JP2018078758A - Dc/dcコンバータ - Google Patents

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通 崔
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Abstract

【課題】トランジスタの耐圧を確保しつつ損失の増加を抑制する。【解決手段】DC/DCコンバータにおいて、第1〜第5トランジスタのうちの少なくとも1つのトランジスタがオンしているときに、第1電圧および第2電圧および接地電圧の3つの電圧のうちのいずれか1つの電圧となるように、オンしているトランジスタを駆動するドライバの正極電源電圧および負極電源電圧のうち一方の電圧を調整し、一方の電圧と他方の電圧との差がオンしているトランジスタの耐圧以下となり、且つ、オンしているトランジスタのゲートとソースとの間の電圧が他方の電圧を前記3つの電圧のうちのいずれか1つの電圧としたときに比して大きくなるように、内部の電圧を用いて他方の電圧を3つの電圧と異なる電圧に調整する電圧調整回路を設ける。【選択図】図1

Description

本発明は、DC/DCコンバータに関する。
従来、この種のDC/DCコンバータとしては、フライングキャパシタと第1〜第4トランジスタとを有する2つのサブコンバータ回路と、第5トランジスタと、を備えるものが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。第1トランジスタは、フライングキャパシタの正極と電圧が入力される入力ラインとの間に接続されている。第2トランジスタは、フライングキャパシタの正極と電圧を出力する出力ラインとの間に接続されている。第3トランジスタは、フライングキャパシタの負極と接地との間に接続されている。第4トランジスタは、フライングキャパシタの負極と出力ラインとの間に接続されている。このコンバータでは、クロック信号やドライバから出力された信号を用いて第1〜第5トランジスタのオンオフを切り替えることにより、入力した第1電圧を第1電圧と異なる第2電圧に変換して出力している。
Hanh-Phuc Le et al.,"Design Techniques for Fully Integrated Switched-Capacitor DC-DC Converters", IEEE JOURNAL OF SOLID-STATE CIRCUITS, VOL. 46, NO.9, SEPTEMBER 2011
しかしながら、上述のDC/DCコンバータでは、ゲートを駆動する信号の電圧によっては、第1〜第5トランジスタのゲート−ソース間電圧が小さくなり、トランジスタのオン抵抗が高くなる場合がある。トランジスタのオン抵抗が高くなると、トランジスタの損失が増加し、DC/DCコンバータ全体の損失も増加する不都合が生じる。こうした不都合を回避する手法として、ゲートを駆動するクロック信号やドライバから出力される信号を第1電圧,第2電圧のうち高いほうの電圧と接地電圧との間で振幅する信号とすることが考えられる。しかしながら、この手法では、トランジスタに印加する電圧が耐圧を超えてしまう場合がある。
本発明のDC/DCコンバータは、トランジスタの耐圧を確保しつつ損失の増加を抑制することを主目的とする。
本発明のDC/DCコンバータは、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明のDC/DCコンバータは、
第1電圧が入力される入力端子と前記第1電圧と異なる第2電圧が出力される出力端子との間に、入力された電圧を異なる電圧に変換して出力するコンバータ回路を少なくとも備え、
前記コンバータ回路は、
フライングキャパシタと、前記フライングキャパシタの正極と電圧が入力される入力ラインとの間に接続された第1トランジスタと、前記フライングキャパシタの正極と電圧を出力する出力ラインとの間に接続された第2トランジスタと、前記フライングキャパシタの負極と接地との間に接続された第3トランジスタと、前記フライングキャパシタの負極と前記出力ラインとの間に接続された第4トランジスタと、クロック信号または所定電圧の信号が入力され前記第1〜第4トランジスタのゲートを駆動する第1〜第4ドライバと、を有する2つのキャパシタ回路と、
前記2つのキャパシタ回路のうちの一方のキャパシタ回路の前記フライングキャパシタの負極と他方のキャパシタ回路の前記フライングキャパシタの正極とに接続され、前記2つのキャパシタ回路を直列に接続する第5トランジスタと、
前記クロック信号が入力され前記第5トランジスタのゲートを駆動する第5ドライバと、
を有する、
DC/DCコンバータであって、
前記第1〜第5トランジスタのうちの少なくとも1つのトランジスタがオンしているときに、前記第1電圧および前記第2電圧および接地電圧の3つの電圧のうちのいずれか1つの電圧となるように、前記オンしているトランジスタを駆動するドライバの正極電源電圧および負極電源電圧のうち一方の電圧を調整し、前記一方の電圧と他方の電圧との差が前記オンしているトランジスタの耐圧以下となり、且つ、前記オンしているトランジスタのゲートとソースとの間の電圧が前記他方の電圧を前記3つの電圧のうちのいずれか1つの電圧としたときに比して大きくなるように、内部の電圧を用いて前記他方の電圧を前記3つの電圧と異なる電圧に調整する電圧調整回路、
を備えることを要旨とする。
この本発明のDC/DCコンバータでは、電圧調整回路では、第1電圧および第2電圧および接地電圧の3つの電圧のうちのいずれか1つの電圧となるように、オンしているトランジスタを駆動するドライバの正極電源電圧および負極電源電圧のうち一方の電圧を調整する。そして、一方の電圧と他方の電圧との差がオンしているトランジスタの耐圧以下となり、且つ、オンしているトランジスタのゲートとソースとの間の電圧が他方の電圧を3つの電圧のうちのいずれか1つの電圧としたときに比して大きくなるように、内部の電圧を用いて他方の電圧を3つの電圧と異なる電圧に調整する。これにより、オンしているトランジスタの耐圧を確保しつつ、オンしているトランジスタのオン抵抗を低くして損失の増加を抑制することができる。このとき、内部の電圧を用いて他方の電圧を調整するから、外部の電圧を用いて他方の電圧を調整するものに比して、利便性を向上させることができる。この結果、オンしているトランジスタの耐圧を確保しつつ損失の増加を抑制することができる。
