JP2018086532A - 遊技機 - Google Patents

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Abstract

【課題】不正などが行われたことの痕跡を残す痕跡手段の機能を好適に発揮させることが可能な遊技機を提供すること。
【解決手段】主制御装置281は、主制御基板を内部に収容する基板ボックス282を備えており、当該基板ボックス282は表側構成体283と裏側構成体284とが組み合わされて形成されている。また、表側構成体283に形成された表側固定ベース部291と裏側構成体284に形成された裏側固定ベース部292とが相互に重ね合わせられることによって貼付ベースが形成されており、当該貼付ベースには破壊用部材910が取り付けられているとともに、封印シール160が貼り付けられている。当該封印シール160によって基板ボックス282の開放操作が阻害されている。ここで、破壊用部材910には、封印シール160を破壊する破壊ベース部911と、当該破壊ベース部911とは別の箇所に痕跡を残させる拡張部と、が設けられている。
【選択図】 図57

Description

本発明は、遊技機に関するものである。
パチンコ遊技機やスロットマシン等の遊技機は、遊技制御処理を実行するCPU、遊技制御プログラムが記憶されたROM、遊技の進行により発生する各種データを一時的に記憶するRAM等の各種電子部品が実装された制御基板を備えている。そして、ROMに記憶された制御プログラムに従って、CPUにより遊技機に搭載されている各種遊技機器が制御され、一連の遊技が実行される。
この種の遊技機では、制御基板を正規のものとは異なる不正な制御基板に変更したり、ROM(ROMがCPUと共に1チップ化されている場合には当該チップ)を不正なものに交換したりする等の不正行為の発生が数多く報告されている。
このような不正行為に対処すべく、例えば、基板ボックスに封印構造(いわゆる、カシメ構造)を設けて基板ボックスの開封時には破壊等による開封履歴を残すようにする、又は基板ボックスを構成する複数のケース体を跨ぐように再貼付不可能であり且つ剥がすと痕跡が残る有脆弱性の封印シールを貼り付ける等の不正対策が採用されている(例えば特許文献1参照)。これらの不正対策は、基板ボックスが開封された事実や制御基板が交換された事実を目視確認する場合にその確認作業を補助するものであり、またこのような不正対策の存在により不正行為を躊躇させる効果がある。
また、上記のように目視確認を補助する不正対策以外の新たな不正対策として、例えば、制御基板又は当該制御基板を収容する基板ボックスに、固有ID等の識別情報が記憶されたICチップ部及びアンテナ部を含む電子タグを取り付けた構成が開示されている(例えば特許文献2参照)。
電子タグを取り付けておけば、遊技ホールの管理者などがリーダ装置により識別情報の読取作業を行うことで、制御基板の不正な交換等の発生有無が確認される。このような電子タグを用いた不正対策では、リーダ装置による読み取り結果により不正発見をすることができることから、封印箇所の目視確認に比べて不正発見のための労力は少ないし、不正の見落としも少なくなることが期待される。
上記不正発見のための具体的な構成としては、例えば、基板ボックスの内部空間の開放に際してアンテナ部が切断されるように電子タグを取り付ける構成が考えられる。アンテナ部は動作周波数に応じた最適なものとなるように形成されているため、基板ボックスの内部空間を不正に開放したことに伴ってアンテナ部が切断された場合には、アンテナ部が適切に機能しなくなり識別情報の読取作業が行えなくなることで、当該不正開放が発見し易くなることが期待される。
特開2003−180917号公報 特開2005−143641号公報
しかしながら、上記のような目視確認を補助する不正対策や、電子タグを利用した不正対策が適用されていたとしても、前者については基板ボックスの不正開放に際して目視確認を補助するための構成が破壊等されないと、不正発見作業を好適に行うことができない。また、後者についても、基板ボックスの不正開放に際して電子タグからの識別情報の読み取りを良好に行えない状態とならないと、不正発見作業を好適に行うことができない。
本発明は、上記例示した事情等に鑑みてなされたものであり、不正などが行われたことの痕跡を残す痕跡手段の機能を好適に発揮させることが可能な遊技機を提供することを目的とするものである。
本発明は、
複数の構成体が組み合わされて形成され、制御基板を収容する基板ボックスと、
当該基板ボックスに設けられる痕跡手段と、
当該痕跡手段の少なくとも一部と対向し当該痕跡手段をカバーするように設けられるカバー手段と、
当該カバー手段の内側に配置され、当該カバー手段の取り外しに連動する分断手段と、を備え、
前記カバー手段を取り外し方向に移動させた場合に、当該カバー手段の移動に伴って前記分断手段が移動し、前記カバー手段が取り外されるまでに前記痕跡手段を複数に分断して、前記基板ボックスの内部空間を開放可能な遊技機であって、
前記分断手段に設けられる第1係合部と、
前記カバー手段に設けられ、前記分断手段の第1係合部と係合する第2係合部と、
前記カバー手段の内側に設けられ、前記基板ボックスに係合する第3係合部と、
を備え、
前記第1係合部と前記第2係合部との係合箇所は前記カバー手段に覆われており、
前記痕跡手段はシート状のシールを含んで構成されており、前記分断手段の分断作用部は前記シールの破断予定箇所における全長よりも長く形成されていることを特徴とする。
不正などが行われたことの痕跡を残す痕跡手段の機能を好適に発揮させることが可能となる。
第1の実施の形態におけるパチンコ機の構成を示す前方から見た斜視図。 遊技機本体の主要な構成を分解して示す分解斜視図。 遊技盤の構成を示す正面図。 内枠の構成を示す背面図。 (a)主制御装置ユニットの構成を示す斜視図、(b)主制御装置ユニットの構成を示す側面図。 主制御装置ユニットの構成を示す分解斜視図。 (a)主制御装置の構成を示す斜視図、(b)主制御装置の構成を示す側面図。 主制御装置を表面側から見た分解斜視図。 主制御装置を裏面側から見た分解斜視図。 図7(b)のA―A線断面図。 (a),(b)阻止構造による分離阻止の作用を説明するための説明図。 (a)封印シールの構成を示す正面図、(b)封印シールの構成を示す裏面図。 封印シールの構成を示す断面図。 主制御装置において封印シールが貼り付けられた領域及びその周辺を拡大して示す拡大斜視図。 貼付領域における封印シールの位置関係を説明するための説明図。 (a),(b)それぞれ異なる方向から見たカバー部材の斜視図。 カバー部材が主制御装置に取り付けられている様子を説明するための説明図。 主制御装置においてカバー部材が取り付けられた部分の断面図。 パチンコ機の電気的構成を示すブロック図。 パチンコ機が多数設置された遊技ホールの概略図。 第2の実施の形態におけるICタグに係る構成を説明するための説明図。 第3の実施の形態におけるICタグに係る構成を説明するための説明図。 第4の実施の形態におけるICタグに係る構成を説明するための説明図。 第5の実施の形態におけるICタグに係る構成を説明するための説明図。 第6の実施の形態における主制御装置の構成を示す斜視図。 主制御装置において封印シールが設けられた部分の構成を説明するための分解斜視図。 貼付ベース及びその周辺を拡大して示す分解斜視図。 (a)破壊用部材の裏面図、(b)裏面側から見た破壊用部材の斜視図。 (a)貼付ベース及びその周辺を拡大して示す分解斜視図、(b)貼付ベース及びその周辺を拡大して示す側面図。 (a)カバー部材の斜視図、(b)カバー部材が基板ボックスに取り付けられている様子を説明するための説明図。 (a)〜(c)基板ボックスの内部空間が開放される場合の手順を説明するための説明図。 (a)第7の実施の形態における貼付ベース及びその周辺を拡大して示す分解斜視図、(b)保護手段の具体的な構成を説明するための説明図。 (a)第8の実施の形態における貼付ベースの構成を説明するための分解斜視図、(b)貼付ベース及びその周辺の横断面図。 (a)表側カバー部材の斜視図、(b)裏側カバー部材の斜視図。 (a)第9の実施の形態における貼付ベース及びその周辺を拡大して示す斜視図、(b)保護手段の具体的な構成を説明するための縦断面図。 (a)第10の実施の形態における貼付ベース及びその周辺を拡大して示す斜視図、(b)保護手段の具体的な構成を説明するための縦断面図。 (a)第11の実施の形態における破壊用部材の斜視図、(b),(c)それぞれ異なる方向から見た第11の実施の形態におけるカバー部材の斜視図。 (a)主制御装置においてカバー部材及びその周辺を示す斜視図、(b)カバー部材が基板ボックスに取り付けられている様子を説明するための説明図。 主制御装置において貼付ベース及びその周辺を拡大して示す分解斜視図。 (a)第12の実施の形態における破壊用部材の斜視図、(b)第12の実施の形態におけるカバー部材の斜視図、(c)第12の実施の形態におけるカバー部材の分解斜視図。 主制御装置において貼付ベース及びその周辺を拡大して示す分解斜視図。 (a)主制御装置においてカバー部材及びその周辺を示す斜視図、(b)カバー部材が基板ボックスに取り付けられている様子を説明するための説明図。 第13の実施の形態における破壊用部材の動作を説明するための説明図。 (a),(b)それぞれ異なる方向から見た第13の実施の形態におけるカバー部材の斜視図。 (a)主制御装置において貼付ベース及びその周辺を示す斜視図、(b)カバー部材が基板ボックスに取り付けられている様子を説明するための説明図。 (a)〜(c)基板ボックスの内部空間を開放する場合の手順を説明するための説明図。 第14の実施の形態における主制御装置の貼付ベース及びその周辺を示す分解斜視図。 貼付ベース及び破壊用部材を示す分解斜視図。 (a)破壊用部材が貼付ベースに取り付けられている様子を説明するための説明図、(b)破壊用部材の回転を説明するための説明図。 (a)主制御装置のカバー部材及びその周辺を示す斜視図、(b)カバー部材が取り付けられた基板ボックスの側面図。 貼付ベース及びカバー部材を示す分解斜視図。 (a),(b)それぞれ異なる方向から見たカバー部材の斜視図。 第1の係合を説明するための説明図。 (a)カバー部材及びその周辺を示す正面図、(b)B−B線断面図。 (a)〜(c)基板ボックスの内部空間を開放する場合の手順を説明するための説明図。 (a)〜(d)基板ボックスの内部空間を開放する場合の手順を説明するための説明図。 第15の実施の形態における主制御装置を表面側から見た一部分解斜視図。 主制御装置を裏面側から見た一部分解斜視図。 主制御装置において封印シールが設けられた部分の構成を説明するための分解斜視図。 (a)表面側から見た破壊用部材の斜視図、(b)裏面側から見た破壊用部材の斜視図、(c)裏面側から見た破壊用部材の裏面図。 主制御装置において封印シールが貼り付けられた領域及びその周辺を拡大して示す拡大斜視図。 表側貼付用板部に対する破壊用部材の取り付け態様を説明するための説明図。 (a)貼付ベース及びその周辺を拡大して示す側面図、(b)貼付領域における封印シールの位置関係を説明するための説明図。 破壊用部材と封印シールとの位置関係を説明するための説明図。 (a)カバー部材の斜視図、(b)カバー部材が基板ボックスに取り付けられている様子を説明するための説明図。 カバー部材の取り付け態様を説明するための貼付ベースの横断面図。 (a)〜(c)基板ボックスの内部空間を開放する場合の手順を説明するための説明図。 (a)〜(d)封印シールが切断される様子を説明するための説明図。 (a),(b)破壊用部材の変形例を示す説明図。 拡張領域の変形例を示す説明図。 拡張部の変形例を示す説明図。
<第1の実施の形態>
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の第1の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10を前方から見た斜視図、図2はパチンコ機10を構成する遊技機本体12の分解斜視図である。なお、図2では便宜上パチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。
パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に対して前方に回動可能(開閉可能)に取り付けられた遊技機本体12とを有している。なお、パチンコ機10において外枠11は必須の構成ではなく、遊技場の島設備に外枠11が備え付けられた構成としてもよい。
外枠11は、木製の板材を四辺に連結し構成されるものであって矩形枠状をなしている。パチンコ機10は、外枠11を島設備に取り付け固定することにより、遊技場に設置される。なお、外枠11を合成樹脂やアルミニウム等の金属によって形成することも可能である。
外枠11の一側部に遊技機本体12が回動可能に支持されている。具体的には、図1に示すように、外枠11における上枠部と左枠部との連結部分に上側支持用金具21が固定されており、さらに外枠11における下枠部と左枠部との連結部分に下側支持用金具22が設けられている。これら上側支持用金具21及び下側支持用金具22により支持機構が構成され、当該支持機構によって外枠11に対して遊技機本体12が回動可能に支持されている。
また、遊技機本体12には、図2に示すように、その回動先端部に施錠装置23が設けられており、遊技機本体12を外枠11に対して閉鎖状態とした場合には施錠装置23の鉤部材24が外枠11の右枠部の内側面に設けられた鉤受け部にて受けられ、遊技機本体12の開放が阻止される。一方、パチンコ機10前面にて露出させて設けられたシリンダ錠25に対して解錠キーを用いて解錠操作を行うことにより、外枠11の鉤受け部にて鉤部材24が受けられた状態が解除され、遊技機本体12の外枠11からの開放が可能となる。なお、施錠装置23は、後述する内枠13と前扉枠14との施錠を行う機能も有している。
遊技機本体12は、ベース体としての内枠13と、その内枠13の前方に配置される前扉枠14と、内枠13の後方に配置される裏パックユニット15とを備えている。遊技機本体12のうち内枠13が外枠11に対して回動可能(開閉可能)に支持されている。詳細には、正面視で左側を回動基端側(開閉基端側)とし右側を回動先端側(開閉先端側)として内枠13が前方へ回動可能とされている。
内枠13には、前扉枠14が回動可能(開閉可能)に支持されており、正面視で左側を回動基端側(開閉基端側)とし右側を回動先端側(開閉先端側)として前方へ回動可能とされている。また、内枠13には、裏パックユニット15が回動可能(開閉可能)に支持されており、正面視で左側を回動基端側(開閉基端側)とし右側を回動先端側(開閉先端側)として後方へ回動可能とされている。
次に、遊技機本体12の前面側の構成について説明する。
図2に示すように、内枠13は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす樹脂ベース31を主体に構成されている。樹脂ベース31の中央部には略楕円形状の窓孔32が形成されている。樹脂ベース31には遊技盤33が着脱可能に取り付けられている。遊技盤33は合板よりなり、遊技盤33の前面に形成された遊技領域が樹脂ベース31の窓孔32を通じて内枠13の前面側に露出した状態となっている。
ここで、遊技盤33の構成を図3に基づいて説明する。遊技盤33には、ルータ加工が施されることによって前後方向に貫通する大小複数の開口部が形成されている。各開口部には一般入賞口34,可変入賞装置35,作動口36,スルーゲート37及び可変表示ユニット38等がそれぞれ設けられている。一般入賞口34、可変入賞装置35及び作動口36に遊技球が入ると、それが図示しない検知スイッチにより検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出しが実行される。その他に、遊技盤33の最下部にはアウト口39が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口39を通って遊技領域から排出される。また、遊技盤33には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘40が植設されていると共に、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
可変表示ユニット38には、作動口36への入賞をトリガとして図柄を可変表示する図柄表示装置41が設けられている。また、可変表示ユニット38には、図柄表示装置41を囲むようにしてセンターフレーム42が配設されている。センターフレーム42の上部には、第1特定ランプ部43及び第2特定ランプ部44が設けられている。また、センターフレーム42の下部及び上部にはそれぞれ保留ランプ部45,46が設けられている。下側の保留ランプ部45は図柄表示装置41及び第1特定ランプ部43に対応しており、遊技球が作動口36を通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部45の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。上側の保留ランプ部46は第2特定ランプ部44に対応しており、遊技球がスルーゲート37を通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部46の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。
図柄表示装置41は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、表示制御装置により表示内容が制御される。図柄表示装置41には、例えば左、中及び右に並べて図柄が表示され、これらの図柄が上下方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、予め設定されている有効ライン上に所定の組合せの図柄が停止表示された場合には、特別遊技状態(以下、大当たりという)が発生することとなる。
遊技結果表示部(又は抽選結果表示部)として設けられた第1特定ランプ部43では、作動口36への入賞をトリガとして所定の順序で発光色の切り替えが行われ、予め定められた色で停止表示された場合には大当たりが発生する。また、第2特定ランプ部44では、遊技球のスルーゲート37の通過をトリガとして所定の順序で発光色の切り替えが行われ、予め定められた色で停止表示された場合には作動口36に付随する電動役物が所定時間だけ開放状態となる。なお、これら第1特定ランプ部43及び第2特定ランプ部44の制御は、後述する主制御装置により行われる。
可変入賞装置35は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい所定の開放状態に切り換えられるようになっている。可変入賞装置35の開放態様としては、所定時間(例えば30秒間)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限として可変入賞装置35が繰り返し開放されるものが一般的である。なお、可変入賞装置35の駆動制御は、後述する主制御装置により行われる。
遊技盤33には、内レール部47と外レール部48とが取り付けられており、これら内レール部47と外レール部48とにより誘導レールが構成され、遊技球発射機構50から発射された遊技球が遊技領域の上部に案内されるようになっている。遊技球発射機構50は、図2に示すように、樹脂ベース31における窓孔32の下方に取り付けられており、前扉枠14に設けられたハンドル装置59が操作されることにより遊技球の発射動作が行われる。
内枠13の前面側全体を覆うようにして前扉枠14が設けられている。前扉枠14には、図1等に示すように、遊技領域のほぼ全域を前方から視認することができるようにした窓部55が形成されている。窓部55は、略楕円形状をなし、窓パネル56が嵌め込まれている。窓パネル56は、ガラスによって無色透明に形成されているが、これに限定されることはなく合成樹脂によって無色透明に形成してもよい。窓部55の周囲には、各種ランプ等の発光手段が設けられている。また、左上及び右上の位置には、遊技状態に応じた効果音などが出力されるスピーカ部が設けられている。
前扉枠14における窓部55の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部57と下側膨出部58とが上下に並設されている。上側膨出部57内側には上方に開口した上皿57aが設けられており、下側膨出部58内側には同じく上方に開口した下皿58aが設けられている。上皿57aは、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射機構側へ導くための機能を有する。また、下皿58aは、上皿57a内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有する。
次に、遊技機本体12の背面側の構成について説明する。図4は、内枠13の背面図である。
図4に示すように、内枠13(遊技盤33)の背面には、主制御装置ユニット61及び音声ランプ制御装置ユニット65が搭載されている。これらのうち主制御装置ユニット61の具体的な構成については、後に詳細に説明する。
音声ランプ制御装置ユニット65は、音声ランプ制御装置66と、取付台67とを具備する構成となっており、取付台67上に音声ランプ制御装置66が装着されている。音声ランプ制御装置66は、主制御装置ユニット61に搭載された主制御装置92からの指示に従い音声やランプ表示、及び図示しない表示制御装置の制御を司る音声ランプ制御基板を具備しており、音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス68に収容されて構成されている。
裏パックユニット15は、図2に示すように、裏パック71を備えており、当該裏パック71に対して、払出機構部72及び制御装置集合ユニット73が取り付けられている。なお、裏パック71は透明性を有する合成樹脂により形成されており、主制御装置ユニット61の一部や音声ランプ制御装置ユニット65などを後方から覆うように、後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部75を有している。
払出機構部72は、保護カバー部75を迂回するようにして配設されており、遊技場の島設備から供給される遊技球が逐次補給されるタンク77と、当該タンク77に貯留された遊技球を払い出すための払出装置78と、を備えている。払出装置78より払い出された遊技球は、当該払出装置78の下流側に設けられた図示しない払出通路を通じて、上皿57a又は下皿58aに排出される。また、払出機構部72には、例えば交流24ボルトの主電源が供給されるとともに、電源のON操作及びOFF操作を行うための電源スイッチが設けられた裏パック基板が搭載されている。
制御装置集合ユニット73は、払出制御装置82と電源及び発射制御装置83とを備えている。これら払出制御装置82と電源及び発射制御装置83とは、払出制御装置82がパチンコ機10後方となるように前後に重ねて配置されている。
払出制御装置82は、払出装置78を制御する払出制御基板が基板ボックス内に収容されて構成されている。電源及び発射制御装置83は、電源及び発射制御基板が基板ボックス内に収容されて構成されており、当該基板により、各種制御装置等で要する所定の電力が生成されて出力され、さらに遊技者によるハンドル装置59の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる。また、本パチンコ機10は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。
次に、主制御装置ユニット61の構成を、図5及び図6を参照しながら説明する。図5(a)は主制御装置ユニット61の斜視図、図5(b)は主制御装置ユニット61の側面図、図6は主制御装置ユニット61の分解斜視図である。
主制御装置ユニット61は、合成樹脂製の取付台91と、当該取付台91に搭載される主制御装置92と、主制御装置92の一部を外側から被包するカバー部材93と、を備えている。当該主制御装置ユニット61は、遊技盤33と主制御装置92との間に取付台91が挟まれ、主制御装置92がパチンコ機10後方を向くようにして、遊技盤33の裏面に搭載されている。
取付台91は、図6に示すように、主制御装置92が搭載される搭載領域95が形成されたベース部96と、当該ベース部96を遊技盤33の裏面に対して回動可能な状態で支持させる支持アーム97と、を有し、これらが一体形成されてなる。
支持アーム97はベース部96において搭載領域95とは反対側の面よりも遊技盤33側に延出させて形成されており、その延出領域の先端部に軸部98が一体形成されている。当該軸部98が遊技盤33の裏面に設けられた支持金具99に対して回転可能な状態で支持されていることにより、主制御装置ユニット61が遊技盤33に支持されている。取付台91において支持アーム97が形成された側とは反対側の端部には保持操作及び保持解除操作を可能とする図示しない保持具が設けられており、ベース部96の搭載領域95とは反対側の面が遊技盤33の裏面に対向する閉鎖位置に取付台91を配置した状態で保持具に対して保持操作を行うことで当該保持具が遊技盤33に保持され、当該閉鎖位置において取付台91が保持される。また、当該保持具に対して保持解除操作が行われることにより、取付台91を開放位置に向けて回動させることが可能となる。
ここで、支持アーム97が上記のとおりベース部96において搭載領域95とは反対側の面よりも遊技盤33側に延出させて形成されているとともに、その延出領域の先端に軸部98が設けられていることにより、取付台91が閉鎖位置に配置されている状態においてベース部96と遊技盤33とは所定の距離離間されている。また、ベース部96は所定の厚み寸法を有している。したがって、取付台91に搭載された主制御装置92は遊技盤33の表面からパチンコ機10後方に所定の距離離間されているとともに、当然のことながら、その所定の距離よりも大きな距離分、前扉枠14の表面に対して主制御装置92はパチンコ機10後方に離間されている。
遊技盤33の裏面において主制御装置ユニット61の上方には、図5(b)に示すように、可変表示ユニット38及び音声ランプ制御装置ユニット65が搭載されており、主制御装置92が下方となるようにして音声ランプ制御装置66と主制御装置92とは上下に並設されている。また、遊技盤33を基準とした主制御装置92のパチンコ機10後方への張り出し量は、音声ランプ制御装置66のパチンコ機10後方への張り出し量と略同一、より詳細には若干少ない程度となっているが、両張り出し量が同一である構成としてもよい。この場合、主制御装置92の長さ方向の略全体が音声ランプ制御装置66の下方への投影範囲内に含まれている。但し、これに限定されることはなく、主制御装置92の長さ方向の全体が音声ランプ制御装置66の下方への投影範囲内に含まれる構成としてもよい。
裏パックユニット15が内枠13に対して閉鎖位置に配置されている状態において、主制御装置ユニット61の下方には、図5(b)に示すように、裏パックユニット15に設けられた制御装置集合ユニット73が配置されており、主制御装置92が上方となるようにして主制御装置92と払出制御装置82とは上下に並設されている。また、遊技盤33を基準とした主制御装置92のパチンコ機10後方への張り出し量は、払出制御装置82のパチンコ機10後方への張り出し量と略同一、より詳細には若干少ない程度となっているが、両張り出し量が同一である構成としてもよい。この場合、主制御装置92の長さ方向の略全体が払出制御装置82の上方への投影範囲内に含まれている。但し、これに限定されることはなく、主制御装置92の長さ方向の全体が払出制御装置82の上方への投影範囲内に含まれる構成としてもよい。
つまり、主制御装置92は、裏パックユニット15が閉鎖位置に配置されている状態において、第1遊技機構成体である音声ランプ制御装置66と第2遊技機構成体である払出制御装置82とにより主制御装置92がその幅方向(より具体的には、縦方向)に挟まれることとなる。なお、裏パックユニット15が閉鎖位置に配置されている状態では、主制御装置92の一部が保護カバー部75によりパチンコ機10後方から覆われることとなるが、これに限定されることはなく、主制御装置92の全体が保護カバー部75によりパチンコ機10後方から覆われる構成としてもよく、主制御装置92の全体が保護カバー部75によりパチンコ機10後方から覆われない構成としてもよい。
次に、主制御装置92の構成を、図7乃至図10を参照しながら説明する。図7(a)は主制御装置92の斜視図、図7(b)は主制御装置92の側面図、図8は主制御装置92を表面側から見た分解斜視図、図9は主制御装置92を裏面側から見た分解斜視図である。
主制御装置92は、図8及び図9に示すように、主制御基板101と基板ボックス102とを備えており、当該基板ボックス102内に主制御基板101が収容されて構成されている。
主制御基板101は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM等を備えている。本実施の形態では、CPU、ROM及びRAMがCPUチップ103に1チップ化されている。また、詳細な説明は省略するが、入出力ドライバ用ICチップ104及びラッチ用ICチップ105が搭載されている。また、図示は省略するが、主制御基板101には、コンデンサや抵抗などの各種素子や複数のコネクタが搭載されている。
主制御基板101においてCPUチップ103などの各種素子やコネクタは全て同一の板面上に搭載されており、その逆側の板面にて半田付けされている。つまり、主制御基板101は、一方の板面が素子搭載面106となっており、他方の板面が半田面107となっている。なお、半田面107とは、素子搭載面106に搭載される各種素子の半田付け部分が設けられる面であるが、当該半田面107に対して回路パターンが形成されていてもよい。また、両板面が素子搭載面として構成されていてもよい。
基板ボックス102は、複数のケース体として、表側構成体(ボックスカバー)111と裏側構成体(ボックスベース)112とを備えている。これら表側構成体111及び裏側構成体112は、基板ボックス102内に収容された主制御基板101の素子搭載面106及び半田面107を基板ボックス102外から視認可能なように透明性を有する材料により形成されている。具体的には、無色透明のポリカーボネート樹脂により形成されているが、これに限定されることはなく、アクリル樹脂等であってもよい。
表側構成体111及び裏側構成体112が組み合わされることにより、図7(a),(b)に示すように、基板ボックス102は四角箱状(略直方体形状)に形成されており、所定の内部空間を有している。
詳細には、表側構成体111は、図8に示すように、当該表側構成体111の周縁を規定する表側周縁部113と、当該表側周縁部113から一方に膨出するようにして形成された膨出部114とが一体形成されてなる。これら表側周縁部113と膨出部114とにより、表側構成体111は膨出部114の膨出側とは反対側に開放された略直方体形状をなしている。また、表側構成体111は正面視で長方形状をなしている。なお、詳細な説明は省略するが、表側構成体111の膨出部114には主制御基板101に設けられたコネクタを基板ボックス102の外部に露出させるための開口部や、放熱用の開口部が形成されている。
表側構成体111にはその背面側から主制御基板101がネジ固定されている(所定の工具を用いて着脱可能な状態で固定されている)。表側構成体111への主制御基板101のネジ固定は、主制御基板101の半田面107側から行われており、主制御基板101の素子搭載面106に搭載された各種素子は、主制御基板101と表側構成体111との間の領域内に収容されている。ちなみに、図9に示すように膨出部114の裏面側には主制御基板101に向けて延びる囲み壁部115が形成されており、表側構成体111と主制御基板101との間の空間において主制御基板101のCPUチップ103は囲み壁部115により周囲が囲まれている。
主制御基板101が一体化された表側構成体111に対して、裏側構成体112が固定されている。裏側構成体112は、図8及び図9に示すように、正面視で四角形状、具体的には長方形状をなす略板状に形成されており、平面状に形成された平面部116と、当該平面部116の周縁を囲むようにして形成された裏側周縁部117とが一体形成されてなる。
表側構成体111に対してその裏面側から裏側構成体112を固定することにより、表側構成体111の表側周縁部113と裏側構成体112の裏側周縁部117とが重なり、膨出部114の裏面側への開放部分が裏側構成体112の平面部116により閉塞される。この場合、主制御基板101の半田面107は、裏側構成体112により覆われている。つまり、主制御基板101の素子搭載面106はその全体が表側構成体111と対向しており、主制御基板101の半田面107はその全体が裏側構成体112と対向している。上記構成の主制御装置92は、図5(b)に示すように、裏側構成体112の裏面が取付台91側を向くようにして取付台91に搭載されている。
次に、表側構成体111と裏側構成体112との固定に係る構成について詳細に説明する。両構成体111,112の固定に係る構成としては、両構成体111,112の相互の位置ずれを特定の規制方向のみに規制する規制手段と、当該規制方向への位置ずれを防止するように両構成体111,112を相互に固定する固定手段と、を備えている。
先ず、規制手段について詳細に説明する。
図8及び図9に示すように、規制手段として、裏側構成体112には、フック部118が一体形成されている。フック部118は複数設けられており、これらフック部118は裏側周縁部117の対向する各長辺部(具体的には、上縁部及び下縁部)において当該長辺部の延びる方向に沿って等間隔で形成されている。この場合、フック部118は、上下にそれぞれ6個ずつ形成されているが、複数であればその数は任意である。各フック部118は、全て同一形状となるように形成されているとともに、全て同一のサイズに形成されている。各フック部118は表側構成体111に向けて起立させて設けられており、自由端側が裏側構成体112の一方の短辺部側に向けて延びるように途中位置で折り曲げて形成されている。
フック部118に対応させて表側構成体111の上下の各長辺部には、各フック部118に1対1で対応させてスリット119が形成されている。スリット119は、基板ボックス102の厚み方向、すなわち表側構成体111と裏側構成体112との並設方向に貫通しており、対応するフック部118を内部に挿入可能となっている。そして、スリット119の内部にはフック部118の先端を係止する図示しない受け部が形成されている。
上記のようにフック部118及び受け部を有する規制手段が設けられていることにより、表側構成体111と裏側構成体112とを一体化させる際には、各スリット119内に対応するフック部118が挿入されるように表側構成体111と裏側構成体112とを組み合わせる。この段階では、表側構成体111と裏側構成体112とは、基板ボックス102の長さ方向(すなわち、長辺部が延びる方向)に相互にずれている。その後、フック部118が対応する受け部に係止されるように、表側構成体111及び裏側構成体112のうちの一方を他方に対して上記長さ方向にスライド移動させる。これにより、各フック部118が対応する受け部に係止され、表側構成体111と裏側構成体112とを基板ボックス102の厚み方向や幅方向(すなわち、短辺部が延びる方向)に離間させようとしてもそれが規制される。
なお、規制手段の構成は上記のものに限定されることはなく、表側周縁部113及び裏側周縁部117のうちの一方にガイド用突条部を形成するとともに、他方にガイド用突条部が嵌り込み可能であり嵌り込んだガイド用突条部を所定の方向のみにスライド移動可能とするガイド用溝部を形成する構成としてもよい。
次に、固定手段について説明する。
基板ボックス102には、図7(a)に示すように、固定手段として、第1の固定領域120と第2の固定領域130とが少なくとも設けられている。第1の固定領域120及び第2の固定領域130のうちの一方は基板ボックス102における一の辺部に対して設けられているとともに、他方は前記一の辺部と対向する辺部に対して設けられている。詳細には、第1の固定領域120は規制手段により規制された方向の両端のうち一方の端部側に設けられているとともに、第2の固定領域130は規制手段により規制された方向の両端のうち他方の端部側に設けられている。より詳細には、第1の固定領域120は一方の短辺部に設けられているとともに、第2の固定領域130は他方の短辺部に設けられている。
第1の固定領域120は、図8及び図9に示すように、表側構成体111に一体形成された表側固定領域121と、裏側構成体112に一体形成された裏側固定領域122と、を備えている。表側固定領域121及び裏側固定領域122は、各構成体111,112の一方の短辺部において当該短辺部の他の部位よりも側方に延出させて形成されており、基板ボックス102の厚み方向に重なり合っている。
表側固定領域121には、短辺部に沿って複数(具体的には、3個)の表側結合部123が並設されているとともに、裏側固定領域122には、それら表側結合部123に1対1で対応させて裏側結合部124が並設されている。これら各組み合わせの表側結合部123及び裏側結合部124はそれぞれ同一の構成を有しているため、以下、一の組み合わせについてその構成を説明する。
表側結合部123には基板ボックス102の厚み方向に貫通する貫通孔が形成されており、裏側結合部124には表側結合部123に向けて開放された有底のネジ孔が形成されている。貫通孔とネジ孔とは連通されており、これら連通された孔部に対して貫通孔側から破断ネジ125が螺着されている。
ここで、破断ネジ125とは、ドライバなどの工具の先端を差込可能な頭部126と、ネジ溝が形成された側との連結部分の強度が低く設定されたものであり、それ以上締めることができない位置において頭部126に対して上記工具によりさらに所定の力を加えることにより、上記連結部分が切断され、頭部126が分離されるものである。つまり、破断ネジ125は、螺着後において、上記工具を用いて緩める方向へ回転させることを不可とするものである。
なお、螺着後において表側結合部123と裏側結合部124との結合を緩めることができないようにすることができるのであれば、両結合部123,124を結合する固定具(結合具)は破断ネジ125に限定されることはなく周知のワンウェイネジであってもよい。また、ネジにより結合される構成に限定されることはなく、裏側結合部124に係止部が設けられているとともに、表側結合部123側から挿入された係止爪が上記係止部に係止され、表側結合部123や裏側結合部124の破壊を要することなく上記係止状態を解除できない構成としてもよい。
表側結合部123及び裏側結合部124の組み合わせは上記のとおり複数組設けられているが、それら全ての組み合わせに対して破断ネジ125による結合が行われている。そして、それら破断ネジ125は全て頭部126が取り外されている。このように表側結合部123及び裏側結合部124が結合されていることにより、表側構成体111と裏側構成体112とが分離不可な状態で相互に固定されている。
図9に示すように、各裏側結合部124はベース側連結部127を介して裏側周縁部117に連結されているとともに、相互連結部128を介して隣り合う裏側結合部124同士が連結されている。これらベース側連結部127及び相互連結部128の周囲には、ニッパやカッタなどといった切断用工具の先端を差込可能な空間が確保されている。これにより、各連結部127,128の切断が可能となっている。特に、各連結部127,128はその強度が、表側結合部123及び裏側結合部124を破壊するとともに破断ネジ125を介した結合を解除する場合よりも切断し易いように設定されている。具体的には、周囲の領域に比べ肉薄に形成されている。これにより、各連結部127,128の切断を行い易くなっている。
ベース側連結部127を切断することにより、裏側結合部124を裏側周縁部117から分離されることとなる。この場合に、表側結合部123及び裏側結合部124が設けられた位置は、基板ボックス102の一の辺部であって、規制手段により規制された状態を解除すべく表側構成体111又は裏側構成体112の一方を他方に対してスライド移動させた場合に、表側結合部123と裏側結合部124との結合痕跡片が、主制御基板101が収容された本体と当接しない位置となっている。これにより、表側結合部123及び裏側結合部124の結合を通じて表側構成体111と裏側構成体112とが固定された状態を解除することができる。
また、仮に、表側構成体111と裏側構成体112との相対位置が元に戻されたとしても、連結部127,128の切断箇所が残ることとなる。したがって、遊技ホールの管理者等にとっては、連結部127,128が切断されているか否かを確認することで、表側結合部123及び裏側結合部124の結合を通じた表側構成体111と裏側構成体112との固定が解除されているか否かを目視確認することができる。
ちなみに、表側結合部123及び裏側結合部124の全ての組み合わせに対して破断ネジ125による結合を行うのではなく、一部の組み合わせに対して破断ネジ125による結合を行う構成においては、遊技ホールの管理者等が主制御基板101の検査やメンテナンスに際して当該結合に伴う固定を解除した後には、未使用の組み合わせに対して破断ネジ125を螺着することで再度固定を行うことが可能となる。このように一部の組み合わせが破断ネジ125により結合されている状況において当該結合に係る固定を解除する上では、ベース側連結部127だけでなく相互連結部128の切断も要する。
なお、上記各連結部127,128が裏側結合部124に対してではなく、表側結合部123に対して設けられていてもよく、両結合部123,124に対して設けられていてもよい。また、上記各連結部127,128を不具備とし、上記結合に係る固定を解除する上では表側結合部123自体や裏側結合部124自体の破壊を要する構成としてもよい。この場合、遊技ホールの管理者等が正規に基板ボックス102を開放させる場合の作業性が低下するものの、依然として、基板ボックス102を固定する機能及び不正開放が行われた場合にはその痕跡を視的効果として残す機能は果たされる。
次に、第2の固定領域130について説明する。
表側構成体111及び裏側構成体112において、表側固定領域121及び裏側固定領域122が設けられた側とは反対側の短辺部には、図7(a)に示すように、第2の固定領域130として、表側固定ベース部131及び裏側固定ベース部132が設けられている。表側固定ベース部131及び裏側固定ベース部132は、各構成体111,112の一方の短辺部において当該短辺部の一部よりも側方に延出させて形成されている。
表側固定ベース部131の側方への張り出し位置と裏側固定ベース部132の張り出し位置とが同一又は略同一となっており、さらに短辺部に沿った方向の寸法も両ベース部131,132において同一又は略同一となっている。表側構成体111及び裏側構成体112が組み合わされた状態において表側固定ベース部131と裏側固定ベース部132とは基板ボックス102の厚み方向に並設され、表側固定ベース部131において裏側固定ベース部132を向く面側の周縁部の全体と、裏側固定ベース部132において表側固定ベース部131を向く面側の周縁部の全体とが相互に当接している。
表側固定ベース部131の表面及び裏側固定ベース部132の表面により、封印シール160の貼付領域が形成されている。なお、封印シール160の詳細については後に説明する。貼付領域は、表側固定ベース部131により構成される表面領域133と、裏側固定ベース部132により構成される裏面領域134と、表側固定ベース部131及び裏側固定ベース部132の両方により構成され、それぞれコーナー部を介して表面領域133及び裏面領域134の両方に連続しこれら両領域133,134の間に介在する側面領域135と、を備えている。
これら表面領域133、裏面領域134及び側面領域135は平面状に形成されている。また、表面領域133において側面領域135との境界側の端部とその反対側の端部との間の寸法は、裏面領域134において側面領域135との境界側の端部とその反対側の端部との間の寸法よりも大きく設定されている。
側面領域135は上記のとおり表側固定ベース部131及び裏側固定ベース部132の両方により構成されているため、当該側面領域135には両ベース部131,132の境界136が存在している。当該境界136は一連の線状に形成されている。ここで、当該境界136は非直線状となっている。かかる構成について以下に詳細に説明する。
図9に示すように、表側固定ベース部131において裏側固定ベース部132と対向する側は、基板ボックス102の幅方向の途中位置にて両端側に比べ表面領域133側に凹んだ段差状に形成されている。つまり、表側固定ベース部131において裏側固定ベース部132と対向する側には、一対の段差壁部141により基板ボックス102の幅方向に挟まれた凹み領域142が形成されている。
表側固定ベース部131に凹み領域142が形成されていることに伴って、裏側固定ベース部132において側面領域135を構成する部位には、基板ボックス102の幅方向の途中位置に当該幅方向の両端側の側面基部143よりも表側固定ベース部131側に突出した突出壁部144が一体形成されている。突出壁部144は凹み領域142の全体を埋めるように形成されているのではなく、凹み領域142において側面領域135側の端部を含む箇所を埋めるように形成されている。
突出壁部144は、裏側固定ベース部132において側面基部143から連続するとともに当該側面基部143から直線状に起立した一対の起立エッジと、これら一対の起立エッジを直線状に結ぶ連結エッジとにより周囲が規定された角形状、より詳細には四角形状となっている。起立エッジの長さ寸法は、表側固定ベース部131における段差壁部141の高さ寸法と同一又は略同一となっており、連結エッジの長さ寸法は、凹み領域142における段差壁部141間の距離と同一又はそれよりも若干短い程度となっている。
表側構成体111と裏側構成体112とが組み合わされた状態において凹み領域142に対して突出壁部144が入り込んでおり、各起立エッジは対応する段差壁部141と近接した位置にて対向しているとともに、連結エッジは凹み領域142の底部と近接した位置にて対向している。したがって、突出壁部144により、凹み領域142は基板ボックス102外側の端部にて閉塞されており、さらに凹み領域142と突出壁部144とが形成された構成において側面領域135は両ベース部131,132の境界を除いて面一又は略面一となっている。
凹み領域142及び突出壁部144が形成されていることにより、側面領域135における表側固定ベース部131と裏側固定ベース部132との境界136は、その途中位置にコーナー部を有する非一直線状となっている。詳細には、図7(b)に示すように、側面領域135外の境界から連続する第1ライン145と、第1ライン145に対して連続し且つ当該第1ライン145に対して交差する方向、より具体的には直交又は略直交する方向に延びる第2ライン146と、第2ライン146に対して連続し且つ当該第2ライン146に対して交差する方向、より具体的には第1ライン145に対して平行又は略平行となる方向に延びる第3ライン147と、第3ライン147に対して連続し且つ当該第3ライン147に対して交差する方向、より具体的には第2ライン146に対して平行又は略平行となる方向に延びる第4ライン148と、第4ライン148に対して連続し且つ当該第4ライン148に対して交差する方向、より具体的には第1ライン145に対して平行又は略平行となる方向に延びる第5ライン149と、を有しており、第5ライン149は側面領域135外の境界に連続している。
つまり、側面領域135における境界136は、その両端側に所定の間隔を隔てて同一直線上に配置された第1ライン145及び第5ライン149を有しているとともに、第1ライン145及び第5ライン149のそれぞれに対してコーナー部を介して連続し相互に対向する一対の第2ライン146及び第4ライン148を有しており、さらに第2ライン146及び第4ライン148を連結する第3ライン147を有している。なお、裏側構成体112には突出壁部144の面方向の強度を強化するために突出壁部144よりも内側において当該突出壁部144に連続するリブが一体形成されている。
表側固定ベース部131及び裏側固定ベース部132には、第1ライン145を形成する領域及び第5ライン149を形成する領域のそれぞれに、結合具により両ベース部131,132の結合を行うための結合部が設けられている。
具体的には、図8及び図9に示すように、表側固定ベース部131において凹み領域142の外側にはその厚み方向に貫通する一対の貫通孔151が形成されており、これら貫通孔151に1対1で対応させて裏側固定ベース部132にはネジ孔152が形成されている。各貫通孔151とそれに対応するネジ孔152とは基板ボックス102の厚み方向に連通されており、それら連通された各組み合わせの貫通孔151及びネジ孔152に対して表側固定ベース部131側から破断ネジ153が螺着されている。そして、各破断ネジ153は螺着後において頭部154が除去されている。これにより、表側固定ベース部131及び裏側固定ベース部132は解除困難な状態で結合されており、当該結合を解除する上では、表側固定ベース部131、裏側固定ベース部132及び破断ネジ153のいずれかの破壊が行われ、その痕跡が残ることとなる。したがって、遊技ホールの管理者等にとってはその痕跡を目視確認することにより、基板ボックス102の不正開放が行われたか否かを確認することができる。
なお、螺着後において表側固定ベース部131と裏側固定ベース部132との結合を緩めることができないようにすることができるのであれば、両ベース部131,132を結合する固定具(結合具)は破断ネジ153に限定されることはなく周知のワンウェイネジであってもよい。また、ネジにより結合される構成に限定されることはなく、裏側固定ベース部132に係止部が設けられているとともに、表側固定ベース部131側から挿入された係止爪が上記係止部に係止され、表側固定ベース部131や裏側固定ベース部132の破壊を要することなく上記係止状態を解除できない構成としてもよい。
表側固定ベース部131及び裏側固定ベース部132には、上記ネジによる結合を通じた固定以外にも、表側構成体111と裏側構成体112との分離を阻止する構造が設けられている。かかる阻止構造について、図10及び図11を参照しながら説明する。図10は図7(b)のA―A線断面図、図11(a),(b)は阻止構造による分離阻止の作用を説明するための説明図である。
図10に示すように、表側固定ベース部131において凹み領域142の底部には裏側固定ベース部132に向けて突出した引っ掛け部155が一体形成されている。引っ掛け部155は、図9に示すように、凹み領域142において一対の段差壁部141間の方向に所定の間隔を隔てて複数(具体的には、2個)設けられている。なお、引っ掛け部155は複数であることに限定されることはなく、1個のみ設けられた構成としてもよい。
各引っ掛け部155は突出壁部144に向けて除々に突出量が増加するように形成されており、各引っ掛け部155はその表面に、突出壁部144に向けて裏側固定ベース部132側へと傾斜したテーパ面156と、突出壁部144の内壁面と対向する端面157と、を備えている。なお、端面157は突出壁部144の内壁面から若干離間されているが、両者が当接している構成としてもよい。
既に説明したように表側構成体111及び裏側構成体112には組み合わせに際しての方向を規制する規制手段が設けられており、表側構成体111と裏側構成体112とを組み合わせる際には、図11(a),(b)に示すように、一方を他方に対して、規制手段により規制された方向であって組み合わせ方向にスライド移動させる必要がある。この場合に、各引っ掛け部155には既に説明したようにテーパ面156が形成されており、さらに表側固定ベース部131及び裏側固定ベース部132が合成樹脂製であり弾性変形可能となっているため、各引っ掛け部155と干渉しながらも表側構成体111と裏側構成体112とを組み合わせることはできる。
一方、各引っ掛け部155には、突出壁部144の内壁面と対向する端面157が形成されているため、表側構成体111と裏側構成体112とが組み合わされている状態において、一方を他方に対して、規制手段により規制された方向であって分離方向にスライド移動させようとしても、端面157と突出壁部144とが当接し、それ以上のスライド移動が阻止される。これにより、表側構成体111及び裏側構成体112は分離困難な状態で固定されており、当該固定を解除する上では、表側固定ベース部131、裏側固定ベース部132及び引っ掛け部155のいずれかの破壊が行われ、その痕跡が残ることとなる。したがって、遊技ホールの管理者等にとってはその痕跡を確認することにより、基板ボックス102の不正開放が行われたか否かを確認することができる。
ここで、引っ掛け部155を直接破壊する上では、表側固定ベース部131と裏側固定ベース部132との境界136から両ベース部131,132の間の空間に差し込んだ切断工具により引っ掛け部155を切断する方法が考えられる。この場合に、引っ掛け部155は上記のとおり凹み領域142に対して設けられており一対の段差壁部141により挟まれているため、境界136において切断工具を挿入する位置は第3ライン147に規制される。
次に、貼付領域に対して貼り付けられる封印シール160について説明する。図12(a)は封印シール160の正面図、図12(b)は封印シール160の裏面図、図13は封印シール160の断面図である。
封印シール160は、図12及び図13に示すように、略矩形状のベースシート161を備えており、ベースシート161の裏面には粘着剤が塗布され粘着層162が形成されている。粘着層162には電子タグ(又はRFIDタグ)としてのICタグ163が埋め込まれている。なお、図13においては、粘着層162に剥離シート164が積層されているが、当該剥離シート164は封印シール160を基板ボックス102に貼り付ける際に剥がされる。
ベースシート161はポリエステル系フィルムなどの可撓性樹脂フィルムにより形成されており適度な脆性を有し、さらに溶剤や熱に対して反応性を有する。具体的には、粘着層162を構成する粘着剤に対して溶解性を備えたトルエンなどがベースシート161に塗布されると、ベースシート161は変色する。また、粘着層162の粘着力が低下する温度(例えば、50℃)以上の熱が加えられた場合にもベースシート161は変色する。これにより、基板ボックス102の貼付領域から封印シール160を不正に剥がそうとして溶剤がかけられたり、熱が加えられたりした場合、ベースシート161が変色することで当該不正行為の痕跡を残すことができる。
ベースシート161の表面には、図12(a)に示すように、インク塗布部165、識別番号部166及び機種情報部167が設けられている。インク塗布部165には、紫外線などといった特定の波長の光が照射されることにより模様が表れる特殊インクが塗布されている。識別番号部166には、複数の数字が記載されており、当該識別番号部166に記載される数字はパチンコ機毎に異なっている。機種情報部167には、当該遊技機の機種名や当該遊技機の製造メーカー名などが記載されている。
粘着層162の粘着剤は、従来の封印シールと同様に、一旦貼り付けされた後に剥がされるとベースシート161から剥がれる程度の粘着力を有している。したがって、封印シール160が剥がされた場合には再度貼り付けすることが不可能なものであり、さらには粘着層162の一部が貼付領域側に残ることとなる。よって、封印シール160を不正に剥がした痕跡を残すことができる。
ICタグ163は、ICチップ171及びアンテナ部材172を備えている。ICチップ171は集積回路として形成されるものであり、制御部及びメモリ領域を有する。メモリ領域は、データ書き換え不可な不揮発性メモリ(ROM)により構成されており、その記憶容量は例えば128bitとなっている。メモリ領域には、識別情報としてのID情報が格納されている。具体的には、製造メーカ名(又は複数のメーカごとに付されたメーカ固有番号)、遊技機固有のID番号が格納されている。ICチップ171のメモリ領域はデータ書き換え不可であるため、ID情報が不正に改ざんされる等の不都合が抑制できるようになっている。
アンテナ部材172は平面矩形状であって比較的薄い(例えば、10〜200μm)長尺状となっており、アルミや銅等の金属の導体箔として形成されている。アンテナ部材172の長手方向(又は長さ方向)のほぼ中央には、ICチップ171が配置されている。かかるICチップ171の配置は、例えば異方導電性フィルムや導電ペーストなどの接着剤によって、ICチップ171の図示しない電極をアンテナ部材172に固定することで行われている。
アンテナ部材172においてICチップ171が配置された位置には、アンテナ部材172の表面から裏面に貫通させてスリット173が形成されている。スリット173は、ICチップ171からアンテナ部材172の長手方向に延びる第1スリット部174と、ICチップ171から上記長手方向に対して交差する方向、具体的には上記長手方向に直交する方向に延び、アンテナ部材172の端部に達する第2スリット部175とからなり、全体としてL字状に形成されている。スリット173は、ICチップ171の内部に形成されている容量素子と結合してICチップ171とアンテナ部材172との間のインピーダンスを整合させるマッチング回路を構成するインダクタとして機能する。この点、スリット173を整合用切り込みと称することができ、さらには当該スリット173が正常に機能しないとICタグ163において正常な通信が不可となる構成に鑑みると通信用整合部又は不可状態発生部と称することができる。
また、アンテナ部材172は共振調整回路としての機能を有しており、アンテナ部材172の長さ寸法は通信特性に重要な影響を与えるものである。最適なアンテナ部材172の長さ寸法は動作条件により変わるが、アンテナ部材172の周囲が空気である場合には、動作周波数のほぼ1/2波長が最適値となり、周囲が誘電体で覆われている場合には誘電体による波長短縮効果があるので、最適長さ寸法はこれより短い大きさとなることが知られている。本パチンコ機10におけるアンテナ部材172の長さ寸法は、動作周波数が一定周波数となるように、約50mmの大きさに設定されている。
ICチップ171のID情報は、制御部によって呼び出されてアンテナ部材172から電波として発信することができるように構成されており、アンテナ部材172から発信された電波を、リーダ装置で受信してID情報を読み取ることができるようになっている。
ICタグ163(アンテナ部材172)は、図12(b)に示すように、ベースシート161においてその一隅部側からその対角方向の隅部側に亘って斜めに配置されている。この場合、長尺状のアンテナ部材172はその長手方向がベースシート161のすべての辺方向と交差することとなる。
封印シール160にはアンテナ用切り込み176が形成されている。アンテナ用切り込み176はベースシート161の表面から粘着層162の表面まで貫通している。なお、粘着層162の表面とは、封印シール160の裏面側において露出している面であり、この点、アンテナ用切り込み176は封印シール160の表面から裏面まで貫通しているとも言える。
アンテナ用切り込み176は、アンテナ部材172の長手方向に対して直交する方向又は略直交する方向に延びる直線状である。ちなみに、アンテナ部材172の長手方向に対して直交する方向又は略直交する方向は、ベースシート161の全ての辺方向と交差する方向となる。
アンテナ用切り込み176は、アンテナ部材172の短手方向において当該アンテナ部材172を間に挟むようにして形成されているとともに、各長辺部側において長手方向に沿って等間隔となるように複数形成されている。各アンテナ用切り込み176は、ベースシート161においてアンテナ部材172の配置されていない領域側を一端として、他端側がアンテナ部材172の配置されている領域に若干かかる構成となっている。この場合に、一方の長辺部側のアンテナ用切り込み176は他方の長辺部側のアンテナ用切り込み176に対して短手方向に並ばないように形成されている。
複数のアンテナ用切り込み176の一部は、アンテナ部材172においてスリット173が形成された領域に対しても隣接させて設けられている。この場合、一方の長辺部側における一部のアンテナ用切り込み176が、アンテナ部材172においてスリット173が形成された領域に対して隣接させて設けられているとともに、他方の長辺部側における一部のアンテナ用切り込み176も、アンテナ部材172においてスリット173が形成された領域に対して隣接させて設けられている。つまり、アンテナ用切り込み176は、少なくともアンテナ部材172においてスリット173が形成された領域を間に挟むようにして形成されている。
封印シール160の4隅には、ベースシート161の表面側から粘着層162の表面まで貫通する隅側切り込み177がそれぞれ形成されている。隅側切り込み177は、封印シール160の隅角に沿うようにしてL字状に形成されている。また、封印シール160の外縁には、外縁端部から内側に向けて多数の外縁切り込み178が形成されている。これら外縁切り込み178は、内側から外側に向けて開くようにして鋭角のV字状となっており、さらに封印シール160の外周に沿って等間隔で形成されている。
上記のようにアンテナ用切り込み176、隅側切り込み177及び外縁切り込み178が形成されていることにより、封印シール160を貼付領域から剥がそうとすると、ベースシート161に破れが生じたり、アンテナ部材172が切断されたりする。かかる作用については、後に説明する。
次に、封印シール160の貼付位置に係る構成について説明する。図14は主制御装置92において封印シール160が貼り付けられた領域及びその周辺を拡大して示す拡大斜視図、図15は貼付領域における封印シール160の位置関係を説明するための説明図である。なお、図15においては、説明の便宜上、隅側切り込み177及び外縁切り込み178を省略している。
図14に示すように、封印シール160は貼付領域に貼り付けられている。この場合、貼付領域において表面領域133、側面領域135及び裏面領域134に亘って封印シール160が配置されるように当該封印シール160はコ字状に曲げて貼り付けられている。封印シール160により、表面領域133の略全体、側面領域135の略全体及び裏面領域134の略全体が覆われている。したがって、表面領域133に形成されている各貫通孔151の開口部及び裏面領域134に形成されている各ネジ孔152の開口部が封印シール160により覆われているとともに、側面領域135における表側固定ベース部131と裏側固定ベース部132との境界136もその略全体が封印シール160により覆われている。
なお、表面領域133における側面領域135との境界側の端部とその反対側の端部との間の距離は、裏面領域134における側面領域135との境界側の端部とその反対側の端部との間の距離よりも長く設定されている。したがって、裏面領域134に比べ表面領域133の面積が広く設定されており、それに伴って封印シール160において裏面領域134を覆う領域よりも表面領域133を覆う領域の方が面積は広い。但し、これに限定されることはなく、表面領域133に比べ裏面領域134の面積を広くしてもよく、両領域133,134の面積を同程度としてもよい。
封印シール160においてアンテナ部材172は、既に説明したとおり、ベースシート161においてその一隅部側からその対角方向の隅部側に亘って配置されているため、封印シール160と同様に、アンテナ部材172も表面領域133、側面領域135及び裏面領域134に亘ってコ字状に曲げて配置されている。
アンテナ部材172と破断ネジ153との位置関係について説明する。
アンテナ部材172における長手方向の一方の端部は、図15に示すように、表面領域133における一の貫通孔151の開口部を跨いでいる。詳細には、アンテナ部材172の短手方向の寸法は貫通孔151の開口部の孔径よりも小さくなっており、さらにアンテナ部材172が貫通孔151の開口部を挟んで当該開口部の周縁部を架渡すように配置されている。このようにアンテナ部材172が配置されていることにより、アンテナ部材172の端部は、破断ネジ153におけるネジ溝側とは反対側の端部と対峙している。但し、破断ネジ153におけるネジ溝側とは反対側の端部が貫通孔151における軸線方向の途中位置に配置されているため、破断ネジ153とアンテナ部材172とは接触していない。
アンテナ部材172において上記開口部を跨ぐ側の端部とは反対側の端部は、裏面領域134における一のネジ孔152の開口部を跨いでいる。この場合に、破断ネジ153におけるネジ溝側の端部がネジ孔152における軸線方向の途中位置に配置されているため、破断ネジ153とアンテナ部材172とは接触していない。
例えば、アンテナ部材172が破断ネジ153に接触すると、設定された動作周波数(例えば、2.45GHz)が変化してしまい、アンテナ部材172を通じた通信が良好に行えなくなるおそれがある。そうすると、ICチップ171に記憶されたID情報をリーダ装置により読み取ろうとしてもそれが行えないおそれがあるが、上記のようにアンテナ部材172と破断ネジ153とが接触していないことにより、上記不都合の発生が抑えられている。
次に、アンテナ部材172と境界136との位置関係について説明する。
アンテナ部材172は、側面領域135を挟み表面領域133から裏面領域134に亘って配置されているため、側面領域135における表側固定ベース部131と裏側固定ベース部132との境界136を跨いでいる。境界136は、既に説明したとおり非一直線状に形成されており、第1ライン145〜第5ライン149が順次連続することで形成されている。アンテナ部材172は、上記第1ライン145〜第5ライン149のうち、第3ライン147を跨いでいる。
つまり、境界136は、封印シール160において相互に対向する一対の第1周縁部(第1辺部)と第2周縁部(第2辺部)との間に亘って配置されているとともに、第1周縁部及び第2周縁部とは異なる周縁部であって相互に対向する一対の第3周縁部(第3辺部)及び第4周縁部(第4辺部)のうち少なくとも一方に向けて延びるラインが生じるように曲がり部が形成されている。
アンテナ部材172においてICチップ171及びスリット173が形成された領域は、貼付領域において第2ライン146と第4ライン148とにより挟まれた領域に対して配置されている。また、ICチップ171は、第1ライン145及び第5ライン149よりも表面領域133側であって第3ライン147よりも裏面領域134側に配置されているのに対して、スリット173は、第1スリット部174のICチップ171側とは反対側の端部が第3ライン147を跨いでいる。
アンテナ部材172が第3ライン147を跨いでいることにより、ベースシート161においてアンテナ用切り込み176が形成されている領域は、第3ライン147よりも表面領域133側に配置されているとともに、第3ライン147よりも裏面領域134側に配置されている。また、第1スリット部174が、第3ライン147を跨いでいることにより、第1スリット部174に向けたアンテナ用切り込み176は、第3ライン147よりも表面領域133側に配置されているとともに、第3ライン147よりも裏面領域134側に配置されている。
ここで、貼付領域は、囲み部180によって囲まれている。
囲み部180について詳細には、図8に示すように、表側構成体111の表側周縁部113において表側固定ベース部131に連続する部分と、表側固定ベース部131の表面領域133との間には表側段差部181が形成されている。また、図9に示すように、裏側構成体112の裏側周縁部117において裏側固定ベース部132に連続する部分と、裏側固定ベース部132の裏面領域134との間には裏側段差部182が形成されている。さらに、表側固定ベース部131には表面領域133及び側面領域135を間に挟むようにして対向する一対の表側突条部183が形成されているとともに、裏側固定ベース部132には側面領域135及び裏面領域134を間に挟むようにして対向する一対の裏側突条部184が形成されており、表側突条部183と裏側突条部184とはそれぞれ同じ側に配置されている同士が境界136を挟んで連続している。
表側段差部181、裏側段差部182、表側突条部183及び裏側突条部184により囲み部180が形成されており、貼付領域は囲み部180によって囲まれている。そして、貼付領域に貼り付けられている封印シール160の周縁はその全体が囲み部180に近接している。これにより、封印シール160を剥がそうとしても、その剥がし行為が非常に困難なものとなっている。
封印シール160の周縁の全体が囲み部180に近接していることにより、封印シール160の貼り付け作業に際しては、封印シール160が囲み部180によって囲まれた領域内からはみ出ないように貼り付けることで、アンテナ部材172と貫通孔151との位置関係、アンテナ部材172とネジ孔152との位置関係及びアンテナ部材172と境界136との位置関係は、自ずと上記のような関係となる。
また、図15に示すように、囲み部180によって囲まれる領域は、封印シール160の面積よりも広くなっている。これにより、封印シール160の貼り付け作業に際しては、貼り付け位置に所定のゆとりが生まれ、貼り付け作業の作業性が向上されている。この場合に、その貼り付け位置のゆとりは、アンテナ部材172と貫通孔151との上記位置関係、アンテナ部材172とネジ孔152との上記位置関係及びアンテナ部材172と境界136との上記位置関係が、自ずと維持される範囲内で設定されている。
次に、上記のように封印シール160が貼り付けられていることによる作用効果について説明する。
基板ボックス102を不正に開放する場合、少なくとも表側固定ベース部131及び裏側固定ベース部132に設けられた固定手段による固定を解除する必要がある。かかる固定を解除する方法としては、封印シール160を貼付領域から剥がすことなく、境界136に沿って封印シール160を切断するとともに、境界136を介して表側固定ベース部131と裏側固定ベース部132との間に所定の工具を挿入し、各破断ネジ153の切断と引っ掛け部155の切断とを行う第1の方法が考えられる。また、この他に、封印シール160を貼付領域から剥がすことで境界136を露出させるとともに、当該境界136を介して表側固定ベース部131と裏側固定ベース部132との間に所定の工具を挿入し、各破断ネジ153の切断と引っ掛け部155の切断とを行う第2の方法が考えられる。以下、第1の方法に対する作用効果及び第2の方法に対する作用効果について順次説明する。
