JP2018083905A - エポキシ樹脂硬化剤、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献2には、コンクリート構造物の注入材として、液状ビスフェノールA型ジグリシジルエーテルと、スチレン化メタキシリレンジアミンと、脂環式アミンと、メルカプタン末端ポリサルファイド化合物とからなる注入材が開示されている。
本発明が解決しようとする課題は、ポットライフが長く、硬化性が良好で、硬度及び外観等の各種塗膜性能に優れるエポキシ樹脂組成物及びその硬化物、並びに当該エポキシ樹脂組成物に用いるエポキシ樹脂硬化剤を提供することにある。
本発明は、下記[1]〜[8]に関する。
[1]スチレンと下記一般式(1)で示されるアミン化合物との反応物を含む反応組成物(A)と、エピクロロヒドリンと下記一般式(1)で示されるアミン化合物との反応物を含む反応組成物(B)とを、質量比で(A):(B)=55:45〜85:15の割合で含有する、エポキシ樹脂硬化剤。
H2N−CH2−A−CH2−NH2 (1)
(式(1)中、Aは1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、又は1,4−フェニレン基である。)
[2]前記反応組成物(A)が下記一般式(2)で示される化合物を10質量%以上含む、上記[1]に記載の硬化剤。
(式(2)中、Aは前記と同じである。)
[3]前記反応組成物(B)が下記一般式(3)で示される化合物を主成分として含む、上記[1]又は[2]に記載の硬化剤。
(式(3)中、Aは前記と同じである。nは1〜12の数である。)
[4]前記Aが1,3−フェニレン基である、上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の硬化剤。
[5]前記反応組成物(A)中の前記一般式(1)で示されるアミン化合物の含有量が1質量%以下である、上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の硬化剤。
[6]前記反応組成物(B)中の前記一般式(1)で示されるアミン化合物の含有量が35質量%以下である、上記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の硬化剤。
[7]上記[1]〜[6]のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂硬化剤と、エポキシ樹脂とを含有するエポキシ樹脂組成物。
[8]上記[7]に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物。
本発明のエポキシ樹脂硬化剤は、スチレンと下記一般式(1)で示されるアミン化合物との反応物を含む反応組成物(A)(以下、単に「反応組成物(A)」ともいう)と、エピクロロヒドリンと下記一般式(1)で示されるアミン化合物との反応物を含む反応組成物(B)(以下、単に「反応組成物(B)」ともいう)とを、質量比で(A):(B)=55:45〜85:15の割合で含有することを特徴とする。
H2N−CH2−A−CH2−NH2 (1)
(式(1)中、Aは1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、又は1,4−フェニレン基である。)
以下、本発明のエポキシ樹脂硬化剤を構成する各成分について説明する。
本発明のエポキシ樹脂硬化剤は、スチレンと前記一般式(1)で示されるアミン化合物との反応物を含む反応組成物(A)を含有する。当該反応組成物(A)を含有するエポキシ樹脂硬化剤を用いると、得られるエポキシ樹脂組成物の硬化塗膜は硬度及び外観が良好になる。
前記式(1)中、Aは1,3−フェニレン基又は1,4−フェニレン基であることが好ましく、1,3−フェニレン基であることがより好ましい。すなわち、前記一般式(1)で示されるアミン化合物は、o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン(メタキシリレンジアミン;MXDA)、及びp−キシリレンジアミン(パラキシリレンジアミン;PXDA)からなる群から選ばれる1種以上のキシリレンジアミンであり、メタキシリレンジアミン及びパラキシリレンジアミンからなる群から選ばれる1種以上が好ましく、メタキシリレンジアミンがより好ましい。
中でも反応組成物(A)は、下記一般式(2)で示される化合物を10質量%以上含むことが好ましい。
(式(2)中、Aは前記と同じである。)
上記一般式(2)で示される化合物は、スチレンと前記一般式(1)で示されるアミン化合物(以下「原料ジアミン」ともいう)との反応物のうち、スチレン1モルと原料ジアミン1モルとが付加した反応物(以下「1:1付加体」ともいう)である。
