JP2018075030A - 定量的pcrによる、ホルマリン固定パラフィン包埋(ffpe)試料におけるテロメア長測定 - Google Patents

定量的pcrによる、ホルマリン固定パラフィン包埋(ffpe)試料におけるテロメア長測定 Download PDF

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Abstract

【課題】定量的ポリメラーゼ連鎖反応プロトコールにより、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)試料になっている細胞又は組織においてテロメア長を確実に定量化する方法、及び様々な方法と共に用いられるキットの提供。【解決手段】テロメア長を決定するステップは、単一遺伝子コピー定量的PCRの閾値サイクルをテロメア定量的ポリメラーゼ連鎖反応の閾値サイクルから引き算することによる。単一コピー遺伝子ポリメラーゼ連鎖反応のテロメアポリメラーゼ連鎖反応に対する平均サイクル数の差は、テロメア長を決定する。テロメア長は、個体について決定され、個体集団において観察されるテロメア長と、又は参照個体と関連づけられる。あるいは、テロメラーゼ阻害剤、テロメア損傷剤、又はテロメラーゼ活性化剤での処理に対する個体の応答をあらかじめ決定するために用いられてもよい。【選択図】図5A

Description

本発明は、ホルマリン固定パラフィン包埋組織試料においてテロメア長を定量化する方法、およびそのような方法に用いられるキットに関する。
テロメアは、真核生物の線状染色体の末端に存在する反復性核酸配列である。テロメア結合タンパク質と共にテロメア配列は、染色体に安定性を与える。テロメアは、一般的に、生物体に特有のテロメラーゼ酵素により特定化される反復配列単位を有する短いタンデム反復で構成される。テロメア反復配列は、様々な生物体について知られている。ヒトテロメア反復配列単位は、(TTAGGG)である。二本鎖反復配列に加えて、いくつかのテロメアの3’末端は、一本鎖領域を含有し、ヒトについてのその領域は、Gリッチな鎖上に位置する。
テロメラーゼは、テロメアDNAを合成するリボタンパク質である。テロメラーゼの非存在下において、DNAポリメラーゼは線状二重鎖DNAの末端を複製することができないため、テロメアは、徐々に短くなる。テロメアが徐々に短くなることにより、最終的に、細胞周期の停止または細胞死がもたらされる。ヒトにおいて、細胞におけるテロメア長依存性死亡は、出生前の正常体細胞におけるテロメラーゼ抑圧、出生時の最初のテロメア長、および一生を通じての、前駆細胞または幹細胞におけるテロメラーゼの厳重に制御された発現という理由により、生じる。ヒトは、「完全長」のテロメアを有して誕生する。テロメラーゼは体細胞組織において下方制御されているため、このことにより、細胞年齢および暦年と共に、テロメアDNAの損失がもたらされる。したがって、テロメアは、正常ヒト細胞に有限の分裂能力を与える、有糸分裂時計として働く。短いテロメアは、幹細胞が増殖する能力を損なう。例えば、上皮性幹細胞における短いテロメアは、皮膚および毛髪成長を損なう。
正常細胞から生じる腫瘍細胞は、正常組織より短いテロメアを有する場合が多いが、テロメラーゼの発現によってそれらのテロメアを維持する。細胞死亡に関する3つのテロメア依存性制御チェックポイントがある。第1のDNA損傷チェックポイントは、平均テロメア長が5kbp未満である場合、複製老化を引き起こす。第2のチェックポイントは、平均テロメア長が1〜3kbpまで低下した場合、細胞死を引き起こす。テロメア無キャップと呼ばれる第3のチェックポイントは、任意のテロメア長で起こることができ、異常な構造のテロメアによって引き起こされる(Harley Nature、8巻(2008年3月))。腫瘍形成中に数ラウンドの突然変異およびクローン増殖を起こす腫瘍細胞は、テロメア長を急速に消耗し、テロメラーゼが活性化されない場合には、死ぬであろう。癌の進行中、腫瘍細胞集団は、連続的な遺伝子変化およびエピジェネティック変化を通して進化し、それらが正常な体細胞性調節を逃避するのを可能にする。腫瘍の逃避機構の1つは、細胞死亡のテロメア依存性経路を回避するテロメラーゼ活性化である。テロメラーゼは、あらゆる癌型由来の腫瘍の大部分において発現している。したがって、腫瘍は、正常組織より有意に短いテロメアを有するが、テロメラーゼ発現が増加している場合が多い(Harleyら、Nature、8巻、167−179頁、2008)。
ホルマリン固定パラフィン包埋組織は、医療処置からの生体試料の極めて有益な資源である。そのような組織には、例えば、癌または腫瘍の生検が挙げられる。これらの組織は、患者からの除去後、ホルマリン固定パラフィン包埋されており、将来的参照のために記録として保存される。これらの記録として保存された組織は、腫瘍組織および周囲の正常組織におけるテロメアの長さに関する有用な情報源であり得た。ホルマリン固定パラフィン包埋組織試料においてテロメア長を測定することは、有用であろう。しかしながら、ホルマリン固定パラフィン包埋組織において平均テロメア長を測定する、迅速かつ高処理の方法は、まだ開発されていない。
いくつかのより遅い、骨の折れる方法が、組織においてテロメア長を決定するのに利用できる。1つの方法において、テロメア長は、末端制限酵素断片(TRF)の平均長を測定することにより決定される。TRFは、テロメア配列およびサブテロメア配列内の核酸を切断せず、単一コピーのゲノム配列内で頻繁に切断する制限酵素(複数可)でのゲノムDNAの完全消化から生じる断片の長さ、一般的には平均長として定義される。生じた末端制限酵素断片は、テロメア反復およびサブテロメアDNAの両方を含有する。制限酵素消化ゲノムDNAは、電気泳動により分離され、ナイロン膜などの支持体上へブロットされる。テロメア配列を含有する断片は、テロメア配列に特異的なプローブをその膜にハイブリダイズさせることにより検出される。断片を含有するテロメアの可視化により、末端制限酵素断片の平均長を計算することができる。サザンブロッティングによるTRF推定により、細胞または組織内のテロメア長の分布、およびそれにしたがって、平均テロメア長が示される。しかしながら、TRFアッセイは、骨の折れる工程であり、比較的大量のゲノムDNAを必要とする。加えて、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)試料について、組織のホルマリン固定に起因する重いDNA架橋および断片化のため、それは適していない。
通常の新鮮な(固定されていない)組織試料における相対的テロメア長測定のための定量的ポリメラーゼ連鎖反応(Q−PCR)に基づいた方法が、Cawthon、Nucleic Acids Research 30巻10号(2002)およびCawthon、Nucleic Acids Research 37巻3号(2009)に記載された。そのプロトコールは、2つのプライマーセットを利用する。一方のプライマーセットは、テロメア六量体反復を増幅するために用いられる。他方のプライマーセットは、酸性リボソームリン酸化タンパク質(36B4)などのゲノムにおける単一コピー遺伝子を増幅するために用いられる。テロメア長は、単一コピー遺伝子産物によって標準化されたテロメア産物として表される。換言すれば、試料の相対的テロメア長は、実験試料が、テロメア反復コピー数対単一遺伝子コピー数の比において参照DNA試料と何倍異なるかという、倍数である。各実験試料におけるテロメア反復の量は、PCR増幅の指数関数期中のテロメアPCR産物の所定の量を生じるのに必要とされるPCRのサイクル数に関して、実験試料と参照試料を等価にさせる、任意に選択された参照DNA試料の希釈のレベルとして測定される。同様に、各実験試料における単一コピー遺伝子の相対的量は、PCRの指数関数期中の単一コピー遺伝子PCR産物の所定の量を生じるのに必要とされるPCRのサイクル数に関して、実験試料に参照DNA試料を一致させるのに必要とされる、参照DNA試料の希釈のレベルとして表される。各実験試料について、これらの希釈率の比は、相対的なテロメア対単一コピー遺伝子(T/S)比である。したがって、未知のDNAが、テロメア反復コピー数対単一コピー数のその比において参照DNAと同一である場合、T/S=1である。参照DNA試料(所定の研究における全部の実験試料が比較される)は、単一の個体由来であり得、またはそれは、複数の個体由来のプールされた試料であり得る。参照個体またはプールされた試料のT/S比に対する、1個体のT/S比は、その個体由来のDNAの相対的テロメア長に対応する。
