JP6676015B2 - 合わせガラスの製造方法 - Google Patents

合わせガラスの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6676015B2
JP6676015B2 JP2017159733A JP2017159733A JP6676015B2 JP 6676015 B2 JP6676015 B2 JP 6676015B2 JP 2017159733 A JP2017159733 A JP 2017159733A JP 2017159733 A JP2017159733 A JP 2017159733A JP 6676015 B2 JP6676015 B2 JP 6676015B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
layer
light
cholesteric liquid
half mirror
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017159733A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019038707A (ja
Inventor
井上 力夫
力夫 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2017159733A priority Critical patent/JP6676015B2/ja
Publication of JP2019038707A publication Critical patent/JP2019038707A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6676015B2 publication Critical patent/JP6676015B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B17/00Layered products essentially comprising sheet glass, or glass, slag, or like fibres
    • B32B17/06Layered products essentially comprising sheet glass, or glass, slag, or like fibres comprising glass as the main or only constituent of a layer, next to another layer of a specific material
    • B32B17/10Layered products essentially comprising sheet glass, or glass, slag, or like fibres comprising glass as the main or only constituent of a layer, next to another layer of a specific material of synthetic resin
    • B32B17/10005Layered products essentially comprising sheet glass, or glass, slag, or like fibres comprising glass as the main or only constituent of a layer, next to another layer of a specific material of synthetic resin laminated safety glass or glazing
    • B32B17/10165Functional features of the laminated safety glass or glazing
    • B32B17/10431Specific parts for the modulation of light incorporated into the laminated safety glass or glazing
    • B32B17/10467Variable transmission
    • B32B17/10495Variable transmission optoelectronic, i.e. optical valve
    • B32B17/10504Liquid crystal layer
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B17/00Layered products essentially comprising sheet glass, or glass, slag, or like fibres
    • B32B17/06Layered products essentially comprising sheet glass, or glass, slag, or like fibres comprising glass as the main or only constituent of a layer, next to another layer of a specific material
    • B32B17/10Layered products essentially comprising sheet glass, or glass, slag, or like fibres comprising glass as the main or only constituent of a layer, next to another layer of a specific material of synthetic resin
    • B32B17/10005Layered products essentially comprising sheet glass, or glass, slag, or like fibres comprising glass as the main or only constituent of a layer, next to another layer of a specific material of synthetic resin laminated safety glass or glazing
    • B32B17/10009Layered products essentially comprising sheet glass, or glass, slag, or like fibres comprising glass as the main or only constituent of a layer, next to another layer of a specific material of synthetic resin laminated safety glass or glazing characterized by the number, the constitution or treatment of glass sheets
    • B32B17/10036Layered products essentially comprising sheet glass, or glass, slag, or like fibres comprising glass as the main or only constituent of a layer, next to another layer of a specific material of synthetic resin laminated safety glass or glazing characterized by the number, the constitution or treatment of glass sheets comprising two outer glass sheets

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Optical Filters (AREA)
  • Joining Of Glass To Other Materials (AREA)