反応組成物(A)は、上記一般式(2)で示される化合物であるスチレンと原料ジアミンとの1:1付加体のほかに、スチレンと原料ジアミンとの2:1付加体、3:1付加体、4:1付加体などの多付加体を含有していてもよいが、上記付加体の中ではスチレンと原料ジアミンとの1:1付加体が最も活性水素当量が低い。活性水素当量(以下「AHEW」ともいう)とは、エポキシ樹脂組成物の主剤であるエポキシ樹脂と反応し得る活性水素1当量あたりの分子量である。そのため、上記一般式(2)で示される化合物を多く含む反応組成物(A)を用いたエポキシ樹脂硬化剤は、エポキシ樹脂組成物への配合量が少なくても良好な硬化性能を発現できる。
反応組成物(A)中の上記一般式(2)で示される化合物の含有量は、ガスクロマトグラフィー(GC)分析により求めることができる。
反応組成物(A)のAHEWは、例えば滴定法により求めることができる。
スチレンと原料ジアミンとの付加反応は公知の方法で行うことができ、その方法は特に制限されないが、反応効率の観点から、塩基性触媒の存在下で行われることが好ましい。塩基性触媒としては、例えばアルカリ金属、アルカリ金属アミド(一般式MNRR’で表され、Mはアルカリ金属、Nは窒素、R及びR’はそれぞれ独立に水素又はアルキル基である。)、アルキル化アルカリ金属等が挙げられ、好ましくはアルカリ金属アミドである。中でも、塩基性触媒としてはリチウムアミド(LiNH2)が好ましい。
予備反応時間は、好ましくは20〜360分、より好ましくは30〜120分である。予備反応時間が20分以上であれば、原料ジアミンが十分に活性化され、その後の付加反応が効率よく進行する。また360分以下であれば、生産性の点で有利である。
スチレンの添加時、及び付加反応時の温度は、好ましくは50〜120℃、より好ましくは70〜100℃である。反応温度が50℃以上であれば、スチレンと原料ジアミンとの付加反応が効率よく進行する。また120℃以下であれば、副生成物であるスチレンの重合物の生成を抑制することができる。
また、付加反応時間には特に制限はなく、使用する触媒の種類や反応条件等に応じて適宜選択できる。例えば、付加反応中に反応液のサンプリングを行い、ガスクロマトグラフィーや液体クロマトグラフィー等で未反応スチレンの定量を行い、未反応スチレンが1質量%以下になるまでの時間とすることができる。付加反応時間は、通常、スチレンの添加が終了してから、好ましくは10〜180分、より好ましくは20〜120分である。上記付加反応時間が10分以上であれば未反応原料の残存が少なく、180分以下であれば生産性の点で有利である。
塩基性触媒は、その種類に応じて、濾過、水洗、吸着等により除去することができる。例えば塩基性触媒がアルカリ金属アミドである場合は、塩酸、塩化水素ガス、酢酸などの酸、メタノール、エタノール等のアルコール、あるいは水等を加えてアルカリ金属アミドを除去容易な塩等に変えてから濾過することが可能である。例えば水を用いた場合には、アルカリ金属アミドが水酸化物となり、濾過が容易になる。
本発明のエポキシ樹脂硬化剤は、エピクロロヒドリンと前記一般式(1)で示されるアミン化合物との反応物を含む反応組成物(B)を含有する。当該反応組成物(B)を含有するエポキシ樹脂硬化剤を用いると、得られるエポキシ樹脂組成物の硬化速度が良好になる。
反応組成物(B)における前記一般式(1)で示されるアミン化合物、及びその好ましい態様は前記反応組成物(A)に記載のものと同じである。
(式(3)中、Aは前記と同じである。nは1〜12の数である。)
反応組成物(B)中の上記一般式(3)で示される化合物の含有量は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは75質量%以上、よりさらに好ましくは85質量%以上である。また、上限は100質量%である。
また、エポキシ樹脂硬化剤としての良好な硬化性能を得る観点からは、上記一般式(3)で示される化合物の中でも、n=1の化合物が占める割合が高いことが好ましい。反応組成物(B)中の、上記一般式(3)で示されるn=1の化合物の含有量としては、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上である。
反応組成物(B)中の上記一般式(3)で示される化合物の含有量、及び上記一般式(3)で示される化合物の組成は、GC分析及びゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)分析により求めることができる。
エピクロロヒドリンと原料ジアミンとの付加反応は公知の方法で行うことができ、その方法は特に制限されないが、反応効率の観点から、塩基性触媒の存在下で行われることが好ましい。塩基性触媒としてはアルカリ金属水酸化物が好ましく、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムからなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、水酸化ナトリウムがさらに好ましい。アルカリ金属水酸化物は固体状態で用いても、水溶液の状態で用いてもよいが、水溶液の状態で用いることがより好ましい。アルカリ金属水酸化物水溶液の濃度は、好ましくは30〜55質量%の範囲である。
