JP2008115446A - スパッタ装置及びスパッタ方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】一対のターゲットの中心間距離を短くすることなく、ターゲット間に形成されるプラズマ及び二次電子等の荷電粒子のターゲット間への閉じ込め効果を大きくするスパッタ装置及びスパッタ方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、ターゲット間磁場空間に沿って、且つ少なくとも前記ターゲット10a,10bと基板Bとの間を遮るような位置に、前記ターゲット間磁場空間における磁力線の方向と同方向に向かう磁力線を有するような補助磁場空間を発生させてスパッタリングすることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、基板上に薄膜を作製するのに用いられるスパッタ装置及びスパッタ方法に関し、特に、低温・低ダメージ成膜が必要とされる有機物薄膜の上に、又は、基板が高分子材料であるフィルム、樹脂基板上に金属・合金、化合物からなる高機能薄膜等を作製するスパッタ装置及びスパッタ方法に関する。具体的な用途分野としては、有機EL(有機エレクトロ・ルミネッセンス)素子への透明導電膜、封止膜(ガスバリア膜)。また、高分子フィルムに透明導電膜、金属膜、保護膜、及び有機物薄膜(例えば、有機薄膜半導体等)の上への金属膜、保護膜を作製する。さらに、従来の対向ターゲット式カソード及び傾斜型カソード(V型カソード)を用いて、基板に薄膜を作製している汎用的な薄膜作製分野(電子部品、磁気ヘッド部品等)にも利用可能である。
従来より、基板上に薄膜を作製するのに、例えば、図15に示すように、一対のターゲット(ターゲット板)51a,51bを用いて基板52上に膜を形成する対向ターゲット式スパッタ装置50及びスパッタ方法が用いられている。この一対のターゲット51a,51bを用いて基板52上に膜を形成するスパッタ装置50及びスパッタ方法では、それぞれのターゲット51a,51bがスパッタ面51a’,51b’を有し、真空容器53内に前記両スパッタ面51a’,51b’が互いに対向するように所定の間隔をおいて平行に配置される。
そして、一対のターゲット51a,51bをそれぞれ固定している各バッキングプレート(背板)54a,54bの裏面側(ターゲットを固定しているのと反対側)にマグネット55a,55bを配置することで、一対のターゲット51a,51bの前記それぞれのスパッタ面51a’,51b’に対して垂直な方向に磁場を発生させるとともに、該一対のターゲット51a,51bをスパッタリングし、該スパッタリングされた一対のターゲット51a,51bから飛散するスパッタ粒子を、被成膜面52’が前記一対のターゲット51a,51bにより前記両スパッタ面51a’,51b’間に形成される空間に面するように臨設される基板52の該被成膜面52’に付着させて該基板52上に膜を形成する。
しかし、このようなスパッタ装置50及びスパッタ方法では、ターゲット51a,51b表面から放出された二次電子や負イオン等の荷電粒子の衝撃を殆ど受けない状態、いわゆるプラズマフリーな状態で成膜できるものの、スパッタ粒子が基板52以外のあらゆる領域に発散し易く、従来のマグネトロンスパッタ装置及びスパッタ方法に比べると、成膜速度が小さく、成膜のためのコストが高くなる。また、基板以外の真空容器内面にもスパッタ粒子が付着することがあり、ターゲット材の利用効率が低下すると共にメンテナンスの面においても煩雑となる。
そのため、前記一対のターゲットを、前記両スパッタ面がいずれも前記基板の被成膜面に向くようにそれぞれ傾斜させることによって、スパッタ粒子の基板側への飛行の指向性が高まり、換言すれば基板以外の領域への発散が抑制され、これにより基板上への成膜速度を上げると共に、ターゲット材の利用効率を向上させることが可能な、いわゆるV型カソードによる対向ターゲット式スパッタ装置及びスパッタ方法が提供されている(特許文献1参照)。
特開平2004−285445号公報
ところで、上記のような各バッキングプレートの裏面側にマグネットを配置している対向ターゲット式(V型カソードも含む)スパッタ装置及びスパッタ方法による成膜では、プラズマを一対のターゲット間に形成したターゲット間磁場空間に閉じ込めることによって、基板がプラズマの影響を殆ど受けない状態、いわゆるプラズマフリーな状態で成膜できるのが特徴の一つである。
しかし、この対向ターゲット式スパッタ装置及びスパッタ方法であっても、一対のターゲット間に形成したターゲット間磁場空間によるプラズマの閉じ込めは完全ではないため、該プラズマの影響が基板に及ぶ場合があり、また、基板の被成膜面に向かって飛んでくるスパッタ面(一対のターゲットの互いに対向している面)からの二次電子や負イオン等の荷電粒子も完全には防ぐことはできない。
そのため、特に、低温・低ダメージ成膜が必要とされる有機物薄膜等の上に電極膜、保護膜等を作製する場合に、ターゲット間のプラズマの影響によって基板の温度が上昇して基板上に成膜された薄膜の膜質が低下し、また、スパッタ面から基板へ飛んでくる二次電子や負イオン等の荷電粒子により、基板が損傷し、基板上に形成された薄膜の機能が格子不整や歪みのため低下するといった問題が生じる場合がある。
