JP2018097152A - ウインドシールドガラス、ヘッドアップディスプレイシステム、および積層フィルム - Google Patents

ウインドシールドガラス、ヘッドアップディスプレイシステム、および積層フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】第一のガラス板、第一の樹脂膜、ハーフミラーフィルム、第二の樹脂膜、および第二のガラス板をこの順に含むウインドシールドガラスにおいて、ハーフミラーフィルム部分で視覚的に確認される歪みを低減したウインドシールドガラスを提供する。
【解決手段】上記ハーフミラーフィルムがコレステリック液晶層を含む円偏光反射層を含み、上記ハーフミラーフィルムが基材と隣接しており、上記基材の弾性率が3GPa〜10GPaであり、かつ厚みが150μm〜500μmであるウインドシールドガラス。上記ウインドシールドガラスはヘッドアップディスプレイシステムにおいて用いることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、ウインドシールドガラスに関する。また、本発明はウインドシールドガラスを利用したヘッドアップディスプレイシステム、および上記ウインドシールドガラスに使用できる積層フィルムに関する。
2枚のガラス板が中間層を介して接着している構造を有するウインドシールドガラスの中間層にハーフミラーフィルムを設けることにより、ヘッドアップディスプレイシステムにおいて投映される映像と前方の風景とを同時に表示させることのできる投映像表示用部材を得ることができる。特許文献1においては、コレステリック液晶層を含むハーフミラーフィルムをポリビニルブチラール膜などの樹脂膜2枚に挟んで中間層を形成することが開示されている。
WO2016/052367
しかし、特許文献1に記載のようにコレステリック液晶層を含むハーフミラーフィルムを合わせガラスの中間層に設けると、ハーフミラーフィルム部分に、歪みが視覚的に確認され、ウインドシールドガラスとしての美観が損なわれている場合があった。これは、合わせガラス作製時の圧着や加熱の際に、樹脂膜とハーフミラーフィルムとの収縮率の違いによりオレンジピール(Orange peel)状の凸凹が発生していることを原因とするものであった。
本発明は、上記問題の解決のためになされたものであり、合わせガラスの中間層にハーフミラーフィルムを設けた構成のウインドシールドガラスにおいて、ハーフミラーフィルム部分で視覚的に確認される歪みを低減したウインドシールドガラスを提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題の下、鋭意検討し、ハーフミラーフィルムが、合わせガラス作製時の圧着や加熱の際、剛性が高い基材と一体化している場合に、上記オレンジピールが生じにくいことを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は下記の[1]〜[18]を提供するものである。
[1]第一のガラス板、第一の樹脂膜、ハーフミラーフィルム、第二の樹脂膜、および第二のガラス板をこの順に含むウインドシールドガラスであって、
上記ハーフミラーフィルムが円偏光反射層を含み、
上記円偏光反射層がコレステリック液晶層を含み、
上記ハーフミラーフィルムが基材と隣接しており、
上記基材の弾性率が3GPa〜10GPaであり、かつ上記基材の厚みが150μm〜500μmである、ウインドシールドガラス。
[2]上記基材の弾性率が5GPa〜8GPaであり、かつ上記基材の厚みが170μm〜300μmである[1]に記載のウインドシールドガラス。
[3]上記ハーフミラーフィルムが接着層により上記基材と接着している[1]または[2]に記載のウインドシールドガラス。
[4]上記接着層の厚みが0.5μm〜10μmである[3]に記載のウインドシールドガラス。
[5]上記ハーフミラーフィルムが上記基材の主表面の一部で上記基材と接着している[3]または[4]に記載のウインドシールドガラス。
[6]位相差層を含む[1]〜[5]のいずれかに記載のウインドシールドガラス。
[7]上記位相差層がλ/2位相差層である[6]に記載のウインドシールドガラス。
[8]上記ハーフミラーフィルムが上記位相差層を含む[6]または[7]に記載のウインドシールドガラス。
[9]上記基材が上記位相差層である[6]または[7]に記載のウインドシールドガラス。
[10]上記基材がポリエチレンテレフタレートフィルムであって、厚みが150μm〜500μmである[1]〜[8]のいずれかに記載のウインドシールドガラス。
[11]上記円偏光反射層が可視光領域に選択反射の中心波長を有するコレステリック液晶層を3層以上含み、
上記3層以上のコレステリック液晶層の選択反射の中心波長は互いに異なっている[1]〜[10]のいずれかに記載のウインドシールドガラス。
[12]λ/2位相差層を含み、
上記円偏光反射層がコレステリック液晶層を4層以上含み、
上記4層以上のコレステリック液晶層のうちの一層が350nm以上490nm未満に選択反射の中心波長を有するコレステリック液晶層であり、
上記4層以上のコレステリック液晶層の選択反射の中心波長は互いに異なっている[11]に記載のウインドシールドガラス。
[13]上記4層以上のコレステリック液晶層のうち、上記λ/2位相差層に最も近いコレステリック液晶層が350nm以上490nm未満に選択反射の中心波長を有する上記コレステリック液晶層である[12]に記載のウインドシールドガラス。
[14]第一の樹脂膜および第二の樹脂膜からなる群より選択されるいずれか1つ以上がポリビニルブチラールを含む[1]〜[13]のいずれかに記載のウインドシールドガラス。
[15][1]〜[14]のいずれかに記載のウインドシールドガラスおよびプロジェクターを含むヘッドアップディスプレイシステム。
[16][1]〜[8]のいずれかに記載のウインドシールドガラスおよびプロジェクターを含むヘッドアップディスプレイシステムであって、
上記基材、上記ハーフミラーフィルム、上記プロジェクターがこの順で配置されているヘッドアップディスプレイシステム。
[17][6]〜[9]のいずれかに記載のウインドシールドガラスおよびプロジェクターを含むヘッドアップディスプレイシステムであって、
上記円偏光反射層、上記位相差層、上記プロジェクターがこの順で配置されているヘッドアップディスプレイシステム。
[18]基材とハーフミラーフィルムとを含む積層フィルムであって、
上記ハーフミラーフィルムが上記基材の主表面の一部で接着層により上記基材と接着しており、
上記ハーフミラーフィルムが円偏光反射層を含み、
上記円偏光反射層が可視光領域に選択反射の中心波長を有するコレステリック液晶層を3層以上含み、
上記基材がポリエチレンテレフタレートフィルムであって、
上記基材の弾性率が3GPa〜10GPaであり、かつ上記基材の厚みが150μm〜500μmである積層フィルム。
本発明により、中間層にハーフミラーフィルムを含む合わせガラスの構成のウインドシールドガラスにおいて、ハーフミラーフィルムに由来する視覚的に確認される歪みのないウインドシールドガラスを提供することができる。このウインドシールドガラスはヘッドアップディスプレイシステムに用いることができる。また、本発明によって、上記のウインドシールドガラスの作製に適した積層フィルムが提供される。
実施例で作製したウインドシールドガラスの層構成を模式的に示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
また、本明細書において、角度(例えば「90°」等の角度)、およびその関係(例えば、「平行」、「水平」、「鉛直」等)については、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含むものとする。例えば、厳密な角度±10°未満の範囲内であることなどを意味し、厳密な角度との誤差は、5°以下であることが好ましく、3°以下であることがより好ましい。
本明細書において、フィルム状または層状のものの面積および形状について言及する場合、特に断らない限り、その主表面(おもて面または裏面)の面積および形状をそれぞれ意味する。
本明細書において、円偏光につき「選択的」というときは、光の右円偏光成分または左円偏光成分のいずれかの光量が、他方の円偏光成分よりも多いことを意味する。具体的には「選択的」というとき、光の円偏光度は、0.3以上であることが好ましく、0.6以上がより好ましく、0.8以上がさらに好ましい。実質的に1.0であることがさらに好ましい。ここで、円偏光度とは、光の右円偏光成分の強度をIR、左円偏光成分の強度をILとしたとき、|IR−IL|/(IR+IL)で表される値である。
本明細書において、円偏光につき「センス」というときは、右円偏光であるか、または左円偏光であるかを意味する。円偏光のセンスは、光が手前に向かって進んでくるように眺めた場合に電場ベクトルの先端が時間の増加に従って時計回りに回る場合が右円偏光であり、反時計回りに回る場合が左円偏光であるとして定義される。
本明細書においては、コレステリック液晶の螺旋の捩れ方向について「センス」との用語を用いることもある。コレステリック液晶の螺旋の捩れ方向(センス)が右の場合は右円偏光を反射し、左円偏光を透過し、センスが左の場合は左円偏光を反射し、右円偏光を透過する。
本明細書において、「光」という場合、特に断らない限り、可視光かつ自然光(非偏光)の光を意味する。可視光線は電磁波のうち、ヒトの目で見える波長の光であり、通常、380nm〜780nmの波長域の光を示す。
本明細書において、光透過率の算出に関連して必要である光強度の測定は、例えば通常の可視スペクトルメータを用いて、リファレンスを空気として、測定したものであればよい。
本明細書において、単に「反射光」または「透過光」というときは、散乱光および回折光を含む意味で用いられる。
なお、光の各波長の偏光状態は、円偏光板を装着した分光放射輝度計またはスペクトルメータを用いて測定することができる。この場合、右円偏光板を通して測定した光の強度がIR、左円偏光板を通して測定した光の強度がILに相当する。また、照度計やスペクトルメータに円偏光板を取り付けても測定することができる。右円偏光透過板をつけ、右円偏光量を測定、左円偏光透過板をつけ、左円偏光量を測定することにより、比率を測定できる。
本明細書において、p偏光は光の入射面に平行な方向に振動する偏光を意味する。入射面は反射面(ウインドシールドガラス表面など)に垂直で入射光線と反射光線とを含む面を意味する。p偏光は電場ベクトルの振動面が入射面に平行である。本明細書において、s偏光は光の入射面に垂直な方向に振動する偏光を意味する。
本明細書において、正面位相差は、Axometrics社製のAxoScanを用いて測定した値である。測定波長は550nmとする。正面位相差はKOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において可視光波長域内の波長の光をフィルム法線方向に入射させて測定した値を用いることもできる。測定波長の選択にあたっては、波長選択フィルターをマニュアルで交換するか、または測定値をプログラム等で変換して測定することができる。
本明細書において、液晶化合物の複屈折(Δn)は、「液晶・基礎編(岡野光治、小林駿介編)」のp.214に記載の方法に従って測定した値である。具体的には、液晶化合物を楔型セルに注入し、これに波長550nmの光を照射し、透過光の屈折角を測定することにより60℃におけるΔnを求めることができる。
本明細書において、「投映像(projection image)」は、前方などの周囲の風景ではない、使用するプロジェクターからの光の投射に基づく映像を意味する。投映像は、観察者から見てウインドシールドガラスの投映像表示部位の先に浮かび上がって見える虚像として観測される。
本明細書において、「画像(screen image)」はプロジェクターの描画デバイスに表示される像または、描画デバイスにより中間像スクリーン等に描画される像を意味する。虚像に対して、画像は実像である。
画像および投映像は、いずれも単色の像であっても、2色以上の多色の像であっても、フルカラーの像であってもよい。
<<ウインドシールドガラス>>
本明細書において、ウインドシールドガラスは、車、電車などの車両、飛行機、船、遊具などの乗り物一般の窓ガラスを意味する。ウインドシールドガラスは乗り物の進行方向にあるフロントガラスであることが好ましい。ウインドシールドガラスは車両のフロントガラスであることが好ましい。
