JP2018091940A - 有機el表示装置向け光学部材用感光性組成物、有機el表示装置向け光学部材、および有機el表示装置 - Google Patents

有機el表示装置向け光学部材用感光性組成物、有機el表示装置向け光学部材、および有機el表示装置 Download PDF

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嘉孝 寺島
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彰 平野
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Misao Tsunekawa
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Abstract

【課題】本発明が解決しようとする課題は、80〜150℃の低い硬化温度で薬品耐性を付与しつつ、脱ガスや相溶性の問題のない微細パターンを有する有機EL表示装置用光学部材に用いる感光性組成物を提供することにある。【解決手段】上記課題は、アルカリ可溶性樹脂(A)と、光重合性化合物(B)と、光重合開始剤(C)とを含有し、該光重合性化合物(B)が、特定の構造を有する化合物(B1)を含有し、該アルカリ可溶性樹脂(A)が、特定の構造を有する単量体に由来する構成単位を全構成単位中45重量%以上含むアルカリ可溶性樹脂(A1)を含有することを特徴とする有機EL表示装置向け光学部材用感光性組成物によって解決される。【選択図】なし

Description

本発明は、80℃〜150℃の低温熱工程においても薬品耐性に優れかつ微細パターンを得ることが出来る有機EL表示装置向け光学部材用感光性組成物に関する。本発明の感光性組成物は、有機EL表示装置等に用いられるカラーフィルタ、ブラックマトリックス、カラーフィルタ保護膜、フォトスペーサー、液晶配向用突起、マイクロレンズ、タッチパネル用絶縁膜、タッチパネル用保護膜、フレキシブルプリント配線板周辺などの電子材料用接着剤や接着シートなどに用いることができる。
一般に、有機EL表示装置(特に白色発光有機ELとカラーフィルタを組み合わせるWRGB方式)、液晶表示素子、集積回路素子、固体撮像素子などには、カラーフィルタ、ブラックマトリックス、カラーフィルタ保護膜、フォトスペーサー、液晶配向用突起、あるいは、マイクロレンズ、タッチパネル用絶縁膜、タッチパネル用保護膜などの膜や微細パターンが設けられている。これらの膜あるいは微細パターンは、透明性などの光学特性が求められる一方、他の部材の形成や組み立てなどの後工程を行う際に、薬品耐性などが求められる。そのため、感光性組成物にあらかじめ熱架橋剤を添加して、光硬化と熱硬化を行うことで、薬品耐性に優れた膜あるいは微細パターンを形成することが知られている。(例えば特許文献1および2)
また近年、ディスプレイのフレキシブル化やウエアラブル化が進み、従来使用されてきたリジッドなガラス基板を使用せずにフレキシブル基材を使用して素子を作製するニーズが高まっている。フレキシブル基板の多くは有機系の素材からなり耐熱性がガラス基板よりも低いため、熱硬化温度を下げる必要がある。例えば、カラーフィルタは従来200〜230℃程度で熱硬化が行われてきたが、プラスチック製のフレキシブル基材を使用する場合はその耐熱性の問題から80〜150℃程度に熱硬化温度を下げる必要がある。すると熱硬化が充分進まないため、高感度の光硬化材料を多量に使用することで膜架橋度を上げる必要があるが、微細なパターンを形成することが難しくなってしまう。
さらに、有機EL表示装置に使用されるカラーフィルタにおいては高い色再現のために非常に濃い色を用いることが多いため、露光工程における光硬化がされにくいため、光硬化だけではなくより低温で効果する熱硬化材料の重要性が高くなる。
さらに、WRGB方式の有機EL表示装置に使用されるカラーフィルタ等では、感光性組成物の硬化物から脱ガスが発生することにより有機EL素子にダークスポットを発生させてしまうことが知られており、脱ガスの低減が求められている。
以上のように、低い硬化温度で感光性組成物の薬品耐性を付与しつつ、脱ガスを発生させない微細パターンを得るには、光硬化材料の量を抑えつつ熱硬化材料を感光性組成物中に多く添加することが求められているが、特許文献1および2に記載されているエポキシ樹脂、ブロックイソシアネート、メラミン樹脂を使用する場合には次のような課題がある。
エポキシ樹脂を添加すると、特許文献2に記載されているとおり、感光性組成物を180℃以上で熱硬化させ薬品耐性を付与することが可能であるが、それより低温での熱硬化については記載されていない。本発明者らの検討によると無触媒では80〜150℃という低温で薬品耐性を付与することは不可能であり、3級アミンや4級アンモニウム塩などを触媒として添加することで150℃以下の温度で硬化させることが可能である。しかし、添加する触媒の影響で室温でも反応が少しずつ進行してしまい、保存安定性が悪いという問題や、触媒の溶解性がわるく塗液にブツが発生する場合がある。
ブロックイソシアネートを添加すると、特許文献1および2に記載されているとおり、感光性組成物を180℃以上で熱硬化させ薬品耐性を付与することが可能である。本発明者らの検討によっても150℃以下の低温硬化であっても薬品耐性を付与することは可能だが、ブロック化剤が硬化物に残存することで絶縁性へ悪影響を与えたり、脱ガスが発生して有機EL素子にダークスポットを発生させてしまうことがある。また、ブロック化剤の種類によっては加熱硬化時にブロック化剤が空気中に飛散し、作業者あるいは環境に悪影響を与える懸念や、光学特性が低下する懸念などがある。さらに、多くのブロックイソシアネートはアクリル系の感光性組成物との相溶性が悪く、白化が起こる場合がある。
メラミン樹脂についてもブロックイソシアネートと同様、150℃以下の低温硬化であっても薬品耐性を付与することが可能だが、加熱硬化時や硬化後にホルムアルデヒドが発生することから有機EL素子のダークスポット、作業者・環境への悪影響などの懸念がある。また、低温硬化可能なメラミンの多くは極性が高く、アクリル系の感光性組成物との相溶性が悪く、白化が起こる場合がある。
150℃以下の低温で硬化させて薬品耐性を付与することができ、かつ、脱ガスの発生がなく、アクリル系の感光性組成物との相溶性がよい架橋系としてジエン構造とジエノフィル構造とのDiels−Alder反応を利用することが開示されている(例えば特許文献3)。しかし、特許文献3では、熱スタンプや赤外線を吸収する光熱変換材料を利用してパターンを形成する方法が示されているが、UV硬化と熱硬化の併用については十分な検討がなされていない。
また光硬化材料に関しては、本発明者らの検討においては特許文献1および2に記載されているような組み合わせでは微細なパターンと低温工程後の充分な耐薬品性を両立することは出来ていない。
特開2013−195956号公報 特開2011−93955号公報 特開2000−233581号公報
本発明では、上記の現状に鑑みてなされたものであり、80〜150℃の低い硬化温度で薬品耐性を付与しつつ、脱ガスや相溶性の問題のない微細なパターンを有する有機EL表示装置向け光学部材用感光性組成物の提供を目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、感光性組成物が、アルカリ可溶性樹脂(A)と、光重合性化合物(B)と、光重合開始剤(C)とを含有する感光性組成物であって、該光重合性化合物(B)が、下記一般式(1)で表される化合物であり、アルカリ可溶性樹脂(A)が、下記一般式(2)で表される単量体に由来する構成単位を全構成単位中45重量%以上含むアルカリ可溶性樹脂(A1)を含むことで、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記工程(i)、(ii)、(iii)および(iv)を含む製造方法により製造される有機EL表示装置向け光学部材に用いられる有機EL表示装置向け光学部材用感光性組成物であって、
アルカリ可溶性樹脂(A)と、光重合性化合物(B)と、光重合開始剤(C)とを含有し、該光重合性化合物(B)が、下記一般式(1)で表される化合物(B1)を含有し、該アルカリ可溶性樹脂(A)が、下記一般式(2)で表される単量体に由来する構成単位を全構成単位中45重量%以上含むアルカリ可溶性樹脂(A1)を含有することを特徴とする有機EL表示装置向け光学部材用感光性組成物に関する。

<工程>
(i):感光性組成物を基材上に塗布することによって塗布膜を得る工程
(ii):工程(i)後、マスクを介し、紫外線で塗布膜を露光する工程
(iii):工程(ii)後、露光した塗布膜をアルカリ現像液で現像することにより、パターンを得る工程
(iv):工程(iii)後、80〜150℃でパターンをポストベークする工程

(一般式1)
(一般式2)
n2n+1−O−C(=O)−C(−R)=CH2
[式中、n=1〜4、RはHまたはCH3]
また、本発明は、前記光重合開始剤(C)がオキシムエステル系光重合開始剤を含有することを特徴とする前記有機EL表示装置向け光学部材用感光性組成物に関する。
また、本発明は、、前記一般式(1)で表される化合物(B1)の含有量が、光重合性化合物(B)の全固形分中の70重量%以上であることを特徴とする前記有機EL表示装置向け光学部材用感光性組成物に関する。
また、本発明は、一般式(2)で示される構成単位において、n=1であることを特徴とする前記有機EL表示装置向け光学部材用感光性組成物
また、本発明は、前記感光性組成物が、さらに着色剤(D)を含むことを特徴とする前記有機EL表示装置向け光学部材用感光性組成物に関する。
また、本発明は、前記アルカリ可溶性樹脂樹脂(A)がフリル基を有するアルカリ可溶性樹脂(A2)を含有し、フリル基を有するアルカリ可溶性樹脂(A2)の含有量が、アルカリ可溶性樹脂樹脂(A)の全固形分中の30重量%以上であることを特徴とする前記有機EL表示装置向け光学部材用感光性組成物に関する。
また、本発明は、基材上に、前記有機EL表示装置向け光学部材用感光性組成物により形成されてなる硬化物を具備することを特徴とする有機EL表示装置向け光学部材に関する。
また、本発明は、前記光学部材を備えることを特徴とする有機EL表示装置に関する。
また、本発明は、下記工程(i)、(ii)、(iii)および(iv)を含む有機EL表示装置用光学部材の製造方法であって、下記感光性組成物が、アルカリ可溶性樹脂(A)と、光重合性化合物(B)と、光重合開始剤(C)とを含有する感光性組成物であって、該光重合性化合物(B)が、下記一般式(1)で表される化合物(B1)を含有し、該アルカリ可溶性樹脂(A)が、下記一般式(2)で表される単量体に由来する構成単位を全構成単位中45重量%以上含むアルカリ可溶性樹脂(A1)を含有することを特徴とする有機EL表示装置用光学部材の製造方法に関する。

<工程>
(i):感光性組成物を基材上に塗布することによって塗布膜を得る工程
(ii):工程(i)後、マスクを介し、紫外線で塗布膜を露光する工程
(iii):工程(ii)後、露光した塗布膜をアルカリ現像液で現像することにより、パターンを得る工程
(iv):工程(iii)後、80〜150℃でパターンをポストベークする工程

(一般式1)

(一般式2)
n2n+1−O−C(=O)−C(−R)=CH2
[式中、n=1〜4、RはHまたはCH3]
本発明により、80〜150℃の低い硬化温度で薬品耐性を付与しつつ、脱ガスや相溶性の問題のない微細パターンを有する有機EL表示装置用光学部材に用いる感光性組成物を提供することができる。
以下に、本発明について詳細に説明する。なお、本発明において(メタ)アクリレートとはアクリレートおよび/またはメタクリレートを意味し、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸および/またはメタクリル酸を意味する。
<<感光性組成物の硬化方法と構成要素>>
まず、本発明の感光性組成物の硬化方法と構成する要素の組み合わせについて説明する。本発明の感光性組成物は、アルカリ可溶性樹脂(A)と、光重合性化合物(B)と、光重合開始剤(C)を必須成分として含み、該光重合性化合物(B)が、下記一般式(1)で表される化合物であり、アルカリ可溶性樹脂(A)が、下記一般式(2)で表される単量体に由来する構成単位を全構成単位中45重量%以上含むアルカリ可溶性樹脂(A1)を含む。
(一般式1)

(一般式2)
n2n+1−O−C(=O)−C(−R)=CH2
[式中、n=1〜4、RはHまたはCH3]
本発明の感光性組成物は上記の構成を満たしていれば良く、作用に限定さるものではないが、アルカリ可溶性樹脂(A)の結晶性を高めることで塗膜内への薬品の進入を防ぐこととで薬品耐性を上げることができる。
本発明者らは、感光性組成物の熱硬化温度である80〜150℃において、下記一般式(1)で表される化合物を含有し、下記一般式(2)で示される構成単位を全構成単位中45重量%以上含むアルカリ可溶性樹脂(A1)を含むことで、80〜150℃の低温焼成工程であっても架橋密度が格段に向上し、薬品耐性を向上させる効果があることを見出した。
(一般式1)

(一般式2)
n2n+1−O−C(=O)−C(−R)=CH2
[式中、n=1〜4、RはHまたはCH3]
特に、光重合開始剤(C)がオキシムエステル系光重合開始剤を用い、一般式(1)で表される化合物が光重合性化合物(B)中70重量%以上であることが好ましい。
一般式(1)で表される化合物を有することで、光硬化工程により非常に密度の高い網目構造を形成することが出来る。それにより薬品が塗膜に浸透することを防ぐことが出来るため、高い薬品耐性を有することになる。その一方で構成単位が小さいために露光により形成される反応物の分子量が小さいためフォトリソグラフィー工程によるパターン幅は狭くなる。つまり微細なパターンを形成され、低温焼成工程における薬品耐性と微細パターンの両立が可能となる。
しかし、一般式(1)で表される化合物を有するだけでは充分な薬品耐性は得られない。本発明では一般式(2)で表される単量体に由来する構成単位を全構成単位中45重量%以上含むアルカリ可溶性樹脂(A1)をさらに含むことで、前記一般式(1)により形成された網目構造の穴を埋めるように架橋密度が高い塗膜を形成することが出来る。
本発明は有機EL用光学部材として使用できる感光性着色組成物であって、アルカリ可溶性樹脂などを添加することで現像性を付与することにより、ネガ型のフォトレジストとして使用し、フォトリソグラフィーにより微細パターンを作製する。その場合、フォトマスクを使用してパターン露光を行うことで感光性組成物を部分的に光硬化させ、未硬化部位を有機溶剤等で溶解させて現像し、残った光硬化部位を加熱することで熱硬化させればよい。フォトリソグラフィーの現像工程は有機溶剤やアルカリ水溶液を用いることができる。
本発明の感光性組成物をネガ型のフォトレジストとして使用する場合、アルカリ現像であるか溶剤現像であるかに関わらず、パターンの解像度と薬品耐性とを両立することができる。
薬品耐性を良好にするため、光重合開始剤(C)がオキシムエステル系光重合開始剤を含むことが好ましく、一般式(1)で表される化合物(B1)の含有量が、光重合性化合物(B)の全固形分中の70重量%以上であることが好ましく、一般式(2)で示される構成単位において、n=1であることがさらに好ましい。
感光性組成物はさらに着色剤(D)を含むことが好ましく、アルカリ可溶性樹脂樹脂(A)がフリル基を有するアルカリ可溶性樹脂(A2)を含有し、フリル基を有するアルカリ可溶性樹脂(A2)の含有量が、アルカリ可溶性樹脂樹脂(A)の全固形分中の30重量%以上であることがさらに好ましい。
フリル化合物を含有するアクリル溶解性樹脂を併用する場合には、光硬化を行ったのち熱硬化を行うことで薬品耐性を上げ、かつ微細なパターンを得られることを特徴とし、その作用は次のように推測される。
まず、光硬化での反応は紫外線照射によるラジカル重合であり、この段階では光重合性化合物(B)中の光重合性官能基の反応率は100%に達しないことは広く知られている。これが、硬化物の薬品耐性が十分でない原因の1つである。
続く熱硬化の段階では、光重合性化合物(B)中の未反応の光重合性官能基、未反応の光重合開始剤(C)およびアルカリ可溶性樹脂(A2)中のフリル基が熱ラジカル付加反応する。また、未反応の光重合性官能基中のジエノフィル構造とフリル基中のジエン構造がDiels−Alder反応する。前記熱ラジカル付加反応および/またはDiels−Alder反応によって硬化物の薬品耐性を向上させることができる。
前記ラジカル重合反応は、紫外線によって光重合開始剤(C)からラジカルが発生し、光重合性化合物(B)中の光重合性官能基がラジカル重合することによって起こる。光重合性官能基としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、マレイミド基、スチリル基、無水マレイン酸残基、ビニルエーテル基、アリルエーテル基、アルケニル基、アルキニル基などが挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
前記熱ラジカル付加反応は、光重合開始剤(C)が熱により開裂してラジカルを発生し、光重合性官能基のラジカル重合が起こるとともに、その重合成長末端のラジカルがフリル基に付加する反応と推測され、例えば非特許文献1(N. Davidenko etal., “Activity of the Furfuryl Ring in the Free Radical Polymerization of Acrylic Monomers, Journal of Polymer Science:
Part A: Polymer Chemistry, Vol. 34, 2759−2766 (1996))にもその機構が記載されている。
次に、本発明の感光性組成物の各構成要素について説明する。
<<アルカリ可溶性樹脂(A)>>
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂(A)は、カラーフィルタ作製時のアルカリ現像工程において現像溶解性を付与するためのものであり、酸基を有する。また、さらに光感度を向上させるために、エチレン性不飽和二重結合を有する樹脂を用いることもできる。
特に側鎖にエチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂を用いることで、活性エネルギー線で露光し塗膜を形成する際に、樹脂が3次元架橋されることで架橋密度が上がり、耐薬品性が良好になる。また、現像工程においても塗膜表面の白化を抑制する効果もある。
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂(A)としては、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において分光透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂であることが好ましい。
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、アルカリ現像溶解性を付与するために、2000以上40000以下であり、3000以上30000以下が好ましく、4000以上20000以下がより好ましい。また、Mw/Mnの値は10以下であることが好ましい。重量平均分子量(Mw)が2000未満であると基板に対する密着性が低下し、露光パターンが残りにくくなる。40000を超えるとアルカリ現像溶解性が低下し、残渣が発生しパターンの直線性が悪化する。
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂(A)の酸価は、アルカリ現像溶解性を付与するために50以上〜200以下(KOHmg/g)であり、70以上180以下の範囲が好ましく、より好ましくは90以上170以下の範囲である。酸価が50未満であるとアルカリ現像溶解性が低下し、残渣が発生しパターンの直線性が悪化する。200を超えると基板への密着性が低下し、露光パターンが残りにくくなる。
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂(A)は、成膜性および諸耐性が良好なことから、感光性組成物の全固形分全重量100重量部に対し、20重量部以上の量で用いることが好ましく、良好な薬品耐性を有する塗膜を形成できることから、90重量部以下の量で用いることが好ましい。
<アルカリ可溶性樹脂(A1)>
本発明のアルカリ可溶性樹脂(A)は、下記一般式(2)で表される単量体に由来する構成単位を全構成単位中45重量%以上含むアルカリ可溶性樹脂(A1)を必須成分として含有する。

(一般式2)
n2n+1−O−C(=O)−C(−R)=CH2
[式中、n=1〜4、RはHまたはCH3]
(一般式2)中、nは1〜2であることが好ましく、n=1であることがさらに好ましい。塗膜中の架橋密度が向上し、耐薬品性が上がるためである。
一般式(2)に該当する単量体としてはMA(メチルアクリレート)、EA(エチルアクリレート)、n-PA(n-プロピルアクリレート)、i-PA(i-プロピルアクリレート)、n-BA(n-ブチルアクリレート)、i-BA(i-ブチルアクリレート)、t-BA(t-ブチルアクリレート)、MMA(メチルメタクリレート)、EMA(エチルメタクリレート)、n-PMA(n-プロピルメタクリレート)、i-PMA(i-プロピルメタクリレート)、n-BMA(n-ブチルメタクリレート)、i-BMA(i-ブチルメタクリレート)、t-BMA(t-ブチルメタクリレート)が挙げられる。この中でもアルカリ可溶性樹脂(A)の結晶性を高める観点から、MMA(メチルメタクリレート)、n-BMA(n-ブチルメタクリレート)、i-BMA(i-ブチルメタクリレート)、t-BMA(t-ブチルメタクリレート)を用いることが好ましく、より好ましくはMMA(メチルメタクリレート)、n-BMA(n-ブチルメタクリレート)を用いることが好ましい。
さらに(一般式2)で表される単量体に由来する構成単位は、全構成単位中55重量%以上90重量%以下含むことが好ましく、65重量%以上90重量%以下含むことがさらに好ましく、75重量%以上90重量%以下含むことが最も好ましい。一般式(2)で表される単量体に由来する構成単位を多く含有するほど耐薬品性が向上するが、90重量%を超えるとアルカリ現像性が低下し、パターン解像度が低下する。
さらにアルカリ可溶性樹脂(A)の全100重量%中、アルカリ可溶性樹脂(A1)は20重量%以上95重量%以下含むことが好ましく、30重量%以上95重量%以下含むことがさらに好ましく、50重量%以上95重量%以下含むことがさらに好ましい。アルカリ可溶性樹脂(A1)を多く含有するほど耐薬品性が向上するが、95重量%を超えるとアルカリ現像性が低下し、パターン解像度が低下する。
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂(A1)は、以下に挙げる形態であることが好ましい。
(好ましい形態1)
本発明のアルカリ可溶性樹脂(A1)は少なくとも1種の不飽和結合を有する化合物(X1)(但し(X2)を除く)と、1分子中にエポキシ基および不飽和結合を有する化合物(X2)とを共重合させて共重合体(X6)を得て、得られた共重合体(X6)のエポキシ基と不飽和1塩基酸を有する化合物(X4)とを反応させてエポキシ基が開環してなる水酸基を有する共重合体(X7)を得て、更に得られた共重合体(X7)の水酸基と多塩基酸無水物(X5)とを反応して得られる樹脂(x1)であることが好ましい。
当該反応によって得られる樹脂は、エポキシ基と酸の反応、水酸基と酸無水物との反応において反応し得る全ての官能基が反応するものではなく、多種の生成物の混合物となる。よって、アルカリ可溶性樹脂(A1)を特定し、記載することは、不可能であるかおよそ現実的ではないため、製造方法により記載する。
《樹脂(x1)》
樹脂(x1)は、少なくとも1種の不飽和結合を有する化合物(X1)(但し(X2)を除く)と、1分子中にエポキシ基および不飽和結合を有する化合物(X2)とを共重合させて共重合体(X6)を得て、得られた共重合体(X6)と不飽和1塩基酸を有する化合物(X4)とを反応させて共重合体(X7)を得て、更に得られた共重合体(X7)と多塩基酸無水物(X5)とを反応させて得られる樹脂である。
樹脂(x1)の含有量は、成膜性の観点から、感光性着色組成物中、5〜70重量%であることが好ましく、10〜60重量%がより好ましい。
<少なくとも1種の不飽和結合を有する化合物(X1)>
少なくとも1種の不飽和結合を有する化合物(X1)としては、下記(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)が挙げられ、1分子中にエポキシ基と不飽和結合とを有する化合物(X2)以外のものである。
(イ) 一般式(11)または一般式(12)に示す芳香族環基を有する化合物:

一般式(11):


一般式(12):

[一般式(11)及び(12)中、Rは、水素原子、またはベンゼン環を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基である。]
(ロ) 化学式(14)または化学式(15)に示す脂肪族環基を有する化合物:

化学式(14):

化学式(15):
(ハ)その他の化合物(f2)
以下に、化合物(イ)、化合物(ロ)、及び化合物(ハ)について、順に説明する。本明細書においては、各化合物の含有重量%は各化合物を樹脂(X1)にもたらす前駆体の重量%である。
[化合物(イ)]
化合物(イ)は、一般式(11)及び一般式(12)に示す芳香族環基による環状構造を有し、硬度向上に寄与する。樹脂(x1)の全構成単位の重量を基準として、構成単位(イ)は、現像性の観点から、2〜80重量%であることが好ましい。2重量%未満では、現像性が低下する。また、80重量%を越えると、アルカリ現像液への溶解速度が遅くなり、現像時間が長く生産性が悪化する。

