JP2018084524A - 疥癬の検査方法、並びにそれに用いる薬剤及びデバイス - Google Patents

疥癬の検査方法、並びにそれに用いる薬剤及びデバイス Download PDF

Info

Publication number
JP2018084524A
JP2018084524A JP2016228566A JP2016228566A JP2018084524A JP 2018084524 A JP2018084524 A JP 2018084524A JP 2016228566 A JP2016228566 A JP 2016228566A JP 2016228566 A JP2016228566 A JP 2016228566A JP 2018084524 A JP2018084524 A JP 2018084524A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antibody
vitellogenin
mite
protein
human
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016228566A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6749221B2 (ja
Inventor
照夫 芥
Teruo Akuta
照夫 芥
啓太郎 今泉
Keitaro Imaizumi
啓太郎 今泉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyokuto Pharmaceutical Industrial Co Ltd
Original Assignee
Kyokuto Pharmaceutical Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyokuto Pharmaceutical Industrial Co Ltd filed Critical Kyokuto Pharmaceutical Industrial Co Ltd
Priority to JP2016228566A priority Critical patent/JP6749221B2/ja
Publication of JP2018084524A publication Critical patent/JP2018084524A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6749221B2 publication Critical patent/JP6749221B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

【課題】 疥癬を効率的に検査しうる方法、並びにそれに用いる薬剤及びデバイスを提供すること。【解決手段】ヒトの疥癬の原因であるヒトヒゼンダニに由来するビテロジェニン様たん白質を抗原とする抗体を作製した。そして、該抗体を用いた、イムノクロマトグラフィー等の免疫学的手法により、ヒトに寄生するヒトヒゼンダニのみならず、他の動物に寄生するヒゼンダニをも精度高く検出できることを見出した。【選択図】 なし

