JP2018092788A - 有機el表示パネルの製造方法、有機el表示パネル製造用基板、及び有機el表示パネルの製造におけるノズルの検査方法 - Google Patents

有機el表示パネルの製造方法、有機el表示パネル製造用基板、及び有機el表示パネルの製造におけるノズルの検査方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2018092788A
JP2018092788A JP2016235011A JP2016235011A JP2018092788A JP 2018092788 A JP2018092788 A JP 2018092788A JP 2016235011 A JP2016235011 A JP 2016235011A JP 2016235011 A JP2016235011 A JP 2016235011A JP 2018092788 A JP2018092788 A JP 2018092788A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
inspection
organic
application
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016235011A
Other languages
English (en)
Inventor
洋 日比野
Hiroshi Hibino
洋 日比野
庸一 新谷
Yoichi Araya
庸一 新谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Joled Inc
Original Assignee
Joled Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Joled Inc filed Critical Joled Inc
Priority to JP2016235011A priority Critical patent/JP2018092788A/ja
Publication of JP2018092788A publication Critical patent/JP2018092788A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electroluminescent Light Sources (AREA)

Abstract

【課題】有機EL表示パネル10の製造において、製造効率の低下を抑制し、不良品の発生を抑制する。
【解決手段】塗布基板200における間隔をあけて並設された複数の隔壁15間の塗布予定領域15aにインクの液滴222を複数のノズル125から吐出して、複数条の機能性材料層を形成する方法であって、塗布基板200は、機能性材料層を機能させる有効部211のほかに、隔壁15間に塗布予定領域15aを有する検査部212を有し、検査部212に対してインクの液滴222の吐出を行うインク吐出工程と、検査部212に吐出されたインクの塗布状態を検査する検査工程であって、隣り合う2つの塗布予定領域15aに塗布されたインクの混合が発生していることを検査する検査工程と、を有し、各塗布基板200は、検査部212が有効部211よりもインクの混合が生じやすいパターンである。
【選択図】図11

Description

本開示は、有機EL表示パネルの製造方法、有機EL表示パネル製造用基板、及び有機EL表示パネルの検査方法に関し、特にインクジェット法を用いた製造方法による有機EL表示パネルに関する。
基板上に有機EL(Electroluminescence:電界発光)素子を行列状に配列する有機EL表示パネルでは、各有機EL素子の発光を画素に利用して画像を表示する。
有機EL素子は、機能性材料を含む機能層、例えば有機発光材料を含む有機発光層などを一対の電極で挟んだ構造を有する。機能層は、有機発光層以外にも、正孔・電子注入層、正孔・電子輸送層、正孔・電子阻止層、バッファ層などがあり、含有する機能性材料及び隣接する層との関係によって、その機能が決定される。
これらの機能層の形成方法は、真空蒸着法などの乾式プロセスと、インクジェット法などの湿式プロセスとに大別される。湿式プロセスは、有機溶媒に機能性材料を含ませたインクを用いた方法であり、機能層の形成精度及びコスト面から、有機EL表示パネルの高解像度化や大型化に適した技術とされている。特に、湿式プロセスのうち、インクを微小な液滴として吐出可能なノズルを、基板の上面に沿って相対的に走査させながら、機能層を形成する塗布予定領域に対してインクを吐出するインクジェット法の開発が進んでいる。
インクジェット法では、製造効率の観点から、列状に並ぶ複数のノズルを用いるが、表示パネルの高解像度化や大型化に伴って用いるノズルの数は数万個単位となっている。この多数のノズルからは、装置内のインクの継時的な粘度上昇、ノズル内の気泡、乾燥したインクや異物などの付着といった要因により、インクの着弾位置や吐出量が設計値より大きくずれた不良ノズルが発生する場合がある。インク液滴の着弾位置や吐出量のずれは、膜厚の不均一や混色を引き起こし、有機EL表示パネルの品質低下の原因となる。そこで、特許文献1には、検査用基板を用いて着弾ずれ(着弾位置の目標位置からのずれ)を検査する方法が開示されている。また、特許文献2には、検査用基板を用いてインク液滴吐出量を検査する方法が開示されている。
特開2011−65856号公報 特開2010−240503号公報
しかしながら、引用文献1及び2に開示の方法では、製造ラインを一度停止して、検査用基板をインクジェット装置に設置し、検査を行う必要があるため、製造効率の低下という問題がある。さらには、ノズル内の気泡、及び乾燥したインクや異物の付着といった要因は突発的に発生するため、検査を行った直後にこのような要因が発生した場合、次の検査までは不良ノズルがそのまま使用されることとなる。その結果、不良品が製造されることとなり、歩留まりの低下を引き起こす。
そこで、本開示の目的は、製造効率の低下を抑制しつつ、不良品の発生を抑制することができる有機EL表示パネルの製造方法を提供することにある。
本開示の一態様に係る有機EL表示パネルの製造方法は、塗布基板における行方向に互いに間隔をあけて並設された列方向に複数の隔壁間の塗布予定領域に対し、機能性材料が溶媒に溶解されたインクの液滴を複数のノズルから吐出して、複数条の機能性材料層を形成する方法であって、前記塗布基板は、機能性材料層を機能させる有効部のほかに、当該有効部と同様に複数の隔壁及びその隔壁間に塗布予定領域を有する検査部を有し、前記検査部に対して前記インクの液滴の吐出を行うインク吐出工程と、前記検査部に吐出されたインクの塗布状態を検査する検査工程であって、隣り合う2つの前記塗布予定領域に塗布された前記インクの混合が発生していることを検査する検査工程と、を有し、各塗布基板は、前記検査部が前記有効部よりも前記インクの混合が生じやすいパターンであることを特徴とする。
上記態様に係る有機EL表示パネルの製造方法では検査部にインク液滴を吐出し、インクの混合が発生した場合には、当該インクの混合の発生を解消した状態で有効部にインクを吐出するため、有効部でのインク混合の発生を防止することができる。また、検査部は、有効部よりもインクの混合が発生しやすい寸法設計若しくは塗布仕様の設定とされており、検査部のインク塗布状態を検査してインク混合が検出されれば、インク混合の発生が解消した状態で有効部にインク液滴を吐出するため、有効部でのインク混合の発生をより確実に防止することができる。
有機EL表示装置1の全体構成を示すブロック図である。 有機EL表示パネル10の画像表示面の一部を拡大した模式平面図である。 (a)は図2のX−X線に沿った模式断面図であり、(b)は図2のY−Y線に沿った模式断面図である。 有機EL表示パネル10の製造過程を示す模式断面図であって、(a)は第1電極及び正孔注入層形成工程を示す図であり、(b)は画素規制層形成工程を示す図であり、(c)は隔壁形成工程を示す図である。 有機EL表示パネル10の製造過程を示す模式断面図であって、(a)は正孔輸送層形成におけるインク塗布工程を示す図であり、(b)は正孔輸送層形成におけるインク乾燥工程を示す図であり、(c)は有機発光層形成工程を示す図である。 有機EL表示パネル10の製造過程を示す模式断面図であって、(a)は電子輸送層形成工程を示す図であり、(b)は第2電極形成工程を示す図であり、(c)は薄膜封止層形成工程を示す図である。 インクジェット装置100を示す模式斜視図である。 インクジェット装置100の機能ブロック図である。 ノズルヘッド122の模式断面図である。 実施形態1に係る塗布基板200の模式平面図である。 実施形態1において塗布基板200にインクが塗布される場合の模式断面図であって、(a)は、有効部211にインクが塗布される場合の模式断面図であり、(b)は、検査部212にインクが塗布される場合の模式断面図である。 実施形態1におけるインク塗布工程の内容を示すフローチャートである。 (a)は、実施形態2において、塗布基板300の検査部312にインクが塗布される場合の模式断面図である。(b)は、実施形態3において、塗布基板400の検査部412にインクが塗布される場合の模式断面図である。 (a)は、変形例1に係る塗布基板400の模式平面図である。(b)は、変形例2に係る塗布基板500の模式平面図である。 変形例3におけるインク塗布工程の内容を示すフローチャートである。 (a)は、塗布基板に発光層用のインクを塗布した場合に生じたインク混合を示す平面写真である。(b)は、塗布基板に正孔輸送層用のインクを塗布した場合に生じたインク混合を示す平面写真である。
<本開示の一態様の概要>
本開示の一態様に係る機能性材料層形成方法は、塗布基板における行方向に互いに間隔をあけて並設された列方向に複数の隔壁間の塗布予定領域に対し、機能性材料が溶媒に溶解されたインクの液滴を複数のノズルから吐出して、複数条の機能性材料層を形成する方法であって、前記塗布基板は、機能性材料層を機能させる有効部のほかに、当該有効部と同様に複数の隔壁及びその隔壁間に塗布予定領域を有する検査部を有し、前記検査部に対して前記インクの液滴の吐出を行うインク吐出工程と、前記検査部に吐出されたインクの塗布状態を検査する検査工程であって、隣り合う2つの前記塗布予定領域に塗布された前記インクの混合が発生していることを検査する検査工程と、を有し、各塗布基板は、前記検査部が前記有効部よりも前記インクの混合が生じやすいパターンであることを特徴とする。
係る構成によると、検査部は、有効部よりもインクの混合が発生しやすい寸法設計若しくは塗布仕様の設定とされており、検査部のインク塗布状態を検査してインク混合が検出することができる。検査部にインク液滴を吐出し、インクの混合が発生した場合において混色が検出されれば、インク混合の発生が解消した状態で有効部にインク液滴を吐出することができる。そのため、有効部でのインク混合の発生をより確実に防止することができる。
有効部よりも検査部の方が、目標着弾位置から隣の塗布予定領域の端縁までの距離が小さく、インク液滴が隣の塗布予定領域に入り込みやすい寸法設計若しくは塗布仕様となっている。これにより、検査部を、有効部よりもインク混合がより生じやすい寸法設計とすることができる。
本開示の一態様に係る機能性材料層形成方法における特定の局面においては、複数の前記隔壁間の行方向におけるピッチは、前記有効部よりも、前記検査部の方が狭い構成としてもよい。
上記態様において、隣り合う2つの前記塗布予定領域のうちの一方における前記インクの液滴の目標着弾位置と、他方の前記塗布予定領域の端縁との最短距離を、前記検査部の方が前記有効部よりも短くすることができる。
本開示の一態様に係る機能性材料層形成方法における特定の局面においては、前記塗布予定領域の行方向の幅が、前記有効部よりも前記検査部の方が狭い構成としてもよい。
上記態様において、隣り合う2つの前記塗布予定領域のうちの一方における前記インクの液滴の目標着弾位置と、他方の前記塗布予定領域の端縁との最短距離を、前記検査部の方が前記有効部よりも短くすることができる。
本開示の一態様に係る機能性材料層形成方法における特定の局面においては、前記隔壁の行方向の幅が、前記有効部よりも前記検査部の方が狭い構成としてもよい。
