JP2018078769A - 振動型アクチュエータの制御方法、振動型駆動装置及び電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】振動型アクチュエータに生じた故障や振動型アクチュエータとこれを駆動する駆動回路との間の接続経路に生じた故障を検知する。【解決手段】圧電素子1を備える振動体に振動を励起してロータ9を駆動する振動型アクチュエータ120の駆動回路110は、振動型アクチュエータ120が起動する第1の周波数帯域よりも高周波側の第2の周波数帯域の範囲内の周波数の駆動電圧を発振部3、増幅部4を通して圧電素子1に印加し、駆動電圧の電圧振幅を計測し、振動体の固有振動モードの共振周波数ではないピークを検出し、検出したピークの周波数とQ値の少なくとも一方の値を推定し、推定した値が所定の範囲内にない場合に、増幅部4、振動型アクチュエータ120、増幅部4と圧電素子1とを接続するケーブル2のいずれかに故障が発生したと判定する。【選択図】図1
Description
本発明は、振動型アクチュエータの制御方法、振動型駆動装置及び電子機器に関する。
振動型アクチュエータの駆動には、概ね、電圧振幅が数10V〜300V、周波数が20kHz以上の交流の駆動電圧が必要となるため、振動型アクチュエータの駆動回路には、一般的に、トランスやコイルを用いた電力増幅回路が含まれている。電力増幅回路は、スイッチング素子によるブリッジ回路や高出力のオペアンプ等の波形生成部と、トランスやコイルによる昇圧部とで構成されている。そして、通常、トランスやコイルによる誘導性の出力インピーダンスと振動型アクチュエータの容量性の入力インピーダンスは、振動型アクチュエータの通常動作の駆動周波数で整合するように、インピーダンス調整がなされている。例えば、特許文献1には、波形生成部、コイル及びLCフィルタを用いて、波形歪の少ない正弦波を生成して振動型アクチュエータに供給する回路構成が記載されている。
ところで、振動型アクチュエータは、構成が簡単で小型化と軽量化が容易でありながら、出力トルクが大きいという特徴を備えているため、このような特徴を生かして、小型のロボットハンド等に応用されている。振動型アクチュエータをロボットに適用する場合には、ロボットの軽量化の観点から、振動型アクチュエータの駆動回路はロボット内に設けられずに屈曲可能な長いケーブルで振動型アクチュエータと接続されるため、ケーブルに断線が生じるリスクが高くなる。また、多目的の用途に使用するために振動型アクチュエータが組み込まれたユニットを交換して使用する用途では、コネクタの挿抜によって接続部に故障や劣化が生じるリスクが高くなる。よって、振動型アクチュエータとその駆動装置とを接続するケーブル等の状態をモニタし、適切な処置を行う技術が必要とされる。
前述の特許文献1には、振動型アクチュエータに印加される駆動電圧をハイパスフィルタに通して計測することでPWM変調搬送波の周波数成分を駆動電圧の周波数から分離して計測し、その振幅の大小でケーブルの断線の有無を検出する技術が提案されている。すなわち、PWM変調搬送波は、正常時にはLCフィルタのローパスフィルタ効果によって減衰されるために振幅は非常に小さくなるが、断線時にはLCフィルタの効果が衰えるために振幅が大きくなることを利用して、断線の有無を判定することができる。
上記特許文献1に記載された技術では、ハイパスフィルタを通して振動型アクチュエータに印加される駆動電圧のPWM変調搬送波の振幅を検出するために、駆動電圧の基本周波数成分をカットしている。したがって、駆動電圧全体の振幅を検出することはできない。そのため、例えば、圧電素子がショートして駆動電圧が0Vになっても、振動型アクチュエータやコイルの故障によって駆動電圧の振幅が所定値より大きくなっても、それらのことを検出することができない。また、上記特許文献1に記載された技術では、コネクタ等の接触抵抗の増加や圧電素子の分極の劣化等の微妙な変化を検出することができない。
本発明は、振動型アクチュエータに生じた故障や振動型アクチュエータとこれを駆動する駆動回路との間の接続経路に生じた故障を検知することを可能にする振動型駆動装置を提供することを目的とする。
本発明に係る振動型駆動装置は、電気−機械エネルギ変換素子を有する振動体と、前記振動体と加圧接触する被駆動体とを備え、前記電気−機械エネルギ変換素子に交流駆動電圧を印加して前記振動体に振動を励起することにより前記被駆動体を摩擦駆動して前記振動体と前記被駆動体とを相対的に移動させる振動型アクチュエータと、前記振動型アクチュエータの駆動を制御する駆動手段と、を備える振動型駆動装置であって、前記駆動手段は、所定の電圧振幅と周波数を有する交流波形信号を生成する生成手段と、前記交流波形信号を増幅して前記電気−機械エネルギ変換素子に印加する交流駆動電圧を出力する増幅手段と、前記増幅手段と前記振動型アクチュエータとを接続する接続手段と、前記電気−機械エネルギ変換素子に印加される交流駆動電圧の電圧振幅を計測する計測手段と、前記振動型アクチュエータが駆動する第1の周波数帯域よりも高周波側の第2の周波数帯域の範囲内において前記計測手段により計測された電圧振幅に基づいて前記振動体の固有振動モードの共振周波数ではないピークを検出する検出手段と、前記検出手段が検出したピークの周波数とQ値の少なくとも一方の値を推定する推定手段と、前記推定手段が推定した値が所定の範囲内にない場合に、前記接続手段、前記増幅手段または前記振動型アクチュエータに故障が発生したと判定する判定手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、振動型アクチュエータに生じた故障や振動型アクチュエータとこれを駆動する駆動装置との間の接続経路に生じた故障を検知することができる。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。図1(a)は、本発明の第1実施形態に係る振動型駆動装置100の概略構成を示すブロック図である。振動型駆動装置100は、振動型アクチュエータ120と、振動型アクチュエータ120の駆動と制御を司る駆動回路110を備える。
図1(b)は、振動型駆動装置100を構成する振動型アクチュエータ120の概略構成を示す側面図である。図2(a)は、振動型アクチュエータ120が有する圧電素子1の電極構造を説明する平面図であり、図2(b)は、圧電素子1に印加される駆動電圧の波形を示す図である。ここでは、まず、図1(b)と図2を参照して振動型アクチュエータ120の構成と駆動原理について説明する。
振動型アクチュエータ120は、圧電素子1、弾性体7、摩擦材8、ロータ9及び回転軸10を有する。電気−機械エネルギ変換素子である圧電素子1は、例えば、薄板状で円環状の圧電セラミックスの表裏面に後述の通りに電極が形成された構造を有する。弾性体7は、円環状の形状を有し、金属又はセラミックからなる。圧電素子1は弾性体7に形成された平滑面に接着剤を用いて接合されており、圧電素子1と弾性体7により振動体が構成される。弾性体7において圧電素子1が接合されている面の反対側の面には、振動体に励起される振動を拡大するための凹凸部が周方向に交互に形成されている。弾性体7の凹凸部の先端部には、耐摩耗性を高めるための摩擦材8が設けられている。
弾性体7は、摩擦材8を介してロータ9に不図示の加圧手段により一定の圧力で押圧されると共に不図示の保持手段によって所定位置に保持されている。被駆動体であるロータ9は不図示の保持手段に回転自在に保持されており、ロータ9の中心には外部に回転駆動力を取り出すための回転軸10が固定されている。圧電素子1に交流の駆動電圧を印加することにより、振動体に振動が励起される。
圧電素子1は、圧電セラミックスの表面(一方の面)に、図2(a)に示すように、円周に沿って24個の電極が設けられた構造を有する。また、圧電セラミックスの不図示の裏面(他方の面)には、裏面全体に1つの共通電極(全面電極)が形成されており、圧電セラミックスは厚さ方向に分極されている。圧電セラミックスの表面に設けられた24個のうち23個の電極は、周方向において3つおきに不図示のフレキシブルケーブル等を用いて接続されることで、4つの電極群1a,1b,1c,1dに分かれている。残る1個の電極1eは、振動検出用の電極であり、圧電素子1に振動が励起されたときに圧電効果によって発生する電圧の検出に用いられる。