第1の方法で不正開放が行われる場合、上記のとおり、封印シール160は境界136に沿って切断されることとなる。この場合に、境界136が上記のとおり非一直線状に形成されていることにより、境界136に沿って封印シール160を切断する作業が煩雑なものとなる。また、ICタグ163のアンテナ部材172が境界136を跨ぐように配置されているため、境界136に沿って封印シール160が切断された場合、アンテナ部材172が切断されることとなる。そうすると、アンテナ部材172においてICチップ171が配置された側の部分の長さ寸法が短くなり、リーダ装置との間の通信距離が短くなる。また、切断後の長さ寸法によっては通信が不可となる。この場合、リーダ装置によりID情報を正規に読み取ろうとする管理者にとっては、通信がしづらい又は通信ができないことを確認することで、上記不正開放の事実を把握することができる。
また、アンテナ部材172に形成されたスリット173が境界136を跨ぐように配置されているため、境界136に沿って封印シール160が切断された場合、スリット173が形成された箇所を含めて切断されることとなる。そうすると、インピーダンス整合が良好に行われなくなり、通信がしづらくなる又は通信が不可となる。この場合、上記管理者にとっては、リーダ装置を用いた通信がしづらい又は通信ができないことを確認することで、上記不正開放の事実を把握することができる。
第2の方法で不正開放が行われる場合、上記のとおり、封印シール160は貼付領域から剥がされることとなる。かかる剥がし作業に際しては、封印シール160をその隅角から剥がす場合と、封印シール160の一辺に沿う方向に剥がす場合とが想定される。
隅角から剥がす場合、剥がす力に伴う応力が封印シール160の隅側切り込み177や外縁切り込み178に集中するため、封印シール160の破壊が生じ易く、上記管理者にとっては、剥がした後の封印シール160が再貼付されている場合にはその破壊を目視確認することで上記不正開放の事実を把握することが可能となる。
隅角から剥がす場合及び封印シール160の一辺に沿う方向に剥がす場合のいずれであっても、剥がす力に伴う応力がアンテナ用切り込み176の端部に集中することで、アンテナ用切り込み176を介してベースシート161が破壊され、それに伴ってアンテナ部材172が切断される。この場合、上記管理者にとっては、リーダ装置を用いた通信がしづらい又は通信ができないことを確認することで、上記不正開放の事実を把握することができる。
特に、アンテナ部材172においてスリット173が形成された領域の一部は、境界136において対向する一対の第2ライン146と第4ライン148との間の領域に配置されている。また、アンテナ部材172においてスリット173が形成された領域の一部は、第3ライン147よりも裏面領域134側であって、第1ライン145及び第5ライン149よりも表面領域133側に配置されている。したがって、封印シール160を任意の方向であって同一方向に剥がすことで境界136の全てを露出させるためには、封印シール160におけるスリット173が形成されている部分を貼付領域から剥がす必要がある。そして、アンテナ用切り込み176の一部はスリット173に隣接させて形成されているため、境界136を全て露出させる際に、スリット173が形成された箇所においてアンテナ部材172の切断又は破壊が生じることが期待される。そうすると、インピーダンス整合が良好に行われなくなり、通信がしづらくなる又は通信が不可となる。この場合、上記管理者にとっては、リーダ装置を用いた通信がしづらい又は通信ができないことを確認することで、上記不正開放の事実を把握することができる。
また、境界136の形状に沿うようにして剥がす方向を順次変えながら封印シール160を剥がすことも考えられるが、その剥がし行為は煩雑なものとなる。また、この場合、剥がす際に封印シール160に生じる折れ目が複雑なものとなることで封印シール160に大きな負荷がかかり易くなり、それに伴って封印シール160に破れが生じ易くなる。さらには、アンテナ用切り込み176はスリット173を間に挟むようにして形成されており、境界136を基準として表面領域133側及び裏面領域134側の両方にアンテナ用切り込み176が配置されている。したがって、境界136を全て露出させる際に、スリット173が形成された箇所においてアンテナ部材172の切断又は破壊が生じることが期待される。そうすると、インピーダンス整合が良好に行われなくなり、通信がしづらくなる又は通信が不可となる。この場合、上記管理者にとっては、リーダ装置を用いた通信がしづらい又は通信ができないことを確認することで、上記不正開放の事実を把握することができる。
次に、封印シール160のカバー部材93について説明する。図16(a),(b)はそれぞれ異なる方向から見たカバー部材93の斜視図、図17はカバー部材93が主制御装置92に取り付けられている様子を説明するための説明図、図18は主制御装置92においてカバー部材93が取り付けられた部分の断面図である。
カバー部材93は、ポリカーボネートなどといった無色透明の合成樹脂により、図16(a),(b)及び図17に示すように、所定の内部空間185を有する直方体の箱状に形成されており、当該内部空間185を区画形成する複数(具体的には6個)の壁部はカバー部材93の内外に電波が透過可能となっている。カバー部材93の各壁部のうち所定の壁部186には、内部空間185をカバー部材93の外部に開放させる開口部187が形成されている。以下、壁部186を開口用壁部186ともいう。
開口部187は、図16(b)に示すように、開口用壁部186を挟んで対向する一対の壁部188,189のうち一方から他方に亘って形成されており、開口部187の周縁部の一部は各壁部188,189のそれぞれに対して内側に入り込むようにして形成されている。また、開口部187は、開口用壁部186に対して各壁部188,189側とは異なる方向にて隣り合う壁部190と開口用壁部186との境界に沿うようにして形成されている。
カバー部材93の内部空間185は、図18に示すように、封印シール160が貼り付けられた表側固定ベース部131及び裏側固定ベース部132の全体を収容可能な大きさに形成されているとともに、開口部187は表側固定ベース部131及び裏側固定ベース部132の先端側からそれら両ベース部131,132を内部空間185内に差込可能な大きさに形成されている。なお、説明の便宜上、以下の説明では表側固定ベース部131及び裏側固定ベース部132の組み合わせを固定ベース191ともいう。
カバー部材93の両壁部188,189間の距離は固定ベース191において基板ボックス102の幅方向寸法と同一又はそれよりも若干大きく設定されており、これら両壁部188,189には開口部187の周縁部から開口用壁部186側の境界に向けて突出させて爪部192が一体形成されている。当該爪部192は弾性変形可能に形成されている。かかる爪部192に対応させて、図17に示すように、基板ボックス102の表側固定ベース部131の側面には外方に突出させて受け部193が一体形成されている。カバー部材93は、開口部187を介して内部空間185内に固定ベース191が差し込まれるように基板ボックス102に設置されており、その設置に際して爪部192が受け部193にて受けられることで基板ボックス102に固定されている。以下、各壁部188,189を係止用壁部188,189ともいう。
基板ボックス102にカバー部材93が固定されていることにより、固定ベース191の全体がカバー部材93によって囲まれている。これにより、固定ベース191に貼り付けられた封印シール160がカバー部材93により保護されることとなる。例えば、パチンコ機10の出荷時などにはシュリンクフィルムを熱収縮させてパチンコ機10が覆われることとなるが、主制御装置92がパチンコ機10の背面に露出している構成においては、シュリンクフィルムが熱収縮する際の収縮方向への負荷や熱などの封印シール160やICタグ163への影響を抑えることが好ましく、上記のようにカバー部材93が設けられていることにより上記影響を低減することができる。
カバー部材93は既に説明したように無色透明となっているため、上記のようにカバー部材93が設けられた構成において、固定ベース191に貼り付けられた封印シール160をカバー部材93外から目視確認することができる。なお、カバー部材93は無色透明に限定されることはなく、カバー部材93外から封印シール160を目視確認できるようにする上では、封印シール160を目視確認できる程度の透明性を有していればよく、有色透明であってもよい。また、カバー部材93外から封印シール160を目視確認することはできなくなるが、カバー部材93を非透明に形成してもよい。
次に、カバー部材93の各壁部と封印シール160との位置関係について説明する。
図18に示すように、カバー部材93に対して固定ベース191はその全体が収容されており、開口用壁部186は表側構成体111において膨出部114の側面に対して側方から当接している。なお、膨出部114とカバー部材93との間の隙間を少なくする上では上記のとおり膨出部114とカバー部材93とが当接していることが好ましいが、開口用壁部186と膨出部114とが所定の間隔を開けて近接する構成としてもよい。
開口用壁部186と開口部187を挟んで隣り合う壁部190は、既に説明したとおり開口部187が当該壁部190と開口用壁部186との境界に沿うようにして形成されているため、固定ベース191の裏面領域134側と重なり合っている。つまり、壁部190は固定ベース191に貼り付けられている封印シール160と接触している。また、壁部190は封印シール160及びICタグ163の端部よりも固定ベース191の基端側に位置する部位を有している。これにより、カバー部材93の分離に際しては壁部190により封印シール160に外力が付与されることとなる。以下、当該壁部190を重なり壁部190ともいう。また、既に説明したとおり、係止用壁部188,189間の距離は固定ベース191において基板ボックス102の幅方向と同一又はそれよりも若干大きく設定されているため、図17に示すように、これら係止用壁部188,189は固定ベース191の両側面と重なり合っている。
上記構成において、図18に示すように、開口用壁部186は開口部187の位置からその反対側の端部までの長さ寸法が、封印シール160において固定ベース191の表面領域133に貼り付けられた箇所と、重なり壁部190に対して対向する壁部194とが所定の距離を隔てるように設定されている。これにより、封印シール160において表面領域133に貼り付けられた箇所から当該壁部194の表面までの距離がL1となっている。以下、当該壁部194を第1離間壁部194ともいう。ちなみに、封印シール160と第1離間壁部194との間には電波を遮断する部材が設けられていない。
また、重なり壁部190は開口部187の周縁部側の端部からその反対側の端部までの長さ寸法が、封印シール160において固定ベース191の側面領域135に貼り付けられた箇所と、開口用壁部186に対して対向する壁部195とが所定の距離を隔てるように設定されている。これにより、封印シール160において側面領域135に貼り付けられた箇所から当該壁部195の表面までの距離がL2となっている。かかる距離L2は、封印シール160において表面領域133に貼り付けられた箇所から第1離間壁部194までの距離L1よりも短く設定されている。以下、上記壁部195を第2離間壁部195ともいう。ちなみに、封印シール160と第1離間壁部194との間には電波を遮断する部材が設けられていない。
封印シール160に設けられたICタグ163の通信可能距離は、リーダ装置Rから所定の出力強度で呼出波が出力された場合に距離L3となるように設定されている。かかる距離L3は、封印シール160において表面領域133に貼り付けられた箇所から第1離間壁部194の表面までの距離L1及び封印シール160において側面領域135に貼り付けられた箇所から第2離間壁部195の表面までの距離L2よりも大きく設定されている。そして、ICタグ163の通常の通信可能範囲C1には、第1離間壁部194の全体よりも外側が含まれているとともに、第2離間壁部195の全体よりも外側が含まれている。また、既に説明したとおりカバー部材93の各壁部は電波を透過可能に形成されている。したがって、遊技ホールの管理者等はICタグ163からID情報の読み取りを行う場合にカバー部材93を基板ボックス102から取り外すことなく当該読み取り作業を行うことができる。
また、第1離間壁部194の周縁部には、図16(b)及び図18に示すように、開口用壁部186との境界の周縁部を除いて一連の突条部196が一体形成されており、かかる突条部196により区画された区画面197は平面状となっている。この場合、遊技ホールの管理者等はICタグ163からID情報の読み取りを行う場合にリーダ装置Rの先端を上記区画面197に当接又は近接させることで、ID情報の読み取り作業を簡単且つ確実に行うことができる。つまり、区画面197はID情報の読み取り作業に際しての位置決め部として機能する。
特に、主制御装置92においてカバー部材93が設けられた箇所は裏パックユニット15により覆われておらず、さらに上記区画面197はパチンコ機10後方を向いている。したがって、外枠11に対して遊技機本体12をパチンコ機10前方に回動させることで、遊技ホールの管理者等は区画面197に対してリーダ装置Rを容易に近付けることができる。この点からも、ID情報の読み取り作業の作業性の向上が図られている。
ちなみに、図5(a)や図18に示すように、カバー部材93において区画面197の取付台91からの距離は膨出部114における膨出側の面の取付台91からの距離と略同一となっている。つまり、区画面197は膨出部114における膨出側の面に対して略面一となっており、当該面に対して奥まった位置には配置されていない。奥まった位置に区画面197が配置されていると、リーダ装置Rの先端を当接又は近接させようとしてもそれが膨出部114に邪魔されて行いづらくなることが想定されるが、上記構成によればかかる不都合の発生が抑えられる。
次に、基板ボックス102の不正開放の確認に関して上記カバー部材93が設けられたことによる作用について説明する。
既に説明したとおり、基板ボックス102の不正開放が行われた場合には、封印シール160に設けられたICタグ163のアンテナ部材172において何らかの切断が発生することが期待される。そして、アンテナ部材172が切断された場合には、ICタグ163が通信不可となることがある。この場合、遊技ホールの管理者等にとってはリーダ装置Rから呼出波を出力させてもID情報の読み取りを行えないことで、基板ボックス102の上記不正開放が行われたことを把握することができる。
ICタグ163が通信不可とならない場合であってもアンテナ部材172が切断された場合には、ICタグ163の通信可能範囲が狭くなる。この場合に、封印シール160の各アンテナ用切り込み176は、任意のアンテナ用切り込み176からその延びる方向にアンテナ部材172が切断された場合には、図18に示すように、ICタグ163の通信可能距離が、封印シール160において表面領域133に貼り付けられた箇所から第1離間壁部194の表面までの距離L1よりも短いL4となるように形成されている。そうすると、ICタグ163の通信可能範囲C2に区画面197が含まれなくなり、遊技ホールの管理者等がリーダ装置Rを区画面197に位置決めさせた状態でID情報の読み取りを行おうとしてもそれが不可となる。これにより、遊技ホールの管理者等は、基板ボックス102の不正開放が行われたことを把握することができる。
また、遊技ホールの管理者等によっては区画面197にて位置決めさせることなく、例えば第2離間壁部195側からリーダ装置Rをカバー部材93に近付けてID情報の読み取り作業を行うことが考えられる。この場合であっても、アンテナ部材172において切断が発生し、ICタグ163の通信可能距離が上記L4となった場合には、ICタグ163の通信可能範囲に第2離間壁部195が含まれなくなるため、ID情報の読み取りを行おうとしてもそれが不可となる。
ちなみに、図5(b)に示すように、カバー部材93を基準として一方の係止用壁部188側の位置には音声ランプ制御装置66が並設されており、さらに他方の係止用壁部189側の位置には払出制御装置82が配置されている。したがって、遊技ホールの管理者等がいずれかの係止用壁部188,189側からリーダ装置Rを近付けようとしてもそれが規制される。よって、これら係止用壁部188,189が固定ベース191に重なる構成であり、アンテナ部材172に所定の切断が発生した状況で依然として通信可能範囲に係止用壁部188,189が含まれるとしても問題は生じない。
同様に、図5(b)に示すように、カバー部材93を基準として重なり壁部190側の位置には取付台91及び遊技盤33が位置している。したがって、遊技ホールの管理者等が重なり壁部190側からリーダ装置Rを近付けようとしてもそれが規制される。よって、重なり壁部190が固定ベース191に重なる構成であり、アンテナ部材172に所定の切断が発生した状況において通信可能範囲に重なり壁部190が含まれるとしても問題は生じない。
次に、パチンコ機10の電気的構成について、図19のブロック図に基づいて説明する。図19では、電力の供給ラインを二重線矢印で示し、信号ラインを実線矢印で示す。
主制御装置92に設けられた主制御基板101には、主制御回路202と停電監視回路203とが内蔵されている。主制御回路202には、CPUチップ103が搭載されている。CPUチップ103には、当該CPUチップ103により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM205と、そのROM205内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM206と、割込回路やタイマ回路、データ入出力回路などの各種回路が内蔵されている。
CPUチップ103には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。CPUチップ103の入力側には、主制御基板101に設けられた停電監視回路203、払出制御装置82に設けられた払出制御基板211及びその他図示しないスイッチ群などが接続されている。この場合に、停電監視回路203には電源及び発射制御装置83に設けられた電源及び発射制御基板215が接続されており、CPUチップ103には停電監視回路203を介して電力が供給される。
一方、CPUチップ103の出力側には、停電監視回路203、払出制御基板211及び中継端子板219が接続されている。払出制御基板211には、賞球コマンドなどといった各種コマンドが出力される。中継端子板219を介して主制御回路202から音声ランプ制御装置66に設けられた音声ランプ制御基板221に対して各種コマンドなどが出力される。
停電監視回路203は、主制御回路202と電源及び発射制御基板215とを中継し、また電源及び発射制御基板215から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視する。
払出制御基板211は、払出装置78により賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU212は、そのCPU212により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM213と、ワークメモリ等として使用されるRAM214とを備えている。
払出制御基板211のCPU212には、入出力ポートが設けられている。CPU212の入力側には、主制御回路202、電源及び発射制御基板215、及び裏パック基板が接続されている。また、CPU212の出力側には、主制御回路202及び裏パック基板が接続されている。
電源及び発射制御基板215は、電源部216と発射制御部217とを備えている。電源部216は、例えば、遊技場等における商用電源(外部電源)に接続されている。そして、その商用電源から供給される外部電力に基づいて主制御回路202や払出制御基板211等に対して各々に必要な動作電力を生成するとともに、その生成した動作電力を二重線矢印で示す経路を通じて主制御回路202や払出制御基板211等に対して供給する。発射制御部217は、遊技球発射機構50の発射制御を担うものであり、遊技球発射機構50は所定の発射条件が整っている場合に駆動される。
音声ランプ制御基板221は、表示制御装置225を制御するものである。演算装置であるCPU222は、そのCPU222により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM223と、ワークメモリ等として使用されるRAM224とを備えている。
音声ランプ制御基板221のCPU222には入出力ポートが設けられている。CPU222の入力側には中継端子板219に中継されて主制御回路202が接続されており、主制御回路202から出力される各種コマンドに基づいて、表示制御装置225を制御する。表示制御装置225は、音声ランプ制御基板221から入力する表示コマンドに基づいて図柄表示装置41を制御する。
次に、ICタグ163からID情報を読み取ることに基づく不正行為の有無の確認作業について説明する。図20は上記パチンコ機10が多数設置された遊技ホールHの概略図である。
図20において、遊技ホールHに設置された各パチンコ機10には各々、前述したとおり主制御装置92にICタグ163が取り付けられている。リーダ装置Rは、ハンディタイプのリーダであり、ICタグ163から非接触の状態でID情報の読み取りが可能となっている。この場合、既に説明したように、ID情報の読み取りに際しては、外枠11に対して遊技機本体12が開放され、カバー部材93の区画面197に対してリーダ装置Rの先端を当接又は近接させた状態で当該読み取り作業が行われる。
また、管理コンピュータHCは、パチンコ機10の管理プログラムを有する電子演算装置であり、リーダ装置Rに接続されることで同リーダ装置Rの読み取り情報を読み込むことができるようになっている。図20中、符号DCは、遊技ゲーム数や大当たり回数などを表示するためのデータカウンタであり、同データカウンタDCには、遊技ホールHにおいてパチンコ機10ごとの台番号が付されている。
以上の構成において、リーダ装置Rにより各パチンコ機10のICタグ163からID情報を読み取ると、その読み取り結果は管理コンピュータHCにおいて入力されて収集される。この場合に、リーダ装置RからはID情報とともにそのID情報の出力元のパチンコ機10を特定する固有情報(台番号等)が合わせて出力される。つまり、リーダ装置Rを操作する作業者はID情報の読み取りを開始する際にその読み取りを開始するパチンコ機10の固有情報をリーダ装置Rに入力し、その入力した固有情報は読み取ったID情報とともに管理コンピュータHCに出力される。
管理コンピュータHCには、パチンコ機10の固有情報と対応づけて管理用のID情報が登録された管理データが記憶されている。そして、管理コンピュータHCでは、入力した固有情報に基づいて管理用のID情報を読み出し、その管理用のID情報と入力したID情報とを比較し、その比較結果を記憶するとともに、その比較結果を管理コンピュータHCに備え付けられた表示装置にて表示する。これにより、主制御装置92に対する不正行為として、主制御装置92の不正な装置への交換や、基板ボックス102を開封して行う不正な制御基板又は不正なチップへの交換などを行った後に、ID情報を発信可能な不正なICタグを取り付ける不正行為が行われたとしても、それを発見することが可能となる。
また、リーダ装置Rから呼出波を出力したにも関わらず、所定時間経過しても当該リーダ装置Rにて応答波を受信しない場合には、その旨の情報を管理コンピュータHCに出力するようにしてもよい。そして、管理コンピュータHCでは、応答波を受信しない旨をそのパチンコ機10を特定した態様で記憶するとともに、表示装置にて表示する。これにより、主制御装置92の不正な装置への交換や、基板ボックス102を開放して行う不正な制御基板又は不正なチップへの交換などを行った後に、不正なICタグを取り付けない不正行為が行われたとしても、それを発見することが可能となる。
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
主制御装置92の基板ボックス102にICタグ163付きの封印シール160が貼り付けられていることにより、遊技ホールの管理者等はICタグ163から正規の識別情報を受信することができるか否かを確認することで、主制御装置92を好適に管理することができる。
本構成において、基板ボックス102の不正開放が行われた場合には、封印シール160に設けられたICタグ163のアンテナ部材172において何らかの切断が発生することが期待される。そして、アンテナ部材172が切断された場合には、ICタグ163が通信不可となることがある。この場合、遊技ホールの管理者等にとってはリーダ装置Rから呼出波を出力させてもID情報の読み取りを行えないことで、基板ボックス102の上記不正開放が行われたことを把握することができる。
また、アンテナ部材172に長さ方向の途中位置において切断が生じた場合には、ICタグ163において通信が可能であるが、通信可能距離が短くなることが想定される。この場合、リーダ装置Rによる読み取り作業が短縮後の通信可能距離外にて行われれば当該読み取り作業を通じて不正行為の事実を認識することができるが、読み取り作業が短縮後の通信可能距離内にて行われれば当該読み取り作業を通じて不正行為の事実を認識することができない。
これに対して、本構成によれば、基板ボックス102にはカバー部材93が設けられており、ICタグ163に対して少なくとも特定の向きからリーダ装置Rによる識別情報の読み取りを行う場合の読み取り位置がICタグ163から予め定められた距離以上離れた位置となるように制限されている。これにより、遊技ホールの管理者等においてICタグ163に対して特定の向きからリーダ装置Rによる読み取り作業を行うように決めておけば、アンテナ部材172に切断が生じて通信可能距離が短くなった場合には、リーダ装置RにてID情報を読み取ることができない事実を把握することで基板ボックス102の不正開放が行われた可能性があることを認識することができる。
また、本構成によれば、カバー部材93を設けるという比較的な構成により上記効果を奏することができる。また、遊技ホールの管理者等にとってはリーダ装置Rをカバー部材93の区画面197に当接又は近接させることで、ICタグ163に対してリーダ装置Rが予め定められた距離以上離れた状態となる。よって、ID情報の読み取り作業の作業性を向上させながら上記効果を奏することができる。
また、カバー部材93により封印シール160を保護する機能が果たされるとともに、封印シール160にアクセスしづらくする機能が果たされる。つまり、カバー部材93を設けることにより、様々な効果を同時に奏することができる。
アンテナ部材172にインピーダンス整合用のスリット173が形成されているとともに、ベースシート161にスリット173に向けて延びるアンテナ用切り込み176が形成されている。これにより、基板ボックス102を不正に開放させるべく封印シール160が剥がされた場合にはアンテナ用切り込み176を通じて、アンテナ部材172においてスリット173が形成された領域が破壊又は切断されることが期待される。そして、スリット173が形成された領域が破壊又は切断された場合にはアンテナ部材172とICチップ171との間でインピーダンス整合が良好に行われなくなり、ICタグ163が通信不可となる。これにより、遊技ホールの管理者等にとってはID情報の読み取り作業を行えないことを把握することで容易に不正行為の発生を認識することができる。
また、封印シール160は、アンテナ部材172においてスリット173が形成された領域(以下、スリット領域ともいう)が境界136を跨ぐようにして貼り付けられている。これにより、封印シール160が境界136に沿って切断された場合にはそれに伴ってスリット領域が破壊又は切断されることとなり、遊技ホールの管理者等にとってはID情報の読み取り作業を行えないことを把握することで容易に不正行為の発生を認識することができる。また、境界136を露出させるために封印シール160が剥がされた場合であっても、境界136の全体を露出させるためには封印シール160においてスリット173が配置された領域を剥がす必要が生じる。そうすると、アンテナ用切り込み176を通じたスリット領域の破壊又は切断が期待され、遊技ホールの管理者等にとってはID情報の読み取り作業を行えないことを把握することで容易に不正行為の発生を認識することができる。
また、スリット領域に向けて延びるアンテナ用切り込み176のうちの一部が境界136を跨ぐようにしてアンテナ部材172が配置されている。また、スリット領域に向けて延びるアンテナ用切り込み176のうちアンテナ部材172の一方の長辺部側に形成されたものと他方の長辺部側に形成されたものとで境界136の一部を間に挟むようにして封印シール160が配置されている。これにより、封印シール160において境界136を挟んで対向する両対向端部のうちいずれから封印シール160が剥がされたとしても、アンテナ用切り込み176を通じたスリット領域の破壊又は切断が生じ得る。よって、境界136を露出させるべく封印シール160が剥がされた場合にはスリット領域の破壊又は切断が生じ易くなる。
ちなみに、アンテナ用切り込み176がアンテナ部材172において一方の長辺部側に形成されているとともに他方の長辺部側に形成されていることにより、封印シール160が剥がされた場合にアンテナ用切り込み176を通じたスリット領域の破壊又は切断が生じ易くなっている。
また、各アンテナ用切り込み176は、ベースシート161においてアンテナ部材172の配置されていない領域側を一端として、他端側がアンテナ部材172の配置されている領域に若干かかるように形成されている。これにより、アンテナ用切り込み176を通じて封印シール160が破れた場合には、その破れ領域は封印シール160においてスリット領域に容易に達するため、アンテナ用切り込み176を通じたスリット領域の破壊又は切断が生じ易くなる。
また、アンテナ用切り込み176はベースシート161に形成されておりアンテナ部材172には形成されていない。さらに、アンテナ部材172の一方の長辺部側に形成されたアンテナ用切り込み176と他方の長辺部側に形成されたアンテナ用切り込み176とがアンテナ部材172の幅方向に並ばないように形成されている。これにより、アンテナ用切り込み176を通じてスリット領域が破壊又は切断され易くなるようにした構成において、封印シール160を貼付領域に正規に貼り付ける際に誤ってスリット領域が破壊又は切断されてしまう可能性が低減される。
封印シール160が貼り付けられる貼付領域において、表側固定ベース部131と裏側固定ベース部132との境界136は曲がり部を有するように形成されている。境界136を跨ぐように封印シール160が貼り付けられた構成においては、基板ボックス102を開放させる際には境界136を露出させるべく、境界136に沿って封印シール160を切断する又は封印シール160を剥がす必要が生じる。これに対して、境界136は曲がり部を有するように形成されているため、当該境界136に沿って封印シール160を切断すると、境界136が一直線状である構成に比べ切断領域が広範囲になるとともに切断作業も行いづらくなる。その一方、封印シール160を剥がそうとすると、剥がしている途中にて封印シール160が破れてしまうことが考えられ、封印シール160が破れた場合にはそれに伴ってアンテナ部材172が切断されることが期待される。よって、本構成によれば、ICタグ163付きの封印シール160を貼り付けることによる不正発見効果が高められる。
表側固定ベース部131の凹み領域142には引っ掛け部155が形成されており、表側構成体111と裏側構成体112とを分離させるべく規制手段により規制された方向に両構成体111,112をスライド移動させた場合には引っ掛け部155が裏側固定ベース部132の突出壁部144に当接することで当該スライド移動が阻止される。これにより、表側構成体111と裏側構成体112とを分離して所定の不正を行おうとしてもそれが難しくなる。そして、凹み領域142に突出壁部144が入り込むことで境界136に曲がり部が生じている。つまり、本構成によれば表側構成体111と裏側構成体112との分離を阻止する構成を利用して、境界136に曲がり部を生じさせることができる。
<第2の実施の形態>
本実施の形態では、リーダ装置によるID情報の読み取り位置をICタグの位置から所定の距離だけ確実に離間させるための構造が上記第1の実施の形態と異なっている。かかる相違する構成について、図21を用いて説明する。図21は主制御装置230においてカバー部材239が取り付けられた側の構成及びその周辺の構成を説明するための説明図である。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成については、図21において同一の番号を付すとともに基本的に説明を省略する。
主制御装置230は、上記第1の実施の形態における主制御装置92と同様に、取付台91を介して遊技盤33に搭載されている。主制御装置230は、表側構成体231と裏側構成体232とが組み合わされてなる基板ボックス233を備えており、当該基板ボックス233に主制御基板が収容されている。
基板ボックス233には、上記第1の実施の形態における基板ボックス102と同様に、表側固定ベース部234と裏側固定ベース部235とが組み合わされてなる固定ベース236が設けられており、当該固定ベース236には両ベース部234,235の境界を跨ぐようにして封印シール237が貼り付けられている。封印シール237は、ICタグ238を備えている。これら封印シール237及びICタグ238の構成は、上記第1の実施の形態における封印シール160及びICタグ163と同様である。
基板ボックス233には、封印シール237の周囲を囲むようにしてカバー部材239が取り付けられている。カバー部材239は、上記第1の実施の形態におけるカバー部材93と同様に、所定の内部空間240が形成された箱状に形成されており、封印シール237が貼り付けられた固定ベース236が当該内部空間240に収容されている。
ここで、カバー部材239は、上記第1の実施の形態におけるカバー部材93と異なり、全ての壁部が電波を透過可能に形成されているのではなく、一部の壁部のみが電波を透過可能に形成されている。具体的には、カバー部材239において遊技盤33側を向く面を形成する透過可能壁部241を除いた各壁部242は電波の透過を防止又は抑制するシールド性を有するように形成されている。当該シールド性を有するようにするための具体的な構成は任意であるが、例えば、上記壁部242を電磁シールド性の高い金属材料により形成する構成や、電磁シールド性の低い材料により壁部242のベースを形成するとともに当該ベースに対して電磁シール性の高い材料によるコーティングを施す構成が考えられる。
上記のようにカバー部材239が設けられていることにより、ICタグ238の通常の通信可能な範囲C1は、透過可能壁部241側、つまり遊技盤33側に規制される。遊技盤33は電波を透過可能な材料、具体的には木材により形成されている。また、遊技盤33の表面においてカバー部材239のパチンコ機10前方に位置する部位には、パチンコ機10の製造情報などが記載された証紙を貼り付けるための台座243が設けられており、当該台座243において証紙が貼り付けられる貼付面244は平面状となっている。そして、これら台座243及び証紙は電波を透過可能となっているとともに、台座243とICタグ238との間に電波を遮断する部材が設けられていない。
ICタグ238の通信可能範囲には、台座243の貼付面244の全体が含まれているとともに、台座243よりもパチンコ機10前方の空間が含まれている。したがって、遊技ホールの管理者等は、ID情報の読み取り作業に際して、前扉枠14を開放させることで遊技盤33の表面を露出させ、リーダ装置Rの先端を上記貼付面244又は貼付面244に貼り付けられた証紙に当接又は近接させることで、ID情報の読み取り作業を簡単且つ確実に行うことができる。つまり、貼付面244はID情報の読み取り作業に際しての位置決め部として機能する。
以上のとおり本実施の形態では、ID情報の読み取り作業は、遊技機本体12の背面側からではなく遊技機本体12の正面側から行われる。
本実施の形態のICタグ238は上記第1の実施の形態におけるICタグ163と同様の構成を有しているため、基板ボックス233の不正開放が行われた場合にはICタグ238のアンテナ部材238aにおいて何らかの切断が発生することが期待される。そして、アンテナ部材238aが切断された場合には、ICタグ238が通信不可となることがある。この場合、遊技ホールの管理者等にとってはリーダ装置Rから呼出波を出力させてもID情報の読み取りを行えないことで、基板ボックス233の不正開放が行われたことを把握することができる。
ICタグ238が通信不可とならない場合であってもアンテナ部材238aが切断された場合には、ICタグ238の通信可能範囲が狭くなる。この場合に、ICタグ238の通信可能範囲C2に貼付面244が含まれなくなることで、遊技ホールの管理者等がリーダ装置Rを貼付面244に位置決めさせた状態でID情報の読み取りを行おうとしてもそれが不可となる。
特に、カバー部材239は透過可能壁部241以外の壁部242が電波の透過を防止又は抑制するシールド性を有しているため、遊技機本体12の背面側からID情報の読み取りを行おうとしてもそれが不可となり、読み取り位置が上記貼付面244側に確実に規制される。したがって、アンテナ部材238aが切断された場合には、リーダ装置RによりID情報の読み取り作業が行えなくなる状況が発生し易くなり、それに伴って基板ボックス102の不正開放の発見を行い易くなる。
なお、リーダ装置RによるID情報の読み取り位置が遊技盤33の表面側にて位置決めされる構成に代えて、ICタグ238の通常の通信可能範囲が上記のものよりも広範囲である構成においては、前扉枠14の表面側にて位置決めされる構成としてもよい。この場合、遊技ホールの管理者等が、本来なら前扉枠14の表面側からID情報の読み取り作業を行うはずなのに、遊技盤33の表面側からID情報の読み取り作業を行うと、ICタグ238の通信可能範囲が狭くなっていてもID情報の読み取りが行えてしまうという状況が発生するおそれはあるが、ID情報の通常の読み取り作業に際して前扉枠14の開放作業を要しない点で、ID情報の読み取り作業の作業性を向上させることができる。
<第3の実施の形態>
本実施の形態では、固定ベース191における表側固定ベース部131と裏側固定ベース部132との境界136に対するICタグ163のアンテナ部材172の位置関係が上記第1の実施の形態と異なっている。かかる相違する構成について、図22を用いて説明する。図22は境界136とアンテナ部材172との位置関係を説明するための説明図である。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成については、図22において同一の番号を付すとともに基本的に説明を省略する。
境界136は、上記第1の実施の形態と同様に、非一直線状に形成されており、第1ライン145〜第5ライン149が順次連続することで形成されている。アンテナ部材172は、上記第1の実施の形態と同様に、境界136を跨ぐようにして配置されているが、上記第1の実施の形態と異なり一のラインではなく複数のライン147〜149を跨いでいる。具体的には、アンテナ部材172は第3ライン147と、第4ライン148と、第5ライン149とを跨いでいる。この場合に、アンテナ部材172において第3ライン147を跨ぐ領域にはスリット173が形成されている。
上記構成によれば、基板ボックス102の不正開放を行うべく封印シール160を境界136に沿って切断した場合には上記第1の実施の形態よりも多い箇所においてアンテナ部材172の切断が発生することが期待される。また、基板ボックス102の不正開放を行うべく固定ベース191から封印シール160を剥がした場合には、封印シール160におけるアンテナ部材172が配置された領域において境界136を露出させるために固定ベース191から剥がすことを要される領域が広くなる。そうすると、アンテナ用切り込み176を通じてアンテナ部材172の切断が発生する箇所が多くなることが期待される。
上記のようにアンテナ部材172の切断が発生する箇所が多くなると、それだけ不正後におけるアンテナ部材172の長さ寸法が小さくなる。そうすると、不正後において通信可能範囲を通常の範囲からより大きく狭めることが可能となり不正発見を行い易くなる。
ちなみに、アンテナ部材172においてスリット173が形成された領域が境界136を跨いでおり、さらにスリット173を間に挟むようにして形成された各長辺部側のアンテナ用切り込み176は境界136を挟んだ両側に配置されている。したがって、基板ボックス102の不正開放を行うべく封印シール160が切断された場合や固定ベース191から剥がされた場合には、アンテナ部材172においてスリット173が形成された領域にて切断や破壊が発生し、通信が不可となることが期待される。
なお、上記構成においてアンテナ部材172が境界136を跨ぐ箇所を3箇所ではなく、2箇所としてもよく、4箇所以上としてもよい。
<第4の実施の形態>
本実施の形態では、固定ベース191における両ベース部間の境界の形状が上記第1の実施の形態と異なっている。かかる相違する構成について、図23を用いて説明する。図23は境界253とアンテナ部材172との位置関係を説明するための説明図である。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成については、図23において同一の番号を付すとともに基本的に説明を省略する。
固定ベース191を構成する両固定ベース部251,252の境界253は、上記第1の実施の形態における境界136と同様に、非一直線状に形成されている。但し、当該境界253は、上記第1の実施の形態における境界136よりもラインの数が少なく形成されている。具体的には、側面領域254外の境界から連続する第1ライン255と、第1ライン255に対して連続し且つ当該第1ライン255に対して交差する方向、より具体的には直交又は略直交する方向に延びる第2ライン256と、第2ライン256に対して連続し且つ当該第2ライン256に対して交差する方向、より具体的には第1ライン255に対して平行又は略平行となる方向に延びる第3ライン257と、を有しており、第3ライン257は側面領域254外の境界に連続している。
ICタグ163を有する封印シール160は、ICタグ163のアンテナ部材172が第3ライン257を跨ぐようにして配置されている。この場合、アンテナ部材172においてスリット173が形成された領域は第3ライン257を跨いでいないが、当該スリット173が形成された領域は第3ライン257よりも裏面領域258側であって第1ライン255よりも表面領域259側の範囲に少なくとも一部が、具体的には全体が含まれている。これにより、基板ボックス102の不正開放に際して境界253の全体を露出させるべく封印シール160を同一方向に剥がした場合にはスリット173が形成された領域も剥がされることとなる。そうすると、アンテナ部材172においてスリット173が形成された領域が、スリット173に向けて形成されたアンテナ用切り込み176を通じて切断又は破壊されることが期待される。
また、スリット173を間に挟むようにして形成された各長辺部側のアンテナ用切り込み176は第3ライン257を挟んだ両側に配置されている。したがって、基板ボックス102の不正開放に際して境界253の全体を露出させるべく方向を随時変えながら封印シール160を引き剥がした場合であっても、アンテナ部材172においてスリット173が形成された領域が、スリット173に向けて形成されたアンテナ用切り込み176を通じて切断又は破壊されることが期待される。
<第5の実施の形態>
ICタグ163に対して特定の向きからID情報の読み取りを行う場合に読み取り位置がICタグ163から予め定められた距離以上となるように制限することで不正行為を良好に発見できるという特徴に着目した場合又はアンテナ部材172に不可状態発生部としてスリット173が形成されているとともに当該スリット173に対してアンテナ用切り込み176が形成されていることで不正行為を良好に発見できるという特徴に着目した場合、図24に示す構成としてもよい。以下、図24の構成について説明する。図24は境界263とアンテナ部材172との位置関係を説明するための説明図である。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成については、図24において同一の番号を付すとともに基本的に説明を省略する。
固定ベース191を構成する両固定ベース部261,262の境界263は、上記第1の実施の形態における境界136と異なり、一直線状に形成されている。ICタグ163を有する封印シール160は、ICタグ163のアンテナ部材172においてスリット173が形成された領域が境界263を跨ぐようにして配置されている。これにより、基板ボックス102の不正開放に際して境界263に沿って封印シール160を切断した場合にはスリット173が形成された領域も切断されることとなる。
また、スリット173を間に挟むようにして形成された各長辺部側のアンテナ用切り込み176は境界263を挟んだ両側に配置されている。したがって、基板ボックス102の不正開放に際して境界263の全体を露出させるべく封印シール160を剥がす場合の方向がいずれの方向であったとしても、アンテナ部材172においてスリット173が形成された領域が、スリット173に向けて形成されたアンテナ用切り込み176を通じて切断又は破壊されることが期待される。
<第6の実施の形態>
本実施の形態では、主制御装置281の構成が上記第1の実施の形態と異なっている。以下に、その相違する構成について説明する。図25は本実施の形態における主制御装置281の構成を示す斜視図、図26は主制御装置281において封印シール160が設けられた部分の構成を説明するための分解斜視図である。なお、上記第1の実施の形態と同一の構成については同一の番号を用いるとともに、その説明を基本的に省略する。
主制御装置281は、上記第1の実施の形態における主制御装置92と同様に、主制御基板101を収容する基板ボックス282を備えている。基板ボックス282は、図25に示すように、複数のケース体として、表側構成体(ボックスカバー)283と裏側構成体(ボックスベース)284とを備えている。これら表側構成体283及び裏側構成体284が組み合わされることにより、基板ボックス282は主制御基板101を収容するための内部空間を有する四角箱状に形成されている。
表側構成体283及び裏側構成体284は、上記第1の実施の形態における基板ボックス102と同様に、基板ボックス282内に収容された主制御基板101の素子搭載面106及び半田面107を基板ボックス282外から視認可能なように透明性を有する材料(例えば、ポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂)により形成されている。また、表側構成体283及び裏側構成体284は共に、正面視で略四角形状、具体的には略長方形状をなすように形成されている。
表側構成体283及び裏側構成体284には、両構成体283,284を分離させて基板ボックス282の内部空間を開放させる場合に、両構成体283,284の一方に対して他方を開放用の分離方向へスライド移動させる必要が生じるようにするための規制手段が設けられている。当該規制手段は、上記第1の実施の形態と同様に、複数のフック部285と、当該フック部285を受けるフック受け部286とから構成されている(フック部285及びフック受け部286については図27を参照)。本基板ボックス282では、上記第1の実施の形態における基板ボックス102と異なり、フック部285が表側構成体283における相互に対向する長辺部に設けられているとともに、フック受け部286が裏側構成体284における相互に対向する長辺部に設けられている。
上記規制手段によって、両構成体283,284を分離させて基板ボックス282の内部空間を開放させる場合には、両構成体283,284の一方に対して他方を基板ボックス282の長手方向の一方に向けてスライド移動させる必要が生じる。また、当該スライド移動は、フック部285がフック受け部286に当接することでそれ以上の移動が規制され、その後は、フック部285がフック受け部286内に入り込んだ状態を解除するために両構成体283,284を基板ボックス282の厚み方向に分離させる必要がある。
基板ボックス282における一対の短辺部の一方には、固定領域287が設けられている。当該固定領域287には、表側構成体283及び裏側構成体284を相互に結合するとともに、その結合の解除に際して一部の破壊を要する結合部288が複数形成されている。
結合部288は、表側構成体283に形成された表側結合部と、裏側構成体284に形成された裏側結合部とからなり、両結合部が重ね合わせられて形成された結合用の孔部に対して破断ネジ、ワンウェイネジ又は係止爪部材が装着されていることにより、結合状態となっている。当該結合状態を解除するためには、結合部288を形成する壁部や、結合部288と基板ボックス282の本体部分とを連結する連結部を破壊する必要が生じ、この破壊の痕跡によって基板ボックス282の内部空間の開放操作が行われたことを目視確認することが可能である。
表側構成体283及び裏側構成体284において、固定領域287が設けられた側とは逆側の短辺部には、図26に示すように表側固定ベース部291及び裏側固定ベース部292が設けられている。表側固定ベース部291及び裏側固定ベース部292は、主制御基板101を収容するための本体部分から側方に延出させて一体形成されている。なお、これら固定ベース部291,292が設けられた側は、上記規制手段により規制された開放用の分離方向に表側構成体283をスライド移動させる場合の移動先側となっているが、これとは逆に裏側構成体284をスライド移動させる場合の移動先側であってもよい。
表側構成体283及び裏側構成体284が組み合わされた状態において表側固定ベース部291と裏側固定ベース部292とが基板ボックス282の厚み方向に並設され、略直方体形状をなす貼付ベース293が形成されている。貼付ベース293の表面により、ICタグ163を有する封印シール160を貼り付けるための貼付領域294が形成されている。
貼付領域294は、表側固定ベース部291により構成される表面領域295と、裏側固定ベース部292により構成される図示しない裏面領域と、表側固定ベース部291及び裏側固定ベース部292の両方により構成され、それぞれコーナー部を介して表面領域295及び裏面領域の両方に連続しこれら表面領域295及び裏面領域の間に介在する側面領域296と、を備えている。これら表面領域295、裏面領域及び側面領域296は平面状に形成されている。
側面領域296は上記のとおり表側固定ベース部291及び裏側固定ベース部292の両方により構成されているため、当該側面領域296には両固定ベース部291,292の境界297が存在している。ここで、当該境界297が生じる構成について、図26に加えて図27を参照しながら詳細に説明する。図27は貼付ベース293及びその周辺を拡大して示す分解斜視図である。
図27に示すように、表側固定ベース部291は、表面領域295及び側面領域296の一部を構成する表側貼付用板部301を備えているとともに、当該表側貼付用板部301を間に挟むようにして形成された一対の表側対向板部302,303を備えている。両表側対向板部302,303は、少なくとも裏側固定ベース部292に向けて突出している。
一方、裏側固定ベース部292は、裏面領域を構成する裏側貼付用板部304を備えているとともに、当該裏側貼付用板部304において裏面領域側とは反対側から表側貼付用板部301側に向けて突出した台座部305を備えている。台座部305は、裏側貼付用板部304を間に挟むようにして形成された一対の裏側対向板部306,307間に亘って形成されている。台座部305は、図26に示すように、表側対向板部302,303間に入り込むように突出しており、当該台座部305の突出側の端面は表側貼付用板部301において表面領域295側とは反対側の面に近接している。但し、両者は当接しておらず、所定の隙間が形成されている。
台座部305における基板ボックス282外側の側面は、表側貼付用板部301の突出側の端面に対して、上記所定の隙間を挟んで同一面上に位置しており、これら側面及び端面により側面領域296が形成されている。また、上記所定の隙間によって台座部305と表側貼付用板部301との間には所定の空間が形成されているとともに、当該空間は側面領域296上における台座部305と表側貼付用板部301との境界297によって側方に開放されている。
台座部305と表側貼付用板部301との間の空間には、封印シール160及びICタグ163を切断するための破壊用部材311が設けられている。この破壊用部材311について、図26及び図27に加え、図28及び図29を適宜参照しながら以下に詳細に説明する。
図28(a)は破壊用部材311の裏面図、図28(b)は裏面側から見た破壊用部材311の斜視図である。また、図29(a)は貼付ベース293及びその周辺を拡大して示す分解斜視図、図29(b)は貼付ベース293及びその周辺を拡大して示す側面図である。
破壊用部材311は、合成樹脂により一体形成されている。また、破壊用部材311は、図27及び図28(a),(b)に示すように、台座部305と表側貼付用板部301との間の空間に入り込み可能な厚み寸法を有するとともに台座部305における両裏側対向板部306,307間の距離寸法よりも若干大きい長さ寸法を有する板状の破壊ベース部312と、当該破壊ベース部312の長さ方向の両端に形成された一対のアーム部313,314とが一体形成されてなる。
一対のアーム部313,314は、台座部305において裏側対向板部306,307のそれぞれに近接した両端部305a,305bよりも外側の位置において裏側貼付用板部304に向けて突出している。そして、一対のアーム部313,314の間に台座部305を挟むとともに、台座部305と表側貼付用板部301との間に破壊ベース部312が入り込むようにして、破壊用部材311が配置されている。
ここで、台座部305の両端部305a,305bは、図27に示すように、裏側対向板部306,307により覆われていない。また、表側対向板部302,303は、上記台座部305の両端部305a,305bを覆わないように、側面領域296側であって裏側対向板部306,307側の隅角部分が凹ませて形成されている。したがって、台座部305の両端部305a,305bは、図26に示すように、貼付ベース293の外部に露出している。
上記構成において、上記のように一対のアーム部313,314が台座部305を間に挟むようにして設けられていることにより、図29(a)に示すように、これら一対のアーム部313,314は貼付ベース293の外部に露出している。また、一対のアーム部313,314は対応する表側対向板部302,303と裏側対向板部306,307との間に配置されており、貼付ベース293において台座部305の両端部305a,305bを露出させている部分を埋めている。
一対のアーム部313,314が貼付ベース293の外部に露出しているのに対して、破壊ベース部312は貼付ベース293内に収容されている。貼付領域294に着目すれば、破壊ベース部312は、貼付ベース293における貼付領域294が設けられている箇所の反対側に配置されているといえる。
破壊ベース部312は、既に説明したとおり板状をなしているが、図28(a),(b)に示すように、一対のアーム部313,314間の方向及び厚み方向の両方に直交する方向である幅方向の途中位置から当該幅方向の一端側に向けて先細りするように先細り領域315が形成されている。また、先細り領域315の先端は、図28(a)に示すように、一対のアーム部313,314間の方向に対して交差するように傾斜させて形成されている。
破壊用部材311は、図27に示すように、先細り領域315が側面領域296の境界297側を向くようにして配置されている。この場合、先細り領域315は境界297よりも貼付ベース293の内側に入り込んでおり、当該先細り領域315は側面領域296の外部に突出していない。つまり、破壊用部材311は、貼付領域294に貼り付けられている封印シール160及びICタグ163から離間されている。但し、破壊用部材311の先端が境界297上又は境界297よりも若干外側に突出していることにより、封印シール160及びICタグ163に当接している構成としてもよい。破壊用部材311に先細り領域315が形成されていることにより、貼付領域294に貼り付けられている封印シール160及びICタグ163の切断の容易化が図られているが、この作用については後に詳細に説明する。
上記構成の破壊用部材311は、表側構成体283及び裏側構成体284が組み合わされて両構成体283,284の相対位置が初期位置となった後に貼付ベース293に対して装着される。この装着に係る構成について詳細には、両構成体283,284が組み合わされて両構成体283,284の相対位置が初期位置となった場合、図26に示すように、台座部305の両端部305a,305bが露出しているとともに台座部305と表側貼付用板部301との間の空間が側面領域296の境界297を通じて開放された状態の貼付ベース293が形成される。そして、当該貼付ベース293に対して、先細り領域315側とは逆側の端部を挿入先側とし、さらに一対のアーム部313,314が台座部305の両端部305a,305b上を摺動するようにして、破壊用部材311が挿入される。この場合、その挿入方向の移動は、表側対向板部302,303において台座部305の両端部305a,305bを露出させるために形成された凹部分の周縁であって破壊用部材311の挿入先側の周縁に一対のアーム部313,314が当接することにより、それ以上の移動が規制される。この規制された位置が破壊用部材311の設置状態の位置となっている。
また、図27に示すように、台座部305には、表側貼付用板部301側に向けて開放されたネジ孔316が複数形成されているとともに、破壊用部材311及び表側貼付用板部301には各ネジ孔316を表側貼付用板部301の外側に開放させるための貫通孔317,318が形成されている。これら貫通孔317,318は対応するネジ孔316に対して同一軸線上となるように配置されている。そして、表側貼付用板部301側から各ネジ孔316に対して、ドライバなどの所定工具を用いて着脱操作が可能な固定部材としてのネジ319が螺着されていることにより、破壊用部材311を表側貼付用板部301と台座部305との間で挟み込んだ状態での両固定ベース部291,292の固定が行われている。このネジ固定が完了することにより、貼付ベース293に対する破壊用部材311の装着が完了する。
ちなみに、図28(a)に示すように、破壊用部材311において上記ネジ319を貫通させるための貫通孔317は、破壊ベース部312の先細り領域315ではなく、肉厚領域側に概ね形成されている。これにより、先細り領域315に対して貫通孔317が形成されている構成に比べ、貫通孔317の周縁部における強度の向上が図られている。
上記のように破壊用部材311が装着された貼付ベース293に対して、図29(a),(b)に示すように、ICタグ163を有する封印シール160が貼り付けられている。なお、封印シール160及びICタグ163の構成は、上記第1の実施の形態と同様である。封印シール160は、貼付領域294の略全体を覆うようにして貼り付けられている。したがって、表面領域295に形成されている各貫通孔318の開口部が封印シール160により覆われているとともに、上記第1の実施の形態と同様に、ICタグ163のアンテナ部材172が一方の貫通孔318の開口部を跨いでいる。
また、封印シール160は表側固定ベース部291及び裏側固定ベース部292の境界297に跨って貼り付けられているため、基板ボックス282の開放操作が封印シール160によって阻害される。よって、境界297に沿って封印シール160を切断する又は封印シール160を剥がすことなく、基板ボックス282を開放することが困難になっている。
また、破壊用部材311と封印シール160との位置関係について説明すると、封印シール160は破壊用部材311から離間した位置に配置されている。また、破壊用部材311は境界297へ向けてスライド移動可能に設けられているため、封印シール160は破壊用部材311のスライド移動の途中位置に設けられているといえる。
さらに、側面領域296における境界297もその略全体が封印シール160により覆われているとともに、ICタグ163のアンテナ部材172が境界297を跨いでいる。この場合、図29(b)に示すように、アンテナ部材172においてインピーダンス整合用のスリット173のうち、アンテナ部材172の長手方向に延びる第1スリット部174が境界297を跨いでいる。これにより、境界297に沿って封印シール160が切断された場合には、アンテナ部材172において第1スリット部174が形成された領域が切断され、ICタグ163において正常な通信が不可となる。
ちなみに、本実施の形態においても貼付ベース293には貼付領域294を区画するように囲み部321が形成されている。この場合、囲み部321の一部は表側対向板部302,303及び裏側対向板部306,307により形成されているが、上記のとおり破壊用部材311の一対のアーム部313,314は対応する表側対向板部302,303と裏側対向板部306,307との間に配置されており、当該一対のアーム部313,314は囲み部321の一部を構成している。囲み部321が形成されていることによる作用効果は上記第1の実施の形態にて説明したとおりである。
貼付領域294に貼り付けられた封印シール160は、その周囲がカバー部材331により覆われている。このカバー部材331について、図29(a)に加え、図30(a),(b)を適宜参照しながら以下に詳細に説明する。
図30(a)はカバー部材331の斜視図、図30(b)はカバー部材331が基板ボックス282に取り付けられている様子を説明するための説明図である。なお、図30(b)においては説明の便宜上、破壊用部材311は断面ではない状態で示している。
カバー部材331は、ポリカーボネート樹脂などといった無色透明の合成樹脂により、図29(a)及び図30(a)に示すように、所定の内部空間332を有する直方体の箱状に形成されており、当該内部空間332を区画形成する複数(具体的には5個)の壁部はカバー部材331の内外に電波が透過可能となっている。カバー部材331には、図30(a)に示すように、直方体の6面のうち1の面が不具備となるように開口部333が形成されており、当該開口部333を通じて内部空間332がカバー部材331の外部に開放されている。また、開口部333はその周縁部が、当該開口部333を挟んで対向する一対の壁部334,335のそれぞれに対して内側に入り込むようにして形成されている。
カバー部材331の内部空間332は、破壊用部材311が一体化されているとともに封印シール160が貼り付けられた貼付ベース293の全体を収容可能な大きさに形成されている。また、開口部333は、貼付ベース293の突出先端側から当該貼付ベース293を内部空間332内に差込可能な大きさに形成されている。
カバー部材331の上記両壁部334,335間の距離は貼付ベース293において貼付領域294を挟んで相互に対向する一対の対向板部302,303,306,307間の距離と同一又はそれよりも若干大きく設定されている。これら両壁部334,335には開口部333の周縁部から貼付ベース293側に向けて突出させて一対の爪部336,337が一体形成されている(なお、爪部337については図30(b)を参照)。爪部336,337はその先端側が自由端となっており、外力が加えられた場合に弾性変形可能となっている。
爪部336,337に対応させて、図28(a),(b)及び図29(a)に示すように、貼付ベース293に一体化された破壊用部材311の一対のアーム部313,314には、外方に突出させて受け部338,339が一体形成されている。カバー部材331は、開口部333を介して内部空間332内に貼付ベース293が差し込まれるように基板ボックス282に設置されている。この設置に際して、爪部336,337は対応する受け部338,339に対して取り付け方向の元側から当接することで外方に逃げるようにして弾性変形し、爪部336,337の先端フック部分が受け部338,339よりも取り付け方向の先側に到達することで復元力によって自然状態に復帰する。これにより、図30(b)に示すように、爪部336,337の先端フック部分が受け部338,339の端部に対して取り付け方向の先側から当接し、上記取り付け方向の逆方向である取り外し方向にカバー部材331を移動させようとしても、上記当接によってそれが阻止される。これら爪部336,337と受け部338,339との係止(又は係合)によって、カバー部材331が基板ボックス282に固定されている。
ここで、爪部336,337と受け部338,339との係合箇所はそれぞれ貼付ベース293の外側に配置されており、外部からアクセスできるようになっている。具体的には、係合箇所は外側に露出しているとともに、係合箇所に対してアクセス可能となるように、カバー部材331と、貼付ベース293をその幅方向に挟むようにして設けられた一対の結合構造との間には所定の空間が形成されている。結合構造については後述する。
基板ボックス282にカバー部材331が固定されていることにより、図25に示すように、破壊用部材311が一体化された貼付ベース293の略全体がカバー部材331によって囲まれている。詳細には、カバー部材331の取り付け方向の先端側は、表側構成体283及び裏側構成体284の本体部分の周面に当接又は近接しているとともに、カバー部材331の内周面は貼付領域294の表面領域295側、側面領域296側及び裏面領域側のそれぞれにおいて囲み部321と当接又は近接している。
ここで、カバー部材331の内部空間332に対する貼付ベース293の挿入量は、両構成体283,284を相互に分離させるべく初期位置から長手方向の一方に向けて一方の構成体をスライド移動させた場合の限界位置において未だ両固定ベース部291,292が内部空間332内に入り込んでいる状態となるように設定されている。この場合に、両構成体283,284を分離させて基板ボックス282の内部空間を完全に開放させるためには、上記スライド移動の後に両構成体283,284を基板ボックス282の厚み方向に分離させる必要がある。そして、この分離に必要な移動量は、カバー部材331の開口部333における上記厚み方向の寸法よりも大きくなるように設定されている。したがって、基板ボックス282の内部空間を開放させるためには貼付ベース293からカバー部材331を分離させる必要がある。
カバー部材331において表面領域295と対向する表面側壁部341には、貼付ベース293の各ネジ孔316と同一軸線上に配置されるようにして固定解除用の孔部342が形成されている。但し、固定解除用の孔部342と、対応するネジ孔316に螺着されているネジ319の頭部と、の間には、封印シール160が介在している。当該固定解除用の孔部342は基板ボックス282の内部空間を開放させるのに先立ってネジ319を離脱させる場合に用いられるが、この作用の詳細については後に説明する。
カバー部材331によって貼付ベース293の略全体が囲まれていることにより、封印シール160はその全体がカバー部材331によって囲まれている。これにより、封印シール160がカバー部材331により保護されることとなる。例えば、パチンコ機10の出荷時などにはシュリンクフィルムを熱収縮させてパチンコ機10が覆われることとなるが、主制御装置281がパチンコ機10の背面に露出している構成においては、シュリンクフィルムが熱収縮する際の収縮方向への負荷や熱などの封印シール160やICタグ163への影響を抑えることが好ましく、上記のようにカバー部材331が設けられていることにより上記影響を低減することができる。
カバー部材331は既に説明したように無色透明となっているため、上記のようにカバー部材331が設けられた構成において、封印シール160をカバー部材331外から目視確認することができる。但し、カバー部材331は無色透明に限定されることはなく、カバー部材331外から封印シール160を目視確認できるようにする上では、封印シール160を目視確認できる程度の透明性を有していればよく、有色透明であってもよい。また、カバー部材331外から封印シール160を目視確認することはできなくなるが、カバー部材331を非透明に形成してもよい。この場合、カバー部材331により囲まれた空間内を外部から確認することができないため、不正行為者にとってはカバー部材331への対策を採りづらくなる。
また、既に説明したとおりカバー部材331は電波を透過可能に形成されているとともに、封印シール160のICタグ163とカバー部材331との間には電波を遮断する部材が設けられていない。したがって、遊技ホールの管理者等はICタグ163からID情報の読み取りを行う場合にカバー部材331を取り外すことなく当該読み取り作業を行うことができる。
なお、カバー部材331が上記第1の実施の形態におけるカバー部材93と同様に、ID情報の読み取り作業に際してのリーダ装置の位置決め機能や、その位置決めされた状態において当該リーダ装置をICタグ163から予め定められた距離以上、離間させる機能を有している構成としてもよい。
次に、基板ボックス282の内部空間が開放される場合の手順について説明する。図31(a)〜(c)は基板ボックス282の内部空間が開放される場合の手順を説明するための説明図である。
既に説明したとおり、基板ボックス282に規制手段が設けられていることにより、両構成体283,284の一方に対して他方を開放用の分離方向へスライド移動させる必要がある。しかしながら、基板ボックス282に貼付ベース293が設けられているとともに、当該貼付ベース293を構成する表側固定ベース部291及び裏側固定ベース部292がネジ固定されているため、基板ボックス282の内部空間の開放操作に先立って当該ネジ固定の解除操作を行う必要がある。また、図31(a)に示すように表側構成体283と裏側構成体284との分離を阻止するようにカバー部材331が設けられているため、基板ボックス282の内部空間の開放操作に先立ってカバー部材331の分離操作を行う必要がある。