上記態様において、隣り合う2つの前記塗布予定領域のうちの一方における前記インクの液滴の目標着弾位置と、他方の前記塗布予定領域の端縁との最短距離を、前記検査部の方が前記有効部よりも短くすることができる。
本開示の一態様に係る機能性材料層形成方法における特定の局面においては、前記検査部は、前記有効部に行方向に隣接して配置されている構成としてもよい。構成としてもよい。
上記態様により、検査部へのインク液滴の吐出と、有効部へのインク液滴の吐出を、より円滑に連続的に行うことができる。
本開示の一態様に係る有機EL表示パネルの製造方法における特定の局面においては、前記検査部は、複数の前記塗布予定領域を有する検査部分を複数有し、複数の前記検査部分は、行方向に配列されている構成としてもよい。
上記態様により、検査部分ごとに寸法設計若しくは塗布仕様を変えて塗布状態の検査を行うことができる。
本開示の一態様に係る機能性材料層形成方法における特定の局面においては、構成としてもよい。
上記態様により、同一の検査部に複数種類のインクを重ねて塗布しなくてもよいため、インクごとのインク混合の発生検査を、より正確に行うことができる。
本開示の一態様に係る機能性材料層形成方法における特定の局面においては、前記インクの混合の発生しやすさが複数の前記検査部分ごとに異なるように前記複数の隔壁及びその隔壁間に塗布予定領域のパターンが形成されている構成としてもよい。
上記態様により、どの検査部分でインクの混合が発生したかによって、有効部でのインク混合発生の危険度を段階的に検知することができる。
本開示の一態様に係る機能性材料層形成方法における特定の局面においては、塗布基板における行方向に互いに間隔をあけて並設された列方向に複数の隔壁間の塗布予定領域に対し、機能性材料が溶媒に溶解されたインクの液滴を複数のノズルから吐出して、複数条の機能性材料層を形成する方法であって、前記塗布基板は、機能性材料層を機能させる有効部のほかに、当該有効部と同様に複数の隔壁及びその隔壁間に塗布予定領域を有する検査部を有し、前記検査部に対して前記インクの液滴の吐出を行うインク吐出工程と、前記検査部に吐出されたインクの塗布状態を検査する検査工程であって、隣り合う2つの前記塗布予定領域に塗布された前記インクの混合が発生していることを検査する検査工程と、を有し、前記インク吐出工程において、前記検査部における前記インクの液滴の目標着弾位置を、前記塗布予定領域の行方向における中心から行方向にずらす構成としてもよい。上記態様により、有効部よりも検査部の方が、目標着弾位置から隣の塗布予定領域の端までの距離が小さくなり、インク液滴が隣の塗布予定領域に入り込みやすい塗布仕様となっている。これにより、検査部の方が有効部よりもインク混合がより生じやすくすることができる。
本開示の一態様に係る機能性材料層形成方法における特定の局面においては、前記塗布状態の検査は、前記インクの液滴吐出後の前記検査部を撮像装置により撮影し、前記撮像された画像における繰り返しパターンの異常を検出することにより前記インクの混合を検出する構成としてもよい。
上記態様により、迅速且つ容易にインクの混合を検出することができる。
本開示の一態様に係る機能性材料層形成方法における特定の局面においては、前記インクの混合が発生している前記検査部分に前記インクの液滴を吐出した前記ノズルを特定し、前記特定されたノズルに対して、前記特定されたノズルを吐出停止に設定する処理、前記特定されたノズルのインク吐出タイミングを補正する処理、及び前記特定されたノズルのインク吐出口周囲の清掃処理のうち、少なくともいずれか1つの処理を行う構成としてもよい。
上記態様により、インク混合の発生を解消することができる。
本開示の別の一態様に係る有機EL表示パネル製造用基板では、行方向に互いに間隔をあけて並設された列方向に長尺な複数の隔壁間の塗布予定領域に対し、機能性材料が溶媒に溶解されたインクの液滴を複数のノズルから吐出して、複数条の発光領域を有する有機EL表示パネルが形成される予定の有効部と、前記有効部と同様に、複数の隔壁及びその隔壁間に塗布予定領域を有する検査部とを有し、複数の前記隔壁間の行方向におけるピッチは、前記有効部よりも、前記検査部の方が狭い構成としてもよい。
本開示の別の一態様に係る有機EL表示パネル製造用基板によると、隣り合う塗布予定領域の一方におけるインク液滴の着弾目標位置と他方の塗布予定領域の端縁までの最短距離が、有効部よりも検査部の方が短いため、有効部よりも検査部でインクの混合をより発生しやすくすることができる。
本開示の別の一態様に係る有機EL表示パネル製造用基板における特定の局面においては、前記塗布予定領域の行方向の幅が、前記有効部よりも前記検査部の方が狭い構成としてもよい。
上記態様により、隣り合う塗布予定領域の一方におけるインク液滴の着弾目標位置と他方の塗布予定領域の端縁までの最短距離について、有効部よりも検査部の方を短くすることができる。
本開示の別の一態様に係る有機EL表示パネル製造用基板における特定の局面においては、前記隔壁の行方向の幅が、前記有効部よりも前記検査部の方が狭い構成としてもよい。
上記態様により、隣り合う塗布予定領域の一方におけるインク液滴の着弾目標位置と他方の塗布予定領域の端縁までの最短距離について、有効部よりも検査部の方を短くすることができる。
本開示の別の一態様に係る有機EL表示パネル製造用基板における特定の局面においては、前記検査部は、前記有効部に行方向に隣接して配置されている構成としてもよい。
上記態様により、検査部へのインク液滴の吐出と、有効部へのインク液滴の吐出を、より円滑に連続的に行うことができる。
本開示の別の一態様に係る有機EL表示パネル製造用基板における特定の局面においては、前記検査部は、複数の前記塗布予定領域を有する検査部分を複数有し、複数の前記検査部分は、行方向に配列されている構成としてもよい。
上記態様により、検査部分ごとに寸法設計若しくは塗布仕様を変えて塗布状態の検査を行うことができる。
本開示の別の一態様に係る有機EL表示パネル製造用基板における特定の局面においては、複数の前記隔壁間の行方向における間隔は、複数の前記検査部分ごとに異なる構成としてもよい。
上記態様により、検査部分ごとにインク混合の発生しやすさを異ならせることができ、どの検査部分でインクの混合が発生したかによって、有効部でのインク混合発生の危険度を段階的に検知することができる。
なお、本願において「上」とは、絶対的な空間認識における上方向(鉛直上方)を指すものではなく、有機EL表示パネルの積層構造における積層順を基に、相対的な位置関係により規定されるものである。具体的には、有機EL表示パネルにおいて、基板の主面に垂直な方向であって、基板から積層物側に向かう側を上方向とする。
また、例えば「基板上」と表現した場合は、基板に直接接する上方の領域のみを指すのではなく、積層物を介した基板の上方の領域も含めるものとする。
<実施形態1>
以下では、本開示の一態様に係る有機EL表示パネルの製造方法について、図面を参照しながら説明する。なお、図面は模式的なものを含んでおり、各部材の縮尺や縦横の比率などが実際とは異なる場合がある。また、本願において、平面図、平面写真とは、対象物の主面に略垂直な方向から見た図、写真であり、有機EL表示パネルにおいては、当該パネルを基板上面に略垂直な方向から見た図、写真である。さらに、平面形状とは、平面図、平面写真に現れる形状を指す。
1.有機EL表示装置1の全体構成
図1は、有機EL表示装置1の全体構成を示すブロック図である。有機EL表示装置1は、例えば、テレビ、パーソナルコンピュータ、携帯端末、業務用ディスプレイ(電子看板、商業施設用大型スクリーン)などに用いられる表示装置である。有機EL表示装置1は、有機EL表示パネル10(以下、「パネル10」という。)と、これに電気的に接続された駆動制御部20とを備える。
パネル10は、例えば上面が長方形状の画像表示面であるトップエミッション型の表示パネルである。図1に示すように、以下では説明のため、パネル10上面の長辺に沿った方向をX方向、パネル10上面の短辺に沿った方向をY方向とする。パネル10では、画像表示面に沿って複数の有機EL素子(不図示)が配列され、各有機EL素子の発光を組み合わせて画像を表示する。なお、パネル10は、一例として、アクティブマトリクス方式を採用している。
駆動制御部20は、パネル10に接続された駆動回路21と、計算機などの外部装置又はアンテナなどの受信装置に接続された制御回路22とを有する。駆動回路21は、各有機EL素子に電力を供給する電源回路、各有機EL素子への供給電力を制御する電圧信号を印加する信号回路、一定の間隔ごとに電圧信号を印加する箇所を切り替える走査回路などを有する。制御回路22は、外部装置や受信装置から入力された画像情報を含むデータに応じて、駆動回路21の動作を制御する。
なお、図1では、一例として、駆動回路21がパネル10の周囲に4つ配置されているが、駆動制御部20の構成はこれに限定されるものではなく、駆動回路21の数や位置は適宜変更可能である。
2.パネル10の構成
(1)平面構成
図2は、パネル10の画像表示面の一部を拡大した模式平面図である。パネル10では、一例として赤色、緑色、青色にそれぞれ発光する副画素(サブピクセル)SPR、SPG、SPBが行列状に配列されている。副画素SPR、SPG、SPBは、パネル10の長辺に沿ったX方向に交互に並び、一組の副画素SPR、SPG、SPBは、一つの画素(ピクセル)Pを構成している。画素Pにおいては、階調制御された副画素SPR、SPG、SPBの発光輝度を組み合わせることにより、フルカラーを表現することが可能となっている。
また、パネル10の短辺に沿ったY方向においては、副画素SPR、副画素SPG、副画素SPBのいずれかのみが並ぶことでそれぞれ副画素列LR、副画素列LG、副画素列LBが構成されている。これにより、パネル10全体として画素Pが、X方向及びY方向に沿った行列状に並び、この行列状に並ぶ画素Pの発色を組み合わせることにより、画像表示面に画像が表示される。
副画素SPR、SPG、SPBには、それぞれ赤色、緑色、青色に発光する有機EL素子が形成され、当該有機EL素子の発光を画像表示面側から取り出すことにより、副画素SPR、SPG、SPBは発光する。副画素SPR、SPG、SPBの発光色は、有機EL素子の発光色そのものでも良いし、有機EL素子の発光色をカラーフィルタによって補正したものであってもよい。
パネル10では、一例として、ラインバンク方式を採用している。すなわち、副画素列LR、LG、LBを1列ごとに区切る隔壁15が複数形成されることにより、隣接する隔壁15間の領域として、X方向に沿って複数並ぶ塗布予定領域15aが形成されている。各塗布予定領域15aは、後述するインクジェット法により機能層を形成する際に、インクが塗布される予定の領域である。ラインバンク方式では、塗布予定領域15aが副画素列LR、LG、LBに渡って連続することで、塗布されたインクがY方向に沿って流動可能となり、機能層の膜厚むらを低減することができる。
なお、パネル10には、各塗布予定領域15aにおいて、副画素SPR、SPG、SPBごとにこれらを絶縁する画素規制層14が形成され、副画素SPR、SPG、SPBはそれぞれ独立して発光することが可能となっている。図2では、画素規制層14は点線で表されているが、これは、画素規制層14は機能層に覆われており、平面図では直接見えないことを表現している。
(2)断面構成
図3(a)は、図2のX−X線に沿った模式断面図であり、図3(b)は、図2のY−Y線に沿った模式断面図である。なお、図3(a)では、副画素SPGの断面構成を中心に、図3(b)では、副画素列LGの断面構成のみを記載しているが、副画素SPR、SPB及び副画素列LR、LBについても図3(a)、(b)と同様の構成となっている。また、図3では、紙面上方向をZ方向としている。
パネル10は、基板11、第1電極12、正孔注入層13、画素規制層14、隔壁15、正孔輸送層16A、有機発光層16B、電子輸送層17、第2電極18及び薄膜封止層19を備える。この内、正孔輸送層16A及び有機発光層16Bは後述するインクジェット法により形成されている。なお、この積層構成は、あくまで一例であって、この他に電子注入層、阻止層、バッファ層などが積層されていてもよいし、上記の各層の一部が省略されていてもよい。また、電子注入輸送層のように、物理的に一つの層が、複数の機能を有していてもよい。
