JP2018091760A - 光学測定装置、光学測定方法、及び光学測定プログラム - Google Patents

光学測定装置、光学測定方法、及び光学測定プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】複数の受光素子を用いて高感度でかつ高精度に距離を測定する。【解決手段】レーザレーダ10は、光源12により照射されたレーザ光の対象物の反射光を受光素子を複数備えた受光部14で受光し、信号処理部26のTOFヒストグラム生成部16で複数の受光素子各々の応答時間に応じた受光頻度を示すヒストグラムを生成し、生成されたヒストグラムから信号処理部26のレーザ受光量推定部18及び背景光量推定部20で背景光量及びレーザ受光量を推定する。信号処理部26の距離推定部22は、ヒストグラムから対象物までの仮の距離を求め、背景光量及びレーザ受光量に対応する補正量を、テーブル記憶部24から読み出して補正し対象物までの距離として推定する。【選択図】図1

Description

本発明は、光学測定装置、光学測定方法、及び光学測定プログラムに関する。
車両の運転を支援する運転支援システムに、車両周辺を監視する周辺監視センサを備え、周辺監視センサの出力信号に基づき、衝突防止等の予防措置を実行可能とする技術開発が行われている。このような周辺監視センサとして、車両から対象物までの距離を測定可能とするレーザレーダが知られている。レーザレーダはセンサから照射した光が対象物で反射してセンサに戻るまでの時間(つまり飛行時間、TOF:Time Of Flight)に基づいて距離を測定する。周辺監視センサとしてレーザレーダを車両に搭載し車両の走行環境で車両から対象物までの距離測定に用いる場合、照射されたレーザ光から人の目を保護するためにレーザレーダのレーザ光の出力は制限される。また、車両が高速走行する状態で対象物までの距離を測定するためには、車両から遠方までの対象物を車速に応じて検出可能であることが望まれる。従って、周辺監視センサとしてレーザレーダを車両に搭載して距離測定に用いる場合には、対象物からの微弱な反射光を検出する必要がある。このため、レーザレーダの受光素子として、単一のフォトンでも検出ができる高感度な受光素子(SPAD:Single Photon Avalanche Diode)を用いて微弱な反射光を検出する技術開発も行われている。例えば、受光素子(SPAD)を複数用いて微弱な反射光を検出する光学測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、レーザレーダの受光素子としてSPADを用いて距離を測定する場合、レーザレーダにより測定した距離が、近距離側にオフセットされて測定される場合がある。このような近距離側にオフセットされて測定されること(距離オフセット)を解消するため、距離オフセット量を補正する光学測定装置が知られている(例えば、非特許文献1参照)。この技術では、単一の受光素子を用いたレーザレーダについて、レーザレーダの応答をモデル化し、距離オフセット量をモデルから算出して補正する。
特許第5644294号公報
M.S.Oh、H.J.Kong、T.H.Kim、K.H.Hong and B.W.Kim、"Reduction of range walk error in direct detection laser radar using a Geiger mode avalanche photodiode、"Optics Communications、vol.283、pp.304-308、2010.
しかしながら、レーザレーダの応答をモデル化し、距離オフセット量をモデルから算出して補正する技術は、単一の受光素子を用いたレーザレーダに対して考慮されたものであって、複数の受光素子を備えたレーザレーダにそのまま適用することは困難である。従って、複数の受光素子を用いて高感度でかつ高精度に距離を測定可能な光学測定装置には改善の余地がある。
本発明は、上記事実を考慮してなされたもので、複数の受光素子を用いて高感度でかつ高精度に距離を測定可能な光学測定装置、光学測定方法、及び光学測定プログラムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明の光学測定装置は、レーザ光を照射する光源と、フォトンカウント型の受光素子を複数備えた受光部と、前記光源により前記レーザ光が照射されていない状態及び前記レーザ光が照射されている状態を含む期間において、連続する所定時間毎に複数の受光素子各々の応答頻度を積算した積算値と、経過時間との関係を示すヒストグラムを生成するヒストグラム生成部と、前記レーザ光が照射されていない状態で前記受光部が受光した受光量を背景光量として、前記ヒストグラムのレーザ光が照射されていない状態に対応する応答頻度に基づいて推定すると共に、前記受光部が受光した対象物からのレーザ光の反射光量を、前記ヒストグラムの前記レーザ光が照射されている状態に対応する応答頻度に基づいて推定した受光量から前記背景光量を減算して推定する光量推定部と、前記受光素子及び前記ヒストグラム生成部の少なくとも一部において特性に起因して出力信号が不安定になる場合に、前記ヒストグラムにおける前記光量推定部で推定された反射光量のピークに対応する時間に基づいて対象物までの仮の距離を導出し、かつ前記光量推定部で推定された背景光量及び前記反射光量に対応する前記不安定になる出力信号に起因するオフセット量を導出し、前記仮の距離及び前記オフセット量に基づいて対象物までの距離を推定する距離推定部と、を備えている。
本発明によれば、ヒストグラム生成部は、連続する所定時間毎に複数の受光素子各々の応答頻度を積算した積算値と、経過時間との関係を示すヒストグラムを生成する。光量推定部は、ヒストグラムのレーザ光が照射されていない状態に対応する応答頻度に基づいて背景光量を推定すると共に、対象物からのレーザ光の反射光量を推定する。距離推定部は、受光素子及びヒストグラム生成部の少なくとも一部において特性に起因して出力信号が不安定になる場合に、ヒストグラムにおける光量推定部で推定された反射光量のピークに対応する時間に基づいて対象物までの仮の距離を導出し、かつ推定された背景光量及び反射光量に対応する不安定になる出力信号に起因するオフセット量を導出し、仮の距離及びオフセット量に基づいて対象物までの距離を推定する。このように、背景光量及び対象物による反射光量に対応するオフセット量を用いてヒストグラムから求まる対象物までの距離を補正できるので、複数の受光素子を用いて高感度でかつ高精度に対象物までの距離を測定することができる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の光学測定装置において、前記特性は、1応答すると所定の時間応答できない状態である。このように、1応答すると所定の時間応答できない状態になる場合であっても、背景光量及び受光量に対応するオフセット量を用いるので、高感度でかつ高精度に対象物までの距離を測定することができる。
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の光学測定装置において、前記背景光量、前記反射光量、及び前記オフセット量の対応関係を記憶した記憶部を備え、前記距離推定部は、前記記憶部に記憶された対応関係を用いて、前記オフセット量を求める。このように、背景光量、受光量及びオフセット量の対応関係を記憶部に記憶することにより、オフセット量を求める演算負荷を抑制できる。
請求項4記載の発明は、請求項3に記載の光学測定装置において、前記記憶部に記憶する対応関係は、前記光源、前記受光部、前記ヒストグラム生成部、前記光量推定部、及び前記距離推定部の各々における応答を確率的な応答を含んで模擬するようにモデル化し、かつ前記光源、前記受光部、前記ヒストグラム生成部、前記光量推定部、及び前記距離推定部の少なくとも一部の依存関係を確率的な依存関係を含んで表した応答モデルを用いて求める。このように、応答モデルを用いて対応関係を求めるので、高精度に光学測定装置を模擬することができる。
