JP2018094910A - 加飾フィルムおよびそれを用いた加飾成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
さらに、驚くべきことにこのような加飾フィルムは傷を目立たなくする効果が高く、本発明を完成するに至った。
[1] 樹脂成形体上に熱成形によって貼着するための加飾フィルムであって、該加飾フィルムは、ポリプロピレン系樹脂(A)および熱可塑性エラストマー(B)を主成分として含み、ポリプロピレン系樹脂(A)と熱可塑性エラストマー(B)との重量比率は97:3〜5:95である樹脂組成物からなるシール層(I)、並びにポリプロピレン系樹脂(C)からなる層(II)を含み、
前記ポリプロピレン系樹脂(A)は下記要件(a1)を満たし、
前記熱可塑性エラストマー(B)は下記要件(b1)〜(b3)を満たし、
前記ポリプロピレン系樹脂(C)は下記要件(c1)を満たすことを特徴とする加飾フィルム。
(a1)メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)(MFR(A))は、0.5g/10分を超える
(b1)プロピレンおよび/またはブテンを主成分とする熱可塑性エラストマーである
(b2)密度は0.850〜0.950g/cm3である
(b3)メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)(MFR(B))は0.1〜100g/10分である
(c1)メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)(MFR(C))とMFR(A)とは、関係式(c−1)を満たす
MFR(C)<MFR(A) ・・・式(c−1)
[2] 前記熱可塑性エラストマー(B)は、エチレン含量が50wt%未満であるプロピレン−エチレン共重合体、エチレン含量が50wt%未満であるブテン−エチレン共重合体、エチレン含量が50wt%未満であるプロピレン−エチレンーブテン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、またはブテン単独重合体であることを特徴とする[1]に記載の加飾フィルム。
[3] 前記熱可塑性エラストマー(B)は、下記要件(b4)を満たすことを特徴とする[1]又は[2]に記載の加飾フィルム。
(b4)融解ピーク温度(Tm(B))が30〜170℃である
[4] [1]〜[3]のいずれかに記載の加飾フィルムを準備するステップ、樹脂成形体を準備するステップ、減圧可能なチャンバーボックス中に、前記樹脂成形体及び前記加飾フィルムをセットするステップ、前記チャンバーボックス内を減圧するステップ、前記加飾フィルムを加熱軟化させるステップ、前記樹脂成形体に前記加飾フィルムを押し当てるステップ、前記減圧したチャンバーボックス内を大気圧に戻す又は加圧するステップを含むことを特徴とする加飾成形体の製造方法。
[5] 前記樹脂成形体は、プロピレン系樹脂組成物からなることを特徴とする[4]に記載の加飾成形体の製造方法。
前記ポリプロピレン系樹脂(A)は下記要件(a1)を満たし、
前記熱可塑性エラストマー(B)は下記要件(b1)〜(b3)を満たし、
前記ポリプロピレン系樹脂(C)は下記要件(c1)を満たすことを特徴とする加飾フィルムである。
(a1)メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)(MFR(A))は、0.5g/10分を超える
(b1)プロピレンおよび/またはブテンを主成分とする熱可塑性エラストマーである
(b2)密度は0.850〜0.950g/cm3である
(b3)メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)(MFR(B))は0.1〜100g/10分である
(c1)メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)(MFR(C))とMFR(A)とは、関係式(c−1)を満たす
MFR(C)<MFR(A) ・・・式(c−1)
本発明の加飾フィルムは、ポリプロピレン系樹脂(A)および熱可塑性エラストマー(B)を主成分として含む樹脂組成物からなるシール層(I)を含むものである。シール層(I)は、三次元加飾熱成形の際に、樹脂成形体(基体)と接する層である。シール層(I)を設けることにより、三次元熱成形時のフィルム加熱時間が短くても十分な接着強度が発現し、さらに基体表面についた傷を目立ちにくくすることができる。
(a1)メルトフローレート(MFR(A))
シール層(I)に含まれるポリプロピレン系樹脂(A)のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)MFR(A)は、0.5g/10分を超えることが必要であり、好ましくは1g/10分以上、より好ましくは2g/10分以上である。前記の範囲であると、三次元加飾熱成形時の緩和が十分に進行し十分な接着強度を発揮することができると共に基体についた傷が目立ちにくくなる。MFR(A)の上限には制限はないが、100g/10分以下であることが好ましい。前記の範囲であると、物性低下による接着強度の悪化が生じることがない。
ポリプロピレン系樹脂(A)の融解ピーク温度(DSC融解ピーク温度、本明細書で「融点」と称する場合もある)(Tm(A))は、110℃以上であることが好ましく、115℃以上であることがより好ましく、120℃以上であることがさらに好ましい。前記の範囲であると、三次元加飾熱成形時の成形性が良好である。融解ピーク温度の上限に制限はないが、170℃以下であることが好ましく、前記の範囲であると、十分な接着強度を発揮することができる。
本発明のシール層(I)で必須成分として用いられる熱可塑性エラストマー(B)は、下記の特性(b1)〜(b3)を満たす。
本発明の熱可塑性エラストマー(B)はプロピレンおよび/またはブテンを主成分とする熱可塑性エラストマーである。ここで、「プロピレンおよび/またはブテンを主成分とする熱可塑エラストマー」は、(i)プロピレンを主成分とする熱可塑性エラストマー、(ii)ブテンを主成分とする熱可塑性エラストマー、(iii)プロピレンとブテンを合計した成分を主成分とする熱可塑性エラストマーを包含する。なお、本明細書において、単位「wt%」は、重量%を意味する。