電極群1a〜1dと共通電極との間にはそれぞれ、駆動回路110によって、図2(b)に示すような位相が90度ずつずれた4相の正弦波の駆動電圧A1,B1,A2,B2が印加される。これにより圧電素子1に変形が生じることで、弾性体7の凹凸部の先端には、周方向に略等間隔に波数が6つの曲げ振動が励起され、進行性の振動波(以下「進行波」という)が発生する。このとき、ロータ9は、弾性体7の凹凸部の先端に設けられた摩擦材8に加圧接触しているため、振動体に励起された進行波によって摩擦駆動されることによって回転軸10を中心として回転する。ロータ9の回転運動に伴って回転軸10も回転するため、ロータ9の回転駆動力を回転軸10を介して外部に出力することができる。よって、回転軸10に不図示の駆動対象物を取り付けることにより、駆動対象物を駆動することができる。駆動対象物は、回転軸10に直接的に取り付けられていてもよいし、ギア等を介して間接的に取り付けられていてもよく、また、回転軸10の回転に伴って回転するものであってもよいし、ギア等を介して直進運動を行うものであってもよい。
なお、駆動電圧B1,B2を入れ替えると、進行波の進行方向が反転させて、ロータ9を逆方向に回転させることができる。また、弾性体7には材質や形状によって決まる固有振動モードがあり、圧電素子1に印加する駆動電圧の周波数を固有振動モードの共振周波数に近付けることにより、進行波を効率よく励起することができる。
なお、振動型駆動装置100は、不図示であるが、駆動対象物を駆動して所定の位置に位置決めするために、駆動対象物の位置を検出する位置検出手段を備えており、位置検出手段からの位置情報に基づいて振動型アクチュエータ120の駆動制御が行われる。駆動対象物の位置情報を振動型アクチュエータ120の駆動制御に用いる技術には、周知の技術を用いることができ、また、本発明とは直接の関係がないため、説明を省略する。
次に、図1(a)を参照して、駆動回路110の構成と機能について詳細に説明する。図1(a)には、駆動回路110のうち電極群1aに駆動電圧A1を供給する部分のみを示している。電極群1b,1c,1dのそれぞれに対して駆動電圧B1,A2,B2を供給する各部の構成は、電極群1aに駆動電圧A1を供給する部分と同じであるため、図示を省略し、説明も省略する。
駆動回路110は、ケーブル2、発振部3、増幅部4、電圧計測部5及びCPU6を有する。ケーブル2は、圧電素子1の電極群1aに駆動電圧A1を供給する。発振部3は、所定の周波数と電圧振幅を有する交流波形信号を生成する。以下、発振部3からは、所定の周波数と電圧振幅を有する正弦波信号が出力されるものとして説明する。
増幅部4は、アンプ4aとトランス4bを有し、発振部3から出力される正弦波信号を所定の電圧振幅へ昇圧する。トランス4bの出力はケーブル2を介して電極群1aに接続されている。電圧計測部5は、トランス4bの出力電圧、つまり、トランス4bが出力する駆動電圧A1の電圧振幅を計測している。CPU6は、内臓された不図示のA/D変換器によって電圧計測部5から出力される電圧信号を取り込み、不図示の指令手段からの動作指令と電圧計測部5からの入力に応じて発振部3から出力する正弦波信号の電圧振幅と周波数を設定している。CPU6は、ここでは、各種の演算処理を行うプロセッサ(CPU)だけでなく、プロセッサが実行するプログラムを格納したROM、ROMから読み出したプログラムを展開するRAMを有するものとする。
図3は、振動型アクチュエータ120を駆動する際のCPU6の動作を示すフローチャートである。図3のフローチャートの各処理は、CPU6のプロセッサが自身のROMに格納されたプログラムを自身のRAMに展開して、振動型駆動装置100を構成する各部の動作を制御することにより実現される。
ステップS1においてCPU6は、故障検査ルーチンを実行する。故障検査ルーチンの詳細については後述する。ステップS2においてCPU6は、ステップS1での故障検査ルーチンの結果に基づいて、トランス4b、ケーブル2及び振動型アクチュエータ120(振動体)に故障が発生しているか否かを判定する。CPU6は、故障が発生していると判定した場合(S2でYES)、処理をステップS3へ進め、故障が発生していないと判定した場合(S2でNO)、処理をステップS4へ進める。ステップS3においてCPU6は、エラー情報を外部へ出力する。エラー情報の出力は、例えば、駆動回路110に設けられた不図示の表示部へのエラー情報の表示や音声等による警報(ユーザへの通知)によって行うことができ、後述するステップS11でのエラー情報の出力もこれと同様に行うことができる。ステップS3の終了により、本処理は終了となる。
ステップS4においてCPU6は、発振部3に対して、正弦波信号の周波数Freqに所定の周波数Fsを設定すると共に、正弦波信号の電圧振幅Voに電圧振幅V0を設定する。これにより、発振部3から出力される正弦波信号は増幅部4で増幅されて圧電素子1の電極群1aに印加される。ステップS5においてCPU6は、電極群1aに印加された印加電圧振幅Vdを電圧計測部5により所定時間ごとに計測する。ステップS6においてCPU6は、印加電圧振幅Vdが最大電圧Vmaxより大きいか否かを判定する。CPU6は、Vd>Vmaxであると判定した場合(S6でYES)、処理をステップS7へ進め、Vd≦Vmaxであると判定した場合(S6でNO)、処理をステップS8へ進める。
ステップS7においてCPU6は、電圧振幅Voから所定の電圧dVを減算し、その後、処理をステップS5へ戻す。ステップS8においてCPU6は、印加電圧振幅Vdが所定の電圧振幅Vstdより小さいか否かを判定する。CPU6は、Vd<Vstdであると判定した場合(S8でYES)、処理をステップS9へ進め、Vd≧Vstdであると判定した場合(S8でNO)、処理をステップS12へ進める。ステップS9においてCPU6は、正弦波信号の電圧振幅Voが予め定められた最大電圧Vomaxより小さいか否かを判定する。CPU6は、Vo<Vomaxであると判定した場合(S9でYES)、処理をステップS10へ進め、Vo≧Vomaxであると判定した場合(S9でNO)、処理をステップS11へ進める。
ステップS10においてCPU6は、電圧振幅Voに所定の電圧dVを加算し、その後、処理をステップS5へ戻す。ステップS6〜S10の処理では、印加電圧振幅Vdが所定の電圧振幅Vstdに到達したかを評価し、正弦波信号の電圧振幅Voを電圧dVずつ増減する動作を繰り返すことで、印加電圧振幅Vdを所定の電圧振幅Vstdに近付け、その状態を維持している。また、ステップS6〜S10の処理では、印加電圧振幅Vdができる限り最大電圧Vmaxを超えないように正弦波信号の電圧振幅Voの制御が行われている。ステップS11においてCPU6は、振動型駆動装置100に故障が発生したと判定し、ステップS3と同様にエラー情報を出力し、続いて処理をステップS13へ進める。つまり、所定の電圧振幅Vstdは、振動型アクチュエータ120の駆動を正常に行うことができない何らかの故障が発生したと判定するための閾値である。
ステップS12においてCPU6は、不図示の指令手段からの停止指令が入力されたか否かを判定する。CPU6は、停止指令が入力されたと判定した場合(S12でYES)、処理をステップS13へ進め、停止指令は入力されていないと判定した場合(S12でNO)、処理をステップS5へ戻す。ステップS13においてCPU6は、正弦波信号の電圧振幅Voを(ゼロ)に設定する。これにより、振動型アクチュエータ120の駆動は停止され、本処理は終了となる。
図4は、ステップS1の故障検知ルーチンのフローチャートである。例えば、トランス4bとケーブル2とがコネクタで接続されている場合とケーブル2と圧電素子1とがコネクタで接続されている場合には、各コネクタにおける接触不良によって抵抗が増加し、ケーブル2に断線が生じることで抵抗が増加する。そこで、故障検知ルーチンでは、ケーブル2を含むトランス4bから圧電素子1の電極群1aまでの部分に断線や接触不良による抵抗増加を検知することで、トランス4b、ケーブル2及び振動型アクチュエータ120の故障をとして、最初に、ステップS31においてCPU6は、発振部3に対して、正弦波信号の周波数Freqに故障検出のための所定の周波数Fdetを設定すると共に、正弦波信号の電圧振幅Voに電圧振幅V0を設定する。これにより、発振部3から出力される正弦波信号は増幅部4で増幅されて圧電素子1の電極群1aに印加される。なお、周波数Fdetの決定方法については後述する。
