JP2018098443A - 半導体ウェーハの改質方法及び半導体ウェーハ - Google Patents

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Abstract

【課題】 外周部の強度を高めた半導体ウェーハを低コストかつ高いスループットで得られる、半導体ウェーハの改質方法、及び、低コストかつ高いスループットで得ることができる、外周部の強度が高められた半導体ウェーハを提供する。【解決手段】半導体ウェーハの外周部を改質して、該外周部の強度を向上させる半導体ウェーハの改質方法であって、前記半導体ウェーハの外周部の領域のみに電子線を照射して改質することを特徴とする半導体ウェーハの改質方法、及び、半導体ウェーハであって、外周部の領域が電子線照射により改質されたものであることを特徴とする半導体ウェーハ。【選択図】 図2

Description

本発明は、半導体ウェーハの改質方法及び半導体ウェーハに関する。
半導体集積回路等のICデバイスを作製するためのウェーハとしては、主にチョクラルスキー法(以下CZ法という)によって育成したシリコン単結晶インゴットをスライスし、研磨等を施して作製したシリコン単結晶ウェーハ(以下シリコンウェーハともいう)が用いられている。
CZ法により製造されたシリコン単結晶は、劈開方向に割れやすい性質が見られる。半導体デバイス製造プロセスにおいて、材料のシリコンウェーハに割れが発生すると、大きな損失が発生する。このためデバイス製造時に割れにくいシリコンウェーハの要望が高い。
半導体や液晶の製造プロセス、特にドライエッチング、イオン注入、蒸着等の工程においては高温化/急加熱/急冷が進んでおり、さらに、真空、及び、ドライ化で行われる製造工程も増加している。また、基板としてのシリコンウェーハやガラス基板などはその大直径化が進み、衝撃の耐性が益々重視されるようなっている。
シリコンウェーハの破壊の原因としては、主にウェーハエッジ部に打撃が加わるケースが多く、このエッジ部の衝撃強度の向上が重要である。しかし従来は、シリコンウェーハの小さなクラック・キズ・カケなどを顕微鏡などの装置で確認して、疑いのあるシリコンウェーハは不良品と判断して、製品から取り除くことで対応してきた。
特開2012−114254号公報 特開2013−083544号公報 特開2014−103333号公報
Dixon,W.J. and Mood,A.M.,J.Amer.Stat.Assn.,Vol.43, pp.109−126, 1948
この状況に対して、本発明者は、特許文献1や特許文献2などのエッジ部の衝撃強度測定を目的とした装置を開発してきた。また本発明者は、特許文献3「シリコンウェーハの熱処理方法」で、急速加熱・急速冷却装置(Rapid Thermal Annealer:以下、RTA装置という)を使用して、エッジ部の強度を向上したシリコンウェーハの製作を行ってきた。
ここで特許文献3について簡単に説明する。特許文献3に記載された技術はRTA装置でシリコンウェーハの熱処理を行うと同時に、ウェーハの最外周部エッジ部の特定の部位にエッジ部用加熱ランプによる熱処理を加える。RTA装置は窒素の割合を1〜50容量%とした窒素とアルゴンの混合ガス雰囲気下で、温度を1150〜1350℃として1〜60秒間シリコンウェーハの熱処理を行う。これにより、所望の酸素析出特性を有するシリコンウェーハが製造されて、スリップ転位を抑制することで、エッジ部の衝撃強度を向上することが可能となった。
しかしながらRTA装置での熱処理方法は、コストが高くてスループットが低いという弱点が存在している。また現在、主流となっている直径300mmのシリコンウェーハから数年先に主流となることが期待される直径450mmの大直径シリコンウェーハはその面積が大きい。このようにウェーハが大きくなるほど熱処理コストが高くてスループットが低下することが予想される。
本発明は、このような従来技術の問題に鑑みなされたものであって、外周部の強度を高めた半導体ウェーハを低コストかつ高いスループットで得られる、半導体ウェーハの改質方法を提供することを目的とする。また、本発明は、低コストかつ高いスループットで得ることができる、外周部の強度が高められた半導体ウェーハを提供することをも目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、半導体ウェーハの外周部を改質して、該外周部の強度を向上させる半導体ウェーハの改質方法であって、前記半導体ウェーハの外周部の領域のみに電子線を照射して改質することを特徴とする半導体ウェーハの改質方法を提供する。
このように電子線照射を用いて半導体ウェーハの外周部を改質することにより、低コストかつ高スループットで半導体ウェーハの外周部の強度を向上させることができる。
