JP2018070647A - 容易な服用性と分割性を有する錠剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた抗菌活性と高い安全性を有するキノロン系合成抗菌薬である、レボフロキサシンを高含量含有する大型の錠剤であっても、実際の服用に際して服用困難性がなく、外観からも服用困難との印象を与えない錠剤を提供。【解決手段】レボフロキサシンの1/2水和物の結晶をレボフロキサシン換算量として500mg含有した、質量が570〜700mgである楕円形状の錠剤で、長径/短径比が2.00〜2.50の範囲、長径が14〜18mmであり、錠剤の硬度が50〜280Nであり、割線で分割したときの錠剤の破断面の面積が15〜33mm2となるように深さが0.7〜1.5mmの範囲の割線が錠剤の両面に設けられた錠剤。レポフロキサシンを含有する顆粒を調整し、更に滑沢剤を添加して、打錠して得られた素状にフィルムコーティングを施して得られる、錠剤。【選択図】なし

Description

本発明は、服用性と分割性に優れるレボフロキサシンの高含量錠に関するものである。
レボフロキサシンは、優れた抗菌活性と高い安全性を有するキノロン系合成抗菌薬である。レボフロキサシンは、耐性菌を生じ難いと評価されているがそれでも耐性菌の発現が確認され増加している(非特許文献1)。
レボフロキサシンによる各種感染症の経口投与による投薬治療は、日本においては1回100mgを1日2回または3回、あるいは1回200mgを1日3回経口投与する用法・用量が、上市以来適用されていた。近年、キノロン系合成抗菌薬によって優れた治療効果を得ると同時に耐性菌の発現を抑制するとの観点から、キノロン薬の用法・用量に関する考え方が変更され、高用量を1日1回投与する用法・用量が推奨されるようになっている。レボフロキサシンは、日本を除いては1日量として500mg又は750mgを1回で経口投与する用法・用量が採用されていたが、日本においても用法・用量の見直しがなされ、臨床試験を経て、レボフロキサシン500mgを1日1回経口投与する用法・用量が承認された。現在、高含量のレボフロキサシンを含有する錠剤として、500mg錠及び250mg錠の2種類の錠剤が2009年7月から製造販売されている(非特許文献1、2)。
クラビット(登録商標)錠250mg、クラビット(登録商標)錠500mg、クラビット(登録商標)細粒10%、インタビューフォーム、2012年3月改訂版(第8版)[I.概要に関する項目(インタビューフォーム第1、2頁);II.名称に関する項目(同、第3頁);IV.製剤に関する項目(同、第8〜11頁)] クラビット(登録商標)錠250mg、クラビット(登録商標)錠500mg、クラビット(登録商標)細粒10%、添付文書、2011年11月改訂(第7版)
高含量のレボフロキサシン含有錠、特に500mg錠は主薬の配合量が多く、錠剤は必然的に大型化する。大型の錠剤は服用が困難になる等の問題が発生し易く、特に高齢者は嚥下能力が低下していて服用困難となる頻度は非高齢者よりも高いとされている。また、実際には嚥下するのにさほど困難ではなくとも、錠剤の外観から受けた印象による服用困難性、すなわち見かけの服用困難性が心理的に強く作用し、患者が服用を放棄することによるコンプライアンスの低下や、あるいは医師が処方、特に高齢者に対する処方を躊躇することも考えられ、感染症の有効な治療機会が損なわれる事態が懸念される。
したがって、高含量のレボフロキサシンを含有する錠剤であって、実際の服用に際して服用困難性がなく、外観からも服用困難との印象を与えない錠剤を提供することが本発明の課題である。
また、レボフロキサシンの投与量を調節するため、大型の錠剤であっても容易に錠剤を分割することができ、一方で、製造時や運搬時に割れや欠けが発生しないような十分な硬度を有する錠剤を提供することも本発明の課題である。
本発明者らは、2009年7月から製造販売されている高含量のレボフロキサシン500mgを含有する従来の錠剤の服用困難性を改善し、外観からも服用が困難であるとの印象を与えない錠剤を提供することを目的として研究を行った。より具体的には、錠剤の全体的な形状を変更して容易な服用性を達成するとともに、良好な分割性を備え、同時に、製造時や運搬時においては割れや欠けなどの錠剤損傷の発生を抑制することができる錠剤を提供することを課題として鋭意検討を行った(以下、本明細書においてレボフロキサシン500mgを含有する錠剤を「500mg錠」と略す場合がある。)
実際の服用時および外観からの印象のいずれにおいても服用困難性を緩和するために、従来の500mg錠の楕円形状に注目し、この楕円形状面の面積(投影面積)を減ずることが服用困難性の緩和に有効であると考えられる。楕円形状の面積を減少させた場合には錠厚を増加させることが不可避となるが、本発明者らの研究によれば、錠厚の増加を伴っても、楕円形状の投影面積を減少させた500mg錠においては服用困難性が緩和される。
一方、生産時や運搬時に割れや欠けを引き起こす錠剤は生産性の低下を招き、市場に流通させるべき製品としての形状安定性が損なわれることとなるため、錠剤として一定以上の硬度が必要である。例えば、2009年7月に発売された500mg錠では割れや欠けなどの錠剤損傷は少ない。また、この従来の錠剤においては手でも分割できるよう錠剤表面の片面に割線が設けられているが、手で軽く力を加えることにより容易に割線に沿って錠剤を分割することが可能であり、その際に錠剤が崩壊したり、割線以外のところで錠剤が割れたりすることもない。このような背景から、新たに提供する錠厚を増加させた錠剤においても、従来の錠剤と同程度の錠剤硬度とすることにより、あるいは従来の錠剤と同様の形状の割線を設けることにより手で容易に分割可能な錠剤を提供できるものと思われた。
