JP2018078760A - 振動波モータ及び振動波モータを有するレンズ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】摩擦部材の相対移動の方向の長さを短縮し、小型化した振動波モータを提供する。【解決手段】圧電素子103と弾性体102とが固着された振動子101と、弾性体102に設けられた少なくとも1つ以上の接触部102cと接触する接触面121sを有し、振動子101に対して相対移動の関係である摩擦部材121と、接触面121sに対する垂線方向を加圧方向として振動子101を接触面121sに加圧力によって加圧接触させる加圧手段111と、加圧力によって摩擦部材121と当接する固定部材122と、を有する振動波モータ100において、摩擦部材121と固定部材122との間に係合部を備え、係合部は、摩擦部材121を固定部材122に対して加圧方向及び相対移動の方向に位置決め固定する。【選択図】 図8

Description

本発明は、押圧された振動子に楕円振動を発生させることにより、振動子と摩擦部材とを相対移動させる振動波モータと、その振動波モータを使用したレンズ装置に関する。
超音波モータでは、圧電素子が固着された弾性体の接触部と摺動部材とが加圧接触状態となるように構成する。その加圧接触状態下で圧電素子に2相の電圧を印加して、当該弾性体に2相の超音波領域の周波数の振動が励起されると、弾性体の接触部に楕円運動が生じ、摺動部材が弾性体に対して相対的に移動する。特許文献1には、摺動部材(スライダー)を相対移動方向の両端で固定部材にビス止め固定した超音波モータが開示されている。
特開2014−183724号公報
しかしながら、特許文献1に開示された超音波モータの摺動部材は、相対移動方向の両端において固定部材にビス止め箇所を設ける必要があるため、摺動部材が相対移動方向に長くなってしまう。また、摺動部材を設計する際に摺動部材の形状及び駆動周波数の選択の幅が非常に狭く、設計自由度が低いという課題があった。
そこで、本発明の目的は、摩擦部材の相対移動の方向の長さを短縮し、小型化した振動波モータを実現することである。
上記目的を達成するために本発明は、圧電素子と弾性体とが固着された振動子と、弾性体に設けられた少なくとも1つ以上の接触部と接触する接触面を有し、振動子と相対移動する摩擦部材と、接触面に対する垂線方向を加圧方向として振動子を接触面に加圧力によって加圧接触させる加圧手段と、加圧力によって摩擦部材と当接する固定部材と、を有する振動波モータにおいて、摩擦部材と固定部材との間に係合部を備え、係合部は、摩擦部材を固定部材に対して加圧方向及び相対移動の方向に位置決め固定することを特徴とする。
本発明によれば、摩擦部材の相対移動の方向の長さを短縮し、小型化した振動波モータを提供することができる。
本発明の振動波モータ100の分解斜視図である。 (A)本発明の振動波モータ100の平面図である。(B)同正面図である。(C)同側面図である。 (A)本発明の振動波モータ100のX方向に沿った断面図である。(B)同Y方向に沿った断面図である。 振動子101と第1保持部材104との接合状態を示す斜視図である。 第2保持部材107に形成されたV溝部107gと転動ボール109の位置関係を示す斜視図である。 本発明の実施例1の摩擦部材121に設けられた複数の溝部を示す斜視図である。 本発明の実施例1の固定部材122に設けられた複数の曲面凸部を示す斜視図である。 (A)本発明の実施例1の多角形領域A1を示す平面図である。(B)接触部102cの重心102Gの移動を示す正面図である。 本発明の実施例1の複数の係合部の位置と固有振動モードの節の位置における関係を示す図である。 本発明の実施例1の摩擦部材121の固有振動周波数fnの特性を示す図である。 本発明の実施例2の摩擦部材221に設けられた複数の曲面凸部を示す斜視図である。 本発明の実施例2の固定部材222に設けられた複数の溝部を示す斜視図である。 本発明の実施例2の複数の係合部の位置と固有振動モードの節の位置における関係を示す図である。 本発明の実施例3の摩擦部材321に設けられた複数の溝部を示す斜視図である。 本発明の実施例3の固定部材322に設けられた複数の曲面凸部を示す斜視図である。 (A)本発明の実施例3の多角形領域A3を示す平面図である。(B)接触部102cの重心102Gの移動を示す正面図である。 本発明の実施例4の摩擦部材421に設けられた複数の溝部を示す斜視図である。 本発明の実施例4の固定部材422に設けられた複数の円筒凸部を示す斜視図である。 (A)本発明の実施例4の多角形領域A4を示す平面図である。(B)接触部102cの重心102Gの移動を示す図である。 本発明の振動波モータ100が組み込まれるレンズ装置1及びレンズ装置1が取り付けられた撮像装置27の断面図である。
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。なお、本実施形態の振動波モータ100は、デジタルカメラ用のレンズ鏡筒などの駆動用アクチュエータとしてユニット化した直動駆動型モータを例に説明するが、使用用途はこれに限られたものではない。
図1は、本発明の実施形態である振動波モータ100の分解斜視図である。なお、図において同一部材は同一記号で図示される。本明細書中において、後述する振動子101に発生する楕円運動により振動子101が移動する方向をX方向と定義する。また、後述する加圧手段111による加圧方向をZ方向と定義する。Z方向において、振動子101が後述する摩擦部材121から遠ざかる向きを+Z向き、振動子101が摩擦部材121に近づく方向を−Z向きと定義する。さらに、X方向とZ方向に垂直な方向をY方向と定義する。
固定部材122は、このモータユニットの全体を保持している。摩擦部材121は、後述する振動子101が加圧接触する接触面121sを備え、固定部材122に位置決め固定されている。弾性体102と圧電素子103とは、接着剤などにより固着されており、固着された状態で圧電素子103が押圧されることにより、弾性体102は接触面121sと加圧接触状態で接触する。そして、圧電素子103に高周波交流の駆動電圧を印加することにより超音波領域の周波数の振動(超音波振動)が発生し、弾性体102に楕円運動を発生させることができる。本発明の振動波モータ100(超音波モータ)の振動子101は、弾性体102と圧電素子103とにより構成されている。