ウインドシールドガラスは、平面状であればよい。ウインドシールドガラスは、適用される乗り物への組み込み用に成形されていてもよく、例えば、曲面を有していてもよい。適用される乗り物用に成形されたウインドシールドガラスにおいては、通常使用時に上(鉛直上)となる方向や観察者側となる面が特定できる。なお、本明細書において、ウインドシールドガラスまたは投映像表示部位について鉛直上というときは、上記のように特定できる使用時に鉛直上となる方向を意味する。
本発明のウインドシールドガラスは、2枚のガラス板が中間層を介して接着している合わせガラスの構成を有し、第一のガラス板、第一の樹脂膜、ハーフミラーフィルム、第二の樹脂膜、および第二のガラス板をこの順に含む。本発明のウインドシールドガラスは、さらに特定の基材を含み、ハーフミラーフィルムは基材と隣接している。
<ガラス板>
本明細書においては、ウインドシールドガラスにおいて、外側となるガラス板を第一のガラス板といい、室内側にあるガラス板を第二のガラス板という。言い換えると、運転者(観察者側)からより遠い位置にあるガラス板を第一のガラス板といい、より近い位置にあるガラス板を第二のガラス板という。
本明細書において単にガラス板というときは、第一のガラス板および第二のガラス板のいずれをも示す意味である。
ガラス板としては、ウインドシールドガラスに一般的に用いられるガラス板を利用することができる。ガラス板の厚みについては特に制限はないが、0.5mm〜5.0mm程度であればよく、1.0mm〜3.0mmが好ましく、1.6mm〜2.3mmがより好ましい。第一のガラス板および第二のガラス板の厚みは互いに同一でも異なっていてもよい。例えば、第一のガラス板を1.9mm〜2.5mmとし、第二のガラス板を1.6mm〜1.9mmとしてもよい。
ガラス板には、その表面に撥水性、親水性、または防曇性等を付与するための表面加工が施されていてもよい。
ガラス板はウインドシールドガラスの形状に切断されていることが好ましい。また、曲面を有していることが好ましい。曲面は、切断したガラス板を、製造しようとするウインドシールドガラスと同じ曲率が付けられた治具の上に載せ、加熱(例えば、600〜700℃)することにより設けることができる。
<樹脂膜>
本明細書においては、ウインドシールドガラスにおいて、外側となる樹脂膜を第一の樹脂膜といい、室内側にある樹脂膜を第二の樹脂膜という。言い換えると、運転者(観察者)側からより遠い位置にある樹脂膜を第一の樹脂膜といい、より近い位置にある樹脂膜を第二の樹脂膜という。第一の樹脂膜および第二の樹脂膜は、材料、厚みなどにおいて、同一でも異なっていてもよい。材料は同一であることが好ましく、材料および厚みが同一であることがより好ましい。
本明細書において単に樹脂膜というときは、第一の樹脂膜および第二の樹脂膜のいずれをも示す意味である。
樹脂膜は第一のガラス板と同一の形状および面積を有していればよい。例えば合わせガラスの製造工程において、ロール形態から巻き出された樹脂膜が第一のガラス板および第二のガラス板に挟まれた後、トリミングされて第一のガラス板の形状となっていてもよい。
樹脂膜としては、合わせガラスの中間層に用いられるシートとして公知の樹脂膜を用いればよい。樹脂膜は樹脂を主成分として含む。主成分であるとは、中間膜シートの50質量%以上の割合を占める成分のことをいう。
樹脂は、合成樹脂であることが好ましい。例えば、樹脂は、熱可塑性樹脂であればよい。熱可塑性樹脂としては、従来から合わせガラスの中間層への用途に用いられている熱可塑性樹脂が挙げられ、例えばポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、飽和ポリエステル、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体等が挙げられる。これらのうち、透明性、強度、耐光性等の観点から、ポリビニルアセタールが好ましい。
ポリビニルアセタールは、ポリビニルアルコールを酸の存在下、アルデヒドでアセタール化した樹脂の総称であり、例えばアルデヒドとしてホルマリン(ホルムアルデヒド37%水溶液)を用いてアセタール化したポリビニルホルマール、アルデヒドとしてブタノール(ブチルアルコール)でアセタール化したポリビニルブチラール(以下、「PVB」ということがある)等が挙げられる。
上記の樹脂のうち、ポリビニルブチラールまたはエチレン−酢酸ビニル共重合体であることが好ましく、ポリビニルブチラールがより好ましい。上述のようにポリビニルブチラールは、ポリビニルアルコールをブチルアルデヒドによりアセタール化して得ることができる。上記ポリビニルブチラールのアセタール化度の好ましい下限は40%、好ましい上限は85%であり、より好ましい下限は60%、より好ましい上限は75%である。
ポリビニルアルコールは、通常、ポリ酢酸ビニルを鹸化することにより得られ、鹸化度80〜99.8モル%のポリビニルアルコールが一般的に用いられる。
また、上記ポリビニルアルコールの重合度の好ましい下限は200、好ましい上限は3000である。ポリビニルアルコールの重合度が200以上であると、得られる合わせガラスの耐貫通性が低下しにくく、3000以下であると、樹脂膜の成形性がよく、しかも樹脂膜の剛性が大きくなり過ぎず、加工性が良好である。より好ましい下限は500、より好ましい上限は2000である。
樹脂は、可塑剤の添加により可塑化されていることも好ましい。例えば、可塑剤としては、リン酸エステル、カルボン酸エステル、糖エステル、または重縮合エステル等が用いられる。
可塑剤の添加量は、樹脂100質量部に対し、10質量部以上80質量部以下とすることが好ましい。10質量部以上の可塑剤の添加により、熱可塑性樹脂の可塑化を十分に行うことができる。また、可塑剤の添加量を80質量部以下とすることにより、樹脂層の強度を十分に保つことができる。
樹脂膜または樹脂膜形成のための組成物は、上記可塑剤のほか、赤外線遮蔽性微粒子、接着性調整剤、カップリング剤、界面活性剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定化剤、紫外線吸収剤、蛍光剤、脱水剤、消泡剤、帯電防止剤、難燃剤等の各種添加剤の1種もしくは2種以上を含んでいてもよい。
樹脂膜の厚みは、例えば0.1mm〜1.5mmが好ましく、0.2mm〜1.0mmがより好ましい。
<ハーフミラーフィルム>
本発明のウインドシールドガラスは合わせガラスの中間層にハーフミラーフィルムを含む。
ハーフミラーフィルムを中間層に設けることにより、例えばヘッドアップディスプレイシステムにおいて投映される映像と前方の風景とを同時に表示させることのできる投映像表示部位をウインドシールドガラスに形成することができる。
本明細書において、投映像表示部位とは、反射光で投映像を表示することができる部位であり、プロジェクター等から投映された投映像を視認可能に表示することができる部位であればよい。
本発明のウインドシールドガラスをヘッドアップディスプレイシステムにおいて用いる場合、ハーフミラーフィルムの部位においてプロジェクターから投映された画像を視認可能に表示することができるとともに、画像が表示されている同じ面側からハーフミラーフィルムを観察したときに、反対の面側にある情報または風景を同時に観察することができる。すなわち、ハーフミラーフィルムは、外界光と映像光を重ねあわせて表示する光路コンバイナとしての機能を有する。
ハーフミラーフィルムはウインドシールドガラスの全面にあってもよく、またはウインドシールドガラスの全面積に対し一部にあってもよいが、一部であることが好ましい。一部である場合、その面積は、ウインドシールドガラスの全面積に対し、90%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下などであってよく、1%以上、3%以上、5%以上、7%以上、10%以上であればよい。また、一部である場合、ハーフミラーフィルムはウインドシールドガラスのいずれの位置に設けてもよいが、ヘッドアップディスプレイシステムとしての使用時に、観察者(例えば、運転者)から視認しやすい位置に虚像が示されるように設けられていることが好ましい。例えば、適用される乗り物の運転席の位置とプロジェクターを設置する位置との関係からハーフミラーフィルムを設ける位置を決定すればよい。具体的には、運転者が見下ろす角度に配置されることが好ましく、ウインドシールドガラスの中心よりも下の位置に配置されることが好ましい。
本発明のウインドシールドガラスにおいて、ハーフミラーフィルムは、曲面を有していない平面状であってもよいが、曲面を有していてもよく、全体として凹型または凸型の形状を有し、投映像を拡大または縮小して表示するようになっていてもよい。
ハーフミラーフィルムの厚みは、2.5μm〜35μmであることが好ましく、3.0μm〜30μmであることがより好ましく、3.5μm〜25μmであることがさらに好ましい。
ハーフミラーフィルムは、少なくとも投映光に対して、ハーフミラーとしての機能を有しているものであればよい。しかし、例えば可視光域全域の光に対してハーフミラーとして機能していることを必要とするものではない。また、ハーフミラーフィルムは、少なくとも一部の入射角の光に対して上記の機能を有していればよい。
ハーフミラーフィルムは反対の面側にある情報または風景の観察を可能とするために、可視光透過性を有することが好ましい。ハーフミラーフィルムは、可視光の波長域において、40%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上の光透過率を有していればよい。光透過率は、JIS−K7105に記載された方法で求めた光線透過率とする。
ハーフミラーフィルムは円偏光反射層を含む。ハーフミラーフィルムはさらに位相差層を含んでいてもよい。この場合、円偏光反射層および位相差層は、それぞれ別々に作製され、互いに接着されてハーフミラーフィルムとなっていてもよく、または、円偏光反射層(コレステリック液晶層)の上に位相差層を形成することにより、もしくは位相差層の上に円偏光反射層(コレステリック液晶層)を形成することにより、ハーフミラーフィルムとなっていてもよい。
ハーフミラーフィルムは、円偏光反射層および位相差層の他に後述の第2の位相差層、配向層、支持体、接着層などの層を含んでいてもよい。
本発明のウインドシールドガラスの作製に用いられるハーフミラーフィルムは、フィルム状、シート状、または板状などであればよい。ハーフミラーフィルムは、薄膜のフィルムとしてロール状等になって形成され、その後、本発明のウインドシールドガラスの作製に用いられてもよい。
[円偏光反射層]
円偏光反射層は光を反射する層である。円偏光反射層はコレステリック液晶層を含む。円偏光反射層は、配向層などの他の層を含んでいてもよい。
円偏光反射層の厚みは、2.0μm〜30μmであることが好ましく、2.5μm〜25μmであることがより好ましく、3.0μm〜20μmであることがさらに好ましい。
(コレステリック液晶層)
本明細書において、コレステリック液晶層は、コレステリック液晶相を固定した層を意味する。コレステリック液晶層を単に液晶層ということもある。
コレステリック液晶層は、コレステリック液晶相となっている液晶化合物の配向が保持されている層であればよく、典型的には、重合性液晶化合物をコレステリック液晶相の配向状態としたうえで、紫外線照射、加熱等によって重合、硬化し、流動性が無い層を形成して、同時に、また外場や外力によって配向形態に変化を生じさせることがない状態に変化した層であればよい。なお、コレステリック液晶層においては、コレステリック液晶相の光学的性質が層中において保持されていれば十分であり、層中の液晶化合物はもはや液晶性を示していなくてもよい。例えば、重合性液晶化合物は、硬化反応により高分子量化して、もはや液晶性を失っていてもよい。
コレステリック液晶相は、右円偏光または左円偏光のいずれか一方のセンスの円偏光を選択的に反射させるとともに他方のセンスの円偏光を透過する円偏光選択反射を示すことが知られている。本明細書において、円偏光選択反射を単に選択反射ということもある。
円偏光選択反射性を示すコレステリック液晶相を固定した層を含むフィルムとして、重合性液晶化合物を含む組成物から形成されたフィルムは従来から数多く知られており、コレステリック液晶層については、それらの従来技術を参照することができる。
コレステリック液晶層の選択反射の中心波長λは、コレステリック相における螺旋構造のピッチP(=螺旋の周期)に依存し、コレステリック液晶層の平均屈折率nとλ=n×Pの関係に従う。なお、本明細書において、コレステリック液晶層が有する選択反射の中心波長λは、コレステリック液晶層の法線方向から測定した円偏光反射スペクトルの反射ピークの重心位置にある波長を意味する。
コレステリック液晶層の選択反射中心波長と半値幅は下記のように求めることができる。
