<画像測定装置1>
図1は、本発明の実施の形態による画像測定装置1の一構成例を示したシステム図である。この画像測定装置1は、ステージ23上のワークWが撮影されたワーク画像からエッジを抽出し、また、プローブ26をステージ23上のワークWに接触させて接触位置を特定することにより、ワークWの寸法を求める寸法測定器であり、本体2、コントローラ3、キーボード41及びマウス42により構成される。ワークWは、その形状や寸法が測定される測定対象物である。
本体2は、測定ユニット20、表示部21、垂直駆動部22、ステージ23、水平駆動部24及び透過照明ユニット25により構成され、ステージ23上のワークWに可視光からなる検出光を照射し、その透過光又は反射光を受光してワーク画像を生成する。表示部21の正面方向を前後方向と呼ぶことにすれば、表示部21は、測定ユニット20よりも前側に配置されている。
ここでは、ワーク画像からエッジを抽出してワークWの寸法を求める処理を画像測定と呼び、プローブ26をワークWの側面に接触させた状態のワーク画像から、プローブ26の位置を検出し、プローブ26とワークWとの接触位置の座標を特定することにより、ワークWの寸法を求める処理をプローブ測定と呼ぶことにする。
表示部21は、ワーク画像や測定結果を表示する表示装置である。垂直駆動部22は、ステージ23に対するフォーカス位置の高さやプローブ26の高さを調整するために、測定ユニット20及びステージ23を鉛直方向に相対的に移動させる。この垂直駆動部22は、測定ユニット20を鉛直方向に移動させることができる。なお、垂直駆動部22は、プローブ26を測定ユニット20に対して個別に高さ調整可能な構成としても良い。
ステージ23は、ワークWを載置するための水平かつ平坦な載置面を有する作業台である。例えば、ステージ23は、検出光を透過させるガラス板からなる。水平駆動部24は、ステージ23に対する撮像視野の位置やプローブ26の位置を調整するために、測定ユニット20及びステージ23をステージ23の上面と平行な方向に相対的に移動させる。この水平駆動部24は、ステージ23を水平面内の任意の方向に移動させることができる。
透過照明ユニット25は、ステージ23上のワークWに検出光を下方から照射する投光装置であり、透過照明用光源251、ミラー252及び集光レンズ253により構成される。透過照明用光源251は、前方に向けて配置されている。透過照明用光源251から出射された検出光は、ミラー252により上方に向けて反射され、集光レンズ253を介して出射される。この検出光は、ステージ23を透過し、その透過光の一部は、ワークWにより遮断され、他の一部が測定ユニット20の対物レンズ205に入射する。
<測定ユニット20>
測定ユニット20は、ステージ23上のワークWに検出光を照射し、ワークWからの検出光を受光する投受光ユニットであり、プローブ26、切替駆動部27、撮像部201,206、ハーフミラー204,210、対物レンズ205、同軸落射照明用光源209、リング照明ユニット211、リング照明用垂直駆動部212及びプローブ用光源263により構成される。
対物レンズ205は、ワークWからの検出光を集光する受光レンズであり、ステージ23と対向するように配置されている。撮像部201及び206は、共通の対物レンズ205を介してステージ23上のワークWを撮影し、ワーク画像をそれぞれ生成するカメラである。
撮像部201は、撮影倍率の低い撮像装置であり、撮像素子202と、結像レンズ及び絞り板からなる低倍側結像レンズ部203とにより構成される。撮像素子202は、低倍側結像レンズ部203を介してワークWからの検出光を受光し、ワーク画像を生成する。この撮像素子202は、受光面を下方に向けた状態で配置されている。
撮像部206は、撮影倍率の高い撮像装置であり、撮像素子207と、結像レンズ及び絞り板からなる高倍側結像レンズ部208とにより構成され、撮像部201の撮像視野と同軸の撮像視野をステージ23上に形成する。撮像素子207は、高倍側結像レンズ部208を介してワークWからの検出光を受光し、ワーク画像を生成する。この撮像素子207は、受光面を前方に向けた状態で配置されている。対物レンズ205を透過した検出光は、ハーフミラー204により後方に向けて反射され、高倍側結像レンズ部208を介して撮像素子207に結像する。
撮像素子202及び207には、例えば、CCD(Charge Coupled Devices:電荷結合素子)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補型金属酸化物半導体)などのイメージセンサが用いられる。対物レンズ205には、鉛直方向、すなわち、対物レンズ205の光軸方向の位置が変化しても、像の大きさを変化させない性質を有するテレセントリックレンズが用いられる。
同軸落射照明用光源209は、ステージ23上のワークWに検出光を鉛直上方から照射するための投光用光源装置であり、前方に向けて配置されている。同軸落射照明用光源209から出射された検出光は、ハーフミラー210により下方に向けて反射され、対物レンズ205を介して出射される。
リング照明ユニット211は、ステージ23上のワークWに検出光を上方又は側方から照射する投光装置であり、対物レンズ205を取り囲むリング形状からなる。リング照明用垂直駆動部212は、ステージ23に対する検出光の照射角度を調整するために、リング照明ユニット211を鉛直方向に移動させる。ワークWの照明方法としては、透過照明、リング照明又は同軸落射照明のいずれかを選択することができる。
<プローブ26>
プローブ26は、ステージ23上に載置されたワークWの側面に接触させてワークWの寸法を測定するための接触子である。このプローブ26は、撮像部201の撮像視野内と退避位置とに移動可能に配置されている。また、プローブ26は、自発光型のプローブであり、ワークWに接触させる球状のコンタクト部261と、ガイド光を伝送する金属管262とにより構成される。
金属管262の内部には、ガイド光を伝送するための光ファイバが内包されている。金属管262は、十分な強度を有するSUS管で構成されており、ワークWにコンタクト部261が接触しても金属管262の形状は変化しない。
コンタクト部261は、プローブ用光源263から延出する金属管262の先端に配置され、ガイド光を拡散放射する。球状のコンタクト部261の水平方向における断面積は金属管262の水平方向における断面積よりも大きくなっていることから、撮像部201によりコンタクト部261を上方から撮像した場合であっても、コンタクト部261の輪郭を撮像することができる。プローブ用光源263は、可視光からなるガイド光を生成し、金属管262に入射させる光源装置である。
切替駆動部27は、プローブ26が撮像視野内の測定位置に位置する状態と、プローブ26が撮像視野の中心から離れる方向に移動した退避位置に位置する状態とを相互に切り替える水平駆動部である。この切替駆動部27は、鉛直方向の回転軸を中心としてプローブ用光源263を回転させる回転駆動部であり、プローブ用光源263を回転させることにより、プローブ26を退避位置と測定位置との間で移動させる。例えば、退避位置は、撮像部201の撮像視野外であることが望ましいが、プローブ26がワーク画像に被写体として映し込まれなければ撮像視野の周縁部であっても良い。
コントローラ3は、本体2による撮影や画面表示を制御し、ワーク画像を解析してワークWの寸法を演算により求める制御ユニットであり、キーボード41及びマウス42が接続されている。キーボード41及びマウス42は、ユーザが操作入力を行う入力部4である。
図2〜図4は、図1の画像測定装置1の動作の一例を模式的に示した説明図である。図2には、取付アーム264から延びるプローブ26を鉛直上方から見た様子が示されている。図中の(a)には、プローブ26が測定位置にある場合が示され、(b)には、プローブ26が退避位置にある場合が示されている。
取付アーム264は、プローブ26を測定ユニット20の筐体に取り付けるための取付部材であり、L字形状からなる。取付アーム264の一端には、鉛直方向の回転軸265が配置され、他端面からプローブ26が突出している。取付アーム264は、金属管262をフローティング構造により支持している。コンタクト部261がワークWの側面に接触したときに、金属管262は接触により変形することなくX及びY方向にオフセットする。その結果、ワーク画像上でコンタクト部261の位置が変化する。
撮像エリア11は、撮像部201の撮像視野に対応するステージ23上の領域であり、矩形形状からなる。透光エリア12は、透過照明ユニット25から検出光が照射されるステージ23上の円形領域であり、撮像エリア11内に形成される。
プローブ26が測定位置にある場合、コンタクト部261は、撮像エリア11及び透光エリア12の中心に配置される。この状態で撮影されたワーク画像には、コンタクト部261が被写体として映し込まれる。切替駆動部27を制御してプローブ26が測定位置にある状態から取付アーム264を180°程度回転させることにより、プローブ26は退避位置に移動する。
退避位置は、プローブ26がワーク画像に被写体として映し込まれないようにプローブ26を退避させるための位置であり、予め定められている。プローブ26が退避位置にある場合、コンタクト部261及び金属管262は、撮像エリア11の外側に配置される。
図3には、プローブ26をステージ23上のワークWに接触させる際の動作の一例が示されている。図中の(a)には、基準高さにおいて、スキャン経路の開始位置に対応する位置まで、ステージ23に対し、プローブ26を相対的に移動させる場合が示され、(b)には、基準高さから測定高さまでプローブ26を鉛直下方に移動させる場合が示されている。図中の(c)には、測定高さにおいて、ステージ23に対し、プローブ26を相対的にスキャン経路に沿って移動させる場合が示されている。
プローブ26を用いた寸法測定では、プローブ26をワークWの側面に接触させる際の接触目標位置と、この接触目標位置を通るスキャン経路とが予め指定される。基準高さは、プローブ26がステージ23上のワークWと干渉しない高さである。水平駆動部24を制御することにより、基準高さにおいて、ステージ23に対し、プローブ26を相対的に水平方向に移動させることができる。なお、基準高さは、プローブ26の先端部が撮像部201又は206の被写界深度範囲の外側になるような高さに指定されるような構成であっても良い。
測定高さは、プローブ26が接触すべきワーク側面の高さであり、鉛直方向の位置が基準高さよりも低い。垂直駆動部22は、ステージ23に対するプローブ26の高さを測定高さと、この測定高さよりも高い基準高さとに切り替える。ステージ23に対し、プローブ26を相対的にスキャン経路に沿って開始位置から終了位置に向かってスキャン方向に移動させれば、コンタクト部261をワークWの側面に接触させることができる。プローブ26がワークWの側面に接触したことが検知されれば、プローブ26はステージ23に対して直ちに停止する。
スキャン経路の開始位置は、上述したスキャン動作を開始させるための動作開始位置であり、終了位置は、スキャン動作を終了させるための動作終了位置である。終了位置を定めておくことにより、プローブ26が終了位置に到達した時点で接触エラーを検知することができる。スキャン経路の開始位置と終了位置は、接触目標位置を通り、かつ、ワークWの輪郭線の法線に沿ったスキャン経路上に設定される。