エピクロロヒドリンの添加時の温度は、好ましくは40〜100℃、より好ましくは50〜80℃である。エピクロロヒドリンの添加終了後、反応効率向上のために反応温度を上げてもよく、付加反応時の温度は、好ましくは55〜120℃である。反応温度が55℃以上であれば、エピクロロヒドリンと原料ジアミンとの付加反応が効率よく進行する。
付加反応時間には特に制限はなく、通常、エピクロロヒドリンの添加が終了してから、好ましくは10分〜6時間、より好ましくは20分〜4時間である。上記付加反応時間が10分以上であれば未反応原料の残存が少なく、6時間以下であれば生産性の点で有利である。
塩基性触媒は、その種類に応じて、濾過、水洗、吸着等により除去することができる。上記付加反応により生成した水の除去は、例えば100℃以下の温度において減圧条件下で行うことができる。また、上記付加反応により生成した塩は濾過等により除去することができる。
本発明のエポキシ樹脂硬化剤は、上記反応組成物(A)と反応組成物(B)とを質量比で(A):(B)=55:45〜85:15の割合で含有する。これにより、本発明のエポキシ樹脂硬化剤を含有するエポキシ樹脂組成物は、ポットライフが長く、硬化性が良好で、硬度及び外観等の各種塗膜性能に優れる組成物となる。
エポキシ樹脂硬化剤中の反応組成物(A)と反応組成物(B)との合計質量を100とした場合の反応組成物(A)の質量比が55未満であると、該硬化剤を含有するエポキシ樹脂組成物の硬化塗膜の鉛筆硬度が低下し、透明性、平滑性、光沢性等の外観も低下する傾向がある。一方、当該反応組成物(A)の質量比が85超であると硬化速度が低下する。また、得られる硬化塗膜の鉛筆硬度も低下する。
本発明のエポキシ樹脂硬化剤が上記反応組成物(A)と反応組成物(B)とを質量比で(A):(B)=55:45〜85:15の割合で含有することで、特に、該硬化剤を含有するエポキシ樹脂組成物の硬化塗膜は、硬化剤として反応組成物(A)単独、あるいは反応組成物(B)単独を用いた場合と比較しても鉛筆硬度が飛躍的に向上する。
本発明の効果を得る観点から、本発明のエポキシ樹脂硬化剤における上記反応組成物(A)と反応組成物(B)との質量比は、好ましくは60:40〜85:15、より好ましくは65:35〜85:15、さらに好ましくは70:30〜85:15、よりさらに好ましくは75:25〜85:15である。
但し、本発明のエポキシ樹脂硬化剤中の上記反応組成物(A)と反応組成物(B)との合計含有量は、本発明の効果を得る観点から、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。また、上限は100質量%である。
また、得られるエポキシ樹脂組成物の硬化塗膜の耐水性や外観を良好にする観点から、本発明のエポキシ樹脂硬化剤中の前記一般式(1)で示されるジアミンの含有量は少ない方が好ましい。当該含有量は、好ましくは12質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは7質量%以下、よりさらに好ましくは5質量%以下、よりさらに好ましくは2質量%以下である。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、前述した本発明のエポキシ樹脂硬化剤と、エポキシ樹脂とを含有するものである。該エポキシ樹脂としては、本発明のエポキシ樹脂硬化剤の活性水素と反応するグリシジル基を持つエポキシ樹脂であればいずれも使用することができるが、エポキシ樹脂組成物の硬化塗膜の耐水性や硬度の観点からは、分子内に芳香環又は脂環式構造を含むエポキシ樹脂であることが好ましい。
本発明に用いられるエポキシ樹脂の具体例としては、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、パラアミノフェノールから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、パラアミノフェノールから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールAから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、フェノールノボラックから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、及びレゾルシノールから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂からなる群から選ばれる1種以上の樹脂が挙げられる。柔軟性や耐衝撃性、耐湿熱性などの諸性能を向上させるために、上記の種々のエポキシ樹脂を2種以上混合して使用することもできる。
但し、本発明のエポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂硬化剤とエポキシ樹脂との合計含有量は、本発明の効果を得る観点から、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。また、上限は100質量%である。