Description

本発明は、疥癬の検査方法、並びにそれに用いる薬剤及びデバイスに関し、より詳しくは、ヒトヒゼンダニ由来のビテロジェニン様たん白質を認識する抗体を用いた疥癬の検査方法、並びに前記抗体を含む疥癬を検査するための薬剤及びデバイスに関する。
疥癬は、ヒゼンダニ(疥癬虫、Sarcoptes scabiei)という小さなダニが人の皮膚の角質層に寄生しておこる皮膚疾患である。その感染・発症は、老若男女問わず幅広い年齢層で見られるが、発症者の殆どは、免疫力が低下した高齢者である。そのため、最近は、老人病院や養護老人ホーム等の急増に伴い、老人とその介護者に発症が増える傾向にある。特に、高齢者や免疫不全者等に見られるノルウエー疥癬(角化型疥癬)では寄生するヒゼンダニ数が通常疥癬の1000倍以上となり、治療が困難になることも多い。また、疥癬は、湿疹等の他の皮膚疾患と誤って診断されるケースが多い。そして、このような場合、ステロイド剤が疥癬患者に誤って処方され、該薬剤投与による免疫抑制によって症状の悪化を引き起こすことが多々あり、ひいては重篤型の前記ノルウエー疥癬に移行してしまうこともある。このような疥癬における誤診による症状の悪化は、養護老人ホームといった閉鎖環境と相俟って集団感染を引き起こす例も報告されており、今後の超高齢化社会における大きな問題として懸念されている。
この背景には、疥癬の診断が、ダーマスコープによる疥癬トンネル(ヒゼンダニの通り道)の確認といった皮膚表面の目視と、皮膚組織の顕微鏡診断という旧態依然の方法にのみ依拠していることが考えられる。また、現実には皮膚科医が現場で運よく診察する機会は限られるため、他科の医師に見過ごされたり他の皮膚疾患と誤診されたりすることが原因にあると考えられる。さらに、疥癬の検出確率は、50%以下であるとの報告もある(非特許文献1)。そのため、疥癬の精度の高い検査法の確立が希求されている。
また、養護老人ホーム等の介護現場では、疥癬の診断を現場で迅速にできず皮膚科医のいる病院に搬送することが必要である。入居老人が皮膚科医を受診する場合、家族側もその都度、対応が必要な場合もあり負担となる。スタッフ側は搬送する手間や時間的拘束もあり、いったん施設で蔓延すると収拾対策コストも経営を圧迫する場合もある。そのため、インフルエンザの検査並みの迅速な検査を待望する家族や養護老人ホーム等からの切実なる意見もある。
このような状況下、医師の指示のもと看護職や介護職のスタッフでも簡便かつ容易に取り扱うことができる感染の検査方法が構築できれば、医療現場において、疥癬の診断を極めて効率的に行うことが可能となる。このことは、ひいては、患者のみならず介護関係者の現場の負担軽減や経営コストの低減、患者家族の負担軽減にもつながり、社会的意義が大きい。しかしながら、そのような疥癬の検査方法が確立されていないのが現状である。
Shelley F.Waltonら、Clinical Microbiology Reviews,2007年、20巻、2号、268〜279ページ Katja Fischerら、Am.J.Trop.Med.Hyg.、2003年、68巻、1号、61〜64ページ
本発明は、前記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、疥癬を効率的に検査しうる方法、並びにそれに用いる薬剤及びデバイスを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成すべく、感染部位に残存するヒゼンダニ由来の物質を抗原・抗体反応によって検出する方法につき鋭意検討を行った。
ヒゼンダニは、1匹の雌から約10個の卵が表皮の疥癬トンネル内に産卵される。そのため、成虫がいなくとも卵の抜け殻だけが表皮中に残存していることが想定される。そこで、検出対象として、卵の構成成分として推定されるたん白質の中でもビテロジェニン様たん白質に着目し、これを抗原とする抗体の作製を試みた。
ヒトに感染するヒゼンダニ(ヒトヒゼンダニ)由来のビテロジェニン様たん白質をコードする遺伝子の部分ヌクレオチド配列については、非特許文献2において報告されている。本発明者らは、この配列がコードするアミノ酸配列(174アミノ酸)から、疎水性、親水性、表面露出度等を考慮した独自のアルゴリズムに基づき、29アミノ酸からなるペプチドを抗原として選抜し、該ペプチドをウサギに免疫してポリクローナル抗体を作製した。
そして、得られた抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体を用い、ウエスタンブロッティングを行ったところ、驚くべきことに、ヒトヒゼンダニのみならず、タヌキに寄生するヒゼンダニ(タヌキヒゼンダニ)も検出できることが明らかになった。
さらに、ウエスタンブロッティングのみならず、抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体を用いたイムノクロマトグラフィーによっても、ヒトヒゼンダニ及びタヌキヒゼンダニを検出できることを見出した。イムノクロマトグラフィーは、短時間で一連の抗原・抗体反応を同時に行うことができることから、前記抗体を用いたイムノクロマトグラフィーによって、効率的にヒゼンダニの存在を検出できることも明らかになった。
また、前記イムノクロマトグラフィーにおいて、抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体は、家屋内等のヒトの身近に生息するチリダニについては認識しなかった。このことから、当該抗体はヒゼンダニを極めて特異性高く検出できることも見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ヒトヒゼンダニ由来のビテロジェニン様たん白質を認識する抗体を用いた疥癬の検査方法、並びに前記抗体を含む疥癬を検査するための薬剤及びデバイスに関するものであり、より詳しくは、以下を提供するものである。
<1> 被検体から分離された試料に、ヒトヒゼンダニ由来のビテロジェニン様たん白質を認識する抗体を接触させ、該試料における該ビテロジェニン様たん白質を免疫学的に検出することを特徴とする、疥癬の検査方法。
<2> 前記免疫学な検出をイムノクロマトグラフィーにより行う、<1>に記載の方法。
<3> ヒトヒゼンダニ由来のビテロジェニン様たん白質を認識する抗体を含む、疥癬を検査するための薬剤。
<4> 前記抗体に標識物質が付加されている、<3>に記載の薬剤。
<5> ヒトヒゼンダニ由来のビテロジェニン様たん白質を認識する抗体が固定化されている担体を含む、疥癬を検査するためのデバイス。
<6> イムノクロマトグラフィーにより疥癬を検査するためのデバイスであって、前記担体がクロマト展開用膜担体であり、前記抗体が該担体に固定化されて検出部を構成する、<5>に記載のデバイス。
本発明によれば、ヒトヒゼンダニに由来するビテロジェニン様たん白質に対する抗体を利用した免疫学的手法によって、疥癬を効率的に検査することが可能となる。また、本発明によれば、異なる動物に寄生するヒゼンダニをも検出することができるため、汎用性が高い。さらに、本発明において、イムノクロマトグラフィーを用いることにより、精度のみならず、簡便、容易かつ迅速に疥癬を検査することも可能となる。
本発明の疥癬をイムノクロマトグラフィーにより検査するためのデバイスの好適な一実施形態を示す、概略平面図である。 図1で示されたデバイスを図1のI−II線に沿って切断した場合の切断面を示す、概略縦断部端面図である。 図1で示されたデバイスを収納するためのケースの好適な一実施形態を示す、概略平面図である。 図3で示されたケースを図3のI−II線に沿って切断した場合の切断面を示す、概略縦断部端面図である。 ヒトヒゼンダニ由来のビテロジェニン様たん白質の部分ペプチド(リコンビナントヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質)を発現させた大腸菌を、SDS−PAGEによって解析した結果を示す、写真である。図中、レーン1は、前記たん白質を発現させていない大腸菌(BL21(DE3)pLysS)のライセートをSDS−PAGEした結果を示し、レーン2は、前記たん白質を発現させた大腸菌(BL21(DE3)pLysS/pET−eX−vitellogenin C)のライセートをSDS−PAGEした結果を示し、レーンMは分子量を示すマーカーレーンである(図中の表記については、図6においても同様)。 抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体を用いたウエスタンブロッティングによって、リコンビナントヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質を検出した結果を示す、写真である。 抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体を用いたウエスタンブロッティングによって、タヌキヒゼンダニ成虫と卵のライセート中のビテロジェニン様たん白質を検出した結果を示す、写真である。図中、レーン1は、タヌキヒゼンダニ成虫のライセートをSDS−PAGEした結果を示し、レーン2は、タヌキヒゼンダニ卵のライセートをSDS−PAGEした結果を示し、レーンMは分子量を示すマーカーレーンである。
<疥癬の検査方法>
本発明は、被検体から分離された試料に、ヒトヒゼンダニ由来のビテロジェニン様たん白質を認識する抗体(以下、「抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体」とも称する)を接触させ、該試料における該ビテロジェニン様たん白質を免疫学的に検出することを特徴とする、疥癬の検査方法を提供する。
本発明において「ヒゼンダニ」とは、無気門亜目ヒゼンダニ科に属するダニ(学名:Sarcoptes scabiei)を意味し、「ヒトヒゼンダニ」とはヒトに寄生するヒゼンダニを意味する。また「疥癬」とは、ヒゼンダニが寄生して生じる皮膚疾患を意味し、一般的な疥癬(通常疥癬)のみならず、より重篤な疥癬(ノルウェー疥癬、角化型疥癬、痂皮型疥癬)も含む意である。
本発明における「ビテロジェニン様たん白質」は、ヒゼンダニの卵を構成すると推定されるたん白質の一つである。ヒトヒゼンダニ由来のビテロジェニン様たん白質(以下「ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質」とも称する)は、典型的に、配列番号:1に記載のアミノ酸配列(Genbankアクセッション番号:AAO15611にて特定されるアミノ酸配列)を含むたん白質である。また、自然界においてヌクレオチド配列が変異することにより、たん白質のアミノ酸配列の変化が生じ得ることは理解されたい。
本発明の検査に供される「被検体」は、疥癬に罹患している動物のみならず、疥癬に罹患している疑いのある動物を含む意である。ここで「動物」とは、ヒゼンダニが寄生し得る動物であればよく、例えば、哺乳類、鳥類が挙げられ、より具体的には、ヒト、タヌキ、イヌ、ネコ、ウサギ、ウマ、ウシ、インコ、ニワトリが挙げられる。「試料」としては、ヒゼンダニが存在し得る試料である限り特に制限はなく、例えば、前記動物由来の皮膚組織(皮膚擦過、皮膚落屑等)、該組織から抽出されたヒゼンダニ含有画分が挙げられる。皮膚組織からのヒゼンダニ含有画分抽出方法としては特に制限はなく、例えば、後述の実施例に記載のように、皮膚組織をたん白質分解酵素(パパイン等)及び界面活性剤(SDS)にて処理した後に、濾過処理を施す工程を含む方法が挙げられる。
本発明の疥癬を検査する方法としては、公知の抗体を用いて検出する方法(免疫学的手法)を用いることができる。免疫学的手法としては、イムノクロマトグラフィー、ウエスタンブロッティング、ラテックス凝集法、ELISA法、フローサイトメトリー、イメージングサイトメトリー、ラジオイムノアッセイ、免疫組織化学的染色法、免疫沈降法、抗体アレイを用いた解析法が挙げられる。本発明に用いる免疫学的手法としては、簡便、容易かつ迅速に抗原を検出できるという観点から、イムノクロマトグラフィーが好適である。