図4には、輪郭線14の位置を特定してワークWの側面間の距離Dを算出する場合が示されている。図中の(a)には、測定対象のワークWとこのワークWの右側面に接触させたプローブ26とが示されている。このワークWは、階段状の段差を有しており、上段の右側面と左側面との間の距離Dが測定される。
図中の(b)には、透過照明により撮像された透過画像からなるワーク画像Iwが示されている。透過画像では、ワークWの外縁をエッジ抽出によって特定することは可能であるが、外縁よりも内側の輪郭線をエッジ抽出によって特定することは困難である。
図中の(c)には、反射照明により撮像された反射画像からなるワーク画像Iwが示されている。反射照明は、同軸落射照明又はリング照明による照明方法であり、ワークWの外縁よりも内側の輪郭線であっても、エッジ抽出によって特定可能である。ところが、ワークWの上段部は、右側の上部が曲面形状であることから、左側面の輪郭線に比べ、右側面の輪郭線をエッジ抽出によって正確に特定することは難しい。この様な場合、プローブ26を接触させることにより、右側面の輪郭線14を正確に特定することができる。
図中の(c)に示すワーク画像Iwには、プローブ26を接触させて特定した右側面の輪郭線14と、エッジ抽出領域15からエッジを抽出して特定した左側面の輪郭線14とが表示されている。
プローブ26がワークWの側面に接触したことは、スキャン経路を移動中のコンタクト部261のワーク画像Iw上における位置が、所定時間内に所定の閾値以上変化したか否かによって検知することができる。コンタクト部261の位置は、例えば、コンタクト部261のエッジから円中心を求めることにより特定される。また、プローブ26がワークWの側面に接触した際のワーク画像Iw上において、撮像視野の中心に対するコンタクト部261の変位方向から、ワークWの側面の法線方向や接触位置13を特定することができる。
なお、プローブ26自体を水平に移動させるような構成の場合は、スキャン経路を移動中のコンタクト部261がワーク画像Iw上で停止したか否かにより、ワーク側面との接触が検知される。
コンタクト部261の形状は既知であるため、コンタクト部261の位置は公知のサーチ技術を使って高い精度で特定できる。従って、図4のワークWのように、エッジが丸みを帯びており2次元のワーク画像Iw上では精度良くエッジが検出できない場合であっても、コンタクト部261の位置からプローブ26とワークWの接触位置13の座標を特定することにより、画像上では検出が難しいエッジの寸法を高い精度で求めることができる。
接触位置13は、ワーク画像Iwからコンタクト部261の位置を特定し、コンタクト部261の半径に対応する距離だけ法線方向にオフセットさせることによって特定される。また、右側面の輪郭線14の位置は、複数の接触位置13に予め指定された幾何学図形をフィッティングさせることによって求められる。一方、左側面の輪郭線14の位置は、ワーク画像Iw上のエッジ抽出領域15からエッジ点を検出し、検出された複数のエッジ点に幾何学図形をフィッティングさせることによって求められる。この様にして特定された輪郭線14の位置に基づいて、右側面と左側面との距離Dが算出される。
<コントローラ3>
図5は、図1のコントローラ3の一構成例を示したブロック図である。このコントローラ3は、制御装置31及び記憶装置33により構成され、制御装置31と記憶装置33とがバス32を介して接続されている。制御装置31は、入力受付部311、表示制御部312、撮像制御部313、照明制御部314及び測定制御部315により構成される。本体2は、撮像部201,206及び垂直駆動部22からなるカメラ200と、水平駆動部24からなるステージ23と、切替駆動部27からなるプローブユニット260と、表示部21、透過照明ユニット25及び反射照明ユニット28とにより構成される。反射照明ユニット28は、同軸落射照明用光源209とリング照明ユニット211とにより構成される。
表示制御部312は、寸法測定のためのモデル画像や設定情報を表示部21に表示する。モデル画像は、例えば、マスターピースが撮影されたマスターピース画像であっても良いし、CAD(Computer Aided Design)により作成されたCADデータからなるCAD画像であっても良い。
表示制御部312は、設計データから生成されたモデル画像を表示部21に表示する場合、ステージ23上に載置されたワークWを上方から撮像して得られた画像データを仮定して、設計データから生成されたモデル画像を表示する。この様にすれば、設計データから生成されたモデル画像であっても、撮像部201又は206により撮像されるワーク画像と同様のアングルで表示されるため、接触目標位置情報の指定を容易化することができる。
入力受付部311は、入力部4において受け付けられたユーザ操作に基づいて、撮像部201又は206からモデル画像を取得し、寸法測定を行うための各種の測定設定情報を記憶装置33に登録する処理を行う。
撮像制御部313は、記憶装置33に登録された測定設定情報に基づいて、撮像部201及び206を制御し、撮影倍率の切替、撮像タイミングや露光時間の調整を行う。照明制御部314は、記憶装置33に登録された測定設定情報に基づいて、透過照明ユニット25、同軸落射照明用光源209、リング照明ユニット211及びプローブ用光源263の点灯制御を行う。例えば、画像測定からプローブ測定に切り替えられれば、照明制御部314は、プローブ用光源263を点灯させる一方、透過照明ユニット25、同軸落射照明用光源209及びリング照明ユニット211を消灯する。
測定制御部315は、記憶装置33に登録された測定設定情報に基づいて、垂直駆動部22、水平駆動部24及び切替駆動部27を制御し、撮像部201又は206からワーク画像Iwを取得して寸法測定を行う。
<入力受付部311>
図6は、図5の入力受付部311の一構成例を示したブロック図である。この入力受付部311は、撮像及び照明条件指定部341、エッジ抽出領域指定部342、接触位置指定部343、測定設定部344、設計値及び公差指定部345及び特徴量情報設定部346により構成される。
撮像及び照明条件指定部341は、ユーザの指示に基づいて、撮影倍率、露光時間、ゲイン等の撮像条件と、照明種別、明るさ、リング照明ユニットの高さ等の照明条件とを指定し、記憶装置33に測定設定情報として登録する。
エッジ抽出領域指定部342は、ユーザの指示に基づいて、モデル画像上でエッジ抽出領域を特徴量情報、例えば、パターン画像に対する相対的な座標値として指定し、記憶装置33にエッジ抽出領域情報として登録する。
接触位置指定部343は、表示部21に表示されたモデル画像上で、プローブ26が接触すべきワークWの側面の複数の接触目標位置を示す接触目標位置情報の指定を受け付ける。すなわち、接触位置指定部343は、プローブ26が接触すべき複数の接触目標位置にプローブ26を接触させるためのプローブ動作を決定する接触目標位置情報を特徴量情報(パターン画像)に対する相対的な座標値として指定し、記憶装置33内に登録する。接触目標位置情報は、接触目標位置、スキャン動作開始位置及びスキャン動作終了位置からなる。
接触目標位置には、モデル画像上で登録されたパターン画像(サーチ用データ)に対する相対的な位置座標と、プローブ26が接触すべきワーク側面の高さを示す測定高さとが含まれる。測定高さは、例えば、ユーザによって予め指定される。
測定設定部344は、エッジ抽出領域指定部342により指定されたエッジ抽出領域の中から、モデル画像上に存在するワークWのエッジを抽出し、また、プローブ26を接触目標位置に接触させて、プローブ26を撮像することにより、プローブ26とモデル画像上に存在するワークWとの接触位置を特定し、これらのエッジ又は接触位置に基づいて、モデル画像上から測定の基準とする輪郭線や、基準点を特定する。特定された輪郭線や基準点に基づいて、測定要素(たとえば、直線、円、円弧など)が特定される。なお、特徴量情報がCADデータである場合、輪郭線や基準点は、エッジ抽出によらず直接に特定される。
測定設定部344は、ユーザの指示に基づいて、上述した処理により特定された測定要素の中から、測定の対象とする要素を選択し、記憶装置33に測定箇所情報として登録する。測定要素は、特定された輪郭線や基準点から新たに作成された補助線(点)に基づいて特定することもできる。補助線(点)としては、例えば、2つの輪郭線の交点や円中心などが挙げられる。測定設定部344は、さらに選択された測定要素が円や円弧の場合にその半径や直径、2つの直線が選択されている場合に直線間の距離などを測定対象として指定することができる。
設計値及び公差指定部345は、ユーザの指示に基づいて、良否判定のための設計値及び公差を指定し、記憶装置33に測定設定情報として登録する。
特徴量情報設定部346は、測定実行時に撮像部201又は206により撮像されたワーク画像からワークWの位置及び姿勢を特定するための特徴量情報を設定する。すなわち、特徴量情報設定部346は、ユーザの指示に基づいて、モデル画像に基づいてワークWの位置及び姿勢を特定するためのサーチ用データからなる特徴量情報を設定し、記憶装置33に測定設定情報として登録する。例えば、特徴量情報は、正規化相関サーチ用のパターン画像(データ)であり、マスターピースが撮影されたマスターピース画像に基づいて設定される。記憶装置33には、特徴量情報設定部346により設定されたパターン画像と接触位置指定部343により指定された接触目標位置情報とが同一の座標上で記憶される。
モデル画像上で特徴が多い箇所をユーザが指定することによりパターン画像が登録されるようにしても良いし、画像全体が自動的にパターン画像として登録されるようにしても良い。また、モデル画像から特徴部分を抽出してパターン画像が自動的に登録されるようにしても良い。
登録されたパターン画像と検査対象ワークWを撮像したワーク画像をマッチングすることにより、ワーク画像内のワークWの位置及び姿勢(座標)を特定できる。マッチングには公知のマッチング技術、例えば、正規化相関サーチや幾何サーチ等が利用できる。なお、モデル画像がCAD画像であれば、CADデータに基づいて、特徴量情報を指定することもできる。
上述したように、本実施の形態によれば、モデル画像上で登録されたパターン画像(サーチ用データ)に対する相対的な座標値として、プローブ26による接触目標位置情報とエッジ抽出領域が指定される。接触目標位置情報には、プローブ26を接触させる目標位置である接触目標位置、スキャン動作を開始させる位置であるスキャン動作開始位置、スキャン動作を終了させる位置であるスキャン動作終了位置、接触すべきワーク側面の高さを示す測定高さなどが含まれる。
使用者が、検査対象のワークWをステージ23に載置してワーク画像を取得し、パターン画像(サーチ用データ)を用いたマッチング処理を実行することにより、プローブ26による接触目標位置と、エッジ抽出領域が自動的に特定できる。特定された接触目標位置に従って、プローブ26をワーク側面に順次接触させることにより、ワークWの輪郭線が特定される。なお、直線状の輪郭線を特定するためには、2点以上の接触位置の座標情報が必要となり、円状あるいは円弧状の輪郭線を特定するためには、3点以上の接触位置の座標情報が必要となる。また、必ずしも2点以上の接触位置が必要ではなく、ある特定の点の測定を行いたい場合は、1点の接触位置の座標情報を測定に用いることもできる。
