JP2018075561A - 植物由来疎水化材料の製造方法、及び植物由来疎水化材料 - Google Patents

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Akio Yamaguchi
晃生 山口
洋 宇津野
Hiroshi Utsuno
洋 宇津野
北野 宏樹
Hiroki Kitano
宏樹 北野
政宏 齋藤
Masahiro Saito
政宏 齋藤
一徳 太田
Kazunori Ota
一徳 太田
小林 慶三
Keizo Kobayashi
慶三 小林
遠藤 守信
Morinobu Endo
守信 遠藤
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Abstract

【課題】植物材料の疎水性を向上させてなる植物由来疎水化材料の製造方法、及び植物由来疎水化材料の提供。【解決手段】本発明の植物由来疎水化材料の製造方法は、植物に由来する植物材料が、不活性ガスの雰囲気下で、150〜550℃の温度条件で加熱されることにより、前記植物材料に疎水性が付与されてなる植物由来疎水化材料が得られる熱処理工程を含む。【選択図】図2

Description

本発明は、植物由来疎水化材料の製造方法、及び植物由来疎水化材料に関する。
トマト等の果菜類の茎葉は、通常、実の収穫後に廃棄物として処理される。しかしながら、近年、環境負荷低減等を理由に植物由来の廃棄物を資源として有効活用することが求められているため、例えば、特許文献1に示されるように、トマトの茎葉の残渣を細かく砕いた物が、合成樹脂に難燃性等を付与するための添加材として利用されている。
また、ケナフ等の廃棄物ではない植物由来の材料も、一般的に、合成樹脂等の添加材として利用されている。
特開2011−241261号公報
植物由来の材料(植物材料)は、主成分としてセルロースを含むため、植物材料からなる各種の添加材は、一般的に親水性を示す。そのため、植物由来の添加材を、親油性(疎水性)を示す合成樹脂に対して添加する場合、凝集体が形成し易く、合成樹脂に対して均一に添加及び混合することが難しいことがあった。
本発明の目的は、植物材料の疎水性を向上させてなる植物由来疎水化材料、及び植物由来疎水化材料の製造方法を提供することである。
本発明者は、前記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、植物材料を不活性ガス雰囲気下で、熱処理すると、前記植物材料が疎水化されることを見出し、本発明の完成に至った。
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
<1> 植物に由来する植物材料が、不活性ガスの雰囲気下で、150〜550℃の温度条件で加熱されることにより、前記植物材料に疎水性が付与されてなる植物由来疎水化材料が得られる熱処理工程を含む植物由来疎水化材料の製造方法。
<2> 前記不活性ガスが、窒素ガスからなる前記<1>に記載の植物由来疎水化材料の製造方法。
<3> 前記植物材料が、ナス科植物の茎及び/又は葉を粉砕した粉砕物からなり、前記温度条件が、240〜460℃である請求項1に記載の植物由来疎水化材料の製造方法。
<4> 前記植物材料が、イネ科タケ亜科植物からなる前記<1>又は前記<2>に記載の植物由来疎水化材料の製造方法。
<5> 植物に由来する植物材料に疎水性が付与されたものからなり、水に対する接触角が70°以上である植物由来疎水化材料。
<6> 前記植物材料が、ナス科植物の茎及び/又は葉を粉砕した粉砕物からなる前記<5>に記載の植物由来疎水化材料。
<7> 前記植物材料が、イネ科タケ亜科植物からなる前記<5>に記載の植物由来疎水化材料。
<8> 前記接触角が110°以上である前記<5>に記載の植物由来疎水化材料。
本願発明によれば、植物材料の疎水性を向上させてなる植物由来疎水化材料の製造方法、及び植物由来疎水化材料を提供することができる。
