JP2018082570A - 系統連系用電力変換装置 - Google Patents

系統連系用電力変換装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2018082570A
JP2018082570A JP2016223650A JP2016223650A JP2018082570A JP 2018082570 A JP2018082570 A JP 2018082570A JP 2016223650 A JP2016223650 A JP 2016223650A JP 2016223650 A JP2016223650 A JP 2016223650A JP 2018082570 A JP2018082570 A JP 2018082570A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
power
reactive
value
output
reactive power
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016223650A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6142064B1 (ja
Inventor
建儒 龍
Chienru Lung
建儒 龍
秀樹 日高
Hideki Hidaka
秀樹 日高
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tabuchi Electric Co Ltd
Original Assignee
Tabuchi Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tabuchi Electric Co Ltd filed Critical Tabuchi Electric Co Ltd
Priority to JP2016223650A priority Critical patent/JP6142064B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6142064B1 publication Critical patent/JP6142064B1/ja
Publication of JP2018082570A publication Critical patent/JP2018082570A/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E40/00Technologies for an efficient electrical power generation, transmission or distribution
    • Y02E40/30Reactive power compensation

Landscapes

  • Supply And Distribution Of Alternating Current (AREA)
  • Inverter Devices (AREA)

Abstract

【課題】系統連系用電力変換装置において、力率一定制御と正確な単独運転検出とを両立させる。【解決手段】無効電流のフィードバック制御に用いる第2PI制御器の遅延時間と収束時間を、いずれも、力率一定のフィードバック制御(力率一定制御)に用いる第1PI制御器の遅延時間と収束時間より短い時間に設定した。すなわち、無効電流制御回路のフィードバック制御処理の応答性を、力率一定制御回路のフィードバック制御処理の応答性よりも速いようにした。これにより、単独運転状態の発生時に、力率一定制御回路から力率一定制御のための新たな無効電力制御値が出力される前に、無効電流制御回路が、無効電力注入量を反映した無効電流を出力するためのフィードバック制御を完了できる可能性が高くなる。従って、無効電流のフィードバック制御処理と、力率一定制御処理との干渉を低下させ、力率一定制御と正確な単独運転検出とを両立できる。【選択図】図11