また、熱可塑性エラストマー(B)はプロピレンおよびブテンを両方含んでもよく、その場合は、プロピレンとブテンを合計した成分が熱可塑性エラストマー(B)の主成分となり、プロピレンとブテンの含有量の合計は好ましくは30wt%以上、より好ましくは40wt%以上、さらに好ましくは50wt%以上である。プロピレンおよびブテンの両方が含まれる場合は、例えば、熱可塑性エラストマー(B)は、プロピレン及びブテンを合計して35wt%を超えて含有することができる。前記の範囲であると、三次元加飾熱成形時に十分な接着強度を発揮し、フィルムの加熱時間を短くすることができ、基体についた傷を目立ちにくくする効果が高い。なお、プロピレンまたはブテンを主成分とする熱可塑性エラストマーは、ポリプロピレン系樹脂(A)への均一分散性が高く、それが基体についた傷を目立ちにくくする効果をより高めていると考えられる。なお、熱可塑性エラストマー(B)は、プロピレン又はブテンの単独の成分とすることもできる。
熱可塑性エラストマー(B)の密度は0.850〜0.950g/cm3であることが必要であり、好ましくは0.855〜0.940g/cm3、さらに好ましくは0.86〜0.93g/cm3である。前記の範囲であると、三次元加飾熱成形時に十分な接着強度を発揮し、さらにフィルム成形性も良好になる。
熱可塑性エラストマー(B)のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)MFR(B)は、0.1〜100g/10分であることが必要であり、好ましくは0.5〜50g/10分、さらに好ましくは1〜30g/10分である。前記の範囲であると、基体についた傷を目立ちにくくする効果が高い。
熱可塑性エラストマー(B)の融解温度ピーク(DSC融解ピーク温度)Tm(B)は、30〜170℃であることが好ましく、より好ましくは35〜168℃、さらに好ましくは40〜165℃である。前記の範囲であると、三次元加飾熱成形時に十分な接着強度を発揮することができる。
上記プロピレン−エチレン共重合体、ブテン−エチレン共重合体又はプロピレン−エチレン−ブテン共重合体のエチレン含量[E(B)]は、より好ましくは45wt%以下、さらに好ましくは40wt%以下であり、前記範囲であると三次元加飾熱成形時に十分な接着強度を発揮することができる。
熱可塑性エラストマー(B)がエチレンを含むエラストマーの場合、熱可塑性エラストマー(B)のエチレン含量[E(B)]は13C−NMR測定で得られた積分強度から求めることができる。
二種類の繰り返し単位から構成され二元系のエラストマー(プロピレン−エチレン共重合体又はブテン−エチレン共重合体等)におけるエチレン含量[E(B)]について説明する。エチレン−α−オレフィン二元系エラストマーのエチレン含量は(式−1)で求めることができる。
エチレン含量(mol%)=IE×100/(IE+IX) ・・・(式−1)
エチレン含量(重量%)=[エチレン含量(mol%)×エチレンの分子量]/[エチレン含量(mol%)×エチレンの分子量+α−オレフィン量(mol%)×α−オレフィン量の分子量]
IE=(Iββ+Iγγ+Iβδ+Iγδ+Iδδ)/2+(Iαγ+Iαδ)/4 ・・・(式−2)
IX=Iαα+(Iαγ+Iαδ)/2 ・・・(式−3)
ここで、右辺のIの下つきの記号は、下記構造式(a)〜(d)に記載の炭素を示す。例えばααはα−オレフィン連鎖に基づくメチレン炭素を示し、Iααはα−オレフィン連鎖に基づくメチレン炭素のシグナルの積分強度を表す。
構造式(d)中、nは1以上の奇数を表す。
以下に、(式―2)、(式―3)に用いる積分強度について記載する。
プロピレン−エチレン共重合体であれば、(式―2)、(式―3)に以下の積分強度を代入し、エチレン含量を求める。
Iββ=I25.0−24.2
Iγγ=I30.8−30.6
Iβδ=I27.8−26.8
Iγδ=I30.6−30.2
Iδδ=I30.2−28.0
Iαα=I48.0−43.9
Iαγ+Iαδ=I39.0−36.2
化学シフトはヘキサメチルジシロキサンの13Cシグナルを1.98ppmに設定し、他の13Cによるシグナルの化学シフトはこれを基準とした。
ブテン−エチレン共重合体であれば、(式−2)、(式−3)に以下の積分強度の値を代入し、エチレン含量[E(B)]を求める。
Iββ=I24.6−24.4
Iγγ=I30.9−30.7
Iβδ=I27.8−26.8
Iγδ=I30.5−30.2
Iδδ=I30.2−28.0
Iαα=I39.3−38.1
Iαγ+Iαδ=I34.5−33.8
次に、三種類の繰り返し単位から構成される三元系エラストマーにおけるエチレン含量[E(B)]について説明する。プロピレン−エチレン−ブテン三元系エラストマーのエチレン含量は、下記(式−4)で求めることができる。
エチレン含量(mol%)=IE×100/(IE+IP+IB) ・・・(式−4)
エチレン含量[E(B)](重量%)=[エチレン含量(mol%)×エチレンの分子量]/[エチレン含量(mol%)×エチレンの分子量+プロピレン含量(mol%)×プロピレンの分子量+ブテン含量(mol%)×ブテンの分子量]
ここで、IE、IP、IBはそれぞれ、エチレン、プロピレン、ブテンについての積分強度であり、(式−5)、(式−6)、(式−7)で求めることができる。
IE=(Iββ+Iγγ+Iβδ+Iγδ+Iδδ)/2+(Iαγ(P)+Iαδ(P)+Iαγ(B)+Iαδ(B))/4 ・・・(式−5)
IP=1/3×〔ICH3(P)+ICH(P)+Iαα(PP)+1/2×(Iαα(PB)+Iαγ(P)+Iαδ(P))〕 ・・・(式−6)
IB=1/4×〔(ICH3(B)+ICH(B)+I2B2+Iαα(BB))+1/2×(Iαα(PB)+Iαγ(B)+Iαδ(B))〕 ・・・(式−7)
ここで、添え字の(P)は、プロピレン由来のメチル基分岐に基づくシグナルであることを意味し、同様に(B)はブテン由来のエチル基分岐に基づくシグナルであることを意味する。
また、αα(PP)は、プロピレン連鎖に基づくメチレン炭素のシグナルを意味し、同様にαα(BB)はブテン連鎖に基づくメチレン炭素のシグナルを、αα(PB)はプロピレン−ブテン連鎖に基づくメチレン炭素のシグナルを意味する。