一般式(11):

一般式(12):

[一般式(11)及び(12)中、Rは、水素原子、またはベンゼン環を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基である。]
化合物(イ)の前駆体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、インデン、アセチルナフテン、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル等のモノマー・オリゴマー、または一般式(13)に示すエチレン性不飽和単量体等が挙げられる。
一般式(13):

(一般式(13)中、Rは、水素原子、またはメチル基であり、Rは、炭素数2若しくは3のアルキレン基であり、Rは、ベンゼン環を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基であり、nは、1〜15の整数である。)
一般式(13)に示されるエチレン性不飽和単量体としては、例えば、
第一工業製薬社製ニューフロンティア CEA〔EO変性クレゾールアクリレート、R:水素原子、R:エチレン基、R:メチル基、n=1または2、〕、NP−2〔n−ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、R:水素原子、R:エチレン基、R:n−ノニル基、n=2〕、N−177E〔n−ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、R:水素原子、R:エチレン基、R:n−ノニル基、n=16〜17〕、若しくはPHE〔フェノキシエチルアクリレート、R:水素原子、R:エチレン基、R:水素原子、n=1〕、
ダイセル社製、IRR169〔エトキシ化フェニルアクリレート(EO 1mol)、R:水素原子、R:エチレン基、R:水素原子、n=1〕、またはEbecryl110〔エトキシ化フェニルアクリレート(EO 2mol)、R:水素原子、R:エチレン基、R:水素原子、n=2〕、
東亞合成社製アロニックス M−101A〔フェノールEO変性(n≒2)アクリレート、R:水素原子、R:エチレン基、R:水素原子、n≒2〕、M−102〔フェノールEO変性(n≒4)アクリレート、R:水素原子、R:エチレン基、R:水素原子、n≒4〕、M−110〔パラクミルフェノールEO変性(n≒1)アクリレート、R:水素原子、R:エチレン基、R:パラクミル、n≒1〕、M−111〔n−ノニルフェノールEO変性(n≒1)アクリレート、R:水素原子、R:エチレン基、R:n−ノニル基、n≒1〕、M−113〔n−ノニルフェノールEO変性(n≒4)アクリレート、R:水素原子、R:エチレン基、R:n−ノニル基、n≒4〕、若しくはM−117〔n−ノニルフェノールPO変性(n≒2.5)アクリレート、R:水素原子、R:プロピレン基、R:n−ノニル基、n≒2.5〕、
共栄社製ライトアクリレート PO−A〔フェノキシエチルアクリレート、R:水素原子、R:エチレン基、R:水素原子、n=1〕、P−200A〔フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、R:水素原子、R:エチレン基、R:水素原子、n≒2〕、NP−4EA〔ノニルフェノールEO付加物アクリレート、R:水素原子、R:エチレン基、R:n−ノニル基、n≒4〕、若しくはNP−8EA〔〔ノニルフェノールEO付加物アクリレート、R:水素原子、R:エチレン基、R:n−ノニル基、n≒8〕、またはライトエステル PO〔フェノキシエチルメタクリレート、R:メチル基、R:プロピレン基、R:水素原子、n=1〕、
日油社製ブレンマー ANE−300〔ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、R:水素原子、R:エチレン基、R:−ノニル基、n≒5〕、ANP−300〔ノニルフェノキシポリプロピレングリコールアクリレート、R:水素原子、R:プロピレン基、R:n−ノニル基、n≒5〕、43ANEP−500〔ノニルフェノキシ−ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−アクリレート、R:水素原子、R:エチレン基及びプロピレン基、R:−ノニル基、n≒5+5〕、70ANEP−550〔ノニルフェノキシ−ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−アクリレート、R:水素原子、R:エチレン基及びプロピレン基、R:n−ノニル基、n≒9+3〕、75ANEP−600〔ノニルフェノキシ−ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−アクリレート、R:水素原子、R:エチレン基及びプロピレン基、R:n−ノニル基、n≒5+2〕、AAE−50〔フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、R:水素原子、R:エチレン基、R:水素原子、n=1〕、AAE−300〔フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、R:水素原子、R:エチレン基、R:水素原子、n≒5.5〕、PAE−50〔フェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、R:メチル基、R:エチレン基、R:水素原子、n=1〕、PAE−100〔フェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、R:メチル基、R:エチレン基、R:水素原子、n=2〕、若しくは43PAPE−600B〔フェノキシ−ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−メタクリレート、R:メチル基、R:エチレン基及びプロピレン基、R:水素原子、n≒6+6〕、
新中村化学社製NK ESTER AMP−10G〔フェノキシエチレングリコールアクリレート(EO1mol)、R:水素原子、R:エチレン基、R:水素原子、n=1〕、AMP−20G〔フェノキシエチレングリコールアクリレート(EO2mol)、R:水素原子、R:エチレン基、R:水素原子、n≒2〕、AMP−60G〔フェノキシエチレングリコールアクリレート(EO6mol)、R:水素原子、R:エチレン基、R:水素原子、n≒6〕、PHE−1G〔フェノキシエチレングリコールメタクリレート(EO1mol)、R:メチル基、R:エチレン基、R:水素原子、n=1〕、
大阪有機化学社製ビスコート #192〔フェノキシエチルアクリレート、R:水素原子、R:エチレン基、R:水素原子、n=1〕、あるいは、
日本化薬製SR−339A〔2−フェノキシエチレングリコールアクリレート、R:水素原子、R:エチレン基、R:水素原子、n=1〕,若しくはSR−504(エトキシ化ノニルフェノールアクリレート、R:水素原子、R:エチレン基、R:n−ノニル基〕等が挙げられるが、これらに限定することなく、2種類以上併用することもできる。
一般式(13)で示されるエチレン性不飽和単量体において、Rのアルキル基の炭素数は1〜20であるが、より好ましくは1〜10である。アルキル基は、直鎖状アルキル基だけでなく、分岐状アルキル基及び置換基としてベンゼン環を有するアルキル基も含まれる。Rのアルキル基の炭素数が1〜10のときは基材への密着性が高まるが、炭素数が10を超えると、長いアルキル基が、基材との密着を妨げる傾向を示す。この傾向は、Rのアルキル基の炭素鎖長が長くなるに従い顕著となり、炭素数が20を超えると、基材との密着が極端に低下する。Rで表されるベンゼン環を有するアルキル基としては、ベンジル基、2−フェニル(イソ)プロピル基等を挙げることができる。側鎖ベンゼン環が一つ増えることによって、現像性が向上する。
一般式(13)で示されるエチレン性不飽和単量体において、nは、1〜15の整数が好ましい。nが15を越えると、親水性が増して溶媒和の効果が小さくなると共に、樹脂の粘度が高くなり、これを用いた感光性組成物の粘度も高くなり、流動性に影響を与える場合がある。溶媒和の観点から、nは、1〜4が特に好ましい。
化合物(イ)の前駆体としては、他の前駆体との共重合性の観点、及び耐薬品性の観点から、スチレン、α−メチルスチレン、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、または一般式(7)で示されるエチレン性不飽和単量体が好ましい。これらは、樹脂の側鎖にベンゼン環を導入できるので特に好ましい。樹脂の側鎖にベンゼン環を導入することよって、側鎖ベンゼン環が現像性改善に効果がある。更に、ベンジルアクリレート及び/またはベンジルメタクリレートは、現像残渣の観点から、最も好ましい。
[化合物(ロ)]
化合物(ロ)は、化学式(14)及び化学式(15)に示す脂肪族環基による環状構造を有し、硬度を付与する、及び、アルカリ現像液に対する疎水性部位として機能する。アルカリ可溶性樹脂(A1)の全構成化合物の重量を基準として、化合物(ロ)は、現像性と硬度付与の観点から、2〜40重量%であることが好ましい。2重量%未満では、現像性と硬度が不足し、高品質なタッチパネル用塗膜が得られないといった問題が生じる場合がある。また、現像時の疎水性が不足するために画素部のパターン剥れや欠けの問題が生じる。40重量%を越えると、アルカリ現像液への溶解速度が遅くなり、現像時間が長く塗膜の生産性が悪くなる。
化学式(14):
化学式(15):
化合物(ロ)の前駆体としては、一般式(16)に示すエチレン性不飽和単量体、または一般式(17)に示すエチレン性不飽和単量体等が挙げられる。
一般式(16):
一般式(17):

[一般式(16)、一般式(17)中、Rは、水素原子、またはメチル基であり、R10は、炭素数2若しくは3のアルキレン基であり、mは、1〜15の整数である。]
一般式(16)に示されるエチレン性不飽和単量体としては、例えば、
日立化成社製ファンクリル FA−513A〔ジシクロペンタニルアクリレート、R:水素原子、R10:なし、m=0〕、またはFA−513M〔ジシクロペンタニルメタクリレート、R:メチル、R10:なし、m=0〕等が挙げられるが、これらに限定することなく、2種類以上併用することもできる。
一般式(17)に示される不飽和エチレン製単量体としては、例えば、
日立化成社製ファンクリル FA−511A〔ジシクロペンテニルアクリレート、R:水素原子、R10:なし、m=0〕、FA−512A〔ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、R:水素原子、R10:エチレン基、m=1〕、FA−512M〔ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、R:メチル基、R10:エチレン基、m=1〕、またはFA−512MT〔ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、R:メチル基、R10:エチレン基、m=1〕等が挙げられるが、これらに限定することなく、2種類以上併用することもできる。
[化合物(ハ)]
化合物(ハ)は、化合物(イ)、(ロ)以外のその他のエチレン性不飽和単量体であって、化合物(イ)、(ロ)の前駆体であるエチレン性不飽和単量体と共重合可能であればとくに制限は無い。なかでも、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体、側鎖型環状エーテル含有単量体が好ましい。
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−若しくは3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−若しくは3−若しくは4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。また、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシド等を付加重合させたポリエーテルモノ(メタ)アクリレートや、(ポリ)γ−バレロラクトン、(ポリ)ε−カプロラクトン、及び/又は(ポリ)12−ヒドロキシステアリン酸等を付加した(ポリ)エステルモノ(メタ)アクリレートも使用できる。塗膜異物抑制の観点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、又はグリセロール(メタ)アクリレートが好ましい。
イソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は1,1−ビス〔(メタ)アクリロイルオキシ〕エチルイソシアネート等が挙げられるが、これらに限定することなく、2種類以上併用することもできる。
側鎖型環状エーテル含有単量体としては、たとえば、テトラヒドロフラン骨格、フラン骨格、テトラヒドロピラン骨格、ピラン骨格、ラクトン骨格の郡から選ばれる少なくとも1つの骨格を含有する不飽和化合物である。
テトラヒドロフラン骨格としては、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイルオキシ−プロピオン酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフラン−3−イルエステルなど;
フラン骨格としては、2−メチル−5−(3−フリル)−1−ペンテン−3−オン、フルフリル(メタ)アクリレート、1−フラン−2−ブチル−3−エン−2−オン、1−フラン−2−ブチル−3−メトキシ−3−エン−2−オン、6−(2−フリル)−2−メチル−1−ヘキセン−3−オン、6−フラン−2−イル−ヘキシ−1−エン−3−オン、アクリル酸2−フラン−2−イル−1−メチル−エチルエステル、6−(2−フリル)−6−メチル−1−ヘプテン−3−オンなど;
テトラヒドロピラン骨格としては、(テトラヒドロピラン−2−イル)メチルメタクリレート、2,6−ジメチル−8−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−オクト−1−エン−3−オン、2−メタクリル酸テトラヒドロピラン−2−イルエステル、1−(テトラヒドロピラン−2−オキシ)−ブチル−3−エン−2−オンなど;
ピラン骨格としては、4−(1,4−ジオキサ−5−オキソ−6−ヘプテニル)−6−メチル−2−ピロン、4−(1,5−ジオキサ−6−オキソ−7−オクテニル)−6−メチル−2−ピロンなど;
ラクトン骨格としては、2−プロペン酸2−メチル−テトラヒドロ−2−オキソ−3−フラニルエステル、2−プロペン酸2−メチル−7−オキソ−6−オクサビシクロ[3.2.1]オクト−2−イルエステル、2−プロペン酸2−メチル−ヘキサヒドロ−2−オキソ−3,5−メタノ−2H−シクロペンタ[b]フラン−7−イルエステル、2−プロペン酸2−メチル−テトラヒドロ−2−オキソ−2H−ピラン−3−イルエステル、2−プロペン酸(テトラヒドロ−5−オキソ−2−フラニル)メチルエステル、2−プロペン酸ヘキサヒドロ−2−オキソ−2,6−メタノフロ[3,2−b]−6−イルエステル、2−プロペン酸2−メチル−2−(テトラヒドロ−5−オキソ−3−フラニル)エチルエステル、2−プロペン酸2−メチル−デカヒドロ−8−オキソ−5,9−メタノ−2H−フロ[3,4−g]−1−ベンゾピラン−2−イルエステル、2−プロペン酸2−メチル−2−[(ヘキサヒドロ−2−オキソ−3,5−メタノ−2H−シクロペンタ[b]フラン−6−イル)オキシ]エチルエステル、2−プロペン酸3−オキソ−3−[(テトラヒドロ−2−オキソ−3−フラニル)オキシ]プロピルエステル、2−プロペン酸2−メチル−2−オキシ−1−オクサスピロ[4.5]デク−8−イルエステルなどが挙げられる。
これらのうちテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートが着色、入手性の点から好ましい。これら側鎖型環状エーテル含有単量体は単独で用いても2種以上を複合して用いても構わない。
その他の共重合可能な単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸メチル2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−置換マレイミド類;ブタジエン、イソプレン等のブタジエンまたは置換ブタジエン化合物;エチレン、プロピレン、塩化ビニル、アクリロニトリル等のエチレンまたは置換エチレン化合物;酢酸ビニル等のビニルエステル類;等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、スチレンが、透明性が良好で、耐熱性を損ないにくい点で好ましい。これら共重合可能な他の単量体は、1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
前記単量体成分の重合反応の方法としては、特に制限はなく、従来公知の各種重合方法を採用することができるが、特に、溶液重合法によることが好ましい。なお、重合温度や重合濃度(重合濃度=[単量体成分の全重量/(単量体成分の全重量+溶媒重量)]×100とする)は、使用する単量体成分の種類や比率、目標とするポリマーの分子量によって異なるが、好ましくは、重合温度40〜150℃、重合濃度5〜50%とするのがよく、さらに好ましくは、重合温度60〜130℃、重合濃度10〜40%とするのがよい。
アルカリ可溶性樹脂(A1)は、前記化合物(イ)〜(ハ)の中のような少なくとも1種以上の不飽和結合を有する化合物(X1)、後述する(X1)以外の1分子中にエポキシ基と不飽和結合とを有する化合物(X2)を共重合させて共重合体(X6)を得て、得られた共重合体(X6)と不飽和1塩基酸を有する化合物(X4)とを反応させて共重合体(X7)を得て、更に得られた共重合体(X7)と多塩基酸無水物(X5)とを反応させて得られる
<1分子中にエポキシ基と不飽和結合とを有する化合物(X2)>
1分子中にエポキシ基と不飽和結合とを有する化合物(X2)としては、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体が挙げられ、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4エポキシブチル(メタ)アクリレート、及び3,4エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。次工程の不飽和一塩基酸との反応性の観点で、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
<不飽和1塩基酸を有する化合物(X4)>
不飽和一塩基酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体等のモノカルボン酸等が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。
<多塩基酸無水物(X5)>
多塩基酸無水物としては、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。カルボキシル基の数を増やす等、必要に応じて、トリメリット酸無水物等のトリカルボン酸無水物を用いたり、ピロメリット酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物を用いて、残った無水物基を加水分解すること等もできる。また、多塩基酸無水物として、ラジカル重合性二重結合を有する、テトラヒドロ無水フタル酸、又は無水マレイン酸を用いると、更にラジカル重合性二重結合を増やすことができる。
樹脂(c1)の二重結合当量は、350g/mol以上1300g/mol以下であることが好ましく、350g/mol以上1000g/mol以下であることが最も好ましい。樹脂(c1)の二重結合当量が1300g/molより大きいと現像速度が遅くなり、仮にパターニングが出来たとしても残渣が多い塗膜となってしまう。二重結合当量が350g/mol未満であると、架橋成分が多すぎて安定性が悪かったり、塗膜が脆くなったりしてしまう。
(好ましい形態2)
本発明のアルカリ可溶性樹脂(A1)としては、ポリオール(s)の水酸基と、ポリカルボン酸無水物(y)の酸無水物基を反応させてなる、ポリオール部位(S)とポリカルボン酸部位(Y)を交互に有するアルカリ可溶性樹脂であって、ポリオール部位(S)の一部又は全部が、S原子を介して、エチレン性不飽和単量体(z)をラジカル重合してなるビニル重合体部位(Z)を有するアルカリ可溶性樹脂であることがより好ましい。
このようなアルカリ可溶性樹脂は、顔料などの着色剤の分散剤としても作用する。
このようなアルカリ可溶性樹脂は、国際公開2008/007776号パンフレット等に記載されている。
アルカリ可溶性樹脂(A1)は、エチレン性不飽和単量体(z)を、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基を有する化合物(s1)の存在下、ラジカル重合してなる片末端に2つの水酸基を有するビニル重合体(s2)を少なくとも含むポリオール(s)中の水酸基と、テトラカルボン酸二無水物(y1)を少なくとも含むポリカルボン酸無水物(y)中の酸無水物基とを、反応させてなることによって得られる。
また、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(s1)を少なくとも含むポリオール(s)中の水酸基と、テトラカルボン酸二無水物(y1)を少なくとも含むポリカルボン酸化合物(y)中の酸無水物基とを反応させてなる樹脂の存在下、ビニル重合体部位(Z)を形成するエチレン性不飽和単量体(z)をラジカル重合することによっても得られる。
上記アルカリ可溶性樹脂(A1)の各構成要素について説明する。
《エチレン性不飽和単量体(z)》
エチレン性不飽和単量体(z)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート等、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド、およびN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン等のN置換型(メタ)アクリルアミド類、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類、及びこれらの混合物があげられる。
また、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類等、およびこれらの混合物を併用して用いてもよい。
また、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体を併用することもできる。カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などから1種または2種以上を選択することができる。
上記アルカリ可溶性樹脂(A1)は、これらエチレン性不飽和単量体(z)をラジカル重合してなるビニル重合体部位(Z)を有するものであり、このビニル重合体部位(Z)のガラス転移温度(以下Tgと略記する。)が、50℃未満であることが好ましい。
しかしこれらのエチレン性不飽和単量体(z)は、その単独重合体のガラス転移温度(以下Tgと略記する。)が、必ずしも50℃未満のものばかりではなく、必要に応じて、単独重合体のTgが高い単量体と単独重合体のTgが低い単量体を共重合することによって、本発明のポリエステル分散体にTgが50℃未満のビニル重合体部位(Z)を形成することができる。
また、本発明においては、エチレン性不飽和単量体(z)の中でも、顔料分散性の観点から、下記一般式(5)で表わされる単量体が好ましい。下記一般式(5)で表される単量体の使用量は、ビニル重合体(s2)を構成する単量体全体に対して5重量%以上含まれることが好ましい。5重量%以上であれば、溶剤に対する親和性の効果がより優れ、無機酸化物微粒子の分散性と現像耐性のバランスの観点から、45〜80重量%がより好ましく、45〜70重量%が最も好ましい。
一般式(5):

[一般式(5)中、R32は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状若しくは環状アルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよいフェニル基又は、下記一般式(6)で表される化合物であり、R31は、水素原子、又はメチル基である。]

