JP2018090904A - アーク蒸発源 - Google Patents

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雅夫 水野
哲 奈良井
Satoru Narai
哲 奈良井
信弘 原田
Nobuhiro Harada
信弘 原田
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徹 佐々木
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Kazumasa Takahashi
一匡 高橋
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崇志 菊池
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Takumi Maki
匠 真木
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Keita Sasaki
慶太 佐々木
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Abstract

【課題】ターゲットから放出された荷電粒子が対象物に到達する到達効率を増大させることが可能なアーク蒸発源を提供する。【解決手段】所定の基材Sに向かって荷電粒子を供給するアーク蒸発源1Aは、ターゲットTと電磁コイル20を含む磁場発生機構2とを備える。電磁コイル20は、ターゲットTと基材Sとの間に配置され基準直線CLを軸心とする筒形状を有する。基準直線CLとターゲットTのターゲット放出面TFとの交点における磁場の大きさをB0(Gauss)、ターゲット放出面TFと基材Sとの間における基準直線CL上の磁場の最大値をBm(Gauss)とした場合、Bm/B0≦3の関係が満たされている。【選択図】図2

Description

本発明は、アーク放電によって蒸発するターゲットを有するアーク蒸発源に関する。
従来、工具や機械部品などの基材の表面に耐摩耗性の向上等の目的のために被膜を形成する方法として、アーク放電を用いて基材の表面に被膜を形成する方法が種々提案されている。このような被膜形成方法として、カソード放電型のアーク蒸発源を用いた方法が知られている。アーク蒸発源はターゲットを備え、当該ターゲットが真空アーク放電により瞬時に気化され、イオン化された荷電粒子が基材表面に堆積することで被膜が形成される。
このようなアーク蒸発源において、ターゲット表面における放電形態、すなわちターゲット表面から飛び出す熱電子放出スポット(アークスポット)の動きをコントロールする目的で、ターゲットと基材との間に磁場を形成する技術が知られている。特許文献1および2には、電磁コイルによってターゲットと基材との間に磁場を形成する技術が開示されている。また、特許文献3には、永久磁石によってターゲットと基材との間に磁場を形成する技術が開示されている。ターゲットの表面から放出される荷電粒子は、電子およびイオンを含み高度に電離したプラズマ状態にある。上記の各文献に記載された技術では、ターゲットから放出された荷電粒子の軌跡が、ターゲットと基材との間に形成される磁場によってコントロールされる。
特開平2−194167号公報 特開平4−236770号公報 特開2000−204466号公報
特許文献1乃至3に記載された技術では、電磁コイルや永久磁石をターゲットと基材との間に配置する必要があるため、ターゲットと基材との間に一定の距離をおく必要がある。ターゲットから放出された荷電粒子は、形成された磁場によって基材に向かって誘導されるが、上記のようにターゲットと基材との距離が大きくなると、荷電粒子が雰囲気ガスと衝突することや、荷電粒子が飛翔途中でチャンバーの壁面などに衝突することが多くなりやすい。この結果、ターゲットから放出された荷電粒子が基材の表面に到達する到達効率が低下し、成膜レートが低くなりやすいという問題があった。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、ターゲットから放出された荷電粒子が対象物の表面に到達する到達効率を上げることが可能なアーク蒸発源を提供することを目的とする。
本発明の一の局面に係るアーク蒸発源は、所定の対象物に向かって荷電粒子を供給するアーク蒸発源であって、先端面を備え、アーク放電によって前記先端面が溶解され蒸発されることで、前記荷電粒子を放出するターゲットと、前記ターゲットの前記先端面と直交する基準直線を軸心とする筒形状を有し、前記ターゲットの前記先端面と交差しかつ前記先端面から前記対象物側に向かって延びる磁場を形成する磁場発生部を少なくとも備え、前記先端面から放出された前記荷電粒子を前記対象物に向かって誘導する磁場発生機構であって、前記基準直線と前記ターゲットの前記先端面との交点における前記磁場の大きさをB0(Gauss)、前記先端面と前記対象物との間における前記基準直線上の前記磁場の最大値をBm(Gauss)とした場合、Bm/B0≦3の関係を満たすように前記磁場を形成する磁場発生機構と、を有する。
本構成によれば、磁場発生機構によってターゲットと対象物との間に形成される磁場が、Bm/B0≦3の関係を満たしている。このため、ターゲットの先端面から放出された荷電粒子が、対象物に近づく途中で磁気ミラー効果によって反射されターゲット側に引き返すことが抑止される。この結果、荷電粒子の対象物への到達効率を向上することができる。また、上記の構成を備えるアーク蒸発源が成膜装置に適用された場合、従来よりも高い成膜レートで、対象物上に被膜を形成することが可能となる。
上記の構成において、前記磁場発生部は、前記基準直線と平行に延びる外周面および内周面と、前記基準直線と直交し、前記外周面と前記内周面とを接続する一対の端面と、を備え、前記対象物側から前記基準直線に沿って見た場合、前記磁場発生部の投影と前記ターゲットの前記先端面とが互いに重ならないように、前記先端面の大きさが設定されており、前記磁場発生部の前記外周面の前記基準直線と平行な方向における長さをX(mm)、前記磁場発生部の前記端面の半径方向に沿った厚さをY(mm)とした場合、X/Y≧2の関係が満たされていることが望ましい。
本構成によれば、磁場発生部がターゲットの先端面上に形成する磁場の大きさを増大させることができる。この結果、上記のBm/B0≦3の関係が満たされやすく、荷電粒子の対象物への到達効率を向上することができる。