このとき、前記電子線を照射する領域を前記半導体ウェーハの外周端より0.7mm以上、3mm以下の範囲とすることが好ましい。
電子線照射を行う領域をこのような範囲とすることにより、半導体デバイス製造プロセスに使用する面積をより十分に確保しながらも、半導体ウェーハの外周部の強度を向上させることができる。
さらに、前記半導体ウェーハの外周部の領域のみに前記電子線を照射するとき、前記半導体ウェーハの主表面の上方に、前記半導体ウェーハの改質する外周部の領域を覆い、前記電子線を透過する材質からなる外周カバー部と、前記半導体ウェーハの改質する外周部の領域以外を覆い、前記電子線を透過しない材質からなる中央カバー部とを有するカバーを配置してから、前記電子線を前記半導体ウェーハの主表面に向けて照射することが好ましい。
このような簡便な手法を用いることで、生産性の低下及びコストの増加を抑えながら、外周部の領域の強度を向上させることができ、さらには半導体ウェーハの中央部を半導体デバイス製造プロセスに使用する領域として確実に保護できる。
また、本発明の半導体ウェーハの改質方法において、前記半導体ウェーハをシリコン単結晶ウェーハとすることができる。
本発明において半導体ウェーハとしてシリコンウェーハを用いることが好適である。
また、上記目的を達成するために、本発明は、半導体ウェーハであって、外周部の領域が電子線照射により改質されたものであることを特徴とする半導体ウェーハを提供する。
これにより、外周部の強度が高い半導体ウェーハが提供される。また、このような半導体ウェーハは、低コストかつ高いスループットで得ることができるので安価となる。
このとき、前記改質された外周部の領域は、外周端より0.7mm以上、3mm以下の範囲のものであることが好ましい。
これにより、半導体デバイス製造プロセスに使用する面積を確保しながらも、外周部の強度が向上した半導体ウェーハとなる。
また、前記半導体ウェーハはシリコン単結晶ウェーハであることが好ましい。
本発明の半導体ウェーハとしてはシリコンウェーハが好適である。
本発明の半導体ウェーハの改質方法では、半導体ウェーハの外周部のみに電子線照射を行うことにより、外周部の強度を高めた半導体ウェーハを作製できる。また、電子線照射を用いて半導体ウェーハの外周部を改質することにより、低コストかつ高スループットで半導体ウェーハの外周部の強度を確実に向上させることができる。これにより、デバイス製造プロセスにおいて、衝撃などによる半導体ウェーハの割れが起こりにくくなる。また、本発明の半導体ウェーハは、外周部の強度が高められた半導体ウェーハであり、低コストかつ高いスループットで得ることができるので、安価なものとなる。
本発明の半導体ウェーハの改質方法において用いることができる電子線照射用治具の概略図であり、(a)〜(c)は半導体ウェーハをウェーハ保持台に載せる様子を示した概略上面図であり、(d)は(c)中の破線部Aの拡大断面図である。 本発明の電子線照射の改質効果を示す概念図である。 実施例及び比較例において用いた落錘式衝撃破壊試験の概略説明図である。 実施例及び比較例におけるシリコン片の作製とシリコン片保持治具を説明するための概略図である。
以下、本発明について実施の形態を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明は、半導体ウェーハの外周部を改質して、該外周部の強度を向上させる半導体ウェーハの改質方法である。さらに、本発明では、半導体ウェーハの外周部の領域のみに電子線を照射して改質する。また、本発明に係る半導体ウェーハは、外周部の領域が電子線照射により改質された半導体ウェーハである。また、本発明では、改質の対象となる半導体ウェーハをシリコン単結晶ウェーハとすることが好ましい。
このように電子線照射を用いて半導体デバイス製造プロセス等で使用する半導体ウェーハ、例えばシリコン単結晶ウェーハの外周部を改質することにより、低コストかつ高スループットで半導体ウェーハの外周部の強度(衝撃強度、破壊強度等とも呼ばれる)を確実に向上させることができる。以下では、シリコン単結晶ウェーハを半導体ウェーハの代表例として記述する。
真空中において電圧を印加することにより電子を加速して、この加速された電子を対象物に照射する電子線照射法は、制御性がよくプロセス速度が速いなど数々の利点がある。そのために幅広い分野で利用されている。本発明でもこの電子線照射法を用いる。電子線照射法では制御性が良いため、本発明でも、半導体ウェーハの外周部の狙った領域を精度よく改質できる。
