以下、本発明の実施形態に係る半導体装置について、図面を参照して説明する。本実施形態では、3相DCブラシレスモータのインバータ回路として用いられる半導体装置について説明する。図1は、本実施形態に係る半導体装置1の平面図である。図1に示すように、半導体装置1は、第一半導体モジュール10Aと、第二半導体モジュール10Bと、第三半導体モジュール10Cと、これらの半導体モジュールを収容するケース40とを備える。
ケース40は、例えば樹脂等の絶縁性材料により構成される。また、ケース40は、平面視にて円形状である底壁41と、底壁41の周端から底壁41の中心軸方向に沿って上方に延設したリング状の側壁42を備える。側壁42の先端は開口している。この開口面上に、制御基板等を載置することができる。
第一半導体モジュール10A、第二半導体モジュール10B、及び第三半導体モジュール10Cは、ケース40の底壁41上に配設される。図1からわかるように、第一半導体モジュール10A、第二半導体モジュール10B、第三半導体モジュール10Cの構造は同一であり、底壁41の中心回りに120°間隔で、それぞれの半導体モジュールが配設される。
第一半導体モジュール10A,第二半導体モジュール10B,第三半導体モジュール10Cは、それぞれ、正極端子11と、負極端子12と、出力端子13と、正極板14と、負極板15と、導電板16と、5個のアーム回路(17a,17b,17c,17d,17e)からなるアームユニット17とを備える。
それぞれの半導体モジュール10A,10B,10Cが備える各正極端子11、各負極端子12、各出力端子13、各正極板14、各負極板15、及び各導電板16は、導電性金属により構成される。例えば、銅、アルミニウム、モリブデン、及びこれらの複合材、を例示することができる。本実施形態では、銅によりこれらが形成される。
それぞれの半導体モジュール10A,10B,10Cが備える各正極端子11は、図1の紙面に直交する方向に延設された円柱形状を呈しており、その一方端(上端)が、直流電源の電源側正極端子に正極ラインを介して並列接続される。また、それぞれの半導体モジュール10A,10B,10Cが備える各負極端子12は、図1の紙面に直交する方向に延設された円柱形状を呈しており、その一方端(上端)が、直流電源の電源側負極端子に負極ラインを介して並列接続される。ここで、直流電源は、電源側正極端子と電源側負極端子を有し、電源側正極端子と電源側負極端子との間に直流電圧を印加することができるデバイスであれば、どのようなものでもよい。例えば、直流電源として、バッテリ、電池、コンデンサ、を例示することができる。また、商用交流等の交流を全波整流或いは半波整流した後に平滑コンデンサにより平滑化した電力、所謂中間直流電力も、直流電源として利用することができる。
また、正極端子11の他方端(下端)は、正極板14に電気的に接続され、負極端子12の他方端(下端)は、負極板15に電気的に接続される。従って、それぞれの半導体モジュール10A,10B,10Cが備える各正極板14は、各正極端子11及び正極ラインを介して直流電源の電源側正極端子に電気的に接続され、それぞれの半導体モジュール10A,10B,10Cが備える各負極板15は、各負極端子12及び負極ラインを介して直流電源の電源側負極端子に電気的に接続されることになる。
また、それぞれの半導体モジュール10A,10B,10Cが備える各出力端子13は、各正極端子11及び各負極端子12と同様に、図1の紙面に直交する方向に延設された円柱形状を呈している。また、第一半導体モジュール10Aが備える出力端子13の一方端(上端)は、出力ラインを介して3相DCブラシレスモータのU相コイルに電気的に接続され、第二半導体モジュール10Bが備える出力端子13の一方端(上端)は、出力ラインを介して3相DCブラシレスモータのV相コイルに電気的に接続され、第三半導体モジュール10Cが備える出力端子13の一方端(上端)は、出力ラインを介して3相ブラシレスモータのW相コイルに電気的に接続される。また、それぞれの半導体モジュール10A,10B,10Cが備える各出力端子13の他方端(下端)は、それぞれ、各導電板16に接続される。
それぞれの半導体モジュール10A,10B,10Cが備える各正極板14、各負極板15、各導電板16は、ケース40の底壁41に埋め込まれて固定されている。図2は、ケース40の底壁41に埋め込まれて固定された正極板14、負極板15、及び導電板16の配置関係を示す平面図である。ケース40の底壁41に埋め込まれた正極板14は、その一端面にて底壁41から露出する。同様に、ケース40の底壁41に埋め込まれた負極板15は、その一端面にて底壁41から露出し、ケース40の底壁41に埋め込まれた導電板16は、その一端面にて底壁41から露出する。正極板14の露出面が正極面141を構成し、負極板15の露出面が負極面151を構成する。従って、図2には、正極板14の正極面141、負極板15の負極面151、及び、導電板16の底壁41からの露出面161が、それぞれ示される。
図2に示すように、正極板14の正極面141は、台形領域14aと、台形領域14aの下底に接続した矩形領域14bにより構成される。台形領域14aに正極端子11の他方端が接続される。また、負極板15の負極面151も、台形領域15aと、台形領域15aの下底に接続した矩形領域15bにより構成される。台形領域15aに負極端子12の他方端が接続される。