上記の構成において、前記磁場発生機構は、前記ターゲットに対して前記磁場発生部とは反対側で前記基準直線上に配置された補助磁場発生部であって、前記磁場発生部が前記ターゲットの前記先端面上に形成する磁場の前記基準直線と平行な方向に延びる成分と同じ向きの成分を含む磁場を前記先端面上に形成する補助磁場発生部を更に有することが望ましい。
本構成によれば、磁場発生部が発生する磁場と補助磁場発生部が発生する磁場とがターゲットの先端面上において互いに強め合うことができる。このため、ターゲットの先端面上に形成される磁場が増大され、上記のBm/B0≦3の関係が満たされやすくなる。
上記の構成において、前記補助磁場発生部が前記ターゲットの前記先端面上に形成する磁場の前記先端面と直交する方向の磁場成分は前記先端面と平行な方向の磁場成分よりも大きく設定されていることが望ましい。
本構成によれば、補助磁場発生部がターゲットの先端面に形成する磁場が、荷電粒子を対象物側に誘導しやすい磁場成分を多く含むこととなる。このため、磁場発生部が発生する磁場と補助磁場発生部が発生する磁場との補完作用を高めることができる。
上記の構成において、10≦B0≦500(Gauss)の関係を満たすことが望ましい。
本構成によれば、B0が小さすぎることで、先端面から荷電粒子を誘導する誘導効果が小さくなることが抑止され、荷電粒子の到達効率が低下することが抑止される。また、B0が大きすぎることで、ターゲット上での放電が偏ることが抑止され、ターゲットの利用効率が悪化することが抑止される。
上記の構成において、前記磁場発生機構によって前記ターゲットの前記先端面上に形成される磁力線の少なくとも一部は、前記対象物側に進むにつれて前記基準直線に近づくように、前記先端面に対して傾斜しており、前記磁力線と前記基準直線とがなす角度θが、10°≦θ≦30°の範囲に設定されていることが望ましい。
本構成によれば、ターゲットの先端面上をアークスポットが移動することを抑止することができる。このため、荷電粒子の放出が先端面の一部の領域に集中することが抑止される。
上記の構成において、前記先端面は、前記基準直線を中心とする円形であり、前記基準直線を中心とする前記先端面の直径がd(mm)、前記磁場発生部の内径がD(mm)と定義された場合、1.5×d≦D≦5×dの関係が満たされていることが望ましい。
本構成によれば、ターゲットの先端面と比較して、磁場発生部の内径が大きく設定されることで、Bm/B0を小さくすることができる。この結果、対象物への荷電粒子の到達効率を上げることができる。
上記の構成において、前記磁場発生機構は、前記磁場発生部と前記対象物との間に配置され前記基準直線を軸心とする筒形状を有する副磁場発生部であって、前記磁場発生部とともに前記先端面から前記対象物側に向かって延びる前記磁場を形成する副磁場発生部を更に有することが望ましい。
本構成によれば、副磁場発生部が磁場発生部とともに磁場を形成することで、対象物への荷電粒子の到達効率を上げることができる。
上記の構成において、前記基準直線と平行な軸方向における前記磁場発生部の中心位置から前記対象物に至るまでの領域において、前記基準直線上の前記磁場の前記軸方向の成分が、前記磁場発生部側から前記対象物側に向かって徐々に減少するような磁場を、前記磁場発生部および前記副磁場発生部が形成していることが望ましい。
本構成によれば、磁場発生部側から対象物側にかけて磁場の軸方向成分に極値が形成されないため、対象物への荷電粒子の到達効率を更に上げることができる。
本発明によれば、ターゲットから放出された荷電粒子が対象物の表面に到達する到達効率を上げることが可能なアーク蒸発源が提供される。
本発明の第1実施形態に係るアーク蒸発源を備えたアーク成膜装置の模式図である。 本発明の第1実施形態に係るアーク蒸発源と対象物との位置関係を説明するための模式図である。 本発明の第1実施形態に係るアーク蒸発源のターゲットと磁場発生部との位置関係ならびに磁場発生部の形状を説明するための模式図な断面図である。 本発明の第1実施形態に係るアーク蒸発源において、磁場発生部が形成する磁場の分布を示す分布図である。 図4の分布図のターゲットの周辺を拡大して示した拡大分布図である。 本発明の第2実施形態に係るアーク蒸発源のターゲットおよび磁場発生部の断面図である。 本発明の第3実施形態に係るアーク蒸発源のターゲットおよび磁場発生部の断面図である。 本発明の第4実施形態に係るアーク蒸発源のターゲット、磁場発生部および補助磁場発生部の断面図である。 本発明の第5実施形態に係るアーク蒸発源のターゲットおよび磁場発生部の断面図である。 本発明の第4実施形態に係るアーク蒸発源において、磁場発生機構が形成する磁場の分布を示す分布図である。 本発明の実施形態に係るアーク蒸発源と比較される他のアーク蒸発源において、電磁コイルが形成する磁場の分布を示す分布図である。 本発明の実施形態に係るアーク蒸発源と比較される他のアーク蒸発源において、電磁コイルおよび補助磁石が形成する磁場の分布を示す分布図である。 本発明の第1実施形態に係るアーク蒸発源において、磁場発生機構が形成する磁場の分布を示す分布図であって、磁場発生部の内径の影響を示すための分布図である。 本発明の第1実施形態に係るアーク蒸発源において、磁場発生機構が形成する磁場の分布を示す分布図であって、磁場発生部の内径の影響を示すための分布図である。 本発明の第1実施形態に係るアーク蒸発源において、磁場発生機構が形成する磁場の分布を示す分布図であって、磁場発生部の内径の影響を示すための分布図である。 本発明の第6実施形態に係るアーク蒸発源において、磁場発生機構が形成する磁場の分布を示す分布図である。 本発明の実施例における基準直線上の磁場の軸方向の成分の分布を示すグラフである。 本発明の実施例における基準直線上の磁場の軸方向の成分の分布を示すグラフである。
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態に係るアーク蒸発源1Aを備えるアーク成膜装置1について説明する。図1は、本実施形態に係るアーク蒸発源1Aを備えたアーク成膜装置1の模式図である。図2は、本実施形態に係るアーク蒸発源1Aと基材Sとの位置関係を説明するための模式図である。本実施形態に係るアーク成膜装置1における成膜方法は、真空アーク放電によりターゲットTを瞬時に気化およびイオン化させ、基材Sの表面に堆積させるPVD(物理的真空成膜方法)の一種である。このような成膜方法は、スパッタリングなどの他のPVD成膜方法と比較してイオン化率が高いことから、緻密で硬い膜を形成することが可能となる。このため、当該成膜方法で形成したTiNやTiAlNなどの硬質膜は、切削工具などの耐摩耗用途に使用可能とされる。
