JP2018087620A - セレクタブルワンウェイクラッチ - Google Patents
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Abstract
【課題】アクチュエータの体格を大きくすることなく誤係合を抑制することができるセレクタブルワンウェイクラッチを提供すること。
【解決手段】固定プレートと、回転プレートと、切り替えプレートと、アーム部材と、アーム部材を移動させるための操作軸部材を有するアクチュエータとを備え、固定プレート、切り替えプレート及び回転プレートのそれぞれのプレート間に潤滑油を介在させたセレクタブルワンウェイクラッチであって、操作軸部材には、操作軸部材の軸線方向に操作部を介して第1接触部及び第2接触部が対向するように設けられており、アーム部材の操作部及び操作軸部材の第2接触部は、互いに噛み合うことが可能な段差形状を有する。
【選択図】図6
【解決手段】固定プレートと、回転プレートと、切り替えプレートと、アーム部材と、アーム部材を移動させるための操作軸部材を有するアクチュエータとを備え、固定プレート、切り替えプレート及び回転プレートのそれぞれのプレート間に潤滑油を介在させたセレクタブルワンウェイクラッチであって、操作軸部材には、操作軸部材の軸線方向に操作部を介して第1接触部及び第2接触部が対向するように設けられており、アーム部材の操作部及び操作軸部材の第2接触部は、互いに噛み合うことが可能な段差形状を有する。
【選択図】図6
Description
本発明は、セレクタブルワンウェイクラッチに関する。
従来、ワンウェイクラッチとして、ポケットプレートとノッチプレートとの間に配置されたセレクタプレートにより、ポケットプレートの係合片であるストラットと、ノッチプレートの係合凹部であるノッチとを係合状態または非係合状態に切り替えることが可能なセレクタブルワンウェイクラッチが知られている。このようなセレクタブルワンウェイクラッチでは、セレクタプレートと、ポケットプレートまたはノッチプレートとが相対的に摺動するため、その摺動面に潤滑油を供給することにより、各プレートをスムーズに動作させている。
また、特許文献1には、各プレート間に潤滑油を供給したセレクタブルワンウェイクラッチにおいて、ノッチプレートの回転方向を切り替えるセレクタプレートを操作するために、セレクタプレートの外縁部にアームを連結した構成が開示されている。
特許文献1に開示されたセレクタブルワンウェイクラッチは、リターンスプリングを備えるアクチュエータによってセレクタプレートに連結されたアームを移動させることにより、係合状態と非係合状態とを切り替えるように構成されている。そして、例えばエンジンの始動前は、トルクを伝達する必要がないため、ポケットプレート及びノッチプレートが非係合状態となるように、リターンスプリングの弾性力によって、アームが非係合方向に付勢された状態となっている。
セレクタブルワンウェイクラッチの各プレートは相対回転するように構成されているため、例えばポケットプレートを固定した状態でノッチプレートを回転させると、ポケットプレートとノッチプレートの間に配置されたセレクタプレートに対して、潤滑油を介してトルクが作用する。これは、潤滑油の粘性に起因する剪断力による引き摺り作用であり、潤滑油の粘度が高いほど、大きいトルク(引き摺りトルク)が作用する。
しかしながら、例えばエンジンの始動時にセレクタブルワンウェイクラッチの潤滑油が低温となっている場合、潤滑油の粘度が高いため、セレクタプレートが上記引き摺りトルクによって回転することにより、非係合状態であるポケットプレートとノッチプレートとが誤係合する可能性がある。上記特許文献1に開示されたセレクタブルワンウェイクラッチでは、このような誤係合を回避するために、引き摺りトルクに抗するようにリターンスプリングの弾性力を大きくすることも可能である。しかしながら、この場合、係合時にはアクチュエータによって、その弾性力に打ち勝つ力を発生させる必要があるため、アクチュエータの体格の大型化を招いてしまう。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、アクチュエータの体格を大きくすることなく誤係合を抑制することができるセレクタブルワンウェイクラッチを提供することである。