また、正極板14と負極板15は、正極面141の矩形領域14bの端辺142と,負極面151の矩形領域15bの端辺152が、一定の微小距離αを隔てて対向するように、ケース40の底壁41に埋め込まれる。端辺142と端辺152との間の微小距離αは、正極板14と負極板15との距離に相当する。この微小距離αは小さい方が良い。例えば、微小距離αを0.05mm〜1.0mmに設定することができる。このように、正極板14と負極板15は、ケース40の底壁41に埋め込まれた状態で、微小距離αを隔てて隣接配置(近接配置)される。
ここで、説明の便宜上、図2の平面視における左右方向をX方向と定義し、右方をX1方向と定義し、左方をX2方向と定義する。また、図2の平面視における上下方向(すなわちX方向と直交する方向)をY方向と定義する。また、X方向及びY方向に直交する方向、すなわち鉛直上下方向をZ方向と定義する。こうして方向を定義した場合、図2からわかるように、微小距離αは、Y方向における正極板14と負極板15との間の距離を表す。また、正極板14と負極板15は、互いの矩形領域14b、15bを対向させた状態で、Y方向に沿って微小距離αを隔てて隣接配置する。
また、正極板14の正極面141と負極板15の負極面151は、Y方向における微小距離αの中間点を通り且つX方向に沿った直線Lに対して線対称状に形成される。また、導電板16の露出面161は、正極板14の正極面141及び負極板15の負極面151よりもX1方向側の領域であって且つ直線Lが通過する領域に、形成される。
また、正極板14の正極面141の矩形領域14bには、後述する5個のアーム回路がそれぞれ備える第一トランジスタ171が接続され、負極板15の負極面151の矩形領域15bには、後述する5個のアーム回路がそれぞれ備える第二トランジスタ172が接続される。図2からわかるように、5個のアーム回路がそれぞれ備える第一トランジスタ171は、X方向に沿って直線状に整列するように、正極面141の矩形領域14bに接続される。同様に、5個のアーム回路がそれぞれ備える第二トランジスタ172も、X方向に沿って直線状に整列するように、負極面151の矩形領域15bに接続される。
次に、アームユニット17について説明する。図3は、アームユニット17の平面図である。図3において、左右方向がX方向であり、右方がX1方向であり、左方がX2方向であり、上下方向がY方向である。上述したように、アームユニット17は、5個のアーム回路(第一アーム回路17a、第二アーム回路17b、第三アーム回路17c、第四アーム回路17d、第五アーム回路17e)から構成される。図3からわかるように、各アーム回路は、X方向に沿って整列して配置される。具体的には、X1方向に向かって、第一アーム回路17a、第二アーム回路17b、第三アーム回路17c、第四アーム回路17d、第五アーム回路17eが、この順で、整列配置される。各アーム回路の構成は基本的には同一である。代表的に、第一アーム回路17aの構成を説明する。
図4は、図3のIV−IV断面図であり、第一アーム回路17aのY方向に沿った断面を示す。図4の左右方向がY方向であり、上下方向がZ方向(鉛直方向)である。また、Z方向のうち上方向をZ1方向と定義し、下方向をZ2方向と定義する。図4に示すように、第一アーム回路17aは、第一トランジスタ171と、第二トランジスタ172と、後述する分割バスバー50の第一分割片51aとを備える。第一トランジスタ171が本発明の第一半導体素子に相当し、第二トランジスタ172が本発明の第二半導体素子に相当する。
第一トランジスタ171及び第二トランジスタ172は、本実施形態では、Nチャネル型のパワーMOSFETである。第一トランジスタ171は薄板形状を呈し、板厚方向に沿って、一方面171a及び一方面171aとは反対側を向いた他方面171bが形成される。一方面171aにドレイン電極Dが形成され、他方面171bにソース電極S及びゲート電極Gが形成される。同様に、第二トランジスタ172も薄板形状を呈し、板厚方向に沿って、一方面172a及び一方面172aとは反対側を向いた他方面172bが形成される。一方面172aにドレイン電極Dが形成され、他方面172bにソース電極S及びゲート電極Gが形成される。
第一トランジスタ171は、ケース40の底壁41に埋め込まれている正極板14の正極面141の矩形領域14b上に配設され、はんだ等の接合材191を介して正極板14に接合される。この場合において、第一トランジスタ171の一方面171a、すなわちドレイン電極Dが形成されている面が、正極板14の正極面141の矩形領域14bに対面配置した状態で、第一トランジスタ171が正極板14に接合される。
第二トランジスタ172は、ケース40の底壁41に埋め込まれている負極板15の負極面151の矩形領域15b上に配設され、はんだ等の接合材192を介して負極板15に接合される。この場合において、第二トランジスタ172の他方面172b、すなわちソース電極S及びゲート電極Gが形成されている面が、負極板15の負極面151の矩形領域15bに対面配置した状態で、第二トランジスタ172が負極板15に接合される。