入力受付部311は、表示部21に表示されたモデル画像上で、プローブ26による測定を行う測定要素の指定を受け付ける。表示部21に表示中のモデル画像は、測定設定用のワークWが撮像されたワーク画像である。記憶装置33には、入力受付部311により指定可能な測定要素の形状種別又は大きさと、プローブ26の接触目標位置の配置位置との関係を規定した配置ルールが予め記憶される。配置ルールは、測定要素の形状種別又は大きさに応じて、接触目標位置を適切に指定するための情報である。配置ルールは、例えば、測定要素の形状種別や大きさと接触目標位置の数とを対応づけるテーブル、関数又は演算式からなる。
配置ルールは、例えば、測定要素の形状種別が円又は円弧である場合、当該円又は円弧の周方向に3以上の接触目標位置が等間隔に配置されるように定められている。また、配置ルールは、形状種別が直線である場合、当該直線の方向に2以上の接触目標位置が等間隔に配置されるように定められている。
測定制御部315は、測定実行時に、上記入力受付部により指定された測定要素の位置と、測定要素の形状種別又は大きさと、上記記憶部に記憶された配置ルールとに従って、上記プローブの接触目標位置を特定し、特定された上記複数の接触目標位置に上記プローブが順次に移動するように上記水平駆動部を制御する。
接触位置指定部343は、測定要素上にエッジ抽出領域が設定された場合に、表示中のモデル画像に対し、エッジ抽出領域からエッジを抽出して輪郭線を求め、輪郭線上の位置として複数の接触目標位置を指定するとともに、接触目標位置から輪郭線の法線方向に離間した位置として、プローブ26を接近させるスキャン動作の開始位置を指定する。
表示部21には、スキャン動作の開始位置を示すシンボルがモデル画像上に表示され、接触位置指定部343は、スキャン動作の開始位置、輪郭線上における接触目標位置の数、プローブ26を接近させるスキャン方向及び高さ情報を変更するためのユーザ操作を受け付ける。
図7は、図5の入力受付部311における接触位置指定時の動作の一例を示した図である。図中の(a)には、パターン画像Ip及び接触目標位置情報を登録するためのワークWが示されている。このワークWは、ベース部材w1上に形成された突出部w2の両外側が曲面形状であり、突出部w2の側面間の距離Dがプローブ26を用いて測定される。
モデル画像Imは、反射照明により撮像された反射画像であり、ワークWを含む一部の領域がパターン画像Ipとして登録される。このパターン画像Ipと接触目標位置情報との関連づけには、例えば、以下の(b)〜(d)に示すように3通りの方法がある。
図中の(b)には、パターン画像Ipと接触目標位置とを直接に関連づける場合が示されている。例えば、パターン画像Ipに対し、スキャン動作の開始位置と終了位置を指定することにより、接触目標位置が自動的に特定される。開始位置や終了位置は、プローブ26を示すシンボルSmやスキャン方向を示す矢印Yをマウス操作によって移動させることによって指定することができる。なお、接触目標位置を指定することにより、スキャン動作の開始位置と終了位置を自動的に決定しても良い。この様にパターン画像Ipと接触目標位置とを直接に関連づけることにより、パターン画像(サーチ用データ)に対して接触目標位置座標が相対的に記憶される。
図中の(c)には、エッジ抽出領域Rからエッジを抽出して特定される輪郭線Lと接触目標位置とを関連づける場合が示されている。パターン画像Ip上で指定されたエッジ抽出領域Rからエッジ点を抽出し、抽出されたエッジ点列にフィッティングする輪郭線Lが特定される。この輪郭線Lに対して接触目標位置を指定することにより、パターン画像Ipと接触目標位置とが間接的に関連づけられる。検査時に入力されるワーク画像上のエッジ抽出領域Rの位置座標は、ワーク画像と、パターン画像(サーチ用データ)とをマッチングすることにより、自動的に特定される。位置が特定されたエッジ抽出領域R内のエッジ点列が抽出され、このエッジ点列から特定される輪郭線Lに対して予め定めた位置に接触目標位置が設定される。例えば、スキャン方向が輪郭線Lに対して法線方向に所定距離離れた位置から接近する方向に設定されている場合、輪郭線Lの法線に沿って安定的にアプローチできるため、測定が安定する。
図中の(d)には、エッジ抽出領域Rと接触目標位置とを関連づける場合が示されている。パターン画像Ip上で指定されたエッジ抽出領域Rに対して、接触目標位置を指定することにより、パターン画像Ipと接触目標位置とが間接的に関連づけられる。上述したマッチング処理によりエッジ抽出領域Rの位置座標が特定されると同時に、接触目標位置座標が特定される。
図8は、図5の入力受付部311におけるパターン画像登録時の動作の一例を示した図であり、図7の(a)に示したワークWを透過照明により撮像した場合のモデル画像Imが示されている。このモデル画像Imの一部がサーチ用のパターン画像Ipとして登録される。この様にサーチ用のパターン画像Ipには、透過照明で撮像された透過画像を用いる一方、接触目標位置の指定には、反射照明で撮像された反射画像を用いることができる。
一般に透過照明で撮像された透過画像ははっきりとしたエッジが得られる他、周囲環境の変化による画像の変化も小さい。従って、透過照明で撮像した透過画像に基づいて、パターン画像を登録する一方で、透過照明では取得できない非貫通のワーク形状に存在する内側の輪郭の寸法を測定するために、反射照明で撮像された反射画像に基づいてプローブ26による接触目標位置の指定を行うことができる。この様にパターン画像を登録する際の照明条件と、接触目標位置やエッジ抽出領域を登録する際の照明条件とは異ならせることができる。また、連続測定時の照明条件を設定時の照明条件と同じにするために、設定時の照明条件が測定設定情報として登録される。
上述したように設定時にモデル画像Im上で登録されたパターン画像(サーチ用データ)と、検査時に入力されたワーク画像とをマッチングすることにより、直接的、または間接的に接触目標位置が特定される。プローブ26によりスキャンすべき位置が特定されると、プローブ26の動作計画が決定し、測定制御部315がプローブ26の動作を制御する。
図9は、図5の入力受付部311における接触位置指定時の動作の一例を示した図であり、形状種別とスキャン経路の本数とを対応づけたテーブルが示されている。図中の(a)には、分割数が固定である場合のテーブルが示されている。このテーブルは、測定対象の形状種別とスキャン経路の本数とを対応づけた配置基準であり、3つの形状種別(直線、円及び円弧)について、スキャン経路の本数及び分割数が規定されている。
具体的には、形状種別が直線であれば、分割数=3であり、直線を3等分するように2本のスキャン経路が配置される。また、形状種別が円であれば、分割数=3であり、円周を3等分するように3本のスキャン経路が配置される。形状種別が円弧であれば、分割数=4であり、円弧を4等分するように3本のスキャン経路が配置される。
図中の(b)には、分割数が測定対象のサイズに応じて可変である場合のテーブルが示されている。このテーブルは、測定対象の形状種別及びサイズとスキャン経路の本数とを対応づけた配置基準であり、3つの形状種別(直線、円及び円弧)について、スキャン経路の本数が規定されている。
具体的には、形状種別が直線である場合、輪郭線Lの長さが閾値TH未満であれば、分割数=3であり、直線を3等分するように2本のスキャン経路が配置される。一方、輪郭線Lの長さが閾値TH以上であれば、分割数=4であり、直線を4等分するように3本のスキャン経路が配置される。また、形状種別が円である場合、輪郭線Lの長さが閾値TH未満であれば、分割数=3であり、円周を3等分するように3本のスキャン経路が配置される。一方、輪郭線Lの長さが閾値TH以上であれば、分割数=4であり、円周を4等分するように4本のスキャン経路が配置される。形状種別が円弧である場合、輪郭線Lの長さが閾値TH未満であれば、分割数=4であり、円弧を4等分するように3本のスキャン経路が配置される。一方、輪郭線Lの長さが閾値TH以上であれば、分割数=5であり、円弧を5等分するように4本のスキャン経路が配置される。
図10は、図5の入力受付部311における接触位置指定時の動作の一例を示した図であり、輪郭線Lの長さに応じてスキャン経路の本数が異なる場合が示されている。図中の(a)には、形状種別が直線である場合が示され、(b)には、形状種別が円である場合が示されている。
ユーザによりモデル画像Im上でエッジ抽出領域Rが測定対象領域として指定されれば、エッジ抽出領域Rからエッジを抽出して特定された輪郭線Lに対し、接触目標位置が指定される。例えば、接触目標位置は、輪郭線Lの端点から一定間隔ごとに指定される。輪郭線Lの形状種別が直線であれば、2箇所以上の接触目標位置が指定され、輪郭線Lの形状種別が円又は円弧であれば、3箇所以上の接触目標位置が指定される。この場合、輪郭線L上に指定される接触目標位置の数は、輪郭線Lの長さに応じて異なる。なお、輪郭線Lは、マウス操作などによって直接に指定されるようなものであっても良い。
また、図示したスキャン経路のように、3以上の分割数nを指定することにより、輪郭線Lを等分割するn本又は(n−1)本のスキャン経路が指定されるようにしても良い。具体的には、図10の(a)に示す通り、輪郭線Lの形状種別が直線であれば、輪郭線Lの長さが一定値未満である場合に分割数を3とし、輪郭線Lを等分割する2本のスキャン経路が指定される。一方、輪郭線Lの長さが一定値以上である場合には分割数を4とし、輪郭線Lを等分割する3本のスキャン経路が指定される。
また、図10の(b)に示す通り、形状種別が円であれば、半径が一定値未満である場合に分割数を3とし、輪郭線Lを等分割する3本のスキャン経路が指定される。一方、半径が一定値以上である場合には分割数を4とし、輪郭線Lを等分割する4本のスキャン経路が指定される。
スキャン経路の開始位置は、接触目標位置から輪郭線Lに垂直な方向に一定距離だけ離間した位置として指定される。スキャン経路の終了位置は、輪郭線Lを挟んで開始位置とは反対側の位置として指定される。また、モデル画像Imから抽出されたエッジの両側の輝度差に基づいて、プローブ26をワークWの側面に近づける際のスキャン方向が決定される。なお、スキャン経路の開始位置と終了位置の決め方は上記の方法に限定されない。スキャン経路の開始位置と終了位置は、接触目標位置に対して相対的に定められていれば良い。
<測定制御部315>
図11は、図5の測定制御部315の一構成例を示したブロック図である。この測定制御部315は、サーチ処理部351、エッジ抽出領域特定部352、エッジ抽出処理部353、スキャン動作決定部354、スキャン動作制御部355、プローブ検出部356、接触位置特定部357、輪郭線算出部358及び寸法算出部359により構成される。
サーチ処理部351は、撮像部201又は206からワーク画像を取得し、記憶装置33内の特徴量情報に基づいて、ワークWの位置及び姿勢を特定する。位置及び姿勢の特定は、パターンサーチにより行われる。このサーチ処理部351は、プローブ26が撮像視野外の退避位置にある状態で生成されたワーク画像を取得し、当該ワーク画像からワークWの位置及び姿勢を特定する。
エッジ抽出領域特定部352は、サーチ処理部351により特定されたワークWの位置及び姿勢とエッジ抽出領域情報とに基づいて、ワーク画像上のエッジ抽出領域を特定する。エッジ抽出処理部353は、エッジ抽出領域特定部352により特定されたエッジ抽出領域からエッジ点を抽出する。