第1保持部材104は、後述する弾性体102の固定部102eで弾性体102を保持し固定する。この固定により、振動子101と第1保持部材104とは、一体的に動くように構成される。遮断部材105は、振動が他の部品に伝わらないように遮断する機能を有する部材であり、当該遮断部材105により圧電素子103の超音波振動は、後述する小基台106への伝播が防止されるものの、圧電素子103の超音波振動は減衰されない。遮断部材105の材料としては、フェルト生地が適している。
小基台106は、遮断部材105を介して圧電素子103と面接触し、後述する加圧手段111による加圧力を圧電素子103に伝える機能を有する。第2保持部材107は、振動子101周りの部品を保持している。加圧部材110は、加圧受け部材112の嵌合孔部112aに嵌合し、摩擦部材121の接触面121sに対して概ね垂直な方向にのみ移動可能に保持される。そして後述する加圧手段111からの加圧力を、遮断部材105と小基台106とを介して振動子101に伝え、振動子101を摩擦部材121に加圧接触させる。
加圧手段111は、圧縮コイルバネで構成されている。加圧手段111の一方の端部は加圧受け部材112に固定され、もう一方の端部は加圧部材110に当接されており、このように加圧手段111はその両端部が固定されることにより加圧力を発生する。発生した加圧力は、圧電素子103に伝えられることで、摩擦部材121の接触面121sの垂線方向に働く力となる。つまり−Z方向が加圧手段111による加圧方向である。その加圧力により振動子101と摩擦部材121とを加圧接触させる。
加圧受け部材112は、中央に嵌合孔部112aである丸孔を備えた円板形状をしており、外周側面に形成されたネジ部で第2保持部材107のネジ穴107aにねじ込み固定される。また、中央の嵌合孔部112aは、加圧部材110が有する嵌合軸部110bを嵌合保持する。転動コロ108は、第1保持部材104と第2保持部材107の間に介在し、両者がZ方向に相対的に自由に動くことを許容する。
ガタ寄せバネ113は、X方向に隙間を詰める力を発生させ、この隙間を詰める力により、第1保持部材104と第2保持部材107とは、転動コロ108を介してX方向にはガタなく位置決めされる。ガタ寄せバネ113は、例えば板バネの形状をしたものが用いられる。
転動ボール109は、第2保持部材107に形成されたV溝部107gと後述する天板123に形成された溝部123gとの間に介在する。すなわち、振動子101を保持した第2保持部材107は、摩擦部材121と天板123との間に転動ボール109を挟み込むことで転動保持される。天板123は、4本の固定ビス124で固定部材122に固定される。以上、上記の各部材が組込まれてユニット化され、振動波モータ100が構成される。
図2(A)は、図1で示された各部材を組込んで構成された本発明の振動波モータ100の平面図であって、+Z方向から見た図、図2(B)は−Y方向から見た正面図、図2(C)は+X方向から見た側面図である。
固定部材122には、摩擦部材121が位置決め固定され、さらに天板123がその四隅において4本の固定ビス124で固定される。天板123の中央には、長方形開口123aが設けられており、第2保持部材107の突出部107cが天板123の長方形開口123aから+Z方向へ突出する。
摩擦部材121の+Z方向の接触面121sには、弾性体102が当接した状態となっている。振動子101で発生した楕円運動により、振動子101と摩擦部材121との間にX方向の相対的な移動が発生した場合、摩擦部材121、固定部材122、天板123、固定ビス124が固定側の部材となる。一方、振動子101、第1保持部材104、遮断部材105、小基台106、第2保持部材107、転動コロ108、加圧部材110、加圧手段111、加圧受け部材112、ガタ寄せバネ113、それらを保持する第2保持部材107が可動側の部材となる。つまり本発明の振動波モータ100は、駆動源である振動子101自身が移動する自走式のモータユニットである。なお、実際のレンズ鏡筒などに組み込まれる際には、第2保持部材107がフォーカス機構やズーム機構に連結される。
図3(A)は、図2(A)の断面線IIIA−IIIAにおける本発明の振動波モータ100の断面図である。図3(B)は、図2(A)の断面線IIIB−IIIBにおける断面図である。一点鎖線201は、弾性体102の接触部102cの重心102Gを通る、当該接触面121sの法線を含む中心線である。
弾性体102の接触部102cは、摩擦部材121の接触面121sと当接し、加圧接触状態となっている。また、弾性体102は、第1保持部材104に形成された接合部104aで第1保持部材104と接合される。なお、接触部102cを摩擦部材121の接触面121sに加圧接触させるための加圧力を伝えるために、振動子101はZ方向に自由に可動である必要がある。また、フォーカス機構やズーム機構に連結した第2保持部材107を精度よく駆動するためには、振動子101は第2保持部材107にガタなく保持される必要がある。
そこで、振動子101を保持した第1保持部材104と第2保持部材107とを、その両者の間に転動コロ108を挟んだ状態でガタ寄せバネ113によってガタ寄せすることで、X方向にはガタなく位置決めすることができるとともに固定することができる。そのため、弾性体102を保持した第1保持部材104と第2保持部材107とは、Z方向には自由に移動できるがX方向にはガタなく位置決め固定される構成になっている。
圧電素子103は、遮断部材105を介して小基台106に面接触する。小基台106の+Z向き中央には、当接部106aが設けられる。この当接部106aは、図3(A)の断面図において円弧形状を有し、紙面奥行方向(図3(B)においては左右方向)に延在する円筒の一部からなる形状を有する。そして、この当接部106aには、加圧部材110の下端面110aが線接触で接する。この下端面110aは平面で形成されているため、当接部106aとの線接触部は、図3(A)の紙面奥行方向(図3(B)においては左右方向)に長さを有する線接触となる。よって、図3(A)における断面においては、小基台106が傾き可能な構成となる。仮に製造時の寸法誤差や組み立て誤差、また外乱による部材の傾きが生じた場合でも、摩擦部材121の接触面121sに弾性体102の接触部102cが倣うように小基台106が傾くため、良好な加圧接触状態を保つことができる。
第2保持部材107にはネジ穴107aが形成されており、加圧受け部材112の外径側面に設けられた不図示のネジ部がねじ込まれる。部品ばらつきに合わせて加圧受け部材112のねじ込む量を変えることで、加圧力の調整を行うことができる。加圧受け部材112の中央に形成された嵌合孔部112aには、加圧部材110の嵌合軸部110bが嵌合保持されることで、加圧部材110がZ方向にのみ移動可能な構成となる。