[一般式(6)中、R33は、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状アルキレン基であり、R34は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状若しくは環状アルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルケニル基、又は、置換基を有していてもよいフェニレン基であり、nは、1〜30の整数である。]
一般式(5)中、R32の具体例としては、メチル基、エチル基、n−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基(ドデシル基)、パルミチル基(ヘキサデシル基)、ステアリル基(オクタデシル基)、イソステアリル基、ウンデセニル基、オレイル基、シクロヘキシル基、ジシクロヘキシル基、ジシクロヘキセニル基、フェニル基、ノニルフェニル基、又はパラクミルフェニル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
一般式(5)中、R31の具体例としては、水素原子、又はメチル基が挙げられる。
一般式(6)中、R33の具体例としては、エチレン基、エチレン基とプロピレン基、プロピレン基、エチレン基とテトラメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、又はオクタメチレン基等が挙げられるが、これらに限定されない。
一般式(6)中、R34の具体例としては、前記一般式(5)中のR32と同様の置換基が挙げられるが、これらに限定されない。
《ポリオール(s)》
《分子内に2つの水酸基と1つのチオール基を有する化合物(s1)》
本発明に使用する分子内に2つの水酸基と1つのチオール基を有する化合物(s1)としては、例えば、1−メルカプト−1,1−メタンジオール、1−メルカプト−1,1−エタンジオール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール(チオグリセリン)、2−メルカプト−1,2−プロパンジオール、2−メルカプト−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メルカプト−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1−メルカプト−2,2−プロパンジオール、2−メルカプトエチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メルカプトエチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、等が挙げられる。
《ビニル重合体(s2)》
発明に使用する片末端に2つの水酸基を有し、かつビニル重合体部位(Z)のビニル重合体(s2)は、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(s1)を、目的とするビニル重合体(s2)の分子量にあわせて、1種類以上のエチレン性不飽和単量体(s1)と、任意に重合開始剤とを混合して加熱することで得ることができる。
2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(s1)は、エチレン性不飽和単量体(z)100重量部に対して、0.5〜30重量部を用い、塊状重合または溶液重合を行うのが好ましく、より好ましくは3〜12重量部、さらに好ましくは4〜12重量部、特に好ましくは5〜9重量部である。0.5重量部未満であると、ビニル重合体部位(Z)の分子量が高すぎて、顔料担体および溶剤に対する親和性部位として、その絶対量が増えてしまい、分散性の効果自体が低下する場合があり、30重量部を超えると、ビニル重合体部位(Z)の分子量が低すぎて、顔料担体および溶剤に対する親和性部位として、その立体反発の効果がなくなると共に、顔料の凝集を抑えることが困難になる場合がある。
反応温度は、40〜150℃、好ましくは50〜110℃である。40℃未満では十分に重合が進行せず、150℃以上では高分子量化が進む等、分子量のコントロールが困難になる。
ビニル重合体部位(Z)の重量平均分子量は、1,000〜20,000が好ましく、より好ましくは2000〜12,000、さらに好ましくは2,000〜10,000、特に好ましくは3,000〜8,000である。この部位が無機微粒子担体および溶剤への親和性部位となる。ビニル重合体部位(Z)の重量平均分子量が1,000未満では、無機微粒子担体および溶剤に対する親和性部位として、その立体反発の効果がなくなると共に、無機微粒子の凝集を抑えることが困難になる場合がある。また、20,000を超えると、無機微粒子担体および溶剤に対する親和性部位として、その絶対量が増えてしまい、分散性の効果自体が低下する場合がある。さらに、分散体の粘度が高くなる場合がある。
ビニル重合体(z2)は、分子量を上記範囲に調整することが容易であり、かつ、溶剤への親和性も良好である。
重合の際、エチレン性不飽和単量体(z)100重量部に対して、任意に0.001〜5重量部のラジカル重合開始剤を使用することができる。ラジカル重合開始剤としては、アゾ系化合物および有機過酸化物を用いることができる。アゾ系化合物の例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等が挙げられる。有機過酸化物の例としては、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等があげられる。これらのラジカル重合開始剤は、単独で、もしくは2種類以上組み合わせて用いることができる。
溶液重合の場合には、重合溶媒として、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、等が用いられるが特にこれらに限定されるものではない。これらの重合溶媒は、2種類以上混合して用いても良い。重合反応に使用した溶媒は、反応終了後、蒸留等の操作により取り除くか、あるいはそのまま次の工程の溶剤として使用したり、製品の一部として使用することもできる。
《その他のポリオール》
ポリオール(s)中に含まれる化合物(s1)以外のポリオール、およびポリオール(s)中に含まれるビニル重合体(s2)以外のポリオール(以下、合わせてその他のポリオールと略記する。)としては、公知のものを使用し得る。それらのうちでも、特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、次のグループ(1)〜(7)に属するものがある。
(1)エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘサン、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレート、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、グリセリンもしくは、ヘキサントリオールの如き多価アルコール類;(2)ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレンポリオキシテトラメチレングリコールもしくは、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオキシテトラメチレングリコールの如き、各種のポリエーテルグリコール類;
(3)上記した各種の多価アルコール類と、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテルまたはアリルグリシジルエーテルの如き各種の(環状)エーテル結合含有化合物との開環重合によって得られる変性ポリエーテルポリオール類;
(4)上記した各種の多価アルコール類の1種以上と、多価カルボン酸類との共縮合によって得られるポリエステルポリオール類であって、多価カルボン酸類が、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,4−シクロヘキサンヒカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサトリカルボン酸または2,5,7−ナフタレントリカルボン酸などで特に代表されるものを用いて得られるポリオール類;
(5)上記した各種の多価アルコール類の1種以上と、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトンもしくは3−メチル−δ−バレロラクトンの如き各種のラクトン類との重縮合反応によって得られるラクトン系ポリエステルポリオール類、あるいは、
上記した各種の多価アルコール類と、多価カルボン酸類と、各種のラクトン類との重縮合反応によって得られるラクトン変性ポリエステルポリオール類;
(6)ビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、一価および/または多価アルコール類のグリシジルエーテル、あるいは、一塩基酸および/または多塩基酸類のグリシジルエステルの如き各種のエポキシ化合物を、ポリエステルポリオールの合成時に、1種以上併用して得られるエポキシ変性ポリエステルポリオール類;(7)ポリエステルポリアミドポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリペンタジエンポリオール、ひまし油、ひまし油誘導体、水添ひまし油、水添ひまし油誘導体、水酸基含有アクリル系共重合体、水酸基含有含フッ素化合物または水酸基含有シリコン樹脂などが挙げられる。
これら(1)〜(7)に示された任意に添加する、その他のポリオールは、単独使用でも2種以上の併用でもよいことは勿論であるが、その重量平均分子量としては、相溶性や分散安定性の観点から、40〜10,000が好ましく、より好ましくは、100〜2,000であり、さらに好ましくは、100〜1,000である。重量平均分子量が、40未満では、相溶性や分散安定性を改善する効果はなく、重量平均分子量が、10,000以上では、かえって相溶性が悪くなる。
その他のポリオールの一分子中の水酸基の数は、目的とする分散剤が合成できれば特に限定はないが、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基を有する化合物以外のジオール(s5)が好ましい。特に、テトラカルボン酸二無水物(y1)と反応することで、主鎖に無機酸化物微粒子吸着基となるカルボキシル基を規則的に並べることができ、無機酸化物微粒子分散に有利である。水酸基が二つより多いポリオールを多く用いると、ポリエステルの主鎖が分岐して複雑かつ嵩高くなり、分散効果が得られにくくなる。ポリエステル分散剤の分子量調整や、分散液の粘度調整のため等、設計の観点から最小限に止めるべきである。配合量に関しては、後述する。
《ポリカルボン酸無水物(y)》
本発明に使用するポリカルボン酸無水物(y)は、少なくともテトラカルボン酸二無水物(y1)を含んでいることが好ましい。テトラカルボン酸二無水物(y1)の二つの無水物基は、ポリオール(s)の水酸基と反応することによって、主鎖に顔料吸着基となるカルボキシル基を規則的に並べることができ、顔料分散に有利である。
本発明に使用するテトラカルボン酸二無水物(y1)としては、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物などの脂肪族テトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、プロピレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、ブチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、9,9−ビス[4−(3,4−ジカ
ルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン二無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,
3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−メチル−1−ナフタレンコハク酸二無水物、などの芳香族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
本発明で使用されるテトラカルボン酸二無水物は上記に例示した化合物に限らず、カルボン酸無水物基を2つ持てばどのような構造をしていてもかまわない。これらは単独で用いても、併用してもかまわない。テトラカルボン酸二無水物は、ポリオールとの反応により、ポリエステルの一単位に二個のカルボキシル基を有する分散剤を形成するため、無機微粒子吸着性の観点から、本発明のポリエステル分散剤の構成要素として好ましい。
さらに、本発明に好ましく使用されるものは、無機微粒子に対する吸着性の観点から、芳香族テトラカルボン酸二無水物であり、さらに好ましくは、芳香族環を二つ以上有するテトラカルボン酸二無水物である。芳香族カルボン酸は、脂肪族カルボン酸に比べて無機微粒子吸着能が高く、さらに、芳香族環を二つ以上有するカルボン酸は、無機微粒子吸着に適した骨格であり、耐熱性も高い。
具体的には、下記一般式(1)または一般式(2)で表される芳香族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
一般式(1):

[一般式(1)中、kは1または2である。]

一般式(2):

[一般式(2)中、Qは、直接結合、−O−、−CO−、−COOCHCHOCO−、−SO−、−C(CF−、一般式(3):

で表される基、または一般式(4):

で表される基である。]
また、分子中にカルボン酸無水物基を1つ持つ化合物や3つ以上持つ化合物を併用、すなわち、本発明に使用するポリカルボン酸無水物(y)中に含まれるテトラカルボン酸二無水物(y1)以外のポリカルボン酸無水物も使用することができる。
本発明に使用するポリカルボン酸無水物(y)中に含まれるテトラカルボン酸二無水物(y1)以外のポリカルボン酸無水物は、ジカルボン酸無水物、トリカルボン酸無水物、5個以上カルボン酸を有する化合物の無水物が挙げられるが、無機酸化物微粒子に対する吸着性の観点から、ポリエステル分散剤の設計上、ポリオールとの反応によりポリエステル分散剤の一単位に二つのカルボキシル基が生成するトリカルボン酸無水物(y2)が好ましい。トリカルボン酸無水物(y2)も、ポリオールの水酸基1個としか反応しないので、アルカリ可溶性樹脂(A1)の分子量設計等の観点から最小限に止めるべきである。配合量に関しては、後述する。
トリカルボン酸無水物(y2)としては、まず、脂肪族トリカルボン酸無水物、または芳香族トリカルボン酸無水物が挙げられる。脂肪族トリカルボン酸無水物としては、例えば、3−カルボキシメチルグルタル酸無水物、1,2,4−ブタントリカルボン酸−1,2−無水物、cis−プロペン−1,2,3−トリカルボン酸−1,2−無水物、1,3,4−シクロペンタントリカルボン酸無水物などが挙げられる。芳香族トリカルボン酸としては、例えば、ベンゼントリカルボン酸無水物(1,2,3−ベンゼントリカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物[1,2,4−ベンゼントリカルボン酸無水物]など)、ナフタレントリカルボン酸無水物(1,2,4−ナフタレントリカルボン酸無水物、1,4,5−ナフタレントリカルボン酸無水物、2,3,6−ナフタレントリカルボン酸無水物、1,2,8−ナフタレントリカルボン酸無水物など)、3,4,4’−ベンゾフェノントリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルエーテルトリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルトリカルボン酸無水物、2,3,2’−ビフェニルトリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルメタントリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルスルホントリカルボン酸無水物などが挙げられる。本発明に好ましく使用されるものは、顔料粒子に対する吸着性の観点から、上記のうち芳香族トリカルボン酸無水物である。
(反応触媒)
触媒としては、公知の触媒を使用することができる。触媒としては3級アミン系化合物が好ましく、例えばトリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等が挙げられる。
(反応溶剤)
これまで挙げた原料のみで製造することも可能であるが、高粘度になり反応が不均一になるなどの問題を回避すべく、溶剤を用いるのが好ましい。使用される溶剤としては、特に限定はなく、公知のものを使用できる。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、アセトニトリル等が挙げられる。反応に使用した溶媒は、反応終了後、蒸留等の操作により取り除くか、あるいはそのまま次の工程の溶剤として使用したり、製品の一部として使用することもできる。
(反応温度)
合成の反応温度は50℃〜180℃、好ましくは80℃〜140℃の範囲で行う。反応温度が50℃以下では反応速度が遅く、180℃以上ではカルボキシル基と水酸基がエステル化反応してしまい、酸価の減少や、ゲル化を起こしてしまう場合がある。反応の停止は、赤外吸収で酸無水物の吸収がなくなるまで反応させるのが理想であるが、ポリエステルの酸価が5〜200mgKOH/gの範囲に入ったとき、または、水酸基価が20〜200mgKOH/gの範囲に入った時に反応を止めてもよい。
((分子量)
重量平均分子量は、好ましくは、2,000〜25,000より好ましくは4,000〜20,000、さらに好ましくは6,000〜15,000、特に好ましくは7,000〜12,000である。重量平均分子量が2000未満であれば無機微粒子分散体の安定性が低下する場合があり、25,000を超えると樹脂間の相互作用が強くなり、顔料分散体の増粘が起きる場合がある。
(酸価)
また酸価は、5〜200mgKOH/gが好ましい。より好ましくは10〜150mgKOH/gであり、さらに好ましくは、15〜100mgKOH/gであり、特に好ましくは、20〜80mgKOH/gである。酸価が5mgKOH/g未満では、無機微粒子吸着能が低下し分散性に問題がでる場合があり、200mgKOH/gを超えると、樹脂間の相互作用が強くなり顔料分散体の粘度が高くなる場合がある。
<フリル基を有するアルカリ可溶性樹脂(A2)>
本発明における感光性組成物は、フリル基を有するアルカリ可溶性樹脂(A2)を含有することが好ましい。フリル基を有するアルカリ可溶性樹脂(A2)は感光性組成物中の光重合性官能基と熱硬化工程で熱ラジカル付加反応またはDiels−Alder反応することによって、感光性組成物に薬品耐性を付与するために用いられ、フリル基(フランから1つの水素原子を除いた基)を含んでいれば特にその構造が限定されるものではない。特許文献3をはじめ、特開1994−271558、特開1994−293830、特開1996−239421、特開1998−508655、特開2000−001529、特開2003−183348、特開2006−193628、特開2007−186684、特開2010−265377、特開2011−170069などに記載されている公知の化合物を用いることができ、低分子であっても高分子であっても良い。
低分子化合物としては、フリル基を含む単量体や、多官能イソシアネートとフリル基を含むアルコールを反応させて得られる化合物等を挙げることができる。薬品耐性を上げるためには高分子であることが好ましく、具体例としては、フリル基を有する、ポリ(メタ)アクリレート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリシロキサン、ポリエーテル、無水マレイン酸を含む共重合体、エポキシ樹脂、フラン樹脂(フルフリルアルコールとホルムアルデヒドの縮合ポリマー)を挙げることができ、これらは単独で使用してもよく、混合物を使用することもできる。高分子は直鎖、分岐、星状などいずれでもよく、また、熱可塑性、熱硬化性のいずれでもよい。また、フリル基を有するアルカリ可溶性樹脂(A2)中に、光重合性官能基をさらに含んでいても良い。
フリル基を有するアルカリ可溶性樹脂(A2)は、感光性組成物の薬品耐性の点から、アルカリ可溶性樹脂(A)の全固形分の合計100重量部中、30〜90重量部の量で用いることが好ましい。また30〜70重量部の量で用いることが解像度の点からさらに好ましい。
フリル基を有するアルカリ可溶性樹脂(A2)としては、フリル基を容易に導入できる点、フリル基の導入量の制御が容易である点、分子量や共重合組成の制御によって感光性組成物の現像性の制御が容易である点、および感光性組成物の透明性が優れている点からラジカル重合体(A2−1)であることがさらに好ましい。
<フリル基を含むラジカル重合体(A2−1)>
[フリル基を含むラジカル重合体(A2−1)の構造とその製造方法]
フリル基を含むラジカル重合体(A2−1)は、ラジカル重合可能な二重結合を有する単量体をラジカル重合してなる重合体であり、かつフリル基を含む構造である。その製造方法は、
方法[1−1] フリル基を含む単量体(a2−1)を含む単量体(a)を重合する方法
方法[1−2] 反応性官能基を含む単量体(a2−3)を含む単量体(a)を重合し、得られた重合体(プレポリマー)にフリル基を含む反応性化合物(a2−4)を反応させる方法
等が挙げられる。
方法[1−1]の方が、合成の反応プロセスを少なくできる点で好ましい。また、重合体(A2−1)は単独重合体であっても他のモノマーとの共重合体であってもよいが、ポリマーのTg、感光性組成物の粘度、他の構成成分との相溶性などの調整などのために、(a2−1)または(a2−3)以外の他のモノマーと共重合することが好ましい。
フリル基を含む単量体(a2−1)としては、例えば下記一般式[1]〜[5]で表される単量体、フルフリルビニルエーテル、フルフリルアリルエーテル等を挙げることができる。特に、フリル基を含むラジカル重合体(A2−1)中のフリル基濃度を容易に上げられる点から、一般式[1]の単量体を使用することが好ましく、単量体自身の安定性の点と、良好な重合性が得られる点からフルフリルメタクリレートを使用することがさらに好ましい。
一般式[3]


[式中Rは水素原子またはメチル基であり、Rは酸素原子または−NH−を表す。]
一般式[4]


[式中Rは水素原子またはメチル基であり、Rは酸素原子、−NH−、または硫黄原子を表す。]
一般式[5]


[式中Rは水素原子またはメチル基であり、Rは酸素原子、−NH−、または硫黄原子を表す。]
一般式[6]

[式中Rは水素原子またはメチル基であり、Rは酸素原子、−NH−、または硫黄原子を表す。]
一般式[7]

[式中Rは水素原子またはメチル基であり、R10は酸素原子、−NH−、硫黄原子を表す。]
方法[1−2]で用いる反応性官能基を含む単量体(a2−3)中の反応性官能基としてはカルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボン酸無水物基などが挙げられ、プレポリマー中に含まれるこれらの反応性官能基と、フリル基を含む反応性化合物(a2−4)中の水酸基、アミノ基、メルカプト基、アルデヒド基などと反応させることで、フリル基を含むラジカル重合体(A2−1)を得ることができる。
反応性官能基を含む単量体(a2−3)としては、例えばカルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボン酸無水物基などを含む単量体が挙げられる。
カルボキシル基を含む単量体としては後述のカルボキシル基を含む単量体(a2−2)と同じものを使用することができる。
カルボン酸無水物基を含む単量体としては、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、4−[(2−メタクリロイルオキシエトキシ)カルボニル]フタル酸無水物等が挙げられる。
エポキシ基を含む単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジエーテル、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、3−メチル−3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、3−エチル−3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、4−メチル−4,5−エポキシペンチル(メタ)アクリレート、5−メチル−5,6−エポキシヘキシル(メタ)アクリレート、α−エチルアクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、クロトニルグリシジルエール、(イソ)クロトン酸グリシジルエーテル、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、N−(3,5−ジメチル−4−グリシジル)ベンジルアクリルアミド、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、2,3−ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,4−ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,5−ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,6−ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,3,4−トリグリシジルオキシメチルスチレン、2,3,5−トリグリシジルオキシメチルスチレン、2,3,6−トリグリシジルオキシメチルスチレン、3,4,5−トリグリシジルオキシメチルスチレン、2,4,6−トリグリシジルオキシメチルスチレン等が挙げられる。
イソシアネート基を含む単量体およびそのブロック体としては、(メタ)アクリロイルイソシアネート、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエチルイソシアネート、1,1−(ビス(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、m−(メタ)アクリロイルフェニルイソシアネート、α,α‐ジメチル‐4‐イソプロペニルベンジルイソシアナート等が挙げられる。
フリル基を含む反応性化合物(a2−4)としては、例えばフルフリルアルコール、フルフリルアミン、フルフリルメルカプタン、フルフラール等が挙げられる。
反応性官能基を含む単量体(a2−3)、フリル基を含む反応性化合物(a2−4)は1種類の化合物を用いても、2種類以上の化合物を組み合わせて用いてもよい。
重合体(A2−1)中のフリル基の濃度は共重合体1gあたり0.5〜6.0mmolが好ましく、1.0〜4.0がさらに好ましい。フリル基の濃度が0.5以上、好ましくは1.0以上であると感光性組成物の薬品耐性に優れ、6.0以下、好ましくは4.0以下であると重合体(A2−1)の経時安定性に優れる。
感光性組成物にアルカリ可溶性を付与するためには、フリル基を含むラジカル重合体(A2−1)にアルカリ可溶性官能基を含むことが好ましい。感光性組成物中での溶解性が高くなるために、感光性組成物の透明性が良好になったり、光重合性官能基を含む化合物(B)と反応しやすくなって薬品耐性が良好になる点からも好ましい。
上記方法[1−1]または[1−2]において単量体(a)を重合する際に、フリル基を含む単量体(a2−1)または反応性官能基を含む単量体(a2−3)に加えて、アルカリ可溶性官能基を含む単量体を使用することで、重合体(A2−1)中にアルカリ可溶性官能基を導入することができる。すなわち、アルカリ可溶性官能基を含みフリル基を含むラジカル重合体(A2−1)の製造方法としては下記の方法が挙げられる。
方法[2−1] フリル基を含む単量体(a2−1)とアルカリ可溶性官能基を含む単量体とを含む単量体(a)を重合する方法
方法[2−2] 反応性官能基を含む単量体(a2−3)とアルカリ可溶性官能基を含む単量体とを含む単量体(a)を重合し、得られた重合体(プレポリマー)にフリル基を含む反応性化合物(a2−4)を反応させる方法
アルカリ可溶性官能基を含む単量体としては、カルボキシル基を含む単量体(a2−2)、リン酸基を含む単量体、スルホン酸基を含む単量体などが挙げられ、カルボキシル基を含む単量体(a2−2)を使用することが好ましい。
カルボキシル基を含む単量体(a2−2)としては、例えば
(メタ)アクリル酸、アクリル酸ダイマー、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、α−(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性コハク酸(メタ)アクリレート、ω−カルボキシポリカプロラクトン(メタ)アクリレート、p−ビニル安息香酸、およびカルボン酸無水物とヒドロキシル基を含む単量体とを付加反応させた単量体等が挙げられる。
前記カルボン酸無水物とヒドロキシル基を含む単量体とを付加反応させた単量体に使用するカルボン酸無水物としては、例えば
コハク酸無水物、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、フタル酸無水物、グルタル酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、及びクロレンド酸無水物等のジカルボン酸無水物;
3−カルボキシメチルグルタル酸無水物、1,2,4−ブタントリカルボン酸−1,2−無水物、cis−プロペン−1,2,3−トリカルボン酸−1,2−無水物、1,3,4−シクロペンタントリカルボン酸無水物等の脂肪族トリカルボン酸無水物;
ベンゼントリカルボン酸無水物(1,2,3−ベンゼントリカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物[1,2,4−ベンゼントリカルボン酸無水物]、トリメリット酸無水物クロライド[4−クロロホルミルフタル酸無水物]など)、ナフタレントリカルボン酸無水物(1,2,4−ナフタレントリカルボン酸無水物、1,4,5−ナフタレントリカルボン酸無水物、2,3,6−ナフタレントリカルボン酸無水物、1,2,8−ナフタレントリカルボン酸無水物など)、3,4,4’−ベンゾフェノントリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルエーテルトリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルトリカルボン酸無水物、2,3,2’−ビフェニルトリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルメタントリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルスルホントリカルボン酸無水物等の芳香族トリカルボン酸無水物などが挙げられる。
なお、テトラカルボン酸二無水物等の1分子中に2個以上の酸無水物基を含むカルボン酸無水物を使用してヒドロキシル基を含む単量体と付加反応させると、カルボン酸無水物1分子に対してヒドロキシル基を含む単量体が2分子以上付加することになり、1分子中に2つ以上のラジカル重合性官能基を含むことになる。それにより共重合体がゲル化する恐れがあるので、1分子中に2個以上の酸無水物基を含むカルボン酸無水物は使用しないことが好ましい。
前記カルボン酸無水物とヒドロキシル基を含む単量体とを付加反応させた単量体に使用するヒドロキシル基を含む単量体としては、例えば
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2(又は3)−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2(又は3又は4)−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート及びシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、及びエチル−α−ヒドロキシメチルアクリレートなどのアルキル−α−ヒドロキシアルキルアクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレート類;
N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミドなどのN−(ヒドロキシアルキル)(メタ)アクリルアミド等の水酸基を有する(メタ)アクリルアミド類;
2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−(又は3−)ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−(又は3−又は4−)ヒドロキシブチルビニルエーテル等の水酸基を有するビニルエーテル類;
2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、2−(又は3−)ヒドロキシプロピルアリルエーテル、2−(又は3−又は4−)ヒドロキシブチルアリルエーテル等の水酸基を有するアリルエーテル類などが挙げられる。
また、上記の水酸基を有する(メタ)アクリレート類、水酸基を有する(メタ)アクリルアミド類、水酸基を有するビニルエーテル類、水酸基を有するアリルエーテル類にアルキレンオキサイド及び/又はラクトンを付加して得られる単量体も、ヒドロキシル基を含む単量体として用いることができる。付加されるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−、1,4−、2,3−又は1,3−ブチレンオキサイド及びこれらの2種以上の併用系が用いられる。2種以上のアルキレンオキサイドを併用するときの結合形式はランダム及び/又はブロックのいずれでもよい。付加されるラクトンとしては、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、炭素原子数1〜6のアルキル基で置換されたε−カプロラクトン及びこれらの2種以上の併用系が用いられる。アルキレンオキサイドとラクトンを両方とも付加したものでも構わない。
カルボン酸無水物とヒドロキシル基を含む単量体とを付加反応させた構造を重合体(A−1)中に導入する場合、カルボン酸無水物とヒドロキシル基を含む単量体とを付加反応させた単量体をあらかじめ合成し、これをカルボキシル基を含む単量体(a2−2)として使用して方法[2−1]、[2−2]などによって製造しても良いし、後述の方法[2−3]、[3−3]などのようにヒドロキシル基を含む単量体と他の単量体をあらかじめ共重合させた後に、カルボン酸無水物を付加させても良いが、前者の方法が合成の反応プロセスを短くできる点で好ましい。
カルボキシル基を含む単量体(a2−2)としては特に、アルカリ現像時の溶解速度を速くできる点でメタクリル酸、下記一般式[6]で表される単量体を使用することが好ましく、さらに少量の使用で現像速度を速くできる点から2−メタクリロイロキシエチルコハク酸がさらに好ましい。
一般式[8]