こうした本発明のDC/DCコンバータにおいて、前記第1トランジスタは、p型のトランジスタであり、前記電圧調整回路は、前記第1ドライバの正極電源電圧の入力と前記入力ラインとが接続されており、更に、前記電圧調整回路は、正極が前記第1ドライバの負極電源電圧の入力に接続され、負極が接地されたキャパシタと、前記第1トランジスタがオフしているときに前記接地電圧よりも高く前記第2電圧より低い電圧となる所定箇所と前記キャパシタの正極との間に接続されたスイッチと、前記第1トランジスタがオフしているときには前記スイッチをオンとし、前記第1トランジスタがオンしているときには前記スイッチをオフとするスイッチ制御部と、を有していてもよい。第1トランジスタをオフしているときにはスイッチをオンすることにより、キャパシタの正極の電圧を所定箇所の電圧で保持し、第1ドライバの負極電源電圧を所定箇所の電圧に調整する。第1トランジスタがオンしているときには、スイッチをオフとして、キャパシタで保持している所定の箇所の電圧を負極電源電圧に供給し、負極電源電圧を所定箇所の電圧に調整する。所定箇所は、接地電圧よりも高く第2電圧より低い電圧であるから、第1ドライバの負極電源電圧は、接地電圧よりも高く第2電圧より低い電圧に調整される。したがって、第1ドライバの負極電源電圧として第2電圧を用いるものに比して、第1トランジスタのゲートの電圧を低くすることができるから、第1トランジスタのゲートとソースとの間の電圧をより大きくすることができる。これにより、第1トランジスタの損失を抑制することができる。また、第1ドライバの負極電源電圧として接地電圧を用いるものに比して、第1トランジスタのゲート電圧を高くすることができる。これにより、第1トランジスタの耐圧を確保することができる。したがって、第1トランジスタの耐圧を確保しつつ損失の増加を抑制することができる。ここで、「所定箇所」は、一方のキャパシタ回路のフライングキャパシタの負極または他方のキャパシタ回路のフライングキャパシタの正極などとしてもよい。
第1トランジスタは、p型のトランジスタであり、電圧調整回路が、キャパシタと、スイッチと、スイッチ制御部と、を備える態様の本発明のDC/DCコンバータにおいて、前記電圧調整回路は、負極が接地された第1キャパシタと、前記キャパシタの正極と前記第1キャパシタの正極との間に接続された第1スイッチと、前記第1キャパシタと並列に接続された第2スイッチと、を有し、前記スイッチ制御部は、前記第1トランジスタがオフしているときには前記スイッチおよび前記第2スイッチをオンとすると共に前記第1スイッチをオフとし、前記第1トランジスタがオンしているときには前記スイッチおよび前記2スイッチをオフとすると共に前記第1スイッチをオンとしてもよい。第1キャパシタ,第1,第2スイッチを備えていないものでは、第1トランジスタをオフしているときに、第1トランジスタのゲートが第1ドライバの正極電源電圧、すなわち、第1電圧近傍の電圧となるから、ゲートと接地との間の寄生ゲート容量が充電される。そして、第1トランジスタがオンしたときに、寄生ゲート容量に充電された電荷が第1ドライバを介してキャパシタに移動するから、キャパシタの正極電圧、つまり、第1ドライバの負極電源電圧が上昇して所定箇所の電圧より高くなる場合がある。本発明では、第1トランジスタをオフしているときには、スイッチおよび第2スイッチをオンとすると共に第1スイッチをオフとすると、第1キャパシタの電圧が値0近傍の電圧となり第1キャパシタを放電し、第1トランジスタがオンしているときには、スイッチおよび第2スイッチをオフとすると共に第1スイッチをオンとし、第1ドライバを介してキャパシタと第1キャパシタと寄生ゲート容量とを並列に接続することにより、第1キャパシタが充電される分、第1ドライバの負極電源電圧の上昇が抑制する。これにより、第1キャパシタを備えていないものに比して、第1トランジスタをオフからオンした直後における負極電源電圧の変動をより抑制することができる。
また、本発明のDC/DCコンバータにおいて、前記第1トランジスタは、p型のトランジスタであり、前記電圧調整回路は、前記第1ドライバの正極電源電圧の入力が前記入力ラインに接続されており、更に、前記電圧調整回路は、正極が前記第1ドライバの負極電源電圧の入力に接続され、負極が接地されたキャパシタと、前記キャパシタと並列に接続されたスイッチと、前記第1トランジスタがオフしているときには前記スイッチをオンとし、前記第1トランジスタがオンしているときには前記スイッチをオフとするスイッチ制御部と、を有していてもよい。第1トランジスタをオフしているときにはスイッチをオンすることにより、キャパシタの電圧を値0として放電する。このとき、第1トランジスタのゲート電圧が第1電圧近傍の電圧となっているから、第1トランジスタのゲートと接地との間の寄生ゲート容量が充電される。そして、第1トランジスタがオンしたときには、スイッチをオフとすることにより、寄生ゲート容量の電荷が第1トランジスタのゲートと第1ドライバとを介してキャパシタへ移動するが、キャパシタの容量を適宜設定することにより、第1トランジスタのゲートとソースとの間の電圧を耐圧以下としつつ、第1トランジスタのゲートとソースとの間の電圧を負極電源電圧を第2電圧とするものより大きくすることができる。これにより、第1トランジスタの耐圧を確保しつつ、第1トランジスタのオン抵抗を低くして、第1トランジスタの損失の増加を抑制できるから、全体の損失の増加を抑制することができる。
さらに、第1トランジスタは、p型のトランジスタであり、電圧調整回路が、キャパシタと、スイッチと、スイッチ制御部と、を備える態様の本発明のDC/DCコンバータにおいて、前記電圧調整回路は、少なくとも1つの調整用スイッチと、前記調整用スイッチを介して前記キャパシタと並列に接続された少なくとも1つの調整用キャパシタと、を有し、前記スイッチ制御部は、前記第1トランジスタをオンしたときに、前記第1ドライバの正極電源電圧と負極電源電圧との差が前記第1トランジスタの耐圧以下となり、且つ、前記第1トランジスタのゲートとソースとの間の電圧が前記負極電圧を前記第1電圧とするときに比して大きくなるように、前記調整用スイッチを制御してもよい。こうすれば、調整用スイッチのオンオフを適宜設定することにより、第1トランジスタの負極電源電圧をより適正な電圧にすることができる。
そして、第1トランジスタは、p型のトランジスタであり、電圧調整回路が、キャパシタと、スイッチと、スイッチ制御部と、を備える態様の本発明のDC/DCコンバータにおいて、前記第1,第2,第5ドライバは、正極電源電圧の入力が前記入力ラインに接続されており、前記キャパシタは、正極が前記第1,第2,第5ドライバの負極電源電圧の入力に接続され、負極が接地されていてもよい。
