JP2018089635A - 熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材、ならびに、これを用いた熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材コイル - Google Patents

熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材、ならびに、これを用いた熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材コイル Download PDF

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【課題】成形性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材、ならびに、これを用いたクラッドフィン材コイルを提供する。【解決手段】アルミニウム合金の芯材と、その両面にクラッドされたAl−Si系合金のろう材とを備え、ろう材及び芯材がそれぞれ所定の合金組成を有するアルミニウム合金からなり、ろう材の片面におけるクラッド率が3〜30%、当該フィン材において、その厚さtが0.02〜0.20mm、0.2%耐力YSと引張強度TSの比YS/TSが0.750〜0.990、厚さtと0.2%耐力YSの比t/YSが0.00012〜0.00200、コイル状に巻き取った際に、フィン材表面粗さが0.05〜0.50μmを満たす熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材、ならびに、当該クラッドフィン材をコイル状に巻き取った熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材コイル。【選択図】なし

Description

本発明は、成形性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材、ならびに、これを用いた熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材コイルに関する。
アルミニウム製熱交換器は、自動車用熱交換器や空調用熱交換器などに広く用いられている。これらのアルミニウム製熱交換器は、純アルミニウム又はアルミニウム合金からなる偏平多穴管等のアルミニウム管体(作動流体通路材)の表面に、成形加工されたアルミニウム合金クラッドフィン材を組付けた状態で約600℃の高温でろう付することで製造されている。ろう付においては、塩化物系フラックスを塗布して大気又は非酸化性雰囲気でろう付する方法、フッ化物系フラックスを塗布して非酸化性雰囲気でろう付する方法、或いは、フラックスを塗布せずに真空中でろう付する方法がある。
特許文献1に記載のように、これらのろう付においては、アルミニウム合金クラッドフィン材には、溶融ろうによる良好なろう付性のみならず、作動流体通路構成材料を防食するための犠牲陽極効果が求められる。また、ろう付加熱時に変形せず、溶融ろうによる侵食もない耐高温座屈性も要求される。
一方で、ろう付の前工程で行われるアルミニウム合金クラッドフィン材の成形加工は、コイル状に巻き取られたフィン材を巻きほぐしながら、連続的に成形加工ラインに投入する形式で行われることが多い。その際、フィン材は板厚が薄いため、コイル状に巻き取った際のフィン材の巻きグセが問題となることは少なかった。
しかしながら、近年、熱交換器の高性能化や軽量化が求められるにつれ、フィン材の成形加工の難易度が上がり、成形精度を確保することが難しくなってきている。その際、これまで問題となっていなかったフィン材における巻きグセの影響が無視できなくなることがある。例えば、フィン材を波型に成形するコルゲート加工の場合、より高速で加工する、フィンピッチを狭くする、フィン高さを高くするなどの変更を行った際に、巻きグセの影響により波形状が非対称になってしまうという問題が生じることがある。それにより、熱交換器の製造性が低下し歩留まりが悪化してしまう虞や、フィン形状の乱れによる熱交換性能低下の虞がある。
特許3170202号公報
上記問題を解決するため、本発明者らは種々検討を行った結果、所定の組成を有するアルミニウム合金クラッドフィン材においては、厚さtと引張強度TSと0.2%耐力YSの関係、ならびに、フィン表面粗さRaを適切に制御することで、巻きグセを抑制できることを見出した。
本発明は、上記の知見に基づいてなされたものであり、その目的は、基本的なろう付性、犠牲陽極効果、耐高温座屈性を確保すると共に、巻きグセが少なく成形性に優れる熱交換器用のアルミニウム合金クラッドフィン材及び熱交換器用のアルミニウム合金クラッドフィン材コイルを提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明は請求項1において、アルミニウム合金の芯材と、当該芯材の両面にクラッドされたAl−Si系合金のろう材とを備えるアルミニウム合金クラッドフィン材において、前記ろう材が、Si:5〜15mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなり、前記芯材が、Si:0.01〜1.60mass%、Mn:0.4〜2.0mass%、Fe:0.06〜0.80mass%、Zn:0.3〜5.0mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなり、前記ろう材の片面におけるクラッド率が3〜30%であり、当該アルミニウム合金クラッドフィン材において、その厚さtが0.02〜0.20mmであり、0.2%耐力YS(MPa)と引張強度TS(MPa)の比YS/TSが0.750〜0.990であり、前記厚さtと0.2%耐力YSの比t/YS(mm/MPa)が0.00012〜0.00200であり、コイル状に巻き取った際に、フィン材表面粗さRaが0.05〜0.50μmを満たすことを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材とした。
