JP2018077146A - 流動性物体の性状計測装置およびその性状計測方法 - Google Patents

流動性物体の性状計測装置およびその性状計測方法 Download PDF

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Abstract

【課題】微量の試料でも粘度や表面張力などの性状を計測する。【解決手段】性状計測装置は、流動性物体の微小滴を載置する載置面が撥水性を有する可撓性の載置膜と、微小滴に振動を与えた際の載置膜の振動に基づく力を検出する微小力センサと、微小力センサからの検出信号に基づいて流動性物体の性状を演算する演算装置と、を備える。演算装置は、微小力センサからの振動する検出信号の減衰に基づいて減衰比を求め、減衰比と流動性物体の密度と微小滴の質量とに基づいて流動性物体の粘度を演算し、微小滴に与える振動の周波数を順次変更して微小滴の共振周波数を求め、共振周波数と微小滴の質量とに基づいて流動性物体の表面張力を演算する。微小力センサは、半導体製造技術を用いて極めて小さく且つ高精度に形成することができるから、1μL程度の微量でも試料の性状を計測することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、流動性物体の性状計測装置およびその性状計測方法に関し、詳しくは、流動性物体の粘度を含む性状を計測する装置および流動性物体の性状の計測方法に関する。
従来、この種の技術としては、電磁スピニング法を用いて流体の粘度を計測する粘度計が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。電磁スピニング法は、以下に示す測定原理の粘弾性計測手法である。まず、小型試料容器に金属球と試料を入れ、回転磁場を印加する。すると、金属球内に誘起された誘導電流と磁場の間のローレンツ相互作用によってトルクが生じ、金属球を回転させる。外部磁場と金属球の回転速度を測定して解析することにより、試料の粘弾性を計測することができる。この粘度計では、計測のために小型試料容器に入れる最低試料量(必要試料量)は300μLとなっている。
EMS粘度計(EMS-1000),京都電子工業株式会社 http://www.kyoto-kem.com/ja/product/ems1000/(2015年1月6日検索)
しかしながら、上述の粘度計では、試料量として最低限300μLを必要とする。また、上述の粘度計とは異なる他の装置でも試料量として50μL〜300μLが必要とされ、50μL未満の微量しか試料を得ることができない場合には、試料の粘度を計測することが困難となる。
本発明の流動性物体の性状計測装置およびその性状計測方法は、微量の試料でも粘度や表面張力などの性状を計測することを主目的とする。
本発明の流動性物体の性状計測装置およびその性状計測方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の流動性物体の性状計測装置は、
流動性を有する流動性物体の粘度などの性状を計測する流動性物体の性状計測装置であって、
前記流動性物体の微小滴を載置する載置面が撥水性を有する可撓性の載置膜と、
前記微小滴に振動を与えた際の前記載置膜の振動に基づく力を検出する微小力センサと、
前記微小力センサからの検出信号に基づいて前記流動性物体の性状を演算する演算装置と、
を備えることを特徴とする。
この本発明の流動性物体の性状計測装置では、載置膜の振動に基づく力を検出する微小力センサを取り付けた状態で載置膜の載置面に流動性物体の微小滴を載置し、その状態で微小滴に振動を与える。このとき、微小滴の振動に伴って載置膜が振動するため、載置膜の振動に基づく力が信号として微小力センサにより検出される。この検出信号に基づいて流動性物体の性状を計測する。流動性物体の性状としては粘度や表面張力などを挙げることができる。粘度の計測は、微小滴の振動の減衰を微小力センサからの検出信号の減衰として検出し、この検出信号の減衰に基づいて行なうことができる。また、表面張力の計測は、微小滴を載置膜に載置した状態における共振周波数と微小滴の質量とに基づいて行なうことができる。このように、本発明の流動性物体の性状計測装置では、微小力センサにより検出可能な力を作用させることができればよいから、微小滴のサイズは50μL未満、例えば2μLでも計測可能となる。これらのことから、微量の試料でも粘度や表面張力などの性状を計測することができる。ここで、「流動性物体」としては、液体やゲル状の物体など流動性を有するものであれば如何なるものも含まれる。「微小力センサ」としては、載置膜を上面とする箱状部材の内圧を検出するものを用いたり、載置膜の載置面の歪みを検出するものを用いることができる。
