JP2018092825A - ターンテーブルを有する高周波誘導加熱装置 - Google Patents
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Abstract
Description
ところが、多数のワークを高周波焼入するのは非常に煩雑であり、多大な時間がかかる。そこで、複数のワークを順に円滑に高周波焼入することができるターンテーブルを有する高周波焼入装置が創案され、この様な高周波焼入装置が、例えば特許文献1に開示されている。
また、ターンテーブルの周囲には、取付・取外ステーション、加熱ステーション、第1,第2冷却ステーションの四つの領域が環状に設けられている。ターンテーブルが回転すると、ワーク設置部は、取付・取外ステーション、加熱ステーション、第1,第2冷却ステーションの順に移動する。
すなわち、先行するワークの熱処理が完了し当該ワークを高周波焼入装置から取外してから後続のワークを高周波焼入装置に設置するのではなく、特許文献1のターンテーブル型高周波焼入装置の様に、先行するワークが高周波焼入装置から取外される前に後続のワークの熱処理を開始できるようにすることにより、多数のワークの熱処理に要する全体の時間を短縮することができる。
また、取付ステーションや取外ステーションには駆動ギヤは設けられていない。すなわち、取付ステーションや取外ステーションでは、ワーク及びワーク設置部は回転しない。よって、作業者は、ワーク設置部に対してワークを安全に着脱することができる。
一方、従動ギヤはターンテーブルと共に回転移動(公転)し、同一の従動ギヤは、ターンテーブルが一周(360度)回転すると、駆動ギヤと再度係合する。
すなわち、駆動ギヤの歯には、ターンテーブルが所定角度(例えば90度)回転する毎に別の従動ギヤの歯が衝突して係合するが、同一の従動ギヤの歯は、ターンテーブルが一周回転するまでは駆動ギヤの歯と衝突して係合することがない。
そのため、従動ギヤの歯よりも駆動ギヤの歯の方が頻繁に衝突を繰り返し、破損し易い。
加熱ステーションにある外部駆動装置の回転力伝達機構にワンウェイクラッチが含まれているので、駆動ギヤに回転駆動方向の外力が作用すると、駆動ギヤは設定された回転駆動速度を超えた回転速度で回転することができる。すなわち、駆動ギヤは回転方向の外力が作用すると加速して回転することができる。そのため、この外力による駆動ギヤに作用する衝撃が緩和される。
また、駆動ギヤの係合相手から駆動ギヤに回転方向と逆向きの外力を受けても、ワンウェイクラッチは係合相手に対して確実に回転駆動力を伝達することができる。
従動ギヤは公転的に移動して外部駆動装置の駆動ギヤに係合し、両ギヤが係合する際には、両ギヤの歯同士が衝突する。その結果、両ギヤの歯には衝突の衝撃が生じる。
ここで、ターンテーブルが回転することによって移動する従動ギヤの公転的な移動速度が、駆動ギヤの歯の周速と同じであると、両ギヤはほとんど衝突することなく係合する。よって、両ギヤに作用する衝撃は小さい。
また、従動ギヤの移動速度が駆動ギヤの歯の周速より速いと、従動ギヤの歯が駆動ギヤの歯を駆動ギヤの回転方向に押圧するように両ギヤの歯は衝突する。すなわち、駆動ギヤの歯の回転方向の後方側の歯面に、従動ギヤの歯が追突する。
このとき、駆動ギヤ側にワンウェイクラッチが設けられていなければ、従動ギヤの歯が駆動ギヤの歯に追突しても、駆動ギヤは歯の回転方向に加速して回転することはなく、設定された回転速度を維持し、衝突した従動ギヤの歯をはね返してしまう。そのため、駆動ギヤは、衝突の衝撃を真面(まとも)に受けることとなり、大きな負荷が掛かる。
ところが、本発明では、駆動ギヤ側にワンウェイクラッチが設けられているので、駆動ギヤの歯が従動ギヤの歯と衝突して回転方向に押圧されると、ワンウェイクラッチの作用によって、駆動ギヤは瞬間的に加速して設定された回転速度を超えた速度で回転し、両ギヤの歯の衝突の衝撃を緩和することができる。
また、従動ギヤは自由回転することができるので、従動ギヤの歯が駆動ギヤの歯と衝突すると、従動ギヤは、当該従動ギヤの歯が衝突した駆動ギヤの歯から離れる向きに自転する。
そのため、両ギヤの歯同士の衝突の衝撃は、この従動ギヤの自転によっても緩和される。よって、外部駆動装置の回転力伝達機構及び駆動ギヤと従動ギヤは破損しにくく、耐久性が高い。