本発明は請求項2では請求項1において、前記芯材のアルミニウム合金が、Cr:0.03〜0.30mass%及びZr:0.06〜0.30mass%の1種又は2種を更に含有するものとした。
本発明は請求項3では請求項1又は2において、前記芯材のアルミニウム合金が、Mg:0.03〜0.50mass%及びCu:0.01〜0.50mass%の1種又は2種を更に含有するものとした。
本発明は請求項4では請求項1〜3のいずれか一項において、前記ろう材のアルミニウム合金が、Bi:0.01〜0.40mass%を更に含有するものとした。
本発明は請求項5では請求項1〜4のいずれか一項において、前記ろう材のアルミニウム合金が、Sr:0.003〜0.050mass%及びNa:0.003〜0.050mass%の1種又は2種を更に含有するものとした。
本発明は請求項6では請求項1〜5のいずれか一項において、前記ろう材のアルミニウム合金が、Zn:0.03〜5.00mass%を更に含有するものとした。
本発明は請求項7では請求項1〜6のいずれか一項において、前記ろう材のアルミニウム合金がMg:0.03〜2.00mass%を更に含有するものとした。
本発明は請求項8において、請求項1〜7のいずれか一項に記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材をコイル状に巻き取った熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材コイルであって、当該コイル全体の0.2%耐力をYSA(MPa)、コイル内径をR(mm)、フィン材の厚さをt(mm)、ヤング率をY(MPa)としたときに、(t×Y)/[YSA×(R/2)]≦1.00を満たし、コイル外周部の0.2%耐力とコイル内周部の0.2%耐力の差の絶対値が10MPa以下であることを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材コイルとした。
本発明によれば、熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材、ならびに、熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材コイルに基本的に要求されるろう付性、犠牲陽極作用及び耐高温座屈性を確保するとともに、巻きグセが抑制され、成形性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材、ならびに、熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材コイルが提供される。更に、当該アルミニウム合金クラッドフィン材、ならびに、熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材コイルを使用することにより、難易度の高い成形加工を施されても寸法精度の良いフィン材が得られる。これにより、当該熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材、ならびに、熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材コイルを使用した熱交換器では、安定的な製造が可能になり、熱交換性能などの諸特性を設計通りに得ることができる。
1.熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材
以下に、本発明を実施の形態に基づき詳細に説明する。まず、本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材について説明する。
最初に、本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材のろう材及び芯材に用いるアルミニウム合金の合金組成、ならびに、その限定理由について説明する。
1−1.ろう材
ろう材のアルミニウム合金は、Siを必須元素とし、Znを第一の選択添加元素とし、Biを第二の選択添加元素とし、Sr、Naを第三の選択添加元素とし、更に、Mgを第四の選択添加元素とし、残部Al及び不可避的不純物とするものである。
Si:
ろう材中のSiは、ろう材の融点を低下させ、溶融ろうの流動性を高める効果を有する。Si含有量は5〜15mass%(以下、単に「%」と記す)であり、5%未満では前記効果が十分に得られず、15%を超えると融点が急激に高くなり製造時の成形性が低下する。Siの好ましい含有量は、7〜13%である。
Zn:
ろう材中のZnは、ろう付加熱時に芯材中へ拡散し、犠牲陽極効果を与えるように機能し、ろう材の融点を低下させる効果も有するので、選択的に添加してもよい。Zn含有量は、好ましくは0.03〜5.00%であり、0.03%未満では上記効果が十分に得られず、5.00%を超えても上記効果が飽和するだけでなく原材料コストも増加する。Znのより好ましい含有量は、1.00〜4.00%である。
Mg:
ろう材中のMgは、真空ろう付の場合に、表層のAl系酸化皮膜を還元するとともに、ろう付加熱温度付近で蒸発することにより、ろう付性を向上させる。Mg含有量は、好ましくは0.03〜2.00%であり、0.03%未満では上記効果が十分に得られない。一方、2.00%を超えると、ろう材の融点が低下して溶融ろうが芯材中に侵食し易くなり、耐高温座屈性が低下し、更に、Mgの蒸発量も多くなって、ろう付炉内に吸着した酸化マグネシウムの除去回数が増加する。真空ろう付におけるMgのより好ましい含有量は、0.05〜1.60%である。
Bi:
ろう材中のBiは、ろう材の融点を低下させ、濡れ性及び流動性を改善する効果を有する。Bi含有量は、好ましくは0.01〜0.40%であり、0.01%未満では上記効果が十分に得られず、0.40%を超えて含有しても濡れ性、流動性の改善効果は小さく、自己腐食性が増加する。Biのより好ましい含有量は、0.01〜0.20%である。
Sr、Na:
ろう材中のSr及びNaは、ろう材中のSi粒子を微細化する効果を有する。Srと
Naの含有量はそれぞれ、好ましくは0.003〜0.050%であり、0.003%未満では上記効果が十分に得られず、0.050%を超えて含有すると溶融ろうの粘度が増加して流動性が低下する。Sr及びNaのより好ましい含有量はそれぞれ、0.003〜0.020%である。
その他の元素:
ろう材中には、それぞれ0.3%以下のCu、Cr及びMn、ならびに、それぞれ0.1%以下のPb、Li及びCaが含まれていても、上記ろう材中の元素の効果を損なうことは無い。また、鋳造組織の微細化のために0.3%以下のTi、0.01%以下のBが添加されていてもよい。但し、Feが多量に含有されていると自己腐食性が増加するため、0.8%以下に制限することが好ましい。
1−2.芯材
芯材のアルミニウム合金は、Si、Mn、Fe、Znを必須元素とし、Cr、Zrを第一の選択添加元素とし、Mg、Cuを第二の選択添加元素とし、残部Al及び不可避的不純物とするものである。
Si:
厚さが薄いフィン材の場合、ろう付後の芯材のSi濃度は、ろう付加熱時にろう材から芯材へSiが拡散するため、ろう付加熱前の芯材のSi濃度に拘わらず、ほぼ同程度の均一な濃度となる。芯材にSiを添加すると、ろう付加熱時において、ろう材から芯材へのSiの拡散量が減少し、ろう付加熱過程におけるろう材中のSi濃度の減少が少なくなり、溶融ろうの流動性が向上する。Si含有量は、0.01〜1.60%であり、0.01%未満の場合には所期の効果を得ることは可能であるが、高純度のアルミニウム地金を使用しなければならず原材料コストが増加する。Si含有量が1.60%を超えると、芯材の結晶粒径が小さくなってろうが芯材中に侵食し易くなり、耐高温座屈性が低下し、自己腐食性も増加する。Siの好ましい含有量は、0.10〜1.00%である。
Mn:
芯材中のMnは、芯材の強度を向上させ、巻きグセの抑制及び耐高温座屈性を改善する機能を発揮する。Mn含有量は0.4〜2.0%であり、0.4%未満では上記効果が十分に得られず、2.0%を超えると、鋳造時に粗大な化合物が生成して圧延加工性が損なわれる結果、健全な板材を得ることが困難となる。Mnの好ましい含有量は、0.8〜1.6%である。
Fe:
芯材中のFeは、Mnと反応して金属間化合物を形成し、芯材の強度を更に向上させる。Fe含有量は、0.06〜0.80%であり、0.06%未満では上記効果が十分に得られず、0.8%を超えると、結晶粒が小さくなって溶融ろうが芯材中に侵食し易くなり、耐高温座屈性が低下し自己腐食性も増加する。Feの好ましい含有量は、0.10〜0.60%である。
Zn:
芯材中のZnは、芯材の自然電位を卑にして犠牲陽極効果を高める効果を有する。Zn含有量は0.3〜5.0%であり、0.3%未満では上記効果は十分に得られず、5.0%を超えると自己腐食性が増加する。Znの好ましい含有量は、1.0〜4.0%である。
Cr、Zr:
芯材中のCr、Zrは、芯材の耐高温座屈性を向上させる。Crの含有量は、好ましくは0.03〜0.30%であり、Zrの含有量は、好ましくは0.06〜0.30%である。Cr含有量が0.03%未満、Zr含有量が0.06%未満では、上記効果が十分に得られない。一方、Cr含有量及びZr含有量がそれぞれ0.30%を超えると、鋳造時に巨大な晶出物が生じるため、健全な材料の製造が困難となる。Cr及びZrのより好ましい含有量はそれぞれ、0.06〜0.20%である。
Mg:
芯材中のMgは、芯材の強度を向上させる。Mg含有量は、好ましくは0.03〜0.50%の範囲であり、0.03%未満では上記効果が十分に得られず、0.50%を超えると、融点が低下して耐高温座屈性が低下する。また、0.05%を超えると、フッ化物系のフラックスを使用するろう付の場合には、ろう付加熱時にMgがフラックスと反応して、ろう付性を著しく阻害する。Mgのより好ましい含有量は、0.06%〜0.30%である。
Cu:
芯材中のCuは、芯材の強度を向上させる。Cu含有量は、好ましくは0.010〜