Description

本発明は、合わせガラスの製造方法に関する。
自動車のウインドシールド等に使用される合わせガラスにハーフミラーフィルムを内蔵することにより合わせガラスをヘッドアップディスプレイシステムの投映像表示用部材としても利用することができる。特許文献1においては、位相差層および複数のコレステリック液晶層を含むハーフミラーフィルムを投映像表示用部材として使用することが開示されている。特許文献1には、合わせガラス構成のウインドシールドガラスにおいて、ハーフミラーフィルムを中間層に設けることが記載されている。
通常、合わせガラスは2枚のガラス板の間に中間膜を有する。
WO2016/052367
発明者が検討したところ、自動車のウインドシールドのように広い面積の合わせガラスを作製する場合、中間膜とハーフミラーフィルムを同時に貼合すると、ハーフミラーフィルムの皺が生じやすいという課題があった。特に湾曲面を有するガラス板を使用した場合に皺の発生は顕著であった。
皺が1か所でも発生するとそれを含む合わせガラス自体が欠陥品となるため歩留まりに直結する問題である。
本発明はハーフミラーフィルムの皺の発生を抑えた合わせガラスの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らが鋭意検討の結果、特定の透明支持体を用いて、ハーフミラーフィルム、透明支持体のサイズ、弾性率を特定の値とするように作製することで、ハーフミラーフィルムの皺の発生を抑えた製造方法を提供することができることを見出した。
すなわち、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
[1] 透明支持体と波長選択的に光を反射する選択反射層を有する投映像表示用ハーフミラーフィルム、及びそれに隣接する中間膜を2枚のガラス板で挟持した合わせガラスの製造方法であって、透明支持体は、面内位相差Reの絶対値が10nm以下、厚み方向の位相差Rthの絶対値が40nm以下であり、透明支持体の全ての端部および選択反射層の全ての端部が、中間膜の端部よりも5mm以上内側となるようハーフミラーフィルムと中間膜を配置し、さらに透明支持体の貯蔵弾性率が2.0GPa以下となるよう、透明支持体を加熱しながら2枚のガラス板とハーフミラーフィルムと中間膜を密着する合わせガラスの製造方法。
[2] 透明支持体において選択反射層を有する面の反対側面にヒートシール層を有する[1]に記載の合わせガラスの製造方法。
[3] 2枚のガラス板が湾曲面を有し、その湾曲面にハーフミラーフィルムが密着した[1]または[2]に記載の合わせガラスの製造方法。
[4] 選択反射層がコレステリック液晶層である[1]〜[3]のいずれかに記載の合わせガラスの製造方法。
本発明によれば、ハーフミラーフィルムの皺の発生を抑えた合わせガラスの製造方法を提供することができる。
図1は本発明に用いられる投映像表示用ハーフミラーフィルムの例であり、位相差層を有する態様である。 図2は本発明に用いられる投映像表示用ハーフミラーフィルムの例であり、位相差層、及びヒートシール層を有する態様である。 図3は本発明に用いられる合わせガラスの例であり、実施例1の態様である。透明支持体の全ての端部および選択反射層の全ての端部が、中間膜の端部よりも5mm以上内側となることを示す。 図4は本発明に用いられる合わせガラスの例であり、実施例2及び実施例3の態様である。透明支持体の全ての端部および選択反射層の全ての端部およびヒートシール層の全ての端部が、前記中間膜の端部よりも5mm以上内側となることを示す。 図5は比較例2に用いられる合わせガラスの態様である。 図6は本発明に用いられる合わせガラスに画像を投影した場合の視認の様子について示す。
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
また、本明細書において、角度(例えば「90°」等の角度)、およびその関係(例えば、「平行」、「水平」、「鉛直」等)については、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含むものとする。例えば、厳密な角度±10°未満の範囲内であることなどを意味し、厳密な角度との誤差は、5°以下であることが好ましく、3°以下であることがより好ましい。
本明細書において、円偏光につき「選択的」というときは、光の右円偏光成分または左円偏光成分のいずれかの光量が、他方の円偏光成分よりも多いことを意味する。具体的には「選択的」というとき、光の円偏光度は、0.3以上であることが好ましく、0.6以上がより好ましく、0.8以上がさらに好ましい。実質的に1.0であることがさらに好ましい。ここで、円偏光度とは、光の右円偏光成分の強度をIR、左円偏光成分の強度をILとしたとき、|IR−IL|/(IR+IL)で表される値である。
本明細書において、円偏光につき「センス」というときは、右円偏光であるか、または左円偏光であるかを意味する。円偏光のセンスは、光が手前に向かって進んでくるように眺めた場合に電場ベクトルの先端が時間の増加に従って時計回りに回る場合が右円偏光であり、反時計回りに回る場合が左円偏光であるとして定義される。
本明細書においては、コレステリック液晶の螺旋の捩れ方向について「センス」との用語を用いることもある。コレステリック液晶の螺旋の捩れ方向(センス)が右の場合は右円偏光を反射し、左円偏光を透過し、センスが左の場合は左円偏光を反射し、右円偏光を透過する。
本明細書において、「光」という場合、特に断らない限り、可視光かつ自然光(非偏光)の光を意味する。可視光線は電磁波のうち、ヒトの目で見える波長の光であり、通常、380nm〜780nmの波長域の光を示す。
本明細書において、単に「反射光」または「透過光」というときは、散乱光および回折光を含む意味で用いられる。
なお、光の各波長の偏光状態は、円偏光板を装着した分光放射輝度計またはスペクトルメータを用いて測定することができる。この場合、右円偏光板を通して測定した光の強度がIR、左円偏光板を通して測定した光の強度がILに相当する。また、照度計や光スペクトルメータに円偏光板を取り付けても測定することができる。右円偏光透過板をつけ、右円偏光量を測定、左円偏光透過板をつけ、左円偏光量を測定することにより、比率を測定できる。
本明細書において、p偏光は光の入射面に平行な方向に振動する偏光を意味する。入射面は反射面(ウインドシールドガラス表面など)に垂直で入射光線と反射光線とを含む面を意味する。p偏光は電場ベクトルの振動面が入射面に平行である。
本明細書において、正面位相差は、Axometrics社製のAxoScanを用いて測定した値である。測定波長は特に言及のないときは、550nmとする。
本明細書において、「投映像(projection image)」は、前方などの周囲の風景ではない、使用するプロジェクターからの光の投射に基づく映像を意味する。投映像は、観察者から見てウインドシールドガラスの投映像表示部位の先に浮かび上がって見える虚像として観測される。
本明細書において、「画像(screen image)」はプロジェクターの描画デバイスに表示される像または、描画デバイスにより中間像スクリーン等に描画される像を意味する。虚像に対して、画像は実像である。
画像および投映像は、いずれも単色の像であっても、2色以上の多色の像であっても、フルカラーの像であってもよい。
本明細書において、「可視光線透過率」はJIS R 3212:2015(自動車用安全ガラス試験方法)において定められたA光源可視光線透過率とする。すなわちA光源を用い分光光度計にて、380nm〜780nmの範囲の各波長の透過率を測定し、CIE(国際照明委員会)の明順応標準比視感度の波長分布および波長間隔から得られる重価係数を各波長での透過率に乗じて加重平均することによって求められる透過率である。
また、本明細書において、液晶性組成物、液晶性化合物とは、硬化等により、もはや液晶性を示さなくなったものも概念として含まれる。
<<投映像表示用ハーフミラー>>
本明細書において、投映像表示用ハーフミラーとは、反射光で投映像を表示することができるハーフミラーを意味する。
本発明に用いられる投映像表示用ハーフミラーは可視光透過性である。具体的には、本発明に用いられる投映像表示用ハーフミラーの可視光線透過率は85%以上であることが好ましく、86%以上であることがより好ましく、87%以上であることがさらに好ましい。このような高い可視光線透過率を有することにより可視光線透過率が低いガラスと組み合わせて合わせガラスとしたときであっても、車両のウインドシールドガラスの規格を満たす可視光線透過率を実現することができる。
本発明に用いられる投映像表示用ハーフミラーは視感度の高い波長域において実質的な反射を示さないことが好ましい。具体的には、法線方向からの光に対して、通常の合わせガラスと本発明に用いられるハーフミラーを組み込んだ合わせガラスとを比較したときに、波長550nm近辺で実質的に同等な反射を示すことが好ましい。より好ましくは490nm〜620nmの可視光波長域において、実質的に同等な反射を示すことが好ましい。「実質的に同等な反射」とは、例えば、日本分光(株)製分光光度計「V−670」等の分光光度計で法線方向から測定した対象の波長における自然光(無偏光)の反射率の差が10%以下であることを意味する。上記の波長域において、反射率の差は、5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましく、2%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが特に好ましい。視感度の高い波長域において実質的に同等な反射を示すことによって、可視光線透過率が低いガラスと組み合わせて合わせガラスとしたときであっても、車両のウインドシールドガラスの規格を満たす可視光線透過率を実現することができる。
投映像表示用ハーフミラーは薄膜のフィルム状、シート状などであればよい。
投映像表示用ハーフミラーはウインドシールドガラスにおいて使用される前は、薄膜のフィルムとしてロール状等になっていてもよい。
投映像表示用ハーフミラーは、少なくとも投映されている光の一部に対して、ハーフミラーとしての機能を有しているものであればよく、例えば可視光域全域の光に対してハーフミラーとして機能していることを必要とするものではない。また、投映像表示用ハーフミラーは、全ての入射角の光に対して上記のハーフミラーとしての機能を有していてもよいが、少なくとも一部の入射角の光に対して上記の機能を有していればよい。
投映像表示用ハーフミラーは、透明支持体及び選択反射層を含む。投映像表示用ハーフミラーは、選択反射層以外に位相差層、配向層、接着層などの層を含んでいてもよい。
<選択反射層>
選択反射層は波長選択的に光を反射する層である、選択反射層は可視光波長域の一部において選択反射を示すことが好ましい。選択反射層は投映像表示のための光を反射していればよい。
本発明に用いられる投映像表示用ハーフミラーにおいて最も短い波長に選択反射の中心波長を有する選択反射層の選択反射の中心波長は650〜780nmであることが好ましい。本明細書において、選択反射層の選択反射の中心波長λは、選択反射層の法線方向から測定した反射スペクトルの反射ピークの重心位置にある波長を意味する。このような構成は、例えば、投映像表示用ハーフミラーが選択反射の中心波長は650〜780nmである選択反射層を含むとともに、650nm未満の可視光波長域において選択反射の中心波長を有する選択反射層を含まない構成で実現することができる。
本発明に用いられる投映像表示用ハーフミラーにおいて最も短い波長に選択反射の中心波長を有する選択反射層の選択反射の中心波長は、750nm以下であることが好ましく、720nm以下であることがより好ましく、700nm以下であることがさらに好ましい。
本発明に用いられる投映像表示用ハーフミラーは2層以上の選択反射層を含んでいてもよい。2層以上の選択反射層の選択反射の中心波長は同一であってもよく、異なっていてもよいが、異なっていることが好ましい。選択反射の中心波長が異なる選択反射層を2層以上含むことにより二重像を低減することができる。例えば、選択反射層を2層含む場合、この2層の選択反射の中心波長は、60nm以上異なることが好ましく、80nm以上異なることがより好ましく、100nm以上異なることがさらに好ましい。2層以上の選択反射層の選択反射の中心波長はいずれも650〜780nmにあってもよく、少なくとも1つが650〜780nmにあり、その他が780nm超の波長にあってもよいが、いずれも650〜780nmにあることが好ましい。
選択反射層は偏光反射層であることが好ましい。偏光反射層は、直線偏光、円偏光、または楕円偏光を反射する層である。偏光反射層は、円偏光反射層または直線偏光反射層であることが好ましい。円偏光反射層は、選択反射の中心波長において、いずれか一方のセンスの円偏光を反射し、かつ他方を透過する層である。また、直線偏光反射層は、選択反射の中心波長において、1つの偏光方向の直線偏光を反射し、かつ上記偏光方向に直交する偏光方向の直線偏光を透過する層である。偏光反射層は反射しない偏光を透過させることができ、選択反射層が反射を示す波長域においても一部の光を透過させることができる。そのため、投映像表示用ハーフミラーを透過した光の色味を悪化させにくく、可視光線透過率も低下させにくくなるため、好ましい。
円偏光反射層である選択反射層としては、コレステリック液晶層が好ましい。
[コレステリック液晶層]
本明細書において、コレステリック液晶層は、コレステリック液晶相を固定した層を意味する。
コレステリック液晶層は、コレステリック液晶相となっている液晶化合物の配向が保持されている層であればよく、典型的には、重合性液晶化合物をコレステリック液晶相の配向状態としたうえで、紫外線照射、加熱等によって重合、硬化し、流動性が無い層を形成して、同時に、また外場や外力によって配向形態に変化を生じさせることがない状態に変化した層であればよい。なお、コレステリック液晶層においては、コレステリック液晶相の光学的性質が層中において保持されていれば十分であり、層中の液晶化合物はもはや液晶性を示していなくてもよい。例えば、重合性液晶化合物は、硬化反応により高分子量化して、もはや液晶性を失っていてもよい。
コレステリック液晶層は、右円偏光または左円偏光のいずれか一方のセンスの円偏光を選択的に反射させるとともに他方のセンスの円偏光を透過する円偏光選択反射を示すことが知られている。
円偏光選択反射性を示すコレステリック液晶相を固定した層を含むフィルムとして、重合性液晶化合物を含む組成物から形成されたフィルムは従来から数多く知られており、コレステリック液晶層については、それらの従来技術を参照することができる。
コレステリック液晶層の選択反射の中心波長λは、コレステリック相における螺旋構造のピッチP(=螺旋の周期)に依存し、コレステリック液晶層の平均屈折率nとλ=n×Pの関係に従う。この式からわかるように、n値とP値を調整することにより、選択反射の中心波長を650〜780nmに調整することができる。
コレステリック液晶層の選択反射中心波長と半値幅は下記のように求めることができる。
分光光度計UV3150(島津製作所)を用いてコレステリック液晶層の透過スペクトル(コレステリック液晶層の法線方向から測定したもの)を測定すると、選択反射帯域に透過率の低下ピークがみられる。このピークの極小透過率と低下前の透過率との中間(平均)の透過率となる2つの波長のうち、短波長側の波長の値をλl(nm)、長波長側の波長の値をλh(nm)とすると、選択反射の中心波長λと半値幅Δλは下記式で表すことができる。
λ=(λl+λh)/2
Δλ=(λh−λl
上記のように求められる選択反射の中心波長はコレステリック液晶層の法線方向から測定した円偏光反射スペクトルの反射ピークの重心位置にある波長と略一致する。