a.基板11
基板11は、パネル10の支持部材である。図示は省略するが、基板11では、長方形平板状の基板本体上に、TFT(Thin Film Transistor)層が形成されている。
基板本体は、電気絶縁性を有する材料又は電気絶縁性を有する材料をコーティングしたアルミニウムやステンレスなどの金属材料で形成される。電気絶縁性を有する材料としては、例えば、無アルカリガラス、ソーダガラス、無蛍光ガラス、燐酸系ガラス、硼酸系ガラス、石英ガラスなどのガラス材料である。また当該材料は、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂などの樹脂材料であってもよい。また当該材料は、例えば、酸化アルミニウムなどの金属酸化物材料であってもよい。
有機EL素子は水分や酸素などと反応して劣化する場合があるため、基板本体には水分透過度の低い材料、例えばガラスや金属などを用いて、有機EL素子下部からの水分や酸素の浸透を抑制することが好ましい。また、基板本体に樹脂材料を用いる場合は、樹脂材料の上面に、例えば窒化シリコン、酸窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの水分透過度の低い薄膜をコーティングすることが好ましい。
TFT層は、基板本体上に形成された電子回路の層であり、有機EL素子への電力供給回路や供給電力の制御回路などが配置されている。具体的には、TFT層は基板本体上に配置された半導体の層、導電体の層及び電気絶縁体の層からなる積層であり、この積層構成によって、TFT素子、コンデンサ素子、配線などの電子回路素子が構成される。また、TFT層の最上部には、層間絶縁層(不図示)が形成され、基板11の上面は平坦化されている。
半導体の層は、例えば、シリコンなどの一般的な半導体材料、インジウム−亜鉛−ガリウム酸化物などの酸化物半導体材料、多環芳香族化合物などの平面方向に広がったπ電子共役系を有する有機半導体材料などで形成される。導電体の層は、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、金(Au)などの金属材料、黒鉛、カーボンナノチューブなどの炭素材料、酸化インジウムスズ(ITO)や酸化インジウム亜鉛(IZO)などの導電性酸化物材料などで形成される。電気絶縁体の層は、例えば、窒化シリコン、酸化シリコン、酸窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機材料、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂、フェノール系樹脂などの有機材料などで形成される。層間絶縁層は、電気絶縁性を有するパターニング可能な材料、例えば、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂、フェノール系樹脂などの有機材料で形成される。
なお、TFT層には、層間絶縁層とは別にパッシベーション層として、TFT層の電子回路素子全体を覆う窒化シリコンや酸化アルミニウムなどを材料とする層が形成されてもよい。
b.第1電極12
第1電極12は、基板11上に、行方向をX方向に、列方向をY方向にそれぞれ定められた行列状に形成された複数の電極であり、有機発光層16Bに正孔を供給する陽極としての役割を有する。第1電極12のそれぞれは、各有機EL素子の位置を規定しており、各副画素SPR、SPG、SPBの形成位置に対応するよう形成されている。
第1電極12は、例えば、Al、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)などの金属材料で形成される。また、これらの金属材料を組み合わせた合金材料や、金属材料・合金材料を積層した多層構造で形成されていてもよい。さらに、第1電極12と正孔注入層13との接合性向上や、第1電極12の酸化防止の目的で、上記の層上にITO、IZOなどの透明導電性酸化物材料からなる層を積層した多層構造で形成されていてもよい。さらに、第1電極12の最下層には、ウェットエッチングによる浸食や、下層への水素の拡散などを抑制する目的で、酸化タングステンなどの金属酸化物材料からなるバリアメタル層を形成してもよい。
なお、正孔を供給する観点からは、第1電極12には仕事関数の高い材料を用いることが好ましい。また、トップエミッション型であるパネル10では、第1電極12に光反射性を付与することが好ましい。
c.正孔注入層13
正孔注入層13は、機能層の一種であり、第1電極12上に形成された層であって、第1電極12から有機発光層16Bへの正孔の供給(正孔注入)におけるエネルギー障壁を低下させ、正孔注入を容易にする役割を有する。パネル10では、正孔注入層13が第1電極12ごとに独立して形成され、基板11上に行列状に配列されている。正孔注入層13は、機能性材料として、適切なイオン化エネルギーを有する材料を用いて形成される。このような材料としては、例えば、Ag、Mo、Cr、W、Ni、バナジウム(V)、イリジウム(Ir)などの酸化物である金属酸化物材料や、PEDOT(ポリチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合物)などである。
d.画素規制層14
画素規制層14は、図3(b)に示すように、第1電極12及び正孔注入層13の端部を覆うように形成された電気絶縁性を有する層であって、基板11上面からの高さ(Z方向に沿った高さ)ついて、隔壁15よりも低く形成されている。画素規制層14は、各塗布予定領域15a内で隣接する副画素SPR、SPG、SPB(第1電極12)同士の間の電気絶縁性を向上させる役割を有する。また、画素規制層14は、第1電極12の端部を覆うことで、第1電極12と第2電極18との接触によるショートも抑制している。
なお、パネル10では、図2に示すように画素規制層14の第1電極12及び正孔注入層13の端部を覆う平面形状が曲線状となるように形成されている。このように画素規制層14を形成することで、正孔輸送層16Aを形成する際に、インクが正孔注入層13、画素規制層14及び隔壁15に囲まれる領域の端まで濡れ広がりやすくなり、濡れ不良を抑制することができる。
画素規制層14の材料は、例えば、窒化シリコン、酸化シリコン、酸窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機材料、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック型フェノール系樹脂などの有機材料などで形成される。また、正孔輸送層16Aを形成する際、塗布予定領域15a内に機能性材料を含むインクが濡れ広がりやすいように、画素規制層14の表面はインクに対する親液性を有することが好ましい。
e.隔壁15
隔壁15は、Y方向に沿って並ぶ第1電極12及び正孔注入層13の列を1列ごとに区切ることにより、隣接する隔壁15間の領域として、方向Xに沿って複数並ぶ塗布予定領域15aを形成する。このとき、隔壁15は、図2に示すように、Y方向に延伸する線状の形状、いわゆるラインバンクとなっている。
隔壁15は、具体的には、正孔輸送層16Aや有機発光層16Bを形成する際に、機能性材料を含むインクが各塗布予定領域15aの外側に流出することを抑制している。また、隔壁15は、形成後の正孔輸送層16Aや有機発光層16Bを区画して電気的に絶縁する役割を有する。
隔壁15は、例えば、電気絶縁性を有し、フォトリソグラフィ法によりパターニングが可能な感光性レジスト材料から形成される。感光性レジスト材料の例としては、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック型フェノール系樹脂などである。なお、隔壁15は、感光性レジスト材料以外の材料を含有していてもよい。また、感光性レジスト材料の感光性は、感光によって現像液に対する溶解性が低下するネガ型、感光によって現像液に対する溶解性が増加するポジ型のいずれであってもよいが、ネガ型であることが好ましい。一般的に、上方から露光した場合の感光性レジスト材料の感光領域は、上方が広く、下方が狭い逆テーパー形状となりやすい。したがって、感光領域が残るネガ型では、現像処理後の感光性レジスト材料が逆テーパーに近い形状となり、形成した隔壁15を超えてインクが流出することを抑制できる。
なお、隔壁15は、後述するパネル10の製造方法から、有機溶媒や熱に対する耐性を有することが好ましい。また、インクの流出を抑制するために、隔壁15の表面は撥液性を有することが好ましく、例えば、隔壁15に撥液性成分を含む材料を用いるか、隔壁15に撥液性を付与する表面処理を行うことが好ましい。撥液性成分としては、例えば、フッ素系化合物、シロキサン系化合物である。この撥液性成分は、例えば独立した材料として、感光性レジスト材料中に混合されてもよいし、例えば、感光性レジスト材料の共重合体中に含有されてもよい。また、撥液性を付与する表面処理としては、例えばフッ素ガス雰囲気下におけるプラズマ処理などを用いることができる。
なお、「撥液性」とは、機能性材料を含むインクに対する親和性が低いことを意味する用語としてここでは用いる。
f.正孔輸送層16A
正孔輸送層16Aは、機能層の一種であり、後述するインクジェット法によって各塗布予定領域15aに塗布されたインクを乾燥させることによりに形成された層であって、第1電極12から供給された正孔の有機発光層16Bへの輸送性を向上させる役割を有する。なお、ラインバンク方式を採用するパネル10では、正孔輸送層16Aは、各塗布予定領域15aに沿ってY方向に延伸する形状であり、各塗布予定領域15a内のすべての第1電極12、正孔注入層13及び画素規制層14を覆うように連続した形状である。すなわち、各副画素列LR、LG、LBにおいて、それぞれの副画素SPR、SPG、SPBは、正孔輸送層16Aを共有する。
正孔輸送層16Aは、機能性材料として、正孔の移動度が比較的高い有機材料を用いて形成される。このような材料としては、例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、ポリフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、ブタジエン化合物、ポリスチレン誘導体、トリフェニルメタン誘導体、テトラフェニルベンジン誘導体(いずれも特開平5−163488号公報に記載)などである。
g.有機発光層16B
有機発光層16Bは、機能層の一種であり、正孔輸送層16Aと同様に、後述するインクジェット法によって各塗布予定領域15aに塗布されたインクを乾燥させることにより形成された層である。有機発光層16Bでは、第1電極12及び第2電極18から供給された正孔及び電子の再結合による発光(電界発光現象)が行われる。
ラインバンク方式を採用するパネル10では、有機発光層16Bは、正孔輸送層16Aと同様に各塗布予定領域15aに沿ってY方向に延伸する形状であり、各塗布予定領域15a内の正孔輸送層16A全面を覆うように連続した形状である。すなわち、各副画素列LR、LG、LBにおいて、それぞれの副画素SPR、SPG、SPBは、有機発光層16Bを共有する。ただし、有機発光層16Bは、第1電極12の上方にある部分のみが発光し、副画素SPR、SPG、SPBごとに独立して発光する。
有機発光層16Bは、機能性材料として、電界発光現象によって発光する有機発光材料を用いて形成される。有機発光材料としては、例えば、オキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、キノロン化合物、アザキノロン化合物、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレンピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン化合物、チオキサンテン化合物、シアニン化合物、アクリジン化合物、8−ヒドロキシキノリン化合物の金属錯体、2−ビピリジン化合物の金属錯体、シッフ塩とIII族金属との錯体、オキシン金属錯体、希土類錯体等の蛍光物質(いずれも特開平5−163488号公報に記載)などの公知の蛍光物質、燐光物質である。また、例えば、上記の蛍光物質、燐光物質をドーパントとした有機化合物の混合層であってもよい。なお、パネル10では、副画素列LR、LG、LBにそれぞれ赤色、緑色、青色に発光する有機発光材料を含む有機発光層16Bを形成する3色塗り分け方式を採用し、フルカラー対応している。