しかしながら、錠厚の増加した500mg錠においては手で分割を行うことが著しく困難であることが新たな問題として見いだされた。この問題は本発明者らにより初めて認識された問題点である。本発明者らは、この新規な課題を解決すべく錠厚が増加した錠剤の分割容易性、例えば錠剤に設ける割線の形状や深さについて鋭意検討を行ったが、容易に分割することが可能で、かつ割れや欠けも生じない大型の錠剤を提供するための一般的な法則は明らかではなかった。本発明者らはさらに研究を行った結果、例えば、割線を施して割線に沿って錠剤を分割したときの割線強度を特定の範囲とすること、及びそのために破断面積を特定の範囲とするなどの手段を採用することが、分割の容易性と錠剤破損の抑制に極めて有効であることを見出した。これらの手段を適宜採用することによって、容易な服用性を有し、割れや欠けが発生し難く、さらには分割性にも優れる500mg錠を提供することが可能になった。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は以下の各々に関するものである。
〔1〕レボフロキサシンを500mg含有し、質量が570mg〜700mgであって、平面図上での投影面積が90〜125mm2であり、30〜300Nの硬度を有する容易に分割可能な錠剤;
〔2〕楕円形状である〔1〕に記載の錠剤;
〔3〕割線を有する錠剤である、〔1〕または〔2〕のいずれかに記載の錠剤;
〔4〕錠剤の長径/短径比が2.00〜2.50の範囲であって、長径が14〜18mmである〔1〕から〔3〕のいずれかに記載の錠剤;
〔5〕錠剤の長径/短径比が2.00〜2.20の範囲であって、長径が14〜18mmである〔1〕から〔3〕のいずれかに記載の錠剤;
〔6〕長径が15.0〜18.0mmの範囲である〔4〕または〔5〕に記載の錠剤;
〔7〕割線で分割したときの錠剤の破断面の面積が15〜33mm2である〔1〕から〔6〕のいずれかに記載の錠剤;
〔8〕割線で分割したときの錠剤の破断面の面積が20〜33mm2である〔1〕から〔6〕のいずれかに記載の錠剤;
〔9〕割線強度が46N以下である〔1〕から〔8〕のいずれかに記載の錠剤;
〔10〕割線強度が42N以下である〔1〕から〔8〕のいずれかに記載の錠剤;
〔11〕割線強度が20〜46Nの範囲である〔1〕から〔8〕のいずれかに記載の錠剤;
〔12〕割線強度が20〜42Nの範囲である〔1〕から〔8〕のいずれかに記載の錠剤;
〔13〕錠剤の硬度が50〜280Nである〔1〕から〔12〕のいずれかに記載の錠剤;
〔14〕錠剤の硬度が70〜250Nである〔1〕から〔12〕のいずれかに記載の錠剤;
〔15〕レボフロキサシンを500mg含有し、質量が570mg〜700mgである楕円形状の錠剤であって、長径/短径比が2.00〜2.50の範囲であり、長径が14〜18mmであり、錠剤の硬度が30〜300Nであり、分割用の割線を有し、かつ割線強度が46N以下である錠剤;
〔16〕レボフロキサシンを500mg含有し、質量が570mg〜700mgである楕円形状の錠剤であって、長径/短径比が2.00〜2.20の範囲であり、長径が14〜18mmであり、錠剤の硬度が50〜280Nであり、分割用の割線を有し、かつ割線強度が20〜42Nの範囲である錠剤;
〔17〕レボフロキサシンを500mg、結晶セルロースを8.5〜45.5mg、カルメロースを38〜49mg、ヒドロキシプロピルセルロースを17〜20mg、及びフマル酸ステアリルナトリウムを24〜27mg含有する〔1〕から〔16〕のいずれかに記載の錠剤;
〔18〕レボフロキサシンを500mg、結晶セルロースを45.5mg、カルメロースを49mg、ヒドロキシプロピルセルロースを20mg、及びフマル酸ステアリルナトリウムを27mg含有する〔1〕から〔16〕のいずれかに記載の錠剤;
〔19〕レボフロキサシンを含有する顆粒を調製し、該顆粒に滑沢剤を添加して打錠し、得られた素錠にフィルムコーティングを施して得られる〔1〕から〔18〕のいずれかに記載の錠剤;
等である。
本発明のレボフロキサシン500mg錠は、高用量の大型錠剤であるにもかかわらず従来の錠剤に比べて視覚的に小型化されていることから、患者に対して服用困難であるとの視覚的な不安を与えることがなく、実際に嚥下が容易であるという特徴がある。また、分割を容易にするための手段として、例えば割線を設けることにより、さらには、例えば割線強度を特定の範囲とすることにより、錠厚が増加しているにもかかわらず従来の錠剤と同様の分割性能を達成することができる。従って、これらの手段を適宜採用することにより容易に分割可能な錠剤として提供される本発明の錠剤は、手で簡単に錠剤を分割することが可能であり、錠剤分割にあたって錠剤の崩壊や割線以外での割れや欠けなどの問題が生じないという特徴もある。さらに、十分な錠剤硬度を有していることから保存中や流通段階において割れや欠けなどの錠剤破損の問題を生じることもない。