図1は本発明の半導体ウェーハの改質方法において用いることができる電子線照射用治具の概略図である。このうち、図1(a)〜(c)は半導体ウェーハをウェーハ保持台に載せる様子を示した概略上面図である。図1(d)は、図1(c)中の破線部Aの概略断面図である。ただし、本発明では、半導体ウェーハの外周部のみに電子線照射を行うことができればよく、必ずしも図1に図示した電子線照射用治具を用いなくとも実施することができる。
図1(a)に図示したように、電子線照射用治具は、ベース板11とベース板11上のウェーハ保持台12を具備している。また、ベース板11上には、位置出しステージ13が配置されている。ウェーハ保持台12の上に半導体ウェーハ(シリコン単結晶ウェーハ)1を載置するために、ウェーハ運搬治具21を用いることができる。図1(b)に示したように、半導体ウェーハ1はウェーハ運搬治具21及び位置出しステージ13を利用して、その直径に合わせた形(後述する図1(d)に示したように、ウェーハ保持台12の直径は半導体ウェーハ1の直径よりもやや小さいものとすることができる)のウェーハ保持台12にセットされる。ベース板11、ウェーハ保持台12、位置出しステージ13の材質は、アルミニウム、鉄、SiC、石英などを用いることができ特に指定は無いが、強度、加工性、コスト等の観点からアルミニウム板を加工して使用することが好ましい。
次に、図1(b)及び図1(c)に示したように、半導体ウェーハ1の改質する外周部の領域を覆い、電子線を透過する材質からなる外周カバー部31と、半導体ウェーハ1の改質する外周部の領域以外を覆い、電子線を透過しない材質からなる中央カバー部32とを有するカバー30を、半導体ウェーハ1の主表面の上方に配置する。
このようなカバーの配置は、より具体的には以下のようにすることができる。図1(b)に示したように、カバー運搬治具22を利用して、半導体ウェーハ1の直径に合わせた形の、透明樹脂製の外周カバー部31とアルミニウム製の中央カバー部32とを有するカバー30を、位置出しステージ13の上にセットする(図1(c))。カバー30は位置出しステージ13を利用することで、半導体ウェーハ1に直接に接しないようにかぶせることが可能である。
なお、外周カバー部31と中央カバー部32とを有するカバー30は、図1(d)に示したように、電子線を透過する材質からなる円形カバー(電子線透過円形カバー)41及び電子線を透過しない材質からなる円形カバー(電子線非透過円形カバー)42を重ねて構成することができる。また、このとき、両円形カバー41、42は互いに分離可能に構成することができる。
図1(d)には、図1(c)中の破線Aで示した部分における概略断面図を示している。外周カバー部31は上記のように電子線を透過する材質からなるものであり、図1(d)に示したように、電子線を透過する材質(特に透明樹脂製)からなる円形カバー41で構成することができる。この電子線透過円形カバー41の材質に指定はないが、強度、加工性、コスト等の観点からポリカーボネート製の電子線透過円形カバー41を好適に使用することができる。
さらに、(特に透明樹脂製の)電子線透過円形カバー41の中央部には、電子線が透過しない材質のカバー(電子線非透過円形カバー)42が載せられている。本発明においては、電子線非透過円形カバー42としてアルミニウム製のカバーを好適に使用することができる。以下では、電子線透過円形カバー41として透明樹脂製のものを用い、電子線非透過円形カバー42としてアルミニウム製のものを用いた場合を例として説明する。
図1(c)及び図1(d)のように半導体ウェーハ1を電子線照射用治具に設置した状態を上方から見た場合は、中央部はアルミニウム製の円形カバー42に覆われており見ることができず、半導体ウェーハ1の外周部の領域のみが、透明樹脂製の円形カバー41(及びそれにより構成された外周カバー部31)を通過して見る事が可能である。
次に、図2を参照して、本発明の電子線照射による改質効果の概念を説明する。図1(c)及び(d)のように半導体ウェーハ1を電子線照射用治具に設置して、カバー30を配置した後、電子線照射装置に設置する。次に、電子線を半導体ウェーハ1の主表面に向けて上方より照射する(図2(a))。電子線は、透明樹脂製である外周カバー部31と半導体ウェーハ1を通過して、半導体ウェーハ1の外周部の領域の表面〜裏面までの領域に電子線が照射される(図2(b))。この電子線が照射された領域は改質されて衝撃強度が向上する。
その一方で、半導体ウェーハ1の中央部は、アルミニウム製の電子線非透過円形カバー42(及びそれにより構成された中央カバー部32)により電子線が照射されないので、通常と同じ条件で半導体デバイス製造が可能である(図2(a)(b))。