Description

本発明は、分散型電源に適用する系統連系用電力変換装置に関する。
近年、太陽電池からの自然エネルギーを活用するために、太陽光発電システムと電力貯蔵装置を組み合わせた蓄電ハイブリッド発電システムが、世界中に普及している。このような蓄電ハイブリッド発電システムの分野において、商用系統と連系する機能と、停電時に自立系統に給電する機能の二つの機能を一台の電力変換装置に搭載する要望が高まっている。
今後、蓄電ハイブリッド発電システムの導入拡大により、配電線の電圧管理が難しくなると予想される。一般的には、電力会社側が、タップ制御機器(SVR(Step Voltage Regulator))や、無効電力補償装置(STATCOM(STATic synchronous COMpensator))などを用いて、配電線の適正電圧を維持する。しかし、近年は、蓄電ハイブリッド発電システム側から直近の配電線の電圧管理を行うために、蓄電ハイブリッド発電システムが、系統連系運転時に、出力電力の力率を一定に制御する機能(以下、「力率一定制御の機能」と略す)を有することが要求されるようになってきている。
また、蓄電ハイブリッド発電システムやパワーコンディショナ等の系統連系用電力変換装置には、停電あるいは系統事故時に、系統から解列する機能(単独運転防止機能)が必要となる。すなわち、停電時や系統事故時に発生する電圧変化や周波数変化を検出して系統連系を停止し、危険な単独運転状態となることを防ぐ機能である。単独運転の検出方式には、受動的単独運転検出方式と、能動的単独運転検出方式とがある。JEM(日本電機工業会規格)1498では、「ステップ注入付周波数フィードバック方式」が、標準形能動的単独運転検出方式として定められている。
上記の「ステップ注入付周波数フィードバック方式」の電力変換装置は、商用系統周波数の変動を検出すると、その変動を助長する方向の無効電力注入量を算出する周波数フィードバック無効電力注入量算出部(又は「周波数フィードバック部」)と、単独運転発生時に商用系統周波数の変動が微小であった場合でも、商用電力系統における基本波電圧及び高調波電圧の少なくとも一方が変動したときに、商用系統周波数が低下する方向に変動を引き起こすためにステップ注入される遅相無効電力注入量を算出する無効電力ステップ注入量算出部(又は「ステップ注入部」)とを備えている。
上記の無効電力ステップ注入量算出部を有する周波数フィードバック方式の電力変換装置において、特許文献1に記載されたように、第1無効電力変化量導出部(上記の周波数フィードバック無効電力注入量算出部に相当)が単独運転検出のために導出した、商用系統電源の周波数偏差(すなわち、商用系統周波数の変動の大きさ)に応じた無効電力の変化量が、電圧上昇の抑制のために導出された無効電力の変化量によって干渉される場合、電力変換部からの電力の出力を停止させるようにしたものが知られている。
また、上記の周波数フィードバック方式の電力変換装置において、特許文献2に記載されたように、第1無効電力変化量導出部(上記の周波数フィードバック無効電力注入量算出部に相当)が単独運転検出のために導出した、商用系統電源の周波数偏差に応じた無効電力の変化量Δq1が、電圧上昇の抑制のために導出された無効電力の変化量Δq2によって干渉される場合、位相差変化部を作動させて、電力変換部から出力される電圧と電流との位相差を、電圧上昇の抑制のために導出された無効電力の変化量Δq2に対応する位相差を相殺する方向に変化させることにより、単独運転検出の精度の低下を防ぐようにしたものが知られている。
特開2015−180123号公報 特開2015−180122号公報
しかしながら、上記のような周波数フィードバック方式の電力変換装置に、上記の力率一定制御の機能を持たせた場合には、力率一定制御のために出力される無効電力と、単独運転検出のために注入される無効電力とが干渉してしまう可能性がある。具体的に言うと、単独運転を検出するために、周波数フィードバック無効電力注入量算出部により算出された注入量の無効電力が、力率一定制御のために出力された無効電力によりキャンセルされて、速やかに単独運転状態を検出することができない可能性がある。
また、上記特許文献1に記載された発明を応用して、力率一定制御のために出力される無効電力と、周波数フィードバック無効電力注入量算出部により算出される注入量の無効電力とが干渉する場合に、電力変換部からの電力の出力を停止させるようにした場合には、力率一定制御と単独運転検出とを両立させることはできない。
また、上記特許文献2に記載された発明を応用して、力率一定制御のために出力される無効電力と、周波数フィードバック無効電力注入量算出部により算出される注入量の無効電力とが干渉する場合に、電力変換部から出力される電圧と電流との位相差を、力率一定制御のために導出された無効電力の変化量に対応する位相差を相殺する方向に変化させることにより、単独運転検出の精度の低下を防ぐようにした場合には、次の問題がある。すなわち、太陽電池を系統連系するための電力変換装置では、日射急変等に起因する入力電力急変によって、有効電力と無効電力は常に変動しているので、電力変換部から出力される電力の消費等により、電力変換部から出力される電圧と電流との位相差を変化させることだけで、力率一定制御のために導出された量の無効電力の変化を確実に相殺することは、極めて難しい。また、この特許文献2では、商用系統電源の周波数偏差に応じた無効電力の変化量Δq1が、他の目的(電圧上昇の抑制)のために導出された無効電力の変化量Δq2によって干渉されない場合(例えば、進相無効電力である無効電力q2が、増加する方向に変化している場合に、第1無効電力変化量導出部(周波数フィードバック無効電力注入量算出部)が、無効電力の変化量Δq1として、進相無効電力の変化量を導出した場合)には、上記の相殺処理を行わないので、他の目的のために導出された無効電力の変化量Δq2の影響により、正確な単独運転検出を行うことができない。従って、上記特許文献2に記載された発明を応用した場合にも、力率一定制御と正確な単独運転検出とを両立させることは難しい。
本発明は、上記課題を解決するものであり、力率一定制御と正確な単独運転検出とを両立させることが可能な系統連系用電力変換装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様による系統連系用電力変換装置は、分散型電源を商用電力系統に連系するための系統連系用電力変換装置であって、商用系統電圧の周波数である商用系統周波数を計測する商用系統周波数計測手段と、前記商用系統周波数計測手段により計測された商用系統周波数の変動に応じた無効電力注入量を算出する無効電力注入量算出手段と、前記系統連系用電力変換装置からの出力電力の力率指令値と力率フィードバック値との偏差に基づいて第1補正値を生成する第1PI制御器を含み、この第1補正値に基づいて、前記系統連系用電力変換装置からの出力電力の力率が前記力率指令値に収束するようにフィードバック制御するための、無効電力制御値を生成して出力する力率一定制御手段と、前記力率一定制御手段から出力された無効電力制御値と前記無効電力注入量算出手段により算出された無効電力注入量とに基づいて算出された無効電流指令値と、前記系統連系用電力変換装置から出力された無効電流のフィードバック値とが入力されて、前記無効電流指令値と前記無効電流のフィードバック値との偏差に基づいて第2補正値を生成する第2PI制御器を含み、この第2補正値に基づいて、前記系統連系用電力変換装置から出力される無効電流の振幅が、前記無効電流指令値に収束するようにフィードバック制御する無効電流制御手段と、前記無効電力注入量の無効電力が注入されたときの前記商用系統周波数に基づいて、前記系統連系用電力変換装置が単独運転状態であるか否かを検出する単独運転検出手段とを備え、前記無効電力注入量算出手段は、前記商用系統周波数計測手段により計測された商用系統周波数の変動量に応じた、この商用系統周波数の変動を助長する方向の無効電力注入量を算出する周波数フィードバック無効電力注入量算出手段を含み、前記第2PI制御器の遅延時間と収束時間を、いずれも、前記第1PI制御器の遅延時間と収束時間より短い時間に設定したものである。
この系統連系用電力変換装置において、前記無効電力注入量算出手段により算出された無効電力注入量が、0のときは、前記力率一定制御手段からの出力値である無効電力制御値を更新し、前記無効電力注入量算出手段により算出された無効電力注入量が、0でないときは、前記無効電力制御値を更新しないように切り替える切替手段をさらに備えることが望ましい。
この系統連系用電力変換装置において、前記無効電力注入量算出手段は、前記周波数フィードバック無効電力注入量算出手段に加えて、前記商用系統周波数計測手段により計測された商用系統周波数に変動がなく、商用電力系統における基本波電圧及び高調波電圧の少なくとも一方が変動したときに、前記商用系統周波数が低下する方向に変動を引き起こすためにステップ注入される遅相無効電力注入量を算出する無効電力ステップ注入量算出手段を含むことが望ましい。
この系統連系用電力変換装置において、単独運転検出機能として、前記周波数フィードバック無効電力注入量算出手段を用いた能動的単独運転検出機能と、受動的単独運転検出機能の両方を備えていてもよい。
この系統連系用電力変換装置において、前記第1PI制御器の遅延時間と収束時間との合計時間である第1応答時間と、前記第2PI制御器の遅延時間と収束時間との合計時間である第2応答時間とを、能動的単独運転検出に要する時間の上限値である能動的単独運転検出時限と、受動的単独運転検出に要する時間の上限値である受動的単独運転検出時限とに基づいて設定することが望ましい。
この系統連系用電力変換装置において、前記系統連系用電力変換装置から出力される有効電流と無効電流の振幅を、出力制限指令値に基づいて制限する電流制限手段をさらに備え、前記電流制限手段は、前記無効電力注入量の大きさに係らず、前記出力制限指令値と前記系統連系用電力変換装置の定格皮相電力とに基づいて、前記有効電流の振幅を制限することにより、前記系統連系用電力変換装置から出力される有効電力を制限することが望ましい。
この系統連系用電力変換装置において、前記電流制限手段は、前記系統連系用電力変換装置から出力される有効電力が、前記出力制限指令値と前記定格皮相電力とを乗じた値になるように、前記有効電流の振幅を制限し、前記出力制限指令値は、0から前記力率指令値までの値であることが望ましい。
この系統連系用電力変換装置において、前記周波数フィードバック無効電力注入量算出手段は、前記商用系統周波数計測手段により計測された商用系統周波数の変動量が、所定の閾値以下の場合、前記無効電力注入量を0にすることが望ましい。
この系統連系用電力変換装置において、前記系統連系用電力変換装置から出力される無効電力の大きさを、前記系統連系用電力変換装置から出力される有効電力の大きさに応じて変更することにより、前記系統連系用電力変換装置からの出力電力の力率を一定にすることが望ましい。
本発明によれば、無効電流のフィードバック制御に用いる第2PI制御器の遅延時間と収束時間を、いずれも、系統連系用電力変換装置からの出力電力の力率を一定にするためのフィードバック制御(力率一定制御)に用いる第1PI制御器の遅延時間と収束時間より短い時間に設定した。すなわち、無効電流制御手段のフィードバック制御処理の応答性を、力率一定制御手段のフィードバック制御処理の応答性よりも速いように設定した。これにより、単独運転状態が発生した場合に、力率一定制御手段から、力率一定のフィードバック制御のための新たな無効電力制御値が出力される前に、無効電流制御手段が、無効電力注入量算出手段により算出された無効電力注入量を反映した無効電流を、系統連系用電力変換装置から出力するためのフィードバック制御を完了することができる可能性が極めて高くなる。このため、単独運転検出手段が、力率一定のフィードバック制御のために出力される無効電力制御値の影響を受けずに、速やかに単独運転状態であるか否かを検出することができる可能性が高くなる。従って、上記のように、無効電流制御手段のフィードバック制御処理の応答性を、力率一定制御手段のフィードバック制御処理の応答性よりも速いように設定することで、無効電流のフィードバック制御処理と、力率一定制御処理との干渉の程度を低下させて、力率一定制御と正確な単独運転検出とを両立させることができる。
本発明の一実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム(系統連系用電力変換装置)の概略のシステム構成図。 上記蓄電ハイブリッド発電システムの制御回路の概略ブロック図。 上記制御回路における力率一定制御回路の制御ブロック図。 図2中の商用系統周波数計測回路における処理の説明図。 上記蓄電ハイブリッド発電システムの出力制限における、力率指令値と出力制限の指令値との関係を示す図。 上記制御回路における無効電流指令値の更新タイミングの説明図。 (a)は、図2中の周波数フィードバック無効電力注入回路が使用する周波数偏差・無効電力特性の説明図、(b)は、図2中の無効電力ステップ注入回路における処理の説明図。 上記蓄電ハイブリッド発電システムにおける単独運転状態の判定方法の説明図。 上記制御回路における双方向DC/DCコンバータ用の充放電電力制御ブロック図。 上記蓄電ハイブリッド発電システムで夜間に充放電電力制御を行う際における、充放電電力指令値と、有効電力と、無効電力と、皮相電力と、能動的単独運転検出をするための動作との対応関係を示す図。 (a)は、上記蓄電ハイブリッド発電システムにおけるPI制御器のパラメータの設計方法の説明図、(b)は、上記PI制御器におけるパラメータの設定値を示す図。 (a)は、上記蓄電ハイブリッド発電システムにおける、力率一定制御処理と単独運転検出処理との干渉を減らすための工夫の有効性を確認するために能動的単独運転検出試験を行ったポイントを表すグラフ、(b)は、同単独運転検出試験を行った実験システムにおけるパラメータの設定値を示す表。 図12(a)中のポイント1における単独運転検出試験の実験結果を示すグラフ。 図12(a)中のポイント2における単独運転検出試験の実験結果を示すグラフ。 図12(a)中のポイント3における単独運転検出試験の実験結果を示すグラフ。 図12(a)中のポイント4における単独運転検出試験の実験結果を示すグラフ。 図12(a)中のポイント5における単独運転検出試験の実験結果を示すグラフ。
以下、本発明を具体化した実施形態による系統連系用電力変換装置について、図面を参照して説明する。本実施形態では、請求項における系統連系用電力変換装置が、蓄電ハイブリッド発電システムである場合の例について、説明する。図1は、本実施形態による蓄電ハイブリッド発電システム1の概略のシステム構成を示す。
蓄電ハイブリッド発電システム1は、いわゆるパワーコンディショナを、分散型電源である太陽電池2、及び太陽電池2から出力された電力を貯える蓄電池3と組み合わせたものであり、太陽電池2を商用電力系統9に連系させることが可能である。
蓄電ハイブリッド発電システム1は、太陽電池2と、太陽電池2で発電された直流電力を最適な出力電力に変換するために、太陽電池2から出力された直流電力の電圧を変換するDC/DC(Direct Current to Direct Current)コンバータ4aと、蓄電池3に対する充放電を行うための双方向DC/DCコンバータ4bと、これらのDC/DCコンバータ4a,4bからの直流出力電力を交流電力に変換するDC/AC(Direct Current to Alternating Current)インバータ5(以下、「インバータ5」と略す)とを備えている。また、蓄電ハイブリッド発電システム1は、直流バス電圧平滑化用の電解コンデンサCdc、LCフィルタ6、制御回路7a、制御回路7b、及び系統連系用リレーSGridも備えている。
本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1では、インバータ5、及び双方向DC/DCコンバータ4bの主要部が、三相インバータ用IPM(Intelligent Power Module)8により構成されている。三相インバータ用IPM8は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)から構成されるスイッチング素子SW1〜SW6の駆動回路や、自己保護機能を組み込んだ電力用半導体素子である。本実施形態では、三相インバータ用のIPM8における6つのスイッチング素子S1〜S6のうち、スイッチング素子S1〜S4を、インバータ5のスイッチング素子として用い、スイッチング素子S5、S6を、双方向DC/DCコンバータ4bのスイッチング素子として用いている。図1に示すように、三相インバータ用IPM8における3相の出力ラインのうち、u相とw相の出力ラインは、単相2線の商用系統9と接続され、v相の出力ラインは、蓄電池3と接続されている。
双方向DC/DCコンバータ4bには、上記の三相インバータ用IPM8に内蔵された、スイッチング素子S5、S6や、これらの駆動回路に加えて、DCリアクトルLBATが含まれる。図1中のRBATは、DCリアクトルLBATの内部抵抗である。また、上記の電解コンデンサCdcは、双方向DC/DCコンバータ4bにおけるDC/DC変換に必要なコンデンサの役割も果たす。
DC/DCコンバータ4aは、制御回路7bによる制御に基づいて、太陽電池2の最大電力点追従制御(以下、MPPT(Maximum Power Point Tracking)制御という)を行い、太陽電池2からの出力電力が最大(最適)になるように、太陽電池2からの入力電圧を調整する。具体的には、DC/DCコンバータ4aは、制御回路7bによる制御に基づき、太陽電池2が最大出力電力を出せるように、所定の入力電圧まで昇降圧の動作をして、最大電力点追従制御を行う。なお、DC/DCコンバータ4aにおけるスイッチング素子SPVは、IGBTから構成され、制御回路7bより送られるPWM(Pulse Width Modulation)信号でスイッチングされる。
インバータ5は、DC/DCコンバータ4aと双方向DC/DCコンバータ4bの少なくとも一方から入力された電力に基づく直流電力を、交流電力に変換する。インバータ5におけるスイッチング素子S1〜S4は、蓄電ハイブリッド発電システム1の制御回路7aから送られるPWM信号でスイッチングされる。
LCフィルタ6は、各電源ラインに直列に接続された2つのACリアクトルLinvと、電源ライン間に接続されたコンデンサCinvとから構成され、インバータ5から出力される交流電圧から、高調波成分(主に、PWM信号のキャリア周波数)を除去する。図中におけるRinvとRとは、それぞれ、各ACリアクトルLinvの内部抵抗と各コンデンサCinvの内部抵抗とを示す。また、図1中のiは、コンデンサCinvに流れる電流(コンデンサ通過電流)を示す。
