JP2018082743A - 音響波受信装置およびその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】音響波受信装置に用いる保持部材に対するマッチング液の液圧による座屈を抑制する。【解決手段】被検体を保持する保持部材と、被検体から発生した音響波を受信する探触子と、保持部材の下方に位置し、探触子が配置される液槽であって、保持部材と探触子を音響的に結合させる探触子側マッチング液を保持する液槽と、探触子側マッチング液の液位に関する情報を用いて、探触子側マッチング液の液圧が保持部材に座屈を起こさせる閾値である座屈荷重より低い値となるように、探触子側マッチング液の液位を制御する、液位制御部を有する音響波受信装置を用いる。【選択図】図1
Description
本発明は、音響波受信装置およびその制御方法に関する。
従来、被検体から発生する音響波を探触子で受信して被検体内部の形態や機能に関する特性情報を取得する音響波受信装置が、医療分野で研究されている。音響波受信装置には、光音響装置や超音波装置がある。光音響装置は、被検体に光が照射されたときに発生する光音響波を探触子により受信して電気信号に変換し、被検体内の光学特性に関連する機能情報を取得する。超音波装置は、被検体に超音波を送信して被検体内で反射したエコー波を受信して電気信号に変換し、被検体内の音響インピーダンスを反映した形態情報を取得する。これらの特性情報を画像化することで、被検者の診断に有益な情報を提供できる。
多くの場合、これらの音響波受信装置は、探触子と被検体を音響的に結合させるために両者の間をマッチング液で満たして音響波の伝達効率を高めている。また、被検体(例えば生体の乳房)を保持するための保持部材を備えている。なお、保持部材の内部にも、音響波伝達のために音響整合材(マッチング液やジェルなど)を配置する場合もある。
例えば、特許文献1の音響波受信装置は、特性情報の分解能を向上させるために、球面状に配置された音響波受信素子群を持つ探触子を備えている。球面状の探触子の内部にはマッチング液を満たすことが可能である。また、被検体と探触子の間に配置される保持部材としてカップ状の部材を備えている。保持部材としては、音響波を透過しやすいように、薄い(0.1〜0.5mm)ポリエチレンテレフタレート(PET)製の部材が利用される。
また、特許文献2の音響波受信装置も、球面状の探触子および被検体の保持部材を備え、被検体を載せた保持部材と探触子をマッチング液に浸すことが可能な構成となっている。特許文献2は保持部材として、ポリ塩化ビニルプラスチゾル(PVCP)またはポリエチレン製の薄膜を用いている。
上述のように、音響波の透過性を高めるという観点からは、保持部材として薄い膜状の部材を用いることが好ましい。また特に光音響装置の場合、光透過率を高めるために、PET、PVC、ポリエチレンなどプラスチック製の薄膜状の保持部材が好ましい。しかし、保持部材を薄くすればするほど機械的強度が下がるため、マッチング液からの圧力により保持部材に座屈が生じやすくなるおそれがある。例えば、乳房保持に用いられる下に凸なカップ状保持部材を探触子内部に満たされたマッチング液に浸した場合、マッチング液の液圧で保持部材の先端が座屈により折れ曲がって変形するおそれがある。
座屈が生じると保持部材が劣化し、さまざまな問題が発生する。具体的には、折れ目の部分が白くなり、光学的特性や音響波通過特性が変化し、診断画像中のアーチファクトの
原因となる。また、機械的強度低下により被検体を乗せた後に破れたりするおそれがある。一方、座屈変形が生じないように保持部材を厚くすると、保持部材による音響波の減衰や反射が大きくなり、診断画像のコントラストの低下のおそれがある。
原因となる。また、機械的強度低下により被検体を乗せた後に破れたりするおそれがある。一方、座屈変形が生じないように保持部材を厚くすると、保持部材による音響波の減衰や反射が大きくなり、診断画像のコントラストの低下のおそれがある。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、音響波受信装置に用いる保持部材に対するマッチング液の液圧による座屈を抑制することである。
本発明は、以下の構成を提供する。すなわち、
被検体を保持する保持部材と、
前記被検体から発生した音響波を受信する探触子と、
前記保持部材の下方に位置し、前記探触子が配置される液槽であって、前記保持部材と前記探触子を音響的に結合させる探触子側マッチング液を保持する液槽と、
前記探触子側マッチング液の液位に関する情報を用いて、前記探触子側マッチング液の液圧が前記保持部材に座屈を起こさせる閾値である座屈荷重より低い値となるように、前記探触子側マッチング液の液位を制御する、液位制御部と、
を有することを特徴とする音響波受信装置である。
被検体を保持する保持部材と、
前記被検体から発生した音響波を受信する探触子と、
前記保持部材の下方に位置し、前記探触子が配置される液槽であって、前記保持部材と前記探触子を音響的に結合させる探触子側マッチング液を保持する液槽と、
前記探触子側マッチング液の液位に関する情報を用いて、前記探触子側マッチング液の液圧が前記保持部材に座屈を起こさせる閾値である座屈荷重より低い値となるように、前記探触子側マッチング液の液位を制御する、液位制御部と、
を有することを特徴とする音響波受信装置である。
本発明は、以下の構成を提供する。すなわち、
被検体を保持する保持部材と、探触子と、前記保持部材の下方に位置し、前記探触子が配置される液槽であって、前記保持部材と前記探触子を音響的に結合させる探触子側マッチング液を保持する液槽と、液位制御部と、を有する音響波受信装置の制御方法であって、
前記液位制御部が、前記探触子側マッチング液の液位に関する情報を用いて、前記探触子側マッチング液の液圧が前記保持部材に座屈を起こさせる閾値である座屈荷重より低い値となるように、前記探触子側マッチング液の液位を制御するステップと、
前記探触子が、前記被検体から発生した音響波を受信するステップと、
を有することを特徴とする音響波受信装置の制御方法である。
被検体を保持する保持部材と、探触子と、前記保持部材の下方に位置し、前記探触子が配置される液槽であって、前記保持部材と前記探触子を音響的に結合させる探触子側マッチング液を保持する液槽と、液位制御部と、を有する音響波受信装置の制御方法であって、
前記液位制御部が、前記探触子側マッチング液の液位に関する情報を用いて、前記探触子側マッチング液の液圧が前記保持部材に座屈を起こさせる閾値である座屈荷重より低い値となるように、前記探触子側マッチング液の液位を制御するステップと、
前記探触子が、前記被検体から発生した音響波を受信するステップと、
を有することを特徴とする音響波受信装置の制御方法である。
本発明によれば、音響波受信装置に用いる保持部材に対するマッチング液の液圧による座屈を抑制することができる。
以下に図面を参照しつつ、本発明の好適な実施の形態について説明する。ただし、以下
に記載されている構成部品の寸法、材質、形状およびそれらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。よって、この発明の範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
に記載されている構成部品の寸法、材質、形状およびそれらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。よって、この発明の範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
本発明は、被検体から伝搬する音響波を検出し、被検体内部の特性情報を生成し、取得する技術に関する。よって本発明は、音響波受信装置またはその制御方法、被検体情報取得装置またはその制御方法、あるいは被検体情報取得方法や信号処理方法として捉えられる。本発明はまた、これらの方法をCPUやメモリ等のハードウェア資源を備える情報処理装置に実行させるプログラムや、そのプログラムを格納した、コンピュータにより読み取り可能な非一時的な記憶媒体としても捉えられる。
本発明の音響波受信装置には、被検体に光(電磁波)を照射すると光音響効果により被検体内で発生する音響波を受信して電気信号に変換し、被検体の特性情報を取得する、光音響装置を含む。この場合、特性情報とは、受信された光音響波に由来する受信信号を用いて生成される、被検体内の複数位置のそれぞれに対応する特性値の情報である。
光音響測定により取得される特性情報は、光エネルギーの吸収量や吸収率を反映した値である。例えば、単一の波長の光照射によって生じた音響波の発生源、被検体内の初期音圧、あるいは初期音圧から導かれる光エネルギー吸収密度や吸収係数を含む。また、互いに異なる複数の波長により得られる特性情報から、組織を構成する物質の濃度を取得できる。物質濃度として酸素化ヘモグロビン濃度と脱酸素化ヘモグロビン濃度を求めることにより、酸素飽和度分布を算出できる。また、物質濃度としては、グルコース濃度、コラーゲン濃度、メラニン濃度、脂肪や水の体積分率なども求められる。
本発明の音響波受信装置には、生体に超音波を送信し、生体組織で反射して伝搬してきた超音波エコーを受信して断層画像を再構成する、超音波装置も含まれる。超音波エコー技術を利用した装置の場合、取得される被検体情報とは、被検体内部の組織の音響インピーダンスの違いを反映した情報である。
被検体内の各位置の特性情報に基づいて、二次元または三次元の特性情報分布が得られる。分布データは画像データとして生成され得る。特性情報は、数値データとしてではなく、被検体内の各位置の分布情報として求めてもよい。すなわち、初期音圧分布、エネルギー吸収密度分布、吸収係数分布や酸素飽和度分布などの分布情報である。
本発明でいう音響波とは、典型的には超音波であり、音波、音響波と呼ばれる弾性波を含む。ただし、本明細書における超音波または音響波という記載は、それらの弾性波の波長を限定する意図ではない。トランスデューサ等により音響波から変換された電気信号を音響信号とも呼ぶ。光音響効果により発生した音響波は、光音響波または光超音波と呼ばれる。光音響波に由来する電気信号を光音響信号とも呼ぶ。超音波エコーに由来する電気信号を超音波信号とも呼ぶ。分布データは、光音響画像データや再構成画像データとも呼ばれる。
以下の各実施例では、下に凸な保持部材の下面に配置された探触子(液槽)にマッチング液を供給したときの保持部材の変形や劣化を防ぐ方法を説明する。変形や劣化には、保持部材に液圧による一時的な折れ曲がり、折れ曲がった状態のまま自動的には元の形状に復帰できない状態、カップ形状に生じる凹み、折れ曲がりに起因する白化などの光透過特性変化、音響波透過特性変化、保持部材の強度の低下、等がある。本明細書では、液圧による保持部材の折れ曲がりやそれに伴う特性変化を、座屈と呼ぶ。保持部材は、ある程度の液圧には耐えられるものの、閾値を超える液圧を掛けられると座屈を起こす。この閾値を座屈荷重と呼ぶ。後述するように、座屈荷重は、保持部材の材質(材料強度)、形状、