そのアッセイは、新鮮に単離された白血球におけるテロメア長測定について採用されている。しかしながら、それは、FFPE試料に用いるのには成功していない。(Koppelstaetterら、Mechanisms of Ageing and Development 126巻 1331(2005))。大きな技術的難題は、DNA架橋および断片化、単離されたDNA中の不純物、変わりやすいPCR増幅効率、および同じ試料におけるテロメアシグナルの単一コピー遺伝子シグナルでの標準化である。
本発明者らは、ホルマリン固定パラフィン包埋されている細胞または組織においてテロメア長を確実に測定できる定量的PCRプロトコールをここに記載する。
本発明の上記目的に従って、本発明は、定量的ポリメラーゼ連鎖反応により、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)試料においてテロメア長を決定する方法を提供する。
一実施形態において、ホルマリン固定パラフィン包埋組織においてテロメア長を測定する方法は、
a)ポリメラーゼ連鎖反応において、ホルマリン固定パラフィン包埋組織における実質的に相補的な第1鎖と第2鎖を含む標的テロメア核酸、標的テロメア核酸の第1鎖にハイブリダイズして、DNAポリメラーゼによって伸長し、伸長したテロメアプライマーを形成する能力がある第1テロメアプライマー、および伸長した第1テロメアプライマーにハイブリダイズして、DNAポリメラーゼによって伸長する能力があるが、標的テロメア核酸にハイブリダイズして、DNAポリメラーゼによって伸長する能力がない第2テロメアプライマーを合わせるステップ、
b)単一の核酸鎖を生じるのに十分な温度までポリメラーゼ連鎖反応を加熱し、前記プライマーがそれらの標的にハイブリダイズして伸長するのを可能にする温度まで、前記温度を低下させるステップ、ならびに
c)ステップ(b)を少なくとも5サイクル、繰り返すステップ、
d)閾値PCRシグナルを通過する時点の複製サイクルを同定するステップ、ならびに
e)平均テロメア長を決定するステップ
を含む。
一実施形態において、ホルマリン固定パラフィン包埋組織においてテロメア長を測定する方法は、
a)ポリメラーゼ連鎖反応において、ホルマリン固定パラフィン包埋組織における実質的に相補的な第1鎖と第2鎖を含む標的テロメア核酸、標的テロメア核酸の第1鎖にハイブリダイズして、DNAポリメラーゼによって伸長し、伸長したテロメアプライマーを形成する能力がある第1テロメアプライマー、および伸長した第1テロメアプライマーにハイブリダイズして、DNAポリメラーゼによって伸長する能力があるが、標的テロメア核酸にハイブリダイズして、DNAポリメラーゼによって伸長する能力がない第2テロメアプライマーを合わせるステップ、
b)単一の核酸鎖を生じるのに十分な温度までポリメラーゼ連鎖反応を加熱し、前記プライマーがそれらの標的にハイブリダイズして伸長するのを可能にする温度まで、前記温度を低下させるステップ、ならびに
c)ステップ(b)を少なくとも4サイクル、繰り返すステップ、
d)閾値PCRシグナルを通過する時点の複製サイクルを同定するステップ、ならびに
e)平均テロメア長を決定するステップ
を含む。
一実施形態において、第1テロメアプライマーおよび第2テロメアプライマーの両方は、テロメア標的配列に正確に相補的ではない。一実施形態において、第1テロメアプライマーは、4〜6ヌクレオチドごとにミスマッチの配列を有する。一実施形態において、第2テロメアプライマーは、4〜6ヌクレオチドごとにミスマッチの配列を有する。一実施形態において、第2テロメアプライマーは、その3’末端に、標的テロメア配列の相補体に相補的ではないヌクレオチドを含み、それにより、第2プライマーが標的テロメア配列の相補体にハイブリダイズしたならば、第2プライマーがDNAポリメラーゼによって伸長することを防ぐ。一実施形態において、第2テロメアプライマーが、伸長した第1テロメアプライマーにハイブリダイズした場合には、それがDNAポリメラーゼによって伸長することができるように、第2プライマー上のミスマッチ3’ヌクレオチドは、伸長した第1テロメアプライマー上の対応するヌクレオチドに正確に相補的である。
一実施形態において、第1テロメアプライマーの配列は、Telg 5’−ACA CTA AGG TTT GGG TTT GGG TTT GGG TTT GGG TTA GTG T(配列番号1)であり、第2テロメアプライマーは、Telc 5’−TGT TAG GTA TCC CTA TCC CTA TCC CTA TCC CTA TCC CTA ACA(配列番号2)である。
一実施形態において、単一の核酸鎖を生じるのに十分な温度までポリメラーゼ連鎖反応を加熱し、プライマーがそれらの標的にハイブリダイズして伸長するのを可能にする温度まで、前記温度を低下させる、5サイクルから10サイクルまでのステップがある。一実施形態において、少なくとも5サイクル、少なくとも6サイクル、少なくとも7サイクル、少なくとも8サイクル、少なくとも9サイクル、または少なくとも10サイクルある。このサイクル段階において、温度範囲は、49℃から60℃まで、または50℃から48℃まで、または56℃、または57℃、または58℃、または59℃である。
一実施形態において、さらなる20〜40サイクル、または20〜30サイクル、または25〜30サイクルの間、単一の核酸鎖を生じるのに十分な温度までポリメラーゼ連鎖反応を加熱し、プライマーがそれらの標的にハイブリダイズして伸長するのを可能にする温度まで、前記温度を低下させる、さらなるステップがある。このステップにおいて、温度は、プライマーの伸長したプライマーへのハイブリダイゼーションを最大にするのに十分であり、その結果、そのアンプリコンが優先的に生成される。PCR反応のこの段階において、温度範囲は、55℃から65℃まで、または58℃から63℃まで、または59℃、または60℃、または61℃、または62℃である。
一実施形態において、テロメア長は、ホルマリン固定正常体細胞から測定される。適切な試料は、ホルマリン固定パラフィン包埋組織試料から得られる。適切な試料は、固体組織から得られる。
別の実施形態において、テロメア長は、ホルマリン固定腫瘍組織から測定される。適切な試料は、ホルマリン固定パラフィン包埋組織試料から得られる。適切な試料は、固体組織から得られる。
一実施形態において、ホルマリン固定パラフィン包埋組織においてテロメア長を測定する方法は、
(a)ポリメラーゼ連鎖反応において、実質的に相補的な第1鎖と第2鎖を含む、ホルマリン固定パラフィン包埋組織から得られる標的テロメア核酸、標的テロメア核酸の第1鎖にハイブリダイズして、DNAポリメラーゼによって伸長し、伸長したテロメアプライマーを形成する能力がある第1テロメアプライマーTelg 5’−ACA CTA AGG TTT GGG TTT GGG TTT GGG TTT GGG TTA GTG T(配列番号1)、および伸長した第1テロメアプライマーにハイブリダイズして、DNAポリメラーゼによって伸長する能力があるが、標的テロメア核酸にハイブリダイズして、DNAポリメラーゼによって伸長する能力がない第2テロメアプライマーTelc 5’−TGT TAG GTA TCC CTA TCC CTA TCC CTA TCC CTA TCC CTA ACA(配列番号2)を合わせるステップ、
