JP2018090579A - アシルアミノ酸高配合組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】高濃度のアシルアミノ酸とアセトフェノン誘導体を含む防腐性に優れ保存安定性が高い組成物を提供する。【解決手段】アシルアミノ酸、アセトフェノン誘導体及び多価アルコールを含む組成物。【選択図】図1

Description

本発明は高濃度のアシルアミノ酸、アセトフェノン誘導体及び多価アルコールを含む抗菌性が高く保存性に優れた組成物及び該組成物を含む化粧料に関する。また前記組成物を添加することを特徴とする化粧料の防腐方法に関する。
近年の安全性志向の高まりによる防腐剤のイメージの低下から、市場では従来使用されてきたパラベンなどの各種防腐剤は消費者から敬遠される存在となっており、それらの防腐剤を配合せずに化粧品の防腐を行う技術が求められている。現在までに様々な素材の組み合わせを工夫して、化粧料の防腐を行う技術が数多く報告されている。しかし、それらに要求される条件は多く、例えば化粧料中における広いpHにおいての高い防腐効果や幅広い抗菌スペクトル、化粧品の各素材自体が広範囲の温度で長期にわたり優れた安定性を有すること、長期保存後でも化粧料中における性能が変化しないこと、さらに低刺激性であることや化粧料にとって重要である製品の感触に悪影響を与えないことなどが求められているが、すべての条件を満たす防腐に十分なものは報告されていない。
素材の組み合わせを工夫して化粧料の防腐を行う技術として、アセトフェノン誘導体と多価アルコール(特にジオール類)を用いて化粧料を防腐する方法が提案されている(特許文献1、2)。しかし、アセトフェノン誘導体と複数種の多価アルコールとの組み合わせにおいても、緑膿菌及びクロコウジカビに対して良好な相乗効果がみられるものではなかった。また、アセトフェノン誘導体は、乳化組成物中乳化滴を微細にし、乳化系を安定化させると共に、化粧料の官能性も向上させることが報告されているが、継時的な保存安定性試験はしておらず、且つ、着色安定性という観点でも議論されていなかった(特許文献1、2)。
さらに、低分子ジオール類については使用感や処方への影響が大きいという問題があり、あまり配合量を増やすことは好ましくなく、場合によっては低刺激性の要件も満たさない場合がある。
一方、アシルアミノ酸は、低刺激で安全性の高い素材として知られている。なかでもアシルプロリン又はその塩は吸湿性と水分保持性に優れた保湿効果を示すこと、においが課題となる抗菌剤のにおいを抑えながら使用感に優れた化粧料を提供できることなどが報告されている(特許文献2及び3)。またアシルグリシン又はその塩は、低刺激性でかつぬめり感がない洗浄剤組成物として利用できること(特許文献4)、特にウンデシレノイルグリシンが抗ニキビ及び抗ふけ活性を有すること(特許文献5)、またオクタノイルグリシンは抗アクネ、制汗剤、消臭剤などとして使用され、抗菌効果を示すことが開示されているが化粧料においてきしみ感の原因となることも報告されている(特許文献6)。しかしアシルプロリンやアシルグリシンは、先述の化粧料の防腐を行う技術において、求められる条件を全て満たす素材としてはほど遠いのが現状であった。
また化粧料中における各素材の比率の検討、さらにそれぞれの品質管理及び製造操作が煩雑であるため、組み合わせ効果の高い各素材を予め高濃度に含有し広範囲の温度でも長期保存安定性を保ちながら、容易に化粧料に配合できる液状の防腐用組成物が求められていた。
特開2014−172909号公報 WO2014−007290 WO2013−147328 特開平5−156287号公報 EP0983055 特開2001−31993号公報
本発明は、高濃度のアシルプロリン及び/又はアシルグリシンとアセトフェノン誘導体を含み、パラベンなどの防腐剤添加をしないで高い防腐効果を有し、十分な保存安定性を具備し、良好な使用感を実現可能な組成物を提供することである。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、アセトフェノン誘導体を予め高濃度に含有する組成物は、広範囲の温度において長期間保存するには適さないことが判明したが、高濃度のアセトフェノン誘導体にアシルプロリン及び/又はアシルグリシン及び多価アルコールを組み合わせると、細菌や真菌、特にカビに対して広いpHにおいて高い防腐効果を有し、低温及び高温における長期保存後も析出、凍結、分離、濁り、着色、性能の変化などに問題のない、十分な保存安定性を具備し、低刺激性であってべたつきやきしみのない良好な使用感が得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち本発明は以下の態様を含む。
[1]以下の(A)、(B)及び(C)を含む組成物:
(A)一般式(I)で表されるアシルプロリン及びその塩:
(式中R−CO−で表されるアシル基は炭素原子数4〜18の飽和又は不飽和脂肪酸より誘導されるアシル基を表す)、ならびに
一般式(II)で表されるアシルグリシン及びその塩:
(式中R2−CO−で表されるアシル基は炭素原子数6〜12の飽和又は不飽和脂肪酸より誘導されるアシル基を表す)
からなる群から選択される少なくとも1種
(B)一般式(III)で表される化合物又はその塩:
(式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ基又は−OCHを表す)、
(C)多価アルコール。
[2](A)一般式(I)中R−CO−で表されるアシル基が炭素原子数8〜12の飽和又は不飽和脂肪酸より誘導されるアシル基である[1]に記載の組成物。
[3](A)が、デカノイルプロリン及びオクタノイルグリシンからなる群から選択される少なくとも1種である[1]又は[2]のいずれかに記載の組成物。
[3−1](A)一般式(I)で表されるアシルプロリンが、オクタノイルプロリン、デカノイルプロリン、ウンデシレノイルプロリン及びラウロイルプロリンからなる群から選択される少なくとも1種である[1]又は[2]のいずれかに記載の組成物。
[3−2](A)一般式(II)で表されるアシルグリシンが、オクタノイルグリシン、ウンデシレノイルグリシン及びデカノイルグリシンからなる群から選択される少なくとも1種である[1]又は[2]のいずれかに記載の組成物。
[3−3](A)が、デカノイルプロリン、オクタノイルグリシン及びウンデシレノイルグリシンからなる群から選択される少なくとも1種である[1]又は[2]のいずれかに記載の組成物。
[4](A)が、デカノイルプロリンである[1]〜[3]のいずれかに記載の組成物。
[5](B)一般式(III)で表される化合物が、
である[1]〜[4]のいずれかに記載の組成物。
[5−1]
(B)一般式(III)で表される化合物が、
からなる群から選択される少なくとも1種である[1]〜[4]のいずれかに記載の組成物。
[6](B)一般式(III)で表される化合物が、4−ヒドロキシアセトフェノンである、[1]〜[5]のいずれかに記載の組成物。
[7](C)が1,2-ペンタンジオール及びジプロピレングリコールから選択される少なくとも1種である、[1]〜[6]のいずれかに記載の組成物。
[8]更に(D)キレート剤を含む[1]〜[7]のいずれかに記載の組成物。
[9](D)キレート剤が、ペンテト酸又はその塩である[8]に記載の組成物。
[10](D)キレート剤が、ペンテト酸5ナトリウムである[9]に記載の組成物。
[11]組成物中の(A)の含有量が、10重量%以上である[1]〜[10]のいずれかに記載の組成物。
[12]組成物中の(A)の含有量が、15重量%以上である[1]〜[11]のいずれかに記載の組成物。
[13]組成物中の(A)の含有量が、15〜30重量%である[1]〜[12]のいずれかに記載の組成物。
[14]組成物中の(B)の含有量が、5〜20重量%である[1]〜[13]のいずれかに記載の組成物。