本発明の一実施例としてのDC/DCコンバータ20の構成の概略を示す回路図である。 ドライバDr1と電圧調整回路30とトランジスタm1が接続されている様子の一例を示す回路図である。 クロックフェーズφ1,φ2を説明するための説明図である。 クロック信号CLKがクロックフェーズφ2であるときにおいて電流が流れる経路を説明するための説明図である。 クロック信号CLKがクロックフェーズφ1であるときにおいて電流が流れる経路を説明するための説明図である。 クロック信号CLKがクロックフェーズφ1であるときの比較例のDC/DCコンバータ20Bの動作を説明するための説明図である。 変形例の電圧調整回路130の構成の概略を示す回路図である。 変形例の電圧調整回路230の構成の概略を示す回路図である。 変形例の電圧調整回路330の構成の概略を示す回路図である。 変形例の電圧調整回路430の構成の概略を示す回路図である。 変形例の電圧調整回路530の構成の概略を示す回路図である。 変形例のDC/DCコンバータ620の構成の概略を示す回路図である。 クロック信号CLKがクロックフェーズφ2であるときにおいて電流が流れる経路を説明するための説明図である。 クロック信号CLKがクロックフェーズφ1であるときにおいて電流が流れる経路を説明するための説明図である。 変形例のDC/DCコンバータ720の構成の概略を示す回路図である。 クロック信号CLKがクロックフェーズφ1であるときにおいて電流が流れる経路を説明するための説明図である。 クロック信号CLKがクロックフェーズφ2であるときにおいて電流が流れる経路を説明するための説明図である。 クロック信号CLKがクロックフェーズφ3であるときにおいて電流が流れる経路を説明するための説明図である。 クロックフェーズφ1〜φ3を説明するための説明図である。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としてのDC/DCコンバータ20の構成の概略を示す回路図である。図2は、ドライバDr1と電圧調整回路30とトランジスタm1が接続されている様子の一例を示す回路図である。図2おいて、寄生ゲート容量Cgは、トランジスタm1のゲートと接地との間の寄生ゲート容量である。DC/DCコンバータ20は、電圧Vi(例えば、2.5V,2.7V,2.9Vなど)が入力される入力端子Vinと電圧Vo(例えば、1.6V,1.8V,2.0Vなど)が出力される出力端子Voutとの間に接続されたコンバータ回路21と、電圧調整回路30と、を備えている。
コンバータ回路21は、キャパシタ回路22a,22bと、トランジスタm5と、ドライバDr5と、を備えている。
キャパシタ回路22aは、フライングキャパシタCflyと、トランジスタm1〜m4と、ドライバDr1〜Dr4と、を備えている。トランジスタm1,m4は、p型のMOSトランジスタとして構成されている。トランジスタm2、m3は、n型のMOSトランジスタとして構成されている。トランジスタm1は、フライングキャパシタCflyの正極と入力端子Vinに接続された入力ラインLinとの間に接続されている。トランジスタm2は、フライングキャパシタCflyの正極と出力端子Voutに出力された出力ラインLoutとの間に接続されている。トランジスタm3は、フライングキャパシタCflyの負極と接地との間に接続されている。トランジスタm4は、フライングキャパシタCflyの負極と出力ラインLoutとの間に接続されている。ドライバDr1は、図2に示すように、CMOSインバータが偶数段接続されて構成されている。ドライバDr2〜D4は、ドライバDr1と同様に、CMOSインバータが偶数段接続されて構成されている。ドライバDr1〜Dr4は、トランジスタm1〜m4のゲートを駆動する。ドライバDr1,Dr2は、正極電源電圧の入力が入力ラインLinに接続されており、負極電源電圧の入力が後述する電圧調整回路30のキャパシタCxの正極に接続されている。ドライバDr3,Dr4は、正極電源電圧の入力が出力ラインLoutに接続されており、負極電源電圧の入力が接地されている。キャパシタ回路22bは、キャパシタ回路22aと同様の回路として構成されている。キャパシタ回路22a,22bのドライバDr1〜Dr4の入力ph1〜ph4,ドライバDr5の入力ph5,キャパシタ回路22bのドライバDr1〜Dr4の入力ph6〜ph9には、クロック信号CLK1〜CLK9が入力されている。クロック信号CLK1〜CLK9は、外部から入力されるクロック信号CLKを用いて図示しないクロック生成回路により生成される。信号CLK1〜CLK9をクロック信号CLKに対してハイとするかローとするかについては、DC/DCコンバータ20に要求される電圧利得に応じてそれぞれ定められる。なお、実施例では、クロック信号CLKがハイになる期間を「クロックフェーズφ1」といい、クロック信号CLKがローになる期間を「クロックフェーズφ2」という。図3は、クロックフェーズφ1,φ2を説明するための説明図である。2つのクロックフェーズを設定する場合、図示するパルス信号P1,P2またはパルス信号P1,P2と逆相の信号がクロック信号CLK1〜CLK9のいずれかに供給される。なお、パルス信号P1,P2の立ち上がり,立ち下がりのタイミングがずれているのは、トランジスタm1〜m6のp型のトランジスタとn型のトランジスタとが同時にオンする期間が重なることを抑制して貫通電流を抑制するためである。なお、実施例では、キャパシタ回路22aのドライバDr3の入力ph3,キャパシタ回路22bのドライバDr2の入力ph7に入力されるクロック信号CLK3,CLK7は、ローに固定されている。また、フライングキャパシタCflyの容量値については、回路面積や効率などを考慮して適宜定められる。
トランジスタm5は、n型のMOSトランジスタとして構成されている。トランジスタm5は、キャパシタ回路22aのフライングキャパシタCflyの負極とキャパシタ回路22bのフライングキャパシタCflyの正極とに接続され、キャパシタ回路22a,22bを直列に接続している。
ドライバDr5は、トランジスタm5のゲートを駆動する。ドライバDr5は、正極電源電圧の入力が入力ラインLinに接続されており、負極電源電圧の入力が後述する電圧調整回路30のキャパシタCxの正極に接続されている。ドライバDr5には、クロック信号CLKが入力されている。
電圧調整回路30は、図1,図2に示すように、キャパシタCxと、スイッチSw1と、スイッチ制御部32と、を備えている。キャパシタCxは、正極が接続ラインLvxを介してドライバDr1の負極電源電圧の入力に接続され、負極が接地されている。スイッチSw1は、キャパシタ回路22bのキャパシタCflyの正極に接続されている。スイッチ制御部32は、クロック信号CLKに同期してスイッチSw1をオンまたはオフに制御する。
