JP2018089760A - 交換式切削ヘッドおよびヘッド交換式切削工具 - Google Patents

交換式切削ヘッドおよびヘッド交換式切削工具 Download PDF

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Abstract

【課題】ヘッド本体の割れや連結部材からの抜け外れを防ぐ。
【解決手段】切刃部が先端側に形成され、筒状の取付部3が後端側に形成されたヘッド本体1と、このヘッド本体1よりも低硬度で取付部3の内周部3cに挿入される筒状の連結部材4を備え、取付部3の内周部3cには、取付部3の中心軸線に沿った断面において、中心軸線方向の両端部に外周側に向かうに従い凹曲線を描きつつ互いに対向する方向に延びる壁面部8aを備えるとともに、壁面部8aの間に壁面部8aに連なる直線状の底面部8bを備えた凹部8が形成され、壁面部8aがなす凹曲線の中心Cは取付部3の内周面3dよりも内周側に位置し、連結部材4は、取付部3の内周部3cにおいて拡径させられて塑性変形させられることにより、外周部が取付部3の内周面3dに密着して部分的に凹部8に嵌り込んで係止された状態で取り付けられる。
【選択図】図4

Description

本発明は、ヘッド交換式エンドミル等のヘッド交換式切削工具の工具本体に着脱可能に取り付けられて被削材の切削を行う交換式切削ヘッド、および該交換式切削ヘッドが着脱可能に取り付けられたヘッド交換式切削工具に関するものである。
このような交換式切削ヘッドとして、例えば特許文献1には、ヘッド本体と連結部材とを含み、ヘッド本体は、硬質材料からなり、先端部に設けられた刃部と、後端部に設けられた取付部と、凹部が形成された内周面を有する連結孔とを含み、連結部材は、ヘッド本体よりも低い硬さを有する金属材料からなり、連結孔に挿入されるとともに連結孔の内周面に密着する外周部を有してこの内周面に係合される先端軸部を有し、さらにこの連結部材は、ヘッドねじ部と、このヘッドねじ部および先端軸部の内部において先端軸部の中心軸線に沿うように形成された孔部とを含む交換式切削ヘッドが記載されている。
ここで、上記凹部は、この特許文献1の例えば図3に示されるように上記中心軸線に沿った断面が半円弧状をなして該中心軸線回りに周回する環状溝であり、すなわち中心軸線方向の両端部に互いに対向する断面1/4円弧状の壁面部を備えている。また、ヘッド本体を形成する硬質材料は例えば超硬合金であるとともに、これよりも硬度の低い連結部材を形成する金属材料は塑性変形可能な例えばステンレス等である。
このような交換式切削ヘッドでは、ヘッド本体の連結孔に連結部材の先端軸部を挿入して孔部に孔部内径よりも大きな外径の圧入部材(パンチ)を圧入し、先端軸部を拡径するように塑性変形させることにより、その外周部を凹部に入り込ませて連結部材をヘッド本体に係止する。
また、特許文献2にも、硬質材料よりなるヘッド本体に形成された内周面に凹部を有する取付孔に、この硬質材料よりも硬度が低い金属材料よりなる連結部材の円筒状の取付部が挿入され、この取付部が拡径するように塑性変形させられて、取付部の外周面が取付孔の内周面と密着させられて凹部と係合されることにより、これら工具本体と連結部材とが接合された交換式切削ヘッドが記載されている。そして、この特許文献2には、特許文献1に記載された交換式切削ヘッドのような断面半円弧状の凹部を、凹部の深さはそのままにして円弧の上記中心軸線方向の長さを引き延ばした断面半長円状に形成することも記載されている。
特開2011−143532号公報 特開2013−198973号公報
ところで、近年このような交換式切削ヘッドにおいては、切削を行うヘッド本体を形成する超硬合金等の硬質材料をより硬度の高いものにすることが要求されている。しかしながら、このようなより硬度の高い硬質材料よりなるヘッド本体は靱性もより低くなり、圧入部材を連結部材の孔部に圧入して先端軸部を塑性変形させる際にヘッド本体に割れが生じ易くなってしまう。