[15]組成物中の(C)の含有量が、10〜60重量%である[1]〜[14]のいずれかに記載の組成物。
[16]組成物中の(D)の含有量が、0.01〜0.5重量%である[8]〜[15]のいずれかに記載の組成物。
[17](A)及び(C)の総和の(B)に対する重量比((A)+(C))/(B)が2.8を超える[1]〜[16]のいずれかに記載の組成物。
[18]pHが5.5〜6.5であることを特徴とする[1]〜[17]のいずれかに記載の組成物。
[19]液状であることを特徴とする[1]〜[18]のいずれかに記載の組成物。
[20]抗菌用又は防腐用組成物である[1]〜[19]のいずれかに記載の組成物。
[21][1]〜[20]のいずれかに記載の組成物を含む化粧料。
[22][1]〜[20]のいずれかに記載の組成物を化粧料に添加する工程を含む化粧料の防腐方法であって、化粧料の総重量に対して該組成物0.1〜10重量%を化粧料に添加することを特徴とする方法。
本発明の組成物は、高濃度のアセトフェノン誘導体やアシルアミノ酸を含むので、各種化粧料等に所望の量を容易に配合することができる。
本発明によれば、広いpHにおいて細菌だけでなくカビ等の繁殖を阻止し保存性に優れた化粧料を提供することができる。
さらに本発明によれば、所望の外観を有し使用感に優れた化粧料を提供することができる。
図1は、多価アルコールの種類と添加量による着色安定性への影響を70℃で3週間保存後の透過率で示した。縦軸は430nmの透過率(%)を示す。 図2は、多価アルコールの種類と添加量による着色安定性への影響を70℃で3週間保存後の透過率で示した。縦軸は430nmの透過率(%)を示す。 図3は、本願組成物と防腐機能を有する湿潤剤の細胞毒性発現濃度を示した。
[(A−1)アシルプロリン]
本発明におけるアシルプロリンは、一般式(I)で表される。
一般式(I)中の
は、本明細書中において、R−CO−とも表される。
−CO−で表されるアシル基は、炭素原子数4〜18の飽和又は不飽和脂肪酸より誘導されるアシル基、すなわち当該飽和又は不飽和脂肪酸のアシル残基であり、例としては、ブタノイル基、イソブタノイル基、sec−ブタノイル基、tert−ブタノイル基、ペンタノイル基、sec−ペンタノイル基、tert−ペンタノイル基、イソペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、2−エチルヘキサノイル基、tert−オクタノイル基、ノナノイル基、イソノナノイル基、デカノイル基、イソデカノイル基、ウンデカノイル基、ラウロイル基、ウンデシレノイル基、ミリストイル基、パルミトイル基及びステアロイル基が挙げられる。
−CO−で表される長鎖アシル基は、単一組成の酸より誘導されるアシル基のほか、ヤシ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、パーム油脂肪酸等の天然より得られる混合脂肪酸あるいは合成により得られる脂肪酸(分岐脂肪酸を含む)より誘導されるアシル基であっても良い。これらのうち1種類を使用しても良いし、上記群から選ばれる2種以上を混合して使用しても構わない。
−CO−で表されるアシル基は、炭素原子数6〜14の飽和又は不飽和脂肪酸より誘導されるアシル基であることが好ましく、炭素原子数8〜12の飽和又は不飽和脂肪酸より誘導されるアシル基であることがより好ましく、炭素原子数8〜10の飽和又は不飽和脂肪酸より誘導されるアシル基であることがさらに好ましく、デカノイル基が特に好ましい。
なかでも一般式(I)で表されるアシルプロリンは、オクタノイルプロリン、デカノイルプロリン、ウンデシレノイルプロリン、ラウロイルプロリンが好ましく、デカノイルプロリンがより好ましい。
従って、式中Rは炭素原子数3〜17の炭化水素基を示す。「炭化水素基」としては、例えば、アルキル基及びアルキニル基等の鎖状炭化水素基が挙げられるが、鎖状炭化水素基が好ましく、直鎖又は分岐鎖のものをいずれも使用することができる。なかでもアルキル基がより好ましい。「炭化水素基」の炭素原子数は5〜13が好ましく、7〜11がより好ましく、7〜9がさらに好ましい。
一般式(I)で表される化合物の塩としては、薬理学的に許容しうる塩等が挙げられ、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;及び塩基性有機物塩などが挙げられる。これらのうち、溶解性の観点から、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩がより好ましく、ナトリウム塩が更に好ましい。
さらに式(I)で表される化合物は、水和物であっても、非水和物であっても、無溶媒和物であっても、溶媒和物であってもよい。
本発明におけるアシルプロリンの製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を組み合わせて容易に製造することができる。具体的には、プロリンに、酸クロライドと水酸化ナトリウム等の塩基を同時滴下することによるショッテンバウマン法によりアシルプロリンを調製することができる。当該プロリンは、L体でも、D体でも、又その混合物でもよいが、好ましくはL体である。
[(A−2)アシルグリシン]
本発明におけるアシルグリシンは、一般式(II)で表される。
一般式(II)中の
は、本明細書中において、R−CO−とも表される。
−CO−で表されるアシル基は、炭素原子数6〜12の飽和又は不飽和脂肪酸より誘導されるアシル基、すなわち当該飽和又は不飽和脂肪酸のアシル残基であり、例としては、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、2−エチルヘキサノイル基、tert−オクタノイル基、ノナノイル基、イソノナノイル基、デカノイル基、イソデカノイル基、ウンデシレノイル基、ウンデカノイル基及びラウロイル基が挙げられる。
−CO−で表される長鎖アシル基は、単一組成の酸より誘導されるアシル基のほか、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸等の天然より得られる混合脂肪酸あるいは合成により得られる脂肪酸(分岐脂肪酸を含む)より誘導されるアシル基であっても良い。これらのうち1種類を使用しても良いし、上記群から選ばれる2種以上を混合して使用しても構わない。
−CO−で表されるアシル基は、炭素原子数8〜11の飽和又は不飽和脂肪酸より誘導されるアシル基であることが好ましく、オクタノイル基又はウンデシレノイル基がより好ましい。
なかでも一般式(II)で表されるアシルグリシンは、オクタノイルグリシン、ウンデシレノイルグリシン、デカノイルグリシンが好ましく、オクタノイルグリシン及びウンデシレノイルグリシンが好ましい。
従って、式中Rは炭素原子数5〜11の炭化水素基を示す。「炭化水素基」としては、例えば、アルキル基及びアルキニル基等の鎖状炭化水素基が挙げられる。鎖状炭化水素基が好ましく、直鎖又は分岐鎖のものをいずれも使用することができ、アルキル基がより好ましい。また炭素原子数7〜10がより好ましい。
一般式(II)で表される化合物の塩としては、薬理学的に許容しうる塩等が挙げられ、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;及び塩基性有機物塩などが挙げられる。これらのうち、溶解性の観点から、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩がより好ましく、ナトリウム塩が更に好ましい。
さらに式(II)で表される化合物は、水和物であっても、非水和物であっても、無溶媒和物であっても、溶媒和物であってもよい。
本発明におけるアシルグリシンの製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を組み合わせて容易に製造することができる。具体的には、グリシンに、酸クロライドと水酸化ナトリウム等の塩基を同時滴下することによるショッテンバウマン法によりアシルグリシンを調製することができる。