そしてその後、駆動ギヤは、設定された回転速度で回転して従動ギヤと係合する。
その結果、駆動ギヤ側から従動ギヤ側へ動力が伝達され、ワーク設置部材及びワークが回転する。
ここで、公転的に移動するとは、各ワーク設置領域がターンテーブルの回転中心の周囲を周回することを意味している。すなわち、公転的に移動するとは、各ワーク設置領域が、ターンテーブルの回転中心までの距離を一定に保った状態でターンテーブルの回転中心の周りを移動することである。
また、従動ギヤの公転的な移動速度とは、従動ギヤ自身が自転しない状態で従動ギヤがターンテーブルと共に回転移動するときの従動ギヤの周速を意味している。すなわち、駆動ギヤの歯と衝突する従動ギヤの歯は、ターンテーブルが回転することによってターンテーブルの中心の周りを移動する。従動ギヤの歯の移動速度は、ターンテーブルの中心から当該歯までの距離と、ターンテーブルの回転角速度の積である。
ターンテーブル駆動モータ4の動作は、図11に示す制御装置2によって制御されている。すなわち、制御装置2の指令によってターンテーブル駆動モータ4は動作する。
換言すると、各ワーク設置領域30a〜30dの公転移動とは、天板10aの回転中心周りに各ワーク設置領域30a〜30dが周回することを意味している。すなわち、ワーク設置領域30a〜30dは、天板10aの外縁付近に一体的に固定されており、天板10aが回転すると、各ワーク設置領域30aは、天板10aの外縁部分と共に回転中心周りを回転移動する。
図3(b)に示す様に、ワーク設置部材16は、外殻部23,蓋部24,ワーク載置部18,回転軸19,動力伝達ギヤ15を有している。
外殻部23の上方には小径部があり、下方には大径部がある。また、小径部と大径部の境界には段28が形成されている。小径部が設置孔22に挿通されており、段28が天板10aの下面に当接している。また、段28は、天板10aの上方から天板10aを貫通するねじ(図示せず)によってねじ止めされている。これにより、外殻部23が天板10aに固定され、外殻部23(ワーク設置部材16)は、天板10aに対して上下方向及び水平方向の移動が規制されている。
蓋部24は、外殻部23(段28)と共に共通のねじ(図示せず)で天板10aに固定されている。
従動ギヤ部材17は、回転軸20,従動ギヤ21,外殻部25,蓋部26を有している。
回転軸20は、筒状の外殻部25の内部を貫通しており、外殻部25に対して軸受31a,31bを介して回転可能に固定されている。
従動ギヤ21は、回転軸20における天板10aよりも下方の高さ位置に固定されている。
すなわち、従動ギヤ部材17では、回転軸20と従動ギヤ21が一体化されており、外殻部25(天板10a)に対して回転可能である。
さらに、蓋部26には、ワーク設置部材16の蓋部24の様な貫通孔24aが設けられていない。すなわち、蓋部26は、回転軸20の周囲及び上部を覆っている。
取付確認ステーション7は、ワーク設置部材16のワーク載置部18にワークが確実に設置されているか否かを確認するための領域である。
加熱・冷却ステーション8は、ワークを高周波誘導加熱及び冷却するための領域であり、ワークを高周波焼入するための領域である。
取出ステーション9は、ワークを天板10aから取り出すための領域である。
各誘導加熱コイル50には高周波電源3(図11)から高周波電流が供給され、誘導加熱コイル50がワークに近接することによって、ワーク表面に高周波の誘導電流を励起させてワークを誘導加熱することができる。誘導加熱コイル50への高周波電流の供給と供給の遮断は、図11に示す制御装置2によって制御されている。
また、高周波焼入装置1には、誘導加熱コイル50をワーク設置部材16に設置されたワークに対して近接及び離間させる移動装置(図示せず)が設けられている。この図示しない移動装置の動作も図11に示す制御装置2で制御されている。
下方側の回転軸32は、ワーク駆動モータ5の出力軸(図示せず)と連結されており、出力軸から動力が伝達されている。また、回転軸33には駆動ギヤ13が設けられている。すなわち、回転力伝達機構14(回転軸32)は、ワーク駆動モータ5の図示しない出力軸と動力伝達されており、駆動ギヤ13は駆動モータ5で駆動される。