γγシグナルはエチレン連鎖が2個の構造式(c)で現れ、エチレン由来のγγの積分強度と構造式(c)のβδの積分強度には(式−8)が成り立つ。
Iβδ(構造式(c))=2×Iγγ・・・(式−8)
また、βδは、エチレン連鎖が3個以上の構造式(d)で現れ、構造式(d)のβδの積分強度はγδの積分強度と等しく(式−9)が成り立つ。
Iβδ(構造式(d))=Iγδ・・・(式−9)
よって、構造式(c)と構造式(d)に基づくβδは(式−10)で求まる。
Iβδ=Iβδ(構造式(c))+Iβδ(構造式(d))=2×Iγγ+Iγδ・・・(式−10)
すなわち、Iγγ=(Iβδ−Iγδ)/2・・・(式−10’)
よって、(式−10’)を(式−5)に代入すると、IEは(式−11)に置き換えることができる。
IE=(Iββ+Iδδ)/2+(Iαγ(P)+Iαδ(P)+Iαγ(B)+Iαδ(B)+3×Iβδ+Iγδ)/4・・・(式−11)
ここで、βδシグナルは1−ブテンに基づくエチル分岐の重なりを補正し、(式−12)となる。
Iβδ=Iαγ(P)+Iαδ(P)+Iαγ(B)+Iαδ(B)−2×Iββ・・・(式−12)
(式−11)、(式−12)より、IEは(式−13)となる。
IE=Iδδ/2+Iγδ/4−Iββ+Iαγ(P)+Iαδ(P)+Iαγ(B)+Iαδ(B)・・・(式−13)
(式−13)、(式−6)、(式−7)に以下を代入し、エチレン含量を求める。
Iββ=I25.2−23.8
Iγδ=I30.4−30.2
Iδδ=I30.2−29.8
Iαγ(P)+Iαδ(P)=I39.5−37.3
Iαγ(B)+Iαδ(B)=I34.6−33.9
ICH3(P)=I22.6−19.0
ICH(P)=I29.5−27.6+I31.2−30.4+I33.4−32.8
Iαα(PP)=I48.0−45.0
ICH3(B)=I11.4−10.0
ICH(B)=I35.5−34.7+I37.4−36.8+I39.7−39.6
Iαα(BB)=I40.3−40.0
Iαα(PB)=I44.2−42.0
I2B2=I26.7−26.4
Macromolecules, Vol. 10, NO. 4, 1977、
Macromolecules, Vol. 36, No. 11, 2003、
Analytical Chemistry, Vol. 76, No. 19, 2004、
Macromolecules, 2001, 34, 4757−4767、
Macromolecules, Vol. 25, No. 1, 1992
このような熱可塑性エラストマーは、市販品として、三井化学(株)製のタフマーXMシリーズ、タフマーBLシリーズ、タフマーPNシリーズや、エクソンモービルケミカル社製のVISTAMAXXシリーズなどを挙げることができる。
シール層(I)を構成する樹脂組成物は、ポリプロピレン系樹脂(A)および熱可塑性エラストマー(B)を含む。前記樹脂組成物は、ポリプロピレン系樹脂(A)と熱可塑性エラストマー(B)との混合物又は溶融混練物であってもよいし、ポリプロピレン系樹脂(A)と熱可塑性エラストマー(B)との逐次重合物であってもよい。
本発明の加飾フィルムは、層(II)を含むものであり、層(II)は、ポリプロピレン系樹脂(C)からなる。加飾フィルムに、層(II)を設けることにより、三次元加飾熱成形時にフィルムが破断したり暴れたりすることによる外観不良の発生を抑制することが出来る。このため、加飾フィルムは、熱成形性を改良するための熱成形性に優れる熱硬化性樹脂層を含まなくてもよい。
次に、層(II)を構成するポリプロピレン系樹脂(C)を説明する。ポリプロピレン系樹脂(C)は、前記のポリプロピレン系樹脂(A)よりも、溶融・緩和しにくい樹脂であることが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(C)のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)(MFR(C))は、MFR(A)に比べて低いことが必要である。それぞれのMFRの比であるMFR(C)/MFR(A)は1未満(すなわち、MFR(C)<MFR(A))であることが好ましく、より好ましくは0.7以下、さらに好ましくは0.5以下である。前記の範囲であると、熱成形性が良好となる。MFR(C)/MFR(A)の下限には制限はないが、好ましくは0.01以上である。
ポリプロピレン系樹脂(C)のDSC測定における融解ピーク温度Tm(C)は、特に制限はないが、好ましくは150℃以上、より好ましくは155℃以上である。前記の範囲であると、耐熱性、耐傷つき性、耐溶剤性が良好となる。
本発明における加飾フィルムは、ポリプロピレン系樹脂(A)および熱可塑性エラストマー(B)からなるシール層(I)、およびポリプロピレン系樹脂(C)からなる層(II)を含む。加飾フィルムは、シール層(I)、層(II)の他に様々な構成を取ることが可能である。すなわち、加飾フィルムは、シール層(I)および層(II)からなる二層フィルムであっても、シール層(I)および層(II)と他の層からなる三層以上の多層フィルムであってもよい。なお、シール層(I)は、樹脂成形体(基体)に沿って貼着することが好ましい。また、加飾フィルムは、その表面にシボ、エンボス、印刷、サンドプラスト、スクラッチ等が施されていてもよい。
本発明の加飾フィルムは、公知の様々な成形方法により製造することが出来る。
例えば、ポリプロピレン系樹脂(A)および熱可塑性エラストマー(B)からなるシール層(I)とポリプロピレン系樹脂(C)からなる層(II)を共押出成形する方法、シール層(I)および層(II)とさらに他の層とを共押出成形する方法、あらかじめ押出成形した一方の層の片方の面の上に、他の層を熱及び圧力をかけて貼り合せる熱ラミネーション法、接着剤を介して貼り合せるドライラミネーション法及びウェットラミネーション法、あらかじめ押出成形した一方の層の片方の面の上に、ポリプロピレン系樹脂を溶融押出しする押出ラミネーション法やサンドラミネーション法などが挙げられる。加飾フィルムを形成するための装置としては、公知の共押出Tダイ成形機や、公知のラミネート成形機を用いることができる。この中で、生産性の観点から、共押出Tダイ成形機が好適に用いられる。
