JP4071861B2 - 薄膜形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶ディスプレイなどの製造に使用される大面積の基板に対応した薄膜形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶などのディスプレイ分野を中心に大面積基板への薄膜形成技術が重要となっている。なかでも、スパッタ法はメタル配線膜や絶縁膜の形成に広く用いられている薄膜形成技術であり、マグネトロンスパッタ法と呼ばれるものがその主流となっている。マグネトロンスパッタ法は、薄膜ハンドブック(日本学術振興会薄膜第131委員会編)P.187に示されているように、ターゲットの他方の面に磁気回路ユニットを設けることで、ターゲット上に強いプラズマ放電を発生させ、ターゲット材料を膜として一方の面と対向する基板上に形成するものである。
【0003】
また、磁気回路ユニットには、多くの場合、永久磁石が用いられており、例えば、特開平8−3740号公報に開示されているように、平板状で矩形のヨーク板上の中央部と周縁部に、永久磁石がリング状に配置される。この磁気回路ユニットの構成を図11に示す。永久磁石がリング状に配置された磁気回路ユニットは、ターゲット上にレーストラック状のプラズマ、いわゆるプラズマリングを発生させることができる。このプラズマリングはターゲット上における磁場の垂直成分が零になる領域を中心に発生し、その密度はその領域における磁場強度と大きな正の相関を持っている。すなわち、その部分での磁場強度が強ければ強いほどプラズマ密度が強くなり、エロージョンの進行が加速されることになる。
【0004】
図11において、磁気回路ユニットの周縁部に配置された磁石の長手方向となる部分には、磁場を強化するために一定の長さの別の磁石(強化用の補助磁石)が貼り付けられている。また、中央部に配置された磁石の一部にも、周縁部磁石のものと同じ長さの別の磁石が貼り付けられて構成されている。これによって、ターゲットに対する磁気回路ユニットの長手方向となる直線部において、その磁場分布を変えることなく、磁場強度だけを強くすることができる。この結果、プラズマリングの直線部でのエロージョンの進行速度が加速される。これまで、プラズマリングの端部におけるエロージョンの侵食が速かったものが、直線部と大差がなくなるとともに、基板に形成される膜の膜厚分布が良くなるというものであった。
【0005】
図12にこれらの磁気回路ユニットを用いたマグネトロンスパッタ法の薄膜形成装置を示す。通常、前記したような機能を有する磁気回路ユニット1をターゲット2の他方の面に配置し、磁気回路ユニット1をその短手方向と同方向にスライドさせながら成膜する。すなわち、プラズマリング3をターゲット2上で移動させることにより基板(ガラス基板5)全面にわたって成膜するというものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構成の薄膜形成装置は以下に述べるような課題があった。ターゲット材料の利用効率や基板への付着効果を高めるためには、ターゲットからのスパッタ作用による粒子ができるだけ有効に基板へ付着するように、ターゲット・基板間距離(以下、TS距離という)を近接させることが必要不可欠である。しかるに、従来の磁気回路ユニットおよび従来の薄膜形成層装置の構成では、これを実施しようとするとき、プラズマリングの端部とマスク部材との間にプラズマ集中が起こり、均一で安定な放電を形成、あるいは持続させることができないという課題がある。また、このプラズマ集中により、この部分でのターゲット材料の蒸発が加速され、基板上の膜厚分布は、基板端部で膜厚が厚く、基板中央部で薄くなり、結果として均一性が悪化する。さらに、この部分でのターゲット侵食が加速されるために、ターゲット寿命が短くなる。すなわち、狭いTS距離におけるスパッタリングでは、従来技術に述べたような、プラズマリングの端部と直線部でターゲットの蒸発率に差異がないという機能が充分果たされていないという課題がある。
【0007】
