<第1の実施の形態>
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の第1の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10を前方から見た斜視図、図2はパチンコ機10を構成する遊技機本体12の分解斜視図である。なお、図2では便宜上パチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。
パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に対して前方に回動可能(開閉可能)に取り付けられた遊技機本体12とを有している。なお、パチンコ機10において外枠11は必須の構成ではなく、遊技場の島設備に外枠11が備え付けられた構成としてもよい。
外枠11は、木製の板材を四辺に連結し構成されるものであって矩形枠状をなしている。パチンコ機10は、外枠11を島設備に取り付け固定することにより、遊技場に設置される。なお、外枠11を合成樹脂やアルミニウム等の金属によって形成することも可能である。
外枠11の一側部に遊技機本体12が回動可能に支持されている。具体的には、図1に示すように、外枠11における上枠部と左枠部との連結部分に上側支持用金具21が固定されており、さらに外枠11における下枠部と左枠部との連結部分に下側支持用金具22が設けられている。これら上側支持用金具21及び下側支持用金具22により支持機構が構成され、当該支持機構によって外枠11に対して遊技機本体12が回動可能に支持されている。
また、遊技機本体12には、図2に示すように、その回動先端部に施錠装置23が設けられており、遊技機本体12を外枠11に対して閉鎖状態とした場合には施錠装置23の鉤部材24が外枠11の右枠部の内側面に設けられた鉤受け部にて受けられ、遊技機本体12の開放が阻止される。一方、パチンコ機10前面にて露出させて設けられたシリンダ錠25に対して解錠キーを用いて解錠操作を行うことにより、外枠11の鉤受け部にて鉤部材24が受けられた状態が解除され、遊技機本体12の外枠11からの開放が可能となる。なお、施錠装置23は、後述する内枠13と前扉枠14との施錠を行う機能も有している。
遊技機本体12は、ベース体としての内枠13と、その内枠13の前方に配置される前扉枠14と、内枠13の後方に配置される裏パックユニット15とを備えている。遊技機本体12のうち内枠13が外枠11に対して回動可能(開閉可能)に支持されている。詳細には、正面視で左側を回動基端側(開閉基端側)とし右側を回動先端側(開閉先端側)として内枠13が前方へ回動可能とされている。
内枠13には、前扉枠14が回動可能(開閉可能)に支持されており、正面視で左側を回動基端側(開閉基端側)とし右側を回動先端側(開閉先端側)として前方へ回動可能とされている。また、内枠13には、裏パックユニット15が回動可能(開閉可能)に支持されており、正面視で左側を回動基端側(開閉基端側)とし右側を回動先端側(開閉先端側)として後方へ回動可能とされている。
次に、遊技機本体12の前面側の構成について説明する。
図2に示すように、内枠13は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす樹脂ベース31を主体に構成されている。樹脂ベース31の中央部には略楕円形状の窓孔32が形成されている。樹脂ベース31には遊技盤33が着脱可能に取り付けられている。遊技盤33は合板よりなり、遊技盤33の前面に形成された遊技領域が樹脂ベース31の窓孔32を通じて内枠13の前面側に露出した状態となっている。
ここで、遊技盤33の構成を図3に基づいて説明する。遊技盤33には、ルータ加工が施されることによって前後方向に貫通する大小複数の開口部が形成されている。各開口部には一般入賞口34,可変入賞装置35,作動口36,スルーゲート37及び可変表示ユニット38等がそれぞれ設けられている。一般入賞口34、可変入賞装置35及び作動口36に遊技球が入ると、それが図示しない検知スイッチにより検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出しが実行される。その他に、遊技盤33の最下部にはアウト口39が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口39を通って遊技領域から排出される。また、遊技盤33には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘40が植設されていると共に、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
可変表示ユニット38には、作動口36への入賞をトリガとして図柄を可変表示する図柄表示装置41が設けられている。また、可変表示ユニット38には、図柄表示装置41を囲むようにしてセンターフレーム42が配設されている。センターフレーム42の上部には、第1特定ランプ部43及び第2特定ランプ部44が設けられている。また、センターフレーム42の下部及び上部にはそれぞれ保留ランプ部45,46が設けられている。下側の保留ランプ部45は図柄表示装置41及び第1特定ランプ部43に対応しており、遊技球が作動口36を通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部45の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。上側の保留ランプ部46は第2特定ランプ部44に対応しており、遊技球がスルーゲート37を通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部46の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。
図柄表示装置41は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、表示制御装置により表示内容が制御される。図柄表示装置41には、例えば左、中及び右に並べて図柄が表示され、これらの図柄が上下方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、予め設定されている有効ライン上に所定の組合せの図柄が停止表示された場合には、特別遊技状態(以下、大当たりという)が発生することとなる。
遊技結果表示部(又は抽選結果表示部)として設けられた第1特定ランプ部43では、作動口36への入賞をトリガとして所定の順序で発光色の切り替えが行われ、予め定められた色で停止表示された場合には大当たりが発生する。また、第2特定ランプ部44では、遊技球のスルーゲート37の通過をトリガとして所定の順序で発光色の切り替えが行われ、予め定められた色で停止表示された場合には作動口36に付随する電動役物が所定時間だけ開放状態となる。なお、これら第1特定ランプ部43及び第2特定ランプ部44の制御は、後述する主制御装置により行われる。
可変入賞装置35は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい所定の開放状態に切り換えられるようになっている。可変入賞装置35の開放態様としては、所定時間(例えば30秒間)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限として可変入賞装置35が繰り返し開放されるものが一般的である。なお、可変入賞装置35の駆動制御は、後述する主制御装置により行われる。
遊技盤33には、内レール部47と外レール部48とが取り付けられており、これら内レール部47と外レール部48とにより誘導レールが構成され、遊技球発射機構50から発射された遊技球が遊技領域の上部に案内されるようになっている。遊技球発射機構50は、図2に示すように、樹脂ベース31における窓孔32の下方に取り付けられており、前扉枠14に設けられたハンドル装置59が操作されることにより遊技球の発射動作が行われる。
内枠13の前面側全体を覆うようにして前扉枠14が設けられている。前扉枠14には、図1等に示すように、遊技領域のほぼ全域を前方から視認することができるようにした窓部55が形成されている。窓部55は、略楕円形状をなし、窓パネル56が嵌め込まれている。窓パネル56は、ガラスによって無色透明に形成されているが、これに限定されることはなく合成樹脂によって無色透明に形成してもよい。窓部55の周囲には、各種ランプ等の発光手段が設けられている。また、左上及び右上の位置には、遊技状態に応じた効果音などが出力されるスピーカ部が設けられている。
前扉枠14における窓部55の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部57と下側膨出部58とが上下に並設されている。上側膨出部57内側には上方に開口した上皿57aが設けられており、下側膨出部58内側には同じく上方に開口した下皿58aが設けられている。上皿57aは、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射機構側へ導くための機能を有する。また、下皿58aは、上皿57a内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有する。
次に、遊技機本体12の背面側の構成について説明する。図4は、内枠13の背面図である。
図4に示すように、内枠13(遊技盤33)の背面には、主制御装置ユニット61及び音声ランプ制御装置ユニット65が搭載されている。主制御装置ユニット61は、合成樹脂製の取付台62と、当該取付台62に搭載される主制御装置63と、を備えている。当該主制御装置ユニット61は、遊技盤33と主制御装置63との間に取付台62が挟まれ、主制御装置63がパチンコ機10後方を向くようにして、遊技盤33の裏面に搭載されている。主制御装置63の具体的な構成については、後述する。
音声ランプ制御装置ユニット65は、音声ランプ制御装置66と、取付台67とを具備する構成となっており、取付台67上に音声ランプ制御装置66が装着されている。音声ランプ制御装置66は、主制御装置ユニット61に搭載された主制御装置63からの指示に従い音声やランプ表示、及び図示しない表示制御装置の制御を司る音声ランプ制御基板を具備しており、音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス68に収容されて構成されている。
裏パックユニット15は、図2に示すように、裏パック71を備えており、当該裏パック71に対して、払出機構部72及び制御装置集合ユニット73が取り付けられている。なお、裏パック71は透明性を有する合成樹脂により形成されており、主制御装置ユニット61の一部や音声ランプ制御装置ユニット65などを後方から覆うように、後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部75を有している。
払出機構部72は、保護カバー部75を迂回するようにして配設されており、遊技場の島設備から供給される遊技球が逐次補給されるタンク77と、当該タンク77に貯留された遊技球を払い出すための払出装置78と、を備えている。払出装置78より払い出された遊技球は、当該払出装置78の下流側に設けられた図示しない払出通路を通じて、上皿57a又は下皿58aに排出される。また、払出機構部72には、例えば交流24ボルトの主電源が供給されるとともに、電源のON操作及びOFF操作を行うための電源スイッチが設けられた裏パック基板が搭載されている。
制御装置集合ユニット73は、払出制御装置82と電源及び発射制御装置83とを備えている。これら払出制御装置82と電源及び発射制御装置83とは、払出制御装置82がパチンコ機10後方となるように前後に重ねて配置されている。
払出制御装置82は、払出装置78を制御する払出制御基板が基板ボックス内に収容されて構成されている。電源及び発射制御装置83は、電源及び発射制御基板が基板ボックス内に収容されて構成されており、当該基板により、各種制御装置等で要する所定の電力が生成されて出力され、さらに遊技者によるハンドル装置59の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる。また、本パチンコ機10は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。
次に、主制御装置63の構成を、図5乃至図7を参照しながら説明する。図5は主制御装置63の斜視図、図6は主制御装置63の一部を表面側から見た分解斜視図、図7は主制御装置63の一部を裏面側から見た分解斜視図である。
主制御装置63は、図6及び図7に示すように、主制御基板101と基板ボックス102とを備えており、当該基板ボックス102内に主制御基板101が収容されて構成されている。
主制御基板101は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM等を備えている。本実施の形態では、CPU、ROM及びRAMがCPUチップ103に1チップ化されている。また、詳細な説明は省略するが、入出力ドライバ用ICチップ104及びラッチ用ICチップ(図示略)が搭載されている。また、主制御基板101には、コンデンサや抵抗などの各種素子や複数のコネクタが搭載されている。
主制御基板101においてCPUチップ103などの各種素子やコネクタは全て同一の板面上に搭載されており、その逆側の板面にて半田付けされている。つまり、主制御基板101は、一方の板面が素子搭載面106となっており、他方の板面が半田面107となっている。なお、半田面107とは、素子搭載面106に搭載される各種素子の半田付け部分が設けられる面であるが、当該半田面107に対して回路パターンが形成されていてもよい。また、両板面が素子搭載面として構成されていてもよい。
基板ボックス102は、複数のケース体として、表側構成体(ボックスカバー)111と裏側構成体(ボックスベース)112とを備えている。これら表側構成体111及び裏側構成体112は、基板ボックス102内に収容された主制御基板101の素子搭載面106及び半田面107を基板ボックス102外から視認可能なように透明性を有する材料により形成されている。具体的には、無色透明のポリカーボネート樹脂により形成されているが、これに限定されることはなく、アクリル樹脂等であってもよい。
表側構成体111及び裏側構成体112が組み合わされることにより、図5に示すように、基板ボックス102は四角箱状(略直方体形状)に形成されており、所定の内部空間を有している。
詳細には、表側構成体111は、図6及び図7に示すように、当該表側構成体111の周縁を規定する表側周縁部113と、当該表側周縁部113から一方に膨出するようにして形成された膨出部114とが一体形成されてなる。これら表側周縁部113と膨出部114とにより、表側構成体111は膨出部114の膨出側とは反対側に開放された略直方体形状をなしている。また、表側構成体111は正面視で長方形状をなしている。なお、詳細な説明は省略するが、表側構成体111の膨出部114には主制御基板101に設けられたコネクタを基板ボックス102の外部に露出させるための開口部や、放熱用の開口部が形成されている。
表側構成体111にはその背面側から主制御基板101がネジ固定されている(所定の工具を用いて着脱可能な状態で固定されている)。表側構成体111への主制御基板101のネジ固定は、主制御基板101の半田面107側から行われており、主制御基板101の素子搭載面106に搭載された各種素子は、主制御基板101と表側構成体111との間の領域内に収容されている。ちなみに、膨出部114の裏面側には主制御基板101に向けて延びる囲み壁部が形成されており、表側構成体111と主制御基板101との間の空間において主制御基板101のCPUチップ103は囲み壁部により周囲が囲まれている。
主制御基板101が一体化された表側構成体111に対して、裏側構成体112が固定されている。裏側構成体112は、図6及び図7に示すように、正面視で四角形状、具体的には長方形状をなす略板状に形成されており、平面状に形成された平面部116と、当該平面部116の周縁を囲むようにして形成された裏側周縁部117とが一体形成されてなる。
表側構成体111に対してその裏面側から裏側構成体112を固定することにより、表側構成体111の表側周縁部113と裏側構成体112の裏側周縁部117とが重なり、膨出部114の裏面側への開放部分が裏側構成体112の平面部116により閉塞される。この場合、主制御基板101の半田面107は、裏側構成体112により覆われている。つまり、主制御基板101の素子搭載面106はその全体が表側構成体111と対向しており、主制御基板101の半田面107はその全体が裏側構成体112と対向している。上記構成の主制御装置63は、裏側構成体112の裏面が取付台62側を向くようにして取付台62に搭載されている。
次に、表側構成体111と裏側構成体112との固定に係る構成について詳細に説明する。両構成体111,112の固定に係る構成としては、両構成体111,112の相互の位置ずれを特定の規制方向のみに規制する規制手段と、当該規制方向への位置ずれを防止するように両構成体111,112を相互に固定する固定手段と、を備えている。
先ず、規制手段について詳細に説明する。
図6及び図7に示すように、規制手段として、表側構成体111には、フック部118が一体形成されている。フック部118は複数設けられており、これらフック部118は表側周縁部113の対向する各長辺部(具体的には、上縁部及び下縁部)において当該長辺部の延びる方向に沿って等間隔で形成されている。この場合、フック部118は、上下にそれぞれ6個ずつ形成されているが、複数であればその数は任意である。各フック部118は、全て同一形状となるように形成されているとともに、全て同一のサイズに形成されている。各フック部118は裏側構成体112に向けて起立させて設けられており、自由端側が表側構成体111の一方の短辺部側に向けて延びるように途中位置で折り曲げて形成されている。
フック部118に対応させて裏側構成体112の上下の各長辺部には、各フック部118に1対1で対応させてスリット119が形成されている。スリット119は、基板ボックス102の厚み方向、すなわち表側構成体111と裏側構成体112との並設方向に貫通しており、対応するフック部118を内部に挿入可能となっている。そして、スリット119の内部には、図6に示すようにフック部118の先端を係止する受け部119aが形成されている。
上記のようにフック部118及び受け部119aを有する規制手段が設けられていることにより、表側構成体111と裏側構成体112とを一体化させる際には、各スリット119内に対応するフック部118が挿入されるように表側構成体111と裏側構成体112とを組み合わせる。この段階では、表側構成体111と裏側構成体112とは、基板ボックス102の長さ方向(すなわち、長辺部が延びる方向)に相互にずれている。その後、フック部118が対応する受け部119aに係止されるように、表側構成体111及び裏側構成体112のうちの一方を他方に対して上記長さ方向にスライド移動させる。これにより、各フック部118が対応する受け部119aに係止され、表側構成体111と裏側構成体112とを基板ボックス102の厚み方向や幅方向(すなわち、短辺部が延びる方向)に離間させようとしてもそれが規制される。
なお、規制手段の構成は上記のものに限定されることはなく、表側周縁部113及び裏側周縁部117のうちの一方にガイド用突条部を形成するとともに、他方にガイド用突条部が嵌り込み可能であり嵌り込んだガイド用突条部を所定の方向のみにスライド移動可能とするガイド用溝部を形成する構成としてもよい。
次に、固定手段について説明する。
基板ボックス102には、図5に示すように、固定手段として、第1の固定領域120と第2の固定領域130とが少なくとも設けられている。第1の固定領域120及び第2の固定領域130のうちの一方は基板ボックス102における一の辺部に対して設けられているとともに、他方は前記一の辺部と対向する辺部に対して設けられている。詳細には、第1の固定領域120は規制手段により規制された方向の両端のうち一方の端部側に設けられているとともに、第2の固定領域130は規制手段により規制された方向の両端のうち他方の端部側に設けられている。より詳細には、第1の固定領域120は一方の短辺部に設けられている。とともに、第2の固定領域130は他方の短辺部に設けられている。
第1の固定領域120について図8を用いて説明する。図8(a)は第1の固定領域120周辺を示す基板ボックス102の一部正面図であり、図8(b)は第1の固定領域120周辺を示す基板ボックス102の一部背面図である。
第1の固定領域120は、図5及び図8に示すように、表側構成体111に一体形成された表側固定領域121と、裏側構成体112に一体形成された裏側固定領域122と、を備えている。表側固定領域121及び裏側固定領域122は、各構成体111,112の一方の短辺部において当該短辺部の他の部位よりも側方に延出させて形成されており、基板ボックス102の厚み方向に重なり合っている。
表側固定領域121には、短辺部に沿って複数(具体的には、4個)の表側結合部123が並設されているとともに、裏側固定領域122には、それら表側結合部123に1対1で対応させて裏側結合部124が並設されている。これら各組み合わせの表側結合部123及び裏側結合部124はそれぞれ同一の構成を有しているため、以下、一の組み合わせについてその構成を説明する。
表側結合部123には、図8(a)に示すように、基板ボックス102の厚み方向に貫通する貫通孔125が形成されており、裏側結合部124には、図8(b)に示すように、表側結合部123に向けて開放された有底のネジ穴126が形成されている。貫通孔125とネジ穴126とは連通されており、これら連通された穴部に対して貫通孔125側から破断ネジが螺着されている。
ここで、破断ネジとは、ドライバなどの工具の先端を差込可能な頭部と、ネジ溝が形成された側との連結部分の強度が低く設定されたものであり、それ以上締めることができない位置において頭部に対して上記工具によりさらに所定の力を加えることにより、上記連結部分が切断され、頭部が分離されるものである。つまり、破断ネジは、螺着後において、上記工具を用いて緩める方向へ回転させることを不可とするものである。
なお、螺着後において表側結合部123と裏側結合部124との結合を緩めることができないようにすることができるのであれば、両結合部123,124を結合する固定具(結合具)は破断ネジに限定されることはなく周知のワンウェイネジであってもよい。また、ネジにより結合される構成に限定されることはなく、裏側結合部124に係止部が設けられているとともに、表側結合部123側から挿入された係止爪が上記係止部に係止され、表側結合部123や裏側結合部124の破壊を要することなく上記係止状態を解除できない構成としてもよい。
表側結合部123及び裏側結合部124の組み合わせは上記のとおり複数組設けられているが、それらのうち一部の組み合わせに対して破断ネジによる結合が行われている。そして、破断ネジの頭部は取り外されている。このように表側結合部123及び裏側結合部124が結合されていることにより、表側構成体111と裏側構成体112とが分離不可な状態で相互に固定されている。
図8(b)に示すように、各裏側結合部124は連結部127を介して裏側周縁部117に連結されているとともに、連結部127の周囲には、ニッパやカッタなどといった切断用工具の先端を差込可能な空間が確保されている。これにより、連結部127の切断が可能となっている。特に、連結部127はその強度が、表側結合部123及び裏側結合部124を破壊するとともに破断ネジを介した結合を解除する場合よりも切断し易いように設定されている。具体的には、周囲の領域に比べ肉薄に形成されている。これにより、連結部127の切断を行い易くなっている。
連結部127を切断することにより、裏側結合部124は裏側周縁部117から分離されることとなる。この場合に、表側結合部123及び裏側結合部124が設けられた位置は、基板ボックス102の一の辺部であって、規制手段により規制された状態を解除すべく表側構成体111又は裏側構成体112の一方を他方に対してスライド移動させた場合に、表側結合部123と裏側結合部124との結合痕跡片が、主制御基板101が収容された本体と当接しない位置となっている。これにより、表側結合部123及び裏側結合部124の結合を通じて表側構成体111と裏側構成体112とが固定された状態を解除することができる。
また、仮に、表側構成体111と裏側構成体112との相対位置が元に戻されたとしても、連結部127の切断箇所が残ることとなる。したがって、遊技ホールの管理者等にとっては、連結部127が切断されているか否かを確認することで、表側結合部123及び裏側結合部124の結合を通じた表側構成体111と裏側構成体112との固定が解除されているか否かを目視確認することができる。
ちなみに、複数の表側結合部123及び裏側結合部124の組み合わせのうち、一部の組み合わせに対して破断ネジによる結合を行う構成においては、遊技ホールの管理者等が主制御基板101の検査やメンテナンスに際して当該結合に伴う固定を解除した後には、未使用の組み合わせに対して破断ネジを螺着することで再度固定を行うことが可能となる。
なお、上記連結部127が裏側結合部124に対してではなく、表側結合部123に対して設けられていてもよく、両結合部123,124に対して設けられていてもよい。また、上記連結部127を不具備とし、上記結合に係る固定を解除する上では表側結合部123自体や裏側結合部124自体の破壊を要する構成としてもよい。この場合、遊技ホールの管理者等が正規に基板ボックス102を開放させる場合の作業性が低下するものの、依然として、基板ボックス102を固定する機能及び不正開放が行われた場合にはその痕跡を視的効果として残す機能は果たされる。
次に、第2の固定領域130について図6及び図7に加えて図9及び図10を用いて説明する。図9は別の固定手段の構成を説明するための分解斜視図、図11は貼付ベース135及びその周辺を拡大して示す分解斜視図である。
第2の固定領域130には、第1結合体131及び第2結合体132が設けられている。第1結合体131は基板ボックス102の短辺部の一端側に配置されている一方、第2結合体132は他端側に配置されており、両者は対向している。各結合体131,132の構成は同一であるため、第1結合体131についてのみ説明する。なお、第1結合体131の説明において符号中の「131」を「132」に置き換えることによって第2結合体132の説明となる。
第1結合体131は、図6に示すように、表側構成体111の短辺部から側方に延出させて形成された表側結合部131aと、裏側構成体112の短辺部から側方に延出させて形成された裏側結合部131bと、を備えている。表側結合部131aには基板ボックス102の厚み方向に貫通する貫通孔(図示略)が形成されており、裏側結合部131bには、表側結合部131aに向けて開放されたネジ孔131cが形成されている。貫通孔とネジ孔131cとは連通されており、これら連通された孔部に対して貫通孔側から破断ネジが螺着されることによって、表側構成体111及び裏側構成体112が固定される。
また、図7に示すように、裏側結合部131bは連結部131dを介して裏側周縁部117に連結されている。連結部131dによる作用及び効果は連結部127と同一であるため、説明を省略する。
第2の固定領域130には、結合体131,132によって挟まれた位置に、結合体131,132とは別の固定手段が更に設けられている。当該固定手段について説明する。
表側構成体111及び裏側構成体112において、表側固定領域121及び裏側固定領域122が設けられた側とは反対側の短辺部には、図9に示すように、表側固定ベース部133及び裏側固定ベース部134が設けられている。表側固定ベース部133及び裏側固定ベース部134は、各構成体111,112の一方の短辺部において各結合体131,132の間に配置されており、当該短辺部の一部よりも側方に延出させて形成されている。
表側固定ベース部133の側方への張り出し位置と裏側固定ベース部134の張り出し位置とが同一又は略同一となっており、さらに短辺部に沿った方向の寸法も両固定ベース部133,134において同一又は略同一となっている。表側構成体111及び裏側構成体112が組み合わされた状態において表側固定ベース部133と裏側固定ベース部134とは基板ボックス102の厚み方向に並設され、表側固定ベース部133において裏側固定ベース部134を向く面側の周縁部の全体と、裏側固定ベース部134において表側固定ベース部133を向く面側の周縁部の全体とが相互に当接している。表側固定ベース部133と裏側固定ベース部134との重なり合いによって、略直方体形状の貼付ベース135が形成されている(図9参照)。貼付ベース135の表面により、封印シールを貼り付けるための貼付領域136が形成されている。
貼付領域136は、表側固定ベース部133により構成される表面領域137と、裏側固定ベース部134により構成される裏面領域138(図7参照)と、表側固定ベース部133及び裏側固定ベース部134の両方により構成され、それぞれコーナー部を介して表面領域137及び裏面領域138の両方に連続しこれら表面領域137及び裏面領域138の間に介在する側面領域139と、を備えている。これら表面領域137、裏面領域138及び側面領域139は平面状に形成されている。
側面領域139は上記のとおり表側固定ベース部133及び裏側固定ベース部134の両方により構成されているため、当該側面領域139には両固定ベース部133,134の境界140が存在している。ここで、当該境界140が生じる構成について詳細に説明する。
図6に示すように、表側固定ベース部133は、表面領域137及び側面領域139の一部を構成する表側貼付用板部141を備えているとともに、当該表側貼付用板部141を間に挟むようにして形成された一対の表側対向板部142,143を備えている。
一方、裏側固定ベース部134は、裏面領域138を構成する裏側貼付用板部144を備えているとともに、当該裏側貼付用板部144において裏面領域138側とは反対側から表側貼付用板部141側に向けて突出した台座部145を備えている。台座部145は、裏側貼付用板部144を間に挟むようにして形成された一対の裏側対向板部146,147間に亘って形成されている。台座部145の突出側の端面は表側貼付用板部141において表面領域137側とは反対側の面に近接している。但し、両者は当接しておらず、所定の隙間が形成されている。
台座部145における基板ボックス102外側の側面は、表側貼付用板部141の突出側の端面に対して、上記所定の隙間を挟んで同一面上に位置しており、これら側面及び端面により側面領域139が形成されている。また、上記所定の隙間によって台座部145と表側貼付用板部141との間には所定の空間が形成されているとともに、当該空間は側面領域139上における台座部145と表側貼付用板部141との境界140によって側方に開放されている。境界140は各対向板部142,143,146,147が向き合う方向に沿って形成されている。
すなわち、両構成体111,112が組み合わされて両構成体111,112の相対位置が初期位置に配置されている状況では、図9に示すように、台座部145と表側貼付用板部141との間の空間が側面領域139の境界140を通じて開放された状態の貼付ベース135が形成されている。
また、図6に示すように、台座部145には、表側貼付用板部141側に向けて開放されたネジ孔151が複数形成されているとともに、表側貼付用板部141には各ネジ孔151を表側貼付用板部141の外側に開放させるための貫通孔152が形成されている。貫通孔152は対応するネジ孔151に対して同一軸線上となるように配置されている。そして、表側貼付用板部141側から各ネジ孔151に対して、ドライバなどの所定工具を用いて着脱操作が可能な固定部材としてのネジ153が螺着されていることにより、両固定ベース部133,134の固定が行われている。このネジ固定により両構成体111,112のスライド移動が規制されている。
上記のようにネジ固定が行われた貼付ベース135に対して、図10に示すように、ICタグ163を有する封印シール160が貼り付けられている。
ここで、封印シール160について図11及び図12を用いて説明する。図11(a)は封印シール160の正面図、図11(b)は封印シール160の裏面図、図12は封印シール160の断面図である。
封印シール160は、図11及び図12に示すように、略矩形状のベースシート161を備えており、ベースシート161の裏面には粘着剤が塗布され粘着層162が形成されている。粘着層162には電子タグ(又はRFIDタグ)としてのICタグ163が埋め込まれている。なお、図12においては、粘着層162に剥離シート164が積層されているが、当該剥離シート164は封印シール160を基板ボックス102に貼り付ける際に剥がされる。
ベースシート161はポリエステル系フィルムなどの可撓性樹脂フィルムにより形成されており適度な脆性を有し、さらに溶剤や熱に対して反応性を有する。具体的には、粘着層162を構成する粘着剤に対して溶解性を備えたトルエンなどがベースシート161に塗布されると、ベースシート161は変色する。また、粘着層162の粘着力が低下する温度(例えば、50℃)以上の熱が加えられた場合にもベースシート161は変色する。これにより、基板ボックス102の貼付領域136から封印シール160を不正に剥がそうとして溶剤がかけられたり、熱が加えられたりした場合、ベースシート161が変色することで当該不正行為の痕跡を残すことができる。
ベースシート161の表面には、図11(a)に示すように、インク塗布部165、識別番号部166及び機種情報部167が設けられている。インク塗布部165には、紫外線などといった特定の波長の光が照射されることにより模様が表れる特殊インクが塗布されている。識別番号部166には、複数の数字が記載されており、当該識別番号部166に記載される数字はパチンコ機毎に異なっている。機種情報部167には、当該遊技機の機種名や当該遊技機の製造メーカー名などが記載されている。
粘着層162の粘着剤は、従来の封印シールと同様に、一旦貼り付けされた後に剥がされるとベースシート161から剥がれる程度の粘着力を有している。したがって、封印シール160が剥がされた場合には再度貼り付けすることが不可能なものであり、さらには粘着層162の一部が貼付領域側に残ることとなる。よって、封印シール160を不正に剥がした痕跡を残すことができる。
ICタグ163は、ICチップ171及びアンテナ部材172を備えている。ICチップ171は集積回路として形成されるものであり、制御部及びメモリ領域を有する。メモリ領域は、データ書き換え不可な不揮発性メモリ(ROM)により構成されており、その記憶容量は例えば128bitとなっている。メモリ領域には、識別情報としてのID情報が格納されている。具体的には、製造メーカ名(又は複数のメーカごとに付されたメーカ固有番号)、遊技機固有のID番号が格納されている。ICチップ171のメモリ領域はデータ書き換え不可であるため、ID情報が不正に改ざんされる等の不都合が抑制できるようになっている。
アンテナ部材172は平面矩形状であって比較的薄い(例えば、10〜200μm)長尺状となっており、アルミや銅等の金属の導体箔として形成されている。アンテナ部材172の長手方向(又は長さ方向)のほぼ中央には、ICチップ171が配置されている。かかるICチップ171の配置は、例えば異方導電性フィルムや導電ペーストなどの接着剤によって、ICチップ171の図示しない電極をアンテナ部材172に固定することで行われている。
アンテナ部材172においてICチップ171が配置された位置には、アンテナ部材172の表面から裏面に貫通させてスリット173が形成されている。スリット173は、ICチップ171からアンテナ部材172の長手方向に延びる第1スリット部174と、ICチップ171から上記長手方向に対して交差する方向、具体的には上記長手方向に直交する方向に延び、アンテナ部材172の端部に達する第2スリット部175とからなり、全体としてL字状に形成されている。スリット173は、ICチップ171の内部に形成されている容量素子と結合してICチップ171とアンテナ部材172との間のインピーダンスを整合させるマッチング回路を構成するインダクタとして機能する。この点、スリット173を整合用切り込みと称することができ、さらには当該スリット173が正常に機能しないとICタグ163において正常な通信が不可となる構成に鑑みると通信用整合部又は不可状態発生部と称することができる。
また、アンテナ部材172は共振調整回路としての機能を有しており、アンテナ部材172の長さ寸法は通信特性に重要な影響を与えるものである。最適なアンテナ部材172の長さ寸法は動作条件により変わるが、アンテナ部材172の周囲が空気である場合には、動作周波数のほぼ1/2波長が最適値となり、周囲が誘電体で覆われている場合には誘電体による波長短縮効果があるので、最適長さ寸法はこれより短い大きさとなることが知られている。本パチンコ機10におけるアンテナ部材172の長さ寸法は、動作周波数が一定周波数となるように、約50mmの大きさに設定されている。
ICチップ171のID情報は、制御部によって呼び出されてアンテナ部材172から電波として発信することができるように構成されており、アンテナ部材172から発信された電波を、リーダ装置で受信してID情報を読み取ることができるようになっている。
ICタグ163(アンテナ部材172)は、図11(b)に示すように、ベースシート161においてその一隅部側からその対角方向の隅部側に亘って斜めに配置されている。この場合、長尺状のアンテナ部材172はその長手方向がベースシート161のすべての辺方向と交差することとなる。
封印シール160にはアンテナ用切り込み176が形成されている。アンテナ用切り込み176はベースシート161の表面から粘着層162の表面まで貫通している。なお、粘着層162の表面とは、封印シール160の裏面側において露出している面であり、この点、アンテナ用切り込み176は封印シール160の表面から裏面まで貫通しているとも言える。
アンテナ用切り込み176は、アンテナ部材172の長手方向に対して直交する方向又は略直交する方向に延びる直線状である。ちなみに、アンテナ部材172の長手方向に対して直交する方向又は略直交する方向は、ベースシート161の全ての辺方向と交差する方向となる。
アンテナ用切り込み176は、アンテナ部材172の短手方向において当該アンテナ部材172を間に挟むようにして形成されているとともに、各長辺部側において長手方向に沿って等間隔となるように複数形成されている。各アンテナ用切り込み176は、ベースシート161においてアンテナ部材172の配置されていない領域側を一端として、他端側がアンテナ部材172の配置されている領域に若干かかる構成となっている。この場合に、一方の長辺部側のアンテナ用切り込み176は他方の長辺部側のアンテナ用切り込み176に対して短手方向に並ばないように形成されている。
複数のアンテナ用切り込み176の一部は、アンテナ部材172においてスリット173が形成された領域に対しても隣接させて設けられている。この場合、一方の長辺部側における一部のアンテナ用切り込み176が、アンテナ部材172においてスリット173が形成された領域に対して隣接させて設けられているとともに、他方の長辺部側における一部のアンテナ用切り込み176も、アンテナ部材172においてスリット173が形成された領域に対して隣接させて設けられている。つまり、アンテナ用切り込み176は、少なくともアンテナ部材172においてスリット173が形成された領域を間に挟むようにして形成されている。
封印シール160の4隅には、ベースシート161の表面側から粘着層162の表面まで貫通する隅側切り込み177がそれぞれ形成されている。隅側切り込み177は、封印シール160の隅角に沿うようにしてL字状に形成されている。また、封印シール160の外縁には、外縁端部から内側に向けて多数の外縁切り込み178が形成されている。これら外縁切り込み178は、内側から外側に向けて開くようにして鋭角のV字状となっており、さらに封印シール160の外周に沿って等間隔で形成されている。
上記のようにアンテナ用切り込み176、隅側切り込み177及び外縁切り込み178が形成されていることにより、封印シール160を貼付領域136から剥がそうとすると、ベースシート161に破れが生じたり、アンテナ部材172が切断されたりする。
具体的には、封印シール160を貼付領域136から剥がす場合、剥がす力に伴う応力が封印シール160の隅側切り込み177や外縁切り込み178に集中するため、封印シール160の破壊が生じる。これにより、上記管理者にとっては、剥がした後の封印シール160が再貼付されている場合にはその破壊を目視確認することで上記不正開放の事実を把握することが可能となる。
また、剥がす力に伴う応力がアンテナ用切り込み176の端部に集中することで、アンテナ用切り込み176を介してベースシート161が破壊され、それに伴ってアンテナ部材172が切断される。この場合、アンテナ部材172の長さ寸法が小さくなるため、通信可能距離が短くなる。これにより、上記管理者にとっては、リーダ装置を用いた通信がしづらい又は通信ができないことを確認することで、上記不正開放の事実を把握することができる。
さらに、アンテナ用切り込み176は、少なくともアンテナ部材172においてスリット173が形成された領域を間に挟むようにして形成されており、境界140を基準として表面領域137側及び裏面領域138側の両方にアンテナ用切り込み176が配置されている。したがって、境界140を全て露出させる際に、スリット173が形成された箇所においてアンテナ部材172の切断又は破壊が生じることが期待される。そうすると、インピーダンス整合が良好に行われなくなり、通信がしづらくなる又は通信が不可となる。この場合、上記管理者にとっては、リーダ装置を用いた通信がしづらい又は通信ができないことを確認することで、上記不正開放の事実を把握することができる。
なお、アンテナ用切り込み176がアンテナ部材172において一方の長辺部側に形成されているとともに他方の長辺部側に形成されていることにより、封印シール160が剥がされた場合にアンテナ用切り込み176を通じたスリット領域の破壊又は切断が生じ易くなっている。
また、各アンテナ用切り込み176は、ベースシート161においてアンテナ部材172の配置されていない領域側を一端として、他端側がアンテナ部材172の配置されている領域に若干かかるように形成されている。これにより、アンテナ用切り込み176を通じて封印シール160が破れた場合には、その破れ領域は封印シール160においてスリット領域に容易に達するため、アンテナ用切り込み176を通じたスリット領域の破壊又は切断が生じ易くなる。
また、アンテナ用切り込み176はベースシート161に形成されておりアンテナ部材172には形成されていない。さらに、アンテナ部材172の一方の長辺部側に形成されたアンテナ用切り込み176と他方の長辺部側に形成されたアンテナ用切り込み176とがアンテナ部材172の幅方向に並ばないように形成されている。これにより、アンテナ用切り込み176を通じてスリット領域が破壊又は切断され易くなるようにした構成において、封印シール160を貼付領域136に正規に貼り付ける際に誤ってスリット領域が破壊又は切断されてしまう可能性が低減される。
次に、封印シール160の貼付位置に係る構成について図10に加えて図13を用いて説明する。図13(a)は貼付ベース135及びその周辺を示す側面図、図13(b)は貼付領域136における封印シール160の位置関係を説明するための説明図である。なお、説明の便宜上、図13(b)においては、隅側切り込み177及び外縁切り込み178を省略して示す。
図10及び図13(b)に示すように、封印シール160は貼付領域136に貼り付けられている。この場合、貼付領域136において表面領域137、側面領域139及び裏面領域138に亘って封印シール160が配置されるように当該封印シール160はコ字状に曲げて貼り付けられている。封印シール160により、表面領域137の略全体、側面領域139の略全体及び裏面領域138の略全体が覆われている。したがって、表面領域137に形成されている各貫通孔152の開口部及び裏面領域138に形成されている各ネジ孔151の開口部が封印シール160により覆われているとともに、側面領域139における表側固定ベース部133と裏側固定ベース部134との境界140もその略全体が封印シール160により覆われている。つまり、封印シール160は表側固定ベース部133及び裏側固定ベース部134の境界140に跨って貼り付けられている。これにより、基板ボックス102の開放操作が封印シール160によって阻害される。よって、封印シール160において境界140に跨って貼り付けられている箇所を切断する又は封印シール160を剥がすことなく、基板ボックス102を開放することが困難になっている。
封印シール160においてアンテナ部材172は、既に説明したとおり、ベースシート161においてその一隅部側からその対角方向の隅部側に亘って配置されているため、封印シール160と同様に、アンテナ部材172も表面領域137、側面領域139及び裏面領域138に亘ってコ字状に曲げて配置されている。この場合、ICタグ163のアンテナ部材172が境界140を跨いでいるとともに、図13(b)に示すように、アンテナ部材172においてインピーダンス整合用のスリット173のうち、アンテナ部材172の長手方向に延びる第1スリット部174が境界140を跨いでいる。これにより、境界140に沿って封印シール160が切断された場合には、アンテナ部材172において第1スリット部174が形成された領域が切断され、ICタグ163において正常な通信が不可となる。
アンテナ部材172と貫通孔152との位置関係について説明する。
アンテナ部材172における長手方向の一方の端部は、図10及び図13(b)に示すように、表面領域137における一の貫通孔152の開口部を跨いでいる。詳細には、アンテナ部材172の短手方向の寸法は貫通孔152の開口部の孔径よりも小さくなっており、さらにアンテナ部材172が貫通孔152の開口部を挟んで当該開口部の周縁部を架渡すように配置されている。このようにアンテナ部材172が配置されていることにより、アンテナ部材172の端部は、ネジ153におけるネジ溝側とは反対側の端部と対峙している。但し、ネジ153におけるネジ溝側とは反対側の端部が貫通孔152における軸線方向の途中位置に配置されているため、ネジ153とアンテナ部材172とは接触していない。
アンテナ部材172において上記開口部を跨ぐ側の端部とは反対側の端部は、裏面領域138における一のネジ孔151の開口部を跨いでいる。この場合に、ネジ153におけるネジ溝側の端部がネジ孔151における軸線方向の途中位置に配置されているため、ネジ153とアンテナ部材172とは接触していない。
例えば、アンテナ部材172がネジ153に接触すると、設定された動作周波数(例えば、2.45GHz)が変化してしまい、アンテナ部材172を通じた通信が良好に行えなくなるおそれがある。そうすると、ICチップ171に記憶されたID情報をリーダ装置により読み取ろうとしてもそれが行えないおそれがあるが、上記のようにアンテナ部材172とネジ153とが接触していないことにより、上記不都合の発生が抑えられている。
ここで、貼付ベース135には貼付領域136を区画するように囲み部180が形成されている。
囲み部180について詳細には、図6及び図10に示すように、表側構成体111の表側周縁部113において表側固定ベース部133に連続する部分と、表側固定ベース部133の表面領域137との間には表側段差部180aが形成されている。また、図7に示すように、裏側構成体112の裏側周縁部117において裏側固定ベース部134に連続する部分と、裏側固定ベース部134の裏面領域138との間には裏側段差部180bが形成されている。さらに、図10に示すように、表側固定ベース部133には表面領域137及び側面領域139を間に挟むようにして対向する一対の表側突条部180cが形成されているとともに、裏側固定ベース部134には側面領域139及び裏面領域138を間に挟むようにして対向する一対の裏側突条部180dが形成されている。
表側段差部180a、裏側段差部180b、表側突条部180c及び裏側突条部180dにより囲み部180が形成されており、貼付領域136は囲み部180によって囲まれている。そして、貼付領域136に貼り付けられている封印シール160の周縁はその全体が囲み部180に近接している。これにより、封印シール160を剥がそうとしても、その剥がし行為が困難なものとなっている。
封印シール160が囲み部180に近接していることにより、封印シール160の貼り付け作業に際しては、封印シール160が囲み部180によって囲まれた領域内からはみ出ないように貼り付けることで、アンテナ部材172とネジ孔151並びに貫通孔152との位置関係、アンテナ部材172と境界140との位置関係は、自ずと上記のような関係となる。
また、図13(b)に示すように、囲み部180によって囲まれる領域は、封印シール160の面積よりも広くなっている。これにより、封印シール160の貼り付け作業に際しては、貼り付け位置に所定のゆとりが生まれ、貼り付け作業の作業性が向上されている。この場合に、その貼り付け位置のゆとりは、アンテナ部材172と境界140との位置関係、アンテナ部材172と貫通孔152との上記位置関係及びアンテナ部材172とネジ孔151との上記位置関係が、自ずと維持される範囲内で設定されている。
貼付領域136に貼り付けられた封印シール160は、その周囲が破壊用部材を有するカバー部材191により覆われている。このカバー部材191について、図9及び図10に加え、図14及び図15を用いて説明する。図14(a),(b)はカバー部材191を異なる角度から見た場合の斜視図、図14(c),(d)は破壊用部材を異なる角度から見た場合の斜視図、図15(a)はカバー部材191が基板ボックス102に取り付けられている様子を説明するための説明図、図15(b)は図15(a)において領域Cを拡大して示す部分拡大図である。なお、図10においてはカバー部材191を破断して示す。
カバー部材191は、ポリカーボネート樹脂などといった無色透明の合成樹脂により、図10及び図15(a)に示すように、所定の内部空間192を有する直方体の箱状に形成されており、当該内部空間192を区画形成する複数(具体的には5個)の壁部はカバー部材191の内外に電波が透過可能となっている。カバー部材191には、図14(a)に示すように、直方体の6面のうち1の面が不具備となるように開口部193が形成されており、当該開口部193を通じて内部空間192がカバー部材191の外部に開放されている。また、開口部193はその周縁部が、当該開口部193を挟んで対向する一対の壁部194,195のそれぞれに対して内側に入り込むようにして形成されている。壁部194,195間の距離は、当該壁部194,195と貼付ベース135との間に隙間が形成されるように対応する貼付ベース135の長さ寸法よりも大きく設定されている。
カバー部材191の内部空間192は、封印シール160が貼り付けられた貼付ベース135の全体を収容可能な大きさに形成されている。また、開口部193は、貼付ベース135の突出先端側から当該貼付ベース135を内部空間192内に差込可能な大きさに形成されている。カバー部材191は、開口部193を介して内部空間192内に貼付ベース135が差し込まれるように移動することにより貼付ベース135に対して装着される。当該移動する方向を装着方向とも言う。
具体的には、カバー部材191の内部空間192内には、貼付ベース135に対して係止する爪部201,202が形成されている。爪部201,202は、カバー部材191の貼付ベース135への装着時における移動元側の壁部であって、貼付ベース135の側面領域139と対向する側面壁部203から開口部193側に向けて突出させて一体形成されており(図10又は図15(a)参照)、その先端は自由端となっている。
爪部201,202に対応させて、図10に示すように、表側対向板部142,143には、外方に突出させて受け部204,205が一体形成されている(受け部205については図15(a)参照)。受け部204,205は装着方向に沿って延びるように形成されている。爪部201,202がそれぞれ対応する受け部204,205に対して係合することによって、カバー部材191が基板ボックス102に対して取り付けられている。
具体的には、爪部201,202の先端には、爪部201,202の向き合う方向に向けて突出させて先端フック部分が形成されている。当該先端フック部分は先端側から基端側へ向けて徐々に突出量が大きくなるように形成されており、基端側に向かうにつれて上記向き合う方向に傾斜する傾斜面201a,202aを備えている。カバー部材191を貼付ベース135に対して装着する場合に、傾斜面201a,202aが対応する受け部204,205と当接するように両者の相対位置関係が設定されている。詳細には、爪部201,202の先端フック部分間の距離は、受け部204,205間の距離よりも若干短く設定されている。
また、爪部201,202はカバー部材191の壁部において貼付ベース135をその幅方向に挟む一対の壁部194,195の内周面に対して近接した位置に形成されており、壁部194,195の内壁面と対向している。壁部194,195は、その内周面の面積が爪部201,202において壁部194,195側を向く側の面よりも大きくなるように形成されているとともに、壁部194,195の装着方向への長さ寸法は爪部201,202の側面壁部203からの突出寸法よりも大きく設定されている。これにより、爪部201,202は壁部194,195に覆われている。
爪部201,202と近接した壁部194,195の内周面との間の距離は、カバー部材191の貼付ベース135への装着を阻害しない範囲、具体的にはカバー部材191を貼付ベース135に装着する際に、受け部204,205に当接することによる爪部201,202の弾性変形を阻止しない範囲で設定されている。
かかる構成によれば、カバー部材191を移動させた場合、受け部204,205と傾斜面201a,202aとが当接する。この場合、爪部201,202は、傾斜面201a,202aに沿って外方へ向けて逃げるように弾性変形する。そして、爪部201,202が、受け部204,205を介して当該受け部204,205の装着方向の先側に到達することで復元力によって自然状態に復帰する。これにより、図15(a)に示すように、爪部201,202の先端フック部分が受け部204,205の端部に対して装着方向の先側から当接し、上記装着方向の逆方向にカバー部材191を移動させようとしても、上記当接によってそれが阻止される。これら爪部201,202と受け部204,205との係合によって、カバー部材191が基板ボックス102に対して取り付けられる。
ここで、爪部201,202の先端フック部分は、図15(a)に示すように、カバー部材191の移動先側の開口部193よりも移動元側に位置しているとともに、カバー部材191における上記開口部193の周縁部は、基板ボックス102において貼付ベース135の基端側に連続する本体部分の側面と近接している。これにより、爪部201,202と受け部204,205との係止箇所はカバー部材191及び基板ボックス102の側面により形成された内部空間192内に収容されており、上記係止箇所にカバー部材191の外部からアクセスしようとしても、それが行いづらくなっている。さらにまた、上記係止箇所をカバー部材191により収容する構成とすることで、当該カバー部材191の形状は複雑化するものの、基板ボックス102側に設ける構成に比べて、カバー部材191の基板ボックス102に対する位置合わせ精度を考慮する必要がない。
カバー部材191の内部空間192に対する貼付ベース135の挿入量は、両構成体111,112を相互に分離させるべく初期位置から長手方向の一方に向けて一方の構成体をスライド移動させた場合の限界位置において未だ両固定ベース部133,134が内部空間192内に入り込んでいる状態となるように設定されている。この場合に、両構成体111,112を分離させて基板ボックス102の内部空間を完全に開放させるためには、上記スライド移動の後に両構成体111,112を基板ボックス102の厚み方向に分離させる必要がある。そして、この分離に必要な移動量は、カバー部材191の開口部193における上記厚み方向の寸法よりも大きくなるように設定されている。したがって、基板ボックス102の内部空間を開放させるためには貼付ベース135からカバー部材191を分離させる必要がある。
カバー部材191によって貼付ベース135の略全体が囲まれていることにより、封印シール160はその全体がカバー部材191によって囲まれている。これにより、封印シール160がカバー部材191により保護されることとなる。例えば、パチンコ機10の出荷時などにはシュリンクフィルムを熱収縮させてパチンコ機10が覆われることとなるが、主制御装置63がパチンコ機10の背面に露出している構成においては、シュリンクフィルムが熱収縮する際の収縮方向への負荷や熱などの封印シール160やICタグ163への影響を抑えることが好ましく、上記のようにカバー部材191が設けられていることにより上記影響を低減することができる。
カバー部材191は無色透明となっているため、上記のようにカバー部材191が設けられた構成において、封印シール160をカバー部材191外から目視確認することができる。但し、カバー部材191は無色透明に限定されることはなく、カバー部材191外から封印シール160を目視確認できるようにする上では、封印シール160を目視確認できる程度の透明性を有していればよく、有色透明であってもよい。また、カバー部材191外から封印シール160を目視確認することはできなくなるが、カバー部材191を非透明に形成してもよい。この場合、カバー部材191により囲まれた空間内を外部から確認することができないため、不正行為者にとってはカバー部材191への対策を採りづらくなる。
また、カバー部材191は電波を透過可能に形成されているとともに、封印シール160のICタグ163とカバー部材191との間には電波を遮断する部材が設けられていない。したがって、遊技ホールの管理者等はICタグ163からID情報の読み取りを行う場合にカバー部材191を取り外すことなく当該読み取り作業を行うことができる。
この場合、遊技ホールの管理者等はICタグ163からID情報の読み取りを行う場合にリーダ装置の先端をカバー部材191に当接又は近接させることで、ID情報の読み取り作業を簡単且つ確実に行うことができる。つまり、カバー部材191はID情報の読み取り作業に際しての位置決め部として機能する。
ICタグ163がカバー部材191によって覆われているため、遊技ホールの管理者等がICタグ163へリーダ装置を近づけようとすると、カバー部材191と当接し、それ以上近づけることができない。換言すれば、ICタグ163に対してリーダ装置による識別情報の読み取りを行う場合の読み取り位置がICタグ163から予め定められた距離(カバー部材191とICタグ163との距離)よりも近づかないように制限されている。これにより、リーダ装置の先端をカバー部材191に当接又は近接させた状態で読み取り作業を行うように決めておけば、アンテナ部材172に切断が生じることによってICタグ163の通信可能距離が短くなった場合には、リーダ装置にてID情報を読み取ることができなくなる。よって、アンテナ部材172に切断が生じた事実を把握することが可能となり、基板ボックス102の不正な開放操作が行われた可能性があることを認識することができる。
ここで、開口部193の周縁部が基板ボックス102の側面に近接している状況において貼付ベース135と側面壁部203との間に隙間が形成されるように、カバー部材191の深さ寸法、詳細には開口部193から側面壁部203までの長さ寸法が貼付ベース135の突出寸法よりも大きく設定されている。これにより、カバー部材191が基板ボックス102に対して装着されている状況において、貼付ベース135と側面壁部203との間には所定の隙間が形成される。当該隙間には、封印シール160及びICタグ163を切断する破壊用部材210が設けられている。