厚み(薄み)、マッチング液と接触した面積、保持部材が押しのけたマッチング液の体積、マッチング液の流動状態などに応じて異なる。
厚み(薄み)、マッチング液と接触した面積、保持部材が押しのけたマッチング液の体積、マッチング液の流動状態などに応じて異なる。
また、本明細書において液圧とはマッチング液が保持部材を押す水圧であり、保持部材上面に対する被検体側のマッチング液からの液圧と、保持部材下面に対する探触子側のマッチング液からの液圧の合力である。水圧には各々のマッチング液の重量による静水圧とマッチング液の運動エネルギーによる動水圧を含む。保持部材のある注目点における静水圧は、注目点とマッチング液位の高さの差、マッチング液の密度に比例する量である。一方、動水圧はマッチング液の密度およびマッチング液の流動状態に応じて変わる量である。
なお、保持部材101は通常、内部の上端まで被検体側マッチング液102が満たされた場合でも、その荷重に耐えられるように設計される。したがって、マッチング液供給時は先に被検体側マッチング液102を充填し、マッチング液回収時は先に探触子側マッチング液107を回収するようにすれば、複雑な制御は必要ない。しかし、後述するように探触子側マッチング液107を回収しない場合や、マッチング液充填時間の長期化が望まれない場合がある。また、マッチング液充填時に発生して液槽内部に付着した泡が取り除けるように、撮影直前に探触子側マッチング液を充填するのではなく、充填後ある程度の時間をおいてから撮影開始することが望ましい。そこで本発明の各実施例では、様々なマッチング液充填方法を記載している。
<第一実施例>
本発明の第一実施例は、カップ状の保持部材の上面および下面にマッチング液を供給する際に、保持部材の上下面の圧力差が保持部材の座屈荷重より低い値に収まるような液位制御を行うものである。具体的には、上面および下面のマッチング液の液位に関する情報に基づいて、マッチング液の供給量を制御する。
本発明の第一実施例は、カップ状の保持部材の上面および下面にマッチング液を供給する際に、保持部材の上下面の圧力差が保持部材の座屈荷重より低い値に収まるような液位制御を行うものである。具体的には、上面および下面のマッチング液の液位に関する情報に基づいて、マッチング液の供給量を制御する。
被検体としては被検者の乳房、手、足などが想定され、本実施例では乳房とする。本実施例の音響波受信装置は、被検体にパルス光を照射し、光音響効果によって被検体内部の生じた音響波を取得し、画像再構成によって被検体内部の構造や機能を示す特性情報分布を取得し、ユーザに診断画像を提示する、光音響装置である。
(装置構成と各部の説明)
図1は本発明の第一実施例における音響波受信装置のブロック構成図である。
保持部材101は、被検体(不図示)を上部に保持する、カップ状に成形された薄膜である。被検体を保持するときは、カップ内部に被検体側マッチング液102を入れて、被検体と保持部材の間に空気が入らないようにすると良い。薄膜の材質としてはプラスチック材が好適であり、例えば、ポリメチルペンテン、ポリエチレン、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PVCなどを利用できる。
図1は本発明の第一実施例における音響波受信装置のブロック構成図である。
保持部材101は、被検体(不図示)を上部に保持する、カップ状に成形された薄膜である。被検体を保持するときは、カップ内部に被検体側マッチング液102を入れて、被検体と保持部材の間に空気が入らないようにすると良い。薄膜の材質としてはプラスチック材が好適であり、例えば、ポリメチルペンテン、ポリエチレン、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PVCなどを利用できる。
薄膜の厚みは典型的には10μmから500μmの間であり、より好ましくは10μm〜100μmである。薄膜が薄くなるにつれ音響波の減衰が少なくなる。また薄膜が薄くなるにつれ、高い周波数の音響波が通過しやすくなる。一方、薄膜が薄くなるにつれ機械的強度が少なくなり、被検体を支えるのが難しくなる。したがって、薄膜の厚みは、被検体を支えるのに必要な機械的強度と、被検体からの音響波の周波数帯域および強度に鑑みて決定される必要がある。保持部材101の容器部1001とフランジ部1002は一体成型してもよく、別々に成型してから接合しても良い。また、衛生上の観点からは、保持部材101をディスポーザブルにして被検者ごとに交換しても良い。
被検体側マッチング液102は、被検体と保持部材101を音響的に結合させるための
液体である。材料は被検体と保持部材に音響インピーダンスが近く、パルス光の透過率が高く、生体適合性がある液体が望ましい。具体的には水、ひまし油などが用いられる。なお、本明細書において、被検体側と探触子側のマッチング液を区別する必要がないときは、単に「マッチング液」と呼ぶ場合がある。
液体である。材料は被検体と保持部材に音響インピーダンスが近く、パルス光の透過率が高く、生体適合性がある液体が望ましい。具体的には水、ひまし油などが用いられる。なお、本明細書において、被検体側と探触子側のマッチング液を区別する必要がないときは、単に「マッチング液」と呼ぶ場合がある。
被検体側液体制御部103は、被検体側マッチング液102を内部に溜めておき、管(被検体側供給用)104を介して必要な量を保持部材101内に供給する。被検体側液体制御部103は、マッチング液をためておくタンク、マッチング液を供給するためのポンプ、マッチング液の殺菌用の紫外線ランプを有する。また、マッチング液の供給、回収、および交換を可能にするための電磁弁を備え、流路を切り替えることにより、タンク内のマッチング液を外部に取り出したり、外部から新しいマッチング液をタンクに入れたりできる。また、マッチング液の温度制御用のヒータおよび温度センサを有し、設定された温度にマッチング液の温度を保つことができる。本実施例では被検体側マッチング液102の温度を被検体の体温に近くすることで、被検者の不快感を防止するとともに、被検体体温と室温との温度差によるマッチング液内の温度分布を最小化する。温度分布を減らすことにより、音響波の速度誤差を少なくし、画像再構成処理の精度を高めることができる。
管(被検体側供給用)104は、マッチング液を被検体側液体制御部103から保持部材101に供給する。一方、管(被検体側回収用)112は、被検体側マッチング液102を保持部材101から被検体側液体制御部103に戻す。
被検体側液位センサ105は、保持部材101内にある被検体側マッチング液102の量を測定する。被検体側液位センサ105は、流量計で構成され、管(被検体側供給用)104を通過するマッチング液の量と、管(被検体側回収用)112を通過するマッチング液の量の差分から、被検体側マッチング液102の量を測定する。
給排液コントローラ111は、保持部材101の形状情報と保持部材101中の被検体側マッチング液102の量から、被検体側マッチング液102の液位(液面高さ)を求める。本実施例の給排液コントローラ111は、被検体側マッチング液102の量と液位(液面高さ)との関係を、予め内部のメモリに記憶している。給排液コントローラは、本発明の液位制御部に相当する。なお、最終的に制御されるのは各マッチング液の液位であるが、装置の内部的な処理は、各マッチング液の供給量や回収量に基づいて行ってもよい。
探触子106は、被検体からの音響波を受信し電気信号に変換する。本実施例の探触子106の下部は、内面に512個の音響波受信素子120を配置した半球状をした部分である(図には1つだけ示す)。また上部は半球状部材よりも径が広い皿状の部分である。探触子106は、上部と下部を合わせて、内部に探触子側マッチング液107を保持する液槽として機能する。各音響波受信素子120の受信指向束は探触子106の球面の中心を向いており、探触子中心付近からの音響波を最も効率よく変換する。
探触子106が構成する液槽における、マッチング液に浸される領域の内面には、音響波受信素子120が少なくとも1つ配置されている。複数の素子を用いる場合、上記のような半球面内への配置のほかに、リニア状配置や2次元アレイ状配置を行ってもよい。音響波受信素子120には、被検体から伝搬する音響波を受信・検出して電気信号に変換して出力できるものであれば、何を用いてもよい。例えば圧電素子やCMUT等を利用できる。
探触子側マッチング液107の存在により、音響波受信素子120と保持部材101の間に空気が入らなくなり、両者が音響的に結合して音響波の伝達効率が向上する。探触子側マッチング液107としては、被検体側マッチング液102と同じく水、ひまし油など
が用いられる。
が用いられる。
探触子側液体制御部108は、探触子側マッチング液107を内部に保持しておき、管(探触子側供給用)109を介して必要な量を探触子106内に供給する、被検体側液体制御部103と同様の機能を有する部材である。
探触子側液位センサ110は、探触子内部の探触子側マッチング液107の液位を検出する。探触子側液位センサ110は、圧力計を備え、探触子106の下部に配置されている。マッチング液位と圧力計の高さの差をh、探触子側マッチング液107の密度をρ1とすると、圧力はρ1ghとなる。給排液コントローラ111は、圧力値に基づき探触子側マッチング液107の液位を算出する。
給排液コントローラ111は、被検体側液位センサ105と探触子側液位センサ110の情報に基づき、被検体側液体制御部103および探触子側液体制御部108を制御する。これにより給排液コントローラ111は、保持部材101内の被検体側マッチング液102および探触子106内の探触子側マッチング液107の量を同時に制御する。マッチング液量制御の際には、被検体側液体制御部103および探触子側液体制御部108内部のポンプのモータ回転数を制御し、管(被検体側供給用)104および管(探触子側供給用)109を通過するマッチング液の流量を変える。また、給排液コントローラ111は、ポンプのモータ回転方向の切り替えにより、マッチング液の供給および回収を制御する。また、ユーザからの指示に基づき、被検体側液体制御部103、探触子側液体制御部108内の電磁弁を切り替え、タンク内のマッチング液を外部に取り出したり、外部から新しいマッチング液をタンクに入れたりする。また、ユーザからの指示に基づき、紫外線ランプをオンし、マッチング液の殺菌を行う。
管(被検体側回収用)112は、余った被検体側マッチング液102を被検体側液体制御部103に戻す管である。管(被検体側回収用)112の取り付け高さが保持部材の上部と同じ高さになっているので、被検体側マッチング液102が保持部材101内を満たすと、あふれ出たマッチング液が管(被検体側回収用)112内を通って被検体側液体制御部103に戻る。給排液コントローラ111は管(被検体側回収用)112のマッチング液の流量を被検体側液位センサ105で観測し、保持部材101が被検体側マッチング液102で満たされたか否かを把握する。