こうした本発明の流動性物体の性状計測装置において、前記演算装置は、前記微小力センサからの振動する検出信号の減衰に基づいて減衰比を求め、前記減衰比と前記流動性物体の密度と前記微小滴の質量とに基づいて前記流動性物体の粘度を演算するものとすることもできる。ここで、減衰比をβ、流動性物体の密度をρ、微小滴の質量をm、流動性物体の粘度μとすると、次式(1)の関係が知られている。この関係を用いて流動性物体の粘度μを演算することができる。なお、減衰比は、微小力センサからの振動する検出信号の減衰に基づいて求めることができ、式(2)の関係が知られている。
また、本発明の流動性物体の性状計測装置において、前記演算装置は、前記微小滴に与える振動の周波数を順次変更したときの前記微小力センサからの振動する検出信号に基づいて共振周波数を求め、前記共振周波数と前記微小滴の質量とに基づいて前記流動性物体の表面張力を演算するものとすることもできる。ここで、モード数をj、モードjの共振周波数をfj、表面張力をγ、微小滴の質量をmとすると、次式(3)の関係が知られている。この関係を用いて流動性物体の表面張力γを演算することができる。
本発明の流動性物体の性状計測方法は、
流動性を有する流動性物体の粘度などの性状を計測する流動性物体の性状計測方法であって、
可撓性の載置膜の載置面に前記流動性物体の微小滴を載置した状態で前記微小滴に振動を与えた際の前記載置膜の振動に基づく振動する信号を検出し、検出した振動する信号に基づいて前記流動性物体の性状を演算する、
ことを特徴とする。
この本発明の流動性物体の性状計測方法では、載置膜の載置面に流動性物体の微小滴を載置し、その状態で微小滴に振動を与える。このとき、微小滴の振動に伴って載置膜が振動するため、載置膜の振動に基づく振動する信号を検出する。そして、この検出した振動する信号に基づいて流動性物体の性状を計測する。流動性物体の性状としては粘度や表面張力などを挙げることができる。粘度の計測は、検出した振動する信号の減衰に基づいて減衰比を求め、減衰比と流動性物体の密度と微小滴の質量とに基づいて流動性物体の粘度を演算することにより行なうことができる。この演算については上述の式(1)の関係を用いることができ、減衰比は上述の式(2)を用いることができる。表面張力の計測は、微小滴に順次周波数の異なる振動を与えた際の載置膜の振動に基づく振動する信号に基づいて共振周波数を求め、共振周波数と微小滴の質量とに基づいて流動性物体の表面張力を演算することにより行なうことができる。この演算については上述の式(3)の関係を用いることができる。
本発明の一実施例としての流動性物体の性状計測装置20の構成の概略を示す構成図である。 図1のA−A面を用いてセンサ台22の構成を説明する説明図である。 載置膜30の上面の拡大写真を示す図である。 図3のB−B面を模式的に示す説明図である。 実施例の撥水性膜34と比較例の撥水性膜とを用いたときの流動性物体の表面張力と接触角との関係の一例を示すグラブである。 センサ台22の載置膜30に載置した微小滴10に振動を与えたときの微小滴10や載置膜30,微小力センサ38の変化の様子を示す説明図である。 微小滴の粘度が小さいときの振動の減衰の様子と微小滴の粘度が大きいときの振動の減衰の様子とを示す説明図である。 微小滴10として1.6μLの水とオイルを用いたときの検出信号の時間変化の一例を示す説明図である。 電子制御ユニット50により実行される粘度計測処理の一例を示すフローチャートである。 電子制御ユニット50により実行される表面張力計測処理の一例を示すフローチャートである。 タッピングにより微小滴10に振動を与えている様子を示す説明図である。 変形例のセンサ台122の構成の概略を示す説明図である。 センサ台122の載置膜130に載置した微小滴10に振動を与えたときの微小滴10や載置膜130,微小力センサ138の変化の様子を示す説明図である。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としての流動性物体の性状計測装置20の構成の概略を示す構成図であり、図2は、図1のA−A面を用いてセンサ台22の構成を説明する説明図である。実施例の性状計測装置20は、図示するように、流動性物体の微小滴10を載置すると共に微小力センサ38を内蔵するセンサ台22と、センサ台22を振動させる振動台40と、振動台40を駆動したり微小力センサ38からの検出信号に基づいて粘度を計算したりする電子制御ユニット50と、を備える。