[式中R11は水素原子またはメチル基であり、R12およびR13は炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐状の2価の脂肪族炭化水素基、2価の脂環族炭化水素基、または2価の芳香族炭化水素基であり、R12とR13は同一であっても異なっていても良い。]
直鎖状もしくは分岐状の2価の脂肪族炭化水素基としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、等のアルカン;
エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、等のアルケン;
エチン、プロピン、ブチン、ペンチン、ヘキシン、ペプチン、オクチン、等のアルキン;などの化合物から2個の水素原子を取り除くことで得られる基が挙げられる。
2価の脂環族炭化水素基としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、ジメチルシクロペンタン、トリメチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、ノルボルナン、ノルボルネン、ビシクロオクタン、ビシクロオクテン、等の化合物から2個の水素原子を取り除くことで得られる基が挙げられる。
2価の芳香族炭化水素基としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジメチルベンゼン、等の化合物から2個の水素原子を取り除くことで得られる基が挙げられる。
リン酸基を含む単量体としては、例えば
2−ホスホノオキシエチル(メタ)アクリレート、2−ホスホノオキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ホスホノオキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ホスホノオキシブチル(メタ)アクリレート、5−ホスホノオキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ホスホノオキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ホスホノオキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ホスホノオキシデシル(メタ)アクリレート、12−ホスホノオキシドデシル(メタ)アクリレート、ホスホノオキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ホスホノオキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ホスホノオキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−p−メトキシフェニルアシドホスフェート等のホスホノオキシ基を含む単量体;
2−ホスホノエチル(メタ)アクリレート、5−ホスホノペンチル(メタ)アクリレート等のホスホノ基を含む単量体等が挙げられる。
スルホン酸基を含む単量体としては、例えば
ビニルスルホン酸、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、2−スルホ−1−プロピル(メタ)アクリレート、1−スルホ−2−プロピル(メタ)アクリレート、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、1−スルホ−2−ブチル(メタ)アクリレート、3−スルホ−2−ブチル(メタ)アクリレート、3−ブロモ−2−スルホ−2−プロピル(メタ)アクリレート、3−メトキシ−1−スルホ−2−プロピル(メタ)アクリレート、4−((メタ)アクリロイルアミノ)ベンゼンスルホン酸、N−(1,1−ジメチル−2−スルホエチル)(メタ)アクリルアミド、((メタ)アクリルアマイド)メタンスルホン酸、2−((メタ)アクリルアマイド)エタンスルホン酸、3−((メタ)アクリルアマイド)プロパン−1−スルホン酸、2−(メタ)アクリルアマイド−2−メチルプロパンスルホン酸、4−スチレンスルホン酸、4−(プロプ−1−エン−2−イル)ベンゼンスルホン酸等が挙げられる。
これらは1種類の化合物を用いても、2種類以上の化合物を組み合わせて用いてもよい。
アルカリ可溶性官能基としては、感光性組成物が安定である点からカルボキシル基が好ましい。カルボキシル基は、カルボン酸無水物基と、ヒドロキシル基またはアミノ基とを反応させてハーフエステルまたはハーフアミドを生成させる反応を利用して、例えば下記のような方法で重合体(A−1)中に導入することができる。
方法[2−3] フリル基を含む単量体(a2−1)と、ヒドロキシル基を含む単量体またはアミノ基を含む単量体と、を含む単量体(a)を重合し、得られたプレポリマーにカルボン酸無水物を反応させる方法
方法[2−4] 反応性官能基を含む単量体(a2−3)としてカルボン酸無水物基を含む単量体を含む単量体(a)を重合し、得られたプレポリマーにフリル基を含む反応性化合物(a2−4)としてヒドロキシル基を含む化合物またはアミノ基を含む化合物を反応させる方法
方法[2−5] フリル基を含む単量体(a2−1)とカルボン酸無水物基を含む単量体を含む単量体(a)を重合し、得られたプレポリマーに水またはヒドロキシル基を含む化合物またはアミノ基を含む化合物を反応させる方法
これらの中で、方法[2−1]が、合成のプロセスを少なくでき、副反応が少なく安定して合成できる点から好ましい。
カルボン酸無水物基を含む単量体、ヒドロキシル基を含む単量体としては前述のものと同じものを使用することができる。
アミノ基を含む単量体としては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、1−(t−ブチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2−(t−ブチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジンー4−イル(メタ)アクリレート、N−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジンニル)(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
重合体(A2−1)がアルカリ可溶性官能基を含む場合、その酸価は10〜200mgKOH/gが好ましく、40〜130mgKOH/gがさらに好ましい。酸価が10mgKOH/g以上であると感光性組成物をアルカリ現像を行う際の現像速度が遅くなりすぎず、酸価が200mgKOH/g以下であると感光性組成物が低粘度になりやすく、塗工が容易になるためである。
なお、本発明における酸価は、溶剤を含まない重合体(A2−1)1gに含まれる酸基を中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数であり、具体的には、後述する実施例に記載の滴定方法によって求めた値を示している。
フリル基を含むラジカル重合体(A2−1)には光重合性官能基を含んでいても良い。光重合性官能基を含むことで、感光性組成物の薬品耐性を向上させたり、パターニング性を現像速度が速くパターンのサイズが大きい方向へ調整することが可能な場合がある。光重合性官能基は(メタ)アクリロイル基またはマレイミド基が好ましいが、重合体(A2−1)中に含む場合は安定性の点から、(メタ)アクリロイル基がさらに好ましい。方法[1−1]〜[2−5]において、単量体(a)を重合する際に、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボン酸無水物基、ヒドロキシル基などの反応性官能基を含む単量体(a2−3)を共重合することでプレポリマー中に反応性官能基を導入し、これに前記反応性官能基と反応し得る反応性官能基を含む単量体(a2−3)をさらに反応させることで、重合体(A2−1)中に光重合性官能基を導入することができる。
すなわち光重合性官能基を含みフリル基を含むラジカル重合体(A2−1)の製造方法としては下記の方法が挙げられる。
方法[3−1] フリル基を含む単量体(a2−1)と反応性官能基を含む単量体(a2−3)とを含む単量体(a)を重合し、得られたプレポリマーの反応性官能基に、前記反応性官能基と反応し得る反応性官能基を含む単量体(a2−3)を反応させる方法
方法[3−2] 反応性官能基を含む単量体(a2−3)を含む単量体(a)を重合し、得られたプレポリマーの反応性官能基に、フリル基を含む反応性化合物(a2−4)と、前記反応性官能基と反応しうる反応性官能基を含む単量体(a2−3)とを反応させる方法
なお、方法[3−1]、[3−2]において、単量体(a)としてさらにアルカリ可溶性官能基を含む単量体を使用すれば、重合体(A2−1)中に光重合性官能基とアルカリ可溶性官能基の両方を導入することができる。
また、方法[3−1]、[3−2]において、得られたポリマー中にヒドロキシル基またはアミノ基がある場合は、さらにカルボン酸無水物を反応させることによって、重合体(A−1)中に光重合性官能基とアルカリ可溶性官能基の両方を導入することができる。
具体的には方法[3−1]の例として
フリル基を含む単量体(a2−1)とカルボキシル基を含む単量体とを含む単量体(a)を重合し、得られたプレポリマーのカルボキシル基の一部に、エポキシ基を含む単量体を反応させる方法
フリル基を含む単量体(a2−1)とエポキシ基を含む単量体とを含む単量体(a)を重合し、得られたプレポリマーのエポキシ基に、カルボキシル基を含む単量体を反応させ、生成したヒドロキシル基に対して、カルボン酸無水物を反応させる方法
フリル基を含む単量体(a2−1)とカルボキシル基を含む単量体とヒドロキシル基を含む単量体とを含む単量体(a)を重合し、得られたプレポリマーのヒドロキシル基の一部または全部に、イソシアネート基を含む単量体を反応させる方法
フリル基を含む単量体(a2−1)とヒドロキシル基を含む単量体とを含む単量体(a)を重合し、得られたプレポリマーのヒドロキシル基の一部または全部に、イソシアネート基を含む単量体と、カルボン酸無水物とを反応させる方法
などが挙げられる。
さらに、カルボン酸無水物基を含む単量体を使用し、カルボン酸無水物基と、ヒドロキシル基またはアミノ基とを反応させてハーフエステルまたはハーフアミドを生成させる反応を利用することで、重合体(A2−1)中に光重合性官能基とアルカリ可溶性官能基の両方を導入することができ、その製造方法としては例えば下記の方法が挙げられる。
方法[3−3] フリル基を含む単量体(a2−1)と、ヒドロキシル基を含む単量体またはアミノ基を含む単量体と、を含む単量体(a)を重合し、得られたプレポリマーに、反応性官能基を含む単量体(a2−3)のうちカルボン酸無水物基を含む単量体を反応させる方法
方法[3−4] 反応性官能基を含む単量体(a2−3)としてカルボン酸無水物を含む単量体を含む単量体(a)を重合し、得られたプレポリマーにフリル基を含む反応性化合物(a2−4)のうちヒドロキシル基またはアミノ基を含む化合物と、反応性官能基を含む単量体(a2−3)のうちヒドロキシル基を含む単量体またはアミノ基を含む単量体と、を反応させる方法
方法[3−5] フリル基を含む単量体(a2−1)と、カルボン酸無水物基を含む単量体を含む単量体(a)を重合し、得られたプレポリマーに、反応性官能基を含む単量体(a2−3)のうちヒドロキシル基を含む単量体またはアミノ基を含む単量体を反応させる方法
反応性官能基を含む単量体(a2−3)としては、先に例示したヒドロキシル基を含む単量体、アミノ基を含む単量体、イソシアネート基を含む単量体、酸無水物基を含む単量体、エポキシ基を含む単量体、カルボキシル基を含む単量体(a2−2)などを用いることができる。反応させる官能基としては、ヒドロキシル基またはアミノ基と、イソシアネートの組み合わせ、またはエポキシ基とカルボキシル基の組み合わせが好ましい。
本発明の感光性組成物には光重合性官能基を含む化合物(B)が必須成分として含まれるため、重合体(A2−1)中に光重合性官能基を含んでいなくてもよいが、重合体(A2−1)が光重合性官能基を含む場合、その官能基当量(二重結合当量ともいう)は200〜5000g/molが好ましく、300〜1000g/molがさらに好ましい。二重結合当量が200g/mol以上であると重合体(A2−1)の経時安定性が良好になりやすく、二重結合当量が5000g/mol以下であると感光性組成物の光感度が良好になりやすいためである。
なお、本発明における官能基当量は、溶剤を含まない重合体(A2−1)の官能基1molあたりの重量であり(単位はg/mol)、官能基当量の数値が小さいほど重合体(A2−1)中の官能基濃度が高く、合成原料の仕込み量から計算される。
単量体(a)として用いることができるその他の単量体としては、例えば
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,2,4−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロぺンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロ−[5.2.1.0(2,6)]−デカニル(メタ)アクリレート、トリシクロ−[5.2.1.0(2,6)]−デカニルオキシエチル(メタ)アクリレート等の脂肪族単量体;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ロジンアクリレート等の芳香族単量体;
(メタ)アクリル酸2−(1,3−ジオキソブトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(1,3−ジオキソブトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸3−(1,3−ジオキソブトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(1,3−ジオキソブトキシ)ブチル、(メタ)アクリル酸3−(1,3−ジオキソブトキシ)ブチル、(メタ)アクリル酸4−(1,3−ジオキソブトキシ)ブチル等の活性メチレン基を含む単量体;
オキセタン(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート、(2−エチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、1,4−ジオキサスピロ[4,5]デカ−2−イル)メチル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、3−メタクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、5−メタクリロイルオキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトン、β−メタクリロイルオキシ−β−メチル−δ−バレロラクトン、β−メタクリロイルオキシ−β−メチル−γ−ブチロラクトン、2−(1−メタクリロイルオキシ)エチル−4−ブタノリド、N−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド等の複素環を含む単量体;
ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールを含む単量体;
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、イソブチル(メタ)アクリルアミド、t−ブチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン等の非置換もしくはN置換型(メタ)アクリルアミド類;
(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類;
片末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレートオリゴマー、片末端メタクリロイル化ポリスチレンオリゴマー、および片末端メタクリロイル化ポリエチレングリコール等の重合性オリゴマー類;
スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、クロロメチルスチレン、ビニルトルエン、インデン等のスチレン類;
エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類;
N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のN置換マレイミド類;
前記カルボン酸無水物とヒドロキシル基を含む単量体とを付加反応させた単量体に使用するヒドロキシル基を含む単量体として例示したヒドロキシル基を含む単量体
等が挙げられる。
単量体(a)としては、アルカリ現像時の溶解速度を速くできる点や、感光性組成物の薬品耐性を上げられる点で下記一般式[7]で表される単量体を使用することが好ましく、重合体(A2−1)の重合時の安定性の点からR14がメチル基のものを使用することがさらに好ましい。
一般式[9]