故障検出のための電圧振幅Voの制御方法は、ステップS5〜S13とほぼ同等である。すなわち、ステップS32においてCPU6は、電極群1aに対する印加電圧振幅Vdを電圧計測部5により所定時間ごとに計測する。ステップS33においてCPU6は、印加電圧振幅Vdが最大電圧Vmaxより大きいか否かを判定する。CPU6は、Vd>Vmaxであると判定した場合(S33でYES)、処理をステップS34へ進め、Vd≦Vmaxであると判定した場合(S33でNO)、処理をステップS35へ進める。
ステップS34においてCPU6は、電圧振幅Voから所定の電圧dVを減算し、その後、処理をステップS32へ戻す。ステップS35においてCPU6は、印加電圧振幅Vdが所定の電圧振幅Vdetより小さいか否かを判定する。CPU6は、Vd<Vdetであると判定した場合(S35でYES)、処理をステップS36へ進め、Vd≧Vdetであると判定した場合(S35でNO)、処理をステップS38へ進める。ステップS36においてCPU6は、正弦波信号の電圧振幅Voが予め定められた最大電圧Vomaxより小さいか否かを判定する。CPU6は、Vo<Vomaxであると判定した場合(S36でYES)、処理をステップS37へ進め、Vo≧Vomaxであると判定した場合(S36でNO)、処理をステップS40へ進める。
ステップS37においてCPU6は、電圧振幅Voに所定の電圧dVを加算し、その後、処理をステップS32へ戻す。ステップS38においてCPU6は、Voが所定の範囲内か否かを判定する。CPU6は、電圧振幅Voが所定の範囲内であると判定した場合(S38でYES)、処理をステップS39へ進め、電圧振幅Voが所定の範囲内にないと判定した場合(S38でNO)、処理をステップS40へ進める。ステップS39においてCPU6は、ケーブル2を含むトランス4bから圧電素子1の電極群1aまでの部分は正常である(故障は発生していない)と判定する。一方、ステップS40においてCPU6は、ケーブル2を含むトランス4bから圧電素子1の電極群1aまでの部分に故障が発生していると判定する。
このように本実施形態では、印加電圧振幅Vdが故障検出用の電圧振幅Vdetに達するのを待って、正弦波信号の電圧振幅Voの大きさに基づいて故障判定を行う。正弦波信号の電圧振幅Voが予め決定された上限値より大きい場合には、増幅部4のゲインが想定されるゲインより小さくなっており、逆に電圧振幅Voが予め決定された下限値より小さい場合には、増幅部4のゲインが大きくなったことを示している。よって、正弦波信号の電圧振幅Voが、所定範囲(下限値以上、上限値以下の範囲)から外れた場合には故障が発生したと判定し、所定範囲内であれば正常であると判定することとしている。
ステップS39,S40の終了後、処理はステップS41へ進められ、ステップS41においてCPU6は、正弦波信号の電圧振幅Voを(ゼロ)に設定する。これにより、故障検査ルーチンは終了となる。
図5(a)〜(c)はそれぞれ、トランス4bへの入力電圧振幅を一定とした場合の周波数とトランス4b(増幅部4)の出力電圧振幅の関係を示すグラフであり、横軸には周波数が取られており、縦軸には出力電圧振幅が取られている。また、図5(a)〜(c)において、実線のグラフは、ケーブル2を含む増幅部4から圧電素子1までの部分が正常な状態にあるときの特性を模式的に示しており、よって、実線のグラフは図5(a)〜(c)において共通している。図5(a)〜(c)において、破線はケーブル2を含む増幅部4から圧電素子1までの部分に故障が発生したときの特性を模式的に示している。
図5(a)は、ケーブル2に断線が発生した場合のトランス4bの出力電圧振幅の変化を説明するグラフである。図5(b)は、ケーブル2を含むトランス4bから圧電素子1の電極群1aまでの接続に接触不良等による抵抗増加が発生した場合の出力電圧振幅の変化を説明するグラフである。図5(c)は、ケーブル2に断線が発生し、且つ、ケーブル2を含むトランス4bから圧電素子1の電極群1aまでの接続不良とが複合的に発生した場合の出力電圧振幅の変化を説明するグラフである。
振動型アクチュエータ120は、周波数F0から周波数F1までの第1の周波数帯域で駆動され、振動型アクチュエータ120の弾性体7(振動体)に上述した進行波を励起させるための振動モードの共振周波数は、第1の周波数帯域に含まれる。通常、第1の周波数帯域は、振動型アクチュエータ120の駆動に必要な振動モードの共振周波数のみを含むように設定され、本実形態でも、上述した進行波を発生させる振動モード以外の振動モードを含まない範囲に設定されている。周波数F1より高周波側の周波数帯域は、振動型アクチュエータ120の駆動に用いない周波数帯域である。そして、この周波数帯域の中に、共振特性によるピーク特性を含み、第1の周波数帯域の電圧振幅V1より電圧振幅が大きくなる周波数F2から周波数F3までの第2の周波数帯域がある。第2の周波数帯域に現れる共振特性は、トランス4bの2次側漏れインダクタンスに起因しており、主に2次側漏れインダクタンスと圧電素子1の等価容量との共振によって生じている。2次側漏れインダクタンスは、等価的にはトランス4bの2次側と圧電素子1の電極群1aの間に直列に挿入され、電極群1aの等価容量と直列共振系を構成している。本実施形態では、第2の周波数帯域のピーク特性の変化を検出することにより、ケーブル2を含むトランス4bから圧電素子1の電極群1aまでの接続部の故障を検出している。具体的には、第2の周波数帯域の範囲内の1つ以上の周波数で発振部3から出力される正弦波信号と増幅部4から出力される駆動電圧A1の間のゲイン(トランス4bの入出力間のゲイン)を計測する。そして、計測されたゲインの値が所定範囲から外れる場合に故障が発生したと判定している。
ケーブル2が断線した場合のトランス4bの出力電圧振幅の変化について、図5(a)を参照して説明する。ケーブル2が断線すると、圧電素子1の電極群1aとトランス4bとの接続が切断されるため、トランス4bの2次側に並列に接続されていた静電容量は電極群1aの等価容量とケーブル2の電線間容量の合成容量からケーブル2の電線間容量だけに減少する。こうして静電容量が減った分だけ、図5(a)中の破線で示されるように、ケーブル2が正常な状態で第2の周波数帯域に現れるはずの共振ピーク(以下単に「共振ピーク」という)の周波数が高周波側にシフトする。図5(a)に示す共振ピークの高周波側へのシフトは、ケーブル2の断線が原因である場合に限定されない。例えば、共振ピークの同様のシフトは、圧電素子1の電極群1aの一部の電極が破損して電極面積が小さくなった場合や、電極群1aに接着される給電用の不図示のフレキシブルケーブルの一部が断線した場合にも同様に現れる。
トランス4bの2次側にコンデンサを予め並列に接続することで、共振ピークのシフト量を調整することができる。これにより、ケーブル2がトランス4bに近いところで断線した場合でも、トランスの2次側の共振特性を保つことができるため、共振ピークが高周波側にシフトする。なお、トランス4bの2次側にコンデンサを並列に接続することは、トランス4bの2次側のインダクタンスと圧電素子1の静電容量及びケーブル2の電線間容量の周波数マッチングを得るために一般的に行われている。これは、異なる振動型アクチュエータを駆動する際やケーブル長が異なる場合の回路効率を改善することができるからである。一方で、トランス4bの2次側にコンデンサを予め並列に接続しなかった場合には、ケーブル2の断線箇所によってはトランス4bの2次側の共振現象が殆ど観測されない場合がある。この場合には、共振ピークが第2の周波数帯域に現れないため、共振ピークは非常に高い周波数にシフトしたと判定することで故障を検知することができる。
ケーブル2を含むトランス4bから圧電素子1の電極群1aまでの接続に接触不良等による抵抗増加が発生した場合の出力電圧振幅の変化について、図5(b)を参照して説明する。ケーブル2の折り曲げや不図示のコネクタの挿抜を繰り返すと、ケーブル2を構成する銅線が徐々に切断され、切れずに残っている電線が少なくなることで電気抵抗が大きくなる。また、コネクタの挿抜を繰り返すと、コネクタの接触面に傷が付いたり不純物が挟まったりすることで、接続部での電気抵抗が大きくなる。
