3相2相変換器24から出力された磁化電流Id1_fbkとの差分を零とし、尚且つ、電流基準演算器14から出力されたトルク電流基準Iq1_refと、3相2相変換器24から出力されたトルク電流Iq1_fbkとの差分を零とするように、誘導電動機34に印加する電圧基準(Vd_ref、Vq_ref)を調整するように構成されている。電流制御器16は、調整した電圧基準(Vd_ref、Vq_ref)を2相3相変換器18に出力するようにも構成されている。
2相3相変換器18は、電流制御器16から出力された電圧基準(Vd_ref、Vq_ref)を、直交座標系の表現から3相座標系の表現に変換し、PWM方式スイッチングパルス発生装置20に出力するように構成されている。
PWM方式スイッチングパルス発生装置20は、2相3相変換器18から出力された電圧基準(Vu_ref、Vv_ref、Vw_ref)に基づいて、例えば三角波比較PWM制御方式によりスイッチング素子22のスイッチングを行うためのスイッチングパルスを発生し、スイッチング素子22に供給するように構成されている。
スイッチング素子22は、PWM方式スイッチングパルス発生装置20から供給されたスイッチングパルスに基づいてスイッチングを行い、誘導電動機34に電圧を印加するように構成されている。
3相2相変換器24は、誘導電動機34の固定子側に取付けられた電流センサ38により実測された1次電流(Iu1_fbk、Iv1_fbk、Iw1_fbk)を、3相座標系の表現から直交座標系の表現に変換し、等価回路パラメータ演算器46に出力するように構成されている。3相2相変換器24で変換された1次電流(Id1_fbk、Iq1_fbk)は、電流制御器16での電圧基準(Vd_ref、Vq_ref)の調整に用いられる。
3相2相変換器24は、誘導電動機34の回転子側に取付けられた電流センサ40により実測された2次電流(Iu2_fbk、Iv2_fbk、Iw2_fbk)を、3相座標系の表現から直交座標系の表現に変換し、等価回路パラメータ演算器46に出力するようにも構成されている。
3相2相変換器24は、誘導電動機34の固定子側に取付けられた磁束センサ42により実測された1次鎖交磁束(φu1_fbk、φv1_fbk、φw1_fbk)を、3相座標系の表現から直交座標系の表現に変換し、等価回路パラメータ演算器46に出力するようにも構成されている。
積分器26は、2相3相変換器18における電圧基準の直交座標系の表現から3相座標系の表現への変換と、3相2相変換器24における1次電流、2次電流および1次鎖交磁束の3相座標系の表現から直交座標系の表現への変換に必要となる、誘導電動機34の回転磁界の回転角θを算出するように構成されている。積分器26において、回転角θは、すべり周波数演算器28から出力されたすべり周波数ωs_refと、回転速度センサ36により実測された電動機回転速度ωm_fbkの和を積分することで算出される。
すべり周波数演算器30は、電流基準演算器14から出力されたトルク電流基準Iq1_refと、界磁基準φrefとから、すべり周波数ωs_ref1を演算し、すべり周波数演算器28に出力するように構成されている。
すべり周波数演算器28は、すべり周波数演算器30から出力されたすべり周波数ωs_ref1と、振動信号の周波数ωprtとから、すべり周波数ωs_refを演算し、積分器26に出力するように構成されている。
すべり周波数演算器28の構成に関連して、振動信号印加器44の構成について説明する。振動信号印加器44は、等価回路パラメータ演算器46において、誘導電動機34の等価回路パラメータの周波数特性を推定するために設けられている。振動信号印加器44は、電流制御器16から出力されるトルク電圧基準Vq_refに、振動信号Vprtを印加するように構成されている。振動信号Vprtは、下記式(1)により表現される。
Figure 2018098921
なお、上記式(1)において、Vprt0は、測定ノイズと判別できるように任意に調整可能なパラメータであり、ωprtは振動周波数である。
但し、トルク電圧基準Vq_refに振動信号Vprtを印加すると、誘導電動機が発生するトルクTfbkに変化が生じることになる。図2は、誘導電動機における、電動機回転速度ωm_fbkと、電動機発生トルクTfbkとの関係の一例を示した図である。図2に示す実線を基準とすると、誘導電動機に印加する電圧が高い場合(一点鎖線)、および、誘導電動機に印加する電圧が低い場合(破線)の何れにおいても、基準の場合(実線)との間で電動機発生トルクTfbkに差が生じることになる。