また、上記問題を解消すべく、互いのターゲットの中心間距離を短く設定することによってターゲット間中央部の磁場強さ(磁場強度)を大きくし、プラズマや二次電子等を、よりターゲット間に形成された磁場空間内に閉じ込めるようにすることも考えられるが、その場合、ターゲットの中心間距離が短くなり、即ち、一対のターゲット間の間隔が狭くなるため、ターゲットから基板方向に飛散してくるスパッタ粒子が減少すると共に基板成膜面積が減少してしまい、生産性が低下するといった問題が生じる。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、対向ターゲット式スパッタ装置及びスパッタ方法において、一対のターゲットの中心間距離を短くすることなく、ターゲット間に形成されるプラズマ及び二次電子等の荷電粒子のターゲット間への閉じ込め効果を大きくすることで、低温・低ダメージ成膜が可能なスパッタ装置及びスパッタ方法を提供することを課題とする。
そこで、上記課題を解消すべく、本発明に係る対向ターゲット式スパッタ装置は、間隔をおいて互いに対向するように配置される一対のターゲットと、該一対のターゲット間にターゲット間磁場空間を発生させるために設けられるターゲット間磁場発生手段と、一対のターゲット間の側方位置に配置される成膜対象となる基板とを備え、前記一対のターゲットは、互いに対向する面が前記基板の成膜面に向くように傾斜させてそれぞれ配置され、前記ターゲット間磁場発生手段は、ターゲット間磁場空間における磁力線が一方のターゲットから他方のターゲットへ向かうように極性が設定されている対向ターゲット式スパッタ装置において、前記ターゲット間磁場空間に沿うような位置に補助磁場空間を発生させる補助磁場発生手段をさらに備え、該補助磁場発生手段は、補助磁場空間における磁力線が前記ターゲット間磁場発生空間における磁力線と同方向に向かうように極性が設定されると共に、少なくとも前記ターゲット間磁場空間と前記基板との間を遮るような位置に前記補助磁場空間を発生させるように前記一対のターゲットの周辺に配置されることを特徴とする。
かかる構成によれば、補助磁場空間は、一対のターゲットの各ターゲット周辺にそれぞれ配置される前記補助磁場発生手段によって、ターゲット間磁場発生手段が形成する(発生させる)ターゲット間磁場空間に沿って形成される(発生する)。そして、該補助磁場空間は、少なくともターゲット間磁場空間と成膜される基板との間を遮るような位置に、且つ前記補助磁場空間における磁力線が前記ターゲット間磁場空間における磁力線と同方向となるように形成される(発生する)。
このように補助磁場発生手段がターゲット間磁場発生手段の周辺に別途配置されてターゲット間磁場空間に沿うように補助磁場空間が形成されることで、一対のターゲットの中心間距離を短く(小さく)することなく、ターゲット間中央部の磁場強度を大きくすることができる。そのため、プラズマのターゲット間への閉じ込め効果、及び、二次電子等の荷電粒子のターゲット間への閉じ込め効果が良好となる。
即ち、前記補助磁場発生手段が別途配置されることで、ターゲット間磁場空間外側の少なくとも前記基板側には、補助磁場空間がさらに形成される。そのため、一対のターゲットにおける対向するスパッタ面の各中心を互いに結ぶ線(以下、単に「T−T線」と言うことがある。)から基板側に形成される磁束密度の大きい空間(後述する閉じ込め磁場空間)の端までの距離(閉じ込め磁場空間の幅)が大きくなり、プラズマがターゲット間磁場空間とその外側に形成されている補助磁場空間とで構成される磁場空間(以下、単に「閉じ込め磁場空間」と言うことがある。)からはみ出すことなく該閉じ込め磁場空間内に閉じ込められる。このように、閉じ込め磁場空間内にプラズマが閉じ込められることで、該プラズマによる基板への影響を減少させることができる。
また、前記ターゲット間磁場空間から基板側に飛び出してくる二次電子等の荷電粒子も前記閉じ込め磁場空間の幅がターゲット間磁場空間よりも補助磁場空間の分だけ大きくなることから、外へ飛び出そうとする荷電粒子の閉じ込め磁場空間内での移動距離が大きくなる。そのため、該閉じ込め磁場空間内への荷電粒子の閉じ込め効果が大きくなる。即ち、荷電粒子の閉じ込め磁場空間内からの基板側への飛び出しが減少する。
尚、閉じ込め磁場空間は、ターゲット間磁場空間と補助磁場空間との合成磁場空間であって、ターゲット間磁場空間と補助磁場空間とが磁束密度の小さい空間を介するように(磁束密度が所定値以下の空間を介するように)形成されていてもよく、また、ターゲット間磁場空間と補助磁場空間とが一体的に(磁束密度が同一、若しくは連続的且つ所定値以上で変化するよう)形成されていてもよい。
また、前記補助磁場発生手段は、前記一対のターゲットを囲むようにその周縁に沿って配置される構成であってもよい。
かかる構成によれば、補助磁場発生手段が一対のターゲットの周縁に沿って配置されることで、ターゲット間磁場空間の外周に沿って筒状に補助磁場空間が形成される。即ち、一対のターゲットの各スパッタ面間を繋ぐように形成される柱状のターゲット間磁場空間の外周を、全周に亘って包むように補助磁場空間が形成される。
従って、閉じ込め磁場空間は、T−T線からの幅、即ち、T−T線からその端までの距離が全周に亘ってターゲット間磁場空間より補助磁場空間の分だけ大きくなる。そのため、プラズマの閉じ込め効果、及び二次電子等の荷電粒子の閉じ込め効果がより良好となる。
その結果、一対のターゲットの中心間距離を短くすることなく、成膜対象である基板へのプラズマの影響及びスパッタ面から飛来する二次電子等による影響を極めて小さくすることができ、低温・低ダメージ成膜が可能となる。