上記ネジ固定の解除操作及び上記カバー部材331の分離操作のうち、カバー部材331は破壊用部材311に係止されているとともに当該破壊用部材311はネジ固定を解除しないと貼付ベース293から分離させることができないため、最初にネジ固定の解除操作を行う必要がある。当該ネジ固定の解除操作を行う場合には、カバー部材331の固定解除用の孔部342からドライバなどの工具の先端を挿入する。そして、ネジ319の頭部を覆っている封印シール160を上記先端により突き破ることで、当該先端をネジ319の頭部に挿し込み、図31(b)に示すように、ネジ319を離脱させる。なお、既に説明したとおり、ICタグ163のアンテナ部材172はネジ319を挿通させるための貫通孔318を跨いでいるため、工具の先端をネジ319の頭部に差し込んだ際には封印シール160の一部の破損だけでなくアンテナ部材172の一部の破損が生じる。
上記のようにネジ319が離脱されることにより、破壊用部材311を貼付ベース293から分離させることが可能となり、それに伴ってカバー部材331を貼付ベース293から分離させることが可能となる。カバー部材331は、既に説明したとおり、内部空間332内に貼付ベース293が挿入されているため、カバー部材331の分離に際しては設置時の取り付け方向とは反対方向を分離方向(取り外し方向)としてカバー部材331の分離操作を行う必要がある。この場合に、カバー部材331の爪部336,337は破壊用部材311の受け部338,339に対して取り付け方向の先側から当接しているため、カバー部材331を分離方向に移動させようとすると、破壊用部材311も一体的に分離方向に移動することとなる。
図31(c)に示すように、カバー部材331を貼付ベース293から分離させることにより、貼付ベース293の側面領域296における両固定ベース部291,292の境界297を通じて破壊用部材311も貼付ベース293から分離される。この場合、境界297を跨ぐようにして封印シール160が貼り付けられているため、当該封印シール160が破壊用部材311の貼付ベース293の内部から外部への移動に伴って切断されるとともに、ICタグ163のアンテナ部材172も境界297を跨ぐようにして設けられているため、破壊用部材311の移動に伴ってアンテナ部材172が切断される。特に、アンテナ部材172においてインピーダンス整合用のスリット173が形成された領域が境界297を跨いでいるため、破壊用部材311の移動に伴ってスリット173が破壊され、ICタグ163は正常な通信が不可となる。そして、封印シール160による開放操作の阻害が解除される。よって、両構成体283,284のスライド移動が可能となり、基板ボックス282の内部空間を開放することができる。したがって、CPUチップ103の検査等を行うことが可能となる。
ちなみに、既に説明したように、破壊用部材311の破壊ベース部312には先細り領域315が形成されており、破壊用部材311の分離に際しては当該先細り領域315の先端が分離方向の先側となる。したがって、鋭利な箇所が封印シール160及びアンテナ部材172に当接することとなり、これら封印シール160及びアンテナ部材172の切断の容易化が図られることに伴って、カバー部材331の分離操作を行い易くなる。また、先細り領域315の先端は傾斜しているため、当該先端の全体が同時に封印シール160及びアンテナ部材172に当接するのではなく、先端において当接する範囲が除々に増加することとなる。この点からも、封印シール160及びアンテナ部材172の切断の容易化が図られることに伴って、カバー部材331の分離操作を行い易くなる。
なお、破壊用部材311において封印シール160やICタグ163を切断するという機能が発揮されるのであれば、先細り領域315の先端が傾斜しておらず、境界297に対して平行であってもよく、さらにまた先細り領域315が不具備であってもよい。
以上のことから、ネジ固定を解除し、カバー部材331を分離させることによって、基板ボックス282の開放操作が行えるようになっている。この場合、カバー部材331の分離操作に伴って破壊用部材311のスライド移動が行われ、封印シール160が切断されるため、開放操作を行う場合における作業性の低下を抑制することができる。
特に、開放操作を規制するカバー部材331を取り付けた場合、開放操作を行う前段階として、ネジ固定の解除及び封印シール160の切断に加えてカバー部材331の分離作業が必要となる。このため、不正な開放操作を抑制することができる一方、正規の開放操作に要する作業量の増加が懸念される。これに対して、本実施の形態によれば、カバー部材331と破壊用部材311とが係合によって一体化されているため、カバー部材331の分離作業に伴って封印シール160の切断が行われる。これにより、開放操作を行う場合における作業性が極端に低下することが抑制される。
ここで、カバー部材331は破壊用部材311に係合することによって基板ボックス282に対して取り付けられており、さらに当該係合箇所は外部からのアクセスが可能となるように露出している。このため、係合箇所に対して外力を加えて当該係合を解除することによってカバー部材331と破壊用部材311との一体化を解除し、カバー部材331のみを基板ボックス282から分離させることができる。具体的には、爪部336,337を、先端フック部分が突出している側と反対側に向けて外力を加えて係合を解除した状態で、設置時の取り付け方向とは反対方向を分離方向(取り外し方向)としてカバー部材331をスライド移動させることによって、カバー部材331のみが基板ボックス282から分離する。この場合、破壊用部材311は貼付ベース293の内部に収容されたままであり、封印シール160に対して何ら影響を与えない。これにより、封印シール160を切断することなくカバー部材331を基板ボックス282から取り外し、封印シール160及び破壊用部材311を直接確認する簡易検査を行うことができる。
特に、封印シール160及び破壊用部材311がカバー部材331によって囲まれている状況においては、これらを直接確認するために、カバー部材331を一旦取り外したい場合がある。この場合、破壊用部材311とカバー部材331とが係合している状態でカバー部材331を分離した場合、当該カバー部材331の分離に伴って破壊用部材311の分離が行われ、当該破壊用部材311の分離によって封印シール160の切断が行われる。そうすると、封印シール160及び破壊用部材311の確認作業を好適に行うことができないという不都合が生じる。
これに対して、本実施の形態によれば、カバー部材331と破壊用部材311との係合を解除した状態でカバー部材331の分離操作を行うことによって、封印シール160の切断が生じることなく、カバー部材331を基板ボックス282から取り外すことが可能となる。これにより、封印シール160及び破壊用部材311を直接確認する簡易検査を行う場合に容易に対応することが可能となる。
また、カバー部材331によって封印シール160へのアクセスが制限されており、基板ボックス282の開放操作が制限されているため、基板ボックス282の開放操作を不正に行う場合、その前段階としてカバー部材331の分離操作が行われることが想定される。ここで、本実施の形態によれば、カバー部材331の分離操作に伴って封印シール160の切断が行われるため、カバー部材331及び破壊用部材311の係合を解除することなく、カバー部材331の分離操作が行われた場合、不正行為者にとって意図しない封印シール160の切断箇所が形成されることとなる。これにより、カバー部材331の不正な分離操作が行われたことを容易に確認することができる。よって、不正な開放操作をあきらめさせることができるとともに、痕跡を形成することなく開放操作を行う巧みな不正行為を抑制することができる。
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
封印シール160を覆うようにしてカバー部材331が設けられていることにより、封印シール160を保護することができるとともに、基板ボックス282の内部空間の開放操作に先立ってカバー部材331の分離操作を行う必要が生じる。この場合に、貼付ベース293の内部にカバー部材331の分離に伴って貼付領域294の境界297を通じて分離される破壊用部材311が設けられていることにより、カバー部材331が分離された場合には当該破壊用部材311によって封印シール160が切断される。これにより、基板ボックス282の内部空間の開放操作が行われた場合には、封印シール160の切断に起因した目視確認用の痕跡を残すことができる。
また、上記封印シール160の切断に際してICタグ163のアンテナ部材172も切断される。これにより、基板ボックス282の内部空間の開放操作が行われた場合には、ICタグ163からのID情報の読み取りが良好に行えなくなることが期待される。さらにまた、アンテナ部材172において切断される箇所は、インピーダンス整合用のスリット173が形成された領域である。これにより、基板ボックス282の内部空間の開放操作が行われた場合にはインピーダンス整合が正確に行われなくなり、ICタグ163からのID情報の読み取りが不可となることも期待される。よって、基板ボックス282の不正開放後にカバー部材331が元の位置に戻されたとしても、ID情報の読み取り作業を通じて基板ボックス282の不正開放を把握することができる。
特に、封印シール160の位置決めと当該封印シール160を剥がす不正行為を抑制する観点から囲み部321が設けられている構成においては、開放操作における作業性の低下が懸念される。これに対して、本実施の形態によれば、封印シール160を切断する破壊用部材311が別途設けられているため、作業性の低下を抑制することができる。これにより、封印シール160への不正行為の抑制と、開放操作の際の作業性の低下の抑制との両立を図ることができる。
破壊用部材311のアーム部313,314は囲み部321の一部を構成するように形成されている。これにより、破壊用部材311と囲み部321を構成する部分とが干渉することなく、破壊用部材311を貼付ベース293の内側に取り付けることができる。
<第7の実施の形態>
貼付ベース293に破壊用部材311が収容されているとともに、貼付ベース293及び封印シール160の周囲を覆うカバー部材331が破壊用部材311に係止されている構成において、これら破壊用部材311とカバー部材331との係止箇所へのアクセスを不可とする又は行いづらくする保護手段が設けられていてもよい。当該保護手段の具体的な構成について、図32を用いて説明する。
図32(a)は保護手段の具体的な構成を説明するための貼付ベース293及びその周辺を拡大して示す分解斜視図、図32(b)は保護手段の具体的な構成を説明するための説明図である。なお、図32(b)においては説明の便宜上、破壊用部材311は断面ではない状態で示している。また、上記第6の実施の形態と同一の構成については同一の番号を用いるとともに、その説明を基本的に省略する。
基板ボックス282の表側構成体283には、図32(a)に示すように、貼付ベース293をその幅方向に挟むようにして一対の保護壁部351,352が一体形成されている。保護壁部351,352は表側構成体283の本体部分から貼付ベース293の突出方向と同一方向に突出するように形成されており、貼付ベース293に一体化された破壊用部材311の各アーム部313,314から上記幅方向に所定の距離分、離間された位置に配置されている。
図32(b)に示すように、保護壁部351,352において貼付ベース293側を向く壁面353,354は、破壊用部材311が一体化された貼付ベース293において当該破壊用部材311のアーム部313,314が露出している側の端面355,356よりも広い面積を有するように形成されているとともに、当該端面355,356の全体と対向している。これら壁面353,354と端面355,356との間の距離は、カバー部材331の貼付ベース293への装着を阻害しない範囲、具体的にはカバー部材331を貼付ベース293に装着する際に、受け部338,339に当接することによる爪部336,337の弾性変形を阻止しない範囲で設定されている。これにより、貼付ベース293にカバー部材331が装着されている状態では、各保護壁部351,352と貼付ベース293との間にカバー部材331における爪部336,337が形成された側の壁部が入り込んでいる。
また、上記壁面353,354と端面355,356との間の距離は、爪部336,337と受け部338,339との係止箇所にニッパといった汎用的な切断用工具の先端が挿入しづらい範囲で設定されている。また、壁面353,354と対応する爪部336,337との間の距離は、爪部336,337の先端フック部が形成された箇所の厚み寸法と同一又は同程度、より詳細には若干大きい程度となっている。これにより、爪部336,337と受け部338,339との係止箇所にアクセスしようとしても、それが行いづらくなっている。なお、壁面353,354と対応する爪部336,337との間の距離は、上記のものに限定されることはなく、受け部338,339の突出寸法と同一又は同程度、より詳細には若干大きい程度であってもよい。
上記のように保護壁部351,352によって、破壊用部材311とカバー部材331との係止箇所へのアクセスが行いづらくなっていることにより、カバー部材331の分離に際して破壊用部材311が追従しないように上記係止を解除しようとする行為を阻止する又はあきらめさせることが可能となる。よって、カバー部材331の分離に際して破壊用部材311が追従することとなり、破壊用部材311が追従することで、上記第6の実施の形態にて説明したように、封印シール160の切断及びICタグ163におけるアンテナ部材172の切断が発生することとなる。
<第8の実施の形態>
本実施の形態では、封印シール160を囲むカバー部材及び当該カバー部材の分離に際しての封印シール160の破壊についての構成が上記第6の実施の形態と異なっている。当該相違する構成について図33及び図34を参照しながら以下に説明する。なお、上記第6の実施の形態と同一の構成については同一の番号を用いるとともに、その説明を基本的に省略する。
図33(a)は基板ボックス361に設けられた貼付ベース362の構成を説明するための分解斜視図、図33(b)は貼付ベース362及びその周辺の横断面図である。また、図34(a),(b)は貼付ベース362に装着されるカバー部材371を説明するための説明図である。
図33(a)に示すように、貼付ベース362は、表側構成体363に形成された表側固定ベース部364と裏側構成体365に形成された裏側固定ベース部366とが重ね合わされて構成されている。貼付ベース362の表面により構成された貼付領域367のうち表面領域367aには、貼付ベース362の基端側の縁部から突出方向の先端側の縁部に亘って延びる一対の溝部368が形成されている。当該一対の溝部368における突出方向の先端側の端部は、貼付領域367の側面領域367b側にて開放されている。
一対の溝部368を塞ぐようにして、ICタグ163を有する封印シール160が貼り付けられている。当該封印シール160及びICタグ163の構成は上記第1の実施の形態と同様である。封印シール160は貼付領域367の全体又は略全体を覆うようにして貼り付けられており、ICタグ163のアンテナ部材172は一対の溝部368のうち一方を跨いでいる。この跨ぐ方向は、溝部368の長さ方向に対して交差する方向となっている。なお、アンテナ部材172が両溝部368を跨いでいる構成としてもよい。
貼付領域367に貼り付けられた封印シール160は、図33(b)に示すように、カバー部材371によりその周囲が覆われている。カバー部材371の構成について詳細には、図34(a),(b)に示すように、カバー部材371は、表側固定ベース部364側を覆う表側カバー部材372と、裏側固定ベース部366側を覆う裏側カバー部材373と、を備えている。なお、これら表側カバー部材372及び裏側カバー部材373は、周囲を覆った状態の封印シール160をカバー部材371の外部から目視確認可能なように透明性を有する合成樹脂材料により形成されているとともに、リーダ装置とICタグ163との間での電波による通信を可能とするように当該電波を透過可能な材料により形成されている。
表側カバー部材372及び裏側カバー部材373のそれぞれは、互いの方向に向けて内部空間を開放させる相互開口部374,375が形成されているとともに、貼付ベース362に向けて内部空間を開放させる貼付側開口部376,377が形成されている。なお、相互開口部374,375と対応する貼付側開口部376,377とは連続している。
表側カバー部材372における相互開口部374の周縁部であって相互に対向する周縁部には、裏側カバー部材373の相互開口部375に向けて突出したカバー用係止部381が一体形成されている。なお、カバー用係止部381間の距離は、貼付ベース362において貼付領域367の囲み部382を形成する対向板部383,384間の距離と同一又は若干大きく設定されている。また、表側カバー部材372における貼付側開口部376には、裏側カバー部材373に向けて突出するとともに、貼付ベース362の溝部368に嵌まり込み可能な破壊用凸部385が一体形成されている。
ちなみに、当該破壊用凸部385はその先端が先細り形状となっている。但し、図34(a)に示す形状に限定されることはなく、カバー部材371の取り外し方向の先側が先細り形状となっている構成としてもよい。
カバー部材371を貼付ベース362に装着する場合には、各貼付側開口部376,377が貼付ベース362の基端側となるようにして、且つ貼付ベース362を間に挟み込むようにして表側カバー部材372及び裏側カバー部材373を配置する。この場合、一対の破壊用凸部385がそれぞれ対応する溝部368に入り込むとともに、カバー用係止部381が裏側カバー部材373における相互開口部375の周縁部に当該裏側カバー部材373の内部空間側から係止される。これにより、カバー部材371が貼付ベース362に装着され、当該カバー部材371によって貼付ベース362及び封印シール160が覆われている。
貼付ベース362の溝部368には、当該貼付ベース362の基端寄りの位置に、溝部368の周壁部から内側に向けて突出したストッパ386が一体形成されている。溝部368に入り込んでいる破壊用凸部385は、ストッパ386よりも貼付ベース362の基端側に配置されており、貼付ベース362を挟んで表側カバー部材372及び裏側カバー部材373が一体化されて形成されているカバー部材371を分離方向にスライド移動させようとしても、破壊用凸部385とストッパ386との当接状態を解除する程度の外力を付与しない限りカバー部材371を分離させることができない。
なお、封印シール160は溝部368におけるストッパ386よりも貼付ベース362の基端側を覆っておらず、貼付ベース362にカバー部材371が装着されている状態では、破壊用凸部385と封印シール160との干渉が回避されている。
上記構成においては、基板ボックス361の内部空間を開放させるためには、その開放操作に先立って、カバー部材371を貼付ベース362から分離させる分離操作を行う必要がある。この場合に、当該カバー部材371を分離させるには、貼付ベース362の溝部368に沿ってカバー部材371をスライド移動させる必要があり、このスライド移動に際しては溝部368上を破壊用凸部385が摺動することとなる。そして、破壊用凸部385が溝部368上を摺動した場合、封印シール160において溝部368を覆っている領域が破壊用凸部385により切りかかれて、封印シール160が破損することとなる。これにより、当該破損箇所を目視確認することで、基板ボックス361の不正開放が行われているか否かを把握することができる。
また、既に説明したとおり、溝部368を跨ぐようにしてICタグ163のアンテナ部材172が配置されているため、破壊用凸部385により封印シール160が切りかかれた場合にはアンテナ部材172において上記跨いでいる領域が切断される。これにより、ICタグ163からのID情報の読み取りが良好に行えなくなることが期待される。よって、基板ボックス361の不正開放後にカバー部材371が元の位置に戻されたとしても、ID情報の読み取り作業を通じて基板ボックス361の不正開放を把握することができる。
ちなみに、破壊用凸部385の先端は先細り形状となっているため、上記封印シール160の破損及び上記アンテナ部材172の切断の容易化が図られている。また、アンテナ部材172において破壊用凸部385により切断される領域に、インピーダンス整合用のスリット173が配置されていてもよい。これにより、カバー部材371の分離に伴いアンテナ部材172が切断された場合に、ICタグ163からのID情報の読み取りが不可となることが期待される。
なお、上記貼付ベース362において囲み部382を不具備とし、カバー部材371の内周面が上記構成よりも封印シール160の表面に近い位置となるようにしてもよい。例えば、カバー部材371の設置状態において、当該カバー部材371の内周面が封印シール160の表面と接している構成としてもよい。
<第9の実施の形態>
本実施の形態では、保護手段の構成及びその周辺の構成が上記第7の実施の形態と異なっている。この相違する構成について、図35を用いて以下に説明する。
図35(a)はカバー部材331及びその周辺を拡大して示す斜視図、図35(b)はカバー部材331及びその周辺の構成を説明するための縦断面図である。なお、図35(b)においては説明の便宜上、破壊用部材311は断面ではない状態で示している。また、上記第6の実施の形態と同一の構成については同一の番号を用いるとともに、その説明を基本的に省略する。
基板ボックス282には、図35(a)に示すように、貼付ベース293をその幅方向に挟むようにして一対の結合構造391が設けられている。各結合構造391は、同一の構成をなしており、裏側構成体284において主制御基板101を収容するための本体部分から側方に延出させて一体形成された裏側結合部392と、表側構成体283において主制御基板101を収容するための本体部分から側方に延出させて一体形成された表側結合部393と、を備えている。そして、裏側結合部392に対して表側結合部393が重ね合わせられ、それら重ね合わせられた結合部392,393の組み合わせに対して破断ネジ、ワンウェイネジ又は係止爪部材が装着されていることにより、各結合構造391が結合状態となっている。当該結合状態を解除するためには、各結合部392,393を形成する壁部や、結合部392,393と基板ボックス282の本体部分とを連結する連結部を破壊する必要が生じ、この破壊の痕跡によって基板ボックス282の内部空間の開放操作が行われたことを目視確認することが可能である。
なお、上記第6の実施の形態では説明を省略したが、上記結合構造391は上記第6の実施の形態における基板ボックス282にも設けられている。
各結合構造391は、貼付ベース293に対して所定の距離だけ離間された位置に形成されており、これら各結合構造391と貼付ベース293との間に、保護手段として、相互に同一の構成をなす一対の収容部394が一体形成されている。収容部394は、表側構成体283及び裏側構成体284のそれぞれに形成された収容部394用の部位が基板ボックス282の厚み方向に重なり合うことで形成されている。
収容部394は、結合構造391を構成する結合部392,393に一体形成されこれら結合部392,393における延出先寄りの位置から貼付ベース293側に向けて起立した第1壁部395と、当該第1壁部395における貼付ベース293側の先端から基板ボックス282の本体部分に亘って形成された第2壁部396と、を備えている。第2壁部396は貼付ベース293側を向く壁面396aを有しており、一対の収容部394において各壁面396aは貼付ベース293及びカバー部材331を間に挟むようにして位置している。一対の壁面396a間の距離は、貼付ベース293へのカバー部材331の装着を阻害しないように、カバー部材331における各壁面396a側の端部間の距離よりも若干大きく設定されている。
収容部394は、上記第1壁部395及び第2壁部396の他に、図35(a)に示すように、基板ボックス282の厚み方向で見て、第1壁部395及び第2壁部396の両端側にそれぞれ形成された一対の挟み込み壁部397,398を備えている。一対の挟み込み壁部397,398は、結合部392,393、基板ボックス282の本体部分、第1壁部395及び第2壁部396により区画された空間を埋めるようにして形成されており、さらには第1壁部395及び第2壁部396とともに対応する構成体283,284に対して一体形成されている。
一対の挟み込み壁部397,398は、第2壁部396よりも貼付ベース293側に延出しており、当該延出領域397a,398aは基板ボックス282の厚み方向に相互に対向している。これら延出領域397a,398a間の距離寸法は、カバー部材331における上記厚み方向の寸法と同一又は同程度、より詳細には若干大きく設定されており、さらに各延出領域397a,398aの第2壁部396からの延出量は、カバー部材331の外側において当該カバー部材331の板面と上記厚み方向に対向するように設定されている。これにより、一対の延出領域397a,398aは、上記厚み方向にカバー部材331を挟むようにして配置されている。但し、各延出領域397a,398aの延出量は、これら延出領域397a,398aのうちカバー部材331の表面側壁部341と対向する側が、当該表面側壁部341に形成された孔部342を覆わない範囲で設定されている。
上記構成であることにより、貼付ベース293に装着されているカバー部材331の破壊用部材311との係止箇所は、収容部394における第2壁部396と一対の延出領域397a,398aとにより区画された収容空間内に収容されている。この場合、第2壁部396の壁面396aは、図35(b)に示すように、貼付ベース293に一体化された破壊用部材311のアーム部313,314と、同じく貼付ベース293に一体化されたカバー部材331の爪部336,337との係止箇所に対して、所定の距離部、離間された位置にて対向している。また、壁面396aは上記係止箇所の全体と対向している。
当該壁面396aと上記係止箇所との間の距離は、カバー部材331の貼付ベース293への装着を阻害しない範囲、具体的にはカバー部材331を貼付ベース293に装着する際に、受け部338,339に当接することによる爪部336,337の弾性変形を阻止しない範囲で設定されている。また、壁面396aと破壊用部材311の対応する爪部336,337との間の距離は、上記係止箇所にニッパといった汎用的な切断用工具の先端が挿入しづらい範囲で設定されている。より詳細には、壁面396aと対応する爪部336,337との間の距離は、爪部336,337の先端フック部が形成された箇所の厚み寸法と同一又は同程度、より詳細には若干大きい程度となっている。これにより、収容部394により区画形成された収容空間における装着口側から工具などを挿入して上記係止箇所にアクセスしようとしても、それが行いづらくなっている。
なお、壁面396aと対応する爪部336,337との間の距離は、上記のものに限定されることはなく、受け部338,339の突出寸法と同一又は同程度、より詳細には若干大きい程度であってもよい。
また、既に説明したとおり、延出領域397a,398aは、基板ボックス282の厚み方向で見て、カバー部材331の外側において当該カバー部材の板面と上記厚み方向に対向しており、さらに延出領域397a,398aはカバー部材331の板面に対して当接又は近接している。これにより、収容部394により区画形成された収容空間は、基板ボックス282の厚み方向において、実質的に閉塞されている。よって、上記収容空間に基板ボックス282の厚み方向の端部側から工具などを挿入して上記係止箇所にアクセスしようとしても、それが行いづらくなっている。
また、上記収容空間は、貼付ベース293へのカバー部材331の装着を阻害しないように形成されているため、当該装着作業を良好に行うことができる。また、貼付ベース293からのカバー部材331の分離に際しては、装着時の方向とは逆方向にカバー部材331を移動させる構成であるとともに、当該カバー部材331と一体的に移動する破壊用部材311にはカバー部材331よりも外側に突出する部位が不具備となっている。これにより、破壊用部材311が一体化されたカバー部材331の分離が収容部394により阻害されることはなく、当該分離作業を良好に行うことができる。
<第10の実施の形態>
上記第7の実施の形態及び上記第9の実施の形態では、破壊用部材311とカバー部材401との係止箇所を保護する保護手段が基板ボックス282側に設けられていたが、本実施の形態では、当該保護手段がカバー部材401側に設けられている。この相違する構成について、図36を用いて以下に説明する。
図36(a)はカバー部材401及びその周辺を拡大して示す斜視図、図36(b)はカバー部材401及びその周辺の構成を説明するための縦断面図である。なお、図36(b)においては説明の便宜上、破壊用部材311は断面ではない状態で示している。また、上記第6の実施の形態と同一の構成については同一の番号を用いるとともに、その説明を基本的に省略する。
カバー部材401は上記第6の実施の形態と同様に爪部402,403を備えており、当該爪部402,403が破壊用部材311の受け部338,339に係止されていることにより、カバー部材401が貼付ベース293に装着されている。この場合に、図36(b)に示すように、爪部402,403は、カバー部材401の外部に露出させて形成されているのではなく、カバー部材401の各壁部により区画された空間内に形成されている。
詳細には、爪部402,403は、カバー部材401の貼付ベース293への装着時における移動元側の壁部404に対して一体形成されており、当該壁部404の内周面から装着時における移動先側に突出しており、その先端は自由端となっている。爪部402,403の先端は、カバー部材401の装着先側の開口部405よりも装着元側に位置しているとともに、カバー部材401における上記開口部405の周縁部は、基板ボックス282において貼付ベース293の基端側に連続する本体部分の側面と近接している。なお、上記開口部405の周縁部が、基板ボックス282の本体部分の側面と当接している構成としてもよい。
また、爪部402,403は、カバー部材401の壁部において貼付ベース293をその幅方向に挟む一対の壁部406,407の内周面に対して近接した位置に形成されている。この場合、爪部402,403と近接した壁部406,407の内周面との間の距離は、カバー部材401の貼付ベース293への装着を阻害しない範囲、具体的にはカバー部材401を貼付ベース293に装着する際に、受け部338,339に当接することによる爪部402,403の弾性変形を阻止しない範囲で設定されている。
上記構成であることにより、爪部402,403と受け部338,339との係止箇所はカバー部材401により覆われており、上記係止箇所にカバー部材401の外部からアクセスしようとしても、それが行いづらくなっている。さらにまた、上記係止箇所をカバー部材401により覆う構成とすることで、当該カバー部材401の形状は複雑化するものの、基板ボックス282側に設ける構成に比べて、カバー部材401の基板ボックス282に対する位置合わせ精度を考慮することなく保護手段を設けることができる。
<第11の実施の形態>
本実施の形態では、破壊用部材501及びカバー部材511に関する構成が上記第6の実施の形態と異なっている。当該相違する構成について図37〜図39を参照しながら以下に説明する。なお、第6の実施の形態と同一の構成については各図面において同一の番号を付すとともに、その説明を基本的に省略する。
図37(a)は本実施の形態における破壊用部材501の斜視図、図37(b),(c)は、それぞれ異なる方向から見た本実施の形態におけるカバー部材511の斜視図、図38は主制御装置281において貼付ベース293及びその周辺を示す分解斜視図、図39(a)は主制御装置281においてカバー部材511及びその周辺を示す斜視図、図39(b)はカバー部材511が基板ボックス282に取り付けられている様子を説明するための説明図である。
図37(a)に示すように、破壊用部材501は、第6の実施の形態の破壊用部材311と同様に、破壊ベース部502、アーム部503,504、先細り領域505、貫通孔506、受け部507,508を備えている。これらについては、破壊用部材311の対応する部位と同様であるため、説明を省略する。
破壊用部材501は、第6の実施の形態と同様に、破壊ベース部502が貼付ベース293内に形成された空間に入り込むようにして設置されており、その位置にてネジ固定されることによって、貼付ベース293に対して取り付けられている。この場合、図38に示すように、アーム部503,504は囲み部321の一部を構成している。そして、破壊用部材501が取り付けられている貼付ベース293に対して封印シール160が貼り付けられている。
ここで、各アーム部503,504には、それぞれフック部509,510が一体形成されている。フック部509,510は、図38に示すように、封印シール160と干渉しないようにアーム部503,504から側方に突出させて形成されており、先端側が自由端となっている。これにより、フック部509,510は外力が加えられた場合に弾性変形可能となっている。
かかる構成の貼付ベース293に対してカバー部材511が取り付けられている。カバー部材511は、図37(b)に示すように、内部空間512、開口部513及び壁部514,515を備えているとともに、図37(c)に示すように、表面側壁部516を備えている。これらについては、第6の実施の形態におけるカバー部材331における対応する部位と同様であるため、説明を省略する。
なお、表面側壁部516には、孔部342に代えて、ネジ用開口部517が設けられている。ネジ用開口部517は、カバー部材511が基板ボックス282に取り付けられた場合に、貼付ベース293のネジ孔316にアクセスできるように開口している。
カバー部材511は、内部空間512内に貼付ベース293全体を収容した状態で基板ボックス282に対して取り付けられている。具体的には、内部空間512を区画形成する壁部は、その内壁面が囲み部321と当接又は近接するように形成されているとともに、開口部513は囲み部321が通過可能な大きさに形成されている。開口部513側からカバー部材511を貼付ベース293に向けてスライド移動させると、カバー部材511は、その内壁面が囲み部321と摺動しながら所定の取り付け位置に配置され、基板ボックス282に取り付けられる。そして、貼付ベース293は開口部513を通じて内部空間512内に収容される。
この場合、カバー部材511の内壁面と囲み部321との摺動によって、カバー部材511を貼付ベース293に取り付ける場合の取り付け方向は一方向に規定されている。すなわち、貼付ベース293にカバー部材511を取り付ける場合の経路は規定されている。
カバー部材511は、基板ボックス282に対して取り付けられている状況において、破壊用部材501及び基板ボックス282双方との間で係合関係が生じるようになっている。
先ず、カバー部材511と基板ボックス282との係合関係について説明すると、カバー部材511の両壁部514,515には、開口部513の周縁部から貼付ベース293側に向けて突出させて一対の爪部521,522が一体形成されている。爪部521,522は、貼付ベース293の表裏方向においてフック部509,510に対してずれた位置に配置されている。なお、貼付ベース293の表裏方向は、表側構成体283及び裏側構成体284の重ね合わせ方向ともいえる。
当該爪部521,522に対応させて、図38に示すように、表側対向板部302,303には、外方(貼付ベース293とは反対側)へ向けて突出したボックス側受け部523,524が設けられている(ボックス側受け部524については図39(b)参照)。ボックス側受け部523,524は、破壊用部材501のアーム部503,504に設けられた受け部507,508と同一の突出量となっている。ボックス側受け部523,524は取り付け方向に沿って受け部507,508と連続するように形成されている。爪部521,522がそれぞれ対応するボックス側受け部523,524に対して係合することによって、カバー部材511が基板ボックス282に対して取り付けられている。
具体的には、爪部521,522の先端には、爪部521,522の向き合う方向に向けて突出させて先端フック部分が形成されている。当該先端フック部分は先端側から基端側へ向けて徐々に突出量が大きくなるように形成されており、基端側に向かうにつれて上記向き合う方向に傾斜する傾斜面521a,522aを備えている。傾斜面521a,522aは、カバー部材511が取り付けられる場合に受け部507,508と当接するように配置されている。詳細には、カバー部材511の取り付け方向において傾斜面521a,522aと受け部507,508とは同一直線上に配置されている。
かかる構成によれば、カバー部材511を取り付け方向にスライド移動させた場合、受け部507,508と傾斜面521a,522aとが当接する。この場合、爪部521,522は、傾斜面521a,522aに沿って外方(貼付ベース293とは反対側)へ向けて逃げるように弾性変形する。そして、爪部521,522が、受け部507,508を介してボックス側受け部523,524の取り付け方向の先側に到達することで復元力によって自然状態に復帰する。これにより、図39(b)に示すように、爪部521,522の先端フック部分がボックス側受け部523,524の端部に対して取り付け方向の先側から当接し、上記取り付け方向の逆方向である取り外し方向にカバー部材511をスライド移動させようとしても、上記当接によってそれが阻止される。これら爪部521,522とボックス側受け部523,524との係合によって、カバー部材511が基板ボックス282に対して取り付けられる。
なお、フック部509,510と爪部521,522とは貼付ベース293の表裏方向において互いにずれているため、取り付け方向へのスライド移動においてこれらが干渉することがない。換言すれば、フック部509,510と爪部521,522とは、カバー部材511の取り付けの際に干渉しないように配置されている。これにより、フック部509,510が設けられている状況においても、円滑なスライド移動が確保されている。
次に、破壊用部材501とカバー部材511との係合関係について説明する。破壊用部材501のフック部509,510に対応させて、カバー部材511における側面領域296と対向する側面側壁部531には、図38に示すように、スリット532,533が設けられている。スリット532,533は、フック部509,510が挿通可能な大きさに形成されている。フック部509,510がそれぞれ対応するスリット532,533の周縁部分と係合することによって、カバー部材511と破壊用部材501との係合関係が生じている。
具体的には、フック部509,510の先端には、フック部509,510の向かい合う方向とは逆方向に突出している先端フック部分が設けられている。当該先端フック部分は、先端側から基端側に向けて徐々に突出量が大きくなるように形成されており、基端側に向かうにつれて上記向き合う方向とは反対側に傾斜する傾斜面509a,510aを備えている。傾斜面509a,510aは、カバー部材511が取り付けられる場合にスリット532,533の縁部と当接するように配置されている。具体的には、カバー部材511の取り付け方向において傾斜面509a,510aとスリット532,533とは同一直線上に配置されている。
カバー部材511を基板ボックス282に対して取り付け方向にスライド移動させた場合、フック部509,510の傾斜面509a,510aは対応するスリット532,533の縁部に対して当接する。この場合、フック部509,510は、傾斜面509a,510aに沿って内方(貼付ベース293側)に向けて逃げるようにして弾性変形する。そして、フック部509,510がスリット532,533の内壁面と干渉しながら、カバー部材511のスライド移動が行われる。そして、フック部509,510の先端フック部分がスリット532,533を通過すると、復元力によって自然状態に復帰する。これにより、図39(a),(b)に示すように、フック部509,510の先端フック部分がスリット532,533の周縁部に対して係合する。これにより、カバー部材511が破壊用部材501に対して係合し、両者が一体化している。この場合、フック部509,510は、図39(a)に示すように、スリット532,533を介してカバー部材511から突出しており、外力を付与することが可能となっている。
以上のように構成された基板ボックス282によれば、カバー部材511と基板ボックス282との係合のみを解除した状態で、カバー部材511を基板ボックス282から分離させることによって、破壊用部材501による封印シール160の切断が行われる。これにより、封印シール160による阻害が解除され、その切断箇所が痕跡として残存することとなる。よって、開放操作の作業性の低下を抑制しつつ、痕跡を残さない開放操作を抑制することができる。
一方、カバー部材511と基板ボックス282との係合を解除し、さらにカバー部材511と破壊用部材501との係合を解除することによって、カバー部材511のみを基板ボックス282から分離させることが可能となる。これにより、カバー部材511のみの交換及びカバー部材511を取り外して直接封印シール160の異常の有無を確認することができる。
特に、本実施の形態においては、カバー部材511と基板ボックス282との係合箇所と、カバー部材511と破壊用部材501との係合箇所と、が別々に存在している。これにより、カバー部材511のみを不正に分離させる場合にはそれぞれの係合を解除する必要があるため、カバー部材511のみの分離操作が煩雑になっている。
以上詳述した本実施の形態によれば、カバー部材511は基板ボックス282と破壊用部材501との双方に対して係合関係が生じるようになっている。これにより、カバー部材511及び破壊用部材501の選択分離が可能となっているとともに、カバー部材511のみの不正な分離操作が煩雑になっている。よって、簡易検査を可能としつつ、カバー部材511のみの不正な分離操作を抑制することができる。
カバー部材511と係合するように破壊用部材501にフック部509,510を設けた。当該フック部509,510は封印シール160と干渉しないようにアーム部503,504から側方に突出させて形成した。これにより、フック部509,510を設けたことによって生じ得る封印シール160の貼付作業の作業性の低下を抑制し得る。
また、カバー部材511を基板ボックス282に対して取り付けることによって、自然にカバー部材511と破壊用部材501との係合関係が生じるように、フック部509,510とスリット532,533との相対位置関係を設定した。これにより、カバー部材511と破壊用部材501とを一体化するために特別な作業をする必要がない。よって、取り付け作業の作業性の低下を抑制し得る。
<第12の実施の形態>
本実施の形態では、破壊用部材601及びカバー部材611に関する構成が上記第6の実施の形態と異なっている。以下、その相違する構成について図40〜図42を参照しながら説明する。なお、第6の実施の形態と同一の構成については各図面において同一の番号を付すとともに、その説明を基本的に省略する。
図40(a)は本実施の形態における破壊用部材601の斜視図、図40(b)は本実施の形態におけるカバー部材611の斜視図、図40(c)はカバー部材611の分解斜視図、図41は主制御装置281において貼付ベース293及びその周辺を拡大して示す分解斜視図、図42(a)は主制御装置281においてカバー部材611及びその周辺を示す斜視図、図42(b)はカバー部材611が基板ボックス282に取り付けられている様子を説明するための説明図である。
図40(a)に示すように、本実施の形態における破壊用部材601は、破壊ベース部602、アーム部603,604、先細り領域605、貫通孔606、受け部607,608を備えている。これらについては、第6の実施の形態の破壊用部材311における対応する部位と同様であるため、説明を省略する。
破壊用部材601は、第6の実施の形態と同様に、破壊ベース部602が貼付ベース293内に形成された空間に入り込むようにして設置されており、当該位置にてネジ固定されることによって、貼付ベース293に対して取り付けられている。破壊用部材601が取り付けられている状況においてアーム部603,604は、図41に示すように、囲み部321の一部を構成している。そして、破壊用部材601が取り付けられている貼付ベース293に対して封印シール160が貼り付けられている。
ここで、図40(a)に示すように、各アーム部603,604には、それぞれフック部609,610が一体形成されている。フック部609,610は、図41に示すように、封印シール160と干渉しないようにアーム部603,604から側方に突出させて形成されている。フック部609,610は先端側が自由端となっており、外力が加えられた場合に弾性変形可能となっている。
かかる構成の貼付ベース293に対してカバー部材611が取り付けられている。カバー部材611は、第6の実施の形態のカバー部材331と同様に、所定の内部空間612を有する直方体の箱状に形成されており、当該内部空間612を区画形成する複数(具体的には5個)の壁部はカバー部材611の内外に電波が透過可能となっている(図40(b),(c)参照)。カバー部材611には、直方体の6面のうち1の面が不具備となるように開口部613が形成されており、当該開口部613を通じて内部空間612がカバー部材611の外部に開放されている。また、開口部613はその周縁部が、当該開口部613を挟んで対向する一対の壁部614,615のそれぞれに対して内側に入り込むようにして形成されている。
カバー部材611の内部空間612は、封印シール160が貼り付けられた貼付ベース293の全体及びフック部609,610を含む破壊用部材601全体を収容可能な大きさに形成されている。また、カバー部材611の上記両壁部614,615間の距離は破壊用部材601のアーム部603,604間の距離よりも大きく設定されている。これにより、内部空間612内に破壊用部材601及び貼付ベース293が収容された状態で、カバー部材611が基板ボックス282に対して取り付けられている。なお、上記第11の実施の形態で説明した通り、基板ボックス282へのカバー部材611の取り付ける場合のカバー部材611の取り付け方向は規定されている。
カバー部材611において表面領域295に対応した表面側壁部616には、ネジ用開口部617が設けられている。ネジ用開口部617は、カバー部材611が基板ボックス282に取り付けられた場合に、貼付ベース293のネジ孔316にアクセスできるように開口している。
カバー部材611は、基板ボックス282に対して取り付けられている状況において、破壊用部材601及び基板ボックス282双方との間で係合関係が生じるようになっている。
先ず、カバー部材611と基板ボックス282との係合関係について説明すると、カバー部材611の両壁部614,615には、開口部613の周縁部から貼付ベース293側に向けて突出させて一対の爪部621,622が一体形成されており、当該爪部621,622にはそれぞれ傾斜面621a,622aが形成されている。爪部621,622は、ボックス側受け部523,524と係合する。当該係合の詳細については、爪部521,522とボックス側受け部523,524との係合と同様であるため、説明を省略する。
次に、カバー部材611と破壊用部材601との係合関係について説明すると、フック部609,610の先端には互いに向き合う方向に突出した先端フック部分が設けられている。先端フック部分は先端側から基端側に向けて徐々に突出量が大きくなるように形成されており、基端側に向かうに従って上記向き合う方向に傾斜する傾斜面609a,610aを備えている。
当該フック部609,610に対応させて、カバー部材611の内部空間612内には、フック部609,610との係合箇所が設けられている。具体的には、カバー部材611の内側には係合部材631が取り付けられている。係合部材631は板状をなしており、内部空間612内に収容可能な大きさに形成されている。係合部材631の長手方向の長さ寸法は、破壊用部材601のアーム部603,604間の距離寸法と同一又はそれよりも若干小さく設定されている。係合部材631は開口部613に対して対向配置された側面側壁部618に固定されている。
具体的には、側面側壁部618の内側には、開口部613に向けて開放されたボス632が設けられている。ボス632は、側面側壁部618の内壁面から開口部613へ向けて突出させて形成されている。ボス632に対応させて、図40(c)に示すように、係合部材631には貫通孔633が設けられている。貫通孔633及びボス632が同一軸線上となるように係合部材631を配置し、その状態で貫通孔633側からネジ634が螺着されることによって、係合部材631はカバー部材611に対して固定される。この場合、係合部材631と側面側壁部618との間には、ボス632の突出量に対応した隙間が形成されている。
ここで、ボス632の突出量はフック部609,610の先端フック部分の突出寸法よりも大きくなるように設定されている。これにより、係合部材631と側面側壁部618との間に形成される隙間は、フック部609,610の先端フック部分が係合部材631の側面側壁部618側へ突出可能な大きさを有している。
また、係合部材631の長手方向の長さ寸法はカバー部材611における壁部614,615間の距離寸法よりも小さく設定されており、さらにカバー部材611の上記両壁部614,615間の距離はアーム部603,604間の距離よりも大きく設定されているため、図42(b)に示すように、係合部材631と壁部614,615との間には隙間635,636が形成されている。
隙間635,636はフック部609,610が挿通可能な大きさに形成されている。具体的には、係合部材631と壁部614,615との距離がフック部609,610における先端フック部分の厚さよりも大きく設定されている。
ここで、カバー部材611が取り付け方向にスライド移動した場合に、フック部609,610の傾斜面609a,610aが隙間635,636を形成する係合部材631の縁部に当接するように、両者の位置関係が規定されている。具体的には、カバー部材611の取り付け方向において、傾斜面609a,610aと係合部材631の縁部とは同一線上に配置されている。
かかる構成によれば、開口部613を介して内部空間612内に貼付ベース293が収容されるようにカバー部材611を取り付け方向にスライド移動させた場合、フック部609,610の傾斜面609a,610aと係合部材631とが当接する。この場合、傾斜面609a,610aに沿ってフック部609,610がそれぞれ外側、すなわち壁部614,615側に向けて弾性変形する。そして、フック部609,610の先端フック部分が隙間635,636を通過しフック部609,610の先端フック部分が係合部材631の側面側壁部618側へ到達することで、復元力によって自然状態に復帰する。これにより、図42(b)に示すように、フック部609,610の先端フック部分が係合部材631の周縁部と係合する。よって、破壊用部材601とカバー部材611との係合関係が生じるようになっている。
この場合、破壊用部材601とカバー部材611との係合箇所がカバー部材611の内部空間612内に収容されている。これにより、当該係合箇所にアクセスしようとしても、それが行いづらくなる。
開放操作を行う場合には、先ずカバー部材611と基板ボックス282との係合を解除する。具体的には、爪部621,622を外方に向けて弾性変形させる。これにより、カバー部材611と基板ボックス282との係合が解除されるため、かかる状態でカバー部材611を取り付け方向とは逆の方向である取り外し方向へスライド移動させる。これにより、カバー部材611が分離される。この場合、カバー部材611と破壊用部材601とが一体化しているため、カバー部材611の分離に伴って破壊用部材601による封印シール160の切断が行われる。よって、封印シール160による阻害が解除され、当該切断箇所が痕跡として残存することとなる。
すなわち、カバー部材611の分離に伴って封印シール160の切断が行われるため、カバー部材611を設けたことによって生じ得る開放操作の作業性の低下を抑制し得る。一方、カバー部材611を不正に分離させようとした場合には、カバー部材611の分離に際して意図しない切断が行われ、痕跡として切断箇所が形成されるため、当該不正行為が行われたことを容易に確認することができる。
上記のようにカバー部材611の内部空間612内に破壊用部材601とカバー部材611との係合箇所を収容することによって、当該係合箇所へのアクセスが行いづらくなっていることにより、カバー部材611のみを分離させることが困難になっている一方、カバー部材611の分離に際して破壊用部材601が追従しないように上記係合を解除しようとする行為を阻止する又はあきらめさせることが可能となる。よって、カバー部材611の分離に際して破壊用部材601が追従することとなり、破壊用部材601が追従することで、上記第1の実施の形態にて説明したように、封印シール160の切断及びICタグ163におけるアンテナ部材172の切断が発生することとなる。
特に、フック部609,610は貼付ベース293から側方に突出して形成されている。これにより、カバー部材611が貼付ベース293に対して側方から取り付けられた状況において、フック部609,610は開口部613から入り込んだ位置にて係合している。すなわち、係合箇所が開口部613に対して奥側(側面側壁部618側)に入り込んだ位置に配置されることとなるため、係合箇所に対するアクセスが困難になっている。これにより、カバー部材611の開口部613を介して係合箇所へアクセスする不正行為を抑制することができる。
カバー部材611の内部空間612内にて破壊用部材601とカバー部材611との係合が行われる場合、フック部609,610に対して係合をアシストする外力を付与できないため、破壊用部材601とカバー部材611との係合が好適に行われない場合に対応しにくいという問題がある。これに対して、本実施の形態では、フック部609,610に傾斜面609a,610aを設けるとともに、カバー部材611が基板ボックス282に対して取り付けられる場合に、当該傾斜面609a,610aが隙間635,636を形成する係合部材631の縁部と当接するように相対位置関係を規定した。これにより、フック部609,610が傾斜面609a,610aに沿って弾性変形し、自然に係合部材631と係合するようになっている。よって、係合箇所を内部空間612内に収容する構成において生じ得る不都合を回避することができる。
<第13の実施の形態>
本実施の形態では、破壊用部材311の取り付け態様及びカバー部材711に関する構成が上記第6の実施の形態と異なっている。当該相違する構成について図43〜図45を参照しながら以下に説明する。なお、第6の実施の形態と同一の構成については各図面において同一の番号を付すとともに、その説明を基本的に省略する。
図43(a)は表側貼付用板部301に破壊用部材311が取り付けられた状態の表側構成体283の一部背面図、図43(b)は破壊用部材311が回転している様子を示す説明図、図44(a),(b)はそれぞれ異なる方向から見た本実施の形態におけるカバー部材711の斜視図、図45(a)は主制御装置281において貼付ベース293及びその周辺を示す斜視図、図45(b)はカバー部材711が基板ボックス282に取り付けられている様子を説明するための説明図である。
図43(a),(b)に示すように、破壊用部材311は、表側貼付用板部301に対して軸支されており、回転可能に形成されている。具体的には、表側貼付用板部301の裏側には軸部701が設けられている。軸部701は円柱形状をなしており、裏側貼付用板部304側に向けて起立して設けられている。軸部701の起立量は破壊用部材311の破壊ベース部312の厚さ方向と略同一に設定されている。軸部701は、表側貼付用板部301において表側対向板部303側の端部に配置されている。
軸部701に対応して、破壊用部材311の破壊ベース部312には軸受け孔702が設けられている。軸受け孔702は、軸部701に対応させて、破壊ベース部312においてアーム部314側の端部に設けられている。軸受け孔702の孔径は軸部701の外径と同等又はそれよりも若干大きくなるように形成されており、軸部701が軸受け孔702に挿入されている。これにより、破壊用部材311は、図43(b)に示すように、軸部701及び軸受け孔702からなる軸支箇所を支点として外側に向けて回転可能となっている。そして、かかる状態で、表側構成体283及び裏側構成体284が組み合わされることによって、破壊用部材311が基板ボックス282に対して取り外し不可又は困難な状態で装着されている。
具体的には、表側構成体283及び裏側構成体284が組み合わされた状態において、破壊用部材311は、表側貼付用板部301及び裏側貼付用板部304によって挟まれている。これにより、基板ボックス282の厚み方向における破壊用部材311の移動が表側貼付用板部301及び裏側貼付用板部304によって規制される。また、厚み方向と直交する方向への破壊用部材311の移動は軸部701との当接によって規制される。よって、基板ボックス282を開放することなく、破壊用部材311を基板ボックス282から取り外すことが不可又は困難になっている。
また、表側構成体283及び裏側構成体284が組み合わされた状態において、破壊用部材311は境界297と対向する位置に配置されており、当該境界297側に向けて回転可能となっている一方、境界297側以外の方向への回転は表側対向板部302等との当接によって制限されている。当該規制された位置を初期位置とする。初期位置において、アーム部313,314は囲み部321の一部を構成しているとともに、外部からのアクセスが可能となるように貼付ベース293の外側に露出している。
破壊用部材311が初期位置に配置されている状況において、表側貼付用板部301と裏側貼付用板部304とのネジ固定が行われることによって、上記境界297側への破壊用部材311の回転移動が制限され、当該ネジ固定が行われた状態で封印シール160が貼り付けられている。
ここで、図45(a)に示すように、表側構成体283と裏側構成体284とが組み合わされた状況において軸支箇所は貼付ベース293及び封印シール160によって覆われている。これにより、軸支箇所が貼付ベース293及び封印シール160によって保護されることとなる。
次に、本実施の形態におけるカバー部材711について説明すると、図44(a),(b)に示すように、カバー部材711は、第6の実施の形態におけるカバー部材331と同様に、内部空間712、開口部713及び壁部714,715を備えている。これらの構成については第6の実施の形態におけるカバー部材331と同様であるため説明を省略する。また、第11の実施の形態にて説明したとおり、基板ボックス282へのカバー部材711の取り付け方向は一方向に規定されている。
カバー部材711は、内部空間712内に封印シール160が貼り付けられた貼付ベース293が収容された状態で、基板ボックス282に対して取り付けられている。この場合、カバー部材711は基板ボックス282に対して係合関係が生じるようになっている。
具体的には、壁部714,715には、図44(a)に示すように、内側に突出した爪部721,722が設けられており、当該爪部721,722に対応させて、図45(a),(b)に示すように、表側対向板部302,303には外方に向けて突出したボックス側受け部723,724が設けられている(ボックス側受け部724については図45(b)参照)。ボックス側受け部723,724は、第11の実施の形態のボックス側受け部523,524と同様に、破壊用部材311の各アーム部313,314に設けられた突出部338,339と取り付け方向において連続するように形成されている。カバー部材711が取り付け方向に移動することによって爪部721,722が突出部338,339と当接するように、両者の相対位置関係が規定されている。具体的には、取り付け方向において爪部721,722と突出部338,339とが同一直線上に配置されている。
かかる構成によれば、開口部713を介して内部空間712に破壊用部材311が一体化された貼付ベース293が収容されるように、カバー部材711を基板ボックス282に向けてスライド移動させると、図45(b)に示すように、爪部721,722が対応するボックス側受け部723,724に対して係合する。これにより、カバー部材711が基板ボックス282に対して取り付けられている。当該係合箇所は貼付ベース293から露出しており、外部からのアクセスが可能となっている。
なお、爪部721,722には、それぞれ傾斜面721a,722aが設けられている。当該傾斜面721a,722aは、第11の実施の形態の爪部721,722の傾斜面721a,722aと同一であるため、説明を省略する。
ここで、カバー部材711には孔部342に対応したものは存在しないため、ネジ固定箇所はカバー部材711によって覆われている。これにより、カバー部材711を基板ボックス282から取り外すことなく、貼付ベース293のネジ固定を解除することが不可又は困難になっている。
また、貼付ベース293及び封印シール160はカバー部材711の内部空間712内に収容されているため、これらに対するアクセスが制限されている。さらに、カバー部材711によって破壊用部材311が収容されているため、破壊用部材311に対するアクセスが制限されている。
次に、基板ボックス282の内部空間を開放する場合の手順について図46を用いて説明する。図46(a)〜(c)は基板ボックス282の内部空間を開放する場合の手順を説明するための説明図である。
図46(a)に示すように、基板ボックス282にカバー部材711が取り付けられている状況において、封印シール160及び貼付ベース293のネジ固定箇所及び封印シール160はカバー部材711によって囲まれている。このため、これらへのアクセスを可能とするために先ずカバー部材711の分離操作を行う必要がある。カバー部材711は基板ボックス282に対して係合しているため、その係合状態を解除する必要がある。当該係合状態を解除する場合には、カバー部材711の爪部721,722を外側に向けて弾性変形させる。そして、取り付け方向とは反対方向の取り外し方向へカバー部材711をスライド移動させる。これにより、基板ボックス282からカバー部材711のみが取り外される。
ここで、本実施の形態では、カバー部材711と破壊用部材311とが一体化されていない。具体的には、カバー部材711は破壊用部材311に対して係合又は固定されていない。このため、カバー部材711の分離操作に伴って破壊用部材311が分離されない。つまり、カバー部材711の分離操作が行われた場合であっても、破壊用部材311は貼付ベース293内に収容されている。これにより、封印シール160を破壊することなく、カバー部材711を基板ボックス282から取り外すことが可能となっており、カバー部材711の交換及び封印シール160を直接確認する確認作業に好適に対応することが可能となる。
その後、図46(b)に示すように、ネジ319を離脱させる。これにより、破壊用部材311の回転移動が可能となるとともに、封印シール160に痕跡が形成される。
次に、図46(c)に示すように、回転移動の制限が解除された破壊用部材311を回転させる。具体的には、破壊用部材311の軸支箇所近傍のアーム部314とは反対側のアーム部313を境界297側(貼付ベース293の外側)に向けて回転させる。この場合、境界297を跨ぐようにして封印シール160が貼り付けられているため、破壊用部材311の回転に伴って封印シール160の境界297を跨いでいる箇所が切断される。これにより、封印シール160による阻害が解除される。よって、両構成体283,284の一方に対して他方を分離方向へスライド移動させることが可能となる。
以上詳述した本実施の形態によれば以下の優れた効果を奏する。
破壊用部材311の一端のアーム部314に軸支箇所を設け、操作部(作用部)として当該軸支箇所とは反対側に設けられたアーム部313を境界297側へ向けて回転させることによって、軸支箇所とアーム部313との間に存在する先細り領域315が封印シール160と当接する構成とした。これにより、破壊用部材311と封印シール160との当接箇所に対する押圧力が、アーム部313に付与する力よりも大きくなる。さらに、破壊用部材311が回転した場合、破壊ベース部312は封印シール160に対して傾斜した状態で当接する。これにより、先細り領域315の先端部分のみが封印シール160に当接し、回転に伴って当接箇所がシフトしていく。よって、封印シール160の切断が徐々に行われることとなる。したがって、封印シール160及びアンテナ部材172の切断の容易化が図られる。
貼付ベース293への破壊用部材311の軸支箇所が当該貼付ベース293により収容される構成とした。これにより、これらに対するアクセスが困難になっているため、軸支箇所に対する不正行為を抑制することができる。
また、貼付ベース293には封印シール160が貼り付けられているため、仮に貼付ベース293を介して軸支箇所へアクセスした場合には、封印シール160の破壊による痕跡が残存することが期待される。これにより、軸支箇所への不正アクセスの事実を容易に確認することができる。
<第14の実施の形態>
本実施の形態では、破壊用部材801及びカバー部材821に関する構成が上記第6の実施の形態と異なっている。当該相違する構成について図47〜図49を用いて以下に説明する。
図47は貼付ベース293及びその周辺を示す分解斜視図、図48は貼付ベース293及びその周辺を示す分解斜視図、図49(a),(b)は破壊用部材801の回転を示す説明図である。
本実施の形態における破壊用部材801は、図48に示すように、台座部305と表側貼付用板部301との間の空間に入り込み可能な厚み寸法を有するとともに、台座部305における両裏側対向板部306,307間の距離寸法よりも若干大きい長さ寸法を有する板状の破壊ベース部802を備えている。破壊ベース部802の長さ方向の一端には第1アーム部803が一体形成されているとともに、反対側の他端には第2アーム部804が一体形成されている。第1アーム部803は、破壊ベース部802の長さ方向と直交する方向に延びた板状に形成されている。第2アーム部804は貼付ベース293の表側に向けて突出している。破壊用部材801は貼付ベース293に対して軸支された状態で基板ボックス282に取り付けられている。
具体的には、貼付ベース293の外側、詳細には表側対向板部303と結合構造391との間には軸部811が設けられている。軸部811は貼付ベース293の表裏方向を軸線とした円環形状をなしており、表側構成体283の外側に設けられている。
軸部811に対応させて、図48に示すように、破壊用部材801の一端には、受け部812が設けられている。受け部812は第1アーム部803よりも外側に設けられている。受け部812は、貼付ベース293の表裏方向に貫通した軸受け孔813を備えている。軸受け孔813の内径は軸部811の外径と同一又はそれよりも若干大きく設定されている。これにより、軸部811は、軸受け孔813に対して挿入可能となっている。そして、図49(a),(b)に示すように、軸受け孔813に対して軸部811が挿入された状態で、破壊用部材801は貼付ベース293に取り付けられており、軸受け孔813に対して軸部811が挿入された軸支箇所を支点として貼付ベース293の外側に回転可能となっている。
取り付けに関して具体的には、表側貼付用板部301と破壊ベース部802とが干渉しないように破壊用部材801を貼付ベース293に対して傾斜させた状態で、軸受け孔813に軸部811が挿入されるように破壊用部材801を貼付ベース293の表側から取り付ける。そして、破壊用部材801を貼付ベース293に向けて回転させる。すると、第1アーム部803と第2アーム部804との間に表側貼付用板部301を挟むとともに、台座部305と表側貼付用板部301との間に破壊ベース部802が入り込むようにして、破壊用部材801が配置される。
破壊用部材801の第1アーム部803に対応させて、表側対向板部303の側方側の部分が凹んでいる。これにより、表側貼付用板部301の表側対向板部303に近接した端部の一部が露出している。そして、凹ませたことによって生じた空間に第1アーム部803が配置されるように、軸支箇所から第1アーム部803までの距離が設定されている。これにより、貼付ベース293への破壊用部材801の取り付けに際して破壊用部材801が回転する場合に、第1アーム部803が表側対向板部303と干渉しないとともに、破壊用部材801が初期位置に配置されている状況において、第1アーム部803が表側対向板部303及び裏側対向板部307と連続し、表側貼付用板部301の露出した部分と当接する。
また、第2アーム部804に対応させて、表側対向板部302において側面領域296側であって貼付ベース293の表側の隅角部分には切り欠きが形成されている。当該切り欠きによって、表側貼付用板部301の表側対向板部302に近接した端部の一部が露出している。そして、切り欠き部分に第2アーム部804が嵌まるように、軸支箇所から第2アーム部804までの距離が設定されている。これにより、貼付ベース293への破壊用部材801の取り付けに際して破壊用部材801が回転する場合に、第2アーム部804が表側対向板部302と干渉しないとともに、破壊用部材801が初期位置に配置されている状況において、第2アーム部804と表側対向板部302とが連続し、表側貼付用板部301の露出した部分と当接する。
ここで、第2アーム部804と表側対向板部302との当接及び第1アーム部803と表側対向板部303との当接によって、破壊用部材801の取り付け方向へのそれ以上の回転が規制されている。当該規制された位置を初期位置とする。すなわち、上記当接によって初期位置への破壊用部材801の位置決めを容易に行うことができるようになっている。