h.電子輸送層17
電子輸送層17は、機能層の一種であり、隔壁15及び有機発光層16Bが形成された基板11全体を覆うように形成された層であって、第2電極18から供給された電子の有機発光層16Bへの輸送性を向上させる役割を有する。
電子輸送層17は、機能性材料として、電子の移動度が比較的高い有機材料を用いて形成される。このような材料としては、例えば、ニトロ置換フルオレノン誘導体、チオピランジオキサイド誘導体、ジフェキノン誘導体、ペリレンテトラカルボキシル誘導体、アントラキノジメタン誘導体、フレオレニリデンメタン誘導体、アントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ペリノン誘導体、キノリン錯体誘導体(いずれも特開平5−163488号公報に記載)、リンオキサイド誘導体、トリアゾール誘導体、トジアジン誘導体、シロール誘導体、ジメシチルボロン誘導体、トリアリールボロン誘導体などである。
i.第2電極18
第2電極18は、機能層を覆う電極であって、パネル10では、電子輸送層17を覆うように基板11全体に渡って形成されている。第2電極18は、有機発光層16Bに電子を供給する陰極としての役割を有する。
第2電極18は、例えば、ITOやIZOなどの透明導電性酸化物材料や、透明導電性酸化物材料からなる層に、Ag、Au、Ni、Cu、Al、白金(Pt)、パラジウム(Pd)などの金属材料又はこれらの合金材料の層を積層して形成される。
なお、電子を供給する観点からは、第2電極18には仕事関数の低い材料を用いることが好ましい。また、トップエミッション型であるパネル10では、第2電極18には、例えば光透過率80%以上などの高い光透過率を有する材料を用いることが好ましい。
j.薄膜封止層19
薄膜封止層19は、上記第1電極12から第2電極18までの各部材が形成された基板11全体を覆うように形成された層であり、各部材が水分や酸素などに晒されることを抑制する役割を有する。薄膜封止層19は、水分透過度の低い材料、例えば、窒化シリコン、酸窒化シリコン、酸化炭素、窒化炭素、酸化アルミニウムなどの無機材料で形成される。また、トップエミッション型であるパネル10では、薄膜封止層19に、高い光透過性を有し、第2電極18との屈折率の差が小さい材料を用いることが好ましい。
k.その他
パネル10では、以上の部材が形成された基板11上に、ガラス材料などの水分透過性の低い材料で形成された封止板を配置してもよい。このとき、基板11と封止板との間は、例えば硬化性樹脂材料からなる接着層などによって接合される。これにより、基板11上の各有機EL素子に対する水分や酸素などの浸透をさらに抑制することができる。
また、封止板の副画素SPR、SPG、SPBに対応する位置に、カラーフィルタを配置してもよい。これにより、副画素SPR、SPG、SPBの発光色を補正することができる。さらに、封止板の副画素SPR、SPG、SPB同士の間に対応する位置及び封止板の周縁領域にブラックマトリクスを配置してもよい。これにより、パネル10の画像表示面における外光の反射を抑制し、また、画像表示面における画素Pとそれ以外の部分とのコントラストを向上させることができる。
なお、上記の断面構成はあくまで一例であって、例えば、図3(a)では電子輸送層17及び第2電極18は、複数の塗布予定領域15aに渡って形成されているが、これらの全部又は一部が塗布予定領域15aごと又は副画素SPR、SPG、SPBごとに形成されていてもよい。また、例えば、図3(a)、(b)では正孔注入層13が、副画素SPR、SPG、SPBごとに形成されていたが、塗布予定領域15aごと又は複数の塗布予定領域15aに渡って形成されていてもよい。
3.パネル10の製造方法
(1)全体工程
本開示の一態様であるパネル10の製造方法について、まず全体工程を説明する。図4、図5、及び図6は、パネル10の製造過程を示す模式断面図である。なお、図4、図5、及び図6に示す断面は、図3(a)の副画素SPGの断面に相当するものである。また、図4(b)、(c)に示すハッチングを付さない画素規制層14は、当該断面に存在するものではなく、当該断面の紙面奥側に存在する画素規制層14の表面を表現している。
a.基板準備
最初に、基板11を準備する。具体的には、電気絶縁性材料を平板状に成形した基板本体を用意し、基板本体上にTFT層を形成する。TFT層の形成は、例えば、以下のようにすることができる。
まず、基板本体上に所定の形状にパターニングされた半導体材料の層、導電体材料の層又は電気絶縁体材料の層を形成し、これを繰り返して所定の電子回路を形成する。各層の形成には、各層の材料に応じて、例えば、真空蒸着法、電子ビーム蒸着法、イオンプレーティング法、気層成長法などの乾式プロセスや、印刷法、スピンコート法、インクジェット法、ディスペンス法、ダイコート法などの湿式プロセスを用いることができる。各層のパターニングには、例えば、フォトリソグラフィ法、シャドウマスク法、メタルマスク法などを用いてもよいし、湿式プロセスで直接所定の形状に形成してもよい。また、必要に応じて形成した各層にプラズマ注入、イオン注入、ベーキングなどの処理を行ってもよい。
次に、当該電子回路を覆うように、パッシベーション層、層間絶縁層を順に形成する。パッシベーション層及び層間絶縁層の形成には、各層の材料に応じて、上記の乾式プロセス、湿式プロセスを用いることができる。なお、電子回路内のTFT素子と第1電極12とが電気的に接続できるよう、パッシベーション層及び層間絶縁層には、所定の位置に開口(コンタクトホール)を形成する。コンタクトホールの形成には、上記のパターニング法を用いることができる。
b.第1電極及び正孔注入層形成
次に、基板11上に、行方向及び列方向がX方向及びY方向に定められた行列状に複数の第1電極12及び複数の正孔注入層13を形成する。例えば、まず、スパッタリング法で基板11上に金属薄膜を形成した後に、続けて反応性スパッタリング法で金属薄膜上に金属酸化物の薄膜を形成する。次に、金属酸化物の薄膜上にフォトレジスト材料を塗布した後に、フォトリソグラフィ法でフォトレジスト材料をパターニングし、X方向及びY方向からなる行列状に並ぶ副画素SPR、SPG、SPBの形成領域にのみフォトレジスト材料を残す。次に、ドライエッチング法、ウェットエッチング法をこの順に続けて用い、フォトレジスト材料が配置されていない箇所において金属酸化物の薄膜、金属薄膜をエッチングする。最後に、金属酸化物の薄膜上のフォトレジスト材料及び残渣を除去する。これにより、X方向及びY方向に沿って行列状に並ぶ金属薄膜からなる第1電極12及び当該金属薄膜上方に積層された金属酸化物の薄膜からなる正孔注入層13を形成できる(図4(a))。このように第1電極12及び正孔注入層13を同時にエッチングすることで、製造プロセスを効率化することができる。また、同一のフォトレジストによりパターニングすることにより、第1電極12と正孔注入層13との位置合わせの精度が向上する。
なお、第1電極12及び正孔注入層13の形成方法は、上記のスパッタリング法、反応性スパッタリング法及びフォトリソグラフィ法の組み合わせに限られず、材料に応じて、上記に例示した乾式プロセス、湿式プロセス、パターニング法を用いることができる。また、第1電極12の最下層にバリアメタル層を配置する場合は、金属薄膜の形成前に金属酸化物の薄膜を形成しておき、金属薄膜をウェットエッチングした後に、さらに金属酸化物の薄膜をドライエッチングすればよい。なお、パネル10の製造方法においては、上記のように第1電極12及び正孔注入層13を連続してエッチングする方法に限定されず、第1電極12を形成した後に、金属酸化物の薄膜を形成・パターニングして正孔注入層13を形成してもよい。
c.画素規制層形成
次に、第1電極12及び正孔注入層13が形成された基板11上に画素規制層14を形成する。具体的には、例えば、真空蒸着法を用いて、基板11上の全面を覆う無機材料の薄膜を形成し、当該薄膜を、フォトリソグラフィ法を用いて、第1電極12及び正孔注入層13の端部を覆ってX方向に延伸する形状に形成する。これにより、画素規制層14が形成される(図4(b))。なお、画素規制層14は有機材料を用いて形成してもよく、さらに、上記に例示した他の乾式プロセス、湿式プロセス、パターニング方法を用いて形成してもよい。
d.隔壁形成
次に、Y方向に並ぶ第1電極12及び正孔注入層13の列を1列ごとに区切る隔壁15を基板11上に複数形成する。これにより、隣接する隔壁15間の領域として、X方向に沿って複数並ぶ塗布予定領域15aを形成する。具体的には、例えば、ダイコート法により基板11上の全面に、画素規制層14よりも膜厚が大きくなるように感光性レジスト材料を塗布し、緩効性レジスト材料層を形成する。そして、フォトリソグラフィ法により、感光性レジスト材料層を、Y方向に延伸する形状にパターニングし、Y方向に並ぶ第1電極12、正孔注入層13の列を1列ごとに区切る隔壁15を複数形成する(図4(c))。
なお、隔壁15は、他の乾式プロセス、湿式プロセス、パターニング方法を用いて形成してもよい。
また、本実施形態において、X方向は行方向、Y方向は列方向に相当する。
e.インク塗布
次に、後述するインクジェット法により、機能性材料(ここでは正孔輸送層16Aの材料)を含むインク16aを吐出することにより、塗布予定領域15aにインク16aを塗布する(図5(a))。なお、インク16aは塗布予定領域15a内で画素規制層14を超えて連続するように吐出される。これにより、塗布予定領域15a内でY方向にインク16aが流動可能となり、塗布予定領域15a内のインク16aの塗布むらが低減される。その結果、この後の乾燥において、塗布予定領域15a内における正孔輸送層16Aの膜厚の不均一や形成不良の発生が低減される。
f.乾燥
続いて、塗布されたインク16aを乾燥させることにより、塗布予定領域15aに機能性材料を含む機能層である正孔輸送層16Aを形成する。具体的には、例えば、インク16a塗布後の基板11を、真空チャンバーなどの真空環境に配置することによって、インク16aの溶媒を蒸発させる。これにより、各塗布予定領域15aに正孔輸送層16Aが形成される(図5(b))。
g.有機発光層形成
次に、正孔輸送層16Aの形成方法と同様に、後述するインクジェット法により、機能性材料(ここでは有機発光材料を含むインク)を吐出することにより、塗布予定領域15aにインクを塗布する。そして、塗布されたインクを乾燥させることにより、塗布予定領域15aに有機発光材料を含む機能層、すなわち有機発光層16Bを形成する(図5(c))。なお、有機発光層16Bの材料を含むインク塗布においても、正孔輸送層16Aの材料を含むインク塗布の場合と同様に、塗布予定領域15a内で図2のY軸方向にインクが流動可能となるように、インクは塗布予定領域15a内の正孔輸送層16A上の全面に塗布する。これにより、塗布予定領域15a内のインクの塗布むらが低減され、乾燥後における、塗布予定領域15a内における有機発光層16Bの膜厚の不均一や形成不良の発生が低減される。
h.電子輸送層形成
続いて、基板11上のすべての隔壁15及び有機発光層16Bを覆うように電子輸送層17を形成する(図6(a))。電子輸送層17の形成には、電子輸送層17の材料に応じて、例えば上記に例示した乾式プロセスや湿式プロセスを用いることができる。
i.第2電極形成
次に、機能層、ここでは電子輸送層17を覆う第2電極18を形成する(図6(b))。例えば、上記に例示した乾式プロセスにより、電子輸送層17上に透明導電性酸化物材料の薄膜を成膜して第2電極18を形成する。
j.封止
そして、第1電極12から第2電極18までが形成された基板11を封止する。具体的には、例えば、上記に例示した乾式プロセスにより、第2電極18までを形成した基板11の上面を覆うように無機材料の薄膜を成膜して薄膜封止層19を形成する(図6(c))。
以上の方法により、図3に示す断面構造を有するパネル10が完成する。
(2)インクジェット法によるインク塗布
次に、正孔輸送層16A及び有機発光層16Bの形成におけるインクジェット法によるインク塗布について説明する。
a.インクジェット装置100の構成