(b)単一の核酸鎖を生じるのに十分な温度までポリメラーゼ連鎖反応を加熱し、前記プライマーがそれらの標的にハイブリダイズして伸長するのを可能にする温度まで、前記温度を低下させるステップであって、PCR反応が、DNAポリメラーゼ、50mM KCl、2mM MgCl、0.2mMの各デオキシヌクレオシド三リン酸、5mMジチオスレイトール、1%ジメチルスルホキシド、および15mM Tris−HCl pH8.0を含む、ステップ、ならびに
(c)95℃で15秒間、50℃で10秒間の少なくとも5サイクル、ステップ(b)を繰り返すステップ、ならびに
(d)95℃で15秒間、60℃で15秒間の25サイクル、ステップ(b)を繰り返すステップ、
(e)閾値PCRシグナルを通過する時点の複製サイクルを同定するステップ、ならびに
(f)平均テロメア長を決定するステップ
を含む。
一実施形態において、ホルマリン固定パラフィン包埋組織においてテロメア長を測定する方法は、
(g)ポリメラーゼ連鎖反応において、実質的に相補的な第1鎖と第2鎖を含む、ホルマリン固定パラフィン包埋組織から得られる標的テロメア核酸、標的テロメア核酸の第1鎖にハイブリダイズして、DNAポリメラーゼによって伸長し、伸長したテロメアプライマーを形成する能力がある第1テロメアプライマーTelg 5’−ACA CTA AGG TTT GGG TTT GGG TTT GGG TTT GGG TTA GTG T(配列番号1)、および伸長した第1テロメアプライマーにハイブリダイズして、DNAポリメラーゼによって伸長する能力があるが、標的テロメア核酸にハイブリダイズして、DNAポリメラーゼによって伸長する能力がない第2テロメアプライマーTelc 5’−TGT TAG GTA TCC CTA TCC CTA TCC CTA TCC CTA TCC CTA ACA(配列番号2)を合わせるステップ、
(h)単一の核酸鎖を生じるのに十分な温度までポリメラーゼ連鎖反応を加熱し、前記プライマーがそれらの標的にハイブリダイズして伸長するのを可能にする温度まで、前記温度を低下させるステップであって、PCR反応が、DNAポリメラーゼ、50mM KCl、2mM MgCl、0.2mMの各デオキシヌクレオシド三リン酸、5mMジチオスレイトール、1%ジメチルスルホキシド、および15mM Tris−HCl pH8.0を含む、ステップ、ならびに
(i)95℃で15秒間、50℃で10秒間の少なくとも4サイクル、ステップ(b)を繰り返すステップ、ならびに
(j)95℃で15秒間、60℃で15秒間の少なくとも25サイクル、ステップ(b)を繰り返すステップ、
(k)閾値PCRシグナルを通過する時点の複製サイクルを同定するステップ、ならびに
(l)平均テロメア長を決定するステップ
を含む。
第1プライマーおよび第2プライマーの伸長によって生成されるテロメアアンプリコンが、約50ヌクレオチドから100ヌクレオチドまで、60ヌクレオチドから90ヌクレオチドまで、70ヌクレオチドから80ヌクレオチドまでである本発明の方法。
ポリメラーゼ連鎖反応において合わせるステップの前に、少なくとも50bp、少なくとも60bp、少なくとも70bp、少なくとも80bpであるテロメア標的核酸断片の大部分を保持する、穏やかな抽出方法を用いて、ホルマリン固定パラフィン包埋組織から標的テロメア核酸が抽出される、本発明の方法。一実施形態において、抽出方法は、60bp未満である核酸断片、70bp未満である核酸断片、80bp未満である核酸断片、90bp未満である核酸断片、100bp未満である核酸断片、110bp未満である核酸断片を保持する。一実施形態において、穏やかなDNA抽出方法は、DNA断片を単離するためにカラムを用いない。小さいDNA断片が、FFPE試料に見出され、カラム抽出中に損失され得る。一実施形態において、核酸抽出方法は、BioChain FFPE Tissue DNA抽出キットである。
一実施形態において、FFPE試料は、DNAの抽出前に脱パラフィンされる。別の実施形態において、DNAは、FFPE試料の事前の脱パラフィンなしに、FFPE試料から抽出される。この実施形態において、パラフィンは、FFPE試料から除去されない。
一実施形態において、抽出された核酸が、核酸配列の架橋を逆戻りさせるために、緩衝溶液中、長時間、加熱される、さらなるステップがある。一実施形態において、抽出された核酸は、少なくとも88℃、89℃、90℃、91℃、92℃、93℃、94℃、95℃、96℃、97℃で、少なくとも10分間、少なくとも20分間、少なくとも30分間、少なくとも40分間、少なくとも50分間、少なくとも60分間、少なくとも70分間、少なくとも80分間、加熱される。
本発明の方法はまた、さらなるステップで、ポリメラーゼ連鎖反応において、実質的に相補的な第1鎖と第2鎖を含む、ホルマリン固定パラフィン包埋組織から得られる標的単一コピー核酸、標的単一コピー遺伝子核酸の第1鎖にハイブリダイズして、DNAポリメラーゼによって伸長し、伸長した単一コピー遺伝子プライマーを形成する能力がある第1単一コピー遺伝子プライマー、および伸長した第1単一コピー遺伝子プライマーおよび/または標的DNAにハイブリダイズして、DNAポリメラーゼによって伸長する能力がある第2単一コピー遺伝子プライマーを合わせること、ポリメラーゼ連鎖反応が、変性および伸長のサイクルで進行するのを可能にすること、ならびに閾値PCRシグナルを通過する時点の複製サイクルを同定することを含む。
一実施形態において、PCR反応における単一コピー遺伝子アンプリコンのサイズは、テロメアPCR反応についてのアンプリコンのサイズと類似している。一実施形態において、第1プライマーおよび第2プライマーの伸長により生成される単一遺伝子アンプリコンは、約50ヌクレオチドから約100ヌクレオチドまで、60ヌクレオチドから90ヌクレオチドまで、70ヌクレオチドから80ヌクレオチドまでである。
テロメア長を決定するステップは、単一遺伝子コピー定量的PCRの閾値サイクルをテロメア定量的ポリメラーゼ連鎖反応の閾値サイクルから引き算することによる(ΔCt試料=Ctテロメア−Ct単一コピー遺伝子)。単一コピー遺伝子ポリメラーゼ連鎖反応のテロメアポリメラーゼ連鎖反応に対する平均サイクル数の差は、テロメア長を決定する(ΔCt=Ctテロメア−Ct単一コピー遺伝子)。
テロメア長は、個体について決定され、個体集団において観察されるテロメア長と、または参照個体と関連づけられる。一実施形態において、個体集団は、試験されることになっている個体の年齢とマッチした年齢である。ヒトについて、年齢をマッチさせた集団は、個体の年齢の約10歳以内、より好ましくは5歳以内、最も好ましくは1歳以内である。
個体と集団の測定されたテロメア長の相関は、コックス比例ハザード回帰モデル、カプラン・マイヤー生存分布推定値、ピトー・ウィルコクソン検定、最尤分析、重回帰分析などを含む、生存分析などの様々な統計的方法により調べられる。
本発明の方法は、テロメラーゼ阻害剤、テロメア損傷剤、またはテロメラーゼ活性化剤での処理に対する個体の応答をあらかじめ決めるために用いられてもよい。本発明の方法は、腫瘍組織においてテロメアの長さを決定する。
本発明の方法は、テロメラーゼ阻害剤、テロメア損傷誘導剤、またはテロメラーゼ活性化剤での処理に対する個体の反応を測定するために用いられてもよい。テロメラーゼ阻害剤またはテロメア損傷誘導剤に対する個体の反応を決定するために、相対的テロメア長が固形腫瘍において処理時間にわたって短くなる速度が測定される。テロメラーゼ活性化剤に対する個体の反応を決定するために、相対的テロメア長が個体について処理時間にわたって増加する速度が測定される。テロメラーゼ阻害剤は、Imetelstat(GRN163L)であってもよい(米国特許第7,494,982号)。