特に、特許文献1に記載された交換式切削ヘッドのように凹部の断面が半円弧状をなしている場合、凹部に入り込んで係止される連結部材の外周部の断面積を確保するために凹部の断面積も大きくしようとすると凹部の深さが深くなり、凹部の底と取付部の外周面との間の間隔は小さくなって割れが一層生じ易くなってしまう。これは、特許文献2に記載された断面半長円状の凹部でも同様であり、すなわち半円弧の中心軸線方向の長さを引き延ばして断面積を確保しようとしても、凹部の両端部の半円弧の大きさは一定の大きさよりも小さくすることは困難なため、やはり凹部の深さを浅くするにも限度があって割れの発生を確実に防止することはできない。
しかも、このように深さを十分に浅くすることができない断面半長円状の凹部の場合、連結部材の先端軸部を拡径して塑性変形させたときに、塑性変形した先端軸部の外周部が凹部に十分に充密されず、先端軸部の中心軸線方向に隙間が生じてしまうおそれがある。このため、切削加工時にヘッド本体の切刃部に上記中心軸線方向先端側に向けて過大な負荷が作用すると、ヘッド本体が連結部材から引き抜けて外れてしまうおそれがある。
本発明は、このような背景の下になされたもので、より硬度の高い硬質材料によってヘッド本体を形成した場合でも、連結部材を拡径して塑性変形させた際にヘッド本体に割れが生じるのを防ぐことができるとともに、切削加工時にヘッド本体に中心軸線方向先端側に向けた過大な負荷が生じても、ヘッド本体が連結部材から抜け外れるのを防ぐことが可能な交換式切削ヘッド、および該交換式切削ヘッドが着脱可能に取り付けられたヘッド交換式切削工具を提供することを目的としている。
上記の課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の交換式切削ヘッドは、切刃部が先端側に形成されるとともに筒状の取付部が上記切刃部と一体に後端側に形成されたヘッド本体と、このヘッド本体よりも硬度の低い材料によって形成されて上記取付部の内周部に挿入される筒状の連結部材とを備え、上記取付部の内周部には凹部が形成され、この凹部は、上記取付部の中心軸線に沿った断面において、この中心軸線方向の両端部に、外周側に向かうに従い凹曲線を描きつつ互いに対向する方向に延びる壁面部を備えるとともに、これらの壁面部の間に、該壁面部に連なる直線状または上記壁面部がなす凹曲線の曲率半径よりも大きな曲率半径の凹曲線状をなす底面部を備え、上記壁面部がなす凹曲線の中心は上記取付部の内周面よりも内周側に位置しており、上記連結部材は、上記取付部の内周部において拡径させられて塑性変形させられることにより、該連結部材の外周部が上記取付部の内周面に密着するとともに、この連結部材の外周部が部分的に上記凹部に嵌り込んで係止された状態で取り付けられていることを特徴とする。
また、本発明のヘッド交換式切削工具は、このような交換式切削ヘッドが工具本体に着脱可能に取り付けられたヘッド交換式切削工具であって、上記ヘッド本体の上記取付部の外周面は上記中心軸線方向後端側に向かうに従い漸次縮径する該中心軸線を中心とした円錐面状に形成されるとともに、上記連結部材の後端部は上記取付部の後端から突出する雄ネジ部を有し、上記工具本体は、上記取付部の外周面が密着可能な円錐面状に形成された内周面を有する取付孔と、この取付孔の孔底に形成された雌ネジ部とを備え、この雌ネジ部に上記連結部材の雄ネジ部がねじ込まれるとともに上記取付孔の内周面に上記取付部の外周面を密着させて上記交換式切削ヘッドが上記工具本体に着脱可能に取り付けられていることを特徴とする。
このような交換式切削ヘッドおよびヘッド交換式切削工具においても、筒状の連結部材は、ヘッド部材の取付部内周に挿入可能な外径を有するものが、その内周部に圧入部材が圧入されることによって拡径させられて塑性変形し、外周部が取付部の凹部に部分的に嵌り込むことによって係止された状態で取り付けられる。そして、上記構成の交換式切削ヘッドでは、ヘッド本体の取付部の内周面に形成される凹部が、この取付部の中心軸線に沿った断面において、この中心軸線方向の両端部に、外周側に向かうに従い凹曲線を描きつつ互いに対向する方向に延びる壁面部を備えるとともに、これらの壁面部の間に、該壁面部に連なる直線状または上記壁面部がなす凹曲線の曲率半径よりも大きな曲率半径の凹曲線状をなす底面部を備えているものの、これら両端部の壁面部がなす凹曲線の中心は取付部の内周面よりも内周側に位置している。