本発明のエポキシ樹脂組成物の製造方法には特に制限はなく、エポキシ樹脂硬化剤、エポキシ樹脂、及び必要に応じ他の成分を公知の方法及び装置を用いて混合し、製造することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は優れた硬度及び外観等の各種塗膜性能を発現しうることから、コンクリート材への使用のほか、防食用塗料等の各種塗料、接着剤、床材、封止剤等に好適に用いられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物(以下、単に「本発明の硬化物」ともいう)は、上述した本発明のエポキシ樹脂組成物を公知の方法で硬化させたものである。エポキシ樹脂組成物の硬化条件は用途、形態に応じて適宜選択され、特に限定されない。
本発明の硬化物の形態も特に限定されず、用途に応じて選択することができる。例えばエポキシ樹脂組成物がコンクリート材のトップコートやプライマー、又は各種塗料用途である場合、当該エポキシ樹脂組成物の硬化物は通常、膜状の硬化物である。本発明の硬化物が膜状の硬化物であると、優れた塗膜性能を発揮できる点で好ましい。
反応組成物(A)と反応組成物(B)とからなるエポキシ樹脂硬化剤の活性水素当量(AHEW)は、以下に記載する計算式により算出した。
AHEWがXである反応組成物(A)と、AHEWがYである反応組成物(B)を質量比A:Bで混合して得られるエポキシ樹脂硬化剤のAHEWをZとすると、
Z=[(A+B)XY]/(AY+BX)
エポキシ樹脂硬化剤及びその構成成分中のメタキシリレンジアミン含有量は、ガスクロマトグラフィーにより測定した。
エポキシ樹脂硬化剤及びエポキシ樹脂組成物の25℃における粘度は、E型粘度計「TVE−22H型粘度計 コーンプレートタイプ」(東機産業(株)製)を用いて測定した。
各例のエポキシ樹脂組成物300gをポリプロピレン製カップに入れ、23℃、50%R.H.の条件下で保存し、最高発熱温度及び最高発熱温度への到達時間を測定した。
ガラス板(太佑機材(株)製 25×348×2.0mm)上に、23℃、50%R.H.条件下、各例のエポキシ樹脂組成物を76μmのアプリケーターを用いて塗布し、塗膜を形成した。塗膜を形成したガラス板を塗料乾燥時間測定器(太佑機材(株)製)にセットし、測定器の針が塗膜表面を引っかいた際の条痕を観察して、各乾燥段階(Set to Touch、Dust Free、Dry Through)への到達時間を以下の基準で測定した。時間が短い方が、硬化速度が速いことを示す。
Set to Touch:ガラス板上に針の跡が残り始める時間
Dust Free:針が塗膜の中から塗膜表面上に浮き出てくる時間
Dry Through:塗膜上の針の跡が残らなくなる時間
基材であるリン酸亜鉛処理鉄板(パルテック(株)製;SPCC−SD PB−N144 0.8×70×150mm)上に各例のエポキシ樹脂組成物をアプリケーターを用いて塗布して塗膜を形成した(塗布直後の厚み:200μm)。この塗膜を23℃、50%R.H.条件下で保存し、1、2、7日経過後に指触により以下の4段階で評価した。
Ex:優秀(50Nの力で親指を押し付けた際も塗膜のべたつきがなく、指紋の残存もなし)
G:良好(50Nの力で親指を押し付けた際に塗膜のべたつきはないが、指触後の指紋の残存あり)
F:可(50Nの力で親指を押し付けた際に塗膜のべたつきあり)
P:不良(5Nの力で親指を押し付けた際に塗膜のべたつきあり)
基材であるリン酸亜鉛処理鉄板(パルテック(株)製;SPCC−SD PB−N144 0.8×70×150mm)上に各例のエポキシ樹脂組成物をアプリケーターを用いて塗布して塗膜を形成した(塗布直後の厚み:200μm)。この塗膜を23℃、50%R.H.条件下で保存し、1、2、7日経過後に塗膜表面にスポイトで純水を2〜3滴滴下し、その箇所を50mLスクリュー管瓶で蓋をした。24時間経過後に水を拭き取り、外観を目視観察して、以下の基準で評価した。
Ex:優秀(全く変化なし)
G:良好(わずかに変化はあるが、使用上問題なし)
F:可(やや白化あり)
P:不良(白化)
基材であるリン酸亜鉛処理鉄板(パルテック(株)製;SPCC−SD PB−N144 0.8×70×150mm)上に各例のエポキシ樹脂組成物をアプリケーターを用いて塗布して塗膜を形成した(塗布直後の厚み:200μm)。この塗膜を23℃、50%R.H.条件下で保存し、1、2、7日経過後にJIS K5600−5−4:1999に準拠して鉛筆硬度を測定した。
基材であるリン酸亜鉛処理鉄板(パルテック(株)製;SPCC−SD PB−N144 0.8×70×150mm)上に、23℃、50%R.H.条件下、各例のエポキシ樹脂組成物をアプリケーターを用いて塗布し、塗膜を形成した(塗布直後の厚み:200μm)。塗装1週間後に、得られた塗膜の外観を目視観察して、光沢性、透明性、及び平滑性を以下の基準で評価した。