[式中R14は水素原子またはメチル基であり、R15は水素原子、炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、脂環族炭化水素基、または芳香族炭化水素基であり、R16は炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐状の2価の脂肪族炭化水素基、2価の脂環族炭化水素基、または2価の芳香族炭化水素基である。]
直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、等のアルカン;
エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、等のアルケン;
エチン、プロピン、ブチン、ペンチン、ヘキシン、ペプチン、オクチン、等のアルキン;などの化合物から1個の水素原子を取り除くことで得られる基が挙げられる。
2価の芳香族炭化水素基としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジメチルベンゼン、等の化合物から2個の水素原子を取り除くことで得られる基が挙げられる。
脂環族炭化水素基としてはシクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、ジメチルシクロペンタン、トリメチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、ノルボルナン、ノルボルネン、ビシクロオクタン、ビシクロオクテン、等の化合物から1個の水素原子を取り除くことで得られる基が挙げられる。
芳香族炭化水素基としてはベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジメチルベンゼン、等の化合物から1個の水素原子を取り除くことで得られる基が挙げられる。
直鎖状もしくは分岐状の2価の脂肪族炭化水素基、2価の脂環族炭化水素基、または2価の芳香族炭化水素基については、前述したものと同じものが挙げられる。
好ましくは、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、アルコキシエチル(メタ)アクリレート、さらに好ましくはヒドロキシエチルメタクリレート、メトキシエチルメタクリレートである。
また、塗膜を固くし、感光性組成物の薬品耐性を上げられる点で、メチルメタクリレートを用いることが好ましい。
重合体(A2−1)の重量平均分子量(Mw)は、2000〜70000が好ましく、4000〜50000がさらに好ましい。重量平均分子量が2000以上であると感光性組成物の薬品耐性に優れ、重量平均分子量が70000以下であると感光性組成物が低粘度になりやすく塗工が容易であり、また、アルカリ現像を行う際の現像速度が遅くなりすぎないためである。
なお、本発明における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求め、ポリスチレン換算した値である。より具体的には、後述する実施例に記載の測定方法により求めた値を示している。
[フリル基を含むラジカル重合体(A2−1)を製造する際の反応工程]
フリル基を含むラジカル重合体(A2−1)は先に説明した方法[1−1]〜[3−5]等で製造することができる。これらの方法に共通する工程として
重合工程 フリル基を含む単量体(a2−1)または反応性官能基を含む単量体(a2−3)を含む単量体(a)を重合する工程
変性工程 反応性官能基を含む単量体(a2−3)を共重合することによってプレポリマー中に導入された反応性官能基に、フリル基を含む反応性化合物(a2−4)、前記反応性官能基と反応し得る反応性官能基を含む単量体(a2−3)、またはカルボン酸無水物を反応させる工程があるので、それぞれの工程について説明する。
(重合工程)
フリル基を含む単量体(a2−1)または反応性官能基を含む単量体(a2−3)を含む単量体(a)の重合は、公知の方法で行うことができる。すなわち、単量体(a)を任意で重合開始剤と混合して加熱することで行うことができる。重合温度は、40〜150℃、好ましくは50〜120℃である。
重合の際、単量体(a)100重量部に対して、任意に0.001〜15重量部の重合開始剤を使用することができる。
重合開始剤としては、アゾ系化合物及び有機過酸化物を用いることができる。アゾ系化合物の例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等が挙げられる。有機過酸化物の例としては、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等が挙げられる。これらの重合開始剤は、単独で、もしくは2種類以上組み合わせて用いることができる。
重合の際、分子量を調整する目的で連鎖移動剤を用いてもよい。単量体(a)100重量部に対して、任意に0.001〜15重量部の連鎖移動剤を使用することができる。
連鎖移動剤としては、分子量の調節ができる化合物であれば特に制限されず、公知の連鎖移動剤が使用できる。例えば、オクチルメルカプタン,n−ドデシルメルカプタン,t−ドデシルメルカプタン,n−ヘキサデシルメルカプタン,n−テトラデシルメルカプタン、メルカプトエタノール、1−チオグリセロール、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、チオグリコール酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、2−メルカプトエタンスルホン酸、ブチルチオグリコレートなどのメルカプタン; ジメチルキサントゲンジスルフィド,ジエチルキサントゲ
ンジスルフィド,ジイソプロピルキサンチゲンジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド,テトラエチルチウラムジスルフィド,テトラブチルチウラムジスルフィドなどのジスルフィド; 四塩化炭素,塩化メチレン、ブロモホルム、ブロモトリクロロエタン、四臭化炭素,臭化エチレンなどのハロゲン化炭化水素; イソプロパノール、グリセリン等の、第2級アルコール; 亜リン酸、次亜リン酸、およびその塩(次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等)や、亜硫酸、亜硫酸水素、亜二チオン酸、メタ重亜硫酸、およびそれらの塩(亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜二チオン酸ナトリウム、亜二チオン酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム等)等の、低級酸化物およびその塩;およびアリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコレート、α−メチルスチレンダイマー、ターピノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテン、アニソールなどを挙げることができる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いられる。
また、重合の際、重合溶媒として有機溶剤を使用することができる。
有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエトキシジエチレングリコール、3−メトキシ−1−ブタノール等が用いられるが特にこれらに限定されるものではない。これらの重合溶媒は、2種類以上混合して用いても良いが、最終用途で使用する溶剤であることが好ましい。
(変性工程)
反応性官能基を含む単量体(a2−3)を共重合することによってプレポリマー中に導入された反応性官能基に、フリル基を含む反応性化合物(a2−4)、前記反応性官能基と反応しうる反応性官能基を含む単量体(a2−3)、またはカルボン酸無水物を反応させる工程は、プレポリマー中に導入された反応性官能基と、変性に用いる化合物中の反応性官能基との組み合わせによって反応条件が異なるので、それぞれについて説明する。
ヒドロキシル基またはアミノ基と、イソシアネート基と、の組み合わせの場合は、無触媒あるいは適当な触媒を加えて加熱することで反応が進行する。適当な触媒としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、などのアミン類やその塩、テトラブチルチタネート、ジブチルスズジラウリレート、オクチル酸スズなどの金属塩や錯体などが挙げられる。
ヒドロキシル基またはアミノ基と、酸無水物基と、の組み合わせの場合は、塩基触媒またはアミン触媒を加えて0〜100℃で反応させるのが好ましい。
メルカプト基と、エポキシ基と、の組み合わせの場合は、無触媒あるいは塩基触媒を加えて0〜100℃で反応させるのが好ましい。
変性によって重合体(A2−1)中に光重合性官能基を導入する場合には、上記反応中に重合禁止効果のあるガスを反応系中に導入したり、重合禁止剤を添加したりしてもよい。重合禁止効果のあるガスを反応系中に導入したり、重合禁止剤を添加したりすることにより、付加反応時のゲル化を防ぐことができる。
ラジカル重合禁止効果のあるガスとしては、系内物質の爆発範囲に入らない程度の酸素を含むガス、例えば、空気、空気と窒素との混合ガスなどが挙げられる。
ラジカル重合禁止剤としては、公知のものを使用することができ、特に制限はされないが、例えば、ヒドロキノン、メトキノン、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、フェノチアジン等が挙げられる。これら重合禁止剤は、1種のみを用いても、2種以上を併用してもよい。使用する重合禁止剤の量としては、反応系中の固形分の合計100重量部に対して、0.005〜5重量部が好ましく、0.03〜3重量部がさらに好ましく、0.05〜1.5重量部が最も好ましい。重合禁止剤が0.005重量部以上では、重合禁止効果が得られやすく、一方、5重量部以下では、感光性組成物の露光感度が低下しにくいためである。また、重合禁止効果のあるガスと重合禁止剤とを併用すると、使用する重合禁止剤の量を低減できたり、重合禁止効果を高めたりすることができるので、より好ましい。
(その他のアルカリ可能性樹脂)
本発明のアルカリ可溶性樹脂(A)は、上記アルカリ可溶性樹脂(A1)、(A2)以外のアルカリ可溶性樹脂を併用することができる。併用することのできるアルカリ可溶性樹脂として具体的には、酸性基を有するアクリル樹脂、α−オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、又はイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。
<<光重合性化合物(B)>>
本発明における感光性組成物は、耐薬品性向上のため、下記一般式(1)で表される化合物(B1)を含有する。
(一般式1)
前記一般式(1)で表される化合物(B1)の含有量は、光重合性化合物(B)の全固形分中70重量%以上であることが好ましく、80重量%以上であることがさらに好ましい。
一般式(1)で表される化合物(B1)が70重量%未満であると、塗膜の結晶性が低下し薬品耐性が著しく低下する。光重合性化合物(B)中に含まれる一般式(1)で表される化合物(B1)の量は多いほど耐薬品性が良化する。
また、光重合性化合物(B)はその他の光重合性化合物を含有しても良い。
本発明の光重合性化合物(B)は、光重合性官能基を含んでいれば特にその構造が限定されるものではなく、単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。低分子であっても高分子であっても良く、感光性組成物に求められる粘度や、硬化物の硬度、密着性、パターニング性に合わせて、低分子と高分子を使い分けたり、併用してその比率を調整することができる。また、感光性組成物にアルカリ現像性を付与するためには、光重合性化合物(B)中にアルカリ可溶性官能基を含むことが好ましい。
光重合性官能基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、マレイミド基、スチリル基、無水マレイン酸残基、ビニルエーテル基、アリルエーテル基、アルケニル基、アルキニル基などが挙げられる。感光性組成物の薬品耐性の点からアクリロイル基またはマレイミド基を用いることが好ましく、感光性組成物をネガ型のフォトレジストとして使用する場合にはパターンの解像度と薬品耐性を両立する点からメタクリロイル基と、アクリロイル基またはマレイミド基とを併用することがさらに好ましい。光重合性官能基として異なる官能基、例えばアクリロイル基とマレイミド基を一つの化合物中に含んでいても良いし、一種類の官能基をもつ化合物を混合して使用してもよい。
光重合性化合物(B)は、感光性組成物の固形分の合計100重量部中、5〜50重量部の量で用いることが好ましい。5重量部以上用いると、薬品耐性が得やすく、フォトリソグラフィーの現像工程で露光部が現像液に溶解しにくくなる。50重量部以下で用いると、露光時の硬化収縮が抑制され基材への密着性が良好になり薬品耐性も良好になりやすく、フォトリソグラフィーの露光時に過剰な光重合が抑制されパターンの解像度が良好になりやすいためである。
本発明の感光性組成物をカラーフィルタ用感光性組成物として使用する場合、光重合性化合物(B)をカラーフィルタ用感光性組成物中の着色剤100重量部に対して、10〜300重量部の量で用いることが好ましく、10〜200重量部の量で用いることがさらに好ましい。
光重合性化合物(B)としては、具体的には下記のようなその他の単官能または多官能のモノマーまたはオリゴマーを含有することができる。
(メタ)アクリロイル基を含む化合物としては例えば、(メタ)アクリロイル単量体や、
ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルこはく酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルこはく酸、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなどの単官能(メタ)アクリレート類;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレートなどの二官能(メタ)アクリレート類;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、ペンタペンタエリスリトールドデカ(メタ)アクリレートなどの三官能以上の(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
また、多官能イソシアネートとヒドロキシル基を含む(メタ)アクリレート単量体を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート類を挙げることができる。
多官能イソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリジンイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、3−(2’−イソシアナトシクロヘキシル)プロピルイソシアネート、ジアニシジンイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、ダイマージイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの二官能イソシアネート類;
リジントリイソシアネート、トリス(イソシアナトフェニル)メタン、トリス(イソシアナトフェニル)チオホスフェートなどの三官能イソシアネート類;
上記イソシアネート類のビウレット、ウレトジオン、イソシアヌレート、アダクト体などが挙げられる。
多官能イソシアネートとヒドロキシル基を含む(メタ)アクリレート単量体とを反応させる際に、低分子の多官能アルコールやポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系、ポリアクリル系、ポリオレフィン系などのポリオール等の他のポリオールを併用してもよい。
さらに、エポキシ樹脂とカルボキシル基を含む(メタ)アクリレート単量体とを反応させたり、フェノール樹脂とエポキシ基を含む(メタ)アクリレート単量体とを反応させたりして得られるエポキシアクリレート類を挙げることができる。 (メタ)アクリロイル基を含む化合物としては、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、多官能イソシアネートとヒドロキシル基を含む(メタ)アクリレート単量体を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート類が好ましい。
(メタ)アクリロイル基を含む化合物にはアルカリ可溶性官能基を有していても良く、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸との反応物である水酸基含有ポリ(メタ)アクリレート類と、ジカルボン酸類とのエステル化物や、多価カルボン酸と、モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類とのエステル化物等を挙げることができる。
具体例としては、
トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等のモノヒドロキシオリゴ(メタ)アクリレート類と、マロン酸、こはく酸、グルタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸類との遊離カルボキシル基含有モノエステル化物;
プロパン−1,2,3−トリカルボン酸(トリカルバリル酸)、ブタン−1,2,4−トリカルボン酸、ベンゼン−1,2,3−トリカルボン酸、ベンゼン−1,3,4−トリカルボン酸、ベンゼン−1,3,5−トリカルボン酸等のトリカルボン酸類と、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のモノヒドロキシモノ(メタ)アクリレート類との遊離カルボキシル基含有オリゴエステル化物等を挙げることができる。
マレイミド基を含む化合物としては例えば、
o−フェニレンビスマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、p−フェニレンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、N,N’−(トルエン−2,6−ジイル)ビスマレイミド)、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、ビスフェノール A ジフェニルエーテルビスマレイミド、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、4,4’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4’−ジフェニルスルフォンビスマレイミド、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、ポリフェニルメタンマレイミド(CAS NO:67784−74−1、ホルムアルデヒドとアニリンからなるポリマーと無水マレイン酸の反応物)、N,N’−エチレンビスマレイミド、N,N’−トリメチレンビスマレイミド、N,N’−プロピレンビスマレイミド、N,N’−テトラメチレンビスマレイミド、N,N’−ペンタメチレンビスマレイミド、N,N’−(1,3−ペンタンジイル)ビス(マレインイミド)N,N’−ヘキサメチレンビスマレイミド、N,N’−(1,7−ヘプタンジイル)ビスマレイミド、N,N’−(1,8−オクタンジイル)ビスマレイミド、N,N’−(1,9−ノタンジイル)ビスマレイミド、N,N’−(1,10−デカンジイル)ビスマレイミド、N,N’−(1,11−ウンデカンジイル)ビスマレイミド、 N,N’−(1,12−ドデカンジイル)ビスマレイミド、N,N’−[(1,4−フェニレン)ビスメチレン]ビスマレイミド、N,N’−[(1,2−フェニレン)ビスメチレン]ビスマレイミド、N,N’−[(1,3−フェニレン)ビスメチレン]ビスマレイミド、1,6’−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、N,N′‐[(メチルイミノ)ビス(4,1‐フェニレン)]ビスマレイミド、N,N′‐(2‐ヒドロキシプロパン‐1,3‐ジイルビスイミノビスカルボニルビスエチレン)ビスマレイミド、N,N′‐(ジチオビスエチレン)ビスマレイミド、N,N′‐[ヘキサメチレンビス(イミノカルボニルメチレン)]ビスマレイミド、N,N′‐カルボニルビス(1,4‐フェニレン)ビスマレイミド、N,N′,N′′‐[ニトリロトリス(エチレン)]トリスマレイミド、N,N’,N’’−[ニトリロトリス(4,1−フェニレン)]トリスマレイミド、N,N′‐[p‐フェニレンビス(オキシ−p−フェニレン) ]ビスマレイミド、N,N′‐[メチレンビス(オキシ)ビス(2−メチル−1,4−フェニレン) ]ビスマレイミド、N,N’−[メチレンビス(オキシ−p−フェニレン)]ビス(マレインイミド)N,N′‐[ジメチルシリレンビス[(4,1−フェニレン)(1,3,4,−オキサジアゾール−5,2−ジイル)(4,1−フェニレン)] ]ビスマレイミド、N,N’−[(1,3−フェニレン)ビスオキシビス(3,1−フェニレン)]ビスマレイミド、1,1’−[3’−オキソスピロ[9H−キサンテン−9,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−3,6−ジイル]ビス(1H−ピロール−2,5−ジオン)、N,N’−(3,3’−ジクロロビフェニル−4,4’−ジイル)ビスマレミド、N,N’−(3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイル)ビスマレイミド、N,N’−(3,3’−ジメトキシビフェニル−4,4’−ジイル)ビスマレイミド、N,N’−[メチレンビス(2−エチル−4,1−フェニレン)]ビスマレイミド、N,N’−[メチレンビス(2,6−ジエチル−4,1−フェニレン)]ビスマレイミド、N,N’−[メチレンビス(2−ブロモ−6−エチル−4,1−フェニレン)]ビスマレイミド、N,N’−[メチレンビス(2−メチル−4,1−フェニレン)]ビスマレイミド、N,N’−[エチレンビス(オキシエチレン)]ビスマレイミド、N,N’−[スルホニルビス(4,1−フェニレン)ビス(オキシ)ビス(4,1−フェニレン)]ビスマレイミド、N,N’−[ナフタレン−2,7−ジイルビス(オキシ)ビス(4,1−フェニレン)]ビスマレイミド、N,N’−[p−フェニレンビス(オキシ−p−フェニレン)]ビスマレイミド、N,N’−[(1,3−フェニレン)ビスオキシビス(3,1−フェニレン)]ビスマレイミド、N,N’−(3,6,9−トリオキサウンデカン−1,11−ジイル)ビスマレイミド、N,N’−[イソプロピリデンビス[p−フェニレンオキシカルボニル(m−フェニレン)]]ビスマレイミド、N,N’−[イソプロピリデンビス[p−フェニレンオキシカルボニル(p−フェニレン)]]ビスマレイミド、N,N’−[イソプロピリデンビス[(2,6−ジクロロベンゼン−4,1−ジイル)オキシカルボニル(p−フェニレン)]]ビスマレイミド、N,N’−[(フェニルイミノ)ビス(4,1−フェニレン)]ビスマレイミド、N,N’−[アゾビス(4,1−フェニレン)]ビスマレイミド、N,N’−[1,3,4−オキサジアゾール−2,5−ジイルビス(4,1−フェニレン)]ビスマレイミド、2,6−ビス[4−(マレインイミド−N−イル)フェノキシ]ベンゾニトリル、N,N’−[1,3,4−オキサジアゾール−2,5−ジイルビス(3,1−フェニレン)]ビスマレイミド、N,N’−[ビス[9−オキソ−9H−9−ホスファ(V)−10−オキサフェナントレン−9−イル]メチレンビス(p−フェニレン)]ビスマレイミド、N,N’−[ヘキサフルオロイソプロピリデンビス[p−フェニレンオキシカルボニル(m−フェニレン)]]ビスマレイミド、N,N’−[カルボニルビス[(4,1−フェニレン)チオ(4,1−フェニレン)]]ビスマレイミド、N,N’−カルボニルビス(p−フェニレンオキシp−フェニレン)ビスマレイミド、N,N’−[5−tert−ブチル−1,3−フェニレンビス[(1,3,4−オキサジアゾール−5,2−ジイル)(4,1−フェニレン)]]ビスマレイミド、N,N’−[シクロヘキシリデンビス(4,1−フェニレン)]ビスマレイミド、N,N’−[メチレンビス(オキシ)ビス(2−メチル−1,4−フェニレン)]ビスマレイミド、N,N’−[5−[2−[5−(ジメチルアミノ)−1−ナフチルスルホニルアミノ]エチルカルバモイル]−1,3−フェニレン]ビスマレイミド、N,N’−(オキシビスエチレン)ビスマレイミド、N,N’−[ジチオビス(m−フェニレン)]ビスマレイミド、N,N’−(3,6,9−トリオキサウンデカン−1,11−ジイル)ビスマレイミド、N,N’−(エチレンビス−p−フェニレン)ビスマレイミド、Designer Molecules社製のBMI−689、BMI−1500、BMI−1700、BMI−3000、BMI−5000、BMI−9000、JFEケミカル社製のODA−BMI、BAF−BMI、などの多官能マレイミドを挙げることができる。
また、多官能アミンと無水マレイン酸を反応させて得られる多官能マレイミドを挙げることができる。多官能アミンとしては、
イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジアミン、ハンツマン・コーポレーション社製の、末端アミノ化ポリプロピレングリコール骨格を有するジェファーミンD−230、HK−511、D−400、XTJ−582、D−2000、XTJ−578、XTJ−509、XTJ−510、T−403、T−5000、末端アミノ化エチレングリコール骨格を有するXTJ−500、XTJ−501、XTJ−502、XTJ−504、XTJ−511、XTJ−512、XTJ−590、
末端アミノ化ポリテトラメチレングリコール骨格を有するXTJ−542、XTJ−533、XTJ−536、XTJ−548、XTJ−559などが挙げられる。
また、前述した多官能イソシアネートと後述するヒドロキシル基を含むマレイミド単量体を反応させて得られる多官能マレイミドを挙げることができる。
マレイミド基を含む化合物はフリル基を含むアルカリ可溶性樹脂(A2)と無触媒で容易にDiels−Alder反応するため、感光性組成物の保管条件によっては経時安定性が悪くなる場合がある。その場合、マレイミド基を含む化合物をジエン構造を持つ化合物とあらかじめ反応させることによりマレイミド基を保護することで経時安定性を良好にし、かつ感光性組成物を熱硬化する段階ではジエン構造を持つ化合物が逆Diels−Alder反応することで脱保護され、フリル基を含む化合物(A)とのDiels−Alder反応による熱架橋をさせることができる。このようなマレイミド基の保護に用いるジエン構造を持つ化合物としては、前述した1,3−ブタジエン構造、フラン構造、アントラセン構造をもつ化合物などのうち、保管中に効率よくマレイミド基を保護し、熱硬化の段階で効率よく脱保護されることからフラン、2,5−ジメチルフラン、フルフリルアルコール、シクロペンタジエンなどが好ましい。
マレイミド基を含む化合物としては、前述した多官能イソシアネートと後述するヒドロキシル基を含むマレイミド単量体を反応させて得られる多官能マレイミド、および、マレイミド基を保護した化合物が好ましい。
光重合性化合物(B)のその他の例としては、、
ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル等のビニルエーテル基を有する化合物;
ジアリルフタレート、アリルグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、グリセリンモノアリルエーテル、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル等のアリルエーテル基を有する化合物等が挙げられる。
光重合性官能基の量としては、二重結合当量として80〜1000が好ましく、さらに90〜600がより好ましい。80以上であると、露光時の硬化収縮が抑制され基材への密着性が良好になりやすく、フォトリソグラフィーの露光時に過剰な光重合が抑制されパターンの解像度が良好になりやすい。1000以下であると、薬品耐性が得やすく、フォトリソグラフィーの現像工程で露光部が現像液に溶解しにくくなる。
なお、二重結合当量とは、光重合性化合物(B)中に含まれる光重合性官能基の量の尺度となるものである。二重結合すなわち光重合性官能基1モルあたりの重量を表し(単位はg/モル)、二重結合当量の数値が小さいほど、化合物中の光重合性官能基濃度が高い。本発明において二重結合当量は、化合物の構造または原料の仕込み量から計算した理論値である。
<<光重合開始剤(C)>>
本発明の光重合開始剤(C)は、紫外線照射によりラジカルが発生し、感光性組成物中の光重合性官能基の重合を開始させるために用いられものであれば特にその構造が限定されるものではないが、オキシムエステル系光重合開始剤が好ましい。例えば、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)フェニル−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、特開2001−264530、特開2001−261761、特開2000−80068、特開2001−233842、特表2004−534797、特開2006−342166、特開2008−094770、特開2009−40762、特開2010−15025、特開2010−189279、特開2010−189280、特表2010−526846、特表2010−527338、特表2010−527339、USP3558309号明細書(1971年)、USP4202697号明細書(1980年)、特開昭61−24558、特表2012−519191、特表2012−526185、特表2013−543875、特開2011−209710に記載の化合物等のオキシムエステル系化合物である。
オキシムエステル系光重合開始剤は光重合開始剤(C)全100重量%中において、30〜100重量部が好ましく、50〜100重量部がより好ましく、さらに好ましくは70〜100重量部である。
一般式(1)で表される化合物(B1)との組み合わせにおいて、オキシムエステル系光重合開始剤が最も良好であり、光重合開始剤(C)中の含有量が高くなるほど薬品耐性が良好となる。
その他の光重合開始剤としては例えば、下記が挙げられる。
4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、特開昭54−99185、特開昭63−264560、特開平10−29977に記載の化合物等のアセトフェノン系化合物、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン、特公昭59−1281、特公昭61−9621、特開昭60−60104に記載の化合物等のトリアジン系化合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物、2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メトキシフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−メチルフェニル)ビイミダゾール、特開昭55−127550、特開昭60−202437に記載の化合物等のイミダゾール系化合物、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物、特開平2−157760記載の化合物等のボレート系化合物、カルバゾール系化合物、特開昭61−151197記載の化合物等のチタノセン系化合物、特開昭59−1504号、特開昭61−243807に記載の化合物等の有機過酸化物、特公昭43−23684、特公昭44−6413、特公昭47−1604、USP第3567453号明細書に記載の化合物等のジアゾニウム化合物、USP第2848328号明細書、USP第2852379号明細書、USP第2940853号明細書に記載の化合物等の有機アジド化合物、特公昭36−22062、特公昭37−13109、特公昭38−18015、特公昭45−9610に記載の化合物等のオルト−キノンジアジド類、特公昭55−39162、特開昭59−140203、「マクロモレキュルス(MACROMOLECULES)」、第10巻、第1307頁(1977年)に記載のヨードニウム化合物をはじめとする各種オニウム化合物、特開昭59−142205に記載の化合物等のアゾ化合物、特開平1−54440号公報、ヨーロッパ特許第109851号明細書、ヨーロッパ特許第126712号明細書、「ジャーナル・オブ・イメージング・サイエンス(J.IMAG.SCI.)」、第30巻、第174頁(1986年)に記載の化合物等の金属アレン錯体、「コーディネーション・ケミストリー・レビュー(COORDINATION CHEMISTRY REVIEW)」、第84巻、第85〜第277頁(1988年)、特開平2−182701に記載のルテニウム等の遷移金属を含有する遷移金属錯体、特開平3−209477に記載の化合物等のアルミナート錯体、四臭化炭素や特開昭59−107344に記載の化合物等の有機ハロゲン化合物、特開平5−255347に記載のスルホニウム錯体またはオキソスルホニウム錯体等が挙げられる。
これらの光重合開始剤(C)は1種または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。光重合開始剤(C)は、感光性組成物中の固形分100重量部中において、0.01〜60重量部が好ましく、0.01〜10重量部がより好ましく、さらに好ましくは0.03〜7重量部である。0.01重量部未満であると光重合反応性が悪く重合が進行しない場合があり、10重量部を超える量を用いると開始剤の黄変の影響より透明性の悪化が起きるたり、露光時に過剰な光重合が起こるためにパターンの解像度が悪くなる場合がある。
さらに、本発明の感光性組成物には、増感剤を含有させることができる。増感剤としては例えば、
カルコン誘導体やジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2−ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ−ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、ミヒラーケトン誘導体、ビイミダゾール誘導体等が挙げられる。
さらに具体例には、大河原信ら編、「色素ハンドブック」(1986年、講談社)、大河原信ら編、「機能性色素の化学」(1981年、シーエムシー)、池森忠三朗ら編、「特殊機能材料」(1986年、シーエムシー)に記載の増感剤が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、その他、紫外から近赤外域にかけての光に対して吸収を示す増感剤を含有させることもできる。増感剤は、任意の比率で二種以上の増感剤を含んでいてもかまわない。
増感剤は、感光性組成物中の光重合開始剤(C)100重量部に対して、0.1〜150重量部の量を用いることが好ましく、1〜100重量部の量で用いることがより好ましい。
本発明の感光性組成物を後述するカラーフィルタ用感光性組成物として使用する場合、カラーフィルタ用感光性顔料組成物において、光重合開始剤(C)の重量〔Ia〕と光重合性官能基を含む化合物のうち、低分子量のものの重量〔M〕との比率〔Ia/M〕は、0.03〜1.00であることが好ましく、0.04〜0.95であることがより好ましい。
さらに、カラーフィルタ用感光性組成物が増感剤を含有する場合には、光重合開始剤(C)および増感剤の合計重量〔Ib〕と光重合性官能基を含む化合物のうち、低分子量のものの重量〔M〕との比率〔Ib/M〕は、0.04〜1.50であることが好ましく、0.05〜1.45であることがより好ましい。
〔Ia/M〕が0.03以上、〔Ib/M〕が0.04以上であると感度が高く良好である。また、〔Ia/M〕が1.00以下、〔Ib/M〕が1.50以下のとき、パタ−ン形状の直線性や解像性がより優れている。
<着色剤(D)>
本発明の感光性組成物を着色し、カラーフィルタ等に使用するために、着色剤(D)を添加してもよい。以下に、カラーフィルタ用感光性組成物に好ましく用いられる着色剤(D)について説明する。
カラーフィルタ用感光性組成物に含有される着色剤(D)としては、有機または無機の顔料、染料を単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。顔料のなかでは、発色性が高く、且つ耐熱性の高い顔料が好ましく、通常は有機顔料が用いられる。
以下に、カラーフィルタセグメントやブラックマトリックスの作製に使用可能な有機顔料の具体例を、カラーインデックス番号で示す。
赤色フィルタセグメントを形成するための赤色感光性組成物には、例えばC.I. Pigment Red 7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、97、122、123、146、149、166、168、176、177、178、179、180、184、185、187、192、200、202、207、208、209、210、215、216、217、220、221、223、224、226、227、228、240、242、246、254、255、264、269、272、279等の赤色顔料を用いることができる。赤色感光性組成物には、黄色顔料、オレンジ顔料を併用することができる。
また、キサンテン系、アゾ系、ジスアゾ系、アントラキノン系などの赤色染料も使用できる。具体的には、C.I.アシッド レッド 52、87、92、289、338などのキサンテン系酸性染料の造塩化合物等が挙げられる。
さらに後述する緑色顔料を色度調整用に併用することができる。
これらの中でも、赤色顔料がジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料、アゾ系顔料、又はペリレン系顔料が好ましい。ジケトピロロピロール系顔料としてはC.I.Pigment Red254が好ましく、アントラキノン系顔料としてはC.I.Pigment Red177、ペリレン系顔料としてはC.I.Pigment Red179が、優れた着色力を得られるため好ましい。
さらにアゾ系顔料としては、下記一般式で表される顔料が好ましい。
[一般式(1)中、Aは、水素原子、ベンズイミダゾロン基、置換基を有してもよいフェニル基または置換基を有してもよい複素環基を表す。Rは、水素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜4のアルキル基、−ORまたは−COORを表す。R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、炭素数1〜4のアルキル基、−OR、−COOR10、−CONHR11、−NHCOR12または−SONHR13を表す。R〜R13は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。
ただし、Rが−NHCOR12であり、A、R、R、R、およびRが水素原子、かつRがハロゲン原子の場合は除く。]
一般式(1)で表されるナフトールアゾ顔料の中でも、好ましくは、R〜Rのうち少なくとも1つがトリフルオロメチル基であるアゾ顔料、あるいはR〜Rのうち少なくとも1つが−NHCOR12であるアゾ顔料が、顔料粒子を微細化しやすくコントラスト比が秀でているため好ましい。
一般式(1)で表されるナフトールアゾ顔料としては、カラーインデックス(C.I.)ナンバーで示すと、C.I.ピグメントレッド31、32、146、147、150、184、187、188、210、238.245.247、266、268、269、C.I.バイオレット25、または50等が挙げられる。これらの中でも、色相・明度の観点から、C.I.ピグメントレッド150、170、187、266、268、269が好ましい。
一般式(1)中、Aにおいて、置換基を有してもよいフェニル基の「置換基」としては、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、水酸基、カルバモイル基、N−置換カルバモイル基、スルファモイル基、N−置換スルファモイル基、カルボキシル基、スルホ基、カルボキシル基またはスルホ基から選ばれる酸性基の1価〜3価の金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アルミニウム塩等)などが挙げられる。したがって、置換基を有してもよいフェニル基の具体例としては、フェニル基、p-メチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、p−ニトロフェニル基、p−メトキシフェニル基、o−トリフルオロメチルフェニル基、p−クロロフェニル基、p−ブロモフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、3−カルバモイルフェニル基、2−クロロ−4−カルバモイルフェニル基、2−メチル−4−カルバモイルフェニル基、2−メトキシ−4−カルバモイルフェニル基、2−メトキシ−4−メチル−3−スルファモイルフェニル基、4−スルホフェニル基、4−カルボキシフェニル基、2−メチル−4−スルホフェニル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、Aにおいて、置換基を有してもよい複素環基の「置換基」としては、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、水酸基、カルバモイル基、N−置換カルバモイル基、スルファモイル基、N−置換スルファモイル基、カルボキシル基、スルホ基、カルボキシル基またはスルホ基から選ばれる酸性基の1価〜3価の金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アルミニウム塩等)などが挙げられる。また、「複素環」とは、環系を構成する原子の中に、炭素原子以外のヘテロ原子が1個以上含まれるものを意味し、飽和環であっても不飽和環であっても良く、更に単環であっても縮合環であっても良い。したがって、複素環としては、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、トリアゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、キノリン環、ベンゾフラン環、インドール環、モルホリン環、ピロリジン環、ピペリジン環、テトラヒドロフラン環などが挙げられる。ゆえに、複素環基とは、これら複素環から水素原子を除いて誘導される一価の遊離基を意味し、したがって、置換基を有してもよい複素環基の具体例としては、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−ピローリル基、3−ピローリル基、2−フリル基、3−フリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−イミダゾリル基、2−オキサゾリル基、2−チアゾリル基、ピペリジノ基、4−ピペリジル基、モルホリノ基、2−モルホリニル基、N−インドリル基、2−インドリル基、2−ベンゾフリル基、2−ベンゾチエニル基、2−キノリノ基、N−カルバゾリル基などが挙げられる。
また、R〜R、R14におけるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
また、R〜R14における炭素数1〜4のアルキル基としては、直鎖状でも分岐状でもよく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。
顔料としては、明度の観点から、Aが、置換基を有してもよいフェニル基であることが好ましい。さらに、明度および分散性の観点から、R1が炭素数1〜4のアルキル基または−ORであることが好ましく、Rがメチル基またはメトキシ基であることがより好ましい。
本発明の着色剤は、化学構造が一般式(1)、またはその互変異性体であっても良く、あらゆる結晶形態を持った顔料であっても良く、いわゆる多形と呼称されるあらゆる結晶形態を持った顔料同士の混晶であっても良い。これら顔料の結晶形態は、粉末X線回折測定やX線結晶構造解析により確認できる。
ナフトールアゾ顔料は、溶媒に対して、そして光に対して優れた堅ろう性を有する水不溶性の顔料であり、この顔料を用いることで、明度とコントラスト比のいずれも優れたカラーフィルタ用着色組成物を得ることができる。
ナフトールアゾ顔料[A]を単独で、または、2種以上を混合して使用することもできる。
一般式(1)で表されるナフトールアゾ顔料の中でも、好ましくは、R〜Rのうち少なくとも1つがトリフルオロメチル基であるナフトールアゾ顔料が、微細化が容易であるために好ましい。
これらの中でも、Rが−トリフルオロメチル基であることが好ましく、Rが−Cl基であることが、好ましい。これらを満たすことにより、顔料の微細化が可能となるため、高コントラスト化を達成できる。
上記ナフトールアゾ顔料の具体例としては、下記に示すナフトールアゾ顔料等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
一般式(1)で表されるナフトールアゾ顔料の中でも、好ましくは、R〜Rのうち少なくとも1つが−NHCOR12であるナフトールアゾ顔料[A2]が明度に優れていているために好ましい。ただし、Rが−NHCOR12であり、A、R、R、R、およびRが水素原子、かつRがハロゲン原子の場合は除く。
これらの中でも、Rが−NHCOR12であることが好ましく、Rがメトキシ基であることがより好ましい。
上記ナフトールアゾ顔料の具体例としては、下記に示すナフトールアゾ顔料等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
全着色剤に対するの赤色顔料・染料の含有量の範囲は好ましくは10〜70重量%、より好ましくは10〜60重量%である。赤色顔料・染料を上記範囲外含有してしまうと、有機EL表示装置用カラーフィルターとして優れた色再現性が得られない。
黄色顔料としては、例えばC.I. Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214等を用いることができる。
また、キノリン系、アゾ系、ジスアゾ系、メチン系などの黄色染料も使用できる。
上記の中でも、イソインドリン系顔料、キノフタロン系顔料が好ましい。これらの中でもとくにC.I.Pigment Yellow 138、C.I.Pigment Yellow 139、C.I.Pigment Yellow 185、または下記一般式(2)で表されるキノフタロン化合物を含む場合、明度や着色力に優れるため好ましい。
一般式(2)で表されるキノフタロン化合物について説明する。