分光光度計UV3150(島津製作所)を用いてコレステリック液晶層の透過スペクトル(コレステリック液晶層の法線方向から測定したもの)を測定すると、選択反射帯域に透過率の低下ピークがみられる。このピークの極小透過率と低下前の透過率との中間(平均)の透過率となる2つの波長のうち、短波長側の波長の値をλl(nm)、長波長側の波長の値をλh(nm)とすると、選択反射の中心波長λと半値幅Δλは下記式で表すことができる。
λ=(λl+λh)/2
Δλ=(λh−λl
上記のように求められる選択反射中心波長はコレステリック液晶層の法線方向から測定した円偏光反射スペクトルの反射ピークの重心位置にある波長と略一致する。
上記のλ=n×Pの関係から分かるように、螺旋構造のピッチを調節することによって、選択反射の中心波長を調整できる。可視光領域で選択反射を示すコレステリック液晶層は可視光領域で選択反射の中心波長を有することが好ましい。n値とP値を調節して、例えば、赤色光、緑色光、青色光、に対して右円偏光または左円偏光のいずれか一方を選択的に反射させるために、中心波長λを調節することができる。
ヘッドアップディスプレイシステムにおいては、投映光がガラスの表面または裏面で反射することで生じる二重像の低減のため、円偏光反射層に対して斜めに光が入射するようにウインドシールドガラスが用いられることが好ましい。このように、コレステリック液晶層に対して斜めに光が入射する場合は、選択反射の中心波長は短波長側にシフトする。そのため、投映像表示のために必要とされる選択反射の波長に対して、上記のλ=n×Pの式に従って計算されるλが長波長側となるようにn×Pを調整することが好ましい。屈折率n2のコレステリック液晶層中でコレステリック液晶層の法線方向(コレステリック液晶層の螺旋軸方向)に対して光線がθ2の角度で通過するときの選択反射の中心波長をλdとするとき、λdは以下の式で表される。
λd=n2×P×cosθ2
例えば、屈折率1の空気中で投映像表示部位の法線に対し45°〜70°の角度でλ/2位相差層側から入射した光は、通常屈折率1.45〜1.80程度のλ/2位相差層を投映像表示部位の法線に対し23°〜40°の角度で透過し、屈折率1.61程度のコレステリック液晶層に入射する。コレステリック液晶層において光は26°〜36°の角度で透過するためこの角度と求める選択反射の中心波長を上記の式に挿入してn×Pを調整すればよい。
コレステリック液晶相のピッチは重合性液晶化合物とともに用いるキラル剤の種類、またはその添加濃度に依存するため、これらを調整することによって所望のピッチを得ることができる。なお、螺旋のセンスやピッチの測定法については「液晶化学実験入門」日本液晶学会編 シグマ出版2007年出版、46頁、および「液晶便覧」液晶便覧編集委員会 丸善 196頁に記載の方法を用いることができる。
円偏光反射層は、3層以上のコレステリック液晶層を含むことが好ましい。また、この3層以上のコレステリック液晶層の選択反射の中心波長は互いに異なっていることが好ましい。円偏光反射層は、赤色光、緑色光、および青色光に対してそれぞれ見かけ上の選択反射の中心波長を有することが好ましい。見かけ上の選択反射の中心波長とは、実用の際の観察方向から測定したコレステリック液晶層の円偏光反射スペクトルの反射ピークの重心位置にある波長を意味する。赤色光、緑色光、および青色光に対してそれぞれ見かけ上の選択反射の中心波長を有することによりフルカラーの投映像の表示が可能となる。具体的には、円偏光反射層は、赤色光を選択的に反射するコレステリック液晶層、緑色光を選択的に反射するコレステリック液晶層、青色光を選択的に反射するコレステリック液晶層を含むことが好ましい。円偏光反射層は、例えば、490nm〜600nmに選択反射の中心波長を有するコレステリック液晶層、600nm〜680nmに選択反射の中心波長を有するコレステリック液晶層、および680nm〜850nmに選択反射の中心波長を有するコレステリック液晶層を含むことが好ましい。
使用するコレステリック液晶層の選択反射の中心波長を、投映に用いられる光源の発光波長域、および円偏光反射層の使用態様に応じて調整することにより光利用効率良く鮮明な投映像を表示することができる。特に各コレステリック液晶層の選択反射の中心波長をそれぞれ投映に用いられる光源の発光波長域などに応じてそれぞれ調整することにより、光利用効率良く鮮明なカラー投映像を表示することができる。円偏光反射層の使用態様としては、特に円偏光反射層への投映光の入射角、投映像を観察する方向などが挙げられる。
本発明のウインドシールドガラスにおいて、円偏光反射層は、4層以上のコレステリック液晶層を含み、かつこの4層以上のコレステリック液晶層の選択反射の中心波長は互いに異なっていることが好ましい。
各コレステリック液晶層としては、螺旋のセンスが右または左のいずれかであるコレステリック液晶層が用いられる。コレステリック液晶層の反射円偏光のセンスは螺旋のセンスに一致する。選択反射の中心波長が異なるコレステリック液晶層の螺旋のセンスは全て同じであっても、異なるものが含まれていてもよいが、同じであることが好ましい。
選択反射を示す選択反射帯の半値幅Δλ(nm)は、Δλが液晶化合物の複屈折Δnと上記ピッチPに依存し、Δλ=Δn×Pの関係に従う。そのため、選択反射帯の幅の制御は、Δnを調整して行うことができる。Δnの調整は重合性液晶化合物の種類や混合比率を調整したり、配向固定時の温度を制御したりすることで行うことができる。
選択反射の中心波長が同一の1種のコレステリック液晶層の形成のために、ピッチPが同じで、同じ螺旋のセンスのコレステリック液晶層を複数積層してもよい。ピッチPが同じで、同じ螺旋のセンスのコレステリック液晶層を積層することによって、特定の波長で円偏光選択性を高くすることができる。
選択反射の半値幅Δλは、15nm〜200nm、15nm〜150nm、または20nm〜100nm等であればよい。円偏光反射層は、選択反射の半値幅Δλが50nm以下であるコレステリック液晶層を少なくとも1つ含むことが好ましい。本明細書において、選択反射の半値幅Δλが50nm以下であるコレステリック液晶層を狭帯域選択反射層ということがある。円偏光反射層は、狭帯域選択反射層を2つ含むことがより好ましい。特に、緑色光および青色光に対してそれぞれ見かけ上の選択反射の中心波長を有するコレステリック液晶層が狭帯域選択反射層であることが好ましい。緑色光および青色光に対してそれぞれ見かけ上の選択反射の中心波長を有するコレステリック液晶層が狭帯域選択反射層であることにより、ウインドシールドガラスの透明性を損なわずに鮮明な投映像を与える投映像表示部位を形成することが可能である。
コレステリック液晶層の厚みは、0.3μm〜10μmであることが好ましく、0.4μm〜8.0μmであることがより好ましく、0.5μm〜6.0μmであることがさらに好ましい。
複数のコレステリック液晶層の積層の際は、別に作製したコレステリック液晶層を接着剤等を用いて積層してもよく、後述の方法で形成された先のコレステリック液晶層の表面に直接、重合性液晶化合物等を含む液晶組成物を塗布し、配向および固定の工程を繰り返してもよいが、後者が好ましい。先に形成されたコレステリック液晶層の表面に直接次のコレステリック液晶層を形成することにより、先に形成したコレステリック液晶層の空気界面側の液晶分子の配向方位と、その上に形成するコレステリック液晶層の下側の液晶分子の配向方位が一致し、コレステリック液晶層の積層体の偏光特性が良好となるからである。また、接着層の厚みムラに由来して生じ得る干渉ムラが観測されないからである。
(短波長コレステリック液晶層)
円偏光反射層が4層以上のコレステリック液晶層を含む場合、これらのコレステリック液晶層のうちの1つとして、350nm以上490nm未満に選択反射の中心波長を有するコレステリック液晶層(以下、「短波長コレステリック液晶層」ということがある。)を含むことも好ましい。本発明者らは、円偏光反射層およびλ/2位相差層を含む構成を投映像表示部位としてウインドシールドガラスに設ける場合、ウインドシールドガラス中の投映像表示部位を外光下で観察したときに色味(特に黄色味)が確認されることを発見した。350nm以上490nm未満に選択反射の中心波長を有するコレステリック液晶層を含む円偏光反射層を利用することによって、ウインドシールドガラスを外光下で観察したときにおいても投映像表示部位に上記色味が感じられにくくなり、投映像表示部位を外部から目立たなくすることができる。ヘッドアップディスプレイシステムにおいては、ブリュースター角を利用して二重像を低減するために円偏光反射層に対して斜めに光が入射することを前提として光学設計がなされることが好ましく、上述のように赤色光、緑色光、および青色光に対してそれぞれ見かけ上の選択反射の中心波長を有する円偏光反射層を設計しようとすると、円偏光反射層の法線方向からの光に対しての反射光において相対的に青色光成分が少なくなり黄色味が生じ得る。350nm以上490nm未満に選択反射の中心波長を有するコレステリック液晶層を用いることにより、上記反射光の青色光成分が増加し、黄色味が解消したと考えられる。
350nm以上490nm未満に選択反射の中心波長を有するコレステリック液晶層を用いることにより、投映像表示部位を通して外光を観測する際に偏光サングラスを介しても感じられるギラツキをも低減することができる。通常、偏光サングラスを介すると視認されない地面や水面からの反射光に基づくs偏光は、投映像表示部位で偏光状態が変化することにより視認される光成分に変換し得るが、この光成分が350nm以上490nm未満に選択反射の中心波長を有するコレステリック液晶層を用いることにより減少すると考えられる。
350nm以上490nm未満に選択反射の中心波長を有するコレステリック液晶層は、370nm〜485nmに選択反射の中心波長を有することが好ましく、390nm〜480nmに選択反射の中心波長を有することがより好ましく、400nm〜470nmに選択反射の中心波長を有することがさらに好ましい。
短波長コレステリック液晶層は、ヘッドアップディスプレイシステムにおいての使用時に見かけ上の選択反射の中心波長が280nm以上420nm未満であればよく、300nm以上410nm未満であることが好ましく、320nm以上400nm未満であることがより好ましく、340nm以上395nm未満であることがさらに好ましい。
本発明のウインドシールドガラスが、位相差層を含む場合、円偏光反射層において、短波長コレステリック液晶層は、4層以上のコレステリック液晶層の中で最も位相差層(後述の第1の位相差層)側にあることが好ましい。二重像がより軽減されるためである。
また、円偏光反射層において、コレステリック液晶層は、位相差層(後述の第1の位相差層)側からみて、選択反射の中心波長が短いものから順に配置されていることが好ましい。例えば、位相差層、350nm以上490nm未満に選択反射の中心波長を有するコレステリック液晶層、490nm〜600nmに選択反射の中心波長を有するコレステリック液晶層、600nm〜680nmに選択反射の中心波長を有するコレステリック液晶層、および680nm〜850nmに選択反射の中心波長を有するコレステリック液晶層がこの順に配置されていることが好ましい。
(コレステリック液晶層の作製方法)
以下、コレステリック液晶層の作製材料および作製方法について説明する。
上記コレステリック液晶層の形成に用いる材料としては、重合性液晶化合物とキラル剤(光学活性化合物)とを含む液晶組成物などが挙げられる。必要に応じてさらに界面活性剤や重合開始剤などと混合して溶剤などに溶解した上記液晶組成物を、支持体、配向層、下層となるコレステリック液晶層などに塗布し、コレステリック配向熟成後、液晶組成物の硬化により固定化してコレステリック液晶層を形成することができる。
(重合性液晶化合物)
重合性液晶化合物は、棒状液晶化合物であっても、円盤状液晶化合物であってもよいが、棒状液晶化合物であることが好ましい。
コレステリック液晶層を形成する棒状の重合性液晶化合物の例としては、棒状ネマチック液晶化合物が挙げられる。棒状ネマチック液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。低分子液晶化合物だけではなく、高分子液晶化合物も用いることができる。
