以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
図1は、本発明の実施形態に係る医療情報記憶装置を示す外観図である。図1に示す医療情報記憶装置1は、例えばパーソナルコンピュータの1機能として実現されるものであり、医療情報を記憶させるものである。医療情報とは、患者の身体の状態又は医療対応に関する複数の個別情報の集合によって構成される。患者の身体の状態とは、診断名、問診回答、医師の所見、検査値等が該当する。医療対応とは、注射、点滴、処方薬、リハビリ、処置、手術法等が該当する。
本実施形態において医療情報記憶装置1は、医療情報を記憶するほか、後述の病態判断機能部B、病名診断機能部C、及び医療情報検索機能部Dを備え、医師の診察の支援等を行うことができる構成となっている。このような医療情報記憶装置1は、キーボードKやマウスMなどの入力手段を備え、入力手段に対する操作等を経て複数の個別情報を複数の階層に分けて記憶させることとなる。
なお、以下では医療情報記憶装置1をパーソナルコンピュータの1機能として説明するが、これに限らず、複数台のパーソナルコンピュータやサーバとがネットワーク接続されたシステムによって医療情報記憶装置1が構成されていてもよい。
図2は、本実施形態に係る医療情報記憶装置1を示すハード構成図である。図2に示すように、医療情報記憶装置1は、CPU(Central Processing Unit)10と、ディスプレイ20と、通信I/F(Interface)部30と、HDD(Hard DiskDrive)50とを備えている。
CPU10は、本実施形態に係る医療情報記憶装置1の全体を制御するものであり、図2に示すようにROM(Read Only Memory)10aとRAM(Random Access Memory)10bとを備えている。ROM10aは、医療情報記憶装置1を機能させるためのプログラム(医療情報記憶プログラム)が記憶された読み出し専用のメモリである。RAM10bは、各種のデータを格納すると共にCPU10の処理作業に必要なエリアを有する読み出し書き込み自在のメモリである。
ディスプレイ20は、キーボードKやマウスMの操作による入力画像を表示したり、医療情報記憶装置1により診断された病名を表示したりするものである。通信I/F部30は、他の装置と通信するためのインターフェースである。後述する各記憶領域MA〜MCに記憶される内容は、この通信I/F部30を通じて他の装置から取得するようになっていてもよい。
HDD50は、パーソナルコンピュータに接続される補助記憶機器である。このHDD50には、ROM10aと同様に、医療情報記憶装置1を機能させるための医療情報記憶プログラムが記憶されていてもよい。すなわち、CPU10は、HDD50に記憶されるプログラムに従って、本実施形態に係る医療情報記憶装置1の各機能を実現するようになっていてもよい。なお、可能であればHDDに代えて又は加えてUSB等を備えていてもよい。
図3は、本実施形態に係る医療情報記憶装置1を示すソフト構成図である。図3に示すように、CPU10は、医療情報記憶機能部Aと、病態判断機能部Bと、病名診断機能部Cと、医療情報検索機能部Dとを備えている。また、医療情報記憶装置1は、ROM10aやHDD50内に、第1記憶領域MAと、第2記憶領域MBと、第3記憶領域MCとを備えている。
第1記憶領域MAには、医療情報記憶機能部Aが機能するために必要となる各種データが記憶されており、第2記憶領域MBには、病態判断機能部Bが機能するために必要となる各種データが記憶されており、第3記憶領域MCには、病名診断機能部Cが機能するために必要となる各種データが記憶されている。また、第1記憶領域MAには、医療情報検索機能部Dにより検索される医療情報についても記憶される。以下、各部を詳細に説明する。
医療情報記憶機能部Aは、医療情報を記憶させる機能部であって、医療情報を記憶させるにあたり、医療情報を構成する複数の個別情報を階層に分けて記憶させるものである。病態判断機能部Bは、操作者(例えば医師又は医師により指示を受けた看護師)からの入力情報に基づいて病名の候補を判断するものである。病名診断機能部Cは、医師による病名の診断に用いられ、候補となる病名が入力された場合に絞り込みを行って病名を確定するものである。医療情報検索機能部Dは、医療情報記憶機能部Aにより階層付けられて記憶された複数の個別情報から特定の個別情報を検索するものである。
図4は、図3に示した医療情報記憶機能部Aと第1記憶領域MAの詳細を示す構成図である。図4に示すように、医療情報記憶機能部Aは、ROM10aやHDD50に記憶される医療情報記憶プログラムを実行することにより、入力部(入力手段)A1と、付与部(付与手段)A2と、記憶制御部(記憶制御手段)A3とが機能する。また、第1記憶領域MAは、テンプレート記憶部MA1と、医療情報記憶部(記憶手段)MA2とを備えている。
入力部A1は、複数の個別情報を入力するものである。この入力部A1は、病態判断機能部B及び病名診断機能部Cからの情報、並びに、医師等により直接文字入力された情報や選択肢形式で入力された情報を、複数の個別情報として入力するものである。次に、入力部A1が入力する情報を明確化するために、医療情報記憶機能部Aの詳細を説明するに先立って、病態判断機能部B及び病名診断機能部Cからの情報、並びに、医師等により例えば選択肢形式で直接入力された情報を説明する。
図5は、図3に示した病態判断機能部Bと第2記憶領域MBの詳細を示す構成図である。
病態判断機能部Bは、ROM10aやHDD50に記憶されるプログラムを実行することにより、表示制御部B1、症状結果判断部B2、及び病名候補判断部B3が機能する。また、図5に示すように、第2記憶領域MBは、症状項目記憶部MB1と、質問内容記憶部MB2と、選択肢記憶部MB3と、症状結果テーブル記憶部MB4と、病名候補テーブル記憶部MB5とを有している。
図5に示す症状項目記憶部MB1は、予め定められた複数の症状項目を記憶するものである。図6は、図5に示した症状項目記憶部MB1の記憶内容を示す概念図である。図6に示すように、症状項目記憶部MB1には、X個(ここでのXは2以上の整数であって、図6に示す例では少なくとも22以上の整数)の症状項目を記憶している。症状項目とは、病名の候補を判断する対象者に発生している異常を示す項目であり、例えば「熱がある」「咳が出る」「痰が出る」「頭痛がする」「乳房に痛みがある」「関節に痛みがある」「下痢である」「便秘である」「鼻水が出る」「痙攣した」などである。
さらに、症状項目記憶部MB1は、それぞれの症状項目を属性区分と関連付けて記憶している。ここで、属性区分とは年齢及び性別による区分け(属性情報の区分け)であって、本実施形態では5つの属性区分が設定されている。本実施形態に係る医療情報記憶装置1では、年齢及び性別を示す属性情報をキーボードKやマウスMへの操作を通じて医療情報記憶装置1に入力できるようになっている。医療情報記憶装置1は、入力された年齢及び性別から、5つの属性区分のいずれに属するかを判断する。
5つの属性区分は、例えば「0〜11ヶ月(第1区分)」「1歳〜3歳(第2区分)」「4歳〜12歳(第3区分)」「13歳以上男性(第4区分)」「13歳以上女性(第5区分)」からなる。症状項目記憶部MB1は、それぞれの症状項目を、これら5つの属性区分と対応付けて記憶している。具体的に16個目の症状項目である「頭痛がする」については、「0〜11ヶ月」について「−」、「1歳〜3歳」について「−」、「4歳〜12歳」について「○」、「13歳以上男性」について「○」、「13歳以上女性」について「○」と記憶している。同様に17個目の症状項目である「乳房に痛みがある」については、「0〜11ヶ月」について「−」、「1歳〜3歳」について「−」、「4歳〜12歳」について「−」、「13歳以上男性」について「−」、「13歳以上女性」について「○」と記憶している。
なお、本実施形態において属性情報とは年齢及び性別の双方を意味するが、これに限らず、年齢又は性別のいずれか一方であってもよい。また、いずれか一方である場合、属性区分が図6に示すものと異なることはいうまでもない。
再度、図5を参照する。質問内容記憶部MB2は、複数の症状項目のそれぞれに設定された質問内容を記憶したものである。図7は、図5に示した質問内容記憶部MB2の記憶内容を示す概念図である。図7に示すように、質問内容記憶部MB2は、図6に示した複数の症状項目のそれぞれに対して定量質問、定性質問及び時間質問の3種類の質問を記憶している。
ここで、定量質問とは量を問う質問である。すなわち、定量質問とは、回数、温度、頻度などの量そのものが回答となる質問であって、例えば「1日の咳の回数は何回か。」「熱は何度か。」などの質問である。
また、時間質問とは時間を問う質問である。すなわち、時間質問とは、何日前や何時頃などの時間(時間、時刻、間隔及び期間を含む)そのものが回答となる質問であって、例えば「熱が出たのは何日前か。」「咳が最もひどくなる時間帯はいつか。」などの質問である。
また、定性質問とは性質を問う質問である。より詳細に定性質問とは、症状の性質を問うものであり、広義には回答が量でも時間でもないものとなる質問である。例えば「乾いた咳か。」「痰は何色か。」などは定性質問である。
なお、症状項目のそれぞれには、1又は複数個の定量質問、定性質問及び時間質問が設定されている。