ここで、電動機回転速度ωは、回転磁界の周波数ωとすべり周波数ωを用いて下記式(2)のように表される。
Figure 2018098921
従って、上記式(2)の関係によれば、トルク電圧基準Vq_refに振動信号Vprtを印加する場合に、すべり周波数ωを然るべく変化させれば、電動機発生トルクTfbkと電動機回転速度ωm_fbkが一定となることが分かる。
そこで、本実施の形態1では、すべり周波数演算器28から積分器26に出力されるすべり周波数ωs_refを、下記式(3)で表現する。下記式(3)を用いてすべり周波数ωs_ref1を変化させれば、トルク電圧基準Vq_refに振動信号Vprtを印加した場合においても、誘導電動機34が発生するトルクTfbkが一定に保たれることになる。
Figure 2018098921
なお、上記式(3)におけるKprtは定数である。
等価回路パラメータ演算器46は、振動信号印加器44によってトルク電圧基準Vq_refに振動信号Vprtを印加する場合において、3相2相変換器24から出力された1次電流Iq1_fbk、2次電流Iq2_fbkおよび1次鎖交磁束φq1_fbkを、下記式(4)に代入して、等価回路の相互インダクタンスMを演算するように構成されている。
Figure 2018098921
なお、上記式(4)におけるL1_simは、オフラインの試験またはシミュレーションによって同定した1次インダクタンスLの値である。
因みに上記式(4)は、等価回路の相互インダクタンスMおよび1次インダクタンスLと、1次電流Iq1、2次電流Iq2および1次鎖交磁束φq1との関係を表した下記式(5)に基づいている。
Figure 2018098921
以上説明した本実施の形態1に係る制御システムによれば、等価回路パラメータ演算器46によって、誘導電動機34の等価回路の相互インダクタンスMの周波数特性を推定することができる。また、本実施の形態1に係る制御システムによれば、すべり周波数演算器28によって、トルク電圧基準Vq_refに振動信号Vprtを印加する場合においても誘導電動機34が発生するトルクTfbkを一定に保つこともできる。故に、本実施の形態1に係る制御システムによれば、誘導電動機34の制御性能を低下させることなく、オンラインで相互インダクタンスMの周波数特性を推定することができる。
ところで、上記実施の形態1においては、電流制御器16から出力されるトルク電圧基準Vq_refに、振動信号Vprtを印加した。しかし、電流制御器16から出力されるトルク電圧基準Vq_refの代わりに、電流制御器16から出力される磁化電圧基準Vd_refに、振動信号Vprtを印加してもよい。この場合のシステム構成について、図3を参照しながら説明する。
図3は、本発明の実施の形態1に係る誘導電動機の制御システムの他の構成例を示す図である。図3に示す制御システム50では、すべり周波数演算器(SFC1)52が、電流基準演算器14から出力された磁化電流基準Id1_refと、界磁基準φrefとから、すべり周波数ωs_ref1を演算し、すべり周波数演算器28に出力するように構成されている。また、制御システム50では、振動信号印加器54が、電流制御器16から出力される磁化電圧基準Vd_refに、振動信号Vprtを印加するように構成されている。
また、図3に示す制御システム50では、等価回路パラメータ演算器(ECPC)56が、3相2相変換器24から出力された1次電流Id1_fbk、2次電流Id2_fbkおよび1次鎖交磁束φd1_fbkを、下記式(6)に代入して、等価回路の相互インダクタンスMを演算するように構成されている。
Figure 2018098921
なお、上記式(6)におけるL1_simは、オフラインの試験またはシミュレーションによって同定した1次インダクタンスLの値である。
以上のことから、電流制御器16から出力される磁化電圧基準Vd_refに振動信号Vprtを印加した場合であっても、誘導電動機34の等価回路の相互インダクタンスMの周波数特性を推定することができる。
因みに上記式(6)は、等価回路の相互インダクタンスMおよび1次インダクタンスLと、1次電流Id1、2次電流Id2および1次鎖交磁束φd1との関係を表した下記式(7)に基づいている。
Figure 2018098921
なお、上述した実施の形態1においては、すべり周波数演算器30またはすべり周波数演算器52が上記第1の発明の「第1すべり周波数演算器」に、すべり周波数演算器28が同発明の「第2すべり周波数演算器」に、積分器26が同発明の「回転角演算器」に、上記式(5)または上記式(7)が同発明の「第1演算式」に、それぞれ相当している。
実施の形態2.