後述するように、ヘッドアップディスプレイシステムにおいては、ウインドシールドガラスに対して斜めに光が入射するように用いることにより、投映光入射側のガラス板表面での反射率を低くすることができる。このとき、コレステリック液晶層に対しても斜めに光が入射する。例えば、屈折率1の空気中で投映像表示部位の法線に対し45°〜70°の角度で入射した光は、屈折率1.61程度のコレステリック液晶層は26°〜36°程度の角度で透過する。この場合、反射波長は短波長側にシフトする。選択反射の中心波長がλであるコレステリック液晶層中でコレステリック液晶層の法線方向(コレステリック液晶層の螺旋軸方向)に対して光線がθ2の角度で通過するときの選択反射の中心波長をλdとするとき、λdは以下の式で表される。
λd=λ×cosθ2
そのため、θ2が26°〜36°のとき650〜780nmの範囲に選択反射の中心波長を有するコレステリック液晶層は、520〜695nmの範囲で投映光を反射することができる。
このような波長範囲は視感度の高い波長域であるため投映像の輝度への寄与度が高く、結果として高い輝度の投映像を実現することができる。
コレステリック液晶相のピッチは重合性液晶化合物とともに用いるキラル剤の種類、またはその添加濃度に依存するため、これらを調整することによって所望のピッチを得ることができる。なお、螺旋のセンスやピッチの測定法については「液晶化学実験入門」日本液晶学会編 シグマ出版2007年出版、46頁、および「液晶便覧」液晶便覧編集委員会 丸善 196頁に記載の方法を用いることができる。
また、投映像表示用ハーフミラーにおいて、コレステリック液晶層は、視認側(車内側)からみて、選択反射の中心波長が短いものから順に配置されていることが好ましい。
各コレステリック液晶層としては、螺旋のセンスが右または左のいずれかであるコレステリック液晶層が用いられる。コレステリック液晶層の反射円偏光のセンスは螺旋のセンスに一致する。選択反射の中心波長が異なるコレステリック液晶層の螺旋のセンスは全て同じであっても、異なるものが含まれていてもよいが、同じであることが好ましい。
また、投映像表示用ハーフミラーは同一または重複する波長域で選択反射を示すコレステリック液晶層として異なる螺旋のセンスのコレステリック液晶層を含まないことが好ましい。特定の波長域での透過率が例えば50%未満に低下することを避けるためである。
選択反射を示す選択反射帯の半値幅Δλ(nm)は、Δλが液晶化合物の複屈折Δnと上記ピッチPに依存し、Δλ=Δn×Pの関係に従う。そのため、選択反射帯の幅の制御は、Δnを調整して行うことができる。Δnの調整は重合性液晶化合物の種類や混合比率を調整したり、配向固定時の温度を制御したりすることで行うことができる。
選択反射の中心波長が同一の1種のコレステリック液晶層の形成のために、ピッチPが同じで、同じ螺旋のセンスのコレステリック液晶層を複数積層してもよい。ピッチPが同じで、同じ螺旋のセンスのコレステリック液晶層を積層することによって、特定の波長で円偏光選択性を高くすることができる。
複数のコレステリック液晶層の積層の際は、別に作製したコレステリック液晶層を接着剤等を用いて積層してもよく、後述の方法で形成された先のコレステリック液晶層の表面に直接、重合性液晶化合物等を含む液晶組成物を塗布し、配向および固定の工程を繰り返してもよいが、後者が好ましい。先に形成されたコレステリック液晶層の表面に直接次のコレステリック液晶層を形成することにより、先に形成したコレステリック液晶層の空気界面側の液晶分子の配向方位と、その上に形成するコレステリック液晶層の下側の液晶分子の配向方位が一致し、コレステリック液晶層の積層体の偏光特性が良好となるからである。また、接着層の厚みムラに由来して生じ得る干渉ムラが観測されないからである。
コレステリック液晶層の厚みは、0.5μm〜10μmであることが好ましく、1.0μm〜8.0μmであることがより好ましく、1.5μm〜6.0μmであることがさらに好ましい。また、投映像表示用ハーフミラーにおけるコレステリック液晶層の厚みの総計は、2.0μm〜30μmであることが好ましく、2.5μm〜25μmであることがより好ましく、3.0μm〜20μmであることがさらに好ましい。
本発明に用いられる投映像表示用ハーフミラーにおいては、コレステリック液晶層の厚みを低減することなく、可視光線透過率を高く維持することができる。
(コレステリック液晶層の作製方法)
以下、コレステリック液晶層の作製材料および作製方法について説明する。
上記コレステリック液晶層の形成に用いる材料としては、重合性液晶化合物とキラル剤(光学活性化合物)とを含む液晶組成物などが挙げられる。必要に応じてさらに界面活性剤や重合開始剤などと混合して溶剤などに溶解した上記液晶組成物を、支持体、配向層、下層となるコレステリック液晶層などに塗布し、コレステリック配向熟成後、液晶組成物の硬化により固定化してコレステリック液晶層を形成することができる。
(重合性液晶化合物)
重合性液晶化合物は、棒状液晶化合物であっても、円盤状液晶化合物であってもよいが、棒状液晶化合物であることが好ましい。
コレステリック液晶層を形成する棒状の重合性液晶化合物の例としては、棒状ネマチック液晶化合物が挙げられる。棒状ネマチック液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。低分子液晶化合物だけではなく、高分子液晶化合物も用いることができる。
重合性液晶化合物は、重合性基を液晶化合物に導入することで得られる。重合性基の例には、不飽和重合性基、エポキシ基、およびアジリジニル基が含まれ、不飽和重合性基が好ましく、エチレン性不飽和重合性基が特に好ましい。重合性基は種々の方法で、液晶化合物の分子中に導入できる。重合性液晶化合物が有する重合性基の個数は、好ましくは一分子中に1〜6個、より好ましくは1〜3個である。重合性液晶化合物の例は、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号明細書、同5622648号明細書、同5770107号明細書、国際公開WO95/22586、国際公開WO95/24455、WO97/00600、WO98/23580、WO98/52905、特開平1−272551号公報、同6−16616号公報、同7−110469号公報、同11−80081号公報、および特開2001−328973号公報などに記載の化合物が含まれる。2種類以上の重合性液晶化合物を併用してもよい。2種類以上の重合性液晶化合物を併用すると、配向温度を低下させることができる。
また、液晶組成物中の重合性液晶化合物の添加量は、液晶組成物の固形分質量(溶媒を除いた質量)に対して、80〜99.9質量%であることが好ましく、85〜99.5質量%であることがより好ましく、90〜99質量%であることが特に好ましい。
(キラル剤:光学活性化合物)
キラル剤はコレステリック液晶相の螺旋構造を誘起する機能を有する。キラル化合物は、化合物によって誘起する螺旋のセンスまたは螺旋ピッチが異なるため、目的に応じて選択すればよい。
キラル剤としては、特に制限はなく、公知の化合物を用いることができる。キラル剤の例としては、液晶デバイスハンドブック(第3章4−3項、TN、STN用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989)、特開2003−287623号、特開2002−302487号、特開2002−80478号、特開2002−80851号、特開2010−181852号または特開2014−034581号の各公報に記載の化合物が挙げられる。
キラル剤は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物あるいは面性不斉化合物もキラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物または面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファンおよびこれらの誘導体が含まれる。キラル剤は、重合性基を有していてもよい。キラル剤と液晶化合物とがいずれも重合性基を有する場合は、重合性キラル剤と重合性液晶化合物との重合反応により、重合性液晶化合物から誘導される繰り返し単位と、キラル剤から誘導される繰り返し単位とを有するポリマーを形成することができる。この態様では、重合性キラル剤が有する重合性基は、重合性液晶化合物が有する重合性基と、同種の基であることが好ましい。従って、キラル剤の重合性基も、不飽和重合性基、エポキシ基またはアジリジニル基であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基であることが特に好ましい。
また、キラル剤は、液晶化合物であってもよい。
キラル剤としては、イソソルビド誘導体、イソマンニド誘導体、またはビナフチル誘導体を好ましく用いることができる。イソソルビド誘導体としては、BASF社製のLC−756等の市販品を用いてもよい。
液晶組成物における、キラル剤の含有量は、重合性液晶化合物量の0.01モル%〜200モル%が好ましく、1モル%〜30モル%がより好ましい。
(重合開始剤)
液晶組成物は、重合開始剤を含有していることが好ましい。紫外線照射により重合反応を進行させる態様では、使用する重合開始剤は、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤であることが好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)、アシルフォスフィンオキシド化合物(特公昭63−40799号公報、特公平5−29234号公報、特開平10−95788号公報、特開平10−29997号公報、特開2001−233842号公報、特開2000−80068号公報、特開2006−342166号公報、特開2013−114249号公報、特開2014−137466号公報、特許4223071号公報、特開2010−262028号公報、特表2014−500852号公報記載)、オキシム化合物(特開2000−66385号公報、日本特許第4454067号明細書記載)、およびオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)等が挙げられる。例えば、特開2012−208494号公報の段落0500〜0547の記載も参酌できる。
重合開始剤としては、アシルフォスフィンオキシド化合物またはオキシム化合物を用いることも好ましい。
アシルフォスフィンオキシド化合物としては、例えば、市販品のBASFジャパン(株)製のIRGACURE810(化合物名:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド)を用いることができる。オキシム化合物としては、IRGACURE OXE01(BASF社製)、IRGACURE OXE02(BASF社製)、TR−PBG−304(常州強力電子新材料有限公司製)、アデカアークルズNCI−831、アデカアークルズNCI−930(ADEKA社製)、アデカアークルズNCI−831(ADEKA社製)等の市販品を用いることができる。
重合開始剤は、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
液晶組成物中の光重合開始剤の含有量は、重合性液晶化合物の含有量に対して0.1質量%〜20質量%であることが好ましく、0.5質量%〜5質量%であることがさらに好ましい。
(架橋剤)
液晶組成物は、硬化後の膜強度向上、耐久性向上のため、任意に架橋剤を含有していてもよい。架橋剤としては、紫外線、熱、湿気等で硬化するものが好適に使用できる。
架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物;2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、4,4−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等のアジリジン化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、ビウレット型イソシアネート等のイソシアネート化合物;オキサゾリン基を側鎖に有するポリオキサゾリン化合物;ビニルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物などが挙げられる。また、架橋剤の反応性に応じて公知の触媒を用いることができ、膜強度および耐久性向上に加えて生産性を向上させることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
架橋剤の含有量は、3質量%〜20質量%が好ましく、5質量%〜15質量%がより好ましい。架橋剤の含有量を3質量%以上とすることにより、架橋密度向上の効果を得ることができ、架橋剤の含有量を20質量%以下とすることにより、コレステリック液晶層の安定性の低下を防止できる。
(配向制御剤)
液晶組成物中には、安定的にまたは迅速にプレーナー配向のコレステリック液晶層とするために寄与する配向制御剤を添加してもよい。配向制御剤の例としては特開2007−272185号公報の段落〔0018〕〜〔0043〕等に記載のフッ素(メタ)アクリレート系ポリマー、特開2012−203237号公報の段落〔0031〕〜〔0034〕等に記載の式(I)〜(IV)で表される化合物、特開2013−113913号公報に記載の化合物などが挙げられる。
なお、配向制御剤としては1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
液晶組成物中における、配向制御剤の添加量は、重合性液晶化合物の全質量に対して0.01質量%〜10質量%が好ましく、0.01質量%〜5質量%がより好ましく、0.02質量%〜1質量%が特に好ましい。
(その他の添加剤)
その他、液晶組成物は、塗膜の表面張力を調整し厚みを均一にするための界面活性剤、および重合性モノマー等の種々の添加剤から選ばれる少なくとも1種を含有していてもよい。また、液晶組成物中には、必要に応じて、さらに重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、色材、金属酸化物微粒子等を、光学性能を低下させない範囲で添加することができる。
コレステリック液晶層は、重合性液晶化合物および重合開始剤、更に必要に応じて添加されるキラル剤、界面活性剤等を溶媒に溶解させた液晶組成物を、支持体、配向層、または先に作製されたコレステリック液晶層等の上に塗布し、乾燥させて塗膜を得、この塗膜に活性光線を照射してコレステリック液晶性組成物を重合し、コレステリック規則性が固定化されたコレステリック液晶層を形成することができる。なお、複数のコレステリック液晶層からなる積層膜は、コレステリック液晶層の上記製造工程を繰り返し行うことにより形成することができる。
(溶媒)
液晶組成物の調製に使用する溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、有機溶媒が好ましく用いられる。
有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばケトン類、アルキルハライド類、アミド類、スルホキシド類、ヘテロ環化合物、炭化水素類、エステル類、エーテル類、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、環境への負荷を考慮した場合にはケトン類が特に好ましい。
(塗布、配向、重合)
支持体、配向層、下層となるコレステリック液晶層などへの液晶組成物の塗布方法は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ワイヤーバーコーティング法、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法などが挙げられる。また、別途支持体上に塗設した液晶組成物を転写することによっても実施できる。塗布した液晶組成物を加熱することにより、液晶分子を配向させる。加熱温度は、200℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。この配向処理により、重合性液晶化合物が、フィルム面に対して実質的に垂直な方向に螺旋軸を有するようにねじれ配向している光学薄膜が得られる。