また、初期位置において、破壊ベース部802は貼付ベース293の内部に配置されているため、破壊用部材801を貼付ベース293の表裏方向に移動させようとしても、破壊ベース部802と、貼付ベース293を構成する表側固定ベース部291及び裏側固定ベース部292との当接によってその移動は規制される。すなわち、破壊用部材801は、破壊ベース部802が貼付ベース293(表側固定ベース部291)と干渉しない位置まで回転しない限り、基板ボックス282から取り外せないようになっている。すなわち、破壊用部材801は、自身が回転することなく基板ボックス282から取り外せないようになっているといえる。
なお、破壊用部材801が初期位置に配置されている状況において、表側貼付用板部301は第1アーム部803と第2アーム部804とによって挟まれている。また、第1アーム部803及び第2アーム部804は囲み部321の一部を構成しており、表側貼付用板部301等の露出した部分はこれら第1アーム部803及び第2アーム部804によって覆われている。
図47に示すように、破壊用部材801の第2アーム部804には取っ手814が設けられている。取っ手814は、第2アーム部804の裏側の端部から側方へ突出させて一体形成されている。破壊用部材801が初期位置に配置されている状況において、取っ手814は境界297(破壊ベース部802)と対向する位置に配置されており、取っ手814と貼付ベース293との間には所定の隙間が形成されている。取っ手814の厚みは境界297と略同一に形成されている。取っ手814は円環形状をなしており、把持可能に形成されている。取っ手814を持つことによって、境界297側(破壊用部材801を取り付ける際の回転方向とは逆方向)に容易に回転させることができる。
なお、破壊ベース部802には、先細り領域805及び貫通孔806が形成されている。当該先細り領域805及び貫通孔806については、上記第6の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
破壊用部材801が初期位置に配置されている状態で貼付ベース293がネジ固定されている。具体的には、貫通孔318,806及びネジ孔316の連通孔に対してネジ319が螺着されている。これにより、表側固定ベース部291及び裏側固定ベース部292が固定され、更に破壊用部材801が固定される。よって、表側構成体283及び裏側構成体284のスライド移動が規制され、さらに破壊用部材801の回転移動が規制される。そして、ネジ固定された貼付ベース293に対して封印シール160が貼り付けられている。
貼り付けに際しては、取っ手814と封印シール160とが干渉しないように、取っ手814と貼付ベース293との間の隙間に入り込むように封印シール160を貼り付ける。これにより、封印シール160が境界297に跨って貼り付けられているため、表側構成体283及び裏側構成体284のスライド移動が阻害される。
封印シール160が貼り付けられた貼付ベース293には、カバー部材821が取り付けられている。当該カバー部材821について図50〜図52を参照しながら以下に説明する。
図50(a)は基板ボックス282においてカバー部材821及びその周辺を示す斜視図、図50(b)は基板ボックス282の側面図、図51は貼付ベース293及びその周辺を示す分解斜視図、図52(a),(b)はそれぞれ異なる方向から見たカバー部材821の斜視図である。
カバー部材821は、図52(b)に示すように、所定の内部空間822を有する直方体の箱状に形成されており、当該内部空間822を区画形成する複数(具体的には5個)の壁部はカバー部材821の内外に電波が透過可能となっている。カバー部材821には開口部823が設けられており、当該開口部823を通じて内部空間822がカバー部材821の外部に解放されている。
カバー部材821の内部空間822は、封印シール160が貼り付けられた貼付ベース293の一部及び一対の結合構造391のうち一方を収容可能な大きさに形成されている。また、開口部823は、貼付ベース293及び結合構造391の一方が内部空間822内に入り込めるように、当該貼付ベース293及び結合構造391の各結合部392,393の形状に合わせて形成されている。詳細には、開口部823は、当該開口部823の周縁部が囲み部321及び各結合部392,393と当接又は近接するように形成されている。開口部823に囲み部321及び結合構造391の一方が入り込むように、カバー部材821をスライド移動させることによって、内部空間822内に貼付ベース293の一部及び結合構造391の一方を収容した状態でカバー部材821が基板ボックス282に対して取り付けられる。
なお、カバー部材821のスライド移動に伴って、開口部823を形成する周縁部と囲み部321等とが摺動する。これにより、基板ボックス282へのカバー部材821の取り付け方向が一方向に規定されているとともに、取り外し方向も一方向(取り外し方向とは反対方向)に規定されている。
また、開口部823は囲み部321等の形状に合わせて形成されているため、カバー部材821が取り付けられている状況において、開口部823は囲み部321及び各結合部392,393によって塞がれている。これにより、開口部823を介して治具を挿入することが困難になっている。
ここで、カバー部材821が配置されている状況において、破壊用部材801の回転がカバー部材821によって制限されないようになっている。具体的には、側面領域296と対向する側面側壁部831には、図51に示すように、取っ手814に対応させてスリット832が設けられている。スリット832は、図50(b)に示すように、境界297と対向する位置に配置されている。スリット832は、破壊用部材801が回転移動する経路上に設けられている。スリット832は破壊ベース部802及び取っ手814が通過可能な大きさに形成されている。具体的には、スリット832の長手方向の長さ寸法は破壊ベース部802の長さ寸法と同一又はそれよりも若干大きく設定されており、さらにスリット832の短手方向の長さ寸法は破壊ベース部802及び取っ手814の厚み寸法と同一又はそれよりも若干大きく設定されている。カバー部材821が配置されている状況において、取っ手814はスリット832を介して突出している。
また、図51に示すように、破壊用部材801が初期位置に配置されている状況において、第2アーム部804は表側対向板部302から外方(貼付ベース293とは反対側)に向けて突出おり、当該突出に対応させて側面側壁部831には第2アーム部用開口部833が設けられている。第2アーム部用開口部833は、スリット832の一端であって、側面側壁部831の隅角部に形成されている。第2アーム部用開口部833は第2アーム部804が通過可能な大きさに形成されている。具体的には、図50(b)に示すように、第2アーム部用開口部833における貼付ベース293の表裏方向の長さ寸法が対応する第2アーム部804の長さ寸法と同一又はそれよりも若干大きくなるように設定されている。そして、第2アーム部用開口部833における上記表裏方向と直交する方向の長さ寸法が対応する第2アーム部804の突出寸法よりも大きくなるように、内部空間822を区画形成する壁部834において第2アーム部804に対応する隅角部が外側に向けて拡張されている。カバー部材821が配置されている状況において、第2アーム部804は第2アーム部用開口部833内に配置されている。
さらに、破壊用部材801と貼付ベース293との軸支箇所に対応させて、スリット832の他端側には、回転用開口部835が形成されている。回転用開口部835は、破壊用部材801が回転した場合に第1アーム部803とカバー部材821とが干渉しないように、第1アーム部803が通過可能な大きさに形成されている。
以上のことから、カバー部材821が貼付ベース293に取り付けられている状況であっても、破壊用部材801のネジ固定が解除された場合には、カバー部材821を回転させることができるようになっている。この場合、取っ手814はカバー部材821のスリット832を介して突出しているため、つかみ易い状態は確保されている。
また、カバー部材821が配置されている状況において、第2アーム部804及び軸支箇所は、カバー部材821の内部空間822内に収容されている。これにより、これらに対するアクセスが制限されている。
カバー部材821がかかる位置に配置されている状況において、カバー部材821は破壊用部材801に対して係合している。具体的には、カバー部材821と破壊用部材801との間には第1の係合及び第2の係合が生じるようになっている。
先ず第1の係合について、図51及び図52に加え、図53を用いて説明する。図53は、第1の係合を説明する説明図であって、図50(b)のA−A線断面図を模式的に示した図である。
図51に示すように、壁部834には第1フック部841が設けられている。第1フック部841は、図53に示すように、表側対向板部302側に向けて突出している。第1フック部841が第2アーム部804に対して係合している。
詳細には、図52(b)に示すように、第1フック部841の周囲は、開口部823側の端部を除いて切り取られている。これにより、第1フック部841は、側面側壁部831側を自由端として弾性変形可能に形成されている。また、第1フック部841は、側面側壁部831側へ向かうにつれ、貼付ベース293側へ傾斜するフック側傾斜面841aを備えている。当該フック側傾斜面841aに対応させて、第2アーム部804において第2アーム部用開口部833側には、上記フック側傾斜面841aと同一の傾斜を有する第2アーム部側傾斜面804aが設けられている。カバー部材821が取り付け方向にスライド移動した場合に、フック側傾斜面841a及び第2アーム部側傾斜面804aが当接するように両者の相対位置関係が規定されている。具体的には、フック側傾斜面841a及び第2アーム部側傾斜面804aは、取り付け方向において同一直線上に配置されている。
かかる構成によれば、カバー部材821を取り付け方向にスライド移動させると、両者が当接し、第1フック部841は外側(貼付ベース293とは反対側)へ逃げるようにして弾性変形する。そして、第1フック部841が第2アーム部804よりも取り付け方向の先側に到達することで復元力によって自然状態に復帰する。これにより、図53に示すように、第1フック部841が、第2アーム部804の取り付け方向の先側の端面と当接するため、取り付け方向の逆方向である取り外し方向にカバー部材821を移動させようとしても、上記当接によってそれが規制される。
なお、カバー部材821が配置されている状況において、第2アーム部804は第2アーム部用開口部833を区画形成する壁部に囲まれている。これにより、第2アーム部804へのアクセスが制限されているとともに、第2アーム部804と第1フック部841との係合箇所へのアクセスが制限されている。さらに、第1フック部841と当接している第2アーム部804の端面は、取り付け方向の先側に配置されているため、第2アーム部用開口部833を通じて係合箇所へアクセスすることが困難になっている。
次に、第2の係合について図51及び図52に加えて、図54を参照しながら説明する。図54(a)は基板ボックス282においてカバー部材821及びその周辺を示す正面図、図54(b)はB−B線断面図である。
カバー部材821において表側に配置される表面側壁部851には、開口部823の周縁部から取り付け方向に向けて突出した第2フック部852が設けられている。第2フック部852は、図52(b)に示すように、その先端側が自由端となっており、外力が加えられた場合に弾性変形可能となっている。第2フック部852は、図54(a)に示すように、軸支箇所に対応した位置に配置されており、受け部812に対して係合する。
具体的には、第2フック部852には受け部812側に向けて突出した先端フック部分が設けられている。また、第2フック部852に対応させて、図51及び図54(b)に示すように、受け部812には突起853が設けられている。突起853は、破壊用部材801が初期位置にある状況において、第2フック部852と係合する位置に配置されている。具体的には、突起853は、破壊用部材801が初期位置にある状況において、カバー部材821の取り付け方向側に配置されている。そして、カバー部材821が取り付け方向にスライド移動した場合に、第2フック部852と突起853とが当接するように、両者の相対位置関係が設定されている。詳細には、第2フック部852と突起853とは、カバー部材821の取り付け方向において同一直線上に配置されている。
かかる構成によれば、カバー部材821を取り付け方向にスライド移動させると、第2フック部852の先端フック部分が受け部812と当接し、当該当接によって第2フック部852は表側に弾性変形する。そして、第2フック部852の先端フック部分が受け部812の突起853よりも取り付け方向の先側に到達した場合、第2フック部852は復元力によって自然状態に復帰する。これにより、図54(b)に示すように、第2フック部852と突起853とが係合する。
なお、第2フック部852の先端フック部分には、図54(b)に示すように、フック側傾斜面852aが設けられているとともに、受け部812における表側の周縁部には、図51及び図54(b)に示すように、受け部側傾斜面812aが設けられている。これらの関係及びその効果は、フック側傾斜面841a及び第2アーム部側傾斜面804aと同一であるため、説明を省略する。
ここで、破壊用部材801の回転が係合に与える影響について説明する。
先ず、第1の係合について説明すると、破壊用部材801が回転した場合、第2アーム部804も第1フック部841が配置されている側とは反対側に回転移動する。これにより、第2アーム部804と第1フック部841との係合関係が生じなくなる。よって、カバー部材821の取り外し方向へのスライド移動が阻害されない。すなわち、第2アーム部804は、破壊用部材801の回転に伴って、第1フック部841との係合が解除される側へ向けて移動する。
次に、第2の係合について説明すると、破壊用部材801が回転した場合、それに伴って突起853の回転方向位置が変化する。すると、第2フック部852は、突起853とではなく、受け部812に対して係合する。この場合、突起853の分だけ遊びが生じるため、突起853と係合していた状態と比較して、係合状態は解除され易くなっている。
以上のことから、破壊用部材801が回転することによって、第1の係合については解除され、第2の係合については解除し易くなる。
ちなみに、破壊用部材801が回転した場合、突起853と表側対向板部303とが当接するように形成されている。具体的には、突起853の突出量は受け部812と表側対向板部303との間隔よりも大きく設定されている。これにより、破壊用部材801の回転可能な範囲が規定されている。
なお、カバー部材821が基板ボックス282に取り付けられている状況において、結合構造391の一方はカバー部材821によって覆われている。これにより、結合構造391に対するアクセスが制限されている。よって、結合構造391に対する不正行為を抑制し得る。特に、結合構造391において破断ネジを挿入するための開口部がカバー部材821によって覆われているため、破断ネジに対するアクセスが不可又は困難になっている。
また、表面領域295と当接するように、表面側壁部851のうち表面領域295と対向する部分が凹んでいる。これにより、封印シール160は表面側壁部851と表側貼付用板部301とによって挟まれている。
なお、表面側壁部851には固定解除用の孔部861が設けられている。当該孔部861は、上記第6の実施の形態における孔部342と同一であるため説明を省略する。
次に、基板ボックス282の内部空間を開放する場合の手順について説明する。図55及び図56は基板ボックス282の内部空間を開放する場合の手順を説明するための説明図である。
カバー部材821の分離が破壊用部材801との当接によって規制されているため、カバー部材821の取り外しに先立って、当該規制の解除を行う必要がある。
ここで、破壊用部材801による規制は破壊用部材801を回転させることによって解除し易くなる。破壊用部材801の回転は表側固定ベース部291及び裏側固定ベース部292のネジ固定によって制限されている。よって、最初に上記ネジ固定の解除を行う。
具体的には、図55(b)に示すように、孔部861からドライバなどの工具の先端を挿入し、ネジ319の頭部を覆っている封印シール160を突き破ることで、当該先端をネジ319の差し込み、ネジ319を離脱させる。これにより、破壊用部材801が回転可能となる。なお、既に説明したとおり、ICタグ163のアンテナ部材172はネジ319を挿通させるための貫通孔318を跨いでいるため、工具の先端をネジ319の頭部に差し込んだ際には封印シール160の一部の破損だけでなくアンテナ部材172の一部の破損が生じる。
その後、図56(b)に示すように、取っ手814を持って破壊用部材801を回転させる。これにより、境界297に沿って封印シール160が切断され、封印シール160の阻害が解除される。この場合、ICタグ163のアンテナ部材172も境界297を跨ぐようにして設けられているため、破壊用部材801の回転移動に伴ってアンテナ部材172が切断される。
回転による封印シール160の切断について詳細には、破壊用部材801の回転移動の途中位置に封印シール160が配置されているため、破壊用部材801が回転すると、破壊用部材801は封印シール160と当接する。この場合、破壊用部材801がスライド移動する構成と異なり、破壊ベース部802の一部が封印シール160に当接し、回転に伴って破壊ベース部802と封印シール160との当接箇所が徐々にシフトするため、当接面積が小さい状態で切断が行われる。また、封印シール160と当接する先細り領域805は鋭利に形成されているとともに、その先端が傾斜しているため、当接面積がより小さくなっている。これにより、封印シール160に与える押圧力が高められている。
さらに、支点としての軸支箇所と、作用点としての取っ手814との間に、力点としての破壊ベース部802と封印シール160との当接箇所が配置されているため、封印シール160に対する押圧力が取っ手814に付与する力よりも大きくなる。この場合、軸支箇所が貼付ベース293の外側に配置されているため、軸支箇所が貼付ベース293の内側に配置されている構成と比較して、軸支箇所と外力を加える操作部(第13の実施の形態ではアーム部313、本実施の形態では取っ手814)との距離が大きくなっている。これにより、支点と作用点との距離が大きくなることとなるため、破壊ベース部802が封印シール160に対して付与する力が大きくなる。
また、取っ手814が設けられているため、破壊用部材801を容易に掴むことができるとともに、回転させることができる。これにより、破壊用部材801を回転させるための力を好適に付与することが可能となる。
以上のことから、封印シール160を容易に切断することが可能となる。
また、軸支箇所が貼付ベース293の外側に配置されており、さらに破壊ベース部802が貼付ベース293の内部において境界297に沿って配置されているため、境界297に跨っている封印シール160全体を切断するのに必要な破壊用部材801の回転ストローク量は小さくなっている。これにより、封印シール160による阻害の解除を容易に行うことができるとともに、封印シール160の一部が切断されずに残存するといった不都合を回避することができる。なお、突起853が表側対向板部303と当接によって破壊用部材801の回転範囲は規定されている。
そして、破壊用部材801が回転することによって、第2アーム部804によるカバー部材821のスライド移動の規制が解除され、第2フック部852と突起853との係合が解除される。この場合、第2フック部852は受け部812と係合することとなるが、その係合には突起853に対応した遊びが生じる。
その後、図56(b)に示すように、回転によって生じた遊びを利用して、第2フック部852を係合が解除される側に弾性変形させながら、カバー部材821をスライド移動させる。これにより、カバー部材821が貼付ベース293から分離される。
この場合、カバー部材821の分離に先立って、封印シール160の切断が行われているため、カバー部材821の分離に伴って封印シール160を切断する構成と比較して、カバー部材821を容易に分離させることができる。すなわち、第6の実施の形態のように、カバー部材331の分離に伴って封印シール160を切断する構成の場合、カバー部材331の分離の際に封印シール160を切断するために必要な力を付与する必要がある。これに対して、本実施の形態によれば、カバー部材821と封印シール160とが干渉することがないため、カバー部材821を容易に分離させることができるようになっている。
そして、図56(c)に示すように、カバー部材821が第2アーム部804及び取っ手814を通過できるように、破壊用部材801に対するカバー部材821の相対位置を調整する。具体的には、第2アーム部804が第2アーム部用開口部833に入り込めるように、破壊用部材801に対するカバー部材821の相対位置を決める。
その後、図56(d)に示すように、第1フック部841が第2アーム部804と当接しないように、カバー部材821を破壊用部材801の長手方向に沿ってスライド移動させる。これにより、カバー部材821が取り外されることとなる。カバー部材821が取り外された状況では、既に説明したとおり、境界297に沿って封印シール160の切断箇所が形成され、さらにネジ319が離脱された痕跡が形成されている(図55(c)参照)。よって、開放操作が行われたことを目視で確認することが可能となっている。
また、図56(b)の状態においては、破壊用部材801を貼付ベース293の表側にスライド移動させることによって、破壊用部材801ごとカバー部材821が分離される。これにより、カバー部材821のみの分離も行えるとともに、カバー部材821及び破壊用部材801の一体的な分離も行うことができるようになっている。この場合、カバー部材821及び破壊用部材801の一体的な分離がカバー部材821のみの分離よりも容易に行えるようになっている。
すなわち、基板ボックス282へのカバー部材821の取り付け方向が開口部823の周縁部と囲み部321等との摺動により一方向に規定されている状況において、貼付ベース293の外側に、第1フック部841、第2フック部852と係合する第2アーム部804、突起853を設け、当該取り付け方向において第2アーム部804と同一直線上の位置に第1フック部841を配置するとともに、取り付け方向において突起853と同一直線上の位置に第2フック部852を配置した。そして、各フック部841,852に、当該各フック部841,852が対応する第2アーム部804、受け部812を乗り越える側へ弾性変形するように誘導するフック側傾斜面841a,852aを設けた。これにより、破壊用部材801が予め初期位置に配置された状況においてカバー部材821を基板ボックス282に取り付けることによって、自然とカバー部材821と破壊用部材801とが係合するようになっている。この場合、カバー部材821を分離させようとして取り外し方向へスライド移動させようとしても、破壊用部材801との当接によって当該スライド移動が規制される。当該規制は、破壊用部材801が回転することによって解除され易くなる。
ここで、破壊用部材801を回転させた後にカバー部材821の分離が可能となるためには、通常先にカバー部材821を取り付けた後に当該カバー部材821の分離を阻止するように破壊用部材801を取り付ける構成が考えられる。この場合、カバー部材821の内部空間822内及び貼付ベース293の内側に破壊用部材801を収容することが困難になるとともに、基板ボックス282の大型化が懸念される。かといって、上記不都合を回避する取付構造とすると、構成の複雑化及びカバー部材821の取り付け作業の作業性の低下が懸念される。
これに対して、本実施の形態によれば、破壊用部材801が初期位置に配置されている状況において、第2アーム部804、突起853が貼付ベース293の外側に配置されており、これらに対応させて各フック部841,852の相対位置が規定されている。これにより、先に破壊ベース部802が貼付ベース293内に収容されるように破壊用部材801を取り付け、その後カバー部材821を取り付け方向にスライド移動させることによって、カバー部材821の取り外し方向への移動が破壊用部材801によって規制された状態で、カバー部材821は基板ボックス282に対して取り付けられる。これにより、上記不都合を回避することができる。
次に不正行為抑制について説明すると、封印シール160を切断することなくカバー部材821を分離させることが困難になっているため、痕跡を残すことなくカバー部材821を分離させることが困難になっている。これにより、痕跡を残さない開放操作が困難になっているため、痕跡を残すことなく開放操作を行う巧みな不正行為を抑制し得る。
また、カバー部材821の取り付け作業よりも分離作業の方が煩雑になっているため、カバー部材821の取り付け作業を容易に行いつつ、カバー部材821の不正な分離を抑制し得る。
また、アンテナ部材172においてインピーダンス整合用のスリット173が形成された領域が境界297を跨いでいるため、破壊用部材801の回転移動に伴ってスリット173が破壊される。これにより、カバー部材821の貼付ベース293からの分離に伴って、ICタグ163は正常な通信が不可となる。
以上詳述した本実施の形態によれば以下の優れた効果を奏する。
境界297に沿って封印シール160を切断する破壊用部材801を設けた。これにより、境界297に沿った封印シール160の切断を容易に行うことができる。よって、封印シール160による開放操作の阻害を容易に解除することができるため、開放操作を容易に行うことができる。
破壊用部材801による封印シール160の切断を行うことなく、取り外すことが困難なカバー部材821を設けた。これにより、カバー部材821を取り外すことに先立って、封印シール160を切断する必要が生じる。よって、カバー部材821を取り外す際には、確実に封印シール160の切断が行われる。したがって、封印シール160が切断される機会が生じ易くなるため、痕跡を残すことなく開放操作を行う不正行為を抑制し得る。
表側貼付用板部301との間で封印シール160を挟み込むように表面側壁部851を形成した。これにより、破壊用部材801が封印シール160に付与するせん断力を高めることができる。すなわち、基板ボックス282の開放操作を制限するカバー部材821によって、封印シール160の切断を容易に行うことができるようになっている。
<第15の実施の形態>
本実施の形態では、貼付ベース293の一部、破壊用部材910及びカバー部材961に関する構成が上記第6の実施の形態と異なっている。当該相違する構成について図57〜図71を用いて以下に説明する。なお、第6の実施の形態と同一の構成については各図面において同一の番号を付すとともに、その説明を基本的に省略する。
先ず、本実施の形態の貼付ベース293について図57〜図59を用いて説明する。図57は本実施の形態における主制御装置281の一部を表面側から見た分解斜視図、図58は主制御装置281の一部を裏面側から見た分解斜視図、図59は貼付ベース293及びその周辺を示す分解斜視図である。
図57に示すように、表側固定ベース部291には、表側貼付用板部301を間に挟むようにして形成された一対の表側対向板部901,902が設けられている。一方、図58に示すように、裏側固定ベース部292には、裏側貼付用板部304において裏面領域903側とは反対側から表側貼付用板部301側に向けて突出し且つ表側対向板部901,902の向き合う方向(各固定ベース部291,292が突出している方向及び両者の重ね合わせ方向の両方向に直交する方向)に所定の間隔を隔てて配置された一対の台座部904,905が設けられている。裏側貼付用板部304を間に挟むようにして形成された一対の裏側対向板部906,907間に、台座部904,905及び両者に挟まれた拡張領域908が形成されている。台座部904,905は、図59に示すように、表側対向板部901,902間に入り込むように突出しており、当該台座部904,905の突出側の端面は表側貼付用板部301において表面領域295側とは反対側の面に近接している。但し、両者は当接しておらず、所定の隙間が形成されている。
台座部904,905における基板ボックス282外側の側面は、表側貼付用板部301の突出側の端面に対して、上記所定の隙間を挟んで同一面上に位置しており、これら側面及び端面により側面領域296が形成されている。上記所定の隙間は表側固定ベース部291と裏側固定ベース部292との境界909によって側方に開放されている。境界909は各板部901,902,906,907が向き合う方向に沿って形成されており、その一部が拡張領域908によって貼付ベース293の表裏方向に拡張している。これにより、境界909の周縁には、上記向き合う方向とは異なる方向、具体的には直交する方向に延びた曲がり部が形成されている。
台座部904,905と表側貼付用板部301との間の空間には、封印シールを切断するための破壊用部材910が設けられている。この破壊用部材910について、図57、図58及び図59に加え、図60及び図61を適宜参照しながら以下に詳細に説明する。
図60(a)は表面側から見た破壊用部材910の斜視図、図60(b)は裏面側から見た破壊用部材910の斜視図、図60(c)は破壊用部材910の裏面図、図61は貼付ベース293及びその周辺を拡大して示す分解斜視図である。
破壊用部材910は、合成樹脂により一体形成されている。また、破壊用部材910は、図57に示すように、台座部904,905と表側貼付用板部301との間の空間に入り込み可能な厚み寸法を有するとともに両裏側対向板部906,907間の距離寸法よりも若干大きい長さ寸法を有する板状の破壊ベース部911と、当該破壊ベース部911の長さ方向の両端に形成された一対のアーム部912,913が一体形成されている。
一対のアーム部912,913は、台座部904,905それぞれにおいて裏側対向板部906,907のそれぞれに近接した端部904a,905aよりも外側の位置において裏側貼付用板部304に向けて突出している。そして、一対のアーム部912,913の間に拡張領域908を介して配置された台座部904,905が挟まれるように両者の相対位置が設定されている。
拡張領域908に対応させて、破壊ベース部911の幅方向の一端側には拡張部914が一体形成されている。拡張部914は、図60(b)に示すように、破壊ベース部911の厚み方向に突出して板状に形成されている。拡張領域908は拡張部914が通過可能となる大きさに形成されており、具体的には、一対の台座部904,905間の距離が拡張部914の長手方向の長さ寸法よりも大きくなるように設定されている。一対のアーム部912,913の間に台座部904,905拡張領域908が配置されるように破壊用部材910を貼付ベース293に挿入した場合に、拡張部914が拡張領域908を通過して貼付ベース293内に入り込むように拡張部914と拡張領域908との相対位置が設定されている。
破壊ベース部911には、図60(a)に示すように、厚み方向に突出した破断部915が設けられている。破断部915は、破壊ベース部911の幅方向に延びるように形成された破断ベース部916と、当該破断ベース部916の一端側に設けられ、破断ベース部916から厚み方向に突出した破断突起917とを備えている。破断突起917を含めた破断部915の突出寸法は、表側貼付用板部301の厚み寸法よりも大きくなっている。
破断部915の突出に対応させて、図59に示すように、表側貼付用板部301には破断部915が通過可能な破断部用開口部918が形成されている。破断部用開口部918は、破断部915が入り込み可能な大きさに形成されている。破断部用開口部918は側方に向けて開放されており、境界909と連通している。一対のアーム部912,913の間に台座部904,905が配置されるように破壊用部材910を挿入した場合に、破断部915が破断部用開口部918に嵌まるように両者の相対位置が設定されている。
上記構成の破壊用部材910は、表側構成体283及び裏側構成体284が組み合わされて両構成体283,284の相対位置が初期位置となった後に貼付ベース293に対して取り付けられている。詳細には、両構成体283,284が組み合わされて両構成体283,284の相対位置が初期位置となった場合、図59に示すように、拡張領域908が側方に開放されており、更に台座部904,905それぞれの外側の端部、詳細には裏側対向板部906,907側の端部904a,905aが露出しているとともに台座部904,905と表側貼付用板部301との間の空間が側面領域296の境界909を通じて開放された状態の貼付ベース293が形成される。当該貼付ベース293に対して拡張部914及び破断部915が形成されている側を挿入先側として、破断部915が破断部用開口部918に入り込むように且つ拡張部914が拡張領域908を通過するように破壊用部材910を挿入することによって、破壊用部材910が貼付ベース293内に入り込む。なお、以降の説明において、破壊用部材910の挿入方向を取り付け方向ともいう。
破壊用部材910の取り付け方向への移動は、表側対向板部901,902において台座部904,905の端部904a,905aを露出させるために形成された凹部分の周縁であって破壊用部材910の挿入先側の周縁に一対のアーム部912,913が当接することにより、それ以上の移動が規制される。この規制された位置が破壊用部材910の初期位置となっている。破壊用部材910が初期位置に配置されている状況において、拡張部914は貼付ベース293内に収容されている。一方、破断部915の破断突起917は、図61に示すように、破断部用開口部918を介して表側貼付用板部301から表側に突出している。
ここで、台座部904,905の端部904a,905aは、図57に示すように、裏側対向板部906,907により覆われていない。また、表側対向板部901,902は、上記台座部904,905の端部904a,905aを覆わないように、側面領域296側であって裏側対向板部906,907側の隅角部分が凹ませて形成されている。したがって、台座部904,905の端部904a,905aは、図59に示すように、貼付ベース293の外部に露出している。
上記構成において、上記のように一対のアーム部912,913が台座部904,905を間に挟むようにして配置されることにより、図61に示すように、これら一対のアーム部912,913は貼付ベース293の外部に露出している。また、一対のアーム部912,913は対応する表側対向板部901,902と裏側対向板部906,907との間に配置されており、貼付ベース293において台座部904,905の端部904a,905aを露出させている部分を埋めている。
一対のアーム部912,913が貼付ベース293の外部に露出しているのに対して、破壊ベース部911は貼付ベース293内に収容されている。貼付領域294に着目すれば、破壊ベース部911は、貼付ベース293における貼付領域294が設けられている箇所の反対側に配置されているといえる。
ここで、製造段階での寸法バラつきを考慮して、破壊ベース部911の長手方向の長さ寸法(アーム部912,913間の距離)は対応する貼付ベース293の長さ寸法(表側対向板部901,902間の距離)よりも若干大きく設定されている。これにより、製造段階において寸法バラつきが生じた場合であっても破壊ベース部911を貼付ベース293内に収容可能となっている。当該寸法の差(遊び)は、寸法バラつきに対応可能な範囲内で小さく設定されている。これにより、破壊ベース部911と貼付ベース293との間に生じる隙間が小さくなるため、当該隙間から治具を挿入する不正行為を抑制することができる。この場合、破壊ベース部911の幅寸法と長手方向の寸法に基づく対角寸法は、貼付ベース293の長さ寸法よりも大きくなる。このため、破壊用部材910が初期位置に配置されている状況において貼付ベース293に対して破壊用部材910のガタツキが生じ得る。
上記ガタツキを抑制するために、貼付ベース293の内側には、破壊用部材910の移動を規制する規制構造が設けられている。当該規制構造について、図58に加えて図62を用いて説明する。図62は、表側貼付用板部301に対する破壊用部材910の取り付け態様を説明する説明図であり、貼付ベース293を側方から見た縦断面図である。
表側貼付用板部301の裏側、すなわち表面領域295とは反対側には、表側対向板部901,902が向き合う方向に所定の間隔を隔てて配置された一対の規制用凸部921,922が設けられている。規制用凸部921,922は、図58に示すように、裏側に向けて突出している。規制用凸部921,922は互いに遠ざかる方向に向けて傾斜しており、破壊用部材910が表側貼付用板部301から分離する方向、詳細には貼付ベース293の表裏方向に対して交差するように形成されている。
規制用凸部921,922に対応させて、図60に示すように、破壊用部材910には規制用開口部923,924が形成されている。規制用開口部923,924は規制用凸部921,922が入り込み可能な大きさに形成されており、破壊用部材910の取り付け方向に向けて開放されている。破壊用部材910を取り付け方向に移動させると、規制用凸部921,922は規制用開口部923,924に入り込み、破壊ベース部911に対して当接する。
具体的には、規制用凸部921,922の傾斜に対応させて、図60(b),(c)に示すように、規制用開口部923のアーム部912側の周縁部には第1傾斜面925が設けられているとともに、規制用開口部924のアーム部913側の周縁部には第2傾斜面926が設けられている。第1傾斜面925及び第2傾斜面926は、図62に示すように、規制用凸部921,922の傾斜と同一の傾斜となるように形成されており、貼付ベース293の表裏方向に対して交差している。規制用凸部921,922は、第1傾斜面925及び第2傾斜面926に対して表側貼付用板部301の裏面の向く方向の先側から当接している。具体的には、規制用凸部921,922と表側貼付用板部301との間に形成された隙間に破壊用部材910の一部が貼付ベース293の表裏方向に挟み込まれている。これにより、破壊用部材910の表裏方向への移動が規制される。
また、上記当接している面は表側対向板部901,902が向き合う方向に対して交差しているとともに、互いに異なる向きに傾斜している。これにより、表側対向板部901,902の向き合う方向への破壊用部材910の移動が規制されている。具体的には、規制用凸部921と第1傾斜面925との当接によって破壊用部材910の表側対向板部902側への移動が規制されているとともに、規制用凸部922と第2傾斜面926との当接によって破壊用部材910の表側対向板部901側への移動が規制されている。
以上のことから、破壊用部材910は、ガタツキが抑制された状態で貼付ベース293に対して装着されている。この場合、破壊用部材910は取り外し方向以外の方向への移動が規制されている。換言すれば、破壊用部材910は、規制用凸部921,922と規制用開口部923,924との当接により、取り外し方向への移動が規定されているとも言える。
なお、規制構造としては、上記構成に限られず、例えば規制用凸部921,922に代えてフック部を設け、破壊ベース部911に当該フック部と係合するようにスリットを設ける構成としてもよい。要は、破壊用部材910と係合して当該破壊用部材910のガタツキを抑制することができればよく、その具体的形状は任意である。
また、図58に示すように、表側貼付用板部301の裏側には、裏側貼付用板部304に向けて突出した突条930,931が設けられている。突条930,931は取り付け方向と直交する方向に延びており、具体的には表側対向板部901、902が向き合う方向に延びている。
突条930,931に対応させて、破壊ベース部911の表側には、突条用溝932,933が設けられている(図60(a)参照)。突条用溝932,933は、突条930,931が嵌まることが可能な大きさに形成されている。破壊用部材910が初期位置に配置されている状況において、突条930,931は突条用溝932,933に嵌め込まれている。これにより、破壊用部材910が表側貼付用板部301に対して仮止めされる。よって、先に表側貼付用板部301に対して破壊用部材910を取り付け、その後に表側構成体283と裏側構成体284との組み合わせ作業を行うことができる。
ちなみに、破壊ベース部911には、図60(b),(c)に示すように、幅方向の途中位置から拡張部914及び破断突起917が設けられている側とは反対側に向けて当該破壊ベース部911の厚み寸法が小さくなるように先細り領域941が形成されている。破壊用部材910は、先細り領域941が側面領域296の境界909側を向くようにして配置されている。この場合、先細り領域941は境界909よりも貼付ベース293の内側に入り込んでおり、当該先細り領域941は側面領域296の外部に突出していない。
先細り領域941には、貼付領域294に貼り付けられている封印シールに対して傾斜した複数の傾斜部が設けられており、当該複数の傾斜部よって封印シールの切断の容易化が図られているが、この詳細については後に説明する。
図57に示すように、台座部904,905それぞれに、表側貼付用板部301側に向けて開放されたネジ孔942が形成されているとともに、破壊用部材910には各ネジ孔942を表側貼付用板部301の外側に開放させるための貫通孔943が形成されている。貫通孔943は対応するネジ孔942及び表側貼付用板部301の貫通孔318に対して同一軸線上となるように配置されている。そして、表側貼付用板部301側から各ネジ孔942に対して、ドライバなどの所定工具を用いて着脱操作が可能な固定部材としてのネジ319が螺着されていることにより、破壊用部材910を表側貼付用板部301と台座部904,905との間で挟み込んだ状態での両固定ベース部291,292の固定が行われている。このネジ固定が完了することにより、貼付ベース293に対する破壊用部材910の装着が完了する。
上記のように破壊用部材910が装着された貼付ベース293に対して、図61に示すように、ICタグ163を有する封印シール160が貼り付けられている。封印シール160の構成については第1の実施の形態で説明したとおりであるため、説明を省略する。
次に、封印シール160の貼付位置に係る構成について図61に加えて図63及び図64を用いて説明する。図63(a)は貼付ベース293及びその周辺を示す側面図、図63(b)は貼付領域294における封印シール160の位置関係を説明するための説明図であり、図64は、貼付ベース293内に収容されている破壊用部材910と封印シール160との位置関係を説明するための説明図であって、貼付ベース293を表側から見た場合の一部断面図である。なお、説明の便宜上、図63(b)においては、隅側切り込み177及び外縁切り込み178を省略しており、図64においては破壊用部材910を断面でない状態で示す。
図61及び図63(b)に示すように、封印シール160は貼付領域294に貼り付けられている。この場合、貼付領域294において表面領域295、側面領域296及び裏面領域903に亘って封印シール160が配置されるように当該封印シール160はコ字状に曲げて貼り付けられている。封印シール160により、表面領域295の略全体、拡張領域908の略全体、側面領域296の略全体及び裏面領域903の略全体が覆われている。したがって、表面領域295に形成されている各貫通孔318の開口部及び裏面領域903に形成されている各ネジ孔942の開口部が封印シール160により覆われているとともに、側面領域296における表側固定ベース部291と裏側固定ベース部292との境界909及び拡張領域908もその略全体が封印シール160により覆われている。つまり、封印シール160は表側固定ベース部291及び裏側固定ベース部292の境界909及び拡張領域908に跨って貼り付けられている。これにより、基板ボックス282の開放操作が封印シール160によって阻害される。よって、封印シール160において境界909及び拡張領域908に跨って貼り付けられている箇所を切断する又は封印シール160を剥がすことなく、基板ボックス282を開放することが困難になっている。
また、破壊用部材910と封印シール160との位置関係について説明すると、封印シール160は破壊用部材910から離間した位置に配置されている。また、破壊用部材910は境界909へ向けて移動可能に設けられているため、封印シール160は破壊用部材910の移動の途中位置に設けられているといえる。
封印シール160においてアンテナ部材172は、第1の実施の形態にて説明したとおり、ベースシート161においてその一隅部側からその対角方向の隅部側に亘って配置されているため、封印シール160と同様に、アンテナ部材172も表面領域295、側面領域296及び裏面領域903に亘ってコ字状に曲げて配置されている。
アンテナ部材172と貫通孔318との位置関係について説明する。
アンテナ部材172における長手方向の一方の端部は、図61及び図63(b)に示すように、表面領域295における一の貫通孔318の開口部を跨いでいる。詳細には、アンテナ部材172の短手方向の寸法は貫通孔318の開口部の孔径よりも小さくなっており、さらにアンテナ部材172が貫通孔318の開口部を挟んで当該開口部の周縁部を架渡すように配置されている。このようにアンテナ部材172が配置されていることにより、アンテナ部材172の端部は、ネジ319におけるネジ溝側とは反対側の端部と対峙している。但し、ネジ319におけるネジ溝側とは反対側の端部が貫通孔318における軸線方向の途中位置に配置されているため、ネジ319とアンテナ部材172とは接触していない。
アンテナ部材172において上記開口部を跨ぐ側の端部とは反対側の端部は、裏面領域903における一のネジ孔942の開口部を跨いでいる。この場合に、ネジ319におけるネジ溝側の端部がネジ孔942における軸線方向の途中位置に配置されているため、ネジ319とアンテナ部材172とは接触していない。
例えば、アンテナ部材172がネジ319に接触すると、設定された動作周波数(例えば、2.45GHz)が変化してしまい、アンテナ部材172を通じた通信が良好に行えなくなるおそれがある。そうすると、ICチップ171に記憶されたID情報をリーダ装置により読み取ろうとしてもそれが行えないおそれがあるが、上記のようにアンテナ部材172とネジ319とが接触していないことにより、上記不都合の発生が抑えられている。
次に、アンテナ部材172と拡張領域908との位置関係について説明する。
アンテナ部材172は、側面領域296を挟み表面領域295から裏面領域903に亘って配置されており、側面領域296における拡張領域908を跨いでいる。具体的には、アンテナ部材172においてICチップ171を挟んだ一方の端部が表面領域295に配置されており、他方の端部が裏面領域903に配置されており、アンテナ部材172は、拡張領域908の周縁部のうち表面領域295側の縁部から、裏面領域903側の縁部と当該縁部に対して直交する方向に延びた縁部とによって形成された拡張領域908の隅角部に亘って配置されている。すなわち、アンテナ部材172は、拡張領域908の周縁部のうち複数箇所を跨ぐように配置されている。これにより、封印シール160において拡張領域908の周縁部に対応する箇所が切断された場合、アンテナ部材172において複数の部位、詳細にはICチップ171を挟んだ両側の部位が切断されることとなる。
また、アンテナ部材172はベースシート161においてその一隅部側からその対角方向の隅部側に亘って配置されているため、アンテナ部材172は拡張領域908に対して傾斜した状態で跨いでいる。このため、アンテナ部材172において拡張領域908に対して重なる領域が、アンテナ部材172が貼付ベース293の表裏方向に沿って配置される構成と比較して、大きくなっている。
図63(a),(b)に示すように、アンテナ部材172においてインピーダンス整合用のスリット173のうち、アンテナ部材172の長手方向に延びる第1スリット部174のICチップ171側の端部は拡張領域908内に配置されている一方、ICチップ171側とは反対側の端部は境界909よりも表面領域295側に配置されている。これにより、封印シール160において境界909に対応する領域が切断された場合には、アンテナ部材172において第1スリット部174が形成された領域が切断され、ICタグ163において正常な通信が不可となる。
ここで、貼付ベース293には貼付領域294を区画するように囲み部950が形成されている。
囲み部950は第6及び第11の実施の形態にて説明した囲み部321と同様に形成されている。詳細には、図57及び図59に示すように、表側構成体283の周縁部において表側固定ベース部291に連続する部分と、表側固定ベース部291の表面領域295との間には表側段差部950aが形成されている。また、図58に示すように、裏側構成体284の周縁部において裏側固定ベース部292に連続する部分と、裏側固定ベース部292の裏面領域903との間には裏側段差部950bが形成されている。さらに、表側固定ベース部291には表面領域295及び側面領域296を間に挟むようにして対向する一対の表側突条部950cが形成されているとともに、裏側固定ベース部292には側面領域296及び裏面領域903を間に挟むようにして対向する一対の裏側突条部950dが形成されている。そして、表側突条部950cと裏側突条部950dとの間には、破壊用部材910のアーム部912,913の一部が配置されており、アーム部912,913を介して表側突条部950c、裏側突条部950dのうちそれぞれ同じ側に配置されている同士が連続している。すなわち、アーム部912,913の一部は囲み部950を構成している。
アーム部912,913、表側段差部950a、裏側段差部950b、表側突条部950c及び裏側突条部950dにより囲み部950が形成されており、貼付領域294は囲み部950によって囲まれている。そして、貼付領域294に貼り付けられている封印シール160の周縁はその全体が囲み部950に近接している。これにより、封印シール160を剥がそうとしても、その剥がし行為が非常に困難なものとなっている。
封印シール160の周縁の全体が囲み部950に近接していることにより、封印シール160の貼り付け作業に際しては、封印シール160が囲み部950によって囲まれた領域内からはみ出ないように貼り付けることで、アンテナ部材172と拡張領域908との位置関係、アンテナ部材172とネジ孔942並びに貫通孔318との位置関係及びアンテナ部材172と境界909との位置関係は、自ずと上記のような関係となる。
また、図63(b)に示すように、囲み部950によって囲まれる領域は、封印シール160の面積よりも広くなっている。これにより、封印シール160の貼り付け作業に際しては、貼り付け位置に所定のゆとりが生まれ、貼り付け作業の作業性が向上されている。この場合に、その貼り付け位置のゆとりは、アンテナ部材172と拡張領域908との位置関係、アンテナ部材172と境界909との位置関係、アンテナ部材172と貫通孔318との上記位置関係及びアンテナ部材172とネジ孔942との上記位置関係が、自ずと維持される範囲内で設定されている。
破壊用部材910は先細り領域941が境界909側を向くように配置されているため、破壊用部材910が取り外し方向に移動すると、先細り領域941が封印シール160と当接する。当該当接により封印シール160に対して移動に係る押圧力が付与されて、封印シール160において境界909に対応する領域が切断される。
先細り領域941の詳細について図64を用いて説明する。図60(b),(c)及び図64に示すように、破壊ベース部911において破壊用部材910の取り外し方向の先側には、先細り領域941によって封印シール160側に尖った切断用エッジ951が形成されている。切断用エッジ951は、同一平面上に形成された複数の傾斜部を有しており、具体的には側面領域296に貼り付けられた封印シール160に対して傾斜した第1傾斜部952と、第1傾斜部952に対して異なる方向に傾斜した第2傾斜部953と、を有している。第1傾斜部952は破壊ベース部911の長手方向においてアーム部912側の端部から中央側に向けて破壊用部材910の取り外し方向の反対方向に入り込むように傾斜しているとともに、第2傾斜部953はアーム部913側の端部から中央側に向けて破壊用部材910の取り外し方向の反対方向に入り込むように傾斜している。当該傾斜部952,953により、破壊用部材910の取り外し方向において切断用エッジ951の両端から封印シール160までの距離は同一になっている。
また、切断用エッジ951において第1傾斜部952と第2傾斜部953との間には、第1傾斜部952及び第2傾斜部953よりも傾斜角度が大きい傾斜部によって形成された鋸部954が設けられている。鋸部954は、傾斜向きが逆の一対の傾斜部によって破壊用部材910の取り外し方向に凸となった刃955,956を有している。刃955,956はアーム部912,913が向き合う方向に並設されており、両者は連続している。
鋸部954は第1傾斜部952と第2傾斜部953と連続している。具体的には刃955を形成する一対の傾斜部の一方が第1傾斜部952の中央側の端部と連続しており、刃955及び第1傾斜部952によって谷部957が形成されている。また、刃956を形成する一対の傾斜部の一方が第2傾斜部953の中央側の端部と連続しており、当該刃956及び第2傾斜部953によって谷部958が形成されている。これにより、破壊用部材910の取り外し方向において切断用エッジ951の両端部から封印シール160まで距離は、谷部957,958から封印シール160までの距離よりも小さくなっている。
破壊用部材910の取り外し方向において鋸部954の先端(刃955,956の先端)から封印シール160までの距離と切断用エッジ951の両端から封印シール160までの距離とは、同一に設定されている。これにより、破壊用部材910が取り外し方向に移動した場合には、切断用エッジ951の両端部及び鋸部954の先端部が封印シール160に当接することとなる。
ここで、切断用エッジ951の両端は、封印シール160において切断用エッジ951に対応する両端よりも外側に配置されている。具体的には、切断用エッジ951の両端間の長さ寸法(第1傾斜部952のアーム部912側の端部から第2傾斜部953のアーム部913側の端部までの距離)は、封印シール160において対応する長さ寸法よりも大きく設定されている。これにより、破壊用部材910が取り外し方向に移動すると、切断用エッジ951は封印シール160の両端に当接し、封印シール160は両端から切断されることとなる。
なお、切断用エッジ951の両端は、封印シール160において対応する両端と同一位置であってもよい。但し、切断用エッジ951の両端が外側にある構成のほうが、封印シール160の位置ずれに対応し易い。
破壊用部材910が取り外し方向に移動する場合に鋸部954が封印シール160のアンテナ部材172が設けられている箇所に当接するように鋸部954の位置は設定されている。具体的には、図64に示すように、切断用エッジ951において、アンテナ部材172が配置されている箇所に対応した範囲Zに対して破壊用部材910の取り外し方向とは反対方向の部位に鋸部954が設けられている。当該範囲Zは囲み部950と封印シール160との間に生じる貼り付け位置のゆとりに対応した範囲であり、具体的には上記ゆとりによってアンテナ部材172の位置が変動する範囲である。切断用エッジ951において少なくとも範囲Zに対峙する範囲に亘って鋸部954が形成されるように複数の刃955,956が設けられている。これにより、上記貼り付け位置のゆとりによってアンテナ部材172と鋸部954との位置ずれが生じた場合であっても、アンテナ部材172に対して鋸部954が当接するようになっている。
次に、破断突起917と封印シール160との関係を説明すると、図64に示すように、破断突起917が表側貼付用板部301から表側に突出していることに対応させて、封印シール160にはその一部を切り抜くことで形成された切り抜き凹部959が設けられている。切り抜き凹部959に破断突起917が入り込むように封印シール160を貼り付けることで、破壊用部材910が取り外し方向へ移動した場合に破断突起917が封印シール160の端部に当接するようになっている。これにより、破壊用部材910の取り外し方向への移動によって、破断突起917による封印シール160の切断が行われるようになっている。
破壊用部材910の取り外し方向において、破断突起917から封印シール160までの距離が破壊ベース部911の両端から封印シール160までの距離と異なるように切り抜き凹部959の長さ寸法が設定されている。詳細には破壊用部材910の取り外し方向における切り抜き凹部959の長さ寸法は、破断突起917の直径及び破壊ベース部911の両端から封印シール160までの距離を加算した寸法よりも大きく設定されている。
また、封印シール160が囲み部950によって囲まれた領域内からはみ出ないように貼り付けることで、破断突起917と切り抜き凹部959との位置関係は、自ずと上記のような関係となるように設定されている。さらに、囲み部950と封印シール160との間に生じる貼り付け位置のゆとりは、破断突起917と切り抜き凹部959との上記位置関係が、自ずと維持される範囲内で設定されている。
ちなみに、破断ベース部916における封印シール160側の部位には、側面領域296に貼り付けられている封印シール160に対して傾斜した傾斜面916aが形成されている。傾斜面916aは、封印シール160側に向かうに従って破断ベース部916の厚み寸法が小さくなるように傾斜しており、破断ベース部916は破壊用部材910の取り外し方向に向けて先細りに形成されている。傾斜面916aによって、破断ベース部916による封印シール160の切断の容易化が図られているが、この作用については後に説明する。
貼付領域294に貼り付けられた封印シール160は、その周囲がカバー部材961により覆われている。このカバー部材961について、図61に加え、図65(a),(b)及び図66を適宜参照しながら以下に詳細に説明する。
図65(a)はカバー部材961の斜視図、図65(b)はカバー部材961が基板ボックス282に取り付けられている様子を説明するための説明図、図66は貼付ベース293及びその周辺の断面図である。なお、図65(b)においては説明の便宜上、破壊用部材910は断面ではない状態で示している。
カバー部材961は、ポリカーボネート樹脂などといった無色透明の合成樹脂により、図61及び図65(a)に示すように、所定の内部空間962を有する直方体の箱状に形成されており、当該内部空間962を区画形成する複数(具体的には5個)の壁部はカバー部材961の内外に電波が透過可能となっている。カバー部材961には、図65(a)に示すように、直方体の6面のうち1の面が不具備となるように開口部963が形成されており、当該開口部963を通じて内部空間962がカバー部材961の外部に開放されている。また、開口部963はその周縁部が、当該開口部963を挟んで対向する一対の壁部964,965のそれぞれに対して内側に入り込むようにして形成されている。
カバー部材961の内部空間962は、封印シール160が貼り付けられた貼付ベース293の全体を収容可能な大きさに形成されている。また、開口部963は、貼付ベース293の突出先端側から当該貼付ベース293を内部空間962内に差込可能な大きさに形成されている。
カバー部材961の上記両壁部964,965間の距離は貼付ベース293において貼付領域294を挟んで相互に対向する一対の対向板部901,902,906,907間の距離と同一又はそれよりも若干大きく設定されている。
両壁部964,965には開口部963の周縁部から貼付ベース293側に向けて突出させて一対の爪部966,967が一体形成されている(なお、爪部967については図65(b)を参照)。爪部966,967はその先端側が自由端となっており、外力が加えられた場合に弾性変形可能となっている。
爪部966,967に対応させて、図60及び図61に示すように、貼付ベース293に一体化された破壊用部材910の一対のアーム部912,913には、外方に突出させて受け部968,969が一体形成されている。カバー部材961は、開口部963を介して内部空間962内に貼付ベース293が差し込まれるように基板ボックス282に設置されている。この設置に際して、爪部966,967は対応する受け部968,969に対して取り付け方向の元側から当接することで外方に逃げるようにして弾性変形し、爪部966,967の先端フック部分が受け部968,969よりも取り付け方向の先側に到達することで復元力によって自然状態に復帰する。これにより、図65(b)に示すように、爪部966,967の先端フック部分が受け部968,969の端部に対して取り付け方向の先側から当接し、上記取り付け方向の逆方向である取り外し方向にカバー部材961を移動させようとしても、上記当接によってそれが阻止される。これら爪部966,967と受け部968,969との係合によって、カバー部材961が基板ボックス282に固定されている。
また、図66に示すように、カバー部材961に対して破断突起917が係合している。具体的には、破断突起917は、囲み部950の一部である表側段差部950aよりも表側に突出しており、当該破断突起917に対応させて、カバー部材961において表面領域295と対向する表面側壁部970の内壁面には係合用凹部971が形成されている。係合用凹部971は、破断突起917が入り込み可能な大きさとなるように表面側壁部970の内壁面の一部を凹ませて形成されている。カバー部材961が取り付けられた場合に、破断突起917が係合用凹部971に入り込むようにして配置される。これにより、カバー部材961を取り外し方向に移動させようとすると、破断突起917がカバー部材961に対して引っ掛かり、当該移動が阻害される。
すなわち、カバー部材961と破壊用部材910とは、爪部966,967及び受け部968,969の第1の係合と、破断突起917及び係合用凹部971の第2の係合とによって、連結されている。これら2つの連結を介してカバー部材961が基板ボックス282に対して取り付けられている。これにより、カバー部材961の移動に伴って、破壊用部材910が連動することとなる。
基板ボックス282にカバー部材961が固定されていることにより、破壊用部材910が一体化された貼付ベース293の略全体がカバー部材961によって囲まれている。詳細には、図66に示すように、カバー部材961の内壁面は貼付領域294の表面領域295側、側面領域296側及び裏面領域903側のそれぞれにおいて囲み部950と当接又は近接している。この場合、破断突起917及び係合用凹部971の第2の係合箇所はカバー部材961の内側に配置されており、外部からのアクセスが制限されている。具体的には、カバー部材961の表面側壁部970の内壁面と表側突条部950cの表側の面とが当接しており、第2の係合箇所は当該当接箇所よりも開口部963とは反対側に配置されている。これにより、カバー部材961の開口部963を介して第2の係合箇所へアクセスする不正行為を抑制し得る。
ちなみに、カバー部材961と囲み部950との間に製造段階での寸法バラつきに対応した遊びが生じるように両者の各寸法が設定されている。これにより、製造段階の寸法バラつきによりカバー部材961が取り付けることができないという不都合を回避することができる。上記遊びは、カバー部材961が取り付けられた場合にカバー部材961と貼付ベース293との間に形成される隙間が小さくなるように上記寸法バラつきに対応可能な範囲内で小さく設定されている。これにより、カバー部材961と囲み部950との間に隙間から治具を挿入する不正行為を抑制することができる。
また、図59に示すように、表側対向板部901,902及び裏側対向板部906,907の表面には、破壊用部材910の取り外し方向に向けて互いに向き合う方向に傾斜した傾斜面が設けられている(裏側対向板部907にあっては図8参照)。当該傾斜面に対応させて、カバー部材961の壁部964,965において上記傾斜面と対向する部位には上記傾斜面と同一の傾斜が形成されている。これにより、カバー部材961が取り付けられている状況において、各対向板部901,902,906,907の表面と壁部964,965の内壁面とが当接又は近接し、貼付ベース293とカバー部材961との間に形成される隙間が小さくなっている。
なお、カバー部材961の表面側壁部970には、孔部981が設けられている。当該孔部981の構成については、第6の実施の形態の孔部342と同一であるため、説明を省略する。
次に、基板ボックス282の内部空間を開放する場合の手順について図67及び図68を用いて説明する。図67(a)〜(c)は基板ボックス282の内部空間を開放する場合の手順を説明するための説明図、図68(a)〜(d)は破壊用部材910による封印シール160の切断を説明するための説明図であり、貼付ベース293を裏面側から見た場合の断面図である。
既に説明したとおり、両構成体283,284の一方に対して他方を開放用の分離方向へスライド移動することが、貼付ベース293を構成する表側固定ベース部291並びに裏側固定ベース部292のネジ固定及びカバー部材961によって制限されているとともに、封印シール160によって阻害されている。このため、スライド移動を行う前処理として、カバー部材961の分離操作、ネジ固定の解除、及び封印シール160による阻害の解除を行う。
カバー部材961は第1の係合及び第2の係合によって破壊用部材910に対して連結されており、破壊用部材910はネジ固定によって貼付ベース293に対して固定されているため、カバー部材961の分離の前処理として破壊用部材910のネジ固定を解除する。具体的には、カバー部材961の固定解除用の孔部981からドライバなどの工具の先端を挿入する。そして、ネジ319の頭部を覆っている封印シール160をドライバなどの工具の先端により突き破ることで、当該先端をネジ319の頭部に挿し込み、図67(b)に示すように、ネジ319を離脱させる。なお、既に説明したとおり、ICタグ163のアンテナ部材172はネジ319を挿通させるための貫通孔318を跨いでいるため、工具の先端をネジ319の頭部に差し込んだ際には封印シール160の一部の破損だけでなくアンテナ部材172の一部の破損が生じる。
上記のようにネジ319が離脱されることにより、破壊用部材910を貼付ベース293から分離させることが可能となり、それに伴ってカバー部材961を貼付ベース293から分離させることが可能となる。この場合に、カバー部材961と破壊用部材910とは係合しているため、設置時の取り付け方向とは反対方向を分離方向(取り外し方向)としてカバー部材961を移動させようとすると、破壊用部材910も一体的に分離方向に移動することとなる。
ここで、破壊ベース部911と貼付ベース293との間に形成される隙間を小さくするために設計段階において遊びが小さく設定されているとともに、カバー部材961と囲み部950との間に形成される隙間を小さくするために設計段階の遊びが小さく設定されているため、カバー部材961を取り外し方向へ移動させようとすると、破壊用部材910と封印シール160との干渉に加えて、破壊用部材910と貼付ベース293との干渉、カバー部材961と囲み部950との干渉等が発生し、カバー部材961の上記移動を行いにくい。このため、切断用エッジ951の両端部のうち一端側を支点とした状態で他端側を傾ける作業を、支点となる側が交互に代わるように繰り返しながらカバー部材961の分離操作を行う。この場合、既に説明した規制構造が設けられているため、分離開始時には破壊用部材910が貼付ベース293に対して平行な状態を維持しながら取り外し方向に移動し、切断用エッジ951の封印シール160に対する当接が好適にガイドされる。なお、以降の説明において、切断用エッジ951の両端のうち一端側を支点とした状態で他端側を傾ける作業を単位動作とも言う。
既に説明したとおり、切断用エッジ951及び鋸部954の先端が封印シール160に対して近い位置に配置されているため、カバー部材961の分離操作を開始すると、これらから封印シール160との当接が開始される。この場合に、上記のように一端側を傾ける作業を繰り返しながら分離操作を行うため、切断用エッジ951の両端部のうち先行した側が封印シール160に当接し切断を開始する。この場合、てこの原理により封印シール160に対する押圧力が高められている。その後に、回動の度合にもよるが、中央側による切断が開始され、回動を逆側とすることで、もう一方の端部の切断が開始される。
特に、第1傾斜部952と第2傾斜部953とが設けられていることにより、どちらの向きの回動を行う場合であっても、封印シール160の切断が行われる。これにより、封印シール160の切断に要するストローク量が少なくて済むため、封印シール160を切断の容易化を図ることができる。
さらに、切断用エッジ951の両端は封印シール160の外側に配置されているため、切断用エッジ951は封印シール160の両端に対して当接し、当該両端から封印シール160を切断する。これにより、封印シール160において切り残りが生じにくい。
また、アンテナ部材172に対して鋸部954が当接するように鋸部954の位置が設定されているため、破壊用部材910が取り外し方向に移動すると、最初にアンテナ部材172が切断され、通信が不可となる。これにより、カバー部材961を途中位置まで移動させた場合等においても、当該事実を把握することができる。
アンテナ部材172が配置されている箇所の封印シール160の強度はアンテナ部材172の分だけ高められているが、当該箇所に対して傾斜角度が相対的に大きい傾斜部によって形成された鋸部954が当接するため、鋸部954とアンテナ部材172との当接範囲が小さくなっている。これにより、当該範囲の切断を容易に行うことができる。
貼付ベース293の内側に設けられている規制構造によって破壊用部材910とアンテナ部材172との相対位置が規定されている。これにより、アンテナ部材172に対する鋸部954の位置ずれが生じにくくなっている。さらに、封印シール160と囲み部950との間に生じる貼り付け位置のゆとりを含めた範囲Zに亘って鋸部954が当接するように2つの刃955,956を形成した。これにより、鋸部954がアンテナ部材172に対して確実に当接するようになっている。
ICチップ171が拡張領域908内に配置されているのに対して、第1スリット部174のICチップ171側とは反対側の端部は拡張領域908よりも表面領域295側に配置されている。このため、第1スリット部174が形成された領域が切断される。これにより、ICタグ163において正常な通信が不可となる。