基板周辺と近接したマスク部材は通常、金属性でありアース電位に接地されている。このため、マスク部材をターゲットに近づけるということは、陽極を陰極に近づける、すなわち、電極間隔を極端に短縮することになる。一方、ガラス基板は絶縁体であるため、この領域では放電しにくい。すなわち、プラズマリングの中の電子は絶縁体のガラス基板を避け、アース電位のマスク部材に流入し、プラズマ集中を引き起こすことになる。また、プラズマリングの端部のプラズマ密度が高くなることにより、これに引きずられてガラス基板上のプラズマの分布も影響を受ける。つまり、ガラス基板上のプラズマ密度も周辺部と中央部で密度勾配が生じることとなる。この結果、膜の膜厚分布はプラズマリング端部周辺の膜厚が増大し、中央部の膜厚が減少してしまい膜厚分布は悪化するのである。また、ターゲットの侵食も端部の極端な侵食とともに、端部から中央部にかけて、ほぼ比例的にターゲットの侵食が浅くなってしまう。図13に従来のターゲットの断面形状の侵食状態を示す。このことから、膜の膜厚分布が悪化するとともにエロージョンが均一にはならずターゲット利用効率および寿命が低下する。したがって、従来の磁気回路ユニットおよび薄膜形成装置の構成では、狭いTS距離における均一な成膜とターゲットの長寿命化を実現することが困難であるという問題があった。
【0008】
本発明は、前記従来技術の問題を解決することに指向するものであり、均一の成膜と材料利用効率あるいは膜の付着効率向上を図り、材料コスト低減や生産性向上を実現する薄膜形成装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明に係る薄膜形成装置は、基板周囲に配置されてアース電位に接地されたマスク部材と、一方の面がマスク部材に対向して配置されるターゲットと、ターゲットの他方の面に配置される、矩形のヨーク板、ヨーク板中央に配置された長方形の中央部磁石、ヨーク板周縁にリング状の長方形に配置された周縁部磁石から成る磁気回路ユニットとを有する薄膜形成装置であって、マスク部材において、磁気回路ユニットによりターゲット上に形成されて垂直成分が零となる位置を中心に長円形の軌跡となる磁場の長軸方向の両端部と対向するマスク部材の一部領域が、アース電位から絶縁されたことを特徴とする。
【0010】
また、マスク部材のアース電位から絶縁される一部領域は、磁気回路ユニットによりターゲット上に形成される磁場の垂直成分が零となる位置を中心に長円形の軌跡となる長軸方向の長さと、長軸方向と平行になる基板一辺の長さとの差の半分より大きい幅であり、マスク部材の基板と隣接する内側から外側へ向う領域の幅であることを特徴とする。
【0011】
また、磁気回路ユニットによりターゲット上に形成される磁場は、その垂直成分が零になる位置を中心に長円形となる軌跡において、マスク部材のアース電位から絶縁された一部領域と対向する軌跡の長軸方向における両端部の値より、軌跡の長軸方向における中央部の値が大きいことを特徴とする。
【0012】
また、磁気回路ユニットは、ターゲット上に形成される磁場の垂直成分が零となる位置を中心に長円形になる軌跡において、磁場が前記マスク部材のアース電位から絶縁された一部領域と対向する軌跡の長軸方向における両端部の値より、軌跡の長軸方向の中央部へ向かうにつれて比例的に増加し、中央部が最大の値となるように構成したものである。
【0013】
前記構成によれば、アース電位に接地されたマスク部材のうち、磁気回路ユニットにより形成される磁場の軌跡による長軸方向の両端部と対向するマスク部材の一部領域をアース電位から絶縁、すなわちフローティング領域としたものである。つまり、マスク部材のフローティング領域により電子の流入ができずにプラズマの発生が抑制される。したがって、プラズマの集中が抑えられるとともに、同じ電解分布を有する基板直上のプラズマ密度が均一になり、膜厚分布やターゲット侵食も均一にできる。
【0014】
また、ターゲット上に形成される磁場の軌跡における長軸方向の幅と、長軸方向と平行になる基板一辺の長さとの差の半分より大きい幅を、マスク部材の絶縁される一部領域の内側から外側へ向う領域として、磁場によるプラズマリングが対向するマスク部材の部分を基板と同じフローティング状態にすることで、プラズマ密度が均一になり、膜厚分布やターゲット侵食も均一にできる。
【0015】