また、前記補助磁場発生手段は、ターゲット周縁部の磁場強度が該ターゲット中心部から離れるに従って強くなるように配設される構成であっても良い。
かかる構成によれば、ターゲット周縁部の磁場強度がT−T線から離れるに従って強くなるような磁場分布を得ることができる。
即ち、従来の各バッキングプレートの裏面側のみにマグネットを配置している対向ターゲット式スパッタ装置では、カソードに投入する投入電力を大きくしていくと、ターゲット間のプラズマが中央部に集中し、それに伴ってターゲットのエロージョンも中央部が大きくなる。この現象は、ターゲットが磁性体の場合に該ターゲットがヨークとなるため、ターゲットが非磁性体の場合に比べ、より顕著に現れる。しかし、上記構成によれば、閉じ込め磁場空間は、その外周側の磁場強度が高くなるような磁場分布となるように形成されていることから、ターゲットが磁性体であったとしても、カソードへの投入電力を大きくすることによるプラズマのターゲット間中央部への集中を緩和でき、エロージョンの大きさも中央部が特に大きくなることもなくなる。そのため、ターゲットが磁性体で構成されていたとしても、ターゲットの利用効率の低下を抑制でき、基板上に成膜される薄膜の膜厚分布も一様となる(均一化される)。
また、本発明に係る対向ターゲット式スパッタ方法は、間隔をおいて互いに対向すると共に、側方位置に配置される成膜対象となる基板に向くよう、互いに対向する面を傾斜させて配置される一対のターゲット間に一方のターゲットから他方のターゲットへ磁力線が向かうようなターゲット間磁場空間を発生させてスパッタリングし、該スパッタリングされたスパッタ粒子で前記基板上の成膜面に成膜する対向ターゲット式スパッタ方法において、前記ターゲット間磁場空間に沿って、且つ少なくとも前記ターゲットと前記基板との間を遮るような位置に、前記ターゲット間磁場空間における磁力線の方向と同方向に向かう磁力線を有するような補助磁場空間を発生させてスパッタリングすることを特徴とする。
かかる構成によれば、一対のターゲット間にターゲット間磁場空間を発生させると共に、該ターゲット間磁場空間に沿って、且つ少なくとも前記ターゲットと前記基板との間を遮るような位置に、前記ターゲット間磁場空間における磁力線の方向と同方向に向かう磁力線を有するような補助磁場空間を発生させてスパッタリングすることから、前記T−T線からの閉じ込め磁場空間の基板方向の幅がターゲット間磁場空間よりも補助磁場空間の分だけ大きくなる。そのため、前記同様に、該閉じ込め磁場空間からのプラズマ及び二次電子等の飛び出しを有効に防ぐことができる。
そのため、一対のターゲットの中心間距離を短くすることなく、基板にプラズマや二次電子等が到達するのを防ぐことができ、低温・低ダメージ成膜が可能となる。
また、前記補助磁場空間は、前記ターゲット間磁場空間の周囲を囲むよう、筒状に形成される構成でもよい。
かかる構成によれば、ターゲット間磁場空間が全周に亘って筒状に形成された補助磁場空間によって囲まれることから、前記同様、閉じ込め磁場空間は、T−T線からの幅、即ちT−T線からその端までの距離が全周に亘ってターゲット間磁場空間より補助磁場空間の分だけ大きくなり、プラズマの閉じ込め効果、及び二次電子等の荷電粒子の閉じ込め効果がより良好となる。
その結果、一対のターゲットの中心間距離を短くすることなく、成膜対象である基板へのプラズマの影響及びスパッタ面から飛来する二次電子等による影響を極めて小さくすることができ、低温・低ダメージ成膜が可能となる。
以上より、本発明によれば、対向ターゲット式スパッタ装置及びスパッタ方法において、一対のターゲットの中心間距離を短くすることなく、ターゲット間に形成されるプラズマ及び二次電子等の荷電粒子のターゲット間への閉じ込め効果を大きくすることで、低温・低ダメージ成膜が可能なスパッタ装置及びスパッタ方法を提供することができるようになる。
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、スパッタ装置1は、一対のターゲット10a,10bを先端部に配置するターゲットホルダー11a,11b、真空容器(チャンバー)2、スパッタ電力供給用電源3、基板ホルダー4、排気装置5、ガス供給装置6を備えている。
一対のターゲット10a,10bは、本実施形態においては、いずれもインジウム錫合金(ITO:Indium Tin Oxide)で構成されている。このターゲット10a,10bは、それぞれの大きさが幅125mm×長さ300mm×厚み5mmの矩形の板状体に形成されている。そして、このターゲット10a,10bは、真空容器2内に対向配置され、対向面(スパッタされる面)10a’,10b’が所定の間隔(ここでは、対向面10a’,10b’の中心Ta,Tb間、図中d=160mmの間隔)を有して配置されている。ターゲットホルダー11a,11bは、バッキングプレート12a,12bを介して、それぞれターゲット10a,10bを支持、固定するもので、真空容器2内部にその先端側が位置するよう、絶縁板(図示省略)を介して該真空容器2に取り付けられている。
一対のターゲット10a,10bは、ターゲットホルダー11a,11bによって、真空容器2内で、両対向面10a’,10b’がいずれも基板ホルダー4で固定されている基板Bの被成膜面B’に向くように傾斜して配置されている。具体的には、両対向面10a’,10b’のなす角度A、より詳細に言えば、両対向面10a’,10b’に沿う方向に伸びる面のなす角度Aが0°よりも大きく且つ90°以下である。かかる角度Aは、0°よりも大きく且つ30°以下がより好ましく、本実施形態においては、5°である。このように、両対向面10a’,10b’が略V字状になる配置のターゲット10a’,10b’を「V型対向ターゲット」と呼ぶことにする。