別の実施形態において、本発明の方法は、個体の死亡リスクを決定するために用いられてもよい。集団の死亡リスクは、年齢/死亡率に対する相対的テロメア長の減少の比率に基づいて決定される。相対的テロメア長が個体における正常体細胞について短くなる速度が、その個体の死亡リスクを決定するために測定される。
別の実施形態において、本発明の方法は、集団および集団内の個体において、加齢性疾患の発生の可能性を予想するために用いられてもよい。調べることができる加齢性疾患には、循環器疾患および変性疾患が挙げられるが、それらに限定されない。
一実施形態において、第1テロメアプライマー、第2テロメアプライマー、第1単一コピー遺伝子プライマー、第2単一コピー遺伝子プライマー、PCR緩衝液、およびデオキシヌクレオシド三リン酸を含むキットがある。
4つの参照細胞系およびヒト乳房腫瘍(T−645およびT−654)のヘモリシンおよびエオシン染色の写真である。 BioChainキットを用いてFFPE細胞系検体から抽出されたゲノムDNAのアガロースゲルの写真である。DNAは断片化され、DNA断片のサイズは、50bpから2kbまでの範囲である。 Biochain抽出キット、Qiagenキット、およびTrimGene抽出キットで抽出されたゲノムDNAのアガロースゲルの写真である。 FFPE組織切片サイズおよびDNA収量の写真である。図3A:円で囲まれた面積におけるFFPE組織検体は、DNA単離に用いられ、それぞれ、約16mm、36mm、100mm、および150mmに対応する。 図3B:テロメア配列および単一コピー遺伝子36B4のCt値は、異なる検体上の円で囲まれた面積から抽出されたFFPE DNAにおいて導き出された(10ng/反応)。 それぞれの副試料採取DNAは、5つの同一のマウス異種移植片ヒト腫瘍検体からBioChain FFPE DNA Extraction Kitによって単離された。各検体の組織面積は、別々に150mm、100mm、36mm、および16mmであった。 抽出物のDNA濃度の増加は、DNA単離のための組織面積の増加と高く相関した。 各細胞系検体由来の8つの副試料を、単一のPCR実行において3連でアッセイした。グラフ上の各点は、1つの副試料からのT/S比を示した。相対的テロメア長は、各細胞系のT/S比の平均によって決定された。癌細胞系の最短から最長までの相対的テロメア長は、Ovcar5、MDA−MB−231、CCRF−CEM、およびA549であった。 腫瘍組織T−645およびT−654由来の8つの副試料および7つの副試料をアッセイした。T−645の相対的テロメア長の平均は、T−654についてのそれより長かった。 FFPE定量的PCRアッセイの独立した実行における相対的T/S比の再現性を示す図である。同じ32個の副試料を、3つの異なる日において、3連でアッセイした。線形回帰方程式および相関係数を、Prismを用いて決定した。 4つの細胞系および2つの腫瘍のテロメア長を、TeloTAGGG Telomere Length Assay(Roche)を用いることにより決定した。2つの独立したアッセイからの平均テロメア長は、2.7kb(Ovcar−5)、3.7kb(MDA−MB−231)、6.3kb(CCRF−CEM)、8.6kb(A549)、8kb(T−645)、および5kb(T−654)であった。 PCRによって測定された場合の相対的テロメア長を、各細胞系または腫瘍組織における副試料の平均T/S比によって決定した。このアッセイにおいて、各細胞系における8つの副試料のうちの4つをアッセイした。 4つの細胞系および2つのヒト腫瘍におけるTRFとT/S比の間の相関、R2=0.79、P<0.017を示す図である。 4つの細胞系のみにおけるTRFとT/S比の間の相関、R2=0.99992、P<0.0006を示す図である。 15%非変性アクリルアミドゲル上に泳動した定量的PCR産物の写真である。(a)ABI緩衝液条件および実施例1の緩衝液の両方において、Tel1/Tel2(Cawthon、2002)によって複数のサイズのPCR産物が生成された。再現性およびPCR効率は各アッセイによって異なった。(b)Telg/Telcプライマー:一連のPCR産物サイズが生じ、ABI緩衝液において100〜150nt産物の中位の濃縮があった。(c)実施例1の緩衝液においてTelg/Telcプライマーを用いて、FFPE DNAから均一な79nt産物が生成された。 テロメア産物および36B4単一コピー遺伝子産物は、異なる細胞系から単離されたFFPE DNAにおいて類似したアンプリコンサイズを示す。計算されるテロメアアンプリコンは79ntであり、単一コピー遺伝子36B4アンプリコンは76ntである。 テロメアおよび単一コピー遺伝子の定量的PCR反応における投入量DNA滴定を示す図である。高いPCR増幅効率が、OVCAR−5細胞系から新鮮に単離されたゲノムDNAを用いた、テロメアおよび36B4単一コピー遺伝子の両方において60ng〜0.08ng DNAから得られた。 同上。 PCR増幅産物の特異性は、実施例1の緩衝液を用いた融解温度の増加によって実証されている。
本発明は、ホルマリン固定組織においてテロメアの相対的長さを決定するための方法を提供する。
一実施形態において、ホルマリン固定パラフィン包埋組織においてテロメア長を測定する方法は、
a.ポリメラーゼ連鎖反応において、ホルマリン固定パラフィン包埋組織における実質的に相補的な第1鎖と第2鎖を含む標的テロメア核酸、標的テロメア核酸の第1鎖にハイブリダイズして、DNAポリメラーゼによって伸長し、伸長したテロメアプライマーを形成する能力がある第1テロメアプライマー、および伸長した第1テロメアプライマーにハイブリダイズして、DNAポリメラーゼによって伸長する能力があるが、標的テロメア核酸にハイブリダイズして、DNAポリメラーゼによって伸長する能力がない第2テロメアプライマーを合わせるステップ、
b.単一の核酸鎖を生じるのに十分な温度までポリメラーゼ連鎖反応を加熱し、前記プライマーがそれらの標的にハイブリダイズして伸長するのを可能にする温度まで、前記温度を低下させるステップ、ならびに
c.ステップ(b)を少なくとも5サイクル、繰り返すステップ、
d.閾値PCRシグナルを通過する時点の複製サイクルを同定するステップ、ならびに
e.平均テロメア長を決定するステップ
を含む。
一実施形態において、ホルマリン固定パラフィン包埋組織においてテロメア長を測定する方法は、
a)ポリメラーゼ連鎖反応において、ホルマリン固定パラフィン包埋組織における実質的に相補的な第1鎖と第2鎖を含む標的テロメア核酸、標的テロメア核酸の第1鎖にハイブリダイズして、DNAポリメラーゼによって伸長し、伸長したテロメアプライマーを形成する能力がある第1テロメアプライマー、および伸長した第1テロメアプライマーにハイブリダイズして、DNAポリメラーゼによって伸長する能力があるが、標的テロメア核酸にハイブリダイズして、DNAポリメラーゼによって伸長する能力がない第2テロメアプライマーを合わせるステップ、
b)単一の核酸鎖を生じるのに十分な温度までポリメラーゼ連鎖反応を加熱し、前記プライマーがそれらの標的にハイブリダイズして伸長するのを可能にする温度まで、前記温度を低下させるステップ、ならびに
c)ステップ(b)を少なくとも4サイクル、繰り返すステップ、
d)閾値PCRシグナルを通過する時点の複製サイクルを同定するステップ、ならびに
e)平均テロメア長を決定するステップ
を含む。