実施例のDC/DCコンバータ20は、以下のように動作する。図4は、クロック信号CLKがクロックフェーズφ2であるときにおいて電流が流れる経路を説明するための説明図である。図5は、クロック信号CLKがクロックフェーズφ1であるときにおいて電流が流れる経路を説明するための説明図である。図4,図5において、電流が流れる経路を実線で示し、電流が流れない経路を破線で示している。
クロック信号CLKがクロックフェーズφ2であるときには、図4に示すように、キャパシタ回路22aのトランジスタm2,キャパシタ回路22bのトランジスタm3,トランジスタm5がオンとなり、キャパシタ回路22aのトランジスタm1,m3,m4,キャパシタ回路22bのトランジスタm1、m2,m4がオフとなるようにキャパシタ回路22a,22bのトランジスタm1〜m4,トランジスタm5のゲートにクロック信号CLK1〜CLK9を供給する。したがって、出力端子Voutと接地との間に、キャパシタ回路22aのフライングキャパシタCflyとキャパシタ回路22bのフライングキャパシタCflyとが直列に接続される。これにより、キャパシタ回路22a,22bのフライングキャパシタCflyの正極と負極との間の電圧は、出力端子Voutの電圧Voの2分の1の電圧となり、キャパシタ回路22bのフライングキャパシタCflyの正極の電圧(電位)Vrefは、値Vo/2、すなわち、接地電圧より高く電圧Voより低い電圧(電位)となる。電圧Vrefは、例えば、電圧Voが1.8Vのときには、0.9Vとなる。
クロック信号CLKがクロックフェーズφ1であるときには、図5に示すように、キャパシタ回路22a,22bのトランジスタm1,m4がオンとなり、キャパシタ回路22a,22bのトランジスタm2,m3,トランジスタm5がオフとなるようにキャパシタ回路22a,22bのトランジスタm1〜m4,トランジスタm5のゲートにクロック信号CLK1〜CLK9を供給する。したがって、入力端子Vinと出力端子Voutとの間に、キャパシタ回路22aのフライングキャパシタCflyとキャパシタ回路22bのフライングキャパシタCflyとが並列に接続される。これにより、出力端子Voutからは、入力電圧ViからフライングキャパシタCflyの正極と負極との間の電圧(=1/2Vo)分降下した電圧が出力される。電圧Viが、電圧Voの3/2倍の電圧であれば、出力端子Voutの電圧が変化しない。すなわち、DC/DCコンバータ20は、電圧利得が2/3のコンバータとして動作することができる。
次に、こうして構成されたDC/DCコンバータ20の動作、特に、電圧調整回路30の動作について説明する。電圧調整回路30のスイッチ制御部32は、図4,図5に示すように、クロック信号CLKがクロックフェーズφ2のときにはスイッチSw1をオンとし、クロック信号CLKがクロックフェーズφ1のときにはスイッチSw1をオフとする。スイッチSw1がオンとなると、キャパシタCxの正極とキャパシタ回路22bのフライングキャパシタCflyの正極とが接続されるから、キャパシタCxの正極の電圧Vxがキャパシタ回路22bのフライングキャパシタCfyの正極の電圧Vrefとなる。キャパシタCxは負極が接地されているから、正極と負極との間の電圧(電圧差)は電圧Vrefとなる。スイッチSw1がオフとなると、キャパシタCxの正極と負極との間の電圧が電圧Vrefで保持され、キャパシタCxの正極の電圧Vcが電圧Vrefで保持される。このように、キャパシタCxの正極の電圧Vxは、電圧Vrefで保持されるから、キャパシタ回路22a,22bのドライバDr1,Dr2,ドライバDr5の負極電源電圧に電圧Vref、すなわち、接地電圧より高く電圧Voより低い電圧が供給される。
ここで、キャパシタ回路22a,22bのドライバDr1,Dr2,ドライバDr5の負極電源電圧に電圧Vrefを供給する理由について説明する。図6は、クロック信号CLKがクロックフェーズφ1であるときの比較例のDC/DCコンバータ20Bの動作を説明するための説明図である。比較例のDC/DCコンバータ20Bは、キャパシタ回路22a,22bのドライバDr1,Dr2,ドライバDr5の負極電源電圧に電圧Voが供給されている点、電圧調整回路30を備えていない点を除いて、実施例のDC/DCコンバータ20と同一の構成となっている。図中、電流が流れる経路を実線で示し、電流が流れない経路を破線で示している。比較例のDC/DCコンバータ20Bでは、ドライバDr1の負極電源電圧に電圧Voが供給されているから、キャパシタ回路22a,22bのオンしているトランジスタm1,m4のうち、トランジスタm1のゲートとソースとの間(以下、「ゲート−ソース間電圧」という)の電圧Vgsが電圧Viと電圧Voとの差近傍の電圧となる。このとき、電圧Viと電圧Voとの差が小さいと、トランジスタm1のオン抵抗が高くなり、トランジスタm1の損失が増加し、DC/DCコンバータ20B全体の損失が増加してしまう。こうしたトランジスタm1のオン抵抗の増加を抑制するために、ドライバDr1の負極電源電圧に接地電圧を供給すると、ドライバDr1の正極電源電圧(電圧Vi)との差が大きくなり、ドライバDr1の正極電源電圧と負極電源電圧との差がドライバDr1の耐圧を超えたり、トランジスタm1のゲート−ソース間電圧Vgsが大きくなりトランジスタm1の耐圧を超える場合がある。実施例のDC/DCコンバータ20では、ドライバDr1の負電源電圧に接地電圧より高く電圧Voより低い電圧Vxが供給されているから、トランジスタm1のゲート−ソース間電圧Vgsが、比較例のDC/DCコンバータ20Bにおけるトランジスタm1のゲート−ソース間電圧Vgsに比して大きくなる。これにより、トランジスタm1のオン抵抗の増加を抑制することができるから、トランジスタm1の損失の増加を抑制し、DC/DCコンバータ20全体の損失の増加を抑制することができる。また、ドライバDr1の負極電源電圧に接地電圧を供給するものに比して、ドライバDr1の正極電源電圧(電圧Vi)との差が小さくなるから、ドライバDr1の耐圧やトランジスタm1の耐圧を確保することができる。さらに、ドライバDr1の負極電源電圧に、DC/DCコンバータ20の内部のフライングキャパシタの正極の電圧(クロック電圧Vx)を用いて生成される電圧を供給するから、電圧Vxを外部電源から供給するものに比して、利便性を向上させることができる。また、製造上のばらつきでトランジスタm1の閾値電圧Vthの絶対値が大きくなっているときでも、ドライバDr1の負極電源電圧に電圧Vxを供給することにより、ドライバDr1の負極電源電圧に電圧Voを供給するものに比して、トランジスタm1のオン抵抗を低くすることができる。これにより、トランジスタm1の損失の増加を抑制し、DC/DCコンバータ20全体の損失の増加を抑制することができる。さらに、小型化のためトランジスタm1〜m5を小さくする場合でも、トランジスタm1,m2,m5のオン抵抗を低く維持することができる。これにより、トランジスタm1の損失の増加を抑制し、DC/DCコンバータ20全体の損失の増加を抑制することができる。