<光沢性>
Ex:優秀(光沢あり)
G:良好(やや光沢が劣るが、使用上問題なし)
F:可(光沢が少ない)
P:不良(光沢なし)
<透明性>
Ex:優秀(濁りなし)
G:良好(わずかに濁りがあるが、使用上問題なし)
F:可(やや白濁あり)
P:不良(白濁)
<平滑性>
Ex:優秀(凹凸がない)
G:良好(わずかに凹凸があるが、使用上問題なし)
F:可(一部に凹凸がある)
P:不良(ハジキがある、又は全面に凹凸がある)
(A)成分としてスチレンとメタキシリレンジアミン(MXDA)との反応物を含む反応組成物である(A−1)Gaskamine 240(三菱瓦斯化学(株)製、AHEW:103)を使用し、(B)成分としてエピクロロヒドリンとMXDAとの反応物を含む反応組成物である(B−1)Gaskamine 328(三菱瓦斯化学(株)製、AHEW:55)を使用した。(A−1)及び(B−1)を質量比で80:20の割合で混合してエポキシ樹脂硬化剤を調製した。
ビスフェノールAから誘導されたグリシジルオキシ基を有する液状エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「jER828」、エポキシ当量:186g/当量、固形分濃度:100質量%)を主剤のエポキシ樹脂として用いた。この主剤100質量部に対し、上記エポキシ樹脂硬化剤を、該硬化剤中の活性水素数と、エポキシ樹脂中のエポキシ基の数が等モルとなるよう表1に示す割合で配合し、攪拌して、エポキシ樹脂組成物を得た。
得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、前記評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、エポキシ樹脂硬化剤における(A−1)及び(B−1)の割合を質量比で60:40に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂硬化剤を調製した。また、主剤100質量部に対し、上記エポキシ樹脂硬化剤を表1に示す割合で配合し、攪拌して、エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、前記評価を行った。結果を表1に示す。
(B)成分として、(B−1)に代えてエピクロロヒドリンとMXDAとの反応物を含む反応組成物である(B−2)Gaskamine 328S(三菱瓦斯化学(株)製、AHEW:70)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂硬化剤を調製した。また、主剤100質量部に対し、上記エポキシ樹脂硬化剤を表1に示す割合で配合し、攪拌して、エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、前記評価を行った。結果を表1に示す。
実施例3において、エポキシ樹脂硬化剤における(A−1)及び(B−2)の割合を質量比で60:40に変更したこと以外は、実施例3と同様の方法でエポキシ樹脂硬化剤を調製した。また、主剤100質量部に対し、上記エポキシ樹脂硬化剤を表1に示す割合で配合し、攪拌して、エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、前記評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、エポキシ樹脂硬化剤における(A−1)及び(B−1)の割合を質量比で90:10に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂硬化剤を調製した。また、主剤100質量部に対し、上記エポキシ樹脂硬化剤を表1に示す割合で配合し、攪拌して、エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、前記評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、エポキシ樹脂硬化剤における(A−1)及び(B−1)の割合を質量比で50:50に変更したこと以外は実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂硬化剤を調製した。また、主剤100質量部に対し、上記エポキシ樹脂硬化剤を表1に示す割合で配合し、攪拌して、エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、前記評価を行った。結果を表1に示す。
実施例3において、エポキシ樹脂硬化剤における(A−1)及び(B−2)の割合を質量比で90:10に変更したこと以外は、実施例3と同様の方法でエポキシ樹脂硬化剤を調製した。また、主剤100質量部に対し、上記エポキシ樹脂硬化剤を表1に示す割合で配合し、攪拌して、エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、前記評価を行った。結果を表1に示す。