本発明において用いられる「抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体」は、ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質を認識する限り、特に制限はないが、好ましくは、ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質において配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなる領域を認識する抗体であり、より好ましくは、ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質において配列番号:3に記載のアミノ酸配列からなる領域を認識する抗体である。ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質を認識するか否かは、例えば、後述の実施例に記載の通り、当業者であれば、免疫学的手法(ELISA法、ウエスタンブロッティング、イムノクロマトグラフィー等)を用いて評価することが可能である。
本発明において用いられる抗体は、例えば、IgG、IgM、IgA、IgD、IgE、IgY等のいずれのアイソタイプであってもよい。このような抗体はまた、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体(例、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体)、それらの抗体断片であってもよい。抗体断片は、例えば、F(ab’)、Fab’、Fab、Fv、単鎖抗体、ダイアボディー等が挙げられるが、これらに限定されない。
ポリクローナル抗体の作製においては、後述の実施例に記載のように、抗原(ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質、その部分ペプチド、またはこれらを発現する細胞等)で免疫動物(ウサギ、ラット、マウス、ニワトリ、ハムスター、サル、ヤギ、ヒツジ、ロバ、ラクダ、アルパカ等)に抗原として精製したヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質やその部分ペプチドを免疫(繰り返し注入等)することにより、免疫反応によって、ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質を認識する抗体を産生させる。次いで、動物から血液(抗血清)を採取すればよい。またその抗血清から、硫安塩析法、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過、アフィニティークロマトグラフィー、遠心分離、透析等の公知の方法を適宜選択して、又はこれらを組み合わせることにより、抗体を精製してもよい。
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法や組換えDNA法等、公知の方法によって作製することができる。
ハイブリドーマ法としては、代表的には、コーラー及びミルスタインの方法(Kohler&Milstein,Nature,256:495(1975))が挙げられる。この方法における細胞融合工程に使用される抗体産生細胞は、抗原(ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質、その部分ペプチド、またはこれらを発現する細胞等)で免疫された動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、サル、ヤギ、ヒツジ、ロバ、ラクダ、アルパカ、ニワトリ)の脾臓細胞、リンパ節細胞、末梢血白血球等である。免疫されていない動物から予め単離された上記の細胞又はリンパ球等に対して、抗原を培地中で作用させることによって得られた抗体産生細胞も使用することが可能である。ミエローマ細胞としては公知の種々の細胞株を使用することが可能である。抗体産生細胞及びミエローマ細胞は、それらが融合可能であれば、異なる動物種起源のものでもよいが、好ましくは、同一の動物種起源のものである。ハイブリドーマは、例えば、抗原で免疫されたマウスから得られた脾臓細胞と、マウスミエローマ細胞との間の細胞融合により産生され、その後のスクリーニングにより、ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質に特異的なモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを得ることができる。ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質を認識するモノクローナル抗体は、ハイブリドーマを培養することにより、また、ハイブリドーマを投与した哺乳動物の腹水から、取得することができる。
組換えDNA法は、上記抗体をコードするDNAをハイブリドーマやB細胞等からクローニングし、適当なベクターに組み込んで、これを宿主細胞(例えば、哺乳類細胞株、大腸菌、酵母細胞、昆虫細胞、植物細胞等)に導入し、組換え抗体として産生させる手法である(例えば、P.J.Delves,Antibody Production:Essential Techniques,1997 WILEY、P.Shepherd and C.Dean Monoclonal Antibodies,2000 OXFORD UNIVERSITY PRESS、Vandamme A.M. et al.,Eur.J.Biochem.192:767−775(1990))。抗体をコードするDNAの発現においては、重鎖又は軽鎖をコードするDNAを別々に発現ベクターに組み込んで宿主細胞を形質転換してもよく、重鎖及び軽鎖をコードするDNAを単一の発現ベクターに組み込んで宿主細胞を形質転換してもよい(WO94/11523号公報 参照)。組換え抗体は、上記宿主細胞を培養し、宿主細胞内または培養液から分離・精製し、実質的に純粋で均一な形態で取得することができる。抗体の分離・精製は、通常のポリペプチドの精製で使用されている方法を使用することができる。トランスジェニック動物作製技術を用いて、抗体遺伝子が組み込まれたトランスジェニック動物(ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ等)を作製すれば、そのトランスジェニック動物のミルクから、抗体遺伝子に由来するモノクローナル抗体を大量に取得することも可能である。
本発明において用いられる抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体としては、標識物質を付加させた抗体を使用することができる。標識物質としては、抗体に付加させて検出できるものであれば特に制限はないが、例えば、後述の呈色標識物質、アルカリホスファターゼ(ALP)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、βガラクトシダーゼ(β−gal)等の酵素、125I等の放射性同位元素、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)やローダミンイソチオシアネート(RITC)等の蛍光色素、アロフィコシアニン(APC)やフィコエリスリン(R−PE)等の蛍光蛋白質、アビジン、ビオチンが挙げられる。なお、標識物質として酵素を用いた場合には、基質として、発色基質、蛍光基質、あるいは化学発光基質等を添加することにより、基質に応じて種々の検出を行うことができる。
標識物質を付加させた抗体を用いて直接的にヒゼンダニビテロジェニン様たん白質を検出する方法以外に、抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体には標識物質を結合せず、標識物質が結合した二次抗体等を利用して間接的に検出する方法を利用することもできる。ここで「二次抗体」とは、抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体に対して反応性を示す抗体である。例えば、抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体をウサギ抗体として調製した場合には、二次抗体として抗ウサギIgG抗体を使用することができる。ヤギ、マウス、ラット等の様々な生物種に由来する抗体に対して、使用可能な標識二次抗体が市販されており、抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体の由来する生物種に応じて、適切な二次抗体を選択して使用することができる。二次抗体に代えて、標識物質を結合させたプロテインGやプロテインA等を用いることも可能である。
抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体と標識物質との付加には、ビオチン−アビジン系を利用することもできる。この方法においては、例えば、抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体をビオチン化し、これに、アビジン化した標識物質を作用させ、ビオチンとアビジンの相互作用を利用して、抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体に標識物質を付加させる。
本発明において用いられる抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体としては、担体に固定化されている抗体も使用することができる。担体としては、例えば、磁性粒子やラテックス粒子等の粒子、プラスチックプレート等のプレート、ニトロセルロース等の繊維状物質を用いることができる。
抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体は担体に直接固定してもよいが、間接的に固定してもよい。例えば、当該抗体に結合する物質を担体に固定し、当該物質に前記抗体を結合させることにより、前記抗体を担体に間接的に固定することができる。前記抗体に結合する物質としては、例えば、上記の二次抗体、プロテインG、プロテインA等が挙げられるが、これらに制限されない。また、抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体がビオチン化されている場合には、アビジン化した担体を利用することができる。
<疥癬を検査するための薬剤、デバイス等>
本発明は、疥癬を検査するための薬剤であって、上述の抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体を含む薬剤を提供する。本発明の薬剤に含まれる抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体は、上述の通り、標識物質が結合したものであってもよい。
また、本発明は、疥癬を検査するためのデバイスであって、上述の抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体を含むデバイスを提供する。本発明のデバイスに含まれる抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体は、上述の通り、担体に固定化しているものであってもよい。
また、本発明の薬剤及びデバイスにおいては、抗体の他、必要に応じて、滅菌水、生理食塩水、緩衝剤、保存剤等、他の成分を含むことができる。