本発明の組成物における(A)は、アシルプロリン及びその塩、ならびにアシルグリシン及びその塩の中から1種又は2種以上を混合して使用することができる。なかでもアシルプロリン又はその塩が好ましい。
混合して使用する場合は、アシルプロリン又はその塩を1重量部とした場合に、アシルグリシン又はその塩は、通常0.01〜50重量部であり、0.1〜20重量部が好ましく、0.1〜10重量部がより好ましい。
本発明の組成物における(A)の含有量は、組成物の総重量に対して、通常10重量%以上、好ましくは13重量%以上、より好ましくは15重量%以上である。一方、保存安定性、乳化系への影響性の観点から、(A)の含有量は、通常40重量%以下、好ましくは35重量%以下、30重量%以下がより好ましい。
[(B)アセトフェノン誘導体]
本発明における(B)は、下記一般式(III)で表される化合物又はその塩である:
一般式(III)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ基又は−OCHを表す。
一般式(III)で表される化合物は、R及びRがアセチル基に対して、オルト、メタ、及び/又はパラ位に結合する化合物であり、中でも、
(III-a)アセトフェノン
(III-b)2−ヒドロキシアセトフェノン
(III-c)3−ヒドロキシアセトフェノン
(III-d)4−ヒドロキシアセトフェノン
又は上記化合物の混合物が好ましく、(III-b)2−ヒドロキシアセトフェノン、(III-c)3−ヒドロキシアセトフェノン及び(III-d)4−ヒドロキシアセトフェノンからなる群から選択される1種又は2種以上の混合物がより好ましく、(III-d)4−ヒドロキシアセトフェノンがさらに好ましい。
一般式(III)で表される化合物の塩としては、薬理学的に許容しうる塩等が挙げられ、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;及び塩基性有機物塩などが挙げられる。これらのうち、汎用性の観点から、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩がより好ましく、ナトリウム塩が更に好ましい。
さらに式(III)で表される化合物は、水和物であっても、非水和物であっても、無溶媒和物であっても、溶媒和物であってもよい。
一般式(III)で表される化合物又はその塩は、化学合成法、動物や植物に由来する天然のもの、発酵法又は遺伝子組換法によって得られるもののいずれを使用してもよい。
本発明の組成物中の(B)の含有量は、防腐効果及び保存安定性の観点から、組成物の総重量に対して、通常5重量%以上であり、8重量%以上が好ましく、10重量%以上がより好ましい。また(B)の含有量は、通常20重量%以下であり、18重量%以下が好ましく、15重量%以下がより好ましい。
本発明の組成物においては、防腐効果及び保存安定性の観点から、(B)1重量部に対して、(A)は、通常0.1〜25重量部であり、0.2〜15重量部が好ましく、1〜14重量部がより好ましい。
また組成物の化粧料への使用の観点から、(A)及び(B)の総重量は、組成物の総重量に対して、通常10%以上、好ましくは15%以上、より好ましくは20%以上、更に好ましくは25%以上、特に好ましくは28%以上である。上限は特に限定されないが、通常80%以下であり、60%以下が好ましい。
さらに上記(A)及び(B)に加え、(C)多価アルコールを組み合わせて使用することにより、防腐効果をさらに増強させ、保存安定性に優れた組成物を提供することができる。
(C)多価アルコール
本発明において、多価アルコールとは、1分子内に水酸基を2個以上有する化合物である。例えばグリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、ブチレングリコール(1,3−ブタンジオール)、ペンチレングリコール、メチルプロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール(2−メチル−2,4−ペンタンジオール))、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、イソプレングリコール、シクロヘキシルグリセリン、低重合ポリエチレングリコール、マルチトール、エリトリトール、マンニトール、キシリトール、ソルビトールが挙げられる。
なかでも長期保存安定性及び入手の容易さ及び(B)成分との相溶性の点から、炭素数2〜20の多価アルコールが好ましく、炭素数3〜12の多価アルコールがより好ましい。具体的には1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオールが好ましく、1,2−ペンタンジオール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオールがより好ましく、長期保存安定性の観点から、1,2−ペンタンジオール、ジプロピレングリコールが特に好ましい。
これらの多価アルコールは1種又は2種以上を組み合わせて使用しうる。
前記多価アルコールは、市販品、化学合成法、動物や植物に由来する天然のもの、発酵法又は遺伝子組換法によって得られるもののいずれを使用してもよい。
本発明の組成物中の(C)の含有量は、防腐効果及び保存安定性の観点から、組成物の総重量に対して、通常10重量%以上であり、20重量%以上が好ましく、25重量%以上がより好ましい。また(C)の含有量は、通常60重量%以下であり、45重量%以下が好ましく、35重量%以下がより好ましい。
防腐効果及び保存安定性効果の観点から、本発明の組成物の総重量に対して、通常(A)が10〜40重量%、(B)が5〜20重量%、(C)が10〜60重量%配合され、(A)が13〜35重量%、(B)が8〜18重量%、(C)が20〜45重量%配合されていることが好ましく、(A)が15〜30重量%、(B)が10〜15重量%、(C)が25〜35重量%配合されていることがより好ましい。
本発明において、(A)と(B)を高濃度に含む組成物の長期保存安定性の点から、(A)及び(C)の総和の(B)に対する重量比((A)+(C))/(B)は通常2.8を超える。とりわけ当該重量比は2.9以上が好ましく、3.3以上がより好ましく、3.9以上が特に好ましい。この数値の範囲であれば、長期保存安定性に優れた組成物を提供しうる。上限は使用感の観点から、((A)+(C))/(B)は17以下、好ましくは6以下である。この数値の範囲であれば、沈殿を生じることなく、透明の溶液を提供することができる。
(D)キレート剤
本発明の組成物を長期保存安定性の観点から(D)成分として、キレート剤を含むことが好ましい。
具体的なキレート剤としては、長期保存安定性及び入手の容易さの点から、エチドロン酸、ペンテト酸、EDTA及びそれらの塩が挙げられる。なかでもエチドロン酸、ペンテト酸及びそれらの塩が好ましく、長期保存安定性の観点から、ペンテト酸又はその塩がより好ましく、配合のしやすさの観点から、ペンテト酸5ナトリウムが特に好ましい。
本発明の組成物中の(D)の含有量は、防腐効果及び保存安定性の観点から、組成物の総重量に対して、通常0.01重量%以上であり、0.2重量%以上が好ましい。また、通常0.5重量%以下であり、0.4重量%以下が好ましい。
防腐効果及び保存安定性の観点から、本発明の組成物の総重量に対して、通常(A)10〜40重量%、(B)5〜20重量%、(C)10〜60重量%、(D)0.01〜0.5重量%が配合され、(A)13〜35重量%、(B)8〜18重量%、(C)20〜45重量%、(D)0.2〜0.4重量%が配合されていることが好ましく、(A)15〜30重量%、(B)10〜15重量%、(C)25〜35重量%、(D)0.2〜0.4重量%が配合されていることがより好ましい。