図1を参照して、アーク成膜装置1は、アーク蒸発源1Aと、チャンバー10と、基材ステージ11と、複数のホルダ12と、複数のヒーター13と、バイアス電源14と、ガス供給源15と、アーク電源16と、を備える。
アーク蒸発源1Aは、図2の基材Sに向かって荷電粒子を供給する。アーク蒸発源1Aは、アーク蒸発源1Aは、ターゲットTと、磁場発生機構2と、を備える(図1)。
ターゲットTは、中心線CL(基準直線)と直交するように配置されるターゲット放出面TF(先端面)(図3参照)を備え、アーク放電によってターゲット放出面TFが溶解され蒸発されることで、前記荷電粒子を放出する。本実施形態では、ターゲット放出面TFは、中心線CLを中心とする円形状を有している。ターゲットTの材料は、アーク放電によって蒸発して成膜用の材料として用いられるものであれば、本発明ではとくに限定されない。ターゲットTは、例えば、カーボン、タングステンカーバイド、タングステン、モリブデン、あるいは、ニオブなどの材料、またはこれらの合金などで製造することが可能である。更に、近年では、硬質皮膜を形成するために、Ti−Al合金がターゲットTとして使用可能とされる。なお、図2に示すように、ターゲットT(ターゲット放出面TF)と基材Sとの中心線CL上の距離がH(mm)と定義される。
磁場発生機構2は、所定の磁場をターゲットTと基材Sとの間に形成し、ターゲット放出面TFから放出された荷電粒子を基材Sに向かって誘導する。なお、磁場発生機構2の具体的な構造および機能については、後記で詳述する。
チャンバー10は、導電性を有する材料で製造された密閉された筐体であり、ターゲットTのターゲット放出面TFとの間で放電するための電極として機能する。チャンバー10の内部には、内部空間10A(図1)が形成されている。アーク成膜装置1を上から見た図1に示すように、内部空間10Aには、ターゲットT、基材ステージ11、ホルダ12およびヒーター13などが収容される。図2は、アーク成膜装置1を横側から示したものである。
また、チャンバー10は、フランジ10F、円筒部10Gおよび吸引部10Sを備える。ターゲットTの内部空間10Aは、アーク放電の発生時(すなわち成膜時)には、吸引部10Sを通じて不図示の真空ポンプによって真空またはそれに近い圧力まで減圧される。なお、図2では、フランジ10Fに連結され、ターゲットTの周囲を囲む円筒部10G(図1)が省略されている。
基材ステージ11は、内部空間10Aに配置されている。基材ステージ11は、不図示の駆動機構におって回転される。複数のホルダ12は、基材ステージ11上に複数配置されており、それぞれのホルダ12上に、複数の基材Sが固定されている。なお、複数のホルダ12は、基材ステージ11上においてそれぞれ回転される。換言すれば、複数の基材Sを支持するホルダ12は、基材ステージ11の回転に伴って公転しながら、基材ステージ11上において自転する。この結果、基材Sの周方向全体に亘って、均一に被膜が形成される。なお、本実施形態では、基材ステージ11の回転中心は、中心線CLと一致する。
複数のヒーター13は、基材ステージ11上の基材Sを所定の温度まで加温する。一例として、アーク放電による成膜形成時に、基材Sは、550度まで加温される。なお、本実施形態では、内部空間10Aに4つのヒーター13が配置されている。
バイアス電源14は、基材Sに対する荷電粒子の蒸着を容易とするために、基材Sに所定のバイアスを印加する。一例として、バイアス電源14は、基材Sに−30(V)のバイアスを印加する。
ガス供給源15は、前述のように真空ポンプで吸引された内部空間10Aに、アルゴンなどの不活性ガス、あるいは窒素およびメタンなどの反応性ガスを所定の圧力で充填する。
アーク電源16は、ターゲットTと当該ターゲットTに対向する電極となるチャンバー10との間に電圧を印加することによって、ターゲットTのターゲット放出面TFとチャンバー10との間でアーク放電を発生させる。アーク電源16の陰極は、ターゲットTに接続されている。アーク電極16の陽極は、チャンバー10に接続されるとともに、不図示の点火ロッドに接続されている。これにより、アーク電源16は、ターゲットTとチャンバー10との間に電圧を印加するとともにターゲットTと点火ロッドとの間に電圧を印加する。点火ロッドとターゲットTとの間に電圧が印加された状態で当該点火ロッドがターゲットTに接触することによって、ターゲット放出面TFとチャンバー10との間でアーク放電を開始させることが可能である。
次に、図1および図2に加え、図3乃至図5を参照して、本実施形態に係る磁場発生機構2について、更に詳述する。磁場発生機構2は、電磁コイル20(磁場発生部)を備える。図3は、本実施形態に係るアーク蒸発源1AのターゲットTと電磁コイル20との位置関係ならびに電磁コイル20の形状を説明するための模式図な断面図である。図4は、アーク蒸発源1Aの電磁コイル20が形成する磁場の分布を示す分布図である。図5は、図4の分布図のターゲットTの周辺を拡大して示した拡大分布図である。
電磁コイル20は、ターゲットTと基材Sとの間に配置され、中心線CLを軸心とする円筒形状(筒形状)を有する。電磁コイル20は、前記円筒形状の内部をターゲットTから放出された荷電粒子が通過することを許容する。電磁コイル20は、不図示の電源に接続されることで、ターゲット放出面TFから放出された荷電粒子を基材Sに向かって誘導するような磁場を、ターゲットTと基材Sとの間に形成する。当該磁場は、電磁コイル20の円筒形状の内周側と外周側とを結ぶループ状の磁場であって、ターゲットTのターゲット放出面TFと交差しかつターゲット放出面TFから電磁コイル20の内部を通り基材S側に向かって延びるような磁場である。なお、後記のように、本発明に係る磁場発生部が永久磁石から構成される場合には、形成される磁場は上記のようなループ状とはならない。
図3を参照して、電磁コイル20は、ターゲットTの前方に配置されている。なお、ターゲット放出面TFから円筒形状を有する電磁コイル20の前後方向の中心位置までの距離がL(mm)と定義される。また、電磁コイル20は、中心線CLと平行に延びる外周面201および内周面202を備える。更に、電磁コイル20は、中心線CLと直交し外周面201と内周面202とを接続する一対のリング状の端面203を備えている。図3に示すように、電磁コイル20の内径がD(mm)と定義される。本実施形態では、電磁コイル20の内径Dは、ターゲットTのターゲット放出面TFの外径d(図3)以上の大きさに設定されている。すなわち、基材S側から中心線CLに沿って見た場合、電磁コイル20の投影とターゲットTのターゲット放出面TFとが互いに重ならないように、ターゲット放出面TFの大きさが設定されている。