スキャン動作決定部354は、エッジ抽出処理部353により抽出された複数のエッジ点に形状種別として予め指定された幾何学図形をフィッティングさせることにより、輪郭線の位置を特定し、接触目標位置情報に基づいて、開始位置やスキャン方向を特定することにより、スキャン動作を決定する。
スキャン動作制御部355は、スキャン動作決定部354により決定されたスキャン動作に従って、本体2の垂直駆動部22、水平駆動部24及び切替駆動部27を制御する。スキャン動作制御部355は、例えば、切替駆動部27を制御してプローブ26を退避位置から測定位置に切り替えた後、複数の接触目標位置にプローブ26が順次に移動するように水平駆動部24を制御する。
プローブ検出部356は、プローブ26がワークWの側面に接触したことを検出する。例えば、撮像部201又は206からワーク画像を繰り返し取得し、スキャン経路を移動中のプローブ26のワーク画像上における位置が一定時間内に一定の閾値以上変化すれば、プローブ26がワークWの側面に接触したと判断される。なお、プローブ26に物理的な接触を検知するセンサを設けてもよい。
接触位置特定部357は、プローブ26がワークWの側面に接触したことが検出されれば、ワークWの側面に接触した状態のプローブ26が撮影されたワーク画像を取得し、当該ワーク画像上におけるプローブ26の位置から接触位置を特定する。ワーク画像上のプローブ26の位置と、ステージ23に対する撮像視野の相対位置とに基づいて、プローブ26がワークWに接触した複数の接触位置が特定される。
ステージ23に対する撮像視野の相対位置は、水平駆動部24から入力される。水平駆動部24から入力されたグローバル座標系内における撮像視野(カメラ200又はステージ23の相対位置)の位置座標と、撮像視野内のローカル座標系内における各接触位置の座標とから、各接触位置が求められる。
なお、本実施の形態では、カメラ200とプローブ26はXY方向に動作せず、ステージ23がXY方向に移動することにより、プローブ26とワークWの側面とを接触させる構成としている。そのため、プローブ26がワークWと接触していない状態では、プローブ26は常に撮像視野内の中心に位置する。この実施例に限らず、カメラ側がプローブ26とともに動く構成としても良いし、撮像視野内をプローブ26が移動する構成としても良い。
輪郭線算出部358は、エッジ抽出処理部353によって抽出された複数のエッジ点、又は、接触位置特定部357によって特定された複数の接触位置に対し、幾何学図形をフィッティングさせることにより、輪郭線の位置を特定する。
寸法算出部359は、輪郭線算出部358により特定された輪郭線の位置に基づいて、ワークWの寸法を求め、測定結果を表示部21に表示する。寸法算出部359では、エッジ抽出領域からエッジを抽出して特定された輪郭線と、プローブ26が接触することによって特定された輪郭線とのいずれか一方又は両方を用いて、ワークWの寸法が求められる。
例えば、エッジ抽出によって特定された輪郭線と、プローブ26が接触することによって特定された輪郭線とを組み合わせて寸法を求めることができる。この様な構成を採用することにより、エッジが正確に抽出できない測定箇所の輪郭線はプローブ26を接触させて特定し、エッジが正確に抽出できる測定箇所の輪郭線はエッジ抽出によって特定して寸法測定を行うことができる。つまり、画像で測定できる部分は、画像で測定する方が寸法測定に要する時間を短縮することができる。
図12のステップS101〜S107は、図5のコントローラ3における測定設定時の動作の一例を示したフローチャートである。まず、コントローラ3は、画像測定又はプローブ測定のいずれかの測定方法がユーザにより選択されれば(ステップS101)、選択された測定方法に応じた測定要素の設定を行う(ステップS102〜S104)。
図13及び図14は、図1の画像測定装置1における測定設定時の動作の一例を示した図である。図13の(a)には、登録対象のワークWが示され、(b)には、パターン画像Ip上で指定されたエッジ抽出領域Rとスキャン動作の開始位置を示すシンボルSmが示されている。このワークWは、ベース部材w1上に円筒状の突出部w2が形成され、ベース部材w1の周縁部に3つの貫通孔w3が形成されている。
パターン画像Ipは、この様なワークWが被写体として撮像された撮影画像からなる。測定箇所は、ベース部材w1の左右の側面間の距離と、前後の側面間の距離と、2つの貫通孔w3間の距離と、突出部w2の内径とが指定されている。ベース部材w1の左右の側面間の距離と2つの貫通孔w3間の距離とは、ワークWの輪郭線に対して指定されたエッジ抽出領域Rからエッジを抽出することによって測定される。一方、ベース部材w1の前後の側面間の距離と突出部w2の内径とは、プローブ26を接触させることによって測定される。
図14には、測定設定情報の指定時に、表示部21に表示される設定画面100が示されている。設定画面100は、測定設定情報の編集画面であり、モデル画像を表示するための表示欄110と、寸法種別を選択するためのメニュー欄111が設けられている。
表示欄110に表示中のモデル画像は、図12に示したワークWが被写体として撮像された撮影画像である。倍率ボタン131又は132を操作することにより、広視野測定用の低倍率と高精度測定用の高倍率とのいずれかを撮影倍率として指定することができる。また、ステージ調整ボタン133を操作すれば、ステージ23のX方向の位置及びY方向の位置を調整することができる。また、Z調整ボタン134を操作すれば、測定ユニット20のZ方向の位置を調整することができる。照明ボタン135を操作すれば、照明種別を指定することができる。照明種別には、透過照明、リング照明及び同軸落射照明などがある。
メニュー欄111の寸法種別には、距離測定、角度測定などがある。距離測定には、2直線の間の距離測定、直線と点との間の距離測定、2点の間の距離測定、2円の間の距離測定、円と直線との間の距離測定、円と点との間の距離測定、円の直径測定及び円弧の半径測定がある。
ステップS103の画像測定要素の設定では、エッジ抽出により寸法測定を行うための測定要素について、測定設定情報の指定が行われる。一方、ステップS104のプローブ測定要素の設定では、プローブ26を接触させて寸法測定を行うための測定要素について、測定設定情報の指定が行われる。ステップS103及びS104の処理内容は、図17及び図19においてそれぞれ詳述する。コントローラ3は、モデル画像上の全ての測定要素について、設定が完了するまでステップS101からS104までの処理手順を繰り返す(ステップS105)。
次に、コントローラ3は、設計値及び公差の指定を行う(ステップS106)。このステップでは、モデル画像から算出された寸法値が測定要素の輪郭線に対応づけて表示され、モデル画像上の寸法値がユーザにより選択されれば、設計値や公差を新たに指定し、或いは、変更することができる。
図15には、設計値及び公差の指定時における公差設定画面101が示されている。公差設定画面101は、設計値及び公差の編集画面であり、モデル画像を表示するための表示欄110と、設計値と公差の上限値及び下限値とを指定するための入力欄112が設けられている。表示欄110に表示中のモデル画像には、測定箇所に対応づけて寸法線や識別番号が表示されている。
この入力欄112には、測定設定情報として登録された複数の測定箇所について、設計値と公差の上限値及び下限値とが表示され、測定箇所を選択すれば、設計値、公差の上限値又は下限値を新たに指定し、或いは、変更することができる。
次に、コントローラ3は、特徴量情報の登録を行う(ステップS107)。このステップでは、ワークWの位置及び姿勢を特定するためのパターン画像(サーチ用データ)が、パターン画像と各測定要素の設定で指定されるエッジ抽出領域との相対的な位置関係と共にモデル画像を用いて登録される。
図16には、特徴量情報の指定時における特徴量設定画面102が示されている。この特徴量設定画面102は、パターン画像を特徴量情報として登録するための編集画面であり、モデル画像を表示するための表示欄110と、登録対象領域及びサーチ条件を指定するための入力欄114が設けられている。表示欄110に表示中のモデル画像には、登録対象領域の外縁を示す枠113が表示されている。
サーチ条件には、回転方向のスキャン範囲を制限するためのサーチ範囲と、パターン画像と一致するワークWの検出個数とを指定することができる。登録ボタン115を操作すれば、表示中のモデル画像がサーチ用のパターン画像として登録される。
図17のステップS201〜S209は、図12のステップS103(画像測定要素の設定)について、詳細動作の一例を示したフローチャートであり、コントローラ3の動作が示されている。まず、コントローラ3は、後述する撮影条件を指定し(ステップS201)、ステージ23上に載置されたマスターピースが撮影された撮影画像を取得してモデル画像として表示する(ステップS202)。
次に、測定要素の形状種別がユーザにより選択され(ステップS203)、形状種別に対応づけてエッジ抽出領域がユーザにより指定される(ステップS204)。コントローラ3は、指定されたエッジ抽出領域から複数のエッジ点を抽出し(ステップS205)、これらのエッジ点に対し、選択された形状種別に対応する幾何学図形をフィッティングさせることによって輪郭線の位置を決定する(ステップS206)。
次に、コントローラ3は、輪郭線の位置に基づいて、測定箇所の寸法を算出し、測定要素に対応づけて測定結果の寸法値をモデル画像上に表示する(ステップS207,S208)。コントローラは、モデル画像上の全ての測定要素について、設定が完了するまでステップS203からS208までの処理手順を繰り返す(ステップS209)。
図18は、図1の画像測定装置1における画像測定要素の設定時の動作の一例を示した図である。図中の(a)には、モデル画像上で指定されたエッジ抽出領域116が示され、(b)には、エッジ抽出領域116からエッジを抽出して特定された輪郭線117が示されている。
設定画面100の表示欄110に表示中のモデル画像に対し、測定要素の始点及び終点の位置を指定すれば、始点及び終点を結ぶ直線を含む矩形領域がエッジ抽出領域116として自動的に指定され、エッジ点のスキャン方向と共に測定要素に対応づけてモデル画像上に表示される。エッジ抽出領域116の登録が完了すれば、当該エッジ抽出領域116からエッジを抽出して特定された輪郭線117や寸法値がモデル画像上に表示される。
図19のステップS301〜S315は、図12のステップS104(プローブ測定要素の設定)について、詳細動作の一例を示したフローチャートであり、コントローラ3の動作が示されている。ステップS301からステップS306までの処理手順は、図17のステップS201からステップS206までの処理手順と同様である。
次に、コントローラ3は、接触目標位置情報を指定する(ステップS307)。接触目標位置情報、すなわち、接触目標位置及びスキャン経路は、測定要素の形状種別及びサイズに基づいて自動的に指定される。また、指定されたスキャン経路は、モデル画像上に重畳して表示される(ステップS308)。