0.500%であり、0.01%未満では上記効果が十分に得られず、0.50%を超えると、上記効果が飽和するだけでなく原材料コストも増加する。Cuのより好ましい含有量は、0.050〜0.300%である。
その他の元素:
芯材中には、それぞれ0.1%以下のPb、Li、Sr、Ca、Naが含有されていても上記元素の効果が損なわれることはない。また、芯材の強度を向上させるためにそれぞれ0.3%以下のV、Mo、Niを添加してもよい。また、鋳造組織の微細化のために、0.3%以下のTi、0.01%以下のBを添加してもよい。更に、酸化防止のために0.1%以下のBeを添加してもよい。
次に、本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材の特性について説明する。
1−3.厚さt
本発明においては、熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材の厚さを0.02〜0.20mmに規定する。この厚さが0.02mm未満では、フィン材自体の強度が不足して成形時の割れや破断が起こり易くなる。また、熱交換器として組み立てた際に、形状維持が困難となる。一方、この厚さが0.20mmを超えると、コイル巻き取り時に巻きグセが発生し易くなり成形加工時の寸法精度が低下する。この厚さは、好ましくは0.04〜1.20mmである。
1−4.クラッド率
本発明においては、熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材のクラッド率を、片面で3〜30%に規定する。このクラッド率が3%未満では、芯材に対するろう材の量が少な過ぎて、均一なクラッド率を得ることが困難になる。一方、このクラッド率が30%を超えると、ろうの溶融量が多過ぎて、芯材が溶解、侵食され易くなる。このクラッド率は、好ましくは5〜15%である。
1−5.0.2%耐力(YS)と引張強度(TS)の比(YS/TS)
本発明では、熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材における0.2%耐力YS(MPa)と引張強度TS(MPa)との比YS/TSを、0.750〜0.990に規定する。このYS/TSが0.750未満では、YSが不足し巻きグセが発生し易くなり、又は、TSが過大となり成形が困難となる。一方、このYS/TSが0.990を超えると、加工度が高過ぎて伸びが低下して成形が困難となる。このYS/TSは、好ましくは0.900〜0.990である。
1−6.厚さ(t)と0.2%耐力(YS)の比(t/YS)
本発明では、熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材の厚さt(mm)と0.2%耐力YS(MPa)の比t/YS(mm/MPa)を、0.00012〜0.00200に規定する。このt/YSが0.00012未満では、0.2%耐力に対するフィン材の厚さが薄過ぎて伸びが低下し、成形加工が困難となる。一方、このt/YSが0.00200を超えると、0.2%耐力に対してフィン材の厚さが厚過ぎて巻きグセが発生する。このt/YSは、好ましくは0.00020〜0.00150である。
1−7.表面粗さRa
本発明においては、熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材の表面粗さRaを0.05〜0.50μmに規定する。Raが0.50μmを超えると、フィン表面に多くの油が残留して、ろう付不良が発生し易い。一方、Raが0.05μm未満では、金型とフィンに塗布する潤滑油の油膜が形成されにくい為、コルゲート成形性が低下する。なお、表面粗さRaは、好ましくは0.20〜0.50μmである。
2.熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材コイル
次に、本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材をコイル状に巻き取った熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材コイルについて説明する。
2−1.コイル内径R
本発明においては、熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材コイルのコイル内径Rは特に制約されるものではないが、操作上の制約から実質的には300〜900mmの範囲とするのが好ましく、300〜650mmとするのがより好ましい。ここで、コイル内径Rとは、スプールの径をいうものとする。
2−2.コイル形状と強度との関係
また、本発明においては、コイルにおけるフィン材の厚さをt(mm)及びコイル内径をR(mm)として、コイル全体における0.2%耐力をYSA(MPa)及びヤング率をY(Mpa)として、これらが、(t×Y)/[YSA×(R/2)]≦1.00の関係式を満たすことにより、コイルの巻きグセの抑制が可能となる。ここで、上記関係式の左辺の数値が1.00を超える場合には、コイルの巻きグセが抑制できない。なお、上記関係式の左辺の数値は、好ましくは0.80以下である。上記関係式の左辺の数値の下限値は、特に限定されるものではないが、通常、0.01以下とするのは工業的に困難である。
2−3.コイル外周部と内周部の耐力差