図4に示すように、正極板14の正極面141と負極板15の負極面151は、共に、底部41からの露出面であるため、底壁41の底面(表面)と同じ平面内、すなわち同一平面内に形成され、且つ、同一の方向を向いている。図4においては、正極板14の正極面141と負極板15の負極面151は、Z1方向(上方向)を向いている。同一方向を向いた2つの電極面(141,151)の一方の電極面(例えば正極板14の正極面141)には、一方面(例えばドレイン電極Dが形成された面)が対面配置するように一方のトランジスタ(例えば第一トランジスタ171)が配設され、他方の電極面(例えば負極板15の負極面151)には、他方面(例えばソース電極S及びゲート電極Gが形成された面)が対面配置するように他方のトランジスタ(例えば第二トランジスタ172)が配設されている。つまり、2つのトランジスタ(171,172)は、それぞれ反対向きとなるように、それぞれの電極板(正極板14及び負極板15)上に配設される。換言すれば、一方のトランジスタに対して他方のトランジスタが反転した状態で、両トランジスタが配設される。そのため、第一トランジスタ171のドレイン電極Dが形成された面(一方面171a)の向きと、第二トランジスタ172のソース電極S及びゲート電極Gが形成された面(他方面172b)の向きは、同じ向き、すなわち下向き(Z2方向向き)である。また、第一トランジスタ171のソース電極S及びゲート電極Gが形成された面(他方面171b)の向きと第二トランジスタ172のドレイン電極Dが形成された面(一方面172a)の向きは、同じ向き、すなわち上向き(Z1方向向き)である。
図4からわかるように、第一トランジスタ171と第二トランジスタ172は、第一分割片51aを介して電気的に接続される。なお、上述したように、第一分割片51aは、リードフレームである分割バスバー50の一部を構成する。ここで、分割バスバー50について説明する。
図6は、分割バスバー50の平面図であり、図7は、分割バスバー50の側面図である。なお、図6及び図7において、左右方向がX方向であり、右方がX1方向、左方がX2方向である。また、図6の上下方向がY方向である。さらに、図7の上下方向がZ方向であり、上方がZ1方向、下方がZ2方向である。図6及び図7に示すように、分割バスバー50は、4個の分割片(第一分割片51a、第二分割片51b、第三分割片51c、第四分割片51d)と、1個の端末片52とを有し、これらが連結されることによって構成される。各分割片の形状は同一である。各分割片を総称して、分割片51と呼ぶ。分割片51及び端末片52が、本発明の導電性接続部材に相当する。
図8は、分割片51を示す図であり、図8(a)が分割片51の平面図、図8(b)が分割片51の側面図である。図9は、端末片52を示す図であり、図9(a)が端末片52の平面図、図9(b)が端末片52の側面図である。図8(a)に示す分割片51の向き及び図9(a)に示す端末片52の向きは、図6に示す分割片51及び端末片52の向きに一致し、図8(b)に示す分割片51の向き及び図9(b)に示す端末片52の向きは、図7に示す分割片51及び端末片52の向きに一致する。すなわち、図8(a)及び図9(a)の左右方向がX方向、右方がX1方向、左方がX2方向であり、上下方向がY方向である。また、図8(b)及び図9(b)の左右方向がX方向、右方がX1方向、左方がX2方向であり、上下方向がZ方向、上方がZ1方向、下方がZ2方向である。
図8(a)によく示すように、分割片51は、第一接合部511と、第二接合部512と、アーム内接続部513と、アーム間接続部514を有し、銅等の弾性係数の高い導電性金属により構成される。また、図9(a)によく示すように、端末片52は、第一接合部521と、第二接合部522と、アーム内接続部523と、端末接続部を524有し、銅等の弾性係数の高い導電性金属により構成される。アーム内接続部513、523が、本発明の第一接続部に相当し、アーム間接続部523が、本発明の第二接続部に相当する。
図4には、分割片51としての第一分割片51aの断面が示されている。分割片51は、図4に示す断面方向(X方向)から見たときに、Y方向に延設される。また、分割片51のY方向における中央部分に上に凸(Z1方向に凸)の凸状部分が形成される。凸状部分の左下端から図4のY方向における左方に延びる部分が第一接合部511を構成し、凸状部分の右下端から図4のY方向における右方に延びる部分が第二接合部512を構成し、凸状部分がアーム内接続部513を構成する。従って、Y方向に沿って、第一接合部511、アーム内接続部513、第二接合部512が、この順で形成されていることになる。
また、図8(a)からわかるように、アーム間接続部514は、アーム内接続部513から、X1方向に延設される。また、図8(b)からわかるように、アーム内接続部513とアーム間接続部514との間に傾斜部515が形成される。傾斜部515は、X方向に沿ってアーム内接続部513からアーム間接続部514に向かうにつれて、斜め上方に傾斜するように構成される。そして、傾斜部515の下方端(左方端)に凸状のアーム内接続部513の上辺部分が接続され、傾斜部515の上方端(右方端)にアーム間接続部514が接続される。従って、分割片51を側面から見た場合におけるアーム間接続部514の上下方向位置(Z方向位置)は、アーム内接続部513の上辺部分の上下方向位置よりも高い。具体的には、アーム間接続部514の下面514aの上下方向位置(Z方向位置)が、アーム内接続部513の上面513bの上下方向位置にほぼ等しい。