図20は、図1の画像測定装置1におけるプローブ測定要素の設定時の動作の一例を示した図である。プローブ測定は、プローブ26をカメラ200により撮像して行うものであることから、プローブ26をワークWのどこに接触させれば良いのか、或いは、ワークWの側面に対し、どのようにアプローチすれば良いのかをユーザ自身で判断するのは難しい。本実施の形態による画像測定装置1では、モデル画像上でエッジ抽出領域を測定対象領域として指定するだけで、接触目標位置が自動的に決定される。
図中の(a)には、モデル画像Im上で指定されたエッジ抽出領域118が示されている。設定画面100の表示欄110に表示中のモデル画像Imに対し、測定要素の円周上に3つの点を指定すれば、これらの点を含む円環状の領域がエッジ抽出領域118として自動的に指定され、モデル画像Im上に表示される。
図中の(b)には、エッジ抽出領域118からエッジを抽出して特定された輪郭線119とスキャン動作の開始位置を示すシンボル120とが示されている。エッジ抽出領域118の登録が完了すれば、当該エッジ抽出領域118からエッジを抽出して輪郭線119の位置が特定される。接触目標位置は、この輪郭線119に対して指定され、スキャン動作の開始位置を示すシンボル120が輪郭線119に対応づけて表示される。この例では、3つのスキャン経路が輪郭線119に沿って等間隔に配置されている。
設定画面100上でのシンボル120とワークWは、実際のコンタクト部261とワークWの相似形である。これにより、ユーザは、設定画面100上でコンタクト部261とワークWとの位置関係を正確に把握することができ、プローブ26を動作させた際にコンタクト部261がワークWと干渉するか否かを確認することができる。また、コンタクト部261とワークWが干渉する可能性が高い場合には、設定画面100上にエラーを表示するなどして、ユーザに報知しても良い。
図中の(c)には、プローブ26を接触させて特定された輪郭線121と輪郭線121に対応づけて表示された寸法値とが示されている。接触目標位置の登録が完了すれば、設定画面100内のモデル画像には、プローブ26をワークWの側面に接触させて特定された輪郭線121が表示されるとともに、当該輪郭線121から求められた寸法値が輪郭線121に対応づけて表示される。
次に、コントローラ3は、スキャン経路の調整を行うか否かをユーザに照会し(ステップS309)、スキャン経路の調整がユーザにより指示されれば、接触目標位置の調整を行う(ステップS310)。
図21及び図22は、図1の画像測定装置1におけるプローブ測定要素の設定時の動作の一例を示した図である。図21の(a)には、モデル画像Im上の輪郭線119に対して指定された接触目標位置を調整する場合が示され、(b)には、スキャン方向を変更する場合が示され、(c)には、スキャン経路の本数を変更する場合が示されている。
モデル画像Im上の輪郭線119に対して指定された接触目標位置は、マウス操作などによってスキャン動作の開始位置を示すシンボル120を移動させることにより、調整することができる。例えば、シンボル120を輪郭線119の径方向に移動させることにより、スキャン動作の開始位置を輪郭線119から内側へ遠ざけることができる。また、設定画面100を操作することにより、スキャン方向を反転させ、或いは、スキャン経路を追加することができる。
図22の(a)には、登録対象のワークWが示され、(b)には、モデル画像Im上で指定された接触目標位置が示され、(c)には、エラー表示されたシンボル120が示されている。ワークWの右側面に対応する輪郭線119に対し、2つのスキャン経路が指定されている。スキャン動作の開始位置を示すシンボル120をマウス操作などによって移動させることにより、接触目標位置を変更することができる。
スキャン動作の開始位置は、測定箇所の輪郭線119に近い方が測定時間を短縮することができる。しかしながら、スキャン動作の開始位置を測定箇所の輪郭線119に近づけ過ぎた場合、ワークWの寸法ばらつきにより、プローブ26を開始位置まで移動させる際にプローブ26がワークWと干渉するおそれがある。すなわち、右側の輪郭線119を測定対象とする場合、右側の輪郭線119にスキャン開始位置を近づけ過ぎると、連続測定時のワークWの寸法ばらつきにより、プローブ26がワークWに干渉してしまう。
この様にモデル画像Im上で指定された接触目標位置が測定対象の輪郭線119に近い場合、当該輪郭線119から遠ざかるように接触目標位置を調整することができる。すなわち、右側の輪郭線119から離れるように、スキャン動作の開始位置を調整することができる。
一方、スキャン開始位置が左側の輪郭線119に近づけ過ぎると、プローブ26がワークWの左側面と干渉してしまう。この様に測定対象の輪郭線119とは異なる輪郭線と重複する位置にスキャン開始位置が指定されれば、シンボル120がエラー表示される。このため、ユーザは、モデル画像Imを確認することにより、接触目標位置を容易に調整することができる。
図23は、図1の画像測定装置1におけるプローブ測定要素の設定時の動作の一例を示した図である。図中の(a)には、登録対象のワークWが示され、(b)には、モデル画像Im上でスキャン動作の高さ位置を調整する場合が示されている。このワークWは、高さ方向の段差を有し、下段の右側面と上段の右側面との間の水平方向の距離Dがプローブ26を用いて測定される。
ワークWの下段の右側面と上段の右側面とでは、鉛直方向の位置が異なるため、スキャン動作の測定高さを適切に指定する必要がある。すなわち、上段の右側面を測定するための測定高さh2は、下段の右側面を測定するための測定高さh1よりも高い位置として指定する必要がある。この様な高さ情報は、プローブ26を実際に移動させて指定しても良いし、数値で指定することもできる。
また、測定高さを変更すると、垂直駆動部22を制御してプローブ26を変更後の測定高さに移動させることができ、これによりワークWとコンタクト部261の高さ関係を実際に確認することができる。
次に、コントローラ3は、スキャン動作を開始し、マスターピースの側面に接触した状態のプローブ26が撮影された撮影画像を取得し、当該撮影画像に基づいて、接触点の位置を特定する(ステップS311)。そして、コントローラ3は、2以上の接触点の位置から輪郭線の位置を決定する(ステップS312)。
コントローラ3は、輪郭線の位置に基づいて、測定箇所の寸法を算出し、測定要素に対応づけて測定結果の寸法値をモデル画像上に表示する(ステップS313,S314)。コントローラは、モデル画像上の全ての測定要素について、設定が完了するまでステップS303からS314までの処理手順を繰り返す(ステップS315)。
図24は、図1の画像測定装置1におけるプローブ測定要素の設定時の動作の一例を示した図である。図中の(a)には、第1スキャンモードの場合が示され、(b)には、第2スキャンモードが示されている。第1スキャンモード及び第2スキャンモードは、ステージ23に対し、プローブ26が相対的に接触目標位置間を移動する際の移動方法であり、第1スキャンモード又は第2スキャンモードのいずれかを指定することができる。
第1スキャンモードでは、接触目標位置間の移動ごとに、プローブ26が測定高さから基準高さに切り替えられる。隣接する2つの接触目標位置間に段差などの障害物がある場合には、第1スキャンモードを選択することにより、ワークWとの干渉を確実に防止することができる。
一方、第2スキャンモードでは、基準高さに切り替えることなく、ステージ23に対し、プローブ26が相対的に接触目標位置間を移動する。具体的には、1つの測定要素に対して複数の接触目標位置が指定されている場合、基準高さに切り替えることなく、ステージ23に対し、プローブ26を相対的に当該接触目標位置間で移動させる。ただし、ステージ23に対し、異なる2つの測定要素間でプローブ26を相対的に移動させる際には、基準高さに切り替えることなくプローブ26を移動させても良いが、プローブ26を測定高さから基準高さに切り替えることが望ましい。ステージ23に対し、プローブ26を相対的に同じ高さで輪郭線に沿って移動させることにより、測定時間を短縮することができる。
図25のステップS401〜S404は、図12のステップS107(特徴量情報の登録)について、詳細動作の一例を示したフローチャートであり、コントローラ3の動作が示されている。まず、コントローラ3は、撮影条件を指定した後(ステップS401)、マスターピースが撮影されたモデル画像を取得して登録対象領域を指定する(ステップS402)。
次に、コントローラ3は、パターン画像を用いてパターンサーチする際のサーチ条件を指定する(ステップS403)。コントローラ3は、特徴量情報の登録に係る全ての設定が完了するまで、ステップS401からステップS403までの処理手順を繰り返し(ステップS404)、全ての設定が完了すれば、モデル画像から得られたパターン画像とサーチ条件とを特徴量情報として記憶する。
図26のステップS501〜S508は、図17のステップS201、図19のステップS301及び図25のステップS401(撮影条件の指定)について、詳細動作の一例を示したフローチャートであり、コントローラ3の動作が示されている。まず、コントローラ3は、プローブ26の位置を確認し、退避位置でなければ、測定ユニット20の切替駆動部27を制御して退避位置に切り替える(ステップS501,S502)。
次に、コントローラ3は、水平駆動部24を制御し、水平面内におけるステージ23のX方向の位置及びY方向の位置を調整する(ステップS503)。次に、コントローラ3は、フォーカス位置を調整するために、垂直駆動部22を制御して測定ユニット20のZ方向の位置を調整する(ステップS504)。
次に、コントローラ3は、照明条件、撮像条件及び撮影倍率を指定する(ステップS505〜S507)。照明条件には、照明種別、点灯状態、明るさ及びリング照明ユニット211のZ方向の位置がある。撮像条件には、露光時間、ゲイン及び撮影範囲がある。
コントローラ3は、撮影条件の指定に係る全ての設定が完了するまで、ステップS503からステップS507までの処理手順を繰り返し(ステップS508)、全ての設定が完了すれば、撮影条件を測定設定情報として記憶する。
図27及び図28のステップS601〜S617は、図5のコントローラ3における連続測定時の動作の一例を示したフローチャートである。まず、コントローラ3は、測定設定情報を読み出し(ステップS601)、測定設定情報に基づいて、撮影条件を指定する(ステップS602)。次に、コントローラ3は、ステージ23上に載置されたワークWを上記撮影条件で撮影してワーク画像を取得し(ステップS603)、特徴量情報を用いたパターンサーチによりワークWの位置及び姿勢を特定する(ステップS604,S605)。
次に、コントローラ3は、パターンサーチによって特定されたワークWの位置及び姿勢に基づいて、ワーク画像上でエッジ抽出領域の位置を特定する(ステップS606)。コントローラ3は、特定されたエッジ抽出領域から複数のエッジ点を抽出し(ステップS607)、これらのエッジ点に幾何学図形をフィッティングさせることによって輪郭線の位置を特定する(ステップS608)。
次に、コントローラ3は、画像測定要素が測定設定情報として登録されていれば(ステップS609)、特定された輪郭線の位置に基づいて、測定箇所の寸法を算出し(ステップS610)、測定要素に対応づけて測定結果の寸法値をワーク画像上に表示する(ステップS611)。