[一般式(2)中、X1〜X13は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシル基、置換基を有しても良いアリール基、−SOH基、−COOH基、−SOH基もしくは−COOH基の金属塩、−SOH基もしくは−COOH基のアルキルアンモニウム塩、置換基を有しても良いフタルイミドメチル基、または置換基を有しても良いスルファモイル基を示す。X1〜X4、および/または、X10〜X13の隣接した基は、一体となって、置換基を有してもよい芳香環を形成する。]
ここで、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
また、置換基を有してもよいアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、プチル基、イソプチル基、tert−プチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、n−オクチル基、ステアリル基、2−エチルへキシル基等の直鎖又は分岐アルキル基の他、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2−ジブロモエチル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、2−エトキシエチル基、2−ブトキシエチル基、2−ニトロプロピル基、ペンジル基、4−メチルペンジル基、4−tert−プチルベンジル基、4−メトキシペンジル基、4−ニトロベンジル基、2,4−ジクロロベンジル基等の置換基を有するアルキル基が挙げられる。
また、置換基を有してもよいアルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソプチルオキシ基、tert−プチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、2,3−ジメチル−3−ペントキシ、n−へキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、ステアリルオキシ基、2−エチルへキシルオキシ基等の直鎖又は分岐アルコキシル基の他、トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルオキシ基、2,2−ジトリフルオロメチルプロポキシ基、2−エトキシエトキシ基、2−ブトキシエトキシ基、2−ニトロプロポキシ基、ベンジルオキシ基等の置換基を有するアルコキシル基が挙げられる。
また、置換基を有してもよいアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基等のアリール基の他、p−メチルフェニル基、p−ブロモフェニル基、p−ニトロフェニル基、p−メトキシフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2−アミノフェニル基、2−メチル−4−クロロフェニル基、4−ヒドロキシ−1−ナフチル基、6−メチル−2−ナフチル基、4,5,8−トリクロロ−2−ナフチル基、アントラキノニル基、2−アミノアントラキノニル基等の置換基を有するアリール基が挙げられる。
また、酸性基としては、−SO3H、−COOHが挙げられ、これら酸性基の1価〜3価の金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、鉄塩、アルミニウム塩等が挙げられる。また、酸性基のアルキルアンモニウム塩としては、オクチルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン等の長鎖モノアルキルアミンのアンモニウム塩、パルミチルトリメチルアンモニウム、ジラウリルジメチルアンモニウム、ジステアリルジメチルアンモニウム塩等の4級アルキルアンモニウム塩が挙げられる。
置換基を有してもよいフタルイミドメチル基(C(CO)N−CH−)、および、置換基を有してもよいスルファモイル基(HNSO−)における「置換基」としては、上記のハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシル基、置換基を有してもよいアリール基等が挙げられる。
一般式(2)のX1〜X4、および/または、X10〜X13の隣接した基は、一体となって、置換基を有してもよい芳香環を形成する。ここでいう芳香環とは、炭化水素芳香環および複素芳香環が挙げられ、炭化水素芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環等が、また、複素芳香環としては、ピリジン環、ピラジン環、ピロール環、キノリン環、キノキサリン環、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、インドール環、カルバゾール環などが挙げられる。
一般式(2)で表されるキノフタロン化合物は、下記一般式(2A)〜(2C)のいずれかであることが好ましい。



[一般式(2A)〜(2C)中、X14〜X28、X29〜X43、X44〜X60は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシル基、置換基を有しても良いアリール基、−SOH基、−COOH基、−SOHH基もしくは−COOH基の金属塩、−SOH基もしくは−COOH基のアルキルアンモニウム塩、置換基を有しても良いフタルイミドメチル基、または置換基を有しても良いスルファモイル基を示す。]
さらに、一般式(2A)〜(2C)のX14〜X28、X29〜X43、X44〜X60が、水素原子またはハロゲン原子あることがより好ましい。
一般式(2)で表されるキノフタロン化合物の具体例として、下記に示すキノフタロン化合物(a)〜(p)等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、これらの黄色顔料は、単独または2種以上を組み合わせて、イエロー色フィルタセグメントを形成するためのイエロー色感光性組成物に用いることができる。
赤色フィルタセグメントを形成するための赤色感光性組成物にはオレンジ色顔料としては、例えばC.I. Pigment orange 36、38、43、51、55、59、61、71、73等を用いることができる。
また、これらのオレンジ色顔料は、単独または2種以上を組み合わせて、オレンジ色フィルタセグメントを形成するためのオレンジ色感光性組成物に用いることができる。
緑色フィルタセグメントを形成するための緑色感光性組成物には、例えばC.I. Pigment Green 7、10、36、37および58、アルミニウムフタロシアニン顔料等の緑色顔料を用いることができる。緑色感光性組成物には先述した黄色顔料を併用することができる。
青色フィルタセグメントを形成するための青色感光性組成物には、例えばC.I. Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、80等の青色顔料を用いることができる。
青色感光性組成物には、C.I. Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等の紫色顔料を併用することができる。さらにC.I.ピグメントレッド81、81:1、81:2、81:3、81:4、81:5などのローダミン系染料の金属レーキ顔料を併用できる。また青色や紫色を呈する塩基性染料、酸性染料の造塩化合物を使用することもできる。
さらに先述した黄色顔料を色度調整用に併用することができる。
シアン色フィルタセグメントを形成するためのシアン色感光性組成物には、例えばC.I. Pigment Blue15:1、15:2、15:4、15:3、15:6、16、80等の青色顔料を用いることができる。
マゼンタ色フィルタセグメントを形成するためのマゼンタ色感光性組成物には、例えばC.I. Pigment Violet 1、19、C.I. Pigment Red81、144、146、177、169等の紫色顔料および赤色顔料を用いることができる。マゼンタ色感光性組成物には、黄色顔料を併用することができる。
ブラックマトリックスを形成するための黒色感光性組成物には、例えばカーボンブラック、アニリンブラック、アントラキノン系黒色顔料、ペリレン系黒色顔料、具体的には C.I. ピグメントブラック1、6、7、12、20、31等を用いることができる。黒色感光性組成物には、赤色顔料、青色顔料、緑色顔料の混合物を用いることもできる。黒色顔料としては、価格、遮光性の大きさからカーボンブラックが好ましく、カーボンブラックは、樹脂などで表面処理されていてもよい。また、色調を調整するため、黒色感光性組成物には、青色顔料や紫色顔料を併用することができる。
また、無機顔料としては、硫酸バリウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、酸化チタン、四酸化鉄などの金属酸化物粉、金属硫化物粉、金属粉等が挙げられる。無機顔料は、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な塗布性、感度、現像性等を確保するために、有機顔料と組み合わせて用いられる。また、調色のため、耐熱性を低下させない範囲内で染料を含有させることができる。
カラーフィルタ用感光性組成物の全不揮発成分を基準(100重量%)として、好ましい顔料成分の濃度は、充分な色再現性を得る観点から10重量%以上であり、より好ましくは15重量%以上であり、最も好ましくは20重量%以上である。また、感光性顔料組成物の安定性が良くなることから、好ましい顔料成分の濃度は90重量%以下であり、より好ましくは80重量%以下であり、最も好ましくは70重量%以下である。
<多官能チオール>
本発明における感光性組成物には、多官能チオールを含有することができる。多官能チオールは、チオール(SH)基を2個以上有する化合物である。
多官能チオールは上述の光重合開始剤(C)とともに使用することにより、光照射後のラジカル重合過程において、連鎖移動剤として働き、酸素による重合阻害を受けにくいチイルラジカルが発生するので、得られるカラーフィルタ用感光性組成物は高感度となる。特にSH基がメチレン、エチレン基等の脂肪族基に結合した多官能脂肪族チオールが好ましい。
例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジンなどが挙げられる。
これらの多官能チオールは、1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
多官能チオールの含有量は、着色剤100重量部に対して0.05〜100重量部の量が好ましく、1.0〜50.0重量部の量がより好ましい。多官能チオールを0.05重量部以上用いることで、より良い現像耐性を得ることができる。チオール(SH)基を複数有するチオールを用いることにより、現像耐性の向上が得られる。
<紫外線吸収剤または重合禁止剤>
本発明における感光性組成物には、紫外線吸収剤または重合禁止剤を含有することができる。紫外線吸収剤または重合禁止剤を含有することで、パターンの形状と解像性を制御することができる。
紫外線吸収剤としては、例えば2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−(ドデシルおよびトリデシル)オキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン等のヒドロキシフェニルトリアジン系、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(3−tブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系、フェニルサリチレート、p−tert−ブチルフェニルサリチレート等のサリチレート系、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系、2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(トリアセトン−アミン−N−オキシル)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ポリ[[6−[(1,1,3,3−テトラブチル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミノ]等のヒンダードアミン系等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。
重合禁止剤としては、例えばメチルハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、4−ベンゾキノン、4−メトキシフェノール、4−メトキシ−1−ナフトール、t−ブチルカテコールなどのハイドロキノン誘導体およびフェノール化合物、フェノチアジン、ビス−(1−ジメチルベンジル)フェノチアジン、3,7−ジオクチルフェノチアジン等のアミン化合物、ジブチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸マンガン、ジフェニルジチオカルバミン酸マンガン等の銅およびマンガン塩化合物、4−ニトロソフェノール、N−ニトロソジフェニルアミン、N−ニトロソシクロヘキシルヒドロキシルアミン、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン等のニトロソ化合物およびそのアンモニウム塩またはアルミニウム塩等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。
紫外線吸収剤および重合禁止剤は、感光性組成物中の全固形分100重量部に対して、好ましくは0.01〜20重量部、より好ましくは0.05〜10重量部である。
紫外線吸収剤または重合禁止剤を0.01重量部以上用いることで、より良い解像度を得ることができる。
<貯蔵安定剤>
本発明における感光性組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために、貯蔵安定剤を含有することができる。貯蔵安定剤としては、例えば2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール、ペンタエリスチリル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)1,3,5−トリアジン等のヒンダードフェノール系、テトラエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルフォスフィン等の有機ホスフィン系、ジメチルジチオリン酸亜鉛、ジプロピルジチオリン酸亜鉛、ジブチルジチオリン酸モリブデン等の亜リン酸塩系、ドデシルスルフィド、ベンゾチオフェンなどのイオウ系、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。
貯蔵安定剤は、感光性組成物中の全固形分100重量部に対して、好ましくは0.01〜20重量部、より好ましくは0.05〜10重量部の量で用いる。
<密着向上剤>
本発明における感光性組成物には、透明基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることが好ましい。密着向上剤としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
中でもシラン系の添加剤を含むとガラス基材などとの密着性が向上するため好ましく、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランがより好ましく、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
シランカップリング剤は、感光性組成物の全固形分100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.05〜5重量部の量で用いる。
<レベリング剤>
本発明における感光性組成物には、透明基板上での組成物のレベリング性をよくするため、レベリング剤を添加することが好ましい。レベリング剤としては、主鎖にポリエーテル構造又はポリエステル構造を有するジメチルシロキサンが好ましい。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、東レ・ダウコーニング社製FZ−2122、ビックケミー社製BYK−330などが挙げられる。主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミー社製BYK−310、BYK−370などが挙げられる。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンと、主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンとは、併用することもできる。
レベリング剤として特に好ましいものとしては、分子内に疎水基と親水基を有するいわゆる界面活性剤の一種で、親水基を有しながらも水に対する溶解性が小さく、感光性顔料組成物に添加した場合、その表面張力低下能が低いという特徴を有し、さらに表面張力低下能が低いにも拘らずガラス板への濡れ性が良好なものが有用であり、泡立ちによる塗膜の欠陥が出現しない添加量において十分に帯電性を抑止できるものが好ましく使用できる。
このような好ましい特性を有するレベリング剤として、ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンが好ましく使用できる。ポリアルキレンオキサイド単位としては、ポリエチレンオキサイド単位、ポリプロピレンオキサイド単位があり、ジメチルポリシロキサンは、ポリエチレンオキサイド単位とポリプロピレンオキサイド単位とを共に有していてもよい。
また、ポリアルキレンオキサイド単位のジメチルポリシロキサンとの結合形態は、ポリアルキレンオキサイド単位がジメチルポリシロキサンの繰り返し単位中に結合したペンダント型、ジメチルポリシロキサンの末端に結合した末端変性型、ジメチルポリシロキサンと交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマー型のいずれであってもよい。ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンは、東レ・ダウコーニング株式会社から市販されており、例えば、FZ−2110、FZ−2122、FZ−2130、FZ−2166、FZ−2191、FZ−2203、FZ−2207が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
レベリング剤には、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、または両性の界面活性剤を補助的に加えることも可能である。界面活性剤は、2種以上混合して使用しても構わない。
レベリング剤に補助的に加えるアニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。
レベリング剤に補助的に加えるカオチン性界面活性剤としては、アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。レベリング剤に補助的に加えるノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどの;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤、また、フッ素系やシリコーン系の界面活性剤が挙げられる。
レベリング剤は、感光性組成物の全固形分100重量部に対して、好ましくは0.001〜1重量部、より好ましくは0.01〜1重量部の量で用いる。
<アミン系化合物>
本発明のおける感光性組成物には、溶存している酸素を還元する働きのあるアミン系化合物を含有させることが好ましい。このようなアミン系化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルパラトルイジン等が挙げられる。
<その他>
必要に応じて、熱硬化性樹脂に併用する硬化剤、光安定剤、酸化防止剤、無機フィラー、接着付与剤、界面活性剤、貯蔵安定剤等の密着向上剤等などの添加剤を加えてもよい。これらの添加剤は、樹脂組成物の目的を損なわない範囲で任意の量を加えることができる。
<<感光性組成物の製造方法>>
本発明の感光性組成物は、アルカリ可溶性樹脂(A)と、光重合性化合物(B)と、光重合開始剤(C)と、必要に応じてその他の成分とを混合、撹拌することによって作製することができる。
本発明の感光性組成物をカラーフィルタ、カラーフィルタ保護膜、フォトスペーサー、液晶配向用突起、マイクロレンズ、タッチパネル用絶縁膜・保護膜等のディスプレイ用のコーティング剤、フォトレジストなどとして用いる場合、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵、異物の除去を行うことが好ましい。
<有機EL表示装置>
本発明における有機EL表示装置は、RGBの有機EL素子塗りわけ方式でも、白色発光有機ELにカラーフィルターを用いる方式でも良い。
(有機EL素子)
本発明に用いられる有機EL素子としては、少なくとも波長430nm〜485nmの範囲と波長560nm〜620nmの範囲とに発光強度が極大となるピーク波長(λ)、(λ)を有し、波長λにおける発光強度Iと波長λにおける発光強度Iの比(I/I)が、0.4以上0.9以下である発光スペクトルを有していることが好ましく、0.5以上0.8以下であることがより好ましい。特に好ましくは、0.5以上0.7以下である。
発光強度I2の比(I2/I1)が、0.4以上0.9以下である発光スペクトルを有している場合、高い明度と広い色再現性が得られるため好ましい。
さらに波長530nm〜650nmの範囲に、発光強度の極大値またはショルダーを有していることが好ましい。
波長430nm〜485nmの範囲は、前記カラーフィルタを具備するカラー表示装置が色再現性のよい青色を表示する際に好ましいものである。より好ましくは430nm〜475nmの範囲である。
これらの構成を満足する有機EL素子と前記カラーフィルタとを用いることで、色再現領域が広く、高明度を有するカラー表示装置を得ることができる。
有機EL素子は、陽極と陰極間に一層または多層の有機層を形成した素子から構成される。ここで、一層型有機EL素子とは、陽極と陰極との間に発光層のみからなる素子を指し、一方、多層型有機EL素子とは、発光層の他に、発光層への正孔や電子の注入を容易にしたり、発光層内での正孔と電子との再結合を円滑に行わせたりすることを目的として、正孔注入層、正孔輸送層、正孔阻止層、電子注入層などを積層させたものを指す。したがって、多層型有機EL素子の代表的な素子構成としては、(1)陽極/正孔注入層/発光層/陰極、(2)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極、(3)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極、(4)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極、(5)陽極/正孔注入層/発光層/正孔阻止層/電子注入層/陰極、(6)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子注入層/陰極、(7)陽極/発光層/正孔阻止層/電子注入層/陰極、(8)陽極/発光層/電子注入層/陰極等の多層構成で積層した素子構成が挙げられる。しかし、本発明で用いられる有機EL素子がこれらに限定されるものではない。
また、上述した各有機層は、それぞれ二層以上の層構成により形成されてもよく、いくつかの層が繰り返し積層されていてもよい。そのような例として、近年、光取り出し効率の向上を目的に、上述多層型有機EL素子の一部の層を多層化する「マルチ・フォトン・エミッション」と呼ばれる素子構成が提案されている。これは例えば、ガラス基板/陽極/正孔輸送層/電子輸送性発光層/電子注入層/電荷発生層/発光ユニット/陰極から構成される有機EL素子に於いて、電荷発生層と発光ユニットの部分を複数層積層するといった方法が挙げられる。
まず、これら各層に用いることのできる材料を具体的に例示する。但し、本発明に使用出来る材料はこれ等に限定されるものではない。
正孔注入層に用いることができる材料としては、フタロシアニン系化合物が有効であり、銅フタロシアニン(略:CuPc)、バナジルフタロシアニン(略:VOPc)等を用いることが出来る。また、導電性高分子化合物に化学ドーピングを施した材料もあり、ポリエチレンジオキシチオフェン(略:PEDOT)にポリスチレンスルフォン酸(略:PSS)をドープした材料や、ポリアニリン(略:PANI)などを用いることもできる。また、酸化モリブデン(略:MoOx)、酸化バナジウム(略:VOx)、酸化ニッケル(略:NiOx)などの無機半導体の薄膜や、酸化アルミニウム(略:Al23)などの無機絶縁体の超薄膜も有効である。また、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(略:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−トリフェニルアミン(略:MTDATA)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(略:TPD)、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(略:α−NTPD)、4,4’−ビス[N−(4−(N,N−ジ−m−トリル)アミノ)フェニル−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略:DNTPD)などの芳香族アミン系化合物も用いることができる。さらに、それら芳香族アミン系化合物に対してアクセプタ性を示す物質を芳香族アミン系化合物に添加してもよく、具体的にはVOPcにアクセプタである2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(略:F4−TCNQ)を添加したものや、α−NPDにアクセプタであるMoOxを添加したものを用いてもよい。
正孔輸送層に用いることができる材料としては、芳香族アミン系化合物が好適であり、正孔注入材料で記述したTDATA、MTDATA、TPD、α−NPD、DNTPDなどを用いることができる。
電子輸送層に用いることができる電子輸送材料としては、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略:Alq3)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略:BAlq)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略:Zn(BOX)2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略:Zn(BTZ)2)などの金属錯体が挙げられる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略:OXD−7)などのオキサジアゾール誘導体、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略:p−EtTA Z)などのトリアゾール誘導体、2,2’,2”−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス[1−フェニル−1H−ベンズイミダゾール](略:TPBI)のようなイミダゾール誘導体、バソフェナントロリン(略:BPhen)、バソキュプロイン(略:BCP)などのフェナントロリン誘導体を用いることができる。
電子注入層に用いることができる材料としては、先に記述したAlq3、Almq3、BeBq2、BAlq、Zn(BOX)2、Zn(BTZ)2、PBD、OXD−7、TAZ、p−EtTAZ、TPBI、BPhen、BCPなどの電子輸送材料を用いることができる。その他に、LiF、CsFなどのアルカリ金属ハロゲン化物や、CaF2のようなアルカリ土類ハロゲン化物、Li2Oなどのアルカリ金属酸化物のような絶縁体の超薄膜がよく用いられる。また、リチウムアセチルアセトネート(略:Li(acac))や8−キノリノラト−リチウム(略:Liq)などのアルカリ金属錯体も有効である。また、これら電子注入材料に対してドナー性を示す物質を電子注入材料に添加してもよく、ドナーとしてはアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属などを用いることができる。具体的にはBCPにドナーであるリチウムを添加したものや、Alq3にドナーであるリチウムを添加したものを用いることができる。
さらに、正孔阻止層には、発光層を経由した正孔が電子注入層に達するのを防ぎ、薄膜形成性に優れた層を形成できる正孔阻止材料が用いられる。そのような正孔阻止材料の例としては、ビス(8−ヒドロキシキノリナ−ト)(4−フェニルフェノラ−ト)アルミニウム等のアルミニウム錯体化合物や、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナ−ト)(4−フェニルフェノラ−ト)ガリウム等のガリウム錯体化合物、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(略:BCP)等の含窒素縮合芳香族化合物が挙げられる。
発光層としては特に制限はないが、例えば、下記のものを用いることができる。すなわち、有機EL積層構造体の各層のエネルギー準位を規定し、トンネル注入を利用して発光させるもの(欧州特許第0390551号公報)、同じくトンネル注入を利用する素子で実施例として白色発光素子が記載されているもの(特開平3−230584号公報)、二層構造の発光層が記載されているもの(特開平2−220390号公報および特開平2−216790号公報)、発光層を複数に分割してそれぞれ発光波長の異なる材料で構成されたもの(特開平4−51491号公報)、青色発光体(蛍光ピ−ク380〜480nm)と緑色発光体(480〜580nm)とを積層させ、さらに赤色蛍光体を含有させた構成のもの(特開平6−207170号公報)、青色発光層が青色蛍光色素を含有し、緑色発光層が赤色蛍光色素を含有した領域を有し、さらに緑色蛍光体を含有する構成のもの(特開平7−142169号公報)等が挙げられる。
さらに、本発明において用いられる発光材料は、従来発光材料として公知の材料が用いられればよい。下記に青色、緑色、橙色から赤色発光のために好適に用いられる化合物を例示する。しかし、発光材料が以下の具体的に例示したものに限定されるものではない。
青色の発光は、例えば、ペリレン、2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレン(略:TBP)、9,10−ジフェニルアントラセン誘導体などをゲスト材料として用いることによって得られる。また、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略:DPVBi)などのスチリルアリーレン誘導体や、9,10−ジ−2−ナフチルアントラセン(略:DNA)、9,10−ビス(2−ナフチル)−2−tert−ブチルアントラセン(略:t−BuDNA)などのアントラセン誘導体から得ることもできる。また、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)等のポリマーを用いてもよい。
さらに好ましい具体例を、表1に示す。