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るセレクタブルワンウェイクラッチは、固定プレートと、前記固定プレートに対向する回転プレートと、前記固定プレートと前記回転プレートとの間に配置され、所定角度だけ該回転プレートの中心軸まわりに回転することによって、係合手段により前記固定プレートと前記回転プレートとが係合する係合状態と、前記係合手段による前記固定プレートと前記回転プレートとの係合がなされない非係合状態とを切り替える切り替えプレートと、前記切り替えプレートに連結され、該切り替えプレートの径方向外側に突出したアーム部材と、アクチュエータ本体と、該アクチュエータ本体から突出しており、前記アーム部材を前記切り替えプレートの周方向に沿って移動させることによって、前記係合状態となる係合位置と、前記非係合状態となる非係合位置とに、前記アーム部材を移動させるための操作軸部材と、を有するアクチュエータと、を備え、前記固定プレート、前記切り替えプレート及び前記回転プレートのそれぞれのプレート間に潤滑油を介在させたセレクタブルワンウェイクラッチであって、前記アーム部材には、前記操作軸部材から該操作軸部材の軸線方向の力を受ける操作部を有し、前記操作軸部材には、前記操作部と接触して該操作軸部材の軸線方向の力を該操作部に作用させるための第1接触部及び第2接触部が、該操作軸部材の軸線方向にアクチュエータ本体側から該第2接触部、該操作部、該第1接触部の順で位置するように、該操作部を介して対向するように設けられており、前記係合位置から前記非係合位置に向かって前記アーム部材を移動させるような付勢力を、前記第2接触部を介して前記操作部に付勢する弾性部材を備え、前記操作部及び前記第2接触部は、互いに噛み合うことが可能な段差形状を有することを特徴とするものである。
本発明に係るセレクタブルワンウェイクラッチによれば、アクチュエータによって操作軸部材を動かさずに、アーム部材が非係合位置から係合位置に向かって移動する、切り替えプレート誤作動時に、アーム部材の操作部及び操作軸部材の第2接触部がそれぞれ有する段差形状で噛み合うことで、切り替えプレートの誤作動に対して従来よりも大きな抵抗モーメントを発生させることができる。これにより、切り替えプレート誤作動時にアーム部材が非係合位置から係合位置に向かって移動するのを抑制するために、操作部を係合位置から非係合位置に向けて付勢する弾性部材の付勢力を低減させることができる。よって、アクチュエータの体格を大きくすることなく、誤係合を抑制することができるという効果を奏する。
以下に、本発明を適用した実施形態に係るセレクタブルワンウェイクラッチについて、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は、SOWC30の全体構成を説明するための図である。図1に示すように、SOWC30は、固定プレートである環状のポケットプレート31と、回転プレートである環状のノッチプレート(不図示)と、SOWC30の係合状態と非係合状態とを切り替える切り替えプレートであるセレクタプレート33と、スナップリング(不図示)と、ストラット(係合片)35と、アーム部材であるアーム36とを備えている。
ポケットプレート31は、円盤状のプレート部311を有し、プレート部311の外周部分から軸方向に伸びる円筒部313が一体成形されている。プレート部311の一方の面は、軸方向でセレクタプレート33及びノッチプレートと対向する面であり、ストラット35を収容するポケット312が周方向で所定間隔を空けた位置に複数設けられている。ポケット312は、プレート部311の板厚方向に窪んだ形状を有する。なお、ポケット312の底部とストラット35との間にはストラット35をノッチプレート側に付勢する付勢バネ(不図示)が設けられている。
ノッチプレートは、SOWC30が搭載された車両のエンジンによって回転駆動される回転体と一体で回転するものであって、ポケットプレート31及びセレクタプレート33に対して相対回転可能な環状のプレートである。ノッチプレートのうち一方の面(セレクタプレート33及びポケットプレート31と軸方向で対向する面)には、ポケットプレート31のポケット312に対応する位置に、ストラット35が係合するノッチ(係合凹部)が複数設けられており、ストラット35とノッチとで係合手段を構成している。また、ノッチプレートはセレクタプレート33とともにポケットプレート31の円筒部313内に収容され、その円筒部313の内周部に嵌合させたスナップリングによってポケットプレート31から抜け落ちないように構成されている。さらに、SOWC30内における、ポケットプレート31、セレクタプレート33及びノッチプレートのそれぞれのプレート間には、潤滑用のオイル(潤滑油)が介在している。