破壊用部材210について説明する。破壊用部材210は、合成樹脂により一体形成されている。また、破壊用部材210は、図6及び図14(c),(d)に示すように、表側対向板部142,143(又は裏側対向板部146,147)間の距離寸法よりも若干大きい長さ寸法を長手方向とする矩形板状の破壊ベース部211と、当該破壊ベース部211の一方の板面から起立して設けられた切断部212が一体形成されてなる。破壊ベース部211の短手方向の長さ寸法は、図9に示すように、境界140の幅寸法(貼付ベース135の重ね合わせ方向の長さ寸法)よりも大きく設定されており、表側対向板部142及び裏側対向板部146間の距離よりも大きく設定されている。また、切断部212は破壊ベース部211の長手方向に沿って形成されており、その長さ寸法は、破壊ベース部211と同様に、表側対向板部142,143(又は裏側対向板部146,147)間の距離寸法よりも大きくなるように設定されている。
破壊用部材210において切断部212が設けられている板面とは反対側の板面には、操作部材213が取り付けられている。操作部材213は全体として略直方体状に形成されており、破壊ベース部211に対して係止することで破壊用部材210と一体化されている。この場合、操作部材213は破壊ベース部211から切断部212とは反対側に向けて突出している。
上記構成の破壊用部材210は、切断部212が爪部201,202に対して係合することにより、カバー部材191に対して装着されている。具体的には、爪部201,202の基端側には、図10及び図15(a)に示すように、切断部212の両端部と係合する係合用傾斜部221,222が形成されている。係合用傾斜部221,222は、先端側に向けて爪部201,202が互いに近付く向きに傾斜するように形成されている。これにより、爪部201,202において係合用傾斜部221,222よりも基端側の部位である基端部223,224間の距離と比較して、係合用傾斜部221,222よりも先端側の部位間の距離が小さくなっている。詳細には、基端部223,224間の距離が切断部212の長手方向の長さ寸法(切断部212の幅方向の長さ寸法)と同一又はそれよりも若干大きくなるように設定されており、係合用傾斜部221,222よりも先端側の部位間の距離は切断部212の長手方向の長さ寸法よりも小さくなるように設定されている。
係合用傾斜部221,222に対応させて、切断部212の両端部には傾斜面212a,212bが形成されている。傾斜面212a,212bは対応する係合用傾斜部221,222と同一傾斜となるように形成されている。破壊ベース部211において切断部212が設けられている板面とは反対側の板面が側面壁部203の内壁面と当接している状況において傾斜面212a,212bが対応する係合用傾斜部221,222に対して当接するように両者の相対位置が設定されている。
また、操作部材213の突出に対応させて、図9及び図14(b)に示すように、カバー部材191の側面壁部203には操作部材用開口部231が設けられている。操作部材用開口部231は、操作部材213が通過可能な大きさに形成されており、具体的には操作部材用開口部231の周縁部が操作部材213と当接又は近接するように形成されている。破壊ベース部211において切断部212が設けられている板面とは反対側の板面が側面壁部203の内壁面と当接している状況において操作部材213が操作部材用開口部231に嵌まり込むように両者の相対位置は設定されている。
かかる構成によれば、破壊用部材210は、破壊ベース部211の切断部212が設けられている側とは反対側、すなわち操作部材213が設けられている側を挿入先側として破壊用部材210を基端部223,224の間に差し込むことでカバー部材191に取り付けられる。この場合、破壊用部材210の一端側、詳細には傾斜面212bが形成されている側を対応する基端部224に対して当接するように斜めに配置し、その後他端側(傾斜面212aが形成されている側)を対応する基端部223に対して当接する位置に配置されるように破壊用部材210を押し込む。
ここで、破壊ベース部211の長さ寸法が爪部201,202における先端フック部分間の距離よりも大きく設定されているため、破壊ベース部211の他端側が対応する爪部201の傾斜面201aに対して当接し、爪部201が外方(壁部194側)に向けて弾性変形する。これにより、他端側の部位を押し込むことが可能となる。
また、上記のように押し込む際、操作部材213は操作部材用開口部231に対して嵌まり込む。これにより、操作部材213が側面壁部203の内壁面に対して当接して破壊用部材210の取り付けができないといった不都合を回避することができる。
なお、図示は省略するが、操作部材用開口部231の周縁部には、カバー部材191の内側に向けて徐々に操作部材用開口部231が大きくなるように傾斜した傾斜面が設けられている。これにより、操作部材213が操作部材用開口部231に案内され、破壊用部材210を取り付ける際に操作部材213が邪魔になりくいようになっている。
破壊用部材210を押し込んでいくと、破壊ベース部211の切断部212とは反対側の板面が側面壁部203の内壁面に当接し、それ以上の移動が規制される。この場合、破壊用部材210の他端側の部位が係合用傾斜部221を介して基端部223に到達し、爪部201は復元力により自然状態に復帰する。これにより、図15(a),(b)に示すように、係合用傾斜部221,222が傾斜面212a,212bに対して破壊用部材210を押し込む方向の元側から当接し、当該押し込む方向とは逆方向への破壊用部材210の移動が規制される。これにより、カバー部材191に対する破壊用部材210の装着が完了する。そして、破壊用部材210が装着されたカバー部材191を基板ボックス102に取り付けることにより、貼付ベース135と側面壁部203との間に破壊用部材210が配置されることとなる。上記規制されている位置を破壊用部材210の初期位置とする。当該初期位置において破壊用部材210は内部空間192内に収容されている。
すなわち、予め破壊用部材210を内部空間192に収容した状態でカバー部材191を基板ボックス102に対して取り付けることにより、破壊用部材210は自ずと初期位置に配置されるようになっている。これにより、カバー部材191を基板ボックス102に対して取り付ける際に、内部空間192内に配置されている破壊用部材210の位置を調整する必要がない。
また、破壊用部材210が装着されたカバー部材191が基板ボックス102に対して装着されることにより、破壊用部材210が初期位置に配置されるようになっている。これにより、破壊用部材210を基板ボックス102に対して取り付けるための構造を基板ボックス102側(貼付ベース135側)に別途設ける必要がないため、基板ボックス102側の構成の簡素化を図ることができる。
さらに、破壊用部材210をカバー部材191に取り付けるための取付構造は、カバー部材191を基板ボックス102に取り付けるために用いられる爪部201,202の一部を曲げた係合用傾斜部221,222によって構成されている。これにより、爪部201,202が破壊用部材210をカバー部材191に取り付けるためにも利用されることとなるため、爪部201,202の多機能化を図ることができるとともに、取付構造を別々に設ける構成と比較してカバー部材191の構成の簡素化を図ることができる。
ここで、操作部材213は操作部材用開口部231を介してカバー部材191の外側に突出しており、操作部材用開口部231の周縁部に設けられたガイド枠241により囲まれている。
ガイド枠241は側面壁部203の壁面と直交する方向に見て略C字状に形成されている。ガイド枠241は側面壁部203から外側に突出しており、その突出寸法は、操作部材213の長さ寸法(破壊ベース部211からの突出寸法)から側面壁部203の厚さ寸法を差し引いた寸法よりも小さく設定されている。これにより、操作部材213は、図10及び図15(a)に示すように、破壊用部材210が初期位置に配置されている状況においてその一部がガイド枠241よりも外側に突出するようにして当該ガイド枠241に嵌まり込んでいる。
かかる構成によれば、操作部材213を側面壁部203の壁面に沿った方向に移動させようとしても、操作部材213とガイド枠241とが当接し、その移動が規制される。また、操作部材213をカバー部材191の取り付け方向とは反対方向に引っ張ると、破壊ベース部211と側面壁部203の内壁面とが当接し、破壊用部材210の移動が規制される。一方、操作部材213を当該操作部材213がカバー部材191の内側に入り込むように押圧すると、傾斜面212a,212bが係合用傾斜部221,222に対して当接する。この場合、操作部材213に対して付与する押圧力が係合用傾斜部221,222の弾性力よりも大きいと、係合用傾斜部221,222が壁部194,195側に弾性変形し、上記規制が解除される。これにより、操作部材213の外壁面と対応するガイド枠241の内壁面とが摺動しながら破壊用部材210が封印シール160側に向けて進行する。当該進行する方向を解除方向とも言う。係合用傾斜部221,222の壁部194,195側への弾性変形に伴って先端フック部分は壁部194,195側に向けて弾性変形する。
ここで、破壊用部材210が解除方向に向けて移動する場合に、爪部201,202と受け部204,205との係合が解除されるように構成されている。具体的には、破壊用部材210が解除方向に移動した場合に破壊ベース部211と囲み部180とが当接するように、破壊用部材210の初期位置において破壊ベース部211は囲み部180と対峙している。そして、破壊用部材210が解除方向に移動し破壊ベース部211が囲み部180と当接している状況において先端フック部分の外側への変位量が受け部204,205の突出寸法(先端フック部分の突出寸法)よりも大きくなるように、係合用傾斜部221,222の傾斜角度が設定されている。これにより、破壊ベース部211が囲み部180と当接する位置まで破壊用部材210が移動した場合には、爪部201,202と受け部204,205との係合が解除されることとなる。
破壊用部材210が初期位置に配置されている状況において、切断部212は封印シール160における境界140に対応した箇所に対して解除方向に対峙するように配置されている。この場合、切断部212は封印シール160に対して当接しないようになっている。
また、切断部212の長手方向の長さ寸法が貼付ベース135の幅寸法、詳細には表側対向板部142,143間の距離も大きく設定されているため、切断部212の両端は、封印シール160において切断部212に対応する両端よりも外側に配置されている。この場合、各対向板部142,143,146,147と切断部212との干渉を回避するべく、切断部212は表側対向板部142,143と裏側対向板部146,147との間に入り込み可能に形成されている。
破壊用部材210が解除方向に移動すると、切断部212が封印シール160の境界140に対応した箇所に対して当接する。当該当接により封印シール160に対して押圧力が付与されて、境界140に対応する領域が切断される。
切断部212の詳細について説明する。図14(c)に示すように、切断部212は、境界140に沿って切断する第1切断部242と、境界140と交差する方向に切断する第2切断部243と、を備えている。第1切断部242は表側貼付用板部141と台座部145との間に入り込み可能な厚さ寸法を有しており、境界140と対峙している。第1切断部242は、切断部212の突出方向の途中位置から当該突出方向の先側に向けて先細りするように形成されており、封印シール160側に向けて尖っている。破壊用部材210が解除方向に移動した場合には、第1切断部242は封印シール160において境界140に対応した箇所に当接し、当該封印シール160を境界140に沿って切断する。
第1切断部242は、図14(c)及び図15(a)に示すように、側面領域139に貼り付けられた封印シール160に対して傾斜した第1傾斜部242aと、当該第1傾斜部242aに対して逆方向に傾斜した第2傾斜部242bと、を有している。第1傾斜部242aは切断部212の長手方向において傾斜面212aが設けられている側の端部から中央側に向けて封印シール160側に突出するように傾斜しているとともに、第2傾斜部242bは傾斜面212bが設けられている側の端部から中央側に向けて封印シール160側に突出するように傾斜している。このため、第1切断部242は、両端側が中央側よりも封印シール160に対して遠い側に配置されている。
ここで、封印シール160から第1切断部242の両端側から封印シール160までの距離は、破壊ベース部211から囲み部180までの距離よりも短く設定されている。このため、破壊ベース部211が囲み部180と当接する位置に配置される前段階で、第1切断部242による封印シール160の切断が完了するようになっている。換言すれば、破壊用部材210が移動可能なストローク量には、第1切断部242による封印シール160の切断が完了するのに要するストローク量と遊びのストローク量とが含まれている。
ここで、「完了」とは、第1切断部242によって封印シール160が境界140に沿って切断されることを意味し、破壊用部材210が解除方向において第1切断部242の両端から封印シール160までの距離だけ移動した場合に対応する。
また、第1切断部242による封印シール160の切断が完了するのに要するストローク量は、爪部201,202と受け部204,205との係合が解除されるのに要するストローク量よりも小さくなるように設定されている。具体的には、破壊用部材210が第1切断部242による封印シール160の切断が完了する位置に配置されている状況において弾性変形による爪部201,202のにおける先端フック部分の変位量が受け部204,205の突出寸法よりも小さくなるように係合用傾斜部221,222の傾斜角度が設定されている。これにより、第1切断部242による封印シール160の切断が完了する前に爪部201,202と受け部204,205との係合が解除されないようになっている。
第2切断部243は、第1傾斜部242aと第2傾斜部242bとの間に設けられている。第2切断部243は、破壊ベース部211から封印シール160側に向けて起立した第1切断刃243a及び第2切断刃243bを備えている。各切断刃243a,243bは、境界140と直交する方向、詳細には第1切断部242に対して直交する方向(破壊ベース部211の短手方向)に沿って延びており、その長さ寸法は表側貼付用板部141の厚さ寸法よりも大きく設定されている。各切断刃243a,243bは、それぞれ切断部212の突出方向の途中位置から先端部に向けて先細りとなるように形成されており、先端が鋭利になっている。各切断刃243a,243bはその先端が切断部212よりも貼付ベース135側(封印シール160側)に配置されるように形成されており、具体的には各切断刃243a,243bから封印シール160までの距離は第1傾斜部242a及び第2傾斜部242bから封印シール160までの最短距離よりも短く設定されている。これにより、破壊用部材210が封印シール160側に移動した場合、最初に各切断刃243a,243bが封印シール160に対して当接するようになっている。
また、各切断刃243a,243bは境界140に沿った方向に所定の間隔だけ離間した位置に配置されており、各切断刃243a,243bと連結するように第3切断刃243cが設けられている。第3切断刃243cは第1切断刃243aと第2切断刃243bとの間に亘って形成されており、これら各切断刃243a,243bと直交している。第3切断刃243cは上記各切断刃243a,243bと同様に、破壊ベース部211から封印シール160側に向けて突出させて形成されており、その先端は各切断刃243a,243bの先端と同一に設定されている。すなわち、各切断刃243a,243b、243cから封印シール160までの距離は同一に設定されており、当該距離は第1傾斜部242a及び第2傾斜部242bから封印シール160までの最短距離よりも短く設定されている。第3切断刃243cは境界140に対して解除方向とは反対方向に対峙した位置に配置されている。
各切断刃243a,243bに対応させて、貼付ベース135には、図9に示すように、破壊用部材210の移動が各切断刃243a,243bと貼付ベース135との当接によって阻害されないように切断刃用溝244,245が形成されている。切断刃用溝244,245は破壊用部材210側(貼付ベース135の側方)に向けて開放されており、境界140と連通している。切断刃用溝244,245は封印シール160に覆われている。切断刃用溝244,245は対応する各切断刃243a,243bが入り込み可能な大きさに形成されており、その深さ寸法は、破壊ベース部211から囲み部180(表側対向板部142,143等)までの距離よりも大きく設定されている。破壊用部材210が初期位置に配置されている状況において各切断刃243a,243bと切断刃用溝244,245とが対峙するように両者の相対位置関係は設定されている。
第2切断部243は、破壊用部材210が解除方向に移動する場合に当該第2切断部243が封印シール160のアンテナ部材172が設けられている箇所に対して当接するようにその位置が設定されている。具体的には、図15(a)に示すように、第3切断刃243cは、破壊用部材210が解除方向に移動した場合に、アンテナ部材172が配置されている箇所に対応した範囲Zに対して当接する位置に配置されている。当該範囲Zは囲み部180と封印シール160との間に生じる貼り付け位置のゆとりに対応した範囲であり、具体的には上記ゆとりによってアンテナ部材172の位置が変動する範囲である。少なくとも範囲Zに対峙する範囲に亘って第2切断部243が形成されるように第1切断刃243aと第2切断刃243bとの間隔が設定されている。これにより、貼り付け位置のゆとりによってアンテナ部材172と第2切断部243との位置ずれが生じた場合であっても、アンテナ部材172に対して第2切断部243が当接するようになっている。
また、図13(b)に示すように、第1スリット部174は、その一部が切断刃用溝244に跨って配置されている。これにより、破壊用部材210が解除方向に移動した場合には、第1切断刃243aは第1スリット部174が形成されている領域に対して当接するようになっている。
次に、基板ボックス102の内部空間を開放する場合の手順について図16〜図18を用いて説明する。図16(a)〜(c)は基板ボックス102の内部空間を開放する場合の手順を説明するための説明図、図17(a)〜(c)は基板ボックス102の内部空間を開放する場合の手順を説明するための説明図であって、貼付ベース135を表面側から見た場合の断面図、図18(a)〜(c)は基板ボックス102の内部空間を開放する場合の手順を説明するための説明図であって、貼付ベース135の横断面図である。なお、図16においてはカバー部材191を破断して示す。
既に説明したとおり、両構成体111,112の一方に対して他方を開放用の分離方向へスライド移動することが、貼付ベース135を構成する表側固定ベース部133並びに裏側固定ベース部134のネジ固定及びカバー部材191によって制限されているとともに、封印シール160によって阻害されている。このため、スライド移動を行う前処理として、カバー部材191の分離操作、ネジ固定の解除、及び封印シール160による阻害の解除を行う。
ここで、ネジ固定箇所はカバー部材191によって覆われているため、先にカバー部材191を分離させる必要がある。当該カバー部材191は貼付ベース135に対して係合しており、当該係合は破壊用部材210を解除方向に押圧することで解除されるようになっている。このため、最初に破壊用部材210を解除方向に押圧する。
ここで、図16(a)、図17(a)及び図18(a)に示すように、操作部材213の一部がガイド枠241から外側に突出しているため、操作部材213を押圧する際にガイド枠241が邪魔になりにくい。さらに、ガイド枠241は略C字状に形成されている。このため、操作部材213を押圧することにより当該操作部材213がガイド枠241内に入り込んだ場合であっても、操作部材213の一部は露出している。これにより、ガイド枠241によって囲まれていない部位を押圧することにより、破壊用部材210を更に封印シール160側に挿入することができる。
図17(a)に示すように、第2切断部243が封印シール160に対して近い位置に配置されているため、操作部材213を解除方向に押圧すると最初に第2切断部243が封印シール160に対して当接する。これにより、切断部212による封印シール160の切断が開始される。この場合、第2切断部243の第3切断刃243cは、破壊用部材210が解除方向に移動する場合にアンテナ部材172と当接する範囲Zに亘って配置されているため、破壊用部材210が解除方向に移動すると、最初にアンテナ部材172が切断され、通信が不可となる。これにより、破壊用部材210を途中位置まで移動させた場合等においても当該事実を把握することができる。
特に、第1スリット部174は、第1切断刃243aが入り込む切断刃用溝244に跨って配置されているため、破壊用部材210が解除方向に移動した場合に、第1切断刃243aによって第1スリット部174が形成された領域が切断される。これにより、ICタグ163において正常な通信が不可となる。
また、第1切断刃243a及び第2切断刃243bが切断刃用溝244,245に入り込むことにより、封印シール160において切断刃用溝244,245を覆っている箇所が切断される。この場合、各切断刃243a,243bによって、境界140に沿った方向と直交する方向に延びた切断箇所が形成される。
各切断刃243a,243bの刃の長さ寸法(貼付ベース135の重ね合わせ方向の長さ寸法)は表側貼付用板部141の厚み寸法よりも大きく設定されているため、各切断刃243a,243bが切断刃用溝244,245に入り込むと、各切断刃243a,243bは図16(b)及び図17(b)に示すように、表面領域137から表側に突出する。これにより、封印シール160の表面領域137の一部が切断される。
破壊用部材210を更に解除方向に移動させると、第1切断部242が封印シール160において境界140に対応した箇所に対して当接し、封印シール160が押圧される。当該押圧によって、封印シール160が切断される。この場合、切断部212は境界140を介して貼付ベース135内に入り込む。
ここで、図18(a)に示すように、封印シール160は台座部145及び表側貼付用板部141に亘って貼り付けられているため、解除方向への封印シール160の撓みが規制されている。これにより、破壊用部材210を介して封印シール160を解除方向に押圧した場合に、当該封印シール160が解除方向に撓むことにより封印シール160が切断されないといった不都合が生じにくい。よって、封印シール160を容易に切断することができる。換言すれば、封印シール160は、貼付ベース135と破壊用部材210とによって挟み込まれることによってせん断される。これにより、単に破壊用部材210を切断する構成と比較して封印シール160を容易に切断することができる。
既に説明したとおり、切断部212(第1切断部242)の両端は封印シール160の外側に配置されているため、切断部212によって封印シール160において境界140の両端を含めた部分が切断される。これにより、封印シール160において切り残りが生じにくい。
なお、第1切断部242が境界140の周縁部と当接又は所定隙間を介して近接するように、第1切断部242の厚さ寸法が設定されている。具体的には、第1切断部242の厚さ寸法は表側貼付用板部141及び台座部145間の距離と同一又はそれよりもじゃ間大きく設定されている。これにより、第1切断部242と境界140の周縁部との間に生じるせん断力が確保されている。この場合、第1切断部242は表側貼付用板部141及び台座部145に対して摺動しながら解除方向に移動することとなる。よって、切断部212の位置ずれが抑制されている。すなわち、切断部212、表側貼付用板部141及び台座部145が解除方向への破壊用部材210の移動をガイドするガイド手段として機能する。
さらに、表側対向板部142,143と、各表側対向板部142,143に対応する裏側対向板部146,147との距離は第1切断部242の厚さ寸法と同一又はそれよりも若干大きくなるように裏側対向板部146,147の側方側の一部が表側に張り出している(図6参照)。これにより、破壊用部材210の移動に伴って切断部212がこれら各対向板部142,143,146,147に対して摺動し、破壊用部材210の表裏方向(貼付ベース135の重ね合わせ方向)への移動が規制される。
封印シール160から第1切断部242までの最長距離分だけ破壊用部材210を解除方向に移動させると、封印シール160は境界140に沿って切断され、封印シール160による分離操作の阻害状態が解除される。これにより、第1切断部242による封印シール160の切断が完了する。
ここで、既に説明したとおり、第1切断部242による封印シール160の切断が完了するのに要するストローク量は、爪部201,202と受け部204,205との係合が解除されるのに要するストローク量よりも小さくなるように設定されている。これにより、爪部201,202と受け部204,205との係合関係は維持されている。
破壊用部材210を更に解除方向に移動させると、図17(b)に示すように、破壊ベース部211が囲み部180と当接し、それ以上の移動が規制される。つまり、解除方向において初期位置の破壊ベース部211から囲み部180までの距離が破壊用部材210の移動可能な距離となっている。
ここで、第1切断部242による封印シール160の切断に要するストローク量に対して破壊用部材210の移動可能な距離は大きく設定されている。これにより、破壊ベース部211が囲み部180と当接する位置まで破壊用部材210を移動させた場合に封印シール160の一部が切れ残ることにより阻害状態が解除されないといった不都合を回避することができる。
破壊ベース部211と囲み部180とが当接している状況において、爪部201,202と受け部204,205との係合関係は解除されている。よって、カバー部材191を取り外し方向に移動させることが可能となる。つまり、第1切断部242による切断が完了してから、カバー部材191の取り外しが可能となる。
操作部材213を押圧した状態でカバー部材191を装着方向とは逆方向の取り外し方向に移動させる。この場合、破壊用部材210はカバー部材191に対して係合した状態を維持しているため、破壊用部材210はカバー部材191と一体となって移動する。これにより、カバー部材191が破壊用部材210ごと貼付ベース135から分離される。この場合、図16(c)に示すように、封印シール160には境界140に沿った切断箇所が露出する。
既に説明したとおり、封印シール160には第1切断刃243a及び第2切断刃243bによって、境界140に沿った切断箇所に対して直交する方向に延びる切断箇所が形成されているため、切断箇所が全体として目立ち易くなっている。これにより、境界140のみが切断されている構成と比較して、封印シール160が切断された事実を容易に確認することができる。
また、図16(c)に示すように、各切断刃243a,243bによって形成された切断箇所は表面領域137及び側面領域139に跨って形成されている。これにより、側面領域139のみに切断箇所が形成されている場合と比較して、上記切断箇所を確認し易い。よって、封印シール160の阻害が解除されたことを容易に確認することができる。
そして、ネジ153の頭部を覆っている封印シール160をドライバなどの工具の先端により突き破ることで、当該先端をネジ153の頭部に挿し込み、図16(c)に示すように、ネジ153を離脱させる。なお、既に説明したとおり、ICタグ163のアンテナ部材172はネジ153を挿通させるための貫通孔152を跨いでいるため、工具の先端をネジ153の頭部に差し込んだ際には封印シール160の一部の破損だけでなくアンテナ部材172の一部の破損が生じる。貫通孔152に対してドライバを差し込み、ネジ153を外す。これにより、ネジ固定が解除され、基板ボックス102の開放操作を行うことができるようになる。この場合、封印シール160において貫通孔152を覆っている箇所が破壊される。
カバー部材191においては、カバー部材191が貼付ベース135から分離されると、破壊用部材210の移動が貼付ベース135によって規制されなくなるため、破壊用部材210は開口部193側に移動可能となる。このため、操作部材213をカバー部材191の内部空間192内に没入させるとともに、破壊用部材210を裏側に向けて押圧する。これにより、破壊用部材210と爪部201,202との係合が解除され、図17(c)及び図18(c)に示すように、破壊用部材210は爪部201,202との間ではなく初期位置からずれた位置に配置される。これにより、カバー部材191から破壊用部材210を取り外すことが可能となるため、破壊用部材210の個別交換等に対応することができる。
次に、パチンコ機10の電気的構成について、図19のブロック図に基づいて説明する。図19では、電力の供給ラインを二重線矢印で示し、信号ラインを実線矢印で示す。
主制御装置63に設けられた主制御基板101には、主制御回路251と停電監視回路252とが内蔵されている。主制御回路251には、CPUチップ103が搭載されている。CPUチップ103には、当該CPUチップ103により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM253と、そのROM253内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM254と、割込回路やタイマ回路、データ入出力回路などの各種回路が内蔵されている。
CPUチップ103には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。CPUチップ103の入力側には、主制御基板101に設けられた停電監視回路252、払出制御装置82に設けられた払出制御基板261及びその他図示しないスイッチ群などが接続されている。この場合に、停電監視回路252には電源及び発射制御装置83に設けられた電源及び発射制御基板265が接続されており、CPUチップ103には停電監視回路252を介して電力が供給される。
一方、CPUチップ103の出力側には、停電監視回路252、払出制御基板261及び中継端子板269が接続されている。払出制御基板261には、賞球コマンドなどといった各種コマンドが出力される。中継端子板269を介して主制御回路251から音声ランプ制御装置66に設けられた音声ランプ制御基板271に対して各種コマンドなどが出力される。
停電監視回路252は、主制御回路251と電源及び発射制御基板265とを中継し、また電源及び発射制御基板265から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視する。
払出制御基板261は、払出装置78により賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU262は、そのCPU262により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM263と、ワークメモリ等として使用されるRAM264とを備えている。
払出制御基板261のCPU262には、入出力ポートが設けられている。CPU262の入力側には、主制御回路251、電源及び発射制御基板265、及び裏パック基板が接続されている。また、CPU262の出力側には、主制御回路251及び裏パック基板が接続されている。
電源及び発射制御基板265は、電源部266と発射制御部267とを備えている。電源部266は、例えば、遊技場等における商用電源(外部電源)に接続されている。そして、その商用電源から供給される外部電力に基づいて主制御回路251や払出制御基板261等に対して各々に必要な動作電力を生成するとともに、その生成した動作電力を二重線矢印で示す経路を通じて主制御回路251や払出制御基板261等に対して供給する。発射制御部267は、遊技球発射機構50の発射制御を担うものであり、遊技球発射機構50は所定の発射条件が整っている場合に駆動される。
音声ランプ制御基板271は、表示制御装置275を制御するものである。演算装置であるCPU272は、そのCPU272により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM273と、ワークメモリ等として使用されるRAM274とを備えている。
音声ランプ制御基板271のCPU272には入出力ポートが設けられている。CPU272の入力側には中継端子板269に中継されて主制御回路251が接続されており、主制御回路251から出力される各種コマンドに基づいて、表示制御装置275を制御する。表示制御装置275は、音声ランプ制御基板271から入力する表示コマンドに基づいて図柄表示装置41を制御する。
次に、ICタグ163からID情報を読み取ることに基づく不正行為の有無の確認作業について説明する。図20は上記パチンコ機10が多数設置された遊技ホールHの概略図である。
図20において、遊技ホールHに設置された各パチンコ機10には各々、前述したとおり主制御装置63にICタグ163が取り付けられている。リーダ装置Rは、ハンディタイプのリーダであり、ICタグ163から非接触の状態でID情報の読み取りが可能となっている。
また、管理コンピュータHCは、パチンコ機10の管理プログラムを有する電子演算装置であり、リーダ装置Rに接続されることで同リーダ装置Rの読み取り情報を読み込むことができるようになっている。図20中、符号DCは、遊技ゲーム数や大当たり回数などを表示するためのデータカウンタであり、同データカウンタDCには、遊技ホールHにおいてパチンコ機10ごとの台番号が付されている。
以上の構成において、リーダ装置Rにより各パチンコ機10のICタグ163からID情報を読み取ると、その読み取り結果は管理コンピュータHCにおいて入力されて収集される。この場合に、リーダ装置RからはID情報とともにそのID情報の出力元のパチンコ機10を特定する固有情報(台番号等)が合わせて出力される。つまり、リーダ装置Rを操作する作業者はID情報の読み取りを開始する際にその読み取りを開始するパチンコ機10の固有情報をリーダ装置Rに入力し、その入力した固有情報は読み取ったID情報とともに管理コンピュータHCに出力される。
管理コンピュータHCには、パチンコ機10の固有情報と対応づけて管理用のID情報が登録された管理データが記憶されている。そして、管理コンピュータHCでは、入力した固有情報に基づいて管理用のID情報を読み出し、その管理用のID情報と入力したID情報とを比較し、その比較結果を記憶するとともに、その比較結果を管理コンピュータHCに備え付けられた表示装置にて表示する。これにより、主制御装置63に対する不正行為として、主制御装置63の不正な装置への交換や、基板ボックス102を開封して行う不正な制御基板又は不正なチップへの交換などを行った後に、ID情報を発信可能な不正なICタグを取り付ける不正行為が行われたとしても、それを発見することが可能となる。
また、リーダ装置Rから呼出波を出力したにも関わらず、所定時間経過しても当該リーダ装置Rにて応答波を受信しない場合には、その旨の情報を管理コンピュータHCに出力するようにしてもよい。そして、管理コンピュータHCでは、応答波を受信しない旨をそのパチンコ機10を特定した態様で記憶するとともに、表示装置にて表示する。これにより、主制御装置63の不正な装置への交換や、基板ボックス102を開放して行う不正な制御基板又は不正なチップへの交換などを行った後に、不正なICタグを取り付けない不正行為が行われたとしても、それを発見することが可能となる。
以上詳述した本実施形態によれば以下の優れた効果を奏する。
境界140に沿って封印シール160を切断する破壊用部材210を設けた。これにより、封印シール160の切断を容易に行うことができるため、開放操作の作業性の向上を図ることができる。また、破壊用部材210によって封印シール160が切断された場合には、当該切断箇所が痕跡として残るため、開放操作が行われたことを容易に確認することができる。
破壊用部材210は、貼付ベース135の外側に配置されているとともに貼付ベース135の内側に向けて移動可能になっている。これにより、破壊用部材210を貼付ベース135の内側に向けて移動させると、当該貼付ベース135に貼り付けられている封印シール160は破壊用部材210と貼付ベース135とによって挟みこまれるようにして切断される。この場合、封印シール160に対してせん断力が付与されるとともに、封印シール160の撓み変形が規制されている。これにより、封印シール160を容易に切断することができる。
また、破壊用部材210を貼付ベース135の外側に配置する構成であるため、貼付ベース135の内側に配置する構成と比較して、破壊用部材210を容易に取り付けることができるため、破壊用部材210の取り付け作業の作業性の向上を図ることができる。
ここで、破壊用部材210を貼付ベース135の外側に配置する構成の場合、破壊用部材210を貼付ベース135に対して取り付ける取付構造を設ける必要があり、構成の複雑化が懸念される。また、破壊用部材210が外部に露出していると、破壊用部材210に対して容易にアクセスできるため、破壊用部材210に対する不正行為が行われる可能性がある。
これに対して、本実施形態によれば、貼付ベース135を収容可能な内部空間192を有するカバー部材191を設け、破壊用部材210は内部空間192内に収容された状態でカバー部材191に取り付けられているとともに、カバー部材191が基板ボックス102に対して取り付けられている状況において破壊用部材210が境界140に対して対峙する位置に配置されるようにカバー部材191に対する破壊用部材210の相対位置を設定した。これにより、破壊用部材210を基板ボックス102に対して取り付けるための取り付け構造が必要ないとともに、破壊用部材210がカバー部材191によって保護されている。よって、破壊用部材210を貼付ベース135の外側に配置することによって生じ得る不都合を回避することができる。
なお、係合用傾斜部221,222に対して傾斜面212a,212bが係合することにより破壊用部材210がカバー部材191に装着されていたが、これに限られず、例えば図21に示すような構成にしてもよい。図21は破壊用部材210をカバー部材191に装着させるための構造の変形例を示す説明図である。なお、一方の爪部及びそれと一対の他方の爪部は同様の構成であるため、一方の爪部の構成のみを拡大して示すとともに、他方の爪部の説明は省略する。
図21(a)に示す変形例では、爪部281aの途中位置に、係合用傾斜部222に代えて、内側に向けて突出した凸部281bが設けられている。凸部281bは半球形状をなしており、その半径は受け部205の突出寸法よりも大きく設定されている。凸部281b及び側面壁部203間の距離は破壊用部材210が入り込み可能に設定されており、破壊用部材210は凸部281bと側面壁部203との間に配置されている。
かかる構成によれば、破壊用部材210を解除方向に移動させると、傾斜面212bと凸部281bとが当接し、爪部281aが壁部195側に弾性変形しながら切断部212が凸部281bに乗り上がる。凸部281bの半径が受け部205の突出寸法よりも大きく設定されているため、切断部212が凸部281bに乗り上げている状況において爪部281aと受け部205との係合が解除される。これにより、カバー部材191の取り外しが可能となる。
また、図21(b)に示す変形例では、爪部282aの途中位置に、係合用傾斜部222に代えて、内側に向けて突出したフック部282bが設けられており、当該フック部282bの側面壁部203側の部位には、爪部282aの先端フック部分側に向けてその突出量が大きくなるように形成された傾斜面282cが設けられている。破壊用部材210は、フック部282bと側面壁部203とに挟まれるように破壊用部材210が配置されている。これにより、破壊用部材210の位置が初期位置に規定されている。そして、操作部材213が解除方向に押圧された場合には、傾斜面282cとの当接によって爪部282aが外側に弾性変形して、破壊用部材210が解除方向に移動することとなる。
ここで、切断部212の端部には外側に向けて突出した係合用凸部282dが設けられている。当該係合用凸部282dに対応させて、フック部282bにおいて解除方向の先側には、係合用凸部282dが嵌まり込み可能な大きさに形成された係合用凹部282eが設けられている。破壊用部材210が解除位置に配置されている状況において係合用凸部282dが係合用凹部282eに嵌まり込むように両者の相対位置関係が設定されている。
かかる構成によれば、破壊用部材210が解除方向に移動すると、切断部212の端部側の部位がフック部282bと当接し、爪部282aが外側に弾性変形する。そして、切断部212がフック部282bに乗り上げ、解除位置において係合用凸部282dが係合用凹部282eに嵌まり込む。この場合、破壊用部材210の解除方向とは反対側への移動が係合用凸部282dと、係合用凹部282eの内周面との当接によって規制される。
ここで、係合用凸部282dが係合用凹部282eに嵌まり込んでいる状況において爪部282aは受け部205との係合が解除された位置に変位しているようにフック部282bの突出寸法が設定されている。これにより、破壊用部材210が解除位置に配置されている状況において爪部282aと受け部205との係合が解除されている。よって、カバー部材191を取りはずすことが可能となる。
また、破壊用部材210とカバー部材191との係合構造の別の変形例として、図21(c)に示すように、爪部283aの途中位置に内側に突出したフック部283bを設け、当該フック部283bよりも側面壁部203側であって、壁部195側の部位に切り込み部283cを設けてもよい。かかる構成によれば、破壊用部材210が解除方向に移動すると、切断部212がフック部283bに対して当接し、爪部283aが壁部195側に弾性変形する。この場合、爪部283aにおいて切り込み部283cが設けられている箇所に対して力が付与され、爪部283aが当該箇所から折れ、当該箇所よりも先側の部分が分離する。これにより、カバー部材191の取り外しが可能となる。
また、この場合、破壊用部材210による封印シール160の切断が行われた場合には、封印シール160だけでなく、カバー部材191にもその痕跡が形成されることとなる。これにより、破壊用部材210による封印シール160の切断が行われた事実を容易に確認することができる。
なお、破壊ベース部211と囲み部180とが当接している状況において、爪部201,202と受け部204,205との係合関係は解除される構成としたが、これに限られず、係合が緩められる構成としてもよい。具体的には、破壊ベース部211と囲み部180とが当接している状況において爪部201,202と受け部204,205とが係合している面積が、破壊用部材210が初期位置に配置されている状況と比較して小さくなるように設定されている構成としてもよい。この場合であっても、破壊用部材210が解除方向に移動することによって上記係合関係を解除し易くなっているため、カバー部材191を取り外し易くなっている。要は、破壊用部材210が解除方向に移動することによって係合関係が緩められる構成であればよい。
破壊用部材210はカバー部材191に装着されている構成としたが、これに限られず、例えば破壊用部材210が基板ボックス102側に装着される構成としてもよい。この場合、破壊用部材210を基板ボックス102に取り付ける取付構造を別途設ける必要がある。このため、基板ボックス102の構成の簡素化の観点に着目すれば、破壊用部材210がカバー部材191に取り付けられる構成の方が優れている。
本実施形態では、破壊用部材210の解除方向への移動に伴って爪部201,202と受け部204,205との係合が解除されるようになっていたが、これに限られず、例えば破壊用部材210の移動に伴って上記係合が解除されないようにしてもよい。具体的には、カバー部材191の内側に収容部を設け、当該収容部に破壊用部材210を解除方向に移動可能な状態で収容する。そして、爪部と受け部との係合箇所がカバー部材191の外側に露出するように爪部を設ける。この場合、破壊用部材210を解除方向に移動させて封印シール160を切断した後に、外部から係合箇所に対して外力を加えて当該係合を解除し、カバー部材191を基板ボックス102から分離させることで基板ボックス102の内部空間を開放させることが可能となる。これにより、基板ボックス102の内部空間を開放させる操作を煩雑なものにすることができるため、基板ボックス102の内部空間を開放させる不正行為を抑制し得る。
また、係合箇所がカバー部材191の外側に露出している場合、係合が解除されるように係合箇所に対して外力を付与することにより、封印シール160を切断することなく、カバー部材191を取り外すことが可能となる。これにより、封印シール160を切断することなくカバー部材191を基板ボックス102から取り外し、封印シール160を直接確認する簡易検査を行うことができる。
また、爪部を外側に向けて突出するように形成し、当該爪部と係合するボックス側受け部を設けてもよい。この場合、爪部を内側に向けて弾性変形させることにより、係合を解除することが可能となる。かかる構成において、初期位置において爪部の内側への弾性変形を規制するとともに、当該位置から解除方向に移動することにより上記爪部の内側への弾性変形の規制が解除されるように破壊用部材を設ける構成としてもよい。この場合、破壊用部材を解除方向に移動させた状態で爪部を内側に弾性変形させて係合を解除する。これにより、カバー部材191を取り外すことが可能となる。
なお、具体的な構成としては、例えばカバー部材191は第1ハウジング部材と第2ハウジング部材とが重ね合わせられることにより形成されるものであり、第1ハウジング部材に爪部を形成する。当該爪部とボックス側受け部とが係合するように第1ハウジング部材を取り付ける。そして、爪部の突出側とは反対側の面に当接するように破壊用部材を装着する。当該破壊用部材は、解除方向に移動すると上記反対側の面に当接しないように矩形状に形成する。破壊用部材の装着後、第2ハウジング部材を第1ハウジング部材と重ね合わせる構成が考えられる。
また、カバー部材191と基板ボックス102とが接着剤を介して接着されており、破壊用部材を押圧すると当該接着が解除される構成としてもよい。具体的には、予めカバー部材191において囲み部180と当接する箇所に接着剤を塗布した状態で当該カバー部材191を取り付ける。そして、破壊用部材に、当該破壊用部材が解除方向に移動した場合に両者を分離するように接着している箇所に対して入り込む剥がし部を別途設ける。これにより、破壊用部材が解除方向に移動すると、剥がし部によって両者の接着箇所が押し広げられ、両者の連結が解除され、カバー部材191を取りはずすことが可能となる。
また、図22(a)に示すように、カバー部材191に、裏面側への破壊用部材210の移動を規制する規制板部284を設けてもよい。これにより、図22(b)に示すように、破壊用部材210の裏側への移動を規制することができるため、破壊用部材210を解除方向に移動させる際に封印シール160との間で位置ずれが生じにくくすることができる。
破壊ベース部211から解除方向に向けて突出するとともに、規制板部284及びカバー部材191と当接するリブを所定の間隔をおいて複数設けてもよい。これにより、破壊用部材210の解除方向への移動がガイドされる。この場合、破壊用部材210が解除方向に移動した場合に、リブと囲み部180とが突き合わされないように両者の相対位置がずれているとよい。
また、破壊用部材210が解除方向に移動した場合に、破壊用部材210が爪部201,202と受け部204,205との係合が解除されている位置に位置決めされる位置決め構造を設けてもよい。
位置決め構造として具体的には、図22(b)に示すように、操作部材用開口部231の周縁部のうちガイド枠241が設けられていない部位には、位置決めフック285が設けられている。位置決めフック285は、カバー部材191の外側に突出して設けられており、その突出寸法は、解除方向における操作部材213の長さ寸法よりも小さく設定されている。
また、位置決めフック285は先端が自由端となっており、当該先端には内側に向けて突出した先端フック部分が設けられている。先端フック部分は基端側に向かうにつれてその突出量が大きくなっている。位置決めフック285は、破壊用部材210が初期位置に配置されている状況において操作部材213に対して係止しない位置に配置されており、破壊用部材210が解除方向に移動すると、位置決めフック285が操作部材213に対して係止するようになっている。
詳細には、操作部材213が取り付けられていない破壊用部材210をカバー部材191に対して取り付けると、操作部材用開口部231を介して破壊ベース部211の一部が露出している。ここで、操作部材213の側面の一方は開放されており、当該開放された側を表側として操作部材213を破壊ベース部211に取り付ける。これにより、位置決めフック285が操作部材213に対して引っ掛かることなく、破壊ベース部211に対して操作部材213が装着される。そして、上記のように構成されたカバー部材191が貼付ベース135に対して取り付けられている。この場合、位置決めフック285の一部は操作部材213が区画形成する領域に配置されている。
かかる構成によれば、操作部材213を解除方向に押圧すると、操作部材213において解除方向の元側の壁部が位置決めフック285の先端フック部分に対して当接する。この場合、位置決めフック285は外方(表側)に弾性変形する。その後、操作部材213が解除方向において先端フック部分の先側に到達すると、位置決めフック285が自然状態に復帰し、先端フック部分の端面が解除方向の元側から操作部材213に対して当接する(図22(b)の2点鎖線参照)。これにより、解除方向とは反対方向への操作部材213の移動が規制される。よって、係合用傾斜部221,222との弾性力によって破壊用部材210が解除方向とは反対方向に押し戻されることが規制される。したがって、破壊用部材210が解除位置に配置されている状況を維持するために操作部材213に対して押圧し続ける必要がない。当該規制される位置を解除位置という。
破壊用部材210が解除位置に配置されている状況において、封印シール160は切断されているようになっている。具体的には、初期位置から解除位置までのストローク量が、第1切断部242が封印シール160を境界140に沿って切断するのに要するストローク量よりも大きくなるように、位置決めフック285の突出寸法及び先端フック部分の端面の位置が設定されている。
また、初期位置から解除位置までのストローク量は、破壊用部材210が解除位置に配置されている状況において爪部201,202が受け部204,205との係合を解除した位置に配置されるように設定されている。これにより、カバー部材191を取り外す際に操作部材213を押圧した状態を維持する必要がないため、操作部材213を押圧しながらカバー部材191を取り外し方向に移動させる構成と比較して、カバー部材191の取り外し作業を容易に行えるようになっている。
なお、本変形例では、破壊用部材210の取付の際に位置決めフック285が操作部材213と干渉しないように先に破壊用部材210を取り付け、その後操作部材213を破壊用部材210に取り付ける構成としたが、これに限られず、例えば操作部材213が取り付けられた破壊用部材210をカバー部材191に取り付ける構成としてもよい。この場合、位置決めフック285を手で予め外方に弾性変形させておくとよい。
また、位置決め構造として位置決めフック285を設けたが、これに限られず、例えば破壊用部材210及びカバー部材191のうち、一方に凹部を設け、他方に当該凹部に入り込み可能な凸部を設け、破壊用部材210が解除位置に配置された状況において凸部が凹部に嵌まり込むように両者の相対位置関係が設定されている構成としてもよい。この場合であっても、破壊用部材210が解除位置にて位置決めされる。要は、係合用傾斜部221,222の弾性力に抗して破壊用部材210を解除位置に留まらせることができる構造であればよい。
また、本実施の形態では、破壊用部材210が解除方向に移動することに伴って、爪部201,202が受け部204,205との係合が解除される側に弾性変形する構成としたが、これに限られず、受け部204,205が弾性変形する構成としてもよい。具体的には、受け部204,205の周囲を切り抜くことで受け部204,205を、爪部201,202と係合している側を自由端として弾性変形可能に形成する。そして、爪部201,202に、係合用傾斜部221,222に代えて、互いに向き合う方向に向けて突出した凸部を設け、当該凸部を、破壊用部材210が初期位置に配置されている状況において受け部204,205の解除方向の元側に配置する。かかる構成によれば、破壊用部材210が解除方向に移動した場合、凸部と受け部204,205とが当接し、爪部201,202が外側に向けて弾性変形するとともに、受け部204,205が内側に弾性変形する。これにより、爪部201,202と受け部204,205との係合が解除され、カバー部材191の取り外しが可能となる。要は、爪部201,202及び受け部204,205の少なくとも一方が他方との係合が解除される側に移動する構成であればよい。
<第2の実施の形態>
本実施の形態では、貼付ベース135の一部、破壊用部材311及びカバー部材331に関する構成が上記第1の実施の形態と異なっている。その相違する構成について図23〜図29を参照しながら以下に説明する。なお、第1の実施の形態と同一の構成については各図面において同一の番号を付すとともに、その説明を基本的に省略する。図23は本実施の形態における貼付ベース135を説明するための分解斜視図、図24は主制御装置63において封印シール160が設けられた部分の構成を説明するための分解斜視図、図25(a)は破壊用部材311の裏面図、(b)裏面側から見た破壊用部材311の斜視図、図26は貼付ベース135及びその周辺を示す斜視図である。
図23に示すように、表側固定ベース部133には、表側貼付用板部141を間に挟むようにして形成された一対の表側対向板部301,302が設けられている。両表側対向板部301,302は、少なくとも裏側固定ベース部134に向けて突出している。
一方、裏側固定ベース部134には、裏側貼付用板部144において裏面領域138側とは反対側から表側貼付用板部141側に向けて突出した台座部303が設けられている。台座部303は、裏側貼付用板部144を間に挟むようにして形成された一対の裏側対向板部304,305間に亘って形成されている。台座部303は、図23に示すように、表側対向板部301,302間に入り込むように突出しており、当該台座部303の突出側の端面は表側貼付用板部141において表面領域137側とは反対側の面に近接している。但し、両者は当接しておらず、所定の隙間が形成されている。
台座部303における基板ボックス102外側の側面は、表側貼付用板部141の突出側の端面に対して、上記所定の隙間を挟んで同一面上に位置しており、これら側面及び端面により側面領域139が形成されている。また、上記所定の隙間によって台座部303と表側貼付用板部141との間には所定の空間が形成されているとともに、当該空間は側面領域139上における台座部303と表側貼付用板部141との間に形成された一筋の境界306によって側方に開放されている。台座部303と表側貼付用板部141との間の空間には、封印シールを切断するための破壊用部材311が設けられている。
破壊用部材311は合成樹脂により一体形成されている。また、破壊用部材311は、図23及び図25(a),(b)に示すように、台座部303と表側貼付用板部141との間の空間に入り込み可能な厚み寸法を有するとともに台座部303における両裏側対向板部304,305間の距離寸法よりも若干大きい長さ寸法を有する板状の破壊ベース部312と、当該破壊ベース部312の長さ方向の両端に形成された一対のアーム部313,314が一体形成されてなる。
一対のアーム部313,314は、台座部303において裏側対向板部304,305のそれぞれに近接した両端部303a,303bよりも外側の位置において裏側貼付用板部144に向けて突出している。そして、一対のアーム部313,314の間に台座部303を挟むとともに、台座部303と表側貼付用板部141との間に破壊ベース部312が入り込むようにして、破壊用部材311が配置されている。
ここで、台座部303の両端部303a,303bは、図23に示すように、裏側対向板部304,305により覆われていない。また、表側対向板部301,302は、上記台座部303の両端部303a,303bを覆わないように、側面領域139側であって裏側対向板部304,305側の隅角部分が凹ませて形成されている。したがって、台座部303の両端部303a,303bは、図24に示すように、貼付ベース135の外部に露出している。
上記構成において、上記のように一対のアーム部313,314が台座部303を間に挟むようにして設けられていることにより、図26に示すように、これら一対のアーム部313,314は貼付ベース135の外部に露出している。また、一対のアーム部313,314は対応する表側対向板部301,302と裏側対向板部304,305との間に配置されており、貼付ベース135において台座部303の両端部303a,303bを露出させている部分を埋めている。
一対のアーム部313,314が貼付ベース135の外部に露出しているのに対して、破壊ベース部312は貼付ベース135内に収容されている。貼付領域136に着目すれば、破壊ベース部312は、貼付ベース135における貼付領域136が設けられている箇所の反対側に配置されているといえる。
破壊ベース部312は、既に説明したとおり板状をなしているが、図25(a),(b)に示すように、一対のアーム部313,314間の方向及び厚み方向の両方に直交する方向である幅方向の途中位置から当該幅方向の一端側に向けて先細りするように先細り領域315が形成されている。また、先細り領域315の先端は、図25(a)に示すように、一対のアーム部313,314間の方向に対して交差するように傾斜させて形成されている。
上記構成の破壊用部材311は、表側構成体111及び裏側構成体112が組み合わされて両構成体111,112の相対位置が初期位置となった後に貼付ベース135に対して装着される。この装着に係る構成について詳細には、両構成体111,112が組み合わされて両構成体111,112の相対位置が初期位置となった場合、図24に示すように、台座部303の両端部303a,303bが露出しているとともに台座部303と表側貼付用板部141との間の空間が側面領域139の境界306を通じて開放された状態の貼付ベース135が形成される。そして、当該貼付ベース135に対して、先細り領域315側とは逆側の端部を挿入先側とし、さらに一対のアーム部313,314が台座部303の両端部303a,303b上を摺動するようにして、破壊用部材311が挿入される。この場合、その挿入方向の移動は、表側対向板部301,302において台座部303の両端部303a,303bを露出させるために形成された凹部分の周縁であって破壊用部材311の挿入先側の周縁に一対のアーム部313,314が当接することにより、それ以上の移動が規制される。この規制された位置が破壊用部材311の設置状態の位置となっており、当該位置を初期位置とする。
また、図23に示すように、台座部303には、表側貼付用板部141側に向けて開放さたネジ孔316が複数形成されているとともに、破壊用部材311にはネジ孔316を表側貼付用板部141の外側に開放させるための貫通孔317が形成されている。貫通孔317は対応するネジ孔316及び貫通孔152に対して同一軸線上となるように配置されている。そして、表側貼付用板部141側から各ネジ孔316に対して、ドライバなどの所定工具を用いて着脱操作が可能な固定部材としてのネジ153が螺着されていることにより、破壊用部材311を表側貼付用板部141と台座部303との間で挟み込んだ状態での両固定ベース部133,134の固定が行われている。このネジ固定が完了することにより、貼付ベース135に対する破壊用部材311の装着が完了する。
かかる構成の貼付ベース135に対して封印シール160が貼り付けられている。封印シール160の貼付位置に係る構成について図26に加えて図27を用いて説明する。図27(a)は貼付ベース135及びその周辺を示す側面図、図27(b)は貼付領域136における封印シール160の位置関係を説明するための説明図である。