化粧料への配合のしやすさの観点から(E)成分として、組成物に水を配合することが好ましい。
水としては、硬水、軟水の何れでもよく、例えば、井戸水、天然水、地下水、水道水、イオン交換水、精製水、蒸留水、超純水等を使用することができる。
本発明の組成物のpHは、長期保存安定性及び製造の容易さという観点から、pH5.5以上pH6.5以下が好ましい。pH5.5未満では、アセトフェノン誘導体が水相より遊離し分離するおそれがあり、また、pH6.5超えでは、着色が生じ長期保存安定性が悪くなるおそれがある。
本発明の組成物のpH調整には、希釈酸水溶液、希釈アルカリ水溶液いずれを使用しても構わないが、その操作性の良さと、化粧料への配合のし易さより、希塩酸、クエン酸水溶液、希硫酸、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液が好ましく使用される。
本発明の組成物は、抗菌用組成物(抗菌剤)、防腐用組成物(防腐剤)又はそれらの補助剤として使用することができる。抗菌剤、防腐剤又はそれらの補助剤は、本発明の組成物のみでも、後述の添加剤をさらに加え、公知の方法で製造することができる。
本明細書において、「抗菌」とは、菌を長時間増やさない様にすることを意味し、化粧料等の組成物の表面上における細菌の増殖を抑制することを意味する。
本明細書において、「防腐」とは、微生物の侵入、発育、増殖を防止し、腐敗や発酵が起らないようにすることを意味する。したがって、「防腐効果」は、かび類などの真菌類や細菌類の増殖を抑制して化粧料の変質を防ぎ、その保存性を高める効果を意味する。
本発明の組成物の形態としては特に制限はなく、液状、乳化状、ペースト状、ゲル状、固体状、粉末状等の任意の形態をとることができる。この中では液状、乳化状、ペースト状、ゲル状であることが好ましい。
本発明の組成物を含む化粧料も本発明に含まれるが、該化粧料は、本発明の組成物のみを含んでもよいし、通常化粧料に添加してもよい成分を本発明の効果を阻害しない範囲で配合しても良い。化粧料に添加してもよい成分として具体的には、油剤、界面活性剤、粉体、アミノ酸類、ポリアミノ酸及びその塩、低級アルコール、動植物抽出物、核酸、ビタミン、酵素、抗炎症剤、殺菌剤、防腐剤、抗酸化剤、保湿剤、増粘剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤、制汗剤、顔料、色素、香料、pH調整剤、パール化剤、湿潤剤等が挙げられる。これらは一例であり、勿論これ以外の成分を配合しても構わない。
油剤としては、イソステアリン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸等の脂肪酸;ミリスチン酸ミリスチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸イソプロピル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、モノステアリン酸グリセリン、フタル酸ジエチル、モノステアリン酸エチレングリコール、オクタン酸セチル、オキシステアリン酸オクチル、安息香酸アルキルエステル等のエステル類;流動パラフィン、ポリイソブテン、ワセリン、スクワラン等の炭化水素;ラノリン、還元ラノリン、カルナウバロウ等のロウ;シリコーン油、ミンク油、カカオ油、ヤシ油、パーム核油、ツバキ油、ゴマ油、ヒマシ油、オリーブ油、ホホバ油等の油脂;エチレン・α―オレフィン・コオリゴマー等が挙げられる。
特にシリコーン油の例としては、メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体及びポリ(オキシエチレン、オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体等のエーテル変性シリコーン;ステアロキシメチルポリシロキサン;メチルハイドロジェンポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン、メチルシクロポリシロキサン及びドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状シリコーン;メチルフェニルポリシロキサン、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等のアミノ変性シリコーン;ステアロキシトリメチルシラン、トリメチルシロキシケイ酸等の低分子シリコーン化合物;シラノール変性ポリシロキサン、アルコキシ変性ポリシロキサン、脂肪酸変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、アルコキシ変性ポリシロキサンパーフルオロポリエーテル、ポリ酢酸ビニルジメチルポリシロキサン、及びそれらの混合物から選択されるシリコーン油が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、N−長鎖アシル酸性アミノ酸塩やN−長鎖アシル中性アミノ酸塩等のN−長鎖アシルアミノ酸塩、N−長鎖脂肪酸アシル−N−メチルタウリン塩、アルキルサルフェート及びそのアルキレンオキシド付加物、脂肪酸アミドエーテルサルフェート、脂肪酸の金属塩及び弱塩基塩、スルホコハク酸系界面活性剤、アルキルフォスフェート及びそのアルキレンオキシド付加物、アルキルエーテルカルボン酸等のアニオン界面活性剤;グリセリンエーテル及びそのアルキレンオキシド付加物等のエーテル型界面活性剤、グリセリンエステルのアルキレンオキシド付加物、ソルビタンエステルのアルキレンオキシド付加物等のエーテルエステル型界面活性剤、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、グリセリンエステル、脂肪酸ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、ショ糖脂肪酸エステル等のエステル型界面活性剤、アルキルグルコシド類、硬化ヒマシ油ピログルタミン酸ジエステル及びそのエチレンオキシド付加物、ならびに脂肪酸アルカノールアミド等の非イオン性界面活性剤;アルキルアンモニウムクロライド、ジアルキルアンモニウムクロライド等の脂肪族アミン塩、それらの4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩等の芳香族4級アンモニウム塩、脂肪酸アシルアルギニンエステル等のカチオン界面活性剤;並びにカルボキシベタイン等のベタイン型界面活性剤、アミノカルボン酸型界面活性剤、イミダゾリン型界面活性剤等の両性界面活性剤等が挙げられる。
粉体としては、例えば、ナイロンビーズ、シリコーンビーズ等の樹脂粉体、ナイロンパウダー、金属脂肪酸石鹸、黄酸化鉄、赤色酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、酸化コバルト、カーボンブラック、群青、紺青、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化セリウム、雲母チタン、窒化ホウ素、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭化珪素、色素、レーキ、セリサイト、マイカ、タルク、カオリン、板状硫酸バリウム、バタフライ状硫酸バリウム、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化鉄、アシルリジン、アシルグルタミン酸、アシルアルギニン、アシルグリシン等のアシルアミノ酸等が挙げられ、更にシリコーン処理、フッ素化合物処理、シランカップリング剤処理、シラン処理、有機チタネート処理、アシル化リジン処理、脂肪酸処理、金属石鹸処理、油剤処理、アミノ酸処理等の表面処理が施してあっても構わない。