また、図68(a)に示すように、破壊用部材910の破壊ベース部911には先細り領域941が形成されており、当該先細り領域941によって切断用エッジ951は破壊用部材910の取り外し方向に尖っている。そして、破壊用部材910の分離に際しては当該切断用エッジ951が分離方向の先側となる。したがって、鋭利な箇所が封印シール160に当接することとなり、これら封印シール160の切断の容易化が図られる。
開放作業の説明に戻り、上記分離操作が開始され切断用エッジ951の両端及び鋸部954による切断が開始された後は、破断突起917による切断が開始される。つまり、既に説明したとおり、破壊用部材910の取り外し方向への移動に伴って破断突起917は破断部用開口部918に沿って移動するものであるとともに、破断突起917から封印シール160までの距離は、切断用エッジ951の両端から封印シール160までの距離及び鋸部954の先端から封印シール160までの距離はよりも大きく設定されている。これにより、破断突起917による切断の開始タイミングは切断用エッジ951による切断の開始タイミングよりも後のタイミングとなる。換言すれば、破断突起917による切断の開始タイミングと切断用エッジ951による切断の開始タイミングとがずれている。よって、切断の開始に係る負荷が分散されているため、封印シール160の切断を容易に行うことができる。
この場合、破断突起917により封印シール160において破断部用開口部918を覆っている箇所が破断される。よって、封印シール160において境界909に跨って貼り付けられている箇所とは別の箇所、具体的には表面領域295に貼り付けられた封印シール160が破壊される。よって、封印シール160において異なる面の一部が破壊されるため、管理者が当該破壊箇所を確認し易くなっている。
また、カバー部材961の分離操作を継続していくと、規制構造による規制が緩められる。具体的には、図60(c)に示すように、第2傾斜面926は規制用開口部924の開放端とは反対側の端部から開放端に亘って形成されている一方、第1傾斜面925は規制用開口部923の開放端とは反対側の端部から開放端側の途中位置までに亘って形成されている。これにより、破壊用部材910が取り外し方向に移動すると、図68(b)に示すように、第1傾斜面925と規制用凸部921とが当接しなくなり、第1傾斜面925及び規制用凸部921による規制が解除される。これにより、貼付ベース293に対する破壊用部材910のガタツキが大きくなり、それに伴い単位動作当たりの変位量が大きくなる。
なお、貼付ベース293の表裏方向(表側固定ベース部291と裏側固定ベース部292との重ね合わせ方向)の破壊用部材910の移動は規制構造により規制された状態が維持されている。これにより、当該方向の破壊用部材910の位置ずれは抑制されている。
図68(c)に示すように、破壊用部材910を更に移動させると、第2傾斜面926及び規制用凸部921,922による規制が解除され、上記変位量が更に大きくなる。つまり、取り外し方向への破壊用部材910の移動に伴って段階的に単位動作当たりの変位量が大きくなるため、単位動作当たりの封印シール160の切断範囲が大きくなる。よって、封印シール160の切断をより好適に行うことができる。
また、カバー部材961を取り外し方向に向けて移動させていくと、壁部964,965と各対向板部901,902,906,907との間に形成される隙間が徐々に大きくなる。これにより、単位動作がカバー部材961と貼付ベース293との干渉によって阻害されにくくなる。よって、図68(d)に示すように、単位動作の変位量が大きくなる、したがって、単位動作当たりの切断範囲が大きくなり、好適に封印シール160を切断することができる。
ここで、破断部915は破断部用開口部918に沿って移動するが、カバー部材961の分離操作を阻害しないようになっている。具体的には、アーム部912,913が向き合う方向における破断部用開口部918の長さ寸法は破断ベース部916及び破断突起917のそれよりも大きく設定されている。これにより、破断部915と破断部用開口部918の周縁との間にはアーム部912,913が向き合う方向に所定の隙間が形成されている。よって、切断用エッジ951の一端を支点として他端を傾けた場合に、破断部915と破断部用開口部918の周縁との干渉が生じにくい。したがって、カバー部材961の分離操作が破断部915により阻害されにくい。
その後、カバー部材961の分離操作に伴って、谷部957,958を含めて切断用エッジ951の全体が境界909よりも外側に移動することで、当該切断用エッジ951による切断が完了する。
ここで、切断用エッジ951において境界909に対する最短距離の箇所(両端)と最長距離の箇所(谷部957,958)との間の破壊用部材910の取り外し方向の距離は、第1傾斜部952のみの場合と比較して、短くなっている。これにより、切断用エッジ951の切断開始から切断完了までのストローク量が小さくなっている。
切断用エッジ951による切断が完了した後に更なる分離操作を行うことで、破断ベース部916による封印シール160の破壊が行われる。具体的には、破断部用開口部918は取り外し方向に向けて開放されており、境界909と破断部用開口部918とが連通している。破断部用開口部918に配置されている破断ベース部916は傾斜面916aによって封印シール160側に向けて先細りとなるように形成されており、その先端は破壊ベース部911側に配置されている(図66参照)。破壊用部材910の取り外し方向における破断ベース部916の先端と封印シール160との距離は、切断用エッジ951の谷部957,958と封印シール160との距離よりも大きく設定されている。これにより、切断用エッジ951による切断が完了した後に、破断ベース部916による破壊が開始される。これにより、切断用エッジ951による切断が完了した後に破断ベース部916による切断が開始される。この場合、破断ベース部916は切断用エッジ951(先細り領域941)によって切断された箇所を広げるように封印シール160を破壊する。
また、それに同期するようにして、又は当該タイミングに前後して、拡張部914によって既に形成された切断箇所の拡張が開始される。具体的には、拡張部914が拡張領域908を通過することによって、封印シール160において拡張領域908の周縁部のうち表裏方向に延びた部位に対応した箇所が切断される。この場合、拡張部914が拡張領域908を通過する前のタイミングにて切断用エッジ951による切断が完了しており、拡張部914は当該切断用エッジ951によって切断された切断箇所を拡張するように破壊する。これにより、図67(c)に示すように、封印シール160において破壊される領域が大きくなり、封印シール160の破壊が行われた事実を容易に確認することができる。
特に、切断の容易性の観点から先細り領域941等を設けることにより当接範囲を狭くすると、切断面の凹凸が小さくなり、切断箇所が目立ちにくくなるため、開放操作が行われた否かの確認作業の作業性の低下が懸念される。これに対して、本実施の形態によれば、拡張部914によって切断箇所が拡張されるため、上記不都合を回避することができる。
また、切断用エッジ951による封印シール160の破壊が行われた後に、拡張部914による封印シール160の破壊が行われるため、それぞれの破壊に要する負荷が分散される。これにより、一度に破壊する構成と比較して、封印シール160を容易に破壊することができる。
ここで、図60(b)及び図68等に示すように、拡張部914には破壊用部材910の取り外し方向に向かうに従って拡張部914の厚み寸法が小さくなるように傾斜した傾斜面914aが設けられており、拡張部914は破壊用部材910の取り外し方向に向けて先細りに形成されている。そして、その先細りの先端は切断用エッジ951側に配置されている。これにより、破壊用部材910を取り外し方向に移動させると、拡張部914は切断用エッジ951により切断された箇所に近い側から当接し、切断用エッジ951により切断された箇所を押し広げるように封印シール160を破壊する。よって、切断用エッジ951により切断された箇所を拡張する破壊を好適に行うことができる。
アンテナ部材172は拡張領域908に跨って配置されており、当該拡張領域908内にICチップ171が配置されている。このため、拡張部914による切断が行われると、アンテナ部材172のICチップ171を挟んだ両側の部位が切断される。よって、アンテナ部材172の長さ寸法が小さくなるため、不正後において通信可能範囲が通常の範囲からより大きく狭くなる。したがって、開放操作を行われたことを確実に把握することができる。更に、アンテナ部材172の複数の箇所が切断され、複数の痕跡が形成されることとなるため、開放操作が行われたことを容易に確認することができる。
以上のことから、図67(c)に示すように、破壊用部材910の取り外し方向への移動によって、封印シール160において境界909及び破断部用開口部918に貼り付けられていた領域が切断され、封印シール160による開放操作の阻害が解除される。よって、両構成体283,284のスライド移動が可能となり、基板ボックス282の内部空間を開放することができる。したがって、CPUチップ103の検査等を行うことが可能となる。すなわち、カバー部材961の分離操作に伴って破壊用部材910の移動が行われ、封印シール160が切断されるため、開放操作を行う場合における作業性の低下を抑制することができる。
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
境界909に沿って封印シール160を切断する破壊用部材910を設けた。これにより、封印シール160の切断を容易に行うことができるため、開放操作の作業性の向上を図ることができる。また、破壊用部材910によって封印シール160が切断された場合には、当該切断箇所が痕跡として残るため、開放操作が行われたことを容易に確認することができる。
特に、封印シール160の位置決めと当該封印シール160を剥がす不正行為を抑制する観点から囲み部950が設けられている構成においては、開放操作における作業性の低下が懸念される。これに対して、本実施の形態によれば、封印シール160を切断する破壊用部材910が別途設けられているため、作業性の低下を抑制することができる。これにより、封印シール160への不正行為の抑制と、開放操作の際の作業性の低下の抑制との両立を図ることができる。
破壊用部材910のアーム部912,913は囲み部950の一部を構成するように形成されている。これにより、破壊用部材910と囲み部950を構成する部分とが干渉することなく、破壊用部材910を貼付ベース293の内側に取り付けることができる。
切断用エッジ951に、側面領域296に貼り付けられた封印シール160に対して傾斜した第1傾斜部952と、当該第1傾斜部952とは異なる向きに傾斜した第2傾斜部953とを設けた。これにより、破壊ベース部911の小型化を図るとともに、所定の箇所からの切断を開始させることで封印シール160の切断を好適に行うことができる。
また、切断用エッジ951において境界909に対する最短距離の箇所(両端)と最長距離の箇所(谷部957,958)との間の破壊用部材910の取り外し方向の距離が、第1傾斜部952のみの場合と比較して短くなるように第2傾斜部953が形成されている。これにより、境界909の箇所を切断するのに要する破壊用部材910のストローク量が小さくなるため、封印シール160の切断を容易に行うことができる。
破壊用部材910に、切断用エッジ951による切断が行われた後に、当該切断箇所を拡張するように封印シール160を破壊する拡張部914を設けた。これにより、切断箇所が見易くなるため、切断が行われたことを容易に確認することができる。
さらに、破壊用部材910に、切断用エッジ951によって切断される側面領域296側の面に対して直交する表面領域295側の面の一部を切断する破断部915を設けた。これにより、封印シール160における破壊箇所が見易いため、開放操作が行われた事実を容易に確認することができる。
なお、本実施の形態において、カバー部材961と囲み部950との隙間及びアーム部912,913と貼付ベース293との隙間を大きく設定することによって、カバー部材961を取り外し方向にスライド移動可能な構成としてもよい。この構成であっても、切断用エッジ951が形成されていることで、封印シール160の切断の容易化を図ることができる。但し、この場合、隙間から治具を挿入する等の不正行為が行われ得るため、不正行為抑制の観点に着目すれば、上記実施の形態の方が優れている。
また、本実施の形態において、破断突起917が囲み部950の一部を構成するように形成されていてもよい。これにより、破断突起917の多機能化を図ることができるとともに、切り抜き凹部959の長さ寸法を小さくすることによって、破断突起917による切断領域を大きくすることができる。
また、破断突起917が係合用凹部971に対して係合する構成としたが、これに限られず、例えば係合しなくてもよい。この場合、カバー部材961の単独分離が可能となるため、簡易の検査を好適に行うことができる。
係合しないようにするための具体的な構成としては、例えば破断突起917の突出寸法を小さくする、又は係合用凹部971を開口部963に向けて開放させる構成が考えられる。
また、切断用エッジ951の両端部が封印シール160側に突出するように第1傾斜部952及び第2傾斜部953を設ける構成としたが、これに限られず、例えば図69(a)に示すように、2つの傾斜部991a,991bによって封印シール160側に向けて尖った先端部992が形成されている構成としてもよい。これにより、破壊ベース部911と封印シール160との当接箇所が少なくなるため、押圧力を高めることができる。
この場合、先端部992がアンテナ部材172に当接するように両者の位置関係を設定するとよい。これにより、アンテナ部材172によって強度が高められている箇所を容易に切断することができるため、封印シール320の切断を容易に行うことができる。
また、図69(b)に示すように、側面領域296に貼り付けられている封印シール160に対する傾斜の向きが同一であり、傾斜角度が相違する第1傾斜部993a及び第2傾斜部993bを設けるとともに、上記傾斜部993a,993bとは異なる向きに傾斜し且つ傾斜角度が相違する第3傾斜部993c及び第4傾斜部993dを設け、各アーム部912,913側に傾斜角度が大きい傾斜部(第1傾斜部993a,第3傾斜部993c)を設置する構成としてもよい。この場合、封印シール160の切断の初期段階では第1傾斜部993a及び第3傾斜部993cと封印シール160が当接する。当該当接範囲は、第2傾斜部993b及び第4傾斜部993dと比較して狭いため、封印シール160に対する押圧力が高められている。
一方、封印シール160の切断の後期段階では、第2傾斜部993b及び第4傾斜部993dが封印シール160と当接する。この場合、少ないストローク量で封印シール160を切断することができる。
以上のことから、切断に要する外力とストローク量とが調整されている。
また、第2傾斜部993b及び第4傾斜部993dが設けられているため、破壊ベース部911の幅寸法が確保されている。これにより、第1傾斜部993a及び第3傾斜部993cのみの構成と比較して、破壊用部材910の強度が高められている。
また、アンテナ部材172が配置されている範囲Zに対応させて鋸部954を設けたが、これに限られず、例えば鋸部954を設けなくてもよい。この場合であっても、カバー部材961を移動させることによって、アンテナ部材172を含めて封印シール160を切断することができる。但し、先にアンテナ部材172が切断されること及び切断の容易性に着目すれば、鋸部954を設けた構成のほうが優れている。また、鋸部954の刃の数は任意である。
また、アンテナ部材172を破断部用開口部918に跨るように配置してもよい。これにより、アンテナ部材172の破壊箇所が増加するため、破壊された事実の確認を容易に行うことができるとともに、アンテナ部材172の長さ寸法をより小さくすることができる。具体的な構成としては、破断部915及び破断部用開口部918をアーム部912側に設ける構成が考えられる。
また、図70に示すように、第1スリット部174が境界909を跨ぐとともに拡張領域994の周縁部を跨ぐように当該拡張領域994が規定されていてもよい。この場合、第1スリット部174が複数箇所で切断されるため、第1スリット部174の破壊をより確実に行うことができる。
また、図71に示すように、拡張部914に、側面領域296に貼り付けられている封印シール160に対する傾斜の向きが相違する傾斜面995a,995bを設け、当該傾斜面995a,995bにより、拡張部914において破壊ベース部911側とは反対側の端部が破壊ベース部911側の端部よりも封印シール160側に配置されるようにしてもよい。この場合、拡張領域908の周縁部において裏面領域903側の部位を好適に切断することができる。
切断用エッジ951が破壊用部材910の取り外し方向に向けて尖るように先細り領域941を設けたが、これに限られず、例えば先細り領域941を設けない構成としてもよい。但し、封印シール160の切断の容易性の観点に着目すれば、先細り領域941を設ける構成のほうが優れている。
拡張部914と破断部915とを設けたが、これに限られず、例えばいずれか一方を設ける構成としてもよい。
また、破壊用部材910はネジ固定される構成としたが、これに限られず、ネジ固定しない構成としてもよい。この場合であっても、規制構造(規制用凸部921,922及び規制用開口部923,924、突条930,931及び突条用溝932,933)によって破壊用部材910は表側貼付用板部301に対して装着されているため、破壊用部材910が誤って移動することが抑制されている。但し、破壊用部材910への不正行為抑制の観点に着目すれば、破壊用部材910がネジ固定されている構成のほうが優れている。
また、本実施の形態では、切断用エッジ951による封印シール160の切断が開始された後に、破断突起917による切断が開始されるように設定されていたが、これに限られず、破断突起917による切断が開始されてから、切断用エッジ951の切断が開始される構成としてもよい。
また、破壊用部材910の取り外し方向への移動に伴って、規制構造による破壊用部材910のアーム部912,913間の移動の規制が段階的に解除されるようになっていたが、これに限られず、例えば破壊用部材910の取り外し方向への移動に伴って、規制構造による破壊用部材910のアーム部912,913間の移動の規制が段階的に緩められる構成としてもよい。具体的には、破壊用部材910の取り外し方向への移動に伴って規制用凸部921,922と対応する傾斜面925,926との隙間が徐々に大きくなるように設定されていてもよい。この場合であっても、破壊用部材910の取り外し方向への移動に伴って徐々に単位動作の動作範囲が大きくなる。
第1傾斜部952及び第2傾斜部953は、傾斜の向きが逆に形成されていたが、これに限られず、例えば同一傾斜向きに形成されている構成としてもよい。この場合、第1傾斜部952の中央側の端部と第2傾斜部953の中央側の端部とに連続する第3の傾斜部を設けるとよい。当該構成であっても、破壊用部材910の取り外し方向に向けて尖った先端部を形成することができるとともに、破壊用部材910をコンパクトにすることができる。要は、切断用エッジ951に、封印シール160に対して傾斜した状態で当接する傾斜部が複数設けられていればよい。但し、傾斜角度又は傾斜向きが異なる構成のほうが、より好適に封印シール160を切断することができるとともに、破壊用部材910の小型化を図ることができる。
また、下記第5又は第6の実施の形態にて示すように、破壊用部材910を回転可能な状態で貼付ベース293に対して取り付け、破壊用部材910を回転させることで封印シール160を切断する構成としてもよい。この場合、切断用エッジ951を、側面領域296に対して貼り付けられた封印シール160に対して平行に形成してもよい。かかる構成であっても、破壊用部材910を回転させた場合には、切断用エッジ951は封印シール160に対して傾斜した状態で当接し、回転に伴って徐々に封印シール160の切断が行われる。すなわち、破壊用部材910が回転する場合には切断用エッジ951において平行に形成されている部位が傾斜部として機能する。
さらに、かかる構成において、切断用エッジ951の一部に封印シール160に対して近付くように傾斜した傾斜部を設けてもよい。これにより、切断用エッジ951と封印シール160との当接範囲をより小さくすることができるため、封印シール160をより好適に切断することができる。
破壊用部材910を取り外し方向に移動させた場合に、拡張部914によって拡張領域908の周縁部のうち貼付ベース293の表裏方向に延びた部位に対応した箇所が切断されなくてもよい。この場合であっても、拡張部914が境界909周辺の部位に対して当接し、境界909が押し広げられるように当接箇所の部位が変形する。これにより、痕跡箇所が目立つこととなり、封印シール160の破壊が行われた事実を容易に確認することができる。
<他の実施の形態>
なお、上述した各実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。ちなみに、以下の別形態の構成を、上記各実施の形態における構成に対して、個別に適用してもよく、相互に組み合わせて適用してもよい。また、以下の別形態の構成は、適用対象として例示した実施の形態とは異なる実施の形態に対して適用してもよい。
(1)上記第1の実施の形態では、制限手段としてカバー部材93を設けたが、これに限定されることはなく、例えば板状の部材をICタグ163に対して予め定められた距離以上離れた位置に配置し、当該板状の部材にICタグ163側とは反対側からリーダ装置を当接又は近接させてID情報の読み取り作業を行うようにしてもよい。また、箱状ではなく枠状又は網状の部材を設けるとともに、当該部材においてICタグ163に対して予め定められた距離以上離れた位置となる部位にICタグ163側とは反対側からリーダ装置を当接又は近接させてID情報の読み取り作業を行うようにしてもよい。
また、裏パックユニット15の保護カバー部75により主制御装置92をパチンコ機10後方から覆うようにするとともに、当該保護カバー部75の背面からICタグ163に対して予め定められた距離以上離れた位置となるようにし、当該保護カバー部75の背面にリーダ装置を当接又は近接させてID情報の読み取り作業を行うようにしてもよい。この場合、裏パックユニット15により制限手段としての機能が果たされる。
(2)上記第1の実施の形態において、カバー部材93の区画面197がパチンコ機10後方を向いている構成に限定されることはなく、例えば、主制御装置92を遊技盤33に対して起立させて設置することで、区画面197が遊技機本体12の回動先端側又は回動基端側を向く構成としてもよい。この場合、区画面197が遊技機本体12の回動先端側を向くようにすることで、リーダ装置を区画面197に近付ける作業を容易に行うことができる。
(3)上記第1の実施の形態において、カバー部材93が分離に際して所定の部位の破壊を要するように基板ボックス102に固定された構成としてもよい。この場合、カバー部材93において、表側固定ベース部131と裏側固定ベース部132とを不正に分離させようとしてもそれを行いづらくする効果が高められる。
(4)上記第1の実施の形態において、ICタグ163に対して特定の向きからID情報の読み取りを行う場合に読み取り位置がICタグ163から予め定められた距離以上となるように制限することで不正行為を良好に発見できるという特徴に着目した場合には、ICタグ163が封印シール160に取り付けられている構成は必須ではなく、例えば、ICタグ163が封印シール160を介することなく接着剤などによって基板ボックス102に固定された構成としてもよい。
(5)上記第1の実施の形態において、表側固定ベース部131と裏側固定ベース部132との境界136が少なくとも一部にV字状又はU字状となる領域を有していてもよい。また、L字状に形成されていてもよく、曲がり部分が曲線状となるように形成されていてもよい。さらには、境界136の全体が曲線状にカーブするように形成されていてもよく、境界136の延びる方向に連続する山切り形状となるように形成されていてもよい。
(6)上記第1の実施の形態において、アンテナ部材172においてスリット173が形成された領域が境界136を跨がないように封印シール160が配置されていてもよい。但し、この場合、境界136を露出させるべく封印シール160を剥がす場合にスリット173が形成された領域も剥がされるようにするべく、第2ライン146と第4ライン148との間にスリット173の少なくとも一部が含まれるように封印シール160を配置したり、第1ライン145よりも表面領域133側であって第3ライン147よりも裏面領域134側にスリット173の少なくとも一部が含まれるように封印シール160を配置するとよい。
また、本構成において、スリット173に向けて延びるアンテナ用切り込み176が境界136を跨ぐように封印シール160を配置してもよく、アンテナ部材172において一方の長辺部側のアンテナ用切り込み176と他方の長辺部側のアンテナ用切り込み176とにより境界136を間に挟むように封印シール160を配置してもよい。これらの場合、封印シール160において境界136を挟んで対向する両対向端部のうちいずれの方向から封印シール160が剥がされたとしても、アンテナ用切り込み176を通じたスリット173の破壊が期待される。
(7)上記第1の実施の形態において、アンテナ部材172が境界136を跨がないように封印シール160が配置されていてもよい。但し、この場合、境界136を露出させるべく封印シール160を剥がす場合にアンテナ部材172の一部やアンテナ部材172においてスリット173が形成された領域も剥がされるようにするべく、第2ライン146と第4ライン148との間にアンテナ部材172やスリット173の一部が含まれるように封印シール160を配置したり、第1ライン145よりも表面領域133側であって第3ライン147よりも裏面領域134側にアンテナ部材172やスリット173の少なくとも一部が含まれるように封印シール160を配置するとよい。
(8)上記第1の実施の形態において、表側固定ベース部131と裏側固定ベース部132との間の境界136が貼付領域のうち側面領域135にのみ形成されている構成に限定されることはなく、表面領域133にのみ形成されている構成としてもよく、裏面領域134にのみ形成されている構成としてもよい。また、表面領域133と側面領域135との両方に亘って境界136が形成されていてもよく、裏面領域134と側面領域135との両方に亘って境界136が形成されていてもよい。さらには、表面領域133、側面領域135及び裏面領域134の全てに亘って境界136が形成されていてもよい。上記いずれの構成であっても、いずれかの面上において境界136に曲がり部が生じていることが好ましい。
(9)上記各実施の形態において、貼付領域がコーナー部を介して連続する3つの面からなる構成に限定されることはなく、コーナー部を介して連続する2つの面又はコーナー部を介して連続する4つの面からなる構成としてもよい。つまり、貼付領域がコーナー部を介して連続する複数の面からなる構成においては、その具体的な面の数は任意である。このように貼付領域がコーナー部を介して連続する複数の面からなる構成によれば、封印シール160が貼付領域から剥がされる際にコーナー部の位置にて封印シール160に大きな応力がかかることが期待され、それに伴って封印シール160の破れやアンテナ部材172の切断が発生し易くなる。
また、貼付領域がコーナー部を介して連続する複数の面からなる構成に限定されることはなく、単一の面からなる構成としてもよい。
(10)ベースシート161に対して長尺状のアンテナ部材172が直線状に配置されている構成に限定されることはなく、略直線状又は曲線状に配置されている構成としてもよい。また、長さ方向の途中位置において単一の又は複数の曲がり部を有するように配置されていてもよい。
(11)封印シール160が剥がされる際にスリット173が破壊され易くする易破壊部は、アンテナ用切り込み176のようにスリット状であることに限定されることはなく、断続的に延びる破断線状であってもよい。また、開口部であってもよく、周囲の領域よりも薄く形成された薄膜部であってもよい。さらには、アンテナ部材172の端部からスリット173に向けて凹む凹部であってもよい。このように凹部として易破壊部を形成する構成においては、当該易破壊部はベースシート161ではなくアンテナ部材172に形成されることとなる。この場合、易破壊部として、上記凹部の他に、ベースシート161に対しても上記のように例示した易破壊部を形成してもよい。かかる構成とした場合、封印シール160が剥がされた場合にスリット173が破壊され易くなる。
(12)上記第1の実施の形態では、アンテナ用切り込み176がベースシート161に形成されていて、アンテナ部材172には形成されていない構成としたが、これに限定されることはなく、アンテナ部材172にもベースシート161のアンテナ用切り込み176に連続する切り込みが形成されていてもよい。但し、当該切り込みはアンテナ部材172を切断しない範囲及びスリット173に達しない範囲で形成する必要がある。
(13)長尺状のアンテナ部材172に代えてループ状のアンテナ部材を用いてもよい。この場合、ループ部が切断された場合には通信不可又は通信しづらくなるように構成するとともに、当該ループ部を上記各実施の形態におけるスリット173に相当するものとして境界136,297との位置関係やアンテナ用切り込み176との位置関係を設定するとよい。例えば、ループ部に向けて延びる易破壊部を形成することで、封印シール160が剥がされた場合にはループ部の切断が期待される。また、ループ部が境界136,297を跨ぐようにして封印シール160を配置することで、境界136,297を露出させるべく封印シール160が切断された場合や封印シール160が剥がされた場合にはループ部の切断が期待される。
なお、不可状態発生部は上記各実施の形態のスリット173や上記ループ部に限定されることはなく、自身の破壊に伴ってICタグ163が通信不可又は通信しづらくなるのであれば、具体的な構成は任意である。但し、上記スリット173や上記ループ部により不可状態発生部を形成する構成においては、当該不可状態発生部を簡単な構成として設けることができる。
(14)基板ボックス102が一の壁部に開口部が形成された箱体と、当該開口部を覆う板状の蓋体とから形成されている構成においては、開口部の周縁部と蓋体との境界の一部を覆うように封印シール160が貼り付けられていてもよく、当該境界の全てを覆うように封印シール160が貼り付けられていてもよい。
(15)上記第1の実施の形態において、表側固定ベース部131に突出壁部144が形成されているとともに、裏側固定ベース部132に凹み領域142が形成されている構成としてもよい。また、これら凹み領域142及び突出壁部144における両固定ベース部131,132の固定に係る構成は引っ掛け部155を用いた構成に限定されることはなく、破断ネジといった固定後の分離を不可又は難しくする固定具を用いた構成としてもよい。また、両固定ベース部131,132の貫通孔151及びネジ孔152を通じた固定は、工具を用いて容易に固定解除作業が可能な通常のネジを用いて行われていてもよい。
(16)基板ボックス102に開放用の切断部が区画形成されており、当該切断部を切断することで基板ボックス102の内部空間を開放可能な構成においては、当該切断部の少なくとも一部を跨ぐようにして封印シール160を貼り付ける構成としてもよい。切断部を覆うように封印シール160が貼り付けられた構成においては切断部を切断するために封印シール160も合わせて切断する行為や、切断部を露出させるために封印シール160を剥がす行為が想定される。これに対して、切断部において封印シール160により覆われる領域に曲がり部が生じるように当該切断部が形成されていてもよく、当該曲がり部は上記各実施の形態における境界136の形状と同様のものであってもよい。さらには、切断部とアンテナ部材172との位置関係又は切断部とスリット173との位置関係を、上記各実施の形態における境界136とアンテナ部材172との位置関係又は境界136とスリット173との位置関係のように設定してもよい。これにより、切断部が不正に切断されたか否かの管理を、封印シール160を用いて好適に行うことができる。
なお、上記切断部としては、基板ボックス102の壁部を内外に貫通する貫通部がミシン目状となるように断続的に環状に形成された構成が考えられ、また周囲の領域よりも肉薄に形成された肉薄部が環状に形成された構成も考えられる。
(17)封印シール160の貼付対象は、主制御装置92に限定されることはなく、払出制御装置82といった他の制御装置であってもよい。また、複数の制御装置に対して封印シール160が貼り付けられた構成としてもよい。さらに、払出装置78といった制御装置以外の機器に対して封印シール160が貼り付けられていてもよく、制御装置と取付台との境界を跨ぐように封印シール160が貼り付けられていてもよい。これらいずれの構成であっても、上記第1乃至第5の実施の形態における境界136とアンテナ部材172との位置関係や境界136とスリット173との位置関係を適用することが好ましく、またID情報の読み取り位置を予め定められた距離以上に制限する構成を適用することが好ましい。また、上記第6乃至第10の実施の形態にて説明したように、上記いずれかの監視対象に対する特定操作に先立って事前操作を要するようにするとともに、当該事前操作に際して封印シール160といった痕跡手段が破壊されるようにする事前操作用手段の構成を適用することが好ましい。
(18)ICタグ163に対して特定の向きからID情報の読み取りを行う場合に読み取り位置がICタグ163から予め定められた距離以上となるように制限することで不正行為を良好に発見できるという特徴に着目した場合、境界136が曲がり部を有するように形成されていることで封印シール160を通じた不正発見効果が高められるという特徴に着目した場合、又は事前操作用手段が設けられていることで封印シール160やICタグ163の機能を好適に発揮させることができるという特徴に着目した場合、アンテナ部材172に不可状態発生部が形成されていることは必須ではなく、またベースシート161に易破壊部が形成されていることも必須ではない。
(19)アンテナ部材172に不可状態発生部としてスリット173が形成されているとともに当該スリット173に対してアンテナ用切り込み176が形成されていることで不正行為を良好に発見できるという特徴に着目した場合、又は境界136が曲がり部を有するように形成されていることで封印シール160を通じた不正発見効果が高められるという特徴に着目した場合、ICタグ163に対して特定の向きからID情報の読み取りを行う場合に読み取り位置がICタグ163から予め定められた距離以上となるように制限する構成は必須ではない。
(20)上記各実施の形態では、ICタグ163はリーダ装置からの呼出波を受信することにより識別情報を応答波として発信する構成としたが、これに代えて、識別情報を含んだ電波を常時発信するICタグとしてもよい。
(21)2個の構成体111,112が組み合わされて基板ボックス102が形成されている構成に限定されることはなく、3個以上の構成体が組み合わされて基板ボックス102が形成されていてもよい。また、封印シール160においてアンテナ部材172が斜めに配置されている構成に限定されることはなく、斜め以外の方向に配置されている構成としてもよい。また、封印シール160のベースシート161は長方形状であることに限定されることはなく、正方形状、他の多角形状又は円形状であってもよい。
(22)事前操作用手段は、上記第6乃至第15の実施の形態にて説明したように、カバー部材331,371,401,511,611,711,821,961(以降単にカバー部材331等ともいう)の変位に伴って所定の部位(例えば、破壊用部材311)が封印シール160に当接することにより当該封印シール160が破壊されるようにする構成に限定されることはなく、例えば、カバー部材331等により覆われた状態においてカバー部材331等の内周面に封印シール160の一部が接着、固定又は係止されている構成としてもよい。この場合、カバー部材331等の変位に伴って封印シール160がカバー部材331等に引っ張られ、当該封印シール160が破壊されることとなる。また、当該封印シール160の破壊に伴ってICタグ163のアンテナ部材172が切断されることが期待される。また、封印シール160ではなく、ICタグ163のアンテナ部材172がカバー部材331等の内周面に接着、固定又は係止されている構成としてもよい。
(23)上記第6乃至第15の実施の形態において、封印シール160の全体を覆うカバー部材331等に代えて、封印シール160の全体は覆わないが一部に隣接させて又は一部に対向させて配置されることで当該封印シール160の貼付領域294からの完全な引き剥がしを制限する部材を設ける構成としてもよい。この場合、当該部材が上記引き剥がしを制限している位置から当該制限を解除する位置に変位されることに伴って封印シール160又はICタグ163が破壊される構成とするとよい。
(24)上記第6乃至第13、第15の実施の形態において、封印シール160やICタグ163といった痕跡手段を基板ボックス282,361の内部空間の開放に際して分離を要しない位置に設置してもよい。但し、カバー部材331等といったように基板ボックス282,361の開放操作に際して分離を要する部材を設けるとともに、当該部材の分離に際して封印シール160やICタグ163といった痕跡手段が破壊される構成とすることが好ましい。
(25)上記第6乃至第15の実施の形態において、カバー部材331等の貼付ベース293,362からの分離に際してカバー部材331等又は貼付ベース293,362の少なくとも一部の破壊を要するように構成するとともに、その一部の破壊に際して封印シール160やICタグ163が破壊される構成としてもよい。この場合、上記一部を破壊するという事前操作が行われた場合に、封印シール160やICタグ163が破壊されることとなる。
(26)上記第6乃至第15の実施の形態において、カバー部材331等の分離操作といった事前操作が行われた場合に破壊されて痕跡状態となる痕跡手段は、ICタグ163を有する封印シール160に限定されることはなく、ICタグ163を有していない封印シール160であってもよく、封印シール160が不具備となった状態のICタグ163であってもよい。また、痕跡を残すことができるのであれば、封印シール160やICタグ163に限定されない。
(27)上記第6の実施の形態において、カバー部材331と破壊用部材311との連結は爪部336,337と受け部338,339との係止により行われる構成に限定されることはなく、カバー部材331と破壊用部材311とがネジなどを用いて連結されている構成としてもよく、接着剤や結束バンドなどを用いて連結されている構成としてもよい。また、カバー部材331と破壊用部材311とが一体形成されている構成としてもよい。但し、貼付ベース293内に破壊用部材311が収容されるとともに封印シール160を覆うようにしてカバー部材331が設けられる構成においては、両部材311,331の設置の容易化を図る上では、上記第6の実施の形態のように係止によって両部材311,331が連結されることが好ましい。
なお、第11及び第12の実施の形態におけるカバー部材511,611と破壊用部材501,601との連結に関する構成についても同様にネジなどを用いて連結する構成としてもよい。この場合、別途連結作業を行う必要が生じる。これに対して、第11及び第12の実施の形態においては、カバー部材511,611が基板ボックス282に取り付けられることに伴って連結が行われる構成となっているため、作業性の低下を抑制し得る。
(28)上記第7の実施の形態において、破壊用部材311とカバー部材331との連結箇所へのアクセスを行いづらくする保護壁部351,352に代えて、当該アクセスを不可とするように連結箇所の周囲を隙間が生じないようにして覆う保護カバーを設ける構成としてもよい。
(29)上記第6及び第11乃至第15の実施の形態において、表側固定ベース部291と裏側固定ベース部292とを結合する結合具として着脱が可能なネジ319に代えて、破断ネジやワンウェイネジを用いてもよい。
(30)上記各実施の形態において、封印シール160の表面側に当該封印シール160を覆うようにして透明シートを貼り付けてもよい。この場合、当該透明シートによって封印シール160を保護することが可能となる。但し、上記第6乃至第12及び第15の実施の形態においては、カバー部材331等の分離に際して封印シール160の破壊が生じ得るように、上記透明シートの強度が設定されていることが好ましい。
(31)上記第6及び第11乃至第15の実施の形態において、基板ボックス282の内部空間を開放させるべく表側構成体283と裏側構成体284とを分離させる場合の分離方向を規制する規制手段は、両構成体283,284の合わせ面に沿ったスライド移動と、基板ボックス282の厚み方向への移動との2段階での移動に規制する構成に限定されることはなく、前者又は後者のいずれか一方のみ又は3段階以上での移動に規制する構成としてもよい。この場合であっても、基板ボックス282の内部空間の開放操作に対する事前操作としてカバー部材331の分離操作を要するようにするためには、当該カバー部材331の分離操作が行われないと、上記規制手段の規制に従った両構成体283,284の分離操作を行えない構成とすることが好ましい。
(32)上記第6及び第11乃至第15の実施の形態において、破壊用部材311,501,601,801,910(以降単に破壊用部材311等ともいう)を金属製としてもよい。但し、破壊用部材311等を金属製とした場合には、当該破壊用部材311等とICタグ163のアンテナ部材172とが接触しないように、貼付ベース293に対して封印シール160を貼り付ける必要がある。当該構成として具体的には、破壊用部材311等とアンテナ部材172とを離間させた状態とする又は破壊用部材311等とアンテナ部材172との間に樹脂製の介在部材を設ける構成が考えられる。
例えば、アンテナ部材172が金属製の破壊用部材311等に接触すると、設定された動作周波数(例えば、2.45GHz)が変化してしまい、アンテナ部材172を通じた通信が良好に行えなくなるおそれがある。そうすると、ICチップ171に記憶されたID情報をリーダ装置により読み取ろうとしてもそれが行えないおそれがあるが、上記のようにアンテナ部材172と金属製の破壊用部材311等とが接触しないようにすることにより、上記不都合の発生が抑えられる。
(33)上記第6乃至第15の実施の形態(第8の実施の形態を除く)では、破壊用部材311等がネジ固定されている構成としたが、これに限られず、例えば破壊用部材311等が表側固定ベース部291と裏側固定ベース部292との結合に用いられるネジ319とは別の結合具を用いて表側固定ベース部291又は裏側固定ベース部292のいずれかに固定される構成としてもよい。この場合、主制御装置281の組み立てに際して、破壊用部材311等が固定されるタイミングは任意であるが、例えば、表側構成体283と裏側構成体284とを組み合わせるタイミングよりも前に破壊用部材311等の固定が行われる構成としてもよい。上記構成であっても、カバー部材331等が分離される場合にそれに追従して破壊用部材311等が分離されることが好ましく、当該構成を実現するためには、カバー部材331等が設置された状態で、破壊用部材311等を固定するためのネジの固定解除を行えるようにすることが好ましい。
また、破壊用部材311等の固定は、ネジにより行われる構成に限定されることはなく、例えば、表側固定ベース部291又は裏側固定ベース部292の少なくとも一方に形成された係止部に破壊用部材311等が係止される構成としてもよい。当該構成であっても、第6乃至第12の実施の形態においては、カバー部材331等が分離される場合にはそれに追従して破壊用部材311等が分離されることが好ましく、当該構成を実現するためには、カバー部材331を所定の力以上で分離方向に移動させることで、破壊用部材311の係止部に対する係止状態が解除される構成とすることが好ましい。
さらに、貼付ベース293への破壊用部材311等のネジ固定を行わない構成としてもよい。この場合、第6、第7、第9、第10、又は第13の実施形態においては、各アーム部313,314等とカバー部材331の内壁面とが当接するようにカバー部材331を取り付けるとよい。これにより、ネジ固定が行われない状況において生じ得る破壊用部材311のガタツキを抑制することができる。
なお、上記第14の実施の形態においては、破壊用部材801がネジ固定されない場合であっても、破壊用部材801は貼付ベース293に対して取り外しが困難な状態で取り付けられているため、破壊用部材801の不正な破壊又は除去を抑制することができる。
(34)上記第6乃至第15の実施の形態(第8の実施の形態を除く)において、アンテナ部材172における境界297を跨ぐ領域は、第1スリット部174が形成された領域に限定されることはなく、第2スリット部175が形成された領域やICチップ171が搭載された領域であってもよい。この場合であっても、破壊用部材311により封印シール160及びアンテナ部材172が切断された場合には、ICタグ163において正常な通信が不可となることが期待される。
また、アンテナ部材172においてスリット部174,175が形成されていない領域であってICチップ171が搭載されていない領域が境界297を跨ぐ構成としてもよい。この場合であっても、破壊用部材311等により封印シール160及びアンテナ部材172が切断された場合には、ICタグ163において通信可能な範囲が正規のものよりも狭くなることが期待される。但し、基板ボックス282の不正開放を確実に発見する上では、上記のようにスリット173,174が形成された領域や、ICチップ171が搭載された領域が境界297を跨ぐ構成とすることが好ましい。
(35)上記第6の実施の形態や上記第9の実施の形態などでは、カバー部材331が貼付ベース293に装着されている状態で、当該カバー部材331の爪部336,337が破壊用部材311の受け部338,339に係止されている構成としたが、これに限定されることはなく、上記装着されている状態では爪部336,337が受け部338,339に係止されていない構成としてもよい。但し、カバー部材331の分離に際して破壊用部材311が一体的に変位するようにするために、少なくともカバー部材331が貼付ベース293から分離されるまでにカバー部材331の一部と破壊用部材311の一部とが当接する等によって、一体的に変位し出す構成とすることが好ましい。
また、より好ましくは、表側構成体283及び裏側構成体284の分離操作がカバー部材331により阻止された範囲内において、破壊用部材311による封印シール160やICタグ163の破壊が生じるように破壊用部材311とカバー部材331との一体的な変位が開始されるタイミングが設定されているとよい。また、封印シール160やICタグ163の分離操作がカバー部材331により阻止された範囲内において、破壊用部材311による封印シール160やICタグ163の破壊が生じるように破壊用部材311とカバー部材331との一体的な変位が開始されるタイミングが設定されているとよい。
なお、第11、第12及び第15の実施の形態についても同様である。
(36)上記第6の実施の形態や上記第9の実施の形態などでは、貼付ベース293へのカバー部材331の装着に際して、カバー部材331に形成された爪部336,337が弾性変形することで破壊用部材311の受け部338,339に係止される状態となる構成としたが、これに限定されることはなく、破壊用部材311側が貼付ベース293の内側に向けて弾性変形することで、当該破壊用部材311とカバー部材331とが一体化される構成としてもよい。この場合、上記第6の実施の形態のように破壊用部材311とカバー部材331との一体化部分が露出していたとしても、露出側に位置しているカバー部材331ではなく非露出側に位置している破壊用部材311が弾性変形する構成であるため、両者の一体化を解除しづらくなる。
また、上記第7の実施の形態のように保護壁部351,352が形成されている構成や、上記第9の実施の形態のように収容部394が形成されている構成に対して、上記のように破壊用部材311側が弾性変形する構成を適用することにより、保護壁部351,352や収容部394といった保護手段と上記一体化部分との間に形成された弾性変形を許容するための隙間を狭くする又は不具備とすることが可能となる。これにより、上記一体化部分にアクセスしづらくなる。
(37)上記第9の実施の形態において収容部394により区画形成された収容空間の周面の一部が、結合構造391により構成されていてもよい。この場合、結合構造391を利用して収容空間を形成することができる。また、上記第7の実施の形態における基板ボックス282において貼付ベース293を間に挟むようにして結合構造391を設けるとともに、当該結合構造391を破壊用部材311とカバー部材331との一体化部分に近接した位置に設けることで、結合構造391が保護壁部351,352としての機能を果たす構成としてもよい。
(38)上記第6の実施の形態において、破壊用部材311は両固定ベース部291,292の境界297を通じて貼付ベース293の内側から外側に移動する構成に限定されることはなく、両固定ベース部291,292の境界297に対して交差するように形成された開口部を通じて貼付ベース293の内側から外側に移動する構成としてもよい。この場合、破壊用部材311の移動を考慮することなく、両固定ベース部291,292の重ね合わせ部分を形成することができる。
なお、第11乃至第15の実施の形態においても同様である。
(39)上記各実施の形態では、外側貯留部として上皿57aと下皿58aとを備えたパチンコ機10に本発明を適用したが、これに代えて、単一の外側貯留部を備えたパチンコ機に本発明を適用してもよい。また、停電監視装置を主制御装置92とは別に設けることで、主制御基板101は主制御回路202のみの機能を有する構成としてもよい。
(40)上記第6乃至第15の実施の形態(第8の実施の形態を除く)では、カバー部材331等が基板ボックス282に対して取り付けられている構成としたが、これに限られず、例えばカバー部材331等を不具備とする構成としてもよい。この場合であっても、破壊用部材311等をスライド移動又は回転移動させることによって、封印シール160を境界297,909に沿って切断することが可能である。但し、カバー部材331等が設けられている方が、封印シール160及び破壊用部材311等の保護の観点から好ましい。
(41)上記第6乃至第15の実施の形態(第8の実施の形態を除く)では、破壊用部材311等は貼付ベース293の内側に配置されている構成としたが、これに限られず、例えば貼付ベース293の外側に配置されている構成としてもよい。但し、この場合、破壊用部材311等が貼付ベース293の内側に配置されている構成と比較して、封印シール160を切断することなく、破壊用部材311等を除去又は破壊することが容易になるため、不正行為抑制の観点において、上記各実施の形態の方が優れている。
(42)上記第6乃至第14の実施の形態によれば、境界297は直線状に形成されていたが、これに限られず、例えば曲がり部が生じるように境界297が形成されている構成としてもよい。この場合、破壊用部材311等を、境界297を通過できるように、当該曲がり部に対応して形成するとよい。これにより、直線状の場合と比較して切断領域が大きくなるため、より好適に開放操作が行われたことを確認することができる。
(43)上記第6乃至第15の実施の形態(第8の実施の形態を除く)では、封印シール160を切断する破壊用部材311等を設ける構成としたが、これに限られず、例えば基板ボックス282を構成する表側構成体283を内外に貫通する貫通部がミシン目状となるように断続的に環状に形成された易切断部を設け、当該易切断部に沿って切断することによって、易切断部によって区画形成された部分が取り外されて基板ボックス282の内部空間の開放が行われる構成において、外力を付与することによって易切断部を切断する破壊用部材を設ける構成としてもよい。
(44)上記第6乃至第15の実施の形態にでは、カバー部材331等は基板ボックス282の開放操作を制限するとともに、封印シール160を覆うものであったが、これに限られず、例えばどちらか一方の機能を有するものでもよい。
(45)上記第6乃至第15の実施の形態(第8の実施の形態を除く)において、破壊用部材311等が封印シール160を切断し易いように、封印シール160に他の箇所よりも切断し易く形成された易切断部を設ける構成としてもよい。これにより、封印シール160の切断をより好適に行うことができる。
(46)上記第6乃至第15の実施の形態(第8の実施の形態を除く)では、破壊用部材311等は対向板部302,303,306,307の間に亘って形成されており、破壊用部材311等がスライド移動又は回転移動した場合には、封印シール160において境界297,909に跨っている箇所全体が切断される構成としたが、これに限られず、例えば少なくとも上記箇所の一部が切断されるように構成されていればよい。この場合、開放操作に伴って、当該切断箇所から封印シール160が切断される。換言すれば、切断箇所が形成されたことによって封印シール160による開放操作を阻害する力が弱くなる。これにより、開放操作を行うことが可能となる。但し、開放操作を行う際の作業性の観点に着目すれば、破壊用部材311等が境界297,909に跨っている箇所全体を切断可能に形成される構成の方が好ましい。
(47)上記第6乃至第15の実施の形態(第8の実施の形態を除く)では、囲み部321,950とカバー部材331等の内壁面との摺動によって、基板ボックス282へのカバー部材331等の取り付け方向は一方向に規定されていたが、これに限られず、例えば所定の方向に誘導後、当該所定の方向と異なる方向に誘導するように取り付け方向が2段階に規定されていてもよい。要は、基板ボックス282へのカバー部材331等の取り付け経路が規定されていればよい。
(48)上記第6乃至第15の実施の形態(第8の実施の形態を除く)において、表側固定ベース部291と裏側固定ベース部292との間の境界297,909が貼付領域294のうち側面領域296にのみ形成されている構成に限定されることはなく、表面領域295にのみ形成されている構成としてもよく、表面領域295とは反対側の裏面領域にのみ形成されている構成としてもよい。また、表面領域295と側面領域296との両方に亘って境界297,909が形成されていてもよく、裏面領域と側面領域296との両方に亘って境界297,909が形成されていてもよい。さらには、表面領域295、側面領域296及び裏面領域の全てに亘って境界297,909が形成されていてもよい。上記いずれの構成であっても、境界297,909に跨って封印シール160が貼り付けられているとともに、境界297,909を介して破壊用部材311等が、貼付ベース293の内側から外側へ変位可能であればよい。
(49)上記第14の実施の形態では、カバー部材821は破壊用部材801に対して係合することによって、基板ボックス282に対して取り付けられていたが、これに限られず、別途基板ボックス282と係合する構成としてもよい。これにより、破壊用部材801を回転させた後、別途基板ボックス282との係合を解除する必要が生じる。よって、カバー部材821の分離操作が煩雑なものとなるため、不正な分離操作を抑制することができる。
また、この場合、破壊用部材801が分離された基板ボックス282に対してカバー部材821を取り付けることができる。これにより、カバー部材821の汎用性を高めることができる。
(50)上記第14の実施の形態では、破壊用部材801とカバー部材821との間に第1の係合及び第2の係合が生じるようになっていたが、これに限られず例えばどちらか一方でもよい。要は、破壊用部材801の回転に伴って、係合が解除される又は係合が緩くなるようになっていればよい。
(51)上記第14の実施の形態では、軸部811は表側構成体283に設けられている構成としたが、これに限られず、例えば裏側構成体284に設けられている構成としてもよい。この場合、破壊用部材801が基板ボックス282に取り付けられている状況において、両構成体283,284における開放操作としてのスライド移動が破壊用部材801によって規制されることとなる。これにより、開放操作の前段階として破壊用部材801の分離を行う必要が生じるため、開放操作を煩雑なものとすることができる。よって、不正な開放操作を抑制し得る。但し、開放操作の容易性に着目すれば、軸部811は表側構成体283に取り付けられている構成のほうが優れている。
(52)上記第14の実施の形態において、第2アーム部用開口部833を第2アーム部用開口部833の付近に配置されている結合構造391側へ向けて開放させてもよい。これにより、破壊用部材801からカバー部材821を容易に取り外すことが可能となる。但し、この場合、第2アーム部804及び第1フック部841の係合箇所が露出することとなるため、不正に係合箇所を解除され易くなる。このため、係合箇所の不正な解除を抑制できる点に着目すれば、上記第14の実施の形態の方が優れている。
また、側面側壁部831において、破壊用部材801が回転した状態における第2アーム部804と対向する位置に突出部用開口部を新たに設ける構成としてもよい。これにより、カバー部材821を貼付ベース293に対して取り外し方向へスライド移動させることによって、カバー部材821を破壊用部材801から取り外すことができるため、カバー部材821の取り外しを容易に行うことができる。但し、カバー部材821の構成の簡素化、開口部から不正治具を挿入する不正行為が行われ得ることを鑑みると、上記第14の実施の形態の方が優れている。
(53)上記第14の実施の形態では、破壊用部材801は貼付ベース293に対して回転可能な状態で軸支されていたが、これに限られず、例えば貼付ベース293に対してスライド移動可能に取り付けられており、スライド移動することによって封印シール160を切断する構成としてもよい。この場合、カバー部材821が取り付けられている状況において破壊用部材801がスライド移動できるようにカバー部材821に開口部を設ける構成とするとよい。但し、封印シール160を容易に切断できる点に着目すれば、破壊用部材801が回転可能な状態で軸支されている構成のほうが優れている。
(54)上記各実施の形態において、破壊されることによって、開放操作の阻害が解除されるとともに痕跡状態となる痕跡手段は、ICタグ163を有する封印シール160に限定されることはなく、ICタグ163を有していない封印シール160であってもよく、封印シール160が不具備となった状態のICタグ163であってもよい。また、痕跡を残すことができるのであれば、封印シール160やICタグ163に限定されない。
(55)上記第13の実施の形態では、破壊用部材311は表側構成体283と裏側構成体284とが分離されない限り、基板ボックス282から分離しにくい構成となっていたが、これに限られず、例えば破壊用部材311が所定の回転方向位置に配置された場合に、貼付ベース293から引き抜けるようになっている構成としてもよい。これにより、基板ボックス282の開放を行うことなく、破壊用部材311の交換を行うことができる。
(56)上記第14の実施の形態では、表面側壁部851の一部が表面領域295と当接する構成としたが、これに限られず又はこれに加えて、側面側壁部831が側面領域296と当接するように形成されていてもよい。具体的には、側面領域296と当接するように側面側壁部831の一部を貼付ベース293側に凹ませてもよい。これにより、封印シール160が貼付ベース293とカバー部材821とによって挟み込まれるため、破壊用部材801が当接することによって生じるせん断力を高めることができる。よって、封印シール160の切断を容易に行うことができる。
(57)上記第13及び第14の実施の形態においては、先細り領域315、805を傾斜させて形成したが、これに限られず、アーム部313,314の向き合う方向に沿って形成してもよい。この場合であっても、破壊用部材311,801を回転させた場合には、先細り領域315,805は封印シール160に対して傾斜した状態で当接し、回転に伴って徐々に封印シール160の切断が行われる。
(58)上記各実施の形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも、本発明を適用できる。
また、弾球式でない遊技機、例えば、複数種の図柄が周方向に付された複数のリールを備え、メダルの投入及びスタートレバーの操作によりリールの回転を開始し、ストップスイッチが操作されるか所定時間が経過することでリールが停止した後に、表示窓から視認できる有効ライン上に特定図柄又は特定図柄の組み合わせが成立していた場合にはメダルの払い出し等といった特典を遊技者に付与するスロットマシンにも本発明を適用できる。
また、外枠に開閉可能に支持された遊技機本体に貯留部及び取込装置を備え、貯留部に貯留されている所定数の遊技球が取込装置により取り込まれた後にスタートレバーが操作されることによりリールの回転を開始する、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機にも、本発明を適用できる。
<上記各実施の形態から抽出される発明群について>
以下、上述した各実施の形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記各実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
特徴A1.固有の識別情報を記憶した記憶部(ICチップ171)と、所定の長さ寸法を有するとともに前記識別情報を含む電波を発信するアンテナ部(アンテナ部材172)と、を備えた電子タグ(ICタグ163)を有し、
予め定められた監視対象(主制御装置92)の一部の分離が行われる場合又は予め定められた監視対象の設置箇所からの移動が行われる場合に前記アンテナ部が長さ方向の途中位置において切断が生じ得るように前記電子タグが取り付けられており、
さらに、前記電波を受信することで前記識別情報の読み取りを行うリーダ装置を用いた読み取り作業に際して、前記電子タグに対して少なくとも特定の向きから前記リーダ装置による識別情報の読み取りを行う場合の読み取り位置が前記電子タグに対して予め定められた距離以上離れた位置となるように制限する制限手段(カバー部材93)を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴A1によれば、監視対象に電子タグが設けられていることにより、遊技ホールの管理者等は電子タグから正規の識別情報を受信することができるか否かを確認することで、監視対象を好適に管理することができる。
本構成において、監視対象の一部の分離が行われる場合又は監視対象の設置箇所からの移動が行われる場合にアンテナ部には長さ方向の途中位置において切断が生じ得る。この場合に電子タグの通信が不可となることで、遊技ホールの管理者等はその事実を把握することで監視対象に対して不正行為が行われた可能性があることを認識することができる。
また、アンテナ部に長さ方向の途中位置において切断が生じた場合に、電子タグにおいて通信が可能であるが、通信可能距離が短くなることが想定される。この場合、リーダ装置による読み取り作業が短縮後の通信可能距離外にて行われれば当該読み取り作業を通じて不正行為の事実を認識することができるが、読み取り作業が短縮後の通信可能距離内にて行われれば当該読み取り作業を通じて不正行為の事実を認識することができない。
これに対して、本構成によれば、制限手段が設けられており、電子タグに対して少なくとも特定の向きからリーダ装置による識別情報の読み取りを行う場合の読み取り位置が電子タグに対して予め定められた距離以上離れた位置となるように制限されている。これにより、遊技ホールの管理者等において電子タグに対して特定の向きからリーダ装置による読み取り作業を行うように決めておけば、アンテナ部に切断が生じて通信可能距離が短くなった場合には、リーダ装置にて識別情報を読み取ることができない事実を把握することで監視対象に対して不正行為が行われた可能性があることを認識することができる。
特徴A2.固有の識別情報を記憶した記憶部(ICチップ171)と、所定の長さ寸法を有するとともに前記識別情報を含む電波を発信するアンテナ部(アンテナ部材172)と、を備えた電子タグ(ICタグ163)を有し、
一方の面に粘着層(粘着層162)を有するベースシート(ベースシート161)の粘着層側に前記電子タグが取り付けられていることでシール部材(封印シール160)が構成されているとともに、当該シール部材は、予め定められた監視対象(主制御装置92)に対して貼り付けられており、
前記シール部材がその貼付領域から剥がされる際にその応力に伴い自身が破壊されることに伴って前記アンテナ部が長さ方向の途中位置において切断が生じ得るように前記シール部材が形成されており、
さらに、前記電波を受信することで前記識別情報の読み取りを行うリーダ装置を用いた読み取り作業に際して、前記電子タグに対して少なくとも特定の向きから前記リーダ装置による識別情報の読み取りを行う場合の読み取り位置が前記電子タグに対して予め定められた距離以上離れた位置となるように制限する制限手段(カバー部材93)を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴A2によれば、監視対象に電子タグが設けられていることにより、遊技ホールの管理者等は電子タグから正規の識別情報を受信することができるか否かを確認することで、監視対象を好適に管理することができる。
本構成において、監視対象の一部の分離が行われる場合又は監視対象の設置箇所からの移動が行われる場合に、シール部材が貼付領域から剥がされた場合にはアンテナ部には長さ方向の途中位置において切断が生じ得る。この場合に電子タグの通信が不可となることで、遊技ホールの管理者等はその事実を把握することで監視対象に対して不正行為が行われた可能性があることを認識することができる。
また、アンテナ部に長さ方向の途中位置において切断が生じた場合に、電子タグにおいて通信が可能であるが、通信可能距離が短くなることが想定される。この場合、リーダ装置による読み取り作業が短縮後の通信可能距離外にて行われれば当該読み取り作業を通じて不正行為の事実を認識することができるが、読み取り作業が短縮後の通信可能距離内にて行われれば当該読み取り作業を通じて不正行為の事実を認識することができない。
これに対して、本構成によれば、制限手段が設けられており、電子タグに対して少なくとも特定の向きからリーダ装置による識別情報の読み取りを行う場合の読み取り位置が電子タグに対して予め定められた距離以上離れた位置となるように制限されている。これにより、遊技ホールの管理者等において電子タグに対して特定の向きからリーダ装置による読み取り作業を行うように決めておけば、アンテナ部に切断が生じて通信可能距離が短くなった場合には、リーダ装置にて識別情報を読み取ることができない事実を把握することで監視対象に対して不正行為が行われた可能性があることを認識することができる。
特徴A3.前記制限手段は、前記電子タグから前記特定の向きに前記予め定められた距離以上離れた位置に配置され、前記電波を透過可能に形成された離間壁部(第1離間壁部194、第2離間壁部195)を有していることを特徴とする特徴A1又はA2に記載の遊技機。
特徴A3によれば、離間壁部を設けるという比較的簡素な構成により、上記特徴A1又はA2の優れた効果を奏することができる。また、離間壁部に当接又は近接させてリーダ装置による読み取り作業を行うことで、電子タグに対して特定の向きからリーダ装置による読み取りを行う場合の読み取り位置が電子タグに対して予め定められた距離以上離れた位置となる。よって、読み取り作業の作業性の向上を図りながら、上記特徴A1又はA2の優れた効果を奏することができる。
特徴A4.前記制限手段は、前記監視対象に対して取り付けられており、当該監視対象との間で前記電子タグの収容領域を形成するとともに前記離間壁部を有するカバー部材であることを特徴とする特徴A3に記載の遊技機。
特徴A4によれば、カバー部材を設けるという比較的簡素な構成により、上記特徴A1又はA2の優れた効果を奏することができる。また、本構成によれば、カバー部材において電子タグを外側から保護する機能が果たされ、制限手段の多機能化が図られる。
特徴A5.前記カバー部材は、前記監視対象に対して取付部(爪部192、受け部193)を介して取り付けられており、
当該取付部は、前記カバー部材の取り外しを不可とするように、取り外しをしづらくするように、又は取り外しに際して前記取付部若しくは前記カバー部材の破壊を要するように形成されていることを特徴とする特徴A4に記載の遊技機。
特徴A5によれば、カバー部材により電子タグに対する不正を行いづらくする機能が果たされる。これにより、カバー部材の多機能化が図られる。
特徴A6.前記監視対象において前記電子タグが設けられた領域は他の遊技機構成部品(音声ランプ制御装置66、払出制御装置82)と並ぶようにして配置されているとともに、前記他の遊技機構成部品と並ばない向きの少なくとも一部の向きとして前記特定の向きが設定されていることを特徴とする特徴A3乃至A5のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A6によれば、他の遊技機構成部品に対して他の遊技機構成部品が並設された構成においては、リーダ装置による読み取り作業を他の遊技機構成部品側から行いづらくなる。そして、特定の向きは、他の遊技機構成部品と並ばない向きとして設定されている。つまり、特定の向きは遊技ホールの管理者等にとって読み取り作業を行い易い位置として設定されているため、遊技ホールの管理者等が電子タグに対して特定の向き以外から読み取り作業を行ってしまう可能性が低減される。
特徴A7.前記監視対象において前記電子タグが設けられた領域は他の遊技機構成部品と並ぶようにして配置されているとともに、当該他の遊技機構成部品と並ばない向きとして、前記特定の向きである第1の向きと、当該第1の向きとは異なる向きである第2の向きとが少なくとも存在しており、