以上説明した実施例のDC/DCコンバータ20によれば、トランジスタm1がオンしているときに、ドライバDr1の正極電源電圧を電圧Viとすると共に負極電源電圧を接地電圧より高く電圧Voより低い電圧Vxとすることにより、トランジスタm1の耐圧を確保しつつ、DC/DCコンバータ全体の損失の増加を抑制することができる。
実施例のDC/DCコンバータ20では、電圧調整回路30を、図1,図2に示すように、キャパシタCxとスイッチSw1とを備えるものとしている。電圧調整回路30では、クロック信号CLKがクロックフェーズφ2であるときには、ドライバDr1のCMOSインバータのp型のトランジスタがオンとなりn型のトランジスタがオフとなり、トランジスタm1のゲートの電圧が電圧Vi近傍の電圧となり、寄生ゲート容量Cgが充電される。クロック信号CLKがクロックフェーズφ1であるときには、ドライバDr1のCMOSインバータのp型のトランジスタがオフとなりn型のトランジスタがオンして、キャパシタCxと寄生ゲート容量Cgとが並列に接続される。このとき、キャパシタCxと寄生ゲート容量Cgとの間で電荷が移動し、電圧Vxが上昇して、ドライバDr1の負極電圧が高くなる場合がある。この場合、トランジスタm1のオン抵抗が高くなり、トランジスタm1の損失が増加してしまう。こうした不都合に対処するために、電圧調整回路30に代えて、図7の変形例の電圧調整回路130を用いてもよい。電圧調整回路130は、図示するように、負極が接地されたキャパシタCy1と、キャパシタCxの正極とキャパシタCy1の正極との間に接続されたスイッチSwy1と、キャパシタCy1と並列に接続されたスイッチSwy2と、を備えている。スイッチSwy1,Swy2は、スイッチ制御部32でオンオフが制御される。こうした電圧調整回路130において、クロック信号CLKがクロックフェーズφ2でありトランジスタm1がオフしているときにはスイッチSw1およびスイッチSwy2をオンとすると共にスイッチSwy1をオフとし、キャパシタCy1の電圧を値0としてキャパシタCy1を放電する。そして、クロック信号CLKがクロックフェーズφ1でありトランジスタm1がオンしたときには、スイッチSw1およびスイッチSwy2をオフとすると共にスイッチSwy1をオンとする。こうすれば、スイッチSw1をオフしたときに、キャパシタCxとキャパシタCy1と寄生ゲート容量Cgとが並列に接続されるから、キャパシタCy1が充電される分、ドライバDr1の負極電源電圧の上昇が抑制される。したがって、トランジスタm1の損失の増加が抑制され、DC/DCコンバータ20全体の損失を抑制することができる。
実施例のDC/DCコンバータ20では、電圧調整回路30を、図1,図2に示すように、キャパシタ回路22bのフライングキャパシタCflyの正極に接続しているが、接地電圧より高く電圧Voより低い電圧の箇所に接続すればよいから、例えば、キャパシタ回路22aのフライングキャパシタCflyの負極に接続してもよい。
実施例のDC/DCコンバータ20では、電圧調整回路30を、図1,図2に示すように、キャパシタ回路22bのフライングキャパシタCflyの正極に接続しているが、電圧調整回路30に代えて、図8に例示する変形例の電圧調整回路230を、ドライバDr1の負極電源電圧の入力に接続してもよい。電圧調整回路230は、図示するように、正極がドライバDr1の負極電源電圧の入力に接続され負極が接地されたキャパシタCzと、キャパシタCzと並列に接続されたスイッチSwzと、スイッチSwzをオンオフ制御する図示しないスイッチ制御部と、を備えている。こうした電圧調整回路230において、クロック信号CLKがクロックフェーズφ2でありトランジスタm1をオフしているときには、スイッチSwzをオンとして、キャパシタCzを放電する。このとき、トランジスタm1のゲート電圧は電圧Viになっており、寄生ゲート容量Cgは充電される。そして、クロック信号CLKがクロックフェーズφ1でありトランジスタm1がオンしたときには、スイッチSwzをオフとする。スイッチSw1をオフすると、ドライバDr1を介してキャパシタCzと寄生ゲート容量Cgとが並列に接続され、寄生ゲート容量Cgの電荷がキャパシタCzへ移動してキャパシタCzの電圧が上昇し、ドライバDr1の負極電源電圧が上昇する。このとき、ドライバDr1の負極電源電圧が接地電圧より高く電圧Voより低くなるようにキャパシタCzの容量を設定することにより、トランジスタm1の耐圧を確保しつつ、トランジスタm1のオン抵抗を低くして、トランジスタm1の損失の増加を抑制することができる。この結果、DC/DCコンバータ全体の損失を抑制することができる。
実施例のDC/DCコンバータ20では、電圧調整回路30を備えているものとしたが、電圧調整回路30に代えて、図9に例示する変形例の電圧調整回路330を備えていてもよい。電圧調整回路330は、図示するように、電圧調整回路30において、キャパシタCxの正極に調整用スイッチSwa1を介して並列に接続された調整用キャパシタCa1と、キャパシタCxの正極に調整用スイッチSwa1,Swa2を介して並列に接続された調整用キャパシタCa2と、キャパシタCxの正極に調整用スイッチSwa1〜Swa3を介して並列に接続された調整用キャパシタCa3と、を加えた構成となっている。この場合、スイッチ制御部32は、トランジスタm1をオンしたときに、キャパシタCxの正極電圧が、接地電圧より高く電圧Voより低い電圧となるように、調整用スイッチSwa1〜Swa3のオンオフを制御すればよい。こうすれば、電圧Vxをより適正な電圧とすることができる。また、図7に例示する変形例の電圧調整回路130に代えて、図10に例示する変形例の電圧調整回路430を備えるものとしてもよい。電圧調整回路430は、図示するように、電圧調整回路130において、キャパシタCxの正極に調整用スイッチSwa1を介して並列に接続された調整用キャパシタCa1と、キャパシタCxの正極に調整用スイッチSwa1,Swa2を介して並列に接続された調整用キャパシタCa2と、キャパシタCxの正極に調整用スイッチSwa1〜Swa3を介して並列に接続された調整用キャパシタCa3と、を加えた構成となっている。さらに、図8に例示する変形例の電圧調整回路230に代えて、図11に例示する変形例の電圧調整回路530を備えるものとしてもよい。変形例の電圧調整回路530は、電圧調整回路230において、キャパシタCzの正極に調整用スイッチSwa1を介して並列に接続された調整用キャパシタCa1と、キャパシタCzの正極に調整用スイッチSwa1,Swa2を介して並列に接続された調整用キャパシタCa2と、キャパシタCzの正極に調整用スイッチSwa1〜Swa3を介して並列に接続された調整用キャパシタCa3と、を加えた構成となっている。