セレクタプレート33は、軸方向でプレート部311とノッチプレートとの間に配置され、ポケットプレート31及びノッチプレートに対して相対回転可能な環状のプレートである。図1に示すように、セレクタプレート33には、ポケットプレート31のポケット312に対応する位置に複数の窓孔331が設けられている。窓孔331は、板厚方向に貫通したストラット開閉窓であり、ポケット312及びストラット35と同数設けられている。図1に示すように、セレクタプレート33は、アーム36を介してアクチュエータ37に接続されており、アクチュエータ37によってポケットプレート31に対して相対回転させられる。そして、窓孔331の位置がポケット312の位置と周方向で略一致する係合プレート位置と、窓孔331の位置がポケット312の位置と周方向にずれている非係合プレート位置との間で、セレクタプレート33が所定角度だけノッチプレート32の中心軸まわりに回転することにより、前記係合状態と前記非係合状態とが切り替えられる。
アーム36は、アーム本体361と操作部362とで構成されており、アクチュエータ37から出力された力をセレクタプレート33に伝達するための部材である。ポケットプレート31の円筒部313には、アーム36のアーム本体361を差し込むための差し込み孔(不図示)が形成されている。アーム本体361の一端部は、ポケットプレート31の円筒部313の外側から差し込み孔に差し込まれて、ポケットプレート31の内部でセレクタプレート33と連結される。差し込み孔は、円筒部313の根元側(プレート部311側)を径方向に貫通し、円筒部313の一部を周方向に切り欠いた形状を有する。そのため、差し込み孔に差し込まれたアーム本体361は、差し込み孔の端部(壁面)によって周方向での可動域が制限される。つまり、アーム本体361が差し込み孔の端部(壁面)に接触すると、アーム36の動きが規制されてセレクタプレート33の回転は停止する。
また、アーム本体361の他端部側は、セレクタプレート33の径方向外側に突出しており、球の一部を切り欠いた形状であって、セレクタプレート回転軸方向から見た平面視で外周が、後述するプランジャ軸線方向(操作軸部材の軸線方向)に距離da(図5参照)で扇状に切り欠いた切り欠き部362aと、その切り欠き部362aの両端と連続する円弧部362bとで形成された操作部362が設けられている。本実施形態で用いられるアーム36の操作部362の形状は、アーム軸線方向に対して非対称形状である。
図1に示すように、アクチュエータ37は、内部に電磁コイルが設けられたアクチュエータ本体371と、アクチュエータ本体371から突出している操作軸部材であるプランジャ372とで構成されており、プランジャ372を直線的に動作させる直動アクチュエータである。プランジャ372は、アーム36をセレクタプレート33の周方向に沿って移動させることによって、前記係合状態となる係合位置と、前記非係合状態となる非係合位置とに、アーム36を移動させるためのものであり、アクチュエータ本体371から突出している軸部372aと、軸部372aから径方向に広がる一対のフランジ部を構成する第1接触部である第1フランジ372b及び第2接触部である第2フランジ372cとを有する。
軸部372aの根元側端部は、アクチュエータ本体371の内部に挿入されており、軸部372aの先端側端部は、ケースに設けられた支持部材60の貫通孔61に挿入されてプランジャ軸線方向に往復移動可能に支持されている。第1フランジ372bには、プランジャ軸線方向で第2フランジ372c側を向く面である第1壁面373が形成されている。また、第2フランジ372cには、プランジャ軸線方向で第1フランジ372b側を向く面である第2壁面374が形成されている。この第2壁面374は、プランジャ軸線方向で第1フランジ372b側に距離df(図5参照)だけ突出した凸部375を設けてなる段差形状を有しており、凸部375の接触面375aと、操作部362における切り欠き部362aの接触面363とを接触させて、操作部362及び第2フランジ372cを互いの段差形状で噛み合わせることが可能となっている。
なお、操作部362及び第2フランジ372cが互いの段差形状で噛み合っていない状態では、プランジャ軸線L0に対して切り欠き部362aの接触面363が傾斜している。これにより、操作部362及び第2フランジ372cが互いの段差形状で噛み合ったときに、プランジャ軸線L0と平行な凸部375の接触面375aと、切り欠き部362aの接触面363とを面接触させることができる。
