JP2018090666A - 油性インク及びその製造方法 - Google Patents

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秀樹 今西
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祥史 渡辺
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Kenji Yamada
憲司 山田
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Abstract

【課題】無機蛍光顔料を用いた油性インクにおいて、貯蔵安定性を良好にし、印刷物の輝度を高めることである。【解決手段】蛍光性樹脂粒子、非水系溶剤、及び塩基性分散剤を含み、蛍光性樹脂粒子は、アルミン酸塩蛍光体を含み、平均粒子径が80〜250nmである蛍光顔料と、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアセタール及びこれらの誘導体から選択される1種以上を含む固体樹脂と、酸性基を有する液体有機化合物とを含む、油性インクである。【選択図】なし

Description

本発明は、蛍光性樹脂粒子を含む油性インク及び油性インクの製造方法に関する。
可視光で視認されず、紫外線照射で発光するステルスインクは、紙幣の真贋判定などセキュリティ用途や、郵便局内ではがきに印字される不可視バーコードなどに用いられる。
ステルスインク用の色材は、無機顔料、有機顔料、有機染料に大別される。これらの中で、有機顔料と有機染料は、耐光性に劣り、例えば太陽光下で1か月程度で退色してしまうものが多い。
はがきなどの用途では、ステルスインクに耐光性が要求されることは少ないが、特に紙幣などのセキュリティ用途では、信頼性が高いことが要求される。その場合、無機蛍光体を用いたインクが用いられる。
一方で、よりセキュリティ性を向上させるために、1枚ごとに異なった数字や記号をステルスインクで可変印刷するニーズがある。可変印刷するにあたっては、印刷版を使わないインクジェット方式が低コストかつ高速で印刷できるため、有利である。
有機顔料または有機染料インクのインクジェット印刷に比べ、無機顔料のインクジェット印刷は、技術的課題が多く、普及していない。
その理由の一つは、インクジェットインクは、他の印刷方式のインクに比べて粘度が低いことが要求されていることに加え、無機顔料の比重が大きく、沈降しやすいために保存安定性や、吐出安定性の確保が難しいことにある。
沈降を抑制するために、無機蛍光顔料の粒径を、1μm未満にすることが、特許文献1〜5に提案されている。これらの特許文献では、無機蛍光顔料をそのままインクに添加していることもあり、実用化に耐えうる分散安定性が十分に確保できない問題がある。
特許文献6には、アルコキシシラン又はその縮合物で被覆された無機蛍光体を用いて分散安定性を向上させることが提案されている。
一方、特許文献7には、液中乾燥法によって、顔料と固体樹脂と酸性化合物とが均一に混合され粒子形状にしたものが溶剤に分散されたインクが提案されている。特許文献7には、カーボンブラック、金属酸化物等の無機顔料を用いることができると記載があるものの、無機蛍光顔料に応用した具体的な技術内容は開示されていない。
特開2003−26968号公報 特開2001−72903号公報 特表2005−513198号公報 特開2000−256591号公報 特開2004−75889号公報 特開2012−12472号公報 特開2015−134852号公報
特許文献6では、アルコキシシランまたはその縮合物のSiO含有割合が、無機蛍光体に対し、0.1質量%以上必要であり、アルコキシシランまたはその縮合物で被覆された無機蛍光体は、一般的な樹脂で被覆する場合に比べて、比重が大きくなり、沈降抑制効果が十分に得られない。また、特許文献6の製造方法では、長時間の撹拌などプロセスが複雑であり、生産性に劣るという問題がある。
特許文献7では、通常の着色顔料を含む着色樹脂粒子を提案しているため、無機蛍光顔料に応用する際の技術的な課題については開示されていない。
無機蛍光顔料は、比重が大きいため、それを含むインクは沈降しやすく、保存安定性を確保することが難しいという問題がある。また、無機蛍光顔料を用いて、印刷物の輝度をより高めることが望まれる。
本発明の一目的としては、蛍光顔料を用いた油性インクにおいて、貯蔵安定性を良好にし、印刷物の輝度を高めることができる。
本発明は、以下の構成を要旨とする。
(1)蛍光性樹脂粒子、非水系溶剤、及び塩基性分散剤を含み、前記蛍光性樹脂粒子は、アルミン酸塩蛍光体を含み、平均粒子径が80〜250nmである蛍光顔料と、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアセタール及びこれらの誘導体から選択される1種以上を含む固体樹脂と、酸性基を有する液体有機化合物とを含む、油性インク。
(2)前記アルミン酸塩蛍光体は、BaMgAl1017:Eu、BaMgAl1017:Eu,Mn、またはこれらの組み合わせである、(1)に記載の油性インク。
(3)前記ポリビニルアセタールは、ポリビニルブチラール樹脂を含む、(1)または(2)に記載の油性インク。
(4)前記ポリビニルアセタール及びその誘導体は、それぞれ重量平均分子量が30000以下である、(1)から(3)のいずれかに記載の油性インク。
(5)前記スチレン−無水マレイン酸共重合体及びその誘導体は、それぞれ酸価が120mgKOH/g以上である、(1)から(4)のいずれかに記載の油性インク。
(6)前記スチレン−無水マレイン酸共重合体は、酸価が150mgKOH/g以上である、(1)から(5)のいずれかに記載の油性インク。
(7)インクジェットインクである、(1)から(6)のいずれかに記載の油性インク。
(8)非水系溶剤Aと、前記非水系溶剤Aよりも沸点が低い非水系溶剤Bとを用いて、前記非水系溶剤Aと塩基性分散剤とを含む連続相に、前記非水系溶剤Bと蛍光顔料と固体樹脂と酸性基を有する液体有機化合物とを含む分散相を分散させて油中油型エマルションを作製し、前記油中油型エマルションから前記非水系溶剤Bを除去する工程を含み、前記蛍光顔料は、アルミン酸塩蛍光体を含み、平均粒子径が80〜250nmであり、前記固体樹脂は、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアセタール及びこれらの誘導体のうち1種以上を含み、前記塩基性分散剤は、前記非水系溶剤Bよりも前記非水系溶剤Aに対する溶解度が高く、前記固体樹脂及び前記酸性基を有する液体有機化合物は、それぞれ前記非水系溶剤Aよりも前記非水系溶剤Bに対する溶解度が高い、油性インクの製造方法。
本発明によれば、無機蛍光顔料を用いた油性インクにおいて、貯蔵安定性を良好にし、印刷物の輝度を高めることができる。
以下、本発明に係る油性インクについて一実施形態を用いて説明する。
本実施形態による油性インクは、蛍光性樹脂粒子、非水系溶剤、及び塩基性分散剤を含み、蛍光性樹脂粒子は、アルミン酸塩蛍光体を含み、平均粒子径が80〜250nmである蛍光顔料、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアセタール及びこれらの誘導体からなる群から選択される1種以上を含む固体樹脂、及び酸性基を有する液体有機化合物を含む、ことを特徴とする。
これによれば、無機蛍光顔料を用いた油性インクにおいて、貯蔵安定性を良好にし、印刷物の輝度を高めることができる。
本実施形態では、比較的比重の小さい固体樹脂を用いて無機蛍光顔料を含む蛍光性樹脂粒子を作製することで、蛍光性樹脂粒子の見かけ上の比重を小さくし、溶剤中で蛍光性樹脂粒子が沈降することを抑制することができる。
また、蛍光性樹脂粒子を構成する固体樹脂及び酸性化合物、油性インクの非水系溶剤及び塩基性分散剤の組み合わせによって、油性インク中で蛍光性樹脂粒子をより安定に分散させることができる。
無機蛍光顔料は、粉砕等によって粒子径が小さくなると、輝度が低下するという課題があり、小粒子径の蛍光顔料を用いて分散安定性を改善しようとすると、輝度が低下するという問題がある。
本実施形態では、蛍光性樹脂粒子を構成する蛍光顔料の平均粒子径を250nm以下としても、特定の蛍光顔料を用いる場合は、蛍光輝度の低下を抑制することができる。
(蛍光性樹脂粒子)
本実施形態による蛍光性樹脂粒子としては、蛍光顔料と、固体樹脂と、酸性基を有する液体有機化合物(以下単に「酸性化合物」と称することがある。)とを含む。
この蛍光性樹脂粒子は、蛍光顔料が樹脂に包含されて、粒子形状となっていることが好ましい。または、この蛍光性樹脂粒子は、蛍光顔料が樹脂と均一に混合されて一体化され、粒子形状となっていることが好ましい。
「蛍光顔料」
蛍光性樹脂粒子は、アルミン酸塩蛍光体を含み、平均粒子径が80〜250nmである蛍光顔料を含む。
蛍光顔料としては、Eu、またはEu及びMnで付活したアルミン酸塩蛍光体を主成分として含むことが好ましい。
アルミン酸塩蛍光体としては、アルカリ土類アルミン酸塩蛍光体、アルカリ土類マグネシウムアルミン酸塩蛍光体等を好ましく用いることができる。
アルミン酸塩蛍光体としては、例えば、
BaMgAl1017:Eu、
BaMgAl1017:Eu、Mn、
SrAl1425:Eu、
BaAl13:Eu、
(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu、
(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu,Mn、
(Ba,Sr,Ca)Al:Eu等を挙げることができる。
これらの中でも、青色系蛍光体としてBaMgAl1017:Eu、緑色系蛍光体としてBaMgAl1017:Eu、Mnを好ましく用いることができる。