上記構造を有する4個の分割片51は、図6に示すように、それぞれの第一接合部511がX方向に沿った直線上に配設され、且つ、それぞれの第二接合部512がX方向に沿った直線上に配設されるように、整列される。このとき、図7に示すように、第一分割片51aのアーム間接続部514が第二分割片51bのアーム内接続部513の直上に重ね合わされ、第二分割片51bのアーム間接続部514が第三分割片51cのアーム内接続部513の直上に重ね合わされ、第三分割片51cのアーム間接続部514が第四分割片51dのアーム内接続部513の直上に重ね合わされるように、4個の分割片51がX方向に沿って整列される。そして、互いに重ね合わされた一の分割片51のアーム間接続部514と他の分割片51のアーム内接続部513が、はんだ等の接合部材により接合される。このようにして、4個の分割片51が連結される。また、連結された4個の分割片51のうち、第四分割片51dのアーム間接続部514には、端末片52が接続される。
端末片52の第一接合部521、第二接合部522、及びアーム内接続部523の形状は、それぞれ、分割片51の第一接合部511、第二接合部512、及びアーム内接続部513の形状と、ほぼ同一である。つまり、端末片52は、図4に示す分割片51と同様に、X方向から見たときにY方向に延在しており、その中央部分に上に凸の凸状部分が形成される。この凸状部分がアーム内接続部523を構成し、アーム内接続部523の左下端から第一接合部521が左方に延設され、アーム内接続部523の右下端から第二接合部522が右方に延設される。また、端末片52の端末接続部524は、図9(a)に示すように、アーム内接続部523からX1方向に延設される。また、図9(b)からわかるように、アーム内接続部523と端末接続部524との間に鉛直部525が形成される。鉛直部525は、上下方向(Z方向)に延設されており、その上端に凸状のアーム内接続部523の上辺部分が接続され、その下端に端末接続部524が接続される。従って、端末片52を側面から見た場合における端末接続部524の上下方向位置(Z方向位置)は、アーム内接続部513の上辺部分の上下方向位置よりも低い。端末接続部524の下面524aの上下方向位置(Z方向位置)は、第一接合部521の下面521a(及び第二接合部522の下面)の上下方向位置に等しい。
端末片52は、図6に示すように連結された、4個の分割片51とともに整列される。このとき、端末片52は、その第一接合部521が、連結された4個の分割片51の第一接合部511とともに、X方向に沿った直線上に配置し、第二接合部522が、連結された4個の分割片51の第二接合部512とともに、X方向に沿った直線上に配置するように、連結された4個の分割片51に対して配設される。さらに、図7に示すように、端末片52のアーム内接続部523が、第四分割片51dのアーム間接続部514の直下に重ね合わされるように、連結された4個の分割片51に対して配設される。そして、端末片52のアーム内接続部523とその直上に配置する第四分割片51dのアーム間接続部514が、はんだ等の接合材を介して接合される。このようにして、端末片52のアーム内接続部523が第四分割片51dに連結される。
上記構成の分割バスバー50は、図6に示すように、第一分割片51a、第二分割片51b、第三分割片51c、第四分割片51d、及び端末片52が、X方向に沿って一列に整列するように、構成される。そして、分割バスバー50は、図3に示すように、各分割片51及び端末片52の連結方向(すなわち各分割片51及び端末片52の整列方向)がX方向に一致し、且つ、X方向に整列した5個のアーム回路(17a,17b,17c,17d,17e)を横断するように、ケース40内に配設される。このように5個のアーム回路に対して分割バスバー50が配設されることにより、第一分割片51aが第一アーム回路17aに割り当てられ、第二分割片51bが第二アーム回路17bに割り当てられ、第三分割片51cが第三アーム回路17cに割り当てられ、第四分割片51dが第四アーム回路17dに割り当てられ、端末片52が第五アーム回路17eに割り当てられる。
図4に示すように、第一アーム回路17aに割り当てられた分割片51(第一分割片51a)の第一接合部511が、第一トランジスタ171のソース電極S及びゲート電極Gが形成された面である他方面171bに対面し、分割片51の第二接合部512が、第二トランジスタ172のドレイン電極Dが形成された面である一方面172aに対面する。そして、対面配置した分割片51の第一接合部511と第一トランジスタ171の他方面171bが、はんだ等の接合材193を介して接合され、対面配置した分割片51の第二接合部512と第二トランジスタ172の一方面172aが、はんだ等の接合材194を介して接合される。
なお、第二〜第五アーム回路に割り当てられた分割片51及び端末片52と、第一トランジスタ171及び第二トランジスタ172との接続構成も、上記と同様である。