次に、コントローラ3は、プローブ測定要素が測定設定情報として登録されていれば(ステップS612)、測定ユニット20の切替駆動部27を制御してプローブ26を退避位置から測定位置に切り替えた後、垂直駆動部22を制御して基準高さに切り替える(ステップS613)。コントローラ3は、エッジ抽出領域からエッジを抽出して特定した輪郭線の位置に基づいて、スキャン開始位置を特定し(ステップS614)、スキャン動作を行う(ステップS615)。
次に、コントローラ3は、ワークWの側面に接触した状態のプローブ26が撮影された撮影画像を取得し、当該撮影画像に基づいて接触点の位置を求めて輪郭線の位置を特定し、測定箇所の寸法を算出する(ステップS616)。そして、コントローラ3は、測定要素に対応づけて測定結果の寸法値をワーク画像上に表示する(ステップS617)。
なお、接触目標位置がパターン画像に直接に関連づけられている場合、パターンサーチによって特定されたワークWの位置及び姿勢から接触目標位置が直接に特定される。また、接触目標位置がエッジ抽出領域に関連づけられている場合には、パターンサーチによって特定されたワークWの位置及び姿勢に基づいてワーク画像上のエッジ抽出領域の位置を特定することにより、接触目標位置が特定される。
図29〜図31は、図1の画像測定装置1における連続測定時の動作の一例を示した図である。図29の(b)〜(d)、図30の(a)〜(d)及び図31には、ワークWの位置及び姿勢が互いに異なる2つのワーク画像Iwがそれぞれケース1及びケース2として示されている。図29の(a)には、サーチ用データとして登録されたパターン画像Ipが示され、(b)には、パターンサーチのために撮像されたワーク画像Iwが示されている。これらのパターン画像Ip及びワーク画像Iwは、いずれも透過照明による透過画像である。このワーク画像Iwをパターン画像Ipとマッチングすることにより、ワークWの位置及び姿勢が特定される。
図29の(c)には、エッジ抽出のために撮像されたワーク画像Iwが示されている。このワーク画像Iwは、反射照明による反射画像であり、パターンサーチによって特定されたワークWの位置及び姿勢に基づいて、エッジ抽出領域が特定される。
図29の(d)には、図29の(c)に示したワーク画像Iw上で特定された複数のエッジ抽出領域Rが示されている。エッジ抽出領域Rは、ワークWの位置及び姿勢と、エッジ抽出領域情報として登録された相対位置情報とに基づいて、位置座標が特定される。
図30の(a)には、エッジ抽出領域Rからエッジを抽出して特定された複数の輪郭線L1及びL2が示されている。輪郭線L1は、測定要素が画像測定要素として登録されている場合の輪郭線である。一方、輪郭線L2は、測定要素がプローブ測定要素として登録されている場合に、接触目標位置を特定するために用いる仮の輪郭線であり、位置精度は低い。
図30の(b)には、ワーク画像Iw上の輪郭線L2に対して特定された複数の接触目標位置が示されている。接触目標位置は、輪郭線L2の位置と接触目標位置情報として登録された相対位置情報とに基づいて、特定される。
図30の(c)には、プローブ26を接触させて特定された複数の接触位置Pが示されている。接触位置Pは、プローブ26がワークWの側面に接触した状態で取得されたワーク画像Iwとステージ23の位置とに基づいて、特定される。図30の(d)には、複数の接触位置Pに幾何学図形をフィッティングさせて特定された輪郭線L3が示されている。
図31には、ワークWの良否判定の結果が測定箇所に対応づけて表示されたワーク画像Iwが示されている。エッジ抽出により特定された輪郭線L1やプローブ動作によって特定された輪郭線L3に基づいて、測定箇所の寸法値が求められる。また、求められた寸法値を設計値と比較し、設計値に対する誤差を公差と比較することにより、ワークWの良否判定が行われる。この良否判定の結果は、測定箇所に対応づけてワーク画像Iw上に表示される。
図31の左側に示したワーク画像Iwでは、全ての測定箇所がOK判定であり、ワークWは、良品であると判定される。一方、図31の右側に示したワーク画像Iwでは、画像測定要素として登録された測定箇所の1つがNG判定であり、ワークWは、不良品であると判定される。
図32のステップS701〜S712は、図28のステップS615(スキャン動作)について、詳細動作の一例を示したフローチャートであり、コントローラ3の動作が示されている。まず、コントローラ3は、水平駆動部24を制御し、基準高さにおいて、ステージ23に対し、スキャン経路の開始位置に対応する位置にプローブ26を相対的に移動させた後(ステップS701)、垂直駆動部22を制御してプローブ26を測定高さに移動させる(ステップS702)。
次に、コントローラ3は、水平駆動部24を制御して、ステージ23に対し、プローブ26を相対的にスキャン方向に移動させ(ステップS703)、接触が検出されれば、ワーク画像上のプローブ26の位置及びステージ23の位置に基づいて、接触位置を算出する(ステップS704,S705)。プローブ26は、ワーク画像上の輪郭線の法線に沿って接近するように制御される。コントローラ3は、全ての接触目標位置について測定が完了するまで、ステップS701からステップS705までの処理手順を繰り返し、全ての接触目標位置について測定が完了すれば、プローブ26を基準高さに移動させてこの処理を終了する(ステップS706,S707)。
コントローラ3は、第1スキャンモードが指定されていれば、1つの接触目標位置について測定が完了するごとに、プローブ26を基準高さに移動させる(ステップS706,S711,S712)。
また、コントローラ3は、接触が検出されることなく、プローブ26が終了位置に到達すれば、エラーが発生したと判断し、プローブを基準高さに移動させてエラー出力を行う(ステップS704,S708〜S710)。
本実施の形態によれば、パターン画像に基づいてワーク画像からワークWの位置及び姿勢が特定されるため、ワークWをステージ23上に載置するだけで、プローブ26を用いた寸法測定を行うことができる。また、接触目標位置情報に基づいて、プローブ26が接触すべき接触目標位置が特定されるため、パターン画像に対して相対的な位置を最初に指定するだけで、ワークWに対する複数の接触目標位置を特定してプローブ26を順次に移動させることができる。
また、ワークWの位置及び姿勢を特定するためのワーク画像はプローブ26が退避位置にある状態で生成されるため、プローブ26がワークWと重複して撮像され、或いは、ワークWの近傍に撮像されるのを防止することができる。
また、本実施の形態によれば、測定要素の位置と測定要素の形状種別又は大きさと配置ルールとに従ってプローブ26が接触すべきワーク側面の複数の接触目標位置が特定されるため、モデル画像上で測定要素を指定するだけで、複数の接触目標位置を自動的に特定してプローブ26によるスキャン動作を決定することができる。
なお、本実施の形態では、水平駆動部24がステージ23をX方向及びY方向に移動させる場合の例について説明したが、本発明は、水平駆動部24の構成をこれに限定するものではない。例えば、水平駆動部24が、プローブ26又は測定ユニット20をX方向及びY方向に移動させるような構成であっても良い。或いは、水平駆動部24が、ステージ23をX方向に移動させ、プローブ26又は測定ユニット20をY方向に移動させるような構成であっても良い。
また、本実施の形態では、垂直駆動部22が測定ユニット20をZ方向に移動させる場合の例について説明したが、本発明は、垂直駆動部22の構成をこれに限定するものではない。例えば、垂直駆動部22がステージ23をZ方向に移動させるような構成であっても良い。
また、本実施の形態では、スキャン経路のスキャン方向がエッジの両側の輝度差に基づいて指定される場合の例について説明したが、本発明は、スキャン方向の指定方法をこれに限定するものではない。例えば、撮像部201又は206のフォーカス位置を利用して測定箇所の近傍の高さ情報を取得し、この高さ情報に基づいて、スキャン方向を指定するような構成であっても良い。また、スキャン方向には、予め定められた方向がデフォルト指定されるような構成であっても良い。
また、本実施の形態では、接触目標位置の測定高さがユーザによって指定される場合の例について説明したが、本発明は、測定高さを撮像部201又は206のフォーカス位置を利用して自動的に指定するような構成であっても良い。
また、本実施の形態では、ワーク画像に基づいて、プローブ26がワークWの側面に接触したことが検出される場合の例について説明したが、本発明は、接触検出の方法をこれに限定するものではない。例えば、圧力又は振動を検知するセンサを用いて、プローブ26がワークWの側面に接触したことを検出するような構成であっても良い。
また、本実施の形態では、プローブ26が測定ユニット20の筐体に取り付けられる場合の例について説明したが、本発明は、プローブ26が、撮像部201又は206の撮像視野内における測定領域内で水平方向に移動可能なものにも適用することができる。
また、本実施の形態では、プローブ用光源263から金属管262を介してガイド光が伝送される自発光型のプローブ26を備えた画像測定装置1について説明したが、本発明は、プローブ26の構成をこれに限定するものではない。例えば、プローブは、ガイド光を放射しないものであっても良い。
<プローブの支持機構>
本実施の形態ではプローブ26のコンタクト部261を支持するシャフト(ロッド)として金属管262が採用されている。そのため、コンタクト部261に発生した振動が短時間で減衰する。その一方で、金属管262は剛性が高く、非可撓性が小さいため、コンタクト部261がワークWに接触したときにワークWを押してしまい、ワークWの位置が変位しうる。金属管262に代えて可撓性のシャフト(光ファイバなど)を採用すると、コンタクト部261がワークWに接触してもワークWが押されてしまうことはない。ただし、可撓性のシャフトでは振動が減衰しにくく、短時間で多数のワークWを測定することができない。そこで、本実施の形態では、振動の影響を受けにくく、かつ、ワークWを移動させにくいプローブ26の支持機構が提案される。
図35はプローブ26を支持する支持機構3500を示している。支持機構3500は切替駆動部27に連結されたフレーム3550を有している。フレーム3550はy軸方向と平行に延在している。プローブ26は略L字形状をしており、コンタクト部261はz軸と平行に延在する金属管262に固定されている。また、金属管の他端もy軸と平行に演算している。図35が示すように、プローブ26の金属管262の少なくとも一部は鉛直方向に延びている。
フレーム3550の後端には光源3560が固定されている。フレーム3550の前端には非可動部材3501が固定具3551aによって固定されている。フレーム3550は切替駆動部27に固定されている。可動部材3502は、非可動部材3501によって支持されており、かつ、非可動部材3501に対して相対的に移動可能となっている。可動部材3502は金属管262を保持しており、ワークWに接触してコンタクト部261が移動すると、コンタクト部261に追従して移動する。
図36は非可動部材3501と可動部材3502との詳細を示している。非可動部材3501の左側面と右側面にはネジなどの固定具3551aが差し通されるか、または、螺合する穴3511a、3511bが設けられている。非可動部材3501の右側面と、左側面とにはそれぞれフレーム3550が固定される。