管(探触子側回収用)113は、余った探触子側マッチング液107を探触子側液体制御部108に戻す管である。管(探触子側回収用)113の取り付け高さが探触子106の上部と同じ高さなので、探触子側マッチング液107が液槽である探触子106内を満たすと、あふれ出たマッチング液が管(探触子側回収用)113を通って探触子側液体制御部108に戻る。給排液コントローラ111は、探触子106内が探触子側マッチング液107で満たされたか否かも把握できる。
被検体が被検者の乳房である場合、被検者は伏臥位でベッドの天板114に載り、天板の開口114aに固定された保持部材101内に乳房を挿入する。保持部材101は、外周部にフランジ部を有しており、フランジ部によって天板上面に固定されている。ベッドの天板114は被検者の支持部である。
光源115は、パルス光を発生させるパルスレーザ光源である。光源115にはYAGレーザ、チタンサファイアレーザなどが好適であるが、LEDや半導体レーザを利用しても良い。制御部118からの制御信号によって光源115の発光タイミングが制御可能になっている。光源115からの光は、光ファイバ等の光学部品によって探触子106の下まで導光され、探触子下部の半球状部材の下方に配置された光照射部から、被検体に照射
される。
される。
信号処理部116は、探触子106の音響波受信素子120によって変換された光音響信号を受信する電子回路である。信号処理部116は、アナログの光音響信号を増幅するプリアンプ、デジタル変換を行うA/D変換器、FPGAなどを備える。また、信号処理部116は、デジタル化された光音響信号に対する画像再構成を行い、被検体内部の特性情報分布を生成する情報処理装置を備える。情報処理装置としては、CPUやメモリを備え、プログラムにしたがって動作するPCやワークステーションが好適である。画像再構成においては、整相加算、フーリエ変換法、バックプロジェクション法など既知の任意の手法を利用できる。生成された特性情報分布は内部のメモリに保存されても良く、画像データに変換されたのちユーザインタフェース119に出力されても良い。ここでは、特性情報は制御部118に出力されるものとする。
探触子走査部117は、探触子106を水平面内で走査させる機構である。探触子走査部117はXYステージ、ステージ駆動モータ、エンコーダおよびモータコントローラから構成される。探触子106の走査により、各音響波受信素子120の受信指向束が集まる領域(すなわち、被検体を高画質で画像化できる領域)が移動するため、被検体の広い領域を高画質で画像化できる。
なお、図1のように液槽でもある探触子106全体が保持部材101に対して相対移動する方式のほかに、液槽に充填されたマッチング液の内部で、音響波受信素子120が配列された探触子を移動させる方式を採用しても良い。この場合、液槽はベッドの天板114の下方において固定しておき、保持部材101との相対位置が変化しないようにする。
制御部118は、ユーザインタフェース119を介して入力されるユーザの指示に基づいて給排液コントローラ111、光源115、信号処理部116、探触子走査部117を制御する。また、制御部118は、信号処理部116から診断画像を示す画像データを読み出し、ユーザインタフェース119に出力する。制御部118は、信号処理部116と同様にPCやワークステーションおよびソフトウェアで構成され、給排液コントローラ111、光源115、信号処理部116、探触子走査部117と通信し、動作指示用のコマンドをやりとりする。なお、給排液コントローラ111、信号処理部116、制御部118は、同じ情報処理装置で構成されても良いし、それぞれ独自の物理的構成を備えても良い。
ユーザインタフェース119は、ディスプレイなどの表示部や、マウス、キーボードなどの入力部で構成される。ユーザは音響波受信装置の設定、撮影開始、終了などの指示を、ユーザインタフェース内のマウス、キーボードを用いて入力する。また、ユーザは、ディスプレイによって診断画像や装置状態を確認する。
図10(a)に、球面の一部である容器部1001と、外周に配置されたフランジ部1002とを備える保持部材101の形状を示す。音響波取得時には容器部1001内に被検体側マッチング液102および被検体を入れる。また、フランジ部1002は開口114aへの保持部材101の固定に利用される。固定方法は任意であり、ねじ止め固定、引掛け固定、双方に設けられた噛み合わせ部による固定などを利用できる。
(動作フロー)
続いて、図2を用いて本実施例の音響波受信装置の動作フローを説明する。
ステップS201において、給排液コントローラ111は被検体側液体制御部103および探触子側液体制御部108を制御する。これにより給排液コントローラ111は、保持部材101および探触子106に、それぞれ殺菌および温度調整済みの被検体側マッチ
ング液102、探触子側マッチング液107を供給する。この際に、被検体側液位センサ105および探触子側液位センサ110の情報から、保持部材の上下面の圧力差が保持部材の座屈荷重より低い値に収まるように、上面ないし下面のマッチング液の供給量を制御する。このような制御方法については後ほど詳述するが、上下面の圧力差が座屈荷重を一度でも超えることが無いよう制御することが望ましい。保持部材101および探触子106に、必要な量のマッチング液が充填された時点でステップS202に進む。
続いて、図2を用いて本実施例の音響波受信装置の動作フローを説明する。
ステップS201において、給排液コントローラ111は被検体側液体制御部103および探触子側液体制御部108を制御する。これにより給排液コントローラ111は、保持部材101および探触子106に、それぞれ殺菌および温度調整済みの被検体側マッチ
ング液102、探触子側マッチング液107を供給する。この際に、被検体側液位センサ105および探触子側液位センサ110の情報から、保持部材の上下面の圧力差が保持部材の座屈荷重より低い値に収まるように、上面ないし下面のマッチング液の供給量を制御する。このような制御方法については後ほど詳述するが、上下面の圧力差が座屈荷重を一度でも超えることが無いよう制御することが望ましい。保持部材101および探触子106に、必要な量のマッチング液が充填された時点でステップS202に進む。
ステップS202において、被検者の片側の乳房を保持部材101にセットする。あふれた被検体側マッチング液102は管(被検体側回収用)112を通じて被検体側液体制御部103に回収される。このとき、被検体側マッチング液102の代わりに被検体が存在するため、液圧による座屈は起こらない。
ステップS203において、ユーザはユーザインタフェース119を介して撮影開始の指示を入力する。これを受けて制御部118は探触子走査部117に指示を送り、探触子106が乳房全域を網羅するように走査を開始させる。また、制御部118は光源115に指示を送り、被検体に周期的にパルス光を照射させる。これにより、被検体の撮影範囲全域にまんべんなくパルス光が照射され、被検体内部の光吸収部位から光音響波が生じる。この例では光源115の照射周期が20Hz、照射回数が2048回なので、撮影に2分程度の時間を要する。光音響波は探触子106の音響波受信素子120によって電気信号に変換され、信号処理部116に出力される。
その後、信号処理部116は電気信号に増幅、A/D変換、画像再構成などの処理を施して特性情報を示す画像データを生成し、内部メモリに保存させる。制御部118は内部メモリから診断画像を読み出しユーザインタフェース119のディスプレイに表示する。なお、これらの信号処理や画像表示は、光音響撮影と並行してリアルタイムに行ってもよいし、不図示のメモリに電気信号を保存しておき、光音響信号取得終了後に行ってもよい。
ステップS204において、全ての被検体の撮影が完了している場合にはステップS205に進む。撮影が完了していない場合にはステップS201に戻る。本実施例では左右の乳房を1回ずつ撮影する例を用いて説明する。この場合には、左右いずれか一方の乳房撮影後はステップS201に戻り、左右両側の乳房の撮影が完了した後にはステップS205に進む。なお、左右の乳房を交換する際に、探触子側マッチング液107がある程度以上満たされている状態で乳房を保持部材101から抜くと、下方からの液圧により座屈が発生するおそれがある。このときの変形を抑制し座屈を防止する方法は後述する。
ステップS205において、給排液コントローラ111は被検体側液体制御部103および探触子側液体制御部108内部のポンプモータを制御し、被検体側マッチング液102を保持部材101から被検体側液体制御部103内部のタンクへ回収する。同時に探触子側マッチング液107を探触子106から探触子側液体制御部108内部のタンクへ回収する。この際に被検体側液位センサ105および探触子側液位センサ110からの情報から、保持部材の上下面の圧力差が保持部材の座屈荷重より低い値に収まるように、上面ないし下面のマッチング液の供給量を制御する。保持部材101および探触子106内のマッチング液が空になったところで処理を完了する。
(液位制御・マッチング液供給量制御)
ステップS201およびステップS205にて、被検体側マッチング液102および探触子側マッチング液107を供給および回収する際の制御方法について図3、図4、図5を用いて説明する。
ステップS201およびステップS205にて、被検体側マッチング液102および探触子側マッチング液107を供給および回収する際の制御方法について図3、図4、図5を用いて説明する。
(マッチング液量について)
図3(a)は、保持部材101および探触子106の位置関係と、被検体側マッチング液102、探触子側マッチング液107の液位(液面高さ)の関係を示す図である。図3(a)において、保持部材101の最下点を301とする。探触子106の最下点を302とする。このとき、以下のように定義する。
h1:探触子106の最下点302と、保持部材の最下点301の高さの差。
h2:保持部材101の最下点301と、天板114上面までの高さの差。
x:探触子106の最下点302を基準にした、探触子側マッチング液107の液位。
y:保持部材101の最下点301を基準にした、被検体側マッチング液102の液位
。
初期状態では探触子106および保持部材101にはマッチング液が入っていないので、x=0, y=0である。
図3(a)は、保持部材101および探触子106の位置関係と、被検体側マッチング液102、探触子側マッチング液107の液位(液面高さ)の関係を示す図である。図3(a)において、保持部材101の最下点を301とする。探触子106の最下点を302とする。このとき、以下のように定義する。
h1:探触子106の最下点302と、保持部材の最下点301の高さの差。
h2:保持部材101の最下点301と、天板114上面までの高さの差。
x:探触子106の最下点302を基準にした、探触子側マッチング液107の液位。
y:保持部材101の最下点301を基準にした、被検体側マッチング液102の液位
。
初期状態では探触子106および保持部材101にはマッチング液が入っていないので、x=0, y=0である。
図3(b)は、x, yの値と、保持部材101にかかる圧力の向きおよび座屈の有無を
示す図である。x,yの単位は任意であり、例えばcmとする。
示す図である。x,yの単位は任意であり、例えばcmとする。