制御回路7a、7bは、いわゆるマイコンを用いて構成されている。制御回路7aは、主に、上記の双方向DC/DCコンバータ4bとインバータ5とを制御し、制御回路7bは、上記のDC/DCコンバータ4aを制御する。図1に示すように、制御回路7aの入力信号(の測定箇所)は、直流バス電圧Vdc、インバータ5の出力電流iinv、家庭内の交流負荷ZLoadに流れる負荷電流iload、商用系統電圧euw、インバータ5の出力電圧einv、蓄電池3の充放電電流IBAT、蓄電池3の電圧VBAT、太陽電池2の出力電圧VPV、及び太陽電池2の出力電流IPVである。そして、図1の制御回路7aの出力信号は、系統連系用リレーSGridの制御用の出力信号、インバータ5のスイッチング素子S1〜S4の制御用の出力信号、及び双方向DC/DCコンバータ4bのスイッチング素子S5、S6の制御用の出力信号である。また、制御回路7bの入力信号(の測定箇所)は、直流バス電圧Vdc、太陽電池2の出力電圧VPV、及び太陽電池2の出力電流IPVであり、制御回路7bの出力信号は、DC/DCコンバータ4aのスイッチング素子SPVの制御用の出力信号である。
系統連系用リレーSGridは、蓄電ハイブリッド発電システム1の商用電力系統9への連系状態と解列状態とを切り替えるためのスイッチである。
商用電力系統9は、商用系統電源10と、系統インピーダンスとを含んでいる。図1中のRGridとLGridとは、系統インピーダンスの抵抗と誘導性リアクタンスとを示す。また、図1において、ispは、蓄電ハイブリッド発電システム1の出力電流を示し、iGridは、蓄電ハイブリッド発電システム1の逆潮流電流を示し、Zloadは、商用電力系統側に接続している家庭内の交流負荷を示す。
図2は、蓄電ハイブリッド発電システム1の制御回路7aの制御ブロック図である。図2中の制御ブロックは、主に、力率一定制御ブロックA、直流バス電圧一定制御ブロックB(直流バス電圧Vdcの値が一定になるようにするための制御ブロック)、無効電流制御ブロックC、インバータ出力電流制御ブロックD、及び単独運転検出制御ブロックEから構成されている。図2中の各回路は、マイコンが有する基本的な機能ブロックを用いて作成した回路である。
図2に示すように、制御回路7aは、加え合わせ点の一種である出力電流推定回路11、商用系統電圧euwのPLL(Phase Locked Loop)同期回路であるPLL12、出力電流ispのPLL同期回路であるPLL13、力率フィードバック値生成回路14、力率一定制御回路15、直流バス電圧一定制御回路16、有効電流リミッタ17、有効成分生成回路18、無効成分生成回路19、出力電流制御回路20、インバータ5用のPWM出力制御回路21(図では、PWMと略す)、商用系統周波数計測回路22、単独運転検出回路23、周波数フィードバック無効電力注入回路24、無効電力ステップ注入回路25、無効電流フィードバック値生成回路26、乗算器27、乗算器28、無効電流制御回路29、無効電流リミッタ30、及び乗算器35を備えている。上記の力率一定制御回路15は、第1PI制御器41を含んでおり、無効電流制御回路29は、第2PI制御器32を含んでいる。また、上記の単独運転検出回路23は、受動的単独運転検出機能を実現するための受動的単独運転検出回路31を含んでいる。
図2に示されるFactiveが、1に設定されると、制御回路7aは、JEM(日本電機工業会規格)1498により定められた標準形能動的単独運転検出方式である「ステップ注入付周波数フィードバック方式」に基づき、能動的単独運転検出を行い、Factiveが、0に設定されると、制御回路7aは、「ステップ注入付周波数フィードバック方式」による能動的単独運転検出機能をマスクして、受動的単独運転検出方式による単独運転検出を行う。以下の説明では、Factiveが、1に設定された場合の処理を中心に、説明する。
上記の商用系統周波数計測回路22、力率一定制御回路15、無効電流制御回路29、単独運転検出回路23、周波数フィードバック無効電力注入回路24、第1PI制御器41、第2PI制御器32、無効電力ステップ注入回路25は、それぞれ、請求項における商用系統周波数計測手段、力率一定制御手段、無効電流制御手段、単独運転検出手段、周波数フィードバック無効電力注入量算出手段、第1PI制御器、第2PI制御器、無効電力ステップ注入量算出手段に相当する。また、有効電流リミッタ17及び無効電流リミッタ30は、請求項における電流制限手段に相当する。
上記の力率一定制御ブロックAは、出力電流推定回路11と、PLL12と、PLL13と、力率フィードバック値生成回路14と、力率一定制御回路15とを備えている。直流バス電圧一定制御ブロックBは、直流バス電圧一定制御回路16を備えている。無効電流制御ブロックCは、無効電流制御回路29を備えている。インバータ出力電流制御ブロックDは、有効成分生成回路18と、無効成分生成回路19と、出力電流制御回路20と、PWM出力制御回路21とを備えている。単独運転検出制御ブロックEは、商用系統周波数計測回路22と、単独運転検出回路23と、周波数フィードバック無効電力注入回路24と、無効電力ステップ注入回路25とを備えている。
まず、上記の力率一定制御ブロックAに含まれる回路について、説明する。上記の出力電流推定回路11は、インバータ出力電流iinvの計測値から、下記の式(1)によって算出されたコンデンサ通過電流iの値を減算することにより、蓄電ハイブリッド発電システム1から商用系統電源9に出力される出力電流ispの値を算出する。なお、式(1)中のiは、図1中のコンデンサCinvを流れるコンデンサ電流(コンデンサ通過電流)を表し、式(1)中のCinvは、コンデンサCinvの静電容量を示す。
PLL12は、商用系統電圧euwのPLL同期回路であり、交流電圧信号である商用系統電圧euwの測定値に基づき、商用系統電圧euwの位相角θuwと運転周波数fPLLとを算出して、出力する。また、PLL13は、出力電流ispのPLL同期回路であり、出力電流推定回路11で推定された出力電流ispの値が入力されて、この出力電流ispの推定値に基づいて、出力電流ispの位相角θspを算出して、出力する。
力率フィードバック値生成回路14は、PLL12及びPLL13から出力された位相角θuw及びθspより得られる、商用系統電圧euwと出力電流ispとの位相差Δφ(θuw−θsp)に基づいて生成したcos(Δφ)の値を、力率フィードバック値PFとして、力率一定制御回路15に出力する。
力率一定制御回路15は、図3に示すように、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電力の力率指令値PFと力率フィードバック値PFとの偏差に基づいて補正値を生成する第1PI制御器41を含んでおり、この補正値に基づいて、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電力の力率(運転力率)が力率指令値PFに収束するようにフィードバック制御するための、無効電力制御値PFoutを生成して出力する。
より詳細に説明すると、力率一定制御回路15は、図3に示すように、上記の第1PI制御器41に加えて、加え合わせ点SP5及びSP6と、リミッタ42と、無効電力制御値算出回路43と、乗算器44と、スイッチSPF(請求項における「切替手段」)とを備えている。
加え合わせ点SP5では、上記の力率指令値PFと力率フィードバック値(運転力率のフィードバック値)PFとの偏差が算出される。第1PI制御器41は、上記の偏差に応じた補正値(請求項における「第1補正値」)を生成する。加え合わせ点SP6では、上記の第1PI制御器41で生成された補正値と、力率指令値PFとが加算されて、これらの値の合計値が出力される。リミッタ42は、これらの合計値の値を、0〜1の範囲に制限して、力率目標値PF realとして、出力する。無効電力制御値算出回路43は、上記の力率目標値PF realに基づいて、下記の式(2)により、無効電力制御値PFoutの絶対値を算出する。乗算器44は、図3に示されるように、無効電力制御値算出回路43からの出力値に、“+1”又は“−1”を乗算することにより、無効電力制御値PFoutを生成する。
無効電力制御値PFoutの符号が正(+)であれば、遅れ無効電力であり、負(−)であれば、進み無効電力である。上記のスイッチSPFを用いた無効電力制御値PFoutの更新の切り替え処理については、後で詳述する。なお、運転力率が1の場合は、力率指令値PF=1であり、この力率指令値PF=1の値を、図3に示される力率一定制御回路15(力率一定制御ブロック)に入力すると、力率一定制御回路15から出力される無効電力制御値PFoutの値は、0になる。
次に、直流バス電圧一定制御ブロックBに含まれる直流バス電圧一定制御回路16について、説明する。直流バス電圧一定制御回路16は、直流バス電圧Vdcの値が一定になるように制御する回路である。直流バス電圧一定制御回路16は、直流バス電圧Vdcのフィードバック値と、直流バス電圧Vdcの指令値である直流バス電圧指令値V dcとの差分に基づいて、インバータ5からの有効成分の出力電流の制御目標値である有効電流指令値I を算出する。より具体的に言うと、直流バス電圧一定制御回路16は、直流バス電圧Vdcのフィードバック値が、直流バス電圧指令値V dcに収束するようにPID演算を行い、その演算値を有効電流指令値I として、有効電流リミッタ17に出力する。
次に、単独運転検出制御ブロックEに含まれる、商用系統周波数計測回路22と、単独運転検出回路23と、周波数フィードバック無効電力注入回路24と、無効電力ステップ注入回路25について、説明する。
商用系統周波数計測回路22は、交流電圧信号を二値化する二値化回路で構成されたゼロクロス検出回路を備えている。商用系統周波数計測回路22は、図4(a)に示すように、破線で示される商用系統電圧euwの信号波形を、電圧値ゼロを閾値にして二値化回路で二値化することにより、商用系統周波数と同じ周波数のデューティ比50%の方形波(図中に実線で示す)を生成する。そして、商用系統周波数計測回路22は、上記の方形波の立ち下りエッジと立ち上がりエッジとの中間値と、次の立ち下りエッジと立ち上がりエッジとの中間値との時間差を、2.5MHzのサンプリング周波数(0.4μsの精度)でカウントすることにより、商用系統電圧euwに対応する商用系統周波数fgridを計測する。なお、上記のサンプリング周波数(2.5MHz)は、例示であり、この値に限定されることはない。
次に、図2に戻って、単独運転検出制御ブロックEに含まれる、周波数フィードバック無効電力注入回路24と無効電力ステップ注入回路25について、説明する。詳細については後述するが、周波数フィードバック無効電力注入回路24は、商用系統周波数計測回路22により計測された商用系統周波数fgridの変動量(周波数偏差Δfgrid)に応じた、この商用系統周波数の変動を助長する方向の無効電力注入量Kfvarを算出して、出力する。また、無効電力ステップ注入回路25は、商用系統周波数計測回路22により計測された商用系統周波数fgridに変動がなく、商用電力系統9における基本波電圧及び高調波電圧の少なくとも一方が変動したときに、商用系統周波数fgridが低下する方向に変動を引き起こすためにステップ注入される遅相無効電力注入量Kstepを算出して、出力する。なお、本明細書において、「商用系統周波数fgridに変動がない」状態には、商用系統周波数fgridに全く変動がない状態に加えて、商用系統周波数fgridの変動が小さい状態、つまり、周波数偏差Δfgridが低感帯領域(周波数偏差Δfgridの絶対値が閾値fstop以下の領域(図7(a)参照))にある状態が含まれる。また、以下の説明において、周波数フィードバック無効電力注入回路24と無効電力ステップ注入回路25とを、まとめて、無効電力注入量算出回路34と総称することがある。この無効電力注入量算出回路34は、請求項における無効電力注入量算出手段に相当する。
単独運転検出回路23には、PLL12で求められた、商用系統電圧euwの運転周波数fPLLと、商用系統周波数計測回路22で計測された商用系統周波数fgridと、高調波電圧実効値THDとが、入力される。Factiveが、1に設定された場合には、単独運転検出回路23は、上記の無効電力注入量算出回路34で算出された無効電力注入量の無効電力が注入されたときの商用系統周波数fgrid、運転周波数fPLLに基づいて、蓄電ハイブリッド発電システム1が単独運転状態であるか否かを検出する。すなわち、単独運転検出回路23は、ステップ注入付周波数フィードバック方式に基づき、能動的単独運転検出を行う。
activeが、0に設定された場合には、単独運転検出回路23は、商用系統周波数fgrid、運転周波数fPLL、及び高調波電圧実効値THDに基づき、受動的単独運転検出回路31を用いて、受動的単独運転検出方式による単独運転検出を行う。このように設計する理由は、受動的単独運転検出方式では、単独運転状態の発生時に、無効電力の注入動作をしないため、能動的単独運転検出方式(ステップ注入付周波数フィードバック方式)と比べて、商用系統周波数fgridおよび運転周波数fPLLの変動を捉えることが難しい。但し、蓄電ハイブリッド発電システム1が商用電力系統9と連系しているときには、高調波電圧実効値THDが、商用系統電圧の総合歪率から決定されるのに対して、蓄電ハイブリッド発電システム1が単独運転状態になると、高調波電圧実効値THDは、出力電流ispの総合歪率から決定される。従って、受動的単独運転検出方式では、単独運転状態を正確に検出するには、高調波電圧実効値THDの変化を監視し、この高調波電圧実効値THDの変化を考慮して、単独運転検出を行う必要がある。このため、上記のように、単独運転検出回路23は、商用系統周波数fgrid及び運転周波数fPLLだけではなく、高調波電圧実効値THDに基づいて、受動的単独運転検出方式による単独運転検出を行うのである。
上記のように、本蓄電ハイブリッド発電システム1は、無効電力注入量算出回路34と単独運転検出回路23を用いた能動的単独運転検出機能と、受動的単独運転検出回路31を用いた受動的単独運転検出機能の両方を備えている。
次に、無効電流制御ブロックCに含まれる無効電流制御回路29について、説明する。無効電流制御回路29には、力率一定制御回路15から出力された無効電力制御値PFoutと無効電力注入量算出回路34により算出された総合無効電力注入量Kとに基づいて算出された無効電流指令値I と、蓄電ハイブリッド発電システム1から出力された無効電流のフィードバック値Iとが入力される。より詳細に説明すると、上記の無効電流指令値I は、以下のようにして、生成される。まず、加え合わせ点SP3において、周波数フィードバック無効電力注入回路24により算出された無効電力注入量Kfvarと、無効電力ステップ注入回路25により算出された遅相無効電力注入量Kstepとの合計値を求める。図中の乗算器35は、Factiveが、1に設定されている場合(能動的単独運転検出のとき)には、上記の無効電力注入量の合計値(Kfvar+Kstep)を、そのまま総合無効電力注入量Kとして出力し、Factiveが、0に設定されている場合(受動的単独運転検出のとき)には、上記の無効電力注入量の合計値(Kfvar+Kstep)をマスクして、総合無効電力注入量Kを0にする働きをする。
なお、本実施形態の無効電力注入量算出回路34では、ステップ無効電力注入の動作を発生する場合(無効電力ステップ注入回路25により算出された遅相無効電力注入量Kstepが0ではない場合)には、周波数フィードバック無効電力注入の動作を行わない(周波数フィードバック無効電力注入回路24により算出される無効電力注入量Kfvarが0になる)ように設計されている。
上記の力率一定制御回路15から出力された無効電力制御値PFoutと、上記の総合無効電力注入量Kとは、加え合わせ点SP4(図2参照)において加算される。乗算器28は、加え合わせ点SP4から入力された、無効電力制御値PFoutと無効電力注入量Kとの合計値を、有効電流の波高値2Puw/Euw.maxと乗算して、その乗算結果を、無効電流指令値I として、無効電流制御回路29に出力する。ここで、Puwは、蓄電ハイブリッド発電システム1から出力される有効電力を示し、Euw.maxは、商用系統電圧euwの最大値(振幅)を示す。上記の有効電力Puwと商用系統電圧euwの最大値Euw.maxとは、それぞれ、下記の式(3)〜(5)により算出される。
また、上記の無効電流制御回路29への入力値のうち、無効電流のフィードバック値Iは、以下のようにして、生成される。まず、図2に示されるように、無効電流フィードバック値生成回路26が、上記の商用系統電圧euwと出力電流ispとの位相差Δφ(θuw−θsp)に基づいて、tan(Δφ)の値を生成する。そして、乗算器27が、無効電流フィードバック値生成回路26から出力されたtan(Δφ)の値と、有効電流の波高値2Puw/Euw.maxとを乗算して、乗算した値を、無効電流のフィードバック値Iとして、無効電流制御回路29に出力する。なお、蓄電ハイブリッド発電システム1から出力される無効電力Quwと皮相電力Suwとは、それぞれ、下記の式(6)、(7)により算出される。また、太陽電池2からの出力電力PPVは、下記の式(8)により算出される。
上記の無効電流指令値I と無効電流のフィードバック値Iとは、無効電流制御回路29の第2PI制御器32に入力される。第2PI制御器32は、上記の無効電流指令値I と無効電流のフィードバック値Iとの偏差に基づいて、補正値を生成する。無効電流制御回路29は、第2PI制御器32が生成した上記の補正値に基づいて、蓄電ハイブリッド発電システム1から出力される無効電流の振幅(最大値)が、無効電流指令値I に収束するように、フィードバック制御する。また、無効電流指令値I と無効電流のフィードバック値Iを、有効電流の波高値2Puw/Euw.maxに応じた値に設計する理由は、後述する出力抑制制御を行う際に、出力制限の指令値(下記式(10)のI P.lim)を変化させても、運転力率を一定にすることができるようにするためである。ここで、出力制限の指令値を変化させても、商用系統電圧euwの最大値(振幅)Euw.maxは、変化しないので、上記のように、無効電流指令値I と無効電流のフィードバック値Iの大きさを、有効電流の波高値2Puw/Euw.maxに応じた値にすることにより、出力制限の指令値を変化させた場合でも、出力制限された有効電力Puwの大きさに応じて無効電力Quwの大きさを変更して、運転力率を一定にすることができる。なお、上記式(6)からも、蓄電ハイブリッド発電システム1から出力される無効電力Quwの大きさが、有効電力Puwの大きさに応じて変化することが分かる。
次に、有効電流リミッタ17と無効電流リミッタ30とについて、説明する。有効電流リミッタ17及び無効電流リミッタ30は、蓄電ハイブリッド発電システム1から出力される有効電流と無効電流の振幅を、出力制限の指令値(以下、「出力制限指令値」という)I P.limに基づいて算出したリミッタ値(IP.lim、IQ.lim)を用いて、制限する。すなわち、蓄電ハイブリッド発電システム1の運転力率を変更する場合に、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電力が、定格出力電力(定格皮相電力)を超えないようにするために、有効電流リミッタ17及び無効電流リミッタ30は、有効分の出力電流指令値Iuw.p、及び無効分の出力電流指令値Iuw.qを、それぞれの出力電流指令値のリミッタ値IP.lim、IQ.limによって抑制(制限)する。有効電流リミッタ17から有効成分生成回路18への出力値である有効分の出力電流指令値Iuw.pは、有効電流指令値I の絶対値が、有効分の出力電流指令値のリミッタ値IP.limよりも小さいときは、有効電流指令値I であり、有効電流指令値I が、有効分の出力電流指令値のリミッタ値(上限値)IP.lim以上のときは、IP.limであり、有効電流指令値I が、有効分の出力電流指令値のリミッタ値(下限値)(−IP.lim)以下のときは、(−IP.lim)である。無効分の出力電流指令値Iuw.qの抑制(制限)についても、上記の有効分の出力電流指令値Iuw.pの場合と同様である。