これらは、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
蛍光顔料は、粉砕によって微粒化されていくと、輝度が低下する傾向がある。本実施形態では、上記した特定の蛍光顔料を用いて蛍光性樹脂粒子の形態とすることで、蛍光輝度の低下を防止しながら、貯蔵安定性を改善することができる。
本実施形態による蛍光顔料を用いることで、蛍光顔料の平均粒子径を1μm以下と小さくしても、蛍光顔料の蛍光輝度の低下を防止することができる。さらに、蛍光顔料の平均粒子径を250nm以下とさらに小さくしても、蛍光輝度の低下を抑制することができる。これによって、小粒径の蛍光顔料を用いて、非水系溶剤中に蛍光性樹脂粒子を安定して分散させることができる。
蛍光顔料の平均粒子径は、小さいほど沈降抑制に効果があり、より好ましくは、200nm以下であり、さらに好ましくは170nm以下である。
蛍光顔料の平均粒子径が80nm以上であることで、十分な輝度を得ることができる。
蛍光顔料の平均粒子径は、より好ましくは、100nm以上であり、さらに好ましくは120nm以上である。
粉砕前の蛍光顔料(原料)は、平均粒子径が10μm以下程度であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましく、2μm以下であってもよい。この範囲の蛍光顔料を粉砕することで、粉砕後の蛍光顔料の平均粒子径を上記の範囲内にすることができる。
ここで、蛍光顔料の平均粒子径は、蛍光顔料を粉砕処理した後の状態で測定する。例えば、粉砕処理した蛍光顔料を含む油性インクの一部、または後述の蛍光顔料を含む分散相を粉砕処理した後の一部を取り出して、インクまたは分散相中の蛍光顔料を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、n個の蛍光顔料の長径を測定し、これらを平均して平均粒子径を求めることができる。n数は、例えば10個とする。
蛍光顔料は、蛍光性樹脂粒子全体に対して、輝度及び成分の均一性の観点から、10〜70質量%で配合されることが好ましく、より好ましくは15〜60質量%で、さらに好ましいのは20〜50%である。
「固体樹脂」
固体樹脂としては、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアセタール、及びこれらの誘導体からなる群から選択される1種以上を用いることができる。
固体樹脂としては、室温(23℃)で固体状の樹脂であることが好ましい。
固体樹脂のガラス転移温度(Tg)としては、粒子形状を安定化するために、30℃以上であることが好ましく、より好ましくは40℃以上である。固体樹脂のガラス転移温度は、制限されないが、150℃以下であることが好ましく、より好ましくは120℃以下である。
また、固体樹脂の溶融温度(Tm)としては、粒子形状を安定化させるために、30℃以上であることが好ましく、より好ましくは、40℃以上である。固体樹脂の溶融温度は、制限されないが、250℃以下であることが好ましく、より好ましくは200℃以下である。
固体樹脂としては、Hansenの溶解性パラメーター(HSP値)が22〜27MPa/cmであることが好ましい。また、固体樹脂は、分散項δdが13〜20、極性項δpが5〜12、水素結合項δhが10〜20であることが好ましい。この範囲とすることで、油性インクが用紙に塗布される際に、蛍光性樹脂粒子と非水系溶剤を速やかに分離させることができる。
溶解性パラメーターの算出方法を以下に説明する。本発明では、1967年にHansenが提唱した3次元溶解性パラメーターを用いる。
Hansenの溶解性パラメーターは、Hildebrandによって導入された溶解性パラメーターを分散項δd、極性項δp、水素結合項δhの3成分に分割し、3次元空間で表したものである。分散項は、分散力による効果、極性項は、双極子間力による効果、水素結合項は、水素結合力の効果を示す。より詳細には、POLYMER HANDBOOK.FOURTH EDITION.(Editors.J.BRANDRUP,E.H.IMMERGUT,andE.A.GRULKE.)等に説明されている。
Hansenの溶解性パラメーターについては、下記に説明する通り、実験から求めることができる。
まず、分散項δd、極性項δp、水素結合項δhが既知である表1に示す溶剤に対して対象物(固体樹脂等)の溶解性(10mass%)を調査する。次いで、対象物が溶解する溶剤の範囲に相当する分散項δd、極性項δp、水素結合項δhの範囲(最小値と最大値)を求め、その中間の値(3次元溶解性パラメーターの範囲の中心の値)をその対象物の3次元溶解性パラメーターとする。つまり、良溶媒が内側、貧溶媒が外側にくる最大の直方体を考えて、その直方体の中心を対象物の溶解性パラメーター(HSP値)と定める。
分散項δd=(δdmax−δdmin)/2
極性項δp=(δpmax−δpmin)/2
水素結合項δh=(δhmax−δhmin)/2
HSP=δd+δp+δh
溶解性試験に供する溶剤は、溶解性パラメーター(HSP値)がなるべく異なる3次元空間上に位置するものを選択することが好ましい。
スチレン−無水マレイン酸共重合体としては、スチレンと無水マレイン酸との共重合体である。また、スチレン−無水マレイン酸共重合体としては、スチレン−無水マレイン酸共重合体をエステル化して、カルボキシ基またはヒドロキシ基を導入したエステル化物を用いることができる。
スチレン−無水マレイン酸共重合体の重量平均分子量(Mw)としては、6000〜11000が好ましく、より好ましくは7000〜10500である。この範囲で、蛍光性樹脂粒子の形状の安定性を高めることができる。また、蛍光性樹脂粒子の製造工程において、固体樹脂を含む原料を溶剤により均一に混合することができ、結果として成分が均一な蛍光性樹脂粒子を提供することができる。
ここで、樹脂の重量平均分子量(Mw)は、GPC法により、標準ポリスチレン換算により求めることができる。以下同じである。
スチレン−無水マレイン酸共重合体は、酸価が120mgKOH/g以上であることが好ましく、より好ましくは150mgKOH/g以上である。これによって、蛍光性樹脂粒子において各成分を均一に混合することができる。スチレン−無水マレイン酸共重合体の酸価が120mgKOH/g以上であることで、低沸点の溶剤に固体樹脂を溶解させやすくなり、各成分を混合しやすくなる。
一方、スチレン−無水マレイン酸共重合体は、酸価が350mgKOH/g以下であることが好ましい。これによって、インクの主溶媒である溶剤Aへの溶解度を下げて、インクの保存安定性を維持することができる。スチレン−無水マレイン酸共重合体の酸価は、より好ましくは300mgKOH/g以下であり、さらに好ましくは290mgKOH/g以下である。
ここで、酸価は、不揮発分1g中の全酸性成分を中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数である。以下同じである。
スチレン−無水マレイン酸共重合体及びそのエステル化物の市販品としては、例えば、
川原油化株式会社製SMAレジンシリーズ「SMA1440F」、「SMA1440」、「SMA17352」、「SMA2625」、「SMA3840」等のスチレン−無水マレイン酸共重合体のエステル化物;川原油化株式会社製SMAレジンシリーズ「SMA1000」、「SMA2000」、「SMA3000」等のスチレン−無水マレイン酸共重合体等を用いることができる。
これらは単独でも、2種以上を合わせて用いてもよい。
ポリビニルアセタール樹脂としては、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂をアセタール化して製造されるものを用いることができる。具体的には、PVA樹脂を酸触媒でアルデヒドと反応させて、PVA樹脂の水酸基の一部または全部をアセタール化して、ポリビニルアセタール樹脂を製造することができる。
ここで、ポリビニルアルコールを構成する全単位に対し、ヒドロキシ基を有する単位のモル比をnとし、酢酸基(−O−CO−CH)を有する単位のモル比をmとする場合、けん化度は(n/(n+m))×100、重合度はn+mで表される。
ポリビニルアセタール樹脂を調製する際に必要なポリビニルアルコールのけん化度((n/(n+m))×100)としては、2以上であることが好ましく、より好ましくは5以上である。このヒドロキシ基の割合はアセタール化に適する。
また、ポリビニルアルコールの重合度(n+m)としては、10〜1000であることが好ましく、より好ましくは20〜500である。
アルデヒドとしては、一例として、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、テトラオキサン、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、等を用いることができる。
また、アルデヒドとしては、脂環族アルデヒド類及び芳香族アルデヒドを用いることができる。
脂環族アルデヒド類としては、シクロヘキサンカルボキシアルデヒド、5−ノルボルネン−2−カルボキシアルデヒド、3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド、ジメチル−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド等を挙げることができる。
芳香族アルデヒド類としては、2,4,6−トリメチルベンズアルデヒド(メシトアルデヒド)、2,4,6−トリエチルベンズアルデヒド、2,6−ジメチルベンズアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、2−メトキシ−1−ナフトアルデヒド、2−エトキシ−1−ナフトアルデヒド、2−プロポキシ−1−ナフトアルデヒド、2−メチル−1−ナフトアルデヒド、2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、その他置換基を有する1−ナフトアルデヒド、置換基を有する2−ナフトアルデヒド、9−アントラアルデヒド、置換基を有する9−アントラアルデヒド等を挙げることができる。