可動部材3502はアルミ製などの筐体3520を有している。筐体3520の中央には円形の中央穴3515が設けられており、金属管262を保持するシャフト保持部材3524が差し通されている。筐体3520とシャフト保持部材3524とは接着されてもよい。金属管262の一端にはコンタクト部261が固定されているが、金属管262の他端は、シャフト保持部材3524の中心付近まで延在している。金属管262の内部には光ファイバ3522が保持されている。光ファイバ3522は、シャフト保持部材3524の中心付近から後端まで金属管262によって被覆されておらず、むき出しとなっている。光ファイバ3522は、光源3560から出力された光をコンタクト部261まで伝達する光導波路として機能している。光ファイバ3522自体は可撓性を有しているが、金属管262によって被覆されているため、被覆されている部分の剛性は高い。なお、光ファイバ3522の入射端と出射端とを除き、光ファイバ3522は金属管262に被覆されていてもよい。筐体3520の側面には磁石を保持するための三つの穴3521a、3521b、3521cが設けられている。
図37および図38は非可動部材3501と可動部材3502との組み立て手法を示している。筐体3520に対して三つの磁石が固定され、さらに、シャフト保持部材3524にプローブ26の金属管262が固定される。非可動部材3501の中央穴3515にコンタクト部261および金属管262を差し入れることで、非可動部材3501と可動部材3502とが組み付けられる。図38は、非可動部材3501と可動部材3502との組み付けが完了したことを示している。
図39は、非可動部材3501の後面側を示している。非可動部材3501の後面は可動部材3502と対向する第一対向面である。可動部材3502の前面は、非可動部材3501と対向する第二対向面である。図39では非可動部材3501に対して固定具3551a、3551bが螺合されているが、左右のフレーム3550は図示が省略されているに過ぎない。実際には固定具3551a、3551bによって左右のフレーム3550に非可動部材3501が固定される。非可動部材3501の筐体には磁石を保持するための三つの穴3512a、3512b、3512cが設けられている。穴3512aには磁石3513aが挿入されて固定(接着など)されている。穴3512bには磁石3513bが挿入されて固定されている。穴3512cには磁石3513c(図43)が挿入されて固定されている。磁石3513aには鉄などの強磁性体の金属球3514aが磁力により吸着している。同様に、磁石3513bには鉄などの強磁性体の金属球3514bが磁力により吸着している。磁石3513cには鉄などの強磁性体の金属球3514cが磁力により吸着している。金属球3514a、3514b、3514cの半径は、金属球3514a、3514b、3514cの一部が、非可動部材3501の外面3517よりも突出するような半径である。ここでは強磁性の金属球3514a、3514b、3514cが球体の一例として示されているが、樹脂などの球体が採用されてもよい。この場合、球体を保持する機構として磁石以外の機構が必要となろう。
図40は、非可動部材3501と可動部材3502の筐体とを示す模式的な断面図である。とりわけ、本実施の形態では、可動部材3502の支持方法(付勢方法)に一つの特徴がある。上述したように、非可動部材3501は三つの磁石3513a、3513b、3513cを有しているが、これらと対向する位置に可動部材3502も三つの磁石を有している。図40では可動部材3502が有する三つの磁石のうち磁石3523bが示されている。磁石3523bは、筐体3520に設けられた穴3521bに差し通されて固定(接着など)されている。ここで、非可動部材3501の磁石3513bは可動部材3502の磁石3523bに対して対向配置されており、磁石ペアを形成している。金属球3514bは、非可動部材3501の磁石3513bと可動部材3502の磁石3523bとに接触している。なお、非可動部材3501の磁石3513bのN極が金属球3514bに接している場合、可動部材3502の磁石3523bのS極が金属球3514に接触している。非可動部材3501の磁石3513bと可動部材3502の磁石3523bとが金属球3514bを介して引っ張り合うことで、非可動部材3501に対して可動部材3502が押し当てられて非可動部材3501に支持される。金属球3514bの脱落を抑制するために、非可動部材3501の磁石3513bの磁力は、可動部材3502の磁石3523bの磁力よりも強い。つまり、プローブ26がワークWに押圧されて大きく移動して、非可動部材3501から可動部材3502が脱落しても、金属球3514bは非可動部材3501の磁石3513bに保持される。
ここでは、3つある支持部のうち、非可動部材3501の磁石3513b、金属球3514b、可動部材3502の磁石3523bによって構成される支持部が図示されているが、他の二つの支持部も同様に構成されている。つまり、他の一つの支持部は、非可動部材3501の磁石3513a、金属球3514a、可動部材3502の磁石3523a(図43)によって構成されている。さらに他の一つの支持部は、非可動部材3501の磁石3513c、金属球3514c、可動部材3502の磁石3523c(図43)によって構成されている。各磁石の形状は円筒形状であるが、直方体など他の形状であってもよいが、支持穴の加工容易性の観点からは円筒形状が好ましい。
図41はコンタクト部261がワークWに接触し、ワークWによってコンタクト部261が矢印A1の方向に移動したことを示している。ここで矢印A1の方向はy軸方向と平行である。上述した三つの金属球3514a、3514b、3514cはそれぞれ等距離にある。つまり、金属球3514a、3514b、3514cはある仮想的な球面上にある。また、可動部材3502の内面のうち三つの金属球3514a、3514b、3514cと接触する接触面は同一の球面の一部である。ただし、金属球3514a、3514b、3514cの半径が異なる場合、可動部材3502の内面のうち三つの金属球3514a、3514b、3514cと接触する接触面は中心が同一の球面(半径は異なる)の一部である。非可動部材3501の接触面のうち、三つの金属球3514a、3514b、3514cと接触する接触面は同一の球面の一部である。ただし、金属球3514a、3514b、3514cの半径が異なる場合、非可動部材3501の接触面のうち三つの金属球3514a、3514b、3514cと接触する接触面は中心が同一の球面(半径は異なる)の一部である。したがって、可動部材3502はこの仮想的な球面に沿って矢印A2の方向に移動する。上記の球面の条件を換言すれば、たとえば、磁石3513aの金属球3514aとの接触点と、磁石3523aの金属球3514aとの接触点とは中心が同一で、かつ、半径が異なる球面上にある。同様に、磁石3513bの金属球3514bとの接触点と、磁石3523bの金属球3514bとの接触点とは中心が同一で、かつ、半径が異なる球面上にある。磁石3513cの金属球3514cとの接触点と、磁石3523cの金属球3514cとの接触点とは中心が同一で、かつ、半径が異なる球面上にある。これにより、コンタクト部261がワークWに押圧されたときにスムーズにプローブ26と可動部材3502とが移動するようになる。また、ワークWからの押圧力が解放されると、プローブ26と可動部材3502とが元の位置(初期位置)へとスムーズに復帰する。この復帰のための復元力(付勢力)は磁石3513a、3513b、3513c、3523a、3523b、3523cの磁力によって実現されている。
図42はコンタクト部261がワークWに接触し、ワークWによってコンタクト部261が矢印A3の方向に移動したことを示している。矢印A3の方向はy軸方向と平行である。この場合、可動部材3502は仮想球面に沿って矢印A4の方向に移動する。ワークWからの押圧力が解放されると、プローブ26と可動部材3502とが初期位置へとスムーズに復帰する。
図43(a)ないし図43(c)はzx平面と平行な方向にワークWからコンタクト部261に押圧力が働いていることを示している。図43(a)はプローブ26と可動部材3502が初期位置に静止していることを示している。図43(b)、図43(c)は矢印A5が示す方向にコンタクト部261が押圧されたことで、矢印A6が示す方向に可動部材3502が回転していることを示している。コンタクト部261に対する押圧力が解放されると、対向配置された二つの磁石間の引力によってプローブ26と可動部材3502が初期位置に復帰する。三つの金属球3514a、3514b、3514cによって可動部材3502は非可動部材3501に対して三点支持されている。このため、可動部材3502の姿勢が安定して維持される。また、金属球3514a、3514b、3514cが球体であり、かつ、同一の仮想球面に沿って配置されているため、可動部材3502がスムーズに回転する。
図44(a)、図44(b)は金属球の脱落防止メカニズムについてさらに詳細に説明する模式的な断面図である。図44(a)が示すように可動部材3502の筐体に設けられた円筒形の穴3521bには磁石3523bが接着剤などにより固定されている。同様に、非可動部材3501の筐体に設けられた円筒形の穴3512bには磁石3513bが接着剤などにより固定されている。なお、穴3512bの上部付近には、穴3512bの半径よりも大きな半径を有する円筒形の穴3512b'が設けられている。この穴3512b'に金属球3514bが設けられている。穴3512b'の半径は金属球3514bの半径よりも大きいため、穴3512b'の内部を金属球3514bは転がって移動することができる。図44(b)が示すように、コンタクト部261の移動に伴い可動部材3502の磁石3523bが右方向に移動すると、金属球3514bも右方向に移動する。金属球3514bは穴3512b'の内壁に衝突するとそこで停止する。磁石3523bがさらに右方向に移動しても金属球3514bはこれ以上進めない。さらに、金属球3514bは非可動部材3501に設けられた磁石3513bに吸着しているため、可動部材3502が非可動部材3501から脱落しても、金属球3514bは穴3512b'内に保持される。なお、非可動部材3501の筐体と可動部材3502の筐体の素材は非磁性体(例:アルミニウム)などである。
上記の実施の形態では三つの金属球3514a、3514b、3514cによって可動部材3502が非可動部材3501によって支持されていた。しかし、可動部材3502の接触面と非可動部材3501の接触面とが金属球を介さずに摺動可能に接触していてもよい。図45(a)が示すように非可動部材3501の接触面3516は摺動面として機能する。図45(b)および図45(c)が示すように非可動部材3501の接触面3516と対向する、可動部材3502の接触面3526も摺動面として機能する。これらの摺動面の少なくとも一方はポリオキシメチレン等の低摩擦部材により構成されていてもよいし、ポリテトラフルオロエチレンめっきなど低摩擦化のための加工が施されていてもよい。非可動部材3501の接触面3516は第一半径を有する球の球面の一部であり、可動部材3502の接触面3526は第二半径を有する球の球面の一部である。これらの球の中心は一致しており、スムーズな摺動を実現するために第二半径は第一半径とほぼ同じかわずかに大きい。これらの接触面を球面とすることでコンタクト部261がどの方向に移動しても可動部材3502はその移動に追従できるようになる。