センサ台22は、上面が開口された中空の円筒形状の箱状部材24と、箱状部材24の上蓋状に配置されて箱状部材24と共に内空間28を形成すると共に流動性物体の微小滴10を載置する載置膜30と、を備える。実施例では、内空間28が直径3.3mmで高さ0.5mmとなる箱状部材24を用いた。箱状部材24の底部には矩形の開口部26(実施例では、100μm×130μm程度)が形成されており、その開口部26には開口部26の内周側に僅かなクリアランスをもって二脚の片持梁状の微小力センサ38が取り付けられている。微小力センサ38は、ケイ素層にピエゾ抵抗層を積層した受圧部38aおよび二脚部38bとから構成されており、内空間28の圧力の変化を受圧部38aで受けることによって二脚部38bの撓みの程度が変化し、これによるピエゾ抵抗層の抵抗値の変化を検出信号として出力する。微小力センサ38は、半導体製造技術を適用して製造することが可能であり、サイズとしては、例えば全体として100μm×130μm程度、二脚部31bの幅が20μm程度として形成することができる。このように、微小力センサ38は、半導体製造技術を適用して製造することが可能であるから、極めて小さい微小力センサ38を作成することができると共に、各微小力センサ38の検出感度を高くすることができる。このため、実施例の微小力センサ38では、2μLの微小滴10の振動に伴う内空間28の圧力の変化を検出信号として出力することができる。なお、発明者らは、この微小力センサ38を「カンチレバー型センサ」と称している。
図3は、載置膜30の上面の拡大写真であり、図4は、図3のB−B面を模式的に示す説明図である。載置膜30は、可撓性のフィルム32の上面に、表面にきのこ形状の複数の突起36を有するようにゴム状材料により形成された可撓性の撥水性膜34が積層されて構成されており、更に撥水性膜34の上面(複数の突起36が形成されている面)には撥水剤(オクタフルオロシクロブタン(C48)などの有機フッ化化合物等)による被膜(図示せず)による撥水処理(撥油処理)が施されている。実施例では、フィルム32としては、厚みが50μmのポリイミドフィルムを用いて形成し、撥水性膜34としては、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を用いて、突起36の傘部の直径が約20μmで突起36の竺部の直径が約14μmで突起36の高さが約30μmで平坦部の厚みが約50μmとなるように形成した。撥水性膜34の上面にきのこ形状の複数の突起36を形成するのは、流動性物体の微小滴10を載置したときの微小滴10と膜との接触角を大きくして撥水性(撥油性)の性能を高くするためである。図5は、実施例の撥水性膜34と比較例の撥水性膜とを用いたときの微小滴10の表面張力と接触角との関係の一例を示すグラブである。なお、比較例としては、サイコロ形状の複数の突起を有する撥水性膜を用いた。接触角が大きいほど微小滴10は球状に近くなるから、図5のグラフから解るように、表面張力が小さい領域で、実施例の撥水性膜34の方が比較例の膜より撥水性(撥油性)が高いことが解る。
振動台40は、図示しないがピエゾ素子(圧電素子)を用いたアクチュエータを備え、ピアゾ素子に交番する電力を印加することにより、センサ台22を上下方向に振動させる。
電子制御ユニット50は、CPU52を中心としたマイクロコンピュータとして構成されており、CPU52の他に、プログラム等を記憶するROM54と、データを一時的に記憶するRAM56と、図示しない入出力ポートと、を備える。電子制御ユニット50には、センサ台22に内蔵された微小力センサ38からの検出信号や、計測する種別を切り換える粘度・表面張力切替スイッチ57からのスイッチ信号、計測スイッチ58からのスイッチ信号などが入力ポートを介して入力されている。また、電子制御ユニット50からは、振動台40への駆動信号などが出力ポートを介して出力されている。