アミノ酸としては、グリシン、アラニン、セリン、スレオニン、アルギニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、イソロイシン、ロイシン、バリン等が挙げられる。
ポリアミノ酸及びその塩としては、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸等が挙げられる。
低級アルコールとしては、エタノール、プロパノール等が挙げられる。
また動植物抽出物としては、レシチン、ゼラチン等;核酸としては、5’−イノシン酸二ナトリウム、5’−ウリジル酸二ナトリウム等;ビタミン類としては、ビタミンA、C等及びその誘導体等;酵素としては、パパイン、プロテアーゼ等;抗炎症剤としては、グリチルリチン酸カリウム等;殺菌剤としては、トリクロサン、トリクロロカルバン、オクトピロックス、ジンクピリチオン等;防腐剤としては、メチルパラベン、ブチルパラベン等;抗酸化剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン等;保湿剤としては、尿素、パンテノール等;増粘剤としては、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸等;粘度調整剤としては、ポリオキシアルキレンソルビタンエステル、ポリオキシエチレングリコールジステアレート、エタノール等;紫外線吸収剤としては、メトキシケイヒ酸オクチル等;制汗剤としては酸化アルミニウム等;顔料としては二酸化チタン等;色素としては、タール系色素、無機系の色素、天然系基原由来の色素等;香料;pH調整剤としては、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸等;パール化剤としてはエチレングリコールジステアレート等;湿潤剤としてはベタイン、グアニル酸二ナトリウム等が挙げられる。
本発明の化粧料の例としては、洗顔料、化粧水、乳液、クリーム、ジェル、美容液、パック、マスク、石鹸、ボディシャンプー、白粉、ファンデーション、口紅、チーク、アイライナー、マスカラ、アイシャドー、眉墨等の皮膚用化粧料、シャンプー、リンス、ヘアコンディショナー、ヘアスタイリング剤、ヘアトリートメント等の毛髪用化粧料が挙げられる。いずれの化粧料にもすることができるが、洗顔料、化粧水、乳液、クリーム、ジェル、美容液、パック、マスク、ボディシャンプー等の皮膚用化粧料、シャンプー、リンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント等の毛髪用化粧料とするのが好ましい。また保湿を必要とする皮膚用化粧料とするのがより好ましい。
本発明の組成物及び化粧料の製造方法は特に制限されず、必須成分である(A)、(B)及び(C)に加え、更に(D)のほか、必要に応じて化粧料組成物を製造するのに必要な各種成分(上記その他の成分、水等)を適宜選択、配合して、常法により製造することができる。
本発明の組成物を、構成要素の一部として配合することにより化粧料を調製する場合には、化粧料の総重量に対して、通常0.01〜15重量%を配合してもよく、化粧料の種類によって適宜配合量を決定しうる。化粧料の硬さや粘度を著しく変化させたり、べたつきを激しく生じさせるたりすることなく、防腐効果及び保湿効果を発揮しうるという観点で、化粧料に配合する本発明の組成物の配合量は、化粧料の総重量に対して、0.1重量%〜10重量%が好ましく、0.3重量%〜6重量%がより好ましく、0.5重量%〜4重量%が特に好ましい。
上記(A)、(B)、(C)及び(D)を化粧料に添加する工程を含む化粧料の防腐方法も本発明の第2の態様である。(A)、(B)、(C)及び(D)の添加する順序はいずれを先に添加しても同時に添加してもよい。各定義は既述に準じる。
(A)、(B)、(C)及び(D)の添加量は、化粧料の総重量に対して、通常(A)、(B)、(C)及び(D)の合計量0.1〜10重量%であり、0.5〜8重量%が好ましく、1〜5重量%がより好ましい。
また上記(A)を含むことを特徴とする、上記一般式(III)で表されるアセトフェノン誘導体又はその塩の防腐増強剤も本発明に含まれる。
本発明の防腐増強剤においては、(B)が1重量部に対して、(A)は、通常0.1〜25重量部、好ましくは0.2〜15重量部、より好ましくは1〜14重量部となるように配合することを特徴とする。他の定義等は既述に準ずる。
次に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。以下特に断りのない限り%は重量%を示す。
<合成例1>デカノイルプロリンの合成
プロリン(味の素社製)34.54gを100gの水に溶解後、デカノイルクロライド(東京化成社製)52.01gと25%水酸化ナトリウム水溶液をpH12に調整しながら加えた。75%硫酸を加えて中和し、水層を除去後、さらに水と酢酸エチルを加え、水層を除去した。酢酸エチルを減圧留去し、デカノイルプロリンを68.12g得た。
<合成例2>デカノイルプロリンナトリウム塩の調製
合成例1で得られたデカノイルプロリンを、適当な量の水と懸濁後、水酸化ナトリウムでpHを5まで中和することにより、デカノイルプロリンナトリウム塩を得た。
<合成例3>オクタノイルグリシンの合成
グリシン(味の素社製)とオクタノイルクロライド(東京化成社製)を用い、合成例1と類似の方法でオクタノイルグリシンを合成した。すなわち、グリシン(味の素社製)を水に溶解し、オクタノイルクロライド(東京化成社製)と25%水酸化ナトリウム水溶液をpH12に調整しながら加えた。75%硫酸を加えて中和し、水層を除去後、さらに水と酢酸エチルを加え、水層を除去した。酢酸エチルを減圧留去し、オクタノイルグリシンを得た。
<合成例4>オクタノイルグリシンナトリウム塩の調製
合成例3で得られたオクタノイルグリシンを、適当な量の水と懸濁後、水酸化ナトリウムでpHを7.5まで中和することにより、オクタノイルグリシンナトリウム塩を得た。
<合成例5>ウンデシレノイルグリシンの合成
グリシン(味の素社製)とウンデシレノイルクロライド(東京化成社製)を用い、合成例1と類似の方法でウンデシレノイルグリシンを合成した。すなわち、グリシン(味の素社製)を水に溶解し、ウンデシレノイルクロライド(東京化成社製)と25%水酸化ナトリウム水溶液をpH12に調整しながら加えた。75%硫酸を加えて中和し、水層を除去後、さらに水と酢酸エチルを加え、水層を除去した。酢酸エチルを減圧留去し、ウンデシレノイルグリシンを得た。
<試験例1>低温及び高温における長期保存安定性試験
(1)組成物の調製
表1に記載の(A)、(B)、(C)及び(D)成分ならびにその他の成分を含む組成物及び水を表1に記載の濃度で混合した後、pHをNaOHで5付近に調整し、45℃にて加熱溶解した。室温まで放冷した後、pHをNaOHで6に調整し各組成物を以下の評価に使用した(表中数字は、配合量(g)を示す。またC10Proはデカノイルプロリンを示す。)。
(2)均一性の評価
得られたサンプルの均一性に関して以下の判定基準に基づき目視で判定した。
(判定基準)
A 透明の均一な組成物が得られる。
B 全体的に不透明な粘性液体であるが均一に混合されている。
C 不溶物、析出などが見られ、不均一な溶状である。
(3)低温及び高温における長期保存安定性試験
容量10mLの透明ガラス瓶に組成物を充填し、蓋をして−5℃(低温)、50℃及び70℃の保存庫にそれぞれ静置した。
−5℃保存品に関しては3ヶ月間の間、1ヶ月経過ごとに、保存庫から取り出してすぐの組成物の溶状(均一性(分離又は濁りの有無)、凍結の有無、析出の有無)を、以下の判定基準に基づき目視で判定した。
50℃保存品に関しては、3ヶ月間の間、1ヶ月経過ごとに、保存庫から取り出した後に室温まで放冷し、外観の透明性、着色、オリの発生(析出)に関して、以下の判定基準に基づき判定した。