このため、これらの壁面部の曲率半径が同じであれば、特許文献1に記載された交換式切削ヘッドの凹部や、特許文献2に記載された交換式切削ヘッドの半長円状の断面を有する凹部よりも取付部内周面からの凹部の深さを浅くすることができる。従って、凹部の底面部から取付部の外周面までの取付部の肉厚を確保することができるので、より硬度の高い硬質材料によってヘッド本体を形成しても、連結部材を拡径した際にヘッド本体に割れが生じるのを防ぐことができる。
また、こうして凹部の深さを浅くすることができるため、塑性変形した連結部材の外周部を凹部により十分に充密させることができ、切削加工時に過大な負荷が作用してもヘッド本体が連結部材から抜け外れるのを防ぐことができる。とくに、このような負荷によってヘッド本体が連結部材から引き抜かれようとすると、凹部に嵌め込まれて充密した連結部材の外周部は、凹部の中心軸線方向後端側の壁面部に押し付けられることにより、この壁面部との間の隙間を埋めるように変形して引き抜きに対する抵抗力を発生させるので、ヘッド本体が抜け外れるのを一層確実に防止することが可能となる。
ここで、上記取付部の内周面からの上記凹部の深さは0.02mm〜0.06mmの範囲であることが望ましい。この範囲よりも凹部の深さが深いと、拡径して塑性変形した連結部材の外周部を十分に凹部に充密させることができなくなるおそれがあり、逆に上記範囲よりも凹部の深さが浅いと、塑性変形した連結部材の外周部が必要以上に凹部に充密されすぎて取付部を押圧し、ヘッド本体に割れが生じるおそれがある。なお、凹部の底面部が、壁面部がなす凹曲線の曲率半径よりも大きな曲率半径の断面凹曲線状をなしている場合には、この凹部の深さは取付部の内周面から底面部の最深部までの深さとなる。
また、凹部の上記底面部の上記中心軸線方向の長さを、上記取付部の中心軸線に沿った断面において上記壁面部がなす凹曲線の曲率半径よりも大きくすることにより、凹部の中心軸線方向の長さも十分に確保することができて、より高い取付強度で連結部材をヘッド本体に取り付けることが可能となる。
さらに、上記凹部は、取付部の内周部に周方向に点在するものであってもよいが、上記取付部の内周部を上記中心軸線回りに周回する溝状とすることによっても、凹部と、拡径による塑性変形によってこの凹部に嵌り込んで係止される連結部材の外周部との周方向の係止長さも長く確保することができて、連結部材の取付強度の向上を図ることが可能となる。
さらにまた、上記取付部の内周部に、上記中心軸線方向に間隔をあけて複数の上記凹部を形成することにより、これら複数の凹部と、この凹部に嵌り込んだ連結部材の外周部によって取付強度を確保することができ、特に中心軸線方向先端側に大きな負荷がヘッド本体の切刃部に作用しても、ヘッド本体が連結部材から抜け外れてしまうのを確実に防止することができる。
以上説明したように、本発明によれば、より硬度の高い硬質材料によってヘッド本体を形成しても、連結部材を拡径して塑性変形させる際にヘッド本体に割れが生じるのを防ぐことができるとともに、切削加工時にヘッド本体の切刃部に中心軸線方向先端側に向けた過大な負荷が作用しても、ヘッド本体が連結部材から抜け外れてしまうような事態が生じるのを確実に防止することが可能となる。
本発明の交換式切削ヘッドの一実施形態におけるヘッド本体を示す一部破断側面図である。 図1に示す実施形態の取付部の内周部の拡大断面図である。 図1に示す実施形態の1つの凹部をさらに拡大した断面図である。 図3に示す凹部に取付部材の外周部が部分的に嵌り込んで係止された状態を示す拡大断面図である。 図1に示す交換式切削ヘッドを取り付けた本発明のヘッド交換式切削工具の一実施形態を示す一部破断側面図である(ただし、凹部は図示が略されている。)。