本発明においては、コイル外周部におけるフィン材の0.2%耐力(MPa)と、コイル内周部におけるフィン材の0.2%耐力(MPa)の差の絶対値が、10MPa以下であることが好ましい。上記絶対値を10MPa以下とすることによって、コイルの成形性を向上させることが可能となる。この差の絶対値が10MPaを超える場合は、コイルの外周部と内周部における巻きグセが異なり、安定した成形性が得られない。なお、上記絶対値は、より好ましくは8Mpa以下である。この絶対値の下限値は、特に限定されるものではない。
3.熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材の製造方法
次に、本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材の製造方法について説明する。
3−1.鋳造
本発明に係るアルミニウム合金クラッドフィン材は、芯材を構成するアルミニウム合金の鋳塊の両面に、ろう材を構成するアルミニウム合金材の鋳塊をそれぞれクラッドし(重ね合わせ)、これを熱間クラッド圧延する。芯材を構成する鋳塊及びろう材を構成する鋳塊はそれぞれ、DC鋳造法などの常法に従って鋳造される。
3−2.均質化処理
このようにして鋳造された芯材用鋳塊及びろう材用鋳塊に対して、それぞれ別々に均質化処理を施してもよいし、クラッドした後に均質化処理を施してもよい。また、省エネルギー化のために、このような均質化処理を省略して、クラッドしたクラッド材の熱間クラッド圧延前の加熱段階をもって均質化処理を兼ねてもよい。このような均質化処理条件、ならびに、熱間クラッド圧延前の加熱段階の条件としては、400〜560℃の温度で行うのが好ましい。400℃未満の温度では、十分な均質化効果が得られない。一方、560℃を超える温度では、Al−Mn、Al−Mn−SiなどのMn系金属間化合物が粗大に成長する。その結果、強度低下による耐高温座屈性の低下や、巻きグセの増加を招く。均質化処理温度は、より好ましくは450〜520℃である。また、上記均質化処理温度における保持時間は、1〜30時間とするのが好ましい。保持時間が1時間未満では十分な均質化効果が得られず、30時間を超えるとMn系金属間化合物の成長が進み、強度の低下につながる。保持時間は、より好ましくは2〜20時間である。
3−3.熱間クラッド圧延
次いで、常法に従って熱間クラッド圧延を行う。熱間クラッド圧延における開始温度は、400〜560℃とするのが好ましい。開始温度が400℃未満の場合は、圧延時に耳割れが生じ易くなる。一方、開始温度が560℃を超える場合は、ろう材が溶融したり、ろう材中のSiが粗大に成長し易くなる。また、熱間圧延終了時の圧延板温度は380℃未満とするのが好ましく、350℃以下とするのがより好ましい。
3−4.冷間圧延
熱間クラッド圧延した圧延材は、焼鈍前に冷間圧延にかけられる。この冷間圧延加工により芯材中に導入される転位を均一に分布させ、その後の焼鈍工程でMn系金属間化合物を転位の上に微細、均一に析出させて、良好な強度特性を得るものである。冷間圧延における好ましい圧延率は80%以上であり、80%未満では上記のMn系金属間化合物の析出が不均一となり、良好な強度を確保するのが困難となる。冷間圧延における圧延率は、より好ましくは85%以上である。なお、この圧延率の上限値は、特に限定されるものではないが、通常、98%程度である。
3−5.中間焼鈍
冷間圧延の途中において、中間焼鈍を1回以上行ってもよい。中間焼鈍の温度は、好ましくは180〜450℃、より好ましくは250〜400℃である。この温度が180℃未満では、微細なMn系金属間化合物が十分な量析出しない。一方、この温度が450℃を超えると、Mn系金属間化合物の析出物が粗大化して強度低下を招く。微細なMn系金属間化合物が過度に粗大化しない温度範囲においてこれを十分に析出させることで、強度を高めることができる。なお、中間焼鈍は必要に応じて2回以上行ってもよく、この場合は、少なくとも最終冷間圧延前の焼鈍を上記条件に従って行えばよい。
3−6.最終冷間圧延
最終冷間圧延は、ろう付加熱時の再結晶挙動を調整し、耐高温座屈性を高めるだけでなく、中間焼鈍でフィン材に形成された巻きグセを解消して成形性を高めるために行われる。そのために、最終冷間圧延における好ましい圧延率は5〜70%であり、より好ましくは10〜60%である。この圧延率が5%未満では、H1n材として強度が低過ぎて巻きグセを抑制できない。一方、この圧延率が70%を超えると、強度が高くなり過ぎて伸びも低下するため成形性が低下する。なお、H2n調質の場合は、熱間圧延工程終了後は、熱間圧延材を冷間圧延工程で最終板厚まで加工して最終焼鈍を施す場合と、H1n調質と同様に中間焼鈍工程を設け、最終冷間圧延後に最終焼鈍を施す場合がある。どちらの場合においても、引張強度(TS)及びYSが本発明の範囲を満たすよう最終焼鈍条件を調整する必要がある。
3−7.その他
また、最終冷間圧延時における加工だけではなく、その後の工程において、レベラーや巻き取り時の張力を利用して歪を付与することで、適切な強度特性を得てもよい。
4.熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材コイルの製造方法