図26及び図27(b)に示すように、封印シール160は貼付領域136に貼り付けられている。この場合、貼付領域136において表面領域137、側面領域139及び裏面領域138に亘って封印シール160が配置されるように当該封印シール160はコ字状に曲げて貼り付けられている。封印シール160により、表面領域137の略全体、側面領域139の略全体及び裏面領域138の略全体が覆われている。したがって、表面領域137に形成されている各貫通孔152の開口部及び裏面領域138に形成されている各ネジ孔316の開口部が封印シール160により覆われているとともに、側面領域139における表側固定ベース部133と裏側固定ベース部134との境界306もその略全体が封印シール160により覆われている。つまり、封印シール160は表側固定ベース部133及び裏側固定ベース部134の境界306に跨って貼り付けられている。これにより、基板ボックス102の開放操作が封印シール160によって阻害される。よって、境界140に沿って封印シール160を切断する又は封印シール160を剥がすことなく、基板ボックス102を開放することが困難になっている。
また、破壊用部材311と封印シール160との位置関係について説明すると、封印シール160は破壊用部材311から離間した位置に配置されている。また、破壊用部材311は境界306へ向けてスライド移動可能に設けられているため、封印シール160は破壊用部材311のスライド移動の途中位置に設けられているといえる。
次に、アンテナ部材172と境界306との位置関係について説明する。
アンテナ部材172は、側面領域139を挟み表面領域137から裏面領域138に亘って配置されているため、側面領域139における表側固定ベース部133と裏側固定ベース部134との境界306を跨いでいる。破壊用部材311は境界306側へ向けてスライド移動可能に設けられているため、アンテナ部材172は破壊用部材311のスライド移動の途中位置に配置されている。この場合、図27(a),(b)に示すように、第1スリット部174が境界306を跨いでいる。これにより、境界306に沿って封印シール160が切断された場合には、アンテナ部材172において第1スリット部174が形成された領域が切断され、ICタグ163において正常な通信が不可となる。
ちなみに、本実施の形態においても貼付ベース135には貼付領域136を区画するように囲み部321が形成されている。この場合、囲み部321の一部は表側対向板部301,302及び裏側対向板部304,305により形成されているが、上記のとおり破壊用部材311の一対のアーム部313,314は対応する表側対向板部301,302と裏側対向板部304,305との間に配置されており、当該一対のアーム部313,314は囲み部321の一部を構成している。囲み部321が形成されていることによる作用効果は上記第1の実施の形態にて説明したとおりである。
上記のように封印シール160が貼り付けられた貼付ベース135に対してカバー部材331が取り付けられている。当該カバー部材331について図28を用いて説明する。図28(a)はカバー部材331の斜視図、図28(b)はカバー部材331が基板ボックス102に取り付けられている様子を説明するための説明図である。
カバー部材331は、ポリカーボネート樹脂などといった無色透明の合成樹脂により、図26及び図28(a)に示すように、所定の内部空間332を有する直方体の箱状に形成されており、当該内部空間332を区画形成する複数(具体的には5個)の壁部はカバー部材331の内外に電波が透過可能となっている。カバー部材331には、図28(a)に示すように、直方体の6面のうち1の面が不具備となるように開口部333が形成されており、当該開口部333を通じて内部空間332がカバー部材331の外部に開放されている。また、開口部333はその周縁部が、当該開口部333を挟んで対向する一対の壁部334,335のそれぞれに対して内側に入り込むようにして形成されている。
カバー部材331の内部空間332は、封印シール160が貼り付けられた貼付ベース135の全体を収容可能な大きさに形成されている。また、開口部333は、貼付ベース135の突出先端側から当該貼付ベース135を内部空間332内に差込可能な大きさに形成されている。
カバー部材331の上記両壁部334,335間の距離は貼付ベース135において貼付領域136を挟んで相互に対向する一対の対向板部301,302,304,305間の距離と同一又はそれよりも若干大きく設定されている。これら両壁部334,335には開口部333の周縁部から貼付ベース135側に向けて突出させて一対の爪部336,337が一体形成されている(なお、爪部337については図28(b)を参照)。爪部336,337はその先端側が自由端となっており、外力が加えられた場合に弾性変形可能となっている。
爪部336,337に対応させて、図25(a),(b)及び図26に示すように、貼付ベース135に一体化された破壊用部材311の一対のアーム部313,314には、外方に突出させて受け部338,339が一体形成されている。カバー部材331は、開口部333を介して内部空間332内に貼付ベース135が差し込まれるように基板ボックス102に設置されている。この設置に際して、爪部336,337は対応する受け部338,339に対して取り付け方向の元側から当接することで外方に逃げるようにして弾性変形し、爪部336,337の先端フック部分が受け部338,339よりも取り付け方向の先側に到達することで復元力によって自然状態に復帰する。これにより、図28(b)に示すように、爪部336,337の先端フック部分が受け部338,339の端部に対して取り付け方向の先側から当接し、上記取り付け方向の逆方向である取り外し方向にカバー部材331を移動させようとしても、上記当接によってそれが阻止される。これら爪部336,337と受け部338,339との係合によって、カバー部材331が基板ボックス102に固定されている。
ここで、爪部336,337と受け部338,339との係合箇所はそれぞれ貼付ベース135の外側に配置されており、外部からアクセスできるようになっている。具体的には、係合箇所は外側に露出しているとともに、係合箇所に対してアクセス可能となるように、カバー部材331と結合体131,132との間には所定の空間が形成されている。
基板ボックス102にカバー部材331が固定されていることにより、破壊用部材311が一体化された貼付ベース135の略全体がカバー部材331によって囲まれている。詳細には、カバー部材331の内周面は貼付領域136の表面領域137側、側面領域139側及び裏面領域側のそれぞれにおいて囲み部321と当接又は近接している。
カバー部材331において表面領域137と対向する表面側壁部340には、貼付ベース135の各貫通孔152と同一軸線上に配置されるようにして固定解除用の孔部341が形成されている。但し、固定解除用の孔部341と、対応する貫通孔152に螺着されているネジ153の頭部と、の間には、封印シール160が介在している。当該固定解除用の孔部341は基板ボックス102の内部空間を開放させるのに先立ってネジ153を離脱させる場合に用いられるが、この作用の詳細については後に説明する。
カバー部材331によって貼付ベース135の略全体が囲まれていることにより、封印シール160はその全体がカバー部材331によって囲まれている。これにより、封印シール160がカバー部材331により保護されることとなる。例えば、パチンコ機10の出荷時などにはシュリンクフィルムを熱収縮させてパチンコ機10が覆われることとなるが、主制御装置63がパチンコ機10の背面に露出している構成においては、シュリンクフィルムが熱収縮する際の収縮方向への負荷や熱などの封印シール160やICタグ163への影響を抑えることが好ましく、上記のようにカバー部材331が設けられていることにより上記影響を低減することができる。
カバー部材331は無色透明となっているため、上記のようにカバー部材331が設けられた構成において、封印シール160をカバー部材331外から目視確認することができる。但し、カバー部材331は無色透明に限定されることはなく、カバー部材331外から封印シール160を目視確認できるようにする上では、封印シール160を目視確認できる程度の透明性を有していればよく、有色透明であってもよい。また、カバー部材331外から封印シール160を目視確認することはできなくなるが、カバー部材331を非透明に形成してもよい。この場合、カバー部材331により囲まれた空間内を外部から確認することができないため、不正行為者にとってはカバー部材331への対策を採りづらくなる。
また、カバー部材331は電波を透過可能に形成されているとともに、封印シール160のICタグ163とカバー部材331との間には電波を遮断する部材が設けられていない。したがって、遊技ホールの管理者等はICタグ163からID情報の読み取りを行う場合にカバー部材331を取り外すことなく当該読み取り作業を行うことができる。
この場合、遊技ホールの管理者等はICタグ163からID情報の読み取りを行う場合にリーダ装置の先端をカバー部材331に当接又は近接させることで、ID情報の読み取り作業を簡単且つ確実に行うことができる。つまり、カバー部材331はID情報の読み取り作業に際しての位置決め部として機能する。
ICタグ163がカバー部材331によって覆われているため、遊技ホールの管理者等がICタグ163へリーダ装置を近づけようとすると、カバー部材331と当接し、それ以上近づけることができない。換言すれば、ICタグ163に対してリーダ装置による識別情報の読み取りを行う場合の読み取り位置がICタグ163から予め定められた距離(カバー部材331とICタグ163との距離)よりも近づかないように制限されている。これにより、リーダ装置の先端をカバー部材331に当接又は近接させた状態で読み取り作業を行うように決めておけば、アンテナ部材172に切断が生じることによってICタグ163の通信可能距離が短くなった場合には、リーダ装置にてID情報を読み取ることができなくなる。よって、アンテナ部材172に切断が生じた事実を把握することが可能となり、基板ボックス102の不正な開放操作が行われた可能性があることを認識することができる。
次に、基板ボックス102の内部空間を開放する場合の手順について説明する。図29(a)〜(c)は基板ボックス102の内部空間を開放する場合の手順を説明するための説明図である。
既に説明したとおり、両構成体111,112の一方に対して他方を開放用の分離方向へスライド移動することが、貼付ベース135を構成する表側固定ベース部133並びに裏側固定ベース部134のネジ固定及びカバー部材331によって制限されているとともに、封印シール160によって阻害されている。このため、スライド移動を行う前処理として、カバー部材331の分離操作、ネジ固定の解除、及び封印シール160による阻害の解除を行う。
ここで、カバー部材331は破壊用部材311に係合することによって基板ボックス102に対して取り付けられており、破壊用部材311はネジ固定によって貼付ベース135に対して固定されているため、カバー部材331の分離の前処理として破壊用部材311のネジ固定を解除する。具体的には、カバー部材331の固定解除用の孔部341からドライバなどの工具の先端を挿入する。そして、ネジ153の頭部を覆っている封印シール160をドライバなどの工具の先端により突き破ることで、当該先端をネジ153の頭部に挿し込み、図29(b)に示すように、ネジ153を離脱させる。なお、既に説明したとおり、ICタグ163のアンテナ部材172はネジ153を挿通させるための貫通孔152を跨いでいるため、工具の先端をネジ153の頭部に差し込んだ際には封印シール160の一部の破損だけでなくアンテナ部材172の一部の破損が生じる。
上記のようにネジ153が離脱されることにより、破壊用部材311を貼付ベース135から分離させることが可能となり、それに伴ってカバー部材331を貼付ベース135から分離させることが可能となる。この場合に、カバー部材331と破壊用部材311とは係合しているため、設置時の取り付け方向とは反対方向を分離方向(取り外し方向)としてカバー部材331をスライド移動させようとすると、破壊用部材311も一体的に分離方向に移動することとなる。
図29(c)に示すように、カバー部材331を貼付ベース135から分離させると、貼付ベース135の側面領域139における両固定ベース部133,134の境界140を通じて破壊用部材311も貼付ベース135から分離される。この場合、境界140を跨ぐようにして封印シール160が貼り付けられているため、当該封印シール160が破壊用部材311の貼付ベース135の内部から外部へのスライド移動に伴って切断されるとともに、ICタグ163のアンテナ部材172も境界140を跨ぐようにして設けられているため、破壊用部材311のスライド移動に伴ってアンテナ部材172が切断される。これにより、封印シール160による開放操作の阻害が解除される。よって、両構成体111,112のスライド移動が可能となり、基板ボックス102の内部空間を開放することができる。したがって、CPUチップ103の検査等を行うことが可能となる。
ちなみに、既に説明したように、破壊用部材311の破壊ベース部312には先細り領域315が形成されており、破壊用部材311の分離に際しては当該先細り領域315の先端が分離方向の先側となる。したがって、鋭利な箇所が封印シール160及びアンテナ部材172に当接することとなり、これら封印シール160及びアンテナ部材172の切断の容易化が図られることに伴って、カバー部材331の分離操作を行い易くなる。また、先細り領域315の先端は傾斜しているため、当該先端の全体が同時に封印シール160及びアンテナ部材172に当接するのではなく、先端において当接する範囲が除々に増加することとなる。この点からも、封印シール160及びアンテナ部材172の切断の容易化が図られることに伴って、カバー部材331の分離操作を行い易くなる。
なお、破壊用部材311において封印シール160やICタグ163を切断するという機能が発揮されるのであれば、先細り領域315の先端が傾斜しておらず、境界140に対して平行であってもよく、さらにまた先細り領域315が不具備であってもよい。
以上のことから、ネジ固定を解除し、カバー部材331を分離させることによって、基板ボックス102の開放操作が行えるようになっている。この場合、カバー部材331の分離操作に伴って破壊用部材311のスライド移動が行われ、封印シール160が切断されるため、開放操作を行う場合における作業性の低下を抑制することができる。
特に、開放操作を規制するカバー部材331を取り付けた場合、開放操作を行う前段階として、ネジ固定の解除及び封印シール160の切断に加えてカバー部材331の分離作業が必要となる。このため、不正な開放操作を抑制することができる一方、正規の開放操作に要する作業量の増加が懸念される。これに対して、本実施の形態によれば、カバー部材331と破壊用部材311とが係合によって一体化されているため、カバー部材331の分離作業に伴って封印シール160の切断が行われる。これにより、開放操作を行う場合における作業性が極端に低下することが抑制される。
ここで、カバー部材331は破壊用部材311に係合することによって基板ボックス102に対して取り付けられており、さらに当該係合箇所は外部からのアクセスが可能となるように露出している。このため、係合箇所に対して外力を加えて当該係合を解除することによってカバー部材331と破壊用部材311との一体化を解除し、カバー部材331のみを基板ボックス102から分離させることができる。具体的には、爪部336,337を、先端フック部分が突出している側と反対側に向けて外力を加えて係合を解除した状態で、設置時の取り付け方向とは反対方向を分離方向(取り外し方向)としてカバー部材331をスライド移動させることによって、カバー部材331のみが基板ボックス102から分離する。この場合、破壊用部材311は貼付ベース135の内部に収容されたままであり、封印シール160に対して何ら影響を与えない。これにより、封印シール160を切断することなくカバー部材331を基板ボックス102から取り外し、封印シール160及び破壊用部材311を直接確認する簡易検査を行うことができる。
特に、封印シール160及び破壊用部材311がカバー部材331によって囲まれている状況においては、これらを直接確認するために、カバー部材331を一旦取り外したい場合がある。この場合、破壊用部材311とカバー部材331とが係合している状態でカバー部材331を分離した場合、当該カバー部材331の分離に伴って破壊用部材311の分離が行われ、当該破壊用部材311の分離によって封印シール160の切断が行われる。そうすると、封印シール160及び破壊用部材311の確認作業を好適に行うことができないという不都合が生じる。
これに対して、本実施の形態によれば、カバー部材331と破壊用部材311との係合を解除した状態でカバー部材331の分離操作を行うことによって、封印シール160の切断が生じることなく、カバー部材331を基板ボックス102から取り外すことが可能となる。これにより、封印シール160及び破壊用部材311を直接確認する簡易検査を行う場合に容易に対応することが可能となる。
また、カバー部材331によって封印シール160へのアクセスが制限されており、基板ボックス102の開放操作が制限されているため、基板ボックス102の開放操作を不正に行う場合、その前段階としてカバー部材331の分離操作が行われることが想定される。ここで、本実施の形態によれば、カバー部材331の分離操作に伴って封印シール160の切断が行われるため、カバー部材331及び破壊用部材311の係合を解除することなく、カバー部材331の分離操作が行われた場合、不正行為者にとって意図しない封印シール160の切断箇所が形成されることとなる。これにより、カバー部材331の不正な分離操作が行われたことを容易に確認することができる。よって、不正な開放操作をあきらめさせることができるとともに、痕跡を形成することなく開放操作を行う巧みな不正行為を抑制することができる。
なお、図30(a),(b)に示すように、貼付ベース135と協働して封印シール160を挟み込むように挟み用板部351を設けてもよい。挟み用板部351は各対向板部301,302,304,305に対して固定されている。挟み用板部351の板面は封印シール160に対して当接しており、封印シール160は、貼付ベース135の側面領域139を構成する表側貼付用板部141及び台座部303と、挟み用板部351と、によって挟まれている。
また、図30(b)に示すように、挟み用板部351には、破壊用部材311が通過可能な開口部352が設けられており、当該開口部352によって破壊用部材311が取り外し方向に移動可能となっている。
かかる構成によれば、カバー部材331を取り外し方向へ移動させると、破壊用部材311が封印シール160に対して当接する。この場合、挟み用板部351によって封印シール160の撓み変形が規制され、封印シール160は挟み用板部351と破壊用部材311とによって挟み込まれるようにしてせん断される。これにより、破壊用部材311が貼付ベース135の内側に配置されている場合であっても、第1の実施の形態と同様に封印シール160を容易に切断することができる。
<第3の実施の形態>
本実施の形態では、破壊用部材401及びカバー部材411に関する構成が上記第2の実施の形態と異なっている。当該相違する構成について図31〜図33を参照しながら以下に説明する。なお、第2(第1)の実施の形態と同一の構成については各図面において同一の番号を付すとともに、その説明を基本的に省略する。
図31(a)は本実施の形態における破壊用部材401の斜視図、図31(b),(c)は、それぞれ異なる方向から見た本実施の形態におけるカバー部材411の斜視図、図32は主制御装置63において貼付ベース135及びその周辺を示す分解斜視図、図33(a)は主制御装置63においてカバー部材411及びその周辺を示す斜視図、図33(b)はカバー部材411が基板ボックス102に取り付けられている様子を説明するための説明図である。
図31(a)に示すように、破壊用部材401は、第2の実施の形態の破壊用部材311と同様に、破壊ベース部402、アーム部403,404、先細り領域405、貫通孔406、受け部407,408を備えている。これらについては、第2の実施の形態における破壊用部材311の対応する部位と同様であるため、説明を省略する。
破壊用部材401は、第2の実施の形態と同様に、破壊ベース部402が貼付ベース135内に形成された空間に入り込むようにして設置されており、その位置にてネジ固定されることによって、貼付ベース135に対して取り付けられている。この場合、図32に示すように、アーム部403,404は囲み部321の一部を構成している。そして、破壊用部材401が取り付けられている貼付ベース135に対して封印シール160が貼り付けられている。
ここで、各アーム部403,404には、それぞれフック部409,410が一体形成されている。フック部409,410は、図32に示すように、封印シール160と干渉しないようにアーム部403,404から側方に突出させて形成されており、先端側が自由端となっている。これにより、フック部409,410は外力が加えられた場合に弾性変形可能となっている。
かかる構成の貼付ベース135に対してカバー部材411が取り付けられている。カバー部材411は、図31(b)に示すように、内部空間412、開口部413及び壁部414,415を備えている。これらについては、第2の実施の形態におけるカバー部材331における対応する部位と同様であるため、説明を省略する。
なお、図31(c)に示すように、カバー部材411において表面領域137と対向する表面側壁部416には、孔部341に代えて、ネジ用開口部417が設けられている。ネジ用開口部417は、カバー部材411が基板ボックス102に取り付けられた場合に、貼付ベース135の各ネジ孔316にアクセスできるように開口している。
カバー部材411は、内部空間412内に貼付ベース135全体を収容した状態で基板ボックス102に対して取り付けられている。具体的には、内部空間412を区画形成する壁部は、その内壁面が囲み部321と当接又は近接するように形成されているとともに、開口部413は囲み部321が通過可能な大きさに形成されている。開口部413側からカバー部材411を貼付ベース135に向けてスライド移動させると、カバー部材411は、その内壁面が囲み部321と摺動しながら所定の取り付け位置に配置され、基板ボックス102に取り付けられる。そして、貼付ベース135は開口部413を通じて内部空間412内に収容される。
この場合、カバー部材411の内壁面と囲み部321との摺動によって、カバー部材411を貼付ベース135に取り付ける場合の取り付け方向は一方向に規定されている。すなわち、貼付ベース135にカバー部材411を取り付ける場合の経路は規定されている。
カバー部材411は、基板ボックス102に対して取り付けられている状況において、破壊用部材401及び基板ボックス102双方との間で係合関係が生じるようになっている。
先ず、カバー部材411と基板ボックス102との係合関係について説明すると、カバー部材411の両壁部414,415には、開口部413の周縁部から貼付ベース135側に向けて突出させて一対の爪部421,422が一体形成されている。爪部421,422は、貼付ベース135の表裏方向においてフック部409,410に対してずれた位置に配置されている。なお、貼付ベース135の表裏方向は、表側構成体111及び裏側構成体112の重ね合わせ方向ともいえる。
当該爪部421,422に対応させて、図32に示すように、表側対向板部301,302には、外方(貼付ベース135とは反対側)へ向けて突出したボックス側受け部423,424が設けられている(ボックス側受け部424については図33(b)参照)。ボックス側受け部423,424は、破壊用部材401のアーム部403,404に設けられた受け部407,408と同一の突出量となっている。ボックス側受け部423,424は取り付け方向に沿って受け部407,408と連続するように形成されている。爪部421,422がそれぞれ対応するボックス側受け部423,424に対して係合することによって、カバー部材411が基板ボックス102に対して取り付けられている。
具体的には、爪部421,422の先端には、爪部421,422の向き合う方向に向けて突出させて先端フック部分が形成されている。当該先端フック部分は先端側から基端側へ向けて徐々に突出量が大きくなるように形成されており、基端側に向かうにつれて上記向き合う方向に傾斜する傾斜面421a,422aを備えている。傾斜面421a,422aは、カバー部材411が取り付けられる場合に受け部407,408と当接するように配置されている。詳細には、カバー部材411の取り付け方向において傾斜面421a,422aと受け部407,408とは同一直線上に配置されている。
かかる構成によれば、カバー部材411を取り付け方向にスライド移動させた場合、受け部407,408と傾斜面421a,422aとが当接する。この場合、爪部421,422は、傾斜面421a,422aに沿って外方(貼付ベース135とは反対側)へ向けて逃げるように弾性変形する。そして、爪部421,422が、受け部407,408を介してボックス側受け部423,424の取り付け方向の先側に到達することで復元力によって自然状態に復帰する。これにより、図33(b)に示すように、爪部421,422の先端フック部分がボックス側受け部423,424の端部に対して取り付け方向の先側から当接し、上記取り付け方向の逆方向である取り外し方向にカバー部材411をスライド移動させようとしても、上記当接によってそれが阻止される。これら爪部421,422とボックス側受け部423,424との係合によって、カバー部材411が基板ボックス102に対して取り付けられる。
なお、フック部409,410と爪部421,422とは貼付ベース135の表裏方向において互いにずれているため、取り付け方向へのスライド移動においてこれらが干渉することがない。換言すれば、フック部409,410と爪部421,422とは、カバー部材411の取り付けの際に干渉しないように配置されている。これにより、フック部409,410が設けられている状況においても、円滑なスライド移動が確保されている。
次に、破壊用部材401とカバー部材411との係合関係について説明する。破壊用部材401のフック部409,410に対応させて、カバー部材411における側面領域139と対向する側面側壁部431には、図32に示すように、スリット432,433が設けられている。スリット432,433は、フック部409,410が挿通可能な大きさに形成されている。フック部409,410がそれぞれ対応するスリット432,433の周縁部分と係合することによって、カバー部材411と破壊用部材401との係合関係が生じている。
具体的には、フック部409,410の先端には、フック部409,410の向かい合う方向とは逆方向に突出している先端フック部分が設けられている。当該先端フック部分は、先端側から基端側に向けて徐々に突出量が大きくなるように形成されており、基端側に向かうにつれて上記向き合う方向とは反対側に傾斜する傾斜面409a,410aを備えている。傾斜面409a,410aは、カバー部材411が取り付けられる場合にスリット432,433の縁部と当接するように配置されている。具体的には、カバー部材411の取り付け方向において傾斜面409a,410aとスリット432,433とは同一直線上に配置されている。
カバー部材411を基板ボックス102に対して取り付け方向にスライド移動させた場合、フック部409,410の傾斜面409a,410aは対応するスリット432,433の縁部に対して当接する。この場合、フック部409,410は、傾斜面409a,410aに沿って内方(貼付ベース135側)に向けて逃げるようにして弾性変形する。そして、フック部409,410がスリット432,433の内壁面と干渉しながら、カバー部材411のスライド移動が行われる。そして、フック部409,410の先端フック部分がスリット432,433を通過すると、復元力によって自然状態に復帰する。これにより、図33(a),(b)に示すように、フック部409,410の先端フック部分がスリット432,433の周縁部に対して係合する。これにより、カバー部材411が破壊用部材401に対して係合し、両者が一体化している。この場合、フック部409,410は、図33(a)に示すように、スリット432,433を介してカバー部材411から突出しており、外力を付与することが可能となっている。
以上のように構成された基板ボックス102によれば、カバー部材411と基板ボックス102との係合のみを解除した状態で、カバー部材411を基板ボックス102から分離させることによって、破壊用部材401による封印シール160の切断が行われる。これにより、封印シール160による阻害が解除され、その切断箇所が痕跡として残存することとなる。よって、開放操作の作業性の低下を抑制しつつ、痕跡を残さない開放操作を抑制することができる。
一方、カバー部材411と基板ボックス102との係合を解除し、さらにカバー部材411と破壊用部材401との係合を解除することによって、カバー部材411のみを基板ボックス102から分離させることが可能となる。これにより、カバー部材411のみの交換及びカバー部材411を取り外して直接封印シール160の異常の有無を確認することができる。
特に、本実施の形態においては、カバー部材411と基板ボックス102との係合箇所と、カバー部材411と破壊用部材311との係合箇所と、が別々に存在している。これにより、カバー部材411のみを不正に分離させる場合にはそれぞれの係合を解除する必要があるため、カバー部材411のみの分離操作が煩雑になっている。
以上詳述した本実施の形態によれば、カバー部材411は基板ボックス102と破壊用部材401との双方に対して係合関係が生じるようになっている。これにより、カバー部材411及び破壊用部材401の選択分離が可能となっているとともに、カバー部材411のみの不正な分離操作が煩雑になっている。よって、簡易検査を可能としつつ、カバー部材411のみの不正な分離操作を抑制することができる。
カバー部材411と係合するように破壊用部材401にフック部409,410を設けた。当該フック部409,410は封印シール160と干渉しないようにアーム部403,404から側方に突出させて形成した。これにより、フック部409,410を設けたことによって生じ得る封印シール160の貼付作業の作業性の低下を抑制し得る。
また、カバー部材411を基板ボックス102に対して取り付けることによって、自然にカバー部材411と破壊用部材401との係合関係が生じるように、フック部409,410とスリット432,433との相対位置関係を設定した。これにより、カバー部材411と破壊用部材401とを一体化するために特別な作業をする必要がない。よって、取り付け作業の作業性の低下を抑制し得る。
<第4の実施の形態>
本実施の形態では、破壊用部材501及びカバー部材511に関する構成が上記第2の実施の形態と異なっている。以下、その相違する構成について図34〜図36を参照しながら説明する。なお、第3の実施の形態と同一の構成については各図面において同一の番号を付すとともに、その説明を基本的に省略する。
図34(a)は本実施の形態における破壊用部材501の斜視図、図34(b)は本実施の形態におけるカバー部材511の斜視図、図34(c)はカバー部材511の分解斜視図、図35は主制御装置63において貼付ベース135及びその周辺を拡大して示す分解斜視図、図36(a)は主制御装置63においてカバー部材511及びその周辺を示す斜視図、図36(b)はカバー部材511が基板ボックス102に取り付けられている様子を説明するための説明図である。
図34(a)に示すように、本実施の形態における破壊用部材501は、破壊ベース部502、アーム部503,504、先細り領域505、貫通孔506、受け部507,508を備えている。これらについては、第2の実施の形態の破壊用部材311における対応する部位と同様であるため、説明を省略する。
破壊用部材501は、第2の実施の形態と同様に、破壊ベース部502が貼付ベース135内に形成された空間に入り込むようにして設置されており、当該位置にてネジ固定されることによって、貼付ベース135に対して取り付けられている。破壊用部材501が取り付けられている状況においてアーム部503,504は、図35に示すように、囲み部321の一部を構成している。そして、破壊用部材501が取り付けられている貼付ベース135に対して封印シール160が貼り付けられている。
ここで、図34(a)に示すように、各アーム部503、504には、それぞれフック部509,510が一体形成されている。フック部509,510は、図35に示すように、封印シール160と干渉しないようにアーム部503,504から側方に突出させて形成されている。フック部509,510は先端側が自由端となっており、外力が加えられた場合に弾性変形可能となっている。
かかる構成の貼付ベース135に対してカバー部材511が取り付けられている。カバー部材511は、第2の実施の形態のカバー部材331と同様に、所定の内部空間512を有する直方体の箱状に形成されており、当該内部空間512を区画形成する複数(具体的には5個)の壁部はカバー部材511の内外に電波が透過可能となっている(図34(b),(c)参照)。カバー部材511には、直方体の6面のうち1の面が不具備となるように開口部513が形成されており、当該開口部513を通じて内部空間512がカバー部材511の外部に開放されている。また、開口部513はその周縁部が、当該開口部513を挟んで対向する一対の壁部514,515のそれぞれに対して内側に入り込むようにして形成されている。
カバー部材511の内部空間512は、封印シール160が貼り付けられた貼付ベース135の全体及びフック部509,510を含む破壊用部材501全体を収容可能な大きさに形成されている。また、カバー部材511の上記両壁部514,515間の距離は破壊用部材501のアーム部503,504間の距離よりも大きく設定されている。これにより、内部空間512内に破壊用部材501及び貼付ベース135が収容された状態で、カバー部材511が基板ボックス102に対して取り付けられている。なお、上記第3の実施の形態で説明した通り、基板ボックス102へのカバー部材511の取り付ける場合のカバー部材511の取り付け方向は規定されている。
カバー部材511において表面領域137に対応した表面側壁部516には、ネジ用開口部517が設けられている。ネジ用開口部517は、カバー部材511が基板ボックス102に取り付けられた場合に、貼付ベース135の各ネジ孔316にアクセスできるように開口している。
カバー部材511は、基板ボックス102に対して取り付けられている状況において、破壊用部材501及び基板ボックス102双方との間で係合関係が生じるようになっている。
先ず、カバー部材511と基板ボックス102との係合関係について説明すると、カバー部材511の両壁部514,515には、開口部513の周縁部から貼付ベース135側に向けて突出させて一対の爪部521,522が一体形成されており、当該爪部521,522にはそれぞれ傾斜面521a,522aが形成されている。爪部521,522は、ボックス側受け部423,424と係合する。当該係合の詳細については、爪部421,422とボックス側受け部423,424との係合と同様であるため、説明を省略する。
次に、カバー部材511と破壊用部材501との係合関係について説明すると、フック部509,510の先端には互いに向き合う方向に突出した先端フック部分が設けられている。先端フック部分は先端側から基端側に向けて徐々に突出量が大きくなるように形成されており、基端側に向かうに従って上記向き合う方向に傾斜する傾斜面509a,510aを備えている。
当該フック部509,510に対応させて、カバー部材511の内部空間512内には、フック部509,510との係合箇所が設けられている。具体的には、カバー部材511の内側には係合部材531が取り付けられている。係合部材531は板状をなしており、内部空間512内に収容可能な大きさに形成されている。係合部材531の長手方向の長さ寸法は、破壊用部材501のアーム部503,504間の距離寸法と同一又はそれよりも若干小さく設定されている。係合部材531は開口部513に対して対向配置された側面側壁部418に固定されている。
具体的には、側面側壁部418の内側には、開口部513に向けて開放されたボス532が設けられている。ボス532は、側面側壁部418の内壁面から開口部513へ向けて突出させて形成されている。ボス532に対応させて、図34(c)に示すように、係合部材531には貫通孔533が設けられている。貫通孔533及びボス532が同一軸線上となるように係合部材531を配置し、その状態で貫通孔533側からネジ534が螺着されることによって、係合部材531はカバー部材511に対して固定される。この場合、係合部材531と側面側壁部418との間には、ボス532の突出量に対応した隙間が形成されている。
ここで、ボス532の突出量はフック部509,510の先端フック部分の突出寸法よりも大きくなるように設定されている。これにより、係合部材531と側面側壁部418との間に形成される隙間は、フック部509,510の先端フック部分が係合部材531の側面側壁部418側へ突出可能な大きさを有している。
また、係合部材531の長手方向の長さ寸法はカバー部材511における壁部514,515間の距離寸法よりも小さく設定されており、さらにカバー部材511の上記両壁部514,515間の距離はアーム部503,504間の距離よりも大きく設定されているため、図36(b)に示すように、係合部材531と壁部514,515との間には隙間535,536が形成されている。
隙間535,536はフック部509,510が挿通可能な大きさに形成されている。具体的には、係合部材531と壁部514,515との距離がフック部509,510における先端フック部分の厚さよりも大きく設定されている。
ここで、カバー部材511が取り付け方向にスライド移動した場合に、フック部509,510の傾斜面509a,510aが隙間535,536を形成する係合部材531の縁部に当接するように、両者の位置関係が規定されている。具体的には、カバー部材511の取り付け方向において、傾斜面509a,510aと係合部材531の縁部とは同一線上に配置されている。
かかる構成によれば、開口部513を介して内部空間512内に貼付ベース135が収容されるようにカバー部材511を取り付け方向にスライド移動させた場合、フック部509,510の傾斜面509a,510aと係合部材531とが当接する。この場合、傾斜面509a,510aに沿ってフック部509,510がそれぞれ外側、すなわち壁部514,515側に向けて弾性変形する。そして、フック部509,510の先端フック部分が隙間535,536を通過しフック部509,510の先端フック部分が係合部材531の側面側壁部418側へ到達することで、復元力によって自然状態に復帰する。これにより、図36(b)に示すように、フック部509,510の先端フック部分が係合部材531の周縁部と係合する。よって、破壊用部材501とカバー部材511との係合関係が生じるようになっている。
この場合、破壊用部材501とカバー部材511との係合箇所がカバー部材511の内部空間512内に収容されている。これにより、当該係合箇所にアクセスしようとしても、それが行いづらくなる。
開放操作を行う場合には、先ずカバー部材511と基板ボックス102との係合を解除する。具体的には、爪部521,522を外方に向けて弾性変形させる。これにより、カバー部材511と基板ボックス102との係合が解除されるため、かかる状態でカバー部材511を取り付け方向とは逆の方向である取り外し方向へスライド移動させる。これにより、カバー部材511が分離される。この場合、カバー部材511と破壊用部材501とが一体化しているため、カバー部材511の分離に伴って破壊用部材501による封印シール160の切断が行われる。よって、封印シール160による阻害が解除され、当該切断箇所が痕跡として残存することとなる。
すなわち、カバー部材511の分離に伴って封印シール160の切断が行われるため、カバー部材511を設けたことによって生じ得る開放操作の作業性の低下を抑制し得る。一方、カバー部材511を不正に分離させようとした場合には、カバー部材511の分離に際して意図しない切断が行われ、痕跡として切断箇所が形成されるため、当該不正行為が行われたことを容易に確認することができる。
上記のようにカバー部材511の内部空間512内に破壊用部材501とカバー部材511との係合箇所を収容することによって、当該係合箇所へのアクセスが行いづらくなっていることにより、カバー部材511のみを分離させることが困難になっている一方、カバー部材511の分離に際して破壊用部材501が追従しないように上記係合を解除しようとする行為を阻止する又はあきらめさせることが可能となる。よって、カバー部材511の分離に際して破壊用部材501が追従することとなり、破壊用部材501が追従することで、上記第2の実施の形態にて説明したように、封印シール160の切断及びICタグ163におけるアンテナ部材172の切断が発生することとなる。
特に、フック部509,510は貼付ベース135から側方に突出して形成されている。これにより、カバー部材511が貼付ベース135に対して側方から取り付けられた状況において、フック部509,510は開口部513から入り込んだ位置にて係合している。すなわち、係合箇所が開口部513に対して奥側(側面側壁部418側)に入り込んだ位置に配置されることとなるため、係合箇所に対するアクセスが困難になっている。これにより、カバー部材511の開口部513を介して係合箇所へアクセスする不正行為を抑制することができる。
カバー部材511の内部空間512内にて破壊用部材501とカバー部材511との係合が行われる場合、フック部509,510に対して係合をアシストする外力を付与できないため、破壊用部材501とカバー部材511との係合が好適に行われない場合に対応しにくいという問題がある。これに対して、本実施の形態では、フック部509,510に傾斜面509a,510aを設けるとともに、カバー部材511が基板ボックス102に対して取り付けられる場合に、当該傾斜面509a,510aが隙間535,536を形成する係合部材531の縁部と当接するように相対位置関係を規定した。これにより、フック部509,510が傾斜面509a,510aに沿って弾性変形し、自然に係合部材531と係合するようになっている。よって、係合箇所を内部空間512内に収容する構成において生じ得る不都合を回避することができる。
<第5の実施の形態>
本実施の形態では、破壊用部材311の取り付け態様及びカバー部材611に関する構成が上記第2の実施の形態と異なっている。当該相違する構成について図37〜図39を参照しながら以下に説明する。なお、第2の実施の形態と同一の構成については各図面において同一の番号を付すとともに、その説明を基本的に省略する。
図37(a)は表側貼付用板部141に破壊用部材311が取り付けられた状態の表側構成体111の一部背面図、図37(b)は破壊用部材311が回転している様子を示す説明図、図38(a),(b)はそれぞれ異なる方向から見た本実施の形態におけるカバー部材611の斜視図、図39(a)は主制御装置63において貼付ベース135及びその周辺を示す斜視図、図39(b)はカバー部材611が基板ボックス102に取り付けられている様子を説明するための説明図である。
図37(a),(b)に示すように、破壊用部材311は、表側貼付用板部141に対して軸支されており、回転可能に形成されている。具体的には、表側貼付用板部141の裏側には軸部601が設けられている。軸部601は円柱形状をなしており、裏側貼付用板部144側に向けて起立して設けられている。軸部601の起立量は破壊用部材311の破壊ベース部312の厚さ方向と略同一に設定されている。軸部601は、表側貼付用板部141において表側対向板部302側の端部に配置されている。
軸部601に対応して、破壊用部材311の破壊ベース部312には軸受け孔602が設けられている。軸受け孔602は、軸部601に対応させて、破壊ベース部312においてアーム部314側の端部に設けられている。軸受け孔602の孔径は軸部601の外径と同等又はそれよりも若干大きくなるように形成されており、軸部601が軸受け孔602に挿入されている。これにより、破壊用部材311は、図37(b)に示すように、軸部601及び軸受け孔602からなる軸支箇所を支点として外側に向けて回転可能となっている。そして、かかる状態で、表側構成体111及び裏側構成体112が組み合わされることによって、破壊用部材311が基板ボックス102に対して取り外し不可又は困難な状態で装着されている。
具体的には、表側構成体111及び裏側構成体112が組み合わされた状態において、破壊用部材311は、表側貼付用板部141及び裏側貼付用板部144によって挟まれている。これにより、基板ボックス102の厚み方向における破壊用部材311の移動が表側貼付用板部141及び裏側貼付用板部144によって規制される。また、厚み方向と直交する方向への破壊用部材311の移動は軸部601との当接によって規制される。よって、基板ボックス102を開放することなく、破壊用部材311を基板ボックス102から取り外すことが不可又は困難になっている。
また、表側構成体111及び裏側構成体112が組み合わされた状態において、破壊用部材311は境界306と対向する位置に配置されており、当該境界306側に向けて回転可能となっている一方、境界306側以外の方向への回転は表側対向板部301等との当接によって制限されている。当該規制された位置を初期位置とする。初期位置において、アーム部313,314は囲み部321の一部を構成しているとともに、外部からのアクセスが可能となるように貼付ベース135の外側に露出している。
破壊用部材311が初期位置に配置されている状況において、表側貼付用板部141と裏側貼付用板部144とのネジ固定が行われることによって、上記境界306側への破壊用部材311の回転移動が制限され、当該ネジ固定が行われた状態で封印シール160が貼り付けられている。
ここで、図39(a)に示すように、表側構成体111と裏側構成体112とが組み合わされた状況において軸支箇所は貼付ベース135及び封印シール160によって覆われている。これにより、軸支箇所が貼付ベース135及び封印シール160によって保護されることとなる。
次に、本実施の形態におけるカバー部材611について説明すると、図38(a),(b)に示すように、カバー部材611は、第2の実施の形態におけるカバー部材331と同様に、内部空間612、開口部613及び壁部614,615を備えている。これらの構成については第2の実施の形態におけるカバー部材331と同様であるため説明を省略する。また、第3の実施の形態にて説明したとおり、基板ボックス102へのカバー部材611の取り付け方向は一方向に規定されている。
カバー部材611は、内部空間612内に封印シール160が貼り付けられた貼付ベース135が収容された状態で、基板ボックス102に対して取り付けられている。この場合、カバー部材611は基板ボックス102に対して係合関係が生じるようになっている。
具体的には、壁部614,615には、図38(a)に示すように、内側に突出した爪部621,622が設けられており、当該爪部621,622に対応させて、図39(a),(b)に示すように、表側対向板部301,302には外方に向けて突出したボックス側受け部623,624が設けられている(ボックス側受け部624については図39(b)参照)。ボックス側受け部623,624は、第3の実施の形態のボックス側受け部423,424と同様に、破壊用部材311の各アーム部313,314に設けられた突出部338,339と取り付け方向において連続するように形成されている。カバー部材611が取り付け方向に移動することによって爪部621,622が突出部338,339と当接するように、両者の相対位置関係が規定されている。具体的には、取り付け方向において爪部621,622と突出部338,339とが同一直線上に配置されている。
かかる構成によれば、開口部613を介して内部空間612に破壊用部材311が一体化された貼付ベース135が収容されるように、カバー部材611を基板ボックス102に向けてスライド移動させると、図39(b)に示すように、爪部621,622が対応するボックス側受け部623,624に対して係合する。これにより、カバー部材611が基板ボックス102に対して取り付けられている。当該係合箇所は貼付ベース135から露出しており、外部からのアクセスが可能となっている。
なお、爪部621,622には、それぞれ傾斜面621a,622aが設けられている。当該傾斜面621a,622aは、第3の実施の形態の爪部421,422の傾斜面421a,422aと同一であるため、説明を省略する。
ここで、カバー部材611には孔部341に対応したものは存在しないため、ネジ固定箇所はカバー部材611によって覆われている。これにより、カバー部材611を基板ボックス102から取り外すことなく、貼付ベース135のネジ固定を解除することが不可又は困難になっている。
また、貼付ベース135及び封印シール160はカバー部材611の内部空間612内に収容されているため、これらに対するアクセスが制限されている。さらに、カバー部材611によって破壊用部材311が収容されているため、破壊用部材311に対するアクセスが制限されている。
次に、基板ボックス102の内部空間を開放する場合の手順について説明する。図40(a)〜(c)は基板ボックス102の内部空間を開放する場合の手順を説明するための説明図である。
封印シール160及び貼付ベース135のネジ固定箇所及び封印シール160はカバー部材611によって囲まれているため、これらへのアクセスを可能とするために先ずカバー部材611の分離操作を行う必要がある。カバー部材611は基板ボックス102に対して係合しているため、その係合状態を解除する必要がある。当該係合状態を解除する場合には、カバー部材611の爪部621,622を外側に向けて弾性変形させる。そして、取り付け方向とは反対方向の取り外し方向へカバー部材611をスライド移動させる。これにより、基板ボックス102からカバー部材611のみが取り外される。
ここで、本実施の形態では、カバー部材611と破壊用部材311とが一体化されていない。具体的には、カバー部材611は破壊用部材311に対して係合又は固定されていない。このため、カバー部材611の分離操作に伴って破壊用部材311が分離されない。つまり、カバー部材611の分離操作が行われた場合であっても、破壊用部材311は貼付ベース135内に収容されている。これにより、封印シール160を破壊することなく、カバー部材611を基板ボックス102から取り外すことが可能となっており、カバー部材611の交換及び封印シール160を直接確認する確認作業に好適に対応することが可能となる。
その後、図40(b)に示すように、ネジ153を離脱させる。これにより、破壊用部材311の回転移動が可能となるとともに、封印シール160に痕跡が形成される。
次に、図40(c)に示すように、回転移動の制限が解除された破壊用部材311を回転させる。具体的には、破壊用部材311の軸支箇所近傍のアーム部314とは反対側のアーム部313を境界306側(貼付ベース135の外側)に向けて回転させる。この場合、境界306を跨ぐようにして封印シール160が貼り付けられているため、破壊用部材311の回転に伴って封印シール160の境界306を跨いでいる箇所が切断される。これにより、封印シール160による阻害が解除される。よって、両構成体111,112の一方に対して他方を分離方向へスライド移動させることが可能となる。
以上詳述した本実施の形態によれば以下の優れた効果を奏する。
破壊用部材311の一端のアーム部314側に軸支箇所を設け、操作部(作用部)として当該軸支箇所とは反対側に設けられたアーム部313を境界306側へ向けて回転させることによって、軸支箇所とアーム部313との間に存在する先細り領域315が封印シール160と当接する構成とした。これにより、破壊用部材311と封印シール160との当接箇所に対する押圧力が、アーム部313に付与する力よりも大きくなる。さらに、破壊用部材311が回転した場合、破壊ベース部312は封印シール160に対して傾斜した状態で当接する。これにより、先細り領域315の先端部分のみが封印シール160に当接し、回転に伴って当接箇所がシフトしていく。よって、封印シール160の切断が徐々に行われることとなる。したがって、封印シール160及びアンテナ部材172の切断の容易化が図られる。
貼付ベース135への破壊用部材311の軸支箇所が当該貼付ベース135により収容される構成とした。これにより、これらに対するアクセスが困難になっているため、軸支箇所に対する不正行為を抑制することができる。
また、貼付ベース135には封印シール160が貼り付けられているため、仮に貼付ベース135を介して軸支箇所へアクセスした場合には、封印シール160の破壊による痕跡が残存することが期待される。これにより、軸支箇所への不正アクセスの事実を容易に確認することができる。
<第6の実施の形態>
本実施の形態では、破壊用部材701及びカバー部材721に関する構成が上記第2の実施の形態と異なっている。当該相違する構成について図41〜図43を用いて以下に説明する。
図41は貼付ベース135及びその周辺を示す分解斜視図、図42は貼付ベース135及びその周辺を示す分解斜視図、図43(a),(b)は破壊用部材701の回転を示す説明図である。
本実施の形態における破壊用部材701は、図42に示すように、台座部145と表側貼付用板部141との間の空間に入り込み可能な厚み寸法を有するとともに、台座部145における両裏側対向板部304,305間の距離寸法よりも若干大きい長さ寸法を有する板状の破壊ベース部702を備えている。破壊ベース部702の長さ方向の一端には第1アーム部703が一体形成されているとともに、反対側の他端には第2アーム部704が一体形成されている。第1アーム部703は、破壊ベース部702の長さ方向と直交する方向に延びた板状に形成されている。第2アーム部704は貼付ベース135の表側に向けて突出している。破壊用部材701は貼付ベース135に対して軸支された状態で基板ボックス102に取り付けられている。
具体的には、貼付ベース135の外側、詳細には表側対向板部302と第1結合体131との間には軸部711が設けられている。軸部711は貼付ベース135の表裏方向を軸線とした円環形状をなしており、表側構成体111の外側に設けられている。
軸部711に対応させて、図42に示すように、破壊用部材701の一端には、受け部712が設けられている。受け部712は第1アーム部703よりも外側に設けられている。受け部712は、貼付ベース135の表裏方向に貫通した軸受け孔713を備えている。軸受け孔713の内径は軸部711の外径と同一又はそれよりも若干大きく設定されている。これにより、軸部711は、軸受け孔713に対して挿入可能となっている。そして、図43(a)及び図43(b)に示すように、軸受け孔713に対して軸部711が挿入された状態で、破壊用部材701は貼付ベース135に取り付けられており、軸受け孔713に対して軸部711が挿入された軸支箇所を支点として貼付ベース135の外側に回転可能となっている。
取り付けに関して具体的には、表側貼付用板部141と破壊ベース部702とが干渉しないように破壊用部材701を貼付ベース135に対して傾斜させた状態で、軸受け孔713に軸部711が挿入されるように破壊用部材701を貼付ベース135の表側から取り付ける。そして、破壊用部材701を貼付ベース135に向けて回転させる。すると、第1アーム部703と第2アーム部704との間に表側貼付用板部141を挟むとともに、台座部145と表側貼付用板部141との間に破壊ベース部702が入り込むようにして、破壊用部材701が配置される。
破壊用部材701の第1アーム部703に対応させて、表側対向板部302の側方側の部分が凹んでいる。これにより、表側貼付用板部141の表側対向板部302に近接した端部の一部が露出している。そして、凹ませたことによって生じた空間に第1アーム部703が配置されるように、軸支箇所から第1アーム部703までの距離が設定されている。これにより、貼付ベース135への破壊用部材701の取り付けに際して破壊用部材701が回転する場合に、第1アーム部703が表側対向板部302と干渉しないとともに、破壊用部材701が初期位置に配置されている状況において、第1アーム部703が表側対向板部302及び裏側対向板部305と連続し、表側貼付用板部141の露出した部分と当接する。
また、第2アーム部704に対応させて、表側対向板部301において側面領域139側であって貼付ベース135の表側の隅角部分には切り欠きが形成されている。当該切り欠きによって、表側貼付用板部141の表側対向板部301に近接した端部の一部が露出している。そして、切り欠き部分に第2アーム部704が嵌まるように、軸支箇所から第2アーム部704までの距離が設定されている。これにより、貼付ベース135への破壊用部材701の取り付けに際して破壊用部材701が回転する場合に、第2アーム部704が表側対向板部301と干渉しないとともに、破壊用部材701が初期位置に配置されている状況において、第2アーム部704と表側対向板部301とが連続し、表側貼付用板部141の露出した部分と当接する。
ここで、第2アーム部704と表側対向板部301との当接及び第1アーム部703と表側対向板部302との当接によって、破壊用部材701の取り付け方向へのそれ以上の回転が規制されている。当該規制された位置を初期位置とする。すなわち、上記当接によって初期位置への破壊用部材701の位置決めを容易に行うことができるようになっている。
また、初期位置において、破壊ベース部702は貼付ベース135の内部に配置されているため、破壊用部材701を貼付ベース135の表裏方向に移動させようとしても、破壊ベース部702と、貼付ベース135を構成する表側固定ベース部133及び裏側固定ベース部134との当接によってその移動は規制される。すなわち、破壊用部材701は、破壊ベース部702が貼付ベース135(表側固定ベース部133)と干渉しない位置まで回転しない限り、基板ボックス102から取り外せないようになっている。すなわち、破壊用部材701は、自身が回転することなく基板ボックス102から取り外せないようになっているといえる。
なお、破壊用部材701が初期位置に配置されている状況において、表側貼付用板部141は第1アーム部703と第2アーム部704とによって挟まれている。また、第1アーム部703及び第2アーム部704は囲み部321の一部を構成しており、表側貼付用板部141等の露出した部分はこれら第1アーム部703及び第2アーム部704によって覆われている。
図41に示すように、破壊用部材701の第2アーム部704には取っ手714が設けられている。取っ手714は、第2アーム部704の裏側の端部から側方へ突出させて一体形成されている。破壊用部材701が初期位置に配置されている状況において、取っ手714は境界306(破壊ベース部702)と対向する位置に配置されており、取っ手714と貼付ベース135との間には所定の隙間が形成されている。取っ手714の厚みは境界306と略同一に形成されている。取っ手714は円環形状をなしており、把持可能に形成されている。取っ手714を持つことによって、境界306側(破壊用部材701を取り付ける際の回転方向とは逆方向)に容易に回転させることができる。
なお、破壊ベース部702には、先細り領域705及び貫通孔706が形成されている。当該先細り領域705及び貫通孔706については、上記第2の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
破壊用部材701が初期位置に配置されている状態で貼付ベース135がネジ固定されている。具体的には、貫通孔152,706及びネジ孔316の連通孔に対してネジ153が螺着されている。これにより、表側固定ベース部133及び裏側固定ベース部134が固定され、更に破壊用部材701が固定される。よって、表側構成体111及び裏側構成体112のスライド移動が規制され、さらに破壊用部材701の回転移動が規制される。そして、ネジ固定された貼付ベース135に対して封印シール160が貼り付けられている。
貼り付けに際しては、取っ手714と封印シール160とが干渉しないように、取っ手714と貼付ベース135との間の隙間に入り込むように封印シール160を貼り付ける。これにより、封印シール160が境界306に跨って貼り付けられているため、表側構成体111及び裏側構成体112のスライド移動が阻害される。