例えば質問内容記憶部MB2は、「熱がある」の症状項目に対して、「現在の熱は何度か?」「何度まであがったか?」という2つの定量質問を記憶している。また、質問内容記憶部MB2は、「熱がある」の症状項目に対して、「明け方に熱は下がるか?」という1つの定性質問、及び、「熱が出始めたのかいつか?」という1つの時間質問を記憶している。質問内容記憶部MB2は、他の症状項目についても同様に、1又は複数個の定量質問、定性質問及び時間質問を記憶している。
再度、図5を参照する。選択肢記憶部MB3は、複数の症状項目それぞれの定量質問、定性質問、及び時間質問に対する回答を選択させるための選択肢を記憶している。また、選択肢記憶部MB3は、属性区分に応じた選択肢を記憶している。
図8及び図9は、図5に示した選択肢記憶部MB3の記憶内容の一例を示す概念図であり、図8は属性区分が13歳以上の男性及び女性であるときの選択肢の例を示し、図9は属性区分が12歳以下であるときの選択肢の例を示している。なお、図8及び図9に示す例では第1〜第3区分で共通の選択肢となっており、且つ、第4及び第5区分で共通の選択肢となっているが、これに限らず、選択肢記憶部MB3は、属性区分それぞれにおいて異なる選択肢を記憶しておいてもよい。
図8に示すように、選択肢記憶部MB3は、属性区分が13歳以上の男性及び女性であるときの選択肢を記憶している。例えば「熱がある」という症状項目の定量質問1(「現在の熱は何度か?」)においては、「37.0℃以上37.5℃未満」を第1選択肢として記憶し、「37.5℃以上38.5℃未満」を第2選択肢として記憶し、「38.5℃以上」を第3選択肢として記憶している。
同様に、選択肢記憶部MB3は、例えば「咳が出る」という症状項目の定性質問1(「咳の後の呼吸は?」)においては、「「ヒュー」という呼吸音がする」を第1選択肢として記憶し、「「ゼェゼェ」いう」を第2選択肢として記憶している。
また、図9に示すように、選択肢記憶部MB3は、属性区分が12歳以下であるときの選択肢を記憶している。例えば「熱がある」という症状項目の定量質問1(「現在の熱は何度か?」)においては、「37.0℃以上38.5℃未満」を第1選択肢として記憶し、「38.5℃以上39.5℃未満」を第2選択肢として記憶し、「39.5℃以上」を第3選択肢として記憶している。
同様に、選択肢記憶部MB3は、例えば「咳が出る」という症状項目の定性質問1(「咳の後の呼吸は?」)においては、「「ヒュー」という呼吸音がする」を第1選択肢として記憶し、「「ゼェゼェ」いう」を第2選択肢として記憶し、「呼吸自体が困難となる」を第3選択肢として記憶している。
再度図5を参照する。症状結果テーブル記憶部MB4は、症状ごとの結果を判断するための症状結果テーブルを記憶したものである。この症状結果テーブルは、定量質問、定性質問及び時間質問のそれぞれで選択された選択肢と、症状毎の結果との対応関係を記憶したものである。症状結果テーブル記憶部MB4は、選択肢記憶部MB3と同様に、属性区分に応じた対応関係の症状結果テーブルを記憶している。
図10及び図11は、図5に示した症状結果テーブル記憶部MB4の記憶内容の一例を示す概念図であり、図10は属性区分が13歳以上の男性及び女性であるときの症状結果テーブルの例を示し、図11は属性区分が12歳以下であるときの症状結果テーブルの例を示している。なお、図10及び図11に示す例では第1〜第3区分で共通の症状結果テーブルとなっており、且つ、第4及び第5区分で共通の症状結果テーブルとなっているが、これに限らず、症状結果テーブル記憶部MB4は、属性区分それぞれにおいて異なる症状結果テーブルを記憶しておいてもよい。また、図10及び図11では1つの症状項目(例えば「熱がある」)についての症状結果テーブルを示しているが、症状結果テーブルは1つに限らず、症状項目それぞれに対して症状結果テーブル記憶部MB4が症状結果テーブルを記憶している。
まず、上記したように、「熱がある」の症状項目については、2つの定量質問と、1つの定性質問と、1つの時間質問とが設定されていた。また、2つの定量質問と1つの時間質問とには、それぞれ3つの選択肢が設けられ、1つの定性質問には2つの選択肢が設けられていた。
このため、回答パターンについては、3×3×2×3=54パターンが存在することとなる。症状結果テーブル記憶部MB4は、54の回答パターンに対する結果(A1〜A54)を対応付けて記憶している。具体的に属性区分が13歳以上の男性及び女性であるとき、図10に示すように、定量質問1、定量質問2、定性質問1及び時間質問1で回答選択された選択肢が全て第1選択肢(図中においては「1」と記載)であった場合については、結果「A1」が対応付けて記憶されている。同様に定量質問1、定量質問2、及び定性質問1で回答選択された選択肢が第1選択肢であり、時間質問1で回答選択された選択肢が第3選択肢(図中においては「3」と記載)であった場合については、結果「A3」が対応付けて記憶されている。
なお、結果「A1」から「A54」のそれぞれは、異なる内容であってもよいし、一部共通する内容のものがあってもよい。また、結果「A1」から「A54」のそれぞれには、病態の情報として、重篤度や症状の発生原因箇所(例えば症状が「咳が出る」である場合の発生原因箇所としては気管支や気管)などの情報を含むものとなっている。
また、属性区分が12歳以下であるとき、図11に示すように、定量質問1、定量質問2、定性質問1及び時間質問1で回答選択された選択肢が全て第1選択肢であった場合については、例えば結果「A4」が対応付けて記憶されている。同様に定量質問1、定量質問2、及び定性質問1で回答選択された選択肢が第1選択肢であり、時間質問1で回答選択された選択肢が第3選択肢(図中においては「3」と記載)であった場合については、結果「A5」が対応付けて記憶されている。
このように、同じ選択肢が回答選択された場合であっても、属性区分によっては結果が異なることがある(もちろん同じときもある)。
再度図5を参照する。病名候補テーブル記憶部MB5は、症状毎の結果に対して病名の候補が割り当てられたものである。図12は、図5に示した病名候補テーブル記憶部MB5の記憶内容の一例を示す概念図であり、通常候補テーブルを示している。また、図13は、図5に示した病名候補テーブル記憶部MB5の記憶内容の一例を示す概念図であり、特定候補テーブルを示している。
図12に示すように、通常候補テーブル(病名候補テーブル)は、症状項目ごとに記憶される症状結果テーブルが示す結果それぞれと、病名の候補とを対応させたものであり、例えば、「熱がある」の結果がA1であった場合には、病名の候補として病名α,β,γ,δ,εが割り当てられており、結果がA2であった場合には、病名の候補として病名β,γ,ε,ζ,φが割り当てられている。他の結果A3〜A54についても同様に病名の候補が割り当てられている。加えて、病名候補テーブルは、図12に示すように、「咳が出る」の結果B1〜B44についても同様に病名の候補が割り当てられている。すなわち、他の症状項目の結果それぞれについて病名の候補が割り当てられている。
さらに、図13に示す特定候補テーブル(病名候補テーブル)は、特定の症状毎の結果と病名の候補とを対応させたテーブルであり、例えば、「熱がある」の結果がA1であり、「咳が出る」の結果がB3であったとする。特定候補テーブルは、これらの結果の組み合わせによって、発生している可能性が高い病名を記憶しており、例えば病名γ(例えば風邪)と記憶している。例えば或る種の風邪をひいた場合には、熱が出て、咳が出て、鼻水が出るなどといった一連の体の変化が生じる。特定候補テーブルは、このような一連の体の変化(症状毎の結果)の組み合わせと病名とを対応させて記憶している。
なお、特定候補テーブルにおいては、特定の結果の組み合わせと1つの病名とが対応しているが、1つの病名に限らず、複数の病名が対応していてもよい。さらに、特定の結果の組み合わせに対して、上記した病態のより詳細な情報(重篤度や症状の発生原因箇所(例えば症状が「咳が出る」である場合の発生原因箇所としては気管支や気管)などのより詳細な情報)が対応付けて記憶されていることが好ましい。
再度、図5を参照する。表示制御部B1は、ディスプレイ20に表示させる画面内容を制御するものであり、第1表示制御部B11、第2表示制御部B12、第3表示制御部B13、及び第4表示制御部B14を備えている。
第1表示制御部B11は、属性情報の入力を促す画面を表示させるものである。図14は、図5に示した第1表示制御部B11により表示される画面を示す正面図である。図14に示すように、第1表示制御部B11は、生年月日を入力する旨の表示と、生年月日を入力するためのテキストボックス20aと、性別を入力する旨の表示と、性別を入力するためのチェックボックス20bとを表示させる。
医師は、テキストボックス20aに対して生年月日を入力し、チェックボックス20bへのチェックにより性別を指定することとなる。さらに、医師が、画面上に表示される「次へ」のボタン20cを指定すると、属性情報が医療情報記憶装置1に入力されることとなる。これにより、CPU10は、入力された属性情報から、どの属性区分に該当するかを判断することとなる。
再度、図5を参照する。第2表示制御部B12は、症状項目記憶部MB1に記憶された複数の設定項目から、1つ以上の症状項目を選択させる画面を表示させるものである。より詳細に、第2表示制御部B12は、入力された属性情報が属する属性区分に応じた症状項目を、症状項目記憶部MB1に記憶される複数の症状項目から抽出し、抽出した症状項目から1つ以上の症状項目を選択させる画面を表示させる。この結果、図15及び図16のような表示がなされる。