コネクタには、トランス4bとケーブル2との接続部に設けられるものと、ケーブル2と振動型アクチュエータ120との接続部に設けられるものとがある。トランス4bと接続される圧電素子1の電極群1aやケーブル2の静電容量の変化が小さくても、共振ピークの高さが図5(b)に示す破線のように低くなってゆく。ケーブル2とその接続部での電気抵抗が大きくなると、電気抵抗が大きくなった部分で発熱が生じて更に劣化が進むため、ケーブル2とその接続部での電気抵抗の増大を早期に検知することは、安全性の向上に寄与する。
図5(a),(b)について、共振周波数の変化と減衰特性の変化とを分けて説明したが、実際には共振周波数の変化と連動して減衰特性も変化する。例えば、ケーブル2が断線すると、断線後に共振系を構成する静電容量が小さくなると共に減衰特性が相対的に大きくなることで、ゲインのピークが低くなる場合もある。この場合、1つの周波数のゲインだけを計測しても、共振周波数のシフトを検出することはできない。図5(c)の破線はこのような例を示しており、共振ピークが高周波側にシフトすると共に、共振ピークの高さが低くなっている。このような共振ピークの周波数の変化と減衰特性の変化とを分離して推定するためには、少なくとも第2の周波数帯域における2つ以上の周波数で増幅部4の特性を計測する必要がある。
図4を参照して説明した故障検出ルーチンでは、1つの周波数で増幅部4から出力される駆動電圧A1と発振部3から出力される正弦波信号の振幅比(ゲイン)が変化したことを検出することで故障を検出している。この場合、共振ピークの周波数がシフトしたのか或いは減衰特性の変化で共振ピークの高さが変化したのかを区別することができない。しかし、共振ピークの周波数よりも低い周波数Fdetでゲインを計測することにより、ケーブル2が断線した場合と減衰が増えて共振ピークが低くなった場合の両方を同じ方向の変化として検出することができるため、故障検出は可能である。また、共振ピークの周波数の変化と共振ピークの高さの変化を独立して検出するためには、図5(c)についての説明で述べたように、複数の周波数でゲインを計測する必要がある。例えば、周波数Fdetから高周波側に周波数を連続的又は離散的に掃引しながら、電圧計測部5で印加電圧振幅Vdを計測する。そして、ピーク周波数を探索しながら、共振ピーク又は共振ピークより高い所定の周波数までの電圧振幅特性から、共振特性のQ値や共振周波数を推定することができる。周波数の設定は、低周波側から高周波側への掃引に限らず、高周波側から低周波側への掃引を用いて行ってもよく、第2の周波数帯域の範囲内でランダムに抽出する方法を用いてもよい。
図5を参照して故障検出の原理について説明したが、実際にはトランス4bからの出力電圧振幅に振動型アクチュエータ120の機械的共振特性に起因する特性が重畳されるため、その特性に影響されずに共振ピークやQ値を検出する対策を講じる必要がある。以下、この対策について説明する。図6は、振動型アクチュエータ120の機械的共振特性の影響を考慮してトランス4bの入力電圧振幅を一定とした場合の周波数とトランス4bの出力電圧振幅の関係を示すグラフである。図6中、実線はケーブル2を含む増幅部4から圧電素子1までの部分が正常な状態にあるときの特性を示しており、破線はケーブル2を含む増幅部4から圧電素子1までの部分に故障が発生したときの特性を示している。
周波数Fr5,Fr6,Fr7,Fr8,Fr9はそれぞれ、振動型アクチュエータ120の弾性体7(振動体)に形成される曲げ振動の波数に応じた機械的共振周波数であり、数字は波数に対応している。周波数Fr6は、周波数F0〜F1の範囲のほぼ下限にあり、第1の周波数帯域に含まれている。振動型アクチュエータ120の駆動時には、圧電素子1の電極群1aに印加される駆動電圧の周波数Fsは周波数Fr6に近く、且つ、周波数Fr6より高い周波数に設定される。周波数Fsの駆動電圧が電極群1aに印加されると、弾性体7(振動体)に波数が6つの曲げ振動が励起される。図6に示す実線及び破線の各グラフには、第1の周波数帯域の範囲内の周波数Fr6近傍において振動型アクチュエータ120の機械的共振の影響による小さなピークが現れている。周波数F2〜F3の範囲は第2の周波数帯域であり、第2の周波数帯域には波数が8つの機械的共振周波数である周波数Fr8が含まれている。そのため、第2の周波数帯域に現れる共振ピークは、図5では1つの滑らかな山となっているが、図6では周波数Fr8の近傍に振動型アクチュエータ120の機械的共振の影響による小さなピークが現れている。
このように振動型アクチュエータ120の機械的共振がトランス4bからの出力電圧振幅に影響を与える場合、共振ピークの周波数FpやQ値の推定誤差が大きくなるため、機械的共振特性の近傍を避けてこれらを推定する必要がある。振動型アクチュエータ120において弾性体7が破損する等の大きな故障が発生しない限りは、図6に示されるように、機械的共振周波数は殆ど変化しない。したがって、予め周波数Fr8を中心として振動型アクチュエータ120の機械的共振の影響が及ぶ周波数範囲を求めておき、周波数Fr8近傍の周波数を避けて、トランス4bからの出力電圧振幅を計測する。これにより、振動型アクチュエータ120の機械的共振の影響を避けて、共振ピークの周波数FpやQ値を推定することができる。
なお、図6には、振動型アクチュエータ120の機械的共振に起因する小さなピークを、曲げ振動の波数が5つから9つまでの範囲で示した。しかし、図2(a)に示したような円環の周方向に等間隔で形成された24個の電極が4群の電極群1a〜1dに分けられた圧電素子1を駆動した場合、6の整数倍以外の波数の機械的振動は励起されることは殆どない。その結果、図6中の周波数Fr6以外の共振周波数では、振動型アクチュエータ120の機械的共振に起因する小さなピークは理想的には殆ど発生しない。しかし、圧電素子1の各電極の分極のばらつき等の影響で、周波数Fr6以外の共振周波数の小さなピークが発生することもある。そのため、各波数の共振周波数近傍の周波数を避けて印加電圧振幅を計測することは、故障判定の信頼性を高める観点から重要となる。そこで次に、共振ピークの周波数とQ値を求める方法について説明する。
上述した図4のフローチャートにしたがう処理では、共振ピークの周波数やQ値の変化は、増幅部4の入力に対する出力のゲインの特性から検出することができる。これに対して、ここでは、増幅部4の出力電圧振幅と周波数の関係から共振ピークの周波数とQ値を求める。図7は、電圧計測部5で計測した印加電圧振幅の周波数−電圧振幅特性から共振ピークの周波数とQ値を求める処理のフローチャートである。ステップS51においてCPU6は、初期値の設定を行う。具体的には、変数Fを設け、変数Fに初期値の1を設定する。なお、本実施形態では、変数Fは1からFendまでの自然数の値を取るものとする。また、正弦波信号の電圧振幅Voに電圧振幅Vdetを、正弦波信号の周波数Freqに初期値の周波数Fdet[F](=Fdet[1])を、最大電圧Vmaxに0(ゼロ)をそれぞれ設定する。また、弾性体7(振動体)に形成される曲げ振動の波数Frに初期値としてのF(=1)を設定する。
ステップS52においてCPU6は、印加電圧振幅Vdを電圧計測部5により計測する。ステップS53においてCPU6は、印加電圧振幅Vdが最大電圧Vmaxより大きいか否かを判定する。CPU6は、Vd>Vmaxであると判定した場合(S53でYES)、処理をステップS54へ進め、Vd≦Vmaxであると判定した場合(S53でNO)、処理をステップS55へ進める。ステップS54においてCPU6は、最大電圧Vmaxに印加電圧振幅Vdを設定すると共に波数Frに変数Fを設定し、その後、処理をステップS55へ進める。ステップS55においてCPU6は、電圧配列V[F]に印加電圧振幅Vdを設定すると共に、変数Fに1を加算して更新する(1だけインクリメントする)。