上記アルデヒドに加えて、または代えて、ケトンを用いてもよい。
ケトンとしては、2−メチルアセトフェノン、2,4−ジメチルアセトフェノン等のアセトフェノン類、2−ヒドロキシ−1−アセトナフトン、8’−ヒドロキシ−1’−ベンゾナフトン、アセトナフトン等のナフトン類等を挙げることができる。
これらのアルデヒド及びケトンは単独で、または組み合わせて用いてもよい。
ポリビニルアセタール樹脂は、アセタール化度が40〜95mol%であることが好ましく、より好ましくは50〜85mol%である。これによって、蛍光性樹脂粒子の製造工程において、固体樹脂を蛍光顔料等と溶剤に混合する際に、固体樹脂の溶剤への溶解性を向上することができる。結果として、蛍光性樹脂粒子の成分の均一性や形状の安定性を高めることができる。
ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は、ポリビニルアルコール樹脂の水酸基のうちアセタール化された水酸基の割合として表すことができる。ポリビニルブチラール樹脂の場合は、JISK6728に準拠して測定することができる。
このアセタール化度は、ポリビニルアルコール樹脂をブチルアルデヒドでアセタール化した割合は、特にブチラール化度と称することがある。このブチラール化度は、上記したアセタール化度と同じ範囲であることが好ましい。
ポリビニルアセタール樹脂は、水酸基が60mol%以下であることが好ましく、より好ましくは50mol%以下である。これによって、蛍光性樹脂粒子の製造工程において、固体樹脂を色材等と溶剤に混合する際に、固体樹脂の溶剤への溶解性を向上することができる。結果として、蛍光性樹脂粒子の成分の均一性や形状の安定性を高めることができる。
ここで、固体樹脂の水酸基の割合は、固体樹脂を構成する全単位(mol)に対する、水酸基を有する単位(mol)の割合として表すことができる。以下同じである。
ポリビニルアセタール樹脂としては、ポリビニルアルコール樹脂をブチルアルデヒドによってアセタール化して得られるポリビニルブチラール樹脂(以下、単にブチラール樹脂と称することがある。)、ポリビニルアルコール樹脂をホルムアルデヒドによってアセタール化して得られるポリビニルホルマール樹脂(ビニロン)を好ましく用いることができる。
ポリビニルアセタール樹脂の重量平均分子量(Mw)は、例えば、150000以下であればよく、100000以下であってもよい。これによって、蛍光性樹脂粒子において、固体樹脂とともに各成分を均一に混合することができる。
ポリビニルアセタール樹脂の重量平均分子量(Mw)は、50000以下であることが好ましく、さらに好ましくは30000以下であり、いっそう好ましくは20000以下である。これによって、蛍光性樹脂粒子において、固体樹脂とともに各成分をより均一に混合することができる。ポリビニルアセタール樹脂の重量平均分子量が30000以下であることで、低沸点の溶剤に固体樹脂を溶解した際に、樹脂溶液の粘度上昇を抑えることができ、固体樹脂とともに各成分を混合しやすくなる。
一方、ポリビニルアセタール樹脂の重量平均分子量(Mw)は、10000以上であることが好ましく、より好ましくは13000以上である。これによって、樹脂が溶剤Aに溶解するのを防ぎ、蛍光体を安定的に被覆してインクの保存安定性を維持することができる。
また、この範囲で、蛍光性樹脂粒子の形状の安定性を高めることができる。また、蛍光性樹脂粒子の製造工程において、固体樹脂を含む原料を溶剤により均一に混合することができ、結果として成分が均一な蛍光性樹脂粒子を提供することができる。
ポリビニルブチラール樹脂の市販品としては、例えば、積水化学工業株式会社製のエスレックBシリーズ「BL−2H」、「BL−10」、「BL−S」、「BM−1」、「BM−2」、「MN−6」、「BX−L」等;株式会社クラレ製のモビタールBシリーズ「16H」「20H」「30T」「30H」「30HH」「45M」「45H」等を用いることができる。
ポリビニルホルマール樹脂の市販品としては、例えば、JNC株式会社製のビニレックシリーズ「ビニレックK」、「ビニレックC」等;株式会社クラレ製のビニロン繊維等を用いることができる。
これらは単独でも、2種以上を合わせて用いてもよい。
上記した固体樹脂の配合量は、蛍光性樹脂粒子全体に対し、10質量%以上であることが好ましく、より好ましくは20質量%以上である。
一方、固体樹脂の配合量は、蛍光性樹脂粒子全体に対し、70質量%以下であることが好ましく、より好ましくは50質量%以下である。
蛍光性樹脂粒子には、本発明の効果を損なわない限り、上記した固体樹脂以外のその他の樹脂が含まれてもよい。その他の樹脂としては、後述する油性インクの製造方法で説明しているように、顔料分散剤や添加剤等がある。
「酸性化合物」
蛍光性樹脂粒子は、酸性基を有する液体有機化合物(酸性化合物)を含む。ここで、酸性基を有する液体有機化合物としては、23℃で液体状であり酸性基を有する有機化合物である。
酸性化合物を添加することによって、蛍光顔料と固体樹脂とをより均一に安定して配合することができる。
また、酸性化合物は、油性インクの製造工程において、油中油型エマルションの安定性を維持するために配合することができる。
酸性化合物の融点としては、室温で液体状を維持するために、23℃以下であることが好ましく、より好ましくは15℃以下である。
酸性化合物のハンセン溶解度パラメーター(HSP値)は、22〜27MPa/cmであることが好ましい。また、酸性化合物は、分散項δdが13〜20、極性項δpが5〜12、水素結合項δhが10〜20であることが好ましい。この範囲とすることで、蛍光性樹脂粒子の各成分をより均一に配合することができて、粒子形状が安定化され経時安定性をより向上することができる。
酸性化合物の酸性基としては、リン酸基、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸エステル基、硫酸エステル基、硝酸エステル基、亜リン酸基、ホスホン酸基、スルフィン酸基等を挙げることができる。これらは、1分子中に1種、または2種以上組み合わせて含まれてもよい。酸性基は、酸性化合物1分子中に2個以上有することが好ましい。
酸性化合物は、オリゴマー、ポリマー、低分子量化合物のいずれであってもよい。
オリゴマーまたはポリマーとしては、例えば、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリエーテル系樹脂等を、単独で、または併用して用いることができる。また、これらの樹脂を構成するモノマーまたはオリゴマーの共重合体を用いてもよい。
酸性基としては、オリゴマーまたはポリマーを構成するモノマーに由来して、各構成単位の主鎖または側鎖に酸性基が結合して導入されていてもよい。例えば、(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸の共重合体等を挙げることができる。この場合、カルボキシ基がアクリル酸の割合に応じて導入される。また、(メタ)アクリル酸エステルとアシッド・ホスホキシ・(メタ)アクリレートの共重合体等を挙げることができる。この場合、リン酸基が導入される。
また、酸性基としては、オリゴマーまたはポリマーをリン酸エステル化して導入されていてもよい。この場合、水酸基の位置及び割合に応じてリン酸基が導入される。オリゴマーまたはポリマーの両末端に水酸基を有する場合、オリゴマーまたはポリマーの両末端にリン酸基が導入されて、合計2個のリン酸基を有する。
酸性化合物がオリゴマーまたはポリマーである場合は、重量平均分子量が500〜10000であることが好ましく、より好ましくは1000〜5000である。
酸性化合物としてのオリゴマーまたはポリマーの具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンリン酸エステル等のポリオキシアルキルのリン酸エステル、ポリエーテルポリエステルリン酸エステル等のリン酸エステル化合物;アルキルポリホスホン酸;カルボキシ基含有(メタ)アクリルポリマー等を挙げることができる。これらは、単独で、または複数種を併用してもよい。
酸性化合物としては、リン酸エステル、硫酸エステル、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸等の低分子化合物を用いてもよい。
酸性化合物は、酸価を持つことが好ましい。酸性化合物の酸価は、好ましくは30mgKOH/g以上であり、より好ましくは60mgKOH/g以上であり、一層好ましくは90mgKOH/g以上である。
中でも、酸価が30mgKOH/g以上であるリン酸基、ホスホン酸基、リン酸エステル基及びカルボキシ基の1種以上を有する液体有機化合物であることが好ましく、リン酸基が特に好ましい。また、酸性化合物の両末端にリン酸基を有するものが一層好ましい。
市販されているもののなかから、酸性化合物として用いることができるものとしては、例えば、ビックケミー・ジャパン社製「DISPERBYK102、110、111」(いずれも商品名)、巴工業社製「TEGODispers655」、EFKA社製「Efka6230」、キレスト株式会社製「PH−210」、東亞合成株式会社製「ARUFON UC3510」、ユニケミカル株式会社製「CM294P」等を挙げることができる。
「DISPERBYK111」は、エチレングリコールとポリカプロラクトンのブロック共重合体のリン酸エステル化合物であり、共重合体の両末端にリン酸基を有する。