本発明において加飾される成形体(加飾対象)として、好ましくはポリプロピレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂組成物からなる各種成形体(以下、「基体」と言うことがある。)を用いることが出来る。成形体の成形方法は、特に制限されるものでなく、例えば射出成形、ブロー成形、プレス成形、押出成形等を挙げることができる。
より具体的に代表的な成形方法を以下に例示する。
チャンバーボックス11,12内の減圧は、空気だまりが発生しない程度であれば良く、チャンバーボックス内の圧力が10kPa以下、好ましくは3kPa、より好ましくは1kPa以下である。
すなわち、ヒータによって加熱された加飾フィルムは、固体状態から加熱されることで熱膨張し結晶溶融に伴い一度たるみ、結晶融解が全体に進行すると分子が緩和することで一時的に張り戻るスプリングバックが観察され、その後、自重によって垂れ下がるという挙動を示すが、スプリングバック後には、フィルムは完全に結晶が融解しており、分子の緩和が十分であるため、十分な接着強度が得られる。
(i)メルトフローレート(MFR)
ISO 1133:1997 Conditions Mに準拠して、230℃、2.16kg荷重で測定した。単位はg/10分である。
示差走査熱量計(DSC)を用い、一旦200℃まで温度を上げて10分間保持した後、10℃/分の降温速度で40℃まで温度を降下させ、再び昇温速度10℃/分にて測定した際の、吸熱ピークトップの温度を融解ピーク温度とした。単位は℃である。
熱可塑性エラストマー(B)の密度は、JIS K7112:1999の密度勾配管法に従って、測定した。
熱可塑性エラストマー(B)のエチレン含量は、上述したような方法に基づき、13C−NMR測定で得られた積分強度から求めた。試料の調製と測定条件は以下の通りである。
試料である熱可塑性エラストマー(B)200mgをo−ジクロロベンゼン/重水素化臭化ベンゼン(C6D5Br)=4/1(体積比)2.4mlおよび化学シフトの基準物質であるヘキサメチルジシロキサンと共に内径10mmφのNMR試料管に入れ溶解した。
13C−NMR測定は10mmφのクライオプローブを装着したブルカー・バイオスピン(株)製のAV400型NMR装置を用いて行った。
13C−NMR測定条件は、試料の温度120℃、パルス角を90°、パルス間隔を20秒、積算回数を512回とし、ブロードバンドデカップリング法で実施した。
(1)ポリプロピレン系樹脂
以下のポリプロピレン系樹脂を用いた。
(A−1):プロピレン−α−オレフィン共重合体(MFR(A)=7g/10分、Tm(A)=146℃)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテック(登録商標)FW3GT」
(A−2):プロピレン単独重合体(MFR(A)=10g/10分、Tm(A)=161℃)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテック(登録商標)FA3KM」
(C−1):プロピレン単独重合体(MFR(C)=2.4g/10分、Tm(C)=161℃)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテック(登録商標)FY6」
(C−2):プロピレン単独重合体(MFR(C)=0.4g/10分、Tm(C)=161℃)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテック(登録商標)EA9」
(C−3):ポリプロピレン系樹脂(C−1)96重量%に黒色顔料MB(ポリコール興業(株)製 EPP−K−120601)を4重量%ブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物(MFR=2.4g/10分、Tm=161℃)
(D−1):ポリプロピレン系樹脂(A−2)100重量部に、造核剤(ミリケン・ジャパン(株)製、商標名「Millad NX8000J」)0.4重量部ブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物(MFR=10g/10分、Tm=164℃)
(D−2):メタロセン系触媒によるプロピレン−α−オレフィン共重合体(MFR=7g/10分、Tm=125℃、Mw/Mn=2.5)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ウィンテック(登録商標)WFX4M」
(D−3):ポリプロピレン系樹脂(D−2)100重量部に、造核剤(ミリケン・ジャパン(株)製、商標名「Millad NX8000J」)0.4重量部ブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物(MFR=7g/10分、Tm=127℃)
(D−4):ポリプロピレン系樹脂(A−2)96重量%にMFR=11g/10分の白色顔料MB(ポリコール興業(株)製 EPP−W−59578、酸化チタン含有量80重量%)を4重量%ブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物(MFR=10g/10分、Tm=161℃)
(D−5):ポリプロピレン系樹脂(A−2)96重量%に銀色顔料MB(トーヨーカラー(株)製 PPCM913Y−42 SILVER21X)を4重量%ブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物(MFR=10g/10分、Tm=161℃)
以下の熱可塑性エラストマーを用いた。
(B−1):プロピレンを主成分とするプロピレン−ブテンランダム共重合体(MFR(B)=7.0g/10分、Tm(B)=75℃、密度=0.885g/cm3、プロピレン含量=69wt%、ブテン含量=31wt%、エチレン含量=0wt%): 三井化学(株)製、商品名「タフマーXM7070」
(B−2):ブテン単独重合体(MFR(B)=5.0g/10分、Tm(B)=125℃、密度=0.915g/cm3、エチレン含量=0wt%): 三井化学(株)製、商品名「タフマーBL4000」