天板123は、固定部材122に固定され、加圧手段111の加圧力で弾性体102の接触部102cを摩擦部材121の接触面121sに加圧接触させたときの反力を受ける役割を担う。その際、天板123に形成された溝部123gと第2保持部材107に形成されたV溝部107gとの間に転動ボール109を挟むことで、第2保持部材107が天板123に転動支持されるように構成される。
次に、振動波モータ100の構成部材の詳細について説明する。図4は、振動子101と第1保持部材104の接合状態を示す斜視図で、−Z方向(摩擦部材121側)から見た図である。図4において弾性体102の中央の接合部102aには、2か所の突起部102bが形成されている。突起部102bの上端面には接触部102cが形成されており、接触部102cは摩擦部材121の接触面121sと当接する。
一方、図4に示す接合部102aの裏面側(2か所の突起部102bが形成されている面の反対側の面)には、圧電素子103が接着剤などにより接合され、かつ固着されている。なお、接合部102aの裏面と圧電素子103との固着は、固着されればその方法は限定されない。圧電素子103に所望の交流電圧を印加することで圧電素子103を励振させ、圧電素子103が固着された弾性体102に2つの振動モードを励起する。このとき2つの振動モードの振動位相を所望の位相差となるように設定することで、接触部102cには、図4の矢印Mで示すような楕円運動が発生する。この楕円運動を図1に示すような振動子101で発生させ、摩擦部材121の接触面121sに伝達することで、摩擦部材121と振動子101とが相対的に移動することが可能となる。
弾性体102は、固定部102eで第1保持部材104に固定される。弾性体102の第1保持部材104に対する位置は、第1保持部材104に形成された位置決め軸104bで決められる。弾性体102の接合部102aと固定部102eとは、接続部102dで接続されている。接続部102dはY方向に細く、かつZ方向に薄い。この構造により、接合部102aに発生した振動が固定部102eに伝播することを軽減することが可能となる。
図5は、第2保持部材107に形成されたV溝部107gと転動ボール109の位置関係を示し、+Z方向から見た斜視図である。第2保持部材107には、V溝部107gが4カ所形成されている。転動ボール109は、この4カ所のV溝部107gと天板123に形成された対応する溝部123gとに挟み込まれた状態で転動することが可能である。これにより、Z方向の加圧接触の反力を受けながら、X方向に移動する際の摩擦抵抗を極力小さくすることができる。また、天板123の溝部123gと第2保持部材107のV溝部107gに転動ボール109が挟み込まれることで、Y方向の位置が決定される。本発明の振動波モータ100では、4つの転動ボール109で加圧手段111の加圧力を受けることにより、第2保持部材107が天板123に対して傾くことなく転動支持される。
図6は、本発明の摩擦部材121の構成を示す−Z方向から見た斜視図である。摩擦部材121の平面部121pには、複数の溝部が設けられている。図7は、本発明の固定部材122の構成を示す斜視図である。固定部材122の平面部122pには、複数の曲面凸部が設けられている。これら複数の溝部及び複数の曲面凸部が後述の複数の係合部を構成する。
従来の摺動部材は、X方向両端でユニット地板(固定部材)にビス止め固定されている。そのため摺動部材には、弾性体102の接触部102cとの接触で必要な領域よりさらにX方向外側にビス止め箇所を設ける必要があり、摺動部材がX方向に長くなっていた。しかしながら、本発明の振動波モータ100では、加圧手段111による加圧力によって摩擦部材121の複数の溝部と固定部材122の複数の曲面凸部がそれぞれ係合する。この係合により、固定部材122に対する摩擦部材121のZ方向とX方向の位置を決めることができる。そのためビス止め箇所が不要となり、摩擦部材121のX方向の長さを短縮することができる。
(実施例1)
図6を参照し、本発明の実施例1に係る摩擦部材121の構成を説明する。摩擦部材121の−Z方向の面には平面部121pが形成されており、この平面部121pには複数の溝部が設けられている。第1の溝部121aは、摩擦部材121の相対移動の方向であるX方向の中央に設けられ、第1の溝部121aの両側に第2の溝部121b及び第3の溝部121cが設けられる。すなわち、第2の溝部121bは、摩擦部材121のX方向の一方の端部に設けられ、第3の溝部121cはX方向の他方の端部に設けられる。第1の溝部121aは、V字に隅Rの付いた形状が加圧方向及び相対移動の方向と直交する方向であるY方向に延伸した溝形状であり、第2の溝部121bと第3の溝部121cは、V字に隅Rの付いた形状が相対移動の方向であるX方向に延伸した溝形状である。
なお、第1の溝部121a、第2の溝部121b、第3の溝部121cをV字に隅Rの付いた溝形状として説明したが、後述する固定部材122の曲面凸部と係合する斜面を有する形状であれば他の形状でもよい。例えばU字形状の溝、半円形状の溝、多角形の溝などでもよい。
図7を参照し、本発明の実施例1に係る固定部材122の構成を説明する。固定部材122には、一段低くなった平面部122pが形成されており、この平面部122pの上に複数の曲面凸部が設けられる。複数の曲面凸部を構成する、第1の曲面凸部122aは、固定部材122のX方向の中央に設けられ、第2の曲面凸部122b及び第3の曲面凸部122cは、第1の曲面凸部122aの両側にそれぞれ離隔して設けられる。ビス穴122hは、固定部材122を天板123に固定する固定ビス124の穴である。なお、この一段低くなった平面部122pには、摩擦部材121が組み込まれる。
第1の曲面凸部122a、第2の曲面凸部122b、第3の曲面凸部122cは、曲面を有する球面の凸形状で形成される。固定部材122の第1の曲面凸部122aが摩擦部材121の第1の溝部121aに対応して係合し、以下同様に第2の曲面凸部122bが第2の溝部121bに対応して係合し、第3の曲面凸部122cが第3の溝部121cに対応して係合する。固定部材122は、第1の曲面凸部122a、第2の曲面凸部122b、第3の曲面凸部122cのみで摩擦部材121と当接しており、摩擦部材121の平面部121pと固定部材122の平面部122pとの間は、隙間が空いている。