下記の式(9)、(10)は、上記の有効分の出力電流指令値のリミッタ値IP.limと、無効分の出力電流指令値のリミッタ値IQ.limとの定義式である。
上記式(9)、(10)において、Sratedは、蓄電ハイブリッド発電システム1の定格皮相電力であり、Eratedは、商用電力系統9の公称電圧である。また、I P.limは、出力制限指令値である。式(10)に示すように、無効分の出力電流指令値のリミッタ値IQ.limは、上記の定格皮相電力Srated、及び商用電力系統9の公称電圧Eratedに加えて、出力制限指令値I P.lim、(蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電力の)力率指令値PF、及び周波数フィードバック無効電力注入量Kfvarの上限値Kflimに基づいて算出される。
なお、本実施形態では、ステップ注入の動作を発生する場合(無効電力ステップ注入回路25により算出された遅相無効電力注入量Kstepが0ではない場合)には、周波数フィードバック注入の動作を行わない(周波数フィードバック無効電力注入回路24により算出される無効電力注入量Kfvarが0になる)ように設計されている。ここで、ステップ注入において注入される遅相無効電力注入量Kstepの最大値(0.1p.u.(per unit))は、周波数フィードバック注入において注入される無効電力注入量Kfvarの最大値(0.25p.u.)よりも小さいので、周波数フィードバック無効電力注入量Kfvarの上限値Kflimは、総合無効電力注入量K(K=Kfvar+Kstep)の上限値でもある。このため、上記式(10)に示すように、無効分の出力電流指令値のリミッタ値IQ.limは、上記の上限値Kflimを考慮して定義されている。
次に、図5を参照して、本蓄電ハイブリッド発電システム1における出力制限について説明する。本蓄電ハイブリッド発電システム1における出力制限は、図5に示されるように、運転力率の指令値である力率指令値PFが1の場合と、1でない場合に分けて考えた方が分かり易い。すなわち、力率指令値PFを1に設定する場合は、上記の出力制限指令値I P.limの設定値は、0から1(0%から100%の出力)の範囲で設定可能であると考える。また、力率指令値PFを1以下の値に設定して、(運転)力率の一定制御を行う場合は、力率指令値PFの設定値は、運転力率の下限値PFminまで設定することができるが、出力制限指令値I P.limの設定値は、0から力率指令値PFの範囲で設定可能であると考える。このように設計した理由は、力率の一定制御を行う際に、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電力が、設計した定格皮相電力を超えないように、有効電力Puwを抑制するためである。
出力制限指令値I P.limの設定範囲を図5に示すように設計したことと、有効分と無効分の出力電流指令値のリミッタ値IP.lim、IQ.limを式(9)及び(10)に示すように定義したことにより、力率の一定制御を行う際に、(無効電力注入に起因する無効電力を無視すると、)蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力(皮相)電力が、設計した蓄電ハイブリッド発電システム1の定格皮相電力を超えないように制御(抑制)することができる。
例えば、力率指令値PFが1で、定格皮相電力Sratedを出力する場合における、有効電力Puw及び皮相電力Suwと、出力制限指令値I P.lim及び総合無効電力注入量Kとの関係を、式(11)及び(12)に示す。式(11)及び(12)に示すように、本蓄電ハイブリッド発電システム1では、無効電力注入動作(総合無効電力注入量K)を発生しても、無効電力の増加による有効電力Puwの低減現象を回避することができ、有効分の出力電力に影響がないように設計した。なお、本蓄電ハイブリッド発電システム1では、力率指令値PFが1以外の場合においても、上記の式(9)に示されるように、有効電流リミッタ17が、総合無効電力注入量Kの大きさに関わらず、出力制限指令値I P.limと、蓄電ハイブリッド発電システム1の定格皮相電力Sratedと、商用電力系統9の公称電圧Eratedとに基づいて、蓄電ハイブリッド発電システム1から出力される有効電流の振幅を制限することにより、有効電力Puwを制限するようにした。これにより、無効電力の注入動作を発生しても、無効電力の増加による有効電力Puwの低減現象を回避することができ、有効分の出力電力に影響が生じないようにすることができる。
また、本蓄電ハイブリッド発電システム1では、有効電流リミッタ17が、上記式(11)に示すように、蓄電ハイブリッド発電システム1から出力される有効電力Puwが、出力制限指令値I P.limと定格皮相電力Sratedとを乗じた値になるように、蓄電ハイブリッド発電システム1から出力される有効電流の振幅を制限し、図5に示すように、出力制限指令値I P.limを、0から力率指令値PFまでの値に設定した。これにより、無効電力の注入動作の発生の有無に関わらず、蓄電ハイブリッド発電システム1から出力される有効電力Puwの上限値が、力率指令値PFと定格皮相電力Sratedとを乗じた値を超えないようにすることができる。
上記のJEM1498の規格では、周波数フィードバック部(周波数フィードバック無効電力注入回路24)による無効電力注入量Kfvarの上限値Kflimは、0.25p.u.と定められている。従って、無効電力注入動作が生じた場合に、√(1+0.25)≒1.03より、瞬時皮相電力は、最大で瞬時有効電力の約1.03倍に相当する。なお、無効電力注入動作により、電力系統に不安定な要素を与える場合には、周波数フィードバック注入量の上限値Kflimを下げる必要があるが、無効電力注入量の上限値を減らすことにより、単独運転検出に要する時間が延びる可能性がある。
次に、インバータ出力電流制御ブロックDに含まれる、有効成分生成回路18と、無効成分生成回路19と、出力電流制御回路20と、PWM出力制御回路21とについて、説明する。有効成分生成回路18は、有効電流リミッタ17から出力された有効分の出力電流指令値Iuw.pと、PLL12から出力された商用系統電圧euwの位相角θuwの正弦値sin(θuw)とを乗算して、有効成分の電流指令値の瞬時値を生成する。無効成分生成回路19は、無効電流リミッタ30から出力された無効分の出力電流指令値Iuw.qと、PLL12から出力された商用系統電圧euwの位相角θuwの余弦値cos(θuw)とを乗算して、無効成分の電流指令値の瞬時値を生成する。
有効成分生成回路18からの出力値と無効成分生成回路19からの出力値とは、加え合わせ点SP2で加算されて、インバータ5の出力電流指令値i invとなる。この出力電流指令値i invは、出力電流制御回路20に送られる。出力電流制御回路20は、インバータ5からの出力電流iinvのフィードバック値が、出力電流指令値i invに追従するように、不図示のPI制御器等を用いてフィードバック制御を行い、インバータ5の出力デューティ比Dを算出する。このデューティ比Dは、PWM出力制御回路21に入力される。PWM出力制御回路21は、入力された出力デューティ比Dに基づいて、この出力デューティ比Dに対応するパルス幅のPWM信号を生成する。これらのPWM信号に基づいて、インバータ5の各スイッチSW1,SW2,SW3,SW4のオン・オフが制御される。
次に、図6を参照して、上記の無効電流指令値I を更新するタイミングについて説明する。本蓄電ハイブリッド発電システム1では、無効電流指令値I の更新時期を、出力電流ispの半周期毎であって、その絶対値|isp|が最大値isp.maxを示す時期、又は最大値を示す時期の前後の所定の範囲内の時期に限定している。すなわち、無効電流指令値I を、図6に示すように、|isp|≧(isp.max−Δlq.cst)の範囲内の時期tupに更新する。具体的には、無効電流指令値I を、|isp|≧0.95isp.maxの範囲内の時期に更新することが望ましい。
上記のように、無効電流指令値I の更新時期を、出力電流ispの半周期毎(つまり、商用系統周波数の半周期毎)に設計した理由は、以下の通りである。すなわち、本実施形態では、上記の式(3)及び(4)に示されるように、有効電力Puwや商用系統電圧euwの最大値(振幅)Euw.maxを更新するタイミングが、商用系統周波数の半周期毎に設定されている。このため、有効電流の波高値2Puw/Euw.maxに基づいて生成される無効電流のフィードバック値Iの更新タイミングも、商用系統周波数の半周期毎である。そこで、無効電流指令値I を更新するタイミングも、無効電流のフィードバック値Iの更新タイミングと同様にするために、無効電流指令値I を出力電流ispの半周期毎に更新するようにしたのである。このように、無効電流指令値I を出力電流ispの半周期毎に更新するようにしたことにより、力率一定制御の応答性を向上させることができる。
また、上記のように、無効電流指令値I の更新時期を、その絶対値|isp|が最大値isp.maxを示す時期又はそれに近い時期にしたことにより、無効電力制御の安定性と、インバータ5からの出力電流iinvの安定性を向上させることができる。この理由について、以下に説明する。
一般に、出力電流ispの振幅は商用系統周波数に基づいてサインカーブを描いて変動するのであるが、サインカーブのゼロクロス点、つまり出力電流の絶対値|isp|が最小値を示す時期に、無効電流指令値I が更新されると、出力電流指令値i invに含まれる無効成分(無効分の出力電流指令値Iuw.qとCOS(θuw)との積で算出される値)の影響が大きくなるタイミングで出力電流指令値i invが大きく変化する。その結果、出力電流iinvのオーバーシュートやアンダーシュートが発生し易く、出力電流iinvの安定性が損なわれるおそれがある。
しかし、商用系統周波数の半周期毎であって、逆潮流電流の絶対値|isp|が最大値を示す時期又はそれに近い時期に無効電流目標値が更新されると、出力電流指令値i invに含まれる無効成分(無効分の出力電流指令値Iuw.qとCOS(θuw)との積で算出される値)の影響が小さくなるタイミングで出力電流iinvが制御されるため、無効電力制御の安定性と、インバータ5からの出力電流iinvの安定性を向上させることができる。
次に、上記の無効電力注入量算出回路34について、補足説明する。まず、上記の周波数フィードバック無効電力注入回路24は、商用系統周波数計測回路22で計測された商用系統周波数fgridに応じて無効電力注入量を算出する回路で、ある時点の周波数偏差Δfgridに応じて以後の周波数偏差が次第に大きくなるように無効電力注入量が定められた周波数偏差・無効電力特性(図7(a)参照)に基づいて、無効電力注入量Kfvarを算出する。
周波数フィードバック無効電力注入回路24は、上記の周波数偏差Δfgridを、以下のようにして算出する。商用系統周波数計測回路22から周波数フィードバック無効電力注入回路24に入力される商用系統周波数fgridは、1周期毎に更新される。このため、周波数フィードバック無効電力注入回路24は、入力された商用系統周波数fgridに基づいて求めた周期データ(商用系統電圧euwの交流信号の周期を表すデータ)を、図4(c)に示すように、1周期毎に更新する。そして、周波数フィードバック無効電力注入回路24は、図4(c)に示すように、5ms間隔で直近の40ms間の周期データの移動平均を算出して、制御回路7a内の不図示の記憶回路に記憶する。そして、図4(b)に示すように、直近の移動平均算出時から200ms前の80ms分の周期データの移動平均から、直近の40ms間の周期データの移動平均を減算することによって、周波数偏差(周期データの偏差量)Δfgridを算出する。
図7(a)は、上記の周波数フィードバック無効電力注入回路24が使用する周波数偏差・無効電力特性を示す。周波数フィードバック無効電力注入回路24は、この周波数偏差・無効電力特性に基づいて、無効電力注入量Kfvarを算出し、上記の周波数偏差Δfgridを算出してから商用系統周波数fgridの半サイクル以内に、上記の算出した無効電力注入量Kfvarを注入する。
本実施形態では、周波数フィードバック無効電力注入回路24による周波数フィードバック注入動作と上記の力率一定制御との干渉の程度を下げるために、図7(a)に示すように、周波数偏差・無効電力特性に、閾値fstopを設けて、周波数偏差Δfgridの絶対値が閾値fstop以下の場合には、周波数フィードバック注入動作をしないように設計した。より具体的に言うと、本実施形態では、周波数偏差・無効電力特性における低感帯領域(周波数偏差Δfgridの絶対値が閾値fstop以下の領域)の1段目ゲインを0に設定した。これにより、周波数偏差Δfgridが微小な値である場合には、周波数フィードバック注入動作をしないようすることができるので、力率一定制御の安定性を向上させることができると共に、上位系統の安定化を図ることができる。なお、本実施形態では、無効電力注入量Kfvarの最大値Kflimは、±0.25p.u.に設定されている。
次に、上記の無効電力ステップ注入回路25について、補足説明する。無効電力ステップ注入回路25は、ある時点における商用系統周波数fgridに変動がなく、商用電力系統9における基本波電圧Euw及び高調波電圧THDの少なくとも一方が変動したときに、商用系統周波数fgridが低下する方向に変動を引き起こすためにステップ注入される一定量の遅相無効電力注入量Kstepを算出して、出力する。なお、本明細書において、「商用系統周波数fgridに変動がない」状態には、商用系統周波数fgridに全く変動がない状態に加えて、商用系統周波数fgridの変動が小さい状態、つまり、周波数偏差Δfgridが図7(a)の低感帯領域にある状態が含まれる。
図7(b)に示すように、無効電力ステップ注入回路25は、周波数偏差Δfgridが、図7(a)における低感帯領域であるときに、高調波電圧変動が以下の全ての条件式を満たすと判断すると、それから半サイクル以内に、3サイクル以下の時間で、上限を0.1p.u.とする無効電力を、蓄電ハイブリッド発電システム1から見て電流位相を遅らせる方向、つまり商用系統周波数fgridが低下する方向に、注入する。
THD(z)−THDavr(z)>2V
THD(z−1)−THDavr(z)>2V
THD(z−2)−THDavr(z)>−0.5V
│THD(z−3)−THDavr(z)│<0.5V
│THD(z−4)−THDavr(z)│<0.5V
│THD(z−5)−THDavr(z)│<0.5V
下記の式(13)〜(19)に示すように、本実施形態では高調波電圧実効値THDとして2次から7次までの総合高調波電圧実効値が好ましい態様として採用されているが、さらに高次の高調波が含められていてもよい。尚、以下の説明では、総合高調波電圧実効値を、単に高調波電圧実効値と記載する。また、下記の式(13)〜(19)において、TADCは、A/Dコンバータのサンプリング時間、nは高調波の次数を示す。
また、無効電力ステップ注入回路25は、周波数偏差Δfgridが、図7(a)における低感帯領域であるときに、基本波電圧変動が以下の全ての条件式を満たすと判断すると、それから半サイクル以内に、3サイクル以下の時間で、上限を0.1p.u.とする無効電力を蓄電ハイブリッド発電システム1から見て電流位相を遅らせる方向、つまり商用系統周波数fgridが低下する方向に、注入する。
uw.rms(z)−Euw.rms.avr(z)>2.5V
uw.rms(z−1)−Euw.rms.avr(z)>2.5V
uw.rms(z−2)−Euw.rms.avr(z)>−0.5V
│Euw.rms(z−3)−Euw.rms.avr(z)│<0.5V
│Euw.rms(z−4)−Euw.rms.avr(z)│<0.5V
│Euw.rms(z−5)−Euw.rms.avr(z)│<0.5V
次に、上記の単独運転検出回路23の動作について、補足説明する。一般的に、商用系統電圧euwが正常(202±10V)である場合に、商用系統周波数fgridが急変すると、蓄電ハイブリッド発電システム1が単独運転状態であると正しく検出できる。ところが、落雷等によって電力設備に故障が生じ、送配電網の電圧が瞬間的に低下するような現象が発生した場合に、商用系統電圧euwの低下及び位相のずれ(急変)に起因して、商用系統周波数fgridが急変したときには、この周波数の大きな変動に起因して、蓄電ハイブリッド発電システム1が単独運転状態であると不要検出する虞がある。
しかし、瞬低等に起因して位相が急変した場合には、その急変時に商用系統周波数fgridが瞬間的に変動するが、その前後では安定しているのに対して、単独運転時には周波数の変動が増大する傾向になる。従って、本蓄電ハイブリッド発電システム1では、図8に示すように、単独運転検出回路23が、PLL12で求められた運転周波数fPLL、及び商用系統周波数計測回路22で計測された商用系統周波数fgridの双方が、連続する複数の系統周期で一方向に変化する場合に、単独運転状態と判断するようにした。これにより、単独運転検出回路23が、不要検出を回避して、蓄電ハイブリッド発電システム1の単独運転状態を正確に検出することができる。
また、本蓄電ハイブリッド発電システム1の制御回路7aは、図2に示す制御ブロック以外に、双方向DC/DCコンバータ4b用の充放電電力制御ブロックを有している。この充放電電力制御ブロックには、図9に示すように、双方向DC/DCコンバータ4bによる充放電動作を制御する充放電電力制御回路51と、双方向DC/DCコンバータ4b用のPWM出力制御回路52とが、含まれている。充放電電力制御回路51は、入力された充放電電力指令値P BATと、充放電電力PBATと、直流バス電圧Vdcの測定値(フィードバック値)とに基づいて、双方向DC/DCコンバータ4b用の出力デューティ比dBATを算出する。このデューティ比dBATは、PWM出力制御回路52に入力される。PWM出力制御回路52は、入力された出力デューティ比dBATに基づいて、この出力デューティ比dBATに対応するパルス幅のPWM信号を生成する。これらのPWM信号に基づいて、双方向DC/DCコンバータ4bの各スイッチSW5、SW6のオン・オフが制御される。図9に示されるように、上記の充放電電力指令値P BATは、正であれば、放電電力指令値であり、負であれば、充電電力指令値であると定義した。
次に、本蓄電ハイブリッド発電システム1における充放電電力制御と力率一定制御との関係について、説明する。一般的に、太陽電池と電力貯蔵装置(図1中の蓄電池3に相当)とを組み合わせた蓄電ハイブリッド発電システムにおいて、電力貯蔵装置の役割は、(1)昼間に、太陽光発電により発電した余剰電力、又はインバータからの出力が抑制された電力(例えば、本実施形態において、出力制限指令値I P.lim≠1の時に、インバータ5からの出力が抑制された電力)を吸収すること、(2)吸収した電力を夜間に家庭内の負荷に供給すること、及び(3)停電予告の時間の前に、強制的に満充電まで定格充電電流による充電を行い、停電時に自立運転に移行した時に、自立負荷に電力を供給することである。