図4を用いて、x,yの関係と保持部材101に作用する圧力について説明する。図4(
a)に示す状態は、探触子側マッチング液107の量が少なく、保持部材101に触れていない状態である。図4(a)において、保持部材101から下向きに出ている矢印は、被検体側マッチング液102が保持部材101の上面(被検体に接する側の面)を押す圧力である。点線401は、被検体側マッチング液102が保持部材101の上面全体を押す下向き圧力の分布を表す。簡単のため、左半分のみ記載した。
a)に示す状態は、探触子側マッチング液107の量が少なく、保持部材101に触れていない状態である。図4(a)において、保持部材101から下向きに出ている矢印は、被検体側マッチング液102が保持部材101の上面(被検体に接する側の面)を押す圧力である。点線401は、被検体側マッチング液102が保持部材101の上面全体を押す下向き圧力の分布を表す。簡単のため、左半分のみ記載した。
図4(a)の状態では、探触子側マッチング液107が保持部材101を押し上げる圧力はなく、保持部材101には被検体側マッチング液102からの下向きの圧力が作用する。カップ状の保持部材101は下向きの力には十分強いため、座屈は発生しない。
なお、この状態は図3(b)では、第一領域303で示される領域にあたり、x, y は
以下の式を満たす。このように、探触子側マッチング液107の液位が保持部材101の最下点よりも低い状態を第一状態と呼ぶ。
0 ≦ x < h1 …(式1A)
0 ≦ y ≦ h2 …(式1B)
なお、この状態は図3(b)では、第一領域303で示される領域にあたり、x, y は
以下の式を満たす。このように、探触子側マッチング液107の液位が保持部材101の最下点よりも低い状態を第一状態と呼ぶ。
0 ≦ x < h1 …(式1A)
0 ≦ y ≦ h2 …(式1B)
図4(b)に示す状態は、探触子側マッチング液107が保持部材に触れているが、被検体側マッチング液102の液位が探触子側マッチング液107の液位よりも上にある状態である。この状態では、保持部材101には、被検体側マッチング液102からの下向き圧力401に加え、探触子側マッチング液107からの上向き圧力402が作用する。ここで、保持部材101から上向きに出ている矢印は、探触子側マッチング液107が保持部材101の下面(被検体に接しない側の面、すなわち探触子に向かい合う側の面)を押す圧力を示す。また点線402は、探触子側マッチング液107が保持部材の下面全体を押す上向き圧力の分布である。
しかしながら、被検体側マッチング液102の液位が探触子側マッチング液107の液位よりも上にあるため、同じ点での圧力は下向きのほうが大きくなる。その結果、下向き圧力401と上向き圧力402を合成した圧力は下向きになる。カップ状形状の保持部材101は下向きの力には十分強いため、座屈は発生しない。この状態は図3(b)では第二領域304で示される領域であり、x, y は以下の式を満たす。このように、探触子側
マッチング液107の液位が保持部材101の最下点よりも高いが、被検体側マッチング液102の液位よりも低い状態を、第二状態と呼ぶ。
y > x-h1 …(式2A)
0 ≦ y ≦ h2 …(式2B)
h1 ≦ x ≦ h1+h2 …(式2C)
マッチング液107の液位が保持部材101の最下点よりも高いが、被検体側マッチング液102の液位よりも低い状態を、第二状態と呼ぶ。
y > x-h1 …(式2A)
0 ≦ y ≦ h2 …(式2B)
h1 ≦ x ≦ h1+h2 …(式2C)
図4(c)に示す状態は、探触子側マッチング液107と被検体側マッチング液102の高さが同じ状態である。このとき、保持部材101の上面に被検体側マッチング液102から作用する下向き圧力401と、保持部材101の下面に探触子側マッチング液107から作用する上向き圧力402がほぼ同じになる。なお厳密にはカップの厚みにより上面と下面での圧力差があるが、薄膜カップは厚みが小さいためその影響は小さく無視できる。下向き圧力401と上向き圧力402を合成した圧力はほぼゼロになり、座屈は発生しない。この状態は図3(b)では直線305で示され、x,yは以下の式を満たす。
y = x-h1 …(式3A)
0 ≦ y ≦ h2 …(式3B)
h1 ≦ x ≦ h1+h2 …(式3C)
y = x-h1 …(式3A)
0 ≦ y ≦ h2 …(式3B)
h1 ≦ x ≦ h1+h2 …(式3C)
図4(d)に示す状態は、探触子側マッチング液107の液位が被検体側マッチング液102の液位よりも上になるが、液位の差が小さい状態である。この状態では保持部材101には、上面に対する被検体側マッチング液102からの下向き圧力401に加え、下面に対する探触子側マッチング液107からの上向き圧力402が作用する。探触子側マッチング液107の液位が被検体側マッチング液102の液位よりも上にあるため、同じ点での圧力は上向きのほうが大きくなる。その結果、下向き圧力401と上向き圧力402を合成した圧力は上向きになる。しかし、液位の差が小さい場合にはこの合成した圧力が保持部材101上の各点に置いて座屈荷重より低い値であるため、座屈は発生しない。
この状態は図3(b)では以下の式を満たすような第三領域306で示される。このように、探触子側マッチング液107の液位が保持部材101の最下点よりも高く、かつ被検体側マッチング液102の液位よりも高いものの、液圧が座屈荷重より低い値である状態を、第三状態と呼ぶ。あるxにおいて、保持部材101上で座屈を発生させないために
必要なyの値をf(x)とする。f(x)は図3(b)では曲線307で示される。f(x)は、保持
部材101の形状、厚み(薄み)、材料強度、マッチング液の供給時の圧力、流動状態などによって決まる。
f(x) < y < x-h1 …(式4A)
0 ≦ y ≦ h2 …(式4B)
h1 ≦ x ≦ h1+h2 …(式4C)
必要なyの値をf(x)とする。f(x)は図3(b)では曲線307で示される。f(x)は、保持
部材101の形状、厚み(薄み)、材料強度、マッチング液の供給時の圧力、流動状態などによって決まる。
f(x) < y < x-h1 …(式4A)
0 ≦ y ≦ h2 …(式4B)
h1 ≦ x ≦ h1+h2 …(式4C)
図4(e)に示す状態は、探触子側マッチング液107の液位が被検体側マッチング液102の液位よりも上になり、液位の差が大きい領域である。この状態では下向き圧力401と上向き圧力402を合成した圧力が保持部材101上のある点に置いて座屈荷重以上となり、座屈が発生する。その結果、保持部材101が図のように大きく変形し、圧力分布も変化する。このように、探触子側マッチング液107の液位が保持部材101の最下点、および被検体側マッチング液102の液位よりも高く、液圧が座屈荷重以上である状態を、第四状態と呼ぶ。この状態は図3(b)では、以下の式を満たすような第四領域308で示される。
f(x) ≧ y …(式5A)
0 ≦ y ≦ h2 …(式5B)
h1 ≦ x ≦ h1+h2 …(式5C)
f(x) ≧ y …(式5A)
0 ≦ y ≦ h2 …(式5B)
h1 ≦ x ≦ h1+h2 …(式5C)
本実施例ではステップS201およびステップS205において、給排液コントローラ111は、被検体側マッチング液102および探触子側マッチング液107の関係が図3(b)における第四領域308に入らないように制御する。また、乳房の左右を入れ替えるときにも、乳房を保持部材101から抜いたときに残存した被検体側マッチング液102と探触子側マッチング液107の関係が図3(b)における第四領域308に入らない
ように制御する。
ように制御する。
また、第四領域308に入り、保持部材101の座屈が発生すると、図4(e)のように、保持部材101の中央付近が上向きに変形する。その結果、図4(d)の状態に比べ、探触子側マッチング液107の液位が少し下がる。給排液コントローラ111は、この変化を探触子側液位センサ110で検出し、保持部材の座屈発生を検出する。給排液コントローラ111は探触子側マッチング液107の液位の低下が発生したら座屈が発生していると判断し、探触子側マッチング液107の供給を減らし被検体側マッチング液102の供給を増やす。その結果、保持部材101は図4(e)の状態から図4(d)の状態に移行する。このとき、ユーザインタフェースを用いて座屈発生の可能性をユーザに通知しても良い。
(マッチング液の制御方法)
被検体を片側の乳房を最初に撮影するときの制御方法について、図5(a)を用いて説明する。初期状態では、探触子106および保持部材101にはマッチング液が入っていないため、(x,y)=(0,0)である。マッチング液供給完了時には、探触子106および保持
部材101がマッチング液で満たされ、(x,y)=(h1+h2,h2)になる。本発明では、(x,y)が、(0,0)から(h1+h2,h2)に至るまでの間に、第四領域308を通らない経路を取る必要
がある。このような経路は複数存在する。
被検体を片側の乳房を最初に撮影するときの制御方法について、図5(a)を用いて説明する。初期状態では、探触子106および保持部材101にはマッチング液が入っていないため、(x,y)=(0,0)である。マッチング液供給完了時には、探触子106および保持
部材101がマッチング液で満たされ、(x,y)=(h1+h2,h2)になる。本発明では、(x,y)が、(0,0)から(h1+h2,h2)に至るまでの間に、第四領域308を通らない経路を取る必要
がある。このような経路は複数存在する。
図5(a)に示す経路では、初めに給排液コントローラ111は探触子側液体制御部108に指示を送り、初期状態(x,y)=(0,0)から探触子側マッチング液107を保持部材1
01の最下点301の高さまで入れる。この状態で(x,y)=(h1,0)となる。
続いて、給排液コントローラ111は被検体側液体制御部103に指示を送り、保持部材101に被検体側マッチング液102の供給を開始させる。また、給排液コントローラ111は、探触子側液体制御部108に指示を送り、探触子側マッチング液107も同時に探触子106に供給する。その際に、給排液コントローラ111は被検体側液位センサ105、探触子側液位センサ110の情報をもとに、探触子側マッチング液107と被検体側マッチング液102の液位が同じになるように供給量を調整する。
01の最下点301の高さまで入れる。この状態で(x,y)=(h1,0)となる。
続いて、給排液コントローラ111は被検体側液体制御部103に指示を送り、保持部材101に被検体側マッチング液102の供給を開始させる。また、給排液コントローラ111は、探触子側液体制御部108に指示を送り、探触子側マッチング液107も同時に探触子106に供給する。その際に、給排液コントローラ111は被検体側液位センサ105、探触子側液位センサ110の情報をもとに、探触子側マッチング液107と被検体側マッチング液102の液位が同じになるように供給量を調整する。