次に、実施例の性状計測装置20により微小滴10の性状として粘度μを計測する原理について説明する。図6にセンサ台22に載置された微小滴10に振動が与えられたときの微小滴10や載置膜30,微小力センサ38の変化の様子を示す。図示するように、センサ台22に載置された微小滴10に振動が与えられると、振動に伴って、微小滴10は上下に延びたり(図6(a)参照)、横方向に膨らんだり(図6(b)参照)して、その動作を減衰しながら載置膜30を上下に撓ませて振動させる。載置膜30の撓みの振動は、撓みの程度に応じて内空間28の圧力を変化させるから、内空間28の圧力が小さくなったときには微小力センサ38を内側(内空間28側)に撓ませ(図6(a)参照)、内空間28の圧力が大きくなったときには微小力センサ38を外側に撓ませる(図6(b)参照)。微小滴10の振動の減衰は、微小滴10の上下に延びたり横方向に膨らんだりする運動によるエネルギ消費によって生じるが、その消費するエネルギは、微小滴10の粘度が大きいほど大きくなる。微小滴10の粘度が小さいときの振動の減衰の様子と微小滴10の粘度が大きいときの振動の減衰の様子とを図7に示す。微小滴10の粘度が小さいときには、図7(a)に示すように、微小滴10の振動は比較的ゆっくり減衰し、微小滴10の粘度が大きいときには、図7(b)に示すように、微小滴10の振動は比較的迅速に減衰する。この振動の減衰は、減衰比をβとすると、上述の式(2)により表わされることが知られている。ここで、式(2)中のαは定数である。また、減衰比βと微小滴の粘度μは、式(1)の関係を有する。式(1)中、ρは微小滴10の密度、mは微小滴10の質量である。従って、微小力センサ38により微小滴10の振動の減衰を検出信号として検出し、信号の減衰に対して式(2)を用いて減衰比βを求め、求めた減衰比βと微小滴の密度ρおよび微小滴10の質量mを式(1)に適用して微小滴10の粘度μを得ることができる。
図8は、微小滴10として1.6μLの水とオイルを用いたときの検出信号の時間変化の一例を示す説明図である。図8(a)は水(表面張力が72mN/m、粘度が1mPs.s)の検出信号の時間変化を示し、図8(b)はメチルフェニルシリコーンオイル(表面張力が34mN/m、粘度が37mPs.s)の検出信号の時間変化を示す。図示するように、粘度の小さい水は、図8(a)に示すように、微小滴10の振動は比較的ゆっくり減衰し、微小滴10の粘度が大きいオイルは、図8(b)に示すように、微小滴10の振動は比較的迅速に減衰する。
図9は、試料を1μL以上の微小滴10としてセンサ台22に載置して試料の粘度を計測する際に電子制御ユニット50により実行される粘度計測処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、試料の微小滴10をセンサ台22に載置し、粘度・表面張力切替スイッチ57の操作により粘度の計測を選択している状態で計測スイッチ58をオンとしたときに実行される。粘度計測処理が実行されると、電子制御ユニット50は、まず、振動台40を振動させてセンサ台22の載置膜30に載置された微小滴10に振動を与え(ステップS100)、微小力センサ38により検出される検出信号を記憶する(ステップS110)。次に、記憶した検出信号に基づいて上記の式(2)を用いて減衰比βを計算し(ステップS120)、計算した減衰比βに対して式(1)を用いて粘度μを計算して(ステップS130)、本処理を終了する。こうした処理により、試料の微小滴10をセンサ台22に載置し、粘度・表面張力切替スイッチ57の操作により粘度の計測を選択している状態で計測スイッチ58をオンとするだけで1μL以上の微小滴10の粘度を計測することができる。
次に、実施例の性状計測装置20により微小滴10の性状として表面張力を計測する原理について説明する。微小滴10の表面張力γは、モード数をj、モードjの共振周波数をfj、微小滴の質量をmとすると、上述した式(3)の関係が知られている。したがって、センサ台22の載置膜30に微小滴10を載置した状態で微小滴10に周波数の異なる振動を与え、微小滴10の共振周波数fjを求め、求めた共振周波数fjと微小滴10の質量mとを式(3)に代入することにより、微小滴10の表面張力γを計測することができる。
図10は、試料を1μL以上の微小滴10としてセンサ台22に載置して試料の表面張力を計測する際に電子制御ユニット50により実行される表面張力計測処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、試料の微小滴10をセンサ台22に載置し、粘度・表面張力切替スイッチ57の操作により表面張力の計測を選択している状態で計測スイッチ58をオンとしたときに実行される。表面張力計測処理が実行されると、電子制御ユニット50は、まず、微小滴10に与える初期振動の周波数として予め定めた初期周波数を設定する(ステップS200)。そして、微小滴10に共振が生じていると判定できるまで、設定された周波数の振動を振動台40からセンサ台22の載置膜30に載置された微小滴10に与える処理(ステップS210)と、微小力センサ38により信号を検出する処理(ステップS220)と、微小滴10に共振が生じているか否かを判定する処理(ステップS230)と、周波数を順次変更する処理(ステップS240)とを繰り返す。