「CN294P」は、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体のリン酸エステル化合物であり、共重合体の両末端にリン酸基を有する。
酸性化合物は、蛍光性樹脂粒子全体に対して、0.1〜50質量%で配合されることが好ましく、より好ましくは20〜40質量%である。これによって、蛍光性樹脂粒子の成分の均一性及び安定性を維持する一方で、その他の原料への作用を防ぐことができる。
蛍光性樹脂粒子には、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の任意成分を添加することができる。任意成分としては、後述する油性インクの製造方法で添加される各種成分を挙げることができる。
蛍光性樹脂粒子には、可塑剤として酸性基を有さない液体状の有機化合物を添加することができる。可塑剤を添加することで、蛍光性樹脂粒子の各種成分をより均一に配合することができる。可塑剤としては、アルコール類、エステル類、エーテル類、ポリエステル類、ポリエーテル類、(メタ)アクリルポリマー類等を用いることができる。
可塑剤は、蛍光性樹脂粒子全体に対して、5〜40質量%で配合されることが好ましい。
蛍光性樹脂粒子の平均粒子径は、分散後のインク中では、10μm以下であってよく、5μm以下であってもよく、さらにインクジェット吐出性の観点から、1μm以下が好ましく、より好ましい範囲は250nm以下である。蛍光性樹脂粒子の平均粒子径は記録媒体の種類に応じて適宜調整してもよく、例えば、コート紙を用いた印刷物の発色を向上するとともに定着性を向上させるためには、この平均粒子径は100〜300nm程度であることが好ましく、普通紙を用いた印刷物の定着性の観点から、さらに200nm以下であることが好ましい。
ここで、蛍光性樹脂粒子の平均粒子径は、上記した粉砕後の蛍光顔料の平均粒子径と同様にSEM観察から求めることができる。
(油性インク)
本実施形態による油性インクは、上記した蛍光性樹脂粒子とともに、非水系溶剤及び塩基性分散剤を含む。非水系溶剤及び塩基性分散剤については、後述の油性インクの製造方法で説明する通りである。非水系溶剤としては、蛍光性樹脂粒子を分散可能である溶剤であることが好ましい。塩基性分散剤としては、非水系溶剤中で蛍光性樹脂粒子を分散させるために配合される。また、塩基性分散剤は、後述する蛍光性樹脂粒子の製造工程において、エマルションの調製のために配合されることもある。
本実施形態による油性インクにおいて、蛍光性樹脂粒子はインク全体に対し1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは5質量%以上であり、さらに好ましくは10質量%以上である。これによって、インクとして呈色性にすぐれ、溶剤量を低減して乾燥性を高めることができる。
一方、蛍光性樹脂粒子はインク全体に対し50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは40質量%以下であり、さらに好ましくは30質量%以下である。これによって、分散性及び貯蔵安定性を高めることができる。
(油性インクの製造方法)
以下、本実施形態による油性インクの製造方法の一例について説明する。なお、本実施形態による油性インクは、以下の製造方法で製造されたものに限定されない。
油性インクの調製方法は、化学的方法、物理化学的方法に大別される。化学的手法としては、界面重縮合法、界面反応法(in situ重合法)、液中硬化皮膜法(オリフィス法)などが挙げられる。物理化学的手法としては、液中乾燥法(水中乾燥法、油中乾燥法)、コアセルベーション法、融解分散冷却法などが挙げられる。
本実施形態による油性インクは、例えば、上記の物理化学的方法を用いて調製が可能であり、特に、液中乾燥法を好ましく用いることができ、油中油型エマルションの油中乾燥法を特に好ましく用いることができる。
油中油型エマルションの油中乾燥法を用いることで、上記した材料を用いて、平均粒子径が小さくかつ、粒子径分布が狭い蛍光性樹脂粒子を調製することが可能であり、また、粘度が低い油性インクを調製することが可能である。これによって、特に、インクジェット吐出に適するインクを得ることができる。
油中油型エマルションの油中乾燥法を用いる場合、油性インクは、非水系溶剤Aと塩基性分散剤とを含む連続相に、非水系溶剤Bと蛍光顔料と固体樹脂と酸性基を有する液体有機化合物とを含む分散相を分散させて油中油型エマルションを作製し、油中油型エマルションから非水系溶剤Bを除去して得ることができる。
以下、連続相に用いる非水系溶剤Aを溶剤Aと称し、分散相に用いる非水系溶剤Bを溶剤Bと称することがある。
油中油型エマルションを安定して作製するために、溶剤Bは、溶剤Aに対して溶解度が低いことが好ましい。また、溶剤Bを除去するために、溶剤Bは、溶剤Aに対して沸点が低いことが好ましい。
油中油型エマルションを安定して作製するために、塩基性分散剤は、溶剤Bよりも溶剤Aに対する溶解度が高いことが好ましい。
また、蛍光性樹脂粒子の形状を安定させるために、固体樹脂及び酸性化合物は、それぞれ溶剤Aよりも溶剤Bに対する溶解度が高いことが好ましい。
「連続相」
連続相としては、溶剤Aと塩基性分散剤とを含む。
溶剤Aとしては、後述する溶剤B及び固体樹脂との関係性を満たすように、各種非水系溶剤から適宜選択して用いることができる。溶剤Aは、油性インクにそのまま残り、油性インクの溶剤として用いることができる。
非水系溶剤としては、非極性有機溶剤及び極性有機溶剤のいずれも使用できる。これらは、単独で使用してもよく、組み合わせて使用することもできる。なお、本実施形態において、非水系溶剤には、1気圧20℃において同容量の水と均一に混合しない非水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。
非極性有機溶剤としては、脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素溶剤、芳香族炭化水素溶剤等の石油系炭化水素溶剤を好ましく挙げることができる。
脂肪族炭化水素溶剤及び脂環式炭化水素溶剤としては、パラフィン系、イソパラフィン系、ナフテン系等の非水系溶剤を挙げることができ、市販品としては、0号ソルベントL、0号ソルベントM、0号ソルベントH、カクタスノルマルパラフィンN−10、カクタスノルマルパラフィンN−11、カクタスノルマルパラフィンN−12、カクタスノルマルパラフィンN−13、カクタスノルマルパラフィンN−14、カクタスノルマルパラフィンN−15H、カクタスノルマルパラフィン
YHNP、カクタスノルマルパラフィンSHNP、アイソゾール300、アイソゾール400、テクリーンN−16、テクリーンN−20、テクリーンN−22、AFソルベント4号、AFソルベント5号、AFソルベント6号、AFソルベント7号、ナフテゾール160、ナフテゾール200、ナフテゾール220(いずれもJX日鉱日石エネルギー株式会社製);アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM、エクソールD40、エクソールD60、エクソールD80、エクソールD95、エクソールD110、エクソールD130(いずれも東燃ゼネラル石油株式会社製)等を好ましく挙げることができる。
芳香族炭化水素溶剤としては、グレードアルケンL、グレードアルケン200P(いずれもJX日鉱日石エネルギー株式会社製)、ソルベッソ100、ソルベッソ150、ソルベッソ200、ソルベッソ200ND(いずれも東燃ゼネラル石油株式会社製)等を好ましく挙げることができる。
石油系炭化水素溶剤の蒸留初留点は、100℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることがいっそう好ましい。蒸留初留点はJIS K0066「化学製品の蒸留試験方法」に従って測定することができる。
極性有機溶剤としては、脂肪酸エステル系溶剤、高級アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤等を好ましく挙げることができる。
例えば、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ヘキシル、パルミチン酸イソオクチル、パルミチン酸イソステアリル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、オレイン酸ヘキシル、リノール酸メチル、リノール酸エチル、リノール酸イソブチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソオクチル、イソステアリン酸イソプロピル、ピバリン酸2−オクチルデシル、大豆油メチル、大豆油イソブチル、トール油メチル、トール油イソブチル等の1分子中の炭素数が13以上、好ましくは16〜30の脂肪酸エステル系溶剤;
イソミリスチルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、イソエイコシルアルコール、デシルテトラデカノール等の1分子中の炭素数が6以上、好ましくは12〜20の高級アルコール系溶剤;
ラウリン酸、イソミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、α−リノレン酸、リノール酸、オレイン酸、イソステアリン酸等の1分子中の炭素数が12以上、好ましくは14〜20の高級脂肪酸系溶剤等が挙げられる。
脂肪酸エステル系溶剤、高級アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤等の極性有機溶剤の沸点は、150℃以上であることが好ましく、200℃以上であることがより好ましく、250℃以上であることがさらに好ましい。なお、沸点が250℃以上の非水系溶剤には、沸点を示さない非水系溶剤も含まれる。
