JP2018086967A - 連動制御方法及び連動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】無線列車制御システムの特徴を踏まえた連動制御において、処理負荷を分散可能とする新たな技術を提案すること。【解決手段】線区を境界位置46で区切って各連動機30の制御範囲48とし、連動機30は、自制御範囲48内についての列車の進路制御を行う。列車の予定進路が複数の連動機30の制御範囲48に跨る場合、これらの連動機30間で、境界位置46を介して、予定進路の設定の引き継ぎや、予定進路に基づく走行予測の引き継ぎ、二列車間の競合関係に関する情報の送受信を行う。【選択図】図2

Description

本発明は、無線列車制御システムにおける連動制御に関する。
従来の列車運行制御は、連動装置、信号装置及び運行管理装置によってなされる。連動装置及び信号装置は、安全性を確保する装置である。連動装置は、信号機、転てつ器、軌道回路、及び連動機から成り、進路の設定と軌道回路の状態に基づき、連動機によって信号機の進行/停止、転てつ器の定位/反位を制御する。信号装置は、連続する進路間の信号機の現示を制御して列車の走行可能速度を指示する。運行管理装置は、列車の運行を効率的に行う装置であり、列車全体の運行状況を把握し、各連動装置に対して進路設定を行う。
近年、地上車上間の通信手段として無線通信を用いた無線列車制御システムの開発が進められている。無線列車制御システムでは、車上側で列車の走行位置や走行速度を計測して地上側へ送信するため、列車位置を検知する地上設備である軌道回路が不要となる。
しかしながら、原理的に無線列車制御システムは列車位置を連続検知可能であるものの、従来の無線列車制御システムは線路を区切った固定区間(従来の軌道回路に相当する区間。仮想的なブロックとも呼ばれる。)を単位とした進路鎖錠を行っていた。このため、無線列車制御システムのメリットを未だ十分に活用できていないと考えられた。例えば、線路を固定区間で区切った場合には、進路の始点は区間境界となるため、列車間隔を短くすることに限界があった。また、列車位置を固定区間単位で判断することになるため、ダイヤ乱れ時等で、必要に応じて列車の進行順序を変更する場合に効率的な対処ができない場合が生じ得た。
そこで、本願発明者は、無線列車制御システムの特徴を踏まえた新たな連動制御として、列車の先頭位置を発点し、この発点から次の到着駅までの1走行を1つの進路として制御することにより、進路制御と運行管理とを同時に効率化する技術を提案した(特許文献1参照)。
特開2014−148260
上述の特許文献1に開示された技術は、連動装置、信号装置及び運行管理装置の機能を1つの装置で実現するものであり、進路の制御範囲が広範囲に亘ることから、いわゆる集中連動方式となる。このため、連動機の処理負荷が一極集中して増大する問題や、連動機から転てつ器や信号機といった現場機器までの距離が遠くなることによる保守コストの問題等が生じ得た。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするとことは、無線列車制御システムの特徴を踏まえた連動制御において処理負荷を分散可能とする新たな技術を提案することである。
上記課題を解決するための第1の発明は、
各連動装置の制御範囲が境界位置で区切られた線区を走行する各列車の列車位置に基づいて列車制御を行う無線列車制御システムにおける前記連動装置それぞれが行う連動制御方法であって、
自制御範囲内の列車について、当該列車の列車位置を発点とする予定進路を設定することと、
前記予定進路が前記境界位置に達する列車(以下「境界通行列車」という)の識別情報を含む進路設定引継情報を、当該境界位置に隣接する制御範囲に係る連動装置(以下「隣接連動装置」という)に送信することと、
前記進路設定引継情報を受信した場合に、前記境界通行列車について、当該境界位置を発点とする自制御範囲内の予定進路を設定することと、
自制御範囲内の列車について、当該列車の予定進路上の走行位置に対する走行速度を予測した速度曲線(以下「走行予測方程式」という)を算出することと、
前記隣接連動装置へ、前記境界通行列車の識別情報と、前記走行予測方程式に基づく当該境界位置における到達時刻および走行速度と、を含む走行予測引継情報を送信することと、
前記走行予測引継情報を受信した場合に、前記境界通行列車の予定進路に、前記走行予測引継情報に含まれる到達時刻および走行速度で進入するとして、前記境界通行列車の走行予測方程式を算出することと、
自制御範囲において少なくとも転てつ器を含む線路ノードそれぞれに対する進入列車の優先順位を、各列車の前記走行予測方程式を用いて設定することと、
自制御範囲の前記線路ノードそれぞれについて、前記優先順位が最優先に設定された列車の前記走行予測方程式に基づき、当該列車が当該線路ノードに接近したことを示す所定の接近条件を満たし、且つ、当該線路ノードの占有列車設定が占有列車無しの場合に、当該列車を占有列車として当該線路ノードを占有させる占有設定を行うことと、
自制御範囲内の列車および自制御範囲内に進入予定の前記境界通行列車それぞれについて、前記発点から順に当該列車が占有列車として設定された線路ノードに対する進入を許可することで当該列車の進行許可区間を設定することと、
自制御範囲において前記線路ノードを列車が通過した場合に、当該通過した列車を占有列車とする当該線路ノードの占有列車設定を占有列車無しとする占有解除を行うことと、
を含む連動制御方法である。
また、他の発明として、
各連動装置の制御範囲が境界位置で区切られた線区を走行する各列車の列車位置に基づいて列車制御を行う無線列車制御システムにおける前記連動装置であって、
自制御範囲内の列車について、当該列車の列車位置を発点とする予定進路を設定する予定進路設定手段と、
前記予定進路が前記境界位置に達する列車(以下「境界通行列車」という)の識別情報を含む進路設定引継情報を、当該境界位置に隣接する制御範囲に係る連動装置(以下「隣接連動装置」という)に送信する進路設定引継情報送信手段と、
前記進路設定引継情報を受信した場合に、前記境界通行列車について、当該境界位置を発点とする自制御範囲内の予定進路を設定する第2の予定進路設定手段と、
自制御範囲内の列車について、当該列車の予定進路上の走行位置に対する走行速度を予測した速度曲線(以下「走行予測方程式」という)を算出する第1の算出手段と、
前記隣接連動装置へ、前記境界通行列車の識別情報と、前記走行予測方程式に基づく当該境界位置における到達時刻および走行速度と、を含む走行予測引継情報を送信する走行予測引継情報送信手段と、
前記走行予測引継情報を受信した場合に、前記境界通行列車の予定進路に、前記走行予測引継情報に含まれる到達時刻および走行速度で進入するとして、前記境界通行列車の走行予測方程式を算出する第2の算出手段と、
自制御範囲において少なくとも転てつ器を含む線路ノードそれぞれに対する進入列車の優先順位を、各列車の前記走行予測方程式を用いて設定する優先順位設定手段と、
自制御範囲の前記線路ノードそれぞれについて、前記優先順位が最優先に設定された列車の前記走行予測方程式に基づき、当該列車が当該線路ノードに接近したことを示す所定の接近条件を満たし、且つ、当該線路ノードの占有列車設定が占有列車無しの場合に、当該列車を占有列車として当該線路ノードを占有させる占有設定を行う占有設定手段と、
自制御範囲内の列車および自制御範囲内に進入予定の前記境界通行列車それぞれについて、前記発点から順に当該列車が占有列車として設定された線路ノードに対する進入を許可することで当該列車の進行許可区間を設定する進行許可区間設定手段と、
自制御範囲において前記線路ノードを列車が通過した場合に、当該通過した列車を占有列車とする当該線路ノードの占有列車設定を占有列車無しとする占有解除を行う占有解除手段と、
を備えた連動装置を構成しても良い。
この第1の発明によれば、線区を境界位置で区切って各連動装置の制御範囲とし、連動装置間で情報の送受信を行うことで、線区に対する進路制御の処理負荷を各連動装置に分散させることができ、複数の連動装置全体で広範囲の線区に対する進路制御を行うことができる。
具体的には、複数の連動装置の制御範囲に跨るような予定進路を設定することができる。すなわち、ある連動装置が、自制御範囲内に設定した予定進路が境界位置に達する境界通行列車についての進路設定引継情報を隣接連動装置へ送信することで、隣接連動装置が、その境界通行列車の自制御範囲内の予定進路を境界位置から引き継いで設定することができる。
また、予定進路が複数の連動装置の制御範囲に跨って設定された境界通行列車についての走行予測方程式を算出することができる。すなわち、境界通行列車について、ある連動装置が、自制御範囲内に設定した予定進路に基づく走行予測方程式を算出し、境界位置の到達時刻及び走行速度を含む走行予測引継情報を隣接連動装置へ送信することで、隣接連動装置が、その境界通行列車について、自制御範囲に設定した予定進路に基づく走行予測定式を境界位置から引き継いで算出することができる。
更に、各連動機を、自制御範囲内或いはその近辺に設置することで、連動機と制御対象の現場機器との距離を短くすることができる。
第2の発明として、第1の発明の連動制御方法であって、
自制御範囲内に設定した各列車の予定進路に基づいて、自制御範囲内の競合区間を判定すること、
を更に含み、
前記優先順位を設定することは、同一の前記競合区間上の線路ノードに対する進入列車の優先順位を同一に設定することを含む、
連動制御方法を構成しても良い。
この第2の発明によれば、自制御範囲内に設定した各列車の予定進路に基づく競合区間を単位として、線路ノードに対する進入列車の優先順位が設定される。これにより、競合する複数の列車が競合区間に進入して、いわゆるデッドロックとなるといったことが防止される。
第3の発明として、第1又は第2の発明の連動制御方法であって、
自制御範囲内に予定進路を設定した二列車間の競合関係を、当該二列車の予定進路に基づいて判定することと、