70℃保存品に関しては、3週間実施し、1週間目と3週間目に、保存庫から取り出した後に室温まで放冷し、外観の透明性、着色、オリの発生(析出)に関して、以下の判定基準に基づき判定した。なお、3ヶ月保存前に下記判定基準のCに達した組成物に関しては、それ以降の試験を中止した。
(4)−5℃(低温)保存後の判定基準
A 保存後、分離又は濁り、凍結、析出が見られない。
B 保存後、わずかに分離又は濁り、凍結、析出が観察される。
C 保存後、明らかな分離又は濁り、凍結、析出が観察される。
(5)50℃及び70℃保存後の判定基準:外観の透明性、析出
A 保存後、濁り、析出が見られない。
B 保存後、わずかに濁り、析出が観察される。
C 保存後、明らかな濁り、析出が観察される。
(6)50℃保存後の判定基準:着色
50℃保存後、それぞれの組成物に関して10mmのセルを用い、430nmの波長で透過率を測定した。着色を下記の評価基準で判定した。
A 65%以上
B 40%以上65%未満
C 40%未満
(7)70℃保存後の判定基準:着色
70℃保存後、それぞれの組成物に関して10mmのセルを用い、430nmの波長で透過率を測定した。着色を下記の評価基準で判定した。
A 40%以上
B 20%以上40%未満
C 20%未満
本調製例中の各配合量は重量(g)で表わした。また、表中は重量(g)の表示を省略し、配合量を表す数値のみで表示した。また表中の「n.d.」は評価を実施していないことを示す。
表1より、特定の多価アルコールを配合し(A)及び(C)の総和の(B)に対する重量比((A)+(C))/(B)が2.8以下の時は、多価アルコールの種類と、調製時の微差により−5℃にて、4−ヒドロキシアセトフェノンが析出してしまう現象が確認された。((A)+(C))/(B)が2.8を超える時に、組成物は低温並びに高温の両環境において長期保存安定性により優れることがわかった。
<試験例2>多価アルコールによる低温及び高温における長期保存安定性試験
(1)組成物の調製
表2に記載の(A)、(B)、(C)及び(D)成分ならびにその他の成分を含む組成物及び水を表2に記載の濃度で混合した後、pHをNaOHで5付近に調整し、45℃にて加熱溶解した。室温まで放冷した後、pHを6に調整し各組成物を以下の評価に使用した(表中数字は、配合量(g)を示す)。
(2)均一性の評価
得られたサンプルの均一性に関して試験例1と同じ判定基準に基づき目視で判定した。
(3)低温及び高温における長期保存安定性試験
容量10mLの透明ガラス瓶に組成物を充填し、蓋をして−5℃及び70℃の保存庫にそれぞれ静置した。
−5℃保存品に関しては1ヶ月間経過後、保存庫から取り出してすぐの組成物の溶状(均一性(分離又は濁りの有無)、凍結の有無、析出の有無)を、試験例1と同じ判定基準に基づき目視で判定した。
70℃保存品に関しては、3週間実施し、1週間目と3週間目に、保存庫から取り出した後に室温まで放冷し、外観の透明性、着色及び析出に関して、試験例1と同じ判定基準に基づき判定した。
表2より、多価アルコールとして1,2−ペンタンジオールもしくはジプロピレングリコールを配合し、((A)+(C))/(B)が2.8より大きい時に、組成物は低温並びに高温の両環境において長期保存安定性に優れることがわかった。
表2における70℃で3週間保存後の着色安定性を図1(多価アルコールの種類と添加量(14.5%及び29.8%)の影響)に示した。
<試験例3>多価アルコールによる高温における長期保存安定性試験
(1)組成物の調製
表3に記載の(A)、(B)、(C)及び(D)成分ならびにその他の成分を含む組成物及び水を表3に記載の濃度で混合した後、pHをNaOHで5付近に調整し、45℃にて加熱溶解した。室温まで放冷した後、pHを6に調整し各組成物を以下の評価に使用した(表中数字は、配合量(g)を示す。またC10Proはデカノイルプロリンを示す。)。
(2)高温における長期保存安定性試験
容量10mLの透明ガラス瓶に組成物を充填し、蓋をして70℃の保存庫にそれぞれ静置した。
70℃保存品は、3週間実施し、1週間目と3週間目に、保存庫から取り出した後に室温まで放冷し、着色に関して、試験例1と同じ判定基準に基づき判定した。
結果は図2に示した。この結果より、多価アルコールが1,2−ペンタンジオール及びジプロピレングリコールの場合、((A)+(C))/(B)が大きくなる程着色抑制傾向にあることが確認された。また、多価アルコールが1,2−ペンタンジオールであることがより好ましい事が確認された。
多価アルコールがジプロピレングリコールの場合、キレート剤であるペンテト酸5ナトリウムと併用することで、高温での保存安定性が多価アルコールの添加量が少量でも、向上することが確認された。
<試験例4>高配合組成物を添加したクリームの防腐性試験1
(1)クリーム処方の調製
表4に記載の油相成分(a)の成分を加熱し撹拌溶解させ、予め加熱溶解し、3%水酸化ナトリウム又はクエン酸水溶液でpH6.6に調整した水相成分(b)+(c)+(d)+(e)の混合成分を加え、乳化を行った。攪拌しながら、放冷した後に、クリームのpHを確認した。調製した組成物は防腐性試験及び保存安定性試験に供した。実施例の組成物を添加しないものを比較例とした。
(2)防腐性試験1
「第十七改正日本薬局方 参考情報G4.微生物関連 保存効力試験法」を参考に保存効力試験を行った。
(2−1)試験菌株
E.c; Escherichia coli(大腸菌)NBRC 3972
P.a; Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)NBRC 13275
S.a; Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)NBRC 13276
C.a; Candida albicans(カンジダ)NBRC 1594
A.b; Aspergillus brasiliensis(クロコウジカビ)NBRC 9455
(2−2)試験菌液の調製
(1)細菌
SCD寒天培地で32.5℃、20時間前培養する。前培養菌を白金耳でかきとり滅菌生理食塩水に懸濁させ、約10個/mLに調製したものを試験菌液とした。
(2)酵母
サブロー・ブドウ糖寒天培地で22.5℃、48時間前培養する。前培養菌を白金耳でかきとり滅菌生理食塩水に懸濁させ、約10個/mLに調製したものを試験菌液とした。
(3)カビ
サブロー・ブドウ糖寒天培地で22.5℃、6−10日間前培養する。前培養菌を白金耳でかきとり0.05%ポリソルベート80添加滅菌生理食塩水に懸濁させ、約10個/mLに調製したものを試験菌液とした。
(2−3)菌の接種と保存
試験菌1種につき、検体20gを滅菌バイアル瓶にとり、試験菌液を0.15mL接種する。それぞれ22.5℃で保存し、7、14、21、28日目に生菌数の測定を行った。
(2−4)生菌数の測定
細菌はSCDLP寒天培地混釈法、真菌(酵母、カビ)はサブロー・ブドウ糖LP寒天培地混釈法による。評価は以下の判定基準1に従って判定した。
(判定基準1)
細菌及びカンジダに関して
◎:接種後7日の試験期間内に生菌数10個未満に減少し、その後28日間の試験終了時まで、そのレベルにとどまった。
×:◎の基準を満たさない。
クロコウジカビに関して
◎:クロコウジカビに関してはその生菌数が接種後7日後までに接種した菌数に比べて0.1%以下に減少し、その後28日間の試験終了時まで、そのレベルと同等もしくはそれ以下の生菌数にとどまった。
○:クロコウジカビに関してはその生菌数が接種後7日後までに接種した菌数に比べて1%以下に減少し、その後28日間の試験終了時まで、そのレベルと同等もしくはそれ以下の生菌数にとどまった。
△:クロコウジカビに関してはその生菌数が接種後7日後までに接種した菌数に比べて10%以下に減少し、その後28日間の試験終了時まで、そのレベルと同等もしくはそれ以下の生菌数にとどまった。
×:△の基準を満たさない。