また、本発明は、疥癬を検査するためのキットを提供する。本発明のキットは、少なくとも上述の抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体を抗体標品として含むが、さらに、ビテロジェニン様たん白質等の対照試薬、試料の調製液、試料の希釈液、洗浄液等を組み合わせることができる。酵素標識を利用した場合には、標識の検出に必要な基質や反応停止液等を含めることができる。また、抗体を標識しない場合には、例えば、当該抗体に付加する物質を標識したものをキットに含めることができる。また、抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体がビオチン化されている場合には、例えば、アビジン化された標識物質をキットに含めることができる。本発明のキットには、さらに、当該キットの使用説明書を含めることができる。
本発明の薬剤、デバイス、キットは、例えば、体外診断用医薬品として、疥癬の検査に利用することができる。
<イムノクロマトグラフィー用デバイス>
本発明の疥癬を検査するためのデバイスの好適な一態様として、抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体が固定化されているクロマト展開用膜担体を含み、前記抗体が該担体に固定化されて検出部を構成する、イムノクロマトグラフィー用デバイス(以下「イムノクロマトグラフィー用デバイス」とも称する)が挙げられる。
本発明において、抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体が固定化されている「クロマト展開用膜担体」としては、抗体を固定化することができ、かつイムノクロマトグラフィーに供される試料を毛細管現象により展開できる材質からなる膜であればよい。かかる材質としては、例えば、ニトロセルロース等のセルロース類、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン類、ガラスファイバーが挙げられる。また、本発明の膜担体の孔径は、特に制限されることなく、試料の展開速度等を考慮して適宜調節すればよく、例えば、0.1〜10μmである。
膜担体における「検出部」とは、当該膜担体において展開された試料中のヒゼンダニビテロジェニン様たん白質又はその部分ペプチドを捕捉し、検出するための部位である。したがって、「検出部」は、膜担体において下流側に配置されている必要がある。なお、本発明において、上流側及び下流側とは、試料が膜担体を展開していく流れの上流側(後述の図1及び2においては、左側)及び下流側(後述の図1及び2においては、右側)を各々意味する。また、検出部の形状としては特に制限はなく、例えば、円状であってもよく、膜担体を横断するライン状であってもよい。
また「検出部」は、抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体が固定化されて構成される部位であるが、固定化の方法としては特に制限はなく、例えば、物理吸着、静電的相互作用、疎水的相互作用又は架橋剤を利用する方法が挙げられる。また、抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体の固定化量は、膜担体の材質、該抗体との結合性、後述の標識物質の種類等に合わせて適宜調整すればよく、例えば、1ng〜1μgである。
本発明のイムノクロマトグラフィーにおいては、前述の抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体(以下「捕捉用抗体」とも称する)が固定化されているクロマト展開用膜担体において、上述の試料を、標識物質が付加されている抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体(以下「標識抗体」とも称する)に接触させた後、当該試料を前記検出部に向けて展開させ、当該検出部において前記標識物質を検出する。
本発明のイムノクロマトグラフィーにおいて、捕捉用抗体と標識抗体とは共にヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質を認識する限り、同一の抗体であってもよく、異なる抗体であってもよいが、ヒゼンダニビテロジェニン様たん白質を非競合的に捕捉、検出することができるという観点から、異なる抗体であることが好ましい。異なる抗体としては、例えば、捕捉用抗体が抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質モノクローナル抗体であり、標識抗体が当該捕捉用抗体の認識する部位(エピトープ)とは異なる部位を認識する抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質モノクローナル抗体であるという組み合わせが挙げられる。
抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体に付加される「標識物質」としては、上述の通りであるが、好ましくは、呈色標識物質である。呈色標識物質としては、例えば、金コロイド、白金コロイド、銀コロイド、セレンコロイド、テルルコロイド等のコロイド状金属、赤色及び青色等のそれぞれの顔料で着色されたポリスチレンラテックス等の合成ラテックス及び天然ゴムラテックス(着色ラテックス)が挙げられる。
試料と標識抗体との「接触」については、膜担体に導入された試料が前記検出部に達するまでに行われていればよく、例えば、試料をイムノクロマトグラフィー用デバイスに導入する前に、標識抗体を添加することで接触させてもよく、試料を後述の標識抗体含有部材中を通過させることによって接触させてもよい。
本発明において、試料と標識抗体とを毛細管現象により効率良く展開させるために、展開液を用いてもよい。展開液としては、例えば、たん白質、多糖類、界面活性剤、有機溶媒及びポリマー等の中から少なくとも1種を含む緩衝液が挙げられる。展開液は、試料と混合した上でイムノクロマトグラフィー用デバイスに導入してもよく、また試料等をイムノクロマトグラフィー用デバイスに導入した後に、当該デバイスの上流側から導入してもよい。
そして、試料中にヒゼンダニビテロジェニン様たん白質及びその部分ペプチドが含まれていれば、前記接触により形成される当該ヒゼンダニビテロジェニン様たん白質等と標識抗体との複合体が、前記検出部の捕捉用抗体に捕捉されることにより、当該標識物質が当該検出部に集積することになる。
したがって、本発明のイムノクロマトグラフィー用デバイスによれば、検出部における標識物質を検出することにより、試料中のヒゼンダニビテロジェニン様たん白質の有無、ひいてはヒゼンダニの有無を判断することができる。「標識物質の検出」は、標識物質が前記呈色標識物質であれば、当該検出部における当該標識物質の集積により生じる着色を目視にて確認することにより行うことができる。また、酵素標識物質であれば、当該酵素の発色基質を検出ラインに添加することにより生じる発色を目視にて確認することにより行うことができる。かかる発色基質としては、酵素標識物質としてHRPを用いる場合には、例えば、4−クロロ−1−ナフトール、ABTS、O−フェニレンジアミン(OPD)、テトラメチルベンジジン(TMB)が挙げられる。
本発明のイムノクロマトグラフィー用デバイスは、前述の抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体が固定化されているクロマト展開用膜担体の他、下記(a)〜(d)からなる群から選択される少なくとも1の構成要素とを備えるデバイスであってもよい。
(a) 試料添加用部材
(b) 標識抗体含有部材
(c) 吸収用部材
(d) 支持体。
このような本発明のデバイスの好適な一例を図1及び2に示す。図1は、かかるデバイスの概略平面図であり、図2は、図1に示すデバイスを図1のI−II線に沿って切断した場合の切断面を示す概略縦断部端面図である。以下、これら図面を参照しながら本発明のデバイスについて説明する。
クロマト展開用膜担体3については上述の通りであるが、図1及び2に示す通り、上述の検出部31の他、コントロールライン32を備えていてもよい。
コントロールライン32は、前述の標識抗体を捕捉するための部分であるため、前記標識物質が検出部31では検出されず、コントロールライン32のみにて検出された場合には、試料中にヒゼンダニビテロジェニン様たん白質は存在していないと判定することができる。また、コントロールライン32には、前述の標識抗体を捕捉するために、当該抗体と特異的に結合する分子(例えば、プロテインA、プロテインG、抗体、レクチン、アプタマー)が固定化される。
試料添加用部材5は、本発明のイムノクロマトグラフィー用デバイスに導入された試料や展開液等を保持、通過させるための部分である。したがって、当該デバイスにおいて、試料添加用部材5は、直接又は間接的にクロマト展開用膜担体3に接し、かつクロマト展開用膜担体3の上流側に配置されている必要がある。
標識抗体含有部材2は、上述の標識抗体を含有しており、当該標識抗体と試料とを接触させるための部分である。したがって、本発明のイムノクロマトグラフィー用デバイスにおいて、標識抗体含有部材2は、直接又は間接的に試料添加用部材5及びクロマト展開用膜担体3に接し、かつ試料添加用部材5の下流側及びクロマト展開用膜担体3の上流側に配置されている必要がある。
吸収用部材4は、膜担体を通過してきた余剰の試料や展開液等を吸収することにより、膜担体における試料の展開を促進しつつ、逆流を抑制するための部分である。したがって、本発明のイムノクロマトグラフィー用デバイスにおいて、吸収用部材4は、直接又は間接的にクロマト展開用膜担体3に接し、かつクロマト展開用膜担体3の下流側に配置されている必要がある。
標識抗体含有部材2、吸収用部材4、試料添加用部材5の材質としては、特に限定されず、ニトロセルロース等のセルロース類、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン類、グラスファイバーが挙げられる。
本発明のイムノクロマトグラフィー用デバイスにおいては、図1及び2に示す通り、上述の標識抗体含有部材2、クロマト展開用膜担体3、吸収用部材4又は試料添加用部材5を保持するために、支持体1を備えてもよい。支持体1の材質は、成形の容易さ、コスト、軽量性の点でプラスチックであることが好ましい。プラスチックの材質としては、種々のプラスチック材料を選択することが可能であり、使用する用途、処理、使用する溶媒、生理活性物質、検出方法の特性に合わせて、成形性、耐熱性、耐薬品性、吸着性等を考慮し適宜に選択される。例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアセテート、ビニル−アセテート共重合体、スチレン−メチルメタアクリレート共重合体、アクリルニトリル−スチレン共重合体、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ナイロン、ポリメチルペンテン、シリコン樹脂、アミノ樹脂、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド、フッ素樹脂、ポリイミド等が挙げられる。また、これらのプラスチック材料に、顔料、染料、酸化防止剤、難燃剤等の添加物を適宜混合してもよい。
さらに、本発明のイムノクロマトグラフィー用デバイスにおいては、図3及び4に示す通り、上述のクロマト展開用膜担体3等を固定、保存するためのケース6(容器本体61及び蓋体62)を備えていてもよい。