オートグラフを用いた割線強度の測定方法を示す。 割線強度と官能試験の分割性の関係を示す。 破断面積と割線強度の関係を示す。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明は高含量のレボフロキサシン水和物を含有する錠剤に関するものであるが、特にレボフロキサシン500mgを含有する錠剤に関するものである。レボフロキサシンは、化学名を(3S)-9-フルオロ-3-メチル-10-(4-メチルピペラジン-1-イル)-7-オキソ-2,3-ジヒドロ-7H-ピリド[1,2,3-de][1,4]ベンゾオキサジンカルボン酸と称する。本明細書において「レボフロキサシン」との語は、水和物ではなく、さらには水以外の付加物も含有しない遊離体の化合物を意味しており、INN(International Nonproprietary Name;国際一般名)として定められているものと同じ定義で使用している。なお、レボフロキサシンは常態においては水和物として存在しているが、レボフロキサシン水和物やその他の溶媒和物等を総称的に、さらには化合物の総称的な名称として「レボフロキサシン」と称する場合もある。
現在製造販売されているレボフロキサシン含有錠に含まれる主薬はレボフロキサシン水和物であり、上記の化合物の1/2水和物である。本発明の錠剤は、主薬としてレボフロキサシン水和物、すなわちレボフロキサシンの1/2水和物を512.5mg含有することが好ましい。本発明の錠剤に含まれるレボフロキサシンは結晶形態であることが好ましいが、アモルファス性状のレボフロキサシンや、アモルファスと結晶との混合物であるレボフロキサシンを用いてもよい。好ましくはレボフロキサシンの1/2水和物の結晶を用いることができる。この1/2水和物としての512.5mgが無水物換算でレボフロキサシン500mgに相当する。なお、この含量は、錠剤の実際の製造時においては、当然に許容される範囲での増減があり、したがって、このような許容範囲にあるレボフロキサシン500mg錠の全てが本発明の対象となるレボフロキサシン錠である。なお、レボフロキサシンが日本国においては100mg錠が最初に承認され製造販売が開始されており、本明細書において「高含量」という場合には1錠あたり100mgよりも高い配合量であることを意味する。
2009年7月から販売されているレボフロキサシン500mgを含有する錠剤(以下、「従来品」と称する。)は、添付文書やインタビューフォームの記載から明らかなように、平面図の投影形状として楕円形状を有し、その長径は18.2mm、短径が8.2mmであり、錠厚は約5.0mmである。レボフロキサシン500mg錠は、この楕円面の形状が見える方向でいわゆるPTPに1錠ごとに格納された状態で医師や患者に提供される場合が多い。従って、医師または患者は先ずPTPから見える楕円面の面積の大きさによって錠剤の大小についての印象が形成されることとなる。この「楕円面の大きさ」から受ける印象を緩和するためには最初に目にすることとなる楕円面の大きさを縮小させることが有効である。例えば、従来品の長径は18.2mmであることから、従来品と同様の楕円形状とする場合には、長径の値としては、例えば14mmから18.0mmの範囲であれば従来品に比べて小型の錠剤であるとの印象を与えることができる。短径については、例えば、長径/短径比として2.00〜2.50の範囲、より好ましくは2.00〜2.20に範囲に収まるものであればよい。
楕円面の面積を減少させることは錠厚に対して影響を及ぼすことになる。楕円面の面積の縮小は、錠剤の成分組成の変更を行なわない限り錠厚の増加となる。錠厚とは錠剤の側面図における錠剤の高さのことである。錠剤が小型であるとの印象を与えるためには錠厚を厚くとって楕円面の面積を縮小させることも可能である。しかしながら、錠厚が極端に厚い錠剤では実際の服用性が悪化し、さらに錠剤が球体状に近くなることから見掛けの服用性も悪化すると懸念される。従って、錠厚として適度な値の設定が必要である。
このような観点から、錠剤の形状として楕円形状を採用する場合において長径と短径、及び錠厚を適度にバランスさせた錠剤として、例えば、長径が16.2mmで、かつ長径/短径比が2.05程度の錠剤を選択することができる。この形状及び大きさの錠剤であれば見た目に小型化された錠剤であるとの印象を与え、かつ実際の服用性も改善することができる。本発明の錠剤の形状としては平面図の投影形状が楕円形状であることが好ましく、長径の値としては、好ましくは14mmから18.0mmの範囲であり、より好ましくは15.0mmから18.0mmの範囲であり、さらに好ましくは15.2mmから17.2mm(16.2mm±1mm)の範囲であって、長径/短径比が2.00から2.10の範囲、好ましくは2.05程度である。以下、この形状及び大きさを有する特定の錠剤(以下、「本発明の錠剤」と呼ぶ場合がある)についてさらに具体的に説明するが、本発明の錠剤の形状及び大きさは上記の特定のものに限定されることはない。なお、本発明の錠剤のうち長径が16.2mmで、かつ長径/短径比が2.05である錠剤と従来品の2種類についてプラセボ錠を作製し、数人の被験者で服用性についての官能性評価を実施した結果、本発明の錠剤の方が服用性に優れることが明らかとなり、この形状及び大きさであれば優れた服用性を達成できることを確認した。