封印シール160が貼り付けられた貼付ベース135には、カバー部材721が取り付けられている。当該カバー部材721について図44〜図46を参照しながら以下に説明する。
図44(a)は基板ボックス102においてカバー部材721及びその周辺を示す斜視図、図44(b)は基板ボックス102の側面図、図45は貼付ベース135及びその周辺を示す分解斜視図、図46(a),(b)はそれぞれ異なる方向から見たカバー部材721の斜視図である。
カバー部材721は、図46(b)に示すように、所定の内部空間722を有する直方体の箱状に形成されており、当該内部空間722を区画形成する複数(具体的には5個)の壁部はカバー部材721の内外に電波が透過可能となっている。カバー部材721には開口部723が設けられており、当該開口部723を通じて内部空間722がカバー部材721の外部に解放されている。
カバー部材721の内部空間722は、封印シール160が貼り付けられた貼付ベース135の一部及び第1結合体131を収容可能な大きさに形成されている。また、開口部723は、貼付ベース135及び第1結合体131が内部空間722内に入り込めるように、当該貼付ベース135及び第1結合体131の形状に合わせて形成されている。詳細には、開口部723は、当該開口部723の周縁部が囲み部321及び第1結合体131と当接又は近接するように形成されている。開口部723に囲み部321及び第1結合体131が入り込むように、カバー部材721をスライド移動させることによって、内部空間722内に貼付ベース135の一部及び第1結合体131を収容した状態でカバー部材721が基板ボックス102に対して取り付けられる。
なお、カバー部材721のスライド移動に伴って、開口部723を形成する周縁部と囲み部321等とが摺動する。これにより、基板ボックス102へのカバー部材721の取り付け方向が一方向に規定されているとともに、取り外し方向も一方向(取り外し方向とは反対方向)に規定されている。
また、開口部723は囲み部321等の形状に合わせて形成されているため、カバー部材721が取り付けられている状況において、開口部723は囲み部321及び第1結合体131によって塞がれている。これにより、開口部723を介して治具を挿入することが困難になっている。
ここで、カバー部材721が配置されている状況において、破壊用部材701の回転がカバー部材721によって制限されないようになっている。具体的には、側面領域139と対向する側面側壁部731には、図45に示すように、取っ手714に対応させてスリット732が設けられている。スリット732は、図44(b)に示すように、境界306と対向する位置に配置されている。スリット732は、破壊用部材701が回転移動する経路上に設けられている。スリット732は破壊ベース部702及び取っ手714が通過可能な大きさに形成されている。具体的には、スリット732の長手方向の長さ寸法は破壊ベース部702の長さ寸法と同一又はそれよりも若干大きく設定されており、さらにスリット732の短手方向の長さ寸法は破壊ベース部702及び取っ手714の厚み寸法と同一又はそれよりも若干大きく設定されている。カバー部材721が配置されている状況において、取っ手714はスリット732を介して突出している。
また、図45に示すように、破壊用部材701が初期位置に配置されている状況において、第2アーム部704は表側対向板部301から外方(貼付ベース135とは反対側)に向けて突出おり、当該突出に対応させて側面側壁部731には第2アーム部用開口部733が設けられている。第2アーム部用開口部733は、スリット732の一端であって、側面側壁部731の隅角部に形成されている。第2アーム部用開口部733は第2アーム部704が通過可能な大きさに形成されている。具体的には、図44(b)に示すように、第2アーム部用開口部733における貼付ベース135の表裏方向の長さ寸法が対応する第2アーム部704の長さ寸法と同一又はそれよりも若干大きくなるように設定されている。そして、第2アーム部用開口部733における上記表裏方向と直交する方向の長さ寸法が対応する第2アーム部704の突出寸法よりも大きくなるように、内部空間722を区画形成する壁部734において第2アーム部704に対応する隅角部が外側に向けて拡張されている。カバー部材721が配置されている状況において、第2アーム部704は第2アーム部用開口部733内に配置されている。
さらに、破壊用部材701と貼付ベース135との軸支箇所に対応させて、スリット732の他端側には、回転用開口部735が形成されている。回転用開口部735は、破壊用部材701が回転した場合に第1アーム部703とカバー部材721とが干渉しないように、第1アーム部703が通過可能な大きさに形成されている。
以上のことから、カバー部材721が貼付ベース135に取り付けられている状況であっても、破壊用部材701のネジ固定が解除された場合には、カバー部材721を回転させることができるようになっている。この場合、取っ手714はカバー部材721のスリット732を介して突出しているため、つかみ易い状態は確保されている。
また、カバー部材721が配置されている状況において、第2アーム部704及び軸支箇所は、カバー部材721の内部空間722内に収容されている。これにより、これらに対するアクセスが制限されている。
カバー部材721がかかる位置に配置されている状況において、カバー部材721は破壊用部材701に対して係合している。具体的には、カバー部材721と破壊用部材701との間には第1の係合及び第2の係合が生じるようになっている。
先ず第1の係合について、図45及び図46に加え、図47を用いて説明する。図47は、第1の係合を説明する説明図であって、図44(b)のA−A線断面図を模式的に示した図である。
図45に示すように、壁部734には第1フック部741が設けられている。第1フック部741は、図47に示すように、表側対向板部301側に向けて突出している。第1フック部741が第2アーム部704に対して係合している。
詳細には、図46(b)に示すように、第1フック部741の周囲は、開口部723側の端部を除いて切り取られている。これにより、第1フック部741は、側面側壁部731側を自由端として弾性変形可能に形成されている。また、第1フック部741は、側面側壁部731側へ向かうにつれ、貼付ベース135側へ傾斜するフック側傾斜面741aを備えている。当該フック側傾斜面741aに対応させて、第2アーム部704において第2アーム部用開口部733側には、上記フック側傾斜面741aと同一の傾斜を有する第2アーム部側傾斜面704aが設けられている。カバー部材721が取り付け方向にスライド移動した場合に、フック側傾斜面741a及び第2アーム部側傾斜面704aが当接するように両者の相対位置関係が規定されている。具体的には、フック側傾斜面741a及び第2アーム部側傾斜面704aは、取り付け方向において同一直線上に配置されている。
かかる構成によれば、カバー部材721を取り付け方向にスライド移動させると、両者が当接し、第1フック部741は外側(貼付ベース135とは反対側)へ逃げるようにして弾性変形する。そして、第1フック部741が第2アーム部704よりも取り付け方向の先側に到達することで復元力によって自然状態に復帰する。これにより、図47に示すように、第1フック部741が、第2アーム部704の取り付け方向の先側の端面と当接するため、取り付け方向の逆方向である取り外し方向にカバー部材721を移動させようとしても、上記当接によってそれが規制される。
なお、カバー部材721が配置されている状況において、第2アーム部704は第2アーム部用開口部733を区画形成する壁部に囲まれている。これにより、第2アーム部704へのアクセスが制限されているとともに、第2アーム部704と第1フック部741との係合箇所へのアクセスが制限されている。さらに、第1フック部741と当接している第2アーム部704の端面は、取り付け方向の先側に配置されているため、第2アーム部用開口部733を通じて係合箇所へアクセスすることが困難になっている。
次に、第2の係合について図45及び図46に加えて、図48を参照しながら説明する。図48(a)は基板ボックス102においてカバー部材721及びその周辺を示す正面図、図48(b)は図48(a)のB−B線断面図である。
カバー部材721において表側に配置される表面側壁部751には、開口部723の周縁部から取り付け方向に向けて突出した第2フック部752が設けられている。第2フック部752は、図46(b)に示すように、その先端側が自由端となっており、外力が加えられた場合に弾性変形可能となっている。第2フック部752は、図48(a)に示すように、軸支箇所に対応した位置に配置されており、受け部712に対して係合する。
具体的には、第2フック部752には受け部712側に向けて突出した先端フック部分が設けられている。また、第2フック部752に対応させて、図45及び図48(b)に示すように、受け部712には突起753が設けられている。突起753は、破壊用部材701が初期位置にある状況において、第2フック部752と係合する位置に配置されている。具体的には、突起753は、破壊用部材701が初期位置にある状況において、カバー部材721の取り付け方向側に配置されている。そして、カバー部材721が取り付け方向にスライド移動した場合に、第2フック部752と突起753とが当接するように、両者の相対位置関係が設定されている。詳細には、第2フック部752と突起753とは、カバー部材721の取り付け方向において同一直線上に配置されている。
かかる構成によれば、カバー部材721を取り付け方向にスライド移動させると、第2フック部752の先端フック部分が受け部712と当接し、当該当接によって第2フック部752が貼付ベース135の表側に弾性変形する。そして、第2フック部752の先端フック部分が受け部712の突起753よりも取り付け方向の先側に到達した場合、第2フック部752は復元力によって自然状態に復帰する。これにより、図48(b)に示すように、第2フック部752と突起753とが係合する。
なお、第2フック部752の先端フック部分には、図46(b)に示すように、フック側傾斜面752aが設けられているとともに、受け部712における表側の周縁部には、図45及び図48(b)に示すように、受け部側傾斜面712aが設けられている。これらの関係及びその効果は、フック側傾斜面741a及び第2アーム部側傾斜面704aと同一であるため、説明を省略する。
ここで、破壊用部材701の回転が係合に与える影響について説明する。
先ず、第1の係合について説明すると、破壊用部材701が回転した場合、第2アーム部704も第1フック部741が配置されている側とは反対側に回転移動する。これにより、第2アーム部704と第1フック部741との係合関係が生じなくなる。よって、カバー部材721の取り外し方向へのスライド移動が阻害されない。すなわち、第2アーム部704は、破壊用部材701の回転に伴って、第1フック部741との係合が解除される側へ向けて移動する。
次に、第2の係合について説明すると、破壊用部材701が回転した場合、それに伴って突起753の回転方向位置が変化する。すると、第2フック部752は、突起753とではなく、受け部712に対して係合する。この場合、突起753の分だけ遊びが生じるため、突起753と係合していた状態と比較して、係合状態は解除され易くなっている。
以上のことから、破壊用部材701が回転することによって、第1の係合については解除され、第2の係合については解除し易くなる。
ちなみに、破壊用部材701が回転した場合、突起753と表側対向板部302とが当接するように形成されている。具体的には、突起753の突出量は受け部712と表側対向板部302との間隔よりも大きく設定されている。これにより、破壊用部材701の回転可能な範囲が規定されている。
なお、カバー部材721が基板ボックス102に取り付けられている状況において、第1結合体131はカバー部材721によって覆われている。これにより、第1結合体131に対するアクセスが制限されている。よって、第1結合体131に対する不正行為を抑制し得る。特に、破断ネジを挿入するための表側結合部131aの開口部がカバー部材721によって覆われているため、破断ネジに対するアクセスが不可又は困難になっている。
また、表面領域137と当接するように、表面側壁部751のうち表面領域137と対向する部分が凹んでいる。これにより、封印シール160は表面側壁部751と表側貼付用板部141とによって挟まれている。
なお、表面側壁部751には固定解除用の孔部761が設けられている。当該孔部761は、上記第1の実施の形態における孔部341と同一であるため説明を省略する。
次に、基板ボックス102の内部空間を開放する場合の手順について説明する。図49及び図50は基板ボックス102の内部空間を開放する場合の手順を説明するための説明図である。
カバー部材721の分離が破壊用部材701との当接によって規制されているため、カバー部材721の取り外しに先立って、当該規制の解除を行う必要がある。
ここで、破壊用部材701による規制は破壊用部材701を回転させることによって解除し易くなる。破壊用部材701の回転は表側固定ベース部133及び裏側固定ベース部134のネジ固定によって制限されている。よって、最初に上記ネジ固定の解除を行う。
具体的には、図49(b)に示すように、孔部761からドライバなどの工具の先端を挿入し、ネジ153の頭部を覆っている封印シール160を突き破ることで、当該先端をネジ153の差し込み、ネジ153を離脱させる。これにより、破壊用部材701が回転可能となる。なお、既に説明したとおり、ICタグ163のアンテナ部材172はネジ153を挿通させるための貫通孔152を跨いでいるため、工具の先端をネジ153の頭部に差し込んだ際には封印シール160の一部の破損だけでなくアンテナ部材172の一部の破損が生じる。
その後、図50(b)に示すように、取っ手714を持って破壊用部材701を回転させる。これにより、境界306に沿って封印シール160が切断され、封印シール160の阻害が解除される。この場合、ICタグ163のアンテナ部材172も境界306を跨ぐようにして設けられているため、破壊用部材701の回転移動に伴ってアンテナ部材172が切断される。
回転による封印シール160の切断について詳細には、破壊用部材701の回転移動の途中位置に封印シール160が配置されているため、破壊用部材701が回転すると、破壊用部材701は封印シール160と当接する。この場合、破壊用部材701がスライド移動する構成と異なり、破壊ベース部702の一部が封印シール160に当接し、回転に伴って破壊ベース部702と封印シール160との当接箇所が徐々にシフトするため、当接面積が小さい状態で切断が行われる。また、封印シール160と当接する先細り領域705は鋭利に形成されているとともに、その先端が傾斜しているため、当接面積がより小さくなっている。これにより、封印シール160に与える押圧力が高められている。
さらに、支点としての軸支箇所と、作用点としての取っ手714との間に、力点としての破壊ベース部702と封印シール160との当接箇所が配置されているため、封印シール160に対する押圧力が取っ手714に付与する力よりも大きくなる。この場合、軸支箇所が貼付ベース135の外側に配置されているため、軸支箇所が貼付ベース135の内側に配置されている構成と比較して、軸支箇所と外力を加える操作部(第5の実施の形態ではアーム部313、本実施の形態では取っ手714)との距離が大きくなっている。これにより、支点と作用点との距離が大きくなることとなるため、破壊ベース部702が封印シール160に対して付与する力が大きくなる。
また、取っ手714が設けられているため、破壊用部材701を容易に掴むことができるとともに、回転させることができる。これにより、破壊用部材701を回転させるための力を好適に付与することが可能となる。
以上のことから、封印シール160を容易に切断することが可能となる。
また、軸支箇所が貼付ベース135の外側に配置されており、さらに破壊ベース部702が貼付ベース135の内部において境界306に沿って配置されているため、境界306に跨っている封印シール160全体を切断するのに必要な破壊用部材701の回転ストローク量は小さくなっている。これにより、封印シール160による阻害の解除を容易に行うことができるとともに、封印シール160の一部が切断されずに残存するといった不都合を回避することができる。なお、突起753が表側対向板部302と当接によって破壊用部材701の回転範囲は規定されている。
そして、破壊用部材701が回転することによって、第2アーム部704によるカバー部材721のスライド移動の規制が解除され、第2フック部752と突起753との係合が解除される。この場合、第2フック部752は受け部712と係合することとなるが、その係合には突起753に対応した遊びが生じる。
その後、図50(b)に示すように、回転によって生じた遊びを利用して、第2フック部752を係合が解除される側に弾性変形させながら、カバー部材721をスライド移動させる。これにより、カバー部材721が貼付ベース135から分離される。
この場合、カバー部材721の分離に先立って、封印シール160の切断が行われているため、カバー部材721の分離に伴って封印シール160を切断する構成と比較して、カバー部材721を容易に分離させることができる。すなわち、第2の実施の形態のように、カバー部材331の分離に伴って封印シール160を切断する構成の場合、カバー部材331の分離の際に封印シール160を切断するために必要な力を付与する必要がある。これに対して、本実施の形態によれば、カバー部材721と封印シール160とが干渉することがないため、カバー部材721を容易に分離させることができるようになっている。
そして、図50(c)に示すように、カバー部材721が第2アーム部704及び取っ手714を通過できるように、破壊用部材701に対するカバー部材721の相対位置を調整する。具体的には、第2アーム部704が第2アーム部用開口部733に入り込めるように、破壊用部材701に対するカバー部材721の相対位置を決める。
その後、図50(d)に示すように、第1フック部741が第2アーム部704と当接しないように、カバー部材721を破壊用部材701の長手方向に沿ってスライド移動させる。これにより、カバー部材721が取り外されることとなる。カバー部材721が取り外された状況では、既に説明したとおり、境界306に沿って封印シール160の切断箇所が形成され、さらにネジ153が離脱された痕跡が形成されている(図49(c)参照)。よって、開放操作が行われたことを目視で確認することが可能となっている。
また、図50(b)の状態においては、破壊用部材701を貼付ベース135の表側にスライド移動させることによって、破壊用部材701ごとカバー部材721が分離される。これにより、カバー部材721のみの分離も行えるとともに、カバー部材721及び破壊用部材701の一体的な分離も行うことができるようになっている。この場合、カバー部材721及び破壊用部材701の一体的な分離がカバー部材721のみの分離よりも容易に行えるようになっている。
すなわち、基板ボックス102へのカバー部材721の取り付け方向が開口部723の周縁部と囲み部321等との摺動により一方向に規定されている状況において、貼付ベース135の外側に、第1フック部741、第2フック部752と係合する第2アーム部704、突起753を設け、当該取り付け方向において第2アーム部704と同一直線上の位置に第1フック部741を配置するとともに、取り付け方向において突起753と同一直線上の位置に第2フック部752を配置した。そして、各フック部741,752に、当該各フック部741,752が対応する第2アーム部704、受け部712を乗り越える側へ弾性変形するように誘導するフック側傾斜面741a,752aを設けた。これにより、破壊用部材701が予め初期位置に配置された状況においてカバー部材721を基板ボックス102に取り付けることによって、自然とカバー部材721と破壊用部材701とが係合するようになっている。この場合、カバー部材721を分離させようとして取り外し方向へスライド移動させようとしても、破壊用部材701との当接によって当該スライド移動が規制される。当該規制は、破壊用部材701が回転することによって解除され易くなる。
ここで、破壊用部材701を回転させた後にカバー部材721の分離が可能となるためには、通常先にカバー部材721を取り付けた後に当該カバー部材721の分離を阻止するように破壊用部材701を取り付ける構成が考えられる。この場合、カバー部材721の内部空間722内及び貼付ベース135の内側に破壊用部材701を収容することが困難になるとともに、基板ボックス102の大型化が懸念される。かといって、上記不都合を回避する取付構造とすると、構成の複雑化及びカバー部材721の取り付け作業の作業性の低下が懸念される。
これに対して、本実施の形態によれば、破壊用部材701が初期位置に配置されている状況において、第2アーム部704、突起753が貼付ベース135の外側に配置されており、これらに対応させて各フック部741,752の相対位置が規定されている。これにより、先に破壊ベース部702が貼付ベース135内に収容されるように破壊用部材701を取り付け、その後カバー部材721を取り付け方向にスライド移動させることによって、カバー部材721の取り外し方向への移動が破壊用部材701によって規制された状態で、カバー部材721は基板ボックス102に対して取り付けられる。これにより、上記不都合を回避することができる。
次に不正行為抑制について説明すると、封印シール160を切断することなくカバー部材721を分離させることが困難になっているため、痕跡を残すことなくカバー部材721を分離させることが困難になっている。これにより、痕跡を残さない開放操作が困難になっているため、痕跡を残すことなく開放操作を行う巧みな不正行為を抑制し得る。
また、カバー部材721の取り付け作業よりも分離作業の方が煩雑になっているため、カバー部材721の取り付け作業を容易に行いつつ、カバー部材721の不正な分離を抑制し得る。
また、アンテナ部材172においてインピーダンス整合用のスリット173が形成された領域が境界306を跨いでいるため、破壊用部材701の回転移動に伴ってスリット173が破壊される。これにより、カバー部材721の貼付ベース135からの分離に伴って、ICタグ163は正常な通信が不可となる。
以上詳述した本実施の形態によれば以下の優れた効果を奏する。
境界306に沿って封印シール160を切断する破壊用部材701を設けた。これにより、境界306に沿った封印シール160の切断を容易に行うことができる。よって、封印シール160による開放操作の阻害を容易に解除することができるため、開放操作を容易に行うことができる。
破壊用部材701による封印シール160の切断を行うことなく、取り外すことが困難なカバー部材721を設けた。これにより、カバー部材721を取り外すことに先立って、封印シール160を切断する必要が生じる。よって、カバー部材721を取り外す際には、確実に封印シール160の切断が行われる。したがって、封印シール160が切断される機会が生じ易くなるため、痕跡を残すことなく開放操作を行う不正行為を抑制し得る。
表側貼付用板部141との間で封印シール160を挟み込むように表面側壁部751を形成した。これにより、破壊用部材701が封印シール160に付与するせん断力を高めることができる。すなわち、基板ボックス102の開放操作を制限するカバー部材721によって、封印シール160の切断を容易に行うことができるようになっている。
<第7の実施の形態>
本実施の形態では、貼付ベース135の一部、破壊用部材810及びカバー部材861に関する構成が上記第1の実施の形態と異なっている。当該相違する構成について図51〜図65を用いて以下に説明する。なお、第1の実施の形態と同一の構成については各図面において同一の番号を付すとともに、その説明を基本的に省略する。
先ず、本実施の形態の貼付ベース135について図51〜図53を用いて説明する。図51は本実施の形態における主制御装置63の一部を表面側から見た分解斜視図、図52は主制御装置63の一部を裏面側から見た分解斜視図、図53は貼付ベース135及びその周辺を示す分解斜視図である。
図51に示すように、表側固定ベース部133には、表側貼付用板部141を間に挟むようにして形成された一対の表側対向板部801,802が設けられている。一方、図52に示すように、裏側固定ベース部134には、裏側貼付用板部144において裏面領域138側とは反対側から表側貼付用板部141側に向けて突出し且つ表側対向板部801,802の向き合う方向(各固定ベース部133,134が突出している方向及び両者の重ね合わせ方向の両方向に直交する方向)に所定の間隔を隔てて配置された一対の台座部804,805が設けられている。裏側貼付用板部144を間に挟むようにして形成された一対の裏側対向板部806,807間に、台座部804,805及び両者に挟まれた拡張領域808が形成されている。台座部804,805は、図53に示すように、表側対向板部801,802間に入り込むように突出しており、当該台座部804,805の突出側の端面は表側貼付用板部141において表面領域137側とは反対側の面に近接している。但し、両者は当接しておらず、所定の隙間が形成されている。
台座部804,805における基板ボックス102外側の側面は、表側貼付用板部141の突出側の端面に対して、上記所定の隙間を挟んで同一面上に位置しており、これら側面及び端面により側面領域139が形成されている。上記所定の隙間は表側固定ベース部133と裏側固定ベース部134との境界809によって側方に開放されている。境界809は各対向板部801,802,806,807が向き合う方向に沿って形成されており、その一部が拡張領域808によって貼付ベース135の表裏方向に拡張している。これにより、境界809の周縁には、上記向き合う方向とは異なる方向、具体的には直交する方向に延びた曲がり部が形成されている。
台座部804,805と表側貼付用板部141との間の空間には、封印シールを切断するための破壊用部材810が設けられている。この破壊用部材810について、図51、図52及び図53に加え、図54及び図55を適宜参照しながら以下に詳細に説明する。
図54(a)は表面側から見た破壊用部材810の斜視図、図54(b)は裏面側から見た破壊用部材810の斜視図、図54(c)は破壊用部材810の裏面図、図55は貼付ベース135及びその周辺を拡大して示す分解斜視図である。
破壊用部材810は、合成樹脂により一体形成されている。また、破壊用部材810は、図51に示すように、台座部804,805と表側貼付用板部141との間の空間に入り込み可能な厚み寸法を有するとともに両裏側対向板部806,807間の距離寸法よりも若干大きい長さ寸法を有する板状の破壊ベース部811と、当該破壊ベース部811の長さ方向の両端に形成された一対のアーム部812,813が一体形成されている。
一対のアーム部812,813は、台座部804,805それぞれにおいて裏側対向板部806,807のそれぞれに近接した端部804a,805aよりも外側の位置において裏側貼付用板部144に向けて突出している。そして、一対のアーム部812,813の間に拡張領域808を介して配置された台座部804,805が挟まれるように両者の相対位置が設定されている。
拡張領域808に対応させて、破壊ベース部811の幅方向の一端側には拡張部814が一体形成されている。拡張部814は、図54(b)に示すように、破壊ベース部811の厚み方向に突出して板状に形成されている。拡張領域808は拡張部814が通過可能となる大きさに形成されており、具体的には、一対の台座部804,805間の距離が拡張部814の長手方向の長さ寸法よりも大きくなるように設定されている。一対のアーム部812,813の間に台座部804,805拡張領域808が配置されるように破壊用部材810を貼付ベース135に挿入した場合に、拡張部814が拡張領域808を通過して貼付ベース135内に入り込むように拡張部814と拡張領域808との相対位置が設定されている。
破壊ベース部811には、図54(a)に示すように、厚み方向に突出した破断部815が設けられている。破断部815は、破壊ベース部811の幅方向に延びるように形成された破断ベース部816と、当該破断ベース部816の一端側に設けられ、破断ベース部816から厚み方向に突出した破断突起817とを備えている。破断突起817を含めた破断部815の突出寸法は、表側貼付用板部141の厚み寸法よりも大きくなっている。
破断部815の突出に対応させて、図53に示すように、表側貼付用板部141には破断部815が通過可能な破断部用開口部818が形成されている。破断部用開口部818は、破断部815が入り込み可能な大きさに形成されている。破断部用開口部818は側方に向けて開放されており、境界809と連通している。一対のアーム部812,813の間に台座部804,805が配置されるように破壊用部材810を挿入した場合に、破断部815が破断部用開口部818に嵌まるように両者の相対位置が設定されている。
上記構成の破壊用部材810は、表側構成体111及び裏側構成体112が組み合わされて両構成体111,112の相対位置が初期位置となった後に貼付ベース135に対して取り付けられている。詳細には、両構成体111,112が組み合わされて両構成体111,112の相対位置が初期位置となった場合、図53に示すように、拡張領域808が側方に開放されており、更に台座部804,805それぞれの外側の端部、詳細には裏側対向板部806,807側の端部804a,805aが露出しているとともに台座部804,805と表側貼付用板部141との間の空間が側面領域139の境界809を通じて開放された状態の貼付ベース135が形成される。当該貼付ベース135に対して拡張部814及び破断部815が形成されている側を挿入先側として、破断部815が破断部用開口部818に入り込むように且つ拡張部814が拡張領域808を通過するように破壊用部材810を挿入することによって、破壊用部材810が貼付ベース135内に入り込む。なお、以降の説明において、破壊用部材810の挿入方向を取り付け方向ともいう。
破壊用部材810の取り付け方向への移動は、表側対向板部801,802において台座部804,805の端部804a,805aを露出させるために形成された凹部分の周縁であって破壊用部材810の挿入先側の周縁に一対のアーム部812,813が当接することにより、それ以上の移動が規制される。この規制された位置が破壊用部材810の初期位置となっている。破壊用部材810が初期位置に配置されている状況において、拡張部814は貼付ベース135内に収容されている。一方、破断部815の破断突起817は、図55に示すように、破断部用開口部818を介して表側貼付用板部141から表側に突出している。
ここで、台座部804,805の端部804a,805aは、図51に示すように、裏側対向板部806,807により覆われていない。また、表側対向板部801,802は、上記台座部804,805の端部804a,805aを覆わないように、側面領域139側であって裏側対向板部806,807側の隅角部分が凹ませて形成されている。したがって、台座部804,805の端部804a,805aは、図53に示すように、貼付ベース135の外部に露出している。
上記構成において、上記のように一対のアーム部812,813が台座部804,805を間に挟むようにして配置されることにより、図55に示すように、これら一対のアーム部812,813は貼付ベース135の外部に露出している。また、一対のアーム部812,813は対応する表側対向板部801,802と裏側対向板部806,807との間に配置されており、貼付ベース135において台座部804,805の端部804a,805aを露出させている部分を埋めている。
一対のアーム部812,813が貼付ベース135の外部に露出しているのに対して、破壊ベース部811は貼付ベース135内に収容されている。貼付領域136に着目すれば、破壊ベース部811は、貼付ベース135における貼付領域136が設けられている箇所の反対側に配置されているといえる。
ここで、製造段階での寸法バラつきを考慮して、破壊ベース部811の長手方向の長さ寸法(アーム部812,813間の距離)は対応する貼付ベース135の長さ寸法(表側対向板部801,802間の距離)よりも若干大きく設定されている。これにより、製造段階において寸法バラつきが生じた場合であっても破壊ベース部811を貼付ベース135内に収容可能となっている。当該寸法の差(遊び)は、寸法バラつきに対応可能な範囲内で小さく設定されている。これにより、破壊ベース部811と貼付ベース135との間に生じる隙間が小さくなるため、当該隙間から治具を挿入する不正行為を抑制することができる。この場合、破壊ベース部811の幅寸法と長手方向の寸法に基づく対角寸法は、貼付ベース135の長さ寸法よりも大きくなる。このため、破壊用部材810が初期位置に配置されている状況において貼付ベース135に対して破壊用部材810のガタツキが生じ得る。
上記ガタツキを抑制するために、貼付ベース135の内側には、破壊用部材810の移動を規制する規制構造が設けられている。当該規制構造について、図52に加えて図56を用いて説明する。図56は、表側貼付用板部141に対する破壊用部材810の取り付け態様を説明する説明図であり、貼付ベース135を側方から見た縦断面図である。
表側貼付用板部141の裏側、すなわち表面領域137とは反対側には、表側対向板部801,802が向き合う方向に所定の間隔を隔てて配置された一対の規制用凸部821,822が設けられている。規制用凸部821,822は、図52に示すように、裏側に向けて突出している。規制用凸部821,822は互いに遠ざかる方向に向けて傾斜しており、破壊用部材810が表側貼付用板部141から分離する方向、詳細には貼付ベース135の表裏方向に対して交差するように形成されている。
規制用凸部821,822に対応させて、図54に示すように、破壊用部材810には規制用開口部823,824が形成されている。規制用開口部823,824は規制用凸部821,822が入り込み可能な大きさに形成されており、破壊用部材810の取り付け方向に向けて開放されている。破壊用部材810を取り付け方向に移動させると、規制用凸部821,822は規制用開口部823,824に入り込み、破壊ベース部811に対して当接する。
具体的には、規制用凸部821,822の傾斜に対応させて、図54(b),(c)に示すように、規制用開口部823のアーム部812側の周縁部には第1傾斜面825が設けられているとともに、規制用開口部824のアーム部813側の周縁部には第2傾斜面826が設けられている。第1傾斜面825及び第2傾斜面826は、図56に示すように、規制用凸部821,822の傾斜と同一の傾斜となるように形成されており、貼付ベース135の表裏方向に対して交差している。規制用凸部821,822は、第1傾斜面825及び第2傾斜面826に対して表側貼付用板部141の裏面の向く方向の先側から当接している。具体的には、規制用凸部821,822と表側貼付用板部141との間に形成された隙間に破壊用部材810の一部が貼付ベース135の表裏方向に挟み込まれている。これにより、破壊用部材810の表裏方向への移動が規制される。
また、上記当接している面は表側対向板部801,802が向き合う方向に対して交差しているとともに、互いに異なる向きに傾斜している。これにより、表側対向板部801,802の向き合う方向への破壊用部材810の移動が規制されている。具体的には、規制用凸部821と第1傾斜面825との当接によって破壊用部材810の表側対向板部802側への移動が規制されているとともに、規制用凸部822と第2傾斜面826との当接によって破壊用部材810の表側対向板部801側への移動が規制されている。
以上のことから、破壊用部材810は、ガタツキが抑制された状態で貼付ベース135に対して装着されている。この場合、破壊用部材810は取り外し方向以外の方向への移動が規制されている。換言すれば、破壊用部材810は、規制用凸部821,822と規制用開口部823,824との当接により、取り外し方向への移動が規定されているとも言える。
なお、規制構造としては、上記構成に限られず、例えば規制用凸部821,822に代えてフック部を設け、破壊ベース部811に当該フック部と係合するようにスリットを設ける構成としてもよい。要は、破壊用部材810と係合して当該破壊用部材810のガタツキを抑制することができればよく、その具体的形状は任意である。
また、図52に示すように、表側貼付用板部141の裏側には、裏側貼付用板部144に向けて突出した突条830,831が設けられている。突条830,831は取り付け方向と直交する方向に延びており、具体的には表側対向板部801,802が向き合う方向に延びている。
突条830,831に対応させて、破壊ベース部811の表側には、突条用溝832,833が設けられている(図54(a)参照)。突条用溝832,833は、突条830,831が嵌まることが可能な大きさに形成されている。破壊用部材810が初期位置に配置されている状況において、突条830,831は突条用溝832,833に嵌め込まれている。これにより、破壊用部材810が表側貼付用板部141に対して仮止めされる。よって、先に表側貼付用板部141に対して破壊用部材810を取り付け、その後に表側構成体111と裏側構成体112との組み合わせ作業を行うことができる。
ちなみに、破壊ベース部811には、図54(b),(c)に示すように、幅方向の途中位置から拡張部814及び破断突起817が設けられている側とは反対側に向けて当該破壊ベース部811の厚み寸法が小さくなるように先細り領域841が形成されている。破壊用部材810は、先細り領域841が側面領域139の境界809側を向くようにして配置されている。この場合、先細り領域841は境界809よりも貼付ベース135の内側に入り込んでおり、当該先細り領域841は側面領域139の外部に突出していない。
先細り領域841には、貼付領域136に貼り付けられている封印シールに対して傾斜した複数の傾斜部が設けられており、当該複数の傾斜部よって封印シールの切断の容易化が図られているが、この詳細については後に説明する。
図51に示すように、台座部804,805それぞれに、表側貼付用板部141側に向けて開放されたネジ孔842が形成されているとともに、破壊用部材810には各ネジ孔842を表側貼付用板部141の外側に開放させるための貫通孔843が形成されている。貫通孔843は対応するネジ孔842及び表側貼付用板部141の貫通孔152に対して同一軸線上となるように配置されている。そして、表側貼付用板部141側から各ネジ孔842に対して、ドライバなどの所定工具を用いて着脱操作が可能な固定部材としてのネジ153が螺着されていることにより、破壊用部材810を表側貼付用板部141と台座部804,805との間で挟み込んだ状態での両固定ベース部133,134の固定が行われている。このネジ固定が完了することにより、貼付ベース135に対する破壊用部材810の装着が完了する。
上記のように破壊用部材810が装着された貼付ベース135に対して、図55に示すように、ICタグ163を有する封印シール844が貼り付けられている。封印シール844の構成については第1の実施の形態の封印シール160と同様であるため、説明を省略する。
次に、封印シール844の貼付位置に係る構成について図55に加えて図57及び図58を用いて説明する。図57(a)は貼付ベース135及びその周辺を示す側面図、図57(b)は貼付領域136における封印シール844の位置関係を説明するための説明図であり、図58は、貼付ベース135内に収容されている破壊用部材810と封印シール844との位置関係を説明するための説明図であって、貼付ベース135を表側から見た場合の一部断面図である。なお、説明の便宜上、図57(b)においては、隅側切り込み177及び外縁切り込み178を省略しており、図58においては破壊用部材810を断面でない状態で示す。
図55及び図57(b)に示すように、封印シール844は貼付領域136に貼り付けられている。この場合、貼付領域136において表面領域137、側面領域139及び裏面領域138に亘って封印シール844が配置されるように当該封印シール844はコ字状に曲げて貼り付けられている。封印シール844により、表面領域137の略全体、拡張領域808の略全体、側面領域139の略全体及び裏面領域138の略全体が覆われている。したがって、表面領域137に形成されている各貫通孔152の開口部及び裏面領域138に形成されている各ネジ孔842の開口部が封印シール844により覆われているとともに、側面領域139における表側固定ベース部133と裏側固定ベース部134との境界809及び拡張領域808もその略全体が封印シール844により覆われている。つまり、封印シール844は表側固定ベース部133及び裏側固定ベース部134の境界809及び拡張領域808に跨って貼り付けられている。これにより、基板ボックス102の開放操作が封印シール844によって阻害される。よって、封印シール844において境界809及び拡張領域808に跨って貼り付けられている箇所を切断する又は封印シール844を剥がすことなく、基板ボックス102を開放することが困難になっている。
また、破壊用部材810と封印シール844との位置関係について説明すると、封印シール844は破壊用部材810から離間した位置に配置されている。また、破壊用部材810は境界809へ向けて移動可能に設けられているため、封印シール844は破壊用部材810の移動の途中位置に設けられているといえる。
封印シール844においてアンテナ部材172は、第1の実施の形態にて説明したとおり、ベースシート161においてその一隅部側からその対角方向の隅部側に亘って配置されているため、封印シール844と同様に、アンテナ部材172も表面領域137、側面領域139及び裏面領域138に亘ってコ字状に曲げて配置されている。この場合、第1の実施の形態で説明したとおり、アンテナ部材172が貫通孔152の開口部を挟んで当該開口部の周縁部を架渡すようにアンテナ部材172と貫通孔152との位置関係が設定されているとともに、アンテナ部材172において上記開口部を跨ぐ側の端部とは反対側の端部は裏面領域138における一のネジ孔842の開口部を跨いでいる。
次に、アンテナ部材172と拡張領域808との位置関係について説明する。
アンテナ部材172は、側面領域139を挟み表面領域137から裏面領域138に亘って配置されており、側面領域139における拡張領域808を跨いでいる。具体的には、アンテナ部材172においてICチップ171を挟んだ一方の端部が表面領域137に配置されており、他方の端部が裏面領域138に配置されており、アンテナ部材172は、拡張領域808の周縁部のうち表面領域137側の縁部から、裏面領域138側の縁部と当該縁部に対して直交する方向に延びた縁部とによって形成された拡張領域808の隅角部に亘って配置されている。すなわち、アンテナ部材172は、拡張領域808の周縁部のうち複数箇所を跨ぐように配置されている。これにより、封印シール844において拡張領域808の周縁部に対応する箇所が切断された場合、アンテナ部材172において複数の部位、詳細にはICチップ171を挟んだ両側の部位が切断されることとなる。
また、アンテナ部材172はベースシート161においてその一隅部側からその対角方向の隅部側に亘って配置されているため、アンテナ部材172は拡張領域808に対して傾斜した状態で跨いでいる。このため、アンテナ部材172において拡張領域808に対して重なる領域が、アンテナ部材172が貼付ベース135の表裏方向に沿って配置される構成と比較して、大きくなっている。
図57(a),(b)に示すように、アンテナ部材172においてインピーダンス整合用のスリット173のうち、アンテナ部材172の長手方向に延びる第1スリット部174のICチップ171側の端部は拡張領域808内に配置されている一方、ICチップ171側とは反対側の端部は境界809よりも表面領域137側に配置されている。これにより、封印シール844において境界809に対応する領域が切断された場合には、アンテナ部材172において第1スリット部174が形成された領域が切断され、ICタグ163において正常な通信が不可となる。
ここで、貼付ベース135には貼付領域136を区画するように囲み部850が形成されている。
囲み部850は第1の実施の形態にて説明した囲み部180と同様に形成されている。詳細には、図51及び図53に示すように、表側構成体111の周縁部において表側固定ベース部133に連続する部分と、表側固定ベース部133の表面領域137との間には表側段差部850aが形成されている。また、図52に示すように、裏側構成体112の周縁部において裏側固定ベース部134に連続する部分と、裏側固定ベース部134の裏面領域138との間には裏側段差部850bが形成されている。さらに、表側固定ベース部133には表面領域137及び側面領域139を間に挟むようにして対向する一対の表側突条部850cが形成されているとともに、裏側固定ベース部134には側面領域139及び裏面領域138を間に挟むようにして対向する一対の裏側突条部850dが形成されている。そして、表側突条部850cと裏側突条部850dとの間には、破壊用部材810のアーム部812,813の一部が配置されており、アーム部812,813を介して表側突条部850c、裏側突条部850dのうちそれぞれ同じ側に配置されている同士が連続している。すなわち、アーム部812,813の一部は囲み部850を構成している。
アーム部812,813、表側段差部850a、裏側段差部850b、表側突条部850c及び裏側突条部850dにより囲み部850が形成されており、貼付領域136は囲み部850によって囲まれている。そして、貼付領域136に貼り付けられている封印シール844の周縁はその全体が囲み部850に近接している。これにより、封印シール844を剥がそうとしても、その剥がし行為が非常に困難なものとなっている。
封印シール844の周縁の全体が囲み部850に近接していることにより、封印シール844の貼り付け作業に際しては、封印シール844が囲み部850によって囲まれた領域内からはみ出ないように貼り付けることで、アンテナ部材172と拡張領域808との位置関係、アンテナ部材172とネジ孔842並びに貫通孔152との位置関係及びアンテナ部材172と境界809との位置関係は、自ずと上記のような関係となる。
また、図57(b)に示すように、囲み部850によって囲まれる領域は、封印シール844の面積よりも広くなっている。これにより、封印シール844の貼り付け作業に際しては、貼り付け位置に所定のゆとりが生まれ、貼り付け作業の作業性が向上されている。この場合に、その貼り付け位置のゆとりは、アンテナ部材172と拡張領域808との位置関係、アンテナ部材172と境界809との位置関係、アンテナ部材172と貫通孔152との上記位置関係及びアンテナ部材172とネジ孔842との上記位置関係が、自ずと維持される範囲内で設定されている。
破壊用部材810は先細り領域841が境界809側を向くように配置されているため、破壊用部材810が取り外し方向に移動すると、先細り領域841が封印シール844と当接する。当該当接により封印シール844に対して移動に係る押圧力が付与されて、封印シール844において境界809に対応する領域が切断される。
先細り領域841の詳細について図58を用いて説明する。図54(b),(c)及び図58に示すように、破壊ベース部811において破壊用部材810の取り外し方向の先側には、先細り領域841によって封印シール844側に尖った切断用エッジ851が形成されている。切断用エッジ851は、同一平面上に形成された複数の傾斜部を有しており、具体的には側面領域139に貼り付けられた封印シール844に対して傾斜した第1傾斜部852と、第1傾斜部852に対して異なる方向に傾斜した第2傾斜部853と、を有している。第1傾斜部852は破壊ベース部811の長手方向においてアーム部812側の端部から中央側に向けて破壊用部材810の取り外し方向の反対方向に入り込むように傾斜しているとともに、第2傾斜部853はアーム部813側の端部から中央側に向けて破壊用部材810の取り外し方向の反対方向に入り込むように傾斜している。当該傾斜部852,853により、破壊用部材810の取り外し方向において切断用エッジ851の両端から封印シール844までの距離は同一になっている。
また、切断用エッジ851において第1傾斜部852と第2傾斜部853との間には、第1傾斜部852及び第2傾斜部853よりも傾斜角度が大きい傾斜部によって形成された鋸部854が設けられている。鋸部854は、傾斜向きが逆の一対の傾斜部によって破壊用部材810の取り外し方向に凸となった刃855,856を有している。刃855,856はアーム部812,813が向き合う方向に並設されており、両者は連続している。
鋸部854は第1傾斜部852と第2傾斜部853と連続している。具体的には刃855を形成する一対の傾斜部の一方が第1傾斜部852の中央側の端部と連続しており、刃855及び第1傾斜部852によって谷部857が形成されている。また、刃856を形成する一対の傾斜部の一方が第2傾斜部853の中央側の端部と連続しており、当該刃856及び第2傾斜部853によって谷部858が形成されている。これにより、破壊用部材810の取り外し方向において切断用エッジ851の両端部から封印シール844まで距離は、谷部857,858から封印シール844までの距離よりも小さくなっている。
破壊用部材810の取り外し方向において鋸部854の先端(刃855,856の先端)から封印シール844までの距離と切断用エッジ851の両端から封印シール844までの距離とは、同一に設定されている。これにより、破壊用部材810が取り外し方向に移動した場合には、切断用エッジ851の両端部及び鋸部854の先端部が封印シール844に当接することとなる。
ここで、切断用エッジ851の両端は、封印シール844において切断用エッジ851に対応する両端よりも外側に配置されている。具体的には、切断用エッジ851の両端間の長さ寸法(第1傾斜部852のアーム部812側の端部から第2傾斜部853のアーム部813側の端部までの距離)は、封印シール844において対応する長さ寸法よりも大きく設定されている。これにより、破壊用部材810が取り外し方向に移動すると、切断用エッジ851は封印シール844の両端に当接し、封印シール844は両端から切断されることとなる。
なお、切断用エッジ851の両端は、封印シール844において対応する両端と同一位置であってもよい。但し、切断用エッジ851の両端が外側にある構成のほうが、封印シール844の位置ずれに対応し易い。
破壊用部材810が取り外し方向に移動する場合に鋸部854が封印シール844のアンテナ部材172が設けられている箇所に当接するように鋸部854の位置は設定されている。具体的には、図58に示すように、切断用エッジ851において、アンテナ部材172が配置されている箇所に対応した範囲Zに対して破壊用部材810の取り外し方向とは反対方向の部位に鋸部854が設けられている。当該範囲Zは囲み部850と封印シール844との間に生じる貼り付け位置のゆとりに対応した範囲であり、具体的には上記ゆとりによってアンテナ部材172の位置が変動する範囲である。切断用エッジ851において少なくとも範囲Zに対峙する範囲に亘って鋸部854が形成されるように複数の刃855,856が設けられている。これにより、上記貼り付け位置のゆとりによってアンテナ部材172と鋸部854との位置ずれが生じた場合であっても、アンテナ部材172に対して鋸部854が当接するようになっている。
次に、破断突起817と封印シール844との関係を説明すると、図58に示すように、破断突起817が表側貼付用板部141から表側に突出していることに対応させて、封印シール844にはその一部を切り抜くことで形成された切り抜き凹部859が設けられている。切り抜き凹部859に破断突起817が入り込むように封印シール844を貼り付けることで、破壊用部材810が取り外し方向へ移動した場合に破断突起817が封印シール844の端部に当接するようになっている。これにより、破壊用部材810の取り外し方向への移動によって、破断突起817による封印シール844の切断が行われるようになっている。
破壊用部材810の取り外し方向において、破断突起817から封印シール844までの距離が破壊ベース部811の両端から封印シール844までの距離と異なるように切り抜き凹部859の長さ寸法が設定されている。詳細には破壊用部材810の取り外し方向における切り抜き凹部859の長さ寸法は、破断突起817の直径及び破壊ベース部811の両端から封印シール844までの距離を加算した寸法よりも大きく設定されている。
また、封印シール844が囲み部850によって囲まれた領域内からはみ出ないように貼り付けることで、破断突起817と切り抜き凹部859との位置関係は、自ずと上記のような関係となるように設定されている。さらに、囲み部850と封印シール844との間に生じる貼り付け位置のゆとりは、破断突起817と切り抜き凹部859との上記位置関係が、自ずと維持される範囲内で設定されている。
ちなみに、破断ベース部816における封印シール844側の部位には、側面領域139に貼り付けられている封印シール844に対して傾斜した傾斜面816aが形成されている。傾斜面816aは、封印シール844側に向かうに従って破断ベース部816の厚み寸法が小さくなるように傾斜しており、破断ベース部816は破壊用部材810の取り外し方向に向けて先細りに形成されている。傾斜面816aによって、破断ベース部816による封印シール844の切断の容易化が図られているが、この作用については後に説明する。
貼付領域136に貼り付けられた封印シール844は、その周囲がカバー部材861により覆われている。このカバー部材861について、図55に加え、図59(a),(b)及び図60を適宜参照しながら以下に詳細に説明する。
図59(a)はカバー部材861の斜視図、図59(b)はカバー部材861が基板ボックス102に取り付けられている様子を説明するための説明図、図60は貼付ベース135及びその周辺の断面図である。なお、図59(b)においては説明の便宜上、破壊用部材810は断面ではない状態で示している。
カバー部材861は、ポリカーボネート樹脂などといった無色透明の合成樹脂により、図55及び図59(a)に示すように、所定の内部空間862を有する直方体の箱状に形成されており、当該内部空間862を区画形成する複数(具体的には5個)の壁部はカバー部材861の内外に電波が透過可能となっている。カバー部材861には、図59(a)に示すように、直方体の6面のうち1の面が不具備となるように開口部863が形成されており、当該開口部863を通じて内部空間862がカバー部材861の外部に開放されている。また、開口部863はその周縁部が、当該開口部863を挟んで対向する一対の壁部864,865のそれぞれに対して内側に入り込むようにして形成されている。
カバー部材861の内部空間862は、封印シール844が貼り付けられた貼付ベース135の全体を収容可能な大きさに形成されている。また、開口部863は、貼付ベース135の突出先端側から当該貼付ベース135を内部空間862内に差込可能な大きさに形成されている。
カバー部材861の上記両壁部864,865間の距離は貼付ベース135において貼付領域136を挟んで相互に対向する一対の対向板部801,802,806,807間の距離と同一又はそれよりも若干大きく設定されている。
両壁部864,865には開口部863の周縁部から貼付ベース135側に向けて突出させて一対の爪部866,867が一体形成されている(なお、爪部867については図59(b)を参照)。爪部866,867はその先端側が自由端となっており、外力が加えられた場合に弾性変形可能となっている。
爪部866,867に対応させて、図54及び図55に示すように、貼付ベース135に一体化された破壊用部材810の一対のアーム部812,813には、外方に突出させて受け部868,869が一体形成されている。カバー部材861は、開口部863を介して内部空間862内に貼付ベース135が差し込まれるように基板ボックス102に設置されている。この設置に際して、爪部866,867は対応する受け部868,869に対して取り付け方向の元側から当接することで外方に逃げるようにして弾性変形し、爪部866,867の先端フック部分が受け部868,869よりも取り付け方向の先側に到達することで復元力によって自然状態に復帰する。これにより、図59(b)に示すように、爪部866,867の先端フック部分が受け部868,869の端部に対して取り付け方向の先側から当接し、上記取り付け方向の逆方向である取り外し方向にカバー部材861を移動させようとしても、上記当接によってそれが阻止される。これら爪部866,867と受け部868,869との係合によって、カバー部材861が基板ボックス102に固定されている。
また、図60に示すように、カバー部材861に対して破断突起817が係合している。具体的には、破断突起817は、囲み部850の一部である表側段差部850aよりも表側に突出しており、当該破断突起817に対応させて、カバー部材861において表面領域137と対向する表面側壁部870の内壁面には係合用凹部871が形成されている。係合用凹部871は、破断突起817が入り込み可能な大きさとなるように表面側壁部870の内壁面の一部を凹ませて形成されている。カバー部材861が取り付けられた場合に、破断突起817が係合用凹部871に入り込むようにして配置される。これにより、カバー部材861を取り外し方向に移動させようとすると、破断突起817がカバー部材861に対して引っ掛かり、当該移動が阻害される。
すなわち、カバー部材861と破壊用部材810とは、爪部866,867及び受け部868,869の第1の係合と、破断突起817及び係合用凹部871の第2の係合とによって、連結されている。これら2つの連結を介してカバー部材861が基板ボックス102に対して取り付けられている。これにより、カバー部材861の移動に伴って、破壊用部材810が連動することとなる。
基板ボックス102にカバー部材861が固定されていることにより、破壊用部材810が一体化された貼付ベース135の略全体がカバー部材861によって囲まれている。詳細には、図60に示すように、カバー部材861の内壁面は貼付領域136の表面領域137側、側面領域139側及び裏面領域138側のそれぞれにおいて囲み部850と当接又は近接している。この場合、破断突起817及び係合用凹部871の第2の係合箇所はカバー部材861の内側に配置されており、外部からのアクセスが制限されている。具体的には、カバー部材861の表面側壁部870の内壁面と表側突条部850cの表側の面とが当接しており、第2の係合箇所は当該当接箇所よりも開口部863とは反対側に配置されている。これにより、カバー部材861の開口部863を介して第2の係合箇所へアクセスする不正行為を抑制し得る。
ちなみに、カバー部材861と囲み部850との間に製造段階での寸法バラつきに対応した遊びが生じるように両者の各寸法が設定されている。これにより、製造段階の寸法バラつきによりカバー部材861が取り付けることができないという不都合を回避することができる。上記遊びは、カバー部材861が取り付けられた場合にカバー部材861と貼付ベース135との間に形成される隙間が小さくなるように上記寸法バラつきに対応可能な範囲内で小さく設定されている。これにより、カバー部材861と囲み部850との間に隙間から治具を挿入する不正行為を抑制することができる。
また、図53に示すように、表側対向板部801,802及び裏側対向板部806,807の表面には、破壊用部材810の取り外し方向に向けて互いに向き合う方向に傾斜した傾斜面が設けられている(裏側対向板部807にあっては図8参照)。当該傾斜面に対応させて、カバー部材861の壁部864,865において上記傾斜面と対向する部位には上記傾斜面と同一の傾斜が形成されている。これにより、カバー部材861が取り付けられている状況において、各対向板部801,802,806,807の表面と壁部864,865の内壁面とが当接又は近接し、貼付ベース135とカバー部材861との間に形成される隙間が小さくなっている。
なお、カバー部材861の表面側壁部870には、孔部881が設けられている。当該孔部881の構成については、第2の実施の形態の孔部341と同一であるため、説明を省略する。