図1ないし図4は、本発明の交換式切削ヘッドの一実施形態を示すものであり、図5はこの実施形態の交換式切削ヘッドを取り付けた本発明のヘッド交換式切削工具の一実施形態を示すものである。本実施形態における交換式切削ヘッドのヘッド本体1は、超硬合金やサーメット、セラミックス等の硬質材料により一体に形成され、その先端側(図1ないし図5において左側)部分は切刃部2とされるとともに、後端側(図1ないし図5において右側)部分は中心軸線Oを中心とする略有底筒状の取付部3とされる。
図5に示すように、このようなヘッド本体1の取付部3には連結部材4が取り付けられて本実施形態の交換式切削ヘッドが構成され、さらにこのように構成された交換式切削ヘッドが、同じく図5に示すように略円筒状の工具本体5の先端部に同軸に着脱可能に取り付けられて本実施形態のヘッド交換式切削工具が構成される。こうして構成されたヘッド交換式切削工具は、本実施形態では工具本体5が工作機械の主軸に把持されて中心軸線O回りに工具回転方向Tに回転されつつ、通常は中心軸線Oに垂直な方向に送り出されて切刃部2により被削材を切削する。すなわち、本実施形態のヘッド交換式切削工具は、ヘッド交換式のエンドミルである。
本実施形態における切刃部2はラジアスエンドミルの切刃部2とされている。この切刃部2の外周部にはヘッド本体1の先端から後端側に向けて延びる切屑排出溝6が周方向に間隔をあけて複数条(本実施形態では4条)形成され、これらの切屑排出溝6の工具回転方向Tを向く壁面の外周縁には外周刃7aが形成されるとともに、先端縁には底刃7bが形成され、これら外周刃7aと底刃7bとが交差するコーナ部には略1/4円弧状をなすコーナ刃7cが形成されて、これら外周刃7a、底刃7b、およびコーナ刃7cにより切刃7が構成される。
また、上記取付部3には、その先端側にレンチ等の作業用工具が掛止される互いに平行かつ中心軸線Oにも平行な図示されない一対の掛止面を備えた掛止部3aが形成されるとともに、この掛止部3aよりも後端側において取付部3の外周面3bは、掛止部3aから外径が一段小さくなった後に後端側に向かうに従い中心軸線Oに対して緩やかな傾斜角で漸次縮径する中心軸線Oを中心とした円錐面状に形成されている。さらに、取付部3の内周部3cは、次述する凹部8を除いて一定内径の中心軸線Oを中心とした断面円形とされており、取付部3の後端面から中心軸線O方向において上記掛止部3aの途中にまで延びている。
さらに、この取付部3の内周部3cには上記凹部8が形成されている。この凹部8は、取付部3の中心軸線Oに沿った断面において、この中心軸線O方向の両端部に、外周側に向かうに従い凹曲線を描きつつ互いに対向する方向に延びる2つの壁面部8aを備えているとともに、これらの壁面部8aの間に、本実施形態では該壁面部8aの外周端に連なる直線状をなす底面部8bを備えた形状とされている。そして、これらの壁面部8aがなす凹曲線の中心Cは、取付部3の内周面3dよりも内周側に位置している。
ここで、中心軸線Oに沿った断面において、壁面部8aがなす凹曲線は本実施形態では互いに等しい半径Rの円弧であり、これら壁面部8aがなす凹曲線(円弧)の中心Cは中心軸線Oから半径方向に互いに等しい位置にある。さらに、底面部8bが中心軸線Oに沿った断面においてなす直線は中心軸線Oと平行であり、2つの壁面部8aがなす凹曲線の外周端において各凹曲線と接している。
また、取付部3の内周面3dから底面部8bまでの中心軸線Oに対する半径方向の凹部8の深さdは0.02mm〜0.06mmの範囲とされていて、特に0.04mmとされている。さらに、底面部8bの中心軸線O方向の長さは、この取付部3の中心軸線Oに沿った断面において壁面部8aがなす凹曲線の曲率半径すなわち上記円弧の半径Rよりも大きく、これによって凹部8の断面は中心軸線O方向に細長い船底側を呈することになる。なお、1つの凹部8の中心軸線O方向の長さ(中心軸線Oに沿った断面における2つの壁面部8aと取付部3の内周面3dとの交点間の長さ)Lは0.6mm〜1.0mmの範囲とされるのが望ましく、本実施形態では0.8mmとされている。