当該二列車の予定進路が対向し、且つ、同一の境界位置を通る場合に、前記判定した二列車間の競合関係を含む列車間競合情報を、当該境界位置の隣接連動装置へ送信することと、
を更に含み、
前記優先順位を設定することは、
更に、受信した前記列車間競合情報を用いて設定することを含む、
連動制御方法を構成しても良い。
この第3の発明によれば、二列車の予定進路が複数の制御範囲に跨る場合、連動装置単独では、その二列車間の競合関係を判定できないことがある。このような場合に、連動装置間で、自制御範囲内に設定した予定進路に基づいて判断した二列車間の競合関係を含む列車間競合情報を送信することで、その二列車間の競合関係を正しく判定することができる。
第4の発明として、第3の発明の連動制御方法であって、
前記二列車間の競合関係が当該二列車の列車位置及び予定進路によって優先列車が定まる絶対的優先関係である場合には、当該優先列車を前記列車間競合情報に含めて送信し、
前記二列車間の競合関係が前記絶対的優先関係ではない場合には、当該二列車それぞれの予定進路に基づく競合区間の進出時刻を前記列車間競合情報に含めて送信する、
ことを更に含む、
連動制御方法を構成しても良い。
この第4の発明によれば、二列車の競合関係が絶対的優先であるか否かに応じた内容の列車間競合情報が送信される。すなわち、二列車の競合関係が絶対的優先である場合には、優先列車が列車間競合情報に含めて送信され、二列車の競合関係が絶対的優先でない場合には、競合区間の進出時刻が列車間競合情報に含めて送信される。
第5の発明として、第4の発明の連動制御方法であって、
前記優先順位を設定することは、
前記判定した二列車間の競合関係と、受信した前記列車間競合情報に含まれる当該二列車間の競合関係と、の少なくとも一方が前記絶対的優先関係である場合に、当該二列車の競合関係は絶対的優先であるとみなして前記優先順位を設定することを含む、
連動制御方法を構成しても良い。
この第5の発明によれば、複数の連動装置それぞれによる同一の二列車に対する競合関係の判定結果が異なる場合であっても、その二列車間の競合関係を正しく判定することができる。
第6の発明として、第4又は第5の発明の連動制御方法であって、
前記走行予測方程式を算出することは、
前記競合関係が絶対的優先関係である他の列車の走行予測方程式に基づいて、前記走行予測方程式を算出すること、
を更に含む、
連動制御方法を構成しても良い。
この第6の発明によれば、予定進路上の線路ノードを、競合関係が絶対的優先である他の列車が通過した後に占有するとして、走行予測方程式を算出することができる。
列車制御システムの全体構成図。 ネットワーク連動機による列車制御の概要図。 単線の場合の境界位置の一例。 複線の場合の境界位置の一例。 進路制御の手順の概要図。 予定進路の設定の説明図。 予定進路の設定の引き継ぎの説明図。 転てつ器の占有開始時刻の説明図。 ニ列車間の競合関係が絶対的優先である一例。 ニ列車間の競合関係が絶対的優先である一例。 ニ列車間の競合関係が絶対的優先である一例。 ニ列車間の競合関係が絶対的優先である一例。 ニ列車間の競合関係が相対的優先である一例。 連動機間で列車間競合情報の送信が不要な一例。 連動機間で列車間競合情報の送信が不要な一例。 連動機間で列車間競合情報の送信が必要な一例。 連動機間で列車間競合情報の送信が必要な一例。 走行予測方程式の作成の説明図。 走行予測方程式の作成の引き継ぎの説明図。 連動機の機能構成図。 駅ダイヤ情報のデータ構成例。 線路ノード構成データのデータ構成例。 線路ノード進路状態データのデータ構成例。 境界位置データのデータ構成例。 列車情報のデータ構成例。 予定進路データのデータ構成例。 競合関係データのデータ構成例。 進路制御処理のフローチャート。 予定進路設定処理のフローチャート。 競合関係判定処理のフローチャート。 進路占有・鎖錠処理のフローチャート。 進路占有解除処理のフローチャート。
[システム構成]
図1は、本発明を適用した列車制御システム1の構成例を示す図である。図1に示すように、列車制御システム1は、軌道Rを走行する列車10に搭載される車上装置12と、複数の連動機30を有するネットワーク連動機20とを備えて構成される。車上装置12と連動機30とは、所定の無線通信網を介した無線通信が可能となっている。無線通信網は、軌道R上の各位置が何れかの通信エリア内となるように通信エリアが連続して軌道Rを含むように複数の無線基地局44を設置して構成しても良いし、或いは、軌道Rに沿ってループアンテナやLCX(同軸漏洩ケーブル)を敷設して構成しても良い。
連動機30は、制御対象の現場機器である転てつ器42や運転台に設置した信号機(不図示)とともに連動装置を構成する。連動装置は、無線基地局44を介した無線通信や軌道Rに設置した地点情報などを基準として算出した列車10の在線情報などをもとに、連動機30によって転てつ器42と信号機との間の鎖錠関係を制御する。そのため、本実施形態では、無線基地局44や車上装置12の一部機能も、連動装置を構成するということもできる。
車上装置12は、自列車10の列車IDや走行位置、走行速度を含む車上情報をネットワーク連動機20へ送信する。走行位置及び走行速度は、例えば速度発電機が検出する車軸の回転数の計数値をもとに算出する。位置は、例えばキロ程として算出される。そして、車上装置12は、ネットワーク連動機20から受信した制御情報に従った自列車の速度制御を行う。
(A)ネットワーク連動機
図2は、ネットワーク連動機20による列車制御の概要図である。図2に示すように、ネットワーク連動機20は複数の連動機30を有して構成され、これらの連動機30は、通信回線Nを介して相互通信が可能となっている。制御対象となる線区は、駅間に定められた境界位置46を境界とした複数の区間に区切られており、これらの区間それぞれが、連動機30の制御範囲48として対応付けられている。なお、理解を容易にするために、便宜上、図面では境界位置46を表す四角形を示しているが、これは仮想的に定めるものであり、実際の境界位置46に何らかの装置が配置されるわけではない。連動機30は、自制御範囲48(その連動機30自身が制御対象とする制御範囲48のことを「自制御範囲」という。以下同じ。)の駅構内或いはその近傍に設置され、車上装置12と無線通信を行うことで、自制御範囲48内の各列車10について、走行位置及び走行速度を管理する在線管理や、進路の設定や占有、鎖錠、占有解除を含む進路制御を行う。
(B)境界位置
制御範囲48の境界位置46は、線路毎に定められる。図3は、駅間が単線の場合の境界位置の一例である。図3では、A駅〜B駅間は単線であり、A駅を含む制御範囲48aと、B駅を含む制御範囲48bとが隣接しており、その境界位置46として、1つの境界位置46aが定められている。また、図4は、駅間が複線の場合の境界位置の一例である。図4では、F駅〜G駅間は複線であり、F駅を含む制御範囲48fと、G駅を含む制御範囲48gとが隣接しており、その境界位置46として、上り方向及び下り方向の方向別に2つの境界位置46f,46gが定められている。
(C)進路制御の手順
図5は、本実施形態の進路制御の手順を示す概要図である。列車10に対する進路制御は、(1)進路設定、(2)進路占有、(3)進路鎖錠、の順に行う。
(D)進路設定
進路設定は、列車10の列車位置(詳細には、先頭位置)を発点とし、この発点から、停止目標として指定された着点50までの経路を、予定進路として設定する。本実施形態では、着点50は駅の停止位置とし、停止目標として指定され得る着点50として複数の着点50が存在する。図5においては、列車10の予定進路として、着点50cまでの経路が設定されている。予定進路は、列車10が駅を出発する前に、次の停車駅の停止位置に該当する着点50が停止目標として設定される。つまり、予定進路は、停車駅間を単位として設定される。
図6は、進路設定の具体例を示す図である。図6においては、A駅に在線する列車10aについては、次の停車駅であるB駅に定められた着点50b1までの予定進路が設定される。また、同じくA駅に在線する他の列車10bについては、次駅であるB駅を通過するため、次の停車駅であるC駅に定められた着点50c2までの予定進路が設定される。
連動機30は、進路設定を含む進路制御を、自制御範囲についてのみ行う。つまり、連動機30の制御範囲に、列車10の予定進路の発点となる列車位置と、停止目標となる列車10の次の停止位置に相当する着点50とが存在する場合には、その連動機30が、発点から停止目標までの予定進路全体の設定を行うことができる。しかし、予定進路が複数の連動機30の制御範囲に跨る場合、つまり、列車位置と停止目標となる着点50とが異なる連動機30の制御範囲内に存在する場合には、1つの連動機30では、予定進路全体の設定を行うことができない。このような場合、境界位置46を介して、連動機30間で進路設定を引き継ぐことになる。
図7は、予定進路が複数の連動機30の制御範囲48に跨る場合の進路設定を説明する図である。図7では、A駅を含む制御範囲48aと、その隣駅であるB駅を含む制御範囲48bとが、境界位置46aを介して隣り合っており、制御範囲48a,48bそれぞれに、連動機30a,30bが対応付けられている。A駅に停車中の列車10に係る予定進路は、最終的に、境界位置46aを経由して次の停車駅であるB駅までの予定進路として設定される。予定進路が複数の制御範囲48に跨る場合の停止目標を指定する方法として、直接隣接駅の停止目標着点を指定する方法と、境界位置46まで進路設定し、境界位置46以降については隣接駅において境界位置46を発点として進路設定する方法と、がある。前者は、単純で分かりやすいが自制御範囲外の着点まで管理する必要がある。後者は、自制御範囲内に留めることができるが、着点の指定を連動機毎に行わなければならない。通常は、駅毎にダイヤを作成するので、駅単位で完結する後者のほうが扱い易い。
