JP2018080152A - 被膜形成用組成物およびこれを含む化粧料の設計方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1は、表情の変化による動きに追随できる化粧料として、部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物、(アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)共重合体およびアクリル−シリコーン系グラフト共重合体を含む化粧料を提案している。
特許文献2は、皮膚の動きにより簡単に剥離してしまうという問題を解決する手段として、アクリル酸・アルキルメタクリレート共重合体と微粒子シリカ、皮膜形成剤を含む化粧料を開示している。
このような状況に鑑み、本発明の解決しようとする第1の課題は、皮膚の動きに対応することができる伸縮性を有する被膜形成用組成物を提供することである。
本発明の被膜形成用組成物は、皮膚の動きに対応することができる伸縮性を有し、皮膚が動いても均一な仕上がりを維持することができる。
粗面粉体を含む形態の本発明の被膜形成用組成物は、皮膚上で均一な被膜を維持する効果に優れている。
これにより、肌上で均一な被膜を維持する効果を向上させることができる。
球状粉体は肌に接着する能力が高いため、かかる形態の被膜形成用組成物は皮膚の動きに対して被膜の均一性を維持する効果に優れる。
水溶性被膜形成剤を含む被膜形成用組成物は、皮膚上で均一な被膜を維持する効果に優れているほか、さっぱりとした使用感に優れる。
このような被膜形成剤を含む形態とすることによって、皮膚上で均一な被膜を維持する効果を向上させることができる。
機能性粉体を含む被膜形成用組成物を肌に適用することで、見かけの肌状態を改善することができる。
後述するように人の肌状態と、表情顔における光学的に検出可能な特徴量には相関関係がある。光散乱性粉体を含む形態の本発明の被膜形成用組成物によれば、これを適用した後の見かけの肌状態を改善することができる。
すなわち、上記第2の課題を解決する本発明は、化粧料の設計方法であって
化粧後の表情顔を撮影した化粧後画像を取得する化粧後画像取得工程と、
前記化粧後画像より光学的に検出可能な化粧後の特徴量を抽出する化粧後特徴量抽出工程と、
前記化粧後の特徴量と、同様にして予め取得された同一人の化粧前の特徴量とを比較し、化粧効果を評価する評価工程と、
前記化粧効果に基づいて、前記化粧料の処方を選択する選択工程と、を備え、
前記選択工程において、前記化粧料の成分として、一種又は二種以上の粉体と、一種又は二種以上の被膜形成剤と、を選択することを特徴とする、化粧料の設計方法である。
前記化粧後特徴量抽出工程において、複数の前記化粧後画像のそれぞれについての前記特徴量を抽出し、
前記評価工程において、複数の前記特徴量の間のばらつきから前記化粧効果を評価し、
前記選択工程において、前記ばらつきが小さくなるように前記処方を選択することを特徴とする。
前記選択工程において、前記高輝度領域の面積が小さくなるように前記処方を選択することを特徴とする。
前記選択工程において、前記スジ形状領域の面積が小さくなるように前記処方を選択することを特徴とする。
すなわち、本発明は、前記化粧料を塗布した前記試料を撮影した塗布後画像を取得する塗布後画像取得工程と、
前記塗布後画像より光学的に検出可能な化粧料塗布後の特徴量を抽出する塗布後特徴量抽出工程と、
前記化粧料塗布後の特徴量と、同様にして予め取得された同一試料の化粧料塗布前の特徴量とを比較し、化粧効果を評価する評価工程と、
前記化粧効果に基づいて、前記化粧料の成分の処方を選択する選択工程と、を備え、
前記選択工程において、前記化粧料の成分として、一種又は二種以上の粉体と、一種又は二種以上の被膜形成剤と、を選択することを特徴とする、化粧料の設計方法にも関する。
前記塗布後特徴量抽出工程において、複数の前記塗布後画像のそれぞれについての前記特徴量を抽出し、
前記評価工程において、複数の前記特徴量の間のばらつきから前記化粧効果を評価し、
前記選択工程において、前記ばらつきが小さくなるように前記処方を選択することを特徴とする。
前記特徴量が皮膚の毛穴周辺のスジ形状領域に関する量を含み、
前記選択工程において、前記スジ形状領域の面積が小さくなるように前記処方を選択することを特徴とする。
前記選択工程において、前記高輝度領域の面積が小さくなるように前記処方を選択することを特徴とする。
粉体として疎水性粉体を選択する場合には被膜形成剤として水溶性被膜形成剤を選択し、
粉体として親水性粉体を選択する場合には被膜形成剤として疎水性被膜形成剤を選択することを特徴とする。
このように水に対する親和性において、互いに性質の異なる粉体と被膜形成剤を選択する形態とすることによって、表情変化により現出する肌状態の改善作用により優れた化粧料を設計することができる。
つまり、本発明の化粧料の設計方法について、本発明の被膜形成用組成物と同一となるように処方を選択する形態とすれば、表情変化により現出する肌状態に対する改善効果に優れた化粧料を効率的に設計することができる。
すなわち、本発明においては、前記選択工程において、前記粉体として平均表面摩擦係数(MIU)が0.6以上である粉体を選択する形態とすることが好ましい。
すなわち、本発明の好ましい形態では、前記選択工程において、前記粉体として平均表面摩擦係数(MIU)が0.6以上である粉体を選択し、かつ、一種又は二種以上の追加成分を選択する。
追加成分として機能性粉体を選択することにより、表情変化により現出する肌状態に対する改善効果に優れた化粧料を効率的に設計することができる。
後述するように人の肌状態と、表情顔における光学的に検出可能な特徴量には相関関係がある。そのため、光学的に検出可能な特徴量に影響を与える光散乱性粉体を追加成分として選択する形態とすることにより、表情変化により現出する肌状態に対する改善効果に優れた化粧料を効率的に設計することができる。
また、本発明の化粧料の設計方法によれば、表情の変化に際して現出する肌状態を改善することができる化粧料を容易に設計することができる。
本発明の被膜形成用組成物は、必須成分として平均表面摩擦係数(MIU)が0.6以上である粉体と、被膜形成剤とを含む。
本発明においては平均表面摩擦係数が0.6以上、より好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.8以上である粉体を用いる。なお、表面の平均表面摩擦係数が上記範囲であれば、他の粉体を内包している形態の粉体を用いてもよい。
前記粉体の含有量を上記範囲とすることにより、皮膚の動きに対応し、均一な塗布膜を維持する効果を向上させることができる。
水溶性被膜形成剤としては、例えば、プルラン、エーテル化澱粉、キトサン、アルギン酸ソーダ、ローカストビーンガム、グァーガム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースの如き水溶性多糖類、アクリル系重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の被膜形成能を有する種々の天然及び合成樹脂を使用できる。特に好ましくは被膜形成剤としてアクリル系重合体、より好ましくはアクリル酸アルキル及び/又はメタクリル酸アルキルの重合体を用いることが好ましい。アクリル系重合体としては、市販品(例えばポリジョイントJN(大成化工株式会社))を用いてもよい。
前記粉体の含有量を上記範囲とすることにより、皮膚の動きに対応し、均一な塗布膜を維持する効果を向上させることができる。
前記粉体と被膜形成剤の含有質量比を上記範囲とすることにより、皮膚の動きに対応し、均一な塗布膜を維持する効果を向上させることができる。
本発明において「機能性粉体」は、光を反射、散乱、吸収する機能や、感触を向上させる機能など、これを含有する組成物に何らかの機能を付与する性質を有するすべての粉体を含む。
本発明の被膜形成用組成物を含む化粧料には、本発明の効果を失わない範囲で任意成分を加えてもよい。かかる任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類、流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−−ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類、グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸,ローカストビーンガム,サクシノグルカン,カロニン酸,キチン,キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト等の増粘剤、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤等のB領域の紫外線吸収剤、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩,ビタミンB6トリパルミテート,ビタミンB6ジオクタノエート,ビタミンB2又はその誘導体,ビタミンB12,ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール,β−トコフェロール,γ−トコフェロール,ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類などが好ましく例示できる。
本発明の化粧料の設計方法は、肌状態の鑑別によって化粧料を評価することによって行う。肌状態の鑑別は表情顔の画像より光学的に検出可能な特徴量を指標として行う。
ここで、「表情顔の画像より光学的に検出可能な特徴量」としては、所定の輝度よりも高い輝度を有する高輝度領域の面積(高輝度面積)とスジ形状面積が好適に挙げられる。
本発明にいう「肌状態」とは、特に、肌の状態の内で見た目に影響を及ぼすものをいう。例えば、被験者の年齢に応じて変化する肌状態として、老化状態が挙げられる。また、肌の水分量や弾力性など、様々な肌の状態を含むものである。更に、このような種々の肌状態の鑑別を行なった結果を用いて、被験者の年齢の推定などを行ってもよい。
被験者の顔画像より、光学的に検出可能な特徴量として毛穴周辺のスジ形状領域の面積(スジ形状面積)を抽出し、その解析を行うことによって、被験者の肌状態を鑑別することもできる。
本発明は、「表情顔の画像より光学的に検出可能な特徴量」による肌状態の鑑別結果に基づいた化粧料の評価方法、及び化粧料の設計方法である。
図4は、上述した評価方法を用いた化粧料の設計方法を示す図である。まず、ステップS41において、図3のフローチャートに示した手順によって、テカリ面積及び/又はスジ形状面積を用いた化粧料の評価を行う。ここで評価対象とする化粧料は、その成分の処方が明らかな既存の化粧料など、任意のものであってよい。
したがって、機能性粉体を含む化粧料を評価対象とする実施の形態とすることにより、機能性粉体の肌状態の改善効果をより効果的に引き出すことができる処方の化粧料を設計することができる。
このような実施の形態とする場合には、機能性粉体の種類及び含有量は固定したうえで、粉体と被膜形成剤の組み合わせを種々変更しながら化粧料を評価する形態とすることが好ましい。
また、ステップS41において評価した化粧料が、粉体及び被膜形成剤を含むものである場合にはステップS42に進み、ここで設計を完了しない場合も、ステップS43に進む。
特に好ましくは、ステップS43において、一群の粗面粉体の中から一種又は2種以上の粉体を選択する。
ステップS43において選択対象とする粉体については、上記<1>被膜形成用組成物の項目で説明した粉体に関する説明をそのまま適用することができる。
ステップS43において選択対象とする被膜形成剤については、上記<1>被膜形成用組成物の項目で説明した被膜形成剤に関する説明をそのまま適用することができる。
また、ステップS43において、粉体として親水性粉体を選択する場合には被膜形成剤として疎水性被膜形成剤を選択することが好ましい。
ステップS43において、このような選択手法をとることによって、皮膚の動きに対応することができる伸縮性を有する化粧料を設計することができる。
粉体として上記粉体を選択することは、化粧料の成分として上述した本発明の被膜形成用組成物を選択することと同義となる。
本発明の被膜形成用組成物を含む化粧料は皮膚の動きに対応することができる伸縮性を有するため、上記形態の設計方法によれば、皮膚の動きによって追加成分の効果が失われにくい化粧料を設計することができる。
特に機能性粉体として1種又は2種以上の光散乱性粉体を選択する実施の形態とすることが好ましい。
<1>テカリ面積の解析
(各年代におけるテカリ面積の抽出)
ここでは、20代、30代、40代、50代、60代について、それぞれ14名ずつ、計70名の女性を被験者として、図1のフローチャートに示すように、高輝度面積の抽出と解析を行った。なお、本実施例では、高輝度領域として、肌にテカリが感じられるテカリ領域を用いた解析を行った。また、肌状態として、特に被験者の年齢に伴って変化する、老化状態に着目した解析を行った。
まず、各被験者のデータについて、図8(a)〜(g)に示したような全ての表情のテカリ面積の割合の平均値の算出を、それぞれ行った。そして、各被験者についての各表情間におけるテカリ面積の割合の平均値を用いて、更に、年代毎の平均値の算出を行った。また、各被験者についての各表情間におけるテカリ面積の割合の平均値から、年代毎の標準偏差の算出を行った。
続いて、テカリ面積の割合の各表情間におけるばらつきについての解析を行った。まず、図8(a)〜(g)に示したような各表情についてのテカリ面積の割合の標準偏差の算出を、各被験者のデータについてそれぞれ行った。これはすなわち、各被験者についての各表情間におけるテカリ面積の割合のばらつきを示す値である。
(各年代におけるスジ形状面積の抽出)
テカリ面積の解析と同様の、20代、30代、40代、50代、60代について、それぞれ14名ずつ、計70名の女性を被験者として、図2のフローチャートに示すように、スジ形状面積の抽出と解析を行った。
まず、各被験者のデータについて、全ての表情のスジ形状面積の割合の平均値の算出を、それぞれ行った。そして、各被験者についての各表情間におけるスジ形状面積の割合の平均値を用いて、更に、年代毎の平均値の算出を行った。また、各被験者についての各表情間におけるスジ形状面積の割合の平均値から、年代毎の標準偏差の算出を行った。
続いて、スジ形状面積の割合の各表情間におけるばらつきについての解析を行った。まず、各表情についてのスジ形状面積の割合の標準偏差の算出を、各被験者のデータについてそれぞれ行った。これはすなわち、各被験者についての各表情間におけるスジ形状面積の割合のばらつきを示す値である。
人工皮膚に外力を加え、変形させた際のテカリ面積及びスジ形状面積の変化の測定を行った。人工皮膚としては、人の頬部の毛穴等の表面形状を模した、ビューラックス社製の頬部肌模型(2種類、2つずつの計4つ)を用いた。そして、それぞれの人工皮膚について、フォースゲージを取り付けた電動計測スタンドに万力によって固定し、電動計測スタンドを作動させることによる、表情変化時の顔の皮膚の動きを想定した変形を行った。
種々の平均表面摩擦係数(MIU)を有する粗面粉体を用いて、表1に示す処方の化粧料を調製した。
◎・・・10名中8名以上が均一であると評価
○・・・10名中6〜7名が均一であると評価
△・・・10名中4から5名が均一であると評価
×・・・10名中3名以下が均一であると評価
◎・・・10名中8名以上が目立ちにくいと評価
○・・・10名中6〜7名が目立ちにくいと評価
△・・・10名中4から5名が目立ちにくいと評価
×・・・10名中3名以下が目立ちにくいと評価
一方、MIUが0.65と0.84である粉体と被膜形成剤を含む実施例の化粧料は、収縮運動後の塗布膜の均一性に優れていた。
以上の結果は、MIUが0.6以上の粉体と被膜形成剤を含む組成物は、皮膚の動きに対応することができる伸縮性を有し、皮膚上で均一な被膜を維持する効果に優れていることを示している。
この結果は、MIUが0.6以上の粉体、被膜形成剤及び光散乱性粉体を含む組成物を適用した後の表情顔において現出する見かけの肌状態を改善することができることを示している。
10名の被験者について、それぞれ、素肌の状態、比較例3の化粧料(MIU0.6以上の粉体と被膜形成剤の組み合わせを含まないもの)を使用した状態、及び実施例1の化粧料を使用した状態で、図1のフローチャートに示した方法によるテカリ面積の解析と、図2のフローチャートに示したスジ形状面積の解析を行った。
Claims (23)
- 平均表面摩擦係数(MIU)が0.6以上である粉体と、被膜形成剤とを含むことを特徴とする被膜形成用組成物。
- 前記粉体が粗面粉体であることを特徴とする、請求項1に記載の被膜形成用組成物。
- 前記粉体が疎水性粉体であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の被膜形成用組成物。
- 前記粉体が球状粉体であることを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の被膜形成用組成物。
- 前記被膜形成剤が水溶性被膜形成剤であることを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載の被膜形成用組成物。
- 前記被膜形成剤がアクリル系重合体であることを特徴とする、請求項1〜5の何れか一項に記載の被膜形成用組成物。
- 前記アクリル系重合体が、アクリル酸アルキル及び/又はメタクリル酸アルキルの重合体であることを特徴とする、請求項6に記載の被膜形成用組成物。
- 機能性粉体を含むことを特徴とする、請求項1〜7の何れか一項に記載の被膜形成用組成物。
- 前記機能性粉体が光散乱性粉体であることを特徴とする、請求項8に記載の被膜形成用組成物。
- 請求項1〜9の何れか一項に記載の被膜形成用組成物を含む化粧料。
- 化粧料の設計方法であって
化粧後の表情顔を撮影した化粧後画像を取得する化粧後画像取得工程と、
前記化粧後画像より光学的に検出可能な化粧後の特徴量を抽出する化粧後特徴量抽出工程と、
前記化粧後の特徴量と、同様にして予め取得された同一人の化粧前の特徴量とを比較し、化粧効果を評価する評価工程と、
前記化粧効果に基づいて、前記化粧料の処方を選択する選択工程と、を備え、
前記選択工程において、前記化粧料の成分として、一種又は二種以上の粉体と、一種又は二種以上の被膜形成剤と、を選択することを特徴とする、化粧料の設計方法。 - 前記化粧後画像取得工程において、それぞれ表情の異なる複数の前記化粧後画像を取得し、
前記化粧後特徴量抽出工程において、複数の前記化粧後画像のそれぞれについての前記特徴量を抽出し、
前記評価工程において、複数の前記特徴量の間のばらつきから前記化粧効果を評価し、
前記選択工程において、前記ばらつきが小さくなるように前記処方を選択することを特徴とする、請求項11に記載の化粧料の設計方法。 - 前記特徴量が前記化粧後画像中で所定の輝度よりも高い輝度を有する高輝度領域の面積を含み、
前記選択工程において、前記高輝度領域の面積が小さくなるように前記処方を選択することを特徴とする、請求項11又は12に記載の化粧料の設計方法。 - 前記特徴量が皮膚の毛穴周辺のスジ形状領域に関する量を含み、
前記選択工程において、前記スジ形状領域の面積が小さくなるように前記処方を選択することを特徴とする、請求項11〜13の何れか一項に記載の化粧料の設計方法。 - 皮膚の代替物を試料として用いる化粧料の設計方法であって、
前記化粧料を塗布した前記試料を撮影した塗布後画像を取得する塗布後画像取得工程と、
前記塗布後画像より光学的に検出可能な化粧料塗布後の特徴量を抽出する塗布後特徴量抽出工程と、
前記化粧料塗布後の特徴量と、同様にして予め取得された同一試料の化粧料塗布前の特徴量とを比較し、化粧効果を評価する評価工程と、
前記化粧効果に基づいて、前記化粧料の成分の処方を選択する選択工程と、を備え、
前記選択工程において、前記化粧料の成分として、一種又は二種以上の粉体と、一種又は二種以上の被膜形成剤と、を選択することを特徴とする、化粧料の設計方法。 - 前記塗布後画像取得工程において、前記試料をそれぞれ異なる形状に変形させた状態の複数の前記塗布後画像を取得し、
前記塗布後特徴量抽出工程において、複数の前記塗布後画像のそれぞれについての前記特徴量を抽出し、
前記評価工程において、複数の前記特徴量の間のばらつきから前記化粧効果を評価し、
前記選択工程において、前記ばらつきが小さくなるように前記処方を選択することを特徴とする、請求項15に記載の化粧料の設計方法。 - 前記試料の表面形状が人の皮膚の毛穴を模したものであって、
前記特徴量が皮膚の毛穴周辺のスジ形状領域に関する量を含み、
前記選択工程において、前記スジ形状領域の面積が小さくなるように前記処方を選択することを特徴とする、請求項15又は16に記載の化粧料の設計方法。 - 前記特徴量が前記塗布後画像中で所定の輝度よりも高い輝度を有する高輝度領域の面積を含み、
前記選択工程において、前記高輝度領域の面積が小さくなるように前記処方を選択することを特徴とする、請求項15〜17の何れか一項に記載の化粧料の設計方法。 - 前記選択工程において、
粉体として疎水性粉体を選択する場合には被膜形成剤として水溶性被膜形成剤を選択し、
粉体として親水性粉体を選択する場合には被膜形成剤として疎水性被膜形成剤を選択することを特徴とする、請求項11〜18の何れか一項に記載の化粧料の設計方法。 - 前記選択工程において、前記粉体として平均表面摩擦係数(MIU)が0.6以上である粉体を選択することを特徴とする、請求項11〜19の何れか一項に記載の化粧料の設計方法。
- 前記選択工程において、前記粉体として平均表面摩擦係数(MIU)が0.6以上である粉体を選択し、かつ、一種又は二種以上の追加成分を選択することを特徴とする、請求項11〜20の何れか一項に記載の化粧料の設計方法。
- 前記追加成分として一種又は二種以上の機能性粉体を選択することを特徴とする、請求項21に記載の化粧料の設計方法。
- 前記機能性粉体が光散乱性粉体であることを特徴とする、請求項22に記載の化粧料の設計方法。
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-
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- 2016-11-18 JP JP2016225424A patent/JP6940943B2/ja active Active
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