JP2018095682A - ペースト状接着剤組成物および電子装置 - Google Patents
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Abstract
Description
このような知見に基づきさらに鋭意研究したところ、レオメータを用いることにより、ペースト状接着剤組成物の粘度とチキソ指数について安定的に評価できることが分かった。
そして、加熱により重合する化合物を含有する分散媒と、40℃以上250℃以下の分解開始温度を有する樹脂と、を適切に選択した上で、レオメータを用いて、25℃における当該ペースト状接着剤組成物の粘度を測定したとき、せん断速度2〔1/s〕で測定した時の粘度η2が、40Pa・s以上300Pa・s以下であり、せん断速度10〔1/s〕で測定した時の粘度η10に対する、前記粘度η2の比(η2/η10)であるチキソ指数が、2以上5以下と制御することにより、ペースト状接着剤組成物の印刷性を向上させることを見出し、本発明を完成するに至った。
熱処理によりシンタリングを起こして粒子連結構造を形成する金属粒子と、
前記金属粒子を分散させる、加熱により重合する化合物を含有する分散媒と、
40℃以上250℃以下の分解開始温度を有する樹脂と、を含む、ペースト状接着剤組成物であって、
レオメータを用いて、25℃における当該ペースト状接着剤組成物の粘度を測定したとき、
せん断速度2〔1/s〕で測定した時の粘度η2が、40Pa・s以上300Pa・s以下であり、
せん断速度10〔1/s〕で測定した時の粘度η10に対する、前記粘度η2の比(η2/η10)であるチキソ指数が、2以上5以下である、ペースト状接着剤組成物が提供される。
上記ペースト状接着剤組成物の焼結物を備える、電子装置が提供される。
本実施形態のペースト状接着剤組成物は、熱処理によりシンタリングを起こして粒子連結構造を形成する金属粒子と、金属粒子を分散させる、加熱により重合する化合物を含有する分散媒と、40℃以上250℃以下の分解開始温度を有する樹脂と、を含むことができる。当該ペースト状接着剤組成物において、レオメータを用いて、25℃における当該ペースト状接着剤組成物の粘度を測定したとき、せん断速度2〔1/s〕で測定した時の粘度η2が、40Pa・s以上300Pa・s以下であり、せん断速度10〔1/s〕で測定した時の粘度η10に対する、粘度η2の比(η2/η10)であるチキソ指数が、2以上5以下とすることができる。
本実施形態において、組成物中に含まれる金属粒子は、ペースト状接着剤組成物に対して熱処理することによりシンタリングを起こして粒子連結構造を形成する。すなわち、ペースト状接着剤組成物を加熱して得られる接着剤層において、金属粒子同士は互いに融着して存在することとなる。これにより、ペースト状接着剤組成物を加熱して得られる接着剤層について、その熱伝導性や導電性、基材や半導体素子、放熱板等への密着性を向上させることができる。
なお、本実施形態では、特性を損なわない範囲で他の低応力改質剤をこのシリコーン樹脂粒子に添加しても構わない。併用できる他の低応力改質剤としては、ブタジエンスチレンゴム、ブタジエンアクリロニトリルゴム、ポリウレタンゴム、ポリイソプレンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、液状オルガノポリシロキサン、液状ポリブタジエン等の液状合成ゴム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、銀粒子が銀被覆樹脂粒子を含むことにより、得られる接着剤層としての弾性を持たせることも可能となる。これにより、接着剤層としてのヒートサイクル性を向上させることができる。
また、本実施形態において、金属粒子の平均粒径(D50)、最大粒径、比重は、金属被覆樹脂粒子を含むすべての金属粒子成分の物性値として、評価することができる。
なお、本実施形態に係る銀粒子は、たとえばシンタリングを促進する、あるいは低コスト化等の目的で金や銅等の、銀以外の金属成分を含んでもよい。
本実施形態のペースト状接着剤組成物は、40℃以上250℃以下の分解開始温度を有する樹脂を含むことができる。本実施形態において、分解開始温度は、窒素雰囲気下、40℃から500℃の温度範囲において、重量減少を測定することにより熱分解率を算出できる。本明細書において、分解開始温度とは、熱分解率が10%に達した時の温度とする。
また、本実施形態において、窒素雰囲気下における樹脂の分解開始温度の上限値は、例えば、250℃以下でもよく、240℃以下でもよく、230℃以下でもよい。また、窒素雰囲気下における樹脂の分解開始温度の下限値は、例えば、40℃以上でもよく、80℃以上でもよく、100℃以上でもよい。