さらに、本実施形態における凹部8は、取付部3の内周部3cを中心軸線O回りに周回する溝状であり、このような凹部8が取付部3の内周部3cに中心軸線O方向に間隔をあけて複数(本実施形態では8つ)形成されている。これらの凹部8は、中心軸線Oに沿った断面において互いに等しい寸法、形状をなしていて、中心軸線O方向に等間隔に形成され、この中心軸線O方向に隣接する凹部8間に残される取付部3の内周面3dの中心軸線O方向の幅Wは、例えば0.2mmとされている。
また、取付部3の内周部3cの最先端には、凹部8の深さdと略等しい深さで凹部8の上記長さLよりも中心軸線O方向に長い凹所9が、やはり中心軸線O回りに周回する溝状に形成されている。なお、この凹所9の後端側に隣接する、複数の凹部8のうち最も先端側に位置する凹部8は、中心軸線O方向においては上記掛止部3aの部分に形成されている。
このような凹部8が形成された取付部3の内周部3cに取り付けられる上記連結部材4は、ヘッド本体1よりも硬度の低いステンレス鋼やダイス鋼等の鋼材のような塑性変形可能な金属材料によって形成されている。この連結部材4は、塑性変形させられる前の状態では先端部4aが後端部4bよりも内外径ともに一段小径とされた多段円筒状をなしていて、先端部4aの外径はヘッド本体1の取付部3の内周部3cに僅かな隙間をもって嵌め入れ可能な大きさとされるとともに、後端部4bの先端側部分の外径は取付部3の内周部3cの内径よりも大きく、取付部3の後端面の外径よりは小さくされている。また、後端部4bの後端側部分の外周には雄ネジ部4cが形成されている。
このような連結部材4は、先端部4aが取付部3の内周部3cに挿入されて、後端部4bの先端面が取付部3の後端面と当接したところで位置決めされる。次いで、内周部3cに、先端部4aの内径よりは大きく、後端部4bの内径よりは小さい外径を有し、連結部材4よりも高硬度で、ヘッド本体1の硬度以下の硬度を有する圧入部材(パンチ)を後端側から圧入することにより、先端部4aは拡径させられて塑性変形させられる。
こうして塑性変形させられた連結部材4の先端部4aは、図4に示すようにその外周面が取付部3の内周面3dに密着するとともに、凹部8に対向する部分では先端部4aの外周部が塑性変形によって部分的に凹部8に嵌り込み、連結部材4は取付部3に同軸に強固に固定される。なお、このように塑性変形させられて取付部3に固定された状態で、連結部材4の先端部4aの先端は、中心軸線O方向において取付部3の内周部3cの最先端の上記凹所9内に位置させられるとともに、雄ネジ部4cはヘッド本体1の取付部3の後端から突出する。
このように構成された交換式切削ヘッドが着脱可能に取り付けられる本実施形態のヘッド交換式切削工具の上記工具本体5は、ヘッド本体1と同じく超硬合金やサーメット、セラミックス等の硬質材料により中心軸線Oを中心とした円筒状に形成されるとともに、その内周部には雌ネジ部材10が取り付けられている。工具本体5の外周部は中心軸線O方向に亙って一定の外径とされていて、上述のように工作機械の主軸に把持される際のシャンク部となる。
また、工具本体5の内周部には、先端から後端側に向けて、後端側に向かうに従い漸次縮径する円錐面状の取付孔5aと、この取付孔5aの孔底から僅かに一段拡径して一定内径で短く後端側に延びる拡径部5bと、この拡径部5bから取付孔5aの孔底径よりも小さな一定内径に縮径して拡径部5bよりも長く後端側に延びる縮径部5cと、この縮径部5cの孔底から縮径部5cよりもさらに小さな一定内径で工具本体5の後端面に貫通する貫通孔5dとが、中心軸線Oを中心とする断面円形をなすようにして同軸に形成されている。
中心軸線Oに沿った断面において、取付孔5aの内周面が該中心軸線Oに対してなす傾斜角は、ヘッド本体1の掛止部3aよりも後端側において取付部3の円錐面状の外周面3bが中心軸線Oに対してなす傾斜角と等しくされている。なお、工具本体5の先端面における取付孔5aの開口部の内径は、上記円錐面状の外周面3bの先端における外径よりも僅かに小さくされている。また、縮径部5cの内周部には、例えばヘッド本体1の取付部3の内周部3cに形成された凹部8と同様の図示されない凹部が形成されている。