まず、インクジェット法によるインク塗布に用いるインクジェット装置100の構成について説明する。図7は、インクジェット装置100を示す模式斜視図である。図8は、インクジェット装置100の機能ブロック図である。
図7及び図8に示すように、インクジェット装置100は、主要な構成要素として、作業テーブル110、ヘッド部120、及び制御装置130を備える。
(a)作業テーブル110
作業テーブル110は、いわゆるガントリー式の作業テーブルであって、インク塗布の対象物である塗布基板200が載置される基台111と、基台111の上方に配置された長尺状の移動架台112とを備える。なお、塗布基板200は、有機EL表示パネル製造用基板であって、例えば、パネル10の製造途中(インク塗布前)の基板である。図10に示すように、塗布基板200は、パネル10となる有効部211と、後述するノズル検査に用いる検査部212とを有する。また、例えば、1枚の塗布基板200から、複数のパネル10が分割されて製造されるようなものであってもよい。この場合、塗布基板200の上面210に形成された各塗布予定領域15aは、上面210の短辺方向であるY方向に沿って長尺な形状となっている。
基台111は、板状であって、塗布基板200が載置される上面は長方形である。ここで、基台111上面の長辺に沿った方向を基台111の長手方向、基台111上面の短辺に沿った方向を基台111の短手方向とする。
移動架台112は、基台111の長手方向に沿って平行に配置された一対のガイドシャフト113a、113b間に架け渡され、移動架台112の長手方向が基台111の短手方向に沿うように配置されている。一対のガイドシャフト113a、113bは、基台111上面の四隅に配置された柱状のスタンド114a、114b、114c、114dによって支持されている。
移動架台112は、移動架台112の長手方向端部に固定されたリニアモータ部115a、115bをそれぞれ介して、ガイドシャフト113a、113bに取り付けられている。よって、移動架台112は、リニアモータ部115a、115bの駆動により、基台111の長手方向に沿って移動可能である。
また、移動架台112の表面に形成され長手方向に延伸するガイド溝118には、サーボモータ部117を介して、L字形の台座116が取り付けられている。よって、台座116は、サーボモータ部117の駆動により、基台111の短手方向に沿って移動可能である。
なお、リニアモータ部115a、115b、サーボモータ部117は、それぞれ通信ケーブル101、102を介して接続された制御装置130によって駆動される。
(b)ヘッド部120
ヘッド部120は、本体部121、ノズルヘッド122、及び撮像装置123を備える。本体部121は、作業テーブル110の台座116に固定され、ノズルヘッド122及び撮像装置123は、本体部121に取り付けられている。したがって、ヘッド部120は、移動架台112及び台座116の移動に連動し、基台111の長手方向及び短手方向に移動可能である。また、本体部121には、ノズルヘッド122の動作を制御する駆動回路が内蔵されており、当該駆動装置は、通信ケーブル103を介して制御装置130に接続されている。
ノズルヘッド122は、基台111の短手方向に延伸する長尺状の部材である。ノズルヘッド122の下面側には、長尺状のサブヘッド124が、ノズルヘッド122の長手方向(すなわち基台111の短手方向)に並んでいる。
図9は、サブヘッド124の模式断面図である。サブヘッド124には、その下面側の開口からインクを吐出するノズル125が複数並んで配置されている。また、サブヘッド124の上面側には、各ノズル125に対応する位置に圧電素子125aが配置され、各圧電素子125aの下方には振動板125bを介して液室125cが配置されている。
各圧電素子125aは、本体部121の駆動回路を介して制御装置130に接続され、制御装置130からの信号に応じ、振動板125bを変形させる。振動板125bは、各ノズルに共通する板状の部材であり、圧電素子125aによって変形し、当該圧電素子125aの下方の液室125cに圧力を加える。液室125cは、図7に示す輸液チューブ104を介してインクタンク(不図示)から供給されたインクで満たされており、振動板125bによって圧力が加えられることで、ノズル125の開口からインクが吐出される。すなわち、インクジェット装置100では、制御装置130によって、各ノズル125のインクの吐出量及び吐出タイミングを独立して制御することができる。
撮像装置123は、例えばCCDカメラであって、通信ケーブル105を介して制御装置130と接続されている。撮像装置123は、上面210を撮像し、その撮像データを制御装置130へ送信する。CPU131は、撮像データを記憶部132に格納し、制御プログラムに基づいて処理する。これにより、制御装置130は、ヘッド部120(各ノズル125)の上面210に対する位置を検知することができ、各ノズル125から正確に上面210の所定の位置にインクを塗布することができる。また、上記撮像データにより、制御装置130は、各ノズル125から吐出されたインクの塗布基板200上の塗布位置及び塗布量を検査することができる。また、ノズル125から吐出されたインク液滴が、狙った位置からずれて着弾した場合に、隣り合う塗布予定領域15aを狙って塗布されたインク同士が、隔壁15を乗り越えて接触し混ざり合う現象(以下、「インク混合」という。)が発生することがある。上記撮像データにより、インク混合を検出することができる。
制御装置130は、CPU131、記憶部(HDD等の大容量記憶手段を含む)132、表示部(ディスプレイ)133、入力部134を備える。制御装置130は具体的にはパーソナルコンピュータ(PC)である。
記憶部132には、制御装置130に接続された作業テーブル110およびヘッド部120を駆動するための制御プログラム等が格納されている。
インクジェット装置100の駆動時には、CPU131は入力部134を通じてオペレータにより入力された指示と、記憶部132に格納された各制御プログラムに基づいて制御を行う。
また、制御装置130では、ノズルヘッド122に設けられた複数のノズル125を個別に使用(吐出)/不使用(吐出停止)の設定をすることができ、ノズルヘッド122からは使用に設定されたノズル125だけからインクを吐出できるようになっている。
b.有効部211と検査部212
図10に示すように、塗布基板200は、有効部211及び検査部212を有する。有効部211と検査部212とは、X軸方向(行方向)に並んで配置されている。ノズルヘッド122は、塗布基板200上をX軸方向に移動しながらインク液滴を吐出する(図7参照)。言い換えると、ノズルヘッド122の走査方向は、X軸方向である。
有効部211は、上述の各層が形成された後に、検査部212から切り離されて製品として使用されるパネル10となる部分である。検査部212は、インクジェット装置100のノズル125のノズル再現性検査、着弾ずれ検査、インク混合検査などに用いるための部分である。
ノズル再現性検査は、複数のノズル125それぞれからインク液滴を複数回(例えば、10回)吐出し、各ノズル125についてインク液滴着弾位置及びインクの吐出量(インク液滴の体積)のばらつきの大きさを検査し、ばらつきの大きさが所定の閾値以上であるノズル125を特定するものである。特定されたノズル125は、不良ノズル(この場合は、製造時点での不良ノズル)に分類され、不使用に設定される。
また、ばらつきの大きさが所定の閾値に達していなくても、着弾ずれの方向がランダムであるノズルについては、吐出タイミング補正で対応することができないので、不使用に設定してもよい。
着弾ずれ検査は、ノズル再現性検査により不良ノズルに分類されなかったノズル、即ち、正常ノズルとして使用に設定されているノズル125を用いてインク液滴を吐出し、目標着弾位置(狙いの着弾位置)からの実際のインク着弾位置のずれを検査し、ずれの大きさが所定の閾値以上であるノズル125を特定するものである。
インク混合検査は、インク塗布後の塗布基板200の撮像データを解析し、インク混合が発生しているか否かを検査するものである。具体的には、例えば、インク塗布後の塗布基板200の撮像画像における繰り返しパターンの異常を検出することにより、インク混合を検出する。インク混合が発生している場合には、インク混合を発生させたノズル、即ち、インク混合の原因となった箇所にインク液滴を吐出したノズルを特定する。
上記ノズルの特定は、例えば、塗布基板200上における、インク液滴の着弾ずれが所定の閾値以上となった箇所、インク吐出量が所定の閾値以上となった箇所、及びインク混合の発生個所の座標データを、撮影画像から計測し、当該座標位置を通過したノズルを割り出すことにより行うことができる。
図11(a)は、有効部211の塗布予定領域15aにインクが塗布される場合の模式断面図である。図11(b)は、検査部212の塗布予定領域15aにインクが塗布される場合の模式断面図である。なお、両図においては、インク液滴の形状を球形であるとして、その側面視形状を円で表している。また、実線の円で表されるインク液滴222は、実際のインク液滴を示し、破線の円で表されるインク液滴222aは、目標位置Tに着弾する理想的なインク液滴222aを示す。
図11(a)、(b)に示すように、有効部211と検査部212とは、隔壁15の幅(隔壁15の上面のX軸方向における長さ)W1は同じである。しかし、有効部211における塗布予定領域15aの開口幅(隣り合う隔壁15の上面端縁間の距離)G1よりも、検査部212における塗布予定領域15aの開口幅G2の方が小さい。言い換えると、有効部211における副画素ピッチP1よりも、検査部212における副画素ピッチP2の方が小さい。
有効部211においても、検査部212においても、インク液滴222の目標着弾位置Tは、塗布予定領域15aのX軸方向における中央である。
ここで、有効部211における副画素ピッチをP1とすると、有効部211において、目標着弾位置Tから隣接する塗布予定領域15aの縁までの距離E1は、下記の式1で表される。
E1=W1/2+P1/2 (式1)
即ち、目標着弾位置Tから、距離L1ずれた位置までインク液滴が到達すると、隣の塗布予定領域15aに塗布されたインクとの混合が発生することとなる。
また、インク液滴222の半径をr、隔壁15上に着弾したインク液滴の濡れ広がりの大きさをs、目標着弾位置からの実際のインク液滴の着弾位置のずれの大きさをdとすると、目標着弾位置からのインク到達距離Fは、下記の式2で表される。
F=s+r+d (式2)
従って、有効部211において、E1≦Fとなった場合に、インク混合が発生する。
次に、検査部212における副画素ピッチをP2とすると、検査部212において、目標着弾位置Tから隣接する塗布予定領域15aの縁までの距離E2は、下記の式3で表される。
E2=W1/2+P2/2 (式3)
本実施形態に係る塗布基板200では、有効部211の副画素ピッチP1よりも、検査部212の副画素ピッチP2の方が小さい。従って、E2<E1であり、同じ吐出条件でインク塗布を行った場合、有効部211よりも検査部212の方が、インク混合が発生しやすくなっている。
これにより、検査部212でインク混合が発生した場合に、インク混合を引き起こしたノズル125を特定して、対応処理を行うことにより、有効部211でのインク混合発生を未然に防ぐことができる。 ここで、副画素ピッチP1とP2との差(マージン)が大きいほど、検査部212でインク混合が発生しても、有効部211でインク混合が発生する確率は低くなる。逆に、マージンが小さいほど、検査部212でインク混合が発生しなくても、有効部211でインク混合が発生するリスクが高くなる。従って、実際の製品においてインク混合の発生をどの程度許容するのかによって、マージンを決定すればよい。
なお、検査部212における塗布予定領域15aの列は、着弾位置の統計的バラつきを考慮して、例えば10列以上設けられる。より好ましくは30列以上設けられる。この列の数を増やし、1つのノズルから吐出した複数の列のインクの混合を検査することにより、統計的バラつきを考慮して不良ノズルを判断することができる。この列の数は、上述のマージン、インク塗布工程の作業時間、および有効領域における混合発生の確率との兼ね合いにより決められる。