重合性液晶化合物は、重合性基を液晶化合物に導入することで得られる。重合性基の例には、不飽和重合性基、エポキシ基、およびアジリジニル基が含まれ、不飽和重合性基が好ましく、エチレン性不飽和重合性基が特に好ましい。重合性基は種々の方法で、液晶化合物の分子中に導入できる。重合性液晶化合物が有する重合性基の個数は、好ましくは一分子中に1〜6個、より好ましくは1〜3個である。重合性液晶化合物の例は、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号明細書、同5622648号明細書、同5770107号明細書、国際公開WO95/22586、国際公開WO95/24455、WO97/00600、WO98/23580、WO98/52905、特開平1−272551号公報、同6−16616号公報、同7−110469号公報、同11−80081号公報、および特開2001−328973号公報などに記載の化合物が含まれる。2種類以上の重合性液晶化合物を併用してもよい。2種類以上の重合性液晶化合物を併用すると、配向温度を低下させることができる。
また、液晶組成物中の重合性液晶化合物の添加量は、液晶組成物の固形分質量(溶媒を除いた質量)に対して、80〜99.9質量%であることが好ましく、85〜99.5質量%であることがより好ましく、90〜99質量%であることが特に好ましい。
(低Δn重合性液晶化合物)
上記の選択反射を示す選択反射帯の半値幅Δλの式からもわかるように、低Δn重合性液晶化合物を利用してコレステリック液晶相を形成し、これを固定したフィルムとすることにより、狭帯域選択反射層を得ることができる。低Δn重合性液晶化合物の例としては、国際公開WO2015/115390、WO2015/147243、WO2016/035873、特開2015−163596号公報、特開2016−53149号公報に記載の化合物が挙げられる。半値幅の小さい選択反射層を与える液晶組成物については、WO2016/047648の記載も参照できる。
液晶化合物は、WO2016/047648に記載の以下の式(I)で表される重合性化合物であることも好ましい。
式中、
Aは、置換基を有していてもよいフェニレン基または置換基を有していてもよいトランス−1,4−シクロヘキシレン基を示し、
Lは単結合、−CH2O−、−OCH2−、−(CH22OC(=O)−、−C(=O)O(CH22−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−CH=CH−C(=O)O−、および−OC(=O)−CH=CH−からなる群から選択される連結基を示し、
mは3〜12の整数を示し、
Sp1およびSp2はそれぞれ独立に、単結合、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、および炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基において1つまたは2つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、または−C(=O)O−で置換された基からなる群から選択される連結基を示し、
1およびQ2はそれぞれ独立に、水素原子または以下の式Q−1〜式Q−5で表される基からなる群から選択される重合性基を示し、ただしQ1およびQ2のいずれか一方は重合性基を示す。
式(I)中の、フェニレン基は1,4−フェニレン基であることが好ましい。
フェニレン基およびトランス−1,4−シクロヘキシレン基について「置換基を有していてもよい」というときの置換基は、特に限定されず、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルエーテル基、アミド基、アミノ基、およびハロゲン原子ならびに、上記の置換基を2つ以上組み合わせて構成される基からなる群から選択される置換基が挙げられる。また、置換基の例としては、後述の−C(=O)−X3−Sp3−Q3で表される置換基が挙げられる。フェニレン基およびトランス−1,4−シクロヘキシレン基は、置換基を1〜4個有していてもよい。2個以上の置換基を有するとき、2個以上の置換基は互いに同一であっても異なっていてもよい。
本明細書において、アルキル基は直鎖状または分岐鎖状のいずれでもよい。アルキル基の炭素数は1〜30が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜6が特に好ましい。アルキル基の例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、直鎖状または分岐鎖状のヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、またはドデシル基を挙げることができる。アルキル基に関する上記説明はアルキル基を含むアルコキシ基においても同様である。また、本明細書において、アルキレン基というときのアルキレン基の具体例としては、上記のアルキル基の例それぞれにおいて、任意の水素原子を1つ除いて得られる2価の基などが挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子が挙げられる。
本明細書において、シクロアルキル基の炭素数は、3〜20が好ましく、5以上がより好ましく、また、10以下が好ましく、8以下がより好ましく、6以下がさらに好ましい。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基を挙げることができる。
フェニレン基およびトランス−1,4−シクロヘキシレン基が有していてもよい置換基としては特に、アルキル基、およびアルコキシ基、−C(=O)−X3−Sp3−Q3からなる群から選択される置換基が好ましい。ここで、X3は単結合、−O−、−S−、もしくは−N(Sp4−Q4)−を示すか、または、Q3およびSp3と共に環構造を形成している窒素原子を示す。Sp3、Sp4はそれぞれ独立に、単結合、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、および炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基において1つまたは2つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、または−C(=O)O−で置換された基からなる群から選択される連結基を示す。
3およびQ4はそれぞれ独立に、水素原子、シクロアルキル基、シクロアルキル基において1つもしくは2つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、もしくは−C(=O)O−で置換された基、または式Q−1〜式Q−5で表される基からなる群から選択されるいずれかの重合性基を示す。
シクロアルキル基において1つまたは2つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、または−C(=O)O−で置換された基として、具体的には、テトラヒドロフラニル基、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、ピラゾリジニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、モルホルニル基、などが挙げられる。置換位置は特に限定されない。これらのうち、テトラヒドロフラニル基が好ましく、特に2−テトラヒドロフラニル基が好ましい。
式(I)において、Lは単結合、−CH2O−、−OCH2-、−(CH22OC(=O)−、−C(=O)O(CH22−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−CH=CH−C(=O)O−、−OC(=O)−CH=CH−、からなる群から選択される連結基を示す。Lは−C(=O)O−または−OC(=O)−であることが好ましい。m-1個のLは互いに同一でも異なっていてもよい。
Sp1、Sp2はそれぞれ独立に、単結合、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、および炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基において1つまたは2つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、または−C(=O)O−で置換された基からなる群から選択される連結基を示す。Sp1およびSp2はそれぞれ独立に、両末端にそれぞれ−O−、−OC(=O)−、および−C(=O)O−からなる群から選択される連結基が結合した炭素数1から10の直鎖のアルキレン基、−OC(=O)−、−C(=O)O−、−O−、および炭素数1から10の直鎖のアルキレン基からなる群から選択される基を1または2以上組み合わせて構成される連結基であることが好ましく、両方の末端に−O−がそれぞれ結合した炭素数1から10の直鎖のアルキレン基であることが好ましい。
1およびQ2はそれぞれ独立に、水素原子、もしくは上記の式Q−1〜式Q−5で表される基からなる群から選択される重合性基を示し、ただしQ1およびQ2のいずれか一方は重合性基を示す。
重合性基としては、アクリロイル基(式Q−1)またはメタクリロイル基(式Q−2)が好ましい。
式(I)中、mは3〜12の整数を示し、3〜9の整数であることが好ましく、3〜7の整数であることがより好ましく、3〜5の整数であることがさらに好ましい。
式(I)で表される重合性化合物は、Aとして置換基を有していてもよいフェニレン基を少なくとも1つおよび置換基を有していてもよいトランス−1,4−シクロヘキシレン基を少なくとも1つ含むことが好ましい。式(I)で表される重合性化合物は、Aとして、置換基を有していてもよいトランス−1,4−シクロヘキシレン基を1〜4個含むことが好ましく、1〜3個含むことがより好ましく、2又は3個含むことがさらに好ましい。また、式(I)で表される重合性化合物は、Aとして、置換基を有していてもよいフェニレン基を1個以上含むことが好ましく、1〜4個含むことがより好ましく、1〜3個含むことがさらに好ましく、2個又は3個含むことが特に好ましい。
式(I)において、Aで表されるトランス−1,4−シクロヘキシレン基の数をmで割った数をmcとしたとき、0.1<mc<0.9であることが好ましく、0.3<mc<0.8であることがより好ましく、0.5<mc<0.7であることがさらに好ましい。液晶組成物が0.5<mc<0.7である式(I)で表される重合性化合物とともに、0.1<mc<0.3である式(I)で表される重合性化合物を含むことも好ましい。
式(I)で表される重合性化合物の例として具体的には、WO2016/047648の段落0051〜0058に記載の化合物のほか、特開2013−112631号公報、特開2010−70543号公報、特許4725516号、国際公開WO2015/115390、WO2015/147243、WO2016/035873、特開2015−163596号公報、および特開2016−53149号公報に記載の化合物などを挙げることができる。
(キラル剤:光学活性化合物)
キラル剤はコレステリック液晶相の螺旋構造を誘起する機能を有する。キラル化合物は、化合物によって誘起する螺旋のセンスまたは螺旋ピッチが異なるため、目的に応じて選択すればよい。
キラル剤としては、特に制限はなく、公知の化合物を用いることができる。キラル剤の例としては、液晶デバイスハンドブック(第3章4−3項、TN、STN用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989)、特開2003−287623号、特開2002−302487号、特開2002−80478号、特開2002−80851号、特開2010−181852号または特開2014−034581号の各公報に記載の化合物が挙げられる。
キラル剤は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物あるいは面性不斉化合物もキラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物または面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファンおよびこれらの誘導体が含まれる。キラル剤は、重合性基を有していてもよい。キラル剤と液晶化合物とがいずれも重合性基を有する場合は、重合性キラル剤と重合性液晶化合物との重合反応により、重合性液晶化合物から誘導される繰り返し単位と、キラル剤から誘導される繰り返し単位とを有するポリマーを形成することができる。この態様では、重合性キラル剤が有する重合性基は、重合性液晶化合物が有する重合性基と、同種の基であることが好ましい。従って、キラル剤の重合性基も、不飽和重合性基、エポキシ基またはアジリジニル基であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基であることが特に好ましい。
また、キラル剤は、液晶化合物であってもよい。