図15及び図16は、症状項目を選択させる画面を示す正面図であり、図15は第1の例を示し、図16は第2の例を示している。
属性区分が「13歳以上女性」である場合、第2表示制御部B12は、図15に示すような複数の症状項目の記憶内容のうち、「13歳以上女性」の属性区分において「○」となっている症状項目を抽出する。そして、第2表示制御部B12は、抽出した症状項目に基づいて図15に示すような画面を生成してディスプレイ20に表示させる。このとき、ディスプレイ20には、女性特有の「乳房に痛みがある」という症状項目が表示されている。
また、属性区分が「0〜11ヶ月」である場合、第2表示制御部B12は、図16に示すような複数の症状項目の記憶内容のうち、「0〜11ヶ月」の属性区分において「○」となっている症状項目を抽出する。そして、第2表示制御部B12は、抽出した症状項目に基づいて図16に示すような画面を生成してディスプレイ20に表示させる。このとき、ディスプレイ20には、「熱がある」「下痢である」といった保護者が確認することができる症状項目のみが表示されている。
ここで、例えば、1歳未満の乳児の症状項目に「頭痛がする」といったものが含まれていても乳児が頭痛の有無を保護者等に伝えることができず、意味がない症状項目となる。また、男性の症状項目に「乳房に痛みがある」といったものが含まれていても意味がない症状項目となる。このように、図6に示すようなデータに基づいて症状項目を抽出して表示することで、年齢や性別毎に適切な症状項目を医師に提示させることができる。
さらに、図15及び図16に示すように、表示される症状項目のそれぞれには、これを選択するためのチェックボックス20dが隣接して表示されている。医師は、該当する症状に応じて、隣接して表示されるチェックボックス20dをチェックすることにより、症状項目を選択することができる。選択後、医師は、不図示の「次へ」のボタンを指定することにより選択を確定させ、この情報を医療情報記憶装置1に認識させることとなる。
再度、図5を参照する。第3表示制御部B13は、第2表示制御部B12により表示された画面(すなわち図15及び図16に示したような画面)において選択された症状項目に設定された質問内容を、質問内容記憶部MB2から読み出して順次画面表示させるものである。この際、第3表示制御部B13は、定量質問、定性質問及び時間質問のそれぞれについて、回答を選択させる選択肢も表示させる。なお、表示される選択肢は、属性区分に応じたものであり、選択肢記憶部MB3に記憶される選択肢が読み出されて表示させられる。
図17及び図18は、質問内容及び選択肢を表示する画面を示す正面図であり、図17は第1の例を示し、図18は第2の例を示している。なお、図17及び図18に示す例では、「熱がある」の症状項目が選択された場合の画面を示している。
図17に示すように、第3表示制御部B13は、例えば「熱がある」の症状項目の質問内容として、「現在の熱は何度か?(定量質問)」「何度まであがったか?(定量質問)」「明け方に熱は下がるか?(定性質問)」「熱が出始めたのはいつか?(時間質問)」を表示する。
また、第2表示制御部B12は、各質問に対して、属性区分に応じた選択肢を表示させる。図17に示す例では、属性区分が「13歳以上の男性」及び「13歳以上女性」であるときの選択肢を示し、具体的には「現在の熱は何度か?(定量質問)」「何度まであがったか?(定量質問)」に対して、選択肢が「37.0℃以上37.5℃未満」「37.5℃以上38.5℃未満」「38.5℃以上」となっている。
また、「明け方に熱は下がるか?(定性質問)」について選択肢は「YES」「NO」となっており、「熱が出始めたのはいつか?(時間質問)」について選択肢は「本日又は昨日」「一昨日前から6日前」「1週間以上前」となっている。
一方、図18に示す例では、属性区分が「0〜11ヶ月」「1〜3歳」及び「4〜12歳」であるときの選択肢を示し、具体的には「現在の熱は何度か?(定量質問)」「何度まであがったか?(定量質問)」に対して、選択肢が「37.0℃以上38.5℃未満」「38.5℃以上39.5℃未満」「39.5℃以上」となっている。すなわち、選択肢の内容が図17に示す例と異なっている。
なお、「明け方に熱は下がるか?(定性質問)」及び「熱が出始めたのはいつか?(時間質問)」について選択肢は図17に示す例と同じとなっている。
さらに、図17及び図18に示すように、各選択肢には、これに隣接してチェックボックス20eが表示されている。医師は、該当する選択肢に隣接して表示されるチェックボックス20eをチェックすることにより、選択肢を選択することができる。選択後、医師は、OKボタン20fを指定することにより選択した内容を確定させ、この情報を医療情報記憶装置1に認識させることとなる。
また、OKボタン20fが指定された場合には、次の症状項目に対応する質問内容及び選択肢を表示する画面が第2表示制御部B12によって表示される。例えば医師が「熱がある」と「咳が出る」との2つの症状項目を選択していた場合、「熱がある」について質問内容及び選択肢が表示され、OKボタン20fが指定されると、第3表示制御部B13は、次の症状項目である「咳が出る」について質問内容及び選択肢を表示させる。
そして、第3表示制御部B13は、選択していた全ての症状項目について、質問内容及び選択肢を表示し、OKボタン20fが指定されるまで、順次症状項目について質問内容及び選択肢を表示させていく。
ここで、定量質問、定性質問、及び時間質問は、当該症状項目が示す症状のみについて問うものであることが好ましい。すなわち、定量質問、定性質問、及び時間質問は、他の症状項目が示す症状を問う内容を含まないものであることが好ましい。
上記の症状項目の区分けは医学的見地から定められている。例えば、症状項目は、上記のように、「熱がある」、「咳が出る」、「痰が出る」などと予め定められており、「咳が出る」という症状項目についての質問では、「痰」に関する質問が含まれない。すなわち、咳の項目の質問に「咳に痰が絡むか。」といったものは含まれない。
ここで、痰は通常咳と共に体外へ排出されるものである。このため、例えば予め症状項目として、「熱がある」、「咳が出る」と区分けされ、「痰が出る」という症状項目が設定されていない場合には、「咳が出る」の症状項目において「咳に痰が絡むか。」という定性質問がされることがある。すなわち、上記の「当該症状のみについて問うもの」とは、既に定められている症状項目の区分けを基本とし、1つの症状項目においては、他の症状項目の内容を問わないということである。よって、「熱がある」、「咳が出る」、「痰が出る」と症状項目が分けられている場合において「咳に痰が絡むか。」といった質問は、「当該症状のみについて問うもの」とは言えない。一方、「熱がある」、「咳が出る」と区分けされ、「痰が出る」という症状項目が設定されていない場合には、「咳に痰が絡むか。」といった質問は、「当該症状のみについて問うもの」となる。
なお、装置自体が「痰が出る」を症状項目に設定するか否かは、上記したように医学的見地から定められる。医学は日々進歩することから考えると、例えば「痰が出る」という症状は症状項目に設定されたりされなかったりすることがある。他の症状についても同様に症状項目に設定されたりされなかったりすることがある。
再度、図5を参照する。症状結果判断部B2は、第3表示制御部B13により順次表示された画面にて入力された各症状項目の質問内容に対する回答結果に応じて、症状毎の結果を判断するものである。より詳細に症状結果判断部B2は、定量質問、定性質問、及び時間質問のそれぞれで選択された選択肢を、症状結果テーブル記憶部MB4に記憶される症状結果テーブルに当てはめることで、症状毎の結果を判断する。
ここで、本実施形態において症状結果判断部B2は、回答結果を適正に調整のうえ、症状毎の結果を判断することが好ましい。回答結果については、個人差が生じることがある。例えば、「熱がある」の「現在の熱は何度か。」という定量質問に対して、実際は38℃の熱であるにも拘わらず大げさな人は「39.5℃以上」という選択肢を選択することがある。逆に控え目な人は「37.0℃以上38.5℃未満」という選択肢を選択することがある。また、大げさな人や控え目な人などのように意図的に大げさや控え目に選択する人のみならず、苦痛が大きいことに我慢できず大げさに回答したり、単なる勘違いから大げさに回答したりする人もいる。よって、本装置1は、このような病名候補の判断対象者毎の傾向を例えば係数として記憶しており、係数に応じて回答結果を適正に調整する。調整対象は、定量質問の回答結果に限らず、定性質問及び時間質問も該当する。これにより、一層適正に症状毎の結果を判断することができるからである。なお、係数については、例えば医師などにより直接入力されたものが記憶されていてもよいし、過去の本装置1の使用時の回答と実際に罹患していた病名との関係から演算式等により求められて記憶されていてもよい。
病名候補判断部B3は、病名候補テーブル記憶部MB5に記憶される病名候補テーブルに、症状結果判断部B2により判断された症状毎の結果を当てはめることで、病名の候補を判断するものである。ここで、当てはめる対象は、図12に示したような通常候補テーブルと、図13に示したような特定候補テーブルとの双方である。