ターゲット10a,10bを固定しているバッキングプレート12a,12bの外側面(ターゲット10a,10bが固定されている面と反対側の面)には、ターゲット間磁場発生手段20a,20bが配置されている。ターゲット間磁場発生手段は、ターゲット10a,10b間に磁場空間(ターゲット間磁場空間)を発生させる(形成する)ための手段であり、本実施形態においては、永久磁石で構成されている。
ターゲット間磁場発生手段(永久磁石)20a,20bは、ネオジウム系(例えば、ネオジウム、鉄、ボロン)磁石やアルニコ系磁石等の強磁性体で構成されており、本実施形態においては、ネオジウム系磁石で構成されている。また、図2にも示すように、ターゲット間磁場発生手段20a,20bは、角筒状に形成されている。より詳細には、ターゲット間磁場発生手段20a,20bは、正面視矩形の枠状に形成され、前後方向に沿った周壁の厚みが一定(図2(ロ)及び(ハ)参照)となるような角筒状に形成されている。そして、ターゲット間磁場発生手段20a,20bを構成する周壁の厚みは、天壁21が一番薄く、次いで側壁22,22が薄く、底壁23が最も厚くなるように形成されている。
この周壁の厚みは、各ターゲット10a,10bの中心Ta,Tbを結ぶ線(以下、単に「T−T線」と言うことがある。)とその中間点で直交する仮想面における磁場強度が一定となるよう、その厚みが設定されている。従って、両対向面10a’,10b’のなす角Aによって、厚みの差が変化する。そのため、前記なす角Aが大きくなる場合には、側壁22,22の厚みが天壁21から底壁23に向かって徐々に厚くなるように設定される場合もある(図2(イ)の点線参照)。
そして、ターゲット間磁場発生手段20a,20bは、バッキングプレート12a,12bの外側面に、最も厚い底壁23が基板ホルダー4側へ、最も薄い天壁21が基板ホルダー4と反対側となるように配置されている。さらに言えば、一方のターゲット間磁場発生手段20aは、対向面10a’に対して垂直な方向に磁場を発生させるために一方のターゲット10aの外側面に対してN極が対向するように配置されており、他方のターゲット間磁場発生手段20bは、対向面10b’に対して垂直な方向に磁場を発生させるために他方のターゲット10bの外側面に対してS極が対向するように配置されている。このようにして、ターゲット10a,10bの対向面10a’,10b’間に、磁力線が対向面10a’から対向面10b’へ向かうターゲット間磁場空間が形成される。
補助磁場発生手段30a,30bは、ターゲット間磁場発生手段20a,20bと同様に永久磁石で形成されており、図3にも示すように、ターゲットホルダー11a,11bの外周に沿うような(外嵌可能な)角筒状に形成されている。補助磁場発生手段30a,30bもターゲット間磁場発生手段20a,20bと同様に、補助磁場発生手段30a,30bを構成する周壁の厚みは、天壁31が一番薄く、次いで側壁32,32が薄く、底壁33が最も厚くなるように形成されている。また、ターゲット間磁場発生手段20a,20bと同様に、両対向面10a’,10b’のなす角Aが大きくなる場合には、側壁32,32の厚みは、天壁31から底壁33に向かって徐々に厚くなるように設定される場合もある(図3(イ)の点線参照)。
そして、補助磁場発生手段30a,30bは、磁極がターゲット間磁場発生手段20a,20bと同じ向きで、ターゲットホルダー11a,11bの先端側外周に外嵌するように配置されている(図3(ロ)参照)。このように配置することで、前記ターゲット間磁場発生手段20a,20bが形成するターゲット間磁場空間に沿うと共に、磁力線の向きが前記ターゲット間磁場空間における磁力線と同方向となるような補助磁場空間が形成される。
スパッタ電力供給用電源3は、DCの定電力を印加可能な電源であり、接地電位(アース電位)にある真空容器2を陽極とし、ターゲット10a,10bを陰極としてスパッタ電力を供給するものである。
基板ホルダー4は、基板Bを支持すると共に基板Bの被成膜面B’がターゲット10a,10bにより両対向面10a’,10b’間に形成される空間Kに向くように配置される。尚、ターゲット10a,10bの両対向面10a’,10b’の中心Ta,Tbを結ぶ直線(T−T線)と被成膜面B’との最短距離は、本実施形態においては、図中e=175mmとしている。
真空容器2には、排気装置5が接続されると共に、放電用ガスのガス供給装置6が接続されている。ガス供給装置6は、ターゲット10a,10bの近傍にそれぞれ配置される不活性ガス(本実施形態においては、アルゴン(Ar)ガス)を供給するための不活性ガス導入パイプ6’,6’を含んでいる。
本実施形態に係るスパッタ装置は、以上の構成からなり、次に、スパッタ装置の動作について説明する。
基板Bの被成膜面B’への薄膜形成にあたり、まず、排気装置5により真空容器(チャンバー)2内を排気する。その後、ガス供給装置6により不活性ガス導入パイプ6’,6’からアルゴンガス(Ar)を導入して所定のスパッタ操作圧力(ここでは、0.13Pa)とする。