請求項5記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の光学測定装置において、前記オフセット量は、前記光源、前記受光部、前記ヒストグラム生成部、前記光量推定部、及び前記距離推定部の各々における応答を確率的な応答を含んで模擬するようにモデル化し、かつ前記光源、前記受光部、前記ヒストグラム生成部、前記光量推定部、及び前記距離推定部の少なくとも一部の依存関係を確率的な依存関係を含んで表した応答モデルを用いて求める。このように、応答モデルを用いてオフセット量を求めるので、高精度にオフセット量を求めることができる。
請求項6記載の光学測定方法は、レーザ光を照射し、前記レーザ光が照射されていない状態及び前記レーザ光が照射されている状態を含む期間において、連続する所定時間毎にフォトンカウント型の複数の受光素子各々の応答頻度を積算した積算値と、経過時間との関係を示すヒストグラムを生成し、前記レーザ光が照射されていない状態で前記複数の受光素子が受光した受光量を背景光量として、前記ヒストグラムのレーザ光が照射されていない状態に対応する応答頻度に基づいて推定すると共に、前記複数の受光素子が受光した対象物からのレーザ光の反射光量を、前記ヒストグラムの前記レーザ光が照射されている状態に対応する応答頻度に基づいて推定した受光量から前記背景光量を減算して推定し、前記複数の受光素子及び前記ヒストグラムを生成する部分の少なくとも一部において特性に起因して出力信号が不安定になる場合に、前記ヒストグラムにおける前記推定された反射光量のピークに対応する時間に基づいて対象物までの仮の距離を導出し、かつ前記された背景光量及び前記反射光量に対応する前記不安定になる出力信号に起因するオフセット量を導出し、前記仮の距離及び前記オフセット量に基づいて対象物までの距離を推定する。
請求項7記載の発明の光学測定プログラムは、レーザ光を照射し、前記レーザ光が照射されていない状態及び前記レーザ光が照射されている状態を含む期間において、連続する所定時間毎にフォトンカウント型の複数の受光素子各々の応答頻度を積算した積算値と、経過時間との関係を示すヒストグラムを生成し、前記レーザ光が照射されていない状態で前記複数の受光素子が受光した受光量を背景光量として、前記ヒストグラムのレーザ光が照射されていない状態に対応する応答頻度に基づいて推定すると共に、前記複数の受光素子が受光した対象物からのレーザ光の反射光量を、前記ヒストグラムの前記レーザ光が照射されている状態に対応する応答頻度に基づいて推定した受光量から前記背景光量を減算して推定し、前記複数の受光素子及び前記ヒストグラムを生成する部分の少なくとも一部において特性に起因して出力信号が不安定になる場合に、前記ヒストグラムにおける前記推定された反射光量のピークに対応する時間に基づいて対象物までの仮の距離を導出し、かつ前記された背景光量及び前記反射光量に対応する前記不安定になる出力信号に起因するオフセット量を導出し、前記仮の距離及び前記オフセット量に基づいて対象物までの距離を推定する、処理をコンピュータに実行させる。
このような、光学測定方法及び光学測定プログラムによっても、高感度でかつ高精度に対象物までの距離を測定することができる。
以上説明したように本発明によれば、複数の受光素子を用いて高感度でかつ高精度に距離を測定することができる、という効果が得られる。
実施形態に係る光学測定装置の一例を示すブロック図である。 実施形態に係る光学測定装置に含まれる受光部及びTOFヒストグラム生成部の構成の一例を示すブロック図である。 レーザレーダで光を検出する受光素子に関する特性の一例を示す特性図である。 背景光量テーブルの一例を示すイメージ図である。 レーザ受光量テーブルの一例を示すイメージ図である。 距離オフセット補正量を示すテーブルの一例を示すイメージ図である。 レーザレーダにおけるレーザ光の挙動の一例を示す説明図である。 理想的TOFヒストグラムの生成過程の一例を模式的に示す説明図である。 レーザ光の受光に関する各種信号の一例を模式的に示すイメージ図である。 変数の依存関係をグラフィカルモデルで表した一例を示すイメージ図である。 加算器及びコンパレータの出力に関する各種信号の一例を模式的に示すイメージ図である。 変数の依存関係をグラフィカルモデルで表した一例を示すイメージ図である。 変数の依存関係をグラフィカルモデルで表した一例を示すイメージ図である。 変数の依存関係をグラフィカルモデルで表した一例を示すイメージ図である。 コンピュータにより実現可能な光学測定装置の構成の一例を示すブロック図である。 コンピュータで実行される光学測定処理の流れの一例を示すフローチャートである。 変形例にかかるレーザレーダの構成の一例を示すブロック図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
(距離オフセットの概要)
まず、本実施形態に係る光学測定装置としてのレーザレーダで、照射されてから対象物で反射されたレーザ光の飛行時間TOFを検出し、検出結果を用いて対象物までの距離を測定する際に、フォトンカウント型の受光素子の一例としてのSPADを用いてレーザ光を検出する場合に、実際の飛行時間TOFより短い飛行時間TOFが検出されることにより生じる距離オフセットについて説明する。
図3に、レーザレーダで光を検出する受光素子に関する特性の一例を示す。図3(A)には、一般的な受光素子における受光量の時間変化特性の一例が示されている。図3(A)では、横軸は時間tを示し、縦軸はレーザレーダの像面放射照度(光検出器上での単位面積当たりの光のパワー)Eimgを示す。また、図3(A)では、レーザ光の照射を開始した時間を0としている。また、図3(B)には、受光素子としてSPADを用いた場合にSPADで検出されるフォトンの入射頻度をTOFヒストグラムとして表した一例が示されている。図3(B)に示すTOFヒストグラムでは、横軸は時間tを示し、縦軸はSPADにフォトンが入射された頻度を示す。なお、図3(B)では、ヒストグラムの区画(ビン:binともいう)を定める時間分解能を時間Δtbinとしている。
図3(A)に示すように、レーザ光を1回照射して反射光を受光する場合、レーザレーダの受光素子における受光量は、太陽光等の背景光及びレーザレーダからのレーザ光により変化する。つまり、受光素子には、レーザ光の受光開始時間t以前では、太陽光等の背景光が入射される。このとき像面放射照度Eimgは、背景光による像面放射照度EimgBGとなり一定である。レーザ光の受光が始まると、徐々に像面放射照度Eimgが増加し、対象物で反射されたレーザ光の飛行時間TOFに対応する時間tTOFでピークに達する。時間tTOFにおける像面放射照度Eimgは像面放射照度EimgBGとレーザ光のピーク位置における像面放射照度EimgLDの和になる。その後、徐々に像面放射照度Eimgが減少し、レーザ光の受光終了時間t以降は背景光のみが受光される。
一方、受光素子にSPADを用いてレーザ光の飛行時間TOFを検出する場合、SPADは、フォトンが入射すると所定の確率で応答し、1つのパルスを出力する。SPADの応答確率は、像面放射照度Eimgが大きくなるに従って高くなる。このため、SPADの応答頻度は、時間tTOF周辺にピークを有することになる。このピーク位置に対応する時間tと、飛行時間TOFに対応する時間tTOFとが一致すると仮定すると、ピーク位置に対応する時間tを検出することでレーザ光の飛行時間TOFを検出できる。
ところが、受光素子にSPADを用いてレーザ光の飛行時間TOFを検出する場合、図3(B)に示すように、TOFヒストグラムにおけるピーク位置を示す時間tは、時間tTOFより近距離側にずれる場合がある。ピーク位置を示す時間tが近距離側にずれる現象はパイルアップ(pile−up)効果やレンジウォーク(rangewalk)と呼ばれている。例えば、SPAD及び信号処理回路の一部の素子は、1応答すると所定の時間応答できなくなる時間(以下、非応答時間deadtime という。)を有する場合がある。このため、時間tTOFの直前で受光素子が応答した際には、時間tTOFで応答することができない。特に、背景光やレーザ光の受光量が大きい場合は、時間tTOFより早い時間であってもSPADが応答するのに十分な受光量に達するため、時間tTOFより早い時間で応答する確率が増加し、時間tTOFで応答する確率が低くなる。その結果、時間tTOFより早い時期の応答(時間t)を基にして求めた距離は、早く応答された時間(tTOF−t)に対応する距離だけ短く測定される距離オフセットが生じる。距離オフセット量は背景光量及びSPADの受光量に依存して変化する。高精度に距離を推定するためには、この距離オフセットを補正する必要がある。なお、本実施形態では、非応答時間deadtime は、1応答すると所定の時間応答できなくなる時間として説明するが、これに限定されるものではなく、例えば、SPAD及び信号処理回路の一部で信号が不安定になる状態の時間を含んでもよい。
