飲料購入者や顧客などの需要者の選択に応じてホット飲料又はコールド飲料を調製又は調理し、カップに供給して提供する飲料提供装置が広く普及している。このような飲料提供装置としては、カップ内で飲料を調理する所謂カップ式飲料自動販売機や、需要者がカップを装置の所定の場所にセットし、セットされたカップ内にレギュラーコーヒーなどの調製又は調理された飲料を供給する飲料ディスペンサが知られているが、何れの場合にも飲料の主要原料である調理用水としては水道水を用いることが多い。
例えば、特許文献1には、「水を貯留する水リザーバと、この水リザーバにパイプを介して連繋されて水リザーバから水が供給されるオーガ式製氷機および前記水リザーバから水ポンプを介して水が供給される貯湯タンクを備え、前記貯湯タンクから給湯バルブを介して供給される温水により飲料を調整して販売に供する飲料供給装置において、水リザーバに貯留された水を、水ポンプを介して貯湯タンクに供給したうえで当該貯湯タンクを介して排水することを特徴とする飲料供給装置」が記載されている。そして、この飲料供給装置における前記前記水リザーバは、給水バルブの開閉により水道管から供給された水を貯留するものであるとされている。
また、特許文献2には、「コーヒー原料からコーヒーを抽出するコーヒー抽出装置と、ヒータを備えて前記コーヒー抽出装置に供給する湯を生成する湯タンクと、前記コーヒー抽出装置にて抽出されたコーヒーを貯留するコーヒータンクと、循環回路に冷却用の水を循環させて前記コーヒータンクを冷却することにより、前記コーヒーを冷却する冷却装置とを備えた飲料ディスペンサにおいて、前記コーヒータンク内のコーヒーと熱交換した後の水を前記湯タンクに供給することを特徴とする飲料ディスペンサ」が記載されている。そして、この飲料ディスペンサにおいても初期に湯タンクに供給される水および冷却用の水としては外部から供給される水道水が使用されている。
さらに、特許文献3には、「水フィルター、リザーバ、水ポンプ、製氷器、湯タンク、水槽等を配管で繋いで構成された既存のカップ式飲料自動販売機において、既存の制御盤を替えたり、配管を替えたりすることなく水フィルターに替えて水道水内に含まれる塩素を略半分取り除く水道水塩素バイパスフィルターを配置することによって、配管内を洗浄するオートリンス制御を週3回以上行うことで、カップ式飲料自動販売機が長期間、稼働しない場合であっても、配管内の菌の発生・増殖を防止することを特徴とするカップ式飲料自動販売機」が記載されている。そして、特許文献3に記載された上記カップ式自動販売機では、水道水内に含まれる塩素(所謂残留塩素を意味すると思われる。)を略半分取り除く水道水塩素バイパスフィルターを配置することによって、調製される飲料の塩素臭を気にならない程度にすると共に前記オートリンスにより、配管内における菌の発生・増殖を抑制している。
なお、特許文献3の記載によれば、水フィルターとは、通常のカップ式飲料自動販売機において、リザーバより上流側に水道水に含まれる塩素を取り除くために設置されるフィルターを意味するものと思われる。
特許文献3において水フィルターの詳細については説明されていないが、一般に、水道水に含まれる残留塩素、トリハロメタン、赤さび、一般細菌やカビ類を除去するため浄水器としては、活性炭式と、ろ過式(中空糸膜)とを組み合わせた所謂「活性炭式+中空糸膜式」が良く知られており、専用の浄水器用カートリッジを交換しながら使用することにより、浄水能力を長期間維持するようになっているものも存在する(特許文献4参照)。
即ち、特許文献4には、水道水入口と通水出口とを有し、その途中に吸着材と中空糸膜を順に配置した浄水カートリッジにおいて、両端が解放された筒状の前記中空糸膜が充填された中空糸ケースと、筒状で内部に通水路を形成して水が外から内方向に向かって流れる前記吸着材が充填された吸着材ユニットを有し、前記吸着材ユニットは、前記吸着材の片端面が水密的に支持されるように穴付キャップが、もう一方の端面には水密的に支持されるようにキャップが、各々設けられ、かつ前記穴付キャップ側が前記中空糸膜ケース接続側となるように配されており、前記穴付キャップと前記キャップが前記吸着材の内部の通水路を通るスリット筒を介して連結されており、前記中空糸ケースと前記吸着ユニットが各々略同一の断面積を有して直列かつ水密的に接続されて設けてられていることを特徴とするカートリッジが開示されている。
一方、飲料調製に用いる水が流れる配管内における微生物の繁殖を抑えるために、塩素発生器を備えた飲料供給装置も知られている(特許文献5参照)。この飲料供給装置において、前記塩素発生装置は、水道水等の塩素イオン含有水を貯留する貯水容器と、該貯水容器内に配置され直流電圧が印加される一対の電極とを有し、停水時には貯水容器内の水の有効塩素濃度を所定の値に維持する(停水電解モード)一方、流水時(飲料供給時)はこの水に再度直流電圧を印加して飲料に適した有効塩素濃度にして(流水電解モード)飲料調製用の水を供給すると共に、未使用期間が長くなる等、配管に微生物が繁殖するおそれがあるときには有効塩素濃度をより高くして(洗浄殺菌電解モード)配管洗浄用の水を供給できるようになっている。
特許文献3に記載されているように、飲料提供装置において残留塩素を含有する水道水を用いて飲料調製を行う場合には、菌の繁殖を防止できるというメリットがある反面、調製飲料に塩素臭が残るというデメリットがあり、水フィルターにより残留塩素を除去した水を使用した場合には、上記塩素臭の問題は起こらないが、配管内をオート洗浄しても十分な菌の繁殖防止効果を得ることはできない。