一実施形態において、第1テロメアプライマーおよび第2テロメアプライマーの両方は、テロメア標的配列に正確に相補的ではない。一実施形態において、第1テロメアプライマーは、4〜6ヌクレオチドごとにミスマッチの配列を有する。一実施形態において、第2テロメアプライマーは、4〜6ヌクレオチドごとにミスマッチの配列を有する。一実施形態において、第2テロメアプライマーは、その3’末端に、標的テロメア配列の相補体に相補的ではないヌクレオチドを含み、それにより、第2プライマーが標的テロメア配列の相補体にハイブリダイズしたならば、第2プライマーがDNAポリメラーゼによって伸長することを防ぐ。一実施形態において、第2テロメアプライマーが、伸長した第1テロメアプライマーにハイブリダイズした場合には、それがDNAポリメラーゼによって伸長することができるように、第2プライマー上のミスマッチ3’ヌクレオチドは、伸長した第1テロメアプライマー上の対応するヌクレオチドに正確に相補的である。
一実施形態において、第1テロメアプライマーの配列は、Telg 5’−ACA CTA AGG TTT GGG TTT GGG TTT GGG TTT GGG TTA GTG T(配列番号1)であり、第2テロメアプライマーは、Telc 5’−TGT TAG GTA TCC CTA TCC CTA TCC CTA TCC CTA TCC CTA ACA(配列番号2)である。
一実施形態において、単一の核酸鎖を生じるのに十分な温度までポリメラーゼ連鎖反応を加熱し、プライマーがそれらの標的にハイブリダイズして伸長するのを可能にする温度まで、前記温度を低下させるステップの5サイクルから10サイクルまである。一実施形態において、少なくとも5サイクル、少なくとも6サイクル、少なくとも7サイクル、少なくとも8サイクル、少なくとも9サイクル、または少なくとも10サイクルある。このサイクル段階において、温度範囲は、49℃から60℃まで、または50℃から48℃まで、または56℃、または57℃、または58℃、または59℃である。
一実施形態において、さらに20〜40サイクル、または20〜30サイクル、または25〜30サイクルの間、単一の核酸鎖を生じるのに十分な温度までポリメラーゼ連鎖反応を加熱し、プライマーがそれらの標的にハイブリダイズして伸長するのを可能にする温度まで、前記温度を低下させる、さらなるステップがある。このステップにおいて、温度は、プライマーの伸長したプライマーへのハイブリダイゼーションを最大にするのに十分であり、その結果、そのアンプリコンが優先的に生成される。PCR反応のこの段階において、温度範囲は、55℃から65℃まで、または58℃から63℃まで、または59℃、または60℃、または61℃、または62℃である。
一実施形態において、テロメア長は、ホルマリン固定正常体細胞から測定される。適切な試料は、ホルマリン固定パラフィン包埋組織試料から得られる。適切な試料は、固体組織から得られる。
別の実施形態において、テロメア長は、ホルマリン固定腫瘍組織から測定される。適切な試料は、ホルマリン固定パラフィン包埋組織試料から得られる。適切な試料は、固体組織から得られる。
一実施形態において、ホルマリン固定パラフィン包埋組織においてテロメア長を測定する方法は、
(a)ポリメラーゼ連鎖反応において、実質的に相補的な第1鎖と第2鎖を含む、ホルマリン固定パラフィン包埋組織から得られる標的テロメア核酸、標的テロメア核酸の第1鎖にハイブリダイズして、DNAポリメラーゼによって伸長し、伸長したテロメアプライマーを形成する能力がある第1テロメアプライマーTelg 5’−ACA CTA AGG TTT GGG TTT GGG TTT GGG TTT GGG TTA GTG T(配列番号1)、および伸長した第1テロメアプライマーにハイブリダイズして、DNAポリメラーゼによって伸長する能力があるが、標的テロメア核酸にハイブリダイズして、DNAポリメラーゼによって伸長する能力がない第2テロメアプライマーTelc 5’−TGT TAG GTA TCC CTA TCC CTA TCC CTA TCC CTA TCC CTA ACA(配列番号2)を合わせるステップ、
(b)単一の核酸鎖を生じるのに十分な温度までポリメラーゼ連鎖反応を加熱し、前記プライマーがそれらの標的にハイブリダイズして伸長するのを可能にする温度まで、前記温度を低下させるステップであって、PCR反応が、DNAポリメラーゼ、50mM KCl、2mM MgCl、0.2mMの各デオキシヌクレオシド三リン酸、5mMジチオスレイトール、1%ジメチルスルホキシド、および15mM Tris−HCl pH8.0を含む、ステップ、ならびに
(c)95℃で15秒間、50℃で10秒間の少なくとも5サイクル、ステップ(b)を繰り返すステップ、ならびに
(d)95℃で15秒間、60℃で15秒間の25サイクル、ステップ(b)を繰り返すステップ、
(e)閾値PCRシグナルを通過する時点の複製サイクルを同定するステップ、ならびに
(f)平均テロメア長を決定するステップ
を含む。
一実施形態において、ホルマリン固定パラフィン包埋組織においてテロメア長を測定する方法は、
(a)ポリメラーゼ連鎖反応において、実質的に相補的な第1鎖と第2鎖を含む、ホルマリン固定パラフィン包埋組織から得られる標的テロメア核酸、標的テロメア核酸の第1鎖にハイブリダイズして、DNAポリメラーゼによって伸長し、伸長したテロメアプライマーを形成する能力がある第1テロメアプライマーTelg 5’−ACA CTA AGG TTT GGG TTT GGG TTT GGG TTT GGG TTA GTG T(配列番号1)、および伸長した第1テロメアプライマーにハイブリダイズして、DNAポリメラーゼによって伸長する能力があるが、標的テロメア核酸にハイブリダイズして、DNAポリメラーゼによって伸長する能力がない第2テロメアプライマーTelc 5’−TGT TAG GTA TCC CTA TCC CTA TCC CTA TCC CTA TCC CTA ACA(配列番号2)を合わせるステップ、
(b)単一の核酸鎖を生じるのに十分な温度までポリメラーゼ連鎖反応を加熱し、前記プライマーがそれらの標的にハイブリダイズして伸長するのを可能にする温度まで、前記温度を低下させるステップであって、PCR反応が、DNAポリメラーゼ、50mM KCl、2mM MgCl、0.2mMの各デオキシヌクレオシド三リン酸、5mMジチオスレイトール、1%ジメチルスルホキシド、および15mM Tris−HCl pH8.0を含む、ステップ、ならびに
(c)95℃で15秒間、50℃で10秒間の少なくとも4サイクル、ステップ(b)を繰り返すステップ、ならびに
(d)95℃で15秒間、60℃で15秒間の少なくとも25サイクル、ステップ(b)を繰り返すステップ、
(e)閾値PCRシグナルを通過する時点の複製サイクルを同定するステップ、ならびに
(f)平均テロメア長を決定するステップ
を含む。
第1プライマーおよび第2プライマーの伸長による本発明の方法により生成されるアンプリコンが、約50塩基対から約100塩基対まで、60塩基対から90塩基対まで、70塩基対から80塩基対までである。
ポリメラーゼ連鎖反応において合わせるステップの前に、少なくとも50bp、少なくとも60bp、少なくとも70bp、少なくとも80bpであるテロメア標的核酸断片の大部分を保持する、穏やかな抽出方法を用いて、ホルマリン固定パラフィン包埋組織から標的テロメア核酸が抽出される、本発明の方法。一実施形態において、抽出方法は、60bp未満である核酸断片、70bp未満である核酸断片、80bp未満である核酸断片、90bp未満である核酸断片、100bp未満である核酸断片、110bp未満である核酸断片を保持する。一実施形態において、穏やかなDNA抽出方法は、DNA断片を単離するためにカラムを用いない。小さいDNA断片が、FFPE試料に見出され、カラム抽出中に損失され得る。一実施形態において、核酸抽出方法は、BioChain FFPE組織DNA抽出キットである。