緑色の発光は、クマリン30、クマリン6などのクマリン系色素や、ビス[2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジナト]ピコリナトイリジウム(略:FIrpic)、ビス(2−フェニルピリジナト)アセチルアセトナトイリジウム(略:Ir(ppy)(acac))などをゲスト材料として用いることによって得られる。また、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(略:Alq3)、BAlq、Zn(BTZ)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)クロロガリウム(略:Ga(mq)2Cl)などの金属錯体からも得ることができる。また、ポリ(p−フェニレンビニレン)等のポリマーを用いてもよい。
さらに好ましい具体例を、表2に示す。
橙色から赤色の発光は、ルブレン、4−(ジシアノメチレン)−2−[p−(ジメチルアミノ)スチリル]−6−メチル−4H−ピラン(略:DCM1)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(9−ジュロリジル)エチニル−4H−ピラン(略:DCM2)、4−(ジシアノメチレン)−2,6−ビス[p−(ジメチルアミノ)スチリル]−4H−ピラン(略:BisDCM)、ビス[2−(2−チエニル)ピリジナト]アセチルアセトナトイリジウム(略:Ir(thp)2(acac))、ビス(2−フェニルキノリナト)アセチルアセトナトイリジウム(略:Ir(pq)(acac))などをゲスト材料として用いることによって得られる。ビス(8−キノキリノラト)亜鉛(略:Znq2)やビス[2−シンナモイル−8−キノリノラト]亜鉛(略:Znsq2)などの金属錯体からも得ることができる。また、ポリ(2,5−ジアルコキシ−1,4−フェニレンビニレン)等のポリマーを用いてもよい。
さらに好ましい具体例を、表3に示す。
さらに、本発明に用いる有機EL素子の陽極に使用される材料は、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物またはこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、ITO、SNO2、ZNO等の導電性材料が挙げられる。この陽極を形成するには、これらの電極物質を、蒸着法やスパッタリング法等の方法で薄膜を形成させることができる。この陽極は、上記発光層からの発光を陽極から取り出す場合、陽極の発光に対する透過率が10%より大きくなるような特性を有していることが望ましい。また、陽極のシ−ト抵抗は、数百Ω/cm2以下としてあるものが好ましい。さらに、陽極の膜厚は、材料にもよるが通常10nm〜1μm、好ましくは10〜200nmの範囲で選択される。
また、本発明に用いる有機EL素子の陰極に使用される材料は、仕事関数の小さい(4eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム・銀合金、アルミニウム/酸化アルミニウム、アルミニウム・リチウム合金、インジウム、希土類金属などが挙げられる。この陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。ここで、発光層からの発光を陰極から取り出す場合、陰極の発光に対する透過率は10%より大きくすることが好ましい。また、陰極としてのシ−ト抵抗は数百Ω/cm2以下が好ましく、さらに、膜厚は通常10nm〜1μm、好ましくは50〜200Nmである。
本発明に用いる有機EL素子を作製する方法については、上記の材料および方法により陽極、発光層、必要に応じて正孔注入層、および必要に応じて電子注入層を形成し、最後に陰極を形成すればよい。また、陰極から陽極へ、前記と逆の順序で有機EL素子を作製することもできる。
この有機EL素子は、透光性の基板上に作製する。この透光性基板は有機EL素子を支持する基板であり、その透光性については、400〜700nmの可視領域の光の透過率が50%以上、好ましくは90%以上であるものが望ましく、さらに平滑な基板を用いるのが好ましい。
これら基板は、機械的、熱的強度を有し、透明であれば特に限定されるものではないが、例えば、ガラス板、合成樹脂板などが好適に用いられる。ガラス板としては、特にソ−ダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英などで成形された板が挙げられる。また、合成樹脂板としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルサルファイド樹脂、ポリサルフォン樹脂などの板が挙げられる。
本発明に用いる有機EL素子の各層の形成方法としては、真空蒸着、電子線ビ−ム照射、スパッタリング、プラズマ、イオンプレ−ティング等の乾式成膜法、もしくはスピンコ−ティング、ディッピング、フローコーティング、インクジェット法等の湿式成膜法、発光体をドナーフイルム上に蒸着する方法、また、特表2002−534782号公報やS.T.Lee,et al.,Proceedings of SID’02,p.784(2002)に記載されているLITI(Laser Induced Thermal Imaging、レーザー熱転写)法や、印刷(オフセット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷)、インクジェット等の方法を適用することもできる。
有機層は、特に分子堆積膜であることが好ましい。ここで分子堆積膜とは、気相状態の材料化合物から沈着され形成された薄膜や、溶液状態または液相状態の材料化合物から固体化され形成された膜のことであり、通常この分子堆積膜は、LB法により形成された薄膜(分子累積膜)とは凝集構造、高次構造の相違や、それに起因する機能的な相違により区分することができる。また特開昭57−51781号公報に開示されているように、樹脂等の結着剤と材料化合物とを溶剤に溶かして溶液とした後、これをスピンコ−ト法等により薄膜化することによっても、有機層を形成することができる。各層の膜厚は特に限定されるものではないが、膜厚が厚すぎると一定の光出力を得るために大きな印加電圧が必要となり効率が悪くなり、逆に膜厚が薄すぎるとピンホ−ル等が発生し、電界を印加しても充分な発光輝度が得にくくなる。したがって、各層の膜厚は、1nmから1μmの範囲が適しているが、10nmから0.2μmの範囲がより好ましい。
また、有機EL素子の温度、湿度、雰囲気等に対する安定性向上のために、素子の表面に保護層を設けたり、樹脂等により素子全体を被覆や封止を施したりしてもよい。特に素子全体を被覆や封止する際には、光によって硬化する光硬化性樹脂が好適に使用される。
本発明に用いる有機EL素子に印加する電流は、通常、直流であるが、パルス電流や交流を用いてもよい。電流値、電圧値は、素子破壊しない範囲内であれば特に制限はないが、素子の消費電力や寿命を考慮すると、なるべく小さい電気エネルギーで効率よく発光させることが望ましい。
本発明に用いる有機EL素子の駆動方法は、パッシブマトリクス法のみならず、アクティブマトリックス法での駆動も可能である。また、本発明の有機EL素子から光を取り出す方法としては、陽極側から光を取り出すボトム・エミッションという方法のみならず、陰極側から光を取り出すトップ・エミッションという方法にも適用可能である。これらの方法や技術は、城戸淳二著、「有機ELのすべて」、日本実業出版社(2003年発行)に記載されている。
白色発光の有機EL素子を使って、カラーフィルタを通して3原色の光を取り出す方法があるが、これら3原色に加えて、一部白色光をそのまま取り出して発光に利用することで、素子全体の発光効率をあげることもできる。
さらに、本発明に用いる有機EL素子は、マイクロキャビティ構造を採用しても構わない。これは、有機EL素子は、発光層が陽極と陰極との間に挟持された構造であり、発光した光は陽極と陰極との間で多重干渉を生じるが、陽極および陰極の反射率、透過率などの光学的な特性と、これらに挟持された有機層の膜厚とを適当に選ぶことにより、多重干渉効果を積極的に利用し、素子より取り出される発光波長を制御するという技術である。これにより、発光色度を改善することも可能となる。この多重干渉効果のメカニズムについては、J.Yamada等によるAM−LCD Digest of Technical Papers, OD−2,p.77〜80(2002)に記載されている。
上記の様にしてガラス基板等に並置してRGBのカラーフィルタ層を作製し、そのカラーフィルタ層上に、ITO電極層と上記有機EL素子を用いて作製された発光層(バックライト)を載せることでカラー表示が可能となり、カラー表示装置が得られることになる。その際、発光時の電流の流れをTFTによりコントロールすることで高コントラスト比をもつカラー表示装置を実現することが可能となる。
<<感光性組成物を使用した硬化物、パターンの製造方法>>
本発明の感光性組成物をカラーフィルタ保護膜、フォトスペーサー、液晶配向用突起、マイクロレンズ、タッチパネル用絶縁膜・保護膜等のディスプレイ用のコーティング剤、フォトレジストなどとして用いてディスプレイ部材を製造する方法について説明する。
本発明の感光性組成物を、各種基材の片面または両面に塗布し、もしくは金型等を用いて成形し、必要に応じて加熱や減圧などにより乾燥し、紫外線を全面またはフォトマスクを介して部分的に照射し、必要に応じて現像し、80〜150℃において加熱硬化させることで目的の硬化物を得ることができる。なお、使用する基材の耐熱性に応じて150℃を超える温度で加熱硬化させることも可能である。
具体的な工程は下記のとおりである。
<感光性組成物を基材上に塗布することによって塗布膜を得る工程>
本発明の感光性組成物をガラス基板、ITO、金属膜、有機膜等に塗布する方法は特に限定されるものでなく、例えば、浸漬法、スプレー法、ロールコート法、ダイコート法、回転塗布法等が使用可能であり、その他、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法等の印刷法によっても塗布可能である。フォトリソグラフィーによりパターン形成することも可能である
基材としては、例えば、ガラス、セラミック、ポリカーボネート、ポリエステル、ウレタン、アクリル、ポリアセテートセルロース、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ポリオレフィン、ポリシクロオレフィン、ポリビニルアルコール、ステンレス等の各種金属、などが挙げられる。
これらのディスプレイ部材を製造する際の厚さとしては、乾燥状態で0.005〜30μmとするのが好ましく、0.01〜20μmとするのがより好ましく、0.1〜10μmとするのが特に好ましい。厚さをこのような範囲とすることにより、適度な機械的強度や耐熱性が得られるとともに、光の透過率を損なうおそれが少ない。
本発明の感光性組成物を基板に塗布した後の乾燥方法は特に制限されるものではなく、感光性組成物に使用する各構成成分の種類や、添加量(配合量)等によって変えることができる。例えば、減圧乾燥機、オーブン、赤外線加熱機等を使用することが可能である。ネガ型のフォトリソグラフィーを行うためには、未露光部分の現像性を悪化させないために、乾燥時に加熱されない減圧乾燥機を使用することが好ましい。オーブンや赤外線加熱機等を使用して加熱する場合は温度が40〜80℃で、1分〜1時間の条件で乾燥するのが好ましい。
<工程(i)後、マスクを介し、紫外線で塗布膜を露光する工程>
紫外線の照射には、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、無電極ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、エキシマランプなどの光源を用いることが好ましい。
光硬化方法についても、特に制限されるものではないが、例えば、光源として高圧水銀灯やメタルハライド灯等を使用して紫外線を照射することが可能である。そして、その照射条件も、感光性組成物に使用する各構成成分の種類や、添加量(配合量)等によって変えることができるものの、通常、紫外線の照射量は、10〜500mJ/cm2が好まし
く、20〜300mJ/cm2がより好ましい。
<工程(ii)後、露光した塗布膜をアルカリ現像液で現像することにより、パターンを得る工程>
現像は、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するか、もしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去し所望の微細パターンを形成することができる。アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。
現像処理方法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。
<工程(iii)後、80℃〜150℃でパターンをポストベークする工程>
光硬化後に行う熱硬化温度に関しては、使用する基材やその他の光学材料の耐熱性によって変える必要があるものの、可能な限りアルカリ可溶性樹脂(A)と光重合性化合物(B)中の光重合性官能基のうち光硬化の工程で未反応のまま残ったものが架橋反応する温度まで上げることが好ましく、温度が80〜150℃の範囲で、より好ましくは80℃〜120℃の範囲で、さらに好ましくは80℃〜100℃の範囲で0.1〜10時間の条件で加熱硬化するのが好ましい。
<有機EL表示装置用光学部材の製造方法>
本発明の感光性組成物は、上記記載の有機EL表示装置用の光学部材に用いられる。例えば有機EL表示装置用のカラーフィルタ、ブラックマトリックス、カラーフィルタ保護膜、フォトスペーサー、液晶配向用突起、マイクロレンズ、タッチパネル用絶縁膜、タッチパネル用保護膜、フレキシブルプリント配線板周辺などの電子材料用接着剤や接着シートが挙げられる。
いくつかの光学部材の例を以下に挙げるが、下記に限定されるものではない。
(マイクロレンズの製造方法)
マイクロレンズを製造するための方法としては、平面状の支持材料の一方の面上に回折格子形成材料と同様の材料を塗布し、母型を押し付けつつ前記材料を硬化させた後、前記母型を取り外す工程を含む方法を利用することができる。このような方法を採用する場合、支持材料として樹脂フィルム(TAC、PET、COP、PC等のフィルム)を用いることができる。
(タッチパネル用絶縁膜・保護膜の製造方法)
基材は、ガラス、プラスチック、表面に絶縁材料の層が形成された金属など、有機EL素子を支持することができる基材によって形成される。下部電極を形成する透明導電膜は、ITO(Indium Tin Oxide),IZO(Indium Zinc Oxide),酸化亜鉛系透明導電膜,SnO2系透明導電膜,二酸化チタン系透明導電膜などの透明金属酸化物を用い、透明導電膜内に配置される金属膜は、低電気抵抗金属である銀(Ag)や銀合金,アルミニウム(Al)やアルミニウム合金などを用いることができる。
透明導電膜,金属膜の成膜はスパッタリングや蒸着などによって行うことができる。基板上での金属膜と下部電極のパターン形成は、フォトリソグラフィ工程などによって行うことができる。
絶縁膜は、パターニングされた下部電極のそれぞれの絶縁性を確保するために設けられるものである。絶縁膜の形成は、下部電極が形成された基板上全面に成膜した後、下部電極上に発光領域の開口を形成するパターニングがなされる。具体的には、下部電極が形成された基板にスピンコート法により所定の塗布厚となるように膜を形成し、露光マスクを用いて露光処理,現像処理を施すことにより、発光領域の開口パターン形状を有する絶縁膜の層が形成される。
更には、光半透過性を有するように膜厚を薄くした金属膜を発光領域の全域を占めるように形成して、その上に保護膜を積層することで、金属膜を形成した後の素子形成工程で金属膜がダメージを受けるのを抑止することができる。これによって発光領域全域に形成した金属膜の均一な表面を維持することができる。
<カラーフィルタの製造方法>
本発明の感光性組成物は、カラーフィルタに使用することができる。カラーフィルタ用感光性組成物を用いてカラーフィルタを製造する方法について説明する。
カラーフィルタは、透明基板上に、カラーフィルタ用感光性組成物から形成されるフィルタセグメントまたはブラックマトリックスを備えるものであり、一般的なカラーフィルタは、少なくとも1つの赤色フィルタセグメント、少なくとも1つの緑色フィルタセグメント、および少なくとも1つの青色フィルタセグメントを具備、または少なくとも1つのマゼンタ色フィルタセグメント、少なくとも1つのシアン色フィルタセグメント、および少なくとも1つのイエロー色フィルタセグメントを具備する。
フォトリソグラフィー法によれば、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法等の印刷法より精度の高いフィルタセグメントおよびブラックマトリックスが形成できる。フォトリソグラフィー法による各色フィルタセグメントおよびブラックマトリックスの形成は、下記の方法で行う。すなわち、
溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材として調製したカラーフィルタ用感光性組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2〜10μmとなるように塗布する。
必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。
その後、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するか、もしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去し所望のパターンを形成してフィルタセグメントおよびブラックマトリックスを形成することができる。
さらに、現像により形成されたフィルタセグメントおよびブラックマトリックスに薬品耐性を付与するため、熱硬化を行う。
透明基板としては、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板が用いられる。また、ガラス板や樹脂板の表面には、パネル化後の液晶駆動のために、酸化インジウム、酸化錫などからなる透明電極が形成されていてもよい。
フィルタセグメントおよびブラックマトリックスの乾燥膜厚は、0.2〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.2〜5μmである。
塗布膜を乾燥させる際には、減圧乾燥機、コンベクションオーブン、IRオーブン、ホットプレート等を使用してもよい。乾燥条件はカラーフィルタ用感光性組成物に使用する各構成成分の種類や、添加量(配合量)等によって変えることができるが、ネガ型のフォトリソグラフィーを行うためには、未露光部分の現像性を悪化させないために、乾燥時に加熱されない減圧乾燥機を使用することが好ましい。オーブンや赤外線加熱機等を使用して加熱する場合は温度が40〜80℃で、1分〜1時間の条件で乾燥するのが好ましい。
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。
現像処理方法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。
なお、紫外線露光感度を上げるために、カラーフィルタ用感光性組成物を塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ可溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し、酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
(カラーフィルター用の感光性組成物の製造方法)
本発明の感光性組成物に着色剤を添加して、カラーフィルタ用感光性組成物として用いる場合、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材の形態で調製することができる。着色レジスト材は、アルカリ可溶性樹脂(A)、光重合性化合物(B)、光重合開始剤(C)、有機溶剤を含有する組成物中に着色剤(D)を分散させたものである。カラーフィルタ用感光性組成物は、顔料、染料などの着色剤を樹脂などの色素担体および/または溶剤中に三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、アトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して顔料分散体を製造し、該顔料分散体にアルカリ可溶性樹脂(A)、光重合性化合物(B)、光重合開始剤(C)、有機溶剤、場合によっては増感剤、多官能チオール、紫外線吸収剤、重合禁止剤、貯蔵安定剤、その他成分を混合攪拌して製造することができる。また、2種以上の顔料を含む感光性着色組成物は、各顔料分散体を別々に色素担体および/または溶剤中に微細に分散したものを混合し、さらにアルカリ可溶性樹脂(A)、光重合性化合物(B)、光重合開始剤(C)、必要に応じて有機溶剤等を混合攪拌して製造することができる。
アルカリ可溶性樹脂(A)と光重合性化合物(B)は、顔料分散体を製造する際の色素担体として使用してもよい。
顔料を樹脂などの色素担体および/または溶剤中に分散する際には、適宜、樹脂型顔料分散剤、界面活性剤、顔料誘導体等の分散助剤を含有させることができる。分散助剤は、顔料の分散に優れ、分散後の顔料の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて顔料を樹脂および/または溶剤中に分散してなるカラーフィルタ用感光性組成物を用いた場合には、透明性に優れたカラーフィルタが得られる。
分散助剤は、顔料100重量部に対して、好ましくは0.1〜40重量部、より好ましくは0.1〜30重量部の量で用いる。
樹脂型顔料分散剤は、顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、色素担体と相溶性のある部位とを有し、顔料に吸着して顔料の色素担体への分散を安定化する働きをするものである。樹脂型顔料分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレートなどのポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩などの油性分散剤、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、燐酸エステル系等が用いられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
市販の樹脂型分散剤としては、ビックケミー・ジャパン社製のDisperbyk−101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155またはAnti−Terra−U、203、204、またはBYK−P104、P104S、220S、6919、またはLactimon、Lactimon−WSまたはBykumen等、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE−3000、9000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、33500、32600、34750、35100、36600、38500、41000、41090、53095、55000、76500等、チバ・ジャパン社製のEFKA−46、47、48、452、4008、4009、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、4310、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、1101、120、150、1501、1502、1503、等、味の素ファインテクノ社製のアジスパーPA111、PB711、PB821、PB822、PB824等が挙げられる。
界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物などのカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
顔料誘導体とは、有機顔料に置換基を導入した化合物であり、有機顔料には、一般に顔料とは呼ばれていないナフタレン系、アントラキノン系等の淡黄色の芳香族多環化合物も含まれる。顔料誘導体としては、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、特公平5−9469号公報等に記載されているものを使用でき、これらは単独でまたは2種類以上を混合して用いることができる。
以下に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例における「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」を表す。
また、以下の実施例において、樹脂の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量であり、東ソー社製のGPC−8020によって、溶離液はテトラヒドロフランを使用し、カラムはTSKgel SuperHM−M(東ソー社製)を3本使用し、流速0.6ml/分、注入量10μl、カラム温度40℃で測定した。
IR測定は、PerkinElmer社製のSpectrum Oneを用いて行った。酸価の測定は次の通り行った。酸価を測定する化合物溶液を約1g秤量し、メチルエチルケトン30g、水1gを加え10分攪拌した後、0.1N水酸化カリウムエタノール溶液にて電位差滴定を行った。また、同様の方法で空試験を行った。目的物の不揮発分を200℃10分で測定し、得られた滴定値と不揮発分から、化合物溶液の不揮発分1gに含まれる酸基(アルカリ可溶性官能基)と当量の水酸化カリウムのmg数を求めた。
エポキシ価の測定は平沼産業社「エポキシ樹脂のエポキシ当量の測定」HIRANUMA APPLICATION DATA 滴定データ COMシリーズ データNo.M1(2012)に記載の方法で行った。
<<製造例>>
<アルカリ可溶性樹脂(A)の製造>
[製造例1]
攪拌機、温度計、滴下装置、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート90.0部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら60℃に加熱して、同温度でグリシジルメタクリレート35.0部、メチルメタクリレート45.0部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル2.5部の混合物を2時間かけて滴下して重合反応を行った。滴下終了後、さらに60℃で1時間反応させた後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.5部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10.0部に溶解させたものを添加し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け共重合体を得た。続いて、反応容器に乾燥空気を注入し、アクリル酸10.0部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート30.2部、ジメチルベンジルアミン1.30部、メトキノン0.26部を入れ、100℃に加熱して、20時間撹拌を続け、酸価測定を行って目的物が生成していることを確認した。さらに続けて反応容器にテトラヒドロ無水フタル酸10.0部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート27.7部を入れ、60℃で3時間撹拌を続け、IR測定を行って目的物が生成していることを確認した。室温に冷却後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈することにより、不揮発分20%のアルカリ可溶性樹脂溶液A−1を得た。なお重量平均分子量は12000であった。
[製造例2〜6]
表4に記載した原料と仕込み量を用いた以外は製造例1と同様にして合成を行い、不揮発分20%のアルカリ可溶性樹脂A−2〜A−7を得た。

表4中の略語について以下に示す。なお、表4中の有機溶剤の量は、合成中に使用した量であって、室温に冷却後に不揮発分を調整するために使用したものは含まれていない。
BzMA:ベンジルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
n-BMA:n-ブチルメタクリレート
GMA:グリシジルメタクリレート:ブレンマーG(日油社製)
AA:アクリル酸
THPA:1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸:リカシッドTH(新日本理化社製)
[製造例7]
(第一工程)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)44.0部、メタクリル酸(MAA)5.0部、n-ブチルアクリレート(n-BA)15。0部、メチルメタクリレート(MMA)80。0部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール4.0部、2,2‘−アゾビスイソブチロニトリル0.12部、PGMEA45.4部を添加して、12時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した。
(第二工程)
次に、第一工程で得られた溶液に、ピロメリット酸無水物(PMA)6.46部、触媒として1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)0.2部を仕込み、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化するまで反応させた。
反応溶液を冷却して、PGMEAで固形分調整することにより不揮発分50%の溶液を調整し、重量平均分子量8100、酸価は60mgKOH/g、のアルカリ可溶性樹脂A−7溶液を得た。主な反応条件(仕込み組成)と、得られた樹脂の評価結果を表5に示す。
[製造例8〜16]
表5に記載した原料と仕込み量を用いた以外は製造例7と同様にして合成を行い、不揮発分50%のアルカリ可溶性樹脂A−8〜A−16を得た。