容器本体61及び蓋体62の母材には、成形の容易さ、コスト、軽量性の点でプラスチックであることが好ましい。プラスチックの材質としては、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアセテート、ビニル−アセテート共重合体、スチレン−メチルメタアクリレート共重合体、アクリルニトリル−スチレン共重合体、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ナイロン、ポリメチルペンテン、シリコン樹脂、アミノ樹脂、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド、フッ素樹脂、ポリイミド等が挙げられる。また、これらのプラスチック材料に、顔料、染料、酸化防止剤、難燃剤等の添加物を適宜混合してもよい。
また、容器本体61及び蓋体62には、支持体1、標識抗体含有部材2、クロマト展開用膜担体3、吸収用部材4、試料添加用部材5等の内容物を固定するための構造物を適宜形成することができる。
また、本発明のイムノクロマトグラフィー用デバイスにおいては、図3及び4に示す通り、蓋体62には、試料注入口621又は判定窓622が形成されていてもよい。
試料注入口621は、イムノクロマトグラフィーに供するための試料が導入されるための部分であり、その形状について特に制限はない。
判定窓622は、クロマト展開用膜担体3における検出部31及びコントロールライン32を視認し、試料中のヒゼンダニビテロジェニン様たん白質の有無の判定等を行うための部分である。判定窓622は、例えば、蓋体62がその厚さ方向に貫通されることによって形成されるものであってもよく、その形状については特に制限はない。さらに、この貫通孔に透明のプラスチック板やフィルムが付加されていてもよい。
さらに、本発明のイムノクロマトグラフィー用デバイスにおいては、図には示さないが、空気穴を備えていてもよい。空気穴は、前記ケース内の空気を排出するための部分であり、これにより、試料添加用部材5による試料の吸収効率を向上させ、ひいてはクロマト展開用膜担体3における試料の迅速な展開を可能とする。空気穴は、蓋体62がその厚さ方向に貫通されることによって形成されるものであればよく、その形状、個数、場所については特に制限はない。
本発明のイムノクロマトグラフィー用デバイスの大きさについて、特に制限はないが、例えば、図3及び4において示されるデバイス(ケース)の大きさとしては、長さ5〜11cm、幅1〜3cm、高さ0.2〜1.5cmが挙げられる。
以上、本発明のイムノクロマトグラフィー用デバイスの好適な実施形態について説明したが、本発明のデバイスは上記実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、上記を参酌しながら、デバイスの構成、材質、構造等について、適宜応用、変形、追加等を加えることができる。
また、本発明はイムノクロマトグラフィー用のキットも提供する。本発明のイムノクロマトグラフィー用キットは、少なくとも上述のイムノクロマトグラフィー用デバイスを含むが、その他にビテロジェニン様たん白質等の対照試薬、試料の調製液、展開液等を組み合わせることができ、酵素標識を利用した場合には、標識の検出に必要な基質や反応停止液等を含めることができる。また、本発明のイムノクロマトグラフィー用デバイスが標識抗体含有部材を備えないデバイスである場合には、標識物質が付加されている抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体をキットに含めてもよい。さらに、本発明のキットには、当該キットの使用説明書を含めることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
本発明者らは、精度の高い疥癬検査を可能にすべく、以下に示す通り、免疫学的手法によって、感染部位に残存するヒゼンダニ由来の物質を検出することを試みた。
1.ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗原の調製
疥癬の感染部位である表皮中には、ヒゼンダニが産んだ卵及びその抜け殻が残存していることが想定される。そこで先ず、この卵を構成するたん白質として推定されるビテロジェニン様たん白質を検出対象として選択し、それを抗原とする抗体の作製を試みた。
ヒトに感染するヒゼンダニ(ヒトヒゼンダニ)由来のビテロジェニン様たん白質(部分ペプチド)をコードするヌクレオチド配列は、非特許文献2において、GenBankアクセッション番号:AF462194にて規定される配列として報告されている。そこで、本発明者らは、この配列がコードするアミノ酸配列情報(174アミノ酸、配列番号:1)から、疎水性、親水性、表面露出度等を考慮した独自のアルゴリズムに基づき、29アミノ酸(KWSAETRTNNLRQIARQAAQEEAARQQQM(配列番号:3))からなる、分子量3517. 87のペプチドを抗原として選択した。そして、常法通り、前記ペプチドのN末端側にシステインを付加した30アミノ酸のペプチドを化学合成し、さらにキャリアたん白質としてKLHたん白質と架橋反応によって化学結合させることにより、抗原として調製した。
2.抗ビテロジェニン様たん白質ウサギ抗体の作製
前記KLH−ペプチド抗原をウサギ(日本白色種)に免疫して抗血清を取得した。取得した抗血清については、前記抗原を固相化したプレートを用いたELISA法により抗体価を測定した。そして、抗体価の上昇が認められた抗血清(以下「抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体含有抗血清」とも称する)については、後述のウエスタンブロッティング及びイムノクロマトグラフィー等に供するまで、凍結保存した。
3.リコンビナントビテロジェニン様たん白質の調製
前記にて調製したポリクローナル抗体によってビテロジェニン様たん白質を検出できるかを試験するために、後述の通り、ウエスタンブロッティング及びイムノクロマトグラフィーを行った。そのために先ず、それら方法における検出対象として、以下の通りにリコンビナントたん白質を調製した。
具体的には、前記検出対象のリコンビナントたん白質として、ヒトヒゼンダニ由来のビテロジェニン様たん白質のうち以下の97アミノ酸配列(配列番号:2)を選択した。
PSTTTRNGKYSVPIYEPFSRLMDKWSAETRTNNLRQIARQAAQEEAARQQQMNLERIMARQHKIVQQQEQEQEQQKQEQKMEHYRLRTMAVQQTDKI。
そして、この配列のN末端側にProfinity eXact tag(バイオラッド社)を融合した173アミノ酸からなるたん白質を設計し、さらに該たん白質をコードし、大腸菌のコドン使用頻度に最適化されたヌクレオチド配列からなる人工遺伝子を化学的に合成した(人工遺伝子の合成は、MBL社に委託した)。5’末端と3’末端には、制限酵素NdeI、BamHIサイトを付加し、このサイトを利用してpET3b(4.6Kb)(Merck社製)のマルチクローニングサイトに連結し発現ベクター(このベクターを「pET−eX−vitellogenin C」とも称する)を構築した。
次いで、pET−eX−vitellogenin Cを導入した大腸菌BL21(DE3)pLysSを、2%グルコースを含むLB培地(100μg/mLアンピシリン,20μg/mLクロラムフェニコールを含む)寒天プレートに播種し、コロニーを形成させた。得られた複数のコロニーを2%グルコースを含む2xYT培地(100μg/mLアンピシリン,20μg/mLクロラムフェニコールを含む液体培地)に植菌し、37℃で培養し、液体培地の濁度(OD600nm)が0.5付近になったところで、0.1M イソプロピル−β−チオガラクトピラノシド(Isopropyl β−D−1−thiogalactopyranoside)を終濃度1mMになるように添加して、25℃にて3時間インキュベーションすることにより、前記リコンビナントビテロジェニン様たん白質の発現誘導をおこなった。
遠心集菌した培養菌体に破砕液(Merck Millipore社製、製品名:Bugbuster(登録商標)−50mM HEPES(pH7))を添加してハンディソニックにて超音波破砕した後、菌体ライセートとした。このうち10μLを3xSDSサンプルバッファー(DTTを含む)5μLと混合し、98℃、5分間の熱処理後、10−20% SDS−PAGEゲル(製品名:SuperSep、和光純薬社製)にロードし、電気泳動した後、染色液CBB−R350(GE社製)にて検出した。なお、陰性対照として、形質転換していない大腸菌BL21(DE3)pLysSについても、前記同様に菌体ライセートを調製し、SDS−PAGE分析に供した。
その結果、リコンビナントヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質は、発現誘導により理論分子量20kDa付近に明瞭なバンドとして検出された(図5参照のほど)。
(実施例1) 抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体を用いたウエスタンブロッティングによる、リコンビナントヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質の検出
抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体を用いたウエスタンブロッティングによって、ヒトヒゼンダニ由来のビテロジェニン様たん白質を検出できるかについて、以下の通りに検証した。
前記の通りにして調製したSDS−PAGE後のゲルを、転写装置トラスブロットturbo(Bio−Rad社製)を用いてPVDF膜(製品名:Immobilon P、Millipore社製)に転写した。そのPVDF膜をTBST(50mM トリス塩酸緩衝(pH7.6),150mM 塩化ナトリウム,0.05% Tween20)にて洗浄した後、ブロッキング用試薬(製品名:ブロックエース、DSファーマバイオメディカル社製)に室温にて1時間インキュベーションすることにより、ブロッキング処理を施し、さらにTBSTにて5分3回洗浄した。
次いで、抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体含有抗血清を、免疫反応促進試薬(東洋紡社製、製品名:Canget signal(登録商標) solution 1)にて4000倍希釈した上で、前記PVDF膜と室温にて1時間反応した後、TBSTにて洗浄した。その後、HRP−anti−rabbit IgG(CST社製、Can get singal solution 2(東洋紡社製)で4000倍希釈)と室温にて1時間反応し、TBSTにて洗浄した。そして、ウエスタンブロッティング検出試薬(GEヘルスジャパン社製、製品名:ECL−Select)にて5分反応した後、ルミノ・イメージアナライザー(GEヘルスジャパン社製、製品名:LAS500)にて化学発光を検出した。
その結果、上述の通りにて調製した抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体は、大腸菌ライセートのみには殆ど反応せず、ヒトヒゼンダニ由来のビテロジェニン様たん白質特異的に反応することが明らかになった(図6参照のほど)。
(実施例2) 抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体を用いたウエスタンブロッティングによる、タヌキヒゼンダニの検出
ヒトのみならず、疥癬は他の動物でも生じる。例えば、日本国内に棲息するホンドタヌキにおいて疥癬が蔓延していることが複数の論文及び各種マスメディアにて報告されている。特に、日本の横浜市においては、年間約100頭のホンドタヌキが捕獲、保護されるが、すべての個体が疥癬であり、多くが重症化している。また、疥癬罹患のホンドタヌキ皮膚断片には、数cmあたり数万匹のヒゼンダニ成虫とヒゼンダニの卵が検出される。