一実施形態において、FFPE試料は、DNAの抽出前に脱パラフィンされる。別の実施形態において、DNAは、FFPE試料の事前の脱パラフィンなしに、FFPE試料から抽出される。この実施形態において、パラフィンは、FFPE試料から除去されない。
一実施形態において、抽出された核酸は、少なくとも88℃、89℃、90℃、91℃、92℃、93℃、94℃、95℃、96℃、97℃で、少なくとも10分間、少なくとも20分間、少なくとも30分間、少なくとも40分間、少なくとも50分間、少なくとも60分間、少なくとも70分間、少なくとも80分間、加熱される。
本発明の方法はまた、さらなるステップで、ポリメラーゼ連鎖反応において、実質的に相補的な第1鎖と第2鎖を含む、ホルマリン固定パラフィン包埋組織から得られる標的単一コピー核酸、標的単一コピー遺伝子核酸の第1鎖にハイブリダイズして、DNAポリメラーゼによって伸長し、伸長した単一コピー遺伝子プライマーを形成する能力がある第1単一コピー遺伝子プライマー、および伸長した第1単一コピー遺伝子プライマーおよび/または標的DNAにハイブリダイズして、DNAポリメラーゼによって伸長する能力がある第2単一コピー遺伝子プライマーを混合すること、ポリメラーゼ連鎖反応が、変性および伸長のサイクルで進行するのを可能にすること、ならびに閾値PCRシグナルを通過する時点の複製サイクルを同定することを含む。
一実施形態において、PCR反応における単一コピー遺伝子アンプリコンのサイズは、テロメアPCR反応についてのアンプリコンのサイズと類似している。一実施形態において、第1プライマーおよび第2プライマーの伸長により生成される単一遺伝子アンプリコンは、約50ヌクレオチドから100ヌクレオチドまで、60ヌクレオチドから90ヌクレオチドまで、70ヌクレオチドから80ヌクレオチドまでである。
テロメア長を決定するステップは、単一遺伝子コピー定量的PCRの閾値サイクルをテロメア定量的ポリメラーゼ連鎖反応の閾値サイクルから引き算することによる(ΔCt試料=Ctテロメア−Ct単一コピー遺伝子)。単一コピー遺伝子ポリメラーゼ連鎖反応のテロメアポリメラーゼ連鎖反応に対する平均サイクル数の差は、テロメア長を決定する(ΔCt=Ctテロメア−Ct単一コピー遺伝子)。
テロメア長は、個体について決定され、個体集団において観察されるテロメア長と、または参照個体と関連づけられる。一実施形態において、個体集団は、試験されることになっている個体の年齢とマッチした年齢である。ヒトについて、年齢をマッチさせた集団は、個体の年齢の約10歳以内、より好ましくは5歳以内、最も好ましくは1歳以内である。
個体と集団の測定されたテロメア長の相関は、コックス比例ハザード回帰モデル、カプラン・マイヤー生存分布推定値、ピトー・ウィルコクソン検定、最尤分析、重回帰分析などを含む、生存分析などの様々な統計的方法により調べられる。
本発明の方法は、テロメラーゼ阻害剤、テロメア損傷誘導剤、またはテロメラーゼ活性化剤での処理に対する個体の反応を測定するために用いられてもよい。テロメラーゼ阻害剤またはテロメア損傷誘導剤に対する個体の反応を決定するために、相対的テロメア長が固形腫瘍において処理時間にわたって短くなる速度が測定される。テロメラーゼ活性化剤に対する個体の反応を決定するために、相対的テロメア長が個体について処理時間にわたって増加する速度が測定される。
別の実施形態において、本発明の方法は、個体の死亡リスクを決定するために用いられてもよい。集団の死亡リスクは、年齢/死亡率に対する相対的テロメア長の減少の比率に基づいて決定される。相対的テロメア長が個体における正常体細胞について短くなる速度が、その個体の死亡リスクを決定するために測定される。
別の実施形態において、本発明の方法は、集団および集団内の個体において、加齢性疾患の発生の可能性を予想するために用いられてもよい。調べることができる加齢性疾患には、循環器疾患および変性疾患が挙げられるが、それらに限定されない。
テロメラーゼを測定するためのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料は、当技術分野において知られた方法を用いて作製される。テロメア含有試料は、脳、肝臓、脾臓、乳房、筋肉、皮膚、腎臓、膵臓、前立腺、卵巣、肺の組織、および生検試料から得られるものを含む他の組織を含む、任意の生物体の任意の固形組織から採取され得る。
組織が採取され得る生物体は、任意の哺乳類生物である。そのような哺乳類生物には、ヒトが挙げられる。そのような哺乳類生物には、イヌ、ネコ、サル、オランウータン、マウス、ラット、ウマ、ウシ、ブタなどを挙げることができる。
本明細書で用いられる場合、「テロメア核酸」は、哺乳類のテロメア配列をコードする二本鎖または一本鎖核酸における核酸配列を意味する。ヒトにおいて、テロメア反復配列は、一方の鎖においてTTAGGGであり、他方の鎖においてCCCTAAである。
核酸は、一般的に、ホスホジエステル結合を含有するが、代替のバックボーンを有する核酸類似体を含有してもよい。核酸は、定量的PCR工程においてポリメラーゼにより3’伸長する能力がなければならない。
テロメア核酸を含有する試料は、よく知られた技術を用いて調製されてもよい。例えば、試料は、細胞を破壊するために界面活性剤、超音波処理、エレクトロポレーション、変性剤などを用いて処理されてもよい。標的核酸は、必要に応じて精製されてもよい。反応の成分は、同時に、または任意の順番で連続的に加えられてもよい。核酸を単離するためにカラムを用いない穏やかな抽出方法が有益であることが見出されており、これらの方法は、最終核酸調製物において、より小さい断片の核酸を保持するからである。
加えて、最適なハイブリダイゼーション、増幅、および検出を促進するためにPCR反応に様々な作用物質が加えられてもよい。これらには、塩、緩衝液、中性タンパク質、界面活性剤などが挙げられる。プロテアーゼ阻害剤、ヌクレアーゼ阻害剤、抗菌剤などの他の作用物質が、反応の効率を向上させるために加えられてもよい。
テロメア長は、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて平均テロメア長を評価することにより決定される。PCRについての手順は広く用いられ、よく知られている。標的核酸を、標的核酸にハイブリダイズするプライマーの存在下でインキュベートする。標的核酸が二本鎖である場合、プライマーのハイブリダイゼーションを可能にするために、その鎖を、まず、変性して、第1の一本鎖および第2の一本鎖を生じさせる。温度、塩濃度、pH変化、またはその変性技術の組み合わせを含む様々な変性技術が用いられ得る。条件は、第1のテロメアプライマーがそのDNAの鎖の一方にハイブリダイズすることができるように変更される。DNAポリメラーゼ酵素が用いられて、ハイブリダイズしたプライマーを伸長させ、それにしたがって、標的核酸の新しいコピーが生じる。合成された二重鎖は変性され、第2のプライマーが、第1の伸長したプライマーにハイブリダイズすることが可能になる。変性、ハイブリダイゼーション、および伸長のこのサイクルを、2つのプライマーの間の配列が指数関数的に増幅されるまで、何回も繰り返される。