図5は、図3のV−V断面図であり、分割バスバー50のY方向に沿った断面を示す。図5に示すように、第一アーム回路17aに割り当てられた第一分割片51aのアーム間接続部514が、第二アーム回路17bに割り当てられた第二分割片51bのアーム内接続部513に接続される。また、第二アーム回路17bに割り当てられた第二分割片51bのアーム間接続部514が、第三アーム回路17cに割り当てられた第三分割片51cのアーム内接続部513に接続される。また、第三アーム回路17cに割り当てられた第三分割片51cのアーム間接続部514が、第四アーム回路17dに割り当てられた第四分割片51dのアーム内接続部513に接続される。そして、第四アーム回路17dに割り当てられた第四分割片51dのアーム間接続部514が、第五アーム回路17eに割り当てられた端末片52のアーム内接続部523に接続される。また、第五アーム回路17eに割り当てられた端末片52の端末接続部524は、ケース40の底壁41に埋め込まれている導電板16の露出面161に接続される。導電板16には、上記したように出力端子13が接続されている。従って、分割バスバー50は、導電板16を介して出力端子13に接続されていることになる。
また、図4に示すように、第一トランジスタ171の他方面171bのうちゲート電極Gが形成されている部分及びソース電極Sが形成されている部分の一部の領域には、第一接合部511(521)が接合されていない。そして、第一トランジスタ171の他方面171bのうちゲート電極Gが形成されている部分に、可撓性を有する電線であるフレキシブル配線61の一方端が接続され、第一トランジスタ171の他方面171bのうちソース電極Sが形成されている部分に、可撓性を有する電線であるフレキシブル配線63の一方端が接続される。また、第二トランジスタ172の他方面172bのうちゲート電極Gが形成されている部分にも、可撓性を有する電線であるフレキシブル配線62の一方端が接続され、第二トランジスタ172の他方面172bのうちソース電極Sが形成されている部分にも、可撓性を有する電線であるフレキシブル配線64の一方端が接続される。ここで、第二トランジスタ172の他方面172bは、下向きの面であり、その全面が負極板15の負極面151に対面接触していると、フレキシブル配線62,64を第二トランジスタ172の他方面172bに接続することができない。この点に関し、本実施形態においては、負極板15の負極面151のうち、第二トランジスタ172の他方面172bに形成されたゲート電極G及びソース電極Sに対面する部分に、ケース40の内部空間に連通する凹部152が形成されており、この凹部152を経由して、フレキシブル配線62,64の一方端が第二トランジスタ172の他方面172b(下面)に接続される。ここで、フレキシブル配線62,64は可撓性を有するので、凹部152内でフレキシブル配線62,64を図4に示すように折り返すことにより、確実に、フレキシブル配線62,64の一方端を第二トランジスタ172の他方面172bに形成されているゲート電極G及びソース電極Sに接続することができる。フレキシブル配線61,62,63,64の他方端は、図示しない制御基板に接続される。
図10は、上記構成を備える第一半導体モジュール10A、第二半導体モジュール10B、第三半導体モジュール10Cにより構成されるインバータ回路を示す回路図である。図10に示すように、各半導体モジュール10A,10B,10Cの正極端子11は、直流電源Vの電源側正極端子VPに接続されている正極ラインPに並列的に接続され、各半導体モジュール10A,10B,10Cの負極端子12は、直流電源Vの電源側負極端子VNに接続されている負極ラインNに並列的に接続される。従って、本実施形態に係る半導体装置1(インバータ回路)は、直流電源Vの電源側正極端子VPに接続される正極ラインPと直流電源Vの電源側負極端子VNに接続される負極ラインNとの間に並列接続される複数の半導体モジュール(第一半導体モジュール10A,第二半導体モジュール10B,第三半導体モジュール10C)を備える半導体装置である。
また、各半導体モジュール10A,10B,10Cが備える5個のアーム回路(第一アーム回路17a、第二アーム回路17b、第三アーム回路17c、第四アーム回路17d、第五アーム回路17e)は、正極端子11に接続された正極板14と、負極端子12に接続された負極板15との間に、並列的に接続される。また、並列的に接続された5個のアーム回路にそれぞれ割り当てられた分割片51及び端末片52が、直列的に、出力端子13に接続された導電板16に接続される。そして、第一半導体モジュール10Aの出力端子13が、第一出力ライン71を介して3相DCブラシレスモータMのU相コイルに接続され、第二半導体モジュール10Bの出力端子13が、第二出力ライン72を介して3相DCブラシレスモータMのV相コイルに接続され、第三半導体モジュール10Cの出力端子13が、第三出力ライン73を介して3相DCブラシレスモータMのW相コイルに接続される。
各半導体モジュール10A,10B,10Cにそれぞれ備えられる5個の第一トランジスタ171及び5個の第二トランジスタ172は、スイッチング素子として機能する。この場合、制御基板60から各トランジスタ171,172のゲート電極Gに所定のパターンで信号が入力されることにより、各トランジスタ171,172がスイッチング作動する。また、本実施形態において、各半導体モジュール10A,10B,10Cがそれぞれ備える5個の第一トランジスタ171は、全て同時に動作する。つまり、5個の第一トランジスタ171のON動作及びOFF動作は、全て同じタイミングで行われる。同様に、各半導体モジュール10A,10B,10Cがそれぞれ備える5個の第二トランジスタ172は、全て同時に動作する。つまり、5個の第二トランジスタ172のON動作及びOFF動作は、全て同じタイミングで行われる。