配向させた液晶化合物をさらに重合させることにより、液晶組成物を硬化することができる。重合は、熱重合、光照射を利用する光重合のいずれでもよいが、光重合が好ましい。光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2が好ましく、100mJ/cm2〜1,500mJ/cm2がより好ましい。
光重合反応を促進するため、加熱条件下または窒素雰囲気下で光照射を実施してもよい。照射紫外線波長は350nm〜430nmが好ましい。重合反応率は安定性の観点から、高いほうが好ましく70%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。重合反応率は、重合性の官能基の消費割合をIR吸収スペクトルを用いて測定することにより、決定することができる。
[直線偏光反射層]
選択反射層としては、直線偏光反射層を用いてもよい。直線偏光反射層としては、例えば屈折率異方性の異なる薄膜を積層した偏光子が挙げられる。このような偏光子は、コレステリック液晶層と同様に、高い可視光線透過率であり、かつ650nm〜780nmの特定の波長域で選択反射の中心波長を示す構成とすることができる。また、ヘッドアップディスプレイシステムにおける使用時に斜めから入射する投映光を視感度の高い波長において反射することができる。
屈折率異方性の異なる薄膜を積層した偏光子としては、例えば特表平9−506837号公報などに記載されたものを用いることができる。具体的には、屈折率関係を得るために選ばれた条件下で加工すると、広く様々な材料を用いて、偏光子を形成できる。一般に、第一の材料の一つが、選ばれた方向において、第二の材料とは異なる屈折率を有することが必要である。この屈折率の違いは、フィルムの形成中、またはフィルムの形成後の延伸、押出成形、或いはコーティングを含む様々な方法で達成できる。更に、2つの材料が同時押出することができるように、類似のレオロジー特性(例えば、溶融粘度)を有することが好ましい。
屈折率異方性の異なる薄膜を積層した偏光子としては、市販品を用いることができる。市販品としては、反射型偏光板と仮支持体との積層体となっているものを用いてもよい。市販品としては、例えば、DBEF(登録商標)(3M社製)、APF(高度偏光フィルム(Advanced Polarizing Film(3M社製))として販売されている市販の光学フィルムなどが挙げられる。
反射型偏光板の厚みは好ましくは2.0μm〜50μmの範囲、より好ましくは8.0〜30μmの範囲であればよい。
<位相差層>
本発明に用いられる投映像表示用ハーフミラーは位相差層を含んでいてもよい。コレステリック液晶層を含む投映像表示用ハーフミラーは位相差層を含むことが好ましい。位相差層をコレステリック液晶層と組み合わせて用いることにより、鮮明な投映像を表示することができる。正面位相差および遅相軸方向の調整により、ヘッドアップディスプレイシステムにおいて高い輝度を与え、また二重像も防止することができる投映像表示用ハーフミラーを提供することができる。
投映像表示用ハーフミラーにおいて、位相差層は、使用時に全ての選択反射層(コレステリック液晶層)に対して視認側にあるように設けられる。
位相差層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、延伸されたポリカーボネートフィルム、延伸されたノルボルネン系ポリマーフィルム、炭酸ストロンチウムのような複屈折を有する無機粒子を含有して配向させた透明フィルム、支持体上に無機誘電体を斜め蒸着した薄膜、液晶化合物を一軸配向させて配向固定したフィルムなどが挙げられる。
位相差層としては、重合性液晶化合物を一軸配向させて配向固定したフィルムが好ましい。例えば、位相差層は、仮支持体、または配向層表面に重合性液晶化合物を含む液晶組成物を塗布し、そこで液晶組成物中の重合性液晶化合物を液晶状態においてネマチック配向に形成後、硬化によって固定化して、形成することができる。この場合の位相差層の形成は液晶組成物中にキラル剤を添加しない以外は、上記のコレステリック液晶層の形成と同様に行うことができる。ただし、液晶組成物の塗布後のネマチック配向の際、加熱温度は50℃〜120℃が好ましく、60℃〜100℃がより好ましい。
位相差層は、高分子液晶化合物を含む組成物を、仮支持体または配向層等の表面に塗布して液晶状態においてネマチック配向に形成後、冷却することによって当該配向を固定化して得られる層であってもよい。
位相差層の厚みは、0.2μm〜300μmが好ましく、0.5μm〜150μmがより好ましく、1.0μm〜80μmがさらに好ましい。液晶組成物から形成される位相差層の厚みは、特に限定はされないが、0.2μm〜10μmが好ましく、0.5μm〜5.0μmがより好ましく、1.0μm〜2.0μmがさらに好ましい。
位相差層の遅相軸方向は、ヘッドアップディスプレイシステムとしての使用時の、投映像表示のための入射光の入射方向、およびコレステリック液晶層の螺旋のセンスに応じて決定することが好ましい。例えば、投映像表示用ハーフミラーにおいて、ヘッドアップディスプレイシステムにおける使用時の方向が定まるときであって、入射光が、投映像表示用ハーフミラーの下(鉛直下)方向でありかつコレステリック液晶層に対して位相差層側から入射する場合については、正面位相差に応じて以下のような範囲で遅相軸方向を定めることができる:
正面位相差が250〜450nmの位相差層を用いる場合、投映像表示用ハーフミラーの鉛直上方向に対し、位相差層の遅相軸が+30°〜+85°または−30°〜−85°の範囲;および、
正面位相差が50〜180nmの位相差層を用いる場合、投映像表示用ハーフミラーの鉛直上方向に対し、位相差層の遅相軸が+120°〜+175°または−120°〜−175°の範囲。
さらに、以下の構成が好ましい:
正面位相差が250〜450nmの位相差層を用いる場合、投映像表示用ハーフミラーの鉛直上方向に対し、位相差層の遅相軸が+35°〜+70°または−35°〜−70°の範囲;および、
正面位相差が50〜180nmの位相差層を用いる場合、投映像表示用ハーフミラーの鉛直上方向に対し、位相差層の遅相軸が+125°〜+160°または−125°〜−160°の範囲。
なお、遅相軸について、上記で+および−が定義されているが、これは視認位置を固定したときの時計回り方向と反時計回り方向を意味する。好ましい方向は投映像表示用ハーフミラーのコレステリック液晶層の螺旋のセンスに依存する。例えば、投映像表示用ハーフミラーに含まれる全てのコレステリック液晶層の螺旋のセンスが右である場合、遅相軸方向は、コレステリック液晶層に対して位相差層側から見て時計回りに30°〜85°または120°〜175°であればよい。投映像表示用ハーフミラーに含まれる全てのコレステリック液晶層の螺旋のセンスが左である場合、遅相軸方向は、コレステリック液晶層に対して位相差層側から見て反時計回りに30°〜85°または120°〜175°であればよい。
[第2の位相差層]
投映像表示用ハーフミラーは、上記位相差層に加えて第2の位相差層を含んでいてもよい。第2の位相差層は、上記の位相差層(以下、「第1の位相差層」ということがある)、全てのコレステリック液晶層、および第2の位相差層がこの順になるように設ければよい。特に、視認側から第1の位相差層、選択反射層、および第2の位相差層がこの順になるように設ければよい。第1の位相差層に加えて上記の位置に第2の位相差層を含むことによって、二重像をさらに防止することができる。特に、p偏光を入射させて投映像を形成する場合の二重像をさらに防止することができる。
第2の位相差層の利用により二重像をさらに防止することができる理由は、コレステリック液晶層の選択反射帯域にない波長の光がコレステリック液晶層で偏光変換してウインドシールドガラスの裏面で反射されることに基づく二重像を防止できるためと推定される。
第2の位相差層の位相差は、波長550nmにおいて160nm〜460nmの範囲、好ましくは240nm〜420nmの範囲で適宜調整すればよい。
第2の位相差層の材料および厚み等は、第1の位相差層と同様の範囲で選択することができる。
第2の位相差層の遅相軸方向は、投映像表示のための入射光の入射方向、およびコレステリック液晶層の螺旋のセンスに応じて決定することが好ましい。例えば、160nm〜400nmの範囲の正面位相差の第2の位相差層を投映像表示用ハーフミラーの鉛直上方向に対し、遅相軸が+10°〜+35°、または−10°〜−35°の範囲となるようにすることが好ましい。200nm〜400nmの範囲の正面位相差の第2の位相差層を投映像表示用ハーフミラーの鉛直上方向に対し、遅相軸が+100°〜+140°、または−100°〜−140°の範囲となるようにすることが好ましい。
[他の層]
投映像表示用ハーフミラーは選択反射層、第1の位相差層、および第2の位相差層以外の他の層を含んでいてもよい。他の層はいずれも可視光領域で透明であることが好ましい。
また、他の層はいずれも低複屈折性であることが好ましい。本明細書において低複屈折性であるとは、本発明に用いられるウインドシールドガラスの投映像表示用ハーフミラーが反射を示す波長域において、正面位相差が10nm以下であることを意味し、上記正面位相差は5nm以下であることが好ましい。さらに、他の層はいずれもコレステリック液晶層の平均屈折率(面内平均屈折率)との屈折率の差が小さいことが好ましい。他の層としては支持体、配向層、接着層などが挙げられる。
(透明支持体)
本発明に用いられる透明支持体は、面内位相差Reの絶対値が10nm以下、厚み方向の位相差Rthの絶対値が40nm以下であり、好ましくは。面内位相差Reの絶対値が5nm以下、厚み方向の位相差Rthの絶対値が30nm以下である。位相差が小さいことにより、透明支持体による偏光の乱れが小さくなることと共に、面内の物理特性が小さいことにより、この発明の効果を高めている。
本発明に用いられる透明支持体は、セルロースアシレート、シクロオレフィン、アクリル等の樹脂からなることが好ましい。
本発明においては、透明支持体の貯蔵弾性率が2.0GPa以下となるよう、透明支持体を加熱しながら2枚のガラス板とハーフミラーフィルムと中間膜を密着する。
特に透明支持体の貯蔵弾性率が1.5GPa以下となるよう透明支持体を加熱しながら2枚のガラス板とハーフミラーフィルムと中間膜を密着することが好ましい。
また、透明支持体において選択反射層を有する面の反対側面にヒートシール層を有することが好ましい。
透明支持体の厚みとしては、5.0μm〜1000μm程度であればよく、10μm〜250μmが好ましく、15μm〜90μmがより好ましい。
(配向層)
投映像表示用ハーフミラーは、コレステリック液晶層または位相差層の形成の際に液晶組成物が塗布される下層として、配向層を含んでいてもよい。
配向層は、ポリマーなどの有機化合物(ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、変性ポリアミドなどの樹脂)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、またはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)を用いた有機化合物(例えば、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。更に、電場の付与、磁場の付与または光照射により、配向機能が生じる配向層を用いてもよい。
特にポリマーからなる配向層はラビング処理を行ったうえで、ラビング処理面に液晶組成物を塗布することが好ましい。ラビング処理は、ポリマー層の表面を、紙、布で一定方向に、擦ることにより実施することができる。
配向層を設けずに支持体表面、または支持体をラビング処理した表面に、液晶組成物を塗布してもよい。
仮支持体を用いて液晶層を形成する場合は、配向層は仮支持体とともに剥離されて投映像表示用ハーフミラーを構成する層とはならなくてもよい。
配向層の厚みは、0.01〜5.0μmであることが好ましく、0.05〜2.0μmであることがさらに好ましい。
(接着層)
接着層は、例えばコレステリック液晶層間、コレステリック液晶層と位相差層との間、コレステリック液晶層と第2の位相差層との間、コレステリック液晶層と支持体との間に設けられていてもよい。また、コレステリック液晶層と中間膜との間、位相差層(第1または第2)と中間膜との間等に設けられていてもよい。
接着層は接着剤から形成されるものであればよい。
接着剤としては硬化方式の観点からホットメルトタイプ、熱硬化タイプ、光硬化タイプ、反応硬化タイプ、硬化の不要な感圧接着タイプがあり、それぞれ素材としてアクリレート系、ウレタン系、ウレタンアクリレート系、エポキシ系、エポキシアクリレート系、ポリオレフィン系、変性オレフィン系、ポリプロピレン系、エチレンビニルアルコール系、塩化ビニル系、クロロプレンゴム系、シアノアクリレート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリスチレン系、ポリビニルブチラール系などの化合物を使用することができる。作業性、生産性の観点から、硬化方式として光硬化タイプが好ましく、光学的な透明性、耐熱性の観点から、素材はアクリレート系、ウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート系などを使用することが好ましい。
接着層は、高透明性接着剤転写テープ(OCAテープ)を用いて形成されたものであってもよい。高透明性接着剤転写テープとしては、画像表示装置用の市販品、特に画像表示装置の画像表示部表面用の市販品を用いればよい。市販品の例としては、パナック株式会社製の粘着シート(PD−S1など)、日栄化工株式会社のMHMシリーズの粘着シートなどが挙げられる。
接着層の厚みは、0.5〜10μmであることが好ましく、1.0〜5.0μmであることがより好ましい。また、OCAテープを用いて形成された接着層の厚みは、10μm〜50μmであってもよく、15μm〜30μmが好ましい。投映像表示用ハーフミラーの色ムラ等を軽減するため均一な厚みで設けられることが好ましい。
<ウインドシールドガラス>
本発明に用いられる投映像表示用ハーフミラーを用いて投映像表示機能を有するウインドシールドガラスを提供することができる。
本明細書において、ウインドシールドガラスは、車、電車などの車両、飛行機、船、遊具などの乗り物一般の窓ガラスを意味する。ウインドシールドガラスは乗り物の進行方向にあるフロントガラスであることが好ましい。ウインドシールドガラスは車両のフロントガラスであることが好ましい。
ウインドシールドガラスの可視光線透過率は70%以上であることが好ましく、70%超であることがより好ましく、75%以上であることがさらに好ましく、80%以上であることが特に好ましい。上記の可視光線透過率はウインドシールドガラスのいずれの位置においても満たされていることが好ましく、特に投映像表示部位が上記の可視光線透過率を満たすことが好ましい。本発明に用いられる投映像表示用ハーフミラーは上述のように、視感度の高い波長域において可視光線透過率が高いため、ウインドシールドガラスに一般的に用いられるガラスのいずれを用いた場合においても、上記の可視光線透過率を満たす構成とすることができる。
ウインドシールドガラスは、平面状であればよい。また、ウインドシールドガラスは、適用される乗り物への組み込み用に成形されていてもよく、例えば、曲面を有していてもよい。適用される乗り物用に成形されたウインドシールドガラスにおいては、通常使用時に上(鉛直上)となる方向や視認側(観察者側、運転者側、車内側)となる面が特定できる。なお、本明細書において、ウインドシールドガラスまたは投映像表示用ハーフミラーについて鉛直上というときは、上記のように特定できる使用時に鉛直上となる方向を意味する。