後者の進路設定を境界位置46で区分する方法を具体的に説明する。この例では、先ず、列車10が在線するA駅を制御範囲48aとする連動機30aが、列車10の列車位置を発点とし、境界位置46aを着点とした予定進路を設定する。但し、予定進路は仮設定として、隣接駅の進路設定の完了を受信した後に本設定となる。次いで、連動機30aは、境界位置46aで隣接する制御範囲48bの連動機30bへ、列車10や境界位置46aの識別情報を含み、進路設定の引き継ぎを要求する進路設定引継情報を送信する。この進路設定引継情報を受信した連動機30bは、当該情報で指定された列車10について、指定された境界位置46aを発点とした停止目標着点までの予定進路を設定する。停止目標着点までの進路設定完了情報を進路設定の引き継ぎ元の連動機30aに返信することにより、連動機30aにおける仮設定状態の進路設定が本設定となる。進路設定が失敗したならば、進路設定取消情報を返信することにより連動機30aにおける仮進路設定を取り消す。連動機30bの予定進路の停止目標は、B駅の駅ダイヤを参照することで、その列車10の停止位置に相当する着点として判断することができる。なお、前者の直接隣接駅の停止目標着点を指定する方法では、進路設定引継情報に停止目標着点を含めることにより、隣接駅の連動機30は駅ダイヤを参照して取得する必要はない。
(E)進路占有
進路設定を行うと、続いて、進路占有を行う。線路占有とは、各線路ノードに対して1つの列車のみに制御権を与えることである。制御権とは、転てつ器であれば転換許可のことである。具体的には、予定進路上の線路ノードについて、発点から近い順に、占有可能か否かを判断し、占有可能な線路ノードまでを、当該列車10で占有する。本実施形態において、線路ノードとは、転てつ器42、及び、着点50のことである。
(F)進路鎖錠
続いて、占有した線路ノードを鎖錠する。すなわち、転てつ器42については、予定進路に沿った所定方向(開通方向)に転換させ、転換が完了すると鎖錠として扱う。着点50については、直ちに鎖錠とすることができる。そして、予定進路のうち、鎖錠した線路ノードまでを、列車10が進行可能な進行許可区間として設定する(図5参照)。詳細には、鎖錠した線路ノードと、その次の未鎖錠の線路ノードとの間に先行列車が存在しなければ、その未鎖錠の線路ノードの外方に定められた停止位置までが進行許可区間となり、先行列車が存在するならば、その先行列車から所定距離だけ外方の位置までが進行許可区間となる。図5では、転てつ器42aは鎖錠されているが、転てつ器42bは鎖錠されておらず、従って、転てつ器42bの外方(手前)所定距離までの区間が、列車10の進行許可区間となっている。
(G)占有及び鎖錠のタイミング
予定進路の占有及び鎖錠は、予定進路上に存在する線路ノード1つ1つに対して行う。線路ノードの占有は、列車10が線路ノードに接近したことを示す所定の接近条件を満たすことでなされる。本実施形態においては、列車10の線路ノードへの接近条件は、当該列車10が当該線路ノードを占有開始する占有開始時刻に達したこと、である。線路ノードの占有開始時刻は、列車10が走行予測曲線に沿って走行してきた場合に減速することなく当該線路ノードを通過して良いとの判断を下せる限界の時刻として定められる。
図8は、転てつ器42の占有開始時刻を説明する図であり、列車10の走行予測曲線と、時間軸とを、進路上の位置と対応付けて併せて示している。図8に示すように、転てつ器42については、列車10の走行予測曲線が、転てつ器42の外方に定められる停止位置に停止するための減速パターンに当たって減速を開始する減速開始位置の到達時刻(減速開始時刻ta)より、更に、転てつ器42の転換及び鎖錠に要する転換余裕時間MTだけ以前の時刻が、占有開始時刻toとなる。占有開始時刻toの時点で列車10が転てつ器42を通過して良いとの判断を下すことができれば、転てつ器42の手前で停止する必要がなくなり(この時点で走行予測曲線が書き換えられて減速パターンの曲線部分が無くなる)、減速せずに転てつ器42を通過することができる。
線路ノードが転てつ器42ではなく停止目標着点50であった場合には、列車10の走行予測曲線が、着点50の外方に定められる停止位置に停止するための減速パターンに当たって減速を開始する減速開始時刻が、占有開始時刻となる。
そして、占有開始時刻に達したと判断した線路ノードは、占有開始時刻に達したと判断した列車10によって占有したとして設定する。
占有した後は、続いて鎖錠を行う。つまり、転てつ器42については、開通方向への転換を行って転換が完了すると、鎖錠したことになる。また、着点50については、直ちに鎖錠することができる。そして、列車10が線路ノードを通過すると、当該列車10による当該線路ノードの鎖錠が解除され、続いて占有が解除される。つまり、予定進路上の線路ノードを一度に占有・鎖錠するのではなく、列車10の走行に応じて、順次、線路ノードを占有・鎖錠してゆき、順次、占有・鎖錠を解除してゆく。
(H)走行予測曲線
列車10の走行予測曲線は、予定進路上の走行位置に対する走行速度を表した曲線であり、列車10が予定進路を最短で走行したとする列車走行予測を行うことで得られる。以下、この走行予測曲線のことを走行予測方程式という。線路ノードに対する減速開始時刻や予測到達時刻は、この走行予測方程式から求めることができる。列車走行予測については後述する。
(I)予定進路の競合
線路ノードを占有可能か否かの判断は、当該線路ノードの占有状態が未占有であるか否かだけではなく、他の列車10の予定進路との競合関係を判断して行う。ある1つの線路ノードの占有は、ある一列車のみに与えられるからである。ある二列車の競合関係の有無は、二列車それぞれの予定進路上の線路ノードのうち、共通の線路ノードの有無によって判断する。つまり、共通する線路ノードが無い場合には、二列車に「競合関係が無い」と判断し、共通する線路ノードが有る場合には、二列車に「競合関係が有る」と判断する。そして、競合関係が有る場合には、競合する線路ノードに対する優先関係を判断する。優先関係を判断するに当たって、競合する線路ノードを含む区間を二列車の競合区間とし、この競合区間における全ての線路ノードに対する優先関係を判断する。優先関係には、絶対的優先、及び、相対的優先、の二種類がある。絶対的優先は、二列車の位置関係などによって絶対的に決まる優先関係である、
図9〜図12は、絶対的優先の一例である。図9は、二列車が対向する場合であって、一方の列車10の予定進路上に他方の列車10が存在する場合の一例である。図9では、列車10c,10cが対向しており、一方の列車10cの予定進路上に他方の列車10dが存在している。また、競合する線路ノードは、転てつ器42fである。この場合、例えば、競合する転てつ器42fについて一方の列車10ac優先とすると、この一方の列車10cが転てつ器42fを通過した後は、他方の列車10dの存在によってそれ以上進行することができず、いわゆるデッドロックの状態となる。このため、競合する転てつ器42fについては、他方の列車10dを優先とする。つまり、対向する二列車のうち、一方の列車10の予定進路上に他方の列車10が存在する場合には、当該二列車で競合する線路ノードについては、他方の列車10を優先とする。
図10は、二列車が対向する場合であって、2つ以上の競合する線路ノードのうち、1つの線路ノードを一方の列車が占有している場合の一例である。図10では、列車10e,10fが対向しており、競合する線路ノードである2つの転てつ器42f,42gのうち、一方の転てつ器42gが一方の列車10fによって占有されている。この場合、例えば、占有されていない他方の転てつ器42fについて他方の列車10eを優先とすると、この他方の列車10eは、一方の転てつ器42gを占有できないためにそれ以上進行することができず、いわゆるデッドロックの状態となる。このため、転てつ器42f,42gについては、一方の列車10fを優先とする。つまり、対向する二列車が競合する線路ノードのうち、一部の線路ノードを一方の列車10が占有している場合には、それ以外の競合する全ての線路ノードについても、一方の列車10を優先とする。
図11は、二列車が同一駅の同一番線に到着する場合の一例であり、二列車の競合する線路ノードに、同一駅の同一番線に係る着点が含まれている場合の一例である。図11では、列車10g,10hの競合する線路ノードに、F駅の同一番線に定められた着点50fa1,50f2が含まれている。この場合、列車10g,10hのF駅での着発時刻を定めた駅ダイヤを参照し、F駅への着時刻が早いほうの列車10を優先とする。つまり、図11の例では、列車が競合する線路ノードである転てつ器42j,42k、及び、着点50f1,50f2の全てについて、F駅の着時刻が早い列車10を優先とする。
図12は、同一駅を出発する順向する二列車が同一進路を進行する場合の一例である。図12では、順向する列車10i,10jの予定進路は、同一駅の異なる番線を発車後、転てつ器42hによって同一の線路に合流するように定められている。この場合、当該駅の駅ダイヤを参照し、発時刻が早いほうの列車10を優先とする。つまり、図12の例では、列車10i,10jが競合する線路ノードである転てつ器42h,42iの全てについて、当該駅の発時刻が早い列車を優先とする。
相対的優先は、二列車の走行状態に応じて決まる優先関係であり、上述の絶対的優先が当てはまらない場合である。図13は、相対的優先の一例である。相対的優先では、競合区間の進出時刻が早いほうの列車が優先となる。図13の例では、列車10k,10lが対向しており、競合する線路ノードは転てつ器42f,42gである。この場合、一方の列車10kが転てつ器42gを進出する時刻と、他方の列車10lが転てつ器42fを進出する時刻とを比較する。線路ノードの進出時刻は、列車走行予測によって得られる走行予測方程式に基づいて算出され、この走行予測方程式から得られる当該線路ノードの占有終止時刻とする。
二列車の競合区間が1つの連動機30の制御範囲に含まれる場合には、その連動機30において優先関係を判断することができる。しかし、二列車の競合区間が複数の連動機30の制御範囲に跨る場合、それぞれの連動機30のみでは優先関係を判断することができないことがある。このような場合、境界位置46を介して、連動機30間で列車間競合情報の送受信を行うことで、優先関係を判断することになる。すなわち、連動機30は、自制御範囲に設定した各列車10の予定進路から列車10間の競合関係を判断し、その判断結果を列車間競合情報として他の連動機30へ送信するととともに、自装置での競合関係の判断結果と、他の連動機30から受信した当該他の連動機による当該列車10間の競合関係の判断結果である列車間競合情報とに基づいて、列車間の競合関係を判断する。