なお、第1の曲面凸部122a、第2の曲面凸部122b、第3の曲面凸部122cを球面形状で説明したが、摩擦部材121と係合することができれば、その他の形状でも構わない。例えば、摩擦部材121の溝部と同じ方向に延伸した円筒面の凸部でもよい。
図8(A)は、接触部102cが相対移動の方向に移動することができる可動範囲MRと複数の曲面凸部との位置関係を示す図であって、摩擦部材121を+Z方向から見た図、図8(B)は摩擦部材121を−Y方向から見た図である。
図8(A)では、摩擦部材121の接触面121sが示されており、第1の溝部121a、第2の溝部121b、第3の溝部121cは、いずれも摩擦部材121の−Z方向の面に設けられているため実際には不可視であるが、ここには点線で描かれている。固定部材122に設けられた第1の曲面凸部122a、第2の曲面凸部122b、第3の曲面凸部122cも摩擦部材121より紙面奥側にあるため実際には不可視であるが、ここには点線で描かれている。
第1の溝部121aと第1の曲面凸部122aとにより第1の係合部E1が、第2の溝部121bと第2の曲面凸部122bとにより第2の係合部E2が、第3の溝部121cと第3の曲面凸部122cとにより第3の係合部E3が構成されている。加圧手段111によるZ方向の加圧力によって、第1の係合部E1、第2の係合部E2、第3の係合部E3で摩擦部材121と固定部材122とを当接させる。この構成により固定部材122に対する摩擦部材121のZ方向とX方向の位置が決定される。
図8(B)には、振動子101が相対移動の方向における−X方向の端部に到達したときの弾性体102の位置(−X)が実線で示されるとともに、振動子101が+X方向の端部に到達したときの弾性体102の位置(+X)が点線で示される。振動子101が−X方向の端部に到達したときの少なくとも1つ以上の接触部102cの重心102Gの位置を重心位置102G−Xとする。同様に、振動子101が+X方向の端部に到達したときの少なくとも1つ以上の接触部102cの重心102Gの位置を重心位置102G+Xとする。
図8(A)には、振動子101が−X方向の端部に到達したときの接触部102cの重心位置102G−Xと振動子101が+X方向の端部に到達したときの接触部102cの重心位置102G+Xが示されている。ここで接触部102cの重心位置102G−Xと重心位置102G+Xを結ぶ直線を可動範囲MRとし、第1の曲面凸部122aの頂部と第2の曲面凸部122bの頂部と第3の曲面凸部122cの頂部とを結んで形成される領域を多角形領域A1とする。
本発明の振動波モータ100では、多角形領域A1の内側に可動範囲MRが位置するように構成されている。このような位置関係にすることで、振動子101が駆動範囲の端部近傍に来た際でも、加圧手段111によるZ方向の加圧力によって摩擦部材121が倒れてしまうことが防止される。このようにして、加圧手段111のZ方向の加圧力によって摩擦部材121を固定部材122に安定的に固定することができる。
そして、可動範囲MRから第1の曲面凸部122aの頂部までの距離を第1の距離D1とする。また、可動範囲MRと第2の曲面凸部122bの頂部までの距離を第2の距離D2とし、可動範囲MRから第3の曲面凸部122cの頂部までの距離を第3の距離D3とする。第1の距離D1は、第2の距離D2及び第3の距離D3より長くなるように構成される。これにより可動範囲MRを多角形領域A1内に収めながら、第2の曲面凸部122bと第3の曲面凸部122cのX方向の距離を短くすることができる。そして、摩擦部材121のX方向の長さを短縮することができる。
図9は、摩擦部材121の固有振動モードにおける、固定部材122に設けられた複数(3カ所)の曲面凸部の位置関係を示す。圧電素子103に高周波交流の駆動電圧を印加した場合、摩擦部材121には駆動電圧の周波数に最も近い周波数の固有振動モードが励起されやすい。図9には、圧電素子103に印加する駆動電圧の周波数に最も近い周波数の固有振動モードが2次の屈曲振動モードで示されている。また、上記モードの逆位相の状態を点線にて示している。中立面121nは、摩擦部材121に発生する曲げ振動によって、圧縮ひずみも引っ張りひずみも発生しない中立の面である。固定部材122に設けられた複数の曲面凸部は、振動の節位置に位置する。これにより摩擦部材121に励起された振動が、第1の係合部E1、第2の係合部E2、第3の係合部E3を介して固定部材122に伝わり、振動波モータ100が振動して異音等が発生することを軽減できる。
図10は、摩擦部材121の固有振動周波数fnの特性を示し、横軸の項目は振動モードの次数、縦軸は各次数における固有振動周波数fnである。縦軸の固有振動周波数fnは、最大値fを有し、横線はその最大値fを6等分した線である。図10には、本発明の摩擦部材121の固有振動周波数fna、及び従来の摺動部材の固有振動周波数fnbがプロットされている。
摩擦部材121のY方向の幅をb、Z方向の厚みをh、ヤング率をE、密度をρとする。従来の摺動部材のX方向の長さをLb、本発明の摩擦部材121のX方向の長さをLaとすると、従来の摺動部材の固有振動周波数fnbと本発明の摩擦部材121の固有振動周波数fnaは、梁の固有振動周波数fnを求める式から次式で表わすことができる。
Figure 2018078760
従来は、摺動部材の相対移動の方向端にビス止め部を設けていたため、長さLbが非常に長かった。一方、本発明の摩擦部材121はビス止め部を必要としないため、長さLaは長さLbに比べて短くすることができる。式(1)と式(2)に示すように、固有振動周波数fnは摩擦部材121の長さの2乗の逆数となる。そのため、長さLbが短くなると固有振動周波数fnは非常に大きくなり、各次数の固有振動周数の間隔も長くすることができる。
図10は、長さLaが長さLbに対して2/3になった場合を示している。図10には、従来の摺動部材における1次の屈曲振動モードと2次の屈曲振動モードの周波数の間隔Δfnb、及び2次の屈曲振動モードと3次の屈曲振動モードの周波数の間隔Δfnbが示されている。また、3次の屈曲振動モードと4次の屈曲振動モードの周波数の間隔Δfnb、及び4次の屈曲振動モードと5次の屈曲振動モードの周波数の間隔Δfnbも示されている。従来の摺動部材では、X方向の長さが長いため、屈曲振動モードの固有振動周波数fnbが低く、各次数の固有振動周波数Δfnbの間隔も狭い。すると、圧電素子103に印加する高周波交流の駆動電圧の周波数と摩擦部材121の固有振動周波数fnaが重複する可能性が高くなり、圧電素子103に印加する高周波交流の駆動電圧によって、従来の摺動部材が共振する可能性が高くなってしまう。従来の摺動部材が共振すると振動波モータ100に不要振動が発生し、異音等が発生してしまう恐れがある。