図10に示すインバータ回路において、例えば、第一半導体モジュール10Aの第一トランジスタ171及び第三半導体モジュール10Cの第二トランジスタ172がONにされ、その他のトランジスタがOFFにされている場合、インバータ回路内にて電流が以下のように流れる。すなわち、正極ラインPからの電流が、第一半導体モジュール10Aの正極端子11、正極板14、第一トランジスタ171、分割バスバー50、導電板16、出力端子13、にこの順で流れる。そして、第一半導体モジュール10Aの出力端子13から第一出力ライン71を経由して3相DCブラシレスモータMのU相コイルに電流が供給される。また、3相DCブラシレスモータMのW相コイルからの電流が、第三出力ライン73を経由して第三半導体モジュール10Cの出力端子13に流れ、さらに、第三半導体モジュール10Cの導電板16、分割バスバー50、第二トランジスタ172、負極板15、負極端子12、にこの順で流れる。そして、第三半導体モジュール10Cの負極端子12から負極ラインNに電流が流れる。
また、例えば、第二半導体モジュール10Bの第一トランジスタ171及び第一半導体モジュール10Aの第二トランジスタ172がONにされ、その他のトランジスタがOFFにされている場合、インバータ回路内にて電流が以下のように流れる。すなわち、正極ラインPからの電流が、第二半導体モジュール10Bの正極端子11、正極板14、第一トランジスタ171、分割バスバー50、導電板16、出力端子13、にこの順で流れる。そして、第二半導体モジュール10Bの出力端子13から第二出力ライン72を経由して3相DCブラシレスモータMのV相コイルに電流が供給される。また、3相DCブラシレスモータMのU相コイルからの電流が、第一出力ライン71を経由して第一半導体モジュール10Aの出力端子13に流れ、さらに、第一半導体モジュール10Aの導電板16、分割バスバー50、第二トランジスタ172、負極板15、負極端子12、にこの順で流れる。そして、第一半導体モジュール10Aの負極端子12から負極ラインNに電流が流れる。
上記した例のように、各半導体モジュール10A,10B,10Cの第一トランジスタ171がONにされているときには、正極板14から第一トランジスタ171に電流が流れる。一方、各半導体モジュール10A,10B,10Cの第二トランジスタ172がONにされているときには、第二トランジスタ172から負極板15に電流が流れる。これらの電流の流れを図4に示した場合、正極板14を流れる電流の向きは矢印Aで示すように上向き(Z1方向)であり、負極板15を流れる電流の向きは矢印Bで示すように下向き(Z2方向)である。つまり、正極板14を流れる電流の向きと負極板15を流れる電流の向きは、反対である。
反対向きに電流が流れる部材を近接配置すると、相互インダクタンスが増加する。このためインダクタンスが打ち消し合って、寄生インダクタンスを低減することができる。本実施形態によれば、正極板14の正極面141(第一トランジスタ171の一方面171aに接続される面)と負極板15の負極面151(第二トランジスタ172の他方面172bに接続される面)とを同じ向きにすることにより、反対向きに電流が流れる正極板14と負極板15を隣り合わせに平行配置することを、実現している。そのため、隣接配置する正極板14と負極板15との間の距離(微小距離α)をできるだけ小さくすることができる。その結果、正極板14及び負極板15の寄生インダクタンスを低減することができる。
また、正極板14の正極面141(第一トランジスタ171の一方面171aに接続される面)と、負極板15の負極面151(第二トランジスタ172の他方面172bに接続される面)とを同じ向きにするために、第一トランジスタ171の向きと第二トランジスタ172の向きが反対にされる。これにより、第一トランジスタ171の他方面171bと第二トランジスタ172の一方面172aが同じ向き(上向き)にされる。このため第一トランジスタ171の他方面171bと第二トランジスタ172の一方面172aとを直線状に繋ぐことができ、それ故に、第一トランジスタ171の他方面171bと第二トランジスタ172の一方172aとを接続する接続部(アーム内接続部513,524)の長さの短縮化を図ることができる。その結果、上記接続部の寄生インダクタンスを低減することができる。
以上のように、本実施形態に係る半導体装置1は、直流電源Vの電源側正極端子VPに接続される正極ラインPと直流電源Vの電源側負極端子VNに接続される負極ラインNとの間に接続される半導体モジュール(10A,10B,10C)を備える半導体装置である。また、半導体モジュール(10A,10B,10C)は、正極板14と、負極板15と、第一半導体素子としての第一トランジスタ171と、第二半導体素子としての第二トランジスタ172と、導電性接続部材としての分割バスバー50の分割片51又は端末片52を備える。正極板14は、導電性金属により構成され、正極端子11を介して直流電源Vの電源側正極端子VPに電気的に接続される。この正極板14には、所定方向(Z1方向)を向いた正極面141が形成される。負極板15は、導電性金属により構成され、負極端子12を介して直流電源Vの電源側負極端子VNに電気的に接続される。この負極板15には、正極面141と同一方向を向いた負極面151が形成される。そして、正極板14と負極板15は、互いに向き合った状態で平行に隣接して配置される。第一トランジスタ171は、第一の電極(ドレイン電極D)が形成された一方面171a及び一方面171aとは反対側を向く面であって第二の電極(ソース電極S)が形成された他方面171bを有し、その一方面171aが正極面141に対面配置した状態で正極板14に接合される。第二トランジスタ172は、第一の電極(ドレイン電極D)が形成された一方面172a及び一方面172aとは反対側を向く面であって第二の電極(ソース電極S)が形成された他方面172bを有し、その他方面172bが負極面151に対面配置した状態で負極板15に接合される。また、分割バスバー50の分割片51又は端末片52は、同一方向を向いた第一トランジスタ171の他方面171bと第二トランジスタ172の一方面172aとを電気的に接続するアーム内接続部(513.523)を有する。