殺菌効果と、臭気等による味覚や風味低下と、の間には、このようなトレードオフの関係があるところ、特許文献3に記載された上記カップ式自動販売機では、遊離塩素を略半分除去することにより、上記トレードオフの関係の範囲内で、前記メリットとデメリットのバランスを取ったものと理解できる。しかし、飲料に含まれる残留塩素による悪影響を無くすることはできず、また、菌の発生・増殖を防止するためには、かなりの頻度でオート洗浄を行う必要がある。
一方、特許文献5に記載された飲料供給装置では、配管洗浄時には塩素発生装置のモード切り替えを行う必要があるばかりでなく、洗浄し忘れや、未使用期間がさほど長くないにもかかわらず周囲環境等によって通常より微生物が繁殖するといったことが起こった場合には、配管がよごれたまま飲料調製を行ってしまう危険性がある。さらに、配管洗浄直後に飲料を調製する場合には、配管内に残存する高塩素濃度の水が混入する可能性もある。
そこで、本発明は、煩雑な遊離塩素濃度の制御を行うことなく、装置内の配管や槽内の微生物の発生・繁殖を確実に防止し、且つ、残留塩素を含まない飲料を調製できる飲料提供装置を提供することを目的とする。
本発明の飲料提供装置は、外部から残留塩素を含有する水からなる調理用水の原水を受け入れる給水部を含む原水供給部と、調理用水の水温を調節する水温調節器と、水温調節器で温度が調節された調温水を貯留する調温水槽とを有する1又は複数の調温水供給部と、飲料原料を貯蔵する原料貯槽を有する原料供給部と、飲料調製部と、原水供給部と調温水供給部とを連結する原水供給流路と、調温水供給部と飲料調製部とを連結する調温水流路と、を有し、飲料調製部において、原料供給部から供給される飲料原料と調温水供給部から供給される調温水を用いて飲料を調製又は調理する飲料提供装置において、
残留塩素を吸着する吸着剤を有する吸着処理部と、紫外線透過性材料で構成される紫外線透過部を有する紫外線透過性流路と、がこの順番で連結された、吸着処理部−紫外線透過性流路ユニットを含む浄水部と、紫外線光源と、を更に有し、
浄水部を原水供給流路及び/又は、調温水流路に配置し、浄水部の紫外線透過性流路内に存在する、吸着処理部を通過した調理用水に、紫外線光源から出射される紫外線を照射するようにしたことを特徴とする。
上記本発明の飲料提供装置(第1形態の飲料提供装置ともいう。)においては、前記調温水供給部が、冷水器と冷水槽とを含む冷水供給部を含んでなり、前記原水供給部と冷水供給部とを連結する原水供給流路又は冷水供給部と前記飲料調製部とを連結する調温水流路に前記浄水部を配置したもの(第2形態の飲料提供装置ともいう。)であることが好ましい。
また、上記第1及び第2形態の飲料提供装置においては、前記調温水供給部が、冷水器と冷水槽とを含む冷水供給部と、加熱器と温水槽とを含む温水供給部と、を含んでなり、冷水供給部と温水供給部とは並列的に配置されており、残留塩素を吸着する吸着剤を有する吸着処理部であって、前記浄水部には含まれない、独立吸着処理部を更に有し、冷水供給部と前記飲料調製部とを連結する調温水流路に前記浄水部を配置し、前記原水供給部と温水供給部とを連結する原水供給流路に独立吸着処理部を配置したもの(第3形態の飲料提供装置ともいう。)であることが好ましい。
さらに、上記第2及び第3形態の飲料提供装置においては、製氷器と、製氷器で製造された氷を貯蔵する氷貯蔵部と、を有する氷供給部と、氷供給部と前記原水供給部とを直接連結する第一の製氷用水流路又は氷供給部と前記原水供給部とを前記冷水供給部を経由して連結する第二の製氷用水流路と、を更に有し、第一の製氷用水流路又は第二の製氷用水流路における前記前記冷水供給部より上流側若しくは下流側に前記浄水部が配置されている、もの(第4形態の飲料提供装置ともいう。)であることが好ましい。
なお、前記第2乃至第4形態の飲料提供装置において、調理用水や製氷用水が流れる流路は分岐を有し、バルブ切り替えにより分岐後の流路を決定するものであってもよい。この場合、分岐前の流路は、切り替えられた状態において水が流れる目的に応じた流路とされる。
たとえば、第3形態の飲料提供装置において、原水供給流路としては、前記原水供給部と冷水供給部とを連結する原水供給流路(原水供給部−冷水供給部接続流路ともいう。)と、前記原水供給部と温水供給部とを連結する原水供給流路(原水供給部−温水供給部接続流路ともいう。)と、があるが、これらは独立した2つの流路であってもよく、途中で三方バルブによって二股に分岐し、分岐後の一方が冷水供給部と接続し、他方が温水供給部と接続する、逆T字型又は逆Y字型の流路としてもよい。そして、後者の場合における分岐前の流路は、冷水供給部に飲用水を供給しているときは、原水供給部−冷水供給部接続流路の一部となり、温水供給部に飲用水を供給しているときは、原水供給部−温水供給部接続流路の一部となる。
また、第4形態の飲料提供装置において、第一の製氷用水流路を有する場合には、前記原水供給流路とは別に独立した流路を設けて前記原水供給部と氷供給部とを連結してもよく、また前記原水供給部−温水供給部接続流路、特に原水供給部−冷水供給部接続流路の途中で三方バルブによって二股に分岐し、分岐後の一方が温水供給部、特に冷水供給部と接続し、他方が氷供給部と接続するようにしてもよい。後者の場合、氷供給部の製氷機に製氷用水を供給しているときには、分岐より上流側の原水供給部−冷水供給部接続流路も第一の製氷用水流路の一部となる。一方、第二の製氷用水流路を有する場合には、前記冷水供給部より下流側において、前記冷水供給部と前記飲料調製部とを連結する調温水流路(冷水供給部−飲料調製部接続流路ともいう。)とは、独立した流路を設けて前記冷水供給部と氷供給部とを連結してもよく、また冷水供給部−飲料調製部接続流路の途中で三方バルブによって二股に分岐し、分岐後の一方が飲料調製部と接続し、他方が氷供給部と接続する、逆T字型又は逆Y字型の流路としてもよい。そして、後者の場合における分岐前の流路は、飲料調製部に飲用水を供給しているときは、冷水供給部−飲料調製部接続流路の一部となり、氷供給部に製氷用水を供給しているときは、第二の製氷用水流路の一部となる。