そこで、抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体が、ヒトヒゼンダニのみならず、タヌキに寄生するヒゼンダニ(タヌキヒゼンダニ)を検出できるかについて、以下の通りに検証した。
先ず横浜市で保護された疥癬罹患ホンドタヌキの新鮮なはがれおちた肥厚した皮膚3cmを10%SDS溶液に一晩、十分に浸漬させた。なお、該溶液には、雑菌の増殖を抑制するために2種類の抗菌薬(25μg/mL 硫酸カナマイシン、34μg/mL クロラムフェニコール)を添加した。翌日、Pronase/EDTA for Stem(極東製薬工製)、パパイン粉末(和光純薬工業)を少量添加して1時間以上室温から37℃で処理し、皮膚組織を溶解させた。この処理によって、ホンドタヌキの皮膚組織は溶解するが、ダニ成虫及び卵は、溶解せずに残存するため、ヒゼンダニのみを回収することが可能となる。
続いて、このようにして調製したホンドタヌキ皮膚溶解物を、100μmフィルター(製品名:EASYstrainer、100μm mesh、Greiner Bio−One社製)を用いた自然落下による濾過処理に供した。この濾過処理と10%SDSによる洗浄とを3回以上繰り返すことによって、殆どの皮膚組織は溶解し、前記フィルターにはダニの成虫が残ることになる。一方、100μmフィルターを通り抜けた卵は、70μmフィルター(Greiner Bio−One社製)を用いた濾過処理にて回収した。その後、遠心(2,300
×g、1分間、25℃)にて、ダニの成虫と卵をペレットとして回収し、10%SDS溶液を除去した。
このようにして単離したタヌキヒゼンダニ成虫を含む遠心ペレットと卵を含むそれとを、各々TBSに懸濁してホモジナイザー(キアゲン社製、製品名:Tissue Ruptor)にて破砕し、たん白質サンプルを調製した。そして、実施例1と同様な方法にて、SDS−PAGEを行い、そのゲルをPVDF膜に転写した。
次いで、該PVDF膜をTBSTにて洗浄した後、ブロックエースに室温にて1時間インキュベーションすることにより、ブロッキング処理を施し、さらにTBSTにて5分3回洗浄した後、Can get signal solution 1にて100倍に希釈した抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体含有抗血清と、室温で1時間反応させた。その後、TBSTにて洗浄し、HRP−anti−rabbitIgG(CST社製、Can get singal solution 2で2000倍に希釈したもの)と室温で1時間反応させ、TBSTにて洗浄した後、HRP化学発光検出試薬(製品名:Luminata Forte Western HRP Substrate、Millipore製)と5分反応させた後、高感度発光・蛍光イメージングシステム(製品名:Ez−Capture、ATTO社製)にて化学発光を検出した。
その結果、図7に示す通り、抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体によって、タヌキヒゼンダニの成虫及び卵のライセートにおいて、主として40kDa及び120kDaにバンドが認められた。
ビテロジェニンの研究成果から、多くの昆虫等において、翻訳後のビテロジェニンは、様々なプロテアーゼによりプロセシングされ、さらに様々な分子量のサブユニットたん白質がアセンブリーされ、多様な生理機能を発揮すると考えられている(Journal of Insect Physiology 54 (2008) 1447−1458)。ヒゼンダニのビテロジェニン様たん白質のプロセシングについては未解明であるが、様々な分子量サイズのビテロジェニン様たん白質の部分ペプチドが生じることは十分に考えられ、上記2つのバンドが検出されたことは、かかるプロセシングを反映したものと想定される。
したがって、抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体は、ヒトに寄生するもののみならず、タヌキに寄生するヒゼンダニをも検出できることが明らかになった。
4.イムノクロマトグラフィー用試験片の作製
免疫学的手法の一つであるイムノクロマトグラフィーは、短時間で一連の抗原・抗体反応を同時に行うことができる方法であるため、精度の点のみならず、抗原を、簡便、容易かつ迅速に検出できるという利点を有する。
そこで、ウエスタンブロッティングのみならず、抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体を用いたイムノクロマトグラフィーによっても、疥癬の検査をできることを確認すべく、先ず以下の通りにして、その試験片を作製した。
1)抗体の精製
上述の抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体含有抗血清1mLに対し、1M トリス塩酸緩衝(pH8)を10μL添加し、500μLずつ分けた。チューブ1本に対して0.2%硫酸デキストラン溶液500μLと1M 塩化カルシウム溶液20μLを添加し、室温で10分間撹拌した。遠心(20,000xg、5分間、4℃)にて上清1mLに80%硫安溶液を終濃度が40%になるように添加し、4℃で1時間回転混和した。遠心(5,000xg、5分間、4℃)にて上清を除去し、40%硫安溶液を添加し、4℃で一晩回転混和した。遠心(20,000xg、5分間、4℃)にて上清を十分に除去し、ペレットにTNE緩衝液(10mM トリス塩酸緩衝液(pH8)、10mM 塩化ナトリウム及び1mM EDTA)を500μL添加し、4℃で一晩溶解させた。硫安沈殿後の溶解サンプル約1.1mLをPD−10脱塩カラムを用いて、10mM NaCl含有TN緩衝液(10mM トリス塩酸緩衝液(pH8)及び10mM 塩化ナトリウム)へと置換した。
これを、10mM NaCl含有TN緩衝液で平衡化された陰イオン交換担体(バイオラッドラボラトリーズ株式会社製、製品名:Nuvia Q)カラムにチャージした。次いで、カラムを10mM NaCl含有TN緩衝液で洗浄した後、1M NaCl含有TN緩衝液(10mM トリス塩酸緩衝液(pH8)及び1M 塩化ナトリウム)にて、抗体をグラジエント溶出せしめた。その結果、約150mM NaCl含有TN緩衝液の溶出画分に殆どすべての抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体が回収された。そして、限外濾過スピンカラム(製品名:Vivaspin(登録商標) Turbo 4,10kDa,Sartorius社製)を用いて、回収した抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体含有画分6mLを2.5mLに濃縮し、抗体濃度が2.33mg/mL(分子吸光係数:A280値とE 0.1%=1.37より換算)になるよう調整した。
2)クロマトグラフィー用膜担体への判定部の作製
クロマトグラフィー用膜担体としてニトロセルロースからなるシートを用いた。0.1質量%のアジ化ナトリウムを含む100mMのリン酸緩衝液(pH7.4)で2.0mg/mlの濃度になるように抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体(捕捉用抗体)を調製し、その希釈された溶液15μLを15cmのメンブレン上に抗体塗布機により塗布し、検出ラインを作製した。コントロールラインは、抗ウサギIgG抗体を該検出ラインと5mmの間隔をあけ前記同様に塗布することにより、作製した。55℃で30分間乾燥させ、続いてブロッキング試薬にて25℃で2時間緩やかに振とうさせブロッキングをおこない、1質量%スクロースと0.01質量%SDSを含む5mMリン酸緩衝液(pH7.2)に浸漬させ、25℃で30分間緩やかに浸とうをおこなった。その後、55℃で40分間乾燥させ、クロマトグラフィー用膜担体に、検出ラインとコントロールラインとを備えた判定部を作製した
3)標識抗体溶液の作製
AλMax=1.0になるよう精製水にて希釈した金コロイド懸濁液4.5mLにpH調整液(20mM Borax−HCl(pH9.0))を0.5mL添加し、pHを調整した。その金コロイド懸濁液に、0.1質量%アジ化ナトリウムを含む100mMリン酸緩衝液(pH7.4)で0.7mg/mLの濃度になるように希釈した後、精製水にて70μg/mLの濃度になるように調整した抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体0.5mLを加え、室温で一晩静置した。次いで、10質量%の牛血清アルブミン溶液(pH8.5)を終濃度1%となるように添加した。その後、十分撹拌した後、9800×gで15分間遠心分離を行い、上清を除去した後、AλMax=1.2となるように、1質量%の牛血清アルブミンと1質量%濃度のスクロースを含む5mM トリス塩酸緩衝液(pH8.2)を加え、標識抗体溶液を作製した。
4)イムノクロマトグラフィー用試験片の組み立て
前記にて作製した標識抗体溶液750μLを8mm×150mmのグラスファイバーパッドに均一になるように添加した後、真空凍結乾燥機にて乾燥させ、標識抗体含有部材を作製した。次に、バッキングシートからなる支持体に、上記にて作製した判定部を有するクロマトグラフィー用膜担体及び標識抗体含有部材、試料を添加する部分に用いるサンプルパッド(試料添加用部材)、展開した試料や標識抗体を吸収するための吸収パッド(吸収用部材)を貼り合わせた。そして、裁断機で幅が5mmとなるように裁断し、イムノクロマトグラフィー用試験片とした。
(実施例3) 抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体を用いたイムノクロマトグラフィーによる疥癬の検査
前記にて作製したイムノクロマトグラフィー用試験片の試料添加用部材に、下記表1に記載の各試料(溶媒はTBSTであり、それを用いてたん白質濃度が10ng〜1mg/mLになるよう調整してある)100μL(たん白質量:ng〜μg)を添加し、展開させ、該試験片における検出ラインにおいて呈色(金の集積)が生じるか否かを観察した。得られた結果を下記表1に示す。なお、表1における「ヤケヒョウダニ・コナヒョウダニ抽出成分」は、鳥居薬品株式会社製、製品名:ダニアレルゲンエキス皮下注「トリイ」100,000JAU/mLを示す。
その結果、表1に示す通り、抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体を用いたイムノクロマトグラフィーによって、ヒゼンダニであれば特異的に検出できること、すなわち、疥癬の検査ができることが明らかになった。特に、家屋内等のヒトの身近に生息するチリダニ(ヤケヒョウダニ、コナヒョウダニ)は、抗ヒトヒゼンダニビテロジェニン様たん白質抗体によって検出されないことからも、精度の高い疥癬検査において、当該抗体が極めて有効であると考えられる。
以上説明したように、本発明によれば、ヒゼンダニに由来するビテロジェニン様たん白質を抗体によって特異的に検出することにより、疥癬を精度高く検査することが可能となる。また、本発明によれば、寄生する動物の種類を問わずヒゼンダニを検出することができるため、ヒトのみならずタヌキ等の様々な動物における疥癬を精度高く検査することができる。さらに、本発明において、イムノクロマトグラフィーを用いることにより、精度の点のみならず、簡便、容易かつ迅速に疥癬を検査することも可能となる。
したがって、本発明の検査方法、並びにそれに用いる薬剤及びデバイスは、疥癬の診断、特にそれを必要とする老人医療現場において有用である。
1…支持体、2…標識抗体含有部材、3…クロマト展開用膜担体、31…検出部、32…コントロールライン、4…吸収用部材、5…試料添加用部材、6…ケース、61…容器本体、62…蓋体、621…試料注入口、622…判定窓。