また、上記対応処理としては、例えば、次の3つの処理がある。(1)特定されたノズル125を、不使用(吐出停止)に設定し、以降のインク塗布の際に、当該ノズル125以外のノズル125を用いてインク塗布を行う処理。(2)特定されたノズル125について、目標着弾位置からの実際のインク液滴の着弾位置のずれの大きさdを打ち消すように、インク液滴吐出のタイミングを補正する処理。(3)インクジェット装置を一時停止させ、ノズルヘッド122の吐出面(下面)に付着したインクやゴミ等をスポンジ等で拭き取り、清掃を行う処理。
インク混合を引き起こしたノズル125が特定されると、インク混合発生の原因が何であったのかを特定し、特定された原因に応じた対応処理を行う。例えば、ノズルヘッド122の吐出面において、ノズル125の吐出口の周囲に付着したインクや異物(ゴミ)が原因である場合には、(3)の拭き取り清掃を行う。ここでの異物には、ノズル125の吐出口の周囲に付着して乾燥したインクを含む。例えば、インクの溶媒が徐々に蒸発することによる継時的なインクの粘度上昇が原因である場合には、(2)のインク液滴吐出タイミング補正を行う。そして、上記の何れでもない原因、例えば、ノズル125内部に存在する気泡が原因である場合には、(1)の不使用設定を行う。
なお、インク混合の原因特定に要する時間を節約する場合には、特定されたノズル125に対し、一律に(1)の不使用設定を行ってもよい。例えば、ノズル125の吐出面にインクや異物が付着しているか否かの確認は、インクジェット装置100を一時停止して、作業者が吐出面を目視で確認する必要がある。しかし、一律に不使用設定を行う場合には、原因特定を行わなくても、制御装置130(図8参照)で自動的に瞬時に不使用設定を行うことができるので、インクジェット装置100を一時停止する必要がなく、製造効率の低下を抑制することができる。
c.インク塗布工程
図12は、インクジェット装置100を用いて塗布基板200にインクを塗布する工程を示すフローチャートである。
先ず、ノズル再現性検査及び着弾ずれ検査を行う(ステップS1)。ノズル再現性検査及び着弾ずれ検査は、次のようにして行う。全てのノズル125からインク液滴を複数回吐出し、それぞれのノズル125のそれぞれの回について、吐出されたインク液滴の着弾位置と目標着弾位置とのずれの方向及び大きさ、並びに、吐出されたインク液滴の体積を測定する。着弾ずれの測定は、インク塗布後の基板を、撮像装置123により撮影し、撮影された画像において、各インク液滴の中心と目標着弾位置とのずれの距離を計算するとともに、ずれの方向を読み取って行う。インク液滴体積の測定は、撮像装置123により撮影された画像において、各インク液滴の濡れ広がり面積を計算することにより行う。
そして、インク液滴の着弾ずれ及び体積の少なくとも一方のばらつきの大きさが、所定の閾値以上であるノズル125を、不良ノズルに分類する。不良ノズルは、インク液滴の再現性が低いノズル125であり、安定したインク吐出能を有しない不良品である。
ノズル再現性検査及び着弾ずれ検査は、塗布基板200の検査部212を用いて行ってもよいし、ノズル再現性検査用の基板を別に用いて行ってもよい。
不良ノズルに分類されたノズル125がある場合には(ステップS2:YES)、不良ノズルを不使用に設定する(ステップS3)。不良ノズルに分類されていない使用ノズルのみからインクを吐出し、不良ノズルからインクを吐出しないことにより、インクの塗布精度を向上させ、インクの混合や機能層の形成不良によるショートやリーク、機能層の膜厚むらによる輝度ばらつきの発生などを低減することができる。
続いて、不良ノズルに分類されなかったノズル125について着弾ずれがあるか否かを判断する(ステップS4)。ステップS4においては、ステップS2における不良ノズル判定における閾値(以下、「第1着弾ずれ閾値」という。)よりも小さい所定の閾値(以下、「第2着弾ずれ閾値」という。)以上であるか否かを判断する。実際のインク液滴の着弾位置が目標着弾位置と完全に一致することは、現実にはほとんどないことである。従って、着弾ずれの大きさが許容範囲内、即ち第2着弾ずれ閾値未満であれば、着弾ずれ無しと判断し、第2着弾ずれ閾値以上であれば、着弾ずれありと判断する。
ステップS4で着弾ずれありと判断されたノズル125がある場合、当該ノズル125について吐出タイミング補正の設定を行い(ステップS5)、続いて検査部212及び有効部211にインクを塗布する(ステップS6)。
ステップS4で着弾ずれノズル無しと判断された場合(ステップS4:NO)、ステップS6に進んで検査部212及び有効部211にインクを塗布する。
そして、インク塗布後の検査部212を撮像装置123(図7参照)により撮影し、インク混合が発生しているか否かを検査する(ステップS7)。
インク混合が発生している場合には(ステップS8:YES)、インク混合を引き起こしたノズル125を特定して対応処理を行い(ステップS9)、全塗布基板200に対してインク塗布が終了したか否かを判定する(ステップS10)。ここで、インク塗布対象の塗布基板200の枚数は、ロットごとの製造予定枚数であってもよいし、ノズル再現性検査及び着弾ずれ検査の間隔に基づいて決定された枚数であってもよいし、インク交換その他のメンテナンス作業の間隔に基づいて決定された枚数であってもよい。
ステップS8で、インク混合が発生していない場合には(ステップS8:NO)、全塗布基板200に対してインク塗布が終了したか否かを判定する(ステップS10)。
全塗布基板200に対してインク塗布が終了した場合には(ステップS10:YES)、インク塗布工程を終了する。
全塗布基板200に対してインク塗布が終了していない場合には(ステップS10:NO)、ステップS6に戻り、次の塗布基板200の検査部212及び有効部211にインクを塗布する。以降、ステップS10で全塗布基板200に対してインク塗布が終了したと判定されるまで、ステップS6からステップS10を繰り返す。
以上説明したように、本実施形態におけるインク塗布工程では、インク混合検査を枚葉行い、インク混合が検出されると、インク混合を引き起こしたノズル125を特定し、対応処理を行う。これにより、インク混合を引き起こすようになったノズル125が、そのまま使用され続けることを防ぐことができる。
また、検査部212における距離E2は、有効部211における距離E1よりも小さく設定されているため、有効部211よりも検査部212の方が、よりインク混合が発生しやすくなっている。従って、検査部212でインク混合が発生した時点でその原因となったノズル125を特定して対応処理を行うことにより、有効部211でのインク混合を未然に防ぐことができる。
上記フローチャートにおいては、ステップS6からステップS10が量産工程であり、ステップS1からステップS5は、量産工程の前のメンテナンス工程である。
なお、ステップS10で全塗布基板200に対してインク塗布が終了したと判定された場合、フローを終了せずに、ステップS1に戻り、メンテナンス工程(ステップS1〜S5)を行った後、量産工程(ステップS6〜ステップS10)に移って次のバッチの塗布基板200にインク塗布を行ってもよい。
なお、実施形態1に係る図12のフローチャートに示すインク塗布工程は、例えば、撮像装置123(図7参照)が、ノズルヘッド122(図7参照)と分離して設けられ、それぞれ別々に移動可能な構成の場合に、検査部212のインク混合検査を行っている間に、有効部211に対してインクを塗布することができ、製造効率の面からより効果的である。
また、検査部212のインク混合検査でインク混合が検出されても、当該インク混合を引き起こしたノズル125(図9)は、同一塗布基板200の有効部211へのインク塗布にそのまま使用されることになる。しかしながら、この場合であっても、有効部211よりも検査部212の方が、インク混合が発生しやすい構成となっているため、同一塗布基板200の有効部211でインク混合が即座に発生する確率は十分に低い。
<実施形態2>
実施形態1に係る塗布基板200では、有効部211と検査部212とで、副画素ピッチが異なっていた。しかしこれに限られない。以下、実施形態2に係る塗布基板300について説明する。なお、実施形態1の説明に記載されたものと同じものについては、同じ符号を付して説明を簡略化又は省略する。
実施形態2に係る塗布基板300では、有効部と検査部とで、副画素ピッチは同じである。
図13(a)は、実施形態2に係る塗布基板300の検査部312における塗布予定領域15aにインクが塗布される場合の模式断面図である。なお、塗布基板300の有効部は、実施形態1に係る有効部211(図11(a)参照)と同じであり、即ち、図13(a)に示す実施形態2に係る検査部312と同じ構成である。塗布基板300の検査部312の副画素ピッチP1は、実施形態1に係る塗布基板200の副画素ピッチP1と同じである。
実施形態1では、狙いのインク液滴着弾位置Tは、塗布予定領域15aの開口の中心であった。実施形態2では、塗布予定領域15aの開口の中心をT0とすると、T0からX軸方向に距離Osオフセットした位置T1が、検査部312における狙いのインク液滴着弾位置である。これにより、オフセットOsの分だけ狙いのインク液滴着弾位置T1から隣接する塗布予定領域15aの縁までの距離が短くなる。ここで、実施形態2においても、有効部における狙いのインク液滴着弾位置は、塗布予定領域15aの開口の中心T0であるので、有効部よりも検査部の方が、インク混合が発生しやすくなる。
このように、実施形態2に係る塗布基板300によると、有効部と検査部とで副画素ピッチが同じであるため、隔壁15を形成する際に、有効部と検査部とで同じマスクを使用することができ、製造が容易である。そして、実施形態1と同様に、インク混合の発生を未然に防ぐことができる。
なお、オフセットの方向は、X軸に沿った何れの方向であってもよいが、全てのノズル125についてオフセットの方向が揃っている方が好ましい。例えば、隣り合う2つの塗布予定領域15aに吐出されたインク液滴のオフセットの方向が逆であって、互いに近づく方向である場合には、インク混合がより発生しやすくなり、互いに遠ざかる方向である場合には、インク混合がより発生しにくくなる。このように、オフセットの向きが揃っていない場合には、インク混合の発生を未然に防ぐという目的が適正に達成できなくなる可能性がある。
また、検査部312において、インク液滴吐出は複数回(例えば、10回)行われるが、オフセットの方向を変えて複数回ずつインク液滴吐出を行ってもよい。着弾位置がオフセットとは反対側にずれている場合には、本来であればインク混合を発生させる大きさのずれであるにもかかわらず、インク混合が発生しないために、対応処理が必要なノズルとして検出されない虞がある。オフセットの方向を変えて複数回インク液滴の吐出を行うことにより、上記の場合であっても検出することができる。
<実施形態3>
図13(b)は、実施形態3に係る塗布基板400の検査部412における塗布予定領域15aにインクが塗布される場合の模式断面図である。なお、実施形態1及び実施形態2の説明に記載されたものと同じものについては、同じ符号を付して説明を簡略化又は省略する。また、塗布基板400の有効部は、実施形態1に係る有効部211(図11(a)参照)と同じ構成である。
塗布基板400の検査部312においては、塗布予定領域15aの開口幅G1は、実施形態1に係る検査部212及び実施形態2に係る検査部312の塗布予定領域15aの開口幅G1と同じである。しかし、隔壁415の幅W2は、実施形態1に係る検査部212及び実施形態2に係る検査部312の隔壁15の幅W1よりも小さい。従って、検査部412の副画素ピッチP3は、副画素ピッチP1よりも小さい。これにより、検査部412における目標着弾位置Tから隣接する塗布予定領域15aの縁までの距離E3は、有効部における目標着弾位置Tから隣接する塗布予定領域15aの縁までの距離E1(図11(a)参照)よりも小さくなっている。これにより、実施形態3に係る塗布基板400においても、有効部よりも検査部の方が、インク混合が発生しやすくなっている。従って、塗布基板400によっても、実施形態1及び2と同様に、インク混合の発生を未然に防ぐことができる。
<変形例>
以上、本開示の一態様として、実施形態1、2、3に基づいて説明したが、本開示は、その本質的な特徴的構成要素を除き、以上の説明に何ら限定を受けるものではない。以下では、本開示の他の態様例として、塗布基板の変形例及びインク塗布工程の変形例を説明する。なお、以下において、実施形態1、2、3の説明に記載されたものと同じものについては、同じ符号を付して説明を簡略化又は省略する。