図2は、アーム36とプランジャ372との接続部分の斜視図である。図1や図2に示すように、第1フランジ372b及び第2フランジ372cは、プランジャ軸線方向で軸部372aの先端側からアクチュエータ本体371側に、第1フランジ372b、第2フランジ372cの順で並んで設けられており、第1壁面373と円弧部362bとが対向し、第2壁面374と切り欠き部362aとが対向するように、第1フランジ372bと第2フランジ372cとの間にアーム36の操作部362が配置されている。そして、第1壁面373と円弧部362bとが接触するか、第2壁面374と切り欠き部362aとが接触することで、アーム36とプランジャ372とが接続される。
また、軸部372aにおける第2フランジ372cとアクチュエータ本体371との間には、第2フランジ372cに付勢力を付与するコイルスプリングであるリターンスプリング38が設けられている。
非係合状態から係合状態への切り替え動作では、アクチュエータ37に通電し駆動させてプランジャ372を吸引する。これにより、リターンスプリング38の付勢力に抗してプランジャ372が縮むように直線的に動くことによって、第1フランジ372bの第1壁面373と操作部362の円弧部362bとが接触し、第1フランジ372bによって操作部362が押され、アーム36を介してセレクタプレート33は、セレクタプレート回転中心Oで係合方向に回転する。そして、セレクタプレート33は所定角度だけ係合方向に回転してから係合プレート位置で停止する。
セレクタプレート33が係合位置にある場合、ストラット35は、図示しない付勢バネによって押され窓孔331を通じてノッチプレート側に立ち上がる。この場合、ノッチプレートの回転方向に応じて、ストラット35がノッチに係合する場合(係合状態)と、ストラット35がノッチに係合しない場合(オーバーラン状態)とに分けられる。係合状態では、係合方向にノッチプレートが回転すること(正回転すること)が規制される。オーバーラン状態では、オーバーラン方向にノッチプレートが回転(負回転)している。
一方、係合状態から非係合状態への切り替え動作では、アクチュエータ37に通電せず停止させる。これにより、リターンスプリング38の付勢力によってプランジャ372が伸びるように直線的に動くことによって、第2フランジ372cが操作部362に向かって移動し、第2フランジ372cの第2壁面374と、操作部362の切り欠き部362aとが接触する。そして、第2フランジ372cによって操作部362が押され、アーム36を介してセレクタプレート33は、セレクタプレート回転中心Oで非係合方向に回転し、所定角度だけ非係合方向に回転してから非係合プレート位置で停止する。
セレクタプレート33が非係合プレート位置にある場合、セレクタプレート33の窓孔331間の板部分332によってストラット35がポケット312の内部に押し込まれている。板部分332は、ストラット35をポケット312内に収容させる部材として機能し、ストラット35が立ち上がらないようにポケット312の開口を閉じる。この場合、ノッチプレートとストラット35とが係合しないため、ノッチプレートは両方向に回転可能な状態(非係合状態)となる。
ここで、従来のアーム本体361Aと対称形状の操作部362Aとで構成されたアーム36Aを用いた場合における、SOWC30の動作について説明する。
図3は、従来のSOWC30における通常切り替え動作を説明するための図である。なお、図中に示した「アクチュエータストローク」とは、アクチュエータ37のプランジャ372が伸びきった状態における、第1フランジ372bの第1壁面373が位置する位置を基準として、プランジャ372を縮めたときにおける第1壁面373のストローク量(プランジャ軸線方向における移動量)を示すものである。
従来のSOWC30における非係合状態から係合状態への通常切り替え動作では、アクチュエータ37の通電によりプランジャ372が動いた後に、アーム36Aが動かされる。すなわち、非係合状態から係合状態への通常切り替え動作では、まず、アクチュエータ37に通電し駆動させることによって、リターンスプリング38の付勢力に抗してプランジャ372を縮ませるように直線的に動かす。これにより、プランジャ372の第1フランジ372bがアーム36Aの操作部362Aに向かって移動し、第1フランジ372bと操作部362Aとが接触して、第1フランジ372bにより操作部362Aが押されることによって、セレクタプレート回転中心Oを回転中心としてアーム36Aが係合方向(図中反時計回り方向)に回転する。