図10は、本蓄電ハイブリッド発電システム1で、夜間に充放電電力制御を行う際における、充放電電力指令値P BATと、有効電力Puwと、無効電力Quwと、皮相電力Suwと、能動的単独運転検出をするための動作との対応関係を示す。図10では、無効電力Quwが、正であれば、遅れ電力であり、負であれば、進み電力であると定義している。また、有効電力Puwが、正であれば、放電動作を行い、負であれば、充電動作を行うと定義している。なお、図中におけるPFは、上記図3における力率フィードバック値(運転力率のフィードバック値)であり、実質的に運転力率と等しい。ここで、力率一定制御を行う際に、無効電力注入動作を発生すると、運転力率が一瞬低下すると考える。例えば、図10に示されるように、無効電力注入動作が発生して、K・Puwの無効電力が注入されると、運転力率が、(R1/Suw)から、(R1/Suw´)に、一瞬だけ、低下すると考える。また、本蓄電ハイブリッド発電システム1における力率一定制御には、定格電力を出力する場合に、図10に示されるように、夜間における充放電電力制御時にも、皮相電力Suwが、図10に示す定格皮相電力を超えないように制御を行うことができるという特徴を有する。なお、定格電力を出力する場合に、無効電力注入動作が発生したときには、図10に示されるように、上記のK・Puwの無効電力に起因して、瞬時皮相電力Suw´が、一瞬だけ、定格皮相電力を超える。
次に、本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1に採用されている、力率一定制御処理と単独運転検出処理との干渉を減らすための工夫について説明する。この工夫の一つ目は、無効電力注入量算出回路34からの無効電力が発生する(無効電力注入量算出回路34から商用系統電源10に無効電力を注入する)場合、力率一定制御回路15からの出力値である無効電力制御値PFoutを更新しないことである。より具体的に言うと、図3に示すように、力率一定制御回路15に、無効電力制御値PFoutの更新の有無を切り替えるためのスイッチSPFを設ける。そして、下記の式(20)及び(21)に示すように、無効電力注入量算出回路34により算出された無効電力注入量(無効電力注入量Kfvarと遅相無効電力注入量Kstep)の和が、0のときは、スイッチSPFを1に切り替えて、力率一定制御回路15からの出力値である無効電力制御値PFoutを更新し、無効電力注入量算出回路34により算出された無効電力注入量の和が、0でないときは、スイッチSPFを0に切り替えて、無効電力制御値PFoutを更新しないようにした。ここで、「無効電力制御値PFoutを更新しない」とは、力率一定制御回路15から、無効電力制御値PFoutとして、直近の出力値と同じ値を出力することを意味する。
上記のように、無効電力注入量算出回路34からの無効電力が発生する場合、力率一定制御回路15からの出力値である無効電力制御値PFoutを更新しないようにした理由は、以下の通りである。すなわち、無効電力注入量算出回路34による単独運転検出のための無効電力注入処理と、力率一定制御回路15によるフィードバック制御処理とが同時に行われると、単独運転検出のために無効電力注入量算出回路34により無効電力が注入された場合でも、この注入された無効電力が、力率一定制御のフィードバック制御のために出力された無効電力によりキャンセルされて、単独運転を検出することができなくなる可能性がある。そこで、無効電力注入量算出回路34からの無効電力が発生する場合、力率一定制御回路15からの出力値である無効電力制御値PFoutを更新しないようにすることにより、力率一定制御回路15のフィードバック制御機能を一時的に停止させて、力率一定制御のフィードバック制御のために出力される無効電力が、単独運転検出のために注入される無効電力に及ぼす影響を低減させるようにしたのである。
上記の力率一定制御処理と単独運転検出処理との干渉を減らすための工夫の二つ目は、無効電流制御回路29と力率一定制御回路15の応答性に差を設けたことである。この応答性の差を設けるために、本実施形態では、各国の系統連系規定で定められた能動的単独運転検出時限Tactiveと受動的単独運転検出時限Tpassiveとを考慮した、第1PI制御器41と第2PI制御器32の応答時間(遅延時間+収束時間)の設計方法を採用している。この設計方法では、下記の式(22)〜(29)を用いて、第1PI制御器41と第2PI制御器32の遅延時間と収束時間とを設計する。この設計方法では、単独運転検出時限(単独運転検出に要する時間の上限値)を、能動的単独運転検出時限Tactiveと受動的単独運転検出時限Tpassiveとに分けている。そして、下記の式(22)、(27)では、これらの単独運転検出時限Tactive、Tpassiveには、各国の系統連系規定で定められた検出時限の値が設定される。第1PI制御器41の遅延時間TD1と収束時間TI1は、下記の式(22)、(23)に基づいて決定される。式(22)に示すように、第1PI制御器41の遅延時間TD1を、能動的単独運転検出時限Tactiveと受動的単独運転検出時限Tpassiveとのうちの最大値のa倍に設定する。また、式(23)に示すように、第1PI制御器41の収束時間TI1を、遅延時間TD1のb倍に設定する。また、式(26)に示すように、第2PI制御器32の遅延時間TD2を、商用系統周期TGridの半分に設定し、式(27)に示すように、第2PI制御器32の収束時間TI2を、能動的単独運転検出時限Tactiveと受動的単独運転検出時限Tpassiveとのうちの最小値のc倍に設定する。
上記のように設定することにより、検出時限(能動的単独運転検出時限Tactiveと受動的単独運転検出時限Tpassive)の最大値に基づき、力率一定制御回路15の第1PI制御器41の応答時間(遅延時間TD1+収束時間TI1)を設計し、検出時限(能動的単独運転検出時限Tactiveと受動的単独運転検出時限Tpassive)の最小値に基づき、無効電流制御回路29の第2PI制御器32の応答時間(遅延時間TD2+収束時間TI2)を設計する。このとき、式(22)、(23)、(27)における係数a,b,cの値を調整することにより、式(29)に示すように、無効電流制御回路29の第2PI制御器32の応答時間(遅延時間TD2+収束時間TI2)は、力率一定制御回路15の第1PI制御器41の応答時間(遅延時間TD1+収束時間TI1)よりかなり小さくなる。これにより、単独運転状態が発生した場合に、力率一定制御回路15から、力率一定のフィードバック制御のための新たな無効電力制御値PFoutが出力される前に、無効電流制御回路29が、無効電力注入量算出回路34により算出された無効電力注入量を反映した無効電流を、蓄電ハイブリッド発電システム1から出力するためのフィードバック制御を完了することができる可能性が極めて高くなる。このため、単独運転検出回路23が、力率一定のフィードバック制御のために出力される無効電力制御値PFoutの影響を受けずに、単独運転状態であるか否かを検出することができる可能性が高くなるので、単独運転状態を発生したときに、能動的単独運転検出時限Tactive内に、確実に単独運転状態を検出することができる。
また、上記の能動的単独運転検出時限Tactiveと受動的単独運転検出時限Tpassiveの設定パターンは、各国の系統連系規定によって相違し、3つの検出時限の設定パターン(Tactive >Tpassive、Tactive <Tpassive、Tactive =Tpassive)が存在する。但し、上記の式(29)により、これらの3つの検出時限の設定パターンのいずれに設定しても、力率一定制御回路15(第1PI制御器41)の応答性を、無効電流制御回路29(第2PI制御器32)の応答性よりも、確実に遅いように設計できる。
なお、能動的単独運転検出時限Tactive=受動的単独運転検出時限Tpassiveの場合は、Tactive及びTpassiveを、Tislandとおくと(Tisland=Tactive=Tpassiveとすると)、力率一定制御回路15の第1PI制御器41の遅延時間TD1と収束時間TI1、及び無効電流制御回路29の第2PI制御器32の遅延時間TD2と収束時間TI2は、下記の式(30)〜(33)に示すように定義される。この場合、式(29)の条件を満たすために、下記の式(30)、(31)、(33)における係数a,b,cの値を調整する必要がある。
また、日本では、単相系統連系用の太陽光発電システムにおける単独運転検出時限は、下記のように定められている。
(1)能動的単独運転検出時限Tactive(図2中のFactive=1の時):0.2秒以内
(2)受動的単独運転検出時限Tpassive(図2中のFactive=0の時):0.5秒以内
上記の2種類の単独運転検出時限を考慮すると、力率一定制御処理と単独運転検出処理との干渉を減らすためには、日本では、力率一定制御回路15の応答時間を、上記の2種類の単独運転検出時限のうちの長い方の検出時間(受動的単独運転検出時限)の上限値である0.5秒以上に設計する必要がある。また、本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1は、上記のように、標準形能動的単独運転検出方式として定められている「ステップ注入付周波数フィードバック方式」を採用しているので、日本では、上記(1)の基準に沿って、0.2秒以内に単独運転を検出するために、上記の無効電力注入量(Kfvar、Kstep)を注入するための処理を行う無効電流制御回路29の応答時間を、0.2秒以下に設計する必要がある。本実施形態では、力率一定制御回路15と無効電流制御回路29は、いずれも、PI制御器(上記の第1PI制御器41と第2PI制御器32)を用いている。
本実施形態では、ジーグラ・ニコルスのステップ応答法に基づいて、PI制御器のパラメータを設計した。ジーグラ・ニコルスのステップ応答法では、図11(a)に示すように、PI制御器の遅延時間がTD、目標値までの収束時間がTI、目標値がKである。また、本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1における上記の各パラメータの設定値を、図11(b)の表に示す。この表に示すように、力率一定制御回路15の第1PI制御器41については、遅延時間TD1は0.5秒(a=1)、収束時間TI1は1秒(b=2)で設計した。それに対して、無効電流制御回路29の第2PI制御器32については、遅延時間TD2は0.01秒(商用系統周波数50Hzの場合における商用系統周期TGridの半周期)、収束時間TI2は0.1秒(c=0.5)で設計した。
ここで、無効電流制御回路29の第2PI制御器32の遅延時間TD2を0.01秒に設計した理由は、図2、及び式(3)〜(5)等に示されるように、無効電流の制御(無効電流指令値I や無効電流のフィードバック値Iの更新)は、商用系統周期TGridの半サイクル毎(商用系統周波数が50Hzの場合、0.01秒毎)に行われるからである。また、無効電流制御回路29の第2PI制御器32の収束時間TI2を0.1秒で設計した理由は、二つある。一つ目の理由は、単独運転状態になると、0.1秒後に、目標値の通りの無効電力注入量が注入できるようにするためである。そして、二つ目の理由は、(ステップ注入付周波数フィードバック方式を用いた)単独運転検出時間を、0.1秒程度にするためである。なお、第1PI制御器41と第2PI制御器32の比例ゲインKおよび時定数Tは、下記の式(34)及び(35)に基づいて決定される。
上記のような第1PI制御器41と第2PI制御器32の設計方法には、以下の利点がある。
(1)無効電流制御回路29と力率一定制御回路15の応答時間に差を設けたことにより、理論上、単独運転検出処理と力率一定制御処理との干渉を減らすことができる。
(2)力率一定制御回路15の第1PI制御器41の遅延時間TD1を、日本における受動的単独運転検出時限の上限値である0.5秒以上(正確に言うと、0.5秒)に設計したことにより、力率一定制御処理(力率一定制御のフィードバック制御のために出力される無効電力)が単独運転検出処理に及ぼす影響を減らすことができる。
(3)上記の(1)(2)より、力率一定制御と単独運転検出とを両立させることができる。これにより、蓄電ハイブリッド発電システム1の運転力率の精度を高く維持しつつ、正確な単独運転検出を行うことができる。
次に、上記の(1)の利点について、詳述する。本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1では、力率一定制御処理と単独運転検出処理との干渉の程度を減らすために、図11(b)に示すように、無効電流制御回路29の第2PI制御器32の遅延時間TD2と収束時間TI2を、いずれも、力率一定制御回路15の第1PI制御器41の遅延時間TD1と収束時間TI1よりも短い時間に設定した。言い換えると、無効電流制御回路29のフィードバック制御処理の応答性を、力率一定制御回路15のフィードバック制御処理の応答性よりも速いように設定した。これにより、単独運転状態が発生した場合に、力率一定制御回路15から、力率一定のフィードバック制御のための新たな無効電力制御値PFoutが出力される前に、無効電流制御回路29が、無効電力注入量算出回路34により算出された無効電力注入量を反映した無効電流を、蓄電ハイブリッド発電システム1から出力するためのフィードバック制御を完了することができる可能性が極めて高くなる。このため、単独運転検出回路23が、力率一定のフィードバック制御のために出力される無効電力制御値PFoutの影響を受けずに、単独運転状態であるか否かを検出することができる可能性が高くなる。
次に、上記の(2)の利点について、詳述する。本蓄電ハイブリッド発電システム1では、Factiveが0に設定された場合には、受動的単独運転検出方式による単独運転検出を行うが、力率一定制御回路15の第1PI制御器41の遅延時間TD1を、日本における受動的単独運転検出時限の上限値である0.5秒に設計したことにより、力率一定制御処理(力率一定制御のフィードバック制御のために出力される無効電力)が、能動的単独運転検出処理だけではなく、受動的単独運転検出処理に及ぼす影響を減らすことができる。
上記のように、本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1によれば、力率一定制御処理と単独運転検出処理との干渉を減らすために二つの工夫を行った。すなわち、(a)無効電力注入量算出回路34からの無効電力が発生する場合、力率一定制御回路15からの出力値である無効電力制御値PFoutを更新しないという工夫、及び(b)無効電流制御回路29と力率一定制御回路15の応答性に差を設けるという工夫である。
上記の力率一定制御処理と単独運転検出処理との干渉を減らすための工夫(設計方法)の有効性を確認するために、上記の「ステップ注入付周波数フィードバック方式」による能動的単独運転検出機能を用いた単独運転検出試験を、図12(a)に示す代表的な5つのポイント(ポイント1〜5)において実施した。図12(a)において、PGridとQGridとは、受電点の逆潮流電力における有効電力と無効電力とを示す。また、図中の各ポイントのx座標とy座標の値は、上記の逆潮流電力の有効電力と無効電力を、定格皮相電力Sratedに対する比で表した値である。また、図12(b)は、この単独運転検出試験を行った実験システムにおけるパラメータの設定値を示す。
この単独運転検出試験では、図12(a)に示すように、単独運転検出試験の中で最も厳しい条件である(PGrid,QGrid)=(0,0)のポイント1の周辺のポイントについて、実験を行った。ここで、(PGrid,QGrid)=(0,0)のポイント1が、単独運転検出試験の中で最も厳しい条件である理由について、説明する。一般に、分散型電源と商用系統電源との間にある受電点に有効電力や無効電力が流れていた状態で単独運転に移行すると、蓄電ハイブリッド発電システム等の電力変換装置からの出力と系統負荷(交流負荷)との間で有効電力や無効電力が不平衡となり、商用系統周波数や商用系統電圧が変化するので、容易に単独運転状態になったことを検出できる。これに対して、電力変換装置からの出力と系統負荷(交流負荷)の消費電力とが、有効電力についても、無効電力についても、完全に平衡しており、受電点に有効電力や無効電力が流れていない状態(図12(a)中の(PGrid,QGrid)=(0,0)のポイント1に相当)で単独運転に移行した場合には、商用系統周波数や商用系統電圧が変化しないので、単独運転状態になったことを検出することが難しいのである。
次に、図12(a)に示される各ポイントにおける単独運転検出試験の実験結果について、最も厳しい条件である(PGrid,QGrid)=(0,0)のポイント1の実験結果から説明する。図13は、ポイント1の実験結果を示す。この実験では、図13に示すように、単独運転状態になってから約4サイクル後に、無効電力注入量算出回路34からの無効電力の注入が開始され、その後も、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電流ispのピーク付近で、無効電力の注入が行われることを確認した。そして、図13に示すように、単独運転状態になってから約116.2ms後に、単独運転検出回路23が単独運転状態を検出して、蓄電ハイブリッド発電システム1が運転を停止することを確認した。この実験結果より、単独運転状態になってから約0.1秒後に、目標値の通りの量の無効電力が注入できることを確認することができた。また、単独運転検出(に要する)時間は、0.1秒程度であることを確認することができた。これらの実験結果は、図11(b)に示す各PI制御器(第1PI制御器41と第2PI制御器32)のパラメータ設計に妥当性があることを示している。
図14は、図12(a)中のポイント2における単独運転検出試験の実験結果を示す。この実験では、蓄電ハイブリッド発電システム1が、単独運転状態になる前に、力率一定制御 (力率指令値0.8(進み位相))を行い、単独運転状態になってから約2サイクル後に、無効電力の注入が行われ、単独運転状態になってから約52.2ms後に、単独運転検出回路23が単独運転状態を検出して、蓄電ハイブリッド発電システム1が運転を停止することを確認した。
図15は、図12(a)中のポイント3における単独運転検出試験の実験結果を示す。この実験では、図15に示すように、単独運転状態になってから約1.5サイクル後に、無効電力注入量算出回路34からの無効電力の注入が開始され、その後も、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電流ispのピーク付近で、無効電力の注入が行われることを確認した。そして、単独運転状態になってから約50.4ms後に、単独運転検出回路23が単独運転状態を検出して、蓄電ハイブリッド発電システム1が運転を停止することを確認した。