すなわち、回転力伝達機構14は複数の回転軸が互いに動力伝達可能に係合して構成されている。
ここで、従動ギヤ21の公転的な移動速度とは、従動ギヤ21自身が自転しない状態で従動ギヤ21がターンテーブル10と共に回転移動するときの従動ギヤ21の周速を意味している。すなわち、駆動ギヤ13の歯と衝突する従動ギヤ21の歯は、ターンテーブル10が回転することによってターンテーブル10の中心の周りを移動する。従動ギヤ21の歯の公転的な移動速度V1は、ターンテーブル10の中心から当該歯までの距離と、ターンテーブル10の回転角速度の積である。
一方、ワーク(ワーク設置部材16)は、ワーク駆動部12(外部駆動装置)によって回転駆動され、停止する誘導加熱コイル50が、ワークの全周に渡って順次近接対向し、ワークの全周に渡って高周波の誘導電流が励起され、一様に高周波誘導加熱される。
そして、ワーク設置領域30aが加熱・冷却ステーション8に移動する際には、ワーク設置領域30aの従動ギヤ部材17の従動ギヤ21が固定位置で回転駆動されている駆動ギヤ13に接近して係合する。
また、各速度の大小関係は、V1>V2である。
その結果、図9に示す様に、駆動ギヤ13の次の歯43(歯42の回転方向後方側の歯)の回転方向前方側の歯面43aと、従動ギヤ21の歯41の移動方向後方側の歯面41bとが衝突して係合する。
ちなみに、従動ギヤ21の公転移動は、ワーク設置領域30aが加熱・冷却ステーション8への移動が完了した図8に示す状態となった時点で停止する。すなわち、このとき従動ギヤ21の公転移動速度V1がゼロとなる。
その後、ワークの熱処理が完了し、ターンテーブル10が回転を開始すると、従動ギヤ21が公転移動を開始し、公転移動開始当初は両ギヤの歯面41a,42aの接触状態が保たれ、従動ギヤ21の公転移動がある程度進むと両ギヤの係合が外れる。このときにおいても、両ギヤの衝突の衝撃は小さく、両ギヤの耐久性は高い。
8 加熱・冷却ステーション
10 ターンテーブル
12 ワーク駆動部(外部駆動装置)
13 駆動ギヤ
14 回転力伝達機構
15 動力伝達ギヤ
16 ワーク設置部材
21 従動ギヤ
30a〜30d ワーク設置領域
40 ワンウェイクラッチ
50 誘導加熱コイル
V1 従動ギヤの公転移動速度
V2 駆動ギヤの回転速度
Claims (4)
- 間欠的に回転するターンテーブルに、ワークを設置する複数のワーク設置領域が設けられ、前記各ワーク設置領域にはワークを設置するワーク設置部材があり、前記ターンテーブルの周囲に、加熱ステーションを含む複数のステーションがあり、前記加熱ステーションには誘導加熱コイルと外部駆動装置があり、前記各ワーク設置領域は、前記ターンテーブルの回転によって公転的に移動し、加熱ステーションに至ったワーク設置部材を外部駆動装置によって回転し、ワーク設置部材に設置されたワークを回転しつつ誘導加熱コイルによってワークを誘導加熱するターンテーブルを有する高周波誘導加熱装置であって、
前記各ワーク設置領域にはワーク設置部材と直接又は間接的に係合する少なくとも一つの従動ギヤを有し、
外部駆動装置はモータと駆動ギヤと前記モータと駆動ギヤとの間で回転力を伝達する回転力伝達機構を有し、前記回転力伝達機構にワンウェイクラッチが含まれ、
外部駆動装置の駆動ギヤを従動ギヤに係合させてワーク設置部材を回転させ、
前記ターンテーブルが回転することによって移動する前記従動ギヤの公転的な移動速度が、前記駆動ギヤの歯の周速と同じか、又は速いことを特徴とするターンテーブルを有する高周波誘導加熱装置。 - ワーク設置部材と一体に回転する動力伝達ギヤが設けられており、前記動力伝達ギヤが前記従動ギヤと係合していることを特徴とする請求項1に記載のターンテーブルを有する高周波誘導加熱装置。
- 各ワーク設置領域には複数の前記ワーク設置部材が設けられており、各ワーク設置部材に設けられた前記動力伝達ギヤ同士が係合していることを特徴とする請求項2に記載のターンテーブルを有する高周波誘導加熱装置。
- 前記動力伝達ギヤのいずれかが前記従動ギヤであることを特徴とする請求項3に記載のターンテーブルを有する高周波誘導加熱装置。
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