微小滴10に共振が生じると、それまでの周波数における検出信号の振幅が明らかに大きくなるから、この現象の判定により微小滴10に共振が生じているか否かを判定することができる。ステップS230で共振が生じていると判定されたときには、そのときの振動の周波数を共振周波数fjとして記憶し(ステップS250)、微小滴10の質量mを入力し(ステップS260)、共振周波数fjと質量mとを用いて微小滴10の表面張力γを計算して(ステップS270)、本処理を終了する。こうした処理により、試料の微小滴10をセンサ台22に載置し、粘度・表面張力切替スイッチ57の操作により表面張力の計測を選択している状態で計測スイッチ58をオンとするだけで1μL以上の微小滴10の表面張力を計測することができる。
以上説明した実施例の性状計測装置20では、可撓性を有すると共に上面に撥水処理(撥油処理)が施された載置膜30を、底部に微小力センサ38が取り付けられた箱状部材24に上蓋状に配置してセンサ台22を構成する。センサ台22の載置膜30に微小滴10を載置し、微小滴10に振動を与えると、微小滴10の振動に基づいて載置膜30の撓みに振動が生じ、この載置膜30の振動により内空間28の圧力が変化する。これを微小力センサ38により検出し、検出信号を用いて微小滴10の粘度μや表面張力γなどの性状を計算することにより性状を計測することができる。微小力センサ38は、半導体製造技術を用いて極めて小さく且つ高精度に形成することができるから、1μL程度の微小滴10でもその性状を計測することができる。
実施例では、センサ台22の載置膜30に微小滴10を載置し、微小滴10に振動を与え、微小滴10の振動に基づく載置膜30の撓みの振動の減衰を内空間28の圧力の変化の減衰として微小力センサ38により検出し、微小力センサ38の検出信号の減衰に基づいて減衰比βを計算し、減衰比βと微小滴の密度ρと微小滴10の質量mとにより微小滴10の粘度μを計算することにより微小滴10の粘度μを計測することができる。また、センサ台22の載置膜30に微小滴10を載置し、微小滴10に与える振動の周波数を順次変更して微小滴10の共振周波数fjを求め、共振周波数fjと微小滴10の質量mとにより微小滴10の表面張力γを計算することにより微小滴10の表面張力γを計測することができる。
実施例の性状計測装置20では、載置膜30の表面にきのこ形状の複数の突起36を形成するものとしたが、こうしたきのこ形状の複数の突起36を形成しないものとしてもよい。
実施例の性状計測装置20では、振動台40を用いてセンサ台22の載置膜30に載置された微小滴10に振動を与えるものとしたが、センサ台22やセンサ台22を載置する支持台の一部を軽く叩くこと(タッピング)により微小滴10に振動を与えるものとしてもよい。図11にタッピングにより微小滴10に振動を与えている様子を示す。このように、タッピングでも微小滴10に振動を与えることができるから、微小滴10の性状を計測することができる。この場合、微小滴10の表面張力γは、以下のように求めることができる。タッピングでは広い周波数を有する振動を微小滴10に与えることができるから、まず、タッピングにより与えた振動に対して微小力センサ38により検出される時系列データを周波数解析する。周波数解析の結果、相対的な大きな成分をもつ周波数を周波数の低い方から順のモード数jの共振周波数fjとする。そして、求めた共振周波数fjと微小滴10の質量mとにより微小滴10の表面張力γを計算することができる。この場合、微小滴10の粘度μは、特定の共振周波数を含む周波数の帯域のみを離散逆フーリエ変換して得られる時系列データから振動の減衰を計算し、信号の減衰に対して式(2)を用いて減衰比βを求め、求めた減衰比βと微小滴の密度ρおよび微小滴10の質量mを式(1)に適用することにより計算することができる。もとより、微小滴10の粘度μは、タッピングにより与えた振動に対して微小力センサ38により検出される時系列データから振動の減衰を計算して得ることもできる。