熱処理工程後のトマト残渣由来の植物材料の状態を撮影した写真を示す図 熱処理工程後のトマト残渣由来の植物材料のATR−FTIRスペクトルを示す図 熱処理工程後の竹由来の植物材料の状態を撮影した写真を示す図 熱処理工程後の竹由来の植物材料のATR−FTIRスペクトルを示す図 実施例8のシートの破断面のSEM画像(倍率:100倍)を示す図 実施例8のシートの破断面のSEM画像(倍率:1000倍)を示す図 実施例11のシートの破断面のSEM画像(倍率:100倍)を示す図 実施例11のシートの破断面のSEM画像(倍率:1000倍)を示す図 比較例3のシートの破断面のSEM画像(倍率:100倍)を示す図 比較例3のシートの破断面のSEM画像(倍率:1000倍)を示す図
〔植物由来疎水化材料〕
本発明の植物由来疎水化材料は、植物に由来する植物材料が、後述する植物由来疎水化材料の製造方法を経て疎水化されたものからなる。ここで、先ず、植物材料について説明する。
植物材料は、植物を切断、洗浄、乾燥等して得られる材料である。植物の種類としては、本発明の目的を損なわない限り、特に制限はないが、例えば、トマト等のナス科植物、竹等のイネ科タケ亜科植物等が挙げられる。
また、ナス科植物としては、本発明の目的を損なわない限り、特に制限はないが、例えば、ナス科ナス属の植物が好ましく、ナス、トマトがより好ましく、トマトが特に好ましい。
植物材料は、植物全体を原料としてもよいし、茎、葉、果実等の植物の一部を原料としてもよい。また、植物材料の原料としては、廃棄物として処理される植物(例えば、トマト等の果菜類の茎葉)が利用されてもよいし、廃棄物ではない植物が利用されてもよい。
ここで、植物材料の一例として、ナス科植物の茎及び/又は葉を粉砕した粉砕物について説明する。
植物材料として利用されるナス科植物は、果実等の有用な部分が収穫された後に残された状態のものであり、主として、茎、葉、根等からなる。そのような状態のナス科植物から、植物材料として、茎、葉が利用される。なお、植物材料として利用されるナス科植物の部位としては、茎のみでも良いし、葉のみでも良いし、茎と葉の双方であっても良い。植物材料として利用されるナス科植物の部位としては、効率的に疎水化し易い等の理由により、特に茎が好ましい。
また、他の植物材料として、イネ科タケ亜科植物について説明する。竹等のイネ科タケ亜科植物は、主として、茎が植物材料の原料に利用される。イネ科タケ亜科植物は、成長速度が速いため、近年、有用な植物資源として注目されている。このようなイネ科タケ亜科植物の茎等に対して、切断、洗浄、粉砕、乾燥等の加工が施されることで、粉末状の植物材料が得られる。
植物材料としては、植物中に含まれる水溶性成分が除去されたものが好ましい。植物中には、糖類(単糖類、二糖類、多糖類等)、植物酵素、アミノ酸等の有機成分、カリウム等の無機成分等の各種水溶性成分が含まれている。このような水溶性成分は、最終的に植物由来疎水化材料が合成樹脂に添加された際に、変色等の原因となる場合があるため、植物材料から、除去することが好ましい。
植物材料から水溶性成分を除去する方法としては、例えば、水、アルコール等の水系溶媒に植物材料を浸漬又は植物材料を前記水系溶媒で洗浄して、植物材料から水溶性成分を抽出除去する方法、凍結乾燥(フリーズドライ)法等が挙げられる。なお、水溶性成分を除去した後の植物材料は、適宜、乾燥される。
後述するように、植物材料を水系溶媒中に浸漬した状態で解砕(粉砕)することで、解砕と同時に水溶性成分の抽出除去を行ってもよい。
植物材料を、粉末状に粉砕する方法としては、本発明の目的を損なわない限り、特に制限はないが、例えば、機械的な方法で、圧縮力、せん断力、摩擦力、衝撃力等を加えて、植物材料を粉砕する方法(機械的粉砕方法)、爆砕等が挙げられる。
なお、機械的粉砕方法では、例えば、高速回転ミル、各種ボールミル(転動ボールミル,振動ボールミル、遊星ボールミル)、媒体撹拌式ミル、気流式粉砕機等が利用される。
また、植物材料を、水等の水系溶媒中に浸漬した状態で、水中解砕装置(例えば、ホモジナイザー)を利用して、粉砕(解砕)してもよい。
植物材料の粉砕は、徐々に粒径が小さくなるように、複数の段階に分けて行ってもよい。例えば、茎等の植物材料を、数センチ程度の大きさに、粗粉砕し、その粗粉砕物を更に、数百ミクロン程度まで粉砕(微粉砕)してもよい。