表5に示すように実施例1及び2(調製例1−1及び1−2を各々含む組成物)を含む検体は細菌及びカビにも良好な抗菌作用を有することを示した。
<試験例5>低温及び高温おける長期保存安定性試験
(1)組成物の調製
容量10mLの透明ガラス瓶に表4に示す組成物を充填し、蓋をして−5℃、25℃、40℃、50℃、サイクル(−4〜40℃)の保存庫にそれぞれ静置した。保存開始から3ヶ月経過後、保存庫から取り出し、室温まで放冷した。粘度をB型粘度計(ローター#64、12rpm、30秒)にて測定し、初期値からの粘度変化率(%)を以下の式にて算出し、下記判定基準にて判定した。
(2)粘度変化率の計算式
粘度変化率(%)={(3か月後の粘度)−(初期粘度)}÷(初期粘度)×100
なお減粘した場合は、絶対値を判定に用いた。
(3)粘度変動判定基準
粘度変化率により下記のように判定した:
A:10%未満
B:10%以上30%未満
C:30%以上。
結果は表6に示した。
以上より、クリーム乳化系に本発明組成物を添加しても、粘度変化に大きな影響を与えないことが確認された。
<試験例6>アセトフェノン誘導体及びアシルプロリンの防腐効力相乗効果の確認
(3−1)試験菌株
E.c; Escherichia coli(大腸菌)NBRC 3972
P.a; Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)NBRC 13275
S.a; Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)NBRC 13276
C.a; Candida albicans(カンジダ)NBRC 1594
A.b; Aspergillus brasiliensis(クロコウジカビ)NBRC 9455
(3−2)試験方法
(1)試験菌液の調製
E.Coli、P. aeruginosa、S. aureus
各試験菌を、SCD寒天斜面培地で37℃、20時間培養する。この1白金耳をミューラーヒントンブイヨンに移植し、37℃、20時間培養する。培養液をミューラーヒントンブイヨンで希釈し、それぞれ約10個/mLに調製したものを試験菌液とした。
C. albicans
試験菌をポテトデキストロース寒天培地で25℃、48時間培養したのち、白金耳でかきとって滅菌生理食塩水に懸濁させ、約10個/mLに調製したものを試験菌液とした。
A. brasiliensis
試験菌をポテトデキストロース寒天斜面培地で25℃、7〜14日間培養する。斜面にTween80 0.05%加生理食塩水を注ぎ、白金耳で胞子をかきとる。この液を四つ折りにした滅菌ガーゼで濾過した後、Tween80 0.05%加生理食塩水で希釈し、約10個/mLに調製したものを試験菌液とした。
(2)抗菌剤希釈液の調製
ヒドロキシアセトフェノン、デカノイルプロリン、ヒドロキシアセトフェノンとデカノイルプロリンの混合液(3:5重量比)の3検体をそれぞれ滅菌精製水もしくはジメチルスルホキシドで希釈し、30%〜9%(デカノイルプロリン)、500000〜500μg/mL(ヒドロキシアセトフェノン)、100000〜1000μg/mL(ヒドロキシアセトフェノンとデカノイルプロリンの混合液(3:5重量比))の段階希釈系列を調製した。
(3)抗菌剤添加寒天培地の調製
寒天培地を9.0mlずつ試験管に分注し、オートクレーブ滅菌後、溶融した状態で50℃に保温する。これに(2)項で調製した検体の希釈液1mlを添加する。添加後、ボルテックスでよく混和したのち、直径60mmのシャーレに注いで平板に固める(寒天培地中での抗菌剤の最終濃度は、調整希釈系列のそれぞれ1/10濃度となる)。
(4)接種と培養
上記(1)で調製した試験菌をディスポループ(直径1mm)で採取し、抗菌剤添加寒天培地上に約1cmの長さに画線したのち、それぞれ規定の温度、時間で培養する。
E.Coli、P. aeruginosa、S. aureus
ミューラーヒントン寒天培地:35℃、48時間
C. albicans
ポテトデキストロース寒天培地:25℃、72時間
A. brasiliensis
ポテトデキストロース寒天培地:25℃、5日間
(5)判定
試験菌の生育が完全に阻止される抗菌剤の最小濃度(MIC)を求める。
抗菌効果の相乗効果指数であるSIは以下の式により決定される比率を用いた、産業上受け入れられている方法によって算出した。
求めたSIが
1より大きい場合は拮抗作用
1に等しい場合は相加作用
1より小さい場合は相乗作用
が認められる。SIが低いほど、その混合物によって示される相乗作用は大きくなる。
Kull’s equation:SI=Qa/QA+Qb/QB
QA=単独で作用させた場合に、エンドポイントを提供するヒドロキシアセトフェノン(化合物A)の濃度(ppm)(化合物AのMIC)。
Qa=混合物中で作用させた場合に、エンドポイントを提供する化合物Aの濃度(ppm)。
QB=単独で作用させた場合に、エンドポイントを提供するデカノイルプロリン(C10Pro;化合物B)の濃度(ppm)(化合物BのMIC)。
Qb=混合物中で作用させた場合に、エンドポイントを提供する化合物Bの濃度(ppm)。〕
表7に各菌における、ヒドロキシアセトフェノンとデカノイルプロリンのSI値を示した。
Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)、Candida albicans(カンジダ)、Aspergillus brasiliensis(クロコウジカビ)の3菌種にて相乗効果が確認された。
<試験例7>アシルグリシンを含む組成物の低温及び高温における長期保存安定性試験
(1)組成物の調製
表8に記載の(A)、(B)、(C)及びその他の成分を含む組成物及び水を表8に記載の濃度で混合した後、pHをNaOHで5付近に調整し、45℃にて加熱溶解した。室温まで放冷した後、pHをNaOHで6に調整し各組成物を以下の評価に使用した(表中数字は、配合量(g)を示す。またC8Glyはオクタノイルグリシンを示す。)。
(2)均一性の評価
得られたサンプルの均一性に関して試験例1と同じ判定基準に基づき目視で判定した。
(3)低温及び高温における長期保存安定性試験
容量10mLの透明ガラス瓶に組成物を充填し、蓋をして−5℃(低温)及び50℃の保存庫にそれぞれ静置した。
−5℃保存品に関しては3ヶ月間の間、1ヶ月経過ごとに、保存庫から取り出してすぐの組成物の溶状(均一性(分離又は濁りの有無)、凍結の有無、析出の有無)を、試験例1と同じ判定基準に基づき目視で判定した。
50℃保存品に関しては、3ヶ月間の間、1ヶ月経過ごとに、保存庫から取り出した後に室温まで放冷し、外観の透明性、着色、オリの発生(析出)に関して、試験例1と同じ判定基準に基づき判定した。
本調製例中の各配合量は重量(g)で表わした。また、表中は重量(g)の表示を省略し、配合量を表す数値のみで表示した。
表8より、オクタノイルグリシンの場合、多価アルコールが1,2−ペンタンジオールの時が、低温安定性及び、50℃保存下の着色安定性のどちらも最も良好であることが確認された。
<試験例8>アシルグリシンを含む組成物の低温及び高温における長期保存安定性試験
(1)組成物の調製
表9に記載の(A)、(B)、(C)及びその他の成分を含む組成物及び水を表9に記載の濃度で混合した後、pHをNaOHで5付近に調整し、45℃にて加熱溶解した。室温まで放冷した後、pHをNaOHで6に調整し各組成物を以下の評価に使用した(表中数字は、配合量(g)を示す。またC11Glyはウンデシレノイルグリシンを示す。)。
(2)均一性の評価
得られたサンプルの均一性に関して試験例1と同じ判定基準に基づき目視で判定した。
(3)低温及び高温における長期保存安定性試験
容量10mLの透明ガラス瓶に組成物を充填し、蓋をして−5℃及び50℃の保存庫にそれぞれ静置した。
−5℃保存品に関しては3ヶ月間の間、1ヶ月経過ごとに、保存庫から取り出してすぐの組成物の溶状(均一性(分離又は濁りの有無)、凍結の有無、析出の有無)を、試験例1と同じ判定基準に基づき目視で判定した。