実施例の性状計測装置20では、微小滴10の振動に基づく載置膜30の撓みの振動を内空間28の圧力の変化として微小力センサ38により検出するものとしたが、載置膜30の撓みの振動を載置膜30の撓みの変化として微小力センサにより検出するものとしてもよい。この場合、図12の変形例のセンサ台122に示すように、膜台124の上部に取り付けられた載置膜130の膜台124近傍に微小力センサ138を貼り付ける。ここで、載置膜130と微小力センサ138は、実施例の載置膜30と微小力センサ38と同一の構成である。図13にセンサ台122の載置膜130に載置された微小滴10に振動を与えたときの微小滴10や載置膜130,微小力センサ138の変化の様子を示す。図示するように、センサ台122に載置された微小滴10に振動が与えられると、振動に伴って、微小滴10は上下に延びたり(図13(a)参照)、横方向に膨らんだり(図13(b)参照)して、載置膜130を上下に撓ませる程度を変化させる振動となる。載置膜130の撓みの振動は、微小滴10が上下に延びたときには、図13(a)に示すように、微小力センサ138は下に凸となるように撓み、微小滴10が横方向に膨らんだときには、図13(b)に示すように、微小力センサ138は上に凸となるように撓む。したがって、微小力センサ138の検出信号に基づいて、実施例と同様に、微小滴10の粘度μや表面張力γなどの性状を計測することができる。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、流動性物体の性状計測装置の製造産業などに利用可能である。
10 微小滴、20 性状計測装置、22,122 センサ台、24 箱状部材、26 開口部、28 内空間、30,130 載置膜、32 フィルム、34 撥水性膜、36 突起、38,138 微小力センサ、38a 受圧部、38b 二脚部、40 振動台、50 電子制御ユニット、52 CPU、54 ROM、56 RAM、57 粘度・表面張力切替スイッチ、58 計測スイッチ、124 膜台。

Claims (9)

  1. 流動性を有する流動性物体の粘度などの性状を計測する流動性物体の性状計測装置であって、
    前記流動性物体の微小滴を載置する載置面が撥水性を有する可撓性の載置膜と、
    前記微小滴に振動を与えた際の前記載置膜の振動に基づく力を検出する微小力センサと、
    前記微小力センサからの検出信号に基づいて前記流動性物体の性状を演算する演算装置と、
    を備えることを特徴とする流動性物体の性状計測装置。
  2. 請求項1記載の流動性物体の性状計測装置であって、
    前記載置膜を上面とする箱状部材を有し、
    前記微小力センサは、前記箱状部材の内圧を検出するセンサである、
    流動性物体の性状計測装置。
  3. 請求項1記載の流動性物体の性状計測装置であって、
    前記微小力センサは、前記載置膜の前記載置面の歪みを検出するセンサである、
    流動性物体の性状計測装置。
  4. 請求項1ないし3のうちのいずれか1つの請求項に記載の流動性物体の性状計測装置であって、
    前記演算装置は、前記微小力センサからの振動する検出信号の減衰に基づいて減衰比を求め、前記減衰比と前記流動性物体の密度と前記微小滴の質量とに基づいて前記流動性物体の粘度を演算する、
    流動性物体の性状計測装置。
  5. 請求項1ないし3のうちのいずれか1つの請求項に記載の流動性物体の性状計測装置であって、
    前記演算装置は、前記微小滴に与える振動の周波数を順次変更したときの前記微小力センサからの振動する検出信号に基づいて共振周波数を求め、前記共振周波数と前記微小滴の質量とに基づいて前記流動性物体の表面張力を演算する、
    流動性物体の性状計測装置。
  6. 請求項1ないし5のうちのいずれか1つの請求項に記載の流動性物体の性状計測装置であって、
    前記載置膜は、前記載置面の表面にきのこ形状の複数の微小突起を有する、
    流動性物体の性状計測装置。
  7. 流動性を有する流動性物体の粘度などの性状を計測する流動性物体の性状計測方法であって、
    可撓性の載置膜の載置面に前記流動性物体の微小滴を載置した状態で前記微小滴に振動を与えた際の前記載置膜の振動に基づく振動する信号を検出し、検出した振動する信号に基づいて前記流動性物体の性状を演算する、
    ことを特徴とする流動性物体の性状計測方法。
  8. 請求項7記載の流動性物体の性状計測方法であって、
    前記検出した振動する信号の減衰に基づいて減衰比を求め、前記減衰比と前記流動性物体の密度と前記微小滴の質量とに基づいて前記流動性物体の粘度を演算する、
    流動性物体の性状計測方法。
  9. 請求項7記載の流動性物体の性状計測方法であって、
    前記微小滴に順次周波数の異なる振動を与えた際の前記載置膜の振動に基づく振動する信号に基づいて共振周波数を求め、前記共振周波数と前記微小滴の質量とに基づいて前記流動性物体の表面張力を演算する、
    流動性物体の性状計測方法。
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