植物材料の粉砕により得られた粉砕物は、篩等を利用して、適宜、分級されてもよい。
疎水化処理を施す前の植物材料の形状、粒径等は、本発明の目的を損なわない限り、特に制限はないが、例えば、植物材料の粒径(最大直径)は、1000μm以下が好ましく、600μm以下がより好ましい。
なお、植物材料に対して、電磁波、温度、圧力及び薬品を利用した殺菌処理を施してもよい。
上記のような植物材料を、後述する植物由来疎水化材料の製造方法を経て疎水化された植物由来疎水化材料は、疎水性に優れる。植物由来疎水化材料の水に対する接触角は、例えば、70°以上が好ましく、110°以上がより好ましい。
〔植物由来疎水化材料の製造方法〕
続いて、植物由来疎水化材料の製造方法について説明する。植物由来疎水化材料の製造方法は、植物に由来する植物材料が、不活性ガスの雰囲気下で、150〜550℃の温度条件で加熱されることにより、前記植物材料に疎水性が付与されてなる植物由来疎水化材料が得られる熱処理工程を含むものからなる。
熱処理工程は、例えば、後述する炉心管を備えた電気炉等の熱処理装置を利用して行われる。この場合、疎水化対象の植物材料は、炉心管内にセットされ、炉心管内が不活性ガスで置換される。不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴン等の希ガス等が利用される。
植物材料の加熱温度は、植物材料を疎水化することが可能であれば、特に制限はないが、例えば、上限温度が150〜550℃であることが好ましい。また、加熱処理時の加熱温度は、通常、室温(25℃)から徐々に、上限温度まで所定の昇温レートで昇温される。そして、加熱温度が上限温度に達した後は、その上限温度で所定時間(例えば、1〜30分)維持され、その後、常温となるまで自然降温される。
このような熱処理工程を経ると、植物材料に疎水性が付与されてなる植物由来疎水化材料が得られる。
植物由来疎水化材料は、例えば、熱可塑性樹脂等の合成樹脂に対する添加材として使用される。植物由来疎水化材料は、植物材料と比べて、疎水性(親油性)が向上しており、合成樹脂に対する親和性が高く、合成樹脂に均一に混合し易い。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂、変性ポリフェニレンエーテル等が挙げられる。熱可塑性樹脂は、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
植物由来疎水化材料が合成樹脂に添加されると、例えば、合成樹脂の機械的強度を向上させることができる。
なお、熱処理工程としては、電気炉等の熱処理装置以外に、プラズマを発生させるプラズマ処理装置を用いてもよい。プラズマ処理装置によって発生させたプラズマを利用して、植物材料を処理することで、植物材料に疎水性が付与される。
また、熱処理工程は、不活性ガスの雰囲気下だけでなく、必要に応じて、大気圧下で行ってもよいし、真空圧(減圧)下で行ってもよい。
また、熱処理工程を行う前に、植物材料に対して、有機溶剤を含浸させる含浸工程等の前処理工程を行ってもよい。
有機溶剤としては、本発明の目的を損なわない限り、特に制限はないが、例えば、水酸基を有する化合物(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤)、カルボニル基を有する化合物(例えば、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤)等が挙げられる。これらの有機溶剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
含浸工程において、植物材料は、例えば、所定の容器内に入れられた有機溶剤中に浸漬する形で含浸される。また、他の方法としては、例えば、植物材料に対して、スプレー等を利用して有機溶剤を付与することで、植物材料に有機溶剤を含浸させてもよい。