本発明の実施の形態2に係る誘導電動機の制御システムは、図1に示した制御システム10の構成例を基本とし、等価回路の相互インダクタンスMの周波数特性の代わりに、等価回路の1次インダクタンスLの周波数特性を推定することを特徴とする。そのため、以下では、本実施の形態2の特徴部分に関連した説明を、図1を参照しながら行う。
本実施の形態2に係る制御システムでは、図1に示した等価回路パラメータ演算器46が、振動信号印加器44によってトルク電圧基準Vq_refに振動信号Vprtを印加する場合に、3相2相変換器24から出力された1次電流Iq1_fbk、2次電流Iq2_fbkおよび1次鎖交磁束φq1_fbkを、下記式(8)に代入して、等価回路の1次インダクタンスLを演算するように構成されている。
Figure 2018098921
なお、上記式(8)におけるMsimは、オフラインの試験またはシミュレーションによって同定した相互インダクタンスMの値である。因みに上記式(8)は、上記実施の形態1で述べた上記式(5)に基づいている。
以上説明した本実施の形態2に係る制御システムによれば、トルク電圧基準Vq_refに振動信号Vprtを印加した際に実測される1次電流Iq1_fbk、2次電流Iq2_fbkおよび1次鎖交磁束φq1_fbkから、誘導電動機34の等価回路の1次インダクタンスLの周波数特性を推定することができる。また、本実施の形態2に係る制御システムは、図1に示した制御システム10の構成例を基本とすることから、上記実施の形態1に係る制御システムと同様の効果を得ることもできる。即ち、トルク電圧基準Vq_refに振動信号Vprtを印加する場合において、誘導電動機34が発生するトルクTfbkを一定に保つこともできる。故に、本実施の形態2に係る制御システムによれば、誘導電動機34の制御性能を低下させることなく、オンラインで1次インダクタンスLの周波数特性を推定することができる。
ところで、上記実施の形態2においては、図1に示した制御システム10の構成例を基本とし、電流制御器16から出力されるトルク電圧基準Vq_refに、振動信号Vprtを印加するように振動信号印加器44を構成した。しかし、図1に示した制御システム10の構成例の代わりに、図3に示した制御システム50の構成例を基本としてもよい。図3に示した制御システム50を基本とする場合は、等価回路パラメータ演算器56が、3相2相変換器24から出力された1次電流Id1_fbk、2次電流Id2_fbkおよび1次鎖交磁束φd1_fbkを、下記式(9)に代入して、等価回路の1次インダクタンスLを演算するように構成すればよい。
Figure 2018098921
なお、上記式(9)におけるMsimは、オフラインの試験またはシミュレーションによって同定した相互インダクタンスMの値である。因みに上記式(9)は、上記実施の形態1で述べた上記式(7)に基づいている。
実施の形態3.