また、電磁コイル20の外周面201(内周面202)の中心線CLと平行な方向における長さがX(mm)、電磁コイル20の端面203の半径方向に沿った厚さがY(mm)と定義される。本実施形態では、X/Y=2の関係を満たすように、電磁コイル20の断面形状が設定されている。なお、後記のとおり、電磁コイル20の断面形状は、以下の関係式(式1)を満たすことが望ましい。
2≦X/Y ・・・ (式1)
図4および図5を参照して、本実施形態に係る電磁コイル20が形成する磁場について詳述する。なお、図4の横軸は、ターゲット放出面TFをゼロ点とする前後方向(軸方向)における座標Z(mm)を示し、図4の縦軸は、中心線CLをゼロ点とする半径方向における座標R(mm)を示している。そして、図4では、電磁コイル20を中心に同心状に示された複数の実線は、磁力(磁束密度)のベクトルを線で接続した磁力線に相当する。この際、電磁コイル20に近い実線の方が、磁力線の密度が高い事からより強い磁場を示している。また、リング状の電磁コイル20は、図4に示されるような磁場を中心線CL回りの周方向全体に亘って形成している。なお、以後の分布図でも、グラフの表示方法は図4と同様である。電磁コイル20に所定のコイル電流が流入すると、図4に示すように、ターゲットTの前方に強い磁場が形成される。当該磁場は、ターゲットTのターゲット放出面TFと交差し、かつ、ターゲット放出面TFから基材S側に向かって延びている。
本実施形態では、中心線CLとターゲットTのターゲット放出面TFとの交点(図5のTF1)における磁場の大きさをB0(Gauss)、ターゲット放出面TFと基材Sとの間における中心線CL上の磁場の最大値をBm(Gauss)とした場合、以下の関係式(式2)が満たされている。
Bm/B0≦3 ・・・ (式2)
図2に示すように、ターゲットTと基材Sとの間に磁場発生機構2の電磁コイル20が配置されるためには、ターゲットTと基材Sとの間の距離が長くなりやすい。この結果、荷電粒子の基材Sに対する到達効率が悪くなりやすい。また、ターゲットTから放出された荷電粒子は印加された磁場によって基材S側に誘導されるが、当該荷電粒子はチャンバー10内の雰囲気ガスと衝突する場合やチャンバー10の壁面などに衝突する場合がある。更に、荷電粒子の基材Sへの到達を妨げる要因として、磁場の形状や強度によって決定される「磁気ミラー効果」の影響があげられる。当該磁気ミラー効果とは、磁場の弱い領域から放出された荷電粒子が、強度が次第に大きくなるような形状を有する磁場内を運動する場合に、ターゲットT側に方向転換(反射)する現象をいう。当該現象は、上記のBm/B0の大きさが大きいほど発生しやすくなる。
なお、理論的には、荷電粒子が磁場中において運動方向を変えるかどうかは、荷電粒子のターゲット放出面TFに対する放出角度によって決定される。すなわち、放出角度が、下記の式3を満たす基準角度θeよりも小さい場合には、荷電粒子は反射しない。
Sin(2×θe)=B0/Bm ・・・(式3)
本発明の発明者は、鋭意研究および実験を重ねた結果、電磁コイル20が前述の式2の関係を満たすような磁場を形成することで、荷電粒子の反射を低減し、基材Sへの到達効率を向上することを新たに知見した。この結果、従来よりも2倍以上の成膜レートで、基材S上に被膜を形成することが可能となった。この際、電磁コイル20の断面形状が前述の式1の関係を満たすことで、中心線CLとターゲットTのターゲット放出面TFとの交点(図5のTF1)における磁場の大きさB0が増大され、式2の関係が満たす磁場が形成されやすくなる。この結果、ターゲットTから放出された荷電粒子が基材Sに到達する到達効率を増大させることが可能であるとともに、基材S上の成膜レートを向上することが可能なアーク蒸発源1Aが提供される。なお、電磁コイル20の断面形状は、5≦X/Yの関係を満たすことがより好ましい。
また、磁場発生機構2が形成する磁場は、Bm/B0≦2の関係を満たすことがより好ましく、Bm/B0≦1.5の関係を満たすことが更に好ましい。このため、磁気ミラー効果が抑止されながら、荷電粒子が基材Sまで到達するためには、Bm/B0=1の場合がもっとも好ましい条件である。Bm/B0が1未満の場合、ターゲット放出面TFから磁場発生機構2に向けて磁力線が発散する傾向があり、粒子の到達効率が低下するためである。
更に、図5を参照して、本実施形態では、磁場発生機構2の電磁コイル20によってターゲットTのターゲット放出面TF上に形成される磁力線DSは、基材S側に進むにつれて中心線CLに近づくように、ターゲット放出面TFに対して角度θをもって傾斜している。ターゲット放出面TF上の磁力線DSがターゲットTの法線(中心線CL)と平行に近い(ターゲット放出面TFと略垂直)場合には、ターゲット放出面TFから荷電粒子が飛び出す熱電子放出スポット(アークスポット)は、磁力線DSが倒れている方向にターゲット放出面TF上を移動する性質がある。したがって、ターゲット放出面TF上においてアークスポットを留まらせるためには、磁力線DSがターゲット放出面TFに対して、上記のように傾斜していることが望ましい。更に、磁力線DSの傾き角度θは、10°≦θ≦30°の関係を満たすことが更に望ましい。一方、磁力線DSがターゲット放出面TFと直交している場合には、アークスポットが径方向に移動する制約がない。このため、アークスポットがターゲット放出面TFから外れる可能性がある。したがって、上記のように、磁力線DSの傾斜が設定されることが望ましい。なお、ターゲット放出面TF上の磁力線DSのすべてが上記のように傾斜していることが更に望ましいが、一部の磁力線DSが上記のように傾斜していてもよい。
更に、中心線CLとターゲットTのターゲット放出面TFとの交点(図5のTF1)における磁場の大きさB0は、以下の関係式(式4)を満たすことが望ましい。
10≦B0≦500(Gauss) ・・・ (式4)
B0<10(Gauss)の場合、ターゲット放出面TFから荷電粒子を誘導する誘導効果が小さくなり、荷電粒子の到達効率が低下しやすくなる。また、500>B0(Gauss)の場合、ターゲット放出面TFでの放電が偏り、ターゲットTの利用効率が悪化する傾向がある。このため、磁場の大きさB0は、上記の式4を満たすことが望ましい。なお、より好ましくは、50≦B0≦300(Gauss)の範囲にB0が含まれることが更に望ましい。
次に、本発明の第2実施形態に係るアーク蒸発源について説明する。なお、本実施形態では、先の第1実施形態との相違点について説明し、その他の共通する点の説明を省略する。以後の実施形態も、同様に説明される。図6は、本実施形態に係るアーク蒸発源のターゲットTおよび電磁コイル20Aの断面図である。