そこで、本実施形態では、複数の受光素子を用いて高感度でかつ高精度に距離を測定可能な光学測定装置を提供する。
(光学測定装置)
図1に、本実施形態に係る光学測定装置としてのレーザレーダ10の構成の一例を示す。
図1に示すように、レーザレーダ10は、光源12、受光部14、テーブル記憶部24、信号処理部26、及び出力部28を備えている。信号処理部26は、TOFヒストグラム生成部16、レーザ受光量推定部18、背景光量推定部20、及び距離推定部22を含んでいる。
なお、本実施形態では、信号処理部26(図1に示す例では距離推定部22)から出力された信号を用いて外部へ信号を出力する出力部28を備えた場合を説明するが、信号処理部26(例えば距離推定部22)に外部へ信号を出力する機能を備えてもよい。この場合、出力部28は不要である。また、本実施形態では、テーブル記憶部24を備え、信号処理部26(図1に示す例ではレーザ受光量推定部18、背景光量推定部20、距離推定部22)がテーブル記憶部24に記憶されたテーブルを用いて処理を行う場合を説明するが、テーブルを用いることなく処理を行ってもよい(詳細は後述)。
(光源)
光源12は、所定波形のレーザ光を対象物に照射する。本実施形態では、光源12は、所定のパルス幅のレーザ光を照射する。また、本実施形態では、光源12から対象物に照射されるレーザ光の所定波形が既知である。レーザ光の所定波形は、予め実験により測定することができる。なお、本実施形態では、光源12におけるレーザ光の波長及び強度は、特に制約はない。
(受光部及びTOFヒストグラム生成部)
受光部14は、複数のSPADを備え、対象物からの反射光を含む光を受光し、受光した光量に応じた信号を出力する。TOFヒストグラム生成部16は、受光部14から出力された信号に基づいて、受光部14に入射されたフォトンの入射頻度を示すTOFヒストグラムを生成する。
図2に、本実施形態に係る受光部14、及びTOFヒストグラム生成部16の構成の一例を示す。
図2に示すように、受光部14は、アレイ上に配置された縦横複数のSPAD各々が1つの画素(マクロピクセル)として動作する。受光部14はこれらマクロピクセル各々から信号を出力する。つまり、SPAD各々は、フォトンが入射されると、1応答として所定の幅の電圧パルスを出力する。
また、TOFヒストグラム生成部16は、図2に示すように、パルス整形器161、加算器162、閾値設定器163、コンパレータ(CMP)164、時間デジタル変換器(TDC:Time to Digital Converter)165、及びヒストグラム構築部166を備えている。
パルス整形器161の各々は、受光部14のSPADから出力された電圧パルスのパルス幅を整形する。本実施形態では、パルス整形器161の各々は、光源12から照射されたレーザ光のパルス幅と同じパルス幅に調整する場合を説明する。なお、パルス整形器161で調整するパルス幅は、レーザ光のパルス幅と同じパルス幅に整形する場合に限定するものではない。例えば、パルス整形器161で調整するパルス幅は、SPADが有する非応答時間deadtime 以下のパルス幅に調整してもよい。
加算器162は、受光部14の全てのSPADの出力を加算し、加算結果を示す信号を出力する。つまり、加算器162は、受光時間に応じてSPAD各々の出力を加算した信号を出力する(例えば図11参照)。加算器162の出力側は、コンパレータ164の一方の入力側に接続される。コンパレータ164の他方の入力側は、閾値設定器163に接続される。コンパレータ164は、加算結果を示す信号からノイズの影響を抑制するための素子である。つまり、コンパレータ164は、加算器162の出力と、閾値設定器163から出力される閾値thとを比較し、加算器162の出力が閾値th以上の場合に信号(例えばハイレベルの信号)を出力する。閾値thは、ノイズの影響を抑制するために予め定められている。なお、加算器162び出力が閾値th未満の場合には、コンパレータ164は、信号を出力しない又は所定信号(例えばローレベルの信号)を出力する。
TDC165は、周知のように時間というアナログ量をデジタル信号に変換する装置である。ヒストグラム構築部166は、TDC165からの信号に応じてヒストグラムを構築する。つまり、コンパレータ164からの信号出力によって、閾値th以上の場合のみTDC165がトリガーされ、ヒストグラム構築部166で加算器162の出力を用いてTOFヒストグラムが構築される。具体的には、区画(bin)の時間Δtbin(図3(B)参照)として定めた所定の時間の加算値を頻度とした、TOFヒストグラムを生成する。
なお、TOFヒストグラム生成部におけるTOFヒストグラムの生成は、1回のレーザ光の照射に限定されるものではない。例えば、レーザ光を複数回照射して上記の処理を繰り返し、TOFヒストグラムを生成してもよい。
本実施形態では、SPADを複数含む受光部14及びTOFヒストグラム生成部16を各々1セット備えたレーザレーダ10を説明するが、各々1セットに限定するものではなく、受光部14及びTOFヒストグラム生成部16の少なくとも一方を複数備えてもよい。
本実施形態ではSPAD及び信号処理部26に含まれるコンパレータ164に非応答時間deadtime が存在する場合を説明する。TDC165に非応答時間deadtime が有る場合は、SPAD及びコンパレータ164の非応答時間deadtime と同様な扱いをすればよい。また、コンパレータ164が応答してから加算器162の出力を保持するまでに遅れが生じる場合がある。
(背景光量推定部)
図1に示す背景光量推定部20は、背景光量を推定する。つまり、背景光による受光部14の像面放射照度Eimgは、光源12からレーザ光を照射しない状態で、受光部14の受光環境に応じた所定光量の背景光が照射されることによる所定の像面放射照度EimgBGである。従って、背景光量推定部20は光源12からレーザ光を照射せずに測定した像面放射照度Eimgを背景光量として推定する。
本実施形態では、背景光量推定部20における演算処理負荷を軽減するために、背景光の種類毎に定めたピーク値と背景光量との対応関係が予め記憶されたテーブルから読み出すことにより背景光量を推定する。つまり、光源12からレーザ光を照射しない状態(EimgLD=0)で、複数の背景光(つまり受光部14の受光環境)各々におけるTOFヒストグラムのピーク値の代表値(例えば平均値)と、背景光量との対応を予め実験により求め、求めた対応関係を背景光量テーブルとしてテーブル化してテーブル記憶部24に記憶しておく。背景光量推定部20は、レーザ光を照射しない状態におけるヒストグラム生成部16からの出力値に対応する像面放射照度EimgBGをテーブル記憶部24に記憶された背景光量テーブルから読み出し、読み出した背景光の像面放射照度EimgBGを背景光量の推定値とする。
図4に、背景光量テーブルの一例を示す。背景光量テーブルには、レーザ光を照射しない状態におけるヒストグラム生成部16からの出力値と、背景光量である像面放射照度EimgBGとの対応関係が示されている。
なお、本実施形態では、テーブル記憶部24に記憶されたテーブルを用いて背景光量を推定する場合を説明するが、背景光量の推定は、テーブルを用いることなく推定してもよい。この場合、詳細を後述する応答モデルを用いて背景光量を推定すればよい。
(レーザ受光量推定部)