電子線を照射する領域が広いほど半導体ウェーハ1のエッジ部の強度の向上が確認された。しかし、電子線を照射された領域は、半導体デバイス製造に利用ができないので、電子線照射の領域は狭い方が好ましい。その一方で、半導体ウェーハ1は、通常、外周端から約0.5mmの範囲は面取りが行なわれている。この範囲は半導体デバイス製造に利用ができない。また、この範囲は厚さが小さいため、元々強度が比較的低い。半導体ウェーハのエッジ部の強度の向上のためには面取り部分の内側まで電子線を照射して改質することが好ましい。このような点から、電子線照射する領域は、半導体ウェーハ1の外周端から少なくとも面取り量+0.2mm以上の領域とすることが好ましい。これらのことから、半導体デバイス製造への利用の点も勘案して、電子線照射する領域を半導体ウェーハの外周端から約0.7〜3mmの範囲とすることが好ましい。
次に、電子線照射が半導体ウェーハ1のエッジ部に与える改質効果を説明する。半導体ウェーハ1がシリコンウェーハである場合、電子線照射によりエッジ部の結晶格子にあったSi原子は、電子線でたたき出されて格子間に移動する。この格子間Siの存在によりシリコンウェーハのエッジ部の衝撃強度が向上する。電子線の照射量が増えるほど格子間Siの量が増加するので、エッジ部の衝撃強度もそれにともなって増加する。
このとき、電子線照射の加速電圧が低いと電子線がシリコンウェーハを透過せず、格子間Siが形成されるのは電子線の照射面の表面部のみになる。エッジ部の強度向上の点からシリコンウェーハの裏面まで電子線が透過する強度の電子線照射量が望ましい。その一方で、電子線の強度を強くすると電子線照射によるコストが増加するため、コスト面を考慮して電子線の強度を決定することが好ましい。そのため、本発明において、ウェーハエッジ部の強度向上に用いる電子線の加速電圧を0.05〜2.0MVとし、電子線照射量を10〜2000kGyとすることが好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の効果を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
まず、半導体ウェーハとして、CZ法で引き上げられた結晶方位<100>、直径300mm、格子間酸素濃度16ppma(JEIDA)のシリコン単結晶ウェーハを40枚用意した。この内の20枚に外周端から2mmの領域に電子線照射を行い(実施例:エッジ部電子線照射品)、電子線照射を行わない20枚(比較例:電子線照射なし品)と比較した。
(実施例:エッジ部電子線照射品)
まず、前述の図1(c)及び(d)に示されるように電子線照射用治具にシリコン単結晶ウェーハをセットし、電子線照射装置に設置した。次に、電子線の照射条件を、加速電圧2.0MV、線量400kGyとして、電子線の照射を行った。そして、エッジ部への電子線照射前後のシリコン単結晶ウェーハのエッジ部の強度を測定した。
シリコン単結晶ウェーハのエッジ部の強度の測定装置及び測定方法について簡単に説明する。図3は、落錘式衝撃破壊試験機の概略説明図である。落錘式衝撃破壊試験機50は、特許文献1に記載されているものと同様である。落錘式衝撃破壊試験機50において、装置ベース58には単軸スライダ式ロボット52が建てられており、スライダー53には電磁磁石54がセットされ、円柱打撃ピン55(クロム鋼製)が磁力で吸着されている。衝撃破壊試験では、スライダー53を上下させ、任意の高さから円柱打撃ピン55を落下させることが可能である。シリコン片Wが保持されたシリコン片保持治具71の上には、ポリカーボネート製のカバー56が設置されている。カバー56の底の穴からシリコン片Wが露出しており、落下してきた円柱打撃ピン55が激突するように設計されている。
特許文献1のように、主に「定落下重量でのステアケース法の原理を利用した落錘式衝撃破壊試験」を行って、ステアケース法による解析を行った。ステアケース法はストレスの水準を上下させて、各水準に区分して破壊の有無から衝撃破壊強度を統計解析する手法である(例えば非特許文献1等参照)。このステアケース法は、品質検査でよく用いられており、恒常刺激法よりも試行回数を低減できることが利点としてあげられ、またその精度も高いことが知られている。サンプルの破壊の有無と衝撃力分布からステアケース法の計算で、「50%衝撃破壊エネルギ(E50)」及び「50%衝撃破壊エネルギの標準偏差(SE)」を求めた。
シリコン単結晶ウェーハのエッジ部の特定の部位の強度の測定については、特許文献2に記載された方法を使用した。図4は、特許文献2に記載した方法によるシリコン片の作製とシリコン片保持治具を説明するための概略説明図である。測定対象となるシリコン単結晶ウェーハW0の特定の方位の強度を評価するために、シリコン単結晶ウェーハW0に、シリコン片保持治具(角度θ=30°、ここで、θは、シリコン片Wにおいて円柱打撃ピン55を激突させる位置をノッチ61からずらした角度である。)に合うサイズの形を、図4(a)のようにシリコン単結晶ウェーハの劈開方向に沿ってマジックペンなどで記入する。その後に劈開を利用して図4(a)に示したような形の測定サンプル(シリコン片W)を割り出すことができる。この領域は衝撃強度が低くて割れやすい部位である。シリコン片Wは、図4(b)に示したように、シリコン片保持治具71(71a及び71b)に挟み込んで設置する。シリコン片保持治具71には、切り欠き72が形成されている。挟み込んだ後の状態を図4(c−1)及び(c−2)に示した。