前記離間壁部として、前記電子タグから前記第1の向きに前記予め定められた距離以上離れた位置に配置され前記電波を透過可能に形成された第1離間壁部(第1離間壁部194)と、前記電子タグから前記第2の向きに前記予め定められた距離以上離れた位置に配置され前記電波を透過可能に形成された第2離間壁部(第2離間壁部195)と、を備えていることを特徴とする特徴A3乃至A6のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A7によれば、読み取り作業に際して他の遊技機構成部品に邪魔されない第1の向き及び第2の向きのそれぞれに対応させて第1離間壁部と第2離間壁部とが設けられているため、識別情報の読み取り作業が電子タグに対して予め定められた距離以上離れた位置以外の位置にて行われる可能性が低減される。
特徴A8.所定の面側に搭載面が形成された搭載部(樹脂ベース31、遊技盤33)を備え、前記搭載面には前記監視対象が搭載されており、
前記特定の向きは、前記電子タグを基準として前記搭載部側とは反対側の向きであることを特徴とする特徴A3乃至A5のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A8によれば、特定の向きが電子タグを基準として搭載部側とは反対側の向きとして設定されているため、遊技ホールの管理者等にとっては特定の向きが読み取り作業を行い易い向きとなる。よって、識別情報の読み取り作業が電子タグに対して予め定められた距離以上離れた位置以外の位置にて行われる可能性が低減される。
特徴A9.前記搭載面には前記監視対象が搭載されているとともに、当該監視対象と前記搭載面上において並ぶように他の遊技機構成部品(音声ランプ制御装置66、払出制御装置82)が搭載されており、
前記離間壁部として、前記特定の向きである第1の向きに前記予め定められた距離以上離れた位置に配置され、前記電波を透過可能に形成された第1離間壁部と、前記監視対象において前記電子タグが設けられた領域が前記搭載面上において前記他の遊技機構成部品と並ばない第2の向きに前記予め定められた距離以上離れた位置に配置され、前記電波を透過可能に形成された第2離間壁部と、を備えていることを特徴とする特徴A8に記載の遊技機。
特徴A9によれば、読み取り作業に際して他の遊技機構成部品に邪魔されない第1の向き及び第2の向きのそれぞれに対応させて第1離間壁部と第2離間壁部とが設けられているため、識別情報の読み取り作業が電子タグに対して予め定められた距離以上離れた位置以外の位置にて行われる可能性が低減される。
特徴A10.前記制限手段は、前記監視対象が搭載される搭載面が形成された搭載部(樹脂ベース31、遊技盤33)を備えており、
前記特定の向きは、前記搭載部を基準として前記搭載面側とは反対側から前記リーダ装置による識別情報の読み取りを行う向きであり、
前記搭載面側とは反対側の領域から前記電子タグに対して前記リーダ装置を近付けることができる最短距離が前記予め定められた距離以上となるように前記搭載部が形成されていることを特徴とする特徴A1又はA2に記載の遊技機。
特徴A10によれば、搭載面側とは反対側の領域から電子タグに対してリーダ装置を近付けることができる最短距離が予め定められた距離以上となるように搭載部を形成するという比較的簡素な構成により、上記特徴A1又はA2の優れた効果を奏することができる。
特徴A11.前記制限手段は、前記搭載面側において前記電子タグが設置された領域の周囲であって前記電子タグから前記搭載部に向けた側以外の位置に配置され、前記電波を透過不可とする又は透過しづらくする規制壁部(壁部242)を有していることを特徴とする特徴A10に記載の遊技機。
特徴A11によれば、規制壁部が設けられていることにより、リーダ装置による読み取り作業が搭載面側から行われてしまうことが規制される。
特徴A12.支持対象(外枠11)に対して開閉可能に支持されているとともに、前記搭載面側が背面側となるようにして前記搭載部を有する開閉体(内枠13)を備えていることを特徴とする特徴A8乃至A11のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A12の構成を、特徴A8に対して適用した場合、遊技ホールの管理者等にとっては開閉体を開放操作するだけで、制限手段により制限された位置にリーダ装置を簡単に持って行くことができる。
また、特徴A12の構成を、特徴A10に対して適用した場合、遊技ホールの管理者等にとっては開閉体の開放操作を行うことなく、制限手段により制限された位置にリーダ装置を簡単に持って行くことができる。
なお、開閉体を支持対象に対して閉鎖した状態で施錠するとともに解錠キーによる解錠操作に応じて施錠状態を解除し前記開閉体を開放可能とする施錠手段を備えていてもよい。この場合、不正行為者にとって監視対象へのアクセスを行いづらくしながら、上記効果を奏することができる。
特徴A13.前記監視対象は、制御基板(主制御基板101)と、複数の構成体が組み合わされて形成され前記制御基板を収容する基板ボックス(基板ボックス102)と、を有する制御装置(主制御装置92)であり、
前記アンテナ部は、前記複数の構成体のうち、隣接させて設けられ相互に分離させることで前記基板ボックスの内部空間を開放させることが可能となる第1構成体(表側構成体111)及び第2構成体(裏側構成体112)の境界を跨ぐようにして配置されていることを特徴とする特徴A1乃至A12のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A13によれば、基板ボックスが不正開放されたか否かの監視において、上記特徴A1又はA2の優れた効果を奏することができる。
特徴A14.前記アンテナ部又は前記電子タグを支持するベースシートの少なくとも一方に設けられ、前記アンテナ部を前記監視対象から分離させる場合にその応力に伴い自身が破壊されることに伴って前記アンテナ部を切断させることを可能とする易切断部(アンテナ用切り込み176)を備えていることを特徴とする特徴A1乃至A13のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A14によれば、監視対象の一部の分離が行われる場合又は監視対象の設置箇所からの移動が行われる場合に、アンテナ部の切断が発生し易くなる。そして、本構成に対して、上記特徴A1又はA2等の構成を適用することで、監視対象を好適に管理することができる。
特徴A15.前記予め定められた距離は、前記易切断部の破壊を通じた前記アンテナ部の切断が生じていない状況における前記電子タグの通信可能限界距離よりも短く、前記易切断部の破壊を通じて前記アンテナ部が切断された状況における前記電子タグの通信可能限界距離と略同一又はそれよりも長い距離となるように設定されていることを特徴とする特徴A14に記載の遊技機。
特徴A15によれば、監視対象の一部の分離が行われる場合又は監視対象の設置箇所からの移動が行われる場合に、アンテナ部の切断が発生し易くなり、さらにその切断が生じた場合には制限手段により制限された位置にてリーダ装置による読み取り作業を行うことで識別情報を読み取ることができなくなる。よって、上記特徴A1又はA2の効果を生じ易くなる。
特徴B1.固有の識別情報を記憶した記憶部(ICチップ171)と、所定の長さ寸法を有するとともに前記識別情報を含む電波を発信するアンテナ部(アンテナ部材172)と、を備えた電子タグ(ICタグ163)を有し、
一方の面に粘着層(粘着層162)を有し且つ貼付領域から剥がされる際にその応力に伴い自身が破壊されるような脆弱性を有するベースシート(ベースシート161)の粘着層側に前記電子タグが取り付けられていることでシール部材(封印シール160)が構成されているとともに、当該シール部材は監視対象(主制御装置92)の所定の境界(境界136)を跨ぐようにして貼り付けられており、
さらに、前記境界における前記シール部材が貼り付けられた境界特定領域において曲がり部が生じるように前記境界が形成されていることを特徴とする遊技機。
特徴B1によれば、電子タグが設けられていることにより、遊技ホールの管理者等は電子タグから正規の識別情報を受信することができるか否かを確認することで、監視対象を好適に管理することができる。
本構成において、監視対象における所定の境界を跨ぐようにシール部材が貼り付けられているため、監視対象の境界に対して細工を行うことにより不正行為を行う際には境界特定領域を露出させるべく、境界特定領域に沿ってシール部材を切断する又はシール部材を剥がす必要が生じる。これに対して、境界特定領域は曲がり部が生じるように形成されているため、当該境界特定領域に沿ってシール部材を切断すると、境界特定領域が一直線状である構成に比べ切断領域が広範囲になるとともに切断作業も行いづらくなる。その一方、シール部材を剥がそうとすると、剥がしている途中にてシール部材が破れてしまうことが考えられ、シール部材が破れた場合にはそれに伴ってアンテナ部が切断されることが期待される。よって、本構成によれば、電子タグ付きのシール部材を貼り付けることによる不正発見効果が高められる。
なお、長尺状をなすアンテナ部を直線状、略直線状又は弧状に曲げた状態でベースシートに貼り付けることでシール部材を形成してもよい。この場合、ベースシートが破れた場合にそれに追随してアンテナ部が切断され易くなる。
また、「所定の境界」には、複数の遊技機構成部品間の境界が含まれるとともに、監視対象の表面に形成され切断することにより監視対象の内部空間を開放させることを可能とする易切断部も含まれる。
特徴B2.固有の識別情報を記憶した記憶部(ICチップ171)と、所定の長さ寸法を有するとともに前記識別情報を含む電波を発信するアンテナ部(アンテナ部材172)と、を備えた電子タグ(ICタグ163)を有し、
一方の面に粘着層(粘着層162)を有し且つ貼付領域から剥がされる際にその応力に伴い自身が破壊されるような脆弱性を有するベースシート(ベースシート161)の粘着層側に前記電子タグが取り付けられていることでシール部材(封印シール160)が構成されているとともに、当該シール部材は、複数の遊技機構成部品(表側構成体111、裏側構成体112)間の境界(境界136)を跨ぐようにして貼り付けられており、
さらに、前記境界における少なくとも前記シール部材が貼り付けられた境界特定領域において曲がり部が生じるように、前記複数の遊技機構成部品が設けられていることを特徴とする遊技機。
特徴B2によれば、電子タグが設けられていることにより、遊技ホールの管理者等は電子タグから正規の識別情報を受信することができるか否かを確認することで、監視対象を好適に管理することができる。
本構成において、複数の遊技機構成部品間の境界を跨ぐようにシール部材が貼り付けられているため、複数の遊技機構成部品の一部を相対移動させる際には境界特定領域を露出させるべく、境界特定領域に沿ってシール部材を切断する又はシール部材を剥がす必要が生じる。これに対して、境界特定領域は曲がり部が生じるように形成されているため、当該境界特定領域に沿ってシール部材を切断すると、境界特定領域が一直線状である構成に比べ切断領域が広範囲になるとともに切断作業も行いづらくなる。その一方、シール部材を剥がそうとすると、剥がしている途中にてシール部材が破れてしまうことが考えられ、シール部材が破れた場合にはそれに伴ってアンテナ部が切断されることが期待される。よって、本構成によれば、電子タグ付きのシール部材を貼り付けることによる不正発見効果が高められる。
なお、長尺状をなすアンテナ部を直線状、略直線状又は弧状に曲げた状態でベースシートに貼り付けることでシール部材を形成してもよい。この場合、ベースシートが破れた場合にそれに追随してアンテナ部が切断され易くなる。
特徴B3.前記アンテナ部には、破壊された場合に前記識別情報を含む電波の発信を不可とする不可状態発生部(スリット173)が形成されていることを特徴とする特徴B1又はB2に記載の遊技機。
特徴B3によれば、シール部材を貼付領域から剥がしている途中にてシール部材が破れた場合に、それに伴って、アンテナ部における不可状態発生部が形成された領域が破壊されることが期待される。この場合、遊技ホールの管理者等にとっては識別情報の読み取り作業を行えないことを把握することで、監視対象に対して不正行為が行われたことを容易に認識することができる。
特徴B4.前記アンテナ部は、前記不可状態発生部が前記境界特定領域を跨ぐようにして配置されていることを特徴とする特徴B3に記載の遊技機。
特徴B4によれば、シール部材が境界特定領域に沿って切断された場合にはそれに伴って不可状態発生部が破壊されることとなり、遊技ホールの管理者等にとっては識別情報の読み取り作業を行えないことを把握することで容易に不正行為の発生を認識することができる。また、境界特定領域を露出させるためにシール部材が剥がされた場合であっても、境界特定領域の全体を露出させるためにはシール部材において不可状態発生部が配置された領域を剥がす必要が生じる。そうすると、シール部材の破れに伴う不可状態発生部の破壊が期待され、遊技ホールの管理者等にとっては識別情報の読み取り作業を行えないことを把握することで容易に不正行為の発生を認識することができる。
特徴B5.前記ベースシート又は前記アンテナ部の少なくとも一方に設けられ、前記シール部材を貼付領域から剥がす際にその応力により自身が破壊されることに伴って前記アンテナ部において前記不可状態発生部が形成された領域を破壊させる易破壊部(アンテナ用切り込み176)を備えていることを特徴とする特徴B3又はB4に記載の遊技機。
特徴B5によれば、易破壊部が設けられていることにより、シール部材が剥がされた場合に不可状態発生部の破壊が生じる可能性が高められる。
なお、「易破壊部」は、「前記ベースシート又は前記アンテナ部の少なくとも一方に設けられ、前記不可状態発生部に向けて延び、前記シール部材を貼付領域から剥がす際にその応力が前記不可状態発生部側の端部に集中して自身が破壊されることに伴って前記アンテナ部において前記不可状態発生部が形成された領域を破壊させる破壊用切り込み(アンテナ用切り込み176)」であってもよい。
特徴B6.前記シール部材は、前記易破壊部が前記境界特定領域を跨ぐようにして配置されていることを特徴とする特徴B5に記載の遊技機。
特徴B6によれば、シール部材において境界特定領域を挟んで対向する両対向端部のうちいずれからシール部材が剥がされたとしても、易破壊部を通じた不可状態発生部の破壊が生じ得る。これにより、境界特定領域を露出させるべくシール部材が剥がされた場合に不可状態発生部の破壊が生じ易くなる。
特徴B7.前記アンテナ部は長尺状に形成されているとともに、前記不可状態発生部は前記アンテナ部の幅方向の途中位置に形成されており、
前記易破壊部は前記アンテナ部の幅方向の一端側に形成されているとともに他端側にも形成されていることを特徴とする特徴B5又はB6に記載の遊技機。
特徴B7によれば、易破壊部がアンテナ部の幅方向の両端に対して形成されているため、シール部材が剥がされた場合に易破壊部を通じた不可状態発生部の破壊が生じ易くなる。
特徴B8.前記シール部材は、前記一端側の易破壊部と前記他端側の易破壊部とにより前記境界特定領域の少なくとも一部を間に挟むようにして配置されていることを特徴とする特徴B7に記載の遊技機。
特徴B8によれば、シール部材において境界特定領域を挟んで対向する両対向端部のうちいずれからシール部材が剥がされたとしても、易破壊部を通じた不可状態発生部の破壊が生じ得る。これにより、境界特定領域を露出させるべくシール部材が剥がされた場合に不可状態発生部の破壊が生じ易くなる。
特徴B9.前記一端側の易破壊部と前記他端側の易破壊部とが前記幅方向に並ばないように形成されていることを特徴とする特徴B7又はB8に記載の遊技機。
特徴B9によれば、易破壊部を通じて不可状態発生部の破壊が生じ易くなるようにした構成において、シール部材を貼付領域に対して正規に貼り付ける際に誤って不可状態発生部が破壊されてしまう可能性が低減される。
特徴B10.前記易破壊部は前記ベースシートにおける前記アンテナ部が配置された領域において前記アンテナ部の幅方向の途中位置から当該アンテナ部の外方に亘って形成されていることを特徴とする特徴B5乃至B9のいずれか1に記載の遊技機。
特徴B10によれば、易破壊部を通じてシール部材が破れた場合には、その破れ領域はシール部材において不可状態発生部が設けられた領域に容易に達するため、易破壊部を通じた不可状態発生部の破壊が生じ易くなる。
特徴B11.前記易破壊部は前記ベースシートに形成されており前記アンテナ部には形成されていないことを特徴とする特徴B5乃至B10のいずれか1に記載の遊技機。
特徴B11によれば、易破壊部を通じて不可状態発生部の破壊が生じ易くなるようにした構成において、シール部材を貼付領域に対して正規に貼り付ける際に誤って不可状態発生部が破壊されてしまう可能性が低減される。
特徴B12.前記易破壊部は、前記アンテナ部において前記不可状態発生部が形成された領域とは異なる領域に対しても形成されていることを特徴とする特徴B5乃至B11のいずれか1に記載の遊技機。
特徴B12によれば、シール部材が貼付領域から剥がされた場合には、易破壊部を通じてアンテナ部において不可状態発生部が形成された領域の破壊が期待されるだけでなく、易破壊部を通じてアンテナ部において不可状態発生部が形成された領域以外の切断も期待される。
特徴B13.前記境界特定領域は一連のライン状に形成されているとともに、相互に対向する一対のライン部(第2ライン146、第4ライン148)を備えており、
前記不可状態発生部の少なくとも一部は、前記一対のライン部間の領域に配置されていることを特徴とする特徴B3乃至B12のいずれか1に記載の遊技機。
特徴B13によれば、不可状態発生部の少なくとも一部が相互に対向する一対のライン部間の領域に配置されているため、シール部材が同一方向に剥がされる場合にはその剥がされる方向がいずれの方向であったとしても、境界特定領域の全体を露出させるためには、シール部材において不可状態発生部が配置された領域が剥がされることとなる。これにより、シール部材が剥がされる際に不可状態発生部において破壊が生じる可能性が高められる。その一方、剥がす方向を境界特定領域の形状に合わせて変更しながらシール部材が剥がされる場合、その剥がし行為は煩雑なものとなる。また、この場合、剥がす際にシール部材に生じる折れ目が複雑なものとなることでシール部材に大きな負荷がかかり易くなり、それに伴ってシール部材に破れが生じ易くなる。
特徴B14.前記境界特定領域は、第1ライン部(第1ライン145)と、当該第1ライン部とは異なる方向に延びる中間ライン部(第2ライン146)を介して前記第1ライン部に連続し、前記中間ライン部を基準として前記第1ライン部側とは反対側に向けて延びる第2ライン部(第3ライン147)と、を備えており、
前記シール部材の周縁部には、前記第1ライン部及び前記第2ライン部のうち前記第1ライン部に近い位置に配置された第1周縁部と、前記第1ライン部及び前記第2ライン部のうち前記第2ライン部に近い位置に配置された第2周縁部と、を備え、前記シール部材は前記第1周縁部と前記第2周縁部とにより前記境界特定領域を間に挟むようにして配置されており、
前記不可状態発生部の少なくとも一部は、前記第1ライン部よりも前記第2周縁部側であって前記第2ライン部よりも前記第1周縁部側に配置されていることを特徴とする特徴B3乃至B13のいずれか1に記載の遊技機。
特徴B14によれば、不可状態発生部の少なくとも一部が、第1ライン部よりも第2周縁部側であって第2ライン部よりも第1周縁部側に配置されているため、シール部材が同一方向に剥がされる場合にはその剥がされる方向がいずれの方向であったとしても、境界特定領域の全体を露出させるためには、シール部材において不可状態発生部が配置された領域が剥がされることとなる。これにより、シール部材が剥がされる際に不可状態発生部において破壊が生じる可能性が高められる。その一方、剥がす方向を境界特定領域の形状に合わせて変更しながらシール部材が剥がされる場合、その剥がし行為は煩雑なものとなる。また、この場合、剥がす際にシール部材に生じる折れ目が複雑なものとなることでシール部材に大きな負荷がかかる易くなり、それに伴ってシール部材に破れが生じ易くなる。
特徴B15.前記電子タグは、前記記憶部から読み取った識別情報を含む電波を前記アンテナ部から発信させる制御部を備えており、
前記不可状態発生部は、前記アンテナ部と前記制御部との間でインピーダンス整合を行う回路を構成していることを特徴とする特徴B3乃至B14のいずれか1に記載の遊技機。
特徴B15によれば、アンテナ部と制御部との間で不可状態発生部を通じてインピーダンス整合が行われることにより識別情報を含む電波の発信が良好に行われるとともに、当該不可状態発生部が破壊された場合にはインピーダンス整合が行われなくなることで識別情報を含む電波の発信が不可となる。
特徴B16.前記境界特定領域は、前記ベースシートにおいて相互に対向する第1周縁部と第2周縁部との間に亘って配置されているとともに、前記ベースシートにおいて前記第1周縁部及び前記第2周縁部とは異なる周縁部であって相互に対向する一対の第3周縁部及び第4周縁部のうち少なくとも一方に向けて延びるラインが生じるように曲がり部が形成されていることを特徴とする特徴B1乃至B15のいずれか1に記載の遊技機。
特徴B16によれば、境界特定領域が形成される範囲を好適に広くすることが可能となる。
特徴B17.前記境界特定領域は、それぞれ異なる方向に延びる複数のライン部を備えており、
前記シール部材は、前記アンテナ部が前記複数のライン部の少なくとも一部であって複数のライン部を跨ぐように貼り付けられていることを特徴とする特徴B1乃至B16のいずれか1に記載の遊技機。
特徴B17によれば、境界特定領域に沿ってシール部材が切断された場合には、アンテナ部が複数箇所にて切断されることとなる。そして、アンテナ部の長さ寸法がある程度短くなると、電子タグは通信不可となる。これにより、境界特定領域に沿ってシール部材が切断された場合には、遊技ホールの管理者等にとっては識別情報の読み取りを行えないことを把握することで不正行為を容易に発見することができる。
特徴B18.前記監視対象は、複数の遊技機構成部品として第1遊技機構成部品(表側構成体111)と第2遊技機構成部品(裏側構成体112)とを備えており、
前記第1遊技機構成部品の周縁部に設けられた第1貼付部(表側固定ベース部131)と、前記第2遊技機構成部品の周縁部に設けられた第2貼付部(裏側固定ベース部132)とが重ね合わせられることにより形成された境界を跨ぐようにして前記シール部材が貼り付けられており、
さらに、前記第1貼付部及び前記第2貼付部の両者に挿通され境界を跨ぐようにして配置されていることにより、前記第1貼付部と前記第2貼付部とを結合する結合具(破断ネジ153)を備えていることを特徴とする特徴B1乃至B17のいずれか1に記載の遊技機。
特徴B18によれば、第1貼付部と第2貼付部との境界を通じて切断用工具を挿入し、結合具を切断しようとする行為が想定されるが、境界特定領域に曲がり部が形成されていることにより切断用工具を挿入しづらくなっている。
特徴B19.前記監視対象は、複数の遊技機構成部品として第1遊技機構成部品(表側構成体111)と第2遊技機構成部品(裏側構成体112)とを備えており、
前記第1遊技機構成部品の周縁部に設けられた第1貼付部(表側固定ベース部131)と、前記第2遊技機構成部品の周縁部に設けられた第2貼付部(裏側固定ベース部132)とが重ね合わせられることにより形成された境界を跨ぐようにして前記シール部材が貼り付けられており、
前記第1遊技機構成部品と前記第2遊技機構成部品とを分離させる場合に前記第1貼付部と前記第2貼付部との重ね合わせ方向に対して交差する方向に前記両遊技機構成部品を相対移動させる必要があるように分離方向を規制する規制手段(フック部118、スリット119)を備えていることを特徴とする特徴B1乃至B18のいずれか1に記載の遊技機。
特徴B19によれば、第1遊技機構成部品と第2遊技機構成部品とを分離させるために第1貼付部と第2貼付部との重ね合わせ方向に対して交差する方向に両遊技機構成部品を相対移動させる上では、境界特定領域を跨ぐようにして貼り付けられているシール部材が邪魔となる。この場合に、上記特徴B1等の構成を備えていることにより、シール部材の切断行為が行いづらくなるとともに、シール部材を剥がした場合には識別情報の読み取りが不可となることが期待される。
特徴B20.前記監視対象は、複数の遊技機構成部品として第1遊技機構成部品(表側構成体111)と第2遊技機構成部品(裏側構成体112)とを備えており、
前記第1遊技機構成部品の周縁部に設けられた第1貼付部(表側固定ベース部131)と、前記第2遊技機構成部品の周縁部に設けられた第2貼付部(裏側固定ベース部132)とが重ね合わせられて形成された領域により前記シール部材の貼付領域が形成されており、
前記第1貼付部は前記第2貼付部との重なり側から凹む凹み領域(凹み領域142)を備えているとともに、前記第2貼付部は前記凹み領域に入り込み前記凹み領域が両貼付部の周面において開放されないように覆う凸壁部(突出壁部144)を備えており、
前記凹み領域に前記凸壁部が入り込むことで前記境界に曲がり部が生じているとともに、当該境界を跨ぐようにして前記シール部材が貼り付けられており、
さらに、前記第1遊技機構成部品と前記第2遊技機構成部品とを分離させる場合に前記第1貼付部と前記第2貼付部との重ね合わせ方向に対して交差する方向に前記両遊技機構成部品を相対移動させる必要があるように分離方向を規制する規制手段(フック部118、スリット119)と、
当該規制手段により規制されて両遊技機構成部品が相対移動する場合の前記凸壁部の移動経路上に突出するように前記凹み領域に設けられた係止部(引っ掛け部155)と、
を備えていることを特徴とする特徴B1乃至B19のいずれか1に記載の遊技機。
特徴B20によれば、第1貼付部の凹み領域に係止部が設けられていることにより、両遊技機構成部品を規制手段により規制された方向に相対移動させようとしても係止部が凸壁部と当たり当該相対移動が阻止される。これにより、第1遊技機構成部品と第2遊技機構成部品とを分離して所定の不正を行おうとしてもそれが難しくなる。そして、凹み領域に凸壁部が入り込むことで境界に曲がり部が生じている。つまり、本構成によれば第1遊技機構成部品と第2遊技機構成部品との分離を阻止する構成を利用して、境界に曲がり部を生じさせることができる。
特徴B21.前記シール部材が貼り付けられる貼付領域を囲むようにして形成され、前記シール部材の貼付位置をガイドする囲み部(囲み部180)を備えていることを特徴とする特徴B1乃至B20のいずれか1に記載の遊技機。
特徴B21によれば、囲み部に囲まれた領域にシール部材を貼り付けることで、境界とシール部材との位置関係や境界とアンテナ部との位置関係が自ずと所定の位置関係となる。これにより、シール部材を貼り付ける場合の作業性を向上させることができる。
なお、「囲み部」を貼付領域から突出した囲み枠として形成してもよい。この場合、不正を行うべくシール部材を剥がそうとしても、囲み枠によってその剥がし行為が行いづらくなる。そうすると、シール部材に複雑な応力がかかり易くなり、シール部材に破れが生じ易くなるとともに、それに伴ってアンテナ部が切断され易くなる。
ちなみに、上記特徴B1乃至B21のいずれか1にて限定した構成を、上記特徴A1乃至A15のいずれか1に対して適用してもよい。この場合、各構成に起因する相乗的な効果を奏し得る。
特徴C1.固有の識別情報を記憶した記憶部(ICチップ171)と、前記識別情報を含む電波を発信するアンテナ部(アンテナ部材172)と、を備えた電子タグ(ICタグ163)を有し、
一方の面に粘着層(粘着層162)を有するベースシート(ベースシート161)の粘着層側に前記電子タグが取り付けられていることでシール部材(封印シール160)が構成されているとともに、当該シール部材は監視対象(主制御装置92)に対して貼り付けられており、
さらに、前記アンテナ部に設けられ、破壊された場合に前記識別情報を含む電波の発信を不可とする不可状態発生部(スリット173)と、
前記ベースシート又は前記アンテナ部の少なくとも一方に設けられ、前記シール部材を貼付領域から剥がす際にその応力により自身が破壊されることに伴って前記アンテナ部において前記不可状態発生部が形成された領域を破壊させる易破壊部(アンテナ用切り込み176)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴C1によれば、電子タグが設けられていることにより、遊技ホールの管理者等は電子タグから正規の識別情報を受信することができるか否かを確認することで、監視対象を好適に管理することができる。
本構成において、監視対象に対して不正を行うべくシール部材が剥がされた場合には易破壊部を通じて不可状態発生部が破壊されることが期待される。そして、不可状態発生部が破壊された場合には、遊技ホールの管理者等にとっては識別情報の読み取り作業を行えないことを把握することで容易に不正行為の発生を認識することができる。
なお、「易破壊部」は、「前記ベースシート又は前記アンテナ部の少なくとも一方に設けられ、前記不可状態発生部に向けて延び、前記シール部材を貼付領域から剥がす際にその応力が前記不可状態発生部側の端部に集中して自身が破壊されることに伴って前記アンテナ部において前記不可状態発生部が形成された領域を破壊させる破壊用切り込み(アンテナ用切り込み176)」であってもよい。
特徴C2.前記シール部材は前記アンテナ部において前記不可状態発生部が設けられた領域が前記監視対象における所定の境界(境界136)を跨ぐようにして貼り付けられていることを特徴とする特徴C1に記載の遊技機。
特徴C2によれば、監視対象における所定の境界を跨ぐようにシール部材が貼り付けられているため、監視対象の境界に対して細工を行うことにより不正行為を行う際には境界を露出させるべく、境界に沿ってシール部材を切断する又はシール部材を剥がす必要が生じる。この場合に、シール部材が境界に沿って切断された場合にはそれに伴って不可状態発生部が破壊されることとなり、遊技ホールの管理者等にとっては識別情報の読み取り作業を行えないことを把握することで容易に不正行為の発生を認識することができる。また、境界を露出させるためにシール部材が剥がされた場合であっても、境界の全体を露出させるためにはシール部材において不可状態発生部が配置された領域を剥がす必要が生じる。そうすると、破壊用切り込みを通じた不可状態発生部の破壊が期待され、遊技ホールの管理者等にとっては識別情報の読み取り作業を行えないことを把握することで容易に不正行為の発生を認識することができる。
なお、「所定の境界」には、複数の構成部品間の境界が含まれるとともに、監視対象の表面に形成され切断することにより監視対象の内部空間を開放させることを可能とする易切断部も含まれる。これは以下も同様である。
特徴C3.前記シール部材は前記易破壊部が前記監視対象における所定の境界(境界136)を跨ぐようにして貼り付けられていることを特徴とする特徴C1又はC2に記載の遊技機。
特徴C3によれば、シール部材において境界を挟んで対向する両対向端部のうちいずれからシール部材が剥がされたとしても、易破壊部を通じた不可状態発生部の破壊が生じ得る。これにより、境界を露出させるべくシール部材が剥がされた場合に不可状態発生部の破壊が生じ易くなる。
特徴C4.前記アンテナ部は長尺状に形成されているとともに、前記不可状態発生部は前記アンテナ部の幅方向の途中位置に形成されており、
前記易破壊部は前記アンテナ部の幅方向の一端側に形成されているとともに他端側にも形成されていることを特徴とする特徴C1乃至C3のいずれか1に記載の遊技機。
特徴C4によれば、易破壊部がアンテナ部の幅方向の両端に対して形成されているため、シール部材が剥がされた場合に易破壊部を通じた不可状態発生部の破壊が生じ易くなる。
特徴C5.前記シール部材は前記一端側の易破壊部と前記他端側の易破壊部とにより前記監視対象における所定の境界(境界136)の少なくとも一部を間に挟むようにして貼り付けられていることを特徴とする特徴C4に記載の遊技機。
特徴C5によれば、シール部材において境界を挟んで対向する両対向端部のうちいずれからシール部材が剥がされたとしても、易破壊部を通じた不可状態発生部の破壊が生じ得る。これにより、境界を露出させるべくシール部材が剥がされた場合に不可状態発生部の破壊が生じ易くなる。
特徴C6.前記一端側の易破壊部と前記他端側の易破壊部とが前記幅方向に並ばないようにそれら易破壊部が形成されていることを特徴とする特徴C4又はC5に記載の遊技機。
特徴C6によれば、易破壊部を通じて不可状態発生部の破壊が生じ易くなるようにした構成において、シール部材を貼付領域に対して正規に貼り付ける際に誤って不可状態発生部が破壊されてしまう可能性が低減される。
特徴C7.前記易破壊部は前記ベースシートにおける前記アンテナ部が配置された領域において前記アンテナ部の幅方向の途中位置から当該アンテナ部の外方に亘って形成されていることを特徴とする特徴C1乃至C6のいずれか1に記載の遊技機。
特徴C7によれば、易破壊部を通じてシール部材が破れた場合には、その破れ領域はシール部材において不可状態発生部が設けられた領域に容易に達するため、易破壊部を通じた不可状態発生部の破壊が生じ易くなる。
特徴C8.前記易破壊部は前記ベースシートに形成されており前記アンテナ部には形成されていないことを特徴とする特徴C1乃至C7のいずれか1に記載の遊技機。
特徴C8によれば、易破壊部を通じて不可状態発生部の破壊が生じ易くなるようにした構成において、シール部材を貼付領域に対して正規に貼り付ける際に誤って不可状態発生部が破壊されてしまう可能性が低減される。
特徴C9.前記易破壊部は、前記アンテナ部において前記不可状態発生部が形成された領域とは異なる領域に対しても形成されていることを特徴とする特徴C1乃至C8のいずれか1に記載の遊技機。
特徴C9によれば、シール部材が貼付領域から剥がされた場合には、易破壊部を通じてアンテナ部において不可状態発生部が形成された領域の破壊が期待されるだけでなく、易破壊部を通じてアンテナ部において不可状態発生部が形成された領域以外の切断も期待される。
特徴C10.前記電子タグは、前記記憶部から読み取った識別情報を含む電波を前記アンテナ部から発信させる制御部を備えており、
前記不可状態発生部は、前記アンテナ部と前記制御部との間でインピーダンス整合を行う回路を構成していることを特徴とする特徴C1乃至C9のいずれか1に記載の遊技機。
特徴C10によれば、アンテナ部と制御部との間で不可状態発生部を通じてインピーダンス整合が行われることにより識別情報を含む電波の発信が良好に行われるとともに、当該不可状態発生部が破壊された場合にはインピーダンス整合が行われなくなることで識別情報を含む電波の発信が不可となる。
特徴C11.前記シール部材は前記監視対象の所定の境界(境界136)を跨ぐようにして貼り付けられており、
さらに、前記所定の境界における前記シール部材が貼り付けられた境界特定領域において曲がり部が生じるように前記境界が形成されていることを特徴とする特徴C1乃至C10のいずれか1に記載の遊技機。
特徴C11によれば、監視対象における所定の境界を跨ぐようにシール部材が貼り付けられているため、監視対象の境界に対して細工を行うことにより不正行為を行う際には境界特定領域を露出させるべく、境界特定領域に沿ってシール部材を切断する又はシール部材を剥がす必要が生じる。これに対して、境界特定領域は曲がり部が生じるように形成されているため、当該境界特定領域に沿ってシール部材を切断すると、境界特定領域が一直線状である構成に比べ切断領域が広範囲になるとともに切断作業も行いづらくなる。その一方、シール部材が剥がされた場合には易破壊部を通じて不可状態発生部が破壊されることが期待される。そして、不可状態発生部が破壊された場合には、遊技ホールの管理者等にとっては識別情報の読み取り作業を行えないことを把握することで容易に不正行為の発生を認識することができる。よって、本構成によれば、電子タグ付きのシール部材を貼り付けることによる不正発見効果が高められる。
特徴C12.前記境界特定領域は一連のライン状に形成されているとともに、相互に対向する一対のライン部(第2ライン146、第4ライン148)を備えており、
前記不可状態発生部の少なくとも一部は、前記一対のライン部間の領域に配置されていることを特徴とする特徴C11に記載の遊技機。
特徴C12によれば、不可状態発生部の少なくとも一部が相互に対向する一対のライン部間の領域に配置されているため、シール部材が同一方向に剥がされる場合にはその剥がされる方向がいずれの方向であったとしても、境界特定領域の全体を露出させるためには、シール部材において不可状態発生部が配置された領域が剥がされることとなる。これにより、シール部材が剥がされる際に不可状態発生部において破壊が生じる可能性が高められる。その一方、剥がす方向を境界特定領域の形状に合わせて変更しながらシール部材が剥がされる場合、その剥がし行為は煩雑なものとなる。また、この場合、剥がす際にシール部材に生じる折れ目が複雑なものとなることでシール部材に大きな負荷がかかり易くなり、それに伴ってシール部材に破れが生じ易くなる。
特徴C13.前記境界特定領域は、第1ライン部(第1ライン145)と、当該第1ライン部とは異なる方向に延びる中間ライン部(第2ライン146)を介して前記第1ライン部に連続し、前記中間ライン部を基準として前記第1ライン部側とは反対側に向けて延びる第2ライン部(第3ライン147)と、を備えており、
前記シール部材の周縁部には、前記第1ライン部及び前記第2ライン部のうち前記第1ライン部に近い位置に配置された第1周縁部と、前記第1ライン部及び前記第2ライン部のうち前記第2ライン部に近い位置に配置された第2周縁部と、を備え、前記シール部材は前記第1周縁部と前記第2周縁部とにより前記境界特定領域を間に挟むようにして配置されており、
前記不可状態発生部の少なくとも一部は、前記第1ライン部よりも前記第2周縁部側であって前記第2ライン部よりも前記第1周縁部側に配置されていることを特徴とする特徴C11又はC12に記載の遊技機。
特徴C13によれば、不可状態発生部の少なくとも一部が、第1ライン部よりも第2周縁部側であって第2ライン部よりも第1周縁部側に配置されているため、シール部材が同一方向に剥がされる場合にはその剥がされる方向がいずれの方向であったとしても、境界特定領域の全体を露出させるためには、シール部材において不可状態発生部が配置された領域が剥がされることとなる。これにより、シール部材が剥がされる際に不可状態発生部において破壊が生じる可能性が高められる。その一方、剥がす方向を境界特定領域の形状に合わせて変更しながらシール部材が剥がされる場合、その剥がし行為は煩雑なものとなる。また、この場合、剥がす際にシール部材に生じる折れ目が複雑なものとなることでシール部材に大きな負荷がかかる易くなり、それに伴ってシール部材に破れが生じ易くなる。
特徴C14.前記境界特定領域は、それぞれ異なる方向に延びる複数のライン部を備えており、
前記シール部材は、前記アンテナ部が前記複数のライン部の少なくとも一部であって複数のライン部を跨ぐように貼り付けられていることを特徴とする特徴C11乃至C13のいずれか1に記載の遊技機。
特徴C14によれば、境界特定領域に沿ってシール部材が切断された場合には、アンテナ部が複数箇所にて切断されることとなる。そして、アンテナ部の長さ寸法がある程度短くなると、電子タグは通信不可となる。これにより、境界特定領域に沿ってシール部材が切断された場合には、遊技ホールの管理者等にとっては識別情報の読み取りを行えないことを把握することで不正行為を容易に発見することができる。
特徴C15.前記監視対象は、複数の遊技機構成部品として第1遊技機構成部品(表側構成体111)と第2遊技機構成部品(裏側構成体112)とを備えており、
前記第1遊技機構成部品の周縁部に設けられた第1貼付部(表側固定ベース部131)と、前記第2遊技機構成部品の周縁部に設けられた第2貼付部(裏側固定ベース部132)とが重ね合わせられることにより形成された境界を跨ぐようにして前記シール部材が貼り付けられており、
さらに、前記第1貼付部及び前記第2貼付部の両者に挿通され境界を跨ぐようにして配置されていることにより、前記第1貼付部と前記第2貼付部とを結合する結合具(破断ネジ153)を備えていることを特徴とする特徴C11乃至C14のいずれか1に記載の遊技機。
特徴C15によれば、第1貼付部と第2貼付部との境界を通じて切断用工具を挿入し、結合具を切断しようとする行為が想定されるが、境界特定領域に曲がり部が形成されていることにより切断用工具を挿入しづらくなっている。
特徴C16.前記監視対象は、複数の遊技機構成部品として第1遊技機構成部品(表側構成体111)と第2遊技機構成部品(裏側構成体112)とを備えており、
前記第1遊技機構成部品の周縁部に設けられた第1貼付部(表側固定ベース部131)と、前記第2遊技機構成部品の周縁部に設けられた第2貼付部(裏側固定ベース部132)とが重ね合わせられることにより形成された境界を跨ぐようにして前記シール部材が貼り付けられており、
前記第1遊技機構成部品と前記第2遊技機構成部品とを分離させる場合に前記第1貼付部と前記第2貼付部との重ね合わせ方向に対して交差する方向に前記両遊技機構成部品を相対移動させる必要があるように分離方向を規制する規制手段(フック部118、スリット119)を備えていることを特徴とする特徴C11乃至C15のいずれか1に記載の遊技機。
特徴C16によれば、第1遊技機構成部品と第2遊技機構成部品とを分離させるために第1貼付部と第2貼付部との重ね合わせ方向に対して交差する方向に両遊技機構成部品を相対移動させる上では、境界特定領域を跨ぐようにして貼り付けられているシール部材が邪魔となる。この場合に、上記特徴B1等の構成を備えていることにより、シール部材の切断行為が行いづらくなるとともに、シール部材を剥がした場合には識別情報の読み取りが不可となることが期待される。
特徴C17.前記監視対象は、複数の遊技機構成部品として第1遊技機構成部品(表側構成体111)と第2遊技機構成部品(裏側構成体112)とを備えており、
前記第1遊技機構成部品の周縁部に設けられた第1貼付部(表側固定ベース部131)と、前記第2遊技機構成部品の周縁部に設けられた第2貼付部(裏側固定ベース部132)とが重ね合わせられて形成された領域により前記シール部材の貼付領域が形成されており、
前記第1貼付部は前記第2貼付部との重なり側から凹む凹み領域(凹み領域142)を備えているとともに、前記第2貼付部は前記凹み領域に入り込み前記凹み領域が両貼付部の周面において開放されないように覆う凸壁部(突出壁部144)を備えており、
前記凹み領域に前記凸壁部が入り込むことで前記境界に曲がり部が生じているとともに、当該境界を跨ぐようにして前記シール部材が貼り付けられており、
さらに、前記第1遊技機構成部品と前記第2遊技機構成部品とを分離させる場合に前記第1貼付部と前記第2貼付部との重ね合わせ方向に対して交差する方向に前記両遊技機構成部品を相対移動させる必要があるように分離方向を規制する規制手段(フック部118、スリット119)と、
当該規制手段により規制されて両遊技機構成部品が相対移動する場合の前記凸壁部の移動経路上に突出するように前記凹み領域に設けられた係止部(引っ掛け部155)と、
を備えていることを特徴とする特徴C11乃至C16のいずれか1に記載の遊技機。
特徴C17によれば、第1貼付部の凹み領域に係止部が設けられていることにより、両遊技機構成部品を規制手段により規制された方向に相対移動させようとしても係止部が凸壁部と当たり当該相対移動が阻止される。これにより、第1遊技機構成部品と第2遊技機構成部品とを分離して所定の不正を行おうとしてもそれが難しくなる。そして、凹み領域に凸壁部が入り込むことで境界に曲がり部が生じている。つまり、本構成によれば第1遊技機構成部品と第2遊技機構成部品との分離を阻止する構成を利用して、境界に曲がり部を生じさせることができる。
特徴C18.前記シール部材が貼り付けられる貼付領域を囲むようにして形成され、前記シール部材の貼付位置をガイドする囲み部(囲み部180)を備えていることを特徴とする特徴C1乃至C17のいずれか1に記載の遊技機。
特徴C18によれば、囲み部に囲まれた領域にシール部材を貼り付けることで、境界とシール部材との位置関係や境界とアンテナ部との位置関係が自ずと所定の位置関係となる。これにより、シール部材を貼り付ける場合の作業性を向上させることができる。
なお、「囲み部」を貼付領域から突出した囲み枠として形成してもよい。この場合、不正を行うべくシール部材を剥がそうとしても、囲み枠によってその剥がし行為が行いづらくなる。そうすると、シール部材に複雑な応力がかかり易くなり、シール部材に破れが生じ易くなるとともに、それに伴ってアンテナ部が切断され易くなる。
ちなみに、上記特徴C1乃至C18のいずれか1にて限定した構成を、上記特徴A1乃至A15、下記特徴L1乃至L33、下記特徴M1乃至M9、下記特徴N1乃至N8のいずれか1に対して適用してもよい。この場合、各構成に起因する相乗的な効果を奏し得る。
特徴D1.予め定められた監視対象(第1の実施の形態については主制御装置92、第6の実施の形態については主制御装置281)に対して設けられ、痕跡状態となることで、当該監視対象の一部の分離操作又は当該監視対象の設置箇所からの移動操作のいずれかである特定操作が行われたことの痕跡を残す痕跡手段(封印シール160)を備えた遊技機において、
前記特定操作が行われる場合にそれに先立って予め定められた事前操作を要するように前記監視対象に対して設けられているとともに、当該事前操作が行われる場合に前記痕跡手段を前記痕跡状態とするように設けられた事前操作用手段(第1の実施の形態についてはカバー部材93又は引っ掛け部155、第6の実施の形態については破壊用部材311とカバー部材331との組み合わせ、第8の実施の形態についてはカバー部材371)を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴D1によれば、事前操作用手段が設けられていることにより、監視対象に対する特定操作に先立って事前操作を行う必要が生じるため、特定操作を行うための作業が煩雑なものとなり、不正に特定操作を行う行為を阻止する又は躊躇させることが可能となる。
また、事前操作用手段は、事前操作が行われる場合に痕跡手段が痕跡状態となるように設けられているため、特定操作が行われた場合には痕跡手段が痕跡状態となり易くなる。よって、痕跡手段の機能を好適に発揮させることが可能となる。
特徴D2.複数の構成体(第1の実施の形態については表側構成体111及び裏側構成体112、第6の実施の形態については表側構成体283及び裏側構成体284、第8の実施の形態については表側構成体363及び裏側構成体365)が組み合わされて形成され、制御基板(主制御基板101)を収容する基板ボックス(第1の実施の形態については基板ボックス102、第6の実施の形態については基板ボックス282、第8の実施の形態については基板ボックス361)と、
前記基板ボックスに設けられ、痕跡状態となることで、前記基板ボックスの内部空間を開放させる特定操作が行われたことの痕跡を残す痕跡手段(封印シール160)を備えた遊技機において、
前記特定操作が行われる場合にそれに先立って予め定められた事前操作を要するように前記基板ボックスに設けられているとともに、当該事前操作が行われる場合に前記痕跡手段を前記痕跡状態とするように設けられた事前操作用手段(第1の実施の形態についてはカバー部材93又は引っ掛け部155、第6の実施の形態については破壊用部材311とカバー部材331との組み合わせ、第8の実施の形態についてはカバー部材371)を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴D2によれば、事前操作用手段が設けられていることにより、基板ボックスの内部空間を開放させるにはそれに先立って事前操作を行う必要が生じるため、基板ボックスの内部空間を開放させるための作業が煩雑なものとなり、基板ボックスの不正開放を阻止する又は躊躇させることが可能となる。
また、事前操作用手段は、事前操作が行われる場合に痕跡手段が痕跡状態となるように設けられているため、基板ボックスの不正開放が行われた場合には痕跡手段が痕跡状態となり易くなる。よって、痕跡手段の機能を好適に発揮させることが可能となる。
特徴D3.前記痕跡手段は、固有の識別情報を記憶した記憶部(ICチップ171)と、前記識別情報を含む電波を発信するアンテナ部(アンテナ部材172)と、を有する電子タグ(ICタグ163)を備えており、
前記事前操作用手段は、前記事前操作が行われる場合に、前記電子タグからの識別情報の読み取りが行いづらくなるように又は識別情報の読み取りが不可となるように、前記電子タグに破壊を生じさせ易くするものであることを特徴とする特徴D1又はD2に記載の遊技機。
特徴D3によれば、痕跡手段として電子タグが設けられていることにより、遊技ホールの管理者等は電子タグから正規の識別情報を受信することができるか否かを確認することで、監視対象を好適に管理することができる。そして、当該構成に対して事前操作用手段の構成が適用されていることにより、電子タグの機能を好適に発揮させることが可能となる。
特徴D4.前記アンテナ部は、破壊された場合に前記識別情報を含む電波の発信を不可とする不可状態発生部(スリット173)を備えており、
前記事前操作用手段は、前記事前操作が行われる場合に、前記不可状態発生部に破壊を生じさせ易くするものであることを特徴とする特徴D3に記載の遊技機。
特徴D4によれば、監視対象に対して特定操作が行われた場合にはアンテナ部における不可状態発生部が破壊され易くなる。この場合、遊技ホールの管理者等にとっては識別情報の読み取り作業を行えないことを把握することで、監視対象に対して不正行為が行われたことを容易に認識することができる。
特徴D5.前記事前操作用手段は、
前記特定操作を制限するように設けられているとともに、前記事前操作としてその制限状態を解除させる解除操作を要するように設けられた特定制限手段(第6の実施の形態についてはカバー部材331、第8の実施の形態についてはカバー部材371)と、
当該特定制限手段に対して前記解除操作が行われた場合に、その解除操作に伴って変位し、前記痕跡手段に外力を付与することで当該痕跡手段を前記痕跡状態とする痕跡状態発生手段(第6の実施の形態については破壊用部材311、第8の実施の形態については破壊用凸部385)と、
を備えていることを特徴とする特徴D1乃至D4のいずれか1に記載の遊技機。
特徴D5によれば、事前操作用手段により特定操作を制限する機能と、痕跡手段を痕跡状態とする機能が果たされる。
特徴D6.前記監視対象は、複数の構成体(第6の実施の形態については表側構成体283及び裏側構成体284、第8の実施の形態については表側構成体363及び裏側構成体365)が組み合わされて形成され、制御基板(主制御基板101)を収容する基板ボックス(第6の実施の形態については基板ボックス282、第8の実施の形態については基板ボックス361)であり、
前記痕跡手段は、前記痕跡状態となることで、前記基板ボックスの内部空間を開放させる特定操作が行われたことの痕跡を残すものであり、
さらに、前記事前操作用手段は、
前記複数の構成体のうち少なくとも第1構成体と第2構成体とを相互に分離させて前記内部空間を開放させようとしても、これら第1構成体及び第2構成体の分離を制限するように設けられているとともに、前記事前操作としてその制限状態を解除させる解除操作を要するように設けられた特定制限手段(第6の実施の形態についてはカバー部材331、第8の実施の形態についてはカバー部材371)と、
当該特定制限手段に対して前記解除操作が行われた場合に、その解除操作に伴って変位し、前記痕跡手段に外力を付与することで当該痕跡手段を前記痕跡状態とする痕跡状態発生手段(第6の実施の形態については破壊用部材311、第8の実施の形態については破壊用凸部385)と、
を備えていることを特徴とする特徴D1乃至D4のいずれか1に記載の遊技機。
特徴D6によれば、事前操作用手段により基板ボックスの内部空間が開放されることを制限する機能と、痕跡手段を痕跡状態とする機能が果たされる。
特徴D7.前記特定制限手段は前記解除操作が行われた場合に前記制限状態を解除する位置に変位されるものであるとともに、前記痕跡状態発生手段は前記特定制限手段に連結されていることにより前記解除操作に伴って変位して前記痕跡手段に当接するものであり、
さらに、前記特定制限手段と前記痕跡状態発生手段との連結箇所の周囲において当該連結箇所を保護するようにして設けられ、当該連結箇所に外力を与えて連結されている状態を解除しようとする行為を不可とする又は行いづらくする保護手段(保護壁部351,352)を備えていることを特徴とする特徴D5又はD6に記載の遊技機。
特徴D7によれば、特定制限手段による制限状態を解除させる場合には当該特定制限手段をその制限状態を解除する位置に変位させればよいため、例えばメンテナンス時などにおける正規の特定操作を行う場合における作業性が極端に低下してしまうことが抑えられる。また、痕跡状態発生部は特定制限手段の変位に伴って変位して、痕跡手段に当接することで当該痕跡手段を痕跡状態とするものであるため、痕跡状態発生手段の構成の複雑化が抑えられる。
但し、上記のように特定制限手段と痕跡状態発生手段とが設けられた構成においては、両者の連結が解除されてしまうと、特定制限手段による制限状態の解除操作に伴って痕跡手段を痕跡状態とすることができなくなってしまう。これに対して、保護手段が設けられていることにより、特定制限手段と痕跡状態発生手段との連結を解除しようとする行為を阻止することが可能となる。
特徴D8.前記痕跡手段は、前記特定操作を制限するように設けられているとともに、その特定操作の制限状態を解除する場合に前記痕跡状態となり得るように設けられており、
前記事前操作用手段は、前記痕跡手段による制限状態の解除を阻止するように設けられているとともに、前記事前操作としてその阻止状態を解除させる解除操作を要するように設けられた阻止手段(第6の実施の形態についてはカバー部材331、第8の実施の形態についてはカバー部材371)を備えており、さらに当該阻止手段に対して前記解除操作が行われた場合に、その解除操作に伴って変位し、前記痕跡手段に当接することで当該痕跡手段を前記痕跡状態とするものであることを特徴とする特徴D1乃至D4のいずれか1に記載の遊技機。
特徴D8によれば、特定操作を行うためには、事前操作用手段による阻止状態を解除させる必要があるとともに、痕跡手段の制限状態を解除させる必要がある。これにより、特定操作を行うための作業が煩雑なものとなり、不正に特定操作を行う行為を阻止する又は躊躇させることが可能となる。
また、事前操作用手段は、事前操作が行われる場合に痕跡手段が痕跡状態となるように設けられているため、痕跡手段が痕跡状態となる機会が、痕跡手段に対して制限状態を解除させる操作が行われた場合だけでなく、事前操作が行われた場合にも存在することとなる。これにより、特定操作が行われた場合には痕跡手段が痕跡状態となり易くなり、痕跡手段の機能を好適に発揮させることが可能となる。
特徴D9.前記阻止手段は、前記痕跡手段を覆うようにして設けられているとともに、前記事前操作として設置箇所から前記痕跡手段を覆わない位置まで変位させる変位操作を要するように設けられたカバー手段であることを特徴とする特徴D8に記載の遊技機。
特徴D9によれば、事前操作用手段により痕跡手段を保護する機能が果たされる。また、その保護する機能に付随して、特定操作に対する事前操作としてカバー手段を変位させる必要が生じる。そして、当該変位に伴って痕跡手段が痕跡状態となる。これにより、痕跡手段の機能を好適に発揮させることを、実用に即して好適に実現することができる。
なお、前記痕跡手段は、一方の面に粘着層が形成されたベースシートを有し、前記監視対象に対して貼り付けられているとともに、その貼付領域から剥がされる際にその応力に伴い破壊されるシール部材を備えている構成において、当該シール部材を覆うようにして前記カバー手段が設けられている構成としてもよい。
また、前記痕跡手段は、固有の識別情報を記憶した記憶部と、前記識別情報を含む電波を発信するアンテナ部と、を有する電子タグを備えている構成において、当該電子タグを覆うようにして前記カバー手段が設けられている構成としてもよい。
特徴D10.前記事前操作用手段は、前記痕跡手段を覆うようにして設けられているとともに、前記事前操作として設置箇所から前記痕跡手段を覆わない位置まで変位させる変位操作を要するように設けられたカバー手段(第6の実施の形態についてはカバー部材331、第8の実施の形態についてはカバー部材371)を備えていることを特徴とする特徴D1乃至D8のいずれか1に記載の遊技機。
特徴D10によれば、事前操作用手段により、事前操作を要する機能及び痕跡手段を痕跡状態とする機能だけでなく、痕跡手段を保護する機能までもが果たされる。これにより、事前操作用手段の多機能化が図られ、痕跡手段の機能を好適に発揮させることを、良好に実現することができる。
特徴D11.前記事前操作用手段は、前記カバー手段に対して前記変位操作が行われた場合に、その変位操作に伴って変位し、前記痕跡手段に当接することで当該痕跡手段を前記痕跡状態とする痕跡状態発生手段(第6の実施の形態については破壊用部材311、第8の実施の形態については破壊用凸部385)を備えており、
当該痕跡状態発生手段は、前記カバー手段により覆われた範囲内に設けられていることを特徴とする特徴D9又はD10に記載の遊技機。
特徴D11によれば、痕跡状態発生手段が設けられていることにより、カバー手段への変位操作に伴って痕跡手段を痕跡状態とすることができる。但し、本構成においては痕跡状態発生手段を破壊するといった行為が行われると、痕跡手段を痕跡状態とすることができなくなる。これに対して、痕跡状態発生手段がカバー手段により覆われた範囲内に設けられているため、痕跡状態発生手段を破壊するといった行為を行いづらくさせることが可能となる。
特徴D12.前記事前操作用手段は、前記痕跡手段が設置された設置箇所(貼付ベース293)の内側であって当該設置箇所を基準として前記痕跡手段が設けられた側の反対側に配置されているとともに、前記カバー手段に対して前記変位操作が行われた場合に、それに伴って前記設置箇所の外側であって前記痕跡手段が設置された側に向けて変位し、当該痕跡手段に当接することで当該痕跡手段を前記痕跡状態とする痕跡状態発生手段(破壊用部材311)を備えていることを特徴とする特徴D9又はD10に記載の遊技機。
特徴D12によれば、痕跡状態発生手段は痕跡手段の設置箇所の内側から外側に向けて痕跡手段に当接する方向に変位する構成であるため、カバー手段への変位操作に伴って痕跡状態発生手段が痕跡手段に当接し易くなり、当該痕跡手段が痕跡状態となり易くなる。また、これだけでなく、痕跡状態発生手段が設置箇所の内側に配置されていることにより、痕跡状態発生手段が痕跡手段の設置箇所により保護された状態となり、痕跡状態発生手段を破壊するといった行為を行いづらくさせることが可能となる。
特徴D13.前記カバー手段と前記痕跡状態発生手段とは別体で設けられており、これらカバー手段及び前記痕跡状態発生手段のうち一方が他方に固定又は係止されていることにより両者が一体的に変位する構成であり、
さらに、前記固定又は前記係止が行われている連結箇所の周囲において当該連結箇所を保護するようにして設けられ、当該連結箇所に外力を与えて連結されている状態を解除しようとする行為を不可とする又は行いづらくする保護手段(保護壁部351,352)を備えていることを特徴とする特徴D12に記載の遊技機。
特徴D13によれば、カバー手段と痕跡状態発生手段とが別体で設けられていることにより、痕跡手段の設置箇所の内側に痕跡状態発生手段を配置しながら、カバー手段により痕跡手段を覆うことを無理なく行うことが可能となる。また、別体で設けられたカバー手段と痕跡状態発生手段とは連結されており、痕跡状態発生手段はカバー手段の変位に伴って変位して、痕跡手段に当接することで当該痕跡手段を痕跡状態とするものであるため、痕跡状態発生手段を変位させるための構成の複雑化が抑えられる。
但し、上記のようにカバー手段と痕跡状態発生手段とが連結させて設けられた構成においては、両者の連結が解除されてしまうと、カバー手段の変位に伴って痕跡手段を痕跡状態とすることができなくなってしまう。これに対して、保護手段が設けられていることにより、カバー手段と痕跡状態発生手段との連結を解除しようとする行為を阻止することが可能となる。
特徴D14.前記痕跡手段は、前記監視対象を構成する第1構成部品(表側構成体283)に形成された第1設置部(表側固定ベース部291)と、前記監視対象を構成する第2構成部品(裏側構成体284)に形成され、前記第1設置部に対向させて配置されている第2設置部(裏側固定ベース部292)との境界を跨ぐようにして設けられており、
前記痕跡状態発生手段は、前記第1設置部と前記第2設置部とにより挟まれるようにして設けられているとともに、これら第1設置部及び第2設置部が結合具(ネジ319)により結合されていることにより両設置部からの分離が阻止されていることを特徴とする特徴D12又はD13に記載の遊技機。
特徴D14によれば、第1設置部及び第2設置部を結合具により結合する構成を利用して、事前操作用手段の固定を行うことができる。
特徴D15.前記痕跡手段は、前記監視対象を構成する第1構成部品(表側構成体111)に形成された第1設置部(表側固定ベース部131)と、前記監視対象を構成する第2構成部品(裏側構成体112)に形成され、前記第1設置部に対向させて配置されている第2設置部(裏側固定ベース部132)との境界を跨ぐようにして設けられており、
さらに、前記第1構成部品と前記第2構成部品とを分離させる場合に前記第1設置部と前記第2設置部との並設方向に対して交差する方向に前記両構成部品を相対移動させる必要があるように分離方向を規制する規制手段(フック部118、スリット119)を備え、
前記事前操作用手段は、前記第1設置部及び前記第2設置部の間に設けられているとともに、前記規制手段により規制されて前記両構成部品が相対移動する場合における前記第1設置部又は前記第2設置部の移動経路上に突出するように設けられた係止部(引っ掛け部155)を備えていることを特徴とする特徴D1乃至D14のいずれか1に記載の遊技機。
特徴D15によれば、事前操作用手段自身によって両構成部品の分離を阻止することができるとともに、当該両構成部品の分離を行う場合には第1設置部及び第2設置部の境界を通じて工具などを挿入し、係止部を切断する必要が生じる。そして、両設置部の境界を跨ぐようにして痕跡手段が設けられているため、上記係止部の切断作業に際して痕跡手段が破壊されて痕跡状態となることが期待される。
なお、上記特徴D1乃至D15のいずれか1の構成に対して、上記特徴A1乃至A15、上記特徴B1乃至B21、上記特徴C1乃至C18、下記特徴L1乃至L33、下記特徴M1乃至M9、下記特徴N1乃至N8のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。この場合、各構成に起因する相乗的な効果を奏し得る。
特徴E1.外力が加えられて痕跡状態となることで、予め定められた監視対象(第1の実施の形態については主制御装置92、第6の実施の形態については主制御装置281)の一部の分離が行われたこと又は予め定められた監視対象の設置箇所からの移動が行われたことの痕跡を残す痕跡手段(封印シール160)を備えた遊技機において、
前記痕跡手段の少なくとも一部と対向するようにして設けられているとともに、前記痕跡手段と対向した状態を解除するように設置箇所から取り外される場合に前記痕跡手段に外力を与え得るように設けられたカバー手段(第1の実施の形態についてはカバー部材93、第6の実施の形態については破壊用部材311とカバー部材331との組み合わせ、第8の実施の形態についてはカバー部材371)を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴E1によれば、カバー手段が設けられていることにより、遊技機の搬送時などにおいて痕跡手段を保護することが可能となる。また、監視対象に対して不正を行うべくカバー手段が設置箇所から取り外された場合には当該カバー手段自身によって痕跡手段に外力が付与されることが期待される。これにより、監視対象に対して不正行為が行われた場合には痕跡手段が痕跡状態となり易くなる。よって、痕跡手段の機能を好適に発揮させることが可能となる。
なお、上記特徴E1の構成に対して、上記特徴A1乃至A15、上記特徴B1乃至B21、上記特徴C1乃至C18、上記特徴D1乃至D15、下記特徴L1乃至L33、下記特徴M1乃至M9、下記特徴N1乃至N8のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。この場合、各構成に起因する相乗的な効果を奏し得る。
特徴F1.外力が加えられて痕跡状態となることで、予め定められた監視対象(第1の実施の形態については主制御装置92、第6の実施の形態については主制御装置281)の一部の分離が行われたこと又は予め定められた監視対象の設置箇所からの移動が行われたことの痕跡を残す痕跡手段(封印シール160)を備えた遊技機において、
前記痕跡手段の少なくとも一部と対向するようにして設けられているとともに、前記痕跡手段と対向した状態を解除するように設置箇所から取り外される場合に前記痕跡手段に当たるように設けられたカバー手段(第1の実施の形態についてはカバー部材93、第6の実施の形態については破壊用部材311とカバー部材331との組み合わせ、第8の実施の形態についてはカバー部材371)を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴F1によれば、カバー手段が設けられていることにより、遊技機の搬送時などにおいて痕跡手段を保護することが可能となる。また、監視対象に対して不正を行うべくカバー手段が設置箇所から取り外された場合には当該カバー手段自身によって痕跡手段に外力が付与されることが期待される。これにより、監視対象に対して不正行為が行われた場合には痕跡手段が痕跡状態となり易くなる。よって、痕跡手段の機能を好適に発揮させることが可能となる。
なお、上記特徴F1の構成に対して、上記特徴A1乃至A15、上記特徴B1乃至B21、上記特徴C1乃至C18、上記特徴D1乃至D15、下記特徴L1乃至L33、下記特徴M1乃至M9、下記特徴N1乃至N8のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。この場合、各構成に起因する相乗的な効果を奏し得る。
特徴G1.外力が加えられて痕跡状態となることで、予め定められた監視対象(第1の実施の形態については主制御装置92、第6の実施の形態については主制御装置281)の一部の分離が行われたこと又は予め定められた監視対象の設置箇所からの移動が行われたことの痕跡を残す痕跡手段(封印シール160)を備えた遊技機において、
前記痕跡手段の少なくとも一部と対向するようにして設けられているとともに、その対向した状態を解除するように設置箇所から取り外される場合に予め定められた特定方向への変位を要するように設けられたカバー手段(第1の実施の形態についてはカバー部材93、第6の実施の形態についてはカバー部材331、第8の実施の形態についてはカバー部材371)と、
当該カバー手段に設けられ、前記痕跡手段の少なくとも一部よりも前記特定方向の反対方向側に配置された奥側配置部(第1の実施の形態については重なり壁部190、第6の実施の形態については破壊用部材311、第8の実施の形態については破壊用凸部385)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴G1によれば、カバー手段が設けられていることにより、遊技機の搬送時などにおいて痕跡手段を保護することが可能となる。また、監視対象に対して不正を行うべくカバー手段が設置箇所から取り外された場合には当該カバー手段自身によって痕跡手段に外力が付与されることが期待される。これにより、監視対象に対して不正行為が行われた場合には痕跡手段が痕跡状態となり易くなる。よって、痕跡手段の機能を好適に発揮させることが可能となる。
特徴G2.前記奥側配置部は、前記痕跡手段における前記反対方向側の端部よりも当該反対方向側に配置されていることを特徴とする特徴G1に記載の遊技機。
特徴G2によれば、カバー手段が設置箇所から取り外された場合に、当該カバー手段が痕跡手段に外力を付与し易くなる。
なお、上記特徴G1又はG2の構成に対して、上記特徴A1乃至A15、上記特徴B1乃至B21、上記特徴C1乃至C18、上記特徴D1乃至D15、下記特徴L1乃至L33、下記特徴M1乃至M9、下記特徴N1乃至N8のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。この場合、各構成に起因する相乗的な効果を奏し得る。
特徴H1.予め定められた監視対象(主制御装置281)に対して設けられ、痕跡状態となることで、当該監視対象の一部の分離操作又は当該監視対象の設置箇所からの移動操作のいずれかである特定操作が行われたことの痕跡を残す痕跡手段(封印シール160)を備えた遊技機において、
前記特定操作を制限するように設けられているとともに、その制限状態を解除させる場合には当該制限状態を解除する位置に変位させる解除操作を要するように設けられた特定制限手段(第7,第9の実施の形態などについてはカバー部材331、第8の実施の形態についてはカバー部材371、第10の実施の形態についてはカバー部材401)と、
当該特定制限手段に対して前記解除操作が行われた場合に、その解除操作に伴って変位し、前記痕跡手段に外力を付与することで当該痕跡手段を前記痕跡状態とする痕跡状態発生手段(第7,第9,第10の実施の形態などについては破壊用部材311、第8の実施の形態については破壊用凸部385)と、
前記特定制限手段の変位に伴って前記痕跡状態発生手段を変位させるための一体化部分に対向する位置において当該一体化部分を保護するようにして設けられ、当該一体化部分に外力を与えて一体化されている状態を解除しようとする行為を不可とする又は行いづらくする保護手段(第7の実施の形態については保護壁部351,352、第8の実施の形態については表側カバー部材372の壁部、第9の実施の形態については収容部394、第10の実施の形態については一対の壁部406,407)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴H1によれば、特定制限手段が設けられていることにより、監視対象に対する特定操作に先立って解除操作を行う必要が生じるため、特定操作を行うための作業が煩雑なものとなり、不正に特定操作を行う行為を阻止する又は躊躇させることが可能となる。
また、特定制限手段に対して解除操作が行われる場合に痕跡手段が痕跡状態となるようにする痕跡状態発生手段が設けられているため、特定操作が行われた場合には痕跡手段が痕跡状態となり易くなる。よって痕跡手段の機能を好適に発揮させることが可能となる。