本発明の長径が16.2mmで、かつ長径/短径比が2.05である楕円形状の錠剤について、楕円形状の平面図の投影形状の投影面積は約111.2mm2であった。したがって、本発明の錠剤としては当該投影面積は90から125mm2の範囲のものであればよく、より好ましくは100から116mm2の範囲のものであり、これらの範囲にある投影面積を持つ錠剤であれば良好な服用性を備えさせることができる。なお、上記の投影面積の算出は後に述べる方法を採用することで求めることができる。この「平面図の投影形状」であるが、これは錠剤の楕円形状が確認できるように上面(下面でもよい)から観察したときに把握できる形状であり、「上面から」とは長径と短径のみを同時に観察できる方向である。例えば、表2に錠剤の3種類の形状が記載されているが、このうち、左端と中央に記載されている形状を示す。同表の錠剤の形状のうち右端に記載されている形状は、錠剤を側面から、長径と錠厚のみが把握できるように観察したときの形状であり、ここでの上下間の距離が「錠厚」で錠剤の厚みであり、錠剤の最も厚い部分の値、すなわち最大値を以って記載されることが多い。
本明細書において「楕円形状」の用語は錠剤の平面図の投影形状が楕円形状であることを意味するが、この楕円の用語には幾何学的な定義に基づく楕円は当然に包含されるが、従来品の形状やこの分野において楕円と称されている形状のほか、例えば長方形の4つの角を円弧に変更して得られるような形状等も含まれる。従って、楕円の用語については、幾何学上の定義よりも広い範囲の形状を含めて、最も広義に解釈しなければならず、いかなる意味においても限定的に解釈してはならない。
また、本発明のレボフロキサシン500mg含有錠に採用され得る形状は、上記のような楕円形状に限定されることはなく、円形でない形状であれば特に制限はない。例えば、菱形を採用することもできる。なお、製造上の問題等から、菱形の用語にはその角が円弧に変更された形状も包含されることはいうまでもない。このような当業者に自明な変更が付加された形状も本発明の錠剤の形状に包含される。
さらに、円形の錠剤に関していえば、円形と称される錠剤の形状を全体としてみると、厚みの小さい円筒形、あるいは円盤状として認識できる形状であり、3面の投影図で見れば、円形、長方形(四角形)と表されるのであって、通常は上面からの投影面が円形であるものをいう。また、円筒形とはいっても、製造上の観点から面取りされた形状のこともある。本明細書において「円形でない形状」とは以上の様な円形の形状を有していないことを意味する。
本発明の錠剤のうち、長径が16.2mm、長径/短径比が約2.05の楕円形錠剤においては、例えば表1に示した処方を採用することができ、下記の処方1とすることが特に好ましいが、この処方に限定されることはなく、成分や配合量について当業者は適宜の改変や修飾を行うことができることは言うまでもない。例えば各成分は、処方1と処方2に示した量の範囲で適宜増減させることができ、さらに合計700mgを超えない範囲で各成分を適宜増量できる。
Figure 2018070647
上記の処方を採用した錠剤の製造は特に限定されることはないが、例えば、先ずレボフロキサシン含有顆粒を造粒し、この顆粒に滑沢剤を添加して打錠して素錠を得、この素錠にフィルムコーティングを施す工程によって実施することができる。
すなわち、原薬のレボフロキサシン水和物に賦形剤、例えば結晶セルロース、そして崩壊剤、例えばカルメロースを添加して混合する。この混合物を、例えば流動層造粒乾燥機を使用し、結合剤を添加して造粒する。この結合剤としては、例えばヒドロキシプロピルセルロースを挙げることができ、このものを水溶液として噴霧し、造粒できる。造粒後乾燥し、得られた乾燥品を整粒して顆粒を製造することができる。
次に、滑沢剤、例えばフマル酸ステアリルナトリウムを添加して、例えばV型混合機を使用して混合し、錠用顆粒を調製する。その後打錠するが、例えばロータリー式打錠機で錠用顆粒を打錠し、錠剤を製造することができる。さらに得られた錠剤に対してフィルムコーティングして、レボフロキサシン500mg錠をフィルムコーティング錠として得ることができる。
以上の顆粒の製造工程、打錠工程、フィルムコーティング工程の各工程に関しては、上記の方法の他に、この分野で通常実施される他の方法を採用することができる。例えば、顆粒の製造工程においては、撹拌造粒、乾式造粒も採用可能である。
また、添加する各成分については、この分野で通常使用されるものから選択して配合することができる。例えば賦形剤としては、結晶セルロースの他に、乳糖水和物、マンニトール、トウモロコシデンプン等を挙げることができる。また、崩壊剤としては、カルメロースの他に、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等を挙げることができる。結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロースの他に、ヒプロメロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等を挙げることができる。滑沢剤としては、フマル酸ステアリルナトリウムの他に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等を挙げることができる。コーティング剤としては、ヒプロメロース、酸化チタン、タルク、マクロゴール、ポリビニルアルコール等を組み合わせて使用すればよい。さらに、コーティング時の着色剤として、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄を添加することもできる。