また、上記第1乃至第4形態の飲料提供装置においては、浄水器本体と、前記吸着処理部と、前記紫外線透過性流路と、前記紫外線光源と、を有する浄水器であって、前記吸着処理部及び前記紫外線透過性流路は、それぞれ個別に又は一体として浄水器本体内で前記吸着処理部−紫外線透過性流路ユニットを構成するように、浄水器本体内に着脱可能に装着されるようにカートリッジ化されており、浄水器本体は、被浄化水である前記調理用水の原水を導入するための原水流入口と浄化処理された浄化水を排出するための浄化水流出口とを有するハウジングを有し、浄水器本体内で構成される前記吸着処理部−紫外線透過性流路ユニットは、前記吸着処理部と、前記紫外線透過性流路と、前記吸着部と前記紫外線透過性流路とを連通し、前記吸着処理部において吸着処理された前記調理用水の原水からなる吸着処理水を前記紫外線透過性流路に導く連結流路と、を有し、前記紫外線透過性流路の紫外線透過部の外側にこれと対向して前記紫外線光源を配置するか、又は、前記紫外線光源から出射する紫外線を伝送する導光部と伝送された紫外線を出射する出射部とを有する光伝送システムを付設すると共に、前記紫外線透過性流路の紫外線透過部の外側にこれと対向して出射部を配置することにより、前記紫外線透過性流路の内部に存在する、吸着処理水に紫外線を照射するようにした浄水器を有し、前記浄水部及び前記紫外線光源は、前記浄水器として配置されるようにしたもの(第5形態の飲料提供装置ともいう。)であることが好ましい。
そして、上記第5形態の飲料提供装置においては、前記吸着処理部−紫外線透過性流路ユニットにおいて、前記紫外線透過性流路の内部に中空糸膜を配置し、前記吸着処理水を中空糸膜でさらに処理するようにしたもの(第6形態の飲料提供装置ともいう。)であることが好ましい。
本発明の飲料提供装置では、残留塩素を含有する水からなる調理用水の原水を受け入れて、できるだけ下流側で、吸着処理部により残留塩素を除去してから飲料の調製又は調理を行う。このため、装置内における吸着処理部より上流側の槽や配管では、残留塩素の効果により細菌などの微生物の発生および繁殖を抑制できるばかりでなく、飲料は残留塩素を含まない浄化された調理用水によって調製又は調理されるので、塩素臭のない美味しい飲料を提供することができる。
さらに、本発明の飲料提供装置では、吸着処理後において吸着処理水の加熱殺菌を行うことができないラインにおいては、吸着処理部を浄水部の一部である前記吸着処理部−紫外線透過性流路ユニットとし、紫外線透過性流路内に存在する吸着処理水を紫外線殺菌するようにしているので、吸着処理部(浄化部)の下流側の槽や配管内における細菌などの微生物の発生および繁殖を高度に抑制することができる。
また、浄水部を前記浄水器とした第5形態の飲料提供装置では、前記吸着処理部及び前記紫外線透過性流路は、それぞれ個別に又は一体として浄水器本体内で前記吸着処理部−紫外線透過性流路ユニットを構成するように、浄水器本体内に着脱可能に装着されるようにカートリッジ化されているので、前記吸着処理部及び/又は前記紫外線透過性流路の交換を簡単に行うことができ、メンテナンスが容易である。
また、前記紫外線透過性流路の内部に中空糸膜を配置し、前記吸着水を中空糸膜でさらに処理するようにした第6形態の飲料提供装置によれば、より高度に浄化された調理用水によって飲料が調製又は調理されるので、より衛生的で美味しい飲料を提供することができる。
図1〜図4に夫々代表的な本発明の飲料提供装置(1a、1b、1c及び1d)の模式図を示す。以下、これら図面を参照して本発明の飲料提供装置についてさらに説明する。
本発明の飲料提供装置1a、1b、1c及び1dは、外部から残留塩素を含有する水からなる調理用水の原水を受け入れる給水部11a及び11bを含む原水供給部10と、調理用水の水温を調節する水温調節器31と、水温調節器31で温度が調節された調温水を貯留する調温水槽32とを有する1又は複数の調温水供給部30a、30bと、飲料原料を貯蔵する原料貯槽51を有する原料供給部50と、飲料調製部60と、原水供給部10と調温水供給部30a、30bとを連結する原水供給流路20と、調温水供給部30a、30bと飲料調製部60とを連結する調温水流路40と、を有し、飲料調製部60において、原料供給部50から供給される飲料原料と調温水供給部30a、30bから供給される調温水を用いて飲料を調製又は調理する飲料提供装置において、残留塩素を吸着する吸着剤を有する吸着処理部71と、紫外線透過性材料で構成される紫外線透過部を有する紫外線透過性流路72と、がこの順番で連結された、吸着処理部−紫外線透過性流路ユニット73を含む浄水部70と、紫外線光源74と、を更に有し、浄水部70を原水供給流路20及び/又は、調温水流路40に配置し、浄水部70の紫外線透過性流路72内に存在する、吸着処理部71を通過した調理用水に、紫外線光源74から出射される紫外線を照射するようにしたことを特徴とする。