本実施形態では、アーク蒸発源の磁場発生機構が、電磁コイル20A(磁場発生部)を備える。電磁コイル20Aは、先の第1実施形態に係る電磁コイル20と同様に、ターゲットTと基材S(図1)との間に所定の磁場を形成する。図6の電磁コイル20Aでは、電磁コイル20Aの外周面(内周面)の中心線CLと平行な方向における長さX(mm)、電磁コイル20Aの端面の半径方向に沿った厚さY(mm)が、X/Y=4の関係を満たすように、電磁コイル20Aの断面形状が設定されている。このような形状を備える電磁コイル20Aにおいても、前述の式2の関係を満たす磁場を容易に形成することが可能となる。この結果、ターゲットTから放出された荷電粒子が基材Sに到達する到達効率を増大させることが可能であるとともに、基材S上の成膜レートを向上することが可能なアーク蒸発源が提供される。
次に、本発明の第3実施形態に係るアーク蒸発源について説明する。図7は、本実施形態に係るアーク蒸発源のターゲットTおよび複数の電磁コイル20Bの断面図である。
本実施形態では、アーク蒸発源の磁場発生機構が、複数の電磁コイル20B(磁場発生部)を備える。電磁コイル20Bは、先の第1実施形態に係る電磁コイル20と同様に、ターゲットTと基材S(図1)との間に所定の磁場を形成する。図7では、3つの電磁コイル20Bが、ターゲットTと不図示の基材Sとの間に所定の間隔をおいて配置されている。当該3つの電磁コイル20Bによって構成される仮想的な1つの電磁コイルの外周面(内周面)の中心線CLと平行な方向における長さX’(mm)、電磁コイル20Bの端面の半径方向に沿った厚さY(mm)が、X’/Y=9.5(≧2)の関係を満たすように、電磁コイル20Bの断面形状および間隔が設定されている。このような形状を備える複数の電磁コイル20Bにおいても、前述の式2の関係を満たす磁場を容易に形成することが可能となる。この結果、ターゲットTから放出された荷電粒子が基材Sに到達する到達効率を増大させることが可能であるとともに、基材S上の成膜レートを向上することが可能なアーク蒸発源が提供される。
次に、本発明の第4実施形態に係るアーク蒸発源について説明する。図8は、本実施形態に係るアーク蒸発源のターゲットT、電磁コイル20Cおよび補助磁石30の断面図である。
本実施形態では、アーク蒸発源の磁場発生機構が、電磁コイル20C(磁場発生部)と、補助磁石30(補助磁場発生部)と、を備える。電磁コイル20Cおよび補助磁石30によって構成される磁場発生機構は、先の第1実施形態に係る電磁コイル20と同様に、ターゲットTと基材S(図1)との間に所定の磁場を形成する。
補助磁石30は、ターゲットTに対して電磁コイル20Cとは反対側で中心線CL上に配置されている。本実施形態では、直径100mm、厚さ4mmの円板状のNdFeB磁石を2枚準備し、当該2枚の磁石によって、直径100mm、厚さ30mmの円板状の磁性体を挟み、これらを互いに接着固定することで、補助磁石30が構成されている。
そして、補助磁石30の極性は、ターゲットTのターゲット放出面TFに対して電磁コイル20Cと同方向の磁場を形成するように設定されている。詳しくは、電磁コイル20CがターゲットTのターゲット放出面TF上に形成する磁場の中心線CLと平行な方向に延びる成分と同じ向きの成分(図8のDS1)を含む磁場(図8のDS)を、補助磁石30がターゲット放出面TF上に形成する。この結果、ターゲット放出面TF上では、電磁コイル20Cが形成する磁場と補助磁石30が形成する磁場とが互いに強め合うことになる。この結果、中心線CLとターゲットTのターゲット放出面TFとの交点(図8のTF1)における磁場の大きさB0が増大され、前述の式2の関係を満たす磁場を容易に形成することが可能となる。この結果、ターゲットTから放出された荷電粒子が基材Sに到達する到達効率を増大させることが可能であるとともに、基材S上の成膜レートを向上することが可能なアーク蒸発源が提供される。
また、図8において、補助磁石30がターゲットTのターゲット放出面TF上に形成する磁場では、ターゲット放出面TFと直交する方向の磁場成分(DS1)が、ターゲット放出面TFと平行な方向の磁場成分(DS2)よりも大きく設定されている。この結果、補助磁石30がターゲット放出面TFから放出された荷電粒子が基材S側に飛翔しやすい磁場が形成されるとともに、補助磁石30が形成する磁場と電磁コイル20Cが形成する磁場との相互作用(補完作用)を高めることができる。
なお、本実施形態のように、磁場発生機構が補助磁石30を備える場合には、電磁コイル20Cの断面形状が前述の式1を満たさなくても、式2の関係を満たす磁場を形成することができる。
次に、本発明の第5実施形態に係るアーク蒸発源について説明する。図9は、本実施形態に係るアーク蒸発源のターゲットTおよび一対の永久磁石20Dの断面図である。
本実施形態では、アーク蒸発源の磁場発生機構が、一対のリング状の永久磁石20D(磁場発生部)を備える。一対の永久磁石20Dは、それぞれ、N極磁石21とS極磁石22と、を備える。リング状の永久磁石20Dは、強い磁力を発生するために、例えば、ネオジムを含む合金(例えば、NdFeBなど)製である。また、永久磁石20Dは、サマリウムおよびコバルトを含む合金(SmCo)製であってもよい。
また、一対の永久磁石20Dによって構成される仮想的な1つの永久磁石の外周面(内周面)の中心線CLと平行な方向における長さX’(mm)、仮想的な1つの永久磁石の端面の半径方向に沿った厚さY(mm)が、X’/Y=9.4(≧2)の関係を満たすように、永久磁石20Dの断面形状および間隔が設定されている。このような形状を備える複数の永久磁石20Dにおいても、前述の式2の関係を満たす磁場を容易に形成することが可能となる。この結果、ターゲットTから放出された荷電粒子が基材Sに到達する到達効率を増大させることが可能であるとともに、基材S上の成膜レートを向上することが可能なアーク蒸発源が提供される。
次に、本発明の第6実施形態に係るアーク蒸発源について説明する。本実施形態では、後記の図16に示すように、アーク蒸発源の磁場発生機構が、電磁コイル20(磁場発生部)と、電磁コイル25(副磁場発生部)と、を備える。電磁コイル20および電磁コイル25によって構成される磁場発生機構は、先の第1実施形態に係る電磁コイル20と同様に、ターゲットTと基材S(図1)との間に所定の磁場を形成する。電磁コイル25は、電磁コイル20と基材Sとの間に配置され中心線CLを軸心とする筒形状を有する。電磁コイル25は、前記円筒形状の内部をターゲットTから放出された荷電粒子が通過することを許容する。電磁コイル25は、不図示の電源に接続されることで、電磁コイル20とともにターゲットTのターゲット放出面TF(先端面)から基材S側に向かって延びる前記磁場を形成する。このような形状を備える電磁コイル20および電磁コイル25によって、前述の式2の関係を満たす磁場を容易に形成することが可能となる。この結果、ターゲットTから放出された荷電粒子が基材Sに到達する到達効率を増大させることが可能であるとともに、基材S上の成膜レートを向上することが可能なアーク蒸発源が提供される。