定量的(またはリアルタイム)PCRにおいて、DNA結合色素は、全ての二本鎖DNAに結合して、色素の蛍光を発する。PCR反応中のDNA産物の増加は、蛍光強度の増加をもたらし、PCR反応のサイクルごとに測定される。このことにより、DNA濃度を定量化することが可能になる。反応の指数関数期中に存在するDNAの相対的濃度は、片対数スケールにおいて、蛍光のレベルをPCRサイクル数に対してプロットすることにより、決定される。バックグラウンドより上の蛍光の検出についての閾値が決定される。試料からの蛍光が閾値を交差する時点のサイクルが、サイクル閾値Ctと呼ばれる。DNAの量は、理論的に、指数関数期中、サイクルごとに2倍になるため、DNAの相対的量を計算することができる。ベースラインはPCRの最初のサイクルであり、その時点において、蛍光シグナルの変化はほとんどない。閾値は、Sequence Detection Systemsソフトウェアにより自動的に、または手作業で決定され、かつリアルタイムアッセイにおいてCt決定に用いられる、ΔRnのレベルである。そのレベルは、ベースラインより上で、かつ増幅曲線の指数関数的成長領域内にあるように十分低く設定される。閾値とは、増幅プロットとの交差がCtを定義するという線である。閾値サイクル(Ct)は、蛍光が閾値を通過する時点の分別的サイクル数である。試料の閾値サイクルは、テロメアポリメラーゼ連鎖反応の閾値サイクルから参照試料の閾値サイクルを引き算することにより決定される(ΔCt試料=Ctテロメア−Ct参照)。ポリメラーゼ連鎖反応はまた、参照としての単一コピー数遺伝子に方向づけられたプライマーで実施され、単一コピー数遺伝子についての閾値サイクルを決定する。テロメアポリメラーゼ連鎖反応に対する単一コピー遺伝子の平均サイクル数の差は、テロメア長を決定する(ΔCt=Ctテロメア−Ct単一コピー遺伝子)。
用語「相補的な」または「実質的に相補的な」は、プローブまたはプライマーが、それらが通常のPCR条件下でハイブリダイズすることができるように標的配列に十分相補的であることを意味する。完全に相補的であることから逸脱することは、その逸脱が、ハイブリダイゼーションを完全に排除するほど十分ではない限り、想定される。
第1および第2テロメアプライマーによって増幅されるアンプリコンのサイズは変わり得る。サイズは、50塩基対から100塩基対まで、60塩基対から90塩基対まで、70塩基対から80塩基対までの範囲であり得る。
本明細書に示された方法を用いる、定量的PCRによる相対的平均テロメア長の測定は、FFPE組織で行うことができる。
本明細書に引用された全ての参考文献は、全体として参照により組み入れられている。以下の実施例は、参照のために提供され、限定するものではない。
実施例1
この実施例は、ホルマリン固定され、かつパラフィン包埋されている細胞または組織の相対的テロメア長を決定するための定量的ポリメラーゼ連鎖反応の性能を実証する。4つのヒト癌細胞系、OVCAR−5、MDA−MB−231、CCRF−CEM、およびA549を、American Tissue Culture Collection(ATCC、Maryland、VA)から入手した。2つのヒト乳癌腫試料、T−645およびT−654を、Asterand(Partners in Human Tissue Research、Detroit、MI)から、80℃で新鮮凍結組織としてか、またはホルマリン固定パラフィン包埋組織としてかのいずれかで、購入した。4つの細胞系を、TRFによるテロメア長とFFPE qPCR TLアッセイによる相対的テロメア長の関係を実証するための参照として用いた。
4つのヒト癌細胞系を、播種し、細胞ペレットを得た。細胞ペレットの1部分を−80℃で凍結した。ホルマリン固定パラフィン包埋参照細胞ペレットを、HistoGel Kitカタログ番号R904012(Richard Allen Scientific、ThermoFisherの子会社、Kalamazoo、MI)を用いて調製した。細胞を、80〜90%コンフルエンスまで培養した。細胞ペレット(10個/ペレット)をまず、50±5℃で融解した200〜500μlのHistoGel中に優しく混合し、その後、氷上で冷却して、凝固させた。凝固後、試料を速やかに回転させ、残留液体を除去した。10mlの4%ホルマリンをゲル化ペレットへ加え、細胞ペレットを室温で48時間、固定させた。その後、固定された細胞ペレットを、Histo−Tec Laboratory、Hayward、CAにおいて標準組織学技術を用いて包埋した。FFPE細胞ペレットのヘモキシリンおよびエオシン染色は、図1に示されている。
DNA抽出
4つのヒトFFPE細胞系(A549、MDA−MB−231、CCRF− CEM、およびOvcar5)のゲノムDNAを、BioChain、QIAGEN、およびTrimGeneによって製造された3つのFFPE DNA抽出キット、それぞれにより単離した。その後、単離されたゲノムDNAを、0.8%アガロースゲル上に泳動させた。図2bは、小さいDNA断片(<100bp)が、BioChainのキットによってのみ捕獲され、QIAGENおよびTrimGeneのキットによっては捕獲されなかったことを示している。カラム精製段階はBioChainのキットには必要とされなかったが、他の2つのキットには必要とされた。カラム精製は、DNA単離工程を通して小さいDNA断片の損失を引き起こす可能性があった。
ゲノムDNAを、4つの新鮮凍結された、およびFFPE処理された参照ヒト癌細胞系から単離した。ゲノムDNAをまた、2つの新鮮凍結された、およびFFPEの腫瘍組織T654およびT−645からも単離した。FFPE Tissue DNA Extraction Kit(BioChain Institute、カタログ番号:K5019100、Hayward CA)を用いて、FFPE細胞ペレットおよび組織試料からゲノムDNAを抽出した。Wizard Genomic DNA精製キット、カタログ番号Al 120(Promega Corp、Madison、WI)を用いて、製造会社の使用説明書に従って、新鮮な、または新鮮凍結された細胞ペレット、および組織試料からゲノムDNAを抽出した。組織を、180μLのキット緩衝液および20μLのプロテイナーゼK中に混合した。その混合物を56℃で1時間、インキュベートし、温度を90℃まで、1時間、上昇させ、その後、再び、98℃まで10分間、上昇させた。混合物を、14,000rpmで2分間、遠心分離し、上清を回収した。DNA濃度を、Quant−iT Pico Green dsDNA Assay Kit(Invitrogen、カタログ番号:P7589、Carlsbad、CA)によって決定した。上清におけるDNAの濃度は、HOで1ng/μLに調整した。
TRFアッセイ
4つの参照細胞系および2つの乳癌試料のテロメア長を評価した。各細胞系または組織由来の約1〜2μgのゲノムDNAを、Hinf/RsaIにより37℃で2時間、消化させた。DNA消化後、ゲノムDNA断片を、0.8%アガロースゲル上で分離し、ブロッティングによりナイロン膜に転写した。全ての膜ハイブリダイゼーションおよび検出試薬は、TeloTAGGG Telomere Length Assayキット(Roche Diagnostics、Mannheim Germany)中に供給された。ブロットされた膜を、テロメア反復に特異的なジゴキシゲニン(DIG)標識PNAプローブとハイブリダイズさせ、続いて、製造会社の使用説明書に従って、抗DIG抗体−アルカリフォスファターゼとインキュベートした。アルカリフォスファターゼを、化学発光基質を用いて定量化した。テロメア長を、製造会社の使用説明書に従って、計算した。
定量的PCRアッセイ
全ての定量的PCR反応を、ABI Prism 7900 HT Sequence Detection System(Applied Biosystems、Carlsbad CA)を用いて行った。各試料について2つのPCRを実施し、一方は、テロメア(T)増幅についてのサイクル閾値(Ct)の値を決定するために、他方は、単一コピー遺伝子(酸性リボソームリン酸化タンパク質P、36b4)の増幅につてのCt値を決定するためであった。テロメア増幅のためのプライマー配列は、Telg 5’−ACA CTA AGG TTT GGG TTT GGG TTT GGG TTT GGG TTA GTG T(配列番号1)およびTelc 5’−TGT TAG GTA TCC CTA TCC CTA TCC CTA TCC CTA TCC CTA ACA(配列番号2)(Cawthon、2009)であり、36B4増幅のためのプライマー配列は、36B4u:5’−CAG CAA GTG GGA AGG TGT AAT CC(配列番号3)および36B4d:5’−CCC ATT CTA TCA TCA ACG GGT ACA A(配列番号4)(Cawthon、2002)であった。