レーザ受光量推定部18は、光源12から照射されたレーザ光が対象物で反射されて受光部14で受光された受光量を推定する。受光部14における受光量は、背景光及び対象物で反射された光を含む。このため、レーザ受光量推定部18は、受光部14における受光量から背景光量推定部20で推定した背景光量を減算した光量を、対象物で反射された光の受光量として推定する。
本実施形態では、レーザ受光量推定部18における演算処理負荷を軽減するために、受光部14における受光量と、対象物で反射された光の受光量との対応関係が予め記憶されたテーブルから読み出すことにより対象物で反射された光の受光量を推定する。つまり、像面放射照度EimgLDはレーザ光を照射して測定したピーク値から推定する。具体的には、背景光の像面放射照度EimgBG、及び光源12からレーザ光を照射した状態における像面放射照度EimgLDと、TOFヒストグラムのピーク値の代表値(つまりヒストグラム生成部16からの出力値)と、の対応を予め実験により求め、求めた対応関係をレーザ受光量テーブルとしてテーブル化してテーブル記憶部24に記憶しておく。レーザ受光量推定部18は、ヒストグラム生成部16からの出力値、及び背景光量推定部20からの像面放射照度EimgBGに対応する像面放射照度EimgLDをテーブル記憶部24に記憶されたレーザ受光量テーブルから読み出し、読み出した像面放射照度EimgLDを対象物で反射された光の受光量の推定値とする。
図5に、レーザ受光量テーブルの一例を示す。レーザ受光量テーブルには、ヒストグラム生成部16からの出力値と、背景光量である像面放射照度EimgBGと、レーザ受光量である像面放射照度EimgLDとの対応関係が示されている。
なお、本実施形態では、テーブル記憶部24に記憶されたテーブルを用いて受光量を推定する場合を説明するが、受光量の推定は、テーブルを用いることなく推定してもよい。この場合、詳細を後述する応答モデルを用いて受光量を推定すればよい。
(距離推定部)
距離推定部22は、レーザ受光量推定部18及び背景光量推定部20の各々の推定結果を用いて、レーザレーダ10、つまり車両から対象物までの距離dを算出する。
具体的には、まず、距離推定部22は、TOFヒストグラム生成部16で生成されたTOFヒストグラムのピーク位置を示す時間tを算出する。なお、算出する時間tは、ビンの値が最大となる位置を示す時間としてもよいし、ビンの値が最大となる位置周辺のビンの値に関数(例えば、2次関数、ガウス関数等)をフィッティングして関数のピーク位置の時間としてもよく、重心を算出して算出した重心位置の時間としてもよい。時間tを算出する際、ショットノイズによるビンの値の変動を抑制するため、TOFヒストグラムにガウシアンフィルタ等の平滑化フィルタをかけてから処理をしてもよい。
次に、距離推定部22は、時間tと飛行時間TOFに対応する時間tTOFとの差を示すオフセット時間Δtoffsetを、背景光量、及びレーザ受光量に基づいて算出する。このオフセット時間Δtoffsetは、距離オフセットを補正する補正量(以下、距離オフセット補正量という。)に対応する。そして、時間t及びオフセット時間Δtoffsetから飛行時間TOFに対応する時間tTOFを算出する。つまり、飛行時間TOFに対応する時間tTOFは、時間t及びオフセット時間Δtoffsetを加算することにより算出することができる。
本実施形態では、距離推定部22における演算処理負荷を軽減するために、背景光量、レーザ受光量及びオフセット時間Δtoffsetの対応関係が予め記憶されたテーブルから読み出すことによりオフセット時間Δtoffsetを算出する。つまり、背景光量、レーザ受光量及びオフセット時間Δtoffsetの対応関係は、予め定めた実験により算出し、算出した対応関係をテーブル化してテーブル記憶部24に記憶しておく。なお、予め定めた実験により算出されるオフセット時間Δtoffsetは、詳細を後述する確率モデルを含む応答モデルを用いた解析方法に従って算出することができる。距離推定部22は、背景光量推定部20で推定した背景光量、及びレーザ受光量推定部18で推定したレーザ受光量に対応するオフセット時間Δtoffsetを、テーブル記憶部24に記憶されたテーブルから読み出し、読み出したオフセット時間Δtoffsetを、受光部14で受光された背景光量及びレーザ受光量に対応するオフセット時間とする。そして、距離推定部22は、オフセット時間Δtoffsetにより距離オフセットが補正された距離として距離dを算出する。
図6に、距離オフセット補正量を示すテーブルの一例を示す。
背景光量及びレーザ受光量に対応するオフセット時間Δtoffsetを算出するにあたり、背景光量が一定の場合についてレーザ受光量及びオフセット時間Δtoffsetの対応関係を算出する。つまり、0から所定光量を増加させた背景光量の各々について、レーザ受光量及びオフセット時間Δtoffsetの対応関係を算出する。図6に示す例では、背景光量を増加させる所定光量を0.1W/mとした場合を示している。図6に示すように、所定の背景光量についてレーザ受光量及びオフセット時間Δtoffsetの関係を算出し、算出した関係をテーブル化する。そして、所定光量を増加させた背景光量の各々について、レーザ受光量及びオフセット時間Δtoffsetの対応関係を算出した対応関係の各々をテーブル化してテーブル記憶部24に記憶する。距離オフセット補正量の算出についは後述する。
なお、本実施形態では、距離推定部22で、予め記憶されたテーブルから読み出すことによりオフセット時間Δtoffsetを算出する場合を説明するが、テーブルを用いてオフセット時間Δtoffsetを算出することに限定するものではない。例えば、後述する方法に従って、距離推定部22が背景光量及びレーザ受光量を用いてオフセット時間Δtoffsetを算出してもよい。
そして、距離推定部22は、飛行時間TOF(時間tTOF)を用いてレーザレーダ10(つまり車両)から対象物までの距離dを算出する。距離dは、オフセット時間Δtoffsetにより距離オフセットが補正された距離として算出される。距離dは、周知のように光の速度cを用いて次に示す式(E1)から算出することができる。

(出力部)
出力部28は、距離推定部22で算出された車両から対象物までの距離dを示す情報を外部装置へ出力する。
(応答モデル)
ここで、本発明者は、SPADの応答が確率的で、信号処理部26の各要素が複雑な依存関係を有することに着目し、レーザレーダ10における信号処理を確率分布を考慮してモデル化した応答モデルを用いて、レーザレーダ10の挙動を模擬的に推定した。つまり、レーザレーダ10における各要素をモデル化することで、レーザレーダ10の挙動を、モデル単位で算出し、レーザレーダ10の挙動を模擬的に推定する。
本実施形態に係るレーザレーダ10は、複数の受光素子を用いて高感度でかつ高精度に距離dを測定するため、対象物までの距離を測定する際に生じる距離オフセットを考慮する。このため、距離オフセットを補正するための距離オフセット補正量の算出を中心に説明する。
(レーザ受光量の時間変化に関するモデル)
まず、距離オフセット補正量を算出するにあたり、入力部分であるレーザレーダ10におけるレーザ光の挙動に関して、レーザ受光量の時間変化に関するモデルを説明する。
図7に、レーザレーダ10におけるレーザ光の挙動の一例を示す。
光源12においてレーザ光の照射開始から照射終了までの光量に関する時間変化特性は、最大光量xを有する波形(特性Lm0)となる。図7では、光源12によるレーザ光の照射光量を、単位面積当たりのレーザ光のパワーを示す放射照度Eimgで示した。
光源12から照射され対象物で反射されたレーザ光は、受光部14で受光される。受光部14で受光されたレーザ受光量の波形は、最大受光量βxを有する波形(特性Lm1)となり、この波形(特性Lm1)は、照射光量の波形(特性Lm0)を変形した形状となる。つまり、歩行者及び二輪車乗員を含む障害物等の対象物が立体物である場合を想定すると、レーザ光と対象物の反射面は略直交するとみなせるので、照射光量の波形を光量の方向に定数倍した形状でレーザ受光量の波形を近似することができる。距離オフセット補正量を算出する際に用いるレーザ光のピーク位置における像面放射照度EimgLDと波形のピーク値が等しくなるように照射光量の波形全体を定数倍し、レーザ受光量の波形とする。