図14,図15は、二列車の競合区間が複数の連動機30の制御範囲に跨るが、連動機30間の列車間競合情報の送受信が不要な場合の例である。図14は、二列車の予定進路が異なる境界位置46を経由する例である。図14では、H駅を含む制御範囲48hと、その隣駅であるI駅を含む制御範囲48iとが、境界位置46h,46iを介して隣り合っており、制御範囲48h,48iそれぞれに、連動機30h,30iが対応付けられている。そして、H駅に停車中の列車10mについては、境界位置46hを経由してI駅に至る予定進路が設定され、I駅に停車中の列車10nについては、境界位置46iを経由してH駅に至る予定進路が設定されている。つまり、列車10m,10nの競合区間は、境界位置46h,46iを含む区間であり、制御範囲48h,48iに跨っている。しかしこの場合、連動機30h,30iそれぞれが単独で列車10m,10n間の競合関係を判断することができるとともに、境界位置46h,46iで列車がすれ違うことができるため、連動機30hと連動機30iとで競合関係の判断結果が異なっても問題がない。
図15は、二列車の予定進路が同一の境界位置を経由するとともに順向である例である。図15では、A駅を含む制御範囲48aと、その隣駅であるB駅を含む制御範囲48bとが、境界位置46aを介して隣り合っており、制御範囲48a,48bそれぞれに、連動機30a,30bが対応付けられている。そして、A駅に停車中の列車10oについては、境界位置46aを経由してB駅までの予定進路が設定されており、A駅の異なる番線に停車中の列車10pについては、境界位置46aを経由してB駅までの予定進路が設定されている。つまり、列車10o,10pの競合区間は、転てつ器42h,42i、及び、境界位置46aを含む範囲であり、制御範囲48a,48bに跨っている。しかしこの場合、列車10o,10pが存在する制御範囲48aの連動機30aは、駅ダイヤを参照し、A駅の発時刻によって列車10o,10p間の優先関係を判断することができる。そして、この優先関係に従った順序で列車10o,10pが境界位置46aを経由して制御範囲48bに進入するため、連動機30bは、列車10o,10pについての列車走行予測によって競合区間の進出時刻(つまり、転てつ器42iの占有終止時刻)を算出することで、列車10o,10pの優先関係を判断することができる。
図16,図17は、二列車の競合区間が複数の連動機30の制御範囲に跨るため、連動機30間の列車間競合情報の送受信が必要な場合の例である。図16は、二列車の競合関係が絶対的優先である例である。図16では、A駅を含む制御範囲48aと、その隣駅であるB駅を含む制御範囲48bとが、境界位置46aを介して隣り合っており、制御範囲48a,48bそれぞれに、連動機30a,30bが対応付けられている。そして、A駅に停車中の列車10qについては、境界位置46aを経由してB駅に至る予定進路が設定され、B駅に停車中の列車10rについては、境界位置46aを経由してA駅に至る予定進路が設定されている。つまり、列車10q,10r間の競合区間は、転てつ器42h,42i、及び、境界位置46aを含む区間であり、制御範囲48a,48bに跨っている。この場合、一方の列車10rの予定進路上に他方の列車10qが存在しているため、列車10q,10r間の競合関係は絶対的優先であり、列車10qが優先である(図9参照)。
連動機30aは、制御範囲48aの列車10q,10rそれぞれの予定進路から、転てつ器42h、及び、境界位置46aを含む区間を競合区間とみなし、列車10rの予定進路上に列車10qが存在することから、競合関係は絶対的優先であり、列車10qが優先と判断する。そして、この判断結果を、列車間競合情報として、連動機30bへ送信する。一方、連動機30bは、制御範囲48bの列車10q,10rそれぞれの予定進路から、境界位置46a、及び、転てつ器42iを含む区間を競合区間とみなし、競合関係は相対的優先と判断する。しかし、連動機30aから、列車10qを絶対的優先とする列車間競合情報を受信することで、最終的に、列車10q,10r間の競合関係は絶対的優先であり、列車10aが優先と判断する。
図17は、二列車の競合関係が相対的優先である例である。図17では、A駅を含む制御範囲48aと、その隣駅であるB駅を含む制御範囲48bとが、境界位置46aを介して隣り合っており、制御範囲48a,48bそれぞれに、連動機30a,30bが対応付けられている。そして、A駅に停車中の列車10sについては、境界位置46aを経由してB駅に至る予定進路が設定され、B駅に停車中の列車10tについては、境界位置46aを経由してA駅に至る予定進路が設定されている。つまり、列車10s,10tの競合区間は、転てつ器42h,42i、及び、境界位置46aを含む区間であり、制御範囲48a,48bに跨っている。この場合、列車10s,10tの競合関係は相対的優先であり、競合区間の進出時刻によって優先列車が決まる(図13参照)。
連動機30aは、制御範囲48a内の列車10s,10tそれぞれの予定進路から、転てつ器42h、及び、境界位置46aを含む区間を競合区間とみなして、競合関係は相対的優先であると判断する。そして、列車走行予測によって算出した列車10tの競合区間の進出時刻(つまり、転てつ器42hの占有終止時刻)を、列車間競合情報として、連動機30bへ送信する。このとき、列車10s,10tの予定進路が同一の境界位置46aを通ることから、この境界位置46aを越えた隣接の制御範囲48bまで列車10s,10tの競合区間が続いていると判断することができる。このため、列車10tの競合区間の進出時刻である転てつ器42hの占有終止時刻を算出することはできるが、列車10sの競合区間の進出時刻は算出することができない。
連動機30bについても同様に、制御範囲48b内の列車10s,10tそれぞれの予定進路から、境界位置46a、及び、転てつ器42iを含む区間を競合区間とみなして、競合関係は相対的優先であると判断する。そして、列車走行予測によって算出した列車10sの競合区間の進出時刻(つまり、転てつ器42iの占有終止時刻)を、列車間競合情報として連動機30aへ送信する。このとき、列車10s,10tの予定進路が同一の境界位置46aを通ることから、この境界位置46aを越えた隣接の制御範囲48aまで列車10s,10tの競合区間が続いていると判断することができる。このため、列車10sの競合区間の進出時刻である転てつ器42iの占有終止時刻を算出することはできるが、列車10tの競合区間の進出時刻は算出することができない。
この結果、連動機30aは、算出した列車10tの競合区間の進出時刻(つまり、転てつ器42hの占有終止時刻)と、連動機30bから受信した列車間競合情報に含まれる列車10sの競合区間の進出時刻とを比較して、列車10s,10tの何れが優先であるかを判断する。連動機30bについても同様に、算出した列車10aの競合区間の進出時刻(つまり、転てつ器42iの占有終止時刻)と、連動機30aから受信した列車間競合情報に含まれる列車10tの競合区間の進出時刻とを比較して、列車10s,10tの何れが優先であるかを判断する。
(J)列車走行予測
列車走行予測では、列車10の予定進路上の最短時分での走行を表す走行予測方程式を作成する。この走行予測方程式から、線路ノードの占有開始時刻や、占有終止時刻を求めることができる。
図18は、列車10の走行予測方程式の作成を説明する図である。図18では、列車10uの現在の列車位置から着点50gに至る予定進路上に、転てつ器42j,42kが存在する例を示している。転てつ器42jは、何れの列車10とも競合しておらず、転てつ器42kは、対向する列車10vと競合している。転てつ器42kについての競合関係は絶対的優先であり、対向列車10vが優先である。
走行予測方程式の作成では、先ず、予定進路上の線路ノードのうち、他列車10に占有されている線路ノード、他列車10の絶対的優先である線路ノード、停止目標である着点50のそれぞれに、防護方程式60を設定する。防護方程式60は、線路ノードに係る停止位置に停止させるため(停止制御のため)の減速方程式であり、停止位置で走行速度をゼロとする終了点を定め、この終点から進行方向の逆方向に延長した、減速度βで減速する減速方程式として設定する。減速度βは、列車10の性能として定められる減速度を、当該線路ノードの外方(進行方向の逆方向であり手前方)に定められた勾配に応じて補正して決定される。図18では、転てつ器42k、及び、停止目標着点50gそれぞれに、防護方程式60a,60bが設定されている。転てつ器42jについては、他列車10と競合していないため、防護方程式60は設定されない。
停止目標着点を除く線路ノードに設定した防護方程式60については、減速解除点を設定する。減速解除点は、線路ノードについての停止制御が解除される時点の走行位置であり、競合列車による占有が解除される占有終止時刻に相当する位置に設定する。図18では、転てつ器42kが列車10vと競合しており、この競合列車10vが絶対的優先となっているため、競合列車10vによる転てつ器42kの占有終止時刻に相当する防護方程式60a上の位置に、減速解除点62aが設定される。
そして、列車10uの現在の列車位置、及び、走行速度を開始点64として、防護方程式60を加速方程式66で繋ぐようにして、停止目標着点50に速度ゼロで到達するような走行予測方程式を作成する。すなわち、開始点64から加速度αで加速する加速方程式66aを作成し、この加速方程式66aのうち、最初の防護方程式60aとの交点68aまでの方程式部分を、走行予測方程式として採用する。加速度αは、列車10uの性能として定められる加速度である。