キラル剤としては、イソソルビド誘導体、イソマンニド誘導体、またはビナフチル誘導体を好ましく用いることができる。イソソルビド誘導体としては、BASF社製のLC−756等の市販品を用いてもよい。
液晶組成物における、キラル剤の含有量は、重合性液晶化合物量の0.01モル%〜200モル%が好ましく、1モル%〜30モル%がより好ましい。
(重合開始剤)
液晶組成物は、重合開始剤を含有していることが好ましい。紫外線照射により重合反応を進行させる態様では、使用する重合開始剤は、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤であることが好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)、アシルフォスフィンオキシド化合物(特公昭63−40799号公報、特公平5−29234号公報、特開平10−95788号公報、特開平10−29997号公報、特開2001−233842号公報、特開2000−80068号公報、特開2006−342166号公報、特開2013−114249号公報、特開2014−137466号公報、特許4223071号公報、特開2010−262028号公報、特表2014−500852号公報記載)、オキシム化合物(特開2000−66385号公報、日本特許第4454067号明細書記載)、およびオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)等が挙げられる。例えば、特開2012−208494号公報の段落0500〜0547の記載も参酌できる。
重合開始剤としては、アシルフォスフィンオキシド化合物またはオキシム化合物を用いることも好ましい。
アシルフォスフィンオキシド化合物としては、例えば、市販品のBASFジャパン(株)製のIRGACURE810(化合物名:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド)を用いることができる。オキシム化合物としては、IRGACURE OXE01(BASF社製)、IRGACURE OXE02(BASF社製)、TR−PBG−304(常州強力電子新材料有限公司製)、アデカアークルズNCI−831、アデカアークルズNCI−930(ADEKA社製)、アデカアークルズNCI−831(ADEKA社製)等の市販品を用いることができる。
重合開始剤は、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
液晶組成物中の光重合開始剤の含有量は、重合性液晶化合物の含有量に対して0.1質量%〜20質量%であることが好ましく、0.5質量%〜5質量%であることがさらに好ましい。
(架橋剤)
液晶組成物は、硬化後の膜強度向上、耐久性向上のため、任意に架橋剤を含有していてもよい。架橋剤としては、紫外線、熱、湿気等で硬化するものが好適に使用できる。
架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物;2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、4,4−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等のアジリジン化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、ビウレット型イソシアネート等のイソシアネート化合物;オキサゾリン基を側鎖に有するポリオキサゾリン化合物;ビニルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物などが挙げられる。また、架橋剤の反応性に応じて公知の触媒を用いることができ、膜強度および耐久性向上に加えて生産性を向上させることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
架橋剤の含有量は、3質量%〜20質量%が好ましく、5質量%〜15質量%がより好ましい。架橋剤の含有量を3質量%以上とすることにより、架橋密度向上の効果を得ることができ、架橋剤の含有量を20質量%以下とすることにより、コレステリック液晶層の安定性の低下を防止できる。
(配向制御剤)
液晶組成物中には、安定的にまたは迅速にプレーナー配向のコレステリック液晶層とするために寄与する配向制御剤を添加してもよい。配向制御剤の例としては特開2007−272185号公報の段落〔0018〕〜〔0043〕等に記載のフッ素(メタ)アクリレート系ポリマー、特開2012−203237号公報の段落〔0031〕〜〔0034〕等に記載の式(I)〜(IV)で表される化合物などが挙げられる。
なお、配向制御剤としては1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
液晶組成物中における、配向制御剤の添加量は、重合性液晶化合物の全質量に対して0.01質量%〜10質量%が好ましく、0.01質量%〜5質量%がより好ましく、0.02質量%〜1質量%が特に好ましい。
(その他の添加剤)
その他、液晶組成物は、塗膜の表面張力を調整し厚みを均一にするための界面活性剤、および重合性モノマー等の種々の添加剤から選ばれる少なくとも1種を含有していてもよい。また、液晶組成物中には、必要に応じて、さらに重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、色材、金属酸化物微粒子等を、光学性能を低下させない範囲で添加することができる。
コレステリック液晶層は、重合性液晶化合物および重合開始剤、更に必要に応じて添加されるキラル剤、界面活性剤等を溶媒に溶解させた液晶組成物を、支持体、配向層、または先に作製されたコレステリック液晶層等の上に塗布し、乾燥させて塗膜を得、この塗膜に活性光線を照射してコレステリック液晶性組成物を重合し、コレステリック規則性が固定化されたコレステリック液晶層を形成することができる。なお、複数のコレステリック液晶層からなる積層膜は、コレステリック液晶層の上記製造工程を繰り返し行うことにより形成することができる。
(溶媒)
液晶組成物の調製に使用する溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、有機溶媒が好ましく用いられる。
有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばケトン類、アルキルハライド類、アミド類、スルホキシド類、ヘテロ環化合物、炭化水素類、エステル類、エーテル類、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、環境への負荷を考慮した場合にはケトン類が特に好ましい。
(塗布、配向、重合)
支持体、配向層、下層となるコレステリック液晶層などへの液晶組成物の塗布方法は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ワイヤーバーコーティング法、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法などが挙げられる。また、別途支持体上に塗設した液晶組成物を転写することによっても実施できる。塗布した液晶組成物を加熱することにより、液晶分子を配向させる。加熱温度は、200℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。この配向処理により、重合性液晶化合物が、フィルム面に対して実質的に垂直な方向に螺旋軸を有するようにねじれ配向している光学薄膜が得られる。
配向させた液晶化合物をさらに重合させることにより、液晶組成物を硬化することができる。重合は、熱重合、光照射を利用する光重合のいずれでもよいが、光重合が好ましい。光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2が好ましく、100mJ/cm2〜1,500mJ/cm2がより好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下または窒素雰囲気下で光照射を実施してもよい。照射紫外線波長は350nm〜430nmが好ましい。重合反応率は安定性の観点から、高いほうが好ましく70%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。重合反応率は、重合性の官能基の消費割合をIR吸収スペクトルを用いて測定することにより、決定することができる。
[支持体、配向層等]
ハーフミラーフィルムまたは円偏光反射層は、支持体、配向層などの他の層を含んでいてもよい。他の層はいずれも可視光領域で透明であることが好ましい。本明細書において可視光領域で透明であるとは、可視光の透過率が70%以上であることをいう。また、他の層はいずれも低複屈折性であることが好ましい。本明細書において低複屈折性であるとは、本発明のウインドシールドガラスの投映像表示部位が反射を示す波長域において、正面位相差が10nm以下であることを意味し、上記正面位相差は5nm以下であることが好ましい。さらに、他の層はいずれもコレステリック液晶層の平均屈折率(面内平均屈折率)との屈折率の差が小さいことが好ましい。
支持体は、コレステリック液晶層または後述の位相差層の形成の際に基板となることができる。支持体は特に限定されない。コレステリック液晶層または位相差層の形成のために用いられる支持体は、コレステリック液晶層形成後に剥離される仮支持体であって、完成したハーフミラーフィルムまたはウインドシールドガラスにおいては含まれていなくてもよい。支持体としてはポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン、セルロース誘導体、シリコーンなどのプラスチックフィルムが挙げられる。仮支持体としては、上記のプラスチックフィルムのほか、ガラスを用いてもよい。
支持体の厚みとしては、5.0μm〜1000μm程度であればよく、10μm〜250μmが好ましく、15μm〜100μmがより好ましい。
ハーフミラーフィルムは、コレステリック液晶層または位相差層の形成の際に液晶組成物が塗布される下層として、配向層を含んでいてもよい。
配向層は、ポリマーなどの有機化合物(ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、変性ポリアミドなどの樹脂)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、またはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)を用いた有機化合物(例えば、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。更に、電場の付与、磁場の付与または光照射により、配向機能が生じる配向層を用いてもよい。
特にポリマーからなる配向層はラビング処理を行ったうえで、ラビング処理面に液晶組成物を塗布することが好ましい。ラビング処理は、ポリマー層の表面を、紙、布で一定方向に、擦ることにより実施することができる。
配向層を設けずに支持体表面、または支持体をラビング処理した表面に、液晶組成物を塗布してもよい。
仮支持体を用いて液晶層を形成する場合は、配向層は仮支持体とともに剥離されてハーフミラーフィルムを構成する層とはならなくてもよい。
配向層の厚みは、0.01μm〜5.0μmであることが好ましく、0.05μm〜2.0μmであることがさらに好ましい。
<基材>
本発明のウインドシールドガラスは基材を含む。基材は、第一のガラス板、第一の樹脂膜、ハーフミラーフィルム、第二の樹脂膜、および第二のガラス板をこの順に含むウインドシールドガラスにおいて、ハーフミラーフィルムと隣接している。ハーフミラーフィルムと隣接しているとは、第一のガラス板、第一の樹脂膜、基材、ハーフミラーフィルム、第二の樹脂膜、および第二のガラス板がこの順であるか、または第一のガラス板、第一の樹脂膜、ハーフミラーフィルム、基材、第二の樹脂膜、および第二のガラス板がこの順であるように、基材がウインドシールドガラスに含まれていることを意味する。ハーフミラーフィルムは、例えば、基材と直接接しているか、または接着層を介して基材と接着されていればよい。基材は主表面の全面でハーフミラーフィルムと隣接していてもよく、主表面の一部でハーフミラーフィルムと隣接していてもよい。また、基材は、ガラス板と略同一の形状および面積を有するものであってもよく、ガラス板より面積が小さいものであってもよい。好ましくは、基材がガラス板と略同一の形状および面積を有し、かつハーフミラーフィルムが基材の主表面の一部で基材と隣接していればよい。基材をガラス板と略同一の形状および面積とすることによって、後述のように基材およびハーフミラーフィルムを含む積層フィルムを樹脂膜に挟む際の段差が小さくなり、合わせガラス作製時に気泡が抜けにくいなどの問題が生じにくい。ハーフミラーフィルムは基材の主表面の一部で基材と接着層を介して接着していることが好ましい。