上記したように、病名候補テーブルには、症状の結果それぞれに病名の候補が割り当てられている。具体的には、図12に示す通常候補テーブルにおいて結果A1の病名の候補には病名α,β,γ,δ,εが対応しており、結果B3の病名の候補には病名γ,δ,φ,εが対応している。さらに、図13に示す特定候補テーブルでは、結果A1と結果B3の組み合わせとして病名の候補には病名γが対応している。このため、操作者が、症状項目として「熱がある」と「咳が出る」とを選択し、それぞれの症状項目の結果がA1とB3となった場合、病名候補判断部B3は、これらの病名候補を統合して、病名の候補を病名α,β,γ,δ,ω,φ,εと判断する。特に、病名候補判断部B3は、病名γが通常候補テーブルにおける結果A1,B3との双方の候補になっており、且つ、特定候補テーブルにおける結果A1と結果B3の組み合わせとして病名の候補にも挙がっていることから、最も罹患している可能性が高い病気の病名であると判断する。
さらに、もう一例説明する。例えば図12に示す通常候補テーブルにおいて結果A54の病名の候補には病名γ,δ,ω,φが対応しており、結果B1の病名の候補には病名θ,ω,εが対応している。このため、操作者が、症状項目として「熱がある」と「咳が出る」とを選択し、それぞれの症状項目の結果がA54とB1となった場合、病名候補判断部B3は、これらの病名候補を統合して、病名の候補を病名γ,δ,ω,φ,θ,εと判断する。このとき、図13の特定候補テーブルに示すように、結果A54と結果B1との組み合わせが存在せず、病名の候補が存在しない。よって、病名候補判断部B3は、通常候補テーブルのみから、病名の候補を病名γ,δ,ω,φ,θ,εと判断する。なお、この場合において病名候補判断部B3は、病名ωが結果A54,B1との双方の候補になっていることから、最も罹患している可能性が高い病気の病名であると判断する。
第4表示制御部B14は、病名候補判断部B3により判断された病名の候補を画面表示させるものである。図19は、病名候補を示す画面の一例を示す正面図である。第4表示制御部B14は、例えば、症状結果判断部B2により判断された症状の結果、及び、病名候補判断部B3により判断された病名の候補を表示する。具体的に第4表示制御部B14は、図19に示すように、例えば「咽頭が炎症しています。医療機関の受診をお勧め致します。考えられる病名としては、風邪、咽頭炎、インフルエンザが挙げられます。」と表示させる。ここで、「咽頭が炎症しています。」が症状毎の結果に該当している。症状毎の結果が複数ある場合、その全てが表示されてもよいし、図19に示すように、1つだけ表示されてもよい。また、第4表示制御部B14は、「終了」ボタン20gについても表示させている。なお、これらの病名は、可能性が高いものから順番に表示されることが好ましい。この場合、図12の通常候補テーブルに示す病名に可能性の情報を付加しておく必要がある。すなわち、図12の結果A54について病名γはXポイント、病名δはYポイント、病名ωはZポイントなど情報を付加しておくことで、可能性が高いものから順番に表示させることができる。さらに、結果A54及びB1のように、病名ωについては結果A54の可能性のポイントと結果B1における可能性のポイントとが加算されることが好ましい。加えて、特定候補テーブルに挙げられる病名については、通常候補テーブルに記憶されるポイントよりも大きなポイントの情報が付与されており、これが加算されることとなる。従って、結果A1及び結果B3が得られている場合には、病名γのポイントが他の病名よりも圧倒的に高い数値となる。
加えて、第4表示制御部B14は、図19に示すように、例えば「但し、確率的には低いですが、見逃してはいけない項目として天疱瘡、咽頭がんが挙げられます。」と表示させる。この場合、図12の通常候補テーブルに示す病名それぞれに致命度の情報を付加しておく必要がある。例えば、図12の結果A54について病名γはxポイント、病名δはyポイント、病名ωはzポイントなど情報を付加しておく。他の結果A1〜A53等についても同様に致命度の情報を付加しておく。さらに、通常候補テーブルだけでなく、図13に示す特定候補テーブルにおいても、病名それぞれに致命度の情報を付加しておく必要がある。そして、第4表示制御部B14は、致命度が所定ポイント以上となる病名について見逃してはいけない旨を表示させる。すなわち、図19に示す例では、天疱瘡及び咽頭がんについて見逃してはいけない旨を表示させる。
医師は、画面表示される病名を認識した後に「終了」ボタン20gを指定する。これにより、病態判断機能部Bの動作は終了する。この際、候補となる病名は、病名診断機能部Cに入力される。また、上記のように候補となる病名が判断される過程において、得られた問診回答(具体的には選択された症状項目、及び、その症状項目の定量質問、定性質問、及び時間質問に対する回答)については、複数の個別情報として、医療情報記憶機能部Aの入力部A1に入力される。
次に、病名診断機能部Cについて説明する。図20は、図3に示した病名診断機能部Cと第3記憶領域MCの詳細を示す構成図である。
病名診断機能部Cは、ROM10aやHDD50に記憶されるプログラムを実行することにより、第1提示部C1、第1絞り込み部C2、第2提示部C3、第2絞り込み部C4、及び第3提示部C5が機能する。また、図20に示すように、第3記憶領域MCは、診察行為記憶部MC1と、身体所見記憶部MC2と、検査記憶部MC3と、検査結果記憶部MC4とを有している。
図20に示す診察行為記憶部MC1は、病名と病名を確定するために行うべき診察行為とを対比させて記憶する記憶部である。図21は、図20に示した診察行為記憶部MC1の記憶内容を示す概念図である。図21に示すように、診察行為記憶部MC1には、複数の病名が記憶されると共に、これらの病名それぞれに対応して診察行為が記憶されている。
図21に示す例において診察行為記憶部MC1には、病名αに対する診察行為1として「○○1」と記憶されており、診察行為2として「○○2」と記憶されている。○○1は、例えば「左下腹部に痛みがあるかを確認するために触診を行う」であり、○○2は、例えば「呼吸音に乱れが無いか確認するために聴診を行う」などである。また、診察行為記憶部MC1には、病名βに対する診察行為1として「××1」と記憶されており、病名γに対する診察行為1として「△△1」と記憶されている。××1は、例えば「左下腹部にしこりがあるかを確認するために触診を行う」であり、△△1は、例えば「心音に乱れが無いか確認するために聴診を行う」などである。
図20を参照する。身体所見記憶部MC2は、病名と病名によって得られる身体所見とを対比させて記憶する記憶部である。図22は、図20に示した身体所見記憶部MC2の記憶内容を示す概念図である。図22に示すように、身体所見記憶部MC2には、複数の病名が記憶されると共に、これらの病名それぞれに対応する身体所見が記憶されている。
例えば特定の病気については、身体所見として、心音の乱れや、呼吸音の乱れが得られる傾向にある。更には、他の特定の病気については、身体所見として、特定箇所における痛みやしこりが得られる傾向にある。身体所見記憶部MC2は、このような医師による身体所見と、病名とを対比させたデータを記憶している。
図22に示す例において、身体所見記憶部MC2は、病名αについて、身体所見1として「左下腹部に痛み有り」と記憶しており、身体所見2として「呼吸音に乱れ有り」と記憶している。また、病名βについては身体所見1として「左下腹部にしこり有り」と記憶しており、病名γについては身体所見1として「心音に乱れ有り」と記憶している。
なお、身体所見記憶部MC2は、診察行為記憶部MC1に記憶される診察行為を行ったことによる身体所見を記憶するものであり、例えば診察行為記憶部MC1において病名γの診察行為は「△△1(心音に乱れが無いか確認するために聴診を行う)」となっているのに対し、身体所見記憶部MC2において病名γの身体所見は「心音に乱れ有り」となっている。すなわち、診察行為記憶部MC1と身体所見記憶部MC2との記憶内容は対応関係を有している。よって、これら記憶部MC1,MC2は統合されて1つの記憶部によって構成されていてもよい。
図20を参照する。検査記憶部MC3は、病名と病名を確定するために行うべき検査とを対比させて記憶する記憶部である。図23は、図20に示した検査記憶部MC3の記憶内容を示す概念図である。図23に示すように、検査記憶部MC3には、複数の病名が記憶されると共に、これらの病名それぞれに対応する検査が記憶されている。
例えば心臓病であるか確定するためには、心電図、胸部X線写真、心臓カテーテルなどの検査が行われる。また、大腸がんの検査には、検便が行われる。さらに、肝炎や膵炎などの検査には、血液検査が行われる(肝炎はGOT値等、膵炎は血清アミラーゼ値の検査)。検査記憶部MC3は、このような検査項目と、病名とを対比させたデータを記憶している。
図23に示す例において、検査記憶部MC3は、病名αについて検査1として「血液検査(○○値)」と記憶しており、病名βについて検査1として「検便」と記憶している。また、病名γについては検査1として「血液検査(××値)」と記憶している。なお、各病名に対して検査は1つに限るものではない。
図20を参照する。検査結果記憶部MC4は、病名と病名によって得られるはずである検査結果とを対比させて記憶する記憶部である。図24は、図20に示した検査結果記憶部MC4の記憶内容を示す概念図である。図24に示すように、検査結果記憶部MC4には、複数の病名が記憶されると共に、これらの病名それぞれに対応する検査結果が記憶されている。
例えば大腸がんにおいては、便に血が混じったり、便が細くなったりする。さらに、肝炎においては、例えばGOT値が35IU/I以上となる。また、膵炎においては、血清アミラーゼ値が60〜190U/dlの範囲外となる。検査結果記憶部MC4は、このような検査結果と、病名とを対比させたデータを記憶している。