含浸工程後の植物材料は、適宜、乾燥されてもよいし、植物材料が有機溶剤を含浸した状態であってもよい。なお、プラズマ処理装置を用いた熱処理工程では、疎水化を効率的に行い易い等の観点より、含浸工程後の植物材料は、乾燥されることが好ましい。また、電気炉等の熱処理装置を用いた熱処理工程では、含浸工程後の植物材料は、乾燥されてもよいし、有機溶剤を含浸した状態であってもよい。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
〔実施例1〜6、及び比較例1,2〕
(トマト残渣由来の植物材料の作製)
実の収穫を終えたトマト(ナス科植物の一例)の茎を、粗粉砕装置(リョービ株式会社製)を利用して、1cm程度の大きさに切断及び粉砕し、茎の粗粉砕物を得た。次いで、得られた粗粉砕物(500g)を、水(2リットル)中に入れ、ホモジナイザーを利用して2分間水中解砕した後、ろ過した。ろ過したもの(ろ過残渣)に対し再び同様に水中解砕処理を2回繰り返し、計3回の水中解砕を行った。
その後、最終的に得られた残渣に対して、乾燥処理を行った。なお、乾燥処理は、二段階で行った。先ず一段階目の乾燥処理は、温度を130℃、時間を8時間に設定して、殺菌も目的として行った。二段階目の乾燥処理は、温度を105℃、時間を12時間に設定して行った。
次いで、乾燥処理後のろ過残渣を、微粉砕装置(大阪ケミカル株式会社製)を利用して、500μm程度に粉砕し、微粉砕物を得た。その後、微粉砕物を篩い分け装置により、篩い分けして、500μm以下の微粉砕物からなる植物材料を得た。
(熱処理工程)
続いて、前記植物材料に対して、以下に示される熱処理工程を施した。前記植物材料(トマト残渣由来、0.8g〜1.2g)を、加熱用のボートに載せた状態で、小型電気炉(製品名「TMF−500」、アズサイエンス株式会社製)の炉心管内にセットした。炉心管の両端をシリコーンゴム製の栓で塞ぎ、その状態で、炉心管内に外部から窒素ガス(グレード3)を供給して、炉心管内を窒素ガスに置換した。このような状態で、前記植物材料に対して、10℃/分の昇温レートで、25℃(常温)から、各実施例及び比較例に設定されている各上限温度まで加熱した。上限温度に到達した後は、その上限温度で1分間保持し、その後、常温となるまで自然降温させた。
なお、比較例2及び実施例1〜6の各上限温度は、200℃(比較例2)、250℃(実施例1)、300℃(実施例2)、350℃(実施例3)、400℃(実施例4)、450℃(実施例5)、500℃(実施例6)である。また、比較例1は、植物材料に対して、熱処理工程が施されない場合(未処理)である。
(熱処理工程後の植物材料の外観)
実施例1〜6及び比較例2の熱処理工程後の植物材料、並びに比較例1の未処理の植物材料の外観を、図1に示した。図1は、熱処理工程後のトマト残渣由来の植物材料の状態を撮影した写真を示す図である。図1に示されるように、未処理の状態(比較例1)と比べると、上限温度が高くなるにしたがって、植物材料が黒色化することが確かめられた。これにより、植物材料の炭化(炭素化)が進行しているものと推測される。
(ATR−FTIR測定)
実施例1〜6及び比較例2の熱処理工程後の植物材料、並びに比較例1の未処理の植物材料について、ATR−FTIR測定を行った。測定装置は、「Nicolet 6700」(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製)を使用した。結果は、図2に示した。
図2は、熱処理工程後のトマト残渣由来の植物材料のATR−FTIRスペクトルを示す図である。図2の横軸は、波数(cm−1)を表し、縦軸は、吸光度を表す。図2に示されるように、熱処理工程の上限温度が350〜400℃付近において、OH基、CHn結合、及びC−O−C結合の各吸収ピークが減少することが確認された。
(接触角)
実施例1〜6及び比較例2の熱処理工程後の植物材料、並びに比較例1の未処理の植物材料について、水に対する接触角を測定した。接触角は、ガラス基板上に両面テープを貼り、その両面テープに付けられた各材料について、水に対する接触角を常法により測定した。結果は、表1に示した。
Figure 2018075561