このようにして、図5(a)の経路501に沿って被検体側マッチング液102および探触子側マッチング液107を供給する。この方法は、保持部材101の上面と下面にかかる圧力が略等しい期間が長いため、保持部材101にかかる圧力が少なくなり、劣化を防ぐ効果がある。また、探触子側マッチング液107と被検体側マッチング液102の供給完了時間が同じであるため、撮影開始までの被検体側マッチング液102の温度低下が少なくなり、被検者が保持部材101に乳房を入れる際の不快感が軽減される。
給排液コントローラ111は、経路501をたどるために必要な、マッチング液の液位や供給量に関連する情報を内部のメモリに予め保存しておく。そして、マッチング液供給中に被検体側マッチング液102および探触子側マッチング液107の液位を常時監視し、被検体側液体制御部103および探触子側液体制御部108のポンプモータの回転数にフィードバック制御する。すなわち、経路501よりも被検体側マッチング液102の液位が高くなった場合には被検体側液体制御部103のポンプモータの回転数を減らし、探触子側液体制御部108のポンプの回転数を増やす制御を行う。逆に、経路501よりも被検体側マッチング液102の液位が低くなった場合には探触子側液体制御部108のポンプモータの回転数を減らし、被検体側液体制御部103のポンプの回転数を増やす制御を行う。
続いて、ステップS204で一度片側の乳房撮影が終わった後に、もう一方の乳房撮影を行うためにステップS201に戻った場合を説明する。撮影直後では、被検体が保持部
材101の上に入っており、探触子106は探触子側マッチング液107で満たされている。一方、保持部材101中の被検体側マッチング液102は、被検体の体積分だけ減少している。この状態で被検体を保持部材101から外すと、被検体側マッチング液102の液位が下がり、図4(e)の状態になり保持部材101が座屈するおそれがある。
材101の上に入っており、探触子106は探触子側マッチング液107で満たされている。一方、保持部材101中の被検体側マッチング液102は、被検体の体積分だけ減少している。この状態で被検体を保持部材101から外すと、被検体側マッチング液102の液位が下がり、図4(e)の状態になり保持部材101が座屈するおそれがある。
そこで本実施例では、給排液コントローラ111が、被検体を保持部材101から外す前に探触子側マッチング液107の一部を探触子側液体制御部108へ戻し、探触子側マッチング液107の液位をh1まで下げる。これは、図5(b)の経路502に対応する。探触子側マッチング液107の液位をh1まで下げ終わったら、ユーザインタフェース119のディスプレイにメッセージを表示し、ユーザに被検体を外してもよいことを通知する。ユーザは、このメッセージを確認してから被検体を保持部材101から外す。被検体を外した後に、ユーザが供給再開指示をユーザインタフェース119から入力すると、給排液コントローラ111は、図5(b)の経路503に沿って被検体側マッチング液102および探触子側マッチング液107の供給を行う。
給排液コントローラ111は、経路502および経路503の情報を内部のメモリに予め保存しておく。そして、マッチング液供給中に被検体側マッチング液102および探触子側マッチング液107の液位を常時監視し、被検体側液体制御部103および探触子側液体制御部108のポンプの回転数にフィードバック制御する。
ステップS205のマッチング液の回収時には、給排液コントローラ111は、被検体を保持部材101から外す前に探触子側マッチング液107の一部を探触子側液体制御部108へ戻し、探触子側マッチング液107の液位をh1まで下げる。これも、図5(b)の経路502に対応する。液位がh1まで下がったら、ユーザインタフェース119のディスプレイに、被検体を外してもよいというメッセージを通知する。ユーザはこのメッセージを確認してから被検体を保持部材101から外す。給排液コントローラは引き続き探触子側マッチング液107を探触子側液体制御部108へ戻し、探触子106が空になったところで処理を終了する。
(変形例)
なお、図5(a)の経路501では被検体側マッチング液102と探触子側マッチング液107の液位を揃えながら、両者を同時に供給していた。しかし、(x,y)が第四領域3
08に入らなければどのような経路でも構わない。
なお、図5(a)の経路501では被検体側マッチング液102と探触子側マッチング液107の液位を揃えながら、両者を同時に供給していた。しかし、(x,y)が第四領域3
08に入らなければどのような経路でも構わない。
例えば、図5(c)の経路504を採用し得る。この場合、初期状態(x,y)=(0,0)から
、まず被検体側マッチング液102のみを供給して、(x,y)=(0,h2)とする。次に探触子側マッチング液107のみを供給して、(x,y)=(h1+h2,h2)とする。この方法によれば、供給途中の液位を常時監視していなくて済むので、制御を簡易化できる。また、液位の検知方法も簡略化できるため、液位センサの低コスト化につながる。例えば、探触子側液位センサ110には非接触レベルスイッチを用い、マッチング液で保持部材101が満たされているか否かを検出するだけでよい。
、まず被検体側マッチング液102のみを供給して、(x,y)=(0,h2)とする。次に探触子側マッチング液107のみを供給して、(x,y)=(h1+h2,h2)とする。この方法によれば、供給途中の液位を常時監視していなくて済むので、制御を簡易化できる。また、液位の検知方法も簡略化できるため、液位センサの低コスト化につながる。例えば、探触子側液位センサ110には非接触レベルスイッチを用い、マッチング液で保持部材101が満たされているか否かを検出するだけでよい。
ただし、図5(c)の方法では、被検体側マッチング液102と探触子側マッチング液107を片方ずつしか供給しないので、供給にかかる時間は長くなる。また、探触子側マッチング液107を供給している間に被検体側マッチング液102の温度が低下するおそれがある。そこで、被検体側マッチング液102の供給完了後、被検体側マッチング液102を保持部材と被検体側液体制御部103の間で循環させておいてもよい。これにより、撮影前の被検体側マッチング液102の温度低下を少なくし、被検者が保持部材101に乳房を入れる際の不快感を軽減できる。
また、本実施例においては、管を通るマッチング液の流量差およびマッチング液の圧力から液位を検出した。しかし、検出は他の方法によっても構わない。例えば、探触子106内にフロート式液位センサを備え、マッチング液の液位を直接検出してもよい。あるいは探触子106の下部にロードセルを用い、探触子側マッチング液107の重さから液位を推定してもよい。また、物理的なセンサを設ける代わりに、カップの体積と供給部のポンプ流量およびポンプの駆動時間から、液位を推定してもよい。
(マッチング液の材料が異なる場合)
また、被検体側マッチング液102と探触子側マッチング液107は、互いに異なる材料であってもかまわない。例えば、装置内部を循環する探触子側マッチング液107には、細菌の繁殖防止や金属部材の腐食防止のため、ひまし油を用いる。一方、被検体側マッチング液102は人体と直接接するため、生体安全性や、撮影後の拭き取りの容易化のため水を用いる。この場合、被検体側マッチング液102と探触子側マッチング液107の密度差により保持部材101への圧力分布が変化し、直線305、曲線307の位置がずれる。
また、被検体側マッチング液102と探触子側マッチング液107は、互いに異なる材料であってもかまわない。例えば、装置内部を循環する探触子側マッチング液107には、細菌の繁殖防止や金属部材の腐食防止のため、ひまし油を用いる。一方、被検体側マッチング液102は人体と直接接するため、生体安全性や、撮影後の拭き取りの容易化のため水を用いる。この場合、被検体側マッチング液102と探触子側マッチング液107の密度差により保持部材101への圧力分布が変化し、直線305、曲線307の位置がずれる。
ここで、図13において、探触子側マッチング液107の密度をρ1, 被検体側マッチ
ング液102の密度をρ2, 重力加速度をgとする。保持部材101上で最下点301から高さhaの点を注目点121とすると、注目点121における、探触子側マッチング液107からの法線方向上向き圧力P1は、以下の式であらわされる。
P1 = 0 …(式6A)
ただし、0 ≦ x < h1+ha
P1 = ρ1g(x-h1-ha) …(式6B)
ただし、h1 + ha ≦ x ≦ h1+h2
ング液102の密度をρ2, 重力加速度をgとする。保持部材101上で最下点301から高さhaの点を注目点121とすると、注目点121における、探触子側マッチング液107からの法線方向上向き圧力P1は、以下の式であらわされる。
P1 = 0 …(式6A)
ただし、0 ≦ x < h1+ha
P1 = ρ1g(x-h1-ha) …(式6B)
ただし、h1 + ha ≦ x ≦ h1+h2
また、同じく注目点121における、被検体側マッチング液102からの法線方向下向き圧力P2は以下の式であらわされる。
P2 = 0 …(式6C)
ただし、0 ≦ y ≦ ha
P2 = ρ2(y-ha) …(式6D)
ただし、ha ≦ y ≦ h2
したがって、図13は、式6Bおよび式6Dが満たされた状態を示す例である。
P2 = 0 …(式6C)
ただし、0 ≦ y ≦ ha
P2 = ρ2(y-ha) …(式6D)
ただし、ha ≦ y ≦ h2
したがって、図13は、式6Bおよび式6Dが満たされた状態を示す例である。
保持部材101の最下点301から高さhaの点における、保持部材への合計圧力PはP1-P2であらわされる。なお、法線方向上向きを正とする。また、保持部材は薄いので厚みによる表裏の圧力差は無視する。図3(b)のときのように、被検体側マッチング液102と探触子側マッチング液107が同じ物質の場合には、ρ2=ρ1=ρとなり、保持部材上
下にマッチング液があるところではP=ρg(y-x+h1)となり、直線305はy=x-h1の直線と
なる。また注目点121における座屈荷重をP(ha)とするとき、曲線307は、
min(P(ha))=ρg(y-x+h1) …(式7)
となる曲線である(minは、0 ≦ ha ≦ yにおける最小値)。ユーザは、曲線307を実
験で予め求めておき、x,yの値を給排液コントローラ111の内部メモリに保存しておく
。
下にマッチング液があるところではP=ρg(y-x+h1)となり、直線305はy=x-h1の直線と
なる。また注目点121における座屈荷重をP(ha)とするとき、曲線307は、
min(P(ha))=ρg(y-x+h1) …(式7)
となる曲線である(minは、0 ≦ ha ≦ yにおける最小値)。ユーザは、曲線307を実
験で予め求めておき、x,yの値を給排液コントローラ111の内部メモリに保存しておく
。
これに対し、被検体側マッチング液102が水、探触子側マッチング液107がひまし油と異なっている場合には、探触子側密度ρ1=0.96[g/cm3], 被検体側密度ρ2=1.0[g/cm3]となる。この密度差により、被検体側マッチング液102からの下向き圧力P2の影響が、探触子側マッチング液107からの法線方向上向き圧力P1の影響より大きくなり、直線305、曲線307は、図3(b)よりも下方にずれる。