基材は、弾性率が3GPa〜10GPaであり、かつ厚みが150μm〜500μmである。このような弾性率および厚みの基材を用いることによって、上記のオレンジピールの問題を低減することができる。基材の弾性率は3.5GPa〜9GPaであることが好ましく、4GPa〜8GPaであることがより好ましい。基材の厚みは160μm〜400μmであることが好ましく、170μm〜300μmであることがより好ましい。
基材は、弾性率が5GPa〜8GPaであり、かつ厚みが170μm〜300μmであることがより好ましい。
本明細書において、弾性率は、JIS K 7127の測定方法に沿って、引張試験機を用いて速度10mm/minで試料を引張り、試料が切断した時の強度、伸びを求めて試料が変形する直前での最大弾性(S-Sカーブの最大傾斜の接線の1次式)から測定したものとする。
基材の例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン、セルロース誘導体、シリコーンなどのプラスチックフィルムが挙げられる。これらのうち、コストの観点からポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。ポリエチレンテレフタレートフィルムとしてはヘイズが少なく、透過率の高いもの、加水分解しにくいものが好ましい。また、ポリエチレンテレフタレートフィルムの厚みは170μm〜300μmであることがより好ましい。
後述の位相差層(第1の位相差層または第2の位相差層)が基材を兼ねていてもよい。
<基材とハーフミラーフィルムとを含む積層フィルム>
基材およびハーフミラーフィルムは、後述の合わせガラスの製造の工程の前に一体化して基材とハーフミラーフィルムとを含む積層フィルムとなっていることが好ましい。加熱および加圧処理を含む工程の前に上記の弾性率および厚みの基材とハーフミラーフィルムとが一体化していることにより、ウインドシールドガラス中のハーフミラーフィルムでのオレンジピール状の凸凹の発生を防止することができる。
一体化は、基材上に直接ハーフミラーフィルムを形成することにより行ってもよく、両者を接着することにより行ってもよいが、両者を接着することが好ましい。接着は後述の接着層により行えばよい。このとき、接着層の厚みは10μm以下であることが好ましい。接着層の厚みを10μm以下とすることにより、接着層に由来するオレンジピール(Orange peel)状の凸凹が生じにくいからである。後述する接着層のうち、基材およびハーフミラーフィルムを接着するための接着剤としては紫外線硬化タイプを用いることが好ましい。紫外線硬化タイプの接着剤は一般に、10μm以下の厚みで十分な接着力を有するため、紫外線硬化タイプの接着剤を用いて、10μm以下、好ましくは5.0μm以下、より好ましくは3.0μm以下の接着層を設けることができる。後述の高透明性接着剤転写テープ(OCAテープ)として市販品としては、一般的に厚みが10μmを超えるものが多いため、10μm以下の厚みのものを選択して用いればよい。
支持体を含むハーフミラーフィルムにおいては、基材への接着と同時に、又はその直後、もしくはその直前に、支持体を剥離してもよい。
積層フィルムにおいて、ハーフミラーフィルムは基材の主表面の一部で基材と接着層を介して接着していることが好ましい。一部である場合、その面積は、基材の全面積に対し、90%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下などであってよく、1%以上、3%以上、5%以上、7%以上、10%以上であればよい。このとき、基材は、製造しようとするウインドシールドガラスと略同一の形状および面積であることが好ましい。
<位相差層>
本発明のウインドシールドガラスは円偏光反射層と第二の樹脂膜との間に位相差層を含んでいてもよい。正面位相差を適宜調節した位相差層を上記円偏光反射層と組み合わせて用いることにより、鮮明な投映像を表示することができる。
位相差層は、本発明のウインドシールドガラスにおいて、ハーフミラーフィルムを構成する層として含まれていてもよく、基材として含まれていてもよい。
位相差層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
位相差層の例として、特に基材としてウインドシールドガラスに含まれる位相差層の好ましい例としては、延伸されたポリカーボネートフィルム、延伸されたノルボルネン系ポリマーフィルム、炭酸ストロンチウムのような複屈折を有する無機粒子を含有して配向させた透明フィルム、支持体上に無機誘電体を斜め蒸着した薄膜、液晶化合物を一軸配向させて配向固定したフィルムなどが挙げられる。
位相差層の例として、特にハーフミラーフィルムを構成する層として含まれている位相差層の好ましい例としては、重合性液晶化合物を一軸配向させて配向固定したフィルムが挙げられる。例えば、位相差層は、支持体または配向層表面に重合性液晶化合物を含む液晶組成物を塗布し、そこで液晶組成物中の重合性液晶化合物を液晶状態においてネマチック配向に形成後、硬化によって固定化して、形成することができる。この場合の位相差層の形成は液晶組成物中にキラル剤を添加しない以外は、上記のコレステリック液晶層の形成と同様に行うことができる。ただし、液晶組成物の塗布後のネマチック配向の際、加熱温度は50℃〜120℃が好ましく、60℃〜100℃がより好ましい。
位相差層、特にハーフミラーフィルムの一部として含まれている位相差層は、高分子液晶化合物を含む組成物を、支持体または配向層の表面に塗布して液晶状態においてネマチック配向に形成後、冷却することによって当該配向を固定化して得られる層であってもよい。
ハーフミラーフィルムを構成する層として含まれている位相差層の厚みは、特に限定はされないが、0.2μm〜10μmが好ましく、0.5μm〜5.0μmがより好ましく、1.0μm〜2.0μmがさらに好ましい。
位相差層は、特にλ/2位相差層であることが好ましい。λ/2位相差層と上記円偏光反射層とを組み合わせて作製した投映像表示部位は、例えば、λ/4位相差層と上記円偏光反射層とを組み合わせて用いた投映像表示部位と比較して、より高い輝度を与えることができ、また二重像も防止できる。
λ/2位相差層の正面位相差は、可視光波長域の1/2の長さ、または「中心波長×n±中心波長の1/2(nは整数)」であればよい。特に円偏光反射層(例えばいずれかのコレステリック液晶)の反射波長、または光源の発光波長の中心波長の1/2の長さなどであればよい。例えば、190nm〜390nmの範囲の位相差であればよく、200nm〜350nmの範囲の位相差であることが好ましい。
λ/2位相差層の遅相軸方向は、ヘッドアップディスプレイシステムとしての使用時の、投映像表示のための入射光の入射方向、およびコレステリック液晶層の螺旋のセンスに応じて決定することが好ましい。例えば、入射光が投映像表示部位の下(鉛直下)方向であって、円偏光反射層に対してλ/2位相差層側から(本明細書において「観察者側から」ということがある)入射する場合は、投映像表示部位の鉛直上方向に対し、λ/2位相差層の遅相軸が+40°〜+65°、または−40°〜−65°の範囲にあることが好ましい。また円偏光反射層におけるコレステリック液晶層の螺旋のセンスに応じて、以下のように遅相軸方向が設定されることが好ましい。上記センスが右の場合、(好ましくは、全てのコレステリック液晶層のセンスが右の場合、)投映像表示部位の鉛直上方向に対し、λ/2位相差層の遅相軸が観察者側から見て時計回りに40°〜65°、好ましくは45°〜60°の範囲にあることが好ましい。上記センスが左の場合(好ましくは、全てのコレステリック液晶層のセンスが左の場合)、投映像表示部位の鉛直上方向に対し、λ/2位相差層の遅相軸が観察者側から見て反時計回りに40°〜65°、好ましくは45°〜60°の範囲にあることが好ましい。
<第2の位相差層>
本発明のウインドシールドガラスは、上記位相差層に加えて第2の位相差層を含んでいてもよい。以下、区別のために、円偏光反射層と第二の樹脂膜との間に含まれる位相差層を第1の位相差層ということがある。第2の位相差層は、第1の位相差層(好ましくはλ/2位相差層)、円偏光反射層、および第2の位相差層がこの順になるように設ければよい。特に、観察者側から第1の位相差層、円偏光反射層、および第2の位相差層がこの順になるように設ければよい。第2の位相差層は、ハーフミラーフィルムの一部として含まれていてもよく、基材として含まれていてもよい。
第2の位相差層を含むことによって、二重像をさらに防止することができる。特に、p偏光を入射させて投映像を形成する場合の二重像をさらに防止することができる。その効果は、円偏光反射層におけるコレステリック液晶層の形成に低Δn重合性液晶化合物を用いた場合により顕著である。
第2の位相差層の利用により二重像をさらに防止することができる理由は、円偏光反射層に含まれるコレステリック液晶層の選択反射帯域にない波長の光がコレステリック液晶層で偏光変換してウインドシールドガラスの裏面で反射されることに基づいて生じる二重像を防止できるためと推定される。
第2の位相差層の位相差は、波長550nmにおいて160nm〜460nmの範囲、好ましくは240nm〜420nmの範囲で適宜調整すればよい。
第2の位相差層の材料および厚み等は、第1の位相差層と同様の範囲で選択することができる。
第2の位相差層の遅相軸方向は、投映像表示のための入射光の入射方向、およびコレステリック液晶層の螺旋のセンスに応じて決定することが好ましい。例えば、波長550nmにおいて160nm〜400nmの範囲の位相差の第2の位相差層を投映像表示部位の鉛直上方向に対し、遅相軸が+10°〜+35°、または−10°〜−35°の範囲となるようにすることが好ましい。または、波長550nmにおいて200nm〜400nmの範囲の位相差の第2の位相差層を投映像表示部位の鉛直上方向に対し、遅相軸が+100°〜+140°、または−100°〜−140°の範囲となるようにすることが好ましい。
<接着層>
接着層は、上述のような基材とハーフミラーフィルムとの間のほか、例えばコレステリック液晶層間、円偏光反射層と第1の位相差層との間、円偏光反射層と第2の位相差層との間等に設けられていてもよい。また、ハーフミラーフィルムと樹脂膜との間、基材と樹脂膜との間等に設けられていてもよい。
接着層は可視光領域で透明であることが好ましい。また、接着層は低複屈折性であることが好ましく、また、コレステリック液晶層の平均屈折率(面内平均屈折率)との屈折率の差が小さいことが好ましい。
接着層は接着剤から形成されるものであればよい。
接着剤としては硬化方式の観点からホットメルトタイプ、熱硬化タイプ、光硬化タイプ、反応硬化タイプ、硬化の不要な感圧接着タイプがあり、それぞれ素材としてアクリレート系、ウレタン系、ウレタンアクリレート系、エポキシ系、エポキシアクリレート系、ポリオレフィン系、変性オレフィン系、ポリプロピレン系、エチレンビニルアルコール系、塩化ビニル系、クロロプレンゴム系、シアノアクリレート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリスチレン系、ポリビニルブチラール系などの化合物を使用することができる。作業性、生産性の観点から、硬化方式として光硬化タイプ、特に紫外線硬化タイプが好ましく、光学的な透明性、耐熱性の観点から、素材はアクリレート系、ウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート系などを使用することが好ましい。
上記の例の接着層の厚みは、0.5μm〜10μmであることが好ましく、1.0μm〜5.0μmであることがより好ましい。投映像表示部位の色ムラ等を軽減するため均一な厚みで設けられることが好ましい。
接着層は、高透明性接着剤転写テープ(OCAテープ)を用いて形成されたものであってもよい。高透明性接着剤転写テープとしては、画像表示装置用の市販品、特に画像表示装置の画像表示部表面用の市販品を用いればよい。市販品の例としては、パナック株式会社製の粘着シート(PD−S1など)、日栄化工株式会社のMHMシリーズの粘着シートなどが挙げられる。
OCAテープの厚みは1.0μm〜50μmであればよく、2.0μm〜30μmであることが好ましい。上述のように、基材とハーフミラーフィルムとの間の接着層として用いられる場合には、OCAテープの厚みは10μm以下であることが好ましい。