本発明の実施の形態3に係る誘導電動機の制御システムは、図1に示した制御システム10の構成例を基本とし、等価回路の2次インダクタンスLの周波数特性を推定することを特徴とする。そのため、以下では、本実施の形態3の特徴部分に関連した説明を重点的に行い、図1に示した制御システム10の構成例と共通する部分の説明については省略する。
図4は、本発明の実施の形態3に係る誘導電動機の制御システムの構成例を示す図である。図4に示す制御システム60は、磁束センサ(FD)62を備えている。磁束センサ62は、図1に示した磁束センサ42の代わりに設けられるものである。磁束センサ62は、誘導電動機34の回転子側に取付けられて2次鎖交磁束(φu2_fbk、φv2_fbk、φw2_fbk)を実測するように構成されている。
図4に示す制御システム60では、3相2相変換器(dq/uvw)64が、電流センサ38により実測された1次電流(Iu1_fbk、Iv1_fbk、Iw1_fbk)を、3相座標系の表現から直交座標系の表現に変換し、等価回路パラメータ演算器(ECPC)66に出力するように構成されている。
3相2相変換器64は、電流センサ40により実測された2次電流(Iu2_fbk、Iv2_fbk、Iw2_fbk)を、3相座標系の表現から直交座標系の表現に変換し、等価回路パラメータ演算器66に出力するようにも構成されている。
3相2相変換器64は、磁束センサ62により実測された2次鎖交磁束(φu2_fbk、φv2_fbk、φw2_fbk)を、3相座標系の表現から直交座標系の表現に変換し、等価回路パラメータ演算器66に出力するようにも構成されている。
図4に示す制御システム60では、等価回路パラメータ演算器66が、振動信号印加器44によってトルク電圧基準Vq_refに振動信号Vprtを印加する場合において、3相2相変換器64から出力された1次電流Iq1_fbk、2次電流Iq2_fbkおよび2次鎖交磁束φq2_fbkを、下記式(10)に代入して、等価回路の2次インダクタンスLを演算するように構成されている。
Figure 2018098921
なお、上記式(10)におけるMsimは、オフラインの試験またはシミュレーションによって同定した相互インダクタンスMの値である。
因みに上記式(10)は、等価回路の相互インダクタンスMおよび2次インダクタンスLと、1次電流Iq1、2次電流Iq2および2次鎖交磁束φq2との関係を表した下記式(11)に基づいている。
Figure 2018098921
以上説明した本実施の形態3に係る制御システムによれば、等価回路パラメータ演算器66によって、誘導電動機34の等価回路の2次インダクタンスLの周波数特性を推定することができる。また、本実施の形態2に係る制御システムは、図1に示した制御システム10の構成例を基本とすることから、上記実施の形態1に係る制御システムと同様の効果を得ることもできる。即ち、トルク電圧基準Vq_refに振動信号Vprtを印加する場合において、誘導電動機34が発生するトルクTfbkを一定に保つこともできる。故に、本実施の形態3に係る制御システムによれば、誘導電動機34の制御性能を低下させることなく、オンラインで2次インダクタンスLの周波数特性を推定することができる。
ところで、上記実施の形態3においては、電流制御器16から出力されるトルク電圧基準Vq_refに、振動信号Vprtを印加した。しかし、電流制御器16から出力されるトルク電圧基準Vq_refの代わりに、電流制御器16から出力される磁化電圧基準Vd_refに、振動信号Vprtを印加してもよい。この場合のシステム構成について、図5を参照しながら説明する。
図5は、本発明の実施の形態3に係る誘導電動機の制御システムの他の構成例を示す図である。図5に示す制御システム70では、すべり周波数演算器(SFC1)72が、電流基準演算器14から出力された磁化電流基準Id1_refと、界磁基準φrefとから、すべり周波数ωs_ref1を演算し、すべり周波数演算器28に出力するように構成されている。また、制御システム70では、振動信号印加器74が、電流制御器16から出力される磁化電圧基準Vd_refに、振動信号Vprtを印加するように構成されている。
また、図5に示す制御システム70では、等価回路パラメータ演算器(ECPC)76が、3相2相変換器64から出力された1次電流Id1_fbk、2次電流Id2_fbkおよび2次鎖交磁束φd2_fbkを、下記式(12)に代入して、等価回路の2次インダクタンスLを演算するように構成されている。
Figure 2018098921
なお、上記式(12)におけるMsimは、オフラインの試験またはシミュレーションによって同定した相互インダクタンスMの値である。
以上のことから、電流制御器16から出力される磁化電圧基準Vd_refに振動信号Vprtを印加した場合であっても、誘導電動機34の等価回路の2次インダクタンスLの周波数特性を推定することができる。
因みに上記式(12)は、等価回路の相互インダクタンスMおよび2次インダクタンスLと、1次電流Id1、2次電流Id2および2次鎖交磁束φd2との関係を表した下記式(13)に基づいている。
Figure 2018098921
なお、上述した実施の形態3においては、すべり周波数演算器30またはすべり周波数演算器72が上記第1の発明の「第1すべり周波数演算器」に、すべり周波数演算器28が同発明の「第2すべり周波数演算器」に、積分器26が同発明の「回転角演算器」に、上記式(11)または上記式(13)が同発明の「第2演算式」に、それぞれ相当している。
実施の形態4.