また、被検体側マッチング液102が水、探触子側マッチング液107がポリエチレングリコールの場合には、探触子側ρ1=1.1[g/cm3], 被検体側ρ2=1.0[g/cm3]となる。こ
の密度差により、被検体側マッチング液102からの法線方向下向き圧力P2の影響が、探触子側マッチング液107からの上向き圧力P1の影響より大きくなり、直線305、曲線307は図3(b)よりも上方にずれる。
の密度差により、被検体側マッチング液102からの法線方向下向き圧力P2の影響が、探触子側マッチング液107からの上向き圧力P1の影響より大きくなり、直線305、曲線307は図3(b)よりも上方にずれる。
給排液コントローラ111は、被検体側マッチング液102、探触子側マッチング液107の材質が異なる場合には直線305、曲線307のずれを考慮してマッチング液の供給量を制御する。本変形例のように、保持部材上下面で異なる材質のマッチング液を用いた場合でも、密度情報に基づいて座屈の発生する領域に入らないような経路を設定できるので、マッチング液による座屈を抑制するような制御が可能になる。なお、第一の実施例と同様に、被検体側マッチング液102および探触子側マッチング液107の組み合わせごとに、マッチング液の液位や供給量に関連する情報をメモリに保存しておき、給液と廃液の制御に用いることが好ましい。
(保持部材の変形例)
本実施例では被検体が乳房であり、保持部材101の被検体を保持する部分の形状は図10(a)のようにカップ状であったが、本発明の保持部材の形状はこれに限定されるものではない。保持部材の内部に被検体とマッチング液を入れることができ、薄膜で構成されていれば、平面を含む形状でも構わない。例えば、被検体が手のように平らなものであれば、図10(b)のように被検体を保持する部分が円筒形状をしていても構わない。また、図10(c)のように被検体を保持する部分が直方体形状をしていても構わない。また、被検体が足のように長いものであれば、図10(d)のように縦長の形状で合ってもかまわない。
本実施例では被検体が乳房であり、保持部材101の被検体を保持する部分の形状は図10(a)のようにカップ状であったが、本発明の保持部材の形状はこれに限定されるものではない。保持部材の内部に被検体とマッチング液を入れることができ、薄膜で構成されていれば、平面を含む形状でも構わない。例えば、被検体が手のように平らなものであれば、図10(b)のように被検体を保持する部分が円筒形状をしていても構わない。また、図10(c)のように被検体を保持する部分が直方体形状をしていても構わない。また、被検体が足のように長いものであれば、図10(d)のように縦長の形状で合ってもかまわない。
また、本実施例では、保持部材101をポリメチルペンテンなどの薄膜から一体成型としていたが、本発明は保持部材の材料構成はこれに限定されるものではない。薄膜が薄く一体成型が困難な場合には、厚みの異なる複数部材を張り合わせてもよい。例えば図10(b)の保持部材において、フランジ部1301、および、容器部の底面1302や側面1303を別々の薄膜で作成し、貼り合わせてもよい。また、探触子と被検体の間に入らず、音響波取得に影響がない部分は薄膜ではなく厚い部材を用いてもよい。例えば図10の各例において、フランジ部1002,1301には厚い部材を用いてもよく、金属を用いてもかまわない。
上記の説明では、被検体側および探触子側のマッチング液をともに制御していた。しかし保持部材101の変形は、主として下方の探触子側マッチング液107の液圧によって引き起こされるものである。したがって本発明による保持部材の座屈変形防止という効果を得るためには、少なくとも探触子側マッチング液107の供給量・液位を制御すれば良い。すなわち、給排液コントローラ111が、保持部材101と探触子(液槽)の位置関係に関する情報と、探触子側マッチング液107の液位情報とを用いて、探触子側マッチング液の液圧が座屈荷重より低い値となるように液位を制御すれば良い。
以上のように、本実施例においては、カップ状の保持部材の上面および下面にマッチング液を供給および回収する際に、保持部材の上下面の圧力差が保持部材の座屈荷重より低い値に収まるように、上面ないし下面のマッチング液の供給量を制御する。これにより、保持部材の変形の発生を低減し、座屈による劣化を抑制できる。
<第二実施例>
第二実施例の第一実施例との違いは、ユーザが被検体側マッチング液102の供給を行う点である。以下、第一実施例と異なる部分を中心に説明する。特に、保持部材101の
座屈を防ぐための給排液コントローラの動作を説明する。
第二実施例の第一実施例との違いは、ユーザが被検体側マッチング液102の供給を行う点である。以下、第一実施例と異なる部分を中心に説明する。特に、保持部材101の
座屈を防ぐための給排液コントローラの動作を説明する。
図6は第二実施例における音響波受信装置のブロック構成図である。第一実施例との違いは、被検体側液体制御部103および管(被検体側供給用)104、管(被検体側回収用)112がないことである。また、被検体側マッチング液102の流量をモニタしていた被検体側液位センサ105も存在しない。その代わりに、荷重センサ601が保持部材101と天板114の間の支持部に設けられている。給排液コントローラ111は、荷重センサ601で計測される保持部材101中の被検体側マッチング液102の重量から被検体側マッチング液102の液位を推定する。
本実施例の給排液コントローラ111は、被検体側マッチング液102および探触子側マッチング液107の液位を監視する。そして給排液コントローラ111は、保持部材の座屈が起きそうな状態になると、制御部118を介してユーザインタフェース119のディスプレイに警告メッセージを表示し、マッチング液の供給を停止する。座屈が起きそうな状態とは、液圧が座屈荷重の所定の割合以上の値(例えば95%以上)になった状態である。本実施例の動作フローは図2と同じであるが、ステップS201のマッチング液供給において、給排液コントローラ111は、探触子側マッチング液107のみ供給する。その際に、第四領域308に入る前にユーザインタフェース119のディスプレイに警告メッセージを表示し、ユーザに被検体側マッチング液102の供給を促す。なお、警告メッセージの出力に代えて、単に供給を停止しても良い。
(給液制御)
図7を用いて説明する。フロー開始時の初期状態では、探触子106および保持部材101が空の状態とする((x, y) = (0, 0))。ユーザからのマッチング液供給指示入力を
受け、給排液コントローラ111は、探触子側液体制御部108に指示を送り、探触子側マッチング液107を探触子106(液槽)に供給する。その際に保持部材が座屈する前に一度供給を停止する。ここまでが図7(a)の実線矢印701に対応する。このとき、給排液コントローラ111は、現在の探触子側マッチング液107の液量を、内部メモリに保存された、座屈が発生しないような探触子側マッチング液107の液量と比較する。
図7を用いて説明する。フロー開始時の初期状態では、探触子106および保持部材101が空の状態とする((x, y) = (0, 0))。ユーザからのマッチング液供給指示入力を
受け、給排液コントローラ111は、探触子側液体制御部108に指示を送り、探触子側マッチング液107を探触子106(液槽)に供給する。その際に保持部材が座屈する前に一度供給を停止する。ここまでが図7(a)の実線矢印701に対応する。このとき、給排液コントローラ111は、現在の探触子側マッチング液107の液量を、内部メモリに保存された、座屈が発生しないような探触子側マッチング液107の液量と比較する。
具体的には、給排液コントローラ111は曲線307の情報を内部メモリに記憶しておき、被検体側マッチング液102の高さに応じて、保持部材101を座屈させずに供給可能な探触子側マッチング液107の高さを読みだす。これは、各yの値に対応する曲線3
07上のxの値に対応する。保存形式としてはx値とy値を対応付けたテーブル形式が好適
である。また、x値とy値ごとに、座屈を起こすか否かを示す情報を格納するマトリクス形式も好適である。ここで例えば、曲線307が、y1=f(x1)という式で表現され、荷重センサ601から推定された被検体側マッチング液102の液位がy1だとする。このとき給排液コントローラ111は、探触子側液位センサ110から推定された探触子側マッチング液107の高さがx1以下になるように、探触子側液体制御部108のポンプを制御する。そして、探触子側マッチング液107の高さがx1になったところで制御部118を経由してユーザインタフェース119に警告メッセージを表示する。
07上のxの値に対応する。保存形式としてはx値とy値を対応付けたテーブル形式が好適
である。また、x値とy値ごとに、座屈を起こすか否かを示す情報を格納するマトリクス形式も好適である。ここで例えば、曲線307が、y1=f(x1)という式で表現され、荷重センサ601から推定された被検体側マッチング液102の液位がy1だとする。このとき給排液コントローラ111は、探触子側液位センサ110から推定された探触子側マッチング液107の高さがx1以下になるように、探触子側液体制御部108のポンプを制御する。そして、探触子側マッチング液107の高さがx1になったところで制御部118を経由してユーザインタフェース119に警告メッセージを表示する。
続いて、給排液コントローラ111は、ユーザインタフェース119のディスプレイに、被検体側マッチング液102を入れるように警告メッセージを表示させる。ユーザは警告メッセージを受け、手動で被検体側マッチング液102を保持部材101に入れる。ここまでが図7(a)の点線矢印702に対応する。
続いて、給排液コントローラ111は、被検体側マッチング液102が入ったことを荷重センサ601で確認すると、探触子側液体制御部108に指示を出し、残りの探触子側マッチング液107を探触子内に供給する。ここまでが図7(a)の実線矢印703に対
応する。
応する。
(排液制御)
ステップS205のマッチング液回収においては、給排液コントローラ111は、ユーザからのマッチング液供給指示入力を受け、探触子側液体制御部108に指示を送り、探触子側液体制御部108のポンプモータをマッチング液供給時とは逆に回転させる。これにより、探触子側マッチング液107が探触子106から回収される。ここまでが図7(b)の実線矢印704に対応する。
ステップS205のマッチング液回収においては、給排液コントローラ111は、ユーザからのマッチング液供給指示入力を受け、探触子側液体制御部108に指示を送り、探触子側液体制御部108のポンプモータをマッチング液供給時とは逆に回転させる。これにより、探触子側マッチング液107が探触子106から回収される。ここまでが図7(b)の実線矢印704に対応する。
被検体側マッチング液102がなくても保持部材101が座屈しないレベルまで探触子側マッチング液107の液位が下がったら、給排液コントローラ111は、制御部118を介してユーザインタフェース119のディスプレイに回収メッセージを表示させる。メッセージを見たユーザは、被検体側マッチング液102を手動で回収する。ここまでが図7(b)の点線矢印705に対応する。