さらにまた、痕跡状態発生部は特定制限手段の変位に伴って変位して、痕跡手段に外力を付与することで当該痕跡手段を痕跡状態とするものであるため、痕跡状態発生手段の構成の複雑化が抑えられる。但し、上記のように特定制限手段と痕跡状態発生手段とが設けられた構成においては、両者の一体化部分が解除されてしまうと、特定制限手段による制限状態の解除操作に伴って痕跡手段を痕跡状態とすることができなくなってしまう。これに対して、保護手段が設けられていることにより、特定制限手段と痕跡状態発生手段との一体化部分を解除しようとする行為を阻止することが可能となる。
特徴H2.前記特定制限手段は前記監視対象の外側に設けられているとともに、前記痕跡状態発生手段は前記痕跡手段が設置された設置箇所(第7,第9,第10の実施の形態については貼付ベース293、第8の実施の形態については貼付ベース362)の外側に前記一体化部分が存在するようにして当該設置箇所に対して設けられており、
前記保護手段は、前記設置箇所との間で前記一体化部分を挟むようにして設けられた対向部(第7の実施の形態については保護壁部351,352、第8の実施の形態については表側カバー部材372の壁部、第9の実施の形態については第2壁部396、第10の実施の形態については一対の壁部406,407)を備えていることを特徴とする特徴H1に記載の遊技機。
特徴H2によれば、保護手段として設置箇所との間で一体化部分を挟むようにして設けられた対向部が設けられていることにより、設置箇所を利用しながら、一体化部分へアクセスしづらくすることができる。
特徴H3.前記保護手段は、前記特定制限手段とは別体で設けられており、さらに前記解除操作に伴う当該特定制限手段及び前記痕跡状態発生手段の変位を可能とする箇所を除いて前記一体化部分の周囲を覆う収容空間を前記設置箇所との間で形成していることを特徴とする特徴H2に記載の遊技機。
特徴H3によれば、特定制限手段と痕跡状態発生手段との一体化部分が収容空間に収容されているため、当該一体化部分へアクセスしづらくすることができる。また、この場合であっても、保護手段によって特定制限手段や痕跡状態発生手段の変位が阻害されないようにすることができる。
特徴H4.前記設置箇所は、前記監視対象の周面において周囲の領域よりも外方に突出させて形成されており、
前記特定制限手段は、前記解除操作が行われる場合、前記設置箇所に沿って変位される構成であり、
前記保護手段は、前記設置箇所との間に前記一体化部分を挟む対向部(第2壁部396)と、これら設置箇所と前記対向部との間に亘って設けられ、それらの隙間を前記特定制限手段の外側から塞ぐ閉塞部(挟み込み壁部397,398)と、を備えていることを特徴とする特徴H3に記載の遊技機。
特徴H4によれば、保護手段として対向部と閉塞部とが設けられていることにより、特定制限手段と痕跡状態発生手段との一体化部分を複数の方向から保護することができ、当該一体化部分へアクセスしづらくすることができる。
特徴H5.前記保護手段は、前記一体化部分に対して外側から対向するようにして前記特定制限手段に設けられていることを特徴とする特徴H1又はH2に記載の遊技機。
特徴H5によれば、保護手段が特定制限手段に一体化されていることにより、特定制限手段と監視対象との位置合わせ精度の影響を抑えながら、一体化部分の保護を良好に行うことができる。
特徴H6.前記特定制限手段は、前記保護手段の周囲を覆うカバー手段であり、前記一体化部分は前記保護手段を構成する前記カバー手段の外壁部により区画された収容空間内に収容されていることを特徴とする特徴H5に記載の遊技機。
特徴H6によれば、カバー手段により保護手段の周囲を覆うことができるとともに、カバー手段自身によって一体化部分を保護することができる。
特徴H7.予め定められた監視対象(主制御装置281)に対して設けられ、痕跡状態となることで、当該監視対象の一部の分離操作又は当該監視対象の設置箇所からの移動操作のいずれかである特定操作が行われたことの痕跡を残す痕跡手段(封印シール160)を備えた遊技機において、
前記痕跡手段は、前記特定操作を制限するように設けられているとともに、その特定操作の制限状態を解除する場合に前記痕跡状態となり得るように設けられており、
さらに、前記痕跡手段による制限状態の解除を阻止するように設けられているとともに、その阻止状態を解除させる場合には当該阻止状態を解除する位置に変位させる解除操作を要するように設けられた阻止手段(第7,第9の実施の形態などについてはカバー部材331、第8の実施の形態についてはカバー部材371、第10の実施の形態についてはカバー部材401)と、
当該阻止手段に対して前記解除操作が行われた場合に、その解除操作に伴って変位し、前記痕跡手段に外力を付与することで当該痕跡手段を前記痕跡状態とする痕跡状態発生手段(第7,第9,第10の実施の形態などについては破壊用部材311、第8の実施の形態については破壊用凸部385)と、
前記阻止手段の変位に伴って前記痕跡状態発生手段を変位させるための一体化部分に対向する位置において当該一体化部分を保護するようにして設けられ、当該一体化部分に外力を与えて一体化されている状態を解除しようとする行為を不可とする又は行いづらくする保護手段(第7の実施の形態については保護壁部351,352、第8の実施の形態については表側カバー部材372の壁部、第9の実施の形態については収容部394、第10の実施の形態については一対の壁部406,407)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴H7によれば、特定操作を行うためには、痕跡手段の制限状態を解除させる必要があるとともに、阻止手段による阻止状態を解除させる必要がある。これにより、特定操作を行うための作業が煩雑なものとなり、不正に特定操作を行う行為を阻止する又は躊躇させることが可能となる。
また、特定制限手段に対して解除操作が行われる場合に痕跡手段が痕跡状態となるようにする痕跡状態発生手段が設けられているため、特定操作が行われた場合には痕跡手段が痕跡状態となり易くなる。よって痕跡手段の機能を好適に発揮させることが可能となる。
さらにまた、痕跡状態発生部は阻止手段の変位に伴って変位して、痕跡手段に外力を付与することで当該痕跡手段を痕跡状態とするものであるため、痕跡状態発生手段の構成の複雑化が抑えられる。但し、上記のように阻止手段と痕跡状態発生手段とが設けられた構成においては、両者の一体化部分が解除されてしまうと、阻止手段による阻止状態の解除操作に伴って痕跡手段を痕跡状態とすることができなくなってしまう。これに対して、保護手段が設けられていることにより、阻止手段と痕跡状態発生手段との一体化部分を解除しようとする行為を阻止することが可能となる。
なお、本特徴H7に対して上記特徴H2乃至H6のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。この場合、各構成に起因する相乗的な効果を奏し得る。但し、各構成の適用に際しては、「特定制限手段」の代わりに「阻止手段」が設けられているものとして適用する。
また、上記特徴H1乃至H7のいずれか1の構成に対して、上記特徴A1乃至A15、上記特徴B1乃至B21、上記特徴C1乃至C18、上記特徴D1乃至D15、下記特徴L1乃至L33、下記特徴M1乃至M9、下記特徴N1乃至N8のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。この場合、各構成に起因する相乗的な効果を奏し得る。
特徴I1.予め定められた監視対象に対して、前記監視対象の一部の分離操作又は前記監視対象の設置箇所からの移動操作のいずれかである特定操作を阻害するように設けられ、当該阻害状態が解除された場合には、前記特定操作が行われたことの痕跡を残す痕跡状態となる痕跡手段(封印シール160)と、
前記阻害状態を解除する解除手段(第6、第13の実施の形態においては破壊用部材311、第11の実施の形態においては破壊用部材501、第12の実施の形態においては破壊用部材601、第14の実施の形態においては破壊用部材801、第15の実施の形態においては破壊用部材910)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴I1によれば、特定操作を阻害するように痕跡手段が設けられており、特定操作が行われる場合には、痕跡手段の阻害状態が解除される。この場合、痕跡手段によって特定操作が行われたことの痕跡が残るため、当該特定操作が行われたことを特定することができる。これにより、特定操作が行われた場合には、その事実を容易に把握することができる。
ここで、解除手段が設けられていることにより、痕跡手段の阻害状態の解除を容易に行うことができる。これにより、検査等のために特定操作を行う場合に当該特定操作を好適に行うことができる。
特徴I2.複数の構成体(表側構成体283及び裏側構成体284)が組み合わされて形成され、制御基板(主制御基板101)を収容する基板ボックス(基板ボックス282)と、
前記基板ボックスに設けられるとともに、前記基板ボックスの内部空間を開放させる特定操作を阻害するように設けられ、当該阻害状態が解除された場合には、前記特定操作が行われたことの痕跡を残す痕跡状態となる痕跡手段(封印シール160)と、
前記阻害状態を解除する解除手段(第6、第13の実施の形態においては破壊用部材311、第11の実施の形態においては破壊用部材501、第12の実施の形態においては破壊用部材601、第14の実施の形態においては破壊用部材801、第15の実施の形態においては破壊用部材910)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴I2によれば、特定操作を阻害するように痕跡手段が設けられているため、特定操作が行われる場合には、痕跡手段の阻害状態が解除される。この場合、痕跡手段によって特定操作が行われたことの痕跡が残るため、当該特定操作が行われたことを特定することができる。これにより、特定操作が行われた場合には、その事実を容易に把握することができる。
ここで、解除手段が設けられていることにより、痕跡手段の阻害状態の解除を容易に行うことができる。これにより。検査等のために特定操作を行う場合に好適に対応することができる。
特徴I3.前記解除手段は、予め定められた初期位置から予め定められた特定方向に変位可能に形成されており、前記特定方向への変位により前記痕跡手段を破壊し、前記阻害状態を解除するものであることを特徴とする特徴I1又はI2に記載の遊技機。
特徴I3によれば、解除手段を初期位置から特定方向に変位させることによって、痕跡手段が破壊され、阻害状態が解除される。この場合、解除手段を変位させるだけでよいため、解除手段による痕跡手段の破壊を容易に行うことができる。
なお、「特定方向に変位可能」には、特定方向にスライド移動可能な構成だけでなく、特定方向に回転可能な構成も含まれる。
特徴I4.前記解除手段は、当該解除手段が前記特定方向へ変位した場合に前記痕跡手段と当接する破壊部(第6、第13の実施の形態においては破壊ベース部312、第11の実施の形態においては破壊ベース部502、第12の実施の形態においては破壊ベース部602、第14の実施の形態においては破壊ベース部802、第15の実施の形態においては破壊ベース部911)を備え、
前記破壊部が前記痕跡手段を押圧することによって前記痕跡手段を破壊するものであることを特徴とする特徴I3に記載の遊技機。
特徴I4によれば、解除手段が特定方向に変位した場合、破壊部と痕跡手段とが当接し、破壊部から痕跡手段に対して解除手段の変位に基づく押圧力が付与される。これにより、痕跡手段が破壊され、阻害状態が解除される。
特徴I5.前記破壊部は、前記解除手段が前記特定方向に変位した場合に当該破壊部の一部が当接するように形成されているとともに、前記特定方向への前記解除手段の変位に伴って徐々に前記痕跡手段との当接箇所が変位するように形成されていることを特徴とする特徴I4に記載の遊技機。
特徴I5によれば、解除手段が特定方向に変位した場合、破壊部の一部が痕跡手段に対して当接する。これにより、当接範囲が狭くなるため、痕跡手段に対する押圧力が大きくなる。また、特定方向への解除手段の変位に伴って破壊部と痕跡手段との当接箇所が変位していくため、痕跡手段の破壊が徐々に行われる。これにより、痕跡手段の破壊を容易に行うことが可能となる。
特徴I6.前記破壊部は、前記初期位置として、前記痕跡手段が設置された設置箇所(貼付ベース293)の内側であって当該設置箇所を基準として前記痕跡手段が設けられた側の反対側に配置されており、
前記特定方向として、前記設置箇所の外側であって前記痕跡手段が設置された側に向けて変位可能に形成されていることを特徴とする特徴I4又は特徴I5に記載の遊技機。
特徴I6によれば、破壊部を設置箇所の内側から外側に変位させることによって、痕跡手段の破壊が行われる。この場合、破壊部を外側に向けて引けばよいため、痕跡手段の阻害状態の解除を容易に行うことができる。
また、破壊部が痕跡手段の内側に配置されていることにより、破壊部が痕跡手段の設置箇所により保護された状態となり、破壊部を破壊する等の解除手段への不正行為を抑制することができる。これにより、解除手段を設けたことによって生じ得る不正行為を抑制し得る。
特徴I7.前記解除手段は、前記破壊部が前記痕跡手段の設置箇所の内側に配置されている状況において前記痕跡手段の設置箇所から外側に向けて露出した操作部(第6、第13の実施の形態においてはアーム部313、第11の実施の形態においてはアーム部503、第12の実施の形態においてはアーム部603、第14の実施の形態においては取っ手814、第15の実施の形態においてはアーム部912,913)を備えていることを特徴とする特徴I6に記載の遊技機。
特徴I7によれば、操作部が痕跡手段の設置箇所の外側に露出しているため、当該操作部に工具を引っ掛ける又は把持する等によって、解除手段に対して当該解除手段が変位するのに要する力を付与することが可能となる。これにより、仮に破壊部が痕跡手段の設置箇所の内側に配置した状態であっても、解除手段を容易に変位させることができる。
特徴I8.前記痕跡手段が取り付けられる取付面を規定するように設けられ、前記痕跡手段の前記取付面への取付位置をガイドする囲み部(第6、第11乃至第14の実施の形態においては囲み部321、第15の実施の形態においては囲み部950)を備え、
前記操作部は前記囲み部の一部を構成するように形成されていることを特徴とする特徴I7に記載の遊技機。
特徴I8によれば、痕跡手段を取付位置にガイドする囲み部が設けられているため、痕跡手段を取り付ける場合の作業性の向上を図ることができる。この場合、操作部が囲み部の一部として兼用される。
また、囲み部は取付面を規定するように設けられているものであるため、痕跡手段と囲み部とは干渉しない。これにより、囲み部の一部を構成している操作部は痕跡手段と干渉しない。よって、痕跡手段と干渉することなく、操作部に対して力を付与することができるようになっている。
特徴I9.前記解除手段は、予め定められた箇所に軸支され、その軸支箇所(第13の実施の形態においては軸部701及び軸受け孔702、第14の実施の形態においては軸部811及び軸受け孔813)を中心として、前記初期位置から前記特定方向へ向けて回転可能に形成されており、
前記破壊部は、前記解除手段が前記特定方向へ向けて回転する場合に、前記痕跡手段と当接し前記痕跡手段を破壊するものであることを特徴とする特徴I4乃至I8のいずれか1に記載の遊技機。
特徴I9によれば、解除手段が回転することによって破壊部が痕跡手段と当接する。そして、解除手段の回転に伴って痕跡手段に対して押圧力が付与されるため、痕跡手段が破壊され、阻害状態が解除される。この場合、解除手段をスライド移動させる構成と比較して、解除手段に対して当該解除手段を変位させる力を付与し易いため、痕跡手段を容易に破壊することができる。これにより、痕跡手段の阻害状態の解除を容易に行うことができる。
特徴I10.前記解除手段は、前記痕跡手段の設置箇所の外側に向けて露出した操作部(第13の実施の形態においてはアーム部313、第14の実施の形態においては取っ手814)を備え、
前記破壊部は、前記操作部と前記軸支箇所との間に位置するように形成されていることを特徴とする特徴I9に記載の遊技機。
特徴I10によれば、てこの原理により、破壊部と痕跡手段との当接箇所に付与する押圧力を高めることが可能となる。これにより、痕跡手段を容易に破壊することができる。したがって、痕跡手段の阻害状態の解除を容易に行うことができる。
特徴I11.前記軸支箇所は前記痕跡手段の設置箇所の外側に配置されており、
前記解除手段が前記初期位置に配置されている状況において、前記解除手段の分離を規制する規制手段(貼付ベース293)を備えていることを特徴とする特徴I9又は特徴I10に記載の遊技機。
特徴I11によれば、軸支箇所が痕跡手段の設置箇所の外側に配置されているため、軸支箇所が設置箇所の内側に配置されている構成と比較して、解除手段の装着を容易に行うことができる。これにより、解除手段を軸支させる場合の作業性の向上を図ることができる。
この場合、解除手段の装着を容易に行える一方、軸支箇所へのアクセスが容易であるため、解除手段が軸支されている状態を不正に解除し、解除手段を不正に分離する不正行為が行われることが懸念される。
これに対して、本特徴によれば、初期位置において解除手段の分離が規制される。これにより、初期位置において解除手段を不正に分離する不正行為を抑制することができる。
特徴I12.前記解除手段は、前記軸支箇所に対して軸線方向に取り付けられるものであり、
前記破壊部は、前記初期位置として、前記痕跡手段の設置箇所の内側であって当該設置箇所を基準として前記痕跡手段が設けられた側の反対側に配置されており、
前記特定方向として、前記痕跡手段の設置箇所の外側であって前記痕跡手段が設置された側に向けて回転可能に形成されており、
前記規制手段は、前記初期位置において前記破壊部と前記痕跡手段の設置箇所との当接によって前記軸線方向への前記解除手段の移動を規制するものであることを特徴とする特徴I11に記載の遊技機。
特徴I12によれば、特徴I6にて限定した構成により、痕跡手段の設置箇所が規制手段として機能する。すなわち、解除手段を容易に回転させるとともに、破壊部に対するアクセスを制限する構成によって、解除手段の分離を規制することができる。
特徴I13.前記軸支箇所は前記痕跡手段の設置箇所の外側に配置されており、
前記特定操作を制限するように設けられ、さらにその制限状態を解除させる場合には予め定められた解除操作を要する特定制限手段(第13の実施の形態においてはカバー部材331、第14の実施の形態においてはカバー部材821)、及び前記痕跡手段の少なくとも一部と対向し当該痕跡手段へのアクセスを制限するように設けられたカバー手段(第13の実施の形態においてはカバー部材331、第14の実施の形態においてはカバー部材821)のうち少なくとも一方を有する制限手段を備え、
前記制限手段は、前記軸支箇所を覆うように形成されていることを特徴とする特徴I9乃至I12のいずれか1に記載の遊技機。
特徴I13によれば、軸支箇所が痕跡手段の設置箇所の外側に配置されているため、軸支箇所が設置箇所の内側に配置されている構成と比較して、解除手段の装着を容易に行うことができる。これにより、解除手段を軸支させる場合の作業性の向上を図ることができる。
この場合、軸支箇所は設置箇所の外側に配置されるため、軸支箇所に対してアクセスし易くなっている。このため、軸支箇所に対して不正行為を行い易い。
これに対して、本特徴によれば、軸支箇所が制限手段によって覆われている。これにより、軸支箇所へのアクセスが制限される。よって、軸支箇所に対する不正行為を抑制し得る。
特徴I14.前記解除手段は、前記初期位置において、前記制限手段が前記軸支箇所を覆わない位置に変位するのを規制するように配置されており、
前記特定方向へ回転することによって、前記規制を解除する位置又は前記規制を解除し易い位置に配置されるものであることを特徴とする特徴I13に記載の遊技機。
軸支箇所へのアクセスを制限する制限手段が設けられている場合、軸支箇所にアクセスするために制限手段を当該制限手段が軸支箇所を覆わない位置まで変位させる不正行為を行うことが想定される。
これに対して、本特徴によれば、軸支箇所を覆わない位置への制限手段の変位が解除手段によって規制されている。当該規制は、解除手段を特定方向に回転させることによって解除される又は解除し易くなる。これにより、痕跡手段を破壊することなく、軸支箇所に対してアクセスすることが困難になっている。よって、痕跡手段を破壊することなく軸支箇所にアクセスし、解除手段を取り外す不正行為を抑制することができる。
なお、本特徴の構成に下記特徴I35乃至I39に示す構成を適用してもよい。
特徴I15.前記軸支箇所は、前記痕跡手段の設置箇所の内側に配置されていることを特徴とする特徴I9又は特徴I10に記載の遊技機。
特徴I15によれば、軸支箇所が痕跡手段の内側に配置されていることにより、軸支箇所が痕跡手段の設置箇所により保護された状態となり、軸支箇所を破壊する等の不正行為を抑制することができる。
特徴I16.前記解除手段が取り付けられる取付部(貼付ベース293)を備え、
前記解除手段は、前記初期位置において前記取付部からの分離が不可又は分離しにくい位置に配置されており、前記特定方向へ回転することによって、前記取付部から分離し易い位置に配置されることを特徴とする特徴I9乃至I15のいずれか1に記載の遊技機。
特徴I16によれば、解除手段を回転させることによって、解除手段を取付部から分離させることが可能となる。これにより、解除手段の交換を行う場合等に対応することができる。よって、汎用性の向上を図ることができる。
ここで、上記汎用性の観点から解除手段が取付部から分離可能な構成の場合、解除手段を不正に分離させる不正行為が考えられる。これに対して、本特徴によれば、解除手段を分離させる前段階において当該解除手段を回転させる必要があるため、解除手段を分離させるためには痕跡手段の破壊を要する。これにより、解除手段の不正な分離を行おうとした場合には痕跡手段が破壊されることとなるため、当該不正行為を抑制し得るとともに、仮に当該不正行為が行われた場合には当該事実を容易に確認することができる。
特徴I17.前記特定操作を制限するように前記監視対象に対して取り付けられ、その制限状態を解除させる場合には予め定められた解除操作を要する特定制限手段(第6の実施の形態についてはカバー部材331、第11の実施の形態についてはカバー部材511、第12の実施の形態についてはカバー部材611、第15の実施の形態においてはカバー部材961)を備え、
前記解除手段は、前記特定制限手段に対して前記解除操作が行われた場合に、それに連動して前記痕跡手段を破壊する位置に変位可能なように形成されていることを特徴とする特徴I3乃至I16のいずれか1に記載の遊技機。
特徴I17によれば、解除操作が行われることによって阻害状態が解除されるため、メンテナンス時などにおいて正規の特定操作を行う場合の作業性が低下するのを抑制することができる。
また、特定制限手段による解除操作が行われた場合には、痕跡手段が破壊され、解除操作が行われた痕跡が形成されることとなる。これにより、不正行為者が不正な特定操作を行う前段階として不正な解除操作を行った場合には、不正行為者にとって意図しない痕跡が形成されることとなる。よって、不正な解除操作及び不正な特定操作を抑制することができるとともに、仮に当該不正行為が行われた場合には、当該事実を容易に確認することができる。
特徴I18.前記特定制限手段と前記解除手段とは別体で設けられているとともに、前記特定制限手段は前記解除操作として前記監視対象から分離させる分離操作を要する構成であり、
さらに、前記特定制限手段に対して前記分離操作が行われた場合に、それに伴って前記痕跡手段を破壊する位置に変位させるように前記解除手段を前記特定制限手段に連結させる連結手段(第6の実施の形態については爪部336,337及び受け部338,339、第11の実施の形態についてはフック部509,510)を備え、
当該連結手段は、予め定められた連結解除操作が行われることにより前記連結を解除するものであるとともに、前記特定制限手段が前記監視対象から分離されておらず、さらに前記解除手段による解除が行われていない状況において前記連結解除操作を行うことができるように設けられていることを特徴とする特徴I17に記載の遊技機。
特定制限手段と解除手段とが連動する構成として、例えば特定制限手段と解除手段とが一体形成されている構成が考えられる。しかしながら、特定制限手段と解除手段とが一体形成されている場合、どちらか一方のみを分離することができないため、個別の交換をする場合等に対応することができない。
これに対して、本特徴によれば、特定制限手段と解除手段とが別体で設けられており、両者は連結手段を介して連結されている。当該連結は連結解除操作を行うことにより解除することができる。当該連結解除操作は、特定制限手段が監視対象から分離されておらず、さらに解除手段による解除が行われていない状況において行えるようになっている。これにより、当該状況において連結解除操作を行うことによって、解除手段及び特定制限手段の個別分離が可能となっている。よって、両者の個別の交換等に対応することができる。
一方、両者が連結されている状況において特定制限手段の分離操作を行うことによって、特定制限手段が分離されるとともに解除手段が変位する。これにより、痕跡手段による阻害状態も解除される。
特に、「前記特定制限手段は、前記連結解除操作が行われた場合、前記解除手段を前記特定方向へ変位させることなく、前記分離操作を行うことが可能となっている」とよい。これにより、痕跡手段を破壊することなく特定制限手段を分離させることができる。よって、痕跡手段を破壊することなく特定制限手段の交換を行うことが可能となる。
特徴I19.前記特定制限手段は、前記痕跡手段の少なくとも一部と対向し当該痕跡手段を保護するように設けられたカバー手段であり、
前記カバー手段は、前記連結解除操作が行われた場合、前記解除手段を前記特定方向へ変位させることなく、前記分離操作を行えるように設けられていることを特徴とする特徴I18に記載の遊技機。
特徴I19によれば、痕跡手段が特定制限手段としてのカバー手段によって保護されている。これにより、痕跡手段へのアクセスが制限されるため、痕跡手段への不正行為を阻止又は躊躇させることが可能となる。
かかる構成において、痕跡手段の状態を直接確認するため、カバー手段のみを取り外したい事情が生じる。すなわち、カバー手段によって痕跡手段へのアクセスが制限される一方、痕跡手段の状態が確認しにくくなるという不都合が生じる。この場合、カバー手段を取り外すと、痕跡手段が破壊されることとなり、痕跡手段の状態を確認する検査を行うことができない。
これに対して、本特徴によれば、解除手段の連結解除操作を行うことによって、カバー手段のみを分離させることができる。これにより、痕跡手段の状態を直接確認することを容易に行うことができる。よって、カバー手段を取り外して痕跡手段の状態を確認する検査を行いたい場合に当該検査に好適に対応することができる。したがって、カバー手段を設けることによって生じ得る不都合を回避することができる。
また、カバー手段と解除手段とが別体で設けられていることにより、痕跡手段の設置箇所の内側に破壊部を配置しながら、カバー手段により痕跡手段を保護することを無理なく行うことが可能となる。
特徴I20.前記解除手段は、前記カバー手段によって保護された範囲内に配置されていることを特徴とする特徴I19に記載の遊技機。
特徴I20によれば、解除手段はカバー手段によって保護されている。これにより、解除手段を破壊する等の解除手段への不正行為を抑制することができる。よって、解除手段を設けたことによって生じ得る新たな不正行為を好適に抑制することができる。
なお、本特徴の具体的な構成としては、「前記カバー手段は、前記痕跡手段の少なくとも一部及び前記解除手段を収容可能な収容領域を区画形成する壁部を備えている」構成が考えられる。
特徴I21.前記痕跡手段は、固有の識別情報を記憶した記憶部(ICチップ171)と、所定の長さ寸法を有するとともに前記識別情報を含む電波を発信するアンテナ部(アンテナ部材172)と、を有する電子タグ(ICタグ163)を備え、
前記電子タグは、前記特定操作が行われる場合に前記アンテナ部が長さ方向の途中位置において切断が生じ得るように取り付けられており、
前記カバー手段は、前記電波を受信することで前記識別情報の読み取りを行うリーダ装置を用いた読み取り作業に際して、前記電子タグに対して少なくとも特定の向きから前記リーダ装置による識別情報の読み取りを行う場合の読み取り位置が前記電子タグに対して予め定められた距離以上離れた位置となるように、前記リーダ装置の位置を規定するものであることを特徴とする特徴I19又は特徴I20に記載の遊技機。
特徴I21によれば、監視対象に電子タグが設けられていることにより、遊技ホールの管理者等は電子タグから正規の識別情報を受信することができるか否かを確認することで、監視対象を好適に管理することができる。
本構成において、特定操作が行われる場合にアンテナ部には長さ方向の途中位置において切断が生じ得る。この場合に電子タグの通信が不可となることで、遊技ホールの管理者等はその事実を把握することで監視対象に対して不正行為が行われた可能性があることを認識することができる。
また、アンテナ部に長さ方向の途中位置において切断が生じた場合に、電子タグにおいて通信が可能であるが、通信可能距離が短くなることが想定される。この場合、リーダ装置による読み取り作業が短縮後の通信可能距離外にて行われれば当該読み取り作業を通じて不正行為の事実を認識することができるが、読み取り作業が短縮後の通信可能距離内にて行われれば当該読み取り作業を通じて不正行為の事実を認識することができない。
これに対して、本特徴によれば、カバー手段により、電子タグに対して少なくとも特定の向きからリーダ装置による識別情報の読み取りを行う場合の読み取り位置が電子タグに対して予め定められた距離以上離れた位置となるようにリーダ装置の位置が規定されている。これにより、遊技ホールの管理者等において電子タグに対して特定の向きからリーダ装置による読み取り作業を行うように決めておけば、アンテナ部に切断が生じて通信可能距離が短くなった場合には、リーダ装置にて識別情報を読み取ることができない事実を把握することで監視対象に対して不正行為が行われた可能性があることを認識することができる。
特徴I22.前記連結手段は、
前記特定制限手段に設けられた第1係合部(第6の実施の形態においては爪部336,337、第11の実施の形態においてはフック部509,510)と、
前記解除手段に設けられ、前記第1係合部に対して係合可能な第2係合部(第6の実施の形態においては受け部338,339、第11の実施の形態においてはスリット532,533の周縁部)と、
を備え、
前記第1係合部と前記第2係合部とが係合することによって前記特定制限手段と前記解除手段とを連結するものであり、
前記第1係合部及び前記第2係合部のうち少なくとも一方は、外力が付与されることによって係合が解除される側に変位可能に形成されていることを特徴とする特徴I18乃至I21のいずれか1に記載の遊技機。
特徴I22によれば、連結解除操作として第1係合部及び第2係合部のうち少なくとも一方を係合が解除される側に変位させることによって、係合を解除することができる。これにより、破壊を伴うことなく、特定制限手段と解除手段との連結を解除することができる。よって、例えば一旦特定制限手段を解除した後に、再度同一の特定制限手段を取り付けることができるようになっている。
特徴I23.前記特定制限手段が前記監視対象に対して取り付けられる場合に、当該特定制限手段が予め定められた特定経路を通るように前記特定制限手段をガイドするガイド手段(開口部513の周縁部と囲み部321との組み合わせ等)を備え、
前記特定制限手段が前記特定経路を介して前記監視対象に対して取り付けられる場合に、前記第1係合部と前記第2係合部とが係合するように両者の相対位置関係が設定されていることを特徴とする特徴I22に記載の遊技機。
特徴I23によれば、特定制限手段が監視対象に取り付けられる場合の経路がガイド手段によって特定経路に規定されており、当該特定経路を介して特定制限手段が監視対象に取り付けられることに伴って、自然に第1係合部と第2係合部とが係合する。これにより、特定制限手段が監視対象に対して取り付けられる際に自然に特定制限手段と解除手段との連結が行われるため、上記連結に伴う作業性の低下を抑制し得る。
なお、「前記第1係合部及び前記第2係合部は弾性変形可能に形成されており、前記第1係合部又は前記第2係合部のうち少なくとも一方には、前記特定制限手段が前記特定経路に沿って移動した場合に、前記第1係合部が前記第2係合部と摺動して、前記第1係合部及び前記第2係合部のうち一方が他方を乗り越える側に弾性変形するように誘導するガイド面が形成されている」とよい。かかる構成によれば、第1係合部と第2係合部との係合が生じ易くなるため、第1係合部と第2係合部との係合を好適に行うことができる。
特徴I24.前記特定制限手段は、前記解除手段との連結によって前記監視対象に対して取り付けられているものであることを特徴とする特徴I18乃至I23のいずれか1に記載の遊技機。
特徴I24によれば、特定制限手段は解除手段との連結によって監視対象に対して取り付けられている。これにより、特定制限手段を監視対象に対して取り付けるための構成が必要なくなるため、構成の簡素化を図ることができる。また、連結手段による連結を解除することによって、特定制限手段のみの分離を容易に行うことができる。
特徴I25.前記連結手段は、前記特定制限手段に対して前記分離操作が行われた場合に、それに伴って前記痕跡手段を破壊する位置に変位させるように前記解除手段を前記特定制限手段に連結させる第1連結手段(第11の実施の形態におけるフック部509,510)であり、
前記第1連結手段とは別に、前記特定制限手段の前記分離操作を規制するように前記特定制限手段を前記監視対象に連結させる第2連結手段(第11の実施の形態における爪部521,522及びボックス側受け部523,524)を備え、
前記第1連結手段は、予め定められた第1連結解除操作が行われることにより前記連結を解除するものであり、
前記第2連結手段は、予め定められた第2連結解除操作が行われることにより前記連結を解除するものであり、
前記第1連結手段及び前記第2連結手段は、前記特定制限手段が前記監視対象から分離されておらず、さらに前記解除手段による解除が行われていない状況において前記第1連結解除操作及び前記第2連結解除操作を行うことができるように設けられていることを特徴とする特徴I18乃至I23のいずれか1に記載の遊技機。
特徴I25によれば、特定制限手段のみを分離させる場合には、第1連結解除操作と第2連結解除操作を行う必要があるため、特定制限手段のみの分離が煩雑になっている。これにより、特定制限手段の不正な分離を抑制することができる。
特徴I26.前記特定制限手段と前記解除手段とは別体で設けられており、
前記特定制限手段及び前記解除手段を連結する連結手段(第12の実施の形態におけるフック部609,610と係合部材631、第15の実施の形態における破断突起917と係合用凹部971)を備え、両者は当該連結手段により連結されていることにより一体的に変位する構成であり、
前記連結手段の周囲において当該連結手段を保護するように設けられ、当該連結手段に外力を付与し連結されている状態を解除しようとする行為を不可とする又は行いづらくする保護手段(第12の実施の形態におけるカバー部材611、第15の実施の形態におけるカバー部材961)を備えていることを特徴とする特徴I17に記載の遊技機。
特徴I26によれば、特定制限手段と解除手段とを連結する連結手段を備えているため、両者の一体的な変位が可能となる。
ここで、両者の連結が解除されると、解除操作に伴って阻害状態が解除されず、痕跡手段が痕跡状態とならない。このため、痕跡手段を破壊することなく解除操作を行うことが可能となるため、不正行為抑制の観点から好ましくない。
これに対して、本特徴によれば、保護手段が設けられているため、上記連結を解除する行為を抑制し得る。これにより、連結手段による連結を不正に解除する行為を抑制し得る。
特徴I27.前記特定制限手段は、前記保護手段として前記連結手段を収容可能な収容領域(第12の実施の形態における内部空間612、第15の実施の形態における内部空間962)を形成する壁部(内部空間612、962を区画形成する壁部)を備えており、
前記連結手段は前記収容領域内に収容されているものであることを特徴とする特徴I26に記載の遊技機。
特徴I27によれば、連結手段は収容領域に収容されている。これにより、連結手段に対するアクセスが制限されるため、連結の不正解除を抑制することができる。この場合、特定制限手段が保護手段として機能するため、特定制限手段の多機能化を図るとともに、構成の簡素化を図ることができる。
特徴I28.前記特定制限手段は、前記収容領域を開口させる開口部(開口部613)を備え、前記監視対象に対して前記開口部側から取り付け方向に移動させることによって取り付けられるものであり、
前記連結手段は、
前記解除手段に設けられ、前記取り付け方向とは反対方向に突出した第1係合部(フック部609,610)と、
前記特定制限手段の前記収容領域内に設けられ、前記第1係合部と係合可能に形成された第2係合部(係合部材631)と、
を備え、
前記第1係合部と前記第2係合部とが係合することによって、前記特定制限手段と前記解除手段とを連結するものであることを特徴とする特徴I27に記載の遊技機。
特徴I28によれば、第1係合部が特定制限手段の取り付け方向とは反対側に突出しているため、特定制限手段が取り付けられている状況においては第1係合部及び第2係合部の係合箇所が開口部を基準として奥側に配置されることとなる。これにより、開口部から不正な治具を挿入し、係合を解除する不正行為を抑制することができる。
特徴I29.前記特定制限手段が前記監視対象に対して取り付けられる場合に、当該特定制限手段が予め定められた特定経路を通るように前記特定制限手段をガイドするガイド手段(開口部613の周縁部と囲み部321との組み合わせ等)を備え、
前記特定制限手段が前記特定経路を介して前記監視対象に対して取り付けられる場合に、前記第1係合部と前記第2係合部とが係合するように両者の相対位置関係が設定されていることを特徴とする特徴I28に記載の遊技機。
特徴I29によれば、特定制限手段が監視対象に取り付けられる場合の経路がガイド手段によって特定経路に規定されており、当該特定経路を介して特定制限手段が監視対象に取り付けられることに伴って、自然に第1係合部と第2係合部とが係合する。これにより、特定制限手段が監視対象に対して取り付けられる際に自然に特定制限手段と解除手段との連結が行われるため、上記連結に伴う作業性の低下を抑制し得る。
特に、係合箇所が収容領域内に設けられている構成にあっては、外部から外力を付与することができないため、係合作業が行いにくいという不都合が生じる。これに対して、本特徴によれば、第1係合部と第2係合部との係合が自然に行われるため、上記不都合を回避することができる。
なお、「前記第1係合部及び前記第2係合部は弾性変形可能に形成されており、前記第1係合部又は前記第2係合部のうち少なくとも一方には、前記特定制限手段が前記特定経路に沿って移動した場合に、前記第1係合部が前記第2係合部と摺動して、前記第1係合部及び前記第2係合部のうち一方が他方を乗り越える側に弾性変形するように誘導するガイド面が形成されている」とよい。かかる構成によれば、第1係合部と第2係合部との係合が生じ易くなるため、第1係合部と第2係合部との係合を好適に行うことができる。
特徴I30.前記痕跡手段の少なくとも一部と対向し当該痕跡手段を保護するように前記監視対象に対して取り付けられるカバー手段(第6の実施の形態についてはカバー部材331、第11の実施の形態についてはカバー部材511、第12の実施の形態についてはカバー部材611、第15の実施の形態におけるカバー部材961)を備え、
前記解除手段は、前記カバー手段を前記監視対象から分離させる分離操作が行われた場合に、それに連動して前記痕跡手段を破壊する位置に変位可能なように形成されていることを特徴とする特徴I3乃至I16のいずれか1に記載の遊技機。
特徴I30によれば、痕跡手段がカバー手段によって保護されている。これにより、痕跡手段へのアクセスが制限されるため、痕跡手段への不正行為を阻止又は躊躇させることが可能となる。
かかる構成の場合、痕跡手段を破壊するために解除手段を変位させる際に、カバー手段が邪魔になる場合がある。この場合、先にカバー手段に対して分離操作を行い、その後解除手段を変位させる必要があり、痕跡手段の阻害状態を解除する場合の作業性の低下が懸念される。
これに対して、本特徴によれば、カバー手段の分離操作に伴って解除手段が変位し、阻害状態が解除される、これにより、痕跡手段の阻害状態を解除する場合の作業性の低下を抑制し得る。
また、痕跡手段に対して不正にアクセスするためにカバー手段を不正に分離させた場合には、意図しない痕跡が形成されることとなる。これにより、痕跡手段に対する不正なアクセスを抑制し得る。
なお、本特徴に特徴I20乃至I29のいずれか1に記載の構成を適用してもよい。この場合、「特定制限手段」を「カバー手段」に置き換える。
特徴I31.前記カバー手段と前記解除手段とは別体で設けられており、
前記カバー手段に対して前記分離操作が行われた場合に、それに伴って前記痕跡手段を破壊する位置に変位させるように前記解除手段を前記カバー手段に連結させる連結手段(第6の実施の形態については爪部336,337及び受け部338,339、第11の実施の形態についてはフック部509,510)を備え、
当該連結手段は、予め定められた連結解除操作が行われることにより前記連結を解除するものであるとともに、前記特定制限手段が前記監視対象から分離されておらず、さらに前記解除手段による解除が行われていない状況において前記連結解除操作を行うことができるように設けられていることを特徴とする特徴I30に記載の遊技機。
カバー手段と解除手段とが連動する構成として、例えばカバー手段と解除手段とが一体形成されている構成が考えられる。しかしながら、カバー手段と解除手段とが一体形成されている場合、どちらか一方のみを分離することができないため、個別の交換をする場合等に対応することができない。
これに対して、本特徴によれば、カバー手段と解除手段とが別体で設けられており、両者は連結手段を介して連結されている。当該連結は連結解除操作を行うことにより解除することができる。当該連結解除操作は、特定制限手段が監視対象から分離されておらず、さらに解除手段による解除が行われていない状況において行えるようになっている。これにより、当該状況において連結解除操作を行うことによって、解除手段及びカバー手段の個別分離が可能となっている。よって、両者の個別の交換等に対応することができる。
一方、両者が連結されている状況においてカバー手段の分離操作を行うことによって、カバー手段が分離されるとともに解除手段が変位する。これにより、痕跡手段による阻害状態も解除される。
また、カバー手段と解除手段とが別体で設けられていることにより、痕跡手段の設置箇所の内側に破壊部を配置しながら、カバー手段により痕跡手段を保護することを無理なく行うことが可能となる。
特徴I32.前記カバー手段は、前記連結解除操作が行われた場合、前記解除手段を前記特定方向へ変位させることなく、前記分離操作を行えるように設けられていることを特徴とする特徴I31に記載の遊技機。
カバー手段が設けられた場合、当該カバー手段によって痕跡手段へのアクセスが制限される一方、痕跡手段の状態が確認しにくくなるという不都合が生じる。この場合、カバー手段を分離すると、痕跡手段が破壊されることとなり、痕跡手段の状態を直接確認する検査を行うことができない。
これに対して、本特徴によれば、解除手段の連結解除操作を行うことによって、カバー手段のみを分離させることができる。これにより、痕跡手段の状態を直接確認することを容易に行うことができる。よって、カバー手段を分離させて痕跡手段の状態を確認する検査に好適に対応することができる。したがって、カバー手段を設けることによって生じ得る不都合を回避することができる。
特徴I33.前記特定操作を制限するように設けられているとともに、その制限状態を解除させる場合には当該制限状態を解除する解除位置に変位させる解除操作を要するように設けられた特定操作阻止手段(第14の実施の形態におけるカバー部材821)を備え、
前記解除手段は、前記初期位置において前記特定操作阻止手段の解除操作を規制する位置に配置されており、前記特定方向へ変位することによって、前記規制を解除する位置又は前記規制を解除し易い位置に配置されるものであることを特徴とする特徴I3乃至I16のいずれか1に記載の遊技機。
特徴I33によれば、特定操作阻止手段が設けられているため、特定操作に先立って解除操作を行う必要がある。当該解除操作は解除手段によって規制されている。当該規制は、解除手段を初期位置から特定方向へ変位させることによって解除される。これにより、解除操作を行う前段階において、痕跡手段が破壊される。よって、解除操作に伴って痕跡手段が破壊される構成と比較して、解除操作を容易に行うことができる。
また、痕跡手段を破壊することなく解除操作を行うことが不可又は困難になっているため、痕跡を残すことなく特定操作を行う不正行為を抑制することができる。
特徴I34.前記特定操作阻止手段は、前記痕跡手段の少なくとも一部と対向し当該痕跡手段を保護するように設けられたカバー手段であることを特徴とする特徴I33に記載の遊技機。
特徴I34によれば、特定操作阻止手段としてのカバー手段によって痕跡手段が保護される。これにより、痕跡手段へのアクセスが制限されるため、痕跡手段への不正行為を阻止又は躊躇させることが可能となる。よって、特定操作阻止手段の多機能化を図ることができる。
また、本特徴に特徴I20及び特徴I21にて限定した構成を適用してもよい。
特徴I35.前記解除手段は、当該解除手段が前記特定方向に変位することに伴って変位し、前記痕跡手段と当接することで前記痕跡手段を破壊する破壊部(破壊ベース部802)を備え、
前記カバー手段は、前記痕跡手段の設置箇所の少なくとも一部及び前記破壊部を収容可能な収容領域(内部空間822)を区画形成する壁部を備え、当該収容領域内に前記痕跡手段の少なくとも一部及び前記破壊部を収容するものであり、
前記カバー手段は、前記壁部に形成され、前記破壊部が通過可能な開口部(スリット832、第2アーム部用開口部833、回転用開口部835)を備えていることを特徴とすることを特徴とする特徴I34に記載の遊技機。
特徴I35によれば、痕跡手段の少なくとも一部及び破壊部はカバー手段の収容領域に収容されている。これにより、痕跡手段及び破壊部に対するアクセスを制限することができる。
この場合、痕跡手段及び破壊部へのアクセスを制限することによってこれらに対する不正行為を抑制し得る一方、破壊部の変位がカバー手段によって制限される不都合が生じ得る。これに対して、本特徴によれば、収容領域を区画形成する壁部には破壊部が通過可能な開口部が設けられているため、破壊部の変位がカバー手段によって阻害されないようになっている。これにより、破壊部の変位を行えるようにしつつ、痕跡手段及び破壊部に対するアクセスを制限することができる。
特徴I36.前記解除手段は、前記痕跡手段が設置された設置箇所の内側であって当該設置箇所を基準として前記痕跡手段が設けられた側の反対側を前記初期位置として配置されているとともに、当該解除手段が前記特定方向に変位することに伴って変位し、前記痕跡手段に当接することで当該痕跡手段を破壊する破壊部(破壊ベース部802)を備え、
前記破壊部は、前記初期位置として、前記痕跡手段の設置箇所の内側に前記特定方向への変位が可能な状態で配置されており、
前記カバー手段は、前記痕跡手段の設置箇所の少なくとも一部を収容可能な収容領域(内部空間822)を区画形成する壁部を備え、当該収容領域内に前記痕跡手段の少なくとも一部及び前記破壊部を収容するものであり、
前記壁部において前記破壊部が前記特定方向に変位する場合の当該変位の先側の部位には、前記破壊部が通過可能な開口部(スリット832、第2アーム部用開口部833、回転用開口部835)が設けられていることを特徴とすることを特徴とする特徴I34に記載の遊技機。
特徴I36によれば、痕跡手段の設置箇所の少なくとも一部がカバー手段によって収容されているため、痕跡手段及び当該痕跡手段の設置箇所の内側に配置されている破壊部へのアクセスを制限することができる。
また、破壊部が痕跡手段の設置箇所の内側に配置されているため、破壊部が痕跡手段の設置箇所の外側に配置されている構成と比較して、カバー手段を小さく形成することができ、省スペース化を図ることができる。
この場合、破壊部の変位がカバー手段によって制限される不都合が生じ得る。これに対して、本特徴によれば、収容領域を区画形成する壁部において破壊部の変位の先側の部位には破壊部が通過可能な開口部が設けられているため、破壊部の変位がカバー手段によって阻害されないようになっている。これにより、上記効果を確保しつつ、破壊部の変位を行えるようになっている。
特徴I37.前記カバー手段の取り付け作業において前記カバー手段が予め定められた特定経路を移動するように規定するガイド手段(開口部823の周縁部と囲み部321との組み合わせ等)と、
前記解除手段に設けられた解除側係合部(第2アーム部804、突起853)と、
前記カバー手段に設けられ、前記解除側係合部に対して前記特定経路の先側から当接することで当該カバー手段の前記解除位置への変位を規制するカバー側係合部(第1フック部841、第2フック部852)と、
前記カバー手段が前記特定経路を通って前記初期位置に配置される場合において前記解除側係合部に前記カバー側係合部が前記特定経路の元側から当接した場合に、それら係合部の少なくとも一方を弾性変形させて、前記解除側係合部よりも前記特定経路の先側への前記カバー側係合部の移動を補助する補助面(フック側傾斜面841I等)と、
を備え、
前記解除側係合部は、前記解除手段の前記特定方向への変位に伴って、前記規制が解除又は緩められる側に変位するものであることを特徴とする特徴I35又は特徴I36に記載の遊技機。
解除手段を特定方向に変位させることによってカバー手段の解除位置への変位が可能となる構成としては、通常先にカバー手段を取り付けた後に当該カバー手段の解除位置への変位を規制するように解除手段を配置する構成が考えられる。この場合、カバー手段の収容領域内又は痕跡手段の設置箇所の内側に破壊部を収容することが困難になるとともに、大型化が懸念される。かといって、上記不都合を回避する取り付け構造とすると、構成の複雑化及びカバー手段の取り付け作業の作業性の低下が懸念される。
これに対して、本特徴によれば、カバー手段を取り付ける場合、カバー手段はガイド手段により特定経路を通るようにガイドされ、カバー側係合部が解除側係合部に特定経路の元側から当接する。この場合、カバー側係合部は補助面によって補助されながら特定経路の先側に移動する。そして、カバー側係合部は解除側係合部に対して特定経路の先側から当接する。当該特定経路の先側からの当接によって、カバー手段の解除位置への変位が規制される。当該規制は、解除手段を特定方向へ変位させることに伴って、解除又は緩められる。これにより、解除手段を先に取り付け、その後に解除位置への変位が解除手段によって規制されるとともに、当該規制が解除手段の特定方向への変位によって解除される状態となるようにカバー手段を取り付ける作業を容易に行うことができる。したがって、上記不都合を回避することができる。
なお、「係合が緩められる」とは、例えば係合部と解除手段との係合に所定の遊びが生じ得る構成が考えられる。
特徴I38.前記解除手段は、前記破壊部が前記カバー手段によって収容されている状況において前記開口部を通じて前記カバー手段から外側に露出した操作部(取っ手814)を備えていることを特徴とする特徴I35乃至I37のいずれか1に記載の遊技機。
特徴I38によれば、カバー手段から外側に露出した操作部が設けられているため、当該操作部を把持又は当該操作部を工具で引っ掛ける等して、解除手段を変位させることが可能となる。これにより、カバー手段によって解除手段が収容されている状況において、解除手段に対して変位に必要な外力を容易に付与することができる。よって、破壊部がカバー手段によって収容されている状況において、解除手段の変位を容易に行うことができる。
特に、操作部は解除手段の変位を可能とする開口部を通じて外側に露出しているため、操作部のためにカバー手段に別途開口部を設ける必要がない。これにより、カバー手段の構成の簡素化を図ることができる。
特徴I39.前記壁部は、前記痕跡手段が設置された場合に、前記痕跡手段の設置箇所との間で当該痕跡手段の少なくとも一部を挟み込むように形成されていることを特徴とする特徴I35乃至I38のいずれか1に記載の遊技機。
特徴I39によれば、カバー手段が取り付けられている状況において、痕跡手段の少なくとも一部は、設置箇所とカバー手段の壁部とによって挟み込まれている。これにより、解除手段が変位した場合に付与されるせん断力が大きくなるため、痕跡手段が破壊されやすい。よって、痕跡手段の破壊を容易に行うことができる。
また、痕跡手段と壁部との間に隙間が生じにくいため、当該隙間から治具を挿入する不正行為を抑制することができる。
特徴I40.前記痕跡手段は、前記監視対象を構成する第1構成部品(表側構成体283)に形成された第1設置部(表側固定ベース部291)と、前記監視対象を構成する第2構成部品(裏側構成体284)に形成され、前記第1設置部に対向させて配置されている第2設置部(裏側固定ベース部292)との境界(境界297)を跨ぐようにして設けられており、
前記解除手段は、前記第1設置部と前記第2設置部とにより挟まれるようにして設けられているとともに、これら第1設置部及び第2設置部が結合具(ネジ319)により結合されることにより両設置部からの分離が阻止されていることを特徴とする特徴I1乃至I39のいずれか1に記載の遊技機。
特徴I40によれば、第1設置部及び第2設置部を結合具により結合する構成を利用して、解除手段の固定を行うことができる。
特徴I41.前記痕跡手段は、固有の識別情報を記憶した記憶部(ICチップ171)と、前記識別情報を含む電波を発信するアンテナ部(アンテナ部材172)と、を有する電子タグ(ICタグ163)を備えており、
前記解除手段は、前記阻害状態を解除する場合に、前記電子タグからの識別情報の読み取りが行いづらくなるように又は識別情報の読み取りが不可となるように、前記電子タグに破壊を生じさせ易くするものであることを特徴とする特徴I1乃至I40のいずれか1に記載の遊技機。
特徴I41によれば、電子タグが設けられていることにより、遊技ホールの管理者等は電子タグから正規の識別情報を受信することができるか否かを確認することで、監視対象を好適に管理することができる。
かかる構成において、解除手段により痕跡手段の阻害状態を解除した場合には、電子タグからの識別情報の読み取りが行いづらくなる又は識別情報の読み取りが不可となる。遊技ホールの管理者等はその事実を把握することで監視対象に対して不正行為が行われた可能性があることを認識することができる。
特徴I42.前記アンテナ部は、破壊された場合に前記識別情報を含む電波の発信を不可とする不可状態発生部(スリット173)を備えており、
前記解除手段は、前記阻害状態を解除する場合に、前記不可状態発生部に破壊を生じさせ易くするものであることを特徴とする特徴I41に記載の遊技機。
特徴I42によれば、阻害状態の解除が行われた場合にはアンテナ部における不可状態発生部が破壊され易くなる。この場合、遊技ホールの管理者等にとっては識別情報の読み取り作業を行えないことを把握することで、監視対象に対して不正行為が行われたことを容易に認識することができる。
特徴I43.前記痕跡手段は、
固有の識別情報を記憶した記憶部(ICチップ171)と、前記識別情報を含む電波を発信するアンテナ部(アンテナ部材172)と、を有する電子タグ(ICタグ163)を備えており、
一方の面に粘着層(粘着層162)を有し且つ貼付領域から剥がされる際にその応力に伴い自身が破壊されるような脆弱性を有するベースシート(ベースシート161)の粘着層側に前記電子タグが取り付けられているシール部材(封印シール160)を備え、
当該シール部材は、前記監視対象(主制御装置281)の所定の境界(境界297)を跨ぐようにして貼り付けられているものであり、
前記解除手段は、前記境界に沿ってシール部材を切断するものであり、
前記シール部材が貼り付けられる貼付領域から突出し、さらに当該貼付領域を囲むようにして形成され、前記シール部材の貼付位置をガイドする囲み枠(囲み部321)を備えていることを特徴とする特徴I1乃至特徴I42のいずれか1に記載の遊技機。
特徴I43によれば、シール部材が境界を跨ぐように貼り付けられているため、特定操作がシール部材によって阻害される。このため、特定操作を行う場合、境界に沿ってシール部材を切断する又は剥がす必要が生じる。この場合、シール部材を剥がそうとすると、シール部材が破れてしまうことが考えられ、シール部材が破れた場合にはそれに伴ってアンテナ部が切断されることが期待される。よって、本構成によれば、電子タグ付きのシール部材を貼り付けることによる不正発見効果が高められる。
本構成において、囲み枠に囲まれた領域にシール部材を貼り付けることで、境界とシール部材との位置関係や境界とアンテナ部との位置関係が自ずと所定の位置関係となる。これにより、シール部材を貼り付ける場合の作業性を向上させることができる。
また、囲み枠が貼付領域から突出して形成されているため、不正を行うべくシール部材を剥がそうとしても、囲み枠によってその剥がし行為が行いづらくなる。これにより、シール部材による阻害状態の解除が行いづらい。また、シール部材を剥がす際にシール部材に複雑な応力がかかり易くなるため、シール部材に破れが生じ易くなるとともに、それに伴ってアンテナ部が切断され易くなる。よって、痕跡を残すことなくシール部材を剥がす行為を抑制することができる。
この場合、好適に不正行為を抑制することができる一方、検査等のために特定操作を行う場合における作業性の低下が懸念される。これに対して、本特徴によれば、監視対象の境界に沿ってシール部材を切断する解除手段を備えているため、作業性の低下を回避することができる。これにより、シール部材を不正に剥がす行為を好適に抑制するとともに、正規に特定操作を行う場合の作業性の低下を抑制し得る。
また、「解除手段が前記囲み枠の一部を構成するように配置されている」とするとよい。この場合、解除手段と囲み枠とが干渉することなく解除手段を所定の設置箇所に配置することが可能となる。
上記特徴I群は以下の課題に対して効果的である。
パチンコ遊技機やスロットマシン等の遊技機は、遊技制御処理を実行するCPU、遊技制御プログラムが記憶されたROM、遊技の進行により発生する各種データを一時的に記憶するRAM等の各種電子部品が実装された制御基板を備えている。そして、ROMに記憶された制御プログラムに従って、CPUにより遊技機に搭載されている各種遊技機器が制御され、一連の遊技が実行される。
この種の遊技機では、制御基板を正規のものとは異なる不正な制御基板に変更したり、ROM(ROMがCPUと共に1チップ化されている場合には当該チップ)を不正なものに交換したりする等の不正行為の発生が数多く報告されている。
このような不正行為に対処すべく、例えば、基板ボックスを構成する複数のケース体を跨ぐように再貼付不可能であり且つ剥がすと痕跡が残る有脆弱性の封印シールを貼り付ける等の不正対策が採用されている。当該不正対策は、基板ボックスが開封された事実や制御基板が交換された事実を確認する場合にその確認作業を補助するものであり、またこのような不正対策の存在により不正行為を躊躇させる効果がある。
ここで、遊技場では外部機関等によって制御基板の検査が行われることがあり、当該検査に際して基板ボックスを開放する必要が生じ得る。この場合、封印シールが複数のケース体を跨ぐように貼り付けられている状況においては基板ボックスの開放が封印シールによって阻害されているため、基板ボックスの開放に際して封印シールを剥がす必要が生じ、その作業が煩雑なものとなる。
なお、上記特徴I1乃至I43のいずれか1の構成に対して、上記特徴A1乃至A15、上記特徴B1乃至B21、上記特徴C1乃至C18、上記特徴D1乃至D15、上記特徴E1、上記特徴F1、上記特徴G1乃至G2、上記特徴H1乃至H7、下記特徴L1乃至L33、下記特徴M1乃至M9、下記特徴N1乃至N8のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。この場合、各構成に起因する相乗的な効果を奏し得る。
特徴J1.予め定められた監視対象に対して、前記監視対象の一部の分離操作又は前記監視対象の設置箇所からの移動操作のいずれかである特定操作を阻害するように設けられ、当該阻害状態が解除された場合には、前記特定操作が行われたことの痕跡を残す痕跡状態となる痕跡手段(封印シール160)と、
予め定められた箇所に軸支されているとともに、その軸支箇所を中心として予め定められた初期位置から予め定められた特定方向に向けて回転する場合に前記痕跡手段と当接する破壊部(第13の実施の形態においては破壊ベース部312、第14の実施の形態においては破壊ベース部802)を有し、前記破壊部が前記痕跡手段を破壊することによって、前記阻害状態を解除する解除手段(第13の実施の形態における破壊用部材311、第14の実施の形態における破壊用部材801)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴J1によれば、特定操作を阻害するように痕跡手段が設けられており、特定操作が行われる場合には、痕跡手段の阻害状態が解除される。この場合、痕跡手段によって特定操作が行われたことの痕跡が残るため、当該特定操作が行われたことを特定することができる。これにより、特定操作が行われた場合には、その事実を容易に把握することができる。
ここで、解除手段は監視対象に対して軸支されており、解除手段が回転することによって破壊部が痕跡手段と当接する。そして、解除手段の回転に伴って痕跡手段に対して当該解除手段の回転に基づく押圧力が付与され、痕跡手段が破壊される。この場合、解除手段をスライド移動させることによって痕跡手段を破壊する構成と比較して、痕跡手段に対して押圧力を付与し易いため、痕跡手段を容易に破壊することができる。よって、痕跡手段の阻害状態の解除を容易に行うことができる。したがって、検査等のために特定操作を行う場合に当該特定操作を好適に行うことができる。
上記特徴J1は以下の課題に対して効果的である。
パチンコ遊技機やスロットマシン等の遊技機は、遊技制御処理を実行するCPU、遊技制御プログラムが記憶されたROM、遊技の進行により発生する各種データを一時的に記憶するRAM等の各種電子部品が実装された制御基板を備えている。そして、ROMに記憶された制御プログラムに従って、CPUにより遊技機に搭載されている各種遊技機器が制御され、一連の遊技が実行される。
この種の遊技機では、制御基板を正規のものとは異なる不正な制御基板に変更したり、ROM(ROMがCPUと共に1チップ化されている場合には当該チップ)を不正なものに交換したりする等の不正行為の発生が数多く報告されている。
このような不正行為に対処すべく、例えば、基板ボックスを構成する複数のケース体を跨ぐように再貼付不可能であり且つ剥がすと痕跡が残る有脆弱性の封印シールを貼り付ける等の不正対策が採用されている。当該不正対策は、基板ボックスが開封された事実や制御基板が交換された事実を確認する場合にその確認作業を補助するものであり、またこのような不正対策の存在により不正行為を躊躇させる効果がある。
ここで、遊技場では外部機関等によって制御基板の検査が行われることがあり、当該検査に際して基板ボックスを開放する必要が生じ得る。この場合、封印シールが複数のケース体を跨ぐように貼り付けられている状況においては基板ボックスの開放が封印シールによって阻害されているため、基板ボックスの開放に際して封印シールを剥がす必要が生じ、その作業が煩雑なものとなる。
なお、上記特徴J1の構成に対して、上記特徴I10乃至I16のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。また、上記特徴I4乃至I8,I17乃至I43のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。この場合、「変位」を「回転」と置き換える。
さらに、上記特徴J1の構成に対して、上記特徴A1乃至A15、上記特徴B1乃至B21、上記特徴C1乃至C18、上記特徴D1乃至D15、上記特徴E1、上記特徴F1、上記特徴G1乃至G2、上記特徴H1乃至H7、下記特徴L1乃至L33、下記特徴M1乃至M9、下記特徴N1乃至N8のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。この場合、各構成に起因する相乗的な効果を奏し得る。
特徴K1.予め定められた監視対象に対して、前記監視対象の一部の分離操作又は前記監視対象の設置箇所からの移動操作のいずれかである特定操作を阻害するように設けられ、当該阻害状態が解除された場合には、前記特定操作が行われたことの痕跡を残す痕跡状態となる痕跡手段(封印シール160)を備えた遊技機であって、
予め定められた初期位置から予め定められた特定方向に変位可能に形成されており、当該特定方向への変位により前記痕跡手段を破壊し、前記阻害状態を解除する解除手段(第14の実施の形態における破壊用部材601)と、
前記特定操作を制限するように設けられているとともに、その制限状態を解除させる場合には当該制限状態を解除する解除位置に変位させる解除操作を要するように設けられた特定操作阻止手段(第14の実施の形態におけるカバー部材821)と、
を備え、
前記解除手段は、前記初期位置において前記特定操作阻止手段の解除操作を規制する位置に配置されており、前記特定方向へ変位することによって、前記規制を解除する位置又は前記規制を解除し易い位置に配置されるものであることを特徴とする遊技機。
特徴K1によれば、特定操作阻止手段が設けられているため、特定操作に先立って解除操作を行う必要がある。当該解除操作は解除手段によって規制されている。当該規制は、解除手段を初期位置から特定方向へ変位させることによって解除される又は解除し易くなる。これにより、解除操作を行う前段階において痕跡手段が破壊される。よって、解除操作に伴って痕跡手段を破壊する構成と比較して、解除操作に要する力が軽減されるため、解除操作を容易に行うことができる。したがって、検査等のために特定操作を行う場合に当該特定操作を好適に行うことができる。
また、痕跡手段を破壊することなく解除操作を行うことが不可又は困難になっているため、痕跡を残すことなく特定操作を行う不正行為を抑制することができる。
上記特徴K1は以下の課題に対して効果的である。
パチンコ遊技機やスロットマシン等の遊技機は、遊技制御処理を実行するCPU、遊技制御プログラムが記憶されたROM、遊技の進行により発生する各種データを一時的に記憶するRAM等の各種電子部品が実装された制御基板を備えている。そして、ROMに記憶された制御プログラムに従って、CPUにより遊技機に搭載されている各種遊技機器が制御され、一連の遊技が実行される。
この種の遊技機では、制御基板を正規のものとは異なる不正な制御基板に変更したり、ROM(ROMがCPUと共に1チップ化されている場合には当該チップ)を不正なものに交換したりする等の不正行為の発生が数多く報告されている。
このような不正行為に対処すべく、例えば、基板ボックスを構成する複数のケース体を跨ぐように再貼付不可能であり且つ剥がすと痕跡が残る有脆弱性の封印シールを貼り付ける等の不正対策が採用されている。当該不正対策は、基板ボックスが開封された事実や制御基板が交換された事実を確認する場合にその確認作業を補助するものであり、またこのような不正対策の存在により不正行為を躊躇させる効果がある。
ここで、遊技場では外部機関等によって制御基板の検査が行われることがあり、当該検査に際して基板ボックスを開放する必要が生じ得る。この場合、封印シールが複数のケース体を跨ぐように貼り付けられている状況においては基板ボックスの開放が封印シールによって阻害されているため、基板ボックスの開放に際して封印シールを剥がす必要が生じ、その作業が煩雑なものとなる。
なお、上記特徴K1に対して、上記特徴I4乃至I16、I34乃至I43、上記特徴J1のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。さらに、上記特徴K1の構成に対して、上記特徴A1乃至A15、上記特徴B1乃至B21、上記特徴C1乃至C18、上記特徴D1乃至D15、上記特徴E1、上記特徴F1、上記特徴G1乃至G2、上記特徴H1乃至H7、下記特徴L1乃至L33、下記特徴M1乃至M9、下記特徴N1乃至N8のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。この場合、各構成に起因する相乗的な効果を奏し得る。
特徴L1.予め定められた監視対象に対して、前記監視対象の一部の分離操作又は前記監視対象の設置箇所からの移動操作のいずれかである特定操作を阻害するように設けられ、当該阻害状態が解除された場合には、前記特定操作が行われたことの痕跡を残す痕跡状態となる痕跡手段(封印シール160)と、
予め定められた初期位置から予め定められた特定方向に向けて変位する場合に前記痕跡手段と当接する破壊部(第15の実施の形態における破壊ベース部911)を有し、前記破壊部が前記痕跡手段に形成されている被破壊面(第15の実施の形態における側面領域296)と当接し、当該痕跡手段を破壊することによって、前記阻害状態を解除する解除手段(破壊用部材910)と、
を備え、
前記破壊部において前記特定方向への変位の元側から前記被破壊面に対して当接することで前記痕跡手段を破壊するエッジ(切断用エッジ951)は、
前記解除手段が前記特定方向に変位する場合に前記被破壊面に対して傾斜した状態で当接する第1傾斜部(第1傾斜部952)と、
前記第1傾斜部とは別に設けられ、前記解除手段が前記特定方向に変位する場合に前記被破壊面に対して傾斜した状態で当接する第2傾斜部(第2傾斜部953)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴L1によれば、特定操作を阻害するように痕跡手段が設けられており、特定操作が行われる場合には、痕跡手段の阻害状態が解除される。この場合、痕跡手段によって特定操作が行われたことの痕跡が残るため、当該特定操作が行われたことを特定することができる。これにより、特定操作が行われた場合には、その事実を容易に把握することができる。