表1に示されるように、実施例1〜実施例6は、水に対する接触角が70°以上であり、疎水性が付与されていることが確かめられた。特に、実施例1〜6については、水に対する接触角°が120°以上であり、特に疎水性に優れることが確かめられた。熱処理工程の上限温度が200〜250℃の範囲では、上限温度が高くなると、接触角の値が増加し、疎水化が進行することが確かめられた。また、熱処理工程の上限温度が250〜450℃の範囲では、接触角は略一定であり、疎水性が高い状態で保たれるものの、上限温度がそれよりも高くなりすぎると、接触角が低下することが確かめられた。
(XPS測定)
実施例1〜6及び比較例2の熱処理工程後の植物材料、並びに比較例1の未処理の植物材料について、X線光電子分光法(XPS)を利用して、各材料を構成する物質を調べた。なお、使用したXPS装置は、「PHI QuanteraII(登録商標)」、アルバック・ファイ株式会社製である。XPS測定の結果は、表2に示した。
Figure 2018075561
表2に示されるように、熱処理工程の上限温度が高くなるにしたがって、材料の表面の炭素割合が増加する傾向にある。なお、上限温度が高くなりすぎると(上限温度:500℃の場合)、炭素割合が減少することが確認できた。
〔実施例7〜13、及び比較例3〕
(竹由来の植物材料)
植物材料として、市販されている竹粉末(商品名「ゆめ竹」、有限会社八起産業製)を用意した。
(熱処理工程)
上述した実施例1等のトマト残渣由来の植物材料に対する熱処理工程と同様の方法で、竹由来の植物材料に対して、熱処理工程を行った。
なお、実施例7〜13の各上限温度は、200℃(実施例7)、250℃(実施例8)、300℃(実施例9)、350℃(実施例10)、400℃(実施例11)、450℃(実施例12)、500℃(実施例13)である。また、比較例3は、植物材料に対して、熱処理工程が施されない場合(未処理)である。
(熱処理工程後の植物材料の外観)
実施例7〜13の熱処理工程後の植物材料、並びに比較例3の未処理の植物材料の外観を、図3に示した。図3は、熱処理工程後の竹由来の植物材料の状態を撮影した写真を示す図である。図3に示されるように、未処理の状態(比較例3)と比べると、上限温度が高くなるにしたがって、植物材料が黒色化することが確かめられた。これにより、植物材料の炭化(炭素化)が進行しているものと推測される。
(ATR−FTIR測定)
実施例7〜13の熱処理工程後の植物材料、並びに比較例3の未処理の植物材料について、上述した実施例1等と同様の方法で、ATR−FTIR測定を行った。結果は、図4に示した。
図4は、熱処理工程後の竹由来の植物材料のATR−FTIRスペクトルを示す図である。図4の横軸は、波数(cm−1)を表し、縦軸は、吸光度を表す。図4に示されるように、熱処理工程の上限温度が350〜400℃付近において、OH基、CHn結合、及びC−O−C結合の各吸収ピークが減少することが確認された。
(接触角)
実施例7〜13の熱処理工程後の植物材料、並びに比較例3の未処理の植物材料について、上述した実施例1等と同様の方法で、水に対する接触角を測定した。結果は、表3に示した。
Figure 2018075561
表3に示されるように、実施例7〜実施例13は、水に対する接触角が115°以上であり、疎水性に優れることが確かめられた。熱処理工程の上限温度が200〜500℃の範囲では、接触角は概ね一定値以上であり、疎水性が高い状態で保たれることが確かめられた。
(XPS測定)
実施例7〜13の熱処理工程後の植物材料、並びに比較例3の未処理の植物材料について、上述した実施例1等と同様の方法で、XPSを利用して、各材料を構成する物質を調べた。XPS測定の結果は、表4に示した。
Figure 2018075561
表4に示されるように、熱処理工程の上限温度が高くなるにしたがって、材料の表面の炭素割合が増加する傾向にある。
(植物材料を含む樹脂組成物の作製)
実施例8の植物材料(10質量部)と、100質量部のポリプロピレン樹脂(ランダムタイプのポリプロピレン、サンアロマー株式会社製、グレード名「PMA20V」)とを混練機に投入し、混錬温度180℃、スクリュー回転数30rpn、及び混錬時間10分の各条件で、それらを溶融混錬した。その後、混錬後の樹脂を、熱プレス機にて、180℃の温度条件でシート状(厚み0.5mm)に加工し、実施例8のシート(樹脂組成物)E8を得た。