次に、本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材コイルの製造方法について説明する。本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材コイルは、本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材を、スプールに巻き取ることによって得られる。最初の巻き取りは、熱間圧延工程においてベルトラッパーと呼ばれる装置を使用して行われる。その後、圧延やスリット等の工程ごとに、2つのスプールを使用し、一方では巻きほぐし、一方では巻き取りが行われる。本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金フィン材コイルとは、コルゲート加工直前まで加工された状態のコイルのことを指す。
5.コルゲートフィン材及びその製造方法
本発明に係るコルゲートフィン材は、上記熱交換器用アルミニウム合金フィン材、又は、熱交換器用アルミニウム合金フィン材コイルを用いて、フィン材をコルゲート成形機に連続的に通しながら成形することでようにして製造される。このようにして得られるコルゲートフィン材は、高速で微細な形状が成形されるため、生産性が高い上に伝熱性能に優れるという特徴がある。
6.熱交換器およびその製造方法
本発明に係る熱交換器は、上記コルゲートフィン材を用いて製造される。具体的には、上記コルゲートフィン材とチューブ材、ヘッダ材、その他周辺部材をコアとして組立てる工程と、組立てられたコアにフラックスを塗布する工程と、ろう付を行う工程を経てようにして製造される。このようにして得られる熱交換器は、多数の微細なフィン材とチューブ材の接合部を一度に金属接合できるため、生産性が高い上に伝熱性能に優れるという特徴がある。
以下において、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
実施例1
芯材及びろう材用アルミニウム合金を、溶解、DC鋳造し、芯材用アルミニウム合金には均質化処理(温度:500℃、時間:10時間)を施した後に、ろう材鋳塊を450℃
で熱間圧延し、得られたろう材板を芯材鋳塊の両面に重ね合わせてクラッドした。このようにして得られたクラッド鋳塊について、熱間クラッド圧延(開始温度:480℃、終了温度:460℃)、冷間圧延(圧延率:95%)を行い、中間焼鈍(温度:350℃、時間:3時間)を施した後、最終冷間圧延(圧延率:40%)を行い、最終板厚0.07mmのクラッドフィン材を作製した(H14調質)。このようにして、アルミニウム合金クラッドフィン材の試料(試料1)を作製した。用いた芯材用及びろう材用のアルミニウム合金の合金組成を、表1〜6に示す。
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1.成形性の評価
上記のようにして作製した試料1から、幅20mm、長さ300mmの短冊状のフィン材サンプルを切断した。このフィン材サンプルに、フィンハイト7.65mm、フィンピッチ2.4mmのコルゲート加工を施した。コルゲート加工後のフィン材サンプルの寸法を測定し、成形性を評価した。その際、フィンハイトが7.65±0.05mm以内、かつ、フィンピッチが2.4±0.2mm以内であるものを成形性が合格(○)、範囲外であるものを成形性が不合格(×)とした。特に、フィンハイトが7.65±0.025mm以内、かつ、フィンピッチが2.4±0.1mm以内であるものを成形性が優良合格(◎)とした。
2.ろう付性の評価
コルゲート加工後のフィン材サンプルを、JIS A1050の押出扁平管と組み合わせてミニコア形状に組付け、ミニコアにフッ化物系フラックスを吹き付けて乾燥させた後に、窒素雰囲気中において600℃の温度に3分間保持してろう付接合を実施した。なお、A48〜A51合金については、フラックスを塗布せずに真空中でろう付接合を実施した。
ろう付後のミニコアのフィンを剥がし、フィンとチューブのフィレットの接合状態を観察した。チューブ幅に対してフィンチューブのフィレットの接合長さが98%以上のものを合格(○)、98%未満のものを不合格(×)とした。特に、接合長さが100%のものを優良合格(◎)とした。
3.耐高温座屈性の評価
芯材の溶融、侵食による座屈の有無を調査する為に、フィンハイト7.65mm、フィンピッチ2.4mmのミニコアを十段重ね、ろう付前後のミニコアの対角線の寸法変化によって耐高温座屈性を評価した。対角線の寸法変化が0.5mm以内のものを合格(○)、0.5mmを超えるものを不合格(×)とした。特に、寸法変化が0.2mm以内のものを優良合格(◎)とした。
4.耐食性の評価
更にろう付後のミニコアについて、2週間のCASS試験(JIS D 0201)を実施して、フィン及び管の耐食性を評価した。フィンの腐食や消耗が激しいもの、及び/又は、管に孔食が発生しているものを不合格(×)とし、これら以外を合格(○、◎)とした。ここで、合格(○)には、フィンは腐食しているものの管の腐食が軽微であるものが含まれる。更に、フィンの腐食が軽微で管に孔食が発生していないものを優良合格(◎)とした。
5.製造性の評価
フィン材製造時において、割れや欠陥が多数生じて最終板厚まで製造できなかった合金は不合格(×)とした。割れや欠陥が無い、又は微小であり最終板厚まで製造できた合金は合格(○)とした。
7.機械的特性
また、短冊状に切断したフィン材サンプル(寸法:50mm×300mm)をコルゲート加工することなく引張試験を行って、引張強度及び0.2%耐力を測定した(測定条件はJIS Z 2241:2011に準じた)。更に、フィン材厚さも測定した。
8.その他