(B−3):プロピレンを主成分とするプロピレンーエチレン−ブテンランダム共重合体(MFR(B)=6.0g/10分、Tm(B)=160℃、密度=0.868g/cm3、プロピレン含量=84wt%、エチレン含量=9wt%、ブテン含量=7wt%):三井化学(株)製、商品名「タフマーPN2060」
(B−4):プロピレンを主成分とするプロピレン−エチレンランダム共重合体(MFR(B)=8.0g/10分、Tm(B)=61℃、密度=0.871g/cm3、プロピレン含量=89wt%、エチレン含量=11wt%):エクソンモービルケミカル社製、商品名「VISTAMAXX3000」
以下のポリプロピレン系樹脂を用いた。
(X−1):プロピレン単独重合体(MFR=40g/10分、Tm=165℃)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテック(登録商標)MA04H」
(X−2):プロピレンエチレンブロック共重合体(MFR=30g/10分、Tm=164℃)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテック(登録商標)NBC03HR」
(X−3):ポリプロピレン系樹脂(X−2)60重量%に、MFR=1.0のEBR(三井化学(株)製 タフマー(登録商標)A0550S)を20重量%、無機フィラー(日本タルク(株)製 タルクP−6、平均粒径4.0μm)20重量%ブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物
ポリプロピレン系樹脂(X−1)〜(X−3)を用い、以下の方法で射出成形体を得た。また得られた射出成形体に以下の方法により、引掻き傷を付け樹脂成形体(基体)とした。
射出成形機:東芝機械株式会社製「IS100GN」、型締め圧100トン
シリンダー温度:200℃
金型温度:40℃
射出金型:幅×高さ×厚さ=120mm×120mm×3mmの平板
状態調整:温度23℃、湿度50%RHの恒温恒湿室にて5日間保持
傷評価用加工:温度23℃、湿度50%RHの恒温恒湿室で引掻試験器(ROCKWOOD SYSTEMS AND EQUIPMENT社製「SCRATCH&MAR TESTER」)を用い、25Nの荷重にて、形状(曲率半径0.5mm、ボール状)加工を施した引掻先端にて、引掻速度=100mm/分にて引掻き、上記射出成形体に引掻き傷を付けた。
・加飾フィルムの製造
口径30mm(直径)のシール層用押出機−1、及び口径40mm(直径)の押出機−2が接続された、リップ開度0.8mm、ダイス幅400mmの2種2層Tダイを用いた。シール層用押出機−1にポリプロピレン系樹脂(A−1)と熱可塑性エラストマー(B−1)とを重量比が85:15となるようにブレンドしたものを、押出機−2にポリプロピレン系樹脂(C−1)をそれぞれ投入し、樹脂温度240℃、シール層用押出機−1の吐出量を4kg/h、押出機−2の吐出量を12kg/hの条件で溶融押出を行った。溶融押出されたフィルムを、シール層が外側になるように80℃の3m/minで回転する第1ロールにエアナイフで押付けながら冷却固化させ、厚さ50μmのシール層と、厚さ150μmの層が積層された2層の未延伸フィルムを得た。
樹脂成形体(基体)5として、上記により得られたポリプロピレン系樹脂(X−1)からなる射出成形体を用いた。
三次元加飾熱成形装置として、布施真空株式会社製「NGF−0406−SW」を用いた。図2〜7に示すように、加飾フィルム1を、シール層が基体に対向するとともに長手方向がフィルムのMD方向となるように、幅250mm×長さ350mmで切り出し、開口部のサイズが210mm×300mmのフィルム固定用治具13にセットした。樹脂成形体(基体)5は、フィルム固定用治具13よりも下方に位置するテーブル14上に設置された、高さ20mmのサンプル設置台の上に、ニチバン株式会社製「ナイスタック NW−K15」を介して貼り付けた。フィルム固定治具13とテーブル14をチャンバーボックス11,12内に設置し、チャンバーボックスを閉じてチャンバーボックス11,12内を密閉状態とした。チャンバーボックスは、加飾フィルム1を介して上下に分割されている。上下ボックスを真空吸引し、大気圧(101.3kPa)から1.0kPaまで減圧した状態で、上チャンバーボックス11上に設置された遠赤外線ヒータ15を出力80%で始動させて加飾フィルム1を加熱した。加熱中も真空吸引を継続し、最終的に0.1kPaまで減圧した。加飾フィルム1が加熱され一時的にたるみ、その後、張り戻るスプリングバック現象が終了してから5秒後に、下チャンバーボックス12内に設置されたテーブル14を上方に移動させて、樹脂成形体(基体)5を加飾フィルム1に押し付け、直後に上チャンバーボックス11内の圧力が270kPaとなるように圧縮空気を送り込んで樹脂成形体(基体)5と加飾フィルム1を密着させた。このようにして、樹脂成形体(基体)5の上面及び側面に加飾フィルム1が貼着された三次元加飾熱成形品6を得た。
(1)熱成形性の評価
三次元加飾熱成形時の加飾フィルムのドローダウン状態、ならびに基体に加飾フィルムを貼着した加飾成形体の加飾フィルムの貼着状態を目視にて観察し、以下に示した基準で評価した。
○:三次元加飾熱成形時に、加飾フィルムがドローダウンせずに基体と加飾フィルムとの接触が接触面全面にて同時に行われたため、接触ムラが発生せず、均一に貼着されている。
×:三次元加飾熱成形時に、加飾フィルムがドローダウンしたため、基体全面に接触ムラが発生。
株式会社ニトムズ社製「クラフト粘着テープ No.712N」を幅75mm、長さ120mmに切り出し、樹脂成形体(基体)の端部より75mm×120mmの範囲で樹脂成形体(基体)に貼り付けてマスキング処理を施した(基体表面露出部は幅45mm、長さ120mm)。樹脂成形体(基体)のマスキング面が加飾フィルムと接触するように三次元加飾熱成形装置NGF−0406−SWに設置し、三次元加飾熱成形を行った。
25Nの荷重で傷をつけた成形体(基体)の三次元加飾熱成形品の引掻き傷があった部位の傷の深さを形状測定レーザマイクロスコープ(KEYENCE社製 「VX−X200」)で測定した。測定の回数はn=5とし、その平均値を傷深さ(μm)とした。