また、マスク部材のアースから絶縁された一部領域、すなわちフローティング領域をターゲット面上へ投影した領域内で磁場の軌跡における長軸方向の両端部の値より、中央部の値を大きくすることでプラズマリングと対向するアース部分およびフローティング部分のうち、アース部分との対向部は磁場を弱く、フローティング部分との対向部は磁場を強くすることによって、プラズマ密度を均一にでき、膜厚分布やターゲット侵食も均一にできる。
【0016】
また、磁場の軌跡の長軸方向における両端部の値より、軌跡の長軸方向の中央部へ向かうにつれて比例的に増加し、中央部が最大の値となるように構成して、前記と同様にフローティング領域に対向している部分においてプラズマが均一になり、膜厚分布やターゲット侵食を均一にできる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明における実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における薄膜形成装置の概略構成を示す断面図である。ここで、前記従来例を示す図12において説明した構成部材に対応し実質的に同等の機能を有するものには同一の符号を付してこれを示す。図1において、1は磁気回路ユニット、2はターゲット、3はプラズマリング、4はマスク部材、4aはマスク部材4に設けられるアース電位から絶縁した一部領域であるフローティング領域、5はガラス基板、6は真空槽である。図1は磁気回路ユニット1の長手方向に平行な面で切った断面を示しており、また、図2は磁気回路ユニット,ターゲット,マスク部材及びガラス基板の概略配置の関係を示す斜視図である。
【0018】
これらの図に示すように、ガラス基板5の端部に隣接するマスク部材4のうち、磁気回路ユニット1の長手方向の両端部となる部分に対向する領域を一定の幅Xだけアース電位から絶縁し、フローティング領域4aとしたものである。ガラス基板5およびマスク部材4の上方には、それに一方の面を対向させて長方形のターゲット2が配置される。さらにターゲット2の他方の面には5つの磁気回路ユニット1が配置されている。
【0019】
また、図3は磁気回路ユニットの詳細な構成を示す斜視図である。図3に示すように、磁気回路ユニット1は、外側磁石1a,内側磁石1b,ヨーク板1cから構成され、外側磁石1aと内側磁石1bの表面は互いに極性が異なるように配置されている。この磁気回路ユニット1の磁石面側をターゲット2(図2参照)に近接させて配置し、外側磁石1a,内側磁石1b間の漏れ磁束をターゲット2の直上に発生させる。これらの磁気回路ユニット1は、ボールネジを介して駆動用モータに接続され(図示せず)、スライドが可能となっている。ターゲット2には、外部より直流電源が接続されており(図示せず)、真空槽6内の減圧下でターゲット2に高電圧を印加することにより、5つのプラズマリングを発生させる。これと同時に、その磁気回路ユニット1を図2に示す矢印Aの方向に微小に往復運動させ、ガラス基板5の全面にスパッタリング成膜を行うものである。この例ではターゲット2の材料に、純度5Nのアルミニウム(Al)を使用した。
【0020】
次に、ガラス基板5の成膜方法について説明する。まず、真空槽6内にアルゴン(Ar)ガスを導入し、真空槽6内の圧力を調整する。そして、ターゲット2に直流電力を印加して放電を実施する。それと同時に、磁気回路ユニット1をスライド往復運動させて、ガラス基板5の全面にスパッタ成膜を行う。このとき、本実施の形態1ではマスク部材4に設けたアース電位から絶縁したフローティング領域4aにより、フローティング化すると電子がもはや流入できないためプラズマの発生が抑制される。したがって、プラズマの集中が抑えられるとともに、同じ電解分布を有するガラス基板5の直上のプラズマ密度が均一になり、膜厚分布やターゲット2の侵食も均一になる。
【0021】
また、前記のフローティング領域4aとして、ターゲット2上での磁場の垂直成分が零となる領域を中心に長円形に発生するプラズマリング3の長軸方向の長さをa、プラズマリング3の長軸方向と平行となるガラス基板5の一辺の長さをbとするとき、
【0022】
【数1】
X ≧(a−b)/2