本発明の飲料供給装置1a、1b、1c及び1dは、前記特許文献1乃至3に記載された飲料ディスペンサやカップ式飲料自動販売機のような、調理用水の原水として水道水のような残留塩素を含有する水を外部から受け入れて飲料を調製又は調理するものではあるが、特許文献3に従来技術として示されるカップ式飲料自動販売機のようにリザーバ(本発明の飲料供給装置の原水供給部の一部に相当する)より上流側に水フィルターのような塩素除去フィルターを配するのではなく、原水供給部よりも下流側の特定の箇所に浄水部70を配置し、吸着剤を用いて上記原水に含まれる残留塩素を吸着除去してから紫外線殺菌を行うようにした点に最大の特徴を有する。そして、原水供給部10、調温水供給部30a、30b、原料供給部50及び飲料調製部60については、前記特許文献1乃至3に記載された飲料ディスペンサやカップ式飲料自動販売機のような従来の飲料提供装置と特に変わる点は無い。
すなわち、原水供給部10は、従来の飲料提供装置と同様に、給水部において上水道管と直結するか否かによって、水道直結型とカートリッジ式給水型との2つの型に分けられる。水道直結型の場合には、装置本体を構成する筐体内に元バルブ13を介して上水道管12から配管(図示せず)を介して直接供給された水を貯留する水リザーバ(図示せず)を備え、該水リザーバからポンプ(図示せず)などの送液手段を用いて調理用水を供給するか又は元バルブ13を介して上水道管12と接続する配管からなる給水部11bを装置内に設け、流量調節バルブ等からなる原水供給バルブ15bにより供給量や供給速度を制御して調理用水を供給している。また、カートリッジ式給水型は、近くに水道配管がない場合に採用されるものであり、固定式の水リザーバに替えて、取り外し可能なカートリッジ式の原水タンク14を用いて装置外で原水タンク14に別途水道水を補給した後に装置にセットされ、原水供給バルブ15aを介してポンプ16などの移送手段を用いて調理用水を供給するようになっている。
そして、本発明の飲料提供装置1a、1b、1c及び1dは、コールド飲料およびホット飲料を提供するものであり、原水供給部10から供給された調理用水は、原水供給流路20を介して調温水供給部30a、30bに送られる。ここで、調温水供給部30a、30bは、調理用水を、コールド飲料を調製するための冷水及び/又はホット飲料調整するための温水(通常は湯である)とする水温調節器31と、温度調節された調温水(冷水又は温水)を一旦貯留する調温水槽32とを有し、オーダーに応じて、必要量の冷水又は温水(湯)を飲料調製部60に供給するものである。冷水を供給するための冷水供給部33は、冷却器34と冷却水槽35を備え、冷却水槽35からポンプ(図示せず)などの送液手段によって、調温水流路40(具体的には冷水流路42)を通って飲料調製部60に送られる。また、温水(湯)を供給するための温水供給部36は、調理用水を加熱するヒータなどの加熱器37と温水(湯)を貯留する温水槽(貯湯タンクなどと称されることもある。)38と、を有し、ポンプ(図示せず)などの送液手段によって、調温水流路40(具体的には温水流路41)を通って飲料調製部に送られる。
なお、調温水供給部30を複数有する場合、原水供給流路20は、原水供給部10と各調温水供給部30とを直接つなぐ、それぞれ独立した流路であってもよく、また、図に示すように、分岐を有し、バルブの切り替えにより分岐後の流路を決定するものであってもよい。図には調温水供給部30として冷水供給部33と温水供給部36の計2つの調温水供給部30a、30bを有するものについて三方バルブ21aにより流路を切り替える態様を示した。分岐前の流路は、切り替えられた状態において水が流れる目的に応じて、夫々冷水調整用の原水供給流路20(原水供給部−冷水供給部接続流路)又は温水調製用の原水供給流路20(原水供給部−温水供給部接続流路)の一部とされる。
また、本発明の飲料提供装置は、コールド飲料を調製する際に使用する氷を供給するための氷供給部80を有し、氷供給ライン83により氷を飲料調製部60に供給するようにしたものであることが好ましい。このとき製氷用水は、氷供給部80と前記原水供給部とを直接連結する第一の製氷用水流路、又は氷供給部と前記原水供給部とを前記冷水供給部を経由して連結する第二の製氷用水流路82の何れかを通って氷供給部に供給される。
図3及び図4に示す本発明の飲料提供装置1c及び1dは、氷を製造して貯蔵する機能を有する製氷器81を備え、クラッシャーやフィーダー(図示せず)等により所定の大きさの氷を所定量供給することができる氷供給部80及び第二の製氷用水流路82を備えている。この第二の製氷用水流路82では、冷水供給部−飲料調製部接続流路の途中で三方バルブ21bによって二股に分岐する逆T字型の流路となっており、分岐後の一方が飲料調製部60と接続し、他方が氷供給部80と接続している。このとき、分岐前の流路は、飲料調製部に飲用水を供給しているときは、冷水流路42(冷水供給部−飲料調製部接続流路)の一部となり、氷供給部に製氷用水を供給しているときは、第二の製氷用水流路の一部となる。
原料供給部50は、レギュラーコーヒー用のコーヒー豆、粉末コーヒー、粉末ミルク、粉末砂糖、各種シロップなどの飲料原料を貯蔵する夫々独立した原料貯槽51を有し、必要に応じてコーヒーミル等(図示せず)を用いて粉末化処理を行い、計量システム(図示せず)により所定量の原料を計量して、ポンプ(図示せず)や粉末移送ステム(図示せず)などにより飲料調製部60に供給する。