図16は、図12(a)中のポイント4における単独運転検出試験の実験結果を示す。この実験では、図16に示すように、単独運転状態になってから約2サイクル後に、無効電力注入量算出回路34からの無効電力の注入が開始され、その後も、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電流ispのピーク付近で、無効電力の注入が行われることを確認した。そして、単独運転状態になってから約55ms後に、単独運転検出回路23が単独運転状態を検出して、蓄電ハイブリッド発電システム1が運転を停止することを確認した。
図17は、図12(a)中のポイント5における単独運転検出試験の実験結果を示す。この実験では、図17に示すように、単独運転状態になってから約1サイクル後に、無効電力注入量算出回路34からの無効電力の注入が開始され、その後も、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電流ispのピーク付近で、無効電力の注入が行われることを確認した。そして、単独運転状態になってから約48ms後に、単独運転検出回路23が単独運転状態を検出して、蓄電ハイブリッド発電システム1が運転を停止することを確認した。
上記の図12〜17に示される実験結果を要約すると、以下の通りである。
(1)全ての実験において、単独運転状態になってから0.2秒以内に、単独運転状態を検出して、蓄電ハイブリッド発電システム1が運転を停止することを確認した。
(2)全ての実験において、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電流ispのピーク付近で、無効電力の注入が開始されることを確認した。
(3)(PGrid,QGrid)=(0,0)のポイント1における単独運転検出試験の実験結果から、各PI制御器のパラメータ設計の妥当性を確認することができた。
上記のように、本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1によれば、無効電流の(振幅の)フィードバック制御に用いる第2PI制御器32の遅延時間TD2と収束時間TI2を、いずれも、力率一定制御に用いる第1PI制御器41の遅延時間TD1と収束時間TI1より短い時間に設定した。すなわち、無効電流制御回路29のフィードバック制御処理の応答性を、力率一定制御回路15のフィードバック制御処理の応答性よりも速いように設定した。これにより、単独運転状態が発生した場合に、力率一定制御回路15から、力率一定のフィードバック制御のための新たな無効電力制御値PFoutが出力される前に、無効電流制御回路29が、無効電力注入量算出回路34により算出された無効電力注入量を反映した無効電流を、蓄電ハイブリッド発電システム1から出力するためのフィードバック制御を完了することができる可能性が極めて高くなる。このため、単独運転検出回路23が、力率一定のフィードバック制御のために出力される無効電力制御値PFoutの影響を受けずに、単独運転状態であるか否かを検出することができる可能性が高くなる。従って、上記のように、無効電流制御回路29のフィードバック制御処理の応答性を、力率一定制御回路15のフィードバック制御処理の応答性よりも速いように設定することで、無効電流のフィードバック制御処理と、力率一定制御処理との干渉の程度を低下させて、力率一定制御と正確な単独運転検出とを両立させることができる。
また、本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1によれば、力率一定制御回路15にスイッチSPFを設け、このスイッチSPFを用いて、無効電力注入量算出回路34により算出された無効電力注入量の和が、0のときは、力率一定制御回路15からの出力値である無効電力制御値PFoutを更新し、無効電力注入量算出回路34により算出された無効電力注入量の和が、0でないときは、無効電力制御値PFoutを更新しないようにした。これにより、無効電力注入量算出回路34からの無効電力が発生する場合、力率一定制御回路15のフィードバック制御機能を一時的に停止させて、力率一定制御のフィードバック制御のために出力される無効電力が、単独運転検出のために注入される無効電力に及ぼす影響を低減させることができる。
さらにまた、本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1によれば、力率一定制御回路15の第1PI制御器41の遅延時間TD1と収束時間TI1との合計時間(請求項における「第1応答時間」)と、無効電流制御回路29の第2PI制御器32の遅延時間TD2と収束時間TI2との合計時間(請求項における「第2応答時間」)とを、能動的単独運転検出に要する時間の上限値である能動的単独運転検出時限Tactiveと、受動的単独運転検出に要する時間の上限値である受動的単独運転検出時限Tpassiveとに基づいて設定した。無効電流制御回路29の第2PI制御器32の遅延時間TD2と収束時間TI2との合計時間を、能動的単独運転検出時限Tactiveと受動的単独運転検出時限Tpassiveとに基づいて設定したことにより、各国の系統連系規定で定められた能動的単独運転検出時限と受動的単独運転検出時限の要件を容易に満たすことができる。また、力率一定制御回路15の第1PI制御器41の遅延時間TD1と収束時間TI1との合計時間を、能動的単独運転検出時限Tactiveと受動的単独運転検出時限Tpassiveとに基づいて設定したことにより、力率一定制御処理(力率一定制御のフィードバック制御のために出力される無効電力)が、能動的単独運転検出処理に及ぼす影響だけではなく、受動的単独運転検出処理に及ぼす影響も減らすことができる。
また、本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1によれば、有効電流リミッタ17が、総合無効電力注入量Kの大きさに関わらず、出力制限指令値I P.limと、蓄電ハイブリッド発電システム1の定格皮相電力Sratedとに基づいて、蓄電ハイブリッド発電システム1から出力される有効電流の振幅を制限することにより、有効電力Puwを制限するようにした。これにより、無効電力の注入動作を発生しても、無効電力の増加による有効電力Puwの低減現象を回避することができ、有効分の出力電力に影響が生じないようにすることができる。
また、本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1によれば、有効電流リミッタ17は、蓄電ハイブリッド発電システム1から出力される有効電力Puwが、出力制限指令値I P.limと定格皮相電力Sratedとを乗じた値になるように、蓄電ハイブリッド発電システム1から出力される有効電流の振幅を制限し、出力制限指令値I P.limを、0から力率指令値PFまでの値に設定した。これにより、無効電力の注入動作の発生の有無に関わらず、蓄電ハイブリッド発電システム1から出力される有効電力Puwの上限値が、力率指令値PFと定格皮相電力Sratedとを乗じた値を超えないようにすることができる。
また、本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1によれば、周波数フィードバック無効電力注入回路24は、周波数偏差Δfgridの絶対値(商用系統周波数計測回路22により計測された商用系統周波数fgridの変動量)が、閾値fstop以下の場合、無効電力注入量Kfvarを0にするようにした。これにより、周波数偏差Δfgridが微小な値である場合には、周波数フィードバック注入動作をしないようすることができるので、周波数フィードバック注入動作と力率一定制御との干渉の程度を下げて、力率一定制御の安定性を向上させることができると共に、上位系統の安定化を図ることができる。
変形例:
なお、本発明は、上記の実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。次に、本発明の変形例について説明する。
変形例1:
上記の実施形態では、本発明の系統連系用電力変換装置が、パワーコンディショナを、分散型電源である太陽電池、及び蓄電池と組み合わせた、蓄電ハイブリッド発電システム1である場合の例について説明した。けれども、本発明の適用対象となる系統連系用電力変換装置は、これに限られず、例えば、分散型電源として、風力発電装置や燃料電池を備えた蓄電ハイブリッド発電システムであってもよいし、太陽電池、風力発電装置、燃料電池等の分散型電源を、単相又は三相の商用電力系統に連系するためのパワーコンディショナであってもよい。
変形例2:
上記の実施形態では、本発明の系統連系用電力変換装置(蓄電ハイブリッド発電システム)が、ステップ注入付周波数フィードバック方式を用いた能動的単独運転検出機能と、受動的単独運転検出機能の両方を備えている場合の例を示したが、必ずしも、受動的単独運転検出機能を備えている必要はない。
変形例3:
上記の実施形態では、力率一定制御回路15の第1PI制御器41の遅延時間TD1を、0.5秒以上(正確に言うと、0.5秒)に設計したが、必ずしも、このようにする必要はなく、力率一定制御回路15の応答時間(第1PI制御器41の遅延時間TD1と収束時間TI1の合計時間)を、受動的単独運転検出時限の上限値である0.5秒以上に設計した場合でも、力率一定制御処理と単独運転検出処理との干渉を減らす効果を得ることができる。
変形例4:
上記の実施形態では、力率一定制御処理と単独運転検出処理との干渉を減らすために、2つの工夫((a)無効電力注入量算出回路34からの無効電力が発生する場合、力率一定制御回路15からの出力値である無効電力制御値PFoutを更新しないという工夫と、(b)無効電流制御回路29と力率一定制御回路15の応答性に差を設けるという工夫)を行った。けれども、本発明の系統連系用電力変換装置は、必ずしも、これらの2つの工夫を両方とも採用したものである必要はなく、例えば、上記の(a)の工夫を採用せず、上記の(b)の工夫(無効電流制御回路29と力率一定制御回路15の応答性に差を設けるという工夫)のみを採用したものであってもよい。
変形例5:
上記の実施形態では、単独運転検出回路23が、PLL12で求められた運転周波数fPLL、及び商用系統周波数計測回路22で計測された商用系統周波数fgridの双方が、連続する複数の系統周期で一方向に変化する場合に、単独運転状態と判断するようにした場合の例を示した。けれども、上記のように、PLL12で求められた運転周波数fPLL、及び商用系統周波数計測回路22で計測された商用系統周波数fgridの両方に基づいて、単独運転状態の判定を行うのではなく、上記の運転周波数fPLLと商用系統周波数fgridのいずれか片方の値のみを、単独運転状態の判定に用いてもよい。例えば、PLL12で求められた運転周波数fPLLが、連続する複数の系統周期で一方向に変化する場合に、単独運転状態と判断してもよい。
変形例6:
上記の実施形態では、インバータ出力電流iinvの計測値から、上記の式(1)によって算出されたコンデンサ通過電流iの値を減算することにより、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電流ispの値を算出したが、出力電流ispの値を、必ずしも上記のような計算で求める必要はなく、測定で求めてもよい。
変形例7
上記の実施形態では、本発明の系統連系用電力変換装置(蓄電ハイブリッド発電システム)が、ステップ注入付周波数フィードバック方式を用いた能動的単独運転検出処理において、周波数フィードバック無効電力注入回路24と無効電力ステップ注入回路25の両方が無効電力の算出と注入を行う場合の例を示したが、能動的単独運転検出処理において、無効電力ステップ注入回路25の注入動作をマスクして(Kstep=0にして)、周波数フィードバック無効電力注入回路24のみが無効電力の算出と注入を行うようにしても、力率一定制御と正確な単独運転検出とを両立させることができる。
変形例8:
上記の実施形態では、制御回路7a、7bが、いわゆるマイコンを用いて構成されている場合の例を示したが、制御回路7a、7bは、これに限られず、例えば、システムLSIであってもよい。
1 蓄電ハイブリッド発電システム(系統連系用電力変換装置)
2 太陽電池(分散型電源)
9 商用電力系統
15 力率一定制御回路(力率一定制御手段)
17 有効電流リミッタ(電流制限手段)
22 商用系統周波数計測回路(商用系統周波数計測手段)
23 単独運転検出回路(単独運転検出手段)
24 周波数フィードバック無効電力注入回路(周波数フィードバック無効電力注入量算出手段)
25 無効電力ステップ注入回路(無効電力ステップ注入量算出手段)
29 無効電流制御回路(無効電流制御手段)
30 無効電流リミッタ(電流制限手段)
32 第2PI制御器
34 無効電力注入量算出回路(無効電力注入量算出手段)
41 第1PI制御器
無効電流のフィードバック値
P.lim 出力制限指令値
無効電流指令値
fvar 無効電力注入量
step 遅相無効電力注入量
PF 力率フィードバック値
PFout 無効電力制御値
PF 力率指令値
uw 有効電力
PF スイッチ(切替手段)
rated 定格皮相電力
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様による系統連系用電力変換装置は、分散型電源を商用電力系統に連系するための系統連系用電力変換装置であって、商用系統電圧の周波数である商用系統周波数を計測する商用系統周波数計測手段と、前記商用系統周波数計測手段により計測された商用系統周波数の変動に応じた無効電力注入量を算出する無効電力注入量算出手段と、前記系統連系用電力変換装置からの出力電力の力率指令値と力率フィードバック値との偏差に基づいて第1補正値を生成する第1PI制御器を含み、この第1補正値に基づいて、前記系統連系用電力変換装置からの出力電力の力率が前記力率指令値に収束するようにフィードバック制御するための、無効電力制御値を生成して出力する力率一定制御手段と、前記力率一定制御手段から出力された無効電力制御値と前記無効電力注入量算出手段により算出された無効電力注入量とに基づいて算出された無効電流指令値と、前記系統連系用電力変換装置から出力された無効電流のフィードバック値とが入力されて、前記無効電流指令値と前記無効電流のフィードバック値との偏差に基づいて第2補正値を生成する第2PI制御器を含み、この第2補正値に基づいて、前記系統連系用電力変換装置から出力される無効電流の振幅が、前記無効電流指令値に収束するようにフィードバック制御する無効電流制御手段と、前記無効電力注入量の無効電力が注入されたときの前記商用系統周波数に基づいて、前記系統連系用電力変換装置が単独運転状態であるか否かを検出する単独運転検出手段と、前記無効電力注入量算出手段により算出された無効電力注入量が、0のときは、前記力率一定制御手段からの出力値である無効電力制御値を更新し、前記無効電力注入量算出手段により算出された無効電力注入量が、0でないときは、前記無効電力制御値を更新しないように切り替える切替手段とを備え、前記無効電力注入量算出手段は、前記商用系統周波数計測手段により計測された商用系統周波数の変動量に応じた、この商用系統周波数の変動を助長する方向の無効電力注入量を算出する周波数フィードバック無効電力注入量算出手段を含ものである。
この系統連系用電力変換装置において、前記第1PI制御器の遅延時間と収束時間との合計時間である第1応答時間と、前記第2PI制御器の遅延時間と収束時間との合計時間である第2応答時間とを、能動的単独運転検出に要する時間の上限値である能動的単独運転検出時限と、受動的単独運転検出に要する時間の上限値である受動的単独運転検出時限とに基づいて設定することが望ましい。
また、本発明の第2の態様による系統連系用電力変換装置は、分散型電源を商用電力系統に連系するための系統連系用電力変換装置であって、商用系統電圧の周波数である商用系統周波数を計測する商用系統周波数計測手段と、前記商用系統周波数計測手段により計測された商用系統周波数の変動に応じた無効電力注入量を算出する無効電力注入量算出手段と、前記系統連系用電力変換装置からの出力電力の力率指令値と力率フィードバック値との偏差に基づいて第1補正値を生成する第1PI制御器を含み、この第1補正値に基づいて、前記系統連系用電力変換装置からの出力電力の力率が前記力率指令値に収束するようにフィードバック制御するための、無効電力制御値を生成して出力する力率一定制御手段と、前記力率一定制御手段から出力された無効電力制御値と前記無効電力注入量算出手段により算出された無効電力注入量とに基づいて算出された無効電流指令値と、前記系統連系用電力変換装置から出力された無効電流のフィードバック値とが入力されて、前記無効電流指令値と前記無効電流のフィードバック値との偏差に基づいて第2補正値を生成する第2PI制御器を含み、この第2補正値に基づいて、前記系統連系用電力変換装置から出力される無効電流の振幅が、前記無効電流指令値に収束するようにフィードバック制御する無効電流制御手段と、前記無効電力注入量の無効電力が注入されたときの前記商用系統周波数に基づいて、前記系統連系用電力変換装置が単独運転状態であるか否かを検出する単独運転検出手段とを備え、前記無効電力注入量算出手段は、前記商用系統周波数計測手段により計測された商用系統周波数の変動量に応じた、この商用系統周波数の変動を助長する方向の無効電力注入量を算出する周波数フィードバック無効電力注入量算出手段を含み、単独運転検出機能として、前記周波数フィードバック無効電力注入量算出手段を用いた能動的単独運転検出機能と、受動的単独運転検出機能の両方を備え、前記第2PI制御器の遅延時間と収束時間を、いずれも、前記第1PI制御器の遅延時間と収束時間より短い時間に設定し、前記第1PI制御器の遅延時間と収束時間との合計時間である第1応答時間と、前記第2PI制御器の遅延時間と収束時間との合計時間である第2応答時間とを、能動的単独運転検出に要する時間の上限値である能動的単独運転検出時限と、受動的単独運転検出に要する時間の上限値である受動的単独運転検出時限とに基づいて設定したものである。
この系統連系用電力変換装置において、前記無効電力注入量算出手段は、前記周波数フィードバック無効電力注入量算出手段に加えて、前記商用系統周波数計測手段により計測された商用系統周波数に変動がなく、商用電力系統における基本波電圧及び高調波電圧の少なくとも一方が変動したときに、前記商用系統周波数が低下する方向に変動を引き起こすためにステップ注入される遅相無効電力注入量を算出する無効電力ステップ注入量算出手段を含むことが望ましい。
本発明の第1の態様による系統連系用電力変換装置によれば、切替手段を備え、この切替手段を用いて、無効電力注入量算出手段により算出された無効電力注入量が、0のときは、力率一定制御手段からの出力値である無効電力制御値を更新し、無効電力注入量算出手段により算出された無効電力注入量が、0でないときは、無効電力制御値を更新しないようにした。これにより、無効電力注入量算出手段からの無効電力が発生する場合(無効電力注入量算出手段により算出された無効電力注入量が0でない場合)には、力率一定制御手段のフィードバック制御機能を一時的に停止させて、力率一定制御のフィードバック制御のために出力される無効電力が、単独運転検出のために注入される無効電力に及ぼす影響を低減させることができる。従って、力率一定制御と正確な単独運転検出とを両立させることができる。