(数1)を満たす幅Xだけ、ガラス基板5とマスク部材4との境界位置より内側から外側へ向けて、マスク部材4のアース電位から絶縁されたフローティング領域4aとしたものである。これは、少なくともプラズマリング3と対向するマスク部材4の部分にはフローティング領域4aを設け、ガラス基板5と同じフローティング状態にすることで、プラズマ密度が均一になり、膜厚分布やターゲット2の侵食も均一にすることができる。
【0023】
(実施例1)
次に、実施例1として、ガラス基板5に成膜する実験条件について述べる。使用した磁気回路ユニット1は、外寸460mm×80mm×15mmのもので、磁石表面からターゲット2前面までの距離(T/M距離)は25mm、ターゲット2直上での磁場垂直成分が零の位置、すなわちプラズマリング3が発生する中心位置は長軸420mm、短軸40mmの長円形であり、これらの位置における磁場水平成分は約200〜300Gaussであった。また、ガラス基板5のサイズは370mm×470mm×0.7mmのものを使用し、ターゲット・基板間の距離は40mmとした。
【0024】
また、図4はこれらの寸法の関係を示す図である。磁気回路ユニット1のスライド条件は、スライド幅;±40mm、スライド最高速度;10mm/sec、折り返し地点から5mmを磁石の加速および減速の距離とした。放電条件はアルゴン(Ar)ガスの流量;200sccm、真空槽6内の圧力;0.5Pa、印加電力;7.5kWとした。このときのターゲット電圧は約400〜420V、放電電流は約18Aとなった。
【0025】
前記した実験条件により、マスク部材4の絶縁部分の幅Xを変化させ、成膜した膜の膜厚分布を調べた。(表1)は実験条件および膜厚分布について示している。この(表1)において、実験条件Aは、マスク部材の領域をアース電位から絶縁しない、すなわち従来のものと同じ条件のものである。また、(数1)によれば、フローティング化する幅Xは、「X ≧ 25(mm)」が望ましい。
【0026】
【表1】
Figure 0004071861
【0027】
(表1)に示した実験条件のガラス基板におけるプラズマリングの短軸方向の中心位置で長軸方向への膜厚分布で、図5(a)は実験条件A、図5(b)は実験条件B、図5(c)は実験条件C、図5(d)は実験条件Dを示す図である。これらの結果から明らかなように、実験条件A〜Bは磁気回路ユニット1の長手方向のガラス基板5の端部付近の膜厚がガラス基板5の中央部に比べていずれも大きくなっており、凹型の膜厚分布となっている。これはアース電位にあるマスク部材4にプラズマ放電が集中するため、この付近のターゲット2からの蒸発率がターゲット2の中央部に比べて増大することが原因と考えられる。また、実験条件Bのように小さな幅でマスク部材4のフローティング領域4aを設けアース電位より絶縁しても、生成されるプラズマリング3の長軸方向の方が長い場合には、十分な効果は得られない(図5(a),(b)参照)。
【0028】
一方、図5(c)に示す実験条件Cにおいては、均一な膜厚分布を得ることができる。すなわち、プラズマリング3の長軸より長くなるように、ガラス基板5に隣接するマスク部材4のフローティング領域4aをアース電位から絶縁すると、もはやマスク部材5との間に放電が起こりにくいため、プラズマの集中が抑制される。また、電界分布としてもマスク部材5のフローティング領域4aである空間の電界分布は、ターゲット2とガラス基板5に挟まれた空間の電界分布と同様の電界分布となるため、ターゲット2上に発生したプラズマを均一にできる。すなわち、ターゲット2とマスク部材4に挟まれた空間のプラズマ密度と、ターゲット2とガラス基板5に挟まれた空間のプラズマ密度は近くなり、ガラス基板5の中央からマスク部材4との周辺部にわたって均一なプラズマを形成できる。
【0029】
この結果、膜の膜厚分布が均一となるとともにターゲット2上のエロージョンの進行も均一化しターゲット2の寿命も長くなる。また、実験条件Dに示すようにマスク部材4の絶縁化を大幅に実施した場合でも効果がある。この場合、マスク部材4を完全にフローティング化をしたため放電が抑制され、膜厚分布としては凸型となって、均一性が若干低下した。しかし、いずれにしてもプラズマリング3の長軸より長い範囲となるようにフローティング領域4aを形成することによって、実験条件A,Bに比べて均一なプラズマが形成でき膜厚分布も向上する。
【0030】
(実施例2)