また、図10には、本発明の摩擦部材121における1次の屈曲振動モードと2次の屈曲振動モードの周波数の間隔Δfna、2次の屈曲振動モードと3次の屈曲振動モードの周波数の間隔Δfnaも示されている。本発明の摩擦部材121では、ビス固定部が無い分だけX方向の長さが短いため、図10に示すように屈曲振動モードの固有振動周波数fnaが高く、各次数の固有振動周波数Δfnaの間隔も広い。図10の縦軸全域に相当する固有振動周波数fnが0〜最大値fの間に存在する固有振動周波数fnaも3つしかなく、従来の5つに比べて少ない。そのため、圧電素子103に印加する高周波交流の駆動電圧の周波数と摩擦部材121の固有振動周波数fnaが重複する可能性が低くなり、圧電素子103に印加する駆動電圧によって、摩擦部材121は共振しにくくなっている。これにより摩擦部材121が共振して振動波モータ100に不要振動が発生し、異音等が発生することを軽減できる。
また、摩擦部材121の長さを決定する際には、上述のような圧電素子103に印加する駆動電圧によって、摩擦部材121が共振しないように設計する必要がある。摩擦部材121の各次数の固有振動周波数Δfnaの間隔が狭い場合、摩擦部材121の固有振動周波数fnaと圧電素子103に印加する駆動電圧の周波数とを離そうとすると、摩擦部材121の形状及び駆動周波数の選択の幅が非常に狭くなってしまう。その結果、設計自由度が低くなるという問題があった。本発明の振動波モータ100では、ビス固定部が無いためX方向の長さが短く、そのため各次数の固有振動周波数Δfnaの間隔が広い。これにより摩擦部材121の固有振動周波数fnaと圧電素子103に印加する駆動電圧の周波数とを離す際にも、摩擦部材121の形状及び駆動周波数の選択の幅は狭くなりにくく、設計自由度の低下を防止できるというメリットがある。
以上、図6〜図10で説明したように、加圧手段111の加圧力によって、固定部材122と摩擦部材121とを第1の係合部E1、第2の係合部E2、第3の係合部E3で当接させる。この当接により、固定部材122に対する摩擦部材121のZ方向とX方向の位置を決め、摩擦部材121を固定部材122に保持することができる。これにより、従来の摺動部材のX方向両端に設けていたビス止め箇所を無くすことができる。そして、摩擦部材121のX方向の長さを短くし、小型化した振動波モータ100を実現することができる。
(実施例2)
本発明の実施例1では、固定部材122に複数の曲面凸部、摩擦部材121に複数の溝部を設け、それらが係合することで固定部材122に対する摩擦部材121のZ方向とX方向の位置を決めていた。本発明の実施例2では、固定部材222に複数の溝部、摩擦部材221に複数の曲面凸部を設けており、この構成が実施例1と異なっている。なお、実施例1と同一部材のものは、同一記号で図示される。また実施例1と同じところは説明を省略し、実施例1と異なるところだけ説明する。
図11を参照し、本発明の実施例2に係る摩擦部材221の構成を説明する。摩擦部材221の−Z方向の面には平面部221pが形成されており、この平面部221pには複数の曲面凸部が設けられている。第1の曲面凸部221aは、摩擦部材221のX方向の中央に設けられ、第2の曲面凸部221b及び第3の曲面凸部221cは、第1の曲面凸部221aの両側にそれぞれ離間して設けられる。
図12を参照し、本発明の実施例2に係る固定部材222の構成を説明する。固定部材222には、一段低くなった平面部222pが形成されており、この平面部222pの上に第1の溝部222aが固定部材222のX方向の中央に設けられる。第2の溝部222b及び第3の溝部222cは、第1の溝部222aの両側にそれぞれ離間して設けられる。なお、この一段低くなった平面部222pには摩擦部材221が組み込まれる。第1の溝部222aは、V字に隅Rの付いた形状が加圧方向及び相対移動の方向と直交する方向であるY方向に延伸した溝形状であり、第2の溝部222bと第3の溝部222cは、V字に隅Rの付いた形状が相対移動の方向であるX方向に延伸した溝形状である。固定部材222の第1の溝部222aが対応する摩擦部材221の第1の曲面凸部221aに係合し、以下同様に第2の溝部222bが対応する第2の曲面凸部221bに係合し、第3の溝部222cが対応する第3の曲面凸部221cに係合する。
実施例1では、摩擦部材121の複数の溝部と固定部材122の複数の曲面凸部とが係合しており、図9を参照すると、それぞれの係合部が摩擦部材121の中立面121nに近い位置となっている。そのため摩擦部材121が振動しても、摩擦部材121の複数の溝部は固定部材122の複数の曲面凸部に沿って振動するので、摩擦部材121の振動が固定部材122に伝わりにくく、また、係合部での異音も発生しにくいという特徴がある。
一方、実施例2では、摩擦部材221の複数の曲面凸部と固定部材222の複数の溝部とが係合しており、図13を参照すると、それぞれの係合部が摩擦部材221の中立面221nより離れた位置となっている。そのため、摩擦部材221が振動すると複数の曲面凸部は振動し、複数の曲面凸部と複数の溝部とが、振動振幅が大きい箇所で係合することになる。これにより固定部材222と摩擦部材221との係合によって、摩擦部材221の振動を抑制しやすいという特徴がある。固定部材222に比べて摩擦部材221の剛性がそれほど強くない場合には、実施例2のように固定部材222によって摩擦部材221に発生する振動を積極的に押さえる方が有利となる。
以上、図11〜図13で説明したように、摩擦部材221の複数の曲面凸部と固定部材222の複数の溝部が係合することで、固定部材222に対する摩擦部材221のZ方向とX方向の位置を決めるように摩擦部材221を保持することができる。これにより、従来の摺動部材のX方向両端に設けていたビス止め箇所をなくすことできる。そして、摩擦部材221のX方向の長さを短くし、小型化した振動波モータ100を実現することができる。
(実施例3)
本発明の実施例1では、固定部材122の複数の曲面凸部は、X方向の中央部の1カ所と両端部近傍の2か所に設けられていた。本発明の実施例3では、固定部材322の複数の曲面凸部を+X方向の端部近傍であってY方向の中央の1カ所と、−X方向の端部近傍であってY方向に並ぶ2カ所に設けており、この構成が実施例1と異なっている。なお、実施例1と同一部材のものは、同一記号で図示される。また実施例1と同じところは説明を省略し、実施例1と異なるところだけ説明する。