さらに、上記雌ネジ部材10は、連結部材4と同じく工具本体5よりも硬度の低いステンレス鋼やダイス鋼等の鋼材のような塑性変形可能な金属材料によって略円筒状に形成され、ただし先端部の外周には後端部よりも外径が僅かに大きな円環状のフランジ部10aが形成されるとともに、内周部には連結部材4の雄ネジ部4cがねじ込み可能な雌ネジ部10bが形成されている。フランジ部10aの外径は、取付孔5aの孔底の開口部の内径よりも僅かに小さく、縮径部5cの内径よりは大きくされるとともに、フランジ部10aよりも後端側の雌ネジ部材10の外周部は縮径部5cの内周部に密着し、部分的に縮径部5cの上記凹部に嵌り込んで係止されている。
このような雌ネジ部材10は、フランジ部10aよりも後端側の部分の外径が縮径部5cの内径より僅かに小さくされるとともに雌ネジ部10bが形成されていない素材を用意して、上記後端側の部分を縮径部5cに挿入するとともにフランジ部10aを拡径部5bと縮径部5cとの間の段差面に当接させることにより位置決めし、次いで連結部材4と同様に上記素材の内径よりも僅かに大きな外径を有する圧入部材(パンチ)を同素材の内周部に圧入し、該素材を拡径して塑性変形させることにより、上述のように外周部を縮径部5cに密着させるとともに部分的に凹部に嵌め込んで係止し、固定する。しかる後、こうして固定された素材の内周部に上記雌ネジ部10bがねじ切り加工されて、工具本体5に固定された雌ネジ部材10が構成される。
このように構成された工具本体5に、上記実施形態の交換式切削ヘッドは、連結部材4の雄ネジ部4cを雌ネジ部材10の雌ネジ部10bにねじ込むことにより中心軸線O方向に相対的に後退してゆき、ヘッド本体1の取付部3の円錐面状の外周面3bが工具本体5の円錐面状の取付孔5aの内周面に密着したところで、掛止部3aに作業用工具を掛止してさらに強くねじ込むことによりテーパ嵌合によって固定され、これによって本実施形態のヘッド交換式切削工具が構成される。このとき、図5に示すように掛止部3aの後端面と工具本体5の先端面との間には僅かな隙間があけられる。
そして、上記構成の交換式切削ヘッドおよびヘッド交換式切削工具では、ヘッド本体1の取付部3の内周部3cに形成された凹部8が、中心軸線Oに沿った断面において、中心軸線O方向の両端部に、外周側に向かうに従い凹曲線(凹円弧)を描きつつ互いに対向する方向に延びる壁面部8aを備えるとともに、これらの壁面部8aの間に、該壁面部8aに連なる直線状の底面部8bを備えており、ただしこれらの壁面部8aがなす凹曲線の中心Cは取付部3の内周面3dよりも内周側に位置しているので、凹部8の深さdを浅くすることができる。
このため、凹部8の底面部8bから取付部3の円錐面状の外周面3bや掛止部3aの外周面までの肉厚を十分に確保することができるので、ヘッド本体1の材質として超硬合金やサーメット、セラミックスのうちでもより硬度の高いものを用いた場合にも、連結部材4を拡径させて塑性変形させる際にヘッド本体1に割れが生じるのを防ぐことができる。従って、被削材としてもより硬度の高いものに長期に亙って安定した切削加工を行うことが可能となる。
また、このように凹部8の深さdを浅くすることができるのに伴い、塑性変形して凹部8に嵌り込んだ連結部材4の外周部を、より十分に凹部8に充密させることができ、切削加工時にヘッド本体1の切刃部2に中心軸線O方向先端側に向けた過大な負荷が作用しても、ヘッド本体1が連結部材4から抜け外れてしまうのを防ぐことができる。特に、このような負荷によってヘッド本体1が連結部材4から引き抜かれようとすると、凹部8に嵌め込まれた連結部材4の外周部は、凹部8の中心軸線O方向後端側の壁面部8aに押し付けられることにより、この壁面部8aとの間の深さdの小さな隙間を埋めるように変形して引き抜きに対する抵抗力を発生させるので、ヘッド本体1の抜け外れを一層確実に防止することが可能となる。