そして、スパッタ電力供給用電源3にて基板ホルダー4とターゲット10a,10bとの間にスパッタ電力を供給する。ターゲット間磁場発生手段20a,20b及び補助磁場発生手段30a,30bにより該ターゲット10a,10bの対向面10a’,10b’間に形成される空間Kに磁場が形成されている。
すると、空間K内には、ターゲット10a,10bの対向面10a’,10b’がスパッタされてスパッタ粒子、二次電子及びアルゴンガスイオン等が飛散したプラズマが形成され、空間K内にプラズマが閉じ込められる。
こうして、ターゲット10a,10bから飛びだしたスパッタ粒子を、前記空間Kに被成膜面B’が向くように配置されている基板Bに付着させて薄膜が形成される。
その際、補助磁場発生手段30a,30aは、磁極がターゲット間磁場発生手段20a,20bと同じ向きでターゲットホルダー11a,11bの先端側外周に外嵌するように配置されていることから、ターゲット間磁場発生手段20a,20bが形成するターゲット間磁場空間に沿うと共に、磁力線の向きが前記ターゲット間磁場空間における磁力線と同方向となるような補助磁場空間が形成される。
そのため、一対のターゲット10a,10bにおける対向するスパッタ面(対向面)10a’,10b’の各中心Ta,Tbを互いに結ぶ線(T−T線)から基板側に形成される磁束密度の大きい空間(後述する閉じ込め磁場空間)の端までの距離(閉じ込め磁場空間の幅)が大きくなり、プラズマがターゲット間磁場空間とその外側に形成されている補助磁場空間とで構成される磁場空間(以下、単に「閉じ込め磁場空間」と言うことがる。)からはみ出すことなく該閉じ込め磁場空間内に閉じ込められる。このように、閉じ込め磁場空間内にプラズマが閉じ込められることで、該プラズマによる基板への影響を減少させることができる。
さらに、前記ターゲット間磁場空間から基板側に飛び出してくる二次電子等の荷電粒子も前記閉じ込め磁場空間の幅がターゲット間磁場空間よりも補助磁場空間の分だけ大きくなることから、外へ飛び出そうとする荷電粒子の磁場空間(閉じ込め磁場空間)内での移動距離が大きくなる。そのため、該閉じ込め磁場空間内への荷電粒子の閉じ込め効果が大きくなる。換言すると、閉じ込め磁場空間内からの基板B側への荷電粒子の飛び出しが減少する。
また、前記補助磁場発生手段30a,30bが前記一対のターゲット10a,10bを囲むようにその周縁に沿って配置されていることから、一対のターゲット10a,10bの各スパッタ面10a’,10b’間を繋ぐように形成される柱状のターゲット間磁場空間の外周を、全周に亘って包むように補助磁場空間が形成される。
そのため、閉じ込め磁場空間のT−T線からの幅、即ち、T−T線からその端までの距離が全周に亘ってターゲット間磁場空間より補助磁場空間の分だけ大きくなるため、プラズマの閉じ込め効果、及び二次電子等の荷電粒子の閉じ込め効果がより良好となる。
その結果、成膜対象である基板Bは、プラズマの影響及びスパッタ面10a,10bから飛来する二次電子等による影響を極めて小さくすることができ、低温・低ダメージ成膜が可能となる。
また、補助磁場発生手段30a,30bは、ターゲット10a,10b周縁部の磁場強度が該ターゲット中心部から離れるに従って強くなるように配設(設定)されていることから、ターゲット10a,10bの各周縁部の磁場強度がT−T線から離れるに従って強くなるような磁場分布を得ることができる。
そのため、ターゲット10a,10bが磁性体であったとしても、カソードへの投入電力を大きくすることによるプラズマのターゲット10a,10b間中央部への集中を緩和でき、エロージョンの大きさも中央部が特に大きくなることもなくなる。従って、ターゲット10a,10bが磁性体で構成されていたとしても、ターゲットの利用効率の低下を抑制でき、基板B(被成膜面B’)上に成膜される薄膜の膜厚分布も一様となる(均一化される)。尚、本実施形態において、補助磁場発生手段30a,30bが形成する補助磁場の該補助磁場発生手段30a,30b間中央での磁場強度は、250ガウス以上である。
さらに、補助磁場発生手段30a,30bは、厚みの大きい底壁33,33が一対のターゲット10a,10bにおける互いに対向する面同士の距離が大きくなる側(基板B側)となるよう、配置されていることから、補助磁場発生手段30a,30b近傍における磁場強度は、一対のターゲット10a,10bにおける互いに対向する面同士の距離が大きくなるに従って強くなる。
これは、一対のターゲット10a,10bの周縁に沿って配置されている補助磁場発生手段30a,30b近傍における磁場強度が全て同じ磁場強度であれば、一対のターゲット10a,10bの互いに対向する面(スパッタ面)10a’,10b’が前記基板Bの成膜面B’に向くように傾斜させてそれぞれ配置されていることから、一方のターゲット10aから他方のターゲット10bまでの中間点の磁場強度は、対向する面同士の距離が大きくなるに従って小さくなる。そのため、この磁場強度が弱くなった部分(基板B側)からプラズマや二次電子等が飛び出してしまう。
しかし、上記構成によれば、前記対向する面同士の距離が大きくなるに従って補助磁場発生手段30a,30b近傍における磁場強度が強くなるように設定されていることから、前記中間点における磁場強度は、常に一定の磁場強度を得ることができる。
従って、V型対向ターゲットであっても、対向面10a’,10b’の距離が大きくなったところからプラズマや二次電子等が飛び出すことを抑制でき、ターゲット間のプラズマ及び二次電子等の閉じ込め効果が良好となり、低温・低ダメージ成膜が可能となる。