図14を参照し、本発明の実施例3に係る摩擦部材321の構成を説明する。摩擦部材321の−Z方向の面には平面部321pが形成されており、この平面部321pには複数の溝部が設けられている。第1の溝部321aは、摩擦部材321の相対移動の方向である+X方向の一方の端部近傍であって加圧方向及び相対移動の方向に直行する方向であるY方向の中央に設けられている。第2の溝部321b及び第3の溝部321cは、−X方向の他方の端部近傍であってY方向に並んで設けられる。第1の溝部321aは、V字に隅Rの付いた形状がX方向に延伸した溝形状であり、第2の溝部321bと第3の溝部321cは、V字に隅Rの付いた形状がY方向に延伸した溝形状である。
図15を参照し、本発明の実施例3に係る固定部材322の構成を説明する。固定部材322には、一段低くなった平面部322pが形成されており、この平面部322pの上に第1の曲面凸部322aが+X方向の端部近傍であってY方向の中央に設けられる。さらに、第2の曲面凸部322b及び第3の曲面凸部322cが−X方向の端部近傍であってY方向に並んで設けられる。なお、この一段低くなった平面部322pには摩擦部材321が組み込まれる。固定部材322の第1の曲面凸部322aが対応する摩擦部材321の第1の溝部321aに係合し、以下同様に第2の曲面凸部322bが対応する第2の溝部321bに係合し、第3の曲面凸部322cが対応する第3の溝部321cに係合する。
図16(A)は、接触部102cが相対移動の方向に移動することができる可動範囲MRと複数の曲面凸部との位置関係を示す図であって、摩擦部材321を+Z側から見た図、図16(B)は摩擦部材321を−Y方向から見た図である。
図16(A)では、摩擦部材321の接触面321sが示されており、第1の溝部321a、第2の溝部321b、第3の溝部321cは、いずれも摩擦部材321の−Z方向の面に設けられているため実際には不可視であるが、ここには点線で描かれている。固定部材322に設けられた第1の曲面凸部322a、第2の曲面凸部322b、第3の曲面凸部322cも摩擦部材321より紙面奥側にあるため実際には不可視であるが、ここには点線で描かれている。
第1の溝部321aと第1の曲面凸部322aとにより第1の係合部E1が、第2の溝部321bと第2の曲面凸部322bとにより第2の係合部E2が、第3の溝部321cと第3の曲面凸部322cとにより第3の係合部E3が構成されている。加圧手段111によるZ方向の加圧力によって、第1の係合部E1、第2の係合部E2、第3の係合部E3で摩擦部材321と固定部材322を当接させる。この構成により固定部材322に対する摩擦部材321のZ方向とX方向の位置が決定される。
図16(B)には、振動子101が相対移動の方向における−X方向の端部に到達したときの弾性体102の位置(−X)が実線で示されるとともに、振動子101が+X方向の端部に到達したときの弾性体102の位置(+X)が点線で示される。振動子101が−X方向の端部に到達したときの少なくとも1つ以上の接触部102cの重心102Gの位置を重心位置102G−Xとする。同様に、振動子101が+X方向の端部に到達したときの少なくとも1つ以上の接触部102cの重心102Gの位置を重心位置102G+Xとする。
図16(A)には、振動子101が−X方向の端部に到達したときの接触部102cの重心位置102G−Xと振動子101が+X方向の端部に到達したときの接触部102cの重心位置102G+Xが描かれている。ここで接触部102cの重心位置102G−Xと重心位置102G+Xを結ぶ直線を可動範囲MRとし、第1の曲面凸部322aの頂部と第2の曲面凸部322bの頂部と第3の曲面凸部322cの頂部とを結んで形成される領域を多角形領域A3とする。
本発明の実施例3では、多角形領域A3の内側に可動範囲MRが位置するように構成されている。このような位置関係にすることで、振動子101が駆動範囲の端部近傍に来た際でも、加圧手段111によるZ方向の加圧力によって摩擦部材321が倒れてしまうことが防止される。このようにして、加圧手段111のZ方向の加圧力によって摩擦部材321を固定部材322に安定的に固定することができる。
実施例3では、図16(A)に示すように、+X方向の端部の近傍の第1の曲面凸部322aをY方向の中央に設けることで、多角形領域A3のX方向に最も広がった領域を可動範囲MRと一致させることができる。これにより、多角形領域A3の内側に可動範囲MRを納めながら、第1の曲面凸部322aと第2の曲面凸部322b及び第3の曲面凸部322cのX方向の間隔を短縮することができる。そして、摩擦部材321のX方向の長さをさらに短くし、小型化した振動波モータ100を実現することができる。
(実施例4)
本発明の実施例1では、固定部材122に複数(3カ所)の曲面凸部、摩擦部材121に複数(3カ所)の溝部を設け、それらが係合することで固定部材122に対する摩擦部材121のZ方向とX方向の位置を決めていた。本発明の実施例4では、固定部材422に2か所の円筒凸部、摩擦部材421に2か所の溝部を設けており、この構成が実施例1と異なっている。なお、実施例1と同一部材のものは、同一記号で図示される。また実施例1と同じところは説明を省略し、実施例1と異なるところだけ説明する。
図17を参照し、本発明の実施例4に係る摩擦部材421の構成を説明する。摩擦部材421の−Z方向の面には平面部421pが形成されており、この平面部421pの両側の端部近傍には、それぞれ溝部が設けられている。第1の溝部421aは、摩擦部材421の相対移動の方向である+X方向の端部近傍に、第2の溝部421bは、−X方向の端部近傍に設けられる。第1の溝部421aと第2の溝部421bは、いずれもV字に隅Rの付いた形状がX方向に延伸した溝形状である。
図18を参照し、本発明の実施例4に係る固定部材422の構成を説明する。固定部材422には、一段低くなった平面部422pが形成されており、この平面部422pの上に第1の円筒凸部422aが+X方向の端部近傍に設けられ、第2の円筒凸部422bが−X方向の端部近傍に設けられる。第1の円筒凸部422a及び第2の円筒凸部422bは、加圧方向及び相対移動の方向に直交する方向に延伸した形状である。なお、この一段低くなった平面部422pには摩擦部材421が組み込まれる。固定部材422の第1の円筒凸部422aが対応する摩擦部材421の第1の溝部421aに係合し、固定部材422の第2の円筒凸部422bが対応する摩擦部材421の第2の溝部421bに係合する。実施例4では、第1の円筒凸部422aと第2の円筒凸部422bが、請求項中の曲面凸部に対応する。