また、本実施形態では、取付部3の内周面3dからの凹部8の深さdが、0.02mm〜0.06mmの範囲とされており、これによってもヘッド本体1の割れと抜け外れを確実に防ぐことができる。すなわち、この凹部8の深さdが0.06mmよりも深いと、拡径して塑性変形した連結部材4の外周部が十分に凹部8に充密されず、特に上述のように先端側への過大な負荷が作用したときに、中心軸線O方向後端側の壁面部8aと凹部8に嵌め込まれた外周部との間の隙間が埋められなくなってヘッド本体1の抜け外れを生じ易くなるおそれがある。一方、逆に深さdが0.02mmよりも浅いと、連結部材4を塑性変形させた際に外周部が必要以上に凹部8に充密されすぎて取付部3を押圧し、ヘッド本体1に割れを生じるおそれがある。
なお、本実施形態では、中心軸線Oに沿った断面において凹部8の底面部8bは中心軸線Oに平行な直線状とされているが、同断面において底面部8bは壁面部8aがなす凹曲線の曲率半径(凹円弧の半径R)よりも大きな曲率半径の、直線に近い凹曲線であってもよい。この場合に、凹部8の深さdは、同じく中心軸線Oに沿った断面において取付部3の内周面3dから底面部8bの最深部までの中心軸線Oに対する半径方向の深さとして、0.02mm〜0.06mmの範囲とされるのが望ましい。
また、本実施形態では、凹部8の底面部8bの中心軸線O方向の長さが、この中心軸線Oに沿った断面において壁面部8aがなす凹曲線の曲率半径(凹円弧の半径R)よりも大きくされており、これに伴って凹部8自体の中心軸線O方向の長さLも長くすることができる。このため、凹部8の深さdは上述のように浅くしても、凹部8内に嵌り込む連結部材4の外周部の体積は十分に確保することができ、ヘッド本体1と連結部材4との取付強度の向上を図ることができる。
しかも、本実施形態では、上記凹部8が取付部3の内周部3cを中心軸線O回りに周回する溝状に形成されているので、例えば凹部8が内周部3cの周方向に点在するものである場合などに比べても、凹部8内に嵌り込む連結部材4の外周部の体積を十分に確保して周方向の係止長さを長くし、一層高い取付強度でヘッド本体1に連結部材4を固定することが可能となる。
さらに、本実施形態では、複数のこのような凹部8が中心軸線O方向に間隔をあけて取付部3の内周部3cに形成されているので、これらの凹部8に嵌り込んだ連結部材4の外周部により、さらに高い取付強度を確保することができる。このため、本実施形態によれば、特に上述したような中心軸線O方向先端側に向けた大きな負荷がヘッド本体1に作用した場合でも、ヘッド本体1が連結部材4から抜け外れてしまうのを一層確実に防止することができる。
一方、本実施形態のヘッド交換式切削工具においては、超硬合金等の硬質材料よりなる工具本体5の取付孔5aの孔底側に形成された縮径部5cに雌ネジ部材10が取り付けられ、この雌ネジ部材10の内周の雌ネジ部10bに、交換式切削ヘッドの連結部材4後端部に形成された雄ネジ部4cがねじ込まれ、ヘッド本体1の円錐面状の外周面3bが取付孔5aの内周面と密着してテーパ嵌合することにより、工具本体5に交換式切削ヘッドが着脱可能に取り付けられる。
そして、さらに本実施形態のヘッド交換式切削工具では、上述のように上記縮径部5cの内周部にもヘッド本体1の取付部3の内周部に形成された凹部8と同様の凹部を形成するとともに、圧入部材によって拡径するように塑性変形させた雌ネジ部材10の素材の外周部をこの凹部に嵌め込んで係止することにより、上記実施形態の交換式切削ヘッドと同じく硬質材料よりなる工具本体5に割れが生じるのを防ぎつつ、切削加工時に中心軸線O方向先端側に向けて過大な負荷が作用しても、雌ネジ部材10ごと交換式切削ヘッドが工具本体5から抜け外れるのを防止することが可能となる。
ただし、工具本体5の外周面と縮径部5cとの間には、ヘッド本体1の取付部3の外周面3bと内周部3cとの間と比べて比較的大きな肉厚を確保することが可能であるので、縮径部5cの内周部に形成される凹部は、ヘッド本体1の凹部8と同じものではなく、例えば特許文献1に記載された交換式切削ヘッドのような断面半円状の凹部や、特許文献2に記載された交換式切削ヘッドの断面半長円状の凹部であったり、特許文献2に記載された中心軸線Oに沿った断面において該中心軸線Oに対する傾斜角が異なる大きさとされた壁面部を有する凹部であったりしてもよい。また、切削条件に対して工具本体5の剛性を十分に確保できる場合などには、工具本体5を鋼材等により一体に形成して雌ネジ部10bを工具本体5に直接形成してもよい。