また、ターゲット間磁場発生手段20a,20b近傍における磁場強度も、前記一対のターゲットにおける互いに対向する面同士の距離が大きくなるに従って、強くなるように設定されている。
かかる構成によれば、前記補助磁場発生手段30a,30bと同様、前記対向する面同士の距離が大きくなるに従ってターゲット間磁場発生手段20a,20b近傍における磁場強度が強く設定されていることから、一方のターゲット10aから他方のターゲット10bまでの中間点における磁場強度は、常に一定の磁場強度を得ることができる。
従って、対向面が傾斜して配置されることで基板側のスパッタ面10a’,10b’間の距離が大きくなり、かかるターゲット10a,10b間の距離が大きくなったところからプラズマや二次電子等が飛び出すことを抑制できるようになる。
具体的には、ターゲット間磁場発生手段20a,20bは、厚みの大きい底壁23,23が一対のターゲット10a,10bにおける互いに対向する面同士の距離が大きくなる側(基板B側)となるよう、配置される。
尚、補助磁場発生手段30a,30bは、アース電位、マイナス電位、プラス電位、フローティング(電気的に絶縁状態)の何れかに設定されていてもよく、或いは、アース電位とマイナス電位、またはアース電位とプラス電位を時間的に交互に切り替えるように設定されていてもよい。
補助磁場発生手段30a,30bの電位を上記の何れかに設定することで、補助磁場発生手段30a,30bを備えていないV型対向ターゲット式スパッタ装置(従来のスパッタ装置)よりも放電電圧の低電圧化が実現できる。これは、ターゲット10a,10bの材質がITOで、大きさが125×300×5mm、T−T間距離が160mmで、印加方式がDC(定電流)とし、パラメータを磁場配置、補助磁場発生手段の電圧とした場合の放電特性を測定した結果を示す図4からも裏付けられる。即ち、補助磁場発生手段30a,30bの電位がアース電位である場合(図4の(1)と(2)参照)、スパッタ圧力0.13Paの時、電流2Aで約40V、電流3Aで約30V、電流4Aで約30Vずつ放電電圧が低下している。また、補助磁場発生手段30a,30bの電位がマイナスの場合(図4の(1)と(3)参照)は、アース電位の場合より、放電電圧が高くなっているが、従来のスパッタ装置よりは、放電電圧は低下している。また、補助磁場発生手段30a,30bの電位がプラス電位の場合(図4の(1)と(4)参照)は、アース電位の場合よりも、さらに放電電圧が低下し、電流2Aで約70V、電流3Aで約65V、電流4Aで約60Vずつ従来のスパッタ装置よりも放電電圧が低下している。以上のように放電電圧を低下させることで、スパッタ粒子の運動エネルギーを小さくして、成膜時の膜ダメージの低減を実現することができる。
以下に、本実施形態に係るスパッタ装置1を用い、各種条件を変更して基板上にITO膜を成膜する場合の各種測定結果を示す。
まず、第一に、V型対向ターゲット(A=5°)、ターゲットの材質はITOで、大きさは125×300×5mm、T−T間距離は160mm、内磁場用マグネット(ターゲット間磁場発生手段)間距離(M−M)を190mm、外磁場用マグネット(補助磁場発生手段)間距離(M−M)を139mm、磁場配置は内磁場(ターゲット間磁場)がt10で外磁場(補助磁場)がt12とし、パラメータを磁場配置及び強さとした場合に測定した両ターゲット間中央(センタ)での磁場分布を図5(ターゲットの短辺方向に沿った磁場分布)、図6(ターゲットの長辺方向に沿った磁場分布)、図7(ターゲットの長辺側から見た磁場分布)及び図8(ターゲットの短辺側から見た磁場分布)に示す。
図5乃至図8から、ターゲット間は、その中心部から外側にいくに従って磁場強度が高くなる磁場分布であることがわかる。
第二に、V型対向ターゲット(A=5°)、ターゲットの材質はITOで、大きさは125×300×5mm、磁場配置は内磁場(ターゲット間磁場)がt10で外磁場(補助磁場)がt12、印加方式はDC(定電流)又はDCにRFを重畳、T−T間距離(d)は160mmとし、パラメータをRF電力とする。また、放電条件は、スパッタ圧0.13Pa、Arが50sccm、O2が0sccm、シャッタは開の場合の放電特性を測定して得られた結果を図9に示す。
図9からは、外磁場(補助磁場)なしの従来からのスパッタ装置における放電特性(図9(1)参照)より、外磁場ありの本発明に係るスパッタ装置における放電特性が低電位放電となることが分かる。従って、外磁場を備えたスパッタ装置では、スパッタ粒子の運動エネルギーを小さくして、成膜時の膜ダメージの低減を実現することができることが分かる。
また、印加方式としてDC(定電流)にRFを重畳することで、放電特性が0Vからスムーズに立ち上がることとなり、低電圧放電が可能となることも分かる。
第三に、従来からのスパッタ装置として、V型対向ターゲット、ターゲットの材質はITO、内磁場がt10、印加方式はDC(1.74kw、344V、5A)で、放電条件は、スパッタ圧0.13Pa、Ar50sccmとし、補助磁場発生手段を備えたスパッタ装置として、V型対向ターゲット、ターゲットの材質はITO、内磁場がt10、外磁場がt12、印加方式はDC(1.58kw、394V、4A)で、放電条件は、スパッタ圧0.13Pa、Ar50sccmとして放電を行い、その場合のターゲット間のプラズマの閉じ込め状況を撮影した写真を図10に示す。尚、図10(イ)が従来からのスパッタ装置の写真を示し、図10(ロ)が補助磁場発生手段を備えたスパッタ装置の写真を示す。