(距離オフセット補正量算出モデル)
次に、距離オフセット補正量の算出モデルを説明する。
ここでは、TOFヒストグラムの時間分解能をΔtbinとする。また、TOFヒストグラムを生成するのに要する時間は小さいため、対象物は静止しており、背景光量は0又は一定であるものとする。
ところで、1回のレーザ光の照射開始から照射終了までをレーザ発光回数N=1とすると、レーザ発光回数NLDが大きく、また時間分解能Δtbinが小さくなるに従って波形のピーク位置に対応する時間tを高精度に求めることができる。このため、応答モデルによってオフセット時間Δtoffsetを算出する際には、レーザ発光回数NLDが十分大きく、時間分解能Δtbinが十分小さいTOFヒストグラム(以下、理想的TOFヒストグラムという。)を用いる。なお、本実施形態では、レーザ発光回数NLDが増加するのに従ってビンの値が増加して演算負荷増加を伴うので、演算負荷軽減のため、ビンに積算された値をそのビンにおけるレーザ発光回数NLDで除算した値を理想的TOFヒストグラムのビンの値とする。
以下、理想的TOFヒストグラムを用いてオフセット時間Δtoffsetを求める場合を説明する。なお、理想的ヒストグラムの算出については後述する。
図8に、理想的TOFヒストグラムの生成過程の一例を模式的に示す。
なお、ここでは、時間分解能をΔtbinを示す微小時間Δtで時間を離散化し、各時間のインデックスをj(=0、1、2、・・・、j−1)で表す。m回目のレーザ発光で区画jにて理想的TOFヒストグラムに加算される値をh[j]とする。レーザ光をm回発光して作成された理想的TOFヒストグラムの区画jの値をH[j]とすると、区画jの値H[j]は、次に示す式(E2)から求めることができる。


ここで、SPADの応答は確率的であるので、区画jにおけるレーザ発光毎の値h[j]、h[j]、・・・、hm−1[j]は確率変数である。また、これらレーザ発光毎の値h[j]は同じ分布から独立にサンプルされたものとみなせる。このとき、値h[j]の平均をμ[j]、分散をσ[j]とする。発光回数mを大きくすると区画jの値H[j]の分布は、中心極限定理より、平均μ[j]、及び分散σ[j]/mの正規分布に近づくことが知られている。中心極限定理は、例えば、技術文献1(W.Feller,An Introduction to Probability Theory and Its Applications, VolumeII. NewYork: Wiley, 1971.)等により周知であるため説明を省略する。発光回数mを無限大(∞)まで考える極限では分散が0に収束するため、平均μ[j]を求めれば理想的TOFヒストグラムが求めたことになる。このため、平均μ[j]が最大となる区画jが波形のピーク位置に対応する時間tに対応する。そして、時間tとレーザ光の飛行時間TOFに対応する時間tTOFとの差からオフセット時間Δtoffsetを算出することができる。
オフセット時間Δtoffsetの具体的な算出は、レーザレーダ10における信号処理を確率分布を考慮してモデル化した応答モデルに、レーザ光の飛行時間TOFに対応する時間tTOFとして仮の値tt_TOFを入力し、仮の値tt_TOFに対応する波形のピーク位置の値tt_pを算出する。算出した仮の値tt_pを用いて応答モデルにより、オフセット時間に対応する仮の値Δtt_offsetを算出する。これら時間t、及び仮の値Δtt_offsetを用いてレーザ光の飛行時間TOFに対応する時間tTOFを求める。時間t、及び仮の値tt_offsetから、時間tTOFを求めることができるのは、背景光量及びレーザ受光量が同じ場合には、仮の値tt_offsetの大きさが仮の値tt_TOFの値に依存しないためである。
次に、レーザレーダ10における応答が確率的であることを考慮して、平均μ[j]を算出することについて詳細に説明する。なお、本実施形態では、平均μ[j]を算出するにあたり、SPAD及びTOFヒストグラム生成部16に含まれるコンパレータ164に非応答時間deadtime が存在する場合を説明する。
(理想的TOFヒストグラム)
まず、平均μ[j]の算出に用いる理想的TOFヒストグラムの算出について説明する。
理想的TOFヒストグラムは、SPADおよびその信号処理回路の出力の確率分布を各区画j毎に算出し、レーザ発光毎の値h[j]の平均μ[j]を算出することにより求める。これらの確率分布は複雑な依存関係を有するため、数式のみで解析することは複雑な作業を伴い、また、数式のみで解析することが困難な場合がある。このため、本実施形態では、確率的グラフィカルモデルを利用する。確率的グラフィカルモデルは、次に示す複数の利点があることが知られている。第1の利点は、確率モデルの構造を視覚化できる点である。第2の利点は、確率モデルの構造を解析することにより、条件付き独立性等のモデルの性質に関する情報を得ることができる点である。第3の利点は、精巧な確率モデルで推論及び学習を実行するためには複雑な計算が必要となるが、複雑な計算つまり数学的な表現を確率モデルにおける操作として表現することができる点である。なお、確率的グラフィカルモデルに関しては、例えば、技術文献2(C.M.ビショップ、パターン認識と機械学習下ベイズ理論による統計的予測、丸善出版、2008)等により周知であるため詳細な説明を省略する。また、以下の説明では、確率的グラフィカルモデルを、グラフィカルモデルまたは単にモデルと称して説明する。
(SPAD出力の確率分布)
理想的TOFヒストグラムを算出するために、まず、SPADの出力の確率分布を算出する。
以下の説明では、0、1の2値を取る確率変数xに対してp(x)と表記した場合は、p(x=1)、つまりx=1となる確率を表す。
また、非応答時間deadtime を有する素子の場合は、モデル設計の見通しを良くするため、非応答時間deadtime を有さない場合の応答を考え、のちに非応答時間deadtime の影響を考慮する方針でモデルを作成する。
図9に、レーザ光の受光に関する各種信号の一例を模式的に示す。なお、図9に示すEimgは、図7に示すレーザ受光量の時間変化に関するモデルから算出されるレーザ光のパワーを示す放射照度Eimgである。
まず、j番目の区画でのSPADの応答に関係する信号(波形)を扱うために用いる変数を次のように定義する。レーザ光の受光が始まる区画をjとする。像面放射照度の区画内での平均値をEimg[j]とする。非応答時間deadtime を考慮しないときに区画内でSPADが応答するかどうかを表す2値変数をδSPAD[j]とする。2値変数の値は、0が応答しない場合、1が応答する場合を表す。非応答時間deadtime を考慮した場合に、SPADが応答するかどうかを表す2値変数をδ'SPAD[j]とする。2値変数の値は、0が応答しない場合、1が応答する場合を表す。非応答時間deadtime であるかどうかを表す2値変数をφSPAD[j]とする。2値変数の値は、0が非応答時間deadtime でない場合、1が非応答時間deadtime である場合を表す。ただし、2値変数δ'SPAD[j]=1となった次の区画から2値変数φSPADの値が1に立ち上がるとする。非応答時間deadtime の長さに相当する区画の数をndead_SPADとすると、2値変数φSPADを示す信号のパルス長はndead_SPAD−1である。SPADの出力を表す2値変数をs[j]とする。2値変数s[j]を示す信号は2値変数δ'SPAD[j]=1となったとき1に立ち上がり、パルス長はレーザ光のパルス幅tLDに相当する区画の数npulse_SPADである。
次に、各変数の確率的な依存関係を求める。