図24に示す例において、検査結果記憶部MC4は、病名αについて検査結果1として「○○値がX値以上」と記憶しており、病名βについて検査結果1として「便に血が混じっている」と記憶している。また、病名γについては検査結果1として「××値がY1〜Y2の範囲外」と記憶している。
なお、検査結果記憶部MC4は、検査記憶部MC3に記憶される検査に対する結果を記憶するものであり、例えば検査記憶部MC3において病名αの検査は「血液検査(○○値)」となっているのに対し、検査結果記憶部MC4において病名αの検査結果は「○○値がX値以上」となっている。すなわち、検査記憶部MC3と検査結果記憶部MC4との記憶内容は対応関係を有している。よって、これら記憶部MC3,MC4は統合されて1つの記憶部によって構成されていてもよい。
加えて、上記した各記憶部MC1〜MC4は、全て病名の項目を含んでいることから、病名を軸にして、診察行為、身体所見、検査及び検査結果の内容を記憶した1つのデータベースにより構成されていてもよい。
再度、図20を参照する。第1提示部C1は、(例えば病態判断機能部Bから)候補となる病名が入力された場合に、入力された病名と対応する診察行為を診察行為記憶部MC1から抽出して医師に提示するものである。提示方法としては、不図示のプリンタに印刷する方法や、ディスプレイ20に画像表示させる方法などがある。ディスプレイ20に表示させる場合、例えば図25に示す画像が表示される。
図25は、図20に示した第1提示部C1により表示される画面を示す正面図である。図25に示すように、例えば候補となる病名としてα,β,γが入力された場合、図21を参照して説明した病名α,β,γに対応する診察行為が抽出されて画像表示される。
具体的には図25に示すように、病名αに対応した診察行為である「左下腹部に痛みがあるか確認してください。」という診察行為内容AC1、及び、「呼吸音に乱れがあるか確認してください。」という診察行為内容AC2が表示される。さらには、病名βに対応した診察行為である「左下腹部にしこりがあるか確認してください。」という診察行為内容AC3、及び、「心音に乱れがあるか確認してください。」という診察行為内容AC4が表示される。医師は、上記のような診察行為内容ACが表示されることにより、誤り無く行うべき診察行為を行うことができる。
加えて、各診察行為内容AC1〜AC4のそれぞれに隣接して身体所見の情報を入力する入力項目IT1〜IT4が表示されている。各入力項目IT1〜IT4は、ラジオボタン形式となっている。具体的に診察行為内容AC1の入力項目IT1は、「痛み有り」と「痛み無し」とのいずれか一方を選択可能なラジオボタンで構成されている。同様に、診察行為内容AC2の入力項目IT2は、「乱れ有り」と「乱れ無し」とのいずれか一方を選択可能なラジオボタンで構成され、診察行為内容AC3の入力項目IT3は、「しこり有り」と「しこり無し」とのいずれか一方を選択可能なラジオボタンで構成されている。加えて、診察行為内容AC4の入力項目IT4は、「乱れ有り」と「乱れ無し」とのいずれか一方を選択可能なラジオボタンで構成されている。
そして、医師が診察行為を行うことで得た身体所見の情報を、キーボードK又はマウスM等の入力手段を通じて入力すると、第1絞り込み部C2が機能することとなる。
再度、図20を参照する。第1絞り込み部C2は、第1提示部C1により提示された診察行為に応じた身体所見の情報が入力された場合に、身体所見記憶部MC2の記憶内容に基づいて、入力された候補となる病名の絞り込みを行うものである。
例えば、図25に示す画面において、入力項目IT1では「痛み有り」が指定され、入力項目IT2では「乱れ有り」が指定され、入力項目IT3では「しこり有り」が指定され、入力項目IT4では「乱れ無し」が指定されたとする。この場合、第1絞り込み部C2は、このような指定された入力内容と、身体所見記憶部MC2の記憶内容とを対比させて病名の絞り込みを行う。
すなわち、図22に示すように、病名αの身体所見については「左下腹部に痛み有り」且つ「呼吸音に乱れ有り」となっている。上記においては、入力項目IT1では「痛み有り」が指定され、入力項目IT2では「乱れ有り」が指定されている。このため、両者の内容は合致するため、患者は病名αである可能性がある。同様に、病名βの身体所見については「左下腹部にしこり有り」となっている。上記においては、入力項目IT3では「しこり有り」が指定されている。このため、両者の内容は合致するため、患者は病名βである可能性がある。これに対して、病名γの身体所見については「心音に乱れ有り」となっている。一方、入力項目IT4では「乱れ無し」が指定されている。よって、両者の内容は不一致であることから、患者は病名γである可能性がない。以上のように、第1絞り込み部C2は、病名の絞り込みを行う。
第2提示部C3は、第1絞り込み部C2により絞り込まれた病名と対応する検査を検査記憶部MC3から抽出して医師に提示するものである。提示方法としては、第1提示部C1と同様に、不図示のプリンタに印刷する方法や、ディスプレイ20に画像表示させる方法などがある。ディスプレイ20に表示させる場合、例えば図26に示す画像が表示される。
図26は、図20に示した第2提示部C3により表示される画面を示す正面図である。図26に示すように、例えば第1絞り込み部C2により病名γの可能性が否定され、病名αと病名βとに絞り込まれた場合、図23を参照して説明した病名α,βに対応する検査が抽出されて画像表示される。
具体的には図26に示すように、病名αに対応した検査である「血液検査(○○値)」という検査内容IC1、及び、病名βに対応した検査である「検便」という検査内容IC2が表示される。医師は、上記のような検査内容ICが表示されることにより、誤り無く行うべき検査を実施することができる。
加えて、各検査内容IC1〜IC2のそれぞれに隣接して検査結果を問う質問項目Q1,Q2と、検査結果の情報を入力する入力項目IT5,IT6が表示されている。各入力項目IT5,IT6は、ラジオボタン形式となっている。具体的に検査内容IC1の質問項目Q1は、「○○値はX値以上であるか。」という文字表示となっており、入力項目IT5は、「YES」と「NO」とのいずれか一方を選択可能なラジオボタンで構成されている。同様に、検査内容IC2の質問項目Q2は、「便に血が混じっているか。」という文字表示となっており、入力項目IT6は、「YES」と「NO」とのいずれか一方を選択可能なラジオボタンで構成されている。
そして、医師が検査を通じて得た検査結果の情報を、キーボードK又はマウスM等の入力手段を通じて入力すると、第2絞り込み部C4が機能することとなる。
再度、図20を参照する。第2絞り込み部C4は、第2提示部C3により提示された検査に応じた検査結果が入力された場合に、検査結果記憶部MC4の記憶内容に基づいて、第1絞り込み部C2により絞り込まれた病名に対して更に絞り込みを行うものである。
例えば、図26に示す画面において、入力項目IT5では「YES」が指定され、入力項目IT6では「NO」が指定されたとする。この場合、第2絞り込み部C4は、このような指定された入力内容と、検査結果記憶部MC4の記憶内容とを対比させて更に病名の絞り込みを行う。
すなわち、図26に示すように、病名αの検査結果については「○○値がX値以上」となっている(すなわち、質問項目Q1に対して入力項目IT5では「YES」)。上記においては、入力項目IT5では「YES」が指定されている。このため、両者の内容は合致するため、患者は病名αであるといえる。一方、病名βの検査結果については「便に血が混じっている」となっている(すなわち、質問項目Q2に対して入力項目IT6では「YES」)。上記においては、入力項目IT6では「NO」が指定されている。よって、両者の内容は不一致であることから、患者は病名βである可能性がない。以上のように、第2絞り込み部C4は、病名の絞り込みを行う。
再度図20を参照する。第3提示部C5は、第2絞り込み部C4により絞り込まれた結果を医師に提示するものである。提示方法としては、第1提示部C1と同様に、不図示のプリンタに印刷する方法や、ディスプレイ20に画像表示させる方法などがある。ディスプレイ20に表示させる場合、例えば図27に示す画像が表示される。
図27は、図20に示した第3提示部C5により表示される画面を示す正面図である。図27に示すように、例えば第2絞り込み部C4により病名βの可能性が否定され、病名αに絞り込まれた場合、第3提示部C5は、例えば「病名はαであると判断できます。」などと最終結果FRを画像表示させる。
以上のように、病名の候補が入力されれば、医師は、提示される診察行為及び検査を行い、身体所見と検査結果を入力すれば、最終結果FRを得ることができる。しかも、診察行為や検査の誤った実施が防止されるため、病名をより精度良く診断することができる。
なお、上記した説明においては、最終結果FRとして病名αという1つの病気が残ることとなったが、これに限らず、例えば癌などのように複数箇所に同時に発生し得るもの、すなわち複数の病気を併発しているような場合には、最終結果FRとして複数の病気が表示されることとなる。さらに、上記において検査結果の入力形式は選択肢を選択する方式であるが、可能であれば数値等を直接入力する形式であってもよい。
ここで、上記のように特定された病名(診断名)が医療情報記憶機能部Aの入力部A1に入力される。さらに、診断名が特定される過程において得られた医師の所見、検査内容、及び検査値についても、それぞれ個別情報として、医療情報記憶機能部Aの入力部A1に入力される。