次に、基板ボックス102の内部空間を開放する場合の手順について図61及び図62を用いて説明する。図61(a)〜(c)は基板ボックス102の内部空間を開放する場合の手順を説明するための説明図、図62(a)〜(d)は破壊用部材810による封印シール844の切断を説明するための説明図であり、貼付ベース135を裏面側から見た場合の断面図である。
既に説明したとおり、両構成体111,112の一方に対して他方を開放用の分離方向へスライド移動することが、貼付ベース135を構成する表側固定ベース部133並びに裏側固定ベース部134のネジ固定及びカバー部材861によって制限されているとともに、封印シール844によって阻害されている。このため、スライド移動を行う前処理として、カバー部材861の分離操作、ネジ固定の解除、及び封印シール844による阻害の解除を行う。
カバー部材861は第1の係合及び第2の係合によって破壊用部材810に対して連結されており、破壊用部材810はネジ固定によって貼付ベース135に対して固定されているため、カバー部材861の分離の前処理として破壊用部材810のネジ固定を解除する。具体的には、カバー部材861の固定解除用の孔部881からドライバなどの工具の先端を挿入する。そして、ネジ153の頭部を覆っている封印シール844をドライバなどの工具の先端により突き破ることで、当該先端をネジ153の頭部に挿し込み、図61(b)に示すように、ネジ153を離脱させる。なお、既に説明したとおり、ICタグ163のアンテナ部材172はネジ153を挿通させるための貫通孔152を跨いでいるため、工具の先端をネジ153の頭部に差し込んだ際には封印シール844の一部の破損だけでなくアンテナ部材172の一部の破損が生じる。
上記のようにネジ153が離脱されることにより、破壊用部材810を貼付ベース135から分離させることが可能となり、それに伴ってカバー部材861を貼付ベース135から分離させることが可能となる。この場合に、カバー部材861と破壊用部材810とは係合しているため、設置時の取り付け方向とは反対方向を分離方向(取り外し方向)としてカバー部材861を移動させようとすると、破壊用部材810も一体的に分離方向に移動することとなる。
ここで、破壊ベース部811と貼付ベース135との間に形成される隙間を小さくするために設計段階において遊びが小さく設定されているとともに、カバー部材861と囲み部850との間に形成される隙間を小さくするために設計段階の遊びが小さく設定されているため、カバー部材861を取り外し方向へ移動させようとすると、破壊用部材810と封印シール844との干渉に加えて、破壊用部材810と貼付ベース135との干渉、カバー部材861と囲み部850との干渉等が発生し、カバー部材861の上記移動を行いにくい。このため、切断用エッジ851の両端部のうち一端側を支点とした状態で他端側を傾ける作業を、支点となる側が交互に代わるように繰り返しながらカバー部材861の分離操作を行う。この場合、既に説明した規制構造が設けられているため、分離開始時には破壊用部材810が貼付ベース135に対して平行な状態を維持しながら取り外し方向に移動し、切断用エッジ851の封印シール844に対する当接が好適にガイドされる。なお、以降の説明において、切断用エッジ851の両端のうち一端側を支点とした状態で他端側を傾ける作業を単位動作とも言う。
既に説明したとおり、切断用エッジ851及び鋸部854の先端が封印シール844に対して近い位置に配置されているため、カバー部材861の分離操作を開始すると、これらから封印シール844との当接が開始される。この場合に、上記のように一端側を傾ける作業を繰り返しながら分離操作を行うため、切断用エッジ851の両端部のうち先行した側が封印シール844に当接し切断を開始する。この場合、てこの原理により封印シール844に対する押圧力が高められている。その後に、回動の度合にもよるが、中央側による切断が開始され、回動を逆側とすることで、もう一方の端部の切断が開始される。
特に、第1傾斜部852と第2傾斜部853とが設けられていることにより、どちらの向きの回動を行う場合であっても、封印シール844の切断が行われる。これにより、封印シール844の切断に要するストローク量が少なくて済むため、封印シール844を切断の容易化を図ることができる。
さらに、切断用エッジ851の両端は封印シール844の外側に配置されているため、切断用エッジ851は封印シール844の両端に対して当接し、当該両端から封印シール844を切断する。これにより、封印シール844において切り残りが生じにくい。
また、アンテナ部材172に対して鋸部854が当接するように鋸部854の位置が設定されているため、破壊用部材810が取り外し方向に移動すると、最初にアンテナ部材172が切断され、通信が不可となる。これにより、カバー部材861を途中位置まで移動させた場合等においても、当該事実を把握することができる。
アンテナ部材172が配置されている箇所の封印シール844の強度はアンテナ部材172の分だけ高められているが、当該箇所に対して傾斜角度が相対的に大きい傾斜部によって形成された鋸部854が当接するため、鋸部854とアンテナ部材172との当接範囲が小さくなっている。これにより、当該範囲の切断を容易に行うことができる。
貼付ベース135の内側に設けられている規制構造によって破壊用部材810とアンテナ部材172との相対位置が規定されている。これにより、アンテナ部材172に対する鋸部854の位置ずれが生じにくくなっている。さらに、封印シール844と囲み部850との間に生じる貼り付け位置のゆとりを含めた範囲Zに亘って鋸部854が当接するように2つの刃855,856を形成した。これにより、鋸部854がアンテナ部材172に対して確実に当接するようになっている。
ICチップ171が拡張領域808内に配置されているのに対して、第1スリット部174のICチップ171側とは反対側の端部は拡張領域808よりも表面領域137側に配置されている。このため、第1スリット部174が形成された領域が切断される。これにより、ICタグ163において正常な通信が不可となる。
また、図62(a)に示すように、破壊用部材810の破壊ベース部811には先細り領域841が形成されており、当該先細り領域841によって切断用エッジ851は破壊用部材810の取り外し方向に尖っている。そして、破壊用部材810の分離に際しては当該切断用エッジ851が分離方向の先側となる。したがって、鋭利な箇所が封印シール844に当接することとなり、これら封印シール844の切断の容易化が図られる。
開放作業の説明に戻り、上記分離操作が開始され切断用エッジ851の両端及び鋸部854による切断が開始された後は、破断突起817による切断が開始される。つまり、既に説明したとおり、破壊用部材810の取り外し方向への移動に伴って破断突起817は破断部用開口部818に沿って移動するものであるとともに、破断突起817から封印シール844までの距離は、切断用エッジ851の両端から封印シール844までの距離及び鋸部854の先端から封印シール844までの距離はよりも大きく設定されている。これにより、破断突起817による切断の開始タイミングは切断用エッジ851による切断の開始タイミングよりも後のタイミングとなる。換言すれば、破断突起817による切断の開始タイミングと切断用エッジ851による切断の開始タイミングとがずれている。よって、切断の開始に係る負荷が分散されているため、封印シール844の切断を容易に行うことができる。
この場合、破断突起817により封印シール844において破断部用開口部818を覆っている箇所が破断される。よって、封印シール844において境界809に跨って貼り付けられている箇所とは別の箇所、具体的には表面領域137に貼り付けられた封印シール844が破壊される。よって、封印シール844において異なる面の一部が破壊されるため、管理者が当該破壊箇所を確認し易くなっている。
また、カバー部材861の分離操作を継続していくと、規制構造による規制が緩められる。具体的には、図54(c)に示すように、第2傾斜面826は規制用開口部824の開放端とは反対側の端部から開放端に亘って形成されている一方、第1傾斜面825は規制用開口部823の開放端とは反対側の端部から開放端側の途中位置までに亘って形成されている。これにより、破壊用部材810が取り外し方向に移動すると、図62(b)に示すように、第1傾斜面825と規制用凸部821とが当接しなくなり、第1傾斜面825及び規制用凸部821による規制が解除される。これにより、貼付ベース135に対する破壊用部材810のガタツキが大きくなり、それに伴い単位動作当たりの変位量が大きくなる。
なお、貼付ベース135の表裏方向(表側固定ベース部133と裏側固定ベース部134との重ね合わせ方向)の破壊用部材810の移動は規制構造により規制された状態が維持されている。これにより、当該方向の破壊用部材810の位置ずれは抑制されている。
図62(c)に示すように、破壊用部材810を更に移動させると、第2傾斜面826及び規制用凸部821,822による規制が解除され、上記変位量が更に大きくなる。つまり、取り外し方向への破壊用部材810の移動に伴って段階的に単位動作当たりの変位量が大きくなるため、単位動作当たりの封印シール844の切断範囲が大きくなる。よって、封印シール844の切断をより好適に行うことができる。
また、カバー部材861を取り外し方向に向けて移動させていくと、壁部864,865と各対向板部801,802,806,807との間に形成される隙間が徐々に大きくなる。これにより、単位動作がカバー部材861と貼付ベース135との干渉によって阻害されにくくなる。よって、図62(d)に示すように、単位動作の変位量が大きくなる、したがって、単位動作当たりの切断範囲が大きくなり、好適に封印シール844を切断することができる。
ここで、破断部815は破断部用開口部818に沿って移動するが、カバー部材861の分離操作を阻害しないようになっている。具体的には、アーム部812,813が向き合う方向における破断部用開口部818の長さ寸法は破断ベース部816及び破断突起817のそれよりも大きく設定されている。これにより、破断部815と破断部用開口部818の周縁との間にはアーム部812,813が向き合う方向に所定の隙間が形成されている。よって、切断用エッジ851の一端を支点として他端を傾けた場合に、破断部815と破断部用開口部818の周縁との干渉が生じにくい。したがって、カバー部材861の分離操作が破断部815により阻害されにくい。
その後、カバー部材861の分離操作に伴って、谷部857,858を含めて切断用エッジ851の全体が境界809よりも外側に移動することで、当該切断用エッジ851による切断が完了する。
ここで、切断用エッジ851において境界809に対する最短距離の箇所(両端)と最長距離の箇所(谷部857,858)との間の破壊用部材810の取り外し方向の距離は、第1傾斜部852のみの場合と比較して、短くなっている。これにより、切断用エッジ851の切断開始から切断完了までのストローク量が小さくなっている。
切断用エッジ851による切断が完了した後に更なる分離操作を行うことで、破断ベース部816による封印シール844の破壊が行われる。具体的には、破断部用開口部818は取り外し方向に向けて開放されており、境界809と破断部用開口部818とが連通している。破断部用開口部818に配置されている破断ベース部816は傾斜面816aによって封印シール844側に向けて先細りとなるように形成されており、その先端は破壊ベース部811側に配置されている(図60参照)。破壊用部材810の取り外し方向における破断ベース部816の先端と封印シール844との距離は、切断用エッジ851の谷部857,858と封印シール844との距離よりも大きく設定されている。これにより、切断用エッジ851による切断が完了した後に、破断ベース部816による破壊が開始される。これにより、切断用エッジ851による切断が完了した後に破断ベース部816による切断が開始される。この場合、破断ベース部816は切断用エッジ851(先細り領域841)によって切断された箇所を広げるように封印シール844を破壊する。
また、それに同期するようにして、又は当該タイミングに前後して、拡張部814によって既に形成された切断箇所の拡張が開始される。具体的には、拡張部814が拡張領域808を通過することによって、封印シール844において拡張領域808の周縁部のうち表裏方向に延びた部位に対応した箇所が切断される。この場合、拡張部814が拡張領域808を通過する前のタイミングにて切断用エッジ851による切断が完了しており、拡張部814は当該切断用エッジ851によって切断された切断箇所を拡張するように破壊する。これにより、図61(c)に示すように、封印シール844において破壊される領域が大きくなり、封印シール844の破壊が行われた事実を容易に確認することができる。
特に、切断の容易性の観点から先細り領域841等を設けることにより当接範囲を狭くすると、切断面の凹凸が小さくなり、切断箇所が目立ちにくくなるため、開放操作が行われた否かの確認作業の作業性の低下が懸念される。これに対して、本実施の形態によれば、拡張部814によって切断箇所が拡張されるため、上記不都合を回避することができる。
また、切断用エッジ851による封印シール844の破壊が行われた後に、拡張部814による封印シール844の破壊が行われるため、それぞれの破壊に要する負荷が分散される。これにより、一度に破壊する構成と比較して、封印シール844を容易に破壊することができる。
ここで、図54(b)及び図62等に示すように、拡張部814には破壊用部材810の取り外し方向に向かうに従って拡張部814の厚み寸法が小さくなるように傾斜した傾斜面814aが設けられており、拡張部814は破壊用部材810の取り外し方向に向けて先細りに形成されている。そして、その先細りの先端は切断用エッジ851側に配置されている。これにより、破壊用部材810を取り外し方向に移動させると、拡張部814は切断用エッジ851により切断された箇所に近い側から当接し、切断用エッジ851により切断された箇所を押し広げるように封印シール844を破壊する。よって、切断用エッジ851により切断された箇所を拡張する破壊を好適に行うことができる。
アンテナ部材172は拡張領域808に跨って配置されており、当該拡張領域808内にICチップ171が配置されている。このため、拡張部814による切断が行われると、アンテナ部材172のICチップ171を挟んだ両側の部位が切断される。よって、アンテナ部材172の長さ寸法が小さくなるため、不正後において通信可能範囲が通常の範囲からより大きく狭くなる。したがって、開放操作を行われたことを確実に把握することができる。更に、アンテナ部材172の複数の箇所が切断され、複数の痕跡が形成されることとなるため、開放操作が行われたことを容易に確認することができる。
以上のことから、図61(c)に示すように、破壊用部材810の取り外し方向への移動によって、封印シール844において境界809及び破断部用開口部818に貼り付けられていた領域が切断され、封印シール844による開放操作の阻害が解除される。よって、両構成体111,112のスライド移動が可能となり、基板ボックス102の内部空間を開放することができる。したがって、CPUチップ103の検査等を行うことが可能となる。すなわち、カバー部材861の分離操作に伴って破壊用部材810の移動が行われ、封印シール844が切断されるため、開放操作を行う場合における作業性の低下を抑制することができる。
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
境界809に沿って封印シール844を切断する破壊用部材810を設けた。これにより、封印シール844の切断を容易に行うことができるため、開放操作の作業性の向上を図ることができる。また、破壊用部材810によって封印シール844が切断された場合には、当該切断箇所が痕跡として残るため、開放操作が行われたことを容易に確認することができる。
特に、封印シール844の位置決めと当該封印シール844を剥がす不正行為を抑制する観点から囲み部850が設けられている構成においては、開放操作における作業性の低下が懸念される。これに対して、本実施の形態によれば、封印シール844を切断する破壊用部材810が別途設けられているため、作業性の低下を抑制することができる。これにより、封印シール844への不正行為の抑制と、開放操作の際の作業性の低下の抑制との両立を図ることができる。
破壊用部材810のアーム部812,813は囲み部850の一部を構成するように形成されている。これにより、破壊用部材810と囲み部850を構成する部分とが干渉することなく、破壊用部材810を貼付ベース135の内側に取り付けることができる。
切断用エッジ851に、側面領域139に貼り付けられた封印シール844に対して傾斜した第1傾斜部852と、当該第1傾斜部852とは異なる向きに傾斜した第2傾斜部853とを設けた。これにより、破壊ベース部811の小型化を図るとともに、所定の箇所からの切断を開始させることで封印シール844の切断を好適に行うことができる。
また、切断用エッジ851において境界809に対する最短距離の箇所(両端)と最長距離の箇所(谷部857,858)との間の破壊用部材810の取り外し方向の距離が、第1傾斜部852のみの場合と比較して短くなるように第2傾斜部853が形成されている。これにより、境界809の箇所を切断するのに要する破壊用部材810のストローク量が小さくなるため、封印シール844の切断を容易に行うことができる。
破壊用部材810に、切断用エッジ851による切断が行われた後に、当該切断箇所を拡張するように封印シール844を破壊する拡張部814を設けた。これにより、切断箇所が見易くなるため、切断が行われたことを容易に確認することができる。
さらに、破壊用部材810に、切断用エッジ851によって切断される側面領域139側の面に対して直交する表面領域137側の面の一部を切断する破断部815を設けた。これにより、封印シール844における破壊箇所が見易いため、開放操作が行われた事実を容易に確認することができる。
なお、本実施の形態において、カバー部材861と囲み部850との隙間及びアーム部812,813と貼付ベース135との隙間を大きく設定することによって、カバー部材861を取り外し方向にスライド移動可能な構成としてもよい。この構成であっても、切断用エッジ851が形成されていることで、封印シール844の切断の容易化を図ることができる。但し、この場合、隙間から治具を挿入する等の不正行為が行われ得るため、不正行為抑制の観点に着目すれば、上記実施の形態の方が優れている。
また、本実施の形態において、破断突起817が囲み部850の一部を構成するように形成されていてもよい。これにより、破断突起817の多機能化を図ることができるとともに、切り抜き凹部859の長さ寸法を小さくすることによって、破断突起817による切断領域を大きくすることができる。
また、破断突起817が係合用凹部871に対して係合する構成としたが、これに限られず、例えば係合しなくてもよい。この場合、カバー部材861の単独分離が可能となるため、簡易の検査を好適に行うことができる。
係合しないようにするための具体的な構成としては、例えば破断突起817の突出寸法を小さくする、又は係合用凹部871を開口部863に向けて開放させる構成が考えられる。
また、切断用エッジ851の両端部が封印シール844側に突出するように第1傾斜部852及び第2傾斜部853を設ける構成としたが、これに限られず、例えば図63(a)に示すように、2つの傾斜部891a,891bによって封印シール844側に向けて尖った先端部892が形成されている構成としてもよい。これにより、破壊ベース部811と封印シール844との当接箇所が少なくなるため、押圧力を高めることができる。
この場合、先端部892がアンテナ部材172に当接するように両者の位置関係を設定するとよい。これにより、アンテナ部材172によって強度が高められている箇所を容易に切断することができるため、封印シール844の切断を容易に行うことができる。
また、図63(b)に示すように、側面領域139に貼り付けられている封印シール844に対する傾斜の向きが同一であり、傾斜角度が相違する第1傾斜部893a及び第2傾斜部893bを設けるとともに、上記各傾斜部893a,893bとは異なる向きに傾斜し且つ傾斜角度が相違する第3傾斜部893c及び第4傾斜部893dを設け、各アーム部812,813側に傾斜角度が大きい傾斜部(第1傾斜部893a,第3傾斜部893c)を設置する構成としてもよい。この場合、封印シール844の切断の初期段階では第1傾斜部893a及び第3傾斜部893cと封印シール844が当接する。当該当接範囲は、第2傾斜部893b及び第4傾斜部893dと比較して狭いため、封印シール844に対する押圧力が高められている。
一方、封印シール844の切断の後期段階では、第2傾斜部893b及び第4傾斜部893dが封印シール844と当接する。この場合、少ないストローク量で封印シール844を切断することができる。
以上のことから、切断に要する外力とストローク量とが調整されている。
また、第2傾斜部893b及び第4傾斜部893dが設けられているため、破壊ベース部811の幅寸法が確保されている。これにより、第1傾斜部893a及び第3傾斜部893cのみの構成と比較して、破壊用部材810の強度が高められている。
また、アンテナ部材172が配置されている範囲Zに対応させて鋸部854を設けたが、これに限られず、例えば鋸部854を設けなくてもよい。この場合であっても、カバー部材861を移動させることによって、アンテナ部材172を含めて封印シール844を切断することができる。但し、先にアンテナ部材172が切断されること及び切断の容易性に着目すれば、鋸部854を設けた構成のほうが優れている。また、鋸部854の刃の数は任意である。
また、アンテナ部材172を破断部用開口部818に跨るように配置してもよい。これにより、アンテナ部材172の破壊箇所が増加するため、破壊された事実の確認を容易に行うことができるとともに、アンテナ部材172の長さ寸法をより小さくすることができる。具体的な構成としては、破断部815及び破断部用開口部818をアーム部812側に設ける構成が考えられる。
また、図64に示すように、第1スリット部174が境界809を跨ぐとともに拡張領域894の周縁部を跨ぐように当該拡張領域894が規定されていてもよい。この場合、第1スリット部174が複数箇所で切断されるため、第1スリット部174の破壊をより確実に行うことができる。
また、図65に示すように、拡張部814に、側面領域139に貼り付けられている封印シール844に対する傾斜の向きが相違する傾斜面895a,895bを設け、当該傾斜面895a,895bにより、拡張部814において破壊ベース部811側とは反対側の端部が破壊ベース部811側の端部よりも封印シール844側に配置されるようにしてもよい。この場合、拡張領域808の周縁部において裏面領域138側の部位を好適に切断することができる。
切断用エッジ851が破壊用部材810の取り外し方向に向けて尖るように先細り領域841を設けたが、これに限られず、例えば先細り領域841を設けない構成としてもよい。但し、封印シール844の切断の容易性の観点に着目すれば、先細り領域841を設ける構成のほうが優れている。
拡張部814と破断部815とを設けたが、これに限られず、例えばいずれか一方を設ける構成としてもよい。
また、破壊用部材810はネジ固定される構成としたが、これに限られず、ネジ固定しない構成としてもよい。この場合であっても、規制構造(規制用凸部821,822及び規制用開口部823,824、突条830,831及び突条用溝832,833)によって破壊用部材810は表側貼付用板部141に対して装着されているため、破壊用部材810が誤って移動することが抑制されている。但し、破壊用部材810への不正行為抑制の観点に着目すれば、破壊用部材810がネジ固定されている構成のほうが優れている。
また、本実施の形態では、切断用エッジ851による封印シール844の切断が開始された後に、破断突起817による切断が開始されるように設定されていたが、これに限られず、破断突起817による切断が開始されてから、切断用エッジ851の切断が開始される構成としてもよい。
また、破壊用部材810の取り外し方向への移動に伴って、規制構造による破壊用部材810のアーム部812,813間の移動の規制が段階的に解除されるようになっていたが、これに限られず、例えば破壊用部材810の取り外し方向への移動に伴って、規制構造による破壊用部材810のアーム部812,813間の移動の規制が段階的に緩められる構成としてもよい。具体的には、破壊用部材810の取り外し方向への移動に伴って規制用凸部821,822と対応する傾斜面825,826との隙間が徐々に大きくなるように設定されていてもよい。この場合であっても、破壊用部材810の取り外し方向への移動に伴って徐々に単位動作の動作範囲が大きくなる。
第1傾斜部852及び第2傾斜部853は、傾斜の向きが逆に形成されていたが、これに限られず、例えば同一傾斜向きに形成されている構成としてもよい。この場合、第1傾斜部852の中央側の端部と第2傾斜部853の中央側の端部とに連続する第3の傾斜部を設けるとよい。当該構成であっても、破壊用部材810の取り外し方向に向けて尖った先端部を形成することができるとともに、破壊用部材810をコンパクトにすることができる。要は、切断用エッジ851に、封印シール844に対して傾斜した状態で当接する傾斜部が複数設けられていればよい。但し、傾斜角度又は傾斜向きが異なる構成のほうが、より好適に封印シール844を切断することができるとともに、破壊用部材810の小型化を図ることができる。
また、下記第5又は第6の実施の形態にて示すように、破壊用部材810を回転可能な状態で貼付ベース135に対して取り付け、破壊用部材810を回転させることで封印シール844を切断する構成としてもよい。この場合、切断用エッジ851を、側面領域139に対して貼り付けられた封印シール844に対して平行に形成してもよい。かかる構成であっても、破壊用部材810を回転させた場合には、切断用エッジ851は封印シール844に対して傾斜した状態で当接し、回転に伴って徐々に封印シール844の切断が行われる。すなわち、破壊用部材810が回転する場合には切断用エッジ851において平行に形成されている部位が傾斜部として機能する。
さらに、かかる構成において、切断用エッジ851の一部に封印シール844に対して近付くように傾斜した傾斜部を設けてもよい。これにより、切断用エッジ851と封印シール844との当接範囲をより小さくすることができるため、封印シール844をより好適に切断することができる。
破壊用部材810を取り外し方向に移動させた場合に、拡張部814によって拡張領域808の周縁部のうち貼付ベース135の表裏方向に延びた部位に対応した箇所が切断されなくてもよい。この場合であっても、拡張部814が境界809周辺の部位に対して当接し、境界809が押し広げられるように当接箇所の部位が変形する。これにより、痕跡箇所が目立つこととなり、封印シール844の破壊が行われた事実を容易に確認することができる。
<他の実施の形態>
なお、上述した各実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。ちなみに、以下の別形態の構成を、上記各実施の形態における構成に対して、個別に適用してもよく、相互に組み合わせて適用してもよい。また、以下の別形態の構成は、適用対象として例示した実施の形態とは異なる実施の形態に対して適用してもよい。
(1)上記第2乃至第7の実施の形態では、カバー部材331,411,511,611,721,861(以降、単にカバー部材331等ともいう)が基板ボックス102に対して取り付けられている構成としたが、これに限られず、例えばカバー部材331等を不具備とする構成としてもよい。この場合であっても、破壊用部材311,401,501,701,810(以降、単に破壊用部材311等ともいう)をスライド移動又は回転移動させることによって、封印シール160,844(以降、単に封印シール160等ともいう)を切断することが可能である。但し、カバー部材331等が設けられている方が、封印シール160等及び破壊用部材311等の保護の観点から好ましい。
(2)上記第2乃至第7の実施の形態では、破壊用部材311等は貼付ベース135の内側に配置されている構成としたが、これに限られず、例えば第1の実施の形態のように貼付ベース135の外側に配置されている構成としてもよい。
(3)上記第2乃至第6の実施の形態によれば、境界306は直線状に形成されていたが、これに限られず、例えば曲がり部が生じるように境界306が形成されている構成としてもよい。この場合、破壊用部材311等を、境界306を通過できるように、当該曲がり部に対応して形成するとよい。これにより、直線状の場合と比較して切断領域が大きくなるため、より好適に開放操作が行われたことを確認することができる。
(4)上記第2乃至第7の実施の形態では、破壊用部材311等がネジ固定されている構成としたが、これに限られず、例えば破壊用部材311等が表側固定ベース部133と裏側固定ベース部134との結合に用いられるネジ153とは別の結合具を用いて表側固定ベース部133又は裏側固定ベース部134のいずれかに固定される構成としてもよい。この場合、主制御装置63の組み立てに際して、破壊用部材311等が固定されるタイミングは任意であるが、例えば、表側構成体111と裏側構成体112とを組み合わせるタイミングよりも前に破壊用部材311等の固定が行われる構成としてもよい。
また、破壊用部材311等の固定は、ネジ153により行われる構成に限定されることはなく、例えば、表側固定ベース部133又は裏側固定ベース部134の少なくとも一方に形成された係止部に破壊用部材311等が係止される構成としてもよい。
さらに、上記各実施の形態において、貼付ベース135への破壊用部材311等のネジ固定を行わない構成としてもよい。この場合であっても、貼付ベース135と破壊用部材311との当接、カバー部材331と貼付ベース135との当接等によって、破壊用部材311のガタツキを所定のレベルに抑制することができる。
なお、上記第6の実施の形態においては、破壊用部材701がネジ固定されない場合であっても、破壊用部材701は貼付ベース135に対して取り外しが困難な状態で取り付けられているため、破壊用部材701の不正な破壊又は除去を抑制することができる。
(5)上記各実施の形態では、封印シール160等を切断する破壊用部材210,311,401,501,601,701,810(以降、単に破壊用部材210等ともいう)を設ける構成としたが、これに限られず、例えば基板ボックス102を構成する表側構成体111を内外に貫通する貫通部がミシン目状となるように断続的に環状に形成された易切断部を設け、当該易切断部に沿って切断することによって、易切断部によって区画形成された部分が取り外されて基板ボックス102の内部空間の開放が行われる構成において、外力を付与することによって易切断部を切断する破壊用部材を設ける構成としてもよい。
(6)上記各実施の形態にでは、カバー部材191等は基板ボックス102の開放操作を制限するとともに、封印シール160等を覆うものであったが、これに限られず、例えばどちらか一方の機能を有するものでもよい。
(7)上記各実施の形態において、破壊用部材210等が封印シール160等を切断し易いように、封印シール160等に他の箇所よりも切断し易く形成された易切断部を設ける構成としてもよい。これにより、封印シール160等の切断をより好適に行うことができる。
(8)上記各実施の形態では、破壊用部材210等は対向板部142,143,146,147等の間に亘って形成されており、破壊用部材210等がスライド移動又は回転移動した場合には、封印シール160,844において境界140,306,809に跨っている箇所全体が切断される構成としたが、これに限られず、例えば少なくとも上記箇所の一部が切断されるように構成されていればよい。この場合、開放操作に伴って、当該切断箇所から封印シール160,844が切断される。換言すれば、切断箇所が形成されたことによって封印シール160,844による開放操作を阻害する力が弱くなる。これにより、開放操作を行うことが可能となる。但し、開放操作を行う際の作業性の観点に着目すれば、破壊用部材210等が境界140,306,809に跨っている箇所全体を切断可能に形成される構成の方が好ましい。
(9)上記各実施の形態では、囲み部180とカバー部材191等の内壁面との摺動によって、基板ボックス102へのカバー部材191等の取り付け方向は一方向に規定されていたが、これに限られず、例えば所定の方向に誘導後、当該所定の方向と異なる方向に誘導するように取り付け方向が2段階に規定されていてもよい。要は、基板ボックス102へのカバー部材191等の取り付け経路が規定されていればよい。
(10)上記各実施の形態において、表側固定ベース部133と裏側固定ベース部134との間の境界140,306,809が貼付領域136のうち側面領域139にのみ形成されている構成に限定されることはなく、表面領域137にのみ形成されている構成としてもよく、裏面領域138にのみ形成されている構成としてもよい。また、表面領域137と側面領域139との両方に亘って境界140,306,809が形成されていてもよく、裏面領域138と側面領域139との両方に亘って境界140,306,809が形成されていてもよい。さらには、表面領域137、側面領域139及び裏面領域138の全てに亘って境界140,306,809が形成されていてもよい。上記いずれの構成であっても、境界140,306,809に跨って封印シール160,844が貼り付けられているとともに、境界140,306,809を介して破壊用部材210等が、貼付ベース135の内側から外側へ変位可能であればよい。
(11)上記第2乃至第7の実施の形態において、カバー部材331等と破壊用部材311等との連結は爪部336,337等と受け部338,339等との係合により行われる構成に限定されることはなく、カバー部材331等と破壊用部材311等とがネジなどを用いて連結されている構成としてもよく、接着剤や結束バンドなどを用いて連結されている構成としてもよい。また、カバー部材331等と破壊用部材311等とが一体形成されている構成としてもよい。但し、貼付ベース135内に破壊用部材311等が収容されるとともに封印シール160,844を覆うようにしてカバー部材331等が設けられる構成においては、両部材311,331の設置の容易化を図る上では、上記第2の実施の形態等のように係合によって両部材311,331が連結されることが好ましい。
なお、第3及び第4の実施の形態におけるカバー部材411,511と破壊用部材401,501との連結に関する構成についても同様にネジなどを用いて連結する構成としてもよい。この場合、別途連結作業を行う必要が生じる。これに対して、第3及び第4の実施の形態においては、カバー部材411,511が基板ボックス102に取り付けられることに伴って連結が行われる構成となっているため、作業性の低下を抑制し得る。
(12)上記各実施の形態において、表側固定ベース部133と裏側固定ベース部134とを結合する結合具として着脱が可能なネジ153に代えて、破断ネジやワンウェイネジを用いてもよい。
(13)上記第2乃至第5の実施の形態において、封印シール160の表面側に当該封印シール160を覆うようにして透明シートを貼り付けてもよい。この場合、当該透明シートによって封印シール160を保護することが可能となる。但し、上記各実施の形態においては、カバー部材331等の分離に際して封印シール160の破壊が生じ得るように、上記透明シートの強度が設定されていることが好ましい。
(14)上記各実施の形態において、基板ボックス102の内部空間を開放させるべく表側構成体111と裏側構成体112とを分離させる場合の分離方向を規制する規制手段は、両構成体111,112の合わせ面に沿ったスライド移動と、基板ボックス102の厚み方向への移動との2段階での移動に規制する構成に限定されることはなく、前者又は後者のいずれか一方のみ又は3段階以上での移動に規制する構成としてもよい。この場合、少なくとも1段階の移動を阻害するように両構成体111,112に跨って封印シール160,844を貼り付けるとともに、所定の場合に当該跨っている箇所を破壊可能な破壊用部材を設ける構成とすればよい。
(15)上記各実施の形態において、破壊用部材210等を金属製としてもよい。但し、破壊用部材210を金属製とした場合には、当該破壊用部材210とICタグ163のアンテナ部材172とが接触しないように、貼付ベース135に対して封印シール160,844を貼り付ける必要がある。当該構成として具体的には、破壊用部材210とアンテナ部材172とを離間させた状態とする又は破壊用部材210とアンテナ部材172との間に樹脂製の介在部材を設ける構成が考えられる。
例えば、アンテナ部材172が金属製の破壊用部材210に接触すると、設定された動作周波数(例えば、2.45GHz)が変化してしまい、アンテナ部材172を通じた通信が良好に行えなくなるおそれがある。そうすると、ICチップ171に記憶されたID情報をリーダ装置Rにより読み取ろうとしてもそれが行えないおそれがあるが、上記のようにアンテナ部材172と金属製の破壊用部材210とが接触しないようにすることにより、上記不都合の発生が抑えられる。
(16)上記第2の実施の形態において、貼付ベース135との間で係合箇所としての爪部336を挟むように壁部を設ける構成としてもよい。これにより、破壊用部材311とカバー部材331との係合箇所に対するアクセスが制限されるため、当該係合が解除されにくい。よって、第4の実施の形態に示したように、破壊用部材311とカバー部材331との一体化を不正に解除する行為を抑制することができる。但し、破壊用部材311を分離させることなくカバー部材331のみを分離させることができる点に着目すれば、壁部を設けない構成のほうが好ましい。
(17)上記第6の実施の形態では、カバー部材721は破壊用部材701に対して係合することによって、基板ボックス102に対して取り付けられていたが、これに限られず、別途基板ボックス102と係合する構成としてもよい。これにより、破壊用部材701を回転させた後、別途基板ボックス102との係合を解除する必要が生じる。よって、カバー部材721の分離操作が煩雑なものとなるため、不正な分離操作を抑制することができる。
また、この場合、破壊用部材701が分離された基板ボックス102に対してカバー部材721を取り付けることができる。これにより、カバー部材721の汎用性を高めることができる。
(18)上記第6の実施の形態では、破壊用部材701とカバー部材721との間に第1の係合及び第2の係合が生じるようになっていたが、これに限られず例えばどちらか一方でもよい。要は、破壊用部材701の回転に伴って、係合が解除される又は係合が緩くなるようになっていればよい。
(19)上記第6の実施の形態では、軸部711は表側構成体111に設けられている構成としたが、これに限られず、例えば裏側構成体112に設けられている構成としてもよい。この場合、破壊用部材701が基板ボックス102に取り付けられている状況において、両構成体111,112における開放操作としてのスライド移動が破壊用部材701によって規制されることとなる。これにより、開放操作の前段階として破壊用部材701の分離を行う必要が生じるため、開放操作を煩雑なものとすることができる。よって、不正な開放操作を抑制し得る。但し、開放操作の容易性に着目すれば、軸部711は表側構成体111に取り付けられている構成のほうが優れている。
(20)上記第6の実施の形態において、第2アーム部用開口部733を第2結合体132側へ向けて開放させてもよい。これにより、破壊用部材701からカバー部材721を容易に取り外すことが可能となる。但し、この場合、第2アーム部704及び第1フック部741の係合箇所が露出することとなるため、不正に係合箇所を解除され易くなる。このため、係合箇所の不正な解除を抑制できる点に着目すれば、上記第6の実施の形態の方が優れている。
また、側面側壁部731において、破壊用部材701が回転した状態における第2アーム部704と対向する位置に突出部用開口部を新たに設ける構成としてもよい。これにより、カバー部材721を貼付ベース135に対して取り外し方向へスライド移動させることによって、カバー部材721を破壊用部材701から取り外すことができるため、カバー部材721の取り外しを容易に行うことができる。但し、カバー部材721の構成の簡素化、開口部から不正治具を挿入する不正行為が行われ得ることを鑑みると、上記第6の実施の形態の方が優れている。
(21)上記第6の実施の形態では、破壊用部材701は貼付ベース135に対して回転可能な状態で軸支されていたが、これに限られず、例えば貼付ベース135に対してスライド移動可能に取り付けられており、スライド移動することによって封印シール160を切断する構成としてもよい。この場合、カバー部材721が取り付けられている状況において破壊用部材701がスライド移動できるようにカバー部材721に開口部を設ける構成とするとよい。但し、封印シール160を容易に切断できる点に着目すれば、破壊用部材701が回転可能な状態で軸支されている構成のほうが優れている。
(22)上記各実施の形態では、内部空間192を区画形成する壁部等は囲み部180,321,850と隙間が形成されないように構成されていたが、これに限られず、例えば貼付ベース135に対して所定の距離を隔てた位置に壁部等が配置されるようにカバー部材191等を形成する構成としてもよい。この場合、リーダ装置Rによる識別情報の読み取りを行う場合の読み取り位置がICタグ163から上記所定の距離よりも離れた位置となるように制限されている。これにより、所定の距離を通信可能距離よりも短く設定しておくことで、通常時にはリーダ装置Rによる識別情報の読み取りが可能となっている一方、仮にアンテナ部材172に切断が生じて通信可能距離が所定の距離よりも短くなった場合には、当該リーダ装置RにてID情報を読み取ることができなくなるため、アンテナ部材172の切断の事実を把握することができ、不正な開放操作が行われたことを特定することができる。
(23)ベースシート161に対して長尺状のアンテナ部材172が直線状に配置されている構成に限定されることはなく、略直線状又は曲線状に配置されている構成としてもよい。また、長さ方向の途中位置において単一の又は複数の曲がり部を有するように配置されていてもよい。
(24)封印シール160が剥がされる際にスリット173が破壊され易くする易破壊部は、アンテナ用切り込み176のようにスリット状であることに限定されることはなく、断続的に延びる破断線状であってもよい。また、開口部であってもよく、周囲の領域よりも薄く形成された薄膜部であってもよい。さらには、アンテナ部材172の端部からスリット173に向けて凹む凹部であってもよい。このように凹部として易破壊部を形成する構成においては、当該易破壊部はベースシート161ではなくアンテナ部材172に形成されることとなる。この場合、易破壊部として、上記凹部の他に、ベースシート161に対しても上記のように例示した易破壊部を形成してもよい。かかる構成とした場合、封印シール160が剥がされた場合にスリット173が破壊され易くなる。
(25)長尺状のアンテナ部材172に代えてループ状のアンテナ部材を用いてもよい。この場合、ループ部が切断された場合には通信不可又は通信しづらくなるように構成するとともに、当該ループ部を上記各実施の形態におけるスリット173に相当するものとして境界140,306,809との位置関係やアンテナ用切り込み176との位置関係を設定するとよい。例えば、ループ部に向けて延びる易破壊部を形成することで、封印シール160が剥がされた場合にはループ部の切断が期待される。また、ループ部が境界140を跨ぐようにして封印シール160を配置することで、境界306を露出させるべく封印シール160が切断された場合や封印シール160が剥がされた場合にはループ部の切断が期待される。
なお、不可状態発生部は上記各実施の形態のスリット173や上記ループ部に限定されることはなく、自身の破壊に伴ってICタグ163が通信不可又は通信しづらくなるのであれば、具体的な構成は任意である。但し、上記スリット173や上記ループ部により不可状態発生部を形成する構成においては、当該不可状態発生部を簡単な構成として設けることができる。
(26)基板ボックス102が一の壁部に開口部が形成された箱体と、当該開口部を覆う板状の蓋体とから形成されている構成においては、開口部の周縁部と蓋体との境界の一部を覆うように封印シール160,844が貼り付けられていてもよく、当該境界の全てを覆うように封印シール160,844が貼り付けられていてもよい。
(27)封印シール160,844の貼付対象は、主制御装置63に限定されることはなく、払出制御装置82といった他の制御装置であってもよい。また、複数の制御装置に対して封印シール160,844が貼り付けられた構成としてもよい。さらに、払出装置78といった制御装置以外の機器に対して封印シール160,844が貼り付けられていてもよく、制御装置と取付台との境界を跨ぐように封印シール160,844が貼り付けられていてもよい。これらいずれの構成であっても、上記各実施の形態にて示した発明を適用し得る。
(28)上記各実施の形態では、ICタグ163はリーダ装置Rからの呼出波を受信することにより識別情報を応答波として発信する構成としたが、これに代えて、識別情報を含んだ電波を常時発信するICタグとしてもよい。
(29)2個の構成体111,112が組み合わされて基板ボックス102が形成されている構成に限定されることはなく、3個以上の構成体が組み合わされて基板ボックス102が形成されていてもよい。また、封印シール160,844においてアンテナ部材172が斜めに配置されている構成に限定されることはなく、斜め以外の方向に配置されている構成としてもよい。また、封印シール160,844のベースシート161は長方形状であることに限定されることはなく、正方形状、他の多角形状又は円形状であってもよい。
(30)上記第1乃至第7の実施の形態において、封印シール160,844の全体を覆うカバー部材191等に代えて、封印シール160,844の全体は覆わないが一部に隣接させて又は一部に対向させて配置されることで当該封印シール160,844の貼付領域136からの完全な引き剥がしを制限する部材を設ける構成としてもよい。この場合、当該部材が上記引き剥がしを制限している位置から当該制限を解除する位置に変位されることに伴って封印シール160,844又はICタグ163が破壊される構成とするとよい。
(31)上記各実施の形態において、破壊されることによって、開放操作の阻害が解除されるとともに痕跡状態となる痕跡手段は、ICタグ163を有する封印シール160に限定されることはなく、ICタグ163を有していない封印シール160であってもよく、封印シール160が不具備となった状態のICタグ163であってもよい。また、痕跡を残すことができるのであれば、封印シール160やICタグ163に限定されない。
(32)上記第5の実施の形態では、破壊用部材311は表側構成体111と裏側構成体112とが分離されない限り、基板ボックス102から分離しにくい構成となっていたが、これに限られず、例えば破壊用部材311が所定の回転方向位置に配置された場合に、貼付ベース135から引き抜けるようになっている構成としてもよい。これにより、基板ボックス102の開放を行うことなく、破壊用部材311の交換を行うことができる。
(33)上記第6の実施の形態では、表面側壁部751の一部が表面領域137と当接する構成としたが、これに限られず又はこれに加えて、側面側壁部731が側面領域139と当接するように形成されていてもよい。具体的には、側面領域139と当接するように側面側壁部731の一部を貼付ベース135側に凹ませてもよい。これにより、封印シール160が貼付ベース135とカバー部材721とによって挟み込まれるため、破壊用部材701が当接することによって生じるせん断力を高めることができる。よって、封印シール160の切断を容易に行うことができる。
(34)上記第5及び第6の実施の形態においては、先細り領域315、705を傾斜させて形成したが、これに限られず、アーム部313,314の向き合う方向に沿って形成してもよい。この場合であっても、破壊用部材311等を回転させた場合には、先細り領域315は封印シール160に対して傾斜した状態で当接し、回転に伴って徐々に封印シール160の切断が行われる。
(35)上記各実施の形態では、外側貯留部として上皿57aと下皿58aとを備えたパチンコ機10に本発明を適用したが、これに代えて、単一の外側貯留部を備えたパチンコ機に本発明を適用してもよい。また、停電監視装置を主制御装置63とは別に設けることで、主制御基板101は主制御回路251のみの機能を有する構成としてもよい。
(36)上記各実施の形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも、本発明を適用できる。
また、弾球式でない遊技機、例えば、複数種の図柄が周方向に付された複数のリールを備え、メダルの投入及びスタートレバーの操作によりリールの回転を開始し、ストップスイッチが操作されるか所定時間が経過することでリールが停止した後に、表示窓から視認できる有効ライン上に特定図柄又は特定図柄の組み合わせが成立していた場合にはメダルの払い出し等といった特典を遊技者に付与するスロットマシンにも本発明を適用できる。
また、外枠に開閉可能に支持された遊技機本体に貯留部及び取込装置を備え、貯留部に貯留されている所定数の遊技球が取込装置により取り込まれた後にスタートレバーが操作されることによりリールの回転を開始する、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機にも、本発明を適用できる。
<上記各実施の形態から抽出される発明群について>
以下、上述した各実施の形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記各実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
特徴A1.予め定められた監視対象に対して、前記監視対象の一部の分離操作又は前記監視対象の設置箇所からの移動操作のいずれかである特定操作を阻害するように設けられ、当該阻害状態が解除された場合には、前記特定操作が行われたことの痕跡を残す痕跡状態となる痕跡手段(第1乃至第6の実施の形態においては封印シール160、第7の実施の形態においては封印シール844)と、
前記阻害状態を解除する解除手段(第1の実施の形態においては破壊用部材210、第2及び第5の実施の形態においては破壊用部材311、第3の実施の形態においては破壊用部材401、第4の実施の形態においては破壊用部材501、第6の実施の形態においては破壊用部材701、第7の実施の形態においては破壊用部材810)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴A1によれば、特定操作を阻害するように痕跡手段が設けられており、特定操作が行われる場合には、痕跡手段の阻害状態が解除される。この場合、痕跡手段によって特定操作が行われたことの痕跡が残るため、当該特定操作が行われたことを特定することができる。これにより、特定操作が行われた場合には、その事実を容易に把握することができる。
ここで、解除手段が設けられていることにより、痕跡手段の阻害状態の解除を容易に行うことができる。これにより、検査等のために特定操作を行う場合に当該特定操作を好適に行うことができる。
特徴A2.複数の構成体(表側構成体111及び裏側構成体112)が組み合わされて形成され、制御基板(主制御基板101)を収容する基板ボックス(基板ボックス102)と、
前記基板ボックスに設けられるとともに、前記基板ボックスの内部空間を開放させる特定操作を阻害するように設けられ、当該阻害状態が解除された場合には、前記特定操作が行われたことの痕跡を残す痕跡状態となる痕跡手段(第1乃至第6の実施の形態においては封印シール160、第7の実施の形態においては封印シール844)と、
前記阻害状態を解除する解除手段(第1の実施の形態においては破壊用部材210、第2及び第5の実施の形態においては破壊用部材311、第3の実施の形態においては破壊用部材401、第4の実施の形態においては破壊用部材501、第6の実施の形態においては破壊用部材701、第7の実施の形態においては破壊用部材810)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴A2によれば、特定操作を阻害するように痕跡手段が設けられているため、特定操作が行われる場合には、痕跡手段の阻害状態が解除される。この場合、痕跡手段によって特定操作が行われたことの痕跡が残るため、当該特定操作が行われたことを特定することができる。これにより、特定操作が行われた場合には、その事実を容易に把握することができる。
ここで、解除手段が設けられていることにより、痕跡手段の阻害状態の解除を容易に行うことができる。これにより。検査等のために特定操作を行う場合に好適に対応することができる。
特徴A3.前記解除手段は、予め定められた初期位置から予め定められた特定方向に変位可能に形成されており、前記特定方向への変位により前記痕跡手段を破壊し、前記阻害状態を解除するものであることを特徴とする特徴A1又はA2に記載の遊技機。
特徴A3によれば、解除手段を初期位置から特定方向に変位させることによって、痕跡手段が破壊され、阻害状態が解除される。この場合、解除手段を変位させるだけでよいため、解除手段による痕跡手段の破壊を容易に行うことができる。
なお、「特定方向に変位可能」には、特定方向にスライド移動可能な構成だけでなく、特定方向に回転可能な構成も含まれる。
特徴A4.前記解除手段は、当該解除手段が前記特定方向へ変位した場合に前記痕跡手段と当接する破壊部(第1の実施の形態においては切断部212、第2及び第5の実施の形態においては破壊ベース部312、第3の実施の形態においては破壊ベース部402、第4の実施の形態においては破壊ベース部502、第6の実施の形態においては破壊ベース部702、第7の実施の形態においては破壊ベース部811)を備え、
前記破壊部が前記痕跡手段を押圧することによって前記痕跡手段を破壊するものであることを特徴とする特徴A3に記載の遊技機。
特徴A4によれば、解除手段が特定方向に変位した場合、破壊部と痕跡手段とが当接し、破壊部から痕跡手段に対して解除手段の変位に基づく押圧力が付与される。これにより、痕跡手段が破壊され、阻害状態が解除される。
特徴A5.前記破壊部は、前記解除手段が前記特定方向に変位した場合に当該破壊部の一部が当接するように形成されているとともに、前記特定方向への前記解除手段の変位に伴って徐々に前記痕跡手段との当接箇所が変位するように形成されていることを特徴とする特徴A4に記載の遊技機。
特徴A5によれば、解除手段が特定方向に変位した場合、破壊部の一部が痕跡手段に対して当接する。これにより、当接範囲が狭くなるため、痕跡手段に対する押圧力が大きくなる。また、特定方向への解除手段の変位に伴って破壊部と痕跡手段との当接箇所が変位していくため、痕跡手段の破壊が徐々に行われる。これにより、痕跡手段の破壊を容易に行うことが可能となる。
特徴A6.前記破壊部は、前記初期位置として、前記痕跡手段が設置された設置箇所(貼付ベース135)の内側であって当該設置箇所を基準として前記痕跡手段が設けられた側の反対側に配置されており、
前記特定方向として、前記設置箇所の外側であって前記痕跡手段が設置された側に向けて変位可能に形成されていることを特徴とする特徴A4又は特徴A5に記載の遊技機。
特徴A6によれば、破壊部を設置箇所の内側から外側に変位させることによって、痕跡手段の破壊が行われる。この場合、破壊部を外側に向けて引けばよいため、痕跡手段の阻害状態の解除を容易に行うことができる。
また、破壊部が痕跡手段の内側に配置されていることにより、破壊部が痕跡手段の設置箇所により保護された状態となり、破壊部を破壊する等の解除手段への不正行為を抑制することができる。これにより、解除手段を設けたことによって生じ得る不正行為を抑制し得る。
特徴A7.前記解除手段は、前記破壊部が前記痕跡手段の設置箇所の内側に配置されている状況において前記痕跡手段の設置箇所から外側に向けて露出した操作部(第1の実施の形態においては操作部材213、第2及び第5の実施の形態においてはアーム部313,314、第3の実施の形態においてはアーム部403,404、第4の実施の形態においてはアーム部503,504、第6の実施の形態においては取っ手714、第7の実施の形態においてはアーム部812,813)を備えていることを特徴とする特徴A6に記載の遊技機。
特徴A7によれば、操作部が痕跡手段の設置箇所の外側に露出しているため、当該操作部に工具を引っ掛ける又は把持する等によって、解除手段に対して当該解除手段が変位するのに要する力を付与することが可能となる。これにより、仮に破壊部が痕跡手段の設置箇所の内側に配置した状態であっても、解除手段を容易に変位させることができる。
特徴A8.前記痕跡手段が取り付けられる取付面を規定するように設けられ、前記痕跡手段の前記取付面への取付位置をガイドする囲み部(第2乃至第6の実施の形態においては囲み部321、第7の実施の形態においては囲み部850)を備え、
前記操作部は前記囲み部の一部を構成するように形成されていることを特徴とする特徴A7に記載の遊技機。
特徴A8によれば、痕跡手段を取付位置にガイドする囲み部が設けられているため、痕跡手段を取り付ける場合の作業性の向上を図ることができる。この場合、操作部が囲み部の一部として兼用される。
また、囲み部は取付面を規定するように設けられているものであるため、痕跡手段と囲み部とは干渉しない。これにより、囲み部の一部を構成している操作部は痕跡手段と干渉しない。よって、痕跡手段と干渉することなく、操作部に対して力を付与することができるようになっている。
特徴A9.前記解除手段は、予め定められた箇所に軸支され、その軸支箇所(第5の実施の形態においては軸部601及び軸受け孔602、第6の実施の形態においては軸部711及び軸受け孔713)を中心として、前記初期位置から前記特定方向へ向けて回転可能に形成されており、
前記破壊部は、前記解除手段が前記特定方向へ向けて回転する場合に、前記痕跡手段と当接し前記痕跡手段を破壊するものであることを特徴とする特徴A4乃至A8のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A9によれば、解除手段が回転することによって破壊部が痕跡手段と当接する。そして、解除手段の回転に伴って痕跡手段に対して押圧力が付与されるため、痕跡手段が破壊され、阻害状態が解除される。この場合、解除手段をスライド移動させる構成と比較して、解除手段に対して当該解除手段を変位させる力を付与し易いため、痕跡手段を容易に破壊することができる。これにより、痕跡手段の阻害状態の解除を容易に行うことができる。
特徴A10.前記解除手段は、前記痕跡手段の設置箇所の外側に向けて露出した操作部(第5の実施の形態においてはアーム部313、第6の実施の形態においては取っ手714)を備え、
前記破壊部は、前記操作部と前記軸支箇所との間に位置するように形成されていることを特徴とする特徴A9に記載の遊技機。
特徴A10によれば、てこの原理により、破壊部と痕跡手段との当接箇所に付与する押圧力を高めることが可能となる。これにより、痕跡手段を容易に破壊することができる。したがって、痕跡手段の阻害状態の解除を容易に行うことができる。
特徴A11.前記軸支箇所は前記痕跡手段の設置箇所の外側に配置されており、
前記解除手段が前記初期位置に配置されている状況において、前記解除手段の分離を規制する規制手段(第5の実施の形態における貼付ベース135)を備えていることを特徴とする特徴A9又は特徴A10に記載の遊技機。
特徴A11によれば、軸支箇所が痕跡手段の設置箇所の外側に配置されているため、軸支箇所が設置箇所の内側に配置されている構成と比較して、解除手段の装着を容易に行うことができる。これにより、解除手段を軸支させる場合の作業性の向上を図ることができる。
この場合、解除手段の装着を容易に行える一方、軸支箇所へのアクセスが容易であるため、解除手段が軸支されている状態を不正に解除し、解除手段を不正に分離する不正行為が行われることが懸念される。
これに対して、本特徴によれば、初期位置において解除手段の分離が規制される。これにより、初期位置において解除手段を不正に分離する不正行為を抑制することができる。
特徴A12.前記解除手段は、前記軸支箇所に対して軸線方向に取り付けられるものであり、