また、図3に示すような平面視においては、プランジャ軸線L0と、第1フランジ372bと操作部362Aとの接触部分P1に作用する力F1の作用線L1とが重なっており、セレクタプレート回転中心Oからプランジャ軸線L0までの距離rと、セレクタプレート回転中心Oから作用線L1までの距離とが同じである。そのため、力F1によるセレクタプレート回転中心Oまわりの力のモーメントである作動モーメントM1の大きさは、M1=r×F1となる。なお、力F1は、アクチュエータ37がプランジャ372を引き込む力からリターンスプリング38の付勢力を引いたものであって、プランジャ軸線方向と平行な方向で操作部362Aに作用するものである。
一方で、アクチュエータ37によってセレクタプレート33を係合方向に回転させる際には、オイルによる摺動抵抗が非係合方向に発生する。しかしながら、この摺動抵抗によるセレクタプレート回転中心Oまわりの力のモーメントである摺動抵抗モーメントM0は、作動モーメントM1に比べれば非常に小さい(M1>>M0)。そのため、プランジャ372を駆動させることにより、アーム36Aを介してセレクタプレート33を係合方向に回転させて、非係合状態から係合状態に切り替えることができる。
図4は、従来のSOWC30におけるセレクタプレート33の誤作動を説明するための図である。従来のSOWC30において、セレクタプレート33が誤作動するときには、セレクタプレート33の係合方向への回転に連動してアーム36Aが動いた後に、プランジャ372が動かされる。すなわち、SOWC30内のオイルの粘度が高い状態でエンジンが始動され、ノッチプレートが係合方向に回転した際に、オイルを介してセレクタプレート33にトルク(セレクタプレート回転中心Oまわりの力のモーメントである誤作動モーメントM4)が作用し、セレクタプレート33がノッチプレートの回転に引き摺られて係合方向に回転して誤作動する場合がある。この場合、セレクタプレート33の係合方向への回転に連動して、アーム36Aもセレクタプレート回転中心Oを回転中心として係合方向に回転する。これにより、アーム36Aの操作部362Aとプランジャ372の第2フランジ372cとが接触し、第2フランジ372cが操作部362Aに押されることによって、アクチュエータ37に通電していないにもかかわらず、プランジャ372が縮むように直線的に動く。
そして、このようにプランジャ372が縮むように直線的に動くことによって、第2フランジ372cによってリターンスプリング38が押されて圧縮し、操作部362Aには、第2フランジ372cとの接触部分P2を介して、リターンスプリング38の付勢力F2がプランジャ軸線方向と平行な方向に作用することになる。
また、図4に示すような平面視においては、プランジャ軸線L0と、接触部分P2で操作部362Aに作用する付勢力F2の作用線L2とが重なっており、セレクタプレート回転中心Oからプランジャ軸線L0までの距離rと、セレクタプレート回転中心Oから作用線L2までの距離とが同じである。そのため、付勢力F2によるセレクタプレート回転中心Oまわりの力のモーメントである抵抗モーメントM2の大きさは、M2=r×F2となる。そして、誤作動モーメントM4によるセレクタプレート33の誤作動が止まるかどうかは、抵抗モーメントM2と誤作動モーメントM4との大小関係で決定され、M4>M2の場合には、セレクタプレート33が誤作動し始めても、それを止めることができない。このようにセレクタプレート33の誤作動が止められず、セレクタプレート33が係合プレート位置に位置してしまうと、ポケットプレート31とノッチプレートとが誤係合して、エンジン始動に失敗するおそれがある。
このように、従来のアーム36Aを用いた場合には、図3及び図4からわかるように、非係合状態から係合状態への通常切り替え動作時とセレクタプレート誤作動時とにおいて、操作部362Aと接触する対象が、第1フランジ372bと第2フランジ372cとで異なる。一方、非係合状態から係合状態への通常切り替え動作時に、操作部362Aと第1フランジ372bとが接触した際における、セレクタプレート回転中心Oから接触部分P1までの距離と、セレクタプレート誤作動時に、操作部362Aと第2フランジ372cとが接触した際における、セレクタプレート回転中心Oから接触部分P2までの距離とが同じである。その結果、セレクタプレート回転中心Oから作用線L1までの距離と、セレクタプレート回転中心Oから作用線L2までの距離とが、共に距離rで同じとなっている。