ウインドシールドガラスは、投映像表示部位において、厚みが均一であってもよく、厚みが不均一であってもよい。例えば、特表2011−505330号公報に記載の車両用ガラスのように楔形の断面形状を有し、投映像表示部位の厚みが不均一であってもよいが、投映像表示部位において、厚みが均一であることが好ましい。
[投映像表示部位]
本発明に用いられる投映像表示用ハーフミラーはウインドシールドガラスの投映像表示部位に設けられていればよい。
投映像表示用ハーフミラーをウインドシールドガラスのガラス板の外面に設ける、または、後述のように合わせガラスの構成のウインドシールドガラスの中間層に設けることにより投映像表示部位を形成することができる。ウインドシールドガラスのガラス板の外面に設けられる場合、上記投映像表示用ハーフミラーはガラス板からみて視認側に設けられていても、その反対側に設けられていてもよいが、視認側に設けられていることが好ましい。投映像表示用ハーフミラーは中間層に設けることがより好ましい。耐擦傷性がガラス板に比較して低い投映像表示用ハーフミラーが保護されるためである。
本明細書において、投映像表示部位とは、反射光で投映像を表示することができる部位であり、プロジェクター等から投映された投映像を視認可能に表示することができる部位であればよい。
投映像表示部位はヘッドアップディスプレイシステムのコンバイナとして機能する。ヘッドアップディスプレイシステムにおいて、コンバイナは、プロジェクターから投映された画像を視認可能に表示することができるとともに、画像が表示されている同じ面側からコンバイナを観察したときに、反対の面側にある情報または風景を同時に観察することができる光学部材を意味する。すなわち、コンバイナは、外界光と映像光を重ねあわせて表示する光路コンバイナとしての機能を有する。
投映像表示部位はウインドシールドガラスの全面にあってもよく、またはウインドシールドガラスの全面積に対し一部にあってもよいが、一部であることが好ましい。一部である場合、投映像表示部位はウインドシールドガラスのいずれの位置に設けてもよいが、ヘッドアップディスプレイシステムとしての使用時に、観察者(例えば、運転者)から視認しやすい位置に虚像が示されるように設けられていることが好ましい。例えば、適用される乗り物の運転席の位置とプロジェクターを設置する位置との関係から投映像表示部位を設ける位置を決定すればよい。
投映像表示部位は、曲面を有していない平面状であってもよいが、曲面を有していてもよく、全体として凹型または凸型の形状を有し、投映像を拡大または縮小して表示するようになっていてもよい。
[合わせガラス]
本明細書においては、ウインドシールドガラスにおいて、視認側からより遠い位置にあるガラス板を第一のガラス板といい、より近い位置にあるガラス板を第二のガラス板ということがある。
ガラス板としては、ウインドシールドガラスに一般的に用いられるガラス板を使用することができる。例えば、遮熱性の高いグリーンガラスなどの、可視光線透過率が73%、76%など80%以下となるガラス板を使用してもよい。このように可視光線透過率が低いガラス板を使用したときであっても、本発明に用いられる投映像表示用ハーフミラーを使用することにより、投映像表示部位においても70%以上の可視光線透過率を有するウインドシールドガラスを作製することができる。
本発明に用いられる合わせガラスは、2枚のガラス板が湾曲面を有することが好ましく、さらにその湾曲面に前記ハーフミラーフィルムが密着することが好ましく、ウインドシールドガラスとして好ましく用いられる。
本発明に関する合わせガラスの好ましい層構成としては、投映画像視認側から第一のガラス板、透明支持体、選択反射層、中間膜、第二のガラス板の順であり、さらにこれらとは異なる層が前記いずれかの層間に介在してもよい。
ガラス板の厚みについては特に制限はないが、0.5mm〜5.0mm程度であればよく、1.0mm〜3.0mmが好ましく、2.0〜2.3mmがより好ましい。
第一のガラス板および第二のガラス板の材料または厚みは同一であっても異なっていてもよい。
(中間膜)
上記投映像表示用ハーフミラーを含まない中間膜を用いる場合の中間膜としては、公知のいずれの中間膜を用いてもよい。たとえば、ポリビニルブチラール(PVB)、エチレン−酢酸ビニル共重合体および塩素含有樹脂の群から選ばれる樹脂を含む樹脂膜を用いることができる。上記樹脂は、中間膜の主成分であることが好ましい。なお、主成分であるとは、中間膜の50質量%以上の割合を占める成分のことをいう。
上記の樹脂のうち、ポリビニルブチラールまたはエチレン−酢酸ビニル共重合体であることが好ましく、ポリビニルブチラールがより好ましい。樹脂は、合成樹脂であることが好ましい。
ポリビニルブチラールは、ポリビニルアルコールをブチルアルデヒドによりアセタール化して得ることができる。上記ポリビニルブチラールのアセタール化度の好ましい下限は40%、好ましい上限は85%であり、より好ましい下限は60%、より好ましい上限は75%である。
ポリビニルアルコールは、通常、ポリ酢酸ビニルを鹸化することにより得られ、鹸化度80〜99.8モル%のポリビニルアルコールが一般的に用いられる。
また、上記ポリビニルアルコールの重合度の好ましい下限は200、好ましい上限は3000である。ポリビニルアルコールの重合度が200以上であると、得られる合わせガラスの耐貫通性が低下しにくく、3000以下であると、樹脂膜の成形性がよく、しかも樹脂膜の剛性が大きくなり過ぎず、加工性が良好である。より好ましい下限は500、より好ましい上限は2000である。
本発明において、透明支持体の全ての端部および選択反射層の全ての端部が、中間膜の端部よりも5mm以上内側となるようハーフミラーフィルムと中間膜を配置し、その後、透明支持体を加熱しながら2枚のガラス板とハーフミラーフィルムと中間膜を密着する。端部が中間膜の端部より内側となることで端部が中間膜でシールされ、側面から空気の侵入を抑制するため皺が発生しない。
好ましくは、透明支持体の全ての端部および選択反射層の全ての端部が、中間膜の端部よりも10mm以上内側であり、15mm以上内側であることが特に好ましい。
(投映像表示用ハーフミラーを含む中間膜)
投映像表示用ハーフミラーを含む合わせガラス用積層中間膜は、投映像表示用ハーフミラーを上記中間膜の表面に貼合して形成することができる。または、投映像表示用ハーフミラーを2枚の上記中間膜に挟んで形成することもできる。2枚の中間膜は同一であってもよく異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
投映像表示用ハーフミラーと中間膜との貼合には、公知の貼合方法を用いることができるが、ラミネート処理を用いることが好ましい。積層体と中間膜とが加工後に剥離してしまわないように、ラミネート処理を実施する場合には、ある程度の加熱および加圧条件下にて実施することが好ましい。
ラミネートを安定的に行なうには、中間膜の接着する側の膜面温度が50〜130℃であることが好ましく、70〜100℃であることがより好ましい。
ラミネート時には加圧することが好ましい。加圧条件は、2.0kg/cm2未満(196kPa未満)であることが好ましく、0.5〜1.8kg/cm2(49〜176kPa)の範囲であることがより好ましく、0.5〜1.5kg/cm2(49〜147kPa)の範囲であることがさらに好ましい。
[選択反射層に対して視認側にある層]
一般的に、投映像表示用部材において、投映光を反射する層からの反射光に基づく像と、投映像表示用部材の光入射側から見て手前の面または裏側面からの反射光に基づく像が重なることによって二重像(または多重像)の問題が生じている。ウインドシールドガラスにおいて、選択反射層を透過する光は上記選択反射層を反射する円偏光と逆のセンスの円偏光となっているかまたは直交する方向の偏光となっており、裏側面からの反射光は、選択反射層より裏側面側にある層が低複屈折性である場合は、通常上記選択反射層に反射される偏光が大部分となるため顕著な二重像を生じさせにくい。特に投映光として偏光を利用することにより投映光の大部分が選択反射層で反射されるように構成できる。一方で、手前の面からの反射光は顕著な二重像を生じさせ得る。特に選択反射層の重心からウインドシールドガラスの光入射側から見て手前の面までの距離が一定値以上であると二重像が顕著になり得る。具体的には、本発明に用いられるウインドシールドガラスの構造において、選択反射層より第1の位相差層側にある層の厚みの総計(選択反射層の厚みを含まない)、すなわち、選択反射層の視認側の面から、ウインドシールドガラスの視認側の面までの距離、が0.5mm以上となると二重像が顕著になり得、1mm以上でより顕著となり得、1.5mm以上でより顕著となり得, 2.0mm以上で特に顕著になり得る。選択反射層より視認側にある層としては、第1の位相差層のほか、支持体、中間膜、第2のガラス板などが挙げられる。
しかし、本発明に用いられるウインドシールドガラスは後述のようにp偏光を利用した投映像表示において、選択反射層より視認側にある層の厚みの総計が上記のようである場合でも、顕著な二重像なしに投映像を視認することができる。
<ヘッドアップディスプレイシステム>
本発明に用いられるウインドシールドガラスはヘッドアップディスプレイシステムの構成部材として用いることができる。ヘッドアップディスプレイシステムはプロジェクターを含むことが好ましい。
[プロジェクター]
本明細書において、「プロジェクター」は「光または画像を投映する装置」であり、「描画した画像を投射する装置」を含む。本発明に用いられるヘッドアップディスプレイシステムにおいて、プロジェクターは、ウインドシールドガラス中の投映像表示用ハーフミラーに、上記のような斜め入射角度で入射できるように配置されていればよい。
ヘッドアップディスプレイシステムにおいて、プロジェクターは、描画デバイスを含み、小型の中間像スクリーンに描画された画像(実像)をコンバイナにより虚像として反射表示するものが好ましい。
(描画デバイス)
描画デバイスはそれ自体が画像を表示するデバイスであってもよく、画像を描画できる光を発するデバイスであってもよい。描画デバイスでは、光源からの光が、光変調器、レーザー輝度変調手段、または描画のための光偏向手段などの描画方式で調整されていればよい。本明細書において、描画デバイスは光源を含み、さらに、描画方式に応じて光変調器、レーザー輝度変調手段、または描画のための光偏向手段などを含むデバイスを意味する。
(光源)
光源は特に限定されず、LED(発光ダイオード、有機発光ダイオード(OLED)を含む)、放電管、およびレーザー光源などを用いることができる。これらのうち、LEDおよび放電管が好ましい。直線偏光を出射する描画デバイスの光源に適しているからである。これらのうち、特にLEDが好ましい。LEDは発光波長が可視光領域において連続的でないため、後述するように特定波長域で選択反射を示すコレステリック液晶層が用いられているコンバイナとの組み合わせに適しているためである。
(描画方式)
描画方式としては、使用する光源や用途に応じて選択することができ、特に限定されない。
描画方式の例としては、蛍光表示管、液晶を利用するLCD(Liquid Crystal Display)方式およびLCOS(Liquid Crystal on Silicon)方式、DLP(登録商標)(Digital Light Processing)方式、レーザーを利用する走査方式などが挙げられる。描画方式は光源と一体となった蛍光表示管を用いた方式であってもよい。描画方式としてはLCDが好ましい。
LCD方式およびLCOS方式では、各色の光が光変調器で変調、合波され、投射レンズから光が出射する。
DLP方式は、DMD(Digital Micromirror Device)を用いた表示システムであり、画素数分のマイクロミラーを配置して描画され投射レンズから光が出射する。
走査方式は光線をスクリーン上で走査させ、目の残像を利用して造影する方式であり、例えば、特開平7−270711号公報、特開2013−228674号公報の記載が参照できる。レーザーを利用する走査方式では、輝度変調された各色(例えば、赤色光、緑色光、青色光)のレーザー光が合波光学系または集光レンズなどで1本の光線に束ねられ、光線が光偏向手段により走査されて後述する中間像スクリーンに描画されていればよい。
走査方式において、各色(例えば赤色光、緑色光、青色光)のレーザー光の輝度変調は光源の強度変化として直接行ってもよく、外部変調器により行ってもよい。光偏向手段としては、ガルバノミラー、ガルバノミラーとポリゴンミラーの組み合わせ、またはMEMS(微小電子機械システム)が挙げられ、このうちMEMSが好ましい。走査方法としては、ランダムスキャン方式、およびラスタースキャン方式等が挙げられるが、ラスタースキャン方式を用いることが好ましい。ラスタースキャン方式において、レーザー光は、例えば、水平方向は共振周波数で、垂直方向はのこぎり波で駆動されることができる。走査方式は投射レンズが不要であるため、装置の小型化が容易である。
描画デバイスからの出射光は、直線偏光であっても自然光(非偏光)であってもよい。本発明に用いられるヘッドアップディスプレイシステムに含まれる描画デバイスからの出射光は、直線偏光であることが好ましい。描画方式がLCDまたはLCOSである描画デバイスおよびレーザー光源を用いた描画デバイスは、本質的には出射光が直線偏光となる。出射光が直線偏光である描画デバイスであって出射光が複数の波長(色)の光を含むものである場合は、複数の光の偏光の偏光方向(透過軸方向)は同一であるかまたは互いに直交していることが好ましい。市販の描画デバイスは、出射光の赤、緑、青の光の波長域での偏光方向が均一ではないものがあることが知られている(特開2000−221449号公報参照)。具体的には、緑色光の偏光方向が赤色光の偏光方向および青色光の偏光方向と直交している例が知られている。
(中間像スクリーン)
上記のように、描画デバイスは中間像スクリーンを使用するものであってもよい。本明細書において、「中間像スクリーン」は、画像が描画されるスクリーンである。すなわち、描画デバイスを出射した光がまだ画像として視認できるものではない場合などにおいて、この光によって描画デバイスは中間像スクリーンに視認可能な画像を形成する。中間像スクリーンにおいて描画された画像は中間像スクリーンを透過する光によりコンバイナに投映されていてもよく、中間像スクリーンを反射してコンバイナに投映されていてもよい。
中間像スクリーンの例としては、散乱膜、マイクロレンズアレイ、リアプロジェクション用のスクリーンなどが挙げられる。中間像スクリーンとしてプラスチック材料を用いる場合などにおいて、中間像スクリーンが複屈折性を有すると、中間像スクリーンに入射した偏光の偏光面や光強度が乱され、コンバイナにおいて、色ムラ等が生じやすくなるが、所定の位相差を有する位相差膜を用いることにより、この色ムラの問題が低減できる。
中間像スクリーンとしては、入射光線を広げて透過させる機能を有するものが好ましい。投映像拡大表示が可能となるからである。このような中間像スクリーンとしては、例えばマイクロレンズアレイで構成されるスクリーンが挙げられる。ヘッドアップディスプレイで用いられるマイクロアレイレンズについては、例えば、特開2012−226303号公報、特開2010−145745号公報、および特表2007−523369号公報に記載がある。
プロジェクターは描画デバイスで形成された投映光の光路を調整する反射鏡などを含んでいてもよい。
ウインドシールドガラスを投映像表示用部材として用いたヘッドアップディスプレイシステムについては、特開平2−141720号公報、特開平10−96874号公報、特開2003−98470号公報、米国特許第5013134号明細書、特表2006−512622号公報などを参照することができる。
本発明に用いられるウインドシールドガラスは、特に、発光波長が可視光領域において連続的でないレーザーやLED、OLEDなどを光源に用いたプロジェクターと組み合わせて用いるヘッドアップディスプレイシステムに有用である。各発光波長に合わせて、コレステリック液晶層の選択反射の中心波長を調整できるからである。また、LCD(液晶表示装置)などの表示光が偏光しているディスプレイの投映に用いることもできる。
