JP2018080716A - 有段変速機を備えた車両の制御装置 - Google Patents

有段変速機を備えた車両の制御装置 Download PDF

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忠行 永井
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壮一朗 志村
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【課題】フリーランを終了して通常走行の状態へ適切に復帰させる。【解決手段】フリーランを実行する場合に、エンジンの共振がトルク伝達を遮断した状態の有段変速機で伝達される可能性のある制限変速段と、前記制限変速段以外の許可変速段とを設定することが可能な有段変速機を備えた車両の制御装置において、前記フリーランを実行する際に変速制御における目標変速段が前記制限変速段となった場合に、前記制限変速段の設定を禁止して前記許可変速段を設定した状態で前記有段変速機におけるトルク伝達を遮断し、前記制限変速段の設定を禁止した前記フリーランを終了して通常走行に復帰させる場合は、前記許可変速段を設定して前記トルク伝達を可能にした状態で前記車両に所定の前後加速度を発生させた後に(ステップS206でYES)、前記目標変速段に基づいて前記変速制御を実行する(ステップS207)。【選択図】図15

Description

この発明は、走行中にエンジンの運転を停止した状態で車両を惰性走行させるフリーランを実行することが可能な車両の制御装置に関するものである。
特許文献1には、車両が巡行速度で走行しているときに、エンジンと駆動輪との間の動力伝達系に設けたクラッチを解放し、車両を惰性走行させて燃費を向上させるクラッチ制御装置が記載されている。この特許文献1に記載された制御装置は、車両が一定の走行条件に達した後に、運転者がアクセルペダルを解放操作することにより、クラッチを解放し、車両を惰性走行させる。その後、加速または減速のために運転者がアクセルペダルまたはブレーキペダルを踏み込み操作することにより、車両の惰性走行を終了する。上記のようにクラッチを解放して車両を惰性走行させる場合、エンジンの燃焼運転を停止することにより、いわゆるフリーランの状態になる。
また、特許文献2には、エンジンと駆動輪との間の動力伝達経路を遮断および接続する係合要素の掴み替えによって変速段を設定する自動変速機(有段変速機)を備えた車両の走行制御装置が記載されている。この特許文献2に記載された制御装置は、所定の変速段で走行している際に、エンジンと駆動輪との間の動力伝達を遮断し、さらに、エンジンを停止することによって車両をフリーランの状態にする。また、フリーラン中に所定の変速段において係合される係合要素のすべてを解放した状態で、所定の変速段において係合される係合要素以外の係合要素の少なくとも1つを係合することにより、自動変速機内の回転要素の回転数を上昇させる。そして、フリーランから通常の走行状態へ復帰する際には、復帰後の変速段において係合されるべき係合要素のうち、フリーラン中に回転数を上昇させた回転要素の回転エネルギをエンジンに伝達させる係合要素を係合する。その後、エンジン回転数が所定回転数よりも高くなった時点でエンジンを始動する。
なお、特許文献3には、フリーランの状態から通常の走行状態に復帰する際に、ドライバビリティの低下を抑制することを目的とした車両制御装置が記載されている。この特許文献3に記載された制御装置は、フリーランを実行している間は少なくとも変速機のアップシフトを禁止し、加速要求に応じてフリーランの状態から通常の走行状態に復帰する際に、変速機のアップシフトを実行するように構成されている。
また、特許文献4には、惰性走行の終了時にタイヤがロックしてしまうような事態を回避することを目的とした惰行制御装置が記載されている。この特許文献4に記載された制御装置は、走行中にエンジンが外部に対して仕事をしない場合、エンジンと変速機との間のクラッチを解放し、エンジン回転数をアイドル回転数に低下させた状態で車両を惰性走行させる惰行制御を実行するとともに、惰行制御の実行中は変速の操作を禁止するように構成されている。
特開2002−227885号公報 特開2016−44755号公報 特開2016−20126号公報 特開2012−13185号公報
上記の特許文献1や特許文献2に記載されているように、エンジンの燃焼運転を停止した状態で車両を惰性走行させるフリーランは、エンジンを停止させない惰性走行と比較して燃費の向上効果が大きい。ただし、エンジンの燃焼運転を停止する際には、通常、エンジンの回転が停止する直前に、不可避的にエンジンの共振が発生する。特許文献2に記載された自動変速機(有段変速機)のように、所定の変速段を形成するために係合されるクラッチやブレーキを解放することにより、エンジンと駆動輪との間のトルク伝達を遮断する場合は、上記のようなエンジンの共振による振動やトルク変動が駆動輪に伝達されてしまう可能性がある。例えば、所定の変速段を形成するために係合されていた二つのクラッチのうちの一つを解放することによってトルク伝達を遮断する場合は、係合状態が維持されているクラッチを経由してエンジンの共振が有段変速機内の回転要素や回転部材に伝搬し、その結果、エンジンの共振に起因する振動やトルク変動が、有段変速機の出力軸を介して駆動輪に伝達されてしまう可能性がある。
上記のように、有段変速機を搭載した車両では、フリーランを実行する前に有段変速機で設定されている変速段によっては、エンジンを停止させる際の共振が駆動輪側へ伝達されてしまう場合がある。すなわち、上記の例のように、二つのクラッチを共に係合させることによって形成される所定の変速段(例えば、第n速)が設定されている場合には、いずれのクラッチを解放したとしても、エンジンの共振が駆動輪側へ伝達されてしまう。したがって、フリーランを実行する際に、上記のような二つのクラッチを共に係合させることによって形成される第n速以外の変速段(例えば、第(n+1)速、または、第(n−1)速)を設定することにより、エンジンの共振の駆動輪側への伝達を抑制することができる。例えば、クラッチおよびブレーキをそれぞれ一つずつ係合させることによって形成される第(n+1)速を設定し、それらクラッチおよびブレーキのうちクラッチのみを解放させることにより、有段変速機においてエンジンと駆動輪との間のトルク伝達を遮断することができる。そして、エンジンの共振を減衰させて駆動輪側への伝達を抑制することができる。その後、解放していたクラッチを係合させることにより、フリーランを終了する際に、有段変速機で第(n+1)速を形成してトルク伝達が可能な状態にすることができる。
しかしながら、上記のように、共振の伝達を抑制するために第n速に替えて第(n+1)速を設定した場合は、フリーランを終了して通常の走行状態へ復帰する際に、その時点の車両の走行状態に基づいて設定されるべき本来の変速段(例えば、第n速)と相違してしまう可能性がある。その結果、エンジン回転数の上昇遅れや変速の遅れ、および、それらに伴う加速度の立ち上がりの遅れが生じてしまい、フリーラン終了後の加速走行時に、運転者へ加速応答性に対する違和感を与えてしまうおそれがある。
この発明は上記のような技術的課題に着目して考え出されたものであり、フリーランを終了して通常走行の状態へ戻る復帰を適切に実施することができる有段変速機を備えた車両の制御装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、この発明は、エンジンの出力トルクが伝達される入力軸と、駆動輪側へトルクを伝達させる出力軸と、前記入力軸に連結された回転要素を含む複数の回転要素を有する少なくとも一組の遊星歯車機構と、いずれか二つの前記回転要素同士を選択的に連結するクラッチ機構と、いずれかの前記回転要素を所定の固定部に選択的に連結して回転を止めるブレーキ機構とを有し、前記入力軸のトルクを増大または減少させて前記出力軸に伝達する有段変速機を備え、前記有段変速機で所定の変速段を設定した状態で前記クラッチ機構を解放させることによって前記入力軸と前記出力軸との間のトルク伝達を遮断し、かつ、前記エンジンの運転を止めた状態で走行するフリーランを実行することが可能であり、前記フリーランを実行する場合に、前記エンジンの運転を停止させる際に発生する共振が前記トルク伝達を遮断した状態の前記入力軸と前記出力軸との間で伝達される可能性のある制限変速段と、前記制限変速段以外の変速段であって前記トルク伝達を遮断した状態の前記入力軸と前記出力軸との間で前記共振の伝達が抑制される許可変速段とを設定することが可能な有段変速機を備えた車両の制御装置において、前記エンジンならびに前記クラッチ機構および前記ブレーキ機構を制御するコントローラを備え、前記コントローラは、前記有段変速機の変速制御における目標変速段を決定し、前記フリーランを実行する際に前記目標変速段が前記制限変速段となった場合に、前記制限変速段の設定を禁止して前記許可変速段を設定した状態で前記クラッチ機構を解放させるとともに、前記制限変速段の設定を禁止した前記フリーランを実行している際に、運転者の加速要求により、前記フリーランを終了して通常走行に復帰させる場合は、前記フリーランの実行中に解放していた前記クラッチ機構を係合させて前記許可変速段を設定した状態で前記車両に所定の前後加速度を発生させた後に、前記目標変速段に基づいて前記変速制御を実行することを特徴とする制御装置である。