各変数の確率的な依存関係では、非応答時間deadtime を考慮しないとき、SPADの応答についてポアソン過程でモデル化することができる。このため、任意の異なる2つの時間の間で2値変数δSPADは独立である(技術文献1参照)。2値変数δ'SPAD[j]=1となる条件は非応答時間deadtime でなく、かつ2値変数δSPAD[j]=1となることであるので、2値変数δ'SPAD[j]は2値変数δSPAD[j]と2値変数φSPAD[j]に依存する。2値変数φSPAD[j]=1となる条件は区画j−ndead_SPAD+1から区画j−1の間で2値変数δ'SPAD[j]=1となることであるので、2値変数φSPAD[j]は2値変数δ'SPAD[j−ndead_SPAD+1]〜2値変数δ'SPAD[j−1]に依存する。2値変数s[j]=1となる条件は区画j−npulse_SPAD+1から区画jの間で2値変数δ'SPAD[j]=1となることであるので、2値変数s[j]は2値変数δ'SPAD[j−npulse_SPAD+1]〜2値変数δ'SPAD[j]に依存する。
図10に、各変数の確率的な依存関係をグラフィカルモデルで表した一例を示す。
図10に示すように、各変数の確率的な依存関係はループを含むため、効率的かつ厳密に周辺分布を計算する一般的な方法は知られていない。なお、ここでいうループとは、ノード間の接続により閉路が形成された状態をいう。確率的な依存関係にループを含む場合に周辺分布を計算する一般的な方法が知られていないことは、例えば、技術文献3(G.F.Cooper, “The Computational Complexity of Probabilistic Inference Using Bayesian Belief Networks, ”Artificial Intelligence, vol.42, pp.393-405、1990.)などにも記載されている。このような場合に近似的に周辺分布を算出する方法としてモンテカルロ(MonteCarlo)法等の所定の近似方法が知られており(技術文献2参照)、これらを利用できる。上述のように求めたグラフィカルモデルと、モンテカルロ法等の所定の近似方法を用いてp(s)を求める。そのために、各ノードに対応する確率分布や条件付き確率分布を求める。
そこで、まず確率p(δSPAD[j])を求める。2値変数δSPADはポアソン過程に従うため、確率p(δSPAD[j])は、次の式(E3)で求めることができる。


ここで、αはSPADのフォトン検出確率等のレーザレーダの仕様で決まる定数である。また、Eimgは、図7に示すレーザ受光量の時間変化に関するモデルから算出されるレーザ光のパワーを示す放射照度Eimgである。
そして、確率p(δ'SPAD[j]|δSPAD[j]、φSPAD[j])を求める。図10に示すように2値変数δSPAD[j]と2値変数φSPAD[j]は独立であるので、確率p(δ'SPAD[j]|δSPAD[j]、φSPAD[j])は、次の式(E4)で表すことができる。

次に、確率p(φSPAD[j]|δ'SPAD_PD[j])(δ'SPAD_PD[j]はδ'SPAD[j−ndead_SPAD+1]〜δ'SPAD[j−1]を表す)を求める。非応答時間deadtime の性質から、2値変数δ'SPAD_PD[j]のうち少なくとも1つが1のとき、2値変数φSPAD[j]は1となる。また、2値変数δ'SPAD_PD[j]のうち1となるのはたかだか1個である。そのため、確率p(φSPAD[j]|δ'SPAD_PD[j])は、次の式(E5)で表すことができる。

次に、確率p(s[j]|δ'SPAD_PP[j])(δ'SPAD_PP[j]はδ'SPAD[j−npulse_SPAD+1]〜δ'SPAD[j]を表す)を求める。2値変数δ'SPAD_PP[j]のうち少なくとも1つが1のとき2値変数s[j]は1となる。また、2値変数δ'SPAD_PP[j]のうち1となるのはたかだか1個である。このため、確率p(s[j]|δ'SPAD_PP[j])は、次の式(E6)で表すことができる。

以上のようにして、SPAD出力の確率分布及び条件付き確率分布を定めることができる。
次に、信号処理部26のうちのTOFヒストグラム生成部16の出力に関する確率分布を算出する。
図11に、加算器162及びコンパレータ164の出力に関する各種信号の一例を模式的に示す。また、図12に、加算器162の出力a[j]の依存関係をグラフィカルモデルで表した一例を示す。
(加算器出力の確率分布モデル)
まず、加算器162の出力の確率分布を算出するモデルを定める。
ここでは、第j番目の区画における加算器162の出力a[j]を想定する。図11に示すように、出力a[j]はNSPAD個のSPADの出力を加算した値であるため、値の範囲は0からNSPADである。加算器162の出力が出力a[j]となる条件は、NSPAD個のSPADの中でa[j]個の出力が1であり、NSPAD−a[j]個の出力が0であることである。そのため、加算器162の出力が出力a[j]となる確率は、次の式(E7)で示される二項分布で表すことができる。

ところで、非応答時間deadtime 以下での異なる2つの時間の間のSPADの出力は、パルス長や非応答時間deadtime の影響で独立ではない。このため、非応答時間deadtime 以下における異なる2つの時間の間の加算器162の出力も独立ではない。このため、各出力a[j]の依存関係は図12のグラフィカルモデルで表すことができる。ただし、図12に示すグラフィカルモデルではコンパレータ164に関連する変数も含まれている。
このように、本実施形態では加算器162の出力を扱えるモデルであるため、複数のSPADを備えたレーザレーダ10に対しても応答をモデル化し、距離オフセット量を算出する際の信号として扱うことができる。
(コンパレータ出力の確率分布モデル)
次に、コンパレータ164の出力の確率分布を算出するモデルを定める。
ここでも、第j番目の区画におけるコンパレータ164の出力の確率分布を想定する。まず、SPADの応答のときと同様に、用いる変数を定義する。図11に示すように、非応答時間deadtime を考慮しないときコンパレータ164が応答するか否かを表す2値変数δCMP[j]、非応答時間deadtime であるか否かを表す2値変数φCMP[j]、非応答時間deadtime を考慮してコンパレータ164が応答するか否かを表す2値変数δ'CMP[j]を導入する。コンパレータの非応答時間deadtime の長さに相当する区画の数をndead_CMPとする。
次に、各変数の確率的な依存関係を求める。コンパレータ164は加算器162が閾値η以上に立ち上がるタイミングで値が1に立ち上がる。このため、2値変数δCMP[j]は出力a[j−1]、a[j]に依存する。2値変数δ'CMP[j]はSPADの出力の確率分を求めたときと同様に2値変数δCMP[j]、2値変数φCMP[j]に依存する。2値変数φCMP[j]も同様に2値変数δ'CMP[j−ndead_CMP+1]〜δ'CMP[j−1]に依存する。以上のことより、各変数の確率的な依存関係は図12のグラフィカルモデルで表すことができる。
図12に示すように、グラフィカルモデルはループを含むため、効率的かつ厳密に周辺分布を計算する一般的な方法は知られていないため、モンテカルロ法等の所定の近似方法を用いて確率p(δ'CMP[j])を求める。
次に、確率p(δCMP[j]|a[j−1]、a[j])を求める。前述したように、δCMP[j]=1となる条件はa[j−1]<ηかつa[j]≧ηであるため、確率p(δCMP[j]|a[j−1]、a[j])は、次の式(E8)で表すことができる。
確率p(δ'CMP[j]|δCMP[j]、φCMP[j])とp(φCMP[j]|δ'CMP_PD[j])(δ'CMP_PD[j]はδ'CMP[j−ndead_CMP+1]〜δ'CMP[j−1]を表す)は、上記式(E4)及び式(E5)を求めた手法と同様に求めることができる。
また、確率p(a[j]|a[j])(a[j]は過去の加算器162の出力を表す)を求める方法を述べる。SPADの非応答時間deadtime が長い場合、出力a[j]は多数の変数を含む。この場合、確率p(a[j]|a[j])を求めるには膨大な計算が必要である。この計算をして確率p(a[j]|a[j])を求めてもよいが、簡単のため依存関係を減らしたグラフィカルモデルで近似してもよい。
図13に各a[j]が直前の値のみに依存するとしたグラフィカルモデルの一例を示す。このグラフィカルモデルへの近似は変分近似(技術文献2参照)で行うことができる。