このようにして、本発明のレボフロキサシン500mg含有錠を得ることができるが、本発明の錠剤の質量としては570mg〜700mgであればよく、より好ましくは600mg〜700mgの範囲であればよい。この重量範囲に包含される好ましい処方として上記の処方1及び処方2を挙げることができる。
また、このようにして得ることができる本発明の錠剤、例えば、長径が16.2mm、長径/短径比が約2.05の楕円形錠剤であって、表1の処方1または処方2の組成を有する顆粒を打錠・コーティングして得た錠剤は、十分な硬度を有することが好ましい。錠剤の硬度としては、例えば30N以上であればよく、好ましくは50N以上であるが、より好ましくは30から300Nの範囲であり、さらに好ましくは50から280Nの範囲であり、さらには70から250Nの範囲である。
本発明の錠剤は容易に分割可能な錠剤として提供されることが好ましい。本明細書において「分割」とは1個の錠剤を応力を加えて割ることにより、複数、好ましくは2個の部分錠剤を調製することを意味している。また、本明細書において「容易に分割可能」又はその類義語は、錠剤を分割するにあたって、錠剤の分割用器具や装置を使用することなく、ヒトの手(指)だけで分割することができ、特段の大きな応力を加えなくとも分割できることを意味する。そのための手段として、例えば本発明の錠剤に割線を設けることができる。本発明の錠剤において割線は必須ではないが、一般的には割線を設けることが好ましい。
「割線」とは、錠剤の分割を容易にするために必要に応じて錠剤の表面、好ましくは楕円形状の表面又は裏面の片側、あるいは表面及び裏面の両側に設けられ、一般的には最深部が直線状に伸びる窪みのことである。窪みの断面形状としては、一般的には三角形が採用されるが、この他、正方形、長方形、又は半円形などの形状であってもよい。なお、窪みの断面形状は、錠剤の長径に沿って切断した断面において分割すべき部分における窪みとして観察される形状であり、三角形は類義語としてくさび形、V字形等を挙げることができる。断面形状は錠剤の表面形状に応じて一定の場合、あるいは適宜変化する場合があるが、特に限定されるわけではない。
従来品では2分割が可能になるように下記の表2(インタビューフォームからの抜粋)に示されるような直線状で断面形状が三角形状の割線が設けられており、錠剤の両端を持って応力を加えることによりこの割線に沿って容易に錠剤を分割することができる。この他、楕円形状の平面図の投影形状の投影面積は約128.8mm2;割線形状は三角形で、その角度は90°、割線の深さは約0.42mmであった(表3のType E割線の1.の形状である)。
Figure 2018070647
しかしながら、上記の処方1に従って、長径が16.2mm、長径/短径比が約2.05の楕円形錠剤を調製する場合には、従来品と同様の割線形状の錠剤(本明細書の実施例において例9として比較のために示した錠剤、以下、「例9」の錠剤と呼ぶ場合がある)を調製する場合には分割性能の点で十分ではない場合がある。すなわち、この様にして調製した錠剤の分割性能に関する官能性評価において、評価のほとんどが、「力を入れても割れない」、あるいは「かなり力を入れなければ分割不可能」との評価スコアに該当し、製品としては好ましくないことが判明した(表10)。従来品は片面に「浅く狭い割線」、すなわち表2において1.型として示された割線が片面にのみ施されているが(表3)、この割線の形状を本発明の錠剤にそのまま採用することは好ましくない。
本発明の錠剤のうち、長径が16.2mm、長径/短径比が約2.05の楕円形錠剤であって、処方1または処方2の組成を有する錠剤について、錠剤の少なくとも一面、あるいは両面に表3に示した割線を施した錠剤を調製してその分割性能について検討した。
Figure 2018070647
その結果、長径が16.2mm、長径/短径比が約2.05の楕円形錠剤であって、処方1の組成の錠剤の場合においては、2.型、3.型の割線の場合、両面とも同一とするかもしくは各々を組み合わせて施した錠剤、あるいは、4.型の割線の場合は片面のみ、または4.型と、2.型もしくは3.型を組み合わせて施した割線の錠剤であれば、優れた分割特性を有する錠剤となることが判明した。長径が16.2mm、長径/短径比が約2.05の楕円形錠剤であって、処方2の組成の錠剤の場合では、片面に1.型の割線のみを施した錠剤であっても分割性能に優れることも判明した。
上記に示した分割性能は、ヒトでの官能試験の結果に基づくものである。すなわち、各種の割線を施した錠剤を実際にヒトの手で分割して、割れ易さや割れ難さを評価した結果である。この評価に6段階のスコアを設定し[5:あまり力を入れなくても分割可能;4:わずかに力を入れれば分割可能;3:やや力を入れれば分割可能;2:力を入れれば分割可能;1:かなり力を入れなければ分割不可能;0:力を入れても割れない]、このスコアに基づいて分割特性の評価を実施した。