実施例のDC/DCコンバータ20では、ドライバDr1,Dr2,Dr5の正極電源電圧を電圧Viとすると共に負極電源電圧を電圧Vxとしているが、ドライバDr5については負極電源電圧を電圧Voとしてもゲート・ソース間電圧を十分に大きくすることができるから、ドライバDr1,Dr2の負極電源電圧を電圧Vxとし、ドライバDr5の負極電源電圧を電圧Voとしてもよい。
実施例のDC/DCコンバータ20は、入力端子Vinと出力端子Voutとの間にコンバータ回路21が接続されているものとしたが、入力端子Vinとコンバータ回路21との間や出力端子Voutとコンバータ回路21との間に他の回路が接続されていてもよい。
実施例のDC/DCコンバータ20では、入力端子Vinと出力端子Voutとの間にコンバータ回路21が接続されている。しかしながら、図12の変形例のDC/DCコンバータ620に例示するように、コンバータ回路21の2つのキャパシタ回路22a,22bと直列になるようにキャパシタ回路22a,22bと同一の構成のキャパシタ回路22cをトランジスタm6で接続してもよい。DC/DCコンバータ620では、キャパシタ回路22aのキャパシタ回路22bと反対側にキャパシタ回路22cが接続されている。変形例のDC/DCコンバータ620は、以下のように動作する。図13は、クロック信号CLKがクロックフェーズφ2であるときにおいて電流が流れる経路を説明するための説明図である。図14は、クロック信号CLKがクロックフェーズφ1であるときにおいて電流が流れる経路を説明するための説明図である。図13,図14において、電流が流れる経路を実線で示し、電流が流れない経路を破線で示している。
クロック信号CLKがクロックフェーズφ2であるときには、図13に示すように、キャパシタ回路22cのトランジスタm2,キャパシタ回路22bのトランジスタm3,トランジスタm5,m6がオンとなり、キャパシタ回路22cのトランジスタm1,m3,m4,キャパシタ回路22aのトランジスタm1〜m4,キャパシタ回路22bのトランジスタm1,m2,m4がオフとなるようにキャパシタ回路22a〜22cのトランジスタm1〜m4,トランジスタm5,m6のゲートにクロック信号CLK1〜CLK14を供給する。したがって、出力端子Voutと接地との間に、キャパシタ回路22cのフライングキャパシタCflyとキャパシタ回路22aのフライングキャパシタCflyとキャパシタ回路22bのフライングキャパシタCflyとが直列に接続される。これにより、キャパシタ回路22a〜22cのフライングキャパシタCflyの正極と負極との間の電圧は、それぞれ出力端子Voutの電圧Voの3分の1の電圧となり、キャパシタ回路22bのフライングキャパシタCflyの正極の電圧(電位)Vrefは、値Vo/3、すなわち、接地電圧より高く電圧Voより低い電圧(電位)となる。電圧Vrefは、例えば、電圧Voが1.8Vのときには、0.6Vとなる。
クロック信号CLKがクロックフェーズφ1であるときには、図14に示すように、キャパシタ回路22a〜22cのトランジスタm1,m4がオンとなり、キャパシタ回路22a〜22cのトランジスタm2,m3,トランジスタm5,m6がオフとなるようにキャパシタ回路22a〜22cのトランジスタm1〜m4,トランジスタm5,m6のゲートにクロック信号CLK1〜CLK14を供給する。したがって、入力端子Vinと出力端子Voutとの間に、キャパシタ回路22cのフライングキャパシタCflyとキャパシタ回路22aのフライングキャパシタCflyとキャパシタ回路22bのフライングキャパシタCflyとが並列に接続される。これにより、出力端子Voutからは、入力電圧ViからフライングキャパシタCflyの正極と負極との間の電圧(=1/3Vo)分降下した電圧が出力される。電圧Viが、電圧Voの4/3倍の電圧であれば、出力端子Voutの電圧が変化しない。すなわち、DC/DCコンバータ20は、電圧利得が3/4のコンバータとして動作することができる。
変形例のDC/DCコンバータ620では、電圧調整回路30のスイッチ制御部32を、図13,図14に示すように、クロック信号CLKがクロックフェーズφ2のときにはスイッチSw1をオンとし、クロック信号CLKがクロックフェーズφ1のときにはスイッチSw1をオフとする。スイッチSw1がオンとなると、キャパシタCxの正極とキャパシタ回路22bのフライングキャパシタCflyの正極とが接続されるから、キャパシタCxの正極の電圧Vxがキャパシタ回路22bのフライングキャパシタCflyの正極の電圧Vref2となる。キャパシタCxは負極が接地されているから、正極と負極との間の電圧(電圧差)は電圧Vref2(=1/3Vo)となる。スイッチSw1がオフとなると、キャパシタCxの正極と負極との間の電圧が電圧Vref2で保持され、キャパシタCxの正極の電圧Vcが電圧Vref2で保持される。このように、変形例のDC/DCコンバータ620では、キャパシタCxの正極の電圧Vxは、電圧Vref2で保持されるから、キャパシタ回路22a〜22cのドライバDr1,Dr2,ドライバDr5,Dr6の負極電源電圧に電圧Vref2、すなわち、接地電圧より高く電圧Voより低い電圧が供給することができる。これにより、DC/DCコンバータ全体の損失の増加を抑制することができる。