以上説明したようにコンパレータ164の出力に関する確率分布及び条件付き確率分布を定めることができる。このように本実施形態では、閾値処理を行うコンパレータ164を扱えるモデルを設定することができる。なお、コンパレータ164等による閾値処理を用いない場合には、コンパレータ164の閾値ηを1とし、非応答時間deadtime を0とすることで対応することができる。
(TDC出力の確率分布モデル)
次に、TDC165の出力の確率分布を算出するモデルを定める。
本実施形態に係るレーザレーダ10では、TDC165に非応答時間deadtime が存在しないものとした。このため、確率p(δ'CMP[j])とTDC165の応答確率とは等しい。なお、TDC165に非応答時間deadtime が存在する場合は、コンパレータ164の同様にグラフィカルモデルを構築し、確率分布及び条件付き確率分布を求めることで、TDC165の応答確率を算出できる。
(TOFヒストグラムに加算されるh[j]の確率分布モデル)
次に、区画jでTOFヒストグラムに加算するレーザ発光毎の値h[j]の確率分布を算出するモデルを定める。
上述のように、m回目のレーザ発光で区画jにて理想的TOFヒストグラムに加算される値h[j]の確率分布は回数mに依存しないため、以下の説明では、h[j]をh[j]と表記して、確率分布を算出する。
コンパレータ164が応答したとき、時間ΔtCMPだけ遅れて加算器の出力が保持され、その値が理想的TOFヒストグラムに加算される。時間ΔtCMPに相当する区画の数をnΔtCMPとすると、値h[j]は、次の式(E9)で表すことができる。

コンパレータ164の出力で条件付けたときの値hの分布p(h[j]|δ'CMP[j])を求め、これに確率p(δ'CMP[j])を乗算することで値h[j]の周辺分布p(h[j])を求めることができる。
図14に、2値変数δ'CMP[j]と値h[j]に関連する変数のグラフィカルモデルを示す。図14は、図12に示すグラフィカルモデルから用いる変数を切り出したグラフィカルモデルである。図14に示すグラフィカルモデルと、モンテカルロ法等の所定の近似方法を用いて確率p(h[j]|δ'CMP[j])を求めることができる。
以上のようにして、確率p(h[j])を算出することができる。従って、値h[j]の平均μ[j]は確率p(h[j])を用いて次の式(E19)で表すことができる。

従って、上述のように、理想的TOFヒストグラムにおいて、平均μ[j]が最大となる区画jが波形のピーク位置に対応する時間tに対応し、時間tからオフセット時間Δtoffsetを算出することができる。
(距離オフセットテーブルの作成)
ここで、上述のように数式を含む応答モデルを用いてオフセット時間Δtoffsetを算出することは、計算量が大きく、実時間での処理が困難な場合がある。そこで、予め異なる複数の像面放射照度EimgBG、EimgLDの値でオフセット時間Δtoffsetに対応する距離オフセット補正量を算出し、テーブルとしてテーブル記憶部24に記憶する。従って、特定の像面放射照度EimgBG、EimgLDに対して距離dを補正する際は、テーブル記憶部24に記憶されたテーブルを参照して像面放射照度EimgBG、EimgLDに対応する又は像面放射照度EimgBG、EimgLDに近似した像面放射照度EimgBG、EimgLDに対応する距離オフセット補正量を用いる。
(背景光量及びレーザ受光量の推定)
背景光量推定部20では、上述の応答モデルを用いて背景光量を推定することができる。つまり、背景光量はレーザ光を照射せずに計測したピーク値から推定できる。像面放射照度EimgLD=0として、予め異なる複数の像面放射照度EimgBGでピーク値の代表値を算出し、前節と同様にテーブル化する。像面放射照度EimgBGを推定する際は、レーザレーダから得られたピーク値に対応する像面放射照度EimgBGをテーブルから読み出して推定値とする。
レーザ受光量推定部18では、上述の応答モデルを用いて受光量を推定することができる。つまり、像面放射照度EimgLDはレーザ光を照射して計測したピーク値から推定できる。予め異なる複数の像面放射照度EimgBG、EimgLDの値でピーク値の代表値を算出し、テーブル化する。像面放射照度EimgLDを推定する際は、レーザレーダ10から得られたピーク値と推定した像面放射照度EimgBGに対応する像面放射照度EimgLDをテーブルから読み出して推定値とする。
なお、ピーク値の代表値として、ここでは平均値を用いることを想定するが、その他の統計量でも構わない。
ピーク値の平均値は、理想的TOFヒストグラムのピーク位置jpeakに対応する値H[jpeak]にレーザ発光回数mを乗じて平均を算出することで近似的に求めることができる。値H[jpeak]は、式(E2)の各値h、h、・・・、hm−1各々に平均μ[j]を代入し、インデックスj=jpeakとして求めることができる。
以上説明したように、本実施形態では、応答が確率的な複数のSPADを備えた受光部14で受光した光の各々による応答を加算器162で加算した出力として扱うモデルにより、受光部14の出力を扱うことができ、複数のSPADを備えたレーザレーダ10に対して、距離オフセット量を算出する際の信号として扱うことができる。また、閾値処理を行うコンパレータ164の出力に対しても、確率分布及び条件付き確率分布を定めたモデルにより、閾値処理を行うことができ、距離オフセット量を算出する際の信号として扱うことができる。
なお、本実施形態に係るレーザレーダ10は、構成する各構成要素を、上記説明した各機能を有する電子回路等のハードウェアにより構築してもよく、構成する各構成要素の少なくとも一部を、コンピュータにより当該機能を実現するように構築してもよい。また、コンピュータにより当該機能を実現する場合に、当該機能の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムとして記録媒体に記録し、記憶媒体に記録されたプログラムを読み出して、コンピュータに実行させてもよい。
図15には、レーザレーダ10を構成する信号処理部26を、コンピュータにより実現した構成の一例が示されている。
図15に示すレーザレーダ10は、CPU(Central Processing Unit)42、RAM(Random Access Memory)44、およびROM(Read Only Memory)46を備えたコンピュータにより構成された制御装置40を備えている。ROM46は、上記説明した各機能を実現するための距離推定プログラム48を含んでいる。制御装置40は、入出力インタフェース(I/O)50を備えており、CPU42、RAM44、ROM46、及びI/O50は各々コマンド及びデータを授受可能にバス52を介して接続されている。また、I/O50には、光源12、受光部14、キーボードなどの指示部56、不揮発性メモリ54、及び出力部28が接続されている。
制御装置40は、距離推定プログラム48がROM46から読み出されてRAM44に展開され、RAM44に展開された距離推定プログラム48がCPU42によって実行されることで、図1に示すレーザレーダ10として機能する。
図16には、コンピュータを含めて実現したレーザレーダ10における処理の流れの一例が示されている。
制御装置40では、ステップS100で、複数のSPADを備えた受光部14の出力値を取得し、次のステップS110でTOFヒストグラムを生成する。次のステップS120では、背景光量を推定し、次のステップS130ではレーザ光の受光量を推定する。次に、ステップS140で距離dを推定し、次のステップS150で出力部28へ出力する。以上の処理を指示部56により距離推定処理の終了指示(ステップS160で肯定判断)がなされるまで実行する。ステップS140では、TOFヒストグラムのピーク位置を示す時間tを算出し、次に背景光量及びレーザ受光量からオフセット時間Δtoffsetを算出し、そして、時間t及びオフセット時間Δtoffsetから時間tTOFを算出した後に、車両から対象物までの距離dを算出する。このステップS140で、距離dを算出する際には、予め不揮発性メモリ54に記憶された背景光量、レーザ受光量及びオフセット時間Δtoffsetの対応関係を示すテーブルを参照することで、処理時間を短縮化することができる。