また、更に、短冊状に切断した上記フィン材サンプルについて、厚さ及びクラッド率を測定した。また、同フィン材サンプルについて、JIS B 0633:2001に準拠して表面粗さRaを測定した。
以上述べた1〜8の結果を供試材記号とともに、表7〜12示す。
Figure 2018089635
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本発明に係る規定(合金組成、フィン材厚さ、片面クラッド率、YS/TS,t/YS,表面粗さRa)を全て満たす本発明例1〜52はいずれも、コルゲート加工時の寸法が公差内であり成形性が良好であった。また、ろう付後のミニコアでは、フィンと管との接触部に十分にろうが流動してフィレットが形成され、ろう付性が良好で、芯材の溶融・侵食による座屈もなく、製造性も良好で圧延割れなどを生じることがなかった。更に、腐食試験においても良好な結果を示した。
これに対して、比較例1〜28では、本発明に係る規定を全て満たしていなかったので、少なくともいずれかの評価が不合格であった。
すなわち、比較例1では、ろう材のSi含有量が少な過ぎたため流動ろうが不足し、ろう付性が不合格となった。
比較例2では、ろう材のSi含有量が多過ぎたため、製造時の加工性が低下し、圧延が困難となり製造性が不合格となった。
比較例3では、芯材のSi含有量が多過ぎたため、ろう付加熱中にろう材のSiが芯材に拡散する量が少なく、ろう流動時のろう材のSiによる芯材の溶融及び侵食が激しくなり、耐高温座屈性及び耐食性が不合格となった。
比較例4では、芯材のMn含有量が少な過ぎたため、微細なMn系金属間化合物の析出量が少なくろう付時の再結晶粒が微細になり、耐高温座屈性が不合格となった。
比較例5では、芯材のMn含有量が多過ぎたため、鋳造時に巨大な金属間化合物が生成し、圧延時に割れなどが発生して良好な板材を得ることができず、製造性が不合格となった。
比較例6では、芯材のFe含有量が少な過ぎたため、強度が低下し、耐高温座屈性が不合格となった。
比較例7では、芯材のFe含有量が多過ぎたため、鋳造時に巨大な金属間化合物が生成し、圧延時に割れなどが発生して良好な板材を得ることができず、製造性が不合格となった。
比較例8では、芯材のZn含有量が少な過ぎたため、フィン材の犠牲陽極効果が十分でなく、管に孔食が発生したため耐食性が不合格となった。
比較例9では、芯材のZn含有量が多過ぎたため、フィン材の自己腐食が増加し、フィンの消耗が激しくなったため、耐食性が不合格となった。
比較例10では、表面粗さが小さすぎるため、圧延が困難であり、製造性が不合格となった。
比較例11では、表面粗さが大きすぎる為、フィン表面に残留する油が多くろう付性が不合格となった。
比較例12では、YS/TSが0.990以上となり、伸びが劣り成形性が不合格となった。
比較例13では、YS/TSが0.750未満となり、巻きグセにより成形性が不合格となった。
比較例14では、フィン材の厚さが薄過ぎたため、成形性が不合格となった。また、ろう材量が不足しろう付性が不合格となり、材料自体の強度も低下するため耐高温座屈性も不合格となった。
比較例15では、フィン材の厚さが厚過ぎたため、巻きグセが大きく成形性が不合格となった。
比較例16では、t/YSが0.00012未満となり、成形性が不合格となった。
比較例17では、t/YSが0.00200を超え、巻きグセが大きく成形性が不合格となった。
比較例18では、クラッド率が小さ過ぎたため均一な材料を得ることが出来ず、製造性が不合格となった。
比較例19では、クラッド率が多き過ぎたため、芯材の溶融や侵食が激しく耐高温座屈性が不合格となった。また、耐食性も不合格となった。
比較例20では、芯材のCr含有量が多過ぎたため、強大な晶出物が生成し、圧延時に板が割れた為にサンプルを作成できなかった。
比較例21では、芯材のZr含有量が多過ぎたため、強大な晶出物が生成し、圧延時に板が割れた為にサンプルを作成できなかった。
比較例22では、芯材のCu含有量が多過ぎたため、フィン材の腐食速度が大き過ぎて耐食性が不合格であった。
比較例23では、芯材のMg含有量が多過ぎたためろう付時に酸化皮膜が除去できず、ろう付性が不合格となった。
比較例24では、ろう材のBi含有量が多過ぎたため、フィン材の腐食速度が大き過ぎて耐食性が不合格となった。
比較例25では、ろう材のSr含有量が多過ぎたため、ろうの流動性が低下し、ろう付性が不合格となった。
比較例26では、ろう材のNa含有量が多過ぎたため、フィン材の腐食速度が大き過ぎて耐食性が不合格となった。
比較例27では、ろう材のZn含有量が多過ぎたため、フィン材の腐食速度が大き過ぎて、耐食性が不合格となった。
比較例28では、ろう材のMg含有量が多過ぎたため、ろう付時にフラックスと反応してしまい、酸化皮膜の除去が不十分で真空ろう付性が不合格となった。
実施例2
表1のA3組成の合金を用い、実施例1と同様の工程によって、アルミニウム合金クラッドフィン材(試料1)を製造した。次いで、この試料1を所定の内径のスプールに巻き取って、アルミニウム合金クラッドフィン材コイルの試料(試料2)を作製した。なお、フィン材の厚さ、クラッド率、コイル内径を表13の通りに変化させた。表13には、試料2の供試材記号とともに、(t×Y)/[YSA×(R/2)]、コイル外周部の0.2%耐力とコイル内周部の0.2%耐力の差の絶対値(ΔYS)、ならびに、コイル全体の0.2%耐力(YSA)も示す。なお、コイル外径はコイル内径によらず1500mmとした。