図10からは、従来からのスパッタ装置に比べ、補助磁場発生手段を備えたスパッタ装置の方がプラズマ(中央の明るい(白い)部分)の閉じ込め状況が改善しているのが分かる。
以上より、ターゲット間磁場(内磁場)空間に沿うような位置に補助磁場(外磁場)空間を発生させる補助磁場発生手段が、一対のターゲットの周辺に配置されることで、ターゲット間隔を狭くすることなく、ターゲット中央部の磁場強度を大きくすることができ、さらに、T−T線に沿った中心部よりも周辺側(T−Tを軸芯として径方向外側)に向かって磁場強度が大きくなる磁場分布を得ることができる。その結果、一対のターゲット間へのプラズマの閉じ込め効果、及び二次電子等の荷電粒子の閉じ込め効果がより良好となり、一対のターゲットの中心間距離を短くすることなく、低温・低ダメージ成膜が可能となる。
また、本発明に係る補助磁場発生手段(外磁場用マグネット)を備えたV型対向ターゲットのスパッタ装置(実施例2乃至4)でITO膜を作製し、従来の補助磁場発生手段を備えていないV型対向ターゲットのスパッタ装置(比較例1及び2)で作製したITO膜と比較して膜特性と基板温度とを比較し、その結果、得られた測定結果及び測定条件を表1に示す。尚、表1の成膜条件における公転状態とは、後述する公転軌道(図14に参照)に沿って移動する基板の状態を示す。
Figure 2008115446
表1に示すように、本発明に係るV型対向ターゲットのスパッタ装置と従来のV型対向ターゲットのスパッタ装置とを比較すると、成膜時間が30分の場合(実施例3と比較例2)で約5℃、成膜時間が45分の場合(実施例2と比較例1)で約10℃、低くなった。また、ITO膜の主要特性である比抵抗の最良値は、実施例4の条件で4.5×10-4Ω・cmであるのに対し、従来のV型対向ターゲットのスパッタ装置での最良値は、5.0×10-4Ω・cmであることから、約10%の特性改善が見られた。
以上のように、従来のV型対向ターゲット(外磁場なし)のスパッタ装置と比較して、本発明に係るV型対向ターゲット(外磁場あり)のスパッタ装置は、低温・低ダメージ成膜が可能となることが確認できた。
尚、本発明のスパッタ装置及びスパッタ方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
本実施形態においては、ターゲット周縁部の磁場強度がT−T線から離れるに従って強くなるような磁場分布を得るための補助磁場発生手段として、図3に示すように、天壁31が一番薄く、次いで側壁32,32が薄く、底壁33が最も厚くなるような角筒状に形成され、磁極がターゲット間磁場発生手段20a,20bと同じ向きとなり、底壁33が基板B側となるよう、ターゲットホルダー11a,11bの先端側外周に外嵌するように配置されている。しかし、補助磁場発生手段の配置は、前記配置に限定される必要はなく、例えば、図11に示すスパッタ装置1’のように、角筒状の補助磁場発生手段30a’,30b’は、ターゲットホルダー11a,11b内部のターゲット間磁場発生手段20a,20b外側に、最も厚い底壁33’が基板B側となるよう、外嵌させてもよい。また、図12に示すスパッタ装置1’’ように、角筒状の補助磁場発生手段30a’’,30b’’は、ターゲットホルダー11a,11bの外周に沿う必要はなく、基板Bの被成膜面B’と平行となるよう、設置してもよい。尚、この場合、補助磁場発生手段30a’’,30b’’間の距離M’−M’は、ターゲット10a,10bの中心間距離dと同一若しくは、狭くてもよい。狭い場合には、基板Bの成膜面積が小さくなるため、基板ホルダー4は、基板Bが被成膜面B’に沿って(矢印α又はα’方向に)搬送されつつスパッタリングされる構成が好ましい。
また、補助磁場発生手段は、角筒状に限定される必要もなく、図13に示すような、最も薄い天壁31’と、次に薄い側壁32’,32’と、最も厚い底壁33’とが正面視中央に形成される矩形の開口Hの外周に沿って配置され、それぞれ角部が互いに連接された形状であってもよい。このような形状であっても、V型に傾斜させたターゲットホルダー11a,11bに、底壁33’が基板B側となるように外嵌することで、基板Bと反対側のターゲット間と基板B側のターゲット間の距離が異なっていても、T−T線の中間で直交する仮想面上の磁場強度が同じになる。
また、補助磁場発生手段は、角筒状に限定される必要もなく、ターゲットの形状に合わせて、円筒状や多角形の筒状等であってもよい。また、ターゲットの形状に沿った筒状である必要もなく、ターゲットを囲むように補助磁場が形成されるように配設できればターゲットの輪郭形状と異なる形状であってもよい。
また、本実施形態においては、ターゲット10a,10bに印加される電力はDCの定電流であるが、これに限定される必要はなく、実施例1に示すように、RF電源のみでもよく、DCにRFを重畳してもよい。
また、本実施形態においては、基板Bは、固定されているがこれに限定される必要はない。即ち、基板Bの被成膜面B’の成膜面積がスパッタ装置の成膜可能な面積範囲より大きい場合や成膜された膜の膜厚分布を均一化するため、図14(イ)に示すように、被成膜面B’がT−T選に沿って移動(矢印β)するように配置されてもよく、また、図14(ロ)に示すように、被成膜面B’がT−T線中央と直交する中央線C上の所定位置に設定された公転中心cを中心にし、且つ被成膜面B’がT−T線に向って平行となった際、被成膜面B’の中心とT−T線の中間との距離が最短距離eとなるような公転軌道に沿って移動(矢印γ)するように配置されてもよい。また、前記被成膜面B’の移動方向(矢印β及びγ)は、一方向に移動してもよく、往復動(若しくは揺動)してもよい。