また、白化外観として、25Nの荷重で傷をつけた成形体(基体)の白化傷が、加飾フィルムによって目立たなくなっているかを以下の基準で目視にて判定し、評価した。
○:白化傷の痕跡が目立たず、外観に優れている。
×:白化傷が残り、外観が悪い。
加飾フィルムが貼着された加飾成形体の中央付近の光沢(グロス)を日本電色工業(株)製GLOSS計Gloss Meter VG2000を用いて、入射角60°で測定した。測定方法はJIS K7105−1981に準拠した。
得られた加飾成形体を粉砕し、樹脂成形体(基体)の製造と同様に射出成形によりリサイクル成形体を得、外観を目視で評価した。
ポリプロピレン系樹脂(A)、熱可塑性エラストマー(B−1)およびポリプロピレン系樹脂(C)が本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、傷が目立たなくなっているものであった。また、リサイクル成形体は外観に優れるもの(評価:○)であった。
実施例1の加飾フィルムの製造において、シール層に用いた熱可塑性エラストマーを(B−2)に変更した以外は、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。
ポリプロピレン系樹脂(A)、熱可塑性エラストマー(B)およびポリプロピレン系樹脂(C)が本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、傷が目立たなくなっているものであった。また、リサイクル成形体は外観に優れるもの(評価:○)であった。
実施例1の加飾フィルムの製造において、シール層に用いた熱可塑性エラストマーを(B−3)に変更した以外は、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。
ポリプロピレン系樹脂(A)、熱可塑性エラストマー(B)およびポリプロピレン系樹脂(C)が本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、傷が目立たなくなっているものであった。また、リサイクル成形体は外観に優れるもの(評価:○)であった。
実施例1の加飾フィルムの製造において、シール層に用いた熱可塑性エラストマーを(B−4)に変更した以外は、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。
ポリプロピレン系樹脂(A)、熱可塑性エラストマー(B)およびポリプロピレン系樹脂(C)が本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、傷が目立たなくなっているものであった。また、リサイクル成形体は外観に優れるもの(評価:○)であった。
実施例1の加飾フィルムの製造において、ポリプロピレン系樹脂(A−1)と熱可塑性エラストマー(B−1)との配合比が70:30としたこと以外は、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。
ポリプロピレン系樹脂(A)、熱可塑性エラストマー(B)およびポリプロピレン系樹脂(C)が本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、傷が目立たなくなっているものであった。また、リサイクル成形体は外観に優れるもの(評価:○)であった。
実施例1の加飾フィルムの製造において、ポリプロピレン系樹脂(A−1)と熱可塑性エラストマー(B−1)との配合比が30:70としたこと以外は、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。
ポリプロピレン系樹脂(A)、熱可塑性エラストマー(B)およびポリプロピレン系樹脂(C)が本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、傷が目立たなくなっているものであった。また、リサイクル成形体は外観に優れるもの(評価:○)であった。
実施例1の加飾フィルムの製造において、シール層に用いたポリプロピレン系樹脂を(A−2)に変更した以外は、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。
ポリプロピレン系樹脂(A)、熱可塑性エラストマー(B)およびポリプロピレン系樹脂(C)が本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、傷が目立たなくなっているものであった。また、リサイクル成形体は外観に優れるもの(評価:○)であった。
実施例1の加飾フィルムの製造において、層(I)に用いたポリプロピレン系樹脂(C)を(C−2)に変更した以外は、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。
ポリプロピレン系樹脂(A)、熱可塑性エラストマー(B)およびポリプロピレン系樹脂(C)が本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、傷が目立たなくなっているものであった。また、リサイクル成形体は外観に優れるもの(評価:○)であった。
実施例1の加飾フィルムの製造において、シール層に熱可塑性エラストマー(B)を配合せず、ポリプロピレン系樹脂(A−1)のみ用いたこと以外は、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。
シール層に熱可塑性エラストマーが含まれていないため、接着力が小さく、また傷の浮き出しを十分に抑制することが出来ず、外観に劣るものであった。
実施例1の加飾フィルムの製造において、シール層に熱可塑性エラストマー(B)を配合せず、ポリプロピレン系樹脂(A−1)のみ用い、さらに三次元加飾熱成形において、スプリングバック現象が終了してから20秒間加熱を続け、その後に加飾熱成形を行ったこと以外は、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。
フィルム加熱時間を長くすることで接着力は向上するが、フィルムのドローダウンが激しく、加飾成形体の外観が劣るものであり、傷の評価は行わなかった。