[投映光(入射光)]
入射光は、投映像表示用ハーフミラーの法線に対し45°〜70°の斜め入射角度で入射させることが好ましい。屈折率1.51程度のガラスと屈折率1の空気との界面のブリュースター角は約56°であり、上記の角度の範囲でp偏光を入射させることにより、投映像表示のための入射光の選択反射層に対して視認側のウインドシールドガラスの表面からの反射光が少なく、二重像の影響が小さい画像表示が可能である。上記角度は50°〜65°であることも好ましい。このとき、投映像の観察を投映光の入射側において、選択反射層の法線に対し、入射光とは反対側で45°〜70°、好ましくは50°〜65°の角度で行うことができる構成であればよい。
入射光は、ウインドシールドガラスの上下左右等、いずれの方向から入射してもよく、視認方向と対応させて、決定すればよい。例えば、使用時の下方向から上記のような斜め入射角度で入射する構成が好ましい。
また、ウインドシールドガラス中の位相差層の遅相軸は、入射p偏光の振動方向(入射光の入射面)に対し、位相差層の正面位相差に応じて、30°〜85°または120°〜175°の角度をなしていることがより好ましい。
上述のように、ヘッドアップディスプレイにおける投映像表示の際の投映光は入射面に平行な方向に振動するp偏光であることが好ましい。プロジェクターの出射光が直線偏光ではない場合は、直線偏光フィルムをプロジェクターの出射光側に配して用いることによりp偏光としていてもよく、プロジェクターからウインドシールドガラスまでの光路でp偏光とされていてもよい。上述のように、出射光の赤、緑、青の光の波長域での偏光方向が均一ではないプロジェクターについては、波長選択的に偏光方向を調節し、全ての色の波長域でp偏光として入射させることが好ましい。
ヘッドアップディスプレイシステムは、虚像結像位置を可変とする投映システムであってもよい。このような投映システムについては、例えば特開2009−150947号公報に記載がある。虚像結像位置を可変とすることにより、運転者はより快適に利便性高く虚像を視認することができる。虚像結像位置は、車両の運転者から虚像を視認できる位置であり、例えば、通常運転者から見てウインドシールドガラスの先、1000mm以上離れた位置である。ここで、上述の特表2011−505330号公報に記載のようにガラスが投映像表示部位において不均一(楔形)であると、虚像結像位置を変化させたときに、その楔形の角度も変更する必要が生じる。そのため、例えば、特開2017−15902号公報に記載のように、部分的に楔形の角度を変えて投映位置を変えることによって擬似的に虚像結像位置変化に対応するなどの必要が生じる。本発明に用いられるウインドシールドガラスを用い、かつ上記のようにp偏光を利用して構築されたヘッドアップディスプレイシステムでは、楔形のガラスの利用は不要であり、投映像表示部位においてガラスの厚みを均一とすることができるため、上記の虚像結像位置を可変とする投映システムを好適に採用することができる。
以下に実施例、比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例、比較例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
<塗布液の調製>
(コレステリック液晶層形成用塗布液)
下記の成分を混合し、下記組成のコレステリック液晶層形成用塗布液B、G、Rを調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
塗布液Bの組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――
・化合物1 80質量部
・化合物2 20質量部
・フッ素系化合物1 0.02質量部
・フッ素系化合物3 0.01質量部
・右旋回性キラル剤LC756(BASF社製)
目標の反射波長に合わせて調整
・重合開始剤IRGACURE OXE01(BASF社製)
0.75質量部
・溶媒(酢酸メチル) 溶質濃度が20質量%となる量
――――――――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――――――――――――
塗布液G、Rの組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――
・混合物1 100質量部
・フッ素系化合物1 0.05質量部
・フッ素系化合物2 0.04質量部
・右旋回性キラル剤LC756(BASF社製)
目標の反射波長に合わせて調整
・重合開始剤IRGACURE OXE01(BASF社製)
1.0質量部
・溶媒(メチルエチルケトン) 溶質濃度が25質量%となる量
――――――――――――――――――――――――――――――――――
・混合物1
・化合物1
・化合物2
フッ素系化合物1
フッ素系化合物2
フッ素系化合物3
上記塗布液組成のキラル剤LC−756の処方量を調整して塗布液B、G、Rを調製した。それぞれの塗布液を用いて、以下の機能層作製時と同様に剥離性支持体上に単一層のコレステリック液晶層を作製し、反射特性を確認したところ、作製されたコレステリック液晶層はすべて右円偏光反射層であり、中心反射波長は下記表1のとおりであった。
(位相差層形成用塗布液)
下記の成分を混合し、下記組成の位相差層形成用塗布液を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
位相差層形成用塗布液の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――
・混合物1 100質量部
・フッ素系化合物1 0.05質量部
・フッ素系化合物2 0.01質量部
・重合開始剤IRGACURE OXE01(BASF社製)
0.75質量部
・溶媒(メチルエチルケトン) 溶質濃度が25質量%となる量
――――――――――――――――――――――――――――――――――
<セルロースアシレートフィルムの鹸化>
国際出願特許公開WO2014/112575号公報の実施例20と同一の作製方法で得られた40μmセルロースアシレートフィルムを、温度60℃の誘電式加熱ロールを通過させ、フィルム表面温度を40℃に昇温した後に、フィルムの片面に下記に示す組成のアルカリ溶液を、バーコーターを用いて塗布量14mL/m2で塗布し、110℃に加熱したスチーム式遠赤外ヒーター((株)ノリタケカンパニーリミテド製)の下に10秒間滞留させた。
次いで、同じくバーコーターを用いて、純水を3mL/m2塗布した。
次いで、ファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りを3回繰り返した後に、70℃の乾燥ゾーンに5秒間滞留させて乾燥し、鹸化処理したセルロースアシレートフィルム1を作製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
アルカリ溶液の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――
・水酸化カリウム 4.7質量部
・水 15.7質量部
・イソプロパノール 64.8質量部
・界面活性剤(C16H33O(CH2CH2O)10H) 1.0質量部
・プロピレングリコール 14.9質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
<配向膜の形成>
上記で得られた鹸化処理したセルロースアシレートフィルム1の鹸化処理面に、下記に示す組成の配向膜形成用塗布液を、ワイヤーバーコーターで24mL/m2塗布し、100℃の温風で120秒乾燥した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
配向膜形成用塗布液の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――
・下記に示す変性ポリビニルアルコール 28質量部
・クエン酸エステル(AS3、三共化学(株)製) 1.2質量部
・光開始剤(イルガキュア2959、BASF社製) 0.84質量部
・グルタルアルデヒド 2.8質量部
・水 699質量部
・メタノール 226質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
(変性ポリビニルアルコール)
<コレステリック液晶層積層体の作製>
上記作製した配向膜に、長辺方向を基準に時計回りに30°回転させた方向にラビング処理(レーヨン布、圧力:0.1kgf(0.98N)、回転数:1000rpm、搬送速度:10m/min、回数:1往復)を施した。
セルロースアシレートフィルム1のラビングした表面に位相差層形成用塗布液をワイヤーバーを用いて塗布後、乾燥させて55℃にて1分間加熱処理を行い、50℃のホットプレート上に置き、フュージョンUVシステムズ株式会社製無電極ランプ「Dバルブ」(60mW/cm)にて6秒間UV照射し、液晶相を固定して、厚み1.8μmの位相差層を得た。このとき、位相差層のレタデーションをAxoScan(アクソメトリクス社製)で測定したところ、350nmであった。得られた位相差層の表面に塗布液Bをワイヤーバーを用いて塗布後、乾燥させて85℃にて1分間加熱処理を行い、80℃のホットプレート上に置き、ヘレウス株式会社製無電極ランプ「Dバルブ」(60mW/cm)にて6秒間UV照射し、コレステリック液晶相を固定して、厚み2.3μmのコレステリック液晶層を得た。得られたコレステリック液晶層の表面にさらに塗布液Gをワイヤーバーを用いて塗布後、乾燥させて70℃にて1分間加熱処理を行い、75℃のホットプレート上に置き、ヘレウス株式会社製無電極ランプ「Dバルブ」(60mW/cm)にて6秒間UV照射し、コレステリック液晶相を固定して、厚み0.7μmのコレステリック液晶層を得た。得られたコレステリック液晶層の表面にさらに塗布液Rをワイヤーバーを用いて塗布後、乾燥させて70℃にて1分間加熱処理を行い、75℃のホットプレート上に置き、ヘレウス株式会社製無電極ランプ「Dバルブ」(60mW/cm)にて6秒間UV照射し、コレステリック液晶相を固定して、厚み2.8μmのコレステリック液晶層を得た。こうして位相差層および3層のコレステリック液晶層からなる機能層を持つコレステリック液晶層積層体A(ハーフミラーフィルム)を得た。積層体Aの透過スペクトルを分光光度計(日本分光株式会社製、V−670)で測定したところ、515nm、685nm、775nmに選択反射中心波長を有する透過スペクトルが得られた。
支持体として東洋紡(株)製PETフィルム(コスモシャインA4100、厚み:100μm)を使用したこと以外は同様の手順で位相差層、コレステリック液晶層を積層し、コレステリック液晶層積層体Bを得た。
<ヒートシール層の作製>
(ヒートシール層形成用塗布液)
下記の成分を混合し、下記組成のヒートシール層形成用塗布液1、2を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
塗布液1の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――
・ディックシールA−100ES21G2(DIC株式会社製) 33質量部
・溶媒(MIBK) 67質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――――――――――――
塗布液2の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――
・PVBシート(積水化学工業株式会社製) 5質量部
・溶媒(メタノール) 90.25質量部
・溶媒(1−ブタノール) 4.75質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
<ヒートシール積層体の作製>
コレステリック液晶層積層体Aの裏面(コレステリック液晶を塗布していない面側)にヒートシール層形成用塗布液1をワイヤーバーを用いて塗布後、乾燥させて100℃にて1分間加熱処理を行い、厚み1.2μmのヒートシール層1を得た。こうして表面に位相差層および3層のコレステリック液晶層からなる機能層を持ち、裏面にヒートシール層1を持つヒートシール積層体Ah1を得た。
また、同様にコレステリック液晶層積層体Aの裏面(コレステリック液晶を塗布していない面)にヒートシール層形成用塗布液2をワイヤーバーを用いて塗布後、乾燥させて50℃にて1分間加熱処理を行い、厚み0.46μmのヒートシール層2を得た。こうして表面に位相差層および3層のコレステリック液晶層からなる機能層を持ち、裏面にヒートシール層2を持つヒートシール積層体Ah2を得た。
<合わせガラスの作製>
縦260mm×横330mm厚み2mmの上に凸の曲面ガラス板の上に、縦220×横290mmのコレステリック液晶層積層体Aをコレステリック液晶が塗布されていない面を下にしてガラス板の中央部に配置し、(第一のガラス板、透明支持体、位相差層、コレステリック液晶層の順に配置し、)その上に縦260mm×横330mmの積水化学工業社製の厚み0.38mmのPVBフィルム(中間膜)を配置し、さらにその上に縦260mm×横330mm厚み2mmの上に凸の曲面ガラス板(第二のガラス板)を配置した。これを90℃、10kPa(0.1気圧)下で1時間保持した後に、オートクレーブ(栗原製作所製)にて140℃、1.3Mpa(13気圧)で20分間加熱して気泡を除去し、合わせガラスAを得た。
ヒートシール積層体Ah1、Ah2を用い、ヒートシール層側を下にすること以外は合わせガラスA作製と同様の手順で合せガラスを作製し、合わせガラスB、Cを得た。
コレステリック液晶層積層体Bを用いること以外は合わせガラスA作製と同様の手順で合せガラスを作製し、合わせガラスDを得た。
縦260×横330mmのコレステリック液晶層積層体Aを用いること以外は合わせガラスA作製と同様の手順で合わせガラスを作製し、合わせガラスEを得た。
オートクレーブ(栗原製作所製)にて100℃、1.3Mpa(13気圧)で20分間加熱すること以外は合わせガラスA作製と同様の手順で合わせガラスを作製し、合わせガラスFを得た。
(貯蔵弾性率の測定)
本発明の透明支持体として使用したセルロースアシレートフィルム1、比較例用の透明支持体として使用した東洋紡(株)製PETフィルム(コスモシャインA4100、厚み:100μm)の試料5mm×30mmを、25℃、相対湿度60%で2時間以上調湿した後に動的粘弾性測定装置(バイブロン:DVA−225(アイティー計測制御(株)製))で、つかみ間距離20mm、昇温速度2℃/分、測定温度範囲30℃〜220℃、周波数1Hzで貯蔵弾性率を測定した。
(シワ、外光反射、画像視認性の評価)
合わせガラス加工後に積層体にシワが発生しているか目視で評価した。また、外光反射は太陽光を合わせガラスの凸面に当て、反射した光の色味、歪みの有無を目視で評価した。画像視認性は合わせガラスの凹面に図6に示すようにp偏光を当て、映像を投影し、発生した虚像の明るさ、歪みの有無を画像視認性として評価した。
合わせガラスA〜Cは積層体にシワ発生することなく合わせガラス加工をすることができ、外光反射、画像視認性も良好であった。合わせガラスDは積層体にシワ発生することなく合わせガラス加工をすることができたが、支持体として使用している東洋紡(株)製PETフィルム(コスモシャインA4100、厚み:100μm)のReが大きいために、外光反射に虹状の色付き模様が現れ問題であり、さらに投映像のp偏光が乱され、コレステリック液晶層で効率良く光を反射できないため、視認虚像の色味が変化し、像の明るさが低下した。
合わせガラスE、Fは合わせガラス内の積層体にシワが生じてしまい、外光反射、視認虚像に歪みが生じた。
1 透明支持体
2 位相差層
3 選択反射層
4 ヒートシール層
5 中間膜
6 第一のガラス板
7 第二のガラス板
100 プロジェクター(p偏光画像)