具体的には、給排液コントローラ111は、内部メモリに記憶しておいた曲線307の情報から、y=0の値に対応する曲線307上のxの値x2を読み出す。そして、探触子側液位センサ110から推定された探触子側マッチング液107の高さがx2になったところで、制御部118を経由してユーザインタフェース119に回収メッセージを表示させる。
続いて、給排液コントローラ111は、被検体側マッチング液102の回収が行われたことを荷重センサ601で確認したのちに、残りの探触子側マッチング液107を回収する。すなわち給排液コントローラ111は、探触子側液体制御部108に指示を出し、探触子側液体制御部108のポンプモータをマッチング液供給時とは逆に回転させ、残りのマッチング液を回収する。ここまでが図7(b)の実線矢印706に対応する。
なお、点線矢印705の被検体側マッチング液102の回収と、実線矢印706の探触子側マッチング液107の回収は同時並行で行ってもよい。
なお、点線矢印705の被検体側マッチング液102の回収と、実線矢印706の探触子側マッチング液107の回収は同時並行で行ってもよい。
上記のように、本発明の第二実施例においては、給排液コントローラ111は、保持部材の座屈が起きそうな状態になるとユーザインタフェース119に警告メッセージを表示させ、保持部材への被検体側マッチング液102の供給および回収をユーザに促す。これにより、保持部材の座屈による劣化を抑制できる。また、被検体側のマッチング液供給関連の部材が不要になるため、コスト低減やメンテナンスの手間の軽減につながる。
<第三実施例>
第三実施例の第二実施例との違いは、被検体側マッチング液102を入れていない時に、座屈防止治具を用いて保持部材101の変形および座屈を抑制する点である。ここで、被検体側マッチング液102は被検者の身体に直接触れるため、衛生上の観点から被検者ごとに交換することが望まれる。一方、探触子側マッチング液107は被検者の身体に直接触れないので、交換頻度はそこまで高くはない。しかし第二実施例では、光音響撮影のとき、被検体側マッチング液102を回収する際には事前に探触子側マッチング液107の液位を下げていた。すなわち、光音響撮影のたびに探触子側マッチング液107を給排水しており、コストが増加していた。本実施例では、座屈防止治具を用いることにより、探触子側マッチング液107を探触子106内にとどめておくことができる。
第三実施例の第二実施例との違いは、被検体側マッチング液102を入れていない時に、座屈防止治具を用いて保持部材101の変形および座屈を抑制する点である。ここで、被検体側マッチング液102は被検者の身体に直接触れるため、衛生上の観点から被検者ごとに交換することが望まれる。一方、探触子側マッチング液107は被検者の身体に直接触れないので、交換頻度はそこまで高くはない。しかし第二実施例では、光音響撮影のとき、被検体側マッチング液102を回収する際には事前に探触子側マッチング液107の液位を下げていた。すなわち、光音響撮影のたびに探触子側マッチング液107を給排水しており、コストが増加していた。本実施例では、座屈防止治具を用いることにより、探触子側マッチング液107を探触子106内にとどめておくことができる。
座屈防止治具800の構造を図8に示す。座屈防止治具は、保持部材押さえ部801、枠部802、識別部803から構成される。保持部材押さえ部801は、保持部材101と同様な曲率半径をもつ球面の一部である。ユーザが保持部材押さえ部801を保持部材101の上に載せることで、被検体側マッチング液102が無い状態で保持部材101が探触子側マッチング液107に浸された場合でも、液圧による保持部材101の座屈が防
止される。保持部材押さえ部801は網目状になっており、被検体側マッチング液102を通すための穴が多数空いている。材質としては、ユーザが上部から被検体側マッチング液102の量を目視で確認できるように、透明な樹脂部材などが好適である。
止される。保持部材押さえ部801は網目状になっており、被検体側マッチング液102を通すための穴が多数空いている。材質としては、ユーザが上部から被検体側マッチング液102の量を目視で確認できるように、透明な樹脂部材などが好適である。
枠部802は座屈防止治具を天板114に固定するための枠であり、金属材料などで構成できる。天板114の上に固定用の枠がついており、枠部802と合わせることで。保持部材101に対して座屈防止治具がずれないようにする。これにより、保持部材押さえ部801が確実に保持部材101を押さえるように位置決めされる。識別部803は、枠部802から下向きに突き出た棒状の突起である。
座屈防止治具を用いた音響波受信装置のブロック構成図を図9に示す。本実施例では、天板114は識別部803が入る穴を備えている。また装置内部には、給排液コントローラ111が棒状の突起の有無を検出するために、近接センサ901が配置されている。これにより、給排液コントローラ111は、座屈防止治具が保持部材101の上に載っているか否かを判別する。
(給液制御)
本実施例の音響波受信装置の動作フローは図2と同じであるが、ステップS201のマッチング液供給において、給排液コントローラ111は近接センサ901の値を確認し、座屈防止治具が保持部材101の上にあるか否かを判定する。座屈防止治具が保持部材101上にない場合、給排液コントローラ111は、探触子側マッチング液107の液位が保持部材101の最下点の高さに達したところで、ユーザインタフェース119に警告メッセージを表示する。警告メッセージは、ユーザに対して、被検体側マッチング液102の供給か、座屈防止治具の設置を促すものである。
本実施例の音響波受信装置の動作フローは図2と同じであるが、ステップS201のマッチング液供給において、給排液コントローラ111は近接センサ901の値を確認し、座屈防止治具が保持部材101の上にあるか否かを判定する。座屈防止治具が保持部材101上にない場合、給排液コントローラ111は、探触子側マッチング液107の液位が保持部材101の最下点の高さに達したところで、ユーザインタフェース119に警告メッセージを表示する。警告メッセージは、ユーザに対して、被検体側マッチング液102の供給か、座屈防止治具の設置を促すものである。
一方、座屈防止治具が保持部材101上にある場合には、給排液コントローラ111は被検体側マッチング液102の有無によらず、探触子側マッチング液107が探触子106を満たすまで、探触子側マッチング液107を続けて供給する。ユーザは、保持部材押さえ部801の上部から被検体側マッチング液102を入れたのちに座屈防止治具を天板114から取りはずす。これにより、保持部材101の上向きの変形による座屈を防止できる。
(排液制御)
ステップS205のマッチング液回収においては、ユーザが座屈防止治具を置き、被検体側マッチング液102を回収する。探触子側マッチング液107については、座屈防止治具を置いている限りは探触子106の中にとどめておくことができる。これにより次回使用時は探触子側マッチング液107が満たされた状態から装置を使用開始できる。すなわち、ユーザは被検体側マッチング液102を保持部材に入れ、座屈防止治具を天板114から取りはずすのみでよいので、立上げ時間を短縮できる。
ステップS205のマッチング液回収においては、ユーザが座屈防止治具を置き、被検体側マッチング液102を回収する。探触子側マッチング液107については、座屈防止治具を置いている限りは探触子106の中にとどめておくことができる。これにより次回使用時は探触子側マッチング液107が満たされた状態から装置を使用開始できる。すなわち、ユーザは被検体側マッチング液102を保持部材に入れ、座屈防止治具を天板114から取りはずすのみでよいので、立上げ時間を短縮できる。
以上説明してきたように、本実施例では保持部材の変形を防ぐ治具を導入することにより、保持部材の劣化を防ぎつつ、マッチング液交換時の給排液時間を削減できる。特に、複数の被検者を続けて撮影する場合など、保持部材内のマッチング液を頻繁に交換したい場合には大きな時間短縮効果が得られる。なお、本実施例では第二実施例のように手動で被検体側マッチング液102を供給及び回収する場合について説明した。しかし、第一実施例のようにシステムを用いて給排水する場合にも、座屈防止治具800は利用できる。
<第四実施例>
第四実施例の第一実施例と異なる点について説明する。本発明の第一実施例では保持部材101の座屈を防ぐために被検体側マッチング液102と探触子側マッチング液107
の供給量を制御していた。これに対し本実施例では、探触子106の保持部材101に対する高さを制御する。
第四実施例の第一実施例と異なる点について説明する。本発明の第一実施例では保持部材101の座屈を防ぐために被検体側マッチング液102と探触子側マッチング液107
の供給量を制御していた。これに対し本実施例では、探触子106の保持部材101に対する高さを制御する。
図11は、第四実施例における音響波受信装置のブロック構成図である。図11において、図1との違いは、探触子106を垂直方向に上下動させる機構である探触子上下駆動部1101が加わったことである。探触子上下駆動部1101は、ボールねじ、モータ、エンコーダなどから構成され、給排液コントローラ111からの指示に基づき、探触子106全体を上下に動かすことができる。この上下移動により、保持部材101と探触子106の高さの差が動的に制御される。
本実施例の音響波受信装置の動作について、図2のフロート、図12(a)、(b)を用いて説明する。マッチング液供給ステップS201において、給排液コントローラ111は、探触子側液体制御部108および被検体側液体制御部103に指示を出し、被検体側マッチング液102および探触子側マッチング液107を供給する。この際に初期状態では、探触子106をh2下げておく。すなわち図12(a)に示すように、保持部材101と探触子106の高さの差をh1+h2にしておく。
初期状態で探触子106と保持部材101がこのような位置関係を取ることで、探触子106の上端まで探触子側マッチング液107が満たされても、保持部材101の下面に探触子側マッチング液107が触れることがない。したがって保持部材101への上向きの圧力は発生せず、座屈は起こらない。
(給液制御)
図12(c)は、このような初期状態におけるx,yの値と、保持部材にかかる圧力およ
び座屈の有無を示す。図3(b)における直線305、曲線307を、図12(c)では一点鎖線で示す。これらは本実施例においては、探触子の下方への移動により、夫々右にh2だけシフトして、実線の直線305’、実線の曲線307’となる。このとき、0 ≦ x
≦ h1+h2, 0 ≦ y ≦ h2で表される全ての範囲が、第一領域303’に含まれる。第一
領域303’では、探触子側マッチング液107が保持部材101の最下点に接する可能性が無いために、保持部材101内部および探触子106内部にどれだけマッチング液を供給しても、座屈が起こらない。図中、実線矢印1201は、下方向にh2だけ移動済みの探触子106に対し、上端まで探触子側マッチング液107を供給したときの経路を表す。