実施例1の三次元加飾熱成形において、基体を樹脂(X−2)を用いた射出成形体に変更した以外は、実施例1と同様に評価を行った。得られた結果を表2に示す。
ポリプロピレン系樹脂(A)、熱可塑性エラストマー(B)およびポリプロピレン系樹脂(C)が本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、傷が目立たなくなっているものであった。また、リサイクル成形体は外観に優れるもの(評価:○)であった。
実施例1の三次元加飾熱成形において、基体を樹脂(X−3)を用いた射出成形体に変更した以外は、実施例1と同様に評価を行った。得られた結果を表2に示す。
ポリプロピレン系樹脂(A)、熱可塑性エラストマー(B)およびポリプロピレン系樹脂(C)が本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、傷が目立たなくなっているものであった。また、リサイクル成形体は外観に優れるもの(評価:○)であった。
実施例1の加飾フィルムの製造において、口径30mm(直径)のシール層用押出機−1、及び口径40mm(直径)の押出機−2、及び口径30mm(直径)の表面層用押出機−3が接続された、リップ開度0.8mm、ダイス幅400mmの3種3層Tダイを用いた。シール層用押出機−1にポリプロピレン系樹脂(A−1)と熱可塑性エラストマー(B−1)とを重量比が85:15となるようにブレンドしたものを、押出機−2にポリプロピレン系樹脂(C−1)を、表面層用押出機−3にポリプロピレン系樹脂(A−2)をそれぞれ投入し、樹脂温度240℃、シール層用押出機−1の吐出量を4kg/h、用押出機−2の吐出量を8kg/h、表面層用押出機−3の吐出量を4kg/hの条件で溶融押出を行った。
ポリプロピレン系樹脂(A)、熱可塑性エラストマー(B)およびポリプロピレン系樹脂(C)が本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、傷が目立たなくなっているものであった。また、ポリプロピレン系樹脂(A−2)が表面加飾層(III)[表面層(III)]として、最表面側に積層されたことで、光沢に優れる結果であった。また、リサイクル成形体は外観に優れるもの(評価:○)であった。
実施例11の加飾フィルムの製造において、表面層に用いたポリプロピレン系樹脂(A−2)をポリプロピレン系樹脂(D−1)に変更した以外は、実施例11と同様に評価を行った。得られた結果を表2に示す。
ポリプロピレン系樹脂(A)、熱可塑性エラストマー(B)およびポリプロピレン系樹脂(C)が本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、傷が目立たなくなっているものであった。また、造核剤が添加されたポリプロピレン系樹脂(D−1)が表面加飾層(III)[表面層(III)]として最表面側に積層されたことで、光沢に優れる結果であった。また、リサイクル成形体は外観に優れるもの(評価:○)であった。
実施例11の加飾フィルムの製造において、表面層に用いたポリプロピレン系樹脂(A−2)をポリプロピレン系樹脂(D−2)に変更した以外は、実施例11と同様に評価を行った。得られた結果を表2に示す。
ポリプロピレン系樹脂(A)、熱可塑性エラストマー(B)、およびポリプロピレン系樹脂(C)が本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、傷が目立たなくなっているものであった。また、ポリプロピレン系樹脂(D−2)が表面加飾層(III)[表面層(III)]として最表面側に積層されたことで、光沢に優れる結果であった。また、リサイクル成形体は外観に優れるもの(評価:○)であった。
実施例11の加飾フィルムの製造において、表面層に用いたポリプロピレン系樹脂(A−2)をポリプロピレン系樹脂(D−3)に変更した以外は、実施例11と同様に評価を行った。得られた結果を表2に示す。
ポリプロピレン系樹脂(A)、熱可塑性エラストマー(B)、およびポリプロピレン系樹脂(C)が本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、傷が目立たなくなっているものであった。また、造核剤が添加されたポリプロピレン系樹脂(D−3)が表面加飾層(III)[表面層(III)]として最表面側に積層されたことで、光沢に優れる結果であった。また、リサイクル成形体は外観に優れるもの(評価:○)であった。
実施例11の加飾フィルムの製造において、表面層に用いたポリプロピレン系樹脂(A−2)をポリプロピレン系樹脂(D−4)に変更した以外は、実施例11と同様に評価を行った。得られた結果を表2に示す。
ポリプロピレン系樹脂(A)、熱可塑性エラストマー(B)、およびポリプロピレン系樹脂(C)が本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れていた。また、白色に着色された加飾フィルムが貼着されたことも相俟って、傷つけた箇所を特定できないほど十分に傷が隠蔽された。そのため、傷深さを測定しなかった。また、光沢に優れる表面加飾層(III)[表面層(III)]が白色に着色されているため、外観に優れるものであった。また、リサイクル成形体は外観に優れるもの(評価:○)であった。
実施例11の加飾フィルムの製造において、ポリプロピレン系樹脂(C−1)をポリプロピレン系樹脂(C−3)に変更した以外は、実施例11と同様に評価を行った。得られた結果を表2に示す。
ポリプロピレン系樹脂(A)、熱可塑性エラストマー(B)、およびポリプロピレン系樹脂(C)が本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れていた。また、黒色に着色された加飾フィルムが貼着されたことも相俟って、傷つけた箇所を特定できないほど十分に傷が隠蔽された。そのため、傷深さを測定しなかった。また、層(II)が黒色に着色されているため、外観に優れるものであった。さらに、ポリプロピレン系樹脂(A−2)が表面加飾層(III)[表面層(III)]として最表面側に積層されているため、光沢に優れる結果であった。また、リサイクル成形体は外観に優れるもの(評価:○)であった。