続くステップS56においてCPU6は、周波数Freqに周波数Fdet[F]を設定する。ここで、周波数Fdet[F]は、例えば、第2の周波数帯域の範囲内で予め設定されている弾性体7の機械的共振周波数の近傍を避けた周波数テーブルに格納されており、ステップS55での変数Fのインクリメントに応じて、周波数テーブルから引き出される。その後、ステップS57においてCPU6は、変数FがFendより大きいか否かを判定する。CPU6は、変数FがFendより大きいと判定した場合(S57でYES)、処理をステップS58へ進め、変数FがFendより大きくないと判定した場合(S57でNO)、処理をステップS52へ戻す。このように、ステップS52〜S57では、正弦波信号の周波数Freqの周波数を変えながら印加電圧振幅Vdを計測して電圧配列Vに順次入力し、これと並行して、印加電圧振幅Vdが最大となる周波数とその際のピーク値を求めている。
ステップS58においてCPU6は、Q値を算出し、これにより本処理は終了となる。Q値の算出は、例えば、Q=Fp/(Fh−Fl)、により算出することができる。ここで、周波数Fl,Fhは、得られた電圧配列V[F]の中の最大電圧値の1/21/2となる周波数であり、Fh>Flの関係があるものとする。共振ピークの周波数Fpは、得られた電圧配列V[F]の中の最大電圧値に対応する周波数である。つまり、共振ピークの周波数Fpを挟んで上下にある2つの周波数Fh,FlからQ値を算出している。
なお、図2(a)に示した圧電素子1の電極構造は一例であり、他の電極パターンの場合には、図6に示したように振動型アクチュエータ120の機械的共振特性が表れやすい場合もある。例えば、圧電素子1に設けられた24個の電極のうち隣接する4つの電極にのみそれぞれ駆動電圧A1,B1A2,B2を印加し、他の電極には駆動電圧を印加しなくとも、ロータ9の回転駆動は可能である。しかし、その場合には、図6に示したように、振動型アクチュエータの機械的共振特性の影響により、すべての波数の小さなピークが現れる。また、本実施形態では円環状の弾性体7と圧電素子1からなる振動体を用いてロータ9を回転させる振動型アクチュエータ120を取り上げているが、本発明の適用対象となる振動型アクチュエータの構成はこの限りではない。例えば、振動体と被駆動体とが直線的に相対移動するリニア駆動するものや、曲げ振動以外のねじり振動、伸縮振動或いは滑り振動等を利用するものであってもよい。図6に示した振動型アクチュエータの機械的共振特性の影響は、すべての振動型アクチュエータに共通して現れる特性である。よって、図7を参照して説明した共振ピークの周波数とQ値を求める方法は、他の構造の振動型アクチュエータを備える振動型駆動装置についても同様に適用することができる。
次に、増幅部4の変形例について説明する。図8は、振動型駆動装置100の変形例の一例である振動型駆動装置100Aの概略構成を示すブロック図である。振動型駆動装置100Aの構成のうち、図1(a)に示した振動型駆動装置100の構成と同じ部分については同じ符号を付して、説明を省略する。振動型駆動装置100Aは増幅部11を有し、増幅部11はアンプ11aとトランス11bを有する。アンプ11aは、増幅部4のアンプ4aと同じである。増幅部4のトランス4bでは2次側の巻線は1であるが、増幅部11のトランス11bでは、2次側の巻線は2つである。また、トランス11bは、センタータップを有する。トランス11bの2次側(出力側)には、トランス4bの漏れインダクタンスに相当するインダクタ素子11c,11dが接続されている。
圧電素子1の電極群1a,1cがそれぞれがインダクタ素子11c,11dとケーブル2を介して接続されており、駆動電圧A1が圧電素子1の電極群1aに、駆動電圧A2が電極群1cに印加されている。また、トランス11bの2次側のセンタータップと圧電素子1の共通電極とはケーブル12で接続されている。このような構成では、ケーブル2の一方の電線が断線すると、トランス11bの2次側巻線は互いに磁気結合しているので、切れていない他方の電線にかかる電圧が変化する。また、ケーブル2の2つの電線のどちらが断線しても、共振ピークの周波数はどちらの電線にかかる駆動電圧についても同様に変化する。したがって、電圧計測部5でトランス11bの2つの出力電圧のうち一方の電圧のみ計測する構成であっても、断線の検出は可能である。
なお、振動型駆動装置100Aの構成ではケーブル12の断線を検出することはできない。ケーブル12が断線したために即座に振動型アクチュエータ120が停止するということはないが、長期的にみれば、性能劣化につながる可能性がある。ケーブル12の断線を検出する方法としては、トランス11bのセンタータップに流れる電流を計測する等の他の検出方法を組み合わせればよい。
次に、本発明の第2実施形態に係る振動型駆動装置について説明する。図9(a)は、本発明の第2実施形態に係る振動型駆動装置100Bの概略構成を示すブロック図である。振動型駆動装置100Bは、振動型アクチュエータ120と、振動型アクチュエータ120の駆動と制御を司る駆動回路110bを備える。駆動回路110bは、ケーブル2、パルス生成部13、増幅部14、電圧計測部5及びCPU6を有する。振動型駆動装置100Bの構成のうち、図1(a)に示した振動型駆動装置100の構成と同じ部分については同じ符号を付して、説明を省略する。
振動型駆動装置100Bは、第1実施形態に係る振動型駆動装置100の発振部3と増幅部4をそれぞれ、パルス生成部13とコイル及びハーフブリッジによる増幅部14に変更したものである。パルス生成部13は、CPU6からのパルス幅と周波数の指令にしたがって後段のハーフブリッジを成すMOSFET14a,14bのゲートに印加されるパルス信号を生成する。増幅部14は、MOSFET14a,14b及びインダクタ素子14cによって構成されており、インダクタ素子14cはMOSFET14a,14bで構成されたハーフブリッジの出力に接続されている。増幅部14は、圧電素子1の電極群1aとケーブル2で接続されている。増幅部14は、インダクタ素子14cと電極群1a及びケーブル2の等価静電容量との間の共振特性とローパスフィルタ特性によって電圧振幅を増幅すると共に、駆動電圧A1を滑らかな波形として電極群1aに印加している。
図9(b)は、振動型アクチュエータ120の機械的共振特性の影響を考慮して描いたインダクタ素子14cの入力電圧の周波数とインダクタ素子14cの出力電圧振幅(ゲイン)との関係を示すグラフである。図9(b)中、実線はケーブル2を含む増幅部14から圧電素子1までの部分が正常な状態にあるときの特性を示しており、破線はケーブル2を含む増幅部14から圧電素子1までの部分に故障が発生したときの特性を示している。
波数が6つの機械的共振周波数である周波数Fr6は、周波数F0からF1までの第1の周波数帯域の範囲内に含まれており、周波数Fr6の近傍には振動型アクチュエータ120の機械的共振の影響による小さなピークが現れている。振動型アクチュエータ120の駆動方法は、第1実施形態と同じであり、圧電素子1の電極群1aに印加される駆動電圧の周波数Fsは周波数Fr6に近く、且つ、周波数Fr6より高い周波数に設定される。周波数Fsの駆動電圧が電極群1aに印加されると、弾性体7(振動体)に波数が6つの曲げ振動が励起される。ここで、周波数F2から周波数F3までの第2の周波数帯域には、弾性体7に励起される波数が7つの曲げ振動の機械的共振周波数である周波数Fr7が含まれている。そして、共振ピークの山の周波数Fr7の近傍に、振動型アクチュエータ120の機械的共振の影響による小さなピークが現れている。
図9(b)のグラフを図6のグラフと比較すると、第2の周波数帯域が第1の周波数帯域に近いが、ケーブル2の断線による共振ピークの移動や減衰の増加に起因するQ値の低下は第1実施形態と同様に発生している。よって、共振ピークの周波数FpやQ値の求め方は、第1実施形態と同様に行うことができる。
次に、本発明の第3実施形態に係る振動型駆動装置について説明する。図10は、本発明の第3実施形態に係る振動型駆動装置100Cの概略構成を示すブロック図である。振動型駆動装置100Cは、振動型アクチュエータ120と、振動型アクチュエータ120の駆動と制御を司る駆動回路110cを備える。駆動回路110cは、ケーブル2a,2b、発振部3a,3b、CPU6、増幅部15,16,電圧計測部17,18、抵抗素子19、差動増幅器20及び故障検知部21を有する。増幅部15は、アンプ15aとトランス15bを有する。増幅部16は、アンプ16aとトランス16bを有する。電圧計測部17,18は第1実施形態で説明した駆動回路110が有する電圧計測部5と同じであり、アンプ15a,16aは駆動回路110が有する増幅部4のアンプ4aと同じである。振動型駆動装置100Cの構成のうち、図1(a)に示した振動型駆動装置100の構成と同じ部分については同じ符号を付して、説明を省略する。