実施例3において、エポキシ樹脂硬化剤における(A−1)及び(B−2)の割合を質量比で50:50に変更したこと以外は実施例3と同様の方法でエポキシ樹脂硬化剤を調製した。また、主剤100質量部に対し、上記エポキシ樹脂硬化剤を表1に示す割合で配合し、攪拌して、エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、前記評価を行った。結果を表1に示す。
エポキシ樹脂硬化剤として(A−1)のみを使用し、主剤100質量部に対し(A−1)を表1に示す割合で配合し、攪拌して、エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、前記評価を行った。結果を表1に示す。
エポキシ樹脂硬化剤として(A−1)95質量部に対し硬化促進剤であるサリチル酸5質量部を配合した硬化剤を用いた。主剤100質量部に対し上記エポキシ樹脂硬化剤を表1に示す割合で配合し、攪拌して、エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、前記評価を行った。結果を表1に示す。
<エポキシ樹脂>
jER828:
ビスフェノールAから誘導されたグリシジルオキシ基を有する液状エポキシ樹脂(三菱化学(株)製、エポキシ当量:186g/当量、固形分濃度:100質量%)
(A−1):
Gaskamine 240(スチレンとMXDAとの反応物を含む反応組成物、三菱瓦斯化学(株)製、スチレンとMXDAとの反応物含有量:>99質量%、MXDA含有量:<1質量%、下記式(2−1)で示される化合物の含有量:49質量%、AHEW:103)
Gaskamine 328(エピクロロヒドリンとMXDAとの反応物を含む反応組成物、三菱瓦斯化学(株)製、MXDA含有量:26.7質量%、下記式(3−1)で示される化合物の含有量:73.3質量%(nは1〜12の数であり、n=1の化合物の含有量は(B−1)中の20.9質量%である)、AHEW:55)
Gaskamine 328S(エピクロロヒドリンとMXDAとの反応物を含む反応組成物、三菱瓦斯化学(株)製、MXDA含有量:0.9質量%、前記式(3−1)で示される化合物の含有量:99.1質量%(nは1〜12の数であり、n=1の化合物の含有量は(B−2)中の29.3質量%である)、AHEW:70)
これに対し比較例1〜6のエポキシ樹脂硬化剤を含有するエポキシ樹脂組成物の塗膜は鉛筆硬度が大きく低下した。比較例4のエポキシ樹脂硬化剤は粘度が高くハンドリング性も悪かった。反応組成物(A)の割合が高い比較例1,3、並びに反応組成物(A)のみで構成される比較例5のエポキシ樹脂硬化剤を含有する組成物はいずれも硬化速度が遅く、反応組成物(A)と硬化促進剤とで構成される比較例6のエポキシ樹脂硬化剤を含有する組成物は硬化時の発熱が大きい上にポットライフが短くなり、Dry Through時間も実施例1〜4と比較して長くなった。
Claims (8)
- スチレンと下記一般式(1)で示されるアミン化合物との反応物を含む反応組成物(A)と、エピクロロヒドリンと下記一般式(1)で示されるアミン化合物との反応物を含む反応組成物(B)とを、質量比で(A):(B)=55:45〜85:15の割合で含有する、エポキシ樹脂硬化剤。
H2N−CH2−A−CH2−NH2 (1)
(式(1)中、Aは1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、又は1,4−フェニレン基である。) - 前記反応組成物(A)が下記一般式(2)で示される化合物を10質量%以上含む、請求項1に記載の硬化剤。
(式(2)中、Aは前記と同じである。) - 前記反応組成物(B)が下記一般式(3)で示される化合物を主成分として含む、請求項1又は2に記載の硬化剤。
(式(3)中、Aは前記と同じである。nは1〜12の数である。) - 前記Aが1,3−フェニレン基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化剤。
- 前記反応組成物(A)中の前記一般式(1)で示されるアミン化合物の含有量が1質量%以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化剤。
- 前記反応組成物(B)中の前記一般式(1)で示されるアミン化合物の含有量が35質量%以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬化剤。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂硬化剤と、エポキシ樹脂とを含有するエポキシ樹脂組成物。
- 請求項7に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物。
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