<合わせガラス(ウインドシールドガラスの製造方法)>
ウインドシールドガラスは、公知の合わせガラス作製方法を用いて製造することができる。
例えば、基材とハーフミラーフィルムとを含む積層フィルム(以下、積層フィルムということがある)をその間に挟んだ状態の2枚の樹脂膜をさらに2枚のガラス板に挟んで得られる積層体に対し、予備圧着および本圧着を行うことにより製造することができる。または、積層フィルムを2枚の樹脂膜で挟んだ構成の中間膜シートを予め作製し、この中間膜シートをさらに2枚のガラス板に挟んで得られる積層体に対し、予備圧着および本圧着を行うことにより製造することができる。
上記の積層フィルムを2枚の樹脂膜で挟んだ構成の中間膜シート形成の際の加熱および加圧は例えば温度40℃以上140℃以下、好ましくは温度60℃以上120℃以下、圧力0.05MPa以上0.8MPa以下、好ましくは0.1MPa以上0.5MPa以下で行えばよい。
予備圧着は、合わせガラスの製造において各層の間の脱気のために行われる工程である。予備圧着は例えば積層体を排気系に接続したゴム袋に入れて行われる。このときの圧力は100kPa以下とすることが好ましく、1〜36kPaであることがより好ましい。予備圧着は温度70℃〜130℃において10分以上90分以下保持することにより行うことができる。
保持温度を70℃以上とすることにより予備圧着を十分にすることができる。また、保持温度を130℃以下とすることによりハーフミラーフィルムまたは基材の熱収縮が過度に進行することを抑えられることから、ハーフミラーフィルムまたは基材のクラックの発生を抑えることができる。保持温度は80℃以上とすることが好ましく、90℃以上とすることがより好ましい。より確実に脱気を行うためである。また、保持温度は120℃以下であることが好ましく、110℃以下であることがより好ましい。
保持時間が10分以上であると、予備圧着を十分に行うことができる。一方、保持時間が90分以下であると、生産性がよく、ハーフミラーフィルムまたは基材の熱収縮が過度に進行することを抑えられることから、ハーフミラーフィルムまたは基材のクラックの発生を抑えることができる。保持時間は、より効果的かつ効率的に予備圧着を行う観点から、20分以上60分以下とすることが好ましい。
本圧着は、各層間を樹脂膜により十分に接着するために行うものであり、例えば予備圧着により得られた予備圧着体をオートクレーブに入れ、温度を120℃以上150℃以下、圧力を0.98MPa以上1.47MPa以下として行うことができる。より好ましくは、温度を130℃以上140℃以下、圧力を1.1MPa以上1.4MPa以下として行うことである。そして、上記温度、圧力に保持する時間(保持時間)は、30分以上90分以下であることが好ましく、45分以上75分以下であることがより好ましい。
保持温度、保持圧力、または保持時間を上記の条件として本圧着を行うことにより、ハーフミラーフィルムにクラックが発生することを抑えることができ、また生産性等も優れる。
<円偏光反射層に対して視認側にある層>
一般的に、投映像表示用部材において、投映光を反射する層からの反射光に基づく像と、投映像表示用部材の光入射側から見て手前の面または裏側面からの反射光に基づく像が重なることによって二重像(または多重像)の問題が生じている。本発明のウインドシールドガラスにおいては、円偏光反射層中のコレステリック液晶層を透過する光は上記コレステリック液晶層を反射する円偏光と逆のセンスの円偏光となっており、裏側面からの反射光は、円偏光反射層より裏側面側にある層が低複屈折性である場合は、通常上記コレステリック液晶層に反射される円偏光が大部分となるため顕著な二重像を生じさせにくい。特に投映光として偏光を利用することにより投映光の大部分が円偏光反射層で反射されるように構成できる。一方で、手前の面からの反射光は顕著な二重像を生じさせ得る。特にコレステリック液晶層の重心からウインドシールドガラスの光入射側から見て手前の面までの距離が一定値以上であると二重像が顕著になり得る。具体的には、本発明のウインドシールドガラスの構造において、円偏光反射層より第二のガラス板側にある層の厚みの総計、すなわち、円偏光反射層の第二のガラス板側の最外面から、円偏光反射層に対して第二のガラス板側のウインドシールドガラスの最外面までの距離、が0.5mm以上となると二重像が顕著になり得、1mm以上でより顕著となり得、1.5mm以上でより顕著となり得, 2.0mm以上で特に顕著になり得る。円偏光反射層より視認側にある層としては、第1の位相差層、第二の樹脂膜、第二のガラス板が挙げられる。
しかし、本発明のウインドシールドガラスは後述のようにp偏光を利用した投映像表示において、円偏光反射層より視認側にある層の厚みの総計が上記のようである場合でも、顕著な二重像なしに投映像を視認することができる。
<<ヘッドアップディスプレイシステム>>
本発明のウインドシールドガラスはヘッドアップディスプレイシステムの構成部材として用いることができる。ヘッドアップディスプレイシステムはプロジェクターを含む。
<プロジェクター>
本明細書において、「プロジェクター」は「光または画像を投映する装置」であり、「描画した画像を投射する装置」を含む。本発明のヘッドアップディスプレイシステムにおいて、プロジェクターは、ウインドシールドガラス中の投映像表示部位に、上記のような斜め入射角度で入射できるように配置されていればよい。
ヘッドアップディスプレイシステムにおいて、プロジェクターは、描画デバイスを含み、小型の中間像スクリーンに描画された画像(実像)をコンバイナにより虚像として反射表示するものが好ましい。
[描画デバイス]
描画デバイスはそれ自体が画像を表示するデバイスであってもよく、画像を描画できる光を発するデバイスであってもよい。描画デバイスでは、光源からの光が、光変調器、レーザー輝度変調手段、または描画のための光偏向手段などの描画方式で調整されていればよい。本明細書において、描画デバイスは光源を含み、さらに、描画方式に応じて光変調器、レーザー輝度変調手段、または描画のための光偏向手段などを含むデバイスを意味する。
(光源)
光源は特に限定されず、LED(発光ダイオード、有機発光ダイオード(OLED)を含む)、放電管、およびレーザー光源などを用いることができる。これらのうち、LEDおよび放電管が好ましい。直線偏光を出射する描画デバイスの光源に適しているからである。これらのうち、特にLEDが好ましい。LEDは発光波長が可視光領域において連続的でないため、後述するように特定波長域で選択反射を示すコレステリック液晶層が用いられているコンバイナとの組み合わせに適しているためである。
(描画方式)
描画方式としては、使用する光源や用途に応じて選択することができ、特に限定されない。
描画方式の例としては、蛍光表示管、液晶を利用するLCD(Liquid Crystal Display)方式およびLCOS(Liquid Crystal on Silicon)方式、DLP(登録商標)(Digital Light Processing)方式、レーザーを利用する走査方式などが挙げられる。描画方式は光源と一体となった蛍光表示管を用いた方式であってもよい。
LCD方式およびLCOS方式では、各色の光が光変調器で変調、合波され、投射レンズから光が出射する。
DLP方式は、DMD(Digital Micromirror Device)を用いた表示システムであり、画素数分のマイクロミラーを配置して描画され投射レンズから光が出射する。
走査方式は光線をスクリーン上で走査させ、目の残像を利用して造影する方式であり、例えば、特開平7−270711号公報、特開2013−228674号公報の記載が参照できる。レーザーを利用する走査方式では、輝度変調された各色(例えば、赤色光、緑色光、青色光)のレーザー光が合波光学系または集光レンズなどで1本の光線に束ねられ、光線が光偏向手段により走査されて後述する中間像スクリーンに描画されていればよい。
走査方式において、各色(例えば赤色光、緑色光、青色光)のレーザー光の輝度変調は光源の強度変化として直接行ってもよく、外部変調器により行ってもよい。光偏向手段としては、ガルバノミラー、ガルバノミラーとポリゴンミラーの組み合わせ、またはMEMS(微小電子機械システム)が挙げられ、このうちMEMSが好ましい。走査方法としては、ランダムスキャン方式、およびラスタースキャン方式等が挙げられるが、ラスタースキャン方式を用いることが好ましい。ラスタースキャン方式において、レーザー光は、例えば、水平方向は共振周波数で、垂直方向はのこぎり波で駆動されることができる。走査方式は投射レンズが不要であるため、装置の小型化が容易である。
描画デバイスからの出射光は、直線偏光であっても自然光(非偏光)であってもよい。本発明のヘッドアップディスプレイシステムに含まれる描画デバイスからの出射光は、直線偏光であることが好ましい。描画方式がLCDまたはLCOSである描画デバイスおよびレーザー光源を用いた描画デバイスは、本質的には出射光が直線偏光となる。出射光が直線偏光である描画デバイスであって出射光が複数の波長(色)の光を含むものである場合は、複数の光の偏光の偏光方向(透過軸方向)は同一であるかまたは互いに直交していることが好ましい。市販の描画デバイスは、出射光の赤、緑、青の光の波長域での偏光方向が均一ではないものがあることが知られている(特開2000−221449号公報参照)。具体的には、緑色光の偏光方向が赤色光の偏光方向および青色光の偏光方向と直交している例が知られている。
(中間像スクリーン)
上記のように、描画デバイスは中間像スクリーンを使用するものであってもよい。本明細書において、「中間像スクリーン」は、画像が描画されるスクリーンである。すなわち、描画デバイスを出射した光がまだ画像として視認できるものではない場合などにおいて、この光によって描画デバイスは中間像スクリーンに視認可能な画像を形成する。中間像スクリーンにおいて描画された画像は中間像スクリーンを透過する光によりコンバイナに投映されていてもよく、中間像スクリーンを反射してコンバイナに投映されていてもよい。
中間像スクリーンの例としては、散乱膜、マイクロレンズアレイ、リアプロジェクション用のスクリーンなどが挙げられる。中間像スクリーンとしてプラスチック材料を用いる場合などにおいて、中間像スクリーンが複屈折性を有すると、中間像スクリーンに入射した偏光の偏光面や光強度が乱され、コンバイナにおいて、色ムラ等が生じやすくなるが、所定の位相差を有する位相差膜を用いることにより、この色ムラの問題が低減できる。
中間像スクリーンとしては、入射光線を広げて透過させる機能を有するものが好ましい。投映像拡大表示が可能となるからである。このような中間像スクリーンとしては、例えばマイクロレンズアレイで構成されるスクリーンが挙げられる。ヘッドアップディスプレイで用いられるマイクロアレイレンズについては、例えば、特開2012−226303号公報、特開2010−145745号公報、および特表2007−523369号公報に記載がある。
プロジェクターは描画デバイスで形成された投映光の光路を調整する反射鏡などを含んでいてもよい。
ウインドシールドガラスを投映像表示用部材として用いたヘッドアップディスプレイシステムについては、特開平2−141720号公報、特開平10−96874号公報、特開2003−98470号公報、米国特許第5013134号明細書、特表2006−512622号公報などを参照することができる。
本発明のウインドシールドガラスは、特に、発光波長が可視光領域において連続的でないレーザーやLED、OLEDなどを光源に用いたプロジェクターと組み合わせて用いるヘッドアップディスプレイシステムに有用である。各発光波長に合わせて、コレステリック液晶層の選択反射の中心波長を調整できるからである。また、LCD(液晶表示装置)などの表示光が偏光しているディスプレイの投映に用いることもできる。
[投映光(入射光)]
入射光は、投映像表示部位の法線に対し45°〜70°の斜め入射角度で入射させることが好ましい。投映光がガラスの表面または裏面で反射することで生じる二重像の低減方法としてガラス面に投映光(p偏光)をブリュースター角で入射させ、ガラス表面からの反射光をゼロに近づけるためである。(例えば特表2006−512622号公報参照)。屈折率1.51程度のガラスと屈折率1の空気との界面のブリュースター角は約56°であり、上記の角度の範囲でp偏光を入射させることにより、投映像表示のための入射光の円偏光反射層に対してλ/2位相差層表面からの反射光が少なく、二重像の影響が小さい画像表示が可能である。上記角度は50°〜65°であることも好ましい。このとき、投映像の観察を入射光平面側において、λ/2位相差層の法線に対し、入射光とは反対側で45°〜70°、好ましくは50°〜65°の角度で行うことができる構成であればよい。