図5は、実施形態に係るSOWC30における非係合状態から係合状態への通常切り替え動作を説明するための図である。実施形態に係るSOWC30における非係合状態から係合状態への通常切り替え動作は、上述した従来のSOWC30における非係合状態から係合状態への通常切り替え動作と略同様であるため、その詳細な説明は省略する。実施形態に係るSOWC30における非係合状態から係合状態への通常切り替え動作においても、図5に示すような平面視においては、プランジャ軸線L0と、第1フランジ372bの第1壁面373と操作部362の円弧部362bとの接触部分P1に作用する力F1の作用線L1とが重なっており、力F1によるセレクタプレート回転中心Oまわりの力のモーメントである作動モーメントM1の大きさは、M1=r×F1となる。
なお、取り付け状態でアーム36の操作部362と第2フランジ372cの凸部375との間に、プランジャ軸線方向でクリアランスdcを設けるのが望ましい。これにより、アーム36がセレクタプレート回転中心Oを回転中心として係合方向に回転した際に、操作部362と第2フランジ372cそれぞれのエッジ部が接触するのを回避することができる。よって、アーム36の操作部362と第2フランジ372cの凸部375それぞれのエッジ部の摩耗や欠けが抑えられ、アーム36及びプランジャ372の耐久性を向上させることができる。
図6は、実施形態に係るSOWC30におけるセレクタプレート33の誤作動を説明するための図である。実施形態に係るSOWC30において、セレクタプレート33が誤作動する場合には、アクチュエータ37によってプランジャ372を動かさない状態で、セレクタプレート33の係合方向への回転に連動してアーム36が動いた後に、プランジャ372が動かされる。すなわち、SOWC30内のオイルの粘度が高い状態でエンジンが始動され、ノッチプレートが係合方向に回転した際に、オイルを介してセレクタプレート33にトルク(セレクタプレート回転中心Oまわりの力のモーメントである誤作動モーメントM4)が作用し、セレクタプレート33がノッチプレートの回転に引き摺られて係合方向に回転して誤作動する場合がある。この場合、セレクタプレート33の係合方向への回転に連動して、アーム36もセレクタプレート回転中心Oを回転中心として係合方向に回転する。これにより、操作部362における切り欠き部362aの接触面363と第2フランジ372cにおける凸部375の接触面375aとが接触し、操作部362及び第2フランジ372cの互いの段差形状が噛み合って、第2フランジ372cが操作部362に押されることによって、アクチュエータ37に通電していないにもかかわらず、プランジャ372が縮むように直線的に動く。
そして、このようにプランジャ372が縮むように直線的に動くことによって、第2フランジ372cによってリターンスプリング38が押されて圧縮し、操作部362には、第2フランジ372cの第2壁面374と切り欠き部362aとの接触部分P2を介して、リターンスプリング38の付勢力F2がプランジャ軸線方向と平行な方向に作用することになる。さらに、アーム36の操作部362には、アーム36がセレクタプレート回転中心Oを回転中心として係合方向に回転することで、第2フランジ372cの凸部375と切り欠き部362aとの接触部分P3には、噛み合いによる抵抗力F3が作用することになる。
また、図6に示すような平面視においては、プランジャ軸線L0と、接触部分P2で操作部362に作用する付勢力F2の作用線L2とが重なっており、セレクタプレート回転中心Oからプランジャ軸線L0までの距離rと、セレクタプレート回転中心Oから作用線L2までの距離とが同じである。そのため、付勢力F2によるセレクタプレート回転中心Oまわりの力のモーメントである抵抗モーメントM2の大きさは、M2=r×F2となる。また、抵抗力F3によるセレクタプレート回転中心Oまわりの力である抵抗モーメントM3の大きさは、セレクタプレート回転中心Oからのオフセット量dを考慮して、M3=d×F3となる。よって、セレクタプレート誤作動時における付勢力F2及び抵抗力F3による抵抗モーメントの総和は、M2+M3=(r×F2)+(d×F3)となる。
ここで、上述した従来のアーム36Aを用いた場合における、セレクタプレート誤作動時における抵抗モーメントは、付勢力F2による抵抗モーメントM2(r×F2)のみである。そのため、操作部362及び第2フランジ372cが、本実施形態のように互いに噛み合うことが可能な段差形状を有する場合には、従来のように前記段差形状を有していない場合に対して、誤作動モーメントM4に対する抵抗モーメント増加代がd×F3だけあり、誤作動モーメントM4に対する抵抗モーメント増加率が1+(d×F3)/(r×F2)である。