このような各錠剤の分割性能の状況に注目し、割線部において分割するために必要な入力についてその大きさを測定し、割線の種類とその割線を施した錠剤で必要な入力強度の関係について検討した。この割線部で分割するために必要な入力強度(以下、「割線強度」という)の測定のために、入力装置として、試験力測定装置であるオートグラフ(SHIMADZU製)を使用した。測定に際しては、ヒトが分割するときの状況を再現するべく、一定の距離を置いて2個の土台を向かい合わせて設置する。この2個の土台の距離は、土台の端から1mmまたは1.5mmのところに錠剤の長径の端面がかかるように設置する。このようにして設置した2個の土台を跨ぐ様に錠剤を置き、オートグラフの杵によって、荷重をかけ、破断時点の入力強度を測定する方法である。この方法によって、錠剤に杵が接触する面とは反対側の面に施された割線、複数の割線のある場合は杵とは接触しない側の割線、に基づく強度を測定することができる。試験力測定装置によって測定したときの強度の値の単位はニュートン(N)である。
このようにして得られた割線強度のデータから、例9の錠剤、すなわち分割性能が十分でない錠剤における割線強度は54.2Nであった。これに対して、分割性能に優れる本発明の各錠剤においては、割線強度は、30.9Nから44.0Nの値を示した。すなわち、優れた分割特性の割線を有する錠剤としては、その割線での強度はおよそ46N以下の値となる錠剤であればよいと判断される。さらに、より好ましい割線強度は42N以下であればよい。
割線強度を上記の範囲とするにあたり、錠剤の硬度自体が低い場合は錠剤全体の強度が低下することから、分割性能が向上する場合がある。しかしながら、硬度の低い錠剤は、製造中や運搬中において容易に割れや欠けなどの錠剤破損を生じ、製造効率を低下させ、製品形状の安定性の低下を招く懸念がある。したがって、本発明の錠剤は十分な硬度を備えることが必要である。通常、錠剤の硬度は30N以上であればこのような問題は発生し難いと考えられ、より好ましくは50N以上であればよい。錠剤硬度は一般的には錠剤硬度計を用いて測定することができるが、本発明の錠剤の硬度は30N以上であればよく、好ましくは50N以上であるが、より好ましくは30から300Nの範囲であり、さらに好ましくは50から280Nの範囲である。この範囲のうち、より好ましくは70から250Nである。
以上の観点から、本発明の錠剤における割線強度は錠剤硬度とともに設定すべきであるが、錠剤硬度として上記の範囲を選択する場合において、割線強度は20N以上であればよく、好ましい範囲は20〜46Nであり、より好ましくは20〜42Nの範囲である。
割線強度と錠剤硬度との組合せとしては、例えば以下の組み合わせ:
割線強度が20N以上で、かつ錠剤硬度が30N以上であり、
好ましくは、割線強度が20N以上で、かつ錠剤硬度が30から300Nの範囲であり、
さらに、割線強度が20N以上で、かつ錠剤硬度が50から280Nの範囲であり、
そして、割線強度が20N以上で、かつ錠剤硬度が70から250Nの範囲である場合;
より好ましくは、割線強度が20〜46Nの範囲で、かつ錠剤硬度が30から300Nの範囲であり、
さらに、割線強度が20〜46Nの範囲で、かつ錠剤硬度が50から280Nの範囲であり、
さらに、割線強度が20〜46Nの範囲で、かつ錠剤硬度が70から250Nの範囲である場合;及び
特に好ましくは、割線強度が20〜42Nの範囲で、かつ錠剤硬度が30から300Nの範囲であり、
さらに、割線強度が20〜42Nの範囲で、かつ錠剤硬度が50から280Nの範囲であり、
さらに、割線強度が20〜42Nの範囲で、かつ錠剤硬度が70から250Nの範囲である場合
を例示することができるが、これらに限定されるわけではない。
また、錠剤の割線強度は、この割線に沿って分割したときの破断面の面積(以下、「破断面積」と称する。)が重要であると考えられる。この破断面は2個の分割片を結合する部分であり、この面積が特定の値であるときに優れた分割性能が得られる。良好な分割性能を与える本発明の錠剤の破断面積は、例えば15〜33mm2、より好ましくは破断面の面積が20〜33mm2の範囲である。分割性能が不良となる例9の錠剤においては破断面の面積は35.40mm2である。破断面の面積は、分割された錠剤の実測した各部の寸法に基づいてCADにより作図された破断面を顕微鏡にてコンピュータに取り込み、その面積測定を行なうことにより算出することができる。
一方、割線を有しない形状の錠剤、すなわち長径が16.2mm、長径/短径比が約2.05の楕円形錠剤で、処方1の組成の錠剤の場合の無割線錠剤の場合、長径の中心点での短径方向の断面の面積は約36.7mm2であった。したがって、無割線錠剤の断面積に対する破断面積は約55%から89%に相当した。すなわち、割線付錠剤の破断面積は、同形状の無割線錠剤の断面積の50から90%の範囲であればよい。これを断面の面積の減少率で示せば10から50%の範囲である。
割線強度と官能試験におけるスコア、そして、破断面積と割線強度との相関を求めると良好な相関関係が認められることから、優れた分割特性を有する本発明の錠剤を提供するためには、割線で分割した際の錠剤の破断面積を上記の範囲に設定すればよい。したがって、この範囲の破断面積を得るために施す割線に関して断面形状や長さ、あるいは錠剤のいずれの面に割線を施すかといった割線の形状等に関しては特に制限を考慮する必要はない。すなわち、割線に関しての設計の自由度は高いのであって、多様な割線を採用することができる。