なお、本実施形態では、中心線CLと平行な軸方向における電磁コイル20の中心位置から基材Sに至るまでの領域において、中心線CL上の磁場の軸方向の成分が、電磁コイル20側から基材S側に向かって徐々に減少するような磁場を、電磁コイル20および電磁コイル25が形成することが望ましい。この場合、電磁コイル20側から基材S側にかけて磁場の軸方向成分に極値が形成されないため、基材Sへの荷電粒子の到達効率を更に増大させることができる。
次に、実施例に基づいて、本発明を更に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。後述する各実験は、図1および図2に示すようなアーク成膜装置1において、円板形のターゲットTと円筒形状(リング形状)の電磁コイルまたは永久磁石を備えた磁場発生機構と、を用いて、以下の実験条件に基づいて行われた。
<共通実験条件>
・ターゲットT:直径100mmの円板状のTiAl(Ti50%、Al50%)
・内部空間10Aの環境:窒素4(Pa)
・アーク電流:150(A)
・基材Sの温度:550(℃)
・基材Sへの印加バイアス:−30(V)
・ターゲットTから基材Sまでの距離H(図2):380(mm)
・基材S:鏡面研磨した超硬インサート
また、比較例1、2、実施例1〜10の磁場発生機構(電磁コイル、永久磁石)によって実施した実験1の実験条件を表1に示す。
Figure 2018090904
表1を参照して、比較例1では、電磁コイルの断面形状X/Y=1に設定されている。また、実施例1から6では、電磁コイルの断面形状X/Yが2から8の範囲に設定されている。なお。実施例1および2は、断面形状X/Y=2が維持されたまま、電磁コイルの大きさが互いに異なっている。実施例7では、前述の第3実施形態(図7)に基づき、3つの電磁コイルが間隔をおいて配置されている。この場合、表1におけるX/Y=9.5は、3つの電磁コイルによって形成される仮想的な1つの電磁コイルの断面形状を示している。なお、実施例7では、他の実施例との比較のために、3つの電磁コイルに流入するコイル電流の大きさを調整している。また、実施例8および9では、前述の第4実施形態(図8)に基づき、ターゲットTの前方に配置された電磁コイル(電磁コイル20C)に加え、ターゲットTの後方に補助磁場印加機構(補助磁石30)が配置されている。なお、実施例8では、直径100mm、厚さ4mmの円板状のNdFeB磁石を2枚準備し、当該2枚の磁石によって、直径100mm、厚さ30mmの円板状の磁性体を挟み、これらを互いに接着固定することで、補助磁石30が構成されている。また、実施例9では、直径100mm、厚さ4mmの円板状のNdFeB磁石1枚によって補助磁石30が構成されている。実施例8、9共にターゲット表面と磁石のターゲット側の距離は80mmである。この結果、実施例8と実施例9とでは、ターゲットTのターゲット放出面TF上の磁場の強さが異なっている(表2)。更に、比較例2は、実施例8および9と比較されるために行ったものであり、補助磁石30の磁極の配置が実施例8および9とは逆に配置されている。すなわち、比較例2では、補助磁石30がターゲットTのターゲット放出面TF上に発生する磁場の向きが、電磁コイル20C(図8)がターゲットTのターゲット放出面TF上に発生する磁場の向きとは逆向きであり、互いの磁場の補完作用が発現されにくい条件となっている。更に、実施例10では、前述の第5実施形態(図9)に基づき、ターゲットTよりも前方に複数の永久磁石20Dが配置されている。実施例10では、3つの永久磁石20Dが互いに間隔をおいて配置されている。これらの永久磁石20Dによって形成される仮想的な1つの永久磁石の断面形状X/Y(詳しくはX’/Y)は、9.4に設定されている。また、実施例11では、先の実施例1の条件に対して、ターゲットTの後方80mmの位置に補助磁石が備えられている。当該補助磁石は、直径100mm、厚さ4mmの円板状のNdFeB磁石を2枚準備し、当該2枚の磁石によって、直径100mm、厚さ30mmの円板状の磁性体を挟み、これらを互いに接着固定することで、構成されている。
表1に示す各実験において、Bm/B0の値、および基材S上の単位時間当たりの膜成長速度(成膜レート)を計測した結果を、表2に示す。
Figure 2018090904
なお、前述の図4の磁場分布は、実施例1に対応している。更に、図10は、前述の第4実施形態(表1および表2の実施例8)に係るアーク蒸発源において、磁場発生機構(電磁コイル20および補助磁石30)が形成する磁場の分布を示す分布図である。また、図11は、本発明の実施形態に係るアーク蒸発源と比較される他のアーク蒸発源(表1および表2の比較例1)において、電磁コイル20Zが形成する磁場の分布を示す分布図である。同様に、図12は、本発明の実施形態に係るアーク蒸発源と比較される他のアーク蒸発源において、電磁コイル20および補助磁石30Zが形成する磁場の分布図である。
表1および表2を参照して、Bm/B0≦3(式1)を満たす実施例1〜10では、基材S上の成膜レートが12(μm)以上の高いレートを示す結果となった。これは、Bm/B0>3を満たす比較例1の成膜レートの2倍以上の効果となっている。なお、実施例1および実施例2を比較すると、電磁コイルの断面のサイズが異なっても、断面形状X/Yが同じ大きさに設定されることで、同等の成膜レートが達成されている。また、ターゲットTの前方に円筒状の電磁コイルまたは永久磁石が配置され、補助磁場機構(補助磁石30、補助磁場発生部)を備えていない実施例1〜7および実施例10では、断面形状X/Y≧2(式1)が満たされることで、Bm/B0≦3(式2)を満たす磁場が形成されている。このような関係は、複数の電磁コイルまたは永久磁石が間隔を置いて配置された実施例7および10においても、仮想的な1つの磁場発生部(電磁コイルまたは永久磁石)に置き換えて断面形状X/Yを設定することで、同様の効果が発現される。更に、実施例11では、Bm/B0が1以下に設定されることで、高い成膜レートが実現されている。