本発明の実施の形態4に係る誘導電動機の制御システムは、図4に示した制御システム60の構成例を基本とし、等価回路の2次インダクタンスLの周波数特性の代わりに、等価回路の相互インダクタンスMの周波数特性を推定することを特徴とする。
上記実施の形態1と2の違いは、等価回路の1次インダクタンスLと相互インダクタンスMの関係を表した上記式(5)に基づき、1次インダクタンスLと相互インダクタンスMの一方を同定により既知としておき、未知である他方を演算する点にある。この違いを、上記実施の形態3に適用したのが本実施の形態4である。本実施の形態4では、等価回路の2次インダクタンスLと相互インダクタンスMの関係を表した上記式(11)において、2次インダクタンスLを同定により既知としておき、未知である相互インダクタンスMを、下記式(14)を用いた演算により求めるものである。
Figure 2018098921
なお、上記式(14)におけるL2_simは、オフラインの試験またはシミュレーションによって同定した2次インダクタンスLの値である。
以上説明した本実施の形態4に係る制御システムによれば、誘導電動機34の等価回路の相互インダクタンスMの周波数特性を推定することができる。よって、本実施の形態4に係る制御システムによれば、上記実施の形態3に係る制御システムと同様の効果を得ることができる。
ところで、上記実施の形態4においては、電流制御器16から出力されるトルク電圧基準Vq_refに、振動信号Vprtを印加した。しかし、電流制御器16から出力されるトルク電圧基準Vq_refの代わりに、電流制御器16から出力される磁化電圧基準Vd_refに、振動信号Vprtを印加してもよい。これは、上記実施の形態3で述べた図5の説明から明らかである。
実施の形態5.
本発明の実施の形態5に係る誘導電動機の制御システムは、図1に示した制御システム10の構成例を基本とし、上記実施の形態3と同様に、等価回路の2次インダクタンスLの周波数特性を推定することを特徴とする。以下では、本実施の形態5の特徴部分に関連した説明を重点的に行う。
図6は、本発明の実施の形態5に係る誘導電動機の制御システムの構成例を示す図である。図6に示す制御システム80は、磁束センサ42と磁束センサ62を備えている。つまり、制御システム80は、図1に示した制御システム10に、図4に示した磁束センサ62が追加された構成を有している。
図6に示す制御システム60では、3相2相変換器(dq/uvw)82が、電流センサ38により実測された1次電流(Iu1_fbk、Iv1_fbk、Iw1_fbk)を、3相座標系の表現から直交座標系の表現に変換し、等価回路パラメータ演算器(ECPC)84に出力するように構成されている。
3相2相変換器82は、電流センサ40により実測された2次電流(Iu2_fbk、Iv2_fbk、Iw2_fbk)を、3相座標系の表現から直交座標系の表現に変換し、等価回路パラメータ演算器84に出力するようにも構成されている。
3相2相変換器82は、磁束センサ42により実測された1次鎖交磁束(φu1_fbk、φv1_fbk、φw1_fbk)を、3相座標系の表現から直交座標系の表現に変換し、等価回路パラメータ演算器84に出力するようにも構成されている。
3相2相変換器82は、磁束センサ62により実測された2次鎖交磁束(φu2_fbk、φv2_fbk、φw2_fbk)を、3相座標系の表現から直交座標系の表現に変換し、等価回路パラメータ演算器84に出力するようにも構成されている。
等価回路パラメータ演算器84は、振動信号印加器44によってトルク電圧基準Vq_refに振動信号Vprtを印加する場合において、3相2相変換器82から出力された1次電流Iq1_fbk、2次電流Iq2_fbkおよび1次鎖交磁束φq1_fbkを、上記式(4)に代入して、等価回路の相互インダクタンスMを演算するように構成されている。ここまでは、上記実施の形態1の等価回路パラメータ演算器46と同じ構成である。
これに加え、等価回路パラメータ演算器84は、演算した相互インダクタンスMと、3相2相変換器82から出力された1次電流Iq1_fbk、2次電流Iq2_fbkおよび2次鎖交磁束φq2_fbkとを、下記式(15)に代入して、等価回路の2次インダクタンスLを演算するようにも構成されている。
Figure 2018098921
上記実施の形態3では、等価回路パラメータ演算器66が上記式(10)を用いて2次インダクタンスLを演算するときの相互インダクタンスMの値が事前に同定されていた。これに対し、本実施の形態5では、等価回路パラメータ演算器84において、相互インダクタンスMの値が上記式(4)から演算される。
以上説明した本実施の形態5に係る制御システムによれば、等価回路パラメータ演算器84によって、誘導電動機34の等価回路の2次インダクタンスLの周波数特性を推定することができる。よって、本実施の形態5に係る制御システムによれば、上記実施の形態3に係る制御システムと同様の効果を得ることができる。
ところで、上記実施の形態5においては、電流制御器16から出力されるトルク電圧基準Vq_refに、振動信号Vprtを印加した。しかし、電流制御器16から出力されるトルク電圧基準Vq_refの代わりに、電流制御器16から出力される磁化電圧基準Vd_refに、振動信号Vprtを印加してもよい。これは、上記実施の形態3で述べた図5の説明から明らかである。
実施の形態6.