実施例のDC/DCコンバータ20や変形例のDC/DCコンバータ620では、クロック信号CLKがローになる期間をクロックフェーズφ1とし、クロック信号CLKがハイになる期間をクロックフェーズφ2として、2つのクロックフェーズφ1,φ2で各トランジスタのオンオフを切り替えている。しかしながら、3つ以上のクロックフェーズを設定し、各クロックフェーズで異なる組み合わせで各トランジスタのオンオフを切り替えても構わない。図15は、変形例のDC/DCコンバータ720の構成の概略を示す回路図である。DC/DCコンバータ720では、キャパシタ回路22bのキャパシタ回路22aと反対側にキャパシタ回路22a,22bと同一の構成のキャパシタ回路722cが接続されている。変形例のDC/DCコンバータ720は、以下のように動作する。図16〜図18は、変形例のDC/DCコンバータ720において、3つのクロックフェーズを設定し、各クロックフェーズで異なる組み合わせで各トランジスタのオンオフを切り替える場合の電流が流れる経路を説明するための説明図である。図16は、クロック信号CLKがクロックフェーズφ1であるときにおいて電流が流れる経路を説明するための説明図である。図17は、クロック信号CLKがクロックフェーズφ2であるときにおいて電流が流れる経路を説明するための説明図である。図18は、クロック信号CLKがクロックフェーズφ3であるときにおいて電流が流れる経路を説明するための説明図である。図16〜図18において、電流が流れる経路を実線で示し、電流が流れない経路を破線で示している。図19は、クロックフェーズφ1〜φ3を説明するための説明図である。3つのクロックフェーズを設定する場合、図示するパルス信号P1〜P3またはパルス信号P1〜P3と逆相の信号がクロック信号CLK1〜CLK14のいずれかに供給される。
クロック信号CLKがクロックフェーズφ1であるときには、図16に示すように、キャパシタ回路22aのトランジスタm1,m4,キャパシタ回路22bのトランジスタm1,m3,キャパシタ回路722cのトランジスタm3がオンとなり、キャパシタ回路22aのトランジスタm2,m3,キャパシタ回路22bのトランジスタm2,m4,キャパシタ回路22cのトランジスタm1,m2,m4,トランジスタm5,m6がオフとなるようにキャパシタ回路22a,22b,722cのトランジスタm1〜m4,トランジスタm5,m6のゲートにクロック信号CLK1〜CLK14を供給する。このとき、キャパシタ回路22aのフライングキャパシタCflyは、入力端子Viと出力端子Voutとの間で充電され、正極の電圧(電位)が値Vi,負極の電圧(電位)が値Voとなる。また、キャパシタ回路22bのフライングキャパシタCflyは、入力端子Viと接地との間で充電され、正極の電圧(電位)が値Vi,負極の電圧(電位)が値0となる。なお、キャパシタ回路722cのフライングキャパシタCflyの正極と負極とは、開放(オープン)となる。
クロック信号CLKがクロックフェーズφ2であるときには、図17に示すように、キャパシタ回路22bのトランジスタm1,キャパシタ回路722cのトランジスタm4,トランジスタm6がオンとなり、キャパシタ回路22aのトランジスタm1〜m4,キャパシタ回路22bのトランジスタm2〜m4,キャパシタ回路722cのトランジスタm1〜m3,トランジスタm5がオフとなるようにキャパシタ回路22a,22b,722cのトランジスタm1〜m4,トランジスタm5,m6のゲートにクロック信号CLK1〜CLK14を供給する。したがって、キャパシタ回路22bのフライングキャパシタCflyとキャパシタ回路722cのフライングキャパシタCflyとが入力端子Viと出力端子Voとの間に直列に接続される。このとき、キャパシタ回路22bのフライングキャパシタCflyの正極の電圧(電位)が値Viとなり、キャパシタ回路22bのフライングキャパシタCflyの負極の電圧(電位)が値Voとなるから、キャパシタ回路722cのフライングキャパシタCflyは、トランジスタm6側が電圧(電位)が値0の負極となり、トランジスタm4側が電圧(電位)が値Voの正極となる。なお、キャパシタ回路22aのフライングキャパシタCflyの正極と負極とは、開放となり、電圧は値((Vi−Vo)で保持される。
クロック信号CLKがクロックフェーズφ3であるときには、図18に示すように、キャパシタ回路22aのトランジスタm2,キャパシタ回路22cのトランジスタm3,トランジスタm5,m6がオンとなり、キャパシタ回路22aのトランジスタm1,m3,m4,キャパシタ回路22bのトランジスタm1〜m4,キャパシタ回路722cのトランジスタm1,m2,m4がオフとなるようにキャパシタ回路22a,22b,722cのトランジスタm1〜m4,トランジスタm5,m6のゲートにクロック信号CLK1〜CLK14を供給する。このとき、キャパシタ回路22aのフライングキャパシタCflyとキャパシタ回路22bのフライングキャパシタCflyとキャパシタ回路722cのフライングキャパシタCflyとが出力端子Voと接地との間に直列に接続される。このとき、キャパシタ回路22a,22b,722cのフライングキャパシタCflyの電圧は、値(Vi−Vo),値(Vi−0),値Voとなる。したがって、キャパシタ回路22bのフライングキャパシタCflyの正極の電圧Vref3は値(Vo−(Vi−Vo))、即ち、値(2Vo−Vi)となる。値2Voを値Viより大きくなるように値Vo,Viを設定することにより、キャパシタ回路22bのフライングキャパシタCflyの正極の電圧Vref3を接地電圧より高く電圧Voより低い電圧(電位)とすることができる。例えば、電圧Viが1.8V,電圧V oが1.2Vのときには、キャパシタ回路22bのフライングキャパシタCflyの正極の電圧Vref3は0.6Vとなる。
変形例のDC/DCコンバータ720では、図16〜図18に示すように、クロック信号CLKがクロックフェーズφ3のときにはスイッチSw1をオンとし、クロック信号CLKがクロックフェーズφ1,φ2のときにはスイッチSw1をオフとする。これにより、キャパシタ回路22a,22b,722cのドライバDr1,Dr2,Dr5,Dr6の負極電源電圧に電圧Vref3、すなわち、接地電圧より高く電圧Voより低い電圧を供給することができる。これにより、DC/DCコンバータ全体の損失の増加を抑制することができる。
実施例では、DC/DCコンバータ20を電圧利得が2/3のコンバータとして動作させるときに本発明を適用するものとしたが、DC/DCコンバータ20を電圧利得が他の値、例えば、1/2や3/2のコンバータとして動作させるときに本発明を適用してもよい。この場合、DC/DCコンバータ20が所望の電圧利得のコンバータとして動作するようにキャパシタ回路22a,22bのトランジスタm1〜m4,m5のオンオフを制御し、キャパシタ回路22a,22bのドライバDr1〜Dr4,Dr5のうち、正極電源電圧と負極電源電圧に電圧Vi,Vo,接地電圧を組み合わせて供給するとオン抵抗が高くなるドライバについて、正極電源電圧または負極電源電圧のうちの一方の電圧を電圧Vi,Vo,接地電圧のいずれかに調整し、正極電源電圧または負極電源電圧のうちの他方の電圧を、トランジスタのオン抵抗が低くなり且つドライバやトランジスタの耐圧を超えないように、内部の電圧、例えば、キャパシタ回路22aのフライングキャパシタCflの負極の電圧やキャパシタ回路22bのフライングキャパシタCflyの正極の電圧などを用いて、電圧Vi,Vo,接地電圧とは異なる電圧に調整すればよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、コンバータ回路21が「コンバータ回路」に相当し、キャパシタ回路22a,22bが「キャパシタ回路」に相当し、トランジスタm5が「第5トランジスタ」に相当し、ドライバDr5が「第5ドライバ」に相当し、電圧調整回路30が「電圧調整回路」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、DC/DCコンバータの製造産業などに利用可能である。