この発明では、フリーランを実行する際に有段変速機の変速制御における目標変速段が制限変速段であった場合は、その制限変速段を有段変速機で設定することが禁止され、制限変速段以外の許可変速段を形成するために係合させるクラッチ機構を解放させることにより、有段変速機におけるトルク伝達が遮断される。そのため、フリーランを実行するためにエンジンの運転を停止する場合に、エンジンが停止する際に発生する共振が駆動輪側へ伝達されてしまうことを抑制し、適切にフリーランを実行することができる。さらに、この発明によれば、上記のように制限変速段の設定を禁止して実行されていたフリーランを終了して通常走行に復帰させる場合には、フリーランの実行中に有段変速機におけるトルク伝達を遮断するために解放していたクラッチ機構が係合させられ、所定の許可変速段が形成される。そして、所定の許可変速段が形成されて有段変速機におけるトルク伝達が可能になった状態でエンジントルクを駆動輪へ伝達させることにより、先ず、車両に所定の前後加速度を発生させ、その後、目標変速段に基づいて有段変速機の変速制御が実行される。そのため、上記のような制限変速段の設定を禁止したフリーランからの復帰の際に、前後加速度の立ち上がりの遅れを抑制し、車両の加速応答性を向上させることができる。
この発明の制御装置で制御の対象とする車両の駆動系統および制御系統の概要を示す図である。 図1に示す車両の構成のうち、有段変速機の詳細な構成の一例を説明するための模式図である。 図2に示す有段変速機で各変速段を設定する際の各係合機構(係合要素)の係合および解放状態を示す作動表である。 図2に示す有段変速機で各変速段を設定した状態における各遊星歯車機構の各回転要素の状態を示す共線図である。 図2に示す有段変速機でいずれか一つのクラッチ機構を解放させてトルク伝達を遮断する場合に、ブレーキB1が係合されていることにより、エンジンの共振が出力軸側に伝達されない状態を示す共線図である。 図2に示す有段変速機でいずれか一つのクラッチ機構を解放させてトルク伝達を遮断する場合に、ブレーキB3が係合されていることにより、エンジンの共振が出力軸側に伝達されない状態を示す共線図である。 図2に示す有段変速機でいずれか一つのクラッチ機構を解放させてトルク伝達を遮断する場合に、クラッチC1が係合されていることにより、エンジンの共振が出力軸側に伝達されてしまう状態を示す共線図である。 図2に示す有段変速機でいずれか一つのクラッチ機構を解放させてトルク伝達を遮断する場合に、クラッチC2が係合されていることにより、エンジンの共振が出力軸側に伝達されてしまう状態を示す共線図である。 図2に示す有段変速機の変速制御で用いる変速線(アップシフト線)の一例、および、通常走行状態とフリーランの状態とでそれぞれ選定される変速段を説明するための図である。 この発明の制御装置により実行されるフリーラン復帰制御の一例を説明するための図であって、フリーランから通常走行へ復帰する際の「パターン」を選定するための制御内容を示すフローチャートである。 フリーランの実行時に図2に示す有段変速機で第5速を設定した状態から通常走行へ復帰する際の制御を説明するための図であって、復帰の際の車速が第4速から第5速への(4⇒5)アップシフト線から離れていて、かつ、アクセル開度が小さい「パターンA」、および、復帰の際の車速が4⇒5・アップシフト線に近く、かつ、アクセル開度が小さい「パターンB」の状況を示す図である。 フリーランの実行時に図2に示す有段変速機で第3速を設定した状態から通常走行へ復帰する際の制御を説明するための図であって、アクセル開度が小さく、第3速を設定したまま復帰する、または、車速が増大した後に第3速から第4速に変速する「パターンC」の状況を示す図である。 フリーランの実行時に図2に示す有段変速機で第5速を設定した状態から通常走行状態へ復帰する際の制御を説明するための図であって、復帰の際の車速が4⇒5・アップシフト線から離れていて、かつ、アクセル開度が大きく、第4速から第3速への(4⇒3)ダウンシフト線を跨ぐ「パターンD」、および、復帰の際の車速が4⇒5・アップシフト線に近く、かつ、アクセル開度が大きいものの、4⇒3・ダウンシフト線は跨がない「パターンE」の状況を示す図である。 フリーランの実行時に図2に示す有段変速機で第3速を設定した状態から通常走行状態へ復帰する際の制御を説明するための図であって、復帰の際の車速が4⇒5・アップシフト線から離れていて、かつ、アクセル開度が大きく、4⇒3・ダウンシフト線を跨ぐ「パターンF」、および、復帰の際の車速が4⇒5・アップシフト線に近く、かつ、アクセル開度が大きいものの、4⇒3・ダウンシフト線は跨がない「パターンG」の状況を示す図である。 この発明の制御装置により実行されるフリーラン復帰制御の一例を説明するための図であって、図10に示す制御フローで「パターンA」、「パターンB」、「パターンD」、または、「パターンE」を選定した場合の制御内容を示すフローチャートである。 図10に示す制御フローで「パターンB」を選定し、図15に示すフリーラン復帰制御を実行する場合に、図2に示す有段変速機で第5速から第4速へ変速する際のビジーシフトを抑制するために設定する変速線(4⇒5・アップシフト線)を説明するための図である。 図10に示す制御フローで「パターンA」を選定し、図15に示すフリーラン復帰制御を実行する場合に、図2に示す有段変速機で第5速から第4速へ変速する際のエンジン回転数および車両の前後加速度の挙動を説明するためのタイムチャートである。 図17に示すフリーラン復帰制御の比較例として、従来の制御を実行した場合に、図2に示す有段変速機で第5速から第4速へ変速する際のエンジン回転数および車両の前後加速度の挙動を示すタイムチャートである。 この発明の制御装置により実行されるフリーラン復帰制御の一例を説明するための図であって、図10に示す制御フローで「パターンC」、「パターンF」、または、「パターンG」を選定した場合の制御内容を示すフローチャートである。
この発明の実施形態を、図を参照して説明する。なお、以下に示す実施形態は、この発明を具体化した場合の一例に過ぎず、この発明を限定するものではない。
図1に、この発明の実施形態で制御対象にする車両Veの駆動系統および制御系統の一例を示してある。図1に示す車両Veは、エンジン(ENG)1と、エンジン1の出力側に連結されてエンジン1が出力するトルクを駆動輪2へ伝達する有段変速機(AT)3とを備えている。具体的には、エンジン1の出力軸1aに、ロックアップクラッチ4aを有するトルクコンバータ4を介して、有段変速機3の入力軸3aが連結されている。有段変速機3の出力軸3bには、プロペラシャフト5、デファレンシャルギヤ6、および、ドライブシャフト7を介して、駆動輪2が連結されている。なお、図1では、プロペラシャフト5を介してエンジン1と駆動輪2とが連結された構成例、すなわち車両Veが後輪駆動車である例を示しているが、この発明で制御の対象とする車両Veは、前輪駆動車であってもよく、あるいは四輪駆動車であってもよい。
エンジン1は、例えば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンあるいは天然ガスエンジンなどの内燃機関であり、出力の調整、ならびに、始動および停止の動作などが電気的に制御されるように構成されている。ガソリンエンジンであれば、スロットルバルブの開度、燃料の供給量、点火の実行および停止、ならびに、点火時期などが電気的に制御される。
有段変速機3は、エンジン1が出力するトルクを増幅または減少して駆動輪2へ伝達する動力伝達装置であり、少なくとも一組の遊星歯車機構を用いた公知の有段式の自動変速機である。図1に示す例では、有段変速機3は、複数の遊星歯車機構(図示せず)、ならびに、それら複数の遊星歯車機構におけるいずれか二つの回転要素同士を選択的に連結して一体回転させるクラッチ機構8、および、いずれかの回転要素を所定の固定部(例えば、有段変速機3のケース)に選択的に連結して回転を止めるブレーキ機構9を備えている。
そして、有段変速機3は、クラッチ機構8およびブレーキ機構9の係合・解放状態を制御することにより、複数の変速段(ギヤ段)を設定することができるように構成されている。具体的には、有段変速機3は、クラッチ機構8、および、後述するワンウェイクラッチF1を含むブレーキ機構9のうちのいずれか2つが係合することにより、所定の変速段を形成し、有段変速機3における入力軸3aと出力軸3bとの間でトルク伝達が可能になる。言い換えると、有段変速機3は、所定の変速段を形成するために係合させるいずれか一つのクラッチ機構8が解放することにより、または、所定の変速段を形成するために係合させるいずれか一つのブレーキ機構9(後述するワンウェイクラッチF1を含む)が解放することにより、他のクラッチ機構8およびブレーキ機構9(後述するワンウェイクラッチF1を含む)のうちの一つが係合した状態であっても、有段変速機3における入力軸3aと出力軸3bとの間のトルク伝達を遮断することができる。例えば、いずれか一つのクラッチ機構8といずれか一つのブレーキ機構9とを共に係合させることにより(もしくは、いずれか一つのクラッチ機構8を係合させ、かつ、後述するワンウェイクラッチF1が係合することにより)、有段変速機3で所定の変速段を形成することができる。その場合、所定の変速段を形成するために係合させたブレーキ機構9(もしくは、係合した後述するワンウェイクラッチF1)の係合状態を維持しつつ、所定の変速段を形成するために係合させたクラッチ機構8を解放することにより、有段変速機3における入力軸3aと出力軸3bとの間のトルク伝達を遮断することができる。あるいは、いずれのブレーキ機構9(後述するワンウェイクラッチF1を含む)も係合することなく、いずれか二つのクラッチ機構8を共に係合させることにより、有段変速機3で所定の他の変速段を形成することもできる。その場合、所定の他の変速段を形成するために係合させた二つのクラッチ機構8のうちのいずれか一方を解放することにより、有段変速機3における入力軸3aと出力軸3bとの間のトルク伝達を遮断することができる。
上記のような有段変速機3の一例を、図2に示してある。この図2に示す有段変速機3は、前進6速および後進1速の変速段を設定することが可能な自動変速機である。具体的には、この有段変速機3は、シングルピニオン型の遊星歯車機構21、ラビニヨ型の遊星歯車機構22、ならびに、上述したクラッチ機構8、および、ブレーキ機構9によって構成されている。
シングルピニオン型の遊星歯車機構21は、サンギヤ21s、リングギヤ21r、ピニオンギヤ21p、および、キャリア21cを備えている。サンギヤ21sは、有段変速機3の入力軸3aと一体回転するように連結されている。リングギヤ21rは、内歯歯車として形成されていて、サンギヤ21sと同心円上に配置されている。また、このリングギヤ21rには、リングギヤ21rを有段変速機3のケース3cに選択的に連結し、リングギヤ21rの回転を止めるブレーキB3が設けられている。ピニオンギヤ21pは、サンギヤ21sとリングギヤ21rとの間で、それらサンギヤ21sおよびリングギヤ21rの両方に噛み合うように配置されている。キャリア21cは、ピニオンギヤ21pを自転可能にかつ公転可能に保持するように構成されている。また、このキャリア21cは、後述するラビニヨ型の遊星歯車機構22の第2サンギヤ22sbに一体回転するように連結されている。さらに、このキャリア21cには、キャリア21cをケース3cに選択的に連結し、リングギヤ21rの回転を止めるブレーキB1が設けられている。
ラビニヨ型の遊星歯車機構22は、シングルピニオン型の遊星歯車機構とダブルピニオン型の遊星歯車機構とを組み合わせて構成された複合遊星歯車機構である。具体的には、ラビニヨ型の遊星歯車機構22は、シングルピニオン型の遊星歯車機構を構成する部材として、第1サンギヤ22sa、リングギヤ22r、第1ピニオンギヤ22pa、および、キャリア22cを備えている。そして、ダブルピニオン型の遊星歯車機構を構成する部材として、第2サンギヤ22sb、上記のシングルピニオン型の遊星歯車機構と共用のリングギヤ22r、上記のシングルピニオン型の遊星歯車機構と共用の第1ピニオンギヤ22pa、第2ピニオンギヤ22pb、および、上記のシングルピニオン型の遊星歯車機構と共用のキャリア22cを備えている。
第1サンギヤ22saは、中空に形成されていて、入力軸3aの外周部分に入力軸3aと相対回転が可能なように配置されている。リングギヤ22rは、内歯歯車として形成されていて、第1サンギヤ22saと同心円上に配置されている。また、このリングギヤ22rには、リングギヤ22rをケース3cに選択的に連結し、リングギヤ22rの回転を止めるブレーキB2が設けられている。さらに、このリングギヤ22rには、回転方向を一方向に制限するワンウェイクラッチF1が設けられている。第1ピニオンギヤ22paは、第1サンギヤ22saとリングギヤ22rとの間で、それら第1サンギヤ22saおよびリングギヤ22rの両方に噛み合うように配置されている。また、この第1ピニオンギヤ22paは、軸線方向に長く延長させたロングピニオンギヤとして形成されていて、上記の第1サンギヤ22saおよびリングギヤ22rと共に、第2ピニオンギヤ22pbとも同時に噛み合うように構成されている。そして、キャリア22cは、上記の第1ピニオンギヤ22paおよび第2ピニオンギヤ22pbをそれぞれ自転可能にかつ公転可能に保持するように構成されている。また、このキャリア22cは、有段変速機3の出力軸3bに一体回転するように連結されている。
第2サンギヤ22sbは、上記の第1サンギヤ22saと同様、中空に形成されていて、入力軸3aの外周部分に入力軸3aと相対回転が可能なように配置されている。また、この第2サンギヤ22sbは、上述したシングルピニオン型の遊星歯車機構21のキャリア21cに一体回転するように連結されている。第2ピニオンギヤ22pbは、第2サンギヤ22sbと上記の第1ピニオンギヤ22paとの間で、それら第2サンギヤ22sbおよび第1ピニオンギヤ22paの両方に噛み合うように配置されている。そして、この第2ピニオンギヤ22pbは、上記のキャリア22cによって、上記の第1ピニオンギヤ22paと共に、自転可能にかつ公転可能に保持されている。
上述したシングルピニオン型の遊星歯車機構21のサンギヤ21sと、上記のラビニヨ型の遊星歯車機構22の第1サンギヤ22saとの間に、それらサンギヤ21sと第1サンギヤ22saとを選択的に連結するクラッチC1が設けられている。また、上述したシングルピニオン型の遊星歯車機構21のサンギヤ21sと、上記のラビニヨ型の遊星歯車機構22のリングギヤ22rとの間に、それらサンギヤ21sとリングギヤ22rとを選択的に連結するクラッチC2が設けられている。したがって、これらクラッチC1およびクラッチC2が、この有段変速機3におけるクラッチ機構8を構成している。また、上述したブレーキB1、ブレーキB2、および、ブレーキB3が、この有段変速機3におけるブレーキ機構9を構成している。
上記の有段変速機3で各変速段を設定する際の各クラッチC1,C2および各ブレーキB1,B2,B3のそれぞれの係合状態を、図3の作動表に示してある。この図3の作動表における「○」は、各クラッチC1,C2もしくは各ブレーキB1,B2,B3を係合させた状態、または、ワンウェイクラッチF1が係合した状態を示している。有段変速機3では、この図3の作動表のように、各クラッチC1,C2および各ブレーキB1,B2,B3を係合もしくは解放させること、ならびに、ワンウェイクラッチF1が係合もしくは解放することにより、前進6速および後進1速の変速段を設定することができる。なお、有段変速機3で各変速段を設定した状態における遊星歯車機構21および遊星歯車機構22の各回転要素の状態を、図4の共線図に示してある。
有段変速機3における前進段の第1速(1st)は、クラッチC1を係合させて、ワンウェイクラッチF1が係合することにより設定される。なお、ワンウェイクラッチF1は、リングギヤ22rの逆回転(エンジン1の回転とは反対方向の回転)を阻止するように係合するので、これとは反対方向のトルクがリングギヤ22rに作用するとワンウェイクラッチF1は解放する。その場合、リングギヤ22rには反力が作用しないことから、エンジンブレーキ力が生じない状態になる。そのため、エンジンブレーキを作用させる場合には、ブレーキB2を係合させる。
前進段の第2速(2nd)は、クラッチC1およびブレーキB1を共に係合させることにより設定される。前進段の第3速(3rd)は、クラッチC1およびブレーキB3を共に係合させることにより設定される。前進段の第4速(4th)は、クラッチC1およびクラッチC2を共に係合させることにより設定される。なお、この第4速は、上記のようにクラッチC1とクラッチC2とが同時に係合されて、シングルピニオン型の遊星歯車機構21のサンギヤ21sすなわち入力軸3aと、ラビニヨ型の遊星歯車機構22の第1サンギヤ22saと、ラビニヨ型の遊星歯車機構22のリングギヤ22rとが、全て一体に回転する状態である。すなわち、ラビニヨ型の遊星歯車機構22の全体が一体となって回転し、その結果、有段変速機3の入力軸3aと出力軸3bとが同一の回転数で回転する状態である。したがって、この第4速は、変速比が1となるいわゆる直結段となっている。前進段の第5速(5th)は、クラッチC2およびブレーキB3を共に係合させることにより設定される。前進段の第6速(6th)は、クラッチC2およびブレーキB1を共に係合させることにより設定される。一方、後進段(R)は、ブレーキB2およびブレーキB3を共に係合させることにより設定される。
各クラッチC1,C2および各ブレーキB1,B2,B3を全て解放させることにより、この有段変速機3におけるニュートラルの状態を設定することができる。なお、上記のように、図2に示す構成の有段変速機3では、少なくとも一つのクラッチ機構8を含む二つの係合機構(ワンウェイクラッチF1も含む)が共に係合することにより、前進の各変速段が設定される。したがって、上記のように全ての係合機構を解放させることに加えて、各前進段を設定するために係合させられる二つの係合機構のうちのいずれか一方を解放させることによっても、ニュートラルの状態、すなわち、有段変速機3における入力軸3aと出力軸3bとの間のトルク伝達を遮断した状態を設定することができる。例えば、前進段の第1速は、ワンウェイクラッチF1が係合するとともに、クラッチC1を係合させることにより設定される。また、前進段の第2速および第3速は、いずれも、少なくともクラッチC1を係合させることにより設定される。したがって、前進段の第1速から第3速のいずれかが設定されている場合は、少なくともクラッチC1を解放させることにより、有段変速機3における入力軸3aと出力軸3bとの間のトルク伝達を遮断することができる。また、前進段の第4速は、上記のようにクラッチC1およびクラッチC2を共に係合させることにより設定される。したがって、前進段の第4速が設定されている場合は、クラッチC1またはクラッチC2の少なくともいずれか一方を解放させることにより、有段変速機3における入力軸3aと出力軸3bとの間のトルク伝達を遮断することができる。そして、前進段の第5速および第6速は、いずれも、少なくともクラッチC2を係合させることにより設定される。したがって、前進段の第5速または第6速のいずれかが設定されている場合は、少なくともクラッチC2を解放させることにより、有段変速機3における入力軸3aと出力軸3bとの間のトルク伝達を遮断することができる。
図1に示すように、上記のようなエンジン1の運転状態、ならびに、有段変速機3におけるクラッチ機構8およびブレーキ機構9の動作を制御するためのコントローラ(ECU)10が設けられている。コントローラ10は、例えばマイクロコンピュータを主体にして構成される電子制御装置である。コントローラ10には、一例として、車両Veの各車輪の回転数を検出する車輪速センサ11、アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルペダルセンサ12、ブレーキペダルの踏み込み量を検出するブレーキペダルセンサ(もしくは、ブレーキスイッチ)13、有段変速機3のシフトポジションを検出するシフトポジションセンサ14、エンジン1の出力軸1aの回転数を検出するエンジン回転数センサ15、有段変速機3のクラッチ機構8およびブレーキ機構に対して給排する油圧をそれぞれ検出する油圧センサ16、車両Veの加速度を検出する加速度センサ17などからの各種検出信号が入力される。また、GPS[Global Positioning System]衛星からの電波を受信することによって車両Veの位置(例えば、車両Veの緯度および経度)を測定し、その位置情報を取得するGPS受信装置18、GPS受信装置18が測定した車両Veの位置情報と地図データベースの地図情報とに基づいて、車両Veの走行ルートを算出するナビゲーションシステム19、車両Veの前方状況に関する撮像情報を取得する車載カメラ20などからの情報信号を、コントローラ10に入力するように構成することもできる。そして、コントローラ10は、入力された各種の検出信号、情報信号、および、予め記憶させられている各種データや計算式等を使用して演算を行うとともに、その演算結果を制御指令信号として出力し、エンジン1ならびにクラッチ機構8およびブレーキ機構9をそれぞれ制御するように構成されている。
上記のように構成された車両Veでは、車両Veの燃費を向上させるために、走行中にエンジン1と駆動輪2との間のトルク伝達を遮断し、車両Veを惰性走行させることができる。例えば、車両Veが所定の車速以上で走行している状態で、アクセルペダルの操作量が0もしくは所定の操作量以下に戻された場合に、有段変速機3でニュートラルの状態が設定される。有段変速機3をニュートラルの状態にすることにより、有段変速機3における入力軸3aと出力軸3bとの間のトルク伝達を遮断すること、すなわち、エンジン1と駆動輪2との間のトルク伝達を遮断することができる。したがって、走行中にエンジン1と駆動輪2との間のトルク伝達を遮断し、車両Veを惰性走行させることができる。
走行中にエンジン1と駆動輪2との間のトルク伝達を遮断することにより、車両Veの駆動輪2には、エンジン1のポンピングロスや引き摺りトルクなどに起因する制動トルクが伝達されない状態、すなわち、車両Veにはいわゆるエンジンブレーキが掛からない状態になる。したがって、走行中の車両Veが、その慣性エネルギによって惰性走行を継続することが可能な距離が長くなり、その結果、車両Veの単位燃料消費量当たりの走行距離が長くなる。すなわち、車両Veの燃費が向上する。
上記のように車両Veを惰性走行させる際に、エンジン1の燃焼運転を停止せずに、アイドリング回転数程度でエンジン1の燃焼運転を維持すれば、いわゆるニュートラル惰行の状態となる。ニュートラル惰行は、例えば有段変速機3や入力クラッチ等を動作させる簡単な制御により、容易に実行することができる。一方、車両Veを惰性走行させる際に、エンジン1の燃焼運転を停止させることにより、いわゆるフリーランの状態となる。フリーランでは、エンジン1に対する燃料供給が止められるため、ニュートラル惰行と比較して、車両Veの燃費を一層向上させることができる。
この車両Veでは、上記のようなフリーランを実行する場合、有段変速機3をニュートラルの状態にすることにより、エンジン1と駆動輪2との間のトルク伝達を遮断することができる。前述したように、有段変速機3では、クラッチ機構8およびブレーキ機構9を全て解放させることにより、ニュートラルの状態を設定することができる。それに加えて、いずれか一つのクラッチ機構8またはブレーキ機構9を解放させることにより、他のクラッチ機構8およびブレーキ機構9(図2の例では、ワンウェイクラッチF1を含む)のうちの一つが係合したままの状態で、有段変速機3における入力軸3aと出力軸3bとの間のトルク伝達を遮断することもできる。すなわち、有段変速機3をニュートラルの状態にすることができる。
フリーランを実行するために有段変速機3をニュートラルの状態にする場合、クラッチ機構8およびブレーキ機構9を全て解放させることにより、有段変速機3におけるトルク伝達を確実に遮断することができる。しかしながら、その場合は、フリーランを終了して通常走行の状態へ復帰する際に、クラッチ機構8およびブレーキ機構9のうちの少なくとも二つ以上を係合のために動作させなければならない。そのため、通常走行の状態へ復帰する際の加速応答性が低下してしまう可能性がある。したがって、復帰の際の加速応答性を考慮すれば、フリーランを実行する際には、クラッチ機構8およびブレーキ機構9を全て解放させるよりも、いずれか一つのクラッチ機構8またはブレーキ機構9を解放させることによって有段変速機3におけるトルク伝達を遮断する方が有利である。
上記のようなフリーランを実行する際には、エンジン1の燃焼運転を停止させるため、エンジン1が停止する直前に、不可避的にエンジン1の共振が発生する。上記のようにいずれか一つのクラッチ機構8またはブレーキ機構9を解放させてエンジン1と駆動輪2との間のトルク伝達を遮断した状態でフリーランを実行する場合は、エンジン1を停止する際の共振による振動やトルク変動が、有段変速機3を伝って駆動輪2へ伝達されてしまう場合がある。
例えば、図5,図6に示すように、いずれか一つのクラッチ機構8またはブレーキ機構9を解放させてエンジン1と駆動輪2との間のトルク伝達を遮断する際に、いずれかのブレーキ機構9が係合されている場合は、エンジン1の共振による振動やトルク変動は、ほぼ、有段変速機3の出力軸3bに伝達されることはない。この場合は、ブレーキ機構9が係合されることによって有段変速機3のいずれかの回転要素がケース3cなどの固定部に連結されるため、固定部に連結された回転要素で反力を受けることができる状態になる。その結果、固定部に連結されて回転が止められた回転要素に相対する他の回転要素で空転が可能になる。そのため、有段変速機3にエンジン1の共振が入力された場合であっても、空転する回転要素でいわゆるトルク抜けが生じ、空転する回転要素と他の回転要素との間で振動の伝達を遮断することができる。したがって、有段変速機3の出力軸3bから駆動輪2側への振動やトルク変動の伝達を抑制することができる。
一方、図7,図8に示すように、いずれか一つのクラッチ機構8またはブレーキ機構9を解放させてエンジン1と駆動輪2との間のトルク伝達を遮断する際に、他のクラッチ機構8が係合されている(ブレーキ機構9は係合されていない)場合は、エンジン1の共振による振動やトルク変動が、有段変速機3の出力軸3bに伝達されてしまう可能性がある。この場合は、いずれのブレーキ機構9も係合されていないため、有段変速機3の回転要素では反力を受けることができない。そして、有段変速機3では入力軸3aと出力軸3bとの間でトルク伝達が遮断されるものの、他のクラッチ機構8が係合されていることから、出力軸3b側の遊星歯車機構(図2に示す例では、遊星歯車機構22)の回転要素にもエンジン1の共振が入力される。入力される振動の速度が遅い場合は、いずれかのクラッチ機構8またはブレーキ機構9が解放されることによって拘束を解かれている(フリーの)回転要素が空転し、出力軸3bへの振動の伝達が抑制される。しかしながら、共振のように入力される振動の加速度が大きい場合には、瞬間的にフリーの回転要素にもトルクが伝達されてしまう。その結果、有段変速機3は、見かけ上の変速段が形成された状態になり、エンジン1から入力された共振が出力軸3bへ伝達されてしまう。これは、共振時には、通常の回転状態と比較して入力される振動の加速度が非常に大きくなるため、共振が入力された回転要素に相対している他の回転要素のイナーシャトルクが瞬間的に大きくなることが影響していると考えられる。したがって、上記のようにいずれか一つのクラッチ機構8が係合されている状態でエンジン1と駆動輪2との間のトルク伝達を遮断する場合は、エンジン1の共振が駆動輪2側へ伝達されてしまうおそれがある。
このように、有段変速機3を搭載した車両Veでフリーランを実行する場合、フリーランの開始時に有段変速機3で設定されている変速段によっては、エンジン1を停止させる際の共振が駆動輪2側へ伝達されてしまう場合がある。例えば、上記の例では、クラッチC1およびクラッチC2を共に係合させることによって形成される第4速が設定されている場合は、クラッチC1またはクラッチC2のいずれを解放しても、エンジン1の共振が駆動輪2側へ伝達されてしまう可能性がある。したがって、図9に示すように、フリーランを実行する際に、第4速(4th)以外の変速段、例えば、第5速(5th)または第3速(3rd)を設定した状態で、いずれか一つのクラッチ機構8を解放させることにより、エンジン1の共振が駆動輪2側へ伝達されてしまうことを回避できる。一例として、クラッチC2およびブレーキB3を係合させることによって形成される第5速を設定し、それらクラッチC2およびブレーキB3のうちクラッチC2のみを解放させることにより、有段変速機3においてエンジン1と駆動輪2との間のトルク伝達を遮断することができる。そして、エンジン1の共振を減衰させて駆動輪2側への伝達を抑制することができる。その後、解放させていたクラッチC2を係合させることにより、フリーランを終了する際に、有段変速機3で第5速を形成してトルク伝達が可能な状態にすることができる。
しかしながら、上記のように、共振の伝達を抑制するために第4速に替えて第5速(もしくは、第3速)を設定すると、フリーランを終了して通常の走行状態へ復帰する際に、その時点の車両Veの走行状態に基づいて設定されるべき本来の変速段、すなわち、通常の変速マップ(変速線図)から求まる変速段と、実際に有段変速機3で設定された変速段とが異なってしまう可能性がある。その結果、前述したように、フリーラン終了後の加速走行時に、エンジン1の回転数の上昇遅れや、有段変速機3での変速遅れが生じてしまい、運転者に違和感を与えてしまうおそれがある。
この車両Veのコントローラ10は、上記のようなフリーランからの復帰の際に起こり得る事象を考慮し、運転者に違和感を与えることなく、適切にフリーランから通常走行への復帰させるための制御を実行するように構成されている。その制御の具体例を、図10,図15,図19の各フローチャート、図16の変速線図、および、図17のタイムチャート等に示してある。
図10のフローチャートに示す制御では、車両Veがフリーランから通常走行へ復帰する際の車両Veおよび有段変速機3の状況を分類した「パターン」が選定される。この制御における「パターン」は、例えば、図11,図12,図13,図14に示すように、「パターンA」、「パターンB」、「パターンC」、「パターンD」、「パターンE」、「パターンF」、および、「パターンG」の6通りに分類される。
「パターンA」は、フリーランの実行時に有段変速機3で第(n+1)速を設定した状態から通常走行へ復帰する状況であって、復帰の際の車速が、有段変速機3の変速線図における第n速から第(n+1)速へのアップシフト線から離れていて、かつ、アクセル開度が小さい状況である。この制御では、エンジン1の運転を停止させる際に発生する共振が、いずれか一つのクラッチ機構8を解放させてトルク伝達を遮断した状態の入力軸3aと出力軸3bとの間で伝達されてしまう可能性のある変速段を、「第n速」としている。すなわち、この制御例における「第n速」が、この発明における「制限変速段」に相当している。また、第(n+1)速および第(n−1)速などの、第n速以外の他の変速段が、いずれか一つのクラッチ機構8を解放させてトルク伝達を遮断した状態の入力軸3aと出力軸3bとの間で、上記のようなエンジン1の共振の伝達が抑制される変速段であって、この発明における「許可変速段」に相当している。したがって、図2に示す有段変速機3の例では、第4速が、上記の「第n速」、すなわち、この発明における「制限変速段」に該当し、第4速以外の他の変速段が、この発明における「許可変速段」に該当する。上記の場合、この「パターンA」は、図11に示すように、フリーランの実行時に有段変速機3で第5速(5th)を設定した状態から通常走行へ復帰する状況であって、復帰の際の車速が、第4速から第5速への(4⇒5)アップシフト線から離れていて、かつ、アクセル開度が小さい状況である。なお、上記の変速線図は、有段変速機3の変速制御において使用する変速マップである。
「パターンB」は、フリーランの実行時に有段変速機3で第(n+1)速を設定した状態から通常走行へ復帰する状況であって、復帰の際の車速が第n速から第(n+1)速へのアップシフト線に近く、かつ、アクセル開度が小さい状況である。したがって、図2に示す有段変速機3の例では、この「パターンB」は、図11に示すように、フリーランの実行時に有段変速機3で第5速(5th)を設定した状態から通常走行へ復帰する状況であって、復帰の際の車速が4⇒5・アップシフト線に近く、かつ、アクセル開度が小さい状況である。
「パターンC」は、フリーランの実行時に有段変速機3で第(n−1)速を設定した状態から通常走行へ復帰する状況であって、アクセル開度が小さく、第(n−1)速を設定したまま復帰する、または、車速が増大した後に第(n−1)速から第n速に変速する状況である。したがって、図2に示す有段変速機3の例では、この「パターンC」は、図12に示すように、フリーランの実行時に有段変速機3で第3速(3rd)を設定した状態から通常走行へ復帰する状況であって、アクセル開度が小さく、第3速を設定したまま復帰する、または、車速が増大した後に第3速から第4速(4th)に変速する状況である。
「パターンD」は、フリーランの実行時に有段変速機3で第(n+1)速を設定した状態から通常走行へ復帰する状況であって、復帰の際の車速が第n速から第(n+1)速へのアップシフト線から離れていて、かつ、アクセル開度が大きく、第n速から第(n−1)速へのダウンシフト線を跨ぐ状況である。したがって、図2に示す有段変速機3の例では、この「パターンD」は、図13に示すように、フリーランの実行時に有段変速機3で第5速(5th)を設定した状態から通常走行へ復帰する状況であって、復帰の際の車速が4⇒5・アップシフト線から離れていて、かつ、アクセル開度が大きく、第4速から第3速への(4⇒3)ダウンシフト線を跨ぐ状況である。
「パターンE」は、フリーランの実行時に有段変速機3で第(n+1)速を設定した状態から通常走行へ復帰する状況であって、復帰の際の車速が第n速から第(n+1)速へのアップシフト線に近く、かつ、アクセル開度が大きいものの、第n速から第(n−1)速へのダウンシフト線は跨がない状況である。したがって、図2に示す有段変速機3の例では、この「パターンE」は、図13に示すように、フリーランの実行時に有段変速機3で第5速(5th)を設定した状態から通常走行へ復帰する状況であって、復帰の際の車速が4⇒5・アップシフト線に近く、かつ、アクセル開度が大きいものの、4⇒3・ダウンシフト線は跨がない状況である。
「パターンF」は、フリーランの実行時に有段変速機3で第(n−1)速を設定した状態から通常走行へ復帰する状況であって、復帰の際の車速が第n速から第(n+1)速へのアップシフト線から離れていて、かつ、アクセル開度が大きく、第n速から第(n−1)速へのダウンシフト線を跨ぐ状況である。したがって、図2に示す有段変速機3の例では、この「パターンF」は、図14に示すように、フリーランの実行時に有段変速機3で第3速(3rd)を設定した状態から通常走行へ復帰する状況であって、復帰の際の車速が4⇒5・アップシフト線から離れていて、かつ、アクセル開度が大きく、4⇒3・ダウンシフト線を跨ぐ状況である。
「パターンG」は、フリーランの実行時に有段変速機3で第(n−1)速を設定した状態から通常走行へ復帰する状況であって、復帰の際の車速が第n速から第(n+1)速へのアップシフト線に近く、かつ、アクセル開度が大きいものの、第n速から第(n−1)速へのダウンシフト線は跨がない状況である。したがって、図2に示す有段変速機3の例では、この「パターンG」は、図14に示すように、フリーランの実行時に有段変速機3で第3速(3rd)を設定した状態から通常走行へ復帰する状況であって、復帰の際の車速が4⇒5・アップシフト線に近く、かつ、アクセル開度が大きいものの、4⇒3・ダウンシフト線は跨がない状況である。
図10のフローチャートにおいて、先ず、車両Veがフリーランの状態であるか否かが判断される(ステップS101)。車両Veがフリーランの状態でないことにより、このステップS101で否定的に判断された場合は、以降の制御を実行することなく、このルーチンを一旦終了する。これに対して、車両Veがフリーランの状態であることにより、ステップS101で肯定的に判断された場合には、ステップS102へ進み、車速、アクセル開度(アクセルペダルの操作量)、および、有段変速機3で設定されている変速段が読み込まれる。
続いて、ステップS103では、現在の車両Veおよび有段変速機3の状況が、第n速の領域で第(n+1)速を設定してフリーランを実施している状態であるか否かが判断される。前述したように、この制御における「第n速」は、この発明における「制限変速段」であって、いずれか一つのクラッチ機構8を解放させて有段変速機3におけるトルク伝達を遮断した場合に、入力軸3a側から入力されるエンジン1の共振が出力軸3b側へ伝達されてしまう可能性がある変速段のことである。したがって、図2に示す有段変速機3の場合は、第4速が「第n速」に該当し、このステップS103では、第4速の領域で第5速を設定してフリーランを実行しているか否かが判断される。すなわち、現在、フリーランを実行している状況が、有段変速機3で第4速を設定するとエンジン1の共振が出力軸3b側へ伝達されてしまうため、第4速(制限変速段)の設定が禁止されるとともに、第4速以外の、第5速(許可変速段)を設定して有段変速機3におけるトルク伝達を遮断している状態であるか否かが判断される。
現在の車両Veおよび有段変速機3の状況が、第n速の領域で第(n+1)速を設定してフリーランを実施している状態であることにより、このステップS103で肯定的に判断された場合は、ステップS104へ進む。ステップS104では、アクセルONになったか否か、すなわち、フリーランの実行中に、運転者の加速要求により、所定の操作量以上でアクセルペダルが踏み込まれたか否かが判断される。未だ、アクセルペダルの踏み込みが検出されないことにより、このステップS104で否定的に判断された場合は、以降の制御を実行することなく、このルーチンを一旦終了する。
これに対して、所定の操作量以上のアクセルペダルの踏み込みが検出されたことにより、ステップS104で肯定的に判断された場合には、ステップS105へ進む。ステップS105では、車速が所定車速a以上であるか否かが判断される。所定車速aは、現在の車速が、有段変速機3の変速制御における変速マップ上で、第n速から第(n+1)速へのアップシフト線に近いか否かを判断するための閾値である。車速が所定車速a以上である場合は、変速マップ上で車速が第n速から第(n+1)速へのアップシフト線に近いと判断される。車速が所定車速aよりも低い場合には、変速マップ上で車速が第n速から第(n+1)速へのアップシフト線から離れていると判断される。
車速が所定車速aよりも低いことにより、このステップS105で否定的に判断された場合は、ステップS106へ進む。ステップS106では、フリーラン復帰時の目標変速段(指示変速段)が、第n速であるか否かが判断される。すなわち、フリーランを終了して通常走行に復帰する際の車両Veおよび有段変速機3の状況が、目標変速段として第n速を設定すべき状態であるか否かが判断される。目標変速段は、有段変速機3の変速制御において、その時点の車両の走行状態に基づいて設定されるべき変速段である。
フリーラン復帰時の目標変速段が、第n速であることにより、このステップS106で肯定的に判断された場合は、ステップS107へ進む。ステップS107では、この制御における前述の「パターン」として、「パターンA」が選定される。その後、このルーチンを一旦終了する。
これに対して、フリーラン復帰時の目標変速段が、第n速ではないことにより、ステップS106で否定的に判断された場合には、ステップS108へ進む。ステップS108では、この制御における前述の「パターン」として、「パターンD」が選定される。その後、このルーチンを一旦終了する。
また、車速が所定車速a以上であることにより、前述のステップS105で肯定的に判断された場合には、ステップS109へ進む。ステップS109では、アクセル開度が所定開度b以下であるか否かが判断される。所定開度bは、フリーランを終了して通常走行に復帰する際のアクセル開度が大きいか否かを判断するための閾値である。アクセル開度が所定開度b以下である場合は、アクセル開度は小さいと判断される。アクセル開度が所定開度よりも大きい場合には、アクセル開度は大きいと判断される。
アクセル開度が所定開度b以下であることにより、このステップS109で肯定的に判断された場合は、ステップS110へ進む。ステップS110では、この制御における前述の「パターン」として、「パターンB」が選定される。その後、このルーチンを一旦終了する。
これに対して、アクセル開度が所定開度bよりも大きいことにより、ステップS109で否定的に判断された場合には、ステップS111へ進む。ステップS111では、この制御における前述の「パターン」として、「パターンE」が選定される。その後、このルーチンを一旦終了する。
一方、現在の車両Veおよび有段変速機3の状況が、第n速の領域で第(n+1)速を設定してフリーランを実施している状態ではないことにより、前述のステップS103で否定的に判断された場合には、ステップS112へ進む。ステップS112では、現在の車両Veおよび有段変速機3の状況が、第n速の領域で第(n−1)速を設定してフリーランを実施している状態であるか否かが判断される。したがって、図2に示す有段変速機3の場合は、このステップS112では、第4速の領域で第3速を設定してフリーランを実行しているか否かが判断される。すなわち、現在、フリーランを実行している状況が、有段変速機3で第4速を設定するとエンジン1の共振が出力軸3b側へ伝達されてしまうため、第4速(制限変速段)の設定が禁止されるとともに、第4速以外の、第3速(許可変速段)を設定して有段変速機3におけるトルク伝達を遮断している状態であるか否かが判断される。
現在の車両Veおよび有段変速機3の状況が、第n速の領域で第(n−1)速を設定してフリーランを実施している状態ではないことにより、このステップS112で否定的に判断された場合は、以降の制御を実行することなく、このルーチンを一旦終了する。すなわち、この場合は、現在の車両Veおよび有段変速機3の状況が、第n速(制限変速段)を設定する状態ではなく、そのため、エンジン1の共振が出力軸3b側へ伝達されてしまう可能性のある状態ではないと判断される。
これに対して、現在の車両Veおよび有段変速機3の状況が、第n速の領域で第(n−1)速を設定してフリーランを実施している状態であることにより、ステップS112で肯定的に判断された場合は、ステップS113へ進む。ステップS113では、前述のステップS104と同様に、アクセルONになったか否か、すなわち、フリーランの実行中に、運転者の加速要求により、所定の操作量以上でアクセルペダルが踏み込まれたか否かが判断される。未だ、アクセルペダルの踏み込みが検出されないことにより、このステップS113で否定的に判断された場合は、以降の制御を実行することなく、このルーチンを一旦終了する。
これに対して、運転者の加速要求による所定の操作量以上のアクセルペダルの踏み込みが検出されたことにより、ステップS113で肯定的に判断された場合には、ステップS114へ進む。ステップS114では、フリーラン復帰時の目標変速段(指示変速段)が、第(n−1)速であるか否かが判断される。すなわち、フリーランを終了して通常走行に復帰する際の車両Veおよび有段変速機3の状況が、目標変速段として第(n−1)速を設定すべき状態であるか否かが判断される。
フリーラン復帰時の目標変速段が、第(n−1)速ではないことにより、このステップS114で否定的に判断された場合は、ステップS115へ進む。ステップS115では、前述のステップS106と同様に、アクセル開度が所定開度b以下であるか否かが判断される。
アクセル開度が所定開度b以下であることにより、このステップS115で肯定的に判断された場合は、ステップS116へ進む。ステップS116では、この制御における前述の「パターン」として、「パターンC」が選定される。その後、このルーチンを一旦終了する。
これに対して、アクセル開度が所定開度bよりも大きいことにより、ステップS115で否定的に判断された場合には、ステップS117へ進む。ステップS117では、この制御における前述の「パターン」として、「パターンG」が選定される。その後、このルーチンを一旦終了する。
一方、フリーラン復帰時の目標変速段が、第(n−1)速であることにより、前述のステップS114で肯定的に判断された場合は、ステップS118へ進む。ステップS118では、この制御における前述の「パターン」として、「パターンF」が選定される。その後、このルーチンを一旦終了する。
上記の図10で示した制御で、フリーランから通常走行へ復帰する際の車両Veおよび有段変速機3の状況を分類したいずれかの「パターン」が選定されると、次の図15または図19のフローチャートに示すフリーラン復帰制御が実行される。すなわち、実際にフリーランを終了して通常走行に復帰させるための制御が実行される。
図15のフローチャートに示すフリーラン復帰制御は、上記の図10で示した制御で、「パターンA」、「パターンB」、「パターンD」、または、「パターンE」が選定された場合に実行される。先ず、フリーランの実行中に運転を停止していたエンジン1が始動される。それとともに、フリーランの実行中に有段変速機3におけるトルク伝達を遮断するために解放していたクラッチ機構8が係合される(ステップS201)。エンジン1を始動する際にエンジン1の燃焼運転が開始されてエンジン回転数が上昇する場合も、エンジン1の共振が発生する回転数域を通過する。そのため、このステップS201では、エンジン1を始動させた後に、クラッチ機構8が係合され、有段変速機3が所定の変速段を設定してトルク伝達の可能な状態にされる。例えば、エンジン1の始動を開始した後にエンジン回転数が所定の回転数以上になった場合に、クラッチ機構8が係合される。あるいは、エンジン1の始動を開始した後に所定時間が経過した場合に、クラッチ機構8が係合される。
続いて、第(n+1)速回転数が算出される(ステップS202)。第(n+1)速回転数は、有段変速機3で第(n+1)速を設定した場合の目標エンジン回転数であり、車速に応じて設定される。したがって、このステップS202では、現在の車速から第(n+1)速回転数が求められる。図2に示す有段変速機3の例では、第5速回転数が算出される。
ステップS203では、上記のステップS201で始動を開始したエンジン1のエンジン回転数が、ステップS202で求められた第(n+1)速回転数に到達したか否かが判断される。図2に示す有段変速機3の例では、エンジン回転数が第5速回転数に到達したか否かが判断される。未だ、エンジン回転数が第(n+1)速回転数に到達していないことにより、このステップS203で否定的に判断された場合は、ステップS202へ戻る。そして、エンジン回転数が第(n+1)速回転数に到達したことにより、ステップS203で肯定的に判断された場合には、ステップS204へ進む。すなわち、エンジン回転数が第(n+1)速回転数に到達するまで、ステップS202およびステップS203の制御が繰り返される。
ステップS204では、フリーランの実行中に解放していたクラッチ機構8のクラッチ圧(係合圧)が最大にされる。したがって、クラッチ機構8の係合が完了し、クラッチ機構8が完全係合した状態になる。その結果、有段変速機3で第(n+1)速が形成される。図2に示す有段変速機3の例では、クラッチC2のクラッチ圧が最大にされ、有段変速機3で第5速が形成される。
ステップS205では、前述の図10で示した制御で選定された「パターン」が、「パターンB」であるか否かが判断される。選定された「パターン」が「パターンB」であることにより、このステップS205で肯定的に判断された場合は、以降の制御を実行することなく、このルーチンを一旦終了する。すなわち、この場合は、フリーランの終了時に、有段変速機3で第(n+1)速が設定された状態から変速することなく、フリーランから通常走行への復帰が行われる。図2に示す有段変速機3の例では、第5速が設定されたままの状態で、フリーランから通常走行への復帰が行われる。
上記のようにステップS205で肯定的に判断され、有段変速機3で第(n+1)速が設定されたままの状態でフリーランから通常走行への復帰が行われる場合の制御の詳細を、図16の変速線図を用いて説明する。「パターンB」が選定されている状況は、前述の図11に示したように、図2に示す有段変速機3では第5速(5th)を設定した状態から第4速(4th)を設定して通常走行へ復帰する状況であって、その際の車速が4⇒5・アップシフト線に近い状態である。したがって、通常の4⇒5・アップシフト線のままでフリーランから通常走行へ復帰すると、一旦、第5速から第4速へのダウンシフトが行われ、その後、僅かでも車速が増加すると4⇒5・アップシフト線を跨ぐことになり、直ぐに第4速から第5速へのアップシフトが行われてしまう可能性がある。すなわち、有段変速機3で、短時間の間に頻繁に変速段が切り替えられるいわゆるビジーシフトが発生してしまう可能性がある。
そこで、このフリーラン復帰制御では、図16に一点鎖線で示すように、フリーラン復帰時用の変速線(4⇒5・アップシフト線)が設定される。この図16に示す例では、フリーラン復帰用4⇒5・アップシフト線は、通常の4⇒5・アップシフト線よりも低車速側に設定されている。具体的には、前述の図15のフローチャートにおけるステップS105で閾値として用いた所定車速aと、図15のフローチャートにおけるステップS115で閾値として用いた所定開度bとで、フリーラン復帰用4⇒5・アップシフト線が設定されている。したがって、「パターンB」が選定された状況でフリーラン復帰制御を実行する場合は、復帰の際の車速が常にフリーラン復帰用4⇒5・アップシフト線よりも高くなり、フリーラン終了後も有段変速機3で第5速を設定した状態が維持される。すなわち、有段変速機3で第5速が設定されたままの状態で、フリーランから通常走行への復帰が行われる。そのため、上記のようなビジーシフトの発生を抑制することができる。
一方、選定された「パターン」が「パターンB」でないことにより、上記のステップS205で否定的に判断された場合には、ステップS206へ進む。ステップS206では、エンジン1が出力するエンジントルクが、目標トルクに到達したか否かが判断される。エンジントルクは、例えば、現在の車速、エンジン回転数、および、有段変速機3で形成されている変速段等に基づいて推定して求めることができる。また、目標トルクは、現在の車速、アクセル開度、および、有段変速機3で形成されている変速段等の現在の車両Veの走行状態に基づいて設定される。
未だ、エンジントルクが目標トルクに到達しないことにより、このステップS206で否定的に判断された場合は、再度、ステップS206の制御が実行される。そして、エンジントルクが目標トルクに到達したことにより、ステップS206で肯定的に判断された場合には、ステップS207へ進む。すなわち、エンジントルクが目標トルクに到達するまで、ステップS206の制御が繰り返される。
上記のステップS206では、エンジントルクと目標トルクとが比較され、エンジントルクが目標トルクに到達した場合は、それ以上は車両Veの前後加速度は増大しないと判断できる。すなわち、車両Veの前後加速度が、現在の状態で発生し得る上限に達したと判断できる。したがって、その場合は、次のステップS207で、有段変速機3のダウンシフトを実施する。また、エンジントルクが目標トルクに到達していない場合は、有段変速機3の状態を維持しつつ、エンジントルクを増大させることにより、車両Veの前後加速度を増大させる。すなわち、図2に示す有段変速機3の例では、第5速のまま、エンジントルクが増大させられる。
ステップS207では、有段変速機3で変速が開始される。前述の図10で示した制御で選定された「パターン」が「パターンA」または「パターンE」であった場合は、第(n+1)速から第n速への変速が開始される。図2に示す有段変速機3の例では、第5速から第4速へのダウンシフトが開始される。また、前述の図10で示した制御で選定された「パターン」が「パターンD」であった場合は、第(n+1)速から第(n−1)速への変速が開始される。図2に示す有段変速機3の例では、第5速から第3速へのダウンシフトが開始される。
続いて、変速先回転数が算出される(ステップS208)。変速先回転数は、有段変速機3で変速を実施する際に変速先の変速段を設定した場合の目標エンジン回転数であり、車速に応じて設定される。したがって、このステップS208では、現在の車速から変速先回転数が求められる。前述の図10で示した制御で選定された「パターン」が「パターンA」または「パターンE」であった場合は、変速先回転数として、第n速回転数が算出される。図2に示す有段変速機3の例では、第4速回転数が算出される。また、前述の図10で示した制御で選定された「パターン」が「パターンD」であった場合は、変速先回転数として、第(n−1)速回転数が算出される。図2に示す有段変速機3の例では、第3速回転数が算出される。
ステップS209では、現在のエンジン回転数が、上記のステップS208で求められた変速先回転数に到達したか否かが判断される。前述の図10で示した制御で選定された「パターン」が「パターンA」または「パターンE」であった場合は、エンジン回転数が第n速回転数に到達したか否かが判断される。また、前述の図10で示した制御で選定された「パターン」が「パターンD」であった場合は、エンジン回転数が第(n−1)速回転数に到達したか否かが判断される。図2に示す有段変速機3の例では、エンジン回転数が第3速回転数に到達したか否かが判断される。
未だ、現在のエンジン回転数が変速先回転数(第n速回転数、または、第(n−1)速回転数)に到達していないことにより、このステップS209で否定的に判断された場合は、ステップS208へ戻る。そして、エンジン回転数が変速先回転数に到達したことにより、ステップS209で肯定的に判断された場合には、ステップS210へ進む。すなわち、エンジン回転数が変速先回転数に到達するまで、ステップS208およびステップS209の制御が繰り返される。
ステップS210では、変速先の変速段(第n速または第(n−1)速)を形成するために係合するクラッチ機構8のクラッチ圧が最大にされる。図2に示す有段変速機3の例では、変速先の第4速を形成するために係合するクラッチC1またはクラッチC2のクラッチ圧が最大にされる。もしくは、変速先の第3速を形成するために係合するクラッチC1のクラッチ圧が最大にされる。したがって、有段変速機3のクラッチ機構8が完全係合した状態になる。その結果、有段変速機3で第n速または第(n−1)速が形成され、変速が完了する。すなわち、図2に示す有段変速機3の例では、第5速から第4速へのダウンシフト、または、第5速から第3速へのダウンシフトが完了する。このステップS210で、第(n+1)速から第n速または第(n−1)速への変速が終了すると、その後、このルーチンを一旦終了する。
上記のように、図15のフローチャートに示すフリーラン復帰制御を実行した場合のエンジン1の回転数および車両Veの前後加速度等の挙動を、図17のタイムチャートに示してある。この図17に示す例は、フリーランから通常走行へ復帰する際の車両Veおよび有段変速機3の状況として「パターンA」を選定した場合に、図2に示す有段変速機3で実行されるフリーラン復帰制御の例である。なお、比較例として、上述したフリーラン復帰制御を実行しない従来の制御におけるエンジン1の回転数および車両Veの前後加速度等の挙動を、図18のタイムチャートに示してある。
時刻t1でフリーランの終了が判断されると、すなわち、フリーラン復帰制御が開始されると、フリーランを実行するために停止していたエンジン1が始動される。エンジン1の始動に伴ってエンジン回転数が上昇し、時刻t2で、エンジン回転数が第5速回転数に到達する。この場合、このフリーラン復帰制御を実行しない従来の制御では、図18のタイムチャートや図17のタイムチャートにおいて一部を破線で示すように、エンジン1が始動されるとともに、エンジン回転数が第5速回転数に到達することにより、第5速から第4速への変速が開始される。変速中は、有段変速機3でトルク伝達が遮断されるため、エンジン1の出力トルクを駆動トルクとして駆動輪2に伝達することができない。そのため、車両Veの前後加速度が増大し始める(立ち上がる)のは、エンジン回転数が第4速回転数に到達し、第5速から第4速への変速が終了する時刻t4以降になる。結局、車両Veの前後加速度が実際に立ち上がるまでには、エンジン1の始動に伴う遅れ(期間d1)と共に、変速に伴う遅れ(期間d2)が加わり、時刻t1から変速が終了する時刻t4までの期間d3を要してしまう。したがって、このフリーラン復帰制御を実行しない従来の制御では、フリーランからの復帰の際に、車両Veの前後加速度の立ち上がりが遅れ、運転者に違和感を与えてしまうおそれがある。
それに対して、このフリーラン復帰制御では、時刻t2でエンジン回転数が第5速回転数に到達しても、直ちには、第5速から第4速への変速は実行されない。したがって、変速のために有段変速機3でトルク伝達が遮断されることがない。そのため、車両Veの前後加速度は、先ず、有段変速機3で第5速が設定されている状態のまま、時刻t4よりも早い時刻t2の時点から増大し始める。そして、車両Veの前後加速度は、エンジン1が目標トルクを出力している状態で発生し得る上限の前後加速度になる時刻t3まで増大する。その後、このフリーラン復帰制御では、時刻t3で車両Veの前後加速度が上限に達した場合に、第5速から第4速への変速が開始される。その第5速から第4速への変速は、時刻t3からエンジン回転数が第4速回転数に到達する時刻t5までの期間で実行される。
上記のように、このフリーラン復帰制御では、フリーランから通常走行へ復帰する場合、先ず、エンジン1が始動されるとともに、フリーランの実行中に有段変速機3でトルク伝達を遮断するために解放していたクラッチ機構8が係合され、第(n+1)変速段が形成される。図2および図17に示す例では、クラッチC2が係合されて第5速が形成され、有段変速機3がトルク伝達の可能な状態にされる。そして、このフリーラン復帰制御では、直ぐには有段変速機3の変速制御を開始せずに、第(n+1)速を形成した状態で、車両Veに目標トルクに応じた所定の前後加速度を発生させる。その後、目標変速段に基づいて有段変速機3の変速制御が実行される。具体的には、クラッチ機構8の係合を完了させて有段変速機3で第(n+1)速を形成した時点から、エンジントルクが目標トルクに到達するまで、すなわち、車両Veの前後加速度が現状で発生し得る上限の前後加速度に達するまで、第(n+1)速から第n速または第(n−1)速への変速は実行されない。したがって、車両Veは、有段変速機3で復帰前の第(n+1)速が形成されている状態のまま、先ず、エンジントルクを増大させることができ、それに伴い、前後加速度を速やかに増大させることができる。そのため、このフリーラン復帰制御によれば、フリーランからの復帰の際に、有段変速機3での変速遅れに伴う前後加速度の立ち上がりの遅れを抑制し、車両Veの加速応答性を向上させることができる。
図19のフローチャートに示すフリーラン復帰制御は、上記の図10で示した制御で、「パターンC」、「パターンF」、または、「パターンG」が選定された場合に実行される。前述の図15のフローチャートで示した例と同様に、先ず、フリーランの実行中に運転を停止していたエンジン1が始動される。それとともに、フリーランの実行中に有段変速機3におけるトルク伝達を遮断するために解放していたクラッチ機構8が係合される(ステップS301)。
続いて、第(n−1)速回転数が算出される(ステップS302)。第(n−1)速回転数は、有段変速機3で第(n−1)速を設定した場合の目標エンジン回転数であり、車速に応じて設定される。したがって、このステップS302では、現在の車速から第(n−1)速回転数が求められる。図2に示す有段変速機3の例では、第3速回転数が算出される。
ステップS303では、上記のステップS301で始動を開始したエンジン1のエンジン回転数が、ステップS302で求められた第(n−1)速回転数に到達したか否かが判断される。図2に示す有段変速機3の例では、エンジン回転数が第3速回転数に到達したか否かが判断される。未だ、エンジン回転数が第(n−1)速回転数に到達していないことにより、このステップS303で否定的に判断された場合は、ステップS302へ戻る。そして、エンジン回転数が第(n−1)速回転数に到達したことにより、ステップS303で肯定的に判断された場合には、ステップS304へ進む。すなわち、エンジン回転数が第(n−1)速回転数に到達するまで、ステップS302およびステップS303の制御が繰り返される。
ステップS304では、フリーランの実行中に解放していたクラッチ機構8のクラッチ圧が最大にされる。したがって、クラッチ機構8の係合が完了し、クラッチ機構8が完全係合した状態になる。その結果、有段変速機3で第(n−1)速が形成される。図2に示す有段変速機3の例では、クラッチC1のクラッチ圧が最大にされ、有段変速機3で第3速が形成される。
ステップS305では、前述の図10で示した制御で選定された「パターン」が、「パターンF」であるか否かが判断される。選定された「パターン」が「パターンF」であることにより、このステップS305で肯定的に判断された場合は、以降の制御を実行することなく、このルーチンを一旦終了する。すなわち、この場合は、フリーランの終了時に、有段変速機3で第(n−1)速が設定された状態から変速することなく、フリーランから通常走行への復帰が行われる。図2に示す有段変速機3の例では、第3速が設定されたままの状態で、フリーランから通常走行への復帰が行われる。
これに対して、選定された「パターン」が「パターンF」でないことにより、ステップS305で否定的に判断された場合には、ステップS306へ進む。ステップS306では、上記のステップS304でクラッチ機構8の係合を完了させた時点から車速が所定量c以上増加したか否かが判断される。
未だ、車速が所定量c以上増加していないことにより、このステップS306で否定的に判断された場合は、再度、ステップS306の制御が実行される。そして、車速が所定量c以上増加したことにより、ステップS306で肯定的に判断された場合には、ステップS307へ進む。すなわち、上記のステップS304でクラッチ機構8の係合を完了させた時点からの車速の増加量が所定量c以上となるまで、ステップS306の制御が繰り返される。
ステップS307では、有段変速機3で変速が開始される。前述の図10で示した制御で選定された「パターン」が「パターンC」であった場合、または、「パターンG」であった場合のいずれの場合も、第(n−1)速から第n速への変速が開始される。図2に示す有段変速機3の例では、第3速から第4速へのアップシフトが開始される。
続いて、変速先回転数が算出される(ステップS308)。変速先回転数は、有段変速機3で変速を実施する際に変速先の変速段を設定した場合の目標エンジン回転数であり、車速に応じて設定される。したがって、このステップS308では、現在の車速から変速先回転数が求められる。前述の図10で示した制御で選定された「パターン」が「パターンC」であった場合、または、「パターンG」であった場合のいずれの場合も、変速先回転数として、第n速回転数が算出される。図2に示す有段変速機3の例では、第4速回転数が算出される。
ステップS309では、現在のエンジン回転数が、上記のステップS308で求められた変速先回転数に到達したか否かが判断される。前述の図10で示した制御で選定された「パターン」が「パターンC」であった場合、または、「パターンG」であった場合のいずれの場合も、エンジン回転数が第n速回転数に到達したか否かが判断される。
未だ、現在のエンジン回転数が変速先回転数(第n速回転数)に到達していないことにより、このステップS309で否定的に判断された場合は、ステップS308へ戻る。そして、エンジン回転数が変速先回転数に到達したことにより、ステップS309で肯定的に判断された場合には、ステップS310へ進む。すなわち、エンジン回転数が変速先回転数に到達するまで、ステップS308およびステップS309の制御が繰り返される。
ステップS310では、変速先の変速段(第n速)を形成するために係合するクラッチ機構8のクラッチ圧が最大にされる。図2に示す有段変速機3の例では、変速先の第4速を形成するために係合するクラッチC1またはクラッチC2のクラッチ圧が最大にされる。したがって、有段変速機3のクラッチ機構8が完全係合した状態になる。その結果、有段変速機3で第n速が形成され、変速が完了する。すなわち、図2に示す有段変速機3の例では、第3速から第4速への変速へのアップシフトが完了する。このステップS210で、第(n−1)速から第n速への変速が終了すると、その後、このルーチンを一旦終了する。
上記のように、図19のフローチャートに示すフリーラン復帰制御では、クラッチ機構8の係合を完了させた時点から車速が所定量c以上増加するまで、前述のステップS306の制御が繰り返される。そのため、エンジン回転数が第(n−1)速回転数に到達しても、直ちには、第(n−1)速から第n速への変速は実行されない。すなわち、このフリーラン復帰制御では、フリーランの実行中に解放していたクラッチ機構8を係合させて第n速(制限変速段)以外の変速段(許可変速段)を設定した状態で、車両Veに車速が所定量c以上増加するような所定の前後加速度を発生させ、その後、目標変速段に基づいて有段変速機3の変速制御が実行される。したがって、車両Veは、有段変速機3で復帰前の第(n−1)速が形成されている状態のまま、先ず、エンジントルクを増大させることができ、それに伴い、前後加速度を速やかに増大させることができる。そのため、このフリーラン復帰制御によれば、フリーランからの復帰の際に、有段変速機3での変速遅れに伴う前後加速度の立ち上がりの遅れを抑制し、車両Veの加速応答性を向上させることができる。
1…エンジン(ENG)、 2…駆動輪、 3…有段変速機(AT)、 3a…入力軸、 3b…出力軸、 3c…ケース(固定部)、 8…クラッチ機構、 9…ブレーキ機構、 10…コントローラ(ECU)、 11〜17…各種センサ、 18…ナビゲーションシステム、 19…GPS受信装置、 20…車載カメラ、 21,22…遊星歯車機構、 21s,22sa,22sb…サンギヤ(回転要素)、 21r,22r…リングギヤ(回転要素)、 21c,22c…キャリア(回転要素)、 B1,B2,B3…ブレーキ(ブレーキ機構)、 C1,C2…クラッチ(クラッチ機構)、 Ve…車両。

Claims (1)

  1. エンジンの出力トルクが伝達される入力軸と、駆動輪側へトルクを伝達させる出力軸と、前記入力軸に連結された回転要素を含む複数の回転要素を有する少なくとも一組の遊星歯車機構と、いずれか二つの前記回転要素同士を選択的に連結するクラッチ機構と、いずれかの前記回転要素を所定の固定部に選択的に連結して回転を止めるブレーキ機構とを有し、前記入力軸のトルクを増大または減少させて前記出力軸に伝達する有段変速機を備え、
    前記有段変速機で所定の変速段を設定した状態で前記クラッチ機構を解放させることによって前記入力軸と前記出力軸との間のトルク伝達を遮断し、かつ、前記エンジンの運転を止めた状態で走行するフリーランを実行することが可能であり、
    前記フリーランを実行する場合に、前記エンジンの運転を停止させる際に発生する共振が前記トルク伝達を遮断した状態の前記入力軸と前記出力軸との間で伝達される可能性のある制限変速段と、前記制限変速段以外の変速段であって前記トルク伝達を遮断した状態の前記入力軸と前記出力軸との間で前記共振の伝達が抑制される許可変速段とを設定することが可能な
    有段変速機を備えた車両の制御装置において、
    前記エンジンならびに前記クラッチ機構および前記ブレーキ機構を制御するコントローラを備え、
    前記コントローラは、
    前記有段変速機の変速制御における目標変速段を決定し、
    前記フリーランを実行する際に前記目標変速段が前記制限変速段となった場合に、前記制限変速段の設定を禁止して前記許可変速段を設定した状態で前記クラッチ機構を解放させるとともに、
    前記制限変速段の設定を禁止した前記フリーランを実行している際に、運転者の加速要求により、前記フリーランを終了して通常走行に復帰させる場合は、前記フリーランの実行中に解放していた前記クラッチ機構を係合させて前記許可変速段を設定した状態で前記車両に所定の前後加速度を発生させた後に、前記目標変速段に基づいて前記変速制御を実行する
    ことを特徴とする有段変速機を備えた車両の制御装置。
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