これらの非水系溶剤は、単独で使用してもよく、単一の相を形成する限り2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、使用する非水系溶剤と単一相を形成できる範囲で他の有機溶剤を含ませてもよい。
溶剤Aは、ハンセン溶解度パラメーター(HSP値)が14〜18MPa/cmであることが好ましい。また、溶剤Aは、分散項δdが12〜20、極性項δpが0〜4、水素結合項δhが0〜4であることが好ましい。
溶剤Aの溶解度パラメーターが上記範囲であるとともに、蛍光性樹脂粒子の固体樹脂の溶解度パラメーターが上記範囲であることで、蛍光性樹脂粒子の溶媒Aに対する分散安定性を向上することができる。また、インクジェットインクとして印刷する際に、用紙上で蛍光性樹脂粒子と非水系溶剤の分離をより促進することができ、蛍光性樹脂粒子の用紙への定着性をより高めることができる。
溶剤Bを除去した油性インクでは、溶剤Aを非水系溶剤としてそのまま用いることができる。さらに、分散体に後添加で非水系溶剤を添加してもよい。
この場合、最終的な分散体の非水系溶剤の蒸留初留点は、以下の範囲であることが好ましい。最終的な分散体の非水系溶剤の蒸留初留点は、1種の非水系溶剤を用いる場合はこの1種の非水系溶剤の蒸留初留点であり、2種以上の非水系溶剤を任意の配合割合で混合した混合溶剤を用いる場合はこの混合溶剤の蒸留初留点である。極性溶剤も非極性溶剤と同様に蒸留初留点を求めることができる。
最終的な非水系溶剤の蒸留初留点は、100℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることがさらに好ましい。さらに、非水系溶剤の蒸留初留点は、250℃以上、さらには300℃以上であることが好ましい。
塩基性分散剤は、塩基性基を有する分散剤である。塩基性分散剤としては、溶剤Bよりも溶剤Aに対する溶解度が高いことが好ましい。
好ましくは、塩基性分散剤は、溶剤Bに対する溶解度が23℃で3g/100g以下であり、より好ましくは0.5g/100g以下である。また、好ましくは、塩基性分散剤は、溶剤Aに対する溶解度が23℃で3g/100g以上であり、より好ましくは5g/100g以上である。さらに好ましくは、油中油型エマルションの配合割合において、溶剤Aに塩基性分散剤が実質的に全て溶解し、溶剤Bに塩基性分散剤が実質的に溶解しないように、塩基性分散剤が選択される。
塩基性分散剤の塩基性基としては、例えばアミノ基、アミド基、ピリジル基等を挙げることができ、中でもアミノ基であることが好ましい。また、塩基性分散剤の塩基性基としては、ウレタン結合等を有する窒素含有の官能基を挙げることができる。また、ウレタン結合等の窒素含有の構成単位が塩基性分散剤に導入されていてもよい。
塩基性分散剤としては、例えば、変性ポリウレタン、塩基性基含有ポリ(メタ)アクリレート、塩基性基含有ポリエステル、ポリエステルアミン、第4級アンモニウム塩、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩、脂肪酸アミン塩等を挙げることができる。これらは、単独で、または複数種を組み合わせて使用してもよい。
塩基性分散剤としては、塩基性基を有する(メタ)アクリルブロックポリマーを含むことが好ましい。ここで、「(メタ)アクリルブロックポリマー」は、メタクリルブロックポリマー及びアクリルブロックポリマーを意味するものであり、メタクリル単位、アクリル単位を単独で含むものの他、メタクリル単位及びアクリル単位をともに含む共重合体をも含む。
塩基性分散剤として、塩基性基を有する(メタ)アクリルブロックポリマーを用いることで、油性インクの粘度を低く抑えることが可能となり、また、蛍光性樹脂粒子の平均粒子径を小さくすることができる。これによって、特に、インクジェット吐出に適するインクを得ることができる。
塩基性基を有する(メタ)アクリルブロックポリマーの好ましい一例としては、炭素数12以上のアルキル基を有する単位を含む第1ブロックと、アミノ基を有する単位を含む第2ブロックとを有するブロック共重合体である。
炭素数12以上のアルキル基としては、直鎖または分岐鎖のアルキル基であってよく、一例としては、ドデシル基、セチル基、ステアリル基、ベヘニル基、イソドデシル基、イソステアリル基等を挙げることができる。
これらの炭素数12以上のアルキル基は、第1ブロックに単独で、または2種以上組み合わせて含まれてもよい。
アミノ基としては、一例として、般式−NRで表される基であって、R及びRは、それぞれ独立して、水素、炭素数18以下の炭化水素基、炭素数8以下のアルカノール基等である基を用いることができる。
炭素数18以下の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の鎖状炭化水素基、シクロヘキシル基、フェニル基等の環状炭化水素基を挙げることができる。炭素数8以下のアルカノール基としては、エタノール基、イソプロパノール基等を挙げることができる。
好ましくは、アミノ基は、一般式−N(HOR)(Rは2価の炭化水素基)で示されるジアルカノールアミノ基である。
アミノ基の具体例としては、
1級アミノ基;
メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、フェニルアミノ基等の2級アミノ基;
ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ピリジニル基等の3級アミノ基等を挙げることができる。
また、モノメチルエタノールアミノ基、ジエタノールアミノ基、ジイソプロパノール基等のアルカノールアミノ基等を挙げることができる。
これらのアミノ基は、第2ブロックに単独で、または2種以上組み合わせて含まれてもよい。
上記した塩基性基を有する(メタ)アクリルブロックポリマーの詳細については、特開2015−134852号公報に開示されている。
塩基性分散剤として、市販されているものとしては、例えば、
日本ルーブリゾール株式会社製「ソルスパース13940(ポリエステルアミン系)、17000、18000(脂肪酸アミン系)、11200、22000、24000、28000」(いずれも商品名)、
ビックケミー・ジャパン株式会社製「DISPERBYK116、2096、2163」(いずれも商品名)、
花王株式会社製「アセタミン24、86(アルキルアミン塩系)」(いずれも商品名)、
楠本化成株式会社製「ディスパロンKS−860、KS−873N4(高分子ポリエステルのアミン塩)」(いずれも商品名)、等を挙げることができる。
塩基性分散剤は、塩基価を持つことが好ましい。塩基性分散剤の塩基価は、好ましくは1mgKOH/g以上であり、より好ましくは10mgKOH/g以上であり、一層好ましくは15mgKOH/g以上である。これによって、微細かつ安定な油性インクを作製することができる。
ここで、塩基価は、不揮発分1gに含まれる全塩基性成分を中和するのに必要な塩酸と当量の水酸化カリウムのミリグラム数である。以下同じである。
連続相中の塩基性分散剤は、エマルションの安定性及び蛍光性樹脂粒子の分散性の観点から、連続相全体に対し0.1〜15質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜10質量%である。
溶剤Bの除去後の塩基性分散剤の含有量としては、蛍光性樹脂粒子の分散性の観点から、インク全体に対し0.1〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜15質量%である。
連続相には、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、表面張力調整剤、消泡剤等のその他の任意成分を添加してもよい。
「分散相」
分散相としては、溶剤B、蛍光顔料、及び酸性化合物を含む。
溶剤Bは、上記した溶剤Aに対する溶解度が23℃で3g/100g以下であり、溶剤Aよりも沸点が低いものであることが好ましい。
溶剤Bとしては、好ましくは極性有機溶剤であり、より好ましくは低級アルコール系溶剤である。低級アルコール系溶剤としては、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール等を挙げることができる。さらに好ましくは、炭素数4以下の低級アルコール系溶剤である。
これらは単独で、または複数種を組み合わせて使用することができる。
溶剤Bの溶剤Aに対する溶解度は23℃で3g/100gであることが好ましく、より好ましくは、23℃で1g/100g以下であり、さらに好ましくは0.5g/100g以下であり、一層好ましくは、実質的に溶解しないことである。
溶剤Bと溶剤Aとの沸点の差は、10℃以上であることが好ましく、より好ましくは20℃以上であり、更に好ましくは、50℃以上である。この場合、石油系炭化水素溶剤等の混合溶剤の場合、蒸留初留点を沸点とする。
溶剤Bの沸点は、100℃以下であることが好ましく、より好ましくは90℃以下である。一方、溶剤Bの沸点の下限値は、溶剤Bが−20〜90℃の範囲で液状であれば特に制限されない。
溶剤Bは、ハンセン溶解度パラメーター(HSP値)が18〜30MPa/cmであることが好ましく、より好ましくは20〜30MPa/cmである。また、溶剤Bは、分散項δdが14〜17、極性項δpが5〜15、水素結合項δhが5〜25であることが好ましく、より好ましくは、分散項δdが14〜17、極性項δpが5〜15、水素結合項δhが15〜25である。
溶剤Bの溶解度パラメーターが上記範囲であることで、溶剤Aに対して溶解性が低く、かつ、蛍光性樹脂粒子及び固体樹脂をそれぞれ溶解させる能力を有することができる。蛍光性樹脂粒子及び固体樹脂の溶解度パラメーターとしては、上記範囲のものであれば、溶剤Bに溶解し、溶剤Aに対して不溶性で分散安定性を得ることができる。