振動型アクチュエータ120の圧電素子1の電極群1a〜1dは、回路図上では、1点で結合された裏面の共通電極を中心として4つ電極群1a〜1dが放射状に接続された態様で示すことができる。電極群1a,1cはケーブル2aと接続され、電極群1b,1dはケーブル2bと接続され、第2実施形態と同様に共通電極にはケーブル12が接続されている。ケーブル2a,2bはそれぞれ、ツイストペア電線となっており、ペアとなる電線には互いに同じ大きさの逆位相の電流が流れ、互いの磁気放射をキャンセルする構成となっている。
ケーブル2a,2b及びケーブル12は、増幅部15,16の2次側にセンタータップを持つトランス15b,16bの2次側に接続されている。トランス15b,16bから出力される駆動電圧A1,B1,A2,B2は、図2(b)を参照して説明したように、振動型アクチュエータ120の通常駆動時には、同じ電圧振幅で、90度ずつ位相がずれた正弦波である。駆動電圧A1,A2は電圧計測部17により独立して計測されると共に駆動電圧B1,B2は電圧計測部18により独立して計測されて、それぞれ不図示のA/D変換器を介してCPU6に入力されている。CPU6は、発振部3に対して電圧振幅、周波数及び位相差を設定しており、位相差については駆動電圧A1,A2と駆動電圧B1,B2との間の位相差を設定している。発振部3a,3bが出力する正弦波信号はそれぞれ増幅部15,16のアンプ15a,16aに入力されて増幅され、トランス15b,16bの1次側に入力されている。
抵抗素子19は、ケーブル12に流れる電流を計測するために設けられており、差動増幅器20で抵抗素子19の両端の電位差を計測している。抵抗素子19は安価で小さく使い勝手がよいが、ケーブル12に流れる電流の計測手法はこれに限定されるものではなく、例えば、公知のカレントトランスを使う方法であってもよい。故障検知部21は、差動増幅器20の出力電圧が所定の範囲を超えた場合に故障が発生したと判定し、その場合に発振部3a,3bの出力をオフする。また、故障検知部21は、故障部位や故障の種類に関する情報をCPU6に伝達している。なお、ここでの故障の発生とは、ケーブル2a,2bを含むトランス15b,16bから圧電素子1までの部分における断線や接触不良等による抵抗増加を指すことは、第1実施形態と同様である。
このように駆動回路110cでは、トランス15b,16bのセンタータップに流れる電流を計測しながら、トランス15b,16bから90度ずつ位相のずれた4相の駆動電圧A1,B1,A2,B2を出力して、振動型アクチュエータ120を駆動している。CPU6は、電圧計測部17,18から入力された4相の駆動電圧の振幅データからトランス15b,16bの2次側の共振周波数とQ値の変化を計測する。また、CPU6は、共振周波数とQ値の計測結果と不図示の指令手段からの駆動指令に基づいて、発振部3a,3bの電圧振幅、周波数及び位相差を設定する。一方、発振部3a,3bは、CPU6からの指令の入力以外に、緊急時に出力をオフするための指令を故障検知部21から受け付ける。これは、トランス15b,16bのセンタータップに流れる電流の値から故障の有無を判定し、故障時に強制的に発振部3の出力をオフするためである。故障検知部21は、電流が所定の範囲を超えたことを判定するだけの単純な機能を有していればよいので、CPU6を用いずに安価に故障を判定することができる。
次にトランス15b,16bの2次側漏れインダクタンスと圧電素子1及びケーブル2a,2b等の並列等価静電容量との共振ピークの周波数とQ値の計測に関する動作について説明する。上述した第1実施形態では、共振ピークの存在する第2の周波数帯域に現れる振動型アクチュエータ120の機械的共振特性について説明した。その中で、理想的には圧電素子1の4つの電極群1a〜1dを周方向に等間隔に均等に設けることで、圧電素子1に駆動電圧を印加しても波数が6つの整数倍以外の波数の振動は励起されないことを説明した。
しかし、圧電素子1の製造上のばらつき等の影響により、実際には圧電素子1の電極群1a〜1dごとに分極特性にばらつきが生じる可能性がある。また、弾性体7の固定状態によって振動特性に変化が生じるため、振動体(弾性体7)に予期しない共振周波数の振動が発生する可能性もある。特に、駆動電圧の周波数が振動体の機械的共振周波数に近い場合に、このような可能性は大きくなる。したがって、何の配慮もせずに第2の周波数帯域の範囲内の周波数の駆動電圧を圧電素子1に印加した場合、不要な振動を抑えることができずに振動型アクチュエータ120が動き或いは異音を発生する場合がある。一方、機械的共振周波数は振動状態や環境によって変化するため、予め変動の幅を見込んでおく必要がある。そこで、本実施形態では、駆動電圧の周波数を機械的共振周波数から離すと共に、弾性体7に進行波を励起させない位相差及び電圧振幅を設定して圧電素子1に駆動電圧を印加することにより、共振ピークの周波数とQ値を計測する。
図11(a)は、振動型駆動装置100Cにおいて共振ピークの周波数とQ値を計測する第1の処理のフローチャートである。ここでは、駆動電圧を2相ずつ圧電素子1に印加して共振ピークの周波数とQ値を計測する方法を示している。これにより、加振力を減らすと共に、駆動電圧の位相差を0度又は180度とすることで、弾性体7に楕円振動を励起させない(ロータ9を回転させない)ようにしている。
ステップS71においてCPU6は、正弦波信号の電圧振幅V3aに電圧振幅Vdetを設定し、正弦波信号の電圧振幅V3bに0(ゼロ)を設定する。ステップS72においてCPU6は、駆動電圧A1,A2の電圧振幅を計測し、共振周波数とQ値を算出する。なお、ステップS72の処理は、図7のフローチャートにしたがう。但し、図7のフローチャートは1相の駆動電圧A1についての処理であるのに対して、計測対象が2相の駆動電圧A1,A2となっている。続くステップS73においてCPU6は、正弦波信号の電圧振幅V3aに0(ゼロ)を設定し、正弦波信号の電圧振幅V3bに電圧振幅Vdetを設定する。ステップS74においてCPU6は、駆動電圧B1,B2の電圧振幅を計測し、共振周波数とQ値を算出する。ステップS74の処理は、ステップS72の処理と同様に行われる。ステップS75においてCPU6は、正弦波信号の電圧振幅V3a,V3bに0(ゼロ)を設定し、これにより本処理は終了となる。
図11(b)は、振動型駆動装置100Cにおいて共振ピークの周波数とQ値を計測する第2の処理のフローチャートである。ここでは、正弦波信号の位相差を0度に設定して駆動電圧を4相同時に圧電素子1に印加して共振ピークの周波数とQ値を計測する方法を示している。なお、弾性体7に楕円振動を励起させなければよいため、正弦波信号の位相差は180度に設定してもよい。ステップS91においてCPU6は、正弦波信号の電圧振幅V3a,V3bのそれぞれに電圧振幅Vdetを設定すると共に、位相差に0(ゼロ)を設定する。ステップS92においてCPU6は、駆動電圧A1,A2,B1,B2の電圧振幅を計測し、共振周波数とQ値を算出する。なお、ステップS92の処理は、図7のフローチャートにしたがう。但し、ここでは、計測対象が4相の駆動電圧A1,A2,B1,B2となっている。ステップS92の終了により、本処理は終了となる。
次に、振動型駆動装置100においてケーブル12に流れる電流の振る舞いについて故障の種類ごとに説明する。なお、説明の便宜上、故障は一度に1箇所で発生したものと仮定する。また、トランス15b,16bの2次側の2つの巻線は理想的に対称となっており、圧電素子1の電極群1a〜1dも理想的な同じ特性であると仮定する。更に、ケーブル2a,2bの各電線とこれらに接続される不図示のコネクタの各接続ピンの接触抵抗等も同じ特性であると仮定する。
ケーブル12が正常な場合及び断線した場合において、圧電素子1の電極群1aと電極群1cに流れる電流は同じ大きさで逆相の電流が流れ、電極群1bと電極群1dにも同じ大きさで逆相の電流が流れる。よって、理想的な状態ではケーブル12には電流が流れないことになる。但し、これは、電極群1a〜1dのそれぞれの電極数(総電極面積)が同じ場合である。一方、ケーブル12が断線しても、ケーブル12には電流は流れない。よって、このままでは、ケーブル12が正常な場合と断線した場合のいずれの場合も差動増幅器20の出力電圧は0Vとなり、これらを区別することはできない。