これにより、操作部362及び第2フランジ372cが、本実施形態のように前記段差形状を有する場合には、従来のように前記段差形状を有していない場合よりも、誤作動モーメントM4に対して大きな抵抗モーメント(M2+M3)が得られ、その分、セレクタプレート33を誤作動させる力が小さくなる。そのため、セレクタプレート誤作動時にアーム36が非係合位置から係合位置に向かって移動するのを抑制するために、操作部362を係合位置から非係合位置に向けて付勢するリターンスプリング38の付勢力を低減させることができる。よって、従来のアーム36Aを用いた場合よりも、リターンスプリング38の強化に伴うアクチュエータ37の前記付勢力に打ち勝つ力の増大による、アクチュエータ37の体格の大型化が抑えられ、アクチュエータ37の搭載性の悪化を軽減させつつ、ポケットプレート31とノッチプレート32との誤係合を抑制することができる。
図7は、実施形態に係るSOWC30における係合状態から非係合状態への切り替え動作を説明するための図である。図8は、操作部362や第2フランジ372cの段差形状にそれぞれテーパー形状を設けた、実施形態に係るSOWC30における係合状態から非係合状態への切り替え動作を説明するための図である。なお、図中に示した「アクチュエータストローク」の「Sfull」とは、アクチュエータ37のプランジャ372が最も縮んだ状態における第1壁面373のストローク量(プランジャ軸線方向における移動量)を示すものである。
実施形態に係るSOWC30における係合状態から非係合状態への切り替え動作では、アクチュエータ37に通電せず停止させることにより、最も縮んだ位置に位置するプランジャ372が、リターンスプリング38の付勢力によってプランジャ372が伸びるように直線的に動くことで、第2壁面374の凸部375と操作部362の切り欠き部362aとが接触する。そして、アーム36の操作部362には、凸部375と切り欠き部362aとの接触部分P5を介して、リターンスプリング38の付勢力F5がプランジャ軸線方向と平行な方向に作用する。
また、図7に示すような平面視においては、プランジャ軸線L0と、接触部分P5で操作部362に作用する付勢力F5の作用線L5とが重なっており、セレクタプレート回転中心Oからプランジャ軸線L0までの距離rと、セレクタプレート回転中心Oから作用線L5までの距離とが同じである。そのため、付勢力F5によるセレクタプレート回転中心Oまわりの力のモーメントである作動モーメントM5の大きさは、M5=r×F5となる。
一方で、セレクタプレート33を非係合方向に回転させる際には、オイルによる摺動抵抗が係合方向に発生する。しかしながら、この摺動抵抗によるセレクタプレート回転中心Oまわりの力のモーメントである摺動抵抗モーメントM6は、作動モーメントM5に比べれば非常に小さい(M5>>M6)。そのため、アーム36を介してセレクタプレート33を非係合方向に回転させて、係合状態から非係合状態に切り替えることができる。
ここで、アーム36の操作部362や、プランジャ372の第2フランジ372cに段差形状を設けた場合には、この段差形状の影響で、係合状態から非係合状態への通常切り替え動作中に、操作部362と第2フランジ372cとの間に衝撃荷重が発生し、操作部362や第2フランジ372cの耐久性が低下するおそれがある。
これに対して、アーム36の操作部362が有する段差形状と、プランジャ372の第2フランジ372cが有する段差形状との少なくとも一方に、テーパー形状を設けるのが好ましい。例えば、図8においては、操作部362の段差形状を形成する切り欠き部362aに、プランジャ軸線L0と平行な仮想直線となす角が角度θaとなる接触面363を設けている。また、第2フランジ372cの段差形状を形成する凸部375に、プランジャ軸線L0と平行な仮想直線となす角が角度θfとなる接触面375aを設けている。これにより、SOWC30の係合状態から非係合状態への切り替え動作時に、操作部362の接触面363と、第2フランジ372cの接触面375aとを接触させることで、操作部362と第2フランジ372cとの間に発生する相対速度を低減でき、操作部362と第2フランジ372cとの間に発生する衝撃荷重を低減させることができる。よって、その分、操作部362や第2フランジ372cの耐久性が低下するのを抑えることができる。