溶剤Aが炭化水素系溶剤であり、溶剤Bが炭素数4以下のアルコール系溶剤であることが好ましい。炭化水素系溶剤の好ましい例としては、ナフテン、パラフィン、イソパラフィン等である。炭素数4以下のアルコール系溶剤の好ましい例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等であり、より好ましくはメタノールである。
蛍光顔料としては、上記した通りである。
蛍光顔料は、溶剤Aよりも溶剤Bに対する親和性が高いことが好ましい。分散相に蛍光顔料とともに酸性化合物を含ませることで、分散相中で顔料を安定して分散させ、分散相と連続相とを混合する際に、分散相から連続相に蛍光顔料が移動しないようにすることができる。
分散相中の蛍光顔料は、分散相全体に対し、0.1〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜40質量%であり、一層好ましくは2〜20質量%である。これによって、溶剤Bへの分散性を安定にすることができる。
溶剤Bの除去後、蛍光顔料の含有量としては、インク全体に対し、0.1〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜40質量%であり、一層好ましくは2〜20質量%である。これによって、蛍光性樹脂粒子の呈色を適正にして、形状を安定化することができる。
分散相中、すなわち溶剤B中で蛍光顔料を安定して分散させるために、顔料分散剤を分散相にさらに含ませてもよい。
顔料分散剤としては、アニオン性分散剤、カチオン性分散剤、両性分散剤及びノニオン性分散剤のいずれを用いてもよく、エマルションのその他成分に応じて適宜選択すればよい。また、顔料分散剤は、また、高分子量化合物及び低分子量化合物(界面活性剤)のいずれを用いてもよい。
顔料分散剤としては、例えば、水酸基含有カルボン酸エステル、高分子量ポリカルボン酸の塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、ポリエステルポリアミン、ステアリルアミンアセテート、高分子量不飽和酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート等を用いることができる。
これらは単独で用いられるほか、複数種を組み合わせて使用してもよい。
顔料分散剤は、溶剤Bに対する溶解度が溶剤Aに対する溶解度よりも高いことが好ましく、例えば、溶剤Bに対する溶解度が23℃で3g/100g以上であることが好ましく、より好ましくは5g/100g以上である。さらに好ましくは、油中油型エマルションの配合割合において、溶剤Bに顔料分散剤が実質的に全て溶解し、溶剤Aに顔料分散剤が実質的に溶解しないように、顔料分散剤が選択される。
アニオン性分散剤としては、上記した酸性化合物のなかから顔料分散性を備えるものを用いてもよい。
アニオン性分散剤として使用可能な酸性化合物として、市販されているものとしては、例えば、ビックケミー・ジャパン社製「DISPERBYK102、106、110、111、180、191」(いずれも商品名)、巴工業社製「TEGODisper655」、EFKA社製「Efca6230」等を挙げることができる。これらはいずれも溶剤Bに対する溶解性が良好である。
カチオン性分散剤としては、例えば、アミノ基、アミド基、ピリジル基、ウレタン結合等を有する含窒素化合物を好ましく用いることができ、中でもアミノ基を有する含窒素化合物であることが好ましい。
カチオン性分散剤として、市販されているものとしては、例えば、ルーブリゾール社製「ソルスパース71000」、ビックケミー・ジャパン社製「DISPERBYK2155、9077」等を用いることができる。これらはいずれも溶剤Bに対する溶解性が良好である。
分散相中の顔料分散剤の配合量は、適宜設定できるが、顔料分散性の観点から、質量比で、蛍光顔料1部に対し0.05〜2.0部程度であることが好ましく、0.1〜1.0部であることがより好ましく、0.2〜0.6であることがさらに好ましい。
固体樹脂としては、室温(23℃)で固体状の樹脂であることが好ましい。詳細については、上記した通りである。
固体樹脂は、油中油型エマルションによって蛍光性樹脂粒子を製造する場合は、溶剤Aよりも溶剤Bに対する溶解度が高いものであることが好ましい。また、固体樹脂がこのような溶解性となるように、溶剤A及び溶剤Bを適宜選択することができる。
固体樹脂の溶剤Bに対する溶解度は23℃で10g/100g以上であることが好ましく、より好ましくは20g/100g以上である。また、固体樹脂の溶剤Aに対する溶解度は23℃で3g/100g以下であることが好ましく、より好ましくは1g/100g以下であり、さらに好ましくは0.5g/100g以下である。一層好ましくは、固体樹脂は、油中油型エマルションの配合割合において、溶剤Bに実質的に全て溶解し、溶剤Aに実質的に溶解しないものである。
分散相全量に対する固体樹脂の含有量は、0.1〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜40質量%であり、一層好ましくは2〜20質量%である。これによって、溶剤Bへの固体樹脂の溶解性を適正にして、蛍光性樹脂粒子の成分をより均一にすることができる。
溶剤B除去後のインク全量に対する固体樹脂の含有量は、0.1〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜15質量%である。これによって、蛍光性樹脂粒子の呈色を適正にして、形状を安定化することができる。
固体樹脂と色材の質量比は、(固体樹脂の質量)/(色材の質量)≧0.5であることが好ましい。この範囲で、連続相と分散相とを混合及び攪拌したときに、乳化安定性に優れた油中油型エマルションを提供することができる。
酸性化合物は、酸性基を有する液体有機化合物である。詳細については、上記した通りである。
酸性化合物は、特に制限されないが、溶剤Aよりも溶剤Bに対する溶解度が高いことが好ましい。酸性化合物の溶剤Bに対する溶解度は23℃で1g/100g以上であることが好ましく、より好ましくは2g/100g以上である。また、酸性化合物の溶剤Aに対する溶解度は23℃で3g/100g以下であることが好ましく、より好ましくは1g/100g以下であり、さらに好ましくは0.5g/100g以下である。一層好ましくは、酸性化合物は、油中油型エマルションの配合割合において、溶剤Bに実質的に全て溶解し、溶剤Aに実質的に溶解しないものである。
分散相全量に対する酸性化合物の含有量は、0.1〜25質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜20質量%である。これによって、エマルションをより安定化することができる。
溶剤B除去後のインク全量に対する酸性化合物の含有量は、0.1〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜15質量%である。これによって、酸性化合物とともに各成分を均一に混合して蛍光性樹脂粒子を得ることができる。
酸性化合物と色材の質量比は、(酸性化合物の質量)/(色材の質量)≧0.5であることが好ましい。この範囲で、連続相と分散相とを混合及び攪拌したときに、乳化安定性に優れた油中油型エマルションを提供することができる。
分散相には、本発明の効果を損なわない範囲で、消泡剤、酸化防止剤、表面張力調整剤、架橋剤、可塑剤等のその他の任意成分を添加してもよい。
「油性インクの調製方法」
油性インクの調製方法としては、特に限定されず、上記した連続相に上記した分散相を分散させて油中油型エマルションを作製し、この油中油型エマルションから、分散相中の非水系溶剤Bを除去することで調製することができる。
例えば、連続相及び分散相は、それぞれ上記した各成分を混合して調製することができる。その後、連続相に分散相を滴下しながら混合及び攪拌することで、連続相に分散相を分散させることができる。このとき、混合及び攪拌は、超音波ホモジナイザーを用いて行うことができる。得られた油中油型エマルションから減圧及び/または加熱により非水系溶剤Bを除去することができる。減圧及び/または加熱の程度は、非水系溶剤Bが除去されるが、非水系溶剤Aは残るように調製する。
分散相中での顔料の分散方法としては、ボールミル、ビーズミル、超音波、ホモミキサー、高圧ホモジナイザー等の一般的な湿式分散機を用いることができる。
本実施形態では、蛍光顔料の平均粒子径を80〜250nmの範囲とするために、蛍光顔料を含む分散相を分散する段階で、蛍光顔料を粉砕してもよい。粉砕処理には、ボールミル、ビーズミル等が適する。
分散相は、溶剤Bとともに少なくとも蛍光顔料を含む段階で、粉砕処理をし、続いて、酸性化合物等のその他の成分を後添加してもよい。また、分散相が全成分を含む段階で粉砕処理をしてもよい。
固体樹脂を分散相に加えた状態での粘度が高過ぎて蛍光体顔料の粉砕が困難な場合には、溶剤Bに、蛍光顔料及び酸性化合物を添加した分散相を分散、粉砕処理し、粉砕処理後に固体樹脂を添加してもよい。
分散相をボールミル、ビーズミル等で粉砕する場合では、粉砕時間を制御することで、粒子径を調整することができる。粉砕時間は、分散相の成分や、分散方法によっても異なるが、2時間〜16時間程度とすることができる。
また、油中油型エマルションの連続相と分散相との質量比は、40:60〜95:5の範囲で調整することができる。非水系溶剤Bの添加量は、油中油型エマルション全体に対し、5〜40質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜30質量%である。また、非水系溶剤Bの除去量は、配合された非水系溶剤B全量であることが望ましいが、配合された非水系溶剤B全量に対し90質量%以上であればよい。
油性インクにおいて、蛍光性樹脂粒子の平均粒子径は、上記した通りであることが好ましい。