実施例16の加飾フィルムの製造において、表面層に用いたポリプロピレン系樹脂(A−2)をポリプロピレン系樹脂(D−5)に変更した以外は、実施例16と同様に評価を行った。得られた結果を表2に示す。
ポリプロピレン系樹脂(A)、熱可塑性エラストマー(B)、およびポリプロピレン系樹脂(C)が本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れていた。また、着色された加飾フィルムが貼着されたことも相俟って、傷つけた箇所を特定できないほど十分に傷が隠蔽された。そのため、傷深さを測定しなかった。また、ポリプロピレン系樹脂(D−5)が表面加飾層(III)[層(III)]として最表面側に積層されているため、光沢に優れる結果であった。さらに、層(II)が黒色に、表面層加飾層(III)が銀色に着色されているため、金属調のフィルムとなり、外観に優れるものであった。また、リサイクル成形体は外観に優れるもの(評価:○)であった。
・加飾フィルムの製造
実施例17の加飾フィルムの製造において、シール層用押出機−1の吐出量を4kg/h、用押出機−2の吐出量を12kg/h、表面層用押出機−3の吐出量を4kg/hの条件で溶融押出を行い、得られた3層の未延伸フィルムを幅200mmにスリットすることで、厚さ50μmの表面加飾層と、厚さ150μmの層と、厚さ50μmのシール層が積層された3層の未延伸フィルムを得た。
エンボス成形装置として、由利ロール(株)製、電気加熱式テストエンボス機を用いた。電気加熱式テストエンボス機は、上段に設置された加熱可能な凹凸形状を施したロール(エンボスロール)と、下段に設置された平滑なロールとでフィルムを加熱圧接することで、上段の凹凸形状をフィルム表面に転写する機構を有する。エンボスロールは、深さ0.030mmのヘアライン柄を用いた。
加飾フィルムの製造により得られた3層の未延伸フィルムを、表面加飾層がエンボスロールと接するように、エンボス機の2本ロールに繰り出した。エンボスロール温度145℃、接圧力3MPa、ロール速度3m/minの条件でエンボス転写を行うことで、表面加飾層表面にヘアライン柄が転写された加飾フィルムを得た。
実施例1と同様の方法で三次元加飾熱成形品を得た。
(1)エンボス転写の評価
得られた加飾フィルムの表面加飾層に施されたヘアライン柄部位の深さを形状測定レーザマイクロスコープ(KEYENCE社製 「VX−X200」)で測定した。測定の回数はn=5とし、その平均値をエンボス深さ(μm)とした。
三次元加飾熱成形後のエンボス模様の残りかたを目視にて観察し、以下に示した基準で評価した。
○:三次元加飾熱成形後の三次元加飾熱成形品表面にエンボス模様が残っており、意匠性に優れている。
×:三次元加飾熱成形後の三次元加飾熱成形品表面の大部分でエンボス模様が消失しており、意匠性に劣る。
ポリプロピレン系樹脂(A)、熱可塑性エラストマー(B)、およびポリプロピレン系樹脂(C)が本発明の要件を全て満足しているため、エンボスフィルムの製造により得られたフィルムのエンボス深さは25μmと優れていた。また三次元加飾熱成形後の三次元加飾熱成形品表面においても、ヘアライン柄が強く残っており、意匠性に優れるものであった。
2 層(II)
3 シール層(I)
5 樹脂成形体(加飾対象、基体)
6 加飾成形体
11 上チャンバーボックス
12 下チャンバーボックス
13 治具
14 テーブル
15 ヒータ
Claims (5)
- 樹脂成形体上に熱成形によって貼着するための加飾フィルムであって、該加飾フィルムは、ポリプロピレン系樹脂(A)および熱可塑性エラストマー(B)を主成分として含み、ポリプロピレン系樹脂(A)と熱可塑性エラストマー(B)との重量比率は97:3〜5:95である樹脂組成物からなるシール層(I)、並びにポリプロピレン系樹脂(C)からなる層(II)を含み、
前記ポリプロピレン系樹脂(A)は下記要件(a1)を満たし、
前記熱可塑性エラストマー(B)は下記要件(b1)〜(b3)を満たし、
前記ポリプロピレン系樹脂(C)は下記要件(c1)を満たすことを特徴とする加飾フィルム。
(a1)メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)(MFR(A))は、0.5g/10分を超える
(b1)プロピレンおよび/またはブテンを主成分とする熱可塑性エラストマーである
(b2)密度は0.850〜0.950g/cm3である
(b3)メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)(MFR(B))は0.1〜100g/10分である
(c1)メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)(MFR(C))とMFR(A)とは、関係式(c−1)を満たす
MFR(C)<MFR(A) ・・・式(c−1) - 前記熱可塑性エラストマー(B)は、エチレン含量が50wt%未満であるプロピレン−エチレン共重合体、エチレン含量が50wt%未満であるブテン−エチレン共重合体、エチレン含量が50wt%未満であるプロピレン−エチレンーブテン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、またはブテン単独重合体であることを特徴とする請求項1に記載の加飾フィルム。
- 前記熱可塑性エラストマー(B)は、下記要件(b4)を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の加飾フィルム。
(b4)融解ピーク温度(Tm(B))が30〜170℃である - 請求項1〜3のいずれかに記載の加飾フィルムを準備するステップ、樹脂成形体を準備するステップ、減圧可能なチャンバーボックス中に、前記樹脂成形体及び前記加飾フィルムをセットするステップ、前記チャンバーボックス内を減圧するステップ、前記加飾フィルムを加熱軟化させるステップ、前記樹脂成形体に前記加飾フィルムを押し当てるステップ、前記減圧したチャンバーボックス内を大気圧に戻す又は加圧するステップを含むことを特徴とする加飾成形体の製造方法。
- 前記樹脂成形体は、プロピレン系樹脂組成物からなることを特徴とする請求項4に記載の加飾成形体の製造方法。
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