測定に先立ち、実施例、比較例のウェーハから、1枚のシリコン単結晶ウェーハあたり2サンプルを採取した。これらのサンプルのうち1つをシリコン片保持治具71(角度θ=30°)に保持させた。このシリコン片保持治具71を図3に示した落錘式衝撃破壊試験機50に設置して落錘式衝撃破壊試験を行った。図4(c−1)、(c−2)に示したように、シリコン片保持治具71に挟み込んだシリコン片Wには、落下してきた円柱打撃ピン55が激突する。
この落錘式衝撃破壊試験を、以下の2品種について、各40サンプル(上記のように、1品種につき20枚のウェーハ、1枚のウェーハにつきサンプル2つである。)に対して行った。その結果は以下の通りである。
・「エッジ部電子線照射品」(実施例)
50%衝撃破壊エネルギ(E50) = 0.072J
50%衝撃破壊エネルギの標準偏差(SE) = 0.011J
・「電子線照射なし品」(比較例)
50%衝撃破壊エネルギ(E50) = 0.035J
50%衝撃破壊エネルギの標準偏差(SE) = 0.019J
「エッジ部電子線照射品」(実施例)では、「電子線照射なし品」(比較例)の50%衝撃破壊エネルギ(E50)に比べて倍以上の強度が確認された。また、「エッジ部熱処理なし品」(比較例)と「エッジ部電子線照射品」(実施例)の破壊された破壊強度の分布から、母平均の検定(有意水準0.05)を行うと母平均に有意差が見られた。また、正規性の検定(χ適合度検定)より破壊強度の分布は、正規分布とみなされる。シリコン単結晶ウェーハのエッジ部への電子線照射によりシリコン単結晶ウェーハの強度は高くなり、かつ破壊強度のバラツキが低下していることが判明した。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
1…半導体ウェーハ(シリコン単結晶ウェーハ)、
11…ベース板、 12…ウェーハ保持台、 13…位置出しステージ、
21…ウェーハ運搬治具、 22…カバー運搬治具、
30…カバー、 31…外周カバー部、 32…中央カバー部、
41…電子線透過円形カバー、 42…電子線非透過円形カバー、
50…落錘式衝撃破壊試験機、
52…単軸スライダ式ロボット、 53…スライダー、 54…電磁磁石、
55…円柱打撃ピン、 56…ポリカーボネート製のカバー、 58…装置ベース、
61…ノッチ、
71…シリコン片保持治具、 72…切り欠き、
W…シリコン片、 W0…シリコンウェーハ。

Claims (7)

  1. 半導体ウェーハの外周部を改質して、該外周部の強度を向上させる半導体ウェーハの改質方法であって、
    前記半導体ウェーハの外周部の領域のみに電子線を照射して改質することを特徴とする半導体ウェーハの改質方法。
  2. 前記電子線を照射する領域を前記半導体ウェーハの外周端より0.7mm以上、3mm以下の範囲とすることを特徴とする請求項1に記載の半導体ウェーハの改質方法。
  3. 前記半導体ウェーハの外周部の領域のみに前記電子線を照射するとき、前記半導体ウェーハの主表面の上方に、前記半導体ウェーハの改質する外周部の領域を覆い、前記電子線を透過する材質からなる外周カバー部と、前記半導体ウェーハの改質する外周部の領域以外を覆い、前記電子線を透過しない材質からなる中央カバー部とを有するカバーを配置してから、前記電子線を前記半導体ウェーハの主表面に向けて照射することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体ウェーハの改質方法。
  4. 前記半導体ウェーハをシリコン単結晶ウェーハとすることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体ウェーハの改質方法。
  5. 半導体ウェーハであって、外周部の領域が電子線照射により改質されたものであることを特徴とする半導体ウェーハ。
  6. 前記改質された外周部の領域は、外周端より0.7mm以上、3mm以下の範囲のものであることを特徴とする請求項5に記載の半導体ウェーハ。
  7. 前記半導体ウェーハはシリコン単結晶ウェーハであることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の半導体ウェーハ。
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