蛍光性樹脂粒子の平均粒子径は、連続相に配合される塩基性分散剤の量、または、分散相に配合される不揮発分の量等を調整することで制御することができる。酸性化合物を配合することで、蛍光性樹脂粒子の平均粒子径をより小さく制御することが可能である。
本実施形態による油性インクは、上記した油中油型エマルションから調製された分散体をそのまま用いることも可能であり、また、必要に応じて、得られた分散体に、本発明の目的を阻害しない範囲内で、当該分野において通常用いられている各種添加剤を後から含ませることができる。例えば、ノズルの目詰まり防止剤、酸化防止剤、導電率調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、酸素吸収剤等を適宜添加することができる。これらの種類は、特に限定されることはなく、当該分野で使用されているものを用いることができる。また、得られた分散体を上記した非水系溶剤でさらに希釈して、油性インクを調製してもよい。
本実施形態による油性インクは、インクジェットインクとして好ましく用いることができる。
インクジェットインクとしての粘度は、インクジェット記録システムの吐出ヘッドのノズル径や吐出環境等によってその適性範囲は異なるが、一般に、23℃において2〜30mPa・sであることが好ましく、3〜15mPa・sであることがより好ましく、11mPa・s以下であることが、一層好ましい。
インクジェットインクを用いた印刷方法としては、特に限定されず、ピエゾ方式、静電方式、サーマル方式など、いずれの方式のものであってもよい。インクジェット記録装置を用いる場合は、デジタル信号に基づいてインクジェットヘッドから本実施形態によるインクを吐出させ、吐出されたインク液滴を記録媒体に付着させるようにすることが好ましい。
本実施形態において、記録媒体は、特に限定されるものではなく、普通紙、コート紙、特殊紙等の印刷用紙、布、無機質シート、フィルム、OHPシート等、これらを基材として裏面に粘着層を設けた粘着シート等を用いることができる。これらの中でも、インクの浸透性の観点から、普通紙、コート紙等の印刷用紙を好ましく用いることができる。
ここで、普通紙とは、通常の紙の上にインクの受容層やフィルム層等が形成されていない紙である。普通紙の一例としては、上質紙、中質紙、PPC用紙、更紙、再生紙等を挙げることができる。普通紙は、数μm〜数十μmの太さの紙繊維が数十から数百μmの空隙を形成しているため、インクが浸透しやすい紙となっている。
また、コート紙としては、インクジェット用コート紙や、いわゆる塗工印刷用紙を好ましく用いることができる。ここで、塗工印刷用紙とは、従来から凸版印刷、オフセット印刷、グラビア印刷等で使用されている印刷用紙であって、上質紙や中質紙の表面にクレーや炭酸カルシウム等の無機顔料と、澱粉等のバインダーを含む塗料により塗工層を設けた印刷用紙である。塗工印刷用紙は、塗料の塗工量や塗工方法により、微塗工紙、上質軽量コート紙、中質軽量コート紙、上質コート紙、中質コート紙、アート紙、キャストコート紙等に分類される。
以下に、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されない。特に説明のない限り、「%」は「質量%」を示す。
<インク調製>
表1から表4に、溶剤B除去前の実施例及び比較例の油中油型エマルションの処方を示す。各表において、各成分に揮発分が含まれる場合は、各成分の全体量とともに不揮発分量をカッコ内に併せて示す(後述する表5から表8も同じである)。
以下、実施例1の油中油型エマルションの作製方法を説明する。
連続相は、塩基性分散剤1.5g及び溶剤A12.25gを混合し調製した。
分散相1は、酸性化合物1.25g及び溶剤Bの一部0.5gを混合し調製した。
分散相2は、ポリ容器50ccに、蛍光顔料6.9g、分散剤1.3g、溶剤Bの一部26.8g、0.5mmφ粉砕メディア(ジルコニアビーズ)100gを入れて、セイワ技研製ロッキングミルで60Hz、6時間分散をして、分散体を調製した。得られた分散体35gの中から取り出した分散体6.38gと、固体樹脂1.25g及び溶剤Bの一部1.88gを混合し溶解した液とを混合し、分散相2を調製した。
次に、連続相と分散相1を混合し、連続相に分散相1が分散されたプレエマルションを作製した。このプレエマルションに、分散相2を滴下しながら、超音波ホモジナイザー「Ultrasonic processor VC―750」(ソニックス社製)を10分間照射し、油中油(O/O)型エマルションを得た。
得られたエマルションを、エバポレーターで減圧しながら、分散相中の溶剤Bを除去して、油性インクを得た。溶剤Bの除去率は、ほぼ100質量%であった。この分散体をそのままインクとして用いた。
その他の実施例及び比較例は、各表に示す各成分をそれぞれの割合にしたがって用いた他は、実施例1と同様にしてインクを調製した。
また、各実施例及び比較例を通して、分散相2をビーズミルする時間を変化させて、蛍光顔料の粉砕程度を調整した。粉砕程度は、後述する分散相2の分散後の顔料平均粒子径から判断することができる。
比較例2、6及び7では、分散相2をビーズミル後に、分散相2の輝度が低下したため、粉砕後の蛍光顔料の平均粒子径及び印刷物の輝度以外の評価は行なわなかった。
比較例4及び5では、固体樹脂の代わりに比較樹脂を用いたところ、連続相と分散相1及び2との混合中に、蛍光顔料が凝集して、インクを調製できなかった。
表5から表8に、溶剤B除去後の実施例及び比較例のインクの処方を示す。インク全量に対する蛍光性樹脂粒子分(酸性化合物、蛍光顔料、分散剤、固体樹脂、比較樹脂)の合計量から、不揮発分量を求め、各表に併せて示す。
Figure 2018090666
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各表に示す成分は、以下の通りである。
(連続相)
「塩基性分散剤」
S11200:日本ルーブリゾール株式会社製「ソルスパース11200」(ポリエステルアミン系)、不揮発分50%、塩基価37KOHmg/g。
AmPA2−B:アミン変性メタクリルブロックポリマー「AmPA2−B」、不揮発分40%、塩基価18KOHmg/g。製法については後述する。
「溶剤A」
炭化水素系溶剤:東燃ゼネラル石油株式会社製「アイソパーM」。
(分散相1)
「酸性化合物」
BYK111:2個のリン酸基を有する液体有機化合物(共重合体の両末端にリン酸基を有するリン酸エステル化合物)、ビックケミー・ジャパン株式会社製「DISPER BYK111」、酸価129KOHmg/g、不揮発分95.0%。
CM294P:2個のリン酸基を有する液体有機化合物(共重合体の両末端にリン酸基を有するリン酸エステル化合物)、ユニケミカル株式会社製「CM294P」、酸価74KOHmg/g、不揮発分100%。
「揮発性溶剤」
メタノール:和光純薬工業株式会社製。
(分散相2)
「蛍光顔料」
D1165:BaMgAl1017:EU,Mn、株式会社ネモト・ルミマテリアル製「D1165」。
D1184:BaMgAl1017:EU、株式会社ネモト・ルミマテリアル製「D1184」。
YPV−F:YPVO:Eu、株式会社ネモト・ルミマテリアル製「YPV−F」。
D1230:Sr(PO)3Cl:Eu、式会社ネモト・ルミマテリアル製「D1230」。
「分散剤」
BYK191:ビックケミー・ジャパン株式会社製「DISPER BYK191」。
S71000:カチオン性分散剤、日本ルーブリゾール株式会社製「ソルスパース71000」、不揮発分100%、塩基価77KOHmg/g。
(固体樹脂)
ブチラールBL−10:ポリビニルブチラール樹脂、「エスレックBL−10」、(Mw)15000。
ブチラールKS−10:ポリビニルブチラール樹脂、「エスレックKS−10」、(Mw)17000。
ブチラールBX−L:ポリビニルブチラール樹脂、「エスレックBX−L」、(Mw)20000。
ブチラールBX−S:ポリビニルブチラール樹脂、「エスレックBX−S」、(Mw)23000。
ブチラールKS−1:ポリビニルブチラール樹脂、「エスレックKS−1」、(Mw)27000。
ブチラールBL−2H:ポリビニルブチラール樹脂、「エスレックBL−2H」、(Mw)28000。
SMA1440:スチレン無水マレイン酸樹脂のエステル化物、「SMA1440」、酸価165−205mgKOH/g。
SMA2625:スチレン無水マレイン酸樹脂のエステル化物、「SMA2625」、酸価200−240mgKOH/g。
SMA17352:スチレン無水マレイン酸樹脂のエステル化物、「SMA17352」、酸価255−285mgKOH/g。
ブチラールBM−1:ポリビニルブチラール樹脂、「エスレックBM−1」、(Mw)40000。
ブチラールBM−2:ポリビニルブチラール樹脂、「エスレックBM−2」、(Mw)5200。
ブチラールBH−6:ポリビニルブチラール樹脂、「エスレックBH−6」、(Mw)92000。
ポリビニルブチラール樹脂は、積水化学工業株式会社より入手し、スチレン無水マレイン酸樹脂のエステル化物は、川原油化株式会社より入手した。
(比較樹脂)
アセテートブチラート:セルロースアセテートブチレート、EASTMAN社製「CAB553−04」、酢酸酪酸セルロース、CAS番号9004−36−8。
ケトンレジン:荒川化学工業株式会社製「K−90」、(酸価)1mgKOH/g以下。
上記Mwは、重量平均分子量を示す。
溶剤Bであるメタノールは、溶剤Aである炭化水素系溶剤であるアイソパーMに対する溶解度が23℃で3g/100g未満である。また、メタノールの沸点は64.7℃である。
各表に示す処方において、各成分の溶解度は以下の通りであった。
各塩基性分散剤は、溶剤Aに溶解し、溶剤Bに対する溶解度が23℃で3g/100g未満であった。
各酸性化合物は、溶剤Bに溶解し、溶剤Aに対する溶解度が23℃で3g/100g未満であった。