これに対して本実施形態では、図2(a)に示したように、電極群1a〜1cのそれぞれの電極数が6つであるのに対して、電極群1dの電極数を他よりも1つ少ない5つとして、電極群1dの等価静電容量を他の電極群1a〜1cより小さい値に設定している。これにより、ケーブル12が正常な場合には若干の電流がケーブル12に流れ、差動増幅器20の出力電圧は0Vより若干大きな値となる。よって、ケーブル12が正常な状態にある場合とケーブル12が断線した場合(差動増幅器20の出力電圧が0Vとなる場合)とを区別することができるようになる。
続いて、圧電素子1の電極群1aと接続されたケーブル2aの一方の電線が断線した場合について説明する。この場合、電極群1cに流れていた電流が電極群1aを介してトランス15bに戻っていたのが、電極群1aとトランス15b間の電線が断線することで、その行き場がなくなる。すると、電極群1cに流れていた電流はこれまで殆ど流れていなかったケーブル12に流れるようになる。この電流の変化は電極群1dと他の電極群の静電容量との差によって流れる僅かな電流と比較して格段に大きいため、容易に区別することができる。その結果、抵抗素子19の両端に大きな電位差が発生し、差動増幅器20の出力電圧が正常な場合の出力電圧より大きな値となる。
次いで、圧電素子1の電極群1aがショートした場合について説明する。この場合、電極群1aのインピーダンスが0(ゼロ)になり、ショートした部分にはそれまで流れていた電流よりも大きな電流が流れる。すると、電極群1cに流れていた電流よりもショートした部分に流れる電流の方が格段に大きな電流となり、行き場を失った電流がケーブル12に流れるようになる。その結果、抵抗素子19の両端にはケーブル2aの一方の電線が断線した場合よりも更に大きな電位差が発生し、差動増幅器20の出力電圧もケーブル2aの一方の電線が断線した場合より大きな値となる。
このように、駆動回路110cでは、正常時にケーブル12に流れる電流がほぼ0Aであることを利用して、ケーブル12の断線を検出することができる。また、正常時の電流値の範囲より大きな電流がケーブル12に流れたことを検出してケーブル2a,2bに断線又はショートが発生したことを検出することができる。このような判定手法は、故障時に供給電力を停止する等のハード的な安全手段の構築に適しており、故障検知部21は、公知のコンパレータ等によってケーブル12を流れる電流値の範囲を判定し、発振部3の動作を制御している。
次に、本発明の第4実施形態に係る振動型駆動装置について説明する。上述した第1実施形態では、ケーブル2を含むトランス4bから圧電素子1の電極群1aまでの部分に故障が発生しているか否かを判定した後に、振動型アクチュエータ120を起動する(図3のフローチャート)こととした。これに対して、本実施形態では、振動型アクチュエータ120の通常の駆動と並行して故障とその前兆を検出する構成について説明する。
図12は、本発明の第4実施形態に係る振動型駆動装置100Dの概略構成を示すブロック図である。振動型駆動装置100Dは、図8に示した振動型駆動装置100Aの駆動回路に通常動作中に故障を検知するための手段を追加したものである。よって、振動型駆動装置100Dにおいて、振動型駆動装置100Aと共通する部分については、同じ符号を付して説明を省略する。振動型駆動装置100Dの駆動回路は、CPU6から不図示のD/A変換器を介して出力される任意の交流信号を発振部3が出力する正弦波信号に重畳して出力する加算部22を備える。
振動型駆動装置100Aでは、電圧計測部5が駆動電圧A1の電圧振幅を計測しているが、振動型駆動装置100Dは、駆動電圧A1を交流信号のまま計測して、不図示のA/D変換器を介してCPU6に入力する電圧計測部23を備える。CPU6は、D/A変換器から第2の周波数帯域の範囲内で且つ振動型アクチュエータ120の振動体の機械的共振周波数の近傍を含まない領域の任意の交流信号を出力する。任意の交流信号を増幅部11での増幅した後の波形を不図示のA/D変換部から入力し、増幅部11の伝達特性の少なくともゲイン特性を求める。そして、CPU6は、求めたゲイン特性から共振ピークの周波数の変化やQ値の変化を求める。なお、任意の交流信号は、複数の周波数の異なる正弦波を合成した信号やM系列等の疑似乱数発生器を用いて生成した疑似乱数信号であってもよい。また、任意の交流信号は、フィルタ処理を予め行い、機械的な共振系の共振周波数成分をカットした波形を記憶装置に記憶させておき、ここから波形データを逐次引き出して出力したものであってもよい。
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。更に、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
例えば、上記実施形態では、1つのCPU6が各部の動作を制御する構成について説明したが、複数のCPUが処理を分担することによって同様の制御が実現される構成であっても構わない。また、CPU6の機能は、例えば、各部の処理の全部又は一部を論理回路により実現するASIC等の専用プロセッサと、専用プロセッサにより動作が制御される電気回路によって構成されていてもよい。駆動回路110を構成する各部は、ソフトウェア(プログラム)による実装、ハードウェアによる実装及びソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによる実装のいずれの態様であってもよい。本発明は、上述した実施形態の1以上の機能を実現するプログラムをネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
また、例えば、振動型アクチュエータを構成する振動体には、圧電素子に代えて電歪素子を用いてもよい。また、振動体は、弾性体と圧電素子を接合したものに限らず、圧電素子のみで構成されていてもよい。上述した振動型駆動装置100等の用途は、特に限定されるものではない。例えば、本発明は、多関節ロボットアームの回転駆動手段、デジタルカメラ等の撮像装置のレンズ駆動手段やミラー駆動手段、複写機等の感光ドラム等の駆動手段等、位置決めが必要な部材を備える各種の電子機器に広く用いることができる。
1 圧電素子(電気−機械エネルギ変換素子)
2 ケーブル
3 発振部
4 増幅部
4b トランス
5 電圧計測部
6 CPU
7 弾性体
100 振動型駆動装置
110 駆動回路
120 振動型アクチュエータ
2 ケーブル
3 発振部
4 増幅部
4b トランス
5 電圧計測部
6 CPU
7 弾性体
100 振動型駆動装置
110 駆動回路
120 振動型アクチュエータ
Claims (12)
- 電気−機械エネルギ変換素子を有する振動体と、前記振動体と加圧接触する被駆動体とを備え、前記電気−機械エネルギ変換素子に交流の駆動電圧を印加して前記振動体に振動を励起することにより前記被駆動体を摩擦駆動して前記振動体と前記被駆動体とを相対的に移動させる振動型アクチュエータと、
前記振動型アクチュエータの駆動を制御する駆動手段と、を備える振動型駆動装置であって、
前記駆動手段は、
所定の電圧振幅と周波数を有する交流波形信号を生成する生成手段と、
前記交流波形信号を増幅して前記電気−機械エネルギ変換素子に印加する駆動電圧を出力する増幅手段と、
前記増幅手段と前記振動型アクチュエータとを接続する接続手段と、
前記電気−機械エネルギ変換素子に印加される駆動電圧の電圧振幅を計測する計測手段と、
前記振動型アクチュエータが駆動する第1の周波数帯域よりも高周波側の第2の周波数帯域の範囲内において前記計測手段により計測された電圧振幅に基づいて前記振動体の固有振動モードの共振周波数ではないピークを検出する検出手段と、
前記検出手段が検出したピークの周波数とQ値の少なくとも一方の値を推定する推定手段と、
前記推定手段が推定した値が所定の範囲内にない場合に、前記接続手段、前記増幅手段または前記振動型アクチュエータに故障が発生したと判定する判定手段と、を備えることを特徴とする振動型駆動装置。 - 電気−機械エネルギ変換素子を有する振動体と、前記振動体と加圧接触する被駆動体とを備え、前記電気−機械エネルギ変換素子に交流の駆動電圧を印加して前記振動体に振動を励起することにより前記被駆動体を摩擦駆動して前記振動体と前記被駆動体とを相対的に移動させる振動型アクチュエータと、