Claims (9)

  1. 分散型電源を商用電力系統に連系するための系統連系用電力変換装置であって、
    商用系統電圧の周波数である商用系統周波数を計測する商用系統周波数計測手段と、
    前記商用系統周波数計測手段により計測された商用系統周波数の変動に応じた無効電力注入量を算出する無効電力注入量算出手段と、
    前記系統連系用電力変換装置からの出力電力の力率指令値と力率フィードバック値との偏差に基づいて第1補正値を生成する第1PI制御器を含み、この第1補正値に基づいて、前記系統連系用電力変換装置からの出力電力の力率が前記力率指令値に収束するようにフィードバック制御するための、無効電力制御値を生成して出力する力率一定制御手段と、
    前記力率一定制御手段から出力された無効電力制御値と前記無効電力注入量算出手段により算出された無効電力注入量とに基づいて算出された無効電流指令値と、前記系統連系用電力変換装置から出力された無効電流のフィードバック値とが入力されて、前記無効電流指令値と前記無効電流のフィードバック値との偏差に基づいて第2補正値を生成する第2PI制御器を含み、この第2補正値に基づいて、前記系統連系用電力変換装置から出力される無効電流の振幅が、前記無効電流指令値に収束するようにフィードバック制御する無効電流制御手段と、
    前記無効電力注入量の無効電力が注入されたときの前記商用系統周波数に基づいて、前記系統連系用電力変換装置が単独運転状態であるか否かを検出する単独運転検出手段とを備え、
    前記無効電力注入量算出手段は、前記商用系統周波数計測手段により計測された商用系統周波数の変動量に応じた、この商用系統周波数の変動を助長する方向の無効電力注入量を算出する周波数フィードバック無効電力注入量算出手段を含み、
    前記第2PI制御器の遅延時間と収束時間を、いずれも、前記第1PI制御器の遅延時間と収束時間より短い時間に設定したことを特徴とする系統連系用電力変換装置。
  2. 前記無効電力注入量算出手段により算出された無効電力注入量が、0のときは、前記力率一定制御手段からの出力値である無効電力制御値を更新し、前記無効電力注入量算出手段により算出された無効電力注入量が、0でないときは、前記無効電力制御値を更新しないように切り替える切替手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の系統連系用電力変換装置。
  3. 前記無効電力注入量算出手段は、前記周波数フィードバック無効電力注入量算出手段に加えて、前記商用系統周波数計測手段により計測された商用系統周波数に変動がなく、商用電力系統における基本波電圧及び高調波電圧の少なくとも一方が変動したときに、前記商用系統周波数が低下する方向に変動を引き起こすためにステップ注入される遅相無効電力注入量を算出する無効電力ステップ注入量算出手段を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の系統連系用電力変換装置。
  4. 単独運転検出機能として、前記周波数フィードバック無効電力注入量算出手段を用いた能動的単独運転検出機能と、受動的単独運転検出機能の両方を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3の少なくともいずれか一項に記載の系統連系用電力変換装置。
  5. 前記第1PI制御器の遅延時間と収束時間との合計時間である第1応答時間と、前記第2PI制御器の遅延時間と収束時間との合計時間である第2応答時間とを、能動的単独運転検出に要する時間の上限値である能動的単独運転検出時限と、受動的単独運転検出に要する時間の上限値である受動的単独運転検出時限とに基づいて設定したことを特徴とする請求項4に記載の系統連系用電力変換装置。
  6. 前記系統連系用電力変換装置から出力される有効電流と無効電流の振幅を、出力制限指令値に基づいて制限する電流制限手段をさらに備え、
    前記電流制限手段は、前記無効電力注入量の大きさに関わらず、前記出力制限指令値と前記系統連系用電力変換装置の定格皮相電力とに基づいて、前記有効電流の振幅を制限することにより、前記系統連系用電力変換装置から出力される有効電力を制限することを特徴とする請求項1乃至請求項5の少なくともいずれか一項に記載の系統連系用電力変換装置。
  7. 前記電流制限手段は、前記系統連系用電力変換装置から出力される有効電力が、前記出力制限指令値と前記定格皮相電力とを乗じた値になるように、前記有効電流の振幅を制限し、
    前記出力制限指令値は、0から前記力率指令値までの値であることを特徴とする請求項6に記載の系統連系用電力変換装置。
  8. 前記周波数フィードバック無効電力注入量算出手段は、前記商用系統周波数計測手段により計測された商用系統周波数の変動量が、所定の閾値以下の場合、前記無効電力注入量を0にするようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項7の少なくともいずれか一項に記載の系統連系用電力変換装置。
  9. 前記系統連系用電力変換装置から出力される無効電力の大きさを、前記系統連系用電力変換装置から出力される有効電力の大きさに応じて変更することにより、前記系統連系用電力変換装置からの出力電力の力率を一定にするようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項8の少なくともいずれか一項に記載の系統連系用電力変換装置。
JP2016223650A 2016-11-16 2016-11-16 系統連系用電力変換装置 Expired - Fee Related JP6142064B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016223650A JP6142064B1 (ja) 2016-11-16 2016-11-16 系統連系用電力変換装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016223650A JP6142064B1 (ja) 2016-11-16 2016-11-16 系統連系用電力変換装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6142064B1 JP6142064B1 (ja) 2017-06-07
JP2018082570A true JP2018082570A (ja) 2018-05-24