本発明の実施の形態4に係る誘導電動機の制御システムは、図4に示した制御システム60の構成例を基本とし、上記実施の形態1と同様に、等価回路の1次インダクタンスLの周波数特性を推定することを特徴とする。以下では、本実施の形態6の特徴部分に関連した説明を重点的に行う。
上記実施の形態5では、上記実施の形態1と同様に事前に同定された1次インダクタンスLと上記式(4)とから相互インダクタンスMを演算した上で、更に、演算した相互インダクタンスMと上記式(15)とから2次インダクタンスLを演算した。この演算手法を、上記実施の形態4に適用したのが本実施の形態6である。本実施の形態6では、上記実施の形態4と同様に事前に同定された2次インダクタンスLと上記式(14)とから相互インダクタンスMを演算する。そして、演算した相互インダクタンスMと下記式(16)とから、1次インダクタンスLを演算する。
Figure 2018098921
以上説明した本実施の形態6に係る制御システムによれば、誘導電動機34の等価回路の1次インダクタンスLの周波数特性を推定することができる。よって、本実施の形態6に係る制御システムによれば、上記実施の形態1に係る制御システムと同様の効果を得ることができる。
実施の形態7.
本発明の実施の形態7に係る誘導電動機の制御システムは、図1に示した制御システム10の構成例に、Kprt演算器32が追加されていることを特徴とする。そのため、以下では、本実施の形態7の特徴部分に関連した説明を重点的に行い、図1に示した制御システム10の構成例と共通する部分の説明については省略する。
図7は、本発明の実施の形態7に係る誘導電動機の制御システムの構成例を示す図である。図7に示す制御システム90は、Kprt演算器(SFC2X)32を備えている。Kprt演算器32は、3相2相変換器24から入力される1次電流(Id1_fbk、Iq1_fbk)および1次鎖交磁束(φd1_fbk、φq1_fbk)と、下記式(17)とから、上記式(3)の係数Kprtを演算し、すべり周波数演算器28に出力するように構成されている。
Figure 2018098921
上記式(17)において、K’prtは任意に調整可能なパラメータであり、pは誘導電動機の極対数である。
上記式(17)において、係数Kprtは、誘導電動機34が発生すべきトルク基準Trefに対する電動機発生トルクTfbkの比として表されている。係数Kprtは、トルク基準Trefと比較して電動機発生トルクTfbkが大きい場合には、すべり周波数演算器28で演算される上記式(3)のすべり周波数ωs_refを小さくして電動機発生トルクTfbkを小さくする方向に作用し、トルク基準Trefと比較して電動機発生トルクTfbkが小さい場合には、すべり周波数演算器28で演算される上記式(3)のすべり周波数ωs_refを大きくして電動機発生トルクTfbkを大きくする方向に作用する。
上記実施の形態1では係数Kprtが定数とされていた。これに対し、本実施の形態7では、係数Kprtが電動機発生トルクTfbkに応じて変化する。そのため、すべり周波数演算器28から出力されるすべり周波数ωs_refが電動機発生トルクTfbkに応じて変化する。従って、本実施の形態7に係る制御システムによれば、上記実施の形態1に係る制御システムに比べて、振動信号Vprtの印加時における電動機発生トルクTfbkの一定維持の精度を高めることができる。
なお、上述した実施の形態7においては、Kprt演算器32が上記第2の発明の「補正係数演算器」に相当している。
実施の形態8.