(1)図14(a)は、変形例1に係る塗布基板500の模式平面図である。塗布基板500は、有効部211及び検査部512を有し、有効部211と検査部512とは、X軸方向に並んで配列されている。検査部512は、検査部分512a、512b、512cを有する。検査部分512a、512b、512cは、X軸方向に並んで配列されている。
検査部分512a、512b、512cには、それぞれ異なるインクが塗布される。例えば、検査部分512aの塗布予定領域15aには、正孔輸送層16Aの材料を含むインクが塗布され、検査部分512bの塗布予定領域15aには、有機発光材料を含むインクが塗布される。検査部分512cの塗布予定領域15aには、例えば、インターレイヤーをインクジェットによる塗布法で形成する場合には、インターレイヤーの材料を含むインクが塗布される。
このように、変形例1に係る塗布基板500は、複数の検査部分を有しているので、複数種類の層をインクジェットによる塗布法で形成する場合に、それぞれの層の材料を含むインクを、別々の検査部分に塗布することができる。例えば、検査部が複数の検査部分を有さず、1つの検査部に複数種類の層を重ねて形成する場合、下の層に生じたインク混合の上に次の層が形成され、画像解析において、下の層のインク混合が透けて見え、上の層にインク混合が生じていると誤って判断される虞がある。変形例1に係る塗布基板500によると、そのようなご判断のリスクを低減し、より精度高くインク混合を防止することができる。
(2)図14(b)は、変形例2に係る塗布基板600の模式平面図である。塗布基板600は、有効部211及び検査部612を有し、有効部211と検査部612とは、X軸方向に並んで配列されている。検査部612は、検査部分612a及び612bを有する。検査部分612a及び612bは、X軸方向に並んで配列されている。検査部分612aは、検査部分612bよりも、インク混合がより発生しやすく設定されている。例えば、検査部分612aでは、検査部分612bよりも副画素ピッチが小さく設定されている。これにより、インク混合の発生しやすさを複数段階で設定することができ、インク混合が発生した場合に、段階によって異なる対応処理を行うことができる。例えば、検査部分612aでインク混合が発生し、検査部分612bではインク部分が発生していない場合には、インク混合発生の原因の特定を行わずに、一律に不使用設定の対応処理を行い、検査部分612bでインク混合が発生した場合には、インク混合発生の原因が何であったのかを特定し、特定された原因に応じた対応処理を行ってもよい。
また、隔壁の幅を変えることによって、或いは、オフセットOsの大きさを変えることによって、上記インク混合の発生しやすさを複数段階で変えてもよい。
さらに、インクによって濡れ広がりの大きさsやインク液滴の半径rが異なる場合、即ち、機能性材料の種類によって又は溶媒の種類によって濡れ広がりの大きさsやインク液滴の半径rが異なる場合、それぞれのインクに応じて、副画素ピッチ、隔壁幅、オフセットOsを変えてもよい。
(3)図12のフローチャートに示す実施形態1に係る有機EL表示パネルの製造方法におけるインク塗布工程では、検査部212と有効部211にインクを塗布した後に、検査部212に対しインク混合検査を行う方法について説明した。この場合、インク混合が発生し、対応処理がなされても、それが適用されるのは、次の塗布基板からである。即ち、検査部212にインク混合が発生した同一塗布基板の有効部211に対するインク塗布には、対応処理前のノズルが使用されている。
変形例3では、検査部にのみインク塗布を行った後にインク混合検査を行い、インク混合が発生した場合には、対応処理を行ってから、同一塗布基板の有効部に対しインク塗布を行う。
図15は、変形例3に係る有機EL表示パネルの製造方法におけるインク塗布工程を示すフローチャートである。図12のフローチャートと同じ内容のステップには、同一の符号を付し、説明を省略する。なお、ここでは、実施形態1の塗布基板200を用いた場合を例に説明する。
ステップS1からステップS4は、図12のフローチャートと同じであるので、ここでは、説明を省略する。
ステップS5で吐出タイミング補正を行った後、検査部212の塗布予定領域15aに、インクを塗布する(ステップS21)。
ステップS4で、着弾ずれノズル無しと判断された場合(ステップS4:NO)、ステップS21に進んで検査部212にインクを塗布する。
ステップS7からステップS9は、図12のフローチャートと同じであるので、ここでは、説明を省略する。
ステップS9で、対応処理を行った後、有効部211の塗布予定領域15aにインクを塗布する(ステップS22)。
ステップS8で、インク混合が発生していない場合には(ステップS8:NO)、有効部211の塗布予定領域15aにインクを塗布する(ステップS22)。
ステップS22で有効部211に対してインクを塗布した後、全塗布基板200に対してインク塗布が終了したか否かを判定する(ステップS10)。
全塗布基板200に対してインク塗布が終了した場合には(ステップS10:YES)、インク塗布工程を終了する。
全塗布基板200に対してインク塗布が終了していない場合には(ステップS10:NO)、ステップS21に戻り、次の塗布基板200の検査部212にインクを塗布する。以降、ステップS10で全塗布基板200に対してインク塗布が終了したと判定されるまで、ステップS21からステップS10を繰り返す。
本変形例のインク塗布工程によると、1枚の塗布基板200にインクを塗布する際に、先ず検査部212にのみインクを塗布してインク混合検査を行い、インク混合が発生していれば、対応処理を行ってから同一塗布基板200の有効部211に対しインクを塗布する。従って、インク混合を引き起こしたノズル125(図9参照)に対して即座に対応処理がなされることとなり、製品として使用される有効部211に対するインク塗布の際に、対応処理がされないままのノズル125が使用されることがない。これにより、インク混合による不良品の発生を、より確実に防ぐことができる。
(4)上記各実施形態および各変形例では、塗布基板200のインク混合検査を枚葉行う構成について説明したが、これに限られない。例えば、塗布基板200のインク混合検査を、数枚ごとに行ってもよい。この場合であっても、検査部は有効部よりもインク混合が発生しやすい構成となっているため、インク塗布を数枚行う間に有効部でインク混合が発生する確率は十分に低く、インク混合の発生を十分に抑制することができる。
(5)上記各実施形態及び各変形例では、塗布基板200がラインバンクを有する場合について説明したが、これに限られず、本開示の一態様に係る有機EL表示パネルの製造方法及び塗布基板の構成は、ピクセルバンクにも適用可能である。
(6)実施形態1では、パネル10の製造方法において、インクジェット法、すなわち複数のノズル125による塗布予定領域15aへのインク塗布によって形成した機能層は、正孔輸送層16A、有機発光層16Bであったが、当該機能層はこれに限られない。パネル10の製造方法においては、少なくとも一つの機能層が、インクジェット法により形成されればよく、当該機能層は、有機発光層、正孔・電子注入層、正孔・電子輸送層、正孔・電子阻止層、バッファ層などのいずれであってもよい。また、インクジェット法により形成する機能層は、副画素SPR、SPG、SPBごとに一つであってもよいし三つ以上であってもよい。例えば、当該機能層を正孔輸送層及び有機発光層の一方のみとし、他方は乾式プロセスを用いて形成してもよい。この際、乾式プロセスで形成する機能層の形状は任意であって、例えば、副画素ごと又は塗布予定領域ごとに独立して形成されてもよいし、複数の副画素又は複数の塗布予定領域に共有されるように形成されてもよい。また、例えば、当該機能層を有機発光層16Bのみとし、正孔輸送層16Aは形成しない構成であってもよい。さらに、例えば、正孔注入層13や電子輸送層17が湿式プロセスを用いて塗布予定領域15aに形成される構成であってもよい。
(7)パネル10の製造方法では、副画素列LR、LG、LBに、それぞれ赤色、緑色、青色に発光する有機発光材料を含む有機発光層16Bを形成する3色塗り分け方式を採用したが、フルカラーの対応方法はこれに限られない。例えば、副画素列LR、LG及びLBに青色に発光する有機発光材料を含む有機発光層を形成し、その上方に、蛍光層などの波長変換層を配置して、副画素列LRでは青色の発光を赤色に、副画素列LGでは青色の発光を緑色に変換する波長変換方式を採用してもよい。また、例えば、上記において波長変換層の代わりにカラーフィルタ層を配置してもよい。
(8)上記各実施形態及び各変形例では、塗布基板は、その上面を長方形状としたが、これに限定されず、例えば、三角形、正方形、五角形などの多角形、円形、楕円形、またはこれらを組み合わせた形状であってもよい。また、有効部並びに検査部及び検査部分の形状についても、同様である。さらには、1枚の塗布基板に含まれる有効部並びに検査部及び検査部分の個数及び配置についても、上記各実施形態及び各変形例に示された個数及び配置に限られない。
(9)実施形態1に係るパネル10では、赤色、緑色、青色にそれぞれ発光する副画素SPR、SPG、SPBが配列されていたが、副画素の組み合わせはこれに限られず、例えば赤1色や、赤色、緑色、青色及び黄色の4色であってもよい。また、一つの画素Pにおいて、副画素は1色あたり1個に限られず、例えば青色の副画素SPBが2つなど、各色の副画素が複数配置されてもよい。また、画素Pにおける副画素の配列は、赤色、緑色、青色の順番に限られず、これらを入れ替えた順番であってもよい。
(10)実施形態1に係るパネル10では、第1電極12を陽極、第2電極18を陰極としたが、これに限られず、第1電極を陰極、第2電極を陽極とする逆構造であってもよい。
(11)実施形態1に係るパネル10では、塗布予定領域15aに、有機EL素子を形成したが、一部において、第2電極18が有する抵抗成分による電圧降下の影響を低減するためのバスバー(補助電極)を形成してもよい。
(12)実施形態1に係るパネル10は、トップエミッション型かつアクティブマトリクス方式の有機EL表示パネルとしたが、これに限られず、例えばボトムエミッション型又はパッシブマトリクス方式を採用してもよい。
(13)上記各実施形態及び各変形例における有機EL表示パネルの製造方法におけるインク塗布工程を、有機EL表示パネルの製造方法におけるインクジェット装置のノズル検査方法として実施することもできる。
本開示に係る有機EL表示パネルの製造方法、有機EL表示パネル製造用基板、及び有機EL表示パネルの検査方法は、テレビ、パーソナルコンピュータ、携帯端末、業務用ディスプレイなど様々な電子機器に用いられる表示パネルの製造方法として広く利用することができる。
10 有機EL表示パネル
11 基板
12 第1電極(電極)
15、415 隔壁
15a 塗布領域
125 ノズル
200、300、400、500、600 塗布基板
211 有効部
212、312、412、512、612 検査部
222 インク液滴
512a、512b、512c、612a、612b 検査部分
T、T0 目標着弾位置
副画素ピッチ P1、P2、P3

Claims (17)

  1. 塗布基板における行方向に互いに間隔をあけて並設された列方向に複数の隔壁間の塗布予定領域に対し、機能性材料が溶媒に溶解されたインクの液滴を複数のノズルから吐出して、複数条の機能性材料層を形成する方法であって、
    前記塗布基板は、機能性材料層を機能させる有効部のほかに、当該有効部と同様に複数の隔壁及びその隔壁間に塗布予定領域を有する検査部を有し、
    前記検査部に対して前記インクの液滴の吐出を行うインク吐出工程と、
    前記検査部に吐出されたインクの塗布状態を検査する検査工程であって、隣り合う2つの前記塗布予定領域に塗布された前記インクの混合が発生していることを検査する検査工程と、を有し、
    各塗布基板は、前記検査部が前記有効部よりも前記インクの混合が生じやすいパターンである
    ことを特徴とする機能性材料層形成方法。
  2. 複数の前記隔壁間の行方向におけるピッチは、前記有効部よりも、前記検査部の方が狭いことを特徴とする