以上のように、医療情報記憶機能部Aには、少なくとも病態判断機能部Bからの問診回答の情報が医療情報を構成する個別情報として入力され、病名診断機能部Cからの医師の所見、検査内容、及び検査値の情報が医療情報を構成する個別情報として入力される。
加えて、医療情報記憶機能部Aには、医師等により直接文字入力された情報や選択肢形式で入力された情報が、複数の個別情報として入力される。このとき、点滴、処方薬、リハビリ、処置及び手術法に関する医療対応の情報が、入力部A1によって入力される。このときの情報入力画面においては、例えば「注射・点滴」という文字とこれに隣接する空欄が表示され、この空欄に情報が入力されることで、入力された情報が「注射・点滴」に関する個別情報(医療対応の情報)として入力部A1に入力される。また、「注射・点滴」の「成分・分量」についても空欄が表示され、この空欄に情報が入力されることで、入力された情報が「成分・分量」に関する個別情報(医療対応の情報)として入力部A1に入力される。他の個別情報も空欄等を利用した形式で入力される。
具体的に説明すると、例えば病名診断機能部Cにより患者の病名が「脳梗塞」と判断され、「頸動脈閉塞除去手術」が行われた場合、「頸動脈閉塞除去手術」という手術法の情報(医療対応の情報)が空欄等への入力を通じて入力部A1に入力されることとなる。さらに、例えば、脳梗塞の再発防止手術としての「ステント手術」「バイパス手術」や、処方された抗血栓薬の種類や分量などの情報(医療対応の情報)についても空欄等への入力を通じて入力部A1に入力されることとなる。
加えて、「脳梗塞」と判断され、薬物療法(処置)が行われた場合、例えば、「抗血栓療法」「抗浮腫療法」「脳保護療法」などの行われた薬物療法の情報(医療対応の情報)についても空欄等への入力を通じて入力部A1に入力される。
さらには、病名診断時における医師の所見の他、その後の患者の経過についても所見の情報(個別情報)も空欄等への入力を通じて入力部A1に入力可能となっており、例えば、医師が判断する後遺症の情報なども入力可能となっている。具体例を挙げると、病名診断機能部Cにより患者の病名が「脳梗塞」と判断され、この後遺症として医師により「後遺症:重」と判断された場合、このような「後遺症:重」の情報についても、医師の所見として入力部A1に入力されることとなる。なお、腕が上がらないなどの後遺症については、患者からの問診回答によって得られる場合もあり、このような場合には、問診回答の情報として入力部A1に入力されるようになっていてもよい。
再度図4を参照する。入力部A1に入力される情報(個別情報)は上記の通りである。なお、入力部A1には、個人を特定する情報(氏名やIDなど)や日付の情報などが入力され、医療情報は医療情報記憶装置1において個人毎及び日付毎に管理されることは言うまでもない。
付与部A2は、入力部A1により入力された複数の個別情報のそれぞれに対して、複数の階層のいずれに属するかを示す階層情報、及び、隣接する階層同士の関連性が示された関連情報を付与するものである。本実施形態において付与部A2は、テンプレート記憶部MA1に記憶されるテンプレートを利用して階層情報及び関連情報を付与する。
図28は、図4に示したテンプレート記憶部MA1に記憶されたテンプレートの一例を示す概念図である。なお、図28に示すテンプレートは一例を示すものであり、図示したもの以外にも種々の構造を採用可能である。
例えばテンプレート記憶部MA1は、図28に示すテンプレートTを記憶している。このテンプレートTは、各個別情報の階層を示す階層情報、及び、隣接する階層同士の関連性が示された関連情報が予め付与済みであり、各個別情報の情報入力箇所が予め定められ、かつ、各個別情報が未入力状態であるものである。
具体的に説明すると、図28に示すテンプレートTにおいては、例えば第1〜第4の階層情報が設けられており、「病名(診断名)」HDを第1階層としている。また、第1階層の病名(診断名)HDから派生して第2階層の「問診回答1(症状)」HS1、「問診回答2(症状)」HS2、「医師の所見1」HO1、「医師の所見2」HO2、「検査1」HI1、「検査2」HI2、「医師の対応1(手術法)」HC1、「医師の対応2(注射・点滴)」HC2、及び「医師の対応3(処方薬)」HC3が設定されている。テンプレートTにおいては、この派生を示す線分が関連情報となる。
また、第2階層の「問診回答1(症状)」HS1から派生して第3階層の「問診回答1−1(定性質問の回答)」HS11、「問診回答1−2(定量質問の回答)」HS12、及び「問診回答1−3(時間質問の回答)」HS13が設定されている。第2階層の「問診回答2(症状)」HS2についても同様である。
また、第2階層の「医師の所見1」HO1から派生して第3階層の「医師の所見1−1」HO11及び「医師の所見1−2」HO12が設定されている。さらに、第3階層の「医師の所見1−1」HO11から派生して第4階層の「医師の所見1−1−1」HO111及び「医師の所見1−1−2」HO112が設定されている。同様に、第3階層の「医師の所見1−2」HO12から派生して第4階層の「医師の所見1−2−1」HO121及び「医師の所見1−2−2」HO122が設定されている。なお、第2階層の「医師の所見2」HO2についても同様に派生している。
さらに、第2階層の「検査1」HI1から派生して第3階層の「検査結果1(検査値)」HR1が設定され、第2階層の「検査2」HI2から派生して第3階層の「検査結果2(検査値)」HR2が設定されている。
加えて、第2階層の「医師の対応1(手術法)」HC1から派生して第3階層の「医師の対応1−1(手術使用器具)」HC11、及び「医師の対応1−2(手術使用器具)」が設定されている。第3階層の「医師の対応1−1(手術使用器具)」HC11からは第4階層の「医師の対応1−1−1(使用量)」HC111が派生して設定されており、第3階層の「医師の対応1−2(手術使用器具)」HC12からは第4階層の「医師の対応1−2−1(使用量)」HC112が派生して設定されている。
また、第2階層の「医師の対応2(注射・点滴)」HC2から派生して第3階層の「医師の対応2−1(成分・分量)」HC21が設定されており、第2階層の「医師の対応3(処方薬)」HC3から派生して第3階層の「医師の対応3−1(分量)」HC31が設定されている。
以上のように、テンプレートTは、階層情報、及び、関連情報が予め付与済みである。このため、付与部A2は、テンプレートTに予め定められた各個別情報の情報入力箇所に情報入力することで、個別情報に対して階層情報と関連情報とを付与することとなる。
図29は、テンプレート記憶部MA1に記憶されるテンプレートTに対して付与部A2により個別情報が付与された状態を示す概念図である。具体的に説明すると、第1階層の「病名(診断名)」HDには例えば「脳梗塞」と入力されている。また、第2階層の「問診回答1(症状)」HS1には例えば「腕にしびれあり」と入力されている。第3階層の「問診回答1−1(定性質問の回答)」HS11には例えば「腕が肩までしか上がらない」と入力され、「問診回答1−2(定量質問の回答)」HS12には例えば「3回に一回程度」と入力され、「問診回答1−3(時間質問の回答)」HS13には例えば「3日前から」と入力されている。同様に、第2階層の「問診回答2(症状)」HS2には例えば「ろれつが回らない」と入力されている。第3階層の「問診回答2−1(定性質問の回答)」HS21には例えば「何を話しているか不明」と入力され、「問診回答2−2(定量質問の回答)」HS22には例えば「毎回」と入力され、「問診回答2−3(時間質問の回答)」HS23には例えば「3日前から」と入力されている。
他の情報についても同様に入力されている。ここで、今回の患者には外科的手術が行われることなく、薬物療法が行われその後薬が処方されたような場合には、第2階層の「医師の対応1(手術法)」HC1、第3階層の「医師の対応1−1(手術使用器具)」HC11、及び「医師の対応1−2(手術使用器具)」HC12、並びに、第4階層の「医師の対応1−1−1(使用量)」HC111、及び「医師の対応1−2−1(使用量)」HC112の欄は空欄とされている。同様に、医師の所見の一部(符号HO11,HO111,HO112,HO12,HO121,HO122参照)についても空欄とされている。すなわち、空欄となる情報も存在することとなる。
特に、第2階層の「医師の所見2」HO2には、「後遺症:重」と入力されている。ここで、脳梗塞になった場合には、どの程度の後遺症が残ったかの情報が後に医師に参照されて、リハビリ等の判断に用いられる。このような後に医師の判断に用いられる個別情報を、優先個別情報という。テンプレートTにおいては、優先個別情報が予め定まっており、且つ、優先個別情報が複数の階層のうち上位側の所定階層(例えば第1及び第2階層)に属するように階層情報が付与済みとなっている。すなわち、本実施形態では、後に医師の判断に用いられる優先個別情報が、複数階層の上位側の所定階層となるように階層情報が付与されるようになっている。
なお、結核を患ったことがある者は後に腎臓疾患となり易い傾向があることから、後に医師の判断に用いられることが多く、このような個別情報(結核という診断名の情報)についても優先個別情報とされる。同様に、生後4カ月で首が座らない乳児は筋肉系の病気であり3〜4歳になっても立てない可能性があることから、後に医師の判断に用いられることが多く、このような個別情報(結核という診断名の情報)についても優先個別情報とされる。そして、本実施形態において付与部A2は、これらの優先個別情報を複数階層の上位側の所定階層となるように階層情報を付与する。