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表13の供試材記号のものについて、実施例1と同様にして、成形性、製造性の評価を行なった。
以上の評価結果を供試材記号とともに、表14に示す。
Figure 2018089635
本発明に係る規定(請求項1に規定するもの、ならびに、(t×Y)/[YSA×(R/2)])を満たす本発明例53〜59はいずれも、成形性及び製造性が合格で、巻きグセも良好であった。これに対して、比較例29〜34では、本発明に係る上記規定を満たしていなかったので、少なくともいずれかの評価が不合格であった。
すなわち、比較例29では、(t×Y)/[YSA×(R/2)]が1.00を超え、成形性が不合格となった。
比較例30では、フィン材の厚さが厚過ぎたため、(t×Y)/[YSA×(R/2)]が1.00を超え、成形性が不合格となった。
比較例31では、フィン材の厚さが薄過ぎたため、圧延工程で割れが発生し最終板厚まで加工できず、製造性が不合格となった。
比較例32では、t/YSが0.00200を超えたため、(t×Y)/[YSA×(R/2)]が1.00を超え、成形性が不合格となった。
比較例33では、(t×Y)/[YSA×(R/2)]が1.00を超え、成形性が不合格となった。
比較例34では、コイル外周部と内周部の耐力差の絶対値が10MPaを超えた為、コイル外周部と内周部で巻きグセが異なり(不良となり)、その結果、成形性が不合格となった。
本発明は、成形性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材、ならびに、これを用いた熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材コイルを提供可能であり、産業上の有用性を備える。

Claims (8)

  1. アルミニウム合金の芯材と、当該芯材の両面にクラッドされたAl−Si系合金のろう材とを備えるアルミニウム合金クラッドフィン材において、前記ろう材が、Si:5〜15mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなり、前記芯材が、Si:0.01〜1.60mass%、Mn:0.4〜2.0mass%、Fe:0.06〜0.80mass%、Zn:0.3〜5.0mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなり、前記ろう材の片面におけるクラッド率が3〜30%であり、当該アルミニウム合金クラッドフィン材において、その厚さtが0.02〜0.20mmであり、0.2%耐力YS(MPa)と引張強度TS(MPa)の比YS/TSが0.750〜0.990であり、前記厚さtと0.2%耐力YSの比t/YS(mm/MPa)が0.00012〜0.00200であり、コイル状に巻き取った際に、フィン材表面粗さRaが0.05〜0.50μmを満たすことを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材。
  2. 前記芯材のアルミニウム合金が、Cr:0.03〜0.30mass%及びZr:0.06〜0.30mass%の1種又は2種を更に含有する、請求項1に記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材。
  3. 前記芯材のアルミニウム合金が、Mg:0.03〜0.50mass%及びCu:0.01〜0.50mass%の1種又は2種を更に含有する、請求項1又は2に記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材。
  4. 前記ろう材のアルミニウム合金が、Bi:0.01〜0.40mass%を更に含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材。
  5. 前記ろう材のアルミニウム合金が、Sr:0.003〜0.050mass%及びNa:0.003〜0.050mass%の1種又は2種を更に含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材。
  6. 前記ろう材のアルミニウム合金が、Zn:0.03〜5.00mass%を更に含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材。
  7. 前記ろう材のアルミニウム合金が、Mg:0.03〜2.00mass%を更に含有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材をコイル状に巻き取った熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材コイルであって、当該コイル全体の0.2%耐力をYSA(MPa)、コイル内径をR(mm)、フィン材の厚さをt(mm)、ヤング率をY(MPa)としたときに、(t×Y)/[YSA×(R/2)]≦1.00であり、コイル外周部の0.2%耐力とコイル内周部の0.2%耐力の差の絶対値が10MPa以下であることを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金クラッドフィン材コイル。
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