JP2018080152A - 被膜形成用組成物およびこれを含む化粧料の設計方法 - Google Patents

被膜形成用組成物およびこれを含む化粧料の設計方法 Download PDF

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Abstract

【課題】皮膚の動きに対応することができる伸縮性を有する被膜形成用組成物を提供する。【解決手段】平均表面摩擦係数(MIU)が0.6以上である粉体と、被膜形成剤とを含む。【選択図】なし

Description

本発明は、被膜形成用組成物及びこれを含む化粧料の設計方法に関する。
従来、化粧料分野においては、顔の皮膚上に形成された化粧膜が表情変化による皮膚の動きに対応できずに破れたり剥がれたりするという問題があった。
特許文献1は、表情の変化による動きに追随できる化粧料として、部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物、(アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)共重合体およびアクリル−シリコーン系グラフト共重合体を含む化粧料を提案している。
特許文献2は、皮膚の動きにより簡単に剥離してしまうという問題を解決する手段として、アクリル酸・アルキルメタクリレート共重合体と微粒子シリカ、皮膜形成剤を含む化粧料を開示している。
ところで、人は、その外観や言動などの様々な要因によって、他者に対して多種多様な印象を与える。その中でも、視覚的な情報、特に顔の見た目は、その人の印象を決める非常に大きな要因の一つであるといえる。
そのため、人の顔の見た目に影響するようなパラメータを取得する技術について研究がおこなわれている。例えば、特許文献3には、被験者の顔面における測定対象部位の輝度を測定し、ヒストグラムを生成して、そのヒストグラムの形状から、被験者の肌の状態を評価する技術が公開されている。
また、特許文献4には、被験者の顔画像を取得し、そこから空間周波数の強度を算出することによって、被験者の年齢を推定する技術が公開されている。
特開2014−156431号公報 特開平09−151125号公報 特開2009−131336号公報 再表2011−162050号公報
上述の通り、化粧料の技術分野においては顔の表情の動きに対応することができる化粧膜の開発が求められてきた。この問題を解決する手段としてこれまでに提案されている化粧料は、顔の表情変化に伴う皮膚の動きに対応可能な十分な伸縮性を有していなかった。
このような状況に鑑み、本発明の解決しようとする第1の課題は、皮膚の動きに対応することができる伸縮性を有する被膜形成用組成物を提供することである。
また、先述の通り、被験者の肌の状態の評価などを行うためのパラメータについて検討されてきたが、これらはいずれもある瞬間における被験者の顔を観測して得られるものに過ぎない。
しかし、人の見た目の印象は、種々の因子によって形成されており、より正確な推定を行い、それを改善することのできる化粧料が望まれていた。
そこで、本発明では、肌状態をより精度よく鑑別することのできる肌状態の鑑別方法に基づいた化粧料の設計方法を提供することを第2の課題とする。
上記第1の課題を解決する本発明は、平均表面摩擦係数(MIU)が0.6以上である粉体と、被膜形成剤とを含むことを特徴とする被膜形成用組成物である。
本発明の被膜形成用組成物は、皮膚の動きに対応することができる伸縮性を有し、皮膚が動いても均一な仕上がりを維持することができる。
本発明の好ましい形態では、前記粉体が粗面粉体である。
粗面粉体を含む形態の本発明の被膜形成用組成物は、皮膚上で均一な被膜を維持する効果に優れている。
本発明の好ましい形態では、前記粉体として疎水性粉体を用いる。
これにより、肌上で均一な被膜を維持する効果を向上させることができる。
本発明の好ましい形態では、前記粉体が球状粉体である。
球状粉体は肌に接着する能力が高いため、かかる形態の被膜形成用組成物は皮膚の動きに対して被膜の均一性を維持する効果に優れる。
本発明の好ましい形態では、前記被膜形成剤が水溶性被膜形成剤である。
水溶性被膜形成剤を含む被膜形成用組成物は、皮膚上で均一な被膜を維持する効果に優れているほか、さっぱりとした使用感に優れる。
本発明においては、前記被膜形成剤として好ましくはアクリル系重合体、より好ましくはアクリル酸アルキル及び/又はメタクリル酸アルキルの重合体を用いる。
このような被膜形成剤を含む形態とすることによって、皮膚上で均一な被膜を維持する効果を向上させることができる。
本発明においては、好ましくは機能性粉体を含む形態とする。
機能性粉体を含む被膜形成用組成物を肌に適用することで、見かけの肌状態を改善することができる。
本発明においては、好ましくは機能性粉体として光散乱性粉体を含む形態とする。
後述するように人の肌状態と、表情顔における光学的に検出可能な特徴量には相関関係がある。光散乱性粉体を含む形態の本発明の被膜形成用組成物によれば、これを適用した後の見かけの肌状態を改善することができる。
上述した本発明の被膜形成用組成物は皮膚の動きによっても均一性を維持することができる化粧膜を形成することができるため、化粧料に適用することが好ましい。
また、後述するように人の肌状態と、表情顔における光学的に検出可能な特徴量には相関関係がある。したがって、化粧前後における該特徴量の変化を指標にして化粧料を評価すれば、化粧後の外観上の肌状態を改善できる化粧料を設計することができる。
すなわち、上記第2の課題を解決する本発明は、化粧料の設計方法であって
化粧後の表情顔を撮影した化粧後画像を取得する化粧後画像取得工程と、
前記化粧後画像より光学的に検出可能な化粧後の特徴量を抽出する化粧後特徴量抽出工程と、
前記化粧後の特徴量と、同様にして予め取得された同一人の化粧前の特徴量とを比較し、化粧効果を評価する評価工程と、
前記化粧効果に基づいて、前記化粧料の処方を選択する選択工程と、を備え、
前記選択工程において、前記化粧料の成分として、一種又は二種以上の粉体と、一種又は二種以上の被膜形成剤と、を選択することを特徴とする、化粧料の設計方法である。
本発明の化粧料の設計方法によれば、化粧後における表情変化により現出する肌状態を改善できる化粧料を簡便に設計することができる。
本発明の好ましい形態では、前記化粧後画像取得工程において、それぞれ表情の異なる複数の前記化粧後画像を取得し、
前記化粧後特徴量抽出工程において、複数の前記化粧後画像のそれぞれについての前記特徴量を抽出し、
前記評価工程において、複数の前記特徴量の間のばらつきから前記化粧効果を評価し、
前記選択工程において、前記ばらつきが小さくなるように前記処方を選択することを特徴とする。
本発明の好ましい形態では、前記特徴量が前記化粧後画像中で所定の輝度よりも高い輝度を有する高輝度領域の面積を含み、
前記選択工程において、前記高輝度領域の面積が小さくなるように前記処方を選択することを特徴とする。
本発明の好ましい形態では、前記特徴量が皮膚の毛穴周辺のスジ形状領域に関する量を含み、
前記選択工程において、前記スジ形状領域の面積が小さくなるように前記処方を選択することを特徴とする。
また、本発明の設計方法は、皮膚の代替物を試料として用いる形態としてもよい。
すなわち、本発明は、前記化粧料を塗布した前記試料を撮影した塗布後画像を取得する塗布後画像取得工程と、
前記塗布後画像より光学的に検出可能な化粧料塗布後の特徴量を抽出する塗布後特徴量抽出工程と、
前記化粧料塗布後の特徴量と、同様にして予め取得された同一試料の化粧料塗布前の特徴量とを比較し、化粧効果を評価する評価工程と、
前記化粧効果に基づいて、前記化粧料の成分の処方を選択する選択工程と、を備え、
前記選択工程において、前記化粧料の成分として、一種又は二種以上の粉体と、一種又は二種以上の被膜形成剤と、を選択することを特徴とする、化粧料の設計方法にも関する。
本発明の化粧料の設計方法によれば、皮膚の代替物を使用することで、表情変化により現出する肌状態を改善できる化粧料を簡便に設計することができる。
本発明の好ましい形態では、前記塗布後画像取得工程において、前記試料をそれぞれ異なる形状に変形させた状態の複数の前記塗布後画像を取得し、
前記塗布後特徴量抽出工程において、複数の前記塗布後画像のそれぞれについての前記特徴量を抽出し、
前記評価工程において、複数の前記特徴量の間のばらつきから前記化粧効果を評価し、
前記選択工程において、前記ばらつきが小さくなるように前記処方を選択することを特徴とする。
本発明の好ましい形態では、前記試料の表面形状が人の皮膚の毛穴を模したものであって、
前記特徴量が皮膚の毛穴周辺のスジ形状領域に関する量を含み、
前記選択工程において、前記スジ形状領域の面積が小さくなるように前記処方を選択することを特徴とする。
本発明の好ましい形態では、前記特徴量が前記塗布後画像中で所定の輝度よりも高い輝度を有する高輝度領域の面積を含み、
前記選択工程において、前記高輝度領域の面積が小さくなるように前記処方を選択することを特徴とする。
本発明の好ましい形態では、前記選択工程において、
粉体として疎水性粉体を選択する場合には被膜形成剤として水溶性被膜形成剤を選択し、
粉体として親水性粉体を選択する場合には被膜形成剤として疎水性被膜形成剤を選択することを特徴とする。
このように水に対する親和性において、互いに性質の異なる粉体と被膜形成剤を選択する形態とすることによって、表情変化により現出する肌状態の改善作用により優れた化粧料を設計することができる。
ところで、上述した本発明の被膜形成用組成物は、顔に適用した場合、表情変化に伴う皮膚の動きに対して肌上に形成された被膜の均一性を維持する能力に優れる。
つまり、本発明の化粧料の設計方法について、本発明の被膜形成用組成物と同一となるように処方を選択する形態とすれば、表情変化により現出する肌状態に対する改善効果に優れた化粧料を効率的に設計することができる。
すなわち、本発明においては、前記選択工程において、前記粉体として平均表面摩擦係数(MIU)が0.6以上である粉体を選択する形態とすることが好ましい。
また、本発明の化粧料の設計方法について、本発明の被膜形成用組成物を化粧料の必須成分として、その他の追加成分を選択する形態とすれば、表情変化により現出する肌状態に対する改善効果に優れた化粧料を効率的に設計することができる。
すなわち、本発明の好ましい形態では、前記選択工程において、前記粉体として平均表面摩擦係数(MIU)が0.6以上である粉体を選択し、かつ、一種又は二種以上の追加成分を選択する。
本発明の好ましい形態では、前記追加成分として一種又は二種以上の機能性粉体を選択することを特徴とする。
追加成分として機能性粉体を選択することにより、表情変化により現出する肌状態に対する改善効果に優れた化粧料を効率的に設計することができる。
本発明においては、前記機能性粉体として光散乱性粉体を選択することが好ましい。
後述するように人の肌状態と、表情顔における光学的に検出可能な特徴量には相関関係がある。そのため、光学的に検出可能な特徴量に影響を与える光散乱性粉体を追加成分として選択する形態とすることにより、表情変化により現出する肌状態に対する改善効果に優れた化粧料を効率的に設計することができる。
本発明の被膜形成用組成物は、皮膚の動きに対応することができる伸縮性を有し、皮膚が動いても均一な仕上がりを維持することができる。
また、本発明の化粧料の設計方法によれば、表情の変化に際して現出する肌状態を改善することができる化粧料を容易に設計することができる。
高輝度面積を用いた肌状態の鑑別方法を示すフローチャートである。 スジ形状面積を用いた肌状態の鑑別方法を示すフローチャートである。 化粧料の評価方法を示すフローチャートである。 本発明に係る化粧料の設計方法を示すフローチャートである。 解析対象とする動画像中に含まれる被験者の表情の一例を示す図である(図面代用写真)。 解析対象とする動画像の撮影角度を示す図である(図面代用写真)。 フレーム画像より抽出したB画像の一例を示す図である(図面代用写真)。 B画像より抽出したテカリ領域の一例を示す図である(図面代用写真)。 20代の被験者についてのテカリ面積の割合の算出結果を示す図である。 30代の被験者についてのテカリ面積の割合の算出結果を示す図である。 40代の被験者についてのテカリ面積の割合の算出結果を示す図である。 50代の被験者についてのテカリ面積の割合の算出結果を示す図である。 60代の被験者についてのテカリ面積の割合の算出結果を示す図である。 テカリ面積の割合の年代別の平均値の算出結果を示す図である。 テカリ面積の割合の表情間における標準偏差の年代別の平均値の算出結果を示す図である。 20代の被験者についてのスジ形状面積の割合の算出結果を示す図である。 30代の被験者についてのスジ形状面積の割合の算出結果を示す図である。 40代の被験者についてのスジ形状面積の割合の算出結果を示す図である。 50代の被験者についてのスジ形状面積の割合の算出結果を示す図である。 60代の被験者についてのスジ形状面積の割合の算出結果を示す図である。 スジ形状面積の割合の年代別の平均値の算出結果を示す図である。 スジ形状面積の割合の各表情間における標準偏差の年代別の平均値の算出結果を示す図である。 化粧前後のテカリ面積の算出結果を示す図である。 化粧前後のスジ形状面積の算出結果を示す図である。 人工皮膚の変形の様子を示す図である(図面代用写真)。 人工皮膚の撮影画像より抽出したB画像の一例を示す図である(図面代用写真)。 人工皮膚のB画像より抽出したテカリ領域の一例を示す図である(図面代用写真)。 人工皮膚のG画像より抽出したスジ形状領域の一例を示す図である(図面代用写真)。 人工皮膚の変形時のテカリ面積の算出結果を示す図である。 人工皮膚の変形時のスジ形状面積の割合の算出結果を示す図である。 素肌状態での被験者の表情変化の様子を示す図である。(図面代用写真) 比較例3の化粧料を使用した状態での被験者の表情変化の様子を示す図である。(図面代用写真) 実施例1の化粧料を使用した状態での被験者の表情変化の様子を示す図である。(図面代用写真) 素肌状態での被験者のテカリ領域の変化の様子を示す図である。(図面代用写真) 比較例3の化粧料を使用した状態での被験者のテカリ領域の変化の様子を示す図である。(図面代用写真) 実施例1の化粧料を使用した状態での被験者のテカリ領域の変化の様子を示す図である。(図面代用写真) 素肌、比較例3の化粧料使用、実施例1の化粧料使用のそれぞれの状態についての、テカリ面積の算出結果を示す図である。 素肌状態での被験者のスジ形状領域の変化の様子を示す図である。(図面代用写真) 比較例3の化粧料を使用した状態での被験者のスジ形状領域の変化の様子を示す図である。(図面代用写真) 実施例1の化粧料を使用した状態での被験者のスジ形状領域の変化の様子を示す図である。(図面代用写真) 素肌、比較例3の化粧料使用、実施例1の化粧料使用のそれぞれの状態についての、スジ形状面積の算出結果を示す図である。
<1>被膜形成用組成物
本発明の被膜形成用組成物は、必須成分として平均表面摩擦係数(MIU)が0.6以上である粉体と、被膜形成剤とを含む。
平均表面摩擦係数(MIU)は、摩擦感テスター(例えばKES−SE,Kato Tech,Japan)により測定することができる値のことをいう。
本発明においては平均表面摩擦係数が0.6以上、より好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.8以上である粉体を用いる。なお、表面の平均表面摩擦係数が上記範囲であれば、他の粉体を内包している形態の粉体を用いてもよい。
上述の範囲の平均表面摩擦係数の粉体であればその種類は問わないが、好ましくは疎水性粉体又は粗面粉体を用い、より好ましくは粗面疎水性粉体を用いる。
疎水性粉体としては、通常の化粧料に用いられるものであれば特に制限されず、例えば、ポリアミドパウダー、ナイロンパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリ四弗化エチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、ポリウレタンパウダー、ビニル樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂;ジメチルシリコーンを架橋したシリコーンエラストマーパウダーやポリメチルシルセスキオキサンパウダー等のシリコーンパウダー;アクリル酸ブチル・酢酸ビニル共重合体、スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、(メタクリル酸ラウリル/ジメタクリル酸エチレングリコール)コポリマー等のような、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ(メタ)アクリル酸アルキレングリコールから選ばれる1種又は2種以上の重合体又は共重合体のパウダー等の架橋型あるいは非架橋型の有機球状粉体が挙げられる。
疎水性粉体としては、例えば、KMP−590、KSP−100、KSP−101、KSP−105、KSP−300(信越化学工業社);トスパール120A、トスパール145A、トスパール2000B、トスパール1110A(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社);トレフィルE506S、トレフィルE508、EP−9215、BY29−129(東レ・ダウコーニング社);マツモトマイクロスフェアーM、マツモトマイクロスフェアーM−100、マツモトマイクロスフェアーM−101、マツモトマイクロスフェアーM−201、マツモトマイクロスフェアーM−306、マツモトマイクロスフェアーS−100(松本油脂製薬社);ナイロンSP−500、ナイロンSP−10、ナイロンSP−20(東レ社);ラブコロールKL501−CL、ラブコロールHL201−CL、ラブコロールET601−W、ラブコロールMT501−W(大日精化工業社)、TOSPEARL 150KA(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)等の市販品を用いることができる。
疎水性粉体は親水性粉体の表面を疎水化処理することによって得ることもできる。疎水化処理としては、通常の化粧料用粉体に施されている方法、例えば、シリコーン処理、脂肪酸処理、ラウロイルリジン処理、界面活性剤処理、金属石鹸処理、フッ素処理、レシチン処理等が含まれ、中でも、シリコーン処理、脂肪酸処理及びフッ素処理が好ましい。具体的には、シリコーン処理としては、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、トリエトキシカプリリルシラン、シリコーン樹脂等による処理;脂肪酸処理としては、例えば、ミリスチン酸、ステアリン酸等による処理;フッ素処理としては、例えば、パールフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルシラン等による処理などが挙げられる。
親水性粉体としては、例えばでんぷん、結晶セルロース、シルクパウダー等の有機粉体、カオリン、モンモリロナイト系粘土鉱物または炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、無水ケイ酸、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、マイカ、合成マイカ、合成セリサイト、セリサイト、タルク、シリカ、炭化ケイ素、硫酸バリウム、窒化ホウ素、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン等の無機粉体類、ナイロン等の有機粉体類、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン等の複合粉体等等の無機粉体が挙げられる。
粗面粉体は上述したような粉体を常法に従って粗面化処理することによって得ることもできる。具体的には、粉体を多孔質化する、不均一に表面処理を行う、また、粉体表面に微粒子粉体を複合化させるなどの方法により、粗面化処理を行うことができる。また、ラブコロールKL501−CL、ラブコロールHL201−CL、ラブコロールET601−W、ラブコロールMT501−W(大日精化工業社)、TOSPEARL 150KA(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、SATENERI M5(日揮触媒化成社製)、マツモトマイクロスフェアーS100(松本油脂製薬社製)、SMT−57S(テイカ社製)等の市販品を用いることができる。
粉体の形状は特に限定されず、平均表面摩擦係数が上記範囲であれば板状粉体と球状粉体の何れを用いてもよいが、好ましくは球状粉体を用いる。特に好ましくは、ラブコロールKL501−CL、ラブコロールHL201−CL、ラブコロールET601−W、ラブコロールMT501−W(大日精化工業社)、TOSPEARL 150KA(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、マツモトマイクロスフェアーS100(松本油脂製薬社製)等の市販品に代表される粗面疎水性球状粉体を用いる。
上述の粉体以外であっても、表面の平均表面摩擦係数が上記範囲内であれば、例えば、表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類;表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類;レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類等を用いることができる。
被膜形成用組成物におけるMIUが0.6以上の粉体の含有量は、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%、さらに好ましくは0.2〜2質量%、さらに好ましくは0.3〜1質量%である。
前記粉体の含有量を上記範囲とすることにより、皮膚の動きに対応し、均一な塗布膜を維持する効果を向上させることができる。
被膜形成剤としては、疎水性被膜形成剤と水溶性被膜形成剤の何れを用いてもよいが、特に好ましくは水溶性被膜形成剤を用いる。
水溶性被膜形成剤としては、例えば、プルラン、エーテル化澱粉、キトサン、アルギン酸ソーダ、ローカストビーンガム、グァーガム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースの如き水溶性多糖類、アクリル系重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の被膜形成能を有する種々の天然及び合成樹脂を使用できる。特に好ましくは被膜形成剤としてアクリル系重合体、より好ましくはアクリル酸アルキル及び/又はメタクリル酸アルキルの重合体を用いることが好ましい。アクリル系重合体としては、市販品(例えばポリジョイントJN(大成化工株式会社))を用いてもよい。
疎水性被膜形成剤としては、置換度1.5以上のエチルセルロース、アセチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、シリコーン系被膜形成剤、高重合度シリコーン及びエステルガムなどが挙げられる。
被膜形成用組成物における被膜形成剤の含有量は、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.05〜2質量%、さらに好ましくは0.1〜1質量%、さらに好ましくは0.2〜0.6質量%である。
前記粉体の含有量を上記範囲とすることにより、皮膚の動きに対応し、均一な塗布膜を維持する効果を向上させることができる。
また、MIUが0.6以上の粉体と被膜形成剤の含有質量比は、好ましくは100:1〜1:10、より好ましくは50:1〜1:5、さらに好ましくは10:1〜1:3、さらに好ましくは5:1〜1:2、さらに好ましくは5:2〜1:1である。
前記粉体と被膜形成剤の含有質量比を上記範囲とすることにより、皮膚の動きに対応し、均一な塗布膜を維持する効果を向上させることができる。
被膜形成用組成物は機能性粉体を含むことが好ましい。機能性粉体を含む被膜形成用組成物によれば、これを適用した後の表情顔において現出する見かけの肌状態を改善することができる。
本発明において「機能性粉体」は、光を反射、散乱、吸収する機能や、感触を向上させる機能など、これを含有する組成物に何らかの機能を付与する性質を有するすべての粉体を含む。
機能性粉体としては、例えば、タルク、窒化硼素、セリサイト、天然マイカ、焼成マイカ、合成マイカ、合成セリサイト、板状アルミナ、板状硫酸バリウム、板状無水ケイ酸、板状酸化チタン、板状酸化亜鉛、板状PMMA、ケイフッ化カリウム焼成物、アルミニウムパウダー、ヘキ開タルク、カオリン、ベントナイト、スメクタイト、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ラウロイルリジン、ラウロイルタウリンカルシウム、長鎖アルキルリン酸金属塩粉末、金属石鹸粉末、PTFEパウダー、雲母チタン、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆シリカフレーク、酸化チタン被覆アルミナフレーク、酸化チタン・酸化スズ被覆アルミナフレーク、シリカ被覆カッパーフレーク、シリカ被覆ブロンズフレーク、酸化鉄被覆雲母、酸化アルミニウム被覆雲母、酸化亜鉛被覆雲母チタン、酸化亜鉛被覆タルク、酸化鉄被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、有機色素被覆雲母チタン、酸化チタン被覆合成雲母、タルクチタン、球状パール、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、魚鱗箔ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末のラメ剤等の板状粉体;ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類等が挙げられる。
被膜形成用組成物は、機能性粉体として光散乱性粉体を含むことが好ましい。光散乱性粉体を含む被膜形成用組成物によれば、これを適用した後の表情顔において現出する見かけの肌状態を改善することができる。
光散乱性粉体としては無機粉体及び有機粉体の何れを用いてもよく、無機粉体としては酸化シリカ及び酸化アルミ等が挙げられ、有機粉体としてはポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ナイロン、セルロース、シリコーン及びポリウレタン等が挙げられる。また、光散乱粒子としてはマイカ、セリサイト、薄片状アルミナ、薄片状シリカ、薄片状ガラスフレーク、ホウケイ酸ガラス等のアスペクト比の高い薄片状粉体の表面を酸化亜鉛や二酸化チタンの厚さの異なる薄膜で被覆した、いわゆるパール粉体を用いることもできる。
被膜形成用組成物における機能性粉体の含有量は特に制限されないが、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜10質量%、さらに好ましくは0.5〜5質量%を目安とすることができる。
本発明の被膜形成用組成物は医薬品や化粧料など外用剤の形態とすることが好ましいが、特に化粧料の形態とすることが好ましい。
本発明の被膜形成用組成物を含む化粧料には、本発明の効果を失わない範囲で任意成分を加えてもよい。かかる任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類、流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−−ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類、グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸,ローカストビーンガム,サクシノグルカン,カロニン酸,キチン,キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト等の増粘剤、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤等のB領域の紫外線吸収剤、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩,ビタミンB6トリパルミテート,ビタミンB6ジオクタノエート,ビタミンB2又はその誘導体,ビタミンB12,ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール,β−トコフェロール,γ−トコフェロール,ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類などが好ましく例示できる。
<2>化粧料の設計方法
本発明の化粧料の設計方法は、肌状態の鑑別によって化粧料を評価することによって行う。肌状態の鑑別は表情顔の画像より光学的に検出可能な特徴量を指標として行う。
ここで、「表情顔の画像より光学的に検出可能な特徴量」としては、所定の輝度よりも高い輝度を有する高輝度領域の面積(高輝度面積)とスジ形状面積が好適に挙げられる。
以下、「表情顔の画像より光学的に検出可能な特徴量」として所定の輝度よりも高い輝度を有する高輝度領域の面積(高輝度面積)またスジ形状面積を採用したときの肌の鑑別方法、及び該鑑別方法を用いた化粧料の評価方法の説明を行ったうえで、本発明の化粧料の設計方法の実施の形態について詳述する。
<2−1>高輝度面積を用いた肌の鑑別方法
本発明にいう「肌状態」とは、特に、肌の状態の内で見た目に影響を及ぼすものをいう。例えば、被験者の年齢に応じて変化する肌状態として、老化状態が挙げられる。また、肌の水分量や弾力性など、様々な肌の状態を含むものである。更に、このような種々の肌状態の鑑別を行なった結果を用いて、被験者の年齢の推定などを行ってもよい。
また、「高輝度領域」とは、先に述べたように顔画像中において所定の輝度よりも高い輝度を有する領域である。ここでの所定の輝度は、例えば、顔画像において肌の鏡面反射によるテカリが感じられる領域に着目するのであれば、目視評価等においてテカリが感じられる領域を抽出できるような値とすればよい。他にも顔画像中で白飛びが起きている領域、肌にツヤが感じられる領域、といったような種々の観点により、高輝度領域を抽出するための所定の輝度を決定すればよい。
図1は、高輝度面積を用いた肌状態の鑑別方法を示すフローチャートである。これを参照して、高輝度面積を用いた肌状態の鑑別方法について、詳細に説明する。
まず、ステップS11において、被験者の顔の表情変化を含む動画像を取得する。ここでは汎用的なビデオカメラで評価対象の顔の動画像を撮影した動画像を用いてよいが、後のステップにおける画像解析に耐えうる程度の解像度やフレームレートを有していることが好ましい。また、ここでは、カラーの動画像を取得することが好ましい。
そして、ステップS12において、ステップS11で取得した動画像より、解析対象とする複数のフレーム画像を取得する。ここでのフレーム画像としては、動画像に含まれる複数の表情について、それぞれの表情が一番強く表れているフレーム画像を選択することが好ましい。
ステップS13では、各フレーム画像について、RGB平面への分割を行い、B(青色)成分のみが含まれるB画像を取得する。これにより各フレーム画像は0−255までの256階調などの、所定の階調によって表現されるものとなる。なお、256階調という階調数は一例に過ぎず、より大きな階調数や小さな階調数を用いてもよい。これは、後のステップにおける高輝度領域の抽出を行いやすくするための処理である。また、ここでB画像に代えてG(緑色)成分のみが含まれるG画像を取得するような構成としてもよい。
ステップS14では、ステップS13で取得したB画像に対して、フィルタを適用する。これも、ステップS13におけるB画像化と同じく、後のステップにおける高輝度領域の抽出を行いやすくするための処理である。ここでは例えば、FFT(Fast Fourier Transform)フィルタ等を用いることができる。
そして、ステップS15において、ステップS14までの処理を行った各フレーム画像より、解析対象領域を抽出する。ここでは、例えば頬部位などを解析対象領域として抽出する。また、このステップを省略し、顔全体を解析対象としてもよい。
その後、ステップS16で、解析対象領域中の高輝度領域を抽出する。ここでは、高輝度領域として、所定の階調値を超える領域を抽出した。なお、ここで所定の階調値とは、先に述べたように、フレーム画像を目視した際に肌のテカリが感じられる領域を抽出することのできるような値など、任意の階調値を採用すればよい。あるいは、予め複数の被験者についての顔画像の解析を行い、所定の階調値を算出しておくなどしてもよい。
ステップ16で抽出した高輝度領域の面積をステップS17で算出した後、ステップS18において、各フレーム画像における高輝度面積の解析を行う。ここでの解析としては、全てのフレーム画像中の高輝度面積の平均値や、標準偏差を算出することが挙げられる。高輝度面積の平均値はすなわち、高輝度面積の絶対値の大きさを示す指標であるといえる。また、高輝度面積の標準偏差は、各フレーム画像の間における、すなわち、各表情間における高輝度面積のばらつきを表す指標であるといえる。
なお、ここで、平均値や標準偏差の計算は、ステップS17で算出した高輝度面積の値を直接用いて行ってもよいが、ステップS15で抽出した解析対象領域全体の面積に対して、ステップS17で算出した高輝度面積が占める割合を用いて計算をすることがより好ましい。このように、解析対象領域中の高輝度領域の割合を用いて解析を行うことで、被験者ごとの解析対象領域全体の面積の大きさの差による影響を抑えた解析を行うことができる。
このようにして求めた被験者の高輝度面積の絶対値や各表情間におけるばらつきより、被験者の肌状態の鑑別を行うことができる。
事前に複数の被験者について高輝度面積の解析を行い、各表情間における高輝度面積の平均値やばらつきを算出しておき、それらの複数の被験者間における平均値や標準偏差と、鑑別対象とする被験者の各表情間における高輝度面積の平均値やばらつきを比較することで、被験者の肌状態の鑑別を行えばよい。特に、肌の老化状態の鑑別を行うのであれば、事前に各表情間における高輝度面積の平均値やばらつきの、世代ごとの平均値や標準偏差を算出しておき、それらの値と被験者についての測定値を比較すれば、被験者の肌の老化状態を鑑別することができる。
なお、ステップS11における動画像の取得は、先に述べたように、汎用的なビデオカメラを用いて行えばよい。ステップS12からステップS18までの各処理については、コンピュータ装置上で動作する単一の、あるいは複数の、任意のソフトウェアを用いて行えばよい。これらのソフトウェアは、例えば、汎用的な画像処理ソフトウェアや表計算ソフトウェアなどを用いてもよいし、本発明に係る肌状態の解析のための専用のソフトウェアを用いてもよい。
<2−2>スジ形状面積を用いた肌状態の鑑別方法
被験者の顔画像より、光学的に検出可能な特徴量として毛穴周辺のスジ形状領域の面積(スジ形状面積)を抽出し、その解析を行うことによって、被験者の肌状態を鑑別することもできる。
ここで、本発明におけるスジ形状領域とは、顔の表情の変化に伴う皮膚の伸縮等により、毛穴を含む周辺領域の形状が変化し、溝状もしくは線状の構造が生じる、スジ状の領域をいうものである。
図2は、スジ形状面積を用いた肌状態の鑑別方法を示すフローチャートである。これを参照して、スジ形状面積を用いた肌状態の鑑別方法について、詳細に説明する。
ステップS21における動画像の取得、ステップS22における動画像からのフレーム画像の取得は、先に図1を参照して説明した、特徴量として高輝度面積を用いる場合のステップS11、ステップS12と同様の手順で行えばよい。
ステップS23においても、先に図1を参照して説明したステップS13と同様に、B(青色)成分のみが含まれるB画像を取得してもよいが、特徴量としてスジ形状領域を用いる本実施形態においては、G(緑色)成分のみが含まれるG画像を取得する構成とする方がより好適である。
続くステップS24において、ステップS23で取得した各フレーム画像より、解析対象領域を抽出する。ここでは、例えば頬部位などを解析対象領域として抽出する。また、このステップを省略し、顔全体を解析対象としてもよい。
その後、ステップS25で、後のステップにおけるスジ形状領域の抽出を行いやすくするためのフィルタを適用する。ここでは例えば、スムージングやエッジ抽出などのフィルタ処理を行う。
そして、ステップS26において、階調を用いてスジ形状領域を粗に抽出する。ここでは、階調値が所定の範囲内に含まれる領域をスジ形状領域として抽出する。なお、ここでの階調値の所定範囲は、フレーム画像中から階調値が当該範囲に含まれる領域を抽出した場合にスジ形状領域が得られるような、被験者ごとの任意の範囲を採用すればよい。あるいは、予め複数の被験者についての顔画像の解析を行い、階調値の所定範囲を算出しておくなどしてもよい。
更に、ステップS27において、ステップS26で粗に抽出したスジ形状領域より線形状領域を抽出する。これは、例えば真円度によるフィルタリングなどを行い、ステップS26において抽出したスジ形状領域より、点状のノイズなどを除去する処理である。
ステップS27で抽出したスジ形状領域の面積をステップS28で算出した後、ステップS29において、各フレーム画像におけるスジ形状面積の解析を行う。ここでの解析としては、全てのフレーム画像中のスジ形状面積の平均値や、標準偏差を算出することが挙げられる。スジ形状面積の平均値はすなわち、被験者のスジ形状面積の絶対値を示す指標であるといえる。また、スジ形状面積の標準偏差は、各フレーム画像の間における、すなわち、各表情の間におけるスジ形状面積のばらつきを表す指標であるといえる。
なお、ここで、平均値や標準偏差の計算は、ステップS28で算出したスジ形状面積の値を直接用いて行ってもよいが、ステップS24で抽出した解析対象領域全体の面積に対して、ステップS28で算出したスジ形状面積が占める割合を用いて計算をすることがより好ましい。このように、解析対象領域中のスジ形状領域の割合を用いて解析を行うことで、被験者ごとの解析対象領域全体の面積の大きさの差による影響を抑えた解析を行うことができる。
このようにして求めた被験者のスジ形状面積の絶対値やばらつきより、被験者の肌状態の鑑別を行うことができる。
事前に複数の被験者についてスジ形状面積の解析を行い、各表情間におけるスジ形状面積の平均値やばらつきを算出しておき、それらの複数の被験者間における平均値や標準偏差と、鑑別対象とする被験者の各表情間におけるスジ形状面積の平均値やばらつきを比較することで、被験者の肌状態の鑑別を行えばよい。特に、肌の老化状態の鑑別を行うのであれば、事前に各表情間におけるスジ形状面積の平均値やばらつきの、世代ごとの平均値や標準偏差を算出しておき、それらの値と被験者についての測定値を比較すれば、被験者の肌の老化状態を鑑別することができる。
なお、ステップS21における動画像の取得は、先に述べたように、汎用的なビデオカメラを用いて行えばよい。ステップS22からステップS29までの各処理については、コンピュータ装置上で動作する単一の、あるいは複数の、任意のソフトウェアを用いて行えばよい。これらのソフトウェアは、例えば、汎用的な画像処理ソフトウェアや表計算ソフトウェアなどを用いてもよいし、本発明に係る肌状態の解析のための専用のソフトウェアを用いてもよい。
<2−3>化粧料の評価方法
本発明は、「表情顔の画像より光学的に検出可能な特徴量」による肌状態の鑑別結果に基づいた化粧料の評価方法、及び化粧料の設計方法である。
図3は、本発明に係る化粧料の評価方法を示すフローチャートである。これを参照して、本発明の化粧料の評価方法について、詳細に説明する。
まず、ステップS31において、化粧後の特徴量の解析を行う。ここで、特徴量として顔の高輝度面積を用いるのであれば、化粧後の顔画像について、図1のフローチャートに示した手順にしたがった高輝度面積の解析を行う。すなわち、ステップS11において、化粧後の動画像を取得し、その解析を行う。
また、特徴量としてスジ形状面積を用いる場合についても同様に、図2のフローチャートに示した手順に従ったスジ形状面積の解析を、ステップS21において化粧後の動画像を取得して行う。
なお、特徴量としては、高輝度面積とスジ形状面積のいずれか一方を用いてもよいし、両方を用いてもよい。また、更に異なる特徴量をあわせて用いてもよい。
ステップS31で化粧後の特徴量の解析を行った後には、ステップS32において、化粧前後の特徴量の比較を行う。ここで、比較対象とする化粧前の特徴量については、ステップS31において化粧後の特徴量を取得する対象と同一人について、事前に取得した値を用いればよい。なお、本明細書にいう化粧前とは、評価対象とする化粧料を用いていない状態を指すものである。すなわち、化粧料を使用していない素肌の状態や、評価対象とする化粧料以外の化粧料を使用している状態などを含むものである。
ここで、化粧前後の特徴量に変化が現れれば、それは化粧効果によるものであると言える。例えば、特徴量の絶対値及び各表情間におけるばらつきが小さいほど肌状態が良好である、といった特徴量、肌状態、及びそれを改善する化粧料を想定すれば、ステップS32において化粧前に比べて化粧後の特徴量の絶対値及び各表情間におけるばらつきが小さくなった度合いを、化粧効果の評価値として用いることができる。
このように、化粧前後の特徴量の比較によって化粧効果の大小を判断し、化粧料の評価を行うことができる。
<2−4>化粧料の設計方法
図4は、上述した評価方法を用いた化粧料の設計方法を示す図である。まず、ステップS41において、図3のフローチャートに示した手順によって、テカリ面積及び/又はスジ形状面積を用いた化粧料の評価を行う。ここで評価対象とする化粧料は、その成分の処方が明らかな既存の化粧料など、任意のものであってよい。
表情顔における光学的に検出可能な特徴量と肌状態には相関関係があるため、機能性粉体は前記特徴量に影響を与えることで外観上の肌状態を改善することができる。
したがって、機能性粉体を含む化粧料を評価対象とする実施の形態とすることにより、機能性粉体の肌状態の改善効果をより効果的に引き出すことができる処方の化粧料を設計することができる。
このような実施の形態とする場合には、機能性粉体の種類及び含有量は固定したうえで、粉体と被膜形成剤の組み合わせを種々変更しながら化粧料を評価する形態とすることが好ましい。
ステップS41において評価した化粧料が、粉体及び被膜形成剤を含まないときには(ステップS44)、ステップS43に進む。
また、ステップS41において評価した化粧料が、粉体及び被膜形成剤を含むものである場合にはステップS42に進み、ここで設計を完了しない場合も、ステップS43に進む。
ステップS43では、ステップS41で評価対象とした化粧料の成分の処方の選択を行う。この際、必ず一種又は二種以上の粉体と、一種又は二種以上の被膜形成剤を化粧料の成分として選択する。
粉体は化粧料に用いることができる一群の粉体の中から選択することができる。選択する粉体は疎水性粉体であっても親水性粉体であってもよい。
特に好ましくは、ステップS43において、一群の粗面粉体の中から一種又は2種以上の粉体を選択する。
ステップS43において選択対象とする粉体については、上記<1>被膜形成用組成物の項目で説明した粉体に関する説明をそのまま適用することができる。
ステップS43において、平均表面摩擦係数が0.6以上、より好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.8以上である一群の粉体の中から一種又は二種以上の粉体を選択する実施の形態とすることが特に好ましい。
被膜形成剤は化粧料に用いることができる一群の被膜形成剤の中から選択することができる。選択する被膜形成剤は水溶性被膜形成剤であっても疎水性被膜形成剤であってもよい。
ステップS43において選択対象とする被膜形成剤については、上記<1>被膜形成用組成物の項目で説明した被膜形成剤に関する説明をそのまま適用することができる。
ステップS43において、粉体として疎水性粉体を選択する場合には被膜形成剤として水溶性被膜形成剤を選択することが好ましい。
また、ステップS43において、粉体として親水性粉体を選択する場合には被膜形成剤として疎水性被膜形成剤を選択することが好ましい。
ステップS43において、このような選択手法をとることによって、皮膚の動きに対応することができる伸縮性を有する化粧料を設計することができる。
ステップS43においては、粉体と被膜形成剤の他の追加成分を選択してもよい。選択する追加成分としては、通常化粧料に使用される成分であれば特に限定されない。
好ましくは、ステップS43において、粉体として平均表面摩擦係数が0.6以上、より好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.8以上である粉体を選択し、かつ、一種又は二種以上の追加成分を選択する実施の形態とする。
粉体として上記粉体を選択することは、化粧料の成分として上述した本発明の被膜形成用組成物を選択することと同義となる。
本発明の被膜形成用組成物を含む化粧料は皮膚の動きに対応することができる伸縮性を有するため、上記形態の設計方法によれば、皮膚の動きによって追加成分の効果が失われにくい化粧料を設計することができる。
この場合、ステップS43において、追加成分として一群の機能性粉体の中から1種又は2種以上を選択する実施の形態とすることが好ましい。
特に機能性粉体として1種又は2種以上の光散乱性粉体を選択する実施の形態とすることが好ましい。
ステップS43において選択対象とする機能性粉体については、上記<1>被膜形成用組成物の項目で説明した機能性粉体に関する説明をそのまま適用することができる。
その後、再びステップS41に戻り、ステップS43において処方を選択した化粧料について、再度化粧料の評価を行う。なお、ここでは、図3においてステップS32に示した化粧前後の特徴量の比較に加えて、あるいはそれに代えて、処方の変更前後の化粧料を用いた場合の特徴量についての比較を行ってもよい。
以上のように、化粧料の評価と、成分の処方の選択を繰り返し、十分な化粧効果が得られる化粧料の処方が得られた場合など、ステップS42において化粧料の設計を完了することが選択されると、化粧料の設計は終了する。
このように、肌状態の鑑別方法、そしてそれを用いた化粧料の評価方法を利用することによって、肌状態を改善するための化粧料の設計を行うことができる。
なお、本実施形態においては、実際に被験者の皮膚に化粧料を塗布し、特徴量の解析を行うことで化粧料の評価や設計を行う方法を示したが、皮膚の代替物を試料として用いて、同様の化粧料の評価や設計を行ってもよい。皮膚の代替物としては、質感や弾力性、毛穴などの表面形状等について、人の皮膚を模したものを用いることが好ましい。例えば、市販の人工皮膚、風船、果物、合成皮革等などを皮膚の代替物として用い、それに外力を加えることによって圧縮や伸長などの形状変化を生じさせ、人の顔の表情変化に伴う皮膚の形状変化に類する状態を疑似的に再現し、特徴量の解析を行う、といった方法を用いることができる。
あるいは、人の表情の変化時における毛穴などの皮膚の表面形状の変化を模した試料を作成し、それを皮膚の代替物として用いてもよい。このような試料を用いることによっても、様々な表情を取った際にどのような化粧効果が生じるかを、多面的に評価することができる。
以下に、テカリ面積の解析、スジ形状面積の解析、及び化粧料の使用によるテカリ面積、スジ形状面積の変化についての実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明がこの実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
<1>テカリ面積の解析
(各年代におけるテカリ面積の抽出)
ここでは、20代、30代、40代、50代、60代について、それぞれ14名ずつ、計70名の女性を被験者として、図1のフローチャートに示すように、高輝度面積の抽出と解析を行った。なお、本実施例では、高輝度領域として、肌にテカリが感じられるテカリ領域を用いた解析を行った。また、肌状態として、特に被験者の年齢に伴って変化する、老化状態に着目した解析を行った。
ステップS11の動画像の取得工程では、図5に示すような被験者の表情変化を含む動画像を撮影した。各被験者は、図5(a)に示す無表情の状態から、図5(b)に示す「縦方向へ伸展した表情、図5(c)に示す縦方向へ収縮した表情、図5(d)に示す横方向に伸展した表情、図5(e)に示す横方向に収縮した表情、図5(f)に示す頬を膨らませている表情、図5(g)に示す頬を萎ませている表情の計7種類の表情を順次とり、その表情変化の様子をカラー動画像として撮影した。
なお、図5(a)〜(g)には被験者の顔を正面から撮影した場合の各表情を示したが、ここでは、図6(a)に示すように、被験者の顔を正面から向かって右に45度ずらし、被験者の左頬が動画像の中心に位置するような状態で撮影した動画像を用いた。また、図6(b)に示したように、被験者の顔を正面から向かって右に32度、上に32度ずらし、向かって右上から撮影した動画像や、図6(c)に示すように、被験者の顔を正面から向かって右に32度、下に32度ずらし、向かって右下から撮影した動画像など、他の角度から被験者の顔の表情変化を撮影した動画像を用いてもよい。
そして、ステップS12のフレーム画像の取得工程では、動画像を各フレーム画像に分解し、図5(a)〜図5(g)に示したような各表情が最も強く表出している7枚のフレーム画像を抽出した。
ステップS13のB画像の取得工程では、ステップS12で取得した各フレーム画像をRGB平面に分割し、解析対象としてB画像を取得、そして、ステップS14のフィルタ適用処理を行った。なお、ステップS14におけるフィルタ適用処理では、後のステップでテカリ領域の抽出を行いやすくするために、B画像とした各フレーム画像にFFTフィルタなどの適用を行った。
その後、ステップS15の解析対象領域の抽出処理により、図7(a)〜(g)に示したように、被験者の頬部位を解析対象領域として抽出した。
そして、ステップS16において、解析対象領域のB画像より、所定の閾値を超える階調値を有する領域をテカリ領域として抽出し、その面積を算出した。図8(a)〜(g)において黒塗りで示される領域が、図7(a)〜(g)の各B画像によりテカリ領域として抽出された領域である。なお、ここでの閾値は、目視でテカリを感じられる領域が抽出されるよう、被験者毎に別個の設定を行った。
テカリ領域が解析対象領域全体の内で占める割合を算出した結果、10代から60代までの各世代について、図9から図13に示す結果が得られた。ステップS18で、これらのテカリ面積についての解析を行った。
(テカリ面積の絶対値についての解析)
まず、各被験者のデータについて、図8(a)〜(g)に示したような全ての表情のテカリ面積の割合の平均値の算出を、それぞれ行った。そして、各被験者についての各表情間におけるテカリ面積の割合の平均値を用いて、更に、年代毎の平均値の算出を行った。また、各被験者についての各表情間におけるテカリ面積の割合の平均値から、年代毎の標準偏差の算出を行った。
以上のようにして算出した、各表情間におけるテカリ面積の割合の平均値の、年代毎の平均値及び標準偏差を、図14に示す。これを見ると、年代が上がるにつれて、テカリ面積の平均値は大きくなることが読み取れる。また、標準偏差に着目すると、年代が上がるにつれて、各表情間におけるテカリ面積の割合の平均値の、各被験者間でのばらつきが大きくなることが読み取れる。
この結果から、肌の老化状態が強く表れているほど、テカリ面積の絶対値が大きくなるという知見が得られた。
(テカリ面積のばらつきについての解析)
続いて、テカリ面積の割合の各表情間におけるばらつきについての解析を行った。まず、図8(a)〜(g)に示したような各表情についてのテカリ面積の割合の標準偏差の算出を、各被験者のデータについてそれぞれ行った。これはすなわち、各被験者についての各表情間におけるテカリ面積の割合のばらつきを示す値である。
そして、各被験者についての各表情間におけるテカリ面積の割合の標準偏差の、年代毎の平均値の算出をおこなった。これは、各年代における各表情間でのテカリ面積の割合のばらつきを示す値である。また、各被験者についての各表情間におけるテカリ面積の割合の標準偏差の、年代毎の標準偏差の算出を行った。これは、各年代における各表情間でのテカリ面積の割合のばらつきの、各被験者間でのばらつきを示す値である。
以上のように算出した、各表情間におけるテカリ面積の割合の標準偏差の年代別の平均値と、その標準偏差を、図15に示す。これを見ると、各表情間におけるテカリ面積の割合のばらつきは、年代が上がるにつれて大きくなっていくことが読み取れる。また、各被験者間での標準偏差に着目すると、各表情間でのテカリ面積の割合の変化の各被験者間のばらつきが、年代が上がるにつれて大きくなることが読み取れる。
この結果から、肌の老化状態が強く表れているほど、各表情間におけるテカリ面積のばらつき、すなわち、表情変化に伴うテカリ面積の変化量が大きくなるという知見が得られた。
<2>スジ形状面積の解析
(各年代におけるスジ形状面積の抽出)
テカリ面積の解析と同様の、20代、30代、40代、50代、60代について、それぞれ14名ずつ、計70名の女性を被験者として、図2のフローチャートに示すように、スジ形状面積の抽出と解析を行った。
ステップS21の動画像の取得、及びステップS22のフレーム画像の取得については、テカリ面積の解析においてそれぞれ取得した動画像、及びフレーム画像と同一のものを用いた。続くステップS23においては、フレーム画像からのG画像の抽出を行った。
そして、ステップS24の解析対象領域の抽出処理で、各フレームのG画像より頬部位の領域を解析対象領域として抽出し、ステップS25で、後のステップでスジ形状領域の抽出を行いやすくするために、それぞれのG画像に、スムージングやエッジ抽出などのフィルタを適用した。
ステップS26では、ステップS25で抽出した解析対象領域のG画像より、階調値が所定範囲内に含まれる領域を、スジ形状領域として粗に抽出した。更に、ステップS27において、真円度によるフィルタリングを行い、線形状の抽出を行い、その結果をスジ形状領域とした。なお、ここでの階調値の所定範囲は、フレーム画像中から階調値が当該範囲に含まれる領域を抽出した場合にスジ形状領域が得られるような、被験者ごとの任意の範囲を採用した。
スジ形状領域が解析対象領域全体の内で占める割合を算出した結果、10代から60代までの各世代について、図16から図20に示す結果が得られた。ステップS29で、これらのスジ形状面積についての解析を行った。
(スジ形状面積の絶対値についての解析)
まず、各被験者のデータについて、全ての表情のスジ形状面積の割合の平均値の算出を、それぞれ行った。そして、各被験者についての各表情間におけるスジ形状面積の割合の平均値を用いて、更に、年代毎の平均値の算出を行った。また、各被験者についての各表情間におけるスジ形状面積の割合の平均値から、年代毎の標準偏差の算出を行った。
以上のようにして算出した、各表情間におけるスジ形状面積の割合の年代毎の平均値及び標準偏差を、図21に示す。これを見ると、年代が上がるにつれて、スジ形状面積の割合の平均値は大きくなることが読み取れる。また、標準偏差に着目すると、年代が上がるにつれて、各表情間におけるスジ形状面積の割合の平均値の、各被験者間でのばらつきが大きくなることが読み取れる。
この結果から、肌の老化状態が強く表れているほど、スジ形状面積の絶対値が大きくなるという知見が得られた。
(スジ形状面積のばらつきについての解析)
続いて、スジ形状面積の割合の各表情間におけるばらつきについての解析を行った。まず、各表情についてのスジ形状面積の割合の標準偏差の算出を、各被験者のデータについてそれぞれ行った。これはすなわち、各被験者についての各表情間におけるスジ形状面積の割合のばらつきを示す値である。
そして、各被験者についての各表情間におけるスジ形状面積の割合の標準偏差の、年代毎の平均値の算出をおこなった。これは、各年代における、各表情間でのスジ形状面積の割合のばらつきを示す値である。また、各被験者についての各表情間におけるスジ形状面積の割合の標準偏差の、年代毎の標準偏差の算出を行った。これは、各年代における各表情間でのスジ形状面積の割合のばらつきの、各被験者間でのばらつきを示す値である。
以上のように算出した、各表情間におけるスジ形状面積の割合の標準偏差の平均値と、その標準偏差を、図22に示す。これを見ると、各表情間におけるスジ形状面積の割合のばらつきは、年代が上がるにつれて大きくなっていくことが読み取れる。また、各被験者間での標準偏差に着目すると、各表情間でのスジ形状面積の変化の各被験者間のばらつきが、年代が上がるにつれて大きくなることが読み取れる。
この結果から、肌の老化状態が強く表れているほど、各表情間におけるスジ形状面積のばらつき、すなわち、表情変化に伴うスジ形状面積の変化量が大きくなるという知見が得られた。
<3>人工皮膚を用いた特徴量解析
人工皮膚に外力を加え、変形させた際のテカリ面積及びスジ形状面積の変化の測定を行った。人工皮膚としては、人の頬部の毛穴等の表面形状を模した、ビューラックス社製の頬部肌模型(2種類、2つずつの計4つ)を用いた。そして、それぞれの人工皮膚について、フォースゲージを取り付けた電動計測スタンドに万力によって固定し、電動計測スタンドを作動させることによる、表情変化時の顔の皮膚の動きを想定した変形を行った。
図25(a)に、人工皮膚を電動計測スタンドに取り付けた際の様子を示す。この際、人工皮膚下部の固定用万力と人工皮膚上部のフォースゲージとの間の距離が4cmとなるように固定した。これを、人工皮膚が外力によって変形していない、通常状態として撮影した。これはすなわち、被験者の表情変化の解析を行う実施例において図5(a)に示したような、無表情の状態に対応するものである。
次に、フォースゲージを1.7cm上昇させ、図25(b)に示すように人工皮膚を伸長させ、伸び状態として撮影を行った。これは、被験者の表情変化の解析を行う場合において図5(b)に代表されるような、解析対象領域の皮膚が伸展した状態に対応するものである。
人工皮膚を図25(a)に示したような通常状態に戻した後、人工皮膚を後方より押し出しながらフォースゲージを更に1.7cm下降させ、図25(c)に示すように人工皮膚の中央部が手前に押し出されたような状態とし、これを膨らみ状態として撮影した。これは、被験者の表情変化の解析を行う場合において図5(f)に代表されるような、解析対象領域を膨らませた状態に対応するものである。
再び人工皮膚を図25(a)に示したような通常状態に戻した後、人工皮膚を前方より押し込みながらフォースゲージを更に1.7cm下降させ、図25(d)に示すように、人工皮膚の中央部が奥に押し込まれたような状態とし、これを萎み状態として撮影した。これは、被験者の表情変化の解析を行う場合において図5(f)に代表されるような、解析対象領域を萎ませた状態に対応するものである。
以上のように、無表情の状態(図25(a))、及び表情変化によって顔の皮膚が変形した状態(図25(b)〜(c))を想定した4枚のカラー画像を撮影した後、それぞれRGB平面への分割を行った。図26(a)〜(d)は、図25(a)〜(d)の各画像より取得した、解析対象領域のB画像を示すものである。
そして、図26(a)〜(d)に示したB画像より、所定の閾値を超える階調値を有する領域をテカリ領域として抽出し、その面積を算出した。図27(a)〜(d)において黒塗りで示される領域が、図26(a)〜(d)の各B画像よりテカリ領域として抽出された領域である。
また、図25(b)〜(c)に示した画像をRGB平面へ分割したG画像より、階調値が所定範囲内に含まれる領域をスジ形状領域として粗に抽出した後、真円度によるフィルタリングや線形状の抽出を行い、その結果をスジ形状領域として抽出した。図28(a)〜(d)において黒塗りで示される領域が、図25(b)〜(c)から取得したそれぞれのG画像より、スジ形状領域として抽出された領域である。そして、それぞれについて、スジ形状領域が解析対象領域内で占める面積の割合を算出した。
図29は、図27(a)〜(d)に示したような各画像中のテカリ領域の面積を、図30は、図28(a)〜(d)に示したような各画像において、スジ形状領域として抽出された領域が占める面積の割合を、それぞれ示すものである。なお、図29及び図30における4つのデータ系列は、それぞれ、試料として用いた4つの人工皮膚に対応するものである。
図29、図30を参照すると、被験者の表情変化時についての解析結果と同様に、図26(a)〜(d)に示したような人工皮膚の変形に伴い、テカリ領域の面積、スジ形状領域の面積ともに変動していることがわかる。
以上から、人工皮膚などの皮膚の代替物を変形させることにより、表情変化時における顔の皮膚の変化に類する状態を疑似的に作り出すことができると考えられる。すなわち、人工皮膚などの皮膚の代替物に化粧料を塗布し、特徴量の解析を行うことによって、被験者の顔に化粧料を塗布して行う場合と同様に、化粧料の評価及び設計を実施できることが期待される。
なお、ここでは、図25(a)〜(d)の人工皮膚を撮影した画像をテカリ面積、スジ形状面積の解析対象とした例を示したが、被験者の表情変化を含む動画像を撮影する場合と同様、人工皮膚の変形の過程を含む動画像を撮影し、その中から解析対象とするフレーム画像を抽出するような方法を用いてもよい。
<4>被膜形成用組成物の評価(1)
種々の平均表面摩擦係数(MIU)を有する粗面粉体を用いて、表1に示す処方の化粧料を調製した。
ビューラックス社製 肌模型No.10A硬度Lv.5に化粧料をそれぞれ0.2gずつ均一に塗布し、15分乾燥後、縦横5回ずつ伸縮させたものを専門パネラー10人に目視評価させ、塗布膜の均一性について以下の基準で評価を行った。結果を表1に示す。
◎・・・10名中8名以上が均一であると評価
○・・・10名中6〜7名が均一であると評価
△・・・10名中4から5名が均一であると評価
×・・・10名中3名以下が均一であると評価
また、上と同じ肌模型に化粧料をそれぞれ0.2gずつ均一に塗布し、15分乾燥後、縦横5回ずつ伸縮させたものを専門パネラー10人に目視評価させ、毛穴の目立ちにくさについて以下の基準により評価を行った。結果を表1に示す。
◎・・・10名中8名以上が目立ちにくいと評価
○・・・10名中6〜7名が目立ちにくいと評価
△・・・10名中4から5名が目立ちにくいと評価
×・・・10名中3名以下が目立ちにくいと評価
表1に示すように、MIUが0.28と0.50である粉体と被膜形成剤を含む比較例の化粧料は、収縮運動後の塗布膜の均一性に劣っていた。
一方、MIUが0.65と0.84である粉体と被膜形成剤を含む実施例の化粧料は、収縮運動後の塗布膜の均一性に優れていた。
以上の結果は、MIUが0.6以上の粉体と被膜形成剤を含む組成物は、皮膚の動きに対応することができる伸縮性を有し、皮膚上で均一な被膜を維持する効果に優れていることを示している。
また、実施例1と実施例4の比較、また、実施例3と実施例5の比較の結果は、MIUが好ましくは0.7以上、より好ましくは0.8以上である粉体を用いることが好ましいことを示している。
また実施例1及び2と実施例3の結果を比較すると、粉体及び被膜形成剤に加えて光散乱性粉体を加えることにより、収縮運動後の毛穴の目立ち易さを抑えることができることがわかる。
この結果は、MIUが0.6以上の粉体、被膜形成剤及び光散乱性粉体を含む組成物を適用した後の表情顔において現出する見かけの肌状態を改善することができることを示している。
また、実施例1、6及び7の結果は、MIUが0.6以上の粉体の含有量が0.01〜10質量%の範囲内であることが好ましいことを示している。
実施例1、8及び9の結果は、被膜形成剤の含有量が0.01〜5質量%であることが好ましいことを示している。
<5>被膜形成用組成物の評価(2)
10名の被験者について、それぞれ、素肌の状態、比較例3の化粧料(MIU0.6以上の粉体と被膜形成剤の組み合わせを含まないもの)を使用した状態、及び実施例1の化粧料を使用した状態で、図1のフローチャートに示した方法によるテカリ面積の解析と、図2のフローチャートに示したスジ形状面積の解析を行った。
図31は、素肌状態における被験者の表情変化の様子の一例を示す図である。これは、図5に示したものと同様に、被験者の表情変化の様子を動画像として撮影し、その動画像中から、各表情が最も強く表出しているフレーム画像を取得したものである。同様に、図32は比較例3の化粧料を使用した状態の、図33は実施例1の化粧料を使用した状態の被験者の表情変化の様子を撮影したものである。これらのフレーム画像をRGB平面に分解し、テカリ領域の解析にはB画像を、スジ形状領域の解析にはG画像を、それぞれ用いた。なお、テカリ領域の解析、スジ形状領域の解析共に、被験者の頬部を解析対象領域とした。
図34に、素肌の状態におけるテカリ領域の解析結果を示す。図中で黒塗りとなっている領域が、テカリ領域として抽出された領域である。同様に、図35に比較例3の化粧料を使用した状態におけるテカリ領域の解析結果を、図36に実施例1の化粧料を使用した状態におけるテカリ領域の解析結果を示す。図34〜36を比較すると、同一の被験者であっても、素肌、比較例3の化粧料使用、実施例1の化粧料使用の各状態において、テカリ領域の態様に差異があることがわかる。
図37は、テカリ面積についての測定結果を示す図である。図37(a)は、各被験者について、図35〜37に示したような各状態、各表情におけるテカリ面積の算出を行い、10名の被験者の平均値を算出した結果を示すものである。
これを見ると、全体として、比較例3の化粧料を使用した場合には素肌の状態よりもテカリ面積の値は大きくなり、一方、実施例1の化粧料を使用した場合には素肌の状態よりもテカリ面積の値は小さくなる傾向がわかる。
図37(b)は、素肌、比較例3の化粧料使用、実施例1の化粧料使用の各状態について、各表情間でのテカリ面積の標準偏差の、10名の被験者における平均値を示すものである。これはすなわち、素肌、比較例3の化粧料使用、実施例1の化粧料使用のそれぞれの状態における、表情変化時のテカリ面積の変動度合いを示すものである。
これを見ると、比較例3の化粧料を使用した場合には素肌の状態よりも表情変化時のテカリ面積の変動は大きくなり、一方で、実施例1の化粧料を使用した場合には素肌の状態よりも表情変化時のテカリ面積の変動は小さくなっていることがわかる。
続いて、図38に、素肌の状態におけるスジ形状領域の解析結果を示す。図中で黒塗りとなっている領域が、スジ形状領域として抽出された領域である。同様に、図39に比較例3の化粧料を使用した状態におけるスジ形状領域の解析結果を、図40に実施例1の化粧料を使用した状態におけるスジ形状領域の解析結果を示す。図38〜40を比較すると、スジ形状領域の態様についても、同一の被験者でありながら各状態における態様に差異があることがわかる。
図41は、スジ形状面積についての測定結果を示す図である。図41(a)は、各被験者について、図38〜40に示したような各状態、各表情において解析対象領域内でスジ形状領域が占める面積の割合を算出し、10名の被験者の平均値を算出した結果を示すものである。
これを見ると、全体として、比較例3の化粧料を使用した場合には素肌の状態よりもスジ形状領域の割合は大きくなり、一方、実施例1の化粧料を使用した場合には素肌の状態よりもスジ形状領域の割合は小さくなる傾向がわかる。
図41(b)は、素肌、比較例3の化粧料使用、実施例1の化粧料使用の各状態について、各表情間でのスジ形状領域の割合の標準偏差の、10名の被験者における平均値を示すものである。これはすなわち、素肌、比較例3の化粧料使用、実施例1の化粧料使用のそれぞれの状態における、表情変化時のスジ形状面積の変動度合いを示すものである。
これを見ると、比較例3の化粧料を使用した場合には素肌の状態よりも表情変化時のスジ形状面積の変動は大きくなり、一方で、実施例1の化粧料を使用した場合には素肌の状態よりも表情変化時のスジ形状面積の変動は小さくなっていることがわかる。
以上のように、素肌、比較例3の化粧料使用、実施例1の化粧料使用の3つの状態における測定結果を比較すると、テカリ面積の解析、スジ形状面積のどちらについても、比較例3の化粧料を使用した状態については、素肌の状態よりもテカリ面積、スジ形状面積の絶対値やばらつきが大きくなり、一方で、実施例1の化粧料を使用した状態については、素肌の状態、及び比較例3の化粧料を使用した状態よりも、テカリ面積、スジ形状面積の絶対値やばらつきが小さくなったことがわかる。
これは、上記<1>及び<2>の試験例に示した、肌の老化状態が強く表出している場合に、表情変化時のテカリ面積及びスジ形状面積の絶対値、ばらつきが大きくなっている、という解析結果に照らし合わせると、比較例3の化粧料を使用した場合には、素肌の状態よりも肌の老化状態が強く表出してしまい、一方で、実施例1の化粧料を使用した場合には、素肌の状態よりも肌の老化状態の表出を抑えることができるといえる。
これらの結果は、肌の老化状態の表出を抑える、という観点において、本発明の被膜形成用組成物は優れていることを示している。
このように、評価対象とする化粧料を使用した状態と、素肌の状態や比較対象とする他の化粧料を使用した状態のそれぞれについてテカリ面積やスジ形状面積の測定を行い、それらの結果の比較を行うことで、化粧料の評価を行うことができる。また、このような評価結果に基づいて、より好適な結果が得られるように評価対象の化粧料の処方を変更して更に測定を繰り返すことで、化粧料の設計を行うことができると考えられる。
また、実施例1と比較例1の化粧料の差異は、MIUが0.6以上の粉体と被膜形成剤の組み合わせの有無にある。つまり、評価結果に基づいて、より好適な結果が得られるように評価対象の化粧料に配合する粉体及び被膜形成剤の種類を変更して更に測定を繰り返すことで、より優れた機能を有する化粧料の設計を行うことができると考えられる。
本発明の被膜形成用組成物は化粧料に応用することができる。また、本発明の化粧料の設計方法は、化粧料の研究開発における設計などに利用できる。


Claims (23)

  1. 平均表面摩擦係数(MIU)が0.6以上である粉体と、被膜形成剤とを含むことを特徴とする被膜形成用組成物。
  2. 前記粉体が粗面粉体であることを特徴とする、請求項1に記載の被膜形成用組成物。
  3. 前記粉体が疎水性粉体であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の被膜形成用組成物。
  4. 前記粉体が球状粉体であることを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の被膜形成用組成物。
  5. 前記被膜形成剤が水溶性被膜形成剤であることを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載の被膜形成用組成物。
  6. 前記被膜形成剤がアクリル系重合体であることを特徴とする、請求項1〜5の何れか一項に記載の被膜形成用組成物。
  7. 前記アクリル系重合体が、アクリル酸アルキル及び/又はメタクリル酸アルキルの重合体であることを特徴とする、請求項6に記載の被膜形成用組成物。
  8. 機能性粉体を含むことを特徴とする、請求項1〜7の何れか一項に記載の被膜形成用組成物。
  9. 前記機能性粉体が光散乱性粉体であることを特徴とする、請求項8に記載の被膜形成用組成物。
  10. 請求項1〜9の何れか一項に記載の被膜形成用組成物を含む化粧料。
  11. 化粧料の設計方法であって
    化粧後の表情顔を撮影した化粧後画像を取得する化粧後画像取得工程と、
    前記化粧後画像より光学的に検出可能な化粧後の特徴量を抽出する化粧後特徴量抽出工程と、
    前記化粧後の特徴量と、同様にして予め取得された同一人の化粧前の特徴量とを比較し、化粧効果を評価する評価工程と、
    前記化粧効果に基づいて、前記化粧料の処方を選択する選択工程と、を備え、
    前記選択工程において、前記化粧料の成分として、一種又は二種以上の粉体と、一種又は二種以上の被膜形成剤と、を選択することを特徴とする、化粧料の設計方法。
  12. 前記化粧後画像取得工程において、それぞれ表情の異なる複数の前記化粧後画像を取得し、
    前記化粧後特徴量抽出工程において、複数の前記化粧後画像のそれぞれについての前記特徴量を抽出し、
    前記評価工程において、複数の前記特徴量の間のばらつきから前記化粧効果を評価し、
    前記選択工程において、前記ばらつきが小さくなるように前記処方を選択することを特徴とする、請求項11に記載の化粧料の設計方法。
  13. 前記特徴量が前記化粧後画像中で所定の輝度よりも高い輝度を有する高輝度領域の面積を含み、
    前記選択工程において、前記高輝度領域の面積が小さくなるように前記処方を選択することを特徴とする、請求項11又は12に記載の化粧料の設計方法。
  14. 前記特徴量が皮膚の毛穴周辺のスジ形状領域に関する量を含み、
    前記選択工程において、前記スジ形状領域の面積が小さくなるように前記処方を選択することを特徴とする、請求項11〜13の何れか一項に記載の化粧料の設計方法。
  15. 皮膚の代替物を試料として用いる化粧料の設計方法であって、
    前記化粧料を塗布した前記試料を撮影した塗布後画像を取得する塗布後画像取得工程と、
    前記塗布後画像より光学的に検出可能な化粧料塗布後の特徴量を抽出する塗布後特徴量抽出工程と、
    前記化粧料塗布後の特徴量と、同様にして予め取得された同一試料の化粧料塗布前の特徴量とを比較し、化粧効果を評価する評価工程と、
    前記化粧効果に基づいて、前記化粧料の成分の処方を選択する選択工程と、を備え、
    前記選択工程において、前記化粧料の成分として、一種又は二種以上の粉体と、一種又は二種以上の被膜形成剤と、を選択することを特徴とする、化粧料の設計方法。
  16. 前記塗布後画像取得工程において、前記試料をそれぞれ異なる形状に変形させた状態の複数の前記塗布後画像を取得し、
    前記塗布後特徴量抽出工程において、複数の前記塗布後画像のそれぞれについての前記特徴量を抽出し、
    前記評価工程において、複数の前記特徴量の間のばらつきから前記化粧効果を評価し、
    前記選択工程において、前記ばらつきが小さくなるように前記処方を選択することを特徴とする、請求項15に記載の化粧料の設計方法。
  17. 前記試料の表面形状が人の皮膚の毛穴を模したものであって、
    前記特徴量が皮膚の毛穴周辺のスジ形状領域に関する量を含み、
    前記選択工程において、前記スジ形状領域の面積が小さくなるように前記処方を選択することを特徴とする、請求項15又は16に記載の化粧料の設計方法。
  18. 前記特徴量が前記塗布後画像中で所定の輝度よりも高い輝度を有する高輝度領域の面積を含み、
    前記選択工程において、前記高輝度領域の面積が小さくなるように前記処方を選択することを特徴とする、請求項15〜17の何れか一項に記載の化粧料の設計方法。
  19. 前記選択工程において、
    粉体として疎水性粉体を選択する場合には被膜形成剤として水溶性被膜形成剤を選択し、
    粉体として親水性粉体を選択する場合には被膜形成剤として疎水性被膜形成剤を選択することを特徴とする、請求項11〜18の何れか一項に記載の化粧料の設計方法。
  20. 前記選択工程において、前記粉体として平均表面摩擦係数(MIU)が0.6以上である粉体を選択することを特徴とする、請求項11〜19の何れか一項に記載の化粧料の設計方法。
  21. 前記選択工程において、前記粉体として平均表面摩擦係数(MIU)が0.6以上である粉体を選択し、かつ、一種又は二種以上の追加成分を選択することを特徴とする、請求項11〜20の何れか一項に記載の化粧料の設計方法。
  22. 前記追加成分として一種又は二種以上の機能性粉体を選択することを特徴とする、請求項21に記載の化粧料の設計方法。
  23. 前記機能性粉体が光散乱性粉体であることを特徴とする、請求項22に記載の化粧料の設計方法。


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