Claims (6)

  1. 被検体から分離された試料に、ヒトヒゼンダニ由来のビテロジェニン様たん白質を認識する抗体を接触させ、該試料における該ビテロジェニン様たん白質を免疫学的に検出することを特徴とする、疥癬の検査方法。
  2. 前記免疫学な検出をイムノクロマトグラフィーにより行う、請求項1に記載の方法。
  3. ヒトヒゼンダニ由来のビテロジェニン様たん白質を認識する抗体を含む、疥癬を検査するための薬剤。
  4. 前記抗体に標識物質が付加されている、請求項3に記載の薬剤。
  5. ヒトヒゼンダニ由来のビテロジェニン様たん白質を認識する抗体が固定化されている担体を含む、疥癬を検査するためのデバイス。
  6. イムノクロマトグラフィーにより疥癬を検査するためのデバイスであって、前記担体がクロマト展開用膜担体であり、前記抗体が該担体に固定化されて検出部を構成する、請求項5に記載のデバイス。
JP2016228566A 2016-11-25 2016-11-25 疥癬の検査方法、並びにそれに用いる薬剤及びデバイス Active JP6749221B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016228566A JP6749221B2 (ja) 2016-11-25 2016-11-25 疥癬の検査方法、並びにそれに用いる薬剤及びデバイス