本実施形態のペースト状接着剤組成物は、通常、前述の金属粒子を分散させるモノマーあるいはバインダーとなりうる成分を分散媒として含むことができる。
すなわち、本実施形態のペースト状接着剤組成物は、上記分散媒として、たとえば、金属粒子を分散させる、加熱により重合する化合物を含むことができる。
ペースト状接着剤組成物は、たとえば硬化剤を含むことができる。硬化剤としては、加熱により重合する化合物の重合反応を促進させるものであればとくに限定されない。これにより、上記化合物の重合反応を促進させて、ペースト状接着剤組成物を用いて得られる機械特性の向上に寄与することができる。
ペースト状接着剤組成物は、たとえば重合禁止剤を含むことができる。重合禁止剤としては、ペースト状接着剤組成物に含まれる化合物の重合反応を抑える化合物が使用される。これにより、ペースト状接着剤組成物の保管特性をより向上させることができる。重合禁止剤は、とくに限定されないが、たとえばヒドロキノン、p−tert−ブチルカテコール、およびモノ−tert−ブチルヒドロキノンに例示されるヒドロキノン類、ヒドロキノンモノメチルエーテル、およびジ−p−クレゾールに例示されるフェノール類、p−ベンゾキノン、ナフトキノン、およびp−トルキノンに例示されるキノン類、ならびにナフテン酸銅に例示される銅塩から選択される一種または二種以上を含むことができる。
本実施形態の電子装置は、上記のペースト状接着剤組成物の焼結物を備えるものである。
本実施形態の電子装置の一例として、図1に示すような半導体装置100が挙げられる。
本実施形態に係る半導体装置100の一例としては、たとえば一辺が5mm以上の辺を有する矩形状の大チップを、半導体素子20として用いたものを挙げることができる。
本変形例に係る半導体装置100において、基材30は、たとえばインターポーザである。インターポーザである基材30のうち、半導体素子20が搭載される一面と反対側の他面には、たとえば複数の半田ボール52が形成される。この場合、半導体装置100は、半田ボール52を介して他の配線基板へ接続されることとなる。
本実施形態に係る半導体装置100は、たとえば次のように製造することができる。まず、本実施形態のペースト状接着剤組成物を介して、基材30上に半導体素子20を搭載する。次いで、ペースト状接着剤組成物を加熱する。これにより、半導体装置100が製造されることとなる。
次いで、半導体素子20と基材30を、ボンディングワイヤ40を用いて電気的に接続する。次いで、半導体素子20を封止樹脂50により封止する。本実施形態においては、たとえばこのようにして半導体装置100を製造することができる。
放熱板の接着方法は、たとえば次のように行うことができる。まず、上述のペースト状接着剤組成物を介して、半導体装置に放熱板を接着する。次いで、ペースト状接着剤組成物を熱処理する。ペースト状接着剤組成物に対する熱処理は、たとえば上述の半導体装置100の製造方法におけるペースト状接着剤組成物を熱処理してダイアタッチ層10を形成する工程と同様にして行うことが可能である。これにより、ペースト状接着剤組成物中の金属粒子にシンタリングが生じ、金属粒子間には粒子連結構造が形成され、放熱板を接着する接着剤層が形成されることとなる。このようにして、放熱板を半導体装置に接着することができる。
各実施例および比較例について、ペースト状接着剤組成物を調製した。ペースト状接着剤組成物は、表1に示す配合に従い各成分を均一に混合することにより得られた。
なお、表1に示す成分の詳細は以下のとおりである。また、表1中における各成分の配合割合は、ペースト状接着剤組成物全体に対する各成分の配合割合(重量%)を示している。
銀粒子1:銀粉(DOWAエレクトロニクス社製)、AG2−1C、球状、平均粒径(D50)1.7μm)
銀粒子2:銀粉(福田金属箔粉工業社製、AgC−271B、フレーク状、平均粒径(D50)2.4μm)
銀粒子3:銀粉(福田金属箔粉工業社製、AgC−GS、フレーク状、平均粒径(D50)8.3μm)
(分散媒)
分散媒1:1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート(日本化成(株)製、CHDMMA、単官能アクリル)
分散媒2:フェノキシエチルメタクリレート(共栄社化学(株)製、ライトエステルPO、単官能アクリル)
分散媒3:ブチルプロピレントリグリコール(日本乳化剤社製、BFTG)
(樹脂)
樹脂1:メタクリル系樹脂(積水化成品工業社製、テクポリマーIBM−2、分解開始温度(10%熱分解温度):約227℃、99%熱分解温度:約380℃、ガラス転移温度:72℃、重量平均分子量Mw:7.5×105)
上記で得られたペースト状接着剤組成物について、以下の項目に基づき評価を行った。