ハーフミラーフィルムが第1の位相差層を含む場合、入射光は、円偏光反射層に対して第1の位相差層側から入射させ、第1の位相差層を経由して円偏光反射層に入射させればよい。すなわち、円偏光反射層に対して第1の位相差層を投映光の入射側に配置すればよい。また、入射光は、ウインドシールドガラスの上下左右等、いずれの方向から入射してもよく、観察者の方向と対応させて、決定すればよい。例えば使用時の下方向から上記のような斜め入射角度で入射していればよい。
また、ウインドシールドガラス中の第1の位相差層(例えばλ/2位相差層)の遅相軸は、入射p偏光の振動方向(入射光の入射面)に対し、40°〜65°の角度をなしていることが好ましく、45°〜60°の角度をなしていることがより好ましい。
上述のように、ヘッドアップディスプレイにおける投映像表示の際の投映光は入射面に平行な方向に振動するp偏光であることが好ましい。プロジェクターの出射光が直線偏光ではない場合は、直線偏光フィルムをプロジェクターの出射光側に配して用いることによりp偏光としていてもよく、プロジェクターからウインドシールドガラスまでの光路でp偏光とされていてもよい。上述のように、出射光の赤、緑、青の光の波長域での偏光方向が均一ではないプロジェクターについては、波長選択的に偏光方向を調節し、全ての色の波長域でp偏光として入射させることが好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
<λ/2位相差層の作製>
東洋紡株式会社製コスモシャインA−4100(PET、厚み75μm)の易接着処理していない面上にラビング処理を施し、表1に示す塗布液1を乾燥後の乾膜の厚みが1.8μmになるようにワイヤーバーを用いて室温にて塗布した。なお、表1に示す塗布液1では、溶媒はMEK(メチルエチルケトン)を用い、固形分濃度が39質量%になるように溶媒量を調整した。塗布層を室温にて30秒間乾燥させた後、85℃の雰囲気で2分間加熱し、その後60℃でフュージョン製Dバルブ(90mW/cmのランプ)にて出力60%で6〜12秒間UV照射し、液晶層を作製し、PETベース付きλ/2位相差層を得た。
<反射層UV(短波長コレステリック液晶層)の作製>
λ/2位相差層上に、表2に示す塗布液UVを乾燥後の乾膜の厚みが3μmになるようにワイヤーバーを用いて室温にて塗布した。なお、表2に示す塗布液UVB、G、Rでは、溶媒は酢酸メチルとシクロヘキサノンとの8:2の混合液を用い、固形分濃度が25質量%になるように溶媒量を調整した。塗布層を室温にて30秒間乾燥させた後、85℃の雰囲気で2分間加熱し、その後60℃でフュージョン製Dバルブ(90mW/cmのランプ)にて出力60%で6〜12秒間UV照射し、液晶層を作製し、PETベース付き反射層UVを得た。
<反射層B、G、Rの作製>
塗布液UVの代わりに表2に示す塗布液B、G、Rをそれぞれ用い、東洋紡株式会社製コスモシャインA−4100(PET、厚み75μm)上に乾燥後の層の厚みが表3に示した厚みになるようにワイヤーバーを用いて室温にて塗布した以外は、反射層UVの作製と同様の手順で、反射層B、G、Rをそれぞれ作製した。
得られた積層体の反射層面に対して法線方向からの入射光(垂直入射)および法線方向から60度傾斜した入射光に対しての選択反射中心波長、ならびに反射光の円偏光のセンスを確認した。中心波長の測定は、JASCO社製の分光光度計V−670を用いて、また反射光の円偏光のセンスは、分光光度計の受光側に選択反射する円偏光のセンスが既知の円偏光板を設置して反射光強度を測定することで決定した。
また、λ/2位相差層の波長550nmの光に対しての位相差を以下の手順で測定した。アクリル板(厚み0.2mm、40mm角)にOCAテープ(日栄化工株式会社製 MHM−UVC15)を貼合した。OCAテープの離型フィルムを剥がし、OCAテープ上にPETベースつきλ/2位相差層をλ/2位相差層側の面で貼合した。PETを剥がして、アクリル板付きλ/2位相差層を作製した。アクリル板付きλ/2位相差層の位相差をAxometrics社製のAxoScanを用いて測定し、λ/2位相差層の位相差とした。
結果を表3に示す。
<ハーフミラーフィルムHM−1の作製>
上記と同様に作製したPETベース付きλ/2位相差層のλ/2位相差層側の面に反射層UV、B、G、R層を表4に示す積層順番になるように形成し、ハーフミラーフィルムHM−1を作製した。各層の形成は、λ/2位相差層または反射層の上に、各層形成用の塗布液を乾燥後の層の厚みが表3に示した厚みになるように上記と同様に塗布し、その後、上記と同様に乾燥、UV照射することにより行った。
<実施例1の基材とハーフミラーフィルムとを含む積層フィルムの作製>
東洋紡株式会社製コスモシャインA−4300(PET、厚み250μm)について、JIS K 7127の測定方法に沿っての弾性率の測定を行った。長手方向(MD)の長さ10mm、MDに直交する幅方向(TD)の長さ150mmの大きさで試料片を切り出し、試料片に対し、(株)東洋精機製作所製のストログラフR2を用いて引張試験を行った。引張試験は、チャック間距離を100mmとし、引張速度を10mm/minとして試料片の幅方向で行なった。測定の結果、弾性率は4GPaであった。
上記PETフィルムに接着層(東亞合成社製UVX−5457)を5μmの厚さになるようにワイヤーバーを用いて室温にて塗布した。次に、上記で作製したハーフミラーフィルムをローラを用いて反射層が上記PETフィルム側になるように接着した。位相差層の支持体となっていたPETを剥離して、この際、ハーフミラーフィルムHM−1の位相差層の遅相軸方向が、この剥離面から見て、ガラスの短辺方向を基準に時計回り方向に60°の方向になるように配置した。その後60℃でフュージョン製Dバルブ(ランプ90mW/cm)にて出力60%で6〜12秒間UV照射し、基材とハーフミラーフィルムとを含む積層フィルムを得た。さらにこの積層フィルムを縦40cm横25cmにカッティングした。
<実施例1のウインドシールドガラスの作製>
縦40cm横25cm厚さ2mmのガラス板を2枚およびガラス板と同じ形状にカッティングした積水化学社製の厚さ0.38mmのPVB(ポリビニルブチラール)フィルムを2枚用意した。ガラス板、PVBフィルム、上記積層フィルム、PVBフィルム、ガラス板をこの順に形状が重なるように積層した。
次にこの積層体を90℃、0.1気圧下で一時間保持した後に、115℃、13気圧で20分間加熱して気泡を除去し、実施例1のウインドシールドガラスを得た。得られたウインドシールドガラスの層構成を図1に示す。
<実施例2〜5、比較例1のウインドシールドガラスの作製>
接着層や基材を表5に示すように変えるか、基材やハーフミラーフィルムの形成領域を変える以外は実施例1のウインドシールドガラスと同様にして実施例2〜5、比較例1のウインドシールドガラスの作製を行った。
なお、表5において、基材の面積、およびハーフミラーフィルムの面積の項目において、「全面」は、実施例1と同様に縦40cm横25cmのガラス板と同じ形状に切り出したもの、「一部」は、縦20cm横10cmの形状に切り出したもの(ガラス板の中心に設置)したものを意味する。
<オレンジピールの評価>
ウインドシールドガラスのオレンジピールの評価は、室内で行い、机上にウインドシールドガラスを置き、ハーフミラー部に蛍光灯を映して反射像を目視で評価した。評価基準は以下のようにした。
A:蛍光灯の反射像に歪みがない。
B:蛍光灯の反射像にほぼ歪みがない。視点を横にずらすと、わずかに反射像が揺らぐ。(許容レベル)
C:ハーフミラーの細かいシワの影響で、蛍光灯の反射像がぼんやり見える。
D:ハーフミラーの大きなシワの影響で、蛍光灯の反射像が歪んで見える。
<圧着時の気泡の評価>
ウインドシールドガラスの気泡の評価は、目視で行った。ハーフミラー端部に気泡が残留し、白濁しているか否かを評価した。
評価結果を表5に示す。
1 ウインドシールドガラス
2 ガラス板
3 PVBフィルム(樹脂膜)
4 ハーフミラーフィルム
5 基材
6 接着層
7 円偏光反射層
11 反射層UV(コレステリック液晶層)
12 反射層B(コレステリック液晶層)
13 反射層G(コレステリック液晶層)
14 反射層R(コレステリック液晶層)
15 λ/2位相差層(位相差層)
21 積層フィルム

Claims (18)

  1. 第一のガラス板、第一の樹脂膜、ハーフミラーフィルム、第二の樹脂膜、および第二のガラス板をこの順に含むウインドシールドガラスであって、
    前記ハーフミラーフィルムが円偏光反射層を含み、
    前記円偏光反射層がコレステリック液晶層を含み、
    前記ハーフミラーフィルムが基材と隣接しており、
    前記基材の弾性率が3GPa〜10GPaであり、かつ前記基材の厚みが150μm〜500μmである、ウインドシールドガラス。
  2. 前記基材の弾性率が5GPa〜8GPaであり、かつ前記基材の厚みが170μm〜300μmである請求項1に記載のウインドシールドガラス。
  3. 前記ハーフミラーフィルムが接着層により前記基材と接着している請求項1または2に記載のウインドシールドガラス。
  4. 前記接着層の厚みが0.5μm〜10μmである請求項3に記載のウインドシールドガラス。
  5. 前記ハーフミラーフィルムが前記基材の主表面の一部で前記基材と接着している請求項3または4に記載のウインドシールドガラス。
  6. 位相差層を含む請求項1〜5のいずれか一項に記載のウインドシールドガラス。
  7. 前記位相差層がλ/2位相差層である請求項6に記載のウインドシールドガラス。
  8. 前記ハーフミラーフィルムが前記位相差層を含む請求項6または7に記載のウインドシールドガラス。
  9. 前記基材が前記位相差層である請求項6または7に記載のウインドシールドガラス。
  10. 前記基材がポリエチレンテレフタレートフィルムであって、厚みが150μm〜500μmである請求項1〜8のいずれか一項に記載のウインドシールドガラス。
  11. 前記円偏光反射層が可視光領域に選択反射の中心波長を有するコレステリック液晶層を3層以上含み、
    前記3層以上のコレステリック液晶層の選択反射の中心波長は互いに異なっている請求項1〜10のいずれか一項に記載のウインドシールドガラス。
  12. λ/2位相差層を含み、
    前記円偏光反射層がコレステリック液晶層を4層以上含み、
    前記4層以上のコレステリック液晶層のうちの一層が350nm以上490nm未満に選択反射の中心波長を有するコレステリック液晶層であり、
    前記4層以上のコレステリック液晶層の選択反射の中心波長は互いに異なっている請求項11に記載のウインドシールドガラス。
  13. 前記4層以上のコレステリック液晶層のうち、前記λ/2位相差層に最も近いコレステリック液晶層が350nm以上490nm未満に選択反射の中心波長を有する前記コレステリック液晶層である請求項12に記載のウインドシールドガラス。
  14. 第一の樹脂膜および第二の樹脂膜からなる群より選択されるいずれか1つ以上がポリビニルブチラールを含む請求項1〜13のいずれか一項に記載のウインドシールドガラス。
  15. 請求項1〜14のいずれか一項に記載のウインドシールドガラスおよびプロジェクターを含むヘッドアップディスプレイシステム。
  16. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のウインドシールドガラスおよびプロジェクターを含むヘッドアップディスプレイシステムであって、
    前記基材、前記ハーフミラーフィルム、前記プロジェクターがこの順で配置されているヘッドアップディスプレイシステム。
  17. 請求項6〜9のいずれか一項に記載のウインドシールドガラスおよびプロジェクターを含むヘッドアップディスプレイシステムであって、
    前記円偏光反射層、前記位相差層、前記プロジェクターがこの順で配置されているヘッドアップディスプレイシステム。
  18. 基材とハーフミラーフィルムとを含む積層フィルムであって、
    前記ハーフミラーフィルムが前記基材の主表面の一部で接着層により前記基材と接着しており、
    前記ハーフミラーフィルムが円偏光反射層を含み、
    前記円偏光反射層が可視光領域に選択反射の中心波長を有するコレステリック液晶層を3層以上含み、
    前記基材がポリエチレンテレフタレートフィルムであって、
    前記基材の弾性率が3GPa〜10GPaであり、かつ前記基材の厚みが150μm〜500μmである積層フィルム。
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