例えば、表3に示した割線であるが、割線のデザインはアメリカン ファーマシスツ アソシエイション(American Pharmacists Association)の分類方法(TABLETING SPECIFICATION MANUAL, 2006年,第7版,p.69;アメリカン ファーマシスツ アソシエイション発行)において、E型またはD型と分類されるデザインを採用している。割線の状態は、割線を構成する面が交わる角度を90°に設定し、割線の深さは錠剤の端面から図に示した値を採用していることを表3に示している。なおこの割線の角度は、錠剤の分割性能の点からは、30°〜120°の範囲であれば、優れた分割性能の錠剤が得られることが判明しているが、好ましくは30〜90°の範囲である。また割線の深さは、0.4mmから2mmの範囲であればよい。好ましくは、0.7mmから1.5mmの範囲であればよい。
これ等の割線の具体的な形状、すなわちデザイン、角度、深さは、錠剤の分割性能に影響を与えるが、分割性能の他にも錠剤の製造上の要因等を考慮することも必要となる。
本発明の表1の処方1の組成を有し、形状が楕円形状の錠剤において長径を約16.2mm、短径を約7.9mm、錠厚を約5.6mmとする場合には、例えば、割線を両面に付与し、破断面積を約24mm2とすることが好ましい。そのような錠剤の一例を以下の表4に示す。この錠剤においては、楕円形状の平面図の投影形状の投影面積は約111.2mm2;割線形状は三角形で、その角度は90°(直角二等辺三角形)、割線の深さは約1.2mmで両面に付与している。さらには、錠剤硬度は225Nで割線強度は40.7N、破断面積は約23.97mm2である。
なお、本明細書において言及した各種の寸法、特に錠剤の大きさに関する寸法は、打錠に際して使用される杵臼によって規定されるものであり、製造された錠剤において発生する寸法の誤差は一般的には小さいが、0.1〜0.2mm程度、好ましくは0.1mm以下、さらに好ましくは0.05mm以下の誤差は許容される。
Figure 2018070647
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[500mg錠服用性の官能性評価]
(1) 500mg錠のプラセボ錠の調製:
レボフロキサシン500mg錠に関して、有効成分であるレボフロキサシン水和物(512.5mg)の代わりに乳糖水和物(512.5mg)を配合する以外は同一の処方及び製造方法によって、従来品形状(長径:18.2mm,短径:8.2mm,錠厚:約5.0mm)および本発明の錠剤のうち好ましい形状(長径:16.2mm,短径:7.9mm,錠厚:約5.6mm)である2種類の形状のプラセボ錠を調製した。
(2) 上記の2種類のプラセボ錠を、男性4名、女性2名の、計6名の被験者に服用してもらい、各々の錠剤の服用性について、次のスコアのいずれに該当するかを調査した。各々に示されたカッコ内の数字は評価点である.
評価基準:
問題なく服用できた[3]
少し服用しにくいが服用できた[2]
かなり服用しにくいが服用できた[1]
服用できなかった[0]
その結果、本錠剤の形状のプラセボ錠では、
問題なく服用できた:3名
少し服用しにくいが服用できた:2名
かなり服用しにくいが服用できた:1名
との結果を得た。
一方、従来品形状のプラセボ錠では、
問題なく服用できた:1名
少し服用しにくいが服用できた:4名
かなり服用しにくいが服用できた:1名
との結果であった。
すなわち、「少し服用しにくいが服用できた」との評価以上の評価者はいずれも5名と同数であった。一方、最高段階の評価である「問題なく服用できた」とした評価者は、従来品形状のプラセボ錠では1名であったが、本錠剤の形状のプラセボ錠では、3名と大幅に増加した。さらに、「少し服用しにくいが服用できた」とした評価者は、従来品形状のプラセボ錠では4名であったが、本錠剤の形状のプラセボ錠では、2名と減少し、「服用し難い」との評価が減少した。
上記の結果から、本発明の錠剤が良好な服用性を有することが示された。
なお評価点の平均値は、従来品形状で「2.0」で、本発明の錠剤の形状で「2.4」となり、より高い評価値であった。
[例1〜7]
表5に示した例1〜7の処方に基づいて、表6に示した割線を有するレボフロキサシン500mgを含有する錠剤を調製した。すなわち、レボフロキサシン水和物(第一三共プロファーマ(株)製)、結晶セルロース(セオラスPH-101、旭化成ケミカルズ)、カルメロース(NS-300、ニチリン化学工業)を流動層造粒乾燥機(FLO-120、フロイント産業)に入れ、別に調製した6%ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達)の水溶液を噴霧して造粒した。造粒後十分乾燥し、得られた乾燥品をサニタリードレッサー(浅野鉄工所)にて整粒し、顆粒を製した。この顆粒にフマル酸ステアリルナトリウム(日生化学工業所)を添加してV型混合機(V-600)にて混合し、錠用顆粒を調製した。その後、表6に示す割線を有する杵にてロータリー式打錠機で錠用顆粒を打錠し、錠剤を製した。得られた錠剤をOPADRY 01F43013(日本カラコン)の分散液でハイコーターミニ(フロイント産業)を用いてフィルムコーティングして例1〜7の錠剤を調製した。例7の錠剤は表2に示した従来品の錠剤と同一形状である。
[例8]
表5の例8の処方に従い、例1〜7と同様にして表6に示す割線を有する杵にて打錠し、錠剤を製した。得られた錠剤をOPADRY 01F430001(日本カラコン)の分散液でハイコーターミニ(フロイント産業)を用いてフィルムコーティングして例8の錠剤を調製した。