図19(A)は、接触部102cが相対移動の方向に移動することができる可動範囲MRと複数の円筒凸部との位置関係を示す図であって、摩擦部材421を+Z側から見た図、図19(B)は摩擦部材421を−Y方向から見た図である。
図19(A)では、摩擦部材421の接触面421sが示されており、第1の溝部421a、第2の溝部421bは、いずれも摩擦部材421の−Z方向の面に設けられているため実際には不可視であるが、ここには点線で描かれている。固定部材422に設けられた第1の円筒凸部422a、第2の円筒凸部422bも摩擦部材421より紙面奥側にあるため、実際には不可視であるが、ここには点線で描かれている。
第1の溝部421aと第1の円筒凸部422aとにより第1の係合部E1が、第2の溝部421bと第2の円筒凸部422bとにより第2の係合部E2が構成されている。加圧手段111によるZ方向の加圧力によって、第1の係合部E1、第2の係合部E2で摩擦部材421と固定部材422を当接させる。溝部と円筒凸部とは、線接触であるので、この構成により固定部材422に対する摩擦部材421のZ方向とX方向の位置が決定される。
図19(B)には、振動子101が相対移動の方向における−X方向の端部に到達したときの弾性体102の位置(−X)が実線で示されるとともに、振動子101が+X方向の端部に到達したときの弾性体102の位置(+X)が点線で示されている。振動子101が−X方向の端部に到達したときの少なくとも1つ以上の接触部102cの重心102Gの位置を重心位置102G−Xとする。同様に、振動子101が+X方向の端部に到達したときの少なくとも1つ以上の接触部102cの重心102Gの位置を重心位置102G+Xとする。
図19(A)には、振動子101が−X方向の端部に到達したときの接触部102cの重心位置102G−Xと振動子101が−X方向の端部に到達したときの接触部102cの重心位置102G+Xが描かれている。ここで接触部102cの重心位置102G−Xと重心位置102G+Xを結ぶ直線を可動範囲MRとし、第1の円筒凸部422aの頂部と第2の円筒凸部422bの頂部とを結んで形成される領域を多角形領域A4とする。
本発明の実施例4では、多角形領域A4の内側に可動範囲MRが位置するように構成されている。このような位置関係にすることで、振動子101が駆動範囲の端部近傍に来た際でも、加圧手段111によるZ方向の加圧力によって摩擦部材421が倒れてしまうことが防止される。このようにして、加圧手段111のZ方向の加圧力によって摩擦部材421を固定部材422に安定的に固定することができる。
実施例1では、複数(3カ所)の曲面凸部に囲まれた三角形からなる多角形領域A1の内側に可動範囲MRが収まるように配置していた。それに対して実施例4では、第1の円筒凸部422aと第2の円筒凸部422bで挟まれた四角形からなる多角形領域A4の内側に可動範囲MRが収まるように配置するため、第1の円筒凸部422aと第2の円筒凸部422bのX方向の間隔を短縮できる。これにより摩擦部材421のX方向の長さを実施例1よりもさらに短縮することができる。そして、摩擦部材421のX方向の長さを短くし、小型化した振動波モータ100を実現することができる。
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
(適用例)
図20は、本発明における振動波モータ100が組み込まれた適用例としてのレンズ装置1、及びレンズ装置1に取り付けられた撮像装置27の断面図である。レンズ外筒11は、その−X方向の端部に第1レンズL1の保持枠12が取り付けられている。また、レンズ外筒11の+X方向の端部には、第3レンズL3が保持されている。レンズ外筒11の内部には、フォーカスレンズL2の保持部材13が、X方向に移動可能に配置されている。保持部材13には、X方向に延出した丸穴13aと係合部13bとが形成されている。またYZ平面に対してX軸回りに±45°傾いた2つの斜面からなる切り欠き部13cが形成されており、後述する球面部107fと当接するように構成されている。
保持軸14は、保持部材13に形成された丸穴13aと係合することで、フォーカスレンズL2の保持部材13をX方向に移動可能に保持している。また保持軸14は、レンズ外筒11と保持枠12とに挟まれて固定保持されている。回転止め軸15は、保持部材13のX軸周りの回転を防止するとともに、保持部材13に形成された不図示のU字穴形状をした係合穴を有する係合部13bに係合することにより、保持部材13のX軸回りの位相を決めている。
球面部107fは、振動波モータ100の第2保持部材107に形成されており、振動波モータ100は、球面部107fと切り欠き部13cの当接を介して保持部材13及びフォーカスレンズL2を光軸方向であるX方向に駆動する。この際、球面部107fは+Z方向に付勢されて切り欠き部13cに当接することにより、切り欠き部13cと球面部107fとはX方向にガタなく当接することが可能となっている。このような構成とすることで、第2保持部材107と保持部材13とは、X方向に一体的に動くことができる。これによりフォーカスレンズL2を振動波モータ100でオーバーシュートなく高精度に駆動制御することができる。
フォーカスレンズ位置検出手段16は、スケール17に赤外光16aを投光するとともに、その反射光を受光する。スケール17には、低反射部と高反射部が所定ピッチで交互に並んだパターンが形成されている。反射光の強度変化の回数をカウントすることで、フォーカスレンズ位置検出手段16とスケール17の相対位置関係を検出することができる。スケール17は、保持部材13に貼付されているため、フォーカスレンズ位置検出手段16の検出結果から、保持部材13及び保持部材13に保持されたフォーカスレンズL2の位置を検出することができる。
撮像装置取付部18は、レンズ外筒11を撮像装置27に取り付けるための取付け部であって、撮像装置27のレンズ装置取付部21とX軸周りにバヨネット連結することで、レンズ装置1と撮像装置27とを脱着可能な構成としている。被写体距離表示手段19は、レンズ外筒11の+Z面に取り付けられ、後述する演算処理部20で算出された被写体距離を表示する。