飲料調製部60は、原料供給部50から供給される飲料原料と調温水供給部30a、30bから供給される調温水を用いて飲料を調製又は調理するところであり、本発明の飲料供給装置1a、1b、1c及び1dがカップ式飲料自動販売機である場合には、カップ機構(図示せず)からカップシュート(図示せず)を通して、カップ搬送機構(図示せず)に送り出し、カップ搬送機構を移動させながら、注文に応じて(調理すべき飲料の種類に応じて)必要な原料及び調温水、氷などをカップ内に供給し、撹拌機構(図示せず)により混合して飲料を調製し、最終的に飲料を含むカップをベントステージ(図示せず)に載置する。また、カップ内ですべての調理を行わずに、必要な原料及び調温水のうちの一部又は全部をミキシングボウル(図示せず)に供給し、ここで混合を行ってからカップに混合物を供給するようにしてもよい。さらに、飲料調整に際してレギュラーコーヒーや茶などの抽出操作を行う必要がある場合には、飲料調製部60において、コーヒーブリュア機構(図示せず)を用いて抽出操作を行い、抽出液をミキシングボウル又はカップに供給するようにしてもよい。さらに、炭酸飲料を供給する場合には、炭酸ガスボンベを内蔵し、冷水を用いて炭酸水を調製してからこれを飲料調製部60に供給するようにすればよい。
一方、需要者がカップをベントステージにセットし、セットされたカップ内にレギュラーコーヒーなどの調製又は調理された飲料を供給する飲料ディスペンサである場合には、ミキシングボウル内で飲料の調製又は調理を行い、調製後の飲料がカップに供給される。
前記したように、本発明の飲料供給装置は、原水供給部よりも下流側の特定の箇所に浄水部70を配置し、吸着剤を用いて上記原水に含まれる残留塩素を吸着除去してから紫外線殺菌を行うようにした点に最大の特徴を有する。
ここで、浄水部70は、残留塩素を吸着する吸着剤を有する吸着処理部71と、紫外線透過性材料で構成される紫外線透過部を有する紫外線透過性流路72と、がこの順番で連結された、吸着処理部−紫外線透過性流路ユニット73を含むものである。
本発明の飲料供給装置では、浄水部70を原水供給流路20及び/又は、調温水流路40に配置し、浄水部70の紫外線透過性流路72内に存在する、吸着処理部71を通過した調理用水に、紫外線光源74から出射される紫外線を照射することのより該調理用水の殺菌を行う。こうすることにより、吸着処理部71の上流側では残留塩素による殺菌効果により配管内等における細菌などの微生物の発生及び増殖を抑制することができ、紫外線透過性流路72以降では、紫外線殺菌済の調理用水が流れるため、外部から微生物の侵入がない限り微生物が増殖することがないため、配管内の衛生状態を良好に保つことができる。さらに調理用水には残留塩素が含まれないため、調製される飲料に塩素臭が残ることがなく、おいしい飲料を提供することが可能となる。
浄水部70の設置場所は上記条件を満足する場所であれば特に限定されないが、調温水供給部30aが温水供給部36である場合には、調理用水は加熱殺菌されるのでその上流側に浄水部70を設置する必要は特になく、残留塩素を除去するための独立吸着部75を配置すればよい。
図2及び図4に示される本発明の飲料供給装置1b及び1dでは、調温水供給部30aとして冷水供給部33と温水供給部36とを有し、三方バルブ21aにより流路を切り替えて、夫々冷水供給部33及び温水供給部36に原水を供給するようにしている。そして、浄水部70は、分岐前の三方バルブ21aより上流側の原水供給流路20に配置され、冷水供給部33及び温水供給部36のいずれに供給される原水とも吸着処理及び紫外線殺菌処理がなされるようにしている。また、図4に示される本発明の飲料供給装置1dは、氷供給部80を設け、冷水供給部33の下流側の冷水供給部−飲料調製部接続流路の途中で三方バルブ21bによって二股に分岐させ、分岐後の一方が飲料調製部60と接続し、他方が氷供給部80と接続するようにして、冷水を製氷用水として使用できるようにしている。このとき、冷水自体が既に吸着処理及び紫外線殺菌されているので三方バルブ21bの下流側の第二の製氷用水流路82の配管内で微生物が増殖することはなく、残留塩素が除かれた製氷用水で氷を製造することができる。
一方、図1及び図3に示される本発明の飲料供給装置1a及び1cでは、飲料供給装置1b及び1dと同様に調温水供給部30として冷水供給部33と温水供給部36とを有し、三方バルブ21aにより流路を切り替えて、夫々冷水供給部33及び温水供給部36に原水を供給するようにしているが、浄水部70は、冷水供給部33より下流側の調温水流路40である冷水流路42に配置し、調温水供給部30より上流部の原水供給流路20(原水供給部−温水供給部接続流路)には独立吸着部75を配置している。そして、図3に示される本発明の飲料供給装置1cでは、氷供給部80を設け、浄水部70の下流側の冷水供給部−飲料調製部接続流路の途中で三方バルブ21bによって二股に分岐させ、分岐後の一方が飲料調製部60と接続し、他方が氷供給部80と接続するようにして、冷水を製氷用水として使用できるようにしている。こうすることにより、残留塩素を含まない温水を用いて飲料が調製できるばかりでなく、残留塩素を含まない冷水を用いて飲料及び氷を得ることができる。しかも、温水は加熱殺菌され、冷水は紫外線殺菌されているので良好な衛生状態を維持することが可能である。