[例9]
表5の例9の処方に基づき、例1〜7と同様にして表6に示す杵にて打錠し、錠剤を製した。得られた錠剤をOPADRY 01F43013(日本カラコン)の分散液でハイコーターミニ(フロイント産業)を用いてフィルムコーティングして例9の錠剤を調製した。
Figure 2018070647
検討に使用した割線形状を表6に示す。本表に示す割線形状の杵を各々作製し(市橋精機株式会社)、上下杵を種々組み合わせることで、破断面積の異なる錠剤をそれぞれ作製した。
Figure 2018070647
[測定例1] 破断面積測定
製した錠剤を割線に沿って分割し、得られた断面の面積を破断面積と定義する。分割された錠剤について実測した各部の寸法に基づいてCADによって破断面を作図し、この破断面を顕微鏡にてコンピュータに取り込んで面積測定を行ない、破断面積を算出した。表6に示した割線形状の組合せを有する各錠剤について割線部で分割したときの破断面積の測定結果を例1〜8について表7に、例9について表8に示した。
Figure 2018070647
Figure 2018070647
[測定例2] 分割性(ヒト官能試験)
分割性は、被験者が割線の反対側に親指をあて、割線を押し開くように分割した際の割り易さを下に示す基準(スコア)より選択することで評価した。錠剤の両面に割線が存在する場合、両面に対して検討を行い、割線形状の違いによる分割性を評価した。なお、両面に同じ割線が入っている場合は片面のみ評価した。被験者は男性5名(被験者No.A〜E)、女性5名(被験者No.F〜J)の計10名である。
評価基準
5:あまり力を入れなくても分割可能
4:わずかに力を入れれば分割可能
3:やや力を入れれば分割可能
2:力を入れれば分割可能
1:かなり力を入れなければ分割不可能
0:力を入れても割れない
官能試験において測定した分割性の結果を例1〜7について表9に、例9について表10に示した。
Figure 2018070647
Figure 2018070647
[測定例3] オートグラフを用いた割線強度
図1に示すように、オートグラフ(SHIMADZU)を用いて、圧縮速度10mm/minで荷重を加え、錠剤が破断された際の最大荷重を割線強度とした(3錠の平均値)。錠剤エッジから土台端までの距離は、例1〜6、例8、及び例9については1mm、例7については1.5mmとした(この距離は測定時の錠剤の安定性によって定め、錠剤が安定に固定できる最短の距離を採用した。)。また、錠剤表裏で割線形状が異なる場合、評価対象割線面を下に配置し、両面に対して測定を実施した。結果を表11に示した。
[測定例4] 錠剤硬度
錠剤硬度を、錠剤硬度計(ERWEKA TBH20)により測定した(3錠の平均値)。測定は、錠剤の長径(長軸)方向に圧縮力がかかるようにして実施した。本発明の例1〜8の錠剤についての結果を表11に示した。また、例9についての結果を表12に示した。本発明の製剤の硬度は206〜235Nであり、いずれの錠剤も流通上問題ない硬度を有することを確認した。
Figure 2018070647
Figure 2018070647
[割線強度と官能試験の分割性の関係]
例1〜7及び例9の錠剤の割線強度と官能試験の分割性の関係を図2に示した。両者には良好な相関性が認められ、割線強度が46N以下であれば分割可能な錠剤であることが明らかとなった。
[破断面積と割線強度]
次に、破断面積に対し、割線強度をプロットし、結果を図3に示した。破断面積が33mm2以下の時、割線強度が46Nを下回り、分割性が良好となることが示された。
[無割線錠剤に対する割線付錠剤の破断面積の割合]
例1から8の錠剤の、これ等の割線を有しない形状の錠剤、すなわち長径が16.2mm、長径/短径比が約2.05の楕円形錠剤で、処方1の組成の錠剤の場合の無割線錠剤の場合、長径の中心点での短径方向の断面の面積をコンピュータによって算出したところ、約36.73mm2であった。これを元に、例1から8の錠剤の破断面積について無割線錠剤の断面積に対する割線付錠剤の破断面積の割合を表13に示す。
Figure 2018070647
本発明の錠剤は、高含量の大型錠剤であるにもかかわらず従来の錠剤に比べて視覚的に小型化されており、患者に対して服用困難であるとの視覚的な不安を与えず、実際に嚥下が容易であることから患者のコンプライアンスを向上させることができる。また、容易に錠剤を分割することができることから用量の調節が容易であり、一方で、製造時や運搬時に割れや欠けが発生しないような十分な硬度を有することから、製造上の問題点も回避されている。

Claims (2)

  1. レボフロキサシンの1/2水和物の結晶をレボフロキサシン換算量として500mg含有し、質量が570mg〜700mgである楕円形状の錠剤であって、長径/短径比が2.00〜2.50の範囲であり、長径が14〜18mmであり、錠剤の硬度が50〜280Nであり、割線で分割したときの錠剤の破断面の面積が15〜33mm2となるように深さが0.7mm〜1.5mmの範囲の割線が錠剤の両面に設けられた錠剤。
  2. レボフロキサシンを含有する顆粒を調製し、該顆粒に滑沢剤を添加して打錠し、得られた素錠にフィルムコーティングを施して得られる請求項1に記載の錠剤。
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