演算処理部20は、レンズ装置1での全て演算、制御、記憶を担っている。演算処理部20の記憶領域にはレンズ情報が保存されており、被写体距離算出時に用いられる。このレンズ情報には、フォーカスレンズ位置検出手段16の検出結果と被写体距離とを対応するテーブル情報も含まれる。演算処理部20は、記憶領域に保存されているこのレンズ情報と、フォーカスレンズ位置検出手段16の検出結果に基づいて、被写体距離を算出する被写体距離算出手段としての機能を果たしている。演算処理部20は、フォーカスレンズ位置検出手段16の検出結果に基づいて、フォーカス駆動信号を生成し、振動波モータ100に目標位置への駆動を指示するフォーカス駆動信号生成手段としての機能も果たしている。
レンズ装置取付部21は、レンズ装置1の撮像装置取付部18とX軸周りにバヨネット連結することで、レンズ装置1と撮像装置27とを脱着可能な構成としている。カメラ外装22は、−X方向側面にレンズ装置取付部21と、その内側にフォーカスレンズL2を透過した撮影光束を取り込むための円開口を有している。+X方向側面には、外部表示手段26が配置されている。
撮像素子23は、フォーカスレンズL2を透過した撮影光束の結像面近傍に配置されており、結像した被写体像を映像信号に変換する。カメラ演算処理部24は、撮像装置27における全ての演算、制御、記憶を担っている。記憶手段25は、カメラ演算処理部24からの指令信号に基づいて、撮像素子23で得られた映像信号を保存する手段としての機能を果たしている。外部表示手段26は、カメラ演算処理部24からの指令信号に基づいて、撮像素子23で得られた映像信号を表示する。撮像装置27にレンズ装置1が取り付けられている状態では、レンズ装置1の演算処理部20と撮像装置27のカメラ演算処理部24は、通信線が接続されて通信可能となるように構成されている。
以上、本発明の好ましい適用例について説明したが、本発明はこの適用例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
1 レンズ装置
100 振動波モータ
101 振動子
102 弾性体
102b 接触部
102G 接触部102cの重心
103 圧電素子
111 加圧手段
121 摩擦部材
121s 接触面
121a、222a、321a、421a 第1の溝部
121b、222b、321b、421b 第2の溝部
121c、222c、321c 第3の溝部
122a、221a、322a、422a 第1の曲面凸部
122b、221b、322b、422b 第2の曲面凸部
122c、221c、322c 第3の曲面凸部
122 固定部材
E1 第1の係合部
E2 第2の係合部
E3 第3の係合部
MR 可動範囲
A1、A3、A4 多角形領域
D1 第1の距離
D2 第2の距離
D3 第3の距離

Claims (14)

  1. 圧電素子と弾性体とが固着された振動子と、
    前記弾性体に設けられた少なくとも1つ以上の接触部と接触する接触面を有し、前記振動子と相対移動する摩擦部材と、
    前記接触面に対する垂線方向を加圧方向として前記振動子を前記接触面に加圧力によって加圧接触させる加圧手段と、
    前記加圧力によって前記摩擦部材と当接する固定部材と、
    を有する振動波モータにおいて、
    前記摩擦部材と前記固定部材との間に係合部が備えられ、前記係合部は前記摩擦部材を前記固定部材に対して前記加圧方向及び前記相対移動の方向に位置決め固定することを特徴とする振動波モータ。
  2. 前記係合部は、前記摩擦部材又は前記固定部材のいずれか一方の部材に設けられた溝部と、前記溝部が設けられていない他方の部材に設けられた、前記溝部に対応する曲面凸部とにより構成されることを特徴とする、請求項1に記載の振動波モータ。
  3. 前記相対移動の方向における前記少なくとも1つ以上の接触部の重心の可動範囲は、前記係合部の配置により形成される多角形領域の内側に位置することを特徴とする、請求項2に記載の振動波モータ。
  4. 前記溝部は、第1の溝部、第2の溝部及び第3の溝部から構成され、前記第1の溝部は前記相対移動の方向の中央に設けられ、前記第1の溝部の両側に前記第2の溝部及び前記第3の溝部が設けられることを特徴とする、請求項3に記載の振動波モータ。
  5. 前記第1の溝部は、前記加圧方向及び前記相対移動の方向と直交する方向に延伸した溝形状をしており、前記第2の溝部及び前記第3の溝部は、前記相対移動の方向に延伸した溝形状をしていることを特徴とする、請求項4に記載の振動波モータ。
  6. 前記曲面凸部は、第1の曲面凸部、第2の曲面凸部及び第3の曲面凸部から構成され、前記可動範囲と前記第1の曲面凸部との距離を第1の距離、前記可動範囲と前記第2の曲面凸部の距離を第2の距離、前記可動範囲と前記第3の曲面凸部の距離を第3の距離とすると、前記第1の距離は前記第2の距離及び前記第3の距離より長いことを特徴とする、請求項3乃至5のいずれか1項に記載の振動波モータ。
  7. 前記溝部は、第1の溝部、第2の溝部及び第3の溝部から構成され、前記第1の溝部は前記相対移動の方向の一方の端部の近傍で前記相対移動の方向と直交する方向の中央に設けられ、前記第2の溝部及び前記第3の溝部は、前記相対移動の方向の他方の端部の近傍で前記相対移動の方向と直交する方向に並んで設けられることを特徴とする、請求項2又は3に記載の振動波モータ。
  8. 前記第1の溝部は、前記相対移動の方向に延伸した溝形状をしており、前記第2の溝部及び前記第3の溝部は、前記加圧方向及び前記相対移動の方向と直交する方向に延伸した溝形状をしていることを特徴とする、請求項7に記載の振動波モータ。
  9. 前記溝部は前記摩擦部材に3つ設けられ、前記曲面凸部は前記固定部材に3つ設けられることを特徴とする、請求項2乃至8のいずれか1項に記載の振動波モータ。
  10. 前記溝部は、前記相対移動の方向の両側の端部近傍に設けられ、前記加圧方向と前記相対移動の方向とに直交する方向に延伸した溝形状であることを特徴とする、請求項2又は3に記載の振動波モータ。
  11. 前記曲面凸部は、前記相対移動の方向と直交する方向に延伸した形状であることを特徴とする、請求項10に記載の振動波モータ。
  12. 前記曲面凸部は、前記摩擦部材の固有振動モードのうち、前記圧電素子に印加する駆動電圧の周波数に最も近い周波数の固有振動モードの節位置に備えられていることを特徴とする、請求項2乃至11のいずれか1項に記載の振動波モータ。
  13. 前記振動波モータは、超音波領域の周波数の振動をする超音波モータであることを特徴とする、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の振動波モータ。
  14. 請求項1乃至13のいずれか1項に記載の振動波モータを備えるレンズ装置。
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