再度図4を参照する。記憶制御部A3は、付与部A2により複数の個別情報のそれぞれに階層情報及び関連情報が付与された医療情報を記憶させるものである。この記憶制御部A3は、医療情報記憶部MA2に医療情報を記憶させる。この際、個人毎及び日付毎に医療情報を記憶させることは言うまでもない。また、医療情報は、例えば医療機関の受診毎に記憶させられるため、医療情報記憶部MA2には複数の医療情報が記憶(蓄積)される。
加えて、記憶制御部A3は、記憶させた医療情報の作成日(記憶させた日)が古くなるほど、下位階層側から順次個別情報を消去するようになっている。例えば、記憶制御部A3は、医療情報を記憶させてから5年経過するまでは、全ての情報を記憶させておき、その後5年が経過する毎に最も下位側の階層の個別情報を消去していく。このとき、記憶制御部A3は、優先個別情報を消去しないように、すなわち複数階層のうち上位側の所定階層については消去しないことが好ましい。具体的に説明すると、4つの階層が存在し、且つ、上位側の所定階層を第1階層及び第2階層であるとする。この場合において、記憶制御部A3は、最初の5年は全階層の情報を記憶しておく。そして、記憶制御部A3は、5年経過すると第4階層の個別情報を消去する。さらに、記憶制御部A3は、もう5年経過すると第3階層の個別情報を消去する。記憶制御部A3による消去はこの段階で終了する。すなわち、次の5年等が経過しても優先個別情報が消去されないように、複数階層のうち上位側の所定階層については消去しないこととなる。
次に、図3を参照する。医療情報検索機能部Dは、医療情報記憶機能部Aによって医療情報記憶部MA2に記憶させられた複数の医療情報から特定の個別情報を検索する機能部であって、ROM10aやHDD50に記憶されるプログラムを実行することにより、検索部(検索手段)D1が機能するものである。この検索部D1は、例えばキーボードKを介して入力された文字情報、及び、マウスMを介して選択された情報に基づいて特定の個別情報を検索する。このとき、既存の検索システムのように、完全一致、前方一致、後方一致などの検索が行われる。また、個別情報に特定の情報を内在させておき、これに基づいて検索を行ってもよい。例えば、「病名(診断名)」HDについて、「脳梗塞」や「心筋梗塞」などについては「血管系疾患」などの特定の情報が内在され、マウスMを介して「血管系疾患」が選択された場合、「脳梗塞」や「心筋梗塞」などが特定の個別情報として検索されてもよい。加えて、検索対象となる個人を特定して検索されるようになっていてもよい。
さらに、検索部D1は、検索する対象を複数の集合情報のうち複数階層の上位側の所定階層の個別情報に限定して特定の個別情報を検索するものである。例えば医療情報が図29に示すように記憶され、且つ、上位側の所定階層が第1階層及び第2階層であるとした場合、検索部D1は、第1階層である「病名(診断名)」HDの「脳梗塞」、並びに、第2階層である「問診回答1(症状)」HS1の「腕にしびれあり」、「問診回答2(症状)」HS2の「ろれつが回らない」、「医師の所見1」HO1の「バビンスキー反射あり」、「医師の所見2」HO2の「後遺症:重」、「検査1」HI1の「心電図検査」、「検査2」HI2の「血液検査」、「医師の対応2(注射・点滴)」HC2の「点滴」、及び「医師の対応3(処方薬)」HC3の「プレタール ケタス」から、特定の個別情報を検索する。これにより、医師が後に判断に用いる優先個別情報を含む階層に限定して検索を行い、検索の高速化を図ることができるからである。
次に、本実施形態に係る医療情報記憶装置1の動作を説明する。図30及び図31は、病態判断機能部Bの動作の一例を示すフローチャートであり、図30は前半部分を示し、図31は後半部分を示している。
図30に示すように、まず第1表示制御部B11は、属性情報の入力画面を表示させる(S1)。このとき、第1表示制御部B11は、例えば図14に示すような画面を表示させる。そして、CPU10は、属性情報が入力されたかを判断する(S2)。図14に示す例の場合、CPU10は、テキストボックス20aに生年月日が入力され、チェックボックス20bにチェックがされた状態で、「次へ」のボタン20cが指定されたかを判断することとなる。
属性情報が入力されていないと判断した場合(S2:NO)、処理はステップS1に移行する。一方、属性情報が入力されたと判断した場合(S2:YES)、第2表示制御部B12は、症状項目の選択画面を表示させる(S3)。この際、第2表示制御部B12は、例えば図15及び図16に示すように、属性区分に応じた症状項目の選択画面を表示させる。
その後、CPU10は、症状項目が選択されたかを判断する(S4)。図15及び図16に示す例の場合、CPU10は、症状項目に隣接配置される各チェックボックス20dのうち、いずれか1つ以上がチェックされて、不図示の「次へ」のボタンが指定されたかを判断することとなる。症状項目が選択されていないと判断した場合(S4:NO)、選択されたと判断されるまで、この処理が繰り返される。
一方、症状項目が選択されたと判断した場合(S4:YES)、CPU10は、ステップS3において表示した複数の症状項目のうち、選択された数をimaxとする(S5)。すなわち、図15及び図16に示す例の場合、CPU10は、チェックされたチェックボックス20dの数をimaxとする。その後、CPU10は、変数iを「1」に初期化する(S6)。
次に、第3表示制御部B13は、i個目の症状項目の質問及び選択肢を読み込み(S7)、読み込んだデータに基づいて質問・選択肢画面を表示させる(S8)。この際、第3表示制御部B13は、例えば図17及び図18に示すように、属性区分に応じた選択肢を含む画面を表示させる。
その後、CPU10は、回答があったかを判断する(S9)。図17及び図18に示す例の場合、CPU10は、質問それぞれについて、選択肢に隣接するチェックボックス20eのいずれか1つがチェックされた状態で、OKボタン20fが指定されたかを判断することとなる。
回答がなかったと判断した場合(S9:NO)、回答があったと判断されるまで、この処理が繰り返される。一方、回答があったと判断した場合(S9:YES)、症状結果判断部B2は、回答調整を行う(図31:S10)。この回答調整は、上記したように大げさに回答する人や控え目に回答する人などの傾向に基づいて行われるものであり、例えばこのような傾向を反映した係数に基づいて調整される。なお、今回処理を行っている病名候補の判断対象者に対して係数が記憶されていない場合には、回答調整処理は実行されず、処理はステップS11に移行する。
そして、症状結果判断部B2は、(調整済みの)回答に基づいて、その症状の結果を判断する(S11)。この際、症状結果判断部B2は、属性区分に応じたi個目の症状項目の症状結果テーブルを読み出し、選択された選択肢をテーブルに当てはめて、その症状の結果を判断する。
次に、CPU10は、変数iがimaxであるかを判断する(S12)。変数iがimaxでないと判断した場合(S12:NO)、CPU10は、変数iをインクリメントし(S13)、処理は図30に示したステップS7に移行する。すなわち、変数iが「1」加算され、加算後の個数目の症状項目について質問と選択肢とが読み込まれることとなる。
一方、変数iがimaxであると判断した場合(S12:YES)、病名候補判断部B3は、ステップS11にて判断された症状毎の結果が特定候補テーブルにて示す特定の組み合わせに該当するかを判断する(S14)。該当すると判断した場合(S14:YES)、病名候補判断部B3は、特定候補テーブルから特定の組み合わせに対応する病名を抽出する(S15)。そして、処理はステップS16に移行する。
一方、特定候補テーブルにて示す特定の組み合わせに該当しないと判断した場合(S14:NO)、処理はステップS16に移行し、病名候補判断部B3は、ステップS11において判断された症状毎の結果を図12に示した通常候補テーブルに当てはめることにより、病名の候補を抽出する(S16)。
そして、第4表示制御部B14は、ステップS15及びステップS16において抽出された病名候補を表示させる(S17)。そして、図30及び図31に示した処理は終了する。なお、第4表示制御部B14が図19に示したような画面を表示していた場合には、操作者が「終了」ボタン20gを指定することにより、図30及び図31に示した処理は終了することとなる。また、図19に示すように、病名の候補のみならず症状毎の結果についても表示させることが好ましい。
図32は、本実施形態に係る病名診断機能部Cの動作の一例を示すフローチャートである。図32に示すように、まずCPU10は病名の候補が入力されたかを判断する(S21)。ここでは、図31に示したステップS17において抽出された病名の候補が自動入力されたかが判断される。病名の候補が入力されていないと判断した場合(S21:NO)、入力されたと判断されるまで、この処理が繰り返される。
一方、病名の候補が入力されたと判断した場合(S21:YES)、第1提示部C1は、診察行為記憶部MC1に記憶される記憶内容に基づいて、候補となる病名に対応した診察行為を抽出し医師に提示する(S22)。これにより、医師による診察行為が行われ、身体所見が得られることとなる。
次に、CPU10は、ステップS22において提示した診察行為に対応する身体所見の情報が入力されたかを判断する(S23)。身体所見の情報が入力されていないと判断した場合(S23:NO)、入力されたと判断されるまで、この処理が繰り返される。