前記破壊部は、前記初期位置として、前記痕跡手段の設置箇所の内側であって当該設置箇所を基準として前記痕跡手段が設けられた側の反対側に配置されており、
前記特定方向として、前記痕跡手段の設置箇所の外側であって前記痕跡手段が設置された側に向けて回転可能に形成されており、
前記規制手段は、前記初期位置において前記破壊部と前記痕跡手段の設置箇所との当接によって前記軸線方向への前記解除手段の移動を規制するものであることを特徴とする特徴A11に記載の遊技機。
特徴A12によれば、特徴A6にて限定した構成により、痕跡手段の設置箇所が規制手段として機能する。すなわち、解除手段を容易に回転させるとともに、破壊部に対するアクセスを制限する構成によって、解除手段の分離を規制することができる。
特徴A13.前記軸支箇所は前記痕跡手段の設置箇所の外側に配置されており、
前記特定操作を制限するように設けられ、さらにその制限状態を解除させる場合には予め定められた解除操作を要する特定制限手段(第5の実施の形態においてはカバー部材331、第6の実施の形態においてはカバー部材721)、及び前記痕跡手段の少なくとも一部と対向し当該痕跡手段へのアクセスを制限するように設けられたカバー手段(第5の実施の形態においてはカバー部材331、第6の実施の形態においてはカバー部材721)のうち少なくとも一方を有する制限手段を備え、
前記制限手段は、前記軸支箇所を覆うように形成されていることを特徴とする特徴A9乃至A12のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A13によれば、軸支箇所が痕跡手段の設置箇所の外側に配置されているため、軸支箇所が設置箇所の内側に配置されている構成と比較して、解除手段の装着を容易に行うことができる。これにより、解除手段を軸支させる場合の作業性の向上を図ることができる。
この場合、軸支箇所は設置箇所の外側に配置されるため、軸支箇所に対してアクセスし易くなっている。このため、軸支箇所に対して不正行為を行い易い。
これに対して、本特徴によれば、軸支箇所が制限手段によって覆われている。これにより、軸支箇所へのアクセスが制限される。よって、軸支箇所に対する不正行為を抑制し得る。
特徴A14.前記解除手段は、前記初期位置において、前記制限手段が前記軸支箇所を覆わない位置に変位するのを規制するように配置されており、
前記特定方向へ回転することによって、前記規制を解除する位置又は前記規制を解除し易い位置に配置されるものであることを特徴とする特徴A13に記載の遊技機。
軸支箇所へのアクセスを制限する制限手段が設けられている場合、軸支箇所にアクセスするために制限手段を当該制限手段が軸支箇所を覆わない位置まで変位させる不正行為を行うことが想定される。
これに対して、本特徴によれば、軸支箇所を覆わない位置への制限手段の変位が解除手段によって規制されている。当該規制は、解除手段を特定方向に回転させることによって解除される又は解除し易くなる。これにより、痕跡手段を破壊することなく、軸支箇所に対してアクセスすることが困難になっている。よって、痕跡手段を破壊することなく軸支箇所にアクセスし、解除手段を取り外す不正行為を抑制することができる。
なお、本特徴の構成に下記特徴A35乃至A39に示す構成を適用してもよい。
特徴A15.前記軸支箇所は、前記痕跡手段の設置箇所の内側に配置されていることを特徴とする特徴A9又は特徴A10に記載の遊技機。
特徴A15によれば、軸支箇所が痕跡手段の内側に配置されていることにより、軸支箇所が痕跡手段の設置箇所により保護された状態となり、軸支箇所を破壊する等の不正行為を抑制することができる。
特徴A16.前記解除手段が取り付けられる取付部(貼付ベース135)を備え、
前記解除手段は、前記初期位置において前記取付部からの分離が不可又は分離しにくい位置に配置されており、前記特定方向へ回転することによって、前記取付部から分離し易い位置に配置されることを特徴とする特徴A9乃至A15のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A16によれば、解除手段を回転させることによって、解除手段を取付部から分離させることが可能となる。これにより、解除手段の交換を行う場合等に対応することができる。よって、汎用性の向上を図ることができる。
ここで、上記汎用性の観点から解除手段が取付部から分離可能な構成の場合、解除手段を不正に分離させる不正行為が考えられる。これに対して、本特徴によれば、解除手段を分離させる前段階において当該解除手段を回転させる必要があるため、解除手段を分離させるためには痕跡手段の破壊を要する。これにより、解除手段の不正な分離を行おうとした場合には痕跡手段が破壊されることとなるため、当該不正行為を抑制し得るとともに、仮に当該不正行為が行われた場合には当該事実を容易に確認することができる。
特徴A17.前記特定操作を制限するように前記監視対象に対して取り付けられ、その制限状態を解除させる場合には予め定められた解除操作を要する特定制限手段(第2の実施の形態についてはカバー部材331、第3の実施の形態についてはカバー部材411、第4の実施の形態についてはカバー部材511)を備え、
前記解除手段は、前記特定制限手段に対して前記解除操作が行われた場合に、それに連動して前記痕跡手段を破壊する位置に変位可能なように形成されていることを特徴とする特徴A3乃至A16のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A17によれば、解除操作が行われることによって阻害状態が解除されるため、メンテナンス時などにおいて正規の特定操作を行う場合の作業性が低下するのを抑制することができる。
また、特定制限手段による解除操作が行われた場合には、痕跡手段が破壊され、解除操作が行われた痕跡が形成されることとなる。これにより、不正行為者が不正な特定操作を行う前段階として不正な解除操作を行った場合には、不正行為者にとって意図しない痕跡が形成されることとなる。よって、不正な解除操作及び不正な特定操作を抑制することができるとともに、仮に当該不正行為が行われた場合には、当該事実を容易に確認することができる。
特徴A18.前記特定制限手段と前記解除手段とは別体で設けられているとともに、前記特定制限手段は前記解除操作として前記監視対象から分離させる分離操作を要する構成であり、
さらに、前記特定制限手段に対して前記分離操作が行われた場合に、それに伴って前記痕跡手段を破壊する位置に変位させるように前記解除手段を前記特定制限手段に連結させる連結手段(第2の実施の形態については爪部336,337及び受け部338,339、第3の実施の形態についてはフック部409,410)を備え、
当該連結手段は、予め定められた連結解除操作が行われることにより前記連結を解除するものであるとともに、前記特定制限手段が前記監視対象から分離されておらず、さらに前記解除手段による解除が行われていない状況において前記連結解除操作を行うことができるように設けられていることを特徴とする特徴A17に記載の遊技機。
特定制限手段と解除手段とが連動する構成として、例えば特定制限手段と解除手段とが一体形成されている構成が考えられる。しかしながら、特定制限手段と解除手段とが一体形成されている場合、どちらか一方のみを分離することができないため、個別の交換をする場合等に対応することができない。
これに対して、本特徴によれば、特定制限手段と解除手段とが別体で設けられており、両者は連結手段を介して連結されている。当該連結は連結解除操作を行うことにより解除することができる。当該連結解除操作は、特定制限手段が監視対象から分離されておらず、さらに解除手段による解除が行われていない状況において行えるようになっている。これにより、当該状況において連結解除操作を行うことによって、解除手段及び特定制限手段の個別分離が可能となっている。よって、両者の個別の交換等に対応することができる。
一方、両者が連結されている状況において特定制限手段の分離操作を行うことによって、特定制限手段が分離されるとともに解除手段が変位する。これにより、痕跡手段による阻害状態も解除される。
特に、「前記特定制限手段は、前記連結解除操作が行われた場合、前記解除手段を前記特定方向へ変位させることなく、前記分離操作を行うことが可能となっている」とよい。これにより、痕跡手段を破壊することなく特定制限手段を分離させることができる。よって、痕跡手段を破壊することなく特定制限手段の交換を行うことが可能となる。
特徴A19.前記特定制限手段は、前記痕跡手段の少なくとも一部と対向し当該痕跡手段を保護するように設けられたカバー手段であり、
前記カバー手段は、前記連結解除操作が行われた場合、前記解除手段を前記特定方向へ変位させることなく、前記分離操作を行えるように設けられていることを特徴とする特徴A18に記載の遊技機。
特徴A19によれば、痕跡手段が特定制限手段としてのカバー手段によって保護されている。これにより、痕跡手段へのアクセスが制限されるため、痕跡手段への不正行為を阻止又は躊躇させることが可能となる。
かかる構成において、痕跡手段の状態を直接確認するため、カバー手段のみを取り外したい事情が生じる。すなわち、カバー手段によって痕跡手段へのアクセスが制限される一方、痕跡手段の状態が確認しにくくなるという不都合が生じる。この場合、カバー手段を取り外すと、痕跡手段が破壊されることとなり、痕跡手段の状態を確認する検査を行うことができない。
これに対して、本特徴によれば、解除手段の連結解除操作を行うことによって、カバー手段のみを分離させることができる。これにより、痕跡手段の状態を直接確認することを容易に行うことができる。よって、カバー手段を取り外して痕跡手段の状態を確認する検査を行いたい場合に当該検査に好適に対応することができる。したがって、カバー手段を設けることによって生じ得る不都合を回避することができる。
また、カバー手段と解除手段とが別体で設けられていることにより、痕跡手段の設置箇所の内側に破壊部を配置しながら、カバー手段により痕跡手段を保護することを無理なく行うことが可能となる。
特徴A20.前記解除手段は、前記カバー手段によって保護された範囲内に配置されていることを特徴とする特徴A19に記載の遊技機。
特徴A20によれば、解除手段はカバー手段によって保護されている。これにより、解除手段を破壊する等の解除手段への不正行為を抑制することができる。よって、解除手段を設けたことによって生じ得る新たな不正行為を好適に抑制することができる。
なお、本特徴の具体的な構成としては、「前記カバー手段は、前記痕跡手段の少なくとも一部及び前記解除手段を収容可能な収容領域を区画形成する壁部を備えている」構成が考えられる。
特徴A21.前記痕跡手段は、固有の識別情報を記憶した記憶部(ICチップ171)と、所定の長さ寸法を有するとともに前記識別情報を含む電波を発信するアンテナ部(アンテナ部材172)と、を有する電子タグ(ICタグ163)を備え、
前記電子タグは、前記特定操作が行われる場合に前記アンテナ部が長さ方向の途中位置において切断が生じ得るように取り付けられており、
前記カバー手段は、前記電波を受信することで前記識別情報の読み取りを行うリーダ装置を用いた読み取り作業に際して、前記電子タグに対して少なくとも特定の向きから前記リーダ装置による識別情報の読み取りを行う場合の読み取り位置が前記電子タグに対して予め定められた距離以上離れた位置となるように、前記リーダ装置の位置を規定するものであることを特徴とする特徴A19又は特徴A20に記載の遊技機。
特徴A21によれば、監視対象に電子タグが設けられていることにより、遊技ホールの管理者等は電子タグから正規の識別情報を受信することができるか否かを確認することで、監視対象を好適に管理することができる。
本構成において、特定操作が行われる場合にアンテナ部には長さ方向の途中位置において切断が生じ得る。この場合に電子タグの通信が不可となることで、遊技ホールの管理者等はその事実を把握することで監視対象に対して不正行為が行われた可能性があることを認識することができる。
また、アンテナ部に長さ方向の途中位置において切断が生じた場合に、電子タグにおいて通信が可能であるが、通信可能距離が短くなることが想定される。この場合、リーダ装置による読み取り作業が短縮後の通信可能距離外にて行われれば当該読み取り作業を通じて不正行為の事実を認識することができるが、読み取り作業が短縮後の通信可能距離内にて行われれば当該読み取り作業を通じて不正行為の事実を認識することができない。
これに対して、本特徴によれば、カバー手段により、電子タグに対して少なくとも特定の向きからリーダ装置による識別情報の読み取りを行う場合の読み取り位置が電子タグに対して予め定められた距離以上離れた位置となるようにリーダ装置の位置が規定されている。これにより、遊技ホールの管理者等において電子タグに対して特定の向きからリーダ装置による読み取り作業を行うように決めておけば、アンテナ部に切断が生じて通信可能距離が短くなった場合には、リーダ装置にて識別情報を読み取ることができない事実を把握することで監視対象に対して不正行為が行われた可能性があることを認識することができる。
特徴A22.前記連結手段は、
前記特定制限手段に設けられた第1係合部(第2の実施の形態においては爪部336,337、第3の実施の形態においてはフック部409,410)と、
前記解除手段に設けられ、前記第1係合部に対して係合可能な第2係合部(第2の実施の形態においては受け部338,339、第3の実施の形態においてはスリット432,433の周縁部)と、
を備え、
前記第1係合部と前記第2係合部とが係合することによって前記特定制限手段と前記解除手段とを連結するものであり、
前記第1係合部及び前記第2係合部のうち少なくとも一方は、外力が付与されることによって係合が解除される側に変位可能に形成されていることを特徴とする特徴A18乃至A21のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A22によれば、連結解除操作として第1係合部及び第2係合部のうち少なくとも一方を係合が解除される側に変位させることによって、係合を解除することができる。これにより、破壊を伴うことなく、特定制限手段と解除手段との連結を解除することができる。よって、例えば一旦特定制限手段を解除した後に、再度同一の特定制限手段を取り付けることができるようになっている。
特徴A23.前記特定制限手段が前記監視対象に対して取り付けられる場合に、当該特定制限手段が予め定められた特定経路を通るように前記特定制限手段をガイドするガイド手段(開口部413の周縁部と囲み部321との組み合わせ等)を備え、
前記特定制限手段が前記特定経路を介して前記監視対象に対して取り付けられる場合に、前記第1係合部と前記第2係合部とが係合するように両者の相対位置関係が設定されていることを特徴とする特徴A22に記載の遊技機。
特徴A23によれば、特定制限手段が監視対象に取り付けられる場合の経路がガイド手段によって特定経路に規定されており、当該特定経路を介して特定制限手段が監視対象に取り付けられることに伴って、自然に第1係合部と第2係合部とが係合する。これにより、特定制限手段が監視対象に対して取り付けられる際に自然に特定制限手段と解除手段との連結が行われるため、上記連結に伴う作業性の低下を抑制し得る。
なお、「前記第1係合部及び前記第2係合部は弾性変形可能に形成されており、前記第1係合部又は前記第2係合部のうち少なくとも一方には、前記特定制限手段が前記特定経路に沿って移動した場合に、前記第1係合部が前記第2係合部と摺動して、前記第1係合部及び前記第2係合部のうち一方が他方を乗り越える側に弾性変形するように誘導するガイド面が形成されている」とよい。かかる構成によれば、第1係合部と第2係合部との係合が生じ易くなるため、第1係合部と第2係合部との係合を好適に行うことができる。
特徴A24.前記特定制限手段は、前記解除手段との連結によって前記監視対象に対して取り付けられているものであることを特徴とする特徴A18乃至A23のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A24によれば、特定制限手段は解除手段との連結によって監視対象に対して取り付けられている。これにより、特定制限手段を監視対象に対して取り付けるための構成が必要なくなるため、構成の簡素化を図ることができる。また、連結手段による連結を解除することによって、特定制限手段のみの分離を容易に行うことができる。
特徴A25.前記連結手段は、前記特定制限手段に対して前記分離操作が行われた場合に、それに伴って前記痕跡手段を破壊する位置に変位させるように前記解除手段を前記特定制限手段に連結させる第1連結手段(第3の実施の形態におけるフック部409,410)であり、
前記第1連結手段とは別に、前記特定制限手段の前記分離操作を規制するように前記特定制限手段を前記監視対象に連結させる第2連結手段(第3の実施の形態における爪部421,422及びボックス側受け部423,424)を備え、
前記第1連結手段は、予め定められた第1連結解除操作が行われることにより前記連結を解除するものであり、
前記第2連結手段は、予め定められた第2連結解除操作が行われることにより前記連結を解除するものであり、
前記第1連結手段及び前記第2連結手段は、前記特定制限手段が前記監視対象から分離されておらず、さらに前記解除手段による解除が行われていない状況において前記第1連結解除操作及び前記第2連結解除操作を行うことができるように設けられていることを特徴とする特徴A18乃至A23のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A25によれば、特定制限手段のみを分離させる場合には、第1連結解除操作と第2連結解除操作を行う必要があるため、特定制限手段のみの分離が煩雑になっている。これにより、特定制限手段の不正な分離を抑制することができる。
特徴A26.前記特定制限手段と前記解除手段とは別体で設けられており、
前記特定制限手段及び前記解除手段を連結する連結手段(第4の実施の形態におけるフック部509,510と係合部材531)を備え、両者は当該連結手段により連結されていることにより一体的に変位する構成であり、
前記連結手段の周囲において当該連結手段を保護するように設けられ、当該連結手段に外力を付与し連結されている状態を解除しようとする行為を不可とする又は行いづらくする保護手段(第4の実施の形態におけるカバー部材511)を備えていることを特徴とする特徴A17に記載の遊技機。
特徴A26によれば、特定制限手段と解除手段とを連結する連結手段を備えているため、両者の一体的な変位が可能となる。
ここで、両者の連結が解除されると、解除操作に伴って阻害状態が解除されず、痕跡手段が痕跡状態とならない。このため、痕跡手段を破壊することなく解除操作を行うことが可能となるため、不正行為抑制の観点から好ましくない。
これに対して、本特徴によれば、保護手段が設けられているため、上記連結を解除する行為を抑制し得る。これにより、連結手段による連結を不正に解除する行為を抑制し得る。
特徴A27.前記特定制限手段は、前記保護手段として前記連結手段を収容可能な収容領域(内部空間512)を形成する壁部(内部空間512を区画形成する壁部)を備えており、
前記連結手段は前記収容領域内に収容されているものであることを特徴とする特徴A26に記載の遊技機。
特徴A27によれば、連結手段は収容領域に収容されている。これにより、連結手段に対するアクセスが制限されるため、連結の不正解除を抑制することができる。この場合、特定制限手段が保護手段として機能するため、特定制限手段の多機能化を図るとともに、構成の簡素化を図ることができる。
特徴A28.前記特定制限手段は、前記収容領域を開口させる開口部(開口部513)を備え、前記監視対象に対して前記開口部側から取り付け方向に移動させることによって取り付けられるものであり、
前記連結手段は、
前記解除手段に設けられ、前記取り付け方向とは反対方向に突出した第1係合部(フック部509,510)と、
前記特定制限手段の前記収容領域内に設けられ、前記第1係合部と係合可能に形成された第2係合部(係合部材531)と、
を備え、
前記第1係合部と前記第2係合部とが係合することによって、前記特定制限手段と前記解除手段とを連結するものであることを特徴とする特徴A27に記載の遊技機。
特徴A28によれば、第1係合部が特定制限手段の取り付け方向とは反対側に突出しているため、特定制限手段が取り付けられている状況においては第1係合部及び第2係合部の係合箇所が開口部を基準として奥側に配置されることとなる。これにより、開口部から不正な治具を挿入し、係合を解除する不正行為を抑制することができる。
特徴A29.前記特定制限手段が前記監視対象に対して取り付けられる場合に、当該特定制限手段が予め定められた特定経路を通るように前記特定制限手段をガイドするガイド手段(開口部513の周縁部と囲み部321との組み合わせ等)を備え、
前記特定制限手段が前記特定経路を介して前記監視対象に対して取り付けられる場合に、前記第1係合部と前記第2係合部とが係合するように両者の相対位置関係が設定されていることを特徴とする特徴A28に記載の遊技機。
特徴A29によれば、特定制限手段が監視対象に取り付けられる場合の経路がガイド手段によって特定経路に規定されており、当該特定経路を介して特定制限手段が監視対象に取り付けられることに伴って、自然に第1係合部と第2係合部とが係合する。これにより、特定制限手段が監視対象に対して取り付けられる際に自然に特定制限手段と解除手段との連結が行われるため、上記連結に伴う作業性の低下を抑制し得る。
特に、係合箇所が収容領域内に設けられている構成にあっては、外部から外力を付与することができないため、係合作業が行いにくいという不都合が生じる。これに対して、本特徴によれば、第1係合部と第2係合部との係合が自然に行われるため、上記不都合を回避することができる。
なお、「前記第1係合部及び前記第2係合部は弾性変形可能に形成されており、前記第1係合部又は前記第2係合部のうち少なくとも一方には、前記特定制限手段が前記特定経路に沿って移動した場合に、前記第1係合部が前記第2係合部と摺動して、前記第1係合部及び前記第2係合部のうち一方が他方を乗り越える側に弾性変形するように誘導するガイド面が形成されている」とよい。かかる構成によれば、第1係合部と第2係合部との係合が生じ易くなるため、第1係合部と第2係合部との係合を好適に行うことができる。
特徴A30.前記痕跡手段の少なくとも一部と対向し当該痕跡手段を保護するように前記監視対象に対して取り付けられるカバー手段(第2の実施の形態についてはカバー部材331、第3の実施の形態についてはカバー部材411、第4の実施の形態についてはカバー部材511)を備え、
前記解除手段は、前記カバー手段を前記監視対象から分離させる分離操作が行われた場合に、それに連動して前記痕跡手段を破壊する位置に変位可能なように形成されていることを特徴とする特徴A3乃至A16のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A30によれば、痕跡手段がカバー手段によって保護されている。これにより、痕跡手段へのアクセスが制限されるため、痕跡手段への不正行為を阻止又は躊躇させることが可能となる。
かかる構成の場合、痕跡手段を破壊するために解除手段を変位させる際に、カバー手段が邪魔になる場合がある。この場合、先にカバー手段に対して分離操作を行い、その後解除手段を変位させる必要があり、痕跡手段の阻害状態を解除する場合の作業性の低下が懸念される。
これに対して、本特徴によれば、カバー手段の分離操作に伴って解除手段が変位し、阻害状態が解除される、これにより、痕跡手段の阻害状態を解除する場合の作業性の低下を抑制し得る。
また、痕跡手段に対して不正にアクセスするためにカバー手段を不正に分離させた場合には、意図しない痕跡が形成されることとなる。これにより、痕跡手段に対する不正なアクセスを抑制し得る。
なお、本特徴に特徴A20乃至A29のいずれか1に記載の構成を適用してもよい。この場合、「特定制限手段」を「カバー手段」に置き換える。
特徴A31.前記カバー手段と前記解除手段とは別体で設けられており、
前記カバー手段に対して前記分離操作が行われた場合に、それに伴って前記痕跡手段を破壊する位置に変位させるように前記解除手段を前記カバー手段に連結させる連結手段(第2の実施の形態については爪部336,337及び受け部338,339、第3の実施の形態についてはフック部409,410)を備え、
当該連結手段は、予め定められた連結解除操作が行われることにより前記連結を解除するものであるとともに、前記特定制限手段が前記監視対象から分離されておらず、さらに前記解除手段による解除が行われていない状況において前記連結解除操作を行うことができるように設けられていることを特徴とする特徴A30に記載の遊技機。
カバー手段と解除手段とが連動する構成として、例えばカバー手段と解除手段とが一体形成されている構成が考えられる。しかしながら、カバー手段と解除手段とが一体形成されている場合、どちらか一方のみを分離することができないため、個別の交換をする場合等に対応することができない。
これに対して、本特徴によれば、カバー手段と解除手段とが別体で設けられており、両者は連結手段を介して連結されている。当該連結は連結解除操作を行うことにより解除することができる。当該連結解除操作は、特定制限手段が監視対象から分離されておらず、さらに解除手段による解除が行われていない状況において行えるようになっている。これにより、当該状況において連結解除操作を行うことによって、解除手段及びカバー手段の個別分離が可能となっている。よって、両者の個別の交換等に対応することができる。
一方、両者が連結されている状況においてカバー手段の分離操作を行うことによって、カバー手段が分離されるとともに解除手段が変位する。これにより、痕跡手段による阻害状態も解除される。
また、カバー手段と解除手段とが別体で設けられていることにより、痕跡手段の設置箇所の内側に破壊部を配置しながら、カバー手段により痕跡手段を保護することを無理なく行うことが可能となる。
特徴A32.前記カバー手段は、前記連結解除操作が行われた場合、前記解除手段を前記特定方向へ変位させることなく、前記分離操作を行えるように設けられていることを特徴とする特徴A31に記載の遊技機。
カバー手段が設けられた場合、当該カバー手段によって痕跡手段へのアクセスが制限される一方、痕跡手段の状態が確認しにくくなるという不都合が生じる。この場合、カバー手段を分離すると、痕跡手段が破壊されることとなり、痕跡手段の状態を直接確認する検査を行うことができない。
これに対して、本特徴によれば、解除手段の連結解除操作を行うことによって、カバー手段のみを分離させることができる。これにより、痕跡手段の状態を直接確認することを容易に行うことができる。よって、カバー手段を分離させて痕跡手段の状態を確認する検査に好適に対応することができる。したがって、カバー手段を設けることによって生じ得る不都合を回避することができる。
特徴A33.前記特定操作を制限するように設けられているとともに、その制限状態を解除させる場合には当該制限状態を解除する解除位置に変位させる解除操作を要するように設けられた特定操作阻止手段(第1の実施の形態におけるカバー部材191、第6の実施の形態におけるカバー部材721)を備え、
前記解除手段は、前記初期位置において前記特定操作阻止手段の解除操作を規制する位置に配置されており、前記特定方向へ変位することによって、前記規制を解除する位置又は前記規制を解除し易い位置に配置されるものであることを特徴とする特徴A3乃至A16のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A33によれば、特定操作阻止手段が設けられているため、特定操作に先立って解除操作を行う必要がある。当該解除操作は解除手段によって規制されている。当該規制は、解除手段を初期位置から特定方向へ変位させることによって解除される。これにより、解除操作を行う前段階において、痕跡手段が破壊される。よって、解除操作に伴って痕跡手段が破壊される構成と比較して、解除操作を容易に行うことができる。
また、痕跡手段を破壊することなく解除操作を行うことが不可又は困難になっているため、痕跡を残すことなく特定操作を行う不正行為を抑制することができる。
特徴A34.前記特定操作阻止手段は、前記痕跡手段の少なくとも一部と対向し当該痕跡手段を保護するように設けられたカバー手段であることを特徴とする特徴A33に記載の遊技機。
特徴A34によれば、特定操作阻止手段としてのカバー手段によって痕跡手段が保護される。これにより、痕跡手段へのアクセスが制限されるため、痕跡手段への不正行為を阻止又は躊躇させることが可能となる。よって、特定操作阻止手段の多機能化を図ることができる。
また、本特徴に特徴A20及び特徴A21にて限定した構成を適用してもよい。
特徴A35.前記解除手段は、当該解除手段が前記特定方向に変位することに伴って変位し、前記痕跡手段と当接することで前記痕跡手段を破壊する破壊部(第6の実施の形態における破壊ベース部702)を備え、
前記カバー手段は、前記痕跡手段の設置箇所の少なくとも一部及び前記破壊部を収容可能な収容領域(内部空間722)を区画形成する壁部を備え、当該収容領域内に前記痕跡手段の少なくとも一部及び前記破壊部を収容するものであり、
前記カバー手段は、前記壁部に形成され、前記破壊部が通過可能な開口部(スリット732、第2アーム部用開口部733、回転用開口部735)を備えていることを特徴とすることを特徴とする特徴A34に記載の遊技機。
特徴A35によれば、痕跡手段の少なくとも一部及び破壊部はカバー手段の収容領域に収容されている。これにより、痕跡手段及び破壊部に対するアクセスを制限することができる。
この場合、痕跡手段及び破壊部へのアクセスを制限することによってこれらに対する不正行為を抑制し得る一方、破壊部の変位がカバー手段によって制限される不都合が生じ得る。これに対して、本特徴によれば、収容領域を区画形成する壁部には破壊部が通過可能な開口部が設けられているため、破壊部の変位がカバー手段によって阻害されないようになっている。これにより、破壊部の変位を行えるようにしつつ、痕跡手段及び破壊部に対するアクセスを制限することができる。
特徴A36.前記解除手段は、前記痕跡手段が設置された設置箇所の内側であって当該設置箇所を基準として前記痕跡手段が設けられた側の反対側を前記初期位置として配置されているとともに、当該解除手段が前記特定方向に変位することに伴って変位し、前記痕跡手段に当接することで当該痕跡手段を破壊する破壊部(破壊ベース部702)を備え、
前記破壊部は、前記初期位置として、前記痕跡手段の設置箇所の内側に前記特定方向への変位が可能な状態で配置されており、
前記カバー手段は、前記痕跡手段の設置箇所の少なくとも一部を収容可能な収容領域(内部空間722)を区画形成する壁部を備え、当該収容領域内に前記痕跡手段の少なくとも一部及び前記破壊部を収容するものであり、
前記壁部において前記破壊部が前記特定方向に変位する場合の当該変位の先側の部位には、前記破壊部が通過可能な開口部(スリット732、第2アーム部用開口部733、回転用開口部735)が設けられていることを特徴とすることを特徴とする特徴A34に記載の遊技機。
特徴A36によれば、痕跡手段の設置箇所の少なくとも一部がカバー手段によって収容されているため、痕跡手段及び当該痕跡手段の設置箇所の内側に配置されている破壊部へのアクセスを制限することができる。
また、破壊部が痕跡手段の設置箇所の内側に配置されているため、破壊部が痕跡手段の設置箇所の外側に配置されている構成と比較して、カバー手段を小さく形成することができ、省スペース化を図ることができる。
この場合、破壊部の変位がカバー手段によって制限される不都合が生じ得る。これに対して、本特徴によれば、収容領域を区画形成する壁部において破壊部の変位の先側の部位には破壊部が通過可能な開口部が設けられているため、破壊部の変位がカバー手段によって阻害されないようになっている。これにより、上記効果を確保しつつ、破壊部の変位を行えるようになっている。
特徴A37.前記カバー手段の取り付け作業において前記カバー手段が予め定められた特定経路を移動するように規定するガイド手段(開口部723の周縁部と囲み部321との組み合わせ等)と、
前記解除手段に設けられた解除側係合部(第2アーム部704、突起753)と、
前記カバー手段に設けられ、前記解除側係合部に対して前記特定経路の先側から当接することで当該カバー手段の前記解除位置への変位を規制するカバー側係合部(第1フック部741、第2フック部752)と、
前記カバー手段が前記特定経路を通って前記初期位置に配置される場合において前記解除側係合部に前記カバー側係合部が前記特定経路の元側から当接した場合に、それら係合部の少なくとも一方を弾性変形させて、前記解除側係合部よりも前記特定経路の先側への前記カバー側係合部の移動を補助する補助面(フック側傾斜面741a等)と、
を備え、
前記解除側係合部は、前記解除手段の前記特定方向への変位に伴って、前記規制が解除又は緩められる側に変位するものであることを特徴とする特徴A35又は特徴A36に記載の遊技機。
解除手段を特定方向に変位させることによってカバー手段の解除位置への変位が可能となる構成としては、通常先にカバー手段を取り付けた後に当該カバー手段の解除位置への変位を規制するように解除手段を配置する構成が考えられる。この場合、カバー手段の収容領域内又は痕跡手段の設置箇所の内側に破壊部を収容することが困難になるとともに、大型化が懸念される。かといって、上記不都合を回避する取り付け構造とすると、構成の複雑化及びカバー手段の取り付け作業の作業性の低下が懸念される。
これに対して、本特徴によれば、カバー手段を取り付ける場合、カバー手段はガイド手段により特定経路を通るようにガイドされ、カバー側係合部が解除側係合部に特定経路の元側から当接する。この場合、カバー側係合部は補助面によって補助されながら特定経路の先側に移動する。そして、カバー側係合部は解除側係合部に対して特定経路の先側から当接する。当該特定経路の先側からの当接によって、カバー手段の解除位置への変位が規制される。当該規制は、解除手段を特定方向へ変位させることに伴って、解除又は緩められる。これにより、解除手段を先に取り付け、その後に解除位置への変位が解除手段によって規制されるとともに、当該規制が解除手段の特定方向への変位によって解除される状態となるようにカバー手段を取り付ける作業を容易に行うことができる。したがって、上記不都合を回避することができる。
なお、「係合が緩められる」とは、例えば係合部と解除手段との係合に所定の遊びが生じ得る構成が考えられる。
特徴A38.前記解除手段は、前記破壊部が前記カバー手段によって収容されている状況において前記開口部を通じて前記カバー手段から外側に露出した操作部(取っ手714)を備えていることを特徴とする特徴A35乃至A37のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A38によれば、カバー手段から外側に露出した操作部が設けられているため、当該操作部を把持又は当該操作部を工具で引っ掛ける等して、解除手段を変位させることが可能となる。これにより、カバー手段によって解除手段が収容されている状況において、解除手段に対して変位に必要な外力を容易に付与することができる。よって、破壊部がカバー手段によって収容されている状況において、解除手段の変位を容易に行うことができる。
特に、操作部は解除手段の変位を可能とする開口部を通じて外側に露出しているため、操作部のためにカバー手段に別途開口部を設ける必要がない。これにより、カバー手段の構成の簡素化を図ることができる。
特徴A39.前記壁部は、前記痕跡手段が設置された場合に、前記痕跡手段の設置箇所との間で当該痕跡手段の少なくとも一部を挟み込むように形成されていることを特徴とする特徴A35乃至A38のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A39によれば、カバー手段が取り付けられている状況において、痕跡手段の少なくとも一部は、設置箇所とカバー手段の壁部とによって挟み込まれている。これにより、解除手段が変位した場合に付与されるせん断力が大きくなるため、痕跡手段が破壊されやすい。よって、痕跡手段の破壊を容易に行うことができる。
また、痕跡手段と壁部との間に隙間が生じにくいため、当該隙間から治具を挿入する不正行為を抑制することができる。
特徴A40.前記痕跡手段は、前記監視対象を構成する第1構成部品(表側構成体111)に形成された第1設置部(表側固定ベース部133)と、前記監視対象を構成する第2構成部品(裏側構成体112)に形成され、前記第1設置部に対向させて配置されている第2設置部(裏側固定ベース部134)との境界(第2乃至第6の実施の形態においては境界306、第7の実施の形態においては境界809)を跨ぐようにして設けられており、
前記解除手段は、前記第1設置部と前記第2設置部とにより挟まれるようにして設けられているとともに、これら第1設置部及び第2設置部が結合具(ネジ153)により結合されることにより両設置部からの分離が阻止されていることを特徴とする特徴A1乃至A39のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A40によれば、第1設置部及び第2設置部を結合具により結合する構成を利用して、解除手段の固定を行うことができる。
特徴A41.前記痕跡手段は、固有の識別情報を記憶した記憶部(ICチップ171)と、前記識別情報を含む電波を発信するアンテナ部(アンテナ部材172)と、を有する電子タグ(ICタグ163)を備えており、
前記解除手段は、前記阻害状態を解除する場合に、前記電子タグからの識別情報の読み取りが行いづらくなるように又は識別情報の読み取りが不可となるように、前記電子タグに破壊を生じさせ易くするものであることを特徴とする特徴A1乃至A40のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A41によれば、電子タグが設けられていることにより、遊技ホールの管理者等は電子タグから正規の識別情報を受信することができるか否かを確認することで、監視対象を好適に管理することができる。
かかる構成において、解除手段により痕跡手段の阻害状態を解除した場合には、電子タグからの識別情報の読み取りが行いづらくなる又は識別情報の読み取りが不可となる。遊技ホールの管理者等はその事実を把握することで監視対象に対して不正行為が行われた可能性があることを認識することができる。
特徴A42.前記アンテナ部は、破壊された場合に前記識別情報を含む電波の発信を不可とする不可状態発生部(スリット173)を備えており、
前記解除手段は、前記阻害状態を解除する場合に、前記不可状態発生部に破壊を生じさせ易くするものであることを特徴とする特徴A41に記載の遊技機。
特徴A42によれば、阻害状態の解除が行われた場合にはアンテナ部における不可状態発生部が破壊され易くなる。この場合、遊技ホールの管理者等にとっては識別情報の読み取り作業を行えないことを把握することで、監視対象に対して不正行為が行われたことを容易に認識することができる。
特徴A43.前記痕跡手段は、
固有の識別情報を記憶した記憶部(ICチップ171)と、前記識別情報を含む電波を発信するアンテナ部(アンテナ部材172)と、を有する電子タグ(ICタグ163)を備えており、
一方の面に粘着層(粘着層162)を有し且つ貼付領域から剥がされる際にその応力に伴い自身が破壊されるような脆弱性を有するベースシート(ベースシート161)の粘着層側に前記電子タグが取り付けられているシール部材(第1乃至第6の実施の形態においては封印シール160、第7の実施の形態においては封印シール844)を備え、
当該シール部材は、前記監視対象(主制御装置63)の所定の境界(第1の実施の形態においては境界140、第2乃至第6の実施の形態においては境界306、第7の実施の形態においては境界809)を跨ぐようにして貼り付けられているものであり、
前記解除手段は、前記境界に沿ってシール部材を切断するものであり、
前記シール部材が貼り付けられる貼付領域から突出し、さらに当該貼付領域を囲むようにして形成され、前記シール部材の貼付位置をガイドする囲み枠(第1の実施の形態においては囲み部180、第2乃至第6の実施の形態においては囲み部321、第7の実施の形態においては囲み部850)を備えていることを特徴とする特徴A1乃至特徴A42のいずれか1に記載の遊技機。
特徴A43によれば、シール部材が境界を跨ぐように貼り付けられているため、特定操作がシール部材によって阻害される。このため、特定操作を行う場合、境界に沿ってシール部材を切断する又は剥がす必要が生じる。この場合、シール部材を剥がそうとすると、シール部材が破れてしまうことが考えられ、シール部材が破れた場合にはそれに伴ってアンテナ部が切断されることが期待される。よって、本構成によれば、電子タグ付きのシール部材を貼り付けることによる不正発見効果が高められる。
本構成において、囲み枠に囲まれた領域にシール部材を貼り付けることで、境界とシール部材との位置関係や境界とアンテナ部との位置関係が自ずと所定の位置関係となる。これにより、シール部材を貼り付ける場合の作業性を向上させることができる。
また、囲み枠が貼付領域から突出して形成されているため、不正を行うべくシール部材を剥がそうとしても、囲み枠によってその剥がし行為が行いづらくなる。これにより、シール部材による阻害状態の解除が行いづらい。また、シール部材を剥がす際にシール部材に複雑な応力がかかり易くなるため、シール部材に破れが生じ易くなるとともに、それに伴ってアンテナ部が切断され易くなる。よって、痕跡を残すことなくシール部材を剥がす行為を抑制することができる。
この場合、好適に不正行為を抑制することができる一方、検査等のために特定操作を行う場合における作業性の低下が懸念される。これに対して、本特徴によれば、監視対象の境界に沿ってシール部材を切断する解除手段を備えているため、作業性の低下を回避することができる。これにより、シール部材を不正に剥がす行為を好適に抑制するとともに、正規に特定操作を行う場合の作業性の低下を抑制し得る。
また、「解除手段が前記囲み枠の一部を構成するように配置されている」とするとよい。この場合、解除手段と囲み枠とが干渉することなく解除手段を所定の設置箇所に配置することが可能となる。
なお、上記特徴A1乃至A43の構成に対して、下記特徴D1乃至D11、下記特徴E1乃至E15、下記特徴F1、下記特徴G1及びG2、下記特徴H1及びH2、下記特徴I1乃至I33、下記特徴J1乃至J9、下記特徴K1乃至K8、下記特徴L1乃至L11、下記特徴M1乃至M11のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。この場合、各構成に起因する相乗的な効果を奏し得る。
特徴B1.予め定められた監視対象に対して、前記監視対象の一部の分離操作又は前記監視対象の設置箇所からの移動操作のいずれかである特定操作を阻害するように設けられ、当該阻害状態が解除された場合には、前記特定操作が行われたことの痕跡を残す痕跡状態となる痕跡手段(封印シール160)と、
予め定められた箇所に軸支されているとともに、その軸支箇所を中心として予め定められた初期位置から予め定められた特定方向に向けて回転する場合に前記痕跡手段と当接する破壊部(第5の実施の形態においては破壊ベース部312、第6の実施の形態においては破壊ベース部702)を有し、前記破壊部が前記痕跡手段を破壊することによって、前記阻害状態を解除する解除手段(第5の実施の形態における破壊用部材311、第6の実施の形態における破壊用部材701)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴B1によれば、特定操作を阻害するように痕跡手段が設けられており、特定操作が行われる場合には、痕跡手段の阻害状態が解除される。この場合、痕跡手段によって特定操作が行われたことの痕跡が残るため、当該特定操作が行われたことを特定することができる。これにより、特定操作が行われた場合には、その事実を容易に把握することができる。
ここで、解除手段は監視対象に対して軸支されており、解除手段が回転することによって破壊部が痕跡手段と当接する。そして、解除手段の回転に伴って痕跡手段に対して当該解除手段の回転に基づく押圧力が付与され、痕跡手段が破壊される。この場合、解除手段をスライド移動させることによって痕跡手段を破壊する構成と比較して、痕跡手段に対して押圧力を付与し易いため、痕跡手段を容易に破壊することができる。よって、痕跡手段の阻害状態の解除を容易に行うことができる。したがって、検査等のために特定操作を行う場合に当該特定操作を好適に行うことができる。
なお、上記特徴B1の構成に対して、上記特徴A10乃至A16のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。また、上記特徴A4乃至A8,A17乃至A43のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。この場合、「変位」を「回転」と置き換える。
さらに、下記特徴C1、下記特徴D1乃至D11、下記特徴E1乃至E15、下記特徴F1、下記特徴G1及びG2、下記特徴H1及びH2、下記特徴I1乃至I33、下記特徴J1乃至J9、下記特徴K1乃至K8、下記特徴L1乃至L11、下記特徴M1乃至M11のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。この場合、各構成に起因する相乗的な効果を奏し得る。
特徴C1.予め定められた監視対象に対して、前記監視対象の一部の分離操作又は前記監視対象の設置箇所からの移動操作のいずれかである特定操作を阻害するように設けられ、当該阻害状態が解除された場合には、前記特定操作が行われたことの痕跡を残す痕跡状態となる痕跡手段(封印シール160)を備えた遊技機であって、
予め定められた初期位置から予め定められた特定方向に変位可能に形成されており、当該特定方向への変位により前記痕跡手段を破壊し、前記阻害状態を解除する解除手段(第1の実施の形態における破壊用部材210、第6の実施の形態における破壊用部材701)と、
前記特定操作を制限するように設けられているとともに、その制限状態を解除させる場合には当該制限状態を解除する解除位置に変位させる解除操作を要するように設けられた特定操作阻止手段(第1の実施の形態におけるカバー部材191、第6の実施の形態におけるカバー部材721)と、
を備え、
前記解除手段は、前記初期位置において前記特定操作阻止手段の解除操作を規制する位置に配置されており、前記特定方向へ変位することによって、前記規制を解除する位置又は前記規制を解除し易い位置に配置されるものであることを特徴とする遊技機。
特徴C1によれば、特定操作阻止手段が設けられているため、特定操作に先立って解除操作を行う必要がある。当該解除操作は解除手段によって規制されている。当該規制は、解除手段を初期位置から特定方向へ変位させることによって解除される又は解除し易くなる。これにより、解除操作を行う前段階において痕跡手段が破壊される。よって、解除操作に伴って痕跡手段を破壊する構成と比較して、解除操作に要する力が軽減されるため、解除操作を容易に行うことができる。したがって、検査等のために特定操作を行う場合に当該特定操作を好適に行うことができる。
また、痕跡手段を破壊することなく解除操作を行うことが不可又は困難になっているため、痕跡を残すことなく特定操作を行う不正行為を抑制することができる。
なお、本特徴に対して、上記特徴A4乃至A16、A34乃至A43、上記特徴B1、下記特徴D1乃至D11、下記特徴E1乃至E15、下記特徴F1、下記特徴G1及びG2、下記特徴H1及びH2、下記特徴I1乃至I33、下記特徴J1乃至J9、下記特徴K1乃至K8、下記特徴L1乃至L11、下記特徴M1乃至M11のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。この場合、各構成に起因する相乗的な効果を奏し得る。
特徴D1.固有の識別情報を記憶した記憶部(ICチップ171)と、前記識別情報を含む電波を発信するアンテナ部(アンテナ部材172)と、を備えた電子タグ(ICタグ163)を有し、
一方の面に粘着層(粘着層162)を有するベースシート(ベースシート161)の粘着層側に前記電子タグが取り付けられていることでシール部材(第1乃至第6の実施の形態においては封印シール160、第7の実施の形態においては封印シール844)が構成されているとともに、当該シール部材は監視対象(主制御装置63)に対して貼り付けられており、
さらに、前記アンテナ部に設けられ、破壊された場合に前記識別情報を含む電波の発信を不可とする不可状態発生部(スリット173)と、
前記ベースシート又は前記アンテナ部の少なくとも一方に設けられ、前記シール部材を貼付領域から剥がす際にその応力により自身が破壊されることに伴って前記アンテナ部において前記不可状態発生部が形成された領域を破壊させる易破壊部(アンテナ用切り込み176)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴D1によれば、電子タグが設けられていることにより、遊技ホールの管理者等は電子タグから正規の識別情報を受信することができるか否かを確認することで、監視対象を好適に管理することができる。
本構成において、監視対象に対して不正を行うべくシール部材が剥がされた場合には易破壊部を通じて不可状態発生部が破壊されることが期待される。そして、不可状態発生部が破壊された場合には、遊技ホールの管理者等にとっては識別情報の読み取り作業を行えないことを把握することで容易に不正行為の発生を認識することができる。
なお、「易破壊部」は、「前記ベースシート又は前記アンテナ部の少なくとも一方に設けられ、前記不可状態発生部に向けて延び、前記シール部材を貼付領域から剥がす際にその応力が前記不可状態発生部側の端部に集中して自身が破壊されることに伴って前記アンテナ部において前記不可状態発生部が形成された領域を破壊させる破壊用切り込み(アンテナ用切り込み176)」であってもよい。
特徴D2.前記シール部材は前記アンテナ部において前記不可状態発生部が設けられた領域が前記監視対象における所定の境界(第1の実施の形態においては境界140、第2乃至第6の実施の形態においては境界306、第7の実施の形態においては境界809)を跨ぐようにして貼り付けられていることを特徴とする特徴D1に記載の遊技機。
特徴D2によれば、監視対象における所定の境界を跨ぐようにシール部材が貼り付けられているため、監視対象の境界に対して細工を行うことにより不正行為を行う際には境界を露出させるべく、境界に沿ってシール部材を切断する又はシール部材を剥がす必要が生じる。この場合に、シール部材が境界に沿って切断された場合にはそれに伴って不可状態発生部が破壊されることとなり、遊技ホールの管理者等にとっては識別情報の読み取り作業を行えないことを把握することで容易に不正行為の発生を認識することができる。また、境界を露出させるためにシール部材が剥がされた場合であっても、境界の全体を露出させるためにはシール部材において不可状態発生部が配置された領域を剥がす必要が生じる。そうすると、破壊用切り込みを通じた不可状態発生部の破壊が期待され、遊技ホールの管理者等にとっては識別情報の読み取り作業を行えないことを把握することで容易に不正行為の発生を認識することができる。
なお、「所定の境界」には、複数の構成部品間の境界が含まれるとともに、監視対象の表面に形成され切断することにより監視対象の内部空間を開放させることを可能とする易切断部も含まれる。これは以下も同様である。
特徴D3.前記シール部材は前記易破壊部が前記監視対象における所定の境界(第1の実施の形態においては境界140、第2乃至第6の実施の形態においては境界306、第7の実施の形態においては境界809)を跨ぐようにして貼り付けられていることを特徴とする特徴D1又はD2に記載の遊技機。
特徴D3によれば、シール部材において境界を挟んで対向する両対向端部のうちいずれからシール部材が剥がされたとしても、易破壊部を通じた不可状態発生部の破壊が生じ得る。これにより、境界を露出させるべくシール部材が剥がされた場合に不可状態発生部の破壊が生じ易くなる。
特徴D4.前記アンテナ部は長尺状に形成されているとともに、前記不可状態発生部は前記アンテナ部の幅方向の途中位置に形成されており、
前記易破壊部は前記アンテナ部の幅方向の一端側に形成されているとともに他端側にも形成されていることを特徴とする特徴D1乃至D3のいずれか1に記載の遊技機。
特徴D4によれば、易破壊部がアンテナ部の幅方向の両端に対して形成されているため、シール部材が剥がされた場合に易破壊部を通じた不可状態発生部の破壊が生じ易くなる。
特徴D5.前記シール部材は前記一端側の易破壊部と前記他端側の易破壊部とにより前記監視対象における所定の境界(境界140,306,809)の少なくとも一部を間に挟むようにして貼り付けられていることを特徴とする特徴D4に記載の遊技機。
特徴D5によれば、シール部材において境界を挟んで対向する両対向端部のうちいずれからシール部材が剥がされたとしても、易破壊部を通じた不可状態発生部の破壊が生じ得る。これにより、境界を露出させるべくシール部材が剥がされた場合に不可状態発生部の破壊が生じ易くなる。
特徴D6.前記一端側の易破壊部と前記他端側の易破壊部とが前記幅方向に並ばないようにそれら易破壊部が形成されていることを特徴とする特徴D4又はD5に記載の遊技機。
特徴D6によれば、易破壊部を通じて不可状態発生部の破壊が生じ易くなるようにした構成において、シール部材を貼付領域に対して正規に貼り付ける際に誤って不可状態発生部が破壊されてしまう可能性が低減される。
特徴D7.前記易破壊部は前記ベースシートにおける前記アンテナ部が配置された領域において前記アンテナ部の幅方向の途中位置から当該アンテナ部の外方に亘って形成されていることを特徴とする特徴D1乃至D6のいずれか1に記載の遊技機。
特徴D7によれば、易破壊部を通じてシール部材が破れた場合には、その破れ領域はシール部材において不可状態発生部が設けられた領域に容易に達するため、易破壊部を通じた不可状態発生部の破壊が生じ易くなる。
特徴D8.前記易破壊部は前記ベースシートに形成されており前記アンテナ部には形成されていないことを特徴とする特徴D1乃至D7のいずれか1に記載の遊技機。
特徴D8によれば、易破壊部を通じて不可状態発生部の破壊が生じ易くなるようにした構成において、シール部材を貼付領域に対して正規に貼り付ける際に誤って不可状態発生部が破壊されてしまう可能性が低減される。
特徴D9.前記易破壊部は、前記アンテナ部において前記不可状態発生部が形成された領域とは異なる領域に対しても形成されていることを特徴とする特徴D1乃至D8のいずれか1に記載の遊技機。
特徴D9によれば、シール部材が貼付領域から剥がされた場合には、易破壊部を通じてアンテナ部において不可状態発生部が形成された領域の破壊が期待されるだけでなく、易破壊部を通じてアンテナ部において不可状態発生部が形成された領域以外の切断も期待される。
特徴D10.前記電子タグは、前記記憶部から読み取った識別情報を含む電波を前記アンテナ部から発信させる制御部を備えており、
前記不可状態発生部は、前記アンテナ部と前記制御部との間でインピーダンス整合を行う回路を構成していることを特徴とする特徴D1乃至D9のいずれか1に記載の遊技機。
特徴D10によれば、アンテナ部と制御部との間で不可状態発生部を通じてインピーダンス整合が行われることにより識別情報を含む電波の発信が良好に行われるとともに、当該不可状態発生部が破壊された場合にはインピーダンス整合が行われなくなることで識別情報を含む電波の発信が不可となる。
特徴D11.前記シール部材が貼り付けられる貼付領域を囲むようにして形成され、前記シール部材の貼付位置をガイドする囲み部(第1の実施の形態における囲み部180、第2乃至第6の実施の形態における囲み部321、第7の実施の形態における囲み部850)を備えていることを特徴とする特徴D1乃至D10のいずれか1に記載の遊技機。
特徴D11によれば、囲み部に囲まれた領域にシール部材を貼り付けることで、境界とシール部材との位置関係や境界とアンテナ部との位置関係が自ずと所定の位置関係となる。これにより、シール部材を貼り付ける場合の作業性を向上させることができる。
なお、「囲み部」を貼付領域から突出した囲み枠として形成してもよい。この場合、不正を行うべくシール部材を剥がそうとしても、囲み枠によってその剥がし行為が行いづらくなる。そうすると、シール部材に複雑な応力がかかり易くなり、シール部材に破れが生じ易くなるとともに、それに伴ってアンテナ部が切断され易くなる。
発明D群は以下の課題に対して効果的である。
パチンコ遊技機やスロットマシン等の遊技機は、遊技制御処理を実行するCPU、遊技制御プログラムが記憶されたROM、遊技の進行により発生する各種データを一時的に記憶するRAM等の各種電子部品が実装された制御基板を備えている。そして、ROMに記憶された制御プログラムに従って、CPUにより遊技機に搭載されている各種遊技機器が制御され、一連の遊技が実行される。
この種の遊技機では、制御基板を正規のものとは異なる不正な制御基板に変更したり、ROM(ROMがCPUと共に1チップ化されている場合には当該チップ)を不正なものに交換したりする等の不正行為の発生が数多く報告されている。
このような不正行為に対処すべく、例えば、制御基板を透明な基板ボックス内に収容して制御基板の状態を外部から容易に視認できるようにする、基板ボックスに封印構造(いわゆる、カシメ構造)を設けて基板ボックスの開封時には破壊等による開封履歴を残すようにする、又は基板ボックスを構成する複数のケース体を跨ぐように再貼付不可能であり且つ剥がすと痕跡が残る有脆弱性の封印シールを貼り付ける等の不正対策が採用されている。これらの不正対策は、基板ボックスが開封された事実や制御基板が交換された事実を目視確認する場合にその確認作業を補助するものであり、またこのような不正対策の存在により不正行為を躊躇させる効果がある。
上記の各種不正対策はいずれも制御基板や基板ボックスを目視確認するものであり、日々の確認作業は煩雑である。また、封印箇所を目視では確認しづらい程度に巧妙に復元したものを発見するのは大変な作業である。特に、遊技機設置台数の多い大型の遊技ホールではそのような問題が顕著となる。
一方、目視確認による不正対策以外の新たな不正対策として、例えば、制御基板又は当該制御基板を収容する基板ボックスに、固有ID等の識別情報が記憶されたICチップ部及びアンテナ部を含む電子タグを取り付けた構成が開示されている。
電子タグを取り付けておけば、遊技ホールの管理者などがリーダ装置により識別情報の読取作業を行うことで、制御基板の不正な交換等の発生有無が確認される。このような電子タグを用いた不正対策では、リーダ装置による読み取り結果により不正発見をすることができることから、封印箇所の目視確認に比べて不正発見のための労力は少ないし、不正の見落としも少なくなることが期待される。
上記不正発見のための具体的な構成としては、例えば、基板ボックスの内部空間の開放に際してアンテナ部が切断されるように電子タグを取り付ける構成が考えられる。アンテナ部は動作周波数に応じた最適なものとなるように形成されているため、基板ボックスの内部空間を不正に開放したことに伴ってアンテナ部が切断された場合には、アンテナ部が適切に機能しなくなり識別情報の読取作業が行えなくなることで、当該不正開放が発見し易くなることが期待される。
しかしながら、基板ボックスの不正開放に際してアンテナ部の切断が良好に行われないと識別情報の読み取り作業を通じた不正発見作業を好適に行うことができない。
ちなみに、上記特徴D1乃至D11のいずれか1にて限定した構成を、上記特徴A1乃至A43、上記特徴B1、上記特徴C1、下記特徴H1及びH2、下記特徴I1乃至I33、下記特徴J1乃至J9、下記特徴K1乃至K8、下記特徴L1乃至L11、下記特徴M1乃至M11のいずれか1に対して適用してもよい。この場合、各構成に起因する相乗的な効果を奏し得る。
特徴E1.予め定められた監視対象(主制御装置63)に対して設けられ、痕跡状態となることで、当該監視対象の一部の分離操作又は当該監視対象の設置箇所からの移動操作のいずれかである特定操作が行われたことの痕跡を残す痕跡手段(第1乃至第6の実施の形態においては封印シール160、第7の実施の形態においては封印シール844)を備えた遊技機において、