次いで、加速方程式66aと防護方程式60aとの交点68aから減速解除点62aまでの方程式部分を走行予測方程式として採用し、その減速解除点62aから、再度、加速度αで加速する加速方程式66bを作成する。このように、加速方程式66と防護方程式60とが交差した順に、走行予測方程式として採用してゆく。このとき、加速方程式66が線区に定められた制限速度に達した場合には、以降はその制限速度での走行を表す定速方程式を採用する。そして、停止目標着点50に定められた防護方程式60bと交差し、この交点以降の減速方程式を採用することで、列車走行予測方程式の作成が完了する。
列車走行予測を行う列車10の予定進路が1つの連動機30の制御範囲48内に存在する場合には、その連動機30がその予定進路全体に対する列車走行予測を行うことができる。しかし、予定進路が複数の連動機30の制御範囲48に跨る場合には、1つの連動機30では予定進路全体についての列車走行予測を行うことができない。このような場合、境界位置46を介して、連動機30間で列車走行予測を引き継ぐことになる。
図19は、予定進路が複数の連動機30の制御範囲に跨る場合の列車走行予測を説明する図である。図19では、A駅を含む制御範囲48aと、その隣駅であるB駅を含む制御範囲48bとが、境界位置46を介して隣り合っており、制御範囲48a,48bそれぞれに、連動機30a,30bが対応付けられている。そして、A駅に停車中の列車10について、境界位置46aを経由してB駅に至る予定進路が設定されている。
この列車10についての列車走行予測を行う場合、先ず、列車10が在線する制御範囲48aの連動機30aが、制御範囲48a内の予定進路、つまり、列車10の列車位置から境界位置46aに至る予定進路についての列車走行予測を行って走行予測方程式を作成する。このとき、列車10の予定進路の着点である境界位置46aには防護方程式を設定せず、列車10が通過するように走行予測方程式を作成する。
そして、作成した走行予測方程式から、列車10の境界位置46aへの到達時刻、及び、到達時の走行速度を算出し、列車10や境界位置46aの識別情報、算出した境界位置46aの到達時刻、及び、走行速度を含む走行予測引継情報を、境界位置46aで隣接する連動機30bへ送信する。すると、走行予測引継情報を受信した連動機30bは、列車10が、境界位置46aに到達時刻に走行速度で進入するとして、制御範囲48b内の予定進路、つまり、境界位置46aからB駅に至る予定進路についての列車走行予測を行って走行予測方程式を算出する。
[機能構成]
図20は、連動機30の機能構成図である。図20によれば、連動機30は、入力部102と、表示部104と、時計部106と、通信部108と、処理部200と、記憶部300とを備えて構成される一種のコンピュータである。
入力部102は、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、各種スイッチ等の入力装置で実現され、操作入力に応じた操作信号を処理部200に出力する。表示部104は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の表示装置で実現され、処理部200からの表示信号に基づく各種表示を行う。時計部106は、水晶発振器等を有する発振回路によって構成され、現在時刻や、指定タイミングからの経過時間を計時する。通信部108は、例えば通信モジュールやルータ、モデム等で実現される通信装置であり、無線基地局44を介した車上装置12との間のデータ通信や、転てつ器42、他の連動機30との間の制御信号の通信を実現する。
処理部200は、CPU(Central Processing Unit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の演算装置・演算回路を有して構成され、処理部200に記憶されたプログラムやデータ、通信部108を介した車上装置12や他の連動機30等の外部装置からの受信データ等に基づいて、連動機30の全体制御を行う。また、処理部200は、在線管理部202と、進路設定部204と、競合関係判定部206と、列車走行予測部208と、占有開始・終止時刻算出部210と、優先順位設定部212と、占有・鎖錠部214と、進行許可区間設定部216と、占有解除部218と、転てつ器制御部220と、を有する。処理部200が有する各機能部は、それぞれの機能を実現するための演算回路で実現されるものとしてもよいし、1つの演算装置・演算回路によるプログラムの実行によりソフトウェア的に実現されるものとしてもよい。
在線管理部202は、車上装置12から受信した車上情報をもとに、自制御範囲48の各列車10の列車位置及び走行速度を管理する。列車位置及び走行速度は、該当する列車情報330の位置速度データ336(図25参照)として記憶される。
進路設定部204は、自制御範囲内の列車について、当該列車の列車位置を発点とする予定進路を設定する。また、予定進路が境界位置に達する列車(境界通行列車)の識別情報を含む進路設定引継情報を、当該境界位置に隣接する制御装置に係る連動機に送信する。また、進路設定情報を受信した場合に、境界通行列車について、当該境界位置を発点とする自制御範囲内の予定進路を設定する。
具体的には、駅ダイヤ情報308を参照し、自制御範囲48の駅での列車10の発時刻の所定時間前となると、当該列車10の予定進路として、列車位置から指定された着点までの進路を設定する。そして、設定した予定進路の着点が境界位置46の場合、すなわち、当該列車10が境界通行列車である場合には、当該列車10や当該境界位置46の識別情報を含む進路設定引継情報を、その境界位置46での隣接連動機30へ送信する。また、他の連動機30から進路設定引継情報を受信すると、当該情報に含まれる列車10を自制御範囲に進入予定の列車として、境界位置46からの予定進路を設定する。
予定進路の設定は、線路ノード構成データ310を参照して行うことができる。また、進路設定部204は、設定する予定進路上に存在する転てつ器42の開通方向についても判断する。設定した予定進路は、該当する列車情報330の予定進路データ338(図25参照)として記憶される。
図21は、駅ダイヤ情報308のデータ構成の一例を示す図である。図21によれば、駅ダイヤ情報308は、自制御範囲の駅308a毎に、当該駅308aを着発する全ての列車10について、列車ID308bと、着発番線308cと、到着時刻308dと、出発時刻308eと、走行条件308fと、着点308gと、を対応付けて格納している。走行条件308fは、例えば始発や停車、通過、終点といった、列車10の駅に対する走行形態である着点308gは、対応する列車に設定する予定進路の着点であり、次の停車駅が自制御範囲内ならば、その停車駅の停車番線に対応する着点50であり、自制御範囲外ならば、次の停車駅まで走行する際に経由する境界位置46である。
図22は、線路ノード構成データ310のデータ構成の一例である。図22によれば、線路ノード構成データ310は、線路ノードである転てつ器42に関する転てつ器構成データ312と、着点50に関する着点構成データ316と、を含む。
転てつ器構成データ312は、転てつ器42それぞれについて、識別情報である転てつ器ID312aと、設置位置312bと、転換余裕時間312cと、共通側車両接触限界312dと、定位側車両接触限界312eと、反位側車両接触限界312fと、隣接ノードデータ314とを格納している。設置位置312bは、例えばキロ程で表現された絶対位置が格納される。車両接触限界312d〜312fは、設置位置312bからの軌道Rに沿った距離が格納される。この車両接触限界312d〜312fで定められる設置位置312bからの位置が、当該転てつ器42の停止位置となる。隣接ノードデータ314は、当該転てつ器42にとって軌道Rに沿って隣接する線路ノードに関するデータであり、方向別に、隣接する線路ノード314aと、隣接する線路ノード314aまでの距離314bと、隣接する線路ノード314aとの間の勾配314cとを対応付けて格納している。方向は、列車の進行方向を示す起点側及び終点側に区別される。勾配314cは、隣接線路ノードまでが下り勾配である場合に、その勾配の大きさを示す値である。
着点構成データ316は、着点50それぞれについて、識別情報である着点ID316aと、設置位置316bと、隣接ノードデータ318とを格納している。隣接ノードデータ318は、当該着点50にとって軌道Rに沿って隣接する線路ノードに関するデータであり、起点側及び終点側の方向別に、隣接する線路ノード318aと、隣接する線路ノード318aまでの距離318bと、隣接する線路ノード318aとの間の勾配318cとを対応付けて格納している。
競合関係判定部206は、自制御範囲に予定進路を設定した二列車間の競合関係を判定する。具体的には、対象の二列車それぞれに設定された予定進路上の線路ノードのうち、共通の線路ノードの有無を判断し、共通する線路ノードが無い場合には、当該二列車間に競合関係が無いと判断し、共通する線路ノードが有る場合には、当該二列車に競合関係が有ると判断する。そして、競合関係がある場合には、競合する線路ノードを全て含めた1つの区間を当該二列車の競合区間とし、この競合区間内に存在する線路ノード全体に対する優先関係を判断する。
優先関係の判断としては、まず、二列車の競合区間の競合形態が絶対的優先関係であるかを判断する。絶対的優先関係は次の(ア)〜(エ)の四種類であり、優先となる列車は一意に決まる。
(ア)一方の列車10の予定進路上に他方の列車10が存在する場合。この場合、予定進路上に存在する他方の列車10を優先とする(図9参照)。
(イ)競合区間の線路ノードの何れかを一方の列車10が占有している場合。この場合、競合区間の線路ノードを占有している一方の列車10を優先とする(図10参照)。
(ウ)競合区間上に停止目標着点50が存在する場合。この場合、駅ダイヤ情報308を参照し、停止目標着点50の到着時刻が早いほうの列車を優先とする(図11参照)。
(エ)同一駅を出発する二列車が順向であり、同一線路を進行する場合(図12参照)。この場合、駅ダイヤ情報308を参照し、出発時刻が早いほうの列車を優先とする。