本発明の実施の形態8に係る誘導電動機の制御システムは、上記実施の形態1乃至5で説明した制御システムの構成例を前提とし、誘導電動機34の異常判定を行うことを特徴とする。以下では、本実施の形態8の特徴部分に関連した説明を重点的に行う。
図8は、本発明の実施の形態8に係る誘導電動機の制御システムの構成例を示す図である。図8に示す制御システム100は、電動機制御器(C1)102と、異常検出器104と、を1つの構成単位とする合計N個(N≧1)の制御ユニットを備えている。電動機制御器102は、上記実施の形態1乃至5に係る制御システムの何れかに相当している。異常検出器104は、記録器(C2)106と、比較器(C3)108と、制御器(C4)110と、を備えている。
電動機制御器102は、等価回路パラメータを推定し、記録器106に出力するように構成されている。記録器106は、電動機制御器102から出力された等価回路パラメータを一定周期で更新していき、その変化を記録するように構成されている。比較器108は、記録器106に記録されている等価回路パラメータの変化と、異常状態を示す閾値112と比較するように構成されている。制御器110は、誘導電動機の状態と周波数特性を関連付けるように構成されている。
比較器108が用いる閾値は、例えば、ある特定の制御ユニットを構成する誘導電動機に故障が生じた際の等価回路パラメータの変化を、振動信号の周波数ωprtに関連付けることにより設定される。図9は、振動信号の周波数ωprtと等価回路パラメータの関係の一例を示した図である。図9に示す破線は、特定の制御ユニットを構成する誘導電動機が正常であるときの等価回路パラメータの周波数特性を表している。一方、図9に示す実線は、この特定の制御ユニットの誘導電動機に異常が発生したときの等価回路パラメータの周波数特性を表している。2つの周波数特性を比較すると分かるように、誘導電動機に異常が生じたときには、ある特定の周波数帯のパラメータに変化が現れ、正常状態でのパラメータとの間に乖離が生じることになる。
以上のことから、本実施の形態8に係る制御システムによれば、比較器108によって、特定の制御ユニットの等価回路パラメータの周波数特性を基準として、制御システムが備える誘導電動機に異常(故障による異常、または経年変化による異常)が生じたことを検出することができる。
ところで、上記実施の形態8では、特定の制御ユニットの等価回路パラメータの周波数特性を基準として、制御システムが備える誘導電動機の異常検出を行った。しかし、例えば、制御システムが制御ユニットを3つ以上備える場合には、少なくとも3つの制御ユニットの等価回路パラメータの周波数特性を比較し合って異常検出を行ってもよい。このように、誘導電動機の異常検出を前提とした等価回路パラメータの比較手法については、各種の変形が可能である。
10,50,60,70,80,90,100・・・制御システム
12・・・速度制御器
14・・・電流基準演算器
16・・・電流制御器
18・・・2相3相変換器
20・・・PWM方式スイッチングパルス発生装置
22・・・スイッチング素子
24,64,82・・・3相2相変換器
26・・・積分器
28,30,72・・・すべり周波数演算器
32・・・Kprt演算器
34・・・誘導電動機
36・・・回転速度センサ
38,40・・・電流センサ
42,62・・・磁束センサ
44,54,74・・・振動信号印加器
46,56,66,84・・・等価回路パラメータ演算器
102・・・電動機制御器
104・・・異常検出器
106・・・記録器
108・・・比較器
110・・・制御器
112・・・閾値

Claims (7)

  1. 誘導電動機が発生すべきトルク基準と、界磁基準とに基づいて、前記誘導電動機の直交座標系での電流基準を演算する電流基準演算器と、
    前記電流基準演算器から出力される前記誘導電動機の直交座標系での電流基準と、実電流基準との偏差が零となるように、前記誘導電動機に入力する直交座標系での電圧基準を調整する電流制御器と、
    前記電流制御器から出力される電圧基準の直交座標系の表現を、3相座標系の表現に変換する2相3相変換器と、
    前記2相3相変換器から出力される3相座標系での電圧基準に基づいて、前記誘導電動機のスイッチングを行うスイッチング素子と、
    前記スイッチング素子から出力される前記誘導電動機の1次電流の3相座標系の表現、前記誘導電動機から出力される前記誘導電動機の2次電流の3相座標系の表現、および、前記誘導電動機から出力される前記誘導電動機の1次鎖交磁束または2次鎖交磁束の3相座標系の表現を、それぞれ直交座標系の表現に変換する3相2相変換器と、