実施例11の植物材料(10質量部)を用いたこと以外は、シートE8の場合と同様に、実施例11のシート(樹脂組成物)E11を作製した。また、比較例3の植物材料(10質量部)を用いたこと以外は、シートE8の場合と同様に、比較例3のシート(樹脂組成物)C3を作製した。
(SEM画像の観察)
得られた各シートE8,E11,C3から、それぞれ打抜刃を利用して、3号ダンベル形状の試験片を得た。それらの試験片の略中央部を、手で折り曲げることにより、試験片を破断させ、それらの破断面をSEM(Scanning Electron Microscope)で観察した。シートE8の破断面のSEM画像は、図5及び図6に示し、シートE11の破断面のSEM画像は、図7及び図8に示し、シートC3の破断面のSEM画像は、図9及び図10に示した。なお、図6、図8及び図10の各左上隅には、単位(走査幅)が1μmの場合のSEM画像も示されている。
図5は、実施例8のシートE8の破断面のSEM画像(倍率:100倍)を示す図であり、図6は、実施例8のシートの破断面のSEM画像(倍率:1000倍)を示す図である。図5に示されるように、単位(走査幅)が100μmの場合では、合成樹脂と植物材料との間の溝が無くなっており、混ざり合いが進んでいることがわかる。また、図6に示されるように、単位(走査幅)が10μmの場合では、植物材料の表面に合成樹脂が付着している部分が増えていることが確認できる。
図7は、実施例11のシートの破断面のSEM画像(倍率:100倍)を示す図であり、図8は、実施例11のシートの破断面のSEM画像(倍率:1000倍)を示す図である。図7に示されるように、単位(走査幅)が100μmの場合では、合成樹脂と植物材料とが非常に混ざり易くなったため、植物材料が成形品の表面に露出している頻度が下がっていることが確認できる。また、図8に示されるように、単位(走査幅)が10μmの場合では、植物材料の表面全体に合成樹脂が付着しており、合成樹脂をはじかなくなっていることが確認できる。
図9は、比較例3のシートの破断面のSEM画像(倍率:100倍)を示す図であり、図10は、比較例3のシートの破断面のSEM画像(倍率:1000倍)を示す図である。図9に示されるように、単位(走査幅)が100μmの場合では、合成樹脂と植物材料との間に溝ができている様子が見られる。また、図10に示されるように、単位(走査幅)が10μmの場合では、植物材料の表面には合成樹脂は付着しておらず、上手く混ざり合っていないことが一層確認できる。
以上のように、比較例3のシートでは、合成樹脂と植物材料とが混ざり難いのに対し、実施例8,11では、合成樹脂と植物材料とがよく混ざり合うことが確認された。

Claims (8)

  1. 植物に由来する植物材料が、不活性ガスの雰囲気下で、150〜550℃の温度条件で加熱されることにより、前記植物材料に疎水性が付与されてなる植物由来疎水化材料が得られる熱処理工程を含む植物由来疎水化材料の製造方法。
  2. 前記不活性ガスが、窒素ガスからなる請求項1に記載の植物由来疎水化材料の製造方法。
  3. 前記植物材料が、ナス科植物の茎及び/又は葉を粉砕した粉砕物からなり、前記温度条件が、240〜460℃である請求項1又は請求項2に記載の植物由来疎水化材料の製造方法。
  4. 前記植物材料が、イネ科タケ亜科植物からなる請求項1又は請求項2に記載の植物由来疎水化材料の製造方法。
  5. 植物に由来する植物材料に疎水性が付与されたものからなり、水に対する接触角が70°以上である植物由来疎水化材料。
  6. 前記植物材料が、ナス科植物の茎及び/又は葉を粉砕した粉砕物からなる請求項5に記載の植物由来疎水化材料。
  7. 前記植物材料が、イネ科タケ亜科植物からなる請求項5に記載の植物由来疎水化材料。
  8. 前記接触角が110°以上である請求項5〜請求項7の何れか1項に記載の植物由来疎水化材料。
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