なお、図4の実施例1の磁場分布図と図11の比較例1の磁場分布図とを比較すると、図11の電磁コイル20Z(X/Y=1)がターゲット放出面TF上に形成する磁場よりも、図4の電磁コイル20(X/Y=2)がターゲット放出面TF上に形成する磁場の方が大きいことがわかる。この結果、ターゲット放出面TF上の磁場の大きさB0が増大し、Bm/B0が小さくなるため、上記の式2の関係(Bm/B0≦3)が満たされやすくなる。図4では、電磁コイル20の断面形状がX/Y=2を満たすことで、図11の電磁コイル20Zと比較して、偏平状の磁場が前後方向(図4のZ軸方向)に長く延びるように形成されている。この結果、ターゲット放出面TF上の磁場の大きさB0が増大している。
また、図10の実施例8の磁場分布図と図12の比較例2の磁場分布図とを比較すると、図12の比較例2では、電磁コイル20が形成する磁場と補助磁石30Zが形成する磁場とが逆極であるため、互いの磁界が反発し打ち消し合うため、ターゲット放出面TF上の磁場が小さくなっている。更に、図12では、ターゲット放出面TFの周囲に、ターゲット放出面TFと平行な磁場が形成されてしまうため、放出された荷電粒子を基材S側に安定して誘導することが困難となる。一方、図10の実施例8の磁場分布図では、電磁コイル20および補助磁石30が形成する磁場が互いに補完しあうため、ターゲット放出面TF上の磁場の大きさ(B0)が増大し、上記の式2の関係(Bm/B0≦3)が満たされやすくなる。なお、実施例8および実施例9の成膜レートの結果を比較すると、ターゲット放出面TF上の磁場B0が大きい実施例8の方が荷電粒子の放出が促進されるため、高い成膜レートに繋がっている。
また、実施例12〜17の磁場発生機構(電磁コイル)によって実施した実験2の実験条件を表3に示す。
Figure 2018090904
表3を参照して、実施例12は、先の実施例6の電磁コイル20の形状(内径D=150mm)と比較して、内径Dが200mmに設定されている点で相違する。同様に、実施例13では、内径Dが300mmに設定され、実施例14では、内径Dが400mmに設定されている。なお、本実験では、ターゲット放出面TFの直径は前述のように100mmである。また、実施例15〜17は、前述の第6実施形態に係る磁場発生機構を用いたものであり、それぞれ電磁コイル20(表3の第1電磁コイル)および電磁コイル25(表3の第2電磁コイル)によって荷電粒子を誘導するための磁場が形成されている。実施例15および17では両電磁コイルの内径Dが150mmに設定され、実施例16では内径Dが200mmに設定されている。なお、実施例15と実施例17とでは、電磁コイル25に流入するコイル電流の大きさを変化させた結果、ターゲットTと基材Sとの間に形成される磁場の分布に差が生じている(図17、図18参照)。
表3に示す各実験において、Bm/B0の値、および基材S上の単位時間当たりの膜成長速度(成膜レート)を計測した結果を、表4に示す。
Figure 2018090904
また、図13乃至図15は、前述の第1実施形態に係るアーク蒸発源(それぞれ実施例6、12、13)において、磁場発生機構が形成する磁場の分布を示す分布図であって、磁場発生部の内径の影響を示すための分布図である。また、図16は、前述の第6実施形態(実施例15〜17)に係るアーク蒸発源において、磁場発生機構が形成する磁場の分布を示す分布図である。なお、図13乃至図16では、ターゲットTの周囲に配置されたリング状のアーク閉じ込め部材ATが現れている。アーク閉じ込め部材ATは、磁性体である。更に、図17および図18は、それぞれ、実施例15および実施例17における中心線CL(基準直線)上の磁場の軸方向の成分の分布を示すグラフである。いずれも横軸は軸方向における位置を示し、縦軸は磁場の強さ(大きさ)を示している。また、図17、図18には、中心線CLと平行な軸方向における電磁コイル20の中心位置20Lが示されており、横軸の延長上に基材Sが配置されている。
表1〜表4および図13乃至図15を参照して、電磁コイル20の断面形状(X×Y)が同じ場合、電磁コイル20の内径Dがターゲット放出面TFの直径に対して大きく設定されると、Bm/B0が小さくなる(実施例6、12、13、14)。この結果、ターゲットTから放出された荷電粒子が基材Sに到達する到達効率を増大させることが可能となり、基材S上の成膜レートが向上する。なお、中心線CLを中心とするターゲット放出面TF(先端面)の直径がd(mm)、電磁コイル20の内径がD(mm)と定義された場合、1.5×d≦D≦5×dの関係が満たされていることが望ましい。なお、2.0×d≦Dの関係が満たされていることがより望ましく、2.5×d≦Dの関係が満たされていることが更に望ましい。
更に、表3、4および図16乃至図18を参照して、荷電粒子の基材Sに対する到達効率は、ターゲットTと磁場発生機構との間、および磁場発生機構と基材Sとの間における荷電粒子の挙動で決定される。実施例15〜実施例17では、筒状の電磁コイル20(第1電磁コイル、磁場発生部)と基材Sとの間に、更に、筒状の電磁コイル25(第2電磁コイル、副磁場発生部)が設けられている。この結果、表4に示すように、荷電粒子の到達効率が上昇し、基材S上の成膜レートが向上している。
なお、実施例17では、前述の比較例1、2よりも成膜レートが向上しているが、電磁コイル20の形状が同じ実施例15と比較すると、成膜レートが低下している。実施例15では、図17に示すように、中心線CLと平行な軸方向における電磁コイル20の中心位置20Lから基材Sに至るまでの領域において、中心線CL上の磁場の軸方向(前後方向、X方向)の成分が、電磁コイル20側から基材S側に向かって徐々に減少するような磁場が、電磁コイル20および25によって形成されている。一方、実施例17では、図18に示すように、中心線CL上の磁場の軸方向の成分が、電磁コイル20と基材Sとの間で、部分的に上昇し、極大値が形成されている。この結果、実施例17では、実施例15と比較して、荷電粒子の到達効率が低下し、成膜レートが低下している。すなわち、中心線CL上の磁場の軸方向の成分は、電磁コイル20(磁場発生部)側から基材S(対象物)側に向かって徐々に減少し、ピーク(極値)を有さないような磁場が形成されることが望ましい。この場合、電磁コイル25が中心線CL上に形成する磁場が、電磁コイル20が中心線CL上に形成する磁場よりも弱いことが更に望ましい。また、上記の、「徐々に減少する」とは、図17に示すように、軸方向に沿って部分的に磁場の大きさが一定(同じ大きさ)となる領域があってもよく、増大する領域がなければよい。