身体所見の情報が入力されたと判断した場合(S23:YES)、第1絞り込み部C2は、身体所見記憶部MC2に記憶される記憶内容に基づいて、候補となる病名に対応した身体所見が得られているかを判断し、候補となる病名の絞り込みを行う(S24)。
次に、第2提示部C3は、ステップS24において絞り込まれた病名を確定するための検査内容を、検査記憶部MC3から抽出して医師に提示する(S25)。これにより、患者に対して検査が実施されることとなる。
その後、CPU10は、ステップS25において提示した検査に対応する結果の情報が入力されたかを判断する(S26)。検査結果の情報が入力されていないと判断した場合(S26:NO)、入力されたと判断されるまで、この処理が繰り返される。なお、ここでの検査結果は医師による手入力でなくともよく、検査装置等から自動入力されるようになっていてもよい。
検査結果の情報が入力されたと判断した場合(S26:YES)、第2絞り込み部C4は、検査結果記憶部MC4に記憶される記憶内容に基づいて、第1絞り込み部C2により絞り込まれた病名に対応した検査結果が得られているかを判断し、更に絞り込みを行う(S27)。
その後、第3提示部C5は、ステップS27において得られた最終結果FRを医師に提示する(S28)。この第3提示部C5は、最終結果FRとして1つの診断病名を提示する場合に限らず、何の病名も当てはまらない旨を提示するようになっていてもよいし、複数の診断病名を提示するようになっていてもよい。
図33は、本実施形態に係る医療情報記憶方法の一例を示すフローチャートであって、医療情報の記憶処理を示している。図33に示すように、まず入力部A1は、複数の個別情報を入力する(S31)。ここで、入力される個別情報は、病態判断機能部Bからの問診回答の情報並びに、病名診断機能部Cからの診断名、医師の所見、検査内容及び検査値の情報である。さらに、入力される個別情報は、医師から直接文字入力され、又は選択肢形式などによって入力された注射、点滴、処方薬、リハビリ、処置、及び手術法などの医療対応の情報である。
次に、付与部A2はテンプレート記憶部MA1よりテンプレートTを読み込む(S32)。ここで、テンプレート記憶部MA1には複数のテンプレートTが記憶されており、付与部A2はテンプレート記憶部MA1に記憶される複数のテンプレートTから適切なものを選択のうえ読み込む。例えば、テンプレートTは第1階層が全て「病名(診断名)」HDとなっており、テンプレート記憶部MA1が診断名毎のテンプレートT(例えば脳梗塞用のテンプレートTや心筋梗塞用のテンプレートT)を記憶している場合、付与部A2は、ステップS31により入力された診断名の情報に基づいて適切なテンプレートTを選択して読み込む。なお、テンプレート記憶部MA1は、診断名毎のテンプレートTに限らず、他の個別情報毎のテンプレートTを記憶しておき、付与部A2は、入力部A1に入力された他の個別情報を基準に適切なテンプレートTを判断するようにしてもよい。
次いで、付与部A2はテンプレートTに対して、ステップS31にて入力した個別情報を入力していく(S33)。これにより、付与部A2は、複数の個別情報それぞれに階層情報及び関連情報を付与することとなる。
その後、記憶制御部A3は、医療情報記憶部MA2に階層情報及び関連情報が付与された複数の個別情報からなる医療情報を記憶させる(S34)。そして、図33に示す処理は終了する。
なお、上記において付与部A2は、テンプレートTを利用して複数の個別情報それぞれに階層情報と関連情報とを付与させているが、これに限らず、ステップS31において個別情報が入力された段階において、入力された複数の個別情報をディスプレイ20に表示させ、医師等の操作を通じて、それぞれの個別情報に階層情報を入力させると共に、関連する個別情報を選択させる(すなわち関連情報を入力させる)ようにしてもよい。そして、付与部A2は、入力された階層情報及び関連情報に従って、複数の個別情報に階層情報及び関連情報を付与するようにしてもよい。これにより、テンプレートTを不要にできるためである。
図34は、本実施形態に係る医療情報検索機能部Dの動作の一例を示すフローチャートである。図34に示すように、まず、医療情報検索機能部Dは、検索情報を入力する(S41)。この処理においては、例えば医師から、文字入力又は選択肢形式によって検索情報が入力される。また、この処理においては、完全一致、及び部分一致等の検索条件についても入力されるようになっていてもよい。加えて、この処理においては、検索対象となる個人を特定できるようになっていてもよい。
なお、ステップS41において入力される検索情報は、優先個別情報をヒットさせるための情報であることが多いと考えられるが、特にこれに限らず、優先個別情報でない個別情報をヒットさせるものであってもよい。
次に、検索部D1は、医療情報記憶部MA2に記憶される多数の医療情報のそれぞれの上位側の所定階層に限定して検索を行う(S42)。このとき、ステップS41に入力された検索条件に従うことはいうまでもない。
その後、医療情報検索機能部Dは、ディスプレイ20に検索結果を表示させる(S43)。そして、図34に示す処理は終了する。
図35は、本実施形態に係る医療情報記憶方法の一例を示すフローチャートであって、医療情報の消去処理を示している。なお、図35に示す処理は医療情報毎に行われる。
図35に示すように、まず医療情報が記憶されると、記憶制御部A3は、その医療情報に対して変数iを「0」にセットする(S51)。次に、記憶制御部A3は、ステップS51又は後述のステップS56の処理から、所定期間経過したかを判断する(S52)。
所定期間経過していないと判断した場合(S52:NO)、経過したと判断されるまで、この処理は繰り返される。一方、所定期間経過したと判断した場合(S52:YES)、記憶制御部A3は、対象階層を決定する(S53)このとき、記憶制御部A3は、最大階層−iなる演算式によって、対象階層を決定する。
その後、記憶制御部A3は、対象階層が上位側の所定階層に属しているかを判断する(S54)。対象階層が上位側の所定階層に属していないと判断した場合(S54:NO)、記憶制御部A3は、医療情報のうち、対象階層の個別情報を消去する(S55)。その後、変数iをインクリメントし(S56)、処理はステップS52に移行する。
一方、対象階層が上位側の所定階層に属していると判断した場合(S54:YES)、優先個別情報を消去してしまうことが無いように、図35に示す処理は終了する。
このようにして、本実施形態に係る医療情報記憶装置1、医療情報記憶方法、医療情報記憶プログラム、及びコンピュータ読取可能な記録媒体によれば、複数の個別情報のうち、後に医師の判断に用いられる情報として予め決定された優先個別情報が、複数の階層のうち上位側の所定階層に属するように階層情報を付与する。ここで、結核を患ったことがある者は後に腎臓疾患となり易い傾向があり、腎臓疾患が疑われる場合には過去の病歴に結核があるか否かが参照される。また、生後4カ月で首が座らない乳児は3〜4歳になっても立てない可能性がある(筋肉系の病気)。さらに、脳梗塞になった場合には、どの程度の後遺症が残ったかの情報が後に参照される。このような情報は後に医師の判断に用いられる優先個別情報として、上位側の所定階層に属するようにされるため、たとえ大小関係に無い個別情報からなる医療情報であっても、適切な階層付けがされることとなる。従って、複数の個別情報からなる医療情報について、より最適な階層化した情報として記憶させることができる。
また、各個別情報が未入力状態であるテンプレートTを記憶し、複数の個別情報のそれぞれを、テンプレートTの予め定められた情報入力箇所に入力することで、階層情報及び関連情報を付与すると共に、優先個別情報が複数の階層の上位側の所定階層に属するように階層情報を付与する。このため、例えば個別情報の入力時に、どの個別情報が優先個別情報であるのか、どの個別情報同士が関連するのかなどを、指定する必要がなく、個別情報を単に入力すればテンプレートTに当て嵌めて階層付けられた情報とされるため、利便性の大きな向上を図ることができる。
また、記憶させた医療情報の作成日が古くなるほど下位階層側から順次個別情報を消去するため、優先個別情報がより残される形で下位階層の個別情報が消去されることとなり、より必要な情報を残しつつ情報を消去して記憶容量の削減を図ることができる。
さらに、上位側の所定階層の個別情報に限定して特定の個別情報を検索するため、優先個別情報が記憶される箇所に限定した検索を行って、医師が判断に用いる情報をより高速に検索することができる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、各実施形態を組み合わせてもよい。さらには、公知又は周知の技術を組み合わせてもよい。
例えば、上記実施形態に係る医療情報記憶装置1は、医療機関において医師に操作されることを前提として説明したが、これに限らず、自治体や消防などの他の機関等において用いられてもよいし、医師以外のものに操作されてもよい。
さらに、上記実施形態において医療情報記憶プログラムは、医療情報記憶装置1のROM10aに限らず、HDD、USB、CD−ROM、CD−Rなどの他の種類の記録媒体に格納されていてもよい。
加えて、上記実施形態に係る医療情報記憶装置1は、医療情報記憶機能部Aを備えていれば、他の機能部B,C,Dを備えていなくともよい。さらに、医療情報検索機能部Dのみで1つの装置(すなわち医療情報検索装置)を構成してもよい。