また、本実施の形態1における実施例2として、ガラス基板5のサイズを600mm×720mm×0.7mmを用いて、以下の条件にて同様の実験を行なった。磁気回路ユニット1は外寸840mm×80mm×15mmのもので、ターゲット2の他方の面に9個配置した。磁石表面からターゲット2までの距離は25mm、ターゲット2直上での磁場垂直成分が零の位置、プラズマリング3が発生する中心位置は長軸800mm,短軸40mmの長円形であり、この位置における磁場水平成分は約200〜300Gaussである。ターゲット・基板間の距離は50mmとした。
【0031】
また、マスク部材4もガラス基板5のサイズに応じてサイズアップし検討を行なった。磁気回路ユニット1のスライド条件は、スライド幅;±45mm、スライド最高速度;10mm/sec、折り返し地点から10mmを磁石の加速および減速の距離とした。放電条件は、アルゴン(Ar)ガスの流量;200sccm,真空槽6内の圧力;0.5Pa、印加電力;15kWとした。このときのターゲット電圧は約400〜420V、放電電流は約36Aとなった。
【0032】
また、放電条件は前記実施例1の場合に準じた。実施例1と同様にマスク部材4の絶縁部分の幅Xを変化させ、成膜した膜の膜厚分布を調べた。(表2)は本実施例2で検討したマスク部材4の絶縁幅条件および膜厚分布について示ものである。(表2)において、実験条件Eはマスク部材4のフローティング領域4aをアース電位から絶縁しない、すなわち従来例のものと同じものである。(数1)によれば、フローティング化する幅Xは、「X ≧ 40(mm)」が望ましい。
【0033】
【表2】
Figure 0004071861
【0034】
(表2)に示すように、本実施例2の場合も前記した実施例1の場合と同様の結果が得られている。
【0035】
(実施の形態2)
図6は本発明の実施の形態2における薄膜形成装置の概略構成を示す断面図である。ここで、前記実施の形態1を説明した図1に示した構成部材と同一作用効果のもには、同一の符号を付してこれを示す。図6において、2はターゲット、3はプラズマリング、4はマスク部材、4aはフローティング領域、5はガラス基板、6は真空槽、11は磁気回路ユニットである。図6においても図1と同様に、磁気回路ユニット11の長手方向に平行な面で切った断面を示しており、また、図7(a)は本実施の形態2で使用する磁気回路ユニットの構成を示す正面図、図7(b)は断面図である。図7において、11aは外側磁石、11bは内側磁石、11cはヨーク板である。図7に示すように長方形のヨーク板11c上に、周囲を囲むように上側をN極にして外側磁石11aが配置され、その内部に上側にS極にした形で内側磁石11bが配置される。
【0036】
ここで、外側磁石11aおよび内側磁石11bはともに中央部において幅が広く、端部に行くにしたがい狭くなっている。さらに、内側磁石11bの中央部は厚く、端部に行くほど薄くなる構造とした。これは、磁気回路ユニット11の中心部では磁場が強く、端部に行くほど弱くなるように設計されたものである。図8は本実施の形態2における磁気回路ユニットの磁場垂直成分が零の位置での磁場水平成分の値を示す図である。図8で用いた磁気回路ユニット11の具体的寸法は外寸460mm×80mm×15mmのものである。
【0037】
本実施の形態2における磁気回路ユニット11を用いた実施例3を説明する。
【0038】
(実施例3)
本実施例3における実験条件としては、使用するガラス基板5のサイズは、370mm×470mm×0.7mmのものとし、磁気回路ユニット11は前述した具体寸法、外寸460mm×80mm×15mmのもので、磁石表面・ターゲット間距離は25mm、ターゲット2上での磁場垂直成分が零の位置、プラズマリング3が発生する中心位置は長軸420mm,短軸40mmの長円形である。
【0039】
前記実施の形態1と同様に、長方形のターゲット2上にプラズマリング3を発生させ、磁気回路ユニット11を移動させ、これを往復運動させながらアルミニウム(Al)膜のスパッタリング成膜を行うものである。また、本実施例3の実施にあたっては、アルゴン(Ar)ガスの供給量,真空槽6内の圧力,ターゲット2への印加電力,磁石(磁気回路ユニット11)のスライド条件などは基本的に前記実施例1の形態に準ずることとした。
【0040】