本実施形態に係るスパッタ装置の概略構成図を示す。 同実施形態に係るスパッタ装置におけるターゲット間磁場発生手段の(イ)は正面図を示し、(ロ)はA−A断面図を示し、(ハ)はB−B断面図を示す。 同実施形態に係るスパッタ装置における補助磁場発生手段の(イ)は正面図を示し、(ロ)は、取り付け状態の部分拡大図を示す。 補助磁場発生手段を備えたV型対向ターゲット式スパッタ装置で、補助磁場発生手段の電位を変化させて測定した放電特性図を示す。 V型対向ターゲット式スパッタ装置で、補助磁場発生手段の有無による磁場の変化を測定した磁場分布図(短辺に沿った方向)を示す。 V型対向ターゲット式スパッタ装置で、補助磁場発生手段の有無による磁場の変化を測定した磁場分布図(長辺に沿った方向)を示す。 補助磁場発生手段を備えたV型対向ターゲット式スパッタ装置のターゲット間中央(センタ)における、ターゲットの長辺側から見た磁場分布を示す。 補助磁場発生手段を備えたV型対向ターゲット式スパッタ装置のターゲット間中央(センタ)における、ターゲットの短辺側から見た磁場分布を示す。 補助磁場発生手段を備えたV型対向ターゲット式スパッタ装置の基板ホルダーとターゲットとの間に印加するDC電力に重畳するRF電力を変化させて測定した放電特性図を示す。 (イ)は、従来の補助磁場発生手段を備えないV型対向ターゲット式スパッタ装置におけるターゲット間のプラズマの閉じ込め状況を示し、(ロ)は、補助磁場発生手段を備えたV型対向ターゲット式スパッタ装置におけるターゲット間のプラズマの閉じ込め状況を示す。 ターゲットホルダー内に補助磁場発生手段を備えた他実施形態に係るスパッタ装置の概略構成図を示す。 基板の被成膜面に沿った方向に配置される補助磁場発生手段を備えた他実施形態に係るスパッタ装置の概略構成図を示す。 他実施形態に係るスパッタ装置における補助磁場発生手段の正面図を示す。 (イ)は、被成膜面がT−T線に沿って移動するスパッタ装置の概略構成図を示し、(ロ)は、被成膜面が公転軌道に沿って移動するスパッタ装置の概略構成図を示す。 従来の対向ターゲット式スパッタ装置の概略構成図を示す。
符号の説明
1…スパッタ装置、2…真空容器(チャンバー)、3…スパッタ電力供給用電源、4…基板ホルダー、5…排気装置、6…ガス供給装置、6’…不活性ガス導入パイプ、10a,10b…ターゲット、10a’,10b’…スパッタ面(対向面)、11a,11b…ターゲットホルダー、12a,12b…バッキングプレート、20a,20b…ターゲット間磁場発生手段(永久磁石)、21,31,31’…天壁、22,32,32’…側壁、23,33,33’…底壁、30a,30b…補助磁場発生手段(永久磁石)、B…基板、B’…被成膜面、d…ターゲットの中心間距離、Ta,Tb…ターゲットの中心

Claims (5)

  1. 間隔をおいて互いに対向するように配置される一対のターゲットと、該一対のターゲット間にターゲット間磁場空間を発生させるために設けられるターゲット間磁場発生手段と、一対のターゲット間の側方位置に配置される成膜対象となる基板とを備え、前記一対のターゲットは、互いに対向する面が前記基板の成膜面に向くように傾斜させてそれぞれ配置され、前記ターゲット間磁場発生手段は、ターゲット間磁場空間における磁力線が一方のターゲットから他方のターゲットへ向かうように極性が設定されている対向ターゲット式スパッタ装置において、
    前記ターゲット間磁場空間に沿うような位置に補助磁場空間を発生させる補助磁場発生手段をさらに備え、該補助磁場発生手段は、補助磁場空間における磁力線が前記ターゲット間磁場発生空間における磁力線と同方向に向かうように極性が設定されると共に、少なくとも前記ターゲット間磁場空間と前記基板との間を遮るような位置に前記補助磁場空間を発生させるように前記一対のターゲットの周辺に配置されることを特徴とする対向ターゲット式スパッタ装置。
  2. 前記補助磁場発生手段は、前記一対のターゲットを囲むようにその周縁に沿って配置されることを特徴とする請求項1に記載の対向ターゲット式スパッタ装置。
  3. 前記補助磁場発生手段は、ターゲット周縁部の磁場強度が該ターゲット中心部から離れるに従って強くなるように配設されることを特徴とする請求項2に記載の対向ターゲット式スパッタ装置。
  4. 間隔をおいて互いに対向すると共に、側方位置に配置される成膜対象となる基板に向くよう、互いに対向する面を傾斜させて配置される一対のターゲット間に一方のターゲットから他方のターゲットへ磁力線が向かうようなターゲット間磁場空間を発生させてスパッタリングし、該スパッタリングされたスパッタ粒子で前記基板上の成膜面に成膜する対向ターゲット式スパッタ方法において、
    前記ターゲット間磁場空間に沿って、且つ少なくとも前記ターゲットと前記基板との間を遮るような位置に、前記ターゲット間磁場空間における磁力線の方向と同方向に向かう磁力線を有するような補助磁場空間を発生させてスパッタリングすることを特徴とする対向ターゲット式スパッタ方法。
  5. 前記補助磁場空間は、前記ターゲット間磁場空間の周囲を囲むよう、筒状に形成されることを特徴とする請求項4に記載の対向ターゲット式スパッタ方法。
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