なお、アーム36の操作部362が有する段差形状に設ける接触面363としては、アーム36の回転位置によらず、前記仮想直線となす角の角度が一定のものであったり、アーム36の回転位置によって、前記仮想直線となす角の角度が段差方向に変化するものであってもよい。また、第2フランジ372cが有する段差形状に設ける接触面375aとしては、アクチュエータストロークの大きさによらず、前記仮想直線となす角の角度が一定のものであったり、アクチュエータストロークの大きさによって段差方向に変化するものであってもよい。
30 セレクタブルワンウェイクラッチ(SOWC)
31 ポケットプレート
33 セレクタプレート
35 ストラット
36 アーム
37 アクチュエータ
38 リターンスプリング
311 プレート部
312 ポケット
313 円筒部
361 アーム本体
362 操作部
362a 切り欠き部
362b 円弧部
363 接触面
371 アクチュエータ本体
372 プランジャ
372a 軸部
372b 第1フランジ
372c 第2フランジ
373 第1壁面
374 第2壁面
375 凸部
375a 接触面
31 ポケットプレート
33 セレクタプレート
35 ストラット
36 アーム
37 アクチュエータ
38 リターンスプリング
311 プレート部
312 ポケット
313 円筒部
361 アーム本体
362 操作部
362a 切り欠き部
362b 円弧部
363 接触面
371 アクチュエータ本体
372 プランジャ
372a 軸部
372b 第1フランジ
372c 第2フランジ
373 第1壁面
374 第2壁面
375 凸部
375a 接触面
Claims (1)
- 固定プレートと、
前記固定プレートに対向する回転プレートと、
前記固定プレートと前記回転プレートとの間に配置され、所定角度だけ該回転プレートの中心軸まわりに回転することによって、係合手段により前記固定プレートと前記回転プレートとが係合する係合状態と、前記係合手段による前記固定プレートと前記回転プレートとの係合がなされない非係合状態とを切り替える切り替えプレートと、
前記切り替えプレートに連結され、該切り替えプレートの径方向外側に突出したアーム部材と、
アクチュエータ本体と、該アクチュエータ本体から突出しており、前記アーム部材を前記切り替えプレートの周方向に沿って移動させることによって、前記係合状態となる係合位置と、前記非係合状態となる非係合位置とに、前記アーム部材を移動させるための操作軸部材と、を有するアクチュエータと、
を備え、
前記固定プレート、前記切り替えプレート及び前記回転プレートのそれぞれのプレート間に潤滑油を介在させたセレクタブルワンウェイクラッチであって、
前記アーム部材には、前記操作軸部材から該操作軸部材の軸線方向の力を受ける操作部を有し、
前記操作軸部材には、前記操作部と接触して該操作軸部材の軸線方向の力を該操作部に作用させるための第1接触部及び第2接触部が、該操作軸部材の軸線方向にアクチュエータ本体側から該第2接触部、該操作部、該第1接触部の順で位置するように、該操作部を介して対向するように設けられており、
前記係合位置から前記非係合位置に向かって前記アーム部材を移動させるような付勢力を、前記第2接触部を介して前記操作部に付勢する弾性部材を備え、
前記操作部及び前記第2接触部は、互いに噛み合うことが可能な段差形状を有することを特徴とするセレクタブルワンウェイクラッチ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016231793A JP2018087620A (ja) | 2016-11-29 | 2016-11-29 | セレクタブルワンウェイクラッチ |
Applications Claiming Priority (1)
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ID=62492928
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JP2016231793A Pending JP2018087620A (ja) | 2016-11-29 | 2016-11-29 | セレクタブルワンウェイクラッチ |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2018087620A (ja) |
-
2016
- 2016-11-29 JP JP2016231793A patent/JP2018087620A/ja active Pending
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