    前記電流制御器から出力される直交座標系での電圧基準に、振動信号を印加する振動信号印加器と、
    誘導電動機において成立する1次電流、2次電流および1次鎖交磁束と、等価回路パラメータとの関係を規定した第1演算式に、前記振動信号印加器からの振動信号の印加時に測定されて前記3相2相変換器から出力される1次電流、2次電流および1次鎖交磁束を適用し、または、誘導電動機において成立する1次電流、2次電流および2次鎖交磁束と、等価回路パラメータとの関係を規定した第2演算式に、前記振動信号印加器からの振動信号の印加時に測定されて前記3相2相変換器から出力される1次電流、2次電流および2次鎖交磁束を適用し、前記誘導電動機の等価回路パラメータを演算する等価回路パラメータ演算器と、
    前記電流基準演算器に入力される界磁基準と、前記電流基準演算器から出力される前記誘導電動機の直交座標系での電流基準と、に基づいて、前記誘導電動機の第1すべり周波数を演算する第1すべり周波数演算器と、
    前記第1すべり周波数演算器から出力される第1すべり周波数を、前記振動信号印加器からの振動信号の周波数の分だけ変更した第2すべり周波数を演算する第2すべり周波数演算器と、
    前記第2すべり周波数演算器から出力される第2すべり周波数と、前記誘導電動機の実回転速度とに基づいて、前記2相3相変換器と前記3相2相変換器に入力する回転磁界の回転角を演算する回転角演算器と、
    を備えることを特徴とする誘導電動機の制御システム。
  2. 前記3相2相変換器は、前記スイッチング素子から出力される前記誘導電動機の1次電流の3相座標系の表現と、前記誘導電動機から出力される前記誘導電動機の1次鎖交磁束の表現とを、少なくとも直交座標系の表現に変換し、
    誘導電動機が発生すべきトルク基準と、前記3相2相変換器から出力された1次電流および1次鎖交磁束と、に基づいて、前記第1すべり周波数演算器から出力される第1すべり周波数を補正する係数を演算し、前記第2すべり周波数演算器に出力する補正係数演算器を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の誘導電動機の制御システム。
  3. 前記等価回路パラメータ演算器から出力される等価回路パラメータを用いて、前記誘導電動機の異常を検出する異常検出器を更に備えることを特徴とする請求項1または2に記載の誘導電動機の制御システム。
  4. 前記等価回路パラメータ演算器は、前記誘導電動機の1次インダクタンスまたは相互インダクタンスを等価回路パラメータとして演算し、
    前記等価回路パラメータ演算器は、前記第1演算式に、前記誘導電動機の1次インダクタンスおよび相互インダクタンスのうちの既知パラメータと、前記3相2相変換器から出力された1次電流、2次電流および1次鎖交磁束と、を適用して、前記誘導電動機の1次インダクタンスおよび相互インダクタンスのうちの未知パラメータを演算することを特徴とする請求項1乃至3何れかに記載の誘導電動機の制御システム。
  5. 前記等価回路パラメータ演算器は、前記第1演算式を用いて未知パラメータとしての前記誘導電動機の相互インダクタンスを演算した場合には、演算した前記誘導電動機の相互インダクタンスを前記第2演算式に適用して、前記誘導電動機の2次インダクタンスを演算することを特徴とする請求項4に記載の誘導電動機の制御システム。
  6. 前記等価回路パラメータ演算器は、前記誘導電動機の2次インダクタンスまたは相互インダクタンスを等価回路パラメータとして演算し、
    前記等価回路パラメータ演算器は、前記第2演算式に、前記誘導電動機の2次インダクタンスおよび相互インダクタンスのうちの既知パラメータと、前記3相2相変換器から出力された1次電流、2次電流および2次鎖交磁束と、を適用して、前記誘導電動機の2次インダクタンスおよび相互インダクタンスのうちの未知パラメータを演算することを特徴とする請求項1乃至3何れかに記載の誘導電動機の制御システム。
  7. 前記等価回路パラメータ演算器は、前記第2演算式を用いて未知パラメータとしての前記誘導電動機の相互インダクタンスを演算した場合には、演算した前記誘導電動機の相互インダクタンスを前記第1演算式に適用して、前記誘導電動機の1次インダクタンスを演算することを特徴とする請求項6に記載の誘導電動機の制御システム。
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