図12(c)は、このような初期状態におけるx,yの値と、保持部材にかかる圧力およ
び座屈の有無を示す。図3(b)における直線305、曲線307を、図12(c)では一点鎖線で示す。これらは本実施例においては、探触子の下方への移動により、夫々右にh2だけシフトして、実線の直線305’、実線の曲線307’となる。このとき、0 ≦ x
≦ h1+h2, 0 ≦ y ≦ h2で表される全ての範囲が、第一領域303’に含まれる。第一
領域303’では、探触子側マッチング液107が保持部材101の最下点に接する可能性が無いために、保持部材101内部および探触子106内部にどれだけマッチング液を供給しても、座屈が起こらない。図中、実線矢印1201は、下方向にh2だけ移動済みの探触子106に対し、上端まで探触子側マッチング液107を供給したときの経路を表す。
その後、ユーザまたは被検体側液体制御部103が、保持部材内部に、被検体側マッチング液102を上端まで満たし、液位をh2とする。このときの経路は点線矢印1202で示される。
続いて、給排液コントローラ111は探触子上下駆動部1101に指示を出し、探触子106をh2だけ上に持ち上げる。これにより保持部材101と探触子106の高さの差はh1となり、探触子106と保持部材101の位置関係は、図3(a)の場合と同様になる。この上方への移動により、実線直線305’、実線曲線307’に代えて、一点鎖線直線305、一点鎖線曲線307’が領域の区分を示すことになる。この様子を点線矢印1203で示す。また第一領域は303’から303に戻る。
探触子106を上方に移動させる過程で、探触子側マッチング液107の液位が保持部材101に触れ、保持部材101には上向きの圧力が発生する。しかし、保持部材101は被検体側マッチング液102で満たされているため下向きの圧力も発生しており、合力を考えると座屈は起こらない。上方移動中のどの時点でも、(x,y)は第一領域303また
は第二領域304の範囲内に含まれている。
は第二領域304の範囲内に含まれている。
(排液制御)
また、ステップS205のマッチング液回収時には、給排液コントローラ111は、探触子上下駆動部1101に指示を出し、探触子106をh2以上下げ、保持部材101と探触子106の高さの差をh1+h2以上にする(図12(a)の状態)。続いて、給排液コン
トローラ111は被検体側液体制御部103および探触子側液体制御部108に指示を出し、被検体側マッチング液102と探触子側マッチング液107を回収する。探触子106が下がった後は、被検体側マッチング液102がなくなっても、保持部材101の下面に探触子側マッチング液107が触れないため保持部材101への上向きの圧力が発生せず、座屈は起こらない。
また、ステップS205のマッチング液回収時には、給排液コントローラ111は、探触子上下駆動部1101に指示を出し、探触子106をh2以上下げ、保持部材101と探触子106の高さの差をh1+h2以上にする(図12(a)の状態)。続いて、給排液コン
トローラ111は被検体側液体制御部103および探触子側液体制御部108に指示を出し、被検体側マッチング液102と探触子側マッチング液107を回収する。探触子106が下がった後は、被検体側マッチング液102がなくなっても、保持部材101の下面に探触子側マッチング液107が触れないため保持部材101への上向きの圧力が発生せず、座屈は起こらない。
本実施例によれば、探触子106の高さを制御する機構を導入することで、被検体側マッチング液102と探触子側マッチング液107の供給量を制御しなくても、座屈の発生を抑制できる。そのため、被検体側マッチング液102と探触子側マッチング液107の供給および回収は独立動作可能であり、マッチング液の液位の制御を容易化し信頼性を向上する効果がある。また、探触子側マッチング液107の充填が完了してから被検体側マッチング液102を充填するような制御が可能になるため、被検体側マッチング液102が被検者にとって不快となる温度に変化する前に、光音響撮影を開始できる。
以上述べたように、本発明の各実施例によれば、保持部材の上面と下面の圧力差が保持部材の座屈荷重より低い値に収まるようにマッチング液の液位や供給量を制御できる。その結果、保持部材の劣化のない状態で光音響撮影を行い、良好な診断画像を得られるようになる。
101:保持部材、106:探触子、107:探触子側マッチング液、108:探触子側液体制御部、111:給排液コントローラ
Claims (18)
- 被検体を保持する保持部材と、
前記被検体から発生した音響波を受信する探触子と、
前記保持部材の下方に位置し、前記探触子が配置される液槽であって、前記保持部材と前記探触子を音響的に結合させる探触子側マッチング液を保持する液槽と、
前記探触子側マッチング液の液位に関する情報を用いて、前記探触子側マッチング液の液圧が前記保持部材に座屈を起こさせる閾値である座屈荷重より低い値となるように、前記探触子側マッチング液の液位を制御する、液位制御部と、
を有することを特徴とする音響波受信装置。 - 前記液位制御部は、前記保持部材と前記液槽の位置関係に関する情報を用いて、前記探触子側マッチング液の液位を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の音響波受信装置。 - 前記保持部材は、前記被検体と前記保持部材を音響的に結合させる被検体側マッチング液を保持し、
前記液位制御部は、前記探触子側マッチング液の液位に関する情報と、前記被検体側マッチング液の液位に関する情報とを用いて、前記探触子側マッチング液の液位を制御するとともに、前記被検体側マッチング液の液位の制御に関する情報を出力する、
請求項1または2に記載の音響波受信装置。 - 前記液位制御部の制御にしたがって前記保持部材における前記被検体側マッチング液の供給と回収を行い、前記被検体側マッチング液の液位を制御する被検体側液体制御部をさらに有する
ことを特徴とする請求項3に記載の音響波受信装置。 - 前記液位制御部は、ユーザに対して、前記保持部材における前記被検体側マッチング液の供給および回収に関する指示を出力する
ことを特徴とする請求項3に記載の音響波受信装置。 - 前記液位制御部の制御に従って前記液槽における前記探触子側マッチング液の供給と回収を行い、前記探触子側マッチング液の液位を制御する探触子側液体制御部をさらに有する
ことを特徴とする請求項3ないし5のいずれか1項に記載の音響波受信装置。 - 前記液位制御部は、前記保持部材にかかる液圧が前記座屈荷重より低い値となるように、前記被検体側マッチング液と前記探触子側マッチング液の液位を制御する
ことを特徴とする請求項3ないし6のいずれか1項に記載の音響波受信装置。 - 前記被検体側マッチング液の液位と、前記探触子側マッチング液の液位と、前記保持部材にかかる液圧が前記座屈荷重以上であるかを示す情報を保存するメモリをさらに有することを特徴とする請求項3ないし7のいずれか1項に記載の音響波受信装置。
- 前記液位制御部は、前記探触子側マッチング液の液圧が前記座屈荷重に比べて所定の割合以上の値になると、前記探触子側マッチング液および前記被検体側マッチング液の制御を停止する
ことを特徴とする請求項3ないし8のいずれか1項に記載の音響波受信装置。 - 前記保持部材における注目点にかかる液圧は、前記探触子側マッチング液の液圧と、前
記被検体側マッチング液の液圧の合力である
ことを特徴とする請求項3ないし9のいずれか1項に記載の音響波受信装置。 - 前記液槽を上下に移動させる駆動部をさらに有し、
前記液位制御部は、前記液槽が上方に移動した状態で前記探触子側マッチング液を前記液槽に供給する
ことを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の音響波受信装置。 - 前記保持部材は、厚みが10μmから500μmのプラスチック材で構成される
ことを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1項に記載の音響波受信装置。 - 前記保持部材は、下に凸なカップ状の部材である
ことを特徴とする請求項12に記載の音響波受信装置。 - 前記保持部材の上面に配置され、前記探触子側マッチング液の液圧による前記保持部材の座屈を防止する治具をさらに有する
ことを特徴とする請求項1ないし13のいずれか1項に記載の音響波受信装置。 - 被検体を保持する保持部材と、探触子と、前記保持部材の下方に位置し、前記探触子が配置される液槽であって、前記保持部材と前記探触子を音響的に結合させる探触子側マッチング液を保持する液槽と、液位制御部と、を有する音響波受信装置の制御方法であって、
前記液位制御部が、前記探触子側マッチング液の液位に関する情報を用いて、前記探触子側マッチング液の液圧が前記保持部材に座屈を起こさせる閾値である座屈荷重より低い値となるように、前記探触子側マッチング液の液位を制御するステップと、
前記探触子が、前記被検体から発生した音響波を受信するステップと、
を有することを特徴とする音響波受信装置の制御方法。 - 前記制御するステップでは、前記液位制御部は、前記保持部材と前記液槽の位置関係に関する情報を用いて、前記探触子側マッチング液の液位を制御する
ことを特徴とする請求項15に記載の音響波受信装置の制御方法。 - 前記音響波受信装置の前記保持部材は、前記被検体と前記保持部材を音響的に結合させる被検体側マッチング液を保持し、
前記制御するステップでは、前記液位制御部は、前記探触子側マッチング液の液位に関する情報と、前記被検体側マッチング液の液位に関する情報とを用いて、前記探触子側マッチング液の液位を制御するとともに、前記被検体側マッチング液の液位の制御に関する情報を出力する、
ことを特徴とする請求項15または16に記載の音響波受信装置の制御方法。 - 前記制御するステップでは、前記液位制御部は、前記保持部材にかかる液圧が前記座屈荷重より低い値となるように、前記被検体側マッチング液と前記探触子側マッチング液の液位を制御する請求項17に記載の音響波受信装置の制御方法。
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JP2016225826A JP2018082743A (ja) | 2016-11-21 | 2016-11-21 | 音響波受信装置およびその制御方法 |
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KR20180002036A (ko) * | 2016-06-28 | 2018-01-05 | 캐논 가부시끼가이샤 | 음향파장치 및 그 제어방법 |
-
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- 2016-11-21 JP JP2016225826A patent/JP2018082743A/ja active Pending
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