また、図9(a)は本実施例3のガラス基板5の中心位置でプラズマリング3の長軸方向の膜厚分布、図9(b)は比較例における膜厚分布示す図である。図9(a),(b)に示した結果から明らかなように、本実施例3における膜厚分布では、比較例の膜厚分布と比べるとガラス基板5中央部と周辺部との膜厚分布が均一となっている。一方、比較例においては、ガラス基板5の周辺部の膜厚が中央部に比べて極端に厚くなっており、磁気回路ユニットの端部におけるプラズマ密度が高いためターゲット2の蒸発率が増大し、中央部の膜厚分布が低下したものと考えられる。
【0041】
これは、図13に示した従来のターゲットの断面形状における侵食状態のように、従来技術においてターゲットは周辺部から中央部にかけて比例的に侵食されている。すなわちプラズマ密度の勾配が存在している。したがって、このプラズマ密度の勾配に対応するように磁場を比例的に変化させるよう磁気回路ユニットを構成することにより、均一なプラズマを生成することにより均一な膜厚分布が得られるのである。また、均一なエロージョンが得られ、ターゲット利用効率および寿命を向上させることができるのである。
【0042】
また、本実施例3で説明した磁気回路ユニット11の構成は一例であり、例えば、図10(a),(b),(c)に示すような構成としたものであっても、磁気回路ユニット11の長手方向となる直線部で磁場が比例的に変化していくため、いずれの場合も同様の効果が得られることは言うまでもない。また、図10(a)は磁気回路ユニットの構成を示す正面図、図10(b)は図10(a)の断面図、図10(c)は図10(a)の別の断面図である。
【0043】
以上に述べたように、本発明はターゲットの材料利用効率や基板への膜付着率を向上する上で必要不可欠な狭いターゲット・基板間距離のプロセスにおいて、プラズマリングの端部におけるプラズマ集中を無くして、均一なプラズマの発生を実現し、均一となる成膜やターゲット利用効率、寿命の向上に極めて有効なものである。
【0044】
また、本発明の説明において、スライドさせる磁気回路ユニットについては、その数は問わず、1つあるいは2つの構成でも差し支えないし、そのスライド幅や速度,加減速の幅などのスライド条件や、放電に関わる成膜条件が異なっても同様の効果が得られるのは言うまでもない。また、基板サイズについてもどのようなものにも対応することが可能である。さらに、本発明で説明した実施の形態1,2のいずれの発明を採用しても、あるいは両方を同時に用いても高い効果が得られる。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、基板と隣接してアース電位に接地されたマスク部材のうち、磁気回路ユニットにより形成される磁場の軌跡による長軸方向の両端部と対向するマスク部材の一部領域をアース電位から絶縁したフローティング領域によりプラズマの集中が抑えられるとともに、同じ電解分布を有するガラス基板直上のプラズマ密度を均一とすることが可能となり、膜厚分布やターゲット侵食も均一にできる。
【0046】
また、フローティング領域として、ターゲット上に形成される磁場の軌跡における長軸方向の幅と、長軸方向と平行になる基板一辺の長さとの差の半分より大きい幅を、マスク部材の絶縁される一部領域の内側から外側へ向う領域として、磁場によるプラズマリングが対向するマスク部材の部分をガラス基板と同じフローティング状態にすることで、プラズマ密度が均一になり、膜厚分布やターゲット侵食も均一にできる。
【0047】
また、フローティング領域をターゲット面上へ投影した領域内で磁場の軌跡における長軸方向の両端部の値より中央部の値を大きくすることで、つまり、プラズマリングと対向するアース部分およびフローティング部分のうち、アース部分と対向する部分は磁場を弱く、フローティング部分との対向する部分は磁場を強くすることによって、プラズマ密度を均一に、膜厚分布やターゲット侵食も均一にできる。
【0048】
また、磁場をその軌跡の長軸方向における両端部の値より、軌跡の長軸方向の中央部へ向かうにつれて比例的に増加して中央部が最大の値となるようにすることで、フローティング領域との対向部分においてプラズマが均一になり、膜厚分布やターゲット侵食を均一にできるという効果を奏する。
【0049】