また、図17に示されるような中心線CL上の磁場の軸方向の成分(分布曲線)の微分値を取った場合、その値は電磁コイル20の中心(20L)と基板Sとの間(本実験では約400mm)において、0、または0に近い正の値、または0に近い負の値であることが好ましい。詳しくは、微分値が0に近い正の値の場合、傾きが50Gauss/100mm以下であることが望ましく、20Gauss/100mm以下であることが更に望ましい。また、微分値が0に近い負の場合には、0より小さければ良いが、基板Sに向かう磁力が急速に減衰し荷電粒子の誘導効果が小さくなることを抑制する上で、−100Gauss/100mmよりも0に近いことが好ましい。
なお、本発明者は上記の実施例に加え、更に下記の範囲でも各実験条件を変更した結果、前述の式2を満たすことで、安定した成膜レートを獲得することが可能であることを確認した。
・ターゲット放出面TFの直径(最大径):50mm以上150mm以下。
・磁場発生部(電磁コイルまたは永久磁石)の内径:50mm以上500mm以下。
・ターゲット放出面TFから磁場発生部までの距離L:50mm以上200mm以下。
・ターゲット放出面TFから基材Sまでの距離H:100mm以上500mm以下。
なお、上記の実施形態および実施例では、本発明に係る磁場発生部が円筒形状(リング状)からなる態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。ターゲットTのターゲット放出面TFが矩形形状からなり、断面形状が矩形状となるように磁場発生部が角筒状の形態であってもよい。すなわち、本発明に係る磁場発生部は内部を基準直性が通るような筒形状からなるものでもよい。この際、磁場発生部の筒状とは、周方向に沿って連続的なものに限定されるものではない。周方向に間隔をおいて複数の磁場発生体が配置され、仮想的な筒形状を形成するものでもよい。
なお、本発明に係る磁場発生部が円筒形状ではなく、角筒などの筒形状の場合には、当該筒形状の内部にターゲット放出面TFが進入可能なように、ターゲット放出面TFの大きさが設定されること、あるいはターゲット放出面TFの形状にあわせて筒の形状または筒の大きさが設定されることが望ましい。この場合も、基材S側から中心線CLに沿って見た場合、磁場発生部の投影とターゲットTのターゲット放出面TFとが互いに重ならないように、ターゲット放出面TFの大きさが設定されていることが望ましい。
1 アーク成膜装置
1A アーク蒸発源
2 磁場発生機構
10 チャンバー
10A 内部空間
10F フランジ
10G 円筒部
10S 吸引部
11 基材ステージ
12 ホルダ
13 ヒーター
14 バイアス電源
15 ガス供給源
16 アーク電源
20、20A、20B、20C 電磁コイル(磁場発生部)
201 外周面
202 内周面
203 端面
20D 永久磁石
21 N極磁石
22 S極磁石
30 補助磁石(補助磁場発生部)
CL 中心線(基準直線)
S 基材
T ターゲット
TF ターゲット放出面(先端面)

Claims (9)

  1. 所定の対象物に向かって荷電粒子を供給するアーク蒸発源であって、
    先端面を備え、アーク放電によって前記先端面が溶解され蒸発されることで、前記荷電粒子を放出するターゲットと、
    前記ターゲットの前記先端面と直交する基準直線を軸心とする筒形状を有し、前記ターゲットの前記先端面と交差しかつ前記先端面から前記対象物側に向かって延びる磁場を形成する磁場発生部を少なくとも備え、前記先端面から放出された前記荷電粒子を前記対象物に向かって誘導する磁場発生機構であって、前記基準直線と前記ターゲットの前記先端面との交点における前記磁場の大きさをB0(Gauss)、前記先端面と前記対象物との間における前記基準直線上の前記磁場の最大値をBm(Gauss)とした場合、Bm/B0≦3の関係を満たすように前記磁場を形成する磁場発生機構と、
    を有する、アーク蒸発源。
  2. 前記磁場発生部は、前記基準直線と平行に延びる外周面および内周面と、前記基準直線と直交し、前記外周面と前記内周面とを接続する一対の端面と、を備え、
    前記対象物側から前記基準直線に沿って見た場合、前記磁場発生部の投影と前記ターゲットの前記先端面とが互いに重ならないように、前記先端面の大きさが設定されており、
    前記磁場発生部の前記外周面の前記基準直線と平行な方向における長さをX(mm)、前記磁場発生部の前記端面の半径方向に沿った厚さをY(mm)とした場合、
    X/Y≧2の関係が満たされている、請求項1に記載のアーク蒸発源。
  3. 前記磁場発生機構は、前記ターゲットに対して前記磁場発生部とは反対側で前記基準直線上に配置された補助磁場発生部であって、前記磁場発生部が前記ターゲットの前記先端面上に形成する磁場の前記基準直線と平行な方向に延びる成分と同じ向きの成分を含む磁場を前記先端面上に形成する補助磁場発生部を更に有する、請求項1または2に記載のアーク蒸発源。
  4. 前記補助磁場発生部が前記ターゲットの前記先端面上に形成する磁場の前記先端面と直交する方向の磁場成分は前記先端面と平行な方向の磁場成分よりも大きく設定されている、請求項3に記載のアーク蒸発源。
  5. 10≦B0≦500(Gauss)の関係を満たす、請求項1乃至4の何れか1項に記載のアーク蒸発源。
  6. 前記磁場発生機構によって前記ターゲットの前記先端面上に形成される磁力線の少なくとも一部は、前記対象物側に進むにつれて前記基準直線に近づくように、前記先端面に対して傾斜しており、
    前記磁力線と前記基準直線とがなす角度θが、10°≦θ≦30°の範囲に設定されている、請求項1乃至5の何れか1項に記載のアーク蒸発源。
  7. 前記先端面は、前記基準直線を中心とする円形であり、
    前記先端面の直径がd(mm)、前記磁場発生部の内径がD(mm)と定義された場合、1.5×d≦D≦5×dの関係が満たされている、請求項1乃至6の何れか1項に記載のアーク蒸発源。
  8. 前記磁場発生機構は、前記磁場発生部と前記対象物との間に配置され前記基準直線を軸心とする筒形状を有する副磁場発生部であって、前記磁場発生部とともに前記先端面から前記対象物側に向かって延びる前記磁場を形成する副磁場発生部を更に有する、請求項1乃至7の何れか1項に記載のアーク蒸発源。
  9. 前記基準直線と平行な軸方向における前記磁場発生部の中心位置から前記対象物に至るまでの領域において、前記基準直線上の前記磁場の前記軸方向の成分が、前記磁場発生部側から前記対象物側に向かって徐々に減少するような磁場を、前記磁場発生部および前記副磁場発生部が形成している、請求項8に記載のアーク蒸発源。
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