競合区間の競合形態が絶対的優先関係でない場合には、相対的優先関係であると判断する。
そして、当該二列車が対向し、且つ、当該二列車それぞれの予定進路が同一の境界位置46を通る場合には、当該二列車についての競合関係の判断結果を、当該二列車や境界位置46の識別情報ととともに、列車間競合情報として、当該境界位置で制御範囲が隣接する他の連動機30へ送信する。すなわち、判断した競合関係が絶対的優先ならば、優先列車を列車間競合情報として送信し(図16参照)、相対的優先ならば、競合区間の進出時刻を列車間競合情報として送信する(図17参照)。この競合区間の進出時刻となる線路ノードの占有終止時刻は、列車走行予測部208によって作成された走行予測方程式から算出することができる。
また、他の連動機30から列車間競合情報を受信した場合には、当該情報に含まれる二列車の競合関係に基づいて、当該二列車の競合関係の判断結果を更新する。すなわち、自制御範囲の予定進路に基づいて判断した二列車の競合関係と、当該情報に含まれる競合関係と、の少なくとも一方が絶対的優先ならば、当該二列車の競合関係を絶対的優先として判断を更新し、両方が相対的優先ならば、相対的優先として判断を更新して、二列車それぞれの競合区間の進出時刻から優先列車を判断する。判断した二列車間の競合関係は、該当する列車情報330の競合関係データ340(図25参照)として記憶される。
列車走行予測部208は、自制御範囲内の列車について、当該列車の予定進路上の走行位置に対する走行速度を予測した速度曲線である走行予測方程式を算出する。また、境界位置46を通行する列車(境界通行列車)10に関して、当該境界位置46で制御範囲48が隣接する隣接連動機へ、境界通行列車10の識別情報と、走行予測方程式に基づく当該境界位置における到達時刻及び走行速度と、を含む走行予測引継情報を送信する。また、走行予測引継情報を受信した場合に、境界通行列車10の予定進路に、走行予測引継情報に含まれる到達時刻及び走行速度で進入するとして、境界通行列車10の走行予測方程式を算出する。
具体的には、列車10の予定進路上の線路ノードのうち、他列車10の占有或いは絶対的優先である線路ノード、停止目標となる着点50のそれぞれに防護方程式60を設定し、列車10の現在の列車位置を現在の走行速度で通過するとし、防護方程式60を加速方程式66で繋ぐようにして、当該列車10が予定進路を最短時間で走行して停止目標に到着するような走行予測方程式を作成する(図18参照)。
そして、列車10の予定進路が境界位置46を通る場合、すなわち、当該列車10が境界通行列車である場合には、作成した走行予測方程式に基づいて、その境界位置46への到達時刻、及び、到達時の走行速度を算出し、列車10や境界位置46の識別情報や、算出した境界位置46の到達時刻及び走行速度を含む走行予測引継情報を、当該境界位置46での隣接連動機30へ送信する。また、他の連動機30から走行予測引継情報を受信した場合には、当該情報に含まれる列車10について、境界位置46を到達時刻に走行速度で進入するとして、走行予測方程式を作成する(図19参照)。
占有開始・終止時刻算出部210は、自制御範囲内の各列車10について、列車走行予測部208によって作成された当該列車10の走行予測方程式に基づいて、予定進路上の線路ノードのうち、未鎖錠の線路ノードについての占有開始時刻、及び、占有終止時刻を算出する。すなわち、転てつ器42については、走行方程式から求められる、当該転てつ器42についての減速パターンの減速開始点の位置を列車10(詳細には、列車10の先頭位置)が通過する時刻から、転てつ器42の転換余裕時間だけ以前の時刻を、占有開始時刻とする。また、走行方程式から求められる、転てつ器42の設置位置を列車10(詳細には、列車10の最後尾位置)が通過する時刻を、占有終止時刻とする。
着点50については、走行方程式から求められる、当該着点50についての減速パターンの減速開始点の位置を列車10(詳細には、列車10の先頭位置)が通過する時刻を、占有開始時刻とする。また、走行方程式から求められる、当該着点50の設置位置を列車10(詳細には、列車10の最後尾位置)が通過する時刻を、占有終止時刻とする。
優先順位設定部212は、自制御範囲内において少なくとも転てつ器42を含む線路ノードそれぞれに対する進入列車10の優先順位を、各列車10の走行予測方程式を用いて設定する。具体的には、自制御範囲48内に設定した各列車10の予定進路に基づいて、自制御範囲48内の競合区間を判断し、競合区間毎に、列車10間の競合関係から優先順位が最優先の列車(優先列車)を判断し、判断した優先列車による占有開始時刻を、当該競合区間内の各線路ノードの占有開始時刻として設定する。
占有・鎖錠部214は、自制御範囲内の線路ノードそれぞれについて、優先順位が最優先に設定された列車10の走行予測方程式に基づき、当該列車10が当該線路ノードに接近したことを示す所定の接近所条件を満たし、且つ、当該線路ノードの占有列車設定が占有列車無しの場合に、当該列車10を占有列車として当該線路ノードを占有させる占有設定を行う。具体的には、線路ノード進路状態データ320を参照し、線路ノードそれぞれについて、何れかの列車10の占有開始時刻となると、当該線路ノードをその列車10で占有する。次いで、線路ノードが転てつ器42ならば、転てつ器制御部220を介して、当該転てつ器42を占有した列車10の開通方向へ転換させ、転換が完了すると鎖錠とする。また、着点50ならば、占有すると直ちに鎖錠とする。
図23は、線路ノード進路状態データ320のデータ構成の一例である、図23によれば、線路ノード進路状態データ320は、転てつ器42に関する転てつ器進路状態データ322と、着点50に関する着点進路状態データ324と、を含む。
転てつ器進路状態データ322は、自制御範囲内の転てつ器42それぞれについて、転てつ器ID322aと、現在の転換方向322bとともに、当該転てつ器42を予定進路に含む列車10それぞれについて、列車ID322cと、進入側停止目標322dと、開通方向322eと、占有状態322fと、鎖錠状態322gと、占有開始時刻322hと、占有終止時刻322iと、停止減速度322jと、を対応付けて格納している。進入側停止目標322dは、対応する列車10に設定された予定進路の停止目標である。占有開始時刻322h、及び、占有終止時刻322iは、絶対時刻を格納しているが、それぞれ、現在時刻から占有開始時刻までの時間間隔すなわち占有開始時分、及び、現在時刻から占有終止時刻までの時間間隔すなわち占有終止時分を格納することとしても良い。停止減速度322jは、当該転てつ器42についての停止制御を行う場合の減速度であり、対応する列車10の性能である減速度を、当該転てつ器42の外方の勾配によって補正した値となる。
着点進路状態データ324は、自制御範囲内の着点50それぞれについて、着点ID324aとともに、当該着点50を予定進路に含む列車10それぞれについて、列車ID324bと、進入側停止目標324cと、進出側停止目標324dと、占有状態324eと、鎖錠状態324fと、占有開始時刻324gと、占有終止時刻324hと、停止減速度324iと、を対応付けて格納している。進入側停止目標324cは、対応する列車10が当該着点50に進入する際の予定進路の停止目標であり、進出側停止目標324dは、対応する列車10が当該着点50から進出する際の予定進路の停止目標である。占有開始時刻324g、及び、占有終止時刻324hは、絶対時刻ではなく、それぞれ、占有開始時分、及び、占有終止時分を格納することとしても良い。
進行許可区間設定部216は、自制御範囲内の列車及び自制御範囲内に進入予定の境界通行列車それぞれについて、発点から順に当該列車が占有列車として設定された線路ノードに対する進入を許可することで当該列車の進行許可区間を設定する。具体的には、自制御範囲48内に予定進路を設定した各列車10について、当該列車10の予定進路のうち、発点から順に鎖錠した線路ノードまでを、当該列車10が進行可能な進行許可区間として設定し、この進行許可区間を含む制御情報を、当該列車10の車上装置12へ送信する。
占有解除部218は、自制御範囲において線路ノードを列車が通過した場合に、当該通過した列車を占有列車とする当該線路ノードの占有列車設定を占有列車無しとする占有解除を行う。すなわち、自制御範囲48内の線路ノードそれぞれについて、当該線路ノードの設置位置を、当該線路ノードが占有している列車10(詳細には、当該列車10の最後尾位置)が通過すると、鎖錠及び占有を解除する。
転てつ器制御部220は、自制御範囲内の転てつ器42の動作制御を行う。すなわち、進路占有・鎖錠部214の転換指示に従って、転てつ器42に指示された転換方向への転換動作を行わせる。また、随時、各転てつ器42の現在の転換状態(定位/反位/転換中)を取得・管理する。
記憶部300は、ROMやROM等のICメモリや、ハードディスク等の記憶装置で実現され、処理部200が連動機30を統合的に制御するためのプログラムやデータ等を記憶しているとともに、処理部200の作業領域として用いられ、処理部200が実行した演算結果や、通信部108を介して送受するデータ等が一時的に格納される。また、記憶部300には、進路制御プログラム302と、制御範囲データ304と、境界位置データ306と、駅ダイヤ情報308と、線路ノード構成データ310と、線路ノード進路状態データ320と、列車情報330と、が記憶される。
制御範囲データ304は、自制御範囲48に関するデータであり、自制御範囲48の端部となる境界位置46の識別情報やその設置位置、自制御範囲48内の駅名などを含んでいる。
境界位置データ306は、自制御範囲の端部となる境界位置46に関するデータである。図24は、境界位置データ306のデータ構成の一例を示す図である。図24によれば、境界位置データ306は、自制御範囲48の端部となる境界位置46それぞれについて、識別情報である境界位置ID306aと、当該境界位置46で隣接する他の連動機30の連動機ID306bと、設定位置306cと、隣接ノードデータ306dとを格納している。隣接ノードデータ306dは、当該境界位置46にとって軌道Rに沿って隣接する線路ノードに関するデータであり、起点側及び終点側のうち、自制御範囲48となる方向について、隣接する線路ノード306eと、隣接する線路ノード306eまでの距離306fと、隣接する線路ノード306eとの間の勾配306gとを対応付けて格納している。