ここで、破壊部のエッジ、すなわち縁部分には第1傾斜部及び第2傾斜部が設けられているため、解除手段を特定方向に変位させると、第1傾斜部又は第2傾斜部の一部が被破壊面に当接する。これにより、当接範囲が狭くなるため、被破壊面に対する押圧力が大きくなる。また、特定方向への解除手段の変位に伴って破壊部と痕跡手段との当接箇所が変位していくため、痕跡手段の破壊が徐々に行われる。よって、痕跡手段の阻害状態の解除を容易に行うことができる。したがって、検査等のために特定操作を行う場合に当該特定操作を好適に行うことができる。
かかる構成において、第1傾斜部と当該第1傾斜部とは別に第2傾斜部と、が設けられているため、例えば所定の箇所を意図的に切断することができたり、破壊部を小型にしつつ傾斜角度を大きくしたりすることができる。これにより、所望の痕跡手段の破壊を行うことができる。
特徴L2.予め定められた監視対象に対して、前記監視対象の一部の分離操作又は前記監視対象の設置箇所からの移動操作のいずれかである特定操作を阻害するように設けられ、当該阻害状態が解除された場合には、前記特定操作が行われたことの痕跡を残す痕跡状態となる痕跡手段(封印シール160)と、
予め定められた初期位置から予め定められた特定方向に向けて変位する場合に前記痕跡手段と当接する破壊部(第15の実施の形態における破壊ベース部911)を有し、前記破壊部が前記痕跡手段に形成されている被破壊面(側面領域296)と当接し、当該痕跡手段を破壊することによって、前記阻害状態を解除する解除手段(破壊用部材910)と、
を備え、
前記破壊部において前記特定方向への変位の元側から前記被破壊面に対して当接することで前記痕跡手段を破壊するエッジ(切断用エッジ951)は、
前記解除手段が前記特定方向に変位する場合に前記被破壊面に対して傾斜した状態で当接する第1傾斜部(第1傾斜部952)と、
前記解除手段が前記特定方向に変位する場合に前記被破壊面に対して前記第1傾斜部とは異なる角度又は向きに傾斜した状態で当接する第2傾斜部(第2傾斜部953)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴L2によれば、特定操作を阻害するように痕跡手段が設けられており、特定操作が行われる場合には、痕跡手段の阻害状態が解除される。この場合、痕跡手段によって特定操作が行われたことの痕跡が残るため、当該特定操作が行われたことを特定することができる。これにより、特定操作が行われた場合には、その事実を容易に把握することができる。
ここで、破壊部のエッジ、すなわち縁部分には第1傾斜部及び第2傾斜部が設けられているため、解除手段を特定方向に変位させると、第1傾斜部又は第2傾斜部の一部が被破壊面に当接する。これにより、当接範囲が狭くなるため、被破壊面に対する押圧力が大きくなる。また、特定方向への解除手段の変位に伴って破壊部と痕跡手段との当接箇所が変位していくため、痕跡手段の破壊が徐々に行われる。よって、痕跡手段の阻害状態の解除を容易に行うことができる。したがって、検査等のために特定操作を行う場合に当該特定操作を好適に行うことができる。
かかる構成において、第1傾斜部と、当該第1傾斜部と比較して被破壊面に対する傾斜の向き又は角度が異なる第2傾斜部と、が設けられているため、例えば所定の箇所を意図的に切断することができたり、破壊部を小型にしつつ傾斜角度を大きくしたりすることができる。これにより、所望の痕跡手段の破壊を行うことができる。
特徴L3.予め定められた監視対象に対して、前記監視対象の一部の分離操作又は前記監視対象の設置箇所からの移動操作のいずれかである特定操作を阻害するように設けられ、当該阻害状態が解除された場合には、前記特定操作が行われたことの痕跡を残す痕跡状態となる痕跡手段(封印シール160)と、
予め定められた初期位置から予め定められた特定方向に向けて変位する場合に前記痕跡手段と当接する破壊部(第15の実施の形態における破壊ベース部911)を有し、前記破壊部が前記痕跡手段に形成されている被破壊面(側面領域296)と当接し、当該痕跡手段を破壊することによって、前記阻害状態を解除する解除手段(破壊用部材910)と、
を備え、
前記破壊部において前記特定方向への変位の元側から前記被破壊面に対して当接することで前記痕跡手段を破壊するエッジ(切断用エッジ951)は、
前記被破壊面に対して相対的に近い部位と遠い部位とが生じるように傾斜させて形成された第1傾斜部(第1傾斜部952)と、
前記被破壊面に対して相対的に近い部位と遠い部位と生じるように傾斜させて形成されているとともに、前記第1傾斜部とは異なる角度又は異なる向きに傾斜させて形成された第2傾斜部(第2傾斜部953)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴L3によれば、特定操作を阻害するように痕跡手段が設けられており、特定操作が行われる場合には、痕跡手段の阻害状態が解除される。この場合、痕跡手段によって特定操作が行われたことの痕跡が残るため、当該特定操作が行われたことを特定することができる。これにより、特定操作が行われた場合には、その事実を容易に把握することができる。
ここで、破壊部のエッジ、すなわち縁部分には第1傾斜部及び第2傾斜部が設けられているため、解除手段を特定方向に変位させると、第1傾斜部又は第2傾斜部の一部が被破壊面に当接する。これにより、当接範囲が狭くなるため、被破壊面に対する押圧力が大きくなる。また、特定方向への解除手段の変位に伴って破壊部と痕跡手段との当接箇所が変位していくため、痕跡手段の破壊が徐々に行われる。よって、痕跡手段の阻害状態の解除を容易に行うことができる。したがって、検査等のために特定操作を行う場合に当該特定操作を好適に行うことができる。
かかる構成において、第1傾斜部と、当該第1傾斜部と比較して被破壊面に対する傾斜の向き又は角度が異なる第2傾斜部と、が設けられているため、例えば所定の箇所を意図的に切断することができたり、破壊部を小型にしつつ傾斜角度を大きくしたりすることができる。これにより、所望の痕跡手段の破壊を行うことができる。
特徴L4.前記第1傾斜部及び前記第2傾斜部は同一平面上に形成されていることを特徴とする特徴L1乃至L3のいずれか1に記載の遊技機。
特徴L4によれば、破壊部の小型化を図ることができる。
特徴L5.前記エッジの前記被破壊面に対する最短距離の部位と前記被破壊面に対する最長距離の部位との間の前記特定方向の寸法が、前記エッジが前記第1傾斜部の傾斜のみにより形成されている場合よりも小さくなるように、前記第2傾斜部が形成されていることを特徴とする特徴L1乃至L4のいずれか1に記載の遊技機。
特徴L5によれば、痕跡手段の破壊に要する特定方向への解除手段の変位量が少なくて済む。これにより、痕跡手段の破壊を容易に行うことができる。
特徴L6.前記破壊部には、前記第1傾斜部及び前記第2傾斜部により前記特定方向に尖った先端部(先端部992)が形成されており、
前記解除手段が前記特定方向に変位する場合に前記先端部が前記痕跡手段において予め定められた特定箇所に対して当接するように、前記特定箇所に対する前記先端部の相対位置が設定されていることを特徴とする特徴L1乃至L5のいずれか1に記載の遊技機。
特徴L6によれば、先端部が特定箇所に対して当接するため、当接範囲が小さくなる。これにより、特定箇所に付与する押圧力が高められるため、特定箇所を容易に破壊することができる。
また、特定箇所を優先的に破壊することができるため、痕跡手段の破壊を好適に行うことができる。
なお、例えば被破壊面に強度が相対的に高低となるように高強度箇所と低強度箇所とが形成されている場合において高強度箇所が「特定箇所」である構成としてもよく、例えば被破壊面にて他の箇所と比較して破壊された場合にその痕跡が確認し易い箇所がある場合においてその箇所が「特定箇所」である構成としてもよい。
特徴L7.前記エッジは、前記特定方向に対して交差する方向に中間部を間において両端部が生じるように形成されており、
前記第1傾斜部は、前記両端部のうち一方の端部から前記中間部に向けて前記特定方向に対して反対方向に入り込むように傾斜しており、
前記第2傾斜部は、前記両端部のうち他方の端部から前記中間部に向けて前記特定方向に対して反対方向に入り込むように傾斜していることを特徴とする特徴L1乃至L5のいずれか1に記載の遊技機。
特徴L7によれば、破壊部の特定方向への出っ張りを抑制し、破壊部の小型化を図ることができる。この場合、破壊部の両端部が特定方向の先側となるため、破壊部の両端部から痕跡手段の破壊が行われる。
特徴L8.前記第1傾斜部は、その外側の端部が前記被破壊面において前記交差する方向の両端部のうち対応する側の端部に対して当該交差する方向に同じ位置又はそれよりも外側の位置となるように形成されているとともに、
前記第2傾斜部は、その外側の端部が前記被破壊面において前記交差する方向の両端部のうち対応する側の端部に対して当該交差する方向に同じ位置又はそれよりも外側の位置となるように形成されていることを特徴とする特徴L7に記載の遊技機。
特徴L8によれば、解除手段の特定方向への変位により、被破壊面においてエッジが形成されている方向の両端から痕跡手段の破壊が行われる。これにより、痕跡手段において端側の部位が破壊されずに残り、阻害状態が解除されないといった不都合を回避することができる。
特徴L9.前記エッジの前記両端部のうち一端側を支点とした状態でそれよりも他端側を傾ける動作を単位動作として、支点となる側が交互に代わるように当該単位動作を繰り返しながら前記解除手段を前記特定方向に変位させることを可能とする単位動作用の構造を備えていることを特徴とする特徴L7又は特徴L8に記載の遊技機。
特徴L9によれば、単位動作を行うことにより、一方の端部が支点、他方の端部が力点、他方の端部側に設けられている傾斜部と痕跡手段との当接箇所が作用点として機能するため、当接箇所に対する押圧力が高められている。これにより、痕跡手段を容易に破壊することができる。
また、破壊部の両端部が特定方向の先側となっているため、単位動作毎に第1傾斜部による破壊と第2傾斜部による破壊とが交互に行われる。これにより、痕跡手段の破壊が伴わない単位動作が生じにくいため、単位動作によって生じ得る作業性の低下を抑制することができる。
特徴L10.前記痕跡手段が設置される設置箇所(貼付ベース293)には、前記破壊部を収容可能な収容領域を区画形成する壁部(表側貼付用板部301、裏側貼付用板部304、各対向板部901,902,906,907)が設けられており、
前記破壊部は、前記初期位置として前記収容領域内に、前記特定方向として前記収容領域の外側に向けて変位可能な状態で配置されており、
前記壁部の内壁面と前記破壊部とが当接又は所定の隙間を介して近接していることを特徴とする特徴L9に記載の遊技機。
特徴L10によれば、破壊部を収容領域の内側から外側に変位させることによって、痕跡手段の破壊が行われる。この場合、破壊部を外側に向けて引けばよいため、痕跡手段の阻害状態の解除を容易に行うことができる。
また、破壊部が収容領域に収容されていることにより、破壊部が保護された状態となり、破壊部を破壊する等の解除手段への不正行為を抑制し得るとともに、省スペース化を図ることができる。
かかる構成において、収容領域を区画形成する壁部と破壊部とが当接又は所定の隙間を介して近接しているため、壁部と破壊部との間から治具を挿入することが困難になっている。これにより、壁部と破壊部との間から治具を挿入する不正行為を抑制し得る。この場合、破壊部を特定方向に変位させる場合に、当該破壊部と壁部の内壁面とが干渉して当該変位が行いにくくなる。
これに対して、上記特徴L9の構成を適用することによって、上記干渉が生じる場合であっても痕跡手段を好適に破壊することができる。
特徴L11.前記痕跡手段の少なくとも一部と対向し当該痕跡手段を保護するように前記監視対象に対して取り付けられるカバー手段(カバー部材961)を備え、
前記解除手段は、前記カバー手段を前記監視対象から分離させる分離操作が行われた場合に、それに連動して前記特定方向に変位し、前記痕跡手段を破壊する位置に変位可能なように形成されており、
前記カバー手段は、
前記痕跡手段の設置箇所を収容可能な収容領域(内部空間962)を形成する壁部(壁部964,965等)と、
前記収容領域を開口させる開口部(開口部963)と、
を備え、前記監視対象に対して前記開口部側から取り付け方向に移動させることによって取り付けられるものであり、
前記壁部の内壁面と前記痕跡手段の設置箇所とが当接又は所定の隙間を介して近接していることを特徴とする特徴L9又は特徴L10に記載の遊技機。
特徴L11によれば、痕跡手段を収容領域に収容することにより、痕跡手段がカバー手段により保護される。これにより、痕跡手段へのアクセスが制限されるため、痕跡手段への不正行為を阻止又は躊躇させることができる。
また、カバー手段の分離操作に伴って解除手段が変位し、阻害状態が解除される。これにより、痕跡手段の阻害状態を解除する場合の作業性の低下を抑制し得る。
かかる構成において、収容領域を形成する壁部の内壁面と痕跡手段の設置箇所との間の隙間が小さく設定されているため、当該隙間から治具を挿入する等の不正行為を抑制することができる。この場合、カバー手段の分離操作を行う際に、壁部の内壁面と痕跡手段の設置箇所とが干渉して、当該分離操作が行いにくくなるという不都合が生じ得る。
これに対して、上記特徴L9の構成を適用することにより、上記不都合を回避することができる。
特徴L12.前記痕跡手段の設置箇所と前記壁部との隙間は、前記分離操作が行われるに従って徐々に大きくなるように設定されていることを特徴とする特徴L11に記載の遊技機。
特徴L12によれば、痕跡手段の設置箇所と壁部との間隔が分離操作を行うに従って徐々に大きくなるように設定されているため、カバー手段に連動する解除手段における破壊部の動作範囲が大きくなる。よって、特徴L10の効果を奏しつつ、解除手段による痕跡手段の破壊を好適に行うことができる。
特徴L13.前記破壊部の前記特定方向への変位を規定するガイド手段(規制用凸部921,922及び規制用開口部923,924)を備え、
前記ガイド手段は、前記解除手段が前記初期位置から前記痕跡手段の痕跡状態を解除する解除位置に変位するまでの間にて、前記単位動作の動作範囲が大きくなるように前記特定方向への変位の規定を解除又は段階的に緩めるものであることを特徴とする特徴L9乃至L12のいずれか1に記載の遊技機。
痕跡手段の破壊の作業性に鑑みれば、動作範囲は大きい方が好ましい。かといって、動作範囲を大きくすると、痕跡手段に対する破壊部の位置ずれが生じ、所望の箇所とは異なる箇所が破壊され、阻害状態が解除されないといった不都合が生じ得る。特に、特徴L8のように被破壊面の両端から破壊が行われるようにする構成した場合、上記位置ずれによって両端からの破壊が行われず、特徴L8に示すような効果が得られない場合が生じ得る。
これに対して、本特徴によれば、解除手段が初期位置寄りに配置されている状況においては解除手段の変位は特定方向に規定されているため、痕跡手段に対する破壊部の位置ずれが生じにくい。
一方、解除手段を特定方向に変位させるに従って上記特定方向への規定が解除又は段階的に緩められることにより、動作範囲が大きくなる。これにより、上記不都合を回避しつつ、痕跡手段の破壊に係る作業性の向上を図ることができる。
特徴L14.前記ガイド手段は、前記破壊部の前記特定方向への変位を許容しつつ、前記エッジの両端方向への変位と、前記特定方向及び前記両端方向の双方に対して直交する方向への変位と、を規制するものであり、
前記解除手段の特定方向への変位が行なわれるに従って、前記直交する方向の変位を規制しつつ、前記エッジの両端方向への変位可能な範囲が大きくなるように前記両端方向の変位の規制を解除又は段階的に緩めるものであることを特徴とする特徴L13に記載の遊技機。
特徴L14によれば、破壊部の両端方向への変位の規制が解除又は段階的に緩められることにより、両端方向における破壊部の変位可能範囲が大きくなる。これにより、単位動作における破壊部の動作範囲が大きくなるため、特徴L13の効果を得ることができる。
一方、特定方向及びエッジの両端部間の方向である両端方向双方に対して直交する方向への破壊部の変位は規制された状態が維持されるため、当該方向における破壊部の位置ずれは生じにくい。これにより、単位動作を通じた痕跡手段の破壊の好適化と破壊部の位置ずれの抑制との双方の効果の両立を図ることができる。
特徴L15.前記エッジには、前記第1傾斜部及び前記第2傾斜部の間に設けられ、傾斜向きが異なる一対の傾斜部によって前記特定方向に向けて凸となる凸部(鋸部954)が形成されており、
前記解除手段が前記特定方向に変位する場合に前記凸部が前記痕跡手段において予め定められた特定箇所に当接するように両者の相対位置が設定されていることを特徴とする特徴L7乃至L14のいずれか1に記載の遊技機。
特徴L15によれば、凸部の先端が特定箇所に対して当接するため、当接範囲が小さくなる。これにより、特定箇所に付与する押圧力が高められる。よって、特定箇所を好適に破壊することができる。
なお、凸部を形成する傾斜部の傾斜角度は第1傾斜部及び第2傾斜部よりも大きく設定されているとよい。これにより、特定箇所の破壊を容易に行うことができる。
また、例えば被破壊面に強度が相対的に高低となるように高強度箇所と低強度箇所とが形成されている場合において高強度箇所が「特定箇所」である構成としてもよく、例えば被破壊面にて他の箇所と比較して破壊された場合にその痕跡が確認し易い箇所がある場合においてその箇所が「特定箇所」である構成としてもよい。
特徴L16.前記痕跡手段は、
固有の識別情報を記憶した記憶部(ICチップ171)と、前記識別情報を含む電波を発信するアンテナ部(アンテナ部材172)と、を備えた電子タグ(ICタグ163)と、
一方の面に粘着層(粘着層162)を有するベースシート(ベースシート161)の粘着層側に前記電子タグが取り付けられているシール部材(封印シール160)と、
を備え、
前記シール部材は前記監視対象に設けられた貼付面(貼付領域294)に対して貼り付けられており、
前記貼付面に対応して設けられ、前記シール部材の被破壊面が前記破壊部のエッジと対峙する位置となるように前記シール部材の貼付位置をガイドする囲み部(囲み部950)を備え、
前記貼付面に前記シール部材が貼り付けられる場合に前記被破壊面が前記エッジと対峙する位置から外れない範囲内で、前記貼付面が前記シール部材の面積よりも広くなるように前記囲み部を形成し、
当該囲み部の範囲内で前記シール部材の貼付位置が変動する場合に前記特定箇所の位置が特定範囲内で変動する構成であり、
さらに、前記エッジにおいて前記凸部が形成された領域が前記特定範囲の領域の全体又は略全体と対峙するように当該凸部を前記エッジに沿って複数並設したことを特徴とする特徴L15に記載の遊技機。
特徴L16によれば、電子タグが設けられていることにより、遊技ホールの管理者等は電子タグから正規の識別情報を受信することができるか否かを確認することで、監視対象を好適に管理することができる。
ここで、囲み部によって、シール部材の被破壊面が破壊部のエッジと対峙する位置にシール部材が貼り付けられるようにシール部材の貼付位置がガイドされる。これにより、シール部材を貼り付ける場合の作業性の向上を図ることができる。
また、囲み部は、被破壊面とエッジとが対峙する範囲内で貼付面がシール部材の面積よりも広くなるように形成されているため、貼付面に対するシール部材の貼付位置にゆとりが生まれる。これにより、シール部材の貼付作業を容易に行うことができる。この場合、上記ゆとりによって、囲み部の範囲内でシール部材の貼付位置が変動し、特定箇所に対して凸部が当接しないという不都合が生じ得る。かといって、凸部の領域を大きくするために凸部を形成する傾斜部の傾斜角度を小さくすると、特定箇所と凸部との当接範囲が大きくなり、痕跡手段の破壊の容易性が低下する。
これに対して、本特徴によれば、凸部が形成された領域が上記特定箇所の位置の変動に対応した特定範囲の領域の全体又は略全体と対峙するように、エッジに沿って凸部が複数並設されているため、痕跡手段の破壊の容易性を確保しつつ、上記位置ずれに対応することができる。
特徴L17.前記解除手段は、前記特定方向に変位する場合に前記破壊部とは異なる箇所に当接して当該異なる箇所に外力が付与されたことの痕跡を残させる痕跡付与手段(破断部915,拡張部914)を備えていることを特徴とする特徴L1乃至L16のいずれか1に記載の遊技機。
特徴L17によれば、解除手段を特定方向に変位させると、破壊部による破壊箇所とは別に痕跡付与手段による痕跡が形成される。これにより、痕跡箇所が複数形成されることとなるため、痕跡手段の阻害状態が解除されたことを目視にて容易に確認することができる。
特徴L18.前記痕跡付与手段は、前記解除手段が前記特定方向に変位した場合に、前記エッジが前記被破壊面に対して当接するタイミングとは異なるタイミングで前記痕跡手段に対して当接するように、前記痕跡手段との位置関係が設定されていることを特徴とする特徴L17に記載の遊技機。
特徴L18によれば、破壊部による破壊の開始タイミングと痕跡付与手段による外力付与の開始タイミングとが異なっているため、破壊部による痕跡手段の破壊の開始に係る負荷と、痕跡付与手段による外力付与の開始に係る負荷とが分散されている。これにより、痕跡付与手段を設けたことによって生じ得る痕跡手段の破壊等に係る負荷の局所的な増大化を抑制し得る。
本特徴の具体的な構成としては、例えば「前記特定方向において前記痕跡付与手段から前記痕跡手段までの最短距離は、前記エッジから前記痕跡手段までの最短距離と異なるように設定されている」構成が考えられる。
特徴L19.前記痕跡付与手段は、前記解除手段が前記特定方向へ変位することにより前記破壊部による前記痕跡手段の破壊が行われた後に前記被破壊面に対して当接し、当該破壊部によって破壊された箇所を拡張する拡張部(拡張部914)であることを特徴とする特徴L18に記載の遊技機。
特徴L19によれば、破壊部によって痕跡手段の破壊が行われた後に、拡張部によって破壊部による破壊箇所が拡張される。これにより、破壊箇所の範囲が大きくなるため、痕跡手段の破壊が行われたことを容易に確認することができる。
特徴L20.前記痕跡手段は、一方の面に粘着層(粘着層162)が形成されたベースシート(ベースシート161)を有するシール部材(封印シール160)を備え、
前記シール部材は前記監視対象に設けられた貼付面(貼付領域294)に対して貼り付けられており、
前記破壊部は、前記シール部材の被破壊面において所定の境界を挟んだ第1領域及び第2領域が生じるように当該シール部材を切断することで前記阻害状態を解除するものであり、
前記拡張部は、前記境界が当該境界の延びる方向に対して交差する方向に拡張されるようにするものであることを特徴とする特徴L19に記載の遊技機。
特徴L20によれば、破壊部によってシール部材の被破壊面が切断されることにより阻害状態が解除される。この場合、破壊の痕跡として境界が形成される。これにより、境界が形成されているか否かを確認することで解除手段の変位が行われたか及び特定操作が行われたか否かを把握することができる。
かかる構成において、境界は拡張部によってその延びる方向と交差する方向に広がる。これにより、破壊箇所としての境界が目立つこととなり、当該境界を容易に確認することができる。よって、上記確認作業の作業性の向上を図ることができる。
特徴L21.前記拡張部は、前記特定方向への前記解除手段の変位に伴って、前記シール部材を前記境界から前記交差する方向であって当該境界に対して離れる向きに沿って徐々に当接するように形成されていることを特徴とする特徴L20に記載の遊技機。
特徴L21によれば、特定方向に解除手段が変位すると、境界が拡張部によって交差する方向に押し広げられる。この場合、拡張部とシール部材との当接範囲が狭くなっているため、シール部材に対して付与する押圧力が高められている。これにより、境界の拡張を容易に行うことができる。
特徴L22.前記拡張部は、前記破壊部において前記第1傾斜部及び前記第2傾斜部に対して前記特定方向の元側の部位に設けられていることを特徴とする特徴L19乃至L21のいずれか1に記載の遊技機。
特徴L22によれば、破壊部において特定方向の先側に第1傾斜部及び第2傾斜部が設けられており元側に拡張部が設けられており、両者の位置関係が規定された状態で特定方向への変位が行われる。これにより、解除手段を変位させることによって、自ずと第1傾斜部及び第2傾斜部による破壊が行われた後に拡張部による破壊箇所の拡張が行われる。よって、作業の煩雑さを回避することができる。
特徴L23.前記痕跡手段は、固有の識別情報を記憶した記憶部(ICチップ171)と、前記識別情報を含む電波を発信するアンテナ部(アンテナ部材172)と、を有する電子タグ(ICタグ163)を備えており、
前記拡張部は、前記アンテナ部の少なくとも一部に当接するものであることを特徴とする特徴L19乃至L22のいずれか1に記載の遊技機。
特徴L23によれば、電子タグが設けられていることにより、遊技ホールの管理者等は電子タグから正規の識別情報を受信することができるか否かを確認することで、監視対象を好適に管理することができる。
かかる構成において、アンテナ部の少なくとも一部が拡張部と当接し、当該当接によって破壊される。これにより、アンテナ部の長さ寸法が短くなるため、通信可能距離が短くなる又は通信が不可となる。よって、上記確認作業を行うことにより特定操作が行われたことを把握することができる。
特徴L24.前記痕跡手段は、
固有の識別情報を記憶した記憶部(ICチップ171)と、前記識別情報を含む電波を発信するアンテナ部(アンテナ部材172)と、を有する電子タグ(ICタグ163)と、
一方の面に粘着層(粘着層162)を有するベースシート(ベースシート161)の粘着層側に前記電子タグが取り付けられているシール部材(封印シール160)と、
を備え、
前記シール部材が前記監視対象に対して貼り付けられており、
前記アンテナ部には、破壊された場合に前記識別情報を含む電波の発信を不可とする不可状態発生部(スリット173)が設けられており、
前記解除手段が前記特定方向に変位する場合に、前記破壊部が前記不可状態発生部を破壊するように、当該破壊部と前記シール部材との位置関係が設定されており、
前記拡張部は、前記解除手段が前記特定方向に変位する場合に、前記破壊部によって破壊された破壊箇所を拡張するように、前記シール部材において前記不可状態発生部の周辺の部位に対して当接するものであることを特徴とする特徴L19乃至L23のいずれか1に記載の遊技機。
特徴L24によれば、電子タグが設けられていることにより、遊技ホールの管理者等は電子タグから正規の識別情報を受信することができるか否かを確認することで、監視対象を好適に管理することができる。
かかる構成において、解除手段が特定方向に変位すると、破壊部によって不可状態発生部が破壊され、電波の発信が不可となる。これにより、識別情報の読み取り作業を行えないことを把握することで解除手段の変位及び特定操作が行われたことを認識することができる。
また、破壊部による破壊箇所が拡張部によって拡張されることにより、破壊箇所が目立つようになる。これにより、目視においても解除手段の変位及び特定操作が行われたことを容易に確認することができる。
特徴L25.前記拡張部は、前記痕跡手段が設置される設置箇所(貼付ベース293)の内側であって当該設置箇所を基準として前記痕跡手段が設けられた側の反対側を前記初期位置として配置されており、
前記拡張部が前記特定方向として前記設置箇所の外側であって前記痕跡手段が設置された側に向けて変位可能となるように、前記痕跡手段の設置箇所において前記拡張部が変位する場合の当該変位の先側の部位には、前記拡張部が通過可能な開口部(拡張領域908)が形成されていることを特徴とする特徴L19乃至L24のいずれか1に記載の遊技機。
特徴L25によれば、拡張部が痕跡手段の内側に配置されていることにより、拡張部が痕跡手段の設置箇所により保護された状態となり、拡張部を破壊する等の不正行為を抑制することができる。これにより、拡張部を設けたことによって生じ得る不正行為を抑制し得る。
さらに、拡張部が痕跡手段の設置箇所の内側に配置されているため、拡張部が痕跡手段の設置箇所の外側に配置されている構成と比較して、全体としてコンパクトになる。これにより、省スペース化を図ることができる。
かかる構成において、解除手段の特定方向への移動が拡張部によって阻害されないように拡張部が通過可能な開口部が設けられている。これにより、拡張部と痕跡手段の設置箇所との干渉が回避されている。
特徴L26.前記破壊部は第1破壊部であり、
前記痕跡手段には、当該痕跡手段の外周面として所定方向を向く第1外周面(側面領域296)を規定する部位と、当該第1外周面とは異なる方向を向く第2外周面(表面領域295)を規定する部位と、が設けられており、
前記第1破壊部は、前記解除手段が前記特定方向に変位する場合に、前記第1外周面を規定する部位を破壊するものであり、
前記解除手段は、前記第1破壊部とは別に前記第2外周面を規定する部位を破壊する第2破壊部(破断部915)を備えていることを特徴とする特徴L1乃至L16のいずれか1に記載の遊技機。
特徴L26によれば、解除手段を特定方向に変位させると、第1破壊部による破壊箇所とは別に第2破壊部による破壊箇所が形成される。これらの破壊箇所は痕跡手段において相違する外周面上に形成される。これにより、痕跡箇所としての破壊箇所が見易いため、痕跡手段の阻害状態が解除されたことを目視で容易に確認することができる。
特徴L27.前記第2破壊部は、前記解除手段が前記特定方向に変位した場合に、前記エッジが前記被破壊面に対して当接するタイミングとは異なるタイミングで前記痕跡手段に対して当接するように、前記痕跡手段との位置関係が設定されていることを特徴とする特徴L26に記載の遊技機。
特徴L27によれば、第1破壊部による破壊の開始タイミングと第2破壊部による破壊の開始タイミングとが異なっているため、第1破壊部による痕跡手段の破壊の開始に係る負荷と、第2破壊部による痕跡手段の破壊の開始に係る負荷とが分散されている。これにより、第2破壊部を設けたことによって生じ得る痕跡手段の破壊に係る負荷の局所的な増大化を抑制し得る。
本特徴の具体的な構成としては、例えば「前記特定方向において前記第2破壊部から前記痕跡手段までの最短距離が、前記エッジから前記被破壊面までの最短距離と異なるように設定されている」構成が考えられる。
特徴L28.前記第1破壊部は、前記初期位置として、前記痕跡手段が設置された設置箇所(貼付ベース293)の内側に前記特定方向への変位が可能な状態で配置されており、
前記第2破壊部は、前記第1破壊部が前記初期位置に配置されている状況において、前記痕跡手段の設置箇所に設けられた開口部(破断部用開口部918)を介して前記痕跡手段の設置箇所の外側であって前記特定方向とは交差する方向に突出するように設けられており、
当該開口部は、前記第2破壊部が前記特定方向へ変位可能となるように前記特定方向に向けて延びるように形成されており、
前記第1外周面を規定する部位は、前記痕跡手段の設置箇所において前記第1破壊部の特定方向への変位の途中位置に設置されており、
前記第2外周面を規定する部位は、前記開口部を跨ぐように設置されることを特徴とする特徴L26又は特徴L27に記載の遊技機。
特徴L28によれば、第1破壊部が痕跡手段の内側に配置されていることにより、第1破壊部が痕跡手段の設置箇所により保護された状態となり、第1破壊部を破壊する等の解除手段への不正行為を抑制することができる。これにより、解除手段を設けたことによって生じ得る不正行為を抑制し得る。
かかる構成において、解除手段が特定方向に変位すると、第1外周面を規定する部位のうち第1破壊部に対して特定方向の先側に設置されている部位が破壊される。また、解除手段の変位に伴って第2破壊部も開口部に沿って特定方向へ変位する。この場合、第2外周面を規定する部位のうち開口部に跨っている部位が第2破壊部によって破壊される。これにより、第2外周面を規定する部位が破壊されることとなる。
なお、前記監視対象が搭載される搭載部を備え、前記監視対象は前記搭載部に対して搭載されるものである構成にあっては、前記第2破壊部は前記搭載部が設けられている側とは反対側に突出しているとよい。これにより、遊技ホールの管理者等にとっては第2破壊部が設けられている箇所を目視で確認し易いため、確認作業の作業性の向上を図ることができる。
特徴L29.前記開口部は第1開口部であり、
前記痕跡手段の設置箇所において前記第1破壊部が前記特定方向に変位する場合の当該変位の先側の部位には、前記第1破壊部が通過可能な第2開口部(境界909)が設けられており、
前記第1開口部と前記第2開口部とは連通しており、
前記第1外周面を規定する部位は前記第1開口部及び前記第2開口部の双方に跨って配置されていることを特徴とする特徴L28に記載の遊技機。
特徴L29によれば、第2破壊部が第1開口部に沿って特定方向に変位した場合、第2破壊部による破壊箇所と第1破壊部による破壊箇所とが連続する。これにより、第1破壊部による破壊箇所が拡張されることとなる。よって、破壊箇所が目立つこととなり、特定操作が行われた否かの目視による確認作業を好適に行うことができる。
特徴L30.前記第1破壊部は、前記特定方向に対して交差する方向に中間部を間において両端部が生じるように形成されており、
前記解除手段は、前記第1破壊部の両端部のうち一端側を支点とした状態でそれよりも他端側を傾ける動作を単位動作として、支点となる側が交互に代わるように当該単位動作を繰り返しながら前記解除手段を前記特定方向に変位させることを可能とする単位動作用の構造を備えており、
前記単位動作を可能とするように、前記開口部の周縁と前記第2破壊部との間には所定の隙間が形成されていることを特徴とする特徴L28又は特徴L29に記載の遊技機。
特徴L30によれば、単位動作を行うことにより、一方の端部が支点、他方の端部が力点、他方の端部側に設けられている傾斜部と痕跡手段との当接箇所が作用点として機能するため、当接箇所に対する押圧力が高められている。これにより、痕跡手段を容易に破壊することができる。
ここで、開口部と第2破壊部との間には所定の隙間が生じているため、単位動作が行われた場合に第2破壊部と開口部の周縁とが干渉しにくい。これにより、単位動作が第2破壊部によって阻害される不都合を回避することができる。
特徴L31.前記特定操作を制限するように前記監視対象に対して取り付けられ、その制限状態を解除させる場合には予め定められた解除操作を要する特定制限手段(カバー部材961)を備え、
前記解除手段と前記特定制限手段とは別体で設けられており、
前記第2破壊部が前記特定制限手段に設けられた受け部(係合用凹部971)に対して係合することによって両者が連結されており、
前記解除手段は、前記特定制限手段に対して前記解除操作が行われた場合に、それに連動して前記特定方向に変位し、前記痕跡手段を破壊する構成であることを特徴とする特徴L26乃至L30のいずれか1に記載の遊技機。
特徴L31によれば、解除操作が行われることによって阻害状態が解除されるため、メンテナンス時などにおいて正規の特定操作を行う場合の作業性が低下するのを抑制することができる。
また、特定制限手段による解除操作が行われた場合には、痕跡手段が破壊され、解除操作が行われた痕跡が形成されることとなる。これにより、不正行為者が不正な特定操作を行う前段階として不正な解除操作を行った場合には、不正行為者にとって意図しない痕跡が形成されることとなる。よって、不正な解除操作及び不正な特定操作を抑制することができるとともに、仮に当該不正行為が行われた場合には、当該事実を容易に確認することができる。
かかる構成において、解除手段及び特定制限手段は、第2破壊部と特定制限手段に設けられた受け部との係合を介して連結されている。これにより、第2破壊部の多機能化を図ることができる。
特徴L32.前記特定制限手段は、
前記痕跡手段の設置箇所を収容可能な収容領域(内部空間962)を形成する壁部(壁部964,965等)と、
前記収容領域を開口させる開口部(開口部963)と、
を備え、前記監視対象に対して前記開口部側から取り付け方向に移動させることによって取り付けられるものであり、
前記受け部は、前記開口部を基準として前記収容領域の奥側の部位に形成されていることを特徴とする特徴L31に記載の遊技機。
特徴L32によれば、受け部が開口部を基準として収容領域の奥側に形成されている。これにより、第2破壊部と受け部との係合箇所が開口部を基準として奥側に配置されることとなる。これにより、開口部から不正な治具を挿入し、係合を解除する不正行為を抑制し得る。
特徴L33.前記痕跡手段の少なくとも一部と対向し当該痕跡手段を保護するように前記監視対象に対して取り付けられるカバー手段(カバー部材961)を備え、
前記解除手段と前記カバー手段とは別体で設けられており、
前記第2破壊部が前記カバー手段に設けられた受け部(係合用凹部971)に対して係合することによって両者が連結されており、
前記解除手段は、前記カバー手段を前記監視対象から分離させる分離操作が行われた場合に、それに連動して前記特定方向に変位し、前記痕跡手段を破壊する構成であることを特徴とする特徴L26乃至L30のいずれか1に記載の遊技機。
特徴L33によれば、痕跡手段がカバー手段によって保護されている。これにより、痕跡手段へのアクセスが制限されるため、痕跡手段への不正行為を阻止又は躊躇させることが可能となる。この場合、痕跡手段を破壊するために解除手段を変位させる際に、カバー手段が邪魔になる場合がある。この場合、先にカバー手段に対して分離操作を行い、その後解除手段を変位させる必要があり、痕跡手段の阻害状態を解除する場合の作業性の低下が懸念される。
これに対して、本特徴によれば、カバー手段の分離操作に伴って解除手段が変位し、阻害状態が解除される、これにより、痕跡手段の阻害状態を解除する場合の作業性の低下を抑制し得る。また、痕跡手段に対して不正にアクセスするためにカバー手段を不正に分離させた場合には、意図しない痕跡が形成されることとなる。これにより、痕跡手段に対する不正なアクセスを抑制し得る。
ここで、解除手段及びカバー手段は、第2破壊部とカバー手段に設けられた受け部との係合を介して連結されている。これにより、第2破壊部の多機能化を図ることができる。
なお、本特徴に特徴L32に記載の構成を適用してもよい。この場合、「特定制限手段」を「カバー手段」に、「解除操作」を「分離操作」に置き換える。
また、上記特徴L1乃至L33のいずれか1の構成に対して、上記特徴A1乃至A15、上記特徴B1乃至B21、上記特徴C1乃至C18、上記特徴D1乃至D15、上記特徴E1、上記特徴F1、上記特徴G1乃至G2、上記特徴H1乃至H7、上記特徴I1乃至I43、上記特徴J1、上記特徴K1のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。この場合、各構成に起因する相乗的な効果を奏し得る。
特徴M1.予め定められた監視対象に対して、前記監視対象の一部の分離操作又は前記監視対象の設置箇所からの移動操作のいずれかである特定操作を阻害するように設けられ、当該阻害状態が解除された場合には、前記特定操作が行われたことの痕跡を残す痕跡状態となる痕跡手段(封印シール160)と、
予め定められた初期位置から予め定められた特定方向に向けて変位することにより前記痕跡手段を破壊し、前記阻害状態を解除する解除手段(破壊用部材910)と、
を備え、
前記解除手段は、
前記特定方向に変位することにより前記痕跡手段と当接し、前記阻害状態を解除する破壊を前記痕跡手段に対して生じさせる破壊部(破壊ベース部911)と、
前記破壊部とは別に設けられ、前記特定方向へ変位することにより前記破壊部とは異なる箇所に当接して当該異なる箇所に外力が付与されたことの痕跡を残させる痕跡付与手段(破断部915,拡張部914)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴M1によれば、特定操作を阻害するように痕跡手段が設けられており、特定操作が行われる場合には、痕跡手段の阻害状態が解除される。この場合、痕跡手段によって特定操作が行われたことの痕跡が残るため、当該特定操作が行われたことを特定することができる。これにより、特定操作が行われた場合には、その事実を容易に把握することができる。
また、破壊部を有する解除手段が設けられていることにより、痕跡手段の阻害状態の解除を容易に行うことができる。これにより、検査等のために特定操作を行う場合に当該特定操作を好適に行うことができる。
かかる構成において、痕跡付与手段が設けられているため、痕跡手段において破壊部による破壊箇所とは別に痕跡付与手段による痕跡が形成される。これにより、痕跡箇所が複数形成されることとなるため、痕跡手段の阻害状態が解除されたことを目視にて容易に確認することができる。よって、痕跡手段の機能を好適に発揮させることが可能となる。
特徴M2.前記痕跡付与手段は、前記解除手段が前記特定方向に変位した場合に、前記破壊部が前記痕跡手段に対して当接するタイミングとは異なるタイミングで前記痕跡手段に対して当接するように、前記痕跡手段との位置関係が設定されていることを特徴とする特徴M1に記載の遊技機。
特徴M2によれば、破壊部による破壊の開始タイミングと痕跡付与手段による外力付与の開始タイミングとが異なっているため、破壊部による痕跡手段の破壊の開始に係る負荷と、痕跡付与手段による外力付与の開始に係る負荷とが分散されている。これにより、痕跡付与手段を設けたことによって生じ得る痕跡手段の破壊等に係る負荷の局所的な増大化を抑制し得る。
本特徴の具体的な構成としては、例えば「前記特定方向において前記痕跡付与手段から前記痕跡手段までの最短距離は、前記破壊部から前記痕跡手段までの最短距離と異なるように設定されている」構成が考えられる。
特徴M3.前記痕跡付与手段は、前記解除手段が前記特定方向へ変位することにより前記破壊部による前記痕跡手段の破壊が行われた後に前記痕跡手段に対して当接し、当該破壊部によって破壊された箇所を拡張する拡張部(拡張部914)であることを特徴とする特徴M2に記載の遊技機。
特徴M3によれば、破壊部によって痕跡手段の破壊が行われた後に、拡張部によって破壊部による破壊箇所が拡張される。これにより、破壊箇所の範囲が大きくなるため、痕跡手段の破壊が行われたことを容易に確認することができる。
特徴M4.前記痕跡手段は、一方の面に粘着層(粘着層162)が形成されたベースシート(ベースシート161)を有するシール部材(封印シール160)を備え、
前記シール部材は前記監視対象に設けられた貼付面(貼付領域294)に対して貼り付けられており、
前記破壊部は、前記シール部材において所定の境界を挟んだ第1領域及び第2領域が生じるように当該シール部材を切断することで前記阻害状態を解除するものであり、
前記拡張部は、前記境界が当該境界の延びる方向に対して交差する方向に拡張されるようにするものであることを特徴とする特徴M3に記載の遊技機。
特徴M4によれば、破壊部によってシール部材が切断されることにより阻害状態が解除される。この場合、破壊の痕跡として境界が形成される。これにより、境界が形成されているか否かを確認することで解除手段の変位が行われたか及び特定操作が行われたか否かを把握することができる。
かかる構成において、境界は拡張部によってその延びる方向と交差する方向に広げられる。これにより、破壊箇所としての境界が目立つこととなり、当該境界を容易に確認することができる。よって、上記確認作業の作業性の向上を図ることができる。
特徴M5.前記拡張部は、前記特定方向への前記解除手段の変位に伴って、前記シール部材を前記境界から前記交差する方向であって当該境界に対して離れる向きに沿って徐々に当接するように形成されていることを特徴とする特徴M4に記載の遊技機。
特徴M5によれば、特定方向に解除手段が変位すると、境界が拡張部によって交差する方向に押し広げられる。この場合、拡張部とシール部材との当接範囲が狭くなっているため、シール部材に対して付与する押圧力が高められている。これにより、境界の拡張を容易に行うことができる。
特徴M6.前記拡張部は、前記破壊部において前記特定方向への変位の元側から前記痕跡手段に対して当接することで前記痕跡手段を破壊するエッジに対して前記特定方向の元側の部位に設けられていることを特徴とする特徴M3乃至M5のいずれか1に記載の遊技機。
特徴M6によれば、破壊部において特定方向の先側にエッジが設けられており元側に拡張部が設けられており、両者の位置関係が規定された状態で特定方向への変位が行われる。これにより、解除手段を変位させることによって、自ずとエッジによる破壊が行われた後に拡張部による破壊箇所の拡張が行われる。よって、作業の煩雑さを回避することができる。
特徴M7.前記痕跡手段は、固有の識別情報を記憶した記憶部(ICチップ171)と、前記識別情報を含む電波を発信するアンテナ部(アンテナ部材172)と、を有する電子タグ(ICタグ163)を備えており、
前記拡張部は、前記アンテナ部の少なくとも一部に当接するものであることを特徴とする特徴M3乃至M6のいずれか1に記載の遊技機。
特徴M7によれば、電子タグが設けられていることにより、遊技ホールの管理者等は電子タグから正規の識別情報を受信することができるか否かを確認することで、監視対象を好適に管理することができる。
かかる構成において、アンテナ部の少なくとも一部が拡張部と当接し、当該当接によって破壊される。これにより、アンテナ部の長さ寸法が短くなるため、通信可能距離が短くなる又は通信が不可となる。よって、上記確認作業を行うことにより特定操作が行われたことを把握することができる。
特徴M8.前記痕跡手段は、
固有の識別情報を記憶した記憶部(ICチップ171)と、前記識別情報を含む電波を発信するアンテナ部(アンテナ部材172)と、を有する電子タグ(ICタグ163)と、
一方の面に粘着層(粘着層162)を有するベースシート(ベースシート161)の粘着層側に前記電子タグが取り付けられているシール部材(封印シール160)と、
を備え、
前記シール部材が前記監視対象に対して貼り付けられており、
前記アンテナ部には、破壊された場合に前記識別情報を含む電波の発信を不可とする不可状態発生部(スリット173)が設けられており、
前記解除手段が前記特定方向に変位する場合に、前記破壊部が前記不可状態発生部を破壊するように、当該破壊部と前記シール部材との位置関係が設定されており、
前記拡張部は、前記解除手段が前記特定方向に変位する場合に、前記破壊部によって破壊された破壊箇所を拡張するように、前記シール部材において前記不可状態発生部の周辺の部位に対して当接するものであることを特徴とする特徴M3乃至M7のいずれか1に記載の遊技機。
特徴M8によれば、電子タグが設けられていることにより、遊技ホールの管理者等は電子タグから正規の識別情報を受信することができるか否かを確認することで、監視対象を好適に管理することができる。
かかる構成において、解除手段が特定方向に変位すると、破壊部によって不可状態発生部が破壊され、電波の発信が不可となる。これにより、識別情報の読み取り作業を行えないことを把握することで解除手段の変位及び特定操作が行われたことを認識することができる。
また、破壊部による破壊箇所が拡張部によって拡張されることにより、破壊箇所が目立つようになる。これにより、目視においても解除手段の変位及び特定操作が行われたことを容易に確認することができる。
特徴M9.前記拡張部は、前記痕跡手段が設置される設置箇所(貼付ベース293)の内側であって当該設置箇所を基準として前記痕跡手段が設けられた側の反対側を前記初期位置として配置されており、
前記拡張部が前記特定方向として前記設置箇所の外側であって前記痕跡手段が設置された側に向けて変位可能となるように、前記痕跡手段の設置箇所において前記拡張部が変位する場合の当該変位の先側の部位には、前記拡張部が通過可能な開口部(拡張領域908)が形成されていることを特徴とする特徴M3乃至M8のいずれか1に記載の遊技機。
特徴M9によれば、拡張部が痕跡手段の内側に配置されていることにより、拡張部が痕跡手段の設置箇所により保護された状態となり、拡張部を破壊する等の不正行為を抑制することができる。これにより、拡張部を設けたことによって生じ得る不正行為を抑制し得る。
さらに、拡張部が痕跡手段の設置箇所の内側に配置されているため、拡張部が痕跡手段の設置箇所の外側に配置されている構成と比較して、全体としてコンパクトになる。これにより、省スペース化を図ることができる。
かかる構成において、解除手段の特定方向への移動が拡張部によって阻害されないように拡張部が通過可能な開口部が設けられている。これにより、拡張部と痕跡手段の設置箇所との干渉が回避されている。
特徴M群は以下の課題に対して効果的である。
パチンコ遊技機やスロットマシン等の遊技機は、遊技制御処理を実行するCPU、遊技制御プログラムが記憶されたROM、遊技の進行により発生する各種データを一時的に記憶するRAM等の各種電子部品が実装された制御基板を備えている。そして、ROMに記憶された制御プログラムに従って、CPUにより遊技機に搭載されている各種遊技機器が制御され、一連の遊技が実行される。
この種の遊技機では、制御基板を正規のものとは異なる不正な制御基板に変更したり、ROM(ROMがCPUと共に1チップ化されている場合には当該チップ)を不正なものに交換したりする等の不正行為の発生が数多く報告されている。
このような不正行為に対処すべく、例えば、基板ボックスに封印構造(いわゆる、カシメ構造)を設けて基板ボックスの開封時には破壊等による開封履歴を残すようにする、又は基板ボックスを構成する複数のケース体を跨ぐように再貼付不可能であり且つ剥がすと痕跡が残る有脆弱性の封印シールを貼り付ける等の不正対策が採用されている。これらの不正対策は、基板ボックスが開封された事実や制御基板が交換された事実を目視確認する場合にその確認作業を補助するものであり、またこのような不正対策の存在により不正行為を躊躇させる効果がある。
また、上記のように目視確認を補助する不正対策以外の新たな不正対策として、例えば、制御基板又は当該制御基板を収容する基板ボックスに、固有ID等の識別情報が記憶されたICチップ部及びアンテナ部を含む電子タグを取り付けた構成が開示されている。
電子タグを取り付けておけば、遊技ホールの管理者などがリーダ装置により識別情報の読取作業を行うことで、制御基板の不正な交換等の発生有無が確認される。このような電子タグを用いた不正対策では、リーダ装置による読み取り結果により不正発見をすることができることから、封印箇所の目視確認に比べて不正発見のための労力は少ないし、不正の見落としも少なくなることが期待される。
上記不正発見のための具体的な構成としては、例えば、基板ボックスの内部空間の開放に際してアンテナ部が切断されるように電子タグを取り付ける構成が考えられる。アンテナ部は動作周波数に応じた最適なものとなるように形成されているため、基板ボックスの内部空間を不正に開放したことに伴ってアンテナ部が切断された場合には、アンテナ部が適切に機能しなくなり識別情報の読取作業が行えなくなることで、当該不正開放が発見し易くなることが期待される。
しかしながら、上記のような目視確認を補助する不正対策や、電子タグを利用した不正対策が適用されていたとしても、前者については基板ボックスの不正開放に際して目視確認を補助するための構成が破壊等されないと、不正発見作業を好適に行うことができない。また、後者についても、基板ボックスの不正開放に際して電子タグからの識別情報の読み取りを良好に行えない状態とならないと、不正発見作業を好適に行うことができない。
なお、上記特徴M群の構成に対して、上記特徴L1乃至L16、L26乃至L33のいずれか1に限定した構成を適用してもよい。
さらに、上記特徴M群の構成に対して、上記特徴A1乃至A15、上記特徴B1乃至B21、上記特徴C1乃至C18、上記特徴D1乃至D15、上記特徴E1、上記特徴F1、上記特徴G1乃至G2、上記特徴H1乃至H7、上記特徴I1乃至I43、上記特徴J1、上記特徴K1のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。この場合、各構成に起因する相乗的な効果を奏し得る。
特徴N1.予め定められた監視対象に対して、前記監視対象の一部の分離操作又は前記監視対象の設置箇所からの移動操作のいずれかである特定操作を阻害するように設けられ、当該阻害状態が解除された場合には、前記特定操作が行われたことの痕跡を残す痕跡状態となる痕跡手段(封印シール160)と、
予め定められた初期位置から予め定められた特定方向に向けて変位することにより前記痕跡手段を破壊し、前記阻害状態を解除する解除手段(破壊用部材910)と、
を備え、
前記痕跡手段には、当該痕跡手段の外周面として所定方向を向く第1外周面(側面領域296)を規定する部位と、当該第1外周面とは異なる方向を向く第2外周面(表面領域295)を規定する部位と、が設けられており、
前記解除手段は、
前記特定方向に変位することにより前記第1外周面を規定する部位を破壊する第1破壊部(破壊ベース部911)と、
前記第1破壊部とは別に設けられ、前記特定方向へ変位することにより前記第2外周面を規定する部位を破壊する第2破壊部(破断部915)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴N1によれば、特定操作を阻害するように痕跡手段が設けられており、特定操作が行われる場合には、痕跡手段の阻害状態が解除される。この場合、痕跡手段によって特定操作が行われたことの痕跡が残るため、当該特定操作が行われたことを特定することができる。これにより、特定操作が行われた場合には、その事実を容易に把握することができる。よって、痕跡手段の機能を好適に発揮させることが可能となる。
また、第1破壊部を有する解除手段が設けられていることにより、痕跡手段の阻害状態の解除を容易に行うことができる。これにより、検査等のために特定操作を行う場合に当該特定操作を好適に行うことができる。
かかる構成において、解除手段を特定方向に変位させると、第1破壊部による破壊箇所とは別に第2破壊部による破壊箇所が形成される。これらの破壊箇所は痕跡手段において相違する外周面上に形成される。これにより、痕跡箇所としての破壊箇所が見易いため、痕跡手段の阻害状態が解除されたことを目視で容易に確認することができる。
特徴N2.前記解除手段が前記特定方向に変位した場合に、前記第1破壊部による破壊の開始タイミングとは異なるタイミングで前記第2破壊部による破壊が開始されるように、前記第2破壊部と前記痕跡手段との位置関係が設定されていることを特徴とする特徴N1に記載の遊技機。
特徴N2によれば、第1破壊部による破壊の開始タイミングと第2破壊部による破壊の開始タイミングとが異なっているため、第1破壊部による痕跡手段の破壊の開始に係る負荷と、第2破壊部による痕跡手段の破壊の開始に係る負荷とが分散されている。これにより、第2破壊部を設けたことによって生じ得る痕跡手段の破壊に係る負荷の局所的な増大化を抑制し得る。
本特徴の具体的な構成としては、例えば「前記特定方向において前記第2破壊部から前記痕跡手段までの最短距離が、前記第1破壊部から前記痕跡手段までの最短距離と異なるように設定されている」構成が考えられる。
特徴N3.前記第1破壊部は、前記初期位置として、前記痕跡手段が設置された設置箇所(貼付ベース293)の内側に前記特定方向への変位が可能な状態で配置されており、
前記第2破壊部は、前記第1破壊部が前記初期位置に配置されている状況において、前記痕跡手段の設置箇所に設けられた開口部(破断部用開口部918)を介して前記痕跡手段の設置箇所の外側であって前記特定方向とは交差する方向に突出するように設けられており、
当該開口部は、前記第2破壊部が前記特定方向へ変位可能となるように前記特定方向に向けて延びるように形成されており、
前記第1外周面を規定する部位は、前記痕跡手段の設置箇所において前記第1破壊部の特定方向への変位の途中位置に設置されており、
前記第2外周面を規定する部位は、前記開口部を跨ぐように設置されることを特徴とする特徴N1又は特徴N2に記載の遊技機。
特徴N3によれば、第1破壊部が痕跡手段の内側に配置されていることにより、第1破壊部が痕跡手段の設置箇所により保護された状態となり、第1破壊部を破壊する等の解除手段への不正行為を抑制することができる。これにより、解除手段を設けたことによって生じ得る不正行為を抑制し得る。
かかる構成において、解除手段が特定方向に変位すると、第1破壊部が第1外周面を規定する部位のうち第1破壊部に対して特定方向の先側に設置されている部位と当接し、当該箇所が破壊される。また、解除手段の変位に伴って第2破壊部も開口部に沿って特定方向へ変位する。この場合、第2外周面を規定する部位のうち開口部に跨っている部位が第2破壊部によって破壊される。これにより、第2外周面を規定する部位が破壊されることとなる。
なお、前記監視対象が搭載される搭載部を備え、前記監視対象は前記搭載部に対して搭載されるものである構成にあっては、前記第2破壊部は前記搭載部が設けられている側とは反対側に突出しているとよい。これにより、遊技ホールの管理者等にとっては第2破壊部が設けられている箇所を目視で確認し易いため、確認作業の作業性の向上を図ることができる。
特徴N4.前記開口部は第1開口部であり、
前記痕跡手段の設置箇所において前記第1破壊部が前記特定方向に変位する場合の当該変位の先側の部位には、前記第1破壊部が通過可能な第2開口部(境界909)が設けられており、
前記第1開口部と前記第2開口部とは連通しており、
前記第1外周面を規定する部位は前記第1開口部及び前記第2開口部の双方に跨って配置されていることを特徴とする特徴N3に記載の遊技機。
特徴N4によれば、第2破壊部が第1開口部に沿って特定方向に変位した場合、第2破壊部による破壊箇所と第1破壊部による破壊箇所とが連続する。これにより、第1破壊部による破壊箇所が拡張されることとなる。よって、破壊箇所が目立つこととなり、特定操作が行われた否かの目視による確認作業を好適に行うことができる。
特徴N5.前記第1破壊部は、前記特定方向に対して交差する方向に中間部を間において両端部が生じるように形成されており、
前記解除手段は、前記第1破壊部の両端部のうち一端側を支点とした状態でそれよりも他端側を傾ける動作を単位動作として、支点となる側が交互に代わるように当該単位動作を繰り返しながら前記解除手段を前記特定方向に変位させることを可能とする単位動作用の構造を備えており、
前記単位動作を可能とするように、前記開口部の周縁と前記第2破壊部との間には所定の隙間が形成されていることを特徴とする特徴N3又は特徴N4に記載の遊技機。
特徴N5によれば、単位動作を行うことにより、一方の端部が支点、他方の端部が力点、他方の端部側の部位と痕跡手段との当接箇所が作用点として機能するため、当接箇所に対する押圧力が高められている。これにより、痕跡手段を容易に破壊することができる。
ここで、開口部と第2破壊部との間には所定の隙間が生じているため、単位動作が行われた場合に第2破壊部と開口部の周縁とが干渉しにくい。これにより、単位動作が第2破壊部によって阻害される不都合を回避することができる。
特徴N6.前記特定操作を制限するように前記監視対象に対して取り付けられ、その制限状態を解除させる場合には予め定められた解除操作を要する特定制限手段(カバー部材961)を備え、
前記解除手段と前記特定制限手段とは別体で設けられており、
前記第2破壊部が前記特定制限手段に設けられた受け部(係合用凹部971)に対して係合することによって両者が連結されており、
前記解除手段は、前記特定制限手段に対して前記解除操作が行われた場合に、それに連動して前記特定方向に変位し、前記痕跡手段を破壊する構成であることを特徴とする特徴N1乃至N5のいずれか1に記載の遊技機。
特徴N6によれば、解除操作が行われることによって阻害状態が解除されるため、メンテナンス時などにおいて正規の特定操作を行う場合の作業性が低下するのを抑制することができる。
また、特定制限手段による解除操作が行われた場合には、痕跡手段が破壊され、解除操作が行われた痕跡が形成されることとなる。これにより、不正行為者が不正な特定操作を行う前段階として不正な解除操作を行った場合には、不正行為者にとって意図しない痕跡が形成されることとなる。よって、不正な解除操作及び不正な特定操作を抑制することができるとともに、仮に当該不正行為が行われた場合には、当該事実を容易に確認することができる。
かかる構成において、解除手段及び特定制限手段は、第2破壊部と特定制限手段に設けられた受け部との係合を介して連結されている。これにより、第2破壊部の多機能化を図ることができる。
特徴N7.前記特定制限手段は、
前記痕跡手段の設置箇所を収容可能な収容領域(内部空間962)を形成する壁部(壁部964,965等)と、
前記収容領域を開口させる開口部(開口部963)と、
を備え、前記監視対象に対して前記開口部側から取り付け方向に移動させることによって取り付けられるものであり、
前記受け部は、前記開口部を基準として前記収容領域の奥側の部位に形成されていることを特徴とする特徴N6に記載の遊技機。
特徴N7によれば、受け部が開口部を基準として収容領域の奥側に形成されている。これにより、第2破壊部と受け部との係合箇所が開口部を基準として奥側に配置されることとなる。これにより、開口部から不正な治具を挿入し、係合を解除する不正行為を抑制し得る。
特徴N8.前記痕跡手段の少なくとも一部と対向し当該痕跡手段を保護するように前記監視対象に対して取り付けられるカバー手段(カバー部材961)を備え、
前記解除手段と前記カバー手段とは別体で設けられており、
前記第2破壊部が前記カバー手段に設けられた受け部(係合用凹部971)に対して係合することによって両者が連結されており、
前記解除手段は、前記カバー手段を前記監視対象から分離させる分離操作が行われた場合に、それに連動して前記特定方向に変位し、前記痕跡手段を破壊する構成であることを特徴とする特徴N1乃至N5のいずれか1に記載の遊技機。
特徴N8によれば、痕跡手段がカバー手段によって保護されている。これにより、痕跡手段へのアクセスが制限されるため、痕跡手段への不正行為を阻止又は躊躇させることが可能となる。この場合、痕跡手段を破壊するために解除手段を変位させる際に、カバー手段が邪魔になる場合がある。この場合、先にカバー手段に対して分離操作を行い、その後解除手段を変位させる必要があり、痕跡手段の阻害状態を解除する場合の作業性の低下が懸念される。
これに対して、本特徴によれば、カバー手段の分離操作に伴って解除手段が変位し、阻害状態が解除される、これにより、痕跡手段の阻害状態を解除する場合の作業性の低下を抑制し得る。また、痕跡手段に対して不正にアクセスするためにカバー手段を不正に分離させた場合には、意図しない痕跡が形成されることとなる。これにより、痕跡手段に対する不正なアクセスを抑制し得る。
ここで、解除手段及びカバー手段は、第2破壊部とカバー手段に設けられた受け部との係合を介して連結されている。これにより、第2破壊部の多機能化を図ることができる。
なお、本特徴に特徴N7に記載の構成を適用してもよい。この場合、「特定制限手段」を「カバー手段」に、「解除操作」を「分離操作」に置き換える。
特徴N群は以下の課題に対して効果的である。
パチンコ遊技機やスロットマシン等の遊技機は、遊技制御処理を実行するCPU、遊技制御プログラムが記憶されたROM、遊技の進行により発生する各種データを一時的に記憶するRAM等の各種電子部品が実装された制御基板を備えている。そして、ROMに記憶された制御プログラムに従って、CPUにより遊技機に搭載されている各種遊技機器が制御され、一連の遊技が実行される。
この種の遊技機では、制御基板を正規のものとは異なる不正な制御基板に変更したり、ROM(ROMがCPUと共に1チップ化されている場合には当該チップ)を不正なものに交換したりする等の不正行為の発生が数多く報告されている。
このような不正行為に対処すべく、例えば、基板ボックスに封印構造(いわゆる、カシメ構造)を設けて基板ボックスの開封時には破壊等による開封履歴を残すようにする、又は基板ボックスを構成する複数のケース体を跨ぐように再貼付不可能であり且つ剥がすと痕跡が残る有脆弱性の封印シールを貼り付ける等の不正対策が採用されている。これらの不正対策は、基板ボックスが開封された事実や制御基板が交換された事実を目視確認する場合にその確認作業を補助するものであり、またこのような不正対策の存在により不正行為を躊躇させる効果がある。
また、上記のように目視確認を補助する不正対策以外の新たな不正対策として、例えば、制御基板又は当該制御基板を収容する基板ボックスに、固有ID等の識別情報が記憶されたICチップ部及びアンテナ部を含む電子タグを取り付けた構成が開示されている。
電子タグを取り付けておけば、遊技ホールの管理者などがリーダ装置により識別情報の読取作業を行うことで、制御基板の不正な交換等の発生有無が確認される。このような電子タグを用いた不正対策では、リーダ装置による読み取り結果により不正発見をすることができることから、封印箇所の目視確認に比べて不正発見のための労力は少ないし、不正の見落としも少なくなることが期待される。
上記不正発見のための具体的な構成としては、例えば、基板ボックスの内部空間の開放に際してアンテナ部が切断されるように電子タグを取り付ける構成が考えられる。アンテナ部は動作周波数に応じた最適なものとなるように形成されているため、基板ボックスの内部空間を不正に開放したことに伴ってアンテナ部が切断された場合には、アンテナ部が適切に機能しなくなり識別情報の読取作業が行えなくなることで、当該不正開放が発見し易くなることが期待される。
しかしながら、上記のような目視確認を補助する不正対策や、電子タグを利用した不正対策が適用されていたとしても、前者については基板ボックスの不正開放に際して目視確認を補助するための構成が破壊等されないと、不正発見作業を好適に行うことができない。また、後者についても、基板ボックスの不正開放に際して電子タグからの識別情報の読み取りを良好に行えない状態とならないと、不正発見作業を好適に行うことができない。
上記特徴N群の構成に対して、上記特徴L1乃至L25のいずれか1に限定した構成を適用してもよい。また、上記特徴N群の構成に対して、上記特徴A1乃至A15、上記特徴B1乃至B21、上記特徴C1乃至C18、上記特徴D1乃至D15、上記特徴E1、上記特徴F1、上記特徴G1乃至G2、上記特徴H1乃至H7、上記特徴I1乃至I43、上記特徴J1、上記特徴K1のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。この場合、各構成に起因する相乗的な効果を奏し得る。
以下に、以上の各特徴を適用し得る各種遊技機の基本構成を示す。
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路と、遊技領域内に配置された各遊技部品とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
スロットマシン等の回胴式遊技機:複数の絵柄を可変表示させる絵柄表示装置を備え、始動操作手段の操作に起因して前記複数の絵柄の可変表示が開始され、停止操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより前記複数の絵柄の可変表示が停止され、その停止後の絵柄に応じて遊技者に特典を付与する遊技機。
10…パチンコ機、92…監視対象としての主制御装置、93…事前操作用手段を構成するカバー部材、101…主制御基板、102…基板ボックス、111…表側構成体、112…裏側構成体、131…表側固定ベース部、132…裏側固定ベース部、136…境界、142…凹み領域、144…突出壁部、145…第1ライン、146…一対のライン部を構成する第2ライン、147…第3ライン、148…一対のライン部を構成する第4ライン、153…破断ネジ、155…事前操作用手段を構成する引っ掛け部、160…封印シール、161…ベースシート、163…ICタグ、171…記憶部又は制御部を構成するICチップ、172…アンテナ部材、173…不可状態発生部としてのスリット、176…易切断部としてのアンテナ用切り込み、192…取付部を構成する爪部、193…取付部を構成する受け部、194…第1離間壁部、195…第2離間壁部、242…規制壁部としての壁部、281…主制御装置、282…基板ボックス、283…表側構成体、284…裏側構成体、293…貼付ベース、311…事前操作用手段を構成する破壊用部材、331…事前操作用手段を構成するカバー部材、351,352…保護壁部、361…基板ボックス、363…表側構成体、365…裏側構成体、371…事前操作用手段を構成するカバー部材、385…破壊用凸部、501…破壊用部材、511…カバー部材、601…破壊用部材、611…カバー部材、631…係合部材、701…軸部、702…軸受け孔、711…カバー部材、801…破壊用部材、804…第2アーム部、811…軸部、812…受け部、821…カバー部材、841…第1フック部、852…第2フック部、853…突起、904,905…台座部、908…拡張領域、909…境界、910…破壊用部材、911…破壊ベース部、914…拡張部、915…破断部、917…破断突起、918…破断部用開口部、921,922…規制用凸部、925…第1傾斜面、926…第2傾斜面、941…先細り領域、950…囲み部、951…切断用エッジ、952…第1傾斜部、953…第2傾斜部、954…鋸部、959…切り抜き凹部、961…カバー部材、971…係合用凹部。

Claims (1)

  1. 複数の構成体が組み合わされて形成され、制御基板を収容する基板ボックスと、
    当該基板ボックスに設けられる痕跡手段と、
    当該痕跡手段の少なくとも一部と対向し当該痕跡手段をカバーするように設けられるカバー手段と、
    当該カバー手段の内側に配置され、当該カバー手段の取り外しに連動する分断手段と、を備え、
    前記カバー手段を取り外し方向に移動させた場合に、当該カバー手段の移動に伴って前記分断手段が移動し、前記カバー手段が取り外されるまでに前記痕跡手段を複数に分断して、前記基板ボックスの内部空間を開放可能な遊技機であって、
    前記分断手段に設けられる第1係合部と、
    前記カバー手段に設けられ、前記分断手段の第1係合部と係合する第2係合部と、
    前記カバー手段の内側に設けられ、前記基板ボックスに係合する第3係合部と、
    を備え、
    前記第1係合部と前記第2係合部との係合箇所は前記カバー手段に覆われており、
    前記痕跡手段はシート状のシールを含んで構成されており、前記分断手段の分断作用部は前記シールの破断予定箇所における全長よりも長く形成されていることを特徴とする遊技機。
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