なお、吸着処理部71で使用する吸着材としては、残留塩素を吸着する作用を有するものであれば特に限定されず使用できるが、遊離塩素、カビ臭、トリハロメタンなどに対する吸着力の高い活性炭を使用することが好ましい。活性炭は、熱融着樹脂等のバインダーを用いて所定の形状(通常、円筒形)に成形されて使用されるのが一般的であり、活性炭に加えて鉛イオンを選択的に取り込むイオン交換繊維などの金属イオンに対する吸着材を配合することも多い。また成形に際しては、成形体の内側および外側に熱融着性の不織布を配置するのが一般的である。
また、紫外線透過性流路72における紫外線透過部は、紫外線透過性材料で構成される。紫外線透過性材料としては、サファイア、石英、及び紫外線透過性樹脂が使用でき、紫外線透過性樹脂を使用する場合にはサファイアや石英と組み合わせて(例えば積層して)使用することもできる。コスト及び容器製造の容易さの観点から紫外線透過性樹脂を使用することが好ましい。
紫外線透過性樹脂としては、波長が200nm〜300nm、特に220nm〜280nmの深紫外線に対して透過性を有する樹脂であることが好ましく、そのような樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルテルペンなどのポリオレフィン樹脂又はポリオレフィン系共重合体樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体などのフッ素樹脂、メタアクリル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、エポキシ樹脂、脂環式ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール樹脂など(いずれも紫外線照射工程で照射する紫外線を吸収するような紫外線吸収剤や可塑剤等の添加剤を含まないものであることが好ましい)等を例示できる。これら樹脂の中でもポリオレフィン樹脂又はポリオレフィン系共重合体樹脂を使用することが好ましい。これら紫外線透過樹脂は単独で使用してもよく、積層体などのように複合化して使用してもよい。なお、樹脂フィルムの紫外線透過率に関しては、“松井悦造、清水義弘、「プラスチック・フィルムの紫外線透過率II」、東洋食品工業短大・東洋食品研究所研究報告書、102−111(1967年)”、“ダイキン工業株式会社技術資料GX−27e「ネオフレンTMフィルム」”、http://jp.mitsuichem.com/service/functional_polymeric/polymers/tpx/spec.htmなどにデータが記載されている。なお、紫外線透過性樹脂を使用する場合には、表面に無機系紫外線透過性コート剤でコートすることが好ましい。こうすることにより高強度化や高耐久性化を図ることができる。
また、前記紫外線透過性流路72の内部には、中空糸膜を配置してもよい。抽着処理水を中空糸膜でさらに処理することにより赤さびなどの微粒子が除去された調理用水を用いて飲料を調製することができる。中空糸膜としては、セルロース系、ポリビニルアルコール系、ポリエーテル系、ポリメタクリル酸メチル系、ポリスルフォン系、フッ素樹脂系、ポリエステル系、ポリアミド系などのものも使用できるが、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン(樹脂)系の中空糸を使用することが好ましい。中空糸は、外径20〜2000μm程度、口径0.01〜1μm程度、空孔率20〜90%程度、膜厚5〜300μm程度のものが好適であり、親水化処理されていることが好ましい。中空糸は、複数本束ねられて逆U字状に折り曲げた状態で紫外線透過性流路72の一部を構成するケーシング内に収納され、中空糸膜束の両端部は、ケーシングの下部において各中空糸間および中空糸とケーシングとの間に充填された硬化性樹脂(封止剤)により封止固定(ポッティング)される。このとき、各中空糸膜は、末端が下流に向かって開口している。
紫外線透過部の好ましい厚さは、100μm以上5mm以下であり、より好ましい厚さは200μm以上2mm以下であり、特に好ましい厚さは500μm以上1mm以下である。また、紫外線透過部の、照射される紫外線に対する透過率は40%以上であることが好ましく、50%以上であることが更に好ましく、70%以上であることが最も好ましい。
紫外線光源74としては紫外線発光ダイオード(UV−LED)を有しているものであれば特に限定されないが、殺菌効果の高さの観点から、200nm以上300nm未満の波長領域に主ピークを有する紫外線を発光する深紫外発光ダイオード(DUV−LED)、特に220nm以上280nm未満の波長領域に主ピークを有する紫外線を発光する深紫外発光ダイオード(DUV−LED)を使用することが好適である。紫外線発光ダイオード(UV−LED)、特に深紫外線発光ダイオード(DUV−LED)は、紫外線ランプと比べて発光出力が弱いばかりでなく出射される紫外線の指向性が高いため、紫外線の照射領域が狭くなってしまう。したがって、光源としてDUV−LEDを使用する場合には、紫外線を照射すべき面の全面に亘って強い強度の紫外線を照射することが好ましい。そのためには、集光を利用して放射照度を高める方法または昇圧DC−DCコンバータやチャージポンプを用い高い順方向電流を流して発光出力高くする(このとき、必要に応じてパルス発光させてもよい)方法を採用するのが好適である。なお、光源用の電源は外部電源を使用してもよいし、バッテリー電源を使用してもよい。