列車情報330は、自制御範囲48に進入した列車10や、進入予定の列車10に関する情報である。図25は、列車情報330のデータ構成の一例を示す図である。図25によれば、列車情報330は、列車10それぞれについて、識別情報である列車ID332に対応付けて、性能データ334と、位置速度データ336と、予定進路データ338と、競合関係データ340と、走行予測データ342とを記憶している。性能データ334は、走行性能に関するデータであり、列車長334aと、加速度334bと、減速度334cと、最高速度334dとを格納している。位置速度データ336は、現在の列車位置及び走行速度に関するデータであり、先頭列車の先端部の位置336aと、最後尾車両の後端部の位置336bと、走行速度336cと、を格納している。
予定進路データ338は、自制御範囲48において当該列車10に設定した予定進路に関するデータであり、図26に示すように、設定した予定進路毎に、当該予定進路の着点338aと、当該予定進路上の線路ノード338bと、その線路ノードが転てつ器42である場合の開通方向338cと、進路状態338dとを対応付けて格納している。進路状態338dは、占有状態と、鎖錠状態と、占有開始時刻と、占有終止時刻とを含む。
競合関係データ340は、予定進路が競合する列車に関するデータであり、図27に示すように、予定進路が競合する列車340aそれぞれについて、競合する線路ノード340bと、競合する線路ノード340bについての競合関係340cと、競合関係340cが絶対的優先である場合の優先列車340dと、競合関係450cが相対的優先である場合の当該列車及び競合列車それぞれの競合区間の進出時刻340eと、を対応付けて格納している。
走行予測データ342は、当該列車10に対して行った列車走行予測に関するデータであり、作成した走行予測方程式を格納している。
[処理の流れ]
図28は、連動機30が行う進路制御処理の流れを説明するフローチャートである。この処理は、処理部200が進路制御プログラム302を実行することで実現される。進路制御処理では、進路設定部204が、予定進路設定処理(図29参照)を行って、自制御範囲48に各列車10の予定進路を設定する(ステップA1)。続いて、競合関係判定部206が、競合関係判定処理(図30参照)を行って、自制御範囲内で予定進路が競合する列車間の競合関係を判定する(ステップA3)。
続いて、自制御範囲48に予定進路を設定した全ての列車10を順に対象としたループAの繰り返し処理を行う。ループAでは、列車走行予測部208が、対象列車10の予定進路の発点が列車位置ならば(ステップA5:YES)、対象列車10についての列車走行予測を行って、対象列車10の走行予測方程式を作成する(ステップA7)。一方、対象列車の予定進路の発点が列車位置でない、すなわち境界位置46ならば(ステップA5:NO)、当該境界位置46での隣接連動機30から走行予測引継情報を受信したかを判断する。走行予測引継情報を受信したならば(ステップA9:YES)、その走行予測引継情報に含まれる境界位置46の到達時刻及び走行速度をもとに、当該境界位置46からの列車走行予測を引き継いで行って、対象列車10の走行予測方程式を作成する(ステップA11)。
走行予測方程式を作成すると、次いで、対象列車10の予定進路の着点が境界位置46ならば(ステップA13:YES)、作成した走行予測方程式をもとに、当該境界位置46への到達時刻、及び、到達時の走行速度を算出し、対象列車10や境界位置46の識別情報や、算出した到達時刻及び走行速度を含む走行予測引継情報を、当該境界位置46での隣接連動機30へ送信する(ステップA15)。
続いて、占有開始・終止時刻算出部210が、作成された走行予測方程式に基づき、対象列車10の予定進路上の線路ノードそれぞれについて、占有開始時刻及び占有終止時刻を算出する(ステップA17)。その後、対象列車との競合関係が相対的優先であって、互いの予定進路が同一の境界位置を経由し、且つ、対向する列車10が存在するかを判断する。存在するならば(ステップA19:YES)、対象列車とその競合列車との競合区間を判断し、それぞれの競合区間の進出時刻を算出して、対象列車や競合列車の識別情報や、算出した進出時刻を含む列車間競合情報を、当該境界位置46での隣接連動機30へ送信する(ステップA21)。ループAはこのように行われる。
自制御範囲48内に予定進路を設定した全ての列車10を対象としたループAの処理を終了すると、続いて、占有・鎖錠部214が、進路占有・鎖錠処理(図31参照)を行う(ステップA23)。次いで、進路占有解除部218が、進路占有解除処理(図32参照)を行う(ステップA25)。以上の処理を行うと、ステップA1に戻り、同様の処理を繰り返す。
図29は、予定進路設定処理の流れを説明するフローチャートである。予定進路設定処理では、進路設定部204は、自制御範囲48内の駅それぞれを順に対象としたループBの繰り返し処理を行う。ループBでは、駅ダイヤ情報308を参照して、何れかの列車10の対象駅における発時刻の所定時間前となったならば(ステップB1:YES)、その列車10について、現在の列車位置を発点とした予定進路を設定する(ステップB3)。このとき、着点が境界位置ならば予定進路を仮設定とし、着点が境界位置でないならば予定進路を本設定とする。次いで、設定した予定進路の着点が境界位置ならば(ステップB5:YES)、当該列車10や境界位置46の情報を含む進路設定引継情報を、当該境界位置での隣接連動機30へ送信する(ステップB7)。そして、隣接連動機30から、進路設定完了情報を受信したならば、仮設定した予定進路を本設定とし、進路設定取消情報を受信したならば、仮設定した予定進路を取り消す(ステップB8)。ループBはこのように行われる。
全ての駅を対象としたループBの処理を終了すると、続いて、他の連動機30から進路設定引継情報を受信したかを判断する。進路設定引継情報を受信したならば(ステップB9:YES)、その進路設定引継情報に含まれる列車10について、境界位置46を発点とする予定進路を引き継いで設定する(ステップB11)。そして、進路設定を成功したならば進路設定完了情報を、進路設定を失敗したならば進路設定取消情報を、進路設定の引き継ぎ元である他の連動機30へ送信する(ステップB13)。以上の処理を行うと、予定進路設定処理は終了となる。
図30は、競合関係判定処理の流れを説明するフローチャートである。競合関係判定処理では、先ず、自制御範囲内に予定進路を設定した全ての列車10を順に対象としたループCの繰り返し処理を行う。ループCでは、競合関係判定部206が、対象列車10と、予定進路が競合する他の列車10(競合列車)を抽出する(ステップC1)。予定進路が競合するか否かは、それぞれの予定進路に共通の線路ノードが含まれるか否かによって判断する。
次いで、抽出した競合列車10を順に対象としたループDの繰り返し処理を行う。ループDでは、対象列車10と競合列車10との競合する線路ノードについての競合関係を、それぞれの予定進路や走行位置等から判定する(ステップC3)。そして、判定した競合関係が絶対的優先ならば(ステップC5:YES)、競合形態から、対象列車10と競合列車10のうち、競合区間を優先とする列車を判定する(ステップC7)。続いて、対象列車10、及び、競合列車10それぞれの予定進路が、同一の境界位置46を経由し、且つ、対向するならば(ステップC9:YES)、判定した優先列車を含む列車間競合情報を、当該境界位置46での隣接連動機30へ送信する(ステップC11)。ループDはこのように行われる。全ての競合列車に対するループDの処理を行うと、ループCの処理は終了となる。全ての列車を対象としたループCの処理を行うと、競合関係判定処理は終了となる。
図31は、進路占有・鎖錠処理の流れを説明するフローチャートである。進路占有・鎖錠処理では、占有・鎖錠部214が、自制御範囲48内の全ての線路ノードを順に対象としたループEの繰り返し処理を行う。ループEでは、対象の線路ノードの進路状態を判断し、何れの列車10にも鎖錠されていないならば(ステップD1:NO)、何れかの列車10によって占有されているかを判断する。対象の線路ノードが何れかの列車10によって占有されており(ステップD3:YES)、且つ、対象の線路ノードが転てつ器42ならば(ステップD5:YES)、対象の線路ノードの占有列車10による開通方向を取得し、開通方向への転換が完了しているかを判断する。開通方向への転換が完了しているならば(ステップD7:YES)、対象の線路ノードを、占有列車で鎖錠する(ステップD9)。また、対象の線路ノードが着点ならば(ステップD5:NO)、対象の線路ノードを、占有列車10で鎖錠する(ステップD9)。
一方、対象の線路ノードが何れの列車10にも占有されていないならば(ステップD3:NO)、対象の線路ノードを予定進路に含む列車10のうち、占有開始時刻が現在時刻に達している列車を抽出する(ステップD11)。列車10が抽出されたならば(ステップD13:YES)、対象の線路ノードを、抽出した列車10で占有する(ステップD15)。次いで、対象の線路ノードが転てつ器42ならば(ステップD17:YES)、抽出した列車10による開通方向を取得し(ステップD19)、対象の線路ノードである転てつ器42に対して、取得した開通方向への転換を指示する(ステップD21)。ループEはこのように行われる。全ての線路ノードを対象としたループHの処理を行うと、進路占有・鎖錠処理は終了となる。