Claims (4)

  1. 透明支持体と波長選択的に光を反射する選択反射層を有する投映像表示用ハーフミラーフィルム、及びそれに隣接する中間膜を2枚のガラス板で挟持した合わせガラスの製造方法であって、
    前記透明支持体は、面内位相差Reの絶対値が10nm以下、厚み方向の位相差Rthの絶対値が40nm以下であり、
    前記透明支持体の全ての端部および前記選択反射層の全ての端部が、前記中間膜の端部よりも5mm以上内側となるよう前記ハーフミラーフィルムと前記中間膜を配置し、さらに前記透明支持体の貯蔵弾性率が2.0GPa以下となるよう、前記透明支持体を加熱しながら前記2枚のガラス板と前記ハーフミラーフィルムと前記中間膜を密着する合わせガラスの製造方法。
  2. 前記透明支持体において前記選択反射層を有する面の反対側面にヒートシール層を有する請求項1に記載の合わせガラスの製造方法。
  3. 前記2枚のガラス板が湾曲面を有し、その湾曲面に前記ハーフミラーフィルムが密着した請求項1または2に記載の合わせガラスの製造方法。
  4. 前記選択反射層がコレステリック液晶層である請求項1〜3のいずれか一項に記載の合わせガラスの製造方法。
JP2017159733A 2017-08-22 2017-08-22 合わせガラスの製造方法 Active JP6676015B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017159733A JP6676015B2 (ja) 2017-08-22 2017-08-22 合わせガラスの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017159733A JP6676015B2 (ja) 2017-08-22 2017-08-22 合わせガラスの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019038707A JP2019038707A (ja) 2019-03-14
JP6676015B2 true JP6676015B2 (ja) 2020-04-08