前記振動型アクチュエータの駆動を制御する駆動手段と、を備える振動型駆動装置であって、
前記駆動手段は、
所定の電圧振幅と周波数を有する交流波形信号を生成する生成手段と、
前記交流波形信号を増幅して前記電気−機械エネルギ変換素子に印加する駆動電圧を出力する増幅手段と、
前記増幅手段と前記振動型アクチュエータとを接続する接続手段と、
前記増幅手段の入出力間のゲインを計測する計測手段と、
前記振動型アクチュエータの駆動を行う駆動電圧の第1の周波数帯域よりも高周波側の第2の周波数帯域の範囲内で前記計測手段により計測されたゲインから前記振動体の固有振動モードの共振周波数ではないピークを検出する検出手段と、
前記検出手段が検出したピークの周波数とQ値の少なくとも一方の値を推定する推定手段と、
前記推定手段が推定した値が所定の範囲内にない場合に、前記接続手段、前記増幅手段または前記振動型アクチュエータに故障が発生したと判定する判定手段と、を備えることを特徴とする振動型駆動装置。 - 前記検出手段は、前記増幅手段の出力側の漏れインダクタンスと前記電気−機械エネルギ変換素子の等価容量との共振によって前記第2の周波数帯域に現れるピークを検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の振動型駆動装置。
- 前記生成手段は、前記第1の周波数帯域の範囲内で前記交流波形信号を生成する際に、前記電気−機械エネルギ変換素子に印加される駆動電圧の電圧振幅が所定の電圧振幅を超えないように、生成する信号の電圧振幅を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の振動型駆動装置。
- 前記判定手段は、前記振動体と前記被駆動体とが相対的に移動ない電圧が前記電気−機械エネルギ変換素子に印加されている状態で前記故障が発生したか否かの判定を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の振動型駆動装置。
- 前記生成手段は、前記故障が発生したと前記判定手段が判定した場合に、前記交流波形信号の電圧振幅をゼロとすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に振動型駆動装置。
- 前記故障が発生したと前記判定手段が判定した場合に前記故障の発生を外部に出力する警報手段を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の振動型駆動装置。
- 前記第2の周波数帯域の範囲内で前記振動体の機械的な共振周波数の近傍を含まない周波数の任意の交流信号を前記交流波形信号に重畳する加算手段を備え、
前記生成手段は、前記交流波形信号を前記第1の周波数帯域の範囲内で生成し、
前記交流波形信号と前記任意の交流信号を前記増幅手段で増幅させて前記電気−機械エネルギ変換素子に印加することにより、前記判定手段による故障の判定を前記振動型アクチュエータの駆動と並行して行うことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の振動型駆動装置。 - 前記加算手段は、疑似乱数信号であることを特徴とする請求項8に記載の振動型駆動装置。
- 電気−機械エネルギ変換素子を有する振動体と、前記振動体と加圧接触する被駆動体とを備え、前記電気−機械エネルギ変換素子に交流の駆動電圧を印加して前記振動体に振動を励起することにより前記被駆動体を摩擦駆動して前記振動体と前記被駆動体とを相対的に移動させる振動型アクチュエータの制御方法であって、
前記振動型アクチュエータを起動する前に故障を検知する故障検知ステップを有し、
前記故障検知ステップは、
前記振動型アクチュエータが駆動する第1の周波数帯域よりも高周波側の第2の周波数帯域の範囲内の周波数と所定の振幅を有する交流波形信号を生成する生成ステップと、
前記交流波形信号を増幅手段によって所定の振幅に増幅させた駆動電圧を前記電気−機械エネルギ変換素子に印加する印加ステップと、
前記電気−機械エネルギ変換素子に印加される駆動電圧の電圧振幅または前記増幅手段の入出力間のゲインを計測する計測ステップと、
前記計測ステップで計測された電圧振幅またはゲインに基づいて前記振動体の固有振動モードの共振周波数ではないピークを検出し、検出したピークの周波数とQ値の少なくとも一方の値を推定する推定ステップと、
前記推定ステップで推定した値が所定の範囲内にない場合に、前記増幅手段、前記振動型アクチュエータ、前記増幅手段と前記電気−機械エネルギ変換素子を接続する接続手段のいずれかに故障が発生したと判定する判定ステップと、を有することを特徴とする振動型アクチュエータの制御方法。 - 電気−機械エネルギ変換素子を有する振動体と、前記振動体と加圧接触する被駆動体とを備え、前記電気−機械エネルギ変換素子に交流の駆動電圧を印加して前記振動体に振動を励起することにより前記被駆動体を摩擦駆動して前記振動体と前記被駆動体とを相対的に移動させる振動型アクチュエータの制御方法であって、
前記振動型アクチュエータが駆動する第1の周波数帯域の範囲内の周波数と所定の振幅を有する交流波形信号を生成し、前記第1の周波数帯域よりも高周波側の第2の周波数帯域の範囲内で前記振動体の機械的共振周波数の近傍を含まない周波数の任意の交流信号を生成し、前記任意の交流信号を前記交流波形信号に重畳させる重畳ステップと、
前記重畳ステップで生成した信号を増幅手段によって増幅させて前記電気−機械エネルギ変換素子に印加することにより前記振動型アクチュエータを駆動する駆動ステップと、
前記任意の交流信号が前記増幅手段によって増幅されることにより前記電気−機械エネルギ変換素子に印加される電圧の電圧振幅と前記任意の交流信号の電圧振幅とから前記任意の交流信号のゲイン特性を計測する計測ステップと、
前記計測ステップで計測されたゲイン特性に基づいて前記振動体の固有振動モードの共振周波数ではないピークを検出し、検出したピークの周波数とQ値の少なくとも一方の値を推定する推定ステップと、
前記推定ステップで推定した値が所定の範囲内にない場合に、前記増幅手段、前記振動型アクチュエータ、前記増幅手段と前記電気−機械エネルギ変換素子を接続する接続手段のいずれかに故障が発生したと判定する判定ステップと、を有することを特徴とする振動型アクチュエータの制御方法。 - 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の振動型駆動装置と、
前記振動型駆動装置が備える前記振動型アクチュエータにより位置決めされる部材と、を備えることを特徴とする電子機器。
Priority Applications (1)
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JP2016220626A JP2018078769A (ja) | 2016-11-11 | 2016-11-11 | 振動型アクチュエータの制御方法、振動型駆動装置及び電子機器 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022085678A1 (ja) | 2020-10-22 | 2022-04-28 | キヤノン株式会社 | 振動型駆動装置及び振動型駆動装置の駆動方法 |
CN116484267A (zh) * | 2023-06-20 | 2023-07-25 | 南方电网科学研究院有限责任公司 | 变压器故障特征提取、判定方法、计算机设备和存储介质 |
JP7363563B2 (ja) | 2020-02-20 | 2023-10-18 | セイコーエプソン株式会社 | 異常検出方法、圧電モーターおよびロボット |
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2016
- 2016-11-11 JP JP2016220626A patent/JP2018078769A/ja active Pending
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