以上のことから、均一成膜と材料利用効率や膜の付着効率向上により、材料コスト低減や生産性向上に貢献でき産業上有益な発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における薄膜形成装置の概略構成を示す断面図
【図2】本発明の実施の形態1における磁気回路ユニット,ターゲット,マスク部材及びガラス基板の概略配置の関係を示す斜視図
【図3】本発明の実施の形態1における磁気回路ユニットの詳細な構成を示す斜視図
【図4】本発明の実施例1におけるプラズマリング,ガラス基板の寸法の関係を示す図
【図5】(a)は実験条件A、(b)は実験条件B、(c)は実験条件C、(d)は実験条件Dのガラス基板におけるプラズマリングの短軸方向の中心位置で長軸方向への膜厚分布を示す図
【図6】本発明の実施の形態2における薄膜形成装置の概略構成を示す断面図
【図7】(a)は本発明の実施の形態2における磁気回路ユニットの構成を示す正面図、(b)は断面図
【図8】本発明の実施の形態2における磁気回路ユニットの磁場垂直成分が零の位置での磁場水平成分の値を示す図
【図9】(a)は本発明の実施例3のガラス基板5の中心位置でプラズマリング3の長軸方向の膜厚分布、(b)は比較例における膜厚分布示す図
【図10】(a)は磁気回路ユニットの構成を示す正面図、(b)は(a)の断面図、(c)は(a)の別の断面図
【図11】従来の磁気回路ユニットの構成を示す図
【図12】従来の磁気回路ユニットを用いたマグネトロンスパッタ法の薄膜形成装置を示す図
【図13】従来のターゲットの断面形状の侵食状態を示す図
【符号の説明】
1,11 磁気回路ユニット
1a,11a 外側磁石
1b,11b 内側磁石
1c,11c ヨーク板
2 ターゲット
3 プラズマリング
4 マスク部材
4a フローティング領域
5 ガラス基板
6 真空槽

Claims (4)

  1. 基板周囲に配置されてアース電位に接地されたマスク部材と、一方の面が前記マスク部材に対向して配置されるターゲットと、該ターゲットの他方の面に配置される、矩形のヨーク板、該ヨーク板中央に配置された長方形の中央部磁石、前記ヨーク板周縁にリング状の長方形に配置された周縁部磁石から成る磁気回路ユニットとを有する薄膜形成装置であって、
    前記マスク部材において、前記磁気回路ユニットにより前記ターゲット上に形成されて垂直成分が零となる位置を中心に長円形の軌跡となる磁場の長軸方向の両端部と対向する前記マスク部材の一部領域が、アース電位から絶縁されたことを特徴とする薄膜形成装置。
  2. 前記マスク部材のアース電位から絶縁される一部領域は、磁気回路ユニットによりターゲット上に形成される磁場の垂直成分が零となる位置を中心に長円形の軌跡となる長軸方向の長さと、前記長軸方向と平行になる基板一辺の長さとの差の半分より大きい幅であり、前記マスク部材の前記基板と隣接する内側から外側へ向う領域の幅であることを特徴とする請求項1記載の薄膜形成装置。
  3. 基板周囲に配置されてアース電位に接地されたマスク部材と、一方の面が前記マスク部材に対向して配置されるターゲットと、該ターゲットの他方の面に配置される、矩形のヨーク板、該ヨーク板中央に配置された長方形の中央部磁石、前記ヨーク板周縁にリング状の長方形に配置された周縁部磁石から成る磁気回路ユニットとを有する薄膜形成装置であって、
    前記磁気回路ユニットにより前記ターゲット上に形成される磁場は、その垂直成分が零になる位置を中心に長円形となる軌跡において、前記マスク部材のアース電位から絶縁された一部領域と対向する前記軌跡の長軸方向における両端部の値より、前記軌跡の長軸方向における中央部の値が大きいことを特徴とする薄膜形成装置。
  4. 前記磁気回路ユニットは、ターゲット上に形成される磁場の垂直成分が零となる位置を中心に長円形になる軌跡において、前記磁場が前記マスク部材のアース電位から絶縁された一部領域と対向する前記軌跡の長軸方向における両端部の値より、前記軌跡の長軸方向の中央部へ向かうにつれて比例的に増加し、前記中央部が最大の値となるように構成されたことを特徴とする請求項3記載の薄膜形成装置。
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