図32は、進路占有解除処理の流れを説明するフローチャートである。進路占有解除処理では、占有解除部218が、自制御範囲48内の全ての線路ノードを順に対象としたループFの繰り返し処理を行う。ループFでは、対象の線路ノードの進路状態が鎖錠ならば(ステップE1:YES)、対象の線路ノードの占有列車が、対象の線路ノードを通過したかを判断する。通過したならば(ステップE3:YES)、対象の線路ノードの占有を解除する(ステップE5)。ループFはこのように行われる。全ての線路ノードを対象としたループFの処理を終了すると、進路占有解除処理は終了となる。
[作用効果]
このように、本実施形態によれば、線区を境界位置46で区切って各連動機30の制御範囲48とし、連動機30間で情報の送受信を行うことで、線区に対する進路制御の処理負荷を各連動機に分散させることができ、複数の連動機30全体で広範囲の線区に対する進路制御を行うことができる。
すなわち、連動機30が、自制御範囲48内に設定した予定進路が境界位置46に達する境界通行列車についての進路設定引継情報を隣接連動機30へ送信することで、隣接連動機30が、その境界通行列車の自制御範囲48内の予定進路を境界位置から引き継いで設定することができる。これにより、複数の連動機30の制御範囲48に跨るような予定進路を設定することができる。
また、連動機30が、境界通行列車について、自制御範囲48内に設定した予定進路に基づく走行予測方程式を算出し、境界位置46の到達時刻及び走行速度を含む走行予測引継情報を隣接連動機30へ送信することで、隣接連動機30が、その境界通行列車について、自制御範囲48に設定した予定進路に基づく走行予測定式を境界位置46から引き継いで算出することができる。これにより、予定進路が複数の連動機30の制御範囲48に跨って設定された境界通行列車についての走行予測方程式を算出することができる。
更に、二列車それぞれの予定進路が複数の連動機30の制御範囲48に跨る場合、これらの連動機30それぞれが、自制御範囲48内に設定した予定進路に基づいて判断した二列車間の競合関係を含む列車間競合情報を互いに送信することで、その二列車間の競合関係を正しく判定することができる。
なお、本発明の適用可能な実施形態は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
1 列車制御システム
10 列車、12 車上装置
20 ネットワーク連動機
30 連動機
102 入力部、104 表示部、106 時計部、108 通信部
200 処理部
202 在線管理部、204 進路設定部
206 競合関係判定部、208 列車走行予測部
210 占有開始・終止時刻算出部、212 優先順位設定部
214 占有・鎖錠部、216 進行許可区間設定部
218 占有解除部、220 転てつ器制御部
300 記憶部
302 進路制御プログラム
304 制御範囲データ、306 境界位置データ
310 線路ノード構成データ、312 線路ノード進路状態データ
308 駅ダイヤ情報、330 列車情報
42 転てつ器、44 無線基地局、46 境界位置、48 制御範囲、50 着点
R 軌道

Claims (7)

  1. 各連動装置の制御範囲が境界位置で区切られた線区を走行する各列車の列車位置に基づいて列車制御を行う無線列車制御システムにおける前記連動装置それぞれが行う連動制御方法であって、
    自制御範囲内の列車について、当該列車の列車位置を発点とする予定進路を設定することと、
    前記予定進路が前記境界位置に達する列車(以下「境界通行列車」という)の識別情報を含む進路設定引継情報を、当該境界位置に隣接する制御範囲に係る連動装置(以下「隣接連動装置」という)に送信することと、
    前記進路設定引継情報を受信した場合に、前記境界通行列車について、当該境界位置を発点とする自制御範囲内の予定進路を設定することと、
    自制御範囲内の列車について、当該列車の予定進路上の走行位置に対する走行速度を予測した速度曲線(以下「走行予測方程式」という)を算出することと、
    前記隣接連動装置へ、前記境界通行列車の識別情報と、前記走行予測方程式に基づく当該境界位置における到達時刻および走行速度と、を含む走行予測引継情報を送信することと、
    前記走行予測引継情報を受信した場合に、前記境界通行列車の予定進路に、前記走行予測引継情報に含まれる到達時刻および走行速度で進入するとして、前記境界通行列車の走行予測方程式を算出することと、
    自制御範囲において少なくとも転てつ器を含む線路ノードそれぞれに対する進入列車の優先順位を、各列車の前記走行予測方程式を用いて設定することと、
    自制御範囲の前記線路ノードそれぞれについて、前記優先順位が最優先に設定された列車の前記走行予測方程式に基づき、当該列車が当該線路ノードに接近したことを示す所定の接近条件を満たし、且つ、当該線路ノードの占有列車設定が占有列車無しの場合に、当該列車を占有列車として当該線路ノードを占有させる占有設定を行うことと、
    自制御範囲内の列車および自制御範囲内に進入予定の前記境界通行列車それぞれについて、前記発点から順に当該列車が占有列車として設定された線路ノードに対する進入を許可することで当該列車の進行許可区間を設定することと、
    自制御範囲において前記線路ノードを列車が通過した場合に、当該通過した列車を占有列車とする当該線路ノードの占有列車設定を占有列車無しとする占有解除を行うことと、
    を含む連動制御方法。
  2. 自制御範囲内に設定した各列車の予定進路に基づいて、自制御範囲内の競合区間を判定すること、
    を更に含み、
    前記優先順位を設定することは、同一の前記競合区間上の線路ノードに対する進入列車の優先順位を同一に設定することを含む、
    請求項1に記載の連動制御方法。
  3. 自制御範囲内に予定進路を設定した二列車間の競合関係を、当該二列車の予定進路に基づいて判定することと、
    当該二列車の予定進路が対向し、且つ、同一の境界位置を通る場合に、前記判定した二列車間の競合関係を含む列車間競合情報を、当該境界位置の隣接連動装置へ送信することと、
    を更に含み、
    前記優先順位を設定することは、
    更に、受信した前記列車間競合情報を用いて設定することを含む、
    請求項1又は2に記載の連動制御方法。
  4. 前記二列車間の競合関係が当該二列車の列車位置及び予定進路によって優先列車が定まる絶対的優先関係である場合には、当該優先列車を前記列車間競合情報に含めて送信し、
    前記二列車間の競合関係が前記絶対的優先関係ではない場合には、当該二列車それぞれの予定進路に基づく競合区間の進出時刻を前記列車間競合情報に含めて送信する、
    ことを更に含む、
    請求項3に記載の連動制御方法。
  5. 前記優先順位を設定することは、
    前記判定した二列車間の競合関係と、受信した前記列車間競合情報に含まれる当該二列車間の競合関係と、の少なくとも一方が前記絶対的優先関係である場合に、当該二列車の競合関係は絶対的優先であるとみなして前記優先順位を設定することを含む、
    請求項4に記載の連動制御方法。
  6. 前記走行予測方程式を算出することは、
    前記競合関係が絶対的優先関係である他の列車の走行予測方程式に基づいて、前記走行予測方程式を算出すること、
    を更に含む、
    請求項4又は5に記載の連動制御方法。
  7. 各連動装置の制御範囲が境界位置で区切られた線区を走行する各列車の列車位置に基づいて列車制御を行う無線列車制御システムにおける前記連動装置であって、
    自制御範囲内の列車について、当該列車の列車位置を発点とする予定進路を設定する予定進路設定手段と、
    前記予定進路が前記境界位置に達する列車(以下「境界通行列車」という)の識別情報を含む進路設定引継情報を、当該境界位置に隣接する制御範囲に係る連動装置(以下「隣接連動装置」という)に送信する進路設定引継情報送信手段と、
    前記進路設定引継情報を受信した場合に、前記境界通行列車について、当該境界位置を発点とする自制御範囲内の予定進路を設定する第2の予定進路設定手段と、
    自制御範囲内の列車について、当該列車の予定進路上の走行位置に対する走行速度を予測した速度曲線(以下「走行予測方程式」という)を算出する第1の算出手段と、
    前記隣接連動装置へ、前記境界通行列車の識別情報と、前記走行予測方程式に基づく当該境界位置における到達時刻および走行速度と、を含む走行予測引継情報を送信する走行予測引継情報送信手段と、
    前記走行予測引継情報を受信した場合に、前記境界通行列車の予定進路に、前記走行予測引継情報に含まれる到達時刻および走行速度で進入するとして、前記境界通行列車の走行予測方程式を算出する第2の算出手段と、
    自制御範囲において少なくとも転てつ器を含む線路ノードそれぞれに対する進入列車の優先順位を、各列車の前記走行予測方程式を用いて設定する優先順位設定手段と、
    自制御範囲の前記線路ノードそれぞれについて、前記優先順位が最優先に設定された列車の前記走行予測方程式に基づき、当該列車が当該線路ノードに接近したことを示す所定の接近条件を満たし、且つ、当該線路ノードの占有列車設定が占有列車無しの場合に、当該列車を占有列車として当該線路ノードを占有させる占有設定を行う占有設定手段と、
    自制御範囲内の列車および自制御範囲内に進入予定の前記境界通行列車それぞれについて、前記発点から順に当該列車が占有列車として設定された線路ノードに対する進入を許可することで当該列車の進行許可区間を設定する進行許可区間設定手段と、
    自制御範囲において前記線路ノードを列車が通過した場合に、当該通過した列車を占有列車とする当該線路ノードの占有列車設定を占有列車無しとする占有解除を行う占有解除手段と、
    を備えた連動装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019213375A (ja) * 2018-06-06 2019-12-12 株式会社京三製作所 車上装置
JP2019209878A (ja) * 2018-06-06 2019-12-12 株式会社京三製作所 列車運行管理システム

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