テロメア増幅のための各PCR反応を、10ng/10μlの試料(1ng/μl)、ならびに1.25U AmpliTaq Gold DNAポリメラーゼ(Applied Biosystems)、150nM 6−ROX蛍光色素、0.2×SYBR Green I核酸染色(Invitrogen、Carlsbad CA)、50mM KCl、2mM MgCl、0.2mMの各デオキシヌクレオシド三リン酸(Applied Biosystems、Carlsbad CA)、5mMジチオスレイトール、1%ジメチルスルホキシド、および15mM Tris−HCl pH8.0、およびプライマー対TelgとTelc(どちらも900nM)を含有する40μlのPCR混合物を用いて実施した。より高いプライマー濃度は、FFPE DNAを用いる場合、テロメアDNAについて好ましく、高濃度のプライマーにより複数のアニーリング部位が可能になるからである。
テロメア配列を、3つの段階で増幅した。段階1:AmpliTaq Gold DNAポリメラーゼを活性化するために95℃で10分間、段階2:増幅の次のサイクルのための鋳型として働くPCR産物を生成するために95℃で15秒間、50℃で10秒間の5サイクル。段階2におけるアニーリング温度は、49℃から58℃までの範囲であり得た。段階3:95℃で15秒間、60℃で15秒間の25サイクルで、60℃でシグナル取得。総実行時間は55分間であった。
単一コピー36B4遺伝子の増幅を以下のように行った。AmpliTag Gold DNAポリメラーゼを活性化するために95℃で10分間、続いて、95℃で15秒間、58℃で1分間の40サイクル、58℃でシグナル取得。36B4増幅を、10ng/10μlの試料(1ng/μl)、40μlのPower SYBR Green master Mix(Applied Biosystems、Carlsbad CA)、およびプライマー対36B4d(300nM)と36B4u(300nM)を用いて実施した。
いくつかの市販のFFPE DNA抽出キットを評価した。これらのキットの中で、FFPE Tissue DNA Extraction Kit(BioChain Institute Inc. Hayward CA)が、FFPE試料からゲノムDNAを抽出するのに信頼のおける方法を提供した。(1)検体の脱パラフィンは、DNA抽出前に必要とされない。(2)精製は、カラム上でのサイズ分離に頼らない。小さいDNA断片は、一般的に、FFPE試料内に見られ、カラム精製で喪失され得る。(3)DNA架橋は、緩衝溶液中、長時間、DNAを加熱することにより部分的に逆戻りさせることができる。(4)総PCR反応体積の20%までについて、抽出緩衝液によるPCR反応への検出可能な干渉はない。
FFPE試料または新鮮凍結試料からの単離されたゲノムDNAの例は、図2aに示されている。FFPE試料由来のDNAの大部分は、50bp〜2kbのサイズ範囲で相対的に短い。図2bは、他のキットで抽出されたDNAがその小さいDNA断片を保持しないことを示している。スライド上の16mmほどの小ささのFFPE組織切片(10μm厚さ)からの試料を用いて、FFPE qPCR TLアッセイによるテロメア長の測定に成功することができる(図3)。DNA収量と用いられた組織切片のサイズは相関した(図4)。
PCR増幅
段階2におけるサイクル数は、各PCR反応において10ngのDNAを用いる場合、適切なΔCt値(ΔCt試料=Ctテロメア−Ct参照)を有するために、5サイクルに改変した。反応あたり10ng〜20ngのDNAは、再現性研究において>94%PCR効率を有した。単一コピー遺伝子PCRについてのサイクル数は、十分な単一コピー遺伝子PCR産物を産生するためにテロメアPCRについてのサイクル数より9サイクル多いことが必要である。4つの細胞系間でのテロメアに対する単一コピー遺伝子の平均サイクル数差(Ct36B4−Ctテロメア、またはΔCt)は、−8.93から−11.17までの範囲であり、TRFアッセイによる2.0kbから8.7kbまでのテロメア長に対応した。ΔCtのアッセイ間係数は、4つの参照細胞系について、1.48%、1.34%、1.25%、および1.49%であった。
3つの独立した実行における相対的T/S比の再現性を評価した。32個のDNA副試料、すなわち、各細胞系由来の8個の副試料を、3連で、3つの異なる日にアッセイした。図6は、1回目の実行と2回目の実行と3回目の実行により決定されたT/S比の平均の間の強い相関、R2=0.95および95%信頼度でP<0.0001を示している。データを通しての線形回帰線の傾きはほぼ一致し、y切片はほぼゼロであった。T/S比のアッセイ間変動係数の平均は15%であった。傾きのアッセイ間変動係数は13%であった。
アッセイの分解能を、3つの異なる日のPCR実行の結果からの多重t検定(ボンフェローニ多重比較)によって評価した。Ovcar−5とMDA−MB−231の間の差(P>0.05)を除いて、細胞系および2つの腫瘍のうちの任意の2つの間のT/S比の差は、95%信頼レベルにおいて非常に有意であった(P<0.001)。Ovcar−5とMDA−MB−231の間のテロメア長の差はTRFアッセイにより≦1kbであるため、平均テロメア長についてのアッセイの分解能は約1kbである(図5)。
平均TRFと相対的T/S比の間の相関
この改変型qPCR増幅方法を用いて、本発明者らは、テロメア長を、T/S比により、FFPE試料において定量的に測定できることを示している。そのプロトコールを用いて4つのFFPE参照腫瘍細胞系、加えて2つの乳房腫瘍において測定されたテロメア長は、同じ試料からの新鮮に単離された、または新鮮凍結されたゲノムDNAにおいてTRFアッセイによって測定されたテロメア長と相関している(R2=0.79、p<0.017)。4つの腫瘍細胞系の間に、より強い相関が見られた(R2=0.89、p<0.0006)(図7および図8)。
FFPE試料由来のゲノムDNAにおけるDNA架橋および断片化は、特に、長く、反復性のテロメア配列を増幅することにとって、独特の難題をもたらすが、同じ試料における76bp断片の単一コピー遺伝子のリボソームリン酸化タンパク質P(本明細書では36B4と名付けられている)の増幅は影響を受けない場合が多い。この問題を解決するために、テロメアアンプリコンサイズを短縮し、かつPCR増幅効率を向上させるという目標を達成するように、いくつかのPCR条件、すなわち、PCRプライマーの選択、PCR反応緩衝液条件、および温度サイクリング条件を変更した。
Cawthonは、テロメア配列プライマー、すなわち、Telg/Telcを発表した(2009)。Telg/Telcプライマーセットは、理論的には、約79ntのアンプリコンを生じる。しかしながら、PCR反応においてABIマスターミックス緩衝液を用いる、以前のPCR条件下では、一連のPCR産物サイズが生じ、100〜150ntの産物の中程度の濃縮があった。これは、PCRサイクリング温度条件を変化させると、解決された。均一な79ヌクレオチドのテロメア産物が増幅された(図9)。その新しい条件下で、テロメア産物および36B4単一コピー遺伝子産物は、類似したアンプリコンサイズを示し(図10)、そのことは、PCR増幅へのDNA架橋および断片化における示差的な効果を低下させるであろう。典型的なテロメア反応および単一コピー遺伝子増幅のPCR増幅効率は、96〜100%である(図11)。

Claims (1)

  1. 明細書に記載の発明。
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