本実施形態に係る半導体装置1によれば、第一トランジスタ171と第二トランジスタ172の向きが反対向きにされているため、ドレイン電極Dが形成された第一トランジスタ171の一方面171aに対面接続される正極板14の正極面141の向きと、ソース電極が形成された第二トランジスタ172の他方面172bに対面接続される負極板15の負極面151の向きとを合わせることができる。このように正極面141の向きと負極面151の向きを合わせることにより、正極板14と負極板15とを隣り合わせに配置することができる。よって、正極板14と負極板15との距離(微小距離α)を短く設定することができ、その結果、正極板14及び負極板15の寄生インダクタンスを低減することができる。
また、第一トランジスタ171と第二トランジスタ172とを反転配置させることで、ソース電極Sが形成された第一トランジスタ171の他方面171bの向きと、ドレイン電極Dが形成された第二トランジスタ172の一方面172aの向きとを合わせることができる。よって、これらの面(第一トランジスタ171の他方面171b及び第二トランジスタ172の一方面172a)を接続するアーム内接続部(513、523)の長さを短く設定することができ、その結果、アーム内接続部(513、523)の寄生インダクタンスをも低減することができる。
また、正極板14、負極板15、及び、アーム内接続部(513、523)は、半導体モジュールを構成する部材である。したがって、本実施形態によれば、半導体モジュール内の寄生インダクタンスを低減することができる。また、例えば特許文献3のように寄生インダクタンスを低減させるためのコンデンサを追加することなく、寄生インダクタンスが低減される。つまり、コストの増大を抑えつつ、半導体モジュール内の寄生インダクタンスを低減することができる。
また、本実施形態において、正極板14の正極面141と負極板15の負極面151は、共に、ケース40の底壁41に露出した面であって、これらの面は、ケース40の底壁41の底面と同一平面状に形成される。このように、正極面141と負極面151とを同一面上に形成することにより、正極板14と負極板15が隣接配置される領域(隣り合わせに平行配置される領域)が最も大きくなる。このため、より一層、正極板及び負極板の寄生インダクタンスを低減することができる。
また、正極板14と負極板15を隣り合わせに配置することができるので、放熱性を向上させるためにこれらに厚銅基板を用いた場合でも、一方向に厚みが増大するのみである。これに対して、正極板14と負極板15が第一トランジスタ171及び第二トランジスタ172を挟んで配置されている場合、これらに厚銅基板を用いると、一方向及びその反対方向に厚みが増大する。このことから、本実施形態によれば、正極板14及び負極板15に厚銅基板を用いて放熱性を向上させた場合であっても、コンパクトに半導体装置1を構成することができる。
また、本実施形態によれば、ゲート電極G及びソース電極Sが形成される第二トランジスタ172の他方面172bは、負極板15の負極面151に対面接触しているが、負極面151のうち、第二トランジスタ172の他方面172bに形成されたゲート電極G及びソース電極Sの対面部分の一部に凹部152が形成されている。このため、凹部152を介して、信号線を第二トランジスタ172のゲート電極G及びソース電極Sに接続することができる。
また、第一トランジスタ171の他方面171bに形成されたゲート電極G及び第二トランジスタ172の他方面172bに形成されたゲート電極Gは、可撓性を有するフレキシブル配線61,62を介して、ゲート電極Gに信号を出力する制御基板60にそれぞれ接続されている。さらに、第一トランジスタ171の他方面171bに形成されたソース電極S及び第二トランジスタ172の他方面172bに形成されたソース電極Sも、可撓性を有するフレキシブル配線63,64を介して、制御基板60にそれぞれ接続されている。これによれば、第二トランジスタ172の他方面172bに形成されたゲート電極G及びソース電極Sに接続される信号線が、可撓性を有するフレキシブル配線62,64であるので、第二トランジスタ172のゲート電極G及びソース電極Sの対面部分に形成された凹部152内でフレキシブル配線62、64を折り返すことができる。こうして凹部152内で折り返されたフレキシブル配線62、64の一方端を、確実に第二トランジスタ172のゲート電極G及びソース電極Sに接続することができる。また、第一トランジスタ171の他方面171b及び第二トランジスタ172の他方面172bにそれぞれ形成されたゲート電極Gと制御基板60との接続、及び、第一トランジスタ171の他方面171b及び第二トランジスタ172の他方面172bにそれぞれ形成されたソース電極Sと制御基板60との接続に、フレキシブル配線を用いることにより、ワイヤボンディング等の接続工程を廃止することができる。