得られたペースト状接着剤組成物の粘度をレオメーター(Thermo SCIENTIFIC社製粘度・粘弾性装置「HAAKE MARS」)を用いて評価した。導電性インキの試料を25℃の測定部にセットして、下記のせん断速度測定条件を用いて、せん断速度を0.1〔1/s〕から100.0〔1/s〕まで10分間かけて連続的に変化させて粘度変化を測定した後に、ペースト状接着剤組成物の試料入れ替えることなく、せん断速度を100.0〔1/s〕から0.1〔1/s〕まで10分間かけて連続的に変化させて、再度、せん断速度を0.1〔1/s〕から100.0〔1/s〕まで10分間かけて連続的に変化させて粘度変化を測定した。この測定において、2回目の測定値をチキソ指数として採用した。
・せん断速度条件
測定温度:25℃
プレートタイプ:パラレルプレート
プレート径:20mm
ギャップ:0.05mm
ギャップ体積:0.02ml
まず、表面がAgメッキされたAgメッキ付銅板(縦×横:3cm×3cm、厚み2mm)と、縦×横:10mm×10mmの開口を有するSUS板(厚み0.1mm)の金属枠と、を準備した。続いて、Agメッキ付銅板の表面上に金属枠を設置して、開口で囲まれた、縦×横×深さ:10mm×10mm×0.1mmの凹部を作製した。続いて、室温25℃において、得られたペースト状接着剤組成物を、かかる凹部にスキージした。
上記のようにスキージ印刷した際に、凹部のペースト状接着剤組成物の印刷性について、次のように評価した。
○:凹部の全面が埋め込まれている
×:凹部の全面が埋め込まれておらず、凹部中に塗れていない個所が存在する
ガラスエポキシ樹脂基板上に、得られたペースト状接着剤組成物を厚みが100μmとなるように、幅1cm×長さ10cmの帯状に塗布し、残留酸素濃度1000ppm未満である窒素雰囲気下において25℃から250℃まで昇温速度5℃/分で昇温した後、250℃、2時間の条件で熱処理をし、接着剤層を形成した。得られた接着剤層の抵抗値を4端子法にて測定し、体積抵抗率を算出した。単位はΩ・cmであった。
10 ダイアタッチ層
20 半導体素子
30 基材
32 ダイパッド
34 アウターリード
40 ボンディングワイヤ
50 封止樹脂
52 半田ボール
Claims (10)
- 熱処理によりシンタリングを起こして粒子連結構造を形成する金属粒子と、
前記金属粒子を分散させる、加熱により重合する化合物を含有する分散媒と、
40℃以上250℃以下の分解開始温度を有する樹脂と、を含む、ペースト状接着剤組成物であって、
レオメータを用いて、25℃における当該ペースト状接着剤組成物の粘度を測定したとき、
せん断速度2〔1/s〕で測定した時の粘度η2が、40Pa・s以上300Pa・s以下であり、
せん断速度10〔1/s〕で測定した時の粘度η10に対する、前記粘度η2の比(η2/η10)であるチキソ指数が、2以上5以下である、ペースト状接着剤組成物。 - 請求項1に記載のペースト状接着剤組成物であって、
加熱により重合する前記化合物は、分子内に一つのみ(メタ)アクリル基を有する化合物またはエポキシ基を分子内に一つのみ有する化合物を含む、ペースト状接着剤組成物。 - 請求項1または2に記載のペースト状接着剤組成物であって、
前記樹脂が、アクリル化合物由来の構造単位を有するポリマーで構成されている、ペースト状接着剤組成物。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載のペースト状接着剤組成物であって、
前記樹脂のガラス転移温度(Tg)が、120℃以下である、ペースト状接着剤組成物。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載のペースト状接着剤組成物であって、
前記樹脂の、99%熱分解温度が250℃以上450℃以下である、ペースト状接着剤組成物。 - 請求項1から5のいずれか1項に記載のペースト状接着剤組成物であって、
前記樹脂の重量平均分子量は、103以上107以下である、ペースト状接着剤組成物。 - 請求項1から6のいずれか1項に記載のペースト状接着剤組成物であって、
前記金属粒子が銀粒子を含む、ペースト状接着剤組成物。 - 請求項1から7のいずれか1項に記載のペースト状接着剤組成物であって、
前記金属粒子の平均粒径D50が、0.8μm以上20μm以下である、ペースト状接着剤組成物。 - 請求項1から8のいずれか1項に記載のペースト状接着剤組成物であって、
焼結開始温度が120℃以上250℃以下である、ペースト状接着剤組成物。 - 請求項1から9のいずれか1項に記載の前記ペースト状接着剤組成物の焼結物を備える、電子装置。
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