光源は、UV−LEDから出射した紫外線(UV)を直接被照射物に照射するようにして使用してもよく、また、UV−LEDから出射した紫外線(UV)を導光部により伝送し、出射部から出射するような光伝送システムの一部として使用してもよい。前者のタイプとしては、たとえば特開2015−91582号公報に開示されているような金属製の放熱基板上にUV−LED群を並べて配置し、石英ガラスパッケージで覆ったものが例示される。また、UV−LEDの強度が強く、これを放射角度の広いパッケージとした場合には、複数のUV−LEDを配列してパッケージ化することなく、1つのUV−LEDをパッケージ化したものを光源として使用することもできる。また、光電システムとしては、たとえば特開2006−237563号公報に開示されているような光透過層(導光部に相当する。)及び発光面(出射部に相当する。)を有する面発光デバイス(導光板)や、特開平6−63106号公報に開示されている、光源と光伝送ホース(導光部に相当する。)と殺菌光照射手段(出射部に相当する。)の組み合わせを例示することができる。なお、導光部及び出射部は必ずしもフレキシブルである必要はなく、剛直又は適度な可撓性を有する一般的な紫外線透過性光ファイバや導波路であってもよい。
本発明の飲料提供装置においては、省スペース及びメンテナンスの容易さの観点から、浄水部70及び紫外線光源74は、次のような構造を有する浄水器として配置することが好ましい。すなわち、吸着処理部71又は吸着処理部−紫外線透過性流路ユニット73をカートリッジ化し、適宜交換できるようにした浄水器として配置することが好ましい。このような浄水器としては、浄水器本体と、前記吸着処理部と、前記紫外線透過性流路と、前記紫外線光源と、を有する浄水器であって、前記吸着処理部及び前記紫外線透過性流路は、それぞれ個別に又は一体として浄水器本体内で前記吸着処理部−紫外線透過性流路ユニットを構成するように、浄水器本体内に着脱可能に装着されるようにカートリッジ化されており(カートリッジ化されたものを浄水器用カートリッジともいう。)、浄水器本体は、被浄化水である前記調理用水の原水を導入するための原水流入口と浄化処理された浄化水を排出するための浄化水流出口とを有するハウジングを有し、浄水器本体内で構成される前記吸着処理部−紫外線透過性流路ユニットは、前記吸着処理部と、前記紫外線透過性流路と、前記吸着部と前記紫外線透過性流路とを連通し、前記吸着処理部において吸着処理された前記調理用水の原水からなる吸着処理水を前記紫外線透過性流路に導く連結流路と、を有し、前記紫外線透過性流路の紫外線透過部の外側にこれと対向して前記紫外線光源を配置するか、又は、前記紫外線光源から出射する紫外線を伝送する導光部と伝送された紫外線を出射する出射部とを有する光伝送システムを付設すると共に、前記紫外線透過性流路の紫外線透過部の外側にこれと対向して出射部を配置することにより、前記紫外線透過性流路の内部に存在する、吸着処理水に紫外線を照射するようにした浄水器が好適に使用できる。また、上記浄水器においては、前記紫外線透過性流路の内部に中空糸膜を配置し、前記吸着水を中空糸膜でさらに処理するようにしたものであることが特に好ましい。
以下、図面を参照して上記特に好ましい態様の浄水器について詳しく説明する。図5に本発明の飲料提供装置で好適に使用できる浄水器の代表的な態様を模式的に示した。図5に示す浄水器100は、残留塩素を含有する水からなる調理用水の原水(以下、単に原水ともいう)Aを浄化するものであって、浄水器本体110と、浄水器用カートリッジ120と、紫外線光源160と、を有している。そして、前記浄水器本体110は、原水流入口112と浄化水流出口114とを有するハウジング111を有し、その内部に浄水器用カートリッジ120が着脱可能に収容できるようになっている。また、浄水器用カートリッジ120の吸着処理部130における下流側キャップ152は鍔状となっており、ハウジング111の仕切板115及びシール材153と共に、浄水器用カートリッジ120を浄水器本体110内に収容設置したときに、本体内の空間を水密に2つの空間、即ち、原水が流入しない内部空間180と、原水Aが流入する原水流入空間181とに分割するようになっている。
そして、原水流入口112から流入した原水Aは原水流入空間181内を満たし、浄水器用カートリッジ120の吸着処理部130における吸着材131の外側から吸着材131を透過することによって吸着処理され、得られた吸着処理水Bは吸着材131の内部に形成された連結流路150に流れ込むようになっている。この時、吸着処理部130(および連結流路150)の上流側は、上流側キャップ151により水密に封止されているので連結通路に原水Aが流れ込むことはない。連結流路に流れ込んだ吸着処理水Bは、下流側キャップに設けられた孔から中空糸処理部140内に流れ込み、中空糸膜141を透過し、得られた浄化水Cは、流路部材171によって形成される流路170を通って、浄化水流出口114から流出する。
浄水器100において中空糸処理部140のケーシング(第一のケーシング)142は、紫外線透過性材料で構成され、その全体が、紫外線透過性流路の紫外線透過部143となっている。そして、紫外線光源160と、導光板からなる光伝送システム162が前記内部空間180内に設置されている。このとき、光伝送システム162の出射部164である発光面は、第一のケーシング142(その紫外線透過部143でもある)に対向するように配置され、前記第一のケーシング142の内部に存在する吸着処理水B及び中空糸表面に紫外線を照射するようになっている。
上記光伝送システム162は図5の右側にその詳細を示しているように、所謂導光板タイプのものであり、片面に光偏光素子を設けて発光面(出射部164)とし、UV−LEDからなる光源160から出射されたUVが光透過層(導光部163)を通って該発光面から出射するようになっている。