また、本実施形態に係る半導体装置1が備える半導体モジュール(10A,10B,10C)は、正極板14と負極板15との間に並列接続された複数のアーム回路(17a、17b、17c、17d、17e)を備える。そして、複数のアーム回路のそれぞれが、第一トランジスタ171と、第二トランジスタ172と、導電性接続部材としての分割バスバー50の分割片51又は端末片52を有する。これによれば、並列接続された複数のアーム回路からそれぞれ電流を取り出すことにより、半導体装置1から大きな電流を取り出すことができる。
また、フレキシブル配線61,63は、アームユニット17を構成する複数のアーム回路のそれぞれの第一トランジスタ171のゲート電極G及びソース電極Sに取り付けられ、フレキシブル配線62,64は、アームユニット17を構成する複数のアーム回路のそれぞれの第二トランジスタ172のゲート電極G及びソース電極Sに取り付けられる。この場合、各アーム回路におけるフレキシブル配線61とフレキシブル配線63、フレキシブル配線62とフレキシブル配線64を、互いに平行配置することで、これら信号配線内の寄生インダクタンスを低減することができる。これにより、信号配線内におけるサージ電圧の発生を抑制することができる。さらに、この構成によれば、ゲート電極G及びソース電極Sに接続される外部接続端子をケース40に設ける必要がなく、直接、フレキシブル配線61,62,63,64によって信号配線をケース外部に取り出すことができる。
また、複数のアーム回路は、それらのそれぞれが備える第一トランジスタ171が図2に示すようにX方向に沿って直線状に整列され、且つ、それらのそれぞれが備える第二トランジスタ172が図2に示すようにX方向に沿って直線状に整列されるように、所定の方向(X方向)に沿って整列されている。こうした複数のアーム回路の整列配置により、半導体装置1をコンパクトに構成することができる。
また、複数のアーム回路のうち第一アーム回路17a、第二アーム回路17b、第三アーム回路17c、第四アーム回路17dがそれぞれ備える導電性接続部材としての分割片51は、隣接配置するアーム回路に備えられる分割片51のアーム内接続部513又は端末片52のアーム内接続部523に接続する第二接続部としてのアーム間接続部514を有する。このような構成は、全てのアーム回路に共通の導電性接続部材(リードフレーム)をアーム回路ごとに分割して割り当てた構成であると言える。このようにアーム回路ごとに分割して導電性接続部材が割り当てられることにより、それぞれのアーム回路の寸法誤差を、各アーム回路間を接続するアーム間接続部514により吸収することができる。また、アーム回路が備える第一トランジスタ171及び第二トランジスタ172の作動に伴う発熱による熱膨張に起因して、例えば分割バスバー50がX方向に対して反るように熱変形した場合であっても、その変形を、アーム回路間を接続するアーム間接続部514により吸収することができる。このため、熱変形に起因した半導体装置1の破損が効果的に防止され、その結果、半導体装置1の信頼性を向上させることができる。加えて、電極板(正極板14、負極板15)、半導体素子(第一トランジスタ171、第二トランジスタ172)、リードフレーム(分割バスバー50)を、一回のリフロー工程により接合することができる。
さらに、各半導体モジュール10A,10B,10Cにそれぞれ備えられる複数のアーム回路(17a,17b,17c,17d,17e)が、所定の方向(X方向)に沿って整列配置しているため、アーム間接続部514の長さの短縮化をも図ることができる。その結果、アーム間接続部514の寄生インダクタンスを低減することができる。
また、図4からわかるように、分割バスバー50を構成する分割片51又は端末片52のアーム内接続部(513,523)は、図4において上に凸の凸形状を呈している。このため、アーム内接続部(513,523)と正極板14との間の距離、及び、アーム内接続部(513,523)と負極板15との間の距離を大きくすることができる。よって、これらの距離が小さいことに起因して、分割片51と正負極との短絡及び端末片52と正負極との短絡が防止される。
また、本実施形態に係る半導体装置1は、正極ラインPと負極ラインNとの間に並列的に接続される3つの半導体モジュール(10A,10B,10C)を備える。このため、3つの半導体モジュールのそれぞれを、3相DCブラシレスモータのU相コイル、V相コイル、W相コイルに接続することにより、3相DCブラシレスモータのインバータ回路を構成することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるべきものではない。例えば、上記実施形態では、第一半導体素子及び第二半導体素子がNチャネル型のパワーMOSFETである例について説明したが、Pチャネル型のMOSFETでもよい。また、上記実施形態では、第一半導体素子及び第二半導体素子が、MOSFETである例について説明したが、IGBT等のバイポーラトランジスタでもよいし、トランジスタ以外の半導体素子であっても良い。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。