なお、可動部材3502を初期位置に維持および復帰させるための復元力は、この変形例でも磁石によって実現されている。図45(b)が示すように、磁石3513bと磁石3523bとの間にはギャップが設けられている。磁石3513aと磁石3523aとのペアと、磁石3513cと磁石3523cとのペアは図示されていないが、これらの磁石ペアについても同様のギャップが設けられている。これらのギャップを設けることで、コンタクト部261がワークWによって押されたときにスムーズに可動部材3502が動き出しやすくなる。なお、ギャップ長は、各磁石の磁力と可動部材3502の重量に依存して決定され、可動部材3502が非可動部材3501から容易には脱落しない程度に設定される。
上記の実施の形態では磁石によって可動部材3502が初期位置に維持および復元されていた。しかし、他の復元および支持機構が採用されてもよい。図46は他の支持機構3500'を示している。支持機構3500'では磁石に代えて三つの弾性部材4501a、4501b、4501cが設けられている。三つの弾性部材4501a、4501b、4501cは、ゴムやバネなどの弾性体(付勢手段)である。シャフト保持部材3524はy軸方向に延在しているため、三つの弾性部材4501a、4501b、4501cはzx平面と平行な面内に配置されている。つまり、三つの弾性部材4501a、4501b、4501cの各長さ方向はzx平面と平行である。三つの弾性部材4501a、4501b、4501cの各長さ方向は120度ずつ異なっている。これにより、シャフト保持部材3524を初期位置に維持し、かつ、初期位置に復元させることができる。三つの弾性部材4501a、4501b、4501cの各一端はシャフト保持部材3524に固定されているが、各他端はフレーム3550などに固定されている。そのため、シャフト保持部材3524を通じて可動部材3502は非可動部材3501に対して押圧されている。可動部材3502の接触面と非可動部材3501の接触面とはそれぞれ摺動面として形成されていてもよい。なお、可動部材3502が非可動部材3501に押し付けられるように、シャフト保持部材3524または可動部材3502を付勢する弾性部材がさらに追加されてもよい。
<まとめ>
画像測定装置1は、ワークWが載置されるステージ23と、ステージ23に載置されたワークWを撮像して画像を生成する撮像部201と、撮像部201の視野内において、ステージ23に載置されたワークWの側面と接触可能なコンタクト部261を有するプローブ26と、ステージ23の載置面と略平行にステージ23とプローブ26とのうち少なくとも一方を移動させる水平駆動部24とを有する。とりわけ、プローブ26は、コンタクト部261を一端に固定された非可撓性のシャフト(金属管262)を有している。シャフトの少なくとも一部は鉛直方向に延びている。シャフトは、高剛性のチューブであれば十分であり、必ずしも金属製でなくてもよい。シャフトは略L字に折れ曲がっていてもよい。さらに、画像測定装置1は、プローブ26を支持する支持機構3500と、コンタクト部261とワークWの側面とが接触したときに撮像部201により生成された画像を用いてワークWの側面の位置を測定する測定部(測定制御部315)とを有している。図35などが示すように、支持機構3500は、シャフト(例:金属管262)を保持し、シャフトとともに可動する可動部(例:可動部材3502)と、可動部と対向して設けられた固定部(例:非可動部材3501)と、付勢機構(例:磁石や弾性部材など)とを有している。付勢機構は、可動部と固定部とが少なくとも3点(三か所)で接触するよう可動部を付勢する。なお、3点の位置はほぼ同一の球面上の位置であることが望ましいが、非可動部に対して可動部がスムーズに可動可能であれば、3点(三つの接触部)の位置は同一の球面上の位置になくてもよい。ところで、コンタクト部261がワークWの側面に押圧されることでシャフトとともに可動部が移動することがある。付勢機構は、コンタクト部261に対するワークWからの押圧力が解放されると、可動部が初期位置に復元するよう可動部を付勢する。このように、非可撓性のシャフトでコンタクト部261を保持しているため、コンタクト部261は振動の影響を受けにくい。これは、測定精度の向上に寄与する。また、コンタクト部261は、シャフトを介して可動部によって支持されている。そのため、ワークWと接触してもワークWに追従してコンタクト部261も移動するため、コンタクト部261がステージ23上のワークWを移動させにくい。このように、測定精度の低下を抑制可能なプローブの支持機構が提供される。
可動部と固定部とが接触する少なくとも3点間の距離はそれぞれ等距離であってもよい。これにより、固定部は可動部をバランスよく支持することが可能となる。
図39などが示すように、固定部として機能する非可動部材3501は、可動部(可動部材3502)と対向する第一対向面を有している。この第一対向面上の3点には第一マグネット群が設けられてもよい。第一マグネット群は、磁石3513a、3513b、3513cを含む。また、非可動部材3501は、第一マグネット群に吸着される3つの球体として強磁性体の金属球3514a、3514b、3514cを含んでもよい。図43などが示すように、可動部として機能する可動部材3502は、上記の3点において第一マグネット群と引き合うように、固定部(非可動部材3501)に対向する第二対向面に設けられた第二マグネット群を有していてもよい。第二マグネット群は、磁石3523a、3523b、3523cを含みうる。付勢機構は、第一マグネット群と第二マグネット群とにより構成される。これにより付勢機構はほぼメンテナンスフリーとなり、ユーザビリティが向上する。また、第一マグネット群と第二マグネット群との間に働く引力により、可動部を初期位置に戻そうとする復元力が発生する。また、コンタクト部261に対してこの引力を超えるような大きな力が瞬間的に働くと、固定部から可動部が外れることで、コンタクト部261やシャフトの破損が発生しにくい。仮に、固定部から可動部が外れたとしても、ユーザはシャフトを手でもって再び可動部の位置を修正することで、可動部を固定部に再び吸着させることが可能である。これは、第一マグネット群と第二マグネット群との間に働く引力により、可動部が固定部に付勢されるからである。
なお、固定部と可動部とは多点で接触(例:面接触)していてもよい。図45に示したように、固定部(非可動部材3501)は、可動部(可動部材3502)と対向し、可動部(可動部材3502)と摺動する第一摺動面(接触面3516)を有していてもよい。また、可動部(可動部材3502)は、固定部(非可動部材3501)の第一摺動面と対向し、かつ、摺動する第二摺動面(接触面3526)を有していてもよい。このような面接触によって固定部に対して可動部が接触して支持されてもよい。これは金属球3514a、3514b、3514cを省略できるといった製造上の利点をもたらす。なお、第一摺動面(接触面3516)は第一球面の一部であり、第二摺動面(接触面3526)は第二球面の一部であり、第一球面の中心と第二球面の中心とは同一であってもよい。これにより、可動部はどの方向にもスムーズに移動しやすくなり、コンタクト部261に働く押圧力を逃がしやすくなる。図45に示したように、固定部(非可動部材3501)は、第一マグネット群を有し、可動部(可動部材3502)は、固定部(非可動部材3501)の第一マグネット群と引き合うように配置された第二マグネット群を有してもよい。このように、3点接触タイプと同様に面接触タイプにおいても付勢機構は磁石によって実現されてもよい。これにより必要十分な復元力を可動部に働かせやすくなる。
図46が示すように、付勢機構は、可動部(可動部材3502)を固定部(非可動部材3501)に付勢する第一弾性体と、可動部(可動部材3502)を初期位置に維持するよう付勢する第二弾性体とを有していてもよい。図46においては弾性部材4501a、4501b、4501cが第一弾性体および第二弾性体として機能している。もちろん、弾性部材4501a、4501b、4501cに加えて、可動部を固定部に付勢する第一弾性体が追加されてもよい。
図36などが示すように、可動部(可動部材3502)は、シャフトが連通するロッドとしてシャフト保持部材3524を有していてもよい。シャフト(金属管262)は中空であってもよい。シャフト(金属管262)の中空部には光源3560からの光をコンタクト部261まで導光する導光部材として、光ファイバ3522が設けられていてもよい。図35に示したように、光源3560と固定部(非可動部材3501)とはフレーム3550に固定されている。光源3560からの光が入射するロッド(シャフト保持部材3524)の端部と、光源3560との間には空間が存在していてもよい。光源3560から出射した光が空間を伝搬して光入射端から光ファイバ3522に入射し、最終的にコンタクト部261に伝搬することで、コンタクト部261が発光する。とりわけ、光源3560と光ファイバ3522の光入射端との間に空間を設けることが可能となり、可動部材3502が可動できるようになっている。これにより、光源3560を直接的に光ファイバ3522に結合する必要がなくなる。一方で、光源3560を直接的に光ファイバ3522に連結する構成も採用可能であるが、この構成では、光源3560も可動部材3502とともに可動させる機構が必要となるだろう。また、可動部材3502の重量が増すため、コンタクト部261が移動しにくくなり、ワークWを押してしまいやすくなる。この構成と対比すれば、光ファイバ3522の入射端と光源3560との間に可動空間を設ける構成は有利である。
なお、可動部(可動部材3502)が初期位置にあるときに光源3560から出力された光の量と、端部から入射してコンタクト部261に到達する光の量との差分が最小となる。よって、付勢機構によって可動部を初期位置に維持することで、効率よくコンタクト部261を発光させることが可能となる。
シャフト(金属管262)の縦弾性係数(ヤング率)は、20GPa以上であればよい。これによりコンタクト部261が振動しにくくなる。なお、縦弾性係数(ヤング率)Eは次式を満たすように求められたものである。
L3/(E×I) < 0.1
Lは金属管262の全長である。Iは金属管262の断面2次モーメントである。この式は、材料力学によるパイプ曲げの変形量の式から導き出すことが可能である。
ところで、固定部と可動部との接触箇所は、任意の1点より等距離にある点の集合からなる面の一部であってもよい。また、上述した磁石ペアの数は4以上であってもよい。磁石ペアを構成する一方の磁石の位置及び姿勢と他方の磁石の位置及び姿勢とは、一方の磁石のN極と他方の磁石のS極でつくられる磁場のベクトルが1点で交わるように決定される。また、固定部に設けられる複数の磁石は任意の1点から等距離となる位置に配置されてもよい。同様に、可動部に設けられる複数の磁石は任意の1点から等距離となる位置に配置されてもよい。ここで、固定部の1点と可動部の1点とは同一の点であってもよい。つまり、二つの同心球の表面(球面)に固定部の磁石群と可動部の磁石群とが配置されうる。これらの配置は固定部に対して可動部を付勢し、かつ、コンタクト部261の動きに対して可動部をスムーズに追従させるために有利であろう。