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016228566A JP6749221B2 (ja) 2016-11-25 2016-11-25 疥癬の検査方法、並びにそれに用いる薬剤及びデバイス

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018084524A true JP2018084524A (ja) 2018-05-31
JP6749221B2 JP6749221B2 (ja) 2020-09-02

Family

ID=62238170

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016228566A Active JP6749221B2 (ja) 2016-11-25 2016-11-25 疥癬の検査方法、並びにそれに用いる薬剤及びデバイス

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6749221B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021152965A1 (ja) * 2020-01-31 2021-08-05 富士フイルム株式会社 イムノクロマトグラフィー

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021152965A1 (ja) * 2020-01-31 2021-08-05 富士フイルム株式会社 イムノクロマトグラフィー
JPWO2021152965A1 (ja) * 2020-01-31 2021-08-05
JP7350100B2 (ja) 2020-01-31 2023-09-25 富士フイルム株式会社 イムノクロマトグラフィー

Also Published As

Publication number Publication date
JP6749221B2 (ja) 2020-09-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100995560B1 (ko) 트리코모나스 검출을 위한 방법 및 장치
Mezo et al. An ultrasensitive capture ELISA for detection of Fasciola hepatica coproantigens in sheep and cattle using a new monoclonal antibody (MM3)
Boulangé et al. Development of a rapid antibody test for point-of-care diagnosis of animal African trypanosomosis
CN105483090B (zh) 分泌牛白细胞介素-2单克隆抗体的杂交瘤细胞株、其分泌的单克隆抗体及其应用
JP5591693B2 (ja) 回虫糞便抗原の検出
AU2013329025B2 (en) Peptides, devices, and methods for the detection of Ehrlichia antibodies
EP3633375A1 (en) Mycoplasma pneumoniae immunological detection method and kit
Kocher et al. Evaluation of an indirect-ELISA test for Trypanosoma evansi infection (Surra) in buffaloes and its application to a serological survey in Thailand
Vasconcellos et al. Testing different antigen capture ELISA formats for detection of Leptospira spp. in human blood serum
CN108700600A (zh) 用于检测和诊断肾病和牙周病的方法和组合物
El-Gebaly et al. Saliva and sera IgA and IgG in Egyptian Giardia-infected children
Kumar et al. Improvement in the diagnosis of Brucella abortus infections in naturally infected water buffaloes (Bubalus bubalis) using an ELISA with a Protein-G-based indicator system
JP6749221B2 (ja) 疥癬の検査方法、並びにそれに用いる薬剤及びデバイス
Singh et al. Comparison of indirect fluorescent antibody test (IFAT) and slide enzyme linked immunosorbent assay (SELISA) for diagnosis of Babesia bigemina infection in bovines
US11204351B2 (en) Compositions and methods for identifying Ehrlichia species
Izquierdo et al. Production and characterization of monoclonal antibodies against Encephalitozoon intestinalis and Encephalitozoon sp. spores and their developmental stages
RU2532352C2 (ru) Способ проведения иммунохроматографического анализа для серодиагностики
CN115166238A (zh) 羊布鲁氏菌病初筛和确诊一体化抗体检测试纸条
KR100957675B1 (ko) 폐흡충 특이 항원의 생산을 위한 단클론 항체 및 폐흡충증신속 진단 키트
JP6176741B2 (ja) 乳腺疾患の検査方法
Lee et al. Identification of secreted and membrane-bound bat immunoglobulin using a Microchiropteran-specific mouse monoclonal antibody
KR102132964B1 (ko) 쯔쯔가무시균 유래 엑소좀을 이용한 쯔쯔가무시병의 진단방법
CA3114594A1 (en) Methods, devices, kits and compositions for detecting tapeworm
Orejarena Ávila et al. Standardization of a latex agglutination test for coproantigen detection of Fasciola sp. in bovine cattle stool
Starodub et al. P1. 1.24 Efficiency of immune biosensor based on total internal reflection ellipsometry at the determination of Salmonella

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161214

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190402

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200127

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200131

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200326

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20200326

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200806

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200811

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6749221

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250