Family

ID=65727255

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017159733A Active JP6676015B2 (ja) 2017-08-22 2017-08-22 合わせガラスの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6676015B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7340687B2 (ja) * 2020-03-13 2023-09-07 富士フイルム株式会社 反射スクリーン、投映像表示システム
CN112358204A (zh) * 2020-11-13 2021-02-12 信义玻璃工程(东莞)有限公司 夹层玻璃的制作方法及夹层玻璃

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS58140137U (ja) * 1982-03-11 1983-09-21 日産自動車株式会社 積層構成体
JP6046647B2 (ja) * 2013-01-18 2016-12-21 富士フイルム株式会社 光学フィルム、偏光板、及び画像表示装置
WO2015141759A1 (ja) * 2014-03-20 2015-09-24 富士フイルム株式会社 反射部材、投映スクリーン、コンバイナ、および、遮熱部材
JP6513690B2 (ja) * 2014-09-29 2019-05-15 富士フイルム株式会社 投映像表示用部材および投映像表示システム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019038707A (ja) 2019-03-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6768567B2 (ja) ウインドシールドガラス、ヘッドアップディスプレイシステム、およびハーフミラーフィルム
WO2018084076A1 (ja) ウインドシールドガラス、ヘッドアップディスプレイシステム、およびハーフミラーフィルム
JP7299920B2 (ja) 投映像表示用部材、ウインドシールドガラスおよびヘッドアップディスプレイシステム
JP6880244B2 (ja) 投映像表示用部材、ウインドシールドガラスおよびヘッドアップディスプレイシステム
JP7453292B2 (ja) 投映像表示用ハーフミラーフィルム、投映像表示用の合わせガラス、および、画像表示システム
WO2020184714A1 (ja) 投映像表示用部材、ウインドシールドガラスおよびヘッドアップディスプレイシステム
WO2018110066A1 (ja) ウインドシールドガラス、ヘッドアップディスプレイシステム、および積層フィルム
JPWO2020080355A1 (ja) 投映像表示用部材、ウインドシールドガラスおよびヘッドアップディスプレイシステム
US20200333598A1 (en) Method for producing screen image-displaying laminated glass, screen image-displaying laminated glass, and image display system
JP2018200459A (ja) 実像表示用部材、および表示システム
WO2022123946A1 (ja) 反射フィルム、ウインドシールドガラスおよびヘッドアップディスプレイシステム
JP6676015B2 (ja) 合わせガラスの製造方法
JP2019012211A (ja) 投映像表示用ハーフミラー、ウインドシールドガラスおよびヘッドアップディスプレイシステム
JP7260449B2 (ja) 投映像表示用部材、ウインドシールドガラスおよびヘッドアップディスプレイシステム
JP7133703B2 (ja) 投映像表示用積層フィルム、投映像表示用の合わせガラス、および、画像表示システム
US11860361B2 (en) Reflection film, windshield glass, and head-up display system
JP7483003B2 (ja) 反射フィルム、合わせガラスの製造方法、および、合わせガラス
WO2024195716A1 (ja) 反射フィルム、ウインドシールドガラスおよびヘッドアップディスプレイシステム
JP2018199317A (ja) 積層フィルム、合わせガラス中間膜シートの製造方法、および合わせガラスの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190717

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200213

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200303

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200311

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6676015

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250