各蛍光顔料は、溶剤Aよりも溶剤Bに親和性があり、溶剤B中に分散した。
各分散剤は、溶剤Bに溶解し、溶剤Aに対する溶解度が23℃で3g/100g未満であった。
各固体樹脂及び比較樹脂は、溶剤Bに溶解し、溶剤Aに対する溶解度が23℃で3g/100g未満であった。
<評価>
上記した各インクを用いて、以下の各評価を行った。結果を各表に併せて示す。
(印刷物の輝度)
印刷物の輝度は、粉砕後の顔料を含むインクの輝度と、未粉砕の顔料を含むインクの輝度とから、輝度低下率を求めて評価した。
輝度の測定方法は、各インクを普通紙「理想用紙薄口」(理想科学工業株式会社製)にへら引きして塗工し、塗工領域に365nm波長のUV光を照射して、輝度計(株式会社トプコンテクノハウス製「トプコンBM9」)を用いて塗工領域の輝度を測定した。インクの塗工厚さは、9〜12μm程度になるようにした。
粉砕後の顔料を含むインクは、上記実施例及び比較例のインクをそのまま用いた。
未粉砕の顔料を含むインクは、上記実施例及び比較例のインクの処方において蛍光顔料と溶剤Aとの配合割合がほぼ同じになるように、未粉砕(分散前)の各蛍光顔料を7.04質量部と、炭化水素系溶剤「アイソパーM」を92.96質量部との混合物を撹拌して調製した。
輝度低下率は、下記式によって求めた。
輝度低下率=[粉砕後の顔料を含むインクの輝度×100)/(未粉砕の顔料を含むインクの輝度)]−100(%)
以上の輝度低下率から、以下の基準で、印刷物の輝度を評価した。
AA:輝度低下率が50%未満である。
A:輝度低下率が50%以上70%未満である。
B:輝度低下率が70%以上90%未満である。
C:輝度低下率が90%以上である。
(70℃、2週間後の貯蔵安定性)
各インクを密閉容器に入れ、70℃の環境下で2週間放置した。保管2週間後に、蛍光顔料の沈降や分離の度合いを目視で観察し、貯蔵安定性を以下の基準で評価した。
AA:分離や沈降なし。
A:分離がわずかにみられる 。
B:分離が少し目立つ。
C:分離が顕著。
D:顔料が完全に沈降。
(粉砕後の蛍光顔料の平均粒子径)
粉砕後の顔料の平均粒子径は、分散相2をビーズミルした後の顔料の平均粒子径から求めた。
顔料の平均粒子径は、分散相2を少量採取し、アセトンで樹脂成分を洗い流して、SEM(走査型電子顕微鏡)写真を撮影し、無作為に選んだ30個の粒子の長径を平均して求めた。
(インクの粘度)
インクの粘度は、23℃において0.1Pa/sの速度で剪断応力を0Paから増加させたときの10Paにおける粘度であり、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製「レオメータAR−G2」(コーン角度2°、直径40mm)で測定した。
上記各表に示す通り、各実施例のインクは、いずれの評価も良好であり、また、蛍光性樹脂粒子の平均粒子径及び粘度も適正な範囲であった。
実施例1〜7では、固体樹脂にブチラール樹脂を用いたものであり、蛍光顔料を平均粒子径200nm以下と小さくしても、蛍光輝度が得られ、安定性も良好であった。
実施例8〜13では、固体樹脂にスチレン無水マレイン酸樹脂のエステル化物を用いたものであり、蛍光顔料を平均粒子径220nm以下と小さくしても、蛍光輝度が得られ、安定性も良好であった。
実施例9と実施例13では、同じ処方で、蛍光顔料の粉砕程度の異なるものである。実施例9では、分散後の蛍光顔料の平均粒子径が小さく、安定性がより良好であった。実施例13では、分散後の蛍光顔料の平均粒子径が大きく、蛍光輝度がより十分に得られた。
実施例14では、実施例2に対し、異なる蛍光顔料を用いているが、十分な結果が得られた。
実施例15〜17は、より高分子量のブチラール樹脂を用いたものであり、十分な結果が得られた。
比較例1では、実施例7に対し、蛍光顔料が平均粒子径280nmになるまで粉砕したものであり、蛍光輝度は低下しなかったが、蛍光顔料の平均粒子径が大きくインクの安定性が低下した。
比較例2では、実施例8に対し、蛍光顔料が平均粒子径70nmになるまで粉砕したものであり、分散相の調製段階で、蛍光輝度が低下し、印刷物の輝度も低かった。
比較例3では、実施例8に対し、蛍光顔料が平均粒子径280nmになるまで粉砕したものであり、蛍光輝度は低下しなかったが、インクの安定性が低下した。
比較例4及び5では、比較樹脂を用いたものであり、油中油型エマルションの段階で、顔料が凝集し、インクを調製できなかった。
比較例6及び7では、アルミン酸塩蛍光体以外の蛍光顔料を用いたものであり、分散相の調製段階で、蛍光顔料の粒子径が小さくなると、蛍光輝度が低下し、印刷物の輝度も低かった。
<アミン変性メタクリルブロックポリマーの製造方法>
以下、実施例11で用いた塩基性分散剤である、アミン変性メタクリルブロックポリマー「AmPA2−B」の製造方法について説明する。
(工程(1−1):第1段階、メタクリルポリマー(PA)の作製)
表9に、塩基性分散剤調製用のメタクリルポリマーの配合を示す。
表9に示す第1段階の配合にしたがって、ナスフラスコに、モノマーA、2−シアノ−2−プロピルドデシルトリチオカルボナート(SIGMA ALDRICH社製)、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル、和光純薬工業株式会社製)、アイソパーM(東燃ゼネラル石油株式会社)を加えた。十分脱気を行ったあと、不活性ガス(アルゴン)で置換し、90℃で24時間かけて加熱及び撹拌した。得られたポリマーPA2の溶液の不揮発分は40質量%であった。反応後のポリマーPA2の質量平均分子量は20000であった。
Figure 2018090666
(工程(1−2):第2段階、メタクリルブロックポリマー(PA2−B)の作製)
表10に、メタクリルブロックポリマーの配合を示す。
ポリマーPA2の反応後、表10に示す第2段階の配合にしたがって、ポリマーPA2に、モノマーA、モノマーB、AIBN、アイソパーMを加えた。同様に脱気及び不活性ガス置換を行い、90℃で24時間かけて加熱及び撹拌した。得られたポリマーPA2−Bの溶液の不揮発分は40質量%であった。反応後のポリマーPA2−Bの質量平均分子量は35000であった。なお、表中のポリマーPA2の配合量は溶液全体の値で示す。
Figure 2018090666
(工程(2):アミン変性メタクリルブロックポリマー(AmPA2−B)の作製)
表11に、アミン変性メタクリルブロックポリマーの配合及び物性を示す。
メタクリルブロックポリマーPA2−Bの反応後、表11に示す配合にしたがって、ナスフラスコに、不揮発分40%のメタクリルブロックポリマーPA2−B、ジエタノールアミン(和光純薬工業株式会社製)を加え、110℃で3時間加熱撹拌して、不揮発分40%のアミン変性メタクリルブロックポリマーAmPA2−Bを得た。
得られたアミン変性メタクリルブロックポリマーAmPA2−Bの質量平均分子量は、メタクリルブロックポリマーPA2−Bと同様である。
Figure 2018090666
各表に示すモノマーの詳細は以下の通りである。
ドデシルメタクリレート:分子量254、アルキル基の炭素数12、和光純薬工業株式会社製。
ベヘニルメタクリレート:分子量380、アルキル基の炭素数22、日本油脂株式会社製「ブレンマーVMA−70」。
グリシジルメタクリレート:分子量142、和光純薬工業株式会社製。

Claims (8)

  1. 蛍光性樹脂粒子、非水系溶剤、及び塩基性分散剤を含み、
    前記蛍光性樹脂粒子は、アルミン酸塩蛍光体を含み、平均粒子径が80〜250nmである蛍光顔料と、
    スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアセタール及びこれらの誘導体から選択される1種以上を含む固体樹脂と、
    酸性基を有する液体有機化合物とを含む、油性インク。
  2. 前記アルミン酸塩蛍光体は、BaMgAl1017:Eu、BaMgAl1017:Eu,Mn、またはこれらの組み合わせである、請求項1に記載の油性インク。
  3. 前記ポリビニルアセタールは、ポリビニルブチラール樹脂を含む、請求項1または2に記載の油性インク。
  4. 前記ポリビニルアセタール及びその誘導体は、それぞれ重量平均分子量が30000以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載の油性インク。
  5. 前記スチレン−無水マレイン酸共重合体及びその誘導体は、それぞれ酸価が120mgKOH/g以上である、請求項1から4のいずれか1項に記載の油性インク。
  6. 前記スチレン−無水マレイン酸共重合体は、酸価が150mgKOH/g以上である、請求項1から5のいずれか1項に記載の油性インク。
  7. インクジェットインクである、請求項1から6のいずれか1項に記載の油性インク。
  8. 非水系溶剤Aと、前記非水系溶剤Aよりも沸点が低い非水系溶剤Bとを用いて、
    前記非水系溶剤Aと塩基性分散剤とを含む連続相に、前記非水系溶剤Bと蛍光顔料と固体樹脂と酸性基を有する液体有機化合物とを含む分散相を分散させて油中油型エマルションを作製し、
    前記油中油型エマルションから前記非水系溶剤Bを除去する工程を含み、
    前記蛍光顔料は、アルミン酸塩蛍光体を含み、平均粒子径が80〜250nmであり、
    前記固体樹脂は、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアセタール及びこれらの誘導体のうち1種以上を含み、
    前記塩基性分散剤は、前記非水系溶剤Bよりも前記非水系溶剤Aに対する溶解度が高く、
    前記固体樹脂及び前記酸性基を有する液体有機化合物は、それぞれ前記非水系溶剤Aよりも前記非水系溶剤Bに対する溶解度が高い、油性インクの製造方法。
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