なお、図示しないが、前記内部空間180は、前記浄水器本体110の外部と連通し、外気により当該内部空間に配置された前記光源の冷却を行うための送風手段を有することが好ましい。こうすることにより、外気による光源の冷却を行うこができ、光源で発生する熱による温度上昇を抑制することができるので、光源の出力が安定すると共に長寿命化が図れる。また、浄水器の内部空間の換気も図れるので結露によるカビの発生や電気配線の故障を防止することができる。
図6に他の浄水器の代表的な態様を模式的に示した。図6に示される浄水器100aは、主として以下の点で異なることを除けば、基本的には前記浄水器100と同様の構造を有している。すなわち、浄水器100aでは、前記吸着処理部の内部に形成された連結流路150aの内部及び流路170aの内部に、夫々、新たに付設された光伝送システム162a及び162a’の出射部164a及び164a’が配置されている点、並びに上流側キャップ151aが鍔状となり仕切り板115aとシール材153aと共に浄水器本体内の空間を更に分割し、第二の内部空間180aを形成している点で大きく異なっている。さらに上記光伝送システム162a用の光源160aと導光部163aとは上記内部空間180aの内部に配置され、上記光伝送システム162a’用の光源160a’と導光部163a’とは内部空間180の内部に配置されている。また、これら光伝送システム162a及び162a’は、導光板タイプの光伝送システム162とは異なり、特開平6−63106号公報に開示されているのと同様な光伝送ホース(導光部163a及び163a’)と殺菌光照射手段(出射部164a及び164a’)の組み合わせとなっている。
浄水器100aでは、このような構成とすることにより、連結流路150a内に存在する吸着処理水B及び吸着材131の表面、更には流路170a内に存在する浄化水Cに紫外線を照射することができ、これらにおける細菌の増殖を防止することができる。
図7に更に他の浄水器の代表的な態様を模式的に示した。図7に示される浄水器100bでは、紫外線透過性材料で構成される第二の紫外線透過部133を有する第二のケーシング132内に吸着材131bを収納することにより、吸着材131bの外周と前記第二のケーシング132の内周との間に連結流路150bを形成している。そして上流側キャップ151bは、吸着材の上流側端部を水密に封止して第二のケーシングに支持するように取り付けられる。そして上流側キャップ151bの中心部には孔が設けられており、その孔の外周部には円筒状の接続部が設けられている。この接続部において、ハウジング111bの原水流入口112bの外周部に内部に向かって凸設した仕切り管116とシール材153bによって接合されることにより、原水Aか流入するための入水導入管190が形成されている。このとき、第二のケーシングは、必ずしも第一のケーシングと分ける必要はなく、第一のケーシングを上流側に延長して第二のケーシングを兼ねるようにしても良い。図7では、このような態様のものを示している。即ち、一つのケーシングにおいて中空糸の部に相当する部分が第一のケーシングとなり、吸着材の外周部に相当する部分を第二のケーシングとなっている。
また、下流側キャップ152bは、吸着材の下流側端部と水密に封止すると共に入水導入管190の下流端部を水密に封止するように取り付けられる。そして、下流側キャップ152bの外径を第二のケーシングの内径よりも小さくして連結流路150bの下流端部を開放状態とするか、或いは下流側キャップ152bの外径を第二のケーシングの内径と同じにして第二のケーシングに支持されるようにした場合には連結流路150bの下流端部には吸着処理水Bが下流へ流れるための孔が設けられる。
したがって、原水Aは入水導入管190を通って直接吸着材131bの部内に導入され、吸着材の内側から外側に向かって透過し、吸着処理された吸着処理水Bは、連結流路150bを通って中空糸処理部に達することになる。このような構成とすることにより、浄水器本体110bの内部の殆どの空間は、原水Aが流入しない内部空間180bとなり、光源や光伝送システムを収容する空間を広くすることができる。
また、浄水器100bでは、図5における光伝送システムに代えて、その導光部及び出射部を延長したような光伝送システム162bを用いている。光伝送システムの出射部164bは、第一の紫外線透過部だけでなく前記第二の紫外線透過部に対しても対向して配置されることになるので、該出射部164bによって、第一のケーシング142の内部に存在する吸着処理水B及び中空糸の表面に紫外線を照射できるだけでなく、同時に連結流路150b内に存在する吸着処理水B及び吸着材の表面131bにも紫外線を照射できるようになり、内部の構成が簡略化できる。
また、流路170b内については、図6に示したのと同様な光源及び光伝送システムが配置され、該流路内の浄化水を紫外線殺菌できるようになっている。
図8に、更に他の浄水器の代表的な態様を模式的に示した。図8に示される浄水器100cは、流路170cを構成する流路部材171cとして紫外線透過性材料を用い、全体を第三の紫外線透過部172としている。そして、その外部に光源160c及び導光板タイプの光伝送システム162cを配している。その他の点については図7に示す浄水器100bと同様である。なお、図8の右側に示したように、上流側キャップ151cの円筒状の接続部を延長し、ハウジングの原水流入口の外部で入水管と接合させても良い。