1 ヘッド本体
2 切刃部
3 取付部
3a 掛止部
3b 取付部3の外周面
3c 取付部3の内周部
3d 取付部3の内周面
4 連結部材
4a 連結部材4の先端部
4b 連結部材4の後端部
4c 雄ネジ部
5 工具本体
5a 取付孔
5b 拡径部
5c 縮径部
5d 貫通孔
7 切刃
8 凹部
8a 凹部8の壁面部
8b 凹部8の底面部
10 雌ネジ部材
10b 雌ネジ部
O 取付部3の中心軸線
T 工具回転方向
C 中心軸線Oに沿った断面において壁面部8aがなす凹曲線の中心
R 中心軸線Oに沿った断面において壁面部8aがなす凹曲線の曲率半径(凹円弧の半径)
d 取付孔5aの内周面5dからの凹部8の深さ
L 凹部8の中心軸線O方向の長さ
W 中心軸線O方向に隣接する凹部8間に残される取付部3の内周面3dの中心軸線O方向の幅

Claims (6)

  1. 切刃部が先端側に形成されるとともに筒状の取付部が上記切刃部と一体に後端側に形成されたヘッド本体と、このヘッド本体よりも硬度の低い材料によって形成されて上記取付部の内周部に挿入される筒状の連結部材とを備え、
    上記取付部の内周部には凹部が形成され、
    この凹部は、上記取付部の中心軸線に沿った断面において、この中心軸線方向の両端部に、外周側に向かうに従い凹曲線を描きつつ互いに対向する方向に延びる壁面部を備えるとともに、これらの壁面部の間に、該壁面部に連なる直線状または上記壁面部がなす凹曲線の曲率半径よりも大きな曲率半径の凹曲線状をなす底面部を備え、上記壁面部がなす凹曲線の中心は上記取付部の内周面よりも内周側に位置しており、
    上記連結部材は、上記取付部の内周部において拡径させられて塑性変形させられることにより、該連結部材の外周部が上記取付部の内周面に密着するとともに、この連結部材の外周部が部分的に上記凹部に嵌り込んで係止された状態で取り付けられていることを特徴とする交換式切削ヘッド。
  2. 上記取付部の内周面からの上記凹部の深さが0.02mm〜0.06mmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の交換式切削ヘッド。
  3. 上記底面部の上記中心軸線方向の長さは、上記取付部の中心軸線に沿った断面において上記壁面部がなす凹曲線の曲率半径よりも大きいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の交換式切削ヘッド。
  4. 上記凹部は、上記取付部の内周部を上記中心軸線回りに周回する溝状であることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の交換式切削ヘッド。
  5. 上記取付部の内周部には、上記中心軸線方向に間隔をあけて複数の上記凹部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の交換式切削ヘッド。
  6. 請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の交換式切削ヘッドが工具本体に着脱可能に取り付けられたヘッド交換式切削工具であって、
    上記ヘッド本体の上記取付部の外周面は上記中心軸線方向後端側に向かうに従い漸次縮径する該中心軸線を中心とした円錐面状に形成されるとともに、上記連結部材の後端部は上記取付部の後端から突出する雄ネジ部を有し、
    上記工具本体は、上記取付部の外周面が密着可能な円錐面状に形成された内周面を有する取付孔と、この取付孔の孔底に形成された雌ネジ部とを備え、
    この雌ネジ部に上記連結部材の雄ネジ部がねじ込まれるとともに上記取付孔の内周面に上記取付部の外周面を密着させて上記交換式切削ヘッドが上記工具本体に着脱可能に取り付けられていることを特徴とするヘッド交換式切削工具。
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