20,20B,620,720 DC/DCコンバータ、21 コンバータ回路、22a〜22c,722c キャパシタ回路、30,130,230,330,430,530 電圧調整回路、32 スイッチ制御部、Cg 寄生ゲート容量、Cfly フライングキャパシタ、Ca1〜Ca3 調整用キャパシタ、Cx,Cy1,Cz キャパシタ、Dr1〜Dr6 ドライバ、m1〜m6 トランジスタ、ph1〜ph14 入力、Sw1,Swy1,Swy2,Swz スイッチ、Swa1〜Swa3 調整用スイッチ、Vin 入力端子、Vout 出力端子。

Claims (6)

  1. 第1電圧が入力される入力端子と前記第1電圧と異なる第2電圧が出力される出力端子との間に、入力された電圧を異なる電圧に変換して出力するコンバータ回路を少なくとも備え、
    前記コンバータ回路は、
    フライングキャパシタと、前記フライングキャパシタの正極と電圧が入力される入力ラインとの間に接続された第1トランジスタと、前記フライングキャパシタの正極と電圧を出力する出力ラインとの間に接続された第2トランジスタと、前記フライングキャパシタの負極と接地との間に接続された第3トランジスタと、前記フライングキャパシタの負極と前記出力ラインとの間に接続された第4トランジスタと、クロック信号または所定電圧の信号が入力され前記第1〜第4トランジスタのゲートを駆動する第1〜第4ドライバと、を有する2つのキャパシタ回路と、
    前記2つのキャパシタ回路のうちの一方のキャパシタ回路の前記フライングキャパシタの負極と他方のキャパシタ回路の前記フライングキャパシタの正極とに接続され、前記2つのキャパシタ回路を直列に接続する第5トランジスタと、
    前記クロック信号が入力され前記第5トランジスタのゲートを駆動する第5ドライバと、
    を有する、
    DC/DCコンバータであって、
    前記第1〜第5トランジスタのうちの少なくとも1つのトランジスタがオンしているときに、前記第1電圧および前記第2電圧および接地電圧の3つの電圧のうちのいずれか1つの電圧となるように、前記オンしているトランジスタを駆動するドライバの正極電源電圧および負極電源電圧のうち一方の電圧を調整し、前記一方の電圧と他方の電圧との差が前記オンしているトランジスタの耐圧以下となり、且つ、前記オンしているトランジスタのゲートとソースとの間の電圧が前記他方の電圧を前記3つの電圧のうちのいずれか1つの電圧としたときに比して大きくなるように、内部の電圧を用いて前記他方の電圧を前記3つの電圧と異なる電圧に調整する電圧調整回路、
    を備えるDC/DCコンバータ。
  2. 請求項1記載のDC/DCコンバータであって、
    前記第1トランジスタは、p型のトランジスタであり、
    前記電圧調整回路は、
    前記第1ドライバの正極電源電圧の入力と前記入力ラインとが接続されており、
    更に、前記電圧調整回路は、
    正極が前記第1ドライバの負極電源電圧の入力に接続され、負極が接地されたキャパシタと、
    前記第1トランジスタがオフしているときに前記接地電圧よりも高く前記第2電圧より低い電圧の所定箇所と前記キャパシタの正極との間に接続されたスイッチと、
    前記第1トランジスタがオフしているときには前記スイッチをオンとし、前記第1トランジスタがオンしているときには前記スイッチをオフとするスイッチ制御部と、
    を有する、
    DC/DCコンバータ。
  3. 請求項2記載のDC/DCコンバータであって、
    前記所定箇所は、前記一方のキャパシタ回路の前記フライングキャパシタの負極または前記他方のキャパシタ回路の前記フライングキャパシタの正極である、
    DC/DCコンバータ。
  4. 請求項2または3記載のDC/DCコンバータであって、
    前記電圧調整回路は、
    負極が接地された第1キャパシタと、
    前記キャパシタの正極と前記第1キャパシタの正極との間に接続された第1スイッチと、
    前記第1キャパシタと並列に接続された第2スイッチと、
    を有し、
    前記スイッチ制御部は、
    前記第1トランジスタがオフしているときには前記スイッチおよび前記第2スイッチをオンとすると共に前記第1スイッチをオフとし、前記第1トランジスタがオンしているときには前記スイッチおよび前記2スイッチをオフとすると共に前記第1スイッチをオンとする、
    DC/DCコンバータ。
  5. 請求項1記載のDC/DCコンバータであって、
    前記第1トランジスタは、p型のトランジスタであり、
    前記電圧調整回路は、
    前記第1ドライバの正極電源電圧の入力が前記入力ラインに接続されており、
    更に、前記電圧調整回路は、
    正極が前記第1ドライバの負極電源電圧の入力に接続され、負極が接地されたキャパシタと、
    前記キャパシタと並列に接続されたスイッチと、
    前記第1トランジスタがオフしているときには前記スイッチをオンとし、前記第1トランジスタがオンしているときには前記スイッチをオフとするスイッチ制御部と、
    を有する、
    DC/DCコンバータ。
  6. 請求項2ないし5のいずれか1つの請求項に記載のDC/DCコンバータであって、
    前記電圧調整回路は、
    少なくとも1つの調整用スイッチと、
    前記調整用スイッチを介して前記キャパシタと並列に接続された少なくとも1つの調整用キャパシタと、
    を有し、
    前記スイッチ制御部は、
    前記第1トランジスタをオンしたときに、前記第1ドライバの正極電源電圧と負極電源電圧との差が前記第1トランジスタの耐圧以下となり、且つ、前記第1トランジスタのゲートとソースとの間の電圧が前記第1電圧と前記接地電圧との差より小さくなるように、前記調整用スイッチを制御する、
    DC/DCコンバータ。
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