50℃保存品に関しては、3ヶ月間の間、1ヶ月経過ごとに、保存庫から取り出した後に室温まで放冷し、外観の透明性、着色、オリの発生(析出)に関して、下に示す判定基準に基づき判定した。
(4)50℃保存後の判定基準:着色
50℃保存後、それぞれの組成物に関して10mmのセルを用い、430nmの波長で透過率を測定した。着色を下記の評価基準で判定した。
A 65%以上
B 30%以上65%未満
C 30%未満
本調製例中の各配合量は重量(g)で表わした。また、表中は重量(g)の表示を省略し、配合量を表す数値のみで表示した。また表中の「n.d.」は評価を実施していないことを示す。
表9より、ウンデシレノイルグリシンの場合、50℃保存下における保存安定性では、多価アルコールがジプロピレングリコールの場合が最も良好であることがわかった
<試験例9>アセトフェノン誘導体及びアシルプロリンの刺激性の確認
(1)試験細胞株:HaCaT細胞を96ウェルプレートに添加培養し、実験に用いた。
(2)試験方法
(2−1)試験細胞液の調製
HaCaT細胞をDMEM (Dulbecco’s Modified Eagle Medium)(血清10 %含有)にて37 ℃、5 %CO、飽和水蒸気下で培養した。コンフルエント状態になった細胞を、96ウェルプレートに播種(5×10cells/well)し、1日培養した。
(2−2)評価サンプルの調製
表10に記載のサンプルを、最高濃度0.3重量%とし、それぞれ2分の1ずつ最低濃度0.001重量%になるまでDMEM (Dulbecco’s Modified Eagle Medium)(血清10 %含有)培地にて希釈した。
調製例1−1は試験例1に記載の方法で調製した(C10Pro:17.8%+4ヒドロキシアセトフェノン:10.7%+1,2−ペンタンジオール:29.7%)。
(3)細胞毒性の判定
(2−2) で調製した評価サンプルにて、各ウェルの培地を交換した。サンプル添加24時間後、顕微鏡観察にて細胞の形態を観察し、細胞毒性発現濃度を選定した。各サンプルの最低細胞毒性発現濃度(%)を図3に示した。なお当該濃度は高いほど低刺激性を表す。
調製例1−1は、図3に示すように他の代表的な防腐機能を有する湿潤剤と比べて低刺激性を示すことが確認された。
本発明により、防腐効果が高く保存性に優れ、さらに化粧料等への配合が容易なアシルアミノ酸及びアセトフェノン誘導体を高濃度含む組成物を提供することができる。

Claims (26)

  1. 以下の(A)、(B)及び(C)を含む組成物:
    (A)一般式(I)で表されるアシルプロリン及びその塩:
    (式中R−CO−で表されるアシル基は炭素原子数4〜18の飽和又は不飽和脂肪酸より誘導されるアシル基を表す)、ならびに
    一般式(II)で表されるアシルグリシン及びその塩:

    (式中R2−CO−で表されるアシル基は炭素原子数6〜12の飽和又は不飽和脂肪酸より誘導されるアシル基を表す)
    からなる群から選択される少なくとも1種
    (B)一般式(III)で表される化合物又はその塩:
    (式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ基又は−OCHを表す)、
    (C)多価アルコール。
  2. (A)一般式(I)中R−CO−で表されるアシル基が炭素原子数8〜12の飽和又は不飽和脂肪酸より誘導されるアシル基である請求項1に記載の組成物。
  3. (A)一般式(I)で表されるアシルプロリンが、オクタノイルプロリン、デカノイルプロリン、ウンデシレノイルプロリン及びラウロイルプロリンからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1又は2に記載の組成物。
  4. (A)一般式(II)で表されるアシルグリシンが、オクタノイルグリシン、ウンデシレノイルグリシン及びデカノイルグリシンからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1又は2に記載の組成物。
  5. (A)が、デカノイルプロリン、オクタノイルグリシン及びウンデシレノイルグリシンからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1又は2に記載の組成物。
  6. (A)が、デカノイルプロリン及びオクタノイルグリシンからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1又は2に記載の組成物。
  7. (A)が、デカノイルプロリンである請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
  8. (B)一般式(III)で表される化合物が、
    からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
  9. (B)一般式(III)で表される化合物が、
    である請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
  10. (B)一般式(III)で表される化合物が、4−ヒドロキシアセトフェノンである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
  11. (C)が1,2-ペンタンジオール及びジプロピレングリコールから選択される少なくとも1種である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
  12. 更に(D)キレート剤を含む請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
  13. (D)キレート剤が、ペンテト酸又はその塩である請求項12に記載の組成物。
  14. (D)キレート剤が、ペンテト酸5ナトリウムである請求項13に記載の組成物。
  15. 組成物中の(A)の含有量が、10重量%以上である請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物。
  16. 組成物中の(A)の含有量が、15重量%以上である請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物。
  17. 組成物中の(A)の含有量が、15〜30重量%である請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物。
  18. 組成物中の(B)の含有量が、5〜20重量%である請求項1〜17のいずれか1項に記載の組成物。
  19. 組成物中の(C)の含有量が、10〜60重量%である請求項1〜18のいずれか1項に記載の組成物。
  20. 組成物中の(D)の含有量が、0.01〜0.5重量%である請求項12〜19のいずれか1項に記載の組成物
  21. (A)及び(C)の総和の(B)に対する重量比((A)+(C))/(B)が2.8を超える請求項1〜20のいずれか1項に記載の組成物。
  22. pHが5.5〜6.5であることを特徴とする請求項1〜21のいずれか1項に記載の組成物。
  23. 液状であることを特徴とする請求項1〜22のいずれか1項に記載の組成物。
  24. 抗菌用又は防腐用組成物である請求項1〜23のいずれか1項に記載の組成物。
  25. 請求項1〜24のいずれか1項に記載の組成物を含む化粧料。
  26. 請求項1〜24のいずれか1項に記載の組成物を化粧料に添加する工程を含む化粧料の防腐方法であって、化粧料の総重量に対して該組成物0.1〜10重量%を化粧料に添加することを特徴とする方法。
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