Family

ID=59011952

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016223650A Expired - Fee Related JP6142064B1 (ja) 2016-11-16 2016-11-16 系統連系用電力変換装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6142064B1 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020195268A (ja) * 2019-05-30 2020-12-03 ダイヤモンド電機株式会社 検出装置、検出方法、制御プログラム及び分散型電源システム
JP2021002947A (ja) * 2019-06-21 2021-01-07 株式会社村田製作所 電力変換装置
JP2021056109A (ja) * 2019-09-30 2021-04-08 大崎電気工業株式会社 電子式電力量計の配線接続状態判別コンピュータプログラム
KR102378390B1 (ko) * 2021-05-14 2022-03-24 세방전기 주식회사 4-Leg 기반 각상 개별 유/무효 전력제어가 가능한 계통연계형 3상4선식 전력 변환장치

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109327152B (zh) * 2017-07-28 2020-10-20 南京理工大学 包含数字控制延时的并网电流环临界阻尼参数确定方法
DE102017131042A1 (de) * 2017-12-21 2019-06-27 Sma Solar Technology Ag Umrichter mit mindestens einem wandlermodul mit drei brückenzweigen, verfahren zum betreiben und verwendung eines solchen umrichters
JP7069784B2 (ja) * 2018-02-08 2022-05-18 富士電機株式会社 単独運転検出装置、単独運転検出方法、及び単独運転検出プログラム

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1141819A (ja) * 1997-07-17 1999-02-12 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 単独運転検出装置及び単独運転検出方法
JP2006067760A (ja) * 2004-08-30 2006-03-09 Tokyo Electric Power Co Inc:The 分散型電源装置
JP2015180122A (ja) * 2014-03-18 2015-10-08 オムロン株式会社 制御装置、電力変換装置、電源システム、プログラム、および制御方法
JP2016127727A (ja) * 2015-01-06 2016-07-11 田淵電機株式会社 パワーコンディショナの力率可変制御装置及び制御方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1141819A (ja) * 1997-07-17 1999-02-12 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 単独運転検出装置及び単独運転検出方法
JP2006067760A (ja) * 2004-08-30 2006-03-09 Tokyo Electric Power Co Inc:The 分散型電源装置
JP2015180122A (ja) * 2014-03-18 2015-10-08 オムロン株式会社 制御装置、電力変換装置、電源システム、プログラム、および制御方法
JP2016127727A (ja) * 2015-01-06 2016-07-11 田淵電機株式会社 パワーコンディショナの力率可変制御装置及び制御方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020195268A (ja) * 2019-05-30 2020-12-03 ダイヤモンド電機株式会社 検出装置、検出方法、制御プログラム及び分散型電源システム
JP2021002947A (ja) * 2019-06-21 2021-01-07 株式会社村田製作所 電力変換装置
US11063436B2 (en) 2019-06-21 2021-07-13 Murata Manufacturing Co., Ltd. Power conversion device
JP7215355B2 (ja) 2019-06-21 2023-01-31 株式会社村田製作所 電力変換装置
JP2021056109A (ja) * 2019-09-30 2021-04-08 大崎電気工業株式会社 電子式電力量計の配線接続状態判別コンピュータプログラム
KR102378390B1 (ko) * 2021-05-14 2022-03-24 세방전기 주식회사 4-Leg 기반 각상 개별 유/무효 전력제어가 가능한 계통연계형 3상4선식 전력 변환장치

Also Published As

Publication number Publication date
JP6142064B1 (ja) 2017-06-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6142064B1 (ja) 系統連系用電力変換装置
US9166500B2 (en) Power decoupling controller and method for power conversion system
US8503200B2 (en) Quadrature-corrected feedforward control apparatus and method for DC-AC power conversion
JP6166832B1 (ja) 系統連系用電力変換装置、及びその出力電流制御方法
US10411478B2 (en) Grid connection power conversion device and disconnection/welding detection method therefor
US11296629B2 (en) Method, device for sub synchronous oscillation suppression and controller for converter
JP6059757B2 (ja) 系統電圧抑制制御装置及び系統電圧抑制制御方法
CA3048106A1 (en) Utilization of distributed generator inverters as statcom
US11469596B2 (en) Device for active electrical compensation
Prakash et al. Power quality improvement using DVR in power system
Marei et al. PV interface system with LVRT capability based on a current controlled HFAC link converter
Naqvi et al. A PV-battery system resilient to weak grid conditions with regulated power injection and grid supportive features
Ebad et al. Improved design and control of proportional resonant controller for three-phase voltage source inverter
US9496716B2 (en) Islanding detection apparatus for parallel distributed generation system
JP2018148674A (ja) 電力変換装置
JP6774893B2 (ja) 自立運転機能を有する系統連系用電力変換装置
Yada et al. Operation and control of single-phase UPQC based on SOGI-PLL
TWI505597B (zh) 智慧型微電網電力品質管理的操作系統
Majji et al. MPC‐based DC microgrid integrated series active power filter for voltage quality improvement in distribution system
JP2012231606A (ja) 系統連系電力変換装置
Narayanan et al. SOGI-FLL-WDCRC Filter for Seamless Control of Microgrid for Optimal Coordination of Conventional and Renewable Energy Resources
Mok et al. Distributed grid voltage and utility frequency stabilization via shunt-type electric springs
Kannan et al. Photovoltaic based three-phase three-wire DSTATCOM to improve power quality
Lee et al. Direct power control for three phase grid connected inverter via port-controlled Hamiltonian method
Lei et al. A universal droop-based control strategy for single-phase two-stage PV inverters

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170307

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170330

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170411

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170508

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6142064

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees