JP2018078886A - α化玄米粉、α化玄米粉の製造方法及び製造システム、α化玄米粉を含む増粘剤、前記増粘剤を使用した食品 - Google Patents
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Abstract
Description
本実施形態は、α化玄米粉製造システムが水分調節装置、パフ化装置、及び粉砕装置を備える形態を例証している。
図1は、本実施形態に係るα化玄米粉製造システムを示す概略図である。図1の(a)〜(c)において、矢印は玄米の移送を示す。
α化玄米粉製造システム100は、図1の(a)〜(c)に示すように、水分調節装置1、パフ化装置2及び粉砕装置3を備えている。
図1の(a)〜(c)を参照すると、本実施形態のα化玄米粉製造システム100は、玄米を水に浸漬して玄米内部に水を浸透させる水分調節装置1と、この水分調節された玄米を加熱・加圧してα化した後、膨張させてパフ化するパフ化装置2と、このパフ化された玄米をローター粉砕してα化玄米粉にする粉砕装置3と、を備える。
水分調節装置1は、玄米を水に浸漬して玄米内部に水を浸透させることができるものであればよく、公知のものを使用することができる。
パフ化装置2は、水分調節された玄米を加熱・加圧してα化した後、膨張させてパフ化することができるものであればよく、公知のものを使用することができる。
図2は、図1のパフ化装置の構成の一例を示す部分断面側面図である。図2は、図を見やすくするためにパフ化装置1の一部の図示を省略し、且つ、理解を容易にするために、パフ化装置2の一部を模式的に表している。また、図2では、便宜上、図の上下をパフ化装置2の上下とし、図の左右をパフ化装置2の前後とし、図の手前及び奥を、それぞれ、パフ化装置2の左右とする。
図3の(a)は、シリンダー内部で玄米を加圧・加熱(約150kg/cm2の圧力、約150℃の温度)してパフ化している状態を示し、(b)はパフ化された玄米が押出口から押し出される状態を示している。
粉砕装置3は、パフ化した玄米を粉砕することができるものであればよく、公知のものを使用することもできる。
図4は、図1の粉砕装置の構成の一例を示しており、(a)は粉砕装置の正面図を示し、(b)は粉砕装置の要部の平面図である。
図4を参照すると、粉砕装置3は、筐体34内の上部に取り付けられたファン32とローター31が1台のモータ41又は2台の他のモータ(図示せず)によって高速回転することにより、筐体34内に旋回空気流を発生させ、空気導入口39(原料導入口と同じ)から導入された空気は、筐体34内面の複数の山(以下ライナー35という)と前記複数のローターの外周面との間の間隙を介して筐体34の上部に導入され、筐体34の上部に設けられた排出口40から排気される。
なお、製造コスト及び装置の小型化・複雑化の観点から、ブレード36の数は8から12であることがより好ましい。
ブレード36の枚数は17枚以上にすることによる粉砕能力の向上の見込みはなく、製造コストの負担及び装置の複雑化が問題となる。
なお、ローター31とファン32が別の駆動源により駆動され、ローター31の回転数がファン32の回転数よりも小さい場合には、より空気の導入量及び排出量が多くなり、粉砕効率が向上するので望ましい。
上記粉砕は原料同士がぶつかり合って粉砕される自己粉砕方式のため、粉砕時の衝撃力が小さく且つ短時間で粉砕されるため、α化玄米粉の損傷を極めて受けにくい。
本粉砕装置によれば、空気の発生量が多く、空気が粉砕媒体としての役割も果たすため温度上昇が少なく、α化玄米粉の風味・色合いを維持できる。
本粉砕装置によれば、粒径が10μm〜100μmというα化玄米粉を安定して供給可能である。また、金属どうしの衝突部がないので金属粉が混入しにくい。
ローター31の回転数をファン32の回転数よりも小さくした場合には、空気の導入量及び排出量が多くなるとともにα化玄米粉の排出を促進し、ローター31の回転数が小さい場合でもα化玄米粉の粉砕効率を向上させることができる。
実施の形態1では、α化玄米粉製造方法が、水分調節工程、パフ化工程、及び粉砕工程を備える形態を例示する。
(水分調整工程)
水分調節工程S1では、玄米の水分量を16%前後に調節するために玄米に水を加える。図1に示すように、一定量の玄米を水分調整装置に投入する。
水分調節装置1に投入した玄米の水分量が13%の場合、目標水分量を16%とすると、玄米1kgに対して、水0.036kgを水分調節装置に加水する。加水後、一昼夜で玄米の水分量は約16%となる。
パフ化工程S2では、水分調節後の玄米をパフ化装置2のホッパー11に投入する。そして、投入された玄米を150kg/cm2の圧力で加圧し且つ150℃に加熱するようパフ化装置2を制御する。これにより、玄米がα化した後、膨張してパフ化する。このパフ化したα化玄米がカッターによって片状に切断され、この片状のパフ化したα化玄米がフード19の開口19aから得られる。この片状のパフ化したα化玄米は、従来技術に比べて高いα化度を有する(後述の実施例参照)。
粉砕工程S3では、片状のパフ化したα化玄米を粉砕装置3の原料導入口39に投入する。これにより片状のパフ化したα化玄米が、ローター31の回転により、互い、ぶつかり合って粉砕され、排出口40よりα化玄米粉として排出される。
これにより、α化玄米粉が得られる。
実施の形態2は、実施の形態1の水分調整工程の前に、粗割工程と洗米工程とを備える点で実施の形態1と相違し、これ以外は実施の形態1と同様である。以下、この相違点について説明する。
図6は、本発明の実施の形態2に係るα化玄米粉製造システムを示す概略図である。図6において、矢印は玄米の移送を示す。
図6を参照すると、実施の形態2のα化玄米粉製造システム103は、玄米を粗割する粗割装置4と、この粗割された玄米を洗米する洗米装置5と、この洗米された玄米を水に浸漬して玄米内部の水分量を調節する水分調節装置1と、水分調節装置1から得られた玄米を加熱・加圧してα化した後、膨張させてパフ化するパフ化装置2と、このパフ化された玄米をローター粉砕してα化玄米粉にする粉砕装置3と、を備える。
粗割装置4は、玄米を粗割することができるものであればよく、公知のものを使用することができる。
洗米装置5は、玄米を洗米することができるものであればよく、公知のものを使用することができる。
この粗割玄米を1分間洗米する。
この洗米した玄米粉を水分調整装置1に供給する。
図7は、本実施形態に係るα化玄米粉製造方法を示すフローチャート図である。
図7を参照すると、本実施形態のα化玄米粉製造方法103は、玄米を粗割する粗割工程S4と、この粗割された玄米を洗米する洗米工程S5と、この洗米された玄米を水に浸漬して玄米内部の水分量を調節する水分調節工程S1と、水分調節工程1で得られた玄米を加熱・加圧してα化した後、膨張させてパフ化するパフ化工程S2と、このパフ化された玄米をローター粉砕してα化玄米粉にする粉砕工程S3と、を備える。粗割工程S4及び洗米工程S5以外の工程は実施の形態1と同じであるので、これらの説明を省略する。
粗割工程S4では、粗割装置4を用いて、玄米を粗割する。
洗米工程S5では、洗米装置5を用いて、この粗割玄米を1分間洗米する。
この後、この洗米した玄米を用いて水分調整工程1を実施する。
実施の形態2において、粗割装置4及び洗米装置5のいずれかを省略してもよい。また、粗割工程S4及び洗米工程S5のいずれかを省略してもよい。
本発明の実施の形態3は、α化玄米粉を例示するものである。
実施の形態3のα化玄米粉は、水分量が5〜15%であり、より望ましくは6〜10%である。このα化玄米粉は、例えば、実施形態1又は実施形態2のα化玄米粉製造装置及びα化玄米粉製造方法により製造することができる。
このα化玄米粉は、水分量が6〜10%であり、従来の玄米粉に比べて、所望の水分量を備え、且つ高いα化度を有している(後述の実施例参照)。
水分量が6%未満だと、吸水性や油とのなじみ具合等の加工容易性が損なわれる虞があり、望ましくない。
水分量が15%を超える場合、細菌やカビ等の微生物が繁殖し易くなり、保存性が悪くなる虞があり、望ましくない。
α化度が70%未満だと、α化玄米粉の消化が悪くなる虞がある。
また、α化玄米粉の粘りが低下するため、α化玄米粉を原料として用いた菓子類やパン類等にしっとり感を提供できない虞があるため、望ましくない。
加えて、水分量が15%以下であり、且つα化度が70%以上であることにより、香りが優れ風味がよいという優れた効果も奏する。
本発明の実施の形態4は、増粘剤を例示するものである。
実施の形態4の増粘剤は、α化玄米粉を主成分として含む。α化玄米粉は、例えば、実施の形態1又は実施の形態2のα化玄米粉製造装置及びα化玄米粉製造方法により製造することができる。しかし、これには限定されず、公知のα化玄米粉製造方法を用いてもよい。
この増粘剤によれば、米粉を含む増粘剤に比べて、風味が増す。また、所望の水分量を備え、且つα化度が高いので、増粘機能が向上し、当該増粘剤を添加された食品用原料の粘性がより増大する効果を奏する。
本発明の実施の形態5は、食品を例示するものである。
実施の形態5の食品は、実施の形態4の増粘剤を含む。この食品によれば、実施の形態4の増粘剤を含むので、添加剤を減らすことができ、増粘剤としての玄米粉によって、食品のレパートリーが増加し、新たな需要を発展させる効果を奏する。
尚、以下に示す実施例は一例であって、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例において、玄米はキヌヒカリ(八釣山産)を用いた。
(粗割工程)
玄米10kgを、粗割装置(株式会社西村機械製作所製、ミニロールミル)を用いて粗割した。
洗米した玄米10kgを、桶に投入した。投入した玄米の水分量は13%であったため、投入した玄米1kgに対して、水0.03〜0.05kgを水分調節装置に加水し、15〜30分玄米を水に浸漬させた。15分水に浸漬させた玄米の水分量は16〜18%であった。
水分量を調節した玄米を、パフ化装置(株式会社西村機械製作所製、パフマシン)に投入した。
パフ化装置に投入した玄米を、150kg/cm2の圧力で加圧し且つ150℃に加熱してα化し、α化玄米を製造した。
製造したα化玄米粉を加圧した状態で大気中に押し出して減圧することにより、α化玄米を膨張させ、パフ化したα化玄米を製造した。
このパフ化したα化玄米を、パフ化装置内のカッターによって片状に切断し、片状のパフ化したα化玄米を得た。
片状のパフ化したα化玄米を、粉砕装置(株式会社西村機械製作所製、スーパーパウダーミル)に投入した。
粉砕装置のローターの回転により、片状のパフ化したα化玄米が互いにぶつかり合って粉砕されることにより、α化玄米粉を得た。
得られたα化玄米粉の粒径は20μm〜80μmであった。
叙上の粗割工程〜粉砕工程によって得られたα化玄米粉の含水率及びα化度を試験した。
試験(分析試験項目:糊化(α化)度)は、一般財団法人日本食品分析センターで実施された。試験は、グルコアミラーゼ第二法で実施された。
試験の結果、本発明に係るα化玄米粉は、水分量が6〜10%であり、α化度が95%であることがわかった。このように、本発明に係るα化玄米粉は高いα化度を有するので、香りが優れ風味がよく消化に優れており、且つ粘りを有するので小麦粉の代替として用いることができる。
それゆえに、本発明に係るα化玄米粉製造方法を用いることによって、玄米の発芽処理工程を不要とし、更に、焙煎を行わず加熱・加圧することによって、栄養素を損なわずに殺菌し、所望の水分量を備え、α化度が高く、且つ歩留まりが高いα化玄米粉を得ることができることがわかった。
(粗割工程)
玄米10kgを、粗割装置(株式会社西村機械製作所製、ミニロールミル)を用いて粗割した。
洗米した玄米10kgを、桶に投入した。投入した玄米の水分量は12%であったため、投入した玄米1kgに対して、水0.03〜0.05kgを水分調節装置に加水し、15〜30分玄米を水に浸漬させた。30分水に浸漬させた玄米の水分量は17〜18%であった。
水分量を調節した玄米を、パフ化装置(株式会社西村機械製作所製、パフマシン)に投入した。
パフ化装置に投入した玄米を、150kg/cm2の圧力で加圧し且つ150℃に加熱してα化し、α化玄米を製造した。
製造したα化玄米粉を加圧した状態で大気中に押し出して減圧することにより、α化玄米を膨張させ、パフ化したα化玄米を製造した。
このパフ化したα化玄米を、パフ化装置内のカッターによって片状に切断し、片状のパフ化したα化玄米を得た。
片状のパフ化したα化玄米を、粉砕装置(株式会社西村機械製作所製、スーパーパウダーミル)に投入した。
粉砕装置のローターの回転により、片状のパフ化したα化玄米が互いにぶつかり合って粉砕されることにより、α化玄米粉を得た。
得られたα化玄米粉の粒径は20μm〜80μmであった。
叙上の粗割工程〜粉砕工程によって得られたα化玄米粉の含水率及びα化度を試験した。
試験(分析試験項目:糊化(α化)度)は、一般財団法人日本食品分析センターで実施された。試験は、グルコアミラーゼ第二法で実施された。
試験の結果、本発明に係るα化玄米粉は、水分量が8〜10%であり、α化度が80%であることがわかった。このように、本発明に係るα化玄米粉は高いα化度を有するので、香りが優れ風味がよく消化に優れており、且つ粘りを有するので小麦粉の代替として用いることができる。
それゆえに、本発明に係るα化玄米粉製造方法を用いることによって、玄米の発芽処理工程を不要とし、更に、焙煎を行わず加熱・加圧することによって、栄養素を損なわずに殺菌し、所望の水分量を備え、α化度が高く、且つ歩留まりが高いα化玄米粉を得ることができることがわかった。
上記実施例1〜2のα化玄米粉を用いて官能試験を実施した。
実施例1〜2のα化玄米粉を使用してクッキーを作成した。
下記表1の分量で無塩バター、卵、グラニュー糖、α化玄米粉、玄米粉、食塩、及びバニラエッセンスを混合して生地を作成した。
生地を冷暗所で30分寝かした後、170℃のオーブンで20分焼き上げてクッキーを作成した。
2 パフ化装置
3 粉砕装置
4 粗割装置
5 洗米装置
11 ホッパー
12 供給器
13 供給筒
14 押出機
14a 受入筒
15 主軸
16 シリンダー
16a 押出口
17 回転動力伝達機構
18 冷却筒
19 フード
19a 開口
20 ブロア
31 ローター
31a 第1ローター
31b 第2ローター
31c 第3ローター
31d 第4ローター
31e 第5ローター
32 ファン
33 オリフィス板
34 筐体
35 ライナー
36 ブレード
37 原料フィーダ
38 捕集容器
39 空気導入口
40 排出口
42 回転軸
43 ホッパー
44 サイクロン
100 α化玄米粉製造システム
101 α化玄米粉製造方法
102 α化玄米粉製造システム
103 α化玄米粉製造方法
S1 水分調節工程
S2 パフ化工程
S3 粉砕工程
S4 粗割工程
S5 洗米工程
Claims (9)
- 玄米を水に浸漬して玄米内部の水分量を調節する水分調節工程と、
前記水分量が調節された玄米を加熱・加圧してα化した後、膨張させてパフ化するパフ化工程と、
前記パフ化された玄米をローター粉砕してα化玄米粉にする粉砕工程と、を備えるα化玄米粉製造方法。 - 前記水分調節工程の前に玄米を粗割する粗割工程をさらに備える、請求項1に記載のα化玄米粉製造方法。
- 前記水分調節工程の前に玄米を洗米する洗米工程、又は前記粗割工程と前記水分調節工程との間に玄米を洗米する洗米工程をさらに備える、請求項1又は2に記載のα化玄米粉製造方法。
- 玄米を水に浸漬して玄米内部に水を浸透させる水分調節装置と、
前記水分量が調節された玄米を加熱・加圧してα化した後、膨張させてパフ化するパフ化装置と、
前記パフ化された玄米をローター粉砕してα化玄米粉にする粉砕装置と、を備えるα化玄米粉製造システム。 - 前記水分調節装置で水に浸漬される前に前記玄米を粗割する粗割装置をさらに備える、請求項4に記載のα化玄米粉製造システム。
- 前記水分調節装置で水に浸漬する前に前記玄米を洗米する洗米装置、又は前記粗割装置で粗割された玄米を前記水分調節装置で水に浸漬する前に前記玄米を洗米する洗米装置をさらに備える、請求項4又は請求項5に記載のα化玄米粉製造システム。
- 水分量が15%以下であり、α化度が70%以上であるα化玄米粉。
- α化玄米粉を主成分として含む増粘剤。
- 前記請求項8に記載の増粘剤を含む食品。
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