    請求項1に記載の有機EL表示パネルの製造方法。
  3. 前記塗布予定領域の行方向の幅が、前記有効部よりも前記検査部の方が狭い
    請求項2に記載の有機EL表示パネルの製造方法。
  4. 前記隔壁の行方向の幅が、前記有効部よりも前記検査部の方が狭い
    請求項2又は3に記載の有機EL表示パネルの製造方法。
  5. 前記検査部は、前記有効部に行方向に隣接して配置されている
    請求項1から4の何れか1項に記載の機能性材料層形成方法。
  6. 前記検査部は、複数の前記塗布予定領域を有する検査部分を複数有し、
    複数の前記検査部分は、行方向に配列されている
    請求項1から5の何れか1項に記載の機能性材料層形成方法。
  7. 前記機能性材料は、複数種類であり、
    前記インクを、複数の前記検査部分に種類ごとに塗布する
    請求項6に記載の機能性材料層形成方法。
  8. 前記インクの混合の発生しやすさが複数の前記検査部分ごとに異なるように前記複数の隔壁及びその隔壁間に塗布予定領域のパターンが形成されていることを特徴とする
    請求項6又は7に記載の機能性材料層形成方法。
  9. 塗布基板における行方向に互いに間隔をあけて並設された列方向に複数の隔壁間の塗布予定領域に対し、機能性材料が溶媒に溶解されたインクの液滴を複数のノズルから吐出して、複数条の機能性材料層を形成する方法であって、
    前記塗布基板は、機能性材料層を機能させる有効部のほかに、当該有効部と同様に複数の隔壁及びその隔壁間に塗布予定領域を有する検査部を有し、
    前記検査部に対して前記インクの液滴の吐出を行うインク吐出工程と、
    前記検査部に吐出されたインクの塗布状態を検査する検査工程であって、隣り合う2つの前記塗布予定領域に塗布された前記インクの混合が発生していることを検査する検査工程と、を有し、
    前記インク吐出工程において、前記検査部における前記インクの液滴の目標着弾位置を、前記塗布予定領域の行方向における中心から行方向にずらすことを特徴とする機能性材料層形成方法。
  10. 前記塗布状態の検査は、前記インクの液滴吐出後の前記検査部を撮像装置により撮影し、前記撮像された画像における繰り返しパターンの異常を検出することにより前記インクの混合を検出する
    請求項1から9の何れか1項に記載の機能性材料層形成方法。
  11. 前記インクの混合が発生している前記検査部分に前記インクの液滴を吐出した前記ノズルを特定し、前記特定されたノズルに対して、前記特定されたノズルを吐出停止に設定する処理、前記特定されたノズルのインク吐出タイミングを補正する処理、及び前記特定されたノズルのインク吐出口周囲の清掃処理のうち、少なくともいずれか1つの処理を行うことを特徴とする
    請求項1から10の何れか1項に記載の能性材料層形成方法。
  12. 行方向に互いに間隔をあけて並設された列方向に長尺な複数の隔壁間の塗布予定領域に対し、機能性材料が溶媒に溶解されたインクの液滴を複数のノズルから吐出して、複数条の発光領域を有する有機EL表示パネルが形成される予定の有効部と、前記有効部と同様に、複数の隔壁及びその隔壁間に塗布予定領域を有する検査部とを有し、
    複数の前記隔壁間の行方向におけるピッチは、前記有効部よりも、前記検査部の方が狭い
    有機EL表示パネル製造用基板。
  13. 前記塗布予定領域の行方向の幅が、前記有効部よりも前記検査部の方が狭い
    請求項12に記載の有機EL表示パネル製造用基板。
  14. 前記隔壁の行方向の幅が、前記有効部よりも前記検査部の方が狭い
    請求項12又は13に記載の有機EL表示パネル製造用基板。
  15. 前記検査部は、前記有効部に行方向に隣接して配置されている
    請求項12に記載の有機EL表示パネル製造用基板。
  16. 前記検査部は、複数の前記塗布予定領域を有する検査部分を複数有し、
    複数の前記検査部分は、行方向に配列されている
    請求項14から15に記載の有機EL表示パネル製造用基板。
  17. 複数の前記隔壁間の行方向における間隔は、複数の前記検査部分ごとに異なる
    請求項16に記載の有機EL表示パネル製造用基板。
JP2016235011A 2016-12-02 2016-12-02 有機el表示パネルの製造方法、有機el表示パネル製造用基板、及び有機el表示パネルの製造におけるノズルの検査方法 Pending JP2018092788A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016235011A JP2018092788A (ja) 2016-12-02 2016-12-02 有機el表示パネルの製造方法、有機el表示パネル製造用基板、及び有機el表示パネルの製造におけるノズルの検査方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016235011A JP2018092788A (ja) 2016-12-02 2016-12-02 有機el表示パネルの製造方法、有機el表示パネル製造用基板、及び有機el表示パネルの製造におけるノズルの検査方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018092788A true JP2018092788A (ja) 2018-06-14

Family

ID=62564568

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016235011A Pending JP2018092788A (ja) 2016-12-02 2016-12-02 有機el表示パネルの製造方法、有機el表示パネル製造用基板、及び有機el表示パネルの製造におけるノズルの検査方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018092788A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022181351A1 (ja) * 2021-02-24 2022-09-01 東レ株式会社 積層体、表示装置、および表示装置の製造方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010134550A1 (ja) * 2009-05-20 2010-11-25 旭硝子株式会社 光学素子の製造方法
JP2011065856A (ja) * 2009-09-17 2011-03-31 Panasonic Corp 有機el素子の製造方法
JP2015160153A (ja) * 2014-02-26 2015-09-07 パナソニック株式会社 塗布製品の量産方法
JP2015171673A (ja) * 2014-03-11 2015-10-01 パナソニック株式会社 液滴吐出装置の吐出口検査方法、液滴吐出装置の検査方法およびデバイスの製造方法
WO2016047144A1 (ja) * 2014-09-25 2016-03-31 株式会社Joled 有機el表示パネルの製造方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010134550A1 (ja) * 2009-05-20 2010-11-25 旭硝子株式会社 光学素子の製造方法
JP2011065856A (ja) * 2009-09-17 2011-03-31 Panasonic Corp 有機el素子の製造方法
JP2015160153A (ja) * 2014-02-26 2015-09-07 パナソニック株式会社 塗布製品の量産方法
JP2015171673A (ja) * 2014-03-11 2015-10-01 パナソニック株式会社 液滴吐出装置の吐出口検査方法、液滴吐出装置の検査方法およびデバイスの製造方法
WO2016047144A1 (ja) * 2014-09-25 2016-03-31 株式会社Joled 有機el表示パネルの製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022181351A1 (ja) * 2021-02-24 2022-09-01 東レ株式会社 積層体、表示装置、および表示装置の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6387580B2 (ja) 有機el表示パネルの製造方法
CN103026789B (zh) 有机el显示面板的制造方法以及有机el显示面板的制造装置
JP6311794B2 (ja) 有機el表示装置の製造方法および有機el表示装置
US11228005B2 (en) Organic el display panel having dummy light emitting layers and method for manufacturing organic el display panel having dummy light emitting layers
KR101661366B1 (ko) 유기 el 표시 패널과 그 제조 방법
JP6976571B2 (ja) 有機el表示パネルの製造方法、及び有機el表示パネル
US9299959B2 (en) Inkjet device and manufacturing method for organic el device
JP2016110943A (ja) 有機el表示パネル及びその製造方法
JP6336044B2 (ja) 有機el表示パネルの製造方法
US20170162638A1 (en) Method for manufacturing organic el display panel
JP2010277944A (ja) 有機elディスプレイパネルおよびその製造方法
JP2006038987A (ja) 表示装置、表示装置の製造方法、電子機器
JP2019125501A (ja) 有機el表示パネル及びその製造方法
JP4466115B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス装置、有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法、及び電子機器
JP6688909B2 (ja) 有機el表示パネルの製造方法、及びインク乾燥装置
US20220254846A1 (en) Organic el display panel and method for manufacturing organic el display panel
JP2011044340A (ja) 有機el素子の製造方法
JP2018092788A (ja) 有機el表示パネルの製造方法、有機el表示パネル製造用基板、及び有機el表示パネルの製造におけるノズルの検査方法
JP2008066054A (ja) 電気光学装置およびその製造方法
JP2012252983A (ja) 有機el表示パネルの製造方法、カラーフィルターの製造方法、有機el表示パネルの製造装置および有機el表示パネル
KR20150075135A (ko) 유기전계발광 표시장치 및 그 제조 방법
JP2018125092A (ja) 機能層の形成方法、及び機能層形成用基板
JP2020017466A (ja) 有機el表示パネルの製造方法
JP6083589B2 (ja) インクジェット装置および有機el表示パネルの製造方法
JP2016110945A (ja) 有機el表示パネルの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20170329

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191202

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20201110

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201124

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20210525