表5の各略号は以下のとおりである。
MMA:メチルメタクリレート
n-BA:n-ブチルアクリレート
CHA:シクロヘキシルアクリレート
2‐MTA:2‐メトキシエチルアクリレート
n-BMA:n-ブチルメタクリレート
t-BMA:tert-ブチルメタクリレート
BzMA:ベンジルメタクリレート
MAA:メタクリル酸
AIBN:2,2‘−アゾビスイソブチロニトリル
PMA:ピロメリット酸二無水物(ダイセル化学工業株式会社製)
DBU:1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン(サンアプロ株式会社製)
[製造例17]
攪拌機、温度計、滴下装置、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート90.0部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら60℃に加熱して、同温度でフルフリルメタクリレート60.0部、メチルメタクリレート40.0部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5.0部の混合物を2時間かけて滴下して重合反応を行った。滴下終了後、さらに60℃で1時間反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.0部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10.0部に溶解させたものを添加し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け共重合体を得た。IR測定を行って目的物が生成していることを確認した。室温に冷却後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈することにより、不揮発分20%のフリル基を含むアルカリ可溶性樹脂溶液A2−1を得た。なお重量平均分子量は26000であった。
[製造例18〜23]
表6に記載した原料と仕込み量を用いた以外は製造例17と同様にして合成を行い、不揮発分20%のフリル基を含むアルカリ可溶性樹脂溶液A2−1〜A2−7を得た。

表6の各略号は以下のとおりである。
FMA:フルフリルメタクリレート
MAA:メタクリル酸
HO−MS:2−メタクリロイロキシエチルコハク酸
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
HPMA:ヒドロキシプロピルメタクリレート(2−ヒドロキシプロピルエステル、2−ヒドロキシ−1−メチルエチルエステル混合物)
MMA:メチルメタクリレート
MTMA:2−メトキシエチルメタクリレート
V65:2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル):V−65(和光純薬社製)
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
<<感光性組成物>>
<感光性組成物の製造>
[実施例1]
下記組成の混合物を均一になるように撹拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過し、感光性組成物(CR−1)を作製した。

アクリル可溶性樹脂A−1 : 28.3部
光重合性化合物 : 3.0部
(東亞合成社製「アロニックスM309」)
光重合開始剤 : 1.0部
(BASF社製「IRGACURE 907」)
レベリング剤 : 1.0部
(ビックケミー社製「BYK−330」の2%PGMEA溶液)
溶剤 : 66.7部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA))
[実施例1〜26、比較例1〜8]
表7に示した組成、および配合量を用いた以外は実施例1と同様にして調合を行い混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過して、実施例1〜26、比較例1〜8にそれぞれ相当する感光性組成物CR−2〜34を得た。表5中、A−1〜A−7、A2−1〜A2−7の配合量は、有機溶剤を含む溶液としての値である。

表7の各略号は以下のとおりである。
M309:アロニックスM―309(東亞合成社製)トリメチロールプロパントリアクリレート
M310:アロニックスM―310(東亞合成社製)トリメチロールプロパンPO変性トリアクリレート
M350:アロニックスM―350(東亞合成社製)トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート
M402:アロニックスM―402(東亞合成社製)DHPA系6官能アクリレート
M408:アロニックスM―408(東亞合成社製)ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート
OXE02: イルガキュアOXE02(BASF社製)オキシムエステル系開始剤
<感光性組成物の評価>
得られた感光性組成物を用いて、薬品耐性、脱ガス、外観(相溶性)、現像速度、現像線幅を、下記の方法で評価した。結果を表8に示す。
[外観(相溶性)の評価]
実施例1〜26および比較例1〜8の感光性組成物を、ガラス基板上に粘着剤で固定した100mm×100mm、250μm厚のポリエチレンナフタレートフィルムに、スピンコーターを用いて減圧乾燥後の仕上がり膜厚が2.0μmとなるように塗布し、減圧乾燥後、超高圧水銀ランプを用いて、照度20mW/cm、露光量50mJ/cmで紫外線露光を行った。塗布フィルムを100℃で20分加熱、放冷し、ガラス基板から剥がして評価用のフィルムを得た。
得られたフィルムについて、ヘイズメーターNDH−2000(東京電色社製)測定装置を用いてヘイズ値を測定した。評価のランクは次の通りである。
◎:異物や白濁がなく、ヘイズ値0.5%未満
:非常に良好なレベル
○:異物や白濁がなく、ヘイズ値0.5%以上1.0%未満
:良好なレベル
△:異物や白濁がなく、ヘイズ値1.0%以上1.5%未満
:○と比較すると劣るが実用可能なレベル
×:異物や白濁がある または ヘイズ値 1.5%以上
:実用には適さないレベル
[薬品耐性の評価]
外観の評価と同様の手順で作製した塗布フィルムを100℃または150℃で20分加熱、放冷し、ガラス基板から剥がして評価用のフィルムを得た。
得られたフィルムについて、感光性組成物の層の膜厚を測定し、フィルムをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに5分室温で浸漬した後、イオン交換水で洗浄、風乾した。その後、フィルムを目視観察および膜厚測定し、膜厚の変化率を計算した。なお、膜厚はアルバック社製の触針式膜厚計DEKTAK−3で測定した。評価のランクは次の通りである。
◎:外観、色に変化なく、膜厚変化率の絶対値が3%未満で良好
:非常に良好なレベル
○:外観、色に変化なく、膜厚変化率の絶対値が3%から7%未満で良好
:良好なレベル
△:外観、色に変化なく、膜厚変化率の絶対値が7%から10%未満
:○と比較すると劣るが実用可能なレベル
×:外観、色に変化あり、および/または、膜厚変化率の絶対値が10%以上
:実用には適さないレベル
[脱ガスの評価]
外観の評価と同様の手順で作製した評価用のフィルムから、塗膜を5mg剥がして採取し、TG/DTA測定を行い、初期重量に対する重量減少率を測定した。TG/DTAはセイコーインスツルメンツ社のEXSTAR TG/DTA6200を用い、窒素流量200mL/min、室温から5℃/minで150℃まで昇温し20分保持するプログラムで測定した。
○:重量減少率1.0%未満
:良好なレベル
△:重量減少率1.0%以上2.0%未満
:○と比較すると劣るが実用可能なレベル
×:重量減少率2%以上
:実用には適さないレベル
[現像速度の評価]
実施例1〜26および比較例1〜8の感光性組成物を、ガラス基板上に粘着剤で固定した100mm×100mm、250μm厚のポリエチレンナフタレートフィルムに、スピンコーターを用いて減圧乾燥後の仕上がり膜厚が2.0μmとなるように塗布し、減圧乾燥した。このフィルムを23℃の炭酸ナトリウム水溶液を用いて時間を変えてスプレー現像し、フィルムのフチ部分を除いた塗膜がなくなる時間を目視で判断し、現像時間とした。評価のランクは次の通りである。
◎:10秒以上〜20秒未満
○:20秒以上〜30秒未満
○△:30秒以上〜40秒未満
△:40秒以上〜60秒未満
△×:60秒以上〜80秒未満
×:80秒以上現像しても現像残りあり
なお、◎と○が実用上好ましいレベル、○△と△と△×は実用可能なレベル、×は実用には適さないレベルである。
[現像線幅の評価]
実施例1〜26および比較例1〜8の感光性組成物を、ガラス基板上に粘着剤で固定した100mm×100mm、250μm厚のポリエチレンナフタレートフィルムに、スピンコーターを用いて減圧乾燥後の仕上がり膜厚が2.0μmとなるように塗布し、減圧乾燥した。このフィルムを室温に冷却後、超高圧水銀ランプを用い、50μm幅(ピッチ100μm)ストライプパターンのフォトマスクを介して紫外線を照度20mW/cm、露光量50mJ/cmで照射した。その後、このフィルムを23℃の炭酸ナトリウム水溶液を用いてスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄、風乾し、クリーンオーブンにて100℃で20分間加熱した。放冷した後、ガラス基板から剥がして評価用のフィルムを得た。なお、スプレー現像は、それぞれの感光性組成物を使用したフィルムについて、現像速度の評価で測定した現像時間に10秒加えた時間で行った。得られたパターンフィルムの光学顕微鏡観察を行い、50μmフォトマスク部分でのパターンの幅を測定した。フォトマスクのサイズに近いほど、高精細化が可能で良好な感光性組成物となる。評価のランクは次の通りである。
◎:50μm以上〜53μm未満
○:53μm以上〜56μm未満
○△:56μm以上〜60μm未満
△:60μm以上〜65μm未満
×:65μm以上なお、◎と○が実用上好ましいレベル、○△と△は実用可能なレベル、×は実用には適さないレベルである。
表8に示すように、実施例1〜26では、いずれの物性でも実用レベルを満たす結果が得られた。一方、比較例1、2では同じ3官能モノマーであるPO変性TMPTAであるアロニックスM310)やEO変性TMPTAであるアロニックスM350を使用し、比較例3,4では4官能モノマーであるアロニックスM408や、6官能モノマーであるアロニックスM402を使用したが、いずれも薬品耐性が不良な結果となった。さらに、比較例5−8では一般式2で表される構成単位の含有量が全構成単位中45重量%未満であるアルカリ可溶性樹脂と一般式1で表される光重合性化合物であるアロニックスM309を使用したが、いずれも上記物性のいずれかが不良な結果となり、すべてが実用レベルを満たすものは得られなかった。
また、実施例1と比較して実施例2ではオキシムエステル系光重合開始剤を含有することにより薬品耐性、外観、脱ガスの結果は良好となった。
実施例2−7では一般式1で示す3官能モノマーの含有量が該光重合性化合物中70重量%となることで薬品耐性、現像線幅が良好となった。
さらに、実施例8−11では一般式2で表される単量体に由来する構成成分がアルカリ可溶性樹脂中の含有量を増やすと薬品耐性が良好となった。
実施例12−26ではフリル基を有するアルカリ可溶性樹脂(A2)と併用することで薬品耐性が良好となった。
とくに実施例19−26では一般式2で表される構成単位を全構成単位中50重量%含みアルカリ可溶性樹脂(A)薬品耐性、外観、脱ガス、現像速度、現像線幅のすべての項目において実用上好ましいレベルとなった。
<<カラーフィルタ用感光性組成物>>
<カラーフィルタ用感光性組成物の製造>
<顔料の製造方法>
(赤色微細化顔料(PR−1))
C.I.ピグメントレッド269(PR269)(Clariant社製「Toner Magenta F8B」)100部、塩化ナトリウム1200部、及びジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、60℃で6時間混練し、ソルトミリング処理した。得られた混練物を3リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、97部の微細化ナフトールアゾ顔料(PR−1)を得た。平均一次粒子径は37nmであった。
(赤色微細化顔料(PR−2))
市販のC.I.ピグメントレッド179(PR179)(BASF社製「パリオゲン マルーン L−3920」)100部、塩化ナトリウム1200部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、60℃で6時間混練し、ソルトミリング処理した。得られた混練物を3リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、98部の赤色着色剤(PR−2)を得た。平均一次粒子径は40.8nmであった。
緑色微細化顔料(PG−1))
フタロシアニン系緑色顔料C.I.ピグメントグリーン7(PG7)(トーヨーカラー株式会社製「リオノールグリーン YS−07」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、120℃で4時間混練した。次に、この混練物を5リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、490部の緑色着色剤(PG−1)を得た。平均一次粒子径は50.2nmであった。
(青色微細化顔料(PB−1))
C.I.ピグメントブルー15:6(PB15:6)(トーヨーカラー社製「リオノールブルーES」)100部、粉砕した食塩800部、およびジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で12時間混練した。この混合物を温水3000部に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、98部の青色着色剤(PB−1)を得た。平均一次粒子径は28.3nmであった。
(黄色微細化顔料(PY−1))
C.I.ピグメントイエロー139(PY139)(BASF社製「イルガフォアイエロー 2R−CF」)100部、塩化ナトリウム700部、およびジエチレングリコール180部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。この混合物を温水2000部に投入し、80℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、95部の黄色着色剤(PY−1)を得た。平均一次粒子径は42.3nmであった。
(黄色微細化顔料(PY−2))
C.I.ピグメントイエロー139を、C.I.ピグメントイエロー185(PY185)(BASF社製「パリオゲンイエロー D1155」)に変えた以外は、黄色着色剤(PY−1)の製造と同様に行い、黄色着色剤(PY−2)を得た。平均一次粒子径は38.4nmであった。
(紫色微細化顔料(PV−1))
C.I.ピグメントバイオレット23(PV23)(クラリアント社製「Fast VioletRL」)120部、粉砕した食塩1600部、およびジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、90℃で18時間混練した。この混合物を温水5000部に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、118部の紫色着色剤(PV−1)を得た。平均一次粒子径は26.4nmであった。

[赤色着色剤 DR―1の調製]
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径1mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し赤色着色剤体DR―1を作製した。
赤色微細化顔料(PR−1) :12.0部
(アゾ顔料)
アルカリ可溶性樹脂A−8 :23.0部
(BASF社製「EFKA4300」)
溶剤 :65.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
表9のように、着色剤とアルカリ可溶性樹脂を変更した以外は、赤色着色剤分散体DR―1と同様にして、赤色着色剤分散体DR―2〜11、緑色着色剤分散体DG―1〜9、青色着色剤分散体DB―1〜9、黄色着色剤分散体DY―1〜4、紫色着色剤分散体DV―1を作成した。
[実施例27]
下記組成の混合物を均一になるように撹拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過し、赤色感光性着色組成物(RR−1)を作製した。

顔料分散体(DR−1) :30.2部
(PR269)
顔料分散体(DY−1) :8.4部
(PY139)
アクリル可溶性樹脂A−1 : 15.2部
光重合性単量体 :0.7部
(東亞合成社製「アロニックスM309」)
光重合開始剤 : 0.3部
(BASF社製「IRGACURE OXE−02」)
レベリング剤 : 1.0部
(ビックケミー社製「BYK−330」の2%PGMEA溶液)
溶剤 : 44.2部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA))
[実施例27〜121、比較例9〜23]
表10〜13に示した組成、および配合量で各材料を混合・攪拌し、1μmのフィルタで濾過して、各色の感光性着色組成物を得た。
表10〜13の各略号は以下のとおりである。
M402:アロニックスM―402(東亞合成社製)DHPA系6官能アクリレート
<カラーフィルタ用感光性組成物の評価>
得られた感光性組成物を用いて、薬品耐性、脱ガス、外観、現像速度、現像線幅を、下記の方法で評価した。結果を表14〜16に示す。
[外観の評価]
実施例27〜121、比較例9〜23の感光性組成物を、ガラス基板上に粘着剤で固定した100mm×100mm、250μm厚のポリエチレンナフタレートフィルムに、スピンコーターを用いて減圧乾燥後の仕上がり膜厚が2.0μmとなるように塗布し、減圧乾燥後、超高圧水銀ランプを用いて、照度20mW/cm、露光量50mJ/cmで紫外線露光を行った。塗布フィルムを100℃で20分加熱、放冷し、ガラス基板から剥がして、評価用のフィルムを得た。
得られたフィルムについて、ヘイズメーターNDH−2000(東京電色社製)測定装置を用いてヘイズ値を測定した。評価のランクは次の通りである。
◎:異物や白濁がなく、ヘイズ値0.5%未満
:非常に良好なレベル
○:異物や白濁がなく、ヘイズ値0.5%以上1.0%未満
:良好なレベル
△:異物や白濁がなく、ヘイズ値1.0%以上1.5%未満
:○と比較すると劣るが実用可能なレベル
×:異物や白濁がある または ヘイズ値 1.5%以上
:実用には適さないレベル
[薬品耐性の評価]
外観の評価と同様の手順で作製した塗布フィルムを100℃または150℃で20分加熱、放冷し、ガラス基板から剥がして、評価用のフィルムを得た。
得られたフィルムについて、色度を測定し、フィルムをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに5分室温で浸漬した後、イオン交換水で洗浄、風乾した。その後、フィルムを目視観察および色度測定し、色差ΔEを計算した。なお、色度はC光源を用いた顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)で測定した。評価のランクは次の通りである。
◎:外観に変化なく、ΔE≦1.0
:非常に良好なレベル
○:外観に変化なく、1.0<ΔE≦2.0
:良好なレベル
△:外観に変化なく、2.0<ΔE≦3.0
:○と比較すると劣るが実用可能なレベル
×:外観に変化あり、および/または、3.0<ΔE
:実用には適さないレベル
[脱ガスの評価]
外観の評価と同様の手順で作製した評価用のフィルムから、塗膜を5mg剥がして採取し、TG/DTA測定を行い、初期重量に対する重量減少率を測定した。TG/DTAはセイコーインスツルメンツ社のEXSTAR TG/DTA6200を用い、窒素流量200mL/min、室温から5℃/minで150℃まで昇温し20分保持するプログラムで測定した。
○:重量減少率1.0%未満
:良好なレベル
△:重量減少率1.0%以上2.0%未満
:○と比較すると劣るが実用可能なレベル
×:重量減少率2%以上
:実用には適さないレベル
[現像速度の評価]
実施例27〜121、比較例9〜23の感光性組成物を、ガラス基板上に粘着剤で固定した100mm×100mm、250μm厚のポリエチレンナフタレートフィルムに、スピンコーターを用いて減圧乾燥後の仕上がり膜厚が2.0μmとなるように塗布し、減圧乾燥した。このフィルムを23℃の炭酸ナトリウム水溶液を用いて時間を変えてスプレー現像し、フィルムのフチ部分を除いた塗膜がなくなる時間を目視で判断し、現像時間とした。評価のランクは次の通りである。
◎:10秒以上〜20秒未満
○:20秒以上〜30秒未満
○△:30秒以上〜40秒未満
△:40秒以上〜60秒未満
△×:60秒以上〜80秒未満
×:80秒以上現像しても現像残りあり
なお、◎と○が実用上好ましいレベル、○△と△と△×は実用可能なレベル、×は実用には適さないレベルである。
[現像線幅の評価]
実施例27〜121、比較例9〜23の感光性組成物を、ガラス基板上に粘着剤で固定した100mm×100mm、250μm厚のポリエチレンナフタレートフィルムに、スピンコーターを用いて減圧乾燥後の仕上がり膜厚が2.0μmとなるように塗布し、減圧乾燥した。このフィルムを室温に冷却後、超高圧水銀ランプを用い、50μm幅(ピッチ100μm)ストライプパターンのフォトマスクを介して紫外線を照度20mW/cm、露光量50mJ/cmで照射した。その後、このフィルムを23℃の炭酸ナトリウム水溶液を用いてスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄、風乾し、クリーンオーブンにて100℃で20分間加熱した。放冷した後、ガラス基板から剥がして評価用のフィルムを得た。なお、スプレー現像は、それぞれの感光性組成物を使用したフィルムについて、現像速度の評価で測定した現像時間に10秒加えた時間で行った。得られたパターンフィルムの光学顕微鏡観察を行い、50μmフォトマスク部分でのパターンの幅を測定した。フォトマスクのサイズに近いほど、高精細化が可能で良好な感光性組成物となる。評価のランクは次の通りである。
◎:50μm以上〜53μm未満
○:53μm以上〜56μm未満
○△:56μm以上〜60μm未満
△:60μm以上〜65μm未満
×:65μm以上
なお、◎と○が実用上好ましいレベル、○△と△は実用可能なレベル、×は実用には適さないレベルである。
表14〜16に示すように、実施例26〜117の感光性着色組成物は、表8に示した感光性組成物の結果と同様の結果を示し、感光性着色組成物としても薬品耐性、脱ガス、外観、保存安定性、現像速度、現像線幅がいずれも良好であった。
比較例9,10、14,15、19,20の感光性着色組成物は、アルカリ可溶性樹脂(A)中に一般式2で表される単量体構成成分が含んだとしても一般式1で表される光重合性単量体を含まなければ上記の物性のいずれかが不良な結果となり、実用レベルを満たすものは得られなかった。
比較例11〜13、16〜18、21〜23の感光着色組成物は一般式1で表される単量体を含む場合でも一般式2で表される単量体構成成分がアルカリ可溶性樹脂(A)に含まれなければ上記の物性のいずれかが不良な結果となり、実用レベルを満たすものは得られなかった。

上記のように低温での薬品耐性が得られていることと、脱ガスが少ないこと、解像性が良好であることから、有機ELディププレイに使用した場合にも、有機EL素子にダメージを与えることなく、好適に使用することが可能であった。

Claims (9)

  1. 下記工程(i)、(ii)、(iii)および(iv)を含む製造方法により製造される有機EL表示装置向け光学部材に用いられる有機EL表示装置向け光学部材用感光性組成物であって、
    アルカリ可溶性樹脂(A)と、光重合性化合物(B)と、光重合開始剤(C)とを含有し、該光重合性化合物(B)が、下記一般式(1)で表される化合物(B1)を含有し、該アルカリ可溶性樹脂(A)が、下記一般式(2)で表される単量体に由来する構成単位を全構成単位中45重量%以上含むアルカリ可溶性樹脂(A1)を含有することを特徴とする有機EL表示装置向け光学部材用感光性組成物。

    <工程>
    (i):感光性組成物を基材上に塗布することによって塗布膜を得る工程
    (ii):工程(i)後、マスクを介し、紫外線で塗布膜を露光する工程
    (iii):工程(ii)後、露光した塗布膜をアルカリ現像液で現像することにより、パターンを得る工程
    (iv):工程(iii)後、80℃〜150℃でパターンをポストベークする工程

    (一般式1)

    (一般式2)
    n2n+1−O−C(=O)−C(−R)=CH2
    [式中、n=1〜4、RはHまたはCH3]
  2. 前記光重合開始剤(C)がオキシムエステル系光重合開始剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の有機EL表示装置向け光学部材用感光性組成物。
  3. 前記一般式(1)で表される化合物(B1)の含有量が、光重合性化合物(B)の全固形分中の70重量%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機EL表示装置向け光学部材用感光性組成物。
  4. 一般式(2)で示される構成単位において、n=1であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の有機EL表示装置向け光学部材用感光性組成物
  5. 前記感光性組成物が、さらに着色剤(D)を含むことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の有機EL表示装置向け光学部材用感光性組成物。
  6. 前記アルカリ可溶性樹脂樹脂(A)がフリル基を有するアルカリ可溶性樹脂(A2)を含有し、フリル基を有するアルカリ可溶性樹脂(A2)の含有量が、アルカリ可溶性樹脂樹脂(A)の全固形分中の30重量%以上であることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の有機EL表示装置向け光学部材用感光性組成物。
  7. 基材上に、請求項1〜6いずれか1項に記載の有機EL表示装置向け光学部材用感光性組成物により形成されてなる硬化物を具備することを特徴とする有機EL表示装置向け光学部材。
  8. 請求項7に記載の光学部材を備えることを特徴とする有機EL表示装置。
  9. 下記工程(i)、(ii)、(iii)および(iv)を含む有機EL表示装置用光学部材の製造方法であって、下記感光性組成物が、アルカリ可溶性樹脂(A)と、光重合性化合物(B)と、光重合開始剤(C)とを含有する感光性組成物であって、該光重合性化合物(B)が、下記一般式(1)で表される化合物(B1)を含有し、該アルカリ可溶性樹脂(A)が、下記一般式(2)で表される単量体に由来する構成単位を全構成単位中45重量%以上含むアルカリ可溶性樹脂(A1)を含有することを特徴とする有機EL表示装置用光学部材の製造方法。

    <工程>
    (i):感光性組成物を基材上に塗布することによって塗布膜を得る工程
    (ii):工程(i)後、マスクを介し、紫外線で塗布膜を露光する工程
    (iii):工程(ii)後、露光した塗布膜をアルカリ現像液で現像することにより、パターンを得る工程
    (iv):工程(iii)後、80℃〜150℃でパターンをポストベークする工程

    (一般式1)

    (一般式2)
    n2n+1−O−C(=O)−C(−R)=CH2
    [式中、n=1〜4、RはHまたはCH3]
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