(変形例)
上述の実施形態では、レーザレーダ10の挙動を模擬する数式を含む応答モデルを用いて予め算出した異なる複数の背景光量、レーザ受光量、及びオフセット時間Δtoffsetの対応関係をテーブルとしてテーブル記憶部24に記憶した。そして、レーザレーダ10は、テーブル記憶部24に記憶されたテーブルを用いて距離を推定する場合を説明した。本変形例は、信号処理部26が上述のレーザレーダ10の挙動を模擬する数式を含む応答モデルとして機能する応答モデル部25を、備えたものである。
図17には、本変形例にかかるレーザレーダ10の構成の一例が示されている。図17に示すように、レーザレーダ10では、信号処理部26は応答モデル部25を備えており、応答モデル部25の入力側には背景光量推定部20、及びレーザ受光量推定部18が接続され、出力側には距離推定部22が接続される。応答モデル部25は、背景光量推定部20で推定された背景光量、及びレーザ受光量推定部18で推定されたレーザ受光量を用いて、上述の応答モデルを用いてオフセット時間Δtoffsetを導出する。距離推定部22は、TOFヒストグラム生成部16に接続されており、TOFヒストグラム生成部16から出力されたヒストグラムからTOFヒストグラムのピーク位置を示す時間tを算出する。そして、応答モデル部25から出力された背景光量及びレーザ受光量に対応するオフセット時間Δtoffsetを取得し、これらの時間t及びオフセット時間Δtoffsetから時間tTOFを算出した後に、車両から対象物までの距離dを算出する。
本変形例によれば、上述の実施形態と同様に、応答が確率的な複数のSPADを備えた受光部14で受光した光の各々による応答を加算器162で加算した出力として扱うモデルにより、受光部14の出力を扱うことができ、複数のSPADを備えたレーザレーダ10に対して、距離オフセット量を算出する際の信号として扱うことができる。また、閾値処理を行うコンパレータ164の出力に対しても、確率分布及び条件付き確率分布を定めたモデルにより、閾値処理を行うことができ、距離オフセット量を算出する際の信号として扱うことができる。
なお、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
10 レーザレーダ
12 光源
14 受光部
16 TOFヒストグラム生成部
18 レーザ受光量推定部
20 背景光量推定部
22 距離推定部
24 テーブル記憶部
25 応答モデル部
26 信号処理部
28 出力部
40 制御装置
48 距離推定プログラム
54 不揮発性メモリ
161 パルス整形器
162 加算器
163 閾値設定器
164 コンパレータ(CMP)
165 時間デジタル変換器(TDC)
166 ヒストグラム構築部

Claims (7)

  1. レーザ光を照射する光源と、
    フォトンカウント型の受光素子を複数備えた受光部と、
    前記光源により前記レーザ光が照射されていない状態及び前記レーザ光が照射されている状態を含む期間において、連続する所定時間毎に複数の受光素子各々の応答頻度を積算した積算値と、経過時間との関係を示すヒストグラムを生成するヒストグラム生成部と、
    前記レーザ光が照射されていない状態で前記受光部が受光した受光量を背景光量として、前記ヒストグラムのレーザ光が照射されていない状態に対応する応答頻度に基づいて推定すると共に、前記受光部が受光した対象物からのレーザ光の反射光量を、前記ヒストグラムの前記レーザ光が照射されている状態に対応する応答頻度に基づいて推定した受光量から前記背景光量を減算して推定する光量推定部と、
    前記受光素子及び前記ヒストグラム生成部の少なくとも一部において特性に起因して出力信号が不安定になる場合に、前記ヒストグラムにおける前記光量推定部で推定された反射光量のピークに対応する時間に基づいて対象物までの仮の距離を導出し、かつ前記光量推定部で推定された背景光量及び前記反射光量に対応する前記不安定になる出力信号に起因するオフセット量を導出し、前記仮の距離及び前記オフセット量に基づいて対象物までの距離を推定する距離推定部と、
    を備えた光学測定装置。
  2. 前記特性は、1応答すると所定の時間応答できない状態である
    請求項1に記載の光学測定装置。
  3. 前記背景光量、前記反射光量、及び前記オフセット量の対応関係を記憶した記憶部を備え、
    前記距離推定部は、前記記憶部に記憶された対応関係を用いて、前記オフセット量を求める
    請求項1又は請求項2に記載の光学測定装置。
  4. 前記記憶部に記憶する対応関係は、前記光源、前記受光部、前記ヒストグラム生成部、前記光量推定部、及び前記距離推定部の各々における応答を確率的な応答を含んで模擬するようにモデル化し、かつ前記光源、前記受光部、前記ヒストグラム生成部、前記光量推定部、及び前記距離推定部の少なくとも一部の依存関係を確率的な依存関係を含んで表した応答モデルを用いて求める
    請求項3に記載の光学測定装置。
  5. 前記オフセット量は、前記光源、前記受光部、前記ヒストグラム生成部、前記光量推定部、及び前記距離推定部の各々における応答を確率的な応答を含んで模擬するようにモデル化し、かつ前記光源、前記受光部、前記ヒストグラム生成部、前記光量推定部、及び前記距離推定部の少なくとも一部の依存関係を確率的な依存関係を含んで表した応答モデルを用いて求める
    請求項1又は請求項2に記載の光学測定装置。
  6. レーザ光を照射し、
    前記レーザ光が照射されていない状態及び前記レーザ光が照射されている状態を含む期間において、連続する所定時間毎にフォトンカウント型の複数の受光素子各々の応答頻度を積算した積算値と、経過時間との関係を示すヒストグラムを生成し、
    前記レーザ光が照射されていない状態で前記複数の受光素子が受光した受光量を背景光量として、前記ヒストグラムのレーザ光が照射されていない状態に対応する応答頻度に基づいて推定すると共に、前記複数の受光素子が受光した対象物からのレーザ光の反射光量を、前記ヒストグラムの前記レーザ光が照射されている状態に対応する応答頻度に基づいて推定した受光量から前記背景光量を減算して推定し、
    前記複数の受光素子及び前記ヒストグラムを生成する部分の少なくとも一部において特性に起因して出力信号が不安定になる場合に、前記ヒストグラムにおける前記推定された反射光量のピークに対応する時間に基づいて対象物までの仮の距離を導出し、かつ前記された背景光量及び前記反射光量に対応する前記不安定になる出力信号に起因するオフセット量を導出し、前記仮の距離及び前記オフセット量に基づいて対象物までの距離を推定する
    光学測定方法。
  7. レーザ光を照射し、
    前記レーザ光が照射されていない状態及び前記レーザ光が照射されている状態を含む期間において、連続する所定時間毎にフォトンカウント型の複数の受光素子各々の応答頻度を積算した積算値と、経過時間との関係を示すヒストグラムを生成し、
    前記レーザ光が照射されていない状態で前記複数の受光素子が受光した受光量を背景光量として、前記ヒストグラムのレーザ光が照射されていない状態に対応する応答頻度に基づいて推定すると共に、前記複数の受光素子が受光した対象物からのレーザ光の反射光量を、前記ヒストグラムの前記レーザ光が照射されている状態に対応する応答頻度に基づいて推定した受光量から前記背景光量を減算して推定し、
    前記複数の受光素子及び前記ヒストグラムを生成する部分の少なくとも一部において特性に起因して出力信号が不安定になる場合に、前記ヒストグラムにおける前記推定された反射光量のピークに対応する時間に基づいて対象物までの仮の距離を導出し、かつ前記された背景光量及び前記反射光量に対応する前記不安定になる出力信号に起因するオフセット量を導出し、前記仮の距離及び前記オフセット量に基づいて対象物までの距離を推定する
    処理をコンピュータに実行させる光学測定プログラム。
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