前記特定操作が行われる場合にそれに先立って予め定められた事前操作を要するように前記監視対象に対して設けられているとともに、当該事前操作が行われる場合に前記痕跡手段を前記痕跡状態とするように設けられた事前操作用手段(破壊用部材210とカバー部材191との組み合わせ等)を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴E1によれば、事前操作用手段が設けられていることにより、監視対象に対する特定操作に先立って事前操作を行う必要が生じるため、特定操作を行うための作業が煩雑なものとなり、不正に特定操作を行う行為を阻止する又は躊躇させることが可能となる。
また、事前操作用手段は、事前操作が行われる場合に痕跡手段が痕跡状態となるように設けられているため、特定操作が行われた場合には痕跡手段が痕跡状態となり易くなる。よって、痕跡手段の機能を好適に発揮させることが可能となる。
特徴E2.複数の構成体(表側構成体111及び裏側構成体112)が組み合わされて形成され、制御基板(主制御基板101)を収容する基板ボックス(基板ボックス102)と、
前記基板ボックスに設けられ、痕跡状態となることで、前記基板ボックスの内部空間を開放させる特定操作が行われたことの痕跡を残す痕跡手段(第1乃至第6の実施の形態においては封印シール160、第7の実施の形態においては封印シール844)を備えた遊技機において、
前記特定操作が行われる場合にそれに先立って予め定められた事前操作を要するように前記基板ボックスに設けられているとともに、当該事前操作が行われる場合に前記痕跡手段を前記痕跡状態とするように設けられた事前操作用手段(破壊用部材210とカバー部材191との組み合わせ等)を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴E2によれば、事前操作用手段が設けられていることにより、基板ボックスの内部空間を開放させるにはそれに先立って事前操作を行う必要が生じるため、基板ボックスの内部空間を開放させるための作業が煩雑なものとなり、基板ボックスの不正開放を阻止する又は躊躇させることが可能となる。
また、事前操作用手段は、事前操作が行われる場合に痕跡手段が痕跡状態となるように設けられているため、基板ボックスの不正開放が行われた場合には痕跡手段が痕跡状態となり易くなる。よって、痕跡手段の機能を好適に発揮させることが可能となる。
特徴E3.前記痕跡手段は、固有の識別情報を記憶した記憶部(ICチップ171)と、前記識別情報を含む電波を発信するアンテナ部(アンテナ部材172)と、を有する電子タグ(ICタグ163)を備えており、
前記事前操作用手段は、前記事前操作が行われる場合に、前記電子タグからの識別情報の読み取りが行いづらくなるように又は識別情報の読み取りが不可となるように、前記電子タグに破壊を生じさせ易くするものであることを特徴とする特徴E1又はE2に記載の遊技機。
特徴E3によれば、痕跡手段として電子タグが設けられていることにより、遊技ホールの管理者等は電子タグから正規の識別情報を受信することができるか否かを確認することで、監視対象を好適に管理することができる。そして、当該構成に対して事前操作用手段の構成が適用されていることにより、電子タグの機能を好適に発揮させることが可能となる。
特徴E4.前記アンテナ部は、破壊された場合に前記識別情報を含む電波の発信を不可とする不可状態発生部(スリット173)を備えており、
前記事前操作用手段は、前記事前操作が行われる場合に、前記不可状態発生部に破壊を生じさせ易くするものであることを特徴とする特徴E3に記載の遊技機。
特徴E4によれば、監視対象に対して特定操作が行われた場合にはアンテナ部における不可状態発生部が破壊され易くなる。この場合、遊技ホールの管理者等にとっては識別情報の読み取り作業を行えないことを把握することで、監視対象に対して不正行為が行われたことを容易に認識することができる。
特徴E5.前記事前操作用手段は、
前記特定操作を制限するように設けられているとともに、前記事前操作としてその制限状態を解除させる解除操作を要するように設けられた特定制限手段(第2の実施の形態におけるカバー部材331、第3の実施の形態におけるカバー部材411、第4の実施の形態におけるカバー部材511、第7の実施の形態におけるカバー部材721)と、
当該特定制限手段に対して前記解除操作が行われた場合に、その解除操作に伴って変位し、前記痕跡手段に当接することで当該痕跡手段を前記痕跡状態とする痕跡状態発生手段(第2の実施の形態における破壊用部材311、第3の実施の形態における破壊用部材401、第4の実施の形態における破壊用部材501、第7の実施の形態における破壊用部材701)と、
を備えていることを特徴とする特徴E1乃至E4のいずれか1に記載の遊技機。
特徴E5によれば、事前操作用手段により特定操作を制限する機能と、痕跡手段を痕跡状態とする機能が果たされる。
特徴E6.前記監視対象は、複数の構成体(表側構成体111及び裏側構成体112)が組み合わされて形成され、制御基板(主制御基板101)を収容する基板ボックス(基板ボックス102)であり、
前記痕跡手段は、前記痕跡状態となることで、前記基板ボックスの内部空間を開放させる特定操作が行われたことの痕跡を残すものであり、
さらに、前記事前操作用手段は、
前記複数の構成体のうち少なくとも第1構成体と第2構成体とを相互に分離させて前記内部空間を開放させようとしても、これら第1構成体及び第2構成体の分離を制限するように設けられているとともに、前記事前操作としてその制限状態を解除させる解除操作を要するように設けられた特定制限手段(第2の実施の形態におけるカバー部材331、第3の実施の形態におけるカバー部材411、第4の実施の形態におけるカバー部材511、第7の実施の形態におけるカバー部材721)と、
当該特定制限手段に対して前記解除操作が行われた場合に、その解除操作に伴って変位し、前記痕跡手段に当接することで当該痕跡手段を前記痕跡状態とする痕跡状態発生手段(第2の実施の形態における破壊用部材311、第3の実施の形態における破壊用部材401、第4の実施の形態における破壊用部材501、第7の実施の形態における破壊用部材701)と、
を備えていることを特徴とする特徴E1乃至E4のいずれか1に記載の遊技機。
特徴E6によれば、事前操作用手段により基板ボックスの内部空間が開放されることを制限する機能と、痕跡手段を痕跡状態とする機能が果たされる。
特徴E7.前記特定制限手段は前記解除操作が行われた場合に前記制限状態を解除する位置に変位されるものであるとともに、前記痕跡状態発生手段は前記特定制限手段に連結されていることにより前記解除操作に伴って変位して前記痕跡手段に当接するものであり、
さらに、前記特定制限手段と前記痕跡状態発生手段との連結箇所の周囲において当該連結箇所を保護するようにして設けられ、当該連結箇所に外力を与えて連結されている状態を解除しようとする行為を不可とする又は行いづらくする保護手段(第4の実施の形態におけるカバー部材511)を備えていることを特徴とする特徴E5又はE6に記載の遊技機。
特徴E7によれば、特定制限手段による制限状態を解除させる場合には当該特定制限手段をその制限状態を解除する位置に変位させればよいため、例えばメンテナンス時などにおける正規の特定操作を行う場合における作業性が極端に低下してしまうことが抑えられる。また、痕跡状態発生部は特定制限手段の変位に伴って変位して、痕跡手段に当接することで当該痕跡手段を痕跡状態とするものであるため、痕跡状態発生手段の構成の複雑化が抑えられる。
但し、上記のように特定制限手段と痕跡状態発生手段とが設けられた構成においては、両者の連結が解除されてしまうと、特定制限手段による制限状態の解除操作に伴って痕跡手段を痕跡状態とすることができなくなってしまう。これに対して、保護手段が設けられていることにより、特定制限手段と痕跡状態発生手段との連結を解除しようとする行為を阻止することが可能となる。
特徴E8.前記痕跡手段は、前記特定操作を制限するように設けられているとともに、その特定操作の制限状態を解除する場合に前記痕跡状態となり得るように設けられており、
前記事前操作用手段は、前記痕跡手段による制限状態の解除を阻止するように設けられているとともに、前記事前操作としてその阻止状態を解除させる解除操作を要するように設けられた阻止手段(第2の実施の形態におけるカバー部材331、第3の実施の形態におけるカバー部材411、第4の実施の形態におけるカバー部材511、第7の実施の形態におけるカバー部材721)を備えており、さらに当該阻止手段に対して前記解除操作が行われた場合に、その解除操作に伴って変位し、前記痕跡手段に当接することで当該痕跡手段を前記痕跡状態とするものであることを特徴とする特徴E1乃至E4のいずれか1に記載の遊技機。
特徴E8によれば、特定操作を行うためには、事前操作用手段による阻止状態を解除させる必要があるとともに、痕跡手段の制限状態を解除させる必要がある。これにより、特定操作を行うための作業が煩雑なものとなり、不正に特定操作を行う行為を阻止する又は躊躇させることが可能となる。
また、事前操作用手段は、事前操作が行われる場合に痕跡手段が痕跡状態となるように設けられているため、痕跡手段が痕跡状態となる機会が、痕跡手段に対して制限状態を解除させる操作が行われた場合だけでなく、事前操作が行われた場合にも存在することとなる。これにより、特定操作が行われた場合には痕跡手段が痕跡状態となり易くなり、痕跡手段の機能を好適に発揮させることが可能となる。
特徴E9.前記阻止手段は、前記痕跡手段を覆うようにして設けられているとともに、前記事前操作として設置箇所から前記痕跡手段を覆わない位置まで変位させる変位操作を要するように設けられたカバー手段であることを特徴とする特徴E8に記載の遊技機。
特徴E9によれば、事前操作用手段により痕跡手段を保護する機能が果たされる。また、その保護する機能に付随して、特定操作に対する事前操作としてカバー手段を変位させる必要が生じる。そして、当該変位に伴って痕跡手段が痕跡状態となることとなる。これにより、痕跡手段の機能を好適に発揮させることを、実用に即して好適に実現することができる。
なお、前記痕跡手段は、一方の面に粘着層が形成されたベースシートを有し、前記監視対象に対して貼り付けられているとともに、その貼付領域から剥がされる際にその応力に伴い破壊されるシール部材を備えている構成において、当該シール部材を覆うようにして前記カバー手段が設けられている構成としてもよい。
また、前記痕跡手段は、固有の識別情報を記憶した記憶部と、前記識別情報を含む電波を発信するアンテナ部と、を有する電子タグを備えている構成において、当該電子タグを覆うようにして前記カバー手段が設けられている構成としてもよい。
特徴E10.前記事前操作用手段は、前記痕跡手段を覆うようにして設けられているとともに、前記事前操作として設置箇所から前記痕跡手段を覆わない位置まで変位させる変位操作を要するように設けられたカバー手段(第2の実施の形態におけるカバー部材331、第3の実施の形態におけるカバー部材411、第4の実施の形態におけるカバー部材511、第7の実施の形態におけるカバー部材721)を備えていることを特徴とする特徴E1乃至E8のいずれか1に記載の遊技機。
特徴E10によれば、事前操作用手段により、事前操作を要する機能及び痕跡手段を痕跡状態とする機能だけでなく、痕跡手段を保護する機能までもが果たされる。これにより、事前操作用手段の多機能化が図られ、痕跡手段の機能を好適に発揮させることを、良好に実現することができる。
特徴E11.前記事前操作用手段は、前記カバー手段に対して前記変位操作が行われた場合に、その変位操作に伴って変位し、前記痕跡手段に当接することで当該痕跡手段を前記痕跡状態とする痕跡状態発生手段(第2の実施の形態における破壊用部材311、第3の実施の形態における破壊用部材401、第4の実施の形態における破壊用部材501、第7の実施の形態における破壊用部材701)を備えており、
当該痕跡状態発生手段は、前記カバー手段により覆われた範囲内に設けられていることを特徴とする特徴E9又はE10に記載の遊技機。
特徴E11によれば、痕跡状態発生手段が設けられていることにより、カバー手段への変位操作に伴って痕跡手段を痕跡状態とすることができる。但し、本構成においては痕跡状態発生手段を破壊するといった行為が行われると、痕跡手段を痕跡状態とすることができなくなる。これに対して、痕跡状態発生手段がカバー手段により覆われた範囲内に設けられているため、痕跡状態発生手段を破壊するといった行為を行いづらくさせることが可能となる。
特徴E12.前記事前操作用手段は、前記痕跡手段が設置された設置箇所(貼付ベース135)の内側であって当該設置箇所を基準として前記痕跡手段が設けられた側の反対側に配置されているとともに、前記カバー手段に対して前記変位操作が行われた場合に、それに伴って前記設置箇所の外側であって前記痕跡手段が設置された側に向けて変位し、当該痕跡手段に当接することで当該痕跡手段を前記痕跡状態とする痕跡状態発生手段(第2の実施の形態における破壊用部材311、第3の実施の形態における破壊用部材401、第4の実施の形態における破壊用部材501、第7の実施の形態における破壊用部材701)を備えていることを特徴とする特徴E9又はE10に記載の遊技機。
特徴E12によれば、痕跡状態発生手段は痕跡手段の設置箇所の内側から外側に向けて痕跡手段に当接する方向に変位する構成であるため、カバー手段への変位操作に伴って痕跡状態発生手段が痕跡手段に当接し易くなり、当該痕跡手段が痕跡状態となり易くなる。また、これだけでなく、痕跡状態発生手段が設置箇所の内側に配置されていることにより、痕跡状態発生手段が痕跡手段の設置箇所により保護された状態となり、痕跡状態発生手段を破壊するといった行為を行いづらくさせることが可能となる。
特徴E13.前記カバー手段と前記痕跡状態発生手段とは別体で設けられており、これらカバー手段及び前記痕跡状態発生手段のうち一方が他方に固定又は係合されていることにより両者が一体的に変位する構成であり、
さらに、前記固定又は前記係合が行われている連結箇所の周囲において当該連結箇所を保護するようにして設けられ、当該連結箇所に外力を与えて連結されている状態を解除しようとする行為を不可とする又は行いづらくする保護手段(カバー部材511)を備えていることを特徴とする特徴E12に記載の遊技機。
特徴E13によれば、カバー手段と痕跡状態発生手段とが別体で設けられていることにより、痕跡手段の設置箇所の内側に痕跡状態発生手段を配置しながら、カバー手段により痕跡手段を覆うことを無理なく行うことが可能となる。また、別体で設けられたカバー手段と痕跡状態発生手段とは連結されており、痕跡状態発生手段はカバー手段の変位に伴って変位して、痕跡手段に当接することで当該痕跡手段を痕跡状態とするものであるため、痕跡状態発生手段を変位させるための構成の複雑化が抑えられる。
但し、上記のようにカバー手段と痕跡状態発生手段とが連結させて設けられた構成においては、両者の連結が解除されてしまうと、カバー手段の変位に伴って痕跡手段を痕跡状態とすることができなくなってしまう。これに対して、保護手段が設けられていることにより、カバー手段と痕跡状態発生手段との連結を解除しようとする行為を阻止することが可能となる。
特徴E14.前記痕跡手段は、前記監視対象を構成する第1構成部品(表側構成体111)に形成された第1設置部(表側固定ベース部133)と、前記監視対象を構成する第2構成部品(裏側構成体112)に形成され、前記第1設置部に対向させて配置されている第2設置部(裏側固定ベース部134)との境界を跨ぐようにして設けられており、
前記痕跡状態発生手段は、前記第1設置部と前記第2設置部とにより挟まれるようにして設けられているとともに、これら第1設置部及び第2設置部が結合具(ネジ153)により結合されていることにより両設置部からの分離が阻止されていることを特徴とする特徴E12又はE13に記載の遊技機。
特徴E14によれば、第1設置部及び第2設置部を結合具により結合する構成を利用して、事前操作用手段の固定を行うことができる。
特徴E15.前記痕跡手段は、前記監視対象を構成する第1構成部品(表側構成体111)に形成された第1設置部(表側固定ベース部133)と、前記監視対象を構成する第2構成部品(裏側構成体112)に形成され、前記第1設置部に対向させて配置されている第2設置部(裏側固定ベース部134)との境界を跨ぐようにして設けられており、
さらに、前記第1構成部品と前記第2構成部品とを分離させる場合に前記第1設置部と前記第2設置部との並設方向に対して交差する方向に前記両構成部品を相対移動させる必要があるように分離方向を規制する規制手段(フック部118、スリット119)を備え、
前記事前操作用手段は、前記第1設置部及び前記第2設置部の間に設けられているとともに、前記規制手段により規制されて前記両構成部品が相対移動する場合における前記第1設置部又は前記第2設置部の移動経路上に突出するように設けられた係止部を備えていることを特徴とする特徴E1乃至E14のいずれか1に記載の遊技機。
特徴E15によれば、事前操作用手段自身によって両構成部品の分離を阻止することができるとともに、当該両構成部品の分離を行う場合には第1設置部及び第2設置部の境界を通じて工具などを挿入し、係止部を切断する必要が生じる。そして、両設置部の境界を跨ぐようにして痕跡手段が設けられているため、上記係止部の切断作業に際して痕跡手段が破壊されて痕跡状態となることが期待される。
特徴E群は以下の課題に対して効果的である。
パチンコ遊技機やスロットマシン等の遊技機は、遊技制御処理を実行するCPU、遊技制御プログラムが記憶されたROM、遊技の進行により発生する各種データを一時的に記憶するRAM等の各種電子部品が実装された制御基板を備えている。そして、ROMに記憶された制御プログラムに従って、CPUにより遊技機に搭載されている各種遊技機器が制御され、一連の遊技が実行される。
この種の遊技機では、制御基板を正規のものとは異なる不正な制御基板に変更したり、ROM(ROMがCPUと共に1チップ化されている場合には当該チップ)を不正なものに交換したりする等の不正行為の発生が数多く報告されている。
このような不正行為に対処すべく、例えば、基板ボックスに封印構造(いわゆる、カシメ構造)を設けて基板ボックスの開封時には破壊等による開封履歴を残すようにする、又は基板ボックスを構成する複数のケース体を跨ぐように再貼付不可能であり且つ剥がすと痕跡が残る有脆弱性の封印シールを貼り付ける等の不正対策が採用されている。これらの不正対策は、基板ボックスが開封された事実や制御基板が交換された事実を目視確認する場合にその確認作業を補助するものであり、またこのような不正対策の存在により不正行為を躊躇させる効果がある。
また、上記のように目視確認を補助する不正対策以外の新たな不正対策として、例えば、制御基板又は当該制御基板を収容する基板ボックスに、固有ID等の識別情報が記憶されたICチップ部及びアンテナ部を含む電子タグを取り付けた構成が開示されている。
電子タグを取り付けておけば、遊技ホールの管理者などがリーダ装置により識別情報の読取作業を行うことで、制御基板の不正な交換等の発生有無が確認される。このような電子タグを用いた不正対策では、リーダ装置による読み取り結果により不正発見をすることができることから、封印箇所の目視確認に比べて不正発見のための労力は少ないし、不正の見落としも少なくなることが期待される。
上記不正発見のための具体的な構成としては、例えば、基板ボックスの内部空間の開放に際してアンテナ部が切断されるように電子タグを取り付ける構成が考えられる。アンテナ部は動作周波数に応じた最適なものとなるように形成されているため、基板ボックスの内部空間を不正に開放したことに伴ってアンテナ部が切断された場合には、アンテナ部が適切に機能しなくなり識別情報の読取作業が行えなくなることで、当該不正開放が発見し易くなることが期待される。
しかしながら、上記のような目視確認を補助する不正対策や、電子タグを利用した不正対策が適用されていたとしても、前者については基板ボックスの不正開放に際して目視確認を補助するための構成が破壊等されないと、不正発見作業を好適に行うことができない。また、後者についても、基板ボックスの不正開放に際して電子タグからの識別情報の読み取りを良好に行えない状態とならないと、不正発見作業を好適に行うことができない。
なお、上記特徴E1乃至E15のいずれか1の構成に対して、上記特徴A1乃至A43、上記特徴B1、上記特徴C1、上記特徴D1乃至D11、下記特徴H1及びH2、下記特徴I1乃至I33、下記特徴J1乃至J9、下記特徴K1乃至K8、下記特徴L1乃至L11、下記特徴M1乃至M11のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。この場合、各構成に起因する相乗的な効果を奏し得る。
特徴F1.外力が加えられて痕跡状態となることで、予め定められた監視対象(主制御装置63)の一部の分離が行われたこと又は予め定められた監視対象の設置箇所からの移動が行われたことの痕跡を残す痕跡手段(第2乃至第4の実施の形態における封印シール160、第7の実施の形態における封印シール844)を備えた遊技機において、
前記痕跡手段の少なくとも一部と対向するようにして設けられているとともに、前記痕跡手段と対向した状態を解除するように設置箇所から取り外される場合に前記痕跡手段に外力を与え得るように設けられたカバー手段(破壊用部材311とカバー部材331との組み合わせ等)を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴F1によれば、カバー手段が設けられていることにより、遊技機の搬送時などにおいて痕跡手段を保護することが可能となる。また、監視対象に対して不正を行うべくカバー手段が設置箇所から取り外された場合には当該カバー手段自身によって痕跡手段に外力が付与されることが期待される。これにより、監視対象に対して不正行為が行われた場合には痕跡手段が痕跡状態となり易くなる。よって、痕跡手段の機能を好適に発揮させることが可能となる。
なお、上記特徴F1の構成に対して、上記特徴A1乃至A43、上記特徴B1、上記特徴C1、上記特徴D1乃至D11、上記特徴E1乃至E15、下記特徴I1乃至I33、下記特徴J1乃至J9、下記特徴K1乃至K8、下記特徴L1乃至L11、下記特徴M1乃至M11のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。この場合、各構成に起因する相乗的な効果を奏し得る。
特徴G1.外力が加えられて痕跡状態となることで、予め定められた監視対象(主制御装置63)の一部の分離が行われたこと又は予め定められた監視対象の設置箇所からの移動が行われたことの痕跡を残す痕跡手段(第2乃至第4の実施の形態においては封印シール160、第7の実施の形態においては封印シール844)を備えた遊技機において、
前記痕跡手段の少なくとも一部と対向するようにして設けられているとともに、前記痕跡手段と対向した状態を解除するように設置箇所から取り外される場合に前記痕跡手段に当たるように設けられたカバー手段(破壊用部材311とカバー部材331との組み合わせ等)を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴G1によれば、カバー手段が設けられていることにより、遊技機の搬送時などにおいて痕跡手段を保護することが可能となる。また、監視対象に対して不正を行うべくカバー手段が設置箇所から取り外された場合には当該カバー手段自身によって痕跡手段に外力が付与されることが期待される。これにより、監視対象に対して不正行為が行われた場合には痕跡手段が痕跡状態となり易くなる。よって、痕跡手段の機能を好適に発揮させることが可能となる。
なお、上記特徴G1の構成に対して、上記特徴A1乃至A43、上記特徴B1、上記特徴C1、上記特徴D1乃至D11、上記特徴E1乃至E15、下記特徴I1乃至I33、下記特徴J1乃至J9、下記特徴K1乃至K8、下記特徴L1乃至L11、下記特徴M1乃至M11のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。この場合、各構成に起因する相乗的な効果を奏し得る。
特徴H1.外力が加えられて痕跡状態となることで、予め定められた監視対象(主制御装置63)の一部の分離が行われたこと又は予め定められた監視対象の設置箇所からの移動が行われたことの痕跡を残す痕跡手段(第2乃至第6の実施の形態においては封印シール160)を備えた遊技機において、
前記痕跡手段の少なくとも一部と対向するようにして設けられているとともに、その対向した状態を解除するように設置箇所から取り外される場合に予め定められた特定方向への変位を要するように設けられたカバー手段(カバー部材331等)と、
当該カバー手段に設けられ、前記痕跡手段の少なくとも一部よりも前記特定方向の反対方向側に配置された奥側配置部(破壊用部材311等)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴H1によれば、カバー手段が設けられていることにより、遊技機の搬送時などにおいて痕跡手段を保護することが可能となる。また、監視対象に対して不正を行うべくカバー手段が設置箇所から取り外された場合には当該カバー手段自身によって痕跡手段に外力が付与されることが期待される。これにより、監視対象に対して不正行為が行われた場合には痕跡手段が痕跡状態となり易くなる。よって、痕跡手段の機能を好適に発揮させることが可能となる。
特徴H2.前記奥側配置部は、前記痕跡手段における前記反対方向側の端部よりも当該反対方向側に配置されていることを特徴とする特徴H1に記載の遊技機。
特徴H2によれば、カバー手段が設置箇所から取り外された場合に、当該カバー手段が痕跡手段に外力を付与し易くなる。
なお、上記特徴H1又はH2の構成に対して、上記特徴A1乃至A43、上記特徴B1、上記特徴C1、上記特徴D1乃至D11、上記特徴E1乃至E15、下記特徴I1乃至I33、下記特徴J1乃至J9、下記特徴K1乃至K8、下記特徴L1乃至L11、下記特徴M1乃至M11のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。この場合、各構成に起因する相乗的な効果を奏し得る。
特徴I1.予め定められた監視対象に対して、前記監視対象の一部の分離操作又は前記監視対象の設置箇所からの移動操作のいずれかである特定操作を阻害するように設けられ、当該阻害状態が解除された場合には、前記特定操作が行われたことの痕跡を残す痕跡状態となる痕跡手段(第7の実施の形態における封印シール844)と、
予め定められた初期位置から予め定められた特定方向に向けて変位する場合に前記痕跡手段と当接する破壊部(第7の実施の形態における破壊ベース部811)を有し、前記破壊部が前記痕跡手段に形成されている被破壊面(側面領域139)と当接し、当該痕跡手段を破壊することによって、前記阻害状態を解除する解除手段(第7の実施の形態における破壊用部材810)と、
を備え、
前記破壊部において前記特定方向への変位の元側から前記被破壊面に対して当接することで前記痕跡手段を破壊するエッジ(切断用エッジ851)は、
前記解除手段が前記特定方向に変位する場合に前記被破壊面に対して傾斜した状態で当接する第1傾斜部(第1傾斜部852)と、
前記第1傾斜部とは別に設けられ、前記解除手段が前記特定方向に変位する場合に前記被破壊面に対して傾斜した状態で当接する第2傾斜部(第2傾斜部853)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴I1によれば、特定操作を阻害するように痕跡手段が設けられており、特定操作が行われる場合には、痕跡手段の阻害状態が解除される。この場合、痕跡手段によって特定操作が行われたことの痕跡が残るため、当該特定操作が行われたことを特定することができる。これにより、特定操作が行われた場合には、その事実を容易に把握することができる。
ここで、破壊部のエッジ、すなわち縁部分には第1傾斜部及び第2傾斜部が設けられているため、解除手段を特定方向に変位させると、第1傾斜部又は第2傾斜部の一部が被破壊面に当接する。これにより、当接範囲が狭くなるため、被破壊面に対する押圧力が大きくなる。また、特定方向への解除手段の変位に伴って破壊部と痕跡手段との当接箇所が変位していくため、痕跡手段の破壊が徐々に行われる。よって、痕跡手段の阻害状態の解除を容易に行うことができる。したがって、検査等のために特定操作を行う場合に当該特定操作を好適に行うことができる。
かかる構成において、第1傾斜部と当該第1傾斜部とは別に第2傾斜部と、が設けられているため、例えば所定の箇所を意図的に切断することができたり、破壊部を小型にしつつ傾斜角度を大きくしたりすることができる。これにより、所望の痕跡手段の破壊を行うことができる。
特徴I2.予め定められた監視対象に対して、前記監視対象の一部の分離操作又は前記監視対象の設置箇所からの移動操作のいずれかである特定操作を阻害するように設けられ、当該阻害状態が解除された場合には、前記特定操作が行われたことの痕跡を残す痕跡状態となる痕跡手段(第7の実施の形態における封印シール844)と、
予め定められた初期位置から予め定められた特定方向に向けて変位する場合に前記痕跡手段と当接する破壊部(第7の実施の形態における破壊ベース部811)を有し、前記破壊部が前記痕跡手段に形成されている被破壊面(側面領域139)と当接し、当該痕跡手段を破壊することによって、前記阻害状態を解除する解除手段(第7の実施の形態における破壊用部材810)と、
を備え、
前記破壊部において前記特定方向への変位の元側から前記被破壊面に対して当接することで前記痕跡手段を破壊するエッジ(切断用エッジ851)は、
前記解除手段が前記特定方向に変位する場合に前記被破壊面に対して傾斜した状態で当接する第1傾斜部(第1傾斜部852)と、
前記解除手段が前記特定方向に変位する場合に前記被破壊面に対して前記第1傾斜部とは異なる角度又は向きに傾斜した状態で当接する第2傾斜部(第2傾斜部853)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴I2によれば、特定操作を阻害するように痕跡手段が設けられており、特定操作が行われる場合には、痕跡手段の阻害状態が解除される。この場合、痕跡手段によって特定操作が行われたことの痕跡が残るため、当該特定操作が行われたことを特定することができる。これにより、特定操作が行われた場合には、その事実を容易に把握することができる。
ここで、破壊部のエッジ、すなわち縁部分には第1傾斜部及び第2傾斜部が設けられているため、解除手段を特定方向に変位させると、第1傾斜部又は第2傾斜部の一部が被破壊面に当接する。これにより、当接範囲が狭くなるため、被破壊面に対する押圧力が大きくなる。また、特定方向への解除手段の変位に伴って破壊部と痕跡手段との当接箇所が変位していくため、痕跡手段の破壊が徐々に行われる。よって、痕跡手段の阻害状態の解除を容易に行うことができる。したがって、検査等のために特定操作を行う場合に当該特定操作を好適に行うことができる。
かかる構成において、第1傾斜部と、当該第1傾斜部と比較して被破壊面に対する傾斜の向き又は角度が異なる第2傾斜部と、が設けられているため、例えば所定の箇所を意図的に切断することができたり、破壊部を小型にしつつ傾斜角度を大きくしたりすることができる。これにより、所望の痕跡手段の破壊を行うことができる。
特徴I3.予め定められた監視対象に対して、前記監視対象の一部の分離操作又は前記監視対象の設置箇所からの移動操作のいずれかである特定操作を阻害するように設けられ、当該阻害状態が解除された場合には、前記特定操作が行われたことの痕跡を残す痕跡状態となる痕跡手段(第7の実施の形態における封印シール844)と、
予め定められた初期位置から予め定められた特定方向に向けて変位する場合に前記痕跡手段と当接する破壊部(第7の実施の形態における破壊ベース部811)を有し、前記破壊部が前記痕跡手段に形成されている被破壊面(側面領域139)と当接し、当該痕跡手段を破壊することによって、前記阻害状態を解除する解除手段(第7の実施の形態における破壊用部材810)と、
を備え、
前記破壊部において前記特定方向への変位の元側から前記被破壊面に対して当接することで前記痕跡手段を破壊するエッジ(切断用エッジ851)は、
前記被破壊面に対して相対的に近い部位と遠い部位とが生じるように傾斜させて形成された第1傾斜部(第1傾斜部852)と、
前記被破壊面に対して相対的に近い部位と遠い部位と生じるように傾斜させて形成されているとともに、前記第1傾斜部とは異なる角度又は異なる向きに傾斜させて形成された第2傾斜部(第2傾斜部853)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴I3によれば、特定操作を阻害するように痕跡手段が設けられており、特定操作が行われる場合には、痕跡手段の阻害状態が解除される。この場合、痕跡手段によって特定操作が行われたことの痕跡が残るため、当該特定操作が行われたことを特定することができる。これにより、特定操作が行われた場合には、その事実を容易に把握することができる。
ここで、破壊部のエッジ、すなわち縁部分には第1傾斜部及び第2傾斜部が設けられているため、解除手段を特定方向に変位させると、第1傾斜部又は第2傾斜部の一部が被破壊面に当接する。これにより、当接範囲が狭くなるため、被破壊面に対する押圧力が大きくなる。また、特定方向への解除手段の変位に伴って破壊部と痕跡手段との当接箇所が変位していくため、痕跡手段の破壊が徐々に行われる。よって、痕跡手段の阻害状態の解除を容易に行うことができる。したがって、検査等のために特定操作を行う場合に当該特定操作を好適に行うことができる。
かかる構成において、第1傾斜部と、当該第1傾斜部と比較して被破壊面に対する傾斜の向き又は角度が異なる第2傾斜部と、が設けられているため、例えば所定の箇所を意図的に切断することができたり、破壊部を小型にしつつ傾斜角度を大きくしたりすることができる。これにより、所望の痕跡手段の破壊を行うことができる。
特徴I4.前記第1傾斜部及び前記第2傾斜部は同一平面上に形成されていることを特徴とする特徴I1乃至I3のいずれか1に記載の遊技機。
特徴I4によれば、破壊部の小型化を図ることができる。
特徴I5.前記エッジの前記被破壊面に対する最短距離の部位と前記被破壊面に対する最長距離の部位との間の前記特定方向の寸法が、前記エッジが前記第1傾斜部の傾斜のみにより形成されている場合よりも小さくなるように、前記第2傾斜部が形成されていることを特徴とする特徴I1乃至I4のいずれか1に記載の遊技機。
特徴I5によれば、痕跡手段の破壊に要する特定方向への解除手段の変位量が少なくて済む。これにより、痕跡手段の破壊を容易に行うことができる。
特徴I6.前記破壊部には、前記第1傾斜部及び前記第2傾斜部により前記特定方向に尖った先端部(先端部892)が形成されており、
前記解除手段が前記特定方向に変位する場合に前記先端部が前記痕跡手段において予め定められた特定箇所に対して当接するように、前記特定箇所に対する前記先端部の相対位置が設定されていることを特徴とする特徴I1乃至I5のいずれか1に記載の遊技機。
特徴I6によれば、先端部が特定箇所に対して当接するため、当接範囲が小さくなる。これにより、特定箇所に付与する押圧力が高められるため、特定箇所を容易に破壊することができる。
また、特定箇所を優先的に破壊することができるため、痕跡手段の破壊を好適に行うことができる。
なお、例えば被破壊面に強度が相対的に高低となるように高強度箇所と低強度箇所とが形成されている場合において高強度箇所が「特定箇所」である構成としてもよく、例えば被破壊面にて他の箇所と比較して破壊された場合にその痕跡が確認し易い箇所がある場合においてその箇所が「特定箇所」である構成としてもよい。
特徴I7.前記エッジは、前記特定方向に対して交差する方向に中間部を間において両端部が生じるように形成されており、
前記第1傾斜部は、前記両端部のうち一方の端部から前記中間部に向けて前記特定方向に対して反対方向に入り込むように傾斜しており、
前記第2傾斜部は、前記両端部のうち他方の端部から前記中間部に向けて前記特定方向に対して反対方向に入り込むように傾斜していることを特徴とする特徴I1乃至I5のいずれか1に記載の遊技機。
特徴I7によれば、破壊部の特定方向への出っ張りを抑制し、破壊部の小型化を図ることができる。この場合、破壊部の両端部が特定方向の先側となるため、破壊部の両端部から痕跡手段の破壊が行われる。
特徴I8.前記第1傾斜部は、その外側の端部が前記被破壊面において前記交差する方向の両端部のうち対応する側の端部に対して当該交差する方向に同じ位置又はそれよりも外側の位置となるように形成されているとともに、
前記第2傾斜部は、その外側の端部が前記被破壊面において前記交差する方向の両端部のうち対応する側の端部に対して当該交差する方向に同じ位置又はそれよりも外側の位置となるように形成されていることを特徴とする特徴I7に記載の遊技機。
特徴I8によれば、解除手段の特定方向への変位により、被破壊面においてエッジが形成されている方向の両端から痕跡手段の破壊が行われる。これにより、痕跡手段において端側の部位が破壊されずに残り、阻害状態が解除されないといった不都合を回避することができる。
特徴I9.前記エッジの前記両端部のうち一端側を支点とした状態でそれよりも他端側を傾ける動作を単位動作として、支点となる側が交互に代わるように当該単位動作を繰り返しながら前記解除手段を前記特定方向に変位させることを可能とする単位動作用の構造を備えていることを特徴とする特徴I7又は特徴I8に記載の遊技機。
特徴I9によれば、単位動作を行うことにより、一方の端部が支点、他方の端部が力点、他方の端部側に設けられている傾斜部と痕跡手段との当接箇所が作用点として機能するため、当接箇所に対する押圧力が高められている。これにより、痕跡手段を容易に破壊することができる。
また、破壊部の両端部が特定方向の先側となっているため、単位動作毎に第1傾斜部による破壊と第2傾斜部による破壊とが交互に行われる。これにより、痕跡手段の破壊が伴わない単位動作が生じにくいため、単位動作によって生じ得る作業性の低下を抑制することができる。
特徴I10.前記痕跡手段が設置される設置箇所(貼付ベース135)には、前記破壊部を収容可能な収容領域を区画形成する壁部(表側貼付用板部141、裏側貼付用板部144、各対向板部801,802,806,807)が設けられており、
前記破壊部は、前記初期位置として前記収容領域内に、前記特定方向として前記収容領域の外側に向けて変位可能な状態で配置されており、
前記壁部の内壁面と前記破壊部とが当接又は所定の隙間を介して近接していることを特徴とする特徴I9に記載の遊技機。
特徴I10によれば、破壊部を収容領域の内側から外側に変位させることによって、痕跡手段の破壊が行われる。この場合、破壊部を外側に向けて引けばよいため、痕跡手段の阻害状態の解除を容易に行うことができる。
また、破壊部が収容領域に収容されていることにより、破壊部が保護された状態となり、破壊部を破壊する等の解除手段への不正行為を抑制し得るとともに、省スペース化を図ることができる。
かかる構成において、収容領域を区画形成する壁部と破壊部とが当接又は所定の隙間を介して近接しているため、壁部と破壊部との間から治具を挿入することが困難になっている。これにより、壁部と破壊部との間から治具を挿入する不正行為を抑制し得る。この場合、破壊部を特定方向に変位させる場合に、当該破壊部と壁部の内壁面とが干渉して当該変位が行いにくくなる。
これに対して、上記特徴I9の構成を適用することによって、上記干渉が生じる場合であっても痕跡手段を好適に破壊することができる。
特徴I11.前記痕跡手段の少なくとも一部と対向し当該痕跡手段を保護するように前記監視対象に対して取り付けられるカバー手段(第7の実施の形態におけるカバー部材861)を備え、
前記解除手段は、前記カバー手段を前記監視対象から分離させる分離操作が行われた場合に、それに連動して前記特定方向に変位し、前記痕跡手段を破壊する位置に変位可能なように形成されており、
前記カバー手段は、
前記痕跡手段の設置箇所を収容可能な収容領域(内部空間862)を形成する壁部(壁部864,865等)と、
前記収容領域を開口させる開口部(開口部863)と、
を備え、前記監視対象に対して前記開口部側から取り付け方向に移動させることによって取り付けられるものであり、
前記壁部の内壁面と前記痕跡手段の設置箇所とが当接又は所定の隙間を介して近接していることを特徴とする特徴I9又は特徴I10に記載の遊技機。
特徴I11によれば、痕跡手段を収容領域に収容することにより、痕跡手段がカバー手段により保護される。これにより、痕跡手段へのアクセスが制限されるため、痕跡手段への不正行為を阻止又は躊躇させることができる。
また、カバー手段の分離操作に伴って解除手段が変位し、阻害状態が解除される。これにより、痕跡手段の阻害状態を解除する場合の作業性の低下を抑制し得る。
かかる構成において、収容領域を形成する壁部の内壁面と痕跡手段の設置箇所との間の隙間が小さく設定されているため、当該隙間から治具を挿入する等の不正行為を抑制することができる。この場合、カバー手段の分離操作を行う際に、壁部の内壁面と痕跡手段の設置箇所とが干渉して、当該分離操作が行いにくくなるという不都合が生じ得る。
これに対して、上記特徴I9の構成を適用することにより、上記不都合を回避することができる。
特徴I12.前記痕跡手段の設置箇所と前記壁部との隙間は、前記分離操作が行われるに従って徐々に大きくなるように設定されていることを特徴とする特徴I11に記載の遊技機。
特徴I12によれば、痕跡手段の設置箇所と壁部との間隔が分離操作を行うに従って徐々に大きくなるように設定されているため、カバー手段に連動する解除手段における破壊部の動作範囲が大きくなる。よって、特徴I10の効果を奏しつつ、解除手段による痕跡手段の破壊を好適に行うことができる。
特徴I13.前記破壊部の前記特定方向への変位を規定するガイド手段(規制用凸部821,822及び規制用開口部823,824)を備え、
前記ガイド手段は、前記解除手段が前記初期位置から前記痕跡手段の痕跡状態を解除する解除位置に変位するまでの間にて、前記単位動作の動作範囲が大きくなるように前記特定方向への変位の規定を解除又は段階的に緩めるものであることを特徴とする特徴I9乃至I12のいずれか1に記載の遊技機。
痕跡手段の破壊の作業性に鑑みれば、動作範囲は大きい方が好ましい。かといって、動作範囲を大きくすると、痕跡手段に対する破壊部の位置ずれが生じ、所望の箇所とは異なる箇所が破壊され、阻害状態が解除されないといった不都合が生じ得る。特に、特徴I8のように被破壊面の両端から破壊が行われるようにする構成した場合、上記位置ずれによって両端からの破壊が行われず、特徴I8に示すような効果が得られない場合が生じ得る。
これに対して、本特徴によれば、解除手段が初期位置寄りに配置されている状況においては解除手段の変位は特定方向に規定されているため、痕跡手段に対する破壊部の位置ずれが生じにくい。
一方、解除手段を特定方向に変位させるに従って上記特定方向への規定が解除又は段階的に緩められることにより、動作範囲が大きくなる。これにより、上記不都合を回避しつつ、痕跡手段の破壊に係る作業性の向上を図ることができる。
特徴I14.前記ガイド手段は、前記破壊部の前記特定方向への変位を許容しつつ、前記エッジの両端方向への変位と、前記特定方向及び前記両端方向の双方に対して直交する方向への変位と、を規制するものであり、
前記解除手段の特定方向への変位が行なわれるに従って、前記直交する方向の変位を規制しつつ、前記エッジの両端方向への変位可能な範囲が大きくなるように前記両端方向の変位の規制を解除又は段階的に緩めるものであることを特徴とする特徴I13に記載の遊技機。
特徴I14によれば、破壊部の両端方向への変位の規制が解除又は段階的に緩められることにより、両端方向における破壊部の変位可能範囲が大きくなる。これにより、単位動作における破壊部の動作範囲が大きくなるため、特徴I13の効果を得ることができる。
一方、特定方向及びエッジの両端部間の方向である両端方向双方に対して直交する方向への破壊部の変位は規制された状態が維持されるため、当該方向における破壊部の位置ずれは生じにくい。これにより、単位動作を通じた痕跡手段の破壊の好適化と破壊部の位置ずれの抑制との双方の効果の両立を図ることができる。
特徴I15.前記エッジには、前記第1傾斜部及び前記第2傾斜部の間に設けられ、傾斜向きが異なる一対の傾斜部によって前記特定方向に向けて凸となる凸部(鋸部854)が形成されており、
前記解除手段が前記特定方向に変位する場合に前記凸部が前記痕跡手段において予め定められた特定箇所に当接するように両者の相対位置が設定されていることを特徴とする特徴I7乃至I14のいずれか1に記載の遊技機。
特徴I15によれば、凸部の先端が特定箇所に対して当接するため、当接範囲が小さくなる。これにより、特定箇所に付与する押圧力が高められる。よって、特定箇所を好適に破壊することができる。
なお、凸部を形成する傾斜部の傾斜角度は第1傾斜部及び第2傾斜部よりも大きく設定されているとよい。これにより、特定箇所の破壊を容易に行うことができる。
また、例えば被破壊面に強度が相対的に高低となるように高強度箇所と低強度箇所とが形成されている場合において高強度箇所が「特定箇所」である構成としてもよく、例えば被破壊面にて他の箇所と比較して破壊された場合にその痕跡が確認し易い箇所がある場合においてその箇所が「特定箇所」である構成としてもよい。
特徴I16.前記痕跡手段は、
固有の識別情報を記憶した記憶部(ICチップ171)と、前記識別情報を含む電波を発信するアンテナ部(アンテナ部材172)と、を備えた電子タグ(ICタグ163)と、
一方の面に粘着層(粘着層162)を有するベースシート(ベースシート161)の粘着層側に前記電子タグが取り付けられているシール部材(封印シール844)と、
を備え、
前記シール部材は前記監視対象に設けられた貼付面(貼付領域136)に対して貼り付けられており、
前記貼付面に対応して設けられ、前記シール部材の被破壊面が前記破壊部のエッジと対峙する位置となるように前記シール部材の貼付位置をガイドする囲み部(囲み部850)を備え、
前記貼付面に前記シール部材が貼り付けられる場合に前記被破壊面が前記エッジと対峙する位置から外れない範囲内で、前記貼付面が前記シール部材の面積よりも広くなるように前記囲み部を形成し、
当該囲み部の範囲内で前記シール部材の貼付位置が変動する場合に前記特定箇所の位置が特定範囲内で変動する構成であり、
さらに、前記エッジにおいて前記凸部が形成された領域が前記特定範囲の領域の全体又は略全体と対峙するように当該凸部を前記エッジに沿って複数並設したことを特徴とする特徴I15に記載の遊技機。
特徴I16によれば、電子タグが設けられていることにより、遊技ホールの管理者等は電子タグから正規の識別情報を受信することができるか否かを確認することで、監視対象を好適に管理することができる。
ここで、囲み部によって、シール部材の被破壊面が破壊部のエッジと対峙する位置にシール部材が貼り付けられるようにシール部材の貼付位置がガイドされる。これにより、シール部材を貼り付ける場合の作業性の向上を図ることができる。
また、囲み部は、被破壊面とエッジとが対峙する範囲内で貼付面がシール部材の面積よりも広くなるように形成されているため、貼付面に対するシール部材の貼付位置にゆとりが生まれる。これにより、シール部材の貼付作業を容易に行うことができる。この場合、上記ゆとりによって、囲み部の範囲内でシール部材の貼付位置が変動し、特定箇所に対して凸部が当接しないという不都合が生じ得る。かといって、凸部の領域を大きくするために凸部を形成する傾斜部の傾斜角度を小さくすると、特定箇所と凸部との当接範囲が大きくなり、痕跡手段の破壊の容易性が低下する。
これに対して、本特徴によれば、凸部が形成された領域が上記特定箇所の位置の変動に対応した特定範囲の領域の全体又は略全体と対峙するように、エッジに沿って凸部が複数並設されているため、痕跡手段の破壊の容易性を確保しつつ、上記位置ずれに対応することができる。
特徴I17.前記解除手段は、前記特定方向に変位する場合に前記破壊部とは異なる箇所に当接して当該異なる箇所に外力が付与されたことの痕跡を残させる痕跡付与手段(破断部815,拡張部814)を備えていることを特徴とする特徴I1乃至I16のいずれか1に記載の遊技機。
特徴I17によれば、解除手段を特定方向に変位させると、破壊部による破壊箇所とは別に痕跡付与手段による痕跡が形成される。これにより、痕跡箇所が複数形成されることとなるため、痕跡手段の阻害状態が解除されたことを目視にて容易に確認することができる。
特徴I18.前記痕跡付与手段は、前記解除手段が前記特定方向に変位した場合に、前記エッジが前記被破壊面に対して当接するタイミングとは異なるタイミングで前記痕跡手段に対して当接するように、前記痕跡手段との位置関係が設定されていることを特徴とする特徴I17に記載の遊技機。
特徴I18によれば、破壊部による破壊の開始タイミングと痕跡付与手段による外力付与の開始タイミングとが異なっているため、破壊部による痕跡手段の破壊の開始に係る負荷と、痕跡付与手段による外力付与の開始に係る負荷とが分散されている。これにより、痕跡付与手段を設けたことによって生じ得る痕跡手段の破壊等に係る負荷の局所的な増大化を抑制し得る。
本特徴の具体的な構成としては、例えば「前記特定方向において前記痕跡付与手段から前記痕跡手段までの最短距離は、前記エッジから前記痕跡手段までの最短距離と異なるように設定されている」構成が考えられる。
特徴I19.前記痕跡付与手段は、前記解除手段が前記特定方向へ変位することにより前記破壊部による前記痕跡手段の破壊が行われた後に前記被破壊面に対して当接し、当該破壊部によって破壊された箇所を拡張する拡張部(拡張部814)であることを特徴とする特徴I18に記載の遊技機。
特徴I19によれば、破壊部によって痕跡手段の破壊が行われた後に、拡張部によって破壊部による破壊箇所が拡張される。これにより、破壊箇所の範囲が大きくなるため、痕跡手段の破壊が行われたことを容易に確認することができる。
特徴I20.前記痕跡手段は、一方の面に粘着層(粘着層162)が形成されたベースシート(ベースシート161)を有するシール部材(封印シール844)を備え、
前記シール部材は前記監視対象に設けられた貼付面(貼付領域136)に対して貼り付けられており、
前記破壊部は、前記シール部材の被破壊面において所定の境界を挟んだ第1領域及び第2領域が生じるように当該シール部材を切断することで前記阻害状態を解除するものであり、
前記拡張部は、前記境界が当該境界の延びる方向に対して交差する方向に拡張されるようにするものであることを特徴とする特徴I19に記載の遊技機。
特徴I20によれば、破壊部によってシール部材の被破壊面が切断されることにより阻害状態が解除される。この場合、破壊の痕跡として境界が形成される。これにより、境界が形成されているか否かを確認することで解除手段の変位が行われたか及び特定操作が行われたか否かを把握することができる。
かかる構成において、境界は拡張部によってその延びる方向と交差する方向に広がる。これにより、破壊箇所としての境界が目立つこととなり、当該境界を容易に確認することができる。よって、上記確認作業の作業性の向上を図ることができる。
特徴I21.前記拡張部は、前記特定方向への前記解除手段の変位に伴って、前記シール部材を前記境界から前記交差する方向であって当該境界に対して離れる向きに沿って徐々に当接するように形成されていることを特徴とする特徴I20に記載の遊技機。
特徴I21によれば、特定方向に解除手段が変位すると、境界が拡張部によって交差する方向に押し広げられる。この場合、拡張部とシール部材との当接範囲が狭くなっているため、シール部材に対して付与する押圧力が高められている。これにより、境界の拡張を容易に行うことができる。
特徴I22.前記拡張部は、前記破壊部において前記第1傾斜部及び前記第2傾斜部に対して前記特定方向の元側の部位に設けられていることを特徴とする特徴I19乃至I21のいずれか1に記載の遊技機。
特徴I22によれば、破壊部において特定方向の先側に第1傾斜部及び第2傾斜部が設けられており元側に拡張部が設けられており、両者の位置関係が規定された状態で特定方向への変位が行われる。これにより、解除手段を変位させることによって、自ずと第1傾斜部及び第2傾斜部による破壊が行われた後に拡張部による破壊箇所の拡張が行われる。よって、作業の煩雑さを回避することができる。
特徴I23.前記痕跡手段は、固有の識別情報を記憶した記憶部(ICチップ171)と、前記識別情報を含む電波を発信するアンテナ部(アンテナ部材172)と、を有する電子タグ(ICタグ163)を備えており、
前記拡張部は、前記アンテナ部の少なくとも一部に当接するものであることを特徴とする特徴I19乃至I22のいずれか1に記載の遊技機。
特徴I23によれば、電子タグが設けられていることにより、遊技ホールの管理者等は電子タグから正規の識別情報を受信することができるか否かを確認することで、監視対象を好適に管理することができる。
かかる構成において、アンテナ部の少なくとも一部が拡張部と当接し、当該当接によって破壊される。これにより、アンテナ部の長さ寸法が短くなるため、通信可能距離が短くなる又は通信が不可となる。よって、上記確認作業を行うことにより特定操作が行われたことを把握することができる。
特徴I24.前記痕跡手段は、
固有の識別情報を記憶した記憶部(ICチップ171)と、前記識別情報を含む電波を発信するアンテナ部(アンテナ部材172)と、を有する電子タグ(ICタグ163)と、
一方の面に粘着層(粘着層162)を有するベースシート(ベースシート161)の粘着層側に前記電子タグが取り付けられているシール部材(封印シール844)と、
を備え、
前記シール部材が前記監視対象に対して貼り付けられており、
前記アンテナ部には、破壊された場合に前記識別情報を含む電波の発信を不可とする不可状態発生部(スリット173)が設けられており、
前記解除手段が前記特定方向に変位する場合に、前記破壊部が前記不可状態発生部を破壊するように、当該破壊部と前記シール部材との位置関係が設定されており、
前記拡張部は、前記解除手段が前記特定方向に変位する場合に、前記破壊部によって破壊された破壊箇所を拡張するように、前記シール部材において前記不可状態発生部の周辺の部位に対して当接するものであることを特徴とする特徴I19乃至I23のいずれか1に記載の遊技機。
特徴I24によれば、電子タグが設けられていることにより、遊技ホールの管理者等は電子タグから正規の識別情報を受信することができるか否かを確認することで、監視対象を好適に管理することができる。
かかる構成において、解除手段が特定方向に変位すると、破壊部によって不可状態発生部が破壊され、電波の発信が不可となる。これにより、識別情報の読み取り作業を行えないことを把握することで解除手段の変位及び特定操作が行われたことを認識することができる。
また、破壊部による破壊箇所が拡張部によって拡張されることにより、破壊箇所が目立つようになる。これにより、目視においても解除手段の変位及び特定操作が行われたことを容易に確認することができる。
特徴I25.前記拡張部は、前記痕跡手段が設置される設置箇所(貼付ベース135)の内側であって当該設置箇所を基準として前記痕跡手段が設けられた側の反対側を前記初期位置として配置されており、
前記拡張部が前記特定方向として前記設置箇所の外側であって前記痕跡手段が設置された側に向けて変位可能となるように、前記痕跡手段の設置箇所において前記拡張部が変位する場合の当該変位の先側の部位には、前記拡張部が通過可能な開口部(拡張領域808)が形成されていることを特徴とする特徴I19乃至I24のいずれか1に記載の遊技機。
特徴I25によれば、拡張部が痕跡手段の内側に配置されていることにより、拡張部が痕跡手段の設置箇所により保護された状態となり、拡張部を破壊する等の不正行為を抑制することができる。これにより、拡張部を設けたことによって生じ得る不正行為を抑制し得る。
さらに、拡張部が痕跡手段の設置箇所の内側に配置されているため、拡張部が痕跡手段の設置箇所の外側に配置されている構成と比較して、全体としてコンパクトになる。これにより、省スペース化を図ることができる。
かかる構成において、解除手段の特定方向への移動が拡張部によって阻害されないように拡張部が通過可能な開口部が設けられている。これにより、拡張部と痕跡手段の設置箇所との干渉が回避されている。
特徴I26.前記破壊部は第1破壊部であり、
前記痕跡手段には、当該痕跡手段の外周面として所定方向を向く第1外周面(側面領域139)を規定する部位と、当該第1外周面とは異なる方向を向く第2外周面(表面領域137)を規定する部位と、が設けられており、
前記第1破壊部は、前記解除手段が前記特定方向に変位する場合に、前記第1外周面を規定する部位を破壊するものであり、
前記解除手段は、前記第1破壊部とは別に前記第2外周面を規定する部位を破壊する第2破壊部(破断部815)を備えていることを特徴とする特徴I1乃至I16のいずれか1に記載の遊技機。
特徴I26によれば、解除手段を特定方向に変位させると、第1破壊部による破壊箇所とは別に第2破壊部による破壊箇所が形成される。これらの破壊箇所は痕跡手段において相違する外周面上に形成される。これにより、痕跡箇所としての破壊箇所が見易いため、痕跡手段の阻害状態が解除されたことを目視で容易に確認することができる。
特徴I27.前記第2破壊部は、前記解除手段が前記特定方向に変位した場合に、前記エッジが前記被破壊面に対して当接するタイミングとは異なるタイミングで前記痕跡手段に対して当接するように、前記痕跡手段との位置関係が設定されていることを特徴とする特徴I26に記載の遊技機。
特徴I27によれば、第1破壊部による破壊の開始タイミングと第2破壊部による破壊の開始タイミングとが異なっているため、第1破壊部による痕跡手段の破壊の開始に係る負荷と、第2破壊部による痕跡手段の破壊の開始に係る負荷とが分散されている。これにより、第2破壊部を設けたことによって生じ得る痕跡手段の破壊に係る負荷の局所的な増大化を抑制し得る。
本特徴の具体的な構成としては、例えば「前記特定方向において前記第2破壊部から前記痕跡手段までの最短距離が、前記エッジから前記被破壊面までの最短距離と異なるように設定されている」構成が考えられる。
特徴I28.前記第1破壊部は、前記初期位置として、前記痕跡手段が設置された設置箇所(貼付ベース135)の内側に前記特定方向への変位が可能な状態で配置されており、
前記第2破壊部は、前記第1破壊部が前記初期位置に配置されている状況において、前記痕跡手段の設置箇所に設けられた開口部(破断部用開口部818)を介して前記痕跡手段の設置箇所の外側であって前記特定方向とは交差する方向に突出するように設けられており、
当該開口部は、前記第2破壊部が前記特定方向へ変位可能となるように前記特定方向に向けて延びるように形成されており、
前記第1外周面を規定する部位は、前記痕跡手段の設置箇所において前記第1破壊部の特定方向への変位の途中位置に設置されており、
前記第2外周面を規定する部位は、前記開口部を跨ぐように設置されることを特徴とする特徴I26又は特徴I27に記載の遊技機。
特徴I28によれば、第1破壊部が痕跡手段の内側に配置されていることにより、第1破壊部が痕跡手段の設置箇所により保護された状態となり、第1破壊部を破壊する等の解除手段への不正行為を抑制することができる。これにより、解除手段を設けたことによって生じ得る不正行為を抑制し得る。
かかる構成において、解除手段が特定方向に変位すると、第1外周面を規定する部位のうち第1破壊部に対して特定方向の先側に設置されている部位が破壊される。また、解除手段の変位に伴って第2破壊部も開口部に沿って特定方向へ変位する。この場合、第2外周面を規定する部位のうち開口部に跨っている部位が第2破壊部によって破壊される。これにより、第2外周面を規定する部位が破壊されることとなる。
なお、前記監視対象が搭載される搭載部を備え、前記監視対象は前記搭載部に対して搭載されるものである構成にあっては、前記第2破壊部は前記搭載部が設けられている側とは反対側に突出しているとよい。これにより、遊技ホールの管理者等にとっては第2破壊部が設けられている箇所を目視で確認し易いため、確認作業の作業性の向上を図ることができる。
特徴I29.前記開口部は第1開口部であり、
前記痕跡手段の設置箇所において前記第1破壊部が前記特定方向に変位する場合の当該変位の先側の部位には、前記第1破壊部が通過可能な第2開口部(境界809)が設けられており、
前記第1開口部と前記第2開口部とは連通しており、
前記第1外周面を規定する部位は前記第1開口部及び前記第2開口部の双方に跨って配置されていることを特徴とする特徴I28に記載の遊技機。
特徴I29によれば、第2破壊部が第1開口部に沿って特定方向に変位した場合、第2破壊部による破壊箇所と第1破壊部による破壊箇所とが連続する。これにより、第1破壊部による破壊箇所が拡張されることとなる。よって、破壊箇所が目立つこととなり、特定操作が行われた否かの目視による確認作業を好適に行うことができる。
特徴I30.前記第1破壊部は、前記特定方向に対して交差する方向に中間部を間において両端部が生じるように形成されており、
前記解除手段は、前記第1破壊部の両端部のうち一端側を支点とした状態でそれよりも他端側を傾ける動作を単位動作として、支点となる側が交互に代わるように当該単位動作を繰り返しながら前記解除手段を前記特定方向に変位させることを可能とする単位動作用の構造を備えており、
前記単位動作を可能とするように、前記開口部の周縁と前記第2破壊部との間には所定の隙間が形成されていることを特徴とする特徴I28又は特徴I29に記載の遊技機。
特徴I30によれば、単位動作を行うことにより、一方の端部が支点、他方の端部が力点、他方の端部側に設けられている傾斜部と痕跡手段との当接箇所が作用点として機能するため、当接箇所に対する押圧力が高められている。これにより、痕跡手段を容易に破壊することができる。
ここで、開口部と第2破壊部との間には所定の隙間が生じているため、単位動作が行われた場合に第2破壊部と開口部の周縁とが干渉しにくい。これにより、単位動作が第2破壊部によって阻害される不都合を回避することができる。
特徴I31.前記特定操作を制限するように前記監視対象に対して取り付けられ、その制限状態を解除させる場合には予め定められた解除操作を要する特定制限手段(カバー部材861)を備え、
前記解除手段と前記特定制限手段とは別体で設けられており、
前記第2破壊部が前記特定制限手段に設けられた受け部(係合用凹部871)に対して係合することによって両者が連結されており、
前記解除手段は、前記特定制限手段に対して前記解除操作が行われた場合に、それに連動して前記特定方向に変位し、前記痕跡手段を破壊する構成であることを特徴とする特徴I26乃至I30のいずれか1に記載の遊技機。
特徴I31によれば、解除操作が行われることによって阻害状態が解除されるため、メンテナンス時などにおいて正規の特定操作を行う場合の作業性が低下するのを抑制することができる。
また、特定制限手段による解除操作が行われた場合には、痕跡手段が破壊され、解除操作が行われた痕跡が形成されることとなる。これにより、不正行為者が不正な特定操作を行う前段階として不正な解除操作を行った場合には、不正行為者にとって意図しない痕跡が形成されることとなる。よって、不正な解除操作及び不正な特定操作を抑制することができるとともに、仮に当該不正行為が行われた場合には、当該事実を容易に確認することができる。
かかる構成において、解除手段及び特定制限手段は、第2破壊部と特定制限手段に設けられた受け部との係合を介して連結されている。これにより、第2破壊部の多機能化を図ることができる。
特徴I32.前記特定制限手段は、
前記痕跡手段の設置箇所を収容可能な収容領域(内部空間862)を形成する壁部(壁部864,865等)と、
前記収容領域を開口させる開口部(開口部863)と、
を備え、前記監視対象に対して前記開口部側から取り付け方向に移動させることによって取り付けられるものであり、
前記受け部は、前記開口部を基準として前記収容領域の奥側の部位に形成されていることを特徴とする特徴I31に記載の遊技機。
特徴I32によれば、受け部が開口部を基準として収容領域の奥側に形成されている。これにより、第2破壊部と受け部との係合箇所が開口部を基準として奥側に配置されることとなる。これにより、開口部から不正な治具を挿入し、係合を解除する不正行為を抑制し得る。
特徴I33.前記痕跡手段の少なくとも一部と対向し当該痕跡手段を保護するように前記監視対象に対して取り付けられるカバー手段(カバー部材861)を備え、
前記解除手段と前記カバー手段とは別体で設けられており、
前記第2破壊部が前記カバー手段に設けられた受け部(係合用凹部871)に対して係合することによって両者が連結されており、
前記解除手段は、前記カバー手段を前記監視対象から分離させる分離操作が行われた場合に、それに連動して前記特定方向に変位し、前記痕跡手段を破壊する構成であることを特徴とする特徴I26乃至I30のいずれか1に記載の遊技機。
特徴I33によれば、痕跡手段がカバー手段によって保護されている。これにより、痕跡手段へのアクセスが制限されるため、痕跡手段への不正行為を阻止又は躊躇させることが可能となる。この場合、痕跡手段を破壊するために解除手段を変位させる際に、カバー手段が邪魔になる場合がある。この場合、先にカバー手段に対して分離操作を行い、その後解除手段を変位させる必要があり、痕跡手段の阻害状態を解除する場合の作業性の低下が懸念される。
これに対して、本特徴によれば、カバー手段の分離操作に伴って解除手段が変位し、阻害状態が解除される、これにより、痕跡手段の阻害状態を解除する場合の作業性の低下を抑制し得る。また、痕跡手段に対して不正にアクセスするためにカバー手段を不正に分離させた場合には、意図しない痕跡が形成されることとなる。これにより、痕跡手段に対する不正なアクセスを抑制し得る。
ここで、解除手段及びカバー手段は、第2破壊部とカバー手段に設けられた受け部との係合を介して連結されている。これにより、第2破壊部の多機能化を図ることができる。
なお、本特徴に特徴I32に記載の構成を適用してもよい。この場合、「特定制限手段」を「カバー手段」に、「解除操作」を「分離操作」に置き換える。
また、上記特徴I1乃至I33のいずれか1の構成に対して、上記特徴A1乃至A43、上記特徴B1、上記特徴C1、上記特徴D1乃至D11、上記特徴E1乃至E15、上記特徴F1、上記特徴G1、上記特徴H1乃至H2、下記特徴L1乃至L11、下記特徴M1乃至M11のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。この場合、各構成に起因する相乗的な効果を奏し得る。
特徴J1.予め定められた監視対象に対して、前記監視対象の一部の分離操作又は前記監視対象の設置箇所からの移動操作のいずれかである特定操作を阻害するように設けられ、当該阻害状態が解除された場合には、前記特定操作が行われたことの痕跡を残す痕跡状態となる痕跡手段(第7の実施の形態における封印シール844)と、
予め定められた初期位置から予め定められた特定方向に向けて変位することにより前記痕跡手段を破壊し、前記阻害状態を解除する解除手段(第7の実施の形態における破壊用部材810)と、
を備え、
前記解除手段は、
前記特定方向に変位することにより前記痕跡手段と当接し、前記阻害状態を解除する破壊を前記痕跡手段に対して生じさせる破壊部(第7の実施の形態における破壊ベース部811)と、
前記破壊部とは別に設けられ、前記特定方向へ変位することにより前記破壊部とは異なる箇所に当接して当該異なる箇所に外力が付与されたことの痕跡を残させる痕跡付与手段(破断部815,拡張部814)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴J1によれば、特定操作を阻害するように痕跡手段が設けられており、特定操作が行われる場合には、痕跡手段の阻害状態が解除される。この場合、痕跡手段によって特定操作が行われたことの痕跡が残るため、当該特定操作が行われたことを特定することができる。これにより、特定操作が行われた場合には、その事実を容易に把握することができる。
また、破壊部を有する解除手段が設けられていることにより、痕跡手段の阻害状態の解除を容易に行うことができる。これにより、検査等のために特定操作を行う場合に当該特定操作を好適に行うことができる。
かかる構成において、痕跡付与手段が設けられているため、痕跡手段において破壊部による破壊箇所とは別に痕跡付与手段による痕跡が形成される。これにより、痕跡箇所が複数形成されることとなるため、痕跡手段の阻害状態が解除されたことを目視にて容易に確認することができる。よって、痕跡手段の機能を好適に発揮させることが可能となる。
特徴J2.前記痕跡付与手段は、前記解除手段が前記特定方向に変位した場合に、前記破壊部が前記痕跡手段に対して当接するタイミングとは異なるタイミングで前記痕跡手段に対して当接するように、前記痕跡手段との位置関係が設定されていることを特徴とする特徴J1に記載の遊技機。
特徴J2によれば、破壊部による破壊の開始タイミングと痕跡付与手段による外力付与の開始タイミングとが異なっているため、破壊部による痕跡手段の破壊の開始に係る負荷と、痕跡付与手段による外力付与の開始に係る負荷とが分散されている。これにより、痕跡付与手段を設けたことによって生じ得る痕跡手段の破壊等に係る負荷の局所的な増大化を抑制し得る。
本特徴の具体的な構成としては、例えば「前記特定方向において前記痕跡付与手段から前記痕跡手段までの最短距離は、前記破壊部から前記痕跡手段までの最短距離と異なるように設定されている」構成が考えられる。
特徴J3.前記痕跡付与手段は、前記解除手段が前記特定方向へ変位することにより前記破壊部による前記痕跡手段の破壊が行われた後に前記痕跡手段に対して当接し、当該破壊部によって破壊された箇所を拡張する拡張部(拡張部814)であることを特徴とする特徴J2に記載の遊技機。
特徴J3によれば、破壊部によって痕跡手段の破壊が行われた後に、拡張部によって破壊部による破壊箇所が拡張される。これにより、破壊箇所の範囲が大きくなるため、痕跡手段の破壊が行われたことを容易に確認することができる。
特徴J4.前記痕跡手段は、一方の面に粘着層(粘着層162)が形成されたベースシート(ベースシート161)を有するシール部材(封印シール844)を備え、
前記シール部材は前記監視対象に設けられた貼付面(貼付領域136)に対して貼り付けられており、
前記破壊部は、前記シール部材において所定の境界を挟んだ第1領域及び第2領域が生じるように当該シール部材を切断することで前記阻害状態を解除するものであり、
前記拡張部は、前記境界が当該境界の延びる方向に対して交差する方向に拡張されるようにするものであることを特徴とする特徴J3に記載の遊技機。
特徴J4によれば、破壊部によってシール部材が切断されることにより阻害状態が解除される。この場合、破壊の痕跡として境界が形成される。これにより、境界が形成されているか否かを確認することで解除手段の変位が行われたか及び特定操作が行われたか否かを把握することができる。
かかる構成において、境界は拡張部によってその延びる方向と交差する方向に広げられる。これにより、破壊箇所としての境界が目立つこととなり、当該境界を容易に確認することができる。よって、上記確認作業の作業性の向上を図ることができる。
特徴J5.前記拡張部は、前記特定方向への前記解除手段の変位に伴って、前記シール部材を前記境界から前記交差する方向であって当該境界に対して離れる向きに沿って徐々に当接するように形成されていることを特徴とする特徴J4に記載の遊技機。
特徴J5によれば、特定方向に解除手段が変位すると、境界が拡張部によって交差する方向に押し広げられる。この場合、拡張部とシール部材との当接範囲が狭くなっているため、シール部材に対して付与する押圧力が高められている。これにより、境界の拡張を容易に行うことができる。
特徴J6.前記拡張部は、前記破壊部において前記特定方向への変位の元側から前記痕跡手段に対して当接することで前記痕跡手段を破壊するエッジに対して前記特定方向の元側の部位に設けられていることを特徴とする特徴J3乃至J5のいずれか1に記載の遊技機。
特徴J6によれば、破壊部において特定方向の先側にエッジが設けられており元側に拡張部が設けられており、両者の位置関係が規定された状態で特定方向への変位が行われる。これにより、解除手段を変位させることによって、自ずとエッジによる破壊が行われた後に拡張部による破壊箇所の拡張が行われる。よって、作業の煩雑さを回避することができる。
特徴J7.前記痕跡手段は、固有の識別情報を記憶した記憶部(ICチップ171)と、前記識別情報を含む電波を発信するアンテナ部(アンテナ部材172)と、を有する電子タグ(ICタグ163)を備えており、
前記拡張部は、前記アンテナ部の少なくとも一部に当接するものであることを特徴とする特徴J3乃至J6のいずれか1に記載の遊技機。
特徴J7によれば、電子タグが設けられていることにより、遊技ホールの管理者等は電子タグから正規の識別情報を受信することができるか否かを確認することで、監視対象を好適に管理することができる。
かかる構成において、アンテナ部の少なくとも一部が拡張部と当接し、当該当接によって破壊される。これにより、アンテナ部の長さ寸法が短くなるため、通信可能距離が短くなる又は通信が不可となる。よって、上記確認作業を行うことにより特定操作が行われたことを把握することができる。
特徴J8.前記痕跡手段は、
固有の識別情報を記憶した記憶部(ICチップ171)と、前記識別情報を含む電波を発信するアンテナ部(アンテナ部材172)と、を有する電子タグ(ICタグ163)と、
一方の面に粘着層(粘着層162)を有するベースシート(ベースシート161)の粘着層側に前記電子タグが取り付けられているシール部材(封印シール844)と、
を備え、
前記シール部材が前記監視対象に対して貼り付けられており、
前記アンテナ部には、破壊された場合に前記識別情報を含む電波の発信を不可とする不可状態発生部(スリット173)が設けられており、
前記解除手段が前記特定方向に変位する場合に、前記破壊部が前記不可状態発生部を破壊するように、当該破壊部と前記シール部材との位置関係が設定されており、
前記拡張部は、前記解除手段が前記特定方向に変位する場合に、前記破壊部によって破壊された破壊箇所を拡張するように、前記シール部材において前記不可状態発生部の周辺の部位に対して当接するものであることを特徴とする特徴J3乃至J7のいずれか1に記載の遊技機。
特徴J8によれば、電子タグが設けられていることにより、遊技ホールの管理者等は電子タグから正規の識別情報を受信することができるか否かを確認することで、監視対象を好適に管理することができる。
かかる構成において、解除手段が特定方向に変位すると、破壊部によって不可状態発生部が破壊され、電波の発信が不可となる。これにより、識別情報の読み取り作業を行えないことを把握することで解除手段の変位及び特定操作が行われたことを認識することができる。
また、破壊部による破壊箇所が拡張部によって拡張されることにより、破壊箇所が目立つようになる。これにより、目視においても解除手段の変位及び特定操作が行われたことを容易に確認することができる。
特徴J9.前記拡張部は、前記痕跡手段が設置される設置箇所(貼付ベース135)の内側であって当該設置箇所を基準として前記痕跡手段が設けられた側の反対側を初期位置として配置されており、
前記拡張部が前記特定方向として前記設置箇所の外側であって前記痕跡手段が設置された側に向けて変位可能となるように、前記痕跡手段の設置箇所において前記拡張部が変位する場合の当該変位の先側の部位には、前記拡張部が通過可能な開口部(拡張領域808)が形成されていることを特徴とする特徴J3乃至J8のいずれか1に記載の遊技機。
特徴J9によれば、拡張部が痕跡手段の内側に配置されていることにより、拡張部が痕跡手段の設置箇所により保護された状態となり、拡張部を破壊する等の不正行為を抑制することができる。これにより、拡張部を設けたことによって生じ得る不正行為を抑制し得る。
さらに、拡張部が痕跡手段の設置箇所の内側に配置されているため、拡張部が痕跡手段の設置箇所の外側に配置されている構成と比較して、全体としてコンパクトになる。これにより、省スペース化を図ることができる。
かかる構成において、解除手段の特定方向への移動が拡張部によって阻害されないように拡張部が通過可能な開口部が設けられている。これにより、拡張部と痕跡手段の設置箇所との干渉が回避されている。
特徴J群は以下の課題に対して効果的である。
パチンコ遊技機やスロットマシン等の遊技機は、遊技制御処理を実行するCPU、遊技制御プログラムが記憶されたROM、遊技の進行により発生する各種データを一時的に記憶するRAM等の各種電子部品が実装された制御基板を備えている。そして、ROMに記憶された制御プログラムに従って、CPUにより遊技機に搭載されている各種遊技機器が制御され、一連の遊技が実行される。
この種の遊技機では、制御基板を正規のものとは異なる不正な制御基板に変更したり、ROM(ROMがCPUと共に1チップ化されている場合には当該チップ)を不正なものに交換したりする等の不正行為の発生が数多く報告されている。
このような不正行為に対処すべく、例えば、基板ボックスに封印構造(いわゆる、カシメ構造)を設けて基板ボックスの開封時には破壊等による開封履歴を残すようにする、又は基板ボックスを構成する複数のケース体を跨ぐように再貼付不可能であり且つ剥がすと痕跡が残る有脆弱性の封印シールを貼り付ける等の不正対策が採用されている。これらの不正対策は、基板ボックスが開封された事実や制御基板が交換された事実を目視確認する場合にその確認作業を補助するものであり、またこのような不正対策の存在により不正行為を躊躇させる効果がある。
また、上記のように目視確認を補助する不正対策以外の新たな不正対策として、例えば、制御基板又は当該制御基板を収容する基板ボックスに、固有ID等の識別情報が記憶されたICチップ部及びアンテナ部を含む電子タグを取り付けた構成が開示されている。
電子タグを取り付けておけば、遊技ホールの管理者などがリーダ装置により識別情報の読取作業を行うことで、制御基板の不正な交換等の発生有無が確認される。このような電子タグを用いた不正対策では、リーダ装置による読み取り結果により不正発見をすることができることから、封印箇所の目視確認に比べて不正発見のための労力は少ないし、不正の見落としも少なくなることが期待される。
上記不正発見のための具体的な構成としては、例えば、基板ボックスの内部空間の開放に際してアンテナ部が切断されるように電子タグを取り付ける構成が考えられる。アンテナ部は動作周波数に応じた最適なものとなるように形成されているため、基板ボックスの内部空間を不正に開放したことに伴ってアンテナ部が切断された場合には、アンテナ部が適切に機能しなくなり識別情報の読取作業が行えなくなることで、当該不正開放が発見し易くなることが期待される。
しかしながら、上記のような目視確認を補助する不正対策や、電子タグを利用した不正対策が適用されていたとしても、前者については基板ボックスの不正開放に際して目視確認を補助するための構成が破壊等されないと、不正発見作業を好適に行うことができない。また、後者についても、基板ボックスの不正開放に際して電子タグからの識別情報の読み取りを良好に行えない状態とならないと、不正発見作業を好適に行うことができない。
なお、上記特徴J群の構成に対して、上記特徴I1乃至I16、I26乃至I33のいずれか1に限定した構成を適用してもよい。
さらに、上記特徴J群の構成に対して、上記特徴A1乃至A43、上記特徴B1、上記特徴C1、上記特徴D1乃至D11、上記特徴E1乃至E15、上記特徴F1、上記特徴G1、上記特徴H1乃至H2、下記特徴K1乃至K7、下記特徴L1乃至L11、下記特徴M1乃至M11のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。この場合、各構成に起因する相乗的な効果を奏し得る。
特徴K1.予め定められた監視対象に対して、前記監視対象の一部の分離操作又は前記監視対象の設置箇所からの移動操作のいずれかである特定操作を阻害するように設けられ、当該阻害状態が解除された場合には、前記特定操作が行われたことの痕跡を残す痕跡状態となる痕跡手段(第7の実施の形態における封印シール844)と、
予め定められた初期位置から予め定められた特定方向に向けて変位することにより前記痕跡手段を破壊し、前記阻害状態を解除する解除手段(第7の実施の形態における破壊用部材810)と、
を備え、
前記痕跡手段には、当該痕跡手段の外周面として所定方向を向く第1外周面(側面領域139)を規定する部位と、当該第1外周面とは異なる方向を向く第2外周面(表面領域137)を規定する部位と、が設けられており、
前記解除手段は、
前記特定方向に変位することにより前記第1外周面を規定する部位を破壊する第1破壊部(第7の実施の形態における破壊ベース部811)と、
前記第1破壊部とは別に設けられ、前記特定方向へ変位することにより前記第2外周面を規定する部位を破壊する第2破壊部(破断部815)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴K1によれば、特定操作を阻害するように痕跡手段が設けられており、特定操作が行われる場合には、痕跡手段の阻害状態が解除される。この場合、痕跡手段によって特定操作が行われたことの痕跡が残るため、当該特定操作が行われたことを特定することができる。これにより、特定操作が行われた場合には、その事実を容易に把握することができる。よって、痕跡手段の機能を好適に発揮させることが可能となる。
また、第1破壊部を有する解除手段が設けられていることにより、痕跡手段の阻害状態の解除を容易に行うことができる。これにより、検査等のために特定操作を行う場合に当該特定操作を好適に行うことができる。
かかる構成において、解除手段を特定方向に変位させると、第1破壊部による破壊箇所とは別に第2破壊部による破壊箇所が形成される。これらの破壊箇所は痕跡手段において相違する外周面上に形成される。これにより、痕跡箇所としての破壊箇所が見易いため、痕跡手段の阻害状態が解除されたことを目視で容易に確認することができる。
特徴K2.前記解除手段が前記特定方向に変位した場合に、前記第1破壊部による破壊の開始タイミングとは異なるタイミングで前記第2破壊部による破壊が開始されるように、前記第2破壊部と前記痕跡手段との位置関係が設定されていることを特徴とする特徴K1に記載の遊技機。
特徴K2によれば、第1破壊部による破壊の開始タイミングと第2破壊部による破壊の開始タイミングとが異なっているため、第1破壊部による痕跡手段の破壊の開始に係る負荷と、第2破壊部による痕跡手段の破壊の開始に係る負荷とが分散されている。これにより、第2破壊部を設けたことによって生じ得る痕跡手段の破壊に係る負荷の局所的な増大化を抑制し得る。
本特徴の具体的な構成としては、例えば「前記特定方向において前記第2破壊部から前記痕跡手段までの最短距離が、前記第1破壊部から前記痕跡手段までの最短距離と異なるように設定されている」構成が考えられる。
特徴K3.前記第1破壊部は、前記初期位置として、前記痕跡手段が設置された設置箇所(貼付ベース135)の内側に前記特定方向への変位が可能な状態で配置されており、
前記第2破壊部は、前記第1破壊部が前記初期位置に配置されている状況において、前記痕跡手段の設置箇所に設けられた開口部(破断部用開口部818)を介して前記痕跡手段の設置箇所の外側であって前記特定方向とは交差する方向に突出するように設けられており、
当該開口部は、前記第2破壊部が前記特定方向へ変位可能となるように前記特定方向に向けて延びるように形成されており、
前記第1外周面を規定する部位は、前記痕跡手段の設置箇所において前記第1破壊部の特定方向への変位の途中位置に設置されており、
前記第2外周面を規定する部位は、前記開口部を跨ぐように設置されることを特徴とする特徴K1又は特徴K2に記載の遊技機。
特徴K3によれば、第1破壊部が痕跡手段の内側に配置されていることにより、第1破壊部が痕跡手段の設置箇所により保護された状態となり、第1破壊部を破壊する等の解除手段への不正行為を抑制することができる。これにより、解除手段を設けたことによって生じ得る不正行為を抑制し得る。
かかる構成において、解除手段が特定方向に変位すると、第1破壊部が第1外周面を規定する部位のうち第1破壊部に対して特定方向の先側に設置されている部位と当接し、当該箇所が破壊される。また、解除手段の変位に伴って第2破壊部も開口部に沿って特定方向へ変位する。この場合、第2外周面を規定する部位のうち開口部に跨っている部位が第2破壊部によって破壊される。これにより、第2外周面を規定する部位が破壊されることとなる。
なお、前記監視対象が搭載される搭載部を備え、前記監視対象は前記搭載部に対して搭載されるものである構成にあっては、前記第2破壊部は前記搭載部が設けられている側とは反対側に突出しているとよい。これにより、遊技ホールの管理者等にとっては第2破壊部が設けられている箇所を目視で確認し易いため、確認作業の作業性の向上を図ることができる。
特徴K4.前記開口部は第1開口部であり、
前記痕跡手段の設置箇所において前記第1破壊部が前記特定方向に変位する場合の当該変位の先側の部位には、前記第1破壊部が通過可能な第2開口部(境界809)が設けられており、
前記第1開口部と前記第2開口部とは連通しており、
前記第1外周面を規定する部位は前記第1開口部及び前記第2開口部の双方に跨って配置されていることを特徴とする特徴K3に記載の遊技機。
特徴K4によれば、第2破壊部が第1開口部に沿って特定方向に変位した場合、第2破壊部による破壊箇所と第1破壊部による破壊箇所とが連続する。これにより、第1破壊部による破壊箇所が拡張されることとなる。よって、破壊箇所が目立つこととなり、特定操作が行われた否かの目視による確認作業を好適に行うことができる。
特徴K5.前記第1破壊部は、前記特定方向に対して交差する方向に中間部を間において両端部が生じるように形成されており、
前記解除手段は、前記第1破壊部の両端部のうち一端側を支点とした状態でそれよりも他端側を傾ける動作を単位動作として、支点となる側が交互に代わるように当該単位動作を繰り返しながら前記解除手段を前記特定方向に変位させることを可能とする単位動作用の構造を備えており、
前記単位動作を可能とするように、前記開口部の周縁と前記第2破壊部との間には所定の隙間が形成されていることを特徴とする特徴K3又は特徴K4に記載の遊技機。
特徴K5によれば、単位動作を行うことにより、一方の端部が支点、他方の端部が力点、他方の端部側の部位と痕跡手段との当接箇所が作用点として機能するため、当接箇所に対する押圧力が高められている。これにより、痕跡手段を容易に破壊することができる。
ここで、開口部と第2破壊部との間には所定の隙間が生じているため、単位動作が行われた場合に第2破壊部と開口部の周縁とが干渉しにくい。これにより、単位動作が第2破壊部によって阻害される不都合を回避することができる。
特徴K6.前記特定操作を制限するように前記監視対象に対して取り付けられ、その制限状態を解除させる場合には予め定められた解除操作を要する特定制限手段(カバー部材861)を備え、
前記解除手段と前記特定制限手段とは別体で設けられており、
前記第2破壊部が前記特定制限手段に設けられた受け部(係合用凹部871)に対して係合することによって両者が連結されており、
前記解除手段は、前記特定制限手段に対して前記解除操作が行われた場合に、それに連動して前記特定方向に変位し、前記痕跡手段を破壊する構成であることを特徴とする特徴K1乃至K5のいずれか1に記載の遊技機。
特徴K6によれば、解除操作が行われることによって阻害状態が解除されるため、メンテナンス時などにおいて正規の特定操作を行う場合の作業性が低下するのを抑制することができる。
また、特定制限手段による解除操作が行われた場合には、痕跡手段が破壊され、解除操作が行われた痕跡が形成されることとなる。これにより、不正行為者が不正な特定操作を行う前段階として不正な解除操作を行った場合には、不正行為者にとって意図しない痕跡が形成されることとなる。よって、不正な解除操作及び不正な特定操作を抑制することができるとともに、仮に当該不正行為が行われた場合には、当該事実を容易に確認することができる。
かかる構成において、解除手段及び特定制限手段は、第2破壊部と特定制限手段に設けられた受け部との係合を介して連結されている。これにより、第2破壊部の多機能化を図ることができる。
特徴K7.前記特定制限手段は、
前記痕跡手段の設置箇所を収容可能な収容領域(内部空間862)を形成する壁部(壁部864,865等)と、
前記収容領域を開口させる開口部(開口部863)と、
を備え、前記監視対象に対して前記開口部側から取り付け方向に移動させることによって取り付けられるものであり、
前記受け部は、前記開口部を基準として前記収容領域の奥側の部位に形成されていることを特徴とする特徴K6に記載の遊技機。
特徴K7によれば、受け部が開口部を基準として収容領域の奥側に形成されている。これにより、第2破壊部と受け部との係合箇所が開口部を基準として奥側に配置されることとなる。これにより、開口部から不正な治具を挿入し、係合を解除する不正行為を抑制し得る。
特徴K8.前記痕跡手段の少なくとも一部と対向し当該痕跡手段を保護するように前記監視対象に対して取り付けられるカバー手段(カバー部材861)を備え、
前記解除手段と前記カバー手段とは別体で設けられており、
前記第2破壊部が前記カバー手段に設けられた受け部(係合用凹部871)に対して係合することによって両者が連結されており、
前記解除手段は、前記カバー手段を前記監視対象から分離させる分離操作が行われた場合に、それに連動して前記特定方向に変位し、前記痕跡手段を破壊する構成であることを特徴とする特徴K1乃至K5のいずれか1に記載の遊技機。
特徴K8によれば、痕跡手段がカバー手段によって保護されている。これにより、痕跡手段へのアクセスが制限されるため、痕跡手段への不正行為を阻止又は躊躇させることが可能となる。この場合、痕跡手段を破壊するために解除手段を変位させる際に、カバー手段が邪魔になる場合がある。この場合、先にカバー手段に対して分離操作を行い、その後解除手段を変位させる必要があり、痕跡手段の阻害状態を解除する場合の作業性の低下が懸念される。
これに対して、本特徴によれば、カバー手段の分離操作に伴って解除手段が変位し、阻害状態が解除される、これにより、痕跡手段の阻害状態を解除する場合の作業性の低下を抑制し得る。また、痕跡手段に対して不正にアクセスするためにカバー手段を不正に分離させた場合には、意図しない痕跡が形成されることとなる。これにより、痕跡手段に対する不正なアクセスを抑制し得る。
ここで、解除手段及びカバー手段は、第2破壊部とカバー手段に設けられた受け部との係合を介して連結されている。これにより、第2破壊部の多機能化を図ることができる。
なお、本特徴に特徴K7に記載の構成を適用してもよい。この場合、「特定制限手段」を「カバー手段」に、「解除操作」を「分離操作」に置き換える。
特徴K群は以下の課題に対して効果的である。
パチンコ遊技機やスロットマシン等の遊技機は、遊技制御処理を実行するCPU、遊技制御プログラムが記憶されたROM、遊技の進行により発生する各種データを一時的に記憶するRAM等の各種電子部品が実装された制御基板を備えている。そして、ROMに記憶された制御プログラムに従って、CPUにより遊技機に搭載されている各種遊技機器が制御され、一連の遊技が実行される。
この種の遊技機では、制御基板を正規のものとは異なる不正な制御基板に変更したり、ROM(ROMがCPUと共に1チップ化されている場合には当該チップ)を不正なものに交換したりする等の不正行為の発生が数多く報告されている。
このような不正行為に対処すべく、例えば、基板ボックスに封印構造(いわゆる、カシメ構造)を設けて基板ボックスの開封時には破壊等による開封履歴を残すようにする、又は基板ボックスを構成する複数のケース体を跨ぐように再貼付不可能であり且つ剥がすと痕跡が残る有脆弱性の封印シールを貼り付ける等の不正対策が採用されている。これらの不正対策は、基板ボックスが開封された事実や制御基板が交換された事実を目視確認する場合にその確認作業を補助するものであり、またこのような不正対策の存在により不正行為を躊躇させる効果がある。
また、上記のように目視確認を補助する不正対策以外の新たな不正対策として、例えば、制御基板又は当該制御基板を収容する基板ボックスに、固有ID等の識別情報が記憶されたICチップ部及びアンテナ部を含む電子タグを取り付けた構成が開示されている。
電子タグを取り付けておけば、遊技ホールの管理者などがリーダ装置により識別情報の読取作業を行うことで、制御基板の不正な交換等の発生有無が確認される。このような電子タグを用いた不正対策では、リーダ装置による読み取り結果により不正発見をすることができることから、封印箇所の目視確認に比べて不正発見のための労力は少ないし、不正の見落としも少なくなることが期待される。
上記不正発見のための具体的な構成としては、例えば、基板ボックスの内部空間の開放に際してアンテナ部が切断されるように電子タグを取り付ける構成が考えられる。アンテナ部は動作周波数に応じた最適なものとなるように形成されているため、基板ボックスの内部空間を不正に開放したことに伴ってアンテナ部が切断された場合には、アンテナ部が適切に機能しなくなり識別情報の読取作業が行えなくなることで、当該不正開放が発見し易くなることが期待される。
しかしながら、上記のような目視確認を補助する不正対策や、電子タグを利用した不正対策が適用されていたとしても、前者については基板ボックスの不正開放に際して目視確認を補助するための構成が破壊等されないと、不正発見作業を好適に行うことができない。また、後者についても、基板ボックスの不正開放に際して電子タグからの識別情報の読み取りを良好に行えない状態とならないと、不正発見作業を好適に行うことができない。
上記特徴K群の構成に対して、上記特徴I1乃至I25のいずれか1に限定した構成を適用してもよい。
さらに、上記特徴K群の構成に対して、上記特徴A1乃至A43、上記特徴B1、上記特徴C1、上記特徴D1乃至D11、上記特徴E1乃至E15、上記特徴F1、上記特徴G1、上記特徴H1乃至H2、上記特徴J1乃至J7、下記特徴L1乃至L11、下記特徴M1乃至M11のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。この場合、各構成に起因する相乗的な効果を奏し得る。
特徴L1.予め定められた監視対象に対して、前記監視対象の一部の分離操作又は前記監視対象の設置箇所からの移動操作のいずれかである特定操作を阻害するように設けられ、当該阻害状態が解除された場合にはその痕跡を残す痕跡手段(第1の実施の形態における封印シール160)と、
当該痕跡手段を破壊し、前記阻害状態を解除する解除手段(第1の実施の形態における破壊用部材210)と、
を備えており、
前記解除手段は、
予め定められた初期位置に設けられ、当該初期位置から予め定められた特定方向に変位することで前記痕跡手段の少なくとも一部を前記特定方向に押し、当該痕跡手段を破壊して前記阻害状態を解除する破壊部(切断部212)と、
少なくとも当該破壊部により前記痕跡手段が押されている状況において前記特定方向とは反対方向から前記痕跡手段に対して当接し、当該破壊部による破壊に際してその押されている箇所が前記特定方向に逃げることを抑制する抑制部(貼付ベース135)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴L1によれば、特定操作を阻害するように痕跡手段が設けられており、特定操作が行われる場合には、痕跡手段の阻害状態が解除される。この場合、痕跡手段によって特定操作が行われたことの痕跡が残るため、当該特定操作が行われたことを特定することができる。これにより、特定操作が行われた場合には、その事実を容易に把握することができる。
ここで、破壊部を初期位置から特定方向に変位させると、痕跡手段が破壊部によって特定方向に押され、当該痕跡手段が破壊される。この場合、抑制部が痕跡手段に対して特定方向とは反対方向から当接し、破壊部によって押されている箇所が特定方向に逃げにくくなっているため、破壊に係る力を痕跡手段に対して好適に付与することが可能となる。これにより、痕跡手段の破壊を容易に行うことができ、痕跡手段の阻害状態の解除を容易に行うことができる。したがって、検査等のために特定操作を行う場合に当該特定操作を好適に行うことができる。
特徴L2.予め定められた監視対象に対して、前記監視対象の一部の分離操作又は前記監視対象の設置箇所からの移動操作のいずれかである特定操作を阻害するように設けられ、当該阻害状態が解除された場合にはその痕跡を残すものであって、シート状に形成された痕跡手段(第1の実施の形態における封印シール160)と、
当該痕跡手段を破壊し、前記阻害状態を解除する解除手段(第1の実施の形態における破壊用部材210)と、
を備えており、
前記解除手段は、
予め定められた初期位置に設けられ、当該初期位置から予め定められた特定方向に変位することで前記痕跡手段の少なくとも一部を前記特定方向に押すことで当該痕跡手段を破壊して前記阻害状態を解除する破壊部(切断部212)と、
少なくとも当該破壊部により前記痕跡手段が押されている状況において前記特定方向とは反対方向から前記痕跡手段に対して当接し、当該破壊部による破壊に際してその押されている箇所が前記特定方向に撓んで逃げることを抑制する抑制部(貼付ベース135)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴L2によれば、特定操作を阻害するように痕跡手段が設けられており、特定操作が行われる場合には、痕跡手段の阻害状態が解除される。この場合、痕跡手段によって特定操作が行われたことの痕跡が残るため、当該特定操作が行われたことを特定することができる。これにより、特定操作が行われた場合には、その事実を容易に把握することができる。
また、痕跡手段はシート状に形成されているため、痕跡手段の設置を容易に行うことができるとともに、痕跡手段が占めるスペースを低減することができる。
ここで、破壊部を初期位置から特定方向に変位させると、痕跡手段が破壊部によって特定方向に押され、当該痕跡手段が破壊される。この場合、抑制部が痕跡手段に対して特定方向とは反対方向から当接し、痕跡手段において破壊部によって押されている箇所が特定方向に撓みにくくなっているため、破壊に係る力を痕跡手段に対して好適に付与することが可能となる。これにより、痕跡手段の破壊を容易に行うことができ、痕跡手段の阻害状態の解除を容易に行うことができる。したがって、検査等のために特定操作を行う場合に当該特定操作を好適に行うことができる。
特徴L3.前記抑制部は、
前記破壊部が入り込み可能に形成されているとともに、前記破壊部に対して前記特定方向の先側に配置された開口部(境界140)と、
当該開口部を挟むように設けられ、前記特定方向に対して交差する交差面(側面領域139)と、
を備え、
前記痕跡手段は、前記開口部を覆う又は跨ぐようにして前記交差面に対して当接しており、
前記破壊部は、前記特定方向に変位する場合、前記開口部に入り込むことで前記痕跡手段において前記開口部を覆っている領域又は跨いでいる領域を破壊し、前記阻害状態を解除するものであることを特徴とする特徴L1又は特徴L2に記載の遊技機。
特徴L3によれば、破壊部を特定方向に変位させると、破壊部が開口部に入り込む。この場合、破壊部と交差面とによって痕跡手段において開口部を覆っている領域又は跨いでいる領域にズレが生じ、当該領域がせん断される。これにより、痕跡手段を容易に破壊することができる。
特徴L4.前記痕跡手段の設置箇所には、その表面にて露出するように前記開口部が形成されているとともに当該開口部を間に挟むようにして前記交差面が形成されており、
前記痕跡手段は、当該痕跡手段の設置箇所に対してその外側から設置されていることで、前記開口部を覆う又は跨ぐようにして前記交差面に当接しており、
前記破壊部は、前記特定方向に変位した場合に前記痕跡手段において前記開口部を覆っている箇所又は跨いでいる箇所に当接するとともに当該痕跡手段の破壊に伴って前記開口部内に入り込む位置が前記初期位置となるように設けられていることを特徴とする特徴L3に記載の遊技機。
特徴L4によれば、破壊部を特定方向に向けて変位させると、痕跡手段の設置箇所に設けられた開口部を覆っている箇所又は跨いでいる箇所に対して破壊部が当接する。この場合、痕跡手段の設置箇所が、破壊部の特定方向への逃げを抑制する抑制部として機能する。これにより、構成の簡素化を図ることができる。
特徴L5.前記破壊部の取り外しを規制した状態で前記初期位置に保持する保持手段(カバー部材191)を備えていることを特徴とする特徴L4に記載の遊技機。
特徴L5によれば、保持手段が設けられているため、仮に破壊部を痕跡手段の設置箇所の外側を初期位置として配置されている場合であっても、当該破壊部の不正な取り外しを抑制することができる。
特徴L6.前記保持手段は、前記破壊部の少なくとも一部を収容可能な収容領域(内部空間192)を区画形成する壁部(壁部194,195等)を有し、当該収容領域内に前記破壊部の少なくとも一部を収容した状態で前記破壊部を保持するものであることを特徴とする特徴L5に記載の遊技機。
特徴L6によれば、破壊部の少なくとも一部が収容領域に収容されるため、破壊部へのアクセスを制限することができる。これにより、破壊部の取り外しを規制することができる。
特徴L7.前記保持手段は、前記破壊部が前記特定方向に変位することにより、前記破壊部の取り外しを規制した状態から当該規制が解除された状態になるように形成されていることを特徴とする特徴L5又は特徴L6に記載の遊技機。
特徴L7によれば、保持手段による破壊部の取り外し規制は、破壊部を初期位置から特定方向へ変位させることによって解除される。これにより、痕跡手段を破壊することなく破壊部を取り外すことが不可又は困難になっているため、痕跡を残すことなく特定操作を行う不正行為を抑制することができる。
特徴L8.前記保持手段は、前記監視対象に設けられた監視対象側係合部(受け部204.205)に対して係合する保持側係合部(爪部201,202)を備え、前記監視対象側係合部と前記保持側係合部とが係合することによって、前記破壊部を当該破壊部の取り外しが規制された状態で前記初期位置にて保持するものであり、
前記監視対象側係合部及び前記保持側係合部の少なくとも一方は、前記破壊部が前記特定方向に変位した場合に、前記係合が解除又は緩められる位置に変位するものであることを特徴とする特徴L7に記載の遊技機。
特徴L8によれば、保持側係合部と監視対象側係合部とが係合することにより、自ずと破壊部が初期位置に配置されるようになっている。これにより、破壊部を初期位置に配置させる作業を容易に行うことができる。
また、破壊部が特定方向に変位すると、前記監視対象側係合部及び前記保持側係合部の少なくとも一方は係合が解除される側に向けて変位する。これにより、破壊部の取り外しの規制が解除され、破壊部の取り外しが可能となる。
特徴L9.前記保持手段は、前記特定方向の先側から前記破壊部に対して当接することで、当該破壊部の前記特定方向への変位を規制するとともに、前記破壊部が前記特定方向に押圧された場合には、当該規制が解除又は緩められる方向に弾性変形する規制部(係合用傾斜部221,222)を備え、
前記保持側係合部は、当該保持側係合部が前記規制部の弾性変形に伴って前記監視対象側係合部との係合が解除される方向に弾性変形するように、前記規制部に対して一体形成されていることを特徴とする特徴L8に記載の遊技機。
特徴L9によれば、規制部によって、特定方向への破壊部の変位が規制される。当該規制部は、破壊部が特定方向に押圧されることによって解除又は緩められる方向に弾性変形する。これにより、破壊部の特定方向への変位が可能となるとともに、保持側係合部が監視対象側係合部との係合が解除される方向に変位し、両者の係合が解除又は緩められる。よって、破壊部を特定方向に押圧することに伴って、保持側係合部と監視対象側係合部との係合が解除される構成の簡素化を図ることができる。
特徴L10.前記監視対象側係合部及び前記保持側係合部の少なくとも一方を係合が解除される位置に変位させるのに要する変位量は、前記破壊部による前記痕跡手段の破壊が開始されるのに要する変位量よりも大きく設定されていることを特徴とする特徴L8又は特徴L9に記載の遊技機。
特徴L10によれば、破壊部による痕跡手段の破壊が開始された後に、保持側係合部と監視対象側係合部との係合が解除される。これにより、破壊部による痕跡手段の破壊が行われる前段階で上記係合が解除され、破壊部が取り外し可能になることを回避することができる。よって、破壊部による痕跡手段の破壊を行うことなく、破壊部を取り外す不正行為を抑制し得る。
特徴L11.前記破壊部は、前記初期位置として前記痕跡手段が設置される設置箇所(貼付ベース135)の内側であって当該設置箇所を基準として前記痕跡手段が設けられる側とは反対側に配置されており、
前記抑制部は、前記交差面として、記痕跡手段の設置箇所と協働して前記痕跡手段を前記特定方向に挟む挟み面を備え、
前記開口部は、前記挟み面のうち前記破壊部の前記特定方向の先側の位置に形成されており、
前記破壊部は、前記開口部を介して前記痕跡手段の設置箇所の外側であって前記痕跡手段が設置される側に変位可能に形成されていることを特徴とする特徴L3に記載の遊技機。
特徴L11によれば、破壊部を設置箇所の内側から外側に変位させることによって、痕跡手段の破壊が行われる。この場合、破壊部を外側に向けて引けばよいため、痕跡手段の阻害状態の解除を容易に行うことができる。
また、破壊部が痕跡手段の内側に配置されていることにより、破壊部が痕跡手段の設置箇所により保護された状態となり、破壊部を破壊する等の解除手段への不正行為を抑制することができる。これにより、解除手段を設けたことによって生じ得る不正行為を抑制し得る。
特徴L群は以下の課題に対して効果的である。
パチンコ遊技機やスロットマシン等の遊技機は、遊技制御処理を実行するCPU、遊技制御プログラムが記憶されたROM、遊技の進行により発生する各種データを一時的に記憶するRAM等の各種電子部品が実装された制御基板を備えている。そして、ROMに記憶された制御プログラムに従って、CPUにより遊技機に搭載されている各種遊技機器が制御され、一連の遊技が実行される。
この種の遊技機では、制御基板を正規のものとは異なる不正な制御基板に変更したり、ROM(ROMがCPUと共に1チップ化されている場合には当該チップ)を不正なものに交換したりする等の不正行為の発生が数多く報告されている。
このような不正行為に対処すべく、例えば、基板ボックスを構成する複数のケース体を跨ぐように再貼付不可能であり且つ剥がすと痕跡が残る有脆弱性の封印シールを貼り付ける等の不正対策が採用されている。当該不正対策は、基板ボックスが開封された事実や制御基板が交換された事実を確認する場合にその確認作業を補助するものであり、またこのような不正対策の存在により不正行為を躊躇させる効果がある。
ここで、遊技場では外部機関等によって制御基板の検査が行われることがあり、当該検査に際して基板ボックスを開放する必要が生じ得る。この場合、封印シールが複数のケース体を跨ぐように貼り付けられている状況においては基板ボックスの開放が封印シールによって阻害されているため、基板ボックスの開放に際して封印シールを剥がす必要が生じ、その作業が煩雑なものとなる。
なお、以上の課題は、基板ボックスの開放操作などの特定操作を阻害するとともに、その阻害状態が解除された場合に、特定操作が行われたことの痕跡を残す痕跡手段を備えた遊技機に共通する課題である。
また、上記特徴L群の構成に対して、上記特徴A1乃至A43、上記特徴B1、上記特徴C1、上記特徴D1乃至D11、上記特徴E1乃至E15、上記特徴F1、上記特徴G1、上記特徴H1乃至H2、上記特徴J1乃至J7、下記特徴M1乃至M11のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。この場合、各構成に起因する相乗的な効果を奏し得る。
特徴M1.予め定められた監視対象に対して、前記監視対象の一部の分離操作又は前記監視対象の設置箇所からの移動操作のいずれかである特定操作を阻害するように設けられ、当該阻害状態が解除された場合には、前記特定操作が行われたことの痕跡を残す痕跡状態となる痕跡手段(第1の実施の形態における封印シール160)と、
前記痕跡手段を破壊することで前記阻害状態を解除する解除手段(第1の実施の形態における破壊用部材210)と、
前記解除手段を前記痕跡手段の設置箇所の外側から予め定められた初期位置に取り付け可能となるように形成されているとともに、当該初期位置にて前記解除手段を予め定められた特定方向に向けて変位可能な状態で保持する保持手段(第1の実施の形態におけるカバー部材191)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴M1によれば、特定操作を阻害するように痕跡手段が設けられており、特定操作が行われる場合には、痕跡手段の阻害状態が解除される。この場合、痕跡手段によって特定操作が行われたことの痕跡が残るため、当該特定操作が行われたことを特定することができる。これにより、特定操作が行われた場合には、その事実を容易に把握することができる。
また、解除手段が設けられていることにより、痕跡手段の阻害状態の解除を容易に行うことができる。これにより、検査等のために特定操作を行う場合に当該特定操作を好適に行うことができる。
かかる構成において、解除手段は痕跡手段の設置箇所の外側から取り付け可能となっているため、解除手段を痕跡手段の設置箇所の内側に取り付ける構成と比較して、解除手段の取り付けを容易に行うことができる。これにより、解除手段を新たに設けることによって生じ得る作業性の低下を抑制することができる。
特徴M2.前記解除手段は、前記初期位置から前記特定方向に変位することで前記痕跡手段と当接する破壊部(切断部212)を有し、当該破壊部が前記痕跡手段に対して当接することで前記痕跡手段を破壊するものであり、
前記保持手段は、前記破壊部の取り外しを規制するとともに前記特定方向への前記破壊部の変位が可能な状態で前記初期位置に保持するものであることを特徴とする特徴M1に記載の遊技機。
特徴M2によれば、保持手段により、破壊部は取り外しが規制された状態で初期位置に保持されている。これにより、破壊部が痕跡手段の設置箇所の外側に配置されている場合であっても当該破壊部の不正な取り外しを抑制し得る。
特徴M3.前記保持手段は、前記破壊部の少なくとも一部を収容可能な収容領域(内部空間192)を区画形成する壁部(壁部194,195等)を有し、当該収容領域内に前記破壊部の少なくとも一部を収容した状態で前記破壊部を保持するものであることを特徴とする特徴M2に記載の遊技機。
特徴M3によれば、破壊部の少なくとも一部が収容領域に収容されるため、破壊部へのアクセスを制限することができる。これにより、破壊部の取り外しを規制することができる。
特徴M4.前記保持手段は、前記破壊部が前記特定方向に変位することにより、前記破壊部の取り外しを規制した状態から当該規制が解除された状態になるように形成されていることを特徴とする特徴M2又は特徴M3に記載の遊技機。
特徴M4によれば、保持手段による破壊部の取り外し規制は、破壊部を初期位置から特定方向へ変位させることによって解除される。これにより、痕跡手段を破壊することなく破壊部を取り外すことが不可又は困難になっているため、痕跡を残すことなく特定操作を行う不正行為を抑制することができる。
特徴M5.前記保持手段は、前記監視対象に設けられた監視対象側係合部(受け部204.205)に対して係合する保持側係合部(爪部201,202)を備え、前記監視対象側係合部と前記保持側係合部とが係合することによって、前記破壊部を当該破壊部の取り外しが規制された状態で前記初期位置にて保持するものであり、
前記監視対象側係合部及び前記保持側係合部の少なくとも一方は、前記破壊部が前記特定方向に変位した場合に、前記係合が解除又は緩められる位置に変位するものであることを特徴とする特徴M4に記載の遊技機。
特徴M5によれば、保持側係合部と監視対象側係合部とが係合することにより、自ずと破壊部が初期位置に配置されるようになっている。これにより、破壊部を初期位置に配置させる作業を容易に行うことができる。
また、破壊部が特定方向に変位すると、前記監視対象側係合部及び前記保持側係合部の少なくとも一方は係合が解除される側に向けて変位する。これにより、破壊部の取り外しの規制が解除され、破壊部の取り外しが可能となる。
特徴M6.前記保持手段は、前記特定方向の先側から前記破壊部に対して当接することで、当該破壊部の前記特定方向への変位を規制するとともに、前記破壊部が前記特定方向に押圧された場合には、当該規制が解除又は緩められる方向に弾性変形する規制部(係合用傾斜部221,222)を備え、
前記保持側係合部は、当該保持側係合部が前記規制部の弾性変形に伴って前記監視対象側係合部との係合が解除される方向に弾性変形するように、前記規制部に対して一体形成されていることを特徴とする特徴M5に記載の遊技機。
特徴M6によれば、規制部によって、特定方向への破壊部の変位が規制される。当該規制部は、破壊部が特定方向に押圧されることによって解除又は緩められる方向に弾性変形する。これにより、破壊部の特定方向への変位が可能となるとともに、保持側係合部が監視対象側係合部との係合が解除される方向に変位し、両者の係合が解除又は緩められる。よって、破壊部を特定方向に押圧することに伴って、保持側係合部と監視対象側係合部との係合が解除される構成を比較的容易に実現することができる。
特徴M7.前記監視対象側係合部及び前記保持側係合部の少なくとも一方を前記係合が解除される位置に変位させるのに要する変位量は、前記破壊部による前記痕跡手段の破壊が開始されるのに要する変位量よりも大きく設定されていることを特徴とする特徴M5又は特徴M6に記載の遊技機。
特徴M7によれば、破壊部による痕跡手段の破壊が開始された後に、保持側係合部と監視対象側係合部との係合が解除される。これにより、破壊部による痕跡手段の破壊が行われる前段階で上記係合が解除され、破壊部が取り外し可能になることを回避することができる。よって、破壊部による痕跡手段の破壊を行うことなく、破壊部を取り外す不正行為を抑制し得る。
特徴M8.前記解除手段は、
前記初期位置から前記特定方向に向けて変位することで前記痕跡手段の少なくとも一部を前記特定方向に押し、当該痕跡手段を破壊して前記阻害状態を解除する破壊部(切断部212)と、
少なくとも当該破壊部により前記痕跡手段が押されている状況において前記特定方向とは反対方向から前記痕跡手段に対して当接し、当該破壊部による破壊に際してその押されている箇所が前記特定方向に逃げることを抑制する抑制部(貼付ベース135)と、
を備えていることを特徴とする特徴M1乃至M7のいずれか1に記載の遊技機。
特徴M8によれば、解除手段を初期位置から特定方向に変位させると、痕跡手段が破壊部によって特定方向に押されて、当該痕跡手段が破壊される。この場合、抑制部が痕跡手段に対して特定方向とは反対方向から当接し、破壊部によって押されている箇所が特定方向に逃げにくくなっているため、破壊に係る力を痕跡手段に対して好適に付与することが可能となる。これにより、痕跡手段の破壊を容易に行うことができ、痕跡手段の阻害状態の解除を容易に行うことができる。したがって、検査等のために特定操作を行う場合に当該特定操作を好適に行うことができる。
特徴M9.前記痕跡手段はシート状に形成されており、
前記解除手段は、
前記初期位置から前記特定方向に向けて変位することで前記痕跡手段の少なくとも一部を前記特定方向に押し、当該痕跡手段を破壊して前記阻害状態を解除する破壊部(切断部212)と、
少なくとも当該破壊部により前記痕跡手段が押されている状況において前記特定方向とは反対方向から前記痕跡手段に対して当接し、当該破壊部による破壊に際してその押されている箇所が前記特定方向に撓んで逃げることを抑制する抑制部(貼付ベース135)と、
を備えていることを特徴とする特徴M1乃至M7のいずれか1に記載の遊技機。
特徴M9によれば、痕跡手段がシート状に形成されているため、痕跡手段の設置を比較的容易に行うことができるとともに、痕跡手段が占めるスペースを小さくすることができる。
ここで、解除手段を初期位置から特定方向に変位させると、痕跡手段が破壊部によって特定方向に押されて、当該痕跡手段が破壊される。この場合、抑制部が痕跡手段に対して特定方向とは反対方向から当接し、破壊部によって押されている箇所が特定方向に撓んで逃げることが抑制されているため、破壊に係る力を痕跡手段に対して好適に付与することが可能となる。これにより、痕跡手段の破壊を容易に行うことができ、痕跡手段の阻害状態の解除を容易に行うことができる。したがって、検査等のために特定操作を行う場合に当該特定操作を好適に行うことができる。
特徴M10.前記抑制部は、
前記破壊部が入り込み可能に形成されているとともに、前記破壊部に対して前記特定方向の先側に配置された開口部(境界140)と、
当該開口部を挟むように設けられ、前記特定方向に対して交差する交差面(側面領域139)と、
を備え、
前記痕跡手段は前記開口部を覆う又は跨ぐようにして前記交差面に対して当接しており、
前記破壊部は、前記特定方向に変位する場合、前記開口部に入り込むことで前記痕跡手段において前記開口部を覆っている領域又は跨いでいる領域を破壊し、前記阻害状態を解除するものであることを特徴とする特徴M8又は特徴M9に記載の遊技機。
特徴M10によれば、破壊部を特定方向に変位させると、破壊部が開口部に入り込む。この場合、破壊部と交差面とによって痕跡手段において開口部を覆っている領域又は跨いでいる領域にズレが生じ、当該領域がせん断される。これにより、痕跡手段を容易に破壊することができる。
特徴M11.前記痕跡手段の設置箇所には、その表面にて露出するように前記開口部が形成されているとともに当該開口部を間に挟むようにして前記交差面が形成されており、
前記痕跡手段は、当該痕跡手段の設置箇所に対してその外側から設置されていることで、前記開口部を覆う又は跨ぐようにして前記交差面に当接しており、
前記破壊部は、前記特定方向に変位した場合に前記痕跡手段において前記開口部を覆っている箇所又は跨いでいる箇所に当接するとともに当該痕跡手段の破壊に伴って前記開口部内に入り込む位置が前記初期位置となるように設けられていることを特徴とする特徴M10に記載の遊技機。
特徴M11によれば、破壊部を特定方向に向けて変位させると、痕跡手段の設置箇所に設けられた開口部を覆っている箇所又は跨いでいる箇所に対して破壊部が当接する。この場合、痕跡手段の設置箇所が、破壊部の特定方向への逃げを抑制する抑制部として機能する。これにより、構成の簡素化を図ることができる。
特徴M群は以下の課題に対して効果的である。
パチンコ遊技機やスロットマシン等の遊技機は、遊技制御処理を実行するCPU、遊技制御プログラムが記憶されたROM、遊技の進行により発生する各種データを一時的に記憶するRAM等の各種電子部品が実装された制御基板を備えている。そして、ROMに記憶された制御プログラムに従って、CPUにより遊技機に搭載されている各種遊技機器が制御され、一連の遊技が実行される。
この種の遊技機では、制御基板を正規のものとは異なる不正な制御基板に変更したり、ROM(ROMがCPUと共に1チップ化されている場合には当該チップ)を不正なものに交換したりする等の不正行為の発生が数多く報告されている。
このような不正行為に対処すべく、例えば、基板ボックスを構成する複数のケース体を跨ぐように再貼付不可能であり且つ剥がすと痕跡が残る有脆弱性の封印シールを貼り付ける等の不正対策が採用されている。当該不正対策は、基板ボックスが開封された事実や制御基板が交換された事実を確認する場合にその確認作業を補助するものであり、またこのような不正対策の存在により不正行為を躊躇させる効果がある。
ここで、遊技場では外部機関等によって制御基板の検査が行われることがあり、当該検査に際して基板ボックスを開放する必要が生じ得る。この場合、封印シールが複数のケース体を跨ぐように貼り付けられている状況においては基板ボックスの開放が封印シールによって阻害されているため、基板ボックスの開放に際して封印シールを剥がす必要が生じ、その作業が煩雑なものとなる。
なお、以上の課題は、基板ボックスの開放操作などの特定操作を阻害するとともに、その阻害状態が解除された場合に、特定操作が行われたことの痕跡を残す痕跡手段を備えた遊技機に共通する課題である。
また、上記特徴M群の構成に対して、上記特徴A1乃至A43、上記特徴B1、上記特徴C1、上記特徴D1乃至D11、上記特徴E1乃至E15、上記特徴F1、上記特徴G1、上記特徴H1乃至H2、上記特徴J1乃至J7、上記特徴L1乃至L11のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。この場合、各構成に起因する相乗的な効果を奏し得る。
以下に、以上の各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路と、遊技領域内に配置された各遊技部品とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
スロットマシン等の回胴式遊技機:複数の絵柄を可変表示させる絵柄表示装置を備え、始動操作手段の操作に起因して前記複数の絵柄の可変表示が開始され、停止操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより前記複数の絵柄の